JP2003012758A - 熱硬化性水性樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

熱硬化性水性樹脂組成物およびその製造方法

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JP2003012758A
JP2003012758A JP2001196546A JP2001196546A JP2003012758A JP 2003012758 A JP2003012758 A JP 2003012758A JP 2001196546 A JP2001196546 A JP 2001196546A JP 2001196546 A JP2001196546 A JP 2001196546A JP 2003012758 A JP2003012758 A JP 2003012758A
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epoxy resin
aromatic epoxy
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self
resin
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Katsuyoshi Nakamura
勝義 中村
Munekazu Hayashi
宗和 林
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガラス転移点(Tg)が高く、高温での
弾性率が高い熱硬化性水性組成物を提供することであ
る。 【解決手段】 水酸基と中和されたカルボキシル基とを
有する自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂
(I)が、ブロックイソシアネート化合物(II)を内包
した状態で水性媒体中に分散しているこ熱硬化性水性樹
脂組成物、および、該自己水分散性アクリル化芳香族エ
ポキシ樹脂(I)とブロックイソシアネート化合物(I
I)とが溶解している有機溶剤溶液を、水性媒体中に転
相乳化する熱硬化性水性樹脂組成物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス転移点(T
g)が高く、高温での弾性率が高い熱硬化性水性樹脂組
成物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より耐熱性の良好な自己水分散性ア
クリル化芳香族エポキシ樹脂として、例えば、芳香族エ
ポキシ樹脂の存在下で、有機溶剤中で、エチレン性不飽
和カルボン酸と他の共重合性単量体を共重合させた後、
塩基性化合物で中和して水性媒体中に分散させる方法
(特公平7−94337号公報)や、芳香族エポキシ樹
脂とカルボキシル基含有アクリル系樹脂とを、有機溶媒
中、塩基性化合物の存在下で、反応させて水性媒体中に
分散させる方法(特公平7−94338号公報)等が提
案されている。
【0003】しかし、上記技術では、得られる水性樹脂
の耐熱性は充分ではなかった。上述の欠点を解決するた
めに、例えば、共役ジエン重合体を内包させた自己水分
散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂とブロックイソシア
ネート化合物等の硬化剤とからなる熱硬化性水性樹脂組
成物が提案されているが、市販のブロックイソシアネー
ト化合物の有機溶剤溶液を水性樹脂の硬化剤として用い
ることは無理がある。
【0004】ブロックイソシアネート化合物の水分散体
も市販されており、硬化剤として使用することは可能で
あるが、当該水分散体は水分散性を付与するために、ポ
リソシアネート骨格にポリエチレングリコール等の線状
のソフトセグメントが導入されているために、ガラス転
移点(Tg)が低くなり、高温での弾性率も低くなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、ガラス転移点(Tg)が高く、高温での弾
性率が高い熱硬化性水性組成物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
鋭意検討した結果、水酸基と一部乃至全部が塩基性化合
物で中和されたカルボキシル基とを有する自己水分散性
アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I)が、該自己水分散
性アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I)より疎水性のブ
ロックイソシアネート化合物(II)を内包した状態で水
性媒体中に分散している熱硬化性水性樹脂組成物は、ブ
ロックイソシアネート化合物の水分散性化が不要であ
り、ポリエチレングリコール等の線状のソフトセグメン
ト等の導入によるガラス転移点(Tg)や高温での弾性
率の低下がないため、ガラス転移点(Tg)および高温
での弾性率が高い熱硬化性水性樹脂組成物であること、
該熱硬化性水性樹脂組成物は、該自己水分散性アクリル
化芳香族エポキシ樹脂(I)とブロックイソシアネート
化合物(II)とが溶解している有機溶剤溶液を水性媒体
中に転相乳化することにより、親水性のより高い自己水
分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I)が、このエ
