JP2003033146A - レトルト米飯およびその製造方法 - Google Patents
レトルト米飯およびその製造方法Info
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Abstract
とは比重の異なる炊き込み具材および吸水した生米の一
部を添加して、これを調理温度に保持して不完全調理し
た後、一旦、当該調理温度以下に冷却して残りの生米を
添加して均一に混合した後、該均一混合物をカップ状容
器に充填し密封後、加熱調理および殺菌処理して製造さ
れる、このレトルト米飯は、カップ状容器に、少なくと
も2つの異なる炊飯履歴を有する米飯に、該米飯中に調
理米とは比重の異なる具材が均一に分散されて密封され
ている。 【効果】本発明によれば、カップ状容器に充填された炊
き込みご飯風レトルト米飯において、具材が表面に分離
することなく、米飯中に均一に分散されており、また、
食感が非常によい。
Description
れた炊き込みご飯風のレトルト米飯に関する。さらに詳
しくは本発明は、米飯中に具材が均一に分散した状態で
カップ状の容器に充填されたレトルト米飯、特に離乳食
として好適なレトルト米飯に関する。
ルの変化、また食品加工および滅菌技術の発達により、
離乳期に当たる乳児に与える離乳食としても、多くのレ
トルト食品が開発され、かつ利用されるようになってき
ている。このような離乳食として、やわらかめに炊かれ
た雑炊、炊き込みご飯、リゾットといった米飯に具材を
入れたタイプの米飯は、消化器官に負担がかからずまた
具材の種類によって栄養バランスを調製しやすく、さら
に栄養吸収がよく離乳食として好ましい。
一回に食する量ずつ小分けされて包装されており、特に
1食分ずつカップ状容器に充填されたレトルト米飯を離
乳食として使用することにより、外出先における食事な
どのように調理設備が必ずしも充分に整備されていない
場合、外出前など、短時間で離乳食を用意しなければな
らない場合などには、熱湯による浸漬加熱あるいは電子
レンジで簡単に調製することができ、非常に便利であ
る。
トルト米飯の製造に際しては、従来、例えば、吸水させ
た原料を水切りし、カップ状容器に充填し、さらにこの
カップ状容器に水ないし調味液を所定量充填した後、こ
のカップ状容器を密封し、加熱処理することにより、殺
菌と同時に炊飯を行っていた。しかしながら、このよう
にカップ状容器に充填される具材は米飯と比較して比重
が低いために、加熱処理により炊飯された米飯の上部に
分離してしまう。図3に従来のカップ状容器に充填され
たサケの炊き込みご飯風レトルト米飯の例を示す。図3
に示す例においては、サケの炊き込みご飯風レトルト米
飯は、米飯12と、具材であるサケのほぐし身14、ニ
ンジン16、ひじき18とを炊き込んでカップ状容器1
0に充填され、カップ状容器10の上部開口部は、シー
ル材11がカップ状容器の縁部にヒートシールして密閉
されている。しかしながら、上記のように従来の方法で
サケの炊き込みご飯風レトルト米飯を調製すると、具材
であるほぐし身14、ニンジン16、ひじき18が米飯
12よりも比重が低いことから、図3に示すように具材
が米飯の表面に浮いてしまう。さらに、サケ等が解繊し
て生成した白っぽい繊維状物19が表面に浮き上がって
しまう。このような具材が米飯の上部に分離する現象
は、日常炊き込みご飯などを作る際に見られる現象と同
じ現象であり、日常の調理の際にはこのように米飯の上
部に分離した具材をかき混ぜて米飯中に均一に分散させ
た後に盛りつけるので、具材の分離が問題にはならな
い。ところが、カップ状容器に充填されたレトルト食品
の場合、加熱調理した後、通常は12ヶ月程度の保存期
間を確保する必要があり、このような上部に分離した具
材の表面が乾燥した状態に見えることがある。また、魚
のほぐし身のような動物性繊維成分を含む具材を配合し
た場合、炊飯中にほぐし身からこの動物性繊維成分が分
