JP2003043705A - 平版印刷版原版の製造方法 - Google Patents

平版印刷版原版の製造方法

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JP2003043705A
JP2003043705A JP2001236963A JP2001236963A JP2003043705A JP 2003043705 A JP2003043705 A JP 2003043705A JP 2001236963 A JP2001236963 A JP 2001236963A JP 2001236963 A JP2001236963 A JP 2001236963A JP 2003043705 A JP2003043705 A JP 2003043705A
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Nagayoshi Kaneko
修芳 金子
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗布故障や品質上の欠陥のない2層以上の塗
布層を有する平版印刷版原版の製造方法を提供すること
を目的とする。 【解決手段】 本発明の平版印刷版原版の製造方法は、
帯状金属支持体の表面に複数の塗布層を塗設する平版印
刷版原版の製造方法であって、塗布層の表面温度が50
℃以下となった状態で、次の塗布層を塗設するための塗
布液を塗布することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は平版印刷版原版の製
造方法に関し、特に、塗布故障や品質上の欠陥のない2
層以上の塗布層を有する平版印刷版原版の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】平版印刷版原版は、印刷版としての基本
特性を発現したり、汚れ性能や耐刷性能などの刷版性能
を向上するなど種々の目的で、2層以上の塗布層で構成
されているものが多い。例えば、ポジ型、ネガ型、フォ
トポリマー型、サーマルポジ型、サーマルネガ型、現像
不要型平版印刷版原版などである。
【0003】平版印刷用原版は、ウェブ状のアルミニウ
ム板(以下、適宜、支持体と称する場合がある。)に、
粗面化処理、表面硬化処理及び親水化処理などの表面処
理を行った後、塗布層を塗布、乾燥させることで製造さ
れている。2層以上の塗布層が塗設された平版印刷版原
版を製造する場合、通常、1層ごとに塗布・乾燥を繰り
返す逐次連続塗布乾燥方式によって行われる。
【0004】逐次連続塗布乾燥方式における乾燥工程で
は、熱風による方法、接触型の加熱ロールによる方法等
によって塗布液の乾燥が行われているが、いずれの乾燥
方法においても、塗布層の表面やアルミニウム板は高温
状態のまま乾燥工程の出口から排出される。その後、次
の層の塗布を行う時も高温の状態が維持されるため、次
の層が塗布される際においては、塗布直後から乾燥速度
が高く、乾燥ムラが発生しやすくなる、また、塗布液の
流動性が悪くなるために塗布スジなどの塗布故障が製品
膜面に残りやすくなる、更に、塗布液が高温の被塗布面
に接触することにより発泡が生じるためにスジやハジキ
などの塗布故障が発生しやすくなる、という問題を有し
ていた。
【0005】加えて、2層目以降の塗布層がロッド塗布
方式などの接触型の塗布方式により塗設される場合、乾
燥の加熱により以前に塗布された層の表面が軟化してい
るために、以前に塗布された層が傷つけられたり、塗布
層が剥がされたりすることが起こりやすくなり、平版印
刷版としての品質に重大な欠陥を及ぼす懸念がある。更
に、2層目以降の塗布層を塗布する際の塗布液の温度が
高温である場合にも、上記と同様に、乾燥速度が高いた
めに、乾燥ムラが発生しやすくなったり、塗布液の流動
性が悪くなるために塗布スジなどの塗布故障が製品膜面
に発生しやすくなるという問題を有していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、塗布故障や品質上の欠陥のない2層以上の塗布層を
有する平版印刷版原版の製造方法を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の平版印刷版原版の製造方法は、帯状金属支持
体の表面に複数の塗布層を塗設する平版印刷版原版の製
造方法であって、塗布層の表面温度が50℃以下となっ
た状態で、次の塗布層を塗設するための塗布液を塗布す
ることを特徴とする。また、前記塗布液の温度が、28
℃以下であることが好ましい。
【0008】このように、支持体上に、層状に塗布層を
塗設してなる平版印刷版原版の製造方法において、先に
塗設された第1の塗布層が所定の温度になった状態で、
該第1の塗布層の表面に第2の塗布層を塗設するための
塗布液を塗布することにより、第1の塗布層と第2の塗
布層との界面に発生する塗布故障を防止することをでき
る。また、前記第2の塗布層を塗設するための塗布液の
温度を所定の温度よりも低くすることにより、高い乾燥
速度に起因する塗布故障の発生を抑制することができ
る。
【0009】また、本発明の平版印刷版原版の製造方法
は、塗布層を塗設した後に、該塗布層の表面を冷却する
冷却工程を有することを特徴とする。そして、前記冷却
工程が、冷風を送風する方法、又は、接触型の冷却ロー
ルにより行なわれることが好ましい態様である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の平版印刷版原版の
製造方法について詳細に説明する。本発明の平版印刷版
原版の製造方法は、帯状金属支持体の表面に複数の塗布
層を塗設する平版印刷版原版の製造方法であって、塗布
層の表面温度が50℃以下となった状態で、次の塗布層
を塗設するための塗布液を塗布することを特徴とする。
【0011】図1を参照して、本発明の平版印刷版原版
の製造方法について説明する。ここで、図1は、本発明
の例示的一態様としての平版印刷版原版の製造ラインを
示す概略斜視図である。なお、図1に示す製造ライン
は、支持体上に3層の塗布層が塗設された平版印刷版原
版を製造するためのものであるため、塗布・乾燥部が3
つ設置されている。また、上記製造ラインには、該塗布
・乾燥部において塗設された3層の塗布層のそれぞれの
表面を強制的に冷却する冷却部が3つ設置されている。
【0012】送出機1にはウェブ状のアルミニウム板を
コイル状に巻いたアルミコイルがセットされる。その送
出機1から連続的に送り出されるアルミニウム板に、表
面処理部2により後述される表面処理が行われる。即
ち、脱脂に続いて、粗面化処理としての研磨、表面硬化
処理として陽極酸化、親水化等が行なわれる。なお、表
面処理の詳細については、後述されるためここでは省略
する。
【0013】次に、第1塗布・乾燥部3において、表面
処理されたアルミニウム板に塗布液の塗布・乾燥が行な
われ第1の塗布層が塗設されると、第1の冷却部4によ
って第1の塗布層が冷却される。そして、第1の塗布層
の表面温度が50℃以下になった状態で、その冷却され
た第1の塗布層の表面に、第2の塗布・乾燥部5により
第2の塗布層が塗設される。その後同様に、第2の冷却
部6により第2の塗布層が冷却され、その表面温度が5
0℃以下となった後、第2の塗布層の表面には、第3の
塗布・乾燥部7により第3の塗布層が塗設される。その
後、図1に示す製造ラインの態様によれば、第3の塗布
層は第3の冷却部8により冷却される。
【0014】なお、本態様においては、支持体上に塗設
される3層の塗布層をすべて冷却したが、本発明はかか
る態様に限定されるものではなく、塗布故障を発生し易
い塗布層を塗設する際に、被塗布面となる塗布層の表面
温度のみを50℃以下に冷却してもよい。
【0015】また、図1に示す製造ラインにおいては、
第1の冷却部4と、第2の塗布・乾燥部5との間、及び
/又は、第2の冷却部6と、第3の塗布・乾燥部7との
間、に塗設された塗布層の表面温度のそれぞれが50℃
以下になっていることを確認するための確認部が設けら
れていてもよい。確認部は、例えば、温度センサを用い
ることにより、塗布層の表面温度を検出し、表示させる
ことができる。また、検出した表面温度の数値により、
冷却部における冷風温度や冷却ロールの表面温度を変化
させたり、乾燥部における熱風温度を変化させたりする
ことにより、塗布層の表面温度が50℃以下になるよう
に制御させることもできる。
【0016】なお、前記確認部は必ずしも設けられる必
要はなく、例えば、塗布層の表面温度が50℃以下にな
ることを製造工程の諸条件から実験的に求め、その条件
を予め設定した工程を実施すればよい。実験的に求める
場合、前記諸条件としては、製造ラインの構造上の条件
(例えば、搬送速度)、製造ラインの設置されている環
境(例えば、室温及び湿度)、搬送される支持体の温
度、塗布液の塗布量及び温度、乾燥工程における乾燥条
件、冷却工程における冷却条件などが挙げられる。これ
らの条件を基に、塗布層の表面温度が50℃以下になる
ことを予め決定することができる。
【0017】本発明の平版印刷版原版の製造方法によれ
ば、上述のように、アルミニウム板上に、層状に塗布層
を塗設する場合、先に塗設された塗布層の表面が50℃
以下の温度になった状態で、該塗布層の表面に塗設され
る次の塗布層を塗設するための塗布液の塗布が開始され
る。そこで、図1に示す態様にように、塗布層の表面が
冷却手段によって50℃以下になるように強制的に冷却
されることが製造時間の短縮を図る上で好ましい。
【0018】その結果、塗布層の表面温度が50℃以下
になった状態で、次の塗布層を塗設するための塗布液の
塗布を開始することで、乾燥速度が上昇するために発生
する塗布ムラ、及び、塗布液の流動性が悪化するために
発生する塗布スジなどの塗布故障を防止することができ
る。また、被塗布面が高温であるために発生するスジや
ハジキなどの塗布故障の発生をも防止することができ
る。更に、塗布層の表面が十分に固化されてから、次の
層の塗布が開始されるため、接触方式の塗布方法を使用
したとしても、以前に塗設された塗布層を傷つけたり、
はがしたりすることを防止することができる。
【0019】更に、図1に示す製造ラインにおける第2
の塗布・乾燥部5、及び/又は、第3の塗布・乾燥部7
で用いられれる塗布層形成用の塗布液の温度は28℃以
下であることが好ましい。このように塗布液の温度を2
8℃以下に調節することで、乾燥速度が高いために発生
する乾燥ムラや、塗布液の流動性が低下することで発生
する塗布スジなどの塗布故障を防止することができる。
塗布液を28℃以下とするための手段としては、例え
ば、塗布液を塗布部に送るための送液ライン(図示せ
ず)の経路中にヒータやクーラなどの温度調節機構を設
け、前記送液ラインを通る塗布液を所定の温度に保つ方
法や、送液ライン及び/又は塗布部の周辺ゾーンへ一定
温度の空気を送り込み、その空気により塗布液を所定の
温度に保つ方法などがあるが、特に、これらの方法に限
定されるものではない。なお、塗布液の温度を28℃以
下するための温度調節は、全ての塗布層形成用の塗布液
に行なわれてもよいし、塗布故障を発生し易い塗布層を
塗設する際にのみ行なわれてもよい。
【0020】なお、本態様では、支持体上に3層の塗布
層が塗設されてなる平版印刷版原版の製造方法を示して
おり、第3の塗布層を塗設した後、該第3の塗布層は第
3の冷却部8により冷却される。このように、第3の冷
却部8が設けられていることから、作製された平版印刷
版原版が巻取り部9によって巻き取られるに際しても、
最表面を形成する第3の塗布層がすでに十分に固化され
ているため、塗布層が支持体裏面に転写されてしまう問
題や、巻取り後に所望のサイズに切り出す際に塗布層が
剥がれてしまう問題を防止することができる。
【0021】以上、説明した平版印刷版原版の製造方法
には、更に、以下に説明するマット層及び/又はバック
コート層を設ける工程を有してもよい。
【0022】[マット層形成工程]上記のようにして設
けられた塗布層の最表面には、真空焼き枠を用いた密着
露光の際の真空引きの時間を短縮し、かつ焼きボケを防
ぐため、マット層を設けてもよい。具体的には、特開昭
50−125805号、特公昭57−6582号、同6
1−28986号の各公報に記載されているようなマッ
ト層を設ける方法、特公昭62−62337号公報に記
載されているような固体粉末を熱溶着させる方法などが
挙げられる。
【0023】マット塗布装置の一例としては、走行する
支持体をまず温度調節室において所定の温度に調整し、
湿潤装置により表面を湿潤した後、静電塗装装置により
微細な液滴を支持体の表面に塗布する。次いで、別の湿
潤装置により表面を再湿潤した後、乾燥装置により乾燥
する。本発明に用いられるマット層の平均径は100μ
m以下が好ましい。また、マット層の平均高さは10μ
m以下が好ましく、より好ましくは2〜8μmである。
更にまた、マット層の塗布量は5〜200mg/m2
好ましく、更に好ましくは20〜150mg/m2であ
る。
【0024】[バックコート層形成工程]平版印刷版原
版の支持体の裏面には、複数の平版印刷版原版を重ねた
場合に塗布層の傷付きを防ぐための有機高分子化合物か
らなる被覆層(以後この被覆層をバックコート層と称
す。)が必要に応じて設けられてもよい。このバックコ
ート層の主成分としては、ガラス転移点20℃以上の、
飽和共重合ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビ
ニルアセタール樹脂及び塩化ビニリデン共重合樹脂の群
から選ばれる少なくとも1種の樹脂が用いられる。飽和
共重合ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸ユニットとジ
オールユニットからなる。前記ポリエステルのジカルボ
ン酸ユニットとしてはフタル酸、テレフタル酸、イソフ
タル酸、テトラブロムフタル酸、テトラクロルフタル酸
などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン
酸、コハク酸、蓚酸、スベリン酸、セバチン酸、マロン
酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの飽和脂
肪族ジカルボン酸などが挙げられる。バックコート層に
は、更に、着色のための染料や顔料、アルミニウム支持
体との密着性向上のためのシランカップリング剤、ジア
ゾニウム塩からなるジアゾ樹脂、有機ホスホン酸、有機
リン酸及びカチオン性ポリマー等、更には滑り剤として
通常用いられるワックス、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミ
ド、ジメチルシロキサンよりなるシリコーン化合物、変
性ジメチルシロキサン、ポリエチレン粉末等が適宜加え
られる。バックコート層の厚さは、基本的には合紙がな
くとも塗布層を傷つけにくい厚みがあればよく、0.0
1〜8μmの範囲が好ましい。
【0025】バックコート層を支持体の裏面に被覆する
には種々の方法が適用できる。例えば、適当な溶媒の溶
液にして、又は、乳酸分散液にして塗布・乾燥する方
法、予めフィルム上に成形した物を接着剤や熱で支持体
に貼り合わせる方法、及び、溶融押し出し機で溶融被膜
を形成し、支持体に貼り合わせる方法等が上げられる
が、上記の塗布量を確保する上でもっとも好ましいのは
溶液にして塗布・乾燥する方法である。ここで使用され
る溶媒としては特開昭62−251739号公報に記載
されているような有機溶剤が単独あるいは混合して用い
られる。また、塗布する方式や条件としては、後述する
各種の塗布方式や条件の多くを利用することができる。
即ち、コーティングロッドを用いる方法、エクストルー
ジョン型コーターを用いる方法、スライドビードコータ
ーを用いる方法が利用できる。また塗布する条件、液物
性等も後述する条件を利用することができる。
【0026】以下、本発明の平版印刷版原版の製造方法
において使用し得る表面処理方法、塗布方法、乾燥方
法、冷却方法について、詳細に説明する。
【0027】[表面処理方法]上述のようにして塗布液
を支持体に塗布する前には、アルミニウム板の表面に目
的に応じて各種処理を施すのが通例である。一般的な処
理方法としては、アルミニウム板をまず脱脂、又は、電
解研磨処理とデスマット処理によりアルミ表面の清浄化
を行う。その後、機械的粗面化処理及び/又は電気化学
的粗面化処理を施しアルミニウム板の表面に微細な凹凸
を付与する、なお、この時、更に化学的エッチング処理
とデスマット処理を加える場合もある。その後、アルミ
ニウム板表面の耐摩耗を高める為に陽極酸化処理が施さ
れ、そして、アルミニウム表面は必要に応じて親水化処
理及び/又は封孔処理が行われる。
【0028】なお、各処理間には前処理での処理液を次
処理に持ち込まない為にニップロ−ラ−による液切りと
スプレ−等による水洗を行うことが好ましい。なお、電
気化学的な粗面化処理で用いた電解液のオ−バ−フロ−
廃液をデスマット処理液として使用することができる
が、この場合はデスマット処理後の水洗処理は省略して
もよい。
【0029】[塗布方法]本発明における塗布層の塗布
方法としては、特公昭58−4589号及び特開昭59
−123568号公報等に記載されているコーティング
ロッドを用いる方法、特開平4−244265号公報等
に記載されているエクストルージョン型コーターを用い
る方法、あるいは特公平1−57629号及び特開平1
0−128212号等に記載されているスライドビード
コーターを用いる方法、その他カーテンコーター、スラ
イドカーテンコーター、ロールコーター、グラビアロー
ルコーター、ディップコーター、スプレーコーター、エ
アーナイフコーター、ブレードコーター等を用いること
ができるが、これらには限定されず、使用対象となる塗
布層の種類、塗布液物性、塗布量、走行速度等に応じ
て、適宜、選択することができる。以下に、いくつかの
方法に関して詳しく説明する。
【0030】(ロッド塗布方式)ロッド塗布方式の塗布
方法は、コーティングロッドを用い、該コーティングロ
ッドを走行する支持体に接触させ、所定の塗布量を得る
方法である。このコーティングロッドを用いる塗布方法
は、1本のコーティングロッドに、塗布液を支持体に転
移して塗布する機能と、塗布液量を調節する機能と、の
両方を兼有させたものと、事前に支持体上に過剰に塗布
された塗布液をコーティングロッドで掻き取り塗布液量
を調節するものがある。前者は、コーティングロッドと
支持体の接触部の直前に液溜まりが形成されるように塗
布液を供給し、コーティングロッドにより塗布液量を調
節して所望の塗布量を得る方法である。
【0031】このように、コーティングロッドを用いる
塗布方法の場合、コーティングロッドは、静止もしくは
支持体と順方向又は逆方向に任意の周速度で回転させる
ことができる。この場合、コーティングロッドは、外部
駆動装置を用いる等の方法により強制的に回転させても
よいし、走行する支持体との接触により従動回転させて
もよい。
【0032】また、コーティングロッドに対する支持体
のラップ角度は、1〜30°の範囲が好ましく、より好
ましくは、2〜20°の範囲に設定することができる。
塗布液の液物性としては、粘度は100cp以下、より
好ましくは50cp以下であり、表面張力は20〜70
μN/cmの範囲であることが好ましい。
【0033】この方式において、塗布量はコーティング
ロッド表面の溝の大きさ、また、ロッドにワイヤーを巻
いてあるワイヤーロッドではワイヤーのサイズにより制
御する。塗布量の制御範囲は、明確な制約はないが、通
常、3〜100cc/m2が用いられる。コーティング
ロッドの径も特に制約はないが6〜25mm、好ましく
は6〜15mmである。ロッドの材質としては、耐蝕
性、強度の面より金属が好ましく、特にステンレス鋼が
適している。
【0034】本発明において用いられるコーティングロ
ッドとしては、例えば、ロッド周面の周方向にワイヤー
を密に巻き掛けて隣接するワイヤー同志の間に溝を形成
したワイヤーロッドや、ロッド周面の周方向にロッドの
幅全長に渡って、又は、必要部分に溝を刻設した溝切り
ロッドが用いられる。ワイヤーロッドを使用する場合、
適切なワイヤーの径は0.07〜1.0mm、好ましく
は0.07〜0.6mmの範囲である。ワイヤーの材質
としては金属が用いられるが、耐蝕性、耐摩耗性、強度
等の視点からステンレス鋼が最も適している。このワイ
ヤーロッドには、更に耐摩耗性を向上させるため、表面
にメッキを施すこともできる。特に、ハードクロムメッ
キが適している。
【0035】また、本発明において溝切りロッドを使用
する場合、溝のピッチは0.05〜1.0mm、好まし
くは0.1〜0.6mmが適当であり、断面形状として
は正弦曲線に近似したものや台形状のものが適してい
る。しかしながら、必ずしもかような断面形状に限定さ
れることなく、他の断面形状のものも使用することがで
きる。この溝切りロッドにも更に耐摩耗性を向上させる
ため、表面にメッキを施すこともできる。特に、ハード
クロムメッキが適している。
【0036】ロッド支持部材はロッドが高速で回転する
ため、ロッド(ワイヤーロッドにあってはワイヤー)と
の間の摩擦抵抗が小さい材質のものが選択されなければ
ならない。本発明に好ましく用いられるロッド支持部材
及び堰部材の材質としては、例えば、フッ素樹脂、ポリ
アセタール樹脂、ポリエチレン樹脂、等を挙げることが
でき、これらのうちでもテフロン(米国Du Pont
社品名)の名で知られるポリテトラフルオロエチレン、
デルリン(米国Du Pont社品名)の名で知られる
ポリアセタール樹脂が摩擦係数、強度の点で特に好適で
ある。更に、これらのプラスチック材料にグラスファイ
バー、グラファイト、二硫化モリブデン等の充填材を添
加したものも用いることができる。更には、ロッド支持
部材を金属材料で製作した後、その表面に前述の如きプ
ラスチック材料をコーティングしたり、貼りつけたりし
て、バーとの間の摩擦係数を小さくさせてもよい。ある
いは、各種金属材料に前述の如きプラスチック材料を含
浸させたもの、例えば、アルミニウムにポリテトラフル
オロエチレンを含浸させたものをロッド支持部材に用い
ることもできる。
【0037】(エクストルージョン塗布方式)また、別
の塗布方法としては、エクストルージョン型注液器よ
り、塗布液を吐出させ、バックアップローラに支持され
て走行する支持体との間隙に塗布液ビードを形成させ、
塗布液ビードの背部を減圧もしくは前部を加圧して塗布
する方法を用いることができる。この方式では、支持体
と注液器先端のクリアランスに依存するが10〜500
cc/m2程度の塗布量の液を塗布することができる。
塗布液の液物性として、粘度0.7〜100cp、表面
張力は20〜50μN/cmの範囲であることが好まし
い。また、支持体と注液器のクリアランスは0.1〜
0.5mm程度が通常用いられる。
【0038】(スライド塗布方式)更に、別の塗布方法
として、スライド面を流下する液膜状の塗布液が、スラ
イド面先端において、走行する支持体と出会う間隙部に
塗布液ビードを形成するようにし、このビードを介して
塗布液を支持体に塗布する方法を用いることができる。
必要により、ビードの背部を減圧もしくは前部を加圧し
て塗布してもよい。この方式では、10〜100cc/
2程度の塗布量の液を塗布することができる。塗布液
の液物性として、粘度1〜200cp、表面張力は20
〜60μN/cmの範囲であることが好ましい。また、
支持体と注液器のクリアランスは0.1〜0.6mm程
度が通常用いられる。
【0039】(スライドカーテン塗布方式)加えて、別
の塗布方法として、液膜状の塗布液がスライド面を流下
後、スライド面先端から自由落下カーテン膜を形成し、
カーテン膜下部を走行する支持体に塗布する方法を用い
ることができる。必要により、ビードの背部を減圧もし
くは前部を加圧して塗布してもよい。この方式では、5
〜100cc/m2程度の塗布量の液を塗布することが
できる。塗布液の液物性として、粘度1〜300cp、
表面張力は20〜60μN/cmの範囲が好ましい。ま
た、カーテン膜の高さは2〜500mm程度が通常用い
られる。
【0040】[乾燥方法]次に乾燥方法について記載す
る。乾燥方法としては、特開平6−63487号に記載
がある乾燥装置内にパスロールを配置し、パスロールに
支持体をラップさせて搬送しながら熱風を吹き付けて乾
燥する方法、支持体の上下面からノズルによりエアーを
供給し支持体を浮上させながら乾燥する方法、特開昭6
0−149871号公報に記載の帯状物の上下に配設し
た加熱板からの放射熱により乾燥する方法、あるいは特
開昭60−21334号公報に記載のあるロール内部に
熱媒体を導通し加熱しそのロールと支持体の接触による
熱伝導により乾燥する方法等がある。いずれの方法にお
いても、帯状物を均一に乾燥するために、その加熱制御
は、塗布層の種類、塗布量、溶剤の種類、走行速度等に
応じて熱風あるいは熱媒体の流量、温度、流し方を適宜
変えることにより行われる。また、2種類上の乾燥方法
を組み合わせて用いてもよい。
【0041】(熱風乾燥方式)熱風乾燥方式において
は、熱風の供給方法として、支持体の進行方向と同じ向
きあるいは反対の向きに、支持体の進行方向に沿って熱
風を供給する方法、支持体の上側に支持体の進行方向と
垂直方向に複数個設置されたスリットノズルから熱風を
吹き出す方法、支持体の上側からパンチングメタルを通
した風速の遅い熱風を供給する方法などがある。これら
の方法は、塗布層の種類、塗布量、溶剤の種類、走行速
度等に応じて、一つの方法あるいは複数の方法を組み合
わせて用いられる。また、乾燥の初期、中期、後期の段
階など乾燥装置の位置により、熱風供給方法を変更して
もよい。
【0042】また、支持体の進行方向に沿って熱風を供
給する方法においては、支持体に沿った熱風風速は、
0.3〜8m/sの範囲であることが好ましい。更に、
スリットノズルを用いる方式においては、ノズルからの
熱風吹き出し風速3〜15m/s、ノズルから支持体間
距離5〜200mmの範囲であることが好ましい。更に
また、パンチングメタルを用いた方式では、支持体上で
の風速は2m/s以下であることが好ましい。いずれの
場合においても、熱風の温度は40〜170℃、熱風の
露点は−5〜25℃の間で選択されるのが好ましいが、
塗布層の種類、塗布量、溶剤の種類、走行速度等に応じ
て適宜選択できる。また、乾燥の初期、中期、後期の段
階など乾燥装置の位置により、熱風温度・露点・風速を
変更してもよい。
【0043】(加熱ロール方式)ロール内部に熱媒体を
導通し加熱しそのロールと支持体の接触による熱伝導に
より乾燥する、即ち、加熱ロール方式の乾燥方法の場
合、熱媒体を導通するロールの温度及びロールへの支持
体の接触時間は、所望の乾燥状態を得るように、適宜選
択でき、支持体や感光性組成物の種類、塗布量、溶剤の
種類、走行速度等に応じて適宜選択できる。また、ロー
ルへの熱媒体としては、オイル、溶融金属、加熱水蒸気
等が利用される。
【0044】[冷却方式]本発明の平版印刷版原版の製
造方法においては、塗布層の表面温度が50℃以下とな
った状態で、次の塗布層を塗設するための塗布液を塗布
することを要する。その実現のために、塗布層の乾燥後
に、該塗布層自体や帯状金属支持体を冷却し、短時間に
表面温度を50℃以下とすることが好ましい。冷却方法
としては、冷風を送風する方法、接触型の冷却ロールに
よる方法が好適である。
【0045】(冷風を送風する方法)冷風の供給方法と
して、支持体の進行方向と同じ向きあるいは反対の向き
に、支持体の進行方向に沿って冷風を供給する方法、支
持体の進行方向と垂直方向に複数個設置されたスリット
ノズルから冷風を吹き出す方法などがある。これらの方
法は、塗布層の種類、走行速度等に応じて、一つの方法
あるいは複数の方法を組み合わせて用いられる。また、
支持体の進行方向に沿って冷風を供給する方法において
も、スリットノズルを用いる方式においても、冷風風速
は早いほど、冷風温度は低いほど、高い冷却能力が得ら
れるが、支持体のばたつきによる塗布膜の傷つきや急速
冷却による刷版性能への悪影響の可能性があり、通常、
支持体の進行方向に沿って冷風を供給する方法において
は、支持体に沿った冷風風速は、1〜15m/sの範囲
が、スリットノズルを用いる方式においては、ノズルか
らの冷風吹き出し風速3〜30m/sの範囲であること
が好ましい。また、いずれの場合においても、冷風の温
度は10〜40℃、熱風の露点は−5〜25℃の間で選
択されるのが好ましいが、塗布層の種類、走行速度等に
応じて適宜選択できる。冷風の露点は特に制御する必要
のない場合もある。また、冷却の初期、中期、後期の段
階など冷却装置の位置により、冷風温度・露点・風速を
変更してもよい。
【0046】(冷却ロール方式)ロール内部に冷却媒体
を導通しそのロールと支持体の接触による熱伝導により
支持体を冷却する方法の場合、冷却媒体を導通するロー
ルの温度及びロールへの支持体の接触時間は、2層目以
降の塗布時の塗布液に接触する直前の支持体温度を50
℃以下とするように、適宜選択できる。また、ロールへ
の冷却媒体としては、冷水等が利用される。支持体の塗
布層側、その反対側のどちらがロールに接触するように
配置してもよい。
【0047】本発明の平版印刷版原版の製造方法に適用
される平版印刷版原版の種類としては、特に、限定はさ
れないが、その代表的なものとして、ポジ型、ネガ型、
フォトポリマー型、サーマルポジ型、サーマルネガ型、
現像不要型の平版印刷版原版などがあり、以下にその塗
布層について詳細を説明する。
【0048】[1.ポジ型平版印刷版原版]ポジ型平版
印刷版原版は、少なくとも、下塗り層及び感光層の塗布
層から構成され、以下にその詳細について説明するが、
これに限定されるものではない。
【0049】(1)下塗り層 下塗り層は、支持体と後述する感光層との間に塗設され
る。その下塗り層としては、以下のような化合物を用い
ることができる。例えば、グリシン、アラニン、バリ
ン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、グルタミン
酸、アルギニン、リジン、トリプトファン、パラヒドロ
キシフェニルグリシン、ジヒドロキシエチルグリシン、
アントラニル酸等のアミノ酸;スルファミン酸、シクロ
ヘキシルスルファミン酸等の脂肪族アミノスルホン酸;
1−アミノメチルホスホン酸、1−ジメチルアミノエチ
ルホスホン酸、2−アミノエチルホスホン酸、2−アミ
ノプロピルホスホン酸、4−アミノフェニルホスホン
酸、1−アミノエタン−1,1−ジホスホン酸、1−ア
ミノ−1−フェニルメタン−1,1−ジホスホン酸、1
−ジメチルアミノエタン−1,1−ジホスホン酸、1−
ジメチルアミノブタン−1,1−ジホスホン酸、エチレ
ンジアミンテトラメチレンホスホン酸等のホスホン酸あ
るいはホスホン酸基をホスフィン酸基にかえたホスフィ
ン酸等の化合物又は塩酸、硫酸、硝酸、スルホン酸(メ
タンスルホン酸等)、蟻酸、蓚酸、アルカリ金属、アン
モニア、低級アルカノールアミン(トリエタノールアミ
ン等)、低級アルキルアミン(トリエチルアミン等)等
の塩、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニ
ルアルコール、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポ
リビニルピロリドン等のアクリル酸共重合体;ポリエチ
レンイミン、ジアクリルジメチルアルミニウムクロライ
ド、ポリビニルイミダゾリン、ポリアルキルアミノエチ
ルアクリレート等のマレイン共重合体;またポリエチレ
ングリコールポリオキシエチレン、ポリプロピレングリ
コール、エチレンジアミン、ヘキサエチレンジアミン、
ポリウレタン樹脂、ポリヒドロキシメチル尿素、ポリヒ
ドロキシメチルメラミン樹脂、更に可溶性デンプン、C
MC(カルボキシメチルセルロース)、ヒドロキシエチ
ルセルロース、グアーガム、トラガカントゴム、キサン
タンガム、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、PVPA(ポ
リビニルホスフォン酸)、置換基を有してもよいフェニ
ルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン
酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸及びエ
チレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有
してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキル
リン酸及びグリセロリン酸などの有機リン酸、置換基を
有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィ
ン酸、アルキルホスフィン酸及びグリセロホスフィン酸
などの有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニンなど
のアミノ酸類、及びトリエタノールアミンの塩酸塩など
のヒドロキシル基を有するアミンの塩酸塩などから選ば
れるが、二種以上混合して用いてもよい。
【0050】更に、3’,5,7−トリヒドロキシ−
4’−メトキシフラボン−7−ルチノピラノシド、
(+)ルチントリハイドレイト、サリシン、フェニル−
β−p−グルコピラノシド、ナリジンハイドレイト、ヘ
スピリジン、ヘスピリジンメチルカルコン、グリシルリ
ジックアシッドモノアンモニウムソルトハイドレイト、
18−βグリシルレテックアシッド、エスキュリンモノ
ハイドレイト、サポニン、アルキルグルコキシド(C8
〜C16)などのグルコキシド類や、ソルビトール、グ
ルコン酸、ペンタアセチルグルコース、マルトース、シ
ョ糖、グルコース、サッカロース、アラビノース、ガラ
クトース、ラムノース、マンノース、フラクトース、還
元水飴、アラビアゴム、トラカントゴム、デキストリ
ン、可溶性澱粉、寒天、などの糖類や、エチレングリコ
ール、グリセリン、D−ソルビット、などの多価アルコ
ール類なども用いられる。上記化合物は単独でも2種以
上を組み合わせて用いてもよい。
【0051】これらの化合物は、水、アルコールに0.
