JP2003025081A - パルスレーザ照射パルスアーク溶接方法 - Google Patents

パルスレーザ照射パルスアーク溶接方法

Info

Publication number
JP2003025081A
JP2003025081A JP2001211958A JP2001211958A JP2003025081A JP 2003025081 A JP2003025081 A JP 2003025081A JP 2001211958 A JP2001211958 A JP 2001211958A JP 2001211958 A JP2001211958 A JP 2001211958A JP 2003025081 A JP2003025081 A JP 2003025081A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
laser
period
pulse
arc welding
during
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001211958A
Other languages
English (en)
Inventor
Kogun Do
紅軍 仝
Tomoyuki Kamiyama
智之 上山
Masao Ushio
誠夫 牛尾
Kazuhiro Nakada
一博 中田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daihen Corp
Original Assignee
Daihen Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daihen Corp filed Critical Daihen Corp
Priority to JP2001211958A priority Critical patent/JP2003025081A/ja
Publication of JP2003025081A publication Critical patent/JP2003025081A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23KSOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
    • B23K26/00Working by laser beam, e.g. welding, cutting or boring
    • B23K26/346Working by laser beam, e.g. welding, cutting or boring in combination with welding or cutting covered by groups B23K5/00 - B23K25/00, e.g. in combination with resistance welding
    • B23K26/348Working by laser beam, e.g. welding, cutting or boring in combination with welding or cutting covered by groups B23K5/00 - B23K25/00, e.g. in combination with resistance welding in combination with arc heating, e.g. TIG [tungsten inert gas], MIG [metal inert gas] or plasma welding

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Plasma & Fusion (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Laser Beam Processing (AREA)
  • Arc Welding In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 消耗電極パルスアーク溶接のアーク発生部の
被溶接物表面にパルスレーザを照射して溶接を行うパル
スレーザ照射パルスアーク溶接方法において、パルスア
ーク溶接のピーク期間Tp又はベース期間Tbとパルス
レーザのレーザ出力期間Trとが全く同期していないた
めに、レーザの被溶接物へのエネルギー吸収率が低くな
る。 【解決手段】 本発明は、パルスアーク溶接のピーク期
間Tpの開始時点又は開始時点から予め定めた遅延時間
経過した時点からパルスレーザのレーザ出力期間Trを
同期して開始するパルスレーザ照射パルスアーク溶接方
法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、消耗電極パルスア
ーク溶接のアーク発生部又はその周辺部の被溶接物表面
に、パルスレーザを照射して溶接を行うパルスレーザ照
射パルスアーク溶接方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】YAGレーザ、炭酸ガスレーザ、半導体
レーザ等による被溶接物へのレーザの照射と消耗電極ガ
スシールドアーク溶接とを同時に使用する複合型のレー
ザ照射アーク溶接方法が知られている。この複合溶接方
法は、アーク発生部に高密度エネルギーのレーザを照射
することによって、3〜7[m/min]程度の超高速溶
接を行うことができる。一般的に、上記の消耗電極ガス
シールドアーク溶接方法として、直流又は交流パルスア
ーク溶接方法を使用すると、スパッタ発生量が少なくビ
ード外観の美しい良好な溶接品質を得ることができる。
さらに、上記のレーザに、パルス状のレーザを出力する
パルスレーザを使用すると、熱効率及び溶接品質が向上
することが知られている。これは、レーザの平均出力値
が同一のときに、パルスレーザの方が連続出力のレーザ
に比べて、被溶接物へのエネルギー吸収率が高くなるの
で、熱効率が高くなる。また、連続出力のレーザを照射
したときに比べて、パルスレーザを照射したときの方
が、ブローホールの減少、溶接割れの改善等の溶接品質
が向上することが報告されている。以下、従来技術とし
て、上述したパルスレーザ照射パルスアーク溶接方法に
ついて説明する。
【0003】図1は、従来技術のパルスレーザ照射パル
スアーク溶接方法を実施するための溶接装置の構成図で
ある。以下、同図を参照して説明する。溶接電源装置6
は、溶接ワイヤ1と被溶接物2との間にアーク3を発生
させるために溶接電圧Vw及び溶接電流Iwを出力する
と共に、送給装置5へ溶接ワイヤ1の送給を制御するた
めの送給制御信号Wsを出力する。送給装置5は、この
送給制御信号Wsを入力として、溶接ワイヤ1の送給を
行う。溶接ワイヤ1は、溶接トーチ4を通って被溶接物
2へと定速で送給される。
【0004】レーザ発振装置9は、YAGレーザ、炭酸
ガスレーザ、半導体レーザ等の発振装置であり、レーザ
トーチ8を介して被溶接物2へレーザ7を、予め定めた
