JP2003008310A - 高周波伝送線路の結合構造とそれを用いた可変移相器 - Google Patents

高周波伝送線路の結合構造とそれを用いた可変移相器

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JP2003008310A
JP2003008310A JP2001195062A JP2001195062A JP2003008310A JP 2003008310 A JP2003008310 A JP 2003008310A JP 2001195062 A JP2001195062 A JP 2001195062A JP 2001195062 A JP2001195062 A JP 2001195062A JP 2003008310 A JP2003008310 A JP 2003008310A
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dielectric layer
coupling
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Naota Uenishi
直太 上西
Toshihiro Sakamoto
敏宏 坂本
Hideaki Toshioka
英昭 年岡
Katsuyuki Imai
克之 今井
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造が簡便で量産性に優れ、高周波信号を損
失が十分に小さい状態で基板の垂直方向に伝送でき、か
つメタル筐体等に直接に実装できて、機器類の小型化、
低コスト化に寄与する新規な高周波伝送線路の結合構造
と、それを用いた可変移相器とを提供する。 【解決手段】 結合構造は、薄膜状の2層の導体線路1
1、12を、結合用の誘電体層21を介した少なくとも
1つの電磁結合によって互いに結合し、さらにこの結合
構造を構成する積層体に、接地用の誘電体層22を介し
て平板状の接地層3を積層した。可変移相器は、上記誘
電体層22を、直流ないし低周波の制御電圧の印加によ
って誘電率が変化する誘電率可変材料にて形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、特に周波数1G
Hz以上の、マイクロ波領域等の高周波の信号を、より
小さな損失で、2つの伝送線路間に伝達することのでき
る高周波伝送線路の結合構造と、この結合構造を利用し
た移相器とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】社会の情報化が進み、高速大容量の情報
伝達を可能にするために、1GHz以上のマイクロ波あ
るいはミリ波を用いる通信機器の開発が進んでおり、こ
れに対応して高周波基板や高周波デバイスの開発も進ん
でいる。高周波基板は小型化、低コスト化等を目的に多
層化されることが多く、その場合、信号を垂直方向に伝
送させるべく、異なる層の配線間を接続する必要があ
る。このような層間での配線の接続には通常、ビアが用
いられる。しかしビアを使って1GHz以上の高周波の
信号を伝送させると、反射損や漏洩損による伝送損失が
大きくなるという問題がある。また、ビアの穴あけや穴
側壁へのメタライズ等を要するため、製造工程が複雑に
なるという問題もある。このため、より小さな伝送損失
でかつ簡便に、高周波信号を垂直方向に伝送できる伝送
線路の結合構造に対する要求が高まっている。
【0003】高周波信号を基板の垂直方向に伝送させる
1つの手段として、ビアに代えて、電磁結合を用いるこ
とが考えられる。電磁結合の構造としては、例えば特開
平11−17411号公報に開示されるように、薄膜状
の2層の導体線路を、1層の誘電体層を挟んで、互いに
伝送方向に沿ってオーバーラップさせて対峙させた結合
構造や、あるいは特開平10−163713号公報に開
示されるように、薄膜状の2層の導体線路を、2層の結
合用の誘電体層と、その間に配置した、スロット孔を有
する薄膜状の第2の接地層とを介して互いにオーバーラ