ポキシ樹脂(I)より疎水性の高いブロックイソシアネ
ート化合物(II)を内包した状態で乳化分散して、容易
に製造できること等を見い出し、本発明を完成するに至
った。
【0007】即ち、本発明は、水酸基と一部乃至全部が
塩基性化合物で中和されたカルボキシル基とを有する自
己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I)が、該
自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I)より
疎水性のブロックイソシアネート化合物(II)を内包し
た状態で水性媒体中に分散していることを特徴とする、
熱硬化性水性樹脂組成物を提供するものである。
【0008】また、本発明は、水酸基と一部乃至全部が
塩基性化合物で中和されたカルボキシル基とを有する自
己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I)と該自
己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I)より疎
水性のブロックイソシアネート化合物(II)とが溶解し
ている有機溶剤溶液を、水性媒体中に転相乳化すること
を特徴とする、熱硬化性水性樹脂組成物の製造方法も提
供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明で用いる自己水分散性アク
リル化芳香族エポキシ樹脂(I)としては、水酸基とカ
ルボキシル基とを有するアクリル化芳香族エポキシ樹脂
(I−1)中のカルボキシル基の一部乃至全部を塩基性
化合物で中和することにより自己水分散性化された樹脂
が挙げられる。
【0010】上記自己水分散性アクリル化芳香族エポキ
シ樹脂(I)の製造方法としては、例えば、(1)芳香
族エポキシ樹脂(A)と、(メタ)アクリル酸を含有す
るエチレン性不飽和カルボンル酸(b)と、他の共重合
性不飽和単量体(c)とを有機溶媒中で重合させて得ら
れるカルボキシル基含有アクリル系樹脂(B)とを、エ
ポキシ基に対してカルボキシル基が過剰となる反応基濃
度(当量比)で、塩基性化合物の存在下でエステル化反
応させる方法、(2)芳香族エポキシ樹脂(A)と、
(メタ)アクリル酸を含有するエチレン性不飽和カルボ
ンル酸(b)と、他の共重合性不飽和単量体(c)と
を、エポキシ基に対してカルボキシル基が過剰となる反
応基濃度(当量比)で、重合開始剤の存在下、有機溶媒
中で重合させてカルボキシル基含有アクリル化芳香族エ
ポキシ樹脂(I−1)を得た後、塩基性化合物でカルボ
キシル基の一部乃至全部を中和する方法、(3)無水
(メタ)アクリル酸(d)を用いて芳香族エポキシ樹脂
(A)にアクリロイル基を導入して得られた変性芳香族
エポキシ樹脂(dA)と、(メタ)アクリル酸を含有す
るエチレン性不飽和カルボンル酸(b)と、他の共重合
性不飽和単量体(c)とを、エポキシ基に対してカルボ
キシル基が過剰となる反応基濃度(当量比)で、重合開
始剤の存在下で、有機溶媒中で重合させてカルボキシル
基含有アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I−1)を得た
後、塩基性化合物でカルボキシル基の一部乃至全部を中
和する方法、等が挙げられるが、その他の方法によって
得られた自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂も
自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I)とし
て使用することができる。これらの製造方法の中では、
上記製造方法(1)が、硬化性に優れ、分子量の高いも
のが得られることから好ましい。
【0011】ここで用いる芳香族エポキシ樹脂(A)と
しては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビ
スフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ
樹脂、脂肪酸変性エポキシ樹脂、フェノール系化合物変
性エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの芳香族エポキ
シ樹脂の中でも、1分子中に平均1.1〜2.0個のエ
ポキシ基を有し、数平均分子量が2,000以上、特に
3,000〜6,000のもが好ましい。市販品として
は、例えば、ジャパンエポキシレジン社製の「エピコー
ト1007」、「エピコート1009」、「エピコート
1010」、「エピコート1100L」、大日本インキ
化学工業株式会社製の「エピクロン7050」、「エピ
クロンHM−091」、「エピクロンHM−101」等
が挙げられる。このような芳香族エポキシ樹脂の中から
1種類以上のものを選択して使用できる。
【0012】(メタ)アクリル酸を含有するエチレン性
不飽和カルボンル酸(b)としては、例えば、(メタ)
アクリル酸を50重量%以上含有し、更に必要によりそ
の他のエチレン性不飽和カルボンル酸を含有するものが
挙げられる。その他のエチレン性不飽和カルボンル酸と
しては、例えば、クロトン酸、イタコン酸、マレイン
酸、フマル酸、並びに、不飽和ジカルボン酸モノアルキ
ルエステル、例えばマレイン酸モノメチル、フマル酸モ
ノエチル、イタコン酸モノn−ブチル、等が挙げられ
る。上記エチレン性不飽和カルボンル酸(b)として
