JP2003031047A - 光ファイバ複合架空地線 - Google Patents

光ファイバ複合架空地線

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JP2003031047A
JP2003031047A JP2001209880A JP2001209880A JP2003031047A JP 2003031047 A JP2003031047 A JP 2003031047A JP 2001209880 A JP2001209880 A JP 2001209880A JP 2001209880 A JP2001209880 A JP 2001209880A JP 2003031047 A JP2003031047 A JP 2003031047A
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ground wire
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JP2001209880A
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Shoji Mimura
彰治 味村
Shinji Katayama
慎司 片山
Yuji Asano
祐二 浅野
Yutaka Nagata
豊 永田
Masanori Isozaki
正則 磯崎
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Fujikura Ltd
Tokyo Electric Power Company Holdings Inc
Original Assignee
Fujikura Ltd
Tokyo Electric Power Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸性雨や産業廃棄物処理場などからの排出ガ
スが存在する雰囲気下であっても、防食処理を施す必要
がない、防食性に優れた光ファイバ複合架空地線を提供
する。 【解決手段】 光ファイバ1を収容した保護パイプ2に
複数本の金属素線5を撚り合わせた光ファイバ複合架空
地線において、保護パイプ2が、マンガン0.3〜4.
3重量%と、アルミニウムと、不可避不純物とを含有し
て、マンガンとアルミニウムとからなる金属間化合物が
分散析出したアルミニウム−マンガン合金からなるもの
である。前記金属素線の表面には、マンガン0.3〜
4.3重量%と、アルミニウムと、不可避不純物とを含
有して、マンガンとアルミニウムとからなる金属間化合
物が分散析出したアルミニウム−マンガン合金からなる
被覆層が設けられていることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防食処理を施すこ
となく、耐食性に優れ、かつ引張強度の高い光ファイバ
複合架空地線に関する。
【従来の技術】
【0002】情報通信技術の発展と需要増加に伴い、通
信経路を大量に確保することが求められている。このよ
うな状況の中、通信経路として架空送電線経路が注目さ
れている。架空送電線経路に使用される架空地線として
は、大量の情報を伝達でき、しかも、低損失、無誘導、
絶縁物である光ファイバを用いた架空地線、すなわち光
ファイバ複合架空地線(以下、OPGWという)が好適
に使用される。従来のOPGWは、図5に示す構造のも
のが使用されている。このOPGWは、光ファイバ1を
収容した保護パイプ11を芯として複数本の金属素線1
3が撚り合わせられて構成されている。
【0003】ところで、架空地線は、日光、雨などの自
然環境に曝されるので、耐環境性に優れたものであるこ
とが要求される。そこで、保護パイプ11には、良好な
耐食性を有するアルミニウム合金が使用される。また、
金属素線13は、主に鉄塔間の張力を分散する役割を担
っているため、アルミニウム合金より引張強度が高い鋼
線4が用いられる。しかしながら、鋼線4は耐食性が不
十分であるため、鋼線4の外周に導電性アルミニウム合
金被覆層12を形成させるのが一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、
地球規模の環境汚染による酸性雨や、産業排気物処分場
からの排煙に含まれる物質が溶解した雨水などによっ
て、架空地線の腐食が予測を超える速さで進行すること
がある。保護パイプの腐食が進行し、腐食生成物により
体積が膨張しても、架空地線としての性能には影響はな
いが、金属パイプ内に収容された光ファイバに歪みを与
えてしまう。光ファイバに歪みが生じると、信号強度損
失量が増加して、通信不能などの事故が発生する場合が
ある。また、金属素線の腐食が進行してしまうと、引張
強度が低下し、張力の分散ができなくなる。そのため、
厳しい腐食環境に曝される地域で使用されるOPGWに
ついては、保護パイプ表面にグリースを塗布するなどの
防食対策がとられている。しかしながら、グリースは高
分子化合物で構成されており、日光に含まれている紫外
線が照射されたり、また日光により加熱されたりする