ップさせて、スロット孔を通して対峙させた結合構造が
広く用いられる。
【0004】また高周波デバイスとしては、電子走査ア
ンテナやノイズキャンセラー等に利用される遅延時間制
御素子、すなわち高周波の位相を制御する移相器の必要
性が高くなっており、特に位相を連続的に可変制御でき
る移相器の開発が進められている。位相を連続的に可変
制御できる移相器としては、例えばF. W. Van Keulsら
による「(YBa2Cu3O7-δ,Au)/SrTiO3/LaAlO3 thin film
conductor/ ferroelectriccoupled microstripline pha
se shifters for phase array applications〔(YBa2Cu3
O7-δ,Au)/SrTiO3/LaAlO3薄膜導体とそれを用いたフェ
ーズドアレイアプリケーション用の電磁結合マイクロス
トリップライン型移相器〕」〔Applied Physics Lette
r, 71(21), Page 3075-3077, 24 November 1997〕や、
あるいは特開2000−315902号公報に開示され
るような、直流から10kHz程度の低周波の電圧の印
加によってその誘電率を変化させうる誘電率可変材料を
用いたものが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような電
磁結合構造を有する多層回路基板や移相器においては、
以下に述べるような問題があった。 (a) 多層回路基板の表裏両面に導体線路が露出してい
るため、そのままではメタル筐体等に実装することがで
きない。そして実装の際には、上記導体線路がメタル筐
体等に直接に接触しないように、多層回路基板を筐体か
ら浮かして配置しなければならず、その分のスペースが
無駄になるため、機器類の小型化、低コスト化の傾向に
反することになる。 (b) 特に移相器については、誘電率可変材料に印加さ
れた制御電圧を高周波線路に漏洩させないために、その
遮断を行う必要があるが、従来の遮断部の形成には数μ
mオーダーの寸法精度が要求されるため製造が難しい。
また遮断部に代えてコンデンサ等の遮断用部品を別途実
装することも考えられるが、その分のスペースが無駄に
なるため、やはり機器類の小型化、低コスト化の傾向に
反することになる。
【0006】この発明の第1の目的は、構造が簡便で量
産性に優れる上、高周波信号を、その損失が実用上、十
分に小さい状態で、基板の垂直方向に伝送することがで
き、しかもメタル筐体等に直接に実装することができ
て、機器類の小型化、低コスト化をさらに推進すること
ができる、新規な高周波伝送線路の結合構造を提供する
ことにある。またこの発明の第2の目的は、遮断部を有
するにも拘らず構造が簡便で量産性に優れる上、やはり
メタル筐体等に直接に実装することができて、機器類の
小型化、低コスト化をさらに推進することができる、新
規な可変移相器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段および発明の効果】請求項
1記載の発明は、薄膜状の2層の導体線路を、結合用の
誘電体層を介した少なくとも1つの電磁結合によって互
いに結合してなる高周波伝送線路の結合構造であって、
上記結合構造を構成する積層体に、接地用の誘電体層を
介して、平板状の接地層を積層したことを特徴とする高
周波伝送線路の結合構造である。請求項1の構成では、
電磁結合による結合構造を構成する積層体に、接地用の
誘電体層を介して、平板状の接地層を積層してあるた
め、この接地層を、例えばメタル筐体等に直接に接触す
るように実装しても、伝送損失が急増するなどの問題を
生じるおそれがない。よって、請求項1の結合構造を備
えた多層回路基板はメタル筐体等に直接に実装できるた
め、機器類の小型化、低コスト化をさらに推進すること
が可能となる。
【0008】また請求項6記載の発明は、上記請求項1
記載の高周波伝送線路の結合構造のうち接地用の誘電体
層を、当該誘電体層を挟む導体線路と接地層との間に直