は、なかでも、(メタ)アクリル酸を80重量%以上含
有するものが好ましく、特に(メタ)アクリル酸が好ま
しい。
【0013】他の共重合性単量体(c)としては、例え
ば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エ
チル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル
酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アク
リル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メ
タ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸オクタデ
シル等の(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、α−
メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン、
2,4−ジブロムスチレン等のエチレン性不飽和芳香族
化合物、1,2−ブタジエン、1,3−ブタジエン、イ
ソプレン、クロロプレン等の脂肪族共役ジエン単量体、
(メタ)アクリロニトリル等の不飽和ニトリル、酢酸ビ
ニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、塩化ビ
ニリデン、臭化ビニリデン等のビニリデンハライド、
(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)
アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル等のエチレン性不
飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル、(メ
タ)アクリル酸グリシジル等のエチレン性不飽和カルボ
ン酸のグリシジルエステル、(メタ)アクリルアミド,
N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシ
メチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等、
ラジカル重合可能な各種の化合物が挙げられ、なかでも
(メタ)アクリル酸エステルやスチレンが好ましい。
【0014】これら単量体の重合反応に用いる重合開始
剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、ベ
ンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイ
ド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパー
オキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−
ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオ
キサイド、等の通常のラジカル重合開始剤が挙げられ
る。これらの重合開始剤の使用量は、単量体の総量10
0重量部に対して、0.01〜20重量部の範囲が好ま
しい。
【0015】カルボキシル基の中和に使用される塩基性
化合物としては、各種のものがいずれも使用できるが、
揮発性のアミンが好ましい。例えば、トリメチルアミ
ン、トリエチルアミン、ブチルアミン等のアルキルアミ
ン類;ジメチルアミノエタノール、ジエタノールアミ
ン、アミノメチプロパノール等のアルコールアミン類;
モルホリン等が使用できる。また、エチレンジアミン、
ジエチレントリアミン等の多価アミンも使用できる。塩
基性化合物の使用量は、水性媒体のpHが5〜8となる
量が好ましい。
【0016】有機溶媒としては、例えば、メタノール、
エタノール,n−プロパノール、イソプロパノール、n
−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノ
ール、イソブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロ
ソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチ
ルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルセロソル
ブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジオキサ
ン、ジメチルホルムアミド、ダイアセトンアルコール等
の親水性有機溶媒、酢酸エチル、メチルエチルケトン、
メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエ
ン、キシレン等の親油性有機溶媒が挙げられる。これら
は単独使用でも2種以上を併用してもよく、必要に応じ
て水と併用してもよい。
【0017】なお、自己水分散性アクリル化芳香族エポ
キシ樹脂(I)の製造時に用いた有機溶媒は、必要に応
じて、蒸留除去することができる。
【0018】前記自己水分散性アクリル化芳香族エポキ
シ樹脂(I)の製造方法において、エチレン性不飽和カ
ルボン酸(b)は他の共重合性単量体(c)と併用す
る。この場合、エチレン性不飽和カルボン酸(b)の使
