JP2003013087A - 香気・香味付与組成物およびそれを添加した飲食物、香水、化粧品 - Google Patents

香気・香味付与組成物およびそれを添加した飲食物、香水、化粧品

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信彦 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】飲食品類、香粧品類に有用な新たな香料素材
(香気・香味付与組成物)を提供する。 【解決手段】3,4−ジメチル−5−ペンチル−2(5
H)−フラノンを含有することを特徴とする香気・香味
付与組成物で、飲食物、香水、化粧品に好適に添加使用
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、3,4−ジメチル
−5−ペンチル−2(5H)−フラノンの香気・香味付
与組成物、ならびにその香気・香味付与組成物が添加さ
れた飲食物、香水、化粧品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】3,4−ジメチル−5−ペンチル−2
(5H)−フラノンは、種々の天然物から見いだされて
いる既知化合物である。例えば、Kaneko等はAg
r. Biol.Chem.Vol33,No.10,
1969,(1526)で、たばこ葉から単離、同定し
たことが報告されている。また、J.N.Schuma
cher等は、米国特許第3,251,336号明細書
(1966年5月17日発行)で、たばこ香喫味改良剤
として優れていることを報告している。しかしながら、
これらの文献には、たばこ以外の香料としての特性につ
いては一切記載されていない。
【0003】また、3,4−ジメチル−5−ペンチル−
2(5H)−フラノンについて、Sakata等は、A
gr.Biol.Chem.,Vol37,No.1
0,1973(2441−2442)で、和種ハッカ
(Shubi)から単離、同定された化合物でありセロ
リ用の香気を有することを報告しているが、この文献に
は香気、香味を含む香料としての有用性は何ら記載はな
く、また、該化合物を添加した飲食物、香水、化粧品に
ついても何ら示唆されていない。それ以降の文献におい
ても各種天然物中から該化合物が見いだされたことが報
告されているが、やはり香気、香味を含む香料としての
有用性は何ら記載はなく、また、該化合物を添加した飲
食物、香水、化粧品についても何ら示唆されていない。
【0004】また、堀田等は、JARQ,Vol.2
1,No3,1987(192−197)の中で、該化
合物が緑茶を光照射したり空気中で保存した際増加し、
該化合物を含む化合物が緑茶の変質したときに生ずる好
ましくないフレーバー(オフフレーバー)であり得るこ
とを示唆している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、飲食
品類、香粧品類に有用な新たな香料素材
【0006】
【問題点を解決するための手段】本発明者らは、3,4
−ジメチル−5−ペンチル−2(5H)−フラノンが香
気・香味付与組成物の成分として特に優れ、添加された
飲食物、香水、化粧品の特性を引き立たせるのに特に適
していることを見いだした。本発明の香気・香味付与組
成物は、3,4−ジメチル−5−ペンチル−2(5H)
−フラノンを含有する香気・香味付与組成物であり、本
発明の香気・香味付与組成物は、飲食物、香水、化粧品
に好適に添加使用される。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の香気・香味付与組成物
は、3,4−ジメチル−5−ペンチル−2(5H)−フ
ラノンを含有するものである。この化合物は、既述のよ
うに天然物から抽出後カラムクロマトグラフィーによっ
て分離して得ることができるが、化学的合成によっても
得ることができる。天然物中の含有率は低く、分離に煩
雑な操作を伴うため、化学的合成によって得る方法が好
ましい。
【0008】化学的合成法の例としては、オランダ特許
第6,514,140号公報に従い、酢酸エチルとヘキ
サナールから製造することができる。また、Agri
c.Biol.Chem.,Vol,49,1985
(3601−3603)に記載の方法に従い、3,4−
ジメチル−5−ペンチリデン−2(5H)−フラノンを
酸化白金触媒を用いて水素還元することによっても得る
ことができる。
【0009】本発明において、このようにして得られた
3,4−ジメチル−5−ペンチル−2(5H)−フラノ
ンは、他の香料等の成分を配合または単独で、香気・香
味・味を付与する香料組成物とし、飲食物、香水、化粧
品に添加される。この香気・香味付与組成物には、通常
の香料に使用される成分であれば特に限定されることな
く配合し、様々な香料に使用することができるが、特に
紅茶、緑茶、半発酵茶、後発酵茶などの茶香料、ストロ
ベリー、ピーチ、メロン、スイカなどのフルーツ香料、
ミルク香料に好適に使用することができる。
【0010】この香気・香味付与組成物における3,4
−ジメチル−5−ペンチル−2(5H)−フラノンの含
有量は特に限定されないが、香気・香味付与組成物中に
0.01〜50重量%程度の割合で含有させることが好
ましい。しかしながら、意図する官能効果によってはこ
の範囲外でも使用し得る。