と、グリースが劣化し、ひび割れなどを生じて剥落し、
防食性が失われる。
【0005】このような理由から、グリースによる防食
処理が施されたOPGWに対しては、定期的に点検を行
い、グリースの補充などの保守を行うことが必要であ
る。仮に、ひび割れなどを生じた場合には、ひび割れし
た隙間から腐食性の水溶液が浸透し、外観から観察でき
ない部分で急速に腐食が進行する。このようになってし
まった場合、完全な保守管理ができなくなる。さらに、
グリースを用いた場合は、張り替えなどの作業を行う際
の作業性が悪化するという問題もある。本発明は、上記
の課題を解決するためになされたものであり、酸性雨や
産業廃棄物処理場などからの排出ガスが存在する雰囲気
下であっても、防食処理を施す必要がない、防食性に優
れた光ファイバ複合架空地線を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の光ファイバ複合
架空地線は、光ファイバを収容した保護パイプに複数本
の金属素線を撚り合わせた光ファイバ複合架空地線にお
いて、前記保護パイプが、マンガン0.3〜4.3重量
%と、アルミニウムと、不可避不純物とを含有して、マ
ンガンとアルミニウムとからなる金属間化合物が分散析
出したアルミニウム−マンガン合金からなるものであ
る。前記金属素線の表面には、マンガン0.3〜4.3
重量%と、アルミニウムと、不可避不純物とを含有し
て、マンガンとアルミニウムとからなる金属間化合物が
分散析出したアルミニウム−マンガン合金からなる被覆
層が設けられていることが好ましい。前記アルミニウム
−マンガン合金が、さらにマグネシウムを0.05〜
6.0重量%含有することが好ましい。前記被覆層の厚
さが0.1mm以上であり、かつ金属素線の断面積に対
する被覆層の断面積の比率が50%以下であることが好
ましい。
【0007】また、アルミニウム−マンガン合金中には
不可避不純物が含まれるが、その不可避不純物の含有量
は、鉄0.2重量%以下、シリコン0.4重量%以下、
亜鉛0.5重量%以下、銅0.3重量%以下の範囲であ
ることが好ましく、この範囲であれば防食性には影響が
ない。さらに、鋳塊結晶組織を微細化するために、アル
ミニウム−マンガン合金中にチタンを0.003〜0.
2重量%添加することが好ましい。また、チタンとホウ
素を複合添加する場合には、チタンを0.003〜0.
1重量%かつホウ素を0.0001〜0.05重量%含
むことが好ましい。また、チタンと炭素を複合添加する
場合には、チタンを0.003〜0.1重量%かつ炭素
を0.0001〜0.05重量%含むことが好ましい。
また、アルミニウム−マンガン合金の強度を向上するた
めに、クロム、バナジウム、ジルコニウムから選ばれる
金属を一種以上添加することができる。その添加量は、
クロムが0.003〜0.15重量%、バナジウムが
0.003〜0.15重量%、ジルコニウムが0.00
3〜0.15重量%であることが好ましい。また、鋳造
時の溶融酸化防止のために、ベリリウムを0.01重量
%未満で添加することが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。図1は本発明の光ファイバ複合架空地線(OPG
W)の一例である。このOPGWは、光ファイバ1がル
ースに収められたアルミニウム−マンガン合金製保護パ
イプ2を芯として、アルミニウム−マンガン合金製被覆
層3で被覆された鋼線4からなる金属素線5が8本撚り
合わされて構成されている。本発明に使用される光ファ
イバ1は、特に限定されるものではなく、公知の光ファ
イバユニットや光ファイバケーブルを利用することがで
きる。
【0009】保護パイプ2には、アルミニウムとマンガ
ンとの金属間化合物が分散析出した、アルミニウム−マ
ンガン合金が使用されている。このアルミニウム−マン
ガン合金中には、マンガンが0.3〜4.3重量%含ま
れている。マンガンの含有量が0.3重量%未満ではア
ルミニウムとマンガンとを含む金属間化合物の析出量お
よびその個数が不足になる場合がある。一方、4.3重
量%を超えると、鋳造時に粗大なマンガン化合物が生成
し、その後の加工が困難となる場合がある。被覆層3に
も、マンガンが0.3〜4.3重量%含まれるアルミニ
ウム−マンガン合金を使用することが好ましい。被覆層
3がアルミニウム−マンガン合金からなることにより、
金属素線5の耐食性が向上する。また、アルミニウム−
マンガン合金にはマグネシウムが0.05〜6.0重量
%含まれることが好ましい。マンガン含有量が0.05
重量%未満では、アルミニウムとマンガンとを含む金属
間化合物の析出促進効果が低く、6.0重量%を超える
と鋳造製や加工性が低下する場合がある。
【0010】金属素線5は、OPGWに必要な張力を加
えられるようにするためのテンションメンバである。こ
のテンションメンバの強度を高めるためには、鋼線4に
被覆されるアルミニウム−マンガン合金製被覆層3の厚
さは薄い方が好ましい。その反面、OPGW製造時およ
び架設時に、その表面に機械的な衝撃、摩擦などの外力
が加えられ、削り取られるため、被覆層3の厚さは0.
