JP2003041347A - 高温クリープ強度に優れたオーステナイト系耐熱鋼 - Google Patents
高温クリープ強度に優れたオーステナイト系耐熱鋼Info
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- JP2003041347A JP2003041347A JP2001231685A JP2001231685A JP2003041347A JP 2003041347 A JP2003041347 A JP 2003041347A JP 2001231685 A JP2001231685 A JP 2001231685A JP 2001231685 A JP2001231685 A JP 2001231685A JP 2003041347 A JP2003041347 A JP 2003041347A
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E30/00—Energy generation of nuclear origin
- Y02E30/30—Nuclear fission reactors
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- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 高速増殖炉の燃料被覆管用材料として特に有
用な、高温クリープ強度と耐スエリング性を改善させた
オーステナイト系耐熱鋼を提供する。 【解決手段】 重量%で、Cr:12〜15%、Ni:
20〜30%、Ti:0.20〜0.50%、Nb:
0.10〜0.30%、P:0.025〜0.08%、
V:0.2〜0.4%、残部がFeからなることを特徴
とする高温クリープ強度に優れたオーステナイト系耐熱
鋼。
用な、高温クリープ強度と耐スエリング性を改善させた
オーステナイト系耐熱鋼を提供する。 【解決手段】 重量%で、Cr:12〜15%、Ni:
20〜30%、Ti:0.20〜0.50%、Nb:
0.10〜0.30%、P:0.025〜0.08%、
V:0.2〜0.4%、残部がFeからなることを特徴
とする高温クリープ強度に優れたオーステナイト系耐熱
鋼。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた高温クリー
プ強度と耐スエリング特性が要求される高速増殖炉用燃
料被覆管への適用や、優れた高温クリープ強度が要求さ
れる火力発電用構造材への利用等に適したオーステナイ
ト系耐熱鋼に関するものである。 【0002】 【従来の技術】高速増殖炉の燃料被覆管に使用されてい
る従来のオーステナイト系耐熱鋼としては、本件特許出
願と同じ出願人により開発された下記組成のPNC31
6鋼がある。 Fe−(16〜18)Cr−(13〜14)Ni−(2〜3)
Mo−(0.002〜0.006)B−(0.05〜0.
10)Ti−(0.05〜0.10)Nb。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高速増
殖炉の燃料被覆管用耐熱鋼としては、高温クリープ強度
と耐スエリング性をさらに改善したオーステナイト系耐
熱鋼の開発が望まれるところである。 【0004】そこで本発明は、高温クリープ強度と耐ス
エリング性を改善させたオーステナイト系耐熱鋼を提供
することを課題としてなされたものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】すなわち本発明の高温ク
リープ強度に優れたオーステナイト系耐熱鋼は、重量%
で、Cr:12〜15%、Ni:20〜30%、Ti:
0.20〜0.50%、Nb:0.10〜0.30%、
P:0.025〜0.08%、V:0.2〜0.4%、
残部がFeからなることを特徴とするものである。 【0006】 【発明の実施の形態】耐スエリング特性を向上させるた
めには、Ni/Cr比を高めることが有効であるが、C
r量を12%以下にすると耐食性と高温強度が著しく低
下し、15%を超えると耐スエリング特性が悪化する。
そのため、Cr量を12〜15%に設定した。 【0007】一方、耐スエリング特性の観点からは、N
i量を20%以上とする必要があり、30%を超えると
強度向上に有効な炭化物の固溶が十分になされなくな
る。そのため、Ni量を20〜30%に設定した。 【0008】なお本明細書においては、上述したような
母材を便宜上「14Cr−25Niオーステナイト系耐
熱鋼」と称する。 【0009】14Cr−25Niオーステナイト系耐熱
鋼の高温強度や耐スエリング特性を向上させるために
