JP2003017443A - 半導体ウェーハのブレーキング方法及びブレーキング装置 - Google Patents

半導体ウェーハのブレーキング方法及びブレーキング装置

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JP2003017443A
JP2003017443A JP2001199688A JP2001199688A JP2003017443A JP 2003017443 A JP2003017443 A JP 2003017443A JP 2001199688 A JP2001199688 A JP 2001199688A JP 2001199688 A JP2001199688 A JP 2001199688A JP 2003017443 A JP2003017443 A JP 2003017443A
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braking
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adhesive tape
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JP2001199688A
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Hitoshi Ikeda
均 池田
Kingo Suzuki
金吾 鈴木
Hiroshi Takizawa
啓 滝沢
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Shin Etsu Handotai Co Ltd
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Shin Etsu Handotai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半導体チップの未分離発生率を低く押さえる
ことのできる半導体ウェーハのブレーキング方法及びブ
レーキング装置を提供する。 【解決手段】 ブレーキング部材20のエッジ部20a
を、ブレーキング部材20の長手方向33が半導体ウェ
ーハWの溝の形成方向と異なるように、半導体ウェーハ
Wの主裏面に向かって粘着シート1側から押し当てる。
そして、その状態で、ブレーキング部材20のエッジ部
20aを粘着シート1に対して摺動させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は半導体ウェーハを
個々の半導体チップに分離する半導体ウェーハのブレー
キング方法及びブレーキング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体ウェーハから微小な個々の半導体
集積回路や発光素子等(以下、これらを総称して半導体
チップという)を得るために、通常、前記半導体ウェー
ハに対し、ダイサー等により個々の半導体チップにダイ
シングする工程を行う。このダイシング工程の際、例え
ば、分離された半導体チップが離散しないように、半導
体ウェーハの主裏面に合成樹脂製等の粘着テープを貼り
つけておき、半導体ウェーハの主表面に対してダイシン
グするようにしている。なお、ダイシングにより半導体
ウェーハは個々の半導体チップに分割されるが、以下、
本明細書においては、粘着テープに貼りつけられたまま
の分割後の半導体チップの集合体も半導体ウェーハと称
する。
【0003】次に、ダイシングされた半導体ウェーハが
貼りつけられたままの粘着テープを放射状に引張って、
半導体チップ同士の間隔をひろげるエキスパンド工程を
行い、半導体チップのピックアップ作業性を向上させ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このエ
キスパンド工程において、半導体チップ同士が完全に分
離できない場合がある。エキスパンド操作により半導体
チップ同士が分離できないと、ダイシング歪みを除去す
るためのエッチングや、ダイボンディング時のピックア
ップ作業において支障をきたす場合もある。
【0005】本発明は上記の課題を解決するために成さ
