JP2003038192A - プロテアーゼに対する安定性が制御されたポリペプチド - Google Patents

プロテアーゼに対する安定性が制御されたポリペプチド

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JP2003038192A
JP2003038192A JP2002143651A JP2002143651A JP2003038192A JP 2003038192 A JP2003038192 A JP 2003038192A JP 2002143651 A JP2002143651 A JP 2002143651A JP 2002143651 A JP2002143651 A JP 2002143651A JP 2003038192 A JP2003038192 A JP 2003038192A
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polypeptide
sequence
lys
amino acid
arg
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JP2002143651A
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English (en)
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Nobuhiko Muramoto
伸彦 村本
Takao Imaeda
孝夫 今枝
Masakata Hirai
正名 平井
Takashi Shimamura
隆 嶋村
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】プロテアーゼに対して安定化されたポリペプチ
ドを提供する。 【解決手段】ポリペプチドのC末端側に少なくとも2個
のアミノ酸配列を有するプロテアーゼ抵抗性配列を備え
るように操作して、ポリペプチドを安定化する。かかる
抵抗性配列としては、リジン−アスパラギン酸をC末端
側に有することが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ポリペプチドを
プロテアーゼに対して安定性を制御する技術に関し、特
に、外来ポリペプチドや本来的にプロテアーゼに対して
安定性が低いとされているポリペプチドのC末端側を操
作して、プロテアーゼに対する抵抗性を制御する技術に
関する。
【0002】
【従来の技術】抗菌性等の作用を発揮するタンパク質の
使用のために、プロテアーゼに対する安定性を高める各
種アプローチがなされてきている。例えば、植物組織等
において病害性菌に対して病害抵抗性ポリペプチドを作
用させる場合には、このポリペプチドの少なくとも植物
由来のプロテアーゼに対する安定性を向上させることが
重要である。
【0003】このために、特開平7−242696号公
報には、次のような手法が記載されている。この手法
は、以下のようなステップを備えている。まず、ポリペ
プチドを植物細胞間液中においてプロテアーゼによって
分解させた後、生じた分解産物を解析し、分解部位を決
定する。次いで、決定した分解部位前後のアミノ酸配列
を置換した多様なペプチドを合成する。そして、合成し
たペプチドについてプロテアーゼに対する安定性を試験
し、プロテアーゼに対して安定性を有しかつ抗菌性を維
持しているものをスクリーニングする、というものであ
る。
【0004】かかるアプローチによれば、分解部位を1
箇所に特定したとしても、約400通りのアミノ酸配列
が考えられる。したがって、これらのアミノ酸配列を有
する全てのポリペプチドを合成し、評価するのは多大な
時間と労力とを要する。したがって、プロテアーゼに対
して安定化されたポリペプチドを求めるのは容易ではな
く、安定化ポリペプチドを容易に取得できる手法が求め
られている。また、プロテアーゼに対して優れた安定性
を有するポリペプチドも求められている。そこで、本発
明の一つの目的は、プロテアーゼに対する安定性を制御
する技術を提供することである。また、本発明の他の一
つの目的は、プロテアーゼに対して安定化されたポリペ
プチドの製造方法を提供することである。さらに本発明
の他の一つの目的は、プロテアーゼに対する安定性が向
上したポリペプチドを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリペプ
チドを、そのポリペプチドを作用させようとするホスト
のプロテアーゼ含有液中における安定性を試験した。当
該試験において、時間を追って分解生成してくる多数の
プロテアーゼ分解産物のうち、安定的に存在するポリペ
プチド断片に着目し、このアミノ酸配列がプロテアーゼ
による分解作用に対して抵抗性を有することを見出し
た。したがって、本発明の課題は、プロテアーゼ抵抗性
アミノ酸配列を利用することによって解決される。本発
明によれば、以下の発明が提供される。
【0006】(1)安定化されたポリペプチドの生産方
法であって、安定化されるポリペプチドのC末端側に、
少なくとも2個のアミノ酸を有するプロテアーゼ抵抗性
配列を備えるように操作する工程、を備える方法。 (2)前記プロテアーゼ抵抗性配列は、正電荷アミノ酸
と負電荷アミノ酸とがペプチド結合により相互に結合し
た配列を有している、(1)記載の方法。 (3)前記プロテアーゼ抵抗性配列は、Lys-Asp (K-
D)、Arg-Asp (R-D)、Lys-Glu (K-E)、Arg-Glu (R-E)、A
sp-Lys (D-K)、Asp-Arg (D-R)、Glu-Lys (E-K) 及びGlu
-Arg (E-R)からなる群から選択される1種あるいは2種
以上の配列を有する、(1)又は(2)に記載の方法。 (4)前記プロテアーゼ抵抗性配列は、Lys-Asp (K-D)
配列を有する、(1)記載の方法。 (5)ポリペプチドの安定性制御方法であって、制御さ
れるポリペプチドのC末端側に、少なくとも2個のアミ
ノ酸を有するプロテアーゼ感受性配列を備えるように操
作する工程、を備える、方法。 (6)前記プロテアーゼ感受性配列は、Leu-Val、Asn-L
eu、Arg-Asn、Leu-Arg、及びPhe-Leuからなる群から選
択される1種あるいは2種以上を有している、(5)記
載の方法。 (7)ポリペプチドであって、安定化されるポリペプチ
ドのC末端側に少なくとも2個のアミノ酸を有するプロ
テアーゼ抵抗性配列を備える、ポリペプチド。 (8)前記プロテアーゼ抵抗性配列は、正電荷アミノ酸
と負電荷アミノ酸とがペプチド結合により相互に結合し
た配列を有している、(7)記載のポリペプチド。 (9)前記プロテアーゼ抵抗性配列は、Lys-Asp (K-
D)、Arg-Asp (R-D)、Lys-Glu (K-E)、Arg-Glu (R-E)、A
sp-Lys (D-K)、Asp-Arg (D-R)、Glu-Lys (E-K) 及びGlu
-Arg (E-R)からなる群から選択される1種あるいは2種
以上の配列を有する、(7)又は(8)に記載のポリペ
プチド。 (10)前記プロテアーゼ抵抗性配列は、Lys-Asp (K-
D)、Arg-Asp (R-D)、Lys-Glu (K-E)、Arg-Glu (R-E)、
及びAsp-Lys (D-K)からなる群から選択される1種ある
いは2種以上の配列を有する、請求項7又は8に記載の
ポリペプチド。 (11)前記プロテアーゼ抵抗性配列は、Lys-Asp (K-
D)配列を有する、(7)叉(8)に記載のポリペプチ
ド。 (12)前記プロテアーゼ抵抗性配列は、そのN末端側
に疎水性アミノ酸を有している、(7)〜(11)のい
ずれかに記載のポリペプチド。 (13)前記プロテアーゼ抵抗性配列は、Lys-Asp (K-
D)、Arg-Asp (R-D)、Lys-Glu (K-E)、Arg-Glu (R-E)、
及びAsp-Lys (D-K)、Asp-Arg (D-R)、Glu-Lys (E-K) 及
びGlu-Arg (E-R)からなる群から選択される1種あるい
は2種以上の配列からなる少なくとも1つの離間した繰
り返しを有する、(7)〜(12)のいずれかに記載の
ポリペプチド。 (14)前記安定化されるポリペプチドは、αヘリック
ス構造を有する、(7)〜(13)のいずれかに記載の
ポリペプチド。 (15)前記安定化されるポリペプチドは、細胞殺傷性
ペプチド、その一部、及びその誘導体からなる群から選
択される1種あるいは2種以上を有する、(7)〜(1
4)のいずれかに記載のポリペプチド。 (16)前記安定化されるポリペプチドは、CAP1
8、マガイニン類、メリチン類、アラメチシン類、ポリ
ミキシン類、セクロビン類、タキブレシン類、デルマセ
プチン類、ボンビニン類、チオニン類、これらの一部、
及びこれらの誘導体からなる群から選択される1種ある
いは2種以上のポリペプチド配列を含むアミノ酸配列を
有する、(7)〜(15)のいずれかに記載のポリペプ
チド。 (17)前記安定化されるポリペプチドは、ウサギ由来
CAP18106-142、ウサギ由来CAP18106-137、ウ
サギ由来CAP18106-129、ヒト由来CAP18
104-140、及びヒト由来びCAP18104-135からなる群
から選択される1種あるいは2種以上のポリペプチド配
列を含むアミノ酸配列を有し、前記プロテアーゼ抵抗性
配列は、Lys-Asp (K-D)配列を有する、(7)〜(1
5)のいずれかに記載のポリペプチド。 (18)前記安定化されるポリペプチドは、ウサギ由来
CAP18の全部、その一部及びその変異体の1種ある
いは2種以上のポリペプチド配列を含むアミノ酸配列を
有する、(7)〜(15)のいずれかに記載のポリペプ
チド。 (19)前記安定化されるポリペプチドは、ウサギ由来
のCAP18106-129のポリペプチド配列を含むアミノ
酸配列を有する、(7)〜(15)のいずれかに記載の
ポリペプチド。 (20)ポリペプチドであって、プロテアーゼに対する
安定性が制御されるポリペプチドのC末端側に、少なく
とも2個のアミノ酸配列を有するプロテアーゼ感受性配
列を備える、ポリペプチド。 (21)前記プロテアーゼ感受性配列は、Leu-Val、Asn
-Leu、Arg-Asn、Leu-Arg、及びPhe-Leuからなる群から
選択される1種あるいは2種以上を有している、(2
0)に記載のポリペプチド。 (22)配列番号5に記載のアミノ酸配列あるいはこれ
と実質的同一なアミノ酸配列からなるポリペプチド。 (23)配列番号6に記載のアミノ酸配列あるいはこれ
と実質的に同一なアミノ酸配列からなるポリペプチド。 (24)配列番号8に記載のアミノ酸配列あるいはこれ
