JP2003042077A - スクロール式流体機械 - Google Patents

スクロール式流体機械

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JP2003042077A
JP2003042077A JP2001231496A JP2001231496A JP2003042077A JP 2003042077 A JP2003042077 A JP 2003042077A JP 2001231496 A JP2001231496 A JP 2001231496A JP 2001231496 A JP2001231496 A JP 2001231496A JP 2003042077 A JP2003042077 A JP 2003042077A
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scroll
face seal
sliding contact
fluid machine
orbiting scroll
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JP2001231496A
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Shingo Miyake
信吾 三宅
Kazunari Komatsu
一成 小松
Yoshie Sakai
佳恵 酒井
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Tokico Ltd
Original Assignee
Tokico Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】フェイスシールの耐磨耗性を高め、かつ高温で
の収縮を小さくして、耐久性、寿命を向上し、このフェ
イスシールを用いて固定スクロールと旋回スクロールと
の摺接面間を長期に亘って良好にシールし続けることが
でき、性能、信頼性を高めることを可能としたスクロー
ル式流体機械を提供する。 【解決手段】四弗化エチレン樹脂80〜90重量%に、
ポリイミド樹脂を10〜20重量%含んだ樹脂材料を所
定の金型を用いて冷却圧縮成型後、焼成処理を行い、好
ましくは250℃〜320℃の温度範囲で所定時間アニ
ール処理を行ってフェイスシール21を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば空気圧縮機
や真空ポンプ等に用いられるスクロール式流体機械に関
する。
【0002】
【従来の技術】図4に従来技術によるスクロール式流体
機械として、スクロール式空気圧縮機を例として説明す
る。
【0003】図4において、符号1はスクロール式空気
圧縮機の外枠を形成する有底筒状のケーシングであり、
このケーシング1は、ケーシング本体2と後述のスラス
ト受け3とによって構成されている。ここで、ケーシン
グ本体2は、環状の底部2Aと、この底部2Aの外周部
から後述の固定スクロール4側に向けて延設された筒部
2Bと、前記底部2Aの内周部に突設された軸受部2C
とによって構成され、その内部には潤滑油14が収容さ
れている。
【0004】符号3は、環状のスラスト受けであり、こ
のスラスト受け3は、ケーシング本体2の筒部2Bの先
端部に設けられ、該ケーシング本体2と共にケーシング
1を構成している。ここで、スラスト受け3は、後述す
る旋回スクロール6の鏡板6Aに摺接し、旋回スクロー
ル6に作用するスラスト荷重を鏡板6Aとの間で受承す
る構成となっている。
【0005】符号4は、スラスト受け3の先端側に固着
して設けられた固定スクロールであり、この固定スクロ
ール4は、略円板状に形成され、中心が後述する駆動軸
5の軸線と一致するように配設された鏡板4Aと、この
鏡板4Aの表面に立設された渦巻状のラップ部4Bと、
前記鏡板4Aの外周部から該ラップ部4Bを取囲むよう
に軸方向に突出した筒部4Cと、該筒部4Cの外周側か