は、微細なMC炭化物やリン化物(FeTiP)を母材
中に分散析出させることが有効である。本発明において
は、PNC316鋼に比べて、合金添加元素を多量に複
合添加しており、合金添加元素としてTi、Nb、Pお
よびVを選択している。これらの添加元素は、溶体化処
理時に母材中に一旦固溶させた後、燃料被覆管として使
用中に微細なMC炭化物やリン化物として安定に分散析
出させることにより、高温強度や耐スエリング特性が改
善できる。 【0010】合金添加元素を十分に固溶させるためには
最終溶体化処理温度を高温化することが望ましく、結晶
粒の粗大化が生じない範囲でできるだけ高温の溶体化処
理温度(1150℃)で合金元素を添加するが、過剰量
を添加した場合には、未固溶炭化物量が増大してしまう
ため、溶解度積計算により各合金添加元素の固溶量を算
出して各々の添加量を設定した。 【0011】各合金添加元素の添加量の設定理由は以下
の通りである。 [Ti、Nbの添加量]析出したTiCを有効に利用す
るためには、0.2%以上のTiの添加が必要である
が、0.5%を超えて添加すると、溶体化処理時に未固
溶として析出する。従って、Tiの添加量を0.20〜
0.50%の範囲とした。Nbの添加量も同様の理由に
より0.10〜0.30%の範囲とした。 【0012】[Pの添加量]リン化物を析出させるため
には、0.025%以上の添加が必要であり、一方、
0.08%を超える添加は溶接性の悪化を引き起こす。
従って、Pの添加量を0.025〜0.08%の範囲と
した。 【0013】[Vの添加量]Vの添加により微細な炭化
物を形成させるには、0.2%以上の添加が必要であ
り、一方、0.4%を超える添加は耐酸化特性の悪化を
もたらす。従って、Vの添加量を0.2〜0.4%の範
囲とした。 【0014】 【実施例】表1の7種類の組成の14Cr−25Niオ
ーステナイト系耐熱鋼を用いて下記の方法により燃料被
覆管を製造した。 【0015】 【表1】【0016】表1の各合金元素の混合粉末から真空二重
溶解により鋳塊を溶製した後、冷間圧延による製管工程
と溶体化処理工程を繰り返し行って所定寸法に圧延し、
次いで最終溶体化処理(1130〜1150℃、2分)
と最終冷間加工(加工度23%)を施して供試被覆管と
した。 【0017】冷間加工度は次式で定義される。 冷間加工度={(L−L0 )/L}×100 (%) L:冷間加工直前の管長さ L0:冷間加工直後の管長さ。 【0018】かくして得られた供試被覆管を用いて、6
50℃、700℃および750℃の試験温度で高温内圧
クリープ試験を行った。比較のために従来のPNC31
6鋼による被覆管についても試験した。結果を図1に示
す。 【0019】図1のグラフにおいて、3本の破線はそれ
ぞれ650℃、700℃、750℃でのPNC316鋼
についての内圧クリープ強度の平均曲線を示している。
グラフ中のプロット点に付されている右向きの矢印は、
破断せずに試験が継続中であることを意味する。なお、
「7AKV4-4」のように試料“7AKV”の後に付されて
いる番号“4-4”は試料番号を表している。グラフ中の
「7AKV2-11(試験中断)」は、この試料についての組織観
察を行うため内圧クリープ試験を中断して人為的に破断
して組織観察を行ったことを意味しており、従ってこの
プロット位置で破断してはおらず、実際にはさらに長時
間側まで破断していない。 【0020】このグラフからわかるように、表1におけ
る14Cr−25Niオーステナイト系耐熱鋼である
“7AKS”“7AKV”“8AK1”“8AK2”の
高温クリープ強度はいずれも、PNC316鋼よりも高
い値を示している。特に試験温度750℃における“7
AKV”(V添加14Cr−25Niオーステナイト系
耐熱鋼)は、実線で示したように長時間側の高温クリー
プ強度が飛躍的に向上している。例えば、PNC316
鋼の試験温度750℃、フープ応力100MPaでの内
圧クリープ破断時間は1000時間程度であるが、本発
明のV添加14Cr−25Niオーステナイト系耐熱鋼
“7AKV”では10000時間が経過しても破断しな
いという優れた高温クリープ強度を有している。 【0021】試験温度650℃および700℃における
“7AKV”については、試験温度750℃のときのよ
うな強度の向上はみられない。この理由は、750℃の
試験温度の場合には、試験時にこの温度での時効効果が
生じて微細な複合炭窒化物[Ti,Nb,V(C,
N)]が分散析出していることが組織観察結果から認め
られており、650℃および700℃の試験温度ではか
ような時効効果が生じていないためと考えられる。従っ
て、750℃程度の温度で一旦時効処理を施して微細な
複合炭窒化物を分散析出せしめた後に、650℃および
