JP5433393B2 - 架空電線用スペーサ - Google Patents

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Description

本発明は、例えば架空電線に取り付けられる電線付属品の電線腐食対策技術に係るものであり、特に、多数本の架空電線の間隔を一定に維持するためのスペーサを装着した架空電線の耐食性能を向上させ、使用期間の延伸化を可能とした架空電線用スペーサに関するものである。
送電線路を構成する架空電線には種々の電線付属品が取り付けられることが多い。その電線付属品の一例としては、例えば多数本の架空電線の間隔を一定に維持するためのスペーサが挙げられる。図5に、この種の送電線用多導体スペーサの一例が示されている。図示例によると、このスペーサ1は、4本のスペーサ本体枠2の隅角部に4本の支持アーム3を介して揺動自在に連結された4個の電線把持金具4を備えている。この電線把持金具4により4本の架空電線5が把持される。
そして、図6(a)〜(c)にその電線把持金具4の詳細な構造が示されている。この電線把持金具4は、把持部本体4aに連結機構4bを介して開閉自在に連結されたフック部孔4eを有する把持部蓋体4cを把持部本体4aのフック部4dに引っ掛けることで架空電線5を把持するクランプ構造となっている。このような構成を有する電線把持金具4を架空電線5に装着することにより、4本の架空電線の間隔が一定に維持され、架空電線5同士の接触とそれに伴う金属素線5aの損傷の防止が可能となる。
近年では、都市部における電力需要の増大に伴い電力の融通化、送電容量の増量化が急務であり、その対策として送電線路の長距離化や超高圧化に対応できるように送電線路の多導体化が推進されており、その架空電線を把持するために図5及び図6(a)〜(c)に示すようなクランプ構造を備えた種々のタイプのスペーサが開発・実用化されている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、架空電線5が海岸近接地帯などに布設されると、周辺環境に存在する海塩粒子に起因して、架空電線5の腐食が発生する場合がある。また、近年では、酸性雨に代表されるように、汚損物質を含んだ水分によって架空電線5の腐食が進展することも指摘されている。特に、スペーサ1を装着した架空電線5の箇所では、図6(c)に示すように、電線把持金具4と架空電線5とに微小な隙間6が存在するため、その隙間6内に腐食性物質を含んだ水分が浸入し、腐食性物質が濃縮しながら停滞することになる。その結果、スペーサ1を装着した架空電線5は、スペーサ1が取り付けられていない架空電線の本体箇所よりも、腐食進展速度が大きくなるという問題があった。架空電線5が腐食すると、その機械的性能や電気的性能が低下し、安定して電力を供給することが困難となる。腐食が進展すると、架空電線5が破断し、送電が不可能になる場合もある。なお、上記の微小な隙間6は、架空電線5を装着して把持するためにスペーサ1の電線把持金具4の内径が架空電線5の外径よりもわずかに大きな寸法であること、及び架空電線5が複数本の金属素線5aを撚り合わせてなる撚線構造であることなどから、その内径と外径との差の空隙、及び金属素線5a間の空隙である。
この把持部における架空電線5の耐食性を高めるものとして、防食グリースを用いた方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2に記載された従来の電線装着方法によると、架空電線と電線把持金具(装着部品)との間に防食グリースを充填することで、水分の浸入が抑制されている。これにより、装着部品に把持された架空電線の把持部分の腐食が抑制される。
特開2000−245045号公報 特開2006−271128号公報
しかしながら、架空電線とこの把持装置である装着部品との間に防食グリースを充填する方法では、その効果は認められるものの、以下の問題が発生する。
(1)電線通電によるジュール熱や装着部品端部では日光による紫外線照射の影響を受けて、防食グリースが劣化する場合がある。この場合、防食グリースの防食効果は低下する。
(2)防食グリースが劣化した場合、その補修(劣化した防食グリースの除去、新品防食グリースの再充填)の必要がある。しかしながら、装着部品内部の防食グリースの劣化検出は難しく、見落とされる場合もある。
(3)防食グリースが劣化すると、それが吸湿作用物質として働き、架空電線の腐食が加速される可能性も指摘されている。
(4)架空電線と装着部品との隙間に防食グリースを充填する場合、防食グリースを用いずに装着部品を装着する場合と比較してその作業効率が悪い。
本発明の目的は、架空電線が把持される把持部分の腐食抑制を図るための架空電線用スペーサを提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、複数本の金属素線を撚り合わせてなる撚線構造を有する架空電線を把持する把持部材と、前記把持部材と前記架空電線との間に介在する弾性部材とを備え、前記弾性部材は、絶縁性を有する部材からなり、前記架空電線の全周を覆うように前記把持部材と前記架空電線との間の隙間充填されていることを特徴とする架空電線用スペーサを提供する。
