JP2003068912A - 水晶デバイス - Google Patents

水晶デバイス

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JP2003068912A
JP2003068912A JP2001256877A JP2001256877A JP2003068912A JP 2003068912 A JP2003068912 A JP 2003068912A JP 2001256877 A JP2001256877 A JP 2001256877A JP 2001256877 A JP2001256877 A JP 2001256877A JP 2003068912 A JP2003068912 A JP 2003068912A
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base
wiring layer
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nickel plating
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JP2001256877A
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Takuya Ouchi
卓也 大内
Yoshihiro Hosoi
義博 細井
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Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
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Publication date
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  • Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】基体と蓋体の線熱膨張係数差に起因して蓋体を
基体に強固に接合することができず、同時に蓋体を基体
に取着するときの熱衝撃によって基体にクラックが発生
する。 【解決手段】配線層2を有する基体1と、金属枠体12
と、水晶振動子5と、蓋体3と、半導体素子6とから成
る水晶デバイス7であって、前記基体1の線熱膨張係数
が14×10-6/℃乃至20×10-6/℃(40〜40
0℃)であり、蓋体3の剛性率が50GPa以下であ
り、かつ前記金属枠体12の少なくとも蓋体3が溶接さ
れる領域にリンを9乃至12重量%含有する第1ニッケ
ルめっき層11aを、前記配線層2の少なくとも外部電
気回路と接続される領域にコバルトを5乃至40重量%
含有する第2ニッケルめっき層11bを被着させた。

Description

【発明の詳細な説明】 【発明の属する技術分野】 【0001】本発明は、コンピュータ等の情報処理装置
や携帯電話等の電子装置において、時間および周波数の
高精度の基準源として使用される温度補償型の水晶デバ
イスに関するものである。 【0002】 【従来の技術】コンピュータ等の情報処理装置や携帯電
話等の電子装置において時間および周波数の高精度の基
準源として使用される温度補償型の水晶デバイスは、一
般に、四角形状の水晶基板に電圧印加用の電極を形成し
て成る水晶振動子と、この水晶振動子の温度補償を行な
う半導体素子とを、水晶振動子収納用パッケージ内に気
密に収容することによって形成されている。 【0003】前記水晶振動子収納用パッケージは、一般
に、酸化アルミニウム質焼結体等の電気絶縁材料から成
り、上面中央部に水晶振動子を収容する空所を形成する
ための凹部を、下面中央部に半導体素子を収容する空所
となる凹部を、それぞれ有するとともに、各凹部表面か
ら外表面にかけて導出された、タングステン、モリブデ
ン等の高融点金属等の金属材料から成る配線層を有する
基体と、鉄−ニッケル−コバルト合金、鉄−ニッケル合
金等の金属材料から成る蓋体とから構成されている。 【0004】そして、水晶振動子の電極を基体上面の凹
部内表面に露出する配線層及びその周辺の基体表面に導
電性接着材を介して取着することにより、水晶振動子を
凹部内に接着固定するとともに配線層に電気的に接続
し、また、基体下面の凹部内に半導体素子を収容しロウ
材や樹脂等の接着材を介して接着固定するとともに半導
体素子の電極を配線層に電気的に接続し、しかる後、基
体の上面に蓋体を取着し、基体と蓋体とから成る容器内
部に水晶振動子を気密に収容するとともに基体下面の凹
部内に収容した半導体素子を蓋体や封止用樹脂で封止す
ることによって製品としての水晶デバイスが完成する。 【0005】なお、蓋体の基体上面に対する取着は、一
般に、基体上面に凹部を取り囲むようにしてロウ付け用
メタライズ層を形成しておくとともにこのロウ付け用メ
タライズ層に鉄−ニッケル−コバルト合金や鉄−ニッケ
ル合金等から成る金属枠体を銀ロウ等のロウ材を介して
取着し、この金属枠体に金属材料から成る蓋体をシーム
溶接、エレクトロンビーム溶接等の溶接法で接合すると
いう手段で行なわれている。この場合、金属枠体の表面
には、通常、予めニッケルめっき層が従来周知のワット
浴、スルファミン酸浴等を用いた電解めっき法により被
着形成されており、上記シーム溶接等による溶接は、実
質的には、ニッケルめっき層を溶接装置で加熱溶融し、
ニッケルを介して金属枠体に蓋体を接合することにより
行なわれている。 【0006】更に前記水晶デバイスの外部電気回路基板
