JP2003013535A - ボイド型枠ユニットの床型枠への固定構造及び固定方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 床型枠７にボイド型枠ユニットＰを所定の間
隔を保持して容易に固定する。 【解決手段】 複数のボイド型枠４を並列し、その並列
ボイド型枠４に縦横の鉄筋１、２、３を配設して一体化
したボイド型枠ユニットＰを、床型枠７にその上の上下
端主筋８、１０間に介在して固定する。下端主筋８が配
筋された床型枠７上にボイド型枠ユニットＰを脚兼用の
固定金具５を介して載置するとともに、床型枠７に孔７
ａを形成し、この孔７ａに固定金具５の一の脚部を挿通
するとともに、固定金具５をユニットＰの鉄筋３に係止
する。この後、固定金具５をクサビ１４でもって床型枠
７に固定し、この固定により、固定金具５を介してユニ
ットＰを床型枠７に固定する。この固定金具５の設置位
置は任意に選択できるため、作業性が向上し、ボイド型
枠４と床型枠７の間隔も一定化する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、ボイドスラブを
構築するためのボイド型枠ユニットの床型枠への固定構
造及び固定方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】建造物のスラブの軽量化を図るために、
ボイドスラブ構造が採用され、そのボイドスラブ構造
は、コンクリートスラブ内に、上下端主筋の配筋ととも
に中空管又は発泡樹脂体から成るボイド型枠を縦横に介
在したものである。そのボイド型枠の施工性を高めるた
めに、例えば、特開平７−３０５４４４号公報、特開平
１０−３０３０３号公報等で示される、上下端主筋とボ
イド型枠を一体化してユニット化したものがある。

【０００３】この主筋とボイド型枠のユニット化は、そ
れなりに有効であるが、スラブの強度計算上の配筋態様
が制限される。このため、特開平１１−１０７４２３号
公報には、主鉄筋とは別個にボイド型枠をユニット化し
たものが提案されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記ボイド型枠のユニ
ットは、並列したボイド型枠の前後に枠状の固定金具を
嵌め込んで溶接したブロックから成る。しかし、このボ
イドブロックは下端主筋の上に直接載置し、下端主筋に
結束線などで結束することにより固定する。このため、
この固定方法では、下端主筋の配筋精度により、ボイド
型枠の床型枠からの間隔を正確に一定寸法に仕上げるこ
とははなはだ難しい。その間隔が一定でないと、スラブ
の強度が問題となる。

【０００５】また、出願人は、図８に記載のごとく、複
数のボイド型枠１１を並列し、その並列ボイド型枠１１
に縦横の鉄筋１２を配設するとともにボイド型枠１１に
溶接したボイド型枠ユニットＰを提案した。このボイド
型枠ユニットＰは、工場で製作できるため、安価である
うえに、現場作業も削減され、施工性も向上する。

【０００６】このボイド型枠ユニットＰを床型枠に取付
けるには、例えば、特開平１０−１３１４９４号公報な
どに開示され、図８に示すように、ボイド型枠１１を支
持する受座１３ａと、その受座１３ａを床型枠７上に一
定間隔をもって支持する脚１３ｂと、その受座１３ａ及
び脚１３ｂを床型枠７に固定する固定杆１３ｃとからな
る受金具１３によって、その各ボイド型枠１１をそれぞ
れ支持し、鉄線１５などにより縛止固定することが考え
られる。

【０００７】しかし、この受金具１３及びボイド型枠１
１（ユニットＰ）の床型枠７への固定は、その受金具１
３などが各ボイド型枠１１毎に必要であり、そのために
多数必要となるとともに、現場施工となることから、煩
雑となり、作業性が悪い。特に、受金具１３にあって
は、床型枠７にあける下孔の相対位置が定められるた
め、施工に精度が要求される。

【０００８】この発明は、ボイド型枠ユニットを床型枠
に円滑かつ高精度に固定し得るようにすることを課題と
する。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため
に、この発明は、まず、上記ボイド型枠ユニットと床型
枠との間に脚を介在してボイド型枠と床型枠の間隔を所
定高さに保持するようにしたのである。つぎに、ボイド
型枠ユニットの鉄筋を床型枠に係止したフック状固定金
具で固定し、この固定金具を介してボイド型枠ユニット
を床型枠に固定するようにしたのである。

【００１０】このように、ボイド型枠ユニットとその脚
及び固定金具が別ものであると、その脚の長さによって
ボイド型枠（ユニット）と床型枠の間隔も規定されるた
め、その間隔も一定化する。また、別ものであれば、ボ
イド型枠が邪魔にならない位置で、そのユニットを支持
固定でき、その作業性が向上する。

【００１１】

【発明の実施の形態】この発明の実施形態としては、ボ
イドスラブ構造を構築する際、複数のボイド型枠を並列
し、その並列ボイド型枠に縦横の鉄筋を配設して一体化
したボイド型枠ユニットを、下端主筋と上端主筋の間に
介在して床型枠に固定した構造において、前記ボイド型
枠ユニットの鉄筋と床型枠の間に、そのボイド型枠ユニ
ットを床型枠から所要高さに保つ脚が設けられていると
ともに、前記鉄筋に係止されたフック状固定金具が前記
床型枠を貫通し、その固定金具の下端部を床型枠に抜け
止めして、この固定金具を介してボイド型枠ユニットを
床型枠に固定した構造を採用し得る。