ら径方向外側に突出し、スラスト受け3に衝合して取付
けられたフランジ部4Dとから構成されている。また、
固定スクロール4の筒部4Cは、旋回スクロール6と摺
接する端面が摺接面4Eとなっている。
【0006】ここで、固定スクロール4は、外表面に陽
極酸化処理が施されたアルミニウム合金を用いて加工さ
れている。このため、固定スクロール4の摺接面4Eに
は陽極酸化処理皮膜が形成され、該摺接面4Eの耐磨耗
性を高める構成となっている。
【0007】符号5は、ケーシング本体2の軸受部2C
に回転可能に支持された駆動軸であり、この駆動軸5
は、その基端側が駆動源(図示せず)に連結され、先端
側はクランク5Aとなってケーシング本体2内に延びて
いる。そして、該駆動軸5のクランク5Aは、その軸線
が駆動軸5の軸線に対して寸法δだけ偏心している。
【0008】符号6は、固定スクロール4と対向してケ
ーシング1を構成するスラスト受け3に旋回可能に設け
られた旋回スクロールで、この旋回スクロール6は、円
板状に形成された鏡板6Aと、この鏡板6Aの表面側か
ら軸方向に立設された渦巻状のラップ部6Bとによって
大略構成されている。また、旋回スクロール6の鏡板6
Aには、その背面側の中央にポス部6Cが突設され、こ
のポス部6Cは旋回軸受7によって駆動軸5のクランク
5Aに回転可能に取付けられている。また、旋回スクロ
ール6の鏡板6Aは、固定スクロール4と摺接する端面
が摺接面6Dとなっている。
【0009】ここで、旋回スクロール6は、固定スクロ
ール4と同様に外表面に陽極酸化処理が施されたアルミ
ニウム合金を用いて加工されている。このため、旋回ス
クロール6の摺接面6Dには陽極酸化処理皮膜が形成さ
れ、該摺接面6Dの耐磨耗性を高める構成となってい
る。
【0010】そして、旋回スクロール6は、固定スクロ
ール4のラップ部4Bに対し例えば180度だけずらし
て重なり合うように配設され、両者のラップ部4B、6
B間には、複数の圧縮室8、8、…が画成される。そし
て、スクロール式空気圧縮機の運転時には、固定スクロ
ール4の外周側に設けた吸込口9から外周側の圧縮室8
内に空気を吸い込みつつ、この空気を旋回スクロール6
が旋回運動する間に各圧縮室8内で順次圧縮し、最後に
中心側の圧縮室8から固定スクロール4の中心に設けた
吐出口10を介して外部に圧縮空気を吐出する。
【0011】符号11は、スラスト受け3と旋回スクロ
ール6との間に摺動可能に設けられたオルダムリングで
あり、このオルダムリング11は、スラスト受け3と旋
回スクロール6との間で直交する2軸方向にガイドさ
れ、旋回スクロール6の自転を防止するものである。
【0012】符号12は、固定スクロール4の摺接面4
E側に設けられたフェイスシールであり、このフェイス
シール12は例えば四弗化エチレン樹脂70重量%に耐
熱性樹脂である芳香族ポリエステルを30重量%含んだ
樹脂材料を用いて形成されている。そして、フェイスシ
ール12は断面矩形状のシールリングとして形成され、
旋回スクロール6の摺接面6Dに弾性的に摺接してい
る。このため、フェイスシール12は、固定スクロール
4と旋回スクロール6との摺接面4E、6D間を気液密
にシールし、該摺接面4E、6D間に圧縮空気または潤
滑油14等が浸入するのを防止する構成となっている。
【0013】符号13は油掻きであり、この油掻き13
は、駆動軸5と一体に回転することにより、潤滑油14
を掻き上げてスラスト受け3、旋回スクロール6及び旋
回軸受7等に供給し、これらを冷却し、潤滑するもので
ある。また、符号15は、駆動軸5の回転バランスをと
るために油掻き13に設けられたバランスウエイトを示
している。
【0014】このようにして構成される従来技術による
スクロール式空気圧縮機は、駆動モータにより駆動軸5
を回転させると、旋回スクロール6は駆動軸5を中心と
して寸法δの旋回半径をもった円運動(旋回運動)を行
い、固定スクロール4のラップ部4Bと旋回スクロール
6のラップ部6Bとの間に画成された圧縮室8、8、…
が連続的に縮小する。これにより、固定スクロール4の