レーザ出力値Pr[W]で照射する。レーザ7を照射す
る被溶接物表面の位置は、アーク発生部又はその周辺部
であればよく、溶接方向を基準としてアーク発生部の前
方、後方、右横又は左横のいずれの位置でもよい。
【0005】図2は、パルスアーク溶接及びパルスレー
ザの出力波形図である。同図(A)は溶接電流Iwの時
間変化を示し、同図(B)は溶接電圧Vwの時間変化を
示し、同図(C)はレーザ出力値Prの時間変化を示
す。以下、同図を参照して説明する。
【0006】 時刻t1〜t2の期間(ピーク期間T
p) 予め定めたピーク期間Tp中は、同図(A)に示すよう
に、溶滴移行させるために350〜600[A]程度の
範囲内で予め定めたピーク電流Ipを通電し、同図
(B)に示すように、溶接電圧Vwは、上記の通電に応
じたピーク電圧Vpとなる。上記のピーク期間Tpの時
間長さは、溶接ワイヤの材質、直径等に応じて、1パル
ス1溶滴移行になるように0.5〜3[ms]程度の範囲
内で予め設定される。
【0007】 時刻t2〜t3の期間(ベース期間T
b) ベース期間Tb中は、同図(A)に示すように、溶滴移
行させないために20〜80[A]程度の範囲内で予め
定めたベース電流Ibを通電し、同図(B)に示すよう
に、溶接電圧Vwは、上記の通電に応じたベース電圧V
bとなる。
【0008】同図(A)に示すように、上記のピーク期
間Tp及びベース期間Tbをパルス周期Tfとして繰り
返して通電し、溶接を行う。ところで、消耗電極ガスシ
ールドアーク溶接においては、アーク長を適正値に維持
することが良好な溶接品質を得るために重要な条件であ
る。一般的に、アーク長は溶接電圧Vwの平均値と比例
関係にあるので、同図(B)に示すように、溶接電圧V
wの平均値が予め定めた電圧設定値Vsと等しくなるよ
うに、上記のベース期間Tbの時間長さをフィードバッ
ク制御することによって、アーク長を適正値に制御して
いる。
【0009】 レーザ出力期間Tr及びレーザ停止期
間Ts 同図(C)に示すように、予め定めたレーザ出力期間T
r中は、予め定めたレーザ出力設定値Psに対応する出
力値でレーザを照射し、続けて予め定めたレーザ停止期
間Ts中は、レーザの出力を停止する。この両期間を1
周期として、レーザの出力/停止を繰り返す。上記のレ
ーザ出力期間Trと前述したピーク期間Tp及びベース
期間Tbとは同期していないために、ピーク期間Tpに
レーザ出力期間Trがほぼ重なる場合、ベース期間Tb
とレーザ出力期間Trがほぼ重なる場合、ピーク期間T
p及びベース期間Tbの両期間とまたがってレーザ出力
期間Trが重なる場合等がランダムに発生する。
【0010】図3は、従来技術のパルスアーク溶接電源
装置6のブロック図である。以下、同図を参照して各回
路ブロックについて説明する。電圧検出回路VDは、溶
接電圧Vwを検出して、電圧検出信号Vdを出力する。
電圧平均化回路AVは、この電圧検出信号Vdを平均化
して、電圧平均値信号Vavを出力する。電圧設定回路V
Sは、所望値の電圧設定信号Vsiを出力する。電圧誤差
増幅回路EVは、上記の電圧平均値信号Vavと電圧設定
信号Vsとの誤差を増幅して、電圧誤差増幅信号Evを
出力する。電圧/周波数変換回路VFは、この電圧誤差
増幅信号Evに比例した周波数のパルス周期信号Tfを
出力する。タイマ回路MMは、このパルス周期信号Tf
の立上りをトリガとして、予め定めたピーク期間Tpの
間Highレベルとなる切換信号Siを出力する。
【0011】ピーク電流設定回路IPは、予め定めたピ
ーク電流設定信号Ipを出力する。ベース電流設定回路
IBは、予め定めたベース電流設定信号Ibを出力す
る。切換回路SIは、上記の切換信号Siを入力とし
て、この切換信号SiがHighレベルのときにはa側
に切り換わり上記のピーク電流設定信号Ipを電流制御
設定信号Iscとして出力し、切換信号SiがLowレベ
ルのときにはb側に切り換わり上記のベース電流設定信
号Ibを電流制御設定信号Iscとして出力する。電流検
出回路IDは、溶接電流Iwを検出して、電流検出信号
Idを出力する。電流誤差増幅回路EIは、上記の電流
制御設定信号Iscと電流検出信号Idとの誤差を増幅し
て、電流誤差増幅信号Eiを出力する。
【0012】出力制御回路INVは、この電流誤差増幅
信号Eiを制御信号とし、交流商用電源(3相200V
等)を入力としてインバータ制御、サイリスタ位相制御
等によって出力制御して、上記の電流制御設定信号Isc
に相当する溶接電流Iwを通電する。
【0013】図4は、上述した溶接電源装置6の各信号
のタイミングチャートである。同図(A)は溶接電流I
wの時間変化を示し、同図(B)は溶接電圧Vwの時間
変化を示し、同図(C)はパルス周期信号Tfの時間変
化を示し、同図(D)は切換信号Siの時間変化を示
し、同図(E)は電流制御設定信号Iscの時間変化を示
す。同図(A)及び(B)は、前述した図2と同一であ
る。以下、同図を参照して説明する。
【0014】 時刻t1〜t2の期間(ピーク期間T
p) 図3の説明の項で前述したように、電圧平均値信号Vav
と電圧設定信号Vsとが略等しくなるように、同図
(C)に示すパルス周期信号Tfの周期(時刻t1〜t
3)が制御される。時刻t1において、同図(C)に示
すように、パルス周期信号Tfが短時間Highレベル
になると、同図(D)に示すように、切換信号Siは予
め定めたピーク期間Tpの間Highレベルとなる。こ
の切換信号SiがHighレベルの間は、同図(E)に
示すように、電流制御設定信号Iscはピーク電流設定信
号Ipとなるので、同図(A)に示すように、ピーク電
流Ipが通電する。
【0015】 時刻t2〜t3(ベース期間Tb) 時刻t2において、同図(D)に示すように、切換信号
SiがLowレベルに変化すると、同図(E)に示すよ
うに、電流制御設定信号Iscはベース電流設定信号Ib
となるので、同図(A)に示すように、ベース電流Ib
が通電する。上述したように、パルス周期信号Tfの周
期が変化し、これに応じて上記項及び項の動作を繰
り返す。
【0016】図5は、従来技術のレーザ発振装置6のブ
ロック図である。以下、同図を参照して説明する。レー
ザ出力期間設定回路TRは、予め定めたレーザ出力期間
設定信号Trを出力する。レーザ停止期間設定回路TS
は、予め定めたレーザ停止期間設定信号Tsを出力す
る。タイマ回路TMは、上記のレーザ出力期間設定信号
Trによって定まる時間長さの間はHighレベルとな
り、続けて上記のレーザ停止期間設定信号Tsによって
定まる時間長さの間はLowレベルとなり、この動作を
繰り返すタイマ信号Tmを出力する。
【0017】レーザ出力設定回路PSは、所望値のレー
ザ出力設定信号Psを出力する。レーザ出力制御回路L
OCは、上記のタイマ信号Tm及びレーザ出力設定信号
Psを入力として、レーザ出力期間Tr中はレーザ出力
設定信号Psに相当するレーザ出力値Prで照射し、続
けてレーザ停止期間Ts中は照射を停止する。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、従来
