JP2003049012A - ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
るオリゴマーを防止すると共に、離型層であるシリコー
ンの硬化を阻害しないポリエステルフィルムを提供す
る。 【解決手段】 一方のフィルム表面に塗布層を有する積
層フィルムであり、前記塗布層中にアミノ基を有する化
合物が存在し、蛍光X線により検出されるNおよびSi
由来のKα強度の比(N/Si)が0.015〜0.3
5の範囲であることを特徴とする積層ポリエステルフィ
ルム、および当該ポリエステルフィルムの塗布層表面
に、付加型の架橋反応により硬化するシリコーン離型層
を設けてなることを特徴とする離型フィルム。
Description
を防ぎ、かつ離型層として用いられるシリコーンの硬化
性を阻害しない積層ポリエステルフィルムに関し、さら
に詳しくは、熱処理などの高温下においてもフィルム表
面へのオリゴマー析出が少なく、かつシリコーン硬化を
阻害しない、特定のフィルム表面を有するポリエステル
フィルムに関する。
リエチレンナフタレートに代表されるポリエステルフィ
ルムは、機械的強度、寸法安定性、平坦性、耐熱性、耐
薬品性、光学特性等に優れた特性を有し、コストパフォ
ーマンスに優れるため、各種の用途において使用されて
いる。しかし、用途が多様化するにつれて、フィルムの
加工、使用条件も多様化し、例えばポリエステルフィル
ムを100℃以上の高温で放置すると、フィルム表面に
内部から侵出してきたオリゴマーが析出してしまう。
工したり、あるいは使用したりすることにより、種々の
問題が生じている。かかる問題を解決する手段として、
塗布層を設けることによりオリゴマーが表面に析出する
のを防ぐ方法が提案されており、特開平13−6296
0号公報には、オリゴマーの析出防止として、アミノ基
を有するシランカップリング剤を塗布層としたフィルム
が提案されているが、離型フィルムとして用いる場合に
離型層であるシリコーンの硬化を阻害する欠点を有して
いる。
る従来技術の欠点を解消し、熱処理などによりフィルム
表面に析出してくるオリゴマーを防止すると共に、離型
層であるシリコーンの硬化を阻害しないポリエステルフ
ィルムを提供することにある。
に鑑み鋭意検討を重ねた結果、ある特定の組成よりなる
塗布層を形成することにより、極めてオリゴマー析出が
少なく、かつシリコーンの硬化を阻害しないポリエステ
ルフィルムが得られることを知見し、本発明を完成する
に至った。すなわち、本発明の要旨は、一方のフィルム
表面に塗布層を有する積層フィルムであり、前記塗布層
中にアミノ基を有する化合物が存在し、蛍光X線により
検出されるNおよびSi由来のKα強度の比(N/S
i)が0.015〜0.35の範囲であることを特徴と
する積層ポリエステルフィルム、および当該ポリエステ
ルフィルムの塗布層表面に、付加型の架橋反応により硬
化するシリコーン離型層を設けてなることを特徴とする
離型フィルムに存する。
本発明におけるポリエステルとしては、例えば、構成単
位の80モル%以上がエチレンテレフタレートであるポ
リエチレンテレフタレート、構成単位の80モル%以上
がエチレン−2,6−ナフタレートであるポリエチレン
−2,6−ナフタレート、構成単位の80モル%以上が
1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレートであ
るポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレ
ート等が挙げられる。それらのほかにも、ポリエチレン
イソフタレート、ポリ−1,4−ブチレンテレフタレー
ト等を用いることができる。
ては、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレ
ングリコール、2,3−ブチレングリコール、ネオペン
チルグリコール、トリメチレングリコール、テトラメチ
レングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレ
ングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレン
グリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリアル
キレングリコール等のジオール成分、イソフタル酸、
2,7−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスル
ホイソフタル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジ
ピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ジフェニルエーテ
ルジカルボン酸およびオキシモノカルボン酸等のエステ
ル形成性誘導体を使用することができる。また、ポリエ
ステルとしては、単独重合体または共重合体のほかに、
他の樹脂との小割合のブレンドも使用することができ
る。ポリエチレンテレフタレートにブレンドする樹脂の
例としては、例えばイソフタル酸共重合体、シクロヘキ
サンジメチレンテレフタレート共重合体、ポリエチレン
グリコール共重合体等の各種共重合ポリエチレンテレフ
タレート、ポリエチレンナフタレートおよび共重合ポリ
エチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等
が挙げられる。
は、通常0.40〜0.90、好ましくは0.45〜
0.80、さらに好ましくは0.50〜0.70の範囲
である。極限粘度が0.40未満では、フィルムの機械
的強度が弱くなる傾向があり、極限粘度が0.90を超
える場合は、溶融粘度が高くなり、押出機に負荷がかか
ったり、製造コストがかかる等の問題が生じる場合があ
る。
法しては、固相重合により予めポリマー中のオリゴマー
量を低減させておき、最終フィルムのオリゴマーを少な
くする処方が用いられているが、固相重合の場合は、極
限粘度が高くなったり、工程が増えるためにコストが上
昇してしまう問題がある。また、フィルム製造工程の押
出機で溶融温度が高かったり、滞留時間が長くなる場合
には、オリゴマーを低減させた効果が見られなくなる。
本発明のポリエステルフィルムは、滑り性を付与するた
め、フィルム表面突起形成剤として、フィルム中に平均
粒子径が0.1〜5.0μm、さらには0.3〜3.0
μmの粒子を含有することが好ましい。平均粒子径が
0.1μm未満ではフィルムの滑り性が悪くなる傾向が
あり、5.0μmを超えた場合はフィルム表面の粗大突
起が増える傾向がある。
〜1.0重量%の範囲である。粒子含有量が0.01重
量%未満では、フィルムの滑り性が悪くなる傾向があ
り、1.0重量%を超えるとフィルムの透明性が劣るな
ど、フィルムの実用特性が悪くなる傾向がある。フィル
ム中に添加する粒子の例としては、酸化珪素、炭酸カル
シウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシ
ウム、リン酸カルシウム、リン酸リチウム、リン酸マグ
ネシウム、フッ化リチウム、酸化アルミニウム、酸化チ
タン、カオリン、タルク、カーボンブラック、窒化ケイ
素、窒化ホウ素、および特公昭59−5216号公報に
記載されているような架橋高分子微粉体を挙げることが
でき、本発明を満足させるものであればこれらに限定さ
れるものではない。
2成分以上を同時に用いてもよい。2成分以上用いる場
合は、少なくとも1成分の粒子の平均粒子径および含有
量が上記した範囲内にあればよい。また、異なる粒子が
配合されたポリエステルが積層されたフィルムの場合
は、少なくとも1つの層に含有されている粒子の平均粒
子径および含有量が上記した範囲内にあればよい。
フィルム表面の最大高さ(Rmax)を0.02〜0.
60μmの範囲とすることが好ましい。最大高さ(Rm
ax)が0.02μm未満の場合には、固着性が劣る傾
向があり、0.60μmを超える場合は、離型層等を設
ける場合などに不具合が生じる場合がある。本発明のポ
リエステルフィルムは、必要に応じ、帯電防止剤、安定
剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、光線遮断剤、着色剤などを含有して
いてもよい。本発明は、アミノ基を有する化合物を含有
する塗布層を設け、蛍光X線により検出されたNおよび
Si由来のKα強度の比(N/Si)が、オリゴマーの
封止効果とシリコーンの硬化性に大きく関与し、オリゴ
マー封止効果とシリコーン硬化性とを両立する最適なK
α強度の範囲が存在し、具体的には、0.015〜0.
