JP2003027196A - 高磁場鉄損と被膜特性に優れる超高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
高磁場鉄損と被膜特性に優れる超高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法Info
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Abstract
一方向性電磁鋼板及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 地鉄と一次被膜界面にBiが重量で0.
01ppm 以上1000ppm 未満存在することを特徴とす
る一方向性電磁鋼板。このような一方向性電磁鋼板は、
脱炭焼鈍する前に、700℃以上の温度域へ100℃/
s以上の加熱速度により加熱したのち700℃以上の滞
在時間を1〜20秒間とし、かつこの温度域の雰囲気を
制御することにより得ることができる。得られる一方向
性電磁鋼板は、高磁場鉄損と被膜密着性に優れる一方向
性電磁鋼板となる。
Description
の他の電気機器等の鉄心として利用される方向性電磁鋼
板の製造方法に関するものである。特に、脱炭焼鈍の昇
温速度およびその雰囲気を制御することにより優れた皮
膜特性と高磁場鉄損特性を有する極めて高い磁束密度を
有する方向性電磁鋼板の製造方法を提供する。
れる方向性電磁鋼板は、通常Siを2〜7%含有し、製
品の結晶組織を{110}<001>方位に高度に集積
させた鋼板である。方向性電磁鋼板の製品特性は鉄損特
性と励磁特性の両方で評価される。鉄損を少なくするこ
とは、電気機器として使用する際に熱エネルギーとして
奪われる損失を少なくするため、省エネルギーの点で有
効である。
設計磁束密度を高めることが可能となり機器の小型化に
有効である。製品の結晶組織を{110}<001>方
位に集積することは、励磁特性を高め鉄損低減にも有効
であるため、近年多くの研究が重ねられ、様々な製造技
術が開発されてきた。
に、特公昭40−15644号公報に開示されている製
造方法が挙げられる。これは、AlNとMnSをインヒ
ビターとして機能させ、最終冷延工程における圧下率を
80%を超える強圧下とする製造方法である。この方法
により、{110}<001>方位に結晶粒の方位が集
積し、B8 (800A/mにおける磁束密度)が1.8
70T以上の高磁束密度を有する方向性電磁鋼板が得ら
れる。
特開平6−88171号公報では、溶鋼に100〜50
00g/tのBiを添加する方法が開示され、B8 が
1.95T以上の製品が得られるようになった。
は、素材の組成成分にBiを0.0005〜0.05%
を含有させ脱炭焼鈍する前に100℃/秒以上の加熱速
度で700℃以上の温度域へ急速に加熱する方法が開示
され、これによりコイル全長、全幅にわたり二次再結晶
を安定化させ、コイル内全ての個所において工業的に安
定してB8 が1.95T以上得られるようになった。
−2252号公報には、鋼板にレーザー処理を施す方
法、さらに特公昭58−2569号公報には、鋼板に機
械的な歪を導入する方法等、磁区を細分化する様々な方
法が開示されている。一般的に方向性電磁鋼板の鉄損は
JIS C2553でW17/50 (B8 1.7T、50Hz
の励磁条件下でのエネルギー損失)で評価され、グレー
ド分けされているが、近年では、トランスの小型化を図
るために、励磁磁束密度を1.7T以上とする場合や
1.7Tであってもトランスの鉄心の局部的には1.7
T以上の磁束密度となることが明らかとなっており、高
磁場(例えばW19/50 )での鉄損が少ない鋼板が求めら
れている。
て、特開2000−345306号公報に、鋼板の結晶
方位を{110}<001>の理想方位に対して、平均
値で5度以下のずれとし、鋼板の180℃磁区幅の平均
が0.26超〜0.30mm以下、または、鋼板の磁区幅
の0.4mm超の面積率を3%超〜20%以下とするもの
が開示されている。その製造方法として、特開2000
−345305号公報に脱炭焼鈍する直前に、100℃
/s以上の加熱速度で800℃以上の温度に加熱処理す
る方法が開示されている。しかし、得られた高磁場鉄損
は最も低いもので、W19/50 =1.13W/kgであり更
なる高磁場低鉄損を有する方向性電磁鋼板が望まれてい
る。
る電気的に絶縁性を有する被膜について説明する。かか
る被膜は絶縁性を保持する役割のほか、鋼板に比較して
熱膨張係数が小さいため鋼板に引っ張り応力を付与し鉄
損低減させる役割も担っている。また、良好な絶縁被膜
はトランス製造工程においても重要であり、特に巻きト
ランスの場合は方向性電磁鋼板に曲げ加工が加えられる
ため、被膜が剥離することがある。従って、被膜には優
れた被膜密着性も要求される。
焼鈍仕上焼鈍後にMgOを主成分とする焼鈍分離剤の塗
布量を5g/m2 以上とする方法、特開平10−255
16号公報にはIg−loss値を0.4〜1.5%と
する方法やMgOの添加物として、特開2000−96
149号公報では、SnO2 ,Fe2 O3 ,Fe3 O
4 ,MoO3 を0〜15重量部添加し、さらにTiO2
を1.0〜15重量部添加する方法が開示されている。
上述した方法により均一に一次被膜を形成させることは
困難であり、さらに被膜張力を有する絶縁皮膜を塗布し
た場合に密着性が劣化する問題があり、工業的に安定生
産するに至っていない。
では、極めて鉄損が優れ、かつB8 ≧1.94Tの極め
て高い磁束密度を有する方向性電磁鋼板において、高磁
場特性に優れ且つ密着性が良好な一次被膜を安定して得
ることが困難であった。本発明はそれを解決する製造方
法を提供するものである。すなわち本発明は、従来の方
向性電磁鋼板にも増して高磁場特性と被膜密着性とに優
れた方向性電磁鋼板を提供しようとするものである。
するため、その要旨とするところは以下の通りである。 (1)重量で、Si:2〜7%を必須成分として含有す
る一方向性電磁鋼板であって、地鉄と一次被膜界面にB
iが存在することを特徴とする高磁場鉄損と被膜特性に
優れる超高磁束密度一方向性電磁鋼板。 (2)重量で、Si:2〜7%を必須成分として含有す
る一方向性電磁鋼板であって、地鉄と一次被膜界面にB
iが重量で0.01ppm 以上1000ppm 未満存在する
ことを特徴とする高磁場鉄損と被膜特性に優れる超高磁
束密度一方向性電磁鋼板。 (3)重量で、Si:2〜7%を必須成分として含有す
る一方向性電磁鋼板であって、地鉄と一次被膜界面にB
iが重量で0.1ppm 以上100ppm 未満存在すること
を特徴とする高磁場鉄損と被膜特性に優れる超高磁束密
度一方向性電磁鋼板。
めて高い値を有すること特徴とする前記(1)乃至
(3)の何れか1項に記載の高磁場鉄損と被膜特性に優
れる超高磁束密度一方向性電磁鋼板。 (5)W17/50 (B8 1.7T、50Hzの励磁条件下で
のエネルギー損失)に対するW19/50 (B8 1.9T、