用量は、エチレン性不飽和カルボン酸(b)と他の共重
合性単量体(c)との合計を100重量部としたとき、
その20重量部以上とすることが好ましい。この範囲で
あると、最終的に得られる水性媒体中における樹脂の分
散安定性が良好になる傾向があるので好ましい。
【0019】前記自己水分散性アクリル化芳香族エポキ
シ樹脂(I)の製造方法(1)において芳香族エポキシ
樹脂(A)とカルボキシル基含有アクリル系樹脂(B)
の重量比(A)/(B)、同製造方法(2)において芳
香族系エポキシ樹脂(A)とエチレン性不飽和カルボン
酸(b)と他の共重合性単量体(c)の合計(bc)の
重量比(A)/(bc)、および、同製造方法(3)に
おいて変性芳香族エポキシ樹脂(dA)とエチレン性不
飽和カルボン酸(b)と他の共重合性単量体(c)の合
計(bc)の重量比(dA)/(bc)は、いずれも、
40/60〜90/10の範囲であることが好ましく、
なかでも、エポキシ基(EP)に対してカルボキシル基
(COOH)が過剰となる反応基濃度(当量比)範囲、
例えば当量比(COOH/EP)が4/1〜30/1で
あることが好ましく、なかでも6/1〜15/1である
ことが特に好ましい。芳香族エポキシ樹脂(A)または
変性芳香族エポキシ樹脂(dA)の使用割合が40重量
%以上の場合には、得られる熱硬化性水性樹脂組成物の
耐熱性がより向上し、かつ熱硬化性水性樹脂組成物自体
の分散安定性も良好になるので好ましい。
【0020】なお、前記製造方法(3)において、芳香
族エポキシ樹脂(A)と無水(メタ)アクリル酸(d)
の重量比(A)/(d)は、90/10〜99.95/
0.05が好ましい。
【0021】本発明で用いるブロックイソシアネート化
合物(II)としては、ポリイソシアネート化合物をブロ
ック剤でブロックしてなるものが挙げられ、上記自己水
分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I)より疎水性
が高いものであることが必要である。ここで用いるポリ
イソシアネート化合物としては、例えば、有機ジイソシ
アネートと多官能アルコールのアダクト、有機ジイソシ
アネートと水のビュレット結合体、有機ジイソシアネー
トのイソシアヌレート結合体、またはこれらの組み合わ
せ等が挙げられる。有機ジイソシアネートとしては、例
えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジ
イソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメ
チレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネー
ト、水添ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられ
るが、特にトリレンジイソシアネートが好ましい。ブロ
ック剤(II−2)としては、アルコール類、フェノール
類、有機アミン類、オキシム類、ラクタム類等が挙げら
れ、例えば、n−ブタノール、フェノール、トリブチル
アミン、ジメチルエタノールアミン、メチルエチルケト
キシム、ε−カプロラクタム等がある。
【0022】本発明で用いるブロックイソシアネート化
合物(II)の製造方法は、各種の方法があり、特に限定
されないが、例えば、有機溶剤中で、ポリイソシアネー
ト化合物にブロック剤を付加反応させる方法が挙げられ
る。有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチ
ル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シ
クロヘキサノン、トルエン、キシレン、メチルセロソル
ブアセテート、エチルセロソルブアセテート等が挙げら
れる。これらは単独使用でも2種以上を併用してもよ
い。
【0023】本発明の熱硬化性水性樹脂組成物の製造方
法は、水酸基と一部乃至全部が塩基性化合物で中和され
たカルボキシル基とを有する自己水分散性アクリル化芳
香族エポキシ樹脂(I)と該自己水分散性アクリル化芳
香族エポキシ樹脂(I)より疎水性であるブロックイソ
シアネート化合物(II)とが溶解している有機溶剤溶液
を、水性媒体中に転相乳化する方法であり、例えば、自
己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I)とブロ
ックイソシアネート化合物(II)とが溶解している有機
溶剤溶液を、攪拌下で水性媒体中に添加して、あるい
は、該有機溶剤溶液中に水性媒体を添加して、転相乳化
する方法が挙げられ、転相乳化に際しては、親水性のよ
り高い自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂
(I)が、これより疎水性の高いブロックイソシアネー
ト化合物(II)を内包した状態で安定に分散する。ここ
で用いる自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂
(I)中のカルボキシル基の中和度は、該アクリル化芳
香族エポキシ樹脂(I)が自己水分散性化するのに十分
な中和度であればよく、特に限定されないが、通常は4
0%以上であることが、分散安定性に優れることから好
ましい。また、得られた熱硬化性水性樹脂組成物のpH
は5〜8であることが、分散安定性に優れることから好
ましい。また、用いた有機溶剤は蒸留等によって除去す
るのが好ましい。