更に、本発明は、上記目的を達成するため、複数本の金属素線を撚り合わせてなる撚線構造を有する架空電線を把持する把持部材と、前記把持部材と前記架空電線との間に介在する金属製カラーとを備え、前記金属製カラーは、前記架空電線の最外層素線と同じ材質からなり、前記架空電線の全周を覆うように前記把持部材と前記架空電線との間の隙間充填されていることを特徴とする架空電線用スペーサを提供する。
更にまた、本発明は、上記目的を達成するため、複数本の金属素線を撚り合わせてなる撚線構造を有する架空電線を把持する把持部材と、前記把持部材の電線把持部内面に形成された加工溝とを備え、前記加工溝は、前記把持部材と前記架空電線との間に浸入した水分を外部に排出するために幅1mm以上10mm以下に形成され、該加工溝が前記架空電線に閉塞されないように配設されていることを特徴とする架空電線用スペーサを提供する。
また、本発明は、上記目的を達成するため、複数本の金属素線を撚り合わせてなる撚線構造を有する架空電線を把持する把持部材と、前記把持部材の電線把持部内面の全周に形成された卑な金属部材とを備え、前記卑な金属部材は、前記把持部材及び前記架空電線よりも低い電位を有する卑な金属材料からなり、前記把持部材は、前記卑な金属部材を介して前記架空電線に密接されてなることを特徴とする架空電線用スペーサを提供する。
更に、本発明では、前記卑な金属材料としては、亜鉛もしくはマグネシウムのいずれかの材料からなることが好適である。
本発明によれば、把持装置を構成する把持部材に装着された架空電線の腐食を確実に防止することができる。
本発明に係る典型的な第1の実施の形態である架空電線用把持装置の一構成例を概略的に示し、(a)は部分断面側面図であり、(b)は部分断面拡大図である。 本発明に係る第2の実施の形態である架空電線用把持装置の一構成例を概略的に示し、(a)は部分断面側面図であり、(b)は部分断面拡大図である。 本発明に係る第3の実施の形態である架空電線用把持装置の一構成例を概略的に示し、(a)は部分断面側面図であり、(b)は部分断面拡大図である。 本発明に係る第4の実施の形態である架空電線用把持装置の一構成例を概略的に示し、(a)は部分断面側面図であり、(b)は部分断面拡大図である。 従来の送電線用多導体スペーサとしての架空電線用スペーサ(把持装置の一例)を示す概略図である。 従来の架空電線用把持装置を示し、(a)は架空電線把持前の把持装置を示す部分断面側面図であり、(b)は架空電線把持後の把持装置を示す部分断面側面図、(c)は架空電線把持後の部分断面拡大図である。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
[第1の実施の形態]
この第1の実施の形態に係る架空電線用把持装置の基本的な構成は、特定されるものではなく、例えば図5に示す電線把持金具4と実質的に同じ部材により構成され、同一の部材名と符号を付している。この架空電線用把持装置である電線把持金具4は、図5に示すように、4本の架空電線5をその間隔を一定に維持しながら把持するため、平面に組み合わされた4本のスペーサ本体枠2の隅角部に4本の支持アーム3を介して揺動自在に連結される。
次に、図1(a)及び(b)に示すこの第1の実施の形態に係る電線把持金具4(以下、架空電線用把持装置4という)は、基本構造として複数本の金属素線5aを撚り合わせてなる撚線構造を有する架空電線5を挟み込んで把持・固定する形態のクランプ構造からなる。このクランプ構造は、把持部本体4aと、一端が把持部本体4aに連結機構4bのヒンジを介して開閉自在に連結されたフック部孔4eを有する把持部蓋体4cとにより構成されている。その把持部蓋体4cの他端に設けたフック部孔4eに把持部本体4aのフック部4dに引っ掛けることで、把持部本体4aの半円弧面4aaと把持部蓋体4cの半円弧面4ccとにより形成される電線把持部4aa,4ccによって架空電線5を把持する構成となっている。
ところで、複数本の円形断面の金属素線を撚り合わせた架空電線においては、その最外層には金属素線の撚溝(凹凸部)が必然的に生じて金属素線5a間に空隙が形成されること、及び架空電線を装着し把持するために電線把持部4aa,4ccの内径が架空電線5の外径よりもわずかに大きな寸法による空隙がある。このような架空電線に従来型の架空電線用把持装置を装着すると、架空電線用把持装置と架空電線との間に微小な隙間が生じることになる。この微小隙間へ腐食性物質を含んだ水分が浸入するとともに、その微小隙間内において腐食性物質の濃縮、及び停滞が起こり、架空電線の腐食進展が避けられない。