50Hzの励磁条件下でのエネルギー損失)比率W19/50
/W17/50 <1.8であることを特徴とする前記(1)
乃至(4)の何れか1項に記載の高磁場鉄損と被膜特性
に優れる超高磁束密度一方向性電磁鋼板。 (6)磁区制御後にW19/50 /W17/50 <1.6となる
極めて高磁場での劣化率の少ないことを特徴とする前記
(1)乃至(5)の何れか1項に記載の高磁場鉄損と被
膜特性に優れる超高磁束密度一方向性電磁鋼板。
kgとなる極めて高磁場での鉄損に優れる前記(1)乃至
(6)記載の高磁場鉄損と被膜特性に優れる超高磁束密
度一方向性電磁鋼板。 (8)重量%で、C:0.10%以下、Si:2〜7
%、Mn:0.02〜0.30%、SおよびSeのうち
から選んだ1種または2種の合計:0.001〜0.0
40%、酸可溶性Al:0.010〜0.065%、
N:0.0030〜0.0150%、Bi:0.000
5〜0.05%を基本成分とし、残余はFeおよび不可
避的不純物よりなる一方向性電磁鋼熱延板に、必要に応
じて焼鈍を施し、1回あるいは2回以上または中間焼鈍
を挟む2回以上の冷間圧延を行い、脱炭焼鈍後、焼鈍分
離剤を塗布、乾燥し仕上げ焼鈍を行う一方向性電磁鋼板
の製造方法において、最終板厚まで冷延された鋼板を脱
炭焼鈍する前に、700℃以上の温度域へ100℃/s
以上の加熱速度により加熱したのち700℃以上の滞在
時間を1〜20秒間とし、かつこの温度域の雰囲気構成
成分を、H2 Oと不活性ガス、H2 OとH2 、もしくは
H2 Oと不活性ガスとH2 の何れかとし、かつH2 O分
圧が10-4〜6×10-1とする加熱処理を実施すること
を特徴とする前記(1)乃至(7)の何れか1項に記載
の高磁場鉄損と被膜特性に優れる超高磁束密度一方向性
電磁鋼板の製造方法。 (9)上記加熱処理が脱炭焼鈍の昇温段階として行われ
ること特徴とする前記(8)項記載の高磁場鉄損と被膜
特性に優れる超高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方
法。
る。本発明者らは、高磁場鉄損に優れ、一次被膜密着性
の良好な一方向性電磁鋼板を開発すべく鋭意研究を重ね
た結果、鋼中にBiを含有させて、一次被膜形成と{1
10}<001>方位を発現させる二次再結晶焼鈍中
に、一次被膜と地鉄界面中のBi濃度を制御することが
極めて重要であることを見出した。
向性電磁鋼板の製造方法を種々変更した結果、鋼中にB
iを含有させ一次再結晶焼鈍ないし脱炭焼鈍の昇温速度
を100℃/秒以上とする場合に昇温時の雰囲気とそれ
に引き続く均熱条件を種々変更し、最終仕上焼鈍を施し
た後の製品の磁気特性及び被膜密着性の関係を調査した
結果、製品に優れた両特性をもたらすグラス被膜構造は
従来の一方向性電磁鋼板と異なる特徴を有していること
を見出した。すなわち、地鉄と一次被膜界面に微量に存
在するBiと高磁場鉄損及び二次被膜密着性には密接な
関係が存在する。
地鉄と一次被膜界面に微量に存在するBiは、二次イオ
ン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrom
etry)により検出および定量化することが可能である。
明する。SIMSにより一次被膜中および地鉄と一次皮
膜の界面近傍におけるBiを分析する場合、Fe,Mg
およびSiなどからなる分子イオンの妨害を除去するこ
とが必要である。質量分解能が500以上となる条件で
測定することによりBiと妨害イオンの質量分離が可能
であり、好ましくは質量分解能を1000以上となる条
件で測定する。そのため質量分解能の高い二重集束型質
量分析器を有するSIMSが好適に用いられる。一次イ
オンビームとして16O2 +イオンビームを用いる場合はB
i+ 二次イオンを検出し、Cs+ イオンビームを用いる
場合はBi- あるいはCsBi+ 二次イオンを測定する
ことにより、微量なBiを高感度に検出することが可能
となる。測定する深さおよびBi濃度から、一次イオン
ビームの種類、エネルギー、照射面積、および電流量を
決定する。
説明する。SIMS測定により得られるBi二次イオン
強度からBiの濃度を求める方法として、Siウエハ中
のBの定量法を規定したISO 14237と同様の手
法を用る。標準試料は、Bi無添加材の表面を地鉄と一
次被膜の界面から約10μmの厚さほど地鉄を研磨して
鏡面仕上げした鋼板に、既知のエネルギーでBiを所定
の照射量ほどイオン注入して作製する。また、Biの相
対感度係数を算出するためのマトリックス強度は、一次
被膜をスパッタリングした後の地鉄中で測定する。28S
i2 分子イオンによる妨害を除去するため、16O2 +一次
イオンビームを用いて正の二次イオンを検出する場合は
54Fe+ 二次イオン強度をマトリックス強度として用
い、Cs+一次イオンビームを用いて負の二次イオンを
検出する場合は54Fe- 二次イオン強度を、正の二次イ
オンを検出する場合は54Fe+ 二次イオン強度を用い
る。
化率、スパッタレートおよび相対感度係数などは異な
り、また一次被膜厚さの不均一性および地鉄と一次被膜
の界面が平坦でないなどの理由により、一次被膜表面か
ら地鉄内部にわたるBiの濃度分布を厳密に求めること
は極めて困難であるが、上記標準試料の地鉄内部におけ
るBiの相対感度係数を用いて、一次被膜から地鉄内部
にわたるBi二次イオン強度分布を見かけのBi濃度分
布に換算することが可能である。本発明では、上記見か
けのBi濃度をBi濃度として定義する。
最終仕上焼鈍後、すなわち絶縁皮膜コーティングを施す
前の鋼板、もしくは絶縁コーティングを除去した鋼板
の、二次イオン質量分析法(SIMS)によるBi+ プ
ロファイルの概念図を示す。図1において、Feの二次
イオン強度がバルクより少ない側(鋼板表層側)でBi
濃度はピーク値を取る。一次被膜と地鉄は入り組んだ構
造をしているため、Feのプロファイルは表層から徐々
に立ちあがった後一定値をとる。本発明では、このバル
クのFeの二次イオン強度が50%となる放電時間での
Bi+ 二次イオン強度が検出(カウント)された場合
を、一次被膜と地鉄界面にBiが存在することと定義す
る。さらに定量化する場合、本発明では、このバルクの
Feの二次イオン強度が50%となる放電時間でのBi
+ 二次イオン強度から換算したBi濃度を一次被膜と地
鉄界面のBi濃度と定義する。
の界面に存在するBi濃度は製造方法により変化しう
る。そこで、0.23mm厚の方向性電磁鋼板につき、こ
の地鉄と一次被膜界面に存在するBi濃度、W17/50 、
W19/50 及び被膜密着性を測定した。鉄損はレーザーに
よる磁区細分化処理後で評価し、被膜密着性は、20mm
径の曲率曲げに際し被膜剥離の生じない割合(%)で評
価した。図2に地鉄と一次被膜界面のBi濃度と鋼板の
W17/50 ,W19/50 ,被膜の密着性との関係を示す。B
i濃度が0.01ppm 以上でW19/50 <1.2W/kgと
