JP2002317777A

JP2002317777A - スクロール型流体機械

Info

Publication number: JP2002317777A
Application number: JP2001121423A
Authority: JP
Inventors: Yoshio Miyake; 良男三宅; Eiji Tsutsui; 栄治筒井; Yasutaka Konishi; 康貴小西
Original assignee: Ebara Corp
Current assignee: Ebara Corp
Priority date: 2001-04-19
Filing date: 2001-04-19
Publication date: 2002-10-31

Abstract

(57)【要約】【課題】旋回スクロールの倒れやガタツキを最小に抑
えた高効率で長寿命のオイルフリー式のスクロール型流
体機械を提供する。【解決手段】固定スクロール４０と旋回スクロール３
６との間に、該旋回スクロール３６の自転を阻止した公
転運動に伴って外周側から内周側に向けて容積が順次縮
小する渦巻き状の圧縮動作室４６を区画形成し、この圧
縮動作室４６の容積の縮小に伴って流入気体を圧縮しつ
つ移送するようにしたスクロール型流体機械において、
モータの駆動に伴ってモータ回転子１６と一体に回転し
旋回スクロール３６を公転させる主軸１８をモータ側に
付勢させる付勢手段２６を備えた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、無潤滑状態で気体
の圧縮並びに移送を行うオイルフリー式のスクロール型
流体機械に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】スクロール型流体機械は、共に渦巻き状
のラップを組合せ、一方を固定し、他方を自転を阻止し
つつ公転運動させラップの相対的運動を行わせること
で、渦巻き形状の圧縮動作室内に閉じ込めた気体の容積
を徐々に減少させて流体の圧縮並びに移送を行うように
したものであり、ルーツ型やロータリー型の流体機械に
比べて騒音が小さく、圧力脈動が小さいことから、例え
ば小形空調用冷凍機やエアコン用圧縮機等に広く使用さ
れている。

【０００３】ここで、エアコンに使用されるオイル潤滑
のスクロールコンプレッサは、全体が圧力容器内に密封
溶接にて収容され、取扱気体の漏洩がない構造になって
いるが、これは潤滑液（オイル）が冷媒中に混入しても
実用上の問題が生じないため、潤滑油を活用した長寿命
でメンテナンスフリーな設計が可能であることによるも
のである。従って、この構造は取扱気体への油の混入が
許されないオイルフリー式の場合には適用が困難であ
る。

【０００４】なお、オイルフリー式のスクロール型流体
機械の場合、一般に、固定スクロールと旋回スクロール
の軸方向の隙間に接触型のシール部品（チップシール）
を介在させて高圧や高真空を得ている。このシール部品
は、例えばテフロン（登録商標）等の樹脂材料から構成
されており、消耗（摩耗）すると流体機械の効率が低下
する。このため、例えば、運転時間１万時間程度で定期
的なメンテナンス（部品交換）が必要となる。

【０００５】また、チップシールの摺動損失を低い値に
抑えて高効率な流体機械とするためには、チップシール
を鏡板に押付ける力を極力低く抑え、且つその力がチッ
プシールの長手方向の全長に亘ってバラツキなく均一に
作用するようにする必要がある。このためには、主軸を
回転自在に支承する玉軸受の内外輪隙間等によって生じ
る旋回スクロールの倒れやガタツキを最小に抑えること
が求められる。

【０００６】他方、比較的圧力レベルの低いブロワ用途
では、両スクロール間の軸方向隙間を極めて小さな値に
抑えることで漏れを実用上問題のない値とし、これによ
って、消耗部品であるチップシールを削除することが行
われている。この場合も、主軸を回転自在に支承する玉
軸受等の内外輪隙間等によって生じる旋回スクロールの
倒れやガタツキを最小に抑えることが求められる。以上
のように、スクロール型流体機械の高効率化やメンテナ
ンスフリー化を図るためには、旋回スクロールの倒れや
ガタツキを最小に抑えることが極めて重要な要素とな
る。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
スクロール型流体機械には、このような、旋回スクロー
ルの倒れやガタツキを最小に抑えるための手段は、何ら
備えられていないのが現状であった。本発明は、上述の
事情に鑑みて為されたもので、旋回スクロールの倒れや
ガタツキを最小に抑えた高効率で長寿命のオイルフリー
式のスクロール型流体機械を提供することを目的とす
る。

