JP2002229217A - 平版印刷版用原版の製造方法 - Google Patents

平版印刷版用原版の製造方法

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JP2002229217A
JP2002229217A JP2001028555A JP2001028555A JP2002229217A JP 2002229217 A JP2002229217 A JP 2002229217A JP 2001028555 A JP2001028555 A JP 2001028555A JP 2001028555 A JP2001028555 A JP 2001028555A JP 2002229217 A JP2002229217 A JP 2002229217A
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JP2001028555A
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Haruo Nakanishi
治雄 中西
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 感光層を極めて均一に塗布することができる
平版印刷版用原版の製造方法を提供する。 【解決手段】 ウェブ状のアルミニウム板に、粗面化処
理、表面硬化処理及び親水化処理を行った後、連続して
感光層塗布を行い、前記感光層を乾燥させる平版印刷版
用原版の製造方法において、感光層の塗布液として、粘
度が0.7〜200mN・s/m2、塗布液表面張力が
150〜650μN/cmの範囲のものを用い、前記ア
ルミニウム板のウェブ幅方向の感光層乾燥塗布重量の変
動幅を±10%以下にすることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平版印刷版用原版
の製造方法に関し、特に、感光層を極めて均一に塗布す
ることができる平版印刷版用原版の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、リスフィルム等を介さずにコンピ
ュータ等のディジタルデータから直接製版を行うシステ
ムが注目されている。近年におけるレーザの発展は目覚
しく、特に近赤外から赤外に発光領域を持つ固体レーザ
および半導体レーザは、高出力かつ小型のものが容易に
入手できるようになっており、ディジタルデータから直
接製版するシステムの露光光源として、これらのレーザ
は非常に有用である。このようなレーザ露光を平版印刷
版用原版に施すことで、平版印刷版を作製できる。平版
印刷版用原版(以下単に「原版」ともいう)は、ウェブ
状のアルミニウム板に、粗面化処理、表面硬化処理及び
親水化処理を行った後、連続して感光層塗布を行い、そ
の感光層を乾燥させることで製造されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】平版印刷版を用いた印
刷の印刷品質を向上するために、原版の感光層をより均
一に形成することが求められている。本発明は、このよ
うな事情に鑑みてなされたもので、その目的は、感光層
を極めて均一に塗布することができる平版印刷版用原版
の製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の前記目的は、ウ
ェブ状のアルミニウム板に、粗面化処理、表面硬化処理
及び親水化処理を行った後、連続して感光層塗布を行
い、前記感光層を乾燥させる平版印刷版用原版の製造方
法において、感光層の塗布液として、粘度が0.7〜2
00mN・s/m2、塗布液表面張力が150〜650
μN/cmの範囲のものを用い、前記アルミニウム板の
ウェブ幅方向の感光層乾燥塗布重量の変動幅を±10%
以下にすることを特徴とする平版印刷版用原版の製造方
法によって達成される。このような平版印刷版用原版の
製造方法によれば、感光層の塗布液を極めて均一に塗布
することができ、良好な印刷を実現可能な平版印刷版用
原版を製造できる。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を詳細に
説明する。本発明の製造方法における平版印刷版用原版
の感光層としては、特に限定されないが、その代表的な
物として、ポジ型感光層、ネガ型感光層、光重合(フォ
トポリマー)型感光層、サーマルポジ型感光層、サーマ
ルネガ型感光層等が挙げられる。ポジ型感光層として
は、露光前後で現像液に対する溶解性、又は膨潤性が変
化するものであればいずれでも使用できる。以下、代表
的なポジ型感光層の組成物について説明するが、これに
より本発明は限定されない。
【0006】ポジ型感光層組成物の感光性化合物として
は、o−キノンジアジド化合物が挙げられ、その代表例
としてo−ナフトキノンジアジド化合物が挙げられる。
o−ナフトキノンジアジド化合物としては、特公昭43
−28403号公報に記載されている1,2−ジアゾナ
フトキノンスルホン酸クロリドとピロガロール−アセト
ン樹脂とのエステルであるものが好ましい。その他の好
適なo−キノンジアジド化合物としては米国特許第3,
046,120号及び同第3,188,210号明細書
中に記載されている1,2−ジアゾナフトキノンスルホ
ン酸クロリドとフェノールホルムアルデヒド樹脂とのエ
ステルがある。
【0007】その他の有用なo−ナフトキノンジアジド
化合物としては、数多くの特許に報告され、知られてい
るものが挙げられる。例えば、特開昭47−5303
号、同48−63802号、同48−63803号、同
48−96575号、同49−38701号、同48−
13354号、特公昭37−18015号、同41−1
1222号、同45−9610号、同49−17481
号、特開平5−11444号、特開平5−19477
号、特開平5−19478号、特開平5−107755
号、米国特許第2,797,213号、同第3,45
4,400号、同第3,544,323号、同第3,5
73,917号、同第3,674,495号、同第3,
785,825号、英国特許第1,227,602号、
同第1,251,345号、同第1,267,005
号、同第1,329,888号、同第1,330,93
2号、ドイツ特許第854,890号等の各明細書中に
記載されているものを挙げることができる。
【0008】更にその他のo−キノンジアジド化合物と
しては、分子量1,000以下のポリヒドロキシ化合物
と1,2−ジアゾナフトキノンスルホン酸クロリドとの
反応により得られるo−ナフトキノンジアジド化合物も
使用することができる。例えば特開昭51−13940
2号、同58−150948号、同58−203434
号、同59−165053号、同60−121445
号、同60−134235号、同60−163043
号、同61−118744号、同62−10645号、
同62−10646号、同62−153950号、同6
2−178562号、同64−76047号、米国特許
第3,102,809号、同第3,126,281号、
同第3,130,047号、同第3,148,983
号、同第3,184,310号、同第3,188,21
0号、同第4,639,406号等の各公報又は明細書
に記載されているものを挙げることができる。
【0009】これらのo−ナフトキノンジアジド化合物
を合成する際には、ポリヒドロキシ化合物のヒドロキシ
ル基に対して1,2−ジアゾナフトキノンスルホン酸ク
ロリドを0.2〜1.2当量反応させることが好まし
く、0.3〜1.0当量反応させることがさらに好まし
い。1,2−ジアゾナフトキノンスルホン酸クロリドと
しては、1,2−ジアゾナフトキノン−5−スルホン酸
クロリドが好ましいが、1,2−ジアゾナフトキノン−
4−スルホン酸クロリドも用いることができる。また得
られるo−ナフトキノンジアジド化合物は、1,2−ジ
アゾナフトキノンスルホン酸エステル基の位置及び導入
量の種々異なるものの混合物となるが、ヒドロキシル基
がすべて1,2−ジアゾナフトキノンスルホン酸エステ
ルに転換された化合物がこの混合物中に占める割合(完
全にエステル化された化合物の含有率)は5モル%以上
であることが好ましく、さらに好ましくは20〜99モ
ル%である。
【0010】また、o−ナフトキノンジアジド化合物を
用いずにポジ型に作用する感光性化合物として、例えば
特公昭52−2696号に記載されているo−ニトリル
カルビノールエステル基を含有するポリマー化合物やピ
リジニウム基含有化合物(特開平4−365049号な
ど)、ジアゾニウム基含有化合物(特開平5−2496
64号、特開平6−83047号、特開平6−3244
95号、特開平7−72621号など)も本発明に使用
することが出来る。更に光分解により酸を発生する化合
物と(特開平4−121748号、特開平4−3650
43号など)、酸により解離するC−O−C基又はC−
O−Si基を有する化合物との組み合せ系も本発明に使
用することができる。例えば光分解により酸を発生する
化合物とアセタール又はO、N−アセタール化合物との
組み合せ(特開昭48−89003号など)、オルトエ
ステル又はアミドアセタール化合物との組み合せ(特開
昭51−120714号など)、主鎖にアセタール又は
ケタール基を有するポリマーとの組み合せ(特開昭53
−133429号など)、エノールエーテル化合物との
組み合せ(特開昭55−12995号、特開平4−19
748号、特開平6−230574号など)、N−アシ
ルイミノ炭素化合物との組み合せ(特開昭55−126
236号など)、主鎖にオルトエステル基を有するポリ
マーとの組み合せ(特開昭56−17345号など)、
シリルエステル基を有するポリマーとの組み合せ(特開
昭60−10247号など)、及びシリルエーテル化合
物との組み合せ(特開昭60−37549号、特開昭6
0−121446号、特開昭63−236028号、特
開昭63−236029号、特開昭63−276046
号など)等が挙げられる。本発明の感光性組成物中に占
めるこれらのポジ型に作用する感光性化合物(上記のよ
うな組み合せを含む)の量は1〜50重量%が適当であ
り、より好ましくは10〜40重量%である。
【0011】上記に挙げられたポジ型に作用する感光性
化合物のうち、特にo−キノンジアジド化合物は単独で
も感光層を構成し得るが、いずれの感光性化合物を用い
た場合でも、結合剤(バインダー)としてのアルカリ水
に可溶な樹脂と共に使用することが好ましい。このよう
なアルカリ水に可溶性の樹脂としては、この性質を有す
るノボラック樹脂があり、たとえばフェノールホルムア
ルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、
p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合
クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾ
ール(m−、p−、o−又はm−/p−/o−混合のい
ずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂などのクレゾ
ールホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。これらの
アルカリ可溶性高分子化合物は、重量平均分子量が50
0〜100,000のものが好ましい。その他、レゾー
ル型のフェノール樹脂類も好適に用いられ、フェノール
/クレゾール(m−、p−、o−又はm−/p−/o−
混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂が好
ましく、特に特開昭61−217034号公報に記載さ
れているフェノール樹脂類が好ましい。
【0012】また、フェノール変性キシレン樹脂、ポリ
ヒドロキシスチレン、ポリハロゲン化ヒドロキシスチレ
ン、特開昭51−34711号公報に開示されているよ
うなフェノール性水酸基を含有するアクリル系樹脂、特
開平2−866号公報に記載のスルホンアミド基を有す
るビニル樹脂やウレタン樹脂、特開平7−28244
号、特開平7−36184号、特開平7−36185
号、特開平7−248628号、特開平7−26139
4号、特開平7−333839号公報などに記載の構造
単位を有するビニル樹脂など種々のアルカリ可溶性の高
分子化合物を含有させることができる。特にビニル樹脂
においては、以下に示す(1)〜(4)のアルカリ可溶
性基含有モノマーから選ばれる少なくとも1種を重合成
分として有する皮膜形成性樹脂が好ましい。
【0013】(1)N−(4−ヒドロキシフェニル)ア
クリルアミドまたはN−(4−ヒドロキシフェニル)メ
タクリルアミド、o−、m−またはp−ヒドロキシスチ
レン、o−またはm−ブロモ−p−ヒドロキシスチレ
ン、o−またはm−クロル−p−ヒドロキシスチレン、
o−、m−またはp−ヒドロキシフェニルアクリレート
またはメタクリレート等の芳香族水酸基を有するアクリ
ルアミド類、メタクリルアミド類、アクリル酸エステル
類、メタクリル酸エステル類およびビドロキシスチレン
類、(2)アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無
水マレイン酸およびそのハーフエステル、イタコン酸、
無水イタコン酸およびそのハーフエステルなどの不飽和
カルボン酸、
【0014】(3)N−(o−アミノスルホニルフェニ
ル)アクリルアミド、N−(m−アミノスルホニルフェ
ニル)アクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフ
ェニル)アクリルアミド、N−〔1−(3−アミノスル
ホニル)ナフチル〕アクリルアミド、N−(2−アミノ
スルホニルエチル)アクリルアミドなどのアクリルアミ
ド類、N−(o−アミノスルホニルフェニル)メタクリ
ルアミド、N−(m−アミノスルホニルフェニル)メタ
クリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)
メタクリルアミド、N−〔1−(3−アミノスルホニ
ル)ナフチル〕メタクリルアミド、N−(2−アミノス
ルホニルエチル)メタクリルアミドなどのメタクリルア
ミド類、また、o−アミノスルホニルフェニルアクリレ
ート、m−アミノスルホニルフェニルアクリレート、p
−アミノスルホニルフェニルアクリレート、1−(3−
アミノスルホニルフェニルナフチル)アクリレートなど
のアクリル酸エステル類などの不飽和スルホンアミド、
o−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、m−ア
ミノスルホニルフェニルメタクリレート、p−アミノス
ルホニルフェニルメタクリレート、1−(3−アミノス
ルホニルフェニルナフチル)メタクリレートなどのメタ
クリル酸エステル類などの不飽和スルホンアミド、
(4)トシルアクリルアミドのように置換基があっても
よいフェニルスルホニルアクリルアミド、およびトシル
メタクリルアミドのような置換基があってもよいフェニ
ルスルホニルメタクリルアミド。
【0015】更に、これらのアルカリ可溶性基含有モノ
マーの他に以下に記す(5)〜(14)のモノマーを共
重合した皮膜形成性樹脂が好適に用いられる。(5)脂
肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類およびメタク
リル酸エステル類、例えば、2−ヒドロキシエチルアク
リレートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリレート、
(6)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、ア
クリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリ
ル酸オクチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジ
ル、アクリル酸−2−クロロエチル、アクリル酸4−ヒ
ドロキシブチル、グリシジルアクリレート、N−ジメチ
ルアミノエチルアクリレートなどの(置換)アクリル酸
エステル、
【0016】(7)メタクリル酸メチル、メタクリル酸
エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、
メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリ
ル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリ
ル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−
2−クロロエチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチ
ル、グリシジルメタクリレート、N−ジメチルアミノエ
チルメタクリレートなどの(置換)メタクリル酸エステ
ル、
【0017】(8)アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメ
タクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチ
ルメタクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N
−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアク
リルアミド、N−シクロヘキシルメタクリルアミド、N
−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアク
リルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−ベン
ジルアクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド、
N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニ
ルメタクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリ
ルアミドおよびN−エチル−N−フェニルメタクリルア
ミドなどのアクリルアミドもしくはメタクリルアミド、
【0018】(9)エチルビニルエーテル、2−クロロ
エチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテ
ル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、
オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテルなど
のビニルエーテル類、(10)ビニルアセテート、ビニ
ルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニ
ルなどのビニルエステル類、(11)スチレン、α−メ
チルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン
などのスチレン類、(12)メチルビニルケトン、エチ
ルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニ
ルケトンなどのビニルケトン類、(13)エチレン、プ
ロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレンなど
のオレフィン類、(14)N−ビニルピロリドン、N−
ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン、アクリロニ
トリル、メタクリロニトリルなど。
【0019】これらのアルカリ可溶性高分子化合物は、
重量平均分子量が500〜500,000のものが好ま
しい。このようなアルカリ可溶性高分子化合物は1種類
あるいは2種類以上を組み合せて使用してもよく、全組
成物の99重量%以下、好ましくは98重量%以下の添
加量で用いられる。この範囲であると現像性及び耐刷性
の点で好ましい。
【0020】更に、米国特許第4,123,279号明
細書に記載されているように、t−ブチルフェノールホ
ルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノールホルムアルデ
ヒド樹脂のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基
として有するフェノールホルムアルデヒドとの縮合物の
o−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル(例えば
特開昭61−243446号に記載のもの)を併用する
ことは画像の感脂性を向上させる上で好ましい。
【0021】(現像促進剤)該ポジ型感光性組成物中に
は、感度アップおよび現像性の向上のために環状酸無水
物類、フェノール類および有機酸類を添加することが好
ましい。環状酸無水物としては米国特許4,115,1
28号明細書に記載されている無水フタル酸、テトラヒ
ドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6
−エンドオキシ−Δ4 −テトラヒドロ無水フタル酸、テ
トラクロル無水フタル酸、無水マレイン酸、クロル無水
マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク
酸、無水ピロメリット酸などが使用できる。フェノール
類としては、ビスフェノールA、p−ニトロフェノー
ル、p−エトキシフェノール、2,4,4′−トリヒド
ロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベ
ンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4,
4′,4″−トリヒドロキシ−トリフェニルメタン、
4,4′,3″,4″−テトラヒドロキシ−3,5,
3′,5′−テトラメチルトリフェニルメタンなどが挙
げられる。
【0022】更に、有機酸類としては、特開昭60−8
8942号、特開平2−96755号公報などに記載さ
れている、スルホン酸類、スルフィン酸類、アルキル硫
酸類、ホスホン酸類、リン酸エステル類およびカルボン
酸類などがあり、具体的には、p−トルエンスルホン
酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルフ
ィン酸、エチル硫酸、フェニルホスホン酸、フェニルホ
スフィン酸、リン酸フェニル、リン酸ジフェニル、安息
香酸、イソフタル酸、アジピン酸、p−トルイル酸、
3,4−ジメトキシ安息香酸、フタル酸、テレフタル
酸、1,4−シクロヘキセン−2,2−ジカルボン酸、
エルカ酸、ラウリン酸、n−ウンデカン酸、アスコルビ
ン酸などが挙げられる。上記の環状酸無水物類、フェノ
ール類および有機酸類の感光性組成物中に占める割合
は、0.05〜15重量%が好ましく、より好ましくは
0.1〜5重量%である。
【0023】(現像安定剤)また、該ポジ型感光性組成
物中には、現像条件に対する処理の安定性(いわゆる現
像許容性)を広げるため、特開昭62−251740号
公報や特開平4−68355号公報に記載されているよ
うな非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号
公報、特開平4−13149号公報に記載されているよ
うな両性界面活性剤を添加することができる。
【0024】非イオン界面活性剤の具体例としては、ソ
ルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテー
ト、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセ
リド、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポ
リオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどが挙げら
れる。両性界面活性剤の具体例としては、アルキルジ
(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチル
グリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル
−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN
−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名
アモーゲンK、第一工業製薬(株)製)およびアルキル
イミダゾリン系(例えば、商品名レボン15、三洋化成
(株)製)などが挙げられる。上記非イオン界面活性剤
および両性界面活性剤の感光性組成物中に占める割合
は、0.05〜15重量%が好ましく、より好ましくは
0.1〜5重量%である。
【0025】(焼き出し剤、染料、その他)該ポジ型感
光層組成物中には、露光後直ちに可視像を得るための焼
出し剤、画像着色剤としての染料やその他のフィラーな
どを加えることができる。本発明に用いることのできる
染料としては、特開平5−313359号公報に記載の
塩基性染料骨格を有するカチオンと、スルホン酸基を唯
一の交換基として有し、1〜3個の水酸基を有する炭素
数10以上の有機アニオンとの塩からなる塩基性染料を
挙げることができる。添加量は、全感光層組成物の0.
2〜5重量%である。
【0026】また、上記特開平5−313359号公報
に記載の染料と相互作用して色調を変えさせる光分解物
を発生させる化合物、例えば特開昭50−36209号
(米国特許3,969,118号)に記載のo−ナフト
キノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニド、特開昭5
3−36223号(米国特許4,160,671号)に
記載のトリハロメチル−2−ピロンやトリハロメチルト
リシジン、特開昭55−62444号(米国特許2,0
38,801号)に記載の種々のo−ナフトキノンジア
ジド化合物、特開昭55−77742号(米国特許4,
279,982号)に記載の2−トリハロメチル−5−
アリール−1,3,4−オキサジアゾール化合物などを
添加することができる。これらの化合物は単独又は混合
し使用することができる。これらの化合物のうち400
nmに吸収を有する化合物を後述の黄色染料として用い
てもよい。
【0027】画像の着色剤として前記特開平5−313
359号公報に記載の染料以外に他の染料を用いること
ができる。塩形成性有機染料を含めて好適な染料として
油溶性染料および塩基染料を挙げることができる。具体
的には、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オ
イルブルー#603、(以上、オリエント化学工業株式
会社製)、ビクトリアピュアブルーBOH、ビクトリア
ピュアブルーNAPS、エチルバイオレット6HNAP
S〔以上、保土谷化学工業(株)製〕、ローダミンB
〔C145170B〕、マラカイトグリーン(C142
000)、メチレンブルー(C152015)等を挙げ
ることができる。
【0028】また該ポジ型感光性組成物中には、以下の
黄色系染料を添加することができる。一般式〔I〕、
〔II〕あるいは〔III〕で表わされ、417nmの吸光
度が436nmの吸光度の70%以上である黄色系染料
【0029】
【化1】
【0030】式〔I〕中、R1 及びR2 はそれぞれ独立
に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基
又はアルケニル基を示す。またR1とR2は環を形成して
もよい。R3、R4、R5はそれぞれ独立に水素原子、炭
素数1〜10のアルキル基を示す。G1、G2はそれぞれ
独立にアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボ
ニル基、アシル基、アリールカルボニル基、アルキルチ
オ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリー
ルスルホニル基又はフルオロアルキルスルホニル基を示
す。またG1とG2は環を形成してもよい。さらにR1
2、R3、R4、R5、G1、G2のうち1つ以上に1つ以
上のスルホン酸基、カルボキシル基、スルホンアミド
基、イミド基、N−スルホニルアミド基、フェノール性
水酸基、スルホンイミド基、又はその金属塩、無機又は
有機アンモニウム塩を有する。YはO、S、NR(Rは
水素原子もしくはアルキル基又はアリール基)、Se、
−C(CH32−、−CH=CH−より選ばれる2価原
子団を示し、n1は0又は1を示す。
【0031】
【化2】
【0032】式〔II〕中、R6及びR7はそれぞれ独立に
水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、
置換アリール基、ヘテロ環基、置換ヘテロ環基、アリル
基又は置換アリル基を表わし、また、R6とR7とは共に
それが結合している炭素原子と共に環を形成しても良
い。n2は0、1又は2を表わす。G3及びG4はそれぞ
れ独立に、水素原子、シアノ基、アルコキシカルボニル
基、置換アルコキシカルボニル基、アリールオキシカル
ボニル基、置換アリールオキシカルボニル基、アシル
基、置換アシル基、アリールカルボニル基、置換アリー
ルカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ア
ルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、フルオロ
アルキルスルホニル基を表わす。ただし、G3とG4が同
時に水素原子となることはない。また、G3とG4とはそ
れが結合している炭素原子と共に非金属原子から成る環
を形成しても良い。
【0033】さらにR6、R7、G3、G4のうち1つ以上
に1つ以上のスルホン酸基、カルボキシル基、スルホン
アミド基、イミド基、N−スルホニルアミド基、フェノ
ール性水酸基、スルホンイミド基、又はその金属塩、無
機又は有機アンモニウム塩を有する。
【0034】
【化3】
【0035】式〔III〕中、R8、R9、R10、R11、R
12、R13はそれぞれ同じでも異なっていてもよく水素原
子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換ア
リール基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アシル基、
シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニ
ル基、ニトロ基、カルボキシル基、クロル基、ブロモ基
を表わす。
【0036】該ポジ型感光層は、前記の各感光性組成物
の成分を溶解する溶媒に溶かして支持体上に塗布するこ
とによって得られる。前述したように、上記溶媒は、本
発明の中間層に含有される水不溶、且つアルカリ可溶性
の高分子化合物を溶解しないものが選択される。具体的
には、例えばγ−ブチロラクトン、エチレンジクロライ
ド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、エチレン
グリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモ
ノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1
−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プ
ロピルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチ
ル、乳酸エチル、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセ
トアミド、ジメチルホルムアミド、水、N−メチルピロ
リドン、テトラヒドロフルフリルアルコール、アセト
ン、ジアセトンアルコール、メタノール、エタノール、
イソプロパノール、ジエチレングリコールジメチルエー
テル及びこれらの溶媒の混合物から適切に選択して使用
することができる。上記成分の濃度(固形分)は、2〜
50重量%が適当である。塗布量としては0.5g/m
2〜4.0g/m2が好ましい。0.5g/m2よりも少
ないと耐刷性が劣化する。4.0g/m2よりも多いと
耐刷性は向上するが、感度が低下してしまう。
【0037】該ポジ型感光性組成物中には、塗布法を良
化するための界面活性剤、例えば、特開昭62−170
950号公報に記載されているようなフッ素系界面活性
剤を添加することができる。好ましい添加量は、全感光
性組成物の0.01〜3重量%であり、更に好ましくは
0.05〜2重量%である。以上のようにして得られた
平版印刷版では原画フィルムに対して忠実な印刷物を得
ることができるが焼ボケ及び印刷物のがさつき感が悪
い。焼ボケを改良する方法としてこのようにして設けら
れた感光量の表面を凹凸にする方法がある。例えば特開
昭61−258255号公報に記載されているように感
光液中に数μmの粒子を添加し、それを塗布する方法が
あるがこの方法では焼ボケの改良効果も小さくかつがさ
つき感は全く改良されない。
【0038】ところが、例えば特開昭50−12580
5号、特公昭57−6582号、同61−28986
号、同62−62337号公報に記載されているような
感光量の表面に凹凸となる成分をつける方法を用いると
焼ボケは改良され、更に印刷物のがさつき感は良化す
る。更に、特公昭55−30619号公報に記載されて
いるように感光物の感光波長領域に吸収を持つ光吸収剤
をマット層中に含有させると焼ボケ・がさつき感がさら
に良化する。また1インチ175線の線数からなる原画
フィルムよりも焼ボケしやすく、印刷物のがさつき感が
出やすい1インチ300線以上の線数からなる原画フィ
ルムおよびFMスクリーニングにより得られた原画フィ
ルムを用いても良好な印刷物を得ることができる。以上
のように平版印刷版用原版の感光層表面に設けられた微
少パターンは次のようなものが望ましい。すなわち塗布
部分の高さは1〜40μm、特に2〜20μmの範囲が
好ましく、大きさ(直径)は10〜10000μm、特
に20〜200μmの範囲が好ましく、更に均一な大き
さなほど好ましい。また密度は1〜1000個/mm2
の範囲である。
【0039】〔現像処理〕次に、該ポジ型感光層を有す
る平版印刷版用原版の現像処理について説明する。 (露光)該平版印刷版用原版は像露光された後に現像処
理される。像露光に用いられる活性光線の光源としては
カーボンアーク灯、水銀灯、メタルハライドランプ、キ
セノンランプ、タングステンランプ、ケミカルランプな
どがある。放射線としては、電子線、X線、イオンビー
ム、遠赤外線などがある。また、g線、i線、Deep
−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)
も使用される。レーザービームとしてはヘリウム・ネオ
ンレーザー、アルゴンレーザー、クリプトンレーザー、
ヘリウム・カドミウムレーザー、KrFエキシマーレー
ザー、半導体レーザー、YAGレーザーなどが挙げられ
る。
【0040】(現像液)該平版印刷版用原版の現像液と
して好ましいものは、実質的に有機溶剤を含まないアル
カリ性の水溶液である。具体的には珪酸ナトリウム、珪
酸カリウム、NaOH、KOH、LiOH、第3リン酸
ナトリウム、第2リン酸ナトリウム、第3リン酸アンモ
ニウム、第2リン酸アンモニウム、メタ珪酸ナトリウ
ム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウ
ム、アンモニア水などのような水溶液が適当である。更
に好ましくは(a)非還元糖から選ばれる少なくとも一
種の糖類および(b)少なくとも一種の塩基を含有し、
pHが9.0〜13.5の範囲にある現像液である。以
下この現像液について詳しく説明する。なお、本明細書
中において、特にことわりのない限り、現像液とは現像
開始液(狭義の現像液)と現像補充液とを意味する。
【0041】(非還元糖及び塩基)この現像液は、その
主成分が、非還元糖から選ばれる少なくとも一つの化合
物と、少なくとも一種の塩基からなり、液のpHが9.
0〜13.5の範囲であることを特徴とする。かかる非
還元糖とは、遊離のアルデヒド基やケトン基を持たず、
還元性を示さない糖類であり、還元基同士の結合したト
レハロース型少糖類、糖類の還元基と非糖類が結合した
配糖体および糖類に水素添加して還元した糖アルコール
に分類され、何れも好適に用いられる。トレハロース型
少糖類には、サッカロースやトレハロースがあり、配糖
体としては、アルキル配糖体、フェノール配糖体、カラ
シ油配糖体などが挙げられる。また糖アルコールとして
はD,L−アラビット、リビット、キシリット、D,L
−ソルビット、D,L−マンニット、D,L−イジッ
ト、D,L−タリット、ズリシットおよびアロズルシッ
トなどが挙げられる。更に二糖類の水素添加で得られる
マルチトールおよびオリゴ糖の水素添加で得られる還元
体(還元水あめ)が好適に用いられる。これらの中で特
に好ましい非還元糖は糖アルコールとサッカロースであ
り、特にD−ソルビット、サッカロース、還元水あめが
適度なpH領域に緩衝作用があることと、低価格である
ことで好ましい。
【0042】これらの非還元糖は、単独もしくは二種以
上を組み合わせて使用でき、それらの現像液中に占める
割合は0.1〜30重量%が好ましく、更に好ましく
は、1〜20重量%である。この範囲以下では十分な緩
衝作用が得られず、またこの範囲以上の濃度では、高濃
縮化し難く、また原価アップの問題が出てくる。尚、還
元糖を塩基と組み合わせて使用した場合、経時的に褐色
に変色し、pHも徐々に下がり、よって現像性が低下す
るという問題点がある。非還元糖に組み合わせる塩基と
しては従来より知られているアルカリ剤が使用できる。
例えば、水酸化ナトリウム、同カリウム、同リチウム、
リン酸三ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、リ
ン酸二ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸
ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナ
トリウム、同カリウム、同アンモニウム、ホウ酸ナトリ
ウム、同カリウム、同アンモニウムなどの無機アルカリ
剤が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルア
ミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチル
アミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、
ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−
ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールア
ミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールア
ミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エ
チレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤も用い
られる。
【0043】これらのアルカリ剤は単独もしくは二種以
上を組み合わせて用いられる。これらの中で好ましいの
は水酸化ナトリウム、同カリウムである。その理由は、
非還元糖に対するこれらの量を調整することにより広い
pH領域でpH調整が可能となるためである。また、リ
ン酸三ナトリウム、同カリウム、炭酸ナトリウム、同カ
リウムなどもそれ自体に緩衝作用があるので好ましい。
これらのアルカリ剤は現像液のpHを9.0〜13.5
の範囲になるように添加され、その添加量は所望のp
H、非還元糖の種類と添加量によって決められるが、よ
り好ましいpH範囲は10.0〜13.2である。
【0044】現像液には更に、糖類以外の弱酸と強塩基
からなるアルカリ性緩衝液が併用できる。かかる緩衝液
として用いられる弱酸としては、pKaが10.0〜1
3.2のものが好ましい。このような弱酸としては、Pe
rgamon Press社発行のIONISATION CONSTANTS OF ORGANI
C ACIDS IN AQUEOUS SOLUTION などに記載されているも
のから選ばれ、例えば2,2,3,3−テトラフルオロ
プロパノール−1(pKa12.74)、トリフルオロ
エタノール(同12.37)、トリクロロエタノール
(同12.24)などのアルコール類、ピリジン−2−
アルデヒド(同12.68)、ピリジン−4−アルデヒ
ド(同12.05)などのアルデヒド類、サリチル酸
(同13.0)、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(同
12.84)、カテコール(同12.6)、没食子酸
(同12.4)、スルホサリチル酸(同11.7)、
3,4−ジヒドロキシスルホン酸(同12.2)、3,
4−ジヒドロキシ安息香酸(同11.94)、1,2,
4−トリヒドロキシベンゼン(同11.82)、ハイド
ロキノン(同11.56)、ピロガロール(同11.3
4)、o−クレゾール(同10.33)、レゾルシノー
ル(同11.27)、p−クレゾール(同10.2
7)、m−クレゾール(同10.09)などのフェノー
ル性水酸基を有する化合物、
【0045】2−ブタノンオキシム(同12.45)、
アセトキシム(同12.42)、1,2−シクロヘプタ
ンジオンジオキシム(同12.3)、2−ヒドロキシベ
ンズアルデヒドオキシム(同12.10)、ジメチルグ
リオキシム(同11.9)、エタンジアミドジオキシム
(同11.37)、アセトフェノンオキシム(同11.
35)などのオキシム類、アデノシン(同12.5
6)、イノシン(同12.5)、グアニン(同12.
3)、シトシン(同12.2)、ヒポキサンチン(同1
2.1)、キサンチン(同11.9)などの核酸関連物
質、他に、ジエチルアミノメチルホスホン酸(同12.
32)、1−アミノ−3,3,3−トリフルオロ安息香
酸(同12.29)、イソプロピリデンジホスホン酸
(同12.10)、1,1−エチリデンジホスホン酸
(同11.54)、1,1−エチリデンジホスホン酸1
−ヒドロキシ(同11.52)、ベンズイミダゾール
(同12.86)、チオベンズアミド(同12.8)、
ピコリンチオアミド(同12.8)、バルビツル酸(同
12.5)などの弱酸が挙げられる。
【0046】これらの弱酸の中で好ましいのは、スルホ
サリチル酸、サリチル酸である。これらの弱酸に組み合
わせる塩基としては、水酸化ナトリウム、同アンモニウ
ム、同カリウムおよび同リチウムが好適に用いられる。
これらのアルカリ剤は単独もしくは二種以上を組み合わ
せて用いられる。上記の各種アルカリ剤は濃度および組
み合わせによりpHを好ましい範囲内に調整して使用さ
れる。
【0047】(界面活性剤)現像液には、現像性の促進
や現像カスの分散および印刷版画像部の親インキ性を高
める目的で必要に応じて種々界面活性剤や有機溶剤を添
加できる。好ましい界面活性剤としては、アニオン系、
カチオン系、ノニオン系および両性界面活性剤が挙げら
れる。
【0048】界面活性剤の好ましい例としては、ポリオ
キシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレン
アルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリ
スチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリ
オキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪
酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、
ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレ
ングリコールモノ脂肪酸エステル類、しょ糖脂肪酸部分
エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分
エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部
分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル
類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシ
エチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン
脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、
N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリ
オキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン
脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシドなどの非
イオン性界面活性剤、
【0049】脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキ
シアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、
ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩類、直鎖アルキルベ
ンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホ
ン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキ
ルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩
類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテ
ル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム
塩、N−アルキルスルホ琥珀酸モノアミド二ナトリウム
塩、石油スルホン酸塩類、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキ
ルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル
塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステ
ル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリ
オキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル
塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫
酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル塩類、ポリオ
キシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポ
リオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エス
テル塩類、スチレン/無水マレイン酸共重合物の部分鹸
化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分鹸
化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類な
どのアニオン界面活性剤、アルキルアミン塩類、テトラ
ブチルアンモニウムブロミド等の第四級アンモニウム塩
類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチ
レンポリアミン誘導体などのカチオン性界面活性剤、カ
ルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタ
イン類、アミノ硫酸エステル類、イミダゾリン類などの
両性界面活性剤が挙げられる。以上挙げた界面活性剤の
中でポリオキシエチレンとあるものは、ポリオキシメチ
レン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンなど
のポリオキシアルキレンに読み替えることもでき、それ
らの界面活性剤もまた包含される。
【0050】更に好ましい界面活性剤は分子内にパーフ
ルオロアルキル基を含有するフッ素系の界面活性剤であ
る。かかるフッ素系界面活性剤としては、パーフルオロ
アルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン
酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどのアニ
オン型、パーフルオロアルキルベタインなどの両性型、
パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩などの
カチオン型およびパーフルオロアルキルアミンオキサイ
ド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パ
ーフルオロアルキル基および親水性基含有オリゴマー、
パーフルオロアルキル基および親油性基含有オリゴマ
ー、パーフルオロアルキル基、親水性基および親油性基
含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基および親油性
基含有ウレタンなどの非イオン型が挙げられる。かかる
組成の現像液で現像処理されたPS版は水洗水、界面活
性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体
等を主成分とするフィニッシャーや保護ガム液で後処理
を施される。本発明のPS版の後処理にはこれらの処理
を種々組み合わせて用いることができる。
【0051】近年、製版・印刷業界では製版作業の合理
化および標準化のため、PS版用の自動現像機が広く用
いられている。この自動現像機は、一般に現像部と後処
理部からなり、PS版を搬送する装置と、各処理液槽お
よびスプレー装置からなり、露光済みのPS版を水平に
搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレー
ノズルから吹き付けて現像および後処理するものであ
る。また、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中
ガイドロールなどによってPS版を浸漬搬送させて現像
処理する方法や、現像後一定量の少量の水洗水を版面に
供給して水洗し、その廃水を現像液原液の希釈水として
再利用する方法も知られている。このような自動処理に
おいては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じてそれ
ぞれの補充液を補充しながら処理することができる。ま
た、実質的に未使用の処理液で処理するいわゆる使い捨
て処理方式も適用できる。このような処理によって得ら
れた平版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚
の印刷に用いられる。
【0052】次にネガ型感光層について説明する。ネガ
型感光層は、ジアゾ樹脂を含有する感光層、光架橋性感
光層がある。ジアゾ樹脂を含有する感光層に使用される
ジアゾ樹脂は、芳香族ジアゾニウム塩と活性カルボニル
基含有化合物、例えばホルムアルデヒドとの縮合物で代
表されるジアゾ樹脂である。上記ジアゾ樹脂としては、
例えば、p−ジアゾフェニルアミン類とホルムアルデヒ
ド、アセトアルデヒドなどのアルデヒドとの縮合物とヘ
キサフルオロ燐酸塩またはテトラフルオロ硼酸塩との反
応生成物である有機溶媒可溶性ジアゾ樹脂無機塩や、特
公昭47−1167号公報に記載されているような前記
縮合物とのスルホン酸塩類、例えばp−トルエンスルホ
ン酸、プロピルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレ
ンスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシ
ベンゾフェノン−5−スルホン酸との反応生成物である
有機溶媒可溶性ジアゾ樹脂有機塩が挙げられる。
【0053】特に、特開昭59−78340号公報記載
の6量体以上を20モル%以上含んでいる高分子量ジア
ゾ化合物が好ましい。また特開昭58−27141号公
報に示されているような3−メトキシ−4−ジアゾ−ジ
フェニルアミンを4,4′−ビス−メトキシ−メチル−
ジフェニルエーテルで縮合させメシチレンスルホン酸塩
としたものなども適当である。さらに特公昭49−48
001号公報に記載された芳香族化合物との共縮合ジア
ゾ樹脂や、特開平2−29650号公報に記載された酸
基を有する芳香族化合物との共縮合ジアゾ樹脂も好まし
く用いられる。また、特開平4−18559号公報に記
載された酸基を有するアルデヒドまたはアセタール化合
物で縮合されたジアゾ樹脂も同様に好ましく用いること
ができる。
【0054】さらに、カルボキシル基、スルホン酸基、
スルフィン酸基、リンの酸素酸基およびヒドロキシル基
のうち少なくとも一つの有機基を有する芳香族化合物
と、ジアゾニウム化合物、好ましくは芳香族ジアゾニウ
ム化合物を構造単位として含む共縮合体も望ましい。な
お、上記ジアゾ樹脂を単独で用いてもよいし2種類以上
の混合物でもよい。ジアゾ樹脂は全体で感光層中に1〜
70重量%、特に3〜60重量%含有されるのが望まし
い。
【0055】ジアゾ樹脂を含有するネガ型感光層には、
ジアゾ樹脂とともに、アルカリ可溶性もしくは膨潤性の
高分子化合物が含有される。このアルカリ可溶性もしく
は膨潤性の高分子化合物としては、酸含量0.1〜5.