への実装は、基体の外表面に導出された配線層を外部電
気回路基板の配線導体に錫−鉛半田等の低融点ろう材を
介して接続することによって行なわれ、水晶振動子は配
線層を介し外部電気回路に電気的に接続されるとともに
外部電気回路から印加される電圧に応じて所定の周波数
で振動する。なお、配線層の露出表面には金属枠体の場
合と同様の手段によりニッケルめっき層が被着され、配
線導体に対する低融点ろう材の濡れ性を良好としてい
る。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
水晶デバイスは、水晶振動子の線熱膨張係数が約18×
10-6/℃(40〜400℃)であるのに対し、水晶振
動子が搭載固定される酸化アルミニウム質焼結体から成
る基体の線熱膨張係数が約7×10-6/℃(40〜40
0℃)であり、大きく相違すること、基体に水晶振動子
を固定する導電性接着材が硬質のエポキシ樹脂と導電性
粉末とから成り変形しにくいこと、温度補償用の半導体
素子が作動時に熱を発生すること等から、水晶デバイス
を作動させた際、温度補償用の半導体素子の発する熱が
基体と水晶振動子の両者に繰り返し作用し、その結果、
基体と水晶振動子との線熱膨張係数差に起因する熱応力
が導電性接着材に繰り返し作用し、導電性接着材に機械
的な破壊を招来して水晶振動子の導電性接着材を介して
の固定が破れ、水晶デバイスとしての機能が喪失すると
いう問題を有していた。 【0008】そこで、上記問題を解消するため、基体の
線熱膨張係数を水晶振動子の線熱膨張係数に近似するよ
うに高くし、基体と水晶振動子との間に大きな熱応力が
生じることを防止するという手段が考えられる。 【0009】しかしながら、基体の線熱膨張係数を水晶
振動子に近似するように高くした場合、鉄−ニッケル−
コバルト合金、鉄−ニッケル合金等から成る蓋体の線熱
膨張係数が約4×10-6/℃〜6×10-6/℃(40〜
400℃)であり、基体との線熱膨張係数に対して大き
な差(約10×10-6/℃以上)を有すること、鉄−ニ
ッケル−コバルト合金、鉄−ニッケル合金等から成る蓋
体の剛性率が約80〜100GPaと高く変形しにくい
こと等から、半導体素子の作動に伴って基体と蓋体に繰
り返し熱が作用すると、基体と蓋体との間に両者の線熱
膨張係数差に起因して大きな熱応力が生じるとともに該
熱応力によって基体にクラックや割れを発生したり、基
体と蓋体とからなる容器の気密封止が破れたりし、その
結果、基体と蓋体とから成る容器内部に収容する水晶振
動子を長期間にわたり正確、かつ安定に作動させること
ができないという問題が誘発される。 【0010】さらに従来の水晶デバイスは、金属枠体に
電解めっき法によって被着されているニッケルめっき層
の融点が約1000℃以上と高いことから、このニッケ
ルめっき層を溶融させて金属枠体に蓋体を溶接する際、
1000℃を超える高温の大きな熱衝撃が基体に伝わっ
て基体にクラックを発生させてしまい、その結果、基体
と蓋体とから成る容器の気密封止が破れ、水晶振動子を
長期間にわたり正確、かつ安定に作動させることができ
ないという問題を有していた。 【0011】また、水晶デバイスの小型化に伴い、配線
層の面積も非常に小さくなってきているため、配線層を
外部電気回路基板の配線導体に低融点ろう材を介して強
固に接続することが難しくなりつつあるという問題があ
った。 【0012】本発明は上記問題に鑑み案出されたもので
あり、その目的は、半導体素子で水晶振動子の温度補償
を行ない、水晶振動子を長期間にわたり正常、かつ安定
に作動させることができ、さらに所定の外部電気回路基
板に確実、強固に接続することが可能な、高精度、かつ
高信頼性の水晶デバイスを提供することにある。 【0013】 【課題を解決するための手段】本発明の水晶デバイス
は、上下両面に搭載部を有し、該各搭載部から外表面に
かけて導出された外部電気回路と接続される配線層を有
する基体と、前記基体の上面に取着され、前記搭載部を
囲繞する金属枠体と、前記基体上面の搭載部に固定さ
れ、電極が前記配線層に電気的に接続されている水晶振
動子と、前記金属枠体上に溶接され、前記水晶振動子を
内部に気密に収容する蓋体と、前記基体下面の搭載部に
固定され前記水晶振動子の温度補償を行なう半導体素子
とから成る水晶デバイスであって、前記基体の線熱膨張
係数が14×10-6/℃乃至20×10-6/℃(40〜
400℃)であり、蓋体の剛性率が50GPa以下であ
り、かつ前記金属枠体の少なくとも蓋体が溶接される領
域にリンを9乃至12重量%含有する第1ニッケルめっ
き層を、前記配線層の少なくとも外部電気回路と接続さ
れる領域にコバルトを5乃至40重量%含有する第2ニ
ッケルめっき層を被着させたことを特徴とするものであ
る。 【0014】本発明の水晶デバイスによれば、基体の線
熱膨張係数を14×10-6/℃乃至20×10-6/℃
(40〜400℃)とし、水晶振動子の線熱膨張係数に
近似させたことから基体に水晶振動子を固定した後、温
度補償用の半導体素子の作動に伴って基体と水晶振動子
の両者に繰り返し熱が作用したとしても基体と水晶振動
子との間には両者の線熱膨張係数差に起因する大きな熱
応力が発生することはなく、これによって水晶振動子を
基体に確実、強固に固定することができ、水晶振動子を
正確に作動させることが可能となる。 【0015】また同時に本発明の水晶デバイスによれ
ば、蓋体の剛性率を50GPa以下としたことから、基
体と蓋体との間に線熱膨張係数の差があり、両者に熱が
作用し、両者間に大きな熱応力が発生したとしても、そ
の熱応力は蓋体を適度に変形させることによって効果的