【0024】自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹
脂(I)とブロックイソシアネート化合物(II)の使用
割合は、特に限定されるものではないが、固形分重量比
(I)/(II)が95/5〜60/40となる範囲が、
耐熱性に優れ、機械的物性が良好で脆さのない水性樹脂
組成物が得られることから好ましい。
【0025】本発明の熱硬化性水性樹脂組成物は、加熱
により複雑な3次元架橋構造を生成し、優れた耐熱性を
示す。即ち、ブロックイソシアネート化合物(II)は加
熱によりブロック剤が解離し、イソシアネート基が再生
することによって、自己水分散性アクリル化芳香族エポ
キシ樹脂(I)とその水酸基、カルボキシル基、あるい
は水を介在して反応し、ウレタン結合、アミド結合、尿
素結合、ビュレット結合、アロファネート結合等を生成
して3次元架橋させるため、本発明の耐熱性水性樹脂組
成物は、高温、長時間の加熱硬化が好ましく、それによ
り優れた耐熱性を発揮できるものである。硬化条件とし
ては、180℃以上、1分間以上が好ましく、より好ま
しくは190〜250℃、1〜10分間である。
【0026】
【実施例】以下に合成例及び実施例を挙げて本発明を説
明する。なお例中の部および%はすべて重量基準とす
る。
【0027】合成例1〔自己水分散性アクリル化芳香族
エポキシ樹脂(I)の合成〕 n−ブタノール513部を窒素ガス置換した4つ口フラ
スコに仕込み、撹拌溶解しながらリフラックス温度に保
ち、この中に、スチレン20部とエチルアクリレート1
20部とメタクリル酸260部の混合物、および、t−
ブチルパーオキシオクトエート14.4部とn−ブタノ
ール109部の混合溶解物を2時間かけて徐々に滴下し
た。滴下終了後、更に同温度で3時間撹拌し、固形分4
0%のカルボキシル基含有アクリル樹脂溶液を得た。
【0028】エピコート1010〔ジャパンエポキシレ
ジン(株)製エポキシ樹脂〕160部と上記カルボキシル
基含有アクリル樹脂溶液100部とn−ブタノール12
8部を、窒素ガス置換した4つ口フラスコに仕込み、リ
フラックス温度で2時間撹拌することによって完全に溶
解した後、105℃に冷却した。この溶液に、ジメチル
エタノールアミン16.9部を仕込み、2時間撹拌する
ことによって固形分53.6%の自己水分散性アクリル
化芳香族エポキシ樹脂のn−ブタノール溶液(I−1)
を得た。
【0029】合成例2〔ブロックイソシアネート化合物
(II)の合成〕 バーノックD−750〔大日本インキ化学工業(株)製ポ
リイソシアネート化合物〕323部と、ジメチルエタノ
ールアミン89部を、窒素ガス置換した4つ口フラスコ
に仕込み、撹拌混合しながら70℃に保ち、発熱終了
後、更に同温度で1時間撹拌し、n−ブタノール207
部を投入し、1時間撹拌して、固形分53.5%のブロ
ックイソシアネート化合物溶液(II−1)を得た。
【0030】実施例1 窒素ガスを封入した4つ口フラスコに自己水分散性アク
リル化芳香族エポキシ樹脂のn−ブタノール溶液(I−
1)200部を仕込み、これを90℃まで加熱し、撹拌
しながらブロックイソシアネート化合物溶液(II−1)
40部を投入し、30分攪拌した。更に30分間かけて
イオン交換水397部を滴下し、固形分20%の熱硬化
性水性樹脂組成物を得た。さらに、減圧下にてn−ブタ
ノールを水蒸気蒸留により留去し、固形分20%、pH
8.0の本発明の耐熱性水性樹脂組成物を得た。得られ
た本発明の耐熱性水性樹脂組成物の動的粘弾性試験(D
MA)の結果を表−1に示す。
【0031】比較合成例1 自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂のn−ブタ
ノール溶液(I−1)200部を90℃に保ち、水33
5部を加えて、固形分20%の自己水分散性アクリル化
芳香族エポキシ樹脂の分散体を得た。これを減圧水蒸気
蒸留し、固形分20%の溶剤を含まない自己水分散性ア
クリル化芳香族エポキシ樹脂の水性分散体(I−2)を
得た。バーノックD−500〔大日本インキ化学工業
(株)製ブロックイソシアネート化合物溶液、固形分65
%〕33部を攪拌しながら、該水性分散体(I−2)5
35部を1時間かけて滴下し、イオン交換水74部を加
え、固形分20%の水性分散体を得たが、水蒸気蒸留に
より溶剤除去の際にゲル化した。また、水蒸気蒸留をし
ない水分散体は、1日間放置後分離した。
【0032】比較例1 比較合成例1の固形分20%の自己水分散性アクリル化
芳香族エポキシ樹脂の水性分散体(I−2)535部
に、CR−60B〔大日本インキ化学工業(株)製ブロッ
クイソシアネート化合物の水分散体、固形分44%〕4
9部とイオン交換水58部を加え、比較用の水性樹脂組
成物を得た。得られた比較用の水性樹脂組成物の動的粘
弾性試験(DMA)の結果を表−1に示す。
【0033】動的粘弾性試験(DMA)の試験方法:ガ
ラス板に両面テープを用いて貼り付けたポリエチレンテ
レフタレートフィルムの上に、水性樹脂組成物の固形分
100部に対して15部のDBE(デュポン社製造膜助
剤)を加えたものを、乾燥膜厚が70μmになるように
アプリケーターで塗布し、90℃で2時間乾燥させ、更
に250℃で10分間加熱硬化させた後、フィルムを単
離したものを試料として、歪み制御方式による固体粘弾
性測定装置RSA−2(レオメトリックス社製)を用
い、大きさ7×22mm、周波数1Hz、負荷歪み0.
