JP2837732B2 - 低温靭性の優れた大入熱溶接用鋼の製造方法 - Google Patents
低温靭性の優れた大入熱溶接用鋼の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、低温靭性の優れた大入熱用鋼材の製造法に
関するものである。
関するものである。
(従来の技術) 近年、エネルギー需要の増大から、海洋における石
油、天然ガス等の開発が精力的に行われてきている。特
に最近では、より豊富な石油資源を求めて、北海、北極
海等の寒冷地で巨大な海洋構造物が建設されている。
油、天然ガス等の開発が精力的に行われてきている。特
に最近では、より豊富な石油資源を求めて、北海、北極
海等の寒冷地で巨大な海洋構造物が建設されている。
このような、海洋構造物は、−30℃以下の低温にさら
されるとともに、波浪の影響等による複雑な負荷応力条
件のもとで操業されるために、それに使用される鋼材に
対しては、優れた脆性破壊特性が要求される。
されるとともに、波浪の影響等による複雑な負荷応力条
件のもとで操業されるために、それに使用される鋼材に
対しては、優れた脆性破壊特性が要求される。
特に、母材よりも靭性が低下する溶接熱影響部の靭性
は、構造物の安全性に直接影響しているため、衝撃試験
などに評価され、例えば、−60℃で3.5kg f・m以上の
衝撃値が要求される場合がある。
は、構造物の安全性に直接影響しているため、衝撃試験
などに評価され、例えば、−60℃で3.5kg f・m以上の
衝撃値が要求される場合がある。
また、構造物の巨大化は、建設コストの増加を招くた
めに、使用鋼材の高張力鋼化、例えば、降伏点が36kg f
/mm2以上の鋼材を用いることにより、上部構造物の軽量
化や大入熱溶接法の採用による溶接コストの削減が図ら
れている。
めに、使用鋼材の高張力鋼化、例えば、降伏点が36kg f
/mm2以上の鋼材を用いることにより、上部構造物の軽量
化や大入熱溶接法の採用による溶接コストの削減が図ら
れている。
この鋼材を製造する方法として、例えば特開昭63−10
3021号公報で開示されているように、成分元素を限定し
た制御圧延、加速冷却法による製造がある。このような
従来技術は、通常の溶接入熱(50kJ/cm以下)では、確
かに溶接熱影響部の靭性が優れた鋼材を提供するもので
あるが、大入熱溶接においてはその効果を期待できな
い。
3021号公報で開示されているように、成分元素を限定し
た制御圧延、加速冷却法による製造がある。このような
従来技術は、通常の溶接入熱(50kJ/cm以下)では、確
かに溶接熱影響部の靭性が優れた鋼材を提供するもので
あるが、大入熱溶接においてはその効果を期待できな
い。
溶接熱影響部の靭性を改善する技術としては、例え
ば、特開昭60−245768号公報および特開昭60−152626号
公報に記載されているように、酸化物をフェライト変態
核として粒内フェライトを生成させることにより、溶接
熱影響部の靭性を向上せしめる技術などが提案されてい
る。
ば、特開昭60−245768号公報および特開昭60−152626号
公報に記載されているように、酸化物をフェライト変態
核として粒内フェライトを生成させることにより、溶接
熱影響部の靭性を向上せしめる技術などが提案されてい
る。
しかしながら、これらの鋼では、鋳造工程で酸化物を
均一に分散させるのが難しく、安定した溶接熱影響部の
靭性を確保できない欠点があった。
均一に分散させるのが難しく、安定した溶接熱影響部の
靭性を確保できない欠点があった。
(発明が解決しようとする課題) 本発明の目的は、寒冷地、極地で使用される高強度で
優れた溶接熱影響部の靭性を有する海洋構造物用鋼板の
製造方法を提供するものである。
優れた溶接熱影響部の靭性を有する海洋構造物用鋼板の
