JP4334787B2 - レトルト米飯およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はカップ状の容器に充填された炊き込みご飯風のレトルト米飯に関する。さらに詳しくは本発明は、米飯中に具材が均一に分散した状態でカップ状の容器に充填されたレトルト米飯、特に離乳食として好適なレトルト米飯に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、女性の社会的進出やライフスタイルの変化、また食品加工および滅菌技術の発達により、離乳期に当たる乳児に与える離乳食としても、多くのレトルト食品が開発され、かつ利用されるようになってきている。
このような離乳食として、やわらかめに炊かれた雑炊、炊き込みご飯、リゾットといった米飯に具材を入れたタイプの米飯は、消化器官に負担がかからずまた具材の種類によって栄養バランスを調製しやすく、さらに栄養吸収がよく離乳食として好ましい。
【0003】
このようなレトルト米飯は、通常の場合、一回に食する量ずつ小分けされて包装されており、特に1食分ずつカップ状容器に充填されたレトルト米飯を離乳食として使用することにより、外出先における食事などのように調理設備が必ずしも充分に整備されていない場合、外出前など、短時間で離乳食を用意しなければならない場合などには、熱湯による浸漬加熱あるいは電子レンジで簡単に調製することができ、非常に便利である。
【0004】
このようなカップ状の容器に充填されたレトルト米飯の製造に際しては、従来、例えば、吸水させた原料を水切りし、カップ状容器に充填し、さらにこのカップ状容器に水ないし調味液を所定量充填した後、このカップ状容器を密封し、加熱処理することにより、殺菌と同時に炊飯を行っていた。
しかしながら、このようにカップ状容器に充填される具材は米飯と比較して比重が低いために、加熱処理により炊飯された米飯の上部に分離してしまう。図3に従来のカップ状容器に充填されたサケの炊き込みご飯風レトルト米飯の例を示す。図3に示す例においては、サケの炊き込みご飯風レトルト米飯は、米飯12と、具材であるサケのほぐし身14、ニンジン16、ひじき18とを炊き込んでカップ状容器10に充填され、カップ状容器10の上部開口部は、シール材11がカップ状容器の縁部にヒートシールして密閉されている。しかしながら、上記のように従来の方法でサケの炊き込みご飯風レトルト米飯を調製すると、具材であるほぐし身14、ニンジン16、ひじき18が米飯12よりも比重が低いことから、図3に示すように具材が米飯の表面に浮いてしまう。さらに、サケ等が解繊して生成した白っぽい繊維状物19が表面に浮き上がってしまう。このような具材が米飯の上部に分離する現象は、日常炊き込みご飯などを作る際に見られる現象と同じ現象であり、日常の調理の際にはこのように米飯の上部に分離した具材をかき混ぜて米飯中に均一に分散させた後に盛りつけるので、具材の分離が問題にはならない。ところが、カップ状容器に充填されたレトルト食品の場合、加熱調理した後、通常は12ヶ月程度の保存期間を確保する必要があり、このような上部に分離した具材の表面が乾燥した状態に見えることがある。また、魚のほぐし身のような動物性繊維成分を含む具材を配合した場合、炊飯中にほぐし身からこの動物性繊維成分が分離し、この繊維成分が米飯上に浮き上がった状態になり、こうした繊維成分があたかも黴のように見えることがある。
【0005】
このような具材の分離は、レトルト食品の品質には全く影響のないものであり、日常の炊き込みご飯のように食する前に均一に分散してしまえば特に問題となる現象でもない。しかしながら、食品を評価する場合には、視覚的な要素も非常に重要な要因になり、カップ状容器を開封した際に具材が乾燥しているように見えたり、また、魚のほぐし身が解繊した繊維質によって表面に黴が発生したように見えたのでは商品価値が著しく低下する。また、調理する際の調理液に増粘剤を添加して具材が調理液の中で浮き上がるのを防止する方法も考えられるが、このように調理液に増粘剤を加えると米飯などへの調理液の浸透性が低下して食感に悪影響をあたえるという問題がある。