1mm以上であることが好ましい。被覆層3の厚さが
0.1mm未満では、OPGW製造時および架設時の外
力により被覆層3が摩擦し、削り取られるなどして鋼線
4が露出し、鋼線4の腐食が進行してしまう場合があ
る。
【0011】また、耐食性を高めるには、被覆層3は厚
い方が好ましいが、被覆層3が厚すぎると金属素線5の
強度が低くなるため、テンションメンバとしての機能を
果たさなくなる。好ましい被覆層3の厚さは、金属素線
5の断面積に対して被覆層の断面積の割合(以下、占積
率という)が50%以下である。
【0012】図2は、本発明の光ファイバ複合架空地線
の他の例を示す図である。このOPGWはアルミニウム
−マンガン合金製の保護パイプ2を芯として撚り合わさ
れる金属素線5の形状が扇形のものである。金属素線5
には、アルミニウム−マンガン合金製の被覆層3で被覆
された鋼線4が用いられている。このようなOPGW
は、金属素線5が扇型であるため、より大きな外圧に対
しても、中心の保護パイプが変形しにくいものとなる。
また、図3は保護パイプ2の外層6がアルミニウム−マ
ンガン合金、内層7がアルミニウム合金で形成されたク
ラッド材料を用いた一例を示す図である。金属素線5に
は、アルミニウム−マンガン合金製の被覆層3で被覆さ
れた鋼線4が用いられている。このようなOPGWは、
保護パイプに対するアルミニウム−マンガン合金の断面
積の比率が減少するため導電率を高くすることができる
特徴がある。
【0013】図4は、金属素線に導電性アルミニウム合
金被覆鋼線を用いた一例を示す図である。この導電性ア
ルミニウム合金被覆鋼線は、導電性アルミニウム被覆層
12が鋼線4の外周に形成された金属素線13である。
この金属素線13は従来のOPGWにも使用されていた
が、本発明のOPGWに使用してもよい。これは、以下
の理由によるためである。元来、架空地線とは架空送電
線への雷の落下を防止するために使用されるものであ
り、架空地線そのものが雷のアーク放電により損傷を受
けることがある。一般的なアークによる損傷では、金属
素線の表面から深さ最大1mm程度までを溶損する。ア
ルミニウム−マンガン合金製の被覆鋼線が溶損を受けた
場合、その耐食性は通常の導電性アルミニウム合金被覆
鋼線と同程度となってしまうため、導電性アルミニウム
合金被覆鋼線を用いてもよい。
【0014】
【実施例】[実施例1]マンガン0.3重量%と、鉄
0.1重量%と、シリコン0.05重量%と、亜鉛0.