【０００８】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載の発明
は、固定スクロールと旋回スクロールとの間に、該旋回
スクロールの自転を阻止した公転運動に伴って外周側か
ら内周側に向けて容積が順次縮小する渦巻き状の圧縮動
作室を区画形成し、この圧縮動作室の容積の縮小に伴っ
て流入気体を圧縮しつつ移送するようにしたスクロール
型流体機械において、モータの駆動に伴ってモータ回転
子と一体に回転し前記旋回スクロールを公転させる主軸
を前記モータ側に付勢させる付勢手段を備えたことを特
徴とするスクロール型流体機械である。

【０００９】このように構成することで、主軸を介して
旋回スクロールをモータ側（反固定スクロール側）に付
勢することができる。従って、旋回スクロールを、例え
ば３ヶ所のクランクピン用軸受等を介して確実に支える
ことで、旋回スクロールの倒れやガタツキを最小に抑え
ることができる。この結果、チップシールを鏡板に押付
ける力を極力低く抑えて摺動損失を低減しながら漏れ量
を微少にしたり、チップシールを削除することが可能と
なる。この付勢手段としては、具体的には、座金を波状
に屈曲させて構成した板ばね（波状座金）と軸受ナット
を活用する方法が挙げられる。

【００１０】請求項２に記載の発明は、固定スクロール
と旋回スクロールとの間に、該旋回スクロールの自転を
阻止した公転運動に伴って外周側から内周側に向けて容
積が順次縮小する渦巻き状の圧縮動作室を区画形成し、
この圧縮動作室の容積の縮小に伴って流入気体を圧縮し
つつ移送するようにしたスクロール型流体機械におい
て、モータの駆動に伴ってモータ回転子と一体に回転し
前記旋回スクロールを公転させる主軸を、主軸受と前記
モータ側端部に配置したモータ側軸受で回転自在に支承
し、前記主軸受として、該主軸受の内輪の内径が前記モ
ータ側軸受の外輪及び前記モータ回転子の外径より大き
いものを使用したことを特徴とするスクロール型流体機
械である。

【００１１】請求項３に記載の発明は、前記主軸に前記
モータ回転子及び前記モータ側軸受を予め取付けてお
き、前記主軸受の内輪の内部に前記主軸を潜らせた後、
前記主軸と前記主軸受の内輪を固定したことを特徴とす
る請求項２記載のスクロール型流体機械である。

【００１２】このように構成することで、例えば板ばね
（波状座金）と軸受ナットを活用して主軸をモータ側に
付勢するようにした付勢手段を主軸受部に容易に取付け
ることができる。例えば、主軸にモータ回転子及びモー
タ側軸受を取付けた主軸組立体を予め用意し、この主軸
組立体を主軸受の内輪内を潜らせ、主軸受の反モータ側
に板ばねを配置し、軸受ナットを締付けて主軸受を固定
することで、板ばねの弾性力を介して主軸をモータ側に
付勢することができる。

【００１３】請求項４に記載の発明は、固定スクロール
と旋回スクロールとの間に、該旋回スクロールの自転を
阻止した公転運動に伴って外周側から内周側に向けて容
積が順次縮小する渦巻き状の圧縮動作室を区画形成し、
この圧縮動作室の容積の縮小に伴って流入気体を圧縮し
つつ移送するようにしたスクロール型流体機械におい
て、前記固定スクロールと前記旋回スクロールの前記圧
縮動作室を区画形成するラップ先端面に該ラップの長手
方向のほぼ全長に亘って延びる溝を設け、この溝の内部
に弾性体を介在させつつチップシールを挿着したことを
特徴とするスクロール型流体機械である。

【００１４】チップシールの摺動損失を低い値に抑えて
高効率な流体機械とするためには、チップシールを鏡板
に押付ける力を極力低く抑え、且つその力がチップシー
ルの長さ方向の全長に亘ってバラツキなく均一に作用す
るようにする必要がある。そこで、例えば、スポンジ状
の発泡体からなる弾性体、好ましくは耐熱・耐久性に優
れ且つ永久残留歪みが小さく、またばね定数が小さいシ
リコン製の発泡体からなる弾性体をチップシールの背面
側に介在させることで、チップシールの摺動損失を低減
することができる。この際、旋回スクロールの倒れやガ
タツキを最小に抑える前述の構造と、ばね定数の小さな
発泡体を組合せて使用することで、チップシールの摺動
損失をより効果的に低減することができる。つまり、旋
回スクロールの倒れやガタツキがないと、チップシール
を鏡板に押付ける力を低く抑えても、シール部品として
の機能を十分に発揮できる。

