JP2001084838A - 送電線 - Google Patents

送電線

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JP2001084838A
JP2001084838A JP26124999A JP26124999A JP2001084838A JP 2001084838 A JP2001084838 A JP 2001084838A JP 26124999 A JP26124999 A JP 26124999A JP 26124999 A JP26124999 A JP 26124999A JP 2001084838 A JP2001084838 A JP 2001084838A
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JP26124999A
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Shoji Mimura
彰治 味村
Seiju Maejima
正受 前嶋
Koichi Saruwatari
光一 猿渡
Shinji Katayama
慎司 片山
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Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Ltd
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    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B15/00Layered products comprising a layer of metal
    • B32B15/01Layered products comprising a layer of metal all layers being exclusively metallic
    • B32B15/012Layered products comprising a layer of metal all layers being exclusively metallic one layer being formed of an iron alloy or steel, another layer being formed of aluminium or an aluminium alloy

Abstract

(57)【要約】 【課題】 より一層高い耐食性を有するテンションメン
バーを有する架空送電線を提供する。 【解決手段】 本発明の架空送電線は、テンションメン
バー1が、Al−Mn合金被覆層2で被覆された鋼線3
から構成されている。Al−Mn合金被覆層2には、A
l−Mn系金属間化合物が分散析出しており、Al、M
n、Fe、Si、Zn、Cu等の元素が含有されてい
る。そして、テンションメンバー1の周囲にアルミニウ
ム合金からなる導体4が配置されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄塔間等に架設さ
れる送電線等に使用されるテンションメンバーに関し、
特に、耐食性に優れたテンションメンバーを有する送電
線に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鉄塔間に架設される架空送電線は、鉄塔
およびその他の設備の建設コストを軽減するために、軽
量であることが要求されている。したがって、架空送電
線の導体としては、軽量であって、比較的導電率が高い
アルミニウムやアルミニウム合金が選択されることが多
い。
【0003】また、鉄塔間に架設された架空送電線は、
その自重により鉄塔間で弛み、鉄塔間の中央部で垂れ下
がった形状となるが、安全性を確保するためには、送電
線に対する送電電圧に応じて、垂れ下がった部分の地上
からの高さを所定の高さ以上に設定する必要がある。
【0004】ところが、このために鉄塔等の支持点の高
さをより一層高くすると、鉄塔およびその他の設備の建
設コストが高くなる。そこで、従来から、鉄塔間におけ
る送電線に付加される張力を大きくして、弛み量(弛
度)を小さくする方法が使用されている。この場合、送
電線の張力に対する強度を高くするために、亜鉛めっき
鋼線もしくはアルミニウム覆鋼線の単線または撚線を中
心として、その周囲の同心円上にアルミニウムまたはア
ルミニウム合金が撚り合わされることにより形成された