に吸収され、その結果、基体に蓋体を確実、強固に取着
させて容器の気密封止を完全となし、これによって容器
内部に収容する水晶振動子を長期間にわたり安定、かつ
正確に作動させることができる。 【0016】さらに本発明の水晶デバイスによれば、金
属枠体の少なくとも蓋体が溶接される領域にリンを9〜
12重量%含有する融点が約850℃と低い第1ニッケ
ルめっき層を被着させたことからこの第1ニッケルめっ
き層を溶融させて金属枠体に蓋体を溶接させる際、基体
に大きな熱衝撃が伝わりクラックを発生することはほと
んどなく、その結果、基体と蓋体とから成る容器の気密
封止を完全とし、容器内部に収容する水晶振動子を長期
間にわたり極めて安定、かつ正確に作動させることがで
きる。 【0017】またさらに本発明の水晶デバイスによれ
ば、配線層の外部電気回路と接続される領域にコバルト
を5乃至40重量%含有する錫との反応性に優れた第2
ニッケルめっき層を被着させたことから、配線層の面積
が小さくなり、配線層と外部電気回路基板の配線導体と
の接続面積が非常に小さなものとなったとしても、第2
ニッケルめっき層と低融点ろう材との間で十分に錫−ニ
ッケル−コバルト等の合金層を形成して両者を強固に接
続することができ、外部電気回路基板に対する接続の信
頼性を良好とすることができる。 【0018】 【発明の実施の形態】次に本発明の水晶デバイスについ
て添付の図面を基にして詳細に説明する。図1は本発明
の水晶デバイスの一実施例を示す断面図であり、図1に
おいて、1は基体、2は配線層、3は蓋体である。この
基体1と蓋体3とにより形成される容器4内に水晶振動
子5を気密に収容するとともに、基体1下面に半導体素
子6を搭載することにより水晶デバイス7が形成され
る。 【0019】前記基体1は、線熱膨張係数が14×10
-6/℃乃至20×10-6/℃(40〜400℃)のガラ
スセラミック焼結体や結晶性ガラス等から成り、その上
下両面に凹部1a、1bが設けてあり、上面の凹部1a
内には水晶振動子5が収容され、下面の凹部1bには前
記水晶振動子5の温度補償を行なうための半導体素子6
が接着材8を介して接着固定され、搭載収容される。 【0020】前記基体1はその線熱膨張係数が14×1
-6/℃乃至20×10-6/℃(40〜400℃)であ
り、水晶振動子5の線熱膨張係数(約18×10-6
℃:40〜400℃)に近似することから、基体1の凹
部1a内に水晶振動子5を搭載収容した後、両者に熱が
作用しても両者間に大きな熱応力が発生することはな
く、その結果、水晶振動子5を基体1の凹部1a内に確
実、強固に固定することができる。 【0021】前記線熱膨張係数が14×10-6/℃〜2
0×10-6/℃(40〜400℃)の基体1は、具体的
には、酸化バリウムを5〜60重量%含有するガラス
と、40〜400℃における線熱膨張係数が8×10-6
/℃以上の金属酸化物粒子を含むフィラーとからなり、
前記ガラスおよび/またはフィラー中にジルコニウム
(Zr)化合物をZrO2換算で0.1〜25重量%の
割合で含有させたガラスセラミック焼結体が好適に使用
される。 【0022】前記ガラスセラミック焼結体は、ガラス成
分として酸化バリウムを5〜60重量%含有するガラス
を用いることが大事である。この酸化バリウム含有ガラ
スは低軟化点であり、比較的高い線熱膨張係数を有して
いるために、ガラス量を少なく、かつ高熱膨張のフィラ
ーを多く添加することが可能であり、高い線熱膨張係数
を有する焼結体が容易に得られる。酸化バリウムの量を
5〜60重量%の範囲とするのは、5重量%より少ない
とガラスの低軟化点化が困難となるとともに線熱膨張係
数が低くなり、高熱膨張のガラスセラミック焼結体を作
製するのが難しく、60重量%より多いとガラス化が困
難であり、特性が不安定となりやすく、また耐薬品性が
著しく低下してしまうためである。特に酸化バリウムの
量は20〜40重量%が望ましい。 【0023】またこのガラス中には鉛(Pb)を実質的
に含まないことが望ましい。鉛は毒性を有するため製造
工程中での被毒を防止するための格別な装置および管理
を必要とするために焼結体を安価に製造することができ
なくなるためである。鉛が不純物として不可避的に混入
する場合を考慮すると、鉛の含有量は0.05重量%以
下であることが望ましい。 【0024】更にこのガラスの40〜400℃における
線熱膨張係数が7×10-6/℃〜18×10-6/℃、特
に8×10-6/℃〜13×10-6/℃であることが望ま
しい。これは線熱膨張係数が上記範囲を逸脱するとフィ
ラーとの線熱膨張差が生じ、ガラスセラミック焼結体の
強度の低下の原因になるためである。 【0025】また更に、前記酸化バリウム含有ガラスの
屈伏点は、400〜800℃、特に400〜700℃で
あることが望ましい。これは酸化バリウム含有ガラスお
よびフィラーからなる混合物を成形する場合、有機樹脂
等の成形用バインダーを添加するが、このバインダーを
効率的に除去するとともに基体1と同時に焼成される後
述する配線層2との焼成条件のマッチングを図るため必
要であり、屈伏点が400℃より低いとガラスが低い温
度で焼結が開始されるために、例えば、銀(Ag)、銅
(Cu)等の焼結開始温度が600〜800℃の配線層
2との同時焼成ができず、また成形体の緻密化が低温で
開始するためにバインダーは分解揮散できなくなりバイ
ンダー成分が残留し特性に影響を及ぼす結果になるため
である。また屈伏点が800℃より高いとガラス量を多
くしないと焼結しにくくなるため、高価なガラスを大量
に必要とするために焼結体のコストを高めることにな
る。 【0026】前記の特性を満足するガラスとしては、前
