JP2003034220A - エアバッグ装置 - Google Patents

エアバッグ装置

Info

Publication number
JP2003034220A
JP2003034220A JP2001220382A JP2001220382A JP2003034220A JP 2003034220 A JP2003034220 A JP 2003034220A JP 2001220382 A JP2001220382 A JP 2001220382A JP 2001220382 A JP2001220382 A JP 2001220382A JP 2003034220 A JP2003034220 A JP 2003034220A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas
airbag
inflator
air bag
expansion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2001220382A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazutoshi Hayashi
量敏 林
Susumu Koyama
享 小山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyoda Gosei Co Ltd
Original Assignee
Toyoda Gosei Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyoda Gosei Co Ltd filed Critical Toyoda Gosei Co Ltd
Priority to JP2001220382A priority Critical patent/JP2003034220A/ja
Publication of JP2003034220A publication Critical patent/JP2003034220A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】エアバッグに対するダメージを抑えて、展開膨
張したエアバッグの内圧を長時間保持可能なエアバッグ
装置を提供すること。 【解決手段】展開膨張可能に折り畳まれて車両に収納さ
れるエアバッグ11と、エアバッグ11に接続されてエ
アバッグ11内に膨張用ガスを供給するインフレーター
32と、を備えるエアバッグ装置。インフレーター32
が、エアバッグ11を展開膨張させるための膨張用ガス
として、少なくとも、ヘリウムガスとアルゴンガスとを
含有させた混合ガスを、ガス貯蔵室33内に封入させて
構成される。ガス貯蔵室33における膨張用ガスの封入
圧力は45MPa以上である。ヘリウムガス及びアルゴ
ンガスが、膨張用ガスの総量に対して、それぞれ、30
mol%以上配合されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、展開膨張可能に折
り畳まれて車両に収納されるエアバッグと、エアバッグ
に接続されてエアバッグ内に膨張用ガスを供給するイン
フレーターと、を備えるエアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来、エアバッグとインフレ
ーターとを備えたエアバッグ装置としては、特開平11
−208410号公報に示されるようなものがあった。
このエアバッグ装置では、車内側におけるドアや窓部の
上縁側周縁におけるフロントピラー部、ルーフサイドレ
ール部、リヤピラー部にわたって折り畳まれて収納され
て、所要時に乗員の頭部を保護するように展開膨張する
エアバッグと、フロントピラー部付近とリヤピラー部付
近とに配置されて、エアバッグに膨張用ガスを供給する
2つのインフレーターと、を備えて構成されていた。
【0003】上記公報のエアバッグ装置は、エアバッグ
の膨張完了時間を短縮させることを目的としており、フ
ロントピラー部付近とリヤピラー部付近とに配置される
2つのインフレーターから、エアバッグ内に膨張用ガス
を流入させる構成であるため、エアバッグの膨張完了時
間を短縮させることができた。
【0004】しかし、上記公報のエアバッグ装置では、
エアバッグの膨張完了後の内圧保持に改善の余地があっ
た。ちなみに、この対策のために、各インフレーターの
出力を大きくして、エアバッグの内圧を高め、ガス漏れ
が生じても、所定時間経過後の内圧を高く保持させるこ
とが考えられるが、この場合には、膨張完了時の内圧が
高すぎて、エアバッグにダメージ(主にエアバッグの織
布の目ずれ等)を与え、エアバッグからのガス漏れが生
じて、逆に、エアバッグの内圧を保持できない虞れが生
じていた。
【0005】本発明は、上述の課題を解決するものであ