【0006】
このような具材の分離を防止するために、米飯と具材とを調理してこれらを均一に混合し、こうして均一にされた混合物をカップ状容器に充填する方法も考えられるが、この方法では離乳食初期から中期に食される粥状とされた米飯ならば、問題ないものの、それ以上に硬めに炊かれた米飯に近い性状を有する炊き込みご飯等の米飯では、作業工程における移送が難しく、この方法を工業的に採用することができない。
【0007】
【発明の目的】
本発明は、カップ状容器に充填された具材を含有するレトルト米飯において、具材が米飯の表面に浮き上がることがなく、米飯中に均一に分散させる方法およびこのように米飯中に具材が米飯中に均一に分散したレトルト米飯を提供することを目的としている。
【0008】
さらに本発明は、離乳食として好適なレトルト米飯の製造方法および離乳食として用いられるレトルト米飯を提供することを目的としている。
【0009】
【発明の概要】
本発明のレトルト米飯の製造方法は、調理米とは比重の異なる具材を含有するレトルト米飯の製造方法であって、
調理液に、炊き込み具材および吸水した生米の一部を添加して、これを調理温度に保持して不完全調理した後、一旦、当該調理温度以下に冷却して残りの生米を添加して均一に混合した後、該均一混合物をカップ状容器に充填し密封後、加熱調理および殺菌処理することを特徴としている。
【0010】
また、本発明のレトルト米飯は、調理米と、該調理米とは比重の異なる具材とが、カップ状容器に充填されたレトルト米飯であって、
該カップ状容器に、少なくとも2つの異なる炊飯履歴を有する米飯に、該米飯中に調理米とは比重の異なる具材が均一に分散されて密封されていることを特徴とする。
【0011】
本発明のカップ状容器入りのレトルト米飯は、離乳食として好適に使用することができる。
本発明によれば、具材と生米の一部を不完全調理した後、この不完全調理品に残りの生米を添加して均一に混合することにより、比重の低い具材および生米が不完全調理品中に均一に混合され、この不完全調理品は、最初に添加された米飯により相当粘度が高くなっているので、レトルト加熱による加熱調理によっても均一に混合された具材が浮き上がることがない。このような状態の混合物をカップ状容器に充填して密封後、加熱調理および殺菌処理することにより、後から加えた生米は良好に調理され、しかも加熱調理によっても後から添加した米はその形状が損なわれることなくその形状が維持される。したがって、本発明の方法で得られたレトルト離乳食米飯は、全体に均一に具材が分散していると共に、米全体が粥状にはならず、後から添加した米はその形状が維持され、非常に良好な食感を与える。
【0012】
【発明の具体的説明】
次に本発明のレトルト離乳食米飯の製造方法およびレトルト離乳食米飯について具体的に説明する。
図1は、本発明のレトルト離乳食米飯の製造方法の例を示すフローチャートであり、図2は本発明の方法により製造された米飯の状態の例を模式的に示す断面図であり、図3は従来の方法により製造された米飯の状態を模式的に示す断面図である。
【0013】
本発明のレトルト米飯としては、調理米よりも比重の低い具材を含有すると共に、やわらかめに炊かれた米飯、粥、あるいはリゾットといった流動性を有するタイプの米飯とを含むものである。このようなレトルト米飯の例としては、炊き込みご飯、具材入りリゾット、具材入り粥などを挙げることができる。
本発明において、上記のようなレトルト米飯は、カップ状容器に充填されている。ここで使用されるカップ状容器は、内容物を加熱するために熱湯中に浸漬しても熱変形しない素材および/または電子レンジによる加熱によっても溶融変形あるいはスパークしない素材で形成されている。このような素材の例としては、融点が100℃以上のプラスチック、表面がプラスチックでコーティングされた金属箔(アルミニウム箔など)を挙げることができる。
【0014】
本発明のレトルト米飯は、離乳期における乳児、特に離乳期の乳児を対象にした離乳食としての製品として好適であるが、その他、病中、病後の特殊食、老人などの介護食としても好適である。このうち、特に、離乳食、さらには、離乳後期から離乳完了期における離乳食としての製品を好適に形成し得る。