複合撚線(ACSR;Aluminium Conductor Steel Rein
forced)が送電線として使用されている。
【0005】図3は、この種の架空送電線の一例を示す
模式図である。この架空送電線は、複数本(通常、7
本)の亜鉛めっき鋼線またはアルミニウム被覆鋼線14
により構成されるテンションメンバー11と、その周囲
に配置された複数本のアルミニウム線またはアルミニウ
ム合金線15により構成される第1のAL層12と、そ
の周囲に配置された複数本のアルミニウム線またはアル
ミニウム合金線16により構成される第2のAL層13
とから構成されている。
【0006】なお、通常、テンションメンバーとしては
断面形状が円形の亜鉛めっき鋼線またはアルミニウム被
覆鋼線が使用されるが、第1のAL層および第2のAL
層としては、断面形状が円形のアルミニウム線またはア
ルミニウム合金線以外にも、断面形状が扇型のアルミニ
ウム線またはアルミニウム合金線が使用されることもあ
る。
【0007】ところで、このような架空送電線は、それ
自体が日光および風雨雪などの自然環境に曝されるの
で、耐環境性に優れたものであることが要求される。そ
のため、一般的にアルミニウム線やアルミニウム合金線
よりも耐食性が劣るテンションメンバーの鋼線に対して
は、表面に亜鉛めっきまたはアルミニウム被覆等の防食
処理が施されている。
【0008】しかしながら、海洋に近い地域において
は、海水成分を含む蒸気が大気中に多量に存在するの
で、塩素イオンなどによる腐食環境に架空送電線が曝さ
れることになり、腐食によって送電線の寿命が著しく低
下するという問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】さらにまた、このよう
な海洋による影響を受けることのない地域においても、
近年は酸性雨の原因物質である硫黄酸化物や窒素酸化物
などの腐食性物質が溶解した雨水などによって架空送電
線の腐食が予測を越える早さで進行することがある。特
に、テンションメンバーの腐食が進んだ場合には、導体
に使用されるアルミニウム線やアルミニウム合金線のみ
で電線の張力を支えることは困難なため、断線に至るよ
うな場合もある。
【0010】そこで、このような厳しい腐食環境に曝さ
れる地域において使用される架空送電線に対してはその
金属表面にグリースを塗布するなどの防食対策が採られ
ているが、グリースは大気環境において劣化するという
問題点を有している。すなわち、グリースは高分子化合
物から構成されているので、日光によって紫外線が照射
されたり、加熱されたりすることにより、グリースが劣
化し、ひび割れなどを生じて剥落し、防食性が失われる
という問題がある。このため、グリースによる防食処理
が施された架空送電線に対しては、配設される環境によ
って定期的に監視を行い、グリースの補充等の保守点検
を実施することが必要になるが、上記のようにひび割れ
などを生じた場合にはひび割れした隙間から腐食性の水
溶液が浸透し、外観から観察できない部分で急速に腐食
が進行する状態となるので、完全な保守管理ができない
という問題がある。さらにまた、このようなグリースを
用いた電線は、張り替えなどの際の接続作業が面倒にな
るという問題も有している。
【0011】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたものであって、海洋地域における塩分や、酸性雨
の原因となる硫黄酸化物や窒素酸化物などの腐食性物質
の存在する環境において、このようなグリースの塗布な
どによる防食処理を施す必要のない、耐食性に優れた架
空送電線を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の送電線は、添加元素としてMnを0.3
重量%ないし4.3重量%含有し、残部がAlおよび不
可避不純物とからなる組成を有し、MnとAlとからな
る金属間化合物が分散析出したアルミニウム合金被覆層
で被覆された鋼線からなるテンションメンバーを有する
ことを特徴とするものである。
【0013】前記アルミニウム合金が、前記元素に加え
て、Mgを0.05重量%ないし6.0重量%含有する
ことが望ましい。また、前記アルミニウム合金被覆層の
厚さを0.1mm以上とし、かつ、アルミニウム合金被
覆層の面積比率を50%以下とすることが望ましい。
【0014】テンションメンバーの強度を高めるために
は、鋼線に被覆されるAl−Mn合金被覆層の厚さは薄
い方が望ましい。しかしながら、製造時および架設時に
その表面に機械的な衝撃、摩擦等の外力が加えられるた
め、この外力に耐え得るために被覆層の厚さは最低0.