35の範囲である。
りフィルムに熱が加わった場合に、フィルム表面にオリ
ゴマーが析出するのを防ぐ効果であり、N/SiのKα
強度比が0.015未満では、オリゴマー封止効果が劣
り好ましくない。シリコーンの硬化性とは、離型フィル
ムとするためにシリコーン被膜を設ける際に、塗布層の
アミノ基がシリコーンの触媒毒となり、シリコーン被膜
の硬化を阻害してしまう事である。N/SiのKα強度
比が0.35を超える場合、離型フィルムとしてシリコ
ーンを塗布層の上に塗布した場合、塗布層に含まれるア
ミノ基が触媒毒となり、シリコーンの硬化不足が生じて
しまい好ましくない。本発明における塗布層表面のKα
強度の測定は、蛍光X線分析を用いて用いることができ
る。すなわち、蛍光X線分析は、試料にX線を照射し、
それから放射される固有X線をシグナルとして、その波
長および強度から試料を構成する元素の定性・定量を行
う方法であり、以下に原理を示す。
収され、一部は透過する。物質に吸収されたX線エネル
ギーは2次効果のX線やβ線、あるいは熱などに変換さ
れる。2次X線の一種である蛍光X線は、入射1次X線
の照射によって物質内の原子がその深い電子軌道から電
子を放出して高エネルギー準位励起され、ふたたび安定
準位にもどるときに発生する。蛍光X線の波長と元素の
関係はMoseleyによって導かれ、1/λ=C(Z
−σ)3で表される(ここで、λは蛍光X線の波長、Z
は原子番号、Cおよびσは定数である)。一方、X線分
光の条件は、Braggによって、2dsinθ=nλ
なる関係が導き出された(ここで、dは分光結晶の面間
隔、θはX線の分光結晶への入射角、λは入射X線の波
長、nは回折次数(整数で1,2…)である)。
線の波長を解析することで試料を構成している元素を知
ることができ、また試料より発生する蛍光X線の濃度は
各元素の含有量に依存することから、その強度を測定す
ることによって含有元素の量を知ることができる。本発
明のフィルムの塗布層を構成する、アミノ基を有する化
合物の具体例としては、N−β(アミノエチル)γ−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチ
ル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β
(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシ
シラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−
フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が
挙げられるが、これらに限定されるものではない。それ
らの中でも特に下記一般式で表されるアルコキシシラ
ンによれば、オリゴマー析出防止効果がより一層良好と
なるので好ましい。 Y−R−Si−(X)3 …… (上記式中、Yはアミノ基、Rはメチレン、エチレン、
プロピレン等のアルキレン基、Xはメトキシ基、エトキ
シ基等のアルコキシ基、アルキル基、またはこれらの基
を有する有機官能基を表す)
じて上記のシラン化合物以外の水溶性または水分散性の
バインダー樹脂を併用してもよい。かかるバインダー樹
脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエス
テル、ポリウレタン、アクリル樹脂、ビニル樹脂、エポ
キシ樹脂、アミド樹脂等が挙げられる。これらは、それ
ぞれの骨格構造が共重合等により実質的に複合構造を有
していてもよい。複合構造を持つバインダー樹脂として
は、例えば、アクリル樹脂グラフトポリエステル、アク
リル樹脂グラフトポリウレタン、ビニル樹脂グラフトポ
リエステル、ビニル樹脂グラフトポリウレタン等が挙げ
られる。
改良する目的として、エポキシ基を有するシラン化合物
を用いる。エポキシ基を有するシラン化合物の具体例と
しては、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチ
ルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエト
キシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるもの
ではない。また、本発明の目的の一つであるフィルム表
面へのオリゴマーの析出防止には、上記バインダーの中
でポリビニルアルコールを用いると好ましい。バインダ
ー成分の配合量は、塗布層に対する重量部で50重量部
以下、さらには30重量部以下の範囲が好ましい。ま
た、本発明のフィルムの塗布層中には、必要に応じて架
橋反応性化合物を含んでいてもよい。
あるいはアルキロール化した尿素系、メラミン系、グア
ナミン系、アクリルアミド系、ポリアミド系などの化合
物、ポリアミン類、エポキシ化合物、オキサゾリン化合
物、アジリジン化合物、ブロックイソシアネート化合
物、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジ
ルコ−アルミネート系カップリング剤、金属キレート、
有機酸無水物、有機過酸化物、熱または光反応性のビニ
ル化合物や感光性樹脂などの多官能低分子化合物および
高分子化合物から選択される。架橋反応性化合物は、主
に塗布層に含まれる樹脂が有する官能基と架橋反応する
ことで、塗布層の凝集性、表面硬度、耐擦傷性、耐溶剤
性、耐水性を改良することができる。例えば、前記官能
基が水酸基の場合、架橋反応性化合物としては、メラミ
ン系化合物、ブロックイソシアネート化合物、有機酸無
水物などが好ましく、前記官能基が有機酸およびその無
水物の場合、架橋反応性化合物としてはエポキシ系化合
物、メラミン系化合物、オキサゾリン系化合物、金属キ
レートなどが好ましく、前記官能基がアミン類の場合、
架橋反応性化合物としてはエポキシ系化合物などが好ま
しく、塗布層に含まれる樹脂が有する官能基と架橋反応
効率が高いものを選択して用いることが好ましい。
子中に2個以上含まれる限りにおいて、低分子量化合物
であっても、反応性官能基を有する高分子重合体のいず