吸込口9から吸込んだ外気を該各圧縮室8で順次圧縮し
つつ、この圧縮空気を固定スクロール4の吐出口10か
ら外部のタンク(図示せず)等に貯留させる。
【0015】また、前述した圧縮運転時には油掻き13
が駆動軸5と一体に回転することにより、ケーシング1
内の潤滑油14を掻き上げてスラスト受け3、旋回スク
ロール6及び旋回軸受7等に供給し、これらを冷却し、
潤滑する。
【0016】そして、この従来技術にあっては、固定ス
クロール4と旋回スクロール6との摺接面4E、6D間
をフェイスシール12によって気液密にシールすること
により、潤滑油14が圧縮室8内に侵入するのを遮断
し、清浄な圧縮空気を吐出できるようにすると共に、圧
縮室8内の圧縮空気がケーシング1内に漏洩するのを防
止し、圧縮効率を高めている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述した従
来技術では、旋回スクロール6は、外表面に陽極酸化処
理が施されたアルミニウム合金を用いて形成されている
ため、フェイスシール12が摺接する旋回スクロール6
の摺接面6Dは、表面粗さが約Rmax20μm程度とな
り、比較的粗めに形成されている。
【0018】このため、圧縮運転時に旋回スクロール6
とフェイスシール12との間には大きな摺動抵抗が発生
し、これによって発生する摩擦によってフェイスシール
12が摩耗、劣化しやすく、フェイスシール12の耐久
性、寿命等が低下することが問題であった。
【0019】また、フェイスシール12の材料として、
液晶ポリマや炭素繊維を含有した四弗化エチレン樹脂を
用いると、高温での使用により、合口部が開いてしま
い、フェイスシール12に収縮が生じて潤滑油漏れを生
じていた。さらに、炭素繊維等の硬質材料を含んでいる
と、潤滑油とのスラリ−によって摩耗が増大することも
問題となっていた。このようにしてフェイスシール12
が摩耗、収縮すると、潤滑油14が固定スクロール4と
旋回スクロール6との摺接面4E、6Dを通じて圧縮室
8内に侵入しやすくなり、清浄な空気を吐出できなくな
ると共に、圧縮室8内の圧縮空気が、摺接面4E、6D
間から漏洩して圧縮効率の低下を引き起こす。
【0020】本発明は、このような問題点を解決するた
めになされたもので、フェイスシールの耐磨耗性を高
め、かつ高温での収縮を小さくして、耐久性、寿命を向
上し、このフェイスシールを用いて固定スクロールと旋
回スクロールとの摺接面間を長期に亘って良好にシール
し続けることができ、性能、信頼性を高めることを可能
としたスクロール式流体機械を提供することを目的とす
る。
【0021】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めに、請求項1記載の発明は、ケーシングと、該ケーシ
ングに設けられた固定スクロールと、前記ケーシングに
回転可能に設けられた駆動軸と、該駆動軸の先端側に旋
回可能に設けられ、前期固定スクロールとの間に複数の
圧縮室を画成する旋回スクロールと、該旋回スクロール
の自転を防止する自転防止機構と、前記固定スクロール
または旋回スクロールのいずれか一方の摺接面に設けら
れ、該摺接面間から気体、液体等の浸入物が浸入するこ
とを防止するフェイスシールとを備えてなるスクロール
式流体機械において、前記フェイスシールは、四弗化エ
チレン樹脂80〜90重量%に、ポリイミド樹脂を10
〜20重量%含んだ樹脂材料からなり、アニール処理を
経て形成されていることを特徴とするスクロール式流体
機械である。
【0022】このように構成したことにより、フェイス
シールの耐磨耗性、耐熱性等を高めることができ、運転
時における高温での収縮を小さくして合口部形状を保つ
ことができるため、フェイスシールによって固定スクロ
ールと旋回スクロールとの摺接面間を長期に亘って良好
にシールし続けることができる。
【0023】請求項2記載の発明は、請求項1記載のス
クロール式流体機械において、前記アニール処理は、2
50℃〜320℃の温度範囲でなされることを特徴とす