り、エアバッグに対するダメージを抑えて、展開膨張し
たエアバッグの内圧を長時間保持可能なエアバッグ装置
を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係るエアバッグ
装置は、展開膨張可能に折り畳まれて車両に収納される
エアバッグと、エアバッグに接続されてエアバッグ内に
膨張用ガスを供給するインフレーターと、を備えるエア
バッグ装置であって、インフレーターが、エアバッグを
展開膨張させるための膨張用ガスとして、少なくとも、
ヘリウムガスとアルゴンガスとを含有させた混合ガス
を、ガス貯蔵室内に封入させて構成され、ガス貯蔵室に
おける膨張用ガスの封入圧力が、45MPa以上で、ヘ
リウムガス及びアルゴンガスが、膨張用ガスの総量に対
して、それぞれ、30mol%以上配合されていることを
特徴とする。
【0007】インフレーターに封入させる膨張用ガスを
上記のような構成とすれば、インフレーターから吐出さ
れる膨張用ガスで、エアバッグに与えるダメージを抑え
て、かつ、迅速に、エアバッグを展開させることができ
る。また、膨張を略完了させた状態のエアバッグの内圧
を長時間保持することができる。
【0008】従って、本発明のエアバッグ装置では、エ
アバッグに対するダメージを抑えて、展開膨張したエア
バッグの内圧を長時間保持可能である。
【0009】また、膨張用ガスが、ヘリウムガスとアル
ゴンガスとから構成され、ヘリウムガスとアルゴンガス
との配合比率が、モル比で30/70〜70/30の範
囲内に設定されていることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づいて説明する。
【0011】実施形態のエアバッグ装置Mは、頭部保護
用として用いられるものであり、図1に示すように、車
内側におけるドアや窓Wの上縁側周縁におけるフロント
ピラー部FP、ルーフサイドレール部RR、及び、リヤ
ピラー部RPにわたって、折り畳まれて収納されたエア
バッグ11を配設させて構成されている。このエアバッ
グ装置Mは、エアバッグ11の他に、エアバッグ11に
接続されてエアバッグ11に膨張用ガスを供給するイン
フレーター32と、折り畳まれたエアバッグ11を覆う
エアバッグカバー5と、を備えて構成されている。
【0012】エアバッグカバー5は、図1に示すよう
に、フロントピラー部FPに配置されるフロントピラー
ガーニッシュ6とルーフサイドレール部RRに配置され
るルーフヘッドライニング7とのそれぞれの下縁側から
構成されている。なお、フロントピラーガーニッシュ6
とルーフヘッドライニング7とは、合成樹脂製として、
フロントピラー部FPとルーフサイドレール部RRの車
内側におけるボディ1のインナパネル2に取付固定され
ている。また、ルーフヘッドライニング7は、フロント
ピラー部FPの上方付近から、センターピラー部CPの
上方を経て、リヤピラー部RPの上方付近まで、配設さ
れている。
【0013】エアバッグ11は、図4に示すように、イ
ンフレーター32からの膨張用ガスGの流入時に、折り
畳み状態から展開して、窓Wを覆うように展開膨張可能
なエアバッグ本体12と、エアバッグ本体12内に配設
されてインフレーター32からの膨張用ガスGをエアバ
ッグ本体12内に案内するインナチューブ29と、を備
えて構成される。
【0014】エアバッグ本体12は、ポリアミド糸等を
使用した袋織りにより製造されて、車内側壁部13aと
車外側壁部13bとを離すようにして、膨張用ガスGを
内部に流入可能なガス流入部13と、膨張用ガスGを流
入させない非流入部23と、を備えて構成されている。
また、エアバッグ本体12の外表面側には、耐ガス透過
性を向上させるために、シリコン等のコーティング材が
塗布されている。
【0015】ガス流入部13は、実施形態の場合、車両
の前席の側方に配置される前席用流入部15、後席の側
方に配置される後席用流入部18、エアバッグ本体12
の上縁12a側に配置されて内部にインナチューブ29
を配設させるチューブ配設部14、及び、前席用流入部
15の後端下部と後席用流入部18との前端下部とを連
通させる連通流入部21、から構成されている。チュー
ブ配設部14は、後端側に、接続口部14aを備えてい
る。そして、接続口部14aは、エアバッグ本体12か
ら後方に突出するように略円筒形に形成されており、後
述するインフレーター32の接続口部34に対して、ク
ランプ61を利用して連結されることとなる。前席・後
席用流入部15・18は、後述する区画結合部27で区
画されて、車両の前後方向に配置される複数(実施形態
では4個)の膨張部16・19から構成されている。
【0016】非流入部23は、車内側壁部13aと車外
側壁部13bとを結合させたように構成されており、実
施形態の場合、エアバッグ本体12をインナパネル2に
