JP2003048379A - 平版印刷版用支持体および平版印刷版原版 - Google Patents

平版印刷版用支持体および平版印刷版原版

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JP2003048379A
JP2003048379A JP2001312403A JP2001312403A JP2003048379A JP 2003048379 A JP2003048379 A JP 2003048379A JP 2001312403 A JP2001312403 A JP 2001312403A JP 2001312403 A JP2001312403 A JP 2001312403A JP 2003048379 A JP2003048379 A JP 2003048379A
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English (en)
Inventor
Hirokazu Sawada
宏和 澤田
Akio Uesugi
彰男 上杉
Yoshitaka Masuda
義孝 増田
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】平版印刷版としたときの耐刷性に優れ、しかも
汚れにくさにも優れる平版印刷版原版およびそれに用い
られる平版印刷版用支持体の提供。 【解決手段】アルミニウム板に電気化学的粗面化処理を
含む粗面化処理を施して得られる平版印刷版用支持体で
あって、該アルミニウム板が、Feを0.1〜0.5質
量%、Siを0.02〜0.10質量%、Cuを0〜
0.005質量%、Tiを0〜0.05質量%含有し、
残部がAlと不可避不純物からなり、表面のピットの平
均径が1.2μm以下であり、ピットの平均密度が1×
106 〜125×106 個/mm2 であることを特徴と
する平版印刷版用支持体およびそれを用いた平版印刷版
原版。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平版印刷版用支持
体および平版印刷版原版に関し、詳しくは、極めて均一
で微細なピットを表面に有するために、平版印刷版とし
たときの印刷性に優れる平版印刷版原版およびそれに用
いられる平版印刷版用支持体に関する。特に、平版印刷
版用支持体の表面にSi原子を付着させることで、露光
後、実質的にアルカリ金属ケイ酸塩を含有しない現像液
で現像することができる平版印刷版原版およびそれに用
いられる平版印刷版用支持体、ならびに、レーザ光源を
使用した製版に適する平版印刷版用原版およびそれに用
いられる平版印刷版用支持体に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム板を支持体として用いる感
光性平版印刷版原版は、オフセット印刷に幅広く使用さ
れている。この平版印刷版原版は、一般に、シート状ま
たはコイル状のアルミニウム板の表面に粗面化処理を施
し、更に陽極酸化処理を施した後、感光液を塗布し乾燥
することにより記録層を設けて得られ、所望のサイズに
切りそろえて用いられる。粗面化処理としては、酸性溶
液中での電気化学的粗面化処理(以下「電解粗面化処
理」ともいう。)が、記録層と支持体との密着性を向上
させるうえで有効な手段である。また、陽極酸化処理の
後に、記録層と支持体との密着性を向上させるために、
表面処理や下塗り液の塗布を行うこともある。
【0003】電気化学的粗面化処理を含む粗面化処理を
行う場合、支持体の表面に微小な凹凸(ピット)が生成
する。従来、その径を均一でかつ大きくし、また、その
深さを深くすることによって、画像部においては記録層
と支持体との密着性が強固になり、数多くの枚数を印刷
しても記録層がはく離したりせず、また、非画像部にお
いては多くの湿し水を表面に保持することが可能とな
り、汚れが発生しにくく、印刷性に優れる平版印刷版原
版が得られると考えられていた。例えば、特開2000
−108534号公報、特開2000−37965号公
報および特開2000−37964号公報に、そのよう
な観点から電解粗面化ピットの形状や均一性を改善する
方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者らが鋭意検討した結果、支持体表面のピットは略お椀
状の形をしており、その径が均一でかつ大きく、また、
その深さが深い場合には、ピットの底の部分に記録層が
入り込んで記録層と支持体との密着性が十分となる一
方、ピットの縁の部分においては、相対的に記録層が薄
くなり、しかもピットの縁の部分はとがっているため
に、印刷中において、ピットの縁の上にある記録層に強
い応力がかかりやすく、その部分の記録層が破壊やはく
離を起こしやすいということが判明した。これに対し、
縁部分のとがりを化学的に溶解する方法が知られている
が、本発明者らは、縁部分を溶解した場合、非常に耐刷
枚数(平版印刷版の画像部の記録層がはく離し、または
摩耗することにより、印刷不能になるまでの印刷枚数)
が低下しやすくなることを知見した。また、これは、コ
ンベンショナルタイプの平版印刷版原版に見られるだけ
でなく、レーザで直接画像を露光するタイプの平版印刷
版原版(レーザ刷版用の平版印刷版原版)において顕著
に見られることも知見した。
【0005】ところで、オフセット印刷では、インキを
版から印刷用紙等の被印刷材に直接転写させず、インキ
を版胴に巻かれた平版印刷版から転写胴に巻かれた弾力
性のあるゴム布(ブランケット)に一旦転写し、このイ
ンキを転写されたブランケットと、圧胴により給紙され
る被印刷材とを接触加圧して印刷を行っている。非画像
部のピットが不均一であると、非画像部における湿し水
の保持が不十分になりインキの侵入を許すため、版面の
非画像部にインキが付着し、汚れとなる。その汚れがブ
ランケットに転写し、ひいては印刷物の汚れとして現れ
る。このような印刷物の汚れを防止するために、通常、
ブランケットの汚れが確認された時点で、印刷機を停止
して非画像部に付着したインキを洗浄するとともに、湿
し水の供給量を増して版面の汚れを防止する。洗浄は、
版面全体を、即ち、画像部と非画像部とをともに、酸性
またはアルカリ性のプレートクリーナ液を適当量、スポ
ンジに湿らせて拭くことにより行う。このようにするこ
とで、版面の非画像部に付着したインキを除去してい
る。
【0006】プレートクリーナ液で版面全体を洗浄する
と、クリーナ液によって記録層が膨潤して記録層の強度
が低下したり、クリーナ液が記録層と支持体との間に浸
透して両者の密着性が低下したりするために、版面を洗
浄した後に大部数の印刷を行うと、ブランケットとの摩
擦面積が大きいベタ画像部や、支持体との接着面積が小
さいハイライト画像部において、記録層が磨耗したり、
はく離したりしやすくなる。したがって、平版印刷版
は、プレートクリーナ液で版面を洗浄した後においても
耐刷性にも優れるのが好ましい。
【0007】一方、平版印刷版の耐汚れ性(汚れにく
さ)を向上させる目的で、現像液中にアルカリ金属ケイ
酸塩を含有させることにより、記録層が除去された非画
像部のみにSi原子を付着させ、より一層非画像部の親
水性を向上させることが一般に行われている。しかしな
がら、アルカリ金属ケイ酸塩を含有する現像液を用いて
現像する場合、SiO2 に起因する固形物が析出しやす
いこと、現像廃液を処理する際の中和処理においてSi
2 に起因するゲルが生成すること等の問題があった。
これに対し、平版印刷版の非画像部となる平版印刷版用
支持体の表面を、あらかじめアルカリ金属ケイ酸塩溶液
で処理したうえで記録層を設けることにより、実質的に
アルカリ金属ケイ酸塩を含有しない現像液を用いて現像
する技術が提案されている(特開平11−109637
号公報等)。しかしながら、この技術においては、記録
層と支持体との密着性が弱くなるという不具合があっ
た。
【0008】本願出願人は、平版印刷版用支持体の表面
の凹凸のうち、大波構造とピット径を特定の範囲に限定
し、更に、陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアのポア
径とポア密度とを特定の範囲に限定し、好ましくはAl
中のCuの含有量を一定範囲以下に限定することを提案
した(特願2001−74171号明細書)。また、C
uの含有量を一定範囲以下に限定することは、特公平1
−47545号公報、特開平8−337835号公報に
記載されている。しかしながら、これらの方法でもま
だ、記録層と支持体との密着性は十分とはいえず、非画
像部の汚れにくさも十分とはいえなかった。そして、こ
れらの方法では、支持体の機械的強度が不足する場合が
あった。
【0009】したがって、本発明は、記録層と支持体と
の密着性に優れ、かつ、ピットの縁の上の記録層が破壊
やはく離を起こしやすいという問題もないため、平版印
刷版としたときの耐刷性に優れ、しかも汚れにくさにも
優れる平版印刷版原版およびそれに用いられる平版印刷
版用支持体を提供することを目的とする。また、本発明
は、平版印刷版としたときの耐刷性および汚れにくさに
優れ、更に、プレートクリーナ液で版面を洗浄した後の
耐刷性(以下「耐クリーナ耐刷性」ともいう。)にも優
れる平版印刷版原版およびそれに用いられる平版印刷版
用支持体を提供することを目的とする。更に、本発明
は、平版印刷版としたときの耐刷性および汚れにくさに
優れ、そのうえ機械的強度にも優れる平版印刷版原版お
よびそれに用いられる平版印刷版用支持体を提供するこ
とを目的とする。更に、本発明は、平版印刷版としたと
きの耐刷性および汚れにくさに優れ、そのうえアルカリ
金属ケイ酸塩を含有しない現像液で処理することができ
る平版印刷版原版およびそれに用いられる平版印刷版用
支持体を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、更に鋭意検
討を重ねた結果、平版印刷版用支持体に用いられるアル
ミニウム板における特定の元素の含有量を制御すること
で、ピットの平均径を小さくし、かつ、単位面積あたり
のピット数を多くすることができること、および、それ
により記録層と支持体との密着性に優れるため、平版印
刷版としたときの耐刷性に優れ、かつ、平版印刷版とし
たときの汚れにくさにも優れる平版印刷版原版が得られ
ることを見出した。また、本発明者は、更に、ピットの
平均径および径に対する深さの比の平均が特定の範囲に
あると、記録層と支持体との密着性が極めて優れたもの
となり、耐クリーナ耐刷性が優れたものとなり、また、
通常の耐刷性にも極めて優れたものとなることを見出し
た。また、本発明者は、更に、引張強度、180度折り
曲げ強度および疲労破断強度の三つの強度特性を同時に
制御することにより、機械的強度に優れる平版印刷版原
版が得られることを見出した。また、本発明者は、上述
したアルミニウム板における特定の元素の含有量を制御
することで、ピットの平均径を小さくし、かつ、単位面
積あたりのピット数を多くすることができるという技術
思想は、表面にあらかじめSi原子を付着させた平版印
刷版用支持体;レーザ直描型の記録層を用いたレーザ刷
版用の平版印刷版原版;実質的にアルカリ金属ケイ酸塩
を含有しない現像液を用いた現像処理方法;レーザ露光
後、インキおよび/または湿し水を用いて現像すること
ができるレーザ刷版用の平版印刷版原版;レーザ露光
後、現像処理が不要な平版印刷版原版と組み合わせる
と、顕著な効果を示すことを見出した。
【0011】したがって、本発明は、アルミニウム板に
電気化学的粗面化処理を含む粗面化処理を施して得られ
る平版印刷版用支持体であって、該アルミニウム板が、
Feを0.1〜0.5質量%、Siを0.02〜0.1
0質量%、Cuを0〜0.005質量%、Tiを0〜
0.05質量%含有し、残部がAlと不可避不純物から
なり、表面のピットの平均径が1.2μm以下であり、
ピットの平均密度が1×10 6 〜125×106 個/m
2 であることを特徴とする平版印刷版用支持体を提供
する。
【0012】また、本発明は、アルミニウム板に電気化
学的粗面化処理を含む粗面化処理を施して得られる平版
印刷版用支持体であって、該アルミニウム板が、Feを
0.1〜0.5質量%、Siを0.02〜0.10質量
%、Cuを0〜0.005質量%、Tiを0〜0.05
質量%含有し、かつ、NiおよびVのうち少なくとも1
種をNi:0.002〜0.005質量%、V:0.0
1〜0.05質量%の範囲で含有し、残部がAlと不可
避不純物からなることを特徴とする平版印刷版用支持体
を提供する。
【0013】表面のピットの平均径が0.6μm以下で
あり、かつ、ピットの径に対する深さの比の平均が0.
15〜1.0であるのが好ましい。
【0014】前記アルミニウム板におけるFe含有量が
0.2〜0.5質量%であり、支持体の引張強度が15
0MPa以上、支持体の180度折り曲げ強度が5回以
上、支持体の疲労破断強度が1万回以上であるのが好ま
しい。
【0015】アルミニウム板に電気化学的粗面化処理を
含む粗面化処理を施して得られる平版印刷版用支持体で
あって、該アルミニウム板が、Feを0.1〜0.5質
量%、Siを0.02〜0.10質量%、Cuを0〜
0.005質量%、Tiを0〜0.05質量%、Mgを
0.1〜1.0質量%含有し、残部がAlと不可避不純
物からなり、支持体の引張強度が170MPa以上、支
持体の180度折り曲げ強度が10回以上、支持体の疲
労破断強度が2万回以上であるのが好ましい。
【0016】表面のSi原子付着量が0.1〜8mg/
2 であるのが好ましい。
【0017】また、本発明は、前記平版印刷版用支持体
上に記録層を設けた平版印刷版原版を提供する。
【0018】前記平版印刷版原版がレーザ刷版用の平版
印刷版原版であるのは、本発明の好適な態様の一つであ
る。
【0019】また、本発明は、前記平版印刷版原版に露
光した後、実質的にアルカリ金属ケイ酸塩を含有せず、
かつ、糖類を含有する現像液を用いて現像することを特
徴とする平版印刷版の処理方法を提供する。
【0020】前記平版印刷版原版が、露光後、インキお
よび/または湿し水による現像が可能な前記レーザ刷版
用の平版印刷版原版であるのは、本発明の好適な態様の
一つである。
【0021】前記平版印刷版原版が、露光後の現像が不
要な前記レーザ刷版用の平版印刷版原版であるのは、本
発明の好適な態様の一つである。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。 [平版印刷版用支持体] <アルミニウム板(圧延アルミ)>本発明の平版印刷版
用支持体には、アルミニウム合金が用いられる。アルミ
ニウム合金における必須の合金成分は、Al、Fe、S
i、CuおよびTiである。
【0023】Feは、通常、原材料として使用されるア
ルミニウム合金(Al地金)に0.04〜0.2質量%
程度含有されている。Feは、アルミニウム中に固溶す
る量は少なく、ほとんどが金属間化合物として残存す
る。Feは、アルミニウム合金の機械的強度を高める作
用があり、支持体の強度に大きく影響を与える。Fe含
有量が少なすぎると、機械的強度が低すぎて、平版印刷
版を印刷機の版胴に取り付ける際に、版切れを起こしや
すくなる。また、高速で大部数の印刷を行う際にも、同
様に版切れを起こしやすくなる。一方、Fe含有量が多
すぎると、必要以上に高強度となり、平版印刷版を印刷
機の版胴に取り付ける際に、フィットネス性に劣り、印
刷中に版切れを起こしやすくなる。例えば、1.0質量
%より多いと圧延途中に割れが発生しやすくなる。金属
間化合物としては、Al3 Fe、Al6 Fe、AlFe
Si系化合物、AlFeSiMn系化合物等が代表的で
ある。本発明においては、Fe含有量は、0.1質量%
以上とし、かつ、0.5質量%以下とする。特に、後述
するように、印刷時に平版印刷版の版切れが起こらない
ようにするためには、平版印刷版用支持体において、引
張強度が150MPa以上、180度の折り曲げ強度が
5回以上、疲労破断強度が1万回以上であるのが好まし
い。本発明においては、アルミニウム合金におけるFe
含有量を0.2質量%以上とすると、上記平版印刷版用
支持体の各強度特性を満たすことができるので好まし
い。
【0024】Siは、原材料であるAl地金に不可避不
純物として0.03〜0.1質量%前後含有されてお
り、原材料差によるばらつきを防ぐため、意図的に微量
添加されることが多かった。また、スクラップAlの中
にも多く含有される。Siは、アルミニウム中に固溶し
た状態で、または、金属間化合物もしくは単独の析出物
として存在する。また、平版印刷版用支持体の製造過程
で加熱されると、固溶していたSiが単体Siとして析
出することがある。本発明者らの知見によれば、単体S
iが過剰の場合、耐苛酷インキ汚れ性が低下する。ここ
で、「苛酷インキ汚れ」とは、印刷を何度も中断しつつ
行った場合に、平版印刷版の非画像部表面部分にインキ
が付着しやすくなった結果、印刷された紙等に表れる点
状または円環状の汚れをいう。また、Si含有量は、ア
ルミニウム板の電気化学的粗面化性に影響を及ぼす。金
属間化合物としては、AlFeSi系化合物、AlFe
SiMn系化合物、Mg2 Si等が代表的である。本発
明者は、鋭意検討の結果、Si含有量を特定範囲に制御
することにより、好ましくは、更に後述するようにCu
含有量と関連付けて制御することにより、極めて均一で
微細なピットを生成することができることを見出した。
本発明においては、Si含有量は、0.02質量%以上
であり、かつ、0.10質量%以下である。好ましく
は、安定性の面から、0.04質量%以上であるのが好
ましく、また、0.08質量%以下であるのが好まし
い。
【0025】Cuは、新地金の中に極微量含有され、ま
た、JIS2000系材料および同4000系材料のス
クラップに多く含有される元素である。Cuは、比較的
アルミニウム中に固溶しやすい。Cuは、任意成分であ
るが、電解粗面化処理を制御するうえで、Siと同様
に、非常に重要な元素である。Cu含有量が多すぎる
と、ピットが大きく深くなりすぎ、平版印刷版としたと
きのベタ画像部の着肉性が悪くなる。Cu含有量を少な
い値で制御することにより、好ましくは、更に後述する
ようにSi含有量と関連付けて制御することにより、極
めて均一で微細なピットを生成することができ、平版印
刷版としたときにベタ画像部の着肉性が優れたものとな
る。Cu含有量は、0.005質量%以下であり、好ま
しくは0.003質量%以下である。
【0026】アルミニウム合金におけるSi含有量(質
量%)を[Si]、Cu含有量(質量%)を[Cu]と
表した際、下記式 [Si]/10+[Cu]≦0.01 を満たすのが好ましい。上記式を満たすと、より均一で
より微細なピットを生成することができる。
【0027】Tiは、以前より、鋳造時の結晶組織を微
細にするために、結晶微細化材として、通常、0.01
〜0.04質量%含有されている。Tiは、主として、
Alとの金属間化合物またはTiB2 として添加され
る。Tiは、JIS5000系材料、同6000系材料
および同7000系材料のスクラップに、不純物金属と
して比較的多めに含有される。Tiが過剰に含有される
と、アルミニウム板の電気化学的粗面化性に影響を及ぼ
すことがある。具体的には、Ti含有量が多すぎると、
電解粗面化処理において表面酸化皮膜の抵抗が過小とな
るため、均一なピットが形成されない場合がある。本発
明においては、Ti含有量は、0.05質量%以下であ
り、0.03質量%以下であるのが好ましい。また、T
i含有量は、0.005質量%以上であるのが好まし
い。Tiは、任意成分であり、原材料のAl地金に不可
避不純物として含有される微量のTiを結晶微細化に活
用してもよいが、結晶微細化効果を高めるためには、A
l−Ti合金またはAl−B−Ti合金として添加され
るのが好ましい。なお、Al−B−Ti合金として添加
した場合、アルミニウム合金中にBが微量含有されるこ
とになるが、本発明の特徴は損なわれない。
【0028】また、本発明においては、アルミニウム合
金が、NiおよびVのうち少なくとも1種をNi:0.
002〜0.005質量%、V:0.01〜0.05質
量%の範囲で含有するのが好ましい。Niは、電解粗面
化処理の効率を向上させる元素として、0.005質量
%以上添加する提案が多数なされている。また、Al地
金中に最大0.002質量%程度含有されることが知ら
れている。また、Vは、Al地金中に最大0.01質量
%程度含有されることが知られている。本発明者の知見
によれば、アルミニウム合金のSiおよびCuの含有量
をそれぞれ上述した範囲に制御した場合において、Ni
を0.002〜0.005質量%含有させ、もしくは、
Vを0.01〜0.05質量%含有させることにより、
または、NiおよびVの両方を上記範囲で含有させるこ
とにより、電解粗面化処理の均一性の向上およびピット
の微細化を促進することができる。なお、アルミニウム
合金にNiおよび/またはVを上記範囲で含有させる場
合は、用いるAl地金における含有量を活かして、必要
な分だけ添加するのが好ましい。
【0029】また、本発明においては、アルミニウム合
金が、Mgを0.1〜1.0質量%含有するのが好まし
い。Mgは、新地金の中に極微量含有され、また、JI
S2000系材料、同3000系材料、同5000系材
料および同7000系材料のスクラップに多く含有され
る元素である。Mgは、特にcan end材に多く含
有されるため、スクラップ材に含有される主要な不純物
金属の一つである。Mgは、比較的アルミニウム中に固
溶しやすく、Siと金属間化合物を形成することも知ら
れている。Mgは、電解粗面化処理を制御する上で重要
な元素であるとともに、平版印刷版の耐熱軟化性および
強度を向上させる効果もある。特に、後述するように、
印刷時に平版印刷版の版切れが起こらないようにするた
めには、平版印刷版用支持体において、引張強度が17
0MPa以上、180度の折り曲げ強度が10回以上、
疲労破断強度が2万回以上であるのがより好ましい。本
発明においては、アルミニウム合金におけるMg含有量
を0.1質量%以上とすると、上記平版印刷版用支持体
の各強度特性を満たすことができるので好ましい。一
方、Mg含有量が1.0質量%を超えると、原材料コス
トが高くなるので、1.0質量%以下であるのが好まし
い。
【0030】アルミニウム板の残部は、Alと不可避不
純物からなる。不可避不純物の大部分は、Al地金中に
含有される。不可避不純物は、例えば、Al純度99.
7%の地金に含有されるものであれば、本発明の効果を
損なわない。不可避不純物については、例えば、L.
F.Mondolfo著「Aluminum Allo
ys:Structure and properti
es」(1976年)等に記載されている量の不純物が
含有されていてもよい。アルミニウム合金に含有される
不可避不純物としては、例えば、Mn、Zn、Cr、B
が挙げられる。
【0031】Mnは、新地金の中に極微量含有され、ま
た、JIS3000系材料のスクラップに多く含有され
る元素である。Mnは、特にcan body材に多く
含有されるため、スクラップ材に含有される主要な不純
物金属の一つである。Mnは、比較的アルミニウム中に
固溶しやすく、Al、Fe、Si等と金属間化合物を形
成する。Mnは、アルミニウム板の機械的強度を向上さ
せるとともに、アルミニウム板の電気化学的粗面化性に
影響を及ぼす。
【0032】Znは、新地金の中に極微量含有され、ま
た、JIS7000系材料のスクラップに多く含有され
る元素である。Znは、比較的アルミニウム中に固溶し
やすい。Znは、アルミニウム板の電気化学的粗面化性
に影響を及ぼす。
【0033】Crは、新地金の中に極微量含有されるこ
とがあり、また、JIS5000系材料、同6000系
材料および同7000系材料のスクラップに少量含有さ
れることがある。
【0034】Bは、結晶微細化材として、Tiとともに
添加されることがある。Bは、0.04質量%以下の範
囲で含有されてもよい。
【0035】アルミニウム合金を板材とするには、例え
ば、下記の方法を採用することができる。まず、所定の
合金成分含有量に調整したアルミニウム合金溶湯に、常
法に従い、清浄化処理を行い、鋳造する。清浄化処理に
おいては、溶湯中に混入している水素等の不要ガスや、
固形の不純物を除去する。不要ガスを除去する清浄化処
理としては、例えば、フラックス処理;アルゴンガス、
塩素ガス等を用いる脱ガス処理が挙げられる。また、固
形の不純物を除去する清浄化処理としては、例えば、セ
ラミックチューブフィルタ、セラミックフォームフィル
タ等のいわゆるリジッドメディアフィルタや、アルミナ
フレーク、アルミナボール等をろ材とするフィルタや、
グラスクロスフィルタ等を用いるフィルタリング処理が
挙げられる。また、脱ガス処理とフィルタリング処理と
を組み合わせた清浄化処理を行うこともできる。
【0036】これらの清浄化処理は、溶湯中の非金属介
在物、酸化物等の異物による欠陥や、溶湯に溶け込んだ
ガスによる欠陥を防ぐため、実施されるのが好ましい。
溶湯のフィルタリング処理としては、例えば、特開平6
−57342号公報、特開平3−162530号公報、
特開平5−140659号公報、特開平4−23142
5号公報、特開平4−276031号公報、特開平5−
311261号公報および特開平6−136466号公
報に記載されている方法を用いることができる。また、
溶湯の脱ガス処理としては、例えば、特開平5−516
59号公報、特開平5−51660号公報、特開平5−
49148号公報および特開平7−40017号公報に
記載されている方法を用いることができる。
【0037】ついで、アルミニウム合金溶湯を、DC鋳
造法に代表される固定鋳型を用いる鋳造法、および、連
続鋳造法に代表される駆動鋳型を用いる鋳造法のいずれ
かにより鋳造する。DC鋳造法を用いる場合には、1〜
300℃/秒の範囲の冷却速度で凝固される。冷却速度
が1℃/秒未満であると、粗大な金属間化合物が多数形
成される場合があるので好ましくない。連続鋳造法とし
ては、ハンター法および3C法に代表される冷却ロール
を用いる方法と、ハズレー法およびアルスイスキャスタ
ーII型に代表される冷却ベルトまたは冷却ブロックを
用いる方法とが工業的に行われている。連続鋳造法を用
いる場合には、100〜1000℃/秒の範囲の冷却速
度で凝固される。一般的に連続鋳造法は、DC鋳造法に
比べて冷却速度が速いため、アルミニウムマトリックス
に対する合金成分の固溶度を高くできるという特徴があ
る。連続鋳造法に関しては、例えば、特開平3−797
98号公報、特開平5−201166号公報、特開平5
−156414号公報、特開平6−262203号公
報、特開平6−122949号公報、特開平6−210
406号公報および特開平6−262308号公報に記
載されている方法を用いることができる。
【0038】DC鋳造法の場合、板厚300〜800m
mの鋳塊が製造されるので、常法に従い、面削により表
層の1〜30mm、好ましくは1〜10mmが切削され
る。その後、必要に応じて、均熱化処理が行われる。均
熱化処理を行う場合、金属間化合物が粗大化しないよう
に、450〜620℃で1〜48時間の熱処理を行う。
1時間未満の場合は、均熱化処理の効果が不十分となる
ことがある。金属間化合物の安定化の必要がない場合、
均熱化処理は省略することができる。
【0039】その後、熱間圧延、冷間圧延を行ってアル
ミニウム合金板の圧延板とする。熱間圧延の開始温度は
350〜500℃が適当である。冷間圧延の前もしくは
後、またはその途中において、中間焼鈍処理を行っても
よい。その条件は、バッチ式焼鈍炉を用いて280〜6
00℃で2〜20時間、好ましくは350〜500℃で
2〜10時間加熱するか、連続焼鈍炉を用いて400〜
600℃で6分以下、好ましくは450〜550℃で2
分以下加熱するかである。連続焼鈍炉を用いて10℃/
秒以上の昇温速度で加熱して、結晶組織を細かくするこ
ともできる。熱間圧延終了時点で、結晶組織が微細であ
れば、中間焼鈍は省略してもよい。冷間圧延に関して
は、例えば、特開平6−210308号公報に記載され
ている方法を用いることができる。
【0040】所定の厚さ、例えば、0.1〜0.5mm
に仕上げられたアルミニウム合金板は、更にローラレベ
ラ、テンションレベラ等の矯正装置によって平面性を改
善してもよい。平面性の改善(矯正)は、板をシート状
にカットした後に行ってもよいが、生産性を向上させる
ためには、連続したコイルの状態で行うのが好ましい。
テンションレベラを用いる場合は、矯正前後の幅方向の
伸び率の差が0.06%以内になるようにするのが好ま
しい。矯正前後の幅方向の伸び率の差は、例えば、以下
の方法により、求めることができる。まず、矯正前に、
板圧延方向に対して垂直に平行線を2本引き、平行線の
間隔Lを正確に測定する。アルミニウム板を幅方向に、
例えば、20mm幅に分割するように線を引いて細い短
冊状の板とし、矯正後にそれぞれの短冊状の板のLに対
応する部分の実際の長さを測定し、この長さをlとす
る。各板の伸び率((l−L)/L×100)(%)を
計測し、伸び率が最大の板と最小の板とから、矯正前後
の幅方向の伸び率の差を求めることができる。
【0041】このようなテンションレベラ等による矯正
により、アルミニウム板を切断して板圧延方向の長さが
1.5mである長方形のカットシートとして定盤上に置
き、板圧延方向に垂直な辺のそれぞれから0.25mず
つ内側に入った位置に、カットシートの全幅以上を覆う
おもしを置いてカールを押さえ込み、内側の長さ1mに
ついて、板圧延方向に平行な2辺の浮き上がり部(歪
み)の最大高さが2.0mm以下、浮き上がり部(歪
み)の数が各辺につき5個以下、浮き上がり部(歪み)
の高さの合計が4.0mm以下のアルミニウム板を得る
ことができる。なお、カットシートの角が浮き上がって
いる場合には、これも浮き上がり部(歪み)の数に含め
る。また、アルミニウム板の内側においても、浮き上が
り部(歪み)の最大高さが2.0mm以下、浮き上がり
部(歪み)の数が5個以下、浮き上がり部(歪み)の高
さの合計が4.0mm以下となるのが好ましい。
【0042】アルミニウム板は、断面形状が以下のもの
であるのが好ましい。通常、アルミニウム板は、コイル
として巻かれた状態で所定期間保管される。板断面にお
いて、板の端部、即ち、耳部の厚みが厚すぎると、数千
mにわたってコイル状に巻かれて保管されている間に、
厚い部分が塑性変形を起こし、耳歪みと称される端部の
歪みが発生する。同様に、板の内側の厚みが厚すぎる
と、塑性変形を起こし、腹歪みと称される内側の歪みが
発生する。
【0043】腹歪みの発生は耳歪みに比べて発生しにく
い傾向にあるため、本発明においては、耳歪みの発生防
止を優先し、板の内側の板厚を板の端部よりやや厚く仕
上げるのが好ましい。具体的には、板の平均板厚に対す
る耳部の板厚を一定以下にするため、以下のように定義
されるa値を1.0以下にすることが好ましい。また、
板の内側の板厚を平均板厚に対して厚くしすぎないた
め、以下のように定義されるpc値を2.0%以下にす
るのが好ましい。上述した冷間圧延工程において、冷間
圧延ロールのたわみ形状を調整することで、a値および
pc値を所望の値に調整することができる。 a=h/c pc= c/tc×100(%) h:耳部板厚と最小板厚との差 c:中央部最大板厚と最小板厚との差 tc:中央部最大板厚 なお、これらの値は、特開平11−254847号公報
の図2を参照することにより、より容易に理解される。
【0044】また、本発明においては、アルミニウム板
の長さ4mあたりの曲がりが0.3mm以下であるのが
好ましい。アルミニウム板の曲がりが大きいと、コイル
として巻いた場合に、巻いていくに従って徐々に巻きズ
レが大きくなり、巻きズレに起因する板端部の折れや歪
みが発生する。冷間圧延ロールの平行度および冷間圧延
機でのアルミニウム板の送り出し精度をコントロールす
ることにより上記曲がりの目標数値は達成できる。
【0045】また、本発明においては、板の端部のバリ
の高さが10μm以下であるのが好ましい。断面形状の
説明で述べたのと同様の理由により、端部のバリが大き
いと、コイルとして巻かれて保管される間に、端部での
塑性変形が起こりやすい。また、平版印刷版用支持体を
得るための表面処理や、平版印刷版原版とするための記
録層塗布工程において、バリは、パスロールや塗布装置
といった平版印刷版原版製造設備に傷を付けやすいの
で、好ましくない。したがって、上述したように、バリ
の高さを10μm以下とするのが好ましい。コイルの耳
部を切り落とすスリッタ工程における刃のクリアランス
のコントロールにより、バリの高さを10μm以下とす
ることができる。
【0046】また、所定の板幅に加工するため、スリッ
タラインを通すことも通常行われる。スリッタによって
切られた板の端面には、スリッタ刃に切られるときに、
せん断面と破断面の一方または両方が生じる。
【0047】板の厚みの精度は、コイル全長にわたって
の板厚差が、20μm以内であるのが好ましく、12μ
m以内であるのがより好ましい。また、幅方向の板厚差
は、6μm以内であるのが好ましく、3μm以内である
のがより好ましい。また、板幅の精度は、2.0mm以
内であるのが好ましく、1.0mm以内であるのがより
好ましい。
【0048】アルミニウム板の表面粗さは、圧延ロール
の表面粗さの影響を受けやすいが、最終的に算術平均粗
さRa が0.1〜1.0μm程度となるように仕上げる
のが好ましい。Ra が大きすぎると、得られる平版印刷
版原版において、アルミニウム板のもともとの粗さ、即
ち、圧延ロールによって転写された粗い圧延条痕が記録
層の上から見えるため、外観上好ましくない。Ra
0.1μm以下とするためには、圧延ロールの表面を過
度に低粗度に仕上げる必要があるため、工業的に好まし
くない。
【0049】また、アルミニウム板同士の摩擦による傷
の発生を防止するために、アルミニウム板の表面に薄い
油膜を設けてもよい。油膜としては、必要に応じて、揮
発性のものや、不揮発性のものが適宜用いられる。油量
が多すぎると、製造ライン中でスリップ故障が発生する
場合があるので、油量は100mg/m2 以下であるの
が好ましく、50mg/m2 以下であるのがより好まし
く、10mg/m2 以下であるのが更に好ましく、ま
た、油量が皆無だとコイル輸送中に傷が発生する場合が
あるので、油量は3mg/m2 以上であるのが好まし
い。
【0050】連続鋳造の場合、例えば、ハンター法(双
ロール法)等の冷却ロールを用いる方法によれば、板厚
1〜10mmの鋳造板を直接連続鋳造圧延することがで
き、熱間圧延の工程を省略することができるという利点
がある。また、ハズレー法(双ベルト法)等の冷却ベル
トを用いる方法によれば、板厚10〜50mmの鋳造板
を鋳造することができ、一般的に、鋳造直後に熱間圧延
ロールを用いて連続的に圧延することにより、板厚1〜
10mmの連続鋳造圧延板が得られる。これらの方法に
より得られた連続鋳造圧延板は、DC鋳造の場合におい
て述べたように、冷間圧延、中間焼鈍、平面性改善、ス
リット等の工程を経て、所定の厚さ、例えば、板厚0.
1〜0.5mmに仕上げられる。連続鋳造法を用いた場
合の中間焼鈍および冷間圧延の条件については、例え
ば、特開平6−220593号公報、特開平6−210
308号公報、特開平7−54111号公報および特開
平8−92709号公報に記載されている方法を用いる
ことができる。
【0051】<粗面化処理>上記アルミニウム板は、電
気化学的粗面化処理を含む粗面化処理を施される。本発
明においては、上述したように、アルミニウム合金板が
特定元素を特定量含有しているので、電気化学的粗面化
処理により、均一かつ極めて微細なピットを生成するこ
とができる。その結果、記録層と支持体との密着性がよ
り向上し、耐刷性が向上するとともに、汚れにくさも向
上する。本発明の平版印刷版用支持体を用いて、レーザ
直描型の記録層を設け、レーザ刷版用の平版印刷版原版
とした場合においても、記録層と支持体との密着性を改
善することができる。また、支持体表面のSi原子付着
量を0.1〜8mg/m2 とし、これに記録層を設けて
平版印刷版原版とした場合においても、記録層と支持体
との密着性を改善することができる。
【0052】電気化学的粗面化処理は、通常、硝酸、塩
酸等の酸を電解液として、アルミニウム板とそれに対向
する電極との間に直流電流または交流電流を通じること
によって行われる。交流電解では、商用交流の正弦波
(sin波)電流、特殊交番電流、矩形波電流等を用い
ることができる。電解液の濃度は、1〜300g/Lで
あるのが好ましい。硝酸、塩酸等の電解液中に、適宜、
電気化学的粗面化処理の安定化に必要な元素をイオンの
形で添加することもできる。
【0053】電気化学的粗面化処理によりクレーター状
またはハニカム状のピットをアルミニウム合金板の表面
に30〜100%の面積率(分散密度)で生成すること
ができる。電気化学的粗面化処理により生成するピット
の平均径は、通常、0.5〜20μm程度であるが、本
発明においては、アルミニウム合金中の特定の元素の含
有量を制御することで、ピットの平均径を1.2μm以
下、ピットの平均密度を1×106 〜125×106
/mm2 とすることができる。ピットの平均径および平
均密度が上記範囲であると、平版印刷版原版の記録層と
支持体との密着性が優れたものとなり、平版印刷版とし
たときの耐刷性に優れ、かつ、汚れにくさに優れる。
【0054】電気化学的粗面化処理に用いられる電気量
は、アノード反応での総電気量で、5〜800C/dm
2 であるのが好ましく、5〜500C/dm2 であるの
がより好ましい。
【0055】電気化学的粗面化処理で形成されたピット
(電解粗面化ピット)には、平版印刷版の非画像部の汚
れを軽減する作用と、平版印刷版の耐刷性を向上させる
作用がある。電気化学的粗面化処理においては、電解時
の電気量、即ち、電解時の電流の大きさと電流を流した
時間との積を調整することにより、形成されるピットの
形状および大きさ、ピットの面積率等を調整することが
できる。
【0056】本発明においては、電気化学的粗面化処理
と、他の粗面化処理とを組み合わせて実施してもよい。
他の粗面化処理としては、例えば、機械的粗面化処理、
化学的粗面化処理が挙げられる。例えば、ブラシ等を用
いて機械的粗面化処理をした後、電気化学的粗面化処理
を実施してもよい。機械的粗面化処理としては、例え
ば、ボールグレイン、ワイヤーグレイン、ブラシグレイ
ン、液体ホーニング法が挙げられる。そのほかにも、例
えば、特開平6−135175号公報および特公昭50
−40047号公報に記載されている機械的粗面化処理
法を採用することもできる。機械的粗面化処理を行う
と、通常、アルミニウム板の表面を、平均表面粗さRa
が0.35〜1.0μmとなるようにすることができ
る。機械的粗面化処理を行うことで、平版印刷版の非画
像部の保水性を高めることができる。ただし、非画像部
の保水量を安定化させ、印刷中の版面の不必要なてかり
(光の反射)を防止し、印刷状態の観察作業性のよい平
版印刷版とするには、平均表面粗さRa が0.35〜
0.8μmであるのが好ましい。化学的粗面化処理とし
ては、例えば、アルミニウム板をアルカリ浴に浸せきさ
せる方法、アルミニウム板にアルカリ液をスプレーする
方法、アルミニウム板にアルカリ液を塗布する方法が挙
げられる。
【0057】中でも、電解粗面化処理と機械的粗面化処
理とを組み合わせるのがより好ましく、特に、機械的粗
面化処理の後に、電解粗面化処理を施されるのが好まし
い。電解粗面化処理には、電解液として硝酸や塩酸を用
いることができるが、電解粗面化処理を機械的粗面化処
理と組み合わせない場合は、特に塩酸を用いるのが、大
きなうねり状の凹凸を設けるときに好ましい。
【0058】また、機械的粗面化処理の後に、硝酸を用
いた電解粗面化処理を施し、更に、塩酸を用いた電解粗
面化処理を施すのも好ましい。このような粗面化処理に
おいて各粗面化処理の条件を調整することにより、表面
のピットの平均径が0.6μm以下であり、かつ、ピッ
トの径に対する深さの比の平均が0.15〜1.0であ
る平版印刷版用支持体を得ることができる。表面のピッ
トの平均径およびピットの径に対する深さの比の平均が
上記範囲にある平版印刷版用支持体は、平版印刷版原版
とした場合に、記録層と支持体との密着性が極めて優れ
たものとなるため、耐クリーナ耐刷性に優れたものとな
り、また、通常の耐刷性にも極めて優れたものとなる。
【0059】ピットの平均径は、0.5μm以下である
のがより好ましく、また、0.05μm以上であるのが
好ましい。ピットの径に対する深さの比の平均は、0.
2以上であるのがより好ましく、また、0.8以下であ
るのがより好ましい。
【0060】平版印刷版用支持体の表面のピットの平均
径(平均開口径)および径に対する深さの比の平均は、
以下のようにして求めることができる。なお、平版印刷
版用支持体としては、記録層を設ける前の平版印刷版用
支持体を用いてもよく、平版印刷版原版から記録層を除
去したものを用いてもよい。
【0061】(1)ピットの平均径 ピットの平均径の測定方法は、以下のおよびの2通
りの方法が挙げられる。本発明者が測定したところ、両
者の結果はほぼ同じ値を示した。 電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM、例え
ば、日立製作所製のS−900)を用いて支持体の表面
を真上から倍率50000倍で撮影する。得られたSE
M写真またはそのコピーに、長さ10cm(2μm相
当)の直線を引き、直線が通過したピットについて、径
(=(長径+短径)/2)を測定する。径を測定したピ
ットの数が少なくとも20個となるまで径の測定を続
け、その後、平均径を算出する。 FE−SEMを用いて支持体の表面を真上から倍率5
0000倍で撮影する。得られたSEM写真をスキャナ
ーでコンピュータに画像データとして取り込み、市販の
画像処理ソフトを用いて、ピットの平均径を求める。
【0062】(2)ピットの径に対する深さの比の平均 ピットの径に対する深さの比の平均の測定方法は、以下
の〜の4通りの方法が挙げられる。本発明者が測定
したところ、いずれの結果もほぼ同じ値を示した。 平版印刷版用支持体を粗面化処理を施した面が外側に
なるように90゜以上折り曲げて、試料台に導電性ペー
ストを用いて固定する。FE−SEMを用いて折り曲げ
た部分における陽極酸化皮膜が割れた部分を倍率500
00倍で撮影する。少なくとも10個のピットについて
径および深さを求め、径に対する深さの比の平均を算出
する。なお、ピットの径の測定方法は、上記(1)の
方法を用いることができる。また、ピットの深さとして
は、最も深い部分の深さを用いる。 平版印刷版用支持体を樹脂に包埋させ、自動研磨機で
研磨して断面を作成しする。以下、上記と同様の方法
で、FE−SEMを用いて測定する。 ミクロトームを用いて平版印刷版用支持体の断面を削
り出す。以下、と同様の方法で、FE−SEMを用い
て測定する。 上記との方法を組み合わせて平版印刷版用支持体
の断面を作成する。以下、と同様の方法で、FE−S
EMを用いて測定する。
【0063】各粗面化処理の前または後に、アルミニウ
ム板の表面に、カセイソーダ、カセイカリ等のアルカリ
剤を用いて、エッチング処理を施してもよい。更に、エ
ッチング処理を施した場合は、エッチング処理後に、ア
ルミニウム板の表面に残存するアルカリに不溶な物質
(スマット)を除去するために、酸によるデスマット処
理を行ってもよい。特に、電気化学的粗面化処理の前後
に、エッチング処理およびデスマット処理を行うのが好
ましい。
【0064】<陽極酸化処理>粗面化処理に引き続い
て、アルミニウム板の表面の耐磨耗性を高めるために、
陽極酸化処理が行われるのが好ましい。陽極酸化処理に
使用される電解質は、多孔質酸化皮膜を形成することが
できるものであれば、いかなるものでもよい。一般に
は、硫酸、リン酸、シュウ酸、クロム酸、またはこれら
の混合物が用いられる。電解質の濃度は、電解質の種類
等によって適宜決められる。陽極酸化処理の条件は、電
解質によってかなり変動するので、特定しにくいが、一
般的には電解質の濃度が1〜80質量%、液温5〜70
℃、電流密度1〜60A/dm2 、電圧1〜100V、
電解時間10〜300秒であればよい。
【0065】<親水化処理>上述したように、粗面化処
理を施され、好ましくは、更に陽極酸化処理を施された
アルミニウム板は、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液を用
いて親水化処理を施される。アルカリ金属ケイ酸塩によ
る親水化処理としては、従来公知の種々の方法を用いる
ことができるが、アルカリ金属ケイ酸塩の支持体表面へ
の付着量を所定の範囲になるように行うのが好ましい。
本発明においては、平版印刷版用支持体の表面へのアル
カリ金属ケイ酸塩のSi原子換算の付着量(Si原子付
着量)が、0.1mg/m2 以上であるのが好ましく、
0.3mg/m2 以上であるのがより好ましい。Si原
子付着量が0.1mg/m2 未満であると、耐汚れ性が
劣る場合がある。また、平版印刷版の非画像部の親水性
を増すために、アルカリ金属ケイ酸塩を含有する現像液
を用いて現像すると、SiO2 に起因する固形物が析出
し、現像時の非画像部の白色化や、現像時のカスやヘド
ロの発生が起こる場合がある。また、本発明において
は、Si原子付着量が、8mg/m2 以下であるのが好
ましく、6mg/m2 以下であるのがより好ましく、4
mg/m2 以下であるのが更に好ましい。Si原子付着
量が8mg/m2 を超えると、耐刷性が劣る場合があ
る。
【0066】本発明において、平版印刷版用支持体の表
面へのアルカリ金属ケイ酸塩の付着量は、蛍光X線分析
装置(XRF:X−ray Fluorescence
Spectrometer)を用いて、検量線法によ
りSi原子付着量(Simg/m2 )として測定された
値を用いる。検量線を作成するための標準試料として
は、既知量のSi原子を含有するケイ酸ナトリウム水溶
液を、アルミニウム板の上の30mmφの面積内に均一
に滴下した後、乾燥させたものが用いられる。蛍光X線
分析装置の機種その他の条件は、特に限定されない。S
iの蛍光X線分析の条件の一例を以下に示す。
【0067】蛍光X線分析装置:理学電機工業社製RI
X3000、X線管球:Rh、測定スペクトル:Si−
Kα、管電圧:50kV、管電流:50mA、スリッ
ト:COARSE、分光結晶:RX4、検出器:F−P
C、分析面積:30mmφ、ピーク位置(2θ):14
4.75deg.、バックグランド(2θ):140.
70deg.および146.85deg.、積算時間:
80秒/sample
【0068】親水化処理は、例えば、アルカリ金属ケイ
酸塩の濃度が0.001〜30質量%、好ましくは0.
01〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%
で、25℃でのpHが10〜13であるアルカリ金属ケ
イ酸塩水溶液に、好ましくは陽極酸化処理を施された平
版印刷版用支持体を4〜40℃で0.5〜120秒間、
好ましくは2〜30秒間浸せきさせることにより行うこ
とができる。上記のアルカリ金属ケイ酸塩濃度、pH、
温度、処理時間等の処理条件は、Si原子付着量が上記
特定量となるように、適宜選択することができる。アル
カリ金属ケイ酸塩水溶液のpHが10より低いと、液は
ゲル化しやすく、また、pHが13.0より高いと、陽
極酸化皮膜が溶解されるおそれがあるので、この点に注
意を要する。
【0069】親水化処理に用いられるアルカリ金属ケイ
酸塩としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリ
ウム、ケイ酸リチウムが挙げられる。親水化処理におい
ては、必要に応じ、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液のpH
を高く調整するために、水酸化物を配合することができ
る。水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、水酸化リチウムが挙げられる。
【0070】また、必要に応じ、アルカリ金属ケイ酸塩
水溶液にアルカリ土類金属塩および/または4族(第I
VA族)金属塩を配合してもよい。アルカリ土類金属塩
としては、例えば、アルカリ土類金属の硝酸塩(例え
ば、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネ
シウム、硝酸バリウム)、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、
酢酸塩、シュウ酸塩、ホウ酸塩等の水溶性の塩が挙げら
れる。4族(第IVA族)金属塩としては、例えば、四
塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シ
ュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、
塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩
化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムが挙げられる。ア
ルカリ土類金属塩および4族(第IVA族)金属塩は、
単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても
よい。これらの金属塩の使用量は、好ましくは0.01
〜10質量%であり、より好ましくは0.05〜5.0
質量%である。
【0071】<平版印刷版用支持体の表層の金属間化合
物>このようにして得られる本発明の平版印刷版用支持
体は、表層から2μm以内に存在する金属間化合物の密
度が後述の特定範囲にあるのが好ましい。以下、金属間
化合物について説明する。
【0072】電気化学的粗面化処理を含む粗面化処理を
行う場合、支持体の表面に微小な凹凸(ピット)が生成
する。従来、その径を均一でかつ大きくし、また、その
深さを深くすることによって、画像部においては記録層
と支持体との密着性が強固になり、数多くの枚数を印刷
しても記録層がはく離したりせず、また、非画像部にお
いては多くの湿し水を表面に保持することが可能とな
り、汚れが発生しにくく、印刷性に優れる平版印刷版原
版が得られると考えられていた。例えば、特開2000
−108534号公報、特開2000−37965号公
報および特開2000−37964号公報に、そのよう
な観点から電解粗面化ピットの形状や均一性を改善する
方法が提案されている。
【0073】しかしながら、本発明者らが鋭意検討した
結果、支持体表面のピットは略お椀状の形をしており、
その径が均一でかつ大きく、また、その深さが深い場合
には、ピットの底の部分に記録層が入り込んで記録層と
支持体との密着性が十分となる一方、ピットの縁の部分
においては、相対的に記録層が薄くなり、しかもピット
の縁の部分はとがっているために、印刷中において、ピ
ットの縁の上にある記録層に強い応力がかかりやすく、
その部分の記録層が破壊やはく離を起こしやすいという
ことが判明した。これに対し、縁部分のとがりを化学的
に溶解する方法が知られているが、本発明者らは、縁部
分を溶解した場合、非常に耐刷枚数(平版印刷版の画像
部の記録層がはく離し、または摩耗することにより、印
刷不能になるまでの印刷枚数)が低下しやすくなること
を知見した。また、これは、コンベンショナルタイプの
平版印刷版原版に見られるだけでなく、レーザで直接画
像を露光するタイプの平版印刷版原版(レーザ刷版用の
平版印刷版原版)において顕著に見られることも知見し
た。
【0074】また、本発明者らの鋭意検討の結果、支持
体表面のピットが大きく深いと、印刷中にブランケット
胴に付着した紙粉等の微細異物を版面上に捕捉しやすく
なり、場合によっては、紙粉等の微細異物が蓄積して、
特に非画像部に隣接する画像部、中でもベタ画像部にお
いて、インキの着肉性が不十分になる不具合が発生する
ことも新たに判明した。
【0075】更に、本発明者らの鋭意検討の結果、それ
らに加えて、Al中に存在する金属間化合物が、表面処
理工程において脱落すると、金属間化合物が脱落した部
分があたかも非常に大きく深いピットが生じたような穴
状欠陥になり、露光時に穴の底部まで十分露光エネルギ
ーが届かなくなるという露光不足の問題を引き起こすこ
とも判明した。更に、この金属間化合物の脱落は、アル
カリによる化学的エッチングの工程、および、塩酸を用
いた電解粗面化処理または化学エッチングの工程で発生
しやすいことも判明した。
【0076】本発明者は、更に鋭意検討を重ねた結果、
平版印刷版用支持体の表層の金属間化合物の密度を特定
範囲に制御することで、表面処理工程において金属間化
合物の脱落によって生じる深い穴状の欠落を少なくし、
露光不良を防止することができることを見出し、特にレ
ーザー光源を使用した製版に適した平版印刷版原版を得
ることができることを見出した。
【0077】これらの知見から完成された本発明の好適
な態様においては、上述したように、平版印刷版用支持
体の表層から2μm以内に存在する金属間化合物の密度
が特定範囲にあるが、その範囲は記録層と現像条件によ
って異なる。具体的には、本発明の平版印刷版用支持体
から得られる平版印刷版原版が、画像露光後、アルカリ
金属ケイ酸塩を実質的に含有せず、かつ、糖類を含有す
る現像液により現像して用いられる場合、および、画像
露光後、アルカリ金属ケイ酸塩を含有する現像液により
現像して用いられる場合は、表層から2μm以内に存在
する金属間化合物の密度が200〜4000個/mm2
であり、画像露光後、アルカリ金属ケイ酸塩を実質的に
含有せず、かつ、エタノールアミン類を含有する現像液
により現像して用いられる場合は、200〜6000個
/mm2 である。金属間化合物の密度が上記範囲のよう
に低いと、表面処理工程において脱落する金属間化合物
の量を極めて低く抑制することができ、露光不良を防止
することができる。ここで、現像条件によって許容上限
の金属間化合物密度が異なるのは、アルカリ金属ケイ酸
塩を実質的に含有せず、かつ、エタノールアミン類を含
有する現像液を用いた場合、金属間化合物の脱落あとに
対する露光不良についての許容範囲が、他の場合より若
干広いためである。
【0078】アルミニウム原材料に含有された元素およ
びアルミニウム溶湯に添加された元素は、鋳造工程で凝
固する際、その一部はアルミニウム中に溶け込み(固
溶)、残りは金属間化合物または単独の晶出物・析出物
として存在する。金属間化合物または単独の晶出物・析
出物として残る割合は、凝固速度の影響を大きく受け、
例えば、双ロール式連続鋳造のように急速凝固する場合
は、大部分が固溶し、DC鋳造のように凝固速度が遅い
場合は、比較的、金属間化合物または単独の晶出物・析
出物として残りやすい。その後、これらの元素は、均
熱、焼鈍等の熱処理工程や、熱間圧延工程の間に、Al
に再固溶したり、より安定な金属間化合物に変化したり
するが、厚さ0.1〜0.7mm程度の平版印刷版用A
l合金板になった時点で、その表面や内部に金属間化合
物または単独の晶出物・析出物として存在することが多
い。
【0079】金属間化合物の直径(粒径)と密度(存在
率)とは、不純物を含む原料や2次地金の添加量を変え
ることにより制御することができる。また、平版印刷版
用支持体の製造条件(表面処理条件)を適宜変更するこ
とによっても若干調整することができる。例えば、塩酸
を用いた化学エッチングにより、金属間化合物を除去す
ることにより、その密度を低くすることができる。
【0080】金属間化合物の密度は、SEM(走査型電
子顕微鏡)等により、粗面化処理された平版印刷版用支
持体の表面を観察し、例えば、5箇所(n=5)につい
て、60μm×50μmの範囲で、金属間化合物をカウ
ントし、1mm2 あたりに換算することにより、容易に
算出することができる。金属間化合物の直径の測定も同
様の方法を用いて行うことができる。また、金属間化合
物の密度は、EPMA(電子プローブマイクロアナライ
ザ)を用いて、例えば、170μm×170μmの範囲
で面分析して金属間化合物をカウントし、1mm2 あた
りに換算することによっても、容易に算出することがで
きる。EPMAを用いる場合、金属間化合物の種類を特
定することもできる。
【0081】<平版印刷版用支持体の平面性>また、本
発明の平版印刷版用支持体は、平版印刷版用支持体を切
断して板圧延方向の長さが1.5mである長方形のカッ
トシートとして定盤上に置き、板圧延方向に垂直な辺の
それぞれから0.25mずつ内側に入った位置に、カッ
トシートの全幅以上を覆うおもしを置いてカールを押さ
え込み、内側の長さ1mについて、板圧延方向に平行な
2辺の浮き上がり部(歪み)の最大高さが2.0mm以
下、浮き上がり部(歪み)の数が各辺につき5個以下、
浮き上がり部(歪み)の高さの合計が4.0mm以下で
あるのが好ましい。この場合、平版印刷版用支持体の記
録層の塗布性および通板性が優れたものとなる。なお、
カットシートの角が浮き上がっている場合には、これも
浮き上がり部(歪み)の数に含める。また、平版印刷版
用支持体の内側においても、浮き上がり部(歪み)の最
大高さが2.0mm以下、浮き上がり部(歪み)の数が
5個以下、浮き上がり部(歪み)の高さの合計が4.0
mm以下となるのが好ましい。
【0082】<平版印刷版用支持体の強度特性>また、
本発明の平版印刷版用支持体は、以下に示す強度特性を
有することが望ましい。 (1)引張強度 平版印刷版として印刷機に取り付けるためには、引張強
度が、通常、130〜270MPaであるのが好まし
い。本発明においては、アルミニウム板のFe含有量を
0.2質量%以上とすることにより、引張強度を150
MPa以上とすることができ、また、Mg含有量を0.