流ないし低周波の制御電圧を印加した際に、当該印加電
圧値に応じて誘電率が変化する誘電率可変材料にて形成
したことを特徴とする可変移相器である。請求項6の構
成では、電磁結合の部分が、直流ないし低周波の制御電
圧を遮断する遮断部としても機能する。よって、同一基
板上に別個に遮断部を形成する場合に比べて、移相器の
構造を簡略化でき、その量産性を向上できる。また移相
器をコンパクト化できる上、コンデンサ等の遮断用部品
を別途実装する必要もない。しかも接地層を、例えばメ
タル筐体等に直接に接触するように実装しても、伝送損
失が急増するなどの問題を生じるおそれもない。したが
って請求項6の構成によれば、やはり機器類の小型化、
低コスト化をさらに推進することが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】図1(a)(b)は、この発明の高周波
伝送線路の結合構造の一例を示す図である。これらの図
に見るように、この例の結合構造は、2層の導体線路1
1、12を、1層の結合用の誘電体層21を挟んで、互
いに伝送方向に沿ってオーバーラップさせて対峙させる
ことで電磁結合したものである。誘電体層21の、図で
は下面の、2層の導体線路11、12をオーバーラップ
させた部分を含む領域(図の場合は誘電体層21の全
面)には、接地用の誘電体層22を介して接地層3を積
層している。
【0010】そして導体線路11と接地層3とによって
第1のマイクロストリップ線路を構成し、また導体線路
12と接地層3とによって第2のマイクロストリップ線
路を構成している。かかる結合構造では、2層の導体線
路11、12を上記のように電磁結合したことによっ
て、高さの異なる第1および第2のマイクロストリップ
線路間で、高周波信号を垂直方向に伝送することができ
る。
【0011】しかもこの結合構造では、誘電体層22を
介して共通の接地層3を積層することで一方の導体線路
12を覆っているため、この接地層3を、例えばメタル
筐体等に直接に接触するように実装しても、伝送損失が
急増するなどの問題を生じるおそれがない。よって機器
類の小型化、低コスト化をさらに推進することができ
る。さらに上記結合構造は高周波の電磁結合を利用した
ものゆえ、例えば直流や、1GHz未満ないし低周波を
遮断する遮断部として機能させることもできる。
【0012】なお上記の結合構造においては、第1およ
び第2のマイクロストリップ線路間での伝送効率を向上
するために、結合構造を構成する各部が、式(1):
【0013】
【数7】
【0014】〔式中のh1は誘電体層21の厚み[m
m]、h2は誘電体層22の厚み[mm]、ε1は誘電体
層21を形成する誘電体の比誘電率、ε2は誘電体層2
2を形成する誘電体の比誘電率である。〕 式(2):
【0015】
【数8】
【0016】〔式中のd1は、2層の導体線路11、1
2の、伝送方向に沿うオーバーラップ長[mm]、λ1
は、式(2-1):
【0017】
【数9】
【0018】で求められる、2層の誘電体層21、22
を1つの積層複合誘電体と見たときの、当該積層複合誘
電体中での高周波の実効波長[mm]であり、式(2-1)中
のfは高周波の周波数[GHz]、h1、h2、ε1およ
びε2は前記と同じである。〕および式(3):
【0019】
【数10】
【0020】〔式中のw1、w2はそれぞれの導体線路
11、12の、伝送方向と直交する方向の幅である。〕
を全て満足していることが好ましい。式(1)〜(3)の1つ
でも満足しない場合には、第1および第2のマイクロス
トリップ線路間での伝送損失が高くなる傾向を示すが、
式(1)〜(3)を全て満足していれば、上記伝送損失を著し
く低減することができる。
【0021】なお式(1)は、2層の誘電体層21、22
の厚みh1、h2と比誘電率ε1、ε2をできるだけ近
い値に設定することで、伝送損失を低減できることを示
している。ここにおいて厚みh1は、図1(a)に示すよ
うに誘電体層21の、導体線路11、12間の厚みであ
り、厚みh2は、誘電体層22の、導体線路12と接地