良好な高磁場鉄損が得られ、1000ppm 以下では一次
被膜剥離が生じにくくなり、被膜密着性が改善されてい
ることを示す。さらには、0.1ppm 〜100ppm で
は、特に良好な高磁場鉄損が得られ、被膜密着性も良好
であることが判明した。
19/50 /W17/50 との関係を調査した結果を示す。W19
/50 /W17/50 はW17/50 に対するW19/50 の劣化の程
度を表す。図3より明らかなように、地鉄と一次被膜界
面のBi濃度が0.01ppm以上、1000ppm 以下の
範囲で、劣化率が1.6より小さいことが判明した。さ
らには、0.1ppm 〜100ppm で特に劣化率が小さ
い。
高磁場鉄損及びグラス被膜密着性の間に上記のような相
関が存在する理由は定かではないが以下のように考えら
れる。MgO塗布後に引き続き施される仕上焼鈍工程の
役割は、一次被膜形成、二次再結晶発現と鋼中の不純物
を除去する純化焼鈍である。一次被膜は脱炭焼鈍におい
て鋼板表面に形成されたSiO2 が、その後に塗布され
た焼鈍分離剤と最終仕上焼鈍工程において反応して得ら
れる。一般的に焼鈍分離剤はMgOを主成分としたもの
が用いられ、SiO2 と反応してMg2 SiO4 とな
る。
界面構造によって決定されると考えられ、一次被膜と鋼
板界面が入り組んだ構造となっている場合には、一次密
着性は良好となる。一方で、一次被膜と地鉄の界面が入
り組みすぎると、この入り組んだ界面構造によるアンカ
ー効果のために被膜密着性は良好となるが、従来品では
この一次被膜アンカーの深さは問題ではなかったが、超
高磁束密度材である本発明の一方向性電磁鋼板では極め
て重要な影響を及ぼし、特に高磁場での鉄損を劣化させ
る。従って、高磁場鉄損を良好とし、密着性を確保する
ためには、一次被膜と地鉄界面の構造を最適化する必要
がある。この界面の構造に、一次被膜と地鉄の界面に存
在する微量Biが重要な役割を果たす。
あるが、製品の地鉄中に残存すると磁気特性を劣化させ
るため、二次再結晶発現後、すなわち一次被膜形成過程
あるいは形成後に鋼中からガス状あるいは化合物として
除去を行う。この時、Biは地鉄中から一次被膜と地鉄
の界面を通過して除去されるが、一次被膜と地鉄の界面
に所定以上のBiが濃化すると、Biが一次被膜と低融
点化合物を形成するために一次被膜と地鉄界面の構造が
平滑化して、界面での磁壁のピンニングがなくなり、高
磁場鉄損が良好となると推定される。
ためには、脱Biが生じる前あるいは脱Biが生じてい
る間でBiの拡散を抑制するために、界面を入り組まな
い構造にすることが重要であると考えられる。地鉄と一
次被膜の界面が入り組んだ構造の場合は、拡散界面の面
積が多くなるため、脱Biサイトが増えて脱Biが促進
される。その結果、界面のBi濃度が低下するため界面
は入り組んだ構造のままとなる。一方で、界面の面積が
狭くBiが濃化しすぎると、地鉄と一次被膜界面が平滑
化しすぎて、一次被膜と地鉄間のアンカー効果が消失
し、被膜密着性が劣化する。さらには皮膜張力が低減す
るために、張力による鉄損低減効果が薄れ、磁気特性も
劣化すると考えられる。
重ねた結果、脱Bi時の一次皮膜と地鉄との界面構造を
変えるためには、脱炭焼鈍における初期酸化膜形成状態
を制御して一次被膜と地鉄界面のBi濃度を最適化する
ことが有効であることを見出した。
加熱したときに表層部に生じるSiO2 を主体とする初
期酸化層は加熱時あるいは加熱直後の雰囲気条件と加熱
直後の均熱時間に大きく依存し、引き続く脱炭焼鈍での
内部酸化層構造およびMgO塗布後の仕上焼鈍での一次
被膜構造に大きく影響することを見出した。さらにこの
一次被膜構造が、1000℃以上の高温から始まる脱B
i挙動に影響を及ぼし、一次被膜と地鉄の界面構造を最
適化することを見出した。
炭焼鈍の昇温速度を100℃/秒とし、かつ昇温及びそ
れに引き続く均熱初期の雰囲気を制御することにより得
られたものである。脱炭焼鈍の昇温速度を従来に比較し
て、100℃/秒以上に急速に加熱したときに生じる酸
化膜は、特開2000−204450号公報段落〔00
35〕に記載されるように、昇温過程の雰囲気が殆どの
場合、平衡論的には有害なFeO生成領域にあるにも関
わらず、これらのFe系の酸化物を殆ど形成せず、Si
O2 を主体とする酸化層となり、非平衡論的側面が極め
て強いことが開示されている。
Biを添加した場合は、急速に昇温した後で脱炭焼鈍前
に適度に均熱した方が良好な一次被膜が得られることを
見出した。急速に昇温した場合はSiO2 を主体とする
酸化層が形成されるが、加熱直後に保持する均熱条件に
より、SiO2 量が変化する。このSiO2 量は表層部
のSiO2 の被覆率を表していると推定され、均熱時間
が長すぎたりPH2O が高すぎるとSiO2 被覆率が多す
ぎ、内部酸化層が深くなりすぎる傾向にあり、脱Biが
促進され内部酸化層構造が入り組みすぎた構造となり、
磁束密度が低下し、高磁場鉄損を劣化させる。
が低い場合は、この被覆率が少なく、通常の脱炭焼鈍で
得られる内部酸化膜と大差ないものとなり、その後の仕
上焼鈍中で一次被膜と地鉄界面が入り組まず、脱Biが
促進されずに界面にBiが濃化して、一次被膜密着性を
劣化させる。従って、均熱時間やPH2O を制御すること
により初期酸化膜であるSiO2 被覆率を適正化するこ
とが重要であることが明らかとなった。
Cは0.03%未満では、熱延に先立つスラブ加熱時に
おいて結晶粒が異常粒成長し、製品において線状細粒と
呼ばれる二次再結晶不良を起こすので好ましくない。一
方、0.15%を超えた場合では、冷延後の脱炭焼鈍に
おいて脱炭時間が長時間必要となり経済的でないばかり
でなく、脱炭が不完全となりやすく、製品での磁気時効
と呼ばれる磁性不良を起こすので好ましくない。
構成する渦電流損失を低減するのに極めて有効な元素で
あるが、2.5%未満では製品の渦電流損失を抑制でき
ない。また、7.0%を超えた場合では、加工性が著し
く劣化して常温での冷延が困難になるので好ましくな
い。
と呼ばれるMnS及び、またはMnSeを形成する重要
な元素である。0.02%未満では、二次再結晶を生じ
させるのに必要なMnS,MnSeの絶対量が不足する
ので好ましくない。また、0.3%を超えた場合は、ス
ラブ加熱時の固溶が困難になるばかりでなく、熱延時の
析出サイズが粗大化しやすくインヒビターとしての最適
サイズ分布が損なわれて好ましくない。
Sおよび、またはMnSeを形成する重要な元素であ
る。上記範囲を逸脱すると充分なインヒビター効果が得
られないので0.001〜0.040%に限定する必要
がある。
鋼板のための主要インヒビター構成元素であり、0.0
10%未満では、量的に不足してインヒビター強度が不
足するので好ましくない。一方0.065%を超えると
インヒビターとして析出させるAlNが粗大化し、結果
としてインヒビター強度を低下させるので好ましくな
い。
する重要な元素である。上記範囲を逸脱すると充分なイ
ンヒビター効果が得られないので、0.0030〜0.