001〜10重量%、特に0.01〜1.0重量%の濃
度となるように溶解され、必要に応じて、アンモニア、
トリエチルアミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質
や、塩酸、リン酸などの酸性物質によりpHを調節し、
pH1〜12の範囲で使用することもできる。また、感
光性平版印刷版の調子再現性改良のために黄色系染料を
添加することもできる。
【0052】下塗り層の乾燥後の被覆量は、2〜200
mg/m2が適当であり、好ましくは5〜100mg/
2である。上記の被覆量が2mg/m2未満であると汚
れ防止等の本来の目的に十分な効果が得られない。ま
た、200mg/m2を越えると耐刷力が低下する。
【0053】(2)感光層 ポジ型平版印刷版原版の感光層組成物としては、以下に
示す従来公知のポジ作用感光性組成物[(a)〜
(b)]を用いることが好適である。
【0054】(a)ナフトキノンジアジドとノボラック
樹脂とを含有してなる従来から用いられているコンベン
ショナルポジ作用感光性組成物。 (b)酸分解性基で保護されたアルカリ可溶性化合物と
酸発生剤との組み合わせを含有してなる化学増幅型ポジ
作用感光性組成物。
【0055】上記(a)及び(b)は、いずれも当分野
においてはよく知られたものであるが、以下に示すポジ
作用感応性組成物((c)〜(f))と組み合わせて用
いることが更に好適である。
【0056】(c)特開平10−282672号に記載
の現像処理不要な平版印刷版原版を作製することができ
る、スルホン酸エステルポリマーと赤外線吸収剤とを含
有してなるレーザー感応性ポジ組成物。 (d)EP652483号、特開平6−502260号
に記載の現像処理不要な平版印刷版原版を作製すること
ができる、カルボン酸エステルポリマーと、酸発生剤若
しくは赤外線吸収剤とを含有してなるレーザー感応性ポ
ジ組成物。 (e)特開平11−095421号に記載のアルカリ可
溶性化合物、及び熱分解性でありかつ分解しない状態で
はアルカリ可溶性化合物の溶解性を実質的に低下させる
物質を含有してなるレーザー感応性ポジ組成物。 (f)アルカリ現像溶出型ポジ型平版印刷版原版を作製
することができる、赤外線吸収剤、ノボラック樹脂、及
び溶解抑止剤を含有してなるアルカリ現像溶出ポジ型組
成物。
【0057】上記(a)〜(f)で示したポジ作用感応
性組成物で用いられる化合物を以下に説明する。 「酸発生剤」ポジ作用感応性組成物において使用される
酸発生剤は、熱若しくは光により酸を発生する化合物で
あり、一般的には、光カチオン重合の光開始剤、光ラジ
カル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、マ
イクロレジスト等に使用されている公知の光により酸を
発生する化合物及びそれらの混合物等を挙げることがで
き、これらを適宜選択して使用することができる。
【0058】例えば、S.I.Schlesinge
r,Photogr.Sci.Eng.,18,387
(1974)、T.S.Bal et al.,Po1
ymer,21,423(1980)等に記載のジアゾ
ニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,0
69,056号、特開平3−140140号等に記載の
アンモニウム塩、D.C.Necker et a
l.,Macromolecules,17,2468
(1984)、C.S.Wen et al.,Te
h,Proc.Conf.Rad.Curing AS
IA,p478,Tokyo,Oct(1988)、米
国特許第4,069,055号、同4,069,056
号等に記載のホスホニウム塩、J.V.Crivell
o et al.,Macromolecules,1
0(6),1307(1977)、Chem.&En
g.News,Nov.28,p31(1988)、欧
州特許第104,143号、米国特許第339,049
号、同第410,201号、特開平2−150,848
号、特開平2−296,514号等に記載のヨードニウ
ム塩、J.V.Crivello et al.,Po
lymer J. 17,73(1985)、J.V.
Crivello et al.,J.Org.Che
m.,43,3055(1978)、W.R.Watt
et al.,J.Polymer Sci., P
olymer Chem,Ed.,22,1789(1
984)、J.V.Crivello et al.,
PolymerBull.,14,279(198
5)、J.V.Crivello etal.,Mac
romolecules,14(5),1141(19
81)、
【0059】J・V.Crivello et a
l.,J.Polymer Sci.,Polymer
Chem.Ed.,17,2877(1979)、欧
州特許第370,693号、米国特許第3,902,1
14号、欧州特許第233,567号、同297,44
3号、同297,442号、米国特許第4,933,3
77号、同410,201号、同339,049号、同
4,760,013号、同4,734,444号、同
2,833,827号、独国特許第2,904,626
号、同3,604,580号、同3,604,581号
等に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello
et al.,Macromolecules,10
(6),1307(1977)、J.V.Crivel
lo et al.,J.Polymer Sci.,
Polymer Chem.Ed.,17,1047
(1979)等に記載のセレノニウム塩、C.S,We
n etal.,Teh,Proc.Conf.Ra
d.Curing ASIA,p478,Tokyo,
Oct(1988)等に記載のアルソニウム塩等のオニ
ウム塩。
【0060】米国特許第3,905,815号、特公昭
46−4605号、特開昭48−36281号、特開昭
55−32070号、特開昭60−239736号、特
開昭61−169835号、特開昭61−169837
号、特開昭62−58241号、特開昭62−2124
01号、特開昭63−70243号、特開昭63−29
8339号等に記載の有機ハロゲン化合物、K.Mei
er et al.,J.Rad.Curing,13
(4),26(1986)、T.P.Gillet a
l.,Inorg.Chem.,19,3007(19
80)、D.Astruc,Acc.Chem.Re
s.,19(12),377(1896)、特開平2−
161445号等に記載の有機金属/有機ハロゲン化
物、S.Hayase et al.,J.Polym
er Sci.,25,753(1987)、E.Re
ichman et al.,J.Polymer S
ci.,Polymer Chem.Ed.,23,1
(1985)、Q.Q.Zhu et al.,J.P
hotochem.,36,85,39,317(19
87)、B.Amit et al.,Tetrahe
dron Lett.,(24)2205(197
3)、D.H.R.Barton et al.,J.
Chem.Soc.,3571(1965)、P.M.
Collins et al.,J.Chem.So
c.,Perkin I,1695(1975)、
【0061】M.Rudinstein et a
l.,Tetrahedron Lett.,(1
7),1445(1975)、J.W.Walker
et al.,J.Am Chem.Soc.,11
0,7170(1988)、S.C.Busman e
t al.,J.Imaging Technol.,
11(4),(1985)、H.M.Houlihan
et al.,Macromolecules,2
1,2001(1988)、P.M.Co1lins
etal.,J.Chem.Soc.,Chem.Co
mmun.,532(1972)、S.Hayase
et al.,Macromolecules,18,
1799(1985),E.Reichmanis e
t al.,J.Electrochem,Soc.,
Solid State Sci.Technol.,
130(6)、F.M.Houlihan et a
l.,Macromolecules,21,2001
(1988)、欧州特許第0290,750号、同04
6,083号、同156,535号、同271,851
号、同0,388,343号、米国特許第3,901,
710号、同4,181,531号、特開昭60−19
8538号、特開昭53−133022号等に記載のo
−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、TUN
OOKA et al.,Polymer Prepr
ints Japan,35(8)、G.Berner
et al.,J.Rad.Curing,13
(4)、W.J.Mijset al.,Coatin
g Technol.,55(697),45(198
3),Akzo、H.Adachi et al.,P
olymer Preprints,Japan,37
(3)、欧州特許第0199,672号、同84515
号、同199,672号、同044,115号、同01
01,122号、米国特許第4,618,554号、同
4,371,605号、同4,431,774号、特開
昭64−18143号、特開平2−245756号、特
開平3−140109号等に記載のイミノスルホネート
等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合
物、特開昭61−166544号等に記載のジスルホン
化合物を挙げることができる。
【0062】また、酸発生剤をポリマーの主鎖又は側鎖
に導入した化合物、例えば、M.E.Woodhous
e et al.,J.Am.Chem.Soc.,1
04,5586(1982)、S.P.Pappas
et al.,J.Imaging Sci.,30
(5),218(1986)、S.Kondo eta
l.,Makromol.Chem.Rapid Co
mmun.,9,625(1988)、Y.Yamad
a et al.,Makromol,Chem.15
2,153,163(1972)、J.V.Crive
llo etal.,J.Polymer Sci.,
Polymer Chem.Ed.,17,3845
(1979)、米国特許第3,849,137号、独国
特許第3914407号、特開昭63−26653号、
特開昭55−164824号、特開昭62−69263
号、特開昭63−14603号、特開昭63−1634
52号、特開昭62−153853号、特開昭63−1
46029号等に記載の化合物を用いることができる。
更に、V.N.R.Pillai,Synthesi
s,(1),1(1980)、A.Abad et a
l.,Tetrahedron Lett.,(47)
4555(1971)、D.H.R.Barton e
t al.,J.Chem.Soc.,(C),329
(1970)、米国特許第3,779,778号、欧州
特許第126,712号等に記載の光により酸を発生す
る化合物も使用することができる。
【0063】本発明において、酸発生剤の添加量は、感
光性層若しくは感熱性層の全固形分に対し、通常0.0
01〜40重量%程度であり、0.01〜20重量%が
好ましく、0.1〜5重量%が更に好ましい。
【0064】「アルカリ可溶性化合物」ポジ作用感応性
組成物において使用されるアルカリ可溶性化合物は、ポ
ジ型に適用される場合には、溶解抑止剤との共存下によ
りアルカリ可溶性が低下し、溶解抑止剤の分解により、
アルカリ可溶性が回復するアルカリ可溶性化合物であ
る。
【0065】ポジ作用感応性組成物において使用される
アルカリ可溶性化合物としては、ノボラック樹脂、ポリ
ヒドロキンスチレン、アクリル樹脂等を挙げることがで
きる。本発明で用いられ得るノボラック樹脂は、フェノ
ール類とアルデヒド類を、酸性条件下で縮合させて得ら
れる樹脂である。好ましいノボラック樹脂としては、例
えば、フェノールとホルムアルデヒドから得られるノボ
ラック樹脂、m−クレゾールとホルムアルデヒドから得
られるノボラック樹脂、p−クレゾールとホルムアルデ
ヒドから得られるノボラック樹脂、o−クレゾールとホ
ルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、オクチル
フェノールとホルムアルデヒドから得られるノボラック
樹脂、m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドか
ら得られるノボラック樹脂、フェノール/クレゾール
(o−、m−、p−又はm−/p−、m−/o−、o−
/p−混合のいずれでもよい)の混合物とホルムアルデ
ヒドから得られるノボラック樹脂等が挙げられる。これ
らのノボラック樹脂は、重量平均分子量が800〜20
0,000で、数平均分子量が400〜60,000の
ものが好ましい。
【0066】ポジ作用感応性組成物において使用される
ノボラック樹脂以外のアルカリ可溶性化合物としては、
例えばポリヒドロキシスチレン類、ヒドロキシスチレン
−N−置換マレイミド共重合体、ヒドロキシスチレン−
無水マレイン酸共重合体、アルカリ可溶性基を有するア
クリル系ポリマー、アルカリ可溶性基を有するウレタン
型ポリマー等が挙げられる。ここでアルカリ可溶性基と
してはカルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン
酸基、ホスホン酸基、イミド基等が挙げられる。
【0067】また、ポリ−p−ヒドロキンスチレン、ポ
リ−m−ヒドロキンスチレン、p−ヒドロキシスチレン
−N−置換マレイミド共重合体、p−ヒドロキシスチレ
ン−無水マレイン酸共重合体等のヒドロキシスチレン系
ポリマーを用いる場合には重量平均分子量が2,000
〜500,000、更に、4,000〜300,000
のものが好ましい。
【0068】アルカリ可溶性基を有するアクリル系ポリ
マーの例としては、メタクリル酸−ベンジルメタクリレ
ート共重合体、ポリ(ヒドロキシフェニルメタクリルア
ミド)、ポリ(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシエ
チルアクリレート)、ポリ(2、4−ジヒドロキシフェ
ニルカルボニルオキシエチルアクリレート)や、特開平
10−55066号公報(特願平8−211731号明
細書)に記載のポリマー等が挙げられる。これらのアク
リル系ポリマーは重量平均分子量が2,000〜50
0,000、好ましくは4,000〜300,000の
ものが好ましい。
【0069】アルカリ可溶性基を有するウレタン型ポリ
マーの例としては、ジフェニルメタンジイソシアネート
とヘキサメチレンジイソシアネート、テトラエチレング
リコール、2、2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオ
ン酸を反応させて得られる樹脂等が挙げられる。これら
のアルカリ可溶性ポリマーのうち、ヒドロキシスチレン
系ポリマー及びアルカリ可溶性基を有するアクリル系共
重合体は現像性の点で好ましい。
【0070】本発明において、アルカリ可溶性化合物
は、酸分解性基で保護されていてもよく、該酸分解性基
としては、エステル基、カーバメイト基等が挙げられ
る。
【0071】本発明において、これらのアルカリ可溶性
化合物の含有量は、感光性層若しくは感熱性層の全固形
分中、10〜90重量%程度であり、20〜85重量%
が好ましく、30〜80重量%が更に好ましい。アルカ
リ可溶性化合物の含有量が10重量%未満であると感光
性層若しくは感熱性層の耐久性が悪化し、また、90重
量%を越えると感度、耐久性の両面で好ましくない。ま
た、これらのアルカリ可溶性化合物は、1種類のみで使
用してもよいし、あるいは2種類以上を組み合わせて使
用してもよい。
【0072】「溶解阻止剤」ポジ作用感応性組成物にお
いて使用される溶解阻止剤とは、酸の作用により分解し
アルカリ可溶性となる化合物である。該溶解阻止剤とし
ては、t−ブチルエステル、t−ブチルカーバーメー
ト、アルコキシエチルエステル、等のレジスト分野で用
いられている化学増幅系の酸分解性基で保護されたカル
ボン酸、フェノール化合物等が挙げられる。本発明にお
いて、溶解阻止剤の含有量は、感光性層若しくは感熱性
層の全固形分中、5〜90重量%程度であり、10〜8
0重量%が好ましい。
【0073】好適なキノンジアジド化合物類としては、
o−キノンジアジド化合物を挙げることができる。本発
明に用いられるo−キノンジアジド化合物は、少なくと
も1個のo−キノンジアジド基を有する化合物で、熱分
解によりアルカリ可溶性を増すものであり、種々の構造
の化合物を用いることができる。つまり、o−キノンジ
アジドは熱分解によりアルカリ可溶性化合物の溶解抑制
能を失うことと、o−キノンジアジド自身がアルカリ可
溶性の物質に変化することの両方の効果により、感材系
の溶解性を助ける。本発明に用いられるo−キノンジア
ジド化合物としては、例えば、J.コーサー著「ライト
ーセンシティブ・システムズ」(John Wiley
&Sons.Inc.)第339〜352頁に記載の化
合物が使用できるが、特に種々の芳香族ポリヒドロキシ
化合物あるいは芳香族アミノ化合物と反応させたo−キ
ノンジアジドのスルホン酸エステル又はスルホン酸アミ
ドが好適である。また、特公昭43−28403号公報
に記載されているようなベンゾキノン−(1,2)−ジ
アジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1,
2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとピロガロ
ール−アセトン樹脂とのエステル、米国特許第3,04
6,120号及び同第3,188,210号等に記載さ
れているベンゾキノン−(1,2)−ジアジドスルホン
酸クロライド又はナフトキノン−(1,2)−ジアジド
−5−スルホン酸クロライドとフェノールーホルムアル
デヒド樹脂とのエステルも好適に使用される。
【0074】更にナフトキノン−(1,2)−ジアジド
−4−スルホン酸クロライドとフェノール−ホルムアル
デヒド樹脂あるいはクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂
とのエステル、ナフトキノン−(1,2)−ジアジド−
4−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹
脂とのエステルも同様に好適に使用される。その他の有
用なo−キノンジアジド化合物としては、数多くの特許
関連の文献に報告があり知られている。例えば、特開昭
47−5303号、特開昭48−63802号、特開昭
48−63803号、特開昭48−96575号、特開
昭49−38701号、特開昭48−13354号、特
公昭41−11222号、特公昭45−9610号、特
公昭49−17481号、米国特許第2,797,21
3号、同第3,454,400号、同第3,544,3
23号、同第3,573,917号、同第3,674,
495号、同第3,785,825号、英国特許第1,
227,602号、同第1,251,345号、同第
1,267,005号、同第1,329,888号、同
第1,330,932号、ドイツ特許第854,890
号等に記載されているものを挙げることができる。
【0075】本発明において、o−キノンジアジド化合
物の含有量は、感光性層若しくは感熱性層の全固形分
中、1〜50重量%程度であり5〜30重量%が好まし
く、10〜30重量%が更に好ましい。これらの化合物
は単独で使用することができるが、数種の混合物として
使用してもよい。o−キノンジアジド化合物の含有量が
1重量%未満であると画像の記録性が悪化し、一方、5
0重量%を超えると画像部の耐久性が劣化したり感度が
低下したりする。
【0076】本発明において、o−キノンジアジド化合
物以外の上記化合物の含有量は、感光性層若しくは感熱
性層の全固形分中、1〜50重量%程度であり、5〜3
0重量%が好ましく、10〜30重量%が好ましい。
【0077】ポジ型平版印刷版原版の感光層は、前記感
光性組成物の成分を溶媒に溶かして、適当な支持体に塗
布することにより塗設することができる。なお、目的に
応じて、下塗り層も同様にして塗設することができる。
ここで、使用し得る溶媒としては、エチレンジクロライ
ド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモ
ノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、
2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プ
ロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳
酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジ
メチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチル
ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−
ブチロラクトン、トルエン等をあげることができるがこ
れに限定されるものではない。これらの溶媒は単独ある
いは混合して使用される。
【0078】溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形
分)の濃度は、好ましくは1〜50重量%である。また
塗布、乾燥後に得られる支持体上の塗布量(固形分)
は、用途によって異なるが、感光性印刷版についていえ
ば一般的に0.5〜5.0g/m2が好ましい。塗布量
が少なくなるにつれて、見かけの感度はよくなるが、感
光膜の被膜特性は低下する。塗布する方法としては、種
々の方法を用いることができるが、例えば、バーコータ
ー塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディ
ップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗
布等を挙げることができる。
【0079】[2.ネガ型平版印刷版原版]ネガ型平版
印刷版原版は、下塗り層、中間層及び感光層の塗布層か
ら構成され、以下にその詳細について説明するが、これ
に限定されるものではない。なお、下塗り層、中間層は
どちらか一方が塗設されればよい。
【0080】(1)下塗り層 下塗りに用いられる化合物としては、例えば、カルボキ
シメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2
−アミノエチルホスホン酸などのアミノ基を有するホス
ホン酸類;置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、
ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホ
スホン酸、メチレンジホスホン酸及びエチレンジホスホ
ン酸などの有機ホスホン酸;置換基を有してもよいフェ
ニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸及びグリ
セロリン酸などの有機リン酸;置換基を有してもよいフ
ェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキル
ホスフィン酸及びグリセロホスフィン酸などの有機ホス
フィン酸;グリシンやβ−アラニンなどのアミノ酸類;
トリエタノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシル基を
有するアミンの塩酸塩;特開昭59−101651号公
報に記載されているスルホン酸基を有する水溶性重合
