JP2003025498A - 樹脂積層金属板 - Google Patents

樹脂積層金属板

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JP2003025498A
JP2003025498A JP2001213775A JP2001213775A JP2003025498A JP 2003025498 A JP2003025498 A JP 2003025498A JP 2001213775 A JP2001213775 A JP 2001213775A JP 2001213775 A JP2001213775 A JP 2001213775A JP 2003025498 A JP2003025498 A JP 2003025498A
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polyester resin
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JP2001213775A
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English (en)
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Tomofumi Shigekuni
智文 重国
Kazuya Takemura
一也 竹村
Naomasa Nakakoji
尚匡 中小路
Chiaki Kato
千昭 加藤
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JFE Steel Corp
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂フイルムのバリヤー性と金属板に対する
樹脂フィルムの密着性の双方を向上させることによっ
て、優れた内容物耐食性を有する缶用樹脂積層金属板を
提供することにある。 【解決手段】 金属板の少なくとも片面の表面に、熱硬
化性樹脂層を有し、前記熱硬化性樹脂層の上に、テレフ
タル酸およびイソフタル酸からなるジカルボン酸成分
と、ジオール成分とを共重合させた共重合ポリエステル
樹脂層を有し、前記共重合ポリエステル樹脂層の上に、
99mol%以上100mol%未満のテレフタル酸を含むジカルボ
ン酸成分と、98mol%以上のエチレングリコールを含むジ
オール成分を重合させた配向性ポリエステル樹脂層を有
することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、18L缶やペ−ル
缶などの缶用素材として使用される樹脂積層(ラミネー
ト)金属板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】内容物として強腐食性の薬品や塗料、食
品を充填する金属容器として、従来アトロン缶と称され
るポリエチレン製の袋を容器内側にはめ込んだ缶が使用
されていた。しかし、最近の環境意識の高まりから、容
器を廃棄するとき、内装ポリエチレン袋と金属缶とを分
別して回収しなくてはならず、ユ−ザー側で煩雑な作業
となり、作業コスト高の一因になっていた。
【0003】また、他種の金属容器として、エポキシ系
樹脂をダブルコ−トした内面塗装仕様の18L缶やペ−
ル缶が使用されているが、2重の塗装を行っているた
め、塗料溶剤の排出量が多いこと、および高コストであ
ることなどの問題があった。
【0004】これらの従来技術に対し、特開平7−23
2731号公報には、電気抵抗シ−ム溶接部以外の部分
を2軸延伸ポリエステルフィルムでラミネ−トした大型
角缶が提案されている。この場合、前記フィルムは、接
着剤を介して圧着するか、またはフイルム自体を熱融着
することによって、ラミネートすることができる。しか
し、2軸延伸ポリエステルフィルムと接着剤との間の密
着性が劣るため、上記技術で製造した大型角缶に、キシ
レンやトルエン等の溶剤を含む塗料を充填すると、短時
間で層間剥離や発錆が起き、内容物による耐食性が不足
していること、また、ペ−ル缶の様に、缶胴をエキスパ
ンドしている場合には、フィルム剥離が生じやすいこと
がわかった。
【0005】フィルムと金属板とを密着させる技術で
は、特開昭61-149340号公報に記載されているように、
ポリエチレンテレフタレート(PET)を無定形、無配向
化することで、金属板との接着性を向上させることがで
