JP2003046007A - 水晶デバイス - Google Patents
水晶デバイスInfo
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- Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】基体と蓋体の線熱膨張係数差に起因する熱応力
により水晶振動子の気密封止が破れ、水晶振動子を安定
に作動させることができない。 【解決手段】上面に搭載部を有し、該搭載部から外表面
にかけて導出された配線層2を有する基体1と、前記基
体1の上面に取着され、前記搭載部を囲繞する金属枠体
8と、前記基体1の搭載部に固定され、電極が前記配線
層2に電気的に接続されている水晶振動子5と、前記金
属枠体8上に溶接され、前記水晶振動子を内部に気密に
収容する蓋体3とから成る水晶デバイス6であって、前
記基体1の線熱膨張係数が14×10-6/℃乃至20×
10-6/℃(40〜400℃)であり、蓋体3の剛性率
が50GPa以下であり、かつ前記金属枠体8の少なく
とも蓋体3が溶接される領域にリンを3〜12重量%含
有するニッケル−銅めっき層10を被着させた。
により水晶振動子の気密封止が破れ、水晶振動子を安定
に作動させることができない。 【解決手段】上面に搭載部を有し、該搭載部から外表面
にかけて導出された配線層2を有する基体1と、前記基
体1の上面に取着され、前記搭載部を囲繞する金属枠体
8と、前記基体1の搭載部に固定され、電極が前記配線
層2に電気的に接続されている水晶振動子5と、前記金
属枠体8上に溶接され、前記水晶振動子を内部に気密に
収容する蓋体3とから成る水晶デバイス6であって、前
記基体1の線熱膨張係数が14×10-6/℃乃至20×
10-6/℃(40〜400℃)であり、蓋体3の剛性率
が50GPa以下であり、かつ前記金属枠体8の少なく
とも蓋体3が溶接される領域にリンを3〜12重量%含
有するニッケル−銅めっき層10を被着させた。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピュータ等の
情報処理装置や携帯電話等の電子装置において、時間お
よび周波数の基準源として使用される水晶デバイスに関
するものである。 【0002】 【従来の技術】コンピュータ等の情報処理装置や携帯電
話等の電子装置において時間および周波数の基準源とし
て使用される水晶デバイスは、一般に、四角形状の水晶
基板に電圧印加用の電極を形成して成る水晶振動子を、
水晶振動子収納用パッケージ内に気密に収容することに
よって形成されている。 【0003】前記水晶振動子収納用パッケージは、一般
に、酸化アルミニウム質焼結体等の電気絶縁材料から成
り、上面中央部に水晶振動子を収容する空所を形成する
ための凹部、および凹部表面から外表面にかけて導出さ
れたタングステン、モリブデン等の高融点金属等の金属
材料から成る配線層を有する基体と、鉄−ニッケル−コ
バルト合金、鉄−ニッケル合金等の金属材料から成る蓋
体とから構成されている。 【0004】そして、水晶振動子の電極を基体の凹部内
表面に露出する配線層及びその周辺の基体表面に導電性
接着材を介して取着することにより、水晶振動子が凹部
内に接着固定されるとともに配線層に電気的に接続さ
れ、しかる後、基体の上面に蓋体を取着し、基体と蓋体
とから成る容器内部に水晶振動子を気密に収容すること
によって製品としての水晶デバイスが完成する。 【0005】なお、蓋体の基体に対する取着は、一般
に、基体上面に凹部を取り囲むようにしてロウ付け用メ
タライズ層を形成しておくとともにこのロウ付け用メタ
ライズ層に鉄−ニッケル−コバルト合金や鉄−ニッケル
合金等から成る金属枠体を銀ロウ等のロウ材を介して取
着し、この金属枠体に金属材料から成る蓋体をシーム溶
接、エレクトロンビーム溶接等の溶接法で接合するとい
う手段で行なわれている。この場合、金属枠体の表面に
は、通常、予めニッケルめっき層が従来周知のワット
浴、スルファミン酸浴等を用いた電解めっき法により被
着形成されており、上記シーム溶接等による溶接は、実
質的には、ニッケルめっき層を溶接装置で加熱溶融し、
ニッケルを介して金属枠体に蓋体を接合することにより
行なわれている。 【0006】更に前記水晶デバイスの外部電気回路基板
への実装は、基体の外表面に導出された配線層を外部電
気回路基板の配線導体に半田等の導電性接続材を介して
接続することによって行なわれ、水晶振動子は配線層を
介し外部電気回路に電気的に接続されるとともに外部電
気回路から印加される電圧に応じて所定の周波数で振動
する。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
水晶デバイスは、水晶振動子の線熱膨張係数が約18×
10-6/℃(40〜400℃)であるのに対し、水晶振
動子が搭載固定される酸化アルミニウム質焼結体から成
る基体の線熱膨張係数が約7×10-6/℃(40〜40
0℃)であり、大きく相違すること、基体に水晶振動子
を固定する導電性接着材が硬質のエポキシ樹脂と導電性
粉末とから成り変形しにくいこと等から、外部環境の変
化に伴って基体と水晶振動子の両者に繰り返し熱が作用
すると基体と水晶振動子との線熱膨張係数差に起因する
熱応力が導電性接着材に繰り返し作用し、導電性接着材
に機械的な破壊を招来して水晶振動子の導電性接着材を
介しての固定が破れ、その結果、水晶デバイスとしての
機能が喪失するという欠点を有していた。 【0008】そこで、上記欠点を解消するため、基体の
線熱膨張係数を水晶振動子の線熱膨張係数に近似するよ
うに高くし、基体と水晶振動子との間に大きな熱応力が
生じることを防止するという手段が考えられる。 【0009】しかしながら、基体の線熱膨張係数を水晶
振動子に近似するように高くした場合、鉄−ニッケル−
コバルト合金、鉄−ニッケル合金等から成る蓋体の線熱
膨張係数が約4×10-6/℃〜6×10-6/℃(40〜
400℃)であり、基体との線熱膨張係数に対して大き
な差(約10×10-6/℃以上)を有すること、鉄−ニ
ッケル−コバルト合金、鉄−ニッケル合金等から成る蓋
体の剛性率が約80〜100GPaと高く変形しにくい
こと等から、外部環境の変化に伴って基体と蓋体に繰り
返し熱が作用すると、基体と蓋体との間に両者の線熱膨
張係数差に起因して大きな熱応力が生じるとともに該熱
応力によって基体にクラックや割れを発生したり、基体
と蓋体とからなる容器の気密封止が破れたりし、その結
果、基体と蓋体とから成る容器内部に収容する水晶振動
子を長期間にわたり正確、かつ安定に作動させることが
できないという欠点が誘発される。 【0010】さらに従来の水晶デバイスは、金属枠体に
電解めっき法によって被着されているニッケルめっき層
の融点が約1000℃以上と高いことから、このニッケ
ルめっき層を溶融させて金属枠体に蓋体を溶接する際、
1000℃を超える高温の大きな熱衝撃が基体に伝わっ
て基体にクラックを発生させてしまい、その結果、基体
と蓋体とから成る容器の気密封止が破れ、水晶振動子を
長期間にわたり正確、かつ安定に作動させることができ
ないという欠点を有していた。 【0011】本発明は上記欠点に鑑み案出されたもので
あり、その目的は水晶振動子を長期間にわたり正常、か
つ安定に作動させることができる高信頼性の水晶デバイ
スを提供することにある。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明の水晶デバイス
は、上面に搭載部を有し、該搭載部から外表面にかけて
導出された配線層を有する基体と、前記基体の上面に取
着され、前記搭載部を囲繞する金属枠体と、前記基体の
搭載部に固定され、電極が前記配線層に電気的に接続さ
れている水晶振動子と、前記金属枠体上に溶接され、前
記水晶振動子を内部に気密に収容する蓋体とから成る水
晶デバイスであって、前記基体の線熱膨張係数が14×
10-6/℃乃至20×10-6/℃(40〜400℃)で
あり、蓋体の剛性率が50GPa以下であり、かつ前記
金属枠体の少なくとも蓋体が溶接される領域にリンを3
〜12重量%含有するニッケル−銅めっき層を被着させ
たことを特徴とするものである。 【0013】本発明の水晶デバイスによれば、基体の線
熱膨張係数を14×10-6/℃乃至20×10-6/℃
(40〜400℃)とし、水晶振動子の線熱膨張係数に
近似させたことから基体に水晶振動子を固定した後、外
部環境の変化に伴って基体と水晶振動子の両者に繰り返
し熱が作用したとしても基体と水晶振動子との間には両
者の線熱膨張係数差に起因する大きな熱応力が発生する
ことはなく、これによって水晶振動子を基体に確実、強
