JP2003036780A - 電子源基板および画像形成装置ならびにそれらの製造方法 - Google Patents

電子源基板および画像形成装置ならびにそれらの製造方法

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JP2003036780A
JP2003036780A JP2001220894A JP2001220894A JP2003036780A JP 2003036780 A JP2003036780 A JP 2003036780A JP 2001220894 A JP2001220894 A JP 2001220894A JP 2001220894 A JP2001220894 A JP 2001220894A JP 2003036780 A JP2003036780 A JP 2003036780A
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Masaaki Suzuki
正明 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数の列方向配線と、この列方向配線の上に
帯状絶縁層を介して複数の行方向配線が形成され、両方
向配線の交差部近傍に電極対を含む電子放出素子が配設
され、電極対の一方が列方向配線と、他方が帯状絶縁層
に設けられた開口部を介して行方向配線と接続された構
成を有する電子源基板において、配線形成時の素子電極
との電気的接続部分の信頼性向上を実現し、その電子源
基板を用いる画像形成装置において、より高密度な画素
配列による高品位な画像を得られるようにする。 【解決手段】 行方向配線25に接続される素子電極2
は、行方向配線25に沿って複数の電子放出素子分が共
通の電極で形成され、この共通の電極の少なくとも列方
向配線23との交差部には第2の絶縁層22が形成され
ていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の電子放出素
子をマトリクス状に並べた電子源、及びそれを用いた表
示装置等の画像形成装置に関わり、特に電子放出素子の
電極構成およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子放出素子としては熱電子源と
冷陰極電子源の2種類が知られている。冷陰極電子源に
は電界放出型素子(FE型素子)、金属/絶縁層/金属
型素子(MIM素子)、表面伝導型電子放出素子等があ
る。
【0003】本出願人は、電子放出素子とその応用に関
しこれまで多数の提案を行っており、その一部を紹介す
る。
【0004】インクジェット方式による素子作成に関し
ては特開平9−102271号公報や特開2000−2
51665号公報に、これらの素子をXYマトリクス形
状に配置した例として、特開昭64−031332号公
報、特開平7−326311号公報に詳述されている。
更には配線形成方法に関しては特開平8−185818
号公報や、特開平9−50757号公報に、駆動方法に
ついては特開平6−342636号公報等に詳述されて
いる。
【0005】また、表面伝導型電子放出素子の構成、製
造方法などは、例えば特開平7−235255号公報、
特登録2903295号公報に詳述されている。
【0006】以下に、上記公報に開示されている表面伝
導型電子放出素子の概略を簡単に説明する。
【0007】上記の表面伝導型電子放出素子は、図1に
模式的に示すように、基板1上に対向する一対の素子電
極2,3と、該素子電極に接続されその一部に電子放出
部5を有する導電性膜4とを有してなる。
【0008】電子放出部5は、導電性膜4の一部が、破
壊・変形ないし変質され、間隙が形成された部分を含
み、間隙内部及びその近傍の導電性膜上には、活性化と
呼ばれる工程を行うことにより、炭素及び/または炭素
化合物を主成分とする堆積物が形成されている。なお、
この堆積物は上記導電性膜に形成された間隙よりもさら
に狭い間隙部をもって対峙した形状となっている。
【0009】素子電極2、3の材料としては、一般的な
導体材料が用いられ、例えばNi、Cr、Au、Mo、
Pt、Ti等の金属やPd−Ag等の金属が好適であ
り、基板上にスパッタリング等により成膜された後、フ
ォトリソグラフィー・エッチング技術により形成され
る。あるいは金属酸化物とガラス等から構成される印刷
導体や、ITO等の透明導電体等から適宜選択され、そ
の膜厚は、好ましくは数百Åから数μmの範囲が適当で
ある。
【0010】また、この素子電極には、市販の白金Pt
等の金属粒子を含有したペーストを、オフセット印刷等
の印刷法によって塗布形成することも可能である。
【0011】また、より精密なパターンを得る目的で、
白金Pt等を含有する感光性ペーストを、スクリーン印
刷等の印刷法で塗布し、フォトマスクを用いて露光、現
像するという工程でも形成可能である。
【0012】配線、絶縁層の形成には、スクリーン印刷
法があげられる。これは導電性ペーストや絶縁層ペース
トをスクリーンを通して直接パターン印刷した後、焼成
して電極配線パターンや絶縁層を形成する方法である。
【0013】また、より精密なパターンを得る目的で、
導電性であるAgや、絶縁性のPbOを含有する感光性
ペーストを、スクリーン印刷等の印刷法で塗布し、フォ
トマスクを用いて露光、現像するという工程でも形成可
能である。
【0014】上述の表面伝導型電子放出素子は、構造が
単純で製造も容易であることから、大面積にわたって多
数の素子を配列形成できる利点がある。そこで、その特
徴を生かせるような様々な応用が研究されている。例え
ば、荷電ビーム源、表示装置等の画像形成装置が挙げら
れる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上説
明したような表面伝導型電子放出素子を画像形成装置と
して大面積化するには以下のような問題点がある。
【0016】上記のような印刷法を用いた場合、導電性
ペーストや絶縁層ペーストの流動性、転写性に起因して
印刷パターンが変形しやすいことから、特に素子電極上
の絶縁層開口部で、絶縁層印刷時のペーストのダレによ
り、行方向配線と素子電極の接触不良を生じ、表示装置
として画素欠陥となる表示品位の低下を引き起こす場合
