JP2003025491A - 塗装鋼板 - Google Patents

塗装鋼板

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JP2003025491A
JP2003025491A JP2001211212A JP2001211212A JP2003025491A JP 2003025491 A JP2003025491 A JP 2003025491A JP 2001211212 A JP2001211212 A JP 2001211212A JP 2001211212 A JP2001211212 A JP 2001211212A JP 2003025491 A JP2003025491 A JP 2003025491A
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acid
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epoxy
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JP2001211212A
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English (en)
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Futoshi Nakanishi
太 中西
Hiroki Mizutani
広樹 水谷
Hiroshi Koito
浩 小糸
Isao Tanaka
功 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
BASF Japan Ltd
Yodogawa Steel Works Ltd
Original Assignee
Yodogawa Steel Works Ltd
BASF NOF Coatings Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐薬品性、加工性、耐衝撃性に加え、特に耐汚
染性に優れることを特徴とする塗装鋼板を提供する。 【解決手段】亜鉛メッキ鋼板及びアルミニウム−亜鉛合
金メッキ鋼板から選択される鋼板の表面に、防錆顔料が
配合されたエポキシ樹脂系またはポリエステル樹脂系塗
料にて下塗り塗膜を形成し、この下塗り塗膜の表面に、
エポキシ基含有ポリエステル変性重合体及びブロック化
カルボキシル基を有する化合物に、耐汚染性の機能を付
与するオルガノシリケート及び/またはその縮合物を添
加し、必要に応じて有機金属化合物、金属キレート化合
物又は有機金属石鹸を含有し、更に必要に応じて熱潜在
性酸触媒を含有した上塗り塗料を塗布する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な塗装鋼板に関
する。更に詳しくは、本発明は亜鉛メッキ鋼板、アルミ
ニウム−亜鉛合金メッキ鋼板から選択される鋼板の表面
に、防錆顔料が配合されたエポキシ樹脂系またはポリエ
ステル樹脂系塗料からなる下塗り塗料で塗装して下塗り
塗膜を形成し、この下塗り塗膜の表面に耐薬品性、加工
性、耐衝撃性に加え、特に耐汚染性に優れる上塗り塗膜
を与えることができる上塗り塗料で塗装して上塗り塗膜
を形成した塗装鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】塗装鋼板とは亜鉛鉄板に代表される金属
板に、あらかじめ塗料を塗装した後、成形加工して最終
の用途に供するものであり、屋内外用建材、家電機器、
事務用機器などの分野に広く用いられている。このよう
な塗装鋼板に要求される性能としては、塗膜形成後に成
形加工されるため、加工性と金属に対する付着性が要求
される。一方、成型後の製品においてはそれぞれの最終
用途に応じた性能が要求される。例えば、屋外用建材に
は防食性、耐候性及びその外観の意匠性などが要求され
るため、防錆顔料が配合された下塗り塗料が、さらに保
護および装飾を目的として耐候性に優れた上塗り塗料が
鋼板上に塗装されている。この上塗り塗料の例として、
ポリウレタン樹脂系塗料、フッ素樹脂系塗料などが挙げ
られるが、近年の大気汚染などの環境の変化に伴い、空
気中に含まれる油滴や塵埃などが多くなり、屋外用の塗
装鋼板は、降雨時に油滴や塵埃などによる雨筋状の汚れ
が付くなど、以前に比べ汚染されやすいという問題が生
じている。そのため、塗装鋼板の性能として汚染に対す
る耐性である耐汚染性が望まれるようになってきた。そ
のような上塗り塗料として、特開昭62−25103号
に示されるように、塗料組成物中の樹脂のガラス転移温
度を高くすることで塗膜硬度を高め、塗膜に対する汚染
物質の付着を抑制する手法が検討されたが、これは耐汚
染性と塗膜の加工性を同時に満たすことが困難である。
【0003】そこで、塗膜表面を親水性にし、付着した
油性の汚染物質を降雨時の雨水が塗膜表面に広がる作用
によって、剥離し洗い流してしまう非汚染形塗料が各種
発表されている。例えば、特開平4−370176号に
示されるように、ポリアルキレンオキサイドセグメント
などの親水性セグメントとポリシロキサンなどの疎水性
セグメントとを含むセグメント化ポリマーを塗料に含め
ることで、塗膜表面に疎水性と親水性を同時に付与し、
汚染物質の付着の抑制および降雨による洗浄効果を期待
したものがある。しかし、塗膜自体のバリアー性が不足
しているため、耐汚染性が十分とは言えない。
【0004】一方、特開平6−506632号には、塗
料中にオルガノシリケートを混合し、それらの反応によ
って塗膜表面に親水性化、硬度の向上の双方を図った方
法が示されている。これはオルガノシリケートの加水分
解反応により生ずるシラノール基やシロキサン結合が塗
膜表面の親水性の要因となるのだが、塗膜表面の親水性
化、硬度の向上のためには第一段階の酸触媒の存在によ
る加水分解反応が律速となる。このような理由から上記
塗料においては、当該オルガノシリケートの反応を進行
させるために、酸などの表面処理が必要となる。しか
し、実際の建物外壁への塗装を考慮すると、酸性雨など
により、反応は進行すると考えられるが、耐汚染性効果
を発現するまでには、塗膜形成後かなりの長期間を必要
とする。また、特開平8−12942号に示されるよう
に、エチレン性不飽和基含有変性珪素低縮合物をモノマ
ー成分として含有する重合体を用いた塗料が挙げられる
が、塗膜の親水性化が不十分であるため、耐汚染性、特
に初期の耐汚染性に劣る傾向が見られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
実状のもとで、亜鉛メッキ鋼板及びアルミニウム−亜鉛
合金メッキ鋼板から選択される鋼板の表面に、防錆顔料
が配合されたエポキシ樹脂系またはポリエステル樹脂系
塗料から成る下塗り塗料にて下塗り塗膜を形成し、この
下塗り塗膜の表面に耐薬品性、加工性、耐衝撃性に加
え、特に耐汚染性に優れる塗膜を与えることができる上
塗り塗料にて上塗り塗膜を形成した塗装鋼板を提供する
ことを目的としてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記問題を解
決するため鋭意研究を重ねた結果、亜鉛メッキ鋼板及び
アルミニウム−亜鉛合金メッキ鋼板から選択される鋼板
の表面に、防錆顔料が配合されたエポキシ樹脂系または
ポリエステル樹脂系塗料から成る下塗り塗料にて下塗り
塗膜を形成し、この下塗り塗膜の表面に特定のエポキシ
基含有ポリエステル変性重合体及び特定のブロック化カ
ルボキシル基を有する化合物に、特定のオルガノシリケ
ート及び/またはその縮合物を添加し、必要に応じて有
機金属化合物、金属キレート化合物または有機金属石鹸
を含有し、更に必要に応じて熱潜在性酸触媒を含有した
上塗り塗料組成物を塗装した塗装鋼板が、耐汚染性に優
れておりその他の上記性能を満足する塗装鋼板になるこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、亜鉛メッキ鋼板及び
アルミニウム−亜鉛合金メッキ鋼板から選択される鋼板
の表面に、防錆顔料が配合されたエポキシ樹脂系または
ポリエステル樹脂系塗料にて下塗り塗膜を形成し、この
下塗り塗膜の表面に、(A)(a)数平均分子量が1,
500〜50,000であり、且つ樹脂酸価が2〜30
mgKOH/gのカルボキシル基含有ポリエステル樹脂
からなる構成成分と、(b)(b’)エポキシ基を有す
るビニル系単量体の重合体または(b’)エポキシ基を
有するビニル系単量体と(c’)他のビニル系単量体の
共重合体であるエポキシ基を有するビニル系重合体から
成る構成成分からなり、(a)成分/(b)成分の質量
比が1/99〜80/20であり、かつ(b)成分のエ
ポキシ基の一部と(a)成分のカルボキシル基が当量比
で0.1以下の割合で反応して結合された、エポキシ当
量が200〜2,000g/molのエポキシ基含有ポ
リエステル変性重合体、(B)一分子中に、一般式
(1)
【0008】
【化5】 (式中のR、R及びRはそれぞれ水素原子又は炭
素数1〜18の有機基、Rは炭素数1〜18の有機基
であって、RとRはたがいに結合してYをへテロ
原子とする複素環を形成していてもよく、Yは酸素原
子又はイオウ原子である)で表される官能基2個以上を
有する化合物、及び(C)一般式(2)
【0009】
【化6】 (式中のR、R、R及びRはそれぞれ水素原子
または炭素数1〜10の有機基であり、R及びR
それぞれ複数ある場合はそれぞれ同一であってもよい
し、異なってもよく、nは1である。)で表されるオル
ガノシリケート及び/またはその縮合物を含有する上塗
り塗料にて上塗り塗膜を形成してなることを特徴とする
塗装鋼板を提供する。また、本発明は、上記塗装鋼板に
おいて、(a)成分のカルボキシル基含有ポリエステル
樹脂が、ジカルボン酸とジオールに由来する構成単位か
ら成る線状ポリエステル樹脂である塗装鋼板を提供す
る。
【0010】また、本発明は、亜鉛メッキ鋼板及びアル
ミニウム−亜鉛合金メッキ鋼板から選択される鋼板の表
面に、防錆顔料が配合されたエポキシ樹脂系またはポリ
エステル樹脂系塗料にて下塗り塗膜を形成し、この下塗
り塗膜の表面に、(A)(a)数平均分子量が1,50
0〜50,000であり、且つ樹脂酸価が2〜30mg
KOH/gのカルボキシル基含有ポリエステル樹脂成分
及び有機溶媒の存在下で、(b’)エポキシ基を有する
ビニル系単量体または(b’)エポキシ基を有するビニ
ル系単量体と(c’)他のビニル系単量体の混合物を、
ラジカル重合開始剤により重合して得られる重合体であ
って、(a)成分/(b’)成分、又は(a)成分/
[(b’)成分+(c’)成分]の質量比が1/99〜
80/20であり、かつ(b’)または(b’)+
(c’)成分からなる重合体のエポキシ基の一部と
(a)成分のカルボキシル基が当量比で0.1以下の割
合で反応して結合された、エポキシ当量が200〜2,
000g/molのエポキシ基含有ポリエステル変性重
合体、(B)一分子中に、一般式(1)
【0011】
【化7】 (式中のR、R及びRはそれぞれ水素原子又は炭
素数1〜18の有機基、Rは炭素数1〜18の有機基
であって、RとRはたがいに結合してYをへテロ
原子とする複素環を形成していてもよく、Yは酸素原
子又はイオウ原子である)で表される官能基2個以上を
有する化合物、及び(C)一般式(2)
【0012】
【化8】 (式中のR、R、R及びRはそれぞれ水素原子
または炭素数1〜10の有機基であり、R及びR
それぞれ複数ある場合はそれぞれ同一であってもよい
し、異なってもよく、nは1である。)で表されるオル
ガノシリケート及び/またはその縮合物を含有する上塗
り塗料にて上塗り塗膜を形成してなることを特徴とする
塗装鋼板を提供する。また、本発明は、上記塗装鋼板に
おいて、(a)成分のカルボキシル基含有ポリエステル
樹脂が、ジカルボン酸とジオールに由来する構成単位か
ら成る線状ポリエステル樹脂である塗装鋼板を提供す
る。また、本発明は、上記塗装鋼板において、上塗り塗
料に、さらに(D)加熱硬化時にオルガノシリケート及
びその縮合物の加水分解を促す有機金属化合物、金属キ
レート化合物、有機金属石鹸又は金属ハロゲン化物を含
有する塗装鋼板を提供する。また、本発明は、上記塗装
鋼板において、上塗り塗料に、さらに、(E)硬化時に
活性を示す熱潜在性酸触媒を含有する塗装鋼板を提供す
る。
【0013】また、本発明は、上記塗装鋼板において、
(E)成分の熱潜在性酸触媒がプロトン酸あるいはルイ
ス酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸とトリア
ルキルホスフェートの混合物、スルホン酸エステル類、
リン酸エステル類、オニウム化合物、及び(I)エポキ
シ基を含有する化合物、(II)含イオウ化合物、(I
II)ルイス酸から成る化合物又はそれらと(IV)カ
ルボン酸化合物及び/又は無水力ルボン酸化合物から成
る化合物の中から選ばれた少なくとも1種である塗装鋼
板を提供する。また、本発明は、上記塗装鋼板におい
て、(B)成分がビニル系単量体の重合体である塗装鋼
板を提供する。また、本発明は、上記塗装鋼板におい
て、(B)成分がポリエステル樹脂である塗装鋼板を提
供する。また、本発明は、上記塗装鋼板において、
(B)成分が、1分子当たりヒドロキシル基2個以上を
有するポリオールと酸無水物とをハーフエステル化させ
て得られるポリカルボキシル化合物にビニルエーテルを
反応させて得られる熱潜在性カルボキシル化合物である
塗装鋼板を提供する。また、本発明は、上記塗装鋼板に
おいて、下塗り塗膜の表面に、上塗り塗膜を形成する前
に、エポキシ樹脂、アクリル樹脂及びポリエステル樹脂
から選ばれる1種又は2種以上を主成分とする中塗り塗
料にて中塗り塗膜を形成する塗装鋼板を提供する。以
下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明においては、亜鉛メッキ鋼
板、アルミニウム−亜鉛合金メッキ鋼板から選択される
鋼板の表面に、下塗り塗料により下塗り塗膜が形成され
る。上記鋼板は、塗膜との付着性、その他を考慮し、塗
装に先立ってその表面に前処理を施したものを使用する
ことが好ましい。前処理としては、一般に塗装下地処理
として使用されているものでよく、クロメート化成処理
や、リン酸塩化成処理、複合酸化皮膜処理、クロメート
型、非クロメート型等の塗布型処理などが挙げられる。
下塗り塗料としては、通常コイルコーティング用に用い
られる公知の下塗り塗料が適用でき、被塗板の種類、金
属表面処理の種類によって適宜選択されるが、特にエポ
キシ樹脂系、ポリエステル樹脂系下塗り塗料が好適であ
る。特に、本発明の塗装鋼板に防錆作用を付与するため
に下塗り塗料には防錆顔料が含まれていることが必要で
ある。該防錆顔料としてはストロンチウムクロメートの
他にモリブデン酸亜鉛、リンモリブデン酸亜鉛、亜リン
酸アルミニウム、亜リン酸亜鉛、リン酸亜鉛、亜リン酸
カルシウム、リンモリブデン酸アルミニウム、トリポリ
リン酸二水素アルミニウム亜鉛、トリポリリン酸二水素
アルミニウムマグネシウム、トリポリリン酸二水素カル
シウム、カルシウムイオン交換された非晶質シリカなど
の非クロム系防錆顔料があげられる。防錆顔料は1種類
または2種類以上を選択して用いることができる。
【0015】本発明の塗装鋼板に用いられる上塗り塗料