【００１５】請求項５に記載の発明は、固定スクロール
と旋回スクロールとの間に、該旋回スクロールの自転を
阻止した公転運動に伴って外周側から内周側に向けて容
積が順次縮小する渦巻き状の圧縮動作室を区画形成し、
この圧縮動作室の容積の縮小に伴って流入気体を圧縮し
つつ移送するようにしたスクロール型流体機械におい
て、モータの駆動に伴ってモータ回転子と一体に回転し
前記旋回スクロールを公転させる主軸を、主軸受と前記
モータ側端部に配置したモータ側軸受で回転自在に支承
し、前記主軸の前記主軸受を挟んだ両側に一対のカウン
タウェイトを設けたことを特徴とするスクロール型流体
機械である。

【００１６】従来の構造では、モータ側軸受とモータ回
転子との間にカウンタウェイトを設けることが一般的で
ある。しかしながら、主軸受の内輪内径に比べてモータ
回転子の外径が小さい構造を採ると、モータ側軸受とモ
ータ回転子の間にカウンタウェイトを設けても、カウン
タウェイトとしての十分な大きさ、即ち質量を確保しに
くい。このような場合に、主軸受とモータ回転子の間に
カウンタウェイトを設けることで、カウンタウェイトと
しての十分な質量を確保することができる。このように
構成した結果、モータ固定子周辺の形状は、カップ状の
単純なものとなり、モータフレームにモータ固定子を埋
め込んだ樹脂モールドモータ（耐水性・気密性等に優れ
る）の採用も容易となる。

【００１７】

【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図１は、本発明の第１の実施の形
態のスクロール型流体機械を示す。このスクロール型流
体機械は、例えば、ポリエステル樹脂によって、モータ
固定子１０を一体にモールド成形することで内外の気密
性を確保したカップ状のモータフレーム１２を有し、こ
のモータフレーム１２の開口端に主軸受ケース１４が固
定されている。

【００１８】永久磁石からなるモータ回転子１６は、主
軸１８に接着剤等によって固定され、この主軸１８は、
該主軸１８の長さ方向に沿った中央部に配置した主軸受
２０と、モータ側端部に配置したモータ側軸受２２を介
して、主軸受ケース１４とモータフレーム１２に回転自
在に支承されている。なお、主軸受２０とモータ側軸受
２２、及び後述の旋回軸受３８とクランクピン用軸受６
４，６６は、いずれも窒化珪素を材料に使用したセラミ
ック玉軸受によって構成され、高い耐久性が確保されて
いる。

【００１９】ここで、主軸受２０として、その内輪２０
ａの内径Ｄがモータ側軸受２２の外輪２２ａの外径ｄ_１
及びモータ回転子１６の外径ｄ_２より大きいもの（Ｄ＞
ｄ_１，Ｄ＞ｄ_２）が使用されている。これによって、モ
ータ側軸受２２及びモータ回転子１６は、主軸１８に取
付けたまま、主軸受２０の内輪２０ａの内部を潜り抜け
ることができる。

【００２０】主軸受２０は、主軸１８にモータ側から軸
受ナット２４を螺合することで、この軸受ナット２４と
主軸１８に設けたフランジ部で内輪２０ａを挟持して主
軸１８に固定されている。そして、この主軸受２０の外
輪２０ｂは、主軸受ケース１４の軸受ハウジング１４ａ
で保持されている。この軸受ハウジング１４ａには、主
軸受２０の外輪２０ｂの反モータ側（スクロール側）の
前方を覆う延出部１４ｂが一体に設けられ、この延出部
１４ｂと主軸受２０の外輪２０ｂとの間に、例えば座金
を波状に屈曲させて構成した、付勢手段としての板ばね
（波状座金）２６が介装されている。これによって、主
軸１８は、板ばね２６の弾性力でモータ側に付勢されて
いる。

【００２１】主軸１８には、回転系のバランスを確保す
るため、主軸受２０を挟んだ反モータ側に位置して、第
１カウンタウェイト３０が設けられ、モータ側に位置し
て、第２カウンタウェイト３４が設けられている。これ
によって、下記の旋回スクロール３６の旋回運動に伴う
遠心力によって生じる機械的なアンバランスは、これら
２つのカウンタウェイト３０，３４により打消される。