700℃で試験を行えば、かような低い試験温度におい
ても“7AKV”の高温クリープ強度は向上することに
なる。 【0022】なお、表1における“8AST”“8AS
N”“9AKN”の試料についての内圧クリープ試験結
果は図1のグラフには示されていないが、いずれも図1
にプロットされているV無添加鋼“7AKS”および
“8AK2”と同等であった。 【0023】高温クリープ強度が向上する機構を解明す
るために、V添加鋼“7AKV”とV無添加鋼“7AK
S”について、750℃でのクリープ破断材の微細組織
観察を行った。図2は、図1のグラフにおいて「試験中
断」と記されている「7AKV2-11」の750℃、100M
Pa、10871時間における人為的破断材の抽出レプ
リカ組織の電子顕微鏡写真であり、図3は、図1のグラ
フにおいて「7AKS2-5」の750℃、70MPa、36
19.2時間における破断材の抽出レプリカ組織の電子
顕微鏡写真である。図2のV添加鋼“7AKV”では、
寸法が数ナノメーター程度の微細な複合炭窒化物[T
i,Nb,V(C,N)]が高密度で形成されているの
に対して、図3のV無添加鋼“7AKS”ではこのよう
な高密度の微細複合炭窒化物が形成されていないことが
わかる。このことから、Ti、Nb、Vの複合添加によ
る微細な複合炭窒化物析出物の高密度形成が転位組織を
安定化させることが、V添加による高温クリープ強度向
上の機構であると考えられる。 【0024】 【発明の効果】以上の説明からわかるように本発明のV
添加14Cr−25Niオーステナイト系耐熱鋼によれ
ば、高温クリープ強度が飛躍的に向上し、しかも耐スエ
リング特性にも優れたオーステナイト系耐熱鋼を提供す
ることができる。
プ強度と耐スエリング特性が要求される高速増殖炉用燃
料被覆管への適用や、優れた高温クリープ強度が要求さ
れる火力発電用構造材への利用等に適したオーステナイ
ト系耐熱鋼に関するものである。 【0002】 【従来の技術】高速増殖炉の燃料被覆管に使用されてい
る従来のオーステナイト系耐熱鋼としては、本件特許出
願と同じ出願人により開発された下記組成のPNC31
6鋼がある。 Fe−(16〜18)Cr−(13〜14)Ni−(2〜3)
Mo−(0.002〜0.006)B−(0.05〜0.
10)Ti−(0.05〜0.10)Nb。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高速増
殖炉の燃料被覆管用耐熱鋼としては、高温クリープ強度
と耐スエリング性をさらに改善したオーステナイト系耐
熱鋼の開発が望まれるところである。 【0004】そこで本発明は、高温クリープ強度と耐ス
エリング性を改善させたオーステナイト系耐熱鋼を提供
することを課題としてなされたものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】すなわち本発明の高温ク
リープ強度に優れたオーステナイト系耐熱鋼は、重量%
で、Cr:12〜15%、Ni:20〜30%、Ti:
0.20〜0.50%、Nb:0.10〜0.30%、
P:0.025〜0.08%、V:0.2〜0.4%、
残部がFeからなることを特徴とするものである。 【0006】 【発明の実施の形態】耐スエリング特性を向上させるた
めには、Ni/Cr比を高めることが有効であるが、C
r量を12%以下にすると耐食性と高温強度が著しく低
下し、15%を超えると耐スエリング特性が悪化する。
そのため、Cr量を12〜15%に設定した。 【0007】一方、耐スエリング特性の観点からは、N
i量を20%以上とする必要があり、30%を超えると
強度向上に有効な炭化物の固溶が十分になされなくな
る。そのため、Ni量を20〜30%に設定した。 【0008】なお本明細書においては、上述したような
母材を便宜上「14Cr−25Niオーステナイト系耐
熱鋼」と称する。 【0009】14Cr−25Niオーステナイト系耐熱
鋼の高温強度や耐スエリング特性を向上させるために
は、微細なMC炭化物やリン化物(FeTiP)を母材
中に分散析出させることが有効である。本発明において
は、PNC316鋼に比べて、合金添加元素を多量に複
合添加しており、合金添加元素としてTi、Nb、Pお
よびVを選択している。これらの添加元素は、溶体化処
理時に母材中に一旦固溶させた後、燃料被覆管として使
用中に微細なMC炭化物やリン化物として安定に分散析
出させることにより、高温強度や耐スエリング特性が改
善できる。 【0010】合金添加元素を十分に固溶させるためには
最終溶体化処理温度を高温化することが望ましく、結晶
粒の粗大化が生じない範囲でできるだけ高温の溶体化処
理温度(1150℃)で合金元素を添加するが、過剰量