の、(A)成分のエポキシ基含有ポリエステル変性重合
体は、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂とエポ
キシ基を有するビニルエーテル系単量体との複合重合体
であり、2種の異なった重合体の相当部分が化学的に結
合しているため、互いに大きく相分離することなく本発
明の塗装鋼板にビニル系単量体の重合体とポリエステル
樹脂双方の優れた特徴を付与することができる。すなわ
ち、(A)成分のエポキシ基含有ポリエステル変性重合
体は、(a)数平均分子量が1,500〜50,000
であり、且つ樹脂酸価が2〜30mgKOH/gのカル
ボキシル基含有ポリエステル樹脂から成る構成成分と、
(b)(b’)エポキシ基を有するビニル系単量体と
(c’)他のビニル系単量体の重合体から成る構成成分
を有する。(a)成分のカルボキシル基含有ポリエステ
ル樹脂は、分子主鎖骨格中にカルボン酸エステル結合を
含むことを特徴としており、(A)成分のエポキシ基含
有ポリエステル変性重合体に柔軟性を付与する成分であ
る。(a)成分のカルボキシル基含有ポリエステル樹脂
の数平均分子量は、1,500〜50,000であり、
好ましくは1,500〜25,000であり、さらに好
ましくは1,500〜20,000である。該数平均分
子量が1,500未満の場合には、得られる重合体の機
械物性が劣る。また、数平均分子量が50,000を超
える場合には、有機溶剤に対する溶解性が乏しくなる。
【0016】また、(a)成分のカルボキシル基含有ポ
リエステル樹脂の樹脂酸価は、2〜30mgKOH/g
であり、好ましくは2〜25mgKOH/g、さらに好
ましくは2〜20mgKOH/gである。樹脂酸価が2
mgKOH/g未満の場合では、(a)成分のカルボキ
ル基と(b)成分のエポキシ基との化学結合の量が乏し
くなり相分離が起こりやすく、安定なエポキシ基含有ポ
リエステル変性重合体を得ることが困難となる。また、
樹脂酸価30mgKOH/g以上の場合には、(a)成
分と(b)成分との化学結合の量が極度に多くなるた
め、反応系全体がゲル化を起こす。(a)成分の製造方
法としては、これまで公知の技術に基づく製法が応用可
能である。例えば、カルボキシル基を有する化合物、あ
るいはその化合物とアルコールとのエステル体、ヒドロ
キシル基を有する化合物、酸無水物、さらにエポキシ基
を有する化合物、1分子内に上記官能基の複数種類を有
する化合物等の群から選択される適当な組み合わせを原
料とした重縮合反応、付加重合反応により得ることがで
きる。これらの化合物の種類の組み合わせは、重縮合反
応、付加重合反応の結果、上記(a)成分の条件を満た
すカルボキシル基含有ポリエステル樹脂を得る組み合わ
せであれば自由に選択することができる。
【0017】上記カルボキシル基を有する化合物、ある
いはその化合物とアルコールとのエステル体としては、
1分子内のカルボキシル基あるいはカルボン酸エステル
基の数が、1〜4個であることが好ましく、2個である
ジカルボン酸がさらに好ましい。上記カルボキシル基を
有する化合物としては、例えば、カプリル酸、カプリン
酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステア
リン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、リノ
レン酸、エレオステアリン酸、コハク酸、アジピン酸、
アゼライン酸、セバシン酸、デカメチレンジカルボン酸
等の炭素数2〜22の脂肪族カルボン酸及びこれらの脂
肪族カルボン酸とアルコールとのエステル体;フタル
酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピ
ロメリット酸等の芳香族カルボン酸及びこれらの芳香族
カルボン酸とアルコールとのエステル体;及びテトラヒ
ドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒ
ドロフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、
1,3−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式カルボ
ン酸及びこれらの脂環式カルボン酸とアルコールとのエ
ステル体等が挙げられる。ここで、カルボキシル基を有
する化合物のエステル化に使用されるアルコールとして
は、炭素数1〜12の1価のアルコールが好ましく、そ
の具体例としては例えばメタノール、エタノール、プロ
パノール、イソプロパノール、ブタノール、sec−ブ
タノール、tert−ブタノール、ペンタノール、ヘキ
サノール、ヘプタノール、オクタノール、イソオクタノ
ール、ノナノール、デカノール、2−エチルヘキサノー
ル、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、
シクロオクタノール等が挙げられる。該カルボキシル基
を有する化合物、あるいはその化合物とアルコールとの
エステル体は1種単独で用いても良いし、2種以上を組
み合わせても良い。
【0018】上記ヒドロキシル基を有する化合物の1分
子内のヒドロキシル基の数は、1〜4個であることが好
ましく、2個であるジオールがさらに好ましい。上記ヒ
ドロキシル基を有する化合物の例としては、例えば、n
−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、n−オク
チルアルコール、n−デシルアルコール、ラウリルアル
コール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、n
−オクタデシルアルコールなどの1価アルコール;エチ
レングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,
3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、
1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ペ
ンタンジオール、ジメチルブタンジオール、水添ビスフ
ェノールA、グリセリン、ソルビトール、ネオペンチル
グリコール、1,8−オクタンジオール、1,4−シク
ロヘキサンジメタノール、2−メチル−1,3−プロバ
ンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,
2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、ト
リメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、キニト
ール、マニトール、トリスヒドロキシエチルイソシアヌ
レート、ジベンタエリスリトール等の多価アルコール
類;これらの多価アルコール類とγ−ブチロラクトンや
ε−カプロラクトン等のラクトン化合物との開環付加
体;該多価アルコール類とトリレンジイソシアネート、
ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジ
イソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のイソ
シアネート化合物とのアルコール過剰下での付加体等が
挙げられる。該ヒドロキシル基を有する化合物は1種単
独で用いても良いし、2種以上を組み合わせても良い。
【0019】上記エポキシ化合物の1分子内のエポキシ
基の数としては1〜4個が好ましく、より好ましくは1
〜2個であり、さらに好ましくは1個である。該エポキ
シ化合物の具体例としては、例えばエチレンオキシド、
プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルケンか
ら誘導される脂肪族モノエポキシド化合物;セロキサイ
ド2,000、セロキサイド3000(いずれも商品
名、ダイセル化学工業(株)製)、リカレジンE−8
(商品名、新日本理化(株)製)等のシクロアルケンか
ら誘導される脂環式モノエポキシド化合物;スチレンオ
キシド、スチルべンオキシド等の芳香族環を有する芳香
族モノエポキシド化合物;メチルグリシジルエーテル、
エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテ
ル、ブチルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエ
ーテル、フェニルグリシジルエーテル、(メタ)アリル
グリシジルエーテル、ポリアルキレンオキシドモノグリ
シジルエーテル等のグリシジルエーテル類;グリシジル
イソブチレート、カージュラーE−10(商品名、シェ
ル化学社製)等のグリシジルエステル類等が挙げられ
る。該エポキシ化合物は1種単独で用いても良いし、2
種以上を組み合わせても良い。上記酸無水物としては、
例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン
酸、セバシン酸、デカメチレンジカルボン酸、フタル
酸、マレイン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、テ
トラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘ
キサヒドロフタル酸等の多価カルボン酸の酸無水物体等
を挙げることができる。該酸無水物は1種単独で用いて
も良いし、2種以上を組み合わせても良い。
【0020】上記ラクトン類としては、β−プロピオラ
クトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε
−カプロラクトン等が挙げられる。該ラクトン類は、1
種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせても良
い。また、(a)成分を製造する単量体は、ヒドロキシ
ル基とカルボキシル基という様に複数種類の官能基を1
分子内に有する化合物であってもよい。該複数種類の官
能基を有する化合物の代表例としては、例えば、乳酸、
クエン酸、リンゴ酸、ヒドロキシピバリン酸、12−ヒ
ドロキシステアリン酸等のヒドロキシカルボン酸等を挙
げることができる。該複数種類の官能基を有する化合物
は、1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせ
ても良い。さらに、(a)成分を得る方法としては、
(A)成分の範囲外の高分子量のポリエステル樹脂、或
いは酸価が(A)成分の下限に満たないポリエステル樹
脂を出発物質として、アシドリシス、アルコーリシス、
酸無水物の付加等の変性を行って(A)成分の(a)成
分の範囲内のポリエステル樹脂とすることも可能であ
る。以上のポリエステル樹脂の中で特に(A)成分のエ
ポキシ基含有ポリエステル変性重合体に好適に用いられ
るポリエステル樹脂は、ジカルボン酸とジオールに由来
する構成単位から成る線状ポリエステル樹脂である。ジ
カルボン酸として好ましいものは、コハク酸、アジピン
酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカメチレンジカルボ
ン酸等の炭素数2〜22の脂肪族ジカルボン酸、フタル
酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン
酸;テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メ
チルヘキサヒドロフタル酸、1,4−シクロヘキサンジ
カルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸等の
脂環式ジカルボン酸等が挙げられる。これらのジカルボ
ン酸は、1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合
わせても良い。
【0021】また、ジオールのうち好ましいものとして
は、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコー
ル、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオ
ール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、1,6−へキサンジオー
ル、ジエチレングリコール、ペンタンジオール等の炭素
数2〜22の脂肪族ジオール等が挙げられる。これらの
ジオールは、1種単独で用いても良いし、2種以上を組
み合わせても良い。ジカルボン酸とジオールに由来する
構成単位から成る線状ポリエステル樹脂は、ジカルボン
酸とジオールを重縮合することにより得られる線状ポリ
エステル樹脂、ジカルボン酸無水物とジオールの付加反
応により得られる線状ポリエステル樹脂、さらにエステ
ル交換反応により得られる線状ポリエステル樹脂等が挙
げられ、原料がジカルボン酸とジオールである線状ポリ
エステル樹脂のみをいうのではなく、線状ポリエステル
樹脂における構成単位がジカルボン酸から誘導される構
成単位とジオールから誘導される構成単位と同じ構造で
あるものも含まれる。該線状ポリエステル樹脂は、結晶
性を落とす目的や、本発明に必要なカルボキシル基を導
入する等の目的で、線状ポリエステル樹脂としての性質
を損なわない範囲内であれば、若干量の3官能以上のカ
ルボキシル基を有する化合物、ヒドロキシル基を有する
化合物等から誘導される構成成分を含んでいても差し支
えない。この様な事例としては、例えば末端水酸基の線
状ポリエステル樹脂にトリメリット酸を付加反応させて
カルボキシル基を含有させた線状ポリエステル樹脂や分
子鎖内にトリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサン
トリオール、トリメリット酸、ピロメリット酸等を若干
量含有させて分岐させた線状ポリエステル樹脂や、結晶
性を落とすために分子骨格中にトリメリット酸やトリメ
チロールプロパン等の3官能の構造を有する化合物を若
干導入したもの等が挙げられる。3官能以上のカルボキ
シル基を有する化合物、ヒドロキシル基を有する化合物
等は、1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わ
せても良い。
【0022】(A)成分のエポキシ基含有ポリエステル
変性重合体におけるもう1つの構成成分である(b)成
分のエポキシ基を有するビニル系重合体は、(b’)エ
ポキシ基を有するビニル系単量体の重合体または
(b’)エポキシ基を有するビニル系単量体と(c’)
他のビニル系単量体の重合体である。(c’)成分の他
のビニル系単量体は、(b)成分のエポキシ基を有する
ビニル系単量体以外の重合可能な単量体をいう。上記
(b’)成分のエポキシ基を有するビニル系単量体の1
分子内のエポキシ基の数としては1〜4個が好ましく、
より好ましくは1〜2個であり、さらに好ましくは1個
である。該(b’)成分の具体例としては、例えばグリ
シジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロ
ヘキシルメチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メ
タ)アリルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシル
メチル(メタ)アリルエーテル等のエポキシ基を有する
ビニル系単量体が挙げられる。このうちラジカル重合性
及びエポキシ基/カルボキシル基間の反応性がより高
い、(メタ)アクリル酸エステル体であるグリシジル
(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシ
ルメチル(メタ)アクリレートがより好ましい(b’)
成分として挙げられる。(b’)成分のエポキシ基を有
するビニル系単量体は、1種単独で用いても良いし、2
種以上を組み合わせても良い。上記エポキシ基を有する
ビニル系重合体は、(b’)エポキシ基を有するビニル
系単量体と(c’)他のビニル系単量体との共重合体と
することが好ましい。上記(b’)成分と共重合させる
(c’)成分の他のビニル系単量体としては、例えば、
(メタ)アクリル酸エステル類、好ましくは、一般式
(3)
【0023】
【化9】 (式中Rは水素原子又はメチル基を示し、R10は炭
素数1〜20の有機基を示す。)で表される化合物であ
る。該R10の有機基は、飽和炭化水素基の他、水酸
基、アセタール基、シクロカーボネート基、あるいは一
般式(1)に示したようなブロック化カルボキシル基の
ような反応性官能基を有した有機基でもよいが、これら
のような反応性官能基を選択する際には、(b’)成分
との共重合条件において(b’)成分のエポキシ基と強
い反応性を示さないものを選択する必要がある。この
(メタ)アクリル酸エステル類の具体例としては、例え
ば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エ
チル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸
−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、
(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸−
2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシ
プロピル等が挙げられる。他のビニル系単量体の好まし
いものとしては、例えば、イタコン酸、マレイン酸、フ
マル酸等のエステル類、スチレン、ビニルトルエン、ジ
メチルスチレン、エチルスチレン等の核置換スチレン、
アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル等を挙げら
れる。これらは単一種類で用いても複数種類用いても良
い。一方、共重合するビニル系単量体として好ましくな
いものの例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン
酸、マレイン酸、フマル酸等の様に共重合する条件下
で、(b’)成分のエポキシ基と反応する可能性がある
官能基を有する単量体が挙げられる。
【0024】(b)成分のエポキシ基を有するビニル系
重合体は、上記(b’)成分のビニル系単量体、又は
(b’)成分のビニル系単量体と(c’)成分の他のビ
ニル系単量体の重合により得ることができる。なお、上
記エポキシ基を有するビニル系重合体は、本発明の効果
を損なわない範囲内で他の構成成分を含んでもよい。
(A)成分のエポキシ基含有ポリエステル変性重合体に
おいては、(a)成分のカルボキシル基とエポキシ基を
有するビニル系重合体のエポキシ基の一部とが反応して
結合されている。これにより、2種の異なった重合体の
相溶性を著しく改善することができる。(a)成分のカ
ルボキシル基と(b)成分のエポキシ基の結合している
割合は、(b)成分のエポキシ基に対する(a)成分の
カルボキシル基の当量比が0.1以下の割合であり、好
ましくは0.08以下であり、さらに好ましくは0.0
6以下である。さらに、(A)成分のエポキシ基含有ポ
リエステル変性重合体のエポキシ当量は、200〜2,
000g/molであり、好ましくは250〜1,50
0g/molであり、さらに好ましくは275〜1,0
00g/molである。エポキシ当量が2,000g/
molを超える場合には、(A)成分のエポキシ基含有
ポリエステル変性重合体を本発明の熱硬化性組成物とし
て使用しようとした場合の硬化性が不足し、逆にエポキ
シ当量が200g/mol未満となる場合には、架橋密
度が高くなりすぎて柔軟性等が損なわれる。
【0025】(A)成分のエポキシ基含有ポリエステル
変性重合体においては、(a)成分から成る構成成分の
(b)成分から成る構成成分に対する質量比は、1/9
9〜80/20の範囲が好ましく、より好ましくは1/
99〜70/30の範囲であり、さらに好ましくは1/
99〜50/50の範囲である。前記質量比の1/99
よりも(b)成分から成る構成成分の量が多くなる場合
には、(A)成分のエポキシ基含有ポリエステル変性重
合体の柔軟性が不十分となることがある。一方、前記質
量比の80/20よりも(b)成分から成る構成成分の
量が少なくなる場合には、(A)成分のエポキシ基含有
ポリエステル変性重合体の硬度、耐薬品性、耐汚染性が
低下することがある。また、(b)成分が(b’)成分
と(c’)成分を共重合させている共重合体の場合、
(b’)成分と(c’)成分との質量比は、(b’)成
分のエポキシ当量にもよるが、7/93〜80/20の
範囲が好ましく、より好ましくは10/90〜70/3
0の範囲であり、さらに好ましくは15/85〜60/
40の範囲である。(b’)成分と(c’)成分の質量
比の7/93よりも(b’)成分の量が少なくなる場合
には、(A)成分のエポキシ基含有ポリエステル変性重
合体を熱硬化性組成物に用いようとする場合の硬化性が
不足することがある。一方、前記質量比の80/20よ
りも(b’)成分の量が多くなる場合には、(A)成分
のエポキシ基含有ポリエステル変性重合体の柔軟性が損
なわれることがある。(A)成分のエポキシ基含有ポリ
エステル変性重合体は、上記構成成分の他に、本発明の
効果を損なわない範囲で他の構成成分を含んでもよい。
(A)成分のエポキシ基含有ポリエステル変性重合体
は、50±1%の不揮発分となる有機溶媒溶液の20℃
における粘度が、通常1〜2000ポイズの範囲が適当
である。
【0026】次に、(A)成分のエポキシ基含有ポリエ
ステル変性重合体の好ましい製造方法について説明す
る。(A)成分のエポキシ基含有ポリエステル変性重合
体は、(a)数平均分子量が1,500〜50,000で
あり、且つ樹脂酸価が2〜30mgKOH/gのカルボ
キシル基含有ポリエステル樹脂及び有機溶媒の存在下
で、(b’)エポキシ基を有するビニル系単量体をラジ
カル重合開始剤により重合させる方法により好ましく製
造することができる。この製造方法においては、
(b’)エポキシ基を有するビニル系単量体と共に
(c’)他のビニル系単量体を重合させることが好まし
い。(a)成分のカルボキシル基含有ポリエステル樹脂
は、前記と同様のものが使用できる。また、(b’)成
分のエポキシ基を有するビニル系単量体と(c’)成分
の他のビニル系単量体も、前記と同様のものが使用でき
る。(b’)成分のエポキシ基を有するビニル系単量体
は、他の(b’)成分のエポキシ基を有するビニル系単
量体と重合するか、又は(c’)成分の他のビニル系単
量体と共重合するとともに、(a)成分中のカルボキシ
ル基と化学結合を形成することにより、(b’)成分の
エポキシ基を有するビニル系単量体の重合体と(a)成
分のポリエステル樹脂との間の化学結合を形成する作用
があり、その結果、2種の異なった重合体の相溶性を著
しく改善することができる。さらに(b’)成分のエポ
キシ基のうち、(a)成分中のカルボキシル基と反応せ
ずに残ったエポキシ基により、(A)成分のエポキシ基
含有ポリエステル変性重合体に、多量のエポキシ基を導
入することができる。
【0027】(b’)成分の使用量は、(b’)成分の
エポキシ基に対する(a)成分のカルボキシル基の当量
比が0.1以下の割合になるように選定され、好ましく
は0.08以下であり、さらに好ましくは0.06以下で
ある。この様な(a)成分のカルボキシル基に対して大
過剰の(b’)成分を用いることにより、重合反応進行
と同時に効率よくビニル系単量体の重合体と(a)成分
との間に化学結合を生成することができる。逆に
(b’)成分のエポキシ基に対する(a)成分のカルボ
キシル基の当量比が0.1を超える場合には、(b)成
分のビニル系単量体の重合体と(a)成分との化学結合
が十分に得られずに相分離する傾向がある。(a)成分
の(b’)成分に対する質量比率又は(b’)成分及び
(c’)成分のビニル系単量体の合計質量に対する質量
比率は、1/99〜80/20の範囲が好ましく、より
好ましくは1/99〜70/30の範囲であり、さらに
好ましくは1/99〜50/50の範囲である。前記質
量比率の1/99よりも(b’)成分のビニル系単量体
の質量又は(b’)成分及び(c’)成分のビニル系単
量体の合計質量が多くなる場合には、(A)成分のエポ
キシ基含有ポリエステル変性重合体の柔軟性が不十分と
なることがある。一方、前記質量比率の80/20より
も(b’)成分のビニル系単量体の質量又は(b’)成
分及び(c’)成分のビニル系単量体の合計質量の比率
が少なくなる場合には、(A)成分のエポキシ基含有ポ
リエステル変性重合体の硬度、耐薬品性、耐汚染性が低
下することがある。
【0028】なお、(b’)成分と(c’)成分との質
量比は、前記したものと同様である。(A)成分のエポ
キシ基含有ポリエステル変性重合体の製造方法に用いら
れるラジカル重合開始剤としては、例えば2,2'−アゾ
ビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス−2,4−
ジメチルバレロニトリル、4,4'−アゾビス−4−シア
ノ吉草酸、1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニ
トリル、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート等
のアゾ化合物、メチルエチルケトンペルオキシド、シク
ロヘキサノンペルオキシド、3,5,5−トリメチルヘキ
サノンペルオキシド、1,1−ビス(t−ブチルペルオキ
シ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−
ビス(t−ブチルペルオキシ)−シクロヘキサン、2,2
−ビス(t−ブチルペルオキシ)オクタン、t−ブチルヒ
ドロペルオキンド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペル
オキシド、ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペ
ルオキシド、イソブチルペルオキシド、ラウロイルペル
オキシド、ベンゾイルペルオキシド、ジイソプロピルペ
ルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシ2−エ
チルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシネオデカネ
ート、t−ブチルペルオキシラウレート、t−ブチルペル
オキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシソプロピル
カーボネート等の有機過酸化物が挙げられる。ラジカル
重合開始剤は単一種類を用いてもよいし、又は複数種類
用いてもよい。なお、本発明では(b’)成分を含むビ
ニル系単量体の重合反応と、(a)成分のカルボキシル
基と(b’)成分のエポキシ基間の反応とを同時に進行
する必要性から、上記のラジカル重合開始剤の中より、
10時間半減期温度か50℃以上のアゾ化合物、あるい
は有機過酸化物から選択することが好ましい。その様な
アゾ化合物あるいは有機過酸化物の例としては、2,2'
−アゾビスイソブチロニトリル、メチルエチルケトンペ
ルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、3,5,5
−トリメチルヘキサノンペルオキシド、1,1−ビス(t
−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘ
キサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘ
キサン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)オクタ
ン、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベ
ンゼンヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、t
−ブチルクミルペルオキシド、ラウロイルペルオキシ
ド、ベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシ2
−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシネオデ
カネート、t−ブチルペルオキシラウレート、t−ブチル
ペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシソプロ
ピルカーポネート等が挙げられる。これらのラジカル重
合開始剤の系においては必要に応じてジメチルアニリ
ン、硫酸第1鉄、塩化第1鉄、酢酸第1鉄等の第1鉄
塩、酸性亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ロン
ガリット等の還元剤を組み合わせても差し支えないが、
重合温度が低くなりすぎないように留意して選択する必
要がある。
【0029】本発明の(A)成分の製造において用いら
れる有機溶媒は(a)成分のカルボキシル基または
(b’)成分のエポキシ基と反応する官能基を有さない
ものが好ましい。本発明の(A)成分の製造において用
いられる有機溶媒の適当な例としては、例えばシクロヘ
キサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ト
ルエン、キシレン、エチルベンゼン、芳香族ナフサ等の
芳香族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソ
ホロン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−ブチ
ル、酢酸イソブチル、酢酸3−メトキシブチル、アジピ
ン酸ビス(2−エチルヘキシル)等のエステル系溶剤、
ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオ
キサン、1,3,5−トリオキサン等のエーテル系溶剤、
アセトニトリル、バレロニトリル、N,N−ジメチルホ
ルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド等の含窒素
系溶剤が挙げられる。有機溶媒は単独であっても、ある
いは複数種類の混合溶剤であっても差し支えない。この
際、エポキシ基含有ポリエステル変性重合体の不揮発成
分濃度は重合体の分散安定性を損なわない範囲において
任意に選ぶことができるが、通常不揮発成分濃度で10
〜70質量%である。なお、必要に応じて、(a)成分
のカルボキシル基と(b’)成分のエポキシ基間の反応