層3との間の厚みである。また式(2)は、2層の導体線
路11、12のオーバーラップ長d1と、高周波の周波
数fと、そして2層の誘電体層21、22の厚みh1、
h2および比誘電率ε1、ε2との関係から最適なオー
バーラップ長d1を設定することで、伝送損失を低減で
きることを示している。かかる式(2)中のλ1を規定す
る式(2-1)の右辺の、分母中の平方根内の数式は、2層
の誘電体層21、22を1つの積層複合誘電体と見たと
きの、当該積層複合誘電体の、層の厚み方向における複
合誘電率を示す。
【0022】さらに式(3)は、2層の導体線路11、1
2の幅w1、w2をできるだけ近い値に設定すること
で、伝送損失を低減できることを示している。上記のう
ち導体線路11、12、および接地層3はそれぞれ種々
の導体材料によって形成することができるが、電気抵抗
が小さいほど伝送損失を低減できることから、例えばA
g、Cu、Al、およびAu等の電気抵抗の小さい金属
にて形成するのが好ましい。
【0023】導体線路11は、誘電体層21の片面に、
例えばプリント配線基板の導体回路を形成する技術など
を利用して薄膜状に形成するのが好ましい。また導体線
路12は、誘電体層21の反対面、または誘電体層22
の片面に、同様にして薄膜状に形成するのが好ましい。
両導体線路11、12の厚みは100μm以下、特に1
0〜50μmであるのが好ましい。さらに接地層3は、
上記と同様に薄膜状に形成しても良いが、積層体全体の
剛性や、当該接地層3を介して筐体に実装することなど
を考慮すると、例えば厚み0.2ミリ以上の剛直な金属
板にて形成するのが好ましい。
【0024】誘電体層21、22は、それぞれプリント
配線基板の絶縁基板等に用いられる無機質または有機質
の種々の誘電体材料によって形成することができるが、
誘電正接が小さいほど伝送損失を低減できることから、
誘電正接が小さく、しかも前記式(1)〜(3)を満足する特
性を有する誘電体材料にて形成するのが好ましい。また
両誘電体層21、22のうち、前記のように導体線路1
1、12となる金属薄膜を直接に形成する層について
は、その形成方法において誘電体層が受ける熱的、物理
的、あるいは化学的な衝撃に十分に耐えうる誘電体材料
にて形成するのが好ましい。これらの条件を満たす好適
な誘電体層としては、例えばフッ素樹脂のフィルムなど
が挙げられる。
【0025】また、誘電体層21の両面に導体線路1
1、12を形成するとともに、接地層3を、前記のよう
に剛直な金属板にて形成する場合は、誘電体層22を形
成する誘電体材料として、これらの衝撃に対する耐性が
なく、また強度的にも十分でない誘電体材料や、あるい
はその構造上、形態上の理由などで、導体線路11、1
2となる金属薄膜を直接に形成するのが困難な誘電体材
料などを適用しても、十分に実用可能な結合構造を形成
することができる。このため誘電体層22を形成する誘
電体材料の適用範囲を広げることができる。
【0026】例えば樹脂の発泡体は、tanδが著しく
小さく、低損失な材料であるが、多孔質ゆえ、その表面
に直接に、連続した金属薄膜を形成できない。しかし上
記の構成によれば、かかる樹脂の発泡体であっても、誘
電体層22を形成する誘電体材料として使用可能であ
る。なおこの場合には、誘電体層21、22の構造が大
きく異なるため、前記式(1)を必ずしも満足しなくても
良い。また以下に述べるように、誘電体層22を、例え
ば液晶材料や高分子分散液晶材料などの誘電率可変材料
にて形成して可変移相器を構成することも可能となる。
【0027】図2(a)(b)は、上記図1(a)(b)の結合構造
を応用した可変移相器の一例を示す図である。図の可変
移相器は、上記の結合構造を2つ組み合わせたものであ
る。すなわち誘電体層21の、図では上面側の両端2箇
所に、それぞれ薄膜状の導体線路11を形成し、かつ下
面側に、その両端が上記両導体線路11とそれぞれオー
バーラップして電磁結合するように、薄膜状の導体線路
12を形成するとともに、接地層3を厚み0.2mm以
上の剛直な金属板にて形成して、両者の間に、誘電率可