製造方法を提供するものである。
(課題を解決するための手段) 本発明は、以上の問題点を解決するためになされたも
のであって、その要旨は、重量%として、C:0.02〜0.15
%、Si:0.3%以下、Mn:0.5〜2.0%、Ni:0.2〜1.5%、C
u:0.2〜1.5%、但し、Mn,Ni,CuはMn/6+(Cu+Ni)/15
=0.28〜0.40%とし、N:0.0020〜0.010%、B×10000+
Nb×1000なる式の値が4〜10になるようなBまたはBと
Nb、TiとNの比(Ti/N)が2.0〜4.0になるTi、Al:0.005
〜0.1%、S:0.003〜0.008%、残部がFeおよび不可避的
不純物よりなる鋼を連続鋳造し、その後の冷却速度が、
1000℃〜600℃までの範囲で平均冷却速度が5.0℃/min以
下の冷却を施した後、圧延前に1150℃以下に加熱するこ
とを特徴とする低温靭性の優れた大入熱溶接用鋼の製造
方法に関するものである。
のであって、その要旨は、重量%として、C:0.02〜0.15
%、Si:0.3%以下、Mn:0.5〜2.0%、Ni:0.2〜1.5%、C
u:0.2〜1.5%、但し、Mn,Ni,CuはMn/6+(Cu+Ni)/15
=0.28〜0.40%とし、N:0.0020〜0.010%、B×10000+
Nb×1000なる式の値が4〜10になるようなBまたはBと
Nb、TiとNの比(Ti/N)が2.0〜4.0になるTi、Al:0.005
〜0.1%、S:0.003〜0.008%、残部がFeおよび不可避的
不純物よりなる鋼を連続鋳造し、その後の冷却速度が、
1000℃〜600℃までの範囲で平均冷却速度が5.0℃/min以
下の冷却を施した後、圧延前に1150℃以下に加熱するこ
とを特徴とする低温靭性の優れた大入熱溶接用鋼の製造
方法に関するものである。
(作用) 本発明者は溶接熱影響部(以下、HAZと呼ぶ)の靭性
改善にかかる多くの実験事実に基づき、溶接時の冷却
過程で生成する粒内フェライトは、TiNとMnSの複合析出
物(以下、TiN−MnS析出物と呼ぶ)から生成し、HAZの
靭性を向上させる。HAZの靭性向上に寄与するTiN−Mn
S析出物の大きさは、0.4μm以上の大きさであることを
知見した。そして、それを達成するための、高温でMnS
を凝集させる方法を見出した。
改善にかかる多くの実験事実に基づき、溶接時の冷却
過程で生成する粒内フェライトは、TiNとMnSの複合析出
物(以下、TiN−MnS析出物と呼ぶ)から生成し、HAZの
靭性を向上させる。HAZの靭性向上に寄与するTiN−Mn
S析出物の大きさは、0.4μm以上の大きさであることを
知見した。そして、それを達成するための、高温でMnS
を凝集させる方法を見出した。
以下、上記の知見に基づき、発明の骨子を説明する。
第1図は200kJ/cm相当の溶接熱サイクルを付与した後
の靭性におよぼすTiN−MnS析出物の数を示す。
の靭性におよぼすTiN−MnS析出物の数を示す。
この時の実験に用いた試料の化学成分は第1表に示す
通りである。
通りである。
この図からTiN−MnS析出物の個数の増加と共に、HAZ
の靭性が向上しており、TiN−MnS析出物がHAZ靭性の向
上に著しく効果があることがわかる。
の靭性が向上しており、TiN−MnS析出物がHAZ靭性の向
上に著しく効果があることがわかる。
さらに、第2図は同じ供試材を用いて実験した時の凝
固後の1000〜600℃の温度範囲での平均冷却速度とTiN−
MnS析出物個数の関係を示すが、平均冷却速度を5.0℃/m
in以下にすることで、析出物の個数を著しく増加させる
ことができるのが分かる。
固後の1000〜600℃の温度範囲での平均冷却速度とTiN−
MnS析出物個数の関係を示すが、平均冷却速度を5.0℃/m
in以下にすることで、析出物の個数を著しく増加させる