取り付けるための取付部24と、ガス流入部13の周囲
でガス漏れが生じないように密に織成されている周縁結
合部25と、前席・後席用流入部15・18の領域内に
配置される区画結合部27と、板状部28と、から構成
されている。取付部24は、エアバッグ本体12の上縁
12a側から上方に突出するように配置され、インナパ
ネル2に取り付けるための取付ブラケット59が固着さ
れる構成である。また、取付部24には、取付ボルト6
0を挿通させる取付孔24aが形成されている。板状部
28は、エアバッグ本体12の前端側と後端側とに配置
される三角板状部28a・28bと、前席用流入部15
と後席用流入部18との間におけるガス供給路部14と
連通流入部21との間に配置される長方形板状部28c
と、から構成されている。
【0017】インナチューブ29は、円筒状として、エ
アバッグ本体12のチューブ配設部14内に挿入されて
いる。インナチューブ29の後端29aは、インフレー
ター32の接続口部34への外装時に、ずれないよう
に、チューブ配設部14の接続口部14aの内周面側に
熱溶着されている。また、インナチューブ29の前端2
9bは閉塞されている。
【0018】そして、インナチューブ29には、図4に
示すように、前席・後席用流入部15・18における各
膨張部16・19に膨張用ガスを供給可能な複数(実施
形態では8個)の供給口30が設けられている。各供給
口30は、各膨張部16・19の上方に配置される位置
に開口している。
【0019】実施形態のインフレーター32は、作動時
に、ガス発生剤等を利用して高温の膨張用ガスを吐出す
るタイプでなく、封入した膨張用ガスを吐出させるコー
ルドガスタイプのものである。そして、インフレーター
32は、図2・3に示すように、シリンダタイプとして
おり、膨張用ガスGを封入させたガス貯蔵室33と、ガ
ス貯蔵室33の先端側に配置されて先端側にガス吐出口
34aを備える接続口部34と、ガス貯蔵室33と接続
口部34とを連結する連結室35と、膨張用ガスGをガ
ス貯蔵室33から連結室35を経て接続口部34へ流出
可能とする流出手段37と、を備えて構成されている。
接続口部34は筒状に形成されて、先端側をガス吐出口
34aとしている。連結室35は、ガス吐出口34aと
連通する連通孔35aと、ガス貯蔵室33と連通する連
通孔35bと、を備えている。ガス流出手段37は、連
通孔35bをガス貯蔵室33側から閉塞する遮蔽板部3
8と、連結室35の先端側に配置されて、リード線44
からの作動信号入力時に、遮蔽板部38を破壊して連通
孔35bを開状態とする作動装置39と、から構成され
ている。作動装置39には、微量(200〜300mg
程度)の火薬が内蔵されており、作動信号入力時に、火
薬を点火させて遮蔽板部38を破壊し、連通孔35bを
開状態として、膨張用ガスGをガス貯蔵室33から流出
させることとなる。
【0020】連結室35の連通孔35aには、開口部分
を塞ぐように、スクリーン41が配置されて、作動装置
39の作動時に発生する遮蔽板部38の破片が、膨張用
ガスGとともにエアバッグ11内へ流入するのを防止し
ている。
【0021】また、ガス貯蔵室33には、インフレータ
ー32製造時に、膨張用ガスGを充填するための充填穴
部33aが形成されている。この充填穴部33aは、ピ
ン42で塞がれている。
【0022】また、インフレーター32は、図1〜3に
示すように、板金製の取付ブラケット56により外周側
を挟持されている。そして、インフレーター32は、こ
の取付ブラケット56を、図1・2に示すように、2本
の取付ボルト57を利用して、リヤピラー部RPの車内
側におけるボディ1側のインナパネル2に取り付けるこ
とにより、インナパネル2に取付固定される。
【0023】膨張用ガスGは、ヘリウムガスとアルゴン
ガスを、モル比で30/70〜70/30の範囲内で配
合させたものを、ガス貯蔵室33内に、45MPa以上
の封入圧力で封入される構成である。そして、実施形態
では、膨張用ガスGとして、ヘリウムガスとアルゴンガ
スとを、モル比で50/50で配合させたものを、50
MPaの封入圧力でガス貯蔵室33内に封入させてい
る。
【0024】次に、このエアバッグ装置Mの車両への搭
載について説明する。予め、インナチューブ29を挿入
させて製造したエアバッグ11を、平らに展開し、図4
の二点鎖線で示すように、順次、山折りと谷折りとの折
り目Cを入れて、エアバッグ本体12の下縁12b側を
上縁12a側に接近させるように、蛇腹折りする。そし
て、エアバッグ11の所定箇所を、折り崩れ防止用の破
断可能な図示しないテープ材でくるむとともに、各取付
部24に取付ブラケット59を取り付けておく。
【0025】また、インフレーター32には、予め、取
付ブラケット56を外装させておくとともに、リード線
44を作動装置39に結線させておく。そして、インフ
レーター32の接続口部34に、エアバッグ11の接続