があった。
【0017】また、より精密な絶縁層のパターンを得る
目的で、PbOを含有する感光性ペーストを、スクリー
ン印刷等の印刷法で塗布し、フォトマスクを用いて露
光、現像するという工程で形成しても、画素ピッチが小
さく、素子電極上の絶縁層開口部を設計上大きくできな
い場合には、行方向配線と絶縁層の熱収縮率の相違から
生じる応力等のため、行方向配線と素子電極の接続部で
剥離による接触不良を生じ、表示装置として画素欠陥と
なる表示品位の低下を引き起こす場合があった。
【0018】本発明の目的は、このような従来技術の欠
点を改善するものであり、電子源基板形成において、配
線形成時の素子電極との電気的接続部分の信頼性向上を
実現し、その電子源基板を用いる画像形成装置におい
て、より高密度な画素配列による高品位な画像を得られ
るようにすることにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する本
発明の構成は以下の通りである。
【0020】即ち、本発明は、基板上に、複数の列方向
配線と、該列方向配線の上に帯状絶縁層を介して複数の
行方向配線が形成され、該両方向配線の交差部近傍にそ
れぞれ、電極対を含む電子放出素子が配設され、該電極
対の一方が該列方向配線と、他方が該帯状絶縁層に設け
られた開口部を介して該行方向配線と接続された構成を
有する電子源基板において、前記行方向配線に接続され
る電極は、該行方向配線に沿って複数の電子放出素子分
が共通の電極で形成され、該共通の電極の少なくとも前
記列方向配線との交差部には第2の絶縁層が形成されて
いることを特徴とする電子源基板を提供するものであ
る。
【0021】上記本発明の電子源基板は、さらなる好ま
しい特徴として、「前記電子放出素子が、表面伝導型電
子放出素子であること」、「前記行方向配線、列方向配
線、帯状絶縁層のうち少なくとも一つがスクリーン印刷
法によって形成されたものであること」、を含む。
【0022】また本発明は、上記本発明の電子源基板
と、画像が形成される領域を備えた基板とが支持枠を介
して対向し、該両基板の間の空間が減圧状態となってお
り、前記電子源基板に画像形成用の駆動回路が接続され
ていることを特徴とする画像形成装置を提供するもので
ある。
【0023】また本発明は、基板上に、複数の列方向配
線と、該列方向配線の上に帯状絶縁層を介して複数の行
方向配線が形成され、該両方向配線の交差部近傍にそれ
ぞれ、電極対を含む電子放出素子が配設され、該電極対
の一方が該列方向配線と、他方が該帯状絶縁層に設けら
れた開口部を介して該行方向配線と接続された構成を有
する電子源基板の製造方法において、 1)前記基板上に、前記列方向配線に接続される一方の
電極を形成すると共に、前記行方向配線に接続される他
方の電極を、該行方向配線に沿って複数の電子放出素子
分を共通の電極として形成する工程、 2)前記共通の電極の少なくとも前記列方向配線との交
差部となる部分に絶縁層を形成する工程、 3)前記複数の列方向配線を形成する工程、 4)前記電極対の一方の電極と前記列方向配線とを接続
する工程、 5)前記共通の電極上を通り、一部に開口部を有し、前
記列方向配線に直交する帯状絶縁層を形成する工程、 6)前記帯状絶縁層上に、該帯状絶縁層の幅より小さい
幅で、前記行方向配線を形成する工程、 7)前記行方向配線と、前記共通の電極とを接続する工
程、 8)前記電極対に基づいて電子放出素子を形成する工
程、 を含むことを特徴とする電子源基板の製造方法を提供す
るものである。
【0024】上記本発明の電子源基板の製造方法は、さ
らなる好ましい特徴として、「前記列方向配線を、前記
電極対の一方の電極と接続する位置に形成し、前記3)
および前記4)の工程を同時に行なうこと」、「前記帯
状絶縁層の一部に設けた開口部を介して前記6)および
前記7)の工程を同時に行うこと」、「前記電子放出素
子を、表面伝導型電子放出素子とすること」、「前記行
方向配線、列方向配線、帯状絶縁層のうち少なくとも一
つをスクリーン印刷法によって形成すること」、を含
む。
【0025】さらに本発明は、電子源基板と、画像が形
成される領域を備えた基板とが支持枠を介して対向し、
該両基板の間の空間が減圧状態となっており、前記電子
源基板に画像形成用の駆動回路が接続された構成を有す
る画像形成装置の製造方法において、前記電子源基板
を、上記本発明の電子源基板の製造方法によって製造す
ることを特徴とする画像形成装置の製造方法を提供する
ものである。
【0026】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して、本発明の
好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、
この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材
質、形状、その相対配置などは、本発明の範囲をそれら
のみに限定する趣旨のものではない。
【0027】図1は、本発明に係る電子放出素子の一構
成例を模式的に示したものであり、(a)は平面図、
(b)は断面図である。図中、1は基板、2と3は素子
電極、、4は電子放出部を含む導電性膜、5は間隙を含
む電子放出部である。
【0028】基板1としては、例えば石英ガラス、Na
等の不純物含有量を減少させたガラス、青板ガラス、S
iO2を表面に形成したガラス基板およびアルミナ等の
セラミックス基板等が挙げられる。
【0029】素子電極2、3の材料としては、一般的な
導体材料が用いられ、例えばNi、Cr、Au、Mo、
Pt、Ti等の金属やPd−Ag等の金属が好適であ
り、基板上にスパッタリング等により成膜された後、フ
ォトリソグラフィー・エッチング技術により形成され
る。あるいは金属酸化物とガラス等から構成される印刷
導体や、ITO等の透明導電体等から適宜選択され、そ
の膜厚は、好ましくは数百Åから数μmの範囲が適当で
ある。
【0030】素子電極間隔L、素子電極長さW、素子電
極2、3の形状等は、実素子が応用される形態等に応じ
て適宜設計されるが、間隔Lは好ましくは数千Åから1
mmであり、より好ましくは素子電極間に印加する電圧
等を考慮して1μmから100μmの範囲である。ま
た、素子電極長さWは、好ましくは電極の抵抗値、電子
