JP3282481B2 - 耐熱鋼 - Google Patents
耐熱鋼Info
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- JP3282481B2 JP3282481B2 JP01509896A JP1509896A JP3282481B2 JP 3282481 B2 JP3282481 B2 JP 3282481B2 JP 01509896 A JP01509896 A JP 01509896A JP 1509896 A JP1509896 A JP 1509896A JP 3282481 B2 JP3282481 B2 JP 3282481B2
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、高温強度および
耐熱疲労特性に優れた耐熱鋼に関するものである。
耐熱疲労特性に優れた耐熱鋼に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、重量%で、Cr:16〜20%、
Mn:0.1〜2.0%、Si:0.1〜2.0%、M
o:1.1〜2.4%、Nb:0.3〜2.1%、T
a:0.1〜2.2%、Co:0.2〜2.5%、C:
0.1〜0.2%、N:0.05〜0.15%を含有
し、さらに、必要に応じて、Ni:0.2〜2.5%、
W:0.2〜2.5%を含有し、残部がFeおよび不可
避不純物からなる組成を有するFe−Cr系耐熱鋼が知
られており、このFe−Cr系耐熱鋼は優れた高温強度
および耐熱疲労特性を有するところから、ディーゼルエ
ンジンの副燃焼室口金材料として使用されることも知ら
れている(特開平7−228952号公報参照)。
Mn:0.1〜2.0%、Si:0.1〜2.0%、M
o:1.1〜2.4%、Nb:0.3〜2.1%、T
a:0.1〜2.2%、Co:0.2〜2.5%、C:
0.1〜0.2%、N:0.05〜0.15%を含有
し、さらに、必要に応じて、Ni:0.2〜2.5%、
W:0.2〜2.5%を含有し、残部がFeおよび不可
避不純物からなる組成を有するFe−Cr系耐熱鋼が知
られており、このFe−Cr系耐熱鋼は優れた高温強度
および耐熱疲労特性を有するところから、ディーゼルエ
ンジンの副燃焼室口金材料として使用されることも知ら
れている(特開平7−228952号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のFe−
Cr系耐熱鋼では、高性能化に伴って一層過酷な状況で
使用されるディーゼルエンジンの副燃焼室口金材料とし
て十分に対応することができず、なお一層高温強度およ
び耐熱疲労特性の優れた耐熱鋼が要求されていた。
Cr系耐熱鋼では、高性能化に伴って一層過酷な状況で
使用されるディーゼルエンジンの副燃焼室口金材料とし
て十分に対応することができず、なお一層高温強度およ
び耐熱疲労特性の優れた耐熱鋼が要求されていた。
【0004】
【課題を解決する手段】そこで本発明者らは、鋭意研究
の結果、前記従来のFe−Cr系耐熱鋼に、さらにB:
0.002〜0.1%を添加した組成とし、さらにその
組成を有するFe−Cr系耐熱鋼を溶解後、950〜1
050℃に等温保持の熱処理を施すと、体積%でフェラ
イト相:20〜80%、炭窒化物相:0.3〜7%、残
部:オーステナイト相からなる3相組織となり、前記組
成および3相組織を有する耐熱鋼は、従来のFe−Cr
系耐熱鋼よりも高温強度および耐熱疲労特性に優れてい
る、という知見を得たのである。
の結果、前記従来のFe−Cr系耐熱鋼に、さらにB:
0.002〜0.1%を添加した組成とし、さらにその
組成を有するFe−Cr系耐熱鋼を溶解後、950〜1
050℃に等温保持の熱処理を施すと、体積%でフェラ
イト相:20〜80%、炭窒化物相:0.3〜7%、残
部:オーステナイト相からなる3相組織となり、前記組
成および3相組織を有する耐熱鋼は、従来のFe−Cr
系耐熱鋼よりも高温強度および耐熱疲労特性に優れてい
る、という知見を得たのである。
【0005】この発明は、かかる知見に基づいてなされ
たものであって、重量%で、Cr:15〜27%、N
i:1.08〜6.70%、Mn:0.1〜2.0%、
Si:0.1〜2.0%、Nb:1.1〜2.0%、
W:0.1〜2.5%、B:0.002〜0.1%、
C:0.06〜0.18%、N:0.01〜0.15%
を含有し、さらに、必要に応じて、 (a)Ta、Ti、Vの内の1種または2種以上:0.