る。これにより、アニール処理の効果を好適なものとす
ることができる。
【0024】請求項3記載の発明は、請求項1又は2記
載のスクロール式流体機械において、前記固定スクロー
ルと前記旋回スクロールは陽極酸化処理を施したアルミ
ニウム合金を用いて加工してなることを特徴とする。こ
れにより、固定スクロールの外表面および旋回スクロー
ルの外表面に陽極酸化処理皮膜を形成でき、この皮膜に
より、固定スクロールと旋回スクロールとの摺接面の耐
磨耗性等を高めることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
図1に、本発明の実施の形態によるスクロール式流体機
械の一例として、スクロール式空気圧縮機のフェイスシ
ール等を示す要部拡大縦断面図を示す。なお、本実施の
形態では、前述した従来技術と同様の構成要素に同一の
符号を付し、その説明を省略するものとする。図1中、
符号21は、前述した従来技術によるフェイスシール1
2に替えて、固定スクロール4の摺接面4E側に設けら
れた本実施の形態に用いるフェイスシールであり、この
フェイスシール21は、図2に示すように、横断面が矩
形状をなしたシールリングとして形成されている。この
フェイスシール21は、環状の部材ではなく、合口部を
有している。このような合口部を形成している理由は、
熱によるフェイスシール21の収縮に対して合口部を形
成することにより対応できること、及び固定スクロール
4と旋回スクロール6の加工差やフェイスシール21自
体の加工差があっても合口部によって調整できるためで
ある。但し、合口部を多数設けると、環状のものよりも
強度が弱くなるため、熱による収縮を見込んで合口部の
長さを定めている。
【0026】このフェイスシール21は、後述する実施
例1〜2に示すように、四弗化エチレン樹脂80〜90
重量%に、ポリイミド樹脂を10〜20重量%含んだ樹
脂材料を所定の金型を用いて冷却圧縮成型後、焼成処理
を行い、所定時間アニール処理を行って形成されてい
る。このアニール処理の温度範囲は、250℃〜320
℃とすることが好ましい。本発明の実施の形態におい
て、アニール処理を行ってフェイスシール21を形成す
ることとしたのは、以下の理由による。
【0027】従来のスクロール式空気圧縮機で有機系充
填材を含有したフェイスシール21を使用した場合に、
フェイスシール21は全長750mmに対して、100
0時間の耐久試験後約10mm収縮した。これに対し、
四弗化エチレン樹脂の成型品を常温で約1月間放置した
後加工を行うと、全長750mmに対して、収縮量は約
1mm程度である。また、スクロール式空気圧縮機にお
いてフェイスシール21が使用されるときの温度条件は
約100℃であるが、この温度条件下で200時間放置
しても、フェイスシール21の収縮量は、全長750m
mに対して、約2mm程度である。以上のことから、加
工前にアニール処理を行えば成型時の残留応力を緩和す
ることができ、フェイスシール21の寸法の安定化を図
ることができると考えられるため、後述する実施例1〜
2に示すように、250℃〜320℃の温度範囲で所定
時間アニール処理を行ったところ、実使用条件で収縮を
起さず、寸法の安定化が可能なフェイスシール21を作
製することができた。
【0028】本実施の形態によるスクロール式流体機械
は上述のような構成を有するもので、その基本動作につ
いては、従来技術によるものと格別の差異はない。な
お、実施の形態においては、フェイスシール21を固定
スクロール4の摺接面4E側に設け、フェイスシール2
1を旋回スクロール6に摺接されるものとして説明した
が、これに替えて、例えば、フェイスシール21を旋回
スクロール6の摺接面6D側に設け、フェイスシール2
1を固定スクロール4に摺接させる構成としてもよい。
また、実施の形態においては、スクロール式流体機械と
してスクロール式空気圧縮機を例として説明したが、本
発明はこれに限定されるものではなく、例えば、真空ポ
ンプ、冷媒圧縮機等にも広く適用できる。
【0029】本発明の実施形態によると、固定スクロー