きる。しかし、この場合、残存する結晶化した部分がPE
T層に少なくなるため、バリヤ性が大きく低下する。
【0006】そのため、PETの融点以上に金属板を加熱
しフィルムと貼り合わせた後、直ちに水冷して、金属板
面に接するPETのみを非晶質化し、フィルム上層に結晶
化部分を残存させる方法が一般的に用いられている。し
かし、上記方法は、ラミネ−ト条件の許容幅が非常に小
さく、生産歩留まりが低く、また、腐食性の高い内容物
を充填した場合には、上層の結晶層のみでは十分なバリ
ヤ性が得られないため、依然として発錆しやすいという
問題があった。
【0007】上記技術のPET層は、単一材料を用いてラ
ミネートするものであるが、特開平8−238720号
公報には、2層構成のポリエステル樹脂フィルムを熱融
着もしくは接着剤を介してラミネートした鋼板が提案さ
れているが、このラミネート鋼板は、特に接着剤を用い
たポリエステル樹脂フイルムを接着した場合には、下層
のポリエステル樹脂の金属板への密着性は優れているも
のの、上層のポリエステル樹脂のバリヤー性が低いた
め、有機溶剤を含有する内容物を充填した場合には、短
時間で発錆が起こりやすくなる。また、製缶時の研削屑
や、溶接スパッタによるピンホールが多数発生し、内容
物に対する耐食性が十分に得られないという問題があっ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、樹脂フイル
ムのバリヤー性と金属板に対する樹脂フィルムの密着性
の双方に優れた18L缶、ペ−ル缶などの缶用素材とし
て用いられる樹脂積層金属板、より具体的には、キシレ
ンやトルエンなどの溶剤を含有する塗料やアルカリ性の
洗剤、醤油、調味料などの強い腐食性の内容物に対する
耐食性(以下「内容物耐食性」という。)に優れた缶用
樹脂積層金属板を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するため鋭意研究を行った結果、以下の発明を完成させ
るに至った。すなわち本発明の要旨は以下に示す通りで
ある。 (1)金属板の少なくとも片面の表面に、熱硬化性樹脂
層を有し、前記熱硬化性樹脂層の上に、テレフタル酸お
よびイソフタル酸からなるジカルボン酸成分と、ジオー
ル成分とを共重合させた共重合ポリエステル樹脂層を有
し、前記共重合ポリエステル樹脂層の上に、99mol%以上
100mol%未満のテレフタル酸を含むジカルボン酸成分
と、98mol%以上のエチレングリコールを含むジオール成
分を重合させた配向性ポリエステル樹脂層を有すること
を特徴とする樹脂積層金属板。 (2)共重合ポリエステル樹脂層の結晶化度は5〜49%
であり、配向性ポリエステル樹脂層の結晶化度は50%以
上である上記(1)記載の樹脂積層金属板。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施形態の一例を
詳細に説明する。缶に充填された強い腐食性を有する内
容物による発錆を抑制させるには、一般的に (a)樹脂フィルムのバリヤー性(透過性と硬さ)を向
上させること、および、(b)金属板と樹脂フィルムと
の密着性が優れていることの双方を満足させることが重
要である。
【0011】すなわち、樹脂フイルムのバリヤー性が劣
ると、腐食因子の透過性が高くなり、有機溶剤を含有す
る内容物を充填した場合には、短時間で発錆が起こりや
すくなり、加えて、硬さが不十分となり、製缶時の研削
屑や、溶接スパッタによるピンホールが多数発生し、内
容物に対する耐食性が十分に得られないからである。こ
こで耐ピンホール性とは製缶時の研削屑や、溶接スパッ
タによるピンホール(フィルムの疵など)の発生のしに
くさをいう。また、樹脂フイルムのバリヤー性が優れて
いても、金属板と樹脂フィルムとの密着性が劣ると、発
錆が起こりやすくなるからである。
【0012】そのため、上記(a)を満足させるには、
結晶化度の高いポリエステル層や、エポキシ−フェノ−
ル樹脂やポリエステル−イソシアネ−トなどの熱硬化性
樹脂層を皮膜中に設ける方法が考えられる。また、上記
(b)を満足させるには、結晶化度の低い無定形なポリ
エステル層で金属板と密着させる方法や、樹脂フィルム
と金属板とを熱硬化性樹脂で接着させる方法が考えられ
る。
【0013】そこで、発明者らが最適な皮膜構成を検討
したところ、上記(a)を満足させるため、結晶化度の
高いポリエステル樹脂層と熱硬化性樹脂層の2層を有す
る構造とすること、また、上記(b)を満足させるた