ことができるのが分かる。
以上の実験事実から、凝固後の冷却速度を制御するこ
とにより、粒内フェライトの変態核となるTiN−MnS析出
物を増加させ、HAZの靭性を向上できることが明らかに
なった。
とにより、粒内フェライトの変態核となるTiN−MnS析出
物を増加させ、HAZの靭性を向上できることが明らかに
なった。
なお、このようにして析出したTiN−MnS析出物は1300
℃以上の温度で加熱されると容易に溶解してしまうた
め、その後の熱間圧延前のスラブ加熱温度は低い方が好
ましく、望ましくは1150℃以下に加熱されるべきであ
る。
℃以上の温度で加熱されると容易に溶解してしまうた
め、その後の熱間圧延前のスラブ加熱温度は低い方が好
ましく、望ましくは1150℃以下に加熱されるべきであ
る。
次に、本発明における成分の限定理由について述べ
る。
る。
Cは、強度を確保するために、必要な元素であり、強
度確保のために、0.02%以上の添加が必要であるが、多
量の添加はHAZの靭性低下を招くために、その上限を0.1
5%とする。
度確保のために、0.02%以上の添加が必要であるが、多
量の添加はHAZの靭性低下を招くために、その上限を0.1
5%とする。
Siは多量に添加するとHAZ靭性を低下させる元素であ
り、0.3%を上限とする。
り、0.3%を上限とする。
Mnは強度確保のためと後で述べるHAZ部のミクロ組織
制御の観点から、0.5%以上添加が必要であるが、多量
に添加すると、HAZ靭性が低下するために、その上限を
2.0%とする。
制御の観点から、0.5%以上添加が必要であるが、多量
に添加すると、HAZ靭性が低下するために、その上限を
2.0%とする。
Niは母材の強度、靭性の向上に有効であると同時に、
Mnと同じように、HAZのミクロ組織制御によりHAZ靭性を
向上させる元素であり、0.2%以上の添加が必要である
が、1.5%を超えて添加されるとHAZ靭性の低下を招くた
め、その範囲を0.2〜1.5%と限定する。
Mnと同じように、HAZのミクロ組織制御によりHAZ靭性を
向上させる元素であり、0.2%以上の添加が必要である
が、1.5%を超えて添加されるとHAZ靭性の低下を招くた
め、その範囲を0.2〜1.5%と限定する。
Cuは母材強度の向上に有効であると同時に、本発明に
あってはMn,Niと共に、HAZのミクロ組織を制御し、靭性
を向上させる元素であり、0.2%未満の添加ではその効
果がなく、1.5%を超えるとかえってHAZ靭性を低下せし
めるため、0.2〜1.5%の範囲限定する。
あってはMn,Niと共に、HAZのミクロ組織を制御し、靭性
を向上させる元素であり、0.2%未満の添加ではその効
果がなく、1.5%を超えるとかえってHAZ靭性を低下せし
めるため、0.2〜1.5%の範囲限定する。
NはTiと化合して窒化物を形成する重要な元素である
が、0.0020%以上の添加が必要であるが、鋼中でフリー
に存在するとHAZ靭性の低下を招くため、その上限を0.0
10%とする。
が、0.0020%以上の添加が必要であるが、鋼中でフリー
に存在するとHAZ靭性の低下を招くため、その上限を0.0
10%とする。
BおよびNbは本発明において、微量の添加でHAZ靭性
を低下させる旧オーステナイト粒界からの粗大なフェラ
イトの生成を抑制し、靭性の向上をもたらす元素として
添加される。
を低下させる旧オーステナイト粒界からの粗大なフェラ
イトの生成を抑制し、靭性の向上をもたらす元素として
添加される。
第3図は入熱200kJ/cm相当の再現熱サイクルを与えた
後、−60℃で衝撃試験を行った時の衝撃値におよぼすB,
Nb量の影響を示したものである。
後、−60℃で衝撃試験を行った時の衝撃値におよぼすB,
Nb量の影響を示したものである。
実験に用いた成分系を第2表に示す。