05重量%と、銅0.02重量%と、チタン0.02重
量%と、クロム0.03重量%と、バナジウム0.02
重量%と、ジルコニウム0.02重量%と、残りがアル
ミニウムとからなる組成の鋳塊を400℃の還元性雰囲
気下で10時間熱処理した上で、熱間圧延および冷間圧
延して、アルミニウムとマンガンとを含む金属間化合物
を析出させた厚さ0.60mmのアルミニウム−マンガ
ン合金製テープを得た。次いで、このテープに光ファイ
バを包むようにして、外径5mmの管状に成型し、両縁
部を突き合わせて溶接し、光ファイバを収容したアルミ
ニウム−マンガン合金製の保護パイプを得た。
【0015】[実施例2]鋳塊のマンガン含有率を1.6
重量%とした以外は実施例1と同様に行ってアルミニウ
ム−マンガン合金製の保護パイプを得た。
【0016】[実施例3]鋳塊のマンガン含有率を4.3
重量%とした以外は実施例1と同様に行ってアルミニウ
ム−マンガン合金製の保護パイプを得た。
【0017】[実施例4]鋳塊のマンガン含有率を1.6
重量%、マグネシウム含有率を1.5重量%とした以外
は実施例1と同様に行ってアルミニウム−マンガン合金
製の保護パイプを得た。
【0018】[比較例1]鋳塊のマンガン含有率を0.1
重量%とした以外は実施例1と同様に行ってアルミニウ
ム−マンガン合金製の保護パイプを得た。
【0019】[比較例2]鋳塊のマンガン含有率を4.8
重量%とした以外は実施例1と同様に行ってアルミニウ
ム−マンガン合金製の保護パイプを得た。
【0020】[比較例3]アルミニウム−マンガン合金製
テープの代わりに、マンガン0.003重量%、鉄0.
56重量%、シリコン0.12重量%、亜鉛0.004
重量%、銅0.12重量%、チタン0.01重量%、ク
ロム0.001重量%、バナジウム0.007重量%、
ジルコニア0.001重量%を含み残部がアルミニウム
である導電性アルミニウム合金製テープを用いた以外は
実施例1と同様に行って保護パイプを得た。
【0021】実施例1〜4および比較例1〜3につい
て、以下に示す方法で塩酸水溶液中の耐食性を比較し
た。その結果を表1に示す。 [耐食性試験]保護パイプを長さ100mmに切断し、
両末端をエポキシ樹脂で被覆処理して、耐食性試験用試
料とした。この試料の重量を測定し、pH1に調整した
塩酸水溶液に100時間浸漬した後、再び試料の重量を
測定した。塩酸水溶液浸漬前の重量から浸漬後の重量を
引き算し、重量減少量を算出し、これを単位表面積当た
りに換算し、比較した。なお、この試験は、各実施例お
よび比較例について試料数3で行った。単位表面積当た
りの重量減少量が少ないほど、耐食性に優れていること
を示す。
【0022】
【表1】
【0023】マンガンの含有率が0.3〜4.3重量%
の範囲にあるアルミニウム−マンガン合金で作製された
実施例1〜4の保護パイプは、アルミニウム合金に対し
て強い腐食性を示す塩酸水溶液中でも優れた耐食性を示
した。
【0024】[実施例5]実施例1と同じ組成のアルミ
ニウム−マンガン合金を、実施例1と同様に行って、厚
さ0.654mmのテープを得た。このテープを外径
6.7mmの鋼製芯材に縦添えし、管状に成型しながら
両縁部を溶接した。次いで、これを連続伸線機で伸線
し、アルミニウムとマンガンとを含む金属間化合物が分
散析出したアルミニウム−マンガン合金製の被覆層と、
鋼製の芯材とが一体化した外径3.2mmの被覆鋼線を
得た。
【0025】[実施例6]鋳塊のマンガン含有率を1.
6重量%とした以外は実施例5と同様に行ってアルミニ
ウム−マンガン合金被覆鋼線を得た。
【0026】[実施例7]鋳塊のマンガン含有率を4.
3重量%とした以外は実施例5と同様に行ってアルミニ
ウム−マンガン合金被覆鋼線を得た。
【0027】[実施例8]鋳塊のマグネシウム含有率を
1.5重量%とした以外は実施例5と同様に行ってアル
ミニウム−マンガン合金被覆鋼線を得た。
【0028】[比較例4]鋳塊のマンガン含有率を0.
1重量%とした以外は実施例5と同様に行ってアルミニ
ウム−マンガン合金被覆鋼線を得た。
【0029】[比較例5]鋳塊のマンガン含有率を4.