1〜1.0質量%とすることにより、引張強度を170
MPa以上とすることができる。
【0083】(2)180度折り曲げ強度 両面に記録層が設けられている平版印刷版は、片面を用
いて印刷した後、裏返して裏面を用いて印刷を行う。こ
の際、一度版胴に取り付けるために折り曲げた箇所を1
80度逆に折り曲げる。したがって、折り曲げの際に平
版印刷版が切れにくいことが必要となる。よって、この
ような平版印刷版に用いられる平版印刷版用支持体に
は、180度の折り曲げを繰り返しても切れないことが
望まれる。具体的には、一方の側に90度折り曲げた初
期状態から、逆に180度折り曲げて他方の側に90度
折り曲げた状態とし、ついで、180度折り曲げて初期
状態に戻し、これを平版印刷版用支持体が破断するまで
繰り返し、180度折り曲げる操作を行った回数で、1
80度折り曲げ強度を評価する。
【0084】(3)疲労破断強度 平版印刷版は、通常、両端を折り曲げて、オフセット印
刷機の版胴と呼ばれるドラムに折り曲げ部分を固定して
印刷に用いられるが、大量の枚数の印刷を繰り返す中
で、版胴に取り付けた両端の折り曲げ部分の近傍に微小
な振幅の繰り返し曲げが起こりやすく、「くわえ切れ」
と呼ばれる疲労破壊を起こす場合がある。よって、くわ
え切れが起こりにくい平版印刷版に用いられる平版印刷
版用支持体には、微小な振幅の繰り返し曲げを行った場
合に破断しにくいことが望まれており、通常、繰り返し
曲げを10000回行っても破断しないことが求められ
る。具体的には、疲労破断強度は、所定の大きさに切り
出した平版印刷版用支持体に、板圧延方向に単位断面積
あたり0.2〜2.0kg/mm2 程度の軽度の張力を
与え、幅方向に沿った辺の一端を固定したうえで、他端
に振幅5mm程度の振動を連続的に与え、破断するまで
の振動回数で評価する。
【0085】(4)0.2%耐力 腰の強さ(剛性)を得るためには、0.2%耐力が14
0MPa以上であるのが好ましい。また、平版印刷版と
したときの耐刷性を向上させる方法として、バーニング
処理といわれる加熱処理を行うことがあるが、バーニン
グ処理を行った後においても、ある程度の腰の強さを得
るためには、270℃で3〜10分間加熱処理を行った
後の0.2%耐力が80MPa以上であるのが好まし
く、100MPa以上であるのがより好ましい。
【0086】(5)スプリングバック 平版印刷版は、通常、両端を折り曲げて、オフセット印
刷機の版胴と呼ばれるドラムに折り曲げ部分を固定して
印刷に用いられるが、曲げを与えた後に曲げた部分が大
きく戻ってしまうと、版胴に取り付けにくいという不具
合がある。そのため、曲げを与えた角度Aと、板に残っ
た曲げ部分の角度Bとを測定し、AとBとの差をスプリ
ングバック量として評価する。スプリングバック量は、
5゜以内であるのが好ましい。
【0087】[平版印刷版原版] <記録層>上記で得られた本発明の平版印刷版用支持体
に、記録層を設けて、本発明の平版印刷版原版が得られ
る。本発明においては、種々の記録層を選択することが
でき、これにより、種々の製版方法(処理方法)に対応
した平版印刷版原版とすることができる。以下に、本発
明の平版印刷版原版の態様を例示する。
【0088】従来型の記録層を有する態様としては、下
記(1)および(2)の態様が挙げられる。 (1)記録層が、ポジ型感光層からなる態様。 (2)記録層が、ネガ型感光層からなる態様。
【0089】また、レーザ直描型の記録層を有する態様
としては、下記(1)〜(11)の態様が挙げられる。 (1)記録層が、赤外線吸収剤、熱によって酸を発生す
る化合物、および、酸によって架橋する化合物を含有す
る態様。 (2)記録層が、赤外線吸収剤、熱によって酸を発生す
る化合物、および、酸によって分解する結合部を持つ化
合物を含有する態様。 (3)記録層が、レーザ光照射によってラジカルを発生
する化合物、アルカリ可溶のバインダー、および、多官
能性のモノマーまたはプレポリマーを含有する層と、酸
素遮断層との2層を含む態様。 (4)記録層が、物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層と
の2層を含む態様。 (5)記録層が、多官能性モノマーおよび多官能性バイ
ンダーを含有する重合層と、ハロゲン化銀および還元剤
を含有する層と、酸素遮断層との3層を含む態様。 (6)記録層が、ノボラック樹脂およびナフトキノンジ
アジドを含有する層と、ハロゲン化銀を含有する層との
2層を含む態様。
【0090】(7)記録層が、有機光導電体を含有する
態様。 (8)記録層が、レーザ光照射によって除去されるレー
ザ光吸収層と、親油性層および/または親水性層とから
なる2〜3層を含む態様。 (9)記録層が、エネルギーを吸収して酸を発生する化
合物、酸によってスルホン酸またはカルボン酸を発生す
る官能基を側鎖に有する高分子化合物、および、可視光
を吸収することで酸発生剤にエネルギーを与える化合物
を含有する態様。 (10)記録層が、熱反応性官能基を持つ微粒子ポリマ
ー、または、熱反応性官能基を有する化合物を内包する
マイクロカプセルを含有する態様。このような記録層を
機上現像タイプという。 (11)記録層が、インキ受容層と、コロイド粒子状酸
化物を含有する親水層との2層を含み、いずれかに光熱
変換材を含む態様。
【0091】記録層としては、具体的には、以下の画像
記録層A〜Eも好適に用いられる。
【0092】<画像記録層A>画像記録層Aは、サーマ
ルポジ画像記録層である。例えば、以下の画像記録層A
−1〜A−3が挙げられる。
【0093】<画像記録層A−1>画像記録層A−1を
有する平版印刷版原版は、上記のようにして得られたア
ルミニウム支持体上に、アルカリ易溶性の中間層および
加熱によりアルカリ可溶化する感光層を順次設けてな
る。以下、アルカリ易溶性の中間層および加熱によりア
ルカリ可溶化する感光層について説明する。
【0094】<中間層>本発明の平版印刷版原版におけ
るアルカリ易溶性の中間層は、アルカリ易溶性の層であ
れば特に限定されないが、酸基を有するモノマーを有す
る重合体を含有するのが好ましく、酸基を有するモノマ
ーおよびオニウム基を有するモノマーを有する重合体を
含有するのがより好ましい。以下、中間層に含有される
重合体について詳しく説明する。中間層に含有される重
合体は、少なくとも酸基を有するモノマーを重合してな
る化合物であり、好ましくは、酸基を有するモノマーお
よびオニウム基を有するモノマーを重合してなる化合物
である。ここで、酸基としては、酸解離指数(pKa)
が7以下の酸基が好ましく、より好ましくは−COO
H、−SO3 H、−OSO3 H、−PO3 2 、−OP
3 2 、−CONHSO2 、−SO2 NHSO2 −で
あり、特に好ましくは−COOHである。また、オニウ
ム基として好ましいものは、周期律表15族(第VB
族)または16族(第VIB族)の原子を含有するオニ
ウム基であり、より好ましくは窒素原子、リン原子また
はイオウ原子を含有するオニウム基であり、特に好まし
くは窒素原子を含有するオニウム基である。
【0095】本発明に用いられる重合体は、好ましく
は、主鎖構造がアクリル樹脂やメタクリル樹脂やポリス
チレンのようなビニル系ポリマー、ウレタン樹脂、ポリ
エステルまたはポリアミドであることを特徴とする重合
体化合物である。より好ましくは、この重合体の主鎖構
造がアクリル樹脂やメタクリル樹脂やポリスチレンのよ
うなビニル系ポリマーであることを特徴とする重合体化
合物である。特に好ましくは、酸基を有するモノマーが
下記の一般式(1)または一般式(2)で表される化合
物であり、オニウム基を有するモノマーが後記の一般式
(3)、一般式(4)または一般式(5)で表される化
合物であることを特徴とする重合体化合物である。
【0096】
【化1】
【0097】式中、Aは2価の連結基を表す。Bは芳香
族基または置換芳香族基を表す。DおよびEはそれぞれ
独立して2価の連結基を表す。Gは3価の連結基を表
す。XおよびX′はそれぞれ独立してpKaが7以下の
酸基またはそのアルカリ金属塩もしくはアンモニウム塩
を表す。R1 は水素原子、アルキル基またはハロゲン原
子を表す。a、b、dおよびeはそれぞれ独立して0ま
たは1を表す。tは1〜3の整数である。酸基を有する
モノマーの中でより好ましくは、Aは−COO−または
−CONH−を表し、Bはフェニレン基または置換フェ
ニレン基を表し、その置換基は水酸基、ハロゲン原子ま
たはアルキル基である。DおよびEはそれぞれ独立して
アルキレン基または分子式がCn 2nO、Cn 2nSま
たはCn 2n+1Nで表される2価の連結基を表す。Gは
分子式がCn 2n-1、Cn 2n-1O、Cn 2n-1Sまた
はCn 2nNで表される3価の連結基を表す。ただし、
ここで、nは1〜12の整数を表す。XおよびX′はそ
れぞれ独立してカルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、
硫酸モノエステルまたはリン酸モノエステルを表す。R
1 は水素原子またはアルキル基を表す。a、b、dおよ
びeはそれぞれ独立して0または1を表すが、aとbは
同時に0ではない。酸基を有するモノマーの中で特に好
ましくは一般式(1)で示す化合物であり、Bはフェニ
レン基または置換フェニレン基を表し、その置換基は水
酸基または炭素数1〜3のアルキル基である。Dおよび
Eはそれぞれ独立して炭素数1〜2のアルキレン基また
は酸素原子で連結した炭素数1〜2のアルキレン基を表
す。R1 は水素原子またはアルキル基を表す。Xはカル
ボン酸基を表す。aは0であり、bは1である。
【0098】酸基を有するモノマーの具体例を以下に示
す。ただし、本発明はこの具体例に限定されるものでは
ない。 (酸基を有するモノマーの具体例)アクリル酸、メタク
リル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、イタコン酸、マ
レイン酸、無水マレイン酸
【0099】
【化2】
【0100】
【化3】
【0101】
【化4】
【0102】つぎに、オニウム基を有するモノマーであ
る、下記一般式(3)、(4)または(5)で表される
ポリマーについて説明する。
【0103】
【化5】
【0104】式中、Jは2価の連結基を表す。Kは芳香
族基または置換芳香族基を表す。Mはそれぞれ独立して
2価の連結基を表す。Y1 は周期率表15族(第VB
族)の原子を表し、Y2 は周期率表16族(第VIB
族)の原子を表す。Z- は対アニオンを表す。R2 は水
素原子、アルキル基またはハロゲン原子を表す。R3
4 、R5 およびR7 はそれぞれ独立して水素原子また
は、場合によっては置換基が結合してもよいアルキル
基、芳香族基もしくはアラルキル基を表し、R6 はアル
キリジン基または置換アルキリジンを表すが、R3 とR
4 またはR6 とR7 はそれぞれ結合して環を形成しても
よい。j、kおよびmはそれぞれ独立して0または1を
表す。uは1〜3の整数を表す。オニウム基を有するモ
ノマーの中でより好ましくは、Jは−COO−または−
CONH−を表し、Kはフェニレン基または置換フェニ
レン基を表し、その置換基は水酸基、ハロゲン原子また
はアルキル基である。Mはアルキレン基または分子式が
n 2nO、Cn 2nSもしくはCn 2n+1Nで表され
る2価の連結基を表す。ただし、ここで、nは1〜12
の整数を表す。Y1 は窒素原子またはリン原子を表し、
2 はイオウ原子を表す。Z- はハロゲンイオン、PF
6 - 、BF 4 - またはR8 SO3 - を表す。R2 は水素
原子またはアルキル基を表す。R3、R4 、R5 および
7 はそれぞれ独立して水素原子または、場合によって
は置換基が結合してもよい炭素数1〜10のアルキル
基、芳香族基もしくはアラルキル基を表し、R6 は炭素
数1〜10のアルキリジン基または置換アルキリジンを
表すが、R3 とR4 、および、R6 とR7 はそれぞれ結
合して環を形成してもよい。j、kおよびmはそれぞれ
独立して0または1を表すが、jとkは同時に0ではな
い。R8 は置換基が結合してもよい炭素数1〜10のア
ルキル基、芳香族基またはアラルキル基を表す。オニウ
ム基を有するモノマーの中で特に好ましくは、Kはフェ
ニレン基または置換フェニレン基を表し、その置換基は
水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。Mは
炭素数1〜2のアルキレン基または酸素原子で連結した
炭素数1〜2のアルキレン基を表す。Z- は塩素イオン
またはR8 SO3 - を表す。R2は水素原子またはメチ
ル基を表す。jは0であり、kは1である。R8 は炭素
数1〜3のアルキル基を表す。
【0105】オニウム基を有するモノマーの具体例を以
下に示す。ただし、本発明はこの具体例に限定されるも
のではない。 (オニウム基を有するモノマーの具体例)
【0106】
【化6】
【0107】
【化7】
【0108】
【化8】
【0109】酸基を有するモノマーは単独で用いても、
2種以上組み合わせて用いてもよく、また、オニウム基
を有するモノマーは単独で用いても、2種以上組み合わ
せて用いてもよい。更に、本発明に用いられる重合体
は、モノマー、組成比または分子量の異なるものを2種
以上混合して用いてもよい。この際、酸基を有するモノ
マーを重合成分として有する重合体は、酸基を有するモ
ノマーを1モル%以上含むのが好ましく、5モル%以上
含むのがより好ましく、また、オニウム基を有するモノ
マーを重合成分として有する重合体は、オニウム基を有
するモノマーを1モル%以上含むのが好ましく、5モル
%以上含むのがより好ましい。
【0110】更に、これらの重合体は、以下の(1)〜
(14)に示す重合性モノマーから選ばれる少なくとも
1種を共重合成分として含んでいてもよい。 (1)N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド
またはN−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミ
ド、o−、m−またはp−ヒドロキシスチレン、o−ま
たはm−ブロモ−p−ヒドロキシスチレン、o−または
m−クロル−p−ヒドロキシスチレン、o−、m−また
はp−ヒドロキシフェニルアクリレートまたはメタクリ
レート等の芳香族水酸基を有するアクリルアミド類、メ
タクリルアミド類、アクリル酸エステル類、メタクリル
酸エステル類およびビドロキシスチレン類、 (2)アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マ
レイン酸およびそのハーフエステル、イタコン酸、無水
イタコン酸およびそのハーフエステル等の不飽和カルボ
ン酸、
【0111】(3)N−(o−アミノスルホニルフェニ
ル)アクリルアミド、N−(m−アミノスルホニルフェ
ニル)アクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフ
ェニル)アクリルアミド、N−〔1−(3−アミノスル
ホニル)ナフチル〕アクリルアミド、N−(2−アミノ
スルホニルエチル)アクリルアミド等のアクリルアミド
類、N−(o−アミノスルホニルフェニル)メタクリル
アミド、N−(m−アミノスルホニルフェニル)メタク
リルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メ
タクリルアミド、N−〔1−(3−アミノスルホニル)
ナフチル〕メタクリルアミド、N−(2−アミノスルホ
ニルエチル)メタクリルアミド等のメタクリルアミド
類、また、o−アミノスルホニルフェニルアクリレー
ト、m−アミノスルホニルフェニルアクリレート、p−
アミノスルホニルフェニルアクリレート、1−(3−ア
ミノスルホニルフェニルナフチル)アクリレート等のア
クリル酸エステル類等の不飽和スルホンアミド、o−ア
ミノスルホニルフェニルメタクリレート、m−アミノス
ルホニルフェニルメタクリレート、p−アミノスルホニ
ルフェニルメタクリレート、1−(3−アミノスルホニ
ルフェニルナフチル)メタクリレート等のメタクリル酸
エステル類等の不飽和スルホンアミド、
【0112】(4)トシルアクリルアミドのように置換
基があってもよいフェニルスルホニルアクリルアミド、
およびトシルメタクリルアミドのような置換基があって
もよいフェニルスルホニルメタクリルアミド、 (5)脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類およ
びメタクリル酸エステル類、例えば、2−ヒドロキシエ
チルアクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリ
レート、 (6)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、ア
クリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリ
ル酸オクチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジ
ル、アクリル酸−2−クロロエチル、アクリル酸4−ヒ
ドロキシブチル、グリシジルアクリレート、N−ジメチ
ルアミノエチルアクリレート等の(置換)アクリル酸エ
ステル、 (7)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸
アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘ
キシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸フェニ
ル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロ
エチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、グリシジ
ルメタクリレート、N−ジメチルアミノエチルメタクリ
レート等の(置換)メタクリル酸エステル、
【0113】(8)アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメ
タクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチ
ルメタクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N
−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアク
リルアミド、N−シクロヘキシルメタクリルアミド、N
−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエ
チルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N
−フェニルメタクリルアミド、N−ベンジルアクリルア
ミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−ニトロフェ
ニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルメタクリルア
ミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミドおよび
N−エチル−N−フェニルメタクリルアミド等のアクリ
ルアミドまたはメタクリルアミド、 (9)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニル
エーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピル
ビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニ
ルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテ
ル類、
【0114】(10)ビニルアセテート、ビニルクロロ
アセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビ
ニルエステル類、 (11)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレ
ン、クロロメチルスチレン等のスチレン類、 (12)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プ
ロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニル
ケトン類、 (13)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジ
エン、イソプレン等のオレフィン類、 (14)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾー
ル、4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル等。
【0115】なお、ここで使用する重合体には酸基を有
するモノマーを1モル%以上含むのが好ましく、5モル
%以上含むのがより好ましく、また、オニウム基を有す
るモノマーを1モル%以上含むのが好ましく、5モル%
以上含むのがより好ましい。更に、酸基を有するモノマ
ーが20モル%以上含まれると、アルカリ現像時の溶解
除去が一層促進され、オニウム基を有するモノマーが1
モル%以上含まれると酸基との相乗効果により密着性が
一層向上される。また、酸基を有する構成成分は単独で
用いても、2種以上組み合わせて用いてもよく、また、
オニウム基を有するモノマーは単独で用いても、2種以
上組み合わせて用いてもよい。更に、本発明に用いられ
る重合体は、モノマー、組成比または分子量の異なるも
のを2種以上混合して用いてもよい。つぎに、本発明に
用いられる重合体の代表的な例を以下に示す。なお、ポ
リマー構造の組成比はモル百分率を表す。
【0116】
【化9】
【0117】
【化10】
【0118】
【化11】
【0119】
【化12】
【0120】
【化13】
【0121】
【化14】
【0122】
【化15】
【0123】
【化16】
【0124】
【化17】
【0125】本発明に用いられる重合体は、一般にはラ
ジカル連鎖重合法を用いて製造することができる(“T
extbook of Polymer Scienc
e”3rd ed.(1984)F.W.Billme
yer,A Wiley−Interscience
Publication参照)。
【0126】本発明に用いられる重合体の分子量は広範
囲であってもよいが、光散乱法を用いて測定したとき、
重量平均分子量(Mw )が500〜2,000,000
であるのが好ましく、1,000〜600,000の範
囲であるのがより好ましい。また、NMR測定における
末端基と側鎖官能基との積分強度より算出される数平均
分子量(Mn )が300〜500,000であるのが好
ましく、500〜100,000の範囲であるのがより
好ましい。分子量が上記の範囲よりも小さいと、基板と
の密着力が弱くなり、耐刷性の劣化が生じる場合があ
る。一方、分子量が上記の範囲を超えて大きくなると、
支持体への密着力が強くなりすぎ、非画像部の感熱層残
渣を十分に除去することができなくなる場合がある。ま
た、この重合体中に含まれる未反応モノマー量は広範囲
であってもよいが、20質量%以下であるのが好まし
く、10質量%以下であるのがより好ましい。
【0127】上記範囲の分子量を有する重合体は、対応
する単量体を共重合する際に、重合開始剤および連鎖移
動剤を併用し、添加量を調整することより得ることがで
きる。なお、連鎖移動剤とは、重合反応において連鎖移
動反応により、反応の活性点を移動させる物質のことを
いい、その移動反応の起こりやすさは、連鎖移動定数C
sで表される。本発明で用いられる連鎖移動剤の連鎖移
動定数Cs×104 (60℃)は、0.01以上である
のが好ましく、0.1以上であるのがより好ましく、1
以上であるのが特に好ましい。重合開始剤としては、ラ
ジカル重合の際に一般によく用いられる過酸化物、アゾ
化合物、レドックス開始剤をそのまま利用することがで
きる。これらの中でアゾ化合物が特に好ましい。
【0128】連鎖移動剤の具体例としては、四塩化炭
素、四臭化炭素等のハロゲン化合物、イソプロピルアル
コール、イソブチルアルコール等のアルコール類、2−
メチル−1−ブテン、2,4−ジフェニル−4−メチル
−1−ペンテン等のオレフィン類、エタンチオール、ブ
タンチオール、ドデカンチオール、メルカプトエタノー
ル、メルカプトプロパノール、メルカプトプロピオン酸
メチル、メルカプトプロピオン酸エチル、メルカプトプ
ロピオン酸、チオグリコール酸、エチルジスルフィド、
sec−ブチルジスルフィド、2−ヒドロキシエチルジ
スルフィド、チオサルチル酸、チオフェノール、チオク
レゾール、ベンジルメルカプタン、フェネチルメルカプ
タン等の含イオウ化合物が挙げられるが、これらに限定
されるものではない。より好ましくは、エタンチオー
ル、ブタンチオール、ドデカンチオール、メルカプトエ
タノール、メルカプトプロパノール、メルカプトプロピ
オン酸メチル、メルカプトプロピオン酸エチル、メルカ
プトプロピオン酸、チオグリコール酸、エチルジスルフ
ィド、sec−ブチルジスルフィド、2−ヒドロキシエ
チルジスルフィド、チオサルチル酸、チオフェノール、
チオクレゾール、ベンジルメルカプタン、フェネチルメ
ルカプタンであり、特に好ましくは、エタンチオール、
ブタンチオール、ドデカンチオール、メルカプトエタノ
ール、メルカプトプロパノール、メルカプトプロピオン
酸メチル、メルカプトプロピオン酸エチル、メルカプト
プロピオン酸、チオグリコール酸、エチルジスルフィ
ド、sec−ブチルジスルフィド、2−ヒドロキシエチ
ルジスルフィドである。
【0129】また、この重合体中に含まれる未反応モノ
マー量は広範囲であってもよいが、20質量%以下であ
ることが好ましく、また10質量%以下であることが更
に好ましい。
【0130】つぎに、本発明に用いられる重合体の合成
例を示す。 〔合成例1〕重合体(No.1)の合成p−ビニル安息
香酸(北興化学工業社製)50.4g、トリエチル(p
−ビニルベンジル)アンモニウムクロリド15.2g、
メルカプトエタノール1.9gおよびメタノール15
3.1gを2L容の三つ口フラスコに取り、窒素気流下
かくはんしながら、加熱し60℃に保った。この溶液に
2,2′−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル2.8gを加
え、そのまま30分間かくはんを続けた。その後、この
反応液に、p−ビニル安息香酸201.5g、トリエチ
ル(p−ビニルベンジル)アンモニウムクロリド60.
9g、メルカプトエタノール7.5gおよび2,2′−
アゾビス(イソ酪酸)ジメチル11.1gをメタノール
612.3gに溶解させた溶液を2時間かけて滴下し
た。滴下終了後、温度を65℃に上げ、窒素気流下10
時間かくはんを続けた。反応終了後、室温まで放冷する
と、この反応液の収量は1132gであり、その固形分
濃度は30.5質量%であった。更に、得られた生成物
の数平均分子量(Mn )を13C−NMRスペクトルより
求めた結果、その値は2100であった。
【0131】〔合成例2〕重合体(No.2)の合成ト
リエチル(p−ビニルベンジル)アンモニウムクロリド
の代わりに、トリエチル(ビニルベンジル)アンモニウ
ムクロリドのm/p体(2/1)混合物を用い、メルカ
プトエタノールの代わりにメルカプトプロピオン酸エチ
ルを用いた以外は、合成例1と同様の操作を行い、数平
均分子量(Mn )4,800の重合体を得た。
【0132】〔合成例3〕重合体(No.25)の合成
p−ビニル安息香酸(北興化学工業社製)146.9g
(0.99mol)、ビニルベンジルトリメチルアンモ
ニウムクロリド44.2g(0.21mol)および2
−メトキシエタノール446gを1L容の三つ口フラス
コに取り、窒素気流下かくはんしながら、加熱し75℃
に保った。つぎに、2,2−アゾビス(イソ酪酸)ジメ
チル2.76g(12mmol)を加え、かくはんを続
けた。2時間後、2,2−アゾビス(イソ酪酸)ジメチ
ル2.76g(12mmol)を追加した。更に、2時
間後、2,2−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル2.76
g(12mmol)を追加した。2時間かくはんした
後、室温まで放冷した。この反応液をかくはん下、12
Lの酢酸エチル中に注いだ。析出する固体をろ取し、乾
燥した。その収量は189.5gであった。得られた固
体は光散乱法で分子量測定を行った結果、重量平均分子
量(Mw )は3.2万であった。
【0133】本発明に用いられる他の重合体も同様の方
法で合成される。
【0134】また、本発明の平版印刷版原版の中間層に
は、前記重合体に加え、下記一般式(6)で示される化
合物を添加することもできる。
【0135】
【化18】
【0136】(式中、R1 は炭素数6〜14のアリーレ
ン基を表し、mおよびnは独立して1〜3の整数を表
す。) 上記一般式(6)で示される化合物について、以下に説
明する。R1 で表されるアリーレン基の炭素数は6〜1
4であるのが好ましく、6〜10であるのがより好まし
い。R1 で表されるアリーレン基として具体的には、例
えば、フェニレン基、ナフチル基、アンスリル基、フェ
ナスリル基が挙げられる。R1 で表されるアリーレン基
は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のア
ルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数6
〜10のアリール基、カルボン酸エステル基、アルコキ
シ基、フェノキシ基、スルホン酸エステル基、ホスホン
酸エステル基、スルホニルアミド基、ニトロ基、ニトリ
ル基、アミノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、エチレ
ンオキサイド基、プロピレンオキサイド基、トリエチル
アンモニウムクロライド基等で置換されていてもよい。
【0137】一般式(6)で示される化合物の具体的な
例としては、例えば、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒ
ドロキシ安息香酸、サリチル酸、1−ヒドロキシ−2−
ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、2−ヒ
ドロシキー3−ナフトエ酸、2,4−ジヒドロキシ安息
香酸、10−ヒドロキシ−9−アントラセンカルボン酸
が挙げられる。ただし、上記の具体例に限定されるもの
ではない。また、一般式(6)で示される化合物を単独
で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
【0138】本発明に用いられる上記重合体と、必要に
応じて添加される上記一般式(6)で示される化合物を
含む中間層は、上述したアルミニウム支持体上に種々の
方法により塗布して設けられる。
【0139】この中間層を設ける方法としては、例え
ば、メタノール、エタノール、メチルエチルケトン等の
有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤またはこれらの有機
溶剤と水との混合溶剤に本発明に用いられる重合体およ
び必要に応じて添加される一般式(6)で示される化合
物を溶解させた溶液をアルミニウム支持体上に塗布し乾
燥して設ける塗布方法、メタノール、エタノール、メチ
ルエチルケトン等の有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤
またはこれらの有機溶剤と水との混合溶剤に、本発明に
用いられる重合体および必要に応じて添加される一般式
(6)で示される化合物を溶解させた溶液に、アルミニ
ウム支持体を浸せきした後、水洗または空気等によって
洗浄し乾燥して設ける方法を挙げることができる。
【0140】前者の方法では、上記化合物の合計で0.
005〜10質量%の濃度の溶液を種々の方法で塗布で
きる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー
塗布、カーテン塗布等のいずれの方法を用いてもよい。
また、後者の方法では、溶液の濃度は0.005〜20
質量%、好ましくは0.01%〜10質量%であり、浸
せき温度は0℃〜70℃、好ましくは5〜60℃であ
り、浸せき時間は0.1秒〜5分、好ましくは0.5秒
〜120秒である。
【0141】上記の溶液は、アンモニア、トリエチルア
ミン、水酸化カリウム等の塩基性物質や、塩酸、リン
酸、硫酸、硝酸等の無機酸、ニトロベンゼンスルホン
酸、ナフタレンスルホン酸等の有機スルホン酸、フェニ
ルホスホン酸等の有機ホスホン酸、安息香酸、クマル
酸、リンゴ酸等の有機カルボン酸等種々有機酸性物質、
ナフタレンスルホニルクロライド、ベンゼンスルホニル
クロライド等の有機クロライド等によりpHを調整し、
pH=0〜12、より好ましくはpH=0〜6の範囲で
使用することもできる。また、平版印刷版の調子再現性
改良のために紫外光や可視光、赤外光等を吸収する物質
を添加することもできる。
【0142】本発明の平版印刷版原版の中間層を構成す
る化合物の乾燥後の被覆量は、合計で1〜100mg/
2 が適当であり、好ましくは2〜70mg/m2 であ
る。上記被覆量が1mg/m2 よりも少ないと十分な効
果が得られない場合がある。また、100mg/m2
りも多い場合も同様である。
【0143】<感熱層>本発明の平版印刷版原版におけ
る加熱によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大す
る感熱層は、赤外線レーザ用ポジ型感光性組成物(以
下、単に「感光性組成物」ともいう。)を含有する。感
熱層に含まれる赤外線レーザ用ポジ型感光性組成物は、
少なくとも、(A)水不溶性かつアルカリ可溶性の樹脂
(以下「アルカリ可溶性高分子化合物」ともいう。)、
(B)該アルカリ可溶性高分子化合物と相溶することに
より該高分子化合物のアルカリ水溶液への溶解性を低下
させるとともに、加熱により該溶解性低下作用が減少す
る化合物、および(C)光を吸収して発熱する化合物を
含有し、更に必要に応じて、(D)その他の成分を含有
する。
【0144】(A)アルカリ可溶性高分子化合物 本発明に使用されるアルカリ可溶性高分子化合物は、特
に限定されず従来公知のものを用いることができ、例え
ば、高分子化合物の主鎖または側鎖に、以下のような酸
基構造を有するものを用いることができる。フェノール
性水酸基(−Ar−OH)、カルボン酸基(−CO
3 H)、スルホン酸基(−SO3 H)、リン酸基(−O
PO3 H)、スルホンアミド基(−SO 2 NH−R)、
置換スルホンアミド系酸基(活性イミド基)(−SO2
NHCOR、−SO2 NHSO2 R、−CONHSO2
R)。ここで、Arは置換基を有していてもよい2価の
アリール基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭化
水素基を表す。
【0145】中でも、(1)フェノール性水酸基、
(2)スルホンアミド基、および(3)活性イミド基の
いずれかの官能基を分子内に有する高分子化合物である
のが好ましい。特に、フェノール性水酸基を分子内に有
する高分子化合物が好ましい。このような高分子化合物
は、例えば、以下のものが挙げられるが、これらに限定
されるものではない。
【0146】(1)フェノール性水酸基を有する高分子
化合物としては、例えば、フェノールホルムアルデヒド
樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレ
ゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾー
ルホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m
−、p−およびm−/p−混合のいずれでもよい。)混
合ホルムアルデヒド樹脂等のノボラック樹脂やピロガロ
ールアセトン樹脂が挙げられる。フェノール性水酸基を
有する高分子化合物としてはこの他に、側鎖にフェノー
ル性水酸基を有する高分子化合物を用いるのが好まし
い。側鎖にフェノール性水酸基を有する高分子化合物と
しては、フェノール性水酸基と重合可能な不飽和結合を
それぞれ一つ以上有する低分子化合物からなる重合性モ
ノマーを単独重合させ、または、該モノマーに他の重合
性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物が挙げ
られる。
【0147】フェノール性水酸基を有する重合性モノマ
ーとしては、例えば、フェノール性水酸基を有するアク
リルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、
メタクリル酸エステル;ヒドロキシスチレンが挙げられ
る。具体的には、N−(2−ヒドロキシフェニル)アク
リルアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)アクリル
アミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミ
ド、N−(2−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミ
ド、N−(3−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミ
ド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミ
ド、o−ヒドロキシフェニルアクリレート、m−ヒドロ
キシフェニルアクリレート、p−ヒドロキシフェニルア
クリレート、o−ヒドロキシフェニルメタクリレート、
m−ヒドロキシフェニルメタクリレート、p−ヒドロキ
シフェニルメタクリレート、o−ヒドロキシスチレン、
m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、2
−(2−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2
−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2
−(4−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2
−(2−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、
2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレー
ト、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレ
ート、2−(N’−(4−ヒドロキシフェニル)ウレイ
ド)エチルアクリレート、2−(N’−(4−ヒドロキ
シフェニル)ウレイド)エチルメタクリレート等を好適
に使用することができる。更に、米国特許第4,12
3,279号明細書に記載されているように、t−ブチ
ルフェノールホルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノー
ルホルムアルデヒド樹脂のような、炭素数3〜8のアル
キル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデ
ヒドとの縮重合体を併用してもよい。かかるフェノール
性水酸基を有する樹脂は、2種以上を組み合わせて使用
してもよい。
【0148】(2)スルホンアミド基を有するアルカリ
可溶性高分子化合物としては、例えば、スルホンアミド
基を有する重合性モノマーを単独重合させ、または、該
モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる
高分子化合物が挙げられる。スルホンアミド基を有する
重合性モノマーとしては、例えば、1分子中に、窒素原
子上に少なくとも一つの水素原子が結合したスルホンア
ミド基−NH−SO2−と、重合可能な不飽和結合をそ
れぞれ一つ以上有する低分子化合物からなる重合性モノ
マーが挙げられる。その中でも、アクリロイル基、アリ
ル基またはビニロキシ基と、モノ置換アミノスルホニル
基または置換スルホニルイミノ基とを有する低分子化合
物が好ましい。このような化合物としては、例えば、下
記一般式(I)〜(V)で示される化合物が挙げられ
る。
【0149】
【化19】
【0150】式中、X1 およびX2 は、それぞれ−O−
または−NR7 −を示す。R1 およびR4 は、それぞれ
水素原子または−CH3 を表す。R2 、R5 、R9 、R
12およびR16は、それぞれ置換基を有していてもよい炭
素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、ア
リーレン基またはアラルキレン基を表す。R3 、R7
よびR13は、水素原子またはそれぞれ置換基を有してい
てもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル
基、アリール基またはアラルキル基を表す。また、R6
およびR17は、それぞれ置換基を有していてもよい炭素
数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール
基またはアラルキル基を示す。R8 、R 10およびR
14は、水素原子または−CH3 を表す。R11およびR15
は、それぞれ単結合、または置換基を有していてもよい
炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、
アリーレン基もしくはアラルキレン基を表す。Y1 およ
びY2は、それぞれ単結合または−CO−を表す。具体
的には、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレー
ト、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリル
アミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリ
ルアミド等を好適に使用することができる。
【0151】(3)活性イミド基を有するアルカリ可溶
性高分子化合物は、下記式で表される活性イミド基を分
子内に有するものが好ましく、この高分子化合物として
は、1分子中に、下記式で表される活性イミド基と、重
合可能な不飽和結合をそれぞれ一つ以上有する低分子化
合物からなる重合性モノマーを単独重合させ、または、
該モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られ
る高分子化合物が挙げられる。
【0152】
【化20】
【0153】このような化合物としては、具体的には、
N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド、N
−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド等を好適
に使用することができる。
【0154】更に、本発明に用いられるアルカリ可溶性
高分子化合物としては、前記フェノール性水酸基を有す
る重合性モノマー、スルホンアミド基を有する重合性モ
ノマー、および活性イミド基を有する重合性モノマーの
うちの2種以上を重合させた高分子化合物、またはこれ
ら2種以上の重合性モノマーに他の重合性モノマーを共
重合させて得られる高分子化合物が好適に挙げられる。
フェノール性水酸基を有する重合性モノマーに、スルホ
ンアミド基を有する重合性モノマーおよび/または活性
イミド基を有する重合性モノマーを共重合させる場合に
は、これら成分の配合質量比は50:50から5:95
の範囲にあるのが好ましく、40:60から10:90
の範囲にあるのがより好ましい。
【0155】アルカリ可溶性高分子化合物が前記フェノ
ール性水酸基を有する重合性モノマー、スルホンアミド
基を有する重合性モノマー、または活性イミド基を有す
る重合性モノマーと、他の重合性モノマーとの共重合体
である場合には、アルカリ可溶性を付与するモノマーを
10モル%以上含むものが好ましく、20モル%以上含
むものがより好ましい。共重合成分が10モル%より少
ないと、アルカリ可溶性が不十分となりやすく、現像ラ
チチュードの向上効果が十分達成されないことがある。
【0156】前記フェノール性水酸基を有する重合性モ
ノマー、スルホンアミド基を有する重合性モノマー、ま
たは活性イミド基を有する重合性モノマーと共重合させ
るモノマー成分としては、例えば、下記(1)〜(1
2)に挙げるモノマーを用いることができるが、これら
に限定されるものではない。 (1)2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロ
キシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するア
クリル酸エステル類およびメタクリル酸エステル類。 (2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、ア
クリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベ
ンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルア
クリレート、N−ジメチルアミノエチルアクリレート等
のアルキルアクリレート。 (3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸
アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘ
キシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−ク
ロロエチル、グリシジルメタクリレート、N−ジメチル
アミノエチルメタクリレート等のアルキルメタクリレー
ト。
【0157】(4)アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリ
ルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロ
ヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリ
ルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフ
ェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアク
リルアミド等のアクリルアミドおよびメタクリルアミ
ド。 (5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニル
エーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピル
ビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニ
ルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテ
ル類。 (6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビ
ニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル
類。
【0158】(7)スチレン、α−メチルスチレン、メ
チルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。 (8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロ
ピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケ
トン類。 (9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエ
ン、イソプレン等のオレフィン類。 (10)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾー
ル、4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル等。 (11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミ
ド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニル
メタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタ
クリルアミド等の不飽和イミド。 (12)アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、
イタコン酸等の不飽和カルボン酸。
【0159】アルカリ可溶性高分子化合物の共重合の方
法としては、従来知られている、グラフト共重合法、ブ
ロック共重合法、ランダム共重合法等を用いることがで
きる。
【0160】本発明においてアルカリ可溶性高分子化合
物が、前記フェノール性水酸基を有する重合性モノマ
ー、スルホンアミド基を有する重合性モノマー、または
活性イミド基を有する重合性モノマーの単独重合体また
は共重合体である場合、重量平均分子量が2,000以
上であり、数平均分子量が500以上であるものが好ま
しい。より好ましくは、重量平均分子量が5,000〜
300,000であり、数平均分子量が800〜25
0,000であり、分散度(重量平均分子量/数平均分
子量)が1.1〜10であるものである。また、本発明
においてアルカリ可溶性高分子化合物がフェノールホル
ムアルデヒド樹脂、クレゾールアルデヒド樹脂等の樹脂
である場合には、重量平均分子量が500〜20,00
0であり、数平均分子量が200〜10,000である
ものが好ましい。
【0161】前記共重合体においては、前記(1)フェ
ノール性水酸基、(2)スルホンアミド基または(3)
活性イミド基を有するモノマーと、他のモノマーとの配
合質量比が、現像ラチチュードの点から50:50から
5:95の範囲にあるものが好ましく、40:60から
10:90の範囲にあるものがより好ましい。
【0162】本発明において、特に好ましいフェノール
性水酸基を有する高分子化合物としては、例えば、m−
/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合
体、フェノールとクレゾールとホルムアルデヒドとの縮
重合体等のノボラック樹脂;N−(4−ヒドロキシフェ
ニル)メタクリルアミド/メタクリル酸メチル/アクリ
ロニトリルの共重合体;2−(N’−(4−ヒドロキシ
フェニル)ウレイド)エチルメタクリレート/メタクリ
ル酸メチル/アクリロニトリルの共重合体が挙げられ
る。また、本発明において、特に好ましいスルホンアミ
ド基を有する高分子化合物としては、例えば、N−(p
−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/メタ
クリル酸メチル/アクリロニトリルの共重合体が挙げら
れる。また、本発明において、特に好ましい活性イミド
基を有する高分子化合物としては、例えば、N−(p−
トルエンスルホニル)メタクリルアミド/メタクリル酸
メチル/アクリロニトリル/2−ヒドロキシエチルメタ
クリレートの共重合体が挙げられる。
【0163】これらアルカリ可溶性高分子化合物は、そ
れぞれ単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いて
もよく、感熱層の全固形分中、好ましくは30〜99質
量%、より好ましくは40〜95質量%、特に好ましく
は50〜90質量%の添加量で用いられる。アルカリ可
溶性高分子化合物の添加量が30質量%未満であると感
熱層の耐久性が悪化し、また、99質量%を超えると感
度および耐久性の両面で好ましくない。
【0164】(B)前記アルカリ可溶性高分子化合物と
相溶することにより該高分子化合物のアルカリ水溶液へ
の溶解性を低下させるとともに、加熱により該溶解性低
下作用が減少する化合物 この(B)成分は、分子内に存在する水素結合性の官能
基の働きにより、(A)アルカリ可溶性高分子化合物と
の相溶性が良好であり、均一な塗布液を形成しうるとと
もに、(A)成分との相互作用により、該高分子化合物
のアルカリ可溶性を抑制する機能を有する化合物を指
す。また、この化合物は加熱によりこの溶解性低下作用
が消滅するが、(B)成分自体が加熱により分解する化
合物である場合、分解に十分なエネルギーがレーザの出
力や照射時間等の条件によって付与されないと、溶解性
の抑制作用の低下が不十分となり、感度が低下するおそ
れがあるため、(B)成分の熱分解温度は150℃以上
であるのが好ましい。
【0165】本発明に用いられる好適な(B)成分とし
ては、例えば、スルホン化合物、アンモニウム塩、ホス
ホニウム塩、アミド化合物等の前記(A)成分と相互作
用する化合物が挙げられる。(B)成分は、上述したよ
うに、(A)成分との相互作用を考慮して適宜選択され
るべきであり、具体的には、例えば、(A)成分として
ノボラック樹脂を単独で用いる場合、後に例示するシア
ニン染料A等が好適に用いられる。
【0166】(A)成分と(B)成分との配合比は、通
常、99/1〜75/25の範囲であるのが好ましい。
99/1よりも(B)成分が少ない場合、(A)成分と
の相互作用が不十分となり、アルカリ可溶性を阻害でき
ず、良好な画像形成ができにくい。また、75/25よ
りも(B)成分が多い場合、相互作用が過大であるため
著しく感度が低下し、いずれも好ましくない。
【0167】(C)光を吸収して発熱する化合物 本発明における光を吸収して発熱する化合物とは、70
0nm以上、好ましくは750〜1200nmの赤外域
に光吸収域があり、この範囲の波長の光において、光/
熱変換能を発現するものを指す。具体的には、この波長
域の光を吸収し熱を発生する種々の顔料または染料を用
いることができる。中でも、画像形成性に優れる点で、
前記染料が好ましい。前記顔料としては、市販の顔料ま
たはカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料
便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新
顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)および
「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載
されている顔料が利用できる。
【0168】前記顔料の種類としては、例えば、黒色顔
料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、
紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔
料、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶
性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレート
アゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔
料、ペリレンおよびペリノン系顔料、チオインジゴ系顔
料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソイ
ンドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ
顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔
料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラックを用いるこ
とができる。
【0169】これらの顔料は表面処理をせずに用いても
よく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法
には樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤
を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップ
リング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート)を顔
料表面に結合させる方法等が挙げられる。上記の表面処
理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印
刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)および
「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に
記載されている。
【0170】前記顔料の粒径は、0.01〜10μmの
範囲にあるのが好ましく、0.05〜1μmの範囲にあ
るのがより好ましく、0.1〜1μmの範囲にあるのが
特に好ましい。顔料の粒径が0.01μm未満のときは
分散物の感熱層塗布液中での安定性の点で好ましくな
く、また、10μmを超えると感熱層の均一性の点で好
ましくない。
【0171】前記顔料を分散する方法としては、インク
製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用
できる。分散機としては、例えば、超音波分散器、サン
ドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボ
ールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロ
イドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダ
ーが挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CM
C出版、1986年刊)に記載がある。
【0172】前記染料としては、市販の染料および文献
(例えば、「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和4
5年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具
体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンア
ゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カ
ルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シア
ニン染料等の染料を用いることができる。
【0173】本発明においては、これらの顔料または染
料の中でも、赤外光または近赤外光を吸収するものが、
赤外光または近赤外光を発光するレーザの利用に適する
点で特に好ましい。
【0174】そのような赤外光または近赤外光を吸収す
る顔料としてはカーボンブラックが好適に用いられる。
また、赤外光または近赤外光を吸収する染料としては、
例えば、特開昭58−125246号公報、特開昭59
−84356号公報、特開昭59−202829号公
報、特開昭60−78787号公報等に記載されている
シアニン染料、特開昭58−173696号公報、特開
昭58−181690号公報、特開昭58−19459
5号公報等に記載されているメチン染料、特開昭58−
112793号公報、特開昭58−224793号公
報、特開昭59−48187号公報、特開昭59−73
996号公報、特開昭60−52940号公報、特開昭
60−63744号公報等に記載されているナフトキノ
ン染料、特開昭58−112792号公報等に記載され
ているスクワリリウム色素、英国特許第434,875
号明細書に記載のシアニン染料、米国特許第5,38
0,635号明細書に記載のジヒドロペリミジンスクア
リリウム染料を挙げることができる。
【0175】また、前記染料として米国特許第5,15
6,938号明細書に記載の近赤外吸収増感剤も好適に
用いられ、また、米国特許第3,881,924号明細
書に記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウ
ム塩、特開昭57−142645号公報(米国特許第
4,327,169号明細書)に記載のトリメチンチア
ピリリウム塩、特開昭58−181051号公報、特開
昭58−220143号公報、特開昭59−41363
号公報、特開昭59−84248号公報、特開昭59−
84249号公報、特開昭59−146063号公報、
特開昭59−146061号公報に記載されているピリ
リウム系化合物、特開昭59−216146号公報に記
載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号明
細書に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平
5−13514号公報、特公平5−19702号公報に
記載されているピリリウム化合物、Epolight
III−178、Epolight III−130、
Epolight III−125、Epolight
IV−62A等は特に好ましく用いられる。
【0176】また、前記染料として特に好ましい別の例
として、米国特許第4,756,993号明細書中に式
(I)または(II)として記載されている近赤外吸収
染料を挙げることができる。
【0177】これらの染料のうち特に好ましいものとし
て、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム
塩、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。
【0178】これらの顔料または染料は、感熱層の全固
形分に対して、好ましくは0.01〜50質量%、より
好ましくは0.1〜10質量%、染料の場合、特に好ま
しくは0.5〜10質量%、顔料の場合、特に好ましく
は3.1〜10質量%の割合で前記感光性組成物中に添
加することができる。顔料または染料の添加量が0.0
1質量%未満であると感度が低くなり、また、50質量
%を超えると感熱層の均一性が失われ、感熱層の耐久性
が悪くなる。これらの染料または顔料は他の成分と同一
の層に添加してもよいし、別の層を設け、そこへ添加し
てもよい。別の層とする場合、熱分解性でありかつ分解
しない状態ではアルカリ可溶性高分子化合物の溶解性を
実質的に低下させる物質を含む層に隣接する層へ添加す
るのが好ましい。また、染料または顔料とアルカリ可溶
性高分子化合物は同一の層に含まれるのが好ましいが、
別の層でも構わない。
【0179】(B+C)成分 本発明においては、(B)アルカリ可溶性高分子化合物
と相溶することにより該高分子化合物のアルカリ水溶液
への溶解性を低下させるとともに、加熱により該溶解性
低下作用が減少する化合物と、(C)光を吸収して発熱
する化合物とに代えて、双方の特性を有する一つの化合
物(以下、「(B+C)成分」ともいうう。)を含有す
ることもできる。そのような化合物としては、例えば、
下記一般式(Z)で表されるものが挙げられる。
【0180】
【化21】
【0181】前記一般式(Z)中、R1 〜R4 は、それ
ぞれ独立して水素原子または置換基を有してもよい炭素
数1〜12のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ
基、シクロアルキル基もしくはアリール基を表し、R1
とR2 、R3 とR4 はそれぞれ結合して環構造を形成し
ていてもよい。ここで、R1 〜R4 としては、具体的に
は、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基、ドデ
シル基、ナフチル基、ビニル基、アリル基、シクロヘキ
シル基等が挙げられる。また、これらの基が置換基を有
する場合、その置換基としては、ハロゲン原子、カルボ
ニル基、ニトロ基、ニトリル基、スルホニル基、カルボ
キシル基、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル等
が挙げられる。R5 〜R10は、それぞれ独立して置換基
を有してもよい炭素数1〜12のアルキル基を表し、こ
こで、R5 〜R10としては、具体的には、メチル基、エ
チル基、フェニル基、ドデシル基、ナフチル基、ビニル
基、アリル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。ま
た、これらの基が置換基を有する場合、その置換基とし
ては、ハロゲン原子、カルボニル基、ニトロ基、ニトリ
ル基、スルホニル基、カルボキシル基、カルボン酸エス
テル、スルホン酸エステル等が挙げられる。
【0182】R11〜R13は、それぞれ独立して水素原
子、ハロゲン原子または置換基を有してもよい炭素数1
〜8のアルキル基を表し、ここで、R12は、R11または
13と結合して環構造を形成していてもよく、m>2の
場合は、複数のR12同士が結合して環構造を形成してい
てもよい。R11〜R13としては、具体的には、塩素原
子、シクロヘキシル基、R12同士が結合してなるシクロ
ペンチル環、シクロヘキシル環等が挙げられる。また、
これらの基が置換基を有する場合、その置換基として
は、ハロゲン原子、カルボニル基、ニトロ基、ニトリル
基、スルホニル基、カルボキシル基、カルボン酸エステ
ル、スルホン酸エステル等が挙げられる。また、mは1
〜8の整数を表し、好ましくは1〜3である。R14およ
びR15は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子ま
たは置換基を有してもよい炭素数1〜8のアルキル基を
表し、R14はR15と結合して環構造を形成していてもよ
く、m>2の場合は、複数のR14同士が結合して環構造
を形成していてもよい。R14およびR15としては、具体
的には、塩素原子、シクロヘキシル基、R14同士が結合
してなるシクロペンチル環、シクロヘキシル環等が挙げ
られる。また、これらの基が置換基を有する場合、その
置換基としては、ハロゲン原子、カルボニル基、ニトロ
基、ニトリル基、スルホニル基、カルボキシル基、カル
ボン酸エステル、スルホン酸エステル等が挙げられる。
また、mは1〜8の整数を表し、好ましくは1〜3であ
る。
【0183】前記一般式(Z)において、X- は、アニ
オンを表す。アニオンとなる化合物の具体例としては、
過塩素酸、四フッ化ホウ酸、六フッ化リン酸、トリイソ
プロピルナフタレンスルホン酸、5−ニトロ−o−トル
エンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、2,5−ジメ
チルベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリメチルベン
ゼンスルホン酸、2−ニトロベンゼンスルホン酸、3−
クロロベンゼンスルホン酸、3−ブロモベンゼンスルホ
ン酸、2−フルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ド
デシルベンゼンスルホン酸、1−ナフトール−5−スル
ホン酸、2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイ
ル−ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸が挙
げられる。これらの中でも、特に六フッ化リン酸、トリ
イソプロピルナフタレンスルホン酸や、2,5−ジメチ
ルベンゼンスルホン酸等のアルキル芳香族スルホン酸が
好ましく用いられる。
【0184】前記一般式(Z)で表される化合物は、一
般にシアニン染料と呼ばれる化合物であり、具体的に
は、以下に示す化合物が好適に用いられるが、本発明は
この具体例により限定されるものではない。
【0185】
【化22】
【0186】前記(B+C)成分は、光を吸収して熱を
発生する性質(即ち、(C)成分の特性)を有し、しか
も700〜1200nmの赤外域に吸収域をもち、更に
アルカリ可溶性高分子化合物との相溶性も良好であり、
塩基性染料であり、分子内にアンモニウム基、イミニウ
ム基等のアルカリ可溶性高分子化合物と相互作用する基
を有する(即ち、(B)成分の特性を有する)ために、
該高分子化合物と相互作用して、そのアルカリ可溶性を
制御することができ、本発明に好適に用いることができ
る。
【0187】本発明において、(B)成分および(C)
成分に代えて、前記のシアニン染料のような双方の特性
を兼ね備える化合物(B+C)成分を用いる場合、この
化合物の添加量は、(A)成分に対して、99/1〜7
0/30の範囲であるのが感度の観点から好ましく、9
9/1〜75/25の範囲であるのがより好ましい。
【0188】(D)その他の成分 本発明に用いられる前記感光性組成物には、更に必要に
応じて、種々の添加剤を添加することができる。例え
ば、感度を向上させる目的で、環状酸無水物類、フェノ
ール類、有機酸類、スルホニル化合物類を併用すること
もできる。環状酸無水物類としては、例えば、米国特許
第4,115,128号明細書に記載されている無水フ
タル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水
フタル酸、3,6−エンドオキシ−Δ4−テトラヒドロ
無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水マレイ
ン酸、クロル無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイ
ン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸が挙げられ
る。フェノール類としては、例えば、ビスフェノール
A、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノール、
2,4,4′−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,
3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキ
シベンゾフェノン、4,4′,4″−トリヒドロキシト
リフェニルメタン、4,4′,3″,4″−テトラヒド
ロキシ−3,5,3′,5′−テトラメチルトリフェニ
ルメタンが挙げられる。
【0189】有機酸類としては、例えば、特開昭60−
88942号公報、特開平2−96755号公報等に記
載されている、スルホン酸類、スルフィン酸類、アルキ
ル硫酸類、ホスホン酸類、リン酸エステル類およびカル
ボン酸類が挙げられる。具体的には、例えば、p−トル
エンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−ト
ルエンスルフィン酸、エチル硫酸、フェニルホスホン
酸、フェニルホスフィン酸、リン酸フェニル、リン酸ジ
フェニル、安息香酸、イソフタル酸、アジピン酸、p−
トルイル酸、3,4−ジメトキシ安息香酸、フタル酸、
テレフタル酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボ
ン酸、エルカ酸、ラウリン酸、n−ウンデカン酸、アス
コルビン酸、ビスヒドロキシフェニルスルホン、メチル
フェニルスルホン、ジフェニルジスルホンが挙げられ
る。
【0190】上記の環状酸無水物、フェノール類、有機
酸類およびスルホニル化合物類の前記感光性組成物の固
形分中に占める割合は、0.05〜20質量%であるの
が好ましく、0.1〜15質量%であるのがより好まし
く、0.1〜10質量%であるのが特に好ましい。
【0191】また、本発明における前記感光性組成物中
には、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特
開昭62−251740号公報や特開平3−20851
4号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、
特開昭59−121044号公報や特開平4−1314
9号公報に記載されているような両性界面活性剤を添加
することができる。前記非イオン界面活性剤の具体例と
しては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノ
パルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸
モノグリセリド、ポリオキシエチレンソルビタンモノオ
レート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルが
挙げられる。前記両性界面活性剤の具体例としては、ア
ルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミ
ノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキ
シエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタ
イン、N−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例え
ば、商品名「アモーゲンK」、第一工業社製)、アルキ
ルイミダゾリン系(例えば、商品名「レボン15」、三
洋化成社製)が挙げられる。上記非イオン界面活性剤お
よび両性界面活性剤の前記感光性組成物の固形分中に占
める割合は、0.05〜15質量%であるのが好まし
く、0.1〜5質量%であるのがより好ましい。
【0192】本発明に用いられる前記感光性組成物中に
は、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼き出
し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることが
できる。焼き出し剤としては、露光による加熱によって
酸を放出する化合物(光酸放出剤)と塩を形成しうる有
機染料との組み合わせが例示される。具体的には、特開
昭50−36209号公報、特開昭53−8128号公
報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−ス
ルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染料の組み合わせ
や、特開昭53−36223号公報、特開昭54−74
728号公報、特開昭60−3626号公報、特開昭6
1−143748号公報、特開昭61−151644号
公報および特開昭63−58440号公報に記載されて
いるトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料との組み
合わせが挙げられる。かかるトリハロメチル化合物とし
ては、オキサゾール系化合物とトリアジン系化合物とが
あり、いずれも経時安定性に優れ、明瞭な焼き出し画像
を与える。
【0193】画像着色剤としては、前述の塩形成性有機
染料以外に他の染料を用いることができる。塩形成性有
機染料を含めて、好適な染料として油溶性染料と塩基性
染料が挙げられる。具体的には、例えば、オイルイエロ
ー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#
312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オ
イルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラ
ックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント
化学工業社製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタル
バイオレット(C.I.42555)、メチルバイオレ
ット(C.I.42535)、エチルバイオレット、ロ
ーダミンB(C.I.145170B)、マラカイトグ
リーン(C.I.42000)、メチレンブルー(C.