変材料にて形成した誘電体層22を介装している。
【0028】そして一方の導体線路11と接地層3とに
よって第1のマイクロストリップ線路を構成し、導体線
路12と接地層3とによって第2のマイクロストリップ
線路を構成し、さらに他方の導体線路11と接地層3と
によって第3のマイクロストリップ線路を構成してい
る。なお、図において符号13は、誘電体層21に設け
たスルーホール21aをメタライズして形成した、誘電
体層21の表裏両面間を繋ぐビア、符号12aは、誘電
体層21の裏面に導体線路12と一体形成した、ビア1
3と導体線路12とを繋ぐ薄膜状の引き出し線路、12
bは、引き出し線路12aに設けた、高周波信号の漏洩
を防止するための薄膜状の遮断部である。上記ビア13
と引き出し線路12aとは、誘電率可変材料からなる誘
電体層22に印加する直流ないしは低周波の制御電圧
を、可変移相器の表面である誘電体層21の表面に露出
したビア13の端面13aから、導体線路12に供給す
るための給電回路を構成している。
【0029】誘電率可変材料としては、前述したように
液晶材料(ネマティック液晶、コレステリック液晶、ス
メクティック液晶またはこれらの混合液晶等)や、これ
らの液晶を高分子マトリクス中に分散させた高分子分散
液晶材料等が挙げられる。またその他の誘電率可変材料
としては、例えばチタン酸バリウム、チタン酸バリウム
ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、ニオブ酸リ
チウム、ニオブ酸タンタル等の酸化物強誘電体も利用可
能である。
【0030】このうち液晶材料、高分子液晶材料からな
る誘電体層22においては、 ・当該層を挟む導体線路12と接地層3との間に印加す
る直流もしくは低周波の制御電圧の電圧値に応じて液晶
分子の配向が変化すること、 ・液晶分子の誘電率には異方性があるため、上記のよう
に配向が変化すると、マイクロストリップ線路を伝搬す
る高周波が誘電体層22から受ける誘電率の関数で表さ
れる等価誘電率εeffが変化すること、 ・このため式(6):
【0031】
【数11】
【0032】〔式中のfは高周波の周波数[GHz]、c
は真空中における光の速度である。〕で求められる、高
周波が長さLのマイクロストリップ線路を伝搬するとき
の伝搬遅延時間に基づく位相の遅れΦが変化すること、
に基づき、導体線路12と接地層3との間に印加する制
御電圧の電圧値に応じて、高周波の位相を制御すること
ができる。高分子分散液晶材料からなる誘電体層22
は、当該高分子分散液晶材料と溶剤とを含む塗布液を接
地層3の表面に塗布した後、溶剤を除去することで形成
される。
【0033】かかる可変移相器においては、第1のマイ
クロストリップ線路に入力された高周波信号を、電磁結
合によって第2のマイクロストリップ線路に伝送し、上
述した機構に基づいて、導体線路12と接地層3との間
に印加する制御電圧の電圧値に応じて高周波の位相を制
御した後、電磁結合によって第3のマイクロストリップ
線路に伝送して出力することができる。またこの際、直
流ないし低周波である制御電圧は、第2のマイクロスト
リップ線路とその前後のマイクロストリップ線路とを繋
ぐ電磁結合の部分で遮断されるため、入力側および出力
側の高周波線路に漏洩することがない。
【0034】なお上記可変移相器においても、組み込ん
だ2つの結合構造での、第1〜第3のマイクロストリッ
プ線路間での伝送効率を向上するために、結合構造を構
成する各部が、前記式(1)〜(3)を全て満足していること
が好ましい。この理由は先に述べたとおりである。次に
図3(a)(b)は、この発明の高周波伝送線路の結合構造
の、他の例を示す図である。
【0035】これらの図に見るようにこの例の結合構造
は、2層の導体線路11、12を、2層の結合用の誘電
体層21a、21bと、その間に配置した、スロット孔
41を有する薄膜状の第2の接地層4とを介して、当該
第2の接地層4の、スロット孔41を形成した部分を含
む領域で互いに伝送方向に沿ってオーバーラップさせ
て、スロット孔41を通して対峙させることで電磁結合