本発明において使用する原料米としては、生産地、種類、品質等について特に限定されるものではない。例えば、生産地としては、日本国内、あるいは中国、インド、インドネシア、バングラデシュ、タイ、ベトナム、ミャンマーなどの外国のいずれのものであってもよい。また、いわゆるジャポニカ米あるいはインディカ米といった区別においても、いずれのものを用いることもできる。さらに品種としても、国産粳米としては、例えば、コシヒカリ、ササニシキ、アキタコマチ、キララ397、ひとめぼれ、はえぬき、アキニシキ、日本晴れ、コガネマサリ、ヒノヒカリ、レイホウ、ユメヒカリ、トヨニシキ、キヨニシキ、農林22号、奥羽239号等、糯米としては、例えば、こがねもち、みやこがね、ひよくもち、ヒメノモチ、オトメモチ等が、例示できるがもちろんこれらに何ら限定されるものではなく、さらに、低アミロース米(アミロース含有量5〜15%)として開発されたミルキークィーン、奥羽344号、彩等、高アミロース米(アミロース含有量25%以上)として開発された夢十色、ホシユタカ等、香り米として開発されたサリークィーン、関東172号、はぎのかおり等、色素米として開発された朝紫、ベニロマン等、低グリデリン米として開発されたLGC-1、低グロブリン米として開発されたLA-1、巨大胚米として開発された北海269号、中国137号、大粒米として開発されたオオチカラなど、国内において生産されているないしは開発されたいかなる品種であってもよい。外米としても、例えば、中国産米としては、粳、せん、光梗陸稲、深水稲等が、インド産米としては、アマン期稲、アウス期稲、ボロ期稲等が、インドネシア米としては、ブル種、グンディル種、チュレー種等が、ミャンマー産米としてはエマタ種、レッユェジン種、ヌガセイン種、ミドン種、ビャッツ種などが、それぞれ知られるがそのいずれを用いることも可能であり、他国産のものについても同様に各種のものを用いることが可能である。
【0015】
特に限定されるわけではないが、本発明のレトルト米飯が、離乳食製品である場合には、国内粳米、特に、コシヒカリ、ササニシキなどといった上記に例示したような代表的な銘柄米を用いることが好ましい。なお、コシヒカリのアミロース含有量は約16%前後であり、粳米の場合はアミロースの含有量が下がると粘りが出て日本人の嗜好に合うものとなる。アミロース含有量に特段限定されるものではないが、アミロース含有量が25%以下、望ましくは5%〜20%であることが望ましい。
【0016】
また、調理、加工適正が高く、粥調理に適するとされる上記のような高アミロース米、同様に加工適正が高くリゾット調理に適するとされる上記のような大粒米なども、本発明のレトルト米飯に好適に用いられる。
さらに、使用される米の精米の度合いとしても特に限定されるものではなく、玄米であっても,3分づき、5分づき、7分づき、白米、酒米などの各種精白米であっても、さらに白米にビタミンB1,B2等を添加した強化米であってもよい。しかしながら、一般的にはこれらのうちで白米が好ましい。
【0017】
なお、本発明における原料米としては、上記したような種々の品種、種類、形態の米のいずれかを単独で用いるか、あるいは複数種組み合わせて用いることができる。
使用される調理液は、水をベースとし、これに必要に応じて配合される調味料等を含有するものであるが、当該調理液は粘度調整成分を有していることが望ましい。
【0018】
このような調理液中に含有される粘度調整成分とは、ベースとなる水に、味付けのために添加される調味料によって、あるいは調理液に配合される米以外の他の具材が加熱調理される際に調理液中に溶出してくる成分によって、あるいはさらに粘度調整のために必要に応じて別途添加される粘度調整剤によって構成され得る。
【0019】
粘度調整剤としては、一般には、例えば、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、小麦澱粉、くず粉、タピオカ澱粉などの澱粉や、その他食品添加物として指定されている増粘剤、ゲル化剤などが用いられ得る。