1mm必要である。被覆層の厚さを0.1mm未満とし
た場合、製造時および架設時の外力により被覆層が摩滅
あるいは削り取られるなどして鋼線が露出し、鋼線の腐
食が進行することになり、課題を解決し得ない。
【0015】一方、耐食性を高める観点からは、Al−
Mn合金被覆層は厚い方が望ましいが、厚すぎる場合は
Al−Mn合金被覆鋼線の強度が低くなるため、テンシ
ョンメンバーとしての機能を果たさなくなる。その意味
で、被覆層の厚さは、被覆層を含めた鋼線全体中に占め
る被覆層の面積比率が50%以下となるように設定する
のがよい。
【0016】上述したように、Mnの含有量は0.3重
量%ないし4.3重量%が望ましく、0.3重量%未満
ではAl−Mn系金属間化合物の析出量および個数が不
足となる。一方、4.3重量%を越えると、鋳造時に粗
大なMn化合物が生成し、その後の加工が困難となる。
【0017】加えて、Mg添加の目的は、Al−Mn系
金属間化合物の析出を促進させることであり、添加量を
0.05重量%ないし6.0重量%とすることが望まし
い。添加量が0.05重量%に満たないと、金属間化合
物の析出促進効果がなく、6.0重量%を越えると、鋳
造性や加工性が低下する。
【0018】なお、上記のAl−Mn合金被覆層におい
て、Feが0.2重量%以下、Siが0.4重量%以
下、Znが0.5重量%以下、Cuが0.3重量%以下
の範囲の不純物元素を含んでいても、本発明のAl−M
n合金被覆層の作用、効果に実質的な変化はない。
【0019】さらに、鋳塊結晶組織の微細化のために
は、Al−Mn合金被覆層中にTiを0.003重量%
ないし0.2重量%添加することが望ましい。その際、
TiとBを複合添加する場合にはTiを0.003重量
%ないし0.1重量%、Bを0.0001重量%ないし
0.05重量%、TiとCを複合添加する場合にはTi
を0.003重量%ないし0.1重量%、Cを0.00
01重量%ないし0.05重量%とすることが望まし
い。また、強度向上のためには、Crを0.003重量
%ないし0.15重量%、Vを0.003重量%ないし
0.15重量%、Zrを0.003重量%ないし0.1
5重量%、の1種または2種以上を添加することが望ま
しい。また、鋳造時の溶湯酸化防止のためには、Beを
0.01重量%未満で添加することが望ましい。
【0020】なお、本発明の送電線におけるテンション
メンバーは、本願発明者らが別途発明したAl−Mn合
金導体またはAl−Mn合金被覆AlまたはAl合金導
体とともに使用することが望ましい。これにより、送電
線全体としての耐食性をより一層高めることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態につ
いて説明する。図1は、本実施の形態の架空送電線を示
す図である。本実施の形態の架空送電線は、図1に示す
ように、テンションメンバー1が、Al−Mn合金被覆
層2で被覆された7本の鋼線3から構成されている。A
l−Mn合金被覆層2には、Al−Mn系の金属間化合
物が分散析出しており、Alの他、Mnが0.3重量%
ないし4.3重量%、不可避不純物元素としてFeが
0.2重量%以下、Siが0.4重量%以下、Znが
0.5重量%以下、Cuが0.3重量%以下の範囲で含
有されている。そして、テンションメンバー1の周囲
に、複数本のアルミニウム合金からなる導体4が配置さ
れている。
【0022】本実施の形態の架空送電線においては、テ
ンションメンバー1を構成する鋼線3がAl−Mn系金
属間化合物が分散析出したAl−Mn合金被覆層2で被
覆されているので、耐食性が特に問題となるClイオン
と水分の存在する環境下でも極めて優れた耐食性を有
し、信頼性の高い架空送電線を実現することができる。
【0023】なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態
に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない
範囲において種々の変更を加えることが可能である。例
えば図2に示したように、テンションメンバー1の周囲
の導体4を構成するアルミニウム合金線も、テンション