01〜2.0%、 (b)Mo、Co、Cuの内の1種または2種以上:
0.01〜2.0%、 (c)Al:0.01〜2.0%およびR:0.001
〜0.05%の内の少なくとも1種、 前記(a)〜(c)の内の少なくとも1種を含有し、残
部がFeおよび不可避不純物からなる組成、並びに体積
%でフェライト相:20〜80%、炭窒化物相:0.3
〜7%、残部:オーステナイト相からなる3相組織を有
する耐熱鋼に特徴を有するものである。
たものであって、重量%で、Cr:15〜27%、N
i:1.08〜6.70%、Mn:0.1〜2.0%、
Si:0.1〜2.0%、Nb:1.1〜2.0%、
W:0.1〜2.5%、B:0.002〜0.1%、
C:0.06〜0.18%、N:0.01〜0.15%
を含有し、さらに、必要に応じて、 (a)Ta、Ti、Vの内の1種または2種以上:0.
01〜2.0%、 (b)Mo、Co、Cuの内の1種または2種以上:
0.01〜2.0%、 (c)Al:0.01〜2.0%およびR:0.001
〜0.05%の内の少なくとも1種、 前記(a)〜(c)の内の少なくとも1種を含有し、残
部がFeおよび不可避不純物からなる組成、並びに体積
%でフェライト相:20〜80%、炭窒化物相:0.3
〜7%、残部:オーステナイト相からなる3相組織を有
する耐熱鋼に特徴を有するものである。
【0006】以下に、この発明の耐熱鋼の合金組成およ
び組織を前記のごとく限定した理由について詳述する。 A、成分組成 Cr: Cr成分には、オーステナイト相およびフェライト相に
固溶して耐熱鋼の高温耐酸化性を著しく向上させる作用
があるが、その含有量が15%未満ではその効果は少な
く、一方、27%を越えて含有すると有害相であるσ相
が析出して脆化し、靭性が急激に低下するので好ましく
ない。したがって、この発明の耐熱鋼に含まれるCr含
有量は、15〜27%と定めた。Cr含有量の一層好ま
しい範囲は16〜21.5%である。
び組織を前記のごとく限定した理由について詳述する。 A、成分組成 Cr: Cr成分には、オーステナイト相およびフェライト相に
固溶して耐熱鋼の高温耐酸化性を著しく向上させる作用
があるが、その含有量が15%未満ではその効果は少な
く、一方、27%を越えて含有すると有害相であるσ相
が析出して脆化し、靭性が急激に低下するので好ましく
ない。したがって、この発明の耐熱鋼に含まれるCr含
有量は、15〜27%と定めた。Cr含有量の一層好ま
しい範囲は16〜21.5%である。
【0007】Ni: Ni成分は、Crとの共存下で高温耐酸化性および靭性
を向上させる作用があるが、その含有量が1.08%未
満ではその効果が不十分であり、一方、6.70%を越
えて含有すると、耐熱疲労特性を確保することが困難と
なるので好ましくない。したがって、この発明の耐熱鋼
に含まれるNi含有量は1.08〜6.70%と定め
た。Ni含有量の一層好ましい範囲は、2〜6.70%
である。
を向上させる作用があるが、その含有量が1.08%未
満ではその効果が不十分であり、一方、6.70%を越
えて含有すると、耐熱疲労特性を確保することが困難と
なるので好ましくない。したがって、この発明の耐熱鋼
に含まれるNi含有量は1.08〜6.70%と定め
た。Ni含有量の一層好ましい範囲は、2〜6.70%
である。
【0008】Mn: Mnは、溶解時の脱酸に効果がある成分であるが、その
含有量が0.1%未満では所望の効果が得られず、一
方、2.0%よりも多量に添加し過ぎると耐酸化性を阻
害する。従って、この発明の耐熱鋼に含まれるMn含有
量は0.1〜2.0%に定めた。Mn含有量の一層好ま
しい範囲は、0.3〜1.5%である。
含有量が0.1%未満では所望の効果が得られず、一
方、2.0%よりも多量に添加し過ぎると耐酸化性を阻
害する。従って、この発明の耐熱鋼に含まれるMn含有
量は0.1〜2.0%に定めた。Mn含有量の一層好ま
しい範囲は、0.3〜1.5%である。
【0009】Si: Siは、溶解時の脱酸作用を有すると共に鋳造性を上昇
させる作用があるが、その含有量が0.1%未満では不
十分であり、一方、2.0%を越えて添加し過ぎると有
害相の析出による耐酸化性を阻害する。したがって、こ
の発明の耐熱鋼に含まれるSi含有量は、0.1〜2.
