JP3954451B2 - 溶接缶の溶接部の補正テープおよびそれを用いて溶接部を補正してなる缶 - Google Patents

溶接缶の溶接部の補正テープおよびそれを用いて溶接部を補正してなる缶 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は溶接缶の溶接部の補正テープ、およびその補正テープで溶接部を補正してなる溶接缶に関する。詳しくは、鋼板を溶接してなる溶接缶の溶接部に被覆して用いられる溶接缶の溶接部の補正テープ、およびその補正テープを用いて溶接部を補正してなる溶接缶に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属缶の分野において、天、地、胴の3部から構成されるいわゆる3ピース缶は、錫めっき鋼板(ぶりき)や錫なし鋼板(ティンフリースチール(TFS))などの表面処理鋼板の切り板を胴部の形状に丸め、または折り曲げて缶胴形状に成形加工した後、両端部を重ね合わせたラップシーム部を溶接して接合して缶胴とし、その缶胴の両開口端部に天、地を巻締めることによって製造されている。このように製造された溶接缶の内面側の溶接部では表面処理鋼板の鋼板下地が露出しており、缶に充填する内容物によっては鋼板を急速に腐食して穿孔する原因となるので、溶接部に塗料を塗布したりテープ状のフィルム(補正テープ)を貼付して補正することが行われている。近年では、各種の内容物に対する耐食性を向上させるために、表面処理鋼板の缶内面となる側に塗料を塗布したり、樹脂フィルムを被覆した被覆鋼板を、溶接缶用の切り板として用いることが多くなっている。
【0003】
このような被覆鋼板を用いた溶接缶においては、切り板の溶接部となる部分のみを未塗装または非被覆状態として上記のようにして缶胴形状に成形加工した後、未塗装または非被覆状態の両端部を重ね合わせたラップシーム部を溶接して接合する。その後に行う溶接部の補正は図1に示すように、溶接部4、鋼板の露出部5および樹脂層(途膜または樹脂フィルム)2のいずれをも補正材料3で被覆するように行う。したがって補正材料3は、鋼板1、および樹脂層2のいずれとも良好な接着力を有している必要がある。近年では補正のしやすさから、補正材料3として補正テープが用いられることが多くなっている。
【0004】
溶接缶としては、飲料缶や食品缶のように少品種で多量に生産されるものや、角形18リットル缶のように比較的多品種で少量生産されるものもある。特に角形18リットル缶としては、用途によって内面に塗料を塗布した塗装缶や樹脂フィルムを被覆したフィルム被覆缶が製造されるが、これらの溶接缶の溶接部の補正に用いられる補正テープは、缶材料が塗装鋼板かまたは樹脂フィルム被覆鋼板かのいずれかによって塗料と樹脂フィルムでは、補正テープに対するそれぞれの接着力が異なるために使用する補正テープをそれぞれに対して優れた接着力を有するものを使い分けなくてはならず、補正条件も異なるため補正作業が煩雑になっており、塗装缶とフィルム被覆缶の両方に共通して使用可能な、すなわち、鋼板、および塗料と樹脂フィルムのいずれとも良好な接着力を有する補正テープが求められている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の溶接缶の溶接部の補正テープは、溶接缶溶接部の、鋼板の露出部および樹脂層を補正するテープであって、ポリエステル樹脂にマレイン酸変性ポリエチレンまたはマレイン酸変性ポリプロピレンからなる変性ポリオレフィン樹脂を10〜90重量%ブレンドした樹脂からなることを特徴とする。
また、溶接缶溶接部の、鋼板の露出部および樹脂層を補正するテープであって、ポリエステル樹脂にマレイン酸変性ポリエチレンまたはマレイン酸変性ポリプロピレンからなる変性ポリオレフィン樹脂を10〜90重量%ブレンドした樹脂と、
ポリオレフィン樹脂又はポリエステル樹脂を積層してなる2層樹脂からなることを特徴とする。
このような補正テープは、ポリエステル樹脂がエチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート共重合体であることが望ましい。