離し、この繊維成分が米飯上に浮き上がった状態にな
り、こうした繊維成分があたかも黴のように見えること
がある。
品質には全く影響のないものであり、日常の炊き込みご
飯のように食する前に均一に分散してしまえば特に問題
となる現象でもない。しかしながら、食品を評価する場
合には、視覚的な要素も非常に重要な要因になり、カッ
プ状容器を開封した際に具材が乾燥しているように見え
たり、また、魚のほぐし身が解繊した繊維質によって表
面に黴が発生したように見えたのでは商品価値が著しく
低下する。また、調理する際の調理液に増粘剤を添加し
て具材が調理液の中で浮き上がるのを防止する方法も考
えられるが、このように調理液に増粘剤を加えると米飯
などへの調理液の浸透性が低下して食感に悪影響をあた
えるという問題がある。
米飯と具材とを調理してこれらを均一に混合し、こうし
て均一にされた混合物をカップ状容器に充填する方法も
考えられるが、この方法では離乳食初期から中期に食さ
れる粥状とされた米飯ならば、問題ないものの、それ以
上に硬めに炊かれた米飯に近い性状を有する炊き込みご
飯等の米飯では、作業工程における移送が難しく、この
方法を工業的に採用することができない。
材を含有するレトルト米飯において、具材が米飯の表面
に浮き上がることがなく、米飯中に均一に分散させる方
法およびこのように米飯中に具材が米飯中に均一に分散
したレトルト米飯を提供することを目的としている。
ルト米飯の製造方法および離乳食として用いられるレト
ルト米飯を提供することを目的としている。
理米とは比重の異なる具材を含有するレトルト米飯の製
造方法であって、調理液に、炊き込み具材および吸水し
た生米の一部を添加して、これを調理温度に保持して不
完全調理した後、一旦、当該調理温度以下に冷却して残
りの生米を添加して均一に混合した後、該均一混合物を
カップ状容器に充填し密封後、加熱調理および殺菌処理
することを特徴としている。
と、該調理米とは比重の異なる具材とが、カップ状容器
に充填されたレトルト米飯であって、該カップ状容器
に、少なくとも2つの異なる炊飯履歴を有する米飯に、
該米飯中に調理米とは比重の異なる具材が均一に分散さ
れて密封されていることを特徴とする。
は、離乳食として好適に使用することができる。本発明
によれば、具材と生米の一部を不完全調理した後、この
不完全調理品に残りの生米を添加して均一に混合するこ
とにより、比重の低い具材および生米が不完全調理品中
に均一に混合され、この不完全調理品は、最初に添加さ
れた米飯により相当粘度が高くなっているので、レトル
ト加熱による加熱調理によっても均一に混合された具材
が浮き上がることがない。このような状態の混合物をカ
ップ状容器に充填して密封後、加熱調理および殺菌処理
することにより、後から加えた生米は良好に調理され、
しかも加熱調理によっても後から添加した米はその形状
が損なわれることなくその形状が維持される。したがっ
て、本発明の方法で得られたレトルト離乳食米飯は、全
体に均一に具材が分散していると共に、米全体が粥状に
はならず、後から添加した米はその形状が維持され、非
常に良好な食感を与える。
の製造方法およびレトルト離乳食米飯について具体的に
説明する。図1は、本発明のレトルト離乳食米飯の製造
方法の例を示すフローチャートであり、図2は本発明の
方法により製造された米飯の状態の例を模式的に示す断
面図であり、図3は従来の方法により製造された米飯の
状態を模式的に示す断面図である。
りも比重の低い具材を含有すると共に、やわらかめに炊
かれた米飯、粥、あるいはリゾットといった流動性を有
するタイプの米飯とを含むものである。このようなレト
ルト米飯の例としては、炊き込みご飯、具材入りリゾッ
ト、具材入り粥などを挙げることができる。本発明にお
いて、上記のようなレトルト米飯は、カップ状容器に充
填されている。ここで使用されるカップ状容器は、内容
物を加熱するために熱湯中に浸漬しても熱変形しない素
材および/または電子レンジによる加熱によっても溶融
