JP2003250578A - 抗菌性ポリペプチドおよびこのポリペプチドを含有する抗菌剤 - Google Patents

抗菌性ポリペプチドおよびこのポリペプチドを含有する抗菌剤

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Takao Imaeda
孝夫 今枝
Takashi Shimamura
隆 嶋村
Nobuhiko Muramoto
伸彦 村本
Masakata Hirai
正名 平井
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】真菌に対して抗菌性を発現する動物の生体防御
因子である抗菌性ポリペプチドあるいはそれを含有する
抗真菌剤を提供する。 【解決手段】脊椎動物、具体的にはウサギ由来のCAP
18のC末端側フラグメントに着目し、各種態様のフラ
グメントを調製し、その抗菌活性を種々探索したとこ
ろ、特定のフラグメントが抗真菌活性を有すること、お
よび各種植物病害性菌(細菌および真菌を含む)に対し
て抗菌活性を有することが見出された。このフラグメン
トによれば、各種の真菌、特に植物病害に関連する糸状
菌に対して高い抗菌活性を有する抗菌剤が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ウサギ由来でα
−ヘリックス構造を有するカチオン性のポリペプチドを
有効成分として含有する抗真菌剤および植物病害防除
剤、形質転換植物および植物病害生物の防除方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】CAP18(Cationic Antibacterial P
rotein, 18kDa)などに代表される動物産生の抗菌性ペ
プチドは、非特異的感染防御機構あるいは先天性の免疫
機構であり、動物における感染に対する第一のバリアー
として極めて重要であることがわかってきている。この
ような抗菌性ペプチドは、有効性が高い、動物由来であ
ることから動物に対して安全性が高い、病原体が耐性を
獲得しにくいことから、特に、治療用あるいは予防用の
抗菌剤として期待されている。しかしながら、各種ある
抗菌性ペプチドにおいては、抗菌性ペプチドの種類によ
って抵抗性を発現する菌の種類が異なっており、その抗
菌作用機構は解明されていない。したがって、抗菌性ペ
プチドがどのような菌に対して抗菌性を発現し、どのよ
うな環境下において抗菌性を発現するかを予測するのは
困難な状況である。
【0003】例えば、ウサギ由来でカチオン性のポリペ
プチドがCAP18として知られており、その遺伝子が
クローニングされている。そして、このウサギ由来のC
AP18(特にC末端部位)が、グラム陰性およびグラ
ム陽性の細菌に対する抗菌性を有していることが既に確
認されている。(Alessandro Tossi et al., FEBS Lett
ers 339 (1994) 108-112, James W. Larrick et al., A
ntimicrobial Agentsand Chemotherapy, Dec. 1993, p.
2534-2539, James W. Larrick et al., Bacterial Endo
toxins: Basic Science to Anti-Sepsis Strategies, p
125-135, 1994、特表平8−504085号公報)。こ
れらの文献においては、代表的な病害性の真菌であるCa
ndida albicans に対する抗菌性が認められないことが
記載されている。
【0004】一方、従来、細菌、糸状菌、線虫等の植物
病害生物による農作物の被害が問題となっている。植物
病害生物の防除方法としては、従来、(a)有機系化学
農薬を利用する化学的防除方法、(b)拮抗微生物を利
用する生物的防除方法、(c)病害生物に対して抵抗性
のある品質を用いる防除方法などが実施されている。上
記(a)としては、たとえは、イネいもち病に対するカ
スガマイシン塩酸塩等の利用、イネ紋古病などに対する
バリダマイシンAやフルトラニルなどの使用がある。ま
た、上記(b)としては、例えば、シュードモナス属細
菌の使用によるイネ苗立病の棒状(特開平4−1047
83号公報)、同様な方法によるナス科植物の青枯病の
防除(特開平6−9325号公報)がある。また、上記
(c)としては、双翅目昆虫由来の抗細菌性ペプチドを
導入して病害糸状菌への耐性を持たせたタバコ(特開平
7−250658号公報)や、セクロピン遺伝子を導入
した腐敗病抵抗性レタス(特開平11−313680号
公報)がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記(a)の
方法では、有機系化学農薬の過剰な使用による食品への
残留や、水質汚染等の問題が生じる恐れがある。また、
当該農薬に対する抵抗性のある病原生物の出現や優占化
を促進するなどの懸念もある。さらに、これらの農薬を
ポストハーベスト農薬として使用した場合には、食品中
への残留の懸念が一層強い。上記(b)の方法では、拮
抗微生物の使用方法、施用時期、土壌条件等によっては
安定した効果を得られない場合がある。また、拮抗微生
物を一定の区域内のみに維持させておくことは困難であ
る。上記(c)の方法では、抗菌スペクトラムが狭く特
定の細菌または糸状菌にしか効果がない、人体に対する
安全性が懸念されるなど問題点が多い。したがって、人
体への影響や抵抗性病原体の出現などのおそれがないこ
と、使用条件の制約がないこと、幅広い植物病害細菌や
植物病害糸状菌に対して有効で、しかもヒトを含めた動
物に対する安全性が確立されていること、を充足するよ
うな植物病害生物防除剤が要望されている。
【0006】そこで、本発明では、真菌に対して抗菌性
を発現する動物の生体防御因子である抗菌性ポリペプチ
ドあるいはそれを含有する抗真菌剤を提供することを目
的とする。また、本発明では、植物病害生物に抵抗性の
ある抗菌ポリペプチドおよびこの抗菌ポリペプチドを用
いた植物病害の防除技術を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、脊椎動
物、具体的にはウサギ由来のCAP18のC末端側フラ
グメントに着目し、各種態様のフラグメントを調製し、
その抗菌活性を種々探索したところ、ある種のフラグメ
ントが抗真菌活性を有すること、および各種植物病害性
菌(細菌および真菌を含む)に対して抗菌活性を有する
ことを初めて見出した。従来、CAP18のC末端側フ
ラグメントにあっては、Candida albicansに対する抗真
菌活性が確認されていないかったが、本発明者らが見出
したある種のフラグメントは、従来抗細菌活性が見出さ
れていたフラグメントよりもさらに短いフラグメントで
あるにも係わらず、各種の真菌、特に植物病害に関連す
る糸状菌に対して高い抗菌活性が見出された。しかも、
このフラグメントには、同時に、グラム陰性およびグラ
ム陽性細菌に対する高い抗菌活性も見出された。本発明
者らは、さらに、検討を進めた結果、植物組織内で有効
に抗細菌活性および抗真菌活性を発揮できる特定配列の
ポリペプチドを見出した。本発明者らは、これらの新た
な知見によれば、上記した課題を解決できることを見出
し、本発明を完成した。すなわち、本発明によれば、以
下の手段を提供することができる。
【0008】(1)ウサギ由来でα−へリックス構造を
有するカチオン性ポリペプチドの1種あるいは2種以上
を有効成分として含有する、抗真菌剤。 (2)前記ポリペプチドのアミノ酸残基数は17〜32
である、(1)記載の抗真菌剤。 (3)ウサギ由来でα−ヘリックス構造を有するカチオ
ン性ポリペプチドフラグメントと、このフラグメントの
C末端側にペプチド結合により結合される、Lys-Asp(K
-D)、Lys-Glu(K-E)、Arg-Asp(R-D)、Arg-Glu(R-
E)、Asp-Lys (D-K)、Asp-Arg (D-R)、Glu-Lys (E-K)
及びGlu-Arg (E-R)からなる群から選択される1種ある
いは2種以上のアミノ酸残基、とを有するポリペプチド
を有効成分として含有する、抗真菌剤。 (4)ウサギ由来でα−へリックス構造を有するカチオ
ン性ポリペプチドの1種あるいは2種以上を有効成分と
して含有する、植物病害生物防除剤。 (5)前記ポリペプチドのアミノ酸残基数は17〜32
である、(4)記載の植物病害生物防除剤。 (6)ウサギ由来でα−ヘリックス構造を有するカチオ
ン性ポリペプチドフラグメントと、このフラグメントの
C末端側にペプチド結合により結合される、Lys-Asp(K
-D)、Lys-Glu(K-E)、Arg-Asp(R-D)、Arg-Glu(R-
E)、Asp-Lys (D-K)、Asp-Arg (D-R)、Glu-Lys (E-K)
及びGlu-Arg (E-R)からなる群から選択される1種ある
いは2種以上のアミノ酸残基、とを有するポリペプチド
を有効成分として含有する、植物病害生物防除剤。 (7)抗真菌性を有する、以下のいずれかに記載される
ポリペプチド。 (a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるポリ
ペプチド。 (b)配列番号:3に記載のアミノ酸配列からなるポリ
ペプチド。 (c)配列番号:4に記載のアミノ酸配列からなるポリ
ペプチド。 (d)配列番号:5に記載のアミノ酸配列からなるポリ
ペプチド。 (e)配列番号:6に記載のアミノ酸配列からなるポリ
ペプチド。 (8)抗真菌性を有する、以下のいずれかに記載される
ポリペプチド。 (a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1個
もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/
または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。 (b)配列番号:3に記載のアミノ酸配列において1個
もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/
または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。 (c)配列番号:4に記載のアミノ酸配列において1個
もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/
または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。 (d)配列番号:5に記載のアミノ酸配列において1個
もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/
または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。 (e)配列番号:6に記載のアミノ酸配列において1個
もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/
または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。 (9)抗真菌性を有する、以下のいずれかに記載される
ポリペプチド。 (f)配列番号:7に記載のアミノ酸配列からなるポリ
ペプチド。 (g)配列番号:8に記載のアミノ酸配列からなるポリ
ペプチド。 (h)配列番号:9に記載のアミノ酸配列からなるポリ
ペプチド。 (i)配列番号:10に記載のアミノ酸配列からなるポ
リペプチド。 (j)配列番号:22に記載のアミノ酸配列からなるポ
リペプチド。 (10)抗真菌性を有する、以下のいずれかに記載され
るポリペプチド。 (f)配列番号:7に記載のアミノ酸配列において1個
もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/
または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。 (g)配列番号:8に記載のアミノ酸配列において1個
もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/
または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。 (h)配列番号:9に記載のアミノ酸配列において1個
もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/
または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。 (i)配列番号:10に記載のアミノ酸配列において1
個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および
/または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチ
ド。 (j)配列番号:22に記載のアミノ酸配列において1
個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および
/または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチ
ド。 (11)ポリペプチドが抗真菌性を発現する真菌が植物
病害性真菌である、(7)〜(10)に記載のポリペプ
チド。 (12)(7)〜(10)のいずれかに記載のポリペプ