本発明の溶接缶は、前記いずれかに記載の溶接缶の溶接部の補正テープを用いて缶胴の溶接部を補正してなるものであることを特徴とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の溶接缶の溶接部の補正テープは、ポリエステル樹脂に変性ポリオレフィン樹脂をブレンドしてなる樹脂からなる溶接缶の溶接部の補正テープ、またはポリエステル樹脂に変性ポリオレフィン樹脂をブレンドしてなる樹脂と他の熱可塑性樹脂を積層してなる2層樹脂からなる溶接缶の溶接部の補正テープであることを特徴とする。
また、本発明の溶接缶の溶接部の補正テープは、前記ブレンドしてなる樹脂に前記変性ポリオレフィン樹脂を10〜90重量%ブレンドしてなることを特徴とする。
さらに、本発明の溶接缶の溶接部の補正テープは、前記ポリエステル樹脂がエチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート共重合体であることを特徴とする。
さらに、本発明の溶接缶の溶接部の補正テープは、前記変性ポリオレフィン樹脂がマレイン酸変性ポリエチレン、またはマレイン酸変性ポリプロピレンであることが好ましい。
さらに、本発明の溶接缶の溶接部の補正テープは、前記他の熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂、またはポリエステル樹脂であることが好ましい。
本発明の溶接缶は、上記のいずれかに記載の溶接缶の溶接部の補正テープを用いて缶胴の溶接部を補正してなることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明においては、ポリエステル樹脂に変性ポリオレフィン樹脂をブレンドしてなる樹脂からなる単層樹脂、またはポリエステル樹脂に変性ポリオレフィン樹脂をブレンドしてなる樹脂と他の熱可塑性樹脂を積層してなる2層樹脂を溶接缶の溶接部の補正テープとすることにより、塗装缶およびフィルム被覆缶のいずれの溶接部の補正にも共通して適用可能であることが判明した。以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】
まず本発明の単層の補正テープについて説明する。単層の補正テープに用いるポリエステル樹脂としては、汎用に用いられるポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのいわゆるホモポリマーや以下の組成を有する樹脂、およびこれらの樹脂を2種以上ブレンドしてなる樹脂を用いることができる。すなわち、樹脂を構成するソフトセグメントとして、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレンアルコール、あるいはポリε−カプロラクトン、アゼライン酸、イソフタル酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸などのHOOC−R−COOH(式中、Rはアルキレン基)の分子構造を有する脂肪族ジカルボン酸と、脂肪族および/または脂環族ジオールからなる脂肪族ポリエステルなどが好適に用いられる。一方、樹脂を構成するハードセグメントとしては、エチレンテレフタレート、ブチレンテレフタレート、シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、シクロヘキサンジメチレンシクロヘキサンジカルボキシレート、ブチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどの芳香族および/または脂環族エステルユニットから選ばれた少なくとも1つから構成されていることが好ましい。さらに、アルコール成分として、1,4ブタンジオール残基を含有しているものも好ましい。
【0009】
上記のポリエステル樹脂の中でも、5〜25モル%のエチレンイソフタレートと75〜95モル%のエチレンテレフタレートからなるエチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート共重合体をポリエステル樹脂の構成成分の少なくとも1種として用いることにより、塗料や樹脂フィルムとの特に優れた接着力が得られる。エチレンイソフタレート成分が5モル%未満であると接着力が不十分な場合があり、25モル%を超えた場合には、カルボキシル基を有する変性ポリオレフィン樹脂とブレンドして補正フィルムとし、コイル状に巻き取る際に各巻き層が重なって互いにくっつき合うブロッキングを生じやすくなり、作業性に劣るようになる。
【0010】