I.52015)が挙げられる。また、特開昭62−2
93247号公報および特開平5−313359号公報
に記載されている染料は特に好ましい。これらの染料
は、前記感光性組成物の固形分に対し、好ましくは0.
01〜10質量%、より好ましくは0.1〜3質量%の
割合で前記感光性組成物中に添加することができる。
【0194】また、本発明に用いられる前記感光性組成
物中には必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために
可塑剤が加えられる。例えば、ブチルフタリル、ポリエ
チレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエ
チル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル
酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチ
ル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフル
フリル、アクリル酸またはメタクリル酸のオリゴマーお
よびポリマーが用いられる。更に、本発明に用いられる
前記感光性組成物中には必要に応じ、キノンジアジド
類、ジアゾ化合物等の光により分解する化合物を添加し
てもよい。これらの化合物の添加量は、前記感光性組成
物の固形分に対し、1〜5質量%であるのが好ましい。
【0195】本発明にかかる感熱層は、通常上記各成分
を溶媒に溶かして、適当な支持体上に塗布することによ
り製造することができる。ここで使用する溶媒として
は、例えば、エチレンジクロライド、シクロヘキサノ
ン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プ
ロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、
1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチル
アセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、
ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−
ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメ
チルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、
トルエン、水を挙げることができるが、これらに限定さ
れるものではない。これらの溶媒は単独でまたは混合し
て使用される。溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形
分)の濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
【0196】また、塗布乾燥後に得られる支持体上の感
熱層塗布量(固形分)は、0.5〜5.0g/m2 であ
るのが好ましい。
【0197】塗布する方法としては、種々の方法を用い
ることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗
布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エア
ーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布が挙げられ
る。塗布量が少なくなるにつれて、見掛けの感度は大き
くなるが、感光膜の皮膜特性は低下する。
【0198】前記感熱層中に、塗布性を向上させるため
の界面活性剤、例えば、特開昭62−170950号公
報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加す
ることができる。好ましい添加量は前記感熱層の全固形
分に対して0.01〜1質量%であり、より好ましくは
0.05〜0.5質量%である。
【0199】本発明においては、サーマルタイプのレー
ザ直描型平版印刷版用感光層として、例えば、特開平9
−90610号公報、特開平11−44956号公報、
特開平11−84657号公報、特開平11−1194
18号公報、特開平11−119419号公報、特開平
11−174681号公報、特開平11−218914
号公報、特開平11−305435号公報、特開200
0−25352号公報、特開2000−35666号公
報、特開2000−108538号公報、特開2000
−187318号公報、特願平11−143280号明
細書、特願平11−169167号明細書、特願平11
−190262号明細書、特願平11−209001号
明細書、特願平11−240384号明細書に記載の感
光層、記録層を適用することができる。
【0200】<画像記録層A−2>画像記録層A−2
は、2層構造のポジ型感熱層であり、表面(露光面)に
近い位置に設けられている感熱層と、支持体に近い側に
設けられているアルカリ可溶性樹脂を含有する下層とを
有する。これらの層は、いずれも水不溶性かつアルカリ
可溶性の樹脂を含有し、かつ、上部に位置する感熱層は
光を吸収して発熱する化合物を含有する。以下、この画
像記録層A−2の各構成成分について説明する。
【0201】<水不溶性かつアルカリ可溶性の樹脂>感
熱層および下層に使用される水不溶性かつアルカリ可溶
性の樹脂は、高分子中の主鎖および/または側鎖に酸性
基を含有する単独重合体、これらの共重合体またはこれ
らの混合物を包含する。本発明に用いられる下層および
感熱層は、アルカリ可溶性高分子を含有するため、アル
カリ性現像液に接触すると溶解する特性を有する。下層
および感熱層に使用される水不溶性かつアルカリ可溶性
の樹脂およびその添加量等は、上述した画像記録層A−
1に用いられる「(A)アルカリ可溶性高分子化合物」
の説明と同様である。
【0202】下層に用いられるアルカリ可溶性高分子化
合物としては、アクリル樹脂が、緩衝作用を有する有機
化合物と塩基とを主成分とするアルカリ現像液に対して
下層の溶解性を良好に保持しうるため、現像時の画像形
成の観点から好ましい。更に、このアクリル樹脂として
スルホアミド基を有するものが特に好ましい。また、感
熱層に用いられるアルカリ可溶性高分子化合物として
は、未露光部においては強い水素結合性を生起し、露光
部においては一部の水素結合が容易に解除される点、お
よび、非シリケート現像液に対して、未露光部と露光部
との現像性の差が大きい点から、画像形成性が向上する
ため、フェノール性水酸基を有する樹脂が好ましい。中
でも、ノボラック樹脂が好ましい。
【0203】<光を吸収して発熱する化合物>感熱層に
用いられる光を吸収して発熱する化合物およびその添加
量等は、上述した画像記録層A−1に用いられる
「(C)光を吸収して発熱する化合物」の説明と同様で
ある。
【0204】光を吸収して発熱する化合物は、感熱層の
みならず、下層にも添加することができる。下層に光を
吸収して発熱する化合物を添加することで下層も感熱層
として機能させることができる。下層に含有される光を
吸収して発熱する化合物は、感熱層に含有される光を吸
収して発熱する化合物と同じであってもよく、異なって
いてもよい。また、これらの光を吸収して発熱する化合
物は他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を
設け、そこへ添加してもよい。別の層とする場合、感熱
層に隣接する層へ添加するのが好ましい。また、光を吸
収して発熱する化合物とアルカリ可溶性高分子化合物と
は同一の層に含まれるのが好ましいが、別の層でも構わ
ない。
【0205】<その他の成分>下層および感熱層は、上
記の必須成分以外に、本発明の目的を損なわない範囲
で、必要に応じて、種々の添加剤を含有することができ
る。添加剤は下層のみに含有させてもよく、感熱層のみ
に含有させてもよく、両方の層に含有させてもよい。以
下、添加剤の例を挙げて説明する。
【0206】例えば、熱分解性であり、分解しない状態
ではアルカリ水可溶性高分子化合物の溶解性を実質的に
低下させる物質を併用すると、画像部の現像液への溶解
阻止性の向上を図ることができるので、好ましい。その
ような物質としては、例えば、オニウム塩、キノンジア
ジド類、芳香族スルホン化合物、芳香族スルホン酸エス
テル化合物、多官能アミン化合物が挙げられる。
【0207】オニウム塩としては、例えば、ジアゾニウ
ム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム
塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩
が挙げられる。
【0208】中でも、好適なものとしては、例えば、
S.I.Schlesinger,Photogr.S
ci.Eng.,18,387(1974)、T.S.
Balet al,Polymer,21,423(1
980)および特開平5−158230号公報に記載さ
れているジアゾニウム塩、米国特許第4,069,05
5号明細書、同4,069,056号明細書および特開
平3−140140号公報に記載されているアンモニウ
ム塩、D.C.Necker et al,Macro
molecules,17,2468(1984)、
C.S.Wenet al,Teh,Proc.Con
f.Rad.Curing ASIA,p.478,T
okyo,Oct(1988)、米国特許第4,06
9,055号明細書および同4,069,056号明細
書に記載されているホスホニウム塩、J.V.Criv
ello et al,Macromorecule
s,10(6),1307(1977)、Chem.&
amp、Eng.News,Nov.28,p31
(1988)、欧州特許第104,143号明細書、米
国特許第339,049号明細書、同第410,201
号明細書、特開平2−150848号公報および特開平
2−296514号公報に記載されているヨードニウム
塩、J.V.Crivello et al,Poly
mer J.17,73(1985)、J.V.Cri
vello et al.J.Org.Chem.,4
3,3055(1978)、W.R.Watt et
al,J.Polymer Sci.,Polymer
Chem.Ed.,22,1789(1984)、
J.V.Crivello et al,Polyme
r Bull.,14,279(1985)、J.V.
Crivello et al,Macromorec
ules,14(5),1141(1981)、J.
V.Crivello et al,J.Polyme
r Sci.,Polymer Chem.Ed.,1
7,2877(1979)、欧州特許第370,693
号明細書、同233,567号明細書、同297,44
3号明細書、同297,442号明細書、米国特許第
4,933,377号明細書、同3,902,114号
明細書、同410,201号明細書、同339,049
号明細書、同4,760,013号明細書、同4,73
4,444号明細書、同2,833,827号明細書、
独国特許第2,904,626号明細書、同3,60
4,580号明細書および同3,604,581号明細
書に記載されているスルホニウム塩、J.V.Criv
ello et al,Macromorecule
s,10(6),1307(1977)およびJ.V.
Crivello et al,J.Polymer
Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,
1047(1979)に記載されているセレノニウム
塩、C.S.Wen etal,Teh,Proc.C
onf.Rad.Curing ASIA,p478,
Tokyo,Oct(1988)に記載されているアル
ソニウム塩が挙げられる。
【0209】オニウム塩のなかでも、ジアゾニウム塩が
特に好ましい。また、特に好適なジアゾニウム塩として
は特開平5−158230号公報に記載されているもの
があげられる。
【0210】オニウム塩の対イオンとしては、例えば、
四フッ化ホウ酸、六フッ化リン酸、トリイソプロピルナ
フタレンスルホン酸、5−ニトロ−o−トルエンスルホ
ン酸、5−スルホサリチル酸、2,5−ジメチルベンゼ
ンスルホン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホ
ン酸、2−ニトロベンゼンスルホン酸、3−クロロベン
ゼンスルホン酸、3−ブロモベンゼンスルホン酸、2−
フルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベン
ゼンスルホン酸、1−ナフトール−5−スルホン酸、2
−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイル−ベンゼ
ンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸が挙げられる。
中でも、六フッ化リン酸;トリイソプロピルナフタレン
スルホン酸、2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸等の
アルキル芳香族スルホン酸が好ましい。
【0211】キノンジアジド類としては、o−キノンジ
アジド化合物が好ましい。本発明に用いられるo−キノ
ンジアジド化合物は、少なくとも1個のo−キノンジア
ジド基を有し、熱分解によりアルカリ可溶性を増す化合
物であり、種々の構造の化合物を用いることができる。
o−キノンジアジド化合物は、熱分解により結着剤の溶
解抑制能を失わせること、および、o−キノンジアジド
化合物自身がアルカリ可溶性の物質に変化することの両
方の効果により、感材系の溶解性を向上させる。
【0212】本発明に用いられるo−キノンジアジド化
合物としては、例えば、J.コーサー著「ライト−セン
シティブ・システムズ」(John Wiley &
amp;Sons.Inc.)p.339〜352に記
載されている化合物が使用できるが、特に、種々の芳香
族ポリヒドロキシ化合物または芳香族アミノ化合物と反
応させたo−キノンジアジド化合物のスルホン酸エステ
ルまたはスルホン酸アミドが好適である。また、特公昭
43−28403号公報に記載されているようなベンゾ
キノン(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライドまた
はナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5−スルホン
酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステ
ル、米国特許第3,046,120号明細書および同第
3,188,210号明細書に記載されているベンゾキ
ノン−(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライドまた
はナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5−スルホン
酸クロライドとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂との
エステルも好適に用いられる。
【0213】更に、ナフトキノン−(1,2)−ジアジ
ド−4−スルホン酸クロライドとフェノールホルムアル
デヒド樹脂またはクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂と
のエステル、ナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4
−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂
とのエステルも同様に好適に用いられる。そのほかに
も、有用なo−キノンジアジド化合物が、数多くの特許
に報告され、知られている。例えば、特開昭47−53
03号公報、特開昭48−63802号公報、特開昭4
8−63803号公報、特開昭48−96575号公
報、特開昭49−38701号公報、特開昭48−13
354号公報、特公昭41−11222号公報、特公昭
45−9610号公報、特公昭49−17481号公
報、米国特許第2,797,213号明細書、同第3,
454,400号明細書、同第3,544,323号明
細書、同第3,573,917号明細書、同第3,67
4,495号明細書、同第3,785,825号明細
書、英国特許第1,227,602号明細書、同第1,
251,345号明細書、同第1,267,005号明
細書、同第1,329,888号明細書、同第1,33
0,932号明細書および独国特許第854,890号
明細書に記載されているものが挙げられる。
【0214】オニウム塩およびo−キノンジアジド化合
物のそれぞれの添加量は、添加される層の全固形分に対
して、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜
30質量%、特に好ましくは10〜30質量%である。
これらの化合物は単独で用いてもよく、2種以上の混合
物として用いてもよい。
【0215】オニウム塩およびo−キノンジアジド化合
物以外の添加剤の添加量は、添加される層の全固形分に
対して、好ましくは1〜50質量%、更に好ましくは5
〜30質量%、特に好ましくは10〜30質量%であ
る。本発明において、添加剤とアルカリ可溶性高分子化
合物とは、同一層へ含有させるのが好ましい。
【0216】また、下層および感熱層は、画像のディス
クリミネーションや表面のキズに対する抵抗力を強化す
る目的で、特開2000−187318号公報に記載さ
れているような、分子中に炭素数3〜20のパーフルオ
ロアルキル基を2または3個有する(メタ)アクリレー
ト単量体を重合成分とする重合体を含有するのが好まし
い。このような重合体は、下層および感熱層のいずれに
含有させてもよいが、上部に位置する感熱層に含有させ
ると、より効果的である。このような重合体の添加量
は、添加される層の全固形分に対して、0.1〜10質
量%であるのが好ましく、0.5〜5質量%であるのが
より好ましい。
【0217】また、下層および感熱層は、キズに対する
抵抗性を付与する目的で、表面の静摩擦係数を低下させ
る化合物を含有することもできる。そのような化合物と
しては、例えば、米国特許第6,117,913号明細
書に記載されているような、長鎖アルキルカルボン酸の
エステルが挙げられる。このような化合物は、下層およ
び感熱層のいずれに含有させてもよいが、上部に位置す
る感熱層に含有させると、より効果的である。このよう
な化合物の添加量は、添加される層の全固形分に対し
て、0.1〜10質量%であるのが好ましく、0.5〜
5質量%であるのがより好ましい。
【0218】また、下層および感熱層は、必要に応じ
て、低分子量の酸性基を有する化合物を含有していても
よい。酸性基としては、例えば、スルホン酸基、カルボ
キシ基、リン酸基が挙げられる。中でも、スルホン酸基
を有する化合物が好ましい。具体的には、p−トルエン
スルホン酸、ナフタレンスルホン酸等の芳香族スルホン
酸類や、脂肪族スルホン酸類が挙げられる。このような
化合物は、下層および感熱層のいずれに含有させてもよ
い。このような化合物の添加量は、添加される層の全固
形分に対して、0.05〜5質量%であるのが好まし
く、0.1〜3質量%であるのがより好ましい。5質量
%より多いと、各層の現像液に対する溶解性が増加して
しまう場合があるので、好ましくない。
【0219】また、下層および感熱層は、各層の溶解性
を調節する目的で種々の溶解抑制剤を含有していてもよ
い。溶解抑制剤としては、特開平11−119418号
公報に記載されているようなジスルホン化合物またはス
ルホン化合物が好適に用いられる。具体的には、4,
4′−ビスヒドロキシフェニルスルホンが好適に例示さ
れる。溶解抑制剤は、下層および感熱層のいずれに含有
させてもよい。溶解抑制剤の添加量は、添加される層の
全固形分に対して、0.05〜20質量%であるのが好
ましく、0.5〜10質量%であるのがより好ましい。
【0220】また、下層および感熱層は、更に感度を向
上させる目的で、環状酸無水物類、フェノール類、有機
酸類を含有することもできる。環状酸無水物類、フェノ
ール類および有機酸類ならびにそれらの添加量等は、上
述した画像記録層A−1に用いられる「(D)その他の
成分」の説明と同様である。
【0221】また、下層および感熱層は、現像条件の変
化に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−2
51740号公報および特開平3−208514号公報
に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭5
9−121044号公報および特開平4−13149号
公報に記載されているような両性界面活性剤、欧州特許
出願公開第950,517号明細書に記載されているよ
うなシロキサン系化合物、特開平11−288093号
公報に記載されているようなフッ素含有のモノマー共重
合体を含有することができる。
【0222】非イオン界面活性剤および両性界面活性剤
の具体例としては、上述した画像記録層A−1に用いら
れる「(D)その他の成分」で列挙したものと同様のも
のが挙げられる。シロキサン系化合物としては、ジメチ
ルシロキサンとポリアルキレンオキシドのブロック共重
合体が好ましく、具体例として、チッソ社製のDBE−
224、DBE−621、DBE−712、DBP−7
32、DBP−534、独Tego社製のTego G
lide100等のポリアルキレンオキシド変性シリコ
ーンが挙げられる。上記非イオン界面活性剤、両性界面
活性剤およびシロキサン系化合物の添加量は、それぞ
れ、添加される層の全固形分に対して、0.05〜15
質量%であるのが好ましく、0.1〜5質量%であるの
がより好ましい。
【0223】また、下層および感熱層は、露光による加
熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色
剤としての染料や顔料を含有することができる。焼き出
し剤および画像着色剤それらの添加量等は、上述した画
像記録層A−1に用いられる「(D)その他の成分」の
説明と同様である。
【0224】また、下層および感熱層は、塗膜の柔軟性
等を付与するために、必要に応じ、可塑剤を含有するこ
とができる。可塑剤の具体例としては、上述した画像記
録層A−1に用いられる「(D)その他の成分」で列挙
したものと同様のものが挙げられる。
【0225】下層および感熱層は、通常上記各成分を溶
媒に溶かして、上記平版印刷版用支持体上に塗布するこ
とにより製造することができる。ここで使用する溶媒と
しては、上述した画像記録層A−1に用いられる
「(D)その他の成分」で列挙したものと同様のものが
挙げられる。これらの溶媒は単独でまたは混合して使用
される。
【0226】溶剤は、感熱層に用いられるアルカリ可溶
性高分子化合物と下層に用いられるアルカリ可溶性高分
子化合物に対して、溶解性の異なるものであるのが好ま
しい。下層を塗布した後、それに隣接して、上層である
感熱層を塗布する際、上層の塗布溶剤として下層のアル
カリ可溶性高分子化合物を溶解させうる溶剤を用いる
と、層界面での混合が無視できなくなり、極端な場合、
重層にならず均一な単一層になってしまうことがある。
このように、隣接する二つの層の界面で混合が生じた
り、互いに相溶したりして均一層のような挙動を示す場
合、二層を有することによる本発明の平版印刷版原版の
効果が損なわれるおそれがあり、好ましくない。このた
め、感熱層を塗布するのに用いる溶剤は、下層に含まれ
るアルカリ可溶性高分子化合物に対する貧溶剤であるの
が好ましい。
【0227】各層を塗布する場合の溶媒中の上記成分
(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜5
0質量%である。
【0228】また、塗布乾燥後に得られる支持体上の下
層および感熱層の塗布量(固形分)は、用途によって異
なるが、感熱層は0.05〜1.0g/m2 であるのが
好ましく、また、下層は0.3〜3.0g/m2 である
のが好ましい。感熱層の塗布量が0.05g/m2 未満
である場合には、画像形成性が低下する場合があり、ま
た、1.0g/m2 を超えると感度が低下する可能性が
ある。また、下層の塗布量が0.3g/m2 未満である
場合、および、3.0g/m2 を超える場合には、いず
れも画像形成性が低下する傾向がある。また、下層およ
び感熱層の塗布量は、二層の合計で0.5〜3.0g/
2 であるのが好ましい。二層の合計の塗布量が0.5
g/m2 未満であると皮膜特性が低下する場合があり、
3.0g/m2 を超えると感度が低下する傾向にある。
塗布量が少なくなるにつれて、見掛けの感度は大きくな
るが、感光膜の皮膜特性は低下する。
【0229】塗布する方法としては、種々の方法を用い
ることができ、上述した画像記録層A−1の場合と同様
のものが挙げられる。
【0230】また、下層および感熱層は、塗布性を向上
させるための界面活性剤、例えば、特開昭62−170
950号公報に記載されているようなフッ素系界面活性
剤を含有することができる。塗布性を向上させるための
界面活性剤の添加量は、添加される層の全固形分に対し
て、0.01〜1質量%であるのが好ましく、0.05
〜0.5質量%であるのがより好ましい。
【0231】<画像記録層A−3>画像記録層A−3
は、下記一般式(I)で表されるシアニン色素と、水不
溶性かつアルカリ可溶性の樹脂とを含有する。画像記録
層A−3を有する平版印刷版原版は、例えば、これらの
成分を含有する感光性組成物を、沸点が100℃未満の
溶剤を80%以上含有する溶剤系に溶解させ、または分
散させた感光層塗布液を、アルミニウム支持体上に塗布
し乾燥させ、感光層を形成させて得られる。
【0232】
【化23】
【0233】式中、Y1 およびY2 は、それぞれ独立し
て、ジアルキルメチレン基または硫黄原子を示す。R3
およびR4 は、それぞれ独立して、置換基を有していて
もよい、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基また
はフェニル基を示す。L2 は、置換基を有していてもよ
い、トリメチン基、ペンタメチン基またはヘプタメチン
基を示し、ペンタメチン基またはヘプタメチン基上の二
つの置換基が互いに連結して炭素数5〜7のシクロアル
ケン環を形成していてもよい。R5 〜R8 は、それぞれ
独立して、水素原子または置換基を有していてもよい、
アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、シクロアル
キル基もしくはアリール基を示す。R5とR6 、およ
び、R7 とR8 は、それぞれ結合して環構造を形成して
いてもよい。X- はアニオンを示す。
【0234】前記一般式(I)中、Y1 およびY2 は、
それぞれ独立して、ジアルキルメチレン基または硫黄原
子を示す。ジアルキルメチレン基におけるアルキル基と
しては、炭素原子数1〜12程度のものが好ましく、二
つのアルキル基は同一であっても異なっていてもよい。
3 およびR4 は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜
12のアルキル基、炭素原子数1〜12のアルケニル
基、炭素原子数1〜12のアルキニル基またはフェニル
基を示す。これらの基が置換基を有する場合、その置換
基としては、ハロゲン原子、カルボニル基、ニトロ基、
ニトリル基、スルホニル基、カルボキシル基、カルボン
酸エステル、スルホン酸エステル等が挙げられる。L2
は置換基を有していてもよい、トリメチン基、ペンタメ
チン基またはヘプタメチン基を示し、ペンタメチン基ま
たはヘプタメチン基上の二つの置換基が互いに連結して
炭素数5〜7のシクロアルケン環を形成していてもよ
い。ここで、L2 が置換基を有する場合、置換基として
は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜8のアルキル基等が
挙げられる。R5 〜R8 は、それぞれ独立して、水素原
子または置換基を有していてもよい、炭素数1〜12の
アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、シクロアル
キル基、アリール基を示す。R5 とR6 、および、R7
とR8 は、それぞれ結合して環構造を形成していてもよ
い。R5 〜R8 としては、具体的には、水素原子、メチ
ル基、エチル基、フェニル基、ドデシル基、ナフチル
基、ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基等が挙げら
れる。また、これらの基が置換基を有する場合、その置
換基としては、ハロゲン原子、カルボニル基、ニトロ
基、ニトリル基、スルホニル基、カルボキシ基、カルボ
ン酸エステル、スルホン酸エステル等が挙げられる。
【0235】X- はアニオンを示す。なお、R3 〜R8
上にアニオン性の置換基を有する場合には、X- は存在
しなくてもよい。
【0236】以下に、一般式(I)で表されるシアニン
色素の具体例を示すが、本発明はこれに制限されるもの
ではない。
【0237】
【化24】
【0238】前記シアニン色素は、感光層を構成する組
成物の全固形分中、1〜20質量%であるのが好まし
い。また、感光層中には、本発明の効果を損なわない限
りにおいて、後述する公知の光熱変換剤を併用すること
もできる。
【0239】つぎに、感光層を形成する際に用いられる
溶剤系について説明する。塗布液溶剤中、沸点が200
℃未満の溶剤中に占める沸点が100℃未満の溶剤の割
合が80質量%以上であることを要し、90質量%以上
であるのが好ましく、塗布液溶剤のすべてが沸点100
℃未満の溶剤であるのがより好ましい。
【0240】感光層塗布液に使用される沸点100℃未
満の溶剤としては以下のものが例示されるが、本発明は
これらに限定されるものではない。なお、溶剤名の後の
括弧内に代表的な沸点(℃)を記載する。メタノール
(65.0)、エタノール(78.5)、n−プロパノ
ール(97.3)、イソプロパノール(82.3)等の
アルコール類;テトラヒドロフラン(66)、ジオキソ
ラン(74)、メチルジオキソラン(81)等のエーテ
ル類;アセトン(56)、メテルエチルケトン(79、
6)等のケトン類;酢酸エチル(77)、酢酸イソプロ
ピル(88.7)等のエステル類;n−ヘキサン(6
8.7)、シクロヘキサン(80.7)、n−ヘプタン
(98.4)等の炭化水素類。中でも、メタノール、エ
タノール、メチルエチルケトン、酢酸エチル等が好まし
い。
【0241】また、本発明に用いられる溶剤系におい
て、沸点が100℃以上のものであっても、所定量であ
れば、沸点100℃未満の溶剤と混合して使用すること
により好適に用いることができる。前記沸点100℃未
満の溶剤と併用しうる沸点が100℃以上の溶剤として
は、例えば、以下のものが例示される。n−ブタノール
(117.7)、イソブタノール(108.3)、2−
メチル−2−ブタノール(101.8)、2−エチル−
2−ブタノール(147)、2,4−ジメチル−3−ペ
ンタノール(140)、n−ヘキサノール(160)、
シクロヘキサノール(161.1)、1−オクタノール
(195.2)等のアルコール類;3−メトキシ−3−
メチルブタノール(174)、1−メトキシ−2−プロ
パノール(120.6)、ジプロピレングリコールモノ
メチルエーテル(190)、トリプロピレングリコール
モノメチルエーテル(243)、プロピレングリコール
モノブチルエーテル(170.2)、プロピレングリコ
ールモノメチルアセテート(146)、メチルカルビト
ール(193.6)、エチルカルビトール(202.
8)等のエーテル類;メチルプロピルケトン(10
2)、メチルイソブチルケトン(115.1)、メテル
アミルケトン(151)、ジエチルケトン(102.
8)、3−ヒドロキシ−2−ブタノン(148)、4−
ヒドロキシ−2−ブタノン(182)、シクロペンタノ
ン(129)、シクロヘキサノン(155.4)、ジア
セトンアルコール(169.2)等のケトン類;乳酸メ
チル(144,8)、乳酸エチル(157)、乳酸ブチ
ル(188)、酢酸n−プロピル(102)、酢酸n−
ブチル(126.6)、酪酸メチル(102,3)、酪
酸エチル(120)、酪酸ブチル(166.4)、γ−
ブチロラクトン(206)、等のエステル類;n−オク
タン(125.7)、トルエン(110.6)、キシレ
ン(139)等の炭化水素類;水(100);ジメチル
ジグリコール(162)。
【0242】これら溶剤は、単独でまたは2種以上混合
して用いられる。いずれの溶剤を使用するかは、感光性
組成物に使用される成分の溶解性、分散性等を考慮して
選択し、適当な溶媒に適当な濃度で溶解させ、または分
散させて感光層塗布液を調整するが、このとき、溶剤系
中100℃未満の溶剤が占める割合が80質量%未満に
ならないように調整する必要がある。塗布液濃度は特に
限定されないが、固形分濃度が2〜50質量%であるの
が一般的である。
【0243】感光層塗布液は支持体に塗布、乾燥され、
感光層が形成されるが、感光層塗布液を支持体上に塗布
する方法には特に制限はなく、従来公知の方法を適宜選
択して実施することができる。例えば、回転塗布、ワイ
ヤーバー塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ロー
ル塗布、ブレード塗布、カーテン塗布が挙げられる。
【0244】感光層の塗布量は、主に、感光層の感度、
現像性、露光膜の強度および耐刷性に影響を及ぼすた
め、用途に応じ適宜選択するのが好ましい。塗布量(被
覆量)が少なすぎる場合には、耐刷性が十分でなくな
る。一方、塗布量が多すぎる場合には、感度が下がり、
露光に時間がかかるうえ、現像処理にもより長い時間を
要するため好ましくない。本発明においては、乾燥後被
覆量が0.1〜7g/cm 2 であるのが好ましく、0.
2〜5g/cm2 であるのがより好ましく、0.5〜3
g/cm2 であるのが更に好ましい。
【0245】感光層塗布後の乾燥温度は60℃以上25
0℃未満であるのが好ましく、80℃以上200℃未満
であるのがより好ましく、90℃以上180℃未満であ
るのが更に好ましい。また、乾燥時間は20秒以上5分
未満であるのが好ましく、25秒以上4分未満であるの
がより好ましく、30秒以上3分未満であるのが更に好
ましい。塗布温度が60℃未満であったり、乾燥時間が
20秒未満であったりすると、残留溶剤が大量に残って
しまい感度が低下するおそれがある。また、塗布温度が
250℃以上であったり、乾燥時間が5分以上であった
りすると、エネルギー消費量のわりに残留溶剤の減少効
果は向上しない。本発明においては、特に加熱により劣
化しやすい成分を含有しないため、通常、公知の乾燥温
度または乾燥時間の上限までの加熱であれば特に問題は
ない。
【0246】本発明においては、この形成された感光層
中に含まれる残留溶剤中の沸点が200℃未満の溶剤中
に占める沸点が100℃未満の溶剤の割合が50%以上
であるのが好ましく、70%以上であるのがより好まし
い。残存溶媒の量の測定方法としては、測定精度の観点
からガスクロマトグラフ法が好ましいが、感光層中に含
まれる他の成分との関連で、溶媒中、沸点が220℃未
満のもののみが正確に検知される。しかしながら、前記
塗布溶剤の例示からも明らかなように、沸点220℃以
上の高沸点溶剤を使用することは通常ほとんどないた
め、本発明においては、残留溶剤中の沸点が200℃未
満の溶剤中に占める沸点が100℃未満の溶剤の割合を
測定して目安とする。ここで、残留溶媒中の沸点が10
0℃未満の溶剤の割合が50%未満であると、残留した
高沸点溶媒の影響により、特に厚みの大きいアルミニウ
ム支持体を用いる場合、現像性に劣る傾向が見られ、好
ましくない。
【0247】画像記録層A−3に用いられる水不溶性か
つアルカリ可溶性の樹脂およびその添加量等は、上述し
た画像記録層A−1に用いられる「(A)アルカリ可溶
性高分子化合物」の説明と同様である。
【0248】画像記録層A−3は、前記シアニン色素を
含有するが、露光に対する感度向上の観点から、感光層
中に他の光を吸収して発熱する化合物(光熱変換剤)を
含有することもできる。他の光を吸収して発熱する化合
物およびその添加量等は、上述した画像記録層A−1に
用いられる「(C)光を吸収して発熱する化合物」の説
明と同様である。
【0249】画像記録層A−3には、更に必要に応じ
て、種々の添加剤を添加することができる。そのような
添加剤としては、オニウム塩、芳香族スルホン化合物、
芳香族スルホン酸エステル化合物、多官能アミン化合物
が挙げられる。これらについての説明は、画像記録層A
−2の「<その他の成分>」においてした説明と同様で
ある。これらを添加すると、アルカリ水可溶性高分子の
現像液への溶解阻止機能を向上させることができるので
好ましい。
【0250】また、更に、感度を向上させる目的で、環
状酸無水物類、フェノール類、有機酸類を併用すること
もできる。環状酸無水物類、フェノール類および有機酸
類ならびにそれらの添加量等は、上述した画像記録層A
−1に用いられる「(D)その他の成分」の説明と同様
である。
【0251】また、画像記録層A−3には、現像条件に
対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251
740号公報や特開平3−208514号公報に記載さ
れているような非イオン界面活性剤、特開昭59−12
1044号公報、特開平4−13149号公報に記載さ
れているような両性界面活性剤を添加することができ
る。非イオン界面活性剤および両性界面活性剤の具体例
としては、上述した画像記録層A−1に用いられる
「(D)その他の成分」で列挙したものと同様のものが
挙げられる。
【0252】画像記録層A−3には、塗布性を良化する
ための界面活性剤、例えば、特開昭62−170950
号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添
加することができる。好ましい添加量は、全印刷版材料
の0.01〜1質量%更に好ましくは0.05〜0.5
質量%である。
【0253】画像記録層A−3には、露光による加熱後
直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤と
しての染料や顔料を加えることができる。焼き出し剤お
よび画像着色剤それらの添加量等は、上述した画像記録
層A−1に用いられる「(D)その他の成分」の説明と
同様である。
【0254】画像記録層A−3には、必要に応じ、塗膜
の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。可塑
剤の具体例としては、上述した画像記録層A−1に用い
られる「(D)その他の成分」で列挙したものと同様の
ものが挙げられる。
【0255】更に、これら以外にも、エポキシ化合物、
ビニルエーテル類、更には特開平8−276558号公
報に記載のヒドロキシメチル基を有するフェノール化合
物、アルコキシメチル基を有するフェノール化合物およ
び本願出願人が先に提案した特願平9−328937号
明細書(特開平11−160860号公報)に記載のア
ルカリ溶解抑制作用を有する架橋性化合物等を目的に応
じて適宜添加することができる。
【0256】画像記録層A−3を有する平版印刷版原版
は、感光層塗布液や、保護層等の所望の層の塗布液用成
分を溶媒に溶かして、アルミニウム支持体上に塗布する
ことにより製造することができる。感光層の塗布溶媒は
上述した通りであるが、保護層、バックコート層等で
は、使用する成分に応じて公知の溶剤を適宜選択して用
いることができる。
【0257】<画像記録層B>画像記録層Bは、サーマ
ルネガ画像記録層である。例えば、以下の画像記録層B
−1およびB−2が挙げられる。
【0258】<画像記録層B−1>画像記録層B−1
は、少なくとも特定のジアゾニウム塩と、赤外線吸収剤
と、酸により架橋する架橋剤と、バインダーとを含有す
ることを特徴とする画像記録材料である。
【0259】この画像記録層B−1を用いた平版印刷用
原版においては、赤外線を放射する固体レーザまたは半
導体レーザにより付与されたエネルギーが、赤外線吸収
剤によって熱エネルギーに変換され、その熱によってジ
アゾニウム塩が分解することによって画像が形成される
ものである。即ち、ジアゾニウム塩の分解により生ずる
酸が、酸により架橋する架橋剤とバインダーとの架橋反
応を促進することにより画像記録、即ち、記録材料の製
版が行われるものである。一般式(1)に示すジアゾニ
ウム塩を用いることにより、特に、保存安定性に優れた
画像記録材料を提供することができるものである。
【0260】画像記録層B−1に用いられるジアゾニウ
ム塩は、下記一般式(1)で示されるものである。
【0261】
【化25】
【0262】式中、R1 およびR2 は、それぞれ独立し
て炭素数20以下の置換または未置換の炭化水素基を表
す。R4 およびR5 は、それぞれ独立して水素原子また
は炭素数20以下の置換もしくは未置換の炭化水素基を
表す。R6 は、水素原子または炭素数20以下の置換も
しくは未置換のアルキルオキシ基、アリールオキシ基も
しくはアラルキルオキシ基を示す。X- は、F- 、Cl
- 、Br- 、I- 、ClO4 - 、BF4 - 、PF6 -
SbF6 - 、AsF6 - 、アルキルスルホン酸イオンお
よびアリールスルホン酸イオンからなる群から選ばれる
カウンターアニオンを表す。
【0263】上記一般式(1)について、更に詳細に説
明する。上記一般式(1)において、式中、R1 および
2 は、それぞれ独立して炭素数1〜12の直鎖、分枝
もしくは脂環式のアルキル基、炭素数6〜10の芳香
環、または、炭素数7〜12のアラルキル基であるのが
好ましく、R4 およびR5 は、それぞれ独立して水素原
子または炭素数1〜10の直鎖、分枝もしくは脂環式の
アルキル基であるのが好ましく、R6 は、水素原子また
は炭素数1〜12の直鎖、分枝もしくは脂環式のアルキ
ルオキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基もしく
は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基であるのが好ま
しい。上記一般式(1)で表されるジアゾニウム塩の中
でも、特に好ましいものとして、前記式中R6 がアルキ
ルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基等
の−OR3 である、下記一般式(2)で示されるものが
挙げられる。
【0264】
【化26】
【0265】式中、R1 、R2 およびR3 は、それぞれ
独立して炭素数1〜12の直鎖、分枝もしくは脂環式の
アルキル基、炭素数6〜10の芳香環、または、炭素数
7〜12のアラルキル基を示す。R4 およびR5 は、そ
れぞれ独立して水素原子または炭素数1〜10の直鎖、
分枝もしくは脂環式のアルキル基を表す。X- は、
- 、Cl- 、Br- 、I- 、ClO4 - 、BF4 -
PF6 - 、SbF6 - 、AsF6 - 、アルキルスルホン
酸イオンおよびアリールスルホン酸イオンからなる群か
ら選ばれるカウンターアニオンを表す。一般式(2)に
おいてR1 、R2 およびR3 で表される炭化水素基の具
体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、
i−プロピル基、アリル基、n−ブチル基、sec−ブ
チル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル
基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基等
のアルキル基;ビニル基、1−メチルビニル基、2−フ
ェニルビニル基等のアルケニル基;ベンジル基、フェネ
チル基等のアラルキル基;フェニル基、トリル基、キシ
リル基、クメニル基、メシチル基、ドデシルフェニル
基、フェニルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル
基等のアリール基が挙げられる。
【0266】これらの炭化水素基は、ハロゲン原子、ヒ
ドロキシ基、アルコキシ基、アリルオキシ基、ニトロ
基、シアノ基、カルボニル基、カルボキシル基、アルコ
キシカルボニル基、アニリノ基、アセトアミド基等の置
換基を有していてもよい。置換基を有する炭化水素基の
具体例としては、トリフルオロメチル基、2−メトキシ
エチル基、10−カンファーニル基、フルオロフェニル
基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、ヨードフェ
ニル基、メトキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、
フェノキシフェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェ
ニル基、カルボキシフェニル基、アニリノフェニル基、
アニリノカルボニルフェニル基、モルホリノフェニル
基、フェニルアゾフェニル基、メトキシナフチル基、ヒ
ドロキシナフチル基、ニトロナフチル基、ジメトキシア
ントラセニル基、ジエトキシアントラセニル基、アント
ラキノニル基が挙げられる。また、R4 およびR5 が炭
化水素基を表す場合には、上記R1 、R2 およびR3
表される炭化水素基と同様の置換基を挙げることができ
る。
【0267】一般式(1)および更にその好ましい態様
である一般式(2)で表されるジアゾニウム塩のカチオ
ン部としては、具体的には下記構造で示されるジアゾニ
ウムイオンが挙げられるが、本発明はこれらに限定され
るものではない。なお、下記構造のうち、好ましい態様
である一般式(2)で表されるジアゾニウム塩の具体例
はIの符号を付して示す。
【0268】
【化27】
【0269】
【化28】
【0270】
【化29】
【0271】
【化30】
【0272】
【化31】
【0273】一方、これらのジアゾニウム塩のカウンタ
ーアニオンとして良好に用いられるアニオンとしては、
1)F、2)Cl、3)Br、4)I、5)ClO4
6)BF4 、7)PF6 、8)SbF6 、9)AsF6
等の無機イオン;アルキルスルホン酸イオン、アリール
スルホン酸イオン等のスルホン酸イオンが挙げられる。
好ましいスルホン酸イオンとしては、11)メタンスル
ホネート、12)エタンスルホネート、13)1−プロ
パンスルホネート、14)2−プロパンスルホネート、
15)n−ブタンスルホネート、16)アリルスルホネ
ート、17)10−カンファースルホネート、18)ト
リフルオロメタンスルホネート、19)ペンタフルオロ
エタンスルホネート、20)ベンゼンスルホネート、2
1)p−トルエンスルホネート、22)3−メトキシベ
ンゼンスルホネート、23)4−メトキシベンゼンスル
ホネート、24)4−ヒドロキシベンゼンスルホネー
ト、25)4−クロロベンゼンスルホネート、26)3
−ニトロベンゼンスルホネート、27)4−ニトロベン
ゼンスルホネート、28)4−アセチルベンゼンスルホ
ネート、29)ペンタフルオロベンゼンスルホネート、
30)4−ドデシルベンゼンスルホネート、
【0274】31)メシチレンスルホネート、32)
2、4、6−トリイソプロピルベンゼンスルホネート、
33)2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−
5−スルホネート、34)イソフタル酸ジメチル−5−
スルホネート、35)ジフェニルアミン−4−スルホネ
ート、36)1−ナフタレンスルホネート、37)2−
ナフタレンスルホネート、38)2−ナフトール−6−
スルホネート、39)2−ナフトール−7−スルホネー
ト、40)アントラキノン−1−スルホネート、41)
アントラキノン−2−スルホネート、42)9、10−
ジメトキシアントラセン−2−スルホネート、43)
9、10−ジエトキシアントラセン−2−スルホネー
ト、44)キノリン−8−スルホネート、45)8−ヒ
ドロキシキノリン−5−スルホネート、46)8−アニ
リノ−ナフタレン−1−スルホネートなどが挙げられ
る。
【0275】また、以下に例示する51)m−ベンゼン
ジスルホネート、52)ベンズアルデヒド−2、4−ジ
スルホネート、53)1、5−ナフタレンジスルホネー
ト、54)2、6−ナフタレンジスルホネート、55)
2、7−ナフタレンジスルホネート、56)アントラキ
ノン−1、5−ジスルホネート、57)アントラキノン
−1、8−ジスルホネート、58)アントラキノン−
2、6−ジスルホネート、59)9、10−ジメトキシ
アントラセン−2、6−ジスルホネート、60)9、1
0−ジエトキシアントラセン−2、6−ジスルホネー
ト、61)ドデシルジフェニルエーテルジスルホネート
などのジスルホネート類と、ジアゾニウム塩カチオン2
当量との塩も用いることができる。
【0276】本発明に用いられる上記ジアゾニウム塩の
具体例を以下に示す。なお、各化合物例の後に示された
番号は、前二つの項(ローマ数字とアルファベットの小
文字、例えば、「I−b」)が、前述のジアゾニウム塩
のカチオン部の好ましい例として挙げたものに付した符
号を示し、最終項(アラビア数字、例えば、「33」)
が前述のカウンターアニオンの好ましい例として挙げた
ものの番号を示すものである。
【0277】
【化32】
【0278】
【化33】
【0279】
【化34】
【0280】画像記録層B−1に用いられる赤外線吸収
剤(光を吸収して発熱する化合物)およびその添加量等
は、上述した画像記録層A−1に用いられる「(C)光
を吸収して発熱する化合物」の説明と同様である。
【0281】画像記録層B−1に用いられる酸により架
橋する架橋剤(以下「酸架橋剤」または単に「架橋剤」
ともいう。)としては、例えば、(i)アルコキシメチ
ル基またはヒドロキシメチル基で置換された芳香族化合
物、(ii)N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシ
メチル基またはN−アシルオキシメチル基を有する化合
物、(iii)エポキシ化合物が挙げられる。以下、こ
れらについて詳細に説明する。
【0282】(i)アルコキシメチル基またはヒドロキ
シメチル基で置換された芳香族化合物としては、例え
ば、ヒドロキシメチル基、アセトキシメチル基またはア
ルコキシメチル基でポリ置換されている芳香族化合物お
よび複素環化合物が挙げられる。ただし、レゾール樹脂
として知られるフェノール類とアルデヒド類とを塩基性
条件下で重縮合させた樹脂状の化合物は含まない。レゾ
ール樹脂は架橋性に優れるものの、熱安定性が十分でな
く、特に感光性の材料に含有させて高温下に長期間保存
した場合、均一な現像が困難となるため、好ましくな
い。
【0283】ヒドロキシメチル基またはアルコキシメチ
ル基でポリ置換された芳香族化合物および複素環化合物
の中では、ヒドロキシ基に隣接する位置にヒドロキシメ
チル基またはアルコキシメチル基を有する化合物が好適
に例示される。アルコキシメチル基を用いる場合は、ア
ルコキシメチル基が炭素数18以下の化合物であるのが
好ましい。特に好ましい例として下記一般式(3)〜
(6)で表される化合物を挙げることができる。
【0284】
【化35】
【0285】
【化36】
【0286】前記各式中、L1 〜L8 はそれぞれ独立し
てメトキシメチル基、エトキシメチル基等のように炭素
数18以下のアルコキシ基で置換されたヒドロキシメチ
ル基またはアルコキシメチル基を示す。これらは架橋効
率が高く、耐刷性を向上させることができる点で好まし
い。上記に例示された架橋性化合物は、単独で使用して
もよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0287】(ii)N−ヒドロキシメチル基、N−ア
ルコキシメチル基またはN−アシルオキシメチル基を有
する化合物としては、欧州特許公開(以下、EP−Aと
記載する)第0,133,216号、西独特許第3,6
34,671号明細書および同第3,711,264号
明細書に記載されている単量体およびオリゴマー−メラ
ミン−ホルムアルデヒド縮合物ならびに尿素−ホルムア
ルデヒド縮合物、EP−A第0,212,482号に記
載されているアルコキシ置換化合物等が挙げられる。更
に好ましい例としては、少なくとも2個の遊離N−ヒド
ロキシメチル基、N−アルコキシメチル基またはN−ア
シルオキシメチル基を有するメラミン−ホルムアルデヒ
ド誘導体が挙げられる。中でも、N−アルコキシメチル
誘導体が特に好ましい。
【0288】(iii)エポキシ化合物としては、一つ
以上のエポキシ基を含む、モノマー、ダイマー、オリゴ
マーまたはポリマー状のエポキシ化合物を挙げることが
できる。例えば、ビスフェノールAとエピクロルヒドリ
ンとの反応生成物、低分子量フェノール−ホルムアルデ
ヒド樹脂とエピクロルヒドリンとの反応生成物が挙げら
れる。その他、米国特許第4,026,705号明細
書、英国特許第1,539,192号明細書に記載さ
れ、使用されているエポキシ樹脂を挙げることができ
る。
【0289】以上の(i)〜(iii)の本発明に用い
ることのできる架橋剤は、画像記録材料全固形分に対
し、5〜80質量%、好ましくは10〜75質量%、特
に好ましくは20〜70質量%の範囲で添加される。架
橋剤の添加量が5質量%未満であると得られる画像記録
材料の感光層の耐久性が悪化する場合がある。また、8
0質量%を超えると保存時の安定性の観点から好ましく
ない。
【0290】本発明では、架橋剤として、(iv)下記
一般式(7)で表されるフェノール誘導体を使用するこ
とも好ましい。
【0291】
【化37】
【0292】上記式中、Ar1 は、置換基を有していて
もよい芳香族炭化水素環を示す。原料の入手の容易性か
ら、芳香族炭化水素環は、ベンゼン環、ナフタレン環ま
たはアントラセン環であるのが好ましい。また、好まし
い置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数12
個以下の炭化水素基、炭素数12個以下のアルコキシ
基、炭素数12個以下のアルキルチオ基、シアノ基、ニ
トロ基、トリフルオロメチル基が挙げられる。感度が高
いという理由で、Ar1 としては、置換基を有していな
いベンゼン環またはナフタレン環、ハロゲン原子、炭素
数6個以下の炭化水素基、炭素数6個以下のアルコキシ
基、炭素数6個以下のアルキルチオ基、ニトロ基等を置
換基として有するベンゼン環またはナフタレン環が特に
好ましい。R1 およびR2 は、それぞれ同じであっても
異なっていてもよく、水素原子または炭素数12個以下
の炭化水素基を示す。合成が容易であるという理由か
ら、R 1 およびR2 は、水素原子またはメチル基である
のが特に好ましい。R3 は、水素原子または炭素数12
個以下の炭化水素基を示す。感度が高いという理由で、
3 は、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキ
シル基、ベンジル基等の炭素数7個以下の炭化水素基で
あるのが特に好ましい。mは、2〜4の整数を示す。n
は、1〜3の整数を示す。
【0293】本発明において好適に用いられる上記一般
式(7)で表されるフェノール誘導体の具体例(架橋剤
[KZ−1]〜[KZ−8])を以下に示すが、本発明
はこれに限定されるものではない。
【0294】
【化38】
【0295】
【化39】
【0296】これらのフェノール誘導体は、従来公知の
方法により合成できる。例えば、[KZ−1]は、フェ
ノールと、ホルムアルデヒドと、ジメチルアミン、モル
ホリン等の第二級アミンとを反応させ、トリ(ジアルキ
ルアミノメチル)フェノールとし、つぎに無水酢酸と反
応させ、更に炭酸カリウム等の弱アルカリ存在下、エタ
ノールと反応させることにより、下記反応式[1]に表
す経路で合成することができる。
【0297】反応式[1]
【0298】
【化40】
【0299】フェノール誘導体は、更に、別の方法によ
っても合成できる。例えば、[KZ−1]は、フェノー
ルとホルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒドと
を、KOH等のアルカリ存在下に反応させ、2,4,6
−トリヒドロキシメチルフェノールとし、引き続き硫酸
等の酸存在下、エタノールと反応させることにより、下
記反応式[2]に表す経路でも合成することができる。
【0300】反応式[2]
【0301】
【化41】
【0302】これらのフェノール誘導体は単独で使用し
てもよく、また2種類以上を組み合わせて使用してもよ
い。また、これらのフェノール誘導体を合成する際、フ
ェノール誘導体同士が縮合して2量体や3量体等の不純
物が副生成する場合があるが、これらの不純物を含有し
たまま用いてもよい。なお、この場合でも、不純物の量
は、30質量%以下であるのが好ましく、20質量%以
下であるのがより好ましい。
【0303】本発明において、フェノール誘導体は全画
像記録材料固形分中、好ましくは5〜70質量%、より
好ましくは10〜50質量%の添加量で用いられる。こ
こで、架橋剤としてのフェノール誘導体の添加量が5質
量%未満であると、画像記録した際の画像部の膜強度が
悪化する場合があり、また、70質量%を超えると、保
存時の安定性の点で好ましくない。
【0304】画像記録層B−1に用いられるバインダー
としては、例えば、ノボラック樹脂や、側鎖にヒドロキ
シアリール基を有するポリマーが挙げられる。本発明に
おいてバインダーとして使用しうるノボラック樹脂は、
フェノール類とアルデヒド類を酸性条件下で縮合させた
樹脂である。好ましいノボラック樹脂としては、例え
ば、フェノールとホルムアルデヒドとから得られるノボ
ラック樹脂、m−クレゾールとホルムアルデヒドとから
得られるノボラック樹脂、p−クレゾールとホルムアル
デヒドとから得られるノボラック樹脂、o−クレゾール
とホルムアルデヒドとから得られるノボラック樹脂、オ
クチルフェノールとホルムアルデヒドとから得られるノ
ボラック樹脂、m−/p−混合クレゾールとホルムアル
デヒドとから得られるノボラック樹脂、フェノール/ク
レゾール(m−、p−、o−、m−/p−混合、m−/
o−混合およびo−/p−混合のいずれでもよい)の混
合物とホルムアルデヒドとから得られるノボラック樹脂
が挙げられる。これらのノボラック樹脂は、重量平均分
子量が800〜200,000で、数平均分子量が40
0〜60,000のものが好ましい。
【0305】また、バインダーとしては、側鎖にヒドロ
キシアリール基を有するポリマーも好適に例示される。
このポリマーにおいて、ヒドロキシアリール基とは−O
H基が1個以上結合したアリール基を意味する。アリー
ル基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アン
トラセニル基、フェナントレニル基を挙げることができ
るが、入手の容易さおよび物性の観点から、フェニル
基、ナフチル基が好ましい。したがって、ヒドロキシア
リール基としては、ヒドロキシフェニル基、ジヒドロキ
シフェニル基、トリヒドロキシフェニル基、テトラヒド
ロキシフェニル基、ヒドロキシナフチル基、ジヒドロキ
シナフチル基が好適に例示される。これらのヒドロキシ
アリール基は、更に、ハロゲン原子、炭素数20個以下
の炭化水素基、炭素数20個以下のアルコキシ基、炭素
数20個以下のアリールオキシ基等の置換基を有してい
てもよい。これらのヒドロキシアリール基は、ポリマー
の側鎖としてペンダント状にポリマー主鎖へ結合してい
るが、主鎖との間に連結基を有していてもよい。
【0306】本発明において好適に用いられる、側鎖に
ヒドロキシアリール基を有するポリマーは、下記一般式
(IX)〜(XII)で表される構成単位のうち、いず
れか1種を含有するポリマーである。
【0307】
【化42】
【0308】式中、R11は、水素原子またはメチル基を
示す。R12およびR13は、それぞれ独立して、水素原
子、ハロゲン原子、炭素数10個以下の炭化水素基、炭
素数10個以下のアルコキシ基または炭素数10個以下
のアリールオキシ基を示す。R 12とR13は、結合して、
縮環したベンゼン環やシクロヘキサン環を形成していて
もよい。R14は、単結合または炭素数20個以下の2価
の炭化水素基を示す。R 15は、単結合または炭素数20
個以下の2価の炭化水素基を示す。R16は、単結合また
は炭素数10個以下の2価の炭化水素基を示す。X
1 は、単結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エス
テル結合またはアミド結合を示す。pは、1〜4の整数
を示す。qおよびrは、それぞれ独立して、0〜3の整
数を示す。
【0309】一般式(IX)〜(XII)で表される構
成単位のうち、本発明において好適に用いられる具体的
な構成単位の例を以下に挙げる。
【0310】
【化43】
【0311】
【化44】
【0312】
【化45】
【0313】
【化46】
【0314】
【化47】
【0315】これらのポリマーは、従来公知の方法によ
り合成することができる。例えば、一般式(IX)で表
される構成単位を有するポリマーは、ヒドロキシ基を酢
酸エステルまたはt−ブチルエーテルとして保護され
た、対応するスチレン誘導体をラジカル重合し、または
アニオン重合しポリマーとした後、脱保護することによ
り得られる。また、一般式(X)で表される構成単位を
有するポリマーは、特開昭64−32256号公報およ
び同64−35436号公報等に記載されている方法に
より合成することができる。更に、一般式(XI)で表
される構成単位を有するポリマーは、ヒドロキシ基を有
するアミン化合物と無水マレイン酸とを反応させ、対応
するモノマーを得た後、ラジカル重合によりポリマーと
することにより得られる。また、一般式(XII)で表
される構成単位を有するポリマーは、クロロメチルスチ
レン、カルボキシスチレン等の合成上有用な官能基を持
つスチレン類を原料として、一般式(XII)に対応す
るモノマーへ誘導し、更にラジカル重合によりポリマー
とすることにより得られる。
【0316】本発明では、一般式(IX)〜(XII)
で表される構成単位のみからなるホモポリマーであって
もよいが、他の構成単位をも含む共重合体であってもよ
い。好適に用いられる他の構成単位としては、例えば、
アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アク
リルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルエステル
類、スチレン類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロ
ニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸イミド等の公知
のモノマーより導入される構成単位が挙げられる。
【0317】アクリル酸エステル類の具体例としては、
メチルアクリレート、エチルアクリレート、(n−また
はi−)プロピルアクリレート、(n−、i−、sec
−またはt−)ブチルアクリレート、アミルアクリレー
ト、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリ
レート、クロロエチルアクリレート、2−ヒドロキシエ
チルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレー
ト、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、シクロヘキ
シルアクリレート、アリルアクリレート、トリメチロー
ルプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモ
ノアクリレート、グリシジルアクリレート、ベンジルア
クリレート、メトキシベンジルアクリレート、クロロベ
ンジルアクリレート、2−(p−ヒドロキシフェニル)
エチルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラ
ヒドロフルフリルアクリレート、フェニルアクリレー
ト、クロロフェニルアクリレート、スルファモイルフェ
ニルアクリレートが挙げられる。
【0318】メタクリル酸エステル類の具体例として
は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、
(n−またはi−)プロピルメタクリレート、(n−、
i−、sec−またはt−)ブチルメタクリレート、ア
ミルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレー
ト、ドデシルメタクリレート、クロロエチルメタクリレ
ート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒド
ロキシプロピルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチ
ルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ア
リルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタ
クリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレー
ト、グリシジルメタクリレート、メトキシベンジルメタ
クリレート、クロロベンジルメタクリレート、2−(p
−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、フルフ
リルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリ
レート、フェニルメタクリレート、クロロフェニルメタ
クリレート、スルファモイルフェニルメタクリレートが
挙げられる。
【0319】アクリルアミド類の具体例としては、アク
リルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルア
クリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−ブチ
ルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−
ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリ
ルアミド、N−トリルアクリルアミド、N−(p−ヒド
ロキシフェニル)アクリルアミド、N−(スルファモイ
ルフェニル)アクリルアミド、N−(フェニルスルホニ
ル)アクリルアミド、N−(トリルスルホニル)アクリ
ルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチ
ル−N−フェニルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチ
ル−N−メチルアクリルアミドが挙げられる。
【0320】メタクリルアミド類の具体例としては、メ
タクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エ
チルメタクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミ
ド、N−ブチルメタクリルアミド、N−ベンジルメタク
リルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、
N−フェニルメタクリルアミド、N−トリルメタクリル
アミド、N−(p−ヒドロキシフェニル)メタクリルア
ミド、N−(スルファモイルフェニル)メタクリルアミ
ド、N−(フェニルスルホニル)メタクリルアミド、N
−(トリルスルホニル)メタクリルアミド、N,N−ジ
メチルメタクリルアミド、N−メチル−N−フェニルメ
タクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメ
タクリルアミドが挙げられる。
【0321】ビニルエステル類の具体例としては、ビニ
ルアセテート、ビニルブチレート、ビニルベンゾエート
が挙げられる。
【0322】スチレン類の具体例としては、スチレン、
メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレ
ン、エチルスチレン、プロピルスチレン、シクロヘキシ
ルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチ
ルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチ
ルスチレン、メトキシスチレン、ジメトキシスチレン、
クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、
ヨードスチレン、フルオロスチレン、カルボキシスチレ
ンが挙げられる。
【0323】これらのモノマーのうち特に好適に使用さ
れるのは、炭素数20以下のアクリル酸エステル類、メ
タクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル
アミド類、ビニルエステル類、スチレン類;アクリル
酸;メタクリル酸;アクリロニトリルである。
【0324】これらを用いた共重合体中に含まれる一般
式(IX)〜(XII)で表される構成単位の割合は、
5〜100質量%であるのが好ましく、10〜100質
量%であるのがより好ましい。また、本発明で使用され
る上記ポリマーの分子量は、重量平均分子量が4000
以上であるのが好ましく、1万〜30万の範囲であるの
がより好ましく、また、数平均分子量が1000以上で
あるのが好ましく、2000〜25万の範囲であるのが
より好ましい。多分散度(重量平均分子量/数平均分子
量)は1以上が好ましく、更に好ましくは1.1〜10
の範囲である。これらのポリマーは、ランダムポリマ
ー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれで
あってもよいが、ランダムポリマーであるのが好まし
い。
【0325】本発明で使用されるバインダーは1種類の
みで使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用し
てもよい。バインダーの添加量は、全画像記録材料固形
分中、5〜95質量%であるのが好ましく、10〜95
質量%であるのがより好ましく、20〜90質量%であ
るのが更に好ましい。バインダーの添加量が5質量%未
満であると記録層の耐久性が悪化する場合があり、ま
た、添加量が95質量%を超える場合は、画像形成され
ない場合がある。
【0326】画像記録層B−1には、必要に応じてこれ
ら以外に種々の化合物を添加してもよい。例えば、可視
光域に大きな吸収を持つ染料を画像着色剤として使用す
ることができる。画像着色剤の具体例、添加量等は、上
述した画像記録層A−1に用いられる「(D)その他の
成分」の説明と同様である。
【0327】また、本発明における画像記録材料中に
は、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開
昭62−251740号公報や特開平3−208514
号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特
開昭59−121044号公報、特開平4−13149
号公報に記載されているような両性界面活性剤を添加す
ることができる。非イオン界面活性剤および両性界面活
性剤の具体例、添加量等は、上述した画像記録層A−1
に用いられる「(D)その他の成分」の説明と同様であ
る。
【0328】更に、画像記録層B−1には、必要に応
じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられ
る。可塑剤の具体例としては、上述した画像記録層A−
1に用いられる「(D)その他の成分」で列挙したもの
と同様のものが挙げられる。更に、これら以外にも、エ
ポキシ化合物、ビニルエーテル類等を添加してもよい。
【0329】本発明に用いられる画像記録材料は、通常
上記各成分を溶媒に溶かして、適当な支持体上に塗布す
ることにより製造することができる。ここで使用される
溶媒および塗布液の濃度等は、上述した画像記録層A−
1に用いられる「(D)その他の成分」の説明と同様で
ある。
【0330】また、塗布乾燥後に得られる支持体上の感