そこで、図1(a)及び(b)に示すこの第1の実施の形態では、架空電線5の電線把持部4aa,4ccにおける腐食対策として、架空電線用把持装置4の電線把持部内面(把持部本体4aの半円弧面4aa,把持部蓋体4cの半円弧面4cc)の全部には、その内面形状と対応する形状の円筒状の弾性部材(弾性体)7が設けられている。この弾性体7を締め付けることにより圧縮変形させて架空電線用把持装置4と架空電線5との間に介在させる。このように弾性体7を設けることで、架空電線用把持装置4と架空電線5との間に形成される微小な隙間の全てが充填される。なお、図1(b)においては、架空電線用把持装置4と架空電線5との間の隙間に介在させた弾性体7を誇張した状態で例示している。また、弾性体7を電線把持部4aa,4cc全体(周方向と幅方向)に設けたが、十分な把持力が得られかつ水分の浸入の防止が可能であれば、その電線把持部4aa,4ccの一部分の両端部(周方向の全部と幅方向の一部)に設けてもよいし、その両端部と両端部の間で間隔を置いた位置の部分に1箇所または数箇所設けても好適である。
この弾性体7の材質としては、例えば吸水性、及び吸湿性が極めて低い材質が好適であり、架空電線5との電位差に基づく腐食を起こさないように電気的に絶縁性を有する絶縁体であることが特に有用である。絶縁体の電位は、汚損物質の種類、濃度や温度等によって種々異なる。そのため、絶縁体としては、例えば適用する環境の諸条件から電位差に基づく腐食を起こさない材料を適宜に選定すればよい。それ以外の性能としては、例えば架空電線5の運用状況をみて適宜に決定すればよく、例えば送電線路の電流容量が大きく、発熱温度が高くなる場合には、耐熱性に優れた材料を適宜に選定すればよい。
更にまた、絶縁体としては、例えば日光照射による劣化(紫外線劣化)の抑制を重視するのであれば、例えば耐候性に優れた材料を適宜選定すればよい。絶縁体の形状についても、特に規定されるものではなく、例えば所定のトルクで架空電線用把持装置4に架空電線5を把持した際に規定の把持力が得られ、かつ、架空電線用把持装置4と架空電線5との空隙へ水分の浸入がないものにすればよく、作業性や施工性も踏まえて適正な形状に形成すればよい。例えば、シリコン系やフッ素系のゴム材料などが好ましい。
(第1の実施の形態の効果)
上記のように構成された架空電線用把持装置4によれば、架空電線用把持装置4と架空電線5との間に介在するように絶縁性の弾性体7を設けたので、以下の効果を有する。
(1)架空電線用把持装置4と架空電線5との空隙(金属素線5a間の空隙も含め)への腐食性物質を含んだ水分の浸入が大幅に抑制されることになる。これにより、架空電線用把持装置4の電線把持部4aa,4ccに把持された架空電線5の腐食を大幅に抑制することができるようになり、電線把持部4aa,4ccにおける架空電線5の寿命を格段に延伸化することができる。
(2)その結果、架空電線5の機械的・電気的性能の確保、重大事故の防止、及び安定した電力の供給が可能になるとともに、使用期間の延伸化により送電設備の運用コストの低減にも繋がることになる。
[第2の実施の形態]
図2(a)及び(b)に示すこの第2の実施の形態に係る架空電線5の電線把持部4aa,4ccにおける腐食対策として、架空電線用把持装置4の電線把持部内面(把持部本体4aの半円弧面4aa,把持部蓋体4cの半円弧面4cc)の全部には、その内面形状と対応する形状の2つの半割型の金属製カラー8が設けられている。この金属製カラー8を架空電線用把持装置4と架空電線5との間に介在させる。このように金属製カラー8を設けることで、架空電線用把持装置4と架空電線5との間に形成される微小な隙間の全てが充填される。なお、図2(b)においては、架空電線用把持装置4と架空電線5との間の隙間に介在させた金属製カラー8を誇張した状態で例示している。また、金属製カラー8を電線把持部4aa,4cc全体(周方向と幅方向)に設けたが、十分な把持力が得られかつ水分の浸入の防止が可能であれば、その電線把持部4aa,4ccの一部分の両端部(周方向の全部と幅方向の一部)に設けてもよいし、その両端部と両端部の間で間隔を置いた位置の部分に1箇所または数箇所設けても好適である。なお、図2の基本構造は上記第1の実施の形態である図1の基本構造と同じである。
この金属製カラー8の材質としては、例えば架空電線5の最外層の金属素線5aと同じ材質とすることが特に有用であり、異種金属の接触による腐食進展を防止する効果がある。金属製カラー8の形状や構造としては、特に規定されるものではなく、例えば所定の把持力、架空電線用把持装置4と架空電線5との空隙への水分浸入防止や優れた作業性(施工性)を達成できるものを適宜に選定すればよい。例えば、鋼心アルミニウム撚線(ACSR)の場合,アルミニウム、アルミニウム合金が好適である。
(第2の実施の形態の効果)
この第2の実施の形態に係る架空電線用把持装置4によれば、架空電線用把持装置4と架空電線5との間に介在するように金属製カラー8を設けたので、上記第1の実施の形態と同様の効果を有する。
[第3の実施の形態]