技術では、パルスレーザのレーザ出力期間Trとパルス
アーク溶接のピーク期間Tp又はベース期間Tbとは同
期していないために、以下のような3つの解決すべき課
題がある。
【0019】 第1の課題(レーザのエネルギー吸収
率が低い) 図6は、レーザを溶融池へ照射したときの状態を示す模
式図である。同図(A)はパルスアーク溶接のピーク期
間Tp中にレーザが照射されたときの状態を示し、同図
(B)はパルスアーク溶接のベース期間Tb中にレーザ
が照射されたときの状態を示す。同図において、アーク
は図示を省略している。以下、同図を参照して説明す
る。
【0020】同図(A)に示すように、パルスアーク溶
接のピーク期間Tp中の溶融池は、大電流値のピーク電
流Ipの通電による強いアーク力を受けて、溶融池表面
が大きく窪んだ状態になる。この状態で、レーザ7が溶
融池へ照射されると、レーザ7は大きく窪んだ溶融池表
面内で多重反射するので、被溶接物2へのエネルギー吸
収率が高くなる。他方、同図(B)に示すように、ベー
ス期間Tb中の溶融池は、小電流値のベース電流Ibに
よるアーク力が弱くなるために、溶融池表面の窪みは少
なくなる。この状態で、レーザ7が溶融池へ照射される
と、溶融池の窪みが少ないために、上述したようなレー
ザ7の多重反射は起きず、被溶接物2へのエネルギー吸
収率は低くなる。
【0021】前述したように、従来技術では、レーザ出
力期間Trとパルスアーク溶接のピーク期間Tp又はベ
ース期間Tbとは全く同期していないために、上述した
同図(A)の状態と同図(B)の状態とがランダムに発
生する。この結果、同図(A)に示すエネルギー吸収率
の高い状態と同図(B)に示すエネルギー吸収率の低い
状態とがランダムに発生することになり、溶接の全期間
にわたるエネルギー吸収率の平均値は、同図(A)の吸
収率よりも低くなる。したがって、前述したように、パ
ルスレーザを使用して連続出力のレーザよりもエネルギ
ー吸収率を高くしようとしても、上述した理由によって
その効果は小さくなるために、パルスレーザのメリット
を十分に発揮させることができない。
【0022】 第2の課題(溶滴移行に伴うスパッタ
が多く発生する) 図7は、パルスアーク溶接における溶滴移行時のアーク
発生部の模式図である。同図は、溶接トーチの角度が前
進角の場合であり、かつ、レーザ停止期間Ts中に溶滴
移行が発生する場合である。以下、同図を参照して説明
する。
【0023】マグネシウム合金等のように沸点の低い合
金の溶接においては、温度が最も高い溶融池中心部から
盛んに金属蒸気32が放出されるので、陰極点31は金
属蒸気32が放出されている位置に形成される。このた
めに、同図に示すように、アーク3は、溶接ワイヤ1の
送給方向に対して非対称の形状となる。一方、溶滴11
は溶接ワイヤ1の送給方向に離脱するために、溶滴11
の離脱方向に対して上述したようにアーク3は非対称の
形状となる。このために、アーク3を通電する電流によ
って形成される磁界によって、溶滴11は同図に示す力
Fを受け、溶滴11の一部がスパッタ12として飛散す
る。
【0024】上述したように、溶滴移行時にアーク3が
非対称形状であるときに、溶接ワイヤ1の送給方向の被
溶接物2上の位置(以下、溶接狙い位置21という)に
レーザが照射されると、照射部に金属蒸気32が発生し
てその位置に新たな陰極点31が形成されるので、アー
ク3の形状を対称形状に修正することができる。アーク
3が対称形状に修正されると、溶滴11は上述したよう
な力Fを受けないのでスパッタ12の飛散も生じない。
しかしながら、従来技術では、レーザの出力期間Tr
と、溶滴移行が発生するピーク期間Tpの終了時点の前
後とは全く同期していないために、溶滴移行時にレーザ
が照射されているときもあるが、照射されていないとき
もある。このために、溶滴移行時にレーザが照射されて
いないときには、上述したようにスパッタ12が多く発
生する。
【0025】アークの形状が非対称になることは、上述
したケース以外にも種々の場合に発生する可能性があ
る。例えば、チタン合金の溶接では、被溶接物表面の酸
化皮膜が薄いために、溶接狙い位置21の周辺部の酸化
皮膜は直ぐにクリーニングされて除去される。陰極点3
1は、酸化皮膜のある部分に形成されやすいので、溶接
狙い位置21の周辺部の酸化皮膜が除去されると、陰極
点31は遠く離れた酸化皮膜のある位置に形成される。
このようにして陰極点31が溶接狙い位置21から遠く
離れた位置に形成されると、アーク3の形状は非対称に
なりやすくなる。この状態で、溶滴移行が生じると、多
くのスパッタ12が発生する。
【0026】 第3の課題( ベース期間Tb中のア
ーク状態が不安定になる) 図8は、超高速溶接時のアーク発生部の模式図である。
超高速溶接時において、ピーク期間Tp中はピーク電流
Ipの値が大きいのでアーク3の指向性は強いために、
アーク3は送給方向に発生する。他方、ベース期間Tb
中はベース電流Ibの値が小さいのでアーク3の指向性
は弱いために、溶接速度に追従することができずアーク
3は送給方向に発生しないで溶接狙い位置21の後方部
に発生する。したがって、同図に示すように、ベース期
間Tb中のアーク3の陰極点31は溶接狙い位置21の
後方位置に形成されるために、アーク長が適正値よりも
非常に長くなりアーク状態が不安定になりやすく、最悪
の場合にはアーク切れが発生する。
【0027】上述したような状態において、溶接狙い位
置21の周辺部にレーザが照射されると、その位置に陰
極点31が新たに形成されるので、アーク長は適正値へ
と短くなり、その結果、アーク状態も良好になる。しか
しながら、従来技術では、レーザの出力期間Trとベー
ス期間Tbとは全く同期していないために、ベース期間
Tb中にレーザが照射されるときもあり、照射されない
ときもある。このために、ベース期間Tb中にレーザが
照射されないときには、上述したように、アーク状態が
不安定になる。
【0028】そこで、本発明では、上述した〜項の
3つの課題を解決することができるパルスレーザ照射パ
ルスアーク溶接方法を提供する。
【0029】
【課題を解決するための手段】出願時の請求項1の発明
は、図9〜14に示すように、溶接ワイヤを送給すると
共にピーク期間Tp中は溶滴移行させる値のピーク電流
Ipを通電し続けてベース期間Tb中は溶滴移行させな
い値のベース電流Ibを通電するパルスアーク溶接と、
予め定めたレーザ出力期間Tr中はレーザを出力し続け
てレーザ停止期間Ts中はレーザの出力を停止するパル
スレーザとを同時に使用して、 上記パルスアーク溶接
のアーク発生部又はその周辺部の被溶接物表面に上記パ
ルスレーザを照射して溶接を行うパルスレーザ照射パル
スアーク溶接方法において、上記パルスアーク溶接の上
記ピーク期間Tpの開始時点又は開始時点から予め定め
た遅延時間Tdp経過した時点から上記パルスレーザの上
記レーザ出力期間Trを同期して開始するパルスレーザ
照射パルスアーク溶接方法である。
【0030】出願時の請求項2の発明は、図15に示す
ように、上記のパルスレーザ照射パルスアーク溶接方法
において、上記パルスアーク溶接の上記ピーク期間Tp