め、結晶化度の低いポリエステル樹脂層を熱硬化性樹脂
層を介して鋼板上に施すことがよいことが判明した。
【0014】さらに、ポリエステル樹脂層と熱硬化性樹
脂との密着性は、ポリエステルの結晶化度に大きく影響
し、結晶化度が一定値以上大きくなると、加工時の層間
剥離が生じやすいが、適正な結晶化度であれば、十分強
固な層間接着が得られ、結果的に、内容物耐食性や加工
後密着性が向上することも判明した。
【0015】そして、これらの知見から、バリヤー性に
優れた結晶化度の高い配向性ポリエステル樹脂層を上層
とし、金属板との密着性に優れた結晶化度の低い共重合
ポリエステル樹脂層を下層とする2層構成のポリエステ
ル樹脂複合層を、接着剤としての熱硬化性樹脂層を介し
て金属板上に施せば、上記(a)および(b)の双方を
満足でき、結果的に、内容物耐食性や鋼板との密着性が
向上することを見出した。
【0016】すなわち、本発明の樹脂積層金属板は、金
属板の少なくとも片面の表面に、熱硬化性樹脂層を有
し、前記熱硬化性樹脂層の上に、テレフタル酸およびイ
ソフタル酸からなるジカルボン酸成分と、ジオール成分
を共重合させた共重合ポリエステル樹脂層を有し、前記
共重合ポリエステル樹脂層の上に、99mol%以上100mol%
未満のテレフタル酸を含むジカルボン酸成分と、98mol%
以上のエチレングリコールを含むジオール成分を重合さ
せた配向性ポリエステル樹脂層を有することにある。
【0017】尚、本発明の樹脂積層金属板に用いられる
共重合ポリエステル樹脂層と配向性ポリエステル樹脂層
は、いずれも飽和ポリエステル樹脂で、ジオール成分と
ジカルボン酸成分との縮重合で得られる熱可塑性ポリエ
ステル樹脂で、ポリエチレンテレフタレート/イソフタ
レート共重合体およびポリエチレンテレフタレートで代
表されるものである。
【0018】(i)金属板 本発明の樹脂積層金属板の素地として用いられる金属板
としては、例えば鋼、アルミニウム、銅などを、シ−ト
状、及びコイル状にしたもの、箔状のもの、およびそれ
らに表面処理を施したものなどが挙げられる。金属板の
厚さは特に限定はしないが、缶強度と軽量化の双方をバ
ランスよく満足させるには、0.1 〜0.5mmの範囲にする
ことが好ましい。
【0019】また、金属板は、耐食性、製缶加工性、缶
強度、耐食性の面から、下層が金属クロム、上層がクロ
ム水和酸化物の2層構造を有する電解クロム酸処理金属
板(TFS) 、または島状錫層上に金属クロム層およびクロ
ム水和酸化物層の表面処理を施した金属板、並びに、錫
めっき鋼板、極薄錫めっき鋼板、ニッケルめっき鋼板、
亜鉛めっき鋼板、またはこれらのめっき鋼板にクロム水
和酸化物又は下層が金属クロム、上層がクロム水和酸化
物層からなる2層構造を持つ表面処理を施したもの、あ
るいはリン酸塩処理、クロム酸処理、クロム−クロメー
ト処理を施した冷延鋼板およびアルミニウム板などを使
用することができる。
【0020】(ii)共重合ポリエステル樹脂層 共重合ポリエステル樹脂層は、テレフタル酸およびイソ
フタル酸からなるジカルボン酸成分と、ジオール成分と
を1:1のモル比で共重合させた材料からなっている。
【0021】ジカルボン酸成分は、テレフタル酸とイソ
フタル酸の2種からなることが必要である。テレフタル
酸とイソフタル酸以外のジカルボン酸成分と、1種以上
のジオール成分と重合させたポリエステルは、金属板と
接している熱硬化性樹脂との密着性を劣化させ、加工
時、ポリエステル樹脂層と熱硬化性樹脂層の界面で層間
剥離現象を引き起こしやすくなるからである。ジカルボ
ン酸成分の内、イソフタル酸を5〜30mol%とすることが
好ましく、さらに好ましくは7〜25mol%である。これよ
りもイソフタル酸量が少ないと密着性が低下し、多いと
接着層自体の強度が低下する傾向があるからである。
【0022】また、ジオール成分としては、エチレング
リコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコ−ル
1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキ
サンジオール、プロピレングリコール、ポリテトラメチ
レングリコール、ポリエチレングリコール、ネオペンチ
ルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリ
メチロールプロパン、ペンタエリスリトールの中から選
択した1種あるいは2種以上を用いることが好ましい。