口部14aを外装させる。なお、クランプ61は、予
め、エアバッグ11の接続口部14aに外装させてお
く。そして、インフレーター32の接続口部34に外装
させたエアバッグ11の接続口部14aに、クランプ6
1を外装させて縮径させ、インフレーター32の接続口
部34にエアバッグ11の接続口部14aを連結させ
て、エアバッグ11とインフレーター32とを組み付け
たエアバッグ組付体を形成する。
【0026】そして、各取付ブラケット56・59をイ
ンナパネル2の所定位置に配置させて、ボルト57・6
0止めし、エアバッグ組付体をボディ1に取り付ける。
その後、フロントピラーガーニッシュ6やルーフヘッド
ライニング7をボディ1に取り付け、さらにリヤピラー
ガーニッシュ8やセンターピラーガーニッシュ9をボデ
ィ1に取り付ければ、エアバッグ装置Mを車両に搭載す
ることができる。
【0027】車両へのエアバッグ装置Mの搭載後、所定
の信号がリード線44を経て作動装置39に入力されれ
ば、作動装置39が作動して、膨張用ガスGがインナチ
ューブ29内に流入し、各供給口30から各膨張部16
・19内に膨張用ガスGが供給されることとなる。そし
て、各流入部15・18が、折りを解消させつつ膨張を
始め、フロントピラーガーニッシュ6やルーフヘッドラ
イニング7の下縁側のエアバッグカバー5を押し開い
て、図1の二点鎖線で示すように、下方へ突出しつつ、
窓W・センターピラー部CP・リヤピラー部RPの車内
側を覆うように、大きく展開膨張することとなる。
【0028】そして、実施形態では、インフレーター3
2のガス貯蔵室33内に封入されている膨張用ガスG
が、少なくとも、ヘリウムガスとアルゴンガスとを含有
させた混合ガスを封入させて構成されており、ガス貯蔵
室33における膨張用ガスGの封入圧力が、45MPa
以上で、膨張用ガスGには、ヘリウムガス及びアルゴン
ガスが、膨張用ガスの総量に対して、それぞれ、30mo
l%以上配合されている構成であることから、インフレ
ーター32から吐出される膨張用ガスGで、エアバッグ
11に与えるダメージを抑えて、かつ、迅速に、エアバ
ッグ11を展開させることができる。また、膨張を略完
了させた状態のエアバッグ11の内圧を長時間保持する
ことができる。
【0029】実施形態のエアバッグ装置Mで上記効果が
得られる理由は、以下のように推測される。
【0030】インフレーター32の作動時に、ガス貯蔵
室33内に封入されている膨張用ガスGが、エアバッグ
11内に吐出されると、ガス貯蔵室33内部では、瞬時
に、膨張用ガスGの吐出に伴う温度低下が生ずる。そし
て、膨張用ガスGに配合されるアルゴンガスが、温度低
下に伴って、凝縮・霧化することとなる。その結果、ガ
ス貯蔵室33内の内圧が、凝縮・霧化現象の生じないヘ
リウムガスのみに起因することとなって急激に低下する
とともに、エアバッグ11内に吐出される膨張用ガスG
の単位時間あたりの吐出量も、インフレーター32の作
動開始時に比して、減少することとなる。このとき、エ
アバッグ11内には、ヘリウムガスとともに、凝縮・霧
化したアルゴンガスも吐出されることとなり、ガス貯蔵
室33内には、アルゴンガスが残存するのが抑えられ
る。また、温度低下したアルゴンガスには、エアバッグ
11内に流入する際にも、断熱膨張やジュール・トムソ
ン効果によりさらに温度低下が生ずることから、アルゴ
ンガスには、エアバッグ11内に流入する時点でも、さ
らに、凝縮・霧化現象が生じていると推定される。
【0031】そして、凝縮・霧化した状態でエアバッグ
11内に流入したアルゴンガスは、外部から加えられる
熱により、エアバッグ11内で気化することとなる。こ
のアルゴンガスの気化現象は、外部からの熱移動が緩や
かであるため、凝縮・霧化現象よりゆっくり進行する。
【0032】その結果、インフレーター32からの膨張
用ガスGの吐出開始時には、ヘリウムガスとアルゴンガ
スとの混合ガスがエアバッグ11内に流入するため、エ
アバッグ11の内圧が急激に上昇するが、その後、ガス
貯蔵室33内の温度低下に伴い、アルゴンガスが凝縮・
霧化されて膨張用ガスGのエアバッグ11内への流入量
が減少することから、エアバッグ11の内圧の急激な上
昇は抑えられる。そして、内圧の急激な上昇が抑えられ
た状態で、エアバッグ11が、エアバッグカバー5を押
し開いて展開膨張することとなる。また、アルゴンガス
が、エアバッグ11内でゆっくり気化することから、展
開膨張したエアバッグ11の内圧を長時間にわたって確
保することができる。
【0033】このとき、ヘリウムガスの配合量が30mo
l%未満である場合には、エアバッグ11の膨張初期に
おける迅速な展開を確保し難く、逆に、アルゴンガスの
配合量が30mol%未満である場合には、アルゴンガス
の凝縮・霧化現象による効果が小さすぎて、エアバッグ
11の内圧の急激な上昇を抑えることができず、エアバ