ポリエステル樹脂にブレンドする変性ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体などのポリオレフィン樹脂の主鎖に、遊離カルボン酸、カルボン酸塩、カルボン酸エステル、カルボン酸無水物などを有する任意のポリオレフィン樹脂、具体的にはエチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、アクリル酸グラフト共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、およびこれらの2種以上をブレンドしてなる樹脂などを用いることができるが、特に無水マレイン酸変性ポリエチレン、または無水マレイン酸変性ポリプロピレンを用いることが好ましい。
【0011】
本発明の単層の補正テープにおいては、上記のポリエステル樹脂と変性ポリオレフィン樹脂をブレンドしてなる樹脂を溶接缶の溶接部の補正テープとする。好適には、ポリエステル樹脂10〜90重量%と変性ポリオレフィン樹脂10〜90重量%をブレンドした樹脂を用いる。ブレンド樹脂中の変性ポリオレフィン樹脂のブレンド割合が10重量%未満である場合は、特に塗装鋼板の塗料層との十分な接着力が得られない。一方、変性ポリオレフィン樹脂のブレンド割合が高い場合、特にブレンド割合が90重量%を超えると、コイル状に巻き取る際に前記したブロッキングを生じやすくなり、作業性が劣る場合がある。さらに好適には、5〜25モル%のエチレンイソフタレートと75〜95モル%のエチレンテレフタレートからなるエチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート共重合体10〜90重量%と、無水マレイン酸変性ポリエチレンまたは無水マレイン酸変性ポリプロピレン10〜90重量%をブレンドした樹脂を用いる。より好ましいブレンド比(重量%)(エチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート共重合体:無水マレイン酸変性ポリエチレンまたは無水マレイン酸変性ポリプロピレン)は、20:80〜30:70である。
【0012】
本発明の単層の補正テープは次に示すようにして作成することができる。すなわち、ポリエステル樹脂のペレットと変性ポリオレフィン樹脂のペレットを、押出機を用いて混合および加熱溶融し、Tダイから押し出してフィルムとする。フィルムは押し出したままの未延伸フィルムでもよいし、押し出した後、1軸方向または2軸方向に延伸して熱固定した延伸配向したフィルムでもよい。フィルムの厚さについては、下限は耐透過性および製膜性の観点から、上限は経済性も観点から15〜120μmであることが好ましい。また、量産性の観点から広幅のフィルムに製膜した後、複数条の所定幅のテープにスリット分割することが好ましい。
【0013】
次に本発明の2層の補正テープについて説明する。本発明のポリエステル樹脂に変性ポリオレフィン樹脂をブレンドしてなる樹脂からなる単層樹脂からなる補正テープは、前記したように変性ポリオレフィン樹脂のブレンド割合が高い場合、コイル状に巻き取る際に前記したブロッキングを生じやすくなり、作業性が劣るようになる。そのため、単層樹脂からなる補正テープの溶接補正部と接触しない側の面に、他の熱可塑性樹脂を積層した2層樹脂を補正テープとすると、ブロッキングを生じることがない。熱可塑性樹脂としては上記の単層樹脂との接着性に優れ、コイル状に巻き取る際にブロッキングを生じることのない樹脂であれば特に限定するものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体などのポリオレフィン樹脂や、前記した単層樹脂に用いるポリエステル樹脂をそのまま用いることができる。
【0014】
本発明の2層の補正テープは次に示すようにして作成することができる。すなわち、共押出機を用い、一方の加熱溶融装置によりポリエステル樹脂のペレットと変性ポリオレフィン樹脂のペレットを混合および加熱溶融し、他方の加熱溶融装置によりポリオレフィン樹脂またはポリエステル樹脂のペレットを混合および加熱溶融し、共押出用Tダイから押し出して積層し2層フィルムとする。フィルムは未延伸フィルムでもよいし、1軸延伸フィルムまたは2軸延伸フィルムでもよい。フィルムの厚さについては、ブレンド樹脂層の厚さが10〜100μm、2層フィルムのトータル厚さで15〜120μmであることが好ましい。また、量産性の観点から広幅のフィルムに製膜した後、複数条の所定幅のテープにスリット分割することが好ましい。