体;特開昭60−64352号公報に記載されている酸
性染料等が好ましく用いられる。
【0081】この下塗り層は、水、メタノール、エタノ
ール、メチルエチルケトンなど、もしくはそれらの混合
溶剤に上記の化合物を溶解させ、支持体上に塗布、乾燥
して設けることができる。また、感光性平版印刷版の調
子再現性改良のために黄色染料を添加することもでき
る。下塗り層の乾燥後の被覆量は、2〜200mg/m
2が適当であり、好ましくは5〜100mg/m2であ
る。
【0082】(2)中間層 支持体と感光層との密着性を高めるためや、現像液に感
光層が残らないようにするため、又は、ハレーションを
防止する等の目的で、必要に応じて中間層を設けてもよ
い。密着性の向上のためには、一般に中間層は、ジアゾ
樹脂や、例えばアルミニウムに吸着するリン酸化合物等
からなっている。また、現像後に感光層が残存しないよ
うに溶解性の高い物質からなる中間層は、一般に溶解性
の良好なポリマーや、水溶性ポリマーからなっている。
更に、ハレーション防止のためには、中間層は一般に塗
料やUV吸収剤を含む。中間層の厚さは任意であり、露
光した時に、上層の感光層と均一な結合形成反応を行い
得る厚みでなければならない。通常、乾燥固体で約1〜
100mg/m2の塗布割合がよく、5〜40mg/m2
が特に良好である。中間層中におけるジアゾ樹脂の使用
割合は、30〜100重量%、好ましくは60〜100
重量%である。
【0083】(3)感光層 本発明において、ネガ作用感応性組成物としては、以下
に示す従来公知のネガ作用感応性組成物((g)〜
(h))を用いることができる。
【0084】(g)光架橋性基を有するポリマー、アジ
ド化合物を含有してなるネガ作用感応性組成物。 (h)特開昭59−101651号に記載のジアゾ化合
物を含有してなるネガ作用感応性組成物。 (i)US262276号、特開平2−63054号に
記載の光重合開始剤、付加車台性不飽和化合物を含有し
てなる光重合性ネガ作用感応性組成物。 (h)特開平11−095421号記載のアルカリ可溶
性化合物、酸発生剤、酸架橋性化合物を含有してなるネ
ガ作用感応性組成物。
【0085】上記(g)〜(h)で示したネガ作用感応
性組成物で用いられる化合物を以下に説明する。
【0086】「光架橋性基を有するポリマー」ネガ作用
感応性組成物において使用される光架橋性基を有するポ
リマーは、水性アルカリ現像液に対して親和性を持つ光
架橋性基を有するポリマーが好ましく、例えば、US5
064747号に記載び分子の主鎖又は側鎖に−CH=
CH−CO−のような光架橋性基を有するポリマー;特
公昭54−15711号に記載の桂皮酸基とカルボキシ
ル基を有する共重合体;特開昭60−165646号に
記載のフェニレンジアクリル酸残基とカルボキシル基を
有するポリエステル樹脂;特開昭60−203630号
に記載のフェニレンジアクリル酸残基とフェノール性水
酸基を有するポリエステル樹脂;特公昭57−4285
8号に記載のフェニレンジアクリル酸残基とナトリウム
イミノジスルホニル基を有するポリエステル樹脂;特開
昭59−208552号に記載の側鎖にアジド基とカル
ボキシル基を有する重合体等が使用できる。本発明にお
いて、光架橋性基を有するポリマーの含有量は、感光性
層若しくは感熱性層の全固形分中、5〜100重量%程
度であり、10〜95重量%が好ましく、20〜90重
量%が好ましい。
【0087】「アジド化合物」ネガ作用感応性組成物に
おいて使用されるアジド化合物としては、2,6−ビス
(4−アジドベンザール)−4−メチルシクロヘキサノ
ン、4,4’−ジアジドジフェニルスルフイド等が挙げ
られる。本発明において、アジド化合物の含有量は、感
光性層若しくは感熱性層の全固形分中、5〜95重量%
程度であり、10〜90重量%が好ましく、20〜80
重量%が更に好ましい。
【0088】「アルカリ可溶性化合物」ネガ作用感応性
組性物において使用されるアルカリ可溶性化合物は、前
記ポジ作用感応性組成物に用いられるアルカリ可溶性化
合物と同様である。
【0089】「ジアゾ化合物」ネガ作用感応性組性物に
おいて使用されるジアゾ樹脂としては、例えばジアゾジ
アリールアミンと活性カルボニル化合物との縮合物の塩
に代表されるジアゾ樹脂があり、感光性、水不溶性で有
機溶剤可溶性のものが好ましい。特に好適なジアゾ樹脂
としては、例えば4−ジアゾジフェニルアミン、4−ジ
アゾ−3−メチルジフェニルアミン、4−ジアゾ−4’
−メチルジフェニルアミン、4−ジアゾ−3’−メチル
ジフェニルアミン、4−ジアゾ−4’−メトキシジフェ
ニルアミン,4−ジアゾ−3−メチル−4’−エトキシ
ジフェニルアミン、4−ジアゾ−3−メトキシジフェニ
ルアミン等とホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒ
ド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、4,4’−
ビス−メトキシメチルジフェニルエーテル等との縮合物
の有機酸塩又は無機酸塩である。この際の有機酸として
は、例えばメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ト
ルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、メシチレンス
ルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンス
ルホン酸、プロピルナフタレンスルホン酸、1−ナフト
ール−5−スルホン酸、2−ニトロベンゼンスルホン
酸、3−クロロベンゼンスルホン酸、2−ヒドロキシ−
4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸等が挙げ
られ、無機酸としては、ヘキサフルオロリン酸、テトラ
フルオロホウ酸、チオシアン酸等が挙げられる。
【0090】更に、特開昭54−30121号公報に記
載の主鎖がポリエステル基であるジアゾ樹脂;特開昭6
1−273538号公報に記載の無水カルボン酸残基を
有する重合体と、ヒドロキシル基を有するジアゾ化合物
を反応してなるジアゾ樹脂;ポリイソシアネート化合物
とヒドロキシル基を有するジアゾ化合物を反応してなる
ジアゾ樹脂等も使用しうる。
【0091】本発明において、ジアゾ樹脂の含有量は、
感光性層若しくは感熱性層全固形分に対して、0〜40
重量%程度が好ましい。また必要に応じて、2種以上の
ジアゾ樹脂を併用してもよい。
【0092】「光重合開始剤及び付加重合性不飽和化合
物」ネガ作用感応性組成物において使用される付加重合
性不飽和化合物及び光重合開始剤としては、米国特許第
2,760,863号、同第3,060,023号、特
開昭62−121448号等に記載の2個又はそれ以上
の末端エチレン基を有する付加重合性不飽和化合物及び
光重合開始剤が挙げられる。
【0093】本発明において、付加重合性不飽和化合物
の含有量は、感光性層若しくは感熱性層全固形分に対し
て、5〜95重量%程度であり、5〜80重量%が好ま
しい。また、光重合開始剤の含有量は、感光性層若しく
は感熱性層全固形分に対して、1〜80重量%程度であ
り、5〜50重量%が好ましい。
【0094】「酸発生剤」ネガ作用感応性組成物におい
て使用される酸発生剤は、前記ポジ作用感応性組成物で
用いられる酸発生剤と同様である。
【0095】「酸架橋性化合物」ネガ作用感応性組性物
において使用される酸架橋性化合物とは、酸の存在下で
架橋する化合物を指し、例えば、ヒドロキシメチル基、
アセトキシメチル基、若しくはアルコキシメチル基でポ
リ置換されている芳香族化合物及び複素環化合物が挙げ
られるが、その中でも好ましい例として、フェノール類
とアルデヒド類を塩基性条件下で結合させた化合物が挙
げられる。前記の化合物のうち好ましいものとしては、
例えば、フェノールとホルムアルデヒドを前記のように
塩基性条件下で縮合させた化合物、同様にして、m−ク
レゾールとホルムアルデヒドから得られる化合物、ビス
フェノールAとホルムアルデヒドから得られる化合物、
4,4’−ビスフェノールとホルムアルデヒドから得ら
れる化合物、その他、GB第2,082,339号にレ
ゾール樹脂として開示された化合物等が挙げられる。こ
れらの酸架橋性化合物は、重量平均分子量が500〜1
00,000で数平均分子量が200〜50,000の
ものが好ましい。
【0096】他の好ましい例としては、EP−A第0,
212,482号に開示されているアルコキシメチル又
はオキシラニルメチル基で置換された芳香族化合物、E
P−A第0,133,216号、DE−A第3,63
4,671号、DE第3,711,264号に開示され
た単量体及びオリゴマーメラミンーホルムアルデヒド縮
合物並びに尿素−ホルムアルデヒド縮合物、EP−A第
0,212,482号に開示されたアルコキシ置換化合
物等がある。更に他の好ましい例は、例えば、少なくと
も2個の遊離N−ヒドロキシメチル、N−アルコキシメ
チル又はN−アシルオキシメチル基を有するメラミン−
ホルムアルデヒド誘導体である。このなかでは、N−ア
ルコキシメチル誘導体が特に好ましい。また、低分子量
又はオリゴマーシラノールは、ケイ素含有架橋剤として
使用できる。これらの例は、ジメチル−及びジフェニル
−シランジオール、並びに既に予備縮合されかつこれら
の単位を含有するオリゴマーであり、例えば、EP−A
第0,377,155号に開示されたものを使用でき
る。
【0097】ネガ型平版印刷版原版の感光層は、上述の
ポジ型平版印刷版原版の感光層と同様に、前記感光性組
成物の成分を溶媒に溶かして、適当な支持体に塗布する
ことにより塗設することができる。そのため、ここで
は、ネガ型平版印刷版原版の感光層の塗設方法について
の詳細な説明は省略する。
【0098】[3.フォトポリマー型平版印刷版原版]
フォトポリマー型平版印刷版原版は、中間層及び感光層
の塗布層から構成され、以下にその詳細について説明す
るが、これに限定されるものではない。なお、中間層と
感光層との間には、有機下塗り層が設けられていてもよ
く、更に、感光層の上面には保護層が設けられていても
よい。
【0099】(1)中間層 中間層は、支持体の表面に、少なくとも1種のシランカ
ップリング剤と少なくとも1種の付加重合可能なエチレ
ン性二重結合を有するリン化合物をあらかじめ反応させ
た化合物を塗設することにより得られる。
【0100】支持体表面への付加反応性官能基の塗設に
は、大別すると、リン化合物と反応させたシランカップ
リング剤を用いることからなる方法(以下、SC法と呼
ぶ)の他に、シランカップリング剤を加水分解するとと
もに重縮合させて得られた−Si−O−Si−結合を含
む無機高分子に付加反応性官能基が固定された形の有機
無機複合体を用いることからなるゾル−ゲル方法(以
下、SG法と呼ぶ)がある。SG法については[有機ケ
イ素ポリマーの最新技術](第6章ゾル−ゲル法とケイ
素系高分子の研究動向、今井淑夫著、CMC、199
6)及び[ゾル−ゲル法の科学](作花済夫著、アグネ
承風社、1988)等に記載されているが、上記文献等
だけに限定するわけではない。この有機無機複合体を支
持体に中間層として塗布して乾燥させると、無機高分子
部分が支持体と密着し、付加反応性官能基はそのまま支
持体表面上に残る。
【0101】SC法の場合、支持体表面における付加反
応性官能基の結合位置は基板表面上の特定の性質をもっ
た位置となりやすく、支持体表面上に一様に分布させる
のが困難な場合がある。つまり、特定の酸点や塩基点に
おいてのみSi原子との間の共有結合が形成され、付加
反応性官能基の分布が支持体表面の酸点や塩基点の分布
に支配されやすい。従って、光接着強度や非画像部親水
性にムラを生じる場合がある。こうした状況のときはS
G法に従うのが有利である。
【0102】SG法による塗設方法は、シランカップリ
ング剤と付加重合可能なエチレン性二重結合を有するリ
ン化合物とを所望の混合比に混合し、必要により液中で
更に触媒の存在下で、加水分解させるとともに重縮合反
応を行なわせて、中心のSi原子が−Si−O−Si−
結合(場合によっては更に−Si−O−P−結合が形成
される可能性もある)でつながった無機高分子を含む液
状組成物として、これを支持体表面に中間層として塗布
し、場合により乾燥させることによって、支持体上に付
加反応性官能基を塗設する。SG法を用いると、支持体
表面上に結合固定される付加反応性官能基の分布が基板
表面の酸点や塩基点などの化学的な性質の分布に左右さ
れることが少ないため好ましい。
【0103】本発明に用いられるシランカップリング剤
としては、下記一般式(X)からなる化合物が有効であ
る。 Ra(Rb)SiRc(Rd) (X) (Ra〜Rdの少なくとも2個は炭素原子10以下のア
ルコキシ基又は−OCOCH3基を表し、他は付加重合
性反応基を表す。)
【0104】一般式(X)における付加重合性反応基と
しては、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられ、S
i元素とこれら付加重合性反応基の間には、種々の連結
基が結合されていてもかまわない。アルケニル基の例と
しては、ビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル
基、ジアルキルマレイミド基等が挙げられるが、これら
に限定されるものではない。アルキニル基の例として
は、アセチレン基、アルキルアセチレン基等が挙げられ
るが、これらに限定されるものではない。シランカップ
リング剤としては、[Silane Coupling
Agents](Edwin P.Plueddem
ann、Plemum Press、1982)等に記
載されてはいるが、これらに限るわけではない。
【0105】具体的には、テトラメトキシシラン、テト
ラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テト
ラ(n−プロポキシ)シラン、テトラ(n−ブトキシ)
シラン、テトラキス(2−エチルブトキシ)シラン、テ
トラキス(2−エチルヘキシルオキシ)シラン、テトラ
キス(2−メトキシエトキシ)シラン、テトラフェノキ
シシラン、テトラアセトキシシランなどを挙げることが
でき、中でもテトラエトキシシランが好ましい。付加重
合可能なエチレン性二重結合反応基を有しているシラン
カップリング剤としては、具体的には、
【0106】CH2=CH−Si(OCOCH33、C
2=CH−Si(OC253、CH2=CH−Si
(OCH33、CH2=CHCH2−Si(OC
253、CH2=CHCH2NH(CH23−Si(O
CH33、CH2=CHCOO−(CH23−Si(O
CH33、CH2=CHCOO−(CH23−Si(O
253、CH 2=CHCOO−(CH24−Si(O
CH33、CH2=C(CH3)COO−(CH23−S
i(OCH33、CH2=C(CH3)COO−(C
23−Si(OC253、CH2=C(CH3)CO
O−(CH24−Si(OCH33、CH2=C(C
3)COO−(CH25−Si(OCH33、(CH2
=C(CH3)COO−(CH232−Si(OC
32、CH2=C(CH=CH2)−Si(OC
33、CH2=CH−SO2NH−(CH23−Si
(OCH33、CH2=CH−ph−O−Si(OC
33(ph:ベンゼン環を示す)、CH2=CH−p
h−CONH−(CH23−Si(OCH33、CH2
=CH−ph−CH2NH−(CH23−Si(OC
33、CH2=CH−ph−CH2NH−C24NH
(CH23−Si(OCH33、HClHC≡C−Si
(OC253、CH3C≡C−Si(OC253、D
MI−(CH2)m−CONH−(CH23−Si(O
CH33(DMI:ジメチルマレイミド基を示す。m=
1〜20)、CH2=CHCH2O−Si(OCH33
(CH2=CHCH2O)4Si、HO−CH2−C≡C−
Si(OC253、CH3CH2CO−C≡C−Si
(OC253、CH2=CHS−(CH23−Si(O
CH33、CH2=CHCH2O−(CH22−SCH2
−Si(OCH33、CH2=CHCH2S−(CH 23
−S−Si(OCH33、(CH33CCO−C≡C−
Si(OC253、(CH2=CH)2N−(CH22
−SCH2−Si(OCH33、CH3COCH=C(C
3)−O−Si(OCH33をあげることができる
が、これらに限定されるものではない。シランカップリ
ング剤はいくつかの化合物を任意の比で混合して用いて
もかまはない。
【0107】本発明に用いられる少なくとも1種の付加
重合可能なエチレン性二重結合を有するリン化合物とし
ては、下記一般式(1)で表される化合物が有効であ
る。 R1(R2)(R3)P=O (1) [(R1、R2、R3の少なくとも1つは下記一般式
(2)で表される付加重合性反応基を表し、他はビニル
基、OH基、アルコキシ基又は下記一般式(3)のアミ
ノ基を表す。) CH2=C(R4)COO(CH2CH(R5)O)n− (2) (R4は、H又はCH3を表す。R5は、H、CH3又はC
2Xを表す。Xは、ハロゲン原子(例えば、F、C
l、Br、I)を表す。nは、0〜50を表す。) R6−CH2CH2−NH(R72− (3) (R6は、H、OH、C1−6アルキル基、アクリロイ
ル基又はメタクリロイル基を表す。R7は、H又はC1
−6アルキル基を表す。)]
【0108】上記一般式(1)は、付加重合可能なエチ
レン性二重結合を有するリン化合物であるが、R1〜R4
の具体例としては、OH、CH3O、C25O、HOC2
4O、n−C37O、i−C37O、HOC36O、
n−C49O、i−C49O、sec−C49O、t−
49O、フェノキシ、C817O、CH2=C(C
3)COO(C24O)n、CH2=CHCOO(C2
4O)n、CH2=C(CH3)COOCH2CH(CH2
l)O、CH2=C(CH3)COO(CH2CH(C
3)O)n、CH2=CHCOO(CH2CH(CH3
O)n、ONH324OH、ONH(C25224
OCOC(CH3)=CH2、ビニル基、プロペニル基、
アリル基、ブテニル基等を挙げることができる。しかし
ながらこれらに限定されるものではない。
【0109】具体的には、下記の化合物が上げられるが
これらに限定されるものではない。 [化合物A] CH2=C(CH3)COO(C24O)nP=O(O
H)2 n=1;ユニケミカル(株);ホスマーM、日本化薬
(株);カヤマーPM−1、共栄社油脂(株);ライト
エステルP−M、新中村化学(株);NKエステルS
A、 n=2;ユニケミカル(株);ホスマーPE2、 n=4〜5;ユニケミカル(株);ホスマーPE、 n=8;ユニケミカル(株);ホスマーPE8 [化合物B] [CH2=C(CH3)COO(C24O)nmP=O
(OH)3-m n=1、m=1と2の混合物;大八化学(株);MR−
200 [化合物C] CH2=CHCOO(C24O)nP=O(OH)2 n=1;ユニケミカル(株);ホスマーA、共栄社油脂
(株);ライトエステルP−A [化合物D] [CH2=CHCOO(C24O)nmP=O(OH)
3-m n=1、m=1と2の混合物;大八化学(株);AR−
200 [化合物E] CH2=C(CH3)COO(C24O)nP=O(OC4
92 n=1;大八化学(株);MR−204 [化合物F] CH2=CHCOO(C24O)nP=O(OC492 n=1;大八化学(株);AR−204 [化合物G] CH2=C(CH3)COO(C24O)nP=O(OC8
172 n=1;大八化学(株);MR−208 [化合物H] CH2=CHCOO(C24O)nP=O(OC8172 n=1;大八化学(株);AR−208 [化合物I] CH2=C(CH3)COO(CH2CH(CH2Cl)
O)nP=O(OH)2n=1;ユニケミカル(株);ホ
スマーCL [化合物J] CH2=C(CH3)COO(CH2CH(CH3)O)n
P=O(OH)2 n=5〜6;ユニケミカル(株);ホスマーPP [化合物K] CH2=CHCOO(CH2CH(CH3)O)nP=O
(OH)2 [化合物L] CH2=C(CH3)COO(C24O)nP=O(O
H)(ONH324OH) n=1;ユニケミカル(株);ホスマーMH [化合物M] CH2=C(CH3)COO(C24O)nP=O(O
H)(ONH(CH3224OCOC(CH3)=C
2) n=1;ユニケミカル(株);ホスマーDM [化合物N] CH2=C(CH3)COO(C24O)nP=O(O
H)(ONH(C25224OCOC(CH3)=C
2) n=1;ユニケミカル(株);ホスマーDE [化合物O] CH2=CHCOO(C24O)nP=O(O−ph)2
(ph:ベンゼン環を示す) n=1;大八化学(株);AR−260 [化合物P] CH2=C(CH3)COO(C24O)nP=O(O−
ph)2 n=1;大八化学(株);MR−260 [化合物Q] [CH2=CHCOO(C24O)n2P=O(OC4
9) n=1;大八化学(株);PS−A4 [化合物R] CH2=CHP=O(OC24Cl)2n=1;大八化学
(株);ビニエイト−R [化合物S] [CH2=C(CH3)COO(C24O)n2P=O
(OH) n=1;大八化学(株);MR−200、日本化薬
(株);カヤマーPM−2 [化合物T] [CH2=C(CH3)COOC24(OCOC510
O]2P=O(OH) 日本化薬(株);カヤマーPM−21 [化合物U] [CH2=CHCOO(C24O)n3P=O n=1;大阪有機(株);ビスコート3PA 市販品は、上記に示した化合物等があるが全てを網羅し
たものではない。
【0110】これらのリン化合物は、「実験化学座講
座」や「紫外線硬化システム」加藤清視著等に記載され
るように、一般のアクリル系モノマーと同様に、アクリ
ル酸又はメタクリル酸とリン酸化合物とによる脱水反応
又はエステル交換により合成する。また、リン化合物は
いくつかの化合物を任意の比で混合して用いてもかまは
ない。式中エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイ
ドの鎖長nの数は、合成上n数が大きくなるにつれて純
品を合成することが困難であり、前後の混合物となる。
具体的な数としては、n=0、1、2、約4〜5、約5
〜6、約7〜9、約14、約23、約40、約50であ
るが、これらに限定されるものではない。
【0111】シランカップリング剤と付加重合可能なエ
チレン性二重結合を有するリン化合物を中間層として支
持体に塗布する前にあらかじめSG反応をさせる必要が
ある。シランカップリング剤と付加重合可能なエチレン
性二重結合を有するリン化合物の重量比は、5000:
1〜1:500で、好ましくは1000:1〜1:10
0、更に好ましくは500:1〜1:20である。上記
シランカップリング剤とリン化合物をあらかじめSG反
応させた化合物からなる中間層を支持体上に塗設する
際、このものを単独で用いてもよく、混合して用いても
かまはない。又適当な溶媒で希釈して用いてもよい。水
及び/又は触媒を加えることもできる。溶媒としては、
メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノ
ール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、T
HF、DMF等であり、特にアルコール類が好ましい
が、これらの有機溶媒を混合して用いてもかまわない。
【0112】溶媒の使用量は、使用するシランカップリ
ング剤と付加重合可能なエチレン性二重結合を有するリ
ン化合物の総重量に基づいて、一般に0.2〜500
倍、好ましくは0.5〜100倍、更に好ましくは1〜
20倍である。使用量が0.2倍より少ないと反応液が
経時でゲル化しやすく不安定となり好ましくない。ま
た、500倍より多いと、反応が数日を要するようにな
り好ましくない。シランカップリング剤と付加重合可能
なエチレン性二重結合を有するリン化合物を加水分解す
るために加える水の量は、一般に化合物1モル当り0.