このように粘度調整剤として澱粉を使用する場合、米以外に添加される副材料や調味料の種類および量、得ようとする米飯における固液比、並びに、後述するように調味料に添加されて加熱される生米と加熱されない生米との配合割合などの条件によっても左右されるが、例えば、原料として使用される充分吸水した上で水切りされた生米全量に対して、9〜11%程度、より好ましくは9.3〜10.5%程度の割合で配合されることが望ましい。粘度調整剤としての澱粉の配合量が過剰であると得られる製品の風味および食感を低下させてしまう虞れがあり、一方、配合量が少なすぎると、食材が不均一に分散する虞がある。
【0020】
また、このような澱粉と併せて炭酸カルシウム、卵殻カルシウム、グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム等を栄養強化だけでなく、カルシウムによる具材の保形性を高めるという目的から添加することが好ましい。その添加量としては、特に限定されるものではないが、原料として使用される生米全量に対して、1.0〜20%程度、より好ましくは1.5〜9.0%程度の割合で配合されることが望ましい。
【0021】
本発明のレトルト米飯には、原料として調理米(炊飯米)よりも比重の低い具材が含有されている。
本発明において使用される具材としても、特に限定されず、例えば、肉類およびその加工食品、魚介類およびその加工食品、卵、チーズ、野菜、きのこ類、豆腐および油揚げなどの豆腐加工食品、海草類、豆類、ごま、さらに、大麦その他の米以外の穀類等の任意の具材が、得ようとするレトルト米飯の調理、調味形態に応じて適宜選択して用いられる。
【0022】
例えばサケ炊き込みご飯風のレトルト米飯を調製しようとする場合には、具材として、サケ、にんじん、ひじきなどが使用される
また、例えば、鶏そぼろ炊き込みご飯風のレトルト米飯を調製しようとする場合には、鶏肉、ごぼう、油あげ、ニンジンなどが使用できる。
さらに、キノコご飯風レトルト米飯には、キノコ、ごぼう、こんにゃく、ニンジンなどが使用できる。
【0023】
また、しらす粥の場合には、しらす、ねぎ、大根、ニンジンなどを使用できる。
このような本発明のレトルト米飯を離乳食として使用する場合には、離乳後期に当たる9ヶ月以降の乳幼児の場合を考慮すると、固形物の大きさを通常は1mm角以上15mm角以下、好ましくは3mm角以上10mm角以下とすることが望ましい。また、具材として細長いものを使用する場合には、1〜2cm以下とする。離乳食中の具材が上記範囲を逸脱して大きいと、離乳期の乳児が咀嚼できないことがあり、また、1mm角よりも逸脱して具材が小さいと満足した食感が得られにくい。
【0024】
図1に示すサケ炊き込みご飯風レトルト米飯の製造フロー図にしたがって、上記生米および具材を調理液にいれて調理する。
先ず、精白米を秤量し、この精白米を洗浄し、この精白米の重量に対して約2倍程度の水に常温で2時間以上、10℃以下で冷蔵で浸漬する場合には15時間程度浸漬する。上記のようにして浸漬した後水切りをして秤量すると、この精白米の重量は、水を吸収して、1.1〜1.5倍、好ましくは1.2〜1.3倍に増加する。
【0025】
これとは別にニンジンを約3mm角にみじん切りにする。
また、サケは切り身にして加熱した後、皮や骨を取り除き、細かくほぐす。
上記のニンジンのみじん切り、サケのほぐし身を、湯にしょうゆ、かつ節エキス、昆布だし、精製塩を加え、さらにここに少量の澱粉を加えた調理液にいれる。
【0026】
これとは別にひじきを水戻しして、好みにより調味料を加えて加熱しこの加熱調理されたひじきも調理液に投入し、加熱して予め下拵えをしておく。
上記のようにして下拵えしたひじき、ニンジン、サケを調理液中に投入して混合する。この調理液は、水に鰹エキス、昆布エキス、醤油、さらに必要により塩、こしょうなどの他の調味料を加えて調製したものである。本発明のレトルト米飯を離乳食として使用する場合には、塩分の量を少なくすることが好ましく、成人の食する調理品に配合する通常の食塩量の1/5〜1/2量の食塩を使用して薄味に仕上げる。
