JP2003025124A - ドリル - Google Patents

ドリル

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JP2003025124A
JP2003025124A JP2001209587A JP2001209587A JP2003025124A JP 2003025124 A JP2003025124 A JP 2003025124A JP 2001209587 A JP2001209587 A JP 2001209587A JP 2001209587 A JP2001209587 A JP 2001209587A JP 2003025124 A JP2003025124 A JP 2003025124A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速乾式切削等の過酷な加工条件でも工具寿
命の短縮を防ぐとともに優れた切屑処理性を奏して円滑
かつ安定した穴明け加工が可能なドリルを提供する。 【解決手段】 軸線O回りに回転されるドリル本体1の
先端部外周に切屑排出溝3を形成し、この切屑排出溝3
のドリル回転方向Tを向く内壁面4には、その外周端1
3側に、ドリル回転方向Tに凸となる凸曲面部7を形成
し、この凸曲面部7の内周側に、凸曲面部7に滑らかに
連なってドリル回転方向T後方側に凹となる第1凹曲面
部8を形成し、切屑排出溝3のドリル回転方向T後方側
を向く内壁面9に、ドリル回転方向Tに凹となる第2凹
曲面部12を第1凹曲面部8に滑らかに連なるように形
成し、軸線Oに直交する断面において、第2凹曲面部1
2がなす凹曲線の曲率半径R4を、第1凹曲面部8がな
す凹曲線の曲率半径R2よりも大きくする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に高速乾式切削
のような過酷な加工条件下でも円滑かつ安定した穴明け
加工が可能なドリルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】このような乾式あるいは微量の切削油剤
しか用いない過酷な加工条件に対応することを目的とし
たドリルとしては、例えば特開2000−198011
号公報に記載されたようなものが提案されている。すな
わち、この公報記載のドリルでは、ドリル本体先端に形
成される切刃の外周側に、この切刃の中間部から角度を
つけてドリル回転方向に後退する外側コーナ切刃が形成
されるとともに、切屑排出溝とマージン部とから形成さ
れるリーディングエッジに上記コーナ切刃に続く直線形
状または曲線形状の面取り部が設けられており、この外
側コーナ切刃および面取り部とマージン部との交差角を
鈍角にすることができるため、上述のような加工条件で
も切刃や切屑排出溝の外周端に欠けが生じたりするのを
防ぐことが可能となる。また、このように切刃や切屑排
出溝の外周端側をドリル回転方向後方側に折曲させたド
リルとしては、例えば特公平4−46690号公報に記
載のように切刃外周側の第1、第2次直線稜を略V字状
の凸形状としたものも提案されており、この公報記載の
ドリルではさらにこの第2次直線稜の内周側を丸味を伴
った凹形状としている。さらに、このように切刃を凹形
状としたドリルとしては、例えば特公昭61−5824
6号公報などに、外周側の切刃部分の径方向すくい角が
0°〜正になるように凹曲線で結んだものも提案されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このうち、特公昭61
−58246号公報に記載のように外周側の切刃部分を
凹曲線としたものは、通常の加工条件では切屑のカーリ
ングによる処理も円滑で安定した穴明けが可能であるも
のの、切屑排出溝のドリル回転方向を向く内壁面のマー
ジン部との交差角が鋭角となってドリル本体の強度が不
足するため、高速乾式切削のような過酷な条件下では直
ぐにこの内壁面の外周端側に欠けやチッピングが発生し
てしまい、工具寿命が極めて短期で費えてしまう。一
方、特開2000−198011号公報や特公平4−4
6690号公報に記載のようにこの切屑排出溝の内壁面
の外周端側に面取り部を設けたものや、切刃の外周端側
をV字状の凸形状とするのに伴い切屑排出溝の外周端側
も断面凸V字状とされたものでは、切屑排出溝のマージ
ン部との交差角を鈍角にすることができて欠けやチッピ
ングの発生は抑えられるものの、切刃によって生成され
た切屑は、そのうちこれら切屑排出溝内壁面の上記面取
り部や凸V字の外周側に流れた部分が外周側へと流出し
ようとするため、切屑全体としてのカーリング性が悪く
なってしまい、こうして十分にカールされない切屑が切
屑排出溝のドリル回転方向後方側を向く内壁面に強く押
し付けられてしまうことにより、ドリル本体に大きな抵
抗が与えられて摩耗が促進されたり加工時のドリル回転
駆動力の増大を招いたりするおそれがある。
【0004】本発明は、このような背景の下になされた
もので、高速乾式切削等の過酷な加工条件でも工具寿命
の短縮を防ぐとともに優れた切屑処理性を奏して円滑か
つ安定した穴明け加工が可能なドリルを提供することを
目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決して、こ
のような目的を達成するために、本発明は、軸線回りに
回転されるドリル本体の先端部外周に後端側に向けて延
びる切屑排出溝が形成され、この切屑排出溝のドリル回
転方向を向く内壁面と上記ドリル本体の先端逃げ面との
交差稜線部に切刃が形成されてなるドリルであって、上
記切屑排出溝のドリル回転方向を向く内壁面には、その