れたものであり、半導体チップの未分離発生率を低く抑
えることのできる半導体ウェーハのブレーキング方法及
びブレーキング装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】上記課題
を解決するために、本発明の半導体ウェーハのブレーキ
ング方法は、主表面にダイシングによる格子状の溝が形
成されており、主裏面が粘着テープに貼りつけられてい
る半導体ウェーハを、前記溝にて半導体チップに分離す
る半導体ウェーハのブレーキング方法において、ブレー
キング部材のエッジ部を、該ブレーキング部材の長手方
向が前記溝の形成方向と異なるように、前記半導体ウェ
ーハの主裏面に向かって前記粘着シート側から押し当て
るとともに、その状態で、前記ブレーキング部材のエッ
ジ部を前記粘着シートに対して摺動させることを特徴と
する。
【0007】また、上記半導体ウェーハのブレーキング
方法を実施するための半導体ウェーハのブレーキング装
置は、主表面にダイシングによる格子状の溝が形成され
ており、主裏面が粘着テープに貼りつけられている半導
体ウェーハを前記溝にて半導体チップに分離する半導体
ウェーハのブレーキング装置において、前記半導体ウェ
ーハを前記粘着テープとともに保持するウェーハフレー
ムを、所定位置に配置するフレームテーブルと、前記半
導体ウェーハの主裏面と対向して位置するとともに、エ
ッジ部を有するブレーキング部材と、前記ブレーキング
部材のエッジ部を、該ブレーキング部材の長手方向が前
記溝の形成方向と異なるように、前記半導体ウェーハの
主裏面に向かって前記粘着テープ側から押し当てるブレ
ーキング部材当接機構と、前記ブレーキング部材のエッ
ジ部を前記粘着テープに対して摺動させるブレーキング
部材摺動機構と、を備えることを特徴とする。
【0008】上記本発明の構成では、ブレーキング部材
のエッジ部を、粘着シートに押し当て、そして摺動させ
るようにしている。これにより、ダイシング後の隣接す
る半導体チップ同士が相対的に変位して、該半導体チッ
プ同士を効果的に分離することができる。また、端部が
長手方向を有する形状としているので、一度に粘着テー
プのより広い面積を摺動させることができ、短時間でよ
り多くの半導体チップを分離することが可能となる。
【0009】さらに、ブレーキング部材の長手方向が半
導体ウェーハの溝の形成方向と異なるように、ブレーキ
ング部材を粘着テープに押し当て、その状態で、粘着シ
ートに対して摺動させれば、半導体ウェーハの分離がよ
り確実に行なわれる。これは、ブレーキング部材の長手
方向が半導体ウェーハの溝の形成方向と異なる状態を保
ちながら摺動することによって、隣接する半導体チップ
同士において、その相対的な変位の方向の自由度が増す
ためである。つまり、端部の長手方向と溝の形成方向と
を一致させるよりも、これらの方向を異なるようにする
ことで、隣接する半導体チップ間により多くの向きの力
が働いて、半導体チップの分離が行われ易くなる。
【0010】このように、エッジ部を有するブレーキン
グ部材を使用し、さらに、該ブレーキング部材の長手方
向を、半導体ウェーハに形成されている溝の形成方向か
ら若干ずらして、該ブレーキング部材を粘着テープに対
して摺動させることで、半導体チップ同士を分離させる
のに、より効果的な力が働いて、半導体チップの分離が
さらに促進されるものである。
【0011】本発明者らの鋭意検討の結果によれば、ブ
レーキング部材の長手方向と、溝の形成方向とのなす角
(以下、シフト角αとする)が0°より大きく45°以
下であることが好ましく、さらには、5°以上15°以
下である場合に、より効果的に半導体チップの分離が行
なわれる。
【0012】また、ブレーキング部材の長手方向と垂直
な方向に、該ブレーキング部材を移動させ、粘着テープ
に対して摺動させるのがよい。これによれば、一度のブ
レーキング部材の移動により、粘着テープ側で摺動され
る部分の面積が最大となり、ひいては単位時間に分離さ
れる半導体チップの量も増加する。
【0013】また、上記のような方法を実現するため
に、本発明のブレーキング装置は、粘着テープにブレー
キング部材を当接させるためのブレーキング部材当接機
構(以下、単に当接機構とする)を有する。該当接機構