図3(a)及び(b)に示すこの第3の実施の形態に係る架空電線用把持装置4は、電線把持部4aa,4ccにおける腐食対策として、電線把持部内面(把持部本体4aの半円弧面4aa,把持部蓋体4cの半円弧面4cc)の全体に凹凸状の溝加工を施して加工溝9が形成されている。この加工溝9は排水路としての機能が保持できるように架空電線5に閉塞されないように配設される。このように架空電線用把持装置4はその加工溝9を介して架空電線5と密着した状態により密接される。なお、図3の基本構造は上記第1の実施の形態である図1の基本構造と同じである。
この第3の実施の形態にあっては、上述したような機能を持たせるために施したものであり、架空電線用把持装置4の電線把持部内面(把持部本体4aの半円弧面4aa,把持部蓋体4cの半円弧面4cc)に架空電線5のスリップ防止用として架空電線5を密接させるために溝加工を施したものではない。架空電線用把持装置4の電線把持部4aa,4ccにより把持される架空電線5の腐食を防止するために、実際の環境での腐食の実態(腐食形態、メカニズム)を詳細に調査・解析し、それらを踏まえて、架空電線用把持装置4の電線把持部内面4aa,4ccに凹凸状の溝加工を施したものである。
図示例にあっては、架空電線用把持装置4の電線把持部内面4aa,4ccには、断面が半円形状となる加工溝9が形成されている。その加工溝9の幅が1mmより小さいと、水分の排水性が十分でなく、所望の腐食抑制効果が得られない。一方、加工溝9の幅が10mmを超えると、架空電線用把持装置4の把持力(機械的性能)の点で問題が生じる。加工溝9の幅としては、1mm以上10mm以下の範囲内に設定することが特に望ましい。なお、加工溝9は上記の好適な排水性の幅を有していれば、その断面形状が楕円状、円錐状、台形状などの各種形状からなるものでもよい。また、加工溝9は幅方向に対して直線溝としたが、排水性を保持できれば蛇行溝、螺旋溝など各種形状でもよい。
この加工溝9の数を多くすると、電線把持部4aa,4ccに把持される架空電線部分の腐食抑制効果が高まり、加工溝9の数を少なくすると、架空電線用把持装置4による架空電線5の把持力が向上する。加工溝9の数としては、特に限定されるものではなく、例えば架空電線用把持装置4に架空電線5を所定のトルクで装着した際に、所定の把持強度が得られ、かつ、十分な排水性や耐食性が得られるものにすればよく、架空電線用把持装置4の加工時間や加工費用も踏まえて、加工溝9を適正な数に設定すればよい。
(第3の実施の形態の効果)
この第3の実施の形態に係る架空電線用把持装置4によれば、架空電線用把持装置4の電線把持部内面4aa,4ccに幅1mm以上10mm以下の加工溝9を施し、その加工溝9が架空電線5に閉塞されないように配設したので、以下の効果を有する。
(1)架空電線用把持装置4の電線把持部4aa,4ccの排水性が向上するとともに、腐食性物質の濃縮、及び停滞が抑制される。これにより、架空電線用把持装置4の電線把持部4aa,4ccに把持された架空電線5の腐食を大幅に抑制することができるようになり、電線把持部4aa,4ccにおける架空電線5の寿命を格段に延伸化することできる。
(2)その結果、架空電線5の機械的・電気的性能の確保、重大事故の防止、及び安定した電力の供給が可能になるとともに、使用期間の延伸化により送電設備の運用コストの低減にも繋がることになる。
[第4の実施の形態]
図4(a)及び(b)に示すこの第4の実施の形態に係る架空電線用把持装置4の電線把持部内面(把持部本体4aの半円弧面4aa,把持部蓋体4cの半円弧面4cc)の全周には、電線把持部4aa,4ccにおける架空電線5の腐食対策として、架空電線用把持装置4を構成する1つの部材である把持部本体4aの材料と把持部蓋体4cの材料、及び架空電線5の材料よりも低い電位の卑な金属部材10が、その電線把持部内面4aa,4cc形状と対応する形状の2つの半割型の金属製カラーで形成されている。この卑な金属部材10は架空電線用把持装置4の1つの部材として後付けで設けられるが、把持部本体4aと把持部蓋体4cとに最初から一体に接合して形成されたものでもよい。このように架空電線用把持装置4はその低い電位の卑な金属部材10を介して架空電線5と密着した状態により密接される。なお、図4の基本構造は上記第1の実施の形態である図1の基本構造と同じである。
この卑な金属部材10は、架空電線用把持装置4(把持部本体4aと把持部蓋体4c)と架空電線5との間に介在させ、かつ架空電線5と密着した状態となるように密接させることで、この卑な金属による犠牲防食作用によって架空電線5の局所的な腐食が防止される。二種の異なる金属が腐食環境下で接触していると、両者の電位差によって卑な電位(低い電位)の金属の腐食が促進されるとともに、貴な電位(高い電位)の金属の腐食は抑制されることとなる。この現象は、卑な金属による犠牲防食作用や犠牲陽極作用などとも呼ばれている。図示例では、架空電線用把持装置4の電線把持部内面4aa,4ccに架空電線5の材料よりも卑な金属部材10を介在させており、架空電線5と卑な金属部材10とを接触させることで、卑な金属部材10の腐食が促進される一方で、架空電線5の腐食が抑制されることとなる。