0%に定めた。Si含有量の一層好ましい範囲は、0.
3〜1.5%である。
させる作用があるが、その含有量が0.1%未満では不
十分であり、一方、2.0%を越えて添加し過ぎると有
害相の析出による耐酸化性を阻害する。したがって、こ
の発明の耐熱鋼に含まれるSi含有量は、0.1〜2.
0%に定めた。Si含有量の一層好ましい範囲は、0.
3〜1.5%である。
【0010】Nb: Nbは、M(CN)型の炭窒化物を形成し、さらに素地
に固溶して高温強度および耐熱疲労特性を増加する作用
があるが、その量は1.1%未満ではその効果が不十分
であり、一方、2.0%を越えて多量に添加し過ぎると
炭窒化物形成と素地への固溶を越えた量は有害相の析出
につながり、靭性を阻害するために好ましくない。した
がって、この発明の耐熱鋼に含まれるNb含有量は1.
1〜2.0%と定めた。
に固溶して高温強度および耐熱疲労特性を増加する作用
があるが、その量は1.1%未満ではその効果が不十分
であり、一方、2.0%を越えて多量に添加し過ぎると
炭窒化物形成と素地への固溶を越えた量は有害相の析出
につながり、靭性を阻害するために好ましくない。した
がって、この発明の耐熱鋼に含まれるNb含有量は1.
1〜2.0%と定めた。
【0011】W: Wは、素地に固溶して高温強度および耐熱疲労特性を増
加するとともにσ相の析出を抑制する作用があるが、そ
の含有量が0.1%未満では所望の効果が得られず、一
方、2.5%を越えて含有させると靭性および延性を著
しく劣化させるので好ましくない。したがって、この発
明の耐熱鋼に含まれるW含有量を0.1〜2.5%に定
めた。
加するとともにσ相の析出を抑制する作用があるが、そ
の含有量が0.1%未満では所望の効果が得られず、一
方、2.5%を越えて含有させると靭性および延性を著
しく劣化させるので好ましくない。したがって、この発
明の耐熱鋼に含まれるW含有量を0.1〜2.5%に定
めた。
【0012】B: Bは、結晶粒界を強化し、高温強度を向上させると共に
粒界炭化物を微細化して靭性を向上させる作用がある
が、その含有量が0.002%未満では所望の効果が得
られず、一方、0.1%を越えて含有させると有害相が
析出し、靭性および高温強度が低下するので好ましくな
い。したがって、この発明の耐熱鋼に含まれるB含有量
を0.002〜0.1%に定めた。
粒界炭化物を微細化して靭性を向上させる作用がある
が、その含有量が0.002%未満では所望の効果が得
られず、一方、0.1%を越えて含有させると有害相が
析出し、靭性および高温強度が低下するので好ましくな
い。したがって、この発明の耐熱鋼に含まれるB含有量
を0.002〜0.1%に定めた。
【0013】C: Cは、Nbとともに炭窒化物を形成して高温強度および
耐熱疲労特性を向上させる作用があるが、その含有量が
0.06%未満添加しても所望の効果が得られず、一
方、0.18%を越えて添加し過ぎると炭窒化物が過剰
となり、靭性が低下するので好ましくない。したがっ
て、この発明の耐熱鋼に含まれるCは0.06〜0.1
8%に定めた。C含有量の一層好ましい範囲は0.07
〜0.16%である。
耐熱疲労特性を向上させる作用があるが、その含有量が
0.06%未満添加しても所望の効果が得られず、一
方、0.18%を越えて添加し過ぎると炭窒化物が過剰
となり、靭性が低下するので好ましくない。したがっ
て、この発明の耐熱鋼に含まれるCは0.06〜0.1