0meq/g、好ましくは0.2〜3.0meq/gであり、
実質的に水不溶性(すなわち、中性または酸性水溶液に
不溶性)で、皮膜形成性を有する有機高分子化合物であ
るが、アルカリ水溶液系現像液に溶解または膨潤するこ
とができかつ前記の感光性ジアゾ樹脂の共存下で光硬化
して現像液に不溶化または非膨潤化するものが好まし
い。尚、酸含量0.1meq/g未満では現像が困難であ
り、5.0meq/gを超えると現像時の画像強度が著し
く弱くなる。
【0056】特に好適な結合剤としてはアクリル酸、メ
タクリル酸、クロトン酸またはマレイン酸を必須成分と
して含む共重合体、例えば特開昭50−118802号
公報に記載されているような2−ヒドロキシエチルアク
リレートまたは2−ヒドロキシエチルメタアクリレー
ト、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリル、アク
リル酸またはメタクリル酸および必要に応じて他の共重
合可能なモノマーとの多元共重合体、特開昭53−12
0903号公報に記載されているような末端がヒドロキ
シ基であり、かつジカルボン酸エステル残基を含む基で
エステル化されたアクリル酸またはメタクリル酸、アク
リル酸、またはメタクリル酸および必要に応じて他の共
重合可能なモノマーとの多元共重合体、特開昭54−9
8614号公報に記載されているような芳香族性水酸基
を末端に有する単量体(例えばN−(4−ヒドロキシフ
ェニル)メタクリルアミドなど)、アクリル酸またはメ
タクリル酸および必要に応じてヒドロキシスチレン類や
アミノスルホニルフェニル基を有する(メタ)アクリル
アミド類または(メタ)アクリル酸エステル類等の他の
共重合可能なモノマーとの多元共重合体、特開昭56−
4144号公報に記載されているようなアルキルアクリ
レート、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルお
よび不飽和カルボン酸よりなる多元共重合体を挙げるこ
とが出来る。またこの他、酸性ポリビニルアルコール誘
導体や酸性セルロース誘導体も有用である。またポリビ
ニルアセタールやポリウレタンをアルカリ可溶化した特
公昭54−19773号、特開昭57−94747号、
同60−182437号、同62−58242号、同6
2−123453号の各公報記載の結合剤も有用であ
る。
【0057】上記結合剤の好ましい分子量は0.5〜2
0万であり、さらに好ましくは2〜15万である。上記
結合剤は単独で用いても良いし2種類以上混合してもよ
い。該ネガ型感光層におけるこれらのジアゾ樹脂と結合
剤の含有量は、これら両者の総量を基準にしてジアゾ樹
脂3〜60重量%、結合剤は97〜40重量%が適当で
ある。ジアゾ樹脂の含有量は少ない方が感度は高いが、
3重量%より低下すると結合剤を光硬化させるためには
不十分となり現像時に光硬化膜が現像液によって膨潤し
膜が弱くなる。逆にジアゾ樹脂の含有量が60重量%よ
り多くなると感度が低くなり実用上難点が出てくる。従
って、より好ましい範囲はジアゾ樹脂5〜40重量%で
結合剤95〜60重量%である。
【0058】次に光架橋性のネガ型感光層について説明
する。光架橋性のネガ型感光層は光架橋性組成物からな
る。該光架橋性組成物は、光二量化可能な不飽和結合を
有する光架橋性重合体、増感剤を必須成分として有す
る。該光架橋性組成物に使用される、光二量化可能な不
飽和結合を有する光架橋性重合体としては、マレイミド
基、シンナミル基、シンナモイル基、シンナミリデン
基、シンナミリデンアセチル基、カルコン基等の官能基
を側鎖又は主鎖に有する感光性重合体が挙げられる。特
に、マレイミド基を側鎖に有する重合体及び分子鎖中に
ケイ皮酸骨格を有するポリエステル樹脂は比較的高い感
度を有している。
【0059】このようなマレイミド基を側鎖に有する光
二量化可能な重合体としては、特開昭52−988号
(対応米国特許第4,079,041号)明細書や、独
国特許2,626,769号明細書、ヨーロッパ特許2
1,019号明細書、ヨーロッパ特許3,552号明細
書やディー・アンゲバンドゥテ・マクロモレクラーレ・
ケミー(Die Angewandte Makromolekulare Chemie) 11
5(1983)の163〜181ページに記載されてい
る下記一般式(III):
【0060】
【化4】
【0061】(式中、R3及びR4はそれぞれ独立して、
最高4個の炭素水素を有するアルキル基を表わすか、又
はR3とR4とが一緒になって5員又は6員の炭素環を形
成してもよい。)
【0062】で表わされるマレイミド基を側鎖に有する
重合体や、特開昭49−128991号、同49−12
8992号、同49−128993号、同50−537
6号、同50−5377号、同50−5379号、同5
0−5378号、同50−5380号、同53−529
8号、同53−5299号、同53−5300号、同5
0−50107号、同51−47940号、同52−1
3907号、同50−45076号、同52−1217
00号、同50−10884号、同50−45087
号、独国特許第2,349,948号、同第2,61
6,276号各明細書に記載されている下記一般式(I
V):
【0063】
【化5】
【0064】(式中、R5は芳香族基を表わし、R6は水
素原子、ハロゲン原子、アルキル基又はシアノ基を表わ
す。)
【0065】で表わされるマレイミド基を側鎖に有する
重合体等を挙げることが出来る。これらの重合体の平均
分子量は1000以上、好ましくは1〜10万である。
これらの重合体は1分子当り平均2個以上のマレイミド
基を側鎖に有する。これらのマレイミド基を側鎖に有す
る重合体の中でも、特に酸基を有する重合体が、現像時
アルカリ水を用いることが出来、公害防止の観点から有
利である。酸基を有するマレイミド基含有重合体の酸価
は20〜300の範囲が好ましく、更に好ましくは50
〜200の範囲である。特にこれらの酸価を有する重合
体の中でもディー・アンゲバンドゥテ・マクロモレクラ
ーレ・ケミー(Die Angewandte Makromolekulare Chemi
e) 128(1984)の71〜91ページに記載され
ているようなN−〔2−(メタクリロイルオキシ)エチ
ル〕−2,3−ジメチルマレイミドと、メタクリル酸あ
るいはアクリル酸との共重合体が有用である。この共重
合体の合成に際して第3成分のビニルモノマーを共重合
することによって目的に応じた多元共重合体を容易に合
成することができる。例えば第3成分のビニルモノマー
として、そのホモポリマーのガラス転移点が室温以下の
アルキルメタクリレートやアルキルアクリレートを用い
ることによって共重合体に柔軟性を与えることが出来
る。
【0066】この他、本発明に用いる光二量化可能な不
飽和結合を有する光架橋性重合体としては、下記一般式
(V)または(VI)で表わされる基を少なくとも2個有
する重合体が挙げられる。
【0067】 A−(CH=CH)7−CH=C(X)−CO− (V) B−CO−C(Y)=CH−(CH=CH)n−C64− (VI) (ただし、 A;アリール基、置換アリール基、フリル基又はチエニ
ル基、 B;アルコキシ基、アリール基、置換アリール基又はア
ルキル基、 X;H、CN、ハロゲン原子、フェニル基又はアルキル
基、 Y;H、CN、ハロゲン原子、フェニル基又はアルキル
基、 n;0又は1の整数を表わす)。
【0068】一般式(V)又は(VI)で表わされる基を
側鎖として少なくとも2個有する重合体の具体例は、上
記一般式(V)又は(VI)で表わされる基を含有するア
クリル酸エステル、メタクリル酸エステル又はビニルエ
ーテル化合物の単独重合体、これらの2種以上の共重合
体、及び必要に応じて他の付加重合体ビニルモノマーと
共重合させた共重合体がある。一般式(V)又は(VI)
で表わされる基を含有するアクリル酸エステル、メタク
リル酸エステル又はビニルエーテル化合物としては英国
特許第949,919号、特公昭45−36755号、
特公昭46−4603号、特開昭47−34794号、
特公昭49−14352号、特公昭49−28122
号、特開昭49−36794号、特開昭49−1039
75号、特公昭50−11283号、特公昭50−24
621号、特公昭51−481号、特公昭55−449
30号、特公昭56−37244号、特公昭56−52
923号、特公昭57−28488号等の明細書中に記
載されているものを挙げることができる。これらのうち
好ましいものは側鎖にケイ皮酸エステル基を含有するポ
リアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、又
はポリビニルエーテル化合物などである。これらの感光
性高分子化合物の好適な分子量範囲は2,000〜1,
000,000である。更に好ましくは10,000〜
200,000である。
【0069】この他、主鎖に光二量化可能な不飽和二重
結合を有する架橋性重合体としては、フェニレンジアク
リル酸もしくは、そのアルキルエステルとグリコールの
縮合によって製造された感光性ポリエステルが挙げら
れ、これは高い感光性を有する。
【0070】これらのポリマーを、アルカリ性水溶液に
可溶化する試みも多く、例えば、特開昭60−1912
44号には、側鎖にカルボキシル基を導入した感光性高
分子化合物等からなるアルカリ水現像可能な感光性組成
物が記載されている。この他、米国特許第2,861,
058号明細書には、ポリビニルアルコールの水酸基に
ケイ皮酸クロライドと酸無水物とを反応させて、感光性
と同時にアルカリ水可溶性を付与したものを得る方法、
米国特許第2,835,656号明細書には無水マレイ
ン酸とスチレンとの共重合体に、β−ヒドロキシエチル
ケイ皮酸エステルを反応させる方法、米国特許第3,3
57,831号明細書にはケイ皮酸アクリルエステル系
共重合体にメタアクリル酸を導入する方法、米国特許第
3,702,765号明細書にはフェノキシ樹脂に、p
−フェニレンジアクリル酸モノエチルエステルをエステ
ル化し、後に加水分解する方法、特開昭63−2189
45号明細書には、不飽和二重結合の一部に活性メルカ
プトカルボン酸を付加する方法など種々の方法が記載さ
れている。これらの感光性重合体の含有量は、感光層の
全重量に対して約20〜99重量%、好ましくは50〜
99重量%が適当である。
【0071】光架橋性組成物に用いられる増感剤とし
ては、300nm以上の範囲で実際に充分な光吸収を可能
にするような極大吸収を有する三重項増感剤が好まし
い。このような増感剤としては、ベンゾフェノン誘導
体、ベンズアンスロン誘導体、キノン類、アントラキノ
ン類、芳香族ニトロ化合物、ナフトチアゾリン誘導体、
ベンゾチアゾリン誘導体、キサントン類、ナフトチアゾ
ール誘導体、ケトクマリン化合物、ベンゾチアゾール誘
導体、ナフトフラノン化合物、ベンゾイン化合物、アセ
トフェノン化合物、フルオレノン化合物、ピリリウム
塩、チアピリリウム塩等を挙げることが出来る。具体的
にはミヒラーケトン、N,N′−ジエチルアミノベンゾ
フェノン、ベンズアンスロン、(3−メチル−1,3−
ジアザ−1,9−ベンズ)アンスロンピクラミド、5−
ニトロアセナフテン、2−ニトロフルオレン、2−ジベ
ンゾイルメチレン−3−メチルナフトチアゾリン、3,
3−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリ
ン)、2,4,6−トリフェニルチアピリリウムパーク
ロレート、2−(p−クロルベンゾイル)ナフトチアゾ
ール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾ
インエチルエーテル、2,2−ジメトキシ−2−フェニ
ルアセトフェノン、9−フルオレノン、2−クロロ−9
−フルオレノン、2−メチル−9−フルオレノン、9,
10−アントラキノン、2−エチル−9,10−アント
ラキノン、2−t−ブチル−9,10−アントラキノ
ン、2,6−ジクロロ−9,10−アントラキノン、キ
サントン、2−メチルキサントン、2−メトキシキサン
トン、ジベンザルアセトン、p−(ジメチルアミノ)フ
ェニルスチリルケトン、p−(ジメチルアミノ)フェニ
ル−p−メチルスチリルケトン等が挙げられる。
【0072】更に、チオキサントン誘導体、例えば2−
クロルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサント
ン、ジメチルチオキサントン等や、ドイツ特許第301
8891号及び同3117568号、並びにヨーロッパ
特許第33720号、英国特許第2075506号公報
に記載されているような置換されたチオキサントン類を
用いるのがよい。
【0073】更に、メロシアニン色素類、例えば、2−
(ヘテロサイクリルカルボニルメチレン)ベンゾ(又は
ナフト)−チアゾリン、2−(ジヘテロサイクリルカル
ボニルメチレン)ベンゾ(又はナフト)チアゾリン、2
−ジベンゾイルメチレンベンゾ(又はナフト)チアゾリ
ン類で、具体的には、特公昭52−129791号に開
示されている2−〔ビス(2−フロイル)メチレン〕−
3−メチルベンゾチアゾリン、2−〔ビス(2−テノイ
ル)メチレン〕−3−メチルベンゾチアゾリン、2−
〔ビス(2−フロイル)メチレン〕−3−メチルナフト
チアゾリン、2−(2−フロイル)メチレン−3−メチ
ルベンゾチアゾリン、2−ベンゾイルメチレン−3−メ
チルベンゾチアゾリン、2−ビス(ベンゾイルメチレ
ン)ベンゾチアゾリン、2−ビス(ベンゾイルメチレ
ン)ナフトチアゾリンや、特公昭45−8832号公報
に開示されている。チオバルビツール酸環を有するチア
ゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベンゾ
セレナゾール系の増感色素、特開平3−54566号、
特開平6−107718号の各明細書に記載されている
増感剤も有用である。該光架橋性組成物は、組成物中に
ジアゾ樹脂を含むことが好ましい。ジアゾ樹脂としては
下記一般式(VII)で示される芳香族ジアゾニウム化合
物が挙げられる。
【0074】
【化6】
【0075】式中、R1は水素原子、アルキル基、アル
コキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシエステル基又は
カルボキシル基を示し、好ましくは水素原子、炭素数1
〜5個のアルキル基又はヒドロキシル基を示す。R2
水素原子、アルキル基又はアルコキシ基を示し、好まし
くは水素原子を示す。R3は水素原子、アルキル基又は
アルコキシ基を示し、好ましくは水素原子を示す。
【0076】X-はアニオンを示し、好ましくはpKa
が4以下の無機酸又は有機酸のアニオンを示す。具体的
には、ハロゲン化水素酸、例えば弗化水素酸、塩化水素
酸、塩化水素酸−塩化亜鉛コンプレックス、臭化水素
酸、硫酸、硝酸、リン酸(5価のリン)、特にオルトリ
ン酸、無機イソ−及びヘテロ多酸、例えばリンタングス
テン酸、リンモリブデン酸、脂肪族又は芳香族ホスホン
酸あるいはその半エステル、アルソン酸、ホスフィン
酸、トリフルオロ酢酸などのフルオロカルボン酸、アミ
ドスルホン酸、セレン酸、弗硼化水素酸、ヘキサフルオ
ロリン酸、過塩素酸、更に脂肪族及び芳香族スルホン
酸、例えばメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスル
ホン酸などのフルオロアルカンスルホン酸、ラウリルス
ルホン酸、ジオクチルスルホコハク酸、ジシクロヘキシ
ルスルホコハク酸、カンファースルホン酸、トリルオキ
シ−3−プロパンスルホン酸、ノニルフェノキシ−3−
プロパンスルホン酸、ノニルフェノキシ−4−ブタンス
ルホン酸、ジブチルフェノキシ−3−プロパンスルホン
酸、ジアミルフェノキシ−3−プロパンスルホン酸、ジ
ノニルフェノキシ−3−プロパンスルホン酸、ジブチル
フェノキシ−4−ブタンスルホン酸、ジノニルフェノキ
シ−4−ブタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トル
エンスルホン酸、メシチレンスルホン酸、p−クロロベ
ンゼンスルホン酸、2,5−ジクロロベンゼンスルホン
酸、スルホサリチル酸、2,5−ジメチルベンゼンスル
ホン酸、p−アセチルベンゼンスルホン酸、5−ニトロ
−o−トルエンスルホン酸、2−ニトロベンゼンスルホ
ン酸、3−クロロベンゼンスルホン酸、3−ブロモベン
ゼンスルホン酸、2−クロロ−5−ニトロベンゼンスル
ホン酸、ブチルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼン
スルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ブトキシベ
ンゼンスルホン酸、ドデシルオキシベンゼンスルホン
酸、2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルベ
ンゼンスルホン酸、イソプロピルナフタレンスルホン
酸、ブチルナフタレンスルホン酸、ヘキシルナフタレン
スルホン酸、オクチルナフタレンスルホン酸、ブトキシ
ナフタレンスルホン酸、ドデシルオキシナフタレンスル
ホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸、ジオクチルナ
フタレンスルホン酸、トリイソプロピルナフタレンスル
ホン酸、トリブチルナフタレンスルホン酸、1−ナフト
ール−5−スルホン酸、ナフタリン−1−スルホン酸、
ナフタリン−2−スルホン酸、1,8−ジニトロ−ナフ
タリン−3,6−ジスルホン酸、4,4′−ジアジド−
スチルベン−3,3′−ジスルホン酸、1,2−ナフト
キノン−2−ジアジド−4−スルホン酸、1,2−ナフ
トキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸及び1,2−
ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸のアニオ
ン又はこれらのアニオンの混合物が含まれる。Yは−N
H−、−O−、又は−S−を示し、好ましくは−NH−
を示す。
【0077】上記一般式(VII)で示される芳香族ジア
ゾニウム化合物の具体例としては、例えば4−ジアゾジ
フェニルアミン、4′−ヒドロキシ−4−ジアゾジフェ
ニルアミン、4′−メチル−4−ジアゾジフェニルアミ
ン、4′−エチル−4−ジアゾジフェニルアミン、4′
−n−プロピル−4−ジアゾジフェニルアミン、4′−
i−プロピル−4−ジアゾジフェニルアミン、4′−n
−ブチル−4−ジアゾジフェニルアミン、4′−ヒドロ
キシメチル−4−ジアゾジフェニルアミン、4′−β−
ヒドロキシエチル−4−ジアゾジフェニルアミン、4′
−γ−ヒドロキシプロピル−4−ジアゾジフェニルアミ
ン、4′−メトキシメチル−4−ジアゾジフェニルアミ
ン、4′−エトキシメチル−4−ジアゾジフェニルアミ
ン、4′−β−メトキシエチル−4−ジアゾジフェニル
アミン、4′−β−エトキシエチル−4−ジアゾジフェ
ニルアミン、4′−カルボキシ−4−ジアゾジフェニル
アミン、3−メチル−4−ジアゾジフェニルアミン、3
−エチル−4−ジアゾジフェニルアミン、3′−メチル
−4−ジアゾジフェニルアミン、3,3′−ジメチル−
4−ジアゾジフェニルアミン、2′−カルボキシ−4−
ジアゾジフェニルアミン、4−ジアゾジフェニルエーテ
ル、4′−メチル−4−ジアゾジフェニルエーテル、
3,4′−ジメチル−4−ジアゾジフェニルエーテル、
4′−カルボキシ−4−ジアゾジフェニルエーテル、
3,3′−ジメチル−4−ジアゾジフェニルエーテル、
4−ジアゾジフェニルスルフィド、4′−メチル−4−
ジアゾジフェニルスルフィドなどの塩が挙げられる。こ
のうち、特に好ましい芳香族ジアゾニウム化合物は、4
−ジアゾジフェニルアミン塩である。
【0078】この他に、必要により結合剤、可塑剤など
を含有させることができる。結合剤の具体例としては、
塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリアク
リル酸アルキルエステル、アクリル酸アルキルエステ
ル、アクリロニトリル、塩化ビニル、スチレン、ブタジ
エンなどのモノマーの少くとも一種との共重合体、ポリ
アミド、メチルセルロース、ポリビニルホルマール、ポ
リビニルブチラール、メタクリル酸共重合体、アクリル
酸共重合体、イタコン酸共重合体などがある。可塑剤と
しては、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレートな
どフタル酸ジアルキルエステル、オリゴエチレングリコ
ールアルキルエステル、リン酸エステル系の可塑剤など
を使用することができる。
【0079】場合によっては感光層の着色を目的とし
て、染料もしくは顔料や焼出し剤としてpH指示薬、塗
布性を改良するためのフッ素系界面活性剤やセルロース
アルキルエーテル等を添加することもできる。更に、感
光層中には、熱重合防止剤、酸化防止剤を配合してもよ
く、例えばハイドロキノン、p−メトキシフェノール、
ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−
ブチルカテコール、ベンゾキノン、4、4′−チオビス
(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′
−メチレンビス(4−メチル−t−ブチルフェノー
ル)、2−メルカプトベンゾイミダゾール等が有用なも
のとして挙げられる。
【0080】該ネガ型感光性層は、前記の各感光性組成
物の成分を溶解する溶媒に溶かして支持体上に塗布する
ことによって得られる。前述したように、上記溶媒は、
本発明の中間層に含有される水不溶、且つアルカリ可溶
性の高分子化合物を溶解しないものが選択される。具体
的には、例えばγ−ブチロラクトン、エチレンジクロラ
イド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、エチレ
ングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール
モノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、
1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−
プロピルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチ
ル、乳酸エチル、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセ
トアミド、ジメチルホルムアミド、水、N−メチルピロ
リドン、テトラヒドロフルフリルアルコール、アセト
ン、ジアセトンアルコール、メタノール、エタノール、
イソプロパノール、ジエチレングリコールジメチルエー
テル及びこれらの溶媒の混合物から適切に選択して使用
することができる。上記成分の濃度(固形分)は、2〜
50重量%が適当である。塗布量としては0.5g/m2
〜4.0g/m2が好ましい。0.5g/m2よりも少ない
と耐刷性が劣化する。4.0g/m2よりも多いと耐刷性
は向上するが、感度が低下してしまう。
【0081】該ネガ型感光性組成物中には、塗布法を良
化するための界面活性剤、例えば、特開昭62−170
950号公報に記載されているようなフッ素系界面活性
剤を添加することができる。好ましい添加量は、全感光
性組成物の0.01〜1重量%であり、更に好ましくは
0.05〜0.5重量%である。以上のようにして得ら
れた平版印刷版では原画フィルムに対して忠実な印刷物
を得ることができるが焼ボケ及び印刷物のがさつき感が
悪い。焼ボケを改良する方法としてこのようにして設け
られた感光量の表面を凹凸にする方法がある。例えば特
開昭61−258255号公報に記載されているように
感光液中に数μmの粒子を添加し、それを塗布する方法
があるがこの方法では焼ボケの改良効果も小さくかつが
さつき感は全く改良されない。
【0082】ところが、例えば特開昭50−12580
5号、特公昭57−6582号、同61−28986
号、同62−62337号公報に記載されているような
感光量の表面に凹凸となる成分をつける方法を用いると
焼ボケは改良され、更に印刷物のがさつき感は良化す
る。更に、特公昭55−30619号公報に記載されて
いるように感光物の感光波長領域に吸収を持つ光吸収剤
をマット層中に含有させると焼ボケ・がさつき感がさら
に良化する。また1インチ175線の線数からなる原画
フィルムよりも焼ボケしやすく、印刷物のがさつき感が
出やすい1インチ300線以上の線数からなる原画フィ
ルムおよびFMスクリーニングにより得られた原画フィ
ルムを用いても良好な印刷物を得ることができる。以上
のように平版印刷版用原版の感光層表面に設けられた微
少パターンは次のようなものが望ましい。すなわち塗布
部分の高さは1〜40μm、特に2〜20μmの範囲が
好ましく、大きさ(幅)は10〜10000μm、特に
20〜200μmの範囲が好ましい。また量は1〜10
00個/mm2、好ましくは5〜500個/mm2の範囲であ
る。
【0083】〔現像処理〕次に、本発明の感光性平版印
刷版の現像処理について説明する。 (露光)本発明の感光性平版印刷版は像露光された後に
現像処理される。像露光に用いられる活性光線の光源と
してはカーボンアーク灯、水銀灯、メタルハライドラン
プ、キセノンランプ、タングステンランプ、ケミカルラ
ンプなどがある。放射線としては、電子線、X線、イオ
ンビーム、遠赤外線などがある。また、g線、i線、D
eep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービ
ーム)も使用される。レーザービームとしてはヘリウム
・ネオンレーザー、アルゴンレーザー、クリプトンレー
ザー、ヘリウム・カドミウムレーザー、KrFエキシマ
ーレーザー、半導体レーザー、YAGレーザーなどが挙
げられる。
【0084】(現像液)本発明の感光性平版印刷版の現
像液として好ましいものは、実質的に有機溶剤を含まな
いアルカリ性の水溶液である。具体的には珪酸ナトリウ
ム、珪酸カリウム、NaOH、KOH、LiOH、第3
リン酸ナトリウム、第2リン酸ナトリウム、第3リン酸
アンモニウム、第2リン酸アンモニウム、メタ珪酸ナト
リウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリ
ウム、アンモニア水などのような水溶液が適当である。
更に好ましくは(a)非還元糖から選ばれる少なくとも
一種の糖類および(b)少なくとも一種の塩基を含有
し、pHが10.0〜13.5の範囲にある現像液であ
る。
【0085】以下この現像液について詳しく説明する。
なお、本明細書中において、特にことわりのない限り、
現像液とは現像開始液(狭義の現像液)と現像補充液と
を意味する。 (非還元糖及び塩基)この現像液は、その主成分が、非
還元糖から選ばれる少なくとも一つの化合物と、少なく
とも一種の塩基からなり、液のpHが10.0〜13.
5の範囲であることを特徴とする。
【0086】かかる非還元糖とは、遊離のアルデヒド基
やケトン基を持たず、還元性を示さない糖類であり、還
元基同士の結合したトレハロース型少糖類、糖類の還元
基と非糖類が結合した配糖体および糖類に水素添加して
還元した糖アルコールに分類され、何れも好適に用いら
れる。トレハロース型少糖類には、サッカロースやトレ
ハロースがあり、配糖体としては、アルキル配糖体、フ
ェノール配糖体、カラシ油配糖体などが挙げられる。ま
た糖アルコールとしてはD,L−アラビット、リビッ
ト、キシリット、D,L−ソルビット、D,L−マンニ
ット、D,L−イジット、D,L−タリット、ズリシッ
トおよびアロズルシットなどが挙げられる。更に二糖類
の水素添加で得られるマルチトールおよびオリゴ糖の水
素添加で得られる還元体(還元水あめ)が好適に用いら
れる。これらの中で特に好ましい非還元糖は糖アルコー
ルとサッカロースであり、特にD−ソルビット、サッカ
ロース、還元水あめが適度なpH領域に緩衝作用がある
ことと、低価格であることで好ましい。
【0087】これらの非還元糖は、単独もしくは二種以
上を組み合わせて使用でき、それらの現像液中に占める
割合は0.1〜30重量%が好ましく、更に好ましく
は、1〜20重量%である。この範囲以下では十分な緩
衝作用が得られず、またこの範囲以上の濃度では、高濃
縮化し難く、また原価アップの問題が出てくる。尚、還
元糖を塩基と組み合わせて使用した場合、経時的に褐色
に変色し、pHも徐々に下がり、よって現像性が低下す
るという問題点がある。
【0088】非還元糖に組み合わせる塩基としては従来
より知られているアルカリ剤が使用できる。例えば、水
酸化ナトリウム、同カリウム、同リチウム、リン酸三ナ
トリウム、同カリウム、同アンモニウム、リン酸二ナト
リウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウ
ム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウ
ム、同カリウム、同アンモニウム、ホウ酸ナトリウム、
同カリウム、同アンモニウムなどの無機アルカリ剤が挙
げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、
トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミ
ン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイ
ソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチ
ルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミ
ン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミ
ン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチ
レンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤も用いら
れる。
【0089】これらのアルカリ剤は単独もしくは二種以
上を組み合わせて用いられる。これらの中で好ましいの
は水酸化ナトリウム、同カリウムである。その理由は、
非還元糖に対するこれらの量を調整することにより広い
pH領域でpH調整が可能となるためである。また、リ
ン酸三ナトリウム、同カリウム、炭酸ナトリウム、同カ
リウムなどもそれ自体に緩衝作用があるので好ましい。
これらのアルカリ剤は現像液のpHを10.0〜13.
5の範囲になるように添加され、その添加量は所望のp
H、非還元糖の種類と添加量によって決められるが、よ
り好ましいpH範囲は10.0〜13.2である。
【0090】現像液には更に、糖類以外の弱酸と強塩基
からなるアルカリ性緩衝液が併用できる。かかる緩衝液
として用いられる弱酸としては、pKaが10.0〜1
3.2のものが好ましい。このような弱酸としては、Pe
rgamon Press社発行のIONISATION CONSTANTS OF ORGANI
C ACIDS IN AQUEOUS SOLUTION などに記載されているも
のから選ばれ、例えば2,2,3,3−テトラフルオロ
プロパノール−1(pKa12.74)、トリフルオロ
エタノール(同12.37)、トリクロロエタノール
(同12.24)などのアルコール類、ピリジン−2−
アルデヒド(同12.68)、ピリジン−4−アルデヒ
ド(同12.05)などのアルデヒド類、サリチル酸
(同13.0)、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(同
12.84)、カテコール(同12.6)、没食子酸
(同12.4)、スルホサリチル酸(同11.7)、
3,4−ジヒドロキシスルホン酸(同12.2)、3,
4−ジヒドロキシ安息香酸(同11.94)、1,2,
4−トリヒドロキシベンゼン(同11.82)、ハイド
ロキノン(同11.56)、ピロガロール(同11.3
4)、o−クレゾール(同10.33)、レゾルシノー
ル(同11.27)、p−クレゾール(同10.2
7)、m−クレゾール(同10.09)などのフェノー
ル性水酸基を有する化合物、
【0091】2−ブタノンオキシム(同12.45)、
アセトキシム(同12.42)、1,2−シクロヘプタ
ンジオンジオキシム(同12.3)、2−ヒドロキシベ
ンズアルデヒドオキシム(同12.10)、ジメチルグ
リオキシム(同11.9)、エタンジアミドジオキシム
(同11.37)、アセトフェノンオキシム(同11.
35)などのオキシム類、アデノシン(同12.5
6)、イノシン(同12.5)、グアニン(同12.
3)、シトシン(同12.2)、ヒポキサンチン(同1
2.1)、キサンチン(同11.9)などの核酸関連物
質、他に、ジエチルアミノメチルホスホン酸(同12.