この卑な金属部材10としては、架空電線用把持装置4の把持部本体4aと把持部蓋体4の材料、及び架空電線5の材料よりも低い電位を有することが好適であり、例えば亜鉛やマグネシウムが特に有用である。金属材料の電位は、汚損物質の種類、濃度、及び温度等によって種々異なるため、適用する環境の諸条件から適正な材料、例えば架空電線5の材料よりも低電位を有する材料を選定すればよい。架空電線用把持装置4の把持部本体4aと把持部蓋体4cの材料、及び架空電線5の材料は、例えば、鋼心アルミニウムより線(ACSR)系電線の場合、アルミニウム、アルミニウム合金、鋼である。
卑な金属部材10の設置構造については、上述したように特に限定されるものではない。架空電線用把持装置4の把持部本体4aと把持部蓋体4cと卑な金属部材10とが一体となった構造でも、両者が分離可能な構造であってもよく、架空電線用把持装置4の電線把持部4aa,4ccで架空電線5を把持した際に規定の把持力が得られ、かつ、製造性、施工性、及び経済性を踏まえて適正なものを選定すればよい。
架空電線用把持装置4の把持部本体4aと把持部蓋体4cと卑な金属部材10とが一体型構造である場合は、把持部本体4a及び把持部蓋体4cの電線把持部内面(電線把持部4aa,4cc)への卑な金属部材(金属層)10の形成方法として、例えばめっき法や溶射法などの周知の方法を採用することができる。卑な金属層を厚く設定すると、犠牲防食作用の持続時間が長くなる。一方、卑な金属層を薄く設定すると、製造コストの低減に繋がる。従って、卑な金属厚さとしては、用途に応じて任意に設定すればよい。
一方、架空電線用把持装置4(把持部本体4a,把持部蓋体4c)と卑な金属部材10とが分離可能な構造である場合は、犠牲防食によって消失した卑な金属部材10を一定期間ごとに新品に交換することで、架空電線5の防食効果を維持することができる。このとき、架空電線用把持装置4の把持部本体4aと把持部蓋体4cはそのまま使用できるので、経済性に優れるという利点がある。
(第4の実施の形態の効果)
上記第4の実施の形態のように構成された架空電線用把持装置4によると、把持部本体4aと把持部蓋体4cの電線把持部内面(電線把持部4aa,4cc)の材料、及び架空電線5の材料よりも卑な金属部材10を架空電線5との間に介在させ,かつ架空電線5と密着した状態となるように密接させたので、上記第1の実施の形態の効果に加えて、以下の効果を有する。
(1)卑な金属部材10が架空電線用把持装置4の把持部本体4aと把持部蓋体4c、及び架空電線5に対して犠牲防食作用を有するため、従来型の架空電線把持金具を装着したときよりも腐食抑制効果を発揮する。
なお、上記第1〜第4の実施の形態のいずれの場合も、架空電線自体は従来通りのものであり、架空電線用把持装置4の電線把持部の一部構成を変更するのみで、架空電線5の局所的な著しい腐食を防止し、架空電線全体の耐食性(寿命)を向上させることができる構成であり、製造面及び経済面からみても大きな利点がある。
以下に、本発明の更に具体的な実施の形態として、実施例、比較例、及び従来例を挙げて詳細に説明する。
最初に、上記第1の実施の形態の更に具体的な実施例1、及び上記第2の実施の形態の更に具体的な実施例2について、比較例1及び2、並びに従来例1とともに説明する。
[実施例1]
導体有効断面積410mmの架空電線用多導体スペーサにおいて、幅55mmの電線把持部内面の両端10mmの範囲に厚さ8mm、体積固有抵抗1015Ω・cmの絶縁性シリコンゴムを設けた架空電線用把持装置を作製し、鋼心アルミニウム撚線(ACSR)に装着した。
[実施例2]
導体有効断面積410mmの架空電線用多導体スペーサにおいて、厚さ5mm、JIS規格番号1070の工業用純アルミニウム製カラーを幅55mmの電線把持部内面の全域に設けた架空電線用把持装置を作製し、鋼心アルミニウム撚線(ACSR)に装着した。
[比較例1]
導体有効断面積410mmの架空電線用多導体スペーサにおいて、幅55mmの電線把持部内面の両端10mmの範囲に厚さ8mm、体積固有抵抗10Ω・cmのカーボン添加した半導体性シリコンゴムを設けた架空電線用把持装置を作製し、鋼心アルミニウム撚線(ACSR)に装着した。
[比較例2]
導体有効断面積410mmの架空電線用多導体スペーサにおいて、厚さ5mm、JIS規格番号C1100のタフピッチ銅(酸素濃度0.035重量%)製カラーを幅55mmの電線把持部内面の全域に設けた架空電線用把持装置を作製し、鋼心アルミニウム撚線(ACSR)に装着した。
[従来例1]
導体有効断面積410mmの架空電線用多導体スペーサにおいて、従来と同じアルミニウム製で、同じ寸法である幅55mmの電線把持部内面を有する架空電線用把持装置を作製し、鋼心アルミニウム撚線(ACSR)に装着した。
(性能評価)
上記実施例1及び2、上記比較例1及び2、並びに上記従来例1のそれぞれの架空電線用把持装置を装着した鋼心アルミニウム撚線(架空電線)について、各種の性能評価を実施した。