と実質的同一なアミノ酸配列からなるポリペプチド。 (25)配列番号9に記載のアミノ酸配列あるいはこれ
と実質的に同一なアミノ酸配列からなるポリペプチド。 (26)配列番号10に記載のアミノ酸配列あるいはこ
れと実質的同一なアミノ酸配列からなるポリペプチド。 (27)配列番号11に記載のアミノ酸配列あるいはこ
れと実質的に同一なアミノ酸配列からなるポリペプチ
ド。 (28)配列番号12に記載のアミノ酸配列あるいはこ
れと実質的同一なアミノ酸配列からなるポリペプチド。 (29)(7)〜(28)のいずれかに記載のポリペプ
チドをコードするDNA配列を含むDNA構築物。 (30)(29)に記載のDNA構築物を含むベクタ
ー。 (31)形質転換細胞であって、(29)に記載のDN
A構築物を、前記ポリペプチドを産生可能に保持する、
細胞。 (32)植物形質転換細胞であって、(29)に記載の
DNA構築物を、前記ポリペプチドを産生可能に保持す
る、細胞。 (33)(32)に記載の植物細胞を含む、植物体。 (34)(32)に記載の植物細胞を含む、植物繁殖媒
体。 (35)(29)に記載のDNA構築物が導入されて形
質転換された植物細胞を再生する工程、を有する、植物
体の生産方法。 (36)(33)に記載の植物体を栽培する工程、を有
する、植物体の生産方法。 (37)前記植物体はサツマイモである、(35)又は
(36)に記載の方法。 (38)(31)又は(32)に記載の形質転換体を培
養する工程、を有する、ポリペプチドの製造方法。 (39)プロテアーゼ抵抗性配列の選抜方法であって、
プロテアーゼに対する安定性を制御しようとするポリペ
プチドを、そのポリペプチドが曝される可能性のあるプ
ロテアーゼ含有系と接触させる工程と、当該系において
得られるポリペプチド断片のC末端側アミノ酸配列の経
時的変化をモニターする工程と、C末端側の分解が相対
的に遅いペプチド断片を選択する工程、とを有する、方
法。
【0007】本発明のポリペプチド安定化技術によれ
ば、プロテアーゼ抵抗性配列を、安定化しようとするポ
リペプチドのC末端側に備えるように当該ポリペプチド
のアミノ酸配列を操作する。この操作により、ポリペプ
チドにプロテアーゼに対する抵抗性が付与される。当該
プロテアーゼ抵抗性配列を備えるように操作されたポリ
ペプチドは、細胞間液における安定性、特に、植物細胞
間液における安定性が向上する。したがって、植部細胞
あるいは植物体などを含む有用細胞あるいは有用生物体
に、本発明によって安定化されたポリペプチドを供与す
ることにより、これらの生物においてポリペプチドが本
来有する機能を有効に発揮させることができる。
【0008】また、本発明のポリペプチド安定化技術の
もう一つの側面によれば、安定化されたポリペプチドを
コードするDNAを含むDNA構築物を遺伝子工学的操
作により細胞あるいは生物体において発現させることに
より、当該細胞あるいは生物体において、ポリペプチド
が本来的に有する機能を有効に発揮させることができ
る。
【0009】さらに、本発明のポリペプチド安定化技術
のもう一つの側面によれば、本発明の安定化技術により
安定化されたポリペプチドであって植物に病害生物抵抗
性を付与するポリペプチドをコードするDNAを含むD
NA構築物を、当該ポリペプチドを発現可能に保持する
植物体を栽培する工程により、植物病害抵抗性が付与さ
れたあるいは向上された植物体を生産することができ
る。この方法によれば、病害生物防除剤を植物体あるい
は植物体の生育環境に供給することなく、効率的にかつ
安全に植物体を生産することができる。
【0010】以下、本発明の実施の形態について詳細に
説明する。本発明は、ポリペプチドのカルボキシル末端
(C末端)を操作し、これによりポリペプチドの安定性
を制御するものである。特に、プロテアーゼに対して抵
抗性や非感受性を示すアミノ酸配列である抵抗性配列を
C末端側に備えるポリペプチドに関連している。
【0011】本発明において、「プロテアーゼ抵抗性ア
ミノ酸配列」とは、少なくとも2個のアミノ酸からなる
配列であって、カルボキシエキソプロテアーゼによるC
末端側からの分解に対して抵抗性を示す配列を意味す
る。また、プロテアーゼ抵抗性アミノ酸配列(以下、単
に、抵抗性配列ともいう。)は、特定のアミノ酸配列を
C末端に保有するポリペプチドと、C末端に当該配列を
保有しないこと以外は、前記ポリペプチドと同一の配列
を有するポリペプチドとを、同条件下のプロテアーゼ含
有液に曝した場合において、当該配列をC末端に有する
ポリペプチドの半減期が、当該抵抗性配列を有しないポ
リペプチドよりも延長化される場合の当該配列である。
また、抵抗性配列は、ある種のポリペプチドをプロテア
ーゼ含有液に曝した場合において、得られるポリペプチ
ド断片のC末端において長時間露出されうる、あるいは
経時的に後方において多く得られる断片のC末端に露出
される配列である。本発明においては、抵抗性配列によ
ってプロテアーゼのポリペプチドに対する作用がブロッ
クされるために、ポリペプチドがプロテアーゼ含有系に
おいてもプロテアーゼ活性に抗して存在されることにな
る。
【0012】一方、プロテアーゼに対して低い抵抗性
(感受性)を示すアミノ酸配列である感受性配列をC末
端側に備えるポリペプチドにも関連する。
【0013】抵抗性配列をC末端側に備えるポリペプチ
ドによれば、プロテアーゼによるペプチド鎖の分解に対
する安定性が向上される。このため、異種ポリペプチド
あるいはプロテアーゼに分解されやすいポリペプチドで
あっても、ホスト細胞や組織において、ホスト由来プロ
テアーゼあるいは病原体由来プロテアーゼ等に抗して、
安定して存在させ、その作用を発揮させることができ
る。また、ポリペプチドのC末端側は、各種化合物やあ
るいは膜に対する結合部位であることが多いため、C末
端側が適切に保護されることによりポリペプチドの有す
る生理活性は効果的に保護される。抵抗性配列をC末端
側に備えるポリペプチドは、特に、組換えDNA発現系
において、異種のポリペプチドをホスト細胞内で産生さ
せ、ホスト細胞内あるいはホスト細胞間組織を含むホス
ト組織において、そのポリペプチドの抗菌性等の機能を
作用させようとする場合において、有用である。この場
合には、ホスト細胞あるいはホスト組織において、ホス
トのプロテアーゼに対して抵抗性が高いため、安定して
異種ポリペプチドの目的とする機能を発現させることが
できる。また、組換え発現系において少量しか発現され
ないポリペプチドや、短いポリペプチドに対して本技術
による安定化操作を適用することも有用である。操作さ
れたポリペプチドは安定化され、その長さや量に関わら
ず有効に機能することができる。
【0014】本発明のポリペプチドおよびその取得につ
いて説明する。本ポリペプチドは、抵抗性配列および/
または感受性配列をC末端側に備えており、所望のポリ
ペプチドに対しそのような操作することにより、取得す
ることができる。本発明のポリペプチドは、C末端側に
抵抗性配列及び/又は感受性配列に有し、N末端側にプ
ロテアーゼに対する安定性が制御される少なくとも一つ
のポリペプチドのアミノ酸配列を有している。この明細
書において、「改変ポリペプチド」という語句は、これ
らの2つのアミノ酸配列に対応する長さを備える当該本
発明のポリペプチドとして使用され、また、「機能性ポ
リペプチド」あるいは「生理活性ポリペプチド」という
語句は、本発明のポリペプチドのN末端側に備えられる
ポリペプチドとしてとして使用される。生理活性ポリペ
プチドとしては、例えば、抗体、ホルモン、サイトカイ
ン、成長因子、阻害因子、酵素、抗菌剤などの各種の生
理学的活性を備えるペプチドを包含している。これらの
ポリペプチドは、治療用、診断用、医薬用、工業材料あ
るいは病害抵抗性剤を含む農業材料に適用されうる。特
に、生理活性ペプチドとしては、作用対象たる細胞の表
層にある膜(細胞壁を含む)の表面あるいは膜内におい
て、それ自体により、あるいは膜との相互作用により、
その細胞に対して何らかの作用を及ぼすか、あるいはそ
の細胞に何らかの機能を付与するペプチドを使用でき
る。また、細胞に及ぼす何らかの作用により、その細胞
に障害を与えるか、あるいは細胞の増殖能を阻害する等
により、最終的に標的細胞を殺傷しうるペプチド(細胞
殺傷性ペプチド)も使用できる。典型的には、いわゆる
抗菌性ペプチドと呼ばれるペプチドを使用できる。なか
でも、標的細胞の表層上で殺傷性を示すペプチドである
膜作動性抗菌ペプチドを好ましく使用できる。
【0015】このような膜作動性細胞殺傷性ペプチドと
しては、例えば、ヒトあるいはラット由来のCAP18
(Jamesら, Anti-microbial Activity of Human CAP18
Peptides, Immunotechnology 1 (1995),65-72)、Andro
pin、BLP-1、Bombinin, Bombolitin, Cecropin類、Cera
totoxin A、Clavanin、CRAMP、Dermaseptin 1、Enboc
inm, FALL-39, Lycotoxin I、Magainin I、Melittin ,M
isgrin、PGLa、Pleurocidin,Seminalplasmin、Styeli
n、Abaecin、Apidaecin IA、Bactenecin5、Dipterici
n、Drosocin、Enkelytin、Formaecinsin 1、Histatin
I、Indolicidin、Lebocin 1、Mectchnikowin、PR-39、
Prophenin、Pyrrhocoricin、Tenecin、Bovine dodecape
ptide、Brevinin-1、Brevinin-1E、Esculentin、Pipini
n、Ranalexin、Thanatin、11-kD polypeptide等(Andr
u and Rivas, Animal antimicrobial peptides, Bipoly
mers (Peptide Science)Vol.47,415-433(1998))、Thio
nin類、Defensin類、Lipid Transfer Protein類(Plant
Defense PeptidesGaracia-Olemedo et al., Bipolymer
s (Peptide Science)Vol.47,479-491(1998))、Bombina
GenusのAmphibia に由来する抗菌性ペプチド、Xenopus
Laevisに由来する抗菌性ペプチド、Rana GenusのAmphi
biaに由来する抗菌性ペプチド、PhyllonedusaGenusのAm
phibiaに由来する抗菌性ペプチド、Australian frogsに