したものである。このうち図では下側の誘電体層21b
の下面の、2層の導体線路11、12をオーバーラップ
させた部分外の領域には、接地用の誘電体層22を介し
て接地層3を積層している。
【0036】そして導体線路11と接地層4とによって
第1のマイクロストリップ線路を構成し、また導体線路
12と接地層3、4とによって、その先端に導体線路1
2と接地層3とからなる第2のマイクロストリップ線路
部を有するストリップ線路を構成している。かかる結合
構造では、2層の導体線路11、12を上記のように電
磁結合したことによって、高さの異なる第1のマイクロ
ストリップ線路とストリップ線路との間で、当該ストリ
ップ線路の先端の第2のマイクロストリップ線路部を介
して、高周波信号を垂直方向に伝送することができる。
【0037】しかもこの結合構造では、誘電体層22を
介して接地層3を積層することで一方の導体線路12を
覆っているため、この接地層3を、例えばメタル筐体等
に直接に接触するように実装しても、伝送損失が急増す
るなどの問題を生じるおそれがない。よって機器類の小
型化、低コスト化をさらに推進することができる。さら
に上記結合構造は高周波の電磁結合を利用したものゆ
え、例えば直流や、1GHz未満ないし低周波を遮断す
る遮断部として機能させることもできる。
【0038】なお上記の結合構造においては、両ストリ
ップ線路間での伝送効率を向上するために、導体線路1
2を、接地層3を積層した領域内の、伝送方向と直交す
る方向の幅がw21とされた幅狭部12dと、上記領域
外の、幅がw22とされた幅広部12eとを有する形状
に形成するのが好ましい。またそれとともに、下記式
(4): d11≦d2 (4) 〔式中のd11は、2層の導体線路11、12の、伝送
方向に沿うオーバーラップ長の1/2に相当する、それ
ぞれの導体線路11、12の端縁からスロット孔41の
伝送方向の中心位置までの、伝送方向に沿う長さ[m
m]、d2は、接地層3の端縁からスロット孔41の伝
送方向の中心位置までの、接地層3を積層していない領
域の、伝送方向に沿う長さ[mm]である。〕および式
(5):
【0039】
【数12】
【0040】〔式中のw21、w22は前記のとおりで
ある。またkは式(5-1):
【0041】
【数13】
【0042】で求められる値であり、式(5-1)中のh1
2は誘電体層21bの厚み[mm]、h2は誘電体層22
の厚み[mm]、ε12は誘電体層21bを形成する誘電
体の比誘電率、ε2は誘電体層22を形成する誘電体の
比誘電率である。〕を全て満足していることが好まし
い。式(4)(5)のいずれか一方でも満足しない場合は両ス
トリップ線路間での伝送損失が高くなる傾向を示すが、
式(4)(5)を全て満足していれば、上記伝送損失を著しく
低減することができる。
【0043】なお式(4)は、導体線路11と、導体線路
12のうち幅広部12eとをオーバーラップさせて電磁
結合した部分にかからないように接地層3を積層する
と、伝送損失を低減できることを示している。また式
(5)は、導体線路12の幅狭部12dの幅を、上記電磁
結合に関与する幅広部12eの幅よりも所定の割合で狭
くしてインピーダンス整合を取ることにより、伝送損失
を低減できることを示している。かかる式(5)中のkを
規定する式(5-1)の右辺左側の分数の、分子中の平方根
内の数式は、2層の誘電体層21b、22を1つの積層
複合誘電体と見たときの、当該積層複合誘電体の、層の
厚み方向における複合誘電率を示す。また式(5-1)の右
辺右側の分数の、分母の数式は、2層の誘電体層21
b、22の、厚みの平均値を示している。この2つが、
結合時のインピーダンス整合に関与している。ここにお
いて厚みh12は、図3(a)に示すように誘電体層21
bの、接地層4と導体線路12との間の厚みであり、厚
みh2は、誘電体層22の、導体線路12と接地層3と
の間の厚みである。
【0044】また図3(a)(b)の結合構造では、第1のマ
イクロストリップ線路と第2のマイクロストリップ線路
部との間の伝送効率を向上するために、さらに式(7):