外周端側に、ドリル回転方向に凸となる凸曲面状をなす
凸曲面部を形成するとともに、この凸曲面部の内周側に
は、該凸曲面部に滑らかに連なってドリル回転方向後方
側に凹となる曲面状をなす第1凹曲面部を形成する一
方、上記切屑排出溝のドリル回転方向後方側を向く内壁
面には、ドリル回転方向に凹となる曲面状をなす第2凹
曲面部を上記第1凹曲面部に滑らかに連なるように形成
し、上記軸線に直交する断面において、上記第2凹曲面
部がなす凹曲線の曲率半径を、上記第1凹曲面部がなす
凹曲線の曲率半径よりも大きくしたことを特徴とする。
【0006】従って、このように構成されたドリルにお
いては、まず切屑排出溝の外周端側にドリル回転方向に
凸となる凸曲面部が形成されているため、この凸曲線面
部の外周側、すなわちドリル本体外周のマージン部との
交差部ではその交差角を大きくして十分な強度を確保す
ることができ、上述のような加工条件でも欠けやチッピ
ングの発生を防止することができる。そして、この凸曲
線面部の内周側には、ドリル回転方向後方側に凹となる
第1凹曲面部が滑らかに連なるように形成されており、
この第1凹曲面部に切屑を摺接させることにより、凸曲
面部に流出した外周側の部分ごと切屑の全体を内周側に
巻き込むようにしてカールさせることができる一方、切
屑排出溝のドリル回転方向後方側を向く内壁面にはドリ
ル回転方向に凹となる第2凹曲面部が第1凹曲面部と滑
らかに連なるように形成されていて、この第2凹曲面部
の曲率半径が第1の凹曲面部の曲率半径よりも大きくさ
れているので、こうして全体的にカールされた切屑を、
切屑排出溝のドリル回転方向後方側を向く内壁面側に強
く押し付けすぎたりることなく円滑に流出させることが
可能となり、加工時のドリル本体への抵抗を抑えて摩耗
の低減やドリル回転駆動力の軽減を図ることができる。
なお、このときこれら第1、第2凹曲面部の曲率半径は
それぞれにおいて一定でもよく、すなわち上記断面にお
いて第1、第2凹曲面部が半径の異なる円弧を1の接点
で互いに滑らかに接するようにした形状であってもよ
く、また第1凹曲面部側から第2凹曲面部側に向けて曲
率半径が漸次大きくなるように、例えば上記断面におい
て楕円状やトロコイド、サイクロイド、インボリュート
等の各種曲線状を呈するようにされていてもよい。
【0007】ただし、この場合、上記第1凹曲面部のド
リル回転方向後方側への凹みが小さすぎると、切屑の摺
接による十分なカーリングが図られなくなるおそれがあ
る一方、逆にこの凹みが大きすぎると、切屑の摺接によ
るブレーキング作用が強くなりすぎ、切屑が潰れて排出
性が損なわれたりドリル駆動力の増大を招いたりするお
それがある。また、上記第2凹曲面部についても、ドリ
ル回転方向への凹みが小さすぎると、第1凹曲面部から
流れた切屑がこの第2凹曲面部に強く押し付けられて大
きなブレーキング作用が生じるおそれがある一方、逆に
この凹みが大きすぎると、切屑が第1凹曲面部との摺接
だけによってカーリングさせられることになって、十分
にカールさせられなくなるおそれがある。このため、こ
れら第1、第2凹曲面部の凹みは、上記軸線に直交する
断面において、該軸線と上記ドリル回転方向を向く内壁
面の外周端とを結ぶ第1仮想直線からの上記第1凹曲面
部の凹み量L1を、上記切刃の外径Dに対して−0.0
6×D〜0の範囲に設定するとともに、上記第1仮想直
線に上記軸線において交差する第2仮想直線からの上記
第2凹曲面部の凹み量L2を−0.06×D〜0.06
×Dの範囲に設定するのが望ましい。
【0008】さらに、こうして切屑排出溝の内壁面に滑
らかに連なる凸曲面部と第1,第2凹曲面部とを形成し
た場合、上記軸線に直交する断面においてまず上記凸曲
面部がなす凸曲線の曲率半径は、これが大きすぎると切
屑のカーリングが不十分となるおそれがある一方、逆に
小さすぎるとマージン部との交差部における十分な強度
確保が図られなくなるおそれが生じるので、切刃の外径
Dに対して0.1×D〜0.8×Dの範囲に設定される
のが望ましい。また、上記軸線に直交する断面において
第1凹曲面部がなす凹曲線の曲率半径については、これ
が大きすぎると切屑を摺接させることによって十分にカ
ールさせることができなくなるおそれがある一方、逆に
小さすぎると切屑が急激にカールさせられてブレーキン
グ作用が大きくなりすぎるおそれが生じるので、切刃の
外径Dに対して0.18×D〜0.35×Dの範囲に設
定されるのが望ましい。さらに、軸線に直交する断面に
おいて第2凹曲面部がなす凹曲線の曲率半径について
も、これが大きすぎると切屑はこの第2凹曲面部には摺
接しなくなって第1凹曲面部によってのみカールさせら
れるようなこととなる一方、逆に小さすぎると切屑の第
2凹曲面部への摺接が強くなりすぎてやはり大きなブレ
ーキング作用が生じることとなるので、切刃の外径Dに
対して0.2×D〜0.5×Dの範囲に設定されるのが
望ましい。さらにまた、上述のようにカールさせられた
切屑の円滑な排出を促しつつも、ドリル本体の剛性を十
分に確保するには、このドリル本体の芯厚を、上記切刃
の外径Dに対して0.15×D〜0.3×Dの範囲に設
定するのが望ましい。さらにまた、ドリル本体の少なく
とも先端部の表面に、TiN、TiCN、TiAlN等
の硬質皮膜を被覆すれば、このドリル本体先端部の耐摩
耗性の向上を図ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】図1ないし図3は、本発明の一実
施形態を示すものである。本実施形態においてドリル本
体1は、超硬合金等の硬質材料により軸線Oを中心とし
た略円柱状に形成されており、その先端部には、先端逃