由来する抗菌性ペプチド(Antimicrobial Peptides fro
m Amphibian Skin:What Do They TellUs?, simmaco et
al., Bipolymers (Peptide Science)Vol.47,435-450(19
98))、Cecropin類 、Magainin類、Dermaseptin類、Ala
methicin類、Pardaxin類(Orenら、Mode of Action of
Linear Amphipathic α-Helical Antimicrobial Peptid
es、Biopolymers (Peptide Science)Vol.47,451-463(19
98))、Insect Defensin類、Drosomycin、Tachyplesin
類、Thanatin類、Androctonin類、Lysozyme類、Androct
onin、Proteglin類、Penaeidin類、Tachycitin類、Myti
lin、Mytimycin(Dimarcqら、Cystein-Rich,Antimicroi
al Peptides in Invertebrates Biopolymers (Peptide
Science)Vol.47,465-477(1998))等を挙げることができ
る。なかでも、ヒト、あるいはラットやウサギなどのげ
っ歯類由来のCAP18、マガイニン類(Magainin
s)、メリチン類(Melittins)、アラメチシン類(Alam
ethicins)、ポリミキシン類(Polymixins)、セクロビ
ン類(Cecropins)、タキブレシン類(Tachyplesin
s)、デルマセプチン類(Dermaseptins)、ボンビニン
類(Bombinins)、チオニン類(Thionins)、あるいは
これらの殺傷活性ある部位、あるいはこれらの誘導体を
好ましく使用できる。
【0016】また、生理活性ペプチドとしては、作用対
象となる細胞表層の構成成分に結合性を有しているペプ
チドも使用できる。特に、好ましくは、細胞壁の構成成
分に結合性を有している。例えば、かかる構成成分とし
ては、脂質、タンパク質、糖類(多糖類を含む)、糖タ
ンパク、リポ多糖、糖脂質等を例示できる。また、成分
としては、多糖類、糖タンパク、糖脂質、リポ多糖等の
いずれであるかを問わず、その糖鎖を対象とすることが
好ましい。糖鎖としては、タイコ酸あるいはタイクロン
酸等の酸性多糖類、ペプチドグリカン、キチン、セルロ
ース、ヘミセルロース、リグニン、ペクチン、及びコレ
ステロールからなる群から選択される少なくとも1種で
ある。例えば、糸状菌等の真菌や昆虫や甲殻類の外皮を
標的細胞とする場合には、キチンをターゲットとして結
合する、キチン結合性ポリペプチドを使用することが好
ましい。キチンは、多くの種類の細胞表層に普遍的に存
在せず、これらの部位において特異的および/または多
量に存在するからである。また、グラム陽性細菌を標的
細胞とする場合には、ペプチドグリカン結合性ポリペプ
チドが好ましい。ペプチドグリカンは、グラム陽性細菌
の細胞壁に局在しているからである。
【0017】このような膜結合性ポリペプチドとして
は、各種レクチン、アグルチニン、酵素、抗菌性ペプチ
ド等を挙げることができる。例えば、キチンと結合性を
有しているものとしては、レクチン、ヘベイン、キチナ
ーゼ、Ac−AMP、ポテトWIN等を挙げることができ
る。具体的には、小麦胚アグルチニンイソレクチン類
(wheat germ agglutinin isolectins)、大麦レクチン
(Barley lectin)、米レクチン(rice lectin)、ウリ
チカ ディオイカ アグルチニン(Uritica Dioica agglu
tinin)、ポテトレクチン(potato lectin)、ポテト由
来トリプティック ペプチド(tryptic peptide from po
tato lectin)、ヘベイン(hevein)、ポテトキチナー
ゼ由来傷害誘導タンパク(wound-induced proteins fro
m potato chitinase、WIN1,WIN2)、ビーン塩基性キ
チナーゼ(bean basic chitinase)、タバコ塩基性キチ
ナーゼ(tobacco basic chitinase)、; lection、ポプ
ラ傷害誘導キチナーゼ(poplar wound-induced chitina
se)、アラビドプシス タリアナ 塩基性キチナーゼ(Ar
abidopusis thaliana basic chitinase)、ライス塩基
性キチナーゼ(rice basicchitinase)、ビーン酸性P
R−4(bean acidic pathogenesis-related 4 chitin
ase)、メイズ種子キチナーゼ(maize seed chitinas
e)、アマランサス カウダトウス(Amaranthus caudatu
s)抗菌ペプチド(Ac-AMP)(Leeら、Structureand Funct
ions of chitin-binding proteins、Annu.Rev.Plant.Ph
ysiol.Plant.Mol.Biol.1993.44:591-615)がある。ま
た、ペプチドグリカンと結合性を有しているものとし
て、ペプチドグリカン認識タンパク質(peptidoglycan
recognition protein;PGRP)(Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA Vol.95,issue17, 10078−10082、August 18, 199
8)がある。なお、公知の膜貫通タンパクやGPIアン
カー等も、当該構成成分結合性ポリペプチドとして使用
できる。
【0018】本ポリペプチドにおける生理活性ペプチド
は、αへリックス構造を採ることが好ましい態様であ
る。αヘリックス構造においてはそのC末端がプロテア
ーゼに対して抵抗性が低いためである。上記した各種生
理活性ペプチドには、αヘリックス構造を有しているも
のが多数含まれている。
【0019】なお、生理活性ペプチドは、天然から採取
したものか、あるいは遺伝子操作や化学合成を含む人工
的工程によって合成したものであるかは問わない。本ポ
リペプチドにおける、生理活性ペプチドとしては、上記
したペプチドの全長のみならず、部分的な長さのペプチ
ドであっても、そのもとのペプチドと同等の機能を発揮
する限り使用することができる。例えば、そのペプチド
の抗菌性等の機能を発揮する一部分のみを本発明におけ
る生理活性ペプチドとして使用できる。また、その誘導
体も同様に使用できる。例えば、上記したCAP18に
ついては、そのLPS結合ドメインである、ウサギ由来
のCAP18106-142、CAP18106-137、CAP18
106-129、ヒト由来のCAP18104-140、CAP18
104-135を使用できる。好ましくは、ウサギ由来のCA
P18106-129、ヒト由来のCAP18104-135を使用す
る。
【0020】また、生理活性ペプチドとしては、上記し
たペプチドあるいはその膜作用性のある部位と機能的に
同等な(実質的に同一な)ペプチドであってもよい。例
えば、対照となるペプチドのアミノ酸の1あるいは2以
上が他のアミノ酸により欠失、置換、付加および/また
は挿入等の変化が生じたペプチドであって、対照のペプ
チドと同一の生理活性を示すペプチドを利用することも
できる。
【0021】また、少なくとも1個の生理活性ペプチド
を有しているが、1種類の生理活性ペプチドを複数個備
えていてもよく、また、異なる種類の生理活性ペプチド
を備えていてもよい。2個以上の生理活性ペプチド(活
性部位)を改変ポリペプチド中に備える場合には、それ
ぞれのペプチドが分離可能にペプチド間に開裂部位を備
えるようにすることもできる。また、それらのペプチド
が連結状態で作用することが好ましい場合には、それら
のペプチドの機能発揮に特定の2次構造や3次構造が保
持されるようなアミノ酸配列部位をペプチド間に備える
ようにすることができる。
【0022】次に、抵抗性配列および感受性配列につい
て説明する。本発明における抵抗性配列は、2個あるい
は3個以上のアミノ酸からなるペプチド鎖である。本発
明者らの研究によれば、抵抗性配列は、2個のアミノ酸
からなる最小単位を有する。最小単位は、抵抗性配列の
最もC末端側に位置される配列である。アミノ酸を、そ
の側鎖R基により分類すると、疎水性アミノ酸、極性か
つ無電荷のアミノ酸(以下、極性アミノ酸)、生理的p
Hで正電荷を有する極性アミノ酸(以下、正電荷アミノ
酸)、生理的pHで負電荷を有するアミノ酸(以下、負
電荷アミノ酸)の4種類に分類することができる。かか
る分類に基づけば、当該最小単位は、一つの正電荷アミ
ノ酸と一つの負電荷アミノ酸とが互いにペプチド結合に
より結合した構造を備えている。これら2種のアミノ酸
の配列は、一の順序に限定されないで、2種類の順序で
の配列を採ることができる。すなわち、これらの2つの
アミノ酸は、N末端側からC末端側の方向において(本
明細書において、全てこの方向性に従って記載す
る。)、正電荷アミノ酸−負電荷アミノ酸という配列
(第1の配列)と負電荷アミノ酸−正電荷アミノ酸(第
2の配列)を有することができる。例えば、第1の配列
の最小単位は、Lys-Asp (K-D)の他、Arg-Asp (R-D)、Ly
s-Glu (K-E)及びArg-Glu (R-E)とすることができる。ま
た、第2の配列の最少単位は、Asp-Lys (D-K)の他、Asp
-Arg (D-R)、Glu-Lys (E-K) 及びGlu-Arg (E-R) とする
ことができる。
【0023】抵抗性配列は、かかる最小単位に対してさ
らにそのN末端側に1あるいは2以上のアミノ酸を有す
ることができる。例えば、N末端側に、さらに1個の疎
水性アミノ酸を有する3個のアミノ酸配列(疎水性アミ
ノ酸−正電荷アミノ酸−負電荷アミノ酸)とすることが
できる。かかる疎水性アミノ酸としては、例えば、バリ
ン(Val)、イソロイシン(Ile)を挙げることができ
る。好ましくは、イソロイシンである。なお既に示した
ように、例示された3個のアミノ酸の配列における、前
記正電荷アミノ酸と前記負電荷アミノ酸との順序は、第
2の配列に従う順序に変えることができる。また、最小
単位のN末端側に2個の疎水性アミノ酸配列を有するこ
ともできる。例えば、Lys(リシン)−Ile(イソロイシ
ン)、ロイシン(Leu)−バリン(Val)を前記最小単位
に付加することができる。
【0024】抵抗性配列は、前記最小単位をタンデムで
含有することもできる。最小単位は、直接連結されるよ
りも、適数個のアミノ酸を介して連結されていることが