放出特性を考慮して、数μmから数百μmの範囲であ
る。
【0031】導電性膜4としては、良好な電子放出特性
を得るために、微粒子で構成された微粒子膜が特に好ま
しい。またその膜厚は、素子電極2、3へのステップカ
バレージ、素子電極間の抵抗値、および後述するフォー
ミング処理条件等を考慮して適宜設定されるが、好まし
くは数Åから数千Åであり、特に好ましくは10Åから
500Åの範囲とするのが良い。そのシート抵抗値は、
好ましくは103〜107Ω/□である。
【0032】なお、ここで述べる微粒子膜とは、複数の
微粒子が集合した膜であり、その微細構造として、微粒
子が個々に分散配置した状態のみならず、微粒子が互い
に隣接あるいは重なり合った状態(島状も含む)の膜を
指しており、微粒子の粒径は、数Å〜数千Å、好ましく
は10Å〜200Åである。
【0033】電子放出部5は、例えば以下に説明するよ
うな通電処理(フォーミング処理によって形成すること
ができる。
【0034】所定の真空度のもとで素子電極2,3間に
不図示の電源より通電すると、導電性膜4の部位に、構
造の変化した間隙(亀裂)が形成される。この間隙領域
が電子放出部5を構成する。尚、このフォーミングによ
り形成した間隙付近からも、所定の電圧下では電子放出
が起こるが、この状態ではまだ電子放出効率が非常に低
いものである。
【0035】通電フォーミングの電圧波形の例を図8に
示す。電圧波形は、特にパルス波形が好ましい。これに
はパルス波高値を定電圧としたパルスを連続的に印加す
る図8(a)に示した手法と、パルス波高値を増加させ
ながらパルスを印加する図8(b)に示した手法があ
る。
【0036】まず、パルス波高値を定電圧とした場合に
ついて図8(a)で説明する。図8(a)におけるT1
及びT2は電圧波形のパルス幅とパルス間隔である。通
常、T1は1μ秒〜10m秒、T2は10μ秒〜100
m秒の範囲で設定される。三角波の波高値(通電フォー
ミング時のピーク電圧)は、電子放出素子の形態に応じ
て適宜選択される。このような条件のもと、例えば、数
秒から数十分間電圧を印加する。パルス波形は、三角波
に限定されるものではなく、矩形波等の所望の波形を採
用することができる。
【0037】次に、パルス波高値を増加させながら電圧
パルスを印加する場合について図8(b)で説明する。
図8(b)におけるT1及びT2は、図8(a)に示し
たのと同様とすることができる。三角波の波高値(通電
フォーミング時のピーク電圧)は、例えば0.1Vステ
ップ程度づつ、増加させることができる。
【0038】通電フォーミング処理の終了は、パルス電
圧印加中の素子に流れる電流を測定して抵抗値を求め
て、例えば1MΩ以上の抵抗を示した時に通電フォーミ
ングを終了させることができる。
【0039】先に述べたように、この状態では電子発生
効率は非常に低いものである。よって電子放出効率を上
げるために、上記素子に活性化と呼ばれる処理を行うこ
とが望ましい。
【0040】この活性化処理は、有機化合物が存在する
適当な真空度のもとで、パルス電圧を素子電極2,3間
に繰り返し印加することによって行うことができる。そ
して炭素原子を含むガスを導入し、それに由来する炭素
あるいは炭素化合物を、前記間隙(亀裂)近傍にカーボ
ン膜として堆積させる。
【0041】本工程の一例を説明すると、例えばカーボ
ン源としてトルニトリルを用い、スローリークバルブを
通して真空空間内に導入し、1.3×10-4Pa程度を
維持する。導入するトルニトリルの圧力は、真空装置の
形状や真空装置に使用している部材等によって若干影響
されるが、1×10-5Pa〜1×10-2Pa程度が好適
である。
【0042】図9に、活性化工程で用いられる電圧印加
の好ましい一例を示した。印加する最大電圧値は、10
〜20Vの範囲で適宜選択される。
【0043】図9(a)に於いて、T1は電圧波形の正
と負のパルス幅、T2はパルス間隔であり、電圧値は正
負の絶対値が等しく設定されている。また、図9(b)
に於いて、T1およびT1’はそれぞれ電圧波形の正と
負のパルス幅、T2はパルス間隔であり、T1>T
1’、電圧値は正負の絶対値が等しく設定されている。
【0044】このとき、約60分後に放出電流Ieがほ
ぼ飽和に達した時点で通電を停止し、スローリークバル
ブを閉め、活性化処理を終了する。
【0045】以上の工程により図1に示したような電子
放出素子を作製することができる。
【0046】上述のような素子構成と製造方法によって
作製された電子放出素子の基本特性について図10、図
11を用いて説明する。
【0047】図10は、前述した構成を有する電子放出
素子の電子放出特性を測定するための測定評価装置の概
略図である。図10において、51は素子に素子電圧V
fを印加するための電源、50は素子の電極部を流れる
素子電流Ifを測定するための電流計、54は素子の電
子放出部より放出される放出電流Ieを捕捉するための
アノード電極、53はアノード電極54に電圧を印加す
るための高圧電源、52は素子の電子放出部より放出さ
れる放出電流Ieを測定するための電流計である。
【0048】電子放出素子の素子電極2,3間を流れる
素子電流If、及びアノードへの放出電流Ieの測定に
あたっては、素子電極2,3に電源51と電流計50と
を接続し、該電子放出素子の上方に電源53と電流計5
2とを接続したアノード電極54を配置している。
【0049】また、本電子放出素子およびアノード電極
54は真空装置55内に設置され、その真空装置には排
気ポンプ56および真空計等の真空装置に必要な機器が
具備されており、所望の真空下で本素子の測定評価を行
えるようになっている。なお、アノード電極54の電圧
は1kV〜10kV、アノード電極と電子放出素子との
距離Hは2mm〜8mmの範囲で測定した。
【0050】図10に示した測定評価装置により測定さ
れた放出電流Ieおよび素子電流Ifと素子電圧Vfの
関係の典型的な例を図11に示す。なお、放出電流Ie
と素子電流Ifは大きさが著しく異なるが、図11では
If、Ieの変化の定性的な比較検討のために、リニア
スケールで縦軸を任意単位で表記した。
【0051】本電子放出素子は放出電流Ieに対する三
つの特徴を有する。
【0052】まず第一に、図11からも明らかなよう
に、本素子はある電圧(しきい値電圧と呼ぶ、図11中