変形あるいはスパークしない素材で形成されている。こ
のような素材の例としては、融点が100℃以上のプラ
スチック、表面がプラスチックでコーティングされた金
属箔(アルミニウム箔など)を挙げることができる。
乳児、特に離乳期の乳児を対象にした離乳食としての製
品として好適であるが、その他、病中、病後の特殊食、
老人などの介護食としても好適である。このうち、特
に、離乳食、さらには、離乳後期から離乳完了期におけ
る離乳食としての製品を好適に形成し得る。本発明にお
いて使用する原料米としては、生産地、種類、品質等に
ついて特に限定されるものではない。例えば、生産地と
しては、日本国内、あるいは中国、インド、インドネシ
ア、バングラデシュ、タイ、ベトナム、ミャンマーなど
の外国のいずれのものであってもよい。また、いわゆる
ジャポニカ米あるいはインディカ米といった区別におい
ても、いずれのものを用いることもできる。さらに品種
としても、国産粳米としては、例えば、コシヒカリ、サ
サニシキ、アキタコマチ、キララ397、ひとめぼれ、は
えぬき、アキニシキ、日本晴れ、コガネマサリ、ヒノヒ
カリ、レイホウ、ユメヒカリ、トヨニシキ、キヨニシ
キ、農林22号、奥羽239号等、糯米としては、例え
ば、こがねもち、みやこがね、ひよくもち、ヒメノモ
チ、オトメモチ等が、例示できるがもちろんこれらに何
ら限定されるものではなく、さらに、低アミロース米
(アミロース含有量5〜15%)として開発されたミル
キークィーン、奥羽344号、彩等、高アミロース米(ア
ミロース含有量25%以上)として開発された夢十色、ホ
シユタカ等、香り米として開発されたサリークィーン、
関東172号、はぎのかおり等、色素米として開発された
朝紫、ベニロマン等、低グリデリン米として開発された
LGC-1、低グロブリン米として開発されたLA-1、巨大胚
米として開発された北海269号、中国137号、大粒米とし
て開発されたオオチカラなど、国内において生産されて
いるないしは開発されたいかなる品種であってもよい。
外米としても、例えば、中国産米としては、粳、せん、
光梗陸稲、深水稲等が、インド産米としては、アマン期
稲、アウス期稲、ボロ期稲等が、インドネシア米として
は、ブル種、グンディル種、チュレー種等が、ミャンマ
ー産米としてはエマタ種、レッユェジン種、ヌガセイン
種、ミドン種、ビャッツ種などが、それぞれ知られるが
そのいずれを用いることも可能であり、他国産のものに
ついても同様に各種のものを用いることが可能である。
レトルト米飯が、離乳食製品である場合には、国内粳
米、特に、コシヒカリ、ササニシキなどといった上記に
例示したような代表的な銘柄米を用いることが好まし
い。なお、コシヒカリのアミロース含有量は約16%前
後であり、粳米の場合はアミロースの含有量が下がると
粘りが出て日本人の嗜好に合うものとなる。アミロース
含有量に特段限定されるものではないが、アミロース含
有量が25%以下、望ましくは5%〜20%であること
が望ましい。
するとされる上記のような高アミロース米、同様に加工
適正が高くリゾット調理に適するとされる上記のような
大粒米なども、本発明のレトルト米飯に好適に用いられ
る。さらに、使用される米の精米の度合いとしても特に
限定されるものではなく、玄米であっても,3分づき、5
分づき、7分づき、白米、酒米などの各種精白米であって
も、さらに白米にビタミンB1,B2等を添加した強化米で
あってもよい。しかしながら、一般的にはこれらのうち
で白米が好ましい。
記したような種々の品種、種類、形態の米のいずれかを
単独で用いるか、あるいは複数種組み合わせて用いるこ
とができる。使用される調理液は、水をベースとし、こ
れに必要に応じて配合される調味料等を含有するもので
あるが、当該調理液は粘度調整成分を有していることが
望ましい。
成分とは、ベースとなる水に、味付けのために添加され
る調味料によって、あるいは調理液に配合される米以外