32)、1−アミノ−3,3,3−トリフルオロ安息香
酸(同12.29)、イソプロピリデンジホスホン酸
(同12.10)、1,1−エチリデンジホスホン酸
(同11.54)、1,1−エチリデンジホスホン酸1
−ヒドロキシ(同11.52)、ベンズイミダゾール
(同12.86)、チオベンズアミド(同12.8)、
ピコリンチオアミド(同12.55)、バルビツル酸
(同12.5)などの弱酸が挙げられる。
【0092】これらの弱酸の中で好ましいのは、スルホ
サリチル酸、サリチル酸である。これらの弱酸に組み合
わせる塩基としては、水酸化ナトリウム、同アンモニウ
ム、同カリウムおよび同リチウムが好適に用いられる。
これらのアルカリ剤は単独もしくは二種以上を組み合わ
せて用いられる。上記の各種アルカリ剤は濃度および組
み合わせによりpHを好ましい範囲内に調整して使用さ
れる。
【0093】(界面活性剤)現像液には、現像性の促進
や現像カスの分散および印刷版画像部の親インキ性を高
める目的で必要に応じて種々界面活性剤や有機溶剤を添
加できる。好ましい界面活性剤としては、アニオン系、
カチオン系、ノニオン系および両性界面活性剤が挙げら
れる。
【0094】界面活性剤の好ましい例としては、ポリオ
キシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレン
アルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリ
スチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリ
オキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪
酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、
ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレ
ングリコールモノ脂肪酸エステル類、しょ糖脂肪酸部分
エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分
エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部
分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル
類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシ
エチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン
脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、
N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリ
オキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン
脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシドなどの非
イオン性界面活性剤、
【0095】脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキ
シアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、
ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩類、直鎖アルキルベ
ンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホ
ン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキ
ルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩
類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテ
ル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム
塩、N−アルキルスルホ琥珀酸モノアミド二ナトリウム
塩、石油スルホン酸塩類、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキ
ルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル
塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステ
ル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリ
オキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル
塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫
酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル塩類、ポリオ
キシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポ
リオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エス
テル塩類、スチレン/無水マレイン酸共重合物の部分鹸
化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分鹸
化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類な
どのアニオン界面活性剤、アルキルアミン塩類、テトラ
ブチルアンモニウムブロミド等の第四級アンモニウム塩
類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチ
レンポリアミン誘導体などのカチオン性界面活性剤、カ
ルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタ
イン類、アミノ硫酸エステル類、イミダゾリン類などの
両性界面活性剤が挙げられる。以上挙げた界面活性剤の
中でポリオキシエチレンとあるものは、ポリオキシメチ
レン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンなど
のポリオキシアルキレンに読み替えることもでき、それ
らの界面活性剤もまた包含される。
【0096】更に好ましい界面活性剤は分子内にパーフ
ルオロアルキル基を含有するフッ素系の界面活性剤であ
る。かかるフッ素系界面活性剤としては、パーフルオロ
アルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン
酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどのアニ
オン型、パーフルオロアルキルベタインなどの両性型、
パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩などの
カチオン型およびパーフルオロアルキルアミンオキサイ
ド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パ
ーフルオロアルキル基および親水性基含有オリゴマー、
パーフルオロアルキル基および親油性基含有オリゴマ
ー、パーフルオロアルキル基、親水性基および親油性基
含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基および親油性
基含有ウレタンなどの非イオン型が挙げられる。上記の
界面活性剤は、単独もしくは2種以上を組み合わせて使
用することができ、現像液中に0.001〜10重量
%、より好ましくは0.01〜5重量%の範囲で添加さ
れる。
【0097】(現像安定化剤)現像液には、種々の現像
安定化剤が用いられる。それらの好ましい例として、特
開平6−282079号公報記載の糖アルコールのポリ
エチレングリコール付加物、テトラブチルアンモニウム
ヒドロキシドなどのテトラアルキルアンモニウム塩、テ
トラブチルホスホニウムブロマイドなどのホスホニウム
塩およびジフェニルヨードニウムクロライドなどのヨー
ドニウム塩が好ましい例として挙げられる。更には、特
開昭50−51324号公報記載のアニオン界面活性剤
または両性界面活性剤、また特開昭55−95946号
公報記載の水溶性カチオニックポリマー、特開昭56−
142528号公報に記載されている水溶性の両性高分
子電解質がある。
【0098】更に、特開昭59−84241号公報のア
ルキレングリコールが付加された有機ホウ素化合物、特
開昭60−111246号公報記載のポリオキシエチレ
ン・ポリオキシプロピレンブロック重合型の水溶性界面
活性剤、特開昭60−129750号公報のポリオキシ
エチレン・ポリオキシプロピレンを置換したアルキレン
ジアミン化合物、特開昭61−215554号公報記載
の重量平均分子量300以上のポリエチレングリコー
ル、特開昭63−175858号公報のカチオン性基を
有する含フッ素界面活性剤、特開平2−39157号公
報の酸またはアルコールに4モル以上のエチレンオキシ
ドを付加して得られる水溶性エチレンオキシド付加化合
物と、水溶性ポリアルキレン化合物などが挙げられる。
【0099】(有機溶剤)本発明の現像液は実質的に有
機溶剤を含まないものであるが、必要により有機溶剤が
加えられる。かかる有機溶剤としては、水に対する溶解
度が約10重量%以下のものが適しており、好ましくは
5重量%以下のものから選ばれる。例えば、1−フェニ
ルエタノール、2−フェニルエタノール、3−フェニル
−1−プロパノール、4−フェニル−1−ブタノール、
4−フェニル−2−ブタノール、2−フェニル−1−ブ
タノール、2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオ
キシエタノール、o−メトキシベンジルアルコール、m
−メトキシベンジルアルコール、p−メトキシベンジル
アルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノー
ル、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロ
ヘキサノールおよび4−メチルシクロヘキサノール、N
−フェニルエタノールアミンおよびN−フェニルジエタ
ノールアミンなどを挙げることができる。本発明の現像
液において実質的に有機溶剤を含まないとは、有機溶剤
の含有量が使用液の総重量に対して5重量%以下である
ことをいう。その使用量は界面活性剤の使用量と密接な
関係があり、有機溶剤の量が増すにつれ、界面活性剤の
量は増加させることが好ましい。これは界面活性剤の量
が少なく、有機溶剤の量を多く用いると有機溶剤が完全
に溶解せず、従って、良好な現像性の確保が期待できな
くなるからである。
【0100】(還元剤)現像液には更に還元剤を加える
ことができる。これは印刷版の汚れを防止するものであ
り、特に感光性ジアゾニウム塩化合物を含むネガ型感光
性平版印刷版を現像する際に有効である。好ましい有機
還元剤としては、チオサリチル酸、ハイドロキノン、メ
トール、メトキシキノン、レゾルシン、2−メチルレゾ
ルシンなどのフェノール化合物、フェニレンジアミン、
フェニルヒドラジンなどのアミン化合物が挙げられる。
更に好ましい無機の還元剤としては、亜硫酸、亜硫酸水
素酸、亜リン酸、亜リン酸水素酸、亜リン酸二水素酸、
チオ硫酸および亜ジチオン酸などの無機酸のナトリウム
塩、カリウム塩、アンモニウム塩などを挙げることがで
きる。これらの還元剤のうち汚れ防止効果が特に優れて
いるのは亜硫酸塩である。これらの還元剤は使用時の現
像液に対して好ましくは、0.05〜5重量%の範囲で
含有される。
【0101】(有機カルボン酸)現像液には更に有機カ
ルボン酸を加えることもできる。好ましい有機カルボン
酸は炭素原子数6〜20の脂肪族カルボン酸および芳香
族カルボン酸である。脂肪族カルボン酸の具体的な例と
しては、カプロン酸、エナンチル酸、カプリル酸、ラウ
リン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリン
酸などがあり、特に好ましいのは炭素数8〜12のアル
カン酸である。また炭素鎖中に二重結合を有する不飽和
脂肪酸でも、枝分かれした炭素鎖のものでもよい。
【0102】芳香族カルボン酸としてはベンゼン環、ナ
フタレン環、アントラセン環などにカルボキシル基が置
換された化合物で、具体的には、o−クロロ安息香酸、
p−クロロ安息香酸、o−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒ
ドロキシ安息香酸、o−アミノ安息香酸、p−アミノ安
息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒ
ドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、
2,3−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ
安息香酸、沈食子酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ
酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ
−1−ナフトエ酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸な
どがあるがヒドロキシナフトエ酸は特に有効である。
【0103】上記脂肪族および芳香族カルボン酸は水溶
性を高めるためにナトリウム塩やカリウム塩またはアン
モニウム塩として用いるのが好ましい。本発明で用いる
現像液の有機カルボン酸の含有量は格別な制限はない
が、0.1重量%より低いと効果が十分でなく、また1
0重量%以上ではそれ以上の効果の改善が計れないばか
りか、別の添加剤を併用する時に溶解を妨げることがあ
る。従って、好ましい添加量は使用時の現像液に対して
0.1〜10重量%であり、より好ましくは0.5〜4
重量%である。
【0104】(その他)現像液には、更に必要に応じ
て、防腐剤、着色剤、増粘剤、消泡剤および硬水軟化剤
などを含有させることもできる。硬水軟化剤としては例
えば、ポリ燐酸およびそのナトリウム塩、カリウム塩お
よびアンモニウム塩、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジ
エチレントリアミンペンタ酢酸、トリエチレンテトラミ
ンヘキサ酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ
酢酸、ニトリロトリ酢酸、1,2−ジアミノシクロヘキ
サンテトラ酢酸および1,3−ジアミノ−2−プロパノ
ールテトラ酢酸などのアミノポリカルボン酸およびそれ
らのナトリウム塩、カリウム塩およびアンモニウム塩、
アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミン
テトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミン
ペンタ(メチレンホスホン酸)、トリエチレンテトラミ
ンヘキサ(メチレンホスホン酸)、ヒドロキシエチルエ
チレンジアミントリ(メチレンホスホン酸)および1−
ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸やそれらのナ
トリウム塩、カリウム塩およびアンモニウム塩を挙げる
ことができる。
【0105】このような硬水軟化剤はそのキレート化力
と使用される硬水の硬度および硬水の量によって最適値
が変化するが、一般的な使用量を示せば、使用時の現像
液に0.01〜5重量%、より好ましくは0.01〜
0.5重量%の範囲である。この範囲より少ない添加量
では所期の目的が十分に達成されず、添加量がこの範囲
より多い場合は、色抜けなど、画像部への悪影響がでて
くる。現像液の残余の成分は水である。現像液は、使用
時よりも水の含有量を少なくした濃縮液としておき、使
用時に水で希釈するようにしておくことが運搬上有利で
ある。この場合の濃縮度は、各成分が分離や析出を起こ
さない程度が適当である。
【0106】本発明の感光性平版印刷版の現像液として
はまた、特開平6−282079号公報記載の現像液も
使用できる。これは、SiO2/M2O(Mはアルカリ金
属を示す)のモノ比が0.5〜2.0の珪酸アルカリ金
属塩と、水酸基を4以上有する糖アルコールに5モル以
上のエチレンオキシドを付加して得られる水溶性エチレ
ンオキシド付加化合物を含有する現像液である。糖アル
コールは糖のアルデヒド基およびケトン基を還元してそ
れぞれ第一、第二アルコール基としたものに相当する多
価アルコールである。糖アルコールの具体的な例として
は、D,L−トレイット、エリトリット、D,L−アラ
ビット、リビット、キシリット、D,L−ソルビット、
D,L−マンニット、D,L−イジット、D,L−タリ
ット、ズルシット、アロズルシットなどであり、更に糖
アルコールを縮合したジ、トリ、テトラ、ペンタおよび
ヘキサグリセリンなども挙げられる。上記水溶性エチレ
ンオキシド付加化合物は上記糖アルコール1モルに対し
5モル以上のエチレンオキシドを付加することにより得
られる。さらにエチレンオキシド付加化合物には必要に
応じてプロピレンオキシドを溶解性が許容できる範囲で
ブロック共重合させてもよい。これらのエチレンオキシ
ド付加化合物は単独もしくは二種以上を組み合わせて用
いてもよい。これらの水溶性エチレンオキシド付加化合
物の添加量は現像液(使用液)に対して0.001〜5
重量%が適しており、より好ましくは0.001〜2重
量%である。
【0107】この現像液にはさらに、現像性の促進や現
像カスの分散および印刷版画像部の親インキ性を高める
目的で必要に応じて、前述の種々の界面活性剤や有機溶
剤を添加できる。 (現像および後処理)かかる組成の現像液で現像処理さ
れたPS版は水洗水、界面活性剤等を含有するリンス
液、アラビアガムや澱粉誘導体等を主成分とするフィニ
ッシャーや保護ガム液で後処理を施される。本発明のP
S版の後処理にはこれらの処理を種々組み合わせて用い
ることができる。
【0108】近年、製版・印刷業界では製版作業の合理
化および標準化のため、PS版用の自動現像機が広く用
いられている。この自動現像機は、一般に現像部と後処
理部からなり、PS版を搬送する装置と、各処理液槽お
よびスプレー装置からなり、露光済みのPS版を水平に
搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレー
ノズルから吹き付けて現像および後処理するものであ
る。また、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中
ガイドロールなどによってPS版を浸漬搬送させて現像
処理する方法や、現像後一定量の少量の水洗水を版面に
供給して水洗し、その廃水を現像液原液の希釈水として
再利用する方法も知られている。このような自動処理に
おいては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じてそれ
ぞれの補充液を補充しながら処理することができる。ま
た、実質的に未使用の処理液で処理するいわゆる使い捨
て処理方式も適用できる。このような処理によって得ら
れた平版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚
の印刷に用いられる。
【0109】次にフォトポリマー(光重合型)感光層に
ついて説明する。光重合型感光層は光重合型感光性組成
物からなるものである。該感光層を構成する光重合型感
光性組成物は、付加重合可能なエチレン性不飽和化合
物、光重合開始剤、高分子結合剤を必須成分とし、必要
に応じ、着色剤、可塑剤、熱重合禁止剤等の種々の化合
物を併用することができる。エチレン性不飽和化合物と
は、光重合型感光性組成物が活性光線の照射を受けた
時、光重合開始剤の作用により付加重合し、架橋、硬化
するようなエチレン性不飽和結合を有する化合物であ
る。付加重合可能なエチレン性二重結合を含む化合物
は、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ま
しくは2個以上有する化合物の中から任意に選択するこ
とができる。例えばモノマー、プレポリマー、すなわち
2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合
物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつも
のである。
【0110】モノマーおよびその共重合体の例として
は、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリ
ル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレ
イン酸など)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステ
ル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのア
ミド等が挙げられる。脂肪族多価アルコール化合物と不
飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例として
は、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジ
アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレー
ト、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメ
チレングリコールジアクリレート、プロピレングリコー
ルジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレ
ート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリ
メチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピ
ル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレー
ト、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロ
ヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリ
コールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリ
レート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペン
タエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリス
リトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールペン
タアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリ
レート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトール
テトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレー
ト、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロ
イルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルア
クリレートオリゴマー等がある。
【0111】メタクリル酸エステルとしては、テトラメ
チレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリ
コールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメ
タクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレ
ート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチ
レングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオ
ールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレ
ート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタ
エリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリト
ールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジ
メタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタク
リレート、ジペンタエリスリトールペンタメタアクリレ
ート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトール
テトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオ
キシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチル
メタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フ
ェニル〕ジメチルメタン等がある。
【0112】イタコン酸エステルとしては、エチレング
リコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタ
コネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、
1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレ
ングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジ
イタコネート、ソルビトールテトライタコネート等があ
る。クロトン酸エステルとしては、エチレングリコール
ジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネ
ート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビト
ールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エ
ステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネー
ト、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビ
トールテトライソクロトネート等がある。マレイン酸エ
ステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリ
エチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトール
ジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。さ
らに、前述のエステルモノマーの混合物も挙げることが
できる。
【0113】また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カ
ルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチ
レンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリル
アミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミ
ド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、
ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレ
ンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミ
ド等がある。その他の例としては、特公昭48−417
08号公報中に記載されている1分子中に2個以上のイ
ソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、
下記の一般式(A)で示される水酸基を含有するビニル
モノマーを付加せしめた1分子中に2個以上の重合性ビ
ニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられ
る。
【0114】 CH2=C(R5)COOCH2CH(R6)OH (A) (ただし、R5およびR6はHあるいはCH3を示す。)
【0115】また、特開昭51−37193号、特公平
2−32293号に記載されているようなウレタンアク
リレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−
43191号、特公昭52−30490号各公報に記載
されているようなポリエステルアクリレート類、エポキ
シ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアク
リレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレート
を挙げることができる。さらに日本接着協会誌Vol.2
0、No.7、300〜308ぺージ(1984年)に光
硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されている
ものも使用することができる。なお、これらエチレン性
不飽和化合物の使用量は、感光層全成分の5〜80重量
%、好ましくは30〜70重量%の範囲で使用される。
【0116】また該光重合型感光層に含有させる光重合
開始剤としては、使用する光源の波長により、特許、文
献等で公知である種々の光重合開始剤、あるいは2種以
上の光重合開始剤の併用系(光重合開始系)を適宜選択
して用いることができる。以下に具体例を列挙するがこ
れらに制限されるものではない。
【0117】400nm以上の可視光線、Arレーザ
ー、半導体レーザーの第2高調波、SHG−YAGレー
ザーを光源とする場合にも、種々の光重合開始系が提案
されており、例えば、米国特許第2,850,445号
に記載のある種の光還元性染料、例えばローズベンガ
ル、エオシン、エリスロシンなど、あるいは、染料と開
始剤との組み合わせによる系、例えば、染料とアミンの
複合開始系(特公昭44−20189号)、ヘキサアリ
ールビイミダゾールとラジカル発生剤と染料との併用系
(特公昭45−37377号)、ヘキサアリールビイミ
ダゾールとp−ジアルキルアミノベンジリデンケトンの
系(特公昭47−2528号、特開昭54−15529
2号)、環状シス−α−ジカルボニル化合物と染料の系
(特開昭48−84183号)、環状トリアジンとメロ
シアニン色素の系(特開昭54−151024号)、3
−ケトクマリンと活性剤の系(特開昭52−11268
1号、特開昭58−15503号)、ビイミダゾール、
スチレン誘導体、チオールの系(特開昭59−1402
03号)、有機過酸化物と色素の系(特開昭59−15
04号、特開昭59−140203号、特開昭59−1
89340号、特開昭62−174203号、特公昭6
2−1641号、米国特許第4766055号)、染料
と活性ハロゲン化合物の系(特開昭63−258903
号、特開平2−63054号など)染料とボレート化合
物の系(特開昭62−143044号、特開昭62−1
50242号、特開昭64−13140号、特開昭64
−13141号、特開昭64−13142号、特開昭6
4−13143号、特開昭64−13144号、特開昭
64−17048号、特開平1−229003号、特開
平1−298348号、特開平1−138204号な
ど)ローダニン環を有する色素とラジカル発生剤の系
(特開平2−179643号、特開平2−244050
号)、チタノセンと3−ケトクマリン色素の系(特開昭
63−221110号)、チタノセンとキサンテン色素
さらにアミノ基あるいはウレタン基を含む付加重合可能
なエチレン性不飽和化合物を組み合わせた系(特開平4
−221958号、特開平4−219756号)、チタ
ノセンと特定のメロシアニン色素の系(特開平6−29
5061号)、チタノセンとベンゾピラン環を有する色
素の系(特開平8−334897号)等を挙げることが
できる。
【0118】また、最近400〜410nmの波長のレ
ーザー(バイオレットレーザー)が開発され、それに感
応する450nm以下の波長に高感度を示す光重合開始
系が開発されており、これらの光重合開始系も使用され
る。例えば、カチオン色素/ボレート系(特開平11−
84647)、メロシアニン色素/チタノセン系(特開
2000−147763)、カルバゾール型色素/チタ
ノセン系(特願平11−221480)等を挙げること
ができる。
【0119】本発明においては特にチタノセン化合物を
用いた系が、感度の点で優れており好ましい。チタノセ
ン化合物としては、種々のものを用いることができる
が、例えば、特開昭59−152396号、特開昭61
−151197号各公報に記載されている各種チタノセ
ン化合物から適宜選んで用いることができる。さらに具
体的には、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロ
ライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェ
ニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,
3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ
−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6
−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタ
ジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェ
ニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス
−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロ
ペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフ
ェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−T
i−ビス−2,3,4,5,6−テトラフルオロフェニ
−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−
ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シク
ロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロ−
3−(ピル−1−イル)−フェニ−1−イル等を挙げる
ことができる。
【0120】更に上記光重合開始剤に必要に応じ、2−
メルカプトベンズチアゾール、2−メルカプトベンズイ
ミダゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール等のチ
オール化合物、N−フェニルグリシン、N,N−ジアル
キルアミノ芳香族アルキルエステル等のアミン化合物等
の水素供与性化合物を加えることにより更に光開始能力
が高められることが知られている。これらの光重合開始
剤(系)の使用量はエチレン性不飽和化合物100重量
部に対し、0.05〜100重量部、好ましくは0.1
〜70重量部、更に好ましくは0.2〜50重量部の範
囲で用いられる。
【0121】該光重合型感光層に用いられる高分子結合
剤としては、該組成物の皮膜形成剤としてだけでなく、
アルカリ現像液に溶解する必要があるため、アルカリ水
に可溶性または膨潤性である有機高分子重合体が使用さ
れる。該有機高分子重合体は、例えば、水可溶性有機高
分子重合体を用いると水現像が可能になる。この様な有
機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸基を有する
付加重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭
54−34327号、特公昭58−12577号、特公
昭54−25957号、特開昭54−92723号、特
開昭59−53836号、特開昭59−71048号に
記載されているもの、すなわち、メタクリル酸共重合
体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロト
ン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マ
レイン酸共重合体等がある。
【0122】また同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸
性セルロース誘導体がある。この外に水酸基を有する付
加重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用で
ある。特にこれらの中で〔ベンジル(メタ)アクリレー
ト/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重
合性ビニルモノマー〕共重合体及び〔アリル(メタ)ア
クリレート(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の
付加重合性ビニルモノマー〕共重合体が好適である。こ
の他に水溶性有機高分子として、ポリビニルピロリドン
やポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮
膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ポリアミドや
2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン
とエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
また特公平7−120040号、特公平7−12004
1号、特公平7−120042号、特公平8−1242
4号、特開昭63−287944号、特開昭63−28
7947号、特開平1−271741号、特開平11−
352691号に記載のポリウレタン樹脂も本発明の用
途には有用である。
【0123】これら高分子重合体は側鎖にラジカル反応
性基を導入することにより硬化皮膜の強度を向上させる
ことができる。付加重合反応し得る官能基としてエチレ
ン性不飽和結合基、アミノ基、エポキシ基等が、又光照
射によりラジカルになり得る官能基としてはメルカプト
基、チオール基、ハロゲン原子、トリアジン構造、オニ
ウム塩構造等が、又極性基としてカルボキシル基、イミ
ド基等が挙げられる。上記付加重合反応し得る官能基と
しては、アクリル基、メタクリル基、アリル基、スチリ
ル基などエチレン性不飽和結合基が特に好ましいが、又
アミノ基、ヒドロキシ基、ホスホン酸基、燐酸基、カル
バモイル基、イソシアネート基、ウレイド基、ウレイレ
ン基、スルフォン酸基、アンモニオ基から選ばれる官能
基も有用である。
【0124】組成物の現像性を維持するためには、本発
明の高分子結合剤は適当な分子量、酸価を有することが
好ましく、重量平均分子量で5000〜30万、酸価2
0〜200の高分子重合体が有効に使用される。これら
の有機高分子重合体は全組成中に任意な量を混和させる
ことができる。しかし90重量%を超える場合には形成
される画像強度等の点で好ましい結果を与えない。好ま
しくは10〜90%、より好ましくは30〜80%であ
る。また光重合可能なエチレン性不飽和化合物と有機高
分子重合体は、重量比で1/9〜9/1の範囲とするの
が好ましい。より好ましい範囲は2/8〜8/2てあ
り、更に好ましくは3/7〜7/3である。
【0125】また、該光重合型感光層においては、以上
の基本成分の他に感光性組成物の製造中あるいは保存中
において重合可能なエチレン性不飽和化合物の不要な熱
重合を阻止するために少量の熱重合禁止剤を添加するこ
とが望ましい。適当な熱重合禁止剤としてはハロイドキ
ノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−
クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベ
ンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t
−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−
メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフ
ェニルヒドロキシルアミン第一セリウム塩、N−ニトロ
ソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等が挙げ
られる。熱重合禁止剤の添加量は、全組成物の重量に対
して約0.01%〜約5%が好ましい。また必要に応じ
て、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベ
ヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、
塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させてもよ
い。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5
%〜約10%が好ましい。
【0126】更に感光層の着色を目的として、着色剤を
添加してもよい。着色剤としては、例えば、フタロシア
ニン系顔料(C.I.Pigment Blue 1
5:3、15:4、15:6など)、アゾ系顔料、カー
ボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレ
ット、クリスタルバイオレット、アゾ染料、アントラキ
ノン系染料、シアニン系染料がある。染料および顔料の
添加量は全組成物の約0.5%〜約20%が好ましい。
加えて、硬化皮膜の物性を改良するために、無機充填剤
やジオクチルフタレート、ジメチルフタレート、トリク
レジルホスフェート等の可塑剤等の添加剤を加えてもよ
い。これらの添加量は全組成物の10%以下が好まし
い。
【0127】該光重合型感光層組成物を後述の支持体上
に塗布する際には種々の有機溶剤に溶かして使用に供さ
れる。ここで使用する溶媒としては、アセトン、メチル
エチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレン
ジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレ
ングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール
モノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエー
テル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロ
ピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセト
ン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレ
ングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレン
グリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコ
ールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモ
ノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノー
ル、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコー
ルモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチ
ルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、
ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレング
リコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレング
リコールモノエチルエーテルアセテート−3−メトキシ
プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、
ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチ
ル、乳酸エチルなどがある。これらの溶媒は、単独ある
いは混合して使用することができる。そして、塗布溶液
中の固形分の濃度は1〜50重量%が適当である。
【0128】該光重合型感光層における光重合性組成物
には、塗布面質を向上するために界面活性剤を添加する
ことができる。その被覆量は乾燥後の重量で約0.1g
/m2〜約10g/m2の範囲が適当である。より好まし
くは0.3〜5g/m2である。更に好ましくは0.5
〜3g/m2である。
【0129】また、通常、前記感光層の上には、酸素の
重合禁止作用を防止するために酸素遮断性の保護層が設
けられる。酸素遮断性保護層に含まれる水溶性ビニル重
合体としては、ポリビニルアルコール、およびその部分
エステル、エーテル、およびアセタール、またはそれら
に必要な水溶性を有せしめるような実質的量の未置換ビ
ニルアルコール単位を含有するその共重合体が挙げられ
る。ポリビニルアルコールとしては、71〜100%加
水分解され、重合度が300〜2400の範囲のものが
挙げられる。具体的には株式会社クラレ製PVA−10
5、PVA−110、PVA−117、PVA−117
H、PVA−120、PVA−124、PVA−124
H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、P
VA−203、PVA−204、PVA−205、PV
A−210、PVA−217、PVA−220、PVA
−224、PVA−217EE、PVA−220、PV
A−224、PVA−217EE、PVA−217E、
PVA−220E、PVA−224E、PVA−40
5、PVA−420、PVA−613、L−8等が挙げ
られる。上記の共重合体としては、88〜100%加水
分解されたポリビニルアセテートクロロアセテートまた
はプロピオネート、ポリビニルホルマールおよびポリビ
ニルアセタールおよびそれらの共重合体が挙げられる。
その他有用な重合体としてはポリビニルピロリドン、ゼ
ラチンおよびアラビアゴムがあげられ、これらは単独ま
たは、併用して用いても良い。
【0130】該酸素遮断性保護層を塗布する際用いる溶
媒としては、純水が好ましいが、メタノール、エタノー
ルなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン
などのケトン類を純水と混合しても良い。そして塗布溶
液中の固形分の濃度は1〜20重量%が適当である。上
記酸素遮断性保護層にはさらに塗布性を向上させるため
の界面活性剤、皮膜の物性を改良するための水溶性の可
塑剤等の公知の添加剤を加えても良い。水溶性の可塑剤
としてはたとえばプロピオンアミド、シクロヘキサンジ
オール、グリセリン、ソルビトール等がある。また、水
溶性の(メタ)アクリル系ポリマーなどを添加しても良
い。その被服量は乾燥後の重量で約0.1g/m2〜約
15g/m2の範囲が適当である。より好ましくは1.
0g/m2〜約5.0g/m2である。
【0131】該光重合型感光層を、例えば、カーボンア
ーク灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライド
ランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、ハロゲンラ
ンプ、ヘリウムカドミニウムレーザー、アルゴンイオン
レーザー、FD・YAGレーザー、ヘリウムネオンレー
ザー、半導体レーザー(350nm〜600nm)等の
従来公知の活性光線で画像露光した後、現像処理するこ
とにより、アルミニウム板支持体表面に画像を形成する
ことができる。画像露光後、現像までの間に、光重合型
感光層の硬化率を高める目的で50℃〜150℃の温度
で1秒、5分の時間の加熱プロセスを設けることを行っ
ても良い。また、該光重合型感光層の上には、前述した
ように、通常、酸素遮断性を有するオーバーコート層が
設けてあり、本発明の現像液を用いて、オーバーコート
層の除去と感光層未露光部の除去を同時に行う方法、ま
たは、水、温水でオーバーコート層を先に除外し、その
後未露光部の感光層を現像で除去する方法が知られてい
る。これらの水または温水には特開平10−10754
号に記載の防腐剤等、特開平8−278636号記載の
有機溶剤等を含有させることができる。
【0132】該光重合型感光層を有する平版印刷版用原
版の現像液による現像は、常法に従って、0〜60℃、
好ましくは15〜40℃程度の温度で、例えば、露光処
理した平版印刷版用原版を現像液に浸漬してブラシで擦
る等により行う。さらに自動現像機を用いて現像処理を
行う場合、処理量に応じて現像液が疲労してくるので、
補充液または新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させ
ても良い。このようにして現像処理された平版印刷版用
原版は特開昭54−8002号、同55−115045
号、同59−58431号等の各公報に記載されている
ように、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、ア
ラビアガムや澱粉誘導体等を含む不感脂化液で後処理さ
れる。該光重合型感光層を有する平版印刷版用原版の後
処理にはこれらの処理を種々組み合わせて用いることが
できる。上記の様な処理により得られた印刷版は特開2
000−89478号に記載の方法による後露光処理や
バーニングなどの加熱処理により、耐刷性を向上させる
ことができる。このような処理によって得られた平版印
刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用
いられる。
【0133】次に、サーマルポジ型感光層について説明
する。ポジ型感光層を用いる際には、支持体上に中間層
を設け、その上に当該ポジ型感光層を設ける。 〔中間層〕以下、ポジ型感光層と支持体の間に設ける中
間層について説明する。
【0134】当該中間層には、少なくとも酸基を有する
モノマー及び少なくともオニウム基を有するモノマーを
重合してなる重合体化合物が含まれる。ここで、酸基と
して好ましいものは酸解離指数(pKa)が7以下の酸
基が好ましく、より好ましくは−COOH、−SO
3H、−OSO3H、−PO32、−OPO32、−CO
NHSO2、−SO2NHSO2−であり、特に好ましく
は−COOHである。また、オニウム基として好ましい
ものは、周期律表第V族あるいは第IV族の原子からな
るオニウム基であり、より好ましくは窒素原子、リン原
子あるいはイオウ原子からなるオニウム基であり、特に
好ましくは窒素原子からなるオニウム基である。
【0135】該重合体の中で、好ましくは、この重合体
の主鎖構造がアクリル樹脂やメタクリル樹脂やポリスチ
レンのようなビニル系ポリマーあるいはウレタン樹脂あ
るいはポリエステルあるいはポリアミドであることを特
徴とする重合体化合物である。より好ましくは、この重
合体の主鎖構造がアクリル樹脂やメタクリル樹脂やポリ
スチレンのようなビニル系ポリマーであることを特徴と
する重合体化合物である。特に好ましくは、酸基を有す
るモノマーが下記の一般式(1)あるいは一般式(2)
で表される化合物であり、オニウム基を有するモノマー
が下記の一般式(3)、一般式(4)あるいは一般式
(5)で表されることを特徴とする重合体化合物であ
る。
【0136】
【化7】
【0137】式中、Aは2価の連結基を表す。Bは芳香
族基あるいは置換芳香族基を表す。D及びEはそれぞれ
独立して2価の連結基を表す。Gは3価の連結基を表
す。X及びX′はそれぞれ独立してpKaが7以下の酸
基あるいはそのアルカリ金属塩あるいはアンモニウム塩
を表す。R1は水素原子、アルキル基またはハロゲン原
子を表す。a,b,d,eはそれぞれ独立して0または
1を表す。tは1〜3の整数である。
【0138】酸基を有するモノマーの中でより好ましく
は、Aは−COO−または−CONH−を表し、Bはフ
ェニレン基あるいは置換フェニレン基を表し、その置換
基は水酸基、ハロゲン原子あるいはアルキル基である。
D及びEはそれぞれ独立してアルキレン基あるいは分子
式がCn2nO、Cn2nSあるいはCn2n+1Nで表さ
れる2価の連結基を表す。Gは分子式がCn2n-1、Cn
2n-1O、Cn2n-1SあるいはCn2nNで表される3
価の連結基を表す。但し、ここで、nは1〜12の整数
を表す。X及びX′はそれぞれ独立してカルボン酸、ス
ルホン酸、ホスホン酸、硫酸モノエステルあるいは燐酸
モノエステルを表す。R1は水素原子またはアルキル基
を表す。a,b,d,eはそれぞれ独立して0または1
を表すが、aとbは同時に0ではない。
【0139】酸基を有するモノマーの中で特に好ましく
は一般式(1)で示す化合物であり、Bはフェニレン基
あるいは置換フェニレン基を表し、その置換基は水酸基
であるいは炭素数1〜3のアルキル基である。D及びE
はそれぞれ独立して炭素数1〜2のアルキレン基あるい
は酸素原子で連結した炭素数1〜2のアルキレン基を表
す。R1は水素原子またはアルキル基を表す。Xはカル
ボン酸基を表す。aは0であり、bは1である。
【0140】酸基を有する構成成分の具体例を以下に示
す。ただし、本発明はこの具体例に限定されるものでは
ない。 (酸基を有する構成成分の具体例)アクリル酸、メタク
リル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、イタコン酸、マ
レイン酸、無水マレイン酸
【0141】
【化8】
【0142】
【化9】
【0143】
【化10】
【0144】次に、オニウム基を有するモノマーであ
る、一般式(3)、(4)、(5)で表わされるポリマ
ーについて説明する。
【0145】
【化11】
【0146】式中、Jは2価の連結基を表す。Kは芳香
族基あるいは置換芳香族基を表す。Mはそれぞれ独立し
て2価の連結基を表す。Y1は周期率表第V族の原子を
表し、Y2は周期率表第VI族の原子を表す。Z-は対アニ
オンを表す。R2は水素原子、アルキル基またはハロゲ
ン原子を表す。R3,R4,R5,R7はそれぞれ独立して
水素原子あるいは場合によっては置換基が結合してもよ
いアルキル基、芳香族基、アラルキル基を表し、R6
アルキリジン基あるいは置換アルキリジンを表すが、R
3とR4あるいはR6とR7はそれぞれ結合して環を形成し
てもよい。j,k,mはそれぞれ独立して0または1を
表す。uは1〜3の整数を表す。
【0147】オニウム基を有するモノマーの中でより好
ましくは、Jは−COO−または−CONH−を表し、
Kはフェニレン基あるいは置換フェニレン基を表し、そ
の置換基は水酸基、ハロゲン原子あるいはアルキル基で
ある。Mはアルキレン基あるいは分子式がCn2nO、
n2nSあるいはCn2n+1Nで表される2価の連結基
を表す。但し、ここで、nは1〜12の整数を表す。Y
1は窒素原子またはリン原子を表し、Y2はイオウ原子を
表す。Z-はハロゲンイオン、PF6 -、BF4 -あるいは
8SO3 -を表す。R2は水素原子またはアルキル基を表
す。R3,R4,R5,R7はそれぞれ独立して水素原子あ
るいは場合によっては置換基が結合してもよい炭素数1
〜10のアルキル基、芳香族基、アラルキル基を表し、
6は炭素数1〜10のアルキリジン基あるいは置換ア
ルキリジンを表すが、R3とR4あるいはR6とR7はそれ
ぞれ結合して環を形成してもよい。j,k,mはそれぞ
れ独立して0または1を表すが、jとkは同時に0では
ない。R8は置換基が結合してもよい炭素数1〜10の
アルキル基、芳香族基、アラルキル基を表す。
【0148】オニウム基を有するモノマーの中で特に好
ましくは、Kはフェニレン基あるいは置換フェニレン基
を表し、その置換基は水素原子あるいは炭素数1〜3の
アルキル基である。Mは炭素数1〜2のアルキレン基あ
るいは酸素原子で連結した炭素数1〜2のアルキレン基
を表す。Z-は塩素イオンあるいはR8SO3 -を表す。R
2は水素原子あるいはメチル基を表す。jは0であり、
kは1である。R8は炭素数1〜3のアルキル基を表
す。
【0149】オニウム基を有するモノマーの具体例を以
下に示す。ただし、本発明はこの具体例に限定されるも
のではない。(オニウム基を有する構成成分の具体例)
【0150】
【化12】
【0151】
【化13】
【0152】
【化14】
【0153】また、酸基を有するモノマーは1種類ある
いは2種類以上組み合わせて用いても良く、また、オニ
ウム基を有するモノマーも1種類あるいは2種類以上組
み合わせて用いても良い。更に、当該発明に係る重合体
は、モノマーあるいは組成比あるいは分子量の異なるも
のを2種類以上混合して用いてもよい。この際、酸基を
有するモノマーを重合成分として有する重合体は、酸基
を有するモノマーを1モル%以上、好ましくは5モル%
以上含み、オニウム基を有するモノマーを重合成分とし
て有する重合体は、オニウム基を有する単量体を1モル
%以上、好ましくは5モル%以上含むことが望ましい。
【0154】更に、これらの重合体は、以下の(1)〜
(14)に示す重合性モノマーから選ばれる少なくとも
1種を共重合成分として含んでいてもよい。 (1)N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド
またはN−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミ
ド、o−、m−またはp−ヒドロキシスチレン、o−ま
たはm−ブロモ−p−ヒドロキシスチレン、o−または
m−クロル−p−ヒドロキシスチレン、o−、m−また
はp−ヒドロキシフェニルアクリレートまたはメタクリ
レート等の芳香族水酸基を有するアクリルアミド類、メ
タクリルアミド類、アクリル酸エステル類、メタクリル
酸エステル類およびビドロキシスチレン類、(2)アク
リル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸お
よびそのハーフエステル、イタコン酸、無水イタコン酸
およびそのハーフエステルなどの不飽和カルボン酸、
【0155】(3)N−(o−アミノスルホニルフェニ
ル)アクリルアミド、N−(m−アミノスルホニルフェ
ニル)アクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフ
ェニル)アクリルアミド、N−〔1−(3−アミノスル
ホニル)ナフチル〕アクリルアミド、N−(2−アミノ
スルホニルエチル)アクリルアミドなどのアクリルアミ
ド類、N−(o−アミノスルホニルフェニル)メタクリ
ルアミド、N−(m−アミノスルホニルフェニル)メタ
クリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)
メタクリルアミド、N−〔1−(3−アミノスルホニ
ル)ナフチル〕メタクリルアミド、N−(2−アミノス
ルホニルエチル)メタクリルアミドなどのメタクリルア
ミド類、また、o−アミノスルホニルフェニルアクリレ
ート、m−アミノスルホニルフェニルアクリレート、p
−アミノスルホニルフェニルアクリレート、1−(3−
アミノスルホニルフェニルナフチル)アクリレートなど
のアクリル酸エステル類などの不飽和スルホンアミド、
o−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、m−ア
ミノスルホニルフェニルメタクリレート、p−アミノス
ルホニルフェニルメタクリレート、1−(3−アミノス
ルホニルフェニルナフチル)メタクリレートなどのメタ
クリル酸エステル類などの不飽和スルホンアミド、
【0156】(4)トシルアクリルアミドのように置換
基があってもよいフェニルスルホニルアクリルアミド、
およびトシルメタクリルアミドのような置換基があって
もよいフェニルスルホニルメタクリルアミド。(5)脂
肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類およびメタク
リル酸エステル類、例えば、2−ヒドロキシエチルアク
リレートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリレート、
(6)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、ア
クリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリ
ル酸オクチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジ
ル、アクリル酸−2−クロロエチル、アクリル酸4−ヒ
ドロキシブチル、グリシジルアクリレート、N−ジメチ
ルアミノエチルアクリレートなどの(置換)アクリル酸
エステル、
【0157】(7)メタクリル酸メチル、メタクリル酸
エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、
メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリ
ル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリ
ル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−
2−クロロエチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチ
ル、グリシジルメタクリレート、N−ジメチルアミノエ
チルメタクリレートなどの(置換)メタクリル酸エステ
ル、(8)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メ
チロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルア
ミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリ
ルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−ヘキシル
メタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミ
ド、N−シクロヘキシルメタクリルアミド、N−ヒドロ
キシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアク
リルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−フェニ
ルメタクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N
−ベンジルメタクリルアミド、N−ニトロフェニルアク
リルアミド、N−ニトロフェニルメタクリルアミド、N
−エチル−N−フェニルアクリルアミドおよびN−エチ
ル−N−フェニルメタクリルアミドなどのアクリルアミ
ドもしくはメタクリルアミド、
【0158】(9)エチルビニルエーテル、2−クロロ
エチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテ
ル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、
オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテルなど
のビニルエーテル類、(10)ビニルアセテート、ビニ
ルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニ
ルなどのビニルエステル類、(11)スチレン、α−メ
チルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン
などのスチレン類、(12)メチルビニルケトン、エチ
ルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニ
ルケトンなどのビニルケトン類、(13)エチレン、プ
ロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレンなど
のオレフィン類、(14)N−ビニルピロリドン、N−
ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン、アクリロニ
トリル、メタクリロニトリルなど。
【0159】なお、ここで使用する重合体には酸基を有
するモノマーを1%以上、好ましくは5%以上含み、オ
ニウム基を有するモノマーを1モル%以上、好ましくは
5モル%以上含むことが望ましい。さらに、酸基を有す
るモノマーが20%以上含まれると、アルカリ現像時の
溶解除去が一層促進され、オニウム基を有するモノマー
が1モル%以上含まれると酸基との相乗効果により密着
性が一層向上される。また、酸基を有するモノマーは1
種類あるいは2種類以上組み合わせても良く、また、オ
ニウム基を有するモノマーも1種類あるいは2種類以上
組み合わせても良い。更に、当該発明に係る重合体は、
モノマーあるいは組成比あるいは分子量の異なるものを
2種類以上混合して用いてもよい。
【0160】次に、当該発明に用いられる重合体の代表
的な例を以下に示す。なお、ポリマー構造の組成比はモ
ル百分率を表す。
【0161】
【化15】
【0162】
【化16】
【0163】
【化17】
【0164】
【化18】
【0165】
【化19】
【0166】
【化20】
【0167】
【化21】
【0168】
【化22】
【0169】本発明に係る重合体は、一般には、ラジカ
ル連鎖重合法を用いて製造することができる(“Textbo
ok of Polymer Science" 3rd ed,(1984)F.W.Billmeyer,
A Wiley-Interscience Publication参照)。本発明に係
る重合体の分子量は広範囲であってもよいが、光散乱法
を用いて測定したとき、重量平均分子量(Mw)が50
0〜2,000,000であることが好ましく、1,0
00〜600,000の範囲であることがさらに好まし
い。また、NMR測定における末端基と側鎖官能基の積
分強度比より算出される数平均分子量(Mn )が、30
0〜500,000であることが好ましく、500〜1
00,000の範囲にであることがさらに好ましい。
【0170】分子量が上記の範囲よりも小さいと、基板
との密着力が弱くなり、耐刷性の劣化が生じる。一方、
分子量が上記の範囲を超えて高くなると、基板への密着
力が強くなりすぎ、非画像部の感光層残渣を十分に除去
することができなくなる。また、この重合体中に含まれ
る未反応モノマー量は広範囲であってもよいが、20重
量%以下であることが好ましく、また10重量%以下で
あることが更に好ましい。
【0171】上記範囲の分子量を有する重合体は対応す
る単量体を共重合する際に、重合開始剤および連鎖移動
剤を併用し、添加量を調整することにより得ることがで
きる。なお、連鎖移動剤とは、重合反応において連鎖移
動反応により、反応の活性点を移動させる物質のことを
示し、その移動反応の起こり易さは、連鎖移動定数Cs
で表される。本発明で用いられる連鎖移動剤の連鎖移動
定数Cs×104(60℃)は、0.01以上であるこ
とが好ましく、0.1以上であることがより好ましく、
1以上であることが特に好ましい。重合開始剤として
は、ラジカル重合の際に一般によく用いられる過酸化
物、アゾ化合物、レドックス開始剤をそのまま利用する
ことができる。これらの中でアゾ化合物が特に好まし
い。
【0172】 連鎖移動剤の具体例としては、四塩化炭
素、四臭化炭素等のハロゲン化合物、イソプロピルアル
コール、イソブチルアルコール等のアルコール類、2−
メチル−1−ブテン、2、4−ジフェニル−4−メチル
−1−ペンテン等のオレフィン類、エタンチオール、ブ
タンチオール、ドデカンチオール、メルカプトエタノー
ル、メルカプトプロパノール、メルカプトプロピオン酸
メチル、メルカプトプロピオン酸エチル、メルカプトプ
ロピオン酸、チオグリコール酸、エチルジスルフィド、
sec−ブチルジスルフィド、2−ヒドロキシエチルジ
スルフィド、チオサルチル酸、チオフェノール、チオク
レゾール、ベンジルメルカプタン、フェネチルメルカプ
タン等の含イオウ化合物等が挙げられるが、これらに限
定されるものではない。
【0173】より好ましくは、エタンチオール、ブタン
チオール、ドデカンチオール、メルカプトエタノール、
メルカプトプロパノール、メルカプトプロピオン酸メチ
ル、メルカプトプロピオン酸エチル、メルカプトプロピ
オン酸、チオグリコール酸、エチルジスルフィド、se
c−ブチルジスルフィド、2−ヒドロキシエチルジスル
フィド、チオサルチル酸、チオフェノール、チオクレゾ
ール、ベンジルメルカプタン、フェネチルメルカプタン
であり、特に好ましくは、エタンチオール、ブタンチオ
ール、ドデカンチオール、メルカプトエタノール、メル
カプトプロパノール、メルカプトプロピオン酸メチル、
メルカプトプロピオン酸エチル、メルカプトプロピオン
酸、チオグリコール酸、エチルジスルフィド、sec−
ブチルジスルフィド、2−ヒドロキシエチルジスルフィ
ドである。また、この重合体に含まれる未反応モノマー
量は広範囲であってもよいが,20wt%以下であるこ
とが好ましく、また10wt%以下であることが更に好
ましい。
【0174】次に、本発明に係る重合体の合成例を示
す。 〔合成例1〕重合体(No.1)の合成 p−ビニル安息香酸[北興化学工業(株)製]50.4
g、トリエチル(p−ビニルベンジル)アンモニウムク
ロリド15.2g、メルカプトエタノール1.9gおよ
びメタノール153.1gを2リットルの3口フラスコ
に取り、窒素気流下攪拌しながら、加熱し60℃に保っ
た。この溶液に2,2´−アゾビス(イソ酪酸)ジメチ
ル2.8gを加え、そのまま30分間攪拌を続けた。そ
の後、この反応液に、p−ビニル安息香酸201.5
g、トリエチル(p−ビニルベンジル)アンモニウムク
ロリド60.9g、メルカプトエタノール7.5gおよ
び2,2´−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル11.1g
をメタノール612.3gに溶解させた溶液を2時間か
けて滴下した。滴下終了後、温度を65℃に上げ、窒素
気流下10時間攪拌を続けた。反応終了後、室温まで放
冷すると、この反応液の収量は1132gであり、その
固形分濃度は30.5wt%であった。更に、得られた
生成物の数平均分子量(Mn)を13C−NMRスペクト
ルより求めた結果、その値は2100であった。
【0175】〔合成例2〕重合体(No.2)の合成 トリエチル(p−ビニルベンジル)アンモニウムクロリ
ドの代わりに、トリエチル(ビニルベンジル)アンモニ
ウムクロリドのm/p体(2/1)混合物を、更に、メ
ルカプトエタノールの代わりにメルカプトプロピオン酸
エチルを用いること以外は合成例1と同様の操作を行
い、数平均分子量(Mn)4,800の重合体を得た。
【0176】〔合成例3〕重合体(No.25)の合成 p−ビニル安息香酸[北興化学工業(株)製]146.