0150%に限定する必要がある。
結晶を安定して得る元素として有効であり、また二次再
結晶粒径を小さくする作用もあるため、添加しても良
い。この効果を得るためには、0.05%以上の添加が
必要であり、0.50%を超えた場合にはその作用が飽
和するのでコストアップの点から0.50%以下に限定
する。
安定化元素として有効である。0.01%未満では効果
が少なく、0.40%を超えると製品の磁束密度が低下
するので好ましくない。
品の二次再結晶を安定して得る元素として有効であるた
め、添加しても良い。この場合、この効果を得るために
は、0.0030%以上の添加が必要であり、0.30
%を超えた場合にはその作用が飽和するのでコストアッ
プの点から0.30%以下に限定する。
高磁束密度一方向性電磁鋼板の安定製造において、その
スラブ中に必須含有の元素であり、磁束密度向上効果を
有する。0.0005%未満ではその効果が充分に得ら
れず、また0.05%を超えた場合は磁束密度向上効果
が飽和するだけでなく、熱延コイルの端部に割れが発生
するので好ましくない。
改善の方法について説明する。上記のごとく成分を調整
した超高磁束密度方向性電磁鋼板製造用溶鋼は、通常の
方法で鋳造する。特に鋳造方法に限定はない。次いで通
常の熱間圧延によって熱延コイルに圧延される。
るいは中間焼鈍を含む複数回の冷延、あるいは熱延板焼
鈍後中間焼鈍を含む複数回の冷延によって製品板厚に仕
上げるわけであるが、仕上げ冷延前の焼鈍では結晶組織
の均質化と、AlNの析出制御を行う。
に、脱炭焼鈍を施す。最終板厚まで冷延された鋼板を脱
炭焼鈍する前に、700℃以上の温度域へ100℃/s
以上の加熱速度により加熱したのち700℃以上の均熱
時間を1〜20秒間とし、かつこの温度域の雰囲気構成
成分をH2 Oと不活性ガス、もしくはH2 OとH2 、H
2 Oと不活性ガスとH2 とし、かつH2 O分圧が10-4
〜6×10-1とする。
に重要な20〜700℃以上の最高到達温度までの平均
加熱速度を示すが、特に300℃〜700℃までの加熱
速度が重要であり、この部分の平均加熱速度が100℃
/sより遅いと、一次被膜密着性がする。最高到達温度
は700℃以下ではSiO2 層が形成されないため70
0℃を下限とする。このような、高い昇温速度を達成す
るためには、加熱方法として、誘導加熱や通電加熱を採
用するのがよい。
る均熱において述べる。均熱温度が700℃以下の場
合、適性なSiO2 が形成されないため、均熱温度は7
00℃以上とする。均熱時間が20秒を超える場合やH
2 O分圧が6×10-1を超えると、SiO2 量が十分確
保されるが、脱Biが促進されすぎ一次地被膜と地鉄の
界面構造が複雑となり、高磁場鉄損が劣化する。一方
で、均熱時間が1秒未満のときや、H2 O分圧が10-4
未満の場合は、適性なSiO2 量が確保できないため
に、脱Biが促進されずに界面にBiが濃化し過ぎ、被
膜密着性を劣化させる。また、この雰囲気は昇温とそれ
に引き続く均熱において上記範囲内であれば、変えても
構わない。
温に組み込んでも構わない。上記均熱後に引き続く脱炭
焼鈍の雰囲気は通常と同様である。すなわちH2 とH2
OもしくはH2 とH2 Oと不活性ガスの混合雰囲気と
し、PH2 O/PH2を0.15から0.65の範囲と
する。尚、脱炭焼鈍後の残留炭素量は、通常の場合と同
様に50ppm 以下とする必要がある。AlNのみをイン
ヒビターとして用いる場合には、脱炭焼鈍後にアンモニ
ア含有雰囲気中で焼鈍することにより鋼板を窒化し、こ
の段階でインヒビター形成を行ってもよい。
鈍分離材を塗布乾燥するが、この際MgO中にTiO2
を1〜40%程度添加しても良く、好ましくは塗布量を
片面あたり5g/m2 以上とする。
を目的として1100℃以上の最終仕上焼鈍を行う。多
くの場合、最終仕上焼鈍後、一次被膜の上にさらに絶縁
皮膜を施す。特に燐酸塩とコロイダルシリカを主体とす
るコーティング液を焼き付けることによって得られる絶
縁被膜は、鋼板に対する付与張力が大きく、更なる鉄損
改善に有効である。さらに、上記一方向性電磁鋼板に、
レーザー照射、プラズマ照射、歯型ロールやエッチング
による溝加工等のいわゆる磁区細分化処理を施しても構
わない。
2.3mm厚にまで熱間圧延させて熱延板に1100℃で
1分間焼鈍を施した。この後、冷間圧延により最終板厚
0.22mmにまで圧延した。さらに、得られたストリッ
プを脱炭焼鈍する際、昇温及び均熱段階で雰囲気は表2
に示す条件でそれぞれ実施した。この時の加熱速度は表
2に示す条件で850℃まで昇温した後、引き続き85
0℃で均熱処理を行った。この後、840℃の均一温
度、湿潤水素中で脱炭焼鈍し、MgOを主成分とした焼
鈍分離剤を塗布した後、1200℃に20時間、水素ガ
ス雰囲気中で高温焼鈍を行った。得られた鋼板の余剰M
gOを除去し、形成されたフォルステライト被膜上にコ
ロイダルシリカと燐酸塩を主体とする絶縁皮膜を形成
し、製品とした。
を用いた。測定は、加速電圧8kVで照射電流110nAの
16O2 +一次イオンビームを125μm四方の領域に照射
し、質量分解能が約2000となる条件で行った。得ら
れた諸特性を表2に示した。本発明条件を満足するコイ
ルE〜Jは、被膜特性と磁気特性に優れた方向性電磁鋼
板となっている。
であった、F,H,Gに5mmピッチでレーザーを照射し
た。その結果を表3に示す。表3で明らかなように、本
発明材は磁束密度が極めて高いために、磁区細分化によ
り、従来法では得られないような鉄損特性を得ることが
できた。
れ、かつ磁気特性の極めて良好な方向性電磁鋼板を提供
でき、かつ上記方向性電磁鋼板を製造するための方法を
提供することができる。
MS)におけるFeとBiのプロファイルの概念図。
生しない比率とW17/50 とW19/50 との関係を示す図。
17/50 との関係を示す図。
1)
束密度一方向性電磁鋼板の製造方法
0.001〜0.040%、 酸可溶性Al:0.010〜0.065%、 N :0.0030〜0.0150%、 Bi:0.0005〜0.05% を基本成分とし、残余はFeおよび不可避的不純物より
なる一方向性電磁鋼熱延板に、1回あるいは2回以上ま
たは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を行い、脱炭焼
鈍後、焼鈍分離剤を塗布、乾燥し仕上げ焼鈍を行う一方
向性電磁鋼板の製造方法において、最終板厚まで冷延さ
れた鋼板を脱炭焼鈍する前に、700℃以上へ100℃
/s以上の加熱速度により加熱したのち700℃以上の
滞在時間を1〜20秒間とし、かつこの温度域の雰囲気
構成成分を、H2 Oと不活性ガス、H2 OとH2 、もし
くはH2 Oと不活性ガスとH2 の何れかとし、かつH2
O分圧が10-4〜6×10-1とする加熱処理を実施する
ことを特徴とする高磁場鉄損W19/50 (B8 1.9T、
50Hzの励磁条件下でのエネルギー損失)と被膜特性に
優れる超高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法。