れであってもよい。架橋反応性化合物の配合量は、塗布
層に対する重量部で50重量部以下、さらには30重量
部以下、特に15重量部以下の範囲が好ましい。さらに
本発明の塗布層中には、ブロッキングの防止等必要に応
じて塗布層の滑り性改良のために不活性粒子を含んでい
てもよい。不活性粒子としては、無機不活性粒子、有機
不活性粒子があり、無機不活性粒子としては、例えば、
シリカゾル、アルミナゾル、炭酸カルシウム、酸化チタ
ン等が挙げられる。有機不活性粒子としては、ポリスチ
レン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリビニル系樹脂に
よる単独あるいは共重合体を含む微粒子、またはこれら
と架橋成分を複合した架橋粒子に代表される有機粒子が
挙げられる。これらの不活性粒子は軟化温度または分解
温度が約200℃以上、さらには250℃以上、特に3
00℃以上であることが好ましい。
平均膜厚を(L)とした際、1/3≦d/L≦3、さら
には1/2≦d/L≦2の関係を満足するように選択す
るのが好ましい。本発明のフィルムの塗布層は、必要に
応じて界面活性剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、低
分子帯電防止剤、有機系潤滑剤、酸化防止剤、紫外線吸
収剤、発泡剤、染料、顔料等の添加剤を少量含有してい
てもよい。これらの添加剤は単独で用いてもよいが、必
要に応じて二種以上を併用してもよい。
ルフイルムの片面だけに形成してもよいし、両面に形成
してもよい。片面のみに形成する場合、その反対面には
必要に応じて別種の塗布層を形成させ、さらに他の特性
を付与することもできる。なお、塗布液のフイルムへの
塗布性および接着性を改良するため、塗布前のフイルム
に化学処理や放電処理等を施してもよい。塗布層の厚さ
は、0.01〜2μm、さらには0.03〜0.5μ
m、特に0.06〜0.2μmの範囲が好ましい。塗布
層の厚さが0.01μm未満の場合は、十分なオリゴマ
ー析出防止の効果が得られないことがあり、2μmを超
える場合は、耐ブロッキング性が不十分となる傾向があ
る。本発明においては、180℃で10分間熱処理後の
塗布層表面のオリゴマー量が2.8mg/m2以下が好
ましい。表面オリゴマー量が2.80mg/m2を超え
る場合は、ポリエステルフィルムの用途が限定された
り、高温下においてオリゴマーが多量に発生して異物と
なったりするので好ましくない。
0μm、好ましくは20〜75μm、さらに好ましくは
20〜50μmの範囲である。この範囲を超えた場合
は、フィルムの取扱性が悪くなったり、製造コストが上
昇したりすることがある。二軸延伸ポリエステルフィル
ムの製造方法としては、公知の方法を採用することがで
きる。例えば、予め乾燥したポリエステルチップと必要
な添加剤を混合して押出機にホッパー投入し、押出機に
て200〜300℃の温度で溶融混練し、ダイからシー
ト状に押し出して、約70℃以下のキャスティングドラ
ム(回転冷却ドラム)上で急冷して未延伸シートを得、
得られたシートを縦および横方向に4倍以上、好ましく
は9倍以上の面積倍率で延伸し、さらに120〜200
℃の温度で熱固定を行う方法を採用することができる。
布層を形成する方法は、特に制限されないが、ポリエス
テルフイルムを製造する工程中で塗布液を塗布する方法
が好適に採用される。具体的には、未延伸シート表面に
塗布液を塗布して乾燥する方法、一軸延伸フイルム表面
に塗布液を塗布して乾燥する方法、二軸延伸フイルム表
面に塗布液を塗布して乾燥する方法等が挙げられる。こ
れらの中では、未延伸フィルムまたは一軸延伸フイルム
表面に塗布液を塗布後、フイルムに熱処理を行う過程で
同時に塗布層を乾燥硬化する方法が経済的である。ま
た、塗布層を形成する方法として、必要に応じ、前述の
塗布方法のいくつかを併用した方法も採用し得る。具体
的には、未延伸シート表面に第一層を塗布して乾燥し、
その後、一軸方向に延伸後、第二層を塗布して乾燥する
方法等が挙げられる。
布する方法としては、原崎勇次著、槙書店、1979年
発行、「コーティング方式」に示されるリバースロール
コーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアド
クターコーター等を使用することができる。本発明にお
いて用いる塗布液は、通常、安全性や衛生性の観点から
水を主たる媒体として調整されていることが好ましい。
水を主たる媒体とする限りにおいて、水への分散を改良
する目的あるいは造膜性能を改良する目的で少量の有機
溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は、主たる媒体で
ある水と混合して使用する場合、水に溶解する範囲で使
用することが好ましいが、長時間の放置で分離しないよ
うな安定した乳濁液(エマルジョン)であれば、水に溶
解しない状態で使用してもよい。有機溶剤は単独で用い
てもよいが、必要に応じて二種以上を併用してもよい。
る場合、離型層は、硬化型シリコーン樹脂を含有するも
のを用いれば離型性が良好となるので好ましい。硬化型
シリコーン樹脂の種類としては、付加型・縮合型・紫外
線硬化型・電子線硬化型・無溶剤型等何れの硬化反応タ
イプでも用いることができるが、その中でも付加型の硬
化反応タイプがポットライフ、剥離抵抗、ブロッキング
性や生産性などが優れており好ましい。
(株)製KS−774、KS−778、KS−779
H、KS−847、KS−856、ダウ・コーニング・
アジア(株)製DKQ3−202、DKQ3−203、
DKQ3−210、東芝シリコーン(株)製TPR−6
700、TPR−6710、TPR−6721、東レ・
ダウ・コーニング(株)製SD7220、SD722
6、SD7229等が挙げられる。さらに離型層の剥離
性等を調整するために剥離コントロール剤を併用しても
よい。また、離型層中にアミノ基を有するシラン化合物
を添加することもある。本発明において、ポリエステル
フィルムに離型層を設ける方法としては、リバースロー
ルコート、グラビアコート、バーコート、ドクターブレ