【0027】
こうして調味液に具材を混合すると、上記のようなニンジン、サケ、ひじきなどは水よりも比重が低いので調理液から浮き上がり、このような状態で水に浸漬した生米を全量加えて調理しても具材が調理米の上に浮いてしまう。本発明では、上記のような調理液の少量の澱粉を加えて、この調理液自体の粘度を通常の調理液よりも高くすることが好ましい。ここで使用される澱粉の量は、調味液に対して、通常は1.50〜2.25%、好ましくは1.65〜2.05%である。
【0028】
次いで、本発明ではこうして調製された具材が含有されている調理液に、最初に水洗して吸水させた生米の一部を添加する。すなわち、本発明では、この段階でレトルト米飯に使用される生米の50重量%以上、好ましくは50〜90重量%、さらに好ましくは65〜85重量%の生米を添加する。図1では、生米の75重量%を最初の段階で使用する例が示されている。
【0029】
こうして生米の一部、具材、調味料などを配合して、これらの混合物を一旦調理温度まで加熱して半調理する。半調理温度は、通常は90〜100℃、好ましくは95〜100℃であり、このような温度において、調理時間は、通常は5〜20分間、好ましくは10〜15分間である。
このように半調理することにより、生米中に含まれる澱粉はほとんどがα化してほとんど粥状の粘稠な米飯になる。この時、澱粉量や初回に投入する米の量に伴い、粘度を調整することにより、比重の低い具材は、炊きあげられた米飯に、ほぼ均一に分散している。
【0030】
本発明では、こうして最初の段階の加熱によって半調理された調理品(半調理品)を調理温度以下の温度、例えば通常は60〜90℃、好ましくは70〜80℃の温度を降温する。この降温は、積極的に冷媒などを用いて行うことにより、半調理された、米飯の膨潤が進行することを防ぐために望ましいが、上記半調理の際に加熱した後、放置することにより、半調理温度以下に温度にしてもよい。このように降温した段階では、この半調理品中にはサケ、ひじき、ニンジンといった具材は、米飯とはほぼ均一に分散している。
【0031】
次いで、本発明では、上記の半調理品に残りの生米を添加すると共に、この添加した生米が半調理品中に均一になるように混合する。この混合によって、具材が完全に米飯中に均一に分散される。なお、半調理品中には好適には澱粉が配合されており、更に、最初に投入された生米が、半調理時に加熱されα化することにより、この半調理品の粘度はある程度高くなるが、このような半調理品は、ある程度の流動性を有しており、ポンプによるパイプ移送も可能である。
【0032】
半調理品に残りの生米を添加し、具材と共に混合することにより、生米および具材は上記一次調理品中に均一に分散され、しかも半調理により米飯がα化することにより適度の粘度を有するようになることから、半調理品中に均一に分散した生米および具材が再び分離することがない。また、上記半調理品中には水分が含まれているが、この半調理品中にはα化澱粉が相当量で含有されており、こうしたα化澱粉を相当量含有する水溶液から生米が吸水しにくく、その形態が崩れにくい。
【0033】
こうして新たに生米を加え具材が均一に分散するように混合した混合物は、カップ状の容器に充填される。
このカップ状容器は、例えば離乳食の場合、離乳食として一回に与える量の米飯が充填される大きさにされていることが好ましく、通常は40〜150g、好ましくは60〜120g程度の米飯が充填可能な容積を有する。なお、本発明のレトルト米飯の製造方法では、適度な粘度となるよう調整されていることから、良好なパイプ移送性を有しており、カップ状容器への自動充填が可能である。すなわち、この生米を含有する半調理品は、60℃±5℃の温度条件において、3000〜11000cP、好ましくは4000〜8000cPの粘度を有しており、一般的な加圧圧送装置を用いて安定して圧送が可能であり、従って、上記のようにして調製された半調理品はカップ状容器への自動充填が可能である。なお、本発明において、粘度は、B型粘度計であるTOKIMEC社製粘度計VISCOMETERのBLモデルによって測定した値である。