は、半導体ウェーハを間接的に保持するフレームテーブ
ルとブレーキング部材とを半導体ウェーハの軸線方向に
沿って相対的に接近・離間させるものである。
【0014】さらに本発明のブレーキング装置は、ブレ
ーキング部材を粘着テープに対して摺動させるブレーキ
ング部材摺動機構(以下、単に摺動機構とする)を有す
る。該摺動機構は、ブレーキング部材のエッジ部を粘着
テープに押し当てた状態で、例えば、長手方向と垂直な
方向にブレーキング部材を移動させる。
【0015】また、半導体ウェーハを保持するウェーハ
フレームとブレーキング部材とを、該半導体ウェーハの
軸線を中心に相対的に回転させるウェーハ回転機構を有
するものとしてもよい。これにより、ブレーキング部材
の長手方向と、半導体ウェーハの溝の形成方向との関係
を、該ウェーハ回転機構を駆動することにより調節する
ことができる。さらに、ブレーキング前に半導体ウェー
ハの主表面を観察し、溝の形成方向を検出する検出装置
を備えるとともに、その検出結果に基づいてウェーハ回
転機構の駆動を制御する制御装置を備えるようにしても
よい。これにより、ブレーキング部材の摺動方向の調節
を自動化することが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施
の形態について説明する。図2は粘着テープ1に貼りつ
けられたダイシング後の半導体ウェーハWを、主表面W
1側からみた概略図である。粘着テープ1は、例えば、
塩化ビニル等に代表される合成樹脂等の伸縮性を有する
材質により構成されている。そして、その少なくとも片
面は粘着性を有しており、半導体ウェーハWの主裏面W
2がその粘着性を有する面に貼りつけられている。該粘
着テープ1は第一ウェーハフレーム22及び第二ウェー
ハフレーム21(これらが、ウェーハフレーム12を形
成している)によりその外周部が挟みこまれており、中
央部分にたるみが殆ど形成されていない状態で保持され
ている。
【0017】図3は、図2に示す半導体ウェーハW、粘
着テープ1及びウェーハフレーム12を側方から観察し
たものである。ダイシング工程により、半導体ウェーハ
Wには溝4が形成されている。該溝4は、図2のように
格子状に形成される。図3の拡大図に示すように、半導
体ウェーハWの主裏面W2には電極23が格子状に形成
されており、例えば、半導体チップP1及びP2の間にお
いて、ダイシングにより電極23が完全に切断されない
と、半導体チップP1及びP2が未分離状態となってし
まう。
【0018】このため、以下のような方法により半導体
ウェーハWのブレーキングを行い、半導体チップPの未
分離状態を解消する。まず、図4(a)のように半導体
ウェーハWの主裏面W2に向かってブレーキング部材2
0を接近させ、(b)のように粘着テープ1にブレーキ
ング部材20のエッジ部20aを主裏面W2に対して垂
直に押し当てる。このとき、粘着テープ1は、例えば、
塩化ビニル等の伸縮性を有する合成樹脂により形成され
ているため、エッジ部20aを押し当てることによっ
て、粘着テープ1が押し当てられた方向に変位する。ブ
レーキング部材20は、例えば図4(c)に示すような
エッジ部20aを有する板状部材である。
【0019】上記のようなブレーキング部材20のエッ
ジ部20aを粘着テープ1に押し当てた状態で、図4
(b)のようにブレーキング部材20を方向32に摺動
させる。すると、図4(c)に示すように、粘着テープ
1が押し当てられた方向に変位して隣接する半導体チッ
プP同士の間隔が拡がるとともに、剪断力が働くことに
より、未分離状態の半導体チップPの間にまたがって形
成されていた電極23が切断され、半導体チップPが完
全に分離される。
【0020】ブレーキング部材20は、その長手方向3
3がダイシングによる格子状の溝4の形成方向と異なる
ように、粘着テープ1に押し当てられる。図1(a)は
図4に示す工程を半導体ウェーハWの主裏面W2側から
みたものである。格子状に形成されている溝4の形成方
向をそれぞれ、x、y方向としたとき、ブレーキング部
材20は、エッジ部20aにおいて、その長手方向33
が、x、y方向と異なるように押し当てられる。そし
て、該長手方向33と直行する方向(摺動方向32)に
該ブレーキング部材20を粘着テープ1に対して摺動さ