固に固定することができ、水晶振動子を正確に作動させ
ることが可能となる。 【0014】また同時に本発明の水晶デバイスによれ
ば、蓋体の剛性率を50GPa以下としたことから、基
体と蓋体との間に線熱膨張係数の差があり、両者に熱が
作用し、両者間に大きな熱応力が発生したとしても、そ
の熱応力は蓋体を適度に変形させることによって効果的
に吸収され、その結果、基体に蓋体を確実、強固に取着
させて容器の気密封止を完全となし、これによって容器
内部に収容する水晶振動子を長期間にわたり安定、かつ
正確に作動させることができる。 【0015】さらに本発明の水晶デバイスによれば、金
属枠体の少なくとも蓋体が溶接される領域にリンを3〜
12重量%含有する融点が約850℃と低いニッケル−
銅めっき層を被着させたことからこのニッケル−銅めっ
き層を溶融させて金属枠体に蓋体を溶接させる際、基体
に大きな熱衝撃が伝わりクラックを発生することはほと
んどなく、その結果、基体と蓋体とから成る容器の気密
封止を完全とし、容器内部に収容する水晶振動子を長期
間にわたり正確、かつ安定に作動させることが可能とな
る。 【0016】 【発明の実施の形態】次に本発明の水晶デバイスについ
て添付の図面を基にして詳細に説明する。図1は本発明
の水晶デバイスの一実施例を示す断面図であり、図1に
おいて、1は基体、2は配線層、3は蓋体である。この
基体1と蓋体3とにより形成される容器4内に水晶振動
子5を気密に収容することにより水晶デバイス6が形成
される。 【0017】前記基体1は、線熱膨張係数が14×10
-6/℃乃至20×10-6/℃(40〜400℃)のガラ
スセラミック焼結体や結晶性ガラス等から成り、その上
面に水晶振動子を収容するための空所となる凹部1aが
設けてあり、該凹部1a内に水晶振動子5が収容され
る。 【0018】前記基体1はその線熱膨張係数が14×1
0-6/℃乃至20×10-6/℃(40〜400℃)であ
り、水晶振動子5の線熱膨張係数(約18×10-6/
℃:40〜400℃)に近似することから、基体1の凹
部1a内に水晶振動子5を搭載収容した後、両者に熱が
作用しても両者間に大きな熱応力が発生することはな
く、その結果、水晶振動子5を基体1の凹部1a内に確
実、強固に固定することができる。 【0019】前記線熱膨張係数が14×10-6/℃〜2
0×10-6/℃(40〜400℃)の基体1は、具体的
には、酸化バリウムを5〜60重量%含有するガラス
と、40〜400℃における線熱膨張係数が8×10-6
/℃以上の金属酸化物粒子を含むフィラーとからなり、
前記ガラスおよび/またはフィラー中にジルコニウム
(Zr)化合物をZrO2換算で0.1乃至25重量%
の割合で含有させたガラスセラミック焼結体が好適に使
用される。 【0020】前記ガラスセラミック焼結体は、ガラス成
分として酸化バリウムを5〜60重量%含有するガラス
を用いることが大事である。この酸化バリウム含有ガラ
スは低軟化点であり、比較的高い線熱膨張係数を有して
いるために、ガラス量を少なく、かつ高熱膨張のフィラ
ーを多く添加することが可能であり、高い線熱膨張係数
を有する焼結体が容易に得られる。酸化バリウムの量を
5〜60重量%の範囲とするのは、5重量%より少ない
とガラスの低軟化点化が困難となるとともに線熱膨張係
数が低くなり、高熱膨張のガラスセラミック焼結体を作
製するのが難しく、60重量%より多いとガラス化が困
難であり、特性が不安定となりやすく、また耐薬品性が
著しく低下してしまうためである。特に酸化バリウムの
量は20〜40重量%が望ましい。 【0021】またこのガラス中には鉛(Pb)を実質的
に含まないことが望ましい。鉛は毒性を有するため製造
工程中での被毒を防止するための格別な装置および管理
を必要とするために焼結体を安価に製造することができ
なくなるためである。鉛が不純物として不可避的に混入
する場合を考慮すると、鉛の含有量は0.05重量%以
下であることが望ましい。 【0022】更にこのガラスの40〜400℃における
線熱膨張係数が7×10-6/℃〜18×10-6/℃、特
に8×10-6/℃〜13×10-6/℃であることが望ま
しい。これは線熱膨張係数が上記範囲を逸脱するとフィ
ラーとの線熱膨張差が生じ、ガラスセラミック焼結体の
強度の低下の原因になるためである。 【0023】また更に、前記酸化バリウム含有ガラスの
屈伏点は、400〜800℃、特に400〜700℃で
あることが望ましい。これは酸化バリウム含有ガラスお
よびフィラーからなる混合物を成形する場合、有機樹脂
等の成形用バインダーを添加するが、このバインダーを
効率的に除去するとともに基体1と同時に焼成される後
述する配線層2との焼成条件のマッチングを図るため必
要であり、屈伏点が400℃より低いとガラスが低い温
度で焼結が開始されるために、例えば、銀(Ag)、銅
(Cu)等の焼結開始温度が600〜800℃の配線層
2との同時焼成ができず、また成形体の緻密化が低温で
開始するためにバインダーは分解揮散できなくなりバイ
ンダー成分が残留し特性に影響を及ぼす結果になるため
である。また屈伏点が800℃より高いとガラス量を多
くしないと焼結しにくくなるため、高価なガラスを大量
に必要とするために焼結体のコストを高めることにな
る。 【0024】前記の特性を満足するガラスとしては、前
記酸化バリウム以外に、少なくとも酸化珪素(Si
O2)を25〜60重量%の割合で含み、残部が酸化ホ
ウ素(B2O3)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化
カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、
酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)の群から
選ばれる少なくとも1種によって構成される。 【0025】一方、前記ガラスと組み合わせるフィラー
成分としては、40〜400℃における線熱膨張係数が
8×10-6/℃以上の金属酸化物を少なくとも含有する
ことが焼結体の高熱膨張化を図る上で大事である。線熱
膨張係数が8×10-6/℃以上の金属酸化物を含有しな
いと、ガラスセラミック焼結体の線熱膨張係数を14×
10-6/℃以上に高めることができないためである。 【0026】このような線熱膨張係数が8×10-6/℃
以上の金属酸化物としては、クリストバライト(SiO
2)、クォーツ(SiO2)、トリジマイト(Si
O2)、フォルステライト(2MgO・SiO2)、ウオ
ラストナイト(CaO・SiO2)、モンティセラナイ
ト(CaO・MgO・SiO2)、ネフェリン(Na2O
・Al2O3・SiO2)、メルビナイト(3CaO・M
gO・2SiO2)、アケルマイト(2CaO・MgO
・2SiO2)マグネシア(MgO)、カーネギアイト
(Na2O・Al2O3・2SiO2)、エンスタタイト
(MgO・SiO2)、ペタライト(LiAlSi
4O10)、ヒスイ(Na2O・Al2O3・4SiO2)の
群から選ばれる少なくとも一種以上が挙げられる。これ
らの中でも、クリストバライト、クォーツ、トリジマイ
ト等のSiO2系材料やフォルステライト、エンスタタ
イトの群から選ばれる一種が高熱膨張化を図る上で望ま
しい。 【0027】前記ガラスとフィラーは、焼成温度や最終
的に得られるガラスセラミック焼結体の熱膨張特性など
の目的に応じて適当な比率で混合される。前記酸化バリ
ウム含有ガラスは、フィラー無添加では収縮開始温度は
700℃以下で、850℃以上では溶融してしまい、配
線層2等を配設することができない。しかし、フィラー
を混合することにより焼成過程において結晶の析出が起
こり、フィラー成分を液相焼結させるための液相を適切
な温度で形成させることができる。また、成形体全体の
収縮開始温度を上昇させることができるため、このフィ
ラーの含有量の調整により配線層2との同時焼成条件の
マッチングを図ることができる。 【0028】前記ガラスとフィラーの比率は前記ガラス
粉末を20〜80体積%と、フィラー粉末を80〜20
体積%との割合とすることが好適である。このガラスと
フィラー成分の量を上記の範囲とするのはガラス成分量
が20体積%より少ない、言い換えればフィラーが80
体積%より多いと液相焼結することが難しく、焼成温度
が高くなり配線層2との同時焼成時に配線層2が溶融し
てしまう恐れがある。またガラスが80体積%より多
い、言い換えるとフィラーが20体積%より少ないと焼
結体の特性がガラスの特性に大きく依存してしまい、材
料特性の制御が困難となるとともに、焼結開始温度が低
くなるために配線層2との同時焼成が難しくなるという
問題が生じる。またガラス量が多いために原料のコスト