【0045】
【数14】
【0046】〔式中のh11は誘電体層21aの厚み
[mm]、h12は誘電体層21bの厚み[mm]、ε11
は誘電体層21aを形成する誘電体の比誘電率、ε12
は誘電体層21aを形成する誘電体の比誘電率であ
る。〕 式(8):
【0047】
【数15】
【0048】〔式中のd11は、前記のとおり導体線路
11、12の、伝送方向に沿うオーバーラップ長の1/
2の長さ[mm]、λ2は、式(8-1):
【0049】
【数16】
【0050】で求められる、2層の誘電体層21a、2
1bを1つの積層複合誘電体と見たときの、当該積層複
合誘電体中での高周波の実効波長[mm]であり、式(8-
1)中のfは高周波の周波数[GHz]、h11、h12、
ε11およびε12は前記と同じである。〕 式(9):
【0051】
【数17】
【0052】〔式中のw1は、導体線路11の、伝送方
向と直交する方向の幅であり、w22は前記と同じであ
る。〕 式(10):
【0053】
【数18】
【0054】〔式中のw3は、スロット孔41の、伝送
方向と直行する方向の幅であり、λ2は前記と同じであ
る。〕および式(11):
【0055】
【数19】
【0056】〔式中のd3は、スロット孔41の、伝送
方向の幅であり、λ2は前記と同じである。〕を満足し
ているのが好ましい。なお式(7)は、前記式(1)と同様
に、2層の誘電体層21a、21bの厚みh11、h1
2と比誘電率ε11、ε12をできるだけ近い値に設定
することで、伝送損失を低減できることを示している。
ここにおいて厚みh11は、図3(a)に示すように誘電
体層21aの、導体線路11と接地層4との間の厚みで
あり、厚みh12は前記のとおりである。
【0057】また式(8)は、前記式(2)と同様に、2層の
導体線路11、12のオーバーラップ長の半分の長さd
11と、高周波の周波数fと、そして2層の誘電体層2
1a、21bの厚みh11、h12および比誘電率ε1
1、ε12との関係から最適なオーバーラップ長d11
×2を設定することで、伝送損失を低減できることを示
している。かかる式(8)中のλ2を規定する式(8-1)の右
辺の、分母中の平方根内の数式は、2層の誘電体層21
a、21bを1つの積層複合誘電体と見たときの、当該
積層複合誘電体の、層の厚み方向における複合誘電率を
示す。
【0058】式(9)は、前記式(3)と同様に、導体線路1
1の幅w1と、導体線路12のうち幅広部12eの幅w
22とをできるだけ近い値に設定することで、伝送損失
を低減できることを示している。式(10)は、スロット孔
41の、伝送方向と直交する方向の幅w3と、高周波の
周波数fと、そして2層の誘電体層21a、21bの厚
みh11、h12および比誘電率ε11、ε12との関
係から最適なスロット孔41の幅w3を設定すること
で、伝送損失を低減できることを示している。
【0059】さらに式(11)は、スロット孔41の、伝送
方向の幅d3と、高周波の周波数fと、そして2層の誘
電体層21a、21bの厚みh11、h12および比誘
電率ε11、ε12との関係から最適なスロット孔41
の幅d3を設定することで、伝送損失を低減できること
を示している。上記各部は、それぞれ先の例と同様の材
料によって形成することができる。導体線路11は、誘
電体層21aの片面に、例えばプリント配線基板の導体
回路を形成する技術などを利用して薄膜状に形成するの
が好ましい。また接地層4は、誘電体層21aの反対
面、または誘電体層21bの片面に、同様にして薄膜状
に形成するのが好ましい。さらに導体線路12は、誘電
体層21bの反対面に、同様にして薄膜状に形成するの
が好ましい。導体線路11、12、接地層4の厚みは1
00μm以下、特に10〜50μmであるのが好まし
い。
【0060】さらに接地層3は薄膜状に形成しても良い
が、積層体全体の剛性や、当該接地層3を介して筐体に
実装することなどを考慮すると、前記と同様に、例えば
厚み0.2ミリ以上の剛直な金属板にて形成するのが好
ましい。誘電体層21a、21bは、接着性を有するご