【００１２】この構成のボイド型枠の床型枠への固定構
造をなすには、例えば、前記下端主筋が配筋された床型
枠上にボイド型枠ユニットを上記脚を介して載置すると
ともに、床型枠に孔を形成し、この孔に上記固定金具を
挿通するとともにボイド型枠ユニットの鉄筋に係止し、
その後、固定金具の下端部を床型枠に抜け止めするとと
もに、この固定金具を介してボイド型枠ユニットを床型
枠に固定する。このとき、前記固定金具は、並列したボ
イド型枠の間に位置させて、孔の形成および固定金具の
係止にボイド型枠が邪魔とならないようにするとよい。

【００１３】

【実施例】一実施例を図１乃至図３に示し、各図におい
て、１はコ字状の支持鉄筋で、水平部１ａと両端部が折
り曲げられた垂直部１ｂとからなる。２は支持鉄筋１の
連結用上鉄筋で、本数を多くしたのはコンクリート打設
時のボイド型枠４の浮き上りや変形を少なくするためで
ある。３はボイド型枠４の支持を兼ねる支持鉄筋１の連
結用下鉄筋である。これらの各鉄筋１、２、３は交差部
で溶接により組み立てられ、ボイド型枠４を支持する鉄
筋かごとなる。なお、ボイド型枠４の太さ・長さ及び並
列数・並列間隔などはボイドスラブ構造の態様によって
適宜に選定されるため、その各態様のボイド型枠４の配
置に応じて鉄筋かごの態様も変化させる。

【００１４】上記ボイド型枠４は、金属製中空管（ワイ
ンディングパイプ）から成り、支持鉄筋１の垂直部１ｂ
と鉄筋２、鉄筋３で形成された枠内に挿入され、同中空
管４と鉄筋２が適宜の個所でスポット溶接により中空管
４が抜け出さない程度に固定される。図示の場合、４本
の中空管４がセットされたボイド型枠ユニットである。
このユニットＰは予め工場で量産される。なお、金属製
中空管４は図示省略したが、その両端は通常閉蓋してコ
ンクリートが入らないようにするが、他の形式でコンク
リートが入らないようにすることもできる。５は脚兼用
の固定金具で、図３に示すように、Ｕ字状の脚杆を十字
状にしてその交点をスポット溶接したものであり、一の
脚杆の一方は長くなって、その途中に切り欠き５ａが形
成されている。５ｂはキャップ、５ｃはナットを溶接し
た頭部である。

【００１５】この実施例は以上の構成であり、このユニ
ットＰでもって、建造物のスラブを構築するには、ま
ず、床型枠７の上に下端主筋８を配筋した後、その主筋
８の上にボイド型枠ユニットＰを縦横に所要数並べる。
つぎに、固定金具５を取付けるユニットＰの位置に対応
する床型枠７に貫通する孔７ａをあけ、その孔７ａに固
定金具５をその頭部５ｃから挿し通しながら、図３に示
すように、鉄筋かごの下部鉄筋３がその挿し通したＵ字
状脚の下側に位置するとともに他のＵ字状脚の上側に位
置するように、固定金具５をユニットＰと床型枠７の間
に介在する。この後、クサビ１４を打込んでクサビ１４
と頭部５ｃを掛け止めし、床型枠７にユニットＰを固定
する（上述の特開平１０−１３１４９４号公報参照）。
この固定金具５の設置個所は、ユニットＰがコンクリー
ト打設によって動かない程度にすればよく、例えば、図
示のごとく、中空管４の間の鉄筋かごの四角などの４点
とする。このとき、床型枠７の孔７ａはその固定個所に
適宜に開ければよい。

【００１６】この後、上端主筋１０を配筋し、コンクリ
ートを上方から流し込んで、中空コンクリートスラブを
打設構築する。このコンクリート打設時、床型枠７にユ
ニットＰが固定されているため、ボイド型枠４の浮き上
がりはなく、また、固定金具５と床型枠７との摩擦によ
ってユニットＰの水平移動も抑制される。床型枠７の除
去は、固定金具５の切り欠き５ａを介しその一片を折曲
して取り除いて行う。

【００１７】図４、図５には他の実施例を示し、この実
施例の固定金具５は、脚部５１とフック部５２を別もの
としたものであり、脚部５１で、ボイド型枠ユニットＰ
を支持した後、図５（ａ）から（ｂ）に示すように、フ
ック部５２をねじるようにして孔７ａに挿入するととも
に、鉄筋かごの下部鉄筋３に係止し、この係止により、
ユニットＰを床型枠７に固定する（実開昭５２−７６１
３１号公報参照）。この実施例では、脚部５１の床型枠
７への設置は、ユニットＰを下端主筋８に載置する前で
も後でもいずれでもよいが、前の方が好ましい。また、
フック部５２は、必ずしも、脚部５１の中にある必要は
なく、離れていてもよい。図中、５３はフック部５２の
移動防止用充填材である。