を添加した場合には、未固溶炭化物量が増大してしまう
ため、溶解度積計算により各合金添加元素の固溶量を算
出して各々の添加量を設定した。 【0011】各合金添加元素の添加量の設定理由は以下
の通りである。 [Ti、Nbの添加量]析出したTiCを有効に利用す
るためには、0.2%以上のTiの添加が必要である
が、0.5%を超えて添加すると、溶体化処理時に未固
溶として析出する。従って、Tiの添加量を0.20〜
0.50%の範囲とした。Nbの添加量も同様の理由に
より0.10〜0.30%の範囲とした。 【0012】[Pの添加量]リン化物を析出させるため
には、0.025%以上の添加が必要であり、一方、
0.08%を超える添加は溶接性の悪化を引き起こす。
従って、Pの添加量を0.025〜0.08%の範囲と
した。 【0013】[Vの添加量]Vの添加により微細な炭化
物を形成させるには、0.2%以上の添加が必要であ
り、一方、0.4%を超える添加は耐酸化特性の悪化を
もたらす。従って、Vの添加量を0.2〜0.4%の範
囲とした。 【0014】 【実施例】表1の7種類の組成の14Cr−25Niオ
ーステナイト系耐熱鋼を用いて下記の方法により燃料被
覆管を製造した。 【0015】 【表1】【0016】表1の各合金元素の混合粉末から真空二重
溶解により鋳塊を溶製した後、冷間圧延による製管工程
と溶体化処理工程を繰り返し行って所定寸法に圧延し、
次いで最終溶体化処理(1130〜1150℃、2分)
と最終冷間加工(加工度23%)を施して供試被覆管と
した。 【0017】冷間加工度は次式で定義される。 冷間加工度={(L−L0 )/L}×100 (%) L:冷間加工直前の管長さ L0:冷間加工直後の管長さ。 【0018】かくして得られた供試被覆管を用いて、6
50℃、700℃および750℃の試験温度で高温内圧
クリープ試験を行った。比較のために従来のPNC31
6鋼による被覆管についても試験した。結果を図1に示
す。 【0019】図1のグラフにおいて、3本の破線はそれ
ぞれ650℃、700℃、750℃でのPNC316鋼
についての内圧クリープ強度の平均曲線を示している。
グラフ中のプロット点に付されている右向きの矢印は、
破断せずに試験が継続中であることを意味する。なお、
「7AKV4-4」のように試料“7AKV”の後に付されて
いる番号“4-4”は試料番号を表している。グラフ中の
「7AKV2-11(試験中断)」は、この試料についての組織観
察を行うため内圧クリープ試験を中断して人為的に破断
して組織観察を行ったことを意味しており、従ってこの
プロット位置で破断してはおらず、実際にはさらに長時
間側まで破断していない。 【0020】このグラフからわかるように、表1におけ
る14Cr−25Niオーステナイト系耐熱鋼である
“7AKS”“7AKV”“8AK1”“8AK2”の
高温クリープ強度はいずれも、PNC316鋼よりも高
い値を示している。特に試験温度750℃における“7
AKV”(V添加14Cr−25Niオーステナイト系
耐熱鋼)は、実線で示したように長時間側の高温クリー
プ強度が飛躍的に向上している。例えば、PNC316
鋼の試験温度750℃、フープ応力100MPaでの内
圧クリープ破断時間は1000時間程度であるが、本発
明のV添加14Cr−25Niオーステナイト系耐熱鋼
“7AKV”では10000時間が経過しても破断しな
いという優れた高温クリープ強度を有している。 【0021】試験温度650℃および700℃における
“7AKV”については、試験温度750℃のときのよ
うな強度の向上はみられない。この理由は、750℃の
試験温度の場合には、試験時にこの温度での時効効果が
生じて微細な複合炭窒化物[Ti,Nb,V(C,
N)]が分散析出していることが組織観察結果から認め
られており、650℃および700℃の試験温度ではか
ような時効効果が生じていないためと考えられる。従っ
て、750℃程度の温度で一旦時効処理を施して微細な
複合炭窒化物を分散析出せしめた後に、650℃および
700℃で試験を行えば、かような低い試験温度におい
ても“7AKV”の高温クリープ強度は向上することに
なる。 【0022】なお、表1における“8AST”“8AS
N”“9AKN”の試料についての内圧クリープ試験結
果は図1のグラフには示されていないが、いずれも図1
にプロットされているV無添加鋼“7AKS”および
“8AK2”と同等であった。 【0023】高温クリープ強度が向上する機構を解明す
るために、V添加鋼“7AKV”とV無添加鋼“7AK
S”について、750℃でのクリープ破断材の微細組織
観察を行った。図2は、図1のグラフにおいて「試験中
断」と記されている「7AKV2-11」の750℃、100M