の終了時点の直前から上記パルスレーザの上記レーザ出
力期間Trを同期して開始するパルスレーザ照射パルス
アーク溶接方法である。
【0031】出願時の請求項3の発明は、図16〜17
に示すように、上記のパルスレーザ照射パルスアーク溶
接方法において、上記パルスアーク溶接の上記パルス期
間Tpの終了時点又は終了時点から予め定めた遅延時間
Tdb経過した時点から上記パルスレーザの上記レーザ出
力期間Trを同期して開始するパルスレーザ照射パルス
アーク溶接方法である。
【0032】出願時の請求項4の発明は、図18〜19
に示すように、上記のパルスレーザ照射パルスアーク溶
接方法において、上記パルスアーク溶接の上記パルス期
間Tpの終了時点又は終了時点から予め定めた遅延時間
Tdb経過した時点から次のパルス期間Tpの開始時点ま
での期間中に複数回の上記パルスレーザの上記レーザ出
力期間Trを設けたパルスレーザ照射パルスアーク溶接
方法である。
【0033】出願時の請求項5の発明は、図20に示す
ように、出願時の請求項1又は請求項2又は請求項3又
は請求項4に記載するパルスレーザが、レーザ出力期間
Tr中は予め定めた高出力Prhでレーザを照射し、レー
ザ停止期間Ts中は予め定めた低出力Prlでレーザを照
射するパルスレーザであるパルスレーザ照射パルスアー
ク溶接方法である。
【0034】出願時の請求項6の発明は、図21に示す
ように、出願時の請求項1又は請求項2又は請求項3又
は請求項4又は請求項5に記載するパルスアーク溶接
が、溶接ワイヤを送給すると共に電極プラス極性のピー
ク期間Tp中は溶滴移行させる値のピーク電流Ipを通
電し続けて電極マイナス極性の電極マイナス期間Ten中
は溶滴移行させない値の電極マイナス電流Ienを通電し
続けて電極プラス極性のベース期間Tb中は溶滴移行さ
せない値のベース電流Ibを通電する交流パルスアーク
溶接であるパルスレーザ照射パルスアーク溶接方法であ
る。
【0035】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態とし
て、実施例1〜7を例示する。 [実施例1]以下に説明する実施例1の発明は、出願時
の請求項1の発明に対応する。実施例1の発明は、前述
した第1の課題を解決するために、パルスアーク溶接の
ピーク期間Tpの開始時点と同期して、パルスレーザの
レーザ出力期間Trを開始する。以下、図面を参照し
て、実施例1の発明について説明する。
【0036】図9は、実施例1の発明の出力波形図であ
り、同図(A)はパルスアーク溶接の溶接電流Iwの時
間変化を示し、同図(B)はパルスレーザのレーザ出力
値Prの時間変化を示す。以下、同図を参照して説明す
る。時刻t1において、同図(A)に示すように、ピー
ク期間Tpが開始すると、そのタイミングに同期して、
同図(B)に示すように、レーザ出力期間Trが開始す
る。上記のレーザ出力期間Trの時間長さは予め設定さ
れる。同図(B)はTr>Tpの場合を例示している
が、Tr=Tpの場合又はTr<Tpの場合もある。
【0037】図10は、実施例1の発明を実施するため
の溶接装置の構成図である。同図は、前述した図1の従
来装置とは、点線で示す図11で後述する同期回路SC
及び図12で後述する出力同期レーザ発振装置91が異
なり、それ以外は同一であるのでそれらの説明は省略す
る。
【0038】図11は、同期回路SCのブロック図及び
タイミングチャートである。同図(A)は同期回路SC
の回路ブロックを示し、同図(B)は入力信号である切
換信号Siの時間変化を示し、同図(C)は出力信号で
ある同期信号Scの時間変化を示す。同図(A)に示す
ように、トリガ回路TCは、溶接電源装置6からの切換
信号Siを入力信号として、同図(B)及び(C)に示
すように、切換信号Siの立上り時に短時間Highレ
ベルとなる同期信号Scを出力する。ここでは、同期回
路SCが独立した装置の場合を例示したが、同期回路S
Cは溶接電源装置6又は出力同期レーザ発振装置91に
内蔵される場合もある。
【0039】図12は、実施例1の出力同期レーザ発振
装置91のブロック図である。同図において、点線で示
す同期タイマ回路MTM以外は、前述した図5と同一で
あるのでそれらの説明は省略する。同期タイマ回路MT
Mは、同期信号Scの立上りからレーザ出力期間設定信
号Trによって定まる時間長さの間Highレベルとな
るタイマ信号Tmを出力する。このタイマ信号TmがH
ighレベルの間は、レーザが照射される。
【0040】上述したように、実施例1の発明では、パ
ルスアーク溶接のピーク期間Tpの開始時点とレーザ出
力期間Trの開始時点とが同期するので、両期間が略重
なることになる。このために、図6(A)で前述したよ
うに、溶融池が大きく窪んだ状態のときにレーザが照射
されるので、レーザの被溶接物へのエネルギー吸収率が
高くなり熱効率が大きく向上する。
【0041】[実施例2]以下に説明する実施例2の発
明は、出願時の請求項1の発明に対応する。実施例2の
発明は、前述した第1の課題を解決するために、パルス
アーク溶接のピーク期間Tpの開始時点から予め定めた
遅延時間Tdp経過した時点に同期してパルスレーザのレ
ーザ出力期間Trを開始する。以下、図面を参照して、
実施例2の発明について説明する。
【0042】図13は、実施例2の発明の出力波形図で
あり、同図(A)はパルスアーク溶接の溶接電流Iwの
時間変化を示し、同図(B)はパルスレーザのレーザ出
力値Prの時間変化を示す。以下、同図を参照して説明
する。同図(A)に示すように、時刻t1のピーク期間
Tpの開始時点から予め定めた遅延時間Tdp経過後の時
刻t11において、同図(B)に示すように、レーザ出
力期間Trが開始する。
【0043】実施例2の発明を実施するための溶接装置
の構成は、同期回路SCの内部回路が異なるだけで構成
は前述した図10と同一である。図14は、実施例2の
同期回路SCのブロック図及びタイミングチャートであ
る。同図(A)は同期回路SCの回路ブロックを示し、
同図(B)は入力信号である切換信号Siの時間変化を
示し、同図(C)はトリガ信号Tcの時間変化を示し、
同図(D)は出力信号である同期信号Scの時間変化を
示す。同図(A)に示すように、トリガ回路TCは、溶
接電源装置6からの切換信号Siを入力信号として、同
図(B)及び(C)に示すように、切換信号Siの立上
り時に短時間Highレベルとなるトリガ信号Tcを出
力する。遅延回路ODは、同図(D)に示すように、上
記のトリガ信号Tcを予め定めた遅延時間Tdpだけオン
ディレイさせた同期信号Scを出力する。この同期信号
Scの立上り時点からレーザ出力期間Trの間は、レー
ザが照射される。
【0044】上述したように、実施例2の発明では、パ
ルスアーク溶接のピーク期間Tpの開始時点から予め定
めた遅延時間Tdp経過した時点からレーザ出力期間Tr
が開始するので、両期間が略重なることになる。このた
めに、図6(A)で前述したように、溶融池が大きく窪
んだ状態のときに、レーザが照射されるので、レーザの
被溶接物へのエネルギー吸収率が高くなり熱効率が向上