のVth)以上の素子電圧を印加すると急激に放出電流
Ieが増加し、一方しきい値電圧Vth以下では放出電
流Ieがほとんど検出されない。すなわち、放出電流I
eに対する明確なしきい値電圧Vthを持った非線形素
子としての特性を示しているのが判る。
【0053】第二に、放出電流Ieが素子電圧Vfに依
存するため、放出電流Ieは素子電圧Vfで制御でき
る。
【0054】第三に、アノード電極54に捕捉される放
出電荷は、素子電圧Vfを印加する時間に依存する。す
なわち、アノード電極54に捕捉される電荷量は、素子
電圧Vfを印加する時間により制御できる。
【0055】次に、本発明に係る電子源基板及び画像形
成装置について説明する。
【0056】図2は、本発明に係る電子源基板の一実施
形態を示す模式図である(尚、図2はフォーミング処理
前の状態を示している。)。図2中、21は基板、22
は第2の絶縁層、23は列方向配線(下配線)、24は
帯状絶縁層、25は行方向配線(上配線)である。尚、
2と3は素子電極、4は導電性膜である。
【0057】本例の電子源基板は、基板21上に、複数
の電子放出素子をマトリクス状に配線接続してなり、各
電子放出素子の構成は図1と概ね同様である。
【0058】本例の電子源基板は、基板21上に、複数
の列方向配線23と、該列方向配線23の上に帯状絶縁
層24を介して複数の行方向配線25が形成され、該両
方向配線の交差部近傍にそれぞれ、電極対(素子電極
2,3)を含む電子放出素子が配設され、該電極対の一
方(素子電極3)が列方向配線23と、他方(素子電極
2)が帯状絶縁層24に設けられた開口部(図5の符号
26)を介して行方向配線25と接続された構成を有し
ている。
【0059】本発明においては、行方向配線25に接続
される素子電極2は、行方向配線25に沿って複数の電
子放出素子分が共通の電極で形成され(図3参照)、こ
の共通の電極の少なくとも列方向配線23との交差部に
は第2の絶縁層22が形成される。かかる構成によれ
ば、帯状絶縁層24のコンタクトホール部分(図5の開
口部26)が印刷時のペーストのダレにより部分的に塞
がれてしまった場合にも、素子電極2は複数の電子放出
素子分が電気的に導通するように共通の電極で形成され
ているため、極めて高い確実性をもって全ての素子電極
2が所定の行方向配線25と電気的に接続される。
【0060】上記のような単純マトリクス配置の電子源
基板を用いた画像形成装置の一例について、図12を用
いて説明する。
【0061】図12において、21は上記の電子源基
板、82はガラス基板83の内面に蛍光膜84とメタル
バック85等が形成されたフェースプレート、86は支
持枠である。電子源基板21、支持枠86及びフェース
プレート82をフリットガラスによって接着し、400
〜500℃で、10分以上焼成することで、封着して、
外囲器90を構成する。
【0062】尚、フェースプレート82と電子源基板2
1との間に、スペーサーと呼ばれる不図示の支持体を設
置することにより、大面積パネルの場合にも大気圧に対
して十分な強度を持つ外囲器90を構成することもでき
る。
【0063】図13はフェースプレート82上に設ける
蛍光膜84の説明図である。蛍光膜84は、モノクロー
ムの場合は蛍光体のみから成るが、カラーの蛍光膜の場
合は、蛍光体の配列によりブラックストライプあるいは
ブラックマトリクスなどと呼ばれる黒色導電体91と蛍
光体92とで構成される。ブラックストライプ、ブラッ
クマトリクスが設けられる目的は、カラー表示の場合必
要となる三原色蛍光体の、各蛍光体92間の塗り分け部
を黒くすることで混色等を目立たなくすることと、蛍光
膜84における外光反射によるコントラストの低下を抑
制することである。
【0064】また、蛍光膜84の内面側には通常メタル
バック85が設けられる。メタルバックの目的は、蛍光
体の発光のうち内面側への光をフェースプレート82側
へ鏡面反射することにより輝度を向上すること、電子ビ
ーム加速電圧を印加するためのアノード電極として作用
すること等である。メタルバックは、蛍光膜作製後、蛍
光膜の内面側表面の平滑化処理(通常フィルミングと呼
ばれる)を行い、その後Alを真空蒸着等で堆積するこ
とで作製できる。
【0065】前述の封着を行う際、カラーの場合は各色
蛍光体と電子放出素子とを対応させなくてはいけないた
め、上下基板の突き当て法などで十分な位置合わせを行
う必要がある。
【0066】封着時の真空度は10-5Pa程度の真空度
が要求される他、外囲器90の封止後の真空度を維持す
るために、ゲッター処理を行なう場合もある。これは、
外囲器90の封止を行なう直前あるいは封止後に、抵抗
加熱あるいは高周波加熱等の加熱法により、外囲器内の
所定の位置(不図示)に配置されたゲッターを加熱し、
蒸着膜を形成する処理である。ゲッターは通常Ba等が
主成分であり、該蒸着膜の吸着作用により、真空度を維
持するものである。
【0067】前述した本発明に係る表面伝導型電子放出
素子の基本的特性によれば、電子放出部からの放出電子
は、しきい値電圧以上では対向する電極間に印加するパ
ルス状電圧の波高値と巾によって制御され、その中間値
によっても電流量が制御され、もって中間調表示が可能
になる。
【0068】また多数の電子放出素子を配置した場合に
おいては、各ラインの走査線信号によって選択ラインを
決め、各情報信号ラインを通じて個々の素子に上記パル
ス状電圧を適宜印加すれば、任意の素子に適宜電圧を印
加する事が可能となり、各素子をONすることができ
る。
【0069】また中間調を有する入力信号に応じて電子
放出素子を変調する方式としては、電圧変調方式、パル
ス幅変調方式が挙げられる。
【0070】以下に具体的な駆動装置について説明す
る。
【0071】単純マトリクス配置の電子源基板を用いて
構成した表示パネルを利用した、NTSC方式のテレビ
信号に基づいたテレビジョン表示用の画像形成装置の構
成例を、図14に示す。
【0072】図14において、101は図12に示した
ような画像表示パネル、102は走査回路、103は制
御回路、104はシフトレジスタ、105はラインメモ
リ、106は同期信号分離回路、107は情報信号発生
器、Vaは直流電圧源である。
【0073】電子源基板を用いた画像表示パネル101