8%に定めた。C含有量の一層好ましい範囲は0.07
〜0.16%である。
【0014】N Nは、C共存下において主にNbと炭窒化物を形成する
とともに、素地(主にオーステナイト相)に固溶して高
温強度および耐熱疲労特性を向上させる作用があるが、
その含有量が0.01%未満では所望の効果が得られ
ず、一方、0.15%よりも多量に添加し過ぎると炭窒
化物析出が過剰となって靭性を阻害する。従って、この
発明の耐熱鋼に含まれるN含有量は、0.01〜0.1
5%に定めた。
とともに、素地(主にオーステナイト相)に固溶して高
温強度および耐熱疲労特性を向上させる作用があるが、
その含有量が0.01%未満では所望の効果が得られ
ず、一方、0.15%よりも多量に添加し過ぎると炭窒
化物析出が過剰となって靭性を阻害する。従って、この
発明の耐熱鋼に含まれるN含有量は、0.01〜0.1
5%に定めた。
【0015】Ta,Ti,V: これら成分は、炭窒化物を形成するとともに、素地に固
溶して高温強度および耐熱疲労特性を向上させる作用が
あるので必要に応じて添加されるが、その含有量が0.
01%未満では所望の効果が得られず、一方、2.0%
よりも多量に添加し過ぎると炭窒化物形成と素地への固
溶を越えた量は有害相の析出につながり、靭性を阻害す
るために好ましくない。従って、この発明の耐熱鋼に含
まれるTa,Ti,Vの内の1種または2種以上の含有
量は、0.01〜2.0%に定めた。Ta,Ti,Vの
内の1種または2種以上の含有量の一層好ましい範囲は
0.04〜1.5%である。
溶して高温強度および耐熱疲労特性を向上させる作用が
あるので必要に応じて添加されるが、その含有量が0.
01%未満では所望の効果が得られず、一方、2.0%
よりも多量に添加し過ぎると炭窒化物形成と素地への固
溶を越えた量は有害相の析出につながり、靭性を阻害す
るために好ましくない。従って、この発明の耐熱鋼に含
まれるTa,Ti,Vの内の1種または2種以上の含有
量は、0.01〜2.0%に定めた。Ta,Ti,Vの
内の1種または2種以上の含有量の一層好ましい範囲は
0.04〜1.5%である。
【0016】Mo,Co,Cu: これら成分は、素地に固溶して高温強度および耐熱疲労
特性を向上させる作用があるので必要に応じて添加され
るが、その含有量が0.01%未満では所望の効果が得
られず、一方、2.0%よりも多量に添加し過ぎると有
害相の析出により靭性を阻害するので好ましくない。従
って、この発明の耐熱鋼に含まれるMo,Co,Cuの
内の1種または2種以上の含有量は、0.01〜2.0
%に定めた。Mo,Co,Cuの内の1種または2種以
上の含有量の一層好ましい範囲は0.04〜1.5%で
ある。
特性を向上させる作用があるので必要に応じて添加され
るが、その含有量が0.01%未満では所望の効果が得
られず、一方、2.0%よりも多量に添加し過ぎると有
害相の析出により靭性を阻害するので好ましくない。従
って、この発明の耐熱鋼に含まれるMo,Co,Cuの
内の1種または2種以上の含有量は、0.01〜2.0
%に定めた。Mo,Co,Cuの内の1種または2種以
上の含有量の一層好ましい範囲は0.04〜1.5%で
ある。
【0017】Al,R: これら成分は、酸化膜の密着性を向上させ、高温耐酸化
性を向上させる作用があるので必要に応じて添加される
が、その含有量がAl:0.01%未満、R:0.00
1%未満では所望の効果が得られず、一方、Al:2.