【００２２】主軸１８の反モータ側端部には、クランク
部３２が設けられ、このクランク部３２の先端には、鏡
板３６ａにインボリュート曲線またはこれに類似した曲
線形状からなるラップ３６ｂを立設した旋回スクロール
３６が玉軸受からなる旋回軸受３８を介して回転自在に
連結されている。ここに、クランク部３２は、主軸１８
の軸心から偏心量ｅだけ偏心した位置に軸心を有するよ
うに主軸１８に連結されており、これによって、主軸１
８の回転（自転）に伴って、クランク部３２は、主軸１
８の軸心を中心として偏心量ｅを半径とした公転運動を
行い、このクランク部３２の公転運動に伴って、旋回ス
クロール３６も偏心量ｅを半径とした公転運動を行うよ
うになっている。

【００２３】旋回スクロール３６に対峙して、外周部に
吸込口４０ａを、中心部に吐出口４０ｂをそれぞれ有
し、略カップ状で蓋体としての役割を兼ねる固定スクロ
ール４０が配置されている。そして、この固定スクロー
ル４０とモータフレーム１２との間に、主軸受ケース１
４とスクロールケース４２を介在させ、通しボルト４４
を掛け渡して締付けることで、これらの部材が一体に固
定されている。

【００２４】固定スクロール４０の鏡板４０ｃには、旋
回スクロール３６側に突出するインボリュート曲線また
はこれに類似した曲線形状からなるラップ４０ｄが設け
られている。そして、旋回スクロール３６と固定スクロ
ール４０との間に、該旋回スクロール３６の自転を阻止
した公転運動に伴って外周側から内周側へ向けて容積が
順次縮小する渦巻き状の圧縮動作室４６が両ラップ３６
ｂ，４０ｄ間に区画形成され、この圧縮動作室４６が両
鏡板３６ａ，４０ｃで閉塞されている。これによって、
吸込口４０ａから圧縮動作室４６内に流入した気体は、
旋回スクロール３６の自転を阻止した公転運動により、
圧縮動作室４６の容積の縮小に伴って圧縮されつつ吐出
口４０ｂから順次移送されるようになっている。

【００２５】旋回スクロール３６のラップ３６ｂの先端
面には、このラップ３６ｂの長さ方向のほぼ全長に亘っ
て延びる溝３６ｃが設けられ、この溝３６ｃの内部に、
固定スクロール４０の鏡板４０ｃに接触してここをシー
ルするチップシール４８が、弾性体５０を介在させて挿
着されている。また、固定スクロール４０のラップ４０
ｄの先端面にも、このラップ４０ｄの長さ方向のほぼ全
長に亘って延びる溝４０ｅが設けられ、この溝４０ｅの
内部に、旋回スクロール３６の鏡板３６ａに接触してこ
こをシールするチップシール５２が、弾性体５４を介在
させて挿着されている。

【００２６】このチップシール４８，５２としては、例
えば、ＰＰＳ（ポリフェニレンサルファイド）をベース
にフッ素樹脂などを添加して摺動性を良好にした樹脂製
のものが使用される。また、弾性体５０，５４は、例え
ばスポンジ状の発泡体、好ましくは耐熱・耐久性に優れ
且つ永久残留歪みが小さく、またばね定数が小さいシリ
コン製の発泡体からなる。このように、弾性体５０，５
４をチップシール４８．５２の背面側に介在させること
で、チップシール４８，５２の摺動損失を低減すること
ができる。ここで、弾性体５０，５４のばね定数を小さ
く設定して、チップシール４８，５２が鏡板４０ｃ，３
６ａに押付ける力を極力低く抑え、且つその力がチップ
シール４８，５２の長さ方向の全長に亘ってバラツキな
く均一に作用するようにすることで、チップシール４
８，５２の摺動損失をより効果的に低減することができ
る。

【００２７】旋回スクロール３６とスクロールケース４
２の間には、旋回スクロール３６の自転を防止する自転
防止機構６０が同一円周方向に沿った３カ所に設けられ
ている。この自転防止機構６０は、前記偏心量ｅと同じ
偏心量ｅだけ偏心した位置に軸心を持つ２本ピン６２
ａ，６２ｂを有するクランクピン６２を備え、このクラ
ンクピン６２の一方のピン６２ａは、スクロールケース
４２に固定したクランクピン用軸受６４に回転自在に支
承され、他方のピン６２ｂは、旋回スクロール３６に固
着したクランクピン用軸受６６に回転自在に支承されて
いる。

