JP2003014903A - レンズ用無機親水性硬質層形成材料、レンズ用無機親水性硬質層形成方法 - Google Patents

レンズ用無機親水性硬質層形成材料、レンズ用無機親水性硬質層形成方法

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JP2003014903A JP2001199367A JP2001199367A JP2003014903A JP 2003014903 A JP2003014903 A JP 2003014903A JP 2001199367 A JP2001199367 A JP 2001199367A JP 2001199367 A JP2001199367 A JP 2001199367A JP 2003014903 A JP2003014903 A JP 2003014903A
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】本発明のレンズ用無機親水性硬質層形成材
料は、フッ素原子の少なくとも一部を捕捉することによ
り、レンズ表面に析出して、酸化チタンを含有する無機
親水性硬質層を形成する複数のヘキサフルオロ金属酸塩
を含有しており、該複数のヘキサフルオロ金属酸塩が、
ヘキサフルオロチタン酸塩を含有すると共に、該ヘキサ
フルオロチタン酸塩によって形成される酸化チタンの有
する光触媒作用に対する光触媒抑制成分を形成可能なヘ
キサフルオロ金属酸塩を含有することを特徴としてい
る。また、本発明のレンズ用無機親水性硬質層の形成方
法は、上記のレンズ用無機親水性硬質層形成材料を用い
るものである。 【効果】本発明によれば、レンズ表面に非常に優れた親
水性を示す無機親水性硬質層を形成することが可能であ
り、それによって汚れの水洗除去が可能で且つレンズに
優れた防曇性を付与することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レンズ表面に高い
親水性を付与するために使用するレンズ用無機親水性硬
質層形成材料およびこれを用いたレンズ用無機親水性硬
質層形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、レンズ表面コート処理による
曇り止めメガネレンズに対する需要は高いが、こうした
曇り止めを目的としたレンズ表面コート処理は実用的な
レベルには達していなかった。これはメガネの仕様条件
が非常に厳しく、こうした厳しい仕様条件を充足するメ
ガネレンズの製造が困難であったからである。
【0003】メガネレンズへの応用の例としては、いわ
ゆるアナターゼ型酸化チタンの光触媒効果に基づく超親
水性により、防曇をはかる方法が、例えばWO96/29375号
公報に記載されている。これは、n型半導体であるアナ
ターゼ型酸化チタンが、3.2eVのバンドギャップを
持ち、波長360nm付近の紫外線を吸収して、価電子
帯の電子を伝導帯に送り込み、その結果、価電子帯にホ
ールを形成させると共に、伝導帯に励起電子を生じさせ
るという光触媒活性を利用するものである。
【0004】すなわち、これらのホールによる酸化作
用、励起電子による還元作用によって、酸化チタン表面
の水分子が分解を受け、活性ラジカルが形成される。こ
の活性ラジカルは、その強力な酸化作用によって表面に
吸着するオイルなどの汚れ分子を分解し、表面を清澄な
状態に保ち、本来の酸化チタン表面の高い親水性を保持
することが可能となる。この原則に基づき、光触媒作用
を有する酸化チタンをメガネレンズ表面にコートするこ
とも不可能ではないが、酸化チタンの表面を活性化する
ためには、比較的高いエネルギーの紫外線の照射が必要
であり、このような短波長で高エネルギーの紫外線は、
メガネのようなレンズの使用環境として適切でない。ま
た、仮にこうした原理を利用するにしても、メガネレン
ズの場合は、レンズの表面と裏面とで紫外線照射総量に
大きな差が生じるため特性が異なってしまい、表面には
曇りが発生しないが、裏面では曇りが発生するといった
不都合が生ずる。
【0005】さらに酸化チタンの硬度は、モース硬度で
約5程度であり、柔らかいため、拭き取り操作によっ
て、容易に表面傷が形成されてしまうこと、また酸化チ
タンの屈折率が2.5と高いため、表面が鏡のような状
態となることなどの理由で、上記の公報に記載されてい
る技術をメガネレンズに適用するのは妥当でない。さら
にWO96/29375号公報には、光触媒活性を有するアナター
ゼ型酸化チタンとシリカとを融合させ、親水性を保持
し、なおかつ表面の反射率を下げる方法も記載されてい
る。
【0006】しかしながら、この公報に記載されている
発明は、メガネレンズへ応用するには、その条件など仕
様が厳しく、また硬度(機械的強度)あるいは反射率の
点で問題があり、メガネレンズへの応用は、現在のとこ
ろ著しく困難である。すなわち、光触媒機能を発現させ
るためには、複合膜の組成が制限されるため、硬度の向
上が望めず、その結果、反射率が若干高くなり、メガネ
の仕様条件との整合性を取るのが困難であるという問題
がある。
【0007】また、防曇を期待した処理として、スプレ
ーによる溶剤の塗布があるが、一過性であり、水に濡れ
ると効果が消失してしまう点が問題である。また常にス
プレーを所持、携帯しなければならないため煩雑でもあ
る。
【0008】
【発明の目的】本発明は、紫外線の照射などを必要とす
る光触媒効果や一過性のスプレーによる溶剤塗布ではな
く、レンズ、特にメガネレンズに、長期間にわたり防曇
効果を維持できる無機親水性硬質層を、比較的容易に形
成することができる形成材料およびこの形成材料を用い
てレンズ表面に無機親水性硬質層を形成する方法を提供
することを目的としている。
【0009】
【発明の概要】本発明は、フッ素原子の少なくとも一部
を捕捉することにより、レンズ表面に析出して、酸化チ
タンを含有する無機親水性硬質層を形成する複数のヘキ
サフルオロ金属酸塩を含有しており、該複数のヘキサフ
ルオロ金属酸塩が、ヘキサフルオロチタン酸塩を含有す
ると共に、該ヘキサフルオロチタン酸塩によって形成さ
れる酸化チタンの有する光触媒作用に対する光触媒抑制
成分を形成可能なヘキサフルオロ金属酸塩を含有すると
共に、界面活性剤を含浸可能に形成できるように無機親
水性硬質層を形成するレンズ用無機親水性硬質層形成材
料にある。
【0010】本発明のレンズ用無機親水性硬質層形成材
料を用いて形成される無機親水性硬質層は、ケイ素、ジ
ルコニウムおよびチタンの単純酸化物あるいは複合酸化
物を含有することが好ましい。また、本発明の無機親水
性硬質層形成材料を構成するヘキサフルオロ金属酸塩
は、対応する金属酸化物をフッ化水素酸に溶解した後、