げ面2から後端側に向かうに従い一定の捩れ角でドリル
回転方向Tの後方側に捩れる一対の切屑排出溝3,3が
軸線Oに対して対称に形成されていて、これらの切屑排
出溝3,3のドリル回転方向T側を向く内壁面4,4と
上記先端逃げ面2との交差稜線部にそれぞれ切刃5,5
が形成されている。なお、このドリル本体1先端部に
は、その外周面や先端逃げ面2、切屑排出溝3に、Ti
N、TiCN、TiAlN等の硬質皮膜が被覆されてい
る。
【0010】ここで、上記内壁面4は、その外周側に位
置してマージン部6に交差し、軸線Oに直交する断面に
おいて図2に示すようにドリル回転方向Tに凸となる凸
曲線をなす第1の凸曲面部7と、この第1凸曲面部7の
内周側に位置して、上記断面においてドリル回転方向T
の後方側に凹む凹曲線状をなす第1凹曲面部8とから構
成されており、これら第1の凸凹曲面部7,8の断面が
なす上記凸凹曲線は接点P1において滑らかに接するよ
うに連ねられている。また、本実施形態では切屑排出溝
3のドリル回転方向T後方側を向く内壁面9も、その外
周側に位置してヒール部10に達し、上記断面がドリル
回転方向T後方側に凸となる凸曲線をなす第2凸曲面部
11と、この第2凸曲面部11の内周側に位置してその
断面がドリル回転方向T側に凹む凹曲線状をなす第2凹
曲面部12とから構成され、これら第2の凸凹曲面部1
1,12がなす上記凸凹曲線も接点P2において滑らか
に接するように連ねられるとともに、両内壁面4,9の
第1、第2凹曲面部8,12同士も、その断面がなす凹
曲線が接点P3において滑らかに接して連なるようにさ
れている。なお、上記マージン部6からドリル回転方向
T後方側に上記ヒール部10に至るランド部の外周面
は、マージン部6から一段内周側に後退した円筒面状に
形成されている。
【0011】さらに、本実施形態では、上記断面におい
て、第1、第2の凸凹曲面部7,8,11,12がなす
凸凹曲線がそれぞれ点C1〜C4を中心とした半径R1
〜R4の円弧となるようにされており、このうち第1凸
曲面部7がなす凸円弧の中心C1は、この第1凸曲面部
7とマージン部6との交点すなわち上記内壁面4の外周
端13において該マージン部6に接する直線Q1よりも
内周側に位置させられるとともに、第2凸曲面部11が
なす円弧の中心C3は、上記外周端13が軸線O回りに
なす円と第2凸曲面部11がなす円弧の延長線との交点
14において上記円に接する直線Q2よりもやはり内周
側に位置させられている。従って、上記第1凸曲面部7
は、軸線Oと内壁面4の外周端13とを結ぶ第1仮想直
線S1よりもドリル回転方向T側に凸となって、この外
周端13における第1凸曲面部7の接線は、外周側に向
かうに従いドリル回転方向T後方側に延びるように第1
仮想直線S1に対して傾斜させられるとともに、この第
1仮想直線S1と直交する上記直線Q1とは鈍角をなし
て交差させられる。また、第2凸曲面部11も、ヒール
部10との交点と軸線Oとを結ぶ直線よりもドリル回転
方向T後方側に凸となるようにされている。一方、第
1、第2凹曲面部8,12がなす円弧の中心C2,C4
は、これらの円弧が接点P3で接していることから、両
者とも軸線Oからこの接点P3を通る直線の延長線上に
位置することとなる。さらに、この接点P3が切屑排出
溝3の溝底となることから、本実施形態では軸線Oを中
心としてこの接点P3を通る円がドリル本体1の芯厚円
となり、この芯厚円の直径すなわちドリル本体1の芯厚
dは、上記切刃5の外周端15が軸線O回りになす円の
直径すなわち切刃5の外径Dに対し、0.15×D〜
0.3×Dの範囲に設定されている。
【0012】なお、第1凸凹曲面部7,8がなす凸凹曲
線の接点P1は、軸線Oを中心として上記切刃5の外径
Dの2/3の直径を有する円よりも外周側に位置させら
れており、より望ましくは軸線Oを中心として外径Dの
5/6の直径を有する円よりも外周側に位置させられ
る。また、第1凹曲面部8のドリル回転方向T後方側へ
の凹みの大きさは、上記第1仮想直線S1からの凹み量
L1が切刃5の外径Dに対して−0.06×D〜0の範
囲に設定されるとともに、第2凹曲面部12のドリル回
転方向T側への凹みの大きさは、上記断面において第1
仮想直線S1に軸線Oで直交する第2仮想直線S2から
の凹み量L2が−0.06×D〜0.06×Dの範囲と
なるように設定されている。ただし、これらの凹み量L
1,L2は、それぞれ上記断面において第1、第2仮想
直線S1,S2に平行で第1、第2凹曲面部8,12が
なす凹曲線に接する直線と第1、第2仮想直線S1,S
2との間の距離とされており、かつ図2に示すように、
第1凹曲面部8の凹み量L1については第1仮想直線S
1からドリル回転方向T側を正、後方側を負とし、逆に
第2凹曲面部12の凹み量L2については第2仮想直線
S2からドリル回転方向T側を負、後方側を正としてい
る。従って、本実施形態においては、第1凹曲面部8の
全体が上記第1仮想直線S1よりもドリル回転方向T側
に位置することはない。
【0013】さらに、上記断面において第1、第2凸凹
曲面部7,8,11,12がなす円弧の半径R1〜R4
は、切刃5の外径Dに対し、第1凸曲面部7の半径R1
が0.1〜0.8×Dの範囲に、第1凹曲面部8の半径
R2が0.18〜0.35×Dの範囲に、第2凸曲面部
11の半径R3が0.1〜0.8×Dの範囲に、第2凹
曲面部12の半径R4が0.2〜0.5×Dの範囲に、
それぞれ設定されている。そして、本実施形態では、こ
のうち第2凹曲面部12の半径R4が、第1凹曲面部8
の半径R2よりも大きくされている。なお、こうして形
成された切屑排出溝3の溝幅比は、本実施形態では0.