を促進する目的で、ルイス酸、三級アミン、アンモニウ
ム塩、ホスホニウム塩等の公知の反応触媒も1種又は複
数種組合せて用いることができる。
【0030】(A)成分のエポキシ基含有ポリエステル
変性重合体の製造に際して(a)成分及び(b’)成分
を含むビニル系単量体の混合方法、有機溶媒及びラジカ
ル重合開始剤の添加方法は任意であるが、重合熱、反応
熱をコントロールする目的で、(a)成分あるいはその
有機溶媒溶液を反応槽に仕込み撹拌しなから、滴下槽よ
り(b’)成分を含むビニル系単量体あるいはその有機
溶媒溶液を滴下する方法、又は(a)成分あるいはその
有機溶媒溶液、(b’)成分を含むビニル系単量体ある
いはその有機溶媒溶液の双方を滴下槽より滴下する方法
が好ましい。なお、上記(b’)成分を含むビニル系単
量体は、(b’)成分のエポキシ基を有するビニル系単
量体のみでもよいし、(b’)成分のエポキシ基を有す
るビニル系単量体と(c’)成分の他のビニル系単量体
との混合物でもよい。上記重合反応の重合温度はラジカ
ル重合開始剤の種類、併用する還元剤の有無、カルボキ
シル基とエポキシ基の反応触媒の有無によって異なる
が、50〜200℃の条件で行うことが好ましく、80
〜160℃の条件で行うことがさらに好ましい。重合温
度が50℃以下の場合には、(a)成分のカルボキシル
基と(b’)成分のエポキシ基の反応が十分に進行せ
ず、ビニル系単量体とポリエステル樹脂とが相分離し易
くなることがある。一方、200℃を越える場合には予
期せぬ解重合等の副反応が起こることがある。
【0031】本発明の(A)成分であるエポキシ基含有
ポリエステル変性重合体は、重合時の(a)成分の樹脂
酸価や分子量、(b’)成分、又は(b’)成分と
(c’)成分との混合物から成るビニル系単量体の重合
体の分子量や(b’)成分、又は(b’)成分と
(c’)成分との混合物から成るビニル系単量体の含
量、さらには溶剤の種類により透明な溶液となったり、
乳白色な分散液となったりする。このうち、乳白色な分
散液となるのは、生成するエポキシ基含有ポリエステル
変性重合体のポリエステル部分とビニル系単量体の重合
体部分がミクロ相分離しているためと考えられるが、本
発明の範囲内のエポキシ基含有ポリエステル変性重合体
においてはその分散液の安定性が優れており、貯蔵時の
安定性、製膜時の透明性、光沢に何ら問題が生じない。
本発明の塗装鋼板に用いられる上塗り塗料の(B)成分
として用いられる化合物は一般式(1)
【0032】
【化10】 (式中のR、R及びRはそれぞれ水素原子又は炭
素数1〜18の有機基、Rは炭素数1〜18の有機基
であって、RとRはたがいに結合してYをへテロ
原子とする複素環を形成していてもよく、Yは酸素原
子又はイオウ原子である)で表される官能基2個以上、
好ましくは2〜50個を1分子中に有する化合物であっ
て、前記一般式(1)で表される官能基は、カルボキシ
ル基と一般式(4)
【0033】
【化11】 (式中のR、R、R、R及びYは、前記と同
じ意味を持つ。)で表されるビニルエーテル化合物、ビ
ニルチオエーテル化合物あるいは酸素原子又はイオウ原
子をへテロ原子とするビニル型二重結合を持つ複素環式
化合物との反応により、容易に形成させることができ
る。前記一般式(1)及び(4)におけるR、R
びRは、それぞれ水素原子又は炭素数1〜18のアル
キル基、アリール基、アルカリール基などの有機基、R
は炭素数1〜18のアルキル基、アリール基、アルカ
リール基などの有機基であって、これらの有機基は適当
な置換基を有していてもよく、またRとR は、互い
に結合してYをへテロ原子とする置換基を有しない又
は有する複素環を形成していてもよい。R、R及び
の好ましいものとしては、水素原子、炭素数1〜1
0のアルキル基、アリール基、アルカリール基であり、
の好ましいものとしては、炭素数1〜10のアルキ
ル基、アリール基、アルカリール基である。
【0034】上記アルキル基の適当な具体例としては、
例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、
n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペン
チル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチ
ル−2−メチルブチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、
3−メチルペンチル、エチルブチル、n−ヘプチル、2
−メチルヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシ
ル、3−メチルヘプチル、n−ノニル、メチルオクチ
ル、エチルヘプチル、n−デシル、n−ウンデシル、n
−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘプタデシル、n
−オクタデシル基などが挙げられ、またこのアルキル基
には、シクロブチル基、シクロヘキシル基などのシクロ
アルキル基も含まれる。好ましいアルキル基は、炭素数
1〜10のアルキル基であり、具体的には、メチル、エ
チル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソ
ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチ
ル、ネオペンチル、tert−ペンチル、2−メチルブ
チル、n−ヘキシル、イソヘキシル、3−メチルペンチ
ル、エチルブチル、n−ヘプチル、2−メチルヘキシ
ル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、3−メチルヘ
プチル、n−ノニル、メチルオクチル、エチルヘプチ
ル、n−デシル及びシクロヘキシル基が挙げられる。ま
た、このアルキル基には、アラルキル基も含まれる。そ
の適当な具体例としては、ベンジル、1−フェニルエチ
ル、2−フェニルエチル、2−フェニルプロピル、3−
フエニルプロピル、4−フエニルブチル、5−フェニル
ペンチル、6−フエニルヘキシル、1−(4−メチルフ
ェニル)エチル、2−(4−メチルフェニル)エチル、
2−メチルペンチルなどが挙げられる。
【0035】上記アリール基及びアルカリール基の適当
な具体例としては、例えばフェニル、トリル、キシリ
ル、ナフチルなどのアリール基、4−メチルフェニル、
3,4−ジメチルフェニル、3,4,5−トリメチルフ
ェニル、2−エチルフェニル、n−ブチルフェニル、t
ert−ブチルフェニル、アミルフェニル、ヘキシルフ
ェニル、ノニルフェニル、2−tert−ブチル−5−
メチルフェニル、シクロヘキシルフェニル、クレジル、
オキシエチルクレジル、2−メチル−4−tert−ブ
チルフェニル、ドデシルフェニルなどのアルカリール基
などが挙げられ、好ましくは炭素数6〜10のフェニ
ル、トリル、キシリル、4−メチルフェニル、3,4−
ジメチルフェニル、3,4,5−トリメチルフェニル、
2−エチルフェニル、n−ブチルフェニル、tert−
ブチルフェニルなどのアリール基、アルカリール基が好
ましい。前記一般式(4)で表される化合物の具体例と
しては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテ
ル、イソプロピルビニルエーテル、n−プロピルビニル
エーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニ
ルエーテル−2−エチルヘキシルビニルエーテル、シク
ロヘキシルビニルエーテルなどの脂肪族ビニルエーテル
化合物及びこれらに対応する脂肪族ビニルチオエーテル
化合物、さらには2,3−ジヒドロフラン、3,4−ジ
ヒドロフラン、2,3−ジヒドロ−2H−ピラン、3,
4−ジヒドロ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2−
メトキシ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−4,4−
ジメチル−2H−ピラン−2−オン、3,4−ジヒドロ
−2−エトキシ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2
H−ピラン−2−カルボン酸ナトリウムなどの環状ビニ
ルエーテル化合物及びこれらに対応する環状ビニルチオ
エーテル化合物などが挙げられる。
【0036】該(B)成分の化合物は1分子中に2個以
上、好ましくは2〜50個のカルボキシル基を有する化
合物と、前記一般式(4)で表される化合物との反応に
より得ることができる。1分子中に2個以上のカルボキ
シル基を有する化合物としては、例えばコハク酸、アジ
ピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカメチレンジカ
ルボン酸などの炭素数2〜22の脂肪族ポリカルボン
酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリ
ット酸、ピロメリット酸などの芳香族ポリカルボン酸、
テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチル
ヘキサヒドロフタル酸などの脂環式ポリカルボン酸、及
び1分子中にカルボキシル基2個以上を有するポリエス
テル樹脂、アクリル樹脂、マレイン化ポリブタジエン樹
脂、更にはカルボキシル基含有シリコーンオイル、例え
ばX−22−162A、X−22−162C(いずれも
商品名、信越化学工業(株)製)などが挙げられる。ま
た、前記1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する
化合物は、例えば(1)1分子当たりヒドロキシル基2
個以上、好ましくは2〜50個を有するポリオールと酸
無水物とをハーフエステル化させる、(2)1分子当た
りイソシアネート基2個以上、好ましくは2〜50個を
有するポリイソシアネート化合物とヒドロキシカルボン
酸又はアミノ酸とを付加させる、(3)カルボキシル基
含有ビニル系単量体を単独重合又は他のビニル系単量体
と共重合させる、(4)カルボキシル基末端のポリエス
テル樹脂を合成する、などの方法により得られる。
【0037】前記1分子当たりヒドロキシル基2個以上
を有するポリオールとしては、例えばエチレングリコー
ル、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレ
ングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタ
ンジオール、2,3−ブタンジオール、1,6ヘキサン
ジオール、ジエチレングリコール、ペンタンジオール、
ジメチルブタンジオール、水添ビスフェノールA、グリ
セリン、ソルビトール、ネオペンチルグリコール、1,
8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタ
ノール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,
2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリ
オール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスリトール、キニトール、マニトール、
トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、ジペンタエ
リスリトールなどの多価アルコール類;これらの多価ア
ルコール類とγ−ブチロラクトンやε−カプロラクトン
などのラクトン化合物との開環付加体;該多価アルコー
ル類と、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン
ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、
イソホロンジイソシアネートなどのイソシアネート化合
物とのアルコール過剰下での付加体;該多価アルコール
類とエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレ
ングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニ
ルエーテル、ペンタンジオールジビニルエーテル、ヘキ
サンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサ
ンジメタノールジビニルエーテルなどのビニルエーテル
化合物とのアルコール過剰下での付加体;及び該多価ア
ルコール類とアルコキシシリコーン化合物、例えばKR−
213、KR−217、KR−9218(いずれも商品名、
信越化学工業(株)製)などとのアルコール過剰下での
縮合体などを挙げることができる。さらに、水酸基含有
シリコーンオイル、例えばX−2−2−160AS、KF−
6001(いずれも商品名、信越化学工業(株)製)が
挙げられる。
【0038】一方、これらのポリオールと反応させる酸
無水物としては、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピ
ン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカメチレンジカル
ボン酸、フタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、ピロ
メリット酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタ
ル酸などの多価カルボン酸の酸無水物体を挙げることが
できる。また1分子当たりイソシアネート基2個以上を
有するポリイソシアネート化合物としては、例えば、p
−フェニレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシア
ネート、トリレンジイソシアネート、3,3’−ジメチ
ル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,4
−テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジ
イソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサン−
1,6−ジイソシアネート、メチレンビス(フェニルイ
ソシアネート)、リジンメチルエステルジイソシアネー
ト、ビス(イソシアネートエチル)フマレート、イソホ
ロンジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシ
アネート、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソ
シアネートヘキサノエート及びこれらのビュレット体、
イソシアヌレート体などを挙げることができる。また、
ヒドロキシカルボン酸としては、例えば乳酸、クエン
酸、ヒドロキシピバリン酸、1,2−ヒドロキシステア
リン酸、リンゴ酸などを挙げることができ、アミノ酸と
しては、例えば、DL−アラニン、L−グルタミン酸、
グリシン、L−テアニン、グリシルグリシン、γ−アミ
ノカプロン酸、L−アスパラギン酸、L−チトルリン、
L−アルギニン、L−ロイシン、L−セリンなどを挙げ
ることができる。
【0039】さらに、カルボキシル基含有ビニル系単量