【0034】
上記のようにしてカップ状容器に半調理品を充填した後、カップ状容器の上面の開口部の縁部にシール部材11を当接してシールする。このシール部材は、ヒートシーラー、高周波誘導加熱シーラーなどを用いてシールすることができる。さらに、本発明では、このシール部材11を用いてカップ状容器10の開口部をシールして密封する際に、カップ状容器に窒素ガスを導入して、容器内に存在する空気を窒素ガスで置換することが好ましい。このようにカップ状容易内を窒素ガスで満たすことにより、本発明のレトルト米飯の空気酸化による変質を有効に防止できると共に、保存期間の長期化を図ることができる。
【0035】
こうしてカップ状容器10をシール部材11を用いて密封した後、このカップ状容器をレトルト殺菌装置に搬送し、次いで、このレトルト殺菌装置内で加熱殺菌処理する。この加熱殺菌処理の際の加熱によってカップ状容器内の充填されている半調理品は、加熱調理され、後に投入した生米も完全に炊飯される。この加熱処理条件は、生米の種類および量、半調理条件によっても異なるが、例えば、レトルト殺菌機における雰囲気温度および条件は通常は115〜125℃で30〜50分間、好ましくは118〜121℃で35〜45分間の範囲内に設定される。
【0036】
また加熱殺菌のために必要とされる高温の熱処理は、短時間にとどめ、この殺菌のための熱処理で不足する調理のために要する熱分を、より低い温度での熱処理で補うといった段階的な熱処理とすることも可能である。なお、この場合、加熱殺菌のための熱処理工程は、調理のための補充的熱処理工程の前後いずれに置くことも可能である。例えば、加熱殺菌のために、100〜200kPaの圧力において100℃以上、好ましくは110〜130℃で10〜20分熱処理を行い、これに加えて、別途、90〜100℃で20〜30分程度炊飯のための熱処理を行うといったものである。
【0037】
本発明では、レトルト殺菌は、例えば熱水式、蒸気式等既存のレトルト釜を用いて行うことができる。
上記のようにして、カップ状容器に充填されて加熱殺菌された本発明のレトルト米飯は梱包装置へと送られ、梱包される。
このように加熱殺菌することにより、後から加えた生米はα化して食することができるようになるが、最初の加熱により粘度が上昇した米飯中に分散された生米は、この加熱殺菌の工程では必要以上に吸水することがなく、従って、後に加えた生米は、加熱殺菌工程における加熱によっても米の形態が維持される。同時に加熱殺菌工程の前に生米は、粘度の高い半調理品中に均一に分散されており、さらに同様に具材も均一に分散しているために、加熱殺菌における加熱を利用した調理によっても、具材および後で加えた米(調理品)が表面に浮き上がって分離することがない。すなわち、図2に例示的に示す本発明のサケの炊き込みご飯風レトルト米飯では、米飯12中に、サケのほぐし身14、ニンジン16、ひじき18などが均一に分散される。さらに、このレトルト米飯中には、最初に加熱された後レトルト加熱された炊飯履歴を有する米飯12の他に、レトルト加熱によって2回加熱された炊飯履歴を有する米飯20とが共存しており、最初の加熱よっては加熱されず、レトルト加熱によって加熱された炊飯履歴を有する米飯は、米の形状が損なわれずにレトルト米飯中に均一に分散させている。このようにレトルト加熱される前に生米を混合し、次いでレトルト加熱することにより、この加えられた生米は、米の形状が損なわれないので、本発明のレトルト米飯を食したときに非常に良好な食感を有しており、特に離乳後期以降の乳幼児が食するのに適した硬さを有している。
【0038】
さらに本発明のレトルト米飯では、具材が米飯中に均一に分散されており、サケの切り身などが解繊することによって生ずる動物性繊維も米飯中に均一に分散される。従って、本発明のレトルト米飯では、図3に19で示した黴のように見える繊維の集合がなく、これらの動物性繊維は、集合することなく米飯中に均一に分散されている。
【0039】