8〜1.2:1の範囲とされている。
【0014】一方、このような切屑排出溝3の上記内壁
面4と先端逃げ面2との交差稜線部に形成される切刃5
においては、この内壁面4が上記第1凸凹曲面部7,8
によって形成されることにより、その外周端15側に
は、ドリル回転方向Tに凸となる曲線状をなす凸曲線状
切刃部16が形成されてその後端側に上記第1凸曲面部
7が連なるとともに、この凸曲線状切刃部16の内周側
には、ドリル回転方向Tの後方側に凹となる曲線状をな
して凸曲線状切刃部16に滑らかに接して連なる凹曲線
状切刃部17が形成され、その後端側に上記第1凹曲面
部8が連なることになって、これら凸凹曲線状切刃部1
6,17間で切刃5は軸線O方向先端視に緩やかに湾曲
するS字状を呈することとなる。ただし、この切刃5に
は、先端逃げ面2が内周側から外周側に向かうに従いド
リル本体1の後端側に向けて傾斜させられることにより
先端角が付されており、これと切屑排出溝3が螺旋状に
捩れていることとから、この切刃5の凸凹曲線状切刃部
16,17が軸線O方向先端視においてなす上記S字状
の凸凹曲線は、内壁面4の第1凸凹曲面部7,8が軸線
Oに直交する断面においてなす凸凹曲線が、内周側に向
かうに従いドリル回転方向T側に漸次ずれたような形状
をなすこととなる。従って、この軸線O方向先端視にお
いて上記凸曲線状切刃部16は、その外周端15におけ
る接線が、上記断面において第1凸曲面部7がなす凸曲
線の外周端13における接線よりも大きな傾斜で外周側
に向かうに従いドリル回転方向T後方側に延びるように
されるとともに、マージン部6との交差角も第1凸曲面
部7がなす鈍角より大きくされ、これにより切刃5が上
記外周端15においてなす径方向すくい角αは負角側に
設定される。
【0015】一方、切屑排出溝3の内壁面4,9の先端
側には、上記第1凹曲面部8の内周側から第2凹曲面部
12および第2凸曲面部11までの先端逃げ面2との交
差稜線部分を、ドリル本体1の後端側に向かうに従い切
屑排出溝3の内側に向けて切り欠くようにして、ヒール
部10に達するシンニング部18が形成されており、従
って切刃5の内周端側は、このシンニング部18と先端
逃げ面2との交差稜線部に形成されて、上記凹曲面状切
刃部17の内周端から先端逃げ面2の中心の上記軸線O
に向けて延びるシンニング切刃部19とされている。な
お、切刃5においてこのシンニング切刃部19と上記凹
曲線状切刃部17とが交差する部分は、軸線O方向先端
視にドリル回転方向Tに凸となる曲線または直線によっ
て滑らかに接続されている。
【0016】ここで、このシンニング部18のうち、切
屑排出溝3の内壁面4,9に交差して先端側に延びる部
分は第1シンニング部20とされており、この第1シン
ニング部20は、ドリル回転方向T後方側を向く切屑排
出溝3の内壁面9と交差してヒール部10側に延びる部
分においては平面状に形成される一方、この内壁面9と
ドリル回転方向T側を向く内壁面4とが交差する部分、
すなわち上記第1、第2凹曲面部8,12の接点P3部
分から、先端逃げ面2の中心に向けて延びる部分は、図
3に示すようにこの先端逃げ面2の中心に向かう方向か
ら見た場合に凹曲面状の谷形をなすように形成されてお
り、その凹曲する谷底部21は、上記内壁面4,9に対
してドリル本体1の内周側に後退するように傾斜しつ
つ、切刃5の内周端すなわちシンニング切刃部19の内
周端に向けて先端側に延びるように形成されている。な
お、この第1シンニング部20の凹曲する谷底部21が
その断面においてなす凹曲線の曲率半径は、0.1〜
0.5mmの範囲に設定されている。また、この谷底部2
1の断面がなす凹曲線の曲率半径は、後端側に向かうに
従い大きくなるようにされていてもよい。
【0017】さらに、この第1シンニング部20の最先
端の上記谷底部21が切刃5の内周端に達しようとする
部分には、この谷底部21に対してさらにドリル本体1
の内周側に後退するように一段傾斜しつつ切刃5内周端
側に向けて延びる谷形の第2シンニング部22が形成さ
れており、先端逃げ面2の中心の軸線O近傍においては
この第2シンニング部22が先端逃げ面2に交差してそ
の交差稜線部上に切刃5の内周端が形成される。ここ
で、この第2シンニング部22の谷底部の曲率半径は、
第1シンニング部20の谷底部21の曲率半径よりも小
さく、0.1mm未満とされており、場合によっては曲率
半径が0、すなわちこの谷底部が凹湾曲しないV字谷状
に形成されていてもよく、さらに第1シンニング部20
の谷底部21と同様にドリル本体1の後端側に向かうに
従い大きくなるようにされていてもよい。また、このよ
うに第1シンニング部20よりもさらに一段傾斜する第
2シンニング部22と先端逃げ面2との交差稜線部に切
刃5の内周端が形成されることにより、ドリル本体1先
端の一対の切刃5,5間の間隔すなわち先端逃げ面2の
中心に画成されるチゼルの幅は、第1シンニング部20
をそのまま先端逃げ面2に交差させて切刃5の内周端を
形成するのに比べて狭くなり、このチゼル幅は本実施形
態では0〜0.2mmの範囲とされていて、すなわちこれ
ら切刃5,5の内周端が軸線O上で一致するようにされ
ていてもよい。
【0018】このように構成されたドリルにおいては、
まず、切屑排出溝3のドリル回転方向Tを向く内壁面4
の外周端13側に第1凸曲面部7が形成されており、こ
れによりこの外周端13における切屑排出溝3の上記内