8重量%とした以外は実施例5と同様に行ってアルミニ
ウム−マンガン合金被覆鋼線を得た。
【0030】[比較例6]アルミニウム−マンガン合金
テープの厚さを0.25mmとした以外は実施例5と同
様に行って被覆鋼線を得た。
【0031】[比較例7]アルミニウム−マンガン合金
テープの厚さを1.22mmとした以外は実施例5と同
様に行って被覆鋼線を得た。
【0032】[比較例8]アルミニウム−マンガン合金
製テープの代わりに、マンガン0.003重量%、鉄
0.56重量%、シリコン0.12重量%、亜鉛0.0
04重量%、銅0.12重量%、チタン0.01重量
%、クロム0.001重量%、バナジウム0.007重
量%、ジルコニア0.001重量%を含み残部がアルミ
ニウムである導電性アルミニウム合金製テープを用いた
以外は実施例8と同様に行って被覆鋼線を得た。
【0033】実施例6〜8および比較例4〜8につい
て、被覆層の厚さを測定し、占積率を算出した。また、
引張強度、導電率、耐食性、捻回後の引張強度などの評
価を行った。その結果を表2に示す。なお、耐食性につ
いては実施例1〜5および比較例1〜3で行った方法と
同様に行った。また、捻回試験後の引張強度測定につい
ては、以下の方法で行った。
【0034】[捻回試験後の引張強度]中心に配した鋼
線と外周に配した被覆層との接合性が不十分であると、
その線材が機械的な付加を受けた場合、被覆層が破れた
り、被覆層と鋼線との隙間に水分が入ったりして腐食が
進行することが心配される。このような接合性に関する
評価としては、一般的に捻回試験がよく行われる。そこ
で、被覆鋼線から試料を切り出し、つかみ間隔を線径の
100倍として、20回捻回した。その後、つかみ間隔
の100mmの部分を切断し、両末端をエポキシ樹脂で
被覆処理して、pH0.5に調整した塩酸水溶液中に1
00時間浸漬した。その後、この試料の両末端をチャッ
クに固定して引張試験を行った。
【0035】
【表2】
【0036】マンガンを0.3〜4.3重量%含有した
実施例5〜8のアルミニウム−マンガン合金被覆鋼線
は、塩酸水溶液中での耐食性が導電用アルミニウム合金
で被覆された被覆鋼線よりも耐食性が優れていた。ま
た、捻回後の引張試験では、捻回および塩酸水溶液浸漬
を行っていないものと比較して引張強度に差が見られな
かった。すなわち、捻回によって被覆層に割れを生じた
りして、腐食が進行することはなかった。一方、マンガ
ン含有量が上記範囲から外れている比較例4、5および
8の被覆鋼線は、塩酸水溶液中での腐食が激しく、耐食
性に劣っていた。また、アルミニウム−マンガン合金の
被覆厚さが0.1mm以下である比較例6は、伸線した
際に被覆層が割れるなどして芯材の鋼線が露出するた
め、塩酸水溶液に浸漬すると腐食が進行し、捻回後の引
張強度が低かった。また、占積率が50%を超える比較
例7は引張強度が980MPa(100kgf/m
2 )以下となり、テンションメンバとして好ましい強
度が得られなかった。
【0037】[実施例9]実施例2の保護パイプを芯と
して、撚り線製造装置を用いて実施例6の被覆鋼線8本
を撚って光ファイバ複合架空地線を得た。
【0038】[比較例9]比較例3の保護パイプを芯と
して、撚り線製造装置を用いて比較例8の被覆鋼線8本
を撚って光ファイバ複合架空地線を得た。
【0039】実施例9および比較例9の光ファイバ複合
架空地線の両末端を、光ファイバの伝送損失が測定でき
るように処理した後、長さ2000mmに切断し、両末
端の遮水処置を施した。これを、pH1に調整した塩酸
水溶液噴霧装置内で3000時間腐食試験を行った。試
験中は、1時間毎に伝送損失を測定した。実施例9の光
ファイバ複合架空地線は、非常に激しい腐食環境である
塩酸水溶液噴霧試験を3000時間行っても、伝送損失
はなく、良好な光伝送特性を示したのに対し、比較例9
の光ファイバ複合架空地線は1298時間で実用が困難
な程度にまで伝送損失が増加した。
【0040】
【発明の効果】本発明の光ファイバ複合架空地線は、光
ファイバを収容した保護パイプに複数本の金属素線を撚
り合わせた光ファイバ複合架空地線において、前記保護
パイプが、マンガン0.3〜4.3重量%と、アルミニ
ウムと、不可避不純物とを含有して、マンガンとアルミ
ニウムとからなる金属間化合物が分散析出したアルミニ
ウム−マンガン合金からなるものである。そのため、耐
食性で特に問題となる塩化物イオンと水分の存在する環
境下でも極めて優れた耐食性を有し、防食処理を施さな