ードコート等、従来公知の塗工方式を用いることができ
る。本発明において、離型層の塗布量は、通常0.01
〜1g/m2の範囲である。本発明において、離型層が
設けられていない面には、接着層、帯電防止層、オリゴ
マー析出防止層等の塗布層を設けてもよく、また、ポリ
エステルフィルムにはコロナ処理、プラズマ処理等の表
面処理を施してもよい。
明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の
実施例に限定されるものではない。なお、本発明におけ
る各種の物性および特性の測定方法、定義は下記のとお
りである。また、実施例および比較例中、「部」および
「%」とあるのは、各「重量部」および「重量%」を意
味する。
除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テト
ラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒10
0mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布にお
ける積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
−1500」)を用いてFP(Fundamental Parameter
Method)法により、下記測定条件下でKα強度を測定し
た。 〈測定条件〉 ・X線管ターゲット:Rh(4.0KW) ・電圧:40KV ・電流:95mA ・分光結晶 N:SX−76;Si:PET ・検出器:FPC ・2θ N:33.390deg;Si:108.88
0 ・測定時間:40.0sec ・制限絞り:30mm
ルムを合わせる。その際、塗布層のある面が外側になる
ようにゼムクリップ等で四隅をクリップし、ケント紙と
ポリエステルフィルムを止め、窒素雰囲気下、180℃
のオーブンに前記ポリエステルフィルムを10分間放置
し熱処理を行う。
L量) 上部が開放され、底辺の面積が250cm2となるよう
に、熱処理後のポリエステルフィルムを折って、四角の
箱を作成する。塗布層を設けている場合は、塗布層面が
内側となるようにする。次いで、上記の方法で作成した
箱の中に、DMF10mlを入れ3分間放置後DMFを
回収する。回収したDMFを液体クロマトグラフィー
(島津LC−7A)に供給してDMF中のオリゴマー量
を求め、この値をDMFを接触させたフィルム面積で割
って、フィルム表面環状三量体量(mg/m2)とす
る。DMF中のオリゴマー量は、標準試料ピーク面積と
測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検
量線法)。標準試料の作成は、予め分取したオリゴマー
(環状三量体)を正確に秤量し、正確に秤量したDMF
に溶解して作成した。標準試料の濃度は、0.001m
g/ml〜0.01mg/mlの範囲が好ましい。 〈液体クロマトグラフの条件〉 ・移動相A:アセトニトリル ・移動相B:2%酢酸水溶液 ・カラム:三菱化学(株)製 MCI GEL ODS
1HU ・カラム温度:40℃ ・流速:1ml/分 ・検出波長:254nm
シリコーン樹脂皮膜の具合を下記の評価基準にて判断
し、シリコーン硬化性の目安とした。 ◎:指で強く擦ってもシリコーン被膜に変化が無く、シ
リコーンが十分硬化良好。 ○:指で強く擦ると若干シリコーン被膜が脱落するが、
硬化は良好。 △:若干脱落し、密着性も若干劣るが実用上問題ないレ
ベル。 ×:指で軽く擦ってもシリコーン被膜が脱落してしま
い、実用に供することができない。
を23℃/50%RHの室内に30日間放置後、コーテ
ィング面を指先で数回摩擦し、硬化シリコーン樹脂皮膜
の脱落の具合を下記の評価基準にて判断し、密着性の目
安とした。 ◎:脱落なく、密着性良好。 ○:若干脱落するが、密着性良好。 △:若干脱落し、密着性も若干劣るが実用上問題ないレ
ベル。 ×:脱落あり、密着性不良。
析出防止層形成のために用いたバインダー樹脂等は下記
のとおりである。 [化合物例] ・化合物−A(アミノ基を有する化合物) N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキ
シシラン(塗布液調整において、濃度調整の希釈液は純
水を用いて2%濃度に調整した) ・化合物−B γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(塗布
液調整において、純水では溶解し難いので濃度調整の希
釈液は1%酢酸水溶液を用いて2%濃度に調整した) ・化合物−C(PVA系樹脂) けん化度=88モル%、重合度=500のポリビニルア
ルコール(塗布液調整において、濃度調整の希釈液は純
水を用いて2%濃度に調整した)
タル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60
重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム
・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度
を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応
温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間
後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応
混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04部を添
加した後、平均粒子径1.6μmのエチレングリコール
に分散させたシリカ粒子を0.06部、三酸化アンチモ
ン0.04部を加えて、4時間重縮合反応を行った。す
なわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とし
た。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.