9g(0.99mol)、ビニルベンジルトリメチルア
ンモニウムクロリド44.2g(0.21mol)およ
び2−メトキシエタノール446gを1リットルの3口
フラスコに取り、窒素気流下攪拌しながら、加熱し75
℃に保った。次に2,2´−アゾビス(イソ酪酸)ジメ
チル2.76g(12mmol)を加え、攪拌を続け
た。2時間後、2,2´−アゾビス(イソ酪酸)ジメチ
ル2.76g(12mmol)を追加した。更に、2時
間後、2,2´−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル2.7
6g(12mmol)を追加した。2時間攪拌した後、
室温まで放冷した。この反応液を攪拌下12リットルの
酢酸エチル中に注いだ。析出する固体を濾取し、乾燥し
た。その収量は189.5gであった。得られた個体は
光散乱法で分子量測定を行った結果、重量平均分子量
(Mw)は3.2万であった。本発明に係る他の重合体
も同様の方法で合成される。
【0177】また、中間層には、前記重合体に加え下記
一般式(6)で示される化合物を添加することもでき
る。
【0178】
【化23】
【0179】(式中、R1 は炭素数6〜14のアリーレ
ン基を表し、m、nは独立して1から3の整数を表
す。) 上記一般式(6)で示される化合物について、以下に説
明する。R1で表わされるアリーレン基の炭素数は6〜
14が好ましく、6〜10がさらに好ましい。R1で表
わされるアリーレン基として具体的には、フェニレン
基、ナフチル基、アンスリル基、フェナスリル基等が挙
げられる。R1で表わされるアリーレン基は炭素数1〜
10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭
素数2〜10のアルキニル基、炭素数6〜10のアリー
ル基、カルボン酸エステル基、アルコキシ基、フェノキ
シ基、スルホン酸エステル基、ホスホン酸エステル基、
スルホニルアミド基、ニトロ基、ニトリル基、アミノ
基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、エチレンオキサイド
基、プロピレンオキサイド基、トリエチルアンモニウム
クロライド基等で置換されていてもよい。
【0180】一般式(6)で示される化合物の具体的な
例としては、例えば、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒ
ドロキシ安息香酸、サリチル酸、1−ヒドロキシー2−
ナフトエ酸、2−ヒドロキシー1−ナフトエ酸、2−ヒ
ドロシキー3−ナフトエ酸、2,4−ジヒドロキシ安息
香酸、10−ヒドロキシ−9−アントラセンカルボン酸
などが挙げられる。但し、上記の具体例に限定されるも
のではなく、また、一般式(6)で示される化合物を1
種類または2種類以上混合して用いてもよい。本発明に
係る上記重合体と、必要に応じて添加される上記一般式
(6)で示される化合物を含む中間層は、後述する親水
化処理を施したアルミニウム支持体上に種々の方法によ
り塗布して設けられる。
【0181】この中間層は次の方法で設けることができ
る。メタノール、エタノール、メチルエチルケトンなど
の有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤あるいはこれらの
有機溶剤と水との混合溶剤に本発明に係る重合体および
必要に応じて添加される一般式(6)で示される化合物
を溶解させた溶液をアルミニウム支持体上に塗布、乾燥
して設ける塗布方法。あるいはメタノール、エタノー
ル、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれら
の混合溶剤あるいはこれらの有機溶剤と水との混合溶剤
に、本発明に係る重合体および必要に応じて添加される
一般式(6)で示される化合物を溶解させた溶液に、ア
ルミニウム支持体を浸漬し、しかる後、水洗あるいは空
気などによって洗浄、乾燥して中間層を設ける塗布方法
を挙げることができる。
【0182】前者の方法では、上記化合物合計で0.0
05〜10重量%の濃度の溶液を種々の方法で塗布でき
る。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗
布、カーテン塗布などいずれの方法を用いてもよい。ま
た、後者の方法では、溶液の濃度は0.005〜20重
量%、好ましくは0.01%〜10重量%であり、浸漬
温度0℃〜70℃、好ましくは5〜60℃であり、浸漬
時間は0.1秒〜5分、好ましくは0.5秒〜120秒
である。
【0183】上記の溶液は、アンモニア、トリエチルア
ミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩酸、リン
酸、硫酸、硝酸などの無機酸、ニトロベンゼンスルホン
酸、ナフタレンスルホン酸などの有機スルホン酸、フェ
ニルホスホン酸などの有機ホスホン酸、安息香酸、クマ
ル酸、リンゴ酸などの有機カルボン酸など種々有機酸性
物質、ナフタレンスルホニルクロライド、ベンゼンスル
ホニルクロライドなどの有機クロライド等によりpHを
調整し、pH=0〜12、より好ましくはpH=0〜6
の範囲で使用することもできる。また、感光性平版印刷
版の調子再現性改良のために紫外光や可視光、赤外光な
どを吸収する物質を添加することもできる。本発明の中
間層を構成する化合物の乾燥後の被覆量は、合計で1〜
100mg/m 2が適当であり、好ましくは2〜70mg/m2
ある。上記被覆量が1mg/m2よりも少ないと十分な効果
が得られない。また100mg/m2よりも多くても同様で
ある。
【0184】〔感光層〕次に上記中間層上に設けられる
サーマルポジ型感光層について説明する。サーマルポジ
型感光層は、赤外線レーザー用ポジ型感光層とも言わ
れ、少なくとも、(A)アルカリ可溶性高分子化合物、
(B)該アルカリ可溶性高分子化合物と相溶することに
より該高分子化合物のアルカリ水溶液への溶解性を低下
させるとともに、加熱により該溶解性低下作用が減少す
る化合物、及び(C)光を吸収して発熱する化合物を含
有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有してな
る。
【0185】−(A)アルカリ可溶性高分子化合物− 該サーマルポジ型感光層に使用されるアルカリ可溶性高
分子化合物は、従来公知のものであれば特に制限はない
が、(1)フェノール性水酸基、(2)スルホンアミド
基、(3)活性イミド基のいずれかの官能基を分子内に
有する高分子化合物であることが好ましい。例えば以下
のものが例示されるが、これらに限定されるものではな
い。 (1)フェノール性水酸基を有する高分子化合物として
は、例えば、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−ク
レゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルム
アルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアル
デヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−,p−,又
はm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデ
ヒド樹脂等のノボラック樹脂やピロガロールアセトン樹
脂が挙げられる。フェノール性水酸基を有する高分子化
合物としてはこの他に、側鎖にフェノール性水酸基を有
する高分子化合物を用いることが好ましい。側鎖にフェ
ノール性水酸基を有する高分子化合物としては、フェノ
ール性水酸基と重合可能な不飽和結合をそれぞれ1つ以
上有する低分子化合物からなる重合性モノマーを単独重
合、或いは該モノマーに他の重合性モノマーを共重合さ
せて得られる高分子化合物が挙げられる。
【0186】フェノール性水酸基を有する重合性モノマ
ーとしては、フェノール性水酸基を有するアクリルアミ
ド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリ
ル酸エステル、又はヒドロキシスチレン等が挙げられ
る。具体的には、N−(2−ヒドロキシフェニル)アク
リルアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)アクリル
アミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミ
ド、N−(2−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミ
ド、N−(3−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミ
ド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミ
ド、o−ヒドロキシフェニルアクリレート、m−ヒドロ
キシフェニルアクリレート、p−ヒドロキシフェニルア
クリレート、o−ヒドロキシフェニルメタクリレート、
m−ヒドロキシフェニルメタクリレート、p−ヒドロキ
シフェニルメタクリレート、o−ヒドロキシスチレン、
m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、2
−(2−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2
−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2
−(4−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2
−(2−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、
2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレー
ト、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレ
ート等を好適に使用することができる。かかるフェノー
ル性水酸基を有する樹脂は、2種類以上を組み合わせて
使用してもよい。更に、米国特許第4,123,279
号明細書に記載されているように、t−ブチルフェノー
ルホルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノールホルムア
ルデヒド樹脂のような、炭素数3〜8のアルキル基を置
換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮
重合体を併用してもよい。
【0187】(2)スルホンアミド基を有するアルカリ
可溶性高分子化合物としては、スルホンアミド基を有す
る重合性モノマーを単独重合、或いは該モノマーに他の
重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物が
挙げられる。スルホンアミド基を有する重合性モノマー
としては、1分子中に、窒素原子上に少なくとも1つの
水素原子が結合したスルホンアミド基−NH−SO2
と、重合可能な不飽和結合をそれぞれ1つ以上有する低
分子化合物からなる重合性モノマーが挙げられる。その
中でも、アクリロイル基、アリル基、又はビニロキシ基
と、置換或いはモノ置換アミノスルホニル基又は置換ス
ルホニルイミノ基とを有する低分子化合物が好ましい。
このような化合物としては、例えば、下記一般式(I)
〜(V) で示される化合物が挙げられる。
【0188】
【化24】
【0189】式中、X1及びX2は、それぞれ−O−又は
−NR7−を示す。R1及びR4は、それぞれ水素原子又
は−CH3を表す。R2、R5、R9、R12及びR16は、そ
れぞれ置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアル
キレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアラ
ルキレン基を表す。R3、R7及びR13は、水素原子、そ
れぞれ置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアル
キル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル
基を表す。また、R6及びR17は、それぞれ置換基を有
していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロア
ルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す。R8
10及びR14は、水素原子又は−CH3を表す。R11
びR15は、それぞれ単結合又は置換基を有していてもよ
い炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン
基、アリーレン基又はアラルキレン基を表す。Y1及び
2は、それぞれ単結合又は−CO−を表す。具体的に
は、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、N
−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミ
ド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルア
ミド等を好適に使用することができる。
【0190】(3)活性イミド基を有するアルカリ可溶
性高分子化合物は、下記式で表される活性イミド基を分
子内に有するものが好ましく、この高分子化合物として
は、1分子中に、下記式で表わされる活性イミド基と、
重合可能な不飽和結合をそれぞれ一つ以上有する低分子
化合物からなる重合性モノマーを単独重合、或いは該モ
ノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高
分子化合物が挙げられる。
【0191】
【化25】
【0192】このような化合物としては、具体的には、
N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド、N
−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド等を好適
に使用することができる。
【0193】更に、該サーマルポジ型感光層のアルカリ
可溶性高分子化合物としては、前記フェノール性水酸基
を有する重合性モノマー、スルホンアミド基を有する重
合性モノマー、及び活性イミド基を有する重合性モノマ
ーのうちの2種以上を重合させた高分子化合物、或いは
これら2種以上の重合性モノマーに他の重合性モノマー
を共重合させて得られる高分子化合物を使用することが
好ましい。フェノール性水酸基を有する重合性モノマー
に、スルホンアミド基を有する重合性モノマー及び/又
は活性イミド基を有する重合性モノマーを共重合させる
場合には、これら成分の配合重量比は50:50から
5:95の範囲にあることが好ましく、40:60から
10:90の範囲にあることが特に好ましい。
【0194】該サーマルポジ型感光層において、アルカ
リ可溶性高分子化合物が前記フェノール性水酸基を有す
る重合性モノマー、スルホンアミド基を有する重合性モ
ノマー、又は活性イミド基を有する重合性モノマーと、
他の重合性モノマーとの共重合体である場合には、アル
カリ可溶性を付与するモノマーは10モル%以上含むこ
とが好ましく、20モル%以上含むものがより好まし
い。共重合成分が10モル%より少ないと、アルカリ可
溶性が不十分となりやすく、現像ラチチュードの向上効
果が十分達成されないことがある。
【0195】前記フェノール性水酸基を有する重合性モ
ノマー、スルホンアミド基を有する重合性モノマー、又
は活性イミド基を有する重合性モノマーと共重合させる
モノマー成分としては、例えば、下記(1)〜(12)
に挙げるモノマーを用いることができるが、これらに限
定されるものではない。 (1)例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート又は
2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基
を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エス
テル類。 (2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、ア
クリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベ
ンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルア
クリレート、N−ジメチルアミノエチルアクリレート等
のアルキルアクリレート。 (3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸
アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘ
キシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−ク
ロロエチル、グリシジルメタクリレート、N−ジメチル
アミノエチルメタクリレート等のアルキルメタクリレー
ト。
【0196】(4)アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリ
ルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロ
ヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリ
ルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフ
ェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアク
リルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミ
ド。 (5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニル
エーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピル
ビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニ
ルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテ
ル類。 (6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビ
ニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル
類。 (7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレ
ン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。
【0197】(8)メチルビニルケトン、エチルビニル
ケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン
等のビニルケトン類。 (9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエ
ン、イソプレン等のオレフィン類。 (10)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾー
ル、4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル等。 (11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミ
ド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニル
メタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタ
クリルアミド等の不飽和イミド。 (12)アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、
イタコン酸等の不飽和カルボン酸。
【0198】該サーマルポジ型感光層においてアルカリ
可溶性高分子化合物が、前記フェノール性水酸基を有す
る重合性モノマー、スルホンアミド基を有する重合性モ
ノマー、又は活性イミド基を有する重合性モノマーの単
独重合体或いは共重合体の場合、重量平均分子量が2,
000以上、数平均分子量が500以上のものが好まし
い。更に好ましくは、重量平均分子量が5,000〜3
00,000で、数平均分子量が800〜250,00
0であり、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が
1.1〜10のものである。また、本発明においてアル
カリ可溶性高分子化合物がフェノールホルムアルデヒド
樹脂、クレゾールアルデヒド樹脂等の樹脂である場合に
は、重量平均分子量が500〜20,000であり、数
平均分子量が200〜10,000のものが好ましい。
【0199】これらアルカリ可溶性高分子化合物は、そ
れぞれ1種類或いは2種類以上を組み合わせて使用して
もよく、前記感光層全固形分中、30〜99重量%、好
ましくは40〜95重量%、特に好ましくは50〜90
重量%の添加量で用いられる。アルカリ可溶性高分子化
合物の添加量が30重量%未満であると感光層の耐久性
が悪化し、また、99重量%を超えると感度、耐久性の
両面で好ましくない。
【0200】−(B)前記アルカリ可溶性高分子化合物
と相溶することにより該高分子化合物のアルカリ水溶液
への溶解性を低下させるとともに、加熱により該溶解性
低下作用が減少する化合物− 該(B)成分は、分子内に存在する水素結合性の官能基
の働きにより、(A)アルカリ可溶性高分子化合物との
相溶性が良好であり、均一な塗布液を形成し得るととも
に、(A)成分との相互作用により、該高分子化合物の
アルカリ可溶性を抑制する機能を有する化合物を指す。
また、この化合物は加熱によりこの溶解性低下作用が消
滅するが、(B)成分自体が加熱により分解する化合物
である場合、分解に充分なエネルギーがレーザの出力や
照射時間等の条件によって付与されないと、溶解性の抑
制作用の低下が不充分であり、感度が低下するおそれが
あるため、(B)成分の熱分解温度は150℃以上であ
ることが好ましい。
【0201】該サーマルポジ型感光層に用いられる好適
な(B)成分としては、スルホン化合物、アンモニウム
塩、ホスホニウム塩、アミド化合物等、前記(A)成分
と相互作用する化合物が挙げられる。(B)成分は、先
に述べた如く(A)成分との相互作用を考慮して適宜選
択されるべきであり、具体的には、例えば、(A)成分
としてノボラック樹脂を単独で用いる場合、後に例示す
るシアニン染料A等が好適に使用される。
【0202】(A)成分と(B)成分との配合比は、通
常、99/1〜75/25の範囲であることが好まし
い。99/1よりも(B)成分が少ない場合、(A)成
分との相互作用が不充分となり、アルカリ可溶性を阻害
できず、良好な画像形成ができ難い。また、75/25
よりも(B)成分が多い場合、相互作用が過大であるた
め著しく感度が低下し、いずれも好ましくない。
【0203】−(C)光を吸収して発熱する化合物− 本発明における光を吸収して発熱する化合物とは、70
0以上、好ましくは750〜1200nmの赤外域に光
吸収域があり、この範囲の波長の光において、光/熱変
換能を発現するものを指し、具体的には、この波長域の
光を吸収し熱を発生する種々の顔料もしくは染料を用い
ることができる。前記顔料としては、市販の顔料及びカ
ラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」
(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応
用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ
技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔
料が利用できる。
【0204】前記顔料の種類としては、黒色顔料、黄色
顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔
料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その
他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶
性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレート
アゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔
料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔
料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソイ
ンドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ
顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔
料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用で
きる。
【0205】これら顔料は表面処理をせずに用いてもよ
く、表面処理をほどこして用いてもよい。表面処理の方
法には樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性
剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカッ
プリング剤やエポキシ化合物、ポリイソシアネート等)
を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表
面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、
「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び
「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に
記載されている。
【0206】前記顔料の粒径は、0.01〜10μmの
範囲にあることが好ましく、0.05〜1μmの範囲に
あることが更に好ましく、0.1〜1μmの範囲にある
ことが特に好ましい。顔料の粒径が0.01μm未満の
ときは分散物の感光層塗布液中での安定性の点で好まし
くなく、また、10μmを越えると感光層の均一性の点
で好ましくない。前記顔料を分散する方法としては、イ
ンク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が
使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミ
ル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボール
ミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイド
ミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等
が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC
出版、1986年刊)に記載がある。
【0207】前記染料としては、市販の染料及び文献
(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45
年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体
的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ
染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カル
ボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニ
ン染料等の染料が挙げられる。本発明において、これら
の顔料、若しくは染料のうち赤外光、若しくは近赤外光
を吸収するものが、赤外光若しくは近赤外光を発光する
レーザでの利用に適する点で特に好ましい。
【0208】そのような赤外光、若しくは近赤外光を吸
収する顔料としてはカーボンブラックが好適に用いられ
る。また、赤外光、若しくは近赤外光を吸収する染料と
しては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭
59−84356号、特開昭59−202829号、特
開昭60−78787号等の公報に記載されているシア
ニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−
181690号、特開昭58−194595号等の公報
に記載されているメチン染料、特開昭58−11279
3号、特開昭58−224793号、特開昭59−48
187号、特開昭59−73996号、特開昭60−5
2940号、特開昭60−63744号等の公報に記載
されているナフトキノン染料、特開昭58−11279
2号等の公報に記載されているスクワリリウム色素、英
国特許434,875号公報に記載のシアニン染料、米
国特許5,380,635号公報に記載のジヒドロペリ
ミジンスクアリリウム染料等を挙げることができる。
【0209】また、前記染料として米国特許第5,15
6,938号公報に記載の近赤外吸収増感剤も好適に用
いられ、また、米国特許第3,881,924号公報に
記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム
塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,32
7,169号)公報に記載のトリメチンチアピリリウム
塩、特開昭58−181051号、同58−22014
3号、同59−41363号、同59−84248号、
同59−84249号、同59−146063号、同5
9−146061号公報に記載されているピリリウム系
化合物、特開昭59−216146号公報に記載のシア
ニン色素、米国特許第4,283,475号公報に記載
のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−135
14号、同5−19702号公報に開示されているピリ
リウム化合物、Epolight III−178、Epo
light III−130、Epolight III−12
5、Epolight IV −62A等は特に好ましく用
いられる。
【0210】また、前記染料として特に好ましい別の例
として米国特許第4,756,993号明細書中に式
(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を
挙げることができる。これらの顔料若しくは染料は、前
記感光層全固形分に対し0.01〜50重量%、好まし
くは0.1〜10重量%、染料の場合特に好ましくは
0.5〜10重量%、顔料の場合特に好ましくは3.1
〜10重量%の割合で前記感光性組成物中に添加するこ
とができる。顔料若しくは染料の添加量が0.01重量
%未満であると感度が低くなり、また50重量%を越え
ると感光層の均一性が失われ、感光層の耐久性が悪くな
る。これらの染料若しくは顔料は他の成分と同一の層に
添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよ
い。別の層とする場合、本発明の熱分解性でありかつ分
解しない状態ではアルカリ可溶性高分子化合物の溶解性
を実質的に低下させる物質を含む層に隣接する層へ添加
するのが望ましい。また、染料若しくは顔料とアルカリ
可溶性高分子化合物は同一の層が好ましいが、別の層で
も構わない。
【0211】−(B+C)成分− 該サーマルポジ型感光層においては、(B)アルカリ可
溶性高分子化合物と相溶することにより該高分子化合物
のアルカリ水溶液への溶解性を低下させるとともに、加
熱により該溶解性低下作用が減少する化合物と、(C)
光を吸収して発熱する化合物とに換えて、双方の特性を
有する一つの化合物(以下、「(B+C)成分」と称す
ることがある)を含有することもでき、その化合物とし
ては、例えば、下記一般式(Z)で表されるものが挙げ
られる。
【0212】
【化26】
【0213】前記一般式(Z)中、R1〜R4は、それぞ
れ独立に水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜1
2のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、シクロ
アルキル基、アリール基を表し、R1とR2、R3とR4
それぞれ結合して環構造を形成していてもよい。ここ
で、R1〜R4としては、具体的には、水素原子、メチル
基、エチル基、フェニル基、ドデシル基、ナフチル基、
ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基等が挙げられ
る。また、これらの基が置換基を有する場合、その置換
基としては、ハロゲン原子、カルボニル基、ニトロ基、
ニトリル基、スルホニル基、カルボキシル基、カルボン
酸エステル、スルホン酸エステル等が挙げられる。R5
〜R10は、それぞれ独立に置換基を有してもよい炭素数
1〜12のアルキル基を表し、ここで、R5〜R10とし
ては、具体的には、メチル基、エチル基、フェニル基、
ドデシル基、ナフチル基、ビニル基、アリル基、シクロ
ヘキシル基等が挙げられる。また、これらの基が置換基
を有する場合、その置換基としては、ハロゲン原子、カ
ルボニル基、ニトロ基、ニトリル基、スルホニル基、カ
ルボキシル基、カルボン酸エステル、スルホン酸エステ
ル等が挙げられる。
【0214】R11〜R13は、それぞれ独立に水素原子、
ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜8のア
ルキル基を表し、ここで、R12は、R11又はR13と結合
して環構造を形成していてもよく、m>2の場合は、複
数のR12どうしが結合して環構造を形成していてもよ
い。R11〜R13としては、具体的には、塩素原子、シク
ロヘキシル基、R12どうしが結合してなるシクロペンチ
ル環、シクロヘキシル環等が挙げられる。また、これら
の基が置換基を有する場合、その置換基としては、ハロ
ゲン原子、カルボニル基、ニトロ基、ニトリル基、スル
ホニル基、カルボキシル基、カルボン酸エステル、スル
ホン酸エステル等が挙げられる。また、mは1〜8の整
数を表し、好ましくは1〜3である。R14〜R15は、そ
れぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、置換基を有して
もよい炭素数1〜8のアルキル基を表し、R14はR15
結合して環構造を形成していてもよく、m>2の場合
は、複数のR14どうしが結合して環構造を形成していて
もよい。R14〜R15としては、具体的には、塩素原子、
シクロヘキシル基、R14どうしが結合してなるシクロペ
ンチル環、シクロヘキシル環等が挙げられる。また、こ
れらの基が置換基を有する場合、その置換基としては、
ハロゲン原子、カルボニル基、ニトロ基、ニトリル基、
スルホニル基、カルボキシル基、カルボン酸エステル、
スルホン酸エステル等が挙げられる。また、mは1〜8
の整数を表し、好ましくは1〜3である。
【0215】前記一般式(Z)において、X-は、アニ
オンを表す。アニオンの具体例としては、過塩素酸、四
フッ化ホウ酸、六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフ
タレンスルホン酸、5−ニトロ−o−トルエンスルホン
酸、5−スルホサリチル酸、2,5−ジメチルベンゼン
スルホン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン
酸、2−ニトロベンゼンスルホン酸、3−クロロベンゼ
ンスルホン酸、3−ブロモベンゼンスルホン酸、2−フ
ルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼ
ンスルホン酸、1−ナフトール−5−スルホン酸、2−
メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイル−ベンゼン
スルホン酸、及びパラトルエンスルホン酸等を挙げるこ
とができる。これらの中でも特に六フッ化リン酸、トリ
イソプロピルナフタレンスルホン酸や2,5−ジメチル
ベンゼンスルホン酸のごときアルキル芳香族スルホン酸
が好ましく用いられる。
【0216】前記一般式(Z)で表される化合物は、一
般にシアニン染料と呼ばれる化合物であり、具体的に
は、以下に示す化合物が好適に用いられるが、本発明は
この具体例に制限されるものではない。
【0217】
【化27】
【0218】前記(B+C)成分は、光を吸収して熱を
発生する性質(即ち、(C)成分の特性)を有し、しか
も700〜1200nmの赤外域に吸収域をもち、更に
アルカリ可溶性高分子化合物との相溶性も良好であり、
塩基性染料であり、分子内にアンモニウム基、イミニウ
ム基等のアルカリ可溶性高分子化合物と相互作用する基
を有する(即ち、(B)成分の特性を有する)ために該
高分子化合物と相互作用して、そのアルカリ可溶性を制
御することができ、本発明に好適に用いることができ
る。本発明において、(B)成分、(C)成分に換え
て、前記のシアニン染料の如く双方の特性を兼ね備える
化合物(B+C)成分を用いる場合、この化合物の添加
量は、(A)成分に対して、99/1〜70/30の範
囲が感度の観点から好ましく、99/1〜75/25の
範囲がより好ましい。
【0219】−その他の成分− 該サーマルポジ型感光層組成物には、更に必要に応じ
て、種々の添加剤を添加することができる。例えば、感
度を向上させる目的で、環状酸無水物類、フェノール
類、有機酸類、スルホニル化合物類を併用することもで
きる。前記環状酸無水物としては、米国特許第4,11
5,128号明細書に記載されている無水フタル酸、テ
トラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、
3,6−エンドオキシ−Δ4−テトラヒドロ無水フタル
酸、テトラクロル無水フタル酸、無水マレイン酸、クロ
ル無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水
コハク酸、無水ピロメリット酸等が使用できる。前記フ
ェノール類としては、ビスフェノールA、p−ニトロフ
ェノール、p−エトキシフェノール、2,4,4′−ト
リヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロ
キシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、
4,4′,4″−トリヒドロキシトリフェニルメタン、
4,4′,3″,4″−テトラヒドロキシ−3,5,
3′,5′−テトラメチルトリフェニルメタン等が挙げ
られる。前記有機酸類としては、特開昭60−8894
2号、特開平2−96755号公報等に記載されてい
る、スルホン酸類、スルフィン酸類、アルキル硫酸類、
ホスホン酸類、リン酸エステル類及びカルボン酸類等が
あり、具体的には、p−トルエンスルホン酸、ドデシル
ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチ
ル硫酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、
リン酸フェニル、リン酸ジフェニル、安息香酸、イソフ
タル酸、アジピン酸、p−トルイル酸、3,4−ジメト
キシ安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、4−シクロヘ
キセン−1,2−ジカルボン酸、エルカ酸、ラウリン
酸、n−ウンデカン酸、アスコルビン酸、ビスヒドロキ
シフェニルスルホン、メチルフェニルスルホン、ジフェ
ニルジスルホン等が挙げられる。上記の環状酸無水物、
フェノール類、有機酸類、及びスルホニル化合物類の前
記感光性組成物固形分中に占める割合は、0.05〜2
0重量%が好ましく、0.1〜15重量%がより好まし
く、0.1〜10重量%が特に好ましい。
【0220】また、該サーマルポジ型感光層組成物中に
は、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開
昭62−251740号公報や特開平3−208514
号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特
開昭59−121044号公報、特開平4−13149
号公報に記載されているような両性界面活性剤を添加す
ることができる。前記非イオン界面活性剤の具体例とし
ては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパ
ルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モ
ノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエー
テル等が挙げられる。前記両性界面活性剤の具体例とし
ては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキル
ポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−
カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニ
ウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型
(例えば、商品名「アモーゲンK」:第一工業(株)
製)等が挙げられる。上記非イオン界面活性剤及び両性
界面活性剤の前記感光性組成物固形分中に占める割合
は、0.05〜15重量%が好ましく、0.1〜5重量
%がより好ましい。
【0221】該サーマルポジ型感光層組成物中には、露
光による加熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤
や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができ
る。前記焼き出し剤としては、露光による加熱によって
酸を放出する化合物(光酸放出剤)と塩を形成し得る有
機染料の組合せが代表として挙げられる。具体的には、
特開昭50−36209号、同53−8128号の各公
報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−ス
ルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染料の組合せや、特
開昭53−36223号、同54−74728号、同6
0−3626号、同61−143748号、同61−1
51644号及び同63−58440号の各公報に記載
されているトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料の
組合せが挙げられる。かかるトリハロメチル化合物とし
ては、オキサゾール系化合物とトリアジン系化合物とが
あり、どちらも経時安定性に優れ、明瞭な焼き出し画像
を与える。
【0222】前記画像着色剤としては、前述の塩形成性
有機染料以外に他の染料を用いることができる。塩形成
性有機染料を含めて、好適な染料として油溶性染料と塩
基性染料が挙げられる。具体的にはオイルイエロー#1
01、オイルイエロー#103、オイルピンク#31
2、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイル
ブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラック
BS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学
工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタル
バイオレット(C.I.42555)、メチルバイオレ
ット(C.I.42535)、エチルバイオレット、ロ
ーダミンB(C.I.145170B)、マラカイトグ
リーン(C.I.42000)、メチレンブルー(C.