05%、昇温速度3℃/分、測定温度25〜250℃で
の条件で測定したデータから、tanδが最大となる温
度〔tanδ(max)〕と200℃での弾性率を求め
る。
【0034】
【0035】
【発明の効果】本発明の熱硬化性樹脂組成物は、ブロッ
クイソシアネート化合物を内包した自己水分散性アクリ
ル化芳香族エポキシ樹脂からなるので、従来と比較し
て、耐熱性に優れるものであり、分散安定性にも優れ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J034 AA04 BA03 BA09 CA03 DB03 DC02 DC43 DK02 HA07 HB18 HC03 HC12 HC61 HC64 HC71 HC73 HD03 HD04 HD05 HD07 HD12 QB12 QC08 RA07 RA13

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水酸基と一部乃至全部が塩基性化合物で
    中和されたカルボキシル基とを有する自己水分散性アク
    リル化芳香族エポキシ樹脂(I)が、該自己水分散性ア
    クリル化芳香族エポキシ樹脂(I)より疎水性のブロッ
    クイソシアネート化合物(II)を内包した状態で水性媒
    体中に分散していることを特徴とする、熱硬化性水性樹
    脂組成物。
  2. 【請求項2】 自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ
    樹脂(I)が、芳香族エポキシ樹脂(A)とカルボキシ
    ル基含有アクリル系樹脂(B)とを、塩基性化合物の存
    在下、エポキシ基に対してカルボキシル基が過剰となる
    反応基濃度(当量比)で反応させてなる樹脂であり、ブ
    ロックイソシアネート化合物(II)が、ポリイソシアネ
    ート化合物をブロック剤でブロックしてなるものであ
    る、請求項1記載の熱硬化性水性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ
    樹脂(I)とブロックイソシアネート化合物(II)とが
    溶解している有機溶剤溶液を、水性媒体中に転相乳化し
    てなるものである、請求項1または2記載の熱硬化性水
    性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 水酸基と一部乃至全部が塩基性化合物で
    中和されたカルボキシル基とを有する自己水分散性アク
    リル化芳香族エポキシ樹脂(I)と該自己水分散性アク
    リル化芳香族エポキシ樹脂(I)より疎水性のブロック
    イソシアネート化合物(II)とが溶解している有機溶剤
    溶液を、水性媒体中に転相乳化することを特徴とする、
    熱硬化性水性樹脂組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】 自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ
    樹脂(I)が、芳香族エポキシ樹脂(A)とカルボキシ
    ル基含有アクリル系樹脂(B)とを、塩基性化合物の存
    在下、エポキシ基に対してカルボキシル基が過剰となる
    反応基濃度(当量比)で反応させてなる樹脂であり、ブ
    ロックイソシアネート化合物(II)が、ポリイソシアネ
    ート化合物をブロック剤でブロックしてなるものであ
    る、請求項4記載の熱硬化性水性樹脂組成物の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ
    樹脂(I)とブロックイソシアネート化合物(II)とが
    溶解している有機溶剤溶液を、攪拌下で、水性媒体中に
    添加して、あるいは、該有機溶剤溶液中に、水性媒体を
    添加して、転相乳化する、請求項4記載の熱硬化性水性
    樹脂組成物の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004300617A (ja) * 2003-03-31 2004-10-28 Dainippon Ink & Chem Inc 繊維バインダー用熱硬化性樹脂組成物水分散体およびその製造方法
KR100631044B1 (ko) 2005-08-11 2006-10-02 제일모직주식회사 역상유화중합법을 이용한 캡슐화방법 및 그로부터 제조된마이크로 캡슐

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