メンバー1と同様、Al−Mn合金被覆層2で被覆した
ものとしてもよい。また、図1および図2では、1層の
導体のみを有する送電線の例を挙げたが、図3と同様に
2層以上の導体を有するものでもよい。
【0024】
【実施例】[実施例1]テンションメンバー1を構成す
る鋼線に必要とされる特性を評価するために、本発明の
Al−Mn合金を被覆した試料1〜5の鋼線、従来のA
lを被覆した試料6の鋼線、本発明の合金組成範囲から
外れるAl−Mn合金を被覆した試料7、8の鋼線、被
覆材は本発明の合金組成範囲であるが、被覆層の厚さが
0.1mm以下の試料9、および被覆層の断面積比率が
50%を超える試料10の鋼線をそれぞれ以下に示す方
法で作製した。
【0025】(試料1)半連続鋳造機により、Mn:
0.3重量%、Fe:0.1重量%、Si:0.05重
量%、Zn:0.05重量%、Cu:0.02重量%、
Ti:0.02重量%、Cr:0.03重量%、V:
0.02重量%、Zr:0.02重量%、残りがAlの
組成を有する鋳塊を作り、この鋳塊を400℃で10時
間熱処理した後、熱間圧延、冷間圧延により厚さ0.6
5mmのコイルに成型してAl−Mn系金属間化合物を
分散析出させた合金シートを作製した。その後、52m
m幅にスリッターでスリットしてテープを作製した。続
いて、テープ縦添え溶接法による造管ラインにて、直径
6.7mmの鋼線上に均一に被覆してアルミニウム合金
被覆鋼線複合体を作製した。続いて、この複合線材を連
続伸線機により3.2mmφまで伸線した。
【0026】(試料2)Mnを1.8重量%とした以外
は、試料1と同様の方法で、アルミニウム合金被覆鋼線
複合体を作製した。
【0027】(試料3)Mnを4.3重量%とした以外
は、試料1と同様の方法で、アルミニウム合金被覆鋼線
複合体を作製した。
【0028】(試料4)Mgを1.5重量%含む以外
は、試料2と同様の方法で、アルミニウム合金被覆鋼線
複合体を作製した。
【0029】(試料5)連続鋳造圧延機により、Mn:
1.8重量%、Fe:0.1重量%、Si:0.05重
量%、Zn:0.05重量%、Cu:0.02重量%、
Ti:0.02重量%、Cr:0.03重量%、V:
0.02重量%、Zr:0.02重量%、残りがAlの
組成を有する9.5mmφの荒引き線材を作った。この
荒引き線を400℃で12時間熱処理した後、コンフォ
ーム連続押出し機に導入し、6.7mmφの鋼線の周り
にアルミニウム合金層を被覆した。このように作製した
外径8.00mmφのアルミニウム合金被覆鋼線を3.
2mmφまで伸線した。
【0030】(試料6)連続鋳造圧延機により、JIS
H2110で定められた電気用アルミニウム地金を用
いて9.5mmφの荒引き線材を作った。この荒引き線
をコンフォーム連続押出し機に導入し、6.7mmφの
鋼線の周りにアルミニウムを被覆した。このように作製
した外径8.00mmφのアルミニウム被覆鋼線を3.
2mmφまで伸線した。
【0031】(試料7)Mnを0.1重量%とした以外
は、試料1と同様の方法で、アルミニウム合金被覆鋼線
複合体を作製した。
【0032】(試料8)Mnを4.8重量%とした以外
は、試料1と同様の方法で、アルミニウム合金被覆鋼線
複合体を作製した。
【0033】(試料9)テープの厚さを0.11mmと
した以外は、試料1と同様の方法で、アルミニウム合金
被覆鋼線複合体を作製した。
【0034】(試料10)コンフォーム押出し直後の外
径が9.5mmである以外は、試料5と同様の方法で、
アルミニウム合金被覆鋼線複合体を作製した。
【0035】以上の方法によって得られた試料1〜10
について、被覆層の金属種、複合化の方法、被覆層の厚
さ、占積率、引張強度、導電率、単位表面積当たりの重
量減少量、捻回試験後の引張強度などの評価を行い、結
果をまとめたものが下記の表1である。なお、耐食性と
捻回試験後の引張強度については以下に示す方法で評価
した。また、表1中、「CF」とは、コンフォーム連続
押出し法のことである。
【0036】[耐食性試験]試料1〜10のアルミニウ
ムまたはアルミニウム合金被覆鋼線複合体を長さ100
mmに切断し、両端末をエポキシ樹脂で被覆処理して、
耐食性試験用試料とした。耐食性評価試験としては、試