【００２８】これによって、クランク部３２の回転に伴
って、クランクピン６２の旋回スクロール３６側のピン
６２ｂが他方のピン６２ａを中心として偏心量ｅを半径
とした公転運動を行い、このクランクピン６２の公転運
動で旋回スクロール３６も偏心量ｅを半径とした公転運
動を行い、しかも、旋回スクロール３６の自転がクラン
クピン６２で阻止されるようになっている。

【００２９】なお、モータフレーム１２と主軸受ケース
１４との間、主軸受ケース１４とスクロールケース４２
との間、及びスクロールケース４２と固定スクロール４
０との間の各いんろう部にはＯリング７０，７２，７４
が設けられ、前述のモータ固定子１０の樹脂モールド化
と相俟って全体が密封構造になっている。これによっ
て、このスクロール型流体機械は、一般の送風用として
だけでなく、例えば窒素等の気体を外部に漏らすことな
く昇圧させるもの等にも使用することができる。

【００３０】モータフレーム１２、主軸受ケース１４、
旋回スクロール３６、固定スクロール４０及びスクロー
ルケース４２は、例えばＰＰＳ（ポリフェニレンサルフ
ァイド）樹脂やアルミ合金を使用して製作されている。

【００３１】この実施の形態のスクロール型流体機械に
よれば、主軸１８を板ばね２６を介してモータ側（反固
定スクロール側）に付勢することで、主軸１８に連結し
た旋回スクロール３６をモータ側に付勢することができ
る。従って、旋回スクロール３６を、例えば３ヶ所のク
ランクピン用軸受６４，６６を介して確実に支えること
で、旋回スクロール３６の倒れやガタツキを最小に抑え
ることができる。この結果、チップシール４８，５２を
鏡板４０ｃ，３６ａに押付ける力を極力低く抑えて摺動
損失を低減しながら漏れ量を微少にすることができる。

【００３２】しかも、主軸受２０として、該主軸受２０
の内輪２０ａの内径Ｄがモータ側軸受２２の外輪２２ａ
の外径ｄ_１及びモータ回転子１６の外径ｄ_２より大きい
ものを使用することで、例えば板ばね（波状座金）２６
と軸受ナット２４を活用して主軸１８をモータ側に付勢
するようにした付勢手段を主軸受２０の収納部に容易に
取付けることができる。

【００３３】また、チップシール４８，５２の背面に、
例えばスポンジ状の発泡体からなる弾性体５０，５４を
介在させることで、前記旋回スクロール３６の倒れやガ
タツキを最小に抑える効果と相俟って、チップシール４
８，５２の摺動損失を効果的に低減することができる。

【００３４】更に、主軸１８の主軸受２０を挟んだ両側
に一対のカウンタウェイト３０，３４を設けることで、
主軸受２０の内輪２０ａの内径に比べてモータ回転子１
６の外径が小さい構造を採っても、カウンタウェイトと
しての十分な大きさ、即ち質量を確保することができ
る。

【００３５】次に、この例のスクロール型流体機械の組
立方法について説明する。先ず、主軸１８に、第１カウ
ンタウェイト３０を焼嵌めや圧接等の方法によって予め
一体に連結しておき、この主軸１８に永久磁石からなる
モータ回転子１６を、例えば接着剤を使用して固定す
る。次に、主軸１８のモータ側端部にモータ側軸受２２
の内輪を、反モータ側端部に旋回軸受３８の内輪をそれ
ぞれ圧入し、ナットを使用して主軸１８から抜けないよ
うに固定する。一方、旋回軸受３８の外輪を旋回スクロ
ール３６のハウジング内に挿入し、止めビスを使用して
ハウジングから抜けないように固定するとともに、クラ
ンクピン６２の両端にクランクピン用軸受６４，６６を
予め圧入固定したクランクピン組立体（３組）を、旋回
スクロール３６側のハウジングに挿入する。次に、スク
ロールケース４２をモータ側の軸端から挿入して、クラ
ンクピン組立体がスクロールケース４２のハウジングに
納まるように組付ける。この時、スクロールケース４２
のクランクピン用ハウジングが第１カウンタウェイト３
０にぶつからないように、カウンタウェイト３０はスク
ロールケース４２の３ヶ所に設けられたハウジングの間
を潜らせる。