の他の具材が加熱調理される際に調理液中に溶出してく
る成分によって、あるいはさらに粘度調整のために必要
に応じて別途添加される粘度調整剤によって構成され得
る。
馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、小麦澱粉、くず粉、タピ
オカ澱粉などの澱粉や、その他食品添加物として指定さ
れている増粘剤、ゲル化剤などが用いられ得る。このよ
うに粘度調整剤として澱粉を使用する場合、米以外に添
加される副材料や調味料の種類および量、得ようとする
米飯における固液比、並びに、後述するように調味料に
添加されて加熱される生米と加熱されない生米との配合
割合などの条件によっても左右されるが、例えば、原料
として使用される充分吸水した上で水切りされた生米全
量に対して、9〜11%程度、より好ましくは9.3〜
10.5%程度の割合で配合されることが望ましい。粘
度調整剤としての澱粉の配合量が過剰であると得られる
製品の風味および食感を低下させてしまう虞れがあり、
一方、配合量が少なすぎると、食材が不均一に分散する
虞がある。
ウム、卵殻カルシウム、グルコン酸カルシウム、乳酸カ
ルシウム等を栄養強化だけでなく、カルシウムによる具
材の保形性を高めるという目的から添加することが好ま
しい。その添加量としては、特に限定されるものではな
いが、原料として使用される生米全量に対して、1.0
〜20%程度、より好ましくは1.5〜9.0%程度の
割合で配合されることが望ましい。
理米(炊飯米)よりも比重の低い具材が含有されてい
る。本発明において使用される具材としても、特に限定
されず、例えば、肉類およびその加工食品、魚介類およ
びその加工食品、卵、チーズ、野菜、きのこ類、豆腐お
よび油揚げなどの豆腐加工食品、海草類、豆類、ごま、
さらに、大麦その他の米以外の穀類等の任意の具材が、
得ようとするレトルト米飯の調理、調味形態に応じて適
宜選択して用いられる。
を調製しようとする場合には、具材として、サケ、にん
じん、ひじきなどが使用されるまた、例えば、鶏そぼろ
炊き込みご飯風のレトルト米飯を調製しようとする場合
には、鶏肉、ごぼう、油あげ、ニンジンなどが使用でき
る。さらに、キノコご飯風レトルト米飯には、キノコ、
ごぼう、こんにゃく、ニンジンなどが使用できる。
ぎ、大根、ニンジンなどを使用できる。このような本発
明のレトルト米飯を離乳食として使用する場合には、離
乳後期に当たる9ヶ月以降の乳幼児の場合を考慮する
と、固形物の大きさを通常は1mm角以上15mm角以下、
好ましくは3mm角以上10mm角以下とすることが望まし
い。また、具材として細長いものを使用する場合には、
1〜2cm以下とする。離乳食中の具材が上記範囲を逸脱
して大きいと、離乳期の乳児が咀嚼できないことがあ
り、また、1mm角よりも逸脱して具材が小さいと満足し
た食感が得られにくい。
飯の製造フロー図にしたがって、上記生米および具材を
調理液にいれて調理する。先ず、精白米を秤量し、この
精白米を洗浄し、この精白米の重量に対して約2倍程度
の水に常温で2時間以上、10℃以下で冷蔵で浸漬する
場合には15時間程度浸漬する。上記のようにして浸漬
した後水切りをして秤量すると、この精白米の重量は、
水を吸収して、1.1〜1.5倍、好ましくは1.2〜
1.3倍に増加する。
切りにする。また、サケは切り身にして加熱した後、皮
や骨を取り除き、細かくほぐす。上記のニンジンのみじ
ん切り、サケのほぐし身を、湯にしょうゆ、かつ節エキ
ス、昆布だし、精製塩を加え、さらにここに少量の澱粉
を加えた調理液にいれる。
より調味料を加えて加熱しこの加熱調理されたひじきも
調理液に投入し、加熱して予め下拵えをしておく。上記
のようにして下拵えしたひじき、ニンジン、サケを調理
液中に投入して混合する。この調理液は、水に鰹エキ
ス、昆布エキス、醤油、さらに必要により塩、こしょう
などの他の調味料を加えて調製したものである。本発明
のレトルト米飯を離乳食として使用する場合には、塩分