第3図から分かるように、○で示した衝撃値が6kg f
・m以上の高い値を得るためには、BまたはBとNbを、
重量%で、B×10000+Nb×1000なる式の値が4〜10の
範囲内にあるように添加する必要がある。
・m以上の高い値を得るためには、BまたはBとNbを、
重量%で、B×10000+Nb×1000なる式の値が4〜10の
範囲内にあるように添加する必要がある。
Tiは本発明にとって必須の元素であり、Nと化合して
TiNを析出し、MnSの析出核として働く。したがって、最
適なTiNを得るためには、TiとNの量を制御する必要が
ある。すなわち、TiとNの重量比で2.0未満になるとN
過剰になり、HAZ靭性の低下を招き、4.0を超えると逆
に、Ti過剰になりTiCが析出し、母材の靭性が著しく低
下する。
TiNを析出し、MnSの析出核として働く。したがって、最
適なTiNを得るためには、TiとNの量を制御する必要が
ある。すなわち、TiとNの重量比で2.0未満になるとN
過剰になり、HAZ靭性の低下を招き、4.0を超えると逆
に、Ti過剰になりTiCが析出し、母材の靭性が著しく低
下する。
SはMnの析出に必要な元素である。第4図は第2表に
示す成分範囲内にある板厚32mmの鋼を、実際に入熱200k
J/cmの3電極潜弧溶接した時の−60℃の衝撃値におよぼ
すS量の影響を示す。この図表から分かるように、0.00
3%未満の添加ではその析出量が不十分になり、期待さ
れる靭性の向上が得られず、0.008%を超えて添加する
と、MnSが多量に析出し、かえって靭性を阻害するため
に、0.003〜0.008%の範囲に限定するが、好ましくは0.
003〜0.005%の範囲に添加されるべきである。
示す成分範囲内にある板厚32mmの鋼を、実際に入熱200k
J/cmの3電極潜弧溶接した時の−60℃の衝撃値におよぼ
すS量の影響を示す。この図表から分かるように、0.00
3%未満の添加ではその析出量が不十分になり、期待さ
れる靭性の向上が得られず、0.008%を超えて添加する
と、MnSが多量に析出し、かえって靭性を阻害するため
に、0.003〜0.008%の範囲に限定するが、好ましくは0.
003〜0.005%の範囲に添加されるべきである。
Alは脱酸のために必要な元素であって、0.005%以上
の添加が必要であるが多量に添加すると靭性を阻害する
ために、0.1%を上限とする。
の添加が必要であるが多量に添加すると靭性を阻害する
ために、0.1%を上限とする。
以上の成分範囲の中で、さらに大入熱溶接時のHAZ靭
性の向上を目的として実験を重ねた結果、本発明者らは
TiN−MnS析出物を鋼中に分散させた状態で、Mn,Cu,Ni等
の焼入れ性の高い元素を有効に利用すると、HAZのミク
ロ組織の中で、靭性低下の主要因となる旧オーステナイ
ト粒界から生成する粗大なフェライトおよび上部ベイナ
イトの生成を抑制でき、HAZ靭性を飛躍的に増大できる
ことを知見した。
性の向上を目的として実験を重ねた結果、本発明者らは
TiN−MnS析出物を鋼中に分散させた状態で、Mn,Cu,Ni等
の焼入れ性の高い元素を有効に利用すると、HAZのミク
ロ組織の中で、靭性低下の主要因となる旧オーステナイ
ト粒界から生成する粗大なフェライトおよび上部ベイナ
イトの生成を抑制でき、HAZ靭性を飛躍的に増大できる
ことを知見した。
第5図は、第2表中に示した成分範囲を有する鋼を板
厚32mm供試材として、入熱200kJ/cmの片面潜弧溶接で溶
接し、その後、−60℃でHAZ部の衝撃試験を行った時の
衝撃値の平均値を縦軸に示し、横軸に、重量%で、Mn/6
+(Cu+Ni)/15なる式の値を示した図表である。
厚32mm供試材として、入熱200kJ/cmの片面潜弧溶接で溶
接し、その後、−60℃でHAZ部の衝撃試験を行った時の