壁面4とマージン部6との交差角を大きくすることがで
きて、該外周端14周辺のドリル本体1の強度を確保す
ることができるので、高速乾式切削等の過酷な加工条件
においても、この外周端13周辺に欠けやチッピングが
生じて工具寿命が短縮されたりするような事態を防止す
ることができる。また、この第1凸曲面部7の内周側に
は、この第1凸曲面部7に滑らかに連なるように第1凹
曲面部8が形成されており、第1凸曲面部7上に流れた
切屑の外周側部分が外周側に流出しようとしても、この
第1凹曲面部8上に流れた切屑内周側部分が該第1凹曲
面部8に摺接しつつ押し付けられることにより、切屑を
全体的に内周側に巻き込むようにして巻き癖をつけ、小
さくカールさせることができる。
【0019】そして、さらに上記構成のドリルでは、こ
の第1凹曲面部8とは反対側のドリル回転方向T後方側
を向く切屑排出溝3の内壁面9の内周側に、該第1凹曲
面部8とは逆にドリル回転方向Tに凹となる第2凹曲面
部12が滑らかに連なるように形成されるとともに、こ
の第2凹曲面部12が軸線Oに直交する断面においてな
す凹曲線の曲率半径R4が、第1凹曲面部8がなす凹曲
線の曲率半径R2よりも大きくされているので、上述の
ように第1凹曲面部8によって小さくカールされた切屑
がこの第2凹曲面部12に必要以上にさらに強く押し付
けられて潰されたりするようなことはなく、切屑の流れ
を阻害せずに円滑に排出することが可能となる。また、
こうして切屑が第2凹曲面部12に強く押し付けられす
ぎることがないため、この切屑の擦過によって切屑排出
溝3の内壁面9の摩耗が促進されたり、ドリル回転駆動
力の増大を招いたりすることもない。しかも、本実施形
態ではこの第2凹曲面部12の外周側にやはり滑らかに
連なるように第2凸曲面部11が形成されており、従っ
て切屑の流れがヒール部10側で阻害されることもな
く、またこのヒール部10におけるドリル本体1の強度
も確保することができる。さらに、この切刃5を含めた
ドリル本体1の先端部には、TiN、TiCN、TiA
lN等の硬質皮膜が被覆されているので、ドリル本体1
の耐摩耗性の一層の向上を図ることができる。
【0020】また、本実施形態では、これら第1、第2
凹曲面部8,12が軸線Oに直交する断面においてなす
凹曲線がそれぞれ半径R2,R4(R2<R4)の円弧
状とされ、これらの円弧が1の接点P3において共通の
接線を有するように接して、連続した凹曲線を形成する
ように滑らかに連ねられている。このため、第1凹曲面
部8側から第2凹曲面部12側への切屑の流れをスムー
ズにして、上述のように第1凹曲面部8によって切屑が
十分に小さくカールされる場合にはその排出をより円滑
にすることができる一方、例えば加工物の材質などによ
ってこの第1凹曲面部8では切屑を十分にカールしきれ
なかった場合でも、第2凹曲面部12に緩やかに押し付
けて必要な径にまでカールさせることができる。さら
に、こうして第1、第2凹曲面部8,12が連続させら
れることにより、切屑排出溝3の溝幅が必要以上に大き
くなるのを避けることもでき、ドリル本体1の断面積を
十分に確保してその剛性を維持することも可能となる。
ただし、本実施形態ではこのように第1、第2凹曲面部
8,12がなす凹曲線を半径R2,R4の円弧としてそ
の曲率半径をそれぞれ一定とし、これらが接点P3にお
いて接するようにしているが、第1凹曲面部8側から第
2凹曲面部12側に向けてその凹曲線の曲率半径が連続
的または断続的に大きくなるようにしてもよく、すなわ
ち上記円弧のほかに、楕円やトロコイド、サイクロイ
ド、インボリュート等の各種曲線、あるいはこれらを組
み合わせた凹曲線状の断面を呈するようにしてもよい。
【0021】さらに、本実施形態では、これら第1、第
2凹曲面部8,12の凹み量L1,L2を、第1凹曲面
部8については軸線Oと内壁面4の外周端13とを結ぶ
第1仮想直線S1から切刃5の外径Dに対して−0.0
6×D〜0の範囲となるように(ただし、ドリル回転方
向T後方側が負)、また第2凹曲面部12については軸
線Oにおいて上記第1仮想直線S1と直交する第2仮想
直線S2から−0.06×D〜0.06×Dの範囲とな
るように(ただし、ドリル回転方向T側が負)それぞれ
設定されており、これにより切屑を強すぎず弱すぎずに
第1、第2凹曲面部8,12に摺接させて、適度なブレ
ーキング作用を与えることができる。このため、過大な
ブレーキング作用によって切屑が潰れて円滑な排出性が
損なわれたりドリル回転駆動力の増大を招いたりするこ
となく、しかしながら確実に切屑をカールさせて処理す
ることができる。なお、このような作用効果をより確実
に奏功せしめるには、本実施形態のように軸線Oに直交
する断面において、第1凹曲面部8がなす凹曲線(凹円
弧)の曲率半径R2は切刃5の外径Dに対して0.18
〜0.35×Dの範囲に、また第2凹曲面部12の曲率
半径R4は0.2〜0.5×Dの範囲に、それぞれ設定
されるのが望ましい。
【0022】また、本実施形態では、上記第1、第2凸
曲面部7,11が上記断面においてなす凸曲線(凸円
弧)の曲率半径R1,R3が、切刃5の外径Dに対して
それぞれ0.1〜0.8×Dの範囲に設定されており、
これにより、ドリル本体1の内壁面4の外周端13にお
けるマージン部6周辺の強度やヒール部10周辺におけ
る強度を十分に確保しつつ、第1、第2凹曲面部8,1