ル4と旋回スクロール6との摺接面間をシールするフェ
イスシール21を、四弗化エチレン樹脂80〜90重量
%に、ポリイミド樹脂を10〜20重量%含んだ樹脂材
料を用いて、好ましくは250℃〜320℃の温度範囲
でのアニール処理を経て形成することにより、耐磨耗性
に優れ、運転時における高温での収縮を小さくして合口
部形状を保つことができるため、フェイスシール21に
よって固定スクロール4と旋回スクロール6との摺接面
間を長期に亘って良好にシールし続けることができる。
【0030】また、フェイスシール21が摺接する旋回
スクロール6の摺接面6Dを陽極酸化処理皮膜によって
粗く形成した場合でも、フェイスシール21が旋回スク
ロール6の摺接面6Dとの間で早期に摩耗、損傷するの
を防止することができ、このスクロール式空気圧縮機を
粉塵の多い環境下で運転しても、このような粉塵によっ
てフェイスシール21が摩耗、損傷するのを抑制するこ
とができる。これにより、潤滑油が固定スクロール4と
旋回スクロール6との摺接面間から圧縮室8内に侵入す
ることを遮断でき、常に清浄な圧縮空気を吐出できる。
【0031】また、潤滑油14に含まれるカーボン等が
吐出口10側の逆止弁に堆積する事態を防止でき、この
逆止弁を正常に動作させ、空気タンクからの圧縮空気の
逆流を防止することができる。また、潤滑油14の消費
量を低減でき、潤滑油14の補充または交換周期を延ば
すことができ、メンテナンス時の作業性を向上させるこ
とができる。また、フェイスシール21による摩耗粉の
発生を最小限に抑えることができ、このような摩耗粉に
よって固定スクロール4と旋回スクロール6とのラップ
部間に摩耗、損傷が発生するのを防止でき、両者間での
かじりの発生原因をなくすことができる。そして、フェ
イスシールによる摩耗粉が潤滑油中に混入することがな
くなり、このような潤滑油14中に混入した摩耗粉によ
って各給油部位が摩耗、損傷する不具合を解消すること
ができる。さらに、このフェイスシール21により、圧
縮室8内の圧縮空気が例えばケーシング1内に漏洩する
ことを遮断することができ、圧縮効率を高めて、装置の
性能、信頼性等を高めることができる。
【0032】さらに、固定スクロール4と旋回スクロー
ル6は、陽極酸化処理を施したアルミニウム合金を用い
て加工しているため、固定スクロール4の外表面および
旋回スクロール6の外表面に陽極酸化処理皮膜を形成で
き、この皮膜により、固定スクロール4と旋回スクロー
ル6との摺接面の耐磨耗性等を高めることができ、これ
らのスクロールの耐久性、寿命等を高めることができ
る。
【0033】以下、具体例を示す。フェイスシール21
の耐摩耗性を確認するための耐久試験を、表1の実施例
1〜2と比較例1〜4に示すように行った。耐久試験
は、フェイスシール21を圧縮機に組み付け、5000
時間かけて摩耗量を調査した。
【表1】
【0034】(実施例1)実施例1では、四弗化エチレ
ン樹脂90重量%に、ポリイミド樹脂を10重量%含ん
だ樹脂材料を所定の金型を用いて冷却圧縮成型後、焼成
処理を行い、250℃〜320℃の温度範囲で1時間以
上保持しアニール処理を行って、フェイスシール21を
形成した。このフェイスシール21の5000時間後の
摩耗量は0.11mmであり、全長750mmに対して
収縮量は0.1mmといずれも良好であった。また、合
口部の広がりは認められなかった。
【0035】(実施例2)実施例2では、四弗化エチレ
ン樹脂80重量%に、ポリイミド樹脂を20重量%含ん
だ樹脂材料を所定の金型を用いて冷却圧縮成型後、焼成
処理を行い、250℃〜320℃の温度範囲で1時間以
上保持しアニール処理を行って、フェイスシール21を
形成した。このフェイスシール21の5000時間後の
摩耗量は0.12mmであり、全長750mmに対して
収縮量は0mmといずれも良好であった。また、合口部
の広がりは認められなかった。
【0036】(比較例1)比較例1では、四弗化エチレ
ン樹脂90重量%に、ポリイミド樹脂を10重量%含ん
だ樹脂材料を所定の金型を用いて冷却圧縮成型後、焼成