【0015】
本発明の溶接缶は以下のようにして作成する。すなわち、塗装鋼板またはフィルム被覆鋼板を次のようにして角形の18リットル缶や、大型の丸形缶、角形の半切缶などに成形加工して作成される。まず、缶胴部材の成形加工について説明する。溶接部となる対向する端縁部を残して表面処理鋼板に塗装または樹脂フィルムを被覆した上記の塗装鋼板またはフィルム被覆鋼板の切り板を、折り曲げまたは丸めて缶胴状に成形加工し、端縁部を重ねたラップシーム部を電気抵抗溶接して格筒状体または円筒状体とする。次いでシーム溶接部を加熱し、本発明の補正テープを当接し、加圧ロールなどの加圧手段を用いて圧接する。その後、開口した両端部に額出し加工を施して巻締め加工部を設ける。または、溶接部となる端縁部を残して2層の樹脂フィルムを被覆した缶胴部材を角筒状または円筒状に成形した後、開口した両端部に巻締め加工部を設け、次いで端縁部を電気抵抗シーム溶接した後シーム溶接部を加熱し、本発明の補正テープを当接して加圧ロールなどの加圧手段を用いて圧接して補正してもよい。
【0016】
次に、このようにして得られた缶胴部に、上記の塗装鋼板またはフィルム被覆鋼板から角形の18リットル缶などの缶胴部の断面積より巻締め部となる周縁部分だけ面積が大きくなるように平板を切り出し、巻締め部となる周縁部に密封材をライニングする。天板の場合は周縁部より内側に内容物を充填、取り出すための開口孔を穿孔し、開口孔端部を上方に張り出し、この張り出し部に開口孔径を内径とし、蓋の径よりわずかに小さい外径を有する輪状の口金を天板の張り出し部にかしめて開口部を設ける。または天板に開口孔を穿孔し、開口孔端部を上方に張り出し、さらに開口孔の外側へ張り出し、天板から直接一体で成形加工して開口部を設ける。最後に、以上のようにして両開口端部に巻締め加工部を設けた缶胴部と、巻締め部となる周縁部に密封材をライニングした天板および地板を、公知の方法を用いて二重巻締めして本発明の溶接缶とする。
【0017】
【実施例】
以下、実施例にて本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
表1に組成を示す各種のポリエステル樹脂のペレットと、無水マレイン酸変性ポリエチレンペレットまたは無水マレイン酸変性ポリプロピレンペレットを、表1に示す重量比でドライブレンドし、次いで押出機を用いて加熱溶融し、幅:1000mmのTダイから吐出し、それぞれ表1に示す厚さの単層の無延伸フィルムに製膜した。また、共押出機を用い、一方の加熱溶融装置により、表1に組成を示す各種のポリエステル樹脂のペレットと無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂のペレットを混合および加熱溶融し、他方の加熱溶融装置によりポリエチレンまたは表1に組成を示すポリエステル樹脂のペレットを混合および加熱溶融し、幅:1000mmの共押出用Tダイから吐出して積層し、それぞれ表1に示す厚さの単層の無延伸フィルムに製膜した。なお、表1において、PEはポリエチレン、ET/EIはエチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート共重合体、BT/BIはブチレンテレフタレート/ブチレンイソフタレート共重合体、PETはポリエチレンテレフタレート、PBTはポリブチレンテレフタレートを示す。(BT/BI)//PBTはブチレンテレフタレート/ブチレンイソフタレート共重合体とポリブチレンテレフタレートをブレンドしてなる樹脂を示す。
PBT//PETはポリブチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートをブレンドしてなる樹脂を示す。( )内の数字はモル%を、 [ ]内の数字は重量%をそれぞれ示す。試料番号10については、BT75モル%とBI25モル%の共重合体15重量%と、ポリブチレンテレフタレート85重量%とをブレンドしてなる樹脂を用いた。MAPEは無水マレイン酸変性ポリエチレン、MAPPは無水マレイン酸変性ポリプロピレンを示す。
【0018】
【表1】
Figure 0003954451
【0019】
このようにして得られた試料番号1〜15の樹脂フィルムの接着性とブロッキング性を、下記に示す要領で評価した。
[接着性評価供試板の作成]