【0023】特に熱硬化性樹脂との接着性向上の点で、
テレフタル酸とイソフタル酸からなるジカルボン酸成分
と、エチレングリコ−ルとブチレングリコ−ルの1種も
しくは2種からなるジオール成分とを共重合させること
がより好適である。
【0024】尚、共重合ポリエステル樹脂層は、結晶化
度を5〜49%の範囲にすることが好ましい。結晶化度が
5%未満では、バリヤー性が低下して十分な内容物耐食
性が得られなくなるおそれがあり、また、49%を超える
と、非晶質部分が減少するため、鋼板と接している熱硬
化性樹脂との密着性が劣化して、加工時、ポリエステル
樹脂層と熱硬化性樹脂層の界面で層間剥離現象を引き起
こしやすくなるからである。
【0025】結晶化度を5〜49%の範囲に調整する方法
としては、例えば樹脂フィルムの延伸比率を制御する方
法やラミネート(熱圧着)後の冷却速度を(速くなるよ
うに)制御する方法が挙げられる。
【0026】共重合ポリエステル樹脂層の膜厚は、0.1
〜10.0μmの範囲であることが、熱硬化性樹脂層との密
着性および内容物耐食性の点で好ましく、さらに好まし
くは0.5〜0.8μmである。0.1μm未満では密着性が低下
し、10.0μm超では、加工時、上層の配向性ポリエステ
ル樹脂層との間で膜ずれを起こすおそれがあるからであ
る。
【0027】(iii)配向性ポリエステル樹脂層 配向性ポリエステル樹脂層は、99mol%以上100mol%未満
のテレフタル酸を含むジカルボン酸成分と、98mol%以上
のエチレングリコールを含むジオール成分とを1:1の
モル比でを重合させた材料からなっている。
【0028】ジカルボン酸成分は、99mol%以上100mol%
未満のテレフタル酸を含むことが必要である。テレフタ
ル酸が99mol%以上であると、結晶化度を高くなり、フイ
ルムとしてのバリヤー性や耐ピンホール性が格段に向上
するからであり、一方、テレフタル酸が100mol%だと、1
8L缶の張り出し部やペール缶のビード加工部で微小な
2層フィルム間の界面剥離が生じやすくなるためであ
る。
【0029】尚、ジカルボン酸成分としては、99mol%以
上のテレフタル酸に、フタル酸、イソフタル酸、コハク
酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン
ジオン酸、ジフェニルカルボン酸、2,6−ナフタレンジ
カルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、無水
トリメリット酸などから選んだ1種あるいは2種以上を
1mol%未満で微量添加することが皮膜の硬質化を抑制し
て良好な加工性を得る上で好ましい。
【0030】ジオール成分としては、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、ブチレングリコ−ル1,4-ブ
タンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジ
オール、プロピレングリコール、ポリテトラメチレング
リコール、ポリエチレングリコール、ネオペンチルグリ
コール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリメチロ
ールプロパン、ペンタエリスリトールなどから選んだ1
種あるいは2種以上を用いることが好ましい。
【0031】特にジカルボン酸成分としてテレフタル酸
と微量のイソフタル酸、ジオール成分としてエチレング
リコ−ルとブチレングリコ−ルの1種もしくは2種とを
用いて重合させたポリエステルが、耐食性とコストの点
から好ましい。
【0032】尚、配向性ポリエステル樹脂層は、結晶化
度を50%以上とすることが好ましい。結晶化度が50%未
満では、内容物によるバリヤー性が不足して耐食性を劣
化させる傾向があるからである。結晶化度を50%以上に
調整する方法としては、例えば樹脂フィルムの延伸比率
を制御する方法や、ラミネート(熱圧着)後の冷却速度
を(遅くなるように)制御する方法が挙げられる。ここ
で「延伸比率」とは、未延伸フィルム長に対する延伸後
のフィルム長の比を意味する。
【0033】ここで、結晶化度の測定は、X線回折装置
または顕微ラマン分光測定器を用いて行うことができ
る。例えば、X線回折装置を用いて結晶化度を測定する
方法は、2θ=26〜30°で確認される(100)面の強度
面積を、結晶化度100%の強度面積で除して100倍したと
きの値により結晶化度を求めることができる。この場