【0011】また、本発明で用いられる3,4−ジメチ
ル−5−ペンチル−2(5H)−フラノンは、香気・香
味を付与する香料組成物として、各種飲食物、香水、化
粧品に添加して3,4−ジメチル−5−ペンチル−2
(5H)−フラノンの特徴的な香気・香味・香喫味を付
与することができる。本発明で用いられる3,4−ジメ
チル−5−ペンチル−2(5H)−フラノンの各種飲食
物、香水、化粧品への添加量は、添加する飲食物、香
水、化粧品の種類によって適宜選択することができる。
【0012】本発明の3,4−ジメチル−5−ペンチル
−2(5H)−フラノンを含有する香気・香味を付与す
る香料組成物は、このものの香気、香味付与効果を期待
する各種飲食物、香水、化粧品であれば特に限定するこ
となく添加することができる。例えば、飲食物として
は、果汁飲料類、果実酒類、乳飲料類、炭酸飲料類のご
とき飲料類;アイスクリーム類、シャーベット類、アイ
スキャンディーのごとき冷菓類;和洋菓子類、ジャム
類、チューインガム類、パン類、コーヒー、ココア、紅
茶、緑茶のごとき嗜好品類;和風スープ類、洋風スープ
類のごときスープ類;風味調味料各種インスタント飲料
乃至食品類、各種スナック食品類などが挙げられ、特に
紅茶、緑茶、半発酵茶、後発酵茶、代用茶などを使用し
た茶飲料に好適に用いられる。香粧品類としては、香水
類、石鹸、ボディーシャンプー、シャンプー・リンス
類、洗剤、ヘアークリーム類、ポマード類、その他の毛
髪用化粧料基剤;オシロイ、口紅、その他の化粧料基剤
や化粧料洗剤基剤、洗濯用洗剤・柔軟剤類、室内芳香剤
類、トイレ用芳香剤・消臭剤・洗剤類などが挙げられ
る。また、その他のものとしては、消毒薬などの各種保
健・衛生材料類、医薬品などの服用を容易にするための
矯味、賦香剤などの保健・衛生・医薬品類などが挙げら
れる。
【0013】
【実施例】(実施例1) 緑茶フレーバータイプの香気
・香味付与組成物 緑茶フレーバータイプの調合組成物として、次の各成分
を混合した。
【0014】 成 分 重量部 ―――――――――――――――――――――――――――――― アミルアルコール 0.5 ベンジルアルコール 2 シス-3-へキセノール 0.05 フルフラール 1 ガンマヘキサラクトン 0.3 ゲラニオール 0.01 インドール 0.01 リナロールオキサイド 1 マルトール 0.02 メチルサリシレート 0.01 緑茶ベース 5 99%未変アルコール 89.6 ―――――――――――――――――――――――――――――――― 計 99.5 上記の混合物に0.5重量部のジヒドロボボリッドを加
え、新規調合組成物を得た。ジヒドロボボリッドを加え
ることにより、新たにふくよかな甘さ、青さを付与する
ことができ、より緑茶のマイルド感を再現できた。
【0015】(実施例2) フローラルタイプの香気付
与組成物 フローラルタイプの調合組成物として次の各成分を混合
した。
【0016】 成 分 重量部 ―――――――――――――――――――――― ボルネオール 15 カンファー 30 シス−3−ヘキサノール 1 ダマセノン 1 リナロール 200 1−オクテン−3−オール 1 リナリルアセテート 500 リナロールオキサイド 2 N−ヘキシル アセテート 5 シトロネロール 10 ターピネオール 25 エチル−N−アミル ケトン 4 イソメントン 1 メチルジヒドロジャスモネート 200 ―――――――――――――――――――――― 計 992 上記の混合物に8重量部のジヒドロボボリッドを加え、
新規調合組成物を得た。 調整した組成物を芳香剤用基
材に、それぞれ5重量%の割合で賦香したところ、ボデ
ィー感のあるハーブ的なフローラル感を付与、強調する
ことができた。
【0017】
【発明の効果】本発明によれば、3,4−ジメチル−5
−ペンチル−2(5H)−フラノンを含有する新規な香
気・香味付与組成物が得られる。3,4−ジメチル−5
−ペンチル−2(5H)−フラノンは、香気・香味付与
組成物の成分として特に優れており、添加された飲食
物、香水、化粧品の特性を引き立たせるのに特に適して
いる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 飯 忠司 千葉県野田市船形1573−4曽田香料株式会 社野田支社内 Fターム(参考) 4B017 LC02 LL01 4B047 LB08 LF07 LF08 LF09 4H059 BA36 BB15 BB19 BB22 BB44 DA09

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3,4−ジメチル−5−ペンチル−2
    (5H)−フラノンを含有することを特徴とする香気・
    香味付与組成物。
  2. 【請求項2】 3,4−ジメチル−5−ペンチル−2
    (5H)−フラノンを、0.01から50重量%含有す
    ることを特徴とする香気・香味付与組成物。
  3. 【請求項3】 茶香料、フルーツ香料、ミルク香料であ
    る、請求項1または請求項2に記載の香気・香味付与組
    成物。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3に記載の香気・
    香味付与組成物が添加された飲食物、香水、化粧品。
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