のX方向配線には、走査線信号を印加するXドライバー
の走査回路102が、Y配線には情報信号が印加される
Yドライバーの情報信号発生器107が接続されてい
る。
【0074】電圧変調方式を実施するには、情報信号発
生器107として、一定の長さの電圧パルスを発生する
が入力されるデータに応じて、適宜パルスの波高値を変
調するような回路を用いる。また、パルス幅変調方式を
実施するには、情報信号発生器107としては、一定の
波高値の電圧パルスを発生するが入力されるデータに応
じて、適宜電圧パルスの幅を変調するような回路を用い
る。
【0075】制御回路103は、同期信号分離回路10
6より送られる同期信号Tsyncに基づいて、各部に
対してTscan,Tsft及びTmryの各制御信号
を発生する。
【0076】同期信号分離回路106は、外部から入力
されるNTSC方式のテレビ信号から、同期信号成分と
輝度信号成分とを分離するための回路である。この輝度
信号成分は、同期信号に同期してシフトレジスタ104
に入力される。
【0077】シフトレジスタ104は、時系列的にシリ
アルに入力される前記輝度信号を、画像の1ライン毎に
シリアル/パラレル変換して、制御回路103より送ら
れるシフトクロックTsftに基づいて動作する。シリ
アル/パラレル変換された画像1ライン分のデータ(電
子放出素子n素子分の駆動データに相当)は、n個の並
列信号として前記シフトレジスタ104より出力され
る。
【0078】ラインメモリ105は、画像1ライン分の
データを必要時間の間だけ記憶する為の記憶装置であ
り、記憶された内容は、情報信号発生器107に入力さ
れる。
【0079】情報信号発生器107は、各々の輝度信号
に応じて、電子放出素子の各々を適切に駆動する為の信
号源であり、その出力信号はY方向配線を通じて表示パ
ネル101内に入り、走査回路102によって選択中の
X方向配線との交点にある各々の電子放出素子に印加さ
れる。
【0080】X方向配線を順次走査する事によって、パ
ネル全面の電子放出素子を駆動する事が可能になる。
【0081】以上のように本発明による画像形成装置に
おいて、各電子放出素子にXY方向配線を通じ、電圧を
印加することにより電子放出させ、直流電圧源Vaに接
続された高圧端子Hvを通じ、アノード電極であるメタ
ルバック85に高圧を印加し、発生した電子ビームを加
速し、蛍光膜84に衝突させることによって、画像を表
示することができる。
【0082】ここで述べた画像形成装置の構成は、本発
明の画像形成装置の一例であり、本発明の技術思想に基
づいて種々の変形が可能である。入力信号についてはN
TSC方式を挙げたが、入力信号はこれに限られるもの
ではなく、PAL、HDTVなどでも同じである。
【0083】
【実施例】以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳し
く説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもの
ではなく、本発明の目的が達成される範囲内での各要素
の置換や設計変更がなされたものをも包含する。
【0084】(実施例1)本実施例は、図2に示したよ
うな電子源基板を製造した例である。以下、本実施例の
電子源基板の製造方法を、図2乃至図7を参照しつつ説
明する。
【0085】[素子電極の形成]基板21としてアルカ
リ成分が少ないPD−200(旭硝子(株)製)の2.
8mm厚ガラス上にナトリウムブロック層としてSiO
2膜100nmを塗付焼成したものを用いた。
【0086】このガラス基板21上に、スパッタ法によ
ってまず下引き層としてチタニウムTi(厚さ5n
m)、その上に白金Pt(厚さ40nm)を成膜した
後、ホトレジストを塗布し、露光、現像、エッチングと
いう一連のフォトリソグラフィー法によってパターニン
グして素子電極2,3を形成した。このとき、後述の行
方向配線(上配線)25と接続する素子電極2は、行方
向配線25に沿って、100素子分が電気的に導通する
ように共通で設置した(図3参照)。なお、本実施例で
は素子電極の間隔L=10μm、対応する長さW=10
0μmとした。
【0087】[第2の絶縁層の形成]次に、共通の電極
として形成した素子電極2と後で形成する列方向配線
(下配線)23との交差部を完全に覆うように、交差部
より少し大きいドット状の絶縁層(第2の絶縁層)22
を形成した(図3参照)。具体的には、SiO2を主成
分とする溶液をオフセット印刷によりドット状に形成し
た後、480℃前後の温度で焼成した。この第2の絶縁
層22の厚みは、300nmである。
【0088】[下配線の形成]共通配線としての列方向
配線(下配線)23は、一方の素子電極3に接して、か
つそれらを連結するようにライン状のパターンで形成し
た。材料にはAgフォトぺーストインキを用い、スクリ
ーン印刷した後、乾燥させてから、所定のパターンに露
光し現像した。この後480℃前後の温度で焼成して下
配線23を形成した(図4参照)。この下配線23の厚
さは約10μm、幅は約50μmである。なお終端部は
配線取り出し電極として使うために、線幅をより大きく
した。
【0089】[マトリクス配線部の帯状絶縁層の形成]
上下配線を絶縁するために、帯状絶縁層24を形成す
る。後述の行方向配線(上配線)下に、先に形成した列
方向配線(下配線)23との交差部を覆うように、かつ
行方向配線(上配線)と素子電極2との電気的接続が可
能なように、各素子に対応した接続部にコンタクトホー
ル26を開けて形成した(図5参照)。
【0090】具体的には、PbOを主成分とする感光性
のガラスペーストをスクリーン印刷した後、露光−現像
した。これを4回繰り返し、最後に480℃前後の温度
で焼成した。この帯状絶縁層24の厚みは、全体で約3
0μmであり、幅は150μmである。また、コンタク
トホールである開口部26の大きさは、少なくとも上下
配線の絶縁性を損なわない様に横50μm・縦100μ
mの大きさとした。
【0091】[上配線の形成]先に形成した帯状絶縁層
24の上に、Agぺーストインキをスクリーン印刷した
後乾燥させ、この上に再度同様なことを行い2度塗りし
てから、480℃前後の温度で焼成して行方向配線(上
配線)25を形成した(図6参照)。行方向配線25
は、帯状絶縁層24を挟んで列方向配線23と交差して