合、結晶化度が100%であるポリエステルフィルムは、
予めDSC(昇温スピード:10℃/min)により、結晶
化の発熱ピークが認められないことを確認することが必
要である。また、顕微ラマン分光測定器を用いて結晶化
度を測定する方法は、カルボニル伸縮振動によるバンド
(1730cm-1)の半値幅と密度が逆相関関係にあることか
ら、(結晶化度100%の半値幅)/(金属板にポリエス
テルフイルムを積層した後の半値幅)×100によって結
晶残存量を求めることができる。尚、金属板に積層した
後のポリエステルフイルムの結晶化度は、顕微ラマン分
光法で得られる1730cm-1のピークの半値幅で10〜23 cm
-1の範囲で計算した。
【0034】2層構造のポリエステル樹脂複合層を上層
と下層に分離する方法としては、例えばミクロトームを
用い、上層側および下層側を精密研削することが好まし
い。
【0035】配向性ポリエステル樹脂層の膜厚は、10〜
70μmとすることが好ましい。10μm未満だと、フィル
ムとしてのバリヤ性が不足して内容物耐食性が劣化する
傾向があるからであり、また、70μm超では、フィルム
の内部応力が大きくなり、張り出し加工時にフィルム剥
離を生じる場合があるからである。
【0036】さらに、配向性ポリエステル樹脂層の膜厚
は、共重合ポリエステル樹脂層の膜厚に対して1〜100
倍の範囲に設定することが好ましい。1倍未満では、内
容物耐食性の劣化や膜ずれなどを起こしやすくなるから
であり、また、100倍を超えると、配向性ポリエステル
樹脂層が厚くなりすぎ、内部応力の増大から加工密着性
が劣化する恐れがあるからである。
【0037】(iv)熱硬化性樹脂層 熱硬化性樹脂層は、エポキシ‐フェノ−ル系樹脂もしく
はポリエステル‐イソシアネ−ト系樹脂を用いること
が、密着性や耐食性の点で好ましい。エポキシ‐フェノ
−ル系樹脂を用いる場合、用いるエポキシ樹脂の数平均
分子量は、好ましくは、2000〜14000、さらに好ましく
は、3000〜12000である。エポキシ樹脂の数平均分子量
がこの範囲より少ないと、熱硬化性樹脂層の強度が低下
し、ひいては密着性が低下する。一方数平均分子量がこ
の範囲より大きいと、硬化時間が長くなり生産性が低下
する。また、熱硬化性樹脂層の膜厚は、0.3〜6.0μmと
することが、金属板及びポリエステルフィルムとの良好
な密着性を得る上で好ましい。
【0038】以上のことから、本発明の樹脂積層金属板
は、金属板の少なくとも片面の表面に、熱硬化性樹脂層
を有し、前記熱硬化性樹脂層の上に、テレフタル酸およ
びイソフタル酸からなるジカルボン酸成分と、ジオール
成分を共重合させた共重合ポリエステル樹脂層を有し、
前記共重合ポリエステル樹脂層の上に、99mol%以上100m
ol%未満のテレフタル酸を含むジカルボン酸成分と、98m
ol%以上のエチレングリコールを含むジオール成分を重
合させた配向性ポリエステル樹脂層を有することとし、
この構成によって、優れた内容物耐食性と良好な加工性
の双方を満足させることができるのである。
【0039】次に本発明の樹脂積層金属板を製造する方
法の一例について以下で説明する。本発明の樹脂積層金
属板を構成する共重合ポリエステル樹脂層と配向性ポリ
エステル樹脂層の2層構造を有するポリエステル樹脂複
合層は、共押出し法によって製膜し2軸延伸を行ったポ
リエステルフィルムを用いて形成する。
【0040】加えて、共重合ポリエステル樹脂層と配向
性ポリエステル樹脂層の2層構造を有するポリエステル
フィルムは、140℃〜220℃の範囲の雰囲気温度におけ
る、フイルムの幅方向(TD)の熱収縮率が3.0%以
下、フイルムの長手方向(MD)の熱収縮率が4.0%以
下であることが好ましい。上記数値を超える収縮率の場
合、溶接のための未張り合わせ部の寸法精度などに影響
を与え、同品質の製缶ができなくなる場合があるからで
ある。ここで、フィルムの熱収縮率はASTM D1204に記
載されているように、基準長さのフィルムを固定し、設
定温度の雰囲気中に5分間放置後の収縮率を意味する。
【0041】熱硬化性樹脂層は、ポリエステルフィルム
と金属板のいずれかの表面に、例えばコーターにてコー
ティングし、その後、乾燥させることによって造膜して
形成すればよいが、ポリエステルフィルムの表面に造膜
することが膜厚均一性の点で好ましい。上記コ−ティン
グ条件は特に限定しないが、熱硬化性樹脂の溶剤が蒸発
する程度の乾燥が好ましく、具体的には140〜170℃で5
〜60秒間行うことが望ましい。