も高くなる傾向にある。 【0029】また、フィラー成分量は、酸化バリウムの
屈伏点に応じ、その量を適宜調整することが望ましい。
すなわち、ガラスの屈伏点が400〜700℃と低い場
合、低温での焼結性が高まるためフィラーの含有量は4
0〜80体積%と比較的多く配合できる。これに対し
て、ガラスの屈伏点が700〜800℃と高い場合、焼
結性が低下するためフィラーの含有量は20〜50体積
%と比較的少なく配合することが望ましい。 【0030】更に前記ガラスセラミック焼結体は、前記
フィラー成分中および/またはガラス成分中にジルコニ
ウム化合物(Zr化合物)を酸化ジルコニウム(ZrO
2)換算で0.1〜25重量%の割合で含有させておく
ことが大事である。前記Zr化合物は酸化バリウム含有
ガラスに溶融し、ガラスの耐酸化性を高める作用をな
し、これによってガラスセラミック焼結体の耐薬品性を
向上させることができるとともに酸性溶液あるいはアル
カリ性溶液での処理後のガラスセラミック焼結体の外観
の変化や配線層2の被着強度の劣化を抑制することが可
能となる。 【0031】前記Zr化合物としては、例えば、ZrO
2、ZrSiO4、CaO・ZrO2、ZrB2、ZrP2
O7、ZrBの群から選ばれる少なくとも一種が挙げら
れる。このZr化合物は化合物粉末としてフィラー成分
中の一成分として混合する。この場合、添加時のZr化
合物、特にZrO2のBET比表面積によって、ガラス
セラミック焼結体の耐薬品性が変化する傾向にあり、B
ET比表面積が25m 2/g以上であることが望まし
く、BET比表面積が25m2/gよりも小さいと耐薬
品性の改善効果が小さくなる傾向にある。また他の配合
形態としては、ガラス粉末として酸化バリウム(Ba
O)、酸化珪素(SiO2)以外の成分として酸化ジル
コニウム(ZrO2)を含有するガラスを用いてもよ
い。 【0032】なお、前記Zr化合物を上記範囲としたの
は、0.1重量よりも少ないと耐薬品性の改善効果が低
く、25重量%よりも多いと線熱膨張係数が14×10
-6/℃よりも低くなるためである。特にZr化合物はZ
rO2換算で0.2〜10重量%が望ましい。 【0033】その他に、着色成分として、酸化クロム、
酸化コバルト、酸化マンガン、酸化ニッケルの群から選
ばれる少なくとも1種を配合してもよい。 【0034】前記ガラスセラミック焼結体は上記のよう
に調合されたガラス粉末とフィラー粉末との混合物に、
適当な成形の有機樹脂バインダーを添加した後、ドクタ
ーブレード法や圧延法、金型プレス法等の成形手段によ
り任意の形状、例えば、シート状に成形し、しかる後、
焼成することによって製作される。 【0035】また前記基体1は、凹部1aの表面から外
表面にかけて配線層2が導出されており、配線層2の凹
部1a表面に露出する部位に水晶振動子5の電極が導電
性接着材7を介して接着固定され、外表面に導出された
部位は外部電気回路基板の配線導体に半田等のロウ材を
介して接続される。 【0036】前記配線層2は、凹部1a内に収容される
水晶振動子5と外部電気回路基板の配線導体とを電気的
に接続する作用をなし、銅、銀、ニッケル、パラジウ
ム、金のうちの一種以上から成る金属材料により形成さ
れており、銅から成る場合であれば、銅粉末に適当な有
機溶剤、有機バインダー等を添加混合して得た金属ペー
ストを、基体1となるグリーンシートの表面にスクリー
ン印刷法等で所定パターンに印刷塗布しておくことによ
って形成される。 【0037】なお、前記配線層2は、その露出する表面
をニッケル、銅、金等の耐食性およびロウ材の濡れ性の
良好な金属から成るめっき層(不図示)で被覆しておく
と、配線層2の酸化腐食を良好に防止することができる
とともに、配線層2に対する半田等のロウ材の濡れ性を
良好とすることができ、外部電気回路基板の配線導体に
対する配線層2の接続をより一層容易、かつ確実なもの
とすることができる。従って、前記配線層2は、その露
出する表面をニッケル、銅、金等のめっき層、例えば、
順次被着された厚み1μm〜10μmのニッケルまたは
ニッケル合金めっき層、厚み0.1〜3μmの金めっき
層で被覆しておくことが好ましい。 【0038】また前記配線層2の表面をニッケル、銅、
金等のめっき層で被覆する場合、その最表面の算術平均
粗さ(Ra)を1.5μm以下、自乗平均平方根粗さ(R
ms)を1.8μm以下としておくと最表面の光の反射
率が40%以上となって水晶振動子5を配線層2に導電
性接着材7を介して接着する際、その位置決め等の作業
が容易となる。従って、前記配線層2の表面をニッケ
ル、銅、金等のめっき層で被覆する場合、その最表面の
算術平均粗さ(Ra)を1.5μm以下、自乗平均平方
根粗さ(Rms)を1.8μm以下としておくことが好
ましい。 【0039】更に前記配線層2の表面を被覆するニッケ
ル、銅、金等からなるめっき層の最表面の算術平均粗さ
(Ra)を1.5μm以下、自乗平均平方根粗さ(Rm
s)を1.8μm以下とするには、例えば、配線層2を
従来周知のワット浴にイオウ化合物等の光沢剤を添加し
た電解ニッケルめっき液に浸漬して配線層2の表面にニ
ッケルめっき層を被着させ、しかる後、シアン系の電解
金めっき液中に浸漬し、ニッケルメッキ層表面に金めっ
き層を被着させることによって行なわれる。 【0040】更にまた配線層2には水晶振動子5が導電
性接着材7を介して接着固定され、同時に水晶振動子5
の電極が配線層2に電気的に接続される。 【0041】前記導電性接着材7は、一般に、銀粉末等
の導電性粉末をエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂に添加す
ることによって形成されており、配線層2上に水晶振動
子5を、未硬化の熱硬化性樹脂に導電性粉末を添加して
成る未硬化の接着材を介して、位置決めセットし、未硬
化の熱硬化性樹脂を加熱硬化することによって水晶振動
子5を凹部1a内の所定位置に固定するとともに水晶振
動子5の電極を配線層2に電気的に接続する。 【0042】前記水晶振動子5が導電性接着材7を介し
て接着固定されている基体1はまたその上面に蓋体3が
金属枠体8を介して取着され、これによって基体1と蓋
体3とから成る容器4内部に水晶振動子5が気密に収容
され、水晶デバイス6となる。 【0043】前記金属枠体8は蓋体3を基体1に接合さ
せる際の下地金属材として作用し、基体1上面への取着
は、まず基体1の上面で、凹部1aを取り囲むように予
め枠状のロウ付け用メタライズ層9を被着させておき、
該ロウ付け用メタライズ層9に金属枠体8を銀ロウ等の
ロウ材を介しロウ付けすることによって行なわれる。 【0044】なお、前記ロウ付け用メタライズ層9は、
例えば、配線層2と同一材料、同一方法によって基体1
上面の凹部1aを取り囲む位置に形成される。 【0045】前記金属枠体8に対する蓋体3の接合は、
例えば、シーム溶接を採用することによって行われ、具
体的には、図2に示すように、金属枠体8の少なくとも
蓋体3が接合される領域に予めニッケル−銅めっき層1
0を被着させておき、金属枠体8上にニッケル−銅めっ
き層10を挟んで蓋体3を載置、当接させ、しかる後、
例えば、蓋体3の外縁に沿ってローラー電極を接触させ
ながら転動させるとともにこのローラー電極を介して大
電流を流し、金属枠体8と蓋体3の間に位置するニッケ
ル−銅めっき層10を溶融させることによって行なわれ
る。 【0046】前記金属枠体8に蓋体3をシーム溶接によ
って接合する場合、前記金属枠体8の上面と側面との間
の角部に曲率半径が5〜30μmの丸みを形成しておく
と金属枠体8の上面側にバリが形成されることがなくな
り、金属枠体8と蓋体3とを確実、強固に接合させて容
器4の気密封止の信頼性を極めて高いものとなすことが
できる。従って、前記金属枠体8はその上面と側面との
間の角部を曲率半径が5〜30μmの丸みをもたせるよ
うにしておくことが好ましい。 【0047】更に前記金属枠体8に接合される蓋体3
は、剛性率が50GPa以下の材料、具体的には銅、
金、銀の一種以上から成る金属、またはこの金属にニッ
ケル、アルミニウム、錫、亜鉛等の金属や、リン、シリ
コン等を添加した合金から成り、例えば、銅のインゴッ
ト(塊)に圧延加工、打抜き加工等の周知の金属加工を
施すことによって形成される。 【0048】前記蓋体3は、その剛性率が50GPa以
下であることから、基体1の線熱膨張係数と蓋体3の線
熱膨張係数とが大きく相違し、両者間に両者の線熱膨張
係数差に起因する大きな熱応力が発生したとしても、そ
の熱応力は蓋体3を適度に変形させることによって効果
的に吸収され、これによって基体1に割れやクラックを
発生することなく、基体1に蓋体3を強固に取着させて