I.52015)等を挙げることができる。また、特開
昭62−293247号公報、及び特開平5−3133
59号公報に記載されている染料は特に好ましい。これ
らの染料は、前記感光性組成物固形分に対し、0.01
〜10重量%、好ましくは0.1〜3重量%の割合で前
記感光性組成物中に添加することができる。
【0223】また、該サーマルポジ型感光層組成物中に
は必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤
が加えられる。例えば、ブチルフタリル、ポリエチレン
グリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、
フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオ
クチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン
酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、
アクリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー
等が用いられる。更に、本発明に係る前記感光性組成物
中には必要に応じ、キノンジアジド類、ジアゾ化合物等
の光により分解する化合物を添加してもよい。これらの
化合物の添加量は、前記感光性組成物固形分に対し、1
〜5重量%が好ましい。
【0224】−感光層の製法− 該サーマルポジ型感光層は、通常上記各成分を溶媒に溶
かして、後述の支持体上に塗布することにより製造する
ことができる。ここで使用する溶媒としては、エチレン
ジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケト
ン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレン
グリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プ
ロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メト
キシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳
酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレ
ア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ス
ルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン等を挙げるこ
とができるがこれに限定されるものではない。これらの
溶媒は単独或いは混合して使用される。溶媒中の上記成
分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜
50重量%である。また塗布、乾燥後に得られる支持体
上の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般
的に0.5〜5.0g/m2が好ましい。塗布する方法
としては、種々の方法を用いることができるが、例え
ば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カー
テン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード
塗布、ロール塗布等を挙げることができる。塗布量が少
なくなるにつれて、見かけの感度は大になるが、感光膜
の皮膜特性は低下する。前記感光層中に、塗布性を良化
するための界面活性剤、例えば、特開昭62−1709
50号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤
を添加することができる。好ましい添加量は、前記感光
層全固形分に対して0.01〜1重量%、更に好ましく
は0.05〜0.5重量%である。
【0225】次にサーマルネガ型感光層について説明す
る。サーマルネガ型感光層は赤外線レーザによる書き込
みが可能、即ち、赤外線レーザ照射部が硬化して画像部
を形成するネガ型の感光層であれば特に制限はなく、い
ずれのものでもよい。このようなサーマルネガ型感光層
の1つとして、光重合層が挙げられる。光重合層には、
(A)赤外線吸収剤と(B)ラジカル発生剤(ラジカル
重合開始剤)と(C)発生したラジカルにより重合反応
を起こして硬化するラジカル重合性化合物とを含有し、
好ましくは(D)バインダーポリマーを含有する。赤外
線吸収剤が吸収した赤外線を熱に変換し、この際発生し
た熱により、オニウム塩等のラジカル重合開始剤が分解
し、ラジカルを発生する。ラジカル重合性化合物は、少
なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有し、末端
エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2
個以上有する化合物から選ばれ、発生したラジカルによ
り連鎖的に重合反応が生起し、硬化する。
【0226】また、感光層の他の態様としては、酸架橋
層が挙げられる。酸架橋層には、(E)光又は熱により
酸を発生する化合物(以下、酸発生剤と称する)と、
(F)発生した酸により架橋する化合物(以下、架橋剤
と称する)とを含有し、さらに、これらを含有する層を
形成するための、酸の存在下で架橋剤と反応しうる
(G)アルカリ可溶性ポリマーを含む。この酸架橋層に
おいては、光照射又は加熱により、酸発生剤が分解して
発生した酸が、架橋剤の働きを促進し、架橋剤同士ある
いは架橋剤とバインダーポリマーとの間で強固な架橋構
造が形成され、これにより、アルカリ可溶性が低下し
て、現像剤に不溶となる。このとき、赤外線レーザのエ
ネルギーを効率よく使用するため、感光層中には(A)
赤外線吸収剤が配合される。
【0227】サーマルネガ型感光層の1つである光重合
層に含まれる、(A)赤外線吸収剤と、(B)ラジカル
発生剤と、(C)ラジカル重合性化合物と、(D)バイ
ンダーポリマーの各構成成分につき、順次説明する。 [(A)赤外線吸収剤]サーマルネガ型の光重合層を有
する平版印刷版用原版は、赤外線を発するレーザで画像
記録が可能であり、このためには、赤外線吸収剤を用い
ることが必須である。赤外線吸収剤は、吸収した赤外線
を熱に変換する機能を有している。この際発生した熱に
より、ラジカル発生剤であるオニウム塩等が分解し、ラ
ジカルを発生する。本発明において使用される赤外線吸
収剤は、書き込みレーザの波長に吸収を有し、光熱変換
能を発現するものであればいずれのものでもよいが、好
ましくは、波長760nmから1200nmに吸収極大
を有する染料又は顔料が挙げられる。
【0228】染料としては、市販の染料及び例えば「染
料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の
文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的
には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染
料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシ
アニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メ
チン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリ
ウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。好
ましい染料としては、例えば、特開昭58−12524
6号、特開昭59−84356号、特開昭59−202
829号、特開昭60−78787号等に記載されてい
るシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭
58−181690号、特開昭58−194595号等
に記載されているメチン染料、特開昭58−11279
3号、特開昭58−224793号、特開昭59−48
187号、特開昭59−73996号、特開昭60−5
2940号、特開昭60−63744号等に記載されて
いるナフトキノン染料、特開昭58−112792号等
に記載されているスクワリリウム色素、英国特許43
4,875号記載のシアニン染料等を挙げることができ
る。
【0229】また、米国特許第5,156,938号記
載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特
許第3,881,924号記載の置換されたアリールベ
ンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645
号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチ
ンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同
58−220143号、同59−41363号、同59
−84248号、同59−84249号、同59−14
6063号、同59−146061号に記載されている
ピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載
のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記
載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13
514号、同5−19702号に開示されているピリリ
ウム化合物も好ましく用いられる。
【0230】また、染料として好ましい別の例として米
国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、
(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げるこ
とができる。これらの染料のうち特に好ましいものとし
ては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム
塩、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。さらに、シ
アニン色素が好ましく、特に下記一般式(I)で示され
るシアニン色素が最も好ましい。
【0231】
【化28】
【0232】一般式(I)中、X1は、ハロゲン原子、
またはX2−L2又はNL23を示す。ここで、X2は酸
素原子または、硫黄原子を示し、L1は、炭素原子数1
〜12の炭化水素基を示す。L2及びL3はそれぞれ独立
に炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。R1および
2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水
素基を示す。感光層塗布液の保存安定性から、R1およ
びR2は、炭素原子数2個以上の炭化水素基であること
が好ましく、さらに、R1とR2とは互いに結合し、5員
環または6員環を形成していることが特に好ましい。
【0233】Ar1、Ar2は、それぞれ同じでも異なっ
ていても良く、置換基を有していても良い芳香族炭化水
素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベン
ゼン環およびナフタレン環が挙げられる。また、好まし
い置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素
基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ
基が挙げられる。Y1、Y2は、それぞれ同じでも異なっ
ていても良く、硫黄原子または炭素原子数12個以下の
ジアルキルメチレン基を示す。R3、R4は、それぞれ同
じでも異なっていても良く、置換基を有していても良い
炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置
換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、
カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R5、R6、R
7およびR8は、それぞれ同じでも異なっていても良く、
水素原子または炭素原子数12個以下の炭化水素基を示
す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。ま
た、Z1-は、対アニオンを示す。ただし、R1〜R8のい
ずれかにスルホ基が置換されている場合は、Z1-は必要
ない。好ましいZ1-は、感光層塗布液の保存安定性か
ら、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロ
ボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、
およびスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩
素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、お
よびアリールスルホン酸イオンである。
【0234】該サーマルネガ型の光重合層において、好
適に用いることのできる一般式(I)で示されるシアニ
ン色素の具体例としては、特願平11−310623号
明細書の段落番号[0017]〜[0019]に記載さ
れたものを挙げることができる。
【0235】本発明において使用される顔料としては、
市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、
「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年
刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年
刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)
に記載されている顔料が利用できる。顔料の種類として
は、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、
赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、
金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。
具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合ア
ゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、ア
ントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チ
オインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン
系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔
料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニ
トロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブ
ラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいも
のはカーボンブラックである。
【0236】これら顔料は表面処理をせずに用いてもよ
く、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法に
は、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤
を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップ
リング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を
顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面
処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、
「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び
「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に
記載されている。顔料の粒径は0.01μm〜10μm
の範囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの
範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1μm〜1
μmの範囲にあることが好ましい。顔料の粒径が0.0
1μm未満のときは分散物の画像感光層塗布液中での安
定性の点で好ましくなく、また、10μmを越えると画
像感光層の均一性の点で好ましくない。
【0237】顔料を分散する方法としては、インク製造
やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用でき
る。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アト
ライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、イ
ンペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダ
イナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げら
れる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1
986年刊)に記載されている。
【0238】これらの赤外線吸収剤は、他の成分と同一
の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加して
もよいが、ネガ型平版印刷版原版を作成した際に、感光
層の波長760nm〜1200nmの範囲における吸収
極大での光学濃度が、0.1〜3.0の間にあることが
好ましい。この範囲をはずれた場合、感度が低くなる傾
向がある。光学濃度は前記赤外線吸収剤の添加量と記録
層の厚みとにより決定されるため、所定の光学濃度は両
者の条件を制御することにより得られる。記録層の光学
濃度は常法により測定することができる。測定方法とし
ては、例えば、透明、或いは白色の支持体上に、乾燥後
の塗布量が平版印刷版として必要な範囲において適宜決
定された厚みの記録層を形成し、透過型の光学濃度計で
測定する方法、アルミニウム等の反射性の支持体上に記
録層を形成し、反射濃度を測定する方法等が挙げられ
る。
【0239】[(B)ラジカル発生剤]該サーマルネガ
型の光重合層において好適に用いられるラジカル発生剤
(ラジカルを発生する化合物)としては、好ましくはオ
ニウム塩が挙げられ、具体的には、ヨードニウム塩、ジ
アゾニウム塩、スルホニウム塩である。これらのオニウ
ム塩は酸発生剤としての機能も有するが、後述するラジ
カル重合性化合物と併用する際には、ラジカル重合の開
始剤として機能する。本発明において好適に用いられる
オニウム塩は、下記一般式(III)〜(V)で表される
オニウム塩である。
【0240】
【化29】
【0241】式(III)中、Ar11とAr12は、それぞ
れ独立に、置換基を有していても良い炭素原子数20個
以下のアリール基を示す。このアリール基が置換基を有
する場合の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニ
トロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子
数12個以下のアルコキシ基、または炭素原子数12個
以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z11-はハロゲ
ンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイ
オン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、カルボン酸
イオンおよびスルホン酸イオンからなる群より選択され
る対イオンを表し、好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキ
サフルオロフォスフェートイオン、およびアリールスル
ホン酸イオンである。
【0242】式(IV)中、Ar21は、置換基を有してい
ても良い炭素原子数20個以下のアリール基を示す。好
ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素
原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下
のアルコキシ基、炭素原子数12個以下のアリールオキ
シ基、炭素原子数12個以下のアルキルアミノ基、炭素
原子数12個以下のジアルキルアミノ基、炭素原子数1
2個以下のアリールアミノ基または、炭素原子数12個
以下のジアリールアミノ基が挙げられる。Z21 -はZ11-
と同義の対イオンを表す。
【0243】式(V)中、R31、R32及びR33は、それ
ぞれ同じでも異なっていても良く、置換基を有していて
も良い炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ま
しい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原
子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下の
アルコキシ基、または炭素原子数12個以下のアリール
オキシ基が挙げられる。Z31-はZ11-と同義の対イオン
を表す。該サーマルネガ型の光重合層において、好適に
用いることのできるオニウム塩の具体例としては、本願
出願人が先に提案した特願平11−310623号明細
書の段落番号[0030]〜[0033]に記載された
もの及び特願2000−160323号明細書の段落番
号[0015]〜[0046]に記載されたものを挙げ
ることができる。
【0244】該サーマルネガ型の光重合層において用い
られるオニウム塩は、極大吸収波長が400nm以下で
あることが好ましく、さらに360nm以下であること
が好ましい。このように吸収波長を紫外線領域にするこ
とにより、平版印刷版用原版の取り扱いを白灯下で実施
することができる。これらのオニウム塩は、感光層塗布
液の全固形分に対し0.1〜50重量%、好ましくは
0.5〜30重量%、特に好ましくは1〜20重量%の
割合で感光層塗布液中に添加することができる。添加量
が0.1重量%未満であると感度が低くなり、また50
重量%を越えると印刷時非画像部に汚れが発生する。こ
れらのオニウム塩は、1種のみを用いても良いし、2種
以上を併用しても良い。また、これらのオニウム塩は他
の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそ
こへ添加してもよい。
【0245】[(C)ラジカル重合性化合物]該サーマ
ルネガ型の光重合層に使用されるラジカル重合性化合物
は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有す
るラジカル重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和
結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合
物から選ばれる。この様な化合物群は当該産業分野にお
いて広く知られるものであり、本発明においてはこれら
を特に限定無く用いる事ができる。これらは、例えばモ
ノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体および
オリゴマー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共
重合体などの化学的形態をもつ。モノマーおよびその共
重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アク
リル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソ
クロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、ア
ミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂
肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボ
ン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられ
る。また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基
等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、
アミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類、エ
ポキシ類との付加反応物、単官能もしくは、多官能のカ
ルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。ま
た、イソシアナート基やエポキシ基等の親電子性置換基
を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、
単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類および
チオール類との付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシ
ルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸
エステルまたはアミド類と、単官能もしくは多官能のア
ルコール類、アミン類およびチオール類との置換反応物
も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カル
ボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置
き換えた化合物群を使用する事も可能である。
【0246】脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カル
ボン酸とのエステルであるラジカル重合性化合物である
アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、イタコン
酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エス
テル、マレイン酸エステルの具体例は、特願平11−3
10623号明細書の段落番号[0037]〜[004
2]に記載されており、これらを本発明にも適用するこ
とができる。その他のエステルの例として、例えば、特
公昭46−27926、特公昭51−47334、特開
昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステ
ル類や、特開昭59−5240、特開昭59−524
1、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有す
るもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有
するもの等も好適に用いられる。
【0247】また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カ
ルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチ
レンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリル
アミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミ
ド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、
ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレ
ンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミ
ド等がある。その他の好ましいアミド系モノマーの例と
しては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレ
ン構造を有すものを挙げる事ができる。
【0248】また、イソシアネートと水酸基の付加反応
を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適
であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭4
8−41708号公報中に記載されている1分子に2個
以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化
合物に、下記式(VI)で示される水酸基を含有するビニ
ルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビ
ニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられ
る。
【0249】一般式(VI) CH2=C(R41)COOCH2CH(R42)OH (ただし、R41およびR42は、HまたはCH3を示
す。)
【0250】また、特開昭51−37193号、特公平
2−32293号、特公平2−16765号に記載され
ているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−
49860号、特公昭56−17654号、特公昭62
−39417、特公昭62−39418号記載のエチレ
ンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適で
ある。さらに、特開昭63−277653,特開昭63
−260909号、特開平1−105238号に記載さ
れる、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有するラ
ジカル重合性化合物類を用いても良い。
【0251】その他の例としては、特開昭48−641
83号、特公昭49−43191号、特公昭52−30
490号、各公報に記載されているようなポリエステル
アクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を
反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリ
レートやメタクリレートを挙げることができる。また、
特公昭46−43946号、特公平1−40337号、
特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、
特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合
物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開
昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を
含有する構造が好適に使用される。さらに日本接着協会
誌 vol. 20、No. 7、300〜308ページ(198
4年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介
されているものも使用することができる。
【0252】これらのラジカル重合性化合物について、
どの様な構造を用いるか、単独で使用するか併用する
か、添加量はどうかといった、使用方法の詳細は、最終
的な記録材料の性能設計にあわせて、任意に設定でき
る。例えば、次のような観点から選択される。感度の点
では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好まし
く、多くの場合、2官能以上がこのましい。また、画像
部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以
上のものが良く、さらに、異なる官能数・異なる重合性
基を有する化合物(例えば、アクリル酸エステル系化合
物、メタクリル酸エステル系化合物、スチレン系化合物
等)を組み合わせて用いることで、感光性と強度の両方
を調節する方法も有効である。大きな分子量の化合物
や、疎水性の高い化合物は感度や膜強度に優れる反面、
現像スピードや現像液中での析出といった点で好ましく
無い場合がある。また、感光層中の他の成分(例えばバ
インダーポリマー、開始剤、着色剤等)との相溶性、分
散性に対しても、ラジカル重合化合物の選択・使用法は
重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2
種以上化合物の併用によって、相溶性を向上させうるこ
とがある。また、支持体、オーバーコート層等の密着性
を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり
得る。画像記録層中のラジカル重合性化合物の配合比に
関しては、多い方が感度的に有利であるが、多すぎる場
合には、好ましく無い相分離が生じたり、画像記録層の
粘着性による製造工程上の問題(例えば、記録層成分の
転写、粘着に由来する製造不良)や、現像液からの析出
が生じる等の問題を生じうる。これらの観点から、ラジ
カル重合性化合物の好ましい配合比は、多くの場合、組
成物全成分に対して5〜80重量%、好ましくは20〜
75重量%である。また、これらは単独で用いても2種
以上併用してもよい。そのほか、ラジカル重合性化合物
の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、か
ぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構
造、配合、添加量を任意に選択でき、さらに場合によっ
ては下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施し
うる。
【0253】[(D)バインダーポリマー]該サーマル
ネガ型の光重合層においては、さらにバインダーポリマ
ーを使用する。バインダーとしては線状有機ポリマーを
用いることが好ましい。このような「線状有機ポリマ
ー」としては、どれを使用しても構わない。好ましくは
水現像あるいは弱アルカリ水現像を可能とするために、
水あるいは弱アルカリ水可溶性または膨潤性である線状
有機ポリマーが選択される。線状有機ポリマーは、感光
層を形成するための皮膜形成剤としてだけでなく、水、
弱アルカリ水あるいは有機溶剤現像剤としての用途に応
じて選択使用される。例えば、水可溶性有機ポリマーを
用いると水現像が可能になる。このような線状有機ポリ
マーとしては、側鎖にカルボン酸基を有するラジカル重
合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−
34327号、特公昭58−12577号、特公昭54
−25957号、特開昭54−92723号、特開昭5
9−53836号、特開昭59−71048号に記載さ
れているもの、すなわち、メタクリル酸共重合体、アク
リル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重
合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸
共重合体等がある。また同様に側鎖にカルボン酸基を有
する酸性セルロース誘導体がある。この他に水酸基を有
する重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用
である。
【0254】特にこれらの中で、ベンジル基またはアリ
ル基と、カルボキシル基を側鎖に有する(メタ)アクリ
ル樹脂が、膜強度、感度、現像性のバランスに優れてお
り、好適である。また、特公平7−12004号、特公
平7−120041号、特公平7−120042号、特
公平8−12424号、特開昭63−287944号、
特開昭63−287947号、特開平1−271741
号、特願平10−116232号等に記載される酸基を
含有するウレタン系バインダーポリマーは、非常に、強
度に優れるので、耐刷性・低露光適性の点で有利であ
る。さらにこの他に水溶性線状有機ポリマーとして、ポ
リビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用
である。また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール
可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェ
ニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル
等も有用である。
【0255】該サーマルネガ型の光重合層で使用される
ポリマーの重量平均分子量については好ましくは500
0以上であり、さらに好ましくは1万〜30万の範囲で
あり、数平均分子量については好ましくは1000以上
であり、さらに好ましくは2000〜25万の範囲であ
る。多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1以
上が好ましく、さらに好ましくは1.1〜10の範囲で
ある。これらのポリマーは、ランダムポリマー、ブロッ
クポリマー、グラフトポリマー等いずれでもよいが、ラ
ンダムポリマーであることが好ましい。
【0256】本発明で使用されるポリマーは従来公知の
方法により合成できる。合成する際に用いられる溶媒と
しては、例えば、テトラヒドロフラン、エチレンジクロ
リド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセト
ン、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノ
メチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテ
ル、2−メトキシエチルアセテート、ジエチレングリコ
ールジメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノー
ル、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−
ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、
ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。これらの溶
媒は単独で又は2種以上混合して用いられる。本発明で
使用されるポリマーを合成する際に用いられるラジカル
重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤等
公知の化合物が使用できる。
【0257】本発明で使用されるバインダーポリマーは
単独で用いても混合して用いてもよい。これらポリマー
は、感光層塗布液の全固形分に対し20〜95重量%、
好ましくは30〜90重量%の割合で感光層中に添加さ
れる。添加量が20重量%未満の場合は、画像形成した
際、画像部の強度が不足する。また添加量が95重量%
を越える場合は、画像形成されない。またラジカル重合
可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物と線状
有機ポリマーは、重量比で1/9〜7/3の範囲とする
のが好ましい。
【0258】次に、サーマルネガ型感光層の他の形態で
ある酸架橋層の構成成分について説明する。ここで用い
られる赤外線吸収剤は、前記光重合層において説明した
(A)赤外線吸収剤と同様のものを用いることができ
る。好ましい含有量は、感光層の全固形分重量に対し、
0.01〜50重量%が好ましく、0.1〜10重量%
がより好ましく、さらに染料の場合には、0.5〜10
重量%が最も好ましく、顔料の場合には、1.0〜10
重量%が最も好ましい。前記含有量が、0.01重量%
未満であると、感度が低くなることがあり、50重量%
を超えると、平版印刷版用原版とした場合の非画像部に
汚れが発生することがある。
【0259】[(E)酸発生剤]該酸架橋層の形態にお
いて、熱により分解して酸を発生する酸発生剤は、20
0〜500nmの波長領域の光を照射する又は100℃
以上に加熱することにより、酸を発生する化合物をい
う。前記酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始
剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光
変色剤、或いは、マイクロレジスト等に使用されている
公知の酸発生剤等、熱分解して酸を発生しうる、公知の
化合物及びそれらの混合物等が挙げられる。
【0260】例えば、S.I.Schlesinge
r,Photogr.Sci.Eng.,18,387
(1974)、T.S.Bal et al,Poly
mer,21,423(1980)に記載のジアゾニウ
ム塩、米国特許第4,069,055号明細書、特開平
4−365049号等に記載のアンモニウム塩、米国特
許第4,069,055号、同4,069,056号の
各明細書に記載のホスホニウム塩、欧州特許第104、
143号、米国特許第339,049号、同第410,
201号の各明細書、特開平2−150848号、特開
平2−296514号に記載のヨードニウム塩、欧州特
許第370,693号、同390,214号、同23
3,567号、同297,443号、同297,442
号、米国特許第4,933,377号、同161,81
1号、同410,201号、同339,049号、同
4,760,013号、同4,734,444号、同
2,833,827号、独国特許第2,904,626
号、同3,604,580号、同3,604,581号
の各明細書に記載のスルホニウム塩、
【0261】J.V.Crivello et al,
Macromolecules,10(6),1307
(1977)、J.V.Crivello et a
l,J.Polymer Sci.,Polymer
Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載
のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Te
h,Proc.Conf.Rad.Curing AS
IA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記
載のアルソニウム塩等のオニウム塩、米国特許第3,9
05,815号明細書、特公昭46−4605号、特開
昭48−36281号、特開昭55−32070号、特
開昭60−239736号、特開昭61−169835
号、特開昭61−169837号、特開昭62−582
41号、特開昭62−212401号、特開昭63−7
0243号、特開昭63−298339号に記載の有機
ハロゲン化合物、特開平2−161445号公報に記載
の有機金属/有機ハロゲン化物、欧州特許第0290,
750号、同046,083号、同156,535号、
同271,851号、同0,388,343号、米国特
許第3,901,710号、同4,181,531号の
各明細書、特開昭60−198538号、特開昭53−
133022号に記載のo−ニトロベンジル型保護基を
有する光酸発生剤、欧州特許第0199,672号、同
84515号、同199,672号、同044,115
号、同0101,122号、米国特許第4,618,5
64号、同4,371,605号、同4,431,77
4号の各明細書、特開昭64−18143号、特開平2
−245756号、特開平4−365048号に記載の
イミノスルフォネート等に代表される、光分解してスル
ホン酸を発生する化合物、特開昭61−166544号
に記載のジスルホン化合物を挙げることができる。
【0262】また、これら酸を発生する基又は化合物
を、ポリマーの主鎖若しくは側鎖に導入した化合物も好
適に挙げることができ、例えば、米国特許第3,84
9,137号、独国特許第3,914,407号の各明
細書、特開昭63−26653号、特開昭55−164
824号、特開昭62−69263号、特開昭63−1
46037号、特開昭63−163452号、特開昭6
2−153853号、特開昭63−146029号に記
載の化合物が挙げられる。
【0263】さらに、V.N.R.Pillai,Sy
nthesis,(1),1(1980)、A.Aba
d et al,Tetrahedron Let
t.,(47)4555(1971)、D.H.R.B
arton et al,J.Chem,Soc,.