0%を越え、R:0.05%を越えて添加すると靭性お
よび延性を阻害するので好ましくない。従って、この発
明の耐熱鋼に含まれるAl,Rの内の少なくとも1種
は、それぞれAl:0.01〜2.0%(一層好ましく
は、0.04〜1.5%)、R:0.001〜0.05
%(一層好ましくは、0.004〜0.03%)に定め
た。
性を向上させる作用があるので必要に応じて添加される
が、その含有量がAl:0.01%未満、R:0.00
1%未満では所望の効果が得られず、一方、Al:2.
0%を越え、R:0.05%を越えて添加すると靭性お
よび延性を阻害するので好ましくない。従って、この発
明の耐熱鋼に含まれるAl,Rの内の少なくとも1種
は、それぞれAl:0.01〜2.0%(一層好ましく
は、0.04〜1.5%)、R:0.001〜0.05
%(一層好ましくは、0.004〜0.03%)に定め
た。
【0018】B、組織 フェライト相: フェライト相は、熱膨脹係数が小さく耐熱疲労特性に優
れる相であるが、フェライト相が体積%で20%未満存
在するようではオーステナイト相が多くなって熱膨脹係
数が大きくなり耐熱疲労特性が低くなり過ぎるので好ま
しくなく、一方、素地中にフェライト相が80%を越え
て存在すると高温強度が低下するので好ましくない。し
たがって、素地中に存在するフェライト相は体積%で2
0〜80%に定めた。
れる相であるが、フェライト相が体積%で20%未満存
在するようではオーステナイト相が多くなって熱膨脹係
数が大きくなり耐熱疲労特性が低くなり過ぎるので好ま
しくなく、一方、素地中にフェライト相が80%を越え
て存在すると高温強度が低下するので好ましくない。し
たがって、素地中に存在するフェライト相は体積%で2
0〜80%に定めた。
【0019】炭窒化物相: 炭窒化物相が体積%で0.3%未満存在するようでは高
温強度および耐熱疲労特性が低くなるので好ましくな
く、一方、7%を越えて存在すると延性および靭性が低
下するので好ましくない。したがって、オーステナイト
相素地およびフェライト相中に均一分散して存在する炭
窒化物相は体積%で0.3〜7%に定めた。
温強度および耐熱疲労特性が低くなるので好ましくな
く、一方、7%を越えて存在すると延性および靭性が低
下するので好ましくない。したがって、オーステナイト
相素地およびフェライト相中に均一分散して存在する炭
窒化物相は体積%で0.3〜7%に定めた。
【0020】
【発明の実施の形態】表1〜表5に示される成分組成を
有する耐熱鋼を大気溶解し、得られた溶湯をロストワッ
クス精密鋳造法にて鋳型に鋳込むことにより外径:14
mm、長さ:200mmの寸法を有する丸棒を作製し、
これら丸棒を表6〜表10に示される条件で熱処理する
ことにより表6〜表10に示される組織を有する本発明
耐熱鋼(以下、本発明鋼という)1〜37、比較耐熱鋼
(以下、比較鋼という)1〜4および従来耐熱鋼(以
下、従来鋼という)1〜2からなる丸棒を作製した。
有する耐熱鋼を大気溶解し、得られた溶湯をロストワッ
クス精密鋳造法にて鋳型に鋳込むことにより外径:14
mm、長さ:200mmの寸法を有する丸棒を作製し、
これら丸棒を表6〜表10に示される条件で熱処理する
ことにより表6〜表10に示される組織を有する本発明
耐熱鋼(以下、本発明鋼という)1〜37、比較耐熱鋼
(以下、比較鋼という)1〜4および従来耐熱鋼(以
下、従来鋼という)1〜2からなる丸棒を作製した。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】
【0025】
【表5】
【0026】
【表6】
【0027】
【表7】
【0028】
【表8】
【0029】
【表9】
【0030】
【表10】
【0031】前記本発明鋼1〜37、比較鋼1〜4およ
び従来鋼1〜2の丸棒を切削して平行部直径:6mm、
平行部長さ:30mmの寸法を有する引張り試験片を作
製し、これら引張り試験片を用いて温度:1050℃に
おける引張り強さを測定し、その測定結果を表11〜表
14に示し、高温強度を評価した。
び従来鋼1〜2の丸棒を切削して平行部直径:6mm、
平行部長さ:30mmの寸法を有する引張り試験片を作
製し、これら引張り試験片を用いて温度:1050℃に
おける引張り強さを測定し、その測定結果を表11〜表
14に示し、高温強度を評価した。