Pa、10871時間における人為的破断材の抽出レプ
リカ組織の電子顕微鏡写真であり、図3は、図1のグラ
フにおいて「7AKS2-5」の750℃、70MPa、36
19.2時間における破断材の抽出レプリカ組織の電子
顕微鏡写真である。図2のV添加鋼“7AKV”では、
寸法が数ナノメーター程度の微細な複合炭窒化物[T
i,Nb,V(C,N)]が高密度で形成されているの
に対して、図3のV無添加鋼“7AKS”ではこのよう
な高密度の微細複合炭窒化物が形成されていないことが
わかる。このことから、Ti、Nb、Vの複合添加によ
る微細な複合炭窒化物析出物の高密度形成が転位組織を
安定化させることが、V添加による高温クリープ強度向
上の機構であると考えられる。 【0024】 【発明の効果】以上の説明からわかるように本発明のV
添加14Cr−25Niオーステナイト系耐熱鋼によれ
ば、高温クリープ強度が飛躍的に向上し、しかも耐スエ
リング特性にも優れたオーステナイト系耐熱鋼を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】14Cr−25Niオーステナイト系耐熱鋼を
用いた試作燃料被覆管についての高温内圧クリープ試験
結果を示すグラフである。 【図2】本発明のV添加14Cr−25Niオーステナ
イト系耐熱鋼破断材の電子顕微鏡写真である。 【図3】V無添加14Cr−25Niオーステナイト系
耐熱鋼破断材の電子顕微鏡写真である。
用いた試作燃料被覆管についての高温内圧クリープ試験
結果を示すグラフである。 【図2】本発明のV添加14Cr−25Niオーステナ
イト系耐熱鋼破断材の電子顕微鏡写真である。 【図3】V無添加14Cr−25Niオーステナイト系
耐熱鋼破断材の電子顕微鏡写真である。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 水田 俊治
茨城県東茨城郡大洗町成田町4002 核燃料
サイクル開発機構 大洗工学センター内
(72)発明者 鵜飼 重治
茨城県東茨城郡大洗町成田町4002 核燃料
サイクル開発機構 大洗工学センター内
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 重量%で、Cr:12〜15%、Ni:
20〜30%、Ti:0.20〜0.50%、Nb:
0.10〜0.30%、P:0.025〜0.08%、
V:0.2〜0.4%、残部がFeからなることを特徴
とする高温クリープ強度に優れたオーステナイト系耐熱
鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001231685A JP2003041347A (ja) | 2001-07-31 | 2001-07-31 | 高温クリープ強度に優れたオーステナイト系耐熱鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001231685A JP2003041347A (ja) | 2001-07-31 | 2001-07-31 | 高温クリープ強度に優れたオーステナイト系耐熱鋼 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003041347A true JP2003041347A (ja) | 2003-02-13 |
Family
ID=19063706
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001231685A Pending JP2003041347A (ja) | 2001-07-31 | 2001-07-31 | 高温クリープ強度に優れたオーステナイト系耐熱鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003041347A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016502115A (ja) * | 2012-12-28 | 2016-01-21 | テラパワー, エルエルシー | 核燃料要素 |
-
2001
- 2001-07-31 JP JP2001231685A patent/JP2003041347A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016502115A (ja) * | 2012-12-28 | 2016-01-21 | テラパワー, エルエルシー | 核燃料要素 |
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