する。遅延時間Tdpを設ける理由は、大電流値のピーク
電流Ipの通電開始から溶融池が大きく窪んだ状態にな
るまでに時間遅れがあるためである。
【0045】[実施例3]以下に説明する実施例3の発
明は、出願時の請求項2の発明に対応する。実施例3の
発明は、前述した第2の課題を解決するために、パルス
アーク溶接のピーク期間Tpの終了時点の直前からパル
スレーザのレーザ出力期間Trを開始する。以下、図面
を参照して、実施例3の発明について説明する。
【0046】図15は、実施例3の発明の出力波形図で
あり、同図(A)はパルスアーク溶接の溶接電流Iwの
時間変化を示し、同図(B)はパルスレーザのレーザ出
力値Prの時間変化を示す。同図(A)に示すように、
時刻t1のピーク期間Tpの開始時点から予め定めた遅
延時間Tddが経過した、ピーク期間Tpの終了時点(時
刻t2)の直前の時刻t12において、同図(B)に示
すように、レーザ出力期間Trが開始する。上述した実
施例3の発明を実施するための溶接装置は、前述した実
施例2の溶接装置において遅延時間Tdpを遅延時間Tdd
に設定する以外は同一である。
【0047】第2の課題を示す前述した図7において、
実施例3の発明では、パルスアーク溶接のピーク期間T
pの終了時点の直前から、溶接狙い位置周辺部にレーザ
を照射することによって、陰極点が溶接狙い位置周辺部
に形成されてアーク形状が対称形状となるので、ピーク
期間Tpの終了時点前後に生じる溶滴移行に伴うスパッ
タの発生(第2の課題)を抑制することができる。
【0048】[実施例4]以下に説明する実施例4の発
明は、出願時の請求項3の発明に対応する。実施例4の
発明は、パルスアーク溶接のパルス期間Tpの終了時点
又は終了時点から予め定めた遅延時間Tdb経過した時点
からパルスレーザのレーザ出力期間Trを開始する。以
下、図面を参照して、実施例4の発明について説明す
る。
【0049】図16は、実施例4の発明の出力波形図で
あり、同図(A)はパルスアーク溶接の溶接電流Iwの
時間変化を示し、同図(B)はパルスレーザのレーザ出
力値Prの時間変化を示す。同図(A)に示すように、
時刻t2のピーク期間Tpの終了時点において、同図
(B)に示すように、レーザ出力期間Trを開始する。
図17は、実施例4の発明のもう一つの出力波形図であ
り、同図(A)はパルスアーク溶接の溶接電流Iwの時
間変化を示し、同図(B)はパルスレーザのレーザ出力
値Prの時間変化を示す。同図(A)に示すように、時
刻t2のピーク期間Tpの終了時点から予め定めた遅延
時間Tdb経過後の時刻t21において、同図(B)に示
すように、レーザ出力期間Trが開始する。
【0050】第3の課題を示す前述した図8において、
実施例4の発明では、パルスアーク溶接のピーク期間T
pの終了時点又は終了時点から遅延時間Tdb経過した時
点から、すなわちベース期間Tb中に溶接狙い位置周辺
部にレーザを照射する。このために、ベース期間Tb中
の陰極点が溶接狙い位置周辺部に形成されてアーク長が
適正値になるので、ベース期間Tb中のアーク状態が不
安定になる(第3の課題)のを抑制することができる。
【0051】[実施例5]以下に説明する実施例5の発
明は、出願時の請求項4の発明に対応する。実施例5の
発明は、パルスアーク溶接のパルス期間Tpの終了時点
又は終了時点から予め定めた遅延時間Tdb経過した時点
から次のパルス期間Tpの開始時点までの期間中に、複
数回のパルスレーザのレーザ出力期間Trを設けた発明
である。以下、図面を参照して、実施例5の発明につい
て説明する。
【0052】図18は、実施例5の発明の出力波形図で
あり、同図(A)はパルスアーク溶接の溶接電流Iwの
時間変化を示し、同図(B)はパルスレーザのレーザ出
力値Prの時間変化を示す。同図(A)に示すように、
時刻t2のピーク期間Tpの終了時点から時刻t3の次
のピーク期間Tpの開始時点までの期間中に、同図
(B)に示すように、複数回のレーザ出力期間Trを設
けている。図19は、実施例5の発明のもう一つの出力
波形図であり、同図(A)はパルスアーク溶接の溶接電
流Iwの時間変化を示し、同図(B)はパルスレーザの
レーザ出力値Prの時間変化を示す。同図(A)に示す
ように、時刻t2のピーク期間Tpの終了時点から予め
定めた遅延時間Tdb経過後の時刻t21から時刻t3の
次のピーク期間Tpの開始時点までの期間中に、同図
(B)に示すように、複数回のレーザ出力期間Trを設
けている。
【0053】上述した実施例5の発明は、前述した実施
例4の発明の効果に加えて以下の効果を有する。すなわ
ち、ピーク期間Tpの時間長さに比べてベース期間Tb
の時間長さは数倍〜十数倍長くなる場合があるので、そ
の場合においてベース期間Tb中にレーザを断続して照
射することによって、被溶接物への入熱を精密に制御す
ることができ、溶接品質がさらに向上する。
【0054】[実施例6]以下に説明する実施例6の発
明は、出願時の請求項5の発明に対応する。実施例6の
発明は、前述した実施例1〜5の発明に記載するパルス
レーザが、レーザ出力期間Tr中は予め定めた高出力P
rhでレーザを照射し、レーザ停止期間Ts中は予め定め
た低出力Prlでレーザを照射する発明である。以下、図
面を参照して、実施例6の発明について説明する。
【0055】図20は、図9で前述した実施例1に基づ
く実施例6の発明の出力波形図であり、同図(A)はパ
ルスアーク溶接の溶接電流Iwの時間変化を示し、同図
(B)はパルスレーザのレーザ出力値Prの時間変化を
示す。同図(A)に示すように、時刻t1のピーク期間
Tpの開始時点から、同図(B)に示すように、予め定
めたレーザ出力期間Tr中は予め定めた高出力Prhでレ
ーザを照射し、続けて、レーザ停止期間Ts中は低出力
Prlでレーザを照射する。
【0056】図13で前述した実施例2、図15で前述
した実施例3、図16〜17で前述した実施例4及び図
18〜19で前述した実施例5に基づく実施例6の発明
についても、上記と同様であるので、説明は省略する。
上述した実施例6の発明は、それぞれの基礎となる前述
した実施例1〜5の発明の効果に加えて以下の効果を有
する。すなわち、レーザ出力期間Tr中の高出力値Prh
とレーザ停止期間Ts中の低出力値Prlとを、被溶接物
の板厚、形状等に応じて適正値に設定することによっ
て、入熱を精密に制御することができ、溶接品質がさら
に向上する。
【0057】[実施例7]以下に説明する実施例7の発
明は、出願時の請求項6の発明に対応する。実施例7の
発明は、前述した実施例1〜6の発明に記載するパルス
アーク溶接が交流パルスアーク溶接である発明である。
以下、図面を参照して、実施例7の発明について説明す
る。
【0058】図21は、図9で前述した実施例1に基づ
く実施例7の発明の出力波形図であり、同図(A)はパ
ルスアーク溶接の溶接電流Iwの時間変化を示し、同図
(B)はパルスレーザのレーザ出力値Prの時間変化を
示す。同図(A)に示すように、時刻t1〜t2期間中
の電極プラス極性のピーク期間Tp中は溶滴移行させる
値のピーク電流Ipを通電し、続けて時刻t2〜t22