衝撃値の平均値を縦軸に示し、横軸に、重量%で、Mn/6
+(Cu+Ni)/15なる式の値を示した図表である。
なお、○で示した結果は、S量が重量%で0.003%お
よび0.004%含有し、TiN−MnS析出物が微細に分散して
いる場合のもの、●はSが0.001%以下しか含有せず、T
iN−MnS析出物がほとんど生成していない場合の結果を
示す。
よび0.004%含有し、TiN−MnS析出物が微細に分散して
いる場合のもの、●はSが0.001%以下しか含有せず、T
iN−MnS析出物がほとんど生成していない場合の結果を
示す。
この図表から分かるように、TiN−MnS析出物が分散し
ている鋼(○)では上式の値が0.25から0.33に増加する
に伴い、衝撃値が著しく向上し、0.33を超えると、逆に
靭性は低下する傾向がある。
ている鋼(○)では上式の値が0.25から0.33に増加する
に伴い、衝撃値が著しく向上し、0.33を超えると、逆に
靭性は低下する傾向がある。
この靭性の向上は、ミクロ組織の観察から、Mn,Cu,Ni
添加により鋼の焼入れ性が増加するに伴い、大入熱溶接
時の遅い冷却速度でも粒界から生成する粗大なフェライ
トを抑制すると同時に、粒内にTiN−MnS析出物を核とし
て微細な粒内フェライトが生成し、HAZのミクロ組織が
著しく微細化することによるものであると考えられる。
添加により鋼の焼入れ性が増加するに伴い、大入熱溶接
時の遅い冷却速度でも粒界から生成する粗大なフェライ
トを抑制すると同時に、粒内にTiN−MnS析出物を核とし
て微細な粒内フェライトが生成し、HAZのミクロ組織が
著しく微細化することによるものであると考えられる。
しかしながら、上式の値が、0.33を超えると、かえっ
て焼入れ性が増大しすぎるために、冷却途中で旧オース
テナイト粒内に靭性を阻害する上部ベイナイトや島状マ
ルテンサイト組織が生成するため、靭性が低下する。
て焼入れ性が増大しすぎるために、冷却途中で旧オース
テナイト粒内に靭性を阻害する上部ベイナイトや島状マ
ルテンサイト組織が生成するため、靭性が低下する。
一方、TiN−MnS析出物の分散がなされていない鋼
(●)では、上式の値によらず、低い靭性を示してお
り、本発明鋼との差は明らかである。
(●)では、上式の値によらず、低い靭性を示してお
り、本発明鋼との差は明らかである。
以上の知見から、TiN−MnS析出物を本発明により微細
分散させ、かつMn/6+(Cu+Ni)/15なる式の値を制限
することで、大入熱溶接時のHAZ靭性を改善できる。な
お、その範囲は、工業的に通常要求されている衝撃値が
3.5kg f・m程度であることを考えて、0.28〜0.40とす
る。
分散させ、かつMn/6+(Cu+Ni)/15なる式の値を制限
することで、大入熱溶接時のHAZ靭性を改善できる。な
お、その範囲は、工業的に通常要求されている衝撃値が
3.5kg f・m程度であることを考えて、0.28〜0.40とす
る。
以上述べた成分を有する鋼を電気炉、転炉で溶接した
後、連続鋳造機により鋳造する。この時の凝固時の冷却
速度が1000〜600℃の温度範囲で5.0℃/min以下であるよ
うな冷却を行う。
後、連続鋳造機により鋳造する。この時の凝固時の冷却
速度が1000〜600℃の温度範囲で5.0℃/min以下であるよ
うな冷却を行う。
HAZ靭性を向上させるためには、TiN−MnS析出物の個
数密度を一定量確保する必要があるが、そのためにはMn
Sの析出核となるTiNを微細分散させる必要がある。
数密度を一定量確保する必要があるが、そのためにはMn
Sの析出核となるTiNを微細分散させる必要がある。
すなわち、従来の知見から、凝固時の冷却速度が速い
ほどTiNが微細に分散することが知られており、造塊分
塊法で鋳造する場合よりも凝固時の冷却速度が速い連続
鋳造法を採用する。