【００３６】次に、スクロールケース４２のモータ側の
いんろう部にＯリング７２と主軸受ケース１４を挿入す
る。次に、主軸受ケース１４の軸受ハウジング１４ａに
板ばね（波状座金）２６と主軸受２０を挿入し、軸受ナ
ット２４を用いて、主軸受２０の内輪２０ａを主軸１８
の段付部と軸受ナット２４の間で確実に固定する。この
時、板ばね２６は軸方向に所定量圧縮され、その反力が
主軸１８もモータ側に付勢させ、この付勢力が、旋回ス
クロール３６をクランクピン６２を介してモータ側に押
付ける力となる。

【００３７】次に、主軸１８に第２カウンタウェイト３
４を挿入してセットビス等で固定する。そして、主軸受
ケース１４にＯリング７０を介してモータフレーム１２
を取付ける。この時、必要に応じて、モータ側軸受２２
とモータフレーム１２との間に板ばね（波状座金）を設
けてもよい。なお、図１に示す軸受ナット２４と第２カ
ウンタウェイト３４の軸方向の取付け位置を反対にし、
軸受ナット２４で主軸受２０と第２カウンタウェイト３
４を同時に締付けて固定するようにしてもよい。

【００３８】最後に、スクロールケース４２の反モータ
側に固定スクロール４０を固定する。この時、両スクロ
ール３６，４０のラップ３６ｂ，４０ｄの先端面に設け
た溝３６ｃ，４０ｅには、先ずシリコンの発泡体等から
なる弾性体５０，５４を挿入し、然る後にチップシール
４８，５２を挿入する。固定スクロール４０の外周のい
んろう部にはＯリング７６が介装され、取付け角度は図
示しない位置決めピンによって決定される。ラップ先端
の軸方向隙間の調整は、固定スクロール４０とスクロー
ルケース４２の当接面にシム（図示せず）を挟み込んで
行う。

【００３９】図２は、本発明の第２の実施の形態のスク
ロール型流体機械を示し、これは、旋回スクロール３６
のラップ３６ｂの先端と固定スクロール４０の鏡板４０
ｃとの間隔Ｓ_１、及び固定スクロール４０のラップ４０
ｄの先端と旋回スクロール３６の鏡板３６ａとの間隔Ｓ
_２を極小に、好ましくは、０．１５ｍｍ以下に設定し
て、図１に示すチップシール４８，５２を省略し、これ
によって、長寿命でメンテナンスフリーな、例えば最大
発生圧力が１００ｋＰａ以下のブロアとして使用して最
適なスクロール型流体機械を構成したものである。

【００４０】つまり、オイルフリー式のスクロール型流
体機械の寿命やメンテナンス間隔は、チップシール４
８，５２の耐久性によるところが大きく、一般には１万
時間（運転時間）を目安にチップシール４８，５２が交
換されるが、このチップシール４８，５２を削除し、更
にチップシール４８，５２の交換と同時にメンテナンス
を行う前提で設計・選定されていた軸受を長寿命化する
ことで、機器全体をメンテナンスフリー化することがで
きる。

【００４１】ここで、旋回スクロール３６のラップ３６
ｂの先端と固定スクロール４０の鏡板４０ｃとの間隔Ｓ
_１、及び固定スクロール４０のラップ４０ｄの先端と旋
回スクロール３６の鏡板３６ａとの間隔Ｓ_２を０．１５
ｍｍ以下に設定することで、所望の性能を確保すること
ができるが、この隙間を、例えば０．０２〜０．０５ｍ
ｍ程度に管理することで、高い圧力や高真空を維持し
て、例えば最大発生圧力が１００ｋＰａ以下のブロワと
して機器の用途展開を図ることができる。

【００４２】すなわち、旋回スクロール３６に倒れやガ
タツキがあると、漏れを防止できないばかりでなく、旋
回スクロール３６と固定スクロール４０が接触してしま
うという不都合があるが、この例では、前述の通り旋回
スクロール３６をしっかりと固定して旋回スクロール３
６の倒れやガタツキを最小に抑えることができるため、
例えば、比較的使用圧力の低いブロワ用途ではチップシ
ールを削除しても漏れ量は少なく十分実用に耐えること
ができる。この場合、チップシールという消耗部品がな
くなるため、流体機械全体として極めて高い耐久性を確
保できる。