記酸化バリウム以外に、少なくとも酸化珪素(Si
2)を25〜60重量%の割合で含み、残部が酸化ホ
ウ素(B23)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化
カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、
酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)の群から
選ばれる少なくとも1種によって構成される。 【0027】一方、前記ガラスと組み合わせるフィラー
成分としては、40〜400℃における線熱膨張係数が
8×10-6/℃以上の金属酸化物を少なくとも含有する
ことが焼結体の高熱膨張化を図る上で大事である。線熱
膨張係数が8×10-6/℃以上の金属酸化物を含有しな
いと、ガラスセラミック焼結体の線熱膨張係数を14×
10-6/℃以上に高めることができないためである。 【0028】このような線熱膨張係数が8×10-6/℃
以上の金属酸化物としては、クリストバライト(SiO
2)、クォーツ(SiO2)、トリジマイト(Si
2)、フォルステライト(2MgO・SiO2)、ウオ
ラストナイト(CaO・SiO2)、モンティセラナイ
ト(CaO・MgO・SiO2)、ネフェリン(Na2
・Al23・SiO2)、メルビナイト(3CaO・M
gO・2SiO2)、アケルマイト(2CaO・MgO
・2SiO2)、マグネシア(MgO)、カーネギアイ
ト(Na2O・Al23・2SiO2)、エンスタタイト
(MgO・SiO2)、ペタライト(LiAlSi
410)、ヒスイ(Na2O・Al23・4SiO2)の
群から選ばれる少なくとも一種以上が挙げられる。これ
らの中でも、クリストバライト、クォーツ、トリジマイ
ト等のSiO2系材料やフォルステライト、エンスタタ
イトの群から選ばれる一種が高熱膨張化を図る上で望ま
しい。 【0029】前記ガラスとフィラーは、焼成温度や最終
的に得られるガラスセラミック焼結体の熱膨張特性など
の目的に応じて適当な比率で混合される。前記酸化バリ
ウム含有ガラスは、フィラー無添加では収縮開始温度は
700℃以下で、850℃以上では溶融してしまい、配
線層2等を配設することができない。しかし、フィラー
を混合することにより焼成過程において結晶の析出が起
こり、フィラー成分を液相焼結させるための液相を適切
な温度で形成させることができる。また、成形体全体の
収縮開始温度を上昇させることができるため、このフィ
ラーの含有量の調整により配線層2との同時焼成条件の
マッチングを図ることができる。 【0030】前記ガラスとフィラーの比率は前記ガラス
粉末を20〜80体積%と、フィラー粉末を80〜20
体積%との割合とすることが好適である。このガラスと
フィラー成分の量を上記の範囲とするのはガラス成分量
が20体積%より少ない、言い換えればフィラーが80
体積%より多いと液相焼結することが難しく、焼成温度
が高くなり、配線層2との同時焼成時に配線層2が溶融
してしまう恐れがある。またガラスが80体積%より多
い、言い換えるとフィラーが20体積%より少ないと焼
結体の特性がガラスの特性に大きく依存してしまい、材
料特性の制御が困難となるとともに、焼結開始温度が低
くなるために配線層2との同時焼成が難しくなるという
問題が生じる。またガラス量が多いために原料のコスト
も高くなる傾向にある。 【0031】また、フィラー成分量は、酸化バリウムの
屈伏点に応じ、その量を適宜調整することが望ましい。
すなわち、ガラスの屈伏点が400〜700℃と低い場
合、低温での焼結性が高まるためフィラーの含有量は4
0〜80体積%と比較的多く配合できる。これに対し
て、ガラスの屈伏点が700〜800℃と高い場合、焼
結性が低下するためフィラーの含有量は20〜50体積
%と比較的少なく配合することが望ましい。 【0032】更に前記ガラスセラミック焼結体は、前記
フィラー成分中および/またはガラス成分中にジルコニ
ウム化合物(Zr化合物)を酸化ジルコニウム(ZrO
2)換算で0.1〜25重量%の割合で含有させておく
ことが大事である。前記Zr化合物は酸化バリウム含有
ガラスに溶融し、ガラスの耐酸化性を高める作用をな
し、これによってガラスセラミック焼結体の耐薬品性を
向上させることができるとともに酸性溶液あるいはアル
カリ性溶液での処理後のガラスセラミック焼結体の外観
の変化や配線層2の被着強度の劣化を抑制することが可
能となる。 【0033】前記Zr化合物としては、例えば、ZrO
2、ZrSiO4、CaO・ZrO2、ZrB2、ZrP2
7、ZrBの群から選ばれる少なくとも一種が挙げら
れる。このZr化合物は化合物粉末としてフィラー成分
中の一成分として混合する。この場合、添加時のZr化
合物、特にZrO2のBET比表面積によって、ガラス
セラミック焼結体の耐薬品性が変化する傾向にあり、B
ET比表面積が25m 2/g以上であることが望まし
く、BET比表面積が25m2/gよりも小さいと耐薬
品性の改善効果が小さくなる傾向にある。また他の配合
形態としては、ガラス粉末として酸化バリウム(Ba
O)、酸化珪素(SiO2)以外の成分として酸化ジル
コニウム(ZrO2)を含有するガラスを用いてもよ
い。 【0034】なお、前記Zr化合物を上記範囲としたの
は、0.1重量よりも少ないと耐薬品性の改善効果が低
く、25重量%よりも多いと線熱膨張係数が14×10
-6/℃よりも低くなるためである。特にZr化合物はZ
rO2換算で0.2〜10重量%が望ましい。 【0035】その他に、着色成分として、酸化クロム、
酸化コバルト、酸化マンガン、酸化ニッケルの群から選