の量を少なくすることが好ましく、成人の食する調理品
に配合する通常の食塩量の1/5〜1/2量の食塩を使
用して薄味に仕上げる。
のようなニンジン、サケ、ひじきなどは水よりも比重が
低いので調理液から浮き上がり、このような状態で水に
浸漬した生米を全量加えて調理しても具材が調理米の上
に浮いてしまう。本発明では、上記のような調理液の少
量の澱粉を加えて、この調理液自体の粘度を通常の調理
液よりも高くすることが好ましい。ここで使用される澱
粉の量は、調味液に対して、通常は1.50〜2.25
%、好ましくは1.65〜2.05%である。
材が含有されている調理液に、最初に水洗して吸水させ
た生米の一部を添加する。すなわち、本発明では、この
段階でレトルト米飯に使用される生米の50重量%以
上、好ましくは50〜90重量%、さらに好ましくは6
5〜85重量%の生米を添加する。図1では、生米の7
5重量%を最初の段階で使用する例が示されている。
配合して、これらの混合物を一旦調理温度まで加熱して
半調理する。半調理温度は、通常は90〜100℃、好
ましくは95〜100℃であり、このような温度におい
て、調理時間は、通常は5〜20分間、好ましくは10
〜15分間である。このように半調理することにより、
生米中に含まれる澱粉はほとんどがα化してほとんど粥
状の粘稠な米飯になる。この時、澱粉量や初回に投入す
る米の量に伴い、粘度を調整することにより、比重の低
い具材は、炊きあげられた米飯に、ほぼ均一に分散して
いる。
よって半調理された調理品(半調理品)を調理温度以下
の温度、例えば通常は60〜90℃、好ましくは70〜
80℃の温度を降温する。この降温は、積極的に冷媒な
どを用いて行うことにより、半調理された、米飯の膨潤
が進行することを防ぐために望ましいが、上記半調理の
際に加熱した後、放置することにより、半調理温度以下
に温度にしてもよい。このように降温した段階では、こ
の半調理品中にはサケ、ひじき、ニンジンといった具材
は、米飯とはほぼ均一に分散している。
りの生米を添加すると共に、この添加した生米が半調理
品中に均一になるように混合する。この混合によって、
具材が完全に米飯中に均一に分散される。なお、半調理
品中には好適には澱粉が配合されており、更に、最初に
投入された生米が、半調理時に加熱されα化することに
より、この半調理品の粘度はある程度高くなるが、この
ような半調理品は、ある程度の流動性を有しており、ポ
ンプによるパイプ移送も可能である。
に混合することにより、生米および具材は上記一次調理
品中に均一に分散され、しかも半調理により米飯がα化
することにより適度の粘度を有するようになることか
ら、半調理品中に均一に分散した生米および具材が再び
分離することがない。また、上記半調理品中には水分が
含まれているが、この半調理品中にはα化澱粉が相当量
で含有されており、こうしたα化澱粉を相当量含有する
水溶液から生米が吸水しにくく、その形態が崩れにく
い。
散するように混合した混合物は、カップ状の容器に充填
される。このカップ状容器は、例えば離乳食の場合、離
乳食として一回に与える量の米飯が充填される大きさに
されていることが好ましく、通常は40〜150g、好
ましくは60〜120g程度の米飯が充填可能な容積を
有する。なお、本発明のレトルト米飯の製造方法では、
適度な粘度となるよう調整されていることから、良好な
パイプ移送性を有しており、カップ状容器への自動充填
が可能である。すなわち、この生米を含有する半調理品
は、60℃±5℃の温度条件において、3000〜11
000cP、好ましくは4000〜8000cPの粘度
を有しており、一般的な加圧圧送装置を用いて安定して
圧送が可能であり、従って、上記のようにして調製され
た半調理品はカップ状容器への自動充填が可能である。
なお、本発明において、粘度は、B型粘度計であるTOKI
MEC社製粘度計VISCOMETERのBLモデルによって測定した
値である。