(B),329(1970)、米国特許第3,779,
778号、欧州特許第126,712号の各明細書等に
記載の、光により酸を発生する化合物も使用可能であ
る。
【0264】上述の酸発生剤のうち、下記一般式(I)
〜(V)で表される化合物が好ましい。
【0265】
【化30】
【0266】前記一般式(I)〜(V)中、R1、R2
4及びR5は、同一でも異なっていてもよく、置換基を
有していてもよい炭素数20以下の炭化水素基を表す。
3は、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素
数10以下の炭化水素基又は炭素数10以下のアルコキ
シ基を表す。Ar1、Ar2は、同一でも異なっていても
よく、置換基を有していてもよい炭素数20以下のアリ
ール基を表す。R6は、置換基を有していてもよい炭素
数20以下の2価の炭化水素基を表す。nは、0〜4の
整数を表す。前記式中、R1、R2、R4及びR5は、炭素
数1〜14の炭化水素基が好ましい。前記一般式(I)
〜(V)で表される酸発生剤の好ましい態様は、本発明
者らが先に提案した特願平11−320997号明細書
段落番号[0197]〜[0222]に詳細に記載されてい
る。これらの化合物は、例えば、特開平2−10005
4号、特開平2−100055号に記載の方法により合
成することができる。また、(E)酸発生剤として、ハ
ロゲン化物やスルホン酸等を対イオンとするオニウム塩
も挙げることができ、中でも、下記一般式(VI)〜
(VIII)で表されるヨードニウム塩、スルホニウム
塩、ジアゾニウム塩のいずれかの構造式を有するものを
好適に挙げることができる。
【0267】
【化31】
【0268】前記一般式(VI)〜(VIII)中、X
-は、ハロゲン化物イオン、ClO4 -、PF6 -、SbF6
-、BF4 -又はR7SO3 -を表し、ここで、R7は、置換
基を有していてもよい炭素数20以下の炭化水素基を表
す。Ar3、Ar4は、それぞれ独立に、置換基を有して
いてもよい炭素数20以下のアリール基を表す。R8
9、R10は、置換基を有していてもよい炭素数18以
下の炭化水素基を表す。このようなオニウム塩は、特開
平10−39509号公報段落番号[0010]〜[00
35]に一般式(I)〜(III)の化合物として記載され
ている。酸発生剤の添加量としては、記録層の全固形分
重量に対し0.01〜50重量%が好ましく、0.1〜
25重量%がより好ましく、0. 5〜20重量%が最も
好ましい。前記添加量が、0.01重量%未満である
と、画像が得られないことがあり、50重量%を超える
と、平版印刷版用原版とした時の印刷時において非画像
部に汚れが発生することがある。上述の酸発生剤は単独
で使用してもよいし、2種以上を組合わせて使用しても
よい。
【0269】[(F)架橋剤]次に、架橋剤について説明
する。架橋剤としては、以下のものが挙げられる。 (i)ヒドロキシメチル基若しくはアルコキシメチル基
で置換された芳香族化合物 (ii)N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル
基若しくはN−アシルオキシメチル基を有する化合物 (iii)エポキシ化合物
【0270】以下、前記(i)〜(iii)の化合物につ
いて詳述する。前記(i)ヒドロキシメチル基若しくは
アルコキシメチル基で置換された芳香族化合物として
は、例えば、ヒドロキシメチル基、アセトキシメチル基
若しくはアルコキシメチル基でポリ置換されている芳香
族化合物又は複素環化合物が挙げられる。但し、レゾー
ル樹脂として知られるフェノール類とアルデヒド類とを
塩基性条件下で縮重合させた樹脂状の化合物も含まれ
る。ヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基でポリ
置換された芳香族化合物又は複素環化合物のうち、中で
も、ヒドロキシ基に隣接する位置にヒドロキシメチル基
又はアルコキシメチル基を有する化合物が好ましい。ま
た、アルコキシメチル基でポリ置換された芳香族化合物
又は複素環化合物では、中でも、アルコキシメチル基が
炭素数18以下の化合物が好ましく、下記一般式(1)
〜(4)で表される化合物がより好ましい。
【0271】
【化32】
【0272】
【化33】
【0273】前記一般式(1)〜(4)中、L1〜L
8は、それぞれ独立に、メトキシメチル、エトキシメチ
ル等の、炭素数18以下のアルコキシ基で置換されたヒ
ドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を表す。これ
らの架橋剤は、架橋効率が高く、耐刷性を向上できる点
で好ましい。
【0274】(ii)N−ヒドロキシメチル基、N−アル
コキシメチル基若しくはN−アシルオキシメチル基を有
する化合物としては、欧州特許公開(以下、「EP−
A」と示す。)第0,133,216号、西独特許第
3,634,671号、同第3,711,264号に記
載の、単量体及びオリゴマー−メラミン−ホルムアルデ
ヒド縮合物並びに尿素−ホルムアルデヒド縮合物、EP
−A第0,212,482号明細書に記載のアルコキシ
置換化合物等が挙げられる。なかでも、例えば、少なく
とも2個の遊離N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキ
シメチル基若しくはN−アシルオキシメチル基を有する
メラミン−ホルムアルデヒド誘導体が好ましく、N−ア
ルコキシメチル誘導体が最も好ましい。(iii) エポキシ
化合物としては、1以上のエポキシ基を有する、モノマ
ー、ダイマー、オリゴマー、ポリマー状のエポキシ化合
物が挙げられ、例えば、ビスフェノールAとエピクロル
ヒドリンとの反応生成物、低分子量フェノール−ホルム
アルデヒド樹脂とエピクロルヒドリンとの反応生成物等
が挙げられる。その他、米国特許第4,026,705
号、英国特許第1,539,192号の各明細書に記載
され、使用されているエポキシ樹脂を挙げることができ
る。
【0275】架橋剤として、前記(i)〜(iii)の化
合物を用いる場合の添加量としては、感光層の全固形分
重量に対し5〜80重量%が好ましく、10〜75重量
%がより好ましく、20〜70重量%が最も好ましい。
前記添加量が、5重量%未満であると、得られる画像記
録材料の感光層の耐久性が低下することがあり、80重
量%を超えると、保存時の安定性が低下することがあ
る。
【0276】本発明においては、架橋剤として、(iv)
下記一般式(5)で表されるフェノール誘導体も好適に
使用することができる。
【0277】
【化34】
【0278】前記一般式(5)中、Ar1は、置換基を
有していてもよい芳香族炭化水素環を表す。原料の入手
性の点で、前記芳香族炭化水素環としては、ベンゼン
環、ナフタレン環又はアントラセン環が好ましい。ま
た、その置換基としては、ハロゲン原子、炭素数12以
下の炭化水素基、炭素数12以下のアルコキシ基、炭素
数12以下のアルキルチオ基、シアノ基、ニトロ基、ト
リフルオロメチル基等が好ましい。上記のうち、高感度
化が可能である点で、Ar1としては、置換基を有して
いないベンゼン環、ナフタレン環、或いは、ハロゲン原
子、炭素数6以下の炭化水素基、炭素数6以下のアルコ
キシ基、炭素数6以下のアルキルチオ基又はニトロ基等
を置換基として有するベンゼン環又はナフタレン環がよ
り好ましい。
【0279】[(G)アルカリ水可溶性高分子化合物]該架
橋層に使用可能なアルカリ水可溶性高分子化合物として
は、ノボラック樹脂や側鎖にヒドロキシアリール基を有
するポリマー等が挙げられる。前記ノボラック樹脂とし
ては、フェノール類とアルデヒド類を酸性条件下で縮合
させた樹脂が挙げられる。中でも、例えば、フェノール
とホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、m−
クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック
樹脂、p−クレゾールとホルムアルデヒドから得られる
ノボラック樹脂、o−クレゾールとホルムアルデヒドか
ら得られるノボラック樹脂、オクチルフェノールとホル
ムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、m−/p−
混合クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラ
ック樹脂、フェノール/クレゾール(m−,p−,o−
又はm−/p−,m−/o−,o−/p−混合のいずれ
でもよい)の混合物とホルムアルデヒドから得られるノ
ボラック樹脂や、フェノールとパラホルムアルデヒドと
を原料とし、触媒を使用せず密閉状態で高圧下、反応さ
せて得られるオルソ結合率の高い高分子量ノボラック樹
脂等が好ましい。前記ノボラック樹脂は、重量平均分子
量が800〜300,000で、数平均分子量が400
〜60,000のものの中から、目的に応じて好適なも
のを選択して用いればよい。
【0280】また、前記側鎖にヒドロキシアリール基を
有するポリマーも好ましく、該ポリマー中のヒドロキシ
アリール基としては、OH基が1以上結合したアリール
基が挙げられる。前記アリール基としては、例えば、フ
ェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナント
レニル基等が挙げられ、中でも、入手の容易性及び物性
の観点から、フェニル基又はナフチル基が好ましい。該
架橋層の形態に使用可能な、側鎖にヒドロキシアリール
基を有するポリマーとしては、例えば、下記一般式(I
X)〜(XII)で表される構成単位のうちのいずれか1
種を含むポリマーを挙げることができる。但し、本発明
においては、これらに限定されるものではない。
【0281】
【化35】
【0282】一般式(IX)〜(XII)中、R11は、水
素原子又はメチル基を表す。R12及びR13は、同じでも
異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数
10以下の炭化水素基、炭素数10以下のアルコキシ基
又は炭素数10以下のアリールオキシ基を表す。また、
12とR13が結合、縮環してベンゼン環やシクロヘキサ
ン環を形成していてもよい。R14は、単結合又は炭素数
20以下の2価の炭化水素基を表す。R15は、単結合又
は炭素数20以下の2価の炭化水素基を表す。R16は、
単結合又は炭素数10以下の2価の炭化水素基を表す。
1は、単結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エ
ステル結合又はアミド結合を表す。pは、1〜4の整数
を表す。q及びrは、それぞれ独立に0〜3の整数を表
す。これらのアルカリ可溶性高分子としては、本発明者
らが先に提案した特願平11−320997号明細書段
落番号[0130]〜[0163]に詳細に記載されてい
る。
【0283】該架橋層本実施の形態に使用可能なアルカ
リ水可溶性高分子化合物は、1種類のみで使用してもよ
いし、2種類以上を組合わせて使用してもよい。アルカ
リ水可溶性高分子化合物の添加量としては、感光層の全
固形分に対し5〜95重量%が好ましく、10〜95重
量%がより好ましく、20〜90重量%が最も好まし
い。アルカリ水可溶性樹脂の添加量が、5重量%未満で
あると、記録層の耐久性が劣化することがあり、95重
量%を超えると、画像形成されないことがある。
【0284】[感光層のその他の成分]該架橋層では、
さらに必要に応じてこれら以外に種々の化合物を添加し
てもよい。例えば、可視光域に大きな吸収を持つ染料を
画像の着色剤として使用することができる。具体的に
は、オイルイエロー#101、オイルイエロー#10
3、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイ
ルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラッ
クBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−50
5(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピ
ュアブルー、クリスタルバイオレット(CI4255
5)、メチルバイオレット(CI42535)、エチル
バイオレット、ローダミンB(CI145170B)、
マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブル
ー(CI52015)等、及び特開昭62−29324
7号に記載されている染料を挙げることができる。ま
た、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラ
ック、酸化チタンなどの顔料も好適に用いることができ
る。これらの着色剤は、画像形成後、画像部と非画像部
の区別がつきやすいので、添加する方が好ましい。な
お、添加量は、感光層塗布液全固形分に対し、0.01
〜10重量%の割合である。
【0285】また、該サーマルネガ型感光層において
は、感光層塗布液の調製中あるいは保存中においてラジ
カル重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合
物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防止剤
を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤として
はハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−
ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカ
テコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メ
チル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレ
ンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N
−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニ
ウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、全組
成物の重量に対して約0.01重量%〜約5重量%が好
ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止
するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪
酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感光層の
表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量
は、全組成物の約0.1重量%〜約10重量%が好まし
い。
【0286】また、特開昭62−251740号や特開
平3−208514号に記載されているような非イオン
界面活性剤、特開昭59−121044号、特開平4−
13149号に記載されているような両性界面活性剤を
添加することができる。非イオン界面活性剤の具体例と
しては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノ
パルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸
モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエ
ーテル等が挙げられる。両性界面活性剤の具体例として
は、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポ
リアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カ
ルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウ
ムベタイン、N−テトラデシル−N,N−ベタイン型
(例えば、商品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等
が挙げられる。
【0287】上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性
剤を用いる場合、感光層全不揮発分に対して、5重量%
以下が好ましく、より好ましくは3重量%以下である。
また、これらはケイ素系界面活性剤に対して60重量%
以下であることが効果の観点から好ましい。さらに、本
発明に係る感光層塗布液中には、必要に応じ、塗膜の柔
軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、
ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル
酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、
フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリ
ブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロ
フルフリル等が用いられる。
【0288】本発明の平版印刷版原版を製造するには、
通常、感光層塗布液に必要な上記各成分を溶媒に溶かし
て、後述の支持体上に塗布すればよい。ここで使用する
溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノ
ン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プ
ロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、
1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチル
アセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、
ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−
ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメ
チルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、
トルエン、水等を挙げることができるがこれに限定され
るものではない。これらの溶媒は単独又は混合して使用
される。溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の
濃度は、好ましくは1〜50重量%である。
【0289】また塗布、乾燥後に得られる支持体上の感
光層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、平版
印刷版用原版についていえば一般的に0.5〜5.0g
/m 2が好ましい。塗布量が少なくなるにつれて、見か
けの感度は大になるが、画像記録の機能を果たす感光層
の皮膜特性は低下する。感光層塗布液を塗布する方法と
しては、種々の方法を用いることができるが、例えば、
バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン
塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗
布、ロール塗布等を挙げることができる。
【0290】該サーマルネガ型感光層を有する平版印刷
版用原版には、感光層中における空気中の酸素に起因す
る重合阻害を防止し、感度の安定性を向上するためにオ
ーバーコート層を設けることが好ましい。オーバーコー
ト層には、酸素遮断性に優れた薄膜を形成し得る点及び
現像時に容易に除去されるよう水溶性高分子である点を
考慮して、ポリビニルアルコールが好適に用いられる。
【0291】ポリビニルアルコールは、必要な水溶性を
有する実質的量の未置換ビニルアルコール単位を含有し
てさえいれば、一部がエステル、エーテル、およびアセ
タールで置換されていても良い。また、同様に一部が他
の共重合成分を含有しても良い。ポリビニルアルコール
の具体例としては、71〜100%加水分解され、重合
度が300〜2400の範囲のものが挙げられる。具体
的には、市販品として、株式会社クラレ製PVA−10
5、PVA−110、PVA−117、PVA−117
H、PVA−120、PVA−124、PVA−124
H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、P
VA−203、PVA−204、PVA−205、PV
A−210、PVA−217、PVA−220、PVA
−224、PVA−217EE、PVA−220、PV
A−224、PVA−217EE、PVA−217E、
PVA−220E、PVA−224E、PVA−40
5、PVA−420、PVA−613、L−8等が挙げ
られる。上記の共重合体としては、88〜100%加水
分解されたポリビニルアセテートクロロアセテートまた
はプロピオネート、ポリビニルホルマールおよびポリビ
ニルアセタールおよびそれらの共重合体が挙げられる。
【0292】これらのポリビニルアルコールは、オーバ
ーコート層全固形分に対して、50〜99.7重量%で
あることが好ましく、70〜99.5重量%であること
がより好ましい。含有量が50重量%未満であると酸素
透過防止効果が不充分で、感度が低下する傾向があり、
99.7重量%を超えるとインク着肉性が低下するた
め、いずれも好ましくない。このオーバーコート層に
は、前記高分子のほか、本発明の効果を損なわない範囲
において、酸素透過性の低い、他の水溶性高分子を併用
することができる。併用し得る水溶性高分子としては、
例えば、セロハン、水溶性アクリル樹脂、ゼラチン、ア
ラビアゴムなどが挙げられる。これらは単独または、併
用して用いても良い。
【0293】また、オーバーコート層にはさらに塗布性
を向上させるための界面活性剤、皮膜の物性を改良する
ための水溶性の可塑剤等の公知の添加剤を加えても良
い。水溶性の可塑剤としてはたとえばプロピオンアミ
ド、シクロヘキサンジオール、グリセリン、ソルビトー
ル等がある。また、水溶性の(メタ)アクリル系ポリマ
ーなどを添加しても良い。さらにまた、これらのポリマ
ーに感光層との密着、経時安定性の向上等のために添加
剤を加えても良い。オーバーコート層は、通常上記各成
分を水に溶かして、感光層上に塗布することにより、形
成することができる。塗布溶剤としては、好ましくは、
蒸留水を用いる。オーバーコート層塗布液の塗布方法
は、前述した感光層の塗布と同様に、公知の塗布方法を
用いればよい。オーバーコート層の塗布、乾燥後に得ら
れる塗布量は、0.5 〜10g/m2であり、好ましく
は1〜5g/m2である。
【0294】該サーマルネガ型感光層を有する平版印刷
版原版は、赤外線レーザで記録できる。本発明において
は、波長760nmから1200nmの赤外線を放射す
る固体レーザ及び半導体レーザにより画像露光されるこ
とが好ましい。レーザの出力は100mW以上が好まし
く、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザデバ
イスを用いることが好ましい。また、1画素あたりの露
光時間は20μ秒以内であることが好ましい。記録材料
に照射されるエネルギーは10〜300mJ/cm2
あることが好ましい。
【0295】赤外線レーザにより露光した後、本発明の
画像記録材料は、好ましくは、水又はアルカリ性水溶液
にて現像される。現像液として、アルカリ性水溶液を用
いる場合、本発明の画像記録材料の現像液及び補充液と
しては、従来公知のアルカリ水溶液が使用できる。例え
ば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリ
ウム、同カリウム、同アンモニウム、第2リン酸ナトリ
ウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、
同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同
カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリ
ウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニ
ウム、同カリウム及び同リチウム等の無機アルカリ塩が
挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミ
ン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルア
ミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジ
イソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブ
チルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミ
ン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミ
ン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチ
レンジアミン、ピリジン等の有機アルカリ剤も用いられ
る。これらのアルカリ剤は単独又は2種以上を組み合わ
せて用いられる。
【0296】さらに、自動現像機を用いて現像する場合
には、現像液と同じものまたは、現像液よりもアルカリ
強度の高い水溶液(補充液)を現像液に加えることによ
って、長時間現像タンク中の現像液を交換することな
く、多量の平版印刷版用原版を処理できることが知られ
ている。本発明においてもこの補充方式が好ましく適用
される。現像液及び補充液には現像性の促進や抑制、現
像カスの分散及び印刷版画像部の親インキ性を高める目
的で必要に応じて種々の界面活性剤や有機溶剤等を添加
できる。好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カ
チオン系、ノニオン系及び両性界面活性剤が挙げられ
る。好ましい有機溶剤としてはベンジルアルコール等が
挙げられる。また、ポリエチレングリコール若しくはそ
の誘導体、又はポリプロピレングリコール若しくはその
誘導体等の添加も好ましい。また、アラビット、ソルビ
ット、マンニット等の非還元糖を添加することもでき
る。
【0297】さらに、現像液及び補充液には必要に応じ
て、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸または亜硫酸
水素酸のナトリウム塩およびカリウム塩等の無機塩系還
元剤、さらに有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤を加
えることもできる。このような界面活性剤、有機溶剤及
び還元剤等を含有する現像液としては、例えば、特開昭
51−77401号に記載されている、ベンジルアルコ
ール、アニオン性界面活性剤、アルカリ剤及び水からな
る現像液組成物、特開昭53−44202号に記載され
ている、ベンジルアルコール、アニオン性界面活性剤、
及び水溶性亜硫酸塩を含む水性溶液からなる現像液組成
物、特開昭55−155355号に記載されている、水
に対する溶解度が常温において10重量%以下である有
機溶剤、アルカリ剤、及び水を含有する現像液組成物等
が挙げられ、本発明においても好適に使用される。
【0298】以上記述した現像液及び補充液を用いて現
像処理された印刷版は、水洗水、界面活性剤等を含有す
るリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化
液で後処理される。本発明の画像記録材料を印刷用版材
として使用する場合の後処理としては、これらの処理を
種々組み合わせて用いることができる。近年、製版・印
刷業界では製版作業の合理化及び標準化のため、印刷用
版材用の自動現像機が広く用いられている。この自動現
像機は、一般に現像部と後処理部からなり、印刷用版材
を搬送する装置と各処理液槽とスプレー装置とからな
り、露光済みの印刷版を水平に搬送しながら、ポンプで
汲み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現
像処理するものである。また、最近は処理液が満たされ
た処理液槽中に液中ガイドロール等によって印刷用版材
を浸漬搬送させて処理する方法も知られている。このよ
うな自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間
等に応じて補充液を補充しながら処理することができ
る。また、電気伝導度をセンサーにて感知し、自動的に
補充することもできる。また、実質的に未使用の処理液
で処理するいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。
【0299】以上のようにして得られた平版印刷版は所
望により不感脂化ガムを塗布したのち、印刷工程に供す
ることができるが、より一層の高耐刷力の平版印刷版と
したい場合にはバーニング処理が施される。平版印刷版
をバーニングする場合には、バーニング前に特公昭61
−2518号、同55−28062号、特開昭62−3
1859号、同61−159655号の各公報に記載さ
れているような整面液で処理することが好ましい。その
方法としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂
綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たした
バット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コー
ターによる塗布等が適用される。また、塗布した後でス
キージ又はスキージローラーで、その塗布量を均一にす
ることは、より好ましい結果を与える。
【0300】整面液の塗布量は一般に0.03〜0.8
g/m2(乾燥重量)が適当である。整面液が塗布され
た平版印刷版は必要であれば乾燥された後、バーニング
プロセッサー(例えば、富士写真フイルム(株)より販
売されているバーニングプロセッサー:BP−130
0)等で高温に加熱される。この場合の加熱温度及び時
間は、画像を形成している成分の種類にもよるが、18
0〜300℃の範囲で1〜20分間の範囲が好ましい。
バーニング処理された平版印刷版は、必要に応じて適
宜、水洗、ガム引き等の従来行なわれている処理を施こ
すことができるが、水溶性高分子化合物等を含有する整
面液が使用された場合にはガム引きなどのいわゆる不感
脂化処理を省略することができる。このような処理によ
って得られた平版印刷版はオフセット印刷機等にかけら
れ、多数枚の印刷に用いられる。
【0301】(溶媒、塗布など)各種感光性組成物は、
前述のそれぞれに適した溶剤或いはそれらを混合したも
のに溶かして支持体のアルミニウム板上に塗布される。 (オーバーコート層)また、必要により、前記感光性組
成物の上に、感光膜を保護したり、酸素遮断性をもたせ
るなどの目的で、特開昭55−49729号公報などに
記載の保護層を設けることができる。保護層の主成分と
しては水溶性ビニル共重合体を含むものが好ましい。水
溶性ビニル共重合体としては、ポリビニルアルコール、
その部分エステル若しくはエーテル、及びポリビニルア
セタールなどが挙げられる。また、その他有用な重合体
としてポリビニルピロリドン、ゼラチン及びアラビアゴ
ムなどが挙げられる。これらを溶解する溶媒としては、
主に水が用いられる。保護層成分は、2〜50重量%の
固形分濃度で溶解、分散され、感光性組成物上に塗布・
乾燥される。保護層の塗布量は一般的には、乾燥後の重
量にして0.1から10g/m2が好ましい。
【0302】(塗布方法)感光性組成物の塗布方法とし
ては特公昭58−4589号、特開昭59−12356
8号等に記載されているコーティングロッドを用いる方
法や特開平4−244265号等に記載されているエク
ストルージョン型コーターを用いる方法、あるいは特公
平1−57629号、特開平10−128212号等に
記載されているスライドビードコーターを用いる方法等
を用いることが出来るが、これらには限定されない。以
下にいくつかの方法に関し詳しく説明する。
【0303】(ロッド塗布方式)コーティングロッドを
用いる塗布方法は、コーティングロッドを走行する支持
体に接触させ、所定の塗布量を得る方法である。このコ
ーティングロッドを用いる塗布方法は、1本のコーティ
ングロッドに、塗布液を支持体に転移して塗布する機能
と塗布液量を調節する機能の両方を兼有させたものと、
事前に支持体上に過剰に塗布された塗布液をコーティン
グロッドで掻き取り塗布液量を調節するものがある。前
者は、コーティングロッドと支持体の接触部の直前に液
溜まりが形成されるように塗布液を供給し、コーティン
グロッドにより塗布液量を調節して所望の塗布量を得る
方法である。
【0304】これら、コーティングロッドを用いる塗布
方法の場合、コーティングロッドは、静止もしくは支持
体と順方向または逆方向に任意の周速度で回転させる事
ができる。この場合、外部駆動装置を用いる等の方法で
コーティングロッドを強制的に回転させても良いし、走
行する支持体との接触によりコーティングロッドを従動
回転させても良い。また、コーティングロッドに対する
支持体のラップ角度は、1〜30°の範囲が好ましく、
より好ましくは、2〜20°の範囲に設定できる。
【0305】塗布液の液物性としては、粘度は100c
p以下、より好ましくは50cp以下、表面張力は20
〜70μN/cmの範囲が好ましい。この方式におい
て、塗布量はコーティングロッド表面の溝の大きさ、ま
た、ロッドにワイヤーを巻いてあるワイヤーロッドでは
ワイヤーのサイズにより制御する。塗布量の制御範囲は
はっきりした制約はないが、3〜100cc/m2が通常
用いられる。コーティングロッドの径も特に制約はない
が6〜25mm、好ましくは6〜15mmである。ロッ
ドの材質としては、耐蝕性、強度の面より金属が好まし
く、特にステンレス鋼が適している。
【0306】本発明において用いられるコーティングロ
ッドとしては、例えば、ロッド周面の周方向にワイヤー
を密に巻き掛けて隣接するワイヤー同志の間に溝を形成
したワイヤーロッドや、ロッド周面の周方向にロッドの
幅全長に渡って、又は必要部分に溝を刻設した溝切りロ
ッドが用いられる。ワイヤーロッドを使用する場合、適
切なワイヤーの径は0.07〜1.0mm、好ましくは
0.07〜0.6mmが適当であり、ワイヤーの材質と
しては金属が用いられるが、耐蝕性、耐摩耗性、強度等
の視点からステンレス鋼が最も適している。このワイヤ
ーロッドには更に耐摩耗性を向上させるため、表面にメ
ッキを施すことも出来る。特にハードクロムメッキが適
している。
【0307】また本発明において溝切りロッドを使用す
る場合、溝のピッチは0.05〜1.0mm、好ましく
は0.1〜0.6mmが適当であり、断面形状としては
正弦曲線に近似したものや台形状のものが適している。
しかしながら、必ずしもかような断面形状に限定される
ことなく、他の断面形状のものも使用することができ
る。この溝切りロッドにも更に耐摩耗性を向上させるた
め、表面にメッキを施すことも出来る。特にハードクロ
ムメッキが適している。
【0308】ロッド支持部材はロッドが高速で回転する
ため、ロッド(ワイヤーロッドにあってはワイヤー)との
間の摩擦抵抗が小さい材質のものが選択されなければな
らない。本発明に好ましく用いられるロッド支持部材及
び堰部材の材質としては、たとえば、フッ素樹脂、ポリ
アセタール樹脂、ポリエチレン樹脂、等を挙げることが
出来、これらのうちでもテフロン(米国DuPont社品名)の
名で知られるポリテトラフルオロエチレン、デルリン
(米国DuPont社品名)の名で知られるポリアセタール樹脂
が摩擦係数、強度の点で特に好適である。更に、これら
のプラスチック材料にグラスファイバー、グラファイ
ト、二硫化モリブデン等の充填材を添加したものも用い
ることが出来る。更には、ロッド支持部材を金属材料で
製作した後、その表面に前述の如きプラスチック材料を
コーティングしたり、貼りつけたりして、バーとの間の
摩擦係数を小さくさせてもよい。或いは、各種金属材料
に前述の如きプラスチック材料を含浸させたもの、たと
えば、アルミニウムにポリテトラフルオロエチレンを含
浸させたものをロッド支持部材に用いることもできる。
【0309】(エクストルージョン塗布方式)また別の
方法としては、エクストルージョン型注液器より、塗布
液を吐出させ、バックアップローラに支持されて走行す
る支持体との間隙に塗布液ビードを形成させ、塗布液ビ
ードの背部を減圧もしくは前部を加圧して塗布する方法
を用いることができる。この方式では支持体と注液器先
端のクリアランスに依存するが10〜500cc/m2
程度の塗布量の液を塗布することができる。塗布液物性
として、粘度0.7〜100cp、表面張力は20〜5
0μN/cmの範囲が好ましい。また、支持体と注液器
のクリアランスは0.1〜0.5mm程度が通常用いら
れる。
【0310】(スライド塗布方式)さらに別の方法とし
て、スライド面を流下する液膜状の塗布液が、スライド
面先端において、走行する支持体と出会う間隙部に塗布
液ビードを形成するようにし、このビードを介して塗布
液を支持体に塗布する方法を用いることができる。必要
により、ビードの背部を減圧もしくは前部を加圧して塗
布しても良い。この方式では10〜100cc/m2
度の塗布量の液を塗布することができる。塗布液物性と
して、粘度1〜200cp、表面張力は20〜60μN
/cmの範囲が好ましい。また、支持体と注液器のクリ
アランスは0.1〜0.6mm程度が通常用いられる。
【0311】(乾燥方法)次に乾燥方法について記載す
る。乾燥方法としては、特開平6−63487号に記載
がある乾燥装置内にパスロールを配置し、パスロールに
支持体をラップさせて搬送しながら熱風を吹き付けて乾
燥する方法、支持体の上下面からノズルによりエアーを
供給し支持体を浮上させながら乾燥する方法、特開昭6
0−149871号公報に記載の帯状物の上下に配設し
た加熱板からの放射熱により乾燥する方法、あるいは特
開昭60−21334号公報に記載のあるロール内部に
熱媒体を導通し加熱しそのロールと支持体の接触による
熱伝導により乾燥する方法等がある。いずれの方法にお
いても、帯状物を均一に乾燥するために、その加熱制御
は、支持体・感光性組成物の種類、塗布量、溶剤の種
類、走行速度等に応じて熱風あるいは熱媒体の流量、温
度、流し方を適宜変えることにより行われる。また、2
種類上の乾燥方法を組み合わせて用いても良い。
【0312】(熱風乾燥方式)熱風乾燥方式において
は、熱風の供給方法として、支持体の進行方向と同じ向
きあるいは反対の向きに、支持体の進行方向に沿って熱
風を供給する方法、支持体の上側に支持体の進行方向と
垂直方向に複数個設置されたスリットノズルから熱風を
吹き出す方法、支持体の上側からパンチングメタルを通
した風速の遅い熱風を供給する方法などがある。これら
の方法は、支持体や感光性組成物の種類、塗布量、溶剤
の種類、走行速度等に応じて、一つの方法あるいは複数
の方法を組み合わせて用いられる。また、乾燥の初期、
中期、後期の段階など乾燥装置の位置により、熱風供給
方法を変更しても良い。
【0313】また、支持体の進行方向に沿って熱風を供
給する方法においては、支持体に沿った熱風風速は、
0.3〜8m/sの範囲であることが好ましい。さら
に、スリットノズルを用いる方式においては、ノズルか
らの熱風吹き出し風速3〜15m/s、ノズルから支持
体間距離5〜200mmの範囲であることが好ましい。
さらにまた、パンチングメタルを用いた方式では、支持
体上での風速は2m/s以下であることが好ましい。い
ずれの場合においても、熱風の温度は40〜170℃、
熱風の露点は−5〜25℃の間で選択されるのが好まし
いが、支持体や感光性組成物の種類、塗布量、溶剤の種
類、走行速度等に応じて適宜選択できる。また、乾燥の
初期、中期、後期の段階など乾燥装置の位置により、熱
風温度・露点・風速を変更しても良い。
【0314】(加熱ロール)ロール内部に熱媒体を導通
し加熱しそのロールと支持体の接触による熱伝導により
乾燥する方法の場合、熱媒体を導通するロールの温度及
びロールへの支持体の接触時間は、所望の乾燥状態を得
るように、適宜選択でき、支持体や感光性組成物の種
類、塗布量、溶剤の種類、走行速度等に応じて適宜選択
できる。また、ロールへの熱媒体としては、オイル、溶
融金属、加熱水蒸気等が利用される。
【0315】(マット塗布方法)上記のようにして設け
られた感光性組成物層または保護層の表面には、真空焼
き枠を用いた密着露光の際の真空引きの時間を短縮し、
且つ焼きボケを防ぐため、マット層が設けられる。具体
的には、特開昭50−125805号、特公昭57−6
582号、同61−28986号の各公報に記載されて
いるようなマット層を設ける方法、特公昭62−623
37号公報に記載されているような固体粉末を熱溶着さ
せる方法などが挙げられる。マット塗布装置の一例とし
ては、走行する支持体をまず温度調節室において所定の
温度に調整し、湿潤装置により表面を湿潤した後、静電
塗装装置により微細な液滴を支持体の表面に塗布する。
次いで、別の湿潤装置により表面を再湿潤した後、乾燥
装置により乾燥する。本発明に用いられるマット層の平
均径は100μm以下が好ましい。また、マット層の平
均高さは10μm以下が好ましく、より好ましくは2〜
8μmである。更にまた、マット層の塗布量は5〜20
0mg/m2が好ましく、更に好ましくは20〜150
mg/m2である。
【0316】(バックコート層)本発明の平版印刷版用
原版の支持体の裏面には重ねた場合の感光性組成物層の
傷付きを防ぐための有機高分子化合物からなる被覆層
(以後この被覆層をバックコート層と称す。)が必要に
応じて設けられる。このバックコート層の主成分として
は、ガラス転移点20℃以上の、飽和共重合ポリエステ
ル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂及
び塩化ビニリデン共重合樹脂の群から選ばれる少なくと
も1種の樹脂が用いられる。飽和共重合ポリエステル樹
脂は、ジカルボン酸ユニットとジオールユニットからな
る。本発明に用いられるポリエステルのジカルボン酸ユ
ニットとしてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル
酸、テトラブロムフタル酸、テトラクロルフタル酸など
の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、コ
ハク酸、蓚酸、スベリン酸、セバチン酸、マロン酸、
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの飽和脂肪族
ジカルボン酸などが挙げられる。バックコート層には更
に、着色のための染料や顔料、アルミニウム支持体との
密着性向上のためのシランカップリング剤、ジアゾニウ
ム塩からなるジアゾ樹脂、有機ホスホン酸、有機リン酸
およびカチオン性ポリマー等、更には滑り剤として通常
用いられるワックス、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、
ジメチルシロキサンよりなるシリコーン化合物、変性ジ
メチルシロキサン、ポリエチレン粉末等が適宜加えられ
る。バックコート層の厚さは基本的には合紙がなくとも
感光性組成物層を傷つきにくい厚みがあればよく、0.
01から8μmの範囲が好ましい。
【0317】バックコート層を支持体の裏面に被覆する
には種々の方法が適用できる。例えば適当な溶媒の溶液
にして、または乳酸分散液にして塗布、乾燥する方法、
例えば予めフィルム上に成形した物を接着剤や熱で支持
体に貼り合わせる方法および溶融押し出し機で溶融皮膜
を形成し、支持体に貼り合わせる方法等が上げられる
が、上記の塗布量を確保する上でもっとも好ましいのは
溶液にして塗布、乾燥する方法である。ここで使用され
る溶媒としては特開昭62−251739号公報に記載
されているような有機溶剤が単独あるいは混合して用い
られる。また、塗布する方式や条件としては、前述した
感光性組成物層を塗布する方式や条件の多くを利用でき
る。即ち、先に述べたコーティングロッドを用いる方
法、エクストルージョン型コーターを用いる方法、スラ
イドビードコーターを用いる方法が利用できる。また塗
布する条件、液物性等も先に記載した条件を利用でき
る。
【0318】次に、上述のようにして感光層塗布液を支
持体に塗布する前に、支持体に施す処理について説明す
る。 (表面処理方法)アルミニウム支持体を得るためにはア
ルミニウム板の表面に目的に応じて各種処理を施すのが
通例である。一般的な処理方法としてはアルミニウム板
をまず脱脂または電解研磨処理とデスマット処理により
アルミ表面の清浄化を行う。その後機械的粗面化処理及
び/または電気化学的粗面化処理を施しアルミニウム板
の表面に微細な凹凸を付与する、尚この時更に化学的エ
ッチング処理とデスマット処理を加える場合もある。そ
の後アルミニウム板表面の耐摩耗を高める為に陽極酸化
処理が施され、その後アルミニウム表面は必要に応じて
親水化処理及び/または封孔処理が行われる。尚各処理
間には前処理での処理液を次処理に持ち込まない為にニ
ップロ−ラ−による液切りとスプレ−等による水洗を行
うことが好ましい。尚、電気化学的な粗面化処理で用い
た電解液のオ−バ−フロ−廃液をデスマット処理液とし
て使用することができるが、この場合はデスマット処理
後の水洗処理は省略してもよい。
【0319】(アルミニウム板)本発明の平版印刷版用
原版の製造方法に使用されるアルミニウム材料として
は、下記の材料が使用できる。平版印刷版用支持体とし
ては、一般に軽量で表面処理性、加工性、耐食性に優れ
たアルミニウム板が使用されている。この目的に供され
るアルミニウム材質としては、JIS 1050材、J
IS 1100材、JIS 1070材、Al−Mg系合
金、Al−Mn系合金、Al−Mn−Mg系合金、Al
−Zr系合金、Al−Mg−Si系合金などが使用され
る。JIS1050材に関しては、例えば、Feを0.
05〜0.5重量%、Siを0.03〜0.15重量
%、Cuを60〜300ppm、Tiを100〜400pp
m、およびMgを10〜200ppm含有し、Li、Na、
K、Rb、Cs、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Nb、
Ta、Mo、W、Tc、Re、Ru、Os、Co、R
h、Ir、Pd、Pt、Ag、Au、C、Ge、P、A
s、S、Se、Te、およびPoからなる元素群から選
ばれる少なくとも1種の元素を1〜100ppm含有して
いる。また、本発明の平版印刷版用支持体に使用するア
ルミニウム合金は、含有量が規定されている前記元素以
外には、不可避不純物のみを含有するのが好ましい。ア
ルミニウム合金の不可避不純物としては、Ga,V,N
i等が挙げられる。不可避不純物の含有量が0.1重量
%以下のアルミニウム合金を用いるのが好ましい。ま
た、特開昭59−153861号、特開昭61−513
95号、特開昭62−146694号、特開昭60−2
15725号、特開昭60−215726号、特開昭6
0−215727号、特開昭60−215728号、特
開昭61−272357号、特開昭58−11759
号、特開昭58−42493号、特開昭58−2212
54号、特開昭62−148295号、特開平4−25
4545号、特開平4−165041号、特公平3−6
8939号、特開平3−234594号、特公平1−4
7545号、特開昭62−140894号に報告されて
いる。また、特公平1−35910号、特公昭55−2
8874号、等も知られている。JIS 1070材に
関しては、特開平7−81264号、特開平7−305
133号、特開平8−49034号、特開平8−739
74号、特開平8−108659号、及び特開平8−9
2679号に技術が開示されている。
【0320】Al−Mg系合金に関しては、特公昭62
−5080号、特公昭63−60823号、特公平3−
61753号、特開昭60−203496号、特開昭6
0−203497号、特公平3−11635号、特開昭
61−274993号、特開昭62−23794号、特
開昭63−47347号、特開昭63−47348号、
特開昭63−47349号、特開昭64−61293
号、特開昭63−135294号、特開昭63−872
88号、特公平4−73392号、特公平7−1008
44号、特開昭62−149856号、特公平4−73
394号、特開昭62−181191号、特公平5−7
6530号、特開昭63−30294号、特公平6−3
7116号に技術が開示されている。また、特開平2−
215599号、特開昭61−201747号等も知ら
れている。Al−Mn系合金に関しては、特開昭60−
230951号、特開平1−306288号、特開平2
−293189号に技術が開示されている。また、特公
昭54−42284号、特公平4−19290号、特公
平4−19291号、特公平4−19292号、特開昭
61−35995号、特開昭64−51992号、US
5009722号、US5028276号、特開平4−
226394号等も知られている。
【0321】Al−Mn−Mg系合金に関しては、特開
昭62−86143号、特開平3−222796号に技
術が開示されている。また、特公昭63−60824
号、特開昭60−63346号、特開昭60−6334
7号、EP223737号、特開平1−283350
号、US4818300号、BR1222777号等が
知られている。Al−Zr系合金に関して、本発明特公
昭63−15978号、特開昭61−51395号に技
術が開示されている。また、特開昭63−143234
号、特開昭63−143235号等も知られている。A
l−Mg−Si系合金に関しては、BR1421710
号等が知られている。尚、前記元素群から選ばれる2種
以上の元素をアルミニウム合金に添加する場合は、支持
体中の含有量の合計が1〜100ppmになる様に、各々
の元素の含有量を調整する。
【0322】本発明の平版印刷版用支持体は、前記範囲
で各元素を含有するアルミニウム合金の溶湯を、成形加
工することによって作製することができる。アルミニウ
ム合金の純度を向上させるために、アルミニウム合金の
溶湯を清浄化処理するのが好ましい。清浄化処理として
は、例えば、溶湯中の水素などの不要なガスを除去する
ことを目的とする、フラックス処理、Arガス、Clガ
ス等を使った脱ガス処理、および、不溶物を除去するこ
とを目的とする、セラミックチューブフィルタ、セラミ
ックフォームフィルタ、等のいわゆるリジッドメディア
フィルターや、アルミナフレーク、アルミナボール等を
濾材とするフィルタや、グラスクロスフィルター等を使
ったフィルタリング処理等が挙げれれる。また、前記脱
ガス処理とフィルタリング処理を組み合わせた清浄化処
理を行ってもよい。
【0323】前記元素群から選ばれる元素(以下、「微
量元素」という場合がある)は、アルミニウム合金中の
含有量が前記範囲となる様に、前記溶湯中に添加するこ
とができる。前記清浄化処理を行う場合は、前記微量元
素の添加は、清浄化工程の前に行うのが好ましい。アル
ミニウム板を以下のように製造してもよい。前述のよう
な含有成分及び、合金成分割合のアルミニウム合金溶湯
を常法に従い清浄化処理を施し、鋳造する。
【0324】清浄化処理には、溶湯中の水素などの不要
なガスを除去するために、フラックス処理、Arガス、
Clガス等を使った脱ガス処理や、セラミックチューブ
フィルタ、セラミックフォームフィルタ、等のいわゆる
リジッドメディアフィルターや、アルミナフレーク、ア
ルミナポール等を濾材とするフィルタや、グラスクロス
フィルター等を使ったフィルタリング、あるいは、脱ガ
スとフィルタリングを組み合わせた処理が行われる。こ
れらの清浄化処理は、溶湯中の非金属介在物、酸化物、
等の異物による欠陥、溶湯に溶け込んだガスによる欠陥
を防ぐために実施されることが望ましい。
【0325】溶湯のフィルタリングに関しては、特開平
6−57342号、特開平3−162530号、特開平
5−140659号、特開平4−231425号、特開
平4−276031号、特開平5−311261号、特
開平6−136466号等が知られている。溶湯の脱ガ
スに関しては、特開平5−51659号、特開平5−5
1660号、特開平5−49148号、等が知られてい
る。本願発明者らも、特開平7−40017号等に技術
を開示している。
【0326】以上のように、清浄化処理を施された溶湯
を使って鋳造を行う。鋳造方法に関しては、DC鋳造法
に代表される、固定鋳型を用いる方法と、連続鋳造法に
代表される、駆動鋳型を用いる方法がある。DC鋳造法
を用いた場合には、1〜300℃/秒の範囲の冷却速度
で凝固される。冷却速度が1℃/秒未満であると、粗大
な金属同化合物が多数形成される。連続鋳造法には、ハ
ンター法、3C法に代表される冷却ロールを用いた方
法、ハスレー法、フルスイスキャスターII型に代表され
る冷却ベルト又は冷却ブロックを用いた方法が工業的に
行われている。連続鋳造法を用いた場合には、100〜
1000℃/秒の範囲の冷却速度で凝固される。一般的
に連続鋳造法は、DC鋳造法に比べて冷却速度が速いた
め、アルミマトリックスに対する合金成分の固溶度を高
くできる特徴がある。
【0327】連続鋳造法に関しては、特開平3−797
98号、特開平5−201166号、特開平5−156
414号、特開平6−262203号、特開平6−12
2949号、特開平6−210406号、特開平6−2
62308号等に開示されている。
【0328】DC鋳造を行った場合、板厚300〜80
0mmの鋳塊が製造できる。その鋳塊は、常法に従い、面
削を行われ、表層の1〜30mm、望ましくは、1〜10
mmを切削される。その後、必要に応じて均熱化処理が行
われる。均熱化処理を行う場合、金属間化合物が粗大化
してしまわないように、450〜620℃で1時間以
上、48時間以下の熱処理が施される。熱処理時間が1
時間より短い場合は、均熱化処理の効果が不十分とな
る。次いで、熱間圧延、冷間圧延を行って、アルミニウ
ム圧延板とする。熱間圧延の開始温度は、350〜50
0℃の範囲とする。冷間圧延の、前または後、またはそ
の途中において中間焼鈍処理を施しても良い。この場合
の中間焼鈍条件は、バッチ式焼鈍炉を用いて280℃〜
600℃で2〜20時間である。望ましくは、350〜
500℃で2〜10時間加熱する方法や、連続焼鈍炉を
用いて400〜600℃で360秒以下、望ましくは、
450〜550℃で120秒以下の加熱処理が採用でき
る。連続焼鈍炉を使って、10℃/秒以上の昇温速度で
加熱すると、結晶組織を細かくすることもできる。以上
の工程によって、所定の厚さ0.1〜0.5mmに仕上げ
られたアルミニウム板は平面性を改善するために、ロー
ラレベラー、テンションレベラー等の矯正装置によっ
て、平面性が改善される。平面性の改善は、板をシート
状にカットした後に行っても良いが、生産性を向上させ
るためには、連続したコイルの状態で、平面性改善を行
うことが望ましい。テンションレベラーの条件は、テン
ションレベラー前後の板の幅方向の伸び率の差が0.0
6%以内になるようにコントロールする。すなわち、ア
ルミニウム圧延方向に対して垂直に平行線を2本引き、
平行線の間隔Lを正確に測定する。板を幅方向に、例え
ば20mm幅に分割して細い短冊状の板とし、それぞれの
短冊状の板のLに対応する部分の実際の長さを測定し、
この長さをlとする。各板の伸び率(100×(l−
L)/L)(%)を計測し、最大の伸び率と最小の伸び
率の差が0.06%以内になるようにコントロールす
る。このようなテンションレベラー工程により、長さ
1.5mに切ったアルミニウム板を定盤の上において、
切断した両端から0.25mずつ入った位置に、板の全
幅以上を覆うおもしを置いて、板のカールに起因する浮
き上がりを抑制したとき、板圧延方向に対して平行な端
部の片側における各歪みの高さが2.0mm以下、歪みの
数が5個以下、各歪みの高さの合計が4.0mm以下の平
版印刷版用アルミニウム支持体を得ることができる。
【0329】また、板幅を所定の幅に加工するため、ス
リッタラインを通すことが通常行われる。スリッタによ
って切られた板の端面は、スリッタ刃に切られるとき
に、せん断面と破断面の片方、あるいは両方が生じる。
板の厚みの精度は、コイル全長にわたって、±10μm
以内、望ましくは±6μm以内が良い。また、幅方向の
板厚差は6μm以内、望ましくは3μm以内がよい。ま
た、板幅の精度は、±1.0mm以内、望ましくは±0.