ッグ11に大きなダメージを与え、内圧の保持が困難と
なるためである。
【0034】また、膨張用ガスGのガス貯蔵室33内へ
の封入圧力が45MPa未満では、膨張用ガスGの吐出
に伴う温度低下が小さく、アルゴンガスが充分に凝縮・
霧化しないことから、エアバッグ11の内圧の急激な上
昇を抑えることができない。なお、封入圧力の上限は、
製造上の理由により、70MPa未満とすることが望ま
しい。
【0035】従って、実施形態のエアバッグ装置Mで
は、エアバッグ11に対するダメージを抑えて、展開膨
張したエアバッグ11の内圧を長時間保持可能である。
【0036】また、試験例として、図5・6に、実施形
態に基づく実施例のインフレーターと比較例のインフレ
ーターとを使用した場合のエアバッグ11における前席
用流入部15と後席用流入部18との内圧を、それぞ
れ、測定したグラフ図を示す。使用するエアバッグ11
は、図4に示す形状のもので、容積が20Lで、エアバ
ッグ本体12の外表面側に、片面当たり120g/m2
のシリコンコーティングが施されている。そして、イン
ナチューブ29における前端と後端に配置される供給口
の内径寸法30がφ7に設定され、残りの供給口の内径
寸法30がφ10に設定されている。
【0037】実施例のインフレーターとしては、ヘリウ
ムガスとアルゴンガスとを、それぞれ、50mol%ずつ
含有させた1.9mol膨張用ガスを、50MPaの封入
圧力で封入させたものを使用している。比較例のインフ
レーターとしては、1.9molのヘリウムガス単体を5
0MPaの封入圧力で封入させたものを使用している。
【0038】図5は、エアバッグ11における前席・後
席用流入部15・18の部位の膨張初期における内圧を
測定したグラフ図である。図6は、エアバッグ11にお
ける前席・後席用流入部15・18の部位の内圧を長時
間にわたって測定したグラフ図である。また、図5・6
において、(A)のグラフ図が、比較例のインフレータ
ーを用いた場合であり、(B)のグラフ図が、実施例の
インフレーターを用いた場合のものである。そして、図
5・6において、破線で示すグラフが前席用流入部15
の部位の内圧の変化で、実線で示すグラフが後席用流入
部18の部位の内圧の変化を表している。
【0039】図5に示すグラフ図から、実施例のインフ
レーターを使用したエアバッグでは、比較例のインフレ
ーターを使用したエアバッグに比して、エアバッグ膨張
初期における内圧の上昇が抑えられていることがわか
る。特に、インフレーターの近傍に配置される後席用流
入部の部位において、比較例のインフレーターを使用し
た場合に、内圧が短時間で急激に上昇しているのに対
し、実施例のインフレーターを使用した場合、内圧が緩
やかに上昇していて、その現象が顕著である。
【0040】また、図6に示すグラフ図から、実施例の
インフレーターを使用したエアバッグでは、比較例のイ
ンフレーターを使用したエアバッグに比して、エアバッ
グの膨張完了後における内圧が緩やかに減少しているこ
とがわかる。
【0041】図7に、実施例と比較例とのインフレータ
ーを使用して、タンク内に膨張用ガスを吐出させた際の
タンクの内圧を測定したグラフ図を示す。タンクは、2
8.3Lの容積を備えている。なお、図7においては、
実線で示すグラフが実施例のインフレーターを使用した
タンクの内圧変化で、破線で示すグラフが比較例のイン
フレーターを使用したタンクの内圧変化を表している。
図7に示すように、実施例のインフレーターは、比較例
のインフレーターに比して、内圧の上昇が緩やかであ
り、かつ、ガス吐出完了までの時間も長い。
【0042】従って、実施例のインフレーターは、比較
例のインフレーターに比して、膨張用ガスを長時間にわ
たって吐出させることができる。そして、実施例のイン
フレーターを使用したエアバッグは、比較例のインフレ
ーターを使用したエアバッグに比して、膨張初期におけ
る内圧の上昇を抑えて、かつ、膨張完了後にも、長時間
にわたって内圧を保持することができる。
【0043】以上の結果より、実施例のインフレーター
を使用すれば、エアバッグに対するダメージを抑えて、
展開膨張したエアバッグの内圧を長時間保持することが
できる。
【0044】なお、実施形態のエアバッグ装置Mでは、
インフレーター32に封入される膨張用ガスGとして、
ヘリウムガスとアルゴンガスのみからなるものを使用し
ているが、インフレーターに封入される膨張用ガスとし
てはこれに限られるものではなく、ヘリウムガスとアル
ゴンガスとをそれぞれ30mol%以上含有する構成のも
のであれば、他の成分を含有した膨張用ガスを使用して
もよい。
【0045】さらに、実施形態では、頭部保護用のエア
バッグ装置Mを例に採り説明したが、本発明を適用可能
なエアバッグ装置はこれに限られるものではなく、シー
ト意取り付ける側突用のエアバッグ装置等に適用しても