ばれる少なくとも1種を配合してもよい。 【0036】前記ガラスセラミック焼結体は上記のよう
に調合されたガラス粉末とフィラー粉末との混合物に、
適当な成形の有機樹脂バインダーを添加した後、ドクタ
ーブレード法や圧延法、金型プレス法等の成形手段によ
り任意の形状、例えば、シート状に成形し、しかる後、
焼成することによって製作される。 【0037】また前記基体1は、上下の凹部1a、1b
の表面から外表面にかけて配線層2が導出されており、
配線層2の基体1上面側の凹部1a表面に露出する部位
に水晶振動子5の電極が導電性接着材9を介して接着固
定され、基体1下面側の凹部1bに露出する部位には半
導体素子6の電極がボンディングワイヤ等の導電性接続
部材10を介して接続される。 【0038】前記配線層2は、凹部1a、1b内に収容
される水晶振動子5および半導体素子6と外部電気回路
基板の配線導体とを電気的に接続する作用をなし、銅、
銀、ニッケル、パラジウム、金のうち一種以上から成る
金属材料により形成されており、銅から成る場合であれ
ば、銅粉末に適当な有機溶剤、有機バインダー等を添加
混合して得た金属ペーストを、基体1となるグリーンシ
ートの表面にスクリーン印刷法等で所定パターンに印刷
塗布しておくことによって形成される。 【0039】前記配線層2のうち基体1上面側の凹部1
a表面に露出する部位には水晶振動子5が導電性接着材
9を介して接着固定され、同時に水晶振動子5の電極が
配線層2に電気的に接続される。 【0040】前記導電性接着材9は、一般に、銀粉末等
の導電性粉末をエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂に添加す
ることによって形成されており、配線層2上に水晶振動
子5を、未硬化の熱硬化性樹脂に導電性粉末を添加して
成る未硬化の導電性接着材を介して、位置決めセット
し、未硬化の熱硬化性樹脂を加熱硬化することによって
水晶振動子5を凹部1a内の所定位置に固定するととも
に水晶振動子5の電極を配線層2に電気的に接続する。 【0041】更に前記配線層2は少なくとも外部電気回
路基板の配線導体と接続される領域にコバルトを5乃至
40重量%含有する第2ニッケルめっき層11bが被着
されている。 【0042】前記コバルトを5乃至40重量%含有する
第2ニッケルめっき層11bは、従来のニッケルめっき
層に比べて錫との反応性が極めて高いことから、配線層
2を外部電気回路基板の配線導体に錫−鉛半田等の低融
点ろう材介して接続するとき、低融点ろう材と配線層2
(第2ニッケルめっき層)との接続を強固なものとなす
ことができる。 【0043】そのため、水晶デバイス6が小型化され、
配線層2の外部電気回路基板と接続される配線層2の面
積が、例えば、0.5mm×0.5mmの四角形状等
0.25mm2以下と非常に小さくなったとしても、配
線層2を外部電気回路基板に低融点ろう材を介して強固
に接続することができる。 【0044】前記コバルトを5乃至40重量%含有する
第2ニッケルめっき層11bは、例えば、ニッケル供給
源である硫酸ニッケルと、コバルト供給源である硫酸コ
バルトと、還元剤であるジメチルアミンボランとを主成
分とし、クエン酸、EDTA(エチレンジアミン四酢
酸)、リンゴ酸、酒石酸、酢酸等の有機酸またはそのナ
トリウム塩等の錯化剤、イオウ化合物等の安定剤を添加
してなる無電解ニッケルめっき液を所定の温度、pHに
調整するとともに、このめっき液中に、配線層2の少な
くとも外部電気回路と接続される領域を所定時間浸漬す
ることにより形成される。 【0045】この場合、第2ニッケルめっき層11b中
のコバルト含有量は、前記めっき液の硫酸コバルト濃度
や錯化剤、安定剤等の種類、添加量、またはpH、温度
等の条件を調整することにより所定の範囲とすることが
できる。 【0046】なお、前記第2ニッケルめっき層11bの
コバルト含有量は、5重量%未満では低融点ロウ材の濡
れ性を効果的に向上させることが難しく、40重量%を
超えると耐食性が低下してしまう。従って、前記第2ニ
ッケルめっき層11bのコバルト含有量は5乃至40重
量%の範囲に特定される。 【0047】前記水晶振動子5が導電性接着材9を介し
て接着固定されている基体1は更にその上面に蓋体3が
鉄−ニッケル−コバルト合金や鉄−ニッケル合金から成
る金属枠体12を介して取着され、これによって基体1
と蓋体3とから成る容器4内部に水晶振動子5が気密に
収容される。 【0048】前記金属枠体12は蓋体3を基体1に接合
させる際の下地金属材として作用し、基体1上面への取
着は、まず基体1の上面で、凹部1aを取り囲むように
予め枠状のロウ付け用メタライズ層13を被着させてお
き、該ロウ付け用メタライズ層13に金属枠体12を銀
ロウ等のロウ材を介しロウ付けすることによって行なわ
れる。 【0049】なお、前記ロウ付け用メタライズ層13
は、例えば、配線層2と同一材料、同一方法によって基
体1上面の凹部1aを取り囲む位置に形成される。 【0050】また前記金属枠体12に対する蓋体3の接
合は、例えば、シーム溶接を採用することによって行わ
れ、具体的には、図2に示すように、金属枠体12上に
蓋体3を載置、当接させ、しかる後、例えば、蓋体3の
外縁に沿ってローラー電極を接触させながら転動させる
とともにこのローラー電極を介して大電流を流すことに
よって行なわれる。 【0051】前記金属枠体12はまた少なくとも蓋体3
が溶接される領域にリンを3乃至12重量%含有する第
1ニッケルめっき層11aが被着されている。この第1
ニッケルめっき層11aは金属枠体12に蓋体3を溶接
