JP2003009857A - アルカリホスファターゼの安定化方法 - Google Patents
アルカリホスファターゼの安定化方法Info
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Abstract
ーゼまたはその誘導体を含有する水溶液を提供する。 【解決手段】 アルカリホスファターゼまたはその誘導
体を含有する水溶液に、胆汁酸また抱合胆汁酸を加える
安定化方法ならびにその組成物。
Description
酵素免疫測定法に基づく検査試薬に用いられるアルカリ
ホスファターゼまたはその誘導体の水溶液の安定化方法
に関する。
植物、動物、および微生物などに存在することが知られ
ている酵素である。臨床検査においては、血清中の酵素
活性が測定され、種々の病態を反映することが知られて
いる。また、動物由来、とりわけ牛小腸ALPは、その
分子活性が高いことから、酵素免疫測定法(EIA)の
標識酵素として汎用されている。
査時にはALP酵素活性測定の際のコントロールまたは
標準物質として、また、EIAにおいてALPを標識酵
素として用いる免疫試薬としても有用である。アルカリ
ホスファターゼ水溶液の安定化に関して、アルカリホス
ファターゼに可逆的な結合活性を有するリン酸、リン酸
エステルおよびこれらの塩などを添加する報告がある
(特開平8−168377号)が、これらの化合物は、
該酵素の基質または生成物でもあるため、保存中に添加
物自体が分解されたり、酵素活性測定に及ぼす影響が懸
念される。
(2〜8度)で長期間、また、37℃付近の温度でも最
低1ヶ月は活性の変動のないアルカリホスファターゼ、
またはその誘導体を含む水溶液の安定化方法を提供する
ものである。
解決するため鋭意検討した結果、コール酸、デオキシコ
ール酸、ケノデオキシコール酸などの胆汁酸または抱合
胆汁酸をALPまたはその誘導体の水溶液に添加するこ
とによって、劇的にその安定性が増すことを見いだし、
本発明を完成するに至った。
明する。本発明において、安定化剤として用いられる胆
汁酸としては、ケノデオキシコールコール酸、デオキシ
コール酸、ウルソデオキシコール酸、コール酸およびこ
れら胆汁酸塩、またはこれら胆汁酸のグリシン抱合体、
タウリン抱合体および塩が挙げられる。これら胆汁酸類
の好適な濃度としては0.1〜20mM、特に好ましく
は0.2〜10mMである。
ァターゼについては、その用途が合致すれば特に限定さ
れない。例えば、動物起源としては、牛腎臓、ブタ腎
臓、ニワトリ小腸などが、微生物起源としては、大腸菌
由来のものが市販されている。また、HeLa細胞や羊
膜細胞などの株化細胞の培養物から取得することもでき
る。さらに、近年の遺伝子工学技術の発展により、ヒト
由来ALP蛋白質をコードする遺伝子も明らかになって
おり、これらの遺伝子を組み込んだ形質転換体細胞から
も取得できる。例えば、肝型ALPが形質転換動物細胞
より取得、精製され旭化成(株)より市販されている
(旭化成(株)診断用酵素カタログ)。
ヒト細胞のみでなく、チャイニーズハムスター由来CH
O細胞等のヒト以外の動物細胞や大腸菌、酵母、カビな
どの微生物を用いることもできる。さらに、ALPのア
ミノ酸配列の一部が削除または置換され、他のアミノ酸
残基またはアミノ酸配列が付加されているALP誘導体
をコードする遺伝子を用いた形質転換体を用いることも
できる。これら生産された酵素は、市販されたもの以外
は、カラムクロマトグラフィ法等の公知の精製法を組み
合わせ、実用レベルまで純度を高めて本目的に使用すれ
ばよい。また、上記のALPに抗原、抗体、アビジン、
ペプチドなどを結合して用いることもできる。
に限定されないが、9〜6500U/L、特に好ましく
は45〜1300U/Lである。これらの化合物は、例
えば、トリスやPIPES、HEPESなどの緩衝能を
有する水性媒体を用いて中性付近のpH、具体的にはp
H5.5〜8.5の範囲になるように調整すればよい。