よい。
【0046】
【発明の効果】本発明に係るエアバッグ装置では、イン
フレーターが、少なくともヘリウムガスとアルゴンガス
とを含有させた混合ガスからなる膨張用ガスを、45M
Pa以上の封入圧力でガス貯蔵室内に封入させる構成で
あり、ヘリウムガス及びアルゴンガスは膨張用ガスの総
量に対して30mol%以上配合されていることから、エ
アバッグを、膨張初期における内圧の上昇を抑えて展開
膨張させることができると同時に、膨張を略完了させた
エアバッグの内圧を長時間にわたって保持することがで
きる。その結果、エアバッグの膨張初期における過度の
内圧の上昇が抑えられて、エアバッグに対するダメージ
を極力抑えることができる。
【0047】従って、本発明のエアバッグ装置では、エ
アバッグに対するダメージを抑えて、展開膨張したエア
バッグの内圧を長時間保持することができる。
【0048】そして、本発明のエアバッグ装置では、少
なくともヘリウムガスとアルゴンガスとを含有させた混
合ガスからなる膨張用ガスを封入させた1つのインフレ
ーターを使用すれば、上記効果を達成できることから、
例えば、エアバッグの内圧を保持するために、吐出開始
時間を異ならせた2つのインフレーターを使用する必要
がなく、エアバッグ装置を小型化することができて、エ
アバッグ装置を車体の狭い位置に容易に搭載させること
ができる。
【0049】また、本発明のエアバッグ装置では、イン
フレーターにおける1つのガス貯蔵室に、ヘリウムガス
とアルゴンガスとを封入させて上記効果を達成している
ことから、例えば、インフレーターに2つのガス貯蔵室
と2つの流出手段を配置させる必要がなく、インフレー
ターに、作動装置等から構成される流出手段を1つ配置
させるだけでよい。その結果、インフレーターの構成を
簡素化できることができて、工数・コストを抑えてエア
バッグ装置を製造することができる。
【0050】さらに、請求項2に記載したような構成と
すれば、膨張用ガスとして、ヘリウムガスとアルゴンガ
スとの2種類のガスを含有させればよく、インフレータ
ーを極力安価に製造することが可能となって、コストを
抑えてエアバッグ装置を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるエアバッグ装置を車
内側から見た正面図である。
【図2】同実施形態におけるインフレーターの配設部位
付近を示す部分拡大図である。
【図3】同実施形態におけるインフレーターの配設部位
の部分拡大断面図である。
【図4】同実施形態におけるエアバッグを平らに展開し
た状態を示す正面図である。
【図5】同実施形態のエアバッグ装置におけるインフレ
ーターと他のインフレーターとを使用したエアバッグの
内圧を比較したグラフ図である。
【図6】同実施形態のエアバッグ装置におけるインフレ
ーターと他のインフレーターとを使用したエアバッグの
内圧を比較したグラフ図である。
【図7】同実施形態のエアバッグ装置におけるインフレ
ーターと他のインフレーターの出力を比較したグラフ図
である。
【符号の説明】
11…エアバッグ、 29…インナチューブ、 32…インフレーター、 33…ガス貯蔵室、 39…作動装置、 G…膨張用ガス、 M…エアバッグ装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3D054 AA07 AA18 AA20 CC04 DD04 DD14 FF02 FF17

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 展開膨張可能に折り畳まれて車両に収納
    されるエアバッグと、該エアバッグに接続されて前記エ
    アバッグ内に膨張用ガスを供給するインフレーターと、
    を備えるエアバッグ装置であって、 前記インフレーターが、前記エアバッグを展開膨張させ
    るための膨張用ガスとして、少なくとも、ヘリウムガス
    とアルゴンガスとを含有させた混合ガスを、ガス貯蔵室
    内に封入させて構成され、 前記ガス貯蔵室における前記膨張用ガスの封入圧力が、
    45MPa以上で、 前記ヘリウムガス及び前記アルゴンガスが、前記膨張用
    ガスの総量に対して、それぞれ、30mol%以上配合さ
    れていることを特徴とするエアバッグ装置。
  2. 【請求項2】 前記膨張用ガスが、前記アルゴンガスと
    前記ヘリウムガスとから構成され、 前記ヘリウムガスと前記アルゴンガスとの配合比率が、
    モル比で30/70〜70/30の範囲内に設定されて
    いることを特徴とする請求項1記載のエアバッグ装置。