3mmHgとした。反応開始後、4時間を経た時点で反
応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られ
たポリエステル(1)の極限粘度は0.53、オリゴマ
ー(環状三量体)の含有量は0.98重量%であった。
−Bを70重量部、化合物−Cを10重量部含有する塗
布液を調整した。塗布液の固形分濃度は2重量%とし
た。 (フィルムの製造)ポリエステル(1)を乾燥後、28
0〜300℃の温度で溶融押し出しし、静電密着法を併
用しながら冷却ドラム上にキャストし、厚さ約550μ
mの無定形フィルムを得た。このフィルムを85℃で縦
方向に3.7倍延伸し、フィルムの片面に、塗布液−1
を厚み0.06μmに塗布した後、100℃で横方向に
3.9倍延伸し、210℃で熱処理して、厚さ38μm
の二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。 (離型フィルムの製造)得られたポリエステルフィルム
に下記組成からなる離型層を塗布量が0.1g/m
2(乾燥後)になるように設けて離型フィルムを得た。
得られた離型フィルムの特性を下記表2に示す。 ・離型剤組成 硬化型シリコーン樹脂(KS−847H:信越化学製) 100部 硬化剤(PL−50T: 信越化学製) 1部 MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1) 1500部
に示す配合に変更した以外は、実施例1と同様にして離
型フィルムを得た。
にポリエステルフィルムを製造した以外は実施例1と同
様にして離型フィルムを得た。
価結果をまとめて下記表2に示す。
満たす実施例1〜3は、オリゴマー封止効果が高いため
表面オリゴマー量が少なく、シリコーンの硬化不足も生
じなく、シリコーン被膜と塗布層との密着性も改良され
るためラブオフテストの結果も実用上問題のないレベル
以上となる。一方、本発明の要件を満たさない比較例1
〜3では、いずれかの項目を満足できない。
テルフィルムによれば、高温下でもフィルム表面に析出
してくるオリゴマーを抑えると同時にシリコーン硬化性
が改良することができ、有用なフィルムを提供すること
ができ、その工業的価値は高い。
Claims (4)
- 【請求項1】 一方のフィルム表面に塗布層を有する積
層フィルムであり、前記塗布層中にアミノ基を有する化
合物が存在し、蛍光X線により検出されるNおよびSi
由来のKα強度の比(N/Si)が0.015〜0.3
5の範囲であることを特徴とする積層ポリエステルフィ
ルム。 - 【請求項2】 塗布層がシラン化合物を含有することを
特徴とする請求項1記載のポリエステルフィルム。 - 【請求項3】 シラン化合物が下記式で示される化合
物よりなることを特徴とする請求項2記載のポリエステ
ルフィルム。 Y−R−Si−(X)3 …… (上記式中、Yはアミノ基、Rはメチレン、エチレン、
プロピレン等のアルキレン基、Xはメトキシ基、エトキ
シ基等のアルコキシ基、アルキル基、またはこれらの基
を有する有機官能基を表す) - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれにか記載のポリエ
ステルフィルムの塗布層表面に、付加型の架橋反応によ
り硬化するシリコーン離型層を設けてなることを特徴と
する離型フィルム。
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