おり、帯状絶縁層24に設けたコンタクトホール26部
分で素子電極2と接続されている。
【0092】このとき帯状絶縁層24のコンタクトホー
ル26部分の形成不良や、この後も含む加熱工程時に各
層の熱収縮率の相違等から生じる応力のため、行方向配
線(上配線)25と素子電極2の接続部で剥離による接
触不良が発生する場合がある。しかしながら、本実施例
では、素子電極2を行方向配線25に沿って100素子
分電気的に導通するように共通で設置してあるので、全
ての素子電極2は行方向配線(上配線)25とほぼ完全
に連結される。
【0093】この行方向配線25は電気駆動時は走査電
極として作用する。尚、行方向配線25の厚さは約15
μmである。図示していないが、外部駆動回路への引出
し端子もこれと同様の方法で形成した。
【0094】このようにしてXYマトリクス配線を有す
る基板が形成された。
【0095】次に、上記基板を十分にクリーニングした
後、撥水剤を含む溶液で表面を処理し、表面が疎水性に
なるようにした。これはこの後塗布する導電性膜形成用
の水溶液が、素子電極上に適度な広がりをもって配置さ
れるようにするためである。
【0096】[導電性膜の形成]次に、素子電極2,3
間に導電性膜4を形成した。本工程を図7の模式図を用
いて説明する。尚、基板21上における個々の素子電極
の平面的ばらつきを補償するために、基板上の数箇所に
於いてパターンの配置ずれを観測し、観測点間のポイン
トのずれ量は直線近似して位置補完し、導電性膜形成材
料を塗付する事によって、全画素の位置ずれをなくし
て、対応した位置に的確に塗付するようにした。
【0097】本実施例では、導電性膜4としてパラジウ
ム膜を得る目的で、先ず水85:イソプロピルアルコー
ル(IPA)15からなる水溶液に、パラジウム−プロ
リン錯体0.15重量%を溶解し、有機パラジウム含有
溶液を得た。この他若干の添加剤を加えた。この溶液の
液滴を、液滴付与手段71として、ピエゾ素子を用いた
インクジェット噴射装置を用い、ドット径が60μmと
なるように調整して素子電極間に付与した(図7
(a))。
【0098】その後、この基板を空気中にて、350℃
で10分間の加熱焼成処理をして酸化パラジウム(Pd
O)からなる導電性膜4’が形成された(図7
(b))。
【0099】[フォーミング工程]次に、フォーミング
と呼ばれる本工程に於いて、上記導電性膜4’を通電処
理して内部に亀裂を生じさせ、電子放出部5を形成する
(図7(c))。
【0100】具体的な方法は、上記基板21の周囲の取
り出し電極部を残して、基板全体を覆うようにフード状
の蓋をかぶせて基板21との間で内部に真空空間を作
り、外部電源より電極端子部から両方向配線23,25
間に電圧を印加し、素子電極2,3間に通電することに
よって、導電性膜4’を局所的に破壊、変形もしくは変
質させることにより、電気的に高抵抗な状態の電子放出
部5を形成する。
【0101】この時若干の水素ガスを含む真空雰囲気下
で通電加熱すると、水素によって還元が促進され酸化パ
ラジウムPdOからなる導電性膜4’がパラジウムPd
からなる導電性膜4に変化する。
【0102】フォーミング処理に用いた電圧波形は図8
(b)の様な矩形パルス波形を用い、T1を0.1ms
ec、T2を50msecとした。印加した電圧は0.
1Vから始めて5秒ごとに0.1Vステップ程度ずつ増
加させた。通電フォーミング処理の終了は、パルス電圧
印加時に素子に流れる電流を測定して抵抗値を求めて、
1MΩ以上の抵抗を示した時に通電フォーミングを終了
した。
【0103】[活性化工程]前記のフォーミングと同様
にフード状の蓋をかぶせて基板21との間で内部に真空
空間を作り、外部から両方向配線23,25を通じてパ
ルス電圧を電極3a,3bに繰り返し印加することによ
って行う。そして炭素原子を含むガスを導入し、それに
由来する炭素あるいは炭素化合物を、前記亀裂近傍にカ
ーボン膜として堆積させる。
【0104】本工程ではカーボン源としてトリニトリル
を用い、スローリークバルブを通して真空空間内に導入
し、1.3×10-4Paを維持した。
【0105】図9に、活性化工程で用いられる電圧印加
の好ましい一例を示した。印加する最大電圧値は、10
〜20Vの範囲で適宜選択される。
【0106】図9(a)に於いて、T1は電圧波形の正
と負のパルス幅、T2はパルス間隔であり、電圧値は正
負の絶対値が等しく設定されている。また、図9(b)
に於いて、T1およびT1’はそれぞれ電圧波形の正と
負のパルス幅、T2はパルス間隔であり、T1>T
1’、電圧値は正負の絶対値が等しく設定されている。
【0107】本実施例では、約60分後に放出電流Ie
がほぼ飽和に達した時点で通電を停止し、スローリーク
バルブを閉め、活性化処理を終了した。
【0108】以上の工程で、基板上に多数の電子放出素
子をマトリクス配線接続してなる電子源基板を作成する
ことができた。
【0109】次に、以上のようにして製造した単純マト
リクス配置の電子源基板を用いて図12に示したような
画像形成装置(表示パネル)を製造した。尚、図12は
内部を表現するために部分的に切り欠いて表している。
【0110】図12において、21は上記の電子源基
板、82はガラス基板83の内面に蛍光膜84とメタル
バック85等が形成されたフェースプレート、86は支
持枠である。電子源基板21、支持枠86及びフェース
プレート82をフリットガラスによって接着し、480
℃で、30分焼成することで、封着して、外囲器90を
得た。
【0111】このようにして図12に示されるような表
示パネルを製造し、図14の走査回路・制御回路・変調
回路・直流電圧源などからなる駆動回路を接続し、パネ
ル状の画像形成装置を製造した。
【0112】行方向端子と列方向端子を通じて、各電子
放出素子に時分割で所定電圧を印加し、高電圧端子Hv
を通じてメタルバック85に高電圧を印加することによ
って、任意のマトリクス画像パターンを画素欠陥の無い
良好な画像品質で表示することができた。
【0113】(実施例2)本実施例は、図2に示したよ
うな電子源基板を製造した例である。以下、本実施例の
電子源基板の製造方法を説明する。
【0114】[素子電極の形成]基板21としてアルカ
リ成分が少ないPD−200(旭硝子(株)製)の2.