処理を行って、フェイスシール21を形成した。アニー
ル処理は行わなかった。このフェイスシール21の50
00時間後の収縮量は全長750mmに対して8.7m
mと実施例に比べて大きく、合口部の広がりは2mmで
あった。このように比較例1においては、アニール処理
を行わなかったことによって、収縮量が大きくなったと
考えられる。
【0037】(比較例2)比較例2では、四弗化エチレ
ン樹脂85重量%に、炭素繊維を5重量%、液晶ポリマ
を10重量%含んだ樹脂材料を所定の金型を用いて冷却
圧縮成型後、焼成処理を行って、フェイスシール21を
形成した。アニール処理は行わなかった。また、この樹
脂材料は、ポリイミド樹脂を含んでいない。このフェイ
スシール21の5000時間後の摩耗量は1.40mm
であり、全長750mmに対して収縮量は4.0mmと
いずれも実施例に比べて大きな値となった。また、合口
部の広がりは認められなかった。このように比較例2に
おいては、ポリイミド樹脂以外の材料を四弗化エチレン
樹脂に加えたことによって、摩耗量が増大したと考えら
れる。
【0038】(比較例3)比較例3では、四弗化エチレ
ン樹脂95重量%に、ポリイミド樹脂を5重量%含んだ
樹脂材料を所定の金型を用いて冷却圧縮成型後、焼成処
理を行い、250℃〜320℃の温度範囲で1時間以上
保持しアニール処理を行って、フェイスシール21を形
成した。このフェイスシール21の5000時間後の摩
耗量は0.86mmであり、全長750mmに対して収
縮量は0.3mmといずれも実施例に比べて大きな値と
なった。また、合口部の広がりは認められなかった。こ
のように比較例3においては、ポリイミド樹脂の含有量
が実施例1、実施例2に比べて小さいことによって、摩
耗量が増大したと考えられる。
【0039】(比較例4)比較例4では、四弗化エチレ
ン樹脂70重量%に、ポリイミド樹脂を30重量%含ん
だ樹脂材料を所定の金型を用いて冷却圧縮成型後、焼成
処理を行い、250℃〜320℃の温度範囲で1時間以
上保持しアニール処理を行って、フェイスシール21を
形成した。このフェイスシール21の5000時間後の
摩耗量は0.93mmであり、実施例に比べて大きな値
となった。また、全長750mmに対して収縮量は0m
mであり、合口部の広がりは認められなかった。このよ
うに比較例4においては、ポリイミド樹脂の含有量が実
施例1、実施例2に比べて大きいことによって、摩耗量
が増大したと考えられる。
【0040】以上の実施例1、実施例2、比較例1、比
較例2から明らかとなった、ポリイミド含有量と、フェ
イスシール21の摩耗量との関係を図3に示す。図3か
らわかるように、ポリイミド樹脂の含有量は10〜20
重量%とするのが好適である。以上の結果から、ポリイ
ミド樹脂を10〜20重量%含んだ四弗化エチレン樹脂
を材料とし、この樹脂材料をアニール処理することによ
り、耐磨耗性に優れ、高温での収縮が殆んど無く、合口
部形状を保つことができるフェイスシール21を実現で
きることが明らかとなった。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、
固定スクロールと旋回スクロールとの摺接面間をシール
するフェイスシールを、四弗化エチレン樹脂80〜90
重量%に、ポリイミド樹脂を10〜20重量%含んだ樹
脂材料を用いて、好ましくは250℃〜320℃の温度
範囲でのアニール処理を経て形成することにより、耐磨
耗性に優れ、運転時における高温での収縮を小さくして
合口部形状を保つことができるため、フェイスシールに
よって固定スクロールと旋回スクロールとの摺接面間を
長期に亘って良好にシールし続けることができる。
【0042】これにより、例えばこのスクロール式流体
機械を半給油式の流体機械として用いた場合でも、潤滑
油が固定スクロールと旋回スクロールとの摺接面間から
圧縮室内に侵入することを遮断でき、常に清浄な圧縮空
気を吐出できる。そして、潤滑油の消費量を低減でき、
潤滑油の補充または交換周期を延ばすことができ、メン