中和することにより調製されたものであることが好まし
い。
【0011】特に本発明では、上記ヘキサフルオロ金属
酸塩が、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム、ヘキサフ
ルオロジルコニウム酸アンモニウム、ヘキサフルオロチ
タン酸アンモニウムを含有するものであることが好まし
い。また、本発明のレンズ用無機親水性硬質層形成材料
においては、ヘキサフルオロ金属酸塩は、ヘキサフルオ
ロケイ酸アンモニウムと、ヘキサフルオロジルコニウム
酸アンモニウムと、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウ
ムとからなり、該ヘキサフルオロ金属酸塩を、金属原子
比でケイ素とチタンとが99.9/0.1〜60:4
0、チタンとジルコニウムとが99.9/0.1〜9
0:10、ケイ素とジルコニウムとが99.9/0.1
〜90:10の範囲内になるように配合することが好ま
しい。
【0012】上記のようなヘキサフルオロ金属酸塩を使
用することにより、酸化チタンが有している光触媒作用
は著しく抑制される。すなわち、酸化チタンの光触媒活
性は、酸化チタンの結晶構造に依存するが、上記のよう
にヘキサフルオロジルコニウム酸塩を使用することによ
り、酸化チタンが良好な光触媒活性を発現させるのに有
利な構造を採りにくくなると考えられる。このような酸
化チタンの光触媒活性を抑制する成分として、上記のよ
うなジルコニウムの酸化物のほかに、リチウム、カリウ
ム、ナトリウムなどのアルカリ金属も有効である。
【0013】本発明では、上記のようなヘキサフルオロ
金属酸塩を水性媒体に溶解した後、フッ素原子を捕捉す
ればヘキサフルオロ金属酸塩中の金属が活性な状態で析
出させることができ、こうして析出した無機親水性硬質
層に含有される酸化チタンの光触媒活性は適度に抑制さ
れる。このように光触媒活性が抑制された無機親水性硬
質層が形成されると、この無機親水性硬質層の親水性お
よび親媒性が共に良好になり、界面活性剤を含浸できる
ような無機親水性硬質層が形成され、この無機親水性硬
質層に含浸された(あるいは吸着した)界面活性剤が酸
化チタンの光触媒作用によって分解されることがなくな
り、安定した状態で長期間レンズ表面に存在することが
できる。
【0014】本発明のレンズ用無機親水性硬質層形成材
料では、このようなヘキサフルオロ金属酸塩のフッ素原
子を捕捉する成分がホウ素化合物であることが好まし
く、さらに、このようなホウ素化合物は、酸化ホウ素お
よび/またはホウ酸であることが好ましい。また、形成
された無機親水性硬質層は、SiとTiおよびZrとを含有す
るとともに、F、N、B、HおよびOからなる群からなる少
なくとも一種類の原子を含有することが好ましい。
【0015】さらに本発明のレンズ用無機親水性硬質層
形成材料には、ヘキサフルオロジルコニウム酸アンモニ
ウムと、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウムとが、金
属原子%比換算(Ti/Zr)で、99.9/0.1〜70
/30の範囲内の量比で析出するように含まれているこ
とが好ましい。また本発明のレンズ用無機親水性硬質層
形成材料には、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウムと、
ヘキサフルオロジルコニウム酸アンモニウムおよびヘキ
サフルオロチタン酸アンモニウムとが、金属原子%比換
算(Si/(Ti+Zr))で、99.9/0.1〜60/4
0の範囲内の量比で析出するように含まれていることも
好ましい。
【0016】さらに、酸化チタンに対する光触媒抑制成
分として、アルカリ金属を使用する場合には、塩化リチ
ウム、塩化カリウム、塩化ナトリウムなどのアルカリ金
属塩を形成材料に配合する。このアルカリ金属塩を用い
ると、酸化ケイ素、酸化チタン、必要により酸化ジルコ
ニウムが析出する際にこれらの結晶と共に少量析出し、
このアルカリ金属が酸化チタンの光触媒活性を抑制させ
ることができる。
【0017】本発明において、無機親水性硬質層が形成
されるレンズは、表面に硬質層を有することもあるガラ
スレンズ、または、表面に硬質層を有するプラスチック
レンズであることが好ましい。さらに、本発明のレンズ
用無機親水性硬質層の形成方法は、フッ素原子の少なく
とも一部を捕捉することにより、レンズ表面に析出し
て、酸化チタンを含有する無機親水性硬質層を形成する
複数のヘキサフルオロ金属酸塩を含有しており、該複数
のヘキサフルオロ金属酸塩が、ヘキサフルオロチタン酸
塩を含有すると共に、該ヘキサフルオロチタン酸塩によ
って形成される酸化チタンの有する光触媒作用に対する
光触媒抑制成分を形成可能なヘキサフルオロ金属酸塩を
含有するレンズ用無機親水性硬質層形成材料を用いて、
ケイ素、ジルコニウムおよびチタンの酸化物複合体を含
有し、チタンとジルコニウムの構成原子比(Ti/Zr)が
3以上である膜状形成物を形成した後、さらに該膜状形
成物上に同構成比が3未満の酸化物複合体からなる膜状
形成物を形成して無機親水性硬質層となすことを特徴と
している。
【0018】このように本発明の形成材料を用いてレン
ズ表面に形成された無機親水性硬質層は、酸化チタンの
有する光触媒作用に対する光触媒抑制成分を含有すると
共に、界面活性剤を介在させることができる層である。
このような無機親水性硬質層に含有される酸化チタンの
有する光触媒作用が、酸化ジルコニウムなどの金属酸化
物からなる光触媒抑制成分によって抑制されることによ
り、この無機親水性硬質層は、非常に高い親水性および
高い親媒性を示す。さらに、この無機親水性硬質層が高
い親媒性を有することによって、この無機親水性硬質層
に界面活性剤が含浸できるように形成された場合にはそ
の親水性がさらに高くなり、水は水滴の形態では存在し
得ず、レンズ表面では極薄水膜となる。つまり、本発明
の無機親水性硬質層形成材料で処理して親水性を付与し
たレンズは、高い防曇性を有し、水洗による清浄化を非
常に良好に行うことができると共に、このように水洗し
ても洗浄水がレンズ表面で水滴状にならないので、乾燥
が速く、水分が蒸発した際に滴状の水滴跡などが残留す
ることがない。
【0019】また、本発明のレンズ用無機親水性硬質層
形成材料によってレンズ表面に形成された無機親水性硬
質層は、単にレンズ表面を被覆しているのではなく、レ
ンズあるいはレンズの表面に形成された硬質層と結合し
ているので、非常に高い耐久性を有し、通常の使用で2
年以上その高い親水性が保持される(なお、本明細書に
おいて、「無機親水性硬質層」とは、本発明の無機親水
性硬質層形成材料を用いて形成される界面活性剤を含浸
できるような無機親水性硬質層をいい、「硬質層」と