1〜1000モル、好ましくは0.5〜200モル、更
に好ましくは1.5〜100モルである。水の量が化合
物1モル当り、0.1モルより少ない時は、加水分解と
それに続く重縮合反応の進行が非常に遅くなり、安定な
表面処理が可能となるまでに数日を要し好ましくない。
一方、水の量が化合物1モル当り1000モルより多く
なると、生成した組成物を金属表面に塗設した場合密着
不良を起す他、組成物の経時安定性が悪く、すぐにゲル
化してしまうことが多いため、塗布作業を安定して行な
いにくくなる。
【0113】SG法に好適な組成物を調液するための反
応温度は室温〜100℃程度が常用されるが、以下に述
べる触媒の種類によっては室温以下あるいは100℃以
上の温度を用いることもできる。溶媒の沸点よりも高い
温度で反応させることも可能であり、必要に応じて反応
器に還流冷却器を付設するのがよい。必要に応じて使用
される触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢
酸、リンゴ酸、シュウ酸などの酸、又はアンモニア、テ
トラメチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化カリウ
ム、水酸化ナトリウムなどの塩基が使用できる。触媒の
添加量は、シランカップリング剤と付加重合可能なエチ
レン性二重結合を有するリン化合物の合計量を基準とし
て、化合物1モル当り0.001〜1モル、好ましくは
0.002〜0.75モル、更に好ましくは0.003
〜0.5モルである。触媒添加量を1モルより多くして
も、その添加効果に比べて経済的に特に利益があるわけ
ではない。
【0114】酢酸、リンゴ酸等の弱酸を触媒として使用
する時は、反応温度を40℃〜100℃の範囲とするの
が有利であるが、硫酸、硝酸等の強酸を触媒として使用
する時は10℃〜60℃の範囲がよい。リン酸を触媒と
して用いる場合は10℃〜90℃で反応を行なわせるこ
とができる。SG法に用いる組成物の調液工程、及びこ
れを支持体に塗布し乾燥する工程で、多くの場合熱が加
えられるが、揮発性の酸を触媒として使用すると、周囲
の装置に揮発して付着し、これを腐食させる場合があ
る。主として鉄を素材として用いる工程で本方法を使用
する場合は、不揮発性の硫酸及び/又はリン酸を触媒と
して用いるのが好ましい。
【0115】SG法を用いて支持体表面に付加反応性官
能基を塗設する際は、シランカップリング剤と付加重合
可能なエチレン性二重結合を有するリン化合物を希釈す
る溶媒の種類と量、基板表面上での加水分解用に加える
水の量(加える場合)、加水分解を促進するための触媒
の種類と量(加える場合)、シランカップリング剤と付
加重合可能なエチレン性二重結合を有するリン化合物の
溶液を基板上に施用する方法、基板に施用した後の乾燥
雰囲気、乾燥温度、乾燥時間等のプロセスパラメータを
種々変更し、制御することが必要である。シランカップ
リング剤と付加重合可能なエチレン性二重結合を有する
リン化合物からなる中間層の塗布量は極微量のため重量
法では測定が困難である。よって処理後の基板表面を適
当な方法、例えばケイ光X線分析法、赤外線吸収法等の
方法で測定し、表面にあるSi原子量の定量、炭素−炭
素の多重結合量の定量等を行なうことによって決定する
ことができる。シランカップリング剤と付加重合可能な
エチレン性二重結合を有するリン化合物からなる中間層
の塗布量としては、表面にあるSi原子量の量として、
0.1〜50mg/m2、好ましくは0.5〜20mg
/m2、更に好ましくは1〜10mg/m2である。
【0116】以上述べたように、シランカップリング剤
と付加重合可能なエチレン性二重結合を有するリン化合
物と、有機溶媒、水、及び場合により触媒からなる組成
物を、適当な反応温度、反応時間、及び場合により適当
な撹拌条件を選んで反応させると、加水分解とともに重
縮合反応が起り−Si−O−Si−結合(場合によって
は更に−Si−O−P−結合が形成される可能性もあ
る)を含む高分子又はコロイド状高分子が生成し、液状
組成物の粘度が上昇し、ゾル化する。SG法で用いる上
記ゾル液は、室温で放置すると重縮合反応が引き続き進
行しゲル化することがある。従って、一度上記の方法で
調液したゾル液を、支持体上への塗布時に希釈のために
使用する予定の溶媒で予じめ希釈して、ゾル液のゲル化
を防止ないし遅延させることができる。SG法で、支持
体上に中間層を塗設するために、また支持体上での中間
層の塗布分布ムラが無いようにするために、これらの処
理液を支持体に塗布する前に溶媒を加えて濃度調整を行
なうことが好ましい。この目的に使用する溶媒として
は、アルコール類、特に、メタノールやエタノールが好
適であるが、他の溶剤、有機化合物、無機添加剤、界面
活性剤などを加えることもできる。他の溶剤の例として
は、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチ
ルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、
2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プ
ロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳
酸エチル、アセチルアセトン、エチレングリコール等を
挙げることができる。
【0117】添加することのできる有機化合物の例とし
ては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、
ウレタン樹脂、ノボラック樹脂、ピロガロール−アセト
ン樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルメチルエーテル、ポリプロピレングリコ
ール等が挙げられる。無機添加剤の例としては、コロイ
ダルシリカ、コロイダルアルミナなどを挙げることがで
きる。エチレングリコール、エチレングリコールモノメ
チルエーテル等の高沸点溶剤は、支持体に塗布する濃度
にまで希釈された液の安定性を高め、支持体に結合され
た付加反応性官能基の反応再現性を保証する働きがあ
る。ノボラック樹脂、ピロガロール−アセトン樹脂等の
有機化合物も同様の効果を有するが、得られる支持体の
表面の親水性を低下させる副作用があり、添加量を細か
く調整する必要がある。
【0118】SG法に好適なゾル液もしくは液状組成物
は、支持体表面に塗設後、風乾ないし加熱乾燥させる
と、−Si−O−Si−結合(場合によっては更に−S
i−O−P−結合が形成される可能性もある)からなる
無機高分子がゲル化すると同時に基板表面と共有結合す
る。乾燥は溶媒、残留水及び場合により触媒を揮散させ
るために行なうものであるが、処理後の基板の使用目的
によっては工程を省くこともできる。従って、目的によ
っては、乾燥終了後にも更に温度をかけ、加熱を継続し
てもよい。乾燥及び場合により継続されるその後の加熱
における最高温度は付加反応性官能基が分解しない範囲
にあることが好ましい。従って、使用できる乾燥温度条
件は室温〜200℃、好ましくは室温〜170℃、更に
好ましくは室温〜140℃である。乾燥時間は一般に1
秒〜30分間、好ましくは5秒〜10分間、更に好まし
くは10秒〜2分間である。本発明において用いられる
液状組成物(有機シリコーン化合物もしくはその溶液又
はゾル液)の施工方法は、浸漬塗布、ドクターブレード
塗布、ロッド塗布、エクストルージョン塗布、スライド
塗布、カーテン塗布等、各種のものが使用することがで
き、アルミニウム基板表面の形状や必要とする処理膜厚
等を勘案して決められる。
【0119】(2)有機下塗り層 表面処理を施したアルミニウム基板上に、中間層を塗設
し、後述される光重合性組成物からなる感光層を塗設す
ることで、フォトポリマー型平版印刷版原版が作製され
るが、感光層を塗設する前に必要に応じて有機下塗り層
を設けてもかまわない。有機下塗り層としては、水溶性
の樹脂、例えば、ポリビニルホスホン酸、スルホン酸基
を側鎖に有する重合体及び共重合体、ポリアクリル酸、
水溶性金属塩(例えば硼酸亜鉛)若しくは、黄色染料、
アミン塩等を下塗りしたものも好適である。この有機下
塗り層に用いられる有機化合物としては、例えば、カル
ボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガ
ム、2−アミノエチルホスホン酸などのアミノ基を有す
るホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホ
ン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリ
セロホスホン酸、メチレンジホスホン酸及びエチレンジ
ホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよ
いフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸及
びグリセロリン酸などの有機リン酸、置換基を有しても
よいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、ア
ルキルホスフィン酸及びグリセロホスフィン酸などの有
機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニンなどのアミノ
酸類、及びトリエタノールアミンの塩酸塩などのヒドロ
キシル基を有するアミンの塩酸塩などから選ばれるが、
二種以上混合して用いてもよい。
【0120】この有機下塗り層は、水、又は、メタノー
ル、エタノール及びメチルエチルケトンなどの有機溶
剤、もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶
解させた溶液をアルミニウム板上に塗布、乾燥して設け
ることができる。有機下塗り層は、上記の有機化合物の
0.005〜10重量%の濃度の溶液を種々の方法で塗
布することできる。例えば、グラビアロール塗布、ロッ
ド塗布、ロール塗布、エクストルージョン塗布、カーテ
ン塗布、スライド塗布などいずれの方法を用いてもよ
い。また、フォトポリマー型平版印刷版の調子再現性改
良のために、黄色染料を添加することもできる。有機下
塗り層の乾燥後の被覆量は、2〜200mg/m2が適
当であり、好ましくは5〜100mg/m2である。上
記の被覆量が2mg/m2より少ないと十分な耐刷性が
得られない。また、200mg/m2より大きくても同
様である。
【0121】(3)感光層 本発明においてフォトポリマー型感光層に用いられる光
重合性組成物は、エチレン性不飽和結合を有する重合可
能な化合物、光重合開始剤及び高分子重合体を必須成分
として含んでいる。
【0122】エチレン性不飽和結合を有する重合可能な
化合物とは、その化学構造中に少なくとも1個のエチレ
ン性不飽和結合を有する化合物であって、モノマー、プ
レポリマー、即ち2量体、3量体及び他のオリゴマーそ
れらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形
態をもつものである。それらの例としては不飽和カルボ
ン酸及びその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコ
ール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多
価アミン化合物とのアミド等が挙げられる。
【0123】不飽和カルボン酸の具体例としては、アク
リル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソ
クロトン酸、マレイン酸などがある。不飽和カルボン酸
の塩としては、前述の酸のアルカリ金属塩、例えば、ナ
トリウム塩及びカリウム塩などがある。
【0124】脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カル
ボン酸とのエステルの具体例としてはアクリル酸エステ
ル、例えばエチレングリコールジアクリレート、トリエ
チレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオ
ールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアク
リレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリ
メチロールプロパントリアクリレート、トリメチロール
エタントリアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオ
ールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアク
リレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペン
タエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリト
ールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジア
クリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレー
ト、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペ
ンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトール
トリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、
ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサ
アクリレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等
が挙げられる。
【0125】メタクリル酸エステルとしては、テトラメ
チレングリコールジメタクリレート、トリメチレングリ
コールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリ
メタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレ
ート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−
ブタンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトー
ルジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタク
リレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、
ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラ
メタクリレート、ビス−〔p−(3−メタクリルオキシ
−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタ
ン、ビス〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニ
ル〕ジメチルメタン等が挙げられる。
【0126】イタコン酸エステルとしては、エチレング
リコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタ
コネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、
1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレ
ングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジ
イタコネート、ソルビトールテトライタコネート等が挙
げられる。クロトン酸エステルとしては、エチレングリ
コールジクロトネート、テトラメチレングリコールジク
ロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソ
ルビトールテトラクロトネート等が挙げられる。イソク
ロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソ
クロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネー
ト、ソルビトールテトライソクロトネート等が挙げられ
る。マレイン酸エステルとしては、エチレングリコール
ジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペン
タエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレ
ート等が挙げられる。更に、前述のエステルの混合物も
挙げることができる。
【0127】脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン
酸とのアミドの具体例としては、メチレンビス−アクリ
ルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−
ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサ
メチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミ
ントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミ
ド、キシリレンビスメタクリルアミド等が挙げられる。
【0128】その他の例としては、特公昭48−417
08号公報に記載されている1分子に2個以上のイソシ
アネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記
一般式で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付
加せしめた1分中に2個以上の重合性ビニル基を含有す
るビニルウレタン化合物等が挙げられる。CH2=C
(A)COOCH2CH(B)OH(ただし、A及びB
は水素原子又はメチル基を示す。)
【0129】フォトポリマー型感光層で使用される光重
合開始剤としては、米国特許第2,367,660号明
細書に開示されているビシナールポリケタルドニル化合
物、米国特許第2,367,661号及び第2,36
7,670号明細書に開示されているα−カルボニル化
合物、米国特許第2,448,828号明細書に開示さ
れているアシロインエーテル、米国特許第2,722,
512号明細書に開示されているα−位が炭化水素で置
換された芳香族アシロイン化合物、米国特許第3,04
6,127号及び第2,951,758号明細書に開示
されている多核キノン化合物、米国特許第3,549,
367号明細書に開示されているトリアリールイミダゾ
ールダイマー/p−アミノフェニルケトンの組合せ、米
国特許第3,870,524号明細書に開示されている
ベンゾチアゾール系化合物、米国特許第4,239,8
50号明細書に開示されているベンゾチアゾール性化合
物/トリハロメチル−s−トリアジン系化合物及び米国
特許第3,751,259号明細書に開示されているア
クリジン及びフェナジン化合物、米国特許第4,21
2,970号明細書に開示されているオキサジアゾール
化合物等が含まれ、その使用量は光重合性組成物の総重
量を基準にして、約0.5質量%〜約15質量%、好ま
しくは2〜10質量%の範囲である。
【0130】フォトポリマー型感光層で用いる高分子重
合体としては、特公昭59−44615号に記載されて
いるようなベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)ア
クリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノ
マー共重合体;特公昭54−34327号に記載されて
いるようなメタクリル酸/メタクリル酸メチル又はメタ
クリル酸/メタクリル酸アルキル共重合体、その他特公
昭58−12577号、特公昭54−25957号、特
開昭54−92723号に記載されているような(メ
タ)アクリル酸共重合体、特開昭59−53836号に
記載されているようなアリル(メタ)アクリレート/
(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性
ビニルモノマー共重合体、特開昭59−71048号に
記載される無水マレイン酸共重合体にペンタエリスリト
ールトリアクリレートを半エステル化で付加させたもの
やビニルメタクリレート/メタクリル酸/必要に応じて
その他の付加重合性ビニルモノマー共重合体等の重合体
中に−COOH、−PO32、−SO3H、−SO2NH
2、−SO2NHCO−基を有し、酸価50〜200の酸
性ビニル共重合体を挙げることができる。
【0131】特に、これらの中でベンジル(メタ)アク
リレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の
付加重合性ビニルモノマー共重合体及びアリル(メタ)
アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその
他の付加重合性ビニルモノマー共重合体が好適である。
【0132】これらの高分子重合体は、単独又は二種類
以上の混合物として用いることができる。高分子重合体
の分子量は、その重合体の種類により広範な値をとりう
るが、一般には5,000〜100万、好ましくは、1
万〜50万のものが好適である。高分子重合体の使用量
は、全光重合性組成物重量に対して10質量%〜90質
量%、好ましくは、30質量%〜85質量%である。
【0133】以上の他に、フォトポリマー型感光層には
更に熱重合防止剤を加えておくことが好ましく、例えば
ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブ
チル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテ
コール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチ
ル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン
ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−
メルカプトベンゾイミダゾール等が有用であり、また場
合によっては感光層の着色を目的として染料もしくは顔
料や焼出剤としてpH指示薬等を添加することもでき
る。この他、塗布性を改良するための界面活性剤(例え
ば、特開昭62−170950号、同62−22614
3号、米国特許第3,787,351号に記載のフッ素
系界面活性剤)、アルキルエーテル類を加えてもよい。
【0134】上記フォトポリマー型感光層には更に、基
板と感光層との密着性を向上させるために少なくとも一
つのジアゾニウム基を有する化合物を含有させてもよ
い。このようなジアゾニウム化合物としては、中間層に
おいて述べたジアゾモノマー及びジアゾ樹脂が全て挙げ
られる。
【0135】更に、ジアゾ樹脂の安定化剤として、リン
ゴ酸、亜リン酸、酒石酸、クエン酸、リン酸、ジピコリ
ン酸、多核芳香族スルホン酸及びその塩、スルホサリチ
ル酸等を必要に応じて添加することができる。また、空
気中の酸素の影響による重合禁止作用を防止するため、
ワックス剤を添加することができる。ワックス剤として
用いられるものは、常温では固体であるが塗布液中では
溶解し、塗布・乾燥過程に表面に析出するようなもので
ある。例えば、ステアリン酸、ベヘン酸のような高級脂
肪酸、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド等の高級脂
肪酸アミド、その他高級アルコール等が挙げられる。
【0136】(4)保護層 また、通常、前記感光層の上には、酸素の重合禁止作用
を防止するために酸素遮断性を有する保護層が設けられ
る。酸素遮断性保護層に含まれる水溶性ビニル重合体と
しては、ポリビニルアルコール、及びその部分エステ
ル、エーテル及びアセタール、又はそれらに必要な水溶
性を有せしめるような実質的量の未置換ビニルアルコー
ル単位を含有するその共重合体が挙げられる。ポリビニ
ルアルコールとしては、71〜100%加水分解され、
重合度が300〜2400の範囲のものが挙げられる。
具体的には、株式会社クラレ製PVA−110、PVA
−117、PVA−117H、PVA−120、PVA
−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−
CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−20
4、PVA−205、PVA−210、PVA−21
7、PVA−220、PVA−224、PVA−217
EE、PVA−220、PVA−224、PVA−21
7EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA
−224E、PVA−405、PVA−420、PVA
−613、L−8等が挙げられる。上記の共重合体とし
ては、88〜100%加水分解されたポリビニルアセテ
ートクロロアセテート又はプロピオネート、ポリビニル
ホルマール及びポリビニルアセタール及びそれらの共重
合体が挙げられる。その他、有用な重合体としては、ポ
リビニルピロリドン、ゼラチン及びアラビアゴムが挙げ
られ、これらは単独又は併用してもよい。
【0137】酸素遮断性保護層を塗布する際に用いる溶
媒としては、純粋が好ましいが、メタノールやエタノー
ルなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン
などのケトン類が純粋と混合してもよい。そして、塗布
溶液中の固形分の濃度は1〜20重量%が適当である。
前記酸素遮断保護層には、更に、塗布性を向上させるた
めの界面活性剤、被膜の物性を改良するための水溶性の
可塑剤等の公知の添加剤を加えてもよい。水溶性の可塑
剤としては、例えば、プロピオンアミド、シクロヘキサ
ンジオール、グリセリン、ソルビトール等がある。ま
た、水溶性の(メタ)アクリル系ポリマーなどを添加し
てもよい。その被覆量は、乾燥後の重量で約0.1g/
2〜約15g/m2の範囲が適当である。より好ましく
は、1.0g/m2〜5.0g/m2である。
【0138】[4.サーマルポジ型平版印刷版原版]サ
ーマルポジ型平版印刷版原版は、中間層及び感光層の塗
布層から構成され、以下にその詳細について説明する
が、これに限定されるものではない。
【0139】(1)中間層 本発明に用いられるサーマルポジ型平版印刷版原版の中
間層に含有される重合体は、少なくとも酸基を有するモ
ノマー及びオニウム基を有するモノマーを重合してなる
化合物である。ここで、酸基としては、酸解離指数(p
Ka)が7以下の酸基が好ましく、より好ましくは−C
OOH,−SO3H,−OSO3H,−PO32,−OP
32,−CONHSO2,−SO2NHSO2−であ
り、特に好ましくは−COOHである。また、オニウム
基として好ましいものは、周期律表第V族あるいは第I
V族の原子からなるオニウム基であり、より好ましくは
窒素原子、リン原子あるいはイオウ原子からなるオニウ
ム基であり、特に好ましくは窒素原子からなるオニウム
基である。
【0140】本発明における重合体の中で、好ましく
は、この重合体の主鎖構造がアクリル樹脂やメタクリル
樹脂やポリスチレンのようなビニル系ポリマーあるいは
ウレタン樹脂あるいはポリエステルあるいはポリアミド
であることを特徴とする重合体化合物である。より好ま
しくは、この重合体の主鎖構造がアクリル樹脂やメタク
リル樹脂やポリスチレンのようなビニル系ポリマーであ
ることを特徴とする重合体化合物である。 特に好まし
くは、酸基を有するモノマーが下記の一般式(1)ある
いは一般式(2)で表される化合物であり、オニウム基
を有するモノマーが後記の一般式(3)、一般式(4)
あるいは一般式(5)で表される化合物であることを特
徴とする重合体化合物である。
【0141】
【化1】
【0142】式中、Aは2価の連結基を表す。Bは芳香
族基あるいは置換芳香族基を表す。D及びEはそれぞれ
独立して2価の連結基を表す。Gは3価の連結基を表
す。X及びX’はそれぞれ独立してpKaが7以下の酸
基あるいはそのアルカリ金属塩あるいはアンモニウム塩
を表す。R1 は水素原子、アルキル基又はハロゲン原子
を表す。a,b,d,eはそれぞれ独立して0又は1を
表す。tは1〜3の整数である。
【0143】酸基を有するモノマーの中でより好ましく
は、Aは−COO−又はCONH−を表し、Bはフェニ
レン基あるいは置換フェニレン基を表し、その置換基は
水酸基、ハロゲン原子あるいはアルキル基である。D及
びEはそれぞれ独立してアルキレン基あるいは分子式が
n2nO、Cn2nSあるいはCn2n+1Nで表される
2価の連結基を表す。Gは分子式がCn2n-1、Cn
2n-1O、Cn2n-1SあるいはCn2nNで表される3価
の連結基を表す。但し、ここで、nは1〜12の整数を
表す。X及びX’はそれぞれ独立してカルボン酸、スル
ホン酸、ホスホン酸、硫酸モノエステルあるいは燐酸モ
ノエステルを表す。R1は水素原子又はアルキル基を表
す。a,b,d,eはそれぞれ独立して0又は1を表す
が、aとbは同時に0ではない。
【0144】酸基を有するモノマーの中で特に好ましく
は一般式(1)で示す化合物であり、Bはフェニレン基
あるいは置換フェニレン基を表し、その置換基は水酸基
であるいは炭素数1〜3のアルキル基である。D及びE
はそれぞれ独立して炭素数1〜2のアルキレン基あるい
は酸素原子で連結した炭素数1〜2のアルキレン基を表
す。R1は水素原子又はアルキル基を表す。Xはカルボ
ン酸基を表す。aは0であり、bは1である。
【0145】酸基を有するモノマーの具体例を以下に示
す。ただし、本発明はこの具体例に限定されるものでは
ない。 (酸基を有するモノマーの具体例)アクリル酸、メタク
リル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、イタコン酸、マ
レイン酸、無水マレイン酸
【0146】
【化2】
【0147】
【化3】
【0148】
【化4】
【0149】次に、オニウム基を有するモノマーであ
る、下記一般式(3)、(4)、(5)で表わされるポ
リマーについて説明する。
【0150】
【化5】
【0151】式中、Jは2価の連結基を表す。Kは芳香
族基あるいは置換芳香族基を表す。Mはそれぞれ独立し
て2価の連結基を表す。Y1は周期率表第V族の原子を
表し、Y2は周期率表第VI族の原子を表す。Z-は対ア
ニオンを表す。R2は水素原子、アルキル基又はハロゲ
ン原子を表す。R3,R4,R5,R7はそれぞれ独立して
水素原子あるいは場合によっては置換基が結合してもよ
いアルキル基、芳香族基、アラルキル基を表し、R6
アルキリジン基あるいは置換アルキリジンを表すが、R
3とR4あるいはR6とR7はそれぞれ結合して環を形成し
てもよい。j,k,mはそれぞれ独立して0又は1を表
す。uは1〜3の整数を表す。
【0152】オニウム基を有するモノマーの中でより好
ましくは、Jは−COO−又はCONH−を表し、Kは
フェニレン基あるいは置換フェニレン基を表し、その置
換基は水酸基、ハロゲン原子あるいはアルキル基であ
る。Mはアルキレン基あるいは分子式がCn2nO、Cn
2nSあるいはCn2n+1Nで表される2価の連結基を
表す。但し、ここで、nは1〜12の整数を表す。Y1
は窒素原子又はリン原子を表し、Y2はイオウ原子を表
す。Z-はハロゲンイオン、PF6 -、BF4 -あるいはR8
SO3 -を表す。R2は水素原子又はアルキル基を表す。
3,R4,R5,R7はそれぞれ独立して水素原子あるい
は場合によっては置換基が結合してもよい炭素数1〜1
0のアルキル基、芳香族基、アラルキル基を表し、R6
は炭素数1〜10のアルキリジン基あるいは置換アルキ
リジンを表すが、R3とR4あるいはR 6とR7はそれぞれ
結合して環を形成してもよい。j,k,mはそれぞれ独
立して0又は1を表すが、jとkは同時に0ではない。
8は置換基が結合してもよい炭素数1〜10のアルキ
ル基、芳香族基、アラルキル基を表す。
【0153】オニウム基を有するモノマーの中で特に好
ましくは、Kはフェニレン基あるいは置換フェニレン基
を表し、その置換基は水素原子あるいは炭素数1〜3の
アルキル基である。Mは炭素数1〜2のアルキレン基あ
るいは酸素原子で連結した炭素数1〜2のアルキレン基
を表す。Z-は塩素イオンあるいはR8SO3 -を表す。R
2は水素原子あるいはメチル基を表す。jは0であり、
kは1である。R8は炭素数1〜3のアルキル基を表
す。
【0154】オニウム基を有するモノマーの具体例を以
下に示す。ただし、本発明はこの具体例に限定されるも
のではない。 (オニウム基を有するモノマーの具体例)
【0155】
【化6】
【0156】
【化7】
【0157】
【化8】
【0158】また、酸基を有するモノマーは1種類ある
いは2種類以上組み合わせて用いても良く、また、オニ
ウム基を有するモノマーも1種類あるいは2種類以上組
み合わせて用いてもよい。更に、当該発明に係る重合体
は、モノマーあるいは組成比あるいは分子量の異なるも
のを2種類以上混合して用いてもよい。この際、酸基を
有するモノマーを重合成分として有する重合体は、酸基
を有するモノマーを1モル%以上、好ましくは5モル%
以上含み、オニウム基を有するモノマーを重合成分とし
て有する重合体は、オニウム基を有するモノマーを1モ
ル%以上、好ましくは5モル%以上含むことが望まし
い。
【0159】更に、これらの重合体は、以下の(1)〜
(14)に示す重合性モノマーから選ばれる少なくとも
1種を共重合成分として含んでいてもよい。 (1)N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド
又はN−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミ
ド、o−、m−又はp−ヒドロキシスチレン、o−又は
m−ブロモ−p−ヒドロキシスチレン、o−又はm−ク
ロル−p−ヒドロキシスチレン、o−、m−又はp−ヒ
ドロキシフェニルアクリレート又はメタクリレート等の
芳香族水酸基を有するアクリルアミド類、メタクリルア
ミド類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル
類及びビドロキシスチレン類、(2)アクリル酸、メタ
クリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸及びそのハーフ
エステル、イタコン酸、無水イタコン酸及びそのハーフ
エステルなどの不飽和カルボン酸、
【0160】(3)N−(o−アミノスルホニルフェニ
ル)アクリルアミド、N−(m−アミノスルホニルフェ
ニル)アクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフ
ェニル)アクリルアミド、N−〔1−(3−アミノスル
ホニル)ナフチル〕アクリルアミド、N−(2−アミノ
スルホニルエチル)アクリルアミドなどのアクリルアミ
ド類、N−(o−アミノスルホニルフェニル)メタクリ
ルアミド、N−(m−アミノスルホニルフェニル)メタ
クリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)
メタクリルアミド、N−〔1−(3−アミノスルホニ
ル)ナフチル〕メタクリルアミド、N−(2−アミノス
ルホニルエチル)メタクリルアミドなどのメタクリルア
ミド類、また、o−アミノスルホニルフェニルアクリレ
ート、m−アミノスルホニルフェニルアクリレート、p
−アミノスルホニルフェニルアクリレート、1−(3−
アミノスルホニルフェニルナフチル)アクリレートなど
のアクリル酸エステル類などの不飽和スルホンアミド、
o−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、m−ア
ミノスルホニルフェニルメタクリレート、p−アミノス
ルホニルフェニルメタクリレート、1−(3−アミノス
ルホニルフェニルナフチル)メタクリレートなどのメタ
クリル酸エステル類などの不飽和スルホンアミド、
【0161】(4)トシルアクリルアミドのように置換
基があってもよいフェニルスルホニルアクリルアミド、
及びトシルメタクリルアミドのような置換基があっても
よいフェニルスルホニルメタクリルアミド。(5)脂肪
族水酸基を有するアクリル酸エステル類及びメタクリル
酸エステル類、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレ
ート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート、(6)
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロ
ピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル
酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オ
クチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、ア
クリル酸−2−クロロエチル、アクリル酸4−ヒドロキ
シブチル、グリシジルアクリレート、N−ジメチルアミ
ノエチルアクリレートなどの(置換)アクリル酸エステ
ル、(7)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、
メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリ
ル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シク
ロヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸フェ
ニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロ
ロエチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、グリシ
ジルメタクリレート、N−ジメチルアミノエチルメタク
リレートなどの(置換)メタクリル酸エステル、
【0162】(8)アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメ
タクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチ
ルメタクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N
−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアク
リルアミド、N−シクロヘキシルメタクリルアミド、N
−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエ
チルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N
−フェニルメタクリルアミド、N−ベンジルアクリルア
ミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−ニトロフェ
ニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルメタクリルア
ミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド及びN
−エチル−N−フェニルメタクリルアミドなどのアクリ
ルアミドもしくはメタクリルアミド、(9)エチルビニ
ルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロ
キシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、
ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェ
ニルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、
【0163】(10)ビニルアセテート、ビニルクロロ
アセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニルなどの
ビニルエステル類、(11)スチレン、α−メチルスチ
レン、メチルスチレン、クロロメチルスチレンなどのス
チレン類、(12)メチルビニルケトン、エチルビニル
ケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン
などのビニルケトン類、(13)エチレン、プロピレ
ン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレンなどのオレ
フィン類、(14)N−ビニルピロリドン、N−ビニル
カルバゾール、4−ビニルピリジン、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリルなど。
【0164】なお、ここで使用する重合体には酸基を有
するモノマーを1モル%以上、好ましくは5モル%以上
含み、オニウム基を有するモノマーを1モル%以上、好
ましくは5モル%以上含むことが望ましい。更に、酸基
を有するモノマーが20モル%以上含まれると、アルカ
リ現像時の溶解除去が一層促進され、オニウム基を有す
るモノマーが1モル%以上含まれると酸基との相乗効果
により密着性が一層向上される。また、酸基を有する構
成成分は1種類あるいは2種類以上組み合わせても良
く、また、オニウム基を有するモノマーも1種類あるい
は2種類以上組み合わせてもよい。更に、当該発明に係
る重合体は、モノマーあるいは組成比あるいは分子量の
異なるものを2種類以上混合して用いてもよい。
【0165】本発明において、好適に用いることのでき
る重合体の代表的な例及び合成法は、特開2000−1
08538号公報の段落番号[0035]〜[005
1]に記載されたものを挙げることができる。
【0166】また、本発明に用いられるサーマルポジ型
平版印刷版における中間層には、前記重合体に加え下記
一般式(6)で示される化合物を添加することもでき
る。
【0167】
【化9】
【0168】(式中、R1は炭素数6〜14のアリーレ
ン基を表し、m、nは独立して1から3の整数を表
す。) 上記一般式(6)で示される化合物について、以下に説
明する。R1で表わされるアリーレン基の炭素数は6〜
14が好ましく、6〜10が更に好ましい。R1で表わ
されるアリーレン基として具体的には、フェニレン基、
ナフチル基、アンスリル基、フェナスリル基等が挙げら
れる。R1で表わされるアリーレン基は炭素数1〜10
のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数
2〜10のアルキニル基、炭素数6〜10のアリール