厚さ:0.32mmの冷延鋼板に定法により錫を520mg/mのめっき量で電気めっきした後、定法により電解クロム酸処理を施し、錫めっき層上に、下層が金属クロム:85mg/m、上層がクロム水和酸化物:15g/m(クロムとして)からなる2層皮膜を有する表面処理鋼板を作成した。この表面処理鋼板に、92.5モル%のエチレンテレフタレートと7.5モル%のエチレンイソフタレートからなるエチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート共重合体を下層とし、30重量%のポリブチレンテレフタレートと70重量%のポリブチレンテレフタレートをブレンドしてなる上層とする2層フィルム(トータル厚さ:25μm)を220℃で加熱圧着し、ポリエステルフィルムとの接着性評価用基板とした。また、この表面処理鋼板に、下層がマレイン酸変性ポリプロピレン(厚さ:5μm)、上層がポリプロピレン(厚さ:20μm)からなる2層フィルムを、下層と表面処理鋼板が接するようにして200℃で加熱圧着してポリオレフィンフィルムとの接着性評価用基板とした。さらに、この表面処理鋼板に、エポキシ樹脂系塗料、およびアルキド樹脂系塗料を塗布(乾燥後の厚さ:12μm)して焼き付け、それぞれエポキシ樹脂系塗料との接着性およびアルキド樹脂系塗料との接着性の評価用基板とした。次いで、これらの4種類の皮膜を被覆した各接着性評価用基板に、それぞれ試料番号1〜15の樹脂フィルムを加熱圧着して被覆し、接着性評価供試板とした。なお、2層フィルムの試料は、ブレンド樹脂層が各接着性評価用基板と接するようにして加熱圧着した。
【0020】
[接着性の評価]
上記の接着性評価供試板について、幅:10mm、長さ:100mmの試験片を10個切り出し、その一端部でブレンド樹脂フィルム面と上記の4種類のいずれかの皮膜との界面で強制剥離し、Tピール試片を作成し、テンシロン引張試験機を用いてTピール強度を測定し、10個の試験片の平均値を求め、下記の基準で接着性の良否を判定した。評価は、下記の◎および○を合格とした。
◎:Tピール強度≧20N/10mm
○:Tピール強度≧12N/10mmで、かつ<20N/10mm
△:Tピール強度≧8N/10mmで、かつ<12N/10mm
×:Tピール強度<8N/10mm
【0021】
[ブロッキング性の評価]
試料番号1〜15の樹脂フィルムについて、20mm幅で長さ80mmの試験片(長試片)2枚と20mm幅で長さ50mmの試験片(短試片)1枚をそれぞれ切り出し、2枚の長試片の間に短試片を挟み、それぞれの一端をそろえて3枚を重ね合わせた試験片を各テープ番号の補正テープについて10個作成した。これらの試験片の3枚のテープが重なり合った部分に1kgの荷重を負荷した状態で75℃で1時間加熱した。常温まで冷却した後、端試片を挟まず、荷重を負荷しなかった長試片の部分をテンシロン引張試験機のチャックで挟んで引っ張り、Tピール強度を測定し、10個の試験片の平均値を求め、下記の基準でブロッキング性の良否を評価した。評価は、下記の◎および○を合格とした。
◎:Tピール強度<3.5N/20mm
○:Tピール強度≧3.5N/20mmでかつ<3.9N/20mm
△:Tピール強度≧3.9N/20mmでかつ<4.4N/20mm
×:Tピール強度≧4.4N/20mm
これらの結果を表2に示す。なお、表2において、ポリエステルフィルムは82.5モル%のエチレンテレフタレートと17.5モル%のエチレンイソフタレートからなるエチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート共重合体のフィルムを、ポリオレフィンフィルムはポリプロピレンフィルムを、エポキシ樹脂系塗料はエポキシ−フェノール塗料を示し、アルキド樹脂系塗料はアルキド−アミノ塗料を示す。
【0022】
【表2】
Figure 0003954451
【0023】
表2に示すように、本発明の補正テープは、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂系塗料やアルキド樹脂系塗料などの塗料との接着力に優れている。また、重量を負荷した状態で重ねても、互いにくっつき合ってブロッキングすることがない。
【0024】
(実施例2)