を特徴とする請求項1記載の高磁場鉄損と被膜特性に優
れる超高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法。
て行われることを特徴とする請求項1または2記載の高
磁場鉄損と被膜特性に優れる超高磁束密度一方向性電磁
鋼板の製造方法。
の他の電気機器等の鉄心として利用される方向性電磁鋼
板の製造方法に関するものである。特に、脱炭焼鈍の昇
温速度およびその囲気を制御することにより優れた被膜
特性と高磁場鉄損特性を有する極めて高い磁束密度を有
する方向性電磁鋼板の製造方法を提供する。
れる方向性電磁鋼板は、通常Siを2〜7%含有し、製
品の結晶組織を{110}<001>方位に高度に集積
させた鋼板である。方向性電磁鋼板の製品特性は鉄損特
性と励磁特性の両方で評価される。鉄損を少なくするこ
とは、電気機器として使用する際に熱エネルギーとして
奪われる損失を少なくするため、省エネルギーの点で有
効である。
設計磁束密度を高めることが可能となり機器の小型化に
有効である。製品の結晶組織を{110}<001>方
位に集積することは、励磁特性を高め鉄損低減にも有効
であるため、近年多くの研究が重ねられ、様々な製造技
術が開発されてきた。
に、特公昭40−15644号公報に開示されている製
造方法が挙げられる。これは、AlNとMnSをインヒ
ビターとして機能させ、最終冷延工程における圧下率を
80%を超える強圧下とする製造方法である。この方法
により、{110}<001>方位に結晶粒の方位が集
積し、B8 (800A/mにおける磁束密度)が1.8
70T以上の高磁束密度を有する方向性電磁鋼板が得ら
れる。
特開平6−88171号公報では、溶鋼に100〜50
00g/tのBiを添加する方法が開示され、B8 が
1.95T以上の製品が得られるようになった。
は、素材の組成成分にBiを0.0005〜0.05%
を含有させ脱炭焼鈍する前に100℃/秒以上の加熱速
度で700℃以上の温度域へ急速に加熱する方法が開示
され、これによりコイル全長、全幅にわたり二次再結晶
を安定化させ、コイル内全ての個所において工業的に安
定してB8 が1.95T以上得られるようになった。
−2252号公報には、鋼板にレーザー処理を施す方
法、さらに特公昭58−2569号公報には、鋼板に機
械的な歪を導入する方法等、磁区を細分化する様々な方
法が開示されている。一般的に方向性電磁鋼板の鉄損は
JIS C2553でW17/50 (B8 1.7T、50Hz
の励磁条件下でのエネルギー損失)で評価され、グレー
ド分けされているが、近年では、トランスの小型化を図
るために、励磁磁束密度を1.7T以上とする場合や
1.7Tであってもトランスの鉄心の局部的には1.7
T以上の磁束密度となることが明らかとなっており、高
磁場(例えばW19/50 )での鉄損が少ない鋼板が求めら
れている。
て、特開2000−345306号公報に、鋼板の結晶
方位を{110}<001>の理想方位に対して、平均
値で5度以下のずれとし、鋼板の180℃磁区幅の平均
が0.26超〜0.30mm以下、または、鋼板の磁区幅
の0.4mm超の面積率を3%超〜20%以下とするもの
が開示されている。その製造方法として、特開2000
−345305号公報に脱炭焼鈍する直前に、100℃
/s以上の加熱速度で800℃以上の温度に加熱処理す
る方法が開示されている。しかし、得られた高磁場鉄損
は最も低いもので、W19/50 =1.13W/kgであり更
なる高磁場低鉄損を有する方向性電磁鋼板が望まれてい
る。
る電気的に絶縁性を有する被膜について説明する。かか
る被膜は絶縁性を保持する役割のほか、鋼板に比較して
熱膨張係数が小さいため鋼板に引っ張り応力を付与し鉄
損低減させる役割も担っている。また、良好な絶縁被膜
はトランス製造工程においても重要であり、特に巻きト
ランスの場合は方向性電磁鋼板に曲げ加工が加えられる
ため、被膜が剥離することがある。従って、被膜には優
れた被膜密着性も要求される。
焼鈍仕上焼鈍後にMgOを主成分とする焼鈍分離剤の塗
布量を5g/m2 以上とする方法、特開平10−255
16号公報にはIg−loss値を0.4〜1.5%と
する方法やMgOの添加物として、特開2000−96
149号公報では、SnO2 ,Fe2 O3 ,Fe
3 O 4 ,MoO3 を0〜15重量部添加し、さらにTi
O2 を1.0〜15重量部添加する方法が開示されてい
る。
上述した方法により均一に一次被膜を形成させることは
困難であり、さらに被膜張力を有する絶縁皮膜を塗布し
た場合に密着性が劣化する問題があり、工業的に安定生
産するに至っていない。
では、極めて鉄損が優れ、かつB8 ≧1.94Tの極め
て高い磁束密度を有する方向性電磁鋼板において、高磁
場特性に優れ且つ密着性が良好な一次被膜を安定して得
ることが困難であった。本発明はそれを解決する製造方
法を提供するものである。すなわち本発明により、従来
の方向性電磁鋼板にも増して高磁場特性と被膜密着性と
に優れた方向性電磁鋼板を提供しようとするものであ
る。
するため、その要旨とするところは以下の通りである。 (1)重量%で、C :0.15%以下、Si:2〜7
%、Mn:0.02〜0.30%、SおよびSeのうち
から選んだ1種または2種の合計:0.001〜0.0
40%、酸可溶性Al:0.010〜0.065%、N
:0.0030〜0.0150%、Bi:0.000
5〜0.05%を基本成分とし、残余はFeおよび不可
避的不純物よりなる一方向性電磁鋼熱延板に、1回ある
いは2回以上または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延
を行い、脱炭焼鈍後、焼鈍分離剤を塗布、乾燥し仕上げ
焼鈍を行う一方向性電磁鋼板の製造方法において、最終
板厚まで冷延された鋼板を脱炭焼鈍する前に、700℃
以上へ100℃/s以上の加熱速度により加熱したのち
700℃以上の滞在時間を1〜20秒間とし、かつこの
温度域の雰囲気構成成分を、H2 Oと不活性ガス、H2
OとH2 、もしくはH2 Oと不活性ガスとH2 の何れか
とし、かつH2 O分圧が10-4〜6×10-1とする加熱
処理を実施することを特徴とする高磁場鉄損W19/50
(B8 1.9T、50Hzの励磁条件下でのエネルギー損
失)と被膜特性に優れる超高磁束密度一方向性電磁鋼板
の製造方法。(2)一方向性電磁鋼熱延板に焼鈍を施すことを特徴と
する前記(1)記載の高磁場鉄損と被膜特性に優れる超
高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法。 (3)上記加熱処理が脱炭焼鈍の昇温段階として行われ
ること特徴とする前記(1)または(2)項記載の高磁
場鉄損と被膜特性に優れる超高磁束密度一方向性電磁鋼
板の製造方法。
る。本発明者らは、高磁場鉄損に優れ、一次被膜密着性
の良好な一方向性電磁鋼板を開発すべく鋭意研究を重ね
た結果、鋼中にBiを含有させて、一次被膜形成と{1