熱層塗布量(固形分)は、0.5〜5.0g/m2 であ
るのが好ましい。
【0331】塗布する方法としては、種々の方法を用い
ることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗
布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エア
ーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布が挙げられ
る。塗布量が少なくなるにつれて、見掛けの感度は大き
くなるが、感光膜の皮膜特性は低下する。
【0332】画像記録層B−1には、塗布性を良化する
ための界面活性剤、例えば、特開昭62−170950
号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添
加することができる。好ましい添加量は、全印刷版材料
の0.01〜1質量%更に好ましくは0.05〜0.5
質量%である。
【0333】<画像記録層B−2>画像記録層B−2
は、表面の静止摩擦係数を低く制御する化合物を含有す
る。以下に、その一つの態様を具体例を挙げて説明す
る。本態様においては、画像記録層B−2として、
(A)ラジカル発生剤と、(B)ラジカル重合性化合物
と、(D)下記一般式(1)で表される化合物とを含有
するものを用いる。
【0334】R1 −X 一般式(1) (式中、R1 は、置換基を有していてもよい総炭素数8
〜32の炭化水素基を示す。Xは、−CO−Y−R2
−Y−CO−R2 、−NH−CO−Y−R2 、−O−C
O−NH−R2 、−NH−CO−NH−R2 、−SO2
−Y−R2 、−Y−SO2 −R2 、−O−SO2
2 、−CO−O−CO−R2 または−Y−R 3 を示
す。ここで、Yは、−O−、−S−、−NR4 −または
単結合を示す。ただし、Xが−Y−R3 のときは、Yは
単結合ではない。また、R2 、R3 およびR4 は、それ
ぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよ
い総炭素数20以下の炭化水素基を示す。)
【0335】初めに、(D)一般式(1)で表される化
合物について説明する。前記一般式(1)中、R1 は、
総炭素数8〜32の炭化水素基を示すが、具体的には、
ハロゲン基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基等の置
換基を有するものが好ましく挙げられる。また、炭化水
素基中に、エーテル結合、エステル結合、アミド結合を
有していてもよい。ただし、これらの置換基および結合
を含めて、R1 中の総炭素数は8〜32であることを要
する。総炭素数が8未満であると非画像部の残膜抑制効
果が低下し、総炭素数が32を超えると、画像記録層の
現像液に対する溶解性が低下する傾向がある。好ましい
1 の具体例としては、デシル基、ドデシル基、ヘキサ
デシル基、オクタデシル基等の直鎖アルキル基;14−
メチルペンタデシル基、16−メチルヘプタデシル基等
の分岐アルキル基;9−オクタデセニル基等の二重結合
を含むアルキル基;ノニルフェニル基等のアリール基等
が挙げられる。
【0336】また、Xは、−CO−Y−R2 、−Y−C
O−R2 、−NH−CO−Y−R2、−O−CO−NH
−R2 、−NH−CO−NH−R2 、−SO2 −Y−R
2 、−Y−SO2 −R2 、−O−SO2 −R2 、−CO
−O−CO−R2 または−Y−R3 を示す。ここで、Y
は、−O−、−S−、−NR4 −または単結合を示す。
ただし、Xが−Y−R3 のときは、Yは単結合ではな
い。なお、R2 、R3 およびR4 は、それぞれ独立し
て、水素原子または置換基を有していてもよい総炭素数
20以下の炭化水素基を示すが、導入可能な好ましい置
換基としては、ハロゲン基、ヒドロキシ基、シアノ基、
アミノ基等が挙げられる。また、前記炭化水素基中に
は、エーテル結合、エステル結合、アミド結合等を有し
ていてもよい。ここで、R2 、R3 およびR4 の好まし
い具体例としては、水素原子;メチル基、エチル基、n
−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブ
チル基、ヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、ナフチ
ル基、ドデシル基等の炭化水素基が挙げられる。
【0337】一般式(1)で表される化合物の好ましい
具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定される
ものではない。カルボン酸(一般式(1)においてXが
−COOH)としては、エナント酸、カプリル酸、ペラ
ルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、ト
リデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチ
ン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、
アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、
ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル
酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セト
レイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸等が挙げられる。ま
た、カルボン酸エステル類(Xが−COOR)として
は、前記例示したカルボン酸のメチルエステル、エチル
エステル、プロピルエステル、ブチルエステル、ドデシ
ルエステル、フェニルエステル、ナフチルエステル、ア
リルエステル等;(メタ)アクリル酸または4−スチレ
ンカルボン酸のドデシルエステル、ヘキサデシルエステ
ル、ノニルフェニルエステル等が挙げられる。
【0338】チオカルボン酸エステル(Xが−COS
R)としては、前記例示したカルボン酸のメチルチオエ
ステル、エチルチオエステル、プロピルチオエステル、
ブチルチオエステル、ベンジルチオエステル等が挙げら
れる。カルボン酸アミド(Xが−CONH2 または−C
ONHR)としては、前記例示したカルボン酸のアミ
ド、メチルアミド、エチルアミド、アリルアミド等;
(メタ)アクリル酸または4−スチレンカルボン酸のド
デシルアミド、ヘキサデシルアミド、ヘキサデシルアニ
リド等が挙げられる。ウレタンまたはウレア誘導体(X
が−O−CO−NH−Rまたは−NH−CO−NH−
R)としては、オクタデシルアミンと2−ヒドロキシエ
チルアクリレートとの反応生成物、2−メタクリロイル
オキシエチルイソシアネートとヘキシルアミンとの反応
生成物等が挙げられる。
【0339】アルコール(Xが−OH)としては、オク
チルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノー
ル、1−ドコサノール、1−ヘキセニルフェノール、
(2−メチル−1−ヘプテニル)フェノール、(2−エ
チルヘキシル)オキシフェノール、ドデシルオキシフェ
ノール、ドデカノイルオキシフェノール、オレオイルア
ミノフェノール、ドデカノイルアミノフェノール、2−
ヘキシルシクロヘキサノール、N−オクチル−2−ヒド
ロキシニコチン酸アミド、1−S−オクチル−β−D−
チオグルコピラノシド、ソルビタンモノラウレート、N
−ドデカノイル−3−ピロリジノール等が挙げられる。
スルホン酸誘導体(Xが−SO2 −O−Rまたは−SO
2 −NH−R)としては、ドデシルベンゼンスルホン酸
フェニルエステル、ノナンスルホン酸アニリド等が挙げ
られる。その他、更に、γ−ドデカノラクトン、1−ド
デシル−2−ピロリジノン等のラクトンおよびラクタム
(Xが−CO−O−Rまたは−CO−NH−R);2−
ドデセン−1−イルコハク酸無水物等の環状酸無水物
(Xが−CO−O−CO−R);1−ドコサナール等の
アルデヒド(Xが−CO−H)が挙げられる。これらの
化合物のなかでも、室温で固体である化合物が、すべり
摩擦係数低下の点で好ましい。また、アリル基、(メ
タ)アクリロイル基およびスチリル基のようなラジカル
重合可能な官能基を有することが、画像記録層の膜性向
上の観点から、更に好ましい。
【0340】これらの一般式(1)で表される化合物の
添加量としては、画像記録層固形分中、0.001〜1
0質量%であるのが好ましく、0.01〜5質量%であ
るのがより好ましい。含有量が0.001質量%より少
ないと非画像部の残膜を抑制できない場合があり、ま
た、10質量%より多いと画像記録層の現像液に対する
溶解性が低下する可能性があり、いずれも好ましくな
い。
【0341】本態様のネガ型画像記録層B−2は、上記
(D)の他に、(A)ラジカル発生剤(ラジカル重合開
始剤)と、発生したラジカルにより重合反応を起こして
硬化する(B)ラジカル重合性化合物とを含有し、好ま
しくは、更に、(C)赤外線吸収剤と(E)バインダー
ポリマーとを含有する。この画像記録層では、加熱また
は露光領域で、熱により、(A)オニウム塩等のラジカ
ル重合開始剤が分解し、ラジカルを発生する。(B)ラ
ジカル重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不
飽和二重結合を有し、末端エチレン性不飽和結合を少な
くとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ば
れ、発生したラジカルにより連鎖的に重合反応が生起
し、硬化して画像部が形成される。以下、他の画像記録
層の構成成分について説明する。
【0342】(A)ラジカル発生剤について説明する。
本発明において好適に用いられるラジカル発生剤として
は、オニウム塩が挙げられ、具体的には、ヨードニウム
塩、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩が挙げられる。こ
れらのオニウム塩は酸発生剤としての機能も有するが、
後述するラジカル重合性化合物と併用する際には、ラジ
カル重合の開始剤として機能する。本発明において好適
に用いられるオニウム塩は、下記一般式(2)〜(4)
で表されるオニウム塩である。
【0343】
【化48】
【0344】式(2)中、Ar11およびAr12は、それ
ぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素原子数2
0個以下のアリール基を示す。このアリール基が置換基
を有する場合の好ましい置換基としては、ハロゲン原
子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭
素原子数12個以下のアルコキシ基、および、炭素原子
数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z11-
は、ハロゲン化物イオン、過塩素酸イオン、テトラフル
オロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオ
ンおよびスルホン酸イオンからなる群から選択される対
イオンを表し、好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフ
ルオロフォスフェートイオンおよびアリールスルホン酸
イオンである。
【0345】式(3) 中、Ar21は、置換基を有してい
てもよい炭素原子数20個以下のアリール基を示す。好
ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素
原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下
のアルコキシ基、炭素原子数12個以下のアリールオキ
シ基、炭素原子数12個以下のアルキルアミノ基、炭素
原子数12個以下のジアルキルアミノ基、炭素原子数1
2個以下のアリールアミノ基および炭素原子数12個以
下のジアリールアミノ基が挙げられる。Z21-は、Z
11- と同義の対イオンを表す。
【0346】式(4)中、R31、R32およびR33は、そ
れぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素原子数
20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基として
は、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下の
アルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基およ
び炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられ
る。Z31- は、Z11- と同義の対イオンを表す。
【0347】本発明において、好適に用いることのでき
るオニウム塩の具体例としては、特願平11−3106
23号明細書(特開2001−133969号公報)の
段落番号[0030]〜[0033]に記載されている
ものを挙げることができる。
【0348】本発明において用いられるオニウム塩は、
極大吸収波長が400nm以下であることが好ましく、
360nm以下であるのがより好ましい。このように吸
収波長を紫外線領域にすることにより、平版印刷版原版
の取り扱いを白灯下で実施することができる。
【0349】これらのオニウム塩は、画像記録層塗布液
の全固形分に対し0.1〜50質量%、好ましくは0.
5〜30質量%、特に好ましくは1〜20質量%の割合
で画像記録層塗布液中に添加することができる。添加量
が0.1質量%未満であると感度が低くなり、また50
質量%を超えると印刷時非画像部に汚れが発生する。こ
れらのオニウム塩は、1種のみを用いてもよいし、2種
以上を併用してもよい。また、これらのオニウム塩は他
の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそ
こへ添加してもよい。
【0350】(B)ラジカル重合性化合物について説明
する。画像記録層B−2に使用されるラジカル重合性化
合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を
有するラジカル重合性化合物であり、末端エチレン性不
飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する
化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分
野において広く知られるものであり、本発明においては
これらを特に限定されずに用いることができる。これら
は、例えば、モノマー、プレポリマー(即ち、2量体、
3量体およびオリゴマー)、それらの混合物、それらの
共重合体などの化学的形態をもつ。モノマーおよびその
共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、ア
クリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イ
ソクロトン酸、マレイン酸)や、そのエステル類および
アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と
脂肪族多価アルコール化合物とのエステル類、不飽和カ
ルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が挙げ
られる。また、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基
等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類
またはアミド類と、単官能または多官能のイソシアネー
ト類もしくはエポキシ類との付加反応物または単官能ま
たは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物も好適に用
いられる。また、イソシアネート基、エポキシ基等の親
電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類また
はアミド類と、単官能または多官能のアルコール類、ア
ミン類またはチオール類との付加反応物;ハロゲン基、
トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボ
ン酸エステル類またはアミド類と、単官能または多官能
のアルコール類、アミン類またはチオール類との置換反
応物も好適に用いられる。また、別の例として、上記の
不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチ
レン等に置き換えた化合物群を使用することもできる。
【0351】脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カル
ボン酸とのエステルであるラジカル重合性化合物である
アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、イタコン
酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エス
テル、マレイン酸エステルの具体例は、特願平11−3
10623号明細書(特開2001−133969号公
報)の段落番号[0037]〜[0042]に記載され
ており、これらを本発明にも適用することができる。
【0352】その他のエステルの例として、特公昭46
−27926号公報、特公昭51−47334号公報、
特開昭57−196231号公報に記載の脂肪族アルコ
ール系エステル類や、特開昭59−5240号公報、特
開昭59−5241号公報、特開平2−226149号
公報に記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−1
65613号公報に記載のアミノ基を含有するもの等も
好適に用いられる。
【0353】また、イソシアネート基と水酸基との付加
反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も
好適であり、そのような具体例としては、特公昭48−
41708号公報に記載されている1分子に2個以上の
イソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物
に、下記一般式(5)で示される水酸基を含有するビニ
ルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビ
ニル基を含有するビニルウレタン化合物が挙げられる。
【0354】 CH2 =C(R41)COOCH2 CH(R42)OH 一般式(5) (ただし、R41およびR42は、−Hまたは−CH3 を示
す。)
【0355】これらのラジカル重合性化合物について、
どのような構造を用いるか、単独で使用するか併用する
か、添加量はどうかといった、使用方法の詳細は、最終
的な記録材料の性能設計にあわせて、任意に設定するこ
とができる。例えば、次のような観点から選択される。
感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が
好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、
画像部、即ち、硬化膜の強度を高くするためには、3官
能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合
性基を有する化合物(例えば、アクリル酸エステル系化
合物、メタクリル酸エステル系化合物、スチレン系化合
物)を組み合わせて用いることで、感光性と強度の両方
を調節する方法も有効である。大きな分子量の化合物
や、疎水性の高い化合物は、感度や膜強度に優れる反
面、現像スピードや現像液中での析出といった点で好ま
しくない場合がある。また、画像記録層中の他の成分
(例えば、バインダーポリマー、開始剤、着色剤)との
相溶性や分散性に対しても、ラジカル重合化合物の選択
・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の
使用や、2種以上化合物の併用によって、相溶性を向上
させうることがある。また、支持体、オーバーコート層
等の密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択する
こともありうる。画像記録層中のラジカル重合性化合物
の配合比に関しては、多い方が感度的に有利であるが、
多すぎる場合には、好ましくない相分離が生じたり、画
像記録層の粘着性による製造工程上の問題(例えば、記
録層成分の転写、粘着に由来する製造不良)や、現像液
からの析出が生じるなどの問題を生じうる。
【0356】これらの観点から、ラジカル重合性化合物
の好ましい配合比は、多くの場合、組成物全成分に対し
て5〜80質量%であり、好ましくは20〜75質量%
である。また、これらは単独で用いても2種以上併用し
てもよい。そのほか、ラジカル重合性化合物の使用法
は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、
屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配
合、添加量を任意に選択することができ、更に場合によ
っては下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施
しうる。
【0357】(C)光吸収剤について説明する。本発明
は、紫外光線、可視光線または赤外光線に感応して画像
形成を行うことから、画像記録層中に光吸収剤を含有す
るのが好ましい。本発明において用いられる光吸収剤
は、紫外線、可視光または赤外線を吸収する化合物であ
り、ラジカル発生剤と組み合わせることによりラジカル
を発生する。このような組み合わせとしては、紫外域に
感度を示す開始剤としては、例えば、アセトフェノン
系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、チオキサンソン
系が挙げられる。
【0358】また、可視光域に感度を示す開始剤として
は、例えば、有機過酸化物とクロロフィルとの組み合わ
せ、有機過酸化物とエオシンGとの組み合わせ、有機過
酸化物とリボフラビンとの組み合わせ、有機過酸化物と
メチレンブルーとの組み合わせ、有機過酸化物と(チ
オ) ピリリウム塩との組み合わせ、有機過酸化物とメロ
シアニンとの組み合わせ、有機過酸化物とキノリンとの
組み合わせ、有機過酸化物とスチリルキノンとの組み合
わせ、有機過酸化物と(チオ) キサンテン系色素との組
み合わせ、有機過酸化物とリボフラビンテトラブチレー
トとの組み合わせ、有機過酸化物と(ケト) クマリン系
色素との組み合わせ、有機過酸化物とN−フェニルグリ
シンとチオキサンテン系色素との組み合わせ、ジフェニ
ルヨードニウム塩とメロシアニン色素との組み合わせ、
ジフェニルヨードニウム塩とローダニン誘導体ポリマー
との組み合わせ、ジフェニルヨードニウム塩とケトクマ
リン系色素との組み合わせ、ジフェニルヨードニウム塩
とテトラフェニルポルフィリン系色素との組み合わせ、
ジフェニルヨードニウム塩とテトラベンゾポルフィリン
との組み合わせ、ジフェニルヨードニウム塩とスピロピ
ランとの組み合わせ、
【0359】ジフェニルヨードニウム塩とN−フェニル
グリシンとチオキサンテン系色素との組み合わせ、ジフ
ェニルヨードニウム塩とN−フェニルグリシンとメロシ
アニン系色素との組み合わせ、シアニン系色素、シアニ
ン系色素のアルキルホウ酸塩、ローダミン系色素のアル
キルホウ酸塩、メチレンブルー系色素のアルキルホウ酸
塩、鉄アレーン錯体、鉄アレーン錯体とケトクマリン系
色素との組み合わせ、鉄アレーン錯体とチオキサンテン
系色素との組み合わせ、フッ素置換チタノセン、ビスイ
ミダゾールとアリーリリデンアリールケトンとの組み合
わせ、ビスイミダゾールとケトクマリン系色素との組み
合わせ、N−フェニルグリシンとケトクマリン系色素と
の組み合わせ、N−フェニルグリシンと(チオ) キサン
テン系色素との組み合わせ、トリス( トリクロロメチ
ル) −s−トリアジン誘導体、トリス( トリクロロメチ
ル) −s−トリアジン誘導体とメロシアニン系色素との
組み合わせ、トリス( トリクロロメチル) −s−トリア
ジン誘導体とケトクマリン系色素との組み合わせ、トリ
ス( トリクロロメチル) −s−トリアジン誘導体とチオ
ピリリウム塩との組み合わせ、トリス( トリクロロメチ
ル) −s−トリアジン誘導体とチオキサンテン系色素と
の組み合わせ、アミノ安息香酸エステルとリボフラビン
テトラブチレートとの組み合わせ、2−メルカプトベン
ゾイミダゾールとチオピリリウム塩との組み合わせが挙
げられる。更に、近赤外域に感度を有する開始剤として
は、例えば、近赤外域吸収性カチオン染料の塩、近赤外
域吸収カチオン性染料とアンモニウム塩との組み合わ
せ、近赤外域吸収性カチオン染料とトリアジン化合物と
アンモニウム塩との組み合わせが挙げられる。
【0360】本発明に係る画像記録材料の画像記録層
を、赤外線を発するレーザで記録する場合には、露光に
使用された赤外光を熱に変換する機能を有する光吸収剤
を添加することが感度向上の観点から好ましい。このよ
うな光吸収剤としては、上述した画像記録層A−1に用
いられる「(C)光を吸収して発熱する化合物」に記載
した顔料および染料が挙げられる。これらの染料のうち
特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリ
ウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体が挙
げられる。更に、シアニン色素が好ましく、特に下記一
般式(6)で示されるシアニン色素が最も好ましい。
【0361】
【化49】
【0362】一般式(6)中、X1 は、ハロゲン原子、
−X2 −L1 または−NL2 3 を示す。ここで、X2
は、酸素原子または硫黄原子を示し、L1 は、炭素原子
数1〜12の炭化水素基を示し、L2 およびL3 は、そ
れぞれ独立して、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示
す。R1 およびR2 は、それぞれ独立して、炭素原子数
1〜12の炭化水素基を示す。記録層塗布液の保存安定
性から、R1 およびR 2 は、炭素原子数2個以上の炭化
水素基であるのが好ましく、更に、R1 とR2とは互い
に結合し、5員環または6員環を形成しているのが特に
好ましい。Ar1 およびAr2 は、それぞれ独立して、
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。Y
1 およびY2 は、それぞれ独立して、硫黄原子または炭
素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R
3 およびR4 は、それぞれ独立して、置換基を有してい
てもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好
ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコ
キシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。
5 、R6 、R7 およびR8 は、それぞれ独立して、水
素原子または炭素原子数12個以下の炭化水素基を示
す。原料の入手性から、水素原子であるのが好ましい。
また、Z1-は、対アニオンを示す。ただし、R1 〜R8
のいずれかにスルホ基が置換されている場合は、Z1-
必要ない。好ましいZ1-は、記録層塗布液の保存安定性
から、ハロゲン化物イオン、過塩素酸イオン、テトラフ
ルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイ
オンおよびスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、
過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン
およびアリールスルホン酸イオンである。
【0363】本発明において、好適に用いることのでき
る一般式(6)で示されるシアニン色素の具体例として
は、特願平11−310623号明細書(特開2001
−133969号公報)の段落番号[0017]〜[0
019]に記載されたものを挙げることができる。
【0364】画像記録層中における、上述の染料または
顔料の含有量としては、画像記録層の全固形分質量に対
し、0.01〜50質量%が好ましく、0.1〜10質
量%がより好ましく、更に染料の場合には、0.5〜1
0質量%が最も好ましく、顔料の場合には、1.0〜1
0質量%が最も好ましい。前記含有量が、0.01質量
%未満であると、感度が低くなることがあり、50質量
%を超えると、平版印刷用原版とした場合の非画像部に
汚れが発生することがある。
【0365】(E)バインダーポリマーについて説明す
る。本発明においては、画像記録層B−2に更にバイン
ダーポリマーを添加するのが膜性向上の観点から好まし
い。バインダーとしては、線状有機ポリマーを用いるの
が好ましい。このような「線状有機ポリマー」として
は、どれを使用しても構わない。好ましくは水現像また
は弱アルカリ水現像を可能とするために、水または弱ア
ルカリ水に対して可溶性または膨潤性である線状有機ポ
リマーが選択される。線状有機ポリマーは、画像記録層
を形成するための皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱
アルカリ水または有機溶剤現像剤としての用途に応じて
選択使用される。例えば、水可溶性有機ポリマーを用い
る場合には、水現像が可能になる。このような線状有機
ポリマーとしては、側鎖にカルボン酸基を有するラジカ
ル重合体、例えば、特開昭59−44615号公報、特
公昭54−34327号公報、特公昭58−12577
号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭54−
92723号公報、特開昭59−53836号公報、特
開昭59−71048号公報に記載されているもの、即
ち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタ
コン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重
合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等がある。ま
た、同様に、側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロー
ス誘導体がある。この他に、水酸基を有する重合体に環
状酸無水物を付加させたもの等が有用である。
【0366】中でも、ベンジル基またはアリル基と、カ
ルボキシル基とを側鎖に有する(メタ)アクリル樹脂
が、膜強度、感度、現像性のバランスに優れており、好
適である。
【0367】また、特公平7−12004号公報、特公
平7−120041号公報、特公平7−120042号
公報、特公平8−12424号公報、特開昭63−28
7944号公報、特開昭63−287947号公報、特
開平1−271741号公報等に記載されている酸基を
含有するウレタン系バインダーポリマーは、非常に、強
度に優れるので、耐刷性および低露光適性の点で有利で
ある。
【0368】更に、この他に水溶性線状有機ポリマーと
して、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド
等が有用である。また、硬化皮膜の強度を上げるために
アルコール可溶性ナイロンや、2,2−ビス−(4−ヒ
ドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンの
ポリエーテル等も有用である。
【0369】本発明で使用されるポリマーの重量平均分
子量については、好ましくは5000以上であり、更に
好ましくは1万〜30万の範囲であり、数平均分子量に
ついては好ましくは1000以上であり、更に好ましく
は2000〜25万の範囲である。多分散度(重量平均
分子量/数平均分子量)は1以上であるのが好ましく、
1.1〜10であるのがより好ましい。
【0370】これらのポリマーは、ランダムポリマー、
ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよ
いが、ランダムポリマーであるのが好ましい。
【0371】本発明で使用されるバインダーポリマー
は、単独で用いても混合して用いてもよい。これらポリ
マーは、画像記録層塗布液の全固形分に対し20〜95
質量%、好ましくは30〜90質量%の割合で画像記録
層中に添加される。添加量が20質量%未満の場合は、
画像形成した際、画像部の強度が不足する場合がある。
また、添加量が95質量%を超える場合は、画像形成さ
れない場合がある。また、ラジカル重合可能なエチレン
性不飽和二重結合を有する化合物と線状有機ポリマーと
の比は、質量比で1/9〜7/3の範囲とするのが好ま
しい。
【0372】その他の成分について説明する。本発明で
は、更に必要に応じてこれら以外に種々の化合物を添加
してもよい。例えば、可視光域に大きな吸収を持つ染料
を画像の着色剤として使用することができる。また、フ
タロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、
酸化チタンなどの顔料も好適に用いることができる。こ
れらの着色剤は、画像形成後、画像部と非画像部の区別
がつきやすいので、添加する方が好ましい。なお、添加
量は、画像記録層塗布液全固形分に対し、0.01〜1
0質量%の割合である。
【0373】また、本発明においては、画像記録層は光
重合層である場合、塗布液の調製中あるいは保存中にお
いてラジカル重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有
する化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重
合防止剤を添加するのが好ましい。適当な熱重合防止剤
としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェ
ノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロー
ル、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−
チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、
2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチル
フェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシ
ルアミンアルミニウム塩が挙げられる。熱重合防止剤の
添加量は、全組成物の質量に対して約0.01〜約5質
量%が好ましい。また、必要に応じて、酸素による重合
阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのよう
な高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程
で画像記録層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘
導体の添加量は、全組成物の約0.1〜約10質量%が
好ましい。
【0374】また、本発明における画像記録層塗布液中
には、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特
開昭62−251740号公報や特開平3−20851
4号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、
特開昭59−121044号公報、特開平4−1314
9号公報に記載されているような両性界面活性剤を添加
することができる。非イオン界面活性剤および両性界面
活性剤の具体例、添加量等は、上述した画像記録層A−
1に用いられる「(D)その他の成分」の説明と同様で
ある。
【0375】更に、本発明に用いられる画像記録層塗布
液中には、必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するため
に可塑剤が加えられる。可塑剤の具体例としては、上述
した画像記録層A−1に用いられる「(D)その他の成
分」で列挙したものと同様のものが挙げられる。
【0376】本発明に用いられる画像記録材料を製造す
るには、通常、画像記録層塗布液に必要な上記各成分を
溶媒に溶かして、適当な支持体上に塗布すればよい。こ
こで使用する溶媒としては、上述した画像記録層A−1
に用いられる「(D)その他の成分」で列挙したものと
同様のものが挙げられる。これらの溶媒は単独でまたは
混合して使用される。溶媒中の上記成分(添加剤を含む
全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50質量%であ
る。
【0377】また塗布、乾燥後に得られる支持体上の画
像記録層塗布量(固形分)は、一般的に0.5〜5.0
g/m2 であるのが好ましい。塗布する方法としては、
種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコー
ター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、デ
ィップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール
塗布等を挙げることができる。塗布量が少なくなるにつ
れて、見かけの感度は大になるが、画像記録の機能を果
たす画像記録層の皮膜特性は低下する。
【0378】<画像記録層C>画像記録層Cは、フォト
ポリマー画像記録層である。例えば、以下の画像記録層
C−1、C−2およびC−3が挙げられる。
【0379】<画像記録層C−1およびC−2>画像記
録層C−1およびC−2は、特に限定されないが、レー
ザー描画可能なネガ型の光重合系感光層である。光重合
系感光層の主な成分は、(a)付加重合可能なエチレン
性不飽和二重結を有する化合物、(b)アルカリ水溶液
に可溶または膨潤性の高分子重合体、および(c)光重
合開始剤系であり、必要に応じ、着色剤、可塑剤、熱重
合防止剤等の種々の化合物が添加される。
【0380】付加重合可能なエチレン性二重結合を含む
化合物は、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1
個、好ましくは2個以上有する化合物の中から任意に選
択することができる。これらは、例えば、モノマー、プ
レポリマー(即ち、2量体、3量体およびオリゴマ
ー)、それらの混合物、それらの共重合体などの化学的
形態をもつ。モノマーおよびその共重合体の例として
は、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリ
ル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレ
イン酸)や、そのエステル類およびアミド類が挙げら
れ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコ
ール化合物とのエステル類、不飽和カルボン酸と脂肪族
多価アミン化合物とのアミド類が挙げられる。
【0381】脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カル
ボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アク
リル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレ
ート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3
−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリ
コールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリ
レート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリ
メチロールプロパントリアクリレート、トリメチロール
プロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテ
ル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサン
ジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオ
ールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアク
リレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペン
タエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリト
ールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジア
クリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレー
ト、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソル
ビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリ
レート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトー
ルヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチ
ル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリ
ゴマー等が挙げられる。
【0382】メタクリル酸エステルとしては、テトラメ
チレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリ
コールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメ
タクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレ
ート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチ
レングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオ
ールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレ
ート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタ
エリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリト
ールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジ
メタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタク
リレート、ジペンタエリスリトールペンタメタアクリレ
ート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトール
テトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオ
キシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチル
メタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フ
ェニル〕ジメチルメタン等が挙げられる。
【0383】イタコン酸エステルとしては、エチレング
リコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタ
コネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、
1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレ
ングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジ
イタコネート、ソルビトールテトライタコネート等が挙
げられる。クロトン酸エステルとしては、エチレングリ
コールジクロトネート、テトラメチレングリコールジク
ロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソ
ルビトールテトラジクロトネート等が挙げられる。イソ
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイ
ソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネ
ート、ソルビトールテトライソクロトネート等が挙げら
れる。マレイン酸エステルとしては、エチレングリコー
ルジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペ
ンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマ
レート等が挙げられる。更に、前述のエステルモノマー
の混合物も挙げることができる。
【0384】また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カ
ルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチ
レンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリル
アミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミ
ド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、
ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレ
ンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミ
ド等が挙げられる。その他の例としては、特公昭48−
41708号公報に記載されている、1分子中に2個以
上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合
物に、下記の一般式(A)で示される水酸基を含有する
ビニルモノマーを付加せしめた1分子中に2個以上の重
合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げ
られる。
【0385】 CH2 =C(R3 )COOCH2 CH(R4 )OH (A) 式中、R3 およびR4 は、それぞれ独立して、−Hまた
は−CH3 を示す。
【0386】また、特開昭51−37193号公報およ
び特公平2−32293号公報に記載されているような
ウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号公
報、特公昭49−43191号公報および特公昭52−
30490号公報に記載されているようなポリエステル
アクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を
反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリ
レートやメタクリレートを挙げることができる。更に、
日本接着協会誌vol.20、No.7、p.300−
308(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴ
マーとして記載されているものも使用することができ
る。なお、これらの使用量は、全成分に対して5〜70
質量%、好ましくは10〜50質量%である。
【0387】本発明に使用される感光性平版印刷版の感
光層に含有されるアルカリ水に可溶性または膨潤性を有
する高分子重合体は、該組成物の皮膜形成剤としてだけ
でなく、アルカリ水現像剤の用途に応じて選択使用され
る。有機高分子重合体は、例えば、水可溶性有機高分子
重合体を用いると水現像が可能になる。このような有機
高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸基を有する付
加重合体、例えば、特開昭59−44615号公報、特
公昭54−34327号公報、特公昭58−12577
号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭54−
92723号公報、特開昭59−53836号公報およ
び特開昭59−71048号公報に記載されているも
の、即ち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合
体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイ
ン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等が
ある。
【0388】また、同様に、側鎖にカルボン酸基を有す
る酸性セルロース誘導体がある。この他に、水酸基を有
する付加重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが
有用である。中でも、〔ベンジル(メタ)アクリレート
/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合
性ビニルモノマー〕共重合体、および、〔アリル(メ
タ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じて
その他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体が好適で
ある。この他に、水溶性有機高分子として、ポリピニル
ピロリドン、ポリエチレンオキサイド等が有用である。
また硬化皮膜の強度を上げるために、アルコール可溶性
ポリアミド、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニ
ル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等
も有用である。また、特公平7−120040号公報、
特公平7−120041号公報、特公平7−12004
2号公報、特公平8−12424号公報、特開昭63−
287944号公報、特開昭63−287947号公
報、特開平1−271741号公報、特開平11−35
2691号公報に記載のポリウレタン樹脂も本発明の用
途には有用である。
【0389】これらの高分子重合体は側鎖にラジカル反
応性基を導入することにより硬化皮膜の強度を向上させ
ることができる。付加重合反応しうる官能基としては、
エチレン性不飽和結合基、アミノ基、エポキシ基等が挙
げられ、光照射によりラジカルになりうる官能基として
は、メルカプト基、チオール基、ハロゲン原子、トリア
ジン構造、オニウム塩構造等が挙げられ、極性基として
カルボキシル基、イミド基等が挙げられる。上記付加重
合反応しうる官能基としては、アクリル基、メタクリル
基、アリル基、スチリル基等のエチレン性不飽和結合基
が特に好ましいが、アミノ基、ヒドロキシ基、ホスホン
酸基、リン酸基、カルバモイル基、イソシアネート基、
ウレイド基、ウレイレン基、スルフォン酸基およびアン
モニオ基から選ばれる官能基も有用である。組成物の現
像性を維持するため、本発明に用いられる高分子重合体
は適当な分子量および酸価を有するのが好ましい。前述
の現像液で現像させるため、高分子重合体の重量平均分
子量が5000〜30万であるのが好ましく、また、酸
価が0.2〜5.0meq/gであるのが好ましい。
【0390】これらの有機高分子重合体は、全組成物中
に任意な量を混和させることができる。しかし、90質
量%を超える場合には、形成される画像強度等の点で好
ましい結果を与えない。好ましくは10〜90質量%、
より好ましくは30〜80質量%である。また、光重合
可能なエチレン性不飽和化合物と有機高分子重合体との
比は、質量比で1/9〜9/1の範囲とするのが好まし
い。より好ましい範囲は2/8〜8/2であり、更に好
ましくは3/7〜7/3である。
【0391】画像記録層C−1およびC−2に含有され
る光重合開始剤としては、使用する光源の波長により、
特許、文献等で公知である種々の光開始剤、または2種
以上の光開始剤の併用系(光開始系)を適宜選択して使
用することができる。
【0392】400nm以上の可視光線、Arレーザ
ー、半導体レーザーの第2高調波またはSHG−YAG
レーザーを光源とする場合にも、種々の光開始系が提案
されており、例えば、米国特許第2,850,445号
明細書に記載されている、ある種の光還元性染料(例え
ば、ローズベンガル、エオシン、エリスロシン);染料
と開始剤との組み合わせによる系、例えば、染料とアミ
ンの複合開始系(特公昭44−20189号公報)、ヘ
キサアリールビイミダゾールとラジカル発生剤と染料と
の併用系(特公昭45−37377号公報)、ヘキサア
リールビイミダゾールとp−ジアルキルアミノベンジリ
デンケトンの系(特公昭47−2528号公報および特
開昭54−155292号公報)、環状シス−α−ジカ
ルボニル化合物と染料の系(特開昭48−84183号
公報)、環状トリアジンとメロシアニン色素の系(特開
昭54−151024号公報)、3−ケトクマリンと活
性剤の系(特開昭52−112681号公報および特開
昭58−15503号公報)、ビイミダゾール、スチレ
ン誘導体、チオールの系(特開昭59−140203号
公報)、有機過酸化物と色素の系(特開昭59−150
4号公報、特開昭59−140203号公報、特開昭5
9−189340号公報、特開昭62−174203号
公報、特公昭62−1641号公報および米国特許第4
766055号明細書)、染料と活性ハロゲン化合物の
系(特開昭63−258903号公報、特開平2−63
054号公報等)、染料とボレート化合物の系(特開昭
62−143044号公報、特開昭62−150242
号公報、特開昭64−13140号公報、特開昭64−
13141号公報、特開昭64−13142号公報、特
開昭64−13143号公報、特開昭64−13144
号公報、特開昭64−17048号公報、特開平1−2
29003号公報、特開平1−298348号公報、特
開平1−138204号公報等)、ローダニン環を有す
る色素とラジカル発生剤の系(特開平2−179643
号公報および特開平2−244050号公報)、チタノ
センと3−ケトクマリン色素の系(特開昭63−221
110号公報)、チタノセンとキサンテン色素更にアミ
ノ基あるいはウレタン基を含む付加重合可能なエチレン
性不飽和化合物を組み合わせた系(特開平4−2219
58号公報および特開平4−219756号公報)、チ
タノセンと特定のメロシアニン色素の系(特開平6−2
95061号公報)、チタノセンとベンゾピラン環を有
する色素の系(特開平8−334897号公報)等を挙
げることができる。
【0393】本発明においては、特にチタノセン化合物
を用いた系が、感度の点で優れており好ましい。チタノ
セン化合物としては、種々のものを用いることができる
が、例えば、特開昭59−152396号公報および特
開昭61−151197号公報に記載されている各種チ
タノセン化合物から適宜選んで用いることができる。更
に具体的には、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−
クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−
フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−
2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イ
ル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,
5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロ
ペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオ
ロフエニ−1−イル、ジシクロペンタジエニル−Ti−
ビス−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シ
クロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオ
ロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル
−Ti−ビス−2,3,4,5,6−テトラフルオロフ
ェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−T
i−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−
シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオ
ロ−3−(ピル−1−イル)−フェニ−1−イル等を挙
げることができる。
【0394】更に、本発明に用いられる光重合開始剤
に、必要に応じて、アミン化合物、チオール化合物等の
助剤を加えてもよく、これらの水素供与性化合物を加え
ることによって、更に光重合開始能力を高めることがで
きる。これらの光重合開始剤の使用量は、エチレン性不
飽和化合物100質量部に対し、0.05〜100質量
部、好ましくは0.1〜70質量部、更に好ましくは
0.2〜50質量部の範囲で用いることができる。
【0395】また、本発明においては、以上の基本成分
の他に、感光層用の感光性組成物の製造中または保存中
において重合可能なエチレン性不飽和化合物の不要な熱
重合を阻止するために、少量の熱重合防止剤を添加する
のが好ましい。適当な熱重合防止剤としては、ハイドロ
キノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p
−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、
ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−
t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4
−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ
フェニルヒドロキシルアミン第一セリウム塩、N−ニト
ロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等が挙
げられる。熱重合防止剤の添加量は、全組成物に対して
約0.01〜約5質量%であるのが好ましい。また、必
要に応じて、酸素による重合阻害を防止するために、ベ
ヘン酸やべヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を
添加して、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在さ
せてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の
約0.5〜約10質量%であるのが好ましい。
【0396】更に、感光層の着色を目的として、着色剤
を添加してもよい。着色剤としては、例えば、フタロシ
アニン系顔料(C.I.Pigment Blue 1
5:3.15:4、15:6等)、アゾ系顔料、カーボ
ンブラック、酸化チタン等の顔料;エチルバイオレッ
ト、クリスタルバイオレット、アゾ染料、アントラキノ
ン系染料、シアニン系染料等の染料が挙げられる。染料
および顔料の添加量は、全感光層固形分の約0.5〜約
20質量%であるのが好ましい。加えて、硬化皮膜の物
性を改良するために、無機充填剤;ジオクチルフタレー
ト、ジメチルフタレート、トリクレジルホスフェート等
の可塑剤等の添加剤を加えてもよい。これらの添加量は
全感光層固形分の10質量%以下であるのが好ましい。
【0397】上記感光層を後述の支持体上に塗布する際
には、感光層用組成物を種々の有機溶剤に溶かして使用
に供される。ここで使用する溶媒としては、アセトン、
メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エ
チレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリ
コールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチ
ルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテ
ル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチ
ルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコー
ル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテー
ト、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エ
チレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレン
グリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキ
シプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチ
レングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコ
ールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチ
ルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、
プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、
3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクト
ン、乳酸メチル、乳酸エチル等が挙げられる。これらの
溶媒は、単独でまたは混合して使用することができる。
塗布溶液中の固形分の濃度は、1〜50質量%が適当で
ある。
【0398】前記光重合性感光層用組成物には、塗布面
質を向上するために界面活性剤を添加することができ
る。その被覆量は乾燥後の質量で約0.1〜約10g/
2 の範囲が適当である。より好ましくは0.3〜5g
/m2 である。更に好ましくは0.5〜3g/m2であ
る。
【0399】<画像記録層C−3>本発明に用いられる
画像記録層C−3は、活性光線により重合可能な少なく
とも1個のエチレン性不飽和結合を有する化合物、線状
有機高分子重合体および光重合開始剤を主成分とし、必
要に応じて、有機高分子結合剤、熱重合防止剤、着色
剤、可塑剤等の種々の化合物を含有する。
【0400】活性光線により重合可能な少なくとも1個
のエチレン性不飽和結合を有する化合物およびその使用
量等は、上述した画像記録層C−1およびC−2に用い
られる付加重合可能なエチレン性二重結合を含む化合物
の説明と同様である。
【0401】光重合開始剤としては、使用する光源の波
長により、特許、文献等で公知である種々の光開始剤、
あるいは2種以上の光開始剤の併用系(光開始系)を適
宜選択して使用することができ、上述した画像記録層C
−1およびC−2に用いられるものと同様のものを同様
の量で用いることができる。
【0402】光重合性組成物は、通常、バインダーとし
て線状有機高分子重合体を含有するが、このような線状
有機高分子重合体としては、光重合可能なエチレン性不
飽和化合物と相溶性を有している線状有機高分子重合体
である限り、どれを使用してもかまわない。好ましくは
水現像または弱アルカリ水現像を可能とする水または弱
アルカリ水に対して可溶性または膨潤性である線状有機
高分子重合体が選択される。線状有機高分子重合体は、
該組成物の皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカ
リ水または有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使
用される。例えば、水可溶性有機高分子重合体を用いる
と水現像が可能になる。このような線状有機高分子重合
体としては、上述した画像記録層C−1およびC−2に
用いられる有機高分子重合体と同様のものを用いること
ができる。
【0403】また、側鎖にカルボン酸基を有する酸性セ
ルロース誘導体、水酸基を有する付加重合体に環状酸無
水物を付加させたもの、水溶性線状有機高分子等も、上
述した画像記録層C−1およびC−2に用いられるのと
同様のものを同様の量で用いることができる。
【0404】また、熱重合防止剤、高級脂肪酸誘導体、
着色剤、各種添加剤等についても、上述した画像記録層
C−1およびC−2に用いられるのと同様のものを同様
の量で用いることができる。光重合性組成物を支持体上
に塗布する際には種々の有機溶剤に溶かして使用に供さ
れる。ここで使用する溶媒としては、上述した画像記録
層C−1およびC−2に用いられるのと同様のものを同
様の量で用いることができる。また、本発明における光
重合性組成物には、塗布面質を向上するために界面活性
剤を添加することができる。
【0405】本発明において、光重合性組成物の被覆量
は、乾燥後の塗布量で、0.7〜2.5g/m2 、好ま
しくは0.8〜2.2g/m2 、より好ましくは1.0
〜2g/m2 の範囲が適当である。塗布量が大きくなる
につれ、露光量を必要とするが、感光皮膜は厚くなり、
例えば、印刷版として用いた場合、印刷可能枚数の高
い、即ち、高耐刷性の印刷版が得られる。また、重合反
応は、増感色素または光開始剤が光を吸収し、その後、
重合開始ラジカルを生成し重合反応が進むので、使用さ
れる光源の波長に対し、吸光度で0.1〜1.2、好ま
しくは0.2〜1.0の範囲に増感色素および光開始剤
の量を調整するのが好ましい。1.2より高くなるとフ
ィルター効果により感度が下がり、また、0.1より低
いと基板のハレーションにより画像の周辺がぼける現象
が生じる場合がある。
【0406】このようにして支持体上に設けられた光重
合性感光層の上には、更に空気中の酸素による重合禁止
作用を防止するために、例えば、ポリビニルアルコー
ル、特にケン化度85%以上のポリビニルアルコール、
酸性セルロース類等の酸素遮断性に優れるポリマーから
なる酸素遮断層を設けてもよい。このような酸素遮断層
の塗布方法については、例えば、米国特許第3,45
8,311号明細書、特開昭55−49729号公報に
詳しく記載されている。
【0407】<画像記録層D>画像記録層Dは、コンベ
ンショナルタイプのポジ画像記録層、即ち、アナログ型
ポジ画像記録層である。
【0408】本発明に用いられる画像記録層Dに使用さ
れる感光性組成物としては、o−キノンジアジド化合物
を主成分とするポジ型のものが用いられる。また、特公
昭37−17172号公報、同38−6961号公報、
特開昭56−107246号公報、同60−25414
2号公報、特公昭59−36259号公報、同59−2
5217号公報、特開昭56−146145号公報、同
62−194257号公報、同57−147656号公
報、同58−100862号公報、同57−16186
3号公報等に記載の電子写真感光層も使用することがで
きる。上記感光物のうち不飽和二重結合含有モノマーを
主成分とする光重合性化合物としては、例えば、米国特
許第2,760,863号明細書、同第3,060,0
23号明細書および特開昭59−53836号公報に記
載の2個またはそれ以上の末端エチレン基を有する付加
重合性不飽和化合物と光重合開始剤とからなる組成物が
使用できる。
【0409】このうちポジ型の感光性組成物として用い
られるo−ナフトキノンジアジド化合物としては、上述
した画像記録層A−2の「<その他の成分>」で列挙し
たo−キノンジアジド化合物が挙げられる。
【0410】中でも、特に好ましいo−ナフトキノンジ
アジド化合物は、分子量1,000以下のポリヒドロキ
シ化合物と1,2−ジアゾナフトキノンスルホン酸との
反応により得られる化合物である。このような化合物の
具体例は、特開昭51−139402号公報、同58−
150948号公報、同58−203434号公報、同
59−165053号公報、同60−121445号公
報、同60−134235号公報、同60−16304
3号公報、同61−118744号公報、同62−10
645号公報、同62−10646号公報、同62−1
53950号公報、同62−178562号公報、同6
4−76047号公報、米国特許第3,102,809
号明細書、同第3,126,281号明細書、同第3,
130,047号明細書、同第3,148,983号明
細書、同第3,184,310号明細書、同第3,18
8,210号明細書、同第4,639,406号明細書
等に記載されているものを挙げることができる。これら
のo−ナフトキノンジアシド化合物を合成する際に、ポ
リヒドロキシ化合物のヒドロキシ基に対して1,2−ジ
アゾナフトキノンスルホン酸クロリドを0.2〜1.2
当量反応させることが好ましく、0.3〜1.0当量反
応させることがより好ましい。1,2−ジアゾナフトキ
ノンスルホン酸クロリドとしては、1,2−ジアゾナフ
トキノン−5−スルホン酸クロリド、1,2−ジアゾナ
フトキノン−4−スルホン酸クロリドを用いることがで
きる。また、得られるo−ナフトキノンジアジド化合物
は、1,2−ジアゾナフトキノンスルホン酸エステル基
の位置および導入量の種々異なるものの混合物となる
が、ヒドロキシ基のすべてが1,2−ジアゾナフトキノ
ンスルホン酸エステル化された化合物がこの混合物中に
占める割合(完全にエステル化された化合物の含有率)
は、5モル%以上であるのが好ましく、20〜99モル
%であるのがより好ましい。感光性組成物中に占めるこ
れらのポジ型に作用する感光性化合物(上記のような組
み合わせを含む。)の量は10〜50質量%であるのが
好ましく、15〜40質量%であるのがより好ましい。
【0411】o−キノンジアジド化合物は単独でも感光
層を構成することができるが、アルカリ水に可溶な樹脂
を結合剤(バインダー)として併用することが好まし
い。このようなアルカリ水に可溶な樹脂としては、ノボ
ラック型の樹脂があり、例えば、フェノールホルムアル
デヒド樹脂、o−、m−およびp−クレゾールホルムア
ルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデ
ヒド樹脂、フェノール/クレゾール(o−、m−、p
−、m/p−混合およびo/m−混合のいずれでもよ
い)混合ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。ま
た、フェノール変性キシレン樹脂、ポリヒドロキシスチ
レン、ポリハロゲン化ヒドロキシスチレン、特開昭51
−34711号公報に記載されているようなフェノール
性水酸基を含有するアクリル系樹脂も用いることができ
る。その他の好適なバインダーとして以下(1)〜(1
3)に示すモノマーをその構成単位とする通常1万〜2
0万の分子量を持つ共重合体を挙げることができる。
【0412】(1)芳香族水酸基を有するアクリルアミ