チドの1種あるいは2種以上を含有する、抗菌剤。 (13)抗植物病害菌性を有する、以下のいずれかに記
載のポリペプチド。 (a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるポリ
ペプチド。 (b)配列番号:3に記載のアミノ酸配列からなるポリ
ペプチド。 (c)配列番号:4に記載のアミノ酸配列からなるポリ
ペプチド。 (d)配列番号:5に記載のアミノ酸配列からなるポリ
ペプチド。 (e)配列番号:6に記載のアミノ酸配列からなるポリ
ペプチド。 (14)抗植物病害菌性を有する、以下のいずれかに記
載のポリペプチド。 (a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1個
もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/
または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。 (b)配列番号:3に記載のアミノ酸配列において1個
もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/
または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。 (c)配列番号:4に記載のアミノ酸配列において1個
もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/
または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。 (d)配列番号:5に記載のアミノ酸配列において1個
もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/
または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。 (e)配列番号:6に記載のアミノ酸配列において1個
もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/
または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。 (15)抗植物病害菌性を有する、以下のいずれかに記
載されるポリペプチド。 (f)配列番号:7に記載のアミノ酸配列からなるポリ
ペプチド。 (g)配列番号:8に記載のアミノ酸配列からなるポリ
ペプチド。 (h)配列番号:9に記載のアミノ酸配列からなるポリ
ペプチド。 (i)配列番号:10に記載のアミノ酸配列からなるポ
リペプチド。 (j)配列番号:22に記載のアミノ酸配列からなるポ
リペプチド。 (16)抗植物病害菌性を有する、以下のいずれかに記
載されるポリペプチド。 (f)配列番号:7に記載のアミノ酸配列において1個
もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/
または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。 (g)配列番号:8に記載のアミノ酸配列において1個
もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/
または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。 (h)配列番号:9に記載のアミノ酸配列において1個
もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/
または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。 (i)配列番号:10に記載のアミノ酸配列において1
個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および
/または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチ
ド。 (j)配列番号:22に記載のアミノ酸配列において1
個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および
/または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチ
ド。 (17)(13)〜(16)のいずれかに記載のポリペ
プチドの1種あるいは2種以上を含有する、植物病害生
物防除剤。 (18)抗真菌性を有するポリペプチドをコードする、
以下のいずれかに記載のポリヌクレオチド。 (a)配列番号:2〜10及び22のいずれかに記載の
アミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌ
クレオチド。 (b)配列番号:11〜19及び23のいずれかに記載
の塩基配列を含むポリヌクレオチド。 (19)抗真菌性を有するポリペプチドをコードする、
以下のいずれかに記載のポリヌクレオチド。 (a)配列番号:2〜10及び22のいずれかに記載の
アミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が置
換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列
からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。 (b)配列番号:11〜19及び23のいずれかに記載
の塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェン
トな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド。 (20)α−ヘリックス構造を有するカチオン性ポリペ
プチドであって抗菌活性を有するフラグメントと、この
フラグメントのC末端側にペプチド結合により結合され
る、Lys-Asp(K-D)、Lys-Glu(K-E)、Arg-Asp(R-
D)、Arg-Glu(R-E)、Asp-Lys (D-K)、Asp-Arg (D-
R)、Glu-Lys (E-K) 及びGlu-Arg (E-R)からなる群から
選択される1種あるいは2種以上のアミノ酸残基、とを
有するポリペプチド。 (21)(20)記載のポリペプチドの1種あるいは2
種以上を含有する、抗菌剤。 (22)α−ヘリックス構造を有するカチオン性ポリペ
プチドであって抗菌活性を有するフラグメントと、この
フラグメントのC末端側にペプチド結合により結合され
る、Lys-Asp(K-D)、Lys-Glu(K-E)、Arg-Asp(R-
D)、Arg-Glu(R-E)、Asp-Lys (D-K)、Asp-Arg (D-
R)、Glu-Lys (E-K) 及びGlu-Arg (E-R)からなる群から
選択される1種あるいは2種以上のアミノ酸残基とから
なるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド。 (23)前記抗菌活性フラグメントをコードするポリヌ
クレオチド部分は、下記(a)〜(d)のいずれかであ
るポリヌクレオチド。 (a)配列番号:2〜10及び22のいずれかに記載の
アミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌ
クレオチド。 (b)配列番号:11〜19及び23のいずれかに記載
の塩基配列を含むポリヌクレオチド。 (c)配列番号:2〜10及び22のいずれかに記載の
アミノ酸配列において1個もしくは数個のアミノ酸が置
換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列
を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。 (d)配列番号:11〜19及び23のいずれかに記載
の塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェン
トな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド。 (24)(18)、(19)、(22)および(23)
のいずれかに記載のポリヌクレオチドが挿入されたベク
ター。 (25)(18)、(19)、(22)および(23)
のいずれかに記載のポリヌクレオチドまたはこれらのい
ずれかのポリヌクレオチドが挿入されたベクターを発現
可能に保持する形質転換体。 (26)前記形質転換体は植物体である、(25)記載
の形質転換体。 (27)前記ポリペプチドを植物病害生物の存在する環
境中へ導入する、植物病害生物の防除方法。 (28)前記ポリペプチドを発現するように操作された
形質転換植物を前記環境下で栽培する、(27)記載の
防除方法。 (29)前記植物病害生物が、細菌および真菌である、
(27)又は(28)記載の防除方法。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は、抗真菌性および/また
は抗細菌性を有するポリペプチド、およびこのポリペプ
チドを有効成分として含有する抗菌剤に関する。さら
に、これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチ
ドに関する。本発明により提供されるポリペプチドは、
真菌、細菌(グラム陰性および陽性)、および各種植物
病害菌(真菌および細菌を含む)のいずれかに対する細
胞障害性、すなわち、抗菌性を有している。好ましく
は、少なくとも真菌に対する抗菌性を有し、より好まし
くは、糸状菌に対して抗菌性を有する。また、好ましく
は、植物病害真菌(典型的には、糸状菌)に対して抗菌
性を有している。また、好ましくは、グラム陽性菌及び
グラム陰性菌を含む細菌に対して抗菌性を有し、なかで
も、グラム陰性菌に対して抗菌性を有している。また、
好ましくは、植物病害細菌(典型的には、グラム陰性
菌)に対して抗菌性を有している。
【0010】抗菌性を発揮する真菌としては、特に限定
しない。例えば、一般的なcandidaalbicansなどのcandi
da属菌の他、植物(特に栽培植物)における病害性菌と
して知られる糸状菌類を例示することができる。糸状菌
としては、サツマイモの黒斑病菌であるCeratocyctis f
imbriataなどのCeratocyctis属菌、イネいもち病菌であ
るPyrucularia oryzae raceなどのPyrucularia属菌を挙
げることができる。また、抗菌性を発揮するグラム陰性
菌としてはも特に限定しない。大腸菌 Echrichia coli
などのEchrichia属菌や、サルモネラ菌 Salmonella typ
himuriumなどのSalmonella属菌などの細菌の他、ダイズ
斑点細菌病菌であるPseudomonas syringaeなどのPseudo
monas属菌を例示できる。また、グラム陽性菌として
は、特に限定しない。黄色ブドウ球菌 Streptococcus p
yrogenesなどのStreptococcus属菌を例示できる。
【0011】本発明により提供されるポリペプチドは、
これらの真菌および/または細菌などに対して細胞障害
性を示すが、抗菌活性としては、対象菌に対する最少殺
菌濃度が、約100μg/ml以下であることが好まし
い。より好ましくは、約30μg/ml以下である。特
に、当該ポリペプチドを植物細胞あるいは組織内で発現
させるなどにより導入する場合には、最少殺菌濃度が約
10μg/ml以下であることが好ましい。本発明のポ
リペプチドは、好ましくは、真菌(典型的には、サツマ
イモ黒斑病菌などの糸状菌)及び細菌(典型的には大腸
菌などのグラム陰性細菌や黄色ブドウ球菌などのグラム
陽性菌)に対して、それぞれ30μg/ml以下の最少
殺菌濃度を有し、より好ましくは、それぞれに対して1
0μg/ml以下の最少殺菌濃度を有する。最少殺菌濃
度は、当業者であれば、容易に求めることができる。ま
た、本発明により提供されるポリペプチドを、植物細胞
あるいは組織内で発現させるには、植物内での安定性の
指標となる植物細胞間液(例えば、サツマイモ細胞間液
および/またはシロイヌナズナの細胞間液)液中の5時
間後の残存率%(温度:約20〜約30℃)が、植物由
来の抗菌性ペプチド(典型的にはチオニン)と、おおよ
そ同等であることが好ましい。また、特に、ヒトなどの
哺乳類への安全性を確保するには、ヒトに対する安全性
の指標となるCHL細胞などに対する50%死滅濃度が
100μg/ml以上であることが好ましい。CHL細
胞に対する50%死滅濃度は、後述する実施例に記載す
る方法の他、当業者に周知の方法によって測定すること
ができる。
【0012】本発明により提供されるポリペプチドの抗
菌性(抗真菌性および/または抗細菌性および/または
抗植物病害性菌性)に関しては、少なくともα−ヘリッ
クス構造を有すること、あるいは、これに加えてカチオ
ン性ポリペプチドであることが関連するものと考えられ
る。
【0013】したがって、本発明のポリペプチドは、α
−ヘリックス構造を有するカチオン性ポリペプチドであ
ることが好ましい。より好ましくは、α−ヘリックス構
造を形成する、すなわち、そのポリペプチドの全体ある
いは大部分がα−ヘリックス構造を構成するポリペプチ
ドである。また、脊椎動物由来のポリペプチドであるこ
とが好ましい。由来する脊椎動物としては、ヒト、ウサ