このようにして得られる本発明のレトルト米飯は、カップ状の容器内に、少なくとも2つの異なる炊飯履歴を有する米粒群が存在する。すなわち、その1つとしては、上記した第一配合分の生米が炊飯されたものであり、具体的には、本発明のレトルト米飯中には、炊飯履歴としてカップ状容器に充填される前の不完全調理工程における加熱とその後のレトルト加熱によって2回の加熱履歴を有する米飯、および、最初の加熱後に添加され、レトルト加熱によって加熱された熱履歴を有する米飯が共存している。
【0040】
上記の2つの米粒群の差異は、例えば、その潰れ強度ないしテクスチャー、膨張容積ないし膨張径、色調等によって、明確に区別ができる。
後者の米粒群は、充分に炊飯されているものの、前者の米粒群と比較して、しっかりした米粒形状を保持している。これゆえ、前者の米粒群と比較して、潰れ強度が大で、しっかりしたテクスチャーを有し、膨張容積ないし膨張径が小さく、色が白いものである。
【0041】
前者の米粒群(第一配合分)は、膨張度が大きく、場合によって、一部米粒形状を保持し得ない程度まで潰れ、強度およびテクスチャーの低いものとなるが、最終製品たる本発明に係るレトルト米飯全体としては、米粒の比較的しっかりした後者の米粒群(第ニ配合分)の存在によって、良好な風味、食感を呈し、特に離乳後期用の米飯製品の用途に好適なものとなる。
【0042】
なお、本発明のレトルト米飯を製造するに際しては、各素材を選定した段階、これらを調理した段階などにおいて、金属探知して金属などの異物が混入しないようにすると共に、仮に異物の混入した痕跡を有する者は排除することが好ましい。
上記示した例は、サケの炊き込みご飯風レトルト食品であるが、その他、鶏の炊き込みご飯、きのこの炊き込みご飯、かぼちゃなどの野菜を使用したパエリアなどにおいても、具材の比重は米飯とは異なることから、上記と同様にして調製することができる。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、上述のように生米の一部と具材とを用いて半調理した後、残りの生米を添加すると共に、混合することにより、半調理品中に具材および生米を均一に分散させ、この混合物をカップ状容器に充填し、好適には窒素ガスを充填して密閉してレトルト加熱することにより、炊き込みご飯風のレトルト米飯において具材が表面に分離することがなく、具材が均一に分散したレトルト米飯を得ることができる。
【0044】
さらに、生米を分割して添加して、複数回加熱された炊飯履歴を有する米飯と一回の加熱による炊飯履歴を有する米飯とを共存させることにより、カップ状の容器中に米の形状が維持された米飯が存在し、非常に食感がよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明のレトルト離乳食米飯の製造方法の例を示すフローチャートである。
【図2】 図2は本発明の方法により製造されてカップ状の容器に充填された米飯の状態の例を模式的に示す断面図である。
【図3】 図3は従来の方法により製造されてカップ状の容器に充填された米飯の状態を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
10・・・カップ状容器
11・・・シール部材
12・・・米飯
14・・・サケ
16・・・ニンジン
18・・・ひじき
19・・・動物性繊維の集合
20・・・2回加熱された炊飯履歴を有する米飯
Claims (3)
- 調理米とは比重の異なる具材を含有するレトルト米飯の製造方法であって、
調理液に、炊き込み具材および吸水した生米の一部を添加して、これを調理温度に保持して不完全調理した後、一旦、当該調理温度以下に冷却して残りの生米を添加して均一に混合した後、該均一混合物をカップ状容器に充填し密封後、加熱調理および殺菌処理することを特徴とするレトルト米飯の製造方法。 - 上記カップ状容器中の空気を窒素ガスで置換後に密封することを特徴とする請求項第1項記載のレトルト米飯の製造方法。
- 上記調理液が粘度調整成分を含有することを特徴とする請求項第1項記載のレトルト米飯の製造方法。
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