10}<001>方位を発現させる二次再結晶焼鈍中
に、一次被膜と地鉄界面中のBi濃度を制御することが
極めて重要であることを見出した。
向性電磁鋼板の製造方法を種々変更した結果、鋼中にB
iを含有させ一次再結晶焼鈍ないし脱炭焼鈍の昇温速度
を100℃/秒以上とする場合に昇温時の雰囲気とそれ
に引き続く均熱条件を種々変更し、最終仕上焼鈍を施し
た後の製品の磁気特性及び被膜密着性の関係を調査した
結果、製品に優れた両特性をもたらすグラス被膜構造は
従来の一方向性電磁鋼板と異なる特徴を有していること
を見出した。すなわち、地鉄と一次被膜界面に微量に存
在するBiと高磁場鉄損及び二次被膜密着性には密接な
関係が存在する。
地鉄と一次被膜界面に微量に存在するBiは、二次イオ
ン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrom
etry)により検出および定量化することが可能である。
明する。SIMSにより一次被膜中および地鉄と一次皮
膜の界面近傍におけるBiを分析する場合、Fe,Mg
およびSiなどからなる分子イオンの妨害を除去するこ
とが必要である。質量分解能が500以上となる条件で
測定することによりBiと妨害イオンの質量分離が可能
であり、好ましくは質量分解能を1000以上となる条
件で測定する。そのため質量分解能の高い二重集束型質
量分析器を有するSIMSが好適に用いられる。一次イ
オンビームとして16O2 + イオンビームを用いる場合は
Bi+ 二次イオンを検出し、Cs+ イオンビームを用い
る場合はBi- あるいはCsBi+ 二次イオンを測定す
ることにより、微量なBiを高感度に検出することが可
能となる。測定する深さおよびBi濃度から、一次イオ
ンビームの種類、エネルギー、照射面積、および電流量
を決定する。
説明する。SIMS測定により得られるBi二次イオン
強度からBiの濃度を求める方法として、Siウエハ中
のBの定量法を規定したISO 14237と同様の手
法を用る。標準試料は、Bi無添加材の表面を地鉄と一
次被膜の界面から約10μmの厚さほど地鉄を研磨して
鏡面仕上げした鋼板に、既知のエネルギーでBiを所定
の照射量ほどイオン注入して作製する。また、Biの相
対感度係数を算出するためのマトリックス強度は、一次
被膜をスパッタリングした後の地鉄中で測定する。28S
i2 分子イオンによる妨害を除去するため、16O2 + 一
次イオンビームを用いて正の二次イオンを検出する場合
は54Fe+ 二次イオン強度をマトリックス強度として用
い、Cs + 一次イオンビームを用いて負の二次イオンを
検出する場合は54Fe- 二次イオン強度を、正の二次イ
オンを検出する場合は54Fe- 二次イオン強度を用い
る。
化率、スパッタレートおよび相対感度係数などは異な
り、また一次被膜厚さの不均一性および地鉄と一次被膜
の界面が平坦でないなどの理由により、一次被膜表面か
ら地鉄内部にわたるBiの濃度分布を厳密に求めること
は極めて困難であるが、上記標準試料の地鉄内部におけ
るBiの相対感度係数を用いて、一次被膜から地鉄内部
にわたるBi二次イオン強度分布を見かけのBi濃度分
布に換算することが可能である。本発明では、上記見か
けのBi濃度をBi濃度として定義する。
最終仕上焼鈍後、すなわち絶縁皮膜コーティングを施す
前の鋼板、もしくは絶縁コーティングを除去した鋼板
の、二次イオン質量分析法(SIMS)によるBi+ プ
ロファイルの概念図を示す。図1において、Feの二次
イオン強度がバルクより少ない側(鋼板表層側)でBi
濃度はピーク値を取る。一次被膜と地鉄は入り組んだ構
造をしているため、Feのプロファイルは表層から徐々
に立ちあがった後一定値をとる。本発明では、このバル
クのFeの二次イオン強度が50%となる放電時間での
Bi+ 二次イオン強度が検出(カウント)された場合
を、一次被膜と地鉄界面にBiが存在することと定義す
る。さらに定量化する場合、本発明では、このバルクの
Feの二次イオン強度が50%となる放電時間でのBi
+ 二次イオン強度から換算したBi濃度を一次被膜と地
鉄界面のBi濃度と定義する。
の界面に存在するBi濃度は製造方法により変化しう
る。そこで、0.23mm厚の方向性電磁鋼板につき、こ
の地鉄と一次被膜界面に存在するBi濃度、W17/50 、
W19/50 及び被膜密着性を測定した。鉄損はレーザーに
よる磁区細分化処理後で評価し、被膜密着性は、20mm
径の曲率曲げに際し被膜剥離の生じない割合(%)で評
価した。図2に地鉄と一次被膜界面のBi濃度と鋼板の
W17/50 ,W19/50 ,被膜の密着性との関係を示す。B
i濃度が0.01ppm 以上でW19/50 <1.2W/kgと
良好な高磁場鉄損が得られ、1000ppm 以下では一次
被膜剥離が生じにくくなり、被膜密着性が改善されてい
ることを示す。さらには、0.1ppm 〜100ppm で
は、特に良好な高磁場鉄損が得られ、被膜密着性も良好
であることが判明した。
19/50 /W17/50 との関係を調査した結果を示す。W19
/50 /W17/50 はW17/50 に対するW19/50 の劣化の程
度を表す。図3より明らかなように、地鉄と一次被膜界
面のBi濃度が0.01ppm以上、1000ppm 以下の
範囲で、劣化率が1.6より小さいことが判明した。さ
らには、0.1ppm 〜100ppm で特に劣化率が小さ
い。
高磁場鉄損及びグラス被膜密着性の間に上記のような相
関が存在する理由は定かではないが以下のように考えら
れる。MgO塗布後に引き続き施される仕上焼鈍工程の
役割は、一次被膜形成、二次再結晶発現と鋼中の不純物
を除去する純化焼鈍である。一次被膜は脱炭焼鈍におい
て鋼板表面に形成されたSiO2 が、その後に塗布され
た焼鈍分離剤と最終仕上焼鈍工程において反応して得ら
れる。一般的に焼鈍分離剤はMgOを主成分としたもの
が用いられ、SiO2 と反応してMg2 SiO4 とな
る。
界面構造によって決定されると考えられ、一次被膜と鋼
板界面が入り組んだ構造となっている場合には、一次密
着性は良好となる。一方で、一次被膜と地鉄の界面が入
り組みすぎると、この入り組んだ界面構造によるアンカ
ー効果のために被膜密着性は良好となるが、従来品では
この一次被膜アンカーの深さは問題ではなかったが、超
高磁束密度材である本発明の一方向性電磁鋼板では極め
て重要な影響を及ぼし、特に高磁場での鉄損を劣化させ
る。従って、高磁場鉄損を良好とし、密着性を確保する
ためには、一次被膜と地鉄界面の構造を最適化する必要
がある。この界面の構造に、一次被膜と地鉄の界面に存
在する微量Biが重要な役割を果たす。
あるが、製品の地鉄中に残存すると磁気特性を劣化させ
るため、二次再結晶発現後、すなわち一次被膜形成過程
あるいは形成後に鋼中からガス状あるいは化合物として
除去を行う。この時、Biは地鉄中から一次被膜と地鉄
の界面を通過して除去されるが、一次被膜と地鉄の界面
に所定以上のBiが濃化すると、Biが一次被膜と低融
点化合物を形成するために一次被膜と地鉄界面の構造が