せる。これにより、半導体チップPがより確実に分離さ
れる。
【0021】上記のように、ブレーキング部材20のエ
ッジ部20aを、その長手方向が溝4の形成方向と異な
るように粘着テープ1に押し当て、摺動させることによ
り半導体チップPがより確実に分離されるのは、以下の
ことに起因する。図5に、ブレーキング部材20を粘着
テープ1に対して摺動させたときの、半導体チップPの
変位形態の一例を示す。図5(a)は、ダイシング後の
半導体ウェーハWの主表面W1の一部を拡大したもので
ある。ここで、図1に示す本発明の方法により、ブレー
キング部材20の長手方向33を溝4の形成方向と異な
るようにしてを摺動させると、図5(b)、(c)に示
すように、隣接する半導体チップP同士の間隔をひろげ
る力f1が働いたり(図5(b))、半導体チップP同
士を相対的にずらすような力f2が働いたりする(図5
(c))。一方、溝4の形成方向と、ブレーキング部材
20の端部の長手方向33とを一致させてブレーキング
部材20を摺動させる方法では、図5(b)に示すよう
な半導体チップP同士の間隔をひろげるような力しか加
わりにくい。このように、本発明にあっては、半導体チ
ップPに働く力の方向の自由度が多く、そのため半導体
チップPが効果的に分離されるのである。
【0022】なお、ブレーキング部材20の長手方向3
3と、溝4の形成方向とのなす角(シフト角α)が0°
より大きく45°以下となるように、ブレーキング部材
20は粘着テープ1に押し当てられる。望ましくは、シ
フト角αを5°以上15°以下とすると、ブレーキング
部材20の押し当てられた半導体チップ20同士が相対
的に変位する程度が大きくなるので、該半導体チップ2
0同士をより効果的に分離することができる。
【0023】また、上記の摺動方向32にブレーキング
部材20を数回往復運動させたのち、図1(b)に示す
ように、例えば、ブレーキング部材20を半導体ウェー
ハWに対して、半導体ウェーハWの軸線周りに相対的に
回転移動させたのち、ブレーキング部材20を摺動方向
32’に沿って数回摺動させるようにしてもよい。図1
(b)にあっては、ブレーキング部材20を半導体ウェ
ーハWに対して90°相対的に回転させた場合を示して
いる。これにより、図1(a)の摺動方向32に摺動さ
せるだけでは十分に分離ができない半導体チップPも、
摺動方向32’に沿って摺動させることにより力の働く
方向を変化させることになり、半導体チップPがより分
離しやすくなる。
【0024】ブレーキング部材20と半導体ウェーハW
とを、半導体ウェーハWの軸線周りに相対的に回転させ
る角度は、上記のように90°に限られるものではな
く、どのような角度で行ってもよい。ただし、該相対回
転後において、溝4の形成方向(図1においてはx、y
方向)とブレーキング部材20の端部の長手方向33と
が一致しないように、相対回転させる角度を適宜設定す
る。
【0025】図6に本発明のブレーキング装置の概要を
示す。該ブレーキング装置100は、半導体ウェーハW
の主裏面W2が貼り付けられた粘着テープ1を保持する
ウェーハフレーム12を、所定位置に載置するフレーム
テーブル35を備えている。そして、エッジ部20aを
有するブレーキング部材20を有し、さらに、該ブレー
キング部材20を粘着テープ1に当接させるためのブレ
ーキング部材当接機構51、及びブレーキング部材20
を摺動方向に摺動させるブレーキング部材摺動機構50
を有する。該ブレーキング部材当接機構51には、ブレ
ーキング部材20を摺動方向32に移動可能に取り付け
たブレーキング部材摺動機構50が取り付けられてい
る。さらに、該ブレーキング部材当接機構51は、これ
らブレーキング部材20及びブレーキング部材摺動機構
50をフレームテーブル35に対して接近・離間させる
ものであって、例えば、エアシリンダ、油圧シリンダ、
電動リニアモータ等のリニアアクチュエータで構成され
ている。また、ブレーキング部材摺動機構50は、ブレ
ーキング部材20をある一定の摺動方向32に沿って往
復運動させるものであって、同様に、エアシリンダ、油
圧シリンダ、電動リニアモータ等のリニアアクチュエー
タで構成することができる。なお、ブレーキング部材当
接機構51は、精度よく駆動させないと、ブレーキング
部材20により粘着テープ1を損傷させる場合があるた