2の径方向の幅が小さくなりすぎるのを防いで、確実な
切屑処理性の向上を図ることができる。なお、高速乾式
切削のような条件下でも、このようにドリル本体1の強
度確保と切屑処理性の向上とをより確実に両立させるに
は、本実施形態のように上記断面において第1凸凹曲面
部7,8がなす凸凹曲線の接点P1を、軸線Oから切刃
5の外径Dの2/3の直径の円より外周側に、より望ま
しくは外径Dの5/6の直径の円よりも外周側に位置さ
せ、また切屑排出溝3の溝幅比を0.8〜1.2:1の
範囲とするのが望ましい。
【0023】さらにまた、本実施形態ではこのように切
屑処理性の向上が図られてドリル回転駆動力の低減が図
られるのに伴い、加工時にドリル本体1自体が受ける負
荷も小さくなり、これによってその芯厚dも切刃5の外
径Dに対して0.15×D〜0.3×Dと比較的小さな
範囲に設定することができる。このため、上記ドリル本
体1が受ける負荷のうち特にスラスト力を軽減させると
ともに、切屑排出溝3の断面積を大きくしてさらに円滑
な切屑排出を促し、これらによって穴明け加工時の動力
の一層の軽減を図ることができる。その一方で、ドリル
本体1の断面積は、上記曲率半径R1〜R4が上述のよ
うに適当な範囲に設定されることと、特に第1、第2凸
曲面部7,11によって外周側で大きくなることとによ
り、必要かつ十分に確保することができ、従ってドリル
本体1の剛性も維持することができるので、上述のよう
に加工動力の一層の軽減が図られることとも相俟って、
加工時に折損等が生じてドリル寿命が費えてしまうよう
な事態をも防止することが可能となる。
【0024】一方、こうして切屑排出溝3のドリル回転
方向Tを向く内壁面4に上記第1凸凹曲面部7,8が形
成された本実施形態のドリルでは、その先端逃げ面2と
の交差稜線部に形成される切刃5の外周端15側にも、
ドリル回転方向Tに凸となる凸曲線状切刃部16が形成
され、従って軸線O方向先端視の外周端15における凸
曲線状切刃部16とマージン部6との交差角を上述のよ
うに大きな角度に、しかも第1凸曲面部7との交差角よ
りも大きな角度にすることができ、この切刃5の外周端
15近傍におけるドリル本体1の強度も十分に確保する
ことができる。このため、ドリル本体1外周に位置する
ために切削速度が最も高く、しかも切屑生成量も最も多
くなるために過大な負荷が生じやすいこの切刃5の外周
端15に欠けやチッピングなどが発生するのも防止する
ことができ、高速乾式切削等の加工条件下における工具
寿命の一層の延長を図ることができる。しかも、本実施
形態ではこの凸曲線状切刃部16が軸線O方向先端視に
切刃5の外周端15と軸線Oとを結ぶ直線よりもドリル
回転方向Tに凸となるように形成されていて、これによ
り上述のようにその径方向すくい角αが負角とされてい
るので、マージン部6との上記交差角は鈍角になり、よ
り確実にこの外周端15周辺におけるドリル本体1の強
度を確保することが可能となる。
【0025】また、この凸曲線状切刃部16は、このよ
うにドリル回転方向Tに凸となる曲線状をなしていて、
上述した従来のドリルのように切刃が角度をもって凸V
字状に折れ曲がっているために切刃上に折曲点が形成さ
れたりすることがなく、しかもその内周側にはドリル回
転方向T後方側に凹となる凹曲線状切刃部17が該凸曲
線状切刃部16に滑らかに連なるように形成されてお
り、従って切刃5により生成される切屑は上記折曲点で
分断されたりすることなく、凹曲線状切刃部17によっ
て生成された部分が内周側に向けて流れ出るのに伴い、
全体的に内周側に巻き込まれるように生成されつつ上記
第2凹曲面部8に摺接させられて円滑にカールさせられ
る。このため、本実施形態では、従来のように切刃上の
折曲点で切屑が分断されて絡まり合うことにより切屑詰
まりを生じたりするようなおそれもなく、また折曲点の
外周側に分断された切屑がそのまま外周側に流れ出て抵
抗を増大させたりドリル本体の摩耗を速めたりするよう
なこともなく、より一層の切屑の円滑かつ安定した処理
を促して穴明け加工時のドリル回転駆動力の低減を図る
とともに、摩耗を抑えて工具寿命を延長させることが可
能となる。
【0026】さらに、本実施形態では、切屑排出溝3の
先端側にシンニング部18が形成されていて、これによ
り切刃5の内周端側は先端逃げ面2の中心に向かうシン
ニング切刃部19とされており、このシンニング切刃部
19と上記凹曲線状切刃部17とが交差する部分が両切
刃部17,19に滑らかに連なる凸曲線状または直線状
とされるとともに、シンニング切刃部19に連なる第1
シンニング部20は谷底部21が凹曲した谷形とされて
いるので、切刃5の全長に亙っても上述のような折曲点
が形成されることはなく、しかもこのシンニング切刃部
19によって生成された切屑の内周側部分をも、図3に
黒塗り矢線で示すように第1シンニング部21の谷底部
21の断面がなす凹曲線に沿って内周側に巻き込むよう
にカールさせることができる。このため、上記凹曲線状
切刃部17によって切屑が内周側に巻き込まれるのと相
俟って、一層の切屑処理性の向上を図ることができ、特
に難削材の加工において効果的である。なお、本実施形
態ではこの第1シンニング部20の谷底部21の断面が
なす凹曲線の曲率半径を0.1〜0.5mmとしている
が、これは、この曲率半径がこれよりも大きいと上記切
屑の内周側部分を十分に巻き込んでカールさせることが