平滑化して、界面での磁壁のピンニングがなくなり、高
磁場鉄損が良好となると推定される。
ためには、脱Biが生じる前あるいは脱Biが生じてい
る間でBiの拡散を抑制するために、界面を入り組まな
い構造にすることが重要であると考えられる。地鉄と一
次被膜の界面が入り組んだ構造の場合は、拡散界面の面
積が多くなるため、脱Biサイトが増えて脱Biが促進
される。その結果、界面のBi濃度が低下するため界面
は入り組んだ構造のままとなる。一方で、界面の面積が
狭くBiが濃化しすぎると、地鉄と一次被膜界面が平滑
化しすぎて、一次被膜と地鉄間のアンカー効果が消失
し、被膜密着性が劣化する。さらには皮膜張力が低減す
るために、張力による鉄損低減効果が薄れ、磁気特性も
劣化すると考えられる。
重ねた結果、脱Bi時の一次皮膜と地鉄との界面構造を
変えるためには、脱炭焼鈍における初期酸化膜形成状態
を制御して一次被膜と地鉄界面のBi濃度を最適化する
ことが有効であることを見出した。
加熱したときに表層部に生じるSiO2 を主体とする初
期酸化層は加熱時あるいは加熱直後の雰囲気条件と加熱
直後の均熱時間に大きく依存し、引き続く脱炭焼鈍での
内部酸化層構造およびMgO塗布後の仕上焼鈍での一次
被膜構造に大きく影響することを見出した。さらにこの
一次被膜構造が、1000℃以上の高温から始まる脱B
i挙動に影響を及ぼし、一次被膜と地鉄の界面構造を最
適化することを見出した。
炭焼鈍の昇温速度を100℃/秒とし、かつ昇温及びそ
れに引き続く均熱初期の雰囲気を制御することにより得
られたものである。脱炭焼鈍の昇温速度を従来に比較し
て、100℃/秒以上に急速に加熱したときに生じる酸
化膜は、特開2000−204450号公報の段落〔0
035〕に記載されるように、昇温過程の雰囲気が殆ど
の場合、平衡論的には有害なFeO生成領域にあるにも
関わらず、これらのFe系の酸化物を殆ど形成せず、S
iO2 を主体とする酸化層となり、非平衡論的側面が極
めて強いことが開示されている。
Biを添加した場合は、急速に昇温した後で脱炭焼鈍前
に適度に均熱した方が良好な一次被膜が得られることを
見出した。急速に昇温した場合はSiO2 を主体とする
酸化層が形成されるが、加熱直後に保持する均熱条件に
より、SiO2 量が変化する。このSiO2 量は表層
のSiO2 の被覆率を表していると推定され、均熱時間
が長すぎたりP H2 Oが高すぎるとSiO2 被覆率が多
すぎ、内部酸化層が深くなりすぎる傾向にあり、脱Bi
が促進され内部酸化層構造が入り組みすぎた構造とな
り、磁束密度が低下し、高磁場鉄損を劣化させる。
O が低い場合は、この被覆率が少なく、通常の脱炭焼鈍
で得られる内部酸化膜と大差ないものとなり、その後の
仕上焼鈍中で一次被膜と地鉄界面が入り組まず、脱Bi
が促進されずに界面にBiが濃化して、一次被膜密着性
を劣化させる。従って、均熱時間やP H2 O を制御する
ことにより初期酸化膜であるSiO2 被覆率を適正化す
ることが重要であることが明らかとなった。
Cは0.03%未満では、熱延に先立つスラブ加熱時に
おいて結晶粒が異常粒成長し、製品において線状細粒と
呼ばれる二次再結晶不良を起こすので好ましくない。一
方、0.15%を超えた場合では、冷延後の脱炭焼鈍に
おいて脱炭時間が長時間必要となり経済的でないばかり
でなく、脱炭が不完全となりやすく、製品での磁気時効
と呼ばれる磁性不良を起こすので好ましくない。
構成する渦電流損失を低減するのに極めて有効な元素で
あるが、2%未満では製品の渦電流損失を抑制できな
い。また、7.0%を超えた場合では、加工性が著しく
劣化して常温での冷延が困難になるので好ましくない。
と呼ばれるMnS及び、またはMnSeを形成する重要
な元素である。0.02%未満では、二次再結晶を生じ
させるのに必要なMnS,MnSeの絶対量が不足する
ので好ましくない。また、0.3%を超えた場合は、ス
ラブ加熱時の固溶が困難になるばかりでなく、熱延時の
析出サイズが粗大化しやすくインヒビターとしての最適
サイズ分布が損なわれて好ましくない。
Sおよび、またはMnSeを形成する重要な元素であ
る。上記範囲を逸脱すると充分なインヒビター効果が得
られないので0.001〜0.040%に限定する必要
がある。
鋼板のための主要インヒビター構成元素であり、0.0
10%未満では、量的に不足してインヒビター強度が不
足するので好ましくない。一方0.065%を超えると
インヒビターとして析出させるAlNが粗大化し、結果
としてインヒビター強度を低下させるので好ましくな
い。
する重要な元素である。上記範囲を逸脱すると充分なイ
ンヒビター効果が得られないので、0.0030〜0.
0150%に限定する必要がある。
結晶を安定して得る元素として有効であり、また二次再
結晶粒径を小さくする作用もあるため、添加しても良
い。この効果を得るためには、0.05%以上の添加が
必要であり、0.50%を超えた場合にはその作用が飽
和するのでコストアップの点から0.50%以下に限定
する。
安定化元素として有効である。0.01%未満では効果
が少なく、0.40%を超えると製品の磁束密度が低下
するので好ましくない。
品の二次再結晶を安定して得る元素として有効であるた
め、添加しても良い。この場合、この効果を得るために
は、0.0030%以上の添加が必要であり、0.30
%を超えた場合にはその作用が飽和するのでコストアッ
プの点から0.30%以下に限定する。
高磁束密度一方向性電磁鋼板の安定製造において、その
スラブ中に必須含有の元素であり、磁束密度向上効果を
有する。0.0005%未満ではその効果が充分に得ら
れず、また0.05%を超えた場合は磁束密度向上効果
が飽和するだけでなく、熱延コイルの端部に割れが発生
するので好ましくない。
改善の方法について説明する。上記のごとく成分を調整
した超高磁束密度方向性電磁鋼板製造用溶鋼は、通常の
方法で鋳造する。特に鋳造方法に限定はない。次いで通
常の熱間圧延によって熱延コイルに圧延される。
るいは中間焼鈍を含む複数回の冷延、あるいは熱延板焼
鈍後中間焼鈍を含む複数回の冷延によって製品板厚に仕
上げるわけであるが、仕上げ冷延前の焼鈍では結晶組織
の均質化と、AlNの析出制御を行う。
に、脱炭焼鈍を施す。最終板厚まで冷延された鋼板を脱
炭焼鈍する前に、700℃以上の温度域へ100℃/s
以上の加熱速度により加熱したのち700℃以上の均熱
時間を1〜20秒間とし、かつこの温度域の雰囲気構成
成分をH2 Oと不活性ガス、もしくはH2 OとH2 、H
2 Oと不活性ガスとH2 とし、かつH2 O分圧が10-4
〜6×10-1とする。
に重要な20〜700℃以上の最高到達温度までの平均
加熱速度を示すが、特に300℃〜700℃までの加熱
速度が重要であり、この部分の平均加熱速度が100℃
/sより遅いと、一次被膜密着性がする。最高到達温度
は700℃以下ではSiO2 層が形成されないため70
0℃を下限とする。このような、高い昇温速度を達成す
るためには、加熱方法として、誘導加熱や通電加熱を採