は、現在一般に行われているプラスチックあるいはガラ
スレンズ表面にシリカや有機材料などの複合材料プラス
チックをコーティングしたものをいう)。
【0020】また、本発明のレンズ用無機親水性硬質層
形成材料によってレンズ表面に形成された無機親水性硬
質層は、レンズとほぼ同等の屈折率を有するので、形成
された無機親水性硬質層による像の歪みなどは、ほとん
ど発生しない。しかも、本発明のレンズ用無機親水性硬
質層形成材料を用いれば、高熱、紫外線のような高いエ
ネルギーの電子線などの高いエネルギー源を使用するこ
となく、水性媒体中で非常に穏和な条件でレンズ表面を
非常に高い親水性にすることができる。このような高い
親水性を有する無機親水性硬質層を形成する際に、レン
ズを高熱あるいは高いエネルギー条件下に置く必要がな
いので、プラスチックのような耐熱性が比較的低く、紫
外線のような高エネルギー線によって劣化しやすい材料
などで形成されたレンズであっても、非常に穏和な条件
で、その表面に非常に高い親水性を付与することができ
る。本発明の材料を使用すれば、このように紫外線を関
与させることなく、レンズ表面に無機親水性硬質層を形
成することができるので、レンズの親水性化処理が非常
に容易になる。また、このレンズの親水性化処理によっ
て処理されるレンズ自体の特性が悪影響を受けることは
ない。
【0021】
【発明の具体的説明】次に本発明のレンズ用無機親水性
硬質層形成材料およびこれを用いたレンズの無機親水性
硬質層形成方法について具体的に説明する。本発明のレ
ンズ用無機親水性硬質層形成材料は、複数のヘキサフル
オロ金属酸塩の混合物である。ここで使用されるヘキサ
フルオロ金属酸塩は、水性媒体に可溶であると共に、こ
の水に溶解した状態のヘキサフルオロ金属酸塩を形成す
るフッ素原子の少なくとも一部を捕捉することにより金
属を含有する化合物が析出するという特性を有してい
る。
【0022】このようなヘキサフルオロ金属酸塩として
は、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム((NH42Ti
F6:6フッ化チタンアンモニウム)を使用する。さらに
本発明のレンズ用無機親水性硬質層形成材料において
は、上記ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム((N
H42TiF6:6フッ化チタンアンモニウム)から形成さ
れる酸化チタンの光触媒作用をある程度抑制するような
金属の酸化物を形成可能なヘキサフルオロ金属酸塩を使
用する。このようなヘキサフルオロ金属酸塩の例として
は、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム((NH42Si
F6:6フッ化ケイ素酸アンモニウム)、ヘキサフルオロ
スズ酸アンモニウム((NH42SnF6:6フッ化スズア
ンモニウム)、およびヘキサフルオロジルコニウム酸ア
ンモニウム((NH42ZrF6:6フッ化ジルコニウムアン
モニウム)を挙げることができる。
【0023】本発明では、上記複数のヘキサフルオロ金
属酸塩を用いて形成された無機親水性硬質層が、SiとTi
およびZrよりなる群から選ばれる少なくとも一種類の金
属原子を含有するとともに、F、N、B、HおよびOからな
る群からなる少なくとも一種類の原子を含有することが
好ましいことから、このようなヘキサフルオロ金属酸塩
として、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム((NH42
SiF6:6フッ化ケイ素酸アンモニウム)およびヘキサフ
ルオロチタン酸アンモニウム((NH42TiF6:6フッ化
チタンアンモニウム)を使用し、ヘキサフルオロチタン
酸アンモニウムに起因して形成される酸化チタンの光触
媒活性が適度に抑制されるように、光触媒抑制成分とな
りうる他のヘキサフルオロ金属酸塩を配合して使用する
ことが望ましい。このような光触媒抑制成分としては、
ジルコニウムのような金属の酸化物を挙げることができ
る。ここで使用する他のヘキサフルオロ金属酸塩として
は、本発明では、ヘキサフルオロジルコニウム酸アンモ
ニウム((NH42ZrF6:6フッ化ジルコニウムアンモニ
ウム)を併用することが好ましい。
【0024】この場合、(NH42SiF6と(NH42ZrF6
(NH42TiF6との配合比率は、レンズ表面に形成される
無機親水性硬質層について、蛍光X線分析により求めた
無機親水性硬質層に含有されるSi:Zr:Tiが、原子%
で、通常は20:1:10〜2000:10:1、好ま
しくは200:1:10〜200:10:1の範囲内の
量比になるような量で用いられることが望ましい。さら
に、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウムと、ヘキサフル
オロジルコニウム酸アンモニウムと、ヘキサフルオロチ
タン酸アンモニウムとを、ヘキサフルオロ金属酸塩中に
含有される金属原子比で表わすと、ケイ素とチタンと
を、通常は99.9/0.1〜60:40、好ましくは
99:1〜80:20、チタンとジルコニウムとを、通
常は99.9/0.1〜90:10、好ましくは99:
1〜95:5、特に好ましくは99:1〜97:3、ケ
イ素とジルコニウムとを、通常は99.9/0.1〜9
0:10、好ましくは99:1〜95:5の範囲内にな
るような量で使用することが望ましい。上記ヘキサフル
オロ金属酸アンモニウムを使用した場合における好適な
ヘキサフルオロ金属酸アンモニウムの使用量の範囲を図
2に示す。また、このケイ素、チタンおよびジルコニウ
ムの好適な比率を図3に示す。図2および図3において
斜線を附した部分が好適な範囲である。
【0025】特に本発明では、少量のTi、Zrを含有する
ことにより、Siを含有する無機親水性硬質層とレンズ、
特にレンズの表面に形成された硬質層に対する接合強度
が高くなる。さらに、ジルコニウムの酸化物が含有され
ることによって、酸化チタンの光触媒活性が適度に抑制
される。しかも、上記のように少量のTiやZrを含有して
いても、これらの量が少ないので、この無機親水性硬質
層の屈折率が他の部分と著しく相違することがないの
で、レンズを通してみたときの像の歪みなどが発生する
ことがなく、また、レンズの透明性にもほとんど影響を
及ぼすことがない。特に形成される無機親水性硬質層に
おけるTiとZrとの原子比(Ti/Zr)が、通常99.9/
0.1〜70/30、好ましくは99.9/0.1〜8
5/15の範囲内の量比になるように使用することによ
り、より強度の高い無機親水性硬質層を形成することが
できる。また、この無機親水性硬質層におけるSiと(Ti
+Zr)との原子比(Si/(Ti+Zr))は、通常は、99.