ド類、メタクリルアミド類、アクリル酸エステル類、メ
タクリル酸エステル類およびヒドロキシスチレン類、例
えば、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド
またはN−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミ
ド、o−、m−およびp−ヒドロキシスチレン、o−、
m−およびp−ヒドロキシフェニルアクリレートまたは
メタクリレート、(2)脂肪族水酸基を有するアクリル
酸エステル類およびメタクリル酸エステル類、例えば、
2−ヒドロキシエチルアクリレートまたは2−ヒドロキ
シエチルメタクリレート、(3)アクリル酸、メタクリ
ル酸、無水マレイン酸、メタコン酸などの不飽和カルボ
ン酸、
【0413】(4)アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル
酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキ
シル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、アク
リル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、アク
リル酸4−ヒドロキシブチル、グリシジルアクリレー
ト、N−ジメチルアミノエチルアクリレートなどの(置
換)アクリル酸エステル、(5)メタクリル酸メチル、
メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリ
ル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシ
ル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチ
ル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メ
タクリル酸−2−クロロエチル、メタクリル酸4−ヒド
ロキシブチル、グリシジルメタクリレート、N−ジメチ
ルアミノエチルメタクリレートなどの(置換)メタクリ
ル酸エステル、(6)アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメ
タクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチ
ルメタクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N
−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアク
リルアミド、N−シクロヘキシルメタクリルアミド、N
−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエ
チルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N
−フェニルメタクリルアミド、N−ベンジルアクリルア
ミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−ニトロフェ
ニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルメタクリルア
ミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミドおよび
N−エチル−N−フェニルメタクリルアミドなどのアク
リルアミドもしくはメタクリルアミド、
【0414】(7)エチルビニルエーテル、2−クロロ
エチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテ
ル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、
オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテルなど
のビニルエーテル類、(8)ビニルアセテート、ビニル
クロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル
などのビニルエステル類、(9)スチレン、メチルスチ
レン、クロロメチルスチレンなどのスチレン類、(1
0)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピ
ルビニルケトン、フェニルビニルケトンなどのビニルケ
トン類、(11)エチレン、プロピレン、イソブチレ
ン、ブタジエン、イソプレンなどのオレフィン類、(1
2)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、
4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニ
トリルなど、(13)N−(o−アミノスルホニルフェ
ニル)アクリルアミド、N−(m−アミノスルホニルフ
ェニル)アクリルアミド、N−(p−アミノスルホニル
フェニル)アクリルアミド、N−〔1−(3−アミノス
ルホニル)ナフチル〕アクリルアミド、N−(2−アミ
ノスルホニルエチル)アクリルアミドなどのアクリルア
ミド類、N−(o−アミノスルホニルフェニル)メタク
リルアミド、N−(m−アミノスルホニルフェニル)メ
タクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニ
ル)メタクリルアミド、N−〔1−(3−アミノスルホ
ニル)ナフチル〕メタクリルアミド、N−(2−アミノ
スルホニルエチル)メタクリルアミドなどのメタクリル
アミド類、また、o−アミノスルホニルフェニルアクリ
レート、m−アミノスルホニルフェニルアクリレート、
p−アミノスルホニルフェニルアクリレート、1−(3
−アミノスルホニルフェニルナフチル)アクリレートな
どのアクリル酸エステル類などの不飽和スルホンアミ
ド、o−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、m
−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、p−アミ
ノスルホニルフェニルメタクリレート、1−(3−アミ
ノスルホニルフェニルナフチル)メタクリレートなどの
メタクリル酸エステル類などの不飽和スルホンアミド。
【0415】更に、上記モノマーと共重合しうるモノマ
ーを共重合させてもよい。また、上記モノマーの共重合
によって得られる共重合体を例えば、グリシジルアクリ
レート、グリシジルメタクリレートなどによって修飾し
たものも含まれるがこれらに限定されるものではない。
上記共重合体には上記(3)の不飽和カルボン酸を含有
することが好ましく、その共重合体の好ましい酸価は0
〜10meq/g、より好ましくは0.2〜5.0me
q/gである。上記共重合体の好ましい分子量は1万〜
10万である。また、上記共重合体には必要に応じて、
ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリア
ミド樹脂およびエポキシ樹脂を添加してもよい。このよ
うなアルカリ可溶性の高分子化合物は単独で用いてもよ
く、2種以上組み合わせて用いてもよく、全感光性組成
物の80質量%以下の添加量で用いられる。更に、米国
特許第4,123,279号明細書に記載されているよ
うに、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、オ
クチルフェノールホルムアルデヒド樹脂のような炭素数
3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールと
ホルムアルデヒドとの縮合物を併用することは画像の感
脂性を向上させるうえで好ましい。本発明における感光
性組成物は、更に感度を向上させる目的で、環状酸無水
物類、フェノール類、有機酸類を含有することもでき
る。環状酸無水物類、フェノール類および有機酸類は、
上述した画像記録層A−1に用いられる「(D)その他
の成分」の説明と同様である。上記の環状酸無水物類、
フェノール類および有機酸類の感光性組成物中に占める
割合は、0.05〜15質量%であるのが好ましく、
0.1〜5質量%であるのがより好ましい。
【0416】また、本発明における感光性組成物中に
は、現像条件に対する処理の安定性(いわゆる現像ラチ
チュード)を広げるため、特開昭62−251740号
公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開
昭59−121044号公報、特開平4−13149号
公報に記載されているような両性界面活性剤を添加する
ことができる。非イオン界面活性剤および両性界面活性
剤の具体例、添加量等は、上述した画像記録層A−1に
用いられる「(D)その他の成分」の説明と同様であ
る。
【0417】本発明における感光性組成物中には、露光
後直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤
としての染料や顔料を加えることができる。焼き出し剤
および画像着色剤それらの添加量等は、上述した画像記
録層A−1に用いられる「(D)その他の成分」の説明
と同様である。
【0418】感光性組成物は、上記各成分を溶解する溶
媒に溶かして支持体のアルミニウム板上に塗布される。
ここで使用される溶媒としては、特開昭62−2517
39号公報に記載されているような有機溶剤が単独でま
たは混合して用いられる。感光性組成物は、2〜50質
量%の固形分濃度で溶解され分散され、支持体上に塗布
され乾燥される。支持体上に塗設される感光性組成物の
層(感光層)の塗布量は用途により異なるが、一般的に
は、乾燥後の質量で0.3〜4.0g/m2 であるのが
好ましい。塗布量が小さくなるにつれて画像を得るため
の露光量は小さくて済むが、膜強度は低下する。塗布量
が大きくなるにつれ、露光量を必要とするが感光膜は強
くなり、例えば、印刷版として用いた場合、印刷可能枚
数の高い(高耐刷性の)印刷版が得られる。
【0419】感光性組成物中には、塗布面質を向上する
ための界面活性剤、例えば、特開昭62−170950
号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添
加することができる。その添加量は、全感光性組成物の
0.001〜1.0質量%であるのが好ましく、0.0
05〜0.5質量%であるのがより好ましい。
【0420】感光性組成物中には、画像の感脂性を向上
させるための感脂化剤(例えば、特開昭55−527号
公報に記載のスチレン−無水マレイン酸共重合体のアル
コールによるハーフエステル化物、ノボラック樹脂、p
−ヒドロキシスチレンの50%脂肪酸エステル)が加え
られる。更には、塗膜の柔軟性、耐摩耗性を付与するた
めの可塑剤が加えられる。例えば、ブチルフタリル、ポ
リエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸
ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フ
タル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブ
チル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフ
ルフリル、アクリル酸またはメタクリル酸のオリゴマー
およびポリマーが挙げられる。中でも、リン酸トリクレ
ジルが好ましい。また、感光性組成物中には、経時の安
定性を広げるため、リン酸、亜リン酸、クエン酸、シュ
ウ酸、ジピコリン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレン
スルホン酸、スルホサリチル酸、4−メトキシ−2−ヒ
ドロキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、酒石酸等が
加えられる。
【0421】また、感光性組成物中には、露光後直ちに
可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての
染料や顔料などの色素を加えることができる。該色素と
しては、フリーラジカルまたは酸と反応して色調を変え
るものが好ましく用いられる。例えば、ビクトリアピュ
アブルーBOH(保土谷化学社製)、オイルイエロー#
101、オイルイエロー#103、オイルピンク#31
2、オイルレッド、オイルグリーンBG、オイルブルー
BOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、
オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以
上、オリエント化学工業社製)、パテントピュアブルー
(住友三国化学社製)、クリスタルバイオレット(CI
42555)、メチルバイオレット(CI4253
5)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145
170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、
メチレンブルー(CI52015)、ブリリアントブル
ー、メチルグリーン、エリスリシンB、ベーシックフク
シン、m−クレゾールパープル、オーラミン、4−p−
ジエチルアミノフェニルイミナフトキノン、シアノ−p
−ジエチルアミノフェニルアセトアニリド等に代表され
るトリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、オキサ
ジン系、キサンテン系、イミノナフトキノン系、アゾメ
チン系またはアントラキノン系の色素が有色から無色あ
るいは異なる有色の色調へ変化する例として挙げられ
る。
【0422】一方、無色から有色に変化する変色剤とし
ては、ロイコ色素および、例えば、トリフェニルアミ
ン、ジフェニルアミン、o−クロロアニリン、1,2,
3−トリフェニルグアニジン、ナフチルアミン、ジアミ
ノジフェニルメタン、p,p′−ビス−ジメチルアミノ
ジフェニルアミン、1,2−ジアニリノエチレン、p,
p′,p″−トリス−ジメチルアミノトリフェニルメタ
ン、p,p′−ビス−ジメチルアミノジフェニルメチル
イミン、p,p′,p″−トリアミノ−o−メチルトリ
フェニルメタン、p,p′−ビス−ジメチルアミノジフ
ェニル−4−アニリノナフチルメタン、p,p′,p″
−トリアミノトリフェニルメタンに代表される第一級ま
たは第二級アリールアミン系色素が挙げられる。特に好
ましくはトリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系色
素であり、更に好ましくはトリフェニルメタン系色素で
あり、特にビクトリアピュアブルーBOHである。上記
色素は、感光製組成物中に通常約0.5〜約10質量
%、より好ましくは約1〜約5質量%含有される。
【0423】感光性組成物は、上記各成分を溶解する溶
媒に溶かして支持体のアルミニウム板上に塗布される。
ここで使用される溶媒としては、特開昭62−2517
39号公報に記載されているような有機溶剤が単独でま
たは混合して用いられる。感光性組成物は、2〜50質
量%の固形分濃度で溶解され分散され、支持体上に塗布
され乾燥される。支持体上に塗設される感光性組成物の
層(感光層)の塗布量は用途により異なるが、一般的に
は、乾燥後の質量で0.3〜4.0g/m2 であるのが
好ましい。塗布量が小さくなるにつれて画像を得るため
の露光量は小さくて済むが、膜強度は低下する。塗布量
が大きくなるにつれ、露光量を必要とするが感光膜は強
くなり、例えば、印刷版として用いた場合、印刷可能枚
数の高い(高耐刷性の)印刷版が得られる。感光性組成
物中には、先に示したポジ型感光性組成物と同様に、塗
布面質を向上するための界面活性剤を添加することがで
きる。感光性平版印刷版の製造に当たっては裏面のバッ
クコート層と表面の感光性組成物層のどちらが先に支持
体上に塗布されてもよく、また両者が同時に塗布されて
もよい。
【0424】本発明の感光性平版印刷版原版(PS版)
の支持体の裏面には、重ねた場合の感光層の傷付きを防
ぐための有機高分子化合物からなる被覆層(以下、この
被覆層を「バックコート層」という。)が必要に応じて
設けられる。このバックコート層の主成分としては、ガ
ラス転移点20℃以上の、飽和共重合ポリエステル樹
脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセターリ樹脂および
塩化ビニリデン共重合樹脂からなる群から選ばれる少な
くとも一種の樹脂が用いられる。飽和共重合ポリエステ
ル樹脂は、ジカルボン酸ユニットとジオールユニットか
らなる。本発明に用いられるポリエステルのジカルボン
酸ユニットとしてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタ
ル酸、テトラブロムフタル酸、テトラクロルフタル酸等
の芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、アゼライン酸、コ
ハク酸、シュウ酸、スベリン酸、セバチン酸、マロン
酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の飽和脂肪
族ジカルボン酸等が挙げられる。
【0425】バックコート層には、更に、着色のための
染料や顔料、アルミニウム支持体との密着性向上のため
のシランカップリング剤、ジアゾニウム塩からなるジア
ゾ樹脂、有機ホスホン酸、有機リン酸、カチオン性ポリ
マー等、更には滑り剤として通常用いられるワックス、
高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、ジメチルシロキサンか
らなるシリコーン化合物、変性ジメチルシロキサン、ポ
リエチレン粉末等が適宜加えられる。バックコート層の
厚さは基本的には合紙がなくとも感光層を傷付けにくい
厚みがあればよく、0.01〜8μmの範囲が好まし
い。厚さ0.01μm以下ではPS版を重ねて取り扱っ
た場合の感光層の擦れ傷を防ぐことができない。厚さが
8μmを超えると印刷中、印刷版周辺で用いられる薬品
によってバックコート層が膨潤して厚みが変動し、印圧
が変化して印刷特性を劣化させることがある。バックコ
ート層をアルミニウム支持体の裏面に被覆するには種々
の方法が適用できる。例えば、適当な溶媒に溶液にし
て、または乳化分散液にして塗布し乾燥する方法、あら
かじめフィルム状に成形したものを接着剤や熱でアルミ
ニウム支持体に貼り合わせる方法、溶融押し出し機で溶
融皮膜を形成し、支持体に貼り合わせる方法が挙げられ
るが、上記の塗布量を確保する上で最も好ましいのは溶
液にして塗布し乾燥する方法である。ここで使用される
溶媒としては、特開昭62−251739号公報に記載
されているような有機溶剤が単独でまたは混合して用い
られる。
【0426】上記のようにして設けられた感光層の表面
には、真空焼き枠を用いた密着露光の際の真空引きの時
間を短縮し、かつ、焼きボケを防ぐため、マット層が設
けられる。具体的には、特開昭50−125805号公
報、特公昭57−6582号公報、同61−28986
号公報に記載されているようなマット層を設ける方法、
特公昭62−62337号公報に記載されているような
固体粉末を熱融着させる方法等が挙げられる。本発明に
用いられるマット層の平均径は100μm以下が好まし
く、これよりも平均径が大きくなるとPS版を重ねて保
存する場合、感光層とバックコート層との接触面積が増
大し、滑り性が低下し、感光層およびバックコート層双
方の表面に擦れ傷を生じやすい。マット層の平均高さは
10μm以下であるのが好ましく、2〜8μmであるの
がより好ましい。この範囲より平均高さが高いと細線が
付きにくく、ハイライトドットも点減りし、調子再現上
好ましくない。平均高さが2μm以下では真空密着性が
不十分で焼きボケを生じる。マット層の塗布量は5〜2
00mg/m2 であるのが好ましく、20〜150mg
/m2 であるのがより好ましい。塗布量がこの範囲より
も大きいと感光層とバックコート層との接触面積が増大
し擦れ傷の原因となり、これよりも小さいと真空密着性
が不十分となる。
【0427】<画像記録層E>画像記録層Eは、コンベ
ンショナルタイプのネガ画像記録層、即ち、アナログ型
ネガ画像記録層である。
【0428】本発明に用いられる画像記録層Eの感光性
組成物について詳しく説明する。この感光性組成物に使
用されるジアゾ樹脂は、芳香族ジアゾニウム塩と活性カ
ルボニル基含有化合物、例えば、ホルムアルデヒドとの
縮合物で代表されるジアゾ樹脂である。上記ジアゾ樹脂
としては、例えば、p−ジアゾフェニルアミン類とホル
ムアルデヒド、アセトアルデヒドなどのアルデヒドとの
縮合物とヘキサフルオロリン酸塩またはテトラフルオロ
ホウ酸塩との反応生成物である有機溶媒可溶性ジアゾ樹
脂無機塩や、特公昭47−1167号公報に記載されて
いるような前記縮合物とのスルホン酸塩類、例えば、p
−トルエンスルホン酸、プロピルナフタレンスルホン
酸、ブチルナフタレンスルホン酸、ジブチルナフタレン
スルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、2−ヒドロ
キシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸と
の反応生成物である有機溶媒可溶性ジアゾ樹脂有機塩が
挙げられる。特に、特開昭59−78340号公報に記
載の6量体以上を20モル%以上含んでいる高分子量ジ
アゾ化合物が好ましい。また特開昭58−27141号
公報に示されているような3−メトキシ−4−ジアゾ−
ジフェニルアミンを4,4′−ビス−メトキシ−メチル
−ジフェニルエーテルで縮合させメシチレンスルホン酸
塩としたものなども適当である。更に特公昭49−48
001号公報に記載された芳香族化合物との共縮合ジア
ゾ樹脂や、特開平2−29650号公報に記載された酸
基を有する芳香族化合物との共縮合ジアゾ樹脂も好まし
く用いられる。また、特開平4−18559号公報に記
載された酸基を有するアルデヒドまたはアセタール化合
物で縮合されたジアゾ樹脂も同様に好ましく用いること
ができる。更に、カルボキシル基、スルホン酸基、スル
フィン酸基、リンの酸素酸基およびヒドロキシ基のうち
少なくとも一つの有機基を有する芳香族化合物と、ジア
ゾニウム化合物、好ましくは芳香族ジアゾニウム化合物
を構造単位として含む共縮合体も好ましい。なお、上記
ジアゾ樹脂を単独で用いてもよく、2種以上の混合物を
用いてもよい。ジアゾ樹脂は全体で感光層中に1〜70
質量%、特に3〜60質量%含有されるのが好ましい。
【0429】本発明に用いられるアルカリ可溶性もしく
は膨潤性の高分子化合物としては、酸含量0.1〜5.
0meq/g、好ましくは0.2〜3.0meq/gで
あり、実質的に水不溶性(即ち、中性または酸性水溶液
に不溶性)で、皮膜形成性を有する有機高分子化合物で
あるが、アルカリ水溶液系現像液に溶解しまたは膨潤す
ることができ、かつ前記の感光性ジアゾ樹脂の共存下で
光硬化して上記現像液に不溶化しまたは非膨潤化するも
のが好ましい。なお、酸含量0.1meq/g未満では
現像が困難であり、5.0meq/gを超えると現像時
の画像強度が著しく弱くなる。特に好適な結合剤として
はアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸またはマレイ
ン酸を必須成分として含む共重合体、例えば、特開昭5
0−118802号公報に記載されているような2−ヒ
ドロキシエチルアクリレートまたは2−ヒドロキシエチ
ルメタアクリレート、アクリロニトリルまたはメタクリ
ロニトリル、アクリル酸またはメタクリル酸および必要
に応じて他の共重合可能なモノマーとの多元共重合体、
特開昭53−120903号公報に記載されているよう
な末端がヒドロキシ基であり、かつジカルボン酸エステ
ル残基を含む基でエステル化されたアクリル酸またはメ
タクリル酸、アクリル酸、またはメタクリル酸および必
要に応じて他の共重合可能なモノマーとの多元共重合
体、特開昭54−98614号公報に記載されているよ
うな芳香族性水酸基を末端に有する単量体(例えば、N
−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド)、ア
クリル酸またはメタクリル酸および必要に応じてヒドロ
キシスチレン類やアミノスルホニルフェニル基を有する
(メタ)アクリルアミド類または(メタ)アクリル酸エ
ステル類等の他の共重合可能なモノマーとの多元共重合
体、特開昭56−4144号公報に記載されているよう
なアルキルアクリレート、アクリロニトリルまたはメタ
クリロニトリルおよび不飽和カルボン酸よりなる多元共
重合体を挙げることができる。またこの他、酸性ポリビ
ニルアルコール誘導体や酸性セルロース誘導体も有用で
ある。またポリビニルアセタールやポリウレタンをアル
カリ可溶化した特公昭54−19773号公報、特開昭
57−94747号公報、同60−182437号公
報、同62−58242号公報、同62−123453
号公報に記載の結合剤も有用である。上記結合剤の好ま
しい分子量は0.5〜20万であり、更に好ましくは2
〜15万である。上記結合剤は単独で用いてもよく、2
種以上混合して用いてもよい。
【0430】感光性平版印刷版の感光層におけるこれら
のジアゾ樹脂と結合剤の含有量は、これら両者の総量を
基準にしてジアゾ樹脂3〜60質量%、結合剤は97〜
40質量%が適当である。ジアゾ樹脂の含有量は少ない
方が感度は高いが、3質量%より低下すると結合剤を光
硬化させるためには不十分となり現像時に光硬化膜が現
像液によって膨潤し膜が弱くなる。逆に、ジアゾ樹脂の
含有量が60質量%より多くなると感度が低くなり実用
上難点が出てくる。したがって、より好ましい範囲は、
ジアゾ樹脂5〜40質量%で結合剤95〜60質量%で
ある。
【0431】本発明における光重合性組成物は、エチレ
ン性不飽和結合を有する重合可能な化合物、光重合開始
剤および高分子化合物を必須成分として含んでいる。エ
チレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物とは、そ
の化学構造中に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合
を有する化合物であって、例えば、モノマー、プレポリ
マー(即ち、2量体、3量体およびオリゴマー)、それ
らの混合物、それらの共重合体などの化学的形態をも
つ。それらの例としては不飽和カルボン酸およびその
塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物と
のエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合
物とのアミド等が挙げられる。
【0432】不飽和カルボン酸の具体例としては、アク
リル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソ
クロトン酸、マレイン酸がある。不飽和カルボン酸の塩
としては、前述の酸のアルカリ金属塩、例えば、ナトリ
ウム塩およびカリウム塩がある。脂肪族多価アルコール
化合物と不飽和カルボン酸とのエステルの具体例として
はアクリル酸エステル、例えば、エチレングリコールジ
アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレー
ト、1,3−ブタンジオールアクリレート、テトラメチ
レングリコールジアクリレート、プロピレングリコール
ジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレ
ート、トリメチロールエタントリアクリレート、1,4
−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチ
レングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトール
ジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペン
タエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリト
ールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ
アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレ
ート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテ
トラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、
ソルビトールヘキサアクリレート、ポリエステルアクリ
レートオリゴニマーが挙げられる。メタクリリル酸エス
テルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレ
ート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリ
メチトルプロパントリメタクリレート、トリメチロール
エタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタ
クリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレー
ト、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエ
リスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリト
ールジメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレー
ト、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス−〔p−
(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)
フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリル
オキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等が挙げら
れる。イタコン酸エステルとしては、エチレングリコー
ルジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネー
ト、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1 ,4−
ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコ
ールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネ
ート、ソルビトールテトライタコネート等が挙げられ
る。クロトン酸エステルとしては、エチレングリコール
ジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネ
ート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビト
ールテトラクロトネート等が挙げられる。イソクロトン
酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロト
ネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソ
ルビトールテトライソクロトネート等が挙げられる。マ
レイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレ
ート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリ
ストールジマレート、ソルビトールテトラマレート等が
挙げられる。更に、前述のエステルの混合物も挙げるこ
とができる。
【0433】脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン
酸とのアミドの具体例としては、メチレンビス−アクリ
ルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−
ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1 ,6−ヘキサ
メチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミ
ントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミ
ド、キシリレンビスメタクリルアミドが挙げられる。
【0434】その他の例としては、特公昭48−417
08号公報に記載されている1分子中に2個以上のイソ
シアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下
記の一般式で示される水酸基を含有するビニルモノマー
を付加せしめた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を
含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。 CH2 =C(R)COOCH2 CH(R′)OH (ただし、RおよびR′は、それぞれ独立して、水素原
子またはメチル基を示す。) 本発明で用いられる光重合開始剤としては、米国特許第
2,367,660号明細書に記載されているビシナー
ルポリケタルドニル化合物、米国特許第2,367,6
61号明細書および同第2,367,670号明細書に
記載されているα−カルボニル化合物、米国特許第2,
448,828号明細書に記載されているアシロインエ
ーテル、米国特許第2,722,512号明細書に記載
されているα位が炭化水素で置換された芳香族アシロイ
ン化合物、米国特許第3,046,127号明細書およ
び同第2,951,758号明細書に記載されている多
核キノン化合物、米国特許第3,549,367号明細
書に記載されているトリアリールイミダゾールダイマー
/p−アミノフェニルケトンの組み合わせ、米国特許第
3,870,524号明細書に記載されているベンゾチ
アゾール系化合物、米国特許第4,239,850号明
細書に記載されているベンゾチアゾール系化合物/トリ
ハロメチル−s−トリアジン系化合物および米国特許第
3,751,259号明細書に記載されているアクリジ
ンおよびフェナジン化合物、米国特許第4,212,9
70号明細書に記載されているオキサジアゾール化合物
等が含まれ、その使用量は光重合性組成物の総質量を基
準にして、約0.5〜約15質量%、好ましくは、2〜
10質量%の範囲である。
【0435】本発明で用いる高分子重合体としては、特
公昭59−44615号公報に記載されているようなベ
ンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必
要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー共重合
体;特公昭54−34327号公報に記載されているよ
うなメタクリル酸/メタクリル酸メチルまたはメタクリ
ル酸エチル/C4 〜C15のアルキル基を有するメタクリ
ル酸アルキル共重合体;その他特公昭58−12577
号公報、特公昭54−25957号公報および特開昭5
4−92723号公報に記載されているような(メタ)
アクリル酸共重合体;特開昭59−53836号公報に
記載されているようなアリル(メタ)アクリレート/
(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性
ビニルモノマー共重合体、特開昭59−71048号公
報に記載されている無水マレイン酸共重合体にペンタエ
リスリトールトリアクリレートを半エステル化で付加さ
せたものやビニルメタクリレート/メタクリル酸/必要
に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー共重合体等
の重合体中に−COOH、−PO3 2 、−SO3 H、
−SO2 NH2 、−SO2 NHCO−等の基を有し、酸
価50〜200の酸性ビニル共重合体を挙げることがで
きる。
【0436】特にこれらの中でベンジル(メタ)アクリ
レート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付
加重合性ビニルモノマー共重合体およびアリル(メタ)
アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその
他の付加重合性ビニルモノマー共重合体が好適である。
これらの高分子重合体は、単独でまたは2種以上の混合
物として用いることができる。高分子重合体の分子量
は、その重合体の種類により広範な値をとりうるが、一
般には5,000〜100万、好ましくは、1万〜50
万のものが好適である。高分子重合体の使用量は、全光
重合性組成物に対して10〜90質量%であるのが好ま
しく、30〜85質量%であるのがより好ましい。
【0437】以上の他に感光層には更に熱重合防止剤を
加えておくことが好ましい。熱重合防止剤としては、例
えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−
t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチ
ルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3
−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2' −メ
チレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノー
ル)、2−メルカプトベンゾイミダゾールが挙げられ
る。また、場合によっては感光層の着色を目的として染
料または顔料や、焼き出し剤としてpH指示薬、塗布性
を改良するためのフッ素系界面活性剤やセルロースアル
キルエーテル等を添加することもできる。
【0438】また、空気中の酸素の影響による重合禁止
作用を防止するため、ワックス剤を添加することができ
る。ワックス剤として用いられるものは、常温では固体
であるが塗布液中では溶解し、塗布・乾燥過程に表面に
析出するようなものである。例えば、ステアリン酸、ベ
ヘン酸のような高級脂肪酸、ステアリン酸アミド、ベヘ
ン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、その他高級アルコー
ル等が挙げられる。
【0439】空気中の酸素による重合禁止作用を完全に
防止するために、例えば、ポリビニルアルコール、酸性
セルロース類などのような酸素遮断性に優れたポリマー
よりなる保護層を設けてもよい。このような保護層の塗
布方法については例えば、米国特許第3,458,31
1号明細書および特公昭55−49729号公報に詳し
く記載されている。本発明に用いられる光架橋性組成物
は、光二量化可能な不飽和結合を有する光架橋性重合
体、増感剤を必須成分として有する。
【0440】本発明に用いられる組成物に使用される、
光二量化可能な不飽和結合を有する光架橋性重合体とし
ては、マレイミド基、シンナミル基、シンナモイル基、
シンナミリデン基、シンナミリデンアセチル基、カルコ
ン基等の官能基を側鎖または主鎖に有する感光性重合体
が挙げられる。特に、マレイミド基を側鎖に有する重合
体および分子鎖中にケイ皮酸骨格を有するポリエステル
樹脂は比較的高い感度を有している。
【0441】このようなマレイミド基を側鎖に有する光
二量化可能な重合体としては、特開昭52−988号公
報(対応米国特許第4,079,041号明細書)や、
独国特許第2,626,769号明細書、欧州特許第2
1,019号明細書、欧州特許第3,552号明細書や
ディー・アンゲバンドゥテ・マクロモレクラーレ・ケミ
ー(Die Angewandte Makromol
eku1are Chemie)115(1983)の
p.163−181に記載されている下記一般式(II
I):
【0442】
【化50】
【0443】(式中、R3 およびR4 は、それぞれ独立
して、最高4個の炭素原子を有するアルキル基を表す。
ただし、R3 とR4 とは、一緒になって5員または6員
の炭素環を形成してもよい。)で表されるマレイミド基
を側鎖に有する重合体や、特開昭49−128991号
公報、同49−128992号公報、同49−1289
93号公報、同50−5376号公報、同50−537
7号公報、同50−5379号公報、同50−5378
号公報、同50−5380号公報、同53−5298号
公報、同53−5299号公報、同53−5300号公
報、同50−50107号公報、同51−47940号
公報、同52−13907号公報、同50−45076
号公報、同52−121700号公報、同50−108
84号公報、同50−45087号公報、独国特許第
2,349,948号明細書、同第2,616,276
号明細書に記載されている下記一般式(IV):
【0444】
【化51】
【0445】(式中、R5 は、芳香族基を表し、R
6 は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはシア
ノ基を表す。)で表されるマレイミド基を側鎖に有する
重合体等を挙げることができる。これらの重合体の平均
分子量は1000以上、好ましくは1〜10万である。
これらの重合体は1分子あたり平均2個以上のマレイミ
ド基を側鎖に有する。これらのマレイミド基を側鎖に有
する重合体の中でも、特に酸基を有する重合体が、現像
時アルカリ水を用いることができ、公害防止の観点から
有利である。酸基を有するマレイミド基含有重合体の酸
価は20〜300の範囲が好ましく、更に好ましくは5
0〜200の範囲である。特にこれらの酸価を有する重
合体の中でもディー・アンゲバンドゥテ・マクロモレク
ラーレ・ケミー128(1984)p.71−91に記
載されているようなN−〔2−(メタクリロイルオキ
シ)エチル〕−2,3−ジメチルマレイミドと、メタク
リル酸またはアクリル酸との共重合体が有用である。こ
の共重合体の合成に際して第3成分のビニルモノマーを
共重合することによって目的に応じた多元共重合体を容
易に合成することができる。例えば、第3成分のビニル
モノマーとして、そのホモポリマーのガラス転移点が室
温以下のアルキルメタクリレートやアルキルアクリレー
トを用いることによって共重合体に柔軟性を与えること
ができる。
【0446】この他、本発明に用いる光二量化可能な不
飽和結合を有する光架橋性重合体としては、下記一般式
(V)または(VI)で表される基を少なくとも2個有
する重合体が挙げられる。 A−(CH=CH)7 −CH=C(X)−CO− (V) B−CO−C(Y)=CH−(CH=CH)n −C6 4 − (VI) (式中、Aは、アリール基、置換アリール基、フリル基
またはチエニル基を表し、Bは、アルコキシ基、アリー
ル基、置換アリール基またはアルキル基を表し、Xは、
−H、−CN、ハロゲン原子、フェニル基またはアルキ
ル基を表し、Yは、−H、−CN、ハロゲン原子、フェ
ニル基またはアルキル基を表し、nは、0または1を表
す)。
【0447】一般式(V)または(VI)で表される基
を側鎖として少なくとも2個有する重合体の具体例は、
上記一般式(V)または(VI)で表される基を含有す
るアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルまたはビ
ニルエーテル化合物の単独重合体、これらの2種以上の
共重合体、および必要に応じて他の付加重合性ビニルモ
ノマーと共重合させた共重合体がある。一般式(V)ま
たは(VI)で表される基を含有するアクリル酸エステ
ル、メタクリル酸エステルまたはビニルエーテル化合物
としては英国特許第949,919号明細書、特公昭4
5−36755号公報、特公昭46−4603号公報、
特開昭47−34794号公報、特公昭49−1435
2号公報、特公昭49−28122号公報、特開昭49
−36794号公報、特開昭49−103975号公
報、特公昭50−11283号公報、特公昭50−24
621号公報、特公昭51−481号公報、特公昭55
−44930号公報、特公昭56−37244号公報、
特公昭56−52923号公報、特公昭57−2848
8号公報等に記載されているものを挙げることができ
る。これらのうち好ましいものは側鎖にケイ皮酸エステ
ル基を含有するポリアクリル酸エステル、ポリメタクリ
ル酸エステル、またはポリビニルエーテル化合物等が挙
げられる。これらの感光性高分子化合物の好適な分子量
範囲は2,000〜1,000,000である。より好
ましくは10,000〜200,000である。
【0448】この他、主鎖に光二量化可能な不飽和二重
結合を有する架橋性重合体としては、フェニレンジアク
リル酸またはそのアルキルエステルとグリコールとの縮
合によって製造された感光性ポリエステルが挙げられ、
これは高い感光性を有する。これらのポリマーを、アル
カリ性水溶液に可溶化する試みも多く、例えば、特開昭
60−191244号公報には、側鎖にカルボキシル基
を導入した感光性高分子化合物等からなるアルカリ水現
像可能な感光性組成物が記載されている。この他、米国
特許第2,861 ,058号明細書には、ポリビニルア
ルコールの水酸基にケイ皮酸クロライドと酸無水物とを
反応させて、感光性と同時にアルカリ水可溶性を付与し
たものを得る方法、米国特許第2,835,656号明
細書には無水マレイン酸とスチレンとの共重合体に、β
−ヒドロキシエチルケイ皮酸エステルを反応させる方
法、米国特詐第3,357,831号明細書にはケイ皮
酸アクリルエステル系共重合体にメタアクリル酸を導入
する方法、米国特許第3,702,765号明細書には
フェノキシ樹脂に、p−フェニレンジアクリル酸モノエ
チルエステルをエステル化し、後に加水分解する方法、
特開昭63−218945号公報には、不飽和二重結合
の一部に活性メルカプトカルボン酸を付加する方法など
種々の方法が記載されている。
【0449】これらの感光性重含体の含有量は、感光層
の全質量に対して、20〜99質量%、好ましくは50
〜99質量%であるのが適当である。本発明に用いられ
る光架橋性組成物に用いられる増感剤としては、300
nm以上の範囲で実際に十分な光吸収を可能にするよう
な極大吸収を有する三重項増感剤が好ましい。このよう
な増感剤としては、ベンゾフェノン誘導体、ベンズアン
スロン誘導体、キノン類、アントラキノン類、芳香族ニ
トロ化合物、ナフトチアゾリン誘導体、ベンゾチアゾリ
ン誘導体、キサントン類、ナフトチアゾール誘導体、ケ
トクマリン化合物、ベンゾチアゾール誘導体、ナフトフ
ラノン化合物、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合
物、フルオレノン化合物、ピリリウム塩、チアピリリウ
ム塩等を挙げることができる。具体的にはミヒラーケト
ン、N,N′−ジエチルアミノベンゾフェノン、ベンズ
アンスロン、(3−メチル−1,3−ジアザ−1 ,9−
ベンズ)アンスロンピクラミド、5−ニトロアセナフテ
ン、2−ニトロフルオレン、2−ジベンゾイルメチレン
−3−メチルナフトチアゾリン、3,3−カルボニル−
ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、2,4,6−ト
リフェニルチアピリリウムパークロレート、2−(p−
クロルベンゾイル)ナフトチアゾール、ベンゾイン、ベ
ンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、
2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、9
−フルオレノン、2−クロロ−9−フルオレノン、2−
メチル−9−フルオレノン、9,10−アントラキノ
ン、2−エチル−9,10−アントラキノン、2−t−
ブチル−9,10−アントラキノン、2,6−ジクロロ
−9,10−アントラキノン、キサントン、2−メチル
キサントン、2−メトキシキサントン、ジベンザルアセ
トン、p−(ジメチルアミノ)フェニルスチリルケト
ン、p−(ジメチルアミノ)フェニル−p−メチルスチ
リルケトン等が挙げられる。
【0450】更に、チオキサントン誘導体、例えば、2
−クロルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサン
トン、ジメチルチオキサントン等や、独国特許第3,0
18,891号明細書および同3,117,568号な
らびに欧州特許第33720号明細書ならびに英国特許
第2,075,506号明細書に記載されているような
置換されたチオキサントン類を用いるのがよい。更に、
メロシアニン色素類、例えば、2−(ヘテロサイクリル
カルボニルメチレン)ベンゾ(またはナフト)−チアゾ
リン、2−(ジヘテロサイクリルカルボニルメチレン)
ベンゾ(またはナフト)チアゾリン、2−ジベンゾイル
メチレンベンゾ(またはナフト)チアゾリン類で、具体
的には、特公昭52−129791号公報に記載されて
いる2−〔ビス(2−フロイル)メチレン〕−3−メチ
ルベンゾチアゾリン、2−〔ビス(2−テノイル)メチ
レン〕−3−メチルベンゾチアゾリン、2−〔ビス(2
−フロイル)メチレン〕−3−メチルベンゾチアゾリ
ン、2−〔ビス(2−フロイル)メチレン〕−3−メチ
ルナフトチアゾリン、2−(2−フロイル)メチレン−
3−メチルベンゾチアゾリン、2−ベンゾイルメチレン
−3−メチルベンゾチアゾリン、2−ビス(ベンゾイル
メチレン)ベンゾチアゾリン、2−ビス(ベンゾイルメ
チレン)ナフトチアゾリンや、特公昭45−8832号
公報に記載されている、チオバルビツール酸環を有する
チアゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベ
ンゾセレナゾール系の増感色素、特開平3−54566
号公報および特開平6−107718号公報に記載され
ている増感剤も有用である。
【0451】本発明に用いられる感光性組成物は、組成
物中にジアゾ樹脂を含むことが好ましい。ジアゾ樹脂と
しては下記一般式(VII)で示される芳香族ジアゾニ
ウム化合物が挙げられる。
【0452】
【化52】
【0453】式中、R1 は、水素原子、アルキル基、ア
ルコキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシエステル基また
はカルボキシ基を示し、好ましくは水素原子、炭素数1
〜5個のアルキル基またはヒドロキシ基を示す。R
2 は、水素原子、アルキル基またはアルコキシ基を示
し、好ましくは水素原子を示す。R3 は、水素原子、ア
ルキル基またはアルコキシ基を示し、好ましくは水素原
子を示す。X- は、アニオンを示し、好ましくはpKa
が4以下の無機酸または有機酸のアニオンを示す。具体
的には、ハロゲン化水素酸、例えば、フッ化水素酸、塩
化水素酸、塩化水素酸−塩化亜鉛コンプレックス、臭化
水素酸、硫酸、硝酸、リン酸(5価のリン)、特にオル
トリン酸、無機イソ−およびヘテロ多酸、例えば、リン
タングステン酸、リンモリブデン酸、脂肪族または芳香
族ホスホン酸あるいはその半エステル、アルソン酸、ホ
スフィン酸、トリフルオロ酢酸などのフルオロカルボン
酸、アミドスルホン酸、セレン酸、ホウフッ化水素酸、
ヘキサフルオロリン酸、過塩素酸、更に脂肪族および芳
香族スルホン酸、例えば、メタンスルホン酸、トリフル
オロメタンスルホン酸などのフルオロアルカンスルホン
酸、ラウリルスルホン酸、ジオクチルスルホコハク酸、
ジシクロヘキシルスルホコハク酸、カンファースルホン
酸、トリルオキシ−3−プロパンスルホン酸、ノニルフ
ェノキシ−3−プロパンスルホン酸、ノニルフェノキシ
−4−ブタンスルホン酸、ジブチルフェノキシ−3−プ
ロパンスルホン酸、ジアミルフェノキシ−3−プロパン
スルホン酸、ジノニルフェノキシ−3−プロパンスルホ
ン酸、ジブチルフェノキシ−4−ブタンスルホン酸、ジ
ノニルフェノキシ−4−ブタンスルホン酸、ベンゼンス
ルホン酸、トルエンスルホン酸、メシチレンスルホン
酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、2,5−ジクロロ
ベンゼンスルホン酸、スルホサリチル酸、2,5−ジメ
チルベンゼンスルホン酸、p−アセチルベンゼンスルホ
ン酸、5−ニトロ−o−トルエンスルホン酸、2−ニト
ロベンゼンスルホン酸、3−クロロベンゼンスルホン
酸、3−ブロモベンゼンスルホン酸、2−クロロ−5−
ニトロベンゼンスルホン酸、ブチルベンゼンスルホン
酸、オクチルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンス
ルホン酸、ブトキシベンゼンスルホン酸、ドデシルオキ
シベンゼンスルホン酸、2−メトキシ−4−ヒドロキシ
−5−ベンゾイルべンゼンスルホン酸、イソプロピルナ
フタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸、ヘ
キシルナフタレンスルホン酸、オクチルナフタレンスル
ホン酸、ブトキシナフタレンスルホン酸、ドデシルオキ
シナフタレンスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン
酸、ジオクチルナフタレンスルホン酸、トリイソプロピ
ルナフタレンスルホン酸、トリブチルナフタレンスルホ
ン酸、1−ナフトール−5−スルホン酸、ナフタリン−
1−スルホン酸、ナフタリン−2−スルホン酸、1,8
−ジニトロ−ナフタリン−3,6−ジスルホン酸、4,
4′−ジアジド−スチルベン−3,3′−ジスルホン
酸、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホ
ン酸、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スル
ホン酸および1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4
−スルホン酸のアニオンまたはこれらのアニオンの混合
物が含まれる。Yは−NH−、−O−または−S−を示
し、好ましくは−NH−を示す。
【0454】上記一般式(VII)で示される芳香族ジ
アゾニウム化合物の具体例としては、4−ジアゾジフェ
ニルアミン、4′−ヒドロキシ−4−ジアゾジフェニル
アミン、4′−メチル−4−ジアゾジフェニルアミン、
4′−エチル−4−ジアゾジフェニルアミン、4′−n
−プロピル−4−ジアゾジフェニルアミン、4′−i−
プロピル−4−ジアゾジフェニルアミン、4′−n−ブ
チル−4−ジアゾジフェニルアミン、4′−ヒドロキシ
メチル−4−ジアゾジフェニルアミン、4′−β−ヒド
ロキシエチル−4−ジアゾジフェニルアミン、4′−γ
−ヒドロキシプロピル−4−ジアゾジフェニルアミン、
4′−メトキシメチル−4−ジアゾジフェニルアミン、
4′−エトキシメチル−4−ジアゾジフェニルアミン、
4′−β−メトキシエチル−4−ジアゾジフェニルアミ
ン、4′−β−エトキシエチル−4−ジアゾジフェニル
アミン、4′−カルボキシ−4−ジアゾジフェニルアミ
ン、3−メチル−4−ジアゾジフェニルアミン、3−エ
チル−4−ジアゾジフェニルアミン、3′−メチル−4
−ジアゾジフェニルアミン、3,3′−ジメチル−4−
ジアゾジフェニルアミン、2′−カルボキシ−4−ジア
ゾジフェニルアミン、4−ジアゾジフェニルエーテル、
4′−メチル−4−ジアゾジフェニルエーテル、3,
4′−ジメチル−4−ジアゾジフェニルエーテル、4′
−カルボキシ−4−ジアゾジフェニルエーテル、3,
3′−ジメチル−4−ジアゾジフェニルエーテル、4−
ジアゾジフェニルスルフィド、4′−メチル−4−ジア
ゾジフェニルスルフィド等の塩が挙げられる。このう
ち、特に好ましい芳香族ジアゾニウム化合物は、4−ジ
アゾジフェニルアミン塩である。
【0455】この他に、必要により結合剤、可塑剤等を
含有させることができる。結合剤の具体例としては、塩
素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリアクリ
ル酸アルキルエステル、アクリル酸アルキルエステル、
アクリロニトリル、塩化ビニル、スチレン、ブタジエン
などのモノマーの少なくとも1種との共重合体、ポリア
ミド、メチルセルロース、ポリビニルホルマール、ポリ
ビニルブチラール、メタクリル酸共重合体、アクリル酸
共重合体、イタコン酸共重合体等がある。
【0456】可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジ
ヘキシルフタレート等フタル酸ジアルキルエステル、オ
リゴエチレングリコールアルキルエステル、リン酸エス
テル系の可塑剤等を使用することができる。場合によっ
ては感光層の着色を目的として、染料もしくは顔料や焼
出し剤としてpH指示薬、塗布性を改良するためのフッ
素系界面活性剤やセルロースアルキルエーテル等を添加
することもできる。
【0457】更に、感光層中には、熱重合防止剤や酸化
防止剤を配合してもよく、例えば、ハイドロキノン、p
−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾー
ル、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノ
ン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチル
フェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−
t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンゾイミダ
ゾール等が有用なものとして挙げられる。
【0458】本発明における感光性平版印刷版は、前記
の各感光性組成物の成分を溶解する溶媒に溶かして支持
体上に塗布することによって得られる。前述したよう
に、上記溶媒は、中間層に含有される水不溶、かつアル
カリ可溶性の高分子化合物を溶解しないものが選択され
る。具体的には、例えば、γ−ブチロラクトン、エチレ
ンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケト
ン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレン
グリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルア
セテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メト
キシ−2−プロピルアセテート、トルエン、酢酸エチ
ル、乳酸メチル、乳酸エチル、ジメチルスルホキシド、
ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、水、N
−メチルピロリドン、テトラヒドロフルフリルアルコー
ル、アセトン、ジアセトンアルコール、メタノール、エ
タノール、イソプロパノール、ジエチレングリコールジ
メチルエーテルおよびこれらの溶媒の混合物から適切に
選択して使用することができる。
【0459】上記成分の濃度(固形分)は、2〜50質
量%が適当である。塗布量としては0.5〜4.0g/
2 であるのが好ましい。0.5g/m2 よりも少ない
と耐刷性が劣化する。4.0g/m2 よりも多いと耐刷
性は向上するが、感度が低下してしまう。
【0460】本発明に用いられる感光性組成物には、塗
布法を良化するための界面活性剤、例えば、特開昭62
−170950号公報に記載されているようなフッ素系
界面活性剤を添加することができる。好ましい添加量
は、全感光性組成物の0.01〜1質量%であり、更に
好ましくは0.05〜0.5質量%である。以上のよう
にして得られた平版印刷版では原画フィルムに対して忠
実な印刷物を得ることができるが焼きボケおよび印刷物
のがさつき感が悪い。焼きボケを改良する方法としてこ
のようにして設けられた感光量の表面を凹凸にする方法
がある。例えば、特開昭61−258255号公報に記
載されているように感光液中に数μmの粒子を添加し、
それを塗布する方法があるがこの方法では焼ボケの改良
効果も小さく、かつ、がさつき感は全く改良されない。
【0461】ところが、例えば、特開昭50−1258
05号公報、特公昭57−6582号公報、同61−2
8986号公報および同62−62337号公報に記載
されているような感光量の表面に凹凸となる成分をつけ
る方法を用いると焼きボケは改良され、更に印刷物のが
さつき感が良化する。更に、特公昭55−30619号
公報に記載されているように感光物の感光波長領域に吸
収を持つ光吸収剤をマット層中に含有させると焼きボケ
およびがさつき感が更に良化する。また1インチ175
線の線数からなる原画フィルムよりも焼きボケしやす
く、印刷物のがさつき感が出やすい1インチ300線以
上の線数からなる原画フィルムおよびFMスクリーニン
グにより得られた原画フィルムを用いても良好な印刷物
を得ることができる。以上のように感光性印刷版の感光
層表面に設けられた微少パターンは次のようなものが好
ましい。即ち、塗布部分の高さは1〜40μm、特に2
〜20μmの範囲が好ましく、大きさ(幅)は10〜1
0000μm、特に20〜200μmの範囲が好まし
い。また量は1〜1000個/mm2 、好ましくは5〜
500個/mm2 の範囲である。
【0462】<平版印刷版原版の平面性>記録層を設け
て得られた平版印刷版原版は、200mm×200mm
から1500mm×2100mmまでの程度の大きさの
長方形のカットシートとして定盤上に置いた場合に、各
辺において、浮き上がり部(歪み)の最大高さが2.0
mm以下、浮き上がり部(歪み)の数が5個以下、浮き
上がり部(歪み)の高さの合計が4.0mm以下となる
のが好ましい。上記範囲であると、焼付け工程や現像工
程において各装置を通る際の引っかかり等の搬送不良を
回避することができる。上記範囲を外れると、平版印刷
版原版の端部に歪みが発生し、平版印刷版原版の製造工
程において塗布ムラが発生しやすくなり、また、搬送不
良が生じやすい。
【0463】<平版印刷版の処理方法>本発明の平版印
刷版原版は、記録層に応じた種々の処理方法により、平
版印刷版とされる。以下に、本発明に好適に用いられる
方法を例示する。 (1)実質的にアルカリ金属ケイ酸塩を含有しない現像
液を用いて現像する方法表面のSi原子付着量が0.1
〜8mg/m2 である本発明の平版印刷版用支持体から
得られる本発明の平版印刷版原版は、以下のようにし
て、実質的にアルカリ金属ケイ酸塩を含有しない現像液
を用いて現像する方法により、平版印刷版とすることが
できる。なお、本方法については、特開平11−109
637号公報に詳細に記載されており、本発明において
は、該公報に記載されている内容を用いることができ
る。
【0464】露光 本方法においては、現像処理の前に、像露光を行う。像
露光に用いられる活性光線の光源としては、例えば、カ
ーボンアーク灯、水銀灯、メタルハライドランプ、キセ
ノンランプ、タングステンランプ、ケミカルランプが挙
げられる。放射線としては、例えば、電子線、X線、イ
オンビーム、遠赤外線、g線、i線、Deep−UV
光、高密度エネルギービーム(レーザビーム)が挙げら
れる。レーザビームとしては、例えば、ヘリウム・ネオ
ンレーザ(He−Neレーザ)、アルゴンレーザ、クリ
プトンレーザ、ヘリウム・カドミウムレーザ、KrFエ
キシマーレーザ、半導体レーザ、YAGレーザ、YAG
−SHGレーザが挙げられる。
【0465】現像 上記露光の後、実質的にアルカリ金属ケイ酸塩を含有し
ない現像液を用いて現像を行うのが好ましい。本方法に
用いられる好ましい現像液は、実質的にアルカリ金属ケ
イ酸塩を含有しない現像液であれば特に限定されない
が、実質的に有機溶剤を含有しないアルカリ性の水溶液
であるのが好ましい。ただし、必要により有機溶剤を含
有してもよい。また、この現像液は、糖類を含有するの
が好ましい。例えば、主成分として、非還元糖から選ば
れる少なくとも一つの化合物と、少なくとも一種の塩基
とを含有し、pH9.0〜13.5である現像液が挙げ
られる。更に、現像液は、現像性の促進、現像カスの分
散および平版印刷版の画像部の親インキ性の向上の目的
で、必要に応じて、種々の界面活性剤を含有することが
できる。本発明においては、アニオン性界面活性剤、カ
チオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤および両性
界面活性剤のいずれも用いることができる。また、現像
液は、種々の現像安定化剤を含有することができる。ま
た、現像液は、平版印刷版の汚れを防止する目的で、還
元剤を含有することができる。特に、感光性ジアゾニウ
ム塩化合物を含むネガ型感光層を有する平版印刷版原版
を現像する際に有効である。また、現像液は、有機カル
ボン酸を含有することができる。
【0466】(2)露光後、インキおよび/または湿し
水を用いて現像する方法 機上現像タイプの記録層を有する本発明の平版印刷版原
版は、露光後、現像液で処理することなく印刷機のシリ
ンダーに装着し、シリンダーを回転させながらインキお
よび/または湿し水を供給することによって、平版印刷
版原版の非画像部を除去する方法(機上現像)により平
版印刷版とすることができる。また、特許第29383
98号明細書に記載されているように、印刷機シリンダ
ー上に取りつけた後に、印刷機に搭載されたレーザーに
より露光し、その後にインキおよび/または湿し水をつ
けて機上現像することも可能である。これらの場合、印
刷機上でインキおよび/または湿し水により記録層が除
去されるので、別個の現像工程を必要とせず、また、現
像後、印刷のために印刷機を止める必要もなく、現像が
終わり次第、引き続き印刷を行うことができる。露光の
方法としては、実質的にアルカリ金属ケイ酸塩を含有し
ない現像液を用いて現像する方法に用いられるのと同様
の方法が挙げられる。
【0467】(3)トナー現像 暗所で実質的に一様に帯電し、画像露光により静電潜像
を形成させる。露光方法としては、例えば、半導体レー
ザ、He−Neレーザ等による走査露光、キセノンラン
プ、タングステンランプ、蛍光灯等を光源とする反射画
像露光、透明陽画フィルムを通した密着露光が挙げられ
る。つぎに、上記静電潜像をトナーによって現像する。
現像法としては、従来公知の方法、例えば、カスケード
現像、磁気ブラシ現像、パウダークラウド現像、液体現
像を用いることができる。中でも、液体現像が、微細な
画像を形成することが可能である点で、好ましい。後述
する実施例においては、暗所でコロナ帯電機により表面
電位+400Vに帯電させた後、半導体レーザ(780
nm)で走査露光し、これをアイソパー(エッソスタン
ダード社製)1L中に、トナー粒子としてポリメチルメ
タクリレート粒子(粒子サイズ0.3μm)5gを分散
させ、荷電調節剤としてナフテン酸ジルコニウム0.0
1gを添加して調製した液体現像剤を用い、+250V
のバイアス電圧を対向電極に印加し、反転現像すること
により、鮮明なポジ画像を得ることができた。更に、作
成した画像を120℃で2分間加熱し、トナーを定着さ
せた。
【0468】(4)露光後の現像を行わない方法 半導体レーザ(830nm)を走査露光することで、画
像部をアブレージョンさせ、下層にある非画像部を露出
させることで、特別な現像を行わずに、画像部と非画像
部との区別を生じさせる。
【0469】つぎに、現像液について具体的に説明す
る。本発明においては、現像液は特に限定されず、記録
層の種類に応じて、従来公知の現像液を用いることがで
きる。
【0470】<現像液1(アルカリ金属ケイ酸塩を実質
的に含有せず、かつ、糖類を含有する現像液)>現像液
1は、非シリケート系アルカリ現像処理液である。非シ
リケート系アルカリ現像処理液は、アルカリ性の水溶液
であって、非還元糖と塩基(ケイ酸塩を除く。)とを主
成分とする現像液である。非還元糖と塩基(ケイ酸塩を
除く。)の構成としては、特開平8−160631号公
報、特開平8−234447号公報および特開平8−3
05039号公報に記載されているものが適当である。
非シリケート系アルカリ現像処理液は、pH9.0〜1
4.0であるのが一般的である。
【0471】この非還元糖と塩基とを含有するアルカリ
水溶液において、「非還元糖」とは、遊離性のアルデヒ
ド基やケトン基を持たないために還元性を有しない糖類
を意味する。非還元糖は、還元基同士の結合したトレハ
ロース型少糖類と、糖類の還元基と非糖類が結合した配
糖体と、糖類に水素添加して還元した糖アルコールとに
分類され、これらのいずれも好適に用いることができ
る。
【0472】上記トレハロース型少糖類としては、例え
ば、サッカロース、トレハロースが挙げられる。上記配
糖体としては、例えば、アルキル配糖体、フェノール配
糖体、カラシ油配糖体等が挙げられる。上記糖アルコー
ルとしては、例えば、D,L−アラビット、リビット、
キシリット、D,L−ソルビット、D,L−マンニッ
ト、D,L−イジット、D,L−タリット、ズリシッ
ト、アロズルシット等;二糖類の水素添加で得られるマ
ルチトール、オリゴ糖の水素添加で得られる還元体(還
元水あめ)等が挙げられる。上述した非還元糖の中で
も、糖アルコール、サッカロースが好ましく、D−ソル
ビット、サッカロース、還元水あめが適度なpH領域に
緩衝作用がある点および低価格である点でより好まし
い。これらの非還元糖は、単独で用いてもよく、2種以
上を組み合わせて用いてもよい。アルカリ水溶液におけ
る非還元糖の含有量は、0.1〜30質量%であるのが
好ましく、1〜20質量%であるのがより好ましい。含
有量が少なすぎると、十分な緩衝作用が得られない。ま
た、含有量が多すぎると、高濃縮化しにくく、また、原
価アップの問題が出てくる。なお、還元糖を塩基と組み
合わせて使用した場合、経時的に褐色に変色し、pHも
徐々に下がり、よって現像性が低下するという問題点が
ある。
【0473】上記非還元糖と組み合わせて用いられる塩
基としては、従来公知のアルカリ剤を適宜選択すること
ができる。アルカリ剤としては、例えば、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、リン酸三ナト
リウム、リン酸三カリウム、リン酸三アンモニウム、リ
ン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸二アンモ
ニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニ
ウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水
素アンモニウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、
ホウ酸アンモニウム等の無機アルカリ剤、クエン酸カリ
ウム、クエン酸三カリウム、クエン酸ナトリウム等が挙
げられる。アルカリ剤としては、更に、モノメチルアミ
ン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルア
ミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプ
ロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピ
ルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、
ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソ
プロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチ
レンイミン、エチレンジアミン、ピリジン等の有機アル
カリ剤も好適に挙げられる。これらは単独で用いてもよ
く、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0474】中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ムが好ましい。これらを用いると、非還元糖に対する添