【0042】そして、本発明の樹脂積層金属板は、金属
板を160〜215℃に加熱・保持した状態で、上記ポリエス
テルフィルムを圧着した後、水冷することによって製造
することができる。ここで、上記ポリエステルフィルム
を圧着する際の金属板温度を160〜215℃としたのは、16
0℃未満でポリエステルフィルムを圧着すると、下層の
共重合ポリエステル樹脂層の溶融が生じないため、熱硬
化性樹脂層との密着性が劣化する恐れがあるからであ
り、また、215℃を超える温度で処理すると、金属板を
この温度に加熱・保持するための設備費が大となり、さ
らにエネルギー原単位が増大する傾向があるからであ
る。
【0043】次に、上記樹脂積層金属板による金属容器
の製造方法の一例について説明する。上記樹脂積層金属
板は、ポリエステル樹脂複合フイルムを、片面のみに積
層(ラミネ−ト)する場合と両面に積層する場合があ
る。ポリエステル樹脂複合フイルムを片面のみに積層す
る場合には、缶体の内面側をポリエステル樹脂複合層と
し、外面側は塗装あるいは印刷焼き付けを施した後に製
缶加工を行うことによって、金属容器を製造することが
できる。このとき、外面塗装の焼き付け温度は、140〜1
90℃で行うのが好ましい。また、ポリエステル樹脂複合
フイルムを両面に積層する場合には、片面づつ、もしく
は同時にラミネ−トし、缶外面側は商標や意匠等の文
字、記号、図形等の印刷を行なった後、製缶加工を行う
ことによって、金属容器を製造することができる。
【0044】本発明の樹脂積層金属板は、例えば18L缶
やペ−ル缶に代表される大型の金属容器、特に天蓋、地
蓋及び胴体が別部材からなり、深絞り加工を行わないで
胴体を溶接することによって製造するのに適している。
【0045】18L缶やペール缶はいずれも、缶胴を溶接
する必要があることから、樹脂積層金属板の溶接する両
端に、20mm程度の金属部分が露出したポリエステルフ
イルムの未貼り合わせ部を設け、これらの両端を重ね合
わせて溶接を行い、その後、この溶接部に、ポリエステ
ル系もしくはエポキシ系粉体塗料で補修を行う。また、
ペ−ル缶では、取っ手の取り付けのためにイヤ−をスポ
ット溶接にて接合するため、この接合に伴う溶接熱によ
って、缶内面のフィルム面が劣化しピンホ−ルが発生す
る傾向があるので、上記と同様な粉体塗料もしくは、ポ
リエステルの補修フィルムによって補修を行うことが望
ましい。
【0046】上述したところは、この発明の実施形態の
一例を示したにすぎず、請求の範囲において種々の変更
を加えることができる。
【0047】
【実施例】以下実施例にて、本発明を詳細に説明する。
本発明の樹脂積層鋼板を構成する2層ポリエステル樹脂
複合層は共押出しにてフィルム化を行う。次に、フィル
ムの下面に熱硬化性樹脂を塗布、乾燥により熱硬化性樹
脂層を造膜した。乾燥は150℃で20秒間行い、含有溶剤
を蒸発させた。表1に鋼板の種類および表面処理皮膜の
付着量を、また、表2に各ポリエステル樹脂層を構成す
るポリエステルフィルムのモノマ−組成を、そして、表
3に、製造した各樹脂積層鋼板を構成する、鋼板の種
類、ポリエステル樹脂複合層の種類と結晶化度、および
熱硬化性樹脂層の種類と膜厚をそれぞれ示す。尚、ポリ
エステル樹脂複合層の積層は、金属板の片面のみに行
い、積層面を缶体の内側とした。製缶によって18L缶に
加工し、樹脂積層していない面は塗装焼き付け(160℃
で3分間)を行った。溶接部はポリエステル系粉体塗料
にて補修を行った。
【0048】(試験方法) (1)内容物耐食性評価試験 製缶した缶に、非イオン性界面活性剤含有アルカリ性床
用洗浄剤を充填し、50℃の恒温室に90日間放置し、発錆
の有無を観察した。表3にその評価結果を示す。
【0049】(2)密着性評価試験 図1に示すように、予めカッターで「井」形状に切りこ
みを入れた50mm角の平板状樹脂積層鋼板の(図1の円で
囲んだ)部分をエリクセン押出機を用いて5mmだけ凸
状に押出した後、この凸状部分に位置する「井」形状の
切り込み位置からピンセットにより積層したフイルムを
摘み上げ、このときのフイルムの剥離状態から、密着性
を5段階で評価した。表3にその評価結果を示す。尚、
表3中の1〜5の数値は、フイルムが切断されることな
く最後まで全て剥離するか、あるいはフイルムが平面部
で切断した場合を「×」、フイルムが凸状部分内で切断
した場合を「△」、そして、フイルムが全く剥離しない
場合を「○」とした。
【0050】(3)耐ピンホール性評価試験 上記各樹脂積層鋼板を用いて18L缶を10缶製造し、各18