め、例えば、ステッピングモータ等のより高精度な駆動
が期待できるアクチュエータを使用してもよい。
【0026】さらに、半導体ウェーハWを間接的に保持
するフレームテーブル35には、半導体ウェーハWを該
軸線の軸周りに回転させるためのウェーハ回転機構36
が取り付けられている。該ウェーハ回転機構36は、フ
レームテーブル35を半導体ウェーハWの軸線周りに回
転駆動するものであり、ブレーキング部材20の端部の
長手方向33と溝4の形成方向とのなす角(シフト角
α)を適宜変更できるようになっている。また、該ウェ
ーハ回転機構36においては、シフト角αの駆動精度が
比較的要求されるので、ステッピングモータ等の高精度
な駆動が期待できるアクチュエータを使用するのがよ
い。
【0027】また、ブレーキング装置100にCCDカ
メラ等の検出装置(図示せず)、及びコンピュータ等の
制御装置(図示せず)を備えつけ、自動的に、上記シフ
ト角αを所望の角度に設定することも可能である。ま
ず、該検出装置により半導体ウェーハWの主表面W1を
観察し、画像信号として取り込むとともに、得られた画
像信号を画像処理装置(図示せず)に送信して、主表面
W1に形成されている溝4の形成方向を検出する。そし
て、その検出結果とブレーキング部材20の端部の長手
方向33とを比較して、制御装置により該溝4の形成方
向と端部の長手方向33とが一致しないようにウェーハ
回転機構36を制御する。
【0028】本発明に使用されるブレーキング部材20
の形状をいくつか図7に示す。図7(a)に示すブレー
キング部材20は、その長手方向33が曲線状となって
いる。一方、図7(b)に示すブレーキング部材20
は、その長手方向33がより直線形状に近い形状を有し
ている。このように、長手方向33を直線形状により近
づけることにより、一度の摺動工程において、半導体チ
ップPの分離を促進することができ、工程時間の削減が
期待できる。
【0029】さらに、図7(c)は、ブレーキング部材
20のエッジ部20aを長手方向33から見た図であ
る。このように、ブレーキング部材20においては、エ
ッジ部20aにアールは付与されていない。これによ
り、半導体チップPの分離に効果的となる。
【0030】なお、ブレーキング部材20を構成する材
料としては、粘着テープ1に十分に押し当てることがで
きるだけの硬さを有するものを使用する。さらに、その
厚さにも関係するが、該ブレーキング部材20を粘着テ
ープ1に押し当てたときに、該ブレーキング部材20が
ある程度たわむようなものが好適である。これにより、
粘着テープ1を介して、半導体ウェーハWに、より複雑
な力が加わることとなり、ブレーキング部材20を摺動
させたときの、半導体チップPの変位の自由度がさらに
増すことになる。なお、本実施の形態においては、ステ
ンレス製あるいは樹脂製の板をブレーキング部材20と
して使用する。
【0031】以上本実施の形態においては、半導体ウェ
ーハWの主裏面W2に電極23が形成されている場合に
ついて示したが、本発明はこれに限られるものではな
い。例えば、図8に示すような半導体ウェーハW’を個
々の半導体チップP’に分離する場合でも、効果的に適
用される。図8は主裏面W’2に電極23が形成されて
いない半導体ウェーハW’に対して、フルダイシングに
より溝4を形成したものである。フルダイシングにより
溝4を形成した場合、基本的には、エキスパンド工程に
おいて完全に個々の半導体チップP’に分離する。しか
しながら、ダイシングの精度、ウェーハ厚さの不均一、
ダイシングテーブルの傾き、ダイサーの磨耗等の理由に
よって、半導体ウェーハW’に完全に切断しきれていな
い未切断部55が存在する場合がある。このような未切
断部55はエキスパンド工程により劈開して、切断され
る場合もあるが、切断されずに半導体チップP’の分離
を阻害する場合もある。本発明は、このようなフルダイ
シング後の未切断部55を有する半導体ウェーハW’に
おいて適用しても、上記未切断部55を劈開・切断する
ことができ、ひいては、半導体チップP’の分離を効果
的に行えるものである。
【0032】以上のように、半導体ウェーハWに対して
ブレーキング工程を行った後、以下のような方法により
エキスパンド工程を行う。図9は、エキスパンド行程の