容器の気密封止を完全となし、容器4内部に収容する水
晶振動子5を長期間にわたり安定、かつ正確に作動させ
ることができる。 【0049】なお、前記蓋体3はその剛性率が50GP
aを超えると蓋体3が変形し難くなり、基体1と蓋体3
との間に発生する熱応力を蓋体3が充分に吸収すること
ができなくなって基体1にクラックや割れを発生した
り、基体1と蓋体3とからなる容器4の気密封止が破れ
たりしてしまう。従って、前記蓋体3はその剛性率が5
0GPa以下に特定される。また前記蓋体3はその剛性
率が15GPa以下になると変形し易くなりすぎ、基体
1に蓋体3をシーム溶接等によって強固に接合させるこ
とができなくなったり、蓋体3が容器4内部に収容する
水晶振動子5等に接触して水晶振動子5を正常に作動さ
せることが困難となる危険性がある。従って、前記蓋体
3はその剛性率を15GPa〜50GPaとしておくこ
とが好ましい。 【0050】また本発明の水晶デバイス6においては、
前記金属枠体8に被着するめっき層を、ニッケル−銅か
ら成るとともにリンを3〜12重量%含有するものとし
ておくことが重要である。 【0051】前記リンを3〜12重量%含有するニッケ
ル−銅めっき層10は、リンおよび銅の作用により融点
が約850℃程度と低くなっている。そのため、金属枠
体8に蓋体3を載置、当接するとともに蓋体3の外縁に
沿ってローラー電極を転動させて大電流を流し溶接する
際、基体1に大きな熱衝撃が伝わって基体1にクラック
が発生することはほとんどなく、その結果、基体1と蓋
体3とから成る容器4の気密封止を完全とし、容器4内
部に収容する水晶振動子5を長期間にわたり正確、かつ
安定に作動させることが可能となる。 【0052】前記リンを3〜12重量%含有するニッケ
ル−銅めっき層10は、例えば、ニッケル供給源である
硫酸ニッケルと、銅供給源である硫酸銅と、還元剤であ
る次亜リン酸ナトリウムとを主成分とし、クエン酸、E
DTA(エチレンジアミン四酢酸)、リンゴ酸、酒石
酸、酢酸等の有機酸またはそのナトリウム塩等の錯化
剤、イオウ化合物等の安定剤を添加してなる無電解ニッ
ケルめっき液を所定の温度、pHに調整するとともに、
このめっき液中に、少なくとも金属枠体8の蓋体3が接
合される領域を所定時間浸漬することにより形成され
る。この場合、ニッケル−銅めっき層10中のリン含有
量は、前記めっき液の還元剤濃度や錯化剤、安定剤等の
添加量、またはpH、温度等の条件を調整することによ
り所定の範囲とすることができる。 【0053】前記ニッケル−銅めっき層10は、リン含
有率が3重量%未満になると融点を十分に低くすること
ができず金属枠体8に蓋体3を溶接により接合する際、
基体1にクラック等が発生してしまい、また12重量%
を超えると硬く脆くなるため、溶接時等にクラックが発
生して蓋体3を金属枠体8に確実、強固に溶接すること
ができなくなってしまう。従って、前記ニッケル−銅め
っき層10のリン含有率は3〜12重量%とする必要が
あり、3〜11重量%とすることがより一層好ましい。 【0054】また前記ニッケル−銅めっき層10は、銅
含有率が増加(ニッケルの含有率が低下)するにつれて
融点が下がるとともに耐食性が低下する傾向があり、銅
の含有率が5重量%以下(ニッケルの含有率が95重量
%以上)になると、リン含有率が3〜12重量%の範囲
において、ニッケル−銅めっき層10を十分に低融点と
することが困難となり、また銅含有率が50重量%以上
(ニッケル含有率が50重量%以下)になると、ニッケ
ル−銅めっき層10の耐食性が低下して蓋体3の金属枠
体8に対する溶接の信頼性が低下するおそれがある。従
って、前記ニッケル−銅めっき層10は銅の含有率を5
〜50重量%の範囲とすることが好ましい。 【0055】なお、前記ニッケル−銅めっき層10は、
蓋体3を金属枠体8に溶接する場合、その厚みが0.5
μm未満ではニッケル量が少ないため蓋体3を金属枠体
8に強固に溶接することが困難となり、また5μmを超
えると、ニッケル−銅めっき層10の内部応力によって
金属枠体8に対するニッケル−銅めっき層10の被着強
度が低下してしまう危険性がある。従って、前記ニッケ
ル−銅めっき層10の厚みは0.5μm〜5μmの範囲
としておくことが好ましい。 【0056】かくして上述の水晶デバイス6によれば、
配線層2を外部電気回路に接続し、水晶振動子5の電極
に所定の電圧を印加させることによって水晶振動子5が
所定の周波数で振動し、コンピュータ等の情報処理装置
や携帯電話等の電子装置において時間および周波数の基
準源として使用される。 【0057】なお、本発明は上述の実施例に限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば
種々の変更は可能であり、例えば、図3に示すように、
配線層2の一部に高さが30μm〜100μm程度の突
起11を形成しておくと、この突起11がスペーサーと
なって配線層2と水晶振動子5との間に一定のスペース
が確保され、このスペースに充分な導電性接着材7が入
り込んで水晶振動子5を配線層2に極めて強固に接着固
定することができる。 【0058】また上述の水晶デバイス6では、基体1上
面に凹部1aを設け、該凹部1a内に水晶振動子5を収
容するようになしたが、これを図4に示す如く、平坦な
基体1上に水晶振動子5を搭載固定し、該固定された水
晶振動子5を椀状の蓋体3で気密に封止するようになし
た水晶デバイス6にも適用し得る。 【0059】また上述の実施例では、蓋体3の金属枠体
8に対する溶接をシーム溶接で行なうようにしたが、こ
れを、蓋体3の外縁に沿ってエレクトロンビームを照射
し、その熱エネルギーで溶接を行なうエレクトロンビー
ム溶接により行なってもよい。 【0060】 【発明の効果】本発明の水晶デバイスによれば、基体の
線熱膨張係数を14×10-6/℃乃至20×10-6/℃
(40〜400℃)とし、水晶振動子の線熱膨張係数に
近似させたことから基体に水晶振動子を固定した後、外
部環境の変化に伴って基体と水晶振動子の両者に繰り返
し熱が作用したとしても基体と水晶振動子との間には両
者の線熱膨張係数差に起因する大きな熱応力が発生する
ことはなく、これによって水晶振動子を基体に確実、強
固に固定することができ、水晶振動子を正確に作動させ
ることができる。 【0061】また同時に本発明の水晶デバイスによれ
ば、蓋体の剛性率を50GPa以下としたことから、基
体と蓋体との間に線熱膨張係数の差があり、両者に熱が
作用し、両者間に大きな熱応力が発生したとしても、そ
の熱応力は蓋体を適度に変形させることによって効果的
に吸収され、その結果、基体に蓋体を確実、強固に取着
させて容器の気密封止を完全となし、これによって容器
内部に収容する水晶振動子を長期間にわたり安定、かつ
正確に作動させることができる。 【0062】さらに本発明の水晶デバイスによれば、金
属枠体の少なくとも蓋体が溶接される領域にリンを3〜
12重量%含有する融点が約850℃と低いニッケル−
銅めっき層を被着させたことからこのニッケル−銅めっ
き層を溶融させて金属枠体に蓋体を溶接させる際、基体
に大きな熱衝撃が伝わりクラックを発生することはほと
んどなく、その結果、基体と蓋体とから成る容器の気密
封止を完全とし、容器内部に収容する水晶振動子を長期
間にわたり正確、かつ安定に作動させることが可能とな
る。
情報処理装置や携帯電話等の電子装置において、時間お
よび周波数の基準源として使用される水晶デバイスに関
するものである。 【0002】 【従来の技術】コンピュータ等の情報処理装置や携帯電
話等の電子装置において時間および周波数の基準源とし
て使用される水晶デバイスは、一般に、四角形状の水晶
基板に電圧印加用の電極を形成して成る水晶振動子を、
水晶振動子収納用パッケージ内に気密に収容することに
よって形成されている。 【0003】前記水晶振動子収納用パッケージは、一般
に、酸化アルミニウム質焼結体等の電気絶縁材料から成
り、上面中央部に水晶振動子を収容する空所を形成する
ための凹部、および凹部表面から外表面にかけて導出さ
れたタングステン、モリブデン等の高融点金属等の金属
材料から成る配線層を有する基体と、鉄−ニッケル−コ
バルト合金、鉄−ニッケル合金等の金属材料から成る蓋
体とから構成されている。 【0004】そして、水晶振動子の電極を基体の凹部内
表面に露出する配線層及びその周辺の基体表面に導電性
接着材を介して取着することにより、水晶振動子が凹部
内に接着固定されるとともに配線層に電気的に接続さ
れ、しかる後、基体の上面に蓋体を取着し、基体と蓋体
とから成る容器内部に水晶振動子を気密に収容すること
によって製品としての水晶デバイスが完成する。 【0005】なお、蓋体の基体に対する取着は、一般