5mm以内が望ましい。アルミニウム板の表面粗度は、圧
延ロールの表面粗さの影響を受けやすいが、最終的にR
a=0.1〜1.0ミクロン程度に仕上げるのがよい。
Raが大きすぎると、平版印刷版用としての粗面化処
理、感光層塗布をしたとき、アルミニウムのもともとの
粗さすなわち、圧延ロールによって転写された粗い圧延
条痕が感光層の上から見えるため、外観上好ましくな
い。Ra=0.1μm以下の粗さは、圧延ロールの表面
を過度に低粗度に仕上げる必要があるため、工業的に望
ましくない。
【0330】また、アルミニウム板同士の摩擦によるキ
ズの発生を防止するために、アルミニウム板の表面に薄
い油膜を設けても良い。油膜には、必要に応じて、揮発
性のものや、不揮発性のものが適宜用いられる。油量が
多すぎると、製造ライン中でスリップ故障が発生する
が、油量が皆無だとコイル輸送中にキズが発生する不具
合が生じるので、油量は3mg/m2以上100mg/m2
下、望ましい上限は50mg/m2以下、更に望ましくは1
0mg/m2以下が良い。冷間圧延に関しては、特開平6−
210308号公報に開示されている。
【0331】アルミニウム合金をDC鋳造により成形す
る方法の一例と連続鋳造の一例を以下に示す。まず、ア
ルミニウム合金の溶湯を、固定鋳型に注入し、板厚30
0〜800mmの鋳塊を製造する。得られた鋳塊を、常法
に従い面削して、表層の1〜30mm、好ましくは1〜1
0mmを切削する。その後、必要に応じて、均熱化処理を
行ってもよい。均熱化処理を行う場合、金属間化合物が
粗大化してしまわないように、加熱条件を設定するのが
好ましく、一般的には、450〜620℃で1時間以上
48時間以下の熱処理を施すのが好ましい。1時間より
短い場合は、均熱化処理の効果が不十分になる場合があ
る。
【0332】アルミニウム合金の鋳塊を所望により均熱
化処理した後、熱間圧延および冷間圧延を行って、アル
ミニウム合金の圧延板とすることができる。熱間圧延の
開始温度としては、350〜500℃が好ましい。熱間
圧延の後、更に冷間圧延を行うが、冷間圧延前、冷間圧
延後、または冷間圧延中に、中間焼鈍処理を施すことも
できる。前記中間焼鈍処理はバッチ式焼鈍炉を用いて行
うことができ、その場合は、通常、280〜600℃で
2〜20時間、望ましくは350〜500℃で2〜10
時間加熱する。また、前記中間焼鈍処理は連続焼鈍炉を
用いて行ってもよく、その場合は、通常、400〜60
0℃で360秒以下、望ましくは450〜550℃で1
20秒以下加熱する。連続焼鈍炉を用い、10℃/秒以
上の条件で昇温すると、得られる成形体中の結晶組織を
細かくすることができるので好ましい。熱間圧延におい
て、結晶組織を微細化できる場合は、中間焼鈍処理を実
施しなくてもよい。冷間圧延によって、最終的に、厚さ
0.1〜0.5mmのアルミニウム合金板とする。得られ
たアルミニウム合金板を、さらに、ローラレベラ、テン
ションレベラ等の矯正装置によって処理すると、アルミ
ニウム板の平面性が改善されるので好ましい。また、板
巾を所定の巾にする必要がある場合は、スリッタライン
を通して所定の巾に調整することができる。また、アル
ミニウム合金の溶湯を連続鋳造する場合は、例えば、ア
ルミニウム合金の溶湯を一対の双ベルトまたは双ロール
間に挿通させることにより、所定の厚み板状体が得られ
る。双ベルトを用いて得られたアルミニウム合金の板状
体は、熱間圧延機によりさらに厚みを減少させることも
でき、熱間圧延した後、引き続き、冷間圧延機によりさ
らに厚みを減少させることができる。
【0333】(脱脂・電解研磨処理)アルミニウム板に
ある圧延油、自然酸化皮膜、汚れなどを除去し、電気化
学的な粗面化が均一に行われる目的で酸性水溶液中でア
ルミニウム板の電解研磨処理、または、酸またはアルカ
リ水溶液中でアルミニウム板の化学的なエッチング処理
を行う。処理によるアルミニウム板の溶解量は1〜30
g/m2溶解することが好ましく、1.5〜20g/m2
溶解することがより好ましい。
【0334】電解研磨処理 電解研磨処理の材質別による処方例は、間宮富士雄著;
「洗浄設計」、No.21,65〜72頁(1984)
に記載されている。公知の電解研磨に用いる水溶液が使
用できる。好ましくは、硫酸またはリン酸を主体とする
水溶液であり、特に好ましくは、リン酸を主体とする水
溶液である。リン酸20〜90重量%(好ましくは40
〜80重量%)、液温10〜90℃(好ましくは50〜
80℃)、電流密度1〜100A/dm2(好ましくは5
〜80A/dm2)、電解時間は1〜180秒の範囲から
選択できる。リン酸水溶液中に、硫酸、クロム酸、過酸
化水素、クエン酸、フッ化水素酸、無水フタール酸など
を1〜50重量%添加してもよい。また、アルミニウム
はもちろんアルミニウム中に合金成分を0〜10重量%
含有していてもよい。
【0335】電流は、直流、パルス直流、または交流を
用いることが可能であるが、連続直流が好ましい。電解
処理装置はフラット型槽、ラジアル型槽など公知の電解
処理に用いられているものを使用することができる。流
速はアルミニウム板に対して、パラレルフロー、カウン
ターフローのどちらでもよく、0.01〜10000c
m/minの範囲から選定される。アルミニウム板と電
極との距離は0.3〜10cmが好ましく、0.8〜2
cmが特に好ましい。給電方法はコンダクタロールを用
いた直接給電方式を用いてもよいし、コンダクタロール
を用いない間接給電方式(液給電方式)を用いてもよ
い。使用する電極材質、構造は電解処理に使われている
公知のものが使用可能であるが、陰極材質はカーボン、
陽極材質はフェライト、酸化イリジウムまたは白金が好
ましい。
【0336】酸またはアルカリ水溶液中での化学的な
エッチング処理 酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム板の化学的な
エッチング処理を行う詳細は米国特許弟3834398
号に記載されており、これらの公知の手段を用いること
ができる。酸性またはアルカリ水溶液に用いることの出
来る酸またはアルカリとしては特開昭57−16918
号公報などに記載されているものを単独または組合せて
用いることが出来る。液温は25〜90℃で、1〜12
0秒間処理することが好ましい。酸性水溶液の濃度は
0.5〜25重量%が好ましく、さらに酸性水溶液中に
溶解しているアルミニウムは0.5〜5重量%が好まし
い。アルカリ水溶液の濃度は5〜30重量%が好まし
く、さらにアルカリ水溶液に溶解しているアルミニウム
は1〜30重量%が好ましい。
【0337】(デスマット処理)エッチング処理した後
には化学的エッチングが塩基の水溶液を用いて行なった
場合には、一般にアルミニウムの表面にスマットが生成
するので燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸またはこれらの内
の2以上の酸を含む混酸で処理(デスマット処理)を行
う。使用する酸性水溶液はアルミニウムが0〜5重量%
溶解していてもよく、液温は常温から70℃で実施さ
れ、処理時間は1〜30秒が好ましい。尚この酸性水溶
液としては電気化学的な粗面化処理等で使用した電解液
の廃液を使用することができるが、アルミニウム板が乾
いてデスマット液中の成分が析出しないように注意する
必要がある。デスマット処理が終了した後には、処理液
を次工程に持ち込まないために、ニップローラーによる
液切りとスプレーによる水洗を行うことが好ましいが、
次工程が同一水溶液の場合は水洗を省略することもでき
る。
【0338】(機械的粗面化処理)良好なアルミニウム
支持体を得るためには、アルミニウム板の表面を砂目立
てして微細な凹凸を付与するのが通例である。この砂目
立てにはボールグレイニング、ブラシグレイニング、ワ
イヤーグレイニング、ブラストグレイニングなどの機械
的粗面化処理が一般的に知られているがブラシグレイン
処理が大量かつ連続的処理として優れている。ブラシグ
レイン処理で使用するブラシは1本または複数本のブラ
シを用いるのが通例であり、特公昭50−40047号
公報に記載のようにある決まった1種類のものを複数本
使用する方法、特開平6−135175号公報に記載の
ように毛の材質、毛径、毛の断面形状などが異なるもの
を使用する方法がある。具体的にはアルミニウム板表面
に珪砂、水酸化アルミ等のスラリー液をスプレーし、ブ
ラシ毛径が0.2〜0.9mmのナイロンブラシロール
を50〜500rpmで回転させ、機械的に粗面化処理
を行う。ブラシの押し込み力は回転駆動モータ−の消費
電力(駆動モ−タ−のメカロスを除いた実質電力)が
0.2〜15kw、更に0.5〜10kwが好ましい。
【0339】(電気化学的粗面化処理) 直流を用いた電気化学的な粗面化処理は塩酸または
硝酸を主体とする水溶液を用いることができるが、該水
溶液は、通常の交流を用いた電気化学的な粗面化処理に
用いるものを使用でき、1〜100g/リットルの塩酸
または硝酸水溶液に、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウ
ム、硝酸アンモニウム等の塩酸イオンを有する塩酸また
は硝酸化合物の1つ以上を1g/リットル〜飽和まで添
加して使用することができる。また、塩酸または硝酸を
主体とする水溶液中には、鉄、銅、マンガン、チタン、
マグネシウム、シリカ等のアルミニウム合金中に含まれ
る金属が溶解していてもよい。好ましくは、塩酸または
硝酸0.5〜2重量%水溶液中にアルミニウムイオンが
3〜50g/リットルとなるように塩化アルミニウム、
硝酸アルミニウムを添加した液を用いることが好まし
い。温度は10〜60℃が好ましく、25〜50℃がよ
り好ましい。
【0340】直流を用いた電気化学的な粗面化に用いる
処理装置は公知の直流を用いたものを使用することがで
きるが、特開平1−141094号公報に記載されてい
るように、一対または2対以上の陽極と陰極を交互に並
べた装置を用いることが好ましい。公知の装置の一例と
しては、特開平1−141094号公報、特開平8−0
67078号公報、特開昭61−19115号公報、特
公昭57−44760号公報等に記載されている。電気
化学的な粗面化に使用する直流は、リップル率が20%
以下の直流を用いることが好ましい。電流密度は、10
〜200A/dm3が好ましく、アルミニウム板が陽極
時の電気量は10〜1000C/dm3が好ましい。陽
極はフェライト、酸化イリジウム、白金、白金をチタ
ン、ニオブ、ジリコニウムなどのバルブ金属にクラッド
またはメッキしたものなど公知の酸素発生用電極から選
定して用いることが出来る。陰極は、カーボン、白金、
チタン、ニオブ、ジルコニウム、ステンレスや燃料電池
用陰極に用いる電極から選択して用いることが出来る。
【0341】 交流を用いた電気化学的な粗面化処理
は塩酸または硝酸を主体とする水溶液は、通常の交流を
用いた電気化学的な粗面化処理に用いるものを使用で
き、1〜100g/リットルの塩酸または硝酸水溶液
に、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニ
ウム等の硝酸イオン、塩化アルミニウム、塩化ナトリウ
ム、塩化アンモニウム等の塩酸イオンを有する塩酸また
は硝酸化合物の少なくとも1つを1/リットル〜飽和ま
で添加して使用することができる。また塩酸または硝酸
を主体とする水溶液には、鉄、銅、マンガン、ニッケ
ル、チタン、マグネシウム、シリカ等のアルミニウム合
金中に含まれる金属が溶解していてもよい。好ましく
は、塩酸または硝酸0.5〜2重量%水溶液にアルミニ
ウムイオンが3〜50g/リットルとなるように、塩化
アルミニウム、硝酸アルミニウム等を添加した液を用い
ることが好ましい。温度は10〜60℃が好ましく、2
0〜50℃がより好ましい。
【0342】 電気化学的粗面化に用いる交流電源波
は、サイン波、矩形波、台形波、三角波などが用いられ
が、矩形波または台形波が好ましく、台形波が特に好ま
しい。電流が0〜ピークに達するまでの時間(TP)は
1〜3msecが好ましい。1msecよりも小さいと
アルミニウム板の進行方向と垂直に発生するチャタマー
クという処理ムラが発生しやすい。TPが3msecよ
りも大きいと電気化学的な粗面化に用いる電解液中のア
ンモニウムイオンなどに代表される硝酸液中での電解処
理で、自然発生的に増加する微量成分の影響を受けやす
くなり、均一な砂目立てが行なわれにくくなる。
【0343】 台形波交流のduty比は1:2〜
2:1のものが使用可能であるが、特開平5−1930
0公報に記載のようにアルミニウムにコンダクタロール
を用いない間接給電方式においてはduty比1:1の
ものが好ましい。台形波交流の周波数は0.1〜120
Hzのものを用いることが可能であるが、50〜70H
zが設備上好ましい。50Hzよりも低いと主極のカー
ボン電極が溶解しやすくなり、70Hzよりも大きいと
電源回路上のインダクタンス成分の影響を受けやすくな
り、電源コストが高くなる。但し、Cuが0.1重量%
よりも多く含まれるアルミニウム合金を用いるときには
周波数0.1〜10Hzの交流を用いることが好ましい。
電流密度は電流波形のピーク値で10〜200A/dm2
が好ましい。
【0344】 電気化学的な粗面化に用いる電解槽
は、縦型、フラット型、ラジアル型など公知の表面処理
に用いる電解槽が使用可能であるが、特開平5−195
300号公報に記載のようなラジアル型電解槽がとくに
好ましい。電解槽内を通過する電解液はアルミニウムウ
ェブの進行とパラレルでもカウンターでもよい。 電解槽には1個以上の交流電源が接続することがで
きる。主極に対向するアルミニウム板に加わる交流の陽
極と陰極の電流比をコントロールし主極のカーボンの溶
解防止上補助陽極を設刑、交流電流の一部を分流させる
ことが好ましい。整流素子またはスイッチング素子を介
して電流値の一部を2つの主電極とは別の槽に設けた補
助陽極に直流電流として分流させることにより、主極に
対向するアルミニウム板上で作用するアノード反応にあ
ずかる電流値と、カソード反応にあずかる電流値との比
を制御できる。主極に対向するアルミニウム板上で、陽
極反応と陰極反応にあずかる電気量の比(陰極時電気量
/陽極時電気量)は0.3〜0.95が好ましい。
【0345】 電気化学的な粗面化工程で使用される
交流電流波形はサイン波、台形波または矩形波を用いる
ことが特開平6−135175号公報に記載されてい
る。電気化学的な粗面化方式で用いる電解槽はラジアル
型を使用し、補助アノード電極を主電極と同一の槽に設
けることが特開平5−195300号公報に記載されい
る。又電流値の一部を2つの主電極とは別に設けた補助
アノード電極に直流電流として分流させることは、特公
平6−37716号公報に記載されている。 硝酸または塩酸を主成分とする水溶液中で交流また
は直流を用いて10〜1000 C/dm2 の電気量で
該アルミニウム板を電気化学的な粗面化処理は酸性水溶
液中で、電流がゼロからピーク値に達する時間が1〜3
msec、かつ周波数50〜70Hzの台形波交流を用
いる。
【0346】(化学的エッチング処理(酸・アルカリ性
液による))機械的粗面化処理や電気化学的粗面化処理
で形成された微細な凹凸の砂目の整面やスマット等の除
去を目的として化学的エッチング処理を行う。エッチン
グ方法の詳細のついては米国3、834、398号に記
載されており、これらの公知の手段を用いることができ
る。酸性またはアルカリ水溶液に用いることの出来る酸
またはアルカリとしては特開昭57−16918号公報
などに記載されているものを単独または組合せて用いる
ことが出来る。液温は25〜90℃、1〜120秒間処
理することが好ましい。酸性水溶液の濃度は0.5〜2
5重量%が好ましく、さらに酸性水溶液中に溶解してい
るアルミニウムは0.5〜5重量%が好ましい。アルカ
リ水溶液の濃度は5〜30重量%が好ましく、さらにア
ルカリ水溶液に溶解しているアルミニウムは1〜30重
量%が好ましい。
【0347】酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム
板の溶解量が1g/m2以上30g/m2以下となるよう
(E処理:機械的粗面化処理後のエッチング処理)、又
アルミニウムの溶解量が0.1g/m2以上3g/m2
下となるよう(F処理:電気化学的粗面化後のエッチン
グ処理)にエッチング処理を行う。尚、化学的エッチン
グを、塩基の水溶液を用いて行なった場合には、一般に
アルミニウムの表面にスマットが生成するので、この場
合には、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸またはこれらの内
の2以上の酸を含む混酸でエッチング処理(所要デスマ
ット処理)する。(上記デスマット処理記載と同等)
【0348】(陽極酸化処理)アルミニウム板の表面の
保水性や耐磨耗性を高めるために陽極酸化処理が施され
る。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質
としては多孔質酸化皮膜を形成するものならば、いかな
るものでも使用することができる。一般には硫酸、リン
酸、シュウ酸、クロム酸、またはそれらの混合液が用い
られる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって
適宜決められる。陽極酸化の処理条件は用いる電解質に
よって変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電
解質の濃度が1〜80重量%、液温は5〜70℃、電流
密度1〜60A/dm2、電気1〜100V、電解時間
5秒〜300秒の範囲にあれば適当である。
【0349】硫酸法は通常直流電流で処理がおこなわれ
るが、交流を用いることも可能である。陽極酸化皮膜の
量は0.5〜10g/m2の範囲が適当である。硫酸の
濃度は5〜30%で使用され、20〜60℃の温度範囲
で5〜250秒間電解処理される。この電解液には、ア
ルミニウムイオンが含まれている方が好ましい。さらに
このときの電流密度は1〜50A/dm2が好ましい。
リン酸法の場合には、5〜50%の濃度、30〜60℃
の温度で、10〜300秒間、1〜15A/dm2の電
流密度で処理される。陽極酸化皮膜の量は1.0g/m
2以上が好適であるが、より好ましくは2.0〜6.0
g/m2の範囲である。
【0350】(親水化処理)陽極酸化処理が施された
後、アルミニウム表面は必要により親水化処理が施され
る。本発明に使用される親水化処理としては、米国特許
第2714066号、第3181461号、第3280
734号及び第3902734号各明細書に開示されて
いるようなアルカリ金属シリケ−ト(例えば珪酸ナトリ
ウム水溶液)法がある。この方法においては、支持体が
珪酸ナトリウム水溶液中で浸漬されるか、また電解処理
される。他に特公昭36−22063号公報に開示され
ているフッ化ジルコン酸カリウム、および、米国特許第
3276868、第4153461号および第4689
272号各明細書に開示されているようなポリビニルホ
スホン酸で処理する方法などが用いられる。
【0351】(その他処理(水洗、封孔))各処理が終了
した後には、処理液を次工程に持ち込まないためにニッ
プローラーによる液切りとスプレーによる水洗を行う。
陽極酸化処理後に封孔処理を施したものも好ましい。か
かる封孔処理は熱水および無機塩または有機塩を含む熱
水溶液への浸漬ならびに水蒸気浴によって行われる。
【0352】図1に、平版印刷版用原版の製造ラインを
示す。ウェブ状のアルミニウム板をコイル状に巻いたも
の(アルミコイル)がセットされる送出機1から連続的
に送り出されるアルミニウム板に、表面処理部2におい
て上述のような表面処理がなされる。すなわち、脱脂に
続いて、粗面化処理としての研磨、表面硬化処理として
の陽極酸化、親水化等が行われる。次に、表面処理がな
されたアルミニウム板に、塗布・乾燥部3において上述
のような塗布・乾燥が行われる。すなわち、感光層の塗
布液として、粘度が0.7〜200mN・s/m2、塗
布液表面張力が20〜70μN/cmの範囲のものを用
い、ウェブの幅方向の感光層乾燥塗布重量の変動幅を±
10%以下にする。次に、マット塗布部4において上述
のようなマット塗布が行われた後、表面検査部5を経
て、アルミニウム板は巻取機6において再びコイル状に
(ロール状に)巻き取られる。
【0353】図示しないが、送出機1近傍には、接合手
段が配設されている。接合手段は、1個のアルミコイル
からアルミニウム板を最後まで巻き出した時、そのアル
ミニウム板の終端部に、別の新しいアルミコイルのアル
ミニウム板の先端を接合する。アルミニウム板の接合部
分には、表面処理部2において酸・アルカリ処理や約3
0,000Aの陽極酸化に対応する強度、及び、高張力
のもとで複数の(300〜500本の)パスローラ(直
径145〜500mm)による繰り返し曲げに耐える強
度が必要である。接合手段における接合方法としては、
次のものがある。
【0354】超音波溶接による接合 超音波溶接は、超音波振動エネルギーを、静圧を加えな
がら接合部分に与える方法である。超音波シーム溶接機
は、アルミニウム板を重ねて平板(アンビル)の上に置
き、上から振動子に組まれた円板工具を加圧しながら平
行な方向に振動させ、その円板工具を回転させてシーム
溶接を行う。上下に重ねられたアルミニウム板の接合部
分を融点近くまで摩擦熱によって加熱して溶接する。こ
のとき、接合面の酸化皮膜が除去されることが接合強度
に必要な条件となる。 高周波パルスアーク直流TIG溶接による接合 この接合は、大きく分けて溶接、圧延の2工程からな
る。アルミニウム板は重ね合わされてクランプで固定さ
れる。重ね部に沿って溶接トーチを移動しながら溶接を
行い、アルミを溶融凝固させる。高周波パルスアーク直
流TIG溶接は、ガスシールドアーク溶接の一種で、タ
ングステン電極を用いて、He、Arなどの不活性ガス
雰囲気の中でアーク溶接を行うものである。高周波パル
ス電流は10kHz以上、重畳させる低周波パルス電流
は5Hz、溶接速度6m/minで溶接する。低周波パ
ルス電流を重畳させると、異種材料、異形材料の溶接で
熱分布が均一になるまで待ちつつ溶接でき、溶融池の対
流を良くすることで金属板同士の裏波溶接(裏面にも溶
融ビードが現れる溶接)を安定させる効果がでる。
【0355】次に、溶接部の厚みを減少させるとともに
加工硬化による強度回復をさせるため、溶接部を圧延す
る。圧延は、圧延ローラと圧延バックバーで溶接部を挟
みこんで行う。溶接ビード全体を押しつぶして厚みを抑
制するのではなく、薄板側の熱影響部周辺を選択的に圧
延することで、熱影響部近傍の厚み差減少を行う。パス
ローラランニング強度不足となる「くびれ」の発生を防
ぐ圧延方法としては、ローラ中央に微小な段差部を設け
た圧延ローラが採用される。
【0356】図1の製造ラインにおける表面処理部2や
塗布・乾燥部3では、個々の工程に適したアルミ張力が
予め設定されている。工程間の張力差を保持するため
に、張力保持用ゴムローラが、製造ライン中には複数備
えられている。この張力保持用ゴムローラは、回転速度
及びトルクが電動機によって制御されるとともに、工程
間の張力を保持しつつアルミニウム板との間でスリップ
を防止してアルミニウム板を搬送する機能を有する。一
般的に、このゴムローラはブライドルロールと呼ばれ
る。
【0357】従来の各工程の主駆動(セクションドライ
ブ)は、直流モータを使用して、マスターとヘルパーの
モータの界磁を調整することで負荷分担を設定してい
た。この界磁調整では限界があり、理想的な負荷分担は
難しく、このためのブライドルスリップ故障が発生する
ことがあった。現在は全てブライドルロールのモータを
ベクトルインバーターモータに変更して、ブライドル前
後実張力からそれぞれの最適負荷分担量(負荷割合)を
演算して割り当てる制御(最適負荷分担制御)をしてい
る。これによりブライドル前後の張力が変化しても、一
定の最適な負荷分担による制御が可能となり、ブライド
ルロールのスリップ故障が防止される。
【0358】図1の製造ラインにおける巻取機6では、
モータのトルクが大きくならないように、巻き始めの張
力が高くなるように、かつ、巻き径が大きくなるにつれ
て張力が低くなるように、設定がなされている。巻取り
の張力パターンを決定する制御因子(初期張力、テ
ーパ、コーナー、上乗せ張力、上乗せ終了径)の
5つを組み合わせることにより、多種多様な張力パター
ンが形成でき、各々の製品に最適な張力を与え、巻芯部
の面圧増加による感光層剥離や巻芯部の面圧低下による
巻ズレの発生を解決できる。
【0359】張力を連続して変化させるセクションと、
張力を調整するダンサローラ装置を有する複数のブライ
ドルセクションとを含む搬送ラインについて考える。複
数のブライドルセクションのうち、張力を連続して変化
させるセクションに隣接する一箇所もしくは複数箇所の
ブライドルセクションのダンサローラ装置によって、付
与する張力をそのブライドルセクション前後のセクショ
ンの張力に基づいて、そのブライドルロールによる張力
カット比が同じとなるようにする。図1に示す製造ライ
ンにおいて、特に表面処理部2では、アルミニウム板を
濡れた状態でハンドリングすることが不可欠となる。
【0360】(不織布ロール)ゴムロールはウェット状
態では、アルミニウム板からの力の伝達が十分に得られ
ずスリップしてしまう。このため、補助駆動などで回転
させるが、ウェット状態でも十分にアルミニウム板をホ
ールドするロール材質として、不織布が採用される。こ
のようなローラが、表面処理部11のセクションドライ
ブなどに使用されている。不織布は異物が目地に詰まる
と、そのホールド力が落ちるため、定期的に加圧水など
で詰まりを落とす必要があるなどのメンテナンスが必要
である。また、不織布ローラは製作コストが高い。これ
らにより、不織布ローラは特定の場所でしか使用されな
い。
【0361】(溝付きロール)溝付きゴムロールは、ウ
ェット状態でホールド力を持たせることができるが、溝
ピッチの転写などの故障を発生させない形状が要求され
る。図1に示す製造ライン、特に表面処理部11では、
種々様々な溝付きロールが採用されている。 (補助駆動ロール)ウェットハンドリングで不織布ロー
ルや溝付きロールが使用できない場合は、ロールに駆動
モータを取り付け、搬送速度にロール回転速度を揃え
る。これが補助駆動ロールである。補助駆動ローラは、
汎用一次電圧制御交流可変速モータ、ないしは、揃速精
度0.2〜1.5%を確保する必要がある場合は高精度
なモータによって回転される
【0362】(耐酸ゴムロール)表面処理部11では、
酸・アルカリを使用する場合があり、ゴム劣化による故
障は大きな問題となるため、特に酸処理工程では耐酸ゴ
ムロールが必要となる。 (アースロール)陽極酸化の際には、大電流が使用され
る。この電流がアルミニウムウェブを伝わって塗布・乾
燥部12へ多量に流れると、アルミ・塗布ヘッド間でス
パークが発生して不具合が生じる可能性がある。この対
策として、漏れ電流を完全になくすか、塗布部を大地か
ら完全に絶縁すればよいが、それは不可能である。そこ
で、非常に抵抗の小さなアースロール(銅製メタルロー
ル)が用いられている。(ヒートロールとクーリングロ
ール)アルミニウムウェブは熱伝導率が高いので、温度
上昇・降下をヒートロールやクーリングロールで容易に
実現できる。ウェブの急激な温度変化によるシワオレや
ウェブ揃速不良によるスリキズ故障を考慮して使用され
ている。
【0363】(カール矯正手段)フラットな平版印刷版
用原版を製造するために、デカーラーロールやレベラロ
ールを用いてカール矯正が行われている。いずれも流れ
方向のカール矯正を行う。表面処理を機械的(例えばブ
ラシグレイニング処理など)に行う場合、ウェブ幅方向
にカールが生じやすい。これに対応する方法として、ウ
ェブをロール状に巻いてなるアルミコイルの送り出しの
向きを逆向きにする方法が用いられている。すなわち、
ウェブ自体が幅方向にカールしている点に着目し、ブラ
シグレイニング処理により発生するカールと打ち消し合
うように逆向きに送り出す。
【0364】図2に、図1の製造ラインに続く加工ライ
ンを示す。この加工ライン90の上流側(図2右上側)
には、あらかじめロール状に巻かれたウェブを順次巻き
出す送出機11が配設されている。送出機11から送り
出された長尺状のウェブ12がレベラ13でカール矯正
され、送りローラ14に至ると、合紙18が貼り合わさ
れ、帯電により密着されて、ノッチャー15に至る。
【0365】合紙18としては、材料コストを低いもの
を選択することで、合紙を低コストで製造することがで
きる。例えば、合紙として木材パルプを100%使用し
た紙や、木材パルプを100%使用せず合成パルプを使
用した紙、及びこれらの表面に低密度又は高密度ポリエ
チレン層を設けた紙等を使用することができる。特に合
成パルプやポリエチレン層を使用しない紙では材料コス
トが低くなるので、低コストで合紙を製造することがで
きる。より具体的には、漂白クラフトパルプを叩解し、
4%の濃度に希釈した紙料にサイズ剤を原紙重量の0.