ギ、ラット、ウシ、ブタ、モルモット等であるが、これ
に限定されない。好ましくは、ヒト、ウサギ、ブタであ
り、さらに好ましくはウサギ、ヒトである。もっとも好
ましくは、ウサギである。脊椎動物においては、このよ
うなペプチドは、CAP18ファミリーとして知られて
おり、顆粒球、好中球などに含まれている。
【0014】以上のことから、本発明により提供される
ポリペプチドの第1の形態は、α−へリックス構造を有
するカチオン性ポリペプチドである。かかるポリペプチ
ドは、例えば、ヒト由来あるいはウサギ由来のCAP1
8のC末端側フラグメントとして知られている。この第
1のポリペプチドは全体としてあるいはその少なくとも
一部分は抗真菌性の他、抗植物病害菌性を有している。
このため、この第1のポリペプチドを有効成分として含
有する各種態様の抗菌剤が提供される。本発明のポリペ
プチドには、第1のポリペプチドのホモログも包含す
る。
【0015】抗菌性の発現のための好ましいポリペプチ
ドは、当該ポリペプチドのC末端側の反応性窒素阻害ペ
プチド(RNIP)フラグメントを含むポリペプチドで
ある。配列番号:1にウサギ由来のCAP18のアミノ
酸配列を示す。このアミノ酸配列において特定されるポ
リペプチドにおいて、本発明に好ましいフラグメント
は、そのC末端側であり、好ましくは、100位以降、
さらに好ましくは、106位以降のフラグメントの全体
あるいはその一部である。好ましいC末端側フラグメン
トは、137位までであることが好ましく、より好まし
くは、132位までであり、さらに好ましくは、125
位から129位の間を末端とする。好ましいC末端側フ
ラグメントとしては、106位〜137位(アミノ酸の
数:32)であり、さらに好ましくは106位〜132
位(アミノ酸の数:27)であり、最も好ましくは10
6位〜129位(アミノ酸の数:24)および106位
〜125位(アミノ酸の数:20)である。また、ポリ
ペプチドのアミノ酸の数としては、17個以上32個以
下であることが好ましいが、より好ましくは、20個以
上27個以下であり、さらに好ましくは20個以上24
個以下である。これらのいずれのポリペプチドも配列番
号:1に記載のアミノ酸配列の106位以降のフラグメ
ントとすることが好ましい。
【0016】このようなウサギ由来のポリペプチドとし
ては、具体的には、配列番号:1の106位〜125位
(アミノ酸の数:20)、106位〜129位(アミノ
酸の数:24)、106位〜137位(アミノ酸の数:
32)、106位〜132位(アミノ酸の数:27)、
106位〜122位(アミノ酸の数:17)のポリペプ
チドを例示することができる。これらのポリペプチド
は、それぞれ、配列番号:2〜6に示されるアミノ酸配
列からなる。サツマイモの黒斑病菌であるCeratocyctis
fimbriata、イネいもち病菌Pyrucularia oryzae race
などの糸状菌を含む真菌に高い抗菌活性(典型的には、
最少殺菌濃度が10μg/ml以下)を有する観点から
は、配列番号:2及び3に示されるポリペプチドが好ま
しい態様である。大腸菌 Echrichia coliやダイズ斑点
細菌病菌であるPseudomonas syringaeなど植物病害性の
グラム陰性菌に対する抗菌性(典型的には、最少殺菌濃
度が10μg/ml以下、好ましくは3μg/ml以
下)の観点からは、配列番号:3〜5で示されるポリペ
プチドが好ましい態様である。
【0017】本発明により提供される第2のポリペプチ
ドは、配列番号:2〜6に示されるアミノ酸配列を有す
ることができる。配列番号:2〜6に示されるアミノ酸
配列を有するポリペプチドは、本発明のポリペプチドの
好ましい態様である。本発明のポリペプチドは、これら
のホモログも包含する。さらに、本発明により提供され
る第3のポリペプチドは、配列番号:7〜10及び22
のいずれかに示されるアミノ酸配列を有することができ
る。配列番号:7〜10及び22のいずれかに示される
アミノ酸配列を有するポリペプチドは、本発明のポリペ
プチドの好ましい態様であり、また、配列番号:3に示
されるアミノ酸配列を有するポリペプチドのホモログと
いうこともできる。さらに、本発明のポリペプチドは、
これら(配列番号:7〜10及び22のいずれかに示さ
れるアミノ酸配列を有するポリペプチド)のホモログも
包含する。
【0018】ポリペプチドのホモログとしては、もとの
アミノ酸配列において1個もしくは数個のアミノ酸が置
換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列
を有している。このホモログは、もとのポリペプチドの
有する抗菌活性を有している。抗真菌活性、抗細菌活性
あるいは抗植物病害性菌活性を有するか否かは、後述す
る実施例に記載の方法の他、当業者に周知の各種方法を
用いることができる。
【0019】本発明により提供されるポリペプチドのホ
モログは、前記第1〜第3のポリペプチドのいずれかの
アミノ酸配列に、部位特異的変位導入法(Current Prot
ocols I Molecular Biology edit. Ausubel et al., (1
987) Publish . John Wily &Sons Sectoin 8.1-8.5)等
を用いて、適宜、置換、欠失、挿入、および/または付
加変位を導入することにより得ることができる。このよ
うなポリペプチドは、人工的に変異を導入し、あるいは
合成したものに限られず、人工的な変異処理に基づい
て、あるいは、限られず、自然界におけるアミノ酸の変
異によっても生じたものも包含される。例えば、配列番
号:2〜10及び22のいずれかに示されるアミノ酸配
列に対して当該操作を行うことなどにより、本発明のポ
リペプチドに包含されるホモログを得ることができる。
【0020】本発明のポリペプチドにおけるアミノ酸の
変異数や変異部位は、本発明のポリペプチドの機能が保
持される限り制限はない。
【0021】特に、本発明のポリペプチドとして好まし
い態様として、上記した各種の抗菌活性ポリペプチドか
らなるフラグメントと、このC末端側にペプチド結合に
より結合されたある種のアミノ酸配列とを備えるポリペ
プチドを挙げることができる。このようなアミノ酸配列
としては、プロテアーゼなどの分解に対して抵抗性を向
上させる、あるいは、細胞間液中などの生体環境あるい
はそれに近似した環境における安定性を向上させるアミ
ノ酸配列であることが好ましい。例えば、プロテアーゼ
に対する抵抗性あるいは各種細胞間液(例えば、植物細
胞間液や動物細胞間液など)における安定性が向上され
るアミノ酸配列(以下、抵抗性配列ともいう。)は、2
個あるいは3個以上のアミノ酸を有している。本発明者
らの研究によれば、このようなアミノ酸配列は、2個の
アミノ酸からなる最小単位を有する。最小単位は、抵抗
性配列の最もC末端側に位置される配列である。ここ
に、アミノ酸を、その側鎖R基により分類すると、疎水
性アミノ酸、親水性アミノ酸、生理的pHで正電荷を有
するアミノ酸(以下、正電荷アミノ酸)、生理的pHで
負電荷を有するアミノ酸(以下、負電荷アミノ酸)の4
種類に分類することができる。かかる分類に基づけば、
当該最小単位は、一つの正電荷アミノ酸と一つの負電荷
アミノ酸とが互いにペプチド結合により結合した構造を
備えている。これら2種のアミノ酸の配列は、一の順序
に限定されないで、2種類の順序での配列を採ることが
できる。すなわち、これらの2つのアミノ酸は、N末端
側からC末端側の方向において(本明細書において、全
てこの方向性に従って記載する。)、正電荷アミノ酸−
負電荷アミノ酸という配列(第1の配列)と負電荷アミ
ノ酸−正電荷アミノ酸(第2の配列)を有することがで
きる。例えば、第1の配列の最小単位は、Lys-Asp (K-
D)の他、Arg-Asp (R-D)、Lys-Glu (K-E)及びArg-Glu (R
-E)とすることができる。また、第2の配列の最少単位
は、Asp-Lys (D-K)の他、Asp-Arg (D-R)、Glu-Lys (E-
K) 及びGlu-Arg (E-R) とすることができる。
【0022】抵抗性配列は、かかる最小単位に対してさ
らにそのN末端側にアミノ酸を有することができる。例
えば、N末端側に、さらに1個の疎水性アミノ酸を有す
る3個のアミノ酸配列(疎水性アミノ酸−正電荷アミノ
酸−負電荷アミノ酸)とすることができる。かかる疎水
性アミノ酸としては、例えば、バリン(Val、V)、イソ
ロイシン(Ile、I)を挙げることができる。好ましく
は、イソロイシンである。なお既に示したように、例示
された3個のアミノ酸の配列における、前記正電荷アミ
ノ酸と前記負電荷アミノ酸との順序は、第2の配列に従
う順序に変えることができる。また、最小単位のN末端
側に2個の疎水性アミノ酸配列を有することもできる。
例えば、ロイシン(Leu)−バリン(Val)を前記最小単
位に付加することができる。これらの最少単位のC末端
側への付加によるプロテアーゼに対する抵抗性は、後述
する実施例において示されるようにすでに本発明者らよ
り確認されている。
【0023】抵抗性配列は、前記最小単位をタンデムで
含有することもできる。最小単位は、直接連結されるこ
ともできるが、適数個のアミノ酸を介して連結されてい
ることが好ましい。すなわち、最少単位を、所定間隔を
おいたリピートとして備えられていることが好ましい。
介在されるアミノ酸は、好ましくは1個あるいは2個以
上の疎水性アミノ酸である。この場合の疎水性アミノ酸
としては、イソロイシン、ロイシン、およびバリンのう
ちいずれか1個以上である。例えば、Leu-Valを介在配
列とする。かかる介在配列と前記最小単位の組み合わせ
によれば、抵抗性配列が存在していてもポリペプチドの
αヘリックス構造性が低減されにくい。
【0024】抵抗性配列は、ポリペプチドのC末端側に
備えられているが、なかでも、生理活性ペプチド領域に
隣接するC末端側に備えられていることが好ましい。こ
の態様によれば、活性領域が確実にプロテアーゼ作用な
どからブロックされる。また、抵抗性配列は、活性領域
に直接連結された状態で備えられていてもよいし、ま
た、適数個のアミノ酸を介して備えられていてもよい。
さらに、活性領域の重大な活性低下を引き起こさない程
度に当該領域のC末端側に一部含まれる形で備えられて
いてもよい。いずれの場合においても、活性化領域に必
要とされる1次構造や2次以上の高次構造性を低下させ
ないように抵抗性配列が備えられていることが好まし
い。例えば、抵抗性配列としてLys-Asp(K-D)、 Arg-A
sp (R-D)、Lys-Glu (K-E)、Arg-Glu (R-E)の他、Asp-Ly
s (D-K)、Asp-Arg (D-R)、Glu-Lys (E-K) 及びGlu-Arg
(E-R)の存在は、αヘリックス構造の維持に好ましい。
また、Lys-Asp- Leu-Val-Lys-Aspの存在も、αヘリック
ス構造の維持に好ましい。以上のことから、抵抗性配列
は、以下の構成を備えることができる。すなわち、抵抗
性配列は、Lys-Asp(K-D)、 Arg-Asp (R-D)、Lys-Glu
(K-E)、Arg-Glu (R-E)、Asp-Lys (D-K)、Asp-Arg (D-
R)、Glu-Lys (E-K) 及びGlu-Arg (E-R)からなる群から
選択される1あるいは2種類以上の配列を有することが
できる。当該群は、好ましくは、Lys-Asp(K-D)、 Arg
-Asp (R-D)、Lys-Glu (K-E)、Arg-Glu (R-E)及びAsp-Ly
s (D-K)から構成される。また、好ましくは、この抵抗
性配列は、上記群から選択される1種類の配列を有し、
さらに好ましくは、上記群から選択される1種類の配列
のみを有している。
【0025】抵抗性配列は、ポリペプチドのC末端に露
出されて備えられていると、抵抗性配列を有するポリペ
プチド自体がプロテアーゼに対する抵抗性を保持するこ
とになる点において好ましい。しかし、かならずしも抵
抗性配列がC末端に露出されていることを要しない。抵
抗性配列よりもC末端側に、適数個のアミノ酸配列を有
していてもよい。例えば、かかる抵抗性配列をマスクす
るようなアミノ酸配列を含んでいてもよい。例えば、適
度な抵抗性あるいは感受性を有するようなアミノ酸を備
えるようにして、プロテアーゼの作用を遅延し、又は、
ポリペプチド中の活性化領域による活性発現を調節する
ようにすることもできる。かかる配列としては、例え
ば、FLRNLV、PRTES等を挙げることができる
(いずれもアミノ酸1文字コードで表記してある)。
【0026】抵抗性配列は、プロテアーゼ、例えば、植
物細胞間液や植物細胞質液に存在するプロテアーゼに対
する抵抗性を有しており、ポリペプチドのC末端側から
の分解が当該配列部位において抑制される。したがっ
て、当該アミノ酸配列をC末端側に有するポリペプチド
は、プロテアーゼの存在下で当該配列を有しないポリペ
プチドよりも安定であり、この結果、抗菌活性を安定し
て、あるいは確実に発現することができる。なお、これ
らの抵抗性配列は、抗菌活性を低下させることがないか
あるいは抗菌活性の低下が抑制されている。推測であっ
て理論的に本発明を拘束するものではないが、当該抵抗
性配列自体が、α−ヘリックス構造の維持に寄与してい
ることが考えられる。なお、このような抵抗性配列をC
末端側に有するポリペプチドは、天然に存在する場合も
あるし、また、本ポリペプチドあるいはそのホモログの
C末端側に当該付加アミノ酸配列を備えるポリペプチド