に、基体上面に凹部を取り囲むようにしてロウ付け用メ
タライズ層を形成しておくとともにこのロウ付け用メタ
ライズ層に鉄−ニッケル−コバルト合金や鉄−ニッケル
合金等から成る金属枠体を銀ロウ等のロウ材を介して取
着し、この金属枠体に金属材料から成る蓋体をシーム溶
接、エレクトロンビーム溶接等の溶接法で接合するとい
う手段で行なわれている。この場合、金属枠体の表面に
は、通常、予めニッケルめっき層が従来周知のワット
浴、スルファミン酸浴等を用いた電解めっき法により被
着形成されており、上記シーム溶接等による溶接は、実
質的には、ニッケルめっき層を溶接装置で加熱溶融し、
ニッケルを介して金属枠体に蓋体を接合することにより
行なわれている。 【0006】更に前記水晶デバイスの外部電気回路基板
への実装は、基体の外表面に導出された配線層を外部電
気回路基板の配線導体に半田等の導電性接続材を介して
接続することによって行なわれ、水晶振動子は配線層を
介し外部電気回路に電気的に接続されるとともに外部電
気回路から印加される電圧に応じて所定の周波数で振動
する。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
水晶デバイスは、水晶振動子の線熱膨張係数が約18×
10-6/℃(40〜400℃)であるのに対し、水晶振
動子が搭載固定される酸化アルミニウム質焼結体から成
る基体の線熱膨張係数が約7×10-6/℃(40〜40
0℃)であり、大きく相違すること、基体に水晶振動子
を固定する導電性接着材が硬質のエポキシ樹脂と導電性
粉末とから成り変形しにくいこと等から、外部環境の変
化に伴って基体と水晶振動子の両者に繰り返し熱が作用
すると基体と水晶振動子との線熱膨張係数差に起因する
熱応力が導電性接着材に繰り返し作用し、導電性接着材
に機械的な破壊を招来して水晶振動子の導電性接着材を
介しての固定が破れ、その結果、水晶デバイスとしての
機能が喪失するという欠点を有していた。 【0008】そこで、上記欠点を解消するため、基体の
線熱膨張係数を水晶振動子の線熱膨張係数に近似するよ
うに高くし、基体と水晶振動子との間に大きな熱応力が
生じることを防止するという手段が考えられる。 【0009】しかしながら、基体の線熱膨張係数を水晶
振動子に近似するように高くした場合、鉄−ニッケル−
コバルト合金、鉄−ニッケル合金等から成る蓋体の線熱
膨張係数が約4×10-6/℃〜6×10-6/℃(40〜
400℃)であり、基体との線熱膨張係数に対して大き
な差(約10×10-6/℃以上)を有すること、鉄−ニ
ッケル−コバルト合金、鉄−ニッケル合金等から成る蓋
体の剛性率が約80〜100GPaと高く変形しにくい
こと等から、外部環境の変化に伴って基体と蓋体に繰り
返し熱が作用すると、基体と蓋体との間に両者の線熱膨
張係数差に起因して大きな熱応力が生じるとともに該熱
応力によって基体にクラックや割れを発生したり、基体
と蓋体とからなる容器の気密封止が破れたりし、その結
果、基体と蓋体とから成る容器内部に収容する水晶振動
子を長期間にわたり正確、かつ安定に作動させることが
できないという欠点が誘発される。 【0010】さらに従来の水晶デバイスは、金属枠体に
電解めっき法によって被着されているニッケルめっき層
の融点が約1000℃以上と高いことから、このニッケ
ルめっき層を溶融させて金属枠体に蓋体を溶接する際、
1000℃を超える高温の大きな熱衝撃が基体に伝わっ
て基体にクラックを発生させてしまい、その結果、基体
と蓋体とから成る容器の気密封止が破れ、水晶振動子を
長期間にわたり正確、かつ安定に作動させることができ
ないという欠点を有していた。 【0011】本発明は上記欠点に鑑み案出されたもので
あり、その目的は水晶振動子を長期間にわたり正常、か
つ安定に作動させることができる高信頼性の水晶デバイ
スを提供することにある。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明の水晶デバイス
は、上面に搭載部を有し、該搭載部から外表面にかけて
導出された配線層を有する基体と、前記基体の上面に取
着され、前記搭載部を囲繞する金属枠体と、前記基体の
搭載部に固定され、電極が前記配線層に電気的に接続さ
れている水晶振動子と、前記金属枠体上に溶接され、前
記水晶振動子を内部に気密に収容する蓋体とから成る水
晶デバイスであって、前記基体の線熱膨張係数が14×
10-6/℃乃至20×10-6/℃(40〜400℃)で
あり、蓋体の剛性率が50GPa以下であり、かつ前記
金属枠体の少なくとも蓋体が溶接される領域にリンを3
〜12重量%含有するニッケル−銅めっき層を被着させ
たことを特徴とするものである。 【0013】本発明の水晶デバイスによれば、基体の線
熱膨張係数を14×10-6/℃乃至20×10-6/℃
(40〜400℃)とし、水晶振動子の線熱膨張係数に
近似させたことから基体に水晶振動子を固定した後、外
部環境の変化に伴って基体と水晶振動子の両者に繰り返
し熱が作用したとしても基体と水晶振動子との間には両
者の線熱膨張係数差に起因する大きな熱応力が発生する
ことはなく、これによって水晶振動子を基体に確実、強
固に固定することができ、水晶振動子を正確に作動させ
ることが可能となる。 【0014】また同時に本発明の水晶デバイスによれ
ば、蓋体の剛性率を50GPa以下としたことから、基
体と蓋体との間に線熱膨張係数の差があり、両者に熱が
作用し、両者間に大きな熱応力が発生したとしても、そ
の熱応力は蓋体を適度に変形させることによって効果的
に吸収され、その結果、基体に蓋体を確実、強固に取着
させて容器の気密封止を完全となし、これによって容器
内部に収容する水晶振動子を長期間にわたり安定、かつ
正確に作動させることができる。 【0015】さらに本発明の水晶デバイスによれば、金
属枠体の少なくとも蓋体が溶接される領域にリンを3〜
12重量%含有する融点が約850℃と低いニッケル−
銅めっき層を被着させたことからこのニッケル−銅めっ
き層を溶融させて金属枠体に蓋体を溶接させる際、基体
に大きな熱衝撃が伝わりクラックを発生することはほと
んどなく、その結果、基体と蓋体とから成る容器の気密
封止を完全とし、容器内部に収容する水晶振動子を長期
間にわたり正確、かつ安定に作動させることが可能とな
る。 【0016】 【発明の実施の形態】次に本発明の水晶デバイスについ
て添付の図面を基にして詳細に説明する。図1は本発明
の水晶デバイスの一実施例を示す断面図であり、図1に
おいて、1は基体、2は配線層、3は蓋体である。この
基体1と蓋体3とにより形成される容器4内に水晶振動
子5を気密に収容することにより水晶デバイス6が形成
される。 【0017】前記基体1は、線熱膨張係数が14×10
-6/℃乃至20×10-6/℃(40〜400℃)のガラ
スセラミック焼結体や結晶性ガラス等から成り、その上
面に水晶振動子を収容するための空所となる凹部1aが
設けてあり、該凹部1a内に水晶振動子5が収容され
る。 【0018】前記基体1はその線熱膨張係数が14×1
0-6/℃乃至20×10-6/℃(40〜400℃)であ
り、水晶振動子5の線熱膨張係数(約18×10-6/
℃:40〜400℃)に近似することから、基体1の凹
部1a内に水晶振動子5を搭載収容した後、両者に熱が
作用しても両者間に大きな熱応力が発生することはな
く、その結果、水晶振動子5を基体1の凹部1a内に確
実、強固に固定することができる。 【0019】前記線熱膨張係数が14×10-6/℃〜2
0×10-6/℃(40〜400℃)の基体1は、具体的
には、酸化バリウムを5〜60重量%含有するガラス
と、40〜400℃における線熱膨張係数が8×10-6
/℃以上の金属酸化物粒子を含むフィラーとからなり、
前記ガラスおよび/またはフィラー中にジルコニウム
(Zr)化合物をZrO2換算で0.1乃至25重量%
の割合で含有させたガラスセラミック焼結体が好適に使
用される。 【0020】前記ガラスセラミック焼結体は、ガラス成
分として酸化バリウムを5〜60重量%含有するガラス
を用いることが大事である。この酸化バリウム含有ガラ
スは低軟化点であり、比較的高い線熱膨張係数を有して
いるために、ガラス量を少なく、かつ高熱膨張のフィラ
ーを多く添加することが可能であり、高い線熱膨張係数
を有する焼結体が容易に得られる。酸化バリウムの量を
5〜60重量%の範囲とするのは、5重量%より少ない
とガラスの低軟化点化が困難となるとともに線熱膨張係
数が低くなり、高熱膨張のガラスセラミック焼結体を作
製するのが難しく、60重量%より多いとガラス化が困
難であり、特性が不安定となりやすく、また耐薬品性が