8mm厚ガラス上にナトリウムブロック層としてSiO
2膜100nmを塗付焼成したものを用いた。
【0115】このガラス基板21上に、白金Ptを含有
する感光性ペーストを、印刷法で領域全体に厚さ100
nmで塗布し、図3と同様のパターン形状を有するフォ
トマスクを用いて露光、現像した後、500℃前後の温
度で焼成し、素子電極2,3を形成した。このとき、後
述の行方向配線(上配線)25と接続する素子電極2
は、行方向配線25に沿って、100素子分が電気的に
導通するように共通で設置した(図3参照)。本実施例
においても素子電極の間隔L=10μm、対応する長さ
W=100μmとした。
【0116】[第2の絶縁層の形成]次に、共通の電極
として形成した素子電極2と後で形成する列方向配線
(下配線)23との交差部を完全に覆うように、交差部
より少し大きいドット状の絶縁層(第2の絶縁層)22
を形成した(図3参照)。具体的には、PbOを主成分
とするガラスペーストを該ドットの形状を有するスクリ
ーン版を介して印刷した後、480℃前後の温度で焼成
した。この第2の絶縁層22の厚みは、10μmであ
る。
【0117】[下配線の形成]本実施例での列方向配線
(下配線23)も、実施例1と同様に、一方の素子電極
3に接して、かつそれらを連結するようにライン状のパ
ターンで形成した(図4参照)。
【0118】具体的には、Agぺーストインキを用い、
所定のパターンのスクリーン版を介してスクリーン印刷
した後、乾燥させてから、480℃前後の温度で焼成す
ることを、2回繰り返して列方向配線23を形成した。
この下配線23の厚さは約10μm、幅は約80μmで
ある。なお終端部は配線取り出し電極として使うため
に、線幅をより大きくした。
【0119】[マトリクス配線部の帯状絶縁層の形成]
上下配線を絶縁するために、帯状絶縁層24を形成す
る。後述の行方向配線(上配線)下に、先に形成した列
方向配線(下配線)23との交差部を覆うように、かつ
行方向配線(上配線)と素子電極2との電気的接続が可
能なように、各素子に対応した接続部にコンタクトホー
ル26’を開けて形成した(図15参照)。
【0120】具体的には、PbOを主成分とするガラス
ペーストを所定のパターンのスクリーン版を介してスク
リーン印刷した後、乾燥させてから、480℃前後の温
度で焼成することを、4回繰り返して帯状絶縁層24を
形成した。この帯状絶縁層24の厚みは、全体で約30
μmであり、幅は150μmである。尚、帯状絶縁層2
4は図15に示す様に櫛刃形状とし、コンタクトホール
である開口部26’は横50μm・縦100μmの大き
さとした。
【0121】このように形成した帯状絶縁層24では、
印刷時のペーストのダレにより多少開口部が塞がれてし
まっている部分もみうけられた。
【0122】[上配線の形成]先に形成した帯状絶縁層
24の上に、Agぺーストインキをスクリーン印刷した
後乾燥させ、この上に再度同様なことを行い2度塗りし
てから、480℃前後の温度で焼成して行方向配線(上
配線)25を形成した(図6参照)。行方向配線25
は、帯状絶縁層24を挟んで列方向配線23と交差して
おり、帯状絶縁層24に設けたコンタクトホール26部
分で素子電極2と接続されている。このとき帯状絶縁層
24のコンタクトホール26’部分は、印刷時のペース
トのダレにより開口部が塞がれてしまっている部分等に
より、行方向配線(上配線)25と素子電極2の接続部
で剥離による接触不良が発生する場合がある。しかしな
がら、本実施例では、素子電極2を行方向配線25に沿
って100素子分電気的に導通するように共通で設置し
てあるので、全ての素子電極2は行方向配線(上配線)
25とほぼ完全に連結される。
【0123】この行方向配線25は電気駆動時は走査電
極として作用する。尚、行方向配線25の厚さは約15
μmである。図示していないが、外部駆動回路への引出
し端子もこれと同様の方法で形成した。
【0124】このようにしてXYマトリクス配線を有す
る基板が形成された。
【0125】以下実施例1と同様に、[導電性膜の形
成]、[フォーミング工程]及び[活性化工程]を行
い、基板上に多数の電子放出素子をマトリクス配線接続
してなる電子源基板を作成することができた。
【0126】次に、以上のようにして製造した単純マト
リクス配置の電子源基板を用いて、実施例1と同様に図
12に示したような画像形成装置(表示パネル)を製造
した。
【0127】行方向端子と列方向端子を通じて、各電子
放出素子に時分割で所定電圧を印加し、高電圧端子Hv
を通じてメタルバック85に高電圧を印加することによ
って、任意のマトリクス画像パターンを画素欠陥の無い
良好な画像品質で表示することができた。
【0128】(比較例1)本比較例は、[素子電極の形
成]を以下のようにして行い、[第2の絶縁層の形成]
を行わなかった以外は、実施例1と同様にして電子源基
板を製造した。
【0129】[素子電極の形成]基板21としてアルカ
リ成分が少ないPD−200(旭硝子(株)製)の2.
8mm厚ガラス上にナトリウムブロック層としてSiO
2膜100nmを塗付焼成したものを用いた。
【0130】このガラス基板21上に、スパッタ法によ
ってまず下引き層としてチタニウムTi(厚さ5n
m)、その上に白金Pt(厚さ40nm)を成膜した
後、ホトレジストを塗布し、露光、現像、エッチングと
いう一連のフォトリソグラフィー法によってパターニン
グして、図16に示すような素子電極2,3を形成し
た。このように素子電極2,3は各素子毎に独立して形
成してある。
【0131】次に、以上のようにして製造した単純マト
リクス配置の電子源基板を用いて、実施例1と同様に図
12に示したような画像形成装置(表示パネル)を製造
した。
【0132】行方向端子と列方向端子を通じて、各電子
放出素子に時分割で所定電圧を印加し、高電圧端子Hv
を通じてメタルバック85に高電圧を印加したところ、
給電不可による画素欠陥が観察された。
【0133】(比較例2)本比較例は、[素子電極の形
成]を以下のようにして行い、[第2の絶縁層の形成]
を行わなかった以外は、実施例2と同様にして電子源基
板を製造した。
【0134】[素子電極の形成]基板21としてアルカ
リ成分が少ないPD−200(旭硝子(株)製)の2.