【0032】さらに本発明鋼1〜37、比較鋼1〜4お
よび従来鋼1〜2の丸棒を切削して直径:8mm、長
さ:16mmの寸法を有する熱疲労試験片を作製し、こ
の熱疲労試験片を完全拘束した後、熱疲労試験片を2分
間で1050℃に加熱し、1050℃に1分間保持した
後、5分間放冷する工程を1回とし、この工程を熱疲労
試験片が破断するまで繰り返し行い、破断するまでの回
数を測定し、その測定結果を表11〜表14に示し、耐
熱疲労特性を評価した。
よび従来鋼1〜2の丸棒を切削して直径:8mm、長
さ:16mmの寸法を有する熱疲労試験片を作製し、こ
の熱疲労試験片を完全拘束した後、熱疲労試験片を2分
間で1050℃に加熱し、1050℃に1分間保持した
後、5分間放冷する工程を1回とし、この工程を熱疲労
試験片が破断するまで繰り返し行い、破断するまでの回
数を測定し、その測定結果を表11〜表14に示し、耐
熱疲労特性を評価した。
【0033】
【表11】
【0034】
【表12】
【0035】
【表13】
【0036】
【表14】
【0037】
【発明の効果】表1〜表14に示される結果から、本発
明鋼1〜37は、従来鋼1〜2と比べて、高温強度およ
び耐熱疲労特性が優れていることがわかる。しかし、こ
の発明の条件から外れている成分組成を有する比較鋼
(この発明の条件から外れている成分組成に*印を付し
て示す)1〜4は、高温強度および耐熱疲労特性のうち
のいずれかの特性が低下することが分かる。
明鋼1〜37は、従来鋼1〜2と比べて、高温強度およ
び耐熱疲労特性が優れていることがわかる。しかし、こ
の発明の条件から外れている成分組成を有する比較鋼
(この発明の条件から外れている成分組成に*印を付し
て示す)1〜4は、高温強度および耐熱疲労特性のうち
のいずれかの特性が低下することが分かる。
【0038】上述のように、この発明の耐熱鋼は、高温
強度および耐熱疲労特性がともに優れており、ディーゼ
ルエンジンの性能向上に大いに貢献し得るものである。
強度および耐熱疲労特性がともに優れており、ディーゼ
ルエンジンの性能向上に大いに貢献し得るものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−256908(JP,A) 特開 平8−13102(JP,A) 特開 平1−159354(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60
Claims (8)
- 【請求項1】 重量%で、 Cr:15〜27%、 Ni:1.08〜6.70%、 Mn:0.1〜2.0%、 Si:0.1〜2.0%、 Nb:1.1〜2.0%、 W:0.1〜2.5%、 B:0.002〜0.1%、 C:0.06〜0.18%、 N:0.01〜0.15%、を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からな る組成、並びに、体積%でフェライト相:20〜80
%、炭窒化物相:0.3〜7%、残部:オーステナイト
相からなる3相組織を有することを特徴とする耐熱鋼。 - 【請求項2】 重量%で、 Cr:15〜27%、 Ni:1.08〜6.70%、 Mn:0.1〜2.0%、 Si:0.1〜2.0%、 Nb:1.1〜2.0%、 W:0.1〜2.5%、 B:0.002〜0.1%、 C:0.06〜0.18%、 N:0.01〜0.15%、 を含有し、さらに、 Ta、Ti、Vの内の1種または2種以上:0.01〜
2.0%、 を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる組
成、並びに体積%でフェライト相:20〜80%、炭窒
化物相:0.3〜7%、残部:オーステナイト相からな
る3相組織を有することを特徴とする耐熱鋼。 - 【請求項3】 重量%で、 Cr:15〜27%、 Ni:1.08〜6.70%、 Mn:0.1〜2.0%、 Si:0.1〜2.0%、 Nb:1.1〜2.0%、 W:0.1〜2.5%、 B:0.002〜0.1%、 C:0.06〜0.18%、 N:0.01〜0.15%、 を含有し、さらに、 Mo、Co、Cuの内の1種または2種以上:0.01
〜2.0%、 を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる組
成、並びに体積%でフェライト相:20〜80%、炭窒