また、雑菌による汚染を防ぐため、適宜防腐剤等を添加
することもできる。防腐剤の例としては、ゲンタマイシ
ン、カナマイシン、アンピシリン等の抗生物質、ホウ
酸、プロクリン(ProClin)などの静菌剤などが挙げられ
る。
る。
0.05%アジ化ナトリウム、500U/Lのアルカリ
ホスファターゼ(旭化成(株)、製品ナンバーT−7
3)を含有する40mMBES−NaOH緩衝液に各種
添加剤を加えて、37℃の活性推移を追った。表1に示
したとおり、添加物無添加の23日目の残存活性が6
7.4%であるのに対し、各種胆汁酸類を2.5ないし
5mM加えたものは、86.5%以上の残存活性を示し
た。
0.05%アジ化ナトリウム、500U/Lのアルカリ
ホスファターゼ(旭化成(株)、製品ナンバーT−7
3)を含有する40mMBES−NaOH緩衝液に、グ
リコケノデオキシコール酸ナトリウム(Na・GCDC
A)、ケノデオキシコール酸ナトリウム(Na・CDC
A)の濃度をそれぞれ3水準設定して加え、25℃、お
よび37℃保存における活性の推移を調べた。表2に示
したとおり、25℃では少なくとも1ヶ月間は活性の低
下が全く認められず、また、37℃においても、Na・
GCDCAが1mM、Na・CDCAでは2.5mM以
上で、やはり1ヶ月活性の低下は認められなかった。
05%アジ化ナトリウム、500U/Lのアルカリホス
ファターゼ(旭化成(株)、製品ナンバーT−73)を
含有する40mMBES−NaOH緩衝液に、グリコケ
ノデオキシコール酸ナトリウム(Na・GCDCA)を
2mMになるように加え、5℃、10℃、―20℃保存
における安定性を調べた。表3に示すように、5℃、1
0℃の冷蔵保存で9ヶ月まで全く活性が低下していな
い。また、−20℃の凍結保存でも同様活性低下が認め
られなかった。
溶液は、冷蔵で少なくとも9ヶ月、また、37℃におい
ては1ヶ月活性の低下が全く認められず、極めて安定性
に富む組成とすることができたものである。
Claims (9)
- 【請求項1】 アルカリホスファターゼを含有する水溶
液に胆汁酸または抱合胆汁酸、またはこれらの塩を添加
することを特徴とするアルカリホスファターゼの安定化
方法。 - 【請求項2】 アルカリホスファターゼが動物由来酵素
およびその誘導体であることを特徴とする請求項1記載
の安定化方法。 - 【請求項3】 アルカリホスファターゼがヒト由来酵素
およびその誘導体であることを特徴とする請求項1記載
の安定化方法。 - 【請求項4】 アルカリホスファターゼの誘導体が該酵
素と抗原、抗体、アビジン、ハプテン、ペプチド、核酸
との結合物であることを特徴とする請求項2または3記
載の安定化方法。 - 【請求項5】 胆汁酸または抱合胆汁酸がケノデオキシ
コール酸、またはこれらのグリシン抱合体またはタウリ
ン抱合体であることを特徴とする請求項1記載の安定化
方法。 - 【請求項6】 胆汁酸または抱合胆汁酸がコール酸、デ
オキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、またはこれ
らのグリシン抱合体またはタウリン抱合体であることを
特徴とする請求項1記載の安定化方法。 - 【請求項7】 胆汁酸または抱合胆汁酸が0.2mM〜
10mMの濃度範囲であることを特徴とする請求項1記
載の安定化方法。 - 【請求項8】 ヒト由来アルカリホスファターゼが本酵
素アミノ酸をコードする遺伝子、もしくは少なくともア
ミノ酸の一部が削除または置換されるように変換された
遺伝子を含有する発現ベクターにより形質転換された宿
主を培養して得られたものであることを特徴とする請求
項3記載の安定化方法。 - 【請求項9】 アルカリホスファターゼを含有する水溶
液が胆汁酸または抱合胆汁酸、またはこれらの塩を含有
してなることを特徴とするアルカリホスファターゼの安
定化水溶液。
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