1%、紙力剤を0.2%になるように加え、さらに硫酸
アルミニウムをPHが5.0になるまで加えた紙料を用
いて抄造した下記表1に示すような合紙が挙げられる
が、もちろんこれに限定されない。
【0366】
【表1】
【0367】(測定条件)個別に指定された項目以外
は、20±2℃、65±2%RH (注1)1枚のシートの任意の位置の厚みをJIS P 8118
に従って測定した最大値と最小値の差。 (注2)110℃で1時間乾燥させた寸法(A)と、その後20
℃65%RHで3時間放置した寸法(B)とした場合、「伸縮度
(率) = (B-A)/A×100」。 (注3)合紙を150mm×150mmのシートに切断し、このシ
ートを温度20℃で湿度65%RHの環境下で3時間以上放置し
たのち、同じ環境下で川口電気製作所製の高感度振動容
量型ユニバーサル・エレクトロメーター(MMAII-17及びP
-601)によって体積抵抗値を測定した。この体積抵抗値
(Rv)と測定機の電極面積(19.62cm2)の積から合紙厚み
(t)を除して体積固有抵抗値(ρv)を求めた。[ρv = 1
9.62/t×Rv]
【0368】(注4)合紙を150mm×150mmのシートに切
断し、このシートを温度20℃で湿度65%RHの環境下で3時
間以上放置したのち、同じ環境下で川口電気製作所製の
高感度振動容量型ユニバーサル・エレクトロメーター(M
MAII-17及びP-601)によって表面抵抗値を測定した。こ
の表面抵抗値(Rs)と測定機の電極面積から算出される係
数(18.7)の積から表面固有抵抗値(ρs)を求めた。[ρs
= 18.7×Rs] (注5)対する接触物は平版印刷版の画像形成面 (注6)試料20gを細かく切り純水100gに入れ密封110
℃10分間加熱後、北川式カ゛ス検知管(20ppm用)にて測定。 (注7)6mlの蒸留水中に3mlの合紙試料を入れ、その中
に1%の硝酸銀溶液を2滴滴下し白濁の有無を観察。
【0369】ノッチャー15は、ウェブ12に打ち抜き
部を設け、裁断部120を構成する裁断刃の上刃120
a及び下刃120bを打ち抜き位置でウェブ12の幅方
向へ移動できるようにする。これにより、ウェブ12と
合紙18とをまとめて連続裁断しながら、ウェブ12の
トリミング幅を変更することが可能となる。以下、単に
「幅方向」というときはウェブ12の幅方向をいい、
「内側」、「外側」というときは、ウェブ12の幅方向
内側、外側をそれぞれいうものとする。このようにし
て、所定のトリミング幅とされたウェブ12は、測長装
置121で送り長が検出され、指示されたタイミングで
走間カッタ122により切断される。これにより、設定
されたサイズの平版印刷版(以下「PS版」ともいう)
12aが製造される。
【0370】次に、PS版12aは、コンベア123に
よって集積部124に送られ、所定枚数積み重ねられ
て、集積束12bが構成される。なお、集積部124で
は、この集積束12bの上下若しくは片側に、厚紙等か
らなる保護シート(一般に「当てボール」と称される)
を配置することも可能である。そして、集積束12b
は、搬送部125を経てパレット126に積み重ねられ
る。その後、ラック倉庫等の保管庫あるいは包装工程に
送られ、包装材料(テープ、内装材、外装材等)によっ
て包装される。また、自動製版機用のスキッド(平台ス
キッド、縦型スキッド等)に積み重ねることも可能であ
る。なお、これらのスキッドに積み重ねて包装する場合
には、加工ライン90に、集積束12bをスキッドに集
積するための集積装置を設け、加工ライン90内におい
て直接スキッドに集積するようにしてもよい。このよう
にして、PS版は包装されて出荷されるが、包装形態に
よっては、合紙18や、その他の包装材料を省略しても
よい。
【0371】図3には自動内装装置10が示されてい
る。この自動内装装置10は、所定の製品サイズに切断
加工された感光性印刷版の集積束(以下、PS版束とい
う)を遮光性及び防湿性を有する内装紙によって自動的
に包装するためのものである。なお、図3で符号Fが付
された矢印は自動内装装置10におけるPS版束12b
の搬送方向を示し、また符号Gが付された矢印は前記搬
送方向に直交する路幅方向を示している。
【0372】PS版束12bは、製品サイズ等に応じた
枚数の感光性印刷版と2枚のボール紙とが積み重ねら
れ、これらを粘着性テープにより固定したものであり、
ボール紙はPS版束12bの最下部及び最上部にそれぞ
れ置かれて感光性印刷版を保護している。ここで、感光
性印刷版及びボール紙はそれぞれ矩形状とされている。
これにより、PS版束12bは直方体状の外形形状とな
り、PS版束12bに含まれる感光性印刷版の枚数に応
じて厚さ方向の寸法が変化し、かつ感光性印刷版の製品
サイズに応じて厚さ方向と直交する縦横方向の寸法が変
化する。
【0373】自動内装装置10には搬送方向における最
も上流側にローラコンベア16が設けられている。この
ローラコンベア16は円柱状とされた複数本の搬送ロー
ラ14を備えている。これらの搬送ローラ14は、搬送
方向に沿って一定のピッチで配置され、その回転軸がそ
れぞれ装置フレーム(図示省略)により路幅方向と平行
となるように支持されている。ローラコンベア16は、
上流側からPS版束12bが送られてくると、搬送ロー
ラ14を回転させてPS版束12bを一定速度で下流側
へ搬送する。
【0374】自動内装装置10にはローラコンベア16
の搬送方向下流側に5台のベルトコンベア18〜22が
設けられている。ベルトコンベア18は円柱状とされた
一対のローラ24、25及び、これらのローラ24、2
5の外周面上に張り渡されたループ状の搬送ベルト27
を備えている。ここで、搬送方向上流側のローラ24
は、駆動機構(図示省略)によりトルクが伝達されて回
転する駆動ローラとされ、搬送方向下流側のローラ25
は搬送ベルト27により伝達されるトルクによりローラ
24に従動回転する従動ローラとされている。また、ベ
ルトコンベア19〜22はベルトコンベア18と同様の
構造を有しており、それぞれ一対のローラ24、25及
び搬送ベルト27を備えている。自動内装装置10は、
ローラコンベア16とベルトコンベア18との隙間から
内装紙29を供給するための内装紙供給機構31を備え
ている。内装紙供給機構31は、ベルトコンベア18の
下方に内装紙29がコイル状に巻き取られた内装紙ロー
ル33を回転可能に支持している。内装紙供給機構31
には、ローラコンベア16とベルトコンベア18との間
に配置されるフィードローラ35及びピンチローラ37
が設けられると共に、フィードローラ35及びピンチロ
ーラ37のニップ部に内装紙ロール33から延出した内
装紙29を案内する複数のガイドローラ39が設けられ
ている。
【0375】内装紙供給機構31のフィードローラ35
の上方には、図9に示されるように板ばね状の押えガイ
ド板110の先端部が片持ち状態で支持されている。押
えガイド板110は、フィードローラ35及びピンチロ
ーラ37から送り出された内装紙29をベルトコンベア
18の上面に沿って搬送方向下流側へ延出するように案
内する。
【0376】押えガイド板110の下流側には、ベルト
コンベア18のベルト間に櫛状の持上げガイド板112
が配置されている。櫛状の持上げガイド板112は、そ
れぞれベルトコンベア18のローラ24、25と平行軸
的に設けられた支軸部112aを中心として揺動可能に
支持されている。櫛状の持上げガイド板112は支軸部
112aを中心として時計方向へ付勢され、先端側がベ
ルトコンベア18より上方へ位している。また持上げガ
イド板112の下流側には、ベルトコンベア18の上方
に紙押え部材114が片持ち状態で支持されている。
【0377】内装紙供給機構31は、ローラコンベア1
6によりPS版束12bが所定の位置に搬送されると、
フィードローラ35を回転させる。これにより、内装紙
29の先端部が押えガイド板110により案内されてベ
ルトコンベア18の搬送方向下流側へ延出し、PS版束
12bは、ローラコンベア16によりベルトコンベア1
8上へ搬送される際に、内装紙29と合流し内装紙29
を介してベルトコンベア18上に載せられる。
【0378】内装紙供給機構31は、ベルトコンベア1
8の搬送速度と等しい速度で内装紙ロール33から内装
紙29を繰り出す。この時、図9(A)に示されるよう
に持上げガイド板112は内装紙29の先端部を上方へ
持上げた後に、内装紙29を介してPS版束12bへ当
接すると、図9(B)に示されるようにPS版束12b
の重量によりベルトコンベア18の下方へ押し下げられ
る。また紙押え部材114は、図9(B)に示されるよ
うに持上げガイド板112により持上げられ下流側へ搬
送される内装紙29の先端部をPS版束12bの上面へ
折り曲げる。
【0379】図3に戻って、内装紙供給機構31がPS
版束12bの外形形状に対応する長さの内装紙29を繰
り出すと、フィードローラ35の下流側に配置されたカ
ッタ(図示省略)により内装紙29を切断する。ここで、
内装紙29は、搬送方向及び厚さ方向に沿った外周長に
所定の重ね代を加えた長さに切断され、PS版束12b
は、内装紙29の上面における路幅方向の中央部上に載
置され、ベルトコンベア18により内装紙29と共に下
流側のベルトコンベア19上に搬送される自動内装装置
10には、内装紙供給機構31のフィードローラ35の
上方に糊噴射装置41が設けられている。糊噴射装置4
1は、内装紙供給機構31により内装紙29が切断され
る直前に流動性を有する糊を噴射し、内装紙29の上面
後端部に糊を滴下する。
【0380】ベルトコンベア18の下流側に配置された
ベルトコンベア19は、搬送方向における長さがPS版
束12bの長さより僅かに大きく設定されている。この
ベルトコンベア19は、図示されるようにリフト機構4
3により上下方向へ移動可能に支持されている。リフト
機構43は、ベルトコンベア19によるPS版束12b
の搬送時には、図4(A)に示されるようにベルトコン
ベア19を上流側及び下流側のベルトコンベア18、2
0と同じ高さに保持している。
【0381】ベルトコンベア19は、PS版束12bを
搬送方向における中央位置まで搬送すると、一旦停止す
る。このとき、PS版束12の下面とベルトコンベア1
9との間に敷かれた内装紙29は幅方向の両端部をPS
版束12bからそれぞれ延出させる。リフト機構43
は、PS版束12bを載せたベルトコンベア19が一旦
停止すると、図4(B)に示されるようにベルトコンベ
ア19をベルトコンベア18、20と同じ高さとなる搬
送位置から下降させる。これにより、内装紙29の上流
側端部はベルトコンベア19が下降すると共にベルトコ
ンベア18により上方へ折り曲げられる。
【0382】ベルトコンベア19の上方には、図4
(B)に示されるように一対の押えレバー45、46及
び糊付板48が配置されている。ここで、一対の押えレ
バー45、46はそれぞれ偏心カム機構(図示省略)と
連結されており、この偏心カム機構が作動することによ
り下降動作及び揺動動作を同時に行う。また糊付板48
はピストン機構(図示要略)に連結され、このピストン
機構によりベルトコンベア19の上面における路幅方向
の中央部の上方へ支持されており、ピストン機構が作動
することにより上下方向へ往復動する。
【0383】図4(B)に示されるようにリフト機構4
3によりベルトコンベア19が搬送位置から下降する
と、先ず、下流側の押えレバー45がPS版束12bの
側端部から上方へ延出した内装紙29の下流側端部を上
流側へ折り曲げ、この内装紙29の下流側端部をPS版
束12bの上面に密着させる。次いで、上流側の押えレ
バー46がPS版束12bの側端部から上方へ延出した
内装紙29の上流側端部を下流側へ折り曲げ、この内装
紙29の上流側端部を内装紙29の下流側端部を介して
PS版束12bの上面に密着させる。
【0384】一対の押えレバー45、46が内装紙29
の両端部をPS版束12bの上面に密着させると、図4
(C)に示されるように糊付板48が下降して内装紙2
9の下流側端部を内装紙29の上流側端部に加圧する。
このとき、内装紙29の下流側端部に滴下された糊はベ
ルトコンベア19の上面における路幅方向の中央部の上
方へ位置する。従って、内装紙29は、内装紙29の上
流側端部と下流側端部とが糊により糊付けされて路幅方
向両端部がそれぞれ開口した筒状となる。糊付板48
は、糊が固化して糊付けが確実になるまで内装紙29を
PS版束12bの上面へ押圧した後に、ピストン機構に
より上昇して図4(A)に示される待機位置に復帰す
る。糊付板48が待機位置に復帰すると、ベルトコンベ
ア19は、リフト機構43により搬送位置に復帰し、P
S版束12bの搬送を再開してPS版束12bを下流側
のベルトコンベア20上へ搬送する。ベルトコンベア2
0は、図3に示すように、PS版束12bを更に下流側
のベルトコンベア21上へ搬送する。
【0385】ベルトコンベア21の上流側端部の上方に
は、一対のエアノズル50が配置されている。一対のエ
アノズル50は、ベルトコンベア21上を搬送されるP
S版束12bの路幅方向における両端部にそれぞれ対応
するように配置されており、エアタンク、コンプレッサ
等からなる高圧エアー源(図示省略)に接続され、ベル
トコンベア21上を搬送されるPS版束12bを収納し
た内装紙29に高圧エアを吹き付ける。このとき、エア
ノズル50からの高圧エアは、PS版束12bの側端部
から路幅方向外側へはみ出た内装紙29の耳部29aに
吹き付けられる。これにより、内装紙29の耳部29A
がベルトコンベア21の方向へ押されて耳部29aのカ
ール及び跳ね上がりが防止される。
【0386】ベルトコンベア21上には、エアノズル5
0の下流側に一対の上流側ガイド板52が配置され、こ
の一対の上流側ガイド板の下流側には一対の下流側ガイ
ド板54が配置されている。ここで、一対の上流側ガイ
ド板52及一対の下流側ガイド板54は、それぞれベル
トコンベア21上に設けられた支持フレームにより支持
され、路幅方向へ位置調整可能とされている。
【0387】上流側ガイド板52は、図5に示されるよ
うに略平行四辺形の平板状とされており、その厚さ方向
が路幅方向と一致すると共に、その長手方向が搬送方向
と一致するように支持されている。上流側ガイド板52
の下端側には、搬送方向上流側の端部にベルトコンベア
21の上面に対して傾斜した傾斜ガイド面56が設けら
れ、この傾斜ガイド 面56の下流側にベルトコンベア
21の上面と平行とされた平行ガイド面58が設けられ
ている。上流側ガイド板52の傾斜ガイド面56は搬送
方向に向ってベルトコンベア21との間隔が徐々に狭く
なるように傾斜しており、平行ガイド面58はベルトコ
ンベア21との間に微小幅の隙間を形成している。
【0388】上流側ガイド板52の上端側には、図5に
示されるように搬送方向下流側の端部に搬送方向へ向っ
て徐々にベルトコンベア21へ近づくよう傾斜した傾斜
面60が設けられている。ここで、一対の上流側ガイド
板52は、それぞれ路幅方向へはベルトコンベア21上
を搬送されるPS版束12bの側端部を基準として位置
調整され、PS版束12bの側端部に対して僅かに外側
の位置に固定される。また上流側ガイド板52の下流側
端部は、搬送方向へは下流側ガイド板54の上流側端部
と部分的に重なり、また路幅方向へは下流側ガイド板5
4の上流側端部の内側となるように配置されている。
【0389】ベルトコンベア21上を搬送される内装紙
29は、エアノズル50からの高圧エアによってベルト
コンベア21の方向へ押されている耳部29aを上流側
ガイド板52とベルトコンベア21との間に挿入する。
耳部29aが上流側ガイド板52の傾斜ガイド面56と
ベルトコンベア21との間に挿入された状態で、内装紙
29がベルトコンベア21により下流側に搬送されると
共に、傾斜ガイド面56により筒状の耳部29aがベル
トコンベア21の方向へ押される。これにより、耳部2
9aの上部側が下部側へ近づき、傾斜ガイド面56の終
端部付近では耳部29aの上部側が下部側へ密着する。
【0390】さらに内装紙29がベルトコンベア21に
より下流側へ搬送されると、耳部29aが平行ガイド面
58とベルトコンベア21との間に挿入される。これに
より、上部側と下部側とが互いに密着した耳部29a
は、平行ガイド面58によりベルトコンベア21上へ押
し付けられた状態に維持される。ここで、上流側ガイド
板52はPS版束12bの側端部に対して僅かに外側の
位置にあり、かつPS版束12bの側端部と平行に延在
することから、平行ガイド面58により筒状の耳部29
aにはPS版束12bの側端部に沿って折り癖が付けら
れる。
【0391】下流側ガイド板54には、下部側に平板状
の側板部62が設けられている。この側板部62は搬送
方向へ細長く形成されており、長手方向が搬送方向と一
致すると共に厚さ方向が路幅方向と一致するように支持
されている。側板部62の上端部には、その上流側に、
搬送方向へ向ってベルトコンベア21から離れるように
傾斜した立上ガイド面64が設けられている。また側板
部62の下端部は平面状とされ、ベルトコンベア21の
上面より下に位置できる機構になっている。
【0392】下流側ガイド板54には、立上ガイド面6
4に対して下流側に側板部62の上端から内側へ屈曲さ
れた頂板部66が設けられている。この頂板部66は平
板状とされ、ベルトコンベア21の上面と平行となるよ
うに支持されている。頂板部66には、上流側の端部に
搬送方向へ向って内側へ傾斜した折込ガイド面68が設
けられている。ここで、ベルトコンベア21の上面から
頂板部66の下面までの距離はPS版束12bの厚さと
略等しくなっている。
【0393】上流側ガイド板52により折り癖が付けら
れた内装紙29の耳部29aは、その搬送方向側の先端
部が上流側ガイド板の下流側端部に達すると、図6に示
されるように下流側ガイド板54の立上ガイド面64上
へ乗り上げる。この状態で、内装紙29がベルトコンベ
ア21により下流側へ搬送されると、耳部29aは、内
装紙29が下流側へ移動すると共に立上ガイド面64に
沿って上方へ持ち上げられる。これにより、耳部29a
は上流側ガイド板52により付けられた折り癖に沿って
上方へ折り曲げられて、その基端側がPS版束12bの
側端部に密着すると共に先端側がPS版束12bの上方
へ延出する。この耳部29aの上方への折曲動作は、搬
送方向において上流側ガイド板52の下流側端部と重な
った立上ガイド面64の上流側端部付近で行われる。上
方へ折り曲げられた耳部29aは、側板部62の内側の
面によりPS版束12bの側端部に密着した状態に保持
される。
【0394】立上ガイド面64により上方へ折り曲げら
れた内装紙29の耳部29aは、その搬送方向側の先端
部が頂板部66の上流側端部に達すると、PS版束12
bの側端部から上方へ延出した耳部29aの先端部が折
込ガイド面68の上流側端部と接する。この状態から内
装紙29が下流側へ搬送されると共に、図7に示される
ように折込ガイド面68は耳部29aの先端部をPS版
束12bにおける上端エッジ部に沿って内側へ折り曲げ
る。
【0395】PS版束12bの両端部は、内側へ折り曲
げられた耳部29aの先端部と共に頂板部66の下側に
挿入される。このとき、ベルトコンベア21の上面から
頂板部66の下面までの距離がPS版束12の厚さと略
等しくされていることから、ローラ24、25間に張り
渡された搬送ベルト27と頂板部66とは内装紙29の
耳部29aを挟み込み、内装紙29が下流側へ移動する
と共に耳部29aを内装紙29の上面へ密着させる。こ
の結果、ベルトコンベア21により下流側ガイド板54
の下流側まで搬送されたPS版束12bは内装紙29に
より包装された状態となる。
【0396】ベルトコンベア21の下流側のベルトコン
ベア22の上方には、図3に示されるように一対のテー
プ貼付機構70が配置されている。テープ貼付機構70
はベルトコンベア22の上方に設けられた支持フレーム
(図示省略)により支持されている。テープ貼付機構7
0には、粘着性テープ72を巻き取ったテープリール7
4が装填される、テープ供給部76が設けられている。
【0397】テープ貼付機構70には、図8(A)に示
されるようにテープ供給部76の下方にテープ貼付部7
8が設けられ、このテープ貼付部78は、互いに平行と
された一対のローラフレーム80を備えている。一対の
ローラフレーム80間には、上流側端部及び下流側端部
にアイドルローラ82及び圧着ローラ84がそれぞれ配
置されると共に、アイドルローラ82と圧着ローラ84
との中間部に中間ローラ85が配置されている。これら
のローラ82、84、85は、それぞれ路幅方向と平行
とされた支軸部(図示省略)を中心として回転可能に支
持されている。
【0398】一方のローラフレーム80の外側にはモー
タユニット86が配置されると共に、圧着ローラ84の
支軸部と同軸的に連結されたアイドルローラ82が回転
可能に支持されている。モータユニット86には駆動プ
ーリ92が同軸的に連結されており、駆動プーリ92及
び従動プーリ90にはループ状のベルト94が巻き掛け
られている。これにより、圧着ローラ84は、駆動プー
リ92、ベルト94及び従動プーリ90を介してモータ
ユニット86と連結される。またテープ貼付機構70に
は、図3に示されるようにテープ供給部76と一対のロ
ーラフレーム80との間にガイドローラ96が設けられ
ている。
【0399】図8に示されるように、一対のテープ貼付
部78は、アイドルローラ82の軸心Sを中心として支
持フレーム(図示省略)により揺動可能に支持されてい
る。一対のローラフレーム80には、圧着ローラ84側
の端部にピストン駆動装置等のアクチュエータ(図示省
略)が連結されている。このアクチュエータは、作動時
にはテープ貼付部78を図8(A)に示される待機位置
から図8(B)に示される貼付位置まで揺動させ、貼付
け完了すると貼付位置にあるテープ貼付部78を待機位
置に復帰させる。またテープ貼付部78は、支持フレー
ムにより路幅方向へ位置調整可能に支持されており、圧
着ローラ84がベルトコンベア22上を搬送される内装
紙29の耳部29aに対応する位置となるように路幅方
向へ位置調整される。
【0400】ここで、圧着ローラ84のローラ面84a
は、テープ貼付部78が待機位置にあるとベルトコンベ
ア22上のPS版束12bを内装紙29から離間し、ま
たテープ貼付部78が貼付位置にあるとベルトコンベア
22上のPS版束12bを包装した内装紙29へ圧接す
る。このとき、圧着ローラ84の軸方向中心は内装紙2
9の耳部29aの先端と略一致する。またモータユニッ
ト86は、テープ貼付部78が待機位置から貼付位置へ
移動すると、圧着ローラ84を所定の回転速度で回転さ
せ、そのローラ面84aの線速度をベルトコンベア22
の搬送速度と等しくする。
【0401】図3に示されるようにテープ供給部76の
テープリール74から延出した粘着性テープ72は、ガ
イドローラ96を介してテープ貼付部78へ至る。この
粘着性テープ72は、図8に示されるようにアイドルロ
ーラ82の外周面における下部側及び中間ローラ85の
外周面における上端部に巻き付き、圧着ローラ84の下
方まで延出している。このとき、粘着性テープ72は、
その幅方向中心が圧着ローラ84の軸方向中心と一致す
るようにアイドルローラ82及び中間ローラ85に巻き
付けられている。
【0402】PS版束12bを包装した内装紙29がベ
ルトコンベア21によりベルトコンベア22上へ搬送さ
れると、テープ貼付機構70はアクチュエータによりテ
ープ貼付部78を待機位置に維持すると共に、モータユ
ニット86により圧着ローラ84を回転させる。ベルト
コンベア22によりPS版束12bを包装した内装紙2
9が下流側へ搬送されると、粘着性テープ72を介して
圧着ローラ84のローラ面84aがPS版束12b上面
上の内装紙29に圧接する。
【0403】内装紙29に圧接した圧着ローラ84は、
ローラ面84aにより粘着性テープ72を内装紙29の
耳部29a部と内装紙29の上面とに亘る領域に押し付
ける。このとき、ローラ面84aの線速度がベルトコン
ベア22の搬送速度と等しくされているので、粘着性テ
ープ72がローラ面84aとの摩擦力によりベルトコン
ベア22の搬送速度と等しい速度で搬送方向下流側へ繰
り出される。従って、PS版束12bを包装した内装紙
29がベルトコンベア22により下流側へ搬送されると
共に、粘着性テープ72が内装紙29の耳部29aと内
装紙29の上面とに亘る領域に下流側端部から貼られて
いく。
【0404】ベルトコンベア22によりPS版束12b
を包装した内装紙29が搬送され、圧着ローラ84が相
対的に内装紙29の上流側端部より僅かに下流側の位置
まで移動すると、図8(B)に示されるブレード98が
ピストン駆動機構等のアクチュエータ(図示省略)によ
り下降し、内装紙29の下流側端部上で粘着性テープ7
2を切断する。これにより、内装紙29の耳部29aが
粘着性テープ72により内装紙29の上面に貼付けら
れ、粘着性テープ72が剥がされるまで内装紙29がP
S版束12bを包装した状態に維持される。
【0405】以上説明した自動内装装置10に用いられ
る内装紙29としては、例えば、クラフト紙にアルミ箔
を溶解したポリエステルで接着したもの(アルミクラフ
ト紙)や、秤量100g/以下のクラフト紙に遮光剤及
び防湿剤を塗布したものを用いる。ここで、アルミクラ
フト紙等の剛性が比較的高い内装紙29は、粘着性テー
プ72からかなり大きい搬送抵抗が作用しても、皺及び
破れが生じないので、圧着ローラ84をベルトコンベア
22の搬送速度に対応する速度で回転させるモータユニ
ット86を省力することが可能になる。一方、遮光剤及
び防湿剤が塗布された秤量100g/以下のクラフト紙
等の剛性が比較的低い(コシが弱い)内装紙29は、皺
及び破れが容易に生じさせることなく粘着性テープ72
を内装紙29に貼付けるには、圧着ローラ84をベルト
コンベア22の搬送速度に対応する速度で回転させる必
要がある。
【0406】なお、粘着性テープ72の貼付時に、圧着
ローラ84を必ずしもローラ面84aの線速度がベルト
コンベア22の搬送速度と等しくなる速度で回転させる
必要はなく、例えば、粘着性テープ72の材質、ベルト
コンベア22の搬送速度の高低等に応じて圧着ローラ8
4の回転速度を微調整することにより、皺、破れ等を生
じさせることなく粘着性テープ72を内装紙29に貼り
付けることが可能になる。
【0407】次いで、内装紙29により包装されるPS
版束12bの外形寸法が変わった場合の対応方法につい
て説明する。ガイド板52、54が配置されたベルトコ
ンベア21は、図3及び図5〜7では詳細な構造を省略
して示したが、図10に示されるように軸方向に沿って
3分割された構造になっている。ベルトコンベア21に
は、軸方向(路幅方向)の両端部にそれぞれ軸方向へ位
置調整可能とされた可動コンベア部21a、21cが配
置され、これらの間に固定コンベア部21bが配置され
ている。一方、一対の上流側ガイド板52は路幅方向へ
それぞれ位置調整可能とされ、一対の下流側ガイド板5
4はそれぞれ路幅方向及び高さ方向へ位置調整可能とさ
れている。
【0408】製品サイズの変更等によりPS版束12b
の路幅方向の外形寸法が変わった場合には、一対の上流
側ガイド板52の路幅方向における位置を、それぞれベ
ルトコンベア21上を搬送されるPS版束12bの側端
部の位置に対応させて位置調整し、更に一対の下流側ガ
イド板54の路幅方向における位置を、それぞれベルト
コンベア21上を搬送されるPS版束12bの側端部の
位置に対応させて位置調整する。これにより、PS版束
12bの路幅方向の外形寸法が変わった場合にも、自動
内装装置10は内装紙29によりPS版束12bを自動
的に包装できる。
【0409】また製品サイズの変更等によりPS版束1
2の搬送方向の外形寸法が変わった場合には、図3に示
す内装紙供給機構31により供給される内装紙29の搬
送方向の長さをPS版束12bの搬送方向及び厚さ方向
の長さに応じて変更し、更にベルトコンベア19とベル
トコンベア20との搬送方向における間隔をPS版束1
2bの搬送方向の長さに対応する距離に調整する。これ
により、PS版束12bの搬送方向の外形寸法が変わっ
た場合にも、自動包装装置10は内装紙29によりPS
版束12bを自動的に包装できる。
【0410】またPS版束12bに含まれる感光性印刷
版の積載枚数の変更等により包装されるPS版束12b
の厚さ方向の外形寸法が変わった場合には、一対の下流
側ガイド板54をそれぞれ高さ方向へ位置調整して下流
側ガイド板54の下面からベルトコンベア21までの距
離をPS版束12bの厚さに対応する長さとする。これ
により、PS版束12bの厚さ方向の外形寸法が変わっ
た場合にも、自動内装装置10は内装紙29によりPS
版束12bを自動的に包装できる。
【0411】以上、PS版束12bの搬送方向、路幅方
向及び厚さ方向の何れかの方向で寸法が変わった場合の
対応方法を説明したが、複数の方向でPS版束12bの
寸法が変わった場合には、それらの方向に対応する複数
の調整を複合的に行う必要がある。このようにして、内
装された束は、段ボール等の外装箱に図示しない箱詰機
で包装され、パレット上に積層され、出荷される。
【0412】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。 〔実施例1〕(ポジ型感光層を有する平版印刷版用原版
の製造) ウェブ状の厚さ0.24mmのJIS A 1050アル
ミニウム板を、図1に示す製造ラインの送出機1に装着
し、その先端を、表面処理部2、塗布・乾燥部3、マッ
ト塗布部4、表面検査部5を経て、巻取機6において再
びコイル状に(ロール状に)巻き取らせた。
【0413】表面処理部2においては、上記アルミニウ
ム板に対し、以下の通りの表面処理を行った。平均粒径
約2.1μmのパミストンと水の懸濁液をアルミニウム
表面に供給しながら、以下に示す回転ナイロンブラシに
より、ブラシグレイニング処理した。第1ブラシは毛長
100mm、毛径0.95mm、植毛密度70本/cm2であ
り、第2ブラシは毛長80mm、毛径0.295mm、植毛
密度670本/cm2であった。ブラシロールの回転はいず
れも250rpmであった。ブラシグレイニングにひき続
きよく水洗した後、10%水酸化ナトリウムに60℃で
25秒間浸漬してエッチングし、さらに流水で水洗後2
0%硝酸で中和洗浄、水洗した。これらを、VA=1
2.7Vの条件下で正弦波の交番波形電流を用いて、1
%硝酸水溶液中で160クローン/dm2の陽極時電気量で
電解粗面化処理を行った。その表面粗さを測定したとこ
ろ、0.79μm(Ra表示)であった。引き続いて、
1%水酸化ナトリウム水溶液に40℃、30秒間浸漬
後、30%の硫酸水溶液中に浸漬し、60℃で40秒間
デスマット処理した後、20%硫酸水溶液中、電流密度
2A/dm2において1.6g/m2の酸化皮膜重量になるよ
うに直流で陽極酸化した。
【0414】次いで、塗布・乾燥部3において、粘度が
1.5mN・s/m2で表面張力が240μN/cmで
ある下記表2の組成の感光層塗布液(感光液)を、乾燥
後の塗布量が1.8g/m2となるように塗布した。な
お、塗布条件として、アルミニウム板のウェブ幅方向の
感光層乾燥塗布重量の変動幅を±2%となるようにし
た。
【0415】
【表2】
【0416】このようにして塗布した感光層の均一性を
表面検査部5にて検査した。なお、感光層の均一性を正
確に評価するため、マット塗布部4におけるマット層の
塗布を省略した。その結果、塗布された感光層は極めて
均一であった。
【0417】〔実施例2〕(ネガ型感光層を有する平版
印刷版用原版の製造) 図1の製造ラインの塗布・乾燥部3において、塗布する
感光層塗布液(感光液)の組成を以下の通りとした以外
は、実施例1と同様の条件で感光層を塗布した。
【0418】 メチルメタクリレート/N−[6−(メタクリロイルオキシ) 1.35 g ヘキシル]−2,3−ジメチルマレイミド/メタクリル酸 =10/60/30(モル比)共重合体 〔Mw=3.5×104(GPC)、Tg=約40℃(DSC)〕 3−エトキシカルボニル−7−メチル−チオキサントン 0.07 g 4−ジアゾジフェニルアミンとフェノキシ酢酸のホルム 0.05 g アルデヒド共縮合物のドデシルベンゼンスルホン酸塩 プロピレングリコールモノメチルエーテル 13 g メチルエチルケトン 14 g メガファックF−177(大日本インキ化学(株)製、 0.008g フッ素系ノニオン系界面活性剤) ビクトリアピュアブルーBOH(保土谷化学工業(株)製) 0.03 g
【0419】その結果、塗布された感光層は極めて均一
であった。
【0420】〔実施例3〕(光重合型感光層を有する平
版印刷版用原版の製造) 図1の製造ラインの塗布・乾燥部3において、塗布する
感光層塗布液(感光液)の組成を以下の通りとした以外
は、実施例1と同様の条件で感光層を塗布した。
【0421】 テトラメチロールメタンテトラアクリレート 1.5 g 線状有機高分子重合体(B1) 2.0 g アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 (共重合モル比 80/20) 増感剤(C1) 0.15 g
【0422】
【化36】
【0423】 (λmax THF479nm,ε=6.9×104 ) 光重合開始剤(D1) 0.2 g
【0424】
【化37】
【0425】 IRGACURE907(E1)(Ciba-Geigy社製) 0.4 g ε−フタロシアニン/(B1)分散物 0.2 g フッ素系ノニオン界面活性剤メガファックF177 0.03 g (大日本インキ化学工業(株)製) メチルエチルケトン 9.0 g プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 7.5 g トルエン 11.0 g
【0426】その結果、塗布された感光層は極めて均一
であった。
【0427】〔実施例4〕(サーマルポジ型感光層を有
する平版印刷版用原版の製造) 図1の製造ラインの塗布・乾燥部3において、塗布する
感光層塗布液(感光液)の組成を以下の通りとした以外
は、実施例1と同様の条件で感光層を塗布した。
【0428】 下記共重合体1 0.75g m,p−クレゾールノボラック(m,p 比=6/4、 0.25g 重量平均分子量3,500 、未反応クレゾール 0.5重量%含有) p−トルエンスルホン酸 0.003g テトラヒドロ無水フタル酸 0.03g シアニン染料A(下記構造) 0.017g ビクトリアピュアブルーBOHの対イオンを 0.015g 1−ナフタレンスルホン酸アニオンにした染料 メガファックF−177 0.05g (大日本インキ化学工業(株)製、フッ素系界面活性剤) γ−ブチルラクトン 10g メチルエチルケトン 10g 1−メトキシ−2−プロパノール 1g
【0429】〔共重合体1の作成〕攪拌機、冷却管及び
滴下ロートを備えた20ml三ツ口フラスコに、N−
(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド
4.61g(0.0192モル)、メタクリル酸エチル
2.94g(0.0258モル)、アクリロニトリル
0.80g(0.015モル)及びN,N−ジメチルア
セトアミド20gを入れ、湯水浴により65℃に加熱し
ながら混合物を攪拌した。この混合物に「V−65」
(和光純薬(株)製)0.15gを加え65℃に保ちな
がら窒素気流下2時間混合物を攪拌した。この反応混合
物にさらにN−(p−アミノスルホニルフェニル)メタ
クリルアミド4.61g、メタクリル酸エチル2.94
g、アクリロニトリル0.80g、N,N−ジメチルア
セトアミド及び「V−65」0.15gの混合物を2時
間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了後さらに
65℃で2時間得られた混合物を攪拌した。反応終了後
メタノール40gを混合物に加え、冷却し、得られた混
合物を水2リットルにこの水を攪拌しながら投入し、3
0分混合物を攪拌した後、析出物をろ過により取り出
し、乾燥することにより15gの白色固体を得た。ゲル
パーミエーションクロマトグラフィーによりこの特定の
共重合体1の重量平均分子量(ポリスチレン標準)を測
定したところ53,000であった。
【0430】
【化38】
【0431】その結果、塗布された感光層は極めて均一
であった。
【0432】〔実施例5〕(サーマルネガ型感光層を有
する平版印刷版用原版の製造) 図1の製造ラインの塗布・乾燥部3において、塗布する
感光層塗布液(感光液)の組成を以下の通りとした以外
は、実施例1と同様の条件で感光層を塗布した。
【0433】 下記酸発生剤〔SH−1〕 0.3 g 下記架橋剤〔KZ−1〕 0.5 g バインダーポリマー 1.5 g (丸善石油化学(株)製のポリ(p−ヒドロキシスチレン)、 マルカ リンカーM S−4P(商品名) 下記赤外線吸収剤〔IK−1〕 0.07g AIZEN SPILON BLUE C−RH 0.035g (保土ヶ谷化学(株)製) メガファックスF−177 0.01g (大日本インキ化学工業(株)製、フッ素系界面活性剤) メチルエチルケトン 12 g メチルアルコール 10 g 1−メトキシ−2−プロパノール 8 g
【0434】<架橋剤〔KZ−1〕の構造>
【0435】
【化39】
【0436】
【化40】
【0437】その結果、塗布された感光層は極めて均一
であった。
【0438】〔比較例1〕塗布・乾燥部3における感光
層塗布液の粘度を0.5mN・s/m2とした以外は、
実施例1と同様に感光層を塗布した。その結果、塗布さ
れた感光層は極めて不均一であった。 〔比較例2〕塗布・乾燥部3における感光層塗布液の粘
度を210mN・s/m2とした以外は、実施例1と同
様に感光層を塗布した。その結果、塗布された感光層は
極めて不均一であった。
【0439】〔比較例3〕塗布・乾燥部3における感光
層塗布液の表面張力を145μN/cmとした以外は、
実施例1と同様に感光層を塗布した。その結果、塗布さ
れた感光層は極めて不均一であった。 〔比較例4〕塗布・乾燥部3における感光層塗布液の表
面張力を655μN/cmとした以外は、実施例1と同
様に感光層を塗布した。その結果、塗布された感光層は
極めて不均一であった。 〔比較例5〕塗布・乾燥部3における、アルミニウム板
のウェブ幅方向の感光層乾燥塗布重量の変動幅を±12
%とした以外は、実施例1と同様に感光層を塗布した。
その結果、塗布された感光層は極めて不均一であった。
【0440】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の平
版印刷版用原版の製造方法によれば、高い生産性を維持
しつつ、感光層を極めて均一に設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施可能な製造ラインを示す図であ
る。
【図2】図1の製造ラインの次の加工ラインを示す図で
ある。
【図3】自動内装装置の概略構成を示す斜視図である。
【図4】自動内装装置におけるベルトコンベヤの昇降動
作並びに押えレバー及び糊付板による内装紙の糊付動作
を説明する側面図である。
【図5】自動内装装置における上流側ガイド板による内
装紙の耳部への折くせを付ける動作を説明する斜視図で
ある。
【図6】自動内装装置における下流側ガイド板による内
装紙の耳部を上方へ折り曲げる動作を説明する斜視図で
ある。
【図7】自動内装装置における下流側ガイド板による内
装紙の耳部の先端部を内側へ折り曲げる動作を説明する
斜視図である。
【図8】自動内装装置におけるテープ貼り付け機構によ
る内装紙へのテープ貼付け動作を説明する斜視図であ
る。
【図9】自動内装装置における押さえガイド板、持ち上
げガイド板及び紙押え部材による包装動作を説明する側
面図である。
【図10】自動内装装置におけるガイド板及びベルトコ
ンベヤを搬送方向下流側から見た正面図である。
【符号の説明】
1 送出機 2 表面処理部 3 塗布・乾燥部 4 マット塗布部 5 表面検査部 6 巻取機

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウェブ状のアルミニウム板に、粗面化処
    理、表面硬化処理及び親水化処理を行った後、連続して
    感光層塗布を行い、前記感光層を乾燥させる平版印刷版
    用原版の製造方法において、 感光層の塗布液として、粘度が0.7〜200mN・s
    /m2、塗布液表面張力が150〜650μN/cmの
    範囲のものを用い、前記アルミニウム板のウェブ幅方向
    の感光層乾燥塗布重量の変動幅を±10%以下にするこ
    とを特徴とする平版印刷版用原版の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2009037908A1 (ja) * 2007-09-19 2009-03-26 Konica Minolta Medical & Graphic, Inc. 平版印刷版材料の製造方法および平版印刷版材料
US7537805B2 (en) * 2005-03-22 2009-05-26 Fujifilm Corporation Method for producing coated article
US8459762B2 (en) 2008-09-24 2013-06-11 Fuji Xerox Co., Ltd. Recording apparatus and recording method

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