加量を調整することにより、広いpH領域においてpH
調整が可能となるためである。また、リン酸三ナトリウ
ム、リン酸三カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム
等もそれ自身に緩衝作用があるので好ましい。
【0475】これらのアルカリ剤は、現像液がpH9.
0〜14.0になるように添加される。その添加量は所
望のpHおよび非還元糖の種類と添加量によって決めら
れる。現像液1は、pH10.0〜13.5であるのが
好ましく、pH10.0〜13.2であるのがより好ま
しい。なお、現像液1においては、非還元糖と塩基との
組み合わせに代えて、非還元糖のアルカリ金属塩を主成
分として用いることもできる。この非還元糖塩は、非還
元糖とアルカリ金属水酸化物とを混合し、該非還元糖の
融点以上に加熱し、脱水する方法、または、非還元糖と
アルカリ金属水酸化物との混合水溶液を乾燥させる方法
によって得ることができる。
【0476】現像液1には、更に、特開平8−1606
31号公報および特開平8−134447号公報に記載
されている、糖類以外の弱酸と強塩基とからなるアルカ
リ性緩衝液を併用することができる。このような緩衝液
として用いられる弱酸としては、解離定数(pKa )が
10.0〜13.2のものが好ましい。このような弱酸
としては、PergamonPress社発行の「IO
NISATION CONSTANTS OF ORG
ANIC ACIDS IN AQUEOUS SOL
UTION」に記載されているもの等から選ぶことがで
きる。例えば、2,2,3,3,−テトラフルオロプロ
パノール−1(pKa12.74)、トリフルオロエタ
ノール(同12.37)、トリクロロエタノール(同1
2.24)等のアルコール類;ピリジン−2−アルデヒ
ド(同12.68)、ピリジン−4−アルデヒド(同1
2.05)等のアルデヒド類;サリチル酸(同13.
0)、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(同12.8
4)、カテコール(同12.6)、没食子酸(同12.
4)、スルホサリチル酸(同11.7)、3,4−ジヒ
ドロキシスルホン酸(同12.2)、3,4−ジヒドロ
キシ安息香酸(同11.94)、1,2,4−トリヒド
ロキシベンゼン(同11.82)、ハイドロキノン(同
11.56)、ピロガロール(同11.34)、o−ク
レゾール(同10.33)、レゾルソノール(同11.
27)、p−クレゾール(同10.27)、m−クレゾ
ール(同10.09)等のフェノール性水酸基を有する
化合物;
【0477】2−ブタノンオキシム(同12.45)、
アセトキシム(同12.42)、1,2−シクロヘプタ
ジオンヂオキシム(同12.3)、2−ヒドロキシベン
ズアルデヒドオキシム(同12.10)、ジメチルグリ
オキシム(同11.9)、エタンジアミドジオキシム
(同11.37)、アセトフェノンオキシム(同11.
35)等のオキシム類;アデノシン(同12.56)、
イノシン(同12.5)、グアニン(同12.3)、シ
トシン(同12.2)、ヒポキサンチン(同12.
1)、キサンチン(同11.9)等の核酸関連物質;ジ
エチルアミノメチルホスホン酸(同12.32)、1−
アミノ−3,3,3−トリフルオロ安息香酸(同12.
29)、イソプロピリデンジホスホン酸(同12.1
0)、1,1−エチリデンジホスホン酸(同11.5
4)、1,1−エチリデンジホスホン酸1−ヒドロキシ
(同11.52)、ベンズイミダゾール(同12.8
6)、チオベンズアミド(同12.8)、ピコリンチオ
アミド(同12.55)、バルビツル酸(同12.5)
等の弱酸が挙げられる。中でも、スルホサリチル酸、サ
リチル酸が好ましい。
【0478】アルカリ性緩衝液において、これらの弱酸
に組み合わせられる強塩基としては、例えば、水酸化ナ
トリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸
化リチウムが好適に挙げられる。これらの強塩基は、単
独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。このよ
うなアルカリ緩衝液は、濃度および組み合わせにより、
pHを好ましい範囲内に調整して使用される。
【0479】非シリケート系アルカリ現像処理液である
現像液1は、上述したように、非還元糖と塩基( ケイ酸
塩を除く。) とを含有するが、そのカチオン成分として
従来、Li+ 、Na+ 、K+ 、NH4 + が用いられてい
る。中でも、イオン半径の小さいカチオンを多く含有す
る場合には、非画像部の記録層への浸透性が高く現像性
に優れる一方、画像部の記録層まで溶解して画像欠陥を
生ずる。したがって、従来、アルカリ濃度を上げる方法
には、ある程度の限度があり、画像部に欠陥を生ずるこ
となく、かつ、非画像部に記録層(残膜)が残存しない
ように完全に処理するためには、微妙な液性条件の設定
が要求されていた。しかし、前記カチオン成分として、
そのイオン半径の大きいカチオンを用いることにより、
記録層中への現像液の浸透性を抑制することができ、ア
ルカリ濃度、即ち、現像性を低下させることなく、画像
部の溶解抑止効果をも向上させることができる。前記カ
チオン成分としては、上記アルカリ金属カチオン、アン
モニウムイオン、その他のカチオンを用いることができ
る。
【0480】現像液1には、更に現像性能を高める目的
で、以下のような添加剤を加えることができる。例え
ば、特開昭58−75152号公報に記載のNaCl、
KCl、KBr等の中性塩、特開昭58−190952
号公報に記載のEDTA、NTA等のキレート剤、特開
昭59−121336号公報に記載の[Co(NH3
6 ]Cl3、CoCl2 ・6H2 O等の錯体、特開昭5
0−51324号公報に記載のアルキルナフタレンスル
ホン酸ソーダなどのアニオン界面活性剤、米国特許第
4,374,920号明細書に記載のテトラメチルデシ
ンジオールなどの非イオン性界面活性剤、特開昭55−
95946号公報に記載のp−ジメチルアミノメチルポ
リスチレンのメチルクロライド第四級化合物などのカチ
オニックポリマー、特開昭56−142528号公報に
記載のビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライ
ドとアクリル酸ソーダとの共重合体等の両性高分子電解
質、特開昭57−192951号公報に記載の亜硫酸ソ
ーダ等の還元性無機塩、特開昭58−59444号公報
に記載の塩化リチウム等の無機リチウム化合物、特開昭
59−75255号公報に記載の有機Si、Ti等を含
む有機金属界面活性剤、特開昭59−84241号公報
に記載の有機ホウ素化合物、欧州特許第101,010
号明細書に記載のテトラアルキルアンモニウムオキサイ
ド等の第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0481】<現像液2(アルカリ金属ケイ酸塩を含有
する現像液)>現像液2は、現像安定性および現像処理
能力に優れ、発泡性が低く、かつ、自動現像機に使用す
るのに適した現像液であり、SiO2 /M2 O(Mはア
ルカリ金属を表す。)の比が0.6〜2.0のアルカリ
金属ケイ酸塩と、酸またはアルコールに4モル以上のエ
チレンオキシドを付加して得られる水溶性エチレンオキ
シド付加化合物とを含有することを特徴とする。この現
像液2は、o−キノンジアジド化合物を含有する記録層
を有する平版印刷版原版の現像処理に好適に用いられ
る。
【0482】アルカリ金属ケイ酸塩としては、例えば、
ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムが
挙げられる。これらは単独でまたは組み合せて用いられ
る。アルカリ金属ケイ酸塩のSiO2 /M2 Oモル比
(Mはアルカリ金属を表す。)は0.6〜2.0である
のが好ましく、0.8〜1.5であるのがより好まし
い。上記モル比が2.0を超えて大きくなるにつれて現
像性が低下する傾向がある。また、上記モル比が0.6
未満で小さくなるにつれてアルカリ強度が高くなってい
くので、平版印刷版用支持体をエッチングする弊害が生
じるようになる。
【0483】アルカリ金属ケイ酸塩の濃度は、現像液に
対して、1〜10質量%であるのが好ましく、1.5〜
5質量%であるのがより好ましい。10質量%を超える
と、沈澱や結晶が生成しやすくなり、また、廃液時の中
和に際してゲル化しやすくなるので廃液処理が煩雑とな
る。また、1質量%未満であると現像力、処理能力が低
くなる場合がある。
【0484】現像液2に使用される水溶性エチレンオキ
シド付加化合物は、脂肪族もしくは芳香族のアルコー
ル、ヒドロキシ化合物もしくは酸にエチレンオキシドを
付加縮合させて得られる化合物、または、これらに更に
スルホン酸もしくはスルホン酸塩基を結合させて得られ
る化合物である。脂肪族アルコールを使用する場合、ア
ルコールの炭素数は3以上であるのが好ましく、5以上
であるのがより好ましい。アルコールの例としては、n
−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−
ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブ
タノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコー
ル、3−ペンタノール、n−ヘキサノール、メチルアミ
ルアルコール、2−エチルブタノール、n−ヘプタノー
ル、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナ
ノール、n−デカノール、ウンデカノール、n−ドデカ
ノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、n−ド
デカノール、トリメチルノニルアルコール、テトヲデカ
ノール、ヘプタデカノール、シクロヘキサノール、ベン
ジルアルコール、2,6,8−トリメチル−4−ノナノ
ール、2−メチル−7−エチル−4−ウンデカノール、
5−エチル−2−ノナノール、3−エチル−6−ウンデ
カノール、3,9−ジエチル−6−ウンデカノール、
3,9−ジエチル−6−ウンデカノール、3,9−ジエ
チル−6−トリデカノール、トリデカノール、オレイル
アルコール、ラウリルアルコール、オクチルアルコー
ル、アセチルアルコール、トリメチレングリコール、ブ
タンジオール、1,5−ペンタンジオール、ヘキシレン
グリコール、オクチレングリコール、グリセリン等が挙
げられる。
【0485】芳香族ヒドロキシ化合物の例としては、p
−イソブチルフェノール、p−イソヘキシルフェノー
ル、p−イソオクチルフェノール、p−イソドデシルフ
ェノール、オクチルフェノール、ヘキサデシルフェノー
ル、アルキル(C6 〜C14)β−ナフトール、ジアルキ
ル(C6 〜C14)フェノール、β−ナフトール、p−フ
ェニルフェノール等が挙げられる。酸の例としては、吉
草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ベラルゴ
ン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデ
シル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン
酸、マルガリン酸、ステアリン酸等が挙げられる。
【0486】これらの化合物に、必要に応じて、更にプ
ロピレンオキシドをブロック共重合させたものも使用す
ることができる。
【0487】また、これらの化合物にスルホン酸塩基を
結合する方法は、例えば、特開昭59−195641号
公報に記載されている。これらの化合物は平版印刷版原
版の記録層に使用されているノボラック樹脂等ととも
に、現像過程においてゆるやかに画像部に付着して現像
液の画像部への侵入を緩慢にして現像ラチチュードの安
定化に効果を示すものと考えられる。エチレンオキシド
の付加が4モルより少ない場合は現像ラチチュード安定
化の効果が少ない。好ましいエチレンオキシドの付加量
は、6〜50モルであり、50モルを超えると現像速度
が遅くなり、または印刷時に版面のインキ付着性が悪く
なる場合がある。また、エチレンオキシドを15モル以
上付加すると自動現像機において発泡しやすくなるが、
プロピレンオキシドをブロック共縮合することでこの問
題を解決することができる。
【0488】記録層が、現像ラチチュードの狭いもので
ある場合には、エチレンオキシドの付加モル数の多い化
合物を使用することにより、所望の現像ラチチュードを
有する現像液が得られる。また、逆に、記録層の現像ラ
チチュードが比較的広いがまだ十分でないものの場合に
は、エチレンオキシドの付加モル数の少ない化合物を使
用することにより、所望の現像ラチチュードを有する現
像液が得られる。
【0489】水溶性エチレンオキシド付加化合物の含有
量は、現像液に対して、0.003〜10質量%である
のが好ましく、0.05〜5質量%であるのがより好ま
しい。
【0490】現像液2は、自動現像機において現像液の
温度を28〜40℃に上昇させ現像性を高める現像方法
においても、現像安定性を維持することができる。本発
明に用いられる現像液には更に下記記載の公知の化合物
を添加することができる。例えば、特開昭58−751
52号公報に記載のNaCl、KCl、KBr等の中性
塩、特開昭58−190952号公報に記載のEDT
A、NTA等のキレート剤、特開昭59−121336
号公報に記載の〔Co(NH3 6 〕Cl3等の錯体、
特開昭55−25100号公報に記載の周期律表2族
(第IIA族)、3族(第IIIA族)または13族
(第IIIB族)の元素のイオン化可能な化合物、特開
昭50−51324号公報に記載のアルキルナフタレン
スルホン酸ソーダ、N−テトラデシル−N、N−ジヒド
ロキシエチルペタイン等のアニオンまたは両性界面活性
剤、米国特許第4,374,920号明細書に記載のテ
トラメチルデシンジオール等、特開昭60−21394
3号公報に記載の非イオン性界面活性剤、特開昭55−
95946号公報に記載のp−ジメチルアミノメチルポ
リスチレンのメチルクロライド第四級化物等のカチオニ
ックポリマー、特開昭56−142528号公報に記載
のビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライドと
アクリル酸ソーダとの共重合体等の両性高分子電解質、
特開昭57−192952号公報に記載の亜硫酸ソーダ
等の還元性無機塩、チオサリチル酸、システィン、チオ
ジグリコール酸等のアルカリ可溶メルカプト化合物また
はチオエーテル化合物、特開昭58−59444号公報
に記載の塩化リチウム等の無機リチウム化合物、特公昭
50−34442号公報に記載の安息香酸リチウム等の
有機リチウム化合物、特開昭59−75255号公報に
記載のSi、Ti等を含む有機金属界面活性剤、特開昭
59−84241号公報に記載の有機ホウ素化合物、欧
州特許第101,010号明細書に記載のテトラアルキ
ルアンモニウムオキサイド等の第四級アンモニウム塩、
特願昭61−298534号明細書(特開昭63−22
6657号公報)に記載のデヒドロ酢酸ナトリウム等の
殺菌剤等があげられる。
【0491】更に、必要に応じて、水に対する溶解度が
10質量%以下である有機溶剤を併用することができ
る。例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、
酢酸アミル、酢酸ベンジル、エチレングリコールモノブ
チルアセテート、乳酸ブチル、レブリン酸ブチルのよう
なカルボン酸エステル;エチルブチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン、シクロヘキサノンのようなケトン類;
エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリ
コールベンジルエーテル、エチレングリコールモノフェ
ニルエーテル、ベンジルアルコール、メチルフェニルカ
ルビノール、n−アミルアルコール、メチルアミルアル
コールのようなアルコール類;キシレンのようなアルキ
ル置換芳香族炭化水素;メチレンジクロライド、エチレ
ンジクロライド、モノクロルベンゼンのようなハロゲン
化炭化水素等が挙げられる。これらの有機溶剤は単独で
用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、ベ
ンジルアルコールが特に好ましい。有機溶剤の含有量
は、現像液に対して、5質量%以下であるのが好まし
く、1〜4質量%であるのがより好ましい。
【0492】現像液2を用いる現像処理方法において
は、自動現像機を用いて現像することが有利であり、現
像液の劣化を現像補充液を補充する、いわゆる補充方式
で補償しながら行うことが好ましく、補充方式としては
公知の技術を用いることができる。例えば、特開昭55
−115039号公報に記載のPS版処理量と経時によ
り連続的または間欠的に補充する方法、特開昭58−9
5349号公報に記載の現像ゾーンの途中に記録層の溶
出度を測定するセンサーを設け、検出された溶出度に応
じて補充する方法、特願昭62−178457号明細書
(特開平1−21451号公報)および特願昭63−4
560号明細書(特開平1−180548号公報)に記
載の現像液のインピーダンスを測定し、検出されたイン
ピーダンス値をコンピュータ処理し、補充する方法等が
好適に用いられる。
【0493】<現像液3(アルカリ金属ケイ酸塩を実質
的に含有せず、かつ、エタノールアミン類を含有する現
像液)>現像液3は、(1)アニオン型界面活性剤と、
(2)硝酸のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩と、
(3)エタノールアミン類とを含有する。現像液3は、
感光性ジアゾ樹脂を含む光硬化性の記録層の現像処理に
好適に用いることができる。現像液3には、更に、
(4)有機溶剤、(5)亜硫酸のアルカリ金属塩または
アンモニウム塩、および/または、(6)ノニオン型界
面活性剤を含有させることができる。
【0494】(1)アニオン型界面活性剤としては、例
えば、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスル
ホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキ
ルスルホコハク酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホ
ルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エス
テル塩、アルキルジフエニルエーテルジスルホン酸塩等
を挙げることができる。このようなアニオン型界面活性
剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用するこ
とができる。アニオン型界面活性剤は、現像液3中に広
い濃度範囲で有効に使用でき、溶解性の許す範囲内で含
有させることができるが、含有量が0.1質量%未満で
あるとその効果が十分でなくなる。また、含有量が10
質量%を超えると、それ以上の効果上の改善が図れない
うえ、例えば、記録層に含まれる色素を画像領域からも
溶出させる色抜け現象や耐刷性劣化現象を伴なうことが
ある。したがって、一般的な目安としては、現像液に対
して、0.1〜10質量%であるのが好ましく、0.1
〜5質量%であるのがより好ましい。
【0495】(2)硝酸アルカリ金属塩またはアンモニ
ウム塩としては、例えば、硝酸ナトリウム、硝酸カリウ
ム、硝酸リチウム、硝酸ストロンチウム、硝酸アンモニ
ウム等が挙げられる。これらの含有量は、現像液に対し
て、0.05〜3質量%であるのが好ましく、0.1〜
1.0質量%であるのがより好ましい。
【0496】(3)エタノールアミン類としては、例え
ば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリ
エタノールアミンが挙げられる。これらは、現像液のp
Hが10〜11付近となるような濃度で使用されるのが
好ましい。具体的には、記録層に使用されるバインダー
等の種類に応じて最適のpH範囲となるように含有量が
決定される。
【0497】現像液3には、記録層の組成、例えば、感
光性ジアゾ樹脂やバインダーの種類に応じて、更に他の
成分を含有させておくことが有利である。 (4)有機溶剤は、感光性ジアゾ樹脂を含む記録層の組
成、特にバインダーとして含まれている疎水性樹脂の種
類に応じて使用されるものであり、例えば、ベンジルア
ルコール、n−アミルアルコール、メチルアミルアルコ
ール、メチルシクロヘキサノール、シクロヘキサノー
ル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレング
リコールモノベンジルエーテル、メチルフェニルカルビ
トール、エチレングリコールモノフェニルエーテル、シ
クロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、n−ブチル
エチルケトン等が挙げられる。特に好ましい有機溶剤
は、沸点が約130〜約300℃のものである。有機溶
剤は、使用するアニオン型界面活性剤により可溶化され
やすいものを選択する方が有利であり、特に好ましい条
件としては常温20℃付近で水に対する溶解性が10%
以下であるものが経済的に有利である。有機溶剤の含有
量は、現像液に対して、1.0〜8質量%であるのが好
ましく、3〜6質量%であるのがより好ましい。
【0498】(5)亜硫酸のアルカリ金属塩またはアン
モニウム塩としては、例えば、亜硫酸カリウム、亜硫酸
ナトリウム、亜硫酸リチウム、亜硫酸アンモニウム等が
挙げられる。これらの含有量は、現像液に対して、2質
量%以下であるのが好ましい。
【0499】(6)ノニオン型界面活性剤は、従来公知
のものを用いることができる。ノニオン型界面活性剤の
具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル
類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、
ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンア
ルキルエステル類、ポリオキシエチレン、ポリオキシプ
ロピレンブロックポリマー類等が挙げられる。中でも、
HLB値が7〜10付近であるものが好ましい。これら
の含有量は、現像液に対して、0.05〜5質量%であ
るのが好ましく、0.1〜3質量%であるのがより好ま
しい。
【0500】現像液3は、PS版自動現像機、バット、
タンク等を用い、または脱脂綿などに含浸させ、画像模
様に露光した平版印刷版原版に現像液を接触させ、必要
に応じて、同時に機械的に擦ることによって、20〜3
0秒後に記録層の露光領域(画像部)に、実質的に悪影
響を与えることなく、非露光域(非画像部)の記録層を
完全に除去することができる。
【0501】<現像液4>以下に、画像記録層C−1お
よびC−2の現像処理に好適に用いられる現像液の一例
を示すが、本発明はこれに限定されない。
【0502】(1)下記一般式(I)の非イオン性化合
物 A−W (I)
【0503】式中、AはA−HのlogPが1.5以上
の疎水性有機基を表し、WはW−HのlogPが1.0
未満の非イオン性の親水性有機基を表す。logPと
は、C.Hansch,A.Leo,“Substit
uentConstants for Correla
tion Analysis in Chemistr
y and Biology”,J.Wile&Son
s(1979)に記載の疎水性パラメータとして一般的
に使用されるものであり、目的とする分子(A−Hおよ
びW−H)のオクタノール/水2層系に対して、各層に
分配される割合から算出した平衡濃度比Pの対数として
定義される。ここでは、一般式(I)中のA,Wの各基
を特定する指標として使用しており、A、W各有機基に
便宜的に水素原子結合させた、A−H、W−H構造に対
して、A.K.Ghose et.al.,J.Com
put.Chem.,9,80(1988)に記載の方
法に基づき、既知データより計算し、求めたものであ
る。
【0504】具体的には、構造としては、有機基A、W
は互いに異なり、上述のlogPを満足する、1価の有
機残基を表す。より好ましくは、互いに同一でありまた
は異なり、水素原子、ハロゲン原子および置換基を有し
ていてもよく、かつ、不飽和結合を含んでいてもよい、
炭化水素基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、置換オキシ
基、メルカプト基、置換チオ基、アミノ基、置換アミノ
基、置換カルボニル基、カルボキシラート基、スルホ
基、スルホナト基、置換スルフィニル基、置換スルホニ
ル基、ホスホノ基、置換ホスホノ基、ホスホナト基、置
換ホスホナト基、シアノ基またはニトロ基を表す。
【0505】上記置換基を有していてもよく、かつ、不
飽和結合を含んでいてもよい炭化水素基としては、アル
キル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール
基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基お
よび置換アルキニル基が挙げられる。
【0506】アルキル基としては炭素原子数が1から2
0までの直鎖状、分岐状または環状のアルキル基を挙げ
ることができ、その具体例としては、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、
ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデ
シル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、
オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソ
ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル
基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシ
ル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、
シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニ
ル基を挙げることができる。これらの中では、炭素原子
数1から12までの直鎖状のアルキル基、炭素原子数3
から12までの分岐状のアルキル基、炭素原子数5から
10までの環状のアルキル基がより好ましい。
【0507】置換アルキル基は置換基とアルキレン基と
の結合により構成され、置換基としては、水素を除く1
価の非金属原子団が用いられ、好ましい例としては、ハ
ロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキ
シ基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、
アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、
アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、
N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、
N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリ
ールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ
基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリール
カルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイ
ルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ
基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ
基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、ア
シルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミ
ノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N′
−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキルウレイ
ド基、N′−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリ
ールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリールウレ
イド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイ
ド基、N′−アルキル−N−アルキルウレイド基、N′
−アルキル−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジ
アルキル−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジア
ルキル−N−アリールウレイド基、N′−アリール−N
−アルキルウレイド基、N′−アリール−N−アリール
ウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アルキルウ
レイド基、N′,N′−ジアリール−N−アリールウレ
イド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アルキ
ルウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−
アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、
アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−
アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−ア
リーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−ア
ルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリ
ーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、
カルボキシル基およびその共役塩基基(以下「カルボキ
シラート」という。)、アルコキシカルボニル基、アリ
ーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキル
カルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、
N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカル
バモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル
基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル
基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ス
ルホ基(−SO3 H)およびその共役塩基基(以下「ス
ルホナト基」という。)、アルコキシスルホニル基、ア
リーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−ア
ルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフ
ィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,
N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N
−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N
−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスル
ファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N
−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−ア
リールスルファモイル基、N−アシルスルファモイル基
およびその共役塩基基、N−アルキルスルホニルスルフ
ァモイル基(−SO2 NHSO2 (alkyl))およ
びその共役塩基基、N−アリールスルホニルスルファモ
イル基(−SO2 NHSO2 (aryl))およびその
共役塩基基、N−アルキルスルホニルカルバモイル基
(−CONHSO2 (alkyl))およびその共役塩
基基、N−アリールスルホニルカルバモイル基(−CO
NHSO2 (aryl))およびその共役塩基基、アル
コキシシリル基(−Si(Oalkyl) 3 )、アリー
ロキシシリル基(−Si(Oaryl)3 )、ヒドロキ
シシリル基(−Si(OH)3 )およびその共役塩基
基、ホスホノ基(−PO3 2 )およびその共役塩基基
(以下「ホスホナト基」という。)、ジアルキルホスホ
ノ基(−PO3 (alkyl)2 )、ジアリールホスホ
ノ基(−PO3 (aryl)2)、アルキルアリールホ
スホノ基(−PO3 (alkyl)(aryl))、モ
ノアルキルホスホノ基(−PO3 H(alkyl))お
よびその共役塩基基(以下「アルキルホスホナト基」と
いう。)、モノアリールホスホノ基(−PO3 H(ar
yl))およびその共役塩基基(以下「アリールホスホ
ナト基」という。)、ホスホノオキシ基(−OPO3
2 )およびその共役塩基基(以下「ホスホナトオキシ
基」という。)、ジアルキルホスホノオキシ基(−OP
3 (alkyl)2 )、ジアリールホスホノオキシ基
(−OPO3 (aryl)2 )、アルキルアリールホス
ホノオキシ基(−OPO3 (alkyl)(ary
l))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPO3
(alkyl))およびその共役塩基基(以下「アルキ
ルホスホナトオキシ基」という。)、モノアリールホス
ホノオキシ基(−OPO3 H(aryl))およびその
共役塩基基(以下「アリールホスホナトオキシ基」とい
う。)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル
基、アルキニル基が挙げられる。
【0508】これらの置換基における、アルキル基の具
体例としては、前述のアルキル基が挙げられ、アリール
基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフ
チル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル
基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフ
ェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニ
ル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェ
ノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロ
キシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオ
フェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノ
フェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフ
ェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカ
ルボニルフェニル基、フェノキシカルボニルフェニル
基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル
基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、スルホフェ
ニル基、スルホナトフェニル基、ホスホノフェニル基、
ホスホナトフェニル基が挙げられる。また、アルケニル
基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブ
テニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基
が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、
1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリル
エチニル基、フェニルエチニル基が挙げられる。
【0509】上述のアシル基(R4 CO−)としては、
4 が水素原子または上記のアルキル基、アリール基、
アルケニル基、アルキニル基であるものを挙げることが
できる。一方、置換アルキル基におけるアルキレン基と
しては前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水
素原子のいずれか一つを除し、2価の有機残基としたも
のを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から1
2までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状な
らびに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基
を挙げることができる。好ましい置換アルキル基の具体
例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−ク
ロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル
基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル
基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリル
チオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノ
プロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメ
チル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシ
ルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモ
イルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メ
チルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキソエチル
基、2−オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メ
トキシカルボニルエチル基、メトキシカルボニルメチル
基、メトキシカルボニルブチル基、エトキシカルボニル
メチル基、ブトキシカルボニルメチル基、アリルオキシ
カルボニルメチル基、ベンジルオキシカルボニルメチル
基、メトキシカルボニルフェニルメチル基、トリクロロ
メチルカルボニルメチル基、アリルオキシカルボニルブ
チル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバ
モイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、
N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メト
キシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N
−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホプ
ロピル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スル
ファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル
基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N
−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−
(ホスホノフェニル)スルファモイルオクチル基、
【0510】
【化53】
【0511】ホスホノブチル基、ホスホナトヘキシル
基、ジエチルホスホノブチル基、ジフェニルホスホノプ
ロピル基、メチルホスホノブチル基、メチルホスホナト
ブチル基、トリルホスホノヘキシル基、トリルホスホナ
トヘキシル基、ホスホノオキシプロピル基、ホスホナト
オキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチ
ルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p
−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プ
ロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル
基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル
基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等を挙げることが
できる。
【0512】アリール基としては1個から3個のベンゼ
ン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和
環が縮合環を形成したものを挙げることができ、具体例
としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フ
ェナントリル基、インデニル基、アセナブテニル基、フ
ルオレニル基を挙げることができ、これらのなかでは、
フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
【0513】置換アリール基は、置換基がアリール基に
結合したものであり、前述のアリール基の環形成炭素原
子上に置換基として、水素を除く1価の非金属原子団を
有するものが用いられる。好ましい置換基の例としては
前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびに、先に置
換アルキル基における置換基として示したものを挙げる
ことができる。これらの、置換アリール基の好ましい具
体例としては、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、
メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフ
ェニル基、フルオロフェニル基、クロロメチルフェニル
基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニ
ル基、メトキシフェニル基、メトキシエトキシフェニル
基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、
メチルチオフェニル基、トリルチオフェニル基、フェニ
ルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエチル
アミノフェニル基、モルホリノフェニル基、アセチルオ
キシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N−シ
クロヘキシルカルバモイルオキシフェニル基、N−フェ
ニルカルバモイルオキシフェニル基、アセチルアミノフ
ェニル基、N−メチルベンゾイルアミノフェニル基、カ
ルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、
アリルオキシカルボニルフェニル基、クロロフェノキシ
カルボニルフェニル基、カルバモイルフェニル基、N−
メチルカルバモイルフェニル基、N,N−ジプロピルカ
ルバモイルフェニル基、N−(メトキシフェニル)カル
バモイルフェニル基、N−メチル−N−(スルホフェニ
ル)カルバモイルフェニル基、スルホフェニル基、スル
ホナトフェニル基、スルファモイルフェニル基、N−エ
チルスルファモイルフェニル基、N,N−ジプロピルス
ルファモイルフェニル基、N−トリルスルファモイルフ
ェニル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スル
ファモイルフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナ
トフェニル基、ジエチルホスホノフェニル基、ジフェニ
ルホスホノフェニル基、メチルホスホノフェニル基、メ
チルホスホナトフェニル基、トリルホスホノフェニル
基、トリルホスホナトフェニル基、アリル基、1−プロ
ペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリルフ
ェニル基、2−メチルプロペニルフェニル基、2−プロ
ピニルフェニル基、2−ブチニルフェニル基、3−ブチ
ニルフェニル基等を挙げることができる。
【0514】アルケニル基としては、上述のものを挙げ
ることができる。置換アルケニル基は、置換基がアルケ
ニル基の水素原子と置き換わり結合したものであり、こ
の置換基としては、上述の置換アルキル基における置換
基が用いられ、一方アルケニル基は上述のアルケニル基
を用いることができる。好ましい置換アルケニル基の例
としては
【0515】
【化54】
【0516】等を挙げることができる。アルキニル基と
しては、上述のものを挙げることができる。置換アルキ
ニル基は、置換基がアルキニル基の水素原子と置き換わ
り、結合したものであり、この置換基としては、上述の
置換アルキル基における置換基が用いられ、一方アルキ
ニル基は上述のアルキニル基を用いることができる。
【0517】ヘテロ環基とは、ヘテロ環上の水素を1つ
除した1価の基およびこの1価の基から更に水素を1つ
除し、上述の置換アルキル基における置換基が結合して
できた1価の基(置換ヘテロ環基)である。好ましいヘ
テロ環の例としては、
【0518】
【化55】
【0519】
【化56】
【0520】等を挙げることができる。
【0521】置換オキシ基(R5 O−)としては、R5
が水素を除く1価の非金属原子団であるものを用いるこ
とができる。好ましい置換オキシ基としては、アルコキ
シ基、アリーロキシ基、アシルオキシ基、カルバモイル
オキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−ア
リールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカル
バモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオ
キシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキ
シ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、
ホスホノオキシ基、ホスホナトオキシ基等を挙げること
ができる。これらにおけるアルキル基、ならびにアリー
ル基としては前述のアルキル基、置換アルキル基ならび
に、アリール基、置換アリール基として示したものを挙
げることができる。また、アシルオキシ基におけるアシ
ル基(R6 CO−)としては、R 6 が、前述のアルキル
基、置換アルキル基、アリール基ならびに置換アリール
基のものを挙げることができる。これらの置換基の中で
は、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシルオキシ基、
アリールスルホキシ基等がより好ましい。好ましい置換
オキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、
プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキ
シ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ドデシル
オキシ基、ベンジルオキシ基、アリルオキシ基、フェネ
チルオキシ基、カルボキシエチルオキシ基、メトキシカ
ルボニルエチルオキシ基、エトキシカルボニルエチルオ
キシ基、メトキシエトキシ基、フェノキシエトキシ基、
メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキ
シ基、モルホリノエトキシ基、モルホリノプロピルオキ
シ基、アリロキシエトキシエトキシ基、フェノキシ基、
トリルオキシ基、キシリルオキシ基、メシチルオキシ
基、クメニルオキシ基、メトキシフェニルオキシ基、エ
トキシフェニルオキシ基、クロロフェニルオキシ基、ブ
ロモフェニルオキシ基、アセチルオキシ基、ベンゾイル
オキシ基、ナフチルオキシ基、フェニルスルホニルオキ
シ基、ホスホノオキシ基、ホスホナトオキシ等が挙げら
れる。
【0522】置換チオ基(R7 S−)としてはR7 が水
素を除く1価の非金属原子団のものを使用できる。好ま
しい置換チオ基の例としては、アルキルチオ基、アリー
ルチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アシ
ルチオ基を挙げることができる。これらにおけるアルキ
ル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アル
キル基、ならびにアリール基、置換アリール基として示
したものを挙げることができ、アシルチオ基におけるア
シル基(R6 CO−)のR6 は前述のとおりである。こ
れらの中ではアルキルチオ基、ならびにアリールチオ基
がより好ましい。好ましい置換チオ基の具体例として
は、メチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、エ
トキシエチルチオ基、カルボキシエチルチオ基、メトキ
シカルボニルチオ基等が挙げられる。
【0523】置換アミノ基(R8 NH−,(R9 )(R
10)N−)としては、R8 ,R9 ,R10が水素を除く1
価の非金属原子団のものを使用できる。置換アミノ基の
好ましい例としては、N−アルキルアミノ基、N,N−
ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−
ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミ
ノ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、
N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N′−アル
キルウレイド基、N′,N′−ジアルキルウレイド基、
N′−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリールウ
レイド基、N′−アルキル−N′−アリールウレイド
基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド
基、N′−アルキル−N−アルキルウレイド基、N′−
アルキル−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジア
ルキル−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアル
キル−N−アリールウレイド基、N′−アリール−N−
アルキルウレイド基、N′−アリール−N−アリールウ
レイド基、N′,N′−ジアリール−N−アルキルウレ
イド基、N′,N′−ジアリール−N−アリールウレイ
ド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アルキル
ウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−ア
リールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、ア
リーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−ア
ルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリ
ーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アル
コキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリー
ロキシカルボニルアミノ基が挙げられる。これらにおけ
るアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、
置換アルキル基、ならびにアリール基、置換アリール基
として示したものを挙げることができ、アシルアミノ
基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシル
アミノ基におけるアシル基(R6 CO−)のR6 は前述
のとおりである。これらの内、より好ましいものとして
は、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ
基、N−アリールアミノ基、アシルアミノ基等が挙げら
れる。好ましい置換アミノ基の具体例としては、メチル
アミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホ
リノ基、ピペリジノ基、ピロリジノ基、フェニルアミノ
基、ベンゾイルアミノ基、アセチルアミノ基等が挙げら
れる。
【0524】置換カルボニル基(R11−CO−)として
は、R11が1価の非金属原子団のものを使用できる。置
換カルボニル基の好ましい例としては、ホルミル基、ア
シル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ア
リーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキ
ルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル
基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリール
カルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモ
イル基等が挙げられる。これらにおけるアルキル基、ア
リール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、
ならびにアリール基、置換アリール基として示したもの
を挙げることができる。これらの内、より好ましい置換
基としては、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、
アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、
カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N
−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイ
ル基等が挙げられ、更により好ましいものとしては、ホ
ルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル基ならびに
アリーロキシカルボニル基が挙げられる。好ましい置換
基の具体例としては、ホルミル基、アセチル基、ベンゾ
イル基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、アリ
ルオキシカルボニル基、N−メチルカルバモイル基、N
−フェニルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモ
イル基、モルホリノカルボニル基等が挙げられる。
【0525】置換スルフィニル基(R12−SO−)とし
てはR12が1価の非金属原子団のものを使用できる。好
ましい例としては、アルキルスルフィニル基、アリール
スルフィニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルス
ルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイ
ル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジア
リールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリー
ルスルフィナモイル基が挙げられる。これらにおけるア
ルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換
アルキル基、ならびにアリール基、置換アリール基とし
て示したものを挙げることができる。これらの内、より
好ましい例としてはアルキルスルフィニル基、アリール
スルフィニル基等が挙げられる。このような置換スルフ
ィニル基の具体例としては、へキシルスルフィニル基、
ベンジルスルフィニル基、トリルスルフィニル基等が挙
げられる。
【0526】置換スルホニル基(R13−SO2 −)とし
ては、R13が1価の非金属原子団のものを使用できる。
より好ましい例としては、アルキルスルホニル基、アリ
ールスルホニル基を挙げることができる。これらにおけ
るアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、
置換アルキル基、ならびにアリール基、置換アリール基
として示したものを挙げることができる。このような、
置換スルホニル基の具体例としては、ブチルスルホニル
基、クロロフェニルスルホニル基等が挙げられる。
【0527】スルホナト基(−SO3 −)は前述のとお
り、スルホ基(−SO3 H)の共役塩基陰イオン基を意
味し、通常は対陽イオンと共に使用されるのが好まし
い。このような対陽イオンとしては、一般に知られるも
の、即ち、種々のオニウム類(アンモニウム類、スルホ
ニウム類、ホスホニウム類、ヨードニウム類、アジニウ
ム類等)、ならびに金属イオン類(Na+ 、K+ 、Ca
2+、Zn2+等)が挙げられる。
【0528】カルボキシラート基(−CO2 −)は前述
のとおり、カルボキシル基(CO2H)の共役塩基陰イ
オン基を意味し、通常は対陽イオンと共に使用されるの
が好ましい。このような対陽イオンとしては、一般に知
られるもの、即ち、種々のオニウム類(アンモニウム
類、スルホニウム類、ホスホニウム類、ヨードニウム
類、アジニウム類等)、ならびに金属イオン類(N
+ 、K+ 、Ca2+、Zn2+等)が挙げられる。
【0529】置換ホスホノ基とはホスホノ基上の水酸基
の一つもしくは二つが他の有機オキソ基によって置換さ
れたものを意味し、好ましい例としては、前述のジアル
キルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、アルキルアリ
ールホスホノ基、モノアルキルホスホノ基、モノアリー
ルホスホノ基が挙げられる。これらの中ではジアルキル
ホスホノ基、ならびにジアリールホスホノ基がより好ま
しい。このような具体例としては、ジエチルホスホノ
基、ジブチルホスホノ基、ジフェニルホスホノ基等が挙
げられる。
【0530】ホスホナト基(−PO3 2- 、−PO
3 - )とは前述のとおり、ホスホノ基(−PO
3 2 )の、酸第一解離もしくは、酸第二解離に由来す
る共役塩基陰イオン基を意味する。通常は対陽イオンと
共に使用されるのが好ましい。このような対陽イオンと
しては、一般に知られるもの、即ち、種々のオニウム類
(アンモニウム類、スルホニウム類、ホスホニウム類、
ヨードニウム類:アジニウム類、等)、ならびに金属イ
オン類(Na+ 、K+ 、Ca2+、Zn2+等)が挙げられ
る。
【0531】置換ホスホナト基とは前述の置換ホスホノ
基の内、水酸基を一つ有機オキソ基に置換したものの共
役塩基陰イオン基であり、具体例としては、前述のモノ
アルキルホスホノ基(−PO3 H(alkyl))、モ
ノアリールホスホノ基(−PO3 H(aryl))の共
役塩基を挙げることができる。通常は対陽イオンと共に
使用されるのが好ましい。このような対陽イオンとして
は、一般に知られるもの、即ち、種々のオニウム類(ア
ンモニウム類、スルホニウム類、ホスホニウム類、ヨー
ドニウム類、アジニウム類、等)、ならびに金属イオン
類(Na+ 、K + 、Ca2+、Zn2+等)が挙げられる。
【0532】前記一般式(I)中、AおよびWの各構造
は、より好ましくは、Aが芳香族を含有する有機基、W
がポリオキシアルキレン基を含有する非イオン性の有機
基である。
【0533】なお、A−HおよびW−Hの具体例を以下
に示す。
【0534】
【化57】
【0535】
【化58】
【0536】また、前記一般式(I)の非イオン性化合
物の具体例を以下に示す。
【0537】
【化59】
【0538】
【化60】
【0539】
【化61】
【0540】前記一般式(I)の非イオン性化合物とし
て、更に好ましいものとしては、下記式(I−A)また
は(I−B)で示されるものである。
【0541】
【化62】
【0542】(R1 、R2 は、Hまたは炭素数1〜10
0のアルキル基であり、n、mは0〜100の整数であ
る。)
【0543】一般式(I−A)で表される化合物として
は、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシ
エチレンメチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン
オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニル
フェニルエーテル等が挙げられる。一般式(I−B)で
表される化合物としては、ポリオキシエチレンナフチル
エーテル、ポリオキシエチレンメチルナフチルエーテ
ル、ポリオキシエチレンオクチルナフチルエーテル、ホ
リオキシエチレンノニルナフチルエーテル等が挙げられ
る。
【0544】前記一般式(I−A)および(I−B)の
化合物において、ポリオキシエチレン鎖の繰り返し単位
数は、好ましくは3〜50、より好ましくは5〜30で
ある。ポリオキシプロピレン鎖の繰り返し単位数は、好
ましくは0〜10、より好ましくは0〜5である。ポリ
オキシエチレン部とポリオキシプロピレン部はランダム
でもブロックの共重合体でもよい。前記一般式(I−
A)および(I−B)で示されるノニオン芳香族エーテ
ル系活性剤は、単独または2種類以上を組み合わせて使
用される。
【0545】前記一般式(I)で示される非イオン性化
合物は、現像液中1〜20質量%、好ましくは2〜10
質量%添加することが効果的である。ここで添加量が少
なすぎると、現像性低下および記録層成分の溶解性低下
を招き、逆に多すぎると、印刷版の耐刷性を低下させ
る。
【0546】(2)キレート剤 現像液は、キレート剤を含有していてもよい。キレート
剤としては、例えば、Na2 2 7 、Na5
3 3 、Na3 3 9 、Na2 4 P(NaO3 P)
PO3 Na2 、カルゴン(ポリメタリン酸ナトリウム)
などのポリリン酸塩、例えばエチレンジアミンテトラ酢
酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ジエチレント
リアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、ナトリウム塩;
トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、
そのナトリウム塩;ヒドロキシエチルエチレンジアミン
トリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリ
ロトリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1,
2−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸、そのカリウム
塩、そのナトリウム塩;1,3−ジアミノ−2−プロパ
ノールテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩
などのようなアミノポリカルボン酸類の他2−ホスホノ
ブタントリカルボン酸−1,2,4、そのカリウム塩、
そのナトリウム塩;2一ホスホノブタノントリカルボン
酸−2,3,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;
1−ホスホノエタントリカルボン酸−1,2、2、その
カリウム塩、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン
−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリ
ウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリ
ウム塩、そのナトリウム塩などのような有機ホスホン酸
類を挙げることができる。このようなキレート剤の最適
量は使用される硬水の硬度およびその使用量に応じて変
化するが、一般的には、使用時の現像液中に0.01〜
5質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%の範
囲で含有させられる。
【0547】(3)アルカリ剤 本発明に使用される現像液は、上記一般式(I)で示さ
れる非イオン性化合物含有するアルカリ水溶液である。
含有されるアルカリ剤は、例えば、第三リン酸ナトリウ
ム、第三リン酸カリウム、第三リン酸アンモニウム、炭
酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸
水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニ
ウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アン
モニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化
アンモニウム、および水酸化リチウムなどの無機アルカ
リ剤があげられる。またモノメチルアミン、ジメチルア
ミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチル
アミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、
ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−
ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールア
ミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールア
ミン、ジイソプパノールアミン、エチレンイミン、エチ
レンジアミン、ピリジン、テトラメチルアンモニウムヒ
ドロキシドなどの有機アルカリ剤も用いられる。これら
のアルカリ剤は単独でまたは2種以上を組み合わせて用
いられる。
【0548】(4)界面活性剤 また、本発明に使用される現像液は、上記一般式(I)
で示される非イオン性化合物以外に、更に以下に記すそ
の他の界面活性剤を加えてもよい。その他の界面活性剤
としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテ
ル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエ
チレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアル
キルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニル
エーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル
等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポ
リオキシエチレンステアレート等のポリオキシエチレン
アルキルエステル類、ソルビタンモノラウレート、ソル
ビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、
ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエー
ト、ソルビタントリオレエート等のソルビタンアルキル
エステル類、グリセロールモノステアレート、グリセロ
ールモノオレート等のモノグリセリドアルキルエステル
類等のノニオン界面活性剤:ドデシルベンゼンスルホン
酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩類、ブ
チルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ペンチルナフタ
レンスルホン酸ナトリウム、ヘキシルナフタレンスルホ
ン酸ナトリウム、オクチルナフタレンスルホン酸ナトリ
ウム等のアルキルナフタレンスルホン酸塩類、ラウリル
硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩類、ドデシルスルホ
ン酸ソーダ等のアルキルスルホン酸塩類、ジラウリルス
ルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸エステル塩
類等のアニオン界面活性剤:ラウリルベタイン、ステア
リルベタイン等のアルキルベタイン類、アミノ酸類等の
両性界面活性剤が使用可能であるが、特に好ましいのは
アルキルナフタレンスルホン酸塩類等のアニオン界面活
性剤である。これら界面活性剤は単独、もしくは組み合
わせて使用することができる。また、これら界面活性剤
の現像液中における含有量は有効成分換算で、0.1か
ら20質量%が好ましい。
【0549】(5)その他の成分 本発明に使用される現像液には、上記の成分の他に、必
要に応じて以下の様な成分を併用することができる。例
えば安息香酸、フタル酸、p−エチル安息香酸、p−n
−プロピル安息香酸、p−イソプロピル安息香酸、p−
n−ブチル安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、p−t
−ブチル安息香酸、p−2−ヒドロキシエチル安息香
酸、デカン酸、サリチル酸、3−ヒドロキシ−2−ナフ
トエ酸等の有機カルボン酸;イソプロピルアルコール、
ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソ
ルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジ
アセトンアルコール等の有機溶剤;この他、キレート
剤、還元剤、染料、顔料、硬水軟化剤、防腐剤等が挙げ
られる。更に製版方法を、自動現像機を用いて現像処理
を行う場合、処理量に応じて現像液が疲労してくるの
で、補充液または新鮮な現像液を用いて処理能力を回復
させてもよい。
【0550】ついで、現像液性状についての詳細に説明
する。 (pH)現像液はpH12.5のアリカリ水溶液であ
り、現像速度の点でより好ましくはpH10.0〜1
2.5であり、最も好ましくは、pH11.0〜12.