基、カルボン酸エステル基、アルコキシ基、フェノキシ
基、スルホン酸エステル基、ホスホン酸エステル基、ス
ルホニルアミド基、ニトロ基、ニトリル基、アミノ基、
ヒドロキシ基、ハロゲン原子、エチレンオキサイド基、
プロピレンオキサイド基、トリエチルアンモニウムクロ
ライド基等で置換されていてもよい。
【0169】一般式(6)で示される化合物の具体的な
例としては、例えば、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒ
ドロキシ安息香酸、サリチル酸、1−ヒドロキシー2−
ナフトエ酸、2−ヒドロキシー1−ナフトエ酸、2−ヒ
ドロシキー3−ナフトエ酸、2,4−ジヒドロキシ安息
香酸、10−ヒドロキシ−9−アントラセンカルボン酸
などが挙げられる。但し、上記の具体例に限定されるも
のではなく、また、一般式(6)で示される化合物を1
種類又は2種類以上混合して用いてもよい。
【0170】上述の重合体と、必要に応じて添加される
上記一般式(6)で示される化合物を含む中間層は、後
述する親水化処理を施したアルミニウム支持体上に種々
の方法により塗布して設けられる。
【0171】この中間層は次の方法で設けることができ
る。メタノール、エタノール、メチルエチルケトンなど
の有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤あるいはこれらの
有機溶剤と水との混合溶剤に本発明に係る重合体及び必
要に応じて添加される一般式(6)で示される化合物を
溶解させた溶液をアルミニウム支持体上に塗布、乾燥し
て設ける塗布方法。あるいはメタノール、エタノール、
メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混
合溶剤あるいはこれらの有機溶剤と水との混合溶剤に、
本発明に係る重合体及び必要に応じて添加される一般式
(6)で示される化合物を溶解させた溶液に、アルミニ
ウム支持体を浸漬し、しかる後、水洗あるいは空気など
によって洗浄、乾燥して中間層を設ける塗布方法を挙げ
ることができる。
【0172】前者の方法では、上記化合物合計で0.0
05〜10重量%の濃度の溶液を種々の方法で塗布でき
る。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗
布、カーテン塗布などいずれの方法を用いてもよい。ま
た、後者の方法では、溶液の濃度は0.005〜20重
量%、好ましくは0.01%〜10重量%であり、浸漬
温度0℃〜70℃、好ましくは5〜60℃であり、浸漬
時間は0.1秒〜5分、好ましくは0.5秒〜120秒
である。
【0173】上記の溶液は、アンモニア、トリエチルア
ミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩酸、リン
酸、硫酸、硝酸などの無機酸、ニトロベンゼンスルホン
酸、ナフタレンスルホン酸などの有機スルホン酸、フェ
ニルホスホン酸などの有機ホスホン酸、安息香酸、クマ
ル酸、リンゴ酸などの有機カルボン酸など種々有機酸性
物質、ナフタレンスルホニルクロライド、ベンゼンスル
ホニルクロライドなどの有機クロライド等によりpHを
調整し、pH=0〜12、より好ましくはpH=0〜6
の範囲で使用することもできる。また、感光性平版印刷
版の調子再現性改良のために紫外光や可視光、赤外光な
どを吸収する物質を添加することもできる。
【0174】本発明において中間層を構成する化合物の
乾燥後の被覆量は、合計で1〜100mg/m2が適当
であり、好ましくは2〜70mg/m2である。上記被
覆量が1mg/m2よりも少ないと十分な効果が得られ
ない。また100mg/m2よりも多くても同様であ
る。
【0175】(2)感光層 本発明に用いられるサーマルポジ型平版印刷版原版の感
光層に含まれる赤外線レーザ用ポジ型感光性組成物は、
(A)アルカリ可溶性高分子化合物、(B)該アルカリ
可溶性高分子化合物と相溶することにより該高分子化合
物のアルカリ水溶液への溶解性を低下させるとともに、
加熱により該溶解性低下作用が減少する化合物、及び
(C)光を吸収して発熱する化合物を含有し、更に必要
に応じて、その他の成分を含有してなる。
【0176】−(A)アルカリ可溶性高分子化合物− 本発明に使用されるアルカリ可溶性高分子化合物は、従
来公知のものであれば特に制限はないが、(1)フェノ
ール性水酸基、(2)スルホンアミド基、(3)活性イ
ミド基のいずれかの官能基を分子内に有する高分子化合
物であることが好ましい。例えば以下のものが例示され
るが、これらに限定されるものではない。
【0177】(1)フェノール性水酸基を有する高分子
化合物としては、例えば、フェノールホルムアルデヒド
樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレ
ゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾー
ルホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m
−,p−,又はm−/p−混合のいずれでもよい)混合
ホルムアルデヒド樹脂等のノボラック樹脂やピロガロー
ルアセトン樹脂が挙げられる。フェノール性水酸基を有
する高分子化合物としてはこの他に、側鎖にフェノール
性水酸基を有する高分子化合物を用いることが好まし
い。側鎖にフェノール性水酸基を有する高分子化合物と
しては、フェノール性水酸基と重合可能な不飽和結合を
それぞれ1つ以上有する低分子化合物からなる重合性モ
ノマーを単独重合、或いは該モノマーに他の重合性モノ
マーを共重合させて得られる高分子化合物が挙げられ
る。
【0178】フェノール性水酸基を有する重合性モノマ
ーとしては、フェノール性水酸基を有するアクリルアミ
ド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリ
ル酸エステル、又はヒドロキシスチレン等が挙げられ
る。具体的には、N−(2−ヒドロキシフェニル)アク
リルアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)アクリル
アミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミ
ド、N−(2−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミ
ド、N−(3−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミ
ド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミ
ド、o−ヒドロキシフェニルアクリレート、m−ヒドロ
キシフェニルアクリレート、p−ヒドロキシフェニルア
クリレート、o−ヒドロキシフェニルメタクリレート、
m−ヒドロキシフェニルメタクリレート、p−ヒドロキ
シフェニルメタクリレート、o−ヒドロキシスチレン、
m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、2
−(2−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2
−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2
−(4−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2
−(2−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、
2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレー
ト、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレ
ート等を好適に使用することができる。かかるフェノー
ル性水酸基を有する樹脂は、2種類以上を組み合わせて
使用してもよい。更に、米国特許第4,123,279
号明細書に記載されているように、t−ブチルフェノー
ルホルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノールホルムア
ルデヒド樹脂のような、炭素数3〜8のアルキル基を置
換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮
重合体を併用してもよい。
【0179】(2)スルホンアミド基を有するアルカリ
可溶性高分子化合物としては、スルホンアミド基を有す
る重合性モノマーを単独重合、或いは該モノマーに他の
重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物が
挙げられる。スルホンアミド基を有する重合性モノマー
としては、1分子中に、窒素原子上に少なくとも1つの
水素原子が結合したスルホンアミド基−NH−SO2
と、重合可能な不飽和結合をそれぞれ1つ以上有する低
分子化合物からなる重合性モノマーが挙げられる。その
中でも、アクリロイル基、アリル基、又はビニロキシ基
と、置換或いはモノ置換アミノスルホニル基又は置換ス
ルホニルイミノ基とを有する低分子化合物が好ましい。
このような化合物としては、例えば、下記一般式(I)
〜(V)で示される化合物が挙げられる。
【0180】
【化10】
【0181】式中、X1及びX2は、それぞれ−O−又は
−NR7−を示す。R1及びR4は、それぞれ水素原子又
は−CH3を表す。R2、R5、R9、R12及びR16は、そ
れぞれ置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアル
キレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアラ
ルキレン基を表す。R3、R7及びR13は、水素原子、そ
れぞれ置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアル
キル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル
基を表す。また、R6及びR17は、それぞれ置換基を有
していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロア
ルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す。R8
10及びR14は、水素原子又は−CH3を表す。R11
びR15は、それぞれ単結合又は置換基を有していてもよ
い炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン
基、アリーレン基又はアラルキレン基を表す。Y1及び
2は、それぞれ単結合又は−CO−を表す。具体的に
は、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、N
−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミ
ド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルア
ミド等を好適に使用することができる。
【0182】(3)活性イミド基を有するアルカリ可溶
性高分子化合物は、下記式で表される活性イミド基を分
子内に有するものが好ましく、この高分子化合物として
は、1分子中に、下記式で表わされる活性イミド基と、
重合可能な不飽和結合をそれぞれ一つ以上有する低分子
化合物からなる重合性モノマーを単独重合、或いは該モ
ノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高
分子化合物が挙げられる。
【0183】
【化11】
【0184】このような化合物としては、具体的には、
N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド、N
−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド等を好適
に使用することができる。
【0185】更に、本発明においてアルカリ可溶性高分
子化合物としては、前記フェノール性水酸基を有する重
合性モノマー、スルホンアミド基を有する重合性モノマ
ー、及び活性イミド基を有する重合性モノマーのうちの
2種以上を重合させた高分子化合物、或いはこれら2種
以上の重合性モノマーに他の重合性モノマーを共重合さ
せて得られる高分子化合物を使用することが好ましい。
フェノール性水酸基を有する重合性モノマーに、スルホ
ンアミド基を有する重合性モノマー及び/又は活性イミ
ド基を有する重合性モノマーを共重合させる場合には、
これら成分の配合重量比は50:50から5:95の範
囲にあることが好ましく、40:60から10:90の
範囲にあることが特に好ましい。
【0186】本発明において、アルカリ可溶性高分子化
合物が前記フェノール性水酸基を有する重合性モノマ
ー、スルホンアミド基を有する重合性モノマー、又は活
性イミド基を有する重合性モノマーと、他の重合性モノ
マーとの共重合体である場合には、アルカリ可溶性を付
与するモノマーは10モル%以上含むことが好ましく、
20モル%以上含むものがより好ましい。共重合成分が
10モル%より少ないと、アルカリ可溶性が不十分とな
りやすく、現像ラチチュードの向上効果が十分達成され
ないことがある。
【0187】前記フェノール性水酸基を有する重合性モ
ノマー、スルホンアミド基を有する重合性モノマー、又
は活性イミド基を有する重合性モノマーと共重合させる
モノマー成分としては、例えば、下記(1)〜(12)
に挙げるモノマーを用いることができるが、これらに限
定されるものではない。 (1)例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート又は
2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基
を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エス
テル類。 (2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、ア
クリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベ
ンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルア
クリレート、N−ジメチルアミノエチルアクリレート等
のアルキルアクリレート。 (3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸
アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘ
キシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−ク
ロロエチル、グリシジルメタクリレート、N−ジメチル
アミノエチルメタクリレート等のアルキルメタクリレー
ト。 (4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロ
ールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−
ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリ
ルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−
フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリル
アミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等の
アクリルアミド若しくはメタクリルアミド。 (5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニル
エーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピル
ビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニ
ルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテ
ル類。
【0188】(6)ビニルアセテート、ビニルクロロア
セテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニ
ルエステル類。 (7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレ
ン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。 (8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロ
ピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケ
トン類。 (9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエ
ン、イソプレン等のオレフィン類。 (10)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾー
ル、4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル等。 (11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミ
ド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニル
メタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタ
クリルアミド等の不飽和イミド。 (12)アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、
イタコン酸等の不飽和カルボン酸。
【0189】本発明においてアルカリ可溶性高分子化合
物が、前記フェノール性水酸基を有する重合性モノマ
ー、スルホンアミド基を有する重合性モノマー、又は活
性イミド基を有する重合性モノマーの単独重合体或いは
共重合体の場合、重量平均分子量が2,000以上、数
平均分子量が500以上のものが好ましい。更に好まし
くは、重量平均分子量が5,000〜300,000
で、数平均分子量が800〜250,000であり、分
散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.1〜10
のものである。また、本発明においてアルカリ可溶性高
分子化合物がフェノールホルムアルデヒド樹脂、クレゾ
ールアルデヒド樹脂等の樹脂である場合には、重量平均
分子量が500〜20,000であり、数平均分子量が
200〜10,000のものが好ましい。
【0190】これらアルカリ可溶性高分子化合物は、そ
れぞれ1種類或いは2種類以上を組み合わせて使用して
もよく、前記感光層全固形分中、30〜99重量%、好
ましくは40〜95重量%、特に好ましくは50〜90
重量%の添加量で用いられる。アルカリ可溶性高分子化
合物の添加量が30重量%未満であると感光層の耐久性
が悪化し、また、99重量%を超えると感度、耐久性の
両面で好ましくない。
【0191】−(B)前記アルカリ可溶性高分子化合物
と相溶することにより該高分子化合物のアルカリ水溶液
への溶解性を低下させるとともに、加熱により該溶解性
低下作用が減少する化合物− 該(B)成分は、分子内に存在する水素結合性の官能基
の働きにより、(A)アルカリ可溶性高分子化合物との
相溶性が良好であり、均一な塗布液を形成し得るととも
に、(A)成分との相互作用により、該高分子化合物の
アルカリ可溶性を抑制する機能を有する化合物を指す。
また、この化合物は加熱によりこの溶解性低下作用が消
滅するが、(B)成分自体が加熱により分解する化合物
である場合、分解に充分なエネルギーがレーザの出力や
照射時間等の条件によって付与されないと、溶解性の抑
制作用の低下が不充分であり、感度が低下するおそれが
あるため、(B)成分の熱分解温度は150℃以上であ
ることが好ましい。
【0192】本発明に用いられる好適な(B)成分とし
ては、スルホン化合物、アンモニウム塩、ホスホニウム
塩、アミド化合物等、前記(A)成分と相互作用する化
合物が挙げられる。(B)成分は、先に述べた如く
(A)成分との相互作用を考慮して適宜選択されるべき
であり、具体的には、例えば、(A)成分としてノボラ
ック樹脂を単独で用いる場合、後に例示するシアニン染
料A等が好適に使用される。
【0193】(A)成分と(B)成分との配合比は、通
常、99/1〜75/25の範囲であることが好まし
い。99/1よりも(B)成分が少ない場合、(A)成
分との相互作用が不充分となり、アルカリ可溶性を阻害
できず、良好な画像形成ができ難い。また、75/25
よりも(B)成分が多い場合、相互作用が過大であるた
め著しく感度が低下し、いずれも好ましくない。
【0194】−(C)光を吸収して発熱する化合物− 本発明における光を吸収して発熱する化合物とは、70
0以上、好ましくは750〜1200nmの赤外域に光
吸収域があり、この範囲の波長の光において、光/熱変
換能を発現するものを指し、具体的には、この波長域の
光を吸収し熱を発生する種々の顔料もしくは染料を用い
ることができる。前記顔料としては、市販の顔料及びカ
ラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」
(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応
用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ
技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔
料が利用できる。
【0195】前記顔料の種類としては、黒色顔料、黄色
顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔
料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その
他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶
性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレート
アゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔
料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔
料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソイ
ンドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ
顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔
料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用で
きる。
【0196】これら顔料は表面処理をせずに用いてもよ
く、表面処理をほどこして用いてもよい。表面処理の方
法には樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性
剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカッ
プリング剤やエポキシ化合物、ポリイソシアネート等)
を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表
面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、
「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び
「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に
記載されている。
【0197】前記顔料の粒径は、0.01〜10μmの
範囲にあることが好ましく、0.05〜1μmの範囲に
あることが更に好ましく、0.1〜1μmの範囲にある
ことが特に好ましい。顔料の粒径が0.01μm未満の
ときは分散物の感光層塗布液中での安定性の点で好まし
くなく、また、10μmを越えると感光層の均一性の点
で好ましくない。前記顔料を分散する方法としては、イ
ンク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が
使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミ
ル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボール
ミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイド
ミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等
が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC
出版、1986年刊)に記載がある。
【0198】前記染料としては、市販の染料及び文献
(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45
年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体
的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ
染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カル
ボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニ
ン染料等の染料が挙げられる。本発明において、これら
の顔料、若しくは染料のうち赤外光、若しくは近赤外光
を吸収するものが、赤外光若しくは近赤外光を発光する
レーザでの利用に適する点で特に好ましい。
【0199】そのような赤外光、若しくは近赤外光を吸
収する顔料としてはカーボンブラックが好適に用いられ
る。また、赤外光、若しくは近赤外光を吸収する染料と
しては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭
59−84356号、特開昭59−202829号、特
開昭60−78787号等の公報に記載されているシア
ニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−
181690号、特開昭58−194595号等の公報
に記載されているメチン染料、特開昭58−11279
3号、特開昭58−224793号、特開昭59−48
187号、特開昭59−73996号、特開昭60−5
2940号、特開昭60−63744号等の公報に記載
されているナフトキノン染料、特開昭58−11279
2号等の公報に記載されているスクワリリウム色素、英
国特許434,875号公報に記載のシアニン染料、米
国特許5,380,635号公報に記載のジヒドロペリ
ミジンスクアリリウム染料等を挙げることができる。
【0200】また、前記染料として米国特許第5,15
6,938号公報に記載の近赤外吸収増感剤も好適に用
いられ、また、米国特許第3,881,924号公報に
記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム
塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,32
7,169号)公報に記載のトリメチンチアピリリウム
塩、特開昭58−181051号、同58−22014
3号、同59−41363号、同59−84248号、
同59−84249号、同59−146063号、同5
9−146061号公報に記載されているピリリウム系
化合物、特開昭59−216146号公報に記載のシア
ニン色素、米国特許第4,283,475号公報に記載
のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−135
14号、同5−19702号公報に開示されているピリ
リウム化合物、EpolightIII−178、Ep
olight III−130、Epolight I
II−125、Epolight IV −62A等は
特に好ましく用いられる。
【0201】また、前記染料として特に好ましい別の例
として米国特許第4,756,993号明細書中に式
(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料
を挙げることができる。これらの顔料若しくは染料は、
前記感光層全固形分に対し0.01〜50重量%、好ま
しくは0.1〜10重量%、染料の場合特に好ましくは
0.5〜10重量%、顔料の場合特に好ましくは3.1
〜10重量%の割合で前記感光性組成物中に添加するこ
とができる。顔料若しくは染料の添加量が0.01重量
%未満であると感度が低くなり、また50重量%を越え
ると感光層の均一性が失われ、感光層の耐久性が悪くな
る。これらの染料若しくは顔料は他の成分と同一の層に
添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよ
い。別の層とする場合、本発明において熱分解性であり
かつ分解しない状態ではアルカリ可溶性高分子化合物の
溶解性を実質的に低下させる物質を含む層に隣接する層
へ添加するのが望ましい。また、染料若しくは顔料とア
ルカリ可溶性高分子化合物は同一の層が好ましいが、別
の層でも構わない。
【0202】−(B+C)成分− 本発明においては、(B)アルカリ可溶性高分子化合物
と相溶することにより該高分子化合物のアルカリ水溶液
への溶解性を低下させるとともに、加熱により該溶解性
低下作用が減少する化合物と、(C)光を吸収して発熱
する化合物とに換えて、双方の特性を有する一つの化合
物(以下、「(B+C)成分」と称することがある)を
含有することもでき、その化合物としては、例えば、下
記一般式(Z)で表されるものが挙げられる。
【0203】
【化12】
【0204】前記一般式(Z)中、R1〜R4は、それぞ
れ独立に水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜1
2のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、シクロ
アルキル基、アリール基を表し、R1とR2、R3とR4
それぞれ結合して環構造を形成していてもよい。ここ
で、R1〜R4としては、具体的には、水素原子、メチル
基、エチル基、フェニル基、ドデシル基、ナフチル基、
ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基等が挙げられ
る。また、これらの基が置換基を有する場合、その置換
基としては、ハロゲン原子、カルボニル基、ニトロ基、
ニトリル基、スルホニル基、カルボキシル基、カルボン
酸エステル、スルホン酸エステル等が挙げられる。R5
〜R10は、それぞれ独立に置換基を有してもよい炭素数
1〜12のアルキル基を表し、ここで、R5〜R10とし
ては、具体的には、メチル基、エチル基、フェニル基、
ドデシル基、ナフチル基、ビニル基、アリル基、シクロ
ヘキシル基等が挙げられる。また、これらの基が置換基
を有する場合、その置換基としては、ハロゲン原子、カ
ルボニル基、ニトロ基、ニトリル基、スルホニル基、カ
ルボキシル基、カルボン酸エステル、スルホン酸エステ
ル等が挙げられる。
【0205】R11〜R13は、それぞれ独立に水素原子、
ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜8のア
ルキル基を表し、ここで、R12は、R11又はR13と結合
して環構造を形成していてもよく、m>2の場合は、複
数のR12どうしが結合して環構造を形成していてもよ
い。R11〜R13としては、具体的には、塩素原子、シク
ロヘキシル基、R12どうしが結合してなるシクロペンチ
ル環、シクロヘキシル環等が挙げられる。また、これら
の基が置換基を有する場合、その置換基としては、ハロ
ゲン原子、カルボニル基、ニトロ基、ニトリル基、スル
ホニル基、カルボキシル基、カルボン酸エステル、スル
ホン酸エステル等が挙げられる。また、mは1〜8の整
数を表し、好ましくは1〜3である。R14〜R15は、そ
れぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、置換基を有して
もよい炭素数1〜8のアルキル基を表し、R14はR15
結合して環構造を形成していてもよく、m>2の場合
は、複数のR14どうしが結合して環構造を形成していて
もよい。R14〜R15しては、具体的には、塩素原子、シ
クロヘキシル基、R14どうしが結合してなるシクロペン
チル環、シクロヘキシル環等が挙げられる。また、これ
らの基が置換基を有する場合、その置換基としては、ハ
ロゲン原子、カルボニル基、ニトロ基、ニトリル基、ス
ルホニル基、カルボキシル基、カルボン酸エステル、ス
ルホン酸エステル等が挙げられる。また、mは1〜8の
整数を表し、好ましくは1〜3である。
【0206】前記一般式(Z)において、X-は、アニ
オンを表す。アニオンの具体例としては、過塩素酸、四
フッ化ホウ酸、六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフ
タレンスルホン酸、5−ニトロ−o−トルエンスルホン
酸、5−スルホサリチル酸、2,5−ジメチルベンゼン
スルホン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン
酸、2−ニトロベンゼンスルホン酸、3−クロロベンゼ
ンスルホン酸、3−ブロモベンゼンスルホン酸、2−フ
ルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼ
ンスルホン酸、1−ナフトール−5−スルホン酸、2−
メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイル−ベンゼン
スルホン酸、及びパラトルエンスルホン酸等を挙げるこ
とができる。これらの中でも特に六フッ化リン酸、トリ
イソプロピルナフタレンスルホン酸や2,5−ジメチル
ベンゼンスルホン酸のごときアルキル芳香族スルホン酸
が好ましく用いられる。
【0207】前記一般式(Z)で表される化合物は、一
般にシアニン染料と呼ばれる化合物であり、具体的に
は、以下に示す化合物が好適に用いられるが、本発明は
この具体例に制限されるものではない。
【0208】
【化13】
【0209】前記(B+C)成分は、光を吸収して熱を
発生する性質(即ち、(C)成分の特性)を有し、しか
も700〜1200nmの赤外域に吸収域をもち、更に
アルカリ可溶性高分子化合物との相溶性も良好であり、
塩基性染料であり、分子内にアンモニウム基、イミニウ
ム基等のアルカリ可溶性高分子化合物と相互作用する基
を有する(即ち、(B)成分の特性を有する)ために該
高分子化合物と相互作用して、そのアルカリ可溶性を制
御することができ、本発明に好適に用いることができ
る。
【0210】本発明において、(B)成分、(C)成分
に換えて、前記のシアニン染料の如く双方の特性を兼ね
備える化合物(B+C)成分を用いる場合、この化合物
の添加量は、(A)成分に対して、99/1〜70/3
0の範囲が感度の観点から好ましく、99/1〜75/
25の範囲がより好ましい。
【0211】−その他の成分− 本発明に係る前記感光性組成物には、更に必要に応じ
て、種々の添加剤を添加することができる。例えば、感
度を向上させる目的で、環状酸無水物類、フェノール
類、有機酸類、スルホニル化合物類を併用することもで
きる。
【0212】前記環状酸無水物としては、米国特許第
4,115,128号明細書に記載されている無水フタ
ル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フ
タル酸、3,6−エンドオキシ−Δ4−テトラヒドロ無
水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水マレイン
酸、クロル無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン
酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸等が使用でき
る。
【0213】前記フェノール類としては、ビスフェノー
ルA、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノー
ル、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、
2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒド
ロキシベンゾフェノン、4,4’,4’’−トリヒドロ
キシトリフェニルメタン、4,4’,3’’,4’’−
テトラヒドロキシ−3,5,3’,5’−テトラメチル
トリフェニルメタン等が挙げられる。
【0214】前記有機酸類としては、特開昭60−88
942号、特開平2−96755号公報等に記載されて
いる、スルホン酸類、スルフィン酸類、アルキル硫酸
類、ホスホン酸類、リン酸エステル類及びカルボン酸類
等があり、具体的には、p−トルエンスルホン酸、ドデ
シルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルフィン酸、
エチル硫酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン
酸、リン酸フェニル、リン酸ジフェニル、安息香酸、イ
ソフタル酸、アジピン酸、p−トルイル酸、3,4−ジ
メトキシ安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、4−シク
ロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エルカ酸、ラウリ
ン酸、n−ウンデカン酸、アスコルビン酸、ビスヒドロ
キシフェニルスルホン、メチルフェニルスルホン、ジフ
ェニルジスルホン等が挙げられる。
【0215】上記の環状酸無水物、フェノール類、有機
酸類、及びスルホニル化合物類の前記感光性組成物固形
分中に占める割合は、0.05〜20重量%が好まし
く、0.1〜15重量%がより好ましく、0.1〜10
重量%が特に好ましい。
【0216】また、本発明における前記感光性組成物中
には、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特
開昭62−251740号公報や特開平3−20851
4号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、
特開昭59−121044号公報、特開平4−1314
9号公報に記載されているような両性界面活性剤を添加
することができる。
【0217】前記非イオン界面活性剤の具体例として
は、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパル
ミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノ
グリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ル等が挙げられる。前記両性界面活性剤の具体例として
は、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポ
リアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カ
ルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウ
ムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型
(例えば、商品名「アモーゲンK」:第一工業(株)
製)等が挙げられる。上記非イオン界面活性剤及び両性
界面活性剤の前記感光性組成物固形分中に占める割合
は、0.05〜15重量%が好ましく、0.1〜5重量
%がより好ましい。
【0218】本発明における前記感光性組成物中には、
露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤
や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができ
る。前記焼き出し剤としては、露光による加熱によって
酸を放出する化合物(光酸放出剤)と塩を形成し得る有
機染料の組合せが代表として挙げられる。具体的には、
特開昭50−36209号、同53−8128号の各公
報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−ス
ルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染料の組合せや、特
開昭53−36223号、同54−74728号、同6
0−3626号、同61−143748号、同61−1
51644号及び同63−58440号の各公報に記載
されているトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料の
組合せが挙げられる。かかるトリハロメチル化合物とし
ては、オキサゾール系化合物とトリアジン系化合物とが
あり、どちらも経時安定性に優れ、明瞭な焼き出し画像
を与える。
【0219】前記画像着色剤としては、前述の塩形成性
有機染料以外に他の染料を用いることができる。塩形成
性有機染料を含めて、好適な染料として油溶性染料と塩
基性染料が挙げられる。具体的にはオイルイエロー#1
01、オイルイエロー#103、オイルピンク#31
2、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイル
ブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラック
BS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学
工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタル
バイオレット(C.I.42555)、メチルバイオレ
ット(C.I.42535)、エチルバイオレット、ロ
ーダミンB(C.I.145170B)、マラカイトグ
リーン(C.I.42000)、メチレンブルー(C.