好ましい。すなわち、最少単位を所定間隔をおいたリピ
ートとして備えられていることが好ましい。介在される
アミノ酸は、好ましくは1個あるいは2個以上の疎水性
アミノ酸である。この場合の疎水性アミノ酸としては、
ロイシンおよび/またはバリンである。最も好ましく
は、Leu-Valを介在配列とする。かかる介在配列と前記
最小単位の組み合わせによれば、複数の最少単位を含む
抵抗性配列が存在していても、制御しようとするポリペ
プチドあるいはポリペプチド全体のαヘリックス構造の
崩壊が抑制される。
【0025】抵抗性配列は、生理活性ポリペプチドのC
末端側に備えられている。抵抗性配列は、改変ポリペプ
チド中に含まれる生理活性ペプチド領域に隣接するC末
端側に備えられていることが好ましい。この態様によれ
ば、活性領域が確実にプロテアーゼ作用からブロックさ
れる。抵抗性配列は、活性領域に直接連結された状態で
備えられていてもよいし、また、適数個のアミノ酸を介
して備えられていてもよい。さらに、活性領域の重大な
活性低下を引き起こさない程度に当該領域のC末端側に
一部含まれる形で備えられていてもよい。いずれの場合
においても、活性化領域に必要とされる1次構造、およ
び2次以上の高次構造性を低下させないように抵抗性配
列が備えられていることが好ましい。例えば、抵抗性配
列としてLys-Asp(K-D)、 Arg-Asp (R-D)、Lys-Glu (K
-E)、Arg-Glu (R-E)、Asp-Lys (D-K)、Asp-Arg (D-R)、
Glu-Lys(E-K) 及びGlu-Arg (E-R)の存在は、αヘリック
ス構造の維持に好ましい。また、Lys-Asp- Leu-Val-Lys
-Aspの存在も、αヘリックス構造の維持に好ましい。
【0026】以上のことから、抵抗性配列は、以下の構
成を備えることができる。すなわち、抵抗性配列は、Ly
s-Asp(K-D)、 Arg-Asp (R-D)、Lys-Glu (K-E)、Arg-G
lu (R-E)、Asp-Lys (D-K)、Asp-Arg (D-R)、Glu-Lys (E
-K) 及びGlu-Arg (E-R)からなる群から選択される1あ
るいは2種類以上の配列を有することができる。また、
好ましくは、この抵抗性配列は、上記群から選択される
1種類の配列を有し、さらに好ましくは、上記群から選
択される1種類の配列のみを有している。なお、本発明
によれば、生体内安定性に寄与する上記抵抗性性配列を
含むペプチドフラグメントも提供される。好ましくは、
上記した各種抵抗性配列のみからなるペプチドフラグメ
ント(ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、ペ
ンタペプチド、ヘキサペプチド)が提供される。このよ
うなペプチドフラグメントは、対象とするポリペプチド
のC末端側に備えられることにより、生体内安定性、特
にプロテアーゼ(典型的にはエンドプロテアーゼ)に対
する安定性が向上あるいは付与される。また、対象とす
るポリペプチドのα−ヘリックス構造を安定化しあるい
は維持することができる。
【0027】なお、上記した抵抗性配列に対して、プロ
テアーゼ高感受性である配列は、疎水性アミノ酸−疎水
性アミノ酸の配列、極性アミノ酸−疎水性アミノ酸、正
電荷アミノ酸−極性アミノ酸、疎水性アミノ酸−正電荷
アミノ酸という配列を最小単位として含む。感受性配列
の最小単位は、例えば、Leu-Val、Asn-Leu、Arg-Asn、L
eu-Arg、Phe-Leuとすることができる。これらは、例え
ば、上記した抵抗性配列の最小単位であるlys-Aspより
もプロテアーゼに対する感受性が高い。かかる感受性配
列をポリペプチドのC末端側に備えることにより、ポリ
ペプチドの安定性を相対的に低下させることができる。
【0028】その機能性ポリペプチドのプロテアーゼに
対する抵抗性あるいは感受性を制御する観点からは、抵
抗性配列(典型的には、前記最少単位)あるいは感受性
配列は、胃脳性ポリペプチドのC末端に備えられてお
り、結果として得られる改変ポリペプチドのC末端に露
出されて備えられていることが好ましい。本改変ポリペ
プチドおいては、かならずしも抵抗性配列や感受性配列
がC末端に露出されていることを要しない。本改変ポリ
ペプチド中、抵抗性配列及び/又は感受性配列は、その
C末端側に、適数個のアミノ酸配列を有していてもよ
い。例えば、かかるC末端側配列は、抵抗性配列や感受
性配列をマスクするようなマスキング配列として機能す
ることができる。マスキング配列は、プロテアーゼに対
する適度な抵抗性あるいは感受性を有するようなアミノ
酸配列を有することができいる。このようなマスキング
配列によれば、プロテアーゼが抵抗性配列を攻撃するま
での時間を遅延しあるいは低減し、又は、ポリペプチド
中の機能性ポリペプチドの活性発現時期を調節するよう
にしてもよい。かかる配列としては、例えば、FLRN
LV、PRTES等を挙げることができる(いずれも1
文字コードである)。
【0029】抵抗性配列あるいは感受性配列のC末端側
にエンドプロテアーゼ感受性のアミノ酸配列を含むマス
キング配列を備えるようにすることにより、当該エンド
プロテアーゼが前記感受性部位を攻撃後に、そのポリペ
プチドにおいて抵抗性配列や感受性配列がその期待され
る作用を発揮するようにすることもできる。
【0030】なお、抵抗性配列のN末端側に、エンドプ
ロテアーゼ感受性のアミノ酸配列を備える改変ポリペプ
チドによれば、当該エンドプロテアーゼ作用前には、抵
抗性配列によりポリペプチドが安定化される。また、エ
ンドプロテアーゼ作用後には、ポリペプチドの活性ある
C末端領域を露出させるようにすることもできる。これ
によれば、ポリペプチド中のC末端活性領域を保護し、
かつその活性発現時期を調節することができる。
【0031】次に、かかる抵抗性配列あるいは感受性配
列の選抜について説明する。これらの配列は、プロテア
ーゼに対する安定性を制御しようとするポリペプチドあ
るいはその誘導体を、好ましくはそのポリペプチドが曝
される環境において存在するであろうプロテアーゼと接
触させて、当該系において得られるポリペプチド断片の
C末端アミノ酸配列を把握すること、具体的には、プロ
テアーゼによるポリペプチドの分解によって生成するペ
プチド断片組成の経時的変化をモニターし、そのC末端
アミノ酸配列を分析することによって得られる。すなわ
ち、ポリペプチドをプロテアーゼに接触させた時点から
時間を追って、各種時点におけるペプチド断片組成を
得、そのC末端側の分解が相対的に遅いペプチド断片に
着目して、そのようなペプチド断片を選択することによ
り、抵抗性配列に関する情報を得ることができる。ある
いは、C末端側の分解が相対的に早いペプチド断片のC
末端に着目して、そのようなペプチド断片を選択するこ
とにより、感受性配列に関する情報を得ることができ
る。さらに、経時的変化モニタリングにおいて一旦選択
されたC末端側の分解が相対的に早い又は遅いペプチド
断片を、プロテアーゼに曝して、そのC末端側の分解半
減期を比較することにより、より正確に抵抗性及び感受
性を評価することができる。この方法によれば、好まし
いペプチド断片やそのC末端配列が同定され、抵抗性配
列や感受性配列に関する情報をより正確にかつ明瞭なも
のとして得ることができる。あるいは、所望のポリペプ
チドのC末端側を1個あるいは2個ずつトランケートし
て、これらのトランケートされた各種ポリペプチドをプ
ロテアーゼに曝して、その分解半減期を比較し、そのC
末端側配列を同定することによっても、抵抗性配列及び
感受性配列を得ることができる。プロテアーゼを含む系
は、評価しようとするポリペプチドの種類、あるいはそ
のポリペプチドを発現および/または作用させようとす
る環境によって異なるが、例えば、抗菌性ペプチドを植
物細胞や組織等において発現および/または作用させよ
うとする場合には、植物細胞内プロテアーゼ、細胞間液
プロテアーゼ、病原体由来プロテアーゼ等の各種プロテ
アーゼ公知の方法によって抽出して、それぞれ使用する
ことができる。
【0032】本発明における抵抗性配列あるいは感受性
配列の選抜方法は、これらの配列が、安定性を制御しよ
うとする天然由来あるいは合成された1種類のポリペプ
チドを、予期されるプロテアーゼ環境下にさらしたとき
の経時変化に基づいて見出される点において、従来のア
プローチと全く相違している。従来のアプローチでは、
プロテアーゼ認識部位を検出し、当該認識部位とその隣
接部位のアミノ酸配列を改変した多様なペプチドを調製
し、これらのペプチドの安定性を評価することによって
安定性を制御する手法を確立しようとしていた。したが
って、本発明の方法は、抵抗性配列あるいは感受性配列
(特に抵抗性配列)の同定と評価の効率性の点、及び選
択された配列が、確実にその抵抗性ないし感受性を十分
に発揮する点において有用な技術を提供するものであ
る。
【0033】本発明によって得られる抵抗性配列及び感
受性配列は、ポリペプチドに対して特異的であるととも
に、C末端側に備えられることで作用を発揮する。した
がって、他のポリペプチドのC末端に備えた場合におい
ても有効に作用することが予期される。したがって、こ
れらの配列及び方法によれば、簡易かつ迅速に、所望の
ポリペプチドの安定性を制御できるようになるととも
に、適用範囲の広い安定性制御が可能となる。
【0034】次に、本ポリペプチドの取得方法について
説明する。本ポリペプチドは、所望の生理活性ペプチド
のC末端側に抵抗性配列および/または感受性配列を備
えるように操作されることにより得られる。操作手法は
問わないで使用できる。例えば、抵抗性配列等を、生理
活性ペプチドのC末端側に付加(延長)することによ
り、本ポリペプチドを得ることができる。生理活性ペプ
チドのC末端側のアミノ酸配列において、挿入、置換、
付加、および/または欠失等により改変して抵抗性配列
等を当該C末端側に発現させるようにすることもでき
る。また、生理活性ペプチドのC末端側に本来的に抵抗
性配列等を備えている場合には、C末端側からトランケ
ートして、抵抗性配列等をC末端に露出させることもで
きる。なお、これらのいずれにおいても、生理活性ペプ
チドに含まれる活性部位の生理活性が実質的に低下しな
いように、抵抗性配列が備えられるようにする。このた
めには、例えば、生理活性ペプチドの2次構造や3次構
造を維持できるようにアミノ酸の置換、挿入、付加、お
よび/または欠失の操作を行なうことができる。
【0035】このように構成される操作されたポリペプ
チドは、化学合成によっても取得可能であるが、好まし
くは、遺伝子操作によって得られるタンパク質産生細胞
を培養することにより取得する。この場合、被保護体
(機能性ポリペプチド)を培養細胞から分離精製後に、