概要を説明する断面模式図である。ブレーキング済みの
半導体ウェーハWが貼りつけられたウェーハテープ1
は、前述したウェーハフレーム12に既に取付けられて
いる。そして、まず図9(a)のように、該ウェーハフ
レーム12にフレーム固定リング14を当接させるとと
もに、該フレーム固定リング14よりも径の小さいエキ
スパンドリング13をウェーハテープ1に当接させる。
そして、エキスパンドリング13とフレーム固定リング
14とを、エキスパンドリング13がフレーム固定リン
グ14の内部を通過する方向に相対移動させて、ウェー
ハテープ1を放射線状に引き伸ばす(図10(b))こ
とにより、半導体チップP同士の間隔を広げ、個々の半
導体チップに分離する(図10(c))。本発明におい
ては、エキスパンド工程において分離されない半導体チ
ップP(未分離チップ)の発生を効果的に抑制すること
ができる。
【0033】
【実施例】本発明の効果を調べるために以下の実験を行
った。ブレーキングを行う半導体ウェーハWは、発光ダ
イオードとして使用されるものであって、厚さ250μ
mのn型GaP単結晶基板上に厚さ100μmのn型G
aP層を成長させ、その上にさらに厚さ20μmのp型
層をエピタキシャル成長させたものを使用する。そして
主裏面W2側(n型Gap単結晶基板側)に電極23と
して、厚さ0.2μm幅20μmの格子状及び直径60
μmの円状のAu電極を形成する。この際、円状電極
は、格子状電極の中心位置及び該格子状電極上に位置す
るように形成される。このような半導体ウェーハWの主
裏面W2を粘着テープ1に貼りつけるとともに、ウェー
ハフレーム12にて保持し、フルダイシングによって、
縦横0.26mm間隔の格子状に切断し、溝4を形成す
る。
【0034】上記のようにした半導体ウェーハWに対し
て、図6に示すブレーキング装置100を使用して、以
下のようなブレーキング工程を行う。ブレーキング部材
20としては、図7(b)に示す形状のブレーキングブ
レードを使用する。ブレーキングブレード20は、ブレ
ードの厚さが0.8mmのステンレス鋼にて構成されて
いる。
【0035】また、シフト角αは10°となるように粘
着テープ1に対して垂直に当接させ、その状態で、該ブ
レーキングブレード20を粘着テープ1に対して、その
長手方向33と垂直な方向に摺動させる。該方向に往復
運動を30回行った後、フレームテーブル35に配置さ
れた半導体ウェーハWを該軸周りに90°回転させて、
ブレーキングブレード20をさらに30回往復運動させ
る。このようなブレーキング工程の後、図10に示す方
法によりエキスパンド工程を行う。この工程を5000
枚の半導体ウェーハWに対して行った。
【0036】また、比較例として、上記のブレーキング
工程を行なわずに、エキスパンド工程のみを同様に10
000枚の半導体ウェーハWに対して行った。そして、
実施例及び比較例においてエキスパンド工程後に未分離
の半導体チップ(未分離チップ)の発生率を調べた。
【0037】ブレーキングを行なわない比較例において
は、未分離チップの発生率は約5%であった。実施例の
場合は未分離チップの発生率が約0.03%であり、殆
どの半導体チップが完全に分離された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を説明する概略図。
【図2】粘着テープに貼りつけられた半導体ウェーハを
示す図。
【図3】粘着テープに貼りつけられた半導体ウェーハの
軸断面及びその拡大図。
【図4】本発明の方法を説明する概略図。
【図5】本発明の方法の作用を説明する概略図。
【図6】本発明のブレーキング装置を示す概略図。
【図7】本発明に使用されるブレーキング部材の一例を
いくつか示す概略図。
【図8】ダイシング後の半導体ウェーハの形態をいくつ
か示す図。
【図9】エキスパンド工程を説明する概略図。
【符号の説明】
W 半導体ウェーハ W1 半導体ウェーハの主表面 W2 半導体ウェーハの主裏面 4 溝 P、P1、P2、P’ 半導体チップ 20 ブレーキング部材 20a ブレーキング部材のエッジ部 33 ブレーキング部材の長手方向 12 ウェーハフレーム 35 フレームテーブル 51 ブレーキング部材当接機構 50 ブレーキング部材摺動機構 36 ウェーハ回転機構