料を2規定の塩酸水溶液に100時間浸漬した後、試料
の重量を測定し、試験前の重量測定値から引き算して重
量減少量を算出し、単位表面積当たりの重量減少量を各
試料で比較した。各試験において、試料数:n=3で試
験を行った。単位面積当たりの重量減少量が少ない程、
耐食性に優れていることを示す。
【0037】[捻回試験後の引張強度試験]中心に配し
た鋼線と外周に配したアルミニウム合金層などの被覆層
との接合性が不十分であると、その線材が機械的な負荷
を受けた場合、被覆層が破れたり、被覆層と鋼線の隙間
に水分が入ったりして腐食が進行することが心配され
る。このような接合性に関する評価としては、一般的に
捻回試験がよく用いられる。そこで、線材から試料を切
り出し、つかみ間隔を線径の100倍として、20回捻
回試験した。その後、つかみ間隔の100mmの部分を
切断し、両端末をエポキシ樹脂で被覆処理して、2規定
の塩酸水溶液中に100時間浸漬した。その後、この試
料の両端末をつかんで引張試験を行い、引張強度を求め
た。
【0038】
【表1】
【0039】表1から明らかなように、Mnを0.3〜
4.3重量%含む、本発明のAl−Mn合金を被覆した
試料1〜5の鋼線は、腐食性の高い塩素イオンを含む水
溶液中での腐食率が、現用のアルミニウム被覆鋼線であ
る試料6に比べ、約1/30と極めて優れた耐食性を有
することがわかる。また、捻回試験後に塩素イオンを含
む水溶液に浸漬した場合でも、機械的強度の変化がな
く、捻回によって被覆層に割れを生じたりして、腐食が
進行するような問題もないことがわかる。これに対し、
試料6のアルミニウム被覆鋼線と、本発明の合金組成か
ら外れるアルミニウム合金を被覆した試料7、8の鋼線
は、塩素イオンを含む水溶液に浸漬したときの腐食が激
しく、耐食性に劣るとともに、捻回試験後、塩素イオン
を含む水溶液に浸漬したときの機械的強度は試験前の強
度に比べ、約1/2〜2/3に急激に低下することがわ
かる。さらに、Al−Mn合金の被覆厚さが0.1mm
以下である試料9においては、伸線工程で被覆層が破れ
るなどして芯材の鋼線が露出するため、塩素イオンを含
む水溶液に浸漬した場合には腐食が進行し、機械的な強
度が急激に低下することを示している。一方、Al−M
n合金被覆層の断面積比率(占積率)が50%を超える
場合には、試料10に示すように、引張強度が100kg
f/mm2以下となり、テンションメンバーに必要とされる
強度が得られないことがわかる。
【0040】[実施例2]次に、実際のACSRを作製
した場合に問題となる、テンションメンバーと導体との
接触腐食の問題に対する評価を行った。
【0041】評価に用いたACSRは、以下に示す方法
で作製した。 (試料11)上記実施例1の試料2に記載の方法で作製
したアルミニウム合金被覆鋼線複合体(素線)を、1本
の周囲に6本撚り合わせて、ACSR用のテンションメ
ンバーに成形した。このテンションメンバーの周囲に電
気用アルミニウム地金から作製した直径3.2mmの導
体12本、さらにその外層に同じ径の導体18本を撚り
合わせて、ACSRに成形した。
【0042】(試料12)テンションメンバーの周囲に
配される30本の線材が、テンションメンバーの被覆材
と同じAl−1.8%Mn合金被覆アルミニウム導体で
あること以外は、試料11と同様の方法で、ACSRを
作製した。
【0043】(試料13)実施例1の試料6の方法で作
製した電気用アルミニウム地金から得られたアルミニウ
ム被覆鋼線をテンションメンバーとして使用した以外、
試料11と同様の方法で、ACSRを作製した。
【0044】(試料14)テンションメンバーに亜鉛メ
ッキ鋼線を使用した以外は、試料11と同様の方法で、
ACSRを作製した。
【0045】上記のようにして得られた試料11〜14
のACSRを長さ400mmに切断し、両端末をエポキ
シ樹脂で被覆した。この試料を2規定の塩酸に100時
間浸漬した後、水洗してから解体し、導体と接触してい
るAl−Mn被覆鋼線、アルミニウム被覆鋼線、亜鉛メ
ッキ鋼線のそれぞれについて引張試験を実施した。その
結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】表2から明らかなように、Al−1.8%