9/0.1〜40/60、好ましくは99.9/0.1
〜50/50、特に好ましくは95/5〜45/35の
範囲内になるようにヘキサフルオロ金属酸塩の利用量を
決定することにより、強度が著しく高く、親水性および
親媒性の両者に著しく優れた無機親水性硬質層を形成す
ることができる。
【0026】このように少量のTiおよびZrは、この無機
親水性硬質層の下部にある硬質層中の酸素原子と何らか
の形態の結合(例えば、化学的結合、物理化学的結合、
物理的結合など)を形成するものと推定される。このTi
およびZrと酸素原子との結合力は、Siと酸素原子との結
合力よりも著しく高いので、微量のTiおよびZrが無機親
水性硬質層中に存在することにより、この無機親水性硬
質層の下層に対する接合強度が著しく向上する。さら
に、ジルコニウムの酸化物は、酸化チタンの光触媒活性
の抑制剤となり、このような無機親水性硬質層は、Siの
みを含有する層と比較して親水性が著しく高くなると共
に親媒性も向上する。
【0027】すなわち、このような光触媒作用のある程
度抑制されたチタンを含有する酸化物を含有する層は、
界面活性剤を吸着するいわゆる親媒性を有する。従っ
て、チタン酸化物を含有する無機親水性硬質層は、親水
性のみならず高い親媒性をも有する(なお、本明細書に
おいて、「親媒性」とは、水を含めた溶媒に対して親和
性を有する性質をいい、「親水性」をも包含する意味で
ある)。
【0028】本発明のレンズ用無機親水性硬質層形成材
料は、好適には金属としてケイ素、チタン、ジルコニウ
ムを含有する化合物を組み合わせたものであるが、この
他にこのようなヘキサフルオロ金属酸アンモニウム塩中
に、ヘキサフルオロスズ酸アンモニウム((NH42SnF
6)、ヘキサフルオロ鉄酸アンモニウム((NH42Fe
F 6)、ヘキサフルオロ亜鉛酸アンモニウム((NH42Zn
F6)、ヘキサフルオロストロンチウム酸アンモニウム
((NH42SrF6)、ヘキサフルオロタングステン酸ア
ンモニウム((NH42WF6)、および、ヘキサフルオロ
ビスマス酸アンモニウム((NH42BiF6)などの他のヘ
キサフルオロ金属酸塩が含有されていてもよい。これら
のヘキサフルオロ金属酸塩は単独であるいは組み合わせ
て使用することができる。ただし、これらの他のヘキサ
フルオロ金属酸塩の中には、ガラスレンズあるいはプラ
スチックレンズと著しく屈折率が異なったり、析出する
化合物が着色しているものもあることから、このような
影響が発現しないように、ケイ素原子100原子%に対
して通常は10-3〜60原子%、好ましくは10-2〜3
0原子%となるような量で使用することができる。
【0029】また、上記のヘキサフルオロ金属酸塩の例
は、ヘキサフルオロ金属酸のアンモニウム塩を例にして
説明したが、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩など
であってもよい。このアルカリ金属の析出はホウ素化合
物によるフッ素の補足とは直接的な関連はなく、アルカ
リ金属は析出結晶に付着するなどの形態で無機親水性硬
質層に取り込まれるため、本発明のレンズ用無機親水性
硬質層形成材料中におけるアルカリ金属塩の使用量に特
に制限はないが、レンズ用無機親水性硬質層形成材料中
におけるアルカリ金属塩を、通常は10-3〜10-5重量
%の範囲内に設定することが望ましい。
【0030】本発明で使用することができるヘキサフル
オロ金属酸塩は、上記のようにヘキサフルオロ金属酸塩
として供給されているものを使用することもできるし、
対応する金属酸化物をフッ化水素酸の水溶液に溶解した
後、所定のアルカリで中和して用いることもできる。こ
のようなヘキサフルオロ金属酸塩は、水性媒体に溶解し
て使用する。この際におけるヘキサフルオロ金属酸塩の
濃度は、その塩の溶解度の範囲内で適宜設定することが
できるが、好ましくは10-3〜102g/100ml、特に好
ましくは10- 2〜30g/100mlの範囲内にあることが望
ましい。
【0031】上記のようなヘキサフルオロ金属酸塩を水
性媒体に溶解させ、この溶液において、ヘキサフルオロ
金属酸塩中のフッ素原子を捕捉することにより、これら
の化合物の水性媒体に対する溶解度が低下して化合物が
析出する。本発明ではフッ素原子を捕捉するのに、ホウ
素化合物を使用することが望ましい。ここで使用するホ
ウ素化合物としては、酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸塩な
どを挙げることができる。
【0032】このようなホウ素化合物は、使用するヘキ
サフルオロ金属酸塩を形成するフッ素原子の少なくとも
一部を捕捉する量であればよく、ヘキサフルオロ金属酸
塩1モルに対して、通常は10-2〜105モル、好まし
くは10-1〜103モル、特に好ましくは1〜102モル
の範囲内の量で使用することが望ましい。上記のような
量のホウ素化合物を、ヘキサフルオロ金属酸塩が溶解さ
れている水性媒体中に投入するが、その際には溶液の温
度が10〜50℃程度の温度になるようにして実施す
る。次いで、ホウ素化合物の添加と共に強撹拌すると、
これらが溶解して透明な水溶液が得られる。
【0033】こうしてこれらを溶解させた後、静置する
と水溶液全体が白濁し始めるので、処理対象のレンズを
この水溶液中に浸漬する。このときの温度は、通常は1
0〜60℃、好ましくは25〜50℃程度に設定するの
がよい。このような条件で通常は1〜100時間、好ま
しくは5〜72時間、特に好ましくは10〜60時間程
度放置することにより、レンズ表面に上記Siを含有する
化合物と、その他の金属とを含有する複合物を析出させ
ることができる。
【0034】こうして表面に複合物が析出したレンズ
を、水溶液から取り出し、通常は水洗した後、乾燥させ
る。ところで、このような硬質層あるいはシリカ膜を表
面に形成したプラスチックレンズにおいて、ヘキサフル
オロケイ酸アンモニウム、ヘキサフルオロジルコニウム
酸アンモニウムおよびヘキサフルオロチタン酸アンモニ
ウムの混合水溶液に、該レンズ基材を浸漬し、フッ素捕
捉剤の酸化ホウ素を添加することによって酸化物複合体
を析出させ、レンズ基材上に膜状形成物を作成する方法
において、上記ヘキサフルオロ金属酸塩の混合比が、チ
タニウムがジルコニウムに対し、過剰である場合は、基
材上に成膜し、かつ容易に剥離しない膜形成が期待でき
る。しかし、逆にジルコニウムがチタニウムに対し、過
剰な場合は、成膜はするものの膜が剥離しやすくレンズ