により取着する際、溶融して接合材として作用する。 【0052】前記リンを3乃至12重量%含有する第1
ニッケルめっき層11aはリンの作用により融点が約8
50℃程度と低くなっており、そのため、金属枠体12
に蓋体3を載置、当接するとともに蓋体3の外縁に沿っ
てローラー電極を転動させて大電流を流し溶接する際、
基体1に大きな熱衝撃が印加され、基体1にクラック等
を発生することはほとんどなく、その結果、基体1と蓋
体3とから成る容器4の気密封止を完全とし、容器4内
部に収容する水晶振動子5を長期間にわたり正確、かつ
安定に作動させることが可能となる。 【0053】前記リンを3乃至12重量%含有する第1
ニッケルめっき層11aは、例えば、ニッケル供給源で
ある硫酸ニッケルと、還元剤である次亜リン酸ナトリウ
ムを主成分とし、クエン酸、EDTA(エチレンジアミ
ン四酢酸)、リンゴ酸、酒石酸、酢酸等の有機酸または
そのナトリウム塩等の錯化剤、イオウ化合物等の安定剤
を添加してなる無電解ニッケルめっき液を所定の温度、
pHに調整するとともに、このめっき液中に金属枠体1
2を所定時間浸漬することにより金属枠体12の少なく
とも蓋体3が溶接される領域に被着形成される。この場
合、第1ニッケルめっき層11a中のリン含有量は前記
めっき液の還元剤濃度や錯化剤、安定剤等の添加量、ま
たはpH、温度等の条件を調整することにより所定の範
囲とすることができる。 【0054】なお、前記第1ニッケルめっき層11a
は、リン含有量が3重量%未満になると融点を十分に低
くすることができず金属枠体12に蓋体3を溶接により
接合する際、基体1にクラック等が発生してしまい、ま
た12重量%を超えると硬く脆くなるため、溶接時等に
クラックが発生して蓋体3を金属枠体12に確実、強固
に溶接することができなくなってしまう。従って、前記
第1ニッケルめっき層11aのリン含有量は3〜12重
量%とする必要があり、3〜11重量%とすることがよ
り一層好ましい。 【0055】また、前記第1ニッケルめっき層11a
は、蓋体3を金属枠体12にシーム溶接する場合、その
厚みが0.5μm未満では第1ニッケルめっき層11a
の量が少ないため蓋体3を金属枠体12に強固に溶接す
ることが困難となり、5μmを超えると、第1ニッケル
めっき層11aの内部応力により金属枠体12に対する
被着強度が低下するおそれがある。従って、前記第1ニ
ッケルめっき層11aの厚みは0.5μm〜5μmの範
囲としておくことが好ましい。 【0056】更に前記金属枠体12に蓋体3をシーム溶
接によって接合する場合、前記金属枠体12の上面と側
面との間の角部に曲率半径が5〜30μmの丸みを形成
しておくと金属枠体12の上面側にバリが形成されるこ
とがなくなり、金属枠体12と蓋体3とを確実、強固に
接合させて容器4の気密封止の信頼性を極めて高いもの
となすことができる。従って、前記金属枠体12はその
上面と側面との間の角部を曲率半径が5〜30μmの丸
みをもたせるようにしておくことが好ましい。 【0057】また更に前記金属枠体12に接合される蓋
体3は、剛性率が50GPa以下の材料、具体的には
銅、金、銀の一種以上から成る金属、またはこの金属に
ニッケル、アルミニウム、錫、亜鉛等の金属や、リン、
シリコン等を添加した合金から成り、例えば、銅のイン
ゴット(塊)に圧延加工、打抜き加工等の周知の金属加
工を施すことによって形成される。 【0058】前記蓋体3は、その剛性率が50GPa以
下であることから、基体1の線熱膨張係数と蓋体3の線
熱膨張係数とが大きく相違し、両者間に両者の線熱膨張
係数差に起因する大きな熱応力が発生したとしても、そ
の熱応力は蓋体3を適度に変形させることによって効果
的に吸収され、これによって基体1に割れやクラックを
発生することなく、基体1に蓋体3を強固に取着させて
容器4の気密封止を完全となし、容器4内部に収容する
水晶振動子5を長期間にわたり安定、かつ正確に作動さ
せることができる。 【0059】なお、前記蓋体3はその剛性率が50GP
aを超えると蓋体3が変形し難くなり、基体1と蓋体3
との間に発生する熱応力を蓋体3が充分に吸収すること
ができなくなって基体1にクラックや割れを発生した
り、基体1と蓋体3とからなる容器4の気密封止が破れ
たりしてしまう。従って、前記蓋体3はその剛性率が5
0GPa以下に特定される。また前記蓋体3はその剛性
率が15GPa以下になると変形し易くなりすぎ、基体
1に蓋体3をシーム溶接等によって強固に接合させるこ
とができなくなったり、蓋体3が容器4内部に収容する
水晶振動子5等に接触して水晶振動子5を正常に作動さ
せることが困難となる危険性がある。従って、前記蓋体
3はその剛性率を15GPa〜50GPaとしておくこ
とが好ましい。 【0060】また一方、前記基体1の下面に設けた凹部
1bには水晶振動子5の温度補償を行なうための半導体
素子6が収容固定されており、該半導体素子6によって
水晶振動子5の振動周波数が温度変化に伴って変動する
のを制御し、常に一定とする作用をなす。 【0061】前記半導体素子6は接着材8を介して基体
1の下面に設けた凹部1bの底面に接着固定されてお
り、また半導体素子6の各電極は、ボンディングワイヤ
等の導電性接続部材10を介して基体1の凹部1bに露
出する配線層2に電気的に接続されている。 【0062】なお、前記半導体素子6を凹部1bの底面
に接着固定する接着材8は、その弾性率を1GPa以下
としておくと、基体1と半導体素子6とに熱が作用し両
者間に両者の線熱膨張係数差に起因して大きな熱応力が
発生したとしてもその熱応力は接着材8を適度に変形さ
せることによって吸収され、その結果、半導体素子6等