を充填した後、カップ状容器の上面の開口部の縁部にシ
ール部材11を当接してシールする。このシール部材
は、ヒートシーラー、高周波誘導加熱シーラーなどを用
いてシールすることができる。さらに、本発明では、こ
のシール部材11を用いてカップ状容器10の開口部を
シールして密封する際に、カップ状容器に窒素ガスを導
入して、容器内に存在する空気を窒素ガスで置換するこ
とが好ましい。このようにカップ状容易内を窒素ガスで
満たすことにより、本発明のレトルト米飯の空気酸化に
よる変質を有効に防止できると共に、保存期間の長期化
を図ることができる。
1を用いて密封した後、このカップ状容器をレトルト殺
菌装置に搬送し、次いで、このレトルト殺菌装置内で加
熱殺菌処理する。この加熱殺菌処理の際の加熱によって
カップ状容器内の充填されている半調理品は、加熱調理
され、後に投入した生米も完全に炊飯される。この加熱
処理条件は、生米の種類および量、半調理条件によって
も異なるが、例えば、レトルト殺菌機における雰囲気温
度および条件は通常は115〜125℃で30〜50分
間、好ましくは118〜121℃で35〜45分間の範
囲内に設定される。
熱処理は、短時間にとどめ、この殺菌のための熱処理で
不足する調理のために要する熱分を、より低い温度での
熱処理で補うといった段階的な熱処理とすることも可能
である。なお、この場合、加熱殺菌のための熱処理工程
は、調理のための補充的熱処理工程の前後いずれに置く
ことも可能である。例えば、加熱殺菌のために、100
〜200kPaの圧力において100℃以上、好ましく
は110〜130℃で10〜20分熱処理を行い、これ
に加えて、別途、90〜100℃で20〜30分程度炊
飯のための熱処理を行うといったものである。
式、蒸気式等既存のレトルト釜を用いて行うことができ
る。上記のようにして、カップ状容器に充填されて加熱
殺菌された本発明のレトルト米飯は梱包装置へと送ら
れ、梱包される。このように加熱殺菌することにより、
後から加えた生米はα化して食することができるように
なるが、最初の加熱により粘度が上昇した米飯中に分散
された生米は、この加熱殺菌の工程では必要以上に吸水
することがなく、従って、後に加えた生米は、加熱殺菌
工程における加熱によっても米の形態が維持される。同
時に加熱殺菌工程の前に生米は、粘度の高い半調理品中
に均一に分散されており、さらに同様に具材も均一に分
散しているために、加熱殺菌における加熱を利用した調
理によっても、具材および後で加えた米(調理品)が表
面に浮き上がって分離することがない。すなわち、図2
に例示的に示す本発明のサケの炊き込みご飯風レトルト
米飯では、米飯12中に、サケのほぐし身14、ニンジ
ン16、ひじき18などが均一に分散される。さらに、
このレトルト米飯中には、最初に加熱された後レトルト
加熱された炊飯履歴を有する米飯12の他に、レトルト
加熱によって2回加熱された炊飯履歴を有する米飯20
とが共存しており、最初の加熱よっては加熱されず、レ
トルト加熱によって加熱された炊飯履歴を有する米飯
は、米の形状が損なわれずにレトルト米飯中に均一に分
散させている。このようにレトルト加熱される前に生米
を混合し、次いでレトルト加熱することにより、この加
えられた生米は、米の形状が損なわれないので、本発明
のレトルト米飯を食したときに非常に良好な食感を有し
ており、特に離乳後期以降の乳幼児が食するのに適した
硬さを有している。
米飯中に均一に分散されており、サケの切り身などが解
繊することによって生ずる動物性繊維も米飯中に均一に
分散される。従って、本発明のレトルト米飯では、図3
に19で示した黴のように見える繊維の集合がなく、こ
れらの動物性繊維は、集合することなく米飯中に均一に
分散されている。
米飯は、カップ状の容器内に、少なくとも2つの異なる
炊飯履歴を有する米粒群が存在する。すなわち、その1
つとしては、上記した第一配合分の生米が炊飯されたも