期間中の電極マイナス極性の電極マイナス期間Ten中は
溶滴移行させない値の電極マイナス電流Ienを通電し、
続けて時刻t22〜t3期間中は電極プラス極性のベー
ス期間Tb中は溶滴移行させない値のベース電流Ibを
通電する。同図(B)に示すように、時刻t1のピーク
期間Tpの開始時点から予め定めたレーザ出力期間Tr
中はレーザを照射する。
【0059】図13で前述した実施例2、図15で前述
した実施例3、図16〜17で前述した実施例4、図1
8〜19で前述した実施例5及びに図20で前述した実
施例6に基づく実施例7の発明についても、上記と同様
であるので、説明は省略する。上述した実施例7の発明
は、アルミニウム及びアルミニウム合金の薄板溶接にお
いて、それぞれの基礎となる前述した実施例1〜6の発
明の効果を有する。
【0060】[効果] 第1の課題に対する効果 図22は、実施例1〜2の発明の効果を示すエネルギー
吸収率の比較図である。同図は、従来技術と実施例1〜
2の本発明とのレーザのエネルギー吸収率を比較した図
であり、その試験条件は以下のとおりである。すなわ
ち、被溶接物にアルミニウム合金を使用し、パルスレー
ザのレーザ出力値Pr=5[kW]、レーザ出力期間T
r=2[ms]であり、パルスアーク溶接の溶接電流の平
均値200[A]、ピーク期間Tp=2[ms]の場合で
ある。同図から明らかなように、従来技術のエネルギー
吸収率は18[%]程度であるのに対して、本発明のエ
ネルギー吸収率は21[%]程度へと高くなっている。
【0061】 第2の課題に対する効果 図23は、実施例3の発明の効果を示すスパッタ発生量
の比較図である。同図は、従来技術と実施例3の本発明
とのスパッタ発生量を比較した図えであり、その試験条
件は以下のとおりである。すなわち、被溶接物にマグネ
シウム合金を使用し、パルスレーザのレーザ出力値Pr
=3[kW]、レーザ出力期間Tr=3[ms]であり、
パルスアーク溶接の溶接電流の平均値150[A]、ピ
ーク期間Tp=2[ms]の場合である。同図から明らか
なように、従来技術のスパッタ発生量は約3[g/min]
であるのに対して、本発明のスパッタ発生量は約0.2
[g/min]へと大幅に減少している。
【0062】
【発明の効果】実施例1〜2の発明は、パルスアーク溶
接のピーク期間Tpと略同期してレーザを照射するの
で、レーザの被溶接物へのエネルギー吸収率が高くな
り、熱効率の良い溶接を行うことができる。実施例3の
発明は、パルスアーク溶接のピーク期間Tpの終了時点
前後にレーザを溶接狙い位置周辺部に照射することによ
って、溶滴移行時のアーク形状が対称形状になるので、
溶滴移行に伴うスパッタ発生量を大幅に少なくすること
ができる。実施例4の発明は、パルスアーク溶接のベー
ス期間Tbに略同期してレーザを照射することによっ
て、ベース期間Tb中のアーク状態が不安定になるのを
抑制することができるので、良好な溶接品質を得ること
ができる。
【0063】実施例5の発明は、パルスアーク溶接のベ
ース期間Tb中にレーザを断続して照射することによっ
て、上記の実施例3の効果に加えて、被溶接物への入熱
を精密に制御することができるので、さらに良好な溶接
品質を得ることができる。実施例6の発明では、上記の
実施例1〜5の発明において、高出力でのレーザの照射
と低出力でのレーザの照射とを交互に繰り返すことによ
って、実施例1〜5の発明の効果に加えて、被溶接物へ
の入熱を精密に制御することができるので、さらに良好
な溶接品質を得ることができる。実施例7の発明では、
上記の実施例1〜6の発明において、パルスアーク溶接
方法に交流パルスアーク溶接方法を使用することによっ
て、アルミニウム合金等の薄板溶接において実施例1〜
6の発明の効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来装置の構成図
【図2】従来技術のパルスアーク溶接及びパルスレーザ
の出力波形図
【図3】従来技術のパルスアーク溶接電源装置のブロッ
ク図
【図4】従来技術の溶接電源装置のタイミングチャート
【図5】従来技術のレーザ発振装置のブロック図
【図6】レーザを溶融池へ照射したときの状態図
【図7】パルスアーク溶接における溶滴移行時のアーク
発生部模式図
【図8】超高速溶接時のアーク発生部の模式図
【図9】実施例1の発明の出力波形図
【図10】実施例1の溶接装置の構成図
【図11】実施例1の同期回路のブロック図及びタイミ
ングチャート
【図12】実施例1の出力同期レーザ発振装置のブロッ
ク図
【図13】実施例2の発明の出力波形図
【図14】実施例2の同期回路のブロック図及びタイミ
ングチャート
【図15】実施例3の発明の出力波形図
【図16】実施例4の発明の出力波形図
【図17】実施例4の発明のもう一つの出力波形図
【図18】実施例5の発明の出力波形図
【図19】実施例5の発明のもう一つの出力波形図
【図20】実施例6の発明の出力波形図
【図21】実施例7の発明の出力波形図
【図22】本発明の効果を示すエネルギー吸収率比較図
【図23】本発明の効果を示すスパッタ発生量比較図
【符号の説明】
1 溶接ワイヤ 11 溶滴 12 スパッタ 2 被溶接物 21 溶接狙い位置 3 アーク 31 陰極点 32 金属蒸気 4 溶接トーチ 5 送給装置 6 溶接電源装置 7 レーザ 8 レーザトーチ 9 レーザ発振装置 91 出力同期レーザ発振装置 AV 電圧平均化回路 EI 電流誤差増幅回路 Ei 電流誤差増幅信号 EV 電圧誤差増幅回路 Ev 電圧誤差増幅信号 IB ベース電流設定回路 Ib ベース電流(設定信号) ID 電流検出回路 Id 電流検出信号 Ien 電極マイナス電流 INV 出力制御回路 IP ピーク電流設定回路 Ip ピーク電流(設定信号) Isc 電流制御設定信号 Iw 溶接電流 LOP レーザ出力制御回路 MM タイマ回路 MTM 同期タイマ回路 Pr レーザ出力値 Peh レーザ高出力 Pel レーザ低出力 PS レーザ出力設定回路 Ps レーザ出力設定(値/信号) SC 同期回路 Sc 同期信号 SI 切換回路 Si 切換信号 Tb ベース期間 TC トリガ回路 Tc トリガ信号 Tdb 遅延時間 Tdd 遅延時間 Tdp 遅延時間 Ten 電極マイナス期間 Tf パルス周期(信号) TM タイマ回路 Tm タイマ信号 Tp ピーク期間 TR レーザ出力期間設定回路 Tr レーザ出力期間(設定信号) TS レーザ停止期間設定回路 Ts レーザ停止期間(設定信号) Vav 電圧平均値信号 Vb ベース電圧 VD 電圧検出回路 Vd 電圧検出信号 VF 電圧/周波数変換回路 Vp ピーク電圧 VS 電圧設定回路 Vs 電圧設定(値/信号) Vw 溶接電圧
フロントページの続き (72)発明者 中田 一博 大阪府大阪市阿倍野区昭和町1丁目13番22 号 Fターム(参考) 4E001 AA03 BB08 DE04 4E068 BC01 CA02 CA03

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶接ワイヤを送給すると共にピーク期間中