化学合成的に抵抗性配列等を付加することもできるが、
機能性ポリペプチドの全長をコードするDNAを、この
ポリペプチドを発現可能に保有するベクターを、適当な
細胞に導入し、形質転換して、培養することにより、産
生させることが好ましい。
【0036】本ポリペプチドをコードするDNA構築物
としては、上記した生理活性ペプチドと抵抗性配列およ
び/または感受性配列をコードする配列を含み、また必
要に応じてこれらの連結部のアミノ酸およびその他のア
ミノ酸をコードする配列を含む。なお、既に述べたよう
に、生理活性ペプチドをコードするDNAには、天然由
来の塩基配列に対して人為的に挿入、欠失、置換等が行
われた塩基配列を有するDNAも含まれる。
【0037】さらに、この構築物には、ポリペプチドに
対応するDNA配列に加えて、ホスト細胞の種類に応じ
た分泌シグナル遺伝子を備えていてもよい。分泌シグナ
ル遺伝子を備えていることにより、細胞外へ移送されや
すく、細胞表面上にタンパク質を局在化、あるいは細胞
外へタンパク質を分泌させることが容易となる。
【0038】DNA構築物には、ポリペプチドのDNA
を発現させるためのDNA配列を同時に備えることもで
きる。具体的には、ポリペプチドをコードする配列の上
流に配置されるプロモーター配列、コード配列の下流に
配置されるターミネション配列、ポリアデニレーション
シグナルである。プロモーター配列としては、特に限定
しないで、ホスト細胞で当該コード配列を発現可能なも
のを使用すればよいが、必要に応じて各種プロモーター
配列を使用しうる。さらに、エンハンサーも含めること
もできる。さらに、当該DNA配列を保有する細胞を選
択するためのマーカー遺伝子も同時に導入されることが
好ましい。選択マーカー遺伝子配列はこのDNA構築物
に直接連結してもよいし、同時トランスフェクションに
よって導入してもよい。
【0039】このようなDNA構築物は、用いようとす
るホスト細胞に適した各種ベクターに組み込まれて保持
されていてもよい。かかるベクターは、DNA構築物の
好ましい形態であり、本ポリペプチドのための発現ベク
ターを構成する。ベクターは、ホスト細胞や遺伝子導入
法の種類に応じて適切なものが選択される。一般的に
は、各種プラスミドベクター、ウイルス性ベクター、Y
AC、BAC、PAC、MAC等を使用できる。好まし
い原核細胞性ベクター、真核細胞性ベクター、動物細胞
性ベクター、植物細胞性ベクターは当該分野において周
知である。
【0040】一旦、DNA構築物あるいはベクターが構
築されたら、適当なホスト細胞に、トランスフォーメー
ションや、トランスフェクション、接合、プロトプラス
ト融合、エレクトロポレーション、パーティクルガン、
リン酸カルシウム沈殿法、アグロバクテリウム法、直接
マイクロインジェクション法等の各種の適切な手段のい
ずれかにより、これを導入することができる。ポリヌク
レオチドあるいはベクター等の導入後、その受容細胞
は、選択培地で培養される。なお、形質転換細胞を得る
ためのホスト細胞としては、特に限定しないで全ての種
類、形態の細胞を包含し、細菌等の各種原核細胞、及び
真菌、酵母、動植物細胞等の真核細胞の他、動植物個
体、その動植物個体を構成しうる真核細胞、およびその
一部である組織や器官を含む。また、ウイルス粒子も包
含する。また植物個体の一部であるその繁殖媒体(種
子、根茎、果実、切穂等)も包含する。
【0041】DNA構築物を保持する細胞を適当な方法
で選択することにより、ポリペプチドを産生する形質転
換細胞を得ることができる。形質転換細胞における導入
遺伝子は、染色体内あるいは染色体外で保持されていて
もよく、また、形質の発現は、一時的であっても安定的
であってもよい。形質転換細胞を、適切な培養条件下で
培養し、増殖させることにより、形質転換細胞は、細胞
内、細胞表面、あるいは細胞外にポリペプチドを産出す
る。適当な方法でこのポリペプチドを回収、精製するこ
とができる。
【0042】さらに、本発明のポリペプチドを発現する
ように形質転換された植物細胞、組織、器官、個体、繁
殖媒体も有用である。本発明のポリペプチドは、これら
の細胞や組織において、産生され、そして、そのポリペ
プチド本来の機能を有効に発現する。特に、改変された
ポリペプチドが、病害抵抗性のポリペプチドをN末端ア
ミノ酸配列として有しているときには、その改変された
ポリペプチドは、植物細胞や組織内で病原生物あるいは
当該生物由来の成分に対して抵抗性を発揮することがで
きる。ポリペプチドは、特に、植物細胞内、細胞間液、
あるいは病原体由来のプロテアーゼで分解されやすいこ
とが重大な問題となっているが、前記抵抗性アミノ酸配
列を備えるポリペプチドであれば、プロテアーゼに対し
て抵抗性を有するため、病原体感染初期において十分に
抗菌性を発揮して、その後の連鎖的障害を効果的に防止
できる。
【0043】特に、植物の形質転換細胞を得るために、
本ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチ
ドあるいはベクターが導入される細胞としては、植物体
に再生可能なあるいはそうでない、あらゆる種類の形態
の植物細胞を含む。植物体に再生可能な細胞としては、
例えば、培養細胞、プロトプラスト、苗条原基、多芽
体、毛状根、カルス等であるが、これらに限定されな
い。また、形質転換される植物種としては、特に、限定
しないが、栽培作物であることが好ましく、農作物であ
ることがより好ましい。例えば、イネ、オオムギ、コム
ギ、ライムギ、トウモロコシ、サトウキビなどの穀類、
じゃがいも、さつまいもなどの根茎又は塊根を形成する
作物、ダイズ、インゲンマメ、ソラマメ、エンドウなど
のマメ科植物、ピーナッツ、ごま、ナタネ、綿実、ヒマ
ワリ、サフラワーなどの種子作物、リンゴ、メロン、ブ
ドウなどの果実を有する作物、トマト、ナスなどの作物
であることが好ましい。花卉などの園芸植物に適用する
ことができる。
【0044】そして、かかる植物形質転換細胞に対して
再生過程を実施することにより、植物体に変換すること
ができる。再生の方法は、植物の種類によって異なる
が、各種公知の方法を使用できる。
【0045】さらに、このような形質転換植物が、食用
される農作物である場合には、それ自体、ヒトを含む脊
椎動物に投与可能な食品あるいは栄養食品を構成する。
【0046】本発明によれば、本発明のポリペプチド
を、植物病害生物の存在する環境中へ導入する、植物病
害生物の防除方法が提供される。植物病害生物の存在す
る環境とは、植物病害生物によって植物に病害が生じる
可能性あるあるいは病害が生じている環境を意味してい
る。したがって、本発明のポリペプチドの使用は、予防
的にもあるいは駆除的にも実施される。具体的には、当
該環境は、イネやサツマイモなどの上記した栽培作物の
栽培区域、園芸植物の栽培区域、家庭菜園、山林等に導
入することができる。
【0047】本発明のポリペプチドを環境中へ導入する
とは、本ポリペプチドを、そのまま栽培区域の土壌や植
物等に散布、噴霧、塗布等により投与する方法の他、形
質転換細胞を散布しあるいは増殖させることにより投与
する方法、さらには、栽培対象である植物を本ポリペプ
チドを発現するように形質転換し、栽培することにより
投与する方法などを挙げることができる。また、収穫し
た作物に対してポストハーベスト的に投与することもで
きる。したがって、本発明によれば、本発明のポリペプ
チドを栽培植物の栽培環境にこれらの各種形態により導
入して、栽培植物を生産する方法も提供される。
【0048】なお、本発明を適用する抗菌性ペプチド
は、大腸菌等の細菌、糸状菌等の真菌に対して抗菌性を
有していることが好ましい。特に、病原性の微生物に対
して抗菌性を有していることが好ましい。例えば、サツ
マイモ黒班病菌(Ceratocystisfimbriata)に対する抗
菌活性あるいは抵抗性を有していることが好ましい。
【0049】また、抗菌性等の病害抵抗性を有するポリ
ペプチドにおいては、プロテアーゼに対する安定性が高
いとともに、その抗菌活性などの活性が維持されている
ことが重要である。上記した抵抗性配列の最小単位,す
なわち、Lys-Asp (K-D), Arg-Asp (R-D), Lys-Glu (K-
E), Arg-Glu (R-E), Asp-Lys (D-K), Asp-Arg (D-R), G
lu-Lys (E-K) and Glu-Arg (E-R)は、各種のポリペプチ
ド、例えば、各種CAP18あるいはそのC末端側のL
PS結合ドメインおよび抗菌性ドメイン(ウサギ由来の
CAP18106-142、CAP18106-137、ヒト由来のC
AP18104-140、CAP18104-135等)およびこれら
の誘導体の活性を大きく低下させることなくあるいは維
持して、これらを安定化することができる。さらに、抵
抗性配列lys-Asp- leu-Val- lys-Asp によれば、CAP
18あるいはその上記ドメインの活性を実質的に維持し
て当該ドメインを安定化することができる。同時に、こ
れらの抵抗性配列は、これらの活性ドメインのαヘリッ
クス構造を容易に維持することができる。なお、これら
の抵抗性配列は、前記活性ドメインのαヘリックス構造
を維持できるようにそれらのC末端側にできるだけ近接
して、好ましくは直結状に付加されているか、あるいは
C末端の一部が改変されて当該抵抗性配列を備えられ
る。特に、ヒト由来CAP18、CAP18104-140
CAP18104-135、あるいはこれらの誘導体を生理活
性ペプチドとして、このC末端側にlys-Aspあるいはlys
-Asp- leu-Val- lys-Aspを備える(好ましくは露出させ
る)ポリペプチドにより、有用な抗菌性ペプチドが提供
される。なかでも、CAP18104-135あるいはその誘
導体を生理活性ペプチドとするポリペプチドであること
が最も好ましい。lys-Aspはこれらの活性ドメインに直
接付加して備えられていることが好ましく、lys-Asp- l
eu-Val- lys-Aspは、活性ドメインの第132番以降に
替えて付加されていることが好ましい。これらの抗菌性
ペプチドは、特に、サツマイモ黒班病菌(Ceratocystis
fimbriata)および/または大腸菌に有効であり、これ
らを対象とする抗菌剤として使用できる。
【0050】なお,取得したポリペプチドは、2次的な
加工を施して、より有効性を高めることもできる。例え
ば、形質転換細胞から取得後に、活性のある2次構造や
3次構造をとれるように、改変を施すこともできる。ま
た、電荷の制御も可能である。また、他のペプチドを結
合することもできる。
【0051】
【実施例】以下に、本発明を実施例によりさらに詳細に
説明するが、本発明は、以下の実施例に制限されるもの