実施例1及び2、比較例1及び2、並びに従来例1については、腐食加速実験により架空電線用把持装置における架空電線の耐食性能を評価した。この腐食実験は、実施例1及び2、比較例1及び2、従来例1のそれぞれの架空電線用把持装置を装着した架空電線を水平に設置し、電線温度90℃になるようにトランスで通電した状態のもと、5重量%の塩化ナトリウム水溶液に硫酸を添加し、pHを4.5に調整した電解質溶液を、噴霧10分、大気放置100分を1サイクルとして、これを2500サイクルまで繰り返すことで実施した。そして、耐食性能の評価は、架空電線用把持装置における架空電線の最外層アルミニウム線(最外層アルミ線)の横断面を光学顕微鏡で観察し、各々の腐食深さを測定することで行った。
(性能評価結果)
表1に、実施例1及び2、比較例1及び2、並びに従来例1の架空電線用把持装置における架空電線の耐食性能評価結果を示す。この表1は、最外層アルミ線16本分の腐食深さの平均値を比較して示した。
Figure 0005433393
上記表1からも明らかなように、実施例1及び2に係る架空電線用把持装置を装着した架空電線の最外層アルミ線は、腐食加速実験後の腐食深さが平均で20〜30μm程度であった。
これに対して、従来型架空電線用把持装置を装着した従来例1の腐食深さは平均で960μmにも達し、上記実施例1及び2と比較して、著しく腐食が進展していた。
このように、絶縁性の弾性体を備えた実施例1に係る架空電線用把持装置、あるいは架空電線の最外層金属素線と同じ材質である金属製カラーを備えた実施例2に係る架空電線用把持装置を用いることで、架空電線の耐食性向上を図ることができるということが分かる。
一方、半導電性弾性体の材料、及び架空電線の材料よりも高い電位を有する金属製カラーを備えた比較例1及び2については、架空電線用把持装置の電線把持部内面への腐食性物質の浸入が抑制されるものの、電線把持部の端部付近において架空電線の最外層アルミ線が従来例1よりも腐食進展する結果となった。特に、比較例1では、最外層アルミ線の一部に素線切れが認められるほどまでに腐食が進展していた。
次に、上記第3の実施の形態の更に具体的な実施例3〜6について、比較例3〜5、及び従来例2とともに説明する。
先ず、実施例3〜6、比較例3〜5、及び従来例2における評価対象となる架空電線用把持装置について説明する。
[実施例3]
導体有効断面積410mmの架空電線用多導体スペーサにおいて、幅55mmの電線把持部内面に、幅1mmの加工溝を10本、把持金具長手方向(幅方向)と平行に設けた架空電線用把持装置を作製し、アルミ覆鋼心アルミニウム撚線(ACSR/AC)に装着した。
[実施例4]
導体有効断面積410mmの架空電線用多導体スペーサにおいて、幅55mmの電線把持部内面に、幅3mmの加工溝を8本、把持金具長手方向(幅方向)と平行に設けた架空電線用把持装置を作製し、アルミ覆鋼心アルミニウム撚線(ACSR/AC)に装着した。
[実施例5]
導体有効断面積410mmの架空電線用多導体スペーサにおいて、幅55mmの電線把持部内面に、幅6mmの加工溝を6本、把持金具長手方向(幅方向)と平行に設けた架空電線用把持装置を作製し、アルミ覆鋼心アルミニウム撚線ACSR/AC)に装着した。
[実施例6]
導体有効断面積410mmの架空電線用多導体スペーサにおいて、幅55mmの電線把持部内面に、幅10mmの加工溝を4本、把持金具長手方向(幅方向)と平行に設けた架空電線用把持装置を作製し、アルミ覆鋼心アルミニウム撚線(ACSR/AC)に装着した。
[比較例3]
導体有効断面積410mmの架空電線用多導体スペーサにおいて、幅55mmの電線把持部内面に、幅0.3mmの加工溝を10本、把持金具長手方向(幅方向)と平行に設けた架空電線用把持装置を作製し、アルミ覆鋼心アルミニウム撚線(ACSR/AC)に装着した。
[比較例4]
導体有効断面積410mmの架空電線用多導体スペーサにおいて、幅55mmの電線把持部内面に、幅0.8mmの加工溝を10本、把持金具長手方向(幅方向)と平行に設けた架空電線用把持装置を作製し、アルミ覆鋼心アルミニウム撚線(ACSR/AC)に装着した。
[比較例5]
導体有効断面積410mmの架空電線用多導体スペーサにおいて、幅55mmの電線把持部内面に、幅12mmの加工溝を4本、把持金具長手方向(幅方向)と平行に設けた架空電線用把持装置を作製し、アルミ覆鋼心アルミニウム撚線(ACSR/AC)に装着した。
[従来例2]
導体有効断面積410mmの架空電線用多導体スペーサにおいて、従来と同じアルミニウム製で同じ寸法を有する幅55mmの電線把持部内面を設けた架空電線用把持装置を作製し、アルミ覆鋼心アルミニウム撚線(ACSR/AC)に装着した。
(性能評価)
上記実施例3〜6、上記比較例3〜5、及び上記従来例2のそれぞれの架空電線用把持装置を装着した架空電線について、各種の性能評価を実施した。