の機能性発現に対する障害となることがある。
【0035】従って、本発明の形成材料を用いることに
より、レンズ表面に、機械的強度があり、かつ優れた親
水効果を有する無機親水性硬質層を設けることができ、
このような無機親水性硬質層は、剥離しにくく、長期間
にわたり優れた親水性が維持される。このような無機親
水性硬質層形成方法として、両膜間の密着性が良好であ
ることを利用して、まず基材に密着性の高いチタンリッ
チな成膜を実施し、これを基盤として、さらにジルコニ
ウムリッチな成膜をその上に積み上げることにより、レ
ンズ基材上に、ジルコニウムリッチ膜を作成することが
できる。
【0036】以下に、本発明のレンズ用無機親水性硬質
層形成材料を用いたレンズ表面への無機親水性硬質層の
形成操作の好適な例について、さらに具体的に説明する
まず、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム(6フッ化
チタンアンモニウム)と、ヘキサフルオロケイ酸アンモ
ニウム(6フッ化ケイ素酸アンモニウム)、さらに好適
にはヘキサフルオロジルコニウム酸アンモニウム(6フ
ッ化ジルコニウムアンモニウム)を特定比率で混合した
試薬を45℃の純水中に溶解させる。混合比率は、例え
ばヘキサフルオロチタン酸アンモニウム(6フッ化チタ
ンアンモニウム)2g、ヘキサフルオロケイ酸アンモニ
ウム(6フッ化ケイ素酸アンモニウム)8g、および、
ヘキサフルオロジルコニウム酸アンモニウム(6フッ化
ジルコニウムアンモニウム)0.1gを、それを純水中
に添加混合し、完全に溶解し、600mlの処理液を作成
する。
【0037】ここにホウ酸H3BO3を20g程添加し、処
理液の温度を45℃に保つ。その後、処理液全体を強く
混合した後、予め用意した硬質層を設けたメガネレンズ
基材を、これに浸漬する。このようにしてメガネレンズ
基材の表面に析出が開始する。浸漬は24〜48時間実
施し、その後、取り出し、純水で洗浄、乾燥させコート
を終了する。
【0038】このようにして析出する複合物は、レンズ
表面には均一に析出するが、多くの場合、レンズ表面は
微視的にはラフになっている。また、レンズ表面に水滴
として付着しないような非常に高い親水性および界面活
性剤に対する高い親媒性を付与するためには、この析出
した複合物は表面が平滑で厚さは薄い方がよい。そこ
で、上記のようにして複合物が析出したレンズ表面を、
皮革などの比較的柔らかな素材で研磨して平滑化するこ
とが好ましい。このようないわゆる「ソフト研磨」によ
り、レンズ表面に親水性を有する高精度の平滑性が与え
られ、そこに界面活性剤が介在すると、付着した水膜が
一様に広がり、レンズ自体に曇りが生じない。
【0039】なお、本発明のレンズ用無機親水性硬質層
形成材料を用いてレンズ表面に形成される無機親水性硬
質層は、必ずしも均一な層である必要はなく、上記のよ
うにして無機親水性硬質層を形成する場合、均一層を形
成していることの方がむしろ稀で、通常は化合物が部分
的に析出した構成を有する。従って、この無機親水性硬
質層の平均厚さを求めることは必ずしも容易ではない
が、析出した化合物とこの化合物の析出面積から算定し
た無機親水性硬質層の平均厚さは、通常は10Å〜0.
5μm、好ましくは500Å〜0.3μmの範囲内にある
ことが望ましい。このような厚さで無機親水性硬質層を
形成することにより、レンズの透明性や反射率に悪影響
を及ぼすことなく、良好な親水性を示す無機親水性硬質
層を形成することができる。また、上記範囲内の平均厚
さの無機親水性硬質層は、耐久性にも優れており、通常
の場合、レンズを少なくとも2年間程度、水洗により清
浄化を繰り返しながら使用しても、その親水性が損なわ
れることがない。このように長期間にわたってレンズ表
面に形成された無機親水性硬質層が維持されることから
も、この本発明のレンズ用無機親水性硬質層形成材料を
用いて形成された無機親水性硬質層が単にレンズ表面に
付着しているだけでないことは明らかである。
【0040】このような本発明のレンズ用無機親水性硬
質層形成材料を用いて、レンズ表面に無機親水性硬質層
を形成するとレンズ自体が非常に高い親水性を示すよう
になる。従って、本発明のレンズ用無機親水性硬質層形
成材料を用いて、無機親水性硬質層が表面に形成された
レンズは、長期間にわたって水洗により表面を清浄に維
持することができる。また、この水洗の際に、水が水滴
状に残留せず、薄水膜層を形成してレンズ表面に残留す
ることから、水の蒸発も早く、しかも水滴跡が残らな
い。さらに、この無機親水性硬質層を有するガラス表面
は、少量の界面活性剤を含有する水に対しては、さらに
高い親和性を示し、非常に効率よく水洗することが可能
になると共に、界面活性剤の一部は、形成された無機親
水性硬質層に含浸(主として吸着)されると考えられ、
汚れの付着防止、および付着した汚れの除去も非常に容
易になる。
【0041】すなわち、上記記載の無機親水性硬質層
は、界面活性剤を吸着する親媒性を有する無機親水性硬
質層でもある。これら水になじむ親水性と、界面活性剤
を吸着保持する親媒性は、ともに光触媒活性が適度に抑
制されたTiO2によって発現するものと考えられる。
従って、少量の界面活性剤を含有する水のみならず、直
接、界面活性剤を無機親水性硬質層の表面に塗布し、含
浸させることにより、常に一体化した状態にしても良
い。
【0042】また、本発明のレンズ用無機親水性硬質層
形成材料を用いて、レンズ表面に無機親水性硬質層を形
成し、また無機親水性硬質層表面に界面活性剤を介在さ
せることにより、このレンズが極めて優れた防曇性を有
するようになる。レンズの曇りは、レンズ表面に接触し
た水蒸気が、温度変化によって、微小な滴状になって、
レンズ表面に付着することにより発生する。本発明のレ
ンズ用無機親水性硬質層形成材料を用いてレンズ表面に
形成された無機親水性硬質層において、水の接触角は、
ほぼ0°であり、レンズ表面で水蒸気が凝集して形成さ
れた微細水滴は、隣接して形成される微細水滴と共同し
てレンズ表面に非常に薄い水膜を形成する。レンズの曇
りは、レンズ表面に滴状の水が存在することにより生ず
るのであり、こうした水が膜状になれば、水滴界面にお
ける光の散乱効果が低減されるので、レンズの曇りはほ
とんど発生しない。
【0043】この防曇の様子について走査型電子顕微鏡
(E−SEM)を用いて水蒸気圧下でのコート素材の表
面を観察した場合を例にとって説明する。本発明の材料
で無機親水性硬質層が形成されたレンズ表面に、ある水