体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタ
コン酸、メサコン酸、マレイン酸、フマル酸などを挙げ
ることができ、他のビニル系単量体としては、例えば、
メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルア
クリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアク
リレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピル
アクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチ
ルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチ
ルアクリレート、イソブチルメタクリレート、sec−
ブチルアクリレート、sec−ブチルメタクリレート、
シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリ
レート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチル
ヘキシルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ス
テアリルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウ
リルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、
p−ビニルトルエン、アクリロニトリルなどを挙げるこ
とができる。また、該(B)成分の化合物は、アクリル
酸、メタクリル酸、イタコン酸、メサコン酸、マレイン
酸、フマル酸などのビニル系カルボン酸と前記一般式
(4)で表される化合物との反応生成物を単独重合させ
ることによっても得ることができるし、該反応生成物を
他の反応性官能基を持たないビニル系単量体と共重合さ
せることによっても得ることができる。この反応性官能
基を持たないビニル系単量体としては、例えばメチルア
クリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレー
ト、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレー
ト、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリ
レート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルアク
リレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアク
リレート、イソブチルメタクリレート、sec−ブチル
アクリレート、sec−ブチルメタクリレート、シクロ
ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレー
ト、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキ
シルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステア
リルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリル
メタクリレート、スチレン、o−メチルスチレン、p−
ビニルトルエン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化
ビニルなどを挙げることができる。
【0040】また、カルボキシル基末端のポリエステル
樹脂は、多価アルコールに対して多塩基酸過剰下での通
常のポリエステル樹脂の合成法に従い、容易に形成させ
ることができる。前記の1分子中にカルボキシル基2個
以上を有する化合物と前記一般式(4)で表される化合
物との反応は、通常酸性触媒の存在下、室温ないし10
0℃の範囲の温度において行われる。また、(B)成分
は、本発明の熱硬化性組成物の貯蔵安定性を損なわない
範囲で、前記一般式(1)と化学結合を形成しうる反応
性官能基を導入した自己架橋型化合物であることも可能
である。該反応性官能基としては、例えば、エポキシ
基、オキサゾリン基、シラノール基、アルコキシシラン
基、ヒドロキシル基、アミノ基、イミノ基、イソシアネ
ート基、ブロック化イソシアネート基、シクロカーボネ
ート基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基、ア
ミノメチロール基、アルキル化アミノメチロール基、ア
セタール基及びケタール基等が挙げられる。この様な自
己架橋型の化合物は1分子中にカルボキシル基1個以
上、好ましくは2〜50個と上記反応性官能基1個以
上、好ましくは2〜50個とを有する化合物を出発原料
とし、前記(B)成分の化合物の製法で説明したのと同
様な方法で製造することができるし、あるいは前記一般
式(1)で表される官能基を有する不飽和化合物と前記
の反応性官能基を有する不飽和化合物とを共重合させる
ことによっても製造することができる。本発明に用いら
れる上塗り塗料においては、この(B)成分の化合物は
1種用いてもよいし2種以上を組み合わせて用いてもよ
い。
【0041】本発明に用いられる上塗り塗料は、前記
(A)成分並びに(B)成分を必須成分としている。
(A)成分並びに(B)成分の混合比は、該組成物中の
前記一般式(1)で表される官能基と、これと化学結合
を形成しうるエポキシ基並びに場合によって導入される
(B)成分中の反応性官能基とが当量比0.2:1.0
ないし1.0:0.2の割合になるように各成分を含有
させることが望ましい。本発明の(B)成分の一般式
(1)で表される官能基は加熱下において、遊離カルボ
キシル基を再生し、(A)成分の反応性官能基と化学結
合を形成するものであるが、この反応の他に分子内分極
構造に基づく、いわゆる活性エステルとして(A)成分
のエポキシ基、あるいは(B)成分の反応性官能基に付
加反応を起こし得る。この際には、架橋反応時に脱離反
応を伴わないため、揮発性有機物質の排出低減にも貢献
することができる。本発明に用いられる上塗り塗料の
(C)成分は、下記一般式(2)
【0042】
【化12】 (式中、R、R、R及びRはそれぞれ水素原子
または炭素数1〜10の有機基であり、R及びR
それぞれ複数ある場合はそれぞれ同一であってもよい
し、異なってもよく、nは1である。)で表されるオル
ガノシリケート及び/又はその縮合物であり、反応式
(I)
【0043】
【化13】 (式中、Rは炭素数1〜10の有機基である。)に示さ
れるように、加水分解反応により親水性の高いシラノー
ル基を生成することを特徴としている。すなわち、本発
明では(C)成分が親水性の高いシラノール基を生成す
ることで、塗装鋼板の塗膜表面が親水性化し、降水等に
由来する水が塗膜と汚染物質との界面に浸透、流入し、
その水とともに汚染物質を洗い流すことで耐汚染性を発
現するものである。一般式(2)においてR、R
及びRで示される有機基の炭素数が10を越えた
オルガノシリケート及び/又はその縮合物を用いると、
上記反応式が遅い(加水分解性が低い)ため、親水性の
シラノール基の生成量が低く、塗膜の親水性が高くない
ため耐汚染性が劣る。一般式(2)において炭素数1〜
10の炭化水素基としては、例えばアルキル基、アリー
ル基などが挙げられ、これらの炭化水素基は適当な置換
基を有していても良い。
【0044】上記アルキル基の適当な具体例としては、
例えばメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピ
ル、n−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、
n−ペンチル、iso−ペンチル、ネオペンチル、n−
ヘキシル、iso−ヘキシル、n−オクチル基などが挙
げられるが、中でも炭素数1〜3の低級アルキル基はそ
の加水分解速度が速いことから、好適である。また、ア
リール基は、単環及び多環のいずれのタイプのものであ
ってもよく、例えばフェニル、トルイル、キシリル、ナ
フチル基などが挙げられるが、中でもフェニル基が好適
である。本発明で用いるオルガノシリケートの好ましい
具体例としては、例えばテトラヒドロキシシラン、テト
ラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロ
ポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキ
シシラン、ジメトキシジエトキシシランなどが挙げられ
る。これらのものは1種もしくは2種以上組合わせたも
のも使用できる。また、オルガノシリケートの縮合物と
しては、前記一般式(2)で表わされるオルガノシリケ
ートの1種又は2種以上を縮合して得られる分枝状もし
くは直鎖状の縮合物であって、縮合度が2〜100の直
鎖状のものが好ましい。この縮合度が100を越えると
耐汚染性の効果が小さくなり、また塗膜の加工性も低下
させるので好ましくない。本発明で用いるオルガノシリ
ケートの縮合物としては、縮合度が2〜50のものが特
に好ましい。(C)成分のオルガノシリケート及び/又
はその縮合物の配合割合は、熱硬化性組成物の樹脂固形
分100質量部当たり、約0.1〜50質量部、好まし
くは約1〜30質量部の範囲が好ましい。オルガノシリ
ケート及び/又はその縮合物の配合割合が約1質量部を
下回ると塗膜の耐汚染性が劣り、一方、約30質量部を
上回ると塗膜が堅くなり、加工性、光沢低下などの塗膜
物性の低下を生じる恐れがある。
【0045】本発明に用いられる上塗り塗料の(D)成
分はルイス酸であり、反応式(I)に示されるオルガノ
シリケート及びその縮合物の加水分解を促進する助触媒
として作用する有機金属化合物、金属キレート化合物、
有機金属石鹸又は金属ハロゲン化物である。(D)成分
のルイス酸の具体的な例として例えば三フッ化ホウ素、
三塩化アルミニウム、塩化第一チタン、塩化第二チタ
ン、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化亜鉛、臭化亜鉛、塩
化第一スズ、塩化第二スズ、臭化第一スズ、臭化第二ス
ズなどの金属ハロゲン化物;トリアルキルホウ素、トリ
アルキルアルミニウム、ジアルキルハロゲン化アルミニ
ウム、モノアルキルハロゲン化アルミニウム、テトラア
ルキルスズなどの有機金属化合物;ジイソプロポキシエ
チルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルア
セトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス
(エチルアセトアセテート)アルミニウム 、モノアセ
チルアセトナトビス(エチルアセトアセテート)アルミ
ニウム、トリス(n−プロピルアセトアセテート)アル
ミニウム、トリス(n−ブチルアセト アセテート)ア
ルミニウム、モノエチルアセトアセテート.ビス(アセ
チルアセトナト)アルミニウム、トリス(アセチルアセ
トナト)アルミニウム、トリス(プロピオニルアセトナ
ト)アルミニウム、アセチルアセトナト・ビス(プロピ
オニルアセトナト)アルミニウム、ジイソプロポキシビ
ス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロ
ポキシビス(アセチルアセトアセテート)チタニウム、
テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニ
ウム、テトラキス (アセチルアセトナト)ジルコニウ
ム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウ
ム、ジクロロ・ビス(アセチルアセトナト)スズ、ジブ
チル・ビス(アセチルアセトナト)スズ、トリス(アセ
チルアセトナト)鉄、トリス(アセチルアセトナト)ク
ロム、トリス(アセチルアセトナト)ロジウム、ビス
(アセチルアセトナト)亜鉛、トリス(アセチルアセト
ナト)コバルトなどの金属キレート化合物;ジブチルス
ズジラウレート、ジオクチルスズエステルマレート、ジ
ブチルスズビスイソノニル−3−メルカプトプロピオネ
ート、ジブチルスズイソオクチルチオグリコレート、ナ
フテン酸マグネシウム、ナフテン酸カルシウム、ナフテ
ン酸マンガン、ナフテン酸鉄、ナフテン酸コバルト、ナ
フテン酸銅、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸ジルコニウ
ム、ナフテン酸鉛、オクチル酸カルシウム、オクチル酸
マンガン、オクチル酸鉄、オクチル酸コバルト、オクチ
ル酸亜鉛、オクチル酸ジルコニウム、オクチル酸スズ、
オクチル酸鉛、オクチル酸ビスマス、ラウリン酸亜鉛、
ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウ
ム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸コバルト、
ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛などの有機金属石鹸
が挙げられる。これらのうち好ましいものは、ホウ素、
アルミニウム、スズ、チタン、亜鉛及びジルコニウムの
キレート化合物、有機金属石鹸、金属ハロゲン化物が挙
げられる。(D)成分の使用量は、上塗り塗料の(C)
成分100質量部あたり0〜20質量部、好ましくは0
〜10質量部である。この(D)成分の配合割合が20
質量部を超えると、加工性、光沢低下等の物性低下を生
じる恐れがある。
【0046】本発明に用いられる上塗り塗料は、その硬
化性をより促進する目的で、ルイス酸、プロトン酸等の
公知の酸触媒を広く添加することができる。これらの酸
触媒の中で好ましいものは、該組成物の長期にわたる貯
蔵安定性を良好に保ち、かつ低温にて短時間で硬化する
際、硬化反応を促進し、硬化物に良好な化学性能及び物
理性能を付与する目的で、加熱硬化時に活性を示す熱潜
在性酸触媒であることが好ましい。この(E)成分とな
る熱潜在性酸触媒は50℃以上の温度において、酸触媒
活性を示す化合物が好ましい。この熱潜在性酸触媒が5
0℃未満の温度で酸触媒活性を示す場合、得られる組成
物は貯蔵中に増粘したり、ゲル化するなど、好ましくな
い事態を招来するおそれがある。該(E)成分の熱潜在
性酸触媒としては、プロトン酸をルイス塩基で中和した
化合物、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイ
ス酸とトリアルキルホスフェートの混合物、スルホン酸
エステル類、リン酸エステル類、オニウム化合物類、及
び(I)エポキシ基を含有する化合物、(II)含イオウ
化合物、(III)ルイス酸から成る化合物又はそれらと
(IV)カルボン酸化合物及び/又は無水力ルボン酸化合
物からなる化合物がさらに好ましく挙げられる。
【0047】該プロトン酸をルイス塩基で中和した化合
物としては、例えばハロゲノカルボン酸類、スルホン酸
類、硫酸モノエステル類、リン酸モノ及びジエステル
類、ポリリン酸エステル類、ホウ酸モノ及びジエステル
類などを、アンモニア、モノエチルアミン、トリエチル
アミン、ピリジン、ピベリジン、アニリン、モルホリ