    は溶滴移行させる値のピーク電流を通電し続けてベース
    期間中は溶滴移行させない値のベース電流を通電するパ
    ルスアーク溶接と、予め定めたレーザ出力期間中はレー
    ザを出力し続けてレーザ停止期間中はレーザの出力を停
    止するパルスレーザとを同時に使用して、前記パルスア
    ーク溶接のアーク発生部又はその周辺部の被溶接物表面
    に前記パルスレーザを照射して溶接を行うパルスレーザ
    照射パルスアーク溶接方法において、 前記パルスアーク溶接の前記ピーク期間の開始時点又は
    開始時点から予め定めた遅延時間経過した時点から前記
    パルスレーザの前記レーザ出力期間を同期して開始する
    パルスレーザ照射パルスアーク溶接方法。
  2. 【請求項2】溶接ワイヤを送給すると共にピーク期間中
    は溶滴移行させる値のピーク電流を通電し続けてベース
    期間中は溶滴移行させない値のベース電流を通電するパ
    ルスアーク溶接と、予め定めたレーザ出力期間中はレー
    ザを出力し続けてレーザ停止期間中はレーザの出力を停
    止するパルスレーザとを同時に使用して、前記パルスア
    ーク溶接のアーク発生部又はその周辺部の被溶接物表面
    に前記パルスレーザを照射して溶接を行うパルスレーザ
    照射パルスアーク溶接方法において、 前記パルスアーク溶接の前記ピーク期間の終了時点の直
    前から前記パルスレーザの前記レーザ出力期間を同期し
    て開始するパルスレーザ照射パルスアーク溶接方法。
  3. 【請求項3】溶接ワイヤを送給すると共にピーク期間中
    は溶滴移行させる値のピーク電流を通電し続けてベース
    期間中は溶滴移行させない値のベース電流を通電するパ
    ルスアーク溶接と、予め定めたレーザ出力期間中はレー
    ザを出力し続けてレーザ停止期間中はレーザの出力を停
    止するパルスレーザとを同時に使用して、前記パルスア
    ーク溶接のアーク発生部又はその周辺部の被溶接物表面
    に前記パルスレーザを照射して溶接を行うパルスレーザ
    照射パルスアーク溶接方法において、 前記パルスアーク溶接の前記パルス期間の終了時点又は
    終了時点から予め定めた遅延時間経過した時点から前記
    パルスレーザの前記レーザ出力期間を同期して開始する
    パルスレーザ照射パルスアーク溶接方法。
  4. 【請求項4】溶接ワイヤを送給すると共にピーク期間中
    は溶滴移行させる値のピーク電流を通電し続けてベース
    期間中は溶滴移行させない値のベース電流を通電するパ
    ルスアーク溶接と、予め定めたレーザ出力期間中はレー
    ザを出力し続けてレーザ停止期間中はレーザの出力を停
    止するパルスレーザとを同時に使用して、前記パルスア
    ーク溶接のアーク発生部又はその周辺部の被溶接物表面
    に前記パルスレーザを照射して溶接を行うパルスレーザ
    照射パルスアーク溶接方法において、 前記パルスアーク溶接の前記パルス期間の終了時点又は
    終了時点から予め定めた遅延時間経過した時点から次の
    パルス期間の開始時点までの期間中に複数回の前記パル
    スレーザの前記レーザ出力期間を設けたパルスレーザ照
    射パルスアーク溶接方法。
  5. 【請求項5】請求項1又は請求項2又は請求項3又は請
    求項4に記載するパルスレーザが、レーザ出力期間中は
    予め定めた高出力でレーザを照射し、レーザ停止期間中
    は予め定めた低出力でレーザを照射するパルスレーザで
    あるパルスレーザ照射パルスアーク溶接方法。
  6. 【請求項6】請求項1又は請求項2又は請求項3又は請
    求項4又は請求項5に記載するパルスアーク溶接が、溶
    接ワイヤを送給すると共に電極プラス極性のピーク期間
    中は溶滴移行させる値のピーク電流を通電し続けて電極
    マイナス極性の電極マイナス期間中は溶滴移行させない
    値の電極マイナス電流を通電し続けて電極プラス極性の
    ベース期間中は溶滴移行させない値のベース電流を通電
    する交流パルスアーク溶接であるパルスレーザ照射パル
    スアーク溶接方法。
JP2001211958A 2001-07-12 2001-07-12 パルスレーザ照射パルスアーク溶接方法 Pending JP2003025081A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001211958A JP2003025081A (ja) 2001-07-12 2001-07-12 パルスレーザ照射パルスアーク溶接方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001211958A JP2003025081A (ja) 2001-07-12 2001-07-12 パルスレーザ照射パルスアーク溶接方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003025081A true JP2003025081A (ja) 2003-01-28

Family

ID=19047194

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001211958A Pending JP2003025081A (ja) 2001-07-12 2001-07-12 パルスレーザ照射パルスアーク溶接方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003025081A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007050448A (ja) * 2005-08-19 2007-03-01 National Institute For Materials Science レーザ・アークハイブリッド溶接方法
JP2008522833A (ja) * 2004-12-15 2008-07-03 フロニウス・インテルナツィオナール・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング 溶接トーチに従ってレーザユニットを制御するレーザ・アーク複合溶接のための装置と方法
JP2009178773A (ja) * 2009-05-22 2009-08-13 Panasonic Corp レーザハイブリッドアーク溶接機とレーザハイブリッドアーク溶接システム
JP2010207880A (ja) * 2009-03-11 2010-09-24 Panasonic Corp 複合溶接装置と複合溶接方法
JP2013031883A (ja) * 2012-11-19 2013-02-14 Panasonic Corp 複合溶接方法と複合溶接装置
JP2013056374A (ja) * 2012-11-19 2013-03-28 Panasonic Corp 複合溶接方法と複合溶接装置