を合成によりあるいは遺伝子工学的手法により人工的に
取得することもできる。このようなポリペプチドもま
た、本発明のポリペプチドに包含される。このような抵
抗性配列などのアミノ酸をC末端側に導入することは、
当業者であれば、容易に実施することができるものであ
る。
【0027】例えば、配列番号:7に記載されるアミノ
酸配列は、配列番号:3に示されるアミノ酸配列のC末
端にLys-Asp(K-D)配列を有している。すなわち、配列番
号:7に示されるアミノ酸配列は、ウサギ由来のCAP
18のC末端側配列(第106位のアミノ酸から第12
9位までのアミノ酸からなるアミノ酸配列)であるCA
P18106−129のC末端に当該付加アミノ酸配列(K-
D)を備えている。また、配列番号:8〜10に示され
るアミノ酸配列は、配列番号:3に示されるアミノ酸配
列のC末端に、Lys-Glu(K-E)配列、Arg-Asp(R-D)配
列、Arg-Glu(R-E)配列をそれぞれ有している。また、
例えば、配列番号:22に記載されるアミノ酸配列は、
配列番号:3に示されるアミノ酸配列のC末端にAsp-Ly
s(D-K)配列を有している。サツマイモの黒斑病菌である
Ceratocyctis fimbriata、イネいもち病菌Pyrucularia
oryzae raceなどの糸状菌を含む真菌に高い抗菌活性
(典型的には、最少殺菌濃度が10μg/ml以下)を
有する観点からは、配列番号:7〜10及び22に示さ
れるポリペプチドはいずれも好ましい態様である。大腸
菌 Echrichiacoliやダイズ斑点細菌病菌であるPseudomo
nas syringaeなど植物病害性のグラム陰性菌に対する抗
菌性(典型的には、最少殺菌濃度が10μg/ml以
下、好ましくは3μg/ml以下)の観点からも、配列
番号:7〜10及び22に示されるポリペプチドはいず
れも好ましい態様である。
【0028】このように、第1〜第3のポリペプチドの
C末端あるいはC末端側に対して、さらに、上記抵抗性
配列を付加したものは、本発明の好ましい態様のホモロ
グを構成する。したがって、配列番号:2〜10及び2
2のいずれかのアミノ酸配列を含むポリペプチドのC末
端側に抵抗性配列を付加したものも本発明の態様に含ま
れる。
【0029】なお、本発明によれば、生体内安定性に寄
与する上記抵抗性性配列を含むペプチドフラグメントも
提供される。好ましくは、上記した各種抵抗性配列のみ
からなるペプチドフラグメント(ジペプチド、トリペプ
チド、テトラペプチド、ペンタペプチド、ヘキサペプチ
ド)が提供される。このようなペプチドフラグメント
は、対象とするポリペプチドのC末端側に備えられるこ
とにより、生体内安定性、特にプロテアーゼ(典型的に
はエンドプロテアーゼ)に対する安定性が向上あるいは
付与される。また、対象とするポリペプチドのα−ヘリ
ックス構造を安定化しあるいは維持することができる。
【0030】本発明のポリペプチドあるいはそのホモロ
グは、また、本発明のポリヌクレオチドの塩基配列に基
づいて、当業者に周知のハイブリダイゼーション技術あ
るいは遺伝子増幅技術などによっても得ることができ
る。すなわち、本発明のポリヌクレオチドあるいはその
ホモログによってコードされるポリペプチドは、本発明
のポリペプチドあるいはそのホモログを構成する。
【0031】本発明のポリヌクレオチドは、抗菌性(抗
真菌性および/または抗細菌性(グラム陰性およびグラ
ム陽性)および/または抗植物病害菌性)を有する抗菌
性ポリペプチドをコードしている。本発明のポリヌクレ
オチドは、配列番号11〜19及び23のいずれかに記
載の塩基配列を含むことができる。典型的には、これら
の塩基配列のみからなる。配列番号:11に示す塩基配
列は、配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるポリ
ペプチドをコードし、配列番号:12に示す塩基配列
は、配列番号:3に記載のアミノ酸配列からなるポリペ
プチドをコードし、配列番号:13に示す塩基配列は、
配列番号:4に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチ
ドをコードしている。配列番号:14に示す塩基配列
は、配列番号:5に記載のアミノ酸配列からなるポリペ
プチドをコードし、配列番号:15に示す塩基配列は、
配列番号:6に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチ
ドをコードし、配列番号:16に示す塩基配列は、配列
番号:7に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドを
コードしている。配列番号:17に示す塩基配列は、配
列番号:8に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド
をコードし、配列番号:18に示す塩基配列は、配列番
号:9に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコ
ードし、配列番号:19に示す塩基配列は、配列番号:
10に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコー
ドしている。また、配列番号23に示す塩基配列は、配
列番号22のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコー
ドしている。アミノ酸をコードするコドンは、単一でな
く、縮重により複数のコドンが対応していることは周知
の事実である。したがって、配列番号:2〜10及び2
2のいずれかに記載されるアミノ酸配列を有するポリペ
プチドをコードする塩基配列には、それぞれ、配列番
号:11〜19及び23に示す塩基配列のみならず、異
なるコドンに基づくあらゆる塩基配列を包含することに
なる。例えば、配列番号:20にCap18の第106
位〜137位に対応するコドン用法を考慮した塩基配列
を示す。この塩基配列のrは、aあるいはgとすること
ができ、yはcあるいはtとすることができ、mはaあ
るいはcとすることができ、hはaあるいはtあるいは
cとすることができ、nは、aあるいはtあるいはcあ
るいはgとすることができる。好ましいコドンは、発現
宿主の種類等に応じて選択することができる。なお、配
列番号:20に示す塩基配列において示される置換可能
な塩基を塩基配列:11〜19及び23のCap18由
来の塩基配列部位に適用することができる。なお、本発
明におけるポリヌクレオチドは、DNA、RNAである
ことができ、1本鎖でも、その相補鎖を有する2本鎖で
あってもよい。また、天然のあるいは人工のヌクレオチ
ド誘導体で構成されていてもよい。さらに、ゲノム、c
DNAの他、人工的に合成されたポリヌクレオチドも包
含している。
【0032】本発明のポリヌクレオチドには、上記特定
配列のポリヌクレオチドのホモログも包含している。当
該ホモログとしては、配列番号:2〜10及び22のい
ずれかに記載されるアミノ酸配列において、1個もしく
は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または
付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、抗真菌性および
/または抗細菌性および/または抗植物病害菌性を有す
るポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んで
いる。このようなホモログは、本発明のポリペプチドホ
モログのアミノ酸配列に対応する塩基配列を有するポリ
ヌクレオチドを合成によりあるいは遺伝子工学的手法に
より得ることができる。また、このようなポリヌクレオ
チドホモログは、当業者においては、配列番号:11〜
19及び23のいずれかに示すDNAに、部位特異的変
異導入法などを用いて、適宜、置換、欠失、挿入および
/または付加変異を導入することにより得ることができ
る。このような変異は、自然界における突然変異によっ
て生じることもある。
【0033】さらに、本発明のポリヌクレオチドのホモ
ログは、配列番号:11〜19及び23に示される塩基
配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブ
リダイズでき、かつ、上記抗菌活性を有するポリペプチ
ドをコードするポリヌクレオチドである。ストリンジェ
ントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドと
は、配列番号:11〜19及び23のいずれかに示され
る塩基配列の任意の少なくとも17個、好ましくは20
個、より好ましくは少なくとも30個の連続した配列を
一つあるいは複数個選択したDNAをプローブDNAと
して、当業者の周知のハイブリダイセーション技術(Cu
rrent Protocols I Molecular Biology edit. Ausubel
et al., (1987) Publish . John Wily & Sons Sectoin
6.3-6.4)などを用いて、ハイブリダイズするポリヌク
レオチドである。ハイブリダイズは、より詳しくは、1
本鎖のポリヌクレオチドが、配列番号:11〜19及び
23のいずれかに記載の塩基配列のDNA鎖あるいはこ
れに相補的なDNA鎖にハイブリダイズすることを意味
する。ハイブリダイゼーションにおけるストリンジェン
トな条件としては、通常、42℃であり、より厳しい条
件としては、65℃であり、さらに厳しい条件として
は、70℃である。
【0034】配列番号:11〜19及び23に記載の塩
基配列は、ウサギのCAP18由来であるが、これらの
塩基配列等に基づいて、他の脊椎動物からハイブリダイ
ゼーションによりホモログを取得することができる。す
なわち、他の脊椎動物由来α−へリックス構造を有する
カチオン性のポリペプチド、典型的には顆粒球由来のポ
リペプチド(具体的にはCAP18)であって、配列番
号:11〜19及び23のいずれかに示されるDNA鎖
あるいはこれに相補的なDNA鎖にハイブリダイズし、
抗真菌性および/または抗細菌性を有するポリペプチド
をコードするポリヌクレオチドは本発明のポリヌクレオ
チドのホモログである。
【0035】また、本発明のポリヌクレオチドのホモロ
グは、配列番号:11〜19及び23のいずれかに記載
のポリヌクレオチドの一部に基づいて設計したプライマ
ーを設計し、このプライマーを利用した遺伝子増幅技術
(PCR)(Current Protocols I Molecular Biology
edit. Ausubel et al., (1987) Publish . John Wily&
Sons Sectoin 6.1-6.4)により、もとの配列と相同性の
高いホモログを得ることもできる。与えられた塩基配列
に基づいて、その配列やそのホモログを増幅できるディ
ジェネレイティブプライマーを設計することは、当業者
が日常的に行っていることである。
【0036】さらに、本発明のポリヌクレオチドのホモ
ログは、配列番号:2〜10及び22のいずれかに示さ
れるアミノ酸配列と少なくとも70%、好ましくは少な
くとも80%または90%、より好ましくは95%以上
のホモロジーを有するポリペプチドをコードするポリヌ
クレオチドを包含している。ポリペプチドのホモロジー
検索は、BLAST検索アルゴリズムなどを用いて行う
ことができる。
【0037】以上のようにして単離したポリヌクレオチ
ドを公知の発現ベクターに挿入することにより、本発明
の抗菌性ポリペプチドをコードするDNA配列を保持する
DNA構築物(典型的には、ベクターである)が提供さ
れる。ベクターには、ポリペプチドに対応するDNA配
列に加えて、ホスト細胞の種類に応じた分泌シグナル遺
伝子を備えていてもよい。分泌シグナル遺伝子を備えて
いることにより、細胞外や細胞間隙へ移送されやすく、
細胞表面上にタンパク質を局在化、あるいは細胞外へタ
ンパク質を分泌させることが容易となる。
【0038】ベクターには、ポリペプチドをコードする
DNAを発現させるためのDNA配列を同時に備えるこ
ともできる。具体的には、ポリペプチドをコードする配
列の上流に配置されるプロモーター配列、コード配列の
下流に配置されるターミネション配列、ポリアデニレー
ションシグナルである。プロモーター配列としては、特
に限定しないで、ホスト細胞で当該コード配列を発現可
能なものを使用すればよいが、必要に応じて各種プロモ
ーター配列を使用しうる。さらに、エンハンサーも含め
ることもできる。さらに、当該DNA配列を保有する細
胞を選択するためのマーカー遺伝子も同時に導入される
ことが好ましい。選択マーカー遺伝子配列はベクターに
備えられていてもよいし、同時トランスフェクションに
よって導入してもよい。
【0039】ベクターは、ホスト細胞や遺伝子導入法の
種類に応じて適切なものが選択される。一般的には、各
種プラスミドベクター、ウイルス性ベクター、YAC、
BAC、PAC、MAC等を使用できる。好ましい原核
細胞性ベクター、真核細胞性ベクター、動物細胞性ベク
ター、植物細胞性ベクターは当該分野において周知であ
る。
【0040】一旦、ポリヌクレオチドあるいはそれを含
むベクターが構築されたら、適当なホスト細胞に、トラ
ンスフォーメーションや、トランスフェクション、接
合、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、パ
ーティクルガン、リン酸カルシウム沈殿法、アグロバク
テリウム法、直接マイクロインジェクション法等の各種