ではない。
【0052】(実施例1)ヒトCAP18(L104〜V13
5)(以下、単にCAP32という。)の合成 ヒト由来のCAP18(L104--V135)である配列番号1
に記載のアミノ酸配列からなるペプチド(CAP32)
を、サワデーテクノロジー社に委託合成を依頼した。得
られたペプチドは、90%以上の純度を有していた。
【0053】(実施例2)サツマイモ葉からの細胞間液
の抽出 サツマイモ(高系14号)の成葉を約5mm角にメスで
切断し、洗浄液(10mM、KH2PO4、pH6.0)で洗
浄した。洗浄した葉の切片を、抽出液(50mMMgCl2
に浸し、真空ポンプを用いて10分間減圧処理した。減
圧処理後の葉を遠心管に装着した5mlシリンジに入
れ、4500gで10分間遠心した。シリンジ外に抽出
された液をサツマイモ細胞間液(ICF)とした。
【0054】(実施例3)CAP32のサツマイモICFによる
分解試験 実施例1に示したCAP32を用いた。300μlの12.5%サツ
マイモICF中に45μgの抗菌タンパク質を加え、26.5℃で
2.5時間反応させた。その結果CAP32は残存率10%以下と
なった。
【0055】(実施例4)逆相クロマトグラフィーによ
る分解産物の分離 実施例3と同様にして、45μg のCAP32を12.5%サツマイ
モICF300μlと26.5℃、2.5時間反応後、下記の条件の逆
相クロマトグラフィーで分離を行った。その結果3種類
のCAP32分解産物の精製品、P1、P2、P3を得た。クロマ
トグラムを図1に示す。逆相クロマトグラフィーの条件
としては、カラムはSource 15RPC ST 4.6/100(Amasharm
pharmacia biotech社製)を用いた。開始バッファーに
は溶液A(5%アセトニトリル、0.1%TFA)を用いて溶液
A100%から溶液B(70%アセトニトリル、0.1%TFA)100%へ
のグラジエントをかけることにより、各分解物を溶出し
た。検出は、UV214nmであった。
【0056】(実施例5)分解産物のN末端アミノ酸配
列の同定 逆相クロマトグラフィーで精製した分解産物P1、P2、P3
をそれぞれ凍結乾燥後、アセトニトリルに溶解した。そ
の後プロテインシークエンサー(Applied Biosystemsh
社製ABI373A)を用いて常法によりN末端アミノ酸配列を
決定した。
【0057】(実施例6)分解産物の質量分析と分解産
物の同定 逆相クロマトグラフィーで精製した分解産物P1、P2、P3
をそれぞれ凍結乾燥後、サワデーテクノロジー社に依頼
して質量分析(使用機器:MALDI-TOF/MS (Matrix Assis
ted Laser Desorption Ionization))を行った。N末端
アミノ酸配列の結果とあわせて、分解産物P1、P2、P3の
全アミノ酸配列を決定した(表1)。その結果P1はCAP
(L104~D129) (以下CAP26と略す)、P2はCAP(L104~R1
32)(以下CAP29と略す)、P3はCAP(L104~N133)(以
下CAP30と略す)であった。
【表1】
【0058】(実施例7)CAP32とその分解産物CAP30
(配列番号2)、CAP29(配列番号3)、CAP26(配列番
号4)の蓄積量の経時変化 100μlの12.5%サツマイモICF中に15μgのCAP32を加
え、26.5℃で0~16時間反応させた。逆相クロマトグラム
上に生じたCAP32、CAP30、CAP29、CAP26のピークの面積
値を計算し定量を行い、CAP32、CAP30、CAP29、CAP26の
蓄積量の経時変化を調べた。その結果、分解の初期段階
ではCAP30が検出され1.5時間で蓄積量がピークに達し
た。次にCAP29の蓄積量が上昇し、2時間後にはピークと
なり、最後にCAP26の蓄積量が上昇した。かかる0〜
4.5時間までの経時変化を図2に示す。さらに反応後
16時間までの長期反応時ではCAP26の蓄積量は8時間後
においてピークに達した。このときCAP32、CAP30、CAP2
9は検出されなかった。0〜16時間までの経時変化を
図3に示す。これらの結果により、CAP32はそのC末端か
ら順次分解されることが示唆された。また、CAP26の高
安定性が示され、CAP26のC末端に存在するKD配列がサツ
マイモ細胞間液中での安定化配列として機能しているこ
とが示唆された。
【0059】(実施例8)CAP32KDとCAP32KDKDの合成 配列番号5に示すアミノ酸配列からなるペプチドである
CAP32KDと、配列番号6に示すアミノ酸配列からなるペ
プチドであるCAP32KDKDを前記サワデーテクノロジー社
に合成委託した。得られた各ペプチドは、それぞれ90
%以上の純度であった。
【0060】(実施例9)CAP32、CAP32KD、CAP32KDKD
及びCAP26の安定性の評価 100μlの12.5%サツマイモICF中にそれぞれ15μgのCAP3
2、CAP32KD、CAP32KDKD及びCAP26をそれぞれ加え、26.5
℃で0~16時間反応させ、各試料について所定の経過時間
後の反応液を採取し、実施例4と同条件下における逆相
クロマトグラフィーを実施し、クロマトグラム上に生じ
たCAP32、CAP32KD、CAP32KDKD及びCAP26のピークの面積
値を得た。さらに、サツマイモICFと接触させていない
状態)の試料を逆相クロマトグラフィーに供したときの
ピーク面積値を100%とし、サツマイモ細胞間液中で所
定時間反応後の各反応液における各種ペプチドの残存量
を定量化した。その結果、50%分解時間が、CAP32が6分
以下なのに対して、CAP32KDは5~8時間、CAP32KDKDは8時
間となり、それぞれ50倍から80倍安定化された。また、
C末端にKD配列を持つCAP26も8時間であった。結果を図
4に示す。
【0061】(実施例10)CAP32、CAP32KD、CAP32KDK
D及びCAP26の抗菌性の評価 (糸状菌)96穴マイクロプレートの各ウエルに、各濃度
に希釈した各種ペプチドCAP32、CAP32KD、CAP32KDKD、C
AP26の各溶液30μl、pH6.0の200mM MES緩衝液(2-(N-mo
rpholino)ethanesulfonic acid)10μl、サツマイモ黒
班病菌(Ceratocystis fimbriata IF0 30501)の分生胞
子懸濁液(1×105 spores/ml in 80% Potato Dextrose
Broth)60μlを加え、26℃で培養した。マイクロプレー
トリーダー(Bio-Rad製)を用いて、48時間後のOD415を
測定し、MIC(最小阻害濃度)を求めた。 (細菌)大腸菌(IFO 3301)をブイヨン培地(日水製薬
製)に接種し、OD660の値が0.3になるまで37℃で培養
後、前記ブイヨン培地でO660が0.01になるように希釈し
た。この菌液5μl、ブイヨン培地500μl、所定濃度に
希釈した上記各種ペプチド溶液10μlを試験管に添加
後、37℃で16時間培養した。培養後、OD660を測定し、
最少殺菌濃度を求めた。結果を表2に示す。
【0062】
【表2】 表2に示すように、糸状菌に対するMICはいずれも30-10
0μg/mlとなり同程度であった。またCAP32の分解産物
であるCAP26の糸状菌に対するMICも30-100μg/mlとな
り、抗菌活性を維持していた。一方で、細菌に対する抗
菌活性は、CAP32KDは若干抗菌活性の低下が見られた。C
AP32KDKDは抗菌活性を維持していた。CAP26は細菌に対
する抗菌活性が大きく低下した。以上のことから、CAP3
2KD及びCAP32KDKDは、いずれも糸状菌に対する抗菌活性
をCAP32と同等に維持し、糸状菌に対してはCAP32と同等
に有効でありながら、プロテアーゼに対する安定性が向
上していることが明らかであった。また、特に、CAP32K
DKDにおいては、細菌に対する抗菌活性がCAP32と同等に
維持されており、CAP32に比較してより一層有用である
ことがわかった。
【0063】実施例11:rCAP24とその変異体の
作製 rCAP24は、ウサギ由来のCAP18のポリペプチ
ドの断片である。このポリペプチドのアミノ酸配列を配
列番号7に示す。rCAP24とその変異体(rCAP
24−KD,rCAP24−DK,rCAP24−K
E,rCAP24−RD,rCAP24−RE)を化学
合成した(島津総合科学研究所)。これらのrCAP2
4の変異体の各アミノ酸配列を、それぞれ配列番号8〜
12に示す。得られたペプチドは、90%以上の純度を
有していた。
【0064】実施例12:rCAP24およびrCAP
24変異体の安定性評価 100μlの12.5%サツマイモICF中に15μg
のrCAP24またはrCAP24変異体を加え、2
6.5℃で0〜16時間反応させた。逆相クロマトグラ
ム上に生じたピークの面積値を計算した。RCAP24
またはrCAP24変異体を15μg逆相クロマトグラ
フィーに供した時のピーク面積値を100%とし、サツ
マイモ細胞間液中で反応後の残存量を定量化した。その
結果、5時間後の残存率がrCAP24は0%であった
が、rCAP24変異体はそれぞれ70%以上の残存率
を示した。また、rCAP24DKがもっとも高い安定
性を示した。
【表3】
【0065】実施例13:rCAP24およびrCAP
24変異体の抗菌活性評価 抗糸状菌活性および抗細菌活性の測定は実施例10で示
した方法で行った。結果を表3に示す。表3に示すよう
に、rCAP24およびrCAP24変異体(rCAP
24−KD,rCAP24−DK,rCAP24−K
D,rCAP24−KD,rCAP2−KD)の糸状菌
に対する最少死滅濃度は3〜10μg/ml、細菌に対
する最少死滅濃度は1〜3μg/mlとなり、いずれも
抗菌活性に変化は見られなかった。
【0066】実施例14:rCAP24KDとその他の
抗菌性ポリペプチドの抗菌活性とサツマイモ細胞間液中
での安定性の評価 rCAP24KDと、表4に示す、商業的にあるいは合成
的に入手可能なその他の抗菌性ポリペブチドについて、
以下の性能評価を行った。試験した全てのポリペプチド
とそのアミノ酸配列を、表4に、その起源とともに示
す。チオニン(Takara製、製品名Coryste
in)、MYP30(化学合成品)、およびrCAP2
4KD(化学合成品)以外の抗菌ペプチドはAMERI
CAN PEPTIDE COMPANY製の抗菌ペプ
チドを用いた。抗菌性の評価にあたっては、実施例10
と同じ条件を用いて行った。なお、各種抗菌ペプチドを
滅菌水で所定の濃度に調整したものを試料として用い
た。抗糸状菌活性および抗細菌活性の測定は実施例10
で示した方法で行った。サツマイモ細胞間液における安