ン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、モノエ
チノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノール
アミンなどの各種アミン若しくはトリアルキルホスフイ
ン、トリアリールホスフイン、トリアルキルホスファイ
ト、トリアリールホスファイトで中和した化合物、さら
には、酸−塩基ブロック化触媒として市販されているネ
イキュア2500X、X−47−110、3525、5
225(商品名、キングインダストリー社製)などが挙
げられる。また、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合
物としては、例えばBF、FeCl、SnCl
AlCl、ZnClなどのルイス酸を前記のルイス
塩基で中和した化合物が挙げられる。あるいは上記ルイ
ス酸とトリアルキルホスフェートとの混合物も挙げられ
る。該スルホン酸エステル類としては、例えば一般式
(5)
【0048】
【化14】 (式中のR11はフェニル基、置換フェニル基、ナフチ
ル基、置換ナフチル基又はアルキル基、R12は一級炭
素又は二級炭素を介してスルホニルオキシ基と結合して
いる炭素数3〜18のアルキル基、アルケニル基、アリ
ール基、アルカリール基、アルカノール基、飽和若しく
は不飽和のシクロアルキル又はヒドロキシシクロアルキ
ル基である)で表される化合物、具体的にはメタンスル
ホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデ
シルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ノニ
ルナフタレンスルホン酸などのスルホン酸類と、n−プ
ロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−
オクタノールなどの第一級アルコール類又はイソプロパ
ノール、2−ブタノール、2−ヘキサノール、2−オク
タノール、シクロヘキサノールなどの第二級アルコール
類とのエステル化物、さらには前記スルホン酸類とオキ
シラン基含有化合物との反応により得られるγ−ヒドロ
キシアルキルスルホン酸エステル類などが挙げられる。
該リン酸エステル類としては、例えば一般式(6)
【0049】
【化15】 式中のR13は炭素数3〜10のアルキル基、シクロア
ルキル基又はアリール基、mは1又は2である)で表さ
れる化合物が挙げられ、より具体的には、n−プロパノ
ール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタ
ノール、2−エチルヘキサノールといった第一級アルコ
ール類、及びイソプロパノール、2−ブタノール、2−
ヘキサノール、2−オクタノール、シクロヘキサノール
といった第二級アルコール類のリン酸モノエステル類あ
るいはリン酸ジエステル類が挙げられる。 また該オニ
ウム化合物としては、例えば一般式(7)〜(10)
【0050】[RNR14 (7) [RPR14 (8) [ROR14 (9) [RSR14 (10) (式中のRは炭素数1〜12のアルキル基、アルケニル
基、アリール基、アルカリール基、アルカノール基又は
シクロアルキル基であって、2個のRはたがいに結合し
てN、P、0又はSをへテロ原子とする複素環を形成し
ていてもよく、R 14は水素原子、炭素数1〜12のア
ルキル基、アルケニル基、アリール基、アルカリール
基、XはSbF 、AsF 、PF又はBFであ
る)で表される化合物などが挙げられる。
【0051】(I)エポキシ基を含有する化合物、(I
I)含イオウ化合物、(III)ルイス酸から成る熱潜在性
酸触媒、又は前記(I)成分、(II)成分及び(III)
成分と(IV)カルボン酸化合物及び/又は無水力ルボン
酸化合物からなる熱潜在性酸触媒に使用される(I)エ
ポキシ基を含有する化合物の適当な具体例としては、エ
チレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシ
ドなどのアルケンから誘導される脂肪族モノエポキシド
化合物;シクロヘキセンオキシド、セロキサイド200
0(商品名、ダイセル化学工業(株)製)、セロキサイ
ド3000(商品名、ダイセル化学工業(株)製)、リ
カレジンE−8(商品名、新日本理化(株)製)、3,
4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,
4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートなど
のシクロアルケンから誘導される脂環式モノエポキシド
化合物;スチレンオキシド、スチルベンオキシドなど芳
香族環を有する芳香族モノエポキシド化合物;メチルグ
リシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、プロピ
ルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーブル、オ
クチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテ
ル、アリルグリシジルエーテル、ポリアルキレンオキシ
ドモノグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル
類、グリシジルイソブチレート、カージュラーE−10
(商品名、シェル社製)、グリシジルアクリレート、グ
リシジルメタクリレートなどのグリシジルエステル類;
サンソサイザーE−4030(商品名、新日本理化
(株)製)、サンソサイザーE−6000(商品名、新
日本理化(株)製)などのエポキシ系可塑剤;さらにグ
リシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ア
リルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキ
シルメチルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキ
シルメチルメタクリレートなどの単量体の単独重合体、
又は他の単量体との共重合体;ビスフェノール型エポキ
シ樹脂、ポリカルボン酸とエピクロルヒドリンあるいは
ポリオールとエピクロルヒドリンの反応によって得られ
るポリグリシジル化合物などのエポキシ基を有する高分
子化合物などが挙げられる。
【0052】この中で特に好ましいものとして、プロピ
レンオキシド、ブチレンオキシド、サンソサイザーE−
4030(商品名、新日本理化(株)製)、サンソサイ
ザーE−6000(商品名、新日本理化(株)製)、リ
カレジンE−8(商品名、新日本理化(株)製)、シク
ロヘキセンオキシド、セロキサイド3000(商品名、
ダイセル化学工業(株)製)、メチルグリシジルエーテ
ル、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエ
ーテル、ブチルグリシジルエーテル、カージュラーE−
10(商品名、シェル社製)などが挙げられる。グリシ
ジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリル
グリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシル
メチルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル
メチルメタクリレートなどの単量体の単独重合体、又は
他の単量体との共重合体も特に好ましいものとして挙げ
られる。ここで、(I)成分のエポキシ基を含有する化
合物が高分子化合物である場合、そのエポキシ含有量は
0.1〜7モル/kgの範囲が好ましく、特に0.35〜
5モル/kgの範囲が好ましい。該エポキシ基を含有す
る化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み
合わせて用いてもよい。
【0053】該熱潜在性酸触媒に使用される(II)含
イオウ化合物の適当な具体例としては、例えばジメチル
スルフィド、ジエチルスルフィド、ジ−n−プロピルス
ルフィド、ジ−n−ブチルスルフィド、ジ−n−ヘキシ
ルスルフィド、ジイソプロピルスルフィド、ジ−sec
−ブチルスルフイド、ジ−tert−ブチルスルフイ
ド、ジ−n−オクチルスルフィド、ジ−n−エチルヘキ
シルスルフィドなどのアルキルスルフィド類;2−(エ
チルチオ)エタノール、2,2'−チオジエタノール、ビ
ス(2−メトキシエチル)スルフィドなどのヒドロキシ
アルキルスルフィド及びその誘導体;ジフェニルスルフ
ィド、チオアニソールなどの芳香族環を有する含イオウ
化合物;メチルチオ酢酸メチル、メチルチオプロピオン
酸エチル、チオジプロピオン酸ジメチルなどカルボン酸
エステル部分を含む含イオウ化合物;チオジプロピオニ
トリルなどのニトリル基を含む含イオウ化合物;テトラ
ヒドロチオフェン、テトラヒドロチオピラン、1,2−
オキサチオラン、1,3−オキサチオラン、1,3−オキ
サチアン、1,4−オキサチアンなどの環状の含イオウ
化合物などが挙げられ、好ましくはジ−n−プロピルス
ルフィド、ジ−n−ブチルスルフィド、ジ−n−ヘキシ
ルスルフィド、ジイソプロピルスルフィド 、ジ−se
c−ブチルスルフィド、ジ−tert−ブチルスルフィ
ド、ジ−n−オクチルスルフィド、ジ−2−エチルヘキ
シルスルフィドなどのアルキルスルフィド類及び2−
(エチルチオ)エタノール、ビス(2−メトキシエチ
ル)スルフィド、メチルチオ酢酸メチル、メチルチオプ
ロピオン酸工チル、テトラヒドロチオフェン、1,4−
オキサチアンが挙げられる。 該(II)含イオウ化合物
は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わ
せて用いてもよい。
【0054】該熱潜在性酸触媒に使用される(III)ル
イス酸の適当な具体例としては、例えば三フッ化ホウ
素、三塩化アルミニウム、塩化第一チタン、塩化第二チ
タン、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化亜鉛、臭化亜鉛、
塩化第一スズ、塩化第二スズ、臭化第一スズ、臭化第二
スズなどの金属ハロゲン化物、トリアルキルホウ素、ト
リアルキルアルミニウム、ジアルキルハロゲン化アルミ
ニウム、モノアルキルハロゲン化アルミニウム、テトラ
アルキルスズなどの有機金属化合物;ジイソプロポキシ
エチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチル
アセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス
(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノアセチ
ルアセトナトビス(エチルアセトアセテート)アルミニ
ウム、トリス(n−プロピルアセトアセテート)アルミ
ニウム、トリス(n−ブチルアセト アセテート)アル
ミニウム、モノエチルアセトアセテート.ビス(アセチ
ルアセトナト)アルミニウム、トリス(アセチルアセト
ナト)アルミニウム、トリス(プロピオニルアセトナ
ト)アルミニウム、アセチルアセトナト・ビス(プロピ
オニルアセトナト)アルミニウム、ジイソプロポキシビ
ス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロ
ポキシビス(アセチルアセトアセテート)チタニウム、
テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニ
ウム、テトラキス (アセチルアセトナト)ジルコニウ
ム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウ
ム、ジクロロ・ビス(アセチルアセトナト)スズ、ジブ
チル・ビス(アセチルアセトナト)スズ、トリス(アセ
チルアセトナト)鉄、トリス(アセチルアセトナト)ク
ロム、トリス(アセチルアセトナト)ロジウム、ビス
(アセチルアセトナト)亜鉛、トリス(アセチルアセト
ナト)コバルトなどの金属キレート化合物;ジブチルス
ズジラウレート、ジオクチルスズエステルマレート、ナ
フテン酸マグネシウム、ナフテン酸カルシウム、ナフテ
ン酸マンガン、ナフテン酸鉄、ナフテン酸コバルト、ナ
フテン酸銅、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸ジルコニウ
ム、ナフテン酸鉛、オクチル酸カルシウム、オクチル酸
マンガン、オクチル酸鉄、オクチル酸コバルト、オクチ
ル酸亜鉛、オクチル酸ジルコニウム、オクチル酸スズ、
オクチル酸鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシ
ウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシ
ウム、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸亜鉛、ステ
アリン酸鉛などの有機金属石鹸が挙げられる。これらの
うち好ましいものは、ホウ素、アルミニウム、スズ、チ
タン、亜鉛及びジルコニウムのキレート化合物、有機金
属石鹸、金属ハロゲン化物が挙げられる。該(III)ル
イス酸は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み
合わせて用いてもよい。
【0055】該熱潜在性酸触媒に使用される(IV)カル
ボン酸化合物の適当な具体例としては、ギ酸、酢酸、プ
ロピオン酸、酪酸、2−エチルヘキシル酸、ラウリン
酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン
酸、アクリル酸、メタクリル酸、モノクロロ酢酸、ジク
ロロ酢酸、トリクロロ酢酸などの1価のカルボン酸化合
物;コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン
酸、セバシン酸、デカメチレンジカルボン酸、フタル
酸、マレイン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、テ
トラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘ
キサヒドロフタル酸、イタコン酸、メサコン酸、フマル
酸などの多価カルボン酸化合物;及びカルボキシル基含
有アクリル樹脂、カルボキシル含有ポリエステル樹脂な
どが挙げられる。この中でも比較的低分子量の1価又は
多価のカルボン酸化合物が好ましく、特に分子量が30
00以下の1価又は多価のカルボン酸化合物が好まし
い。 該熱潜在性酸触媒に使用される(IV)無水カルボ
ン酸化合物の適当な具体例としては、無水酢酸、無水プ
ロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水ラウリン
酸、無水ステアリン酸、無水オレイン酸、無水リノール
酸、無水リノレン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無
水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット
酸、無水イソ青草酸、無水n−カプロン酸、無水n−カ
プリル酸、無水n−カプリン酸、無水シトラコン酸、無