著しく低下してしまうためである。特に酸化バリウムの
量は20〜40重量%が望ましい。 【0021】またこのガラス中には鉛(Pb)を実質的
に含まないことが望ましい。鉛は毒性を有するため製造
工程中での被毒を防止するための格別な装置および管理
を必要とするために焼結体を安価に製造することができ
なくなるためである。鉛が不純物として不可避的に混入
する場合を考慮すると、鉛の含有量は0.05重量%以
下であることが望ましい。 【0022】更にこのガラスの40〜400℃における
線熱膨張係数が7×10-6/℃〜18×10-6/℃、特
に8×10-6/℃〜13×10-6/℃であることが望ま
しい。これは線熱膨張係数が上記範囲を逸脱するとフィ
ラーとの線熱膨張差が生じ、ガラスセラミック焼結体の
強度の低下の原因になるためである。 【0023】また更に、前記酸化バリウム含有ガラスの
屈伏点は、400〜800℃、特に400〜700℃で
あることが望ましい。これは酸化バリウム含有ガラスお
よびフィラーからなる混合物を成形する場合、有機樹脂
等の成形用バインダーを添加するが、このバインダーを
効率的に除去するとともに基体1と同時に焼成される後
述する配線層2との焼成条件のマッチングを図るため必
要であり、屈伏点が400℃より低いとガラスが低い温
度で焼結が開始されるために、例えば、銀(Ag)、銅
(Cu)等の焼結開始温度が600〜800℃の配線層
2との同時焼成ができず、また成形体の緻密化が低温で
開始するためにバインダーは分解揮散できなくなりバイ
ンダー成分が残留し特性に影響を及ぼす結果になるため
である。また屈伏点が800℃より高いとガラス量を多
くしないと焼結しにくくなるため、高価なガラスを大量
に必要とするために焼結体のコストを高めることにな
る。 【0024】前記の特性を満足するガラスとしては、前
記酸化バリウム以外に、少なくとも酸化珪素(Si
O2)を25〜60重量%の割合で含み、残部が酸化ホ
ウ素(B2O3)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化
カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、
酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)の群から
選ばれる少なくとも1種によって構成される。 【0025】一方、前記ガラスと組み合わせるフィラー
成分としては、40〜400℃における線熱膨張係数が
8×10-6/℃以上の金属酸化物を少なくとも含有する
ことが焼結体の高熱膨張化を図る上で大事である。線熱
膨張係数が8×10-6/℃以上の金属酸化物を含有しな
いと、ガラスセラミック焼結体の線熱膨張係数を14×
10-6/℃以上に高めることができないためである。 【0026】このような線熱膨張係数が8×10-6/℃
以上の金属酸化物としては、クリストバライト(SiO
2)、クォーツ(SiO2)、トリジマイト(Si
O2)、フォルステライト(2MgO・SiO2)、ウオ
ラストナイト(CaO・SiO2)、モンティセラナイ
ト(CaO・MgO・SiO2)、ネフェリン(Na2O
・Al2O3・SiO2)、メルビナイト(3CaO・M
gO・2SiO2)、アケルマイト(2CaO・MgO
・2SiO2)マグネシア(MgO)、カーネギアイト
(Na2O・Al2O3・2SiO2)、エンスタタイト
(MgO・SiO2)、ペタライト(LiAlSi
4O10)、ヒスイ(Na2O・Al2O3・4SiO2)の
群から選ばれる少なくとも一種以上が挙げられる。これ
らの中でも、クリストバライト、クォーツ、トリジマイ
ト等のSiO2系材料やフォルステライト、エンスタタ
イトの群から選ばれる一種が高熱膨張化を図る上で望ま
しい。 【0027】前記ガラスとフィラーは、焼成温度や最終
的に得られるガラスセラミック焼結体の熱膨張特性など
の目的に応じて適当な比率で混合される。前記酸化バリ
ウム含有ガラスは、フィラー無添加では収縮開始温度は
700℃以下で、850℃以上では溶融してしまい、配
線層2等を配設することができない。しかし、フィラー
を混合することにより焼成過程において結晶の析出が起
こり、フィラー成分を液相焼結させるための液相を適切
な温度で形成させることができる。また、成形体全体の
収縮開始温度を上昇させることができるため、このフィ
ラーの含有量の調整により配線層2との同時焼成条件の
マッチングを図ることができる。 【0028】前記ガラスとフィラーの比率は前記ガラス
粉末を20〜80体積%と、フィラー粉末を80〜20
体積%との割合とすることが好適である。このガラスと
フィラー成分の量を上記の範囲とするのはガラス成分量
が20体積%より少ない、言い換えればフィラーが80
体積%より多いと液相焼結することが難しく、焼成温度
が高くなり配線層2との同時焼成時に配線層2が溶融し
てしまう恐れがある。またガラスが80体積%より多
い、言い換えるとフィラーが20体積%より少ないと焼
結体の特性がガラスの特性に大きく依存してしまい、材
料特性の制御が困難となるとともに、焼結開始温度が低
くなるために配線層2との同時焼成が難しくなるという
問題が生じる。またガラス量が多いために原料のコスト
も高くなる傾向にある。 【0029】また、フィラー成分量は、酸化バリウムの
屈伏点に応じ、その量を適宜調整することが望ましい。
すなわち、ガラスの屈伏点が400〜700℃と低い場
合、低温での焼結性が高まるためフィラーの含有量は4
0〜80体積%と比較的多く配合できる。これに対し
て、ガラスの屈伏点が700〜800℃と高い場合、焼
結性が低下するためフィラーの含有量は20〜50体積
%と比較的少なく配合することが望ましい。 【0030】更に前記ガラスセラミック焼結体は、前記
フィラー成分中および/またはガラス成分中にジルコニ
ウム化合物(Zr化合物)を酸化ジルコニウム(ZrO
2)換算で0.1〜25重量%の割合で含有させておく
ことが大事である。前記Zr化合物は酸化バリウム含有
ガラスに溶融し、ガラスの耐酸化性を高める作用をな
し、これによってガラスセラミック焼結体の耐薬品性を
向上させることができるとともに酸性溶液あるいはアル
カリ性溶液での処理後のガラスセラミック焼結体の外観
の変化や配線層2の被着強度の劣化を抑制することが可
能となる。 【0031】前記Zr化合物としては、例えば、ZrO
2、ZrSiO4、CaO・ZrO2、ZrB2、ZrP2
O7、ZrBの群から選ばれる少なくとも一種が挙げら
れる。このZr化合物は化合物粉末としてフィラー成分
中の一成分として混合する。この場合、添加時のZr化
合物、特にZrO2のBET比表面積によって、ガラス
セラミック焼結体の耐薬品性が変化する傾向にあり、B
ET比表面積が25m 2/g以上であることが望まし
く、BET比表面積が25m2/gよりも小さいと耐薬
品性の改善効果が小さくなる傾向にある。また他の配合
形態としては、ガラス粉末として酸化バリウム(Ba
O)、酸化珪素(SiO2)以外の成分として酸化ジル
コニウム(ZrO2)を含有するガラスを用いてもよ
い。 【0032】なお、前記Zr化合物を上記範囲としたの
は、0.1重量よりも少ないと耐薬品性の改善効果が低
く、25重量%よりも多いと線熱膨張係数が14×10
-6/℃よりも低くなるためである。特にZr化合物はZ
rO2換算で0.2〜10重量%が望ましい。 【0033】その他に、着色成分として、酸化クロム、
酸化コバルト、酸化マンガン、酸化ニッケルの群から選
ばれる少なくとも1種を配合してもよい。 【0034】前記ガラスセラミック焼結体は上記のよう
に調合されたガラス粉末とフィラー粉末との混合物に、
適当な成形の有機樹脂バインダーを添加した後、ドクタ
ーブレード法や圧延法、金型プレス法等の成形手段によ
り任意の形状、例えば、シート状に成形し、しかる後、
焼成することによって製作される。 【0035】また前記基体1は、凹部1aの表面から外
表面にかけて配線層2が導出されており、配線層2の凹
部1a表面に露出する部位に水晶振動子5の電極が導電
性接着材7を介して接着固定され、外表面に導出された
部位は外部電気回路基板の配線導体に半田等のロウ材を
介して接続される。 【0036】前記配線層2は、凹部1a内に収容される
水晶振動子5と外部電気回路基板の配線導体とを電気的
に接続する作用をなし、銅、銀、ニッケル、パラジウ
ム、金のうちの一種以上から成る金属材料により形成さ
れており、銅から成る場合であれば、銅粉末に適当な有
機溶剤、有機バインダー等を添加混合して得た金属ペー
ストを、基体1となるグリーンシートの表面にスクリー
ン印刷法等で所定パターンに印刷塗布しておくことによ