できなくなるおそれがある一方、逆にこれよりも小さい
とこの切屑の内周側部分がシンニング部18内において
詰まりを生じるおそれがあるからである。
【0027】また、このシンニング部18の先端には、
第1シンニング部20の上記谷底部21からさらに一段
傾斜して先端逃げ面2に達する第2シンニング部22が
形成されていて、この第2シンニング部22と先端逃げ
面2との交差稜線部上に切刃5の内周端が形成されてお
り、しかもこの第2シンニング部22の溝底の曲率半径
が0.1mm未満と上記谷底部21よりも小さくされてい
ることから、この切刃5の内周端は先端逃げ面2のより
内周側に配置されることとなり、これによってチゼルの
幅が0〜0.2mmと極短い幅とされている。このため、
当該ドリルが加工物に食い付く際の食い付き性や直進安
定性の向上を図ってさらに安定かつ高精度の加工を行う
ことができるとともに、ドリル本体1にその軸線方向に
作用するスラスト力を抑えることことができて、ドリル
駆動力の一層の軽減を促すことも可能となる。しかも、
このようにシンニング部18が切刃5の内周端に向けて
傾斜の大きくなる第1、第2の複数のシンニング部2
0,22によって形成されることにより、先端の第2シ
ンニング部22の溝底に沿った断面におけるドリル本体
1の先端角度は、単一のシンニング部の溝底を同じチゼ
ル幅となるように傾斜させた場合に比べて大きくなるの
で、本実施形態によればこのドリル本体1先端の回転中
心周辺における強度も十分に確保して、食い付き時の衝
撃的負荷などによっても損傷の生じることのないドリル
を提供することができる。ただし、第1シンニング部2
0だけでドリル本体1の食い付き性や直進安定性と強度
とが確保できるのであれば、第2シンニング部22はな
くてもよい。
【0028】ここで、次表1は、図1〜図3に示した実
施形態のドリルと、それぞれ第1凸曲面部7の半径R1
の大きさ、第1、第2凹曲面部8,12の大小、および
芯厚dの大きさが異なる以外はこの実施形態と同様とさ
れた比較ドリル1〜5とで、切削速度を変化させ、かつ
乾式で穴明け加工試験を行ったときの結果を示すもので
あり、加工条件や評価は表下に示した通りである。
【0029】
【表1】
【0030】この表1の結果より、まず第1凸曲面部7
の半径R1が切刃5の外径Dに対して0.1×Dを下回
る比較ドリル1では、この第1凸曲面部7の幅が小さく
なるのに伴い先端の凸曲線状切刃部16の幅も小さくな
って、この凸曲線状切刃部16ごと切刃5の肩すなわち
上記外周端15部分にチッピングが生じ、またこれとは
逆に半径R1が0.8×Dを上回る比較ドリル2では、
これら第1凸曲面部7および凸曲線状切刃部16が幅広
となって、相対的に第1凹曲面部8および凹曲線状切刃
部17が幅狭となり、これにより切屑のカーリング性が
損なわれて切屑排出溝3の内壁面4,9に切屑が強く押
し付けられ、大きな摩耗を生じる結果となった。また、
上記実施形態とは逆に第1凹曲面部8の半径R2を第2
凹曲面部12の半径R4よりも大きくした比較ドリル3
では、切屑が第2凹曲面部12に強く押し付けられるこ
とによって図4(ロ)に示すように潰れを生じ、またこ
の第2凹曲面部12の摩耗も著しかった。さらに、芯厚
dを0.3×Dよりも大きくした比較ドリル4では、切
屑排出溝3の断面積が小さくなってやはり切屑の擦過に
よる摩耗が大きく、しかもスラスト力が増大してドリル
駆動力も大きくなったのに対し、逆に芯厚dを0.15
×Dより小さくした比較ドリル5では、スラスト力は小
さくなったものの、剛性不足によって折損が生じてしま
った。
【0031】これらの比較ドリル1〜5に対して、上記
実施形態のドリル1〜3では、いずれも排出された切屑
が図4(イ)に示すように潰れを生じたりすることなく
小さくカールさせられていて、切屑排出溝3の内壁面
4,9等における工具摩耗も正常なものであり、特に芯
厚dを0.23×Dとした実施形態ドリル2ではスラス
ト力、水平分力とも小さく、より安定した穴明け加工を
行うことが可能であった。なお、これに対して芯厚dを
0.20×Dとやや小さめにした実施形態ドリル3で
は、その分剛性も小さくなったため水平分力が大きくな
る傾向となったが、比較ドリル5のように折損に至るよ
うなことはなく、実用上十分な寿命を得ることができ
た。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
切屑排出溝のドリル回転方向を向く壁面の外周端側に凸
曲面部を形成することにより、この切屑排出溝の外周端
におけるドリル本体強度を確保してチッピングや欠けの
発生を防止することができる。そして、この凸曲面部の
内周側に滑らかに連なる第1凹曲面部を形成することに
より、切屑全体を内周側に巻き込むようにして巻き癖を
つけてカールさせ、効率的な処理を図ることができると
ともに、ドリル回転方向後方側を向く壁面には、この第
1凹曲面部よりも断面がなす凹曲線の曲率半径が大きい
第2凹曲面部を滑らかに連なるように形成することによ
り、第1凹曲面部でカールされた切屑が必要以上に強く
第2凹曲面部に押し付けられすぎるるのを防いで、ドリ
ル本体の摩耗やドリル回転駆動力の低減を図ることがで
きる。従って、乾式でしかも高速切削となるような過酷
な加工条件においても、ドリルの寿命の延長を図るとと
もに切屑の効率的な処理を促して、円滑かつ安定した穴