【００４３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
旋回スクロールの倒れやガタツキを最小に抑えた高効率
で長寿命のオイルフリー式のスクロール型流体機械を提
供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施の形態のスクロール型流体
機械を示す断面図である。

【図２】本発明の第２の実施の形態のスクロール型流体
機械を示す断面図である。

【符号の説明】

１０モータ固定子１２モータフレーム１４主軸受ケース１６モータ回転子１８主軸２０主軸受２０ａ内輪２２モータ側軸受２４軸受ナット２６板ばね（付勢手段）３０，３４カウンタウェイト３２クランク部３６旋回スクロール３６ａ鏡板３６ｂラップ３６ｃ溝３８旋回軸受４０固定スクロール４０ｃ鏡板４０ｄラップ４０ｅ溝４６圧縮動作室４８，５２チップシール５０，５４弾性体６０自転防止機構６２クランクピン６４，６６クランクピン用軸受

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者小西康貴東京都大田区羽田旭町11番１号株式会社荏原製作所内Ｆターム(参考） 3H029 AA02 AA24 AB01 BB24 BB32 BB44 CC05 CC07 CC16 CC17 CC19 CC27 CC30 3H039 AA02 BB01 BB08 BB28 CC02 CC12 CC19 CC20 CC31 CC32

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】固定スクロールと旋回スクロールとの間
に、該旋回スクロールの自転を阻止した公転運動に伴っ
て外周側から内周側に向けて容積が順次縮小する渦巻き
状の圧縮動作室を区画形成し、この圧縮動作室の容積の
縮小に伴って流入気体を圧縮しつつ移送するようにした
スクロール型流体機械において、モータの駆動に伴ってモータ回転子と一体に回転し前記
旋回スクロールを公転させる主軸を前記モータ側に付勢
させる付勢手段を備えたことを特徴とするスクロール型
流体機械。
【請求項２】固定スクロールと旋回スクロールとの間
に、該旋回スクロールの自転を阻止した公転運動に伴っ
て外周側から内周側に向けて容積が順次縮小する渦巻き
状の圧縮動作室を区画形成し、この圧縮動作室の容積の
縮小に伴って流入気体を圧縮しつつ移送するようにした
スクロール型流体機械において、モータの駆動に伴ってモータ回転子と一体に回転し前記
旋回スクロールを公転させる主軸を、主軸受と前記モー
タ側端部に配置したモータ側軸受で回転自在に支承し、前記主軸受として、該主軸受の内輪の内径が前記モータ
側軸受の外輪及び前記モータ回転子の外径より大きいも
のを使用したことを特徴とするスクロール型流体機械。
【請求項３】前記主軸に前記モータ回転子及び前記モ
ータ側軸受を予め取付けておき、前記主軸受の内輪の内
部に前記主軸を潜らせた後、前記主軸と前記主軸受の内
輪を固定したことを特徴とする請求項２記載のスクロー
ル型流体機械。
【請求項４】固定スクロールと旋回スクロールとの間
に、該旋回スクロールの自転を阻止した公転運動に伴っ
て外周側から内周側に向けて容積が順次縮小する渦巻き
状の圧縮動作室を区画形成し、この圧縮動作室の容積の
縮小に伴って流入気体を圧縮しつつ移送するようにした
スクロール型流体機械において、前記固定スクロールと前記旋回スクロールの前記圧縮動
作室を区画形成するラップ先端面に該ラップの長手方向
のほぼ全長に亘って延びる溝を設け、この溝の内部に弾性体を介在させつつチップシールを挿
着したことを特徴とするスクロール型流体機械。
【請求項５】固定スクロールと旋回スクロールとの間
に、該旋回スクロールの自転を阻止した公転運動に伴っ
て外周側から内周側に向けて容積が順次縮小する渦巻き
状の圧縮動作室を区画形成し、この圧縮動作室の容積の
縮小に伴って流入気体を圧縮しつつ移送するようにした
スクロール型流体機械において、モータの駆動に伴ってモータ回転子と一体に回転し前記
旋回スクロールを公転させる主軸を、主軸受と前記モー
タ側端部に配置したモータ側軸受で回転自在に支承し、前記主軸の前記主軸受を挟んだ両側に一対のカウンタウ
ェイトを設けたことを特徴とするスクロール型流体機
械。