8mm厚ガラス上にナトリウムブロック層としてSiO
2膜100nmを塗付焼成したものを用いた。
【0135】このガラス基板21上に、白金Ptを含有
する感光性ペーストを、印刷法で領域全体に厚さ100
nmで塗布し、図16に示すパターン形状を有するフォ
トマスクを用いて露光、現像した後、500℃前後の温
度で焼成し、素子電極2,3を形成した。このように素
子電極2,3は各素子毎に独立して形成してある。
【0136】次に、以上のようにして製造した単純マト
リクス配置の電子源基板を用いて、実施例1と同様に図
12に示したような画像形成装置(表示パネル)を製造
した。
【0137】行方向端子と列方向端子を通じて、各電子
放出素子に時分割で所定電圧を印加し、高電圧端子Hv
を通じてメタルバック85に高電圧を印加したところ、
給電不可による画素欠陥が観察された。
【0138】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
電子源基板形成において、配線形成時の素子電極との電
気的接続部分の信頼性向上の飛躍的な向上が可能とな
る。また、かかる電子源基板を用いて構成された画像形
成装置においては、より高密度な画素配列にでも、画素
欠陥の殆どない、非常に高品位な画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子放出素子の一構成例を模式的
に示す平面図及び断面図である。
【図2】本発明に係る電子源基板の一構成例を模式的に
示す平面図である。
【図3】本発明の実施例1に係る電子源基板の製造工程
を説明するための図である。
【図4】本発明の実施例1に係る電子源基板の製造工程
を説明するための図である。
【図5】本発明の実施例1に係る電子源基板の製造工程
を説明するための図である。
【図6】本発明の実施例1に係る電子源基板の製造工程
を説明するための図である。
【図7】本発明の実施例1に係る電子源基板の製造工程
を説明するための図である。
【図8】フォーミング電圧の例を示す図である。
【図9】活性化電圧の例を示す図である。
【図10】本発明に係る電子放出素子の特性を測定する
ための装置を模式的に示す図である。
【図11】本発明に係る表面伝導型電子放出素子の素子
電流及び放出電流と素子電圧との関係を示す図である。
【図12】本発明に係る画像形成装置の一構成例を模式
的に示す斜視図である。
【図13】本発明に係る画像形成装置における蛍光膜の
例を模式的に示す図である。
【図14】本発明に係る画像形成装置の駆動回路図であ
る。
【図15】本発明の実施例2に係る電子源基板の製造工
程を説明するための図である。
【図16】比較例に係る電子源基板の製造工程を説明す
るための図である。
【符号の説明】
1 基板 2、3 素子電極 4 導電性膜 5 電子放出部 21 電子源基板 22 第2の絶縁層(ドット状の絶縁層) 23 列方向配線(下配線) 24 帯状絶縁層 25 行方向配線(上配線) 26、26’ コンタクトホール(開口部) 50 素子電流Ifを測定するための電流計 51 素子に素子電圧Vfを印加するための電源 52 放出電流Ieを測定するための電流計 53 アノード電極に電圧を印加するための高圧電源 54 放出電流Ieを捕捉するためのアノード電極 55 真空装置 56 排気ポンプ 71 液滴付与手段 83 ガラス基板 84 蛍光膜 85 メタルバック 86 フェースプレート 90、101 外囲器(表示パネル) 91 黒色導電体 92 蛍光体 102 走査回路 103 制御回路 104 シフトレジスタ 105 ラインメモリ 106 同期信号分離回路 107 情報信号発生器

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、複数の列方向配線と、該列方
    向配線の上に帯状絶縁層を介して複数の行方向配線が形
    成され、該両方向配線の交差部近傍にそれぞれ、電極対
    を含む電子放出素子が配設され、該電極対の一方が該列
    方向配線と、他方が該帯状絶縁層に設けられた開口部を
    介して該行方向配線と接続された構成を有する電子源基
    板において、 前記行方向配線に接続される電極は、該行方向配線に沿
    って複数の電子放出素子分が共通の電極で形成され、該
    共通の電極の少なくとも前記列方向配線との交差部には
    第2の絶縁層が形成されていることを特徴とする電子源
    基板。
  2. 【請求項2】 前記電子放出素子が、表面伝導型電子放
    出素子であることを特徴とする請求項1に記載の電子源
    基板。
  3. 【請求項3】 前記行方向配線、列方向配線、帯状絶縁
    層のうち少なくとも一つがスクリーン印刷法によって形
    成されたものであることを特徴とする請求項1又は2に
    記載の電子源基板。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の電子
    源基板と、画像が形成される領域を備えた基板とが支持
    枠を介して対向し、該両基板の間の空間が減圧状態とな
    っており、前記電子源基板に画像形成用の駆動回路が接
    続されていることを特徴とする画像形成装置。
  5. 【請求項5】 基板上に、複数の列方向配線と、該列方
    向配線の上に帯状絶縁層を介して複数の行方向配線が形
    成され、該両方向配線の交差部近傍にそれぞれ、電極対
    を含む電子放出素子が配設され、該電極対の一方が該列
    方向配線と、他方が該帯状絶縁層に設けられた開口部を
    介して該行方向配線と接続された構成を有する電子源基
    板の製造方法において、 1)前記基板上に、前記列方向配線に接続される一方の
    電極を形成すると共に、前記行方向配線に接続される他
    方の電極を、該行方向配線に沿って複数の電子放出素子
    分を共通の電極として形成する工程、 2)前記共通の電極の少なくとも前記列方向配線との交
    差部となる部分に絶縁層を形成する工程、 3)前記複数の列方向配線を形成する工程、 4)前記電極対の一方の電極と前記列方向配線とを接続
    する工程、 5)前記共通の電極上を通り、一部に開口部を有し、前
    記列方向配線に直交する帯状絶縁層を形成する工程、 6)前記帯状絶縁層上に、該帯状絶縁層の幅より小さい
    幅で、前記行方向配線を形成する工程、 7)前記行方向配線と、前記共通の電極とを接続する工
    程、 8)前記電極対に基づいて電子放出素子を形成する工
    程、を含むことを特徴とする電子源基板の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記列方向配線を、前記電極対の一方の
    電極と接続する位置に形成し、前記3)および前記4)
    の工程を同時に行なうことを特徴とする請求項5に記載
    の電子源基板の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記帯状絶縁層の一部に設けた開口部を
    介して前記6)および前記7)の工程を同時に行うこと
    を特徴とする請求項5又は6に記載の電子源基板の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 前記電子放出素子を、表面伝導型電子放
    出素子とすることを特徴とする請求項5乃至7のいずれ
    かに記載の電子源基板の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記行方向配線、列方向配線、帯状絶縁
    層のうち少なくとも一つをスクリーン印刷法によって形
    成することを特徴とする請求項5乃至8のいずれかに記
    載の電子源基板の製造方法。
  10. 【請求項10】 電子源基板と、画像が形成される領域
    を備えた基板とが支持枠を介して対向し、該両基板の間
    の空間が減圧状態となっており、前記電子源基板に画像
    形成用の駆動回路が接続された構成を有する画像形成装
    置の製造方法において、前記電子源基板を、請求項5乃
    至9のいずれかに記載の製造方法によって製造すること
    を特徴とする画像形成装置の製造方法。
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