I.52015)等を挙げることができる。また、特開
昭62−293247号公報、及び特開平5−3133
59号公報に記載されている染料は特に好ましい。これ
らの染料は、前記感光性組成物固形分に対し、0.01
〜10重量%、好ましくは0.1〜3重量%の割合で前
記感光性組成物中に添加することができる。
【0220】また、本発明に係る前記感光性組成物中に
は必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤
が加えられる。例えば、ブチルフタリル、ポリエチレン
グリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、
フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオ
クチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン
酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、
アクリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー
等が用いられる。更に、本発明に係る前記感光性組成物
中には必要に応じ、キノンジアジド類、ジアゾ化合物等
の光により分解する化合物を添加してもよい。これらの
化合物の添加量は、前記感光性組成物固形分に対し、1
〜5重量%が好ましい。
【0221】本発明に用いられる前記感光層は、通常上
記各成分を溶媒に溶かして、適当な支持体上に塗布する
ことにより製造することができる。ここで使用する溶媒
としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、
メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパ
ノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−
メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセ
テート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメ
トキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメ
チルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テ
トラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルス
ルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエ
ン等を挙げることができるがこれに限定されるものでは
ない。これらの溶媒は単独或いは混合して使用される。
【0222】溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形
分)の濃度は、好ましくは1〜50重量%である。また
塗布、乾燥後に得られる支持体上の塗布量(固形分)
は、用途によって異なるが、感光性印刷版についていえ
ば一般的に0.5〜5.0g/m 2が好ましい。塗布量
が少なくなるにつれて、見かけの感度は大になるが、感
光膜の被膜特性は低下する。塗布する方法としては、種
々の方法を用いることができるが、例えば、バーコータ
ー塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディ
ップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗
布等を挙げることができる。
【0223】前記感光層中に、塗布性を良化するための
界面活性剤、例えば、特開昭62−170950号公報
に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加する
ことができる。好ましい添加量は、前記感光層全固形分
に対して0.01〜1重量%、更に好ましくは0.05
〜0.5重量%である。
【0224】サーマルポジ型平版印刷版原版の感光層
は、汚れにくさ向上、耐刷性能向上、現像液濃度に対す
る感度の安定性向上、白灯下での取扱い性向上などを目
的として、感光層を構成する下記成分を、更に2つ以上
の塗布層に分離してもよい。感光層を構成する成分は、
(A)アルカリ可溶性高分子化合物、(B)該アルカリ
可溶性高分子化合物と相溶することにより該高分子化合
物のアルカリ水溶液への溶解性を低下させるとともに加
熱により該溶解性低下作用が減少する化合物、(C)光
を吸収して発熱する化合物、(B)と(C)の双方の特
性を兼ね備える化合物、感度向上剤、現像条件に対する
処理安定性向上を目的とした非イオン界面活性剤や両性
界面活性剤、焼き出し剤、画像着色剤、可塑剤、光によ
り分解する化合物、塗布性改良剤などが挙げられる。こ
れらの成分は、分離した一つの塗布層だけに含有しても
良いし、二つ以上のいくつかの塗布層、または、全ての
塗布層に含有してもよい。各塗布層ごとの成分の量は、
同じでも良いし、異なっていても良い。例えば、特開平
11−218914号公報や特開2000−10853
8号公報に記載されているが、その内容に限定されな
い。
【0225】[5.サーマルネガ型平版印刷版原版]サ
ーマルネガ型平版印刷版原版は、下塗り層及び感光層の
塗布層から構成され、以下にその詳細について説明する
が、これに限定されるものではない。なお、感光層の上
面にはオーバーコート層が設けられていてもよい。
【0226】(1)下塗り層 本発明では有機酸類を含む下塗り層を塗設することがで
きる。用い得る有機酸又はその塩としては、有機カルボ
ン酸、有機ホスホン酸、有機スルホン酸又はその塩等が
挙げられるが、好ましくは有機カルボン酸又はその塩で
ある。有機カルボン酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオ
ン酸、酪酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸
等の脂肪族モノカルボン酸類;オレイン酸、リノール酸
等の不飽和脂肪族モノカルボン酸類;蓚酸、コハク酸、
アジピン酸、マレイン酸等の脂肪族ジカルボン酸類;乳
酸、グルコン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のオキ
シカルボン酸類;安息香酸、マンデル酸、サリチル酸、
フタル酸等の芳香族カルボン酸類及びIa、IIb、I
IIb、IVa、VIb及びVIII族の金属塩及びア
ンモニウム塩が挙げられる。上記有機カルボン酸塩のう
ち好ましいのは蟻酸、酢酸、酪酸、プロピオン酸、ラウ
リン酸、オレイン酸、コハク酸及び安息香酸の上記金属
塩及びアンモニウム塩である。これらの化合物は単独で
も2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0227】これらの化合物は水、アルコールに0.0
01〜10重量%、特に0.01〜1.0重量%の濃度
となるよう溶解されるのが好ましく、支持体に塗布する
ことにより下塗り層を塗設する。
【0228】また、更に以下のような化合物も下塗り層
として用いることができる。好適に用いられる化合物と
しては、例えば、置換基を有してもよいフェニルホスホ
ン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリ
セロホスホン酸、メチレンジホスホン酸及びエチレンジ
ホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよ
いフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸及
びグリセロリン酸などの有機リン酸、置換基を有しても
よいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、ア
ルキルホスフィン酸及びグリセロホスフィン酸などの有
機ホスフィン酸、グリシン、β−アラニン、バリン、セ
リン、スレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ア
ルギニン、リジン、トリプトファン、パラヒドロキシフ
ェニルグリシン、ジヒドロキシエチルグリシン、アント
ラニル酸等のアミノ酸;スルファミン酸、シクロヘキシ
ルスルファミン酸等のアミノスルホン酸;1−アミノメ
チルホスホン酸、1−ジメチルアミノエチルホスホン
酸、2−アミノエチルホスホン酸、2−アミノプロピル
ホスホン酸、4−アミノフェニルホスホン酸、1−アミ
ノエタン−1,1−ジホスホン酸、1−アミノ−1−フ
ェニルメタン−1,1−ジホスホン酸、1−ジメチルア
ミノエタン−1,1−ジホスホン酸、1−ジメチルアミ
ノブタン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテ
トラメチレンホスホン酸等のアミノホスホン酸等の化合
物が挙げられる。
【0229】また、塩酸、硫酸、硝酸、スルホン酸(メ
タンスルホン酸等)又は蓚酸と、アルカリ金属、アンモ
ニア、低級アルカノールアミン(トリエタノールアミン
等)、低級アルキルアミン(トリエチルアミン等)等と
の塩も好適に使用することができる。
【0230】ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン及びそ
の鉱酸塩、ポリ(メタ)アクリル酸及びその金属塩、ポ
リスチレンスルホン酸及びその金属塩、(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステルと2−アクリルアミド−2−メチ
ル−1−プロパンスルホン酸及びその金属塩、塩化トリ
アルキルアンモニムメチルスチレンのポリマー及びその
(メタ)アクリル酸とのコポリマー、ポリビニルホスホ
ン酸等の水溶性ポリマーも好適に使用することができ
る。
【0231】更に、可溶性デンプン、カルボキシメチル
セルロース、デキストリン、ヒドロキシエチルセルロー
ス、アラビアガム、グアーガム、アルギン酸ソーダ、ゼ
ラチン、グルコース、ソルビトールなども好適に使用す
ることができる。これらの化合物は単独でも2種以上を
組み合わせて用いてもよい。
【0232】これらの化合物は、水及び/又はメチルア
ルコールに0.001〜10重量%、特に0.01〜
1.0重量%の濃度となるように溶解され、必要に応じ
て、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウムな
どの塩基性物質や、塩酸、リン酸などの酸性物質により
pHを調節し、pH1〜12の範囲で使用することもで
きる。また、感光性平版印刷版の調子再現性改良のため
に黄色系染料を添加することもできる。下塗層の乾燥後
の被覆量は、2〜200mg/m2が適当であり、好ま
しくは5〜100mg/m2である。上記の被覆量が2
mg/m2未満であると汚れ防止等の本来の目的に十分
な効果が得られない。また、200mg/m 2を越える
と耐刷力が低下する。
【0233】なお、支持体と感光層との密着性を高める
ための中間層を設けてもよい。密着性の向上のために
は、一般に、中間層は、ジアゾ樹脂や、例えばアルミニ
ウムに吸着するリン酸化合物等からなっている。中間層
の厚さは任意であり、露光した時に、上層の感光層と均
一な結合形成反応を行い得る厚みでなければならない。
通常、乾燥固体で約1〜100mg/m2の塗布割合が
よく、5〜40mg/m2が特に良好である。中間層中
におけるジアゾ樹脂の使用割合は、30〜100%、好
ましくは60〜100%である。更に、感光層との密着
性をアップさせるために特開平5−278362号公報
に開示されている酸性水溶液処理と親水性下塗りを行う
ことや、特開平4−282637号公報や特開平7−3
14937号明細書に開示されている有機層を設けても
よい。
【0234】(2)感光層 サーマルネガ型の感光層としては、赤外線レーザによる
書き込み可能、即ち、赤外線レーザ照射部が硬化して画
像部を形成するネガ型の感光層であれば特に制限はな
く、いずれのものでもよい。
【0235】このようなネガ型感光層の1つとして、光
重合層が挙げられる。光重合層には、(A)赤外線吸収
剤と(B)ラジカル発生剤(ラジカル重合開始剤)と発
生したラジカルにより重合反応を起こして硬化する
(C)ラジカル重合性化合物とを含有し、好ましくは
(D)バインダーポリマーを含有する。赤外線吸収剤が
吸収した赤外線を熱に変換し、この際発生した熱によ
り、オニウム塩等のラジカル重合開始剤が分解し、ラジ
カルを発生する。ラジカル重合性化合物は、少なくとも
一個のエチレン性不飽和二重結合を有し、末端エチレン
性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有
する化合物から選ばれ、発生したラジカルにより連鎖的
に重合反応が生起し、硬化する。
【0236】また、感光層の他の態様としては、酸架橋
層が挙げられる。酸架橋層には、(E)光又は熱により
酸を発生する化合物(以下、酸発生剤と称する)と、
(F)発生した酸により架橋する化合物(以下、架橋剤
と称する)とを含有し、更に、これらを含有する層を形
成するための、酸の存在下で架橋剤と反応しうる(G)
アルカリ可溶性ポリマーを含む。この酸架橋層において
は、光照射又は加熱により、酸発生剤が分解して発生し
た酸が、架橋剤の働きを促進し、架橋剤同士あるいは架
橋剤とバインダーポリマーとの間で強固な架橋構造が形
成され、これにより、アルカリ可溶性が低下して、現像
剤に不溶となる。このとき、赤外線レーザのエネルギー
を効率よく使用するため、感光層中には(A)赤外線吸
収剤が配合される。
【0237】サーマルネガ型感光層に用いられる各化合
物について以下に述べる。 [(A)赤外線吸収剤]サーマルネガ型平版印刷版原版
の感光層は、赤外線を発するレーザで画像記録可能な構
成を有する。このような感光層には、赤外線吸収剤を用
いることが好ましい。赤外線吸収剤は、吸収した赤外線
を熱に変換する機能を有している。この際発生した熱に
より、ラジカル発生剤や酸発生剤が分解し、ラジカルや
酸を発生する。本発明において使用される赤外線吸収剤
は、波長760nmから1200nmに吸収極大を有す
る染料又は顔料である。
【0238】染料としては、市販の染料及び例えば「染
料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の
文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的
には、例えば、特開平10−39509号公報の段落番
号[0050]〜[0051]に記載のものを挙げるこ
とができる。これらの染料のうち特に好ましいものとし
ては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム
塩、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。更に、シア
ニン色素が好ましく、特に下記一般式(I)で示される
シアニン色素が最も好ましい。
【0239】
【化14】
【0240】一般式(I)中、X1は、ハロゲン原子、
又はX2−L1を示す。ここで、X2は酸素原子又は、硫
黄原子を示し、L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素
基を示す。R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数
1〜12の炭化水素基を示す。感光層塗布液の保存安定
性から、R1及びR2は、炭素原子数2個以上の炭化水素
基であることが好ましく、更に、R1とR2とは互いに結
合し、5員環又は6員環を形成していることが特に好ま
しい。Ar1、Ar2は、それぞれ同じでも異なっていて
も良く、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を
示す。Y1、Y2は、それぞれ同じでも異なっていても良
く、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメ
チレン基を示す。R3、R4は、それぞれ同じでも異なっ
ていても良く、置換基を有していてもよい炭素原子数2
0個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基として
は、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシ
ル基、スルホ基が挙げられる。R5、R6、R7及びR
8は、それぞれ同じでも異なっていても良く、水素原子
又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の
入手性から、好ましくは水素原子である。また、Z
1-は、対アニオンを示す。ただし、R1〜R8のいずれか
にスルホ基が置換されている場合は、Z1-は必要ない。
好ましいZ1-は、感光層塗布液の保存安定性から、ハロ
ゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレート
イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスル
ホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオ
ン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、及びアリー
ルスルホン酸イオンである。
【0241】本発明において、好適に用いることのでき
る一般式(I)で示されるシアニン色素の具体例として
は、特開2001−133969号公報(特願平11−
310623号明細書)の段落番号[0017]〜[0
019]に記載されたものを挙げることができる。
【0242】本発明において使用される顔料としては、
市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、
「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年
刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年
刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)
に記載されている顔料が利用できる。
【0243】顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔
料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、
青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、
ポリマー結合色素が挙げられる。これらの顔料の詳細
は、特開平10−39509号公報の段落番号[005
2]〜[0054]に詳細に記載されており、これらを
本発明にも適用することができる。これらの顔料のうち
好ましいものはカーボンブラックである。
【0244】感光層中における、上述の染料又は顔料の
含有量としては、感光層の全固形分重量に対し、0.0
1〜50重量%が好ましく、0.1〜10重量%がより
好ましく、更に染料の場合には、0.5〜10重量%が
最も好ましく、顔料の場合には、1.0〜10重量%が
最も好ましい。前記含有量が、0.01重量%未満であ
ると、感度が低くなることがあり、50重量%を超える
と、平版印刷用原版とした場合の非画像部に汚れが発生
することがある。
【0245】[(B)ラジカルを発生する化合物]本発
明において好適に用いられるラジカルを発生する化合物
としては、オニウム塩が挙げられ、具体的には、ヨード
ニウム塩、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩である。こ
れらのオニウム塩は酸発生剤としての機能も有するが、
後述するラジカル重合性化合物と併用する際には、ラジ
カル重合の開始剤として機能する。本発明において好適
に用いられるオニウム塩は、下記一般式(III)〜
(V)で表されるオニウム塩である。
【0246】
【化15】
【0247】式(III)中、Ar11とAr12は、それ
ぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数20
個以下のアリール基を示す。このアリール基が置換基を
有する場合の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、
ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原
子数12個以下のアルコキシ基、又は炭素原子数12個
以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z11-はハロゲ
ンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイ
オン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホ
ン酸イオンからなる群より選択される対イオンを表し、
好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフ
ェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
【0248】式(IV)中、Ar21は、置換基を有して
いてもよい炭素原子数20個以下のアリール基を示す。
好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭
素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以
下のアルコキシ基、炭素原子数12個以下のアリールオ
キシ基、炭素原子数12個以下のアルキルアミノ基、炭
素原子数12個以下のジアルキルアミノ基、炭素原子数
12個以下のアリールアミノ基又は、炭素原子数12個
以下のジアリールアミノ基が挙げられる。Z21 -はZ11-
と同義の対イオンを表す。
【0249】式(V)中、R31、R32及びR33は、それ
ぞれ同じでも異なっていても良く、置換基を有していて
もよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ま
しい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原
子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下の
アルコキシ基、又は炭素原子数12個以下のアリールオ
キシ基が挙げられる。Z31-はZ11-と同義の対イオンを
表す。
【0250】本発明において、好適に用いることのでき
るオニウム塩の具体例としては、特開2001−133
969号公報(特願平11−310623号明細書)の
段落番号[0030]〜[0033]に記載されたもの
を挙げることができる。
【0251】本発明において用いられるオニウム塩は、
極大吸収波長が400nm以下であることが好ましく、
更に360nm以下であることが好ましい。このように
吸収波長を紫外線領域にすることにより、平版印刷版原
版の取り扱いを白灯下で実施することができる。
【0252】これらのオニウム塩は、感光層塗布液の全
固形分に対し0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜
30重量%、特に好ましくは1〜20重量%の割合で感
光層塗布液中に添加することができる。添加量が0.1
重量%未満であると感度が低くなり、また50重量%を
越えると印刷時非画像部に汚れが発生する。これらのオ
ニウム塩は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併
用してもよい。また、これらのオニウム塩は他の成分と
同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加
してもよい。
【0253】[(C)ラジカル重合性化合物]本発明に
係る感光層に使用されるラジカル重合性化合物は、少な
くとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有するラジカ
ル重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少
なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選
ばれる。この様な化合物群は当該産業分野において広く
知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限
定無く用いることができる。これらは、例えばモノマ
ー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴ
マー、又はそれらの混合物ならびにそれらの共重合体な
どの化学的形態をもつ。モノマー及びその共重合体の例
としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メ
タクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン
酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が
あげられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価
アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂
肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。ま
た、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求
核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド
類と単官能もしくは多官能イソシアネート類、エポキシ
類との付加反応物、単官能もしくは、多官能のカルボン
酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イ
ソシアナート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有す
る不飽和カルボン酸エステル又はアミド類と、単官能も
しくは多官能のアルコール類、アミン類及びチオール類
との付加反応物、更に、ハロゲン基やトシルオキシ基等
の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又は
アミド類と、単官能もしくは多官能のアルコール類、ア
ミン類及びチオール類との置換反応物も好適である。ま
た、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わり
に、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換えた化合物
群を使用することも可能である。
【0254】脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カル
ボン酸とのエステルであるラジカル重合性化合物である
アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、イタコン
酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エス
テル、マレイン酸エステルの具体例は、特開2001−
133969号公報(特願平11−310623号明細
書)の段落番号[0037]〜[0042]に記載され
ており、これらを本発明にも適用することができる。
【0255】その他のエステルの例として、例えば、特
公昭46−27926、特公昭51−47334、特開
昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステ
ル類や、特開昭59−5240、特開昭59−524
1、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有す
るもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有
するもの等も好適に用いられる。
【0256】また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カ
ルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチ
レンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリル
アミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミ
ド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、
ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレ
ンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミ
ド等がある。
【0257】その他の好ましいアミド系モノマーの例と
しては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレ
ン構造を有すものをあげることができる。
【0258】また、イソシアネートと水酸基の付加反応
を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適
であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭4
8−41708号公報中に記載されている1分子に2個
以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化
合物に、下記式(VI)で示される水酸基を含有するビ
ニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性
ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられ
る。
【0259】一般式(VI) CH2=C(R41)COOCH2CH(R42)OH (ただし、R41及びR42は、H又はCH3を示す。)
【0260】また、特開昭51−37193号、特公平
2−32293号、特公平2−16765号に記載され
ているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−
49860号、特公昭56−17654号、特公昭62
−39417、特公昭62−39418号記載のエチレ
ンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適で
ある。
【0261】更に、特開昭63−277653,特開昭
63−260909号、特開平1−105238号に記
載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有す
るラジカル重合性化合物類を用いてもよい。
【0262】その他の例としては、特開昭48−641
83号、特公昭49−43191号、特公昭52−30
490号、各公報に記載されているようなポリエステル
アクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を
反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリ
レートやメタクリレートをあげることができる。また、
特公昭46−43946号、特公平1−40337号、
特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、
特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合
物等もあげることができる。また、ある場合には、特開
昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を
含有する構造が好適に使用される。更に日本接着協会誌
vol.20、No.7、300〜308ページ(1
984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹
介されているものも使用することができる。
【0263】これらのラジカル重合性化合物について、
どの様な構造を用いるか、単独で使用するか併用する
か、添加量はどうかといった、使用方法の詳細は、最終
的な記録材料の性能設計にあわせて、任意に設定でき
る。例えば、次のような観点から選択される。感度の点
では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好まし
く、多くの場合、2官能以上がこのましい。また、画像
部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以
上のものが良く、更に、異なる官能数・異なる重合性基
を有する化合物(例えば、アクリル酸エステル系化合
物、メタクリル酸エステル系化合物、スチレン系化合物
等)を組み合わせて用いることで、感光性と強度の両方
を調節する方法も有効である。大きな分子量の化合物
や、疎水性の高い化合物は感度や膜強度に優れる反面、
現像スピードや現像液中での析出といった点で好ましく
無い場合がある。また、感光層中の他の成分(例えばバ
インダーポリマー、開始剤、着色剤等)との相溶性、分
散性に対しても、ラジカル重合化合物の選択・使用法は
重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2
種以上化合物の併用によって、相溶性を向上させうるこ
とがある。また、支持体、オーバーコート層等の密着性
を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり
得る。画像記録層中のラジカル重合性化合物の配合比に
関しては、多い方が感度的に有利であるが、多すぎる場
合には、好ましく無い相分離が生じたり、画像記録層の
粘着性による製造工程上の問題(例えば、記録層成分の
転写、粘着に由来する製造不良)や、現像液からの析出
が生じる等の問題を生じうる。
【0264】これらの観点から、ラジカル重合性化合物
の好ましい配合比は、多くの場合、組成物全成分に対し
て5〜80重量%、好ましくは20〜75重量%であ
る。また、これらは単独で用いても2種以上併用しても
よい。そのほか、ラジカル重合性化合物の使用法は、酸
素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率
変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加
量を任意に選択でき、更に場合によっては下塗り、上塗
りといった層構成・塗布方法も実施しうる。
【0265】[(D)バインダーポリマー]本発明にお
いては、更にバインダーポリマーを使用する。バインダ
ーとしては線状有機ポリマーを用いることが好ましい。
このような「線状有機ポリマー」としては、どれを使用
しても構わない。好ましくは水現像あるいは弱アルカリ
水現像を可能とするために、水あるいは弱アルカリ水可
溶性又は膨潤性である線状有機ポリマーが選択される。
線状有機ポリマーは、感光層を形成するための被膜形成
剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水あるいは有機溶
剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。例え
ば、水可溶性有機ポリマーを用いると水現像が可能にな
る。このような線状有機ポリマーとしては、側鎖にカル
ボン酸基を有するラジカル重合体、例えば特開昭59−
44615号、特公昭54−34327号、特公昭58
−12577号、特公昭54−25957号、特開昭5
4−92723号、特開昭59−53836号、特開昭
59−71048号に記載されているもの、すなわち、
メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン
酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合
体、部分エステル化マレイン酸共重合体等がある。また
同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導
体がある。この他に水酸基を有する重合体に環状酸無水
物を付加させたものなどが有用である。
【0266】特にこれらの中で、ベンジル基又はアリル
基と、カルボキシル基を側鎖に有する(メタ)アクリル
樹脂が、膜強度、感度、現像性のバランスに優れてお
り、好適である。
【0267】また、特公平7−12004号、特公平7
−120041号、特公平7−120042号、特公平
8−12424号、特開昭63−287944号、特開
昭63−287947号、特開平1−271741号、
特開2000−309452号公報等に記載される酸基
を含有するウレタン系バインダーポリマーは、非常に、
強度に優れるので、耐刷性・低露光適性の点で有利であ
る。
【0268】更にこの他に水溶性線状有機ポリマーとし
て、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等
が有用である。また硬化被膜の強度を上げるためにアル
コール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキ
シフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエ
ーテル等も有用である。
【0269】本発明で使用されるポリマーの重量平均分
子量については好ましくは5,000以上であり、更に
好ましくは1万〜30万の範囲であり、数平均分子量に
ついては好ましくは1,000以上であり、更に好まし
くは2,000〜25万の範囲である。多分散度(重量
平均分子量/数平均分子量)は1以上が好ましく、更に
好ましくは1.1〜10の範囲である。
【0270】これらのポリマーは、ランダムポリマー、
ブロックポリマー、グラフトポリマー等いずれでもよい
が、ランダムポリマーであることが好ましい。
【0271】本発明で使用されるポリマーは従来公知の
方法により合成できる。合成する際に用いられる溶媒と
しては、例えば、テトラヒドロフラン、エチレンジクロ
リド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセト
ン、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノ
メチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテ
ル、2−メトキシエチルアセテート、ジエチレングリコ
ールジメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノー
ル、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−
ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、
ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。これらの溶
媒は単独で又は2種以上混合して用いられる。
【0272】本発明で使用されるポリマーを合成する際
に用いられるラジカル重合開始剤としては、アゾ系開始
剤、過酸化物開始剤等公知の化合物が使用できる。
【0273】本発明で使用されるバインダーポリマーは
単独で用いても混合して用いてもよい。これらポリマー
は、感光層塗布液の全固形分に対し20〜95重量%、
好ましくは30〜90重量%の割合で感光層中に添加さ
れる。添加量が20重量%未満の場合は、画像形成した
際、画像部の強度が不足する。また添加量が95重量%
を越える場合は、画像形成されない。またラジカル重合
可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物と線状
有機ポリマーは、重量比で1/9〜7/3の範囲とする
のが好ましい。
【0274】次に、酸架橋層の構成成分について説明す
る。ここで用いられる赤外線吸収剤は、前記光重合層に
おいて説明した(A)赤外線吸収剤と同様のものを用い
ることができる。好ましい含有量は、感光層の全固形分
重量に対し、0.01〜50重量%が好ましく、0.1
〜10重量%がより好ましく、更に染料の場合には、
0.5〜10重量%が最も好ましく、顔料の場合には、
1.0〜10重量%が最も好ましい。前記含有量が、
0.01重量%未満であると、感度が低くなることがあ
り、50重量%を超えると、平版印刷用原版とした場合
の非画像部に汚れが発生することがある。
【0275】[(E)酸発生剤]本実施の形態におい
て、熱により分解して酸を発生する酸発生剤は、200
〜500nmの波長領域の光を照射する又は100℃以
上に加熱することにより、酸を発生する化合物をいう。
前記酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光
ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色
剤、或いは、マイクロレジスト等に使用されている公知
の酸発生剤等、熱分解して酸を発生しうる、公知の化合
物及びそれらの混合物等が挙げられる。例えば、S.
I.Schlesinger,Photogr.Sc
i.Eng.,18,387(1974)、T.S.B
al et al,Polymer,21,423(1
980)に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,06
9,055号明細書、特開平4−365049号等に記
載のアンモニウム塩、米国特許第4,069,055
号、同4,069,056号の各明細書に記載のホスホ
ニウム塩、欧州特許第104、143号、米国特許第3
39,049号、同第410,201号の各明細書、特
開平2−150848号、特開平2−296514号に
記載のヨードニウム塩、欧州特許第370,693号、
同390,214号、同233,567号、同297,
443号、同297,442号、米国特許第4,93
3,377号、同161,811号、同410,201
号、同339,049号、同4,760,013号、同
4,734,444号、同2,833,827号、独国
特許第2,904,626号、同3,604,580
号、同3,604,581号の各明細書に記載のスルホ
ニウム塩、
【0276】J.V.Crivello et al,
Macromolecules,10(6),1307
(1977)、J.V.Crivello et a
l,J.Polymer Sci.,Polymer
Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載
のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Te
h,Proc.Conf.Rad.Curing AS
IA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記
載のアルソニウム塩等のオニウム塩、米国特許第3,9
05,815号明細書、特公昭46−4605号、特開
昭48−36281号、特開昭55−32070号、特
開昭60−239736号、特開昭61−169835
号、特開昭61−169837号、特開昭62−582
41号、特開昭62−212401号、特開昭63−7
0243号、特開昭63−298339号に記載の有機
ハロゲン化合物、特開平2−161445号公報に記載
の有機金属/有機ハロゲン化物、欧州特許第0290,
750号、同046,083号、同156,535号、
同271,851号、同0,388,343号、米国特
許第3,901,710号、同4,181,531号の
各明細書、特開昭60−198538号、特開昭53−
133022号に記載のo−ニトロベンジル型保護基を
有する光酸発生剤、欧州特許第0199,672号、同
84515号、同199,672号、同044,115
号、同0101,122号、米国特許第4,618,5
64号、同4,371,605号、同4,431,77
4号の各明細書、特開昭64−18143号、特開平2
−245756号、特開平4−365048号(特願平
3−140109号明細書)の各公報に記載のイミノス
ルフォネート等に代表される、光分解してスルホン酸を
発生する化合物、特開昭61−166544号公報に記
載のジスルホン化合物を挙げることができる。
【0277】また、これら酸を発生する基又は化合物
を、ポリマーの主鎖若しくは側鎖に導入した化合物も好
適に挙げることができ、例えば、米国特許第3,84
9,137号、独国特許第3,914,407号の各明
細書、特開昭63−26653号、特開昭55−164
824号、特開昭62−69263号、特開昭63−1
46037号、特開昭63−163452号、特開昭6
2−153853号、特開昭63−146029号に記
載の化合物が挙げられる。
【0278】更に、V.N.R.Pillai,Syn
thesis,(1),1(1980)、A.Abad
et al,Tetrahedron Lett.,
(47)4555(1971)、D.H.R.Bart
on et al,J.Chem,Soc,.(B),
329(1970)、米国特許第3,779,778
号、欧州特許第126,712号の各明細書等に記載
の、光により酸を発生する化合物も使用可能である。上
述の酸発生剤のうち、下記一般式(I)〜(V)で表さ
れる化合物が好ましい。
【0279】
【化16】
【0280】前記一般式(I)〜(V)中、R1、R2
4及びR5は、同一でも異なっていてもよく、置換基を
有していてもよい炭素数20以下の炭化水素基を表す。
3は、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素
数10以下の炭化水素基又は炭素数10以下のアルコキ
シ基を表す。Ar1、Ar2は、同一でも異なっていても
よく、置換基を有していてもよい炭素数20以下のアリ
ール基を表す。R6は、置換基を有していてもよい炭素
数20以下の2価の炭化水素基を表す。nは、0〜4の
整数を表す。前記式中、R1、R2、R4及びR5は、炭素
数1〜14の炭化水素基が好ましい。
【0281】前記一般式(I)〜(V)で表される酸発
生剤の好ましい態様は、本発明者らが先に提案した特開
2001−142230号公報(特願平11−3209
97号明細書)の段落番号[0197]〜[0222]
に詳細に記載されている。これらの化合物は、例えば、
特開平2−100054号公報、特開平2−10005
5号公報に記載の方法により合成することができる。
【0282】また、(E)酸発生剤として、ハロゲン化
物やスルホン酸等を対イオンとするオニウム塩も挙げる
ことができ、中でも、下記一般式(VI)〜(VII
I)で表されるヨードニウム塩、スルホニウム塩、ジア
ゾニウム塩のいずれかの構造式を有するものを好適に挙
げることができる。
【0283】
【化17】
【0284】前記一般式(VI)〜(VIII)中、X
-は、ハロゲン化物イオン、ClO4 -、PF6 -、SbF6
-、BF4 -又はR7SO3 -を表し、ここで、R7は、置換
基を有していてもよい炭素数20以下の炭化水素基を表
す。Ar3、Ar4は、それぞれ独立に、置換基を有して
いてもよい炭素数20以下のアリール基を表す。R8
9、R10は、置換基を有していてもよい炭素数18以
下の炭化水素基を表す。このようなオニウム塩は、特開
平10−39509号公報段落番号[0010]〜[0
035]に一般式(I)〜(III)の化合物として記
載されている。
【0285】酸発生剤の添加量としては、記録層の全固
形分重量に対し0.01〜50重量%が好ましく、0.