5である。 (電導度)現像液の電導度は30mS/cm以下であ
り、現像速度の点でより好ましくは3〜30mS/cm
であり、最も好ましくは、3〜15mS/cmである。
【0551】(発泡性)内径3cmの100ml透明ガ
ラス瓶に現像液を30ml入れて、25℃で、1秒間に
3回の速度で、ガラス瓶を上下に1分間振とうする。そ
の後、静置し、泡が消えるまでの時間(消泡時間)を測
定する。この時間が少ない方が発泡性が低くよい(消泡
性が高い)。現像液は、好ましくは、発砲性が低く、消
泡時間5分以下であり、現像処理時に発砲し現像処理工
程に支障を来すことがない。
【0552】(色)現像液は無色、好ましくは水との誤
認を防ぐ目的で、視認性が得られる程度の色が付いてい
る。 (粘度)現像液の粘度は好ましくは、水希釈状態で25
℃において1.0〜10.0cpであり、円滑な現像処
理が行える。
【0553】<現像液5>以下に、画像記録層C−3の
現像処理に好適に用いられる現像液の一例を示すが、本
発明はこれに限定されない。
【0554】現像液としては従来より知られているアル
カリ水溶液が使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、
ケイ酸カリウム、第三リン酸ナトリウム、第三リン酸カ
リウム、第三リン酸アンモニウム、第二リン酸ナトリウ
ム、第二リン酸カリウム、第二リン酸アンモニウム、炭
酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸
水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニ
ウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アン
モニウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水
酸化カリウムおよび水酸化リチウムなどの無機アルカリ
剤が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルア
ミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチル
アミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、
ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−
ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールア
ミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールア
ミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エ
チレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤も用い
られる。
【0555】これらのアルカリ剤は単独でまたは2種以
上を組み合わせて用いられる。上記のアルカリ水溶液の
内、好ましくはアルカリ金属ケイ酸塩を含有するpH1
2以上の水溶液である。アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液
はケイ酸塩の成分である酸化ケイ素SiO2 とアルカリ
金属酸化物M2 Oの比率(一般に〔SiO2 〕/〔M 2
O〕のモル比で表す。)と濃度によって現像性の調節が
可能であり、例えば、特開昭54−62004号公報に
開示されているような、SiO2 /Na2 Oのモル比が
1.0〜1.5(即ち、〔SiO2 〕/〔Na2 O〕が
1.0〜1.5であって、SiO2 の含有量が1〜4質
量%のケイ酸ナトリウムの水溶液や、特公昭57−74
27号公報に記載されているような、〔SiO2 〕/
〔M〕が0.5〜0.75(即ち、〔SiO2 〕/〔M
2 O〕が1.0〜1.5)であって、SiO2 の濃度が
1〜4質量%であり、かつ該現像液がその中に存在する
全アルカリ金属のグラム原子を基準にして少なくとも2
0%のカリウムを含有していることとからなるアルカリ
金属ケイ酸塩が好適に用いられる。
【0556】更に、自動現像機を用いて、該光重合性平
版印刷版を現像する場合に、現像液よりもアルカリ強度
の高い水溶液(補充液)を現像液に加えることによっ
て、長時間現像タンク中の現像液を交換する事なく、多
量の光重合性平版印刷版を処理することができることが
知られている。本発明においてもこの補充方式が好まし
く適用される。例えば、特開昭54−62004号公報
に開示されているような現像液のSiO2 /Na2 Oの
モル比が1.0〜1.5(即ち、〔SiO2 〕/〔Na
2 O〕が1.0〜1.5)であって、SiO2 の含有量
が1〜4質量%のケイ酸ナトリウムの水溶液を使用し、
しかもポジ型感光性平版印刷版の処理量に応じて連続的
または断続的にSiO2 /Na2 Oのモル比が0.5〜
1.5(即ち、〔SiO2 〕/〔Na2 O〕が0.5〜
1.5)のケイ酸ナトリウム水溶液(補充液)を現像液
に加える方法、更には、特公昭57−7427号公報に
開示されている、〔SiO2 〕/〔M〕が0.5〜0.
75(即ち、〔SiO2 〕/〔M2 O〕が1.0〜1.
5)であって、SiO2 の濃度が1〜4質量%であるア
ルカリ金属ケイ酸塩の現像液を用い、補充液として用い
るアルカリ金属ケイ酸塩の〔SiO2 〕/〔M〕が0.
25〜0.75(即ち、〔SiO2 〕/〔M2O〕が
0.5〜1.5)であり、かつ該現像液および該補充液
のいずれもがその中に存在する全アルカリ金属のグラム
原子を基準にして少なくとも20%のカリウムを含有し
ていることとからなる現像方法が好適に用いられる。こ
のようにして現像処理された光重合性平版印刷版は、特
開昭54−8002号公報、同55−115045号公
報および同59−58431号公報に記載されているよ
うに、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラ
ビアガムやデンプン誘導体等を含む不感脂化液で後処理
される。感光性平版印刷版の後処理にはこれらの処理を
種々組み合わせて用いることができる。このような処理
によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機に掛け
られ、多数枚の印刷に用いられる。
【0557】<現像液6>以下に、画像記録層Dの現像
処理に好適に用いられる現像液の一例を示すが、本発明
はこれに限定されない。
【0558】現像液および補充液としては、現像液5の
説明に記載したアルカリ水溶液が使用でき、 好適な〔S
iO2 〕/〔M2 O〕のモル比、 補充液、自動現像機を
用いる補充液補充方式も現像液5と同様に適用できる。
【0559】また、このような補充液としてアルカリ金
属ケイ酸塩を用いる場合、そのモル比〔SiO2 〕/
〔M2 O〕を小さくすることにより、補充液は高活性と
なり、補充量はできるので、ランニングコストや廃液量
が低減し好ましい。しかしながら、高活性化にともない
PS版の支持体アルミニウムが溶解し、現像液中に不溶
物を生じることが知られている。このような、活性度の
高い現像液としては、SiO2 /Mのモル比が0.7〜
1.5であって、SiO2 の濃度が1.0〜4.0質量
%のアルカリ金ケイ酸塩の水溶液からなり、また、補充
液がSiO2 /M 2 Oのモル比が0.3〜1.5であっ
て、SiO2 の濃度が0.5〜4.0質量%のアルカリ
金属ケイ酸塩の水溶液であるような系が好適に用いられ
る。ポジ型およびネガ型PS版の現像に用いられる現像
液および補充液には、現像性の促進や抑制、現像カスの
分散および印刷版画像部の親インキ性を高める目的で必
要に応じて種々界面活性剤や有機溶剤を添加できる。好
ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、
ノニオン系および両性界面活性剤が挙げられる。
【0560】界面活性剤の具体例としては、ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアル
キルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチ
リルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキ
シプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部
分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペン
タエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレング
リコールモノ脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸部分エス
テル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エス
テル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エ
ステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、
ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチ
レン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪
酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,
N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキ
シエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪
酸エステル、トリアルキルアミンオキシドなどの非イオ
ン性界面活性剤、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒド
ロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩
類、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩類、直鎖アルキ
ルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンス
ルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、ア
ルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン
酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエ
ーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリ
ウム塩、N−アルキルスルホ琥珀酸モノアミド二ナトリ
ウム塩、石油スルホン酸塩類、硫酸化牛脂油、脂肪酸ア
ルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エス
テル塩類、
【0561】ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸
エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩
類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸
エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエ
ーテル硫酸エチレン塩類、アルキルリン酸エステル塩
類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステ
ル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル
リン酸エステル塩類、スチレン/無水マレイン酸共重合
物の部分鹸化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合
物の部分鹸化物類、ナフタレンスチレン酸塩ホルマリン
縮合物類などのアニオン界面活性剤、アルキルアミン塩
類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアル
キルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体などの
カチオン性界面活性剤、カルボキシベタイン類、アミノ
カルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル
類、イミダゾリン類などの両性界面活性剤が挙げられ
る。以上挙げた界面活性剤の中でポリオキシエチレンと
あるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレ
ン、ポリオキシブチレンなどのポリオキシアルキレンに
読み替えることもでき、それらの界面活性剤もまた包含
される。
【0562】更に好ましい界面活性剤は分子内にパーフ
ルオロアルキル基を含有するフッ素系の界面活性剤であ
る。かかるフッ素系界面活性剤としては、パーフルオロ
アルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン
酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどのアニ
オン型、パーフルオロアルキルベタインなどの両性型、
パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩などの
カチオン型およびパーフルオロアルキルアミンオキサイ
ド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パ
ーフルオロアルキル基および親水性基含有オリゴマー、
パーフルオロアルキル基および親油性基含有オリゴマ
ー、パーフルオロアルキル基、親水性基および親油性基
含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基および親油性
基含有ウレタンなどの非イオン型が挙げられる。上記の
界面活性剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使
用することができ、現像液中に0.001〜10質量
%、より好ましくは0.01〜5質量%の範囲で添加さ
れる。
【0563】好ましい有機溶剤としては、水に対する溶
解度が約10質量%以下のものが適しており、好ましく
は5質量%以下のものから選ばれる。例えば、1−フェ
ニルエタノール、2−フェニルエタノール、3−フェニ
ル−1−プロパノール、4−フェニル−1−ブタノー
ル、4−フェニル−2−ブタノール、2−フェニル−1
−ブタノール、2−フェノキシエタノール、2−ベンジ
ルオキシエタノール、o−メトキシベンジルアルコー
ル、m−メトキシベンジルアルコール、p−メトキシベ
ンジルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサ
ノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシ
クロヘキサノールおよび4−メチルシクロヘキサノー
ル、N−フェニルエタノールアミンおよびN−フェニル
ジエタノールアミンなどが挙げることができる。有機溶
剤の含有量は使用液の総質量に対して0.1〜5質量%
である。その使用量は界面活性剤の使用量と密接な関係
があり、有機溶剤の量が増すにつれ、界面活性剤の量は
増加させることが好ましい。これは界面活性剤の量が少
なく、有機溶剤の量を多く用いると有機溶剤が完全に溶
解せず、したがって、良好な現像性の確保が期待できな
くなるからである。
【0564】PS版の現像に用いられる現像液および補
充液には更に還元剤を加えることができる。これは印刷
版の汚れを防止するものであり、特に感光性ジアゾニウ
ム塩化合物を含むネガ型PS版を現像する際に有効であ
る。好ましい有機還元剤としては、チオサリチル酸、ハ
イドロキノン、メトール、メトキシキノン、レゾルシ
ン、2−メチルレゾルシンなどのフェノール化合物、フ
ェニレンジアミン、フェニルヒドラジンなどのアミン化
合物が挙げられる。更に好ましい無機の還元剤として
は、亜硫酸、亜硫酸水素酸、亜リン酸、亜リン酸水素
酸、亜リン酸二水素酸、チオ硫酸および亜ジチオン酸な
どの無機酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム
塩などを挙げることができる。これらの還元剤のうち汚
れ防止効果が特に優れているのは亜硫酸塩である。これ
らの還元剤は使用時の現像液に対して好ましくは、0.
05〜5質量%の範囲で含有される。
【0565】現像液および補充液には更に有機カルボン
酸を加えることもできる。好ましい有機カルボン酸は炭
素原子数6〜20の脂肪族カルボン酸および芳香族カル
ボン酸である。脂肪族カルボン酸の具体的な例として
は、カプロン酸、エナンチル酸、カプリル酸、ラウリル
酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリン酸な
どがあり、特に好ましいのは炭素数8〜12のアルカン
酸である。また炭素鎖中に二重結合を有する不飽和脂肪
酸でも、枝分かれした炭素鎖のものでもよい。芳香族カ
ルボン酸としてはベンゼン環、ナフタレン環、アントラ
セン環などにカルボキシル基が置換された化合物で、具
体的には、o−クロロ安息香酸、p−クロロ安息香酸、
o−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、o
−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、2,4−ジヒ
ドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、
2,6−ジヒドロキシ安息香酸、2,3−ジヒドロキシ
安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、没食子酸、
1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2
−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、1−
ナフトエ酸、2−ナフトエ酸などがあるがヒドロキシナ
フトエ酸は特に有効である。上記脂肪族および芳香族カ
ルボン酸は水溶性を高めるためにナトリウム塩やカリウ
ム塩またはアンモニウム塩として用いるのが好ましい。
本発明で用いる現像液の有機カルボン酸の含有量は格別
な制限はないが、0.1質量%より低いと効果が十分で
なく、また10質量%以上ではそれ以上の効果の改善が
計れないばかりか、別の添加剤を併用する時に溶解を妨
げることがある。したがって、好ましい添加量は使用時
の現像液に対して0.1〜10質量%であり、より好ま
しくは0.5〜4質量%である。
【0566】現像液および補充液には、更に必要に応じ
て、消泡剤、硬水軟化剤および特公平1−57895号
公報に記載の有機ホウ素化合物等の従来より知られてい
る化合物も含有させることができる。硬水軟化剤として
は、例えば、ポリリン酸およびそのナトリウム塩、カリ
ウム塩およびアンモニウム塩、エチレンジアミンテトラ
酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、トリエチレン
テトラミンヘキサ酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジア
ミントリ酢酸、ニトリロトリ酢酸、1,2−ジアミノシ
クロヘキサンテトラ酢酸および1,3−ジアミノ−2−
プロパノールテトラ酢酸などのアミノポリカルボン酸お
よびそれらのナトリウム塩、カリウム塩およびアンモニ
ウム塩、アミノトリ(メチレンホスホン塩)、エチレン
ジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレント
リアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、トリエチレン
テトラミンヘキサ(メチレンホスホン酸)、ヒドロキシ
エチルエチレンジアミントリ(メチレンホスホン酸)お
よび1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸やそ
れらのナトリウム塩、カリウム塩およびアンモニウム塩
を挙げることができる。
【0567】このような硬水軟化剤はそのキレート化力
と使用される硬水の硬度および硬水の量によって最適値
が変化するが、一般的な使用量を示せば、使用時の現像
液に対して0.01〜5質量%、より好ましくは0.0
1〜0.5質量%の範囲である。この範囲より少ない添
加量では所期の目的が十分に達成されず、添加量がこの
範囲より多い場合は、色抜けなど、画像部への悪影響が
でてくる。現像液および補充液の残余の成分は水である
が、更に必要に応じて当業界で知られた種々の添加剤を
含有させることができる。現像液および補充液は使用時
よりも水の含有量を少なくした濃縮液としておき、使用
時に水で希釈するようにしておくことが運搬上有利であ
る。この場合の濃縮度は各成分が分離や析出を起こさな
い程度が適当である。
【0568】このようにして現像処理されたPS版は水
洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガム
やデンプン誘導体等を含むフィニッシャー、 保護ガム
液、不感脂化液で後処理される。本発明のPS版の後処
理にはこれらの処理を種々組み合わせて用いることがで
きる。近年、製版・印刷業界では製版作業の合理化およ
び標準化のため、PS版用の自動現像機が広く用いられ
ている。この自動現像機は、一般に現像部と後処理部か
らなり、PS版を搬送する装置と、各処理液槽およびス
プレー装置からなり、露光済みのPS版を水平に搬送し
ながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレーノズル
から吹き付けて現像処理するものである。また、最近は
処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロールなど
によってPS版を浸せき搬送させて処理する方法や、現
像後一定量の少量の水洗水を版面に供給して水洗し、そ
の廃水を現像液原液の希釈水として再利用する方法も知
られている。このような自動処理においては、各処理液
に処理量や稼働時間等に応じて補充液を補充しながら処
理することができる。
【0569】<現像液7>以下に、画像記録層Eの現像
処理に好適に用いられる現像液の一例を示すが、本発明
はこれに限定されない。
【0570】画像記録層Eに用いる現像液として好まし
いものは、実質的に有機溶剤を含まないアルカリ性の水
溶液である。具体的にはケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリ
ウム、NaOH、KOH、LiOH、第三リン酸ナトリ
ウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸アンモニウ
ム、第二リン酸アンモニウム、メタケイ酸ナトリウム、
炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ア
ンモニア水などのような水溶液が適当である。更に好ま
しくは(a)非還元糖から選ばれる少なくとも一種の糖
類および(b)少なくとも一種の塩基を含有し、pHが
10.0〜13.5の範囲にある現像液である。以下こ
の現像液について詳しく説明する。なお、本明細書中に
おいて、特にことわりのない限り、現像液とは現像開始
液(狭義の現像液)と現像補充液とを意味する。
【0571】(非還元糖および塩基)この現像液は、そ
の主成分が、非還元糖から選ばれる少なくとも一つの化
合物と、少なくとも一種の塩基からなり、液のpHが1
0.0〜13.5の範囲であることを特徴とする。かか
る非還元糖は、現像液1の説明に記載したものと同様で
あり、非還元糖に組み合わせる塩基についても同様であ
る。
【0572】(界面活性剤)現像液には、現像性の促進
や現像カスの分散および印刷版画像部の親インキ性を高
める目的で必要に応じて種々界面活性剤や有機溶剤を添
加できる。好ましい界面活性剤としては、アニオン系、
カチオン系、ノニオン系および両性界面活性剤が挙げら
れる。界面活性剤の好ましい例としては、現像液6の説
明に記載したものと同様のものが挙げられ、中でも、同
様にフッ素系の界面活性剤が好ましい。
【0573】(現像安定化剤)現像液には、種々の現像
安定化剤が用いられる。それらの好ましい例として、特
開平6−282079号公報に記載の糖アルコールのポ
リエチレングリコール付加物、テトラブチルアンモニウ
ムヒドロキシドなどのテトラアルキルアンモニウム塩、
テトラブチルホスホニウムブロマイドなどのホスホニウ
ム塩およびジフェニルヨードニウムクロライドなどのヨ
ードニウム塩が好ましい例として挙げられる。更には、
特開昭50−51324号公報に記載のアニオン界面活
性剤または両性界面活性剤、また特開昭55−9594
6号公報に記載の水溶性カチオニックポリマー、特開昭
56−142528号公報に記載されている水溶性の両
性高分子電解質がある。更に、特開昭59−84241
号公報に記載のアルキレングリコールが付加された有機
ホウ素化合物、特開昭60−111246号公報に記載
のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック
重合型の水溶性界面活性剤、特開昭60−129750
号公報に記載のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピ
レンを置換したアルキレンジアミン化合物、特開昭61
−215554号公報に記載の質量平均分子量300以
上のポリエチレングリコール、特開昭63−17585
8号公報に記載のカチオン性基を有する含フッ素界面活
性剤、特開平2−39157号公報に記載の酸またはア
ルコールに4モル以上のエチレンオキシドを付加して得
られる水溶性エチレンオキシド付加化合物と、水溶性ポ
リアルキレン化合物などが挙げられる。
【0574】(有機溶剤)現像液は実質的に有機溶剤を
含まないものであるが、必要により有機溶剤が加えられ
る。かかる有機溶剤としては、現像液6の説明に記載し
たものを同様に用いることができる。現像液7において
実質的に有機溶剤を含まないとは、有機溶剤の含有量が
使用液の総質量に対して5質量%以下であることをい
う。その使用量は界面活性剤の使用量と密接な関係があ
り、有機溶剤の量が増すにつれ、界面活性剤の量は増加
させることが好ましい。これは界面活性剤の量が少な
く、有機溶剤の量を多く用いると有機溶剤が完全に溶解
せず、したがって、良好な現像性の確保が期待できなく
なるからである。
【0575】(還元剤)現像液には更に還元剤を加える
ことができる。具体的には、現像液6に記載した還元剤
を同様に用いることができる。
【0576】(有機カルボン酸)現像液には更に有機カ
ルボン酸を加えることもできる。具体的には、現像液6
の説明に記載した有機カルボン酸を同様に好適に用いる
ことができる。
【0577】(その他)現像液には、更に必要に応じ
て、防腐剤、着色剤、増粘剤、消泡剤および硬水軟化剤
などを含有させることもできる。硬水軟化剤としては、
現像液6の説明に記載したものを同様に用いることがで
きる。
【0578】本発明の平版印刷版原版に用いられる現像
液としてはまた、特開平6−282079号公報に記載
の現像液も使用できる。これは、SiO2 /M2 O(M
はアルカリ金属を示す)のモル比が0.5〜2.0のア
ルカリ金属ケイ酸塩と、水酸基を4以上有する糖アルコ
ールに5モル以上のエチレンオキシドを付加して得られ
る水溶性エチレンオキシド付加化合物を含有する現像液
である。糖アルコールは糖のアルデヒド基およびケトン
基を還元してそれぞれ第一、第二アルコール基としたも
のに相当する多価アルコールである。糖アルコールの具
体的な例としては、D,L−トレイット、エリトリッ
ト、D,L−アラビット、リビット、キシリット、D,
L−ソルビット、D,L−マンニット、D,L−イジッ
ト、D,L−タリット、ズルシット、アロズルシットな
どであり、更に糖アルコールを縮合したジ、トリ、テト
ラ、ペンタおよびヘキサグリセリンなども挙げられる。
上記水溶性エチレンオキシド付加化合物は上記糖アルコ
ール1モルに対し5モル以上のエチレンオキシドを付加
することにより得られる。更にエチレンオキシド付加化
合物には必要に応じてプロピレンオキシドを溶解性が許
容できる範囲でブロック共重合させてもよい。これらの
エチレンオキシド付加化合物は単独でまたは2種以上を
組み合わせて用いてもよい。これらの水溶性エチレンオ
キシド付加化合物の添加量は現像液(使用液)に対して
0.001〜5質量%が適しており、より好ましくは
0.001〜2質量%である。この現像液には更に、現
像性の促進や現像カスの分散および印刷版画像部の親イ
ンキ性を高める目的で必要に応じて、前述の種々の界面
活性剤や有機溶剤を添加できる。
【0579】(現像および後処理)かかる組成の現像液
を用いる現像処理、 特に自動現像機での処理および後処
理については、現像液6の説明に記載したのと同様であ
る。
【0580】
【実施例】以下に実施例を示して本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらに限られるものではない。 (実施例1〜18および比較例1〜15) 1.平版印刷版原版の製造 第4表に示すように、第1表に示す組成の各アルミニウ
ム板に、第2表に示す各表面処理を施し、各平版印刷版
用支持体を得た。第2表に示す表面処理は、左から右へ
と順に行った。なお、各処理の後には、スプレーによる
水洗を行い、また、各処理および水洗の後にはニップロ
ーラで液切りを行った。ついで、各平版印刷版用支持体
に、第4表に示すように各記録層を設け、各平版印刷版
原版を得た。各記録層の形成は、以下のようにして行っ
た。
【0581】<記録層(a)の形成>下記組成の記録層
(a)用塗布液を調製し、上記で得られた平版印刷版用
支持体に塗布し乾燥させて記録層を形成させ、平版印刷
版原版を得た。 <記録層(a)用塗布液の組成> ・カーボンブラック分散液 10.0質量部 ・4ージアゾジフェニルアミンとホルムアルデヒド縮合
物六フッ化リン酸塩0.5質量部 ・メタクリル酸、2−ヒドロキシエチルアクリレート、
ベンジルメタクリレートおよびアクリロニトリルのラジ
カル共重合体(モル比15:30:40:15、重量平
均分子量10万) 5.0質量部 ・リンゴ酸 0.05質量部 ・フッ素系界面活性剤(FC−430、米国3M社製)
0.05質量部 ・1−メトキシ−2−プロパノール 80.0質量部 ・乳酸エチル 15.0質量部 ・水 5.0質量部
【0582】<記録層(b)の形成>下記組成の記録層
(b)用塗布液を調製し、上記で得られた平版印刷版用
支持体に塗布し乾燥させて記録層を形成させ、平版印刷
版原版を得た。 <記録層(b)用塗布液の組成> ・カプリン酸 0.03質量部 ・フェノール性水酸基を有するモノマーとp−アミノベ
ンゼンスルホンアミドとの共重合体(モル比50:5
0、重量平均分子量50,000) 0.75質量部 ・m,p−クレゾールノボラック樹脂(m,p比=6/
4) 0.25質量部 ・p−トルエンスルホン酸 0.003質量部 ・テトラヒドロ無水フタル酸 0.03質量部 ・シアニン染料 0.017質量部 ・ビクトリアピュアブルー(BOHの対イオンを1−ナ
フタレンスルホン酸アニオンにした染料) 0.01
7質量部 ・界面活性剤(メガファックF−177、大日本インキ
化学工業社製) 0.05質量部 ・γ−ブチルラクトン 10.0質量部 ・メチルエチルケトン 10.0質量部 ・1−メトキシ−2−プロパノール 1.0質量部
【0583】<記録層(c)の形成>下記組成の記録層
(c)用塗布液を調製し、上記で得られた平版印刷版用
支持体に塗布し乾燥させて記録層を形成させ、平版印刷
版原版を得た。 <記録層(c)用塗布液の組成> ・カプリン酸 0.03質量部 ・m,p−クレゾールノボラック樹脂(m,p比=6/
4) 1.0質量部 ・p−トルエンスルホン酸 0.003質量部 ・テトラヒドロ無水フタル酸 0.03質量部 ・シアニン染料 0.017質量部 ・ビクトリアピュアブルー(BOHの対イオンを1−ナ
フタレンスルホン酸アニオンにした染料) 0.01
7質量部 ・界面活性剤(メガファックF−177、大日本インキ
化学工業社製) 0.05質量部 ・γ−ブチルラクトン 10.0質量部 ・メチルエチルケトン 10.0質量部 ・1−メトキシ−2−プロパノール 1.0質量部
【0584】<記録層(d)の形成>下記組成の光重合
層用感光性塗布液および酸素遮断層用塗布液を調製し、
上記で得られた平版印刷版用支持体に光重合層用感光性
塗布液を塗布し乾燥させて光重合層を形成させ、つい
で、酸素遮断層用塗布液を塗布し乾燥させて酸素遮断層
を形成させ、光重合層と酸素遮断層の2層からなる記録
層(d)を有する平版印刷版原版を得た。
【0585】<光重合層用感光性塗布液の組成> ・テトラメチロールメタンテトラアクリレート 1.
5質量部 ・線状有機高分子重合体 2.0質量部 ・増感剤(λmax (THF溶液)479nm、ε=6.
9×104 ) 0.15質量部 ・光開始剤 0.2質量部 ・IRGACURE 907(Ciba−Geigy社
製) 0.4質量部 ・ε−フタロシアニン/線状有機高分子重合体分散物
0.2質量部 ・フッ素系ノニオン界面活性剤(メガファックF17
7、大日本インキ化学工業社製) 0.03質量部 ・メチルエチルケトン 9.0質量部 ・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
7.5質量部 ・トルエン 11.0質量部 <酸素遮断層用の塗布液の組成> ・ポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度
500)の3質量%の水溶液
【0586】<記録層(e)の形成>下記組成の重合層
用塗布液、感光層用塗布液および酸素遮断層用塗布液を
調製し、上記で得られた平版印刷版用支持体に、重合層
用塗布液を塗布し乾燥させて重合層を形成させ、つい
で、感光層用塗布液を塗布し乾燥させて感光層を形成さ
せ、更に、酸素遮断層用塗布液を塗布し乾燥させて酸素
遮断層を形成させ、重合層と感光層と酸素遮断層の3層
からなる記録層(e)を有する平版印刷版原版を得た。
【0587】<重合層用塗布液の組成> ・ペンタエリスリトールテトラアクリレート 2.5
質量部 ・アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重
合比=80/20)の20質量%プロピレングリコール
モノメチルエーテル溶液 37.5質量部 ・顔料分散液 13.0質量部 ・メチルエチルケトン 74.0質量部 <感光層用塗布液の組成> ・ケン化度79.5%のポリビニルアルコール(PVA
−405、クラレ社製)の10質量%水溶液 10.
5質量部 ・添加剤(下記式(1)で表される化合物の0.11質
量%メタノール溶液)0.41質量部 ・添加剤(下記式(2)で表される化合物の0.11質
量%メタノール溶液)0.41質量部
【0588】
【化63】
【0589】・下記のようにして得られるハロゲン化銀
乳剤 0.50質量部 ゼラチンと臭化カリウムと水が入り、水酸化ナトリウム
を加えて常温でのpHを9.5に設定した液を55℃に
加温し、更に下記式(3)で表されるチオエーテル化合
物を硝酸銀全添加量に対して2.0×10-3モル相当の
量で添加した後、反応容器のpAgを9.0に保ちつ
つ、硝酸銀水溶液とヨウ化カリウムおよび硝酸銀の全添
加量に対するロジウムのモル比で2×10-7モルになる
ようロジウムアンモニウムクロライドを含有した臭化カ
リウム水溶液とをpAgコントロールダブルジェット法
で添加してヨウ臭化銀粒子を形成した。ついで、硫酸を
加えて、pHを6.0に設定し、引き続いて、55℃、
pAg=9.3にて、硝酸銀水溶液と、銀に対するイリ
ジウムのモル比で5×10-7モルになるように、ヘキサ
クロロイリジウム(III)酸塩を添加した臭化カリウ
ム水溶液をダブルジェット法で二段添加して、下記の組
成のコア/シェル型ヨウ臭化銀乳剤粒子を作った。
【0590】
【化64】
【0591】 コア:ヨウ臭化銀(ヨウ化銀含有率8.5モル%) シェル:純臭化銀 コア/シェル:3/7(銀モル比) 平均ヨウ臭化銀含有率:2.55モル% 平均粒子サイズ:0.30μm
【0592】これらの乳剤粒子は単分散で、平均粒子サ
イズ±40%以内に全粒子数の98%が存在していた。
ついで、この乳剤を脱塩処理した後、40℃で保温かく
はんしながら、2種の分光増感色素A(下記式(4))
およびB(下記式(5))の混合メタノール溶液(モル
比A/B=2/1)を、8×10-4mol/molAg
相当量で、添加して15分間保持し、更に、下記式
(6)で表されるチオールのナトリウム塩を6×10-4
mol/molAg相当量添加して5分間かくはん保持
し、ついで乳剤のpHを6.5、pAgを8.8に調節
してハロゲン化銀乳剤とした。
【0593】
【化65】
【0594】・界面活性剤(下記式(7)で表される化
合物の5質量%水溶液) 0.40質量部 ・水 7.80質量部 ・還元剤分散液 1.20質量部
【0595】
【化66】
【0596】<酸素遮断層用塗布液の組成> ・ケン化度98.5%のポリビニルアルコール(PVA
−105、クラレ社製)の10質量%水溶液 20
0.0質量部 ・塩基プレカーサー分散液(下記式(8)で表される化
合物の分散液) ・界面活性剤水溶液 4.0質量部
【0597】
【化67】
【0598】<記録層(f)の形成>下記組成の樹脂層
用塗布液および感光層用塗布液を調製し、上記で得られ
た平版印刷版用支持体に、樹脂層用塗布液を塗布し乾燥
させて樹脂層を形成させ、ついで、感光層用塗布液を塗
布し乾燥させて感光層を形成させ、樹脂層と感光層の2
層からなる記録層(f)を有する平版印刷版原版を得
た。 <樹脂層用塗布液の組成> ・アセトン−ピロガロール液樹脂のナフトキノン−1,
2−ジアジド−(2)−5−スルホン酸エステル
5.0質量部 ・クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂 10.0質量
部 ・メチルエチルケトン 150.0質量部 ・シクロヘキサノン 122.0質量部
【0599】<感光層用塗布液の組成> ・塩臭化銀ゼラチン乳剤(Cl:70モル%、Br:3
0モル%、平均粒子径:0.28μm、乳剤1000質
量部あたりのゼラチン量:55質量部、乳剤1000g
あたりのハロゲン化銀含有量:0.85モル) 10
00.0質量部 ・1,3−ジエチル−5−[2−(3−(3−スルホプ
ロピル)べンズオキサゾール−2−イリデン)エチリデ
ン]チオヒダントインナトリウム塩の0.1質量%メタ
ノール溶液 前記塩臭化銀ゼラチン乳剤1000.0
gあたり50.0mL ・4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テ
トラザインデンの0.5%アルカリ水溶液 前記塩臭
化銀ゼラチン乳剤1000.0gあたり100.0mL ・4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンの2
質量%水溶液 35.0質量部
【0600】<記録層(g)の形成>カレイ・レー(C
arey Lea)法により調製した銀ゾルを、乾燥質
量が銀量で5mg/m2 になるように塗布し乾燥させて
物理現像核層を形成させ、ついで、40モル%の塩化物
および60モル%の臭化物からなる平均粒子サイズが
0.3μmの塩臭化銀乳剤(銀塩:ゼラチン(質量比)
=1:1)を、2.0g/m2 塗布し乾燥させてハロゲ
ン化銀層を形成させ、物理現像核層とハロゲン化銀層の
2層からなる記録層(g)を有する平版印刷版原版を得
た。
【0601】<記録層(h)の形成>下記組成の光導電
層用塗布液および保護層用塗布液を調製し、上記で得ら
れた平版印刷版用支持体に、光導電層用塗布液を塗布し
乾燥させて光導電層を形成させ、ついで、保護層用塗布
液を塗布し乾燥させて保護層を形成させ、光導電層と保
護層の2層からなる記録層(h)を有する平版印刷版原
版を得た。 <光導電層用塗布液の組成> ・Fastogen Blue 8120(大日本イン
キ化学工業社製、無金属フタロシアニン) 1.0質
量部 ・メチルメタクリレートとメタクリル酸の共重合体(メ
タクリル酸20モル%) 10.0質量部 ・テトラヒドロフラン 60.0質量部 ・シクロヘキサノン 40.0質量部 <保護層用塗布液の組成> ・ポリビニルブチラール(2000−L、電気化学工業
社製) 2.0質量部 ・ステアリン酸 0.5質量部 ・エタノール 97.5質量部
【0602】<記録層(i)の形成>下記組成の記録層
(i)用塗布液を調製し、上記で得られた平版印刷版用
支持体に塗布し乾燥させて記録層を形成させ、平版印刷
版原版を得た。 <記録層(i)用塗布液の組成> ・下記式(9)で表されるスルホン酸を発生する官能基
を側鎖に有する高分子化合物 1.0質量部 ・o−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸クロライ
ド 0.1質量部 ・ビクトリアピュアブルー(BOHの対イオンを1−ナ
フタレンスルホン酸アニオンにした染料) 0.05
質量部 ・フッ素系界面活性剤(メガファックF−176PF、
大日本インキ化学工業社製) 0.06質量部 ・メチルエチルケトン 10.0質量部 ・γ−ブチロラクトン 10.0質量部
【0603】
【化68】
【0604】<記録層(j)の形成>以下の方法で、上
記で得られた平版印刷版用支持体の上に、物理現像核層
と乳剤層の2層からなり、銀薄膜が露出した記録層
(j)を形成させた。平版印刷版用支持体の上に、特開
昭53−21602号公報の「実施例−2」に記載の核
塗布液(親水性ポリマーとして、前記公報の「実施例−
1」の表中の「No.3」のアクリルアミドとイミダゾ
ールとの共重合体を4mg/m2 の割合で含む。)を塗
布し乾燥させて物理現像核層を形成させた。
【0605】不活性ゼラチンの水溶液を60℃に保ち、
強くかくはんしながら、塩化ナトリウムと臭化カリウム
の混合水溶液(臭化カリウム29.5モル%)および硝
酸銀水溶液を同時に加えることにより、平均粒子サイズ
0.28μmの塩臭化銀乳剤を調製し、0.5モル%/
1モルAgに相当するヨウ化カリウムを添加し、表面置
換させた。これらのハロゲン化銀乳剤粒子を含む乳剤層
を上記の物理現像核層上に塗布し乾燥させた。ハロゲン
化銀乳剤は、塩化銀70%、臭化銀29.5%およびヨ
ウ化銀0.5%からなる、全粒子の90質量%が平均粒
子サイズの±30%以内にある、単分散の塩ヨウ臭化銀
乳剤であった。
【0606】この後、未露光で、下記拡散転写現像液A
で、23℃で20秒間現像を行なった後、直ちに流水で
ゼラチン層を洗い流し(ウォッシュオフ)して、その
後、下記中和液Aにて、室温15秒間処理して、銀薄膜
を露出させ、記録層(j)を形成させた。 <拡散転写現像液A> 水700mL、水酸化ナトリウム25g、無水亜硫酸ナ
トリウム120g、ハイドロキノン25g、4−ヒドロ
キシメチル−4´−メチル−3−ピラゾリドン4g、エ
チレンジアミンテトラアセティックアシッド5g、チオ
硫酸ナトリウム・5水化物10g、N−メチルエタノー
ルアミン40g、グリセリン20gに、水を加えて1L
としたもの。 <中和液A> 水600mL、クエン酸20g、クエン酸ナトリウム2
5g、モノエタノールアミン10mL、3−n−オクチ
ル−5−メルカプトオキサジアゾール0.6g、エチレ
ングリコール5mLに、水を加えて1Lとしたもの。
【0607】<記録層(k)の形成>下記組成の記録層
(k)用塗布液を調製し、上記で得られた平版印刷版用
支持体に塗布し乾燥させて記録層を形成させ、平版印刷
版原版を得た。 <記録層(k)用塗布液の組成> ・アリルメタクリレート7.5g、ブチルメタクリレー
ト7.5gおよびポリオキシエチレンノニルフェノール
水溶液から合成した微粒子ポリマーを含有する液 5
質量部(固形分) ・ポリヒドロキシエチルアクリレート(重量平均分子量
2.5万) 0.5質量部 ・下記式(10)で表される光熱変換剤(赤外線吸収染
料) 0.3質量部 ・水 100質量部
【0608】
【化69】
【0609】<記録層(l)の形成>下記組成の記録層
(l)用塗布液を調製し、上記で得られた平版印刷版用
支持体に塗布し乾燥させて記録層を形成させ、平版印刷
版原版を得た。 <記録層(l)用塗布液の組成> ・キシレンジイソシアネート40g、トリメチロールプ
ロパンジアクリレート10g、アリルメタクリレートと
ブチルメタクリレートの共重合体(モル比7/3)10
gおよび界面活性剤(パイオニンA41C、竹本油脂社
製)0.1gを酢酸エチル60gに溶解させて油相成分
としたものと、ポリビニルアルコール(PVA205、
クラレ社製)の4質量%水溶液を120g調製し水相成
分としたものとを、ホモジナイザーでかくはんして合成
したマイクロカプセル液 5g(固形分) ・トリメチロールプロパントリアクリレート 3g ・有機系の光熱変換剤 0.3g ・水 60g ・1−メトキシ−2−プロパノール 40g
【0610】<記録層(m)の形成>下記組成のインキ
受容層用塗布液、親水層用塗布液およびオーバーコート
層用塗布液を調製し、上記で得られた平版印刷版用支持
体に、インキ受容層用塗布液を塗布し乾燥させてインキ
受容層を形成させ、ついで、親水層用塗布液を塗布し乾
燥させて親水層を形成させ、更に、オーバーコート層用
塗布液を塗布し乾燥させてオーバーコート層を形成さ
せ、インキ受容層と親水層とオーバーコート層の3層か
らなる記録層(m)を有する平版印刷版原版を得た。 <インキ受容層用塗布液の組成> ・エポキシ樹脂(エピコート1010、油化シェルエポ
キシ社製、軟化点169℃) 3g ・下記式(11)で表される光熱変換剤(赤外線吸収染
料) 0.3g ・メチルエチルケトン 32.7g ・プロピレングリコールモノメチルエーテル 30g
【0611】
【化70】
【0612】<親水層用塗布液の組成> ・ノボラック樹脂(m−クレゾールとp−クレゾールの
質量比6/4の混合物とp−ホルムアルデヒドとの付加
縮合物、重量平均分子量3,500)の10質量%メタ
ノール溶液 0.5g ・メタノールシリカ 3.17g ・乳酸メチル 0.5g ・メタノール 15.83g <オーバーコート層用塗布液の組成> ・アラビアガム5質量%水溶液 10g ・下記式(12)で表される光熱変換剤(赤外線吸収染
料) 0.2g ・ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 0.