実施例3〜6、比較例3〜5及び従来例2について、架空電線用把持装置における架空電線の耐食性能を評価するとともに、架空電線用把持装置の把持力を調査した。この耐食性能評価のための腐食加速実験は、各種の架空電線用把持装置を装着した架空電線に3度の傾斜をつけた状況にて、電線温度80℃になるようにトランスで通電した状態のもと、5重量%の塩化ナトリウム水溶液に硫酸を添加し、pHを4に調整した電解質溶液を噴霧10分、大気放置100分を1サイクルとして、これを2000サイクルまで繰り返すことで実施した。耐食性能の評価は、架空電線の最外層アルミニウム線の横断面を光学顕微鏡で観察し、各々の腐食深さを測定することで行った。そして、架空電線用把持装置の把持力の評価は、架空電線用把持装置の電線把持部、及び架空電線の引張試験によって実施した。
(性能評価結果)
表2に、実施例3〜6、比較例3〜5及び従来例2の架空電線用把持装置における架空電線の耐食性能評価結果と把持部材の把持力評価結果とを示す。この表2は、最外層アルミニウム線16本分の腐食深さの平均値を比較して示しており、把持部材の把持力は規定値に対する相対評価結果を示している。
Figure 0005433393
上記表2からも明らかなように、実施例3〜6に係る架空電線用把持装置を装着した架空電線の最外層アルミ線では、腐食加速実験後の腐食深さが平均で60〜110μm程度であった。電線把持部内面の加工溝の幅が大きくなると、把持力の低下がみられるが、規定値を満足する結果であった。
これに対して、従来型架空電線用把持装置を装着した従来例2の腐食深さは平均で700μmにも達し、実施例3〜6と比較して、著しく腐食が進展していた。
このように、電線把持部内面に幅1mm以上10mm以下の加工溝を設けた実施例3〜6に係る架空電線用把持装置を用いることで、架空電線の耐食性の向上を図ることができるということが分かる。
一方、電線把持部内面の加工溝サイズ(幅)が規定範囲より外れる比較例3及び4については、腐食実験後における最外層アルミニウム線の腐食深さが平均で380〜580μmであり、従来例2と比較して、腐食抑制効果が認められるものの、その程度は小さい結果となった。また、比較例5においては、優れた腐食抑制効果が認められるものの、把持力の低下が極めて大きく、規定値を下回る結果であった。
次に、上記第4の実施の形態の更に具体的な実施例7及び8について、比較例6及び7、並びに上記従来例1とともに説明する。
先ず、実施例7及び8、並びに比較例6及び7における評価対象となる架空電線用把持装置について説明する。
[実施例7]
導体有効断面積410mmの架空電線用多導体スペーサにおいて、幅55mmの電線把持部内面の全周に、厚さ6mm、純度99.7重量%の亜鉛からなる半割型金属製カラーを備えた架空電線用把持装置を作製し、鋼心アルミニウム撚線(ACSR)に装着した。
[実施例8]
導体有効断面積410mmの架空電線用多導体スペーサにおいて、幅55mmの電線把持部内面の全周に、厚さ6mm、純度99.3重量%のマグネシウムからなる半割型金属製カラーを備えた架空電線用把持装置を作製し、鋼心アルミニウム撚線(ACSR)に装着した。
[比較例6]
導体有効断面積410mmの架空電線用多導体スペーサにおいて、幅55mmの電線把持部内面の全周に、厚さ6mm、純度99.6重量%の鉄からなる半割型金属製カラーを備えた架空電線用把持装置を作製し、鋼心アルミニウム撚線(ACSR)に装着した。
[比較例7]
導体有効断面積410mmの架空電線用多導体スペーサにおいて、幅55mmの電線把持部内面の全域に、厚さ6mm、JIS規格番号C1100のタフピッチ銅(酸素濃度0.035重量%)からなる半割型金属製カラーを備えた架空電線用把持装置を作製し、鋼心アルミニウム撚線(ACSR)に装着した。
(性能評価)
実施例7及び8、比較例6及び7、並びに従来例1のそれぞれの架空電線用把持装置を装着した架空電線について、各種の性能評価を実施した。
実施例7及び8、比較例6及び7、並びに従来例1について、腐食加速実験により架空電線用把持装置における架空電線の耐食性能を評価した。この腐食実験は各種の架空電線用把持装置を装着した架空電線を水平に設置し、電線温度90℃になるようにトランスで通電した状態のもと、5重量%の塩化ナトリウム水溶液に硫酸を添加し、pHを4.5に調整した電解質溶液を噴霧10分、大気放置100分を1サイクルとして、これを2500サイクルまで繰り返すことで実施した。そして、耐食性能の評価は、架空電線の最外層アルミニウム線の横断面を光学顕微鏡で観察し、各々の腐食深さを測定することで行った。
(性能評価結果)
表3に、架空電線の耐食性能評価結果を示す。この表3は、最外層アルミニウム線16本分の腐食深さの平均値を比較して示した。
Figure 0005433393
実施例7及び8に係る架空電線用把持装置を装着した架空電線の最外層アルミニウム線は、腐食加速実験後の腐食深さが平均で40〜70μm程度であった。
これに対して、従来型架空電線用把持装置を装着した従来例1の腐食深さは平均で960μmにも達し、実施例7及び8と比較して、著しく腐食が進展していた。