に機械的破壊が発生することはなく、半導体素子6を基
体1に長期にわたって確実に接着固定しておくことが可
能となるとともに水晶振動子5の温度補償を確実に行な
うことが可能となって、水晶デバイス7の長期信頼性を
より一層高いものとなすことができる。 【0063】前記基体1に半導体素子6を接着固定する
接着材8は、その弾性率が1GPaを超えると接着材8
が基体1と半導体素子6との間に発生する大きな熱応力
を良好に吸収することが困難となり、半導体素子6等に
機械的な破壊が招来するおそれがある。 【0064】また前記接着材8は、その弾性率が0.5
GPa未満になると、変形し易くさりすぎて保形性が非
常に低下するため半導体素子6を基体1の凹部1b内に
確実に接着固定しておくことが困難となる傾向がある。
従って、前記接着材8はその弾性率を0.5GPa〜1
GPaとしておくことが好ましい。 【0065】前記弾性率が1GPa以下の接着材8は、
例えば、エポキシ樹脂にアクリルゴム、イソプレンゴム
等のゴム粒子を添加して成る組成物が好適に用いられ、
またエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、ビス
フェノールF型、ゴム変性型、ウレタン変性型等のエポ
キシ樹脂が好適に使用される。この場合、エポキシ樹脂
へのゴム粒子の添加量を増加させることにより接着材8
の弾性率を低下させることができ、エポキシ樹脂の状態
(構造、架橋度、重合度、硬化剤の種類等)に応じて適
宜ゴム粒子の添加量を制御することにより接着材8の弾
性率を1GPa以下とすることができる。 【0066】また、エポキシ樹脂へのゴム粒子の添加量
が50重量%を超えると、未硬化の樹脂組成物の流動性
が大きく低下し、半導体素子6と基体1との間に接着材
8を均一に介在させることが困難となり、半導体素子6
を基体1に強固に固定することが困難となる傾向にあ
る。従って、エポキシ樹脂中にゴム粒子を添加して接着
材とする場合、その添加量は、接着材8の弾性率を1G
Pa以下とする範囲で、50重量%以下としておくこと
が好ましい。 【0067】前記弾性率が1GPa以下の接着材8は、
更に前記エポキシ樹脂組成物に限らず、ユリア樹脂、ポ
リイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂等の
熱硬化性樹脂、またはこの熱硬化性樹脂にシリカ等のフ
ィラー成分を添加した樹脂組成物を用いて形成してもよ
い。 【0068】更に前記基体1の凹部1b内に収容されて
いる半導体素子6は凹部1b内に充填させた封止樹脂1
4によって気密に封止されている。 【0069】なお、前記半導体素子6の封止は封止樹脂
14で行なうものに限定されるものではなく、基体1の
下面に蓋体を、凹部1bを塞ぐように取着させることに
よって行なってもよい。 【0070】かくして上述の水晶デバイス7によれば、
配線層2を外部電気回路に接続し、水晶振動子5の電極
に所定の電圧を印加させることによって水晶振動子5が
所定の振動数で振動するとともに、半導体素子6により
水晶振動子5の温度補償が行なわれ、コンピュータ等の
情報処理装置や携帯電話等の電子装置において時間及び
周波数の高精度の基準源として使用される。 【0071】なお、本発明は上述の実施例に限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば
種々の変更は可能であり、例えば、図3に示すように、
配線層2の一部に高さが30μm〜100μm程度の突
起15を形成しておくと、この突起15がスペーサーと
なって配線層2と水晶振動子5との間に一定のスペース
が確保され、このスペースに充分な導電性接着材9が入
り込んで水晶振動子5を配線層2に極めて強固に接着固
定することができる。 【0072】また上述の水晶デバイス7では、基体1上
面に凹部1aを設け、該凹部1a内に水晶振動子5を収
容するようになしたが、これを図4に示す如く、平坦な
基体1上に水晶振動子5を搭載固定し、該固定された水
晶振動子5を椀状の蓋体3で気密に封止するようになし
た水晶デバイス7にも適用し得る。 【0073】さらに上述の実施例では、蓋体3の金属枠
体11に対する溶接をシーム溶接で行なうようにした
が、これを、蓋体3の外縁に沿ってエレクトロンビーム
を照射し、その熱エネルギーで溶接を行なうエレクトロ
ンビーム溶接により行なってもよい。 【0074】また更に上述の実施例では、配線層2の外
部電気回路と接続される領域に被着されている第2ニッ
ケルめっき層11bと、金属枠体12の少なくとも蓋体
3が溶接される領域に被着されている第1ニッケルめっ
き層11aとを異なるめっき液を使用して形成したが、
これを例えば、ニッケル供給源である硫酸ニッケルと、
還元剤である次亜リン酸ナトリウムとを主成分とし、ク
エン酸、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、リンゴ
酸、酒石酸、酢酸等の有機酸またはそのナトリウム塩等
の錯化剤、イオウ化合物等の安定剤を添加してなる無電
解ニッケル−コバルトめっき液を共通に使用してもよ
い。この場合、めっき液は1種類であり低コストである
ため製品としての水晶デバイスを安価とすることができ
る。ただし、第1ニッケルめっき層11aにはコバルト
も含有されるが少なくともリンが9乃至12重量%含有
するように、また第2ニッケルめっき層にはリンも含有
されるが少なくともコバルトが5乃至40重量%含有す
るように前記めっき液の硫酸コバルト濃度や還元剤濃
度、錯化剤、安定剤等の添加量、またはpH、温度等の
条件を調整する必要はある。 【0075】更にまた、前記第2ニッケルめっき層11