明け加工を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を示す軸線O方向先端視
の正面図である。
【図2】 図1に示す実施形態の軸線Oに直交する断面
図である。
【図3】 図1に示す実施形態のシンニング部18を示
すドリル本体1先端部の斜視図である。
【図4】 (イ)は本発明の実施形態によるドリルによ
って生成された切屑を示す図であり、(ロ)は実施形態
とは第1、第2凹曲面部8,12の半径R2,R4の大
小が反対とされた比較ドリル3による切屑を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 ドリル本体 2 先端逃げ面 3 切屑排出溝 4,9 切屑排出溝3の内壁面 5 切刃 7 第1凸曲面部 8 第1凹曲面部 11 第2凸曲面部 12 第2凹曲面部 13 内壁面4の外周端 15 切刃5の外周端 16 凸曲線状切刃部 17 凹曲線状切刃部 18 シンニング部 19 シンニング切刃部 20 第1シンニング部 21 第1シンニング部20の谷底部 22 第2シンニング部 O ドリル本体1の軸線 T ドリル回転方向 R1〜R4 第1、第2凸凹曲面部7,8,11,12
が軸線Oに直交する断面においてなす曲線の曲率半径 S1,S2 第1、第2仮想直線 L1,L2 第1、第2凹曲面部8,12の凹み量 d ドリル本体1の芯厚
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 滝口 正治 岐阜県安八郡神戸町大字横井字中新田1528 番地 三菱マテリアル株式会社岐阜製作所 内 Fターム(参考) 3C037 CC00 DD01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸線回りに回転されるドリル本体の先端
    部外周に後端側に向けて延びる切屑排出溝が形成され、
    この切屑排出溝のドリル回転方向を向く内壁面と上記ド
    リル本体の先端逃げ面との交差稜線部に切刃が形成され
    てなるドリルであって、上記切屑排出溝のドリル回転方
    向を向く内壁面には、その外周端側に、ドリル回転方向
    に凸となる凸曲面状をなす凸曲面部が形成されるととも
    に、この凸曲面部の内周側には、該凸曲面部に滑らかに
    連なってドリル回転方向後方側に凹となる曲面状をなす
    第1凹曲面部が形成される一方、上記切屑排出溝のドリ
    ル回転方向後方側を向く内壁面には、ドリル回転方向に
    凹となる曲面状をなす第2凹曲面部が上記第1凹曲面部
    に滑らかに連なるように形成されており、上記軸線に直
    交する断面において、上記第2凹曲面部がなす凹曲線の
    曲率半径が、上記第1凹曲面部がなす凹曲線の曲率半径
    よりも大きくされていることを特徴とするドリル。
  2. 【請求項2】 上記軸線に直交する断面において、該軸
    線と上記ドリル回転方向を向く内壁面の外周端とを結ぶ
    第1仮想直線からの上記第1凹曲面部の凹み量L1が、
    上記切刃の外径Dに対して−0.06×D〜0の範囲に
    設定されるとともに、上記第1仮想直線に上記軸線にお
    いて交差する第2仮想直線からの上記第2凹曲面部の凹
    み量L2が−0.06×D〜0.06×Dの範囲に設定
    されていることを特徴とする請求項1に記載のドリル。
  3. 【請求項3】 上記軸線に直交する断面において上記凸
    曲面部がなす凸曲線の曲率半径が、上記切刃の外径Dに
    対して0.1×D〜0.8×Dの範囲に設定されている
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のドリ
    ル。
  4. 【請求項4】 上記軸線に直交する断面において上記第
    1凹曲面部がなす凹曲線の曲率半径が、上記切刃の外径
    Dに対して0.18×D〜0.35×Dの範囲に設定さ
    れていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のい
    ずれかに記載のドリル。
  5. 【請求項5】 上記軸線に直交する断面において上記第
    2凹曲面部がなす凹曲線の曲率半径が、上記切刃の外径
    Dに対して0.2×D〜0.5×Dの範囲に設定されて
    いることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれ
    かに記載のドリル。
  6. 【請求項6】 上記ドリル本体の芯厚が、上記切刃の外
    径Dに対して0.15×D〜0.3×Dの範囲に設定さ
    れていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のい
    ずれかに記載のドリル。
  7. 【請求項7】 上記ドリル本体の少なくとも先端部の表
    面には、硬質皮膜が被覆されていることを特徴とする請
    求項1ないし請求項6のいずれかに記載のドリル。
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CN111587160A (zh) * 2017-12-26 2020-08-25 株式会社Moldino 钻头

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