02g ・水 14g
【0613】
【化71】
【0614】2.平版印刷版用支持体の表面のピットの
平均径および平均密度 各平版印刷版用支持体の表面を、支持体に垂直な方向か
ら、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率1000
0倍のSEM写真を撮影した。SEM写真において、長
さ120μmの直線を引き、この直線にかかったピット
について直径を測定し、ピットの平均径を求めた。ま
た、同様に2000倍で撮影したSEM写真において2
0μm四方の部分を3視野抜き取り、その中のピットの
数を数え、ピットの平均密度を求めた。なお、各平版印
刷版用支持体の表面としては、実際には、各平版印刷版
原版から得られた平版印刷版の非画像部の表面を用い
た。結果を第4表に示す。
【0615】3.平版印刷版原版の評価 第4表に示すように、上記で得られた各平版印刷版原版
について、記録層に応じた方法により、各種レーザを用
いて画像を形成させた後、第3表に示す現像を行い、各
平版印刷版を得た。得られた各平版印刷版について印刷
試験を行い、以下のようにして耐刷性および汚れにくさ
を評価した。
【0616】(1)耐刷性 印刷機として、三菱ダイヤマチック印刷機を用い、イン
キとして、ジオスG(S)紅色を用い、湿し水として、
富士写真フイルム(株)製のEU−3(1:100)
に、イソプロパノールを全体の7質量%となるように添
加した液を用いて、印刷を行った。ベタ画像部が薄くか
すれ始めたことが目視で認められるまでの印刷枚数によ
り評価した。結果を第4表に示す。なお、耐刷性は、実
施例1の耐刷性を100とした相対値で示した。
【0617】(2)汚れにくさ 上記印刷時に、版に相対するブランケット上に発生した
非画像部の汚れを、セロハンテープに転写させて採取
し、インキの付着した程度によって、7段階評価した。
インキ付着のないものから多いものの順に、◎、○、○
△、△、△×、×、××とした。結果を第4表に示す。
【0618】第4表から明らかなように、本発明の平版
印刷版用支持体を用いた本発明の平版印刷版原版は、表
面のピットの平均径が大きく、ピットの平均密度が低い
平版印刷版用支持体に同じ記録層を設けた平版印刷版原
版と比べて、耐刷性および汚れにくさに優れることが分
かる(実施例1〜18および比較例1〜15)。
【0619】
【表1】
【0620】
【表2】
【0621】
【表3】
【0622】
【表4】
【0623】
【表5】
【0624】(実施例19〜22および比較例16) 1.平版印刷版用支持体の製造 第5表に示すように、第1表に示す組成の各アルミニウ
ム板に、第2表に示す各表面処理を施し、各平版印刷版
用支持体を得た。第2表に示す表面処理は、左から右へ
と順に行った。なお、各処理の後には、スプレーによる
水洗を行い、また、各処理および水洗の後にはニップロ
ーラで液切りを行った。
【0625】2.平版印刷版用支持体の評価 上記で得られた各平版印刷版用支持体について、以下の
ようにして引張強度、180度折り曲げ強度および疲労
破断強度を評価した。結果を第5表に示す。 (1)引張強度 島津製作所社製オートグラフ(商品名)を用いて、幅2
5mmの試料を用いて、板圧延方向の引張強度を測定し
た。
【0626】(2)180度折り曲げ強度 両面に粗面化処理を施した平版印刷版用支持体を、板圧
延方向の長さが90mm、幅方向の長さが30mmであ
る長方形に切り出し、板圧延方向に沿った2辺の二等分
線で一方の側に90度折り曲げ、初期状態とした。この
初期状態から、逆に180度折り曲げて他方の側に90
度折り曲がった状態とし、ついで、逆に180度折り曲
げて初期状態に戻し、これを平版印刷版用支持体が破断
するまで繰り返し、180度折り曲げる操作を行った回
数で、180度折り曲げ強度を評価した。
【0627】(3)疲労破断強度 疲労破断強度は、平版印刷版用支持体を、板圧延方向の
長さが90mm、幅方向の長さが30mmである長方形
に切り出し、板圧延方向に単位断面積あたり1.0kg
/mm2 程度の張力を与え、幅方向に沿った辺の一端を
固定したうえで、他端に振幅5mm程度の振動を連続的
に与え、破断するまでの振動回数で評価した。
【0628】第5表から明らかなように、本発明の平版
印刷版用支持体は、引張強度、180度折り曲げ強度お
よび疲労破断強度のいずれにも優れることが分かる(実
施例19〜22および比較例16)。
【0629】
【表6】
【0630】(実施例23および比較例17) 1.平版印刷版原版の製造 第6表に示すように、第1表に示す組成の各アルミニウ
ム板に、第2表に示す各表面処理を施し、各平版印刷版
用支持体を得た。第2表に示す表面処理は、左から右へ
と順に行った。なお、各処理の後には、スプレーによる
水洗を行い、また、各処理および水洗の後にはニップロ
ーラで液切りを行った。ついで、各平版印刷版用支持体
に、第6表に示すように各記録層を設け、各平版印刷版
原版を得た。各記録層の形成は、上述したようにして行
った。
【0631】2.平版印刷版用支持体の表面のSi原子
付着量の測定 各平版印刷版用支持体の表面のSi原子付着量を蛍光X
線分析装置を用い、検量線法により測定した。結果を第
6表に示す。検量線を作成するための標準試料として
は、既知量のSi原子を含有するケイ酸ナトリウム水溶
液を、アルミニウム板の上の30mmφの面積内に均一
に滴下した後、乾燥させたものを用いた。蛍光X線分析
の条件を以下に示す。
【0632】蛍光X線分析装置:理学電機工業社製RI
X3000、X線管球:Rh、測定スペクトル:Si−
Kα、管電圧:50kV、管電流:50mA、スリッ
ト:COARSE、分光結晶:RX4、検出器:F−P
C、分析面積:30mmφ、ピーク位置(2θ):14
4.75deg.、バックグランド(2θ):140.
70deg.および146.85deg.、積算時間:
80秒/sample
【0633】3.平版印刷版の処理方法の評価 上記で得られた各平版印刷版原版について、記録層に応
じた方法により、各種レーザを用いて画像を形成させた
後、第3表に示す現像を行い、各平版印刷版を得た。現
像液を3ヶ月間使用することにより、現像液の安定性を
評価した。現像液中にカスが発生し、平版印刷版表面に
付着した場合を不良、そのような問題が起こらなかった
場合を良好と評価した。結果を第6表に示す。
【0634】第6表から明らかなように、平版印刷版原
版に露光した後、実質的にアルカリ金属ケイ酸塩を含有
しない現像液を用いて現像する本発明の平版印刷版の処
理方法によれば、現像時において、現像液中にSiO2
に起因する固形物が析出し、平版印刷版表面に付着する
ような問題が起こることがない(実施例23)。また、
本発明の平版印刷版用支持体の中でも、Si原子付着量
が特定範囲である場合には、上記のような本発明の平版
印刷版の処理方法を行うことができる平版印刷版原版を
得ることができることが分かる。
【0635】
【表7】
【0636】(実施例24〜30ならびに参考例1およ
び2) 1.平版印刷版原版の製造 第7表に示すように、第1表に示すアルミニウム板3
に、第2表に示す表面処理(1)を施し、各平版印刷版
用支持体を得た。第2表に示す表面処理は、左から右へ
と順に行った。第2表における親水化処理おいて、ケイ
酸ソーダの濃度および浸せき時間を変えることにより、
Si原子付着量の異なる平版印刷版用支持体を得た。な
お、各処理の後には、スプレーによる水洗を行い、ま
た、各処理および水洗の後にはニップローラで液切りを
行った。ついで、各平版印刷版用支持体に、第7表に示
すように各記録層を設け、各平版印刷版原版を得た。各
記録層の形成は、上述したようにして行った。
【0637】2.平版印刷版用支持体の表面のSi原子
付着量の測定 平版印刷版用支持体の表面のSi原子付着量の測定は、
実施例23および比較例17と同様の方法により行っ
た。結果を第7表に示す。
【0638】3.平版印刷版原版の評価 第7表に示すように、上記で得られた各平版印刷版原版
について、記録層に応じた方法により、レーザを用いて
画像を形成させた後、第3表に示す現像1)を行い、各
平版印刷版を得た。得られた各平版印刷版について、実
施例1〜18および比較例1〜15の場合と同様の方法
により、耐刷性および汚れにくさを評価した。結果を第
7表に示す。
【0639】第7表から明らかなように、表面のSi原
子付着量が本発明の好適範囲である平版印刷版用支持体
を用いた平版印刷版原版は、平版印刷版としたときの耐
刷性および汚れにくさのいずれにも優れることが分かる
(実施例24〜30ならびに参考例1および2)。
【0640】
【表8】
【0641】(実施例31〜36) 1.平版印刷版原版の製造 第8表に示すように、第1表に示すアルミニウム板1
に、表面処理(3)〜(5)のいずれかを施し、各平版
印刷版用支持体を得た。ついで、各平版印刷版用支持体
に、第8表に示すように各記録層を設け、各平版印刷版
原版を得た。各記録層の形成は、上述したようにして行
った。
【0642】以下に、第8表に示す表面処理(3)〜
(5)について以下に説明する。 <表面処理(3)>表面処理(3)は、以下の(a)〜
(j)の各種処理を連続的に行うことにより行った。な
お、各処理の後には、スプレーによる水洗を行い、ま
た、各処理および水洗の後にはニップローラで液切りを
行った。 (a)機械的粗面化処理 図1に示したような装置を使って、比重1.12の研磨
材と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム
板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブ
ラシにより機械的粗面化処理を行った。図1において、
1はアルミニウム板、2および4はローラ状ブラシ、3
は研磨スラリー液、5、6、7および8は支持ローラで
ある。研磨材としては、軽石を粉砕し、粒子の平均粒径
が40μmとなるように分級したものを用いた。研磨材
のモース硬度は5であった。研磨材の成分は、SiO2
が73質量%、Al2 3 が14質量%、Fe2 3
1.2質量%、CaOが1.34質量%、MgOが0.
3質量%、K2 Oが2.6質量%、Na2 Oが2.7質
量%を占めていた。ナイロンブラシとしては3号ブラシ
を用い、ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛
長は50mmであった。ナイロンブラシはφ300mm
のステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛し
た。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支
持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであっ
た。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負
荷を、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前
の負荷に対して管理し、機械的粗面化処理後のアルミニ
ウム板の算術平均粗さ(Ra )が0.45〜0.55μ
mとなるように押さえつけた。ブラシの回転方向はアル
ミニウム板の移動方向と同じであった。
【0643】(b)アルカリエッチング処理 アルミニウム板を、カセイソーダ濃度27質量%、アル
ミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液(液温70
℃)をスプレー管より吹き付けてアルミニウム板のエッ
チング処理を行った。後の工程で電気化学的に粗面化処
理する面のアルミニウム板の溶解量は10g/m2 であ
った。
【0644】(c)デスマット処理 つぎに、硝酸水溶液を用いてデスマット処理を行った。
デスマット処理に用いる硝酸水溶液は、次工程の電気化
学的な粗面化に用いた硝酸の廃液を用いた。その液温は
35℃であった。デスマット処理は、このデスマット液
をスプレーで3秒間吹き付けて行った。
【0645】(d)電気化学的粗面化処理 液温50℃、硝酸濃度9.5g/Lの水溶液に硝酸アル
ミニウムを添加して、アルミニウムイオン濃度を5g/
Lに調整した電解液を用いた。交流電流を発生する電源
を用いて電気化学的な粗面化処理を行った。交流電流の
周波数は60Hz、電流のゼロからピークに達するまで
の時間Tpは0.8msecであった。交流のduty
(ta/T)は0.5であった。電流密度は交流のピー
クがアルミニウム板のアノード反応時で60A/dm2
であり、アルミニウム板がアノード反応時の電気量の総
和とカソード反応時の電気量の総和の比は0.95であ
った。アルミニウム板に加わる電気量は、アルミニウム
板のアノード反応時の電気量の総和で200C/dm2
であった。
【0646】(e)アルカリエッチング処理 アルミニウム板を、カセイソーダ濃度27質量%、アル
ミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液(液温70
℃)をスプレー管より吹き付けてアルミニウム板のエッ
チング処理を行った。後の工程で電気化学的に粗面化処
理する面のアルミニウム板の溶解量は3.5g/m2
あった。
【0647】(f)デスマット処理 硫酸濃度300g/L、アルミニウムイオン濃度5g/
Lの水溶液(液温60℃)を用い、デスマット処理を行
った。デスマット処理は、このデスマット液をスプレー
で3秒間吹き付けて行った。
【0648】(g)電気化学的粗面化処理 液温35℃、塩酸濃度7.5g/Lの水溶液に塩化アル
ミニウムを添加して、アルミニウムイオン濃度を4.5
g/Lに調整した電解液を用いた。台形波交流電流を発
生する電源を用いて電気化学的な粗面化処理を行った。
交流電流の周波数は50Hz、電流のゼロからピークに
達するまでの時間Tpは0.8msecであった。交流
のduty(ta/T)は0.5であった。電流密度は
交流のピークがアルミニウム板のアノード反応時で50
A/dm2であり、アルミニウム板がアノード反応時の
電気量の総和とカソード反応時の電気量の総和の比は
0.95であった。アルミニウム板に加わる電気量は、
アルミニウム板のアノード反応時の電気量の総和で50
C/dm2 であった。
【0649】(h)アルカリエッチング処理 アルミニウム板を、カセイソーダ濃度27質量%、アル
ミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液(液温45
℃)をスプレー管より吹き付けてアルミニウム板のエッ
チング処理を行った。粗面化処理した面のアルミニウム
板の溶解量は0.3g/m2 であった。
【0650】(i)デスマット処理 硫酸濃度170g/L、アルミニウムイオン濃度5g/
Lの水溶液(液温35℃)を用い、4秒間デスマット処
理を行った。前記デスマット処理に用いた硫酸水溶液
は、陽極酸化処理工程の廃液を用いた。
【0651】(j)陽極酸化処理 硫酸濃度170g/L、アルミニウムイオン濃度5g/
Lの硫酸液中で、電流密度が20A/dm2 になるよう
に直流電解を行って陽極酸化皮膜を設けた。この際、陽
極酸化皮膜が2.7g/m2 となるように通電時間を調
整した。
【0652】<表面処理(4)>表面処理(4)は、上
記(h)においてアルミニウム溶解量を0.1g/m2
とした以外は、表面処理(3)と同様の方法で行った。
【0653】<表面処理(5)>表面処理(5)は、上
記(h)においてアルミニウム溶解量を0.8g/m2
とした以外は、表面処理(3)と同様の方法で行った。
【0654】2.平版印刷版用支持体表面のピットの性
状 平版印刷版用支持体の表面のピットの平均径および径に
対する深さの比の平均を、以下のようにして求めた。結
果を第8表に示す。なお、平版印刷版用支持体として
は、平版印刷版原版のの記録層を現像処理で除去したも
のを用いた。 (1)ピットの平均径 FE−SEM(S−900、日立製作所製)を用いて支
持体の表面を真上から倍率50000倍で撮影した。得
られたSEM写真のコピーに、長さ10cm(2μm相
当)の直線を引き、直線が通過したピットについて、径
(=(長径+短径)/2)を測定した。径を測定したピ
ットの数が20個となるまで径の測定を続け、その後、
平均径を算出した。
【0655】(2)ピットの径に対する深さの比の平均 平版印刷版用支持体を粗面化処理を施した面が外側にな
るように90゜以上折り曲げて、試料台に導電性ペース
トを用いて固定した。FE−SEMを用いて折り曲げた
部分における陽極酸化皮膜が割れた部分を倍率5000
0倍で撮影した。10個のピットについて径および深さ
を求め、径に対する深さの比の平均を算出した。なお、
ピットの径の測定方法は、上記(1)の方法を用いた。
また、ピットの深さとしては、最も深い部分の深さを用
いた。
【0656】3.平版印刷版用支持体の表面のピットの
平均密度 実施例1〜18および比較例1〜15の場合と同様の方
法により、平版印刷版用支持体の表面のピットの平均密
度を求めた。結果を第8表に示す。
【0657】4.平版印刷版原版の評価 第8表に示すように、上記で得られた各平版印刷版原版
について、記録層に応じた方法により、レーザを用いて
画像を形成させた後、第3表に示す現像1)を行い、各
平版印刷版を得た。得られた各平版印刷版について印刷
試験を行い、以下のようにして耐刷性、耐クリーナ耐刷
性および汚れにくさを評価した。 (1)耐刷性 実施例1〜18および比較例1〜15の場合と同様の方
法により、耐刷性を評価した。結果を第8表に示す。な
お、耐刷性は、実施例31の耐刷性を100とした相対
値で示した。
【0658】(2)耐クリーナ耐刷性 耐刷性の評価の場合と同様の条件で印刷を行い、ベタ画
像部をスポンジを用い、プレートクリーナ液(マルチク
リーナ、富士写真フイルム(株)製)により、5000
枚印刷する毎に洗浄し、ベタ画像部が薄くかすれ始めた
ことが目視で認められるまでの印刷枚数により、評価し
た。結果を第8表に示す。なお、耐クリーナ耐刷性は、
実施例31の通常の耐刷性を100とした相対値で示し
た。
【0659】(3)汚れにくさ 実施例1〜18および比較例1〜15の場合と同様の方
法により、汚れにくさを評価した。結果を第8表に示
す。
【0660】第8表から明らかなように、表面のピット
の平均径が0.6μm以下であり、かつ、ピットの径に
対する深さの比の平均が0.15〜1.0である本発明
の平版印刷版用支持体を用いた本発明の平版印刷版原版
(実施例31〜34)は、ピットの径に対する深さの比
の平均が上記範囲にない場合(実施例35および36)
に比べて、耐クリーナ耐刷性および通常の耐刷性に優れ
ることが分かる。特に、ピットの径に対する深さの比の
平均が0.25である場合(実施例33および34)
は、上記効果が顕著であることが分かる。
【0661】
【表9】
【0662】(実施例37〜76および比較例18〜4
5) 1.平版印刷版原版の製造 第9表に示すように、第1表に示す組成の各アルミニウ
ム板に、後述する各粗面化処理(粗面化処理以外にアル
カリエッチング処理やデスマット処理を含む。)を施
し、更に、後述する方法で陽極酸化処理を施した後、後
述する方法で界面処理を行い、各平版印刷版用支持体を
得た。ついで、各平版印刷版用支持体に、第9表に示す
ように各記録層を設け、各平版印刷版原版を得た。
【0663】(1)粗面化処理 各粗面化処理について説明する。粗面化処理1は、以下
の(a)〜(f)の各種処理を連続的に行うことにより
行った。なお、各処理の後には、スプレーによる水洗を
行い、また、各処理および水洗の後にはニップローラで
液切りを行った。 (a)機械的粗面化処理 上記表面処理(3)の(a)と同様の方法で行った。 (b)アルカリエッチング処理 上記表面処理(3)の(b)と同様の方法で行った。 (c)デスマット処理 デスマット液をスプレーで吹き付ける時間を2秒間とし
た以外は、上記表面処理(3)の(c)と同様の方法で
行った。
【0664】(d)電気化学的粗面化処理 アルミニウム板に加えた電気量を、アルミニウム板のア
ノード反応時の電気量の総和で180C/dm2 とした
以外は、上記表面処理(3)の(d)と同様の方法で行
った。 (e)アルカリエッチング処理 アルミニウム板の溶解量を0.8g/m2 とした以外
は、上記表面処理(3)の(h)と同様の方法で行っ
た。 (f)デスマット処理 水溶液の液温を60℃とした以外は、上記表面処理
(3)の(i)と同様の方法で行った。
【0665】粗面化処理2 粗面化処理2は、上記粗面化処理1の(c)および
(d)の代わりに下記(g)および(h)をこの順に行
い、上記粗面化処理1の(e)においてアルミニウム板
の溶解量を0.2g/m2 とし、かつ、上記粗面化処理
1の(f)において水溶液の液温を35℃とした以外
は、粗面化処理1と同様の方法で行った。
【0666】(g)デスマット処理 塩酸水溶液を用いてデスマット処理を行った。デスマッ
ト処理に用いる塩酸水溶液は、次工程の電気化学的な粗
面化に用いた塩酸の廃液を用いた。その液温は45℃で
あった。デスマット処理は、このデスマット液をスプレ
ーで2秒間吹き付けて行った。
【0667】(h)電気化学的粗面化処理 液温45℃、塩酸濃度7.5g/Lの水溶液に塩化アル
ミニウムを添加して、アルミニウムイオン濃度を5g/
Lに調整した電解液を用いた。台形波交流電流を発生す
る電源を用いて電気化学的な粗面化処理を行った。交流
電流の周波数は60Hz、電流のゼロからピークに達す
るまでの時間Tpは0.8msecであった。交流のd
uty(ta/T)は0.5であった。電流密度は交流
のピークがアルミニウム板のアノード反応時で50A/
dm2であり、アルミニウム板がアノード反応時の電気
量の総和とカソード反応時の電気量の総和の比は0.9
5であった。アルミニウム板に加わる電気量は、アルミ
ニウム板のアノード反応時の電気量の総和で50C/d
2 であった。
【0668】(2)陽極酸化処理 液温35℃、濃度170g/Lの硫酸液中で、電流密度
が25A/dm2 になるように直流電解を行って陽極酸
化皮膜を設けた。この際、陽極酸化皮膜が2.5g/m
2 となるように通電時間を調整した。
【0669】(3)界面処理 界面処理としては、シリケート処理および下塗り層の形
成を行った。第9表中、「シリケート処理+下塗り」と
あるのは、シリケート処理を行った後に下塗り層を形成
させたことを意味し、「下塗り」とあるのは、シリケー
ト処理を行わずに下塗り層を形成させたことを意味す
る。以下、それぞれについて説明する。
【0670】シリケート処理 平版印刷版用支持体を温度30℃の3号ケイ酸ソーダの
1質量%水溶液の処理層中へ、10秒間、浸せきするこ
とでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行
った。その後、井水を用いて、スプレーによる水洗を行
った。
【0671】下塗り層の形成 記録層の種類に合わせて異なる下塗り層を設けた。下塗
り層の形成については、各画像記録層の説明箇所で述べ
る。
【0672】(4)記録層 (i)画像記録層A−1 (a)下塗り層の形成 平版印刷版用支持体に、下記組成の下塗り液を塗布し、
80℃で15秒間乾燥し、塗膜を形成させた。乾燥後の
塗膜の被覆量は15mg/m2 であった。
【0673】<下塗り液組成> ・下記高分子化合物 0.3g ・メタノール 100g ・水 1g
【0674】
【化72】
【0675】(b)感光層の形成 更に、下記組成の感光層塗布液1を調製し、下塗りした
平版印刷版用支持体に、この感光層塗布液1をバーコー
ターを用いて、乾燥後の塗布量(感光層塗布量)が1.
0g/m2 になるよう塗布し、乾燥して感光層を形成さ
せ、平版印刷版原版を得た。
【0676】<感光層塗布液1組成> ・カプリン酸 0.03g ・後述する特定の共重合体1 0.75g ・m,p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、
重量平均分子量3,500、未反応クレゾール0.5質
量%含有) 0.25g ・p−トルエンスルホン酸 0.003g ・テトラヒドロ無水フタル酸 0.03g ・下記構造式で表されるシアニン染料A 0.017
g ・ビクトリアピュアブルーBOHの対イオンを1−ナフ
タレンスルホン酸アニオンにした染料 0.015g ・フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、大日
本インキ化学工業社製) 0.05g ・γ−ブチルラクトン 10g ・メチルエチルケトン 10g ・1−メトキシ−2−プロパノール 1g
【0677】
【化73】
【0678】<特定の共重合体1>かくはん機、冷却管
および滴下ロートを備えた500mL容の三つ口フラス
コに、メタクリル酸31.0g(0.36mol)、ク
ロロギ酸エチル39.lg(0.36mol)およびア
セトニトリル200mLを入れ、氷水浴で冷却しながら
混合物をかくはんした。この混合物にトリエチルアミン
36.4g(0.36mol)を約1時間かけて滴下ロ
ートにより滴下した。滴下終了後、氷水浴を取り去り、
室温下で30分間混合物をかくはんした。
【0679】この反応混合物に、p−アミノベンゼンス
ルホンアミド51.7g(0.30mol)を加え、油
浴にて70℃に温めながら混合物を1時間かくはんし
た。反応終了後、この混合物を水1Lにこの水をかくは
んしながら投入し、30分間得られた混合物をかくはん
した。この混合物をろ過して析出物を取り出し、これを
水500mLでスラリーにした後、このスラリーをろ過
し、得られた固体を乾燥することによりN−(p−アミ
ノスルホニルフェニル)メタクリルアミドの白色固体が
得られた(収量46.9g)。
【0680】つぎに、かくはん機、冷却管および滴下ロ
ートを備えた20mL容の三つ口フラスコに、N−(p
−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド4.6
1g(0.0192mol)、メタクリル酸エチル2.
94g(0.0258mol)、アクリロニトリル0.
80g(0.015mol)およびN,N−ジメチルア
セトアミド20gを入れ、湯水浴により65℃に加熱し
ながら混合物をかくはんした。この混合物に「V−6
5」(和光純薬社製)0.15gを加え、65℃°Cに
保ちながら窒素気流下で、混合物を2時間かくはんし
た。この反応混合物に更にN−(p−アミノスルホニル
フェニル)メタクリルアミド4.61g、メタクリル酸
エチル2.94g、アクリロニトリル0.80g、N,
N−ジメチルアセトアミドおよび「V−65」0.15
gの混合物を2時間かけて滴下ロートにより滴下した。
滴下終了後、更に、得られた混合物を65℃で2時間か
くはんした。反応終了後、メタノール40gを混合物に
加え、冷却し、得られた混合物を水2Lにこの水をかく
はんしながら投入し、30分混合物をかくはんした後、
析出物をろ過により取り出し、乾燥することにより15
gの白色固体の特定の共重合体1を得た。得られた特定
の共重合体1の重量平均分子量をゲルパーミエーション
クロマトグラフィーにより測定したところ、53,00
0(ポリスチレン標準)であった。
【0681】(ii)画像記録層A−2 (a)下塗り層の形成 平版印刷版用支持体に画像記録層A−1に用いたのと同
様の下塗り液を塗布し、塗膜を80℃で15秒間乾燥し
基板を得た。乾燥後の塗膜の被覆量は15mg/m2
あった。
【0682】(b)感熱層の形成 得られた基板に以下の下層用塗布液を塗布量が0.85
g/m2 になるよう塗布した後、TABAI社製、PE
RFECT OVEN PH200にてWind Co
ntrolを7に設定して140℃で50秒間乾燥し、
その後、感熱層用塗布液を塗布量が0.15g/m2
なるよう塗布したのち、120℃で1分間乾燥し、平版
印刷版原版を得た。
【0683】<下層用塗布液組成> ・N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルア
ミド/アクリロニトリル/メタクリル酸メチル(36/
34/30:重量平均分子量50000)1.896g ・クレゾールノボラック(m/p=6/4 重量平均分
子量4500、残存モノマー0.8質量%) 0.2
37g ・上記構造式で表されるシアニン染料A 0.109
g ・4,4' −ビスヒドロキシフェニルスルホン 0.
063g ・無水テトラヒドロフタル酸 0.190g ・p−トルエンスルホン酸 0.008g ・エチルバイオレットの対イオンを6−ヒイドロキシナ
フタレンスルホンに変えたもの 0.05g ・フッ素系界面活性剤(メガファックF176、大日本
インキ工業社製)0.035g ・メチルエチルケトン 26.6g ・1−メトキシ−2−プロパノール 13.6g ・γ−ブチロラクトン 13.8g
【0684】<感熱層用塗布液> ・m,p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、
重量平均分子量4500、未反応クレゾール0.8質量
%含有) 0.237g ・上記構造式で表されるシアニン染料A 0.047
g ・ステアリン酸ドデシル 0.060g ・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミンヘキサフ
ルオロホスフェート0.030g ・フッ素系界面活性剤(メガファックF176、大日本
インキ化学工業社製)0.110g ・フッ素系界面活性剤(メガファックMCF−312
(30質量%)、大日本インキ工業社製) 0.12
0g ・メチルエチルケトン 15.1g ・1−メトキシ−2−プロパノール 7.7g
【0685】(iii)画像記録層A−3 (a)下塗り層の形成 平版印刷版用支持体に画像記録層A−1に用いたのと同
様の下塗り液を塗布し、塗膜を80℃で15秒間乾燥さ
せて基板を得た。乾燥後の塗膜の被覆量は15mg/m
2 であった。
【0686】(b)感光層の形成 得られた基板に以下の感光層形成用塗布液1を塗布量が
1.8g/m2 になるよう塗布し、乾燥して、平版印刷
版原版を得た。 <感光層塗布液1の組成> ・m, p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、
重量平均分子量8000、未反応クレゾール0.5質量
%含有) 1.0g ・上記構造式で表されるシアニン染料A 0.1g ・テトラヒドロ無水フタル酸 0.05g ・p−トルエンスルホル酸 0.002g ・エチルバイオレットの対イオンを6−ヒドロキシ−β
−ナフタレンスルホン酸にしたもの 0.02g ・フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、大日
本インキ化学工業社製) 0.05g ・メチルエチルケトン 12g
【0687】(iv)画像記録層B−1 (a)下塗り層の形成 平版印刷版用支持体に下記下塗り液を塗布し、80℃で
30秒間乾燥した。乾燥後の被覆量は10mg/m2
あった。 <下塗り液の組成> ・β−アラニン 0.1g ・フェニルスルホン酸 0.05g ・メタノール 40g・純水 60g
【0688】(b)感光層の形成 下記組成の溶液を平版印刷版用支持体に塗布し、100
℃で1分間乾燥してネガ型平版印刷版原版を得た。乾燥
後の被覆質量は1.3g/m2 であった。 <溶液の組成> ・下記式1−b−33で表される化合物 0.15g ・赤外線吸収剤IR−Dye−4 0.10g(下記
構造式、日本感光色素研究所社製) ・フェノールとホルムアルデヒドとから得られるノボラ
ック樹脂(重量平均分子量10000) 1.5g ・架橋剤MM−1(下記構造式) 0.50g ・フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、大日
本インキ化学工業社製) 0.03g ・メチルエチルケトン 15g ・1−メトキシ−2−プロパノール 10g ・メチルアルコール 5g
【0689】
【化74】
【0690】
【化75】
【0691】(v)画像記録層B−2 (a)下塗り層の形成 下記組成の下塗り層用塗布液を塗布し、80℃雰囲気下
で30秒間乾燥した。乾燥塗布量は、10mg/m2
あった。 <下塗り層用塗布液の組成> ・2−アミノエチルホスホン酸 0.2g ・エチルアクリレートと2−アクリルアミド−2−メチ
ル−1−プロパンスルホン酸ナトリウム塩のモル比7
5:15の共重合体 0.3g ・メタノール 40g ・イオン交換水 60g
【0692】(b)記録層の形成 下記組成の記録層塗布液を前記下塗り層を形成させた平
版印刷版用支持体上に、ワイヤーバーで塗布し、温風式
乾燥装置にて120℃で45秒間乾燥して記録層を形成
させ、平版印刷版原版を得た。乾燥後の塗布量は1.4
g/m2 であった。なお、記録層用塗布液の調製に用い
た赤外線吸収剤などの構造は以下に示す通りである。
【0693】<記録層用塗布液の組成> ・ベヘン酸〔(D)成分〕 0.02g ・N−アリルステアリン酸アミド〔(D)成分〕
0.01g ・赤外線吸収剤(IR−1)〔(C)成分〕 0.0
8g ・オニウム塩(KO−1)〔(A)成分〕 0.05
g ・オニウム塩(KO−2)〔(A)成分〕 0.15
g ・ジベンタエリスリトールヘキサアクリレート〔(B)
成分〕 0.80g ・アリルメタクリレートとメタクリル酸のモル比80:
20の共重合体(重量平均分子量14万)〔(E)成
分〕 1.20g ・ビクトリアピュアブルーのナフタレンスルホン酸塩
0.04g ・p−メトキシフェノール 0.001g ・フッ素系界面活性剤(メガファックKF309、大日
本インキ化学工業社製) 0.03g ・メチルエチルケトン 10g ・γ−ブチロラクトン 5g ・メタノール 7g ・1−メトキシ−3−プロパノール 5g
【0694】
【化76】
【0695】(vi)画像記録層C−1 (a)下塗り層の形成 平版印刷版用支持体に下記下塗り用液状組成物をSi量
が約0.001g/m 2 となるように塗布し、100℃
で1分間乾燥させた。
【0696】<下塗り用液状組成物>下記成分を混合か
くはんすると、約5分後に発熱が見られた。60分間反
応させた後、内容物を別の容器に移し、メタノールを更
に3万質量部加えたものを下塗り用液状組成物とした。
【0697】・ユニケミカル社製のホスマーPE 2
0質量部 ・メタノール 130質量部 ・水 20質量部 ・p−トルエンスルホン酸 5質量部 ・テトラエトキシシラン 50質量部 ・3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン
50質量部
【0698】(b)感光層の形成 上述の下塗り層上に、下記組成の光重合性組成物を乾燥
塗布質量が1.5g/m2 となるように塗布し、100
℃で1分間乾燥させ、感光層を形成した。続いて、この
感光層上にポリビニルアルコール(ケン化度98モル
%、重合度500)の3質量%の水溶液を乾燥塗布質量
が2.5g/m2 となるように塗布し、120℃で3分
間乾燥させ、感光性平版印刷版原版を得た。
【0699】<感光層塗布液(光重合性組成物)の組成
> ・エチレン性不飽和結合含有化合物(A−1) 1.
7質量部 ・線状有機高分子重合体(B−1) 1.9質量部 ・増感剤(C−1) 0.15質量部 ・光開始剤(D−1) 0.30質量部 ・添加剤(S−1) 0.50質量部 ・フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、大日
本インキ化学工業社製) 0.03質量部 ・熱重合禁止剤(N−ニトロソヒドロキシルアミンアル
ミニウム塩) 0.01質量部 ・ε型の銅フタロシアニン分散物 0.2質量部 ・メチルエチルケトン 30.0質量部 ・プロピレングリコールモノメチルエーテル 30.
0質量部
【0700】なお、感光層塗布液に用いた、エチレン性
不飽和結合含有化合物(A)、線状有機高分子重合体
(B)、増感剤(C)、光開始剤(D)、添加剤(S)
を以下に示す。
【0701】
【化77】
【0702】
【化78】
【0703】
【化79】
【0704】なお、感光層酸価は感光層1gあたりに含
有される酸量を水酸化ナトリウム滴定により測定した
後、算出した実測値であり、0. 45meq/gであっ
た。
【0705】(vii)画像記録層C−2 下記成分をそれぞれ表記のものに代えた以外は画像記録
層C−1と同様にして平版印刷版原版を得た。 <感光層塗布液(光重合性組成物)> ・線状有機高分子重合体(B−2) 1.9質量部 ・光開始剤(D−2) 0.30質量部 感光層酸価は、0. 43meq/gであった。
【0706】(viii)画像記録層C−3 (a)下塗り層の形成 平版印刷版用支持体上に、下記組成の高感度光重合性組
成物1を乾燥塗布質量が1.5g/m2となるように塗布
し、100℃で1分間乾燥させ、下塗り層を形成した。 <光重合性組成物1の組成> ・テトラメチロールメタンテトラアクリレート 1.
5g ・線状有機高分子重合体(B−1) 2.0g ・増感剤(C−1)(λmax THF479nm、ε=
6.9×104 ) 0.15g ・光開始剤(D−1) 0.2g ・IRGACURE 907(E−1)(Ciba−G
eigy社製) 0.4g ・ε−フタロシアニン/(B−1)分散物 0.2g ・フッ素系ノニオン界面活性剤(メガファックF17
7、大日本インキ化学工業社製) 0.03g ・メチルエチルケトン 9g ・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
7.5g ・トルエン 11g
【0707】
【化80】
【0708】この感光層上にポリビニルアルコール(ケ
ン化度98モル%、重合度500)の3質量%の水溶液
を乾燥塗布質量が2.5g/m2 となるように塗布し、
120℃で3分間乾燥させ、光重合性平版印刷版原版を
得た。
【0709】(ix)画像記録層D (a)下塗り層の形成 平版印刷版用支持体の表面に下記組成の下塗り液を塗布
し80℃、30秒間乾燥し、基板を得た。乾燥後の被覆
量は30mg/m2 であった。 <下塗り液の組成> ・アミノエチルホスホン酸 0. 10g ・フェニルホスホン酸 0. 15g ・β−アラニン 0. 10g ・メタノール 40g ・純水 60g
【0710】(b)感光層の形成 このようにして作製した基板上に次の感光液を塗布し、
110℃で1分間乾燥させてポジ型感光性平版印刷版原
版を得た。
【0711】<感光液の組成> ・1,2−ジアゾナフトキノン−5−スルホニルクロリ
ドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステル化物(米
国特許第3,635,709号明細書の実施例1に記載
されているもの) 0.45g ・クレゾール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂(メタ
/パラ比=6/4、重量平均分子量3,000、数平均
分子量1,100、未反応のクレゾールを0.7%含
有) 1.1g ・m−クレゾール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂
(重量平均分子量1,700、数平均分子量600、未
反応のクレゾールを1%含有) 0.3g ・ポリ〔N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリ
ルアミド−コ−ノルマルブチルアクリレート−コ−ジエ
チレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート〕
(各モノマーのモル比は順に40:40:20、重量平
均分子量40,000、数平均分子量20,000)
0.2g
【0712】・p−ノルマルオクチルフェノール−ホル
ムアルデヒド樹脂(米国特許第4,123,279号明
細書に記載されているもの) 0.02g ・ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホン酸ク
ロライド 0.01g ・テトラヒドロ無水フタル酸 0.1g ・安息香酸 0.02g ・4−〔p−N,N−ビス(エトキシカルボニルメチ
ル)アミノフェニル〕−2,6−ビス(トリクロロメチ
ル)−S−トリアジン 0.01g ・4−〔p−N−(p−ヒドロキシベンゾイル)アミノ
フェニル〕−2,6−ビス(トリクロロメチル)−S−
トリアジン 0.02g ・2−トリクロロメチル−5−(4−ヒドロキシスチリ
ル)−1,3,4−オキサジアゾール 0.01g ・ビクトリアピュアブルーBOHの対アニオンを1−ナ
フタレンスルホン酸にした染料 0.02g
【0713】・フッ素系界面活性剤(モディパーF−2
00、日本油脂社製、30質量%のメチルエチルケトン
とメチルイソブチルケトンとの混合溶剤溶液) 0.
06g ・フッ素系界面活性剤(メガファックF177、大日本
インキ化学工業社製、20質量%のメチルイソブチルケ
トン溶液) 0.02g ・メチルエチルケトン 15g ・1−メトキシ−2−プロパノール 10g
【0714】(x)画像記録層E (a)下塗り層の形成 平版印刷版用支持体の表面に下記組成の下塗り液を塗布
し100℃、10秒間乾燥し、基板を得た。乾燥後の被
覆量は10.0mg/m2 であった。 <下塗り液組成> ・下記高分子化合物 0.3g ・メタノール 100g ・水 1g
【0715】
【化81】
【0716】(b)感光層の形成 つぎに、この基板上に下記組成の感光液Aをバーコータ
ーを用いて塗布することにより感光層を設けた。乾燥後
の感光層塗布量は、2.0g/m2 であった。更に、露
光の際の真空密着時間を短縮させるため、特公昭61−
28986号記載の方法でマット層を形成させて、感光
性平版印刷版原版を得た。
【0717】<感光液Aの組成> ・後述するジアゾ樹脂−1 1.2g ・後述する結合剤−1 5.0g ・油溶性染料(ビクトリアピュアブルーBOH)
0.15g ・フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、大日
本インキ化学工業社製) 0.02g ・リン酸トリクレジル 0.2g ・亜リン酸 0.03g ・リンゴ酸 0.03g ・スチレン/無水マレイン酸共重合体のn−ヘキシルア
ルコールによるハーフエステル 0.05g ・2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル
20.00g ・1−メトキシ−2−プロパノール 20.00g ・乳酸メチル 7.00g ・メタノール 25.00g ・メチルエチルケトン 25.00g ・水 3.00g
【0718】ジアゾ樹脂−1は、特開昭59−7834
0号公報の「合成例−1」に記載のp−ジアゾジフェニ
ルアミンとパラホルムアルデヒドとの縮合物のヘキサフ
ルオロリン酸塩である。結合剤−1は、2−ヒドロキシ
エチルメタクリレート/アクリロニトリル/メチルメタ
クリレート/メタクリル酸共重合体(質量比50/20
/26/4、平均分子量75,000、酸含量0.4m
eq/g)の水不溶性かつアルカリ水可溶性の皮膜形成
高分子である。
【0719】2.平版印刷版用支持体の表面のピットの
平均径および平均密度 実施例1〜18および比較例1〜15の場合と同様の方
法により、平版印刷版用支持体の表面のピットの平均径
および平均密度を求めた。結果を第9表に示す。
【0720】3.平版印刷版用支持体の金属間化合物の
密度の測定 各平版印刷版用支持体について、EPMA(電子プロー
ブマイクロアナライザ)を用いて、170μm×170
μmの範囲で面分析して金属間化合物をカウントし、1
mm2 あたりに換算することにより、表層から2μm以
内に存在する金属間化合物の密度を求めた。結果を第9
表に示す。
【0721】4.露光 各平版印刷版原版には、下記の方法で露光を行い、後述
する現像処理に供した。 (1)画像記録層A−1〜A−3 クレオ社製のプレートセッター(TrendSette
r3444F)を用い、回転数150rpm、版面パワ
ー140mJの条件で露光した。 (2)画像記録層B−1およびB−2 クレオ社製のプレートセッター(TrendSette
r3444F)を用い、回転数150rpm、版面パワ
ー100mJの条件で露光した。 (3)画像記録層C−1およびC−3 波長532nm、100mWのFD・YAGレーザー
(CSI社製プレートジェット4)を用い、100μ/
cm2 となるような露光条件(標準露光条件)で、40
00dpiにて175線/インチの条件で、ベタ画像と
1〜99%の網点画像(1%刻み)を走査露光した。露
光後、プレヒートを版面到達温度100℃の条件で実施
した。
【0722】(4)画像記録層C−2 波長405nm、30mWのvioletLD(内面ド
ラム型実験機)を用い、100μ/cm2 となるような
露光条件(標準露光条件)で、4000dpiにて17
5線/インチの条件で、ベタ画像と1〜99%の網点画
像(1%刻み)を走査露光した。露光後、プレヒートを
版面到達温度100℃の条件で実施した。 (5)画像記録層D 透明ポジフィルムを通して、1mの距離から3kWのメ
タルハライドランプで50秒間露光した。 (6)画像記録層E 透明ネガフィルムを通して、1mの距離から3kWのメ
タルハライドランプで60秒間露光した。
【0723】5.現像処理 露光後の各平版印刷版原版に、第9表に示すように、下
記現像処理6)〜11)のいずれかを施して平版印刷版
とし、後述する各評価に用いた。 (1)現像処理6)(ポジ用非シリケート現像) アルカリ金属ケイ酸塩を実質的に含有せず、かつ、糖類
を含有する現像液である富士写真フイルム(株)製のP
S版用現像液DT−1を標準使用条件で用いて、自動現
像機900NPにより現像した。 (2)現像処理7)(サーマルネガ用シリケート現像) アルカリ金属ケイ酸塩を実質的に含有する現像液である
富士写真フイルム(株)製のPS版用現像液DT−Nを
標準使用条件で用いて、自動現像機900NPにより現
像した。 (3)現像処理8)(フォトポリマー用非シリケート現
像) アルカリ金属ケイ酸塩を実質的に含有せず、かつ、糖類
を含有する現像液である富士写真フイルム(株)製のP
S版用現像液DV−2を標準使用条件で用いて、自動現
像機900NPにより現像した。
【0724】(4)現像処理9)(フォトポリマー用シ
リケート現像) アルカリ金属ケイ酸塩を実質的に含有する現像液である
富士写真フイルム(株)製のPS版用現像液DV−1を
標準使用条件で用いて、自動現像機900NPにより現
像した。 (5)現像処理10)(ポジ用シリケート現像) アルカリ金属ケイ酸塩を実質的に含有する現像液である
富士写真フイルム(株)製のPS版用現像液DP−4を
標準使用条件で用いて、自動現像機900NPにより現
像した。 (6)現像処理11)(ネガ用非シリケート現像) アルカリ金属ケイ酸塩を実質的に含有せず、かつ、エタ
ノールアミン類を含有する現像液である富士写真フイル
ム(株)製のPS版用現像液DN−3Cを標準使用条件
で用いて、自動現像機900NPにより現像した。
【0725】6.平版印刷版原版の評価 (1)露光不良 露光不良は、上記の各方法で露光を行った際の露光不足
部の発生頻度を目視で観察して評価した。ここで、露光
不足部は、ポジ型感材、即ち、画像記録層A−1〜A−
3およびDについては非画像部の残膜となり、また、ネ
ガ型感材、即ち、画像記録層B−1、B−2、C−1〜
C−3およびEについては画像部の欠陥となるので、各
記録層の性質に応じて観察を行った。結果を第9表に示
す。露光不足部の発生頻度が少なかったものから多かっ
たものまでを順に、◎、○、○△、△、△×、×として
表した。
【0726】(2)ブランケット汚れ 上記で得られた平版印刷版を用い、三菱ダイヤ型F2印
刷機(三菱重工業社製)で、DIC−GEOS(s)紅
のインキを用いて印刷し、1万枚印刷した後におけるブ
ランケットの汚れを一旦セロハンテープに転写させ、こ
れを白い紙に貼り付けて、セロハンテープに転写された
インキの量を目視で評価した。結果を第9表に示す。ブ
ランケットの汚れの少なかったものから多かったものま
でを順に、◎、○、○△、△、△×、×として表した。
【0727】(3)ベタ画像部の着肉性 上記で得られた平版印刷版を用い、三菱ダイヤ型F2印
刷機(三菱重工業社製)で、DIC−GEOS(s)紅
のインキを用いて印刷し、非画像部中に設けた20mm
×10mmのベタ画像部について、画像の欠損、即ち、
ベタ画像部のインキ着肉不良が発生した枚数により、ベ
タ画像部の着肉性を評価した。結果を第9表に示す。ベ
タ画像部のインキ着肉不良が発生した枚数が多かったも
のから少なかったものまでを順に、◎、○、○△、△、
△×、×として表した。
【0728】(4)耐版切れ性 平版印刷版は、版胴に取り付けるため、その上下端をそ
れぞれベンダーという装置で折り曲げた後、版胴の「く
わえ」といわれる部分に一方をかけ、更に「くわえ尻」
といわれる部分に他方をかけた後、くわえ尻部を巻き込
むことで適度な張力を与えて版胴に密着させ固定させ
る。ここで、平版印刷版の両端部の2箇所の折り曲げら
れた部分においては、折り曲げに対する反力のため、版
胴から浮き上がりやすくなる傾向があり、その状態で版
胴がブランケットに繰り返し押し付けられると、浮き上
がり部分が繰り返し曲げられるため、印刷中に疲労破断
が起こりやすいという不具合がある。ここでは、各平版
印刷版を用いて、印刷枚数100万枚の印刷をn=10
で行った。100万枚に到達する前に、くわえ部および
くわえ尻部のいずれかで平版印刷版の破断が発生した個
数で、耐版切れ性を評価した。結果を第9表に示す。版
切れが起こった個数が0個のものを◎、1個のものを
○、2個のものを○△、3個のものを△、4個のものを
△×、5個以上のものを×とした。
【0729】第9表から明らかなように、表層から2μ
m以内に存在する金属間化合物の密度が特定範囲にある
平版印刷版用支持体を用いた本発明の平版印刷版原版
は、平版印刷版としたときに、耐汚れ性(汚れにくさ)
およびベタ画像部の着肉性に優れ、露光不良が発生しに
くく、かつ、版切れが起こりにくい(実施例37〜7
6)。これに対して、平版印刷版用支持体に用いたアル
ミニウム合金のCu含有量が多すぎるため、平版印刷版
用支持体の表面のピットの平均径が大きく、ピットの平
均密度が低い場合(比較例18〜24)は、ベタ画像部
の着肉性に劣る。表層から2μm以内に存在する金属間
化合物の密度が高すぎる場合(比較例25〜38)は、
ベタ画像部の着肉性に劣り、また、露光不良が発生する
こともある(比較例25〜28、32および33)。平
版印刷版用支持体に用いたアルミニウム合金のFe含有
量が少なすぎる場合(比較例39〜45)は、版切れが
起こりやすい。
【0730】
【表10】
【0731】
【表11】
【0732】
【表12】
【0733】
【発明の効果】本発明の平版印刷版用支持体を用いた本
発明の平版印刷版原版は、平版印刷版としたときの耐刷
性および汚れにくさに優れる。また、表面のSi原子付
着量が0.1〜8mg/m2 である本発明の平版印刷版
用支持体を用いた本発明の平版印刷版原版は、実質的に
アルカリ金属ケイ酸塩を含有しない現像液を用いる本発
明の平版印刷版の処理方法により現像することができ、
その場合においても、耐刷性および汚れにくさに優れ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の平版印刷版用支持体の作成における
機械粗面化処理に用いられるブラシグレイニングの工程
の概念を示す側面図である。
【符号の説明】 1 アルミニウム板 2、4 ローラ状ブラシ 3 研磨スラリー液 5、6、7、8 支持ローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03F 7/09 501 G03F 7/09 501 7/32 7/32 (72)発明者 増田 義孝 静岡県榛原郡吉田町川尻4000番地 富士写 真フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2H025 AA12 AA14 AB03 AC08 DA20 FA16 2H096 AA06 CA03 EA04 GA10 2H114 AA04 AA11 AA14 AA22 AA23 AA27 BA01 BA10 DA05 DA64 EA01 EA03 FA02 GA07

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウム板に電気化学的粗面化処理を
    含む粗面化処理を施して得られる平版印刷版用支持体で
    あって、 該アルミニウム板が、Feを0.1〜0.5質量%、S
    iを0.02〜0.10質量%、Cuを0〜0.005
    質量%、Tiを0〜0.05質量%含有し、残部がAl
    と不可避不純物からなり、 表面のピットの平均径が1.2μm以下であり、ピット
    の平均密度が1×10 6 〜125×106 個/mm2
    あることを特徴とする平版印刷版用支持体。
  2. 【請求項2】アルミニウム板に電気化学的粗面化処理を
    含む粗面化処理を施して得られる平版印刷版用支持体で
    あって、 該アルミニウム板が、Feを0.1〜0.5質量%、S
    iを0.02〜0.10質量%、Cuを0〜0.005
    質量%、Tiを0〜0.05質量%含有し、かつ、Ni
    およびVのうち少なくとも1種をNi:0.002〜
    0.005質量%、V:0.01〜0.05質量%の範
    囲で含有し、残部がAlと不可避不純物からなることを
    特徴とする平版印刷版用支持体。
  3. 【請求項3】表面のピットの平均径が0.6μm以下で
    あり、かつ、ピットの径に対する深さの比の平均が0.
    15〜1.0である請求項1または2に記載の平版印刷
    版用支持体。
  4. 【請求項4】前記アルミニウム板におけるFe含有量が
    0.2〜0.5質量%であり、 支持体の引張強度が150MPa以上、支持体の180
    度折り曲げ強度が5回以上、支持体の疲労破断強度が1
    万回以上である請求項1〜3のいずれかに記載の平版印
    刷版用支持体。
  5. 【請求項5】アルミニウム板に電気化学的粗面化処理を
    含む粗面化処理を施して得られる平版印刷版用支持体で
    あって、 該アルミニウム板が、Feを0.1〜0.5質量%、S
    iを0.02〜0.10質量%、Cuを0〜0.005
    質量%、Tiを0〜0.05質量%、Mgを0.1〜
    1.0質量%含有し、残部がAlと不可避不純物からな
    り、 支持体の引張強度が170MPa以上、支持体の180
    度折り曲げ強度が10回以上、支持体の疲労破断強度が
    2万回以上である請求項1〜4のいずれかに記載の平版
    印刷版用支持体。
  6. 【請求項6】表面のSi原子付着量が0.1〜8mg/
    2 である請求項1〜5のいずれかに記載の平版印刷版
    用支持体。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれかに記載の平版印刷
    版用支持体上に記録層を設けた平版印刷版原版。
  8. 【請求項8】レーザ刷版用の平版印刷版原版である請求
    項7に記載の平版印刷版原版。
  9. 【請求項9】請求項7または8に記載の平版印刷版原版
    に露光した後、実質的にアルカリ金属ケイ酸塩を含有せ
    ず、かつ、糖類を含有する現像液を用いて現像すること
    を特徴とする平版印刷版の処理方法。
  10. 【請求項10】露光後、インキおよび/または湿し水に
    よる現像が可能な請求項8に記載の平版印刷版原版。
  11. 【請求項11】露光後の現像が不要な請求項8に記載の
    平版印刷版原版。
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