の適切な手段のいずれかにより、これを導入することが
できる。ポリヌクレオチドあるいはベクター等の導入
後、その受容細胞は、選択培地で培養される。なお、本
明細書における形質転換細胞を得るためのホスト細胞と
しては、特に限定しないで全ての種類、形態の細胞を包
含し、細菌等の各種原核細胞、及び真菌、酵母、動植物
細胞等の真核細胞の他、動植物個体、その動植物個体を
構成しうる真核細胞、およびその一部である組織や器官
を含む。また、ウイルス粒子も包含する。また植物個体
の一部であるその繁殖媒体(種子、根茎、果実、切穂
等)も包含する。
【0041】ポリペプチドをコードするDNAなどのポ
リヌクレオチドが導入された細胞を適当な方法で選択す
ることにより、ポリペプチドを産生する形質転換細胞を
得ることができる。形質転換細胞における導入遺伝子
は、染色体内あるいは染色体外で保持されていてもよ
く、また、形質の発現は、一時的であっても安定的であ
ってもよい。形質転換細胞を、適切な培養条件下で培養
し、増殖させることにより、形質転換細胞は、細胞内、
細胞表面、あるいは細胞外にポリペプチドを産出する。
適当な方法でこのポリペプチドを回収、精製することが
できる。
【0042】なお,取得したポリペプチドは、2次的な
加工を施して、より有効性を高めることもできる。例え
ば、形質転換細胞から取得後に、活性のある2次構造や
3次構造をとれるように、改変を施すこともできる。ま
た、電荷の制御も可能である。また、他のペプチドを結
合することもできる。
【0043】本発明のポリペプチドあるいはそのホモロ
グは、抗真菌活性および/または抗細菌活性および/ま
たは抗植物病害菌性を備えている。したがって、各種態
様、すなわち、抗真菌剤、抗細菌剤、および抗植物病害
菌剤のうち1種としてあるいは同時に2種類以上の薬剤
の有効成分として使用することができる。抗真菌剤およ
び/または抗細菌剤としては、ヒトを含む脊椎動物を対
象とすることができる。また、植物病害性真菌や細菌を
対象とする植物防除剤として使用することができる。さ
らに、本発明のポリペプチドあるいはそのホモログは、
脊椎動物の抗菌ペプチドとしての活性部位の一部である
ことから、他の昆虫に由来してあるいは微生物に由来し
て生体内に侵入する化合物に対して抵抗性を発現するこ
とが期待されるため、幅広い適用対象を有するというメ
リットがある。さらに、脊椎動物由来の抗菌ペプチドの
一部あるいはそのホモログであることから、脊椎動物に
対する安全性が高い。なお、ヒトを含むほ乳動物などに
対する真菌あるいは細菌に対する予防あるいは治療用の
薬剤の有効成分として本ポリペプチドあるいはそのホモ
ログを薬学上有効量含有する製剤においては、各種公知
の経口あるいは非経口の製剤形態を採用することができ
る。その場合には、採用した製剤形態に応じた、薬学的
に許容される担体を含めることができる。また、本ポリ
ペプチドそのホモログを植物病害生物防除剤の有効成分
として使用する場合、従来公知の各種の製剤形態を採用
することができる。製剤形態に応じて、当業者は、適当
な担体とともに本ポリペプチドあるいはそのホモログを
含有する製剤組成物を調製することができる。
【0044】なお、本発明のポリペプチドあるいはその
ホモログの有効成分として含有形態は、特に限定しない
が、本ポリペプチドあるいはそのホモログを発現可能に
操作された形質転換細胞(好ましくは、植物細胞、組
織、期間、個体あるいは繁殖媒体)そのものとすること
もできる。なお、ヒトを含むほ乳動物に対する抗真菌剤
として使用する場合、その製剤形態、投与形態、投与量
などに応じて、適切な薬剤組成物中における有効な含有
量を設定することができる。
【0045】さらに本発明のポリペプチドあるいはその
ホモログを発現するように形質転換された植物細胞、組
織、器官、個体、繁殖媒体も有用である。本発明のポリ
ペプチドは、植物組織内で病原生物あるいは当該生物由
来の成分に抗して作用を発現させることが期待される。
特に、植物細胞内、細胞間液、あるいは病原体由来のプ
ロテアーゼで分解されやすいことが重大な問題となって
いるが、前記付加アミノ酸配列を備えるポリペプチドで
あれば、プロテアーゼに対して抵抗性を有するため、病
原体感染初期において十分に抗菌性を発揮して、その後
の連鎖的障害を効果的に防止できる。
【0046】植物の形質転換細胞を得るために、本ポリ
ペプチド等をコードする配列を含むポリヌクレオチドあ
るいはベクターが導入される細胞としては、植物体に再
生可能なあるいはそうでない、あらゆる種類の形態の植
物細胞が含まれる。植物体に再生可能な細胞としては、
例えば、培養細胞、プロトプラスト、苗条原基、多芽
体、毛状根、カルス等であるが、これらに限定されな
い。また、形質転換される植物種としては、特に、限定
しないが、栽培作物であることが好ましく、農作物であ
ることがより好ましい。例えば、イネ、オオムギ、コム
ギ、ライムギ、トウモロコシ、サトウキビなどの穀類、
ジャガイモ、サツマイモなどの根茎又は塊根を形成する
作物、ダイズ、インゲンマメ、ソラマメ、エンドウなど
のマメ科植物、ピーナッツ、ごま、ナタネ、綿実、ヒマ
ワリ、サフラワーなどの種子作物、リンゴ、メロン、ブ
ドウなどの果実を有する作物、トマト、ナスなどの作物
であることが好ましい。花卉などの園芸植物にも適用す
ることができる。
【0047】そして、かかる植物形質転換細胞に対して
再生過程を実施することにより、植物体に変換すること
ができる。再生の方法は、植物の種類によって異なる
が、各種公知の方法を使用できる。
【0048】さらに、このような形質転換植物が、食用
される農作物である場合には、それ自体、ヒトを含む脊
椎動物に投与可能な食品あるいは栄養食品を構成する。
また、本発明の形質転換植物を栽培する方法によれば、
当該植物体や収穫物を目的として栽培する他、形質転換
植物の栽培により本ポリペプチド等を生産することがで
きる。本発明の形質転換植物の栽培過程においては、そ
の形質転換植物の栽培と同時に抗真菌性、抗植物病害性
などを植物体に付与することができる。また、栽培工程
後に、植物体の全体あるいはその一部を収穫した後にお
いても、当該収穫物において、細胞あるいは組織に本ポ
リペプチドが存在する限りは、抗菌性等を付与すること
ができる。すなわち、本発明の形質転換植物の栽培方法
は、植物体自体及び本ポリペプチド等の生産に伴なっ
て、栽培過程及び収穫物において、有効に抗菌性を発揮
させることができる。したがって、植物体及び本ポリペ
プチド等について高い収率が期待できる。また、収穫物
を貯蔵・運搬するにあたっても、病害を抑制して、安定
した貯蔵や流通を確保することができる。また、栽培工
程においても収穫後においても、農薬などの薬剤の使用
量を回避あるいは抑制することができる。
【0049】本発明によれば、本発明のポリペプチドお
よびそのホモログを、植物病害生物の存在する環境中へ
導入する、植物病害生物の防除方法も提供される。植物
病害生物の存在する環境とは、植物病害生物によって植
物に病害が生じる可能性あるあるいは病害が生じている
環境を意味している。したがって、本発明の防除方法
は、予防的にもあるいは駆除的にも実施される。具体的
には、当該環境は、イネやサツマイモなどの上記した栽
培作物の栽培区域、園芸植物の栽培区域、家庭菜園、山
林等に導入することができる。
【0050】本発明のポリペプチドおよびそのホモログ
を環境中へ導入するとは、本ポリペプチドあるいはその
ホモログを、そのまま栽培区域の土壌や植物等に散布、
噴霧、塗布等により投与する方法の他、形質転換細胞を
散布しあるいは増殖させることにより投与する方法、さ
らには、栽培対象である植物を本ポリペプチドあるいは
そのホモログを発現するように形質転換し、栽培するこ
とにより投与する方法などを挙げることができる。ま
た、収穫した作物に対してポストハーベスト的に投与す
ることもできる。したがって、本発明によれば、本発明
のポリペプチドを栽培植物の栽培環境にこれらの各種形
態により導入して、栽培植物を生産する方法も提供され
る。
【0051】このように、形質転換植物を栽培すること
は、植物病害生物の防除方法の一形態であると同時に、
病害抵抗性のある植物の栽培方法の一形態でもあり、本
ポリペプチド及びそのホモログの製造方法の一形態とし
ても有用である。
【0052】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 (実施例1:ポリペプチドの合成およびポリペプチド溶
液の調製)表1に示す各ポリペプチドにつき、島津総合
化学研究所に合成を依頼した。得られたペプチドは、9
0%以上の純度を有していた。これらの各ポリペプチド
を水に溶解してそれぞれについて各種濃度のポリペプチ
ド溶液を調製した。以下、この溶液を単にPP溶液と略
す。これらのポリペプチドは、いずれもウサギ由来のC
AP18のC末端側フラグメントからなるポリペプチド
(試料1〜5、それぞれ配列番号:2〜6に示すアミノ
酸配列からなる)か、あるいは当該フラグメントを含む
ポリペプチド(試料6〜9、それぞれ配列番号:7〜1
0に示すアミノ酸配列からなる)であった。
【表1】
【0053】(実施例2:サツマイモ黒斑病菌に対する
最少殺菌濃度)96穴マイクロプレートの各ウエルに、
実施例1で調製した各種PP溶液30μl、pH6.0
の200mM MES緩衝液(2−(N−morpho
lino)ethanesulfonic acid)
10μl、サツマイモ黒斑病菌(Ceratocyst
is fimbriata IFO 30501)の分生
胞子懸濁液(1×105spores/ml in80%
PotatoDextrose Broth)60μl
を加え、26℃で培養した。マイクロプレートリーダー
(Bio−Rad製)を用いて、30分後および48時
間後のOD415を測定し、以下の式(1)より、発育阻
害率を求め、最少殺菌濃度を算出した。結果を表2に示
す。 発育阻害率(%)=(ΔC−ΔT)/ΔC×100……(1) ただし、 △C:試料無添加時の吸光度(48時間後)−試料無添
加時の吸光度(30分後) △T:試料添加時の吸光度(48時間後)−試料添加時
の吸光度(30分後)
【0054】(実施例3:イネいもち病菌に対する最少
殺菌濃度)96穴マイクロブレートの各ウエルに、PP
溶液,30μl、pH6.0の200mM りん酸 Na
緩衝液(pH7.0)10μl、イネいもち病菌(P
yricularia oryzae race 00
7.0)の分生胞子懸濁液(1×104spores/
ml in 80% Patato Dextrose B
roth)60μlを加え、28℃で培養した。マイク
ロプレートリーダー(Bio−Rad製)を用いて、3
0分後および48時間後のOD415を測定し、上記の式
(1)より、発育阻害率を求め、最少殺菌濃度を算出し
た。表2に結果を示す。
【0055】(実施例4:大腸菌に対する最少殺菌濃
度)OD660の値が0.3になるまで培養した大腸菌
(IF0330)を、OD660の値が0.01(106
fu/ml)になるようにブイヨン培地(ニッスイ製)
で希釈した。試験管に希釈培養液5μl、ブイヨン培地
500μl、PP溶液10μlを加え、37℃で16時
間培養した。培養後、OD660を測定し、最少殺菌濃度
を求めた。結果を表2に示す。
【0056】(実施例5:ダイズ斑点細菌病に対する最
少殺菌濃度)1晩培養したダイズ斑点細菌病菌(Pse
udomonas syringae pv. Glyc
inea)を、105cfu/ml)になるようにブイ
ヨン培地(ニッスイ製)で希釈した。96穴プレートに
希釈培養液80μl、pH5.0の200mM MES
緩衝液(2−(N−morpholino)ethan
esulfonic acid)10μl、PP溶液1
0μlを加え、26℃で培養した。マイクロプレートリ
ーダー(Bio−Rad製)を用いて、30分後および
48時間のOD415を測定し、上記の式(1)より、発
育阻害率を求め、最少殺菌濃度を算出した。結果を表2
に示す。
【0057】(実施例6:サツマイモ細胞間液における
安定性)サツマイモ(高系14号)の成葉を約5mm角
にメスで切断し、洗浄液(10mM KH2P04,pH
6.0)で洗浄した。洗浄した葉切片を抽出液(50m
M MgC12)に浸し、真空ポンプを用いて10分間
減圧処理した。減圧処理後の葉を遠心管に装着した5m
lシリンジに入れ、4500gで10分間遠心した。シ
リンジ外に溶出した液をサツマイモ細胞間液(ICF:
Inter Cellar Fluid)とした。100
μlの12.5%サツマイモICF中にPP溶液を加
え、28℃で5時間反応させた。反応前のポリペプチド
を逆相クロマトグラフィーで分画した時のピークの面積
値を100%とし、サツマイモICF反応後のポリペプ
チドのピーク面積値から、ポリペプチドの5時間後の残
存率を算出した。なお、逆相クロマトグラフィーのカラ
ムにはSource15RPC ST 4.6/100
(Amasharm Pharmacia Biotec
h社製)を用いた。開始バッファーには溶液A(5%ア
セトニトリル、0.1%TFA)を用いて、溶液A10
0%から溶液B(70%アセトニトリル、0.1%TF
A)100%へのグラジエントをかけることにより溶出
した。結果を表2に示す。なお、チオニンについてのサ
ツマイモICF中での5時間後の残存率は70.0%で
あった。
【0058】(実施例7:シロイヌナズナの細胞間液に
おける安定性)シロイヌナズナの成葉を約5mm角にメ
スで切断し、洗浄液(10mM KH2PO4 pH 6.