テナンス時の作業性を向上させることができる。
【0043】また、フェイスシールによる摩耗粉の発生
を最小限に抑えることができ、このような摩耗粉によっ
て固定スクロールと旋回スクロールとのラップ部間に摩
耗、損傷が発生するのを防止でき、両者間でのかじりの
発生原因をなくすことができる。そして、フェイスシー
ルによる摩耗粉が潤滑油中に混入することがなくなり、
このような潤滑油中に混入した摩耗粉によって各給油部
位が摩耗、損傷する不具合を解消することができる。さ
らに、このフェイスシールにより、圧縮室内の圧縮空気
が例えばケーシング内に漏洩することを遮断することが
でき、圧縮効率を高めて、装置の性能、信頼性等を高め
ることができる。
【0044】さらに、固定スクロールと旋回スクロール
は、陽極酸化処理を施したアルミニウム合金を用いて加
工しているため、固定スクロールの外表面および旋回ス
クロールの外表面に陽極酸化処理皮膜を形成でき、この
皮膜により、固定スクロールと旋回スクロールとの摺接
面の耐磨耗性等を高めることができ、これらのスクロー
ルの耐久性、寿命等を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態によるスクロール式空気圧
縮機のフェイスシール等を示す要部拡大縦断面図であ
る。
【図2】図1中に示したフェイスシールを単体で示す斜
視図である。
【図3】耐久試験において、ポリイミド含有量と、フェ
イスシールの摩耗量との関係を示す図である。
【図4】従来技術によるスクロール式空気圧縮機を示す
縦断面図である。
【符号の説明】
1…ケーシング、4…固定スクロール、4E、6D…摺
接面、5…旋回スクロール、8…圧縮室、11…オルダ
ムリング(自転防止機構)、14…潤滑油、21…フェ
イスシール。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 酒井 佳恵 神奈川県川崎市川崎区富士見1丁目6番3 号 トキコ株式会社内 Fターム(参考) 3H029 AA02 AA17 AB02 AB06 BB16 BB44 CC03 CC05 CC19 CC38 3H039 AA02 AA12 BB04 BB15 CC02 CC03 CC08 CC31 CC35 3J043 AA17 CA03 CB13 DA02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケーシングと、 該ケーシングに設けられた固定スクロールと、 前記ケーシングに回転可能に設けられた駆動軸と、 該駆動軸の先端側に旋回可能に設けられ、前期固定スク
    ロールとの間に複数の圧縮室を画成する旋回スクロール
    と、 該旋回スクロールの自転を防止する自転防止機構と、 前記固定スクロールまたは旋回スクロールのいずれか一
    方の摺接面に設けられ、該摺接面間から気体、液体等の
    浸入物が浸入することを防止するフェイスシールとを備
    えてなるスクロール式流体機械において、 前記フェイスシールは、四弗化エチレン樹脂80〜90
    重量%に、ポリイミド樹脂を10〜20重量%含んだ樹
    脂材料からなり、アニール処理を経て形成されているこ
    とを特徴とするスクロール式流体機械。
  2. 【請求項2】 前記アニール処理は、250℃〜320
    ℃の温度範囲でなされることを特徴とする請求項1記載
    のスクロール式流体機械。
  3. 【請求項3】 前記固定スクロールと前記旋回スクロー
    ルは陽極酸化処理を施したアルミニウム合金を用いて加
    工してなることを特徴とする請求項1又は2記載のスク
    ロール式流体機械。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113389901A (zh) * 2021-07-16 2021-09-14 四川永祥股份有限公司 一种乙炔发生器搅拌轴的密封结构

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