1〜25重量%がより好ましく、0.5〜20重量%が
最も好ましい。前記添加量が、0.01重量%未満であ
ると、画像が得られないことがあり、50重量%を超え
ると、平版印刷用原版とした時の印刷時において非画像
部に汚れが発生することがある。上述の酸発生剤は単独
で使用してもよいし、2種以上を組合わせて使用しても
よい。
【0286】[(F)架橋剤]次に、架橋剤について説
明する。架橋剤としては、以下のものが挙げられる。 (i)ヒドロキシメチル基若しくはアルコキシメチル基
で置換された芳香族化合物 (ii)N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチ
ル基若しくはN−アシルオキシメチル基を有する化合物 (iii)エポキシ化合物
【0287】以下、前記(i)〜(iii)の化合物に
ついて詳述する。前記(i)ヒドロキシメチル基若しく
はアルコキシメチル基で置換された芳香族化合物として
は、例えば、ヒドロキシメチル基、アセトキシメチル基
若しくはアルコキシメチル基でポリ置換されている芳香
族化合物又は複素環化合物が挙げられる。但し、レゾー
ル樹脂として知られるフェノール類とアルデヒド類とを
塩基性条件下で縮重合させた樹脂状の化合物も含まれ
る。ヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基でポリ
置換された芳香族化合物又は複素環化合物のうち、中で
も、ヒドロキシ基に隣接する位置にヒドロキシメチル基
又はアルコキシメチル基を有する化合物が好ましい。ま
た、アルコキシメチル基でポリ置換された芳香族化合物
又は複素環化合物では、中でも、アルコキシメチル基が
炭素数18以下の化合物が好ましく、下記一般式(1)
〜(4)で表される化合物がより好ましい。
【0288】
【化18】
【0289】
【化19】
【0290】前記一般式(1)〜(4)中、L1〜L
8は、それぞれ独立に、メトキシメチル、エトキシメチ
ル等の、炭素数18以下のアルコキシ基で置換されたヒ
ドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を表す。これ
らの架橋剤は、架橋効率が高く、耐刷性を向上できる点
で好ましい。
【0291】前記(ii)N−ヒドロキシメチル基、N
−アルコキシメチル基若しくはN−アシルオキシメチル
基を有する化合物としては、欧州特許公開(以下、「E
P−A」と示す。)第0,133,216号、西独特許
第3,634,671号、同第3,711,264号に
記載の、単量体及びオリゴマー−メラミン−ホルムアル
デヒド縮合物並びに尿素−ホルムアルデヒド縮合物、E
P−A第0,212,482号明細書に記載のアルコキ
シ置換化合物等が挙げられる。なかでも、例えば、少な
くとも2個の遊離N−ヒドロキシメチル基、N−アルコ
キシメチル基若しくはN−アシルオキシメチル基を有す
るメラミン−ホルムアルデヒド誘導体が好ましく、N−
アルコキシメチル誘導体が最も好ましい。
【0292】前記(iii)エポキシ化合物としては、
1以上のエポキシ基を有する、モノマー、ダイマー、オ
リゴマー、ポリマー状のエポキシ化合物が挙げられ、例
えば、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応
生成物、低分子量フェノール−ホルムアルデヒド樹脂と
エピクロルヒドリンとの反応生成物等が挙げられる。そ
の他、米国特許第4,026,705号、英国特許第
1,539,192号の各明細書に記載され、使用され
ているエポキシ樹脂を挙げることができる。
【0293】架橋剤として、前記(i)〜(iii)の
化合物を用いる場合の添加量としては、感光層の全固形
分重量に対し5〜80重量%が好ましく、10〜75重
量%がより好ましく、20〜70重量%が最も好まし
い。前記添加量が、5重量%未満であると、得られる画
像記録材料の感光層の耐久性が低下することがあり、8
0重量%を超えると、保存時の安定性が低下することが
ある。
【0294】本発明においては、架橋剤として、(i
v)下記一般式(5)で表されるフェノール誘導体も好
適に使用することができる。
【0295】
【化20】
【0296】前記一般式(5)中、Ar1は、置換基を
有していてもよい芳香族炭化水素環を表す。原料の入手
性の点で、前記芳香族炭化水素環としては、ベンゼン
環、ナフタレン環又はアントラセン環が好ましい。ま
た、その置換基としては、ハロゲン原子、炭素数12以
下の炭化水素基、炭素数12以下のアルコキシ基、炭素
数12以下のアルキルチオ基、シアノ基、ニトロ基、ト
リフルオロメチル基等が好ましい。
【0297】上記のうち、高感度化が可能である点で、
Ar1としては、置換基を有していないベンゼン環、ナ
フタレン環、或いは、ハロゲン原子、炭素数6以下の炭
化水素基、炭素数6以下のアルコキシ基、炭素数6以下
のアルキルチオ基又はニトロ基等を置換基として有する
ベンゼン環又はナフタレン環がより好ましい。
【0298】[(G)アルカリ水可溶性高分子化合物]
本発明に係る架橋層に使用可能なアルカリ水可溶性高分
子化合物としては、ノボラック樹脂や側鎖にヒドロキシ
アリール基を有するポリマー等が挙げられる。前記ノボ
ラック樹脂としては、フェノール類とアルデヒド類を酸
性条件下で縮合させた樹脂が挙げられる。
【0299】中でも、例えば、フェノールとホルムアル
デヒドから得られるノボラック樹脂、m−クレゾールと
ホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、p−ク
レゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹
脂、o−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノ
ボラック樹脂、オクチルフェノールとホルムアルデヒド
から得られるノボラック樹脂、m−/p−混合クレゾー
ルとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、フ
ェノール/クレゾール(m−,p−,o−又はm−/p
−,m−/o−,o−/p−混合のいずれでもよい)の
混合物とホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂
や、フェノールとパラホルムアルデヒドとを原料とし、
触媒を使用せず密閉状態で高圧下、反応させて得られる
オルソ結合率の高い高分子量ノボラック樹脂等が好まし
い。前記ノボラック樹脂は、重量平均分子量が800〜
300,000で、数平均分子量が400〜60,00
0のものの中から、目的に応じて好適なものを選択して
用いればよい。
【0300】また、前記側鎖にヒドロキシアリール基を
有するポリマーも好ましく、該ポリマー中のヒドロキシ
アリール基としては、OH基が1以上結合したアリール
基が挙げられる。前記アリール基としては、例えば、フ
ェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナント
レニル基等が挙げられ、中でも、入手の容易性及び物性
の観点から、フェニル基又はナフチル基が好ましい。本
実施の形態に使用可能な、側鎖にヒドロキシアリール基
を有するポリマーとしては、例えば、下記一般式(I
X)〜(XII)で表される構成単位のうちのいずれか
1種を含むポリマーを挙げることができる。但し、本発
明においては、これらに限定されるものではない。
【0301】
【化21】
【0302】一般式(IX)〜(XII)中、R11は、
水素原子又はメチル基を表す。R12及びR13は、同じで
も異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素
数10以下の炭化水素基、炭素数10以下のアルコキシ
基又は炭素数10以下のアリールオキシ基を表す。ま
た、R12とR13が結合、縮環してベンゼン環やシクロヘ
キサン環を形成していてもよい。R14は、単結合又は炭
素数20以下の2価の炭化水素基を表す。R15は、単結
合又は炭素数20以下の2価の炭化水素基を表す。R16
は、単結合又は炭素数10以下の2価の炭化水素基を表
す。X1は、単結合、エーテル結合、チオエーテル結
合、エステル結合又はアミド結合を表す。pは、1〜4
の整数を表す。q及びrは、それぞれ独立に0〜3の整
数を表す。
【0303】これらのアルカリ可溶性高分子としては、
本発明者らが先に提案した特開2001−142230
号公報(特願平11−320997号明細書)の段落番
号[0130]〜[0163]に詳細に記載されてい
る。本実施の形態に使用可能なアルカリ水可溶性高分子
化合物は、1種類のみで使用してもよいし、2種類以上
を組合わせて使用してもよい。
【0304】アルカリ水可溶性高分子化合物の添加量と
しては、感光層の全固形分に対し5〜95重量%が好ま
しく、10〜95重量%がより好ましく、20〜90重
量%が最も好ましい。アルカリ水可溶性樹脂の添加量
が、5重量%未満であると、記録層の耐久性が劣化する
ことがあり、95重量%を超えると、画像形成されない
ことがある。
【0305】また、本発明の製造方法が適用できる公知
の記録材料としては、特開平8−276558号公報に
記載のフェノール誘導体を含有するネガ型画像記録材
料、特開平7−306528号公報に記載のジアゾニウ
ム化合物を含有するネガ型記録材料、特開平10−20
3037号公報に記載されている環内に不飽和結合を有
する複素環基を有するポリマーを用いた、酸触媒による
架橋反応を利用したネガ型画像形成材料などが挙げら
れ、これらに記載の記録層を本発明に係るネガ型記録層
としての酸架橋層に適用することができる。
【0306】[その他の成分]本発明では、更に必要に
応じてこれら以外に種々の化合物を添加してもよい。例
えば、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤
として使用することができる。また、フタロシアニン系
顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなど
の顔料も好適に用いることができる。これらの着色剤
は、画像形成後、画像部と非画像部の区別がつきやすい
ので、添加する方が好ましい。なお、添加量は、感光層
塗布液全固形分に対し、0.01〜10重量%の割合で
ある。
【0307】また、本発明においては、感光層は光重合
層である場合、塗布液の調製中あるいは保存中において
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する
化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防
止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤と
してはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−
t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチ
ルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3
−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メ
チレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノー
ル)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミン
アルミニウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量
は、全組成物の重量に対して約0.01重量%〜約5重
量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻
害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような
高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で
感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の
添加量は、全組成物の約0.1重量%〜約10重量%が
好ましい。
【0308】また、本発明における感光層塗布液中に
は、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開
昭62−251740号公報や特開平3−208514
号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特
開昭59−121044号公報、特開平4−13149
号公報に記載されているような両性界面活性剤を添加す
ることができる。
【0309】非イオン界面活性剤の具体例としては、ソ
ルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテー
ト、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセ
リド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が
挙げられる。両性界面活性剤の具体例としては、アルキ
ルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエ
チルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエ
チル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイ
ン、N−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、
商品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等が挙げられ
る。上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の感光
層塗布液中に占める割合は、0.05〜15重量%が好
ましく、より好ましくは0.1〜5重量%である。
【0310】更に、本発明に係る感光層塗布液中には、
必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が
加えられる。例えば、ポリエチレングリコール、クエン
酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、
フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリ
クレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オ
レイン酸テトラヒドロフルフリル等が用いられる。
【0311】本発明に用いられる平版印刷版原版を製造
するには、通常、感光層塗布液に必要な上記各成分を溶
媒に溶かして、適当な支持体上に塗布すればよい。ここ
で使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シク
ロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタ
ノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチル
エーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メト
キシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルア
セテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチ
ル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチル
ホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリ
ドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチル
ラクトン、トルエン、水等を挙げることができるがこれ
に限定されるものではない。これらの溶媒は単独又は混
合して使用される。溶媒中の上記成分(添加剤を含む全
固形分)の濃度は、好ましくは1〜50重量%である。
【0312】また、塗布・乾燥後に得られる支持体上の
感光層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、平
版印刷版原版についていえば一般的に0.5〜5.0g
/m 2が好ましい。塗布する方法としては、種々の方法
を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、
回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗
布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を
挙げることができる。塗布量が少なくなるにつれて、見
かけの感度は大になるが、画像記録の機能を果たす感光
層の被膜特性は低下する。
【0313】(3)オーバーコート層 上記サーマルネガ型感光層を有する平版印刷版原版に
は、感光層中における空気中の酸素に起因する重合阻止
を防止し、感度の安定性を向上させるためにオーバーコ
ート層を設けることが好ましい。オーバーコート層に
は、酸素遮断性に優れた薄膜を形成し得る点及び現像時
に容易に除去されるよう水溶性高分子である点を考慮し
て、ポリビニルアルコールが好適に用いられる。
【0314】前記ポリビニルアルコールとしては、必要
な水溶性を有する実質的量の未置換ビニルアルコール単
位を含有していれば、一部がエステル、エーテル及びア
セタールで置換されていてもよい。また、同様に一部が
他の共重合成分を含有してもよい。ポリビニルアルコー
ルとしては、71〜100%加水分解され、重合度が3
00〜2400の範囲のものが挙げられる。具体的に
は、上記フォトポリマー型平版印刷版原版における
(3)保護層と同様の市販品を使用することができる。
また、上記の共重合体としては、88〜100%加水分
解されたポリビニルアセテートクロロアセテート又はプ
ロピオネート、ポリビニルホルマール及びポリビニルア
セタール及びそれらの共重合体が挙げられる。
【0315】これらのポリビニルアルコールは、オーバ
ーコート層全固形分に対して、50〜99.7重量%で
あることが好ましく、70〜99.5重量%であること
がより好ましい。含有量が50重量%未満である場合に
は、酸素透過防止効果が不充分で感度が低下する傾向が
あり、99.7重量%を超えるとインク着肉性が低下す
るため、いずれも好ましくない。
【0316】このオーバーコート層は、前記高分子の
他、本発明の効果を損なわない範囲において、酸素透過
性の低い、他の水溶性高分子を併用することができる。
併用し得る高分子としては、例えば、セロハン、水溶性
アクリル樹脂、ゼラチン、アラビアゴムなどが挙げられ
る。これらは単独又は併用して用いてもよい。
【0317】また、オーバーコート層には、更に、塗布
性を向上させるための界面活性剤、被膜の物性を改良す
るための水溶性の可塑剤等の公知の添加剤を加えてもよ
い。水溶性の可塑剤としては、例えば、プロピオンアミ
ド、シクロヘキサンジオール、グリセリン、ソルビトー
ル等がある。また、水溶性の(メタ)アクリル系ポリマ
ーなどを添加してもよい。更に、これらのポリマーに感
光層との密着、経時安定性の向上等のために添加剤を加
えてもよい。
【0318】オーバーコート層は、通常、上記各成分を
水に溶解し、感光層上に塗布することにより塗設され
る。塗布溶剤としては、蒸留水を用いることが好まし
い。塗布方法としては、前述した感光層の塗布と同様
に、公知の塗布方法を用いて経背死することができる。
その塗布量は、乾燥後の重量で0.5g/m2〜10g
/m2の範囲が適当である。より好ましくは、1.0g
/m2〜5.0g/m2である。
【0319】[6.現像不要型平版印刷版原版]現像不
要型平版印刷版原版は、インク受容層、親水層から構成
され、以下にその詳細について説明するが、これに限定
されるものではない。なお、親水層の上面にはオーバー
コート層が設けられていてもよい。
【0320】(1)インク受容層 インク受容層には、被膜形成能のある溶媒に可溶な親油
性の有機高分子が含有される。インク受容層に有用な有
機高分子としては、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ
ウレア、ポリイミド、ポリシロキサン、ポリカーボネー
ト、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、フェノール・ホル
ムアルデヒド樹脂、アルキルフェノール・ホルムアルデ
ヒド樹脂、ポリビニルアセテート、アクリル樹脂及びそ
の共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルハロゲ
ン化フェノール、メタクリル樹脂及びその共重合体、ア
クリルアミド共重合体、メタクリルアミド共重合体、ポ
リビニルホルマール、ポリアミド、ポリビニルブチラー
ル、ポリスチレン、セルロースエステル樹脂、ポリ塩化
ビニルやポリ塩化ビニリデン等を挙げることができる。
【0321】これらの中で、より好ましい化合物とし
て、側差にヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホン
アミド基やトリアルコキシシリル基を有する樹脂が基板
や上層の親水層との接着性に優れ、かつ、場合によって
架橋剤で容易に硬化するので好ましい。その他、アクリ
ロニトリル共重合体、ポリウレタン、側差にスルホンア
ミド基を有する共重合体や側差にヒドロキシル基を有す
る共重合体をジアゾ樹脂によって光硬化させたものが好
ましい。
【0322】その他、フェノール、クレゾール(m−ク
レゾール、p−クレゾール、m/p混合クレゾール)、
フェノール/クレゾール(m−クレゾール、p−クレゾ
ール、m/p混合クレゾール)、フェノール変性キシレ
ン、t−ブチルフェノール、オクチルフェノール、レゾ
ルシノール、ピロガロール、カテコール、クロロフェノ
ール(m−Cl、p−Cl)、ブロモフェノール(m−
Br、p−Br)、サリチル酸、クロログルシノールな
どのホルムアルデヒドとの縮合のノボラック樹脂及びレ
ゾール樹脂、更に上記フェノール類化合物とアセトンと
の縮合樹脂などが有用である。
【0323】その他、好適な高分子化合物としては、以
下(1)〜(12)に示すモノマーをその構成単位とす
る通常1万〜20万の分子量を持つ共重合体を挙げるこ
とができる。 (1)芳香族ヒドロキシ基を有するアクリルアミド類、
メタクリルアミド類、アクリル酸エステル類、メタクリ
ル酸エステル類及びヒドロキシスチレン類、例えばN−
(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド又はN−
(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、o−、
m−及びp−ヒドロキシスチレン、o−、m−及びp−
ヒドロキシフェニルアクリレート又はメタクリレート、
(2)脂肪族ヒドロキシ基を有するアクリル酸エステル
類及びメタクリル酸エステル類、例えば、2−ヒドロキ
シエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタク
リレート、
【0324】(3)アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル
酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキ
シル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、アク
リル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、アク
リル酸4−ヒドロキシブチル、グリシジルアクリレー
ト、N−ジメチルアミノエチルアクリレートなどの(置
換)アクリル酸エステル、(4)メタクリル酸メチル、
メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリ
ル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシ
ル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチ
ル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メ
タクリル酸−2−クロロエチル、メタクリル酸4−ヒド
ロキシブチル、グリシジルメタクリレート、N−ジメチ
ルアミノエチルメタクリレートなどの(置換)メタクリ
ル酸エステル、
【0325】(5)アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメ
タクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチ
ルメタクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N
−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアク
リルアミド、N−シクロヘキシルメタクリルアミド、N
−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエ
チルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N
−フェニルメタクリルアミド、N−ベンジルアクリルア
ミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−ニトロフェ
ニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルメタクリルア
ミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド及びN
−エチル−N−フェニルメタクリルアミドなどのアクリ
ルアミドもしくはメタクリルアミド、(6)エチルビニ
ルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロ
キシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、
ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェ
ニルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、
【0326】(7)ビニルアセテート、ビニルクロロア
セテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニルなどのビ
ニルエステル類、(8)スチレン、メチルスチレン、ク
ロロメチルスチレンなどのスチレン類、(9)メチルビ
ニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケト
ン、フェニルビニルケトンなどのビニルケトン類、(1
0)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエ
ン、イソプレンなどのオレフィン類、(11)N−ビニ
ルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピ
リジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど、
【0327】(12)N−(o−アミノスルホニルフェ
ニル)アクリルアミド、N−(m−アミノスルホニルフ
ェニル)アクリルアミド、N−(p−アミノスルホニル
フェニル)アクリルアミド、N−〔1−(3−アミノス
ルホニル)ナフチル〕アクリルアミド、N−(2−アミ
ノスルホニルエチル)アクリルアミドなどのアクリルア
ミド類、N−(o−アミノスルホニルフェニル)メタク
リルアミド、N−(m−アミノスルホニルフェニル)メ
タクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニ
ル)メタクリルアミド、N−〔1−(3−アミノスルホ
ニル)ナフチル〕メタクリルアミド、N−(2−アミノ
スルホニルエチル)メタクリルアミドなどのメタクリル
アミド類、また、o−アミノスルホニルフェニルアクリ
レート、m−アミノスルホニルフェニルアクリレート、
p−アミノスルホニルフェニルアクリレート、1−(3
−アミノスルホニルフェニルナフチル)アクリレートな
どのアクリル酸エステル類などの不飽和スルホンアミ
ド、o−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、m
−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、p−アミ
ノスルホニルフェニルメタクリレート、1−(3−アミ
ノスルホニルフェニルナフチル)メタクリレートなどの
メタクリル酸エステル類などの不飽和スルホンアミド。
【0328】インク受容層には、更に、架橋剤、接着助
剤、着色剤、無機あるいは有機の微粒子、塗布面状改良
剤あるいは可塑剤を必要に応じて添加することができ
る。更に、インク受容層には、感度を高めるための光電
変換剤や露光後のプリントアウト画像を形成させるため
の加熱発色系あるいは消色系添加剤が添加されてもよ
い。
【0329】有機高分子を架橋させる架橋剤として、ジ
アゾ樹脂、芳香族アジド化合物、エポキシ樹脂、イソシ
アネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、テト
ラアルコキシ珪素の初期加水分解縮合物、グリオキザー
ル、アルデヒド化合物やメチロール化合物を挙げること
ができる。
【0330】接着助剤としては、上記のジアゾ樹脂が基
板及び親水層との接着に優れるが、この他にシランカッ
プリング剤、イソシアネート化合物、チタン系カップリ
ング剤も有用である。
【0331】着色剤としては、通常の染料や顔料が用い
られるが、特にローダミン6G塩化物、ローダミンB塩
化物、クリスタルバイオレット、マラカイトグリーンシ
ュウ酸塩、オキサジン4パークロレート、キニザリン、
2−(α−ナフチル)−5−フェニルオキサゾール、ク
マリン−4が挙げられる。
【0332】他の染料として具体的には、オイルイエロ
ー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#
312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オ
イルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラ
ックBS、オイルブラックT−505(以上、オリエン
ト化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリ
スタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオ
レット(CI42535)、エチルバイオレット、メチ
レンブルー(CI52015)、パテントピュアブルー
(住友三国化学社製)、ブリリアントブルー、メチルグ
リーン、エリスリシンB、ベーシックフクシン、m−ク
レゾールパープル、オーラミン、4−p−ジエチルアミ
ノフェニルイミナフトキノン、シアノ−p−ジエチルア
ミノフェニルアセトアニリドなどに代表されるトリフェ
ニルメタン系、ジフェニルメタン系、オキサジン系、キ
サンテン系、イミノナフトキノン系、アゾメチン系又は
アントラキノン系の染料あるいは特開昭62−2932
47号公報、特開平9−179290号公報(特願平7
−335145号明細書)に記載されている染料を挙げ
ることができる。上記色素は、インク受容層中に添加さ
れる場合は受容層の全固形分に対し、通常約0.02〜
10重量%、より好ましくは約0.1〜5重量%の割合
ある。
【0333】更に塗布面状改良剤としてよく知られた化
合物であるフッ素系界面活性剤やシリコン系界面活性剤
も用いることができる。具体的にはパーフルオロアルキ
ル基やジメチルシロキサン基を有する界面活性剤が塗布
面状を整えることで有用である。
【0334】本発明で用いることができる無機又は有機
の微粉末としては10nmから100nmまでのコロイ
ダルシリカやコロイダルアルミニウム、更にはこれらの
コロイドより大きい粒径の不活性粒子、例えば、シリカ
粒子、表面疎水化したシリカ粒子、アルミナ粒子、二酸
化チタン粒子、その他重金属粒子、クレーやタルク等を
挙げることができる。これらの無機又は有機の微粉末を
インク受容層中に添加することによって、上層の親水層
との接着性を改良し、印刷における耐刷力を増加させる
効果がある。インク受容層中におけるこれらの微粉末の
添加割合は、全量の80重量%以下で好ましくは40重
量%以下である。
【0335】更に、前記インク受容層中には必要に応
じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられ
る。例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブ
チル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フクル酸
ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジ
ル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン
酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタクリル
酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられる。
【0336】更に、前記インク受容層中には露光したと
き画像部と非画像部を鮮明にするため発色系又は消色系
の化合物が添加されることが好ましい。例えば、ジアゾ
化合物やジフェニルヨードニウム塩のような熱酸発生剤
と共にロイコ染料(ロイコマラカイトグリーン、ロイコ
クリスタルバイオレット、クリスタルバイオレットのラ
クトン体等)やPH変色染料(例えば、エチルバイオレ
ット、ビクトリアプアーブルーBOH等の染料)が用い
られる。その他、EP897134号明細書に記載され
ているような、酸発色染料と酸性バインダーの組合わせ
も有効である。この場合、加熱によって染料を形成して
いる会合状態の結合が切れ、ラクトン体が形成して有色
から無色に変化する。これらの発色系の添加割合は受容
層中の全量に対し10重量%以下好ましくは5重量%以
下である。
【0337】上記インク受容層を塗布する溶媒としては
アルコール類(メタノール、エタノール、プロピルアル
コール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、
プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチ
レングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコ
ールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチ
ルエーテル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、エ
チレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコ
ールジメチルエーテル、テトラヒドロピラン等)、ケト
ン類(アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセト
ン等)、エステル類(酢酸メチル、エチレングリコール
モノメチルモノアセテート等)、アミド類(ホルムアミ
ド、N−メチルホルムアミド、ピロリドン、N−メチル
ピロリドン等)、ガンマーブチロラクトン、乳酸メチ
ル、乳酸エチル等を用いることができる。これらの溶媒
は単独あるいは混合状態で使用される。塗布液を調製す
る場合、溶媒中の上記インク受容層構成成分(添加剤を
含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50重量%で
ある。その他、上記のような有機溶媒からの塗布ばかり
でなく、水性エマルジョンからも被膜を形成させること
ができる。この場合の濃度は5重量%から50重量%が
好ましい。
【0338】前記インク受容層の塗布乾燥後の厚みは、
特に限定的ではないが、金属板上に設ける場合には断熱
層としての役割も有するので、0.1μm以上が好まし
く、0.2μm以上であることがより好ましい。また、
親油性のプラスチックフィルムを基板として使用する場
合には、インク受容層は上層との接着層としての役目を
果たすことができればよいため、その塗布量は金属板の
時より少なくてもよく、0.05μm以上が好ましい。
【0339】(2)親水層 親水層は、湿し水及びインキを使用する平版印刷におい
て、湿し水に溶解しない層である。親水層は、ベリリウ
ム、マグネシウム、アルミニウム、珪素、チタン、硼
素、ゲルマニウム、スズ、ジルコニウム、鉄、バナジウ
ム、アンチモン及び遷移金属から選択された少なくとも
一つの元素のコロイド粒子酸化物又は水酸化物、及びポ
リアクリル酸を含有する溶液を塗布して塗設される。本
発明に用いられるコロイド粒子状の酸化物又は水酸化物
を構成する元素のうち特に好ましいものとして、アルミ
ニウム、珪素、チタン及びジルコニウムを挙げることが
できる。
【0340】本発明に用いられるコロイドの粒子の大き
さは、シリカでは粒子径5〜100nmの球状のものが
好適である。粒子径10〜50nmの球状粒子が50n
m〜400nmの長さに連なったパールネック状のコロ
イドも用いることができる。更には、アルミニウムの酸
化物又は水酸化物コロイドのように100nm×10n
mのような羽毛状のものも有効である。
【0341】これらのコロイドは、上記元素のハロゲン
化物やアルコキシ化合物の加水分解あるいは上記元素の
水酸化物の縮合など種々の公知の方法で作ることができ
る。例えば、ジ、トリ及び又はテトラアルコキシシラン
から、酸触媒下、直接に加水分解・縮合反応を行いゾル
を作製して適用することもできる。このゾルを適用する
場合は、より強固な親水性3次元架橋被膜が得られる。
また、これらのコロイドの分散物は、日産化学工業
(株)などの市販品を選択して用いてもよい。
【0342】前記親水層に用いるポリアクリル酸は、重
量平均分子量が2,000〜50,000である。この
範囲より分子量が大きすぎると、機上現像性低下するた
め低感度となり、また、耐刷性の低下を引き起こす。耐
刷性の低下は、シリカなどのコロイド粒子との相溶性の
劣化のためと推定される。この分子量範囲より小さすぎ
ても耐刷性の劣化が起こる。
【0343】ポリアクリル酸の親水層に対する添加量
は、前記コロイド粒子状酸化物又は水酸化物の添加量9
9〜80重量部に対して。1〜20重量部である。この
ような割合の場合に、良好な耐刷性、汚れ難さ、感度及
び着肉性が得られる。ポリアクリル酸が添加量が上記範
囲より多いと感度の低下と刷り出しの着肉性の低下が起
こる。また、この範囲より少ないと感度の低下と耐刷性
の劣化が起こる。
【0344】本発明における親水層には上記のコロイド
及びポリアクリル酸の他に、コロイドの架橋を促進する
架橋剤を添加してもよい。添加され得るコロイドの架橋
剤としては、テトラアルコキシシランの初期加水分解縮
合物、トリアルコキシシリルプロピル−N,N,N−ト
リアルキルアンモニウムハライド又はアミノプロピルト
リアルコキシシランが好ましい。その添加割合は親水層
の全固形分の5重量%以下であることが好ましい。
【0345】上記の各成分を含有した親水層は、各成分
を溶剤に溶解若しくは分散した溶液を調製し、塗布によ
り設けられる。親水層塗布液の主溶剤としては、水、及
び、メタノール、エタノール、プロパノールなどの低沸
点アルコールが単独又は混合物として用いられる。
【0346】更に、親水層には、塗布の面状を良化させ
るため、良く知られたフッ素系界面活性剤、シリコン系
界面活性剤、ポリオキシエチレン系界面活性剤などを添
加してもよい。親水層の塗布厚みは0.1μm〜3μm
であることが好ましい。この範囲内では、アブレーショ
ンが良好で、耐刷性も良好となる。
【0347】(3)オーバーコート層 現像不要型平版印刷版原版は、アブレーションによるカ
スの飛散抑制及び親油性物質による親水層汚染の防止の
ため、親水層の上に水溶性樹脂を主成分とするオーバー
コート層を設けることができる。
【0348】本発明に使用される水溶性オーバーコート
層は、印刷時に容易に除去できるものであり、水溶性の
有機高分子化合物から選ばれた樹脂を含有する。ここで
用いる水溶性の有機高分子化合物としては、塗布乾燥に
よってできた被膜がフィルムを形成能を有するもので、
具体的には、ポリ酢酸ビニル(但し、加水分解率65%
以上のもの)、ポリアクリル酸、そのアルカリ金属塩若
しくはアミン塩、ポリアクリル酸共重合体、そのアルカ
リ金属塩若しくはアミン塩、ポリメタクリル酸、そのア
ルカリ金属塩若しくはアミン塩、ポリメタクリル酸共重
合体、そのアルカリ金属塩若しくはアミン塩、ポリアク
リルアミド、その共重合体、ポリヒドロキシエチルアク
リレート、ポリビニルピロリドン、その共重合体、ポリ
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル/無水マ
レイン酸共重合体、ポリ−2−アクリルアミド−2−メ
チル−1−プロパンスルホン酸、そのアルカリ金属塩若
しくはアミン塩、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチ
ル−1−プロパンスルホン酸共重合体、そのアルカリ金
属塩若しくはアミン塩、アラビアガム、繊維素誘導体
(例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエ
チルセルロース、メチルセルロース等)、その変位体、
ホワイトデキストリン、プルラン、酵素分解エーテル化
デキストリン等を挙げることができる。また、目的に応
じて、これらの樹脂を2種以上混合して用いることもで
きる。
【0349】その他、オーバーコート層には、塗布の均
一性を確保する目的で、水溶液塗布の場合には主に非イ
オン系界面活性剤を添加することができる。このような
非イオン系界面活性剤の具体例としては、ソルビタンモ
ノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン
酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニル
エーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル等を挙
げることができる。上記非イオン系界面活性剤のオーバ
ーコート層の全固形物中に占める割合は、0.05〜5
重量%が好ましく、より好ましくは1〜3重量%であ
る。
【0350】本発明に用いるオーバーコート層の厚みは
0.05μmから4.0μmが好ましく、更に好ましい
範囲は0.1μmから1.0μmである。この範囲内で
は、印刷時の湿し水によるオーバーコート層の溶解除去
性を損なうことなく、良好なアブレーションのカスの飛
散抑制性及び親水層の汚染防止性が得られる。
【0351】なお、現像不要型平版印刷版原版において
は、(1)インク受容層、(2)親水層及び(3)オー
バーコート層のうち少なくとも1つの層に、赤外線に対
する感度を高めるため、赤外線を吸収して発熱する機能
を有する光熱変換剤が添加される。
【0352】光熱変換剤としては、700nm以上の光
を吸収する物質であればよく、種々の顔料や染料を用い
ることができる。顔料としては、市販の顔料及びカラー
インデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日
本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技
術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技
術」(CMC出版、1984年刊)に記載されている顔
料が利用できる。
【0353】顔料の種類としては、黒色顔料、褐色顔
料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔
料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられ
る。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮
合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔
料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔
料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキ
サジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン
系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔
料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カー
ボンブラック等が使用できる。
【0354】これら顔料は表面処理をせずに用いてもよ
く、親油性の被膜形成能を有する有機高分子との親和性
を上げるため表面処理をほどこして用いてもよい。表面
処理の方法には、親油性樹脂を表面コートする方法、界
面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シリ
カゾル、アルミナゾル、シランカップリング剤やエポキ
シ化合物、イソシアネート化合物等)を顔料表面に結合
させる方法等があり、「金属石鹸の性質と応用」(幸書
房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年
刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986
年刊)に記載されている。
【0355】これらの顔料中、赤外線、もしくは近赤外
線を吸収するものが、赤外線もしくは近赤外線を発光す
るレーザでの利用に適する点で好ましい。特に好ましい
顔料はカーボンブラックである。
【0356】また、(2)親水層及び(3)オーバーコ
ート層に添加する顔料としては、特に、水溶性又は親水
性の樹脂と分散しやすく、かつ、親水性を損なわないよ
うに親水性樹脂やシリカゾルで表面がコートされたカー
ボンブラックが有用である。
【0357】染料としては、市販の染料及び文献(例え
ば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊)
に記載されている公知のものが利用できる。具体的に
は、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染
料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボ
ニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン
染料などの染料が挙げられる。これらの染料中、赤外
光、もしくは近赤外光を吸収するものが、赤外線もしく
は近赤外線を発光するレーザでの利用に適する点で特に
好ましい。
【0358】赤外線又は近赤外線を吸収する染料として
は例えば特開昭58−125246号、特開昭59−8
4356号、特開昭60−78787号等に記載されて
いるシアニン染料、特開昭58−173696号、特開
昭58−181690号、特開昭58−194595号
等に記載されているメチン染料、特開昭58−1127
93号、特開昭58−224793号、特開昭59−4
8187号、特開昭59−73996号、特開昭60−
52940号、特開昭60−63744号等に記載され
ているナフトキノン染料、特開昭58−112792号
等に記載されているスクワリリウム染料、英国特許43
4,875号記載のシアニン染料、米国特許第4,75
6,993号記載の染料、米国特許第4,973,57
2号記載のシアニン染料、特開平10−268512号
記載の染料を挙げることができる。
【0359】また、染料として米国特許第5,156,
938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、ま
た、米国特許第3,881,924号記載の置換された
アリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−1
42645号(米国特許第4,327,169号)記載
のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−1810
51号、同58−220143号、同59−41363
号、同59−84248号、同59−84249号、同
59−146063号、同59−146061号に記載
されているピリリウム系化合物、特開昭59−2161
46号記載のシアニン染料、米国特許第4,283,4
75号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公
平5−13514号、同5−19702号公報に開示さ
れているピリリウム化合物、エポリン社製Epolig
ht III−178、Epolight III−1
30、Epolight III−125等も好ましく
用いられる。
【0360】これらの染料に中で、(2)親水層及び
(3)オーバーコート層に添加するのに好ましいものは
水溶性染料であって、その具体例は、特願2000−2
76867号明細書の段落番号[0325]〜[032
6]に列挙されている構造式で表される。
【0361】また、これらの染料に中で、(1)インク
受容層に添加するのに好ましいものは親油性染料であっ
て、その具体例は、特願2000−276867号明細
書の段落番号[0328]及び[0329]に列挙され
ている構造式で表される。
【0362】光熱変換剤の添加割合は、(2)親水層で
は、全固形分の1〜50重量%、好ましくは2〜20重
量%である。また、(3)オーバーコート層では、1〜
70重量%、好ましくは2〜50重量%であり、光熱変
換剤が染料である場合、特に好ましくは2〜30重量%
であり、光熱変換剤が顔料である場合、特に好ましくは
20〜50重量%である。また、(1)インク受容層へ
の光熱変換剤の添加割合は、全固形分の20重量%以下
が好適で、15重量%以下が特に好適である。光熱変換
剤の添加割合が上記範囲内においては、各層の膜強度を
損なうことなく、良好な感度を得ることができる。
【0363】また、現像不要型平版印刷版原版は、上述
塗布層の構成に限定されるものではなく、例えば、WO
94/18005号公報、WO98/40212号公
報、WO99/19143号公報、WO99/1914
4号公報などに記載の層構成であってもよい。
【0364】
【実施例】以下、本発明を以下の実施例に従って説明す
るが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されない。
【0365】[実施例1] (ポジ型平版印刷版原版の製造)ウェブ状の厚さ0.2
4mmのJIS A 1050アルミニウム板に対し、
図1に示す製造ラインの送出機1に装着し、その先端
を、表面処理部2、第1塗布・乾燥部3、第1冷却部
4、第2塗布・乾燥部5、第2冷却部6、第3塗布・乾
燥部7、第3冷却部8を経て、巻取機9において再びコ
イル状に(ロール状に)巻き取らせた。
【0366】表面処理部2においては、上記アルミニウ
ム板に対し、以下の通りの表面処理を行った。平均粒径
約2.1μmのパミストンと水の懸濁液をアルミニウム
表面に供給しながら、以下に示す回転ナイロンブラシに
より、ブラシグレイニング処理した。第1ブラシは毛長
100mm、毛径0.95mm、植毛密度70本/cm
2であり、第2ブラシは毛長80mm、毛径0.295
mm、植毛密度670本/cm 2であった。ブラシロー
ルの回転はいずれも250rpmであった。ブラシグレ
イニング処理にひき続きよく水洗した後、10%水酸化
ナトリウムに60℃で25秒間浸漬してエッチングし、
更に流水で水洗後20%硝酸で中和洗浄、水洗した。こ
れらを、VA=12.7Vの条件下で正弦波の交番波形
電流を用いて、1%硝酸水溶液中で160クローン/d
2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。その表
面粗さを測定したところ、0.79μm(Ra表示)で
あった。引き続いて、1%水酸化ナトリウム水溶液に4
0℃、30秒間浸漬後、30%の硫酸水溶液中に浸漬
し、60℃で40秒間デスマット処理した後、20%硫
酸水溶液中、電流密度2A/dm2において1.6g/
2の酸化被膜重量になるように直流で陽極酸化した。
【0367】次いで、第1塗布・乾燥部3において、下
記下塗り層塗布液をロッドコーターにより塗布し、塗膜
を90℃で1分乾燥し、下塗り層を塗設した。乾燥後の
塗膜の塗布量は10mg/m2であった。第1塗布・乾
燥部3の出口の下塗り層表面温度は、73℃であり、第
1冷却部4で20℃の冷風を送風することにより冷却を
行い、第2塗布・乾燥部5の塗布直前の下塗り層表面温
度を34℃とした。第2塗布・乾燥部5では、下記の組
成の感光層塗布液を、乾燥後の塗布量が1.8g/m2
となるように、エクストルージョンコーターで塗布し、
塗膜を120℃で1分乾燥し、感光層を塗設した。ここ
で、塗布直前の感光層塗布液の温度は25℃であった。
その後、第2冷却部6で感光層表面温度25℃の冷却ロ
ールで冷却し、第3塗布・乾燥部7、第3冷却部8では
塗布・乾燥及び冷却を実施せず、巻取機9で巻き取り、
その後、切り出しを行うことにより、ポジ型平版印刷版
原版を得た。得られたポジ型平版印刷版原版は、スジ・
ムラ・ハジキなどの故障のない非常に良好な塗布面質で
あった。
【0368】 <下塗り層塗布液> β−アラニン 0.5g メタノール 95g 水 5g
【0369】 <感光層塗布液> 1、2−ジアゾナフトキノン−5−スルホニルクロリドと、ピロガロール−ア セトン樹脂と、のエステル化物(米国特許第3,635,709号明細書の実施 例1に記載されているもの) 0.8g クレゾール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂(メタ、パラ比;6:4、重量 平均分子量8,000) 1.5g フェノール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂(重量平均分子量1.5万) 0.2g ポリ[N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド−コ−ノルマル ブチルアクリレート−コ−ジエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレ ート](各モノマーのモル比は順に40:40:20、重量平均分子量40,0 00、数平均分子量20,000) 0.2g p−ノルマルオクチルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂(米国特許第4,1 23,279号明細書に記載されているもの) 0.02g ナフトキノンジアジド−1,2−ジアジド−4−スルホン酸クロライド 0.02g テトラヒドロ無水フタル酸 0.16g 4−[p−N,N−ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル]−2 ,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン 0.07g ビクトリアピュア−ブルーBOH[保土谷化学(株)製]の対アニオンを1− ナフタレンスルホン酸に変えた染料 0.045g MEK/1−メトキシ−2−プロパノール = 13g/12g
【0370】[実施例2]実施例1において、塗布直前
の感光層塗布液の温度を30℃とした他は、実施例1と
同じ方法でポジ型平版印刷版原版を得た。得られたポジ
型平版印刷版原版には、わずかに乾燥ムラが見られた
が、実用上問題のない程度であり、良好な塗布面質を有
していた。
【0371】[比較例1]実施例1において、第1冷却
部4での冷風送風を実施しなかった他は、実施例1と同
じ方法でポジ型平版印刷版原版を得た。この時、第2塗
布・乾燥部5の塗布直前の下塗り層表面温度は54℃で
あった。得られたポジ型平版印刷版原版には、乾燥ムラ
やハジキ故障の発生が見られた。
【0372】[実施例3] (フォトポリマー型平版印刷版原版)実施例1と同様の
表面処理工程を行なった後、3号ケイ酸ソーダ(SiO
2=28〜30%、Na2O=9〜10%、Fe=0.0
2%以下)の2.5重量%、pH=11.2、70℃の
水溶液に13秒浸漬し、続いて水洗させた。その時のシ
リケート量は、10mg/m2であった。
【0373】次いで、第1塗布・乾燥部3において、下
記中間層塗布液をロッドコーターにより塗布し、塗膜を
110℃で1分乾燥し、中間層を塗設した。その時の塗
布量は4mg/m2であった。この塗布量はケイ光X線
分析法によりSi元素量を求め、それを塗布量とした。
第1塗布・乾燥部3の出口の中間層表面温度は、85℃
であり、第1冷却部4で20℃の冷風を送風することに
より冷却を行い、第2塗布・乾燥部5の塗布直前の中間
層表面温度を46℃とした。第2塗布・乾燥部5では、
下記の組成の感光層塗布液を、乾燥後の塗布量が1.5
g/m2となるように、エクストルージョンコーターで
塗布し、塗膜を120℃で1分乾燥し、感光層を塗設し
た。ここで、塗布直前の感光層塗布液の温度は25℃で
あった。第2塗布・乾燥部5の出口の感光層表面温度
は、83℃であり、第2冷却部6で表面温度25℃の冷
却ロールで冷却し、第3塗布・乾燥部7の塗布直前の感
光層表面温度を35℃とした。第3塗布・乾燥部7で
は、下記の組成の保護層塗布液を、乾燥後の塗布量が
2.5g/m2となるように、スライドコーターで塗布
し、塗膜を130℃で2分乾燥し、保護層を塗設した。
ここで、塗布直前の保護層塗布液の温度は23℃であっ
た。第3冷却部8で20℃の冷風を送風することにより
冷却を行い、巻取機9で巻き取り、その後、切り出しを
行うことにより、フォトポリマー型平版印刷版原版を得
た。得られたフォトポリマー型平版印刷版原版は、スジ
やムラなどの塗布故障のない良好な塗布面質であった。
【0374】<中間層塗布液作成方法>まず、下記の手
順によりSG法の液状組成物(ゾル液)を調整した。外
周部(ジャケット)に温度制御された水を通水すること
のできるジャケット付きタンクに、ジャケットへの通水
温度を25℃に保って、下記の組成の液を仕込み、20
分間撹拌を行い、攪拌しながら、通水温度を50℃に上
昇させ、その後、50℃に保ったまま、攪拌しながら更
に1時間反応させゾル液を得た。 Si(OC254 38g 3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 13g 85%リン酸水溶液 12g イオン交換水 15g メタノール 100g 最後に、このゾル液をメタノール/エチレングリコール
=20/1(重量比)で0.5重量%になるように希釈
して中間層塗布液を得た。
【0375】 <感光層塗布液> ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬製KAYARAD D PHA) 1.5g ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/メタクリル酸メチル(60/30/ 10モル比) 共重合体、分子量3.5万(B3) 2.0g 化合物C3 0.1g 化合物D3(CGI784DC、有効成分30%、Ciba−Geigy社製 ) 0.5g 化合物E2 0.4g
【0376】
【化22】
【0377】 β−フタロシアニン/(B3)分散物* 0.2g メガファックF−177(大日本インキ化学工業(株)製フッ素界面活性剤) 0.02g クペロンAL(ニトロソ化合物、和光純薬製) 0.015g プロピレングリコールモノメチルエーテル 7.5g メチルエチルケトン 9.0g トルエン 11.0g
【0378】*β−フタロシアニン/(B3)分散物は
下記組成の液をボールミルで分散したものである。 β−フタロシアニン 15wt% B3分散物 15wt% プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 70wt%
【0379】 <保護層塗布液> ポリビニルアルコール(ケン化度90モル%、重合度1000) 5g EMALEX NP−10(日本エマルジョン(株)製ノニオン界面活性剤) 0.05g 水 95g
【0380】[比較例2]実施例2において、第1冷却
部4での冷風送風、及び、第2冷却部6での冷却ロール
による接触冷却を行わなかった以外は、実施例2と同じ
方法でフォトポリマー型平版印刷版原版を得た。この
時、第2塗布・乾燥部5の塗布直前の中間層表面温度は
62℃、第3塗布・乾燥部7の塗布直前の感光層表面温
度は52℃であった。得られたフォトポリマー型平版印
刷版原版には、感光層の塗布スジや保護層の乾燥ムラの
発生が見られた。
【0381】[実施例4] (サーマルポジ型平版印刷版原版)実施例1と同様の表
面処理工程を行なった後、更に、実施例1と同様にして
第1塗布・乾燥部、第1冷却部によって下塗り層を塗設
した。その後、前記下塗り層の表面に、第2塗布・乾燥
部5で、下記の組成の感光層塗布液Aを、乾燥後の塗布
量が1.4g/m2となるように、エクストルージョン
コーターで塗布し、塗膜を140℃で1分乾燥し、感光
層Aを塗設した。ここで、塗布直前の感光層塗布液Aの
温度は25℃であった。第2塗布・乾燥部5の出口の感
光層A表面温度は、95℃であり、第2冷却部6で表面
温度25℃の冷却ロールで冷却し、第3塗布・乾燥部7
の塗布直前の感光層A表面温度を44℃とした。第3塗
布・乾燥部7では、下記の組成の感光層塗布液Bを、乾
燥後の塗布量が0.6g/m2となるように、ロッドコ
ーターで塗布し、塗膜を100℃で2分乾燥し、感光層
Bを塗設した。ここで、塗布直前の感光層塗布液Bの温
度は27℃であった。第3冷却部8で20℃の冷風を送
風することにより冷却を行い、巻取機9で巻き取り、そ
の後、切り出しを行うことにより、サーマルポジ型平版
印刷版原版を得た。得られたサーマルポジ型平版印刷版
原版は、塗布スジなどの塗布故障のない良好な塗布面質
であった。また、現像処理しても異常は見られなかっ
た。
【0382】 <感光層塗布液A> 共重合体(特開平11−218914号公報に記載の共重合体1) 0.75g シアニン染料(特開平2000−108538号公報に記載のシアニン染料A ) 0.04g p−トルエンスルホン酸 0.002g テトラヒドロ無水フタル酸 0.05g ビクトリアピュアブルー(BOHの対アニオンを1−ナフタレンスルホン酸ア ニオンにした染料) 0.015g フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、大日本インキ化学工業(株) 製) 0.02g γ−ブチルラクトン 8g メチルエチルケトン 7g 1−メトキシ−2−プロパノール 7g
【0383】 <感光層塗布液B> m,p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、重量平均分子量4,00 0) 0.25g シアニン染料(特開平2000−108538号公報に記載のシアニン染料A ) 0.05g ステアリン酸n−ドデシル 0.02g フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、大日本インキ化学工業(株) 製) 0.05g メチルエチルケトン 7g 1−メトキシ−2−プロパノール 7g
【0384】[比較例3]実施例3において、第1冷却
部4での冷風送風及び第2冷却部6での冷却ロールによ
る接触冷却を行わなかった以外は、実施例3と同じ方法
でサーマルポジ型平版印刷版原版を得た。この時、第2
塗布・乾燥部5の塗布直前の下塗り層表面温度は54
℃、第3塗布・乾燥部7の塗布直前の感光層A表面温度
は59℃であった。得られたサーマルポジ型平版印刷版
原版には、塗布スジの発生が見られた。また、現像して
みるとスジ残膜が発生した。
【0385】[実施例5] (現像不要型平版印刷版原版)実施例2と同様の表面処
理工程を行なった後、第1塗布・乾燥部3において、下
記インク受容層塗布液をロッドコーターにより塗布し、
塗膜を100℃で1分乾燥し、インク受容層を塗設し
た。その時の塗布量は0.45g/m2であった。第1
塗布・乾燥部3の出口のインク受容層表面温度は、79
℃であり、第1冷却部4で20℃の冷風を送風すること
により冷却を行い、第2塗布・乾燥部5の塗布直前のイ
ンク受容層表面温度を40℃とした。第2塗布・乾燥部
5では、下記の親水層塗布液を、乾燥後の塗布量が0.
39g/m2となるように、ロッドコーターで塗布し、
塗膜を100℃で1分乾燥し、親水層を塗設した。ここ
で、塗布直前の親水層塗布液の温度は27℃であった。
第2塗布・乾燥部5の出口の親水層表面温度は、76℃
であり、第2冷却部6で表面温度25℃の冷却ロールで
冷却し、第3塗布・乾燥部7の塗布直前の親水層表面温
度を32℃とした。第3塗布・乾燥部7では、下記のオ
ーバーコート層塗布液を、乾燥後の塗布量が0.22g
/m2となるように、スライドコーターで塗布し、塗膜
を110℃で2分乾燥し、オーバーコート層を塗設し
た。ここで、塗布直前のオーバーコート層塗布液の温度
は23℃であった。第3冷却部8で20℃の冷風を送風
することにより冷却を行い、巻取機9で巻き取り、その
後、切り出しを行うことにより、現像不要型平版印刷版
原版を得た。得られた現像不要型平版印刷版原版は、ス
ジ・ムラ・ハジキなどの塗布故障のない非常に良好な塗
布面質であった。また、印刷しても欠陥のない良好な印
刷物が得られた。
【0386】 <インク受容層塗布液> エピコート1100L(油化シェルエポキシ(株)製) 0.8g エピコート1001(油化シェルエポキシ(株)製) 0.2g 光熱変換剤(本明細書記載のIR−24) 0.2g メチルエチルケトン 13g プロピレングリコールモノメチルエーテル 12g
【0387】 <親水層塗布液> メタノールシリカ(日産化学工業(株)製:シリカ粒径10〜20nm、30 重量%含有メタノール溶液からなるコロイド) 3g ポリアクリル酸(重量平均分子量2.5万)の5重量%含有メタノール溶液 2g 乳酸メチル 1g メタノール 17.53g
【0388】 <オーバーコート層塗布液> アラビアガム28重量%含有水溶液 1.5g 光熱変換剤(本明細書記載の染料IR−10) 0.042g ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテール(10重量%含有水溶液) 0.168g 水 22g
【0389】[実施例6]実施例5において、オーバー
コート層塗布液の塗布直前の温度を29℃とした以外
は、実施例5と同じ方法で現像不要型平版印刷版原版を
得た。得られた現像不要型平版印刷版原版には、わずか
に塗布スジの発生が見られたが、実用上問題のない程度
であり、良好な塗布面質を有していた。また、印刷して
も欠陥のない印刷物が得られた。
【0390】[比較例4]実施例4において、第1冷却
部4での冷風送風及び第2冷却部6での冷却ロールによ
る接触冷却を行わなかった以外は、実施例4と同じ方法
で現像不要型平版印刷版を得た。この時、第2塗布・乾
燥部5の塗布直前のインク受容層表面温度は57℃、第
3塗布・乾燥部7の塗布直前の親水層表面温度は47℃
であった。得られた現像不要型平版印刷版原版には、親
水層のハジキや乾燥ムラの発生が見られた。また、印刷
すると画像部にインクがつかない現象が発生した。
【0391】
【発明の効果】本発明によれば、塗布故障や品質上の欠
陥のない2層以上の塗布層を有する平版印刷版原版の製
造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の例示的一態様としての平版印刷版原
版の製造ラインを示す概略斜視図である。
フロントページの続き Fターム(参考) 2H025 AA18 AB03 DA12 EA04 EA10 2H096 CA12 CA20 LA30 2H114 AA04 AA22 AA23 BA01 DA04 DA24 DA25 DA35 DA52 DA59 DA73 DA78 DA79 EA01 EA02 FA16 GA03 GA05 GA06 GA08 GA09 GA34 GA38

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 帯状金属支持体の表面に複数の塗布層を
    塗設する平版印刷版原版の製造方法であって、 塗布層の表面温度が50℃以下となった状態で、次の塗
    布層を塗設するための塗布液を塗布することを特徴とす
    る平版印刷版原版の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記塗布液の温度が、28℃以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版原版の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 塗布層を塗設した後に、該塗布層の表面
    を冷却する冷却工程を有することを特徴とする請求項1
    又は2に記載の平版印刷版原版の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記冷却工程が、冷風を送風する方法で
    行なわれることを特徴とする請求項3に記載の平版印刷
    版原版の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記冷却工程が、接触型の冷却ロールに
    より行なわれることを特徴とする請求項3に記載の平版
    印刷版原版の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007021898A (ja) * 2005-07-15 2007-02-01 Asahi Kasei Chemicals Corp レーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造方法及びレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造装置
JP2011200633A (ja) * 2010-03-01 2011-10-13 Kao Corp 吸収性物品の製造方法

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