のであり、具体的には、本発明のレトルト米飯中には、
炊飯履歴としてカップ状容器に充填される前の不完全調
理工程における加熱とその後のレトルト加熱によって2
回の加熱履歴を有する米飯、および、最初の加熱後に添
加され、レトルト加熱によって加熱された熱履歴を有す
る米飯が共存している。
の潰れ強度ないしテクスチャー、膨張容積ないし膨張
径、色調等によって、明確に区別ができる。後者の米粒
群は、充分に炊飯されているものの、前者の米粒群と比
較して、しっかりした米粒形状を保持している。これゆ
え、前者の米粒群と比較して、潰れ強度が大で、しっか
りしたテクスチャーを有し、膨張容積ないし膨張径が小
さく、色が白いものである。
大きく、場合によって、一部米粒形状を保持し得ない程
度まで潰れ、強度およびテクスチャーの低いものとなる
が、最終製品たる本発明に係るレトルト米飯全体として
は、米粒の比較的しっかりした後者の米粒群(第ニ配合
分)の存在によって、良好な風味、食感を呈し、特に離
乳後期用の米飯製品の用途に好適なものとなる。
際しては、各素材を選定した段階、これらを調理した段
階などにおいて、金属探知して金属などの異物が混入し
ないようにすると共に、仮に異物の混入した痕跡を有す
る者は排除することが好ましい。上記示した例は、サケ
の炊き込みご飯風レトルト食品であるが、その他、鶏の
炊き込みご飯、きのこの炊き込みご飯、かぼちゃなどの
野菜を使用したパエリアなどにおいても、具材の比重は
米飯とは異なることから、上記と同様にして調製するこ
とができる。
部と具材とを用いて半調理した後、残りの生米を添加す
ると共に、混合することにより、半調理品中に具材およ
び生米を均一に分散させ、この混合物をカップ状容器に
充填し、好適には窒素ガスを充填して密閉してレトルト
加熱することにより、炊き込みご飯風のレトルト米飯に
おいて具材が表面に分離することがなく、具材が均一に
分散したレトルト米飯を得ることができる。
加熱された炊飯履歴を有する米飯と一回の加熱による炊
飯履歴を有する米飯とを共存させることにより、カップ
状の容器中に米の形状が維持された米飯が存在し、非常
に食感がよい。
方法の例を示すフローチャートである。
状の容器に充填された米飯の状態の例を模式的に示す断
面図である。
の容器に充填された米飯の状態を模式的に示す断面図で
ある。
Claims (5)
- 【請求項1】 調理米とは比重の異なる具材を含有する
レトルト米飯の製造方法であって、 調理液に、炊き込み具材および吸水した生米の一部を添
加して、これを調理温度に保持して不完全調理した後、
一旦、当該調理温度以下に冷却して残りの生米を添加し
て均一に混合した後、該均一混合物をカップ状容器に充
填し密封後、加熱調理および殺菌処理することを特徴と
するレトルト米飯の製造方法。 - 【請求項2】 上記カップ状容器中の空気を窒素ガスで
置換後に密封することを特徴とする請求項第1項記載の
レトルト米飯の製造方法。 - 【請求項3】 上記調理液が粘度調整成分を含有するこ
とを特徴とする請求項第1項記載のレトルト米飯の製造
方法。 - 【請求項4】 調理米と、該調理米とは比重の異なる具
材とが、カップ状容器に充填されたレトルト米飯であっ
て、 該カップ状容器に、少なくとも2つの異なる炊飯履歴を
有する米飯に、該米飯中に調理米とは比重の異なる具材
が均一に分散されて密封されていることを特徴とするレ
トルト米飯。 - 【請求項5】 上記カップ状器内の空気が窒素ガスで置
換されていることを特徴とする請求項第4項記載のレト
ルト米飯。
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-
2001
- 2001-07-25 JP JP2001224787A patent/JP4334787B2/ja not_active Expired - Fee Related
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