水グルタル酸、無水イタコン酸、無水クロレンド酸、無
水パルチミン酸、無水ミリスチン酸、無水テトラプロペ
ニルコハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水へキサ
ヒドロフタル酸、4−メチルヘキサヒドロフタル酸、無
水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルエンド
メチレンテトラヒドロフタル酸無水物、無水テトラクロ
ロフタル酸、無水3−ニトロフタル酸、無水モノクロロ
酢酸、無水ジクロロ酢酸、無水トリクロロ酢酸、無水ト
リフルオロ酢酸、無水へプタフルオロ酪酸などの低分子
無水力ルボン酸化合物及び無水力ルボキシル基含有アク
リル樹脂、無水カルボキシル基含有ポリエステル樹脂な
どの高分子無水カルボン酸化合物などが挙げられる。
【0056】この中で、特に好ましいものとしては、無
水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、
無水ラウリン酸、無水ステアリン酸、無水オレイン酸、
無水n−カプロン酸、無水n−カプリル酸、無水n−カ
プリン酸、無水パルチミン酸、無水ミリチン酸、無水モ
ノクロロ酢酸、無水ジクロロ酢酸、無水トリクロロ酢
酸、無水トリフルオロ酢酸、無水へプタフルオロ酢酸な
どが挙げられる。該(IV)カルボン酸化合物及び無水力
ルボン酸化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以
上を組み合わせてもよい。本発明に用いられる上塗り塗
料においては、該(E)成分の熱潜在性酸触媒は1種用
いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、
またその配合量は(A)成分、(B)成分との総不揮発
分量100質量部当たり、通常0.01〜20質量部の
範囲、好ましくは0.02〜10質量部の範囲で配合さ
れるように選ばれる。熱潜在性酸触媒の量が0.01質
量%未満では触媒量が少なすぎて反応を促進させる効果
が十分に発揮されない。また、熱潜在性酸触媒の量が2
0質量%を越えると、量のわりには反応を促進させる効
果の向上がみられず、むしろ上塗り塗料中に触媒が多量
に残存することにより、塗膜の物性が低下する場合があ
り好ましくない。
【0057】本発明の塗装鋼板に用いられる上塗り塗料
は、そのままであるいは必要に応じ、着色顔料、例えば
二酸化チタン、カーボンブラック、ベンガラ、チタンイ
エロー、酸化鉄、黄鉛、各種焼成顔料などの無機顔料、
シアニンブルー、シアニングリーン、キナクリドンレッ
ド等の有機顔料やタルク、クレー、シリカ、マイカ、ア
ルミナなどの体質顔料、アクリルビーズ、ナイロンビー
ズ、ガラス繊維、炭化珪素粉末、ベンゾグアナミン樹脂
粉末などの有機又は無機の骨材、添加剤、有機溶剤など
を必要に応じて配合することが出来る。この上塗り塗料
の場合、(A)成分と(B)成分との総不揮発分量10
0質量部当たり、顔料を0〜300質量部配合させるこ
とが好ましく、特に0〜180質量部配合させることが
好ましい。本発明の塗装鋼板は、前述の前処理を施し、
下塗り塗膜層が形成された亜鉛メッキ鋼板、アルミニウ
ム−亜鉛合金メッキ鋼板の表面に、上塗り塗料塗布した
後加熱硬化させることで得ることが出来る。この下塗り
塗料及び上塗り塗料の塗装方法としてはロールコータ
ー、フローコーター、ダイコーター、スプレー塗装など
が挙げられる。本発明の塗装鋼板の下塗り塗膜層の厚み
は、乾燥膜厚で通常3〜25μmにすればよく、好まし
くは3〜10μmであり、下塗り塗膜層は、到達板温が
通常120〜260℃で15〜120秒の範囲で、好ま
しくは160〜260℃で15〜90秒の範囲で加熱硬
化される。下塗り層は、エポキシ樹脂又はポリエステル
樹脂を主成分とする塗料で防錆顔料を含有する。
【0058】下塗り塗膜層の表面には、上塗り塗膜層を
形成する前に、中塗り塗膜層を形成してもよい。例え
ば、印刷等による意匠を付与する場合は、中塗り塗膜層
を形成し、その上に印刷を施すことができる。中塗り塗
膜層は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂及びポリエステル
樹脂から選ばれる1種又は2種以上を主成分とする塗料
により形成することが好ましい。中塗り塗膜層の厚み
は、乾燥膜厚で3〜50μmにすればよい。中塗り塗膜
層は、到達板温が通常100〜300℃で5秒〜5分の
硬化条件で行えばよく、好ましくは到達板温が160〜
260℃の温度で、15〜90秒の焼き付け条件で加熱
硬化させればよい。上塗り塗料による上塗り塗膜層の厚
みは、乾燥膜厚で3〜50μmにすればよく、上塗り塗
膜層は到達板温が通常100〜300℃で5秒〜5分の
硬化条件で行えばよく、好ましくは到達板温が140〜
300℃、特に好ましくは160〜260℃の温度で、
好ましくは15〜120秒、特に好ましくは15〜90
秒の焼き付け条件で加熱硬化させればよい。印刷を施し
た中塗り塗膜層の上に塗装する場合は、上塗り塗膜層は
クリアー層とするのが好ましい。これらの塗膜層は金属
板の少なくとも一面に形成すれば良く、両面に形成して
も良い。
【0059】
【実施例】以下に、本発明を実施例によりさらに詳細に
説明する。なお、本発明はこれらの実施例によってなん
ら制限されるものではない。なお、本発明の塗料組成物
により得られる塗膜の性能は次のようにして求めた。 (製造例1) ポリエステル樹脂(溶液)の合成 温度計、ディーンスターク(ポリエステル合成時の縮合
反応における水等を除去するための分留器)、還流冷却
器、窒素導入管、撹拌機を備えた4つ口フラスコに、イ
ソフタル酸463質量部、1,5−ペンタンジオール5
90質量部を仕込み、170℃から240℃に昇温しな
がら撹拌し、酸価が5mgKOH/g以下となるように
縮合反応を行った。次に無水フタル酸447質量部を仕
込み、140℃から240℃まで減圧しながら昇温・撹
拌し付加反応と縮合反応を行った。その後、キシレン3
50質量部を加えた結果、不揮発分80質量%、樹脂酸
価12.6mgKOH/g、数平均分子量5600のポ
リエステル樹脂の溶液を得た。なお、不揮発分測定条件
は、50℃、0.1mmHgで3時間である。
【0060】(製造例2〜4) (A)成分のエポキシ基含有ポリエステル変性重合体A
−1〜3の合成 温度計、還流冷却器、撹拌機、滴下ロートを備えた4つ
口フラスコに、それぞれ表1に示す初期仕込み溶剤、ポ
リエステル樹脂(またはその溶液)を仕込み、撹拌下で
加熱して溶液にし、120℃を保った。次に120℃の
温度で、表1に記載の組成の単量体、重合開始剤の混合
物(滴下成分)を2時間かけて滴下ロートにより等速滴
下した。滴下終了後120℃の温度を1時間保ち、その
後温度を100℃に下げ、表1に記載の組成の重合開始
溶液(追加触媒)を添加し、さらに100℃の温度を2
時間保ったところで反応を終了した。その結果、表1に
記載の特性を有するエポキシ基含有ポリエステル変性重
合体を得た。
【0061】
【表1】
【0062】表中の略号は以下の通りである。 GMA:グリシジルメタクリレート HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート BMA:n−ブチルメタクリレートMMA:メチルメタ
クリレートEHA:2−エチルヘキシルアクリレートB
PL:t−ブチルペルオキシラウレート AIBN:2,2‘−アゾビスイソブチロニトリル GK−150:東洋紡(株)製、カルボキシル基含有ポ
リエステル樹脂、樹脂酸価6.0mgKOH/g、数平
均分子量12,000
【0063】表中の物性の測定方法は、下記の方法に従
った。 (1)性状:目視によるエポキシ基含有ポリエステル変
性重合体の外観を示す。 (2)不揮発分:50℃、0.1mmHgで3時間乾燥
した残分を測定した。 (3)エポキシ当量:過剰の0.2N塩酸ジオキサン溶
液でエポキシ基の開環反応を行った後、未反応の塩酸を
0.1NKOHエタノール溶液にて逆滴定し、樹脂あた
りのエポキシ当量を算出した。 (4)粘度:20℃において、JIS K−5400
(1990)4.5.3回転粘度計法により測定した。 (5)キャスト膜の透明性:エポキシ基含有ポリエステ
ル変性重合体を透明なガラス板に流し塗りして、140
℃30分の乾燥条件で溶剤を蒸発させた後の外観を目視
にて確認した。 (6)貯蔵安定性:50℃の恒温槽に1ヶ月、エポキシ
基含有ポリエステル変性重合体の溶液または分散液を入
れて樹脂の分離・ゲル化などの以上の有無を確認した。
【0064】(製造例5)(B)成分化合物B−1の製
造(1)ポリカルボン酸B’−1の製造 温度計、還流
冷却器、撹拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに
下記成分を仕込み、撹拌下で加熱し120℃に昇温し
た。ペンタエリスリトール 136.0質量部メチルイソブチルケトン 53
8.7質量部 次いで、120℃を保ちながらメチルヘ
キサヒドロフタル酸無水物672.0質量部を2時間か
けて滴下し、混合物の酸価(ピリジン/水質量比=9/
1混合液で約50質量倍に希釈し、90℃で30分間加
熱処理した溶液を水酸化カリウム標準溶液で滴定)が、
170mgKOH/g以下になるまで加熱撹拌を継続す
ることによって、表2に記載の特性を有する4官能ポリ
カルボン酸化合物B’−1の溶液を得た。
【0065】(2)化合物B−1の製造 前記の方法で得られたポリカルボン酸化合物溶液を用い
て、前記と同様のフラスコ中に下記組成の混合物を仕込
み、50℃を保ちなから撹拌した。 前記(1)のポリカルボン酸化合物溶液 336.7質量部 イソブチルビニルエーテル 120.2質量部 35質量%塩酸 0.2質量部 メチルイソブチルケトン 46.3質量部 混合物の酸価が12mgKOH/g以下となったところ
で反応を終了し、放冷後分液ロートに生成物を移した。
得られた生成物は、分液ロート中で10質量%炭酸水素
ナトリウム水溶液100質量部でアルカリ洗浄後、洗浄
液のpHが7以下になるまで300質量部の脱イオン水
で水洗を繰り返した。その後、有機層中にモレキュラシ
ーブ 4A l/16を加え、室温で3日間乾燥するこ
とによって、表2に記載の特性を有する化合物B−1を
得た。
【0066】
【表2】 注)表中の上付き添え字付用語は、下記の意味を示す。 不揮発分1):50℃、0.1mmHgで3時間乾燥した
残分を測定した。 ガードナー粘度2)(25℃):JIS K−5400
(1990)4.5.1のガードナー型泡粘度計法によ
る。
【0067】(B)成分化合物B−2の製造 (製造例6) ビニル系単量体の製造 温度計、還流冷却器、撹拌機を備えた4つ口フラスコ
に、それぞれ表3の組成の混合物を仕込み、50℃を保
ちながら撹拌した。混合物の酸価が30mgKOH/g
以下となったところで反応を終了し、放冷後分液ロート
に生成物を移した。得られた生成物は分液ロート中で1
0質量%炭酸水素ナトリウム水溶液100質量部でアル
カリ洗浄後、洗浄液のpHが7以下になるまで300質
量部の脱イオン水で水洗を繰り返した。その後、有機層
中にモレキュラシーブ 4A l/16を加え、室温で
3日間乾燥することによって、表3に記載の特性を有す
るビニル系単量体を得た。
【0068】
【表3】 注)表中の上付き添え字付用語は、下記の意味を示す。 有効分含有量1):有効分はGPCより算出した。
【0069】(製造例7) 化合物B−2溶液の製造 温度計、還流冷却器、撹拌機を備えた4つ口フラスコ
に、それぞれ初期仕込み溶剤(キシレン)200質量部
を仕込み、撹拌下で加熱し、80℃を保った。次に表4
に記載の単量体及び重合開始剤混合物(滴下成分)を2
時間かけて滴下ロートより等速滴下した。滴下終了後、
80℃の温度を1時間保ち、表4に記載の重合開始剤溶
液(追加触媒)を加え、さらに80℃の温度を4時間で
保ったところで反応を終了し、表4に記載の特性を有す
る化合物B−2溶液を得た。
【0070】
【表4】 不揮発分1):50℃、0.1mmHgで3時間乾燥し
た残分を測定した。 ガードナー粘度2)(25℃):JIS K−5400
(1990)4.5.1 のガードナー型泡粘度計法による。
【0071】(E)成分熱潜在性酸触媒の製造 (製造例8) 熱潜在性触媒E溶液の製造 温度計、還流冷却器、撹拌機、滴下ロートを備えた4つ
口フラスコに、表5に記載の(I)成分のエポキシ基を
有する化合物、(III)成分のルイス酸を入れて室温で
撹拌した。次に(II)成分の含イオウ化合物を滴下し、
その後70℃で2時間撹拌した。さらに冷却放置し、室
温となったところで(IV)成分であるカルボン酸化合
物、無水カルボン酸化合物を添加し、室温で約1時間撹
拌することで熱潜在性触媒E溶液を得た。
【0072】
【表5】
【0073】(製造例9〜29) プレコートメタル用塗料の製造 表6、7、8に記載の成分のうち、(A)成分及び二酸
化チタンをサンドミルに入れて、二酸化チタンの粒度が
10μm以下になるまで分散した。その後、表6、7、
8に記載のその他の成分をそれぞれ添加混合し、塗料と
した。得られた塗料は、ソルベッソ#100(エッソ
(株)製:芳香族石油ナフサ)により、フォードカップ
No.4で120±10秒になるように粘度調整を行っ
た。
【0074】
【表6】
【0075】表中の略記号は以下の通りである。 MS51:三菱化学(株)製 メチルシリケート低縮合
物 MS56:三菱化学(株)製 メチルシリケート低縮合
物 MS57:三菱化学(株)製 メチルシリケート低縮合
物 MS58B15:三菱化学(株)製 変性メチルシリケ
ート低縮合物 MS58B30:三菱化学(株)製 変性メチルシリケ
ート低縮合物 エチルシリケート48:コルコート(株)製 エチルシ
リケート低縮合物 錫系助触媒1:日東化成(株)製 ネオスタンU−34
0 錫系助触媒2:日東化成(株)製 ネオスタンU−10
0 錫系助触媒3:日東化成(株)製 ネオスタンU−36
0 ビスマス系助触媒:日東化成(株)製 ネオスタンU−
600
【0076】
【表7】
【0077】
【表8】
【0078】(製造比較例1〜4) プレコートメタル用塗料の製造 表8に記載の成分のうち、(A)成分及び二酸化チタン
をサンドミルに入れて、二酸化チタンの粒度が10μm
以下になるまで分散した。その後、表8に記載のその他
の成分をそれぞれ添加混合し、塗料とした。得られた塗
料は、ソルベッソ#100(エッソ(株)製:芳香族石
油ナフサ)により、フォードカップNo.4で120±
10秒になるように粘度調整を行った。 (製造比較例5〜11) プレコートメタル用塗料の製造 表9記載の組成の各原料を添加混合しエナメル塗料を作
成した。得られた塗料はそれぞれ希釈シンナーを用い
て、フォードカップNo.4で120±10秒になるよ
うに粘度調整を行った。
【0079】
【表9】 プ/HD0030:プレカラーHD0030(登録商標 日本油脂
(株) ポリエステル樹脂塗料 白) プ/3800:プレカラーNO.3800(登録商標 日本油脂
(株) ポリエステル樹脂塗料 白) プ/HD0030クリヤー:プレカラーHD0030(商品名 日本
油脂BASFコーティングス(株) ポリエステル樹脂
塗料 クリヤー)
【0080】(実施例1〜26) 試験片の作成 表10〜16記載の鋼板素材に、表10〜16に示す下
塗り塗料、中塗り塗料及び上塗り塗料をロールコーター
を用いて記載の膜厚・焼き付け条件となるように順次塗