JP2001220382A 2001-07-19 2001-07-19 エアバッグ装置 Withdrawn JP2003034220A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001220382A JP2003034220A (ja) 2001-07-19 2001-07-19 エアバッグ装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001220382A JP2003034220A (ja) 2001-07-19 2001-07-19 エアバッグ装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003034220A true JP2003034220A (ja) 2003-02-04

Family

ID=19054204

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001220382A Withdrawn JP2003034220A (ja) 2001-07-19 2001-07-19 エアバッグ装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003034220A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8052169B2 (en) 2009-05-11 2011-11-08 Takata-Petri Ag Gas generator for inflating a gas bag of a vehicle occupant restraint system and method of inflating a gas bag
CN117146172A (zh) * 2023-08-31 2023-12-01 广州广钢气体能源股份有限公司 一种氦气回收气囊储存运载收放系统

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8052169B2 (en) 2009-05-11 2011-11-08 Takata-Petri Ag Gas generator for inflating a gas bag of a vehicle occupant restraint system and method of inflating a gas bag
CN117146172A (zh) * 2023-08-31 2023-12-01 广州广钢气体能源股份有限公司 一种氦气回收气囊储存运载收放系统

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3782793B2 (ja) 改良型のカーテンエアバッグ組立体
US7311324B2 (en) Airbag device for front passenger's seat
JP2002046567A (ja) 頭部保護エアバッグ装置のエアバッグ
JP2003034222A (ja) エアバッグ装置
JP2003160018A (ja) 頭部保護エアバッグ装置
JP4898826B2 (ja) エアバッグ装置
JP2003146181A (ja) エアバッグ装置
US6454299B2 (en) Airbag device
JP5435913B2 (ja) エアバッグ装置
JP2003034220A (ja) エアバッグ装置
WO2004031002A1 (ja) エアバッグ用インフレータ
JP3858675B2 (ja) 頭部保護エアバッグ装置
JP4363294B2 (ja) 頭部保護エアバッグ
JP3689845B2 (ja) 頭部保護エアバッグ装置のエアバッグ
JP6642363B2 (ja) 頭部保護エアバッグ装置
JP3711489B2 (ja) 頭部保護エアバッグ装置のエアバッグ
JP4563900B2 (ja) 車両用エアバッグ装置
JP2002067859A (ja) 頭部保護エアバッグ装置
JP2003160017A (ja) エアバッグ装置
JP3584865B2 (ja) 頭部保護エアバッグ装置
JP2003048503A (ja) 頭部保護エアバッグ装置
JP4971971B2 (ja) エアバッグ装置
JP3620372B2 (ja) 頭部保護エアバッグ装置
JP2002225670A (ja) エアバッグ装置
JP2003226215A (ja) 膝保護用エアバッグ装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20051130

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051213

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060425

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20060608