0)で洗浄した。洗浄した葉切片を抽出液(50mM
MgC1 2)に浸し、真空ポンプを用いて10分間減圧
処理した。減圧処理後の葉を遠心管に装着した5mlシ
リンジに入れ、4500gで10分間遠心した。シリン
ジ外に溶出した液をシロイヌナズナ細胞間液(ICF:
Inter Cellular Fluid) とした。
100μlの25%シロイヌナズナICF中にPP溶液
を加え、28℃で5時間反応させた。反応前のポリペプ
チドを逆相クロマトグラフィーで分画した時のピークの
面積値を100%とし、シロイヌナズナICF反応後の
ポリペプチドのピーク面積値から、ポリペプチドの5時
間後の残存率を算出した。なお、逆相クロマトグラフィ
ーのカラムにはSource 15RPC ST 4.6
/100(Amasharm Pharmacia Bi
otech社製)を用いた。開始バッファーには溶液A
(5%アセトニトリル、0.1%TFA)を用いて、溶
液A100%から溶液B(70%アセトニトリル、0.
1TFA)100%へのグラジエントをかけることによ
り溶出した。結果を表2に示す。なお、チオニンについ
てのシロイヌナズナICF中での5時間後の残存率は9
0.1%であった。
【0059】(実施例8:CHL細胞に対する50%死
滅濃度)10%CS(子ウシ血清)を含むMEM培地で
Chinese Hamster Lung細胞(CHL
細胞、大日本製薬製CHL/IU細胞、2.0×105
cellS/ml×5ml)を、5%C02存在下37
℃で4日間培養した。常法により細胞を剥がし、同培地
にて4.4×104cells/mlの動物細胞懸濁液
を調製した。96穴マイクロプレートにPP溶波10μ
lと細胞懸濁液90μlを加え、5%C02存在下37
℃で3日間培養した。3日間後の培養液に、XTT混合
標準液(Cell Proliferation Kit
II(Roche社製))50μlを加え、5%C02
存在下37℃で4時間培養し、吸光度(O.D.490
−655)を測定した。以下の式(2)により生存率
(%)を求め、50%死滅濃度を算出した。なお、式
(2)のブランクの吸光度はPP溶液と細胞濁液のかわ
りに上記培地100μlを用いた場合の吸光度である。
結果を表2に示す。なお、チオニンについての当該死滅
濃度は60μg/mlであった。 生存率(%)=(試料添加時の吸光度−ブランクの吸光度) /(試料無添加時の吸光度−ブランクの吸光度))×100……(2)
【0060】表2に、試料1〜9の各PP溶液の糸状菌
および細菌に対する最少殺菌濃度、サツマイモICFお
よびシロイヌナズナICF中での5時間後の残存率、C
HL細胞に対する50%死滅濃度を示す。
【表2】
【0061】まず、試料1〜5について記載する。試料
1、2のポリペプチドは、糸状菌であるサツマイモ黒斑
病菌およびイネいもち病菌に対する最少殺菌濃度が10
μg/ml以下であり、細菌である大腸菌およびダイズ
斑点細菌病菌に対する最少殺菌濃度も10μg/ml以
下であった。また、CHL細胞に対する50%死滅濃度
も100μg/ml以上であった。
【0062】試料3及び4のポリペプチドでは、細菌に
対しては、10μg/ml以下の最少殺菌濃度であった
が、真菌に対しては、30μg/ml以下の最少殺菌濃
度であった。また、試料5のポリペプチドでは、サツマ
イモ黒斑病菌、イネいもち病菌に対して、それぞれ10
μg/ml以下、30μg/ml以下の最少殺菌濃度で
あったが、細菌に対しては100μg/mlを超えてい
た。
【0063】以上のことから、本実施例で用いたウサギ
由来のCAP18のC末端側のアミノ酸配列に基づくポ
リペプチドである試料1〜5のポリペプチドは、いずれ
も抗真菌剤に使用できることがわかった。すなわち、C
AP18の第106位に始まり、122位〜137位ま
での範囲の各種アミノ酸配列のいずれかからなるポリペ
プチド、あるいは、第106位からアミノ酸残基数で1
7〜32のポリペプチドが抗真菌剤として使用できるこ
とがわかった。好ましくは、試料1〜3のポリペプチド
であり、第106位に始まり122位から129位まで
の範囲各種アミノ酸配列のいずれかからなるポリペプチ
ド(第106位からアミノ酸残基数で17〜24個の各
種アミノ酸配列のいずれかからなるポリペプチド)であ
った。より好ましくは、試料1、2のポリペプチドであ
り、第106位に始まり125位から129位までの範
囲各種アミノ酸配列のいずれかからなるポリペプチド
(第106位からアミノ酸残基数で20〜24個の各種
アミノ酸配列のいずれかからなるポリペプチド)であっ
た。
【0064】一方、抗細菌剤としては、試料1〜4のポ
リペプチドを使用できることがわかった。すなわち、C
AP18の第106位に始まり、125位〜137位ま
での範囲の各種アミノ酸配列のいずれかからなるポリペ
プチド、あるいは、第106位からアミノ酸残基数で2
0〜32のポリペプチドが抗真菌剤として使用できるこ
とがわかった。好ましくは、試料2〜4のポリペプチド
であり、第106位に始まり129位から137位まで
の範囲各種アミノ酸配列のいずれかからなるポリペプチ
ド(第106位からアミノ酸残基数で24〜32個の各
種アミノ酸配列のいずれかからなるポリペプチド)であ
った。
【0065】なお、試料1〜5のポリペプチドは、いず
れもCHL細胞に対する50%死滅濃度が十分に高い数
値であった。したがって、人体に対する安全性は確保さ
れていることがわかった。したがって、試料1〜5のポ
リペプチドは抗真菌剤として好ましく、また、試料1〜
4のポリペプチドは、抗細菌剤として好ましいことがわ
かった。同時に、試料1〜5のポリペプチドは、植物病
害菌(真菌及び/又は細菌)剤としても好ましいことが
わかった。
【0066】次に、試料6〜9について記載する。試料
6のポリペプチドは、いずれの真菌および細菌に対して
高い抗菌活性を有していた(最少殺菌濃度、糸状菌に対
して10μg/ml以下、細菌に対して10μg/ml
以下(なお、細菌に対しては3μg/ml以下といって
もよい。))。また、細胞間液中での安定性は、試料2
のポリペプチド(CAP18106-129)に対して飛躍的
に向上されていた。したがって、試料6のポリペプチド
のC末端に付加されたK-D配列は、生体内での安定性の
向上に寄与し、抗菌活性を維持させていることが明らか
であった。試料7〜9のポリペプチドは、サツマイモ黒
斑病菌と大腸菌について試料6のポリペプチドと同等の
抗菌活性を有していた。また、細胞間液中の安定性にお
いても、試料6と同等であった。以上のことから、K-
E、R-D、R-Eのいずれのアミノ酸配列も、ポリペプチド
の抗菌活性を維持し、かつ生体内での安定性を向上させ
うることがわかった。なお、CHL細胞に対する50%
死滅濃度も100μg/ml以上であり、人体に対する
安全性も確認できた。したがって、試料6〜9のポリペ
プチドは抗真菌剤としても、また、抗細菌剤としても、
好ましいことがわかった。同時に、抗植物病害菌(真菌
及び/又は細菌)剤及び植物病害防除のため植物へ導入
する遺伝子源としても好ましいことがわかった。
【0067】(比較例)比較例として、American Pepti
de Companyより、表3に示す代表的な8種類の抗菌性ポ
リペプチド(比較試料1〜8)を入手した。これらのポ
リペプチドは、90%以上の純度を有していた。これら
の各ポリペプチドを水に溶解して、それぞれについて各
種濃度のポリペプチド溶液を調製した。
【表3】
【0068】これらの各種溶液について、サツマイモの
黒斑病菌に対する抗菌性、大腸菌に対する抗菌性、及び
CHL細胞に対する50%死滅濃度を評価した。なお、
これらの各試験は、実施例、2、4、及び8にそれぞれ
記載の方法で実施した。結果を表4に示す。
【表4】
【0069】表4に示すように、これらの各種ポリペプ
チドは、糸状菌(サツマイモ黒斑病菌)に対して最少殺
菌濃度が10μg/ml以下(比較試料1、3、5〜
8)、あるいは3μg/ml以下(比較試料4)であっ
たが、細菌(大腸菌)に対する最少殺菌濃度が30μg
/ml超(比較試料1〜5、7)であるものが多かっ
た。また、比較試料8は、糸状菌及び細菌に対して高い
抗菌活性を有していたが(最少殺菌濃度、対糸状菌:1
0μg/ml以下、対細菌:3μg/ml以下)、CH
L細胞に対する50%死滅濃度が40μg/mlであ
り、人体に対する安全性が十分に高いとはいえなかっ
た。以上のことから、これらの各種比較試料のポリペプ
チドには、糸状菌及び細菌に対する最少殺菌濃度が30
μg/ml以下(当該最少殺菌濃度はそれぞれ10μg
/ml以下ということもできる。)であり、かつCHL
細胞に対する50%死滅濃度が100μg/ml以上で
あるポリペプチドを見出すことはできなかった。
【0070】実施例9:ポリペプチドの合成と性能評価 配列番号:21及び以下の表5に示すアミノ酸配列から
なるポリペプチド(試料10)の化学合成を島津総合科
学研究所に依頼した。得られたポリペプチドは、90%
以上の純度を有していた。このポリペプチドは、ウサギ
由来のCAP18のC末端側フラグメント(第106位
〜120位)のC末端側にアミノ酸2残基の配列である
DK(Asp-Lys)配列を付加したアミノ酸配列を有して
いる。
【表5】
【0071】このポリペプチドを水に溶解して、各種濃
度のポリペプチド溶液(PP溶液)を調製し、サツマイ
モ黒斑病菌と大腸菌に対する最少殺菌濃度を測定した。
それぞれの試験方法は、実施例2及び実施例4に記載し
たのと同一の方法と条件にしたがった。結果を表6に示
す。また、このポリペプチドについて、サツマイモ細胞
間液中での安定性を評価した。結果を併せて表6に示
す。なお、試験方法は、実施例6に記載したのと同一の
方法と条件にしたがった。
【表6】
【0072】表6に示すように、試料10のポリペプチ
ドは、既述した試料2、試料6〜9と同等の高い抗真菌
性と抗細菌性とを有していることがわかった。また、そ
のサツマイモ細胞間液中における安定試験結果からは、
試料2(C末端にDK配列を有していない以外は、試料
10と同じアミノ酸配列からなるポリペプチド)よりは
るかに高い安定性を示し、また、試料6〜9と同等かあ
るいはそれ以上の高い安定性を示した。これらの結果か
ら、試料2、試料6〜10との抗菌性及び安定性の評価
結果からすると、任意の正電荷アミノ酸と負電荷アミノ
酸とを組み合わせてC末端に付加することにより、もと
のポリペプチドの抗菌活性などの生理活性を損なうこと
なく、植物内における安定性を向上させることができる
ことがわかった。
【0073】実施例10:試料6のポリペプチドとその
他の抗菌性ポリペプチドの抗菌活性とサツマイモ細胞間
液中での安定性の評価 試料6と、表7に示す、商業的にあるいは合成的に入手
可能なその他の抗菌性ポリペブチドについて、以下の性
能評価を行った。試験した全てのポリペプチドとそのア
ミノ酸配列を、表7に、その起源とともに示す。チオニ
ン(Takara製、製品名Corystein)、M
YP30(化学合成品)、およびrCAP24KD(化
学合成品)以外の抗菌ペプチドはAMERICAN P
EPTIDE COMPANY製の抗菌ペプチドを用い
た。抗菌性の評価にあたっては、実施例2及び4に記載
したのと同一の方法と条件にしたがった。なお、各種抗
菌ペプチドを滅菌水で所定の濃度に調整したものを試料
として用いた。細胞毒性は、実施例8に記載したのと同
一の方法と条件にしたがった。サツマイモ細胞間液にお
ける安定性の評価にあたっては、実施例6に記載の条件
で実施した。加えて、24時間後についても評価した。
これらの評価結果を併せて表8に示す。
【表7】
【表8】
【0074】表8に示すように、試料6は比較した14
種類の抗菌ペプチドの中で、抗糸状菌活性、抗細菌活
性、細胞毒性、サツマイモ細胞間液中での安定性の4項
目で、いずれももっとも優れた値を示し、このポリペプ
チドが、全ての点において好ましいことが明らかであっ
た。
【0075】
【発明の効果】本発明によれば、真菌に対しても抗菌性
を発現する動物の生体防御因子である抗菌性ポリペプチ
ドあるいはそれを含有する抗菌剤を提供することができ
る。また、本発明によれば、植物病害生物に抵抗性のあ
る抗菌ポリペプチドおよびこの抗菌ペプチドを用いた植
物病害の防除技術を提供することができる。
【0076】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> KABUSHIKI KAISHA TOYOTA CHUO KENKYUSHO <120> COMPOSITION FOR ANTI-FUNGAL OR ANTI-PLANT DISEASE MICROORGANISMS AND THE USE THEREOF <130> 020238 <140> <141> <160> 23 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 142 <212> PRT <213> Rabbit <400> 1 Gln Asp Leu Thr Tyr Arg Glu Ala Val Leu Arg Ala Val Asp Ala Phe 1 5 10 15 Asn Gln Gln Ser Ser Glu Ala Asn Leu Tyr Arg Leu Leu Ser Met Asp 20 25 30 Pro Gln Gln Leu Glu Asp Ala Lys Pro Tyr Thr Pro Gln Pro Val Ser 35 40 45 Phe Thr Val Lys Glu Thr Glu Cys Pro Arg Thr Thr Trp Lys Leu Pro 50 55 60 Glu Gln Cys Asp Phe Lys Glu Asp Gly Leu Val Lys Arg Cys Val Gly 65 70 75 80 Thr Val Thr Arg Tyr Gln Ala Trp Asp Ser Phe Asp Ile Arg Cys Asn 85 90 95 Arg Ala Gln Glu Ser Pro Glu Pro Thr Gly Leu Arg Lys Arg Leu Arg 100 105 110 Lys Phe Arg Asn Lys Ile Lys Glu Lys Leu Lys Lys Ile Gly Gln Lys 115 120 125 Ile Gln Gly Leu Leu Pro Lys Leu Ala Pro Arg Thr Asp Tyr 130 135 140 <210> 2 <211> 20 <212> PRT <213> Rabbit <400> 2 Gly Leu Arg Lys Arg Leu Arg Lys Phe Arg Asn Lys Ile Lys Glu Lys 1 5 10 15 Leu Lys Lys Ile 20 <210> 3 <211> 24 <212> PRT <213> Rabbit <400> 3 Gly Leu Arg Lys Arg Leu Arg Lys Phe Arg Asn Lys Ile Lys Glu Lys 1 5 10 15 Leu Lys Lys Ile Gly Gln Lys Ile 20 <210> 4 <211> 32 <212> PRT <213> Rabbit <400> 4 Gly Leu Arg Lys Arg Leu Arg Lys Phe Arg Asn Lys Ile Lys Glu Lys 1 5 10 15 Leu Lys Lys Ile Gly Gln Lys Ile Gln Gly Leu Leu Pro Lys Leu Ala 20 25 30 <210> 5 <211> 27 <212> PRT <213> Rabbit <400> 5 Gly Leu Arg Lys Arg Leu Arg Lys Phe Arg Asn Lys Ile Lys Glu Lys 1 5 10 15 Leu Lys Lys Ile Gly Gln Lys Ile Gln Gly Leu 20 25 <210> 6 <211> 17 <212> PRT <213> Rabbit <400> 6 Gly Leu Arg Lys Arg Leu Arg Lys Phe Arg Asn Lys Ile Lys Glu Lys 1 5 10 15 Leu <210> 7 <211> 26 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Designed polypeptide based on CAP18 derived from rabbit <400> 7 Gly Leu Arg Lys Arg Leu Arg Lys Phe Arg Asn Lys Ile Lys Glu Lys 1 5 10 15 Leu Lys Lys Ile Gly Gln Lys Ile Lys Asp 20 25 <210> 8 <211> 26 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Designed polypeptide based on CAP18 derived from rabbit <400> 8 Gly Leu Arg Lys Arg Leu Arg Lys Phe Arg Asn Lys Ile Lys Glu Lys 1 5 10 15 Leu Lys Lys Ile Gly Gln Lys Ile Lys Glu 20 25 <210> 9 <211> 26 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Designed polypeptide based on CAP18 derived from rabbit <400> 9 Gly Leu Arg Lys Arg Leu Arg Lys Phe Arg Asn Lys Ile Lys Glu Lys 1 5 10 15 Leu Lys Lys Ile Gly Gln Lys Ile Arg Asp 20 25 <210> 10 <211> 26 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Designed polypeptide based on CAP18 derived from rabbit <400> 10 Gly Leu Arg Lys Arg Leu Arg Lys Phe Arg Asn Lys Ile Lys Glu Lys 1 5 10 15 Leu Lys Lys Ile Gly Gln Lys Ile Arg Glu 20 25 <210> 11 <211> 60 <212> DNA <213> rabbit <400> 11 gggctgcgca agcgcttacg aaaatttaga aacaagatta aagaaaagct taaaaaaatt 60 <210> 12 <211> 72 <212> DNA <213> rabbit <400> 12 gggctgcgca agcgcttacg aaaatttaga aacaagatta aagaaaagct taaaaaaatt 60 ggtcagaaaa tc 72 <210> 13 <211> 96 <212> DNA <213> rabbit <400> 13 gggctgcgca agcgcttacg aaaatttaga aacaagatta aagaaaagct taaaaaaatt 60 ggtcagaaaa tccagggttt gctgccgaaa cttgca 96 <210> 14 <211> 81 <212> DNA <213> rabbit <400> 14 gggctgcgca agcgcttacg aaaatttaga aacaagatta aagaaaagct taaaaaaatt 60 ggtcagaaaa tccagggttt c 81 <210> 15 <211> 51 <212> DNA <213> rabbit <400> 15 gggctgcgca agcgcttacg aaaatttaga aacaagatta aagaaaagct t 51 <210> 16 <211> 78 <212> DNA <213> Artificial Sequence <400> 16 gggctgcgca agcgcttacg aaaatttaga aacaagatta aagaaaagct taaaaaaatt 60 ggtcagaaaa tcaargay 78 <210> 17 <211> 78 <212> DNA <213> Artificial Sequence <400> 17 gggctgcgca agcgcttacg aaaatttaga aacaagatta aagaaaagct taaaaaaatt 60 ggtcagaaaa tcaargar 78 <210> 18 <211> 78 <212> DNA <213> Artificial Sequence <400> 18 gggctgcgca agcgcttacg aaaatttaga aacaagatta aagaaaagct taaaaaaatt 60 ggtcagaaaa tcmgngay 78 <210> 19 <211> 78 <212> DNA <213> Artificial Sequence <400> 19 gggctgcgca agcgcttacg aaaatttaga aacaagatta aagaaaagct taaaaaaatt 60 ggtcagaaaa tcmgngar 78 <210> 20 <211> 96 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Designed polynucleotide sequence based on the C-terminal fragment of rabbit Cap18 <220> <221> CDS <222> (1)..(96) <400> 20 ggn ytn mgn aar mgn ytn mgn aar tty mgn aay aar ath aar gar aar 48 Gly Leu Arg Lys Arg Leu Arg Lys Phe Arg Asn Lys Ile Lys Glu Lys 1 5 10 15 ytn aar aar ath ggn car aar ath car ggn ytn ytn ccn aar ytn gcn 96 Leu Lys Lys Ile Gly Gln Lys Ile Gln Gly Leu Leu Pro Lys Leu Ala 20 25 30 <210> 21 <211> 32 <212> PRT <213> Artificial Sequence <223> Description of Artificial Sequence:Designed polynucleotide sequence based on the C-terminal fragment of rabbit Cap18 <400> 21 Gly Leu Arg Lys Arg Leu Arg Lys Phe Arg Asn Lys Ile Lys Glu Lys 1 5 10 15 Leu Lys Lys Ile Gly Gln Lys Ile Gln Gly Leu Leu Pro Lys Leu Ala 20 25 30 <210> 22 <211> 26 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Modified Polypeptide based on CAP18 derived from rabbit <400> 22 Gly Leu Arg Lys Arg Leu Arg Lys Phe Arg Asn Lys Ile Lys Glu Lys 1 5 10 15 Leu Lys Lys Ile Gly Gln Lys Ile Asp Lys 20 25 <210> 23 <211> 78 <212> DNA <213> Artificial Sequence <400> 23 gggctgcgca agcgcttacg aaaatttaga aacaagatta aagaaaagct taaaaaaatt 60 ggtcagaaaa tcgayaar 78
【0077】配列表フリーテキスト 配列番号:7 ウサギ由来のCAP18に基づいて設計されたポリペプ
チド 配列番号:8 ウサギ由来のCAP18に基づいて設計されたポリペプ
チド 配列番号:9 ウサギ由来のCAP18に基づいて設計されたポリペプ
チド 配列番号:10 ウサギ由来のCAP18に基づいて設計されたポリペプ
チド 配列番号:20 ウサギ由来のCAP18のC末端フラグメントに基づい
て設計されたポリヌクレオチド配列 配列番号:21 ウサギ由来のCAP18のC末端フラグメントに基づい
て設計されたポリヌクレオチド配列 配列番号:22 ウサギ由来のCAP18に基づいて設計されたポリペプ
チド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 31/10 C07K 14/47 4H045 C07K 7/08 19/00 14/47 C12N 15/00 ZNAA 19/00 5/00 C C12N 5/10 A61K 37/02 (72)発明者 村本 伸彦 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 平井 正名 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 2B030 AD05 CA14 4B024 AA01 AA08 BA67 CA04 CA07 DA01 EA04 GA11 GA17 GA21 HA03 4B065 AA88X AA90Y AB01 AC14 BA01 CA24 CA34 CA47 CA53 4C084 AA01 AA02 AA07 BA01 BA02 BA08 BA18 BA19 CA17 CA53 DA42 MA02 NA14 ZB322 ZB352 4H011 AA01 BB19 DA13 DD03 DH06 4H045 AA10 AA20 AA30 BA17 BA18 BA41 CA40 EA29 FA33 FA74

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ウサギ由来でα−へリックス構造を有する
    カチオン性ポリペプチドの1種あるいは2種以上を有効
    成分として含有する、抗真菌剤。
  2. 【請求項2】前記ポリペプチドのアミノ酸残基数は17
    〜32である、請求項1記載の抗真菌剤。
  3. 【請求項3】ウサギ由来でα−ヘリックス構造を有する
    カチオン性ポリペプチドフラグメントと、 このフラグメントのC末端側にペプチド結合により結合
    される、Lys-Asp(K-D)、Lys-Glu(K-E)、Arg-Asp(R
    -D)、Arg-Glu(R-E)、Asp-Lys (D-K)、Asp-Arg (D-
    R)、Glu-Lys (E-K) 及びGlu-Arg (E-R)からなる群から
    選択される1種あるいは2種以上のアミノ酸残基、とを
    有するポリペプチドを有効成分として含有する、抗真菌
    剤。
  4. 【請求項4】ウサギ由来でα−ヘリックス構造を有する
    カチオン性ポリペプチドの1種あるいは2種以上を有効
    成分として含有する、植物病害生物防除剤。
  5. 【請求項5】前記ポリペプチドのアミノ酸残基数は17
    〜32である、請求項4記載の植物病害生物防除剤。
  6. 【請求項6】ウサギ由来でα−ヘリックス構造を有する
    カチオン性ポリペプチドフラグメントと、 このフラグメントのC末端側にペプチド結合により結合
    される、Lys-Asp(K-D)、Lys-Glu(K-E)、Arg-Asp(R
    -D)、Arg-Glu(R-E)、Asp-Lys (D-K)、Asp-Arg (D-
    R)、Glu-Lys (E-K) 及びGlu-Arg (E-R)からなる群から
    選択される1種あるいは2種以上のアミノ酸残基、とを
    有するポリペプチドを有効成分として含有する、植物病
    害生物防除剤。
  7. 【請求項7】抗真菌性を有する、以下のいずれかに記載
    されるポリペプチド。 (a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるポリ
    ペプチド。 (b)配列番号:3に記載のアミノ酸配列からなるポリ
    ペプチド。 (c)配列番号:4に記載のアミノ酸配列からなるポリ
    ペプチド。 (d)配列番号:5に記載のアミノ酸配列からなるポリ
    ペプチド。 (e)配列番号:6に記載のアミノ酸配列からなるポリ
    ペプチド。
  8. 【請求項8】抗真菌性を有する、以下のいずれかに記載
    されるポリペプチド。 (a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1個
    もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/
    または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。 (b)配列番号:3に記載のアミノ酸配列において1個
    もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/
    または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。 (c)配列番号:4に記載のアミノ酸配列において1個
    もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/
    または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。 (d)配列番号:5に記載のアミノ酸配列において1個
    もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/
    または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。 (e)配列番号:6に記載のアミノ酸配列において1個
    もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/
    または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。
  9. 【請求項9】抗真菌性を有する、以下のいずれかに記載
    されるポリペプチド。 (f)配列番号:7に記載のアミノ酸配列からなるポリ
    ペプチド。 (g)配列番号:8に記載のアミノ酸配列からなるポリ
    ペプチド。 (h)配列番号:9に記載のアミノ酸配列からなるポリ
    ペプチド。 (i)配列番号:10に記載のアミノ酸配列からなるポ
    リペプチド。 (j)配列番号:22に記載のアミノ酸配列からなるポ
    リペプチド。
  10. 【請求項10】抗真菌性を有する、以下のいずれかに記
    載されるポリペプチド。 (f)配列番号:7に記載のアミノ酸配列において1個
    もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/
    または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。 (g)配列番号:8に記載のアミノ酸配列において1個
    もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/
    または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。 (h)配列番号:9に記載のアミノ酸配列において1個
    もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/
    または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。 (i)配列番号:10に記載のアミノ酸配列において1
    個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および
    /または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチ
    ド。 (j)配列番号:22に記載のアミノ酸配列において1
    個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および
    /または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチ
    ド。
  11. 【請求項11】ポリペプチドが抗真菌性を発現する真菌
    が植物病害性真菌である、請求項7〜10のいずれかに
    記載のポリペプチド。
  12. 【請求項12】請求項7〜10のいずれかに記載のポリ
    ペプチドの1種あるいは2種以上を含有する、抗菌剤。
  13. 【請求項13】抗植物病害菌性を有する、以下のいずれ
    かに記載のポリペプチド。 (a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるポリ
    ペプチド。 (b)配列番号:3に記載のアミノ酸配列からなるポリ
    ペプチド。 (c)配列番号:4に記載のアミノ酸配列からなるポリ
    ペプチド。 (d)配列番号:5に記載のアミノ酸配列からなるポリ
    ペプチド。 (e)配列番号:6に記載のアミノ酸配列からなるポリ
    ペプチド。
  14. 【請求項14】抗植物病害菌性を有する、以下のいずれ
    かに記載のポリペプチド。 (a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1個
    もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/
    または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。 (b)配列番号:3に記載のアミノ酸配列において1個
    もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/
    または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。 (c)配列番号:4に記載のアミノ酸配列において1個
    もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/
    または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。 (d)配列番号:5に記載のアミノ酸配列において1個
    もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/
    または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。 (e)配列番号:6に記載のアミノ酸配列において1個
    もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/
    または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。
  15. 【請求項15】抗植物病害菌性を有する、以下のいずれ
    かに記載されるポリペプチド。 (f)配列番号:7に記載のアミノ酸配列からなるポリ
    ペプチド。 (g)配列番号:8に記載のアミノ酸配列からなるポリ
    ペプチド。 (h)配列番号:9に記載のアミノ酸配列からなるポリ
    ペプチド。 (i)配列番号:10に記載のアミノ酸配列からなるポ
    リペプチド。 (j)配列番号:22に記載のアミノ酸配列からなるポ
    リペプチド。
  16. 【請求項16】抗植物病害菌性を有する、以下のいずれ
    かに記載されるポリペプチド。 (f)配列番号:7に記載のアミノ酸配列において1個
    もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/
    または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。 (g)配列番号:8に記載のアミノ酸配列において1個
    もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/
    または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。 (h)配列番号:9に記載のアミノ酸配列において1個
    もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/
    または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。 (i)配列番号:10に記載のアミノ酸配列において1
    個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および
    /または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチ
    ド。 (j)配列番号:22に記載のアミノ酸配列において1
    個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および
    /または付加したアミノ酸配列からなる、ポリペプチ
    ド。
  17. 【請求項17】請求項13〜16のいずれかに記載のポ
    リペプチドの1種あるいは2種以上を含有する、植物病
    害生物防除剤。
  18. 【請求項18】抗真菌性を有するポリペプチドをコード
    する、以下のいずれかに記載のポリヌクレオチド。 (a)配列番号:2〜10及び22のいずれかに記載の
    アミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌ
    クレオチド。 (b)配列番号:11〜19及び23のいずれかに記載
    の塩基配列を含むポリヌクレオチド。
  19. 【請求項19】抗真菌性を有するポリペプチドをコード
    する、以下のいずれかに記載のポリヌクレオチド。 (a)配列番号:2〜10及び22のいずれかに記載の
    アミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が置
    換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列
    からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。 (b)配列番号:11〜19及び23のいずれかに記載
    の塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェン
    トな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド。
  20. 【請求項20】α−へリックス構造を有するカチオン性
    ポリペプチドであって抗菌活性を有するフラグメント
    と、 このフラグメントのC末端側にペプチド結合により結合
    される、Lys-Asp(K-D)、Lys-Glu(K-E)、Arg-Asp(R
    -D)、Arg-Glu(R-E)、Asp-Lys (D-K)、Asp-Arg (D-
    R)、Glu-Lys (E-K) 及びGlu-Arg (E-R)からなる群から
    選択される1種あるいは2種以上のアミノ酸残基、から
    選択される1種あるいは2種以上のアミノ酸残基、とを
    有する、ポリペプチド。
  21. 【請求項21】請求項20記載のポリペプチドの1種あ
    るいは2種以上を含有する、抗菌剤。
  22. 【請求項22】α−へリックス構造を有するカチオン性
    ポリペプチドであって抗菌活性を有するフラグメント
    と、 このフラグメントのC末端側にペプチド結合により結合
    される、Lys-Asp(K-D)、Lys-Glu(K-E)、Arg-Asp(R
    -D)、Arg-Glu(R-E)、Asp-Lys (D-K)、Asp-Arg (D-
    R)、Glu-Lys (E-K) 及びGlu-Arg (E-R)からなる群から
    選択される1種あるいは2種以上のアミノ酸残基、とか
    らなるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド。
  23. 【請求項23】前記抗菌活性フラグメントをコードする
    ポリヌクレオチド部分は、下記(a)〜(d)のいずれ
    かであるポリヌクレオチド。 (a)配列番号:2〜10及び22のいずれかに記載の
    アミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌ
    クレオチド。 (b)配列番号:11〜19及び23のいずれかに記載
    の塩基配列を含むポリヌクレオチド。 (c)配列番号:2〜10及び22のいずれかに記載の
    アミノ酸配列において1個もしくは数個のアミノ酸が置
    換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列
    からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。 (d)配列番号:11〜19及び23のいずれかに記載
    の塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェン
    トな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド。
  24. 【請求項24】請求項18、19、22及び23のいず
    れかに記載のポリヌクレオチドを備えるベクター。
  25. 【請求項25】請求項18、19、22及び23のいず
    れかに記載のポリヌクレオチドまたはこれらのいずれか
    のポリヌクレオチドを備えるベクターを発現可能に保持
    する形質転換体。
  26. 【請求項26】前記形質転換体は植物体である、請求項
    25記載の形質転換体。
  27. 【請求項27】前記ポリペプチドを植物病害生物の存在
    する環境中へ導入する、植物病害生物の防除方法。
  28. 【請求項28】前記ポリペプチドを発現するように操作
    された形質転換植物を前記環境下で栽培する、請求項2
    7記載の防除方法。
  29. 【請求項29】前記植物病害生物が、細菌および真菌で
    ある、請求項27又は28に記載の防除方法。
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