US8471173B2 (en) * 2004-05-10 2013-06-25 Fronius International Gmbh Laser hybrid welding method and laser hybrid welding torch using a zinc and/or carbon and/or aluminum-containing rod
CN103192187A (zh) * 2013-04-27 2013-07-10 中国航天科技集团公司长征机械厂 激光高频交流脉冲tig复合焊接工艺
JP7407092B2 (ja) 2020-09-30 2023-12-28 株式会社ダイヘン 複合溶接装置

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8471173B2 (en) * 2004-05-10 2013-06-25 Fronius International Gmbh Laser hybrid welding method and laser hybrid welding torch using a zinc and/or carbon and/or aluminum-containing rod
JP2008522833A (ja) * 2004-12-15 2008-07-03 フロニウス・インテルナツィオナール・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング 溶接トーチに従ってレーザユニットを制御するレーザ・アーク複合溶接のための装置と方法
US7759603B2 (en) * 2004-12-15 2010-07-20 Fronius International Gmbh Method and device for combined laser-arc welding with control of laser unit according to welding torch
JP2007050448A (ja) * 2005-08-19 2007-03-01 National Institute For Materials Science レーザ・アークハイブリッド溶接方法
JP2010207880A (ja) * 2009-03-11 2010-09-24 Panasonic Corp 複合溶接装置と複合溶接方法
JP2009178773A (ja) * 2009-05-22 2009-08-13 Panasonic Corp レーザハイブリッドアーク溶接機とレーザハイブリッドアーク溶接システム
JP2013031883A (ja) * 2012-11-19 2013-02-14 Panasonic Corp 複合溶接方法と複合溶接装置
JP2013056374A (ja) * 2012-11-19 2013-03-28 Panasonic Corp 複合溶接方法と複合溶接装置
CN103192187A (zh) * 2013-04-27 2013-07-10 中国航天科技集团公司长征机械厂 激光高频交流脉冲tig复合焊接工艺
JP7407092B2 (ja) 2020-09-30 2023-12-28 株式会社ダイヘン 複合溶接装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20150183045A1 (en) Method and system to use combination filler wire feed and high intensity energy source for welding with controlled arcing frequency
US20150090703A1 (en) Method and system to use combination filler wire feed and high intensity energy source for welding with controlled arcing frequency
US20150183044A1 (en) Method and system to use combination filler wire feed and high intensity energy source for welding with controlled arcing frequency
US20150158106A1 (en) Method and system to use combination filler wire feed and high intensity energy source for welding with controlled arcing frequency
US20150014283A1 (en) Hybrid Hot-Wire And Arc Welding Method And System Using Offset Positioning
JP4652825B2 (ja) 交流アーク溶接のアークスタート制御方法
WO2015125008A1 (en) Method and system to use combination filler wire feed and high intensity energy source for welding with controlled arcing frequency
US20210299773A1 (en) Arc welding control method
JP2003025081A (ja) パルスレーザ照射パルスアーク溶接方法
JP2008105039A (ja) プラズマmig溶接のパルス波形制御方法
JP5918021B2 (ja) 交流パルスアーク溶接制御方法
JP2004009061A (ja) レーザ照射アーク長揺動パルスアーク溶接方法
WO2015124977A1 (en) Hybrid hot-wire and arc welding method and system using offset positioning
JP2010142823A (ja) アーク長揺動パルスアーク溶接制御方法
JP2018114557A (ja) 制御アーク周波数と共にフィラーワイヤ送給と溶接用の高強度エネルギー源との組み合わせを用いるシステム及び方法
JP4772957B2 (ja) レーザ照射交流アーク溶接方法
JP2004017059A (ja) レーザ照射アーク溶接のアークスタート制御方法
JP3631936B2 (ja) 溶接方法及び溶接装置
JP2005313179A (ja) 入熱制御直流アーク溶接/パルスアーク溶接切換溶接方法
JP4915766B2 (ja) レーザ・アークハイブリッド溶接方法
JP2004001033A (ja) 2電極パルスアーク溶接制御方法
JP2005238301A (ja) パルスレーザ照射パルスアーク溶接方法
JP2004223550A (ja) 2電極アーク溶接方法
JP2003088958A (ja) 交流パルスアーク溶接の出力制御方法
JP4739607B2 (ja) 消耗2電極アーク溶接終了方法及び終了制御方法