装した。なお、表10〜16において、素材、化成処
理、下塗り塗料及び中塗り塗料の略号は、以下に示すも
のである。 素材 GL:55%アルミ−亜鉛メッキ鋼板 メッキ付着量
AZ−120 板厚 0.35mm GF:5%アルミ−亜鉛メッキ鋼板 メッキ付着量 Y
18 板厚0.35mm GI:溶融亜鉛メッキ鋼鈑、メッキ付着量 Z−18
板厚0.3mm 化成処理 Cr:塗布型クロメート処理 非クロム:塗布型非クロム処理
【0081】塗料 HP−32:プレカラープライマーHP−32、商品
名、日本油脂BASFコーティングス(株)製エポキシ
塗料 FX−31:プレカラープライマーFX−31、商品
名、日本油脂BASFコーティングス(株)製ポリエス
テル塗料 CP21−0937:商品名、BASFコーティングス
(株)製 非クロム系防錆顔料使用ポリエステル塗料 プ/3300白:プレカラーNo.3300(商品名 日本油
脂BASFコーティングス(株) ポリエステル樹脂塗
料 白) プ/MX400白:プレカラーMX400(商品名 日本油脂BA
SFコーティングス(株) ポリエステルウレタン塗料
白)
【0082】
【表10】
【0083】
【表11】
【0084】
【表12】
【0085】
【表13】
【0086】
【表14】
【0087】
【表15】
【0088】
【表16】
【0089】なお、表中の塗膜の物性は、下記の測定方
法により測定した。 (i)耐屈曲性(1) 20℃の室温にて、幅5cmに
切断した試験片について、4Tでは試験片と同一の塗板
を4枚内側にはさみ、また、2Tでは試験片と同一の塗
板を2枚内側にはさみ塗膜を外側にして180度密着曲
げを行った。評価はその後セロハン粘着テープにて剥離
し、以下の基準で評価した。◎:剥離なし○:剥離が1
0%以下△:剥離が10%を超えて、50%未満×:剥
離が50%以上(ii)耐屈曲性(2) 20℃の室温
にて、幅5cmに切断した試験片について、6Tでは試
験片と同ーの塗板を6枚内側にはさみ、また、4Tでは
試験片と同一の塗板を4枚内側にはさみ塗膜を外側にし
て180度密着曲げを行った。評価は10倍ルーペで先
端部を観察し、以下の基準で評価した。 ◎:クラックなし 〇:クラックが10%以下 △:クラックが10%を超えて、50%未満 ×:クラックが50%以上 該ルーペ観察による耐屈曲性の判定は、耐屈曲性(1)
のセロハン粘着テープ剥離による判定方法に比較し、は
るかに厳しい判定である。
【0090】(iii)耐衝撃性(1) 衝撃変形試験器 JIS K−5400(1990)
8.3.2 デユポン式を用い、半径6.35mmの撃
ち型に試験片をはさみ、500gのおもりを40cmの
高さから落下させた際の塗膜の損傷を目視にて判定し
た。 (iv)耐衝撃性(2) 耐衝撃性(1)の試験方法に準じ、1000gのおもり
を40cmの高さから落下させた際の塗膜の損傷を目視
にて判定した。耐衝撃試験(1)による判定方法に比較
し、はるかに厳しい判定である。 (v)鉛筆引っかき値 JIS K−5400(1990)8.4.1(a)に
準じて鉛筆引っかき試験機で傷の発生しない鉛筆硬度を
求めた。 (vi)耐塩水噴霧性 JIS Z−2371及びK−5400(1990)
9.1に準じて、4T曲げ加工を施した試験片について
1000時間の塩水噴霧試験を行った。(イ)平面部の
ふくれ、白錆発生状況、(ロ)4T折り曲げ加工部分の
ふくれ、白錆発生状況、(ハ)クロスカット部の塗膜ふ
くれ、白錆の発生状況を観察し、以下の基準で判定を行
った。 ○:塗膜ふくれ、白錆の発生なし △:僅かに塗膜のふくれ又は白錆が認められる ×:明らかに塗膜のふくれ又は白錆が認められる
【0091】(vii)耐沸騰水性 JIS K−5400(1990)8.20に準じて試
験片を沸騰水に2時間浸せきした後、塗膜の異常を観察
し、以下の基準で判定した。 〇:塗膜に全く異常なし △:僅かに塗膜のふくれが認められる ×:明らかに塗膜のふくれが認められる (viii)耐候性 サンシャインカーボンアーク灯式 [JIS K−540
0(1990)9.8.1]を用いて1000時間暴露
後、塗膜の60度鏡面光沢度値[JIS K−5400
(1990)7.6鏡面光沢度]を測定し、未暴露時の
光沢値と比較した。 (ix)耐酸性 40質量%硫酸2mlを試験片上にスポット状に乗せ、
60℃で30分間加熱後、塗膜の異常を目視にて判定し
た。 (x)耐マジック汚染性 マジックインクを塗装面に塗布し、室温で48時間放置
した後、キシレンを浸した柔らかい布で塗布したマジッ
クインクを拭い去った後を目視で観察した。 (xi)耐カーボン汚染性 カーボンブラック/水:5/95(質量比)の割合の分散
液1mlを塗面上にのせ、20℃の恒温室内で24時間
放置後数回洗浄を行い、分散液を載せた部分の塗面の汚
れ跡の程度を目視にて観察し、以下の基準で判定した。 ◎:汚れ跡が見られない ○:汚れ跡がわずかに認められる △:汚れ跡がかなり残る ×:汚れ跡が濃く残る
【0092】(xii)接触角 得られたサンプルの試験片を水中に1時間浸漬し、エア
ーブローで表面の水を除去し、更に1時間乾燥させた
後、協和界面科学(株)製FACE自動接触角測定器
(CA−Z型)を用いて、接触角の測定を行った。 (xiii)屋外曝露試験 試験片(100×200×0.3mm)を軒先をモデル
化した設置台に、北側に塗膜を面するように取り付け、
横浜市戸塚の日本油脂(株)屋上にて曝露試験を行っ
た。耐汚染性、及び雨筋汚染性(雨筋上の汚れ跡)は曝
露前後の色差をJIS Z8370に基づいて測定及び
目視判定を以下の評価方法で行った。 (xiv)耐汚染性(ΔE) ○:2未満 △:2〜5未満 ×:5以上 ΔEはスガ試験機(株)製 多光源分光測色計MSC−
5Nで測定した。 (xv)雨筋汚染性 ◎:雨筋跡が見られない ○:雨筋跡がわずかに認められる △:雨筋跡がかなり残る ×:雨筋跡が濃く残る 表10〜13に示す通り、本発明の実施例1〜124に
よる塗膜を親水化した塗装鋼板は、親水化処理を行って
いない塗装鋼板と比較して、様々な物性を損なうことな
く耐汚染性に優れている。
【0093】
【発明の効果】本発明の塗装鋼板は、硬度、耐薬品性、
加工性、耐衝撃性、耐屈曲性、耐候性に優れ、特に耐汚
染性に優れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 220/26 C08F 220/26 4J031 220/38 220/38 4J100 283/02 283/02 C08G 63/91 C08G 63/91 81/02 81/02 // C08F 2/44 C08F 2/44 C (72)発明者 水谷 広樹 神奈川県茅ヶ崎市南湖1−8−33−301 (72)発明者 小糸 浩 大阪市中央区南本町4丁目1番1号 株式 会社淀川製鋼所内 (72)発明者 田中 功 大阪市中央区南本町4丁目1番1号 株式 会社淀川製鋼所内 Fターム(参考) 4D075 AE03 CA04 CA34 CA44 DB05 DB07 DC02 DC18 DC38 EA05 EB20 EB33 EB35 EB43 EC15 4F100 AB03A AB10A AB18A AB31A AH02C AH04C AH05C AH08C AK25D AK41B AK41C AK41D AK52C AK53B AK53C AK53D AL05C AL06C AL07C BA03 BA04 BA07 BA10A BA10C CA15B CA30C JA07C JL06 YY00C 4J011 AA05 BA04 BA05 DA04 HA03 PA88 PB40 PC02 PC08 4J026 AB07 AC23 AC33 BA16 BA27 BA30 BB02 DB02 DB09 DB12 DB15 GA01 GA08 GA09 GA10 4J029 AA01 AB01 AB07 AC01 AE11 FC00 FC08 FC14 FC38 JB143 JC343 JE153 JE223 KH01 4J031 AA24 AA49 AB02 AC03 AD01 AF12 4J100 AL02Q AL08P BA02P BA51P CA04 CA05 CA06 JA01

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】亜鉛メッキ鋼板及びアルミニウム−亜鉛合
    金メッキ鋼板から選択される鋼板の表面に、防錆顔料が
    配合されたエポキシ樹脂系またはポリエステル樹脂系塗
    料にて下塗り塗膜を形成し、この下塗り塗膜の表面に
    (A)(a)数平均分子量が1,500〜50,000
    であり、且つ樹脂酸価が2〜30mgKOH/gのカル
    ボキシル基含有ポリエステル樹脂からなる構成成分と、
    (b)(b’)エポキシ基を有するビニル系単量体の重
    合体または(b’)エポキシ基を有するビニル系単量体
    と(c’)他のビニル系単量体の共重合体であるエポキ
    シ基を有するビニル系重合体から成る構成成分からな
    り、(a)成分/(b)成分の質量比が1/99〜80
    /20であり、かつ(b)成分のエポキシ基の一部と
    (a)成分のカルボキシル基が当量比で0.1以下の割
    合で反応して結合された、エポキシ当量が200〜2,
    000g/molのエポキシ基含有ポリエステル変性重
    合体、(B)一分子中に、一般式(1) 【化1】 (式中のR、R及びRはそれぞれ水素原子又は炭
    素数1〜18の有機基、Rは炭素数1〜18の有機基
    であって、RとRはたがいに結合してYをへテロ
    原子とする複素環を形成していてもよく、Yは酸素原
    子又はイオウ原子である)で表される官能基2個以上を
    有する化合物、及び(C)一般式(2) 【化2】 (式中のR、R、R及びRはそれぞれ水素原子
    または炭素数1〜10の有機基であり、R及びR
    それぞれ複数ある場合はそれぞれ同一であってもよい
    し、異なってもよく、nは1である。)で表されるオル
    ガノシリケート及び/またはその縮合物を含有する上塗
    り塗料にて上塗り塗膜を形成してなることを特徴とする
    塗装鋼板。
  2. 【請求項2】(a)成分のカルボキシル基含有ポリエス
    テル樹脂が、ジカルボン酸とジオールに由来する構成単
    位から成る線状ポリエステル樹脂である請求項1に記載
    の塗装鋼板。
  3. 【請求項3】亜鉛メッキ鋼板及びアルミニウム−亜鉛合
    金メッキ鋼板から選択される鋼板の表面に、防錆顔料が
    配合されたエポキシ樹脂系またはポリエステル樹脂系塗
    料にて下塗り塗膜を形成し、この下塗り塗膜の表面に
    (A)(a)数平均分子量が1,500〜50,000
    であり、且つ樹脂酸価が2〜30mgKOH/gのカル
    ボキシル基含有ポリエステル樹脂成分及び有機溶媒の存
    在下で、(b’)エポキシ基を有するビニル系単量体ま
    たは(b’)エポキシ基を有するビニル系単量体と
    (c’)他のビニル系単量体の混合物を、ラジカル重合
    開始剤により重合して得られる重合体であって、(a)
    成分/(b’)成分、又は(a)成分/[(b’)成分
    +(c’)成分]の質量比が1/99〜80/20であ
    り、かつ(b’)または(b’)+(c’)成分からな
    る重合体のエポキシ基の一部と(a)成分のカルボキシ
    ル基が当量比で0.1以下の割合で反応して結合され
    た、エポキシ当量が200〜2,000g/molのエ
    ポキシ基含有ポリエステル変性重合体、(B)一分子中
    に、一般式(1) 【化3】 (式中のR、R及びRはそれぞれ水素原子又は炭
    素数1〜18の有機基、Rは炭素数1〜18の有機基
    であって、RとRはたがいに結合してYをへテロ
    原子とする複素環を形成していてもよく、Yは酸素原
    子又はイオウ原子である)で表される官能基2個以上を
    有する化合物、及び(C)一般式(2) 【化4】 (式中のR、R、R及びRはそれぞれ水素原子
    または炭素数1〜10の有機基であり、R及びR
    それぞれ複数ある場合はそれぞれ同一であってもよい
    し、異なってもよく、nは1である。)で表されるオル
    ガノシリケート及び/またはその縮合物を含有する上塗
    り塗料にて上塗り塗膜を形成してなることを特徴とする
    塗装鋼板。
  4. 【請求項4】(a)成分のカルボキシル基含有ポリエス
    テル樹脂が、ジカルボン酸とジオールに由来する構成単
    位から成る線状ポリエステル樹脂である請求項3に記載
    の塗装鋼板。
  5. 【請求項5】上塗り塗料が、さらに(D)加熱硬化時に
    オルガノシリケート及びその縮合物の加水分解を促す有
    機金属化合物、金属キレート化合物、有機金属石鹸又は
    金属ハロゲン化物を含有する請求項1〜4のいずれかに
    記載の塗装鋼板。
  6. 【請求項6】上塗り塗料が、さらに、(E)硬化時に活
    性を示す熱潜在性酸触媒を含有する請求項1〜5のいず
    れかに記載の塗装鋼板。
  7. 【請求項7】(E)成分の熱潜在性酸触媒がプロトン酸
    あるいはルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイ
    ス酸とトリアルキルホスフェートの混合物、スルホン酸
    エステル類、リン酸エステル類、オニウム化合物、及び
    (I)エポキシ基を含有する化合物、(II)含イオウ
    化合物、(III)ルイス酸から成る化合物又はそれら
    と(IV)カルボン酸化合物及び/又は無水力ルボン酸
    化合物から成る化合物の中から選ばれた少なくとも1種
    である請求項6に記載の塗装鋼板。
  8. 【請求項8】(B)成分がビニル系単量体の重合体であ
    る請求項1〜7のいずれかに記載の塗装鋼板。
  9. 【請求項9】(B)成分がポリエステル樹脂である請求
    項1〜7のいずれかに記載の塗装鋼板。
  10. 【請求項10】(B)成分が、1分子当たりヒドロキシ
    ル基2個以上を有するポリオールと酸無水物とをハーフ
    エステル化させて得られるポリカルボキシル化合物にビ
    ニルエーテルを反応させて得られる熱潜在性カルボキシ
    ル化合物である請求項1〜7のいずれかに記載の塗装鋼
    板。
  11. 【請求項11】下塗り塗膜の表面に、上塗り塗膜を形成
    する前に、エポキシ樹脂、アクリル樹脂及びポリエステ
    ル樹脂から選ばれる1種又は2種以上を主成分とする中
    塗り塗料にて中塗り塗膜を形成する請求項1〜10のい
    ずれかに記載の塗装鋼板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019102626A1 (ja) * 2017-11-21 2019-05-31 Dic株式会社 (メタ)アクリル変性ポリエステル樹脂、硬化性樹脂組成物、塗料及び塗装鋼板

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WO2019102626A1 (ja) * 2017-11-21 2019-05-31 Dic株式会社 (メタ)アクリル変性ポリエステル樹脂、硬化性樹脂組成物、塗料及び塗装鋼板

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