蒸気圧がもたらされると、親水性領域にも疎水性領域に
も一様に水分子が吸着される。特に疎水性領域では、水
の接触角が大きいため、付着水が盛り上がったようにな
り、いわゆる水滴が形成され始める。しかし、この水滴
は、表面張力によって表面の自由エネルギーが小さくな
っているため、そうでない表面と比較して、水分子が表
面吸着しにくくなっている。従って、水蒸気圧が増加し
ていっても、水滴自体の大きさは変化せず、水滴の谷間
にあたる親水性領域に優先的に水分子が吸着してゆく。
これら一連のE−SEMの観察結果から、あたかも谷間
の川の水嵩が増えていくように水分子が水滴の谷間を埋
め、最終的に疎水性領域に形成された水滴を取り込ん
で、一様な水膜を形成することが分かる。
【0044】従って、これら一連の水膜形成のプロセス
から、防曇効果を発現させるためには、必ずしもレンズ
表面全体が親水性である必要はなく、疎水性領域と親水
性領域とが共存している状態であれば、親水性領域が核
となって、全体の水膜形成が達成される。このことはレ
ンズ表面の大半が疎水性であっても、ある程度の密度で
本発明の材料によって形成された無機親水性硬質層が存
在していると、この無機親水性硬質層が水分子を吸着す
る核となって、レンズ全体に水膜が形成された状態をも
たらしうることを示している。このような現象は、本発
明の無機親水性硬質層形成材料を用いることによって、
レンズ表面に防曇効果が発現している状態を的確に説明
している。
【0045】この親水性領域が、本発明の形成材料によ
ってレンズ表面に形成された無機親水性硬質層であり、
水分子の接触角を低減する。さらに界面活性剤を含有す
る水性媒体を使用した場合には、無機親水性硬質層は、
界面活性剤を吸着している領域すなわち親媒性的な領域
でもあり、この領域が核となって水膜が形成される。こ
うした無機親水性硬質層から始まった水膜形成のプロセ
スは、順次他の部分にも波及し、特に他の疎水領域にあ
る水滴を瞬時に取り込みながら、レンズ表面に極薄い水
膜を形成する。
【0046】しかもその効果は、再度の水あらいによっ
て消失することはなく、数回の水洗い毎に、中性洗剤で
洗浄することによって、レンズ表面に界面活性剤を供給
することができるため、さらに長期間にわたって、優れ
た親水性を維持することができる。また中性洗剤で洗浄
するのみならず、直接、界面活性剤を無機親水性硬質層
の表面に塗布し、一体化しても良い。界面活性剤は、無
機親水性硬質層に吸着され、安定して長期にわたって存
在するので、親水性が大きく助長され、かつ長期間、防
曇効果等が維持される結果となる。
【0047】上記と同様にして、ヘキサフルオロケイ酸
アンモニウム、ヘキサフルオロジルコニウム酸アンモニ
ウムおよびヘキサフルオロチタン酸アンモニウムを用い
て、プラスチック板の表面に無機親水性硬質層を形成し
たサンプルについて、蛍光X線分析装置およびX線回折装
置(XRD:日本電子(株)、理学電子(株))を使用し
て、無機親水性硬質層について分析したところ、この無
機親水性硬質層から、Si、Ti、Zr、Fが検出された。
【0048】従って、本発明のレンズ用無機親水性硬質
層形成材料を用いてレンズ表面に形成された無機親水性
硬質層によって奏される親水効果は、光触媒活性がある
程度抑制された酸化チタンを含有する無機親水性硬質層
によってもたらされるものであり、さらにこのような無
機親水性硬質層に界面活性剤を含浸(主として吸着)さ
せることによってもたらされるものである。
【0049】また、本発明を用いて無機親水性硬質層を
形成する際には、強い紫外線照射のような煩雑なプロセ
スは特に必要ない。また、表面を布や紙で拭き取って
も、その特性が変化せず、表面を拭き取ると曇ってしま
う光触媒効果による酸化チタン膜の場合とは異なり、そ
の点で優位性がある。なお、上記説明は、レンズについ
て説明したが、このレンズには、メガネレンズ、光学用
レンズ、各種撮影機用のレンズ、写真用レンズなど各種
レンズが包含されることはもちろん、著しい光屈折を必
要としない用途、例えば、防曇効果を有することが必要
な透明プラスチック板などの表面処理剤としても使用す
ることが可能である。
【0050】
【発明の効果】本発明のレンズ用無機親水性硬質層形成
材料を使用することにより、レンズ表面に非常に高い親
水性を示す領域を形成することができる。このように本
発明のレンズ用無機親水性硬質層形成材料を用いて無機
親水性硬質層を形成し、それに界面活性剤を含浸させる
ことにより、長期間にわたり非常に優れた親水性を示す
レンズを形成することができる。特に本発明のレンズ用
無機親水性硬質層形成材料を用いることにより、非常に
防曇性に優れたレンズを形成することが可能であり、湿
温環境の急激な変化によっても曇りにくいレンズを製造
することができる。このような防曇性の高いレンズは、
特にメガネレンズとして好適である。さらに、本発明の
レンズ用無機親水性硬質層形成材料によって形成される
無機親水性硬質層は、耐擦傷性にも優れていると共に、
無機親水性硬質層を形成する金属原子が、この下層に形
成されているプラスチックレンズあるいはガラスレンズ
の硬質層などに含有される酸素原子などを共有して結合
しているものと推定され、単に付着しただけの表面コー
ト層とは異なり、非常に長期間(現在2年間の通常使用
によっても無機親水性硬質層にほとんど損傷の発生は認
められない)にわたって、親水性が変動しない。
【0051】
【実施例】次に本発明の実施例を示して本発明をさらに
詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定される
ものではない。
【0052】
【実施例1】SiO2:10g、TiO2:5gおよびZrO2:1
gを混合した混合粉末を、46%のHF水溶液3mlを6
00mlの純水に溶解した水溶液に投入し、強く撹拌し
ながら約25℃で24時間反応させた。その後、この未
反応粉末の残存する水溶液を静置して、その上澄み液を
分取した。この上澄み液にピペットを用いて、NH4OH水
を滴下した。
【0053】こうしてNH4OH水溶液を滴下するに従っ
て、水溶液全体がやや白濁した状態となり、その後、液
全体が透明になったところでNH4OH水溶液の添加を停止
して処理液作成を終了した。この処理液600ml(4
0℃)に酸化ホウ素(B2O3)10gを添加し、溶液全体
を強く撹拌して、沈殿物を完全に溶解した。
【0054】溶解後、しばらくすると、液全体が白濁し