このように、亜鉛又はマグネシウムのいずれかからなる卑な金属製カラーを電線把持部内面に備えた実施例7及び8に係る架空電線用把持装置を用いることで、架空電線の耐食性の向上を図ることができるということが分かる。
一方、アルミニウムよりも高い電位を有する鉄製、及び銅製のカラーを備えた比較例6及び7については、架空電線の最外層アルミ線が従来例1よりも腐食進展する結果となり、問題となることが分かった。
上記のごとく構成された複数本の金属素線を撚り合わせてなる撚線構造を有する架空電線を把持する本発明の架空電線用把持装置においては、
(1)架空電線用把持装置と架空電線との間の空隙を埋めることで、その隙間を充填するための絶縁性の弾性体、もしくは架空電線の最外層金属素線と同じ材質を有する半割型金属製カラーをその架空電線用把持装置の1つの把持部材として電線把持部内面に備えた構成、
(2)排水性の向上を図るための幅1mm以上10mm以下の加工溝を電線把持部内面に備えるとともに、その加工溝が架空電線に閉塞されないように配設し、かつその加工溝を介して架空電線と密着した状態により密接した構成、及び
(3)電線把持部内面に、架空電線用把持装置、及び架空電線よりも低い電位の卑な金属として亜鉛あるいはマグネシウムを架空電線用把持装置の1つの把持部材として備え、その亜鉛あるいはマグネシウムを架空電線との間に介在させてその架空電線と密着した状態となるように密接した構成は、把持部材に装着される架空電線の耐食性が従来型架空電線用把持装置と比較して、著しく優れていることが分かった。これらの本発明の架空電線用把持装置により、架空電線の腐食進展を確実に、かつ、経済的に防止することができるようになり、
(4)架空電線の機械的・電気的性能の確保、
(5)重大事故の防止、及び
(6)安定した電力の供給が可能となる。
以上の説明からも明らかなように、本発明の架空電線用把持装置は、上記各実施の形態、実施例や図示例に限定されるものではない。本発明は、例えば次の(1)及び(2)のような様々な構成を効果的に使用することができることは勿論であり、各請求項に記載した範囲内で様々に設計変更が可能である。
(1)上記各実施例では、架空電線用把持装置を鋼心アルミニウム撚線(ACSR)又はアルミ覆鋼心アルミニウム撚線(ACSR/AC)に装着した場合について説明したが、これに特定されるものではなく、例えば鋼心耐熱アルミ合金撚線(TACSR)などからなる架空電線に適用することもできるので、架空電線の種類が異なっても、得られる効果は変わらない。
(2)上記各実施例では、架空電線に装着される架空電線用多導体スペーサに架空電線用把持装置を適用した場合について説明したが、例えば本発明の架空電線用把持装置と同様の把持部構造を有する相間スペーサ、ダブルトーショナルダンパやねじれ防止ダンパ、クランプなどの電線把持装置は本発明の技術範囲に含まれる。
1 架空電線用スペーサ
2 スペーサ本体枠
3 支持アーム
4 架空電線用把持装置(電線把持金具)
4a 把持部本体
4b 連結機構
4c 把持部蓋体
4d フック部
4e フック部孔
4aa 電線把持部
4cc 電線把持部
5 架空電線
5a 金属素線
6 隙間
7 弾性体
8 金属製カラー
9 加工溝
10 卑な金属部材

Claims (5)

  1. 複数本の金属素線を撚り合わせてなる撚線構造を有する架空電線を把持する把持部材と、前記把持部材と前記架空電線との間に介在する弾性部材とを備え、
    前記弾性部材は、絶縁性を有する部材からなり、前記架空電線の全周を覆うように前記把持部材と前記架空電線との間の隙間充填されていることを特徴とする架空電線用スペーサ
  2. 複数本の金属素線を撚り合わせてなる撚線構造を有する架空電線を把持する把持部材と、前記把持部材と前記架空電線との間に介在する金属製カラーとを備え、
    前記金属製カラーは、前記架空電線の最外層素線と同じ材質からなり、前記架空電線の全周を覆うように前記把持部材と前記架空電線との間の隙間充填されていることを特徴とする架空電線用スペーサ
  3. 複数本の金属素線を撚り合わせてなる撚線構造を有する架空電線を把持する把持部材と、前記把持部材の電線把持部内面に形成された加工溝とを備え、
    前記加工溝は、前記把持部材と前記架空電線との間に浸入した水分を外部に排出するために幅1mm以上10mm以下に形成され、該加工溝が前記架空電線に閉塞されないように配設されていることを特徴とする架空電線用スペーサ
  4. 複数本の金属素線を撚り合わせてなる撚線構造を有する架空電線を把持する把持部材と、前記把持部材の電線把持部内面の全周に形成された卑な金属部材とを備え、
    前記卑な金属部材は、前記把持部材及び前記架空電線よりも低い電位を有する卑な金属材料からなり、前記把持部材は、前記卑な金属部材を介して前記架空電線に密接されてなることを特徴とする架空電線用スペーサ
  5. 前記卑な金属材料は、亜鉛もしくはマグネシウムのいずれかの材料からなることを特徴とする請求項4記載の架空電線用スペーサ
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