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 滝沢 啓 群馬県高崎市上豊岡町571−9 株式会社 成電半導体内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主表面にダイシングによる格子状の溝が
    形成されており、主裏面が粘着テープに貼りつけられて
    いる半導体ウェーハを、前記溝にて半導体チップに分離
    する半導体ウェーハのブレーキング方法において、 ブレーキング部材のエッジ部を、該ブレーキング部材の
    長手方向が前記溝の形成方向と異なるように、前記半導
    体ウェーハの主表面に向かって前記粘着シート側から押
    し当てるとともに、 その状態で、前記ブレーキング部材のエッジ部を前記粘
    着シートに対して摺動させることを特徴とする半導体ウ
    ェーハのブレーキング方法。
  2. 【請求項2】 前記ブレーキング部材の長手方向と、前
    記溝の形成方向とのなす角が、0°より大きく45°以
    下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体ウェ
    ーハのブレーキング方法。
  3. 【請求項3】 前記ブレーキング部材の長手方向と、前
    記溝の形成方向とのなす角が、5°以上15°以下であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の半導体ウェーハの
    ブレーキング方法。
  4. 【請求項4】 前記ブレーキング部材を、該ブレーキン
    グ部材の長手方向と垂直な方向に摺動させることを特徴
    とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の半導体
    ウェーハのブレーキング方法。
  5. 【請求項5】 主表面にダイシングによる格子状の溝が
    形成されており、主裏面が粘着テープに貼りつけられて
    いる半導体ウェーハを前記溝にて半導体チップに分離す
    る半導体ウェーハのブレーキング装置において、 前記半導体ウェーハを前記粘着テープとともに保持する
    ウェーハフレームを、所定位置に配置するフレームテー
    ブルと、 前記半導体ウェーハの主裏面と対向して位置するととも
    に、エッジ部を有するブレーキング部材と、 前記ブレーキング部材のエッジ部を、該ブレーキング部
    材の長手方向が前記溝の形成方向と異なるように、前記
    半導体ウェーハの主裏面に向かって前記粘着テープ側か
    ら押し当てるブレーキング部材当接機構と、 前記ブレーキング部材のエッジ部を前記粘着テープに対
    して摺動させるブレーキング部材摺動機構と、 を備えることを特徴とする半導体ウェーハのブレーキン
    グ装置。
  6. 【請求項6】 前記ブレーキング部材当接機構は、前記
    ブレーキング部材の長手方向と、前記溝の形成方向との
    なす角を0°より大きく45°以下とすることを特徴と
    する請求項5に記載の半導体ウェーハのブレーキング装
    置。
  7. 【請求項7】 前記ブレーキング部材当接機構は、前記
    ブレーキング部材の長手方向と、前記溝の形成方向との
    なす角が5°以上15°以下となるようにすることを特
    徴とする請求項5に記載の半導体ウェーハのブレーキン
    グ装置。
  8. 【請求項8】 前記ウェーハフレームと前記ブレーキン
    グ部材とを、相対的に回転させるウェーハ回転機構を備
    えることを特徴とする請求項5ないし7のいずれか1項
    に記載の半導体ウェーハのブレーキング装置。
  9. 【請求項9】 前記ブレーキング部材摺動機構は、前記
    ブレーキング部材を、該ブレーキング部材の長手方向と
    垂直な方向に摺動させるものであることを特徴とする請
    求項5ないし8のいずれか1項に記載の半導体ウェーハ
    のブレーキング方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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