定性の評価にあたっては、実施例12に記載の条件で実
施した。結果を表5に示す。
【表4】
【表5】
【0067】表5に示すように、rCAP24KDは比
較した14種類の抗菌ペプチドの中で、抗糸状菌活性、
抗細菌活性、サツマイモ細胞間液中での安定性の3項目
で、いずれももっとも優れた値を示し、この変異体が、
全ての点において好ましいことが明らかであった。
【0068】実施例15:サツマイモ細胞質可溶性画分
の抽出 サツマイモ(高系14号)の成葉を約5mm角にメスで
切断し、洗浄液(10mM,KH2P04,pH6.0)
で洗浄した。洗浄した葉切片を抽出液(50mM Mg
Cl2)に浸し、真空ポンプを用いて10分間減圧処理
した。減圧処理後の葉を遠心管に装着した5mlシリン
ジに入れ、4500gで10分間遠心した。抽出された
液をシリンジ外に取り出して、残存する葉を更なる抽出
に用いた。シリンジ内に残った葉に2倍容量の抽出バッ
ファー(50mM Tris−HCl(pH8.0)、
5mM EDTA, 0.25M Sucrose,1
0mM DTT)を加え乳鉢で磨砕した。これを150
00rpmで10分間遠心分離を行い、上清を採取し、
細胞内液とした。
【0069】実施例16:サツマイモ細胞質可溶性画分
中でのrCAP24KDの安定性 100μlの12.5%サツマイモ細胞質可溶性画分
に」に15μgのrCAP24KDまたはrCAP24
またはチオニンを加え、26.5℃で0〜24時間反応
させた。逆相クロマトグラム上に生じたrCAP24K
DまたはrCAP24またはチオニンのピークの面積値
を計算した。rCAP24KDまたはrCAP24また
はチオニンを15μg逆相クロマトグラフィーに供した
時のピーク面積値を100%とし、サツマイモ細胞質可
溶性画分で反応後のrCAP24KDまたはrCAP2
4またはチオニンの残存量を定量化した。結果を図5に
示す。 この結果においては、24時間反応後のペプチ
ド残存率が、rCAP24は0%であったがrCAP2
4KDは80%以上であり、rCAP24KDについて
植物由来のチオニンと同程度の残存量が認められた。
【0070】
【発明の効果】本発明によれば、プロテアーゼに対する
安定性が制御されたポリペプチドを提供することができ
る。
【0071】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> KABUSHIKI KAISHA TOYOTA CHUO KENKYUSHO <120> Stability Controlled Polypeptides against Proteases <130> 020205 <140> <141> <160> 12 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 32 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 1 Leu Leu Gly Asp Phe Phe Arg Lys Ser Lys Glu Lys Ile Gly Lys Glu 1 5 10 15 Phe Lys Arg Ile Val Gln Arg Ile Lys Asp Phe Leu Arg Asn Leu Val 20 25 30 <210> 2 <211> 30 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 2 Leu Leu Gly Asp Phe Phe Arg Lys Ser Lys Glu Lys Ile Gly Lys Glu 1 5 10 15 Phe Lys Arg Ile Val Gln Arg Ile Lys Asp Phe Leu Arg Asn 20 25 30 <210> 3 <211> 29 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 3 Leu Leu Gly Asp Phe Phe Arg Lys Ser Lys Glu Lys Ile Gly Lys Glu 1 5 10 15 Phe Lys Arg Ile Val Gln Arg Ile Lys Asp Phe Leu Arg 20 25 <210> 4 <211> 26 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 4 Leu Leu Gly Asp Phe Phe Arg Lys Ser Lys Glu Lys Ile Gly Lys Glu 1 5 10 15 Phe Lys Arg Ile Val Gln Arg Ile Lys Asp 20 25 <210> 5 <211> 34 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Modified polypeptide based on the CAP18 derived from human <400> 5 Leu Leu Gly Asp Phe Phe Arg Lys Ser Lys Glu Lys Ile Gly Lys Glu 1 5 10 15 Phe Lys Arg Ile Val Gln Arg Ile Lys Asp Phe Leu Arg Asn Leu Val 20 25 30 Lys Asp <210> 6 <211> 34 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Modified polypeptide based on the CAP18 derived from human <400> 6 Leu Leu Gly Asp Phe Phe Arg Lys Ser Lys Glu Lys Ile Gly Lys Glu 1 5 10 15 Phe Lys Arg Ile Val Gln Arg Ile Lys Asp Phe Leu Lys Asp Leu Val 20 25 30 Lys Asp <210> 7 <211> 24 <212> PRT <213>Rabbit <400> 7 Gly Leu Arg Lys Arg Leu Arg Lys Phe Arg Asn Lys Ile Lys Glu Lys 1 5 10 15 Leu Lys Lys Ile Gly Gln Lys Ile 20 <210> 8 <211> 26 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: modified polypeptide based on CAP18 derived from rabbit <400> 8 Gly Leu Arg Lys Arg Leu Arg Lys Phe Arg Asn Lys Ile Lys Glu Lys 1 5 10 15 Leu Lys Lys Ile Gly Gln Lys Ile Lys Asp 20 25 <210> 9 <211> 26 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Modified polypeptide based on CAP18 derived from rabbit <400> 9 Gly Leu Arg Lys Arg Leu Arg Lys Phe Arg Asn Lys Ile Lys Glu Lys 1 5 10 15 Leu Lys Lys Ile Gly Gln Lys Ile Lys Glu 20 25 <210> 10 <211> 26 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Modified polypeptide based on CAP18 derived from rabbit <400> 10 Gly Leu Arg Lys Arg Leu Arg Lys Phe Arg Asn Lys Ile Lys Glu Lys 1 5 10 15 Leu Lys Lys Ile Gly Gln Lys Ile Arg Asp 20 25 <210> 11 <211> 26 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Modified polypeptide based on CAP18 derived from rabbit <400> 11 Gly Leu Arg Lys Arg Leu Arg Lys Phe Arg Asn Lys Ile Lys Glu Lys 1 5 10 15 Leu Lys Lys Ile Gly Gln Lys Ile Arg Glu 20 25 <210> 12 <211> 26 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Modified polypeptide based on CAP18 derived from rabbit <400> 12 Gly Leu Arg Lys Arg Leu Arg Lys Phe Arg Asn Lys Ile Lys Glu Lys 1 5 10 15 Leu Lys Lys Ile Gly Gln Lys Ile Asp Lys 20 25
【0072】配列表フリーテキスト 配列番号:5 ヒト由来CAP18に基づいて改変されたポリペプチド 配列番号:6 ヒト由来CAP18に基づいて改変されたポリペプチド 配列番号:8 ウサギ由来CAP18に基づいて改変されたポリペプチ
ド 配列番号:9 ウサギ由来CAP18に基づいて改変されたポリペプチ
ド 配列番号:10 ウサギ由来CAP18に基づいて改変されたポリペプチ
ド 配列番号:11 ウサギ由来CAP18に基づいて改変されたポリペプチ
ド 配列番号:12 ウサギ由来CAP18に基づいて改変されたポリペプチ
【図面の簡単な説明】
【図1】CAP32とサツマイモ細胞間液との反応液の逆相
クロマトグラフィーにおけるクロマトグラムを示す図で
ある。
【図2】サツマイモ細胞間液中におけるCAP32の分解の
経時変化(0〜4.5時間)を示す図である。
【図3】サツマイモ細胞間液中におけるCAP32の分解の
経時変化(0〜16時間)を示す図である。
【図4】各種CAP32誘導体のサツマイモ細胞間液中にお
ける安定性を示すグラフ図である。
【図5】図5は、rCAP24、rCAP24KD、及び
チオニンのサツマイモ細胞内液中における安定性を示す
グラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12Q 1/37 C12N 5/00 C 4H045 (72)発明者 平井 正名 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 嶋村 隆 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 2B030 AA02 AB03 AD05 CB03 CD03 CD07 4B024 AA08 BA80 CA02 DA01 GA11 HA01 4B063 QA01 QQ79 QR16 QX01 4B064 AG01 CA19 CC24 DA11 4B065 AA89X AB01 CA24 CA53 4H045 AA10 AA20 AA30 BA17 BA18 CA30 CA40 EA05 FA10 FA74

Claims (39)

    【明細書】 【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】安定化されたポリペプチドの生産方法であ
    って、 安定化されるポリペプチドのC末端側に、少なくとも2
    個のアミノ酸を有するプロテアーゼ抵抗性配列を備える
    ように操作する工程、を備える方法。
  2. 【請求項2】前記プロテアーゼ抵抗性配列は、正電荷ア
    ミノ酸と負電荷アミノ酸とがペプチド結合により相互に
    結合した配列を有している、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】前記プロテアーゼ抵抗性配列は、Lys-Asp
    (K-D)、Arg-Asp (R-D)、Lys-Glu (K-E)、Arg-Glu (R-
    E)、Asp-Lys (D-K)、Asp-Arg (D-R)、Glu-Lys(E-K) 及
    びGlu-Arg (E-R)からなる群から選択される1種あるい
    は2種以上の配列を有する、請求項1又は2に記載の方
    法。
  4. 【請求項4】前記プロテアーゼ抵抗性配列は、Lys-Asp
    (K-D)配列を有する、請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】ポリペプチドの安定性制御方法であって、 制御されるポリペプチドのC末端側に、少なくとも2個
    のアミノ酸を有するプロテアーゼ感受性配列を備えるよ
    うに操作する工程、を備える、方法。
  6. 【請求項6】前記プロテアーゼ感受性配列は、Leu-Va
    l、Asn-Leu、Arg-Asn、Leu-Arg、及びPhe-Leuからなる
    群から選択される1種あるいは2種以上を有している、
    請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】ポリペプチドであって、 安定化されるポリペプチドのC末端側に少なくとも2個
    のアミノ酸を有するプロテアーゼ抵抗性配列を備える、
    ポリペプチド。
  8. 【請求項8】前記プロテアーゼ抵抗性配列は、正電荷ア
    ミノ酸と負電荷アミノ酸とがペプチド結合により相互に
    結合した配列を有している、請求項7記載のポリペプチ
    ド。
  9. 【請求項9】前記プロテアーゼ抵抗性配列は、Lys-Asp
    (K-D)、Arg-Asp (R-D)、Lys-Glu (K-E)、Arg-Glu (R-
    E)、Asp-Lys (D-K)、Asp-Arg (D-R)、Glu-Lys(E-K) 及
    びGlu-Arg (E-R)からなる群から選択される1種あるい
    は2種以上の配列を有する、請求項7又は8に記載のポ
    リペプチド。
  10. 【請求項10】前記プロテアーゼ抵抗性配列は、Lys-As
    p (K-D)、Arg-Asp (R-D)、Lys-Glu (K-E)、Arg-Glu (R-
    E)、及びAsp-Lys (D-K)からなる群から選択される1種
    あるいは2種以上の配列を有する、請求項7又は8に記
    載のポリペプチド。
  11. 【請求項11】前記プロテアーゼ抵抗性配列は、Lys-As
    p (K-D)配列を有する、請求項7又は8に記載のポリペ
    プチド。
  12. 【請求項12】前記プロテアーゼ抵抗性配列は、そのN
    末端側に疎水性アミノ酸を有している、請求項7〜11
    のいずれかに記載のポリペプチド。
  13. 【請求項13】前記プロテアーゼ抵抗性配列は、Lys-As
    p (K-D)、Arg-Asp (R-D)、Lys-Glu (K-E)、Arg-Glu (R-
    E)、及びAsp-Lys (D-K)、Asp-Arg (D-R)、Glu-Lys (E-
    K) 及びGlu-Arg (E-R)からなる群から選択される1種あ
    るいは2種以上の配列からなる少なくとも1つの離間し
    た繰り返しを有する、請求項7〜12のいずれかに記載
    のポリペプチド。
  14. 【請求項14】前記安定化されるポリペプチドは、αヘ
    リックス構造を有する、請求項7〜13のいずれかに記
    載のポリペプチド。
  15. 【請求項15】前記安定化されるポリペプチドは、細胞
    殺傷性ペプチド、その一部、及びその誘導体からなる群
    から選択される1種あるいは2種以上を有する、請求項
    7〜14のいずれかに記載のポリペプチド。
  16. 【請求項16】前記安定化されるポリペプチドは、CA
    P18、マガイニン類、メリチン類、アラメチシン類、
    ポリミキシン類、セクロビン類、タキブレシン類、デル
    マセプチン類、ボンビニン類、チオニン類、これらの一
    部、及びこれらの誘導体からなる群から選択される1種
    あるいは2種以上のポリペプチド配列を含むアミノ酸配
    列を有する、請求項7〜15のいずれかに記載のポリペ
    プチド。
  17. 【請求項17】前記安定化されるポリペプチドは、ウサ
    ギ由来CAP1810 6-142、ウサギ由来CAP18
    106-137、ウサギ由来CAP18106-129、ヒト由来CA
    P18104-140、及びヒト由来びCAP18104-135から
    なる群から選択される1種あるいは2種以上のポリペプ
    チド配列を含むアミノ酸配列を有し、前記プロテアーゼ
    抵抗性配列は、Lys-Asp (K-D)配列を有する、請求項7
    〜15のいずれかに記載のポリペプチド。
  18. 【請求項18】前記安定化されるポリペプチドは、ウサ
    ギ由来CAP18の全部、その一部及びその変異体の1
    種あるいは2種以上のポリペプチド配列を含むアミノ酸
    配列を有する、請求項7〜15のいずれかに記載のポリ
    ペプチド。
  19. 【請求項19】前記安定化されるポリペプチドは、ウサ
    ギ由来のCAP18 106-129のポリペプチド配列を含む
    アミノ酸配列を有する、請求項7〜15のいずれかに記
    載のポリペプチド。
  20. 【請求項20】ポリペプチドであって、 プロテアーゼに対する安定性が制御されるポリペプチド
    のC末端側に、少なくとも2個のアミノ酸配列を有する
    プロテアーゼ感受性配列を備える、ポリペプチド。
  21. 【請求項21】前記プロテアーゼ感受性配列は、Leu-Va
    l、Asn-Leu、Arg-Asn、Leu-Arg、及びPhe-Leuからなる
    群から選択される1種あるいは2種以上を有している、
    請求項20記載のポリペプチド。
  22. 【請求項22】配列番号5に記載のアミノ酸配列あるい
    はこれと実質的同一なアミノ酸配列からなるポリペプチ
    ド。
  23. 【請求項23】配列番号6に記載のアミノ酸配列あるい
    はこれと実質的に同一なアミノ酸配列からなるポリペプ
    チド。
  24. 【請求項24】配列番号8に記載のアミノ酸配列あるい
    はこれと実質的同一なアミノ酸配列からなるポリペプチ
    ド。
  25. 【請求項25】配列番号9に記載のアミノ酸配列あるい
    はこれと実質的に同一なアミノ酸配列からなるポリペプ
    チド。
  26. 【請求項26】配列番号10に記載のアミノ酸配列ある
    いはこれと実質的同一なアミノ酸配列からなるポリペプ
    チド。
  27. 【請求項27】)配列番号11に記載のアミノ酸配列あ
    るいはこれと実質的に同一なアミノ酸配列からなるポリ
    ペプチド。
  28. 【請求項28】配列番号12に記載のアミノ酸配列ある
    いはこれと実質的同一なアミノ酸配列からなるポリペプ
    チド。
  29. 【請求項29】請求項7〜28のいずれかに記載のポリ
    ペプチドをコードするDNA配列を含むDNA構築物。
  30. 【請求項30】請求項29に記載のDNA構築物を含む
    ベクター。
  31. 【請求項31】形質転換細胞であって、請求項29に記
    載のDNA構築物を、前記ポリペプチドを産生可能に保
    持する、細胞。
  32. 【請求項32】植物形質転換細胞であって、請求項29
    に記載のDNA構築物を、前記ポリペプチドを産生可能
    に保持する、細胞。
  33. 【請求項33】請求項32に記載の植物細胞を含む、植
    物体。
  34. 【請求項34】請求項32に記載の植物細胞を含む、植
    物繁殖媒体。
  35. 【請求項35】請求項29に記載のDNA構築物が導入
    されて形質転換された植物細胞を再生する工程、を有す
    る、植物体の生産方法。
  36. 【請求項36】請求項33に記載の植物体を栽培する工
    程、を有する、植物体の生産方法。
  37. 【請求項37】前記植物体はサツマイモである、請求項
    35又は36に記載の方法。
  38. 【請求項38】請求項31又は32に記載の形質転換体
    を培養する工程、を有する、ポリペプチドの製造方法。
  39. 【請求項39】プロテアーゼ抵抗性配列の選抜方法であ
    って、 プロテアーゼに対する安定性を制御しようとするポリペ
    プチドを、そのポリペプチドが曝される可能性のあるプ
    ロテアーゼ含有系と接触させる工程と、 当該系において得られるポリペプチド断片のC末端側ア
    ミノ酸配列の経時的変化をモニターする工程と、 C末端側の分解が相対的に遅いペプチド断片を選択する
    工程、とを有する、方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008533118A (ja) * 2005-03-16 2008-08-21 アイソジェニカ・リミテッド ペプチド安定化化合物とスクリーニング方法

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