L缶の胴部に発生したピンホールの数を湿式ピンホール
計により測定し、この測定値により耐ピンホール性を3
段階で評価した。表3にその評価結果を示す。尚、表3
中の「○」は、10缶当たりのピンホール発生数が10以下
と少ない場合、「△」は、10缶当たりのピンホール発生
数が11〜99の範囲である場合、そして、「×」は、10缶
当たりのピンホール発生数が100以上の場合である。
【0051】(4)加工性評価試験 2層フイルム間に界面剥離が生じると、フイルムが変色
する。このため、前記各樹脂積層鋼板をエリクセン機に
て5mmの押出し加工を行い、凸部に変色がないかを目
視および光学顕微鏡によってフイルムの変色を観察し、
この変色の有無によって加工性を評価した。表3にその
評価結果を示す。尚、表3中の「○」はフイルムの変色
がなく加工性が良好である場合、「×」はフイルムが変
色して加工性が劣る場合である。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】表3に示す評価結果から、実施例1〜14はい
ずれも、鋼板に対するポリエステル樹脂複合層の密着性
と、耐ピンホール性の双方が優れている結果として、内
容物耐食性が優れており、加えて、加工性も良好である
ことがわかる。一方、比較例1〜8はいずれも、鋼板に
対するポリエステル樹脂複合層の密着性と、耐ピンホー
ル性の少なくとも一方が劣っているため、内容物耐食性
が劣り、加えて、比較例1、2、5および6は加工性も
劣っているのがわかる。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、樹脂フイルムのバリヤ
ー性と金属板に対する樹脂フィルムの密着性の双方に優
れた18L缶、ペ−ル缶などの缶用素材として用いられ
る樹脂積層金属板、より具体的には、キシレンやトルエ
ンなどの溶剤を含有する塗料やアルカリ性の洗剤、醤
油、調味料などの強い腐食性の内容物に対しても耐食性
に優れた缶用樹脂積層金属板の提供が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 密着性評価試験方法を説明するための図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中小路 尚匡 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 加藤 千昭 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4F100 AB01A AB03A AB10A AK01B AK01C AK41D AK41E AL01D BA04 BA05 BA06 BA07 BA10A BA10B BA10E BA16 GB16 JA11D JA11E JB02 JB13B JB13C JD02 YY00D YY00E

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属板の少なくとも片面の表面に、熱硬
    化性樹脂層を有し、前記熱硬化性樹脂層の上に、テレフ
    タル酸およびイソフタル酸からなるジカルボン酸成分
    と、ジオール成分とを共重合させた共重合ポリエステル
    樹脂層を有し、前記共重合ポリエステル樹脂層の上に、
    99mol%以上100mol%未満のテレフタル酸を含むジカルボ
    ン酸成分と、98mol%以上のエチレングリコールを含むジ
    オール成分を重合させた配向性ポリエステル樹脂層を有
    することを特徴とする樹脂積層金属板。
  2. 【請求項2】 共重合ポリエステル樹脂層の結晶化度は
    5〜49%であり、配向性ポリエステル樹脂層の結晶化度
    は50%以上である請求項1記載の樹脂積層金属板。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2017098818A1 (ja) * 2015-12-09 2017-06-15 Jfeスチール株式会社 両面樹脂被覆容器用ラミネート鋼板
US20220274379A1 (en) * 2019-07-31 2022-09-01 Jfe Steel Corporation Resin coated metal sheet for container

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