実施例1の表1の試料番号3で示した樹脂組成と同一のエチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート共重合体のペレットと、試料番号3で示した樹脂組成と同一のマレイン酸変性ポリエチレンのペレットを40:60の重量比でドライブレンドし、次いで押出機を用いて加熱溶融し、幅:1000mmのTダイから吐出して無延伸フィルムに製膜した後、フィルムの幅方向両端部の肉厚部を除去するとともに、15mm幅の複数条のフィルムにスリット分割し、それぞれコイラーに巻き取って長尺帯状の補正テープとした。
【0025】
(実施例3)
実施例1で示したエポキシ樹脂系塗料との接着性評価供試板と同一のエポキシ樹脂系塗料塗装鋼板を切り出し、実施例2と同様の補正テープを用い、実施例2と同様にして缶胴溶接部の補正部を作成し、補正部の補正テープで被覆された部分から幅:15mm、長さ:80mmの試験片を3個切り出し、実施例2と同様にして補正テープとエポキシ樹脂系塗料塗装鋼板の金属露出部、およびエポキシ樹脂系塗料塗膜の間のTピール強度を測定し、10mm幅の値に換算し、3個の試験片の平均値を求めたところ、23N/20mmの良好な接着力を示した。
【0026】
(実施例4)
実施例1で示したポリエステルフィルムとの接着性評価用基板を切り出し、角形18リットル缶の胴部形状に折り曲げ成形加工し、ラップシーム部を電気抵抗溶接して缶胴部を作成した。次いでこれらの缶胴部内面側の溶接部に実施例2で示した補正テープを被覆して補正し、引き続き両開口端部に巻締め加工部を設けた。これらの缶胴部に実施例1で示したポリエステルフィルムとの接着性評価用基板から作成した天板および地板を二重巻締めして角形18リットル缶とした。この缶に醤油を充填し、38℃で1年経時させたが、醤油の漏洩は認められなかった。
【0027】
【発明の効果】
本発明の溶接缶の溶接部の補正テープは、ポリエステル樹脂に変性ポリオレフィン樹脂をブレンドしてなる樹脂を補正テープとしたもの、またはポリエステル樹脂に変性ポリオレフィン樹脂をブレンドしてなる樹脂と他の熱可塑性樹脂を積層してなる2層樹脂を補正テープとしたものであり、また、本発明の溶接部を補正してなる缶は溶接缶の溶接部を本発明の補正テープで補正した溶接缶である。本発明の補正テープはポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂系塗料およびアルキド樹脂系塗料のいずれとも良好な接着性を示す。またコイル状に巻き取ってもテープ同士が互いにくっつき合ってブロッキングすることがなく、作業性に優れている。そのため、本発明の補正テープは塗装缶およびフィルム被覆缶の両者の溶接部に共通して適用することができる。また溶接缶の溶接部を本発明の補正テープで補正してなる溶接缶は、耐食性にすぐれており、内容物を充填して長期間経時させても腐食して内容物が漏洩することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 溶接缶の溶接部の補正状態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1:鋼板
2:樹脂層
3:補正材料
4:溶接部
5:鋼板の露出部

Claims (4)

  1. 溶接缶溶接部の、鋼板の露出部および樹脂層を補正するテープであって、
    ポリエステル樹脂にマレイン酸変性ポリエチレンまたはマレイン酸変性ポリプロピレンからなる変性ポリオレフィン樹脂を10〜90重量%ブレンドした樹脂からなる溶接缶の溶接部の補正テープ。
  2. 溶接缶溶接部の、鋼板の露出部および樹脂層を補正するテープであって、
    ポリエステル樹脂にマレイン酸変性ポリエチレンまたはマレイン酸変性ポリプロピレンからなる変性ポリオレフィン樹脂を10〜90重量%ブレンドした樹脂と、
    ポリオレフィン樹脂又はポリエステル樹脂を積層してなる2層樹脂からなる溶接缶の溶接部の補正テープ。
  3. 前記ポリエステル樹脂がエチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート共重合体である、請求項1または2の溶接缶の溶接部の補正テープ。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の溶接缶の溶接部の補正テープを用いて缶胴の溶接部を補正してなる溶接缶。
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