って形成される。 【0037】なお、前記配線層2は、その露出する表面
をニッケル、銅、金等の耐食性およびロウ材の濡れ性の
良好な金属から成るめっき層(不図示)で被覆しておく
と、配線層2の酸化腐食を良好に防止することができる
とともに、配線層2に対する半田等のロウ材の濡れ性を
良好とすることができ、外部電気回路基板の配線導体に
対する配線層2の接続をより一層容易、かつ確実なもの
とすることができる。従って、前記配線層2は、その露
出する表面をニッケル、銅、金等のめっき層、例えば、
順次被着された厚み1μm〜10μmのニッケルまたは
ニッケル合金めっき層、厚み0.1〜3μmの金めっき
層で被覆しておくことが好ましい。 【0038】また前記配線層2の表面をニッケル、銅、
金等のめっき層で被覆する場合、その最表面の算術平均
粗さ(Ra)を1.5μm以下、自乗平均平方根粗さ(R
ms)を1.8μm以下としておくと最表面の光の反射
率が40%以上となって水晶振動子5を配線層2に導電
性接着材7を介して接着する際、その位置決め等の作業
が容易となる。従って、前記配線層2の表面をニッケ
ル、銅、金等のめっき層で被覆する場合、その最表面の
算術平均粗さ(Ra)を1.5μm以下、自乗平均平方
根粗さ(Rms)を1.8μm以下としておくことが好
ましい。 【0039】更に前記配線層2の表面を被覆するニッケ
ル、銅、金等からなるめっき層の最表面の算術平均粗さ
(Ra)を1.5μm以下、自乗平均平方根粗さ(Rm
s)を1.8μm以下とするには、例えば、配線層2を
従来周知のワット浴にイオウ化合物等の光沢剤を添加し
た電解ニッケルめっき液に浸漬して配線層2の表面にニ
ッケルめっき層を被着させ、しかる後、シアン系の電解
金めっき液中に浸漬し、ニッケルメッキ層表面に金めっ
き層を被着させることによって行なわれる。 【0040】更にまた配線層2には水晶振動子5が導電
性接着材7を介して接着固定され、同時に水晶振動子5
の電極が配線層2に電気的に接続される。 【0041】前記導電性接着材7は、一般に、銀粉末等
の導電性粉末をエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂に添加す
ることによって形成されており、配線層2上に水晶振動
子5を、未硬化の熱硬化性樹脂に導電性粉末を添加して
成る未硬化の接着材を介して、位置決めセットし、未硬
化の熱硬化性樹脂を加熱硬化することによって水晶振動
子5を凹部1a内の所定位置に固定するとともに水晶振
動子5の電極を配線層2に電気的に接続する。 【0042】前記水晶振動子5が導電性接着材7を介し
て接着固定されている基体1はまたその上面に蓋体3が
金属枠体8を介して取着され、これによって基体1と蓋
体3とから成る容器4内部に水晶振動子5が気密に収容
され、水晶デバイス6となる。 【0043】前記金属枠体8は蓋体3を基体1に接合さ
せる際の下地金属材として作用し、基体1上面への取着
は、まず基体1の上面で、凹部1aを取り囲むように予
め枠状のロウ付け用メタライズ層9を被着させておき、
該ロウ付け用メタライズ層9に金属枠体8を銀ロウ等の
ロウ材を介しロウ付けすることによって行なわれる。 【0044】なお、前記ロウ付け用メタライズ層9は、
例えば、配線層2と同一材料、同一方法によって基体1
上面の凹部1aを取り囲む位置に形成される。 【0045】前記金属枠体8に対する蓋体3の接合は、
例えば、シーム溶接を採用することによって行われ、具
体的には、図2に示すように、金属枠体8の少なくとも
蓋体3が接合される領域に予めニッケル−銅めっき層1
0を被着させておき、金属枠体8上にニッケル−銅めっ
き層10を挟んで蓋体3を載置、当接させ、しかる後、
例えば、蓋体3の外縁に沿ってローラー電極を接触させ
ながら転動させるとともにこのローラー電極を介して大
電流を流し、金属枠体8と蓋体3の間に位置するニッケ
ル−銅めっき層10を溶融させることによって行なわれ
る。 【0046】前記金属枠体8に蓋体3をシーム溶接によ
って接合する場合、前記金属枠体8の上面と側面との間
の角部に曲率半径が5〜30μmの丸みを形成しておく
と金属枠体8の上面側にバリが形成されることがなくな
り、金属枠体8と蓋体3とを確実、強固に接合させて容
器4の気密封止の信頼性を極めて高いものとなすことが
できる。従って、前記金属枠体8はその上面と側面との
間の角部を曲率半径が5〜30μmの丸みをもたせるよ
うにしておくことが好ましい。 【0047】更に前記金属枠体8に接合される蓋体3
は、剛性率が50GPa以下の材料、具体的には銅、
金、銀の一種以上から成る金属、またはこの金属にニッ
ケル、アルミニウム、錫、亜鉛等の金属や、リン、シリ
コン等を添加した合金から成り、例えば、銅のインゴッ
ト(塊)に圧延加工、打抜き加工等の周知の金属加工を
施すことによって形成される。 【0048】前記蓋体3は、その剛性率が50GPa以
下であることから、基体1の線熱膨張係数と蓋体3の線
熱膨張係数とが大きく相違し、両者間に両者の線熱膨張
係数差に起因する大きな熱応力が発生したとしても、そ
の熱応力は蓋体3を適度に変形させることによって効果
的に吸収され、これによって基体1に割れやクラックを
発生することなく、基体1に蓋体3を強固に取着させて
容器の気密封止を完全となし、容器4内部に収容する水
晶振動子5を長期間にわたり安定、かつ正確に作動させ
ることができる。 【0049】なお、前記蓋体3はその剛性率が50GP
aを超えると蓋体3が変形し難くなり、基体1と蓋体3
との間に発生する熱応力を蓋体3が充分に吸収すること
ができなくなって基体1にクラックや割れを発生した
り、基体1と蓋体3とからなる容器4の気密封止が破れ
たりしてしまう。従って、前記蓋体3はその剛性率が5
0GPa以下に特定される。また前記蓋体3はその剛性
率が15GPa以下になると変形し易くなりすぎ、基体
1に蓋体3をシーム溶接等によって強固に接合させるこ
とができなくなったり、蓋体3が容器4内部に収容する
水晶振動子5等に接触して水晶振動子5を正常に作動さ
せることが困難となる危険性がある。従って、前記蓋体
3はその剛性率を15GPa〜50GPaとしておくこ
とが好ましい。 【0050】また本発明の水晶デバイス6においては、
前記金属枠体8に被着するめっき層を、ニッケル−銅か
ら成るとともにリンを3〜12重量%含有するものとし
ておくことが重要である。 【0051】前記リンを3〜12重量%含有するニッケ
ル−銅めっき層10は、リンおよび銅の作用により融点
が約850℃程度と低くなっている。そのため、金属枠
体8に蓋体3を載置、当接するとともに蓋体3の外縁に
沿ってローラー電極を転動させて大電流を流し溶接する
際、基体1に大きな熱衝撃が伝わって基体1にクラック
が発生することはほとんどなく、その結果、基体1と蓋
体3とから成る容器4の気密封止を完全とし、容器4内
部に収容する水晶振動子5を長期間にわたり正確、かつ
安定に作動させることが可能となる。 【0052】前記リンを3〜12重量%含有するニッケ
ル−銅めっき層10は、例えば、ニッケル供給源である
硫酸ニッケルと、銅供給源である硫酸銅と、還元剤であ
る次亜リン酸ナトリウムとを主成分とし、クエン酸、E
DTA(エチレンジアミン四酢酸)、リンゴ酸、酒石
酸、酢酸等の有機酸またはそのナトリウム塩等の錯化
剤、イオウ化合物等の安定剤を添加してなる無電解ニッ
ケルめっき液を所定の温度、pHに調整するとともに、
このめっき液中に、少なくとも金属枠体8の蓋体3が接
合される領域を所定時間浸漬することにより形成され
る。この場合、ニッケル−銅めっき層10中のリン含有
量は、前記めっき液の還元剤濃度や錯化剤、安定剤等の
添加量、またはpH、温度等の条件を調整することによ
り所定の範囲とすることができる。 【0053】前記ニッケル−銅めっき層10は、リン含
有率が3重量%未満になると融点を十分に低くすること
ができず金属枠体8に蓋体3を溶接により接合する際、
基体1にクラック等が発生してしまい、また12重量%
を超えると硬く脆くなるため、溶接時等にクラックが発
生して蓋体3を金属枠体8に確実、強固に溶接すること
ができなくなってしまう。従って、前記ニッケル−銅め
っき層10のリン含有率は3〜12重量%とする必要が
あり、3〜11重量%とすることがより一層好ましい。 【0054】また前記ニッケル−銅めっき層10は、銅
含有率が増加(ニッケルの含有率が低下)するにつれて
融点が下がるとともに耐食性が低下する傾向があり、銅
の含有率が5重量%以下(ニッケルの含有率が95重量
%以上)になると、リン含有率が3〜12重量%の範囲
において、ニッケル−銅めっき層10を十分に低融点と
することが困難となり、また銅含有率が50重量%以上