始めたので、予め用意していた硬質層を設けたプラスチ
ックレンズを浸漬した。処理液を40℃に保った状態
で、硬質層を設けたプラスチックレンズを浸漬し、36
時間保持した。上記時間経過後、レンズを処理液から取
り出し、表面を洗浄、乾燥した。
【0055】以上のようにして、作成した処理レンズの
表面を皮革製のポリッシャーを使用して「ソフトな研
磨」を行い、レンズ表面の平滑化をはかり、さらに中性
洗剤で洗浄し、乾燥させ、レンズへの表面処理を終了し
た。こうして得られた無機親水性硬質層における酸化チ
タンの光触媒活性が著しく抑制されていた。
【0056】このように表面処理したレンズ基材を高湿
度環境に設置したところ、通常の無コート(未処理)レ
ンズが曇ったのに対し、処理レンズ表面には干渉色を呈
する水膜が形成され透明性が保持できた。この透明性
は、レンズへの応用という点で実用上問題のないもので
あった。レンズ表面に形成された薄膜を、蛍光X線分析
装置(XRD:日本電子(株)製)により組成分析したと
ころ、表1に示すような組成の化合物であることが判明
した。
【0057】
【表1】
【0058】
【実施例2】ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム(6フ
ッ化ケイ素酸アンモニウム:(NH42SiF6)10g、ヘ
キサフルオロジルコニウム酸アンモニウム(6フッ化ジ
ルコニウムアンモニウム:(NH42ZrF6)1gおよびヘ
キサフルオロチタン酸アンモニウム(6フッ化チタンア
ンモニウム:(NH42TiF6)5gを秤量し、これを60
0mlの純水に40℃で混合溶解した。
【0059】こうして作成した処理液に酸化ホウ素10
gを添加し、処理液全体を強く撹拌して、沈澱物を完全
に溶解した。溶解後しばらくすると液全体が白濁しはじ
めたので、予め用意していた硬質層を設けたプラスチッ
クレンズを浸漬した。処理液を40℃に保った状態で2
4時間継続した後に浸漬を終了した。その後、レンズを
処理液から取り出し、表面を洗浄、乾燥した。
【0060】こうして得られた無機親水性硬質層におけ
る酸化チタンの光触媒活性は著しく抑制されていた。次
に、このようにして作成した処理レンズの表面を皮革製
ポリッシャーを用いてレンズ表面の平滑化をはかり、さ
らに中性洗剤で軽く洗浄し、乾燥させ、レンズ表面の処
理を終了した。
【0061】このように表面処理したレンズを高湿度環
境に設置したところ、通常の無コートレンズが曇ったの
に対し、処理レンズは透明性を保持したままでレンズ応
用に耐えうるものであった。処理レンズはさらに、水洗
いすることで、汚れを落とすことができ、これを2年間
ほど継続して実施したがレンズ表面には、大きな傷の発
生は見られなかった。
【0062】
【表2】
【0063】
【実施例3】本発明による無機親水性硬質層形成材料を
コートしたメガネレンズを暗室内にそれぞれ1週間、2
週間、1ヶ月間、3ヶ月間、放置した後、メガネレンズ
を暗室内から取り出し、防曇効果を発現するかどうかを
図1に示した高湿チェンバーにより確認した。
【0064】なお、ここで使用したレンズの表面に形成
された薄膜について実施例1と同様にしてその成分組成
を測定した。結果を表3に示す。
【0065】
【表3】
【0066】暗室内から取り出したレンズを図1のチェ
ンバーに設置し、サンプルごとに、光量測定装置による
測定を実施した。その結果、いずれのサンプルも高い透
過光量を示し、曇りに起因する光量低下は観察されなか
った。従って、本発明による防曇効果は、光触媒によっ
て生ずる超親水性に基づくものではないことが判明し
た。すなわち、光触媒によって超親水性が生ずるのであ
れば、放置時間に応じて透過光量の変化が生じるが、こ
の実施例においては、放置時間に応じて通過光量は変化
しなかった。
【0067】
【表4】
【0068】上記表4に示した光の透過量から明らかな
ように、この実施例で使用したメガネレンズは、暗室に
保管してあり紫外線に晒されていないにもかかわらず、
良好な防曇作用を示し、メガネレンズ表面に付着した水
分は、薄水膜層を形成した。従って、本発明のレンズ用
無機親水性硬質層形成材料を用いたレンズ表面の無機親
水性硬質層の形成には、紫外線は関与していない。
【0069】
【実施例4】ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム(6フ
ッ化ケイ素酸アンモニウム)15g、ヘキサフルオロジ
ルコニウム酸アンモニウム(6フッ化ジルコニウムアン
モニウム)0.1gおよびヘキサフルオロチタン酸アン
モニウム(6フッ化チタンアンモニウム)5gを純水6
00ml中に溶解させ、混合撹拌した。混合撹拌が充分行
われた後、酸化ホウ素を15g添加し、撹拌混合しなが
ら完全に溶解した。この段階では処理液は無色透明の状
態であった。
【0070】さらに、その後、この溶液に、硬質層を設
けた径70mmのプラスチックレンズ基材を浸漬し、処理
液を40℃に保って24時間放置した。処理液は、5〜
6時間を越えたあたりから白濁し始め、析出が徐徐に進
行しているのが観察された。24時間経過後、レンズ基
材を処理液の中から取り出し、簡単に純水によって洗浄
した後、さらに予め作成しておいたヘキサフルオロケイ
酸アンモニウム(6フッ化ケイ素酸アンモニウム)15
g、ヘキサフルオロジルコニウム酸アンモニウム(6フ
ッ化ジルコニウムアンモニウム)5gおよびヘキサフル
オロチタン酸アンモニウム(6フッ化チタンアンモニウ
ム)0.75gを純水中に混合溶解し、さらに酸化ホウ
素15gを添加し、完全に溶解した処理液中に、再度浸
漬した。浸漬は、処理液温度を40℃に保ち、約10時
間放置することで行った。
【0071】10時間経過後、レンズ基材を取り出し、
ぬるま湯で軽く洗浄後、乾燥させた。こうして得られた
無機親水性硬質層における酸化チタンの光触媒活性は著
しく抑制されていた。このレンズは、乾燥後、表面をセ
ム皮でポリッシュして、純水中に浸漬したところ、高い
親水性を示した。
【0072】さらに、このレンズの表面にアルキル硫酸
エステルナトリウム系化合物を主成分とする43重量%
界面活性剤を薄くコートしたところ、2〜3週間経過後
も防曇効果が維持され、高湿度環境下でレンズ表面に劣
化の兆候として現れるスクラッチ様痕は、ほとんど形成
されなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施例3で行った防曇試験に
用いた装置を模式的に示す図である。