用するのがよい。
る均熱において述べる。均熱温度が700℃以下の場
合、適性なSiO2 が形成されないため、均熱温度は7
00℃以上とする。均熱時間が20秒を超える場合やH
2 O分圧が6×10-1を超えると、SiO2 量が十分確
保されるが、脱Biが促進されすぎ一次地被膜と地鉄の
界面構造が複雑となり、高磁場鉄損が劣化する。一方
で、均熱時間が1秒未満のときや、H2 O分圧が10-4
未満の場合は、適性なSiO2 量が確保できないため
に、脱Biが促進されずに界面にBiが濃化し過ぎ、被
膜密着性を劣化させる。また、この雰囲気は昇温とそれ
に引き続く均熱において上記範囲内であれば、変えても
構わない。
温に組み込んでも構わない。上記均熱後に引き続く脱炭
焼鈍の雰囲気は通常と同様である。すなわちH2 とH2
OもしくはH2 とH2 Oと不活性ガスの混合雰囲気と
し、P H2 O /P H2を0.15から0.65の範囲と
する。尚、脱炭焼鈍後の残留炭素量は、通常の場合と同
様に50ppm 以下とする必要がある。AlNのみをイン
ヒビターとして用いる場合には、脱炭焼鈍後にアンモニ
ア含有雰囲気中で焼鈍することにより鋼板を窒化し、こ
の段階でインヒビター形成を行ってもよい。
鈍分離材を塗布乾燥するが、この際MgO中にTiO2
を1〜40%程度添加しても良く、好ましくは塗布量を
片面あたり5g/m2 以上とする。
を目的として1100℃以上の最終仕上焼鈍を行う。多
くの場合、最終仕上焼鈍後、一次被膜の上にさらに絶縁
皮膜を施す。特に燐酸塩とコロイダルシリカを主体とす
るコーティング液を焼き付けることによって得られる絶
縁被膜は、鋼板に対する付与張力が大きく、更なる鉄損
改善に有効である。さらに、上記一方向性電磁鋼板に、
レーザー照射、プラズマ照射、歯型ロールやエッチング
による溝加工等のいわゆる磁区細分化処理を施しても構
わない。
2.3mm厚にまで熱間圧延させて熱延板に1100℃で
1分間焼鈍を施した。この後、冷間圧延により最終板厚
0.22mmにまで圧延した。さらに、得られたストリッ
プを脱炭焼鈍する際、昇温及び均熱段階で雰囲気は表2
に示す条件でそれぞれ実施した。この時の加熱速度は表
2に示す条件で850℃まで昇温した後、引き続き85
0℃で均熱処理を行った。この後、840℃の均一温
度、湿潤水素中で脱炭焼鈍し、MgOを主成分とした焼
鈍分離剤を塗布した後、1200℃に20時間、水素ガ
ス雰囲気中で高温焼鈍を行った。得られた鋼板の余剰M
gOを除去し、形成されたフォルステライト被膜上にコ
ロイダルシリカと燐酸塩を主体とする絶縁被膜を形成
し、製品とした。
を用いた。測定は、加速電圧8kVで照射電流110nAの
16O2 + 一次イオンビームを125μm四方の領域に照
射し、質量分解能が約2000となる条件で行った。得
られた諸特性を表2に示した。本発明条件を満足するコ
イルE〜Jは、被膜特性と磁気特性に優れた方向性電磁
鋼板となっている。
であった、F,H,Gに5mmピッチでレーザーを照射し
た。その結果を表3に示す。表3で明らかなように、本
発明材は磁束密度が極めて高いために、磁区細分化によ
り、従来法では得られないような鉄損特性を得ることが
できた。
れ、かつ磁気特性の極めて良好な方向性電磁鋼板を製造
するための方法を提供することができる。
MS)におけるFeとBiのプロファイルの概念図。
生しない比率とW17/50 とW19/50 との関係を示す図。
17/50 との関係を示す図。
Claims (9)
- 【請求項1】 重量で、Si:2〜7%を必須成分とし
て含有する一方向性電磁鋼板であって、地鉄と一次被膜
界面にBiが存在することを特徴とする高磁場鉄損と被
膜特性に優れる超高磁束密度一方向性電磁鋼板。 - 【請求項2】 重量で、Si:2〜7%を必須成分とし
て含有する一方向性電磁鋼板であって、地鉄と一次被膜
界面にBiが重量で0.01ppm 以上1000ppm 未満
存在することを特徴とする高磁場鉄損と被膜特性に優れ
る超高磁束密度一方向性電磁鋼板。 - 【請求項3】 重量で、Si:2〜7%を必須成分とし
て含有する一方向性電磁鋼板であって、地鉄と一次被膜
界面にBiが重量で0.1ppm 以上100ppm 未満存在
することを特徴とする高磁場鉄損と被膜特性に優れる超
高磁束密度一方向性電磁鋼板。 - 【請求項4】磁束密度B8 が1.94T以上の極めて高
い値を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか
1項に記載の高磁場鉄損と被膜特性に優れる超高磁束密
度一方向性電磁鋼板。 - 【請求項5】 W17/50 (B8 1.7T、50Hzの励磁
条件下でのエネルギー損失)に対するW19/50 (B8
1.9T、50Hzの励磁条件下でのエネルギー損失)比
率 W19/50 /W17/50 <1.8であることを特徴とす
る請求項1乃至4の何れか1項に記載の高磁場鉄損と被
膜特性に優れる超高磁束密度一方向性電磁鋼板。 - 【請求項6】 磁区制御後にW19/50 /W17/50 <1.
6となる極めて高磁場での劣化率の少ないことを特徴と
する請求項1乃至5の何れか1項に記載の高磁場鉄損と
被膜特性に優れる超高磁束密度一方向性電磁鋼板。 - 【請求項7】 磁区制御後にW19/50 ≦1.2W/kgと
なる極めて高磁場での鉄損に優れる請求項1乃至6の何
れか1項に記載の高磁場鉄損と被膜特性に優れる超高磁
束密度一方向性電磁鋼板。 - 【請求項8】 重量%で、 C :0.10%以下、 Si:2〜7%、 Mn:0.02〜0.30%、 SおよびSeのうちから選んだ1種または2種の合計:
0.001〜0.040%、 酸可溶性Al:0.010〜0.065%、 N :0.0030〜0.0150%、 Bi:0.0005〜0.05% を基本成分とし、残余はFeおよび不可避的不純物より
なる一方向性電磁鋼熱延板に、必要に応じて焼鈍を施
し、1回あるいは2回以上または中間焼鈍を挟む2回以
上の冷間圧延を行い、脱炭焼鈍後、焼鈍分離剤を塗布、
乾燥し仕上げ焼鈍を行う一方向性電磁鋼板の製造方法に
おいて、最終板厚まで冷延された鋼板を脱炭焼鈍する前
に、700℃以上の温度域へ100℃/s以上の加熱速
度により加熱したのち700℃以上の滞在時間を1〜2
0秒間とし、かつこの温度域の雰囲気構成成分を、H2
Oと不活性ガス、H2 OとH2 、もしくはH2 Oと不活
性ガスとH2 の何れかとし、かつH2 O分圧が10-4〜
6×10-1とする加熱処理を実施することを特徴とする
請求項1乃至7の何れか1項に記載の高磁場鉄損と被膜
特性に優れる超高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方
法。 - 【請求項9】 上記加熱処理が脱炭焼鈍の昇温段階とし
て行われることを特徴とする請求項8記載の高磁場鉄損
と被膜特性に優れる超高磁束密度一方向性電磁鋼板の製
造方法。
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