(ニッケル含有率が50重量%以下)になると、ニッケ
ル−銅めっき層10の耐食性が低下して蓋体3の金属枠
体8に対する溶接の信頼性が低下するおそれがある。従
って、前記ニッケル−銅めっき層10は銅の含有率を5
〜50重量%の範囲とすることが好ましい。 【0055】なお、前記ニッケル−銅めっき層10は、
蓋体3を金属枠体8に溶接する場合、その厚みが0.5
μm未満ではニッケル量が少ないため蓋体3を金属枠体
8に強固に溶接することが困難となり、また5μmを超
えると、ニッケル−銅めっき層10の内部応力によって
金属枠体8に対するニッケル−銅めっき層10の被着強
度が低下してしまう危険性がある。従って、前記ニッケ
ル−銅めっき層10の厚みは0.5μm〜5μmの範囲
としておくことが好ましい。 【0056】かくして上述の水晶デバイス6によれば、
配線層2を外部電気回路に接続し、水晶振動子5の電極
に所定の電圧を印加させることによって水晶振動子5が
所定の周波数で振動し、コンピュータ等の情報処理装置
や携帯電話等の電子装置において時間および周波数の基
準源として使用される。 【0057】なお、本発明は上述の実施例に限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば
種々の変更は可能であり、例えば、図3に示すように、
配線層2の一部に高さが30μm〜100μm程度の突
起11を形成しておくと、この突起11がスペーサーと
なって配線層2と水晶振動子5との間に一定のスペース
が確保され、このスペースに充分な導電性接着材7が入
り込んで水晶振動子5を配線層2に極めて強固に接着固
定することができる。 【0058】また上述の水晶デバイス6では、基体1上
面に凹部1aを設け、該凹部1a内に水晶振動子5を収
容するようになしたが、これを図4に示す如く、平坦な
基体1上に水晶振動子5を搭載固定し、該固定された水
晶振動子5を椀状の蓋体3で気密に封止するようになし
た水晶デバイス6にも適用し得る。 【0059】また上述の実施例では、蓋体3の金属枠体
8に対する溶接をシーム溶接で行なうようにしたが、こ
れを、蓋体3の外縁に沿ってエレクトロンビームを照射
し、その熱エネルギーで溶接を行なうエレクトロンビー
ム溶接により行なってもよい。 【0060】 【発明の効果】本発明の水晶デバイスによれば、基体の
線熱膨張係数を14×10-6/℃乃至20×10-6/℃
(40〜400℃)とし、水晶振動子の線熱膨張係数に
近似させたことから基体に水晶振動子を固定した後、外
部環境の変化に伴って基体と水晶振動子の両者に繰り返
し熱が作用したとしても基体と水晶振動子との間には両
者の線熱膨張係数差に起因する大きな熱応力が発生する
ことはなく、これによって水晶振動子を基体に確実、強
固に固定することができ、水晶振動子を正確に作動させ
ることができる。 【0061】また同時に本発明の水晶デバイスによれ
ば、蓋体の剛性率を50GPa以下としたことから、基
体と蓋体との間に線熱膨張係数の差があり、両者に熱が
作用し、両者間に大きな熱応力が発生したとしても、そ
の熱応力は蓋体を適度に変形させることによって効果的
に吸収され、その結果、基体に蓋体を確実、強固に取着
させて容器の気密封止を完全となし、これによって容器
内部に収容する水晶振動子を長期間にわたり安定、かつ
正確に作動させることができる。 【0062】さらに本発明の水晶デバイスによれば、金
属枠体の少なくとも蓋体が溶接される領域にリンを3〜
12重量%含有する融点が約850℃と低いニッケル−
銅めっき層を被着させたことからこのニッケル−銅めっ
き層を溶融させて金属枠体に蓋体を溶接させる際、基体
に大きな熱衝撃が伝わりクラックを発生することはほと
んどなく、その結果、基体と蓋体とから成る容器の気密
封止を完全とし、容器内部に収容する水晶振動子を長期
間にわたり正確、かつ安定に作動させることが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水晶デバイスの一実施例を示す断面図
である。 【図2】本発明の水晶デバイスの要部断面図である。 【図3】本発明の他の実施例を示す要部断面図である。 【図4】本発明の他の実施例を示す断面図である。 【符号の説明】 1・・・・・基体 1a・・・・凹部 2・・・・・配線層 3・・・・・蓋体 4・・・・・容器 5・・・・・水晶振動子 6・・・・・水晶デバイス 7・・・・・導電性接着材 8・・・・・金属枠体 9・・・・・ロウ付け用メタライズ層 10・・・・ニッケル−銅めっき層 11・・・・突起
である。 【図2】本発明の水晶デバイスの要部断面図である。 【図3】本発明の他の実施例を示す要部断面図である。 【図4】本発明の他の実施例を示す断面図である。 【符号の説明】 1・・・・・基体 1a・・・・凹部 2・・・・・配線層 3・・・・・蓋体 4・・・・・容器 5・・・・・水晶振動子 6・・・・・水晶デバイス 7・・・・・導電性接着材 8・・・・・金属枠体 9・・・・・ロウ付け用メタライズ層 10・・・・ニッケル−銅めっき層 11・・・・突起
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
H03H 9/10 H03H 9/10
9/19 9/19 A
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】上面に搭載部を有し、該搭載部から外表面
にかけて導出された配線層を有する基体と、前記基体の
上面に取着され、前記搭載部を囲繞する金属枠体と、前
記基体の搭載部に固定され、電極が前記配線層に電気的
に接続されている水晶振動子と、前記金属枠体上に溶接
され、前記水晶振動子を内部に気密に収容する蓋体とか
ら成る水晶デバイスであって、 前記基体の線熱膨張係数が14×10-6/℃乃至20×
10-6/℃(40〜400℃)であり、蓋体の剛性率が
50GPa以下であり、かつ前記金属枠体の少なくとも
蓋体が溶接される領域にリンを3〜12重量%含有する
ニッケル−銅めっき層を被着させたことを特徴とする水
晶デバイス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001226635A JP2003046007A (ja) | 2001-07-26 | 2001-07-26 | 水晶デバイス |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001226635A JP2003046007A (ja) | 2001-07-26 | 2001-07-26 | 水晶デバイス |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003046007A true JP2003046007A (ja) | 2003-02-14 |
Family
ID=19059411
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001226635A Pending JP2003046007A (ja) | 2001-07-26 | 2001-07-26 | 水晶デバイス |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2003046007A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005073000A (ja) * | 2003-08-26 | 2005-03-17 | Nippon Dempa Kogyo Co Ltd | 表面実装用の水晶振動子 |
JP2015080038A (ja) * | 2013-10-15 | 2015-04-23 | 日本電波工業株式会社 | 圧電デバイス |
-
2001
- 2001-07-26 JP JP2001226635A patent/JP2003046007A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2005073000A (ja) * | 2003-08-26 | 2005-03-17 | Nippon Dempa Kogyo Co Ltd | 表面実装用の水晶振動子 |
JP4490062B2 (ja) * | 2003-08-26 | 2010-06-23 | 日本電波工業株式会社 | 表面実装用の水晶振動子 |
JP2015080038A (ja) * | 2013-10-15 | 2015-04-23 | 日本電波工業株式会社 | 圧電デバイス |
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