ほどTiNが微細に分散することが知られており、造塊分
塊法で鋳造する場合よりも凝固時の冷却速度が速い連続
鋳造法を採用する。
このようにして析出したTiNの上に1000℃以下の温度
範囲でMnSが析出する。しかしながら、HAZ靭性の改善に
効果のあるTiN−MnS析出物の生成には制約条件冷却速度
が5.0℃/minを超えるとMnSの析出が不十分であり、溶接
時の冷却途中に生成する粒内フェライトの変態核として
作用せず、HAZ靭性の向上は期待できない。
範囲でMnSが析出する。しかしながら、HAZ靭性の改善に
効果のあるTiN−MnS析出物の生成には制約条件冷却速度
が5.0℃/minを超えるとMnSの析出が不十分であり、溶接
時の冷却途中に生成する粒内フェライトの変態核として
作用せず、HAZ靭性の向上は期待できない。
なお、冷却速度は遅ければ遅いほど良いが、その上限
は連続鋳造機の性能により制約される。
は連続鋳造機の性能により制約される。
その後、熱間圧延のために再加熱を施すが、その時の
温度は母材の強度、靭性を確保するためと、前記した熱
処理により生成させたTiN−MnS析出物の形体を変化させ
ないために、1150℃以下の温度にする必要がある。
温度は母材の強度、靭性を確保するためと、前記した熱
処理により生成させたTiN−MnS析出物の形体を変化させ
ないために、1150℃以下の温度にする必要がある。
なお、加熱後の圧延については、母材の強度、靭性の
向上を図るために、制御圧延を施したり、制御圧延後、
水冷しても何等TiN−MnS析出物に変化を与えることがな
いため、現在公知である製造方法を適宜選択して採用で
きる。
向上を図るために、制御圧延を施したり、制御圧延後、
水冷しても何等TiN−MnS析出物に変化を与えることがな
いため、現在公知である製造方法を適宜選択して採用で
きる。
(実 施 例) 供試材の化学成分を第3表に示す。
ここで、鋼B,鋼Cは本発明に該当する成分系であり、
鋼A,D〜Gは本発明から逸脱している鋼である。
鋼A,D〜Gは本発明から逸脱している鋼である。
また、第4表には供試材の製造条件および母材、HAZ
の靭性値を合わせて示している。
の靭性値を合わせて示している。
これらの鋼板は転炉で溶製、連続鋳造機により厚み24
0〜250mm、幅1300〜1600mmに鋳造された後、前処理およ
び圧延のための加熱圧延を経て、板厚32mmの鋼板として
製造された。なお、HAZ靭性は、片面1層の潜弧溶接
(入熱:200kJ/cm)後、板厚の1/4t部から衝撃試験を採
取し、シャルピー衝撃試験により評価した。
0〜250mm、幅1300〜1600mmに鋳造された後、前処理およ
び圧延のための加熱圧延を経て、板厚32mmの鋼板として
製造された。なお、HAZ靭性は、片面1層の潜弧溶接
(入熱:200kJ/cm)後、板厚の1/4t部から衝撃試験を採
取し、シャルピー衝撃試験により評価した。
第4表から、本発明法により製造された鋼板(板番:B
1,C1)は、母材、HAZ共に優れた靭性を示している。
1,C1)は、母材、HAZ共に優れた靭性を示している。
これに対し、板番A1は鋳造時の1000〜600℃の範囲の
平均冷却速度が大きく、HAZ靭性が低下しており、板番A
2は圧延前のスラブ加熱温度が高く、母材の靭性およびH
AZ靭性が低下している。
平均冷却速度が大きく、HAZ靭性が低下しており、板番A
2は圧延前のスラブ加熱温度が高く、母材の靭性およびH
AZ靭性が低下している。
また板番B2は板番A1と同様に、1000〜600℃の範囲の
平均冷却速度が本発明の範囲を大きく逸脱しており、そ
のためHAZ靭性が低い。
平均冷却速度が本発明の範囲を大きく逸脱しており、そ
のためHAZ靭性が低い。
さらに、D1,E1,F1,G1は成分範囲が本発明から逸脱し
ているものである。すなわち、板番D1はB×10000+Nb