bの表面にさらに金めっき層(図示せず)を、例えば約
0.03μm〜1.0μmの厚みで、被着させておけば
第2ニッケルめっき層11bの酸化腐食を有効に防止す
るとともに、低融点ロウ材の濡れ性をより一層良好とな
すこともできる。 【0076】 【発明の効果】本発明の水晶デバイスによれば、基体の
線熱膨張係数を14×10-6/℃乃至20×10-6/℃
(40〜400℃)とし、水晶振動子の線熱膨張係数に
近似させたことから基体に水晶振動子を固定した後、温
度補償用の半導体素子の作動に伴って基体と水晶振動子
の両者に繰り返し熱が作用したとしても基体と水晶振動
子との間には両者の線熱膨張係数差に起因する大きな熱
応力が発生することはなく、これによって水晶振動子を
基体に確実、強固に固定することができ、水晶振動子を
正確に作動させることが可能となる。 【0077】また同時に本発明の水晶デバイスによれ
ば、蓋体の剛性率を50GPa以下としたことから、基
体と蓋体との間に線熱膨張係数の差があり、両者に熱が
作用し、両者間に大きな熱応力が発生したとしても、そ
の熱応力は蓋体を適度に変形させることによって効果的
に吸収され、その結果、基体に蓋体を確実、強固に取着
させて容器の気密封止を完全となし、これによって容器
内部に収容する水晶振動子を長期間にわたり安定、かつ
正確に作動させることができる。 【0078】さらに本発明の水晶デバイスによれば、金
属枠体の少なくとも蓋体が溶接される領域にリンを3〜
12重量%含有する融点が約850℃と低い第1ニッケ
ルめっき層を被着させたことからこの第1ニッケルめっ
き層を溶融させて金属枠体に蓋体を溶接させる際、基体
に大きな熱衝撃が伝わりクラックを発生することはほと
んどなく、その結果、基体と蓋体とから成る容器の気密
封止を完全とし、容器内部に収容する水晶振動子を長期
間にわたり正確、かつ安定に作動させることが可能とな
る。 【0079】またさらに本発明の水晶デバイスによれ
ば、配線層の外部電気回路と接続される領域にコバルト
を5乃至40重量%含有する錫との反応性に優れた第2
ニッケルめっき層を被着させたことから、配線層の面積
が小さくなり、配線層と外部電気回路基板の配線導体と
の接続面積が非常に小さなものとなったとしても、第2
ニッケルめっき層と低融点ろう材との間で十分に錫−ニ
ッケル−コバルト等の合金層を形成して両者を強固に接
続することができ、外部電気回路基板に対する接続の信
頼性を良好とすることができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の水晶デバイスの一実施例を示す断面図
である。 【図2】本発明の水晶デバイスの要部断面図である。 【図3】本発明の他の実施例を示す要部断面図である。 【図4】本発明の他の実施例を示す断面図である。 【符号の説明】 1・・・・・基体 1a・・・・凹部 2・・・・・配線層 3・・・・・蓋体 4・・・・・容器 5・・・・・水晶振動子 6・・・・・半導体素子 7・・・・・水晶デバイス 8・・・・・接着材 9・・・・・導電性接着材 10・・・・導電性接続部材 11a・・・第1ニッケルめっき層 11b・・・第2ニッケルめっき層 12・・・・金属枠体 13・・・・ろう付け用メタライズ層 14・・・・封止樹脂 15・・・・突起
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H03H 9/10 H03H 9/10

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】上下両面に搭載部を有し、該各搭載部から
    外表面にかけて導出された外部電気回路と接続される配
    線層を有する基体と、前記基体の上面に取着され、前記
    搭載部を囲繞する金属枠体と、前記基体上面の搭載部に
    固定され、電極が前記配線層に電気的に接続されている
    水晶振動子と、前記金属枠体上に溶接され、前記水晶振
    動子を内部に気密に収容する蓋体と、前記基体下面の搭
    載部に固定され前記水晶振動子の温度補償を行なう半導
    体素子とから成る水晶デバイスであって、 前記基体の線熱膨張係数が14×10-6/℃乃至20×
    10-6/℃(40〜400℃)であり、蓋体の剛性率が
    50GPa以下であり、かつ前記金属枠体の少なくとも
    蓋体が溶接される領域にリンを9乃至12重量%含有す
    る第1ニッケルめっき層を、前記配線層の少なくとも外
    部電気回路と接続される領域にコバルトを5乃至40重
    量%含有する第2ニッケルめっき層を被着させたことを
    特徴とする水晶デバイス。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006054321A (ja) * 2004-08-11 2006-02-23 Daishinku Corp 電子部品用パッケージ及び当該電子部品用パッケージを用いた圧電発振器
JP2010135874A (ja) * 2008-12-02 2010-06-17 Nippon Dempa Kogyo Co Ltd 表面実装用の水晶発振器

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JP2006054321A (ja) * 2004-08-11 2006-02-23 Daishinku Corp 電子部品用パッケージ及び当該電子部品用パッケージを用いた圧電発振器
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