化物相:0.3〜7%、残部:オーステナイト相からな
る3相組織を有することを特徴とする耐熱鋼。 - 【請求項4】 重量%で、 Cr:15〜27%、 Ni:1.08〜6.70%、 Mn:0.1〜2.0%、 Si:0.1〜2.0%、 Nb:1.1〜2.0%、 W:0.1〜2.5%、 B:0.002〜0.1%、 C:0.06〜0.18%、 N:0.01〜0.15%、 を含有し、さらに、Al:0.01〜2.0%およびY
を含む希土類元素(以下、Rと記す。):0.001〜
0.05%の内の少なくとも1種、 を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる組
成、並びに体積%でフェライト相:20〜80%、炭窒
化物相:0.3〜7%、残部:オーステナイト相からな
る3相組織を有することを特徴とする耐熱鋼。 - 【請求項5】 重量%で、 Cr:15〜27%、 Ni:1.08〜6.70%、 Mn:0.1〜2.0%、 Si:0.1〜2.0%、 Nb:1.1〜2.0%、 W:0.1〜2.5%、 B:0.002〜0.1%、 C:0.06〜0.18%、 N:0.01〜0.15%、 を含有し、さらに、 Ta、Ti、Vの内の1種または2種以上:0.01〜
2.0%、 を含有し、さらに、 Mo、Co、Cuの内の1種または2種以上:0.01
〜2.0%、 を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる組
成、並びに体積%でフェライト相:20〜80%、炭窒
化物相:0.3〜7%、残部:オーステナイト相からな
る3相組織を有することを特徴とする耐熱鋼。 - 【請求項6】 重量%で、 Cr:15〜27%、 Ni:1.08〜6.70%、 Mn:0.1〜2.0%、 Si:0.1〜2.0%、 Nb:1.1〜2.0%、 W:0.1〜2.5%、 B:0.002〜0.1%、 C:0.06〜0.18%、 N:0.01〜0.15%、 を含有し、さらに、 Ta、Ti、Vの内の1種または2種以上:0.01〜
2.0%、 を含有し、さらに、 Al:0.01〜2.0%およびR:0.001〜0.
05%の内の少なくとも1種、 を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる組
成、並びに体積%でフェライト相:20〜80%、炭窒
化物相:0.3〜7%、残部:オーステナイト相からな
る3相組織を有することを特徴とする耐熱鋼。 - 【請求項7】 重量%で、 Cr:15〜27%、 Ni:1.08〜6.70%、 Mn:0.1〜2.0%、 Si:0.1〜2.0%、 Nb:1.1〜2.0%、 W:0.1〜2.5%、 B:0.002〜0.1%、 C:0.06〜0.18%、 N:0.01〜0.15%、 を含有し、さらに、Mo、Co、Cuの内の1種または
2種以上:0.01〜2.0%、 を含有し、さらに、 Al:0.01〜2.0%およびR:0.001〜0.
05%の内の少なくとも1種、 を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる組
成、並びに体積%でフェライト相:20〜80%、炭窒
化物相:0.3〜7%、残部:オーステナイト相からな
る3相組織を有することを特徴とする耐熱鋼。 - 【請求項8】 重量%で、 Cr:15〜27%、 Ni:1.08〜6.70%、 Mn:0.1〜2.0%、 Si:0.1〜2.0%、 Nb:1.1〜2.0%、 W:0.1〜2.5%、 B:0.002〜0.1%、 C:0.06〜0.18%、 N:0.01〜0.15%、 を含有し、さらに、 Ta、Ti、Vの内の1種または2種以上:0.01〜
2.0%、 を含有し、さらに、 Mo、Co、Cuの内の1種または2種以上:0.01
〜2.0%、 を含有し、さらに、 Al:0.01〜2.0%およびR:0.001〜0.
05%の内の少なくとも1種、 を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる組
成、並びに体積%でフェライト相:20〜80%、炭窒
化物相:0.3〜7%、残部:オーステナイト相からな
る3相組織を有することを特徴とする耐熱鋼。
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