×1000なる式で与えられる値が本発明の範囲を逸脱して
おり、HAZ靭性が低下しており、板番E1はMn/6+(Cu+N
i)/15なる式で与えられる値が本発明の範囲を超えてお
り、やはりHAZ靭性が低い。また、板番F1はTi/Nが本発
明の範囲から逸脱しているため、HAZ靭性が低下してお
り、板番G1はS量が高いために、やはり、HAZ靭性が低
い。
ているものである。すなわち、板番D1はB×10000+Nb
×1000なる式で与えられる値が本発明の範囲を逸脱して
おり、HAZ靭性が低下しており、板番E1はMn/6+(Cu+N
i)/15なる式で与えられる値が本発明の範囲を超えてお
り、やはりHAZ靭性が低い。また、板番F1はTi/Nが本発
明の範囲から逸脱しているため、HAZ靭性が低下してお
り、板番G1はS量が高いために、やはり、HAZ靭性が低
い。
(発明の効果) 以上述べたように、本発明によれば、大入熱溶接によ
ってもHAZの低温靭性が安定して高水準の鋼材が得られ
るため、産業上極めて有用なものである。
ってもHAZの低温靭性が安定して高水準の鋼材が得られ
るため、産業上極めて有用なものである。
第1図は鋼中に含まれるTiN−MnS析出物の個数と溶接熱
サイクル後の靭性の変化を示す図表、第2図は凝固時の
1000〜600℃の温度範囲における平均冷却速度とTiN−Mn
S析出物の個数との関係を表した図表、第3図は溶接熱
サイクル後の靭性に対するBとNbの添加量の影響を表し
た図表、第4図は入熱200kJ/cmの片面潜弧溶接後のHAZ
の衝撃値におよぼすS量の影響を示す図表、第5図は入
熱200kJ/cmの片面潜弧溶接後のHAZの衝撃値におよぼすM
n/6+(Cu+Ni)/15なる式で表したMn,Cu,Niの影響を示
す図表である。
サイクル後の靭性の変化を示す図表、第2図は凝固時の
1000〜600℃の温度範囲における平均冷却速度とTiN−Mn
S析出物の個数との関係を表した図表、第3図は溶接熱
サイクル後の靭性に対するBとNbの添加量の影響を表し
た図表、第4図は入熱200kJ/cmの片面潜弧溶接後のHAZ
の衝撃値におよぼすS量の影響を示す図表、第5図は入
熱200kJ/cmの片面潜弧溶接後のHAZの衝撃値におよぼすM
n/6+(Cu+Ni)/15なる式で表したMn,Cu,Niの影響を示
す図表である。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C21D 8/02,8/00
Claims (1)
- 【請求項1】重量%として、 C:0.02〜0.15%、 Si:0.3%以下、 Mn:0.5〜2.0%、 Ni:0.2〜1.5%、 Cu:0.2〜1.5%、 但し、Mn,Ni,Cuは Mn/6+(Cu+Ni)/15=0.28〜0.40%、 N:0.0020〜0.010%、 重量%で、B×10000+Nb×1000なる式の値が4〜10に
なるようなBまたはBとNb、 重量%で、TiとNの比(Ti/N)が2.0〜4.0になるTi、 Al:0.005〜0.1%、 S:0.003〜0.008%、 残部がFeおよび不可避的不純物よりなる鋼を連続鋳造
し、その後の冷却速度が、1000℃〜600℃までの範囲で
平均冷却速度が5.0℃/min以下の冷却を施した後、圧延
前に1150℃以下に加熱することを特徴とする低温靭性の
優れた大入熱溶接用鋼の製造方法。
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1990
- 1990-03-14 JP JP6107690A patent/JP2837732B2/ja not_active Expired - Lifetime
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