【図2】 図2は、本発明のレンズの製造方法で使用さ
れるヘキサフルオロ金属酸塩の好適な使用量の例を示す
組成図である。
【図3】 図3は、本発明のレンズの製造方法で形成さ
れる無機親水性硬質層における金属の組成の例を示す組
成図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2K009 BB02 BB11 CC02 CC03 CC06 DD02 DD06 DD16 EE02 4G059 AA11 AC21 EA09 EB07

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フッ素原子の少なくとも一部を捕捉する
    ことにより、レンズ表面に析出して、酸化チタンを含有
    する無機親水性硬質層を形成する複数のヘキサフルオロ
    金属酸塩を含有しており、該複数のヘキサフルオロ金属
    酸塩が、ヘキサフルオロチタン酸塩を含有すると共に、
    該ヘキサフルオロチタン酸塩によって形成される酸化チ
    タンの有する光触媒作用に対する光触媒抑制成分を形成
    可能なヘキサフルオロ金属酸塩を含有すると共に、界面
    活性剤を含浸可能に形成できるように無機親水性硬質層
    を形成するレンズ用無機親水性硬質層形成材料。
  2. 【請求項2】 上記無機親水性硬質層が、界面活性剤を
    含浸可能に形成され、該無機親水性硬質層が含浸された
    界面活性剤に対する光分解触媒作用が低減されているこ
    とを特徴とする請求項第1項記載のレンズ用無機親水性
    硬質層形成材料。
  3. 【請求項3】 前記無機親水性硬質層が、ケイ素、ジル
    コニウムおよびチタンの単純酸化物あるいは複合酸化物
    を含有することを特徴とする請求項第1項または第2項
    記載のレンズ用無機親水性硬質層形成材料。
  4. 【請求項4】 前記ヘキサフルオロ金属酸塩が、対応す
    る金属酸化物をフッ化水素酸に溶解した後、中和するこ
    とにより調製されたものであることを特徴とする請求項
    第1項記載のレンズ用無機親水性硬質層形成材料。
  5. 【請求項5】 前記ヘキサフルオロ金属酸塩が、ヘキサ
    フルオロケイ酸アンモニウム、ヘキサフルオロジルコニ
    ウム酸アンモニウムおよびヘキサフルオロチタン酸アン
    モニウムを含有することを特徴する請求項第1項記載の
    レンズ用無機親水性硬質層形成材料。
  6. 【請求項6】 前記ヘキサフルオロ金属酸塩のフッ素原
    子を捕捉する成分がホウ素化合物であることを特徴とす
    る請求項第1項記載のレンズ用無機親水性硬質層形成材
    料。
  7. 【請求項7】 前記ヘキサフルオロ金属酸塩が、ヘキサ
    フルオロケイ酸アンモニウムと、ヘキサフルオロジルコ
    ニウム酸アンモニウムと、ヘキサフルオロチタン酸アン
    モニウムとからなり、該ヘキサフルオロ金属酸塩を、金
    属原子比でケイ素とチタンとを99.9/0.1〜6
    0:40、チタンとジルコニウムとを99.9/0.1
    〜90:10、ケイ素とジルコニウムとを99.9/
    0.1〜90:10の範囲内になるように使用されてい
    ることを特徴とする請求項第1項または第5項記載のレ
    ンズ用無機親水性硬質層形成材料。
  8. 【請求項8】 前記ヘキサフルオロ金属酸塩が、水性媒
    体中に溶解されていることを特徴とする請求項第1項記
    載のレンズ用無機親水性硬質層形成材料。
  9. 【請求項9】 前記複数のヘキサフルオロ金属酸塩を用
    いて形成された無機親水性硬質層が、Si、TiおよびZrの
    金属原子を含有すると共に、F、N、B、HおよびOからな
    る群からなる少なくとも一種類の原子を含有することを
    特徴とする請求項第1項記載のレンズ用無機親水性硬質
    層形成材料。
  10. 【請求項10】 前記ヘキサフルオロジルコニウム酸ア
    ンモニウムと、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウムと
    を、金属原子%比換算(Ti/Zr)で、99.9/0.1
    〜70/30の範囲内の量比で析出するように配合する
    ことを特徴とする請求項第1項、第5項、または第7項の
    いずれかに記載のレンズ用無機親水性硬質層形成材料。
  11. 【請求項11】 前記ヘキサフルオロケイ酸アンモニウ
    ムと、ヘキサフルオロジルコニウム酸アンモニウムおよ
    びヘキサフルオロチタン酸アンモニウムとを、金属原子
    %比換算(Si/(Ti+Zr))で、99.9/0.1〜60
    /40の範囲内の量比で析出するように配合することを
    特徴とする請求項第1項、第5項、第7項のいずれかに記
    載のレンズ用無機親水性硬質層形成材料。
  12. 【請求項12】 前記ホウ素化合物が、酸化ホウ素およ
    び/またはホウ酸であることを特徴とする請求項第6項
    記載のレンズ用無機親水性硬質層形成材料。
  13. 【請求項13】 前記レンズが、表面に硬質層を有する
    こともあるガラスレンズ、または、表面に硬質層を有す
    るプラスチックレンズであることを特徴とする請求項第
    1項記載のレンズ用無機親水性硬質層形成材料。
  14. 【請求項14】 フッ素原子の少なくとも一部を捕捉す
    ることにより、レンズ表面に析出して、酸化チタンを含
    有する無機親水性硬質層を形成する複数のヘキサフルオ
    ロ金属酸塩を含有しており、該複数のヘキサフルオロ金
    属酸塩が、ヘキサフルオロチタン酸塩を含有すると共
    に、該ヘキサフルオロチタン酸塩によって形成される酸
    化チタンの有する光触媒作用に対する光触媒抑制成分を
    形成可能なヘキサフルオロ金属酸塩を含有するレンズ用
    無機親水性硬質層形成材料を用いて、ケイ素、ジルコニ
    ウムおよびチタンの酸化物複合体を含有し、チタンとジ
    ルコニウムの構成原子比(Ti/Zr)が3以上である膜状
    形成物を形成した後、さらに該膜状形成物上に同構成比
    が3未満の酸化物複合体からなる膜状形成物を形成して
    無機親水性硬質層となすことを特徴とするレンズ用無機
    親水性硬質層の形成方法。
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