くても、腐食を進行させて光ファイバの伝送特性を低下
させることはない。
【0041】前記金属素線の表面には、マンガン0.3
〜4.3重量%と、アルミニウムと、不可避不純物とを
含有して、マンガンとアルミニウムとからなる金属間化
合物が分散析出したアルミニウム−マンガン合金からな
る被覆層が設けられていることにより、金属素線の耐食
性が向上し、テンションメンバとしての信頼性を向上さ
せることができる。前記アルミニウム−マンガン合金
は、さらにマグネシウムを0.05〜6.0重量%含有
することにより、マンガンとアルミニウムとを含む金属
間化合物の析出を促進することができる。前記被覆層の
厚さが0.1mm以上であり、かつ金属素線の断面積に
対する被覆層の断面積の比率が50%以下であることに
より、耐食性および引張強度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光ファイバ複合架空地線の一例を示
す断面図である。
【図2】 本発明の光ファイバ複合架空地線の他の例を
示す断面図である。
【図3】 本発明の光ファイバ複合架空地線の他の例を
示す断面図である。
【図4】 本発明の光ファイバ複合架空地線の他の例を
示す断面図である。
【図5】 従来の光ファイバ複合架空地線の一例を示す
断面図である。
【符号の説明】
1・・・光ファイバ、2・・・保護パイプ、3・・・被
覆層、4・・・鋼線、5・・・金属素線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片山 慎司 東京都江東区木場一丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 浅野 祐二 東京都江東区木場一丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 永田 豊 東京都江東区木場一丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 磯崎 正則 神奈川県横浜市鶴見区江ヶ崎町4番1号 東京電力株式会社電力技術研究所内 Fターム(参考) 2H001 BB01 DD06 DD10 DD11 FF02 KK06 MM01 PP01 5G307 EA01 EA06 EB01 EE02 EF02 EF10 5G319 HA01 HA10 HB03 HD01 HE17

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光ファイバを収容した保護パイプに複数
    本の金属素線を撚り合わせた光ファイバ複合架空地線に
    おいて、 前記保護パイプが、マンガン0.3〜4.3重量%と、
    アルミニウムと、不可避不純物とを含有して、マンガン
    とアルミニウムとからなる金属間化合物が分散析出した
    アルミニウム−マンガン合金からなることを特徴とする
    光ファイバ複合架空地線。
  2. 【請求項2】 前記金属素線の表面には、マンガン0.
    3〜4.3重量%と、アルミニウムと、不可避不純物と
    を含有して、マンガンとアルミニウムとからなる金属間
    化合物が分散析出したアルミニウム−マンガン合金から
    なる被覆層が設けられていることを特徴とする請求項1
    に記載の光ファイバ複合架空地線。
  3. 【請求項3】 前記アルミニウム−マンガン合金が、さ
    らにマグネシウムを0.05〜6.0重量%含有するこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバ複
    合架空地線。
  4. 【請求項4】 前記被覆層の厚さが0.1mm以上であ
    り、かつ金属素線の断面積に対する被覆層の断面積の比
    率が50%以下であることを特徴とする請求項2または
    3のいずれかに記載の光ファイバ複合架空地線。
JP2001209880A 2001-07-10 2001-07-10 光ファイバ複合架空地線 Pending JP2003031047A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008311151A (ja) * 2007-06-15 2008-12-25 Kansai Electric Power Co Inc:The アルミ覆鋼線及びそれを用いた架空電線、架空地線

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