Mn合金被覆鋼線と異なる金属表面を有する現用のアル
ミニウム導体を外周に撚り合わせた試料11の場合で
も、鋼線と同じAl−1.8%Mn合金を被覆した導体
を外周に撚り合わせた試料12と同様に、浸漬試験後に
おいてAl−1.8%Mn合金被覆鋼線の機械的な強度
の低下は全く見られないことがわかる。このことは、本
発明のAl−Mn系合金被覆鋼線においては現用のアル
ミニウム導体をその外周に撚り合わせた場合でも、異種
金属が接触したときに問題となるような接触腐食の問題
もないことを示している。これに対し、テンションメン
バーとして、アルミニウム被覆鋼線と亜鉛メッキ鋼線を
用い、その外周に現用のアルミニウム導体を撚り合わせ
た従来例の試料13と同じく従来例の試料14のACS
Rにおいては、塩素イオンを含む水溶液に対して耐食性
がないため、引張強度が浸漬前に比べて、アルミニウム
被覆鋼線を用いた試料13では約0.7倍に、亜鉛メッ
キ鋼線を用いた試料14では約0.55倍に、大幅に低
下していることがわかる。
【0048】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
係る送電線は、テンションメンバーを構成する鋼線にA
l−Mn系の金属間化合物が分散析出したAl−Mn合
金で被覆された鋼線を用いているので、耐食性に優れ、
塩素イオンを含む水溶液が存在するような極めて腐食性
の高い環境においても、従来の亜鉛メッキ鋼線やアルミ
ニウム被覆鋼線を用いた場合のように、腐食が進行して
送電線の強度が低下し、断線に至るような問題もない。
このため、従来の送電線のように腐食性の高い環境にお
いても、送電線の表面にグリースを塗布するような防食
処理を施す必要もないから、保守管理が容易であるとと
もに、張り替えなどの際における接続作業が面倒になる
といった問題もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態である架空送電線を示
す断面図である。
【図2】 同、架空送電線の他の例を示す断面図であ
る。
【図3】 従来の架空送電線の一例を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1…テンションメンバー、2…Al−Mn合金被覆層、
3…鋼線、4…導体。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 猿渡 光一 東京都江東区木場一丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 片山 慎司 東京都江東区木場一丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 Fターム(参考) 5G307 BA05 BB04 BC08 BC10 EA01 EB01 EC06 EE01 EF02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 添加元素としてMnを0.3重量%ない
    し4.3重量%含有し、残部がAlおよび不可避不純物
    とからなる組成を有し、MnとAlとからなる金属間化
    合物が分散析出したアルミニウム合金被覆層で被覆され
    た鋼線からなるテンションメンバーを有することを特徴
    とする送電線。
  2. 【請求項2】 前記アルミニウム合金被覆層が、前記添
    加元素に加えて、Mgを0.05重量%ないし6.0重
    量%含有したことを特徴とする請求項1記載の送電線。
  3. 【請求項3】 前記アルミニウム合金被覆層の厚さが
    0.1mm以上であり、かつ、該アルミニウム合金被覆
    層を含む鋼線全体の断面積に対する該アルミニウム合金
    被覆層の断面積の比率が50%以下であることを特徴と
    する請求項1または2記載の送電線。
JP26124999A 1999-09-14 1999-09-14 送電線 Pending JP2001084838A (ja)

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