【００１８】図６、図７にはさらに他の実施例を示し、
この実施例は、特開平１１−１０７５２７号公報で示さ
れるように、固定金具５の床型枠７との固定部をコマ本
体５３とそのコマ本体５３内に嵌合係止する釘止め体５
４とによって構成したものである。この実施例では、図
７（ａ）に示すように、釘止め体５４を釘５５により床
型枠７に固定した後、その釘止め体５４にコマ本体５３
を嵌合係止し、そのコマ本体５３に固定金具５の一の脚
を係止することにより、固定金具５を床型枠７に固定す
る。このため、下端主筋８にボイド型枠ユニットＰを載
置した後、前述の作用により、適宜位置に固定金具５を
床型枠７を固定するとともに、固定金具５を鉄筋かごに
係止し、この固定金具５により、ボイド型枠ユニットＰ
を床型枠７に固定する。コンクリートＣの打設固化後に
は、図７（ｂ）に示すように床型枠７を外した後、同図
（ｃ）のごとく釘止め体５４を外す。

【００１９】これらの実施例では、床型枠７にあける穴
７ａ又は釘止め体５４の位置は、精度が要求されずユニ
ットＰの設置後に開けたり、設置できるため、その作業
が容易である。また、簡素な固定金具５を用いるため、
部品コストを下げることが出来る。さらに、従来のよう
な、固定金具５の位置を選択できるため、施工性もよい
うえに、床型枠７と鉄筋かごを固定することで、全ての
ボイド型枠４を固定できるため、そのボイド型枠４の固
定用金具５の使用本数を減らすことができる（図示例４
個）。また、そのための作業時間を短縮できる。さら
に、このように、ボイド型枠４の４本を鉄筋かごにより
組立てた場合でも固定金具５は４個で済む。

【００２０】なお、これらのボイド型枠ユニットＰの設
置方法は、床型枠７と鉄筋かごとを固定金具５により固
定するので、ボイド型枠４は鉄筋かごで支持され、この
ため、ボイド型枠４と床型枠７との直接の一体化が不要
となり、中空管４の他に発泡スチロール製柱体を使用す
ることができる。

【００２１】

【発明の効果】この発明は、以上のように、ボイド型枠
ユニットを脚及び固定金具により床型枠に固定するよう
にしたので、ボイド型枠と床型枠の間隔が一定にできる
とともに、そのボイド型枠ユニットをなす鉄筋でもって
固定でき、このため、作業性がよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】一実施例の要部斜視図

【図２】同実施例の鉄筋かごを示し、（ａ）は平面図、
（ｂ）は右側面図、（ｃ）は正面図

【図３】同実施例の固定金具の斜視図

【図４】同固定金具の他例の斜視図

【図５】同固定金具の取付作用図

【図６】同固定金具のさらに他例の斜視図

【図７】同固定金具の取付作用図

【図８】従来例の正面図

【符号の説明】

Ｐ ボイド型枠ユニット １ ボイド型枠支持鉄筋 ２ 上鉄筋 ３ 下鉄筋 ４ ボイド型枠 ５ 固定金具 ５ａ 切り欠き ７ 床型枠 ７ａ 孔 ８ 下端主筋 １０ 上端主筋 ５１ 固定金具の脚部 ５２ 同フック部 ５３ コマ本体 ５４ 釘止め体 ５５ 釘

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ボイドスラブ構造を構築する際、複数の
   ボイド型枠４を並列し、その並列ボイド型枠４に縦横の
   鉄筋１、２、３を配設して一体化したボイド型枠ユニッ
   トＰを、下端主筋８と上端主筋１０の間に介在して床型
   枠７に固定した構造であって、 上記ボイド型枠ユニットＰの鉄筋と床型枠７の間に、そ
   のボイド型枠ユニットＰを床型枠７から所要高さに保つ
   脚が設けられているとともに、前記鉄筋に係止されたフ
   ック状固定金具が前記床型枠７を貫通し、その固定金具
   ５の下端部を床型枠７に抜け止めして、この固定金具５
   を介してボイド型枠ユニットＰを床型枠７に固定したこ
   とを特徴とするボイド型枠ユニットの床型枠への固定構
   造。
2. 【請求項２】 上記脚及び固定金具５を、並列したボイ
   ド型枠４の間に位置させたことを特徴とする請求項１に
   記載のボイド型枠ユニットの床型枠への固定構造。
3. 【請求項３】 請求項１又は２に記載のボイド型枠ユニ
   ットの床型枠への固定構造をなす方法であって、上記下
   端主筋８が配筋された床型枠７上に上記ボイド型枠ユニ
   ットＰを上記脚を介して載置するとともに、床型枠７に
   孔７ａを形成し、この孔７ａに上記固定金具５を挿通す
   るとともにボイド型枠ユニットＰの鉄筋に係止し、その
   後、固定金具５の下端部を床型枠７に抜け止めして、こ
   の固定金具５を介してボイド型枠ユニットＰを床型枠７
   に固定するボイド型枠ユニットの床型枠への固定方法。