く薄手の接着フィルムなどを介して互いに接着される。
より正確を期するためには、誘電体層21a、21bの
うち、接着フィルムが導体線路12を介さずに直接に接
着される側の厚みに、当該接着フィルムの厚みを加える
のが望ましい。しかし接着フィルムは通常、誘電体層2
1a、21bに比べて極めて薄いので、その厚みを無視
しても大きな影響はない。
【0061】上記誘電体層21a、21bとして、前記
のようにフッ素樹脂のフィルムなどの耐性に優れたもの
を用いるとともに、接地層3を剛直な金属板にて形成す
る場合は、誘電体層22を形成する誘電体材料として、
前記と同様に、これらの衝撃に対する耐性がなく、また
強度的にも十分でない誘電体材料や、あるいはその構造
上、形態上の理由などで、導体線路11、12となる金
属薄膜を直接に形成するのが困難な誘電体材料などを適
用しても、十分に実用可能な結合構造を形成することが
できる。このため誘電体層22を形成する誘電体材料の
適用範囲を広げることができる。
【0062】例えば先に述べたようにtanδが著しく
小さく、低損失な材料である樹脂の発泡体であっても、
誘電体層22を形成する誘電体材料として使用可能であ
る。また以下に述べるように誘電体層22を、例えば液
晶材料や高分子分散液晶材料などの誘電率可変材料にて
形成して可変移相器を構成することも可能となる。図4
(a)(b)は、上記図3(a)(b)の結合構造を応用した可変移
相器の一例を示す図である。図の可変移相器は、上記の
結合構造を2つ組み合わせたものである。
【0063】すなわち誘電体層21aの、図では上面側
の両端2箇所には、それぞれ薄膜状の導体線路11を形
成し、かつ下面側には、薄膜状の接地層4を形成してい
る。接地層4は、上記両導体線路11と、後述する導体
線路12とがオーバーラップして電磁結合する2個所の
位置にスロット孔41を有している。また誘電体層21
bの、図では下面側には、その両端が上記両導体線路1
1とそれぞれオーバーラップして電磁結合するように、
薄膜状の導体線路12を形成するとともに、接地層3を
厚み0.2mm以上の剛直な金属板にて形成している。
【0064】導体線路12は、接地層3を積層する領域
内の幅狭部12dの両端に、上記領域外の幅広部12e
を2つ連結した形状を有している。そして、図示しない
接着性のフィルムなどを用いて誘電体層21a、21b
を積層するとともに、この積層体と接地層3との間に、
誘電率可変材料にて形成した誘電体層22を介装して可
変移相器を構成している。誘電率可変材料としては、前
記と同様のものが用いられる。
【0065】かかる可変移相器においては、一方の導体
線路11と接地層4とによって第1のマイクロストリッ
プ線路が構成され、導体線路12と接地層3、4とによ
ってストリップ線路が構成されて、この両線路が、スト
リップ線路の一方の端に設けた第2のマイクロストリッ
プ線路部を介して電磁結合されている。また他方の導体
線路11と接地層4とによって第3のマイクロストリッ
プ線路が構成され、この第3のマイクロストリップ線路
とストリップ線路とが、ストリップ線路の他方の端に設
けた第4のマイクロストリップ線路部を介して電磁結合
されている。
【0066】上記の可変移相器においては、第1のマイ
クロストリップ線路に入力された高周波信号を、電磁結
合によって、第2のマイクロストリップ線路部を介して
ストリップ線路に伝送し、前述した機構に基づいて、導
体線路12と接地層3との間に印加する制御電圧の電圧
値に応じて高周波の位相を制御した後、電磁結合によっ
て、第4のマイクロストリップ線路部を介して第3のマ
イクロストリップ線路に伝送して出力することができ
る。またこの際、直流ないし低周波である制御電圧は、
2つの結合構造の部分で遮断されるため、入力側および
出力側の高周波線路に漏洩することがない。
【0067】なお上記可変移相器においても、組み込ん
だ2つの結合構造での伝送効率を向上するために、結合
構造を構成する各部が、前記式(4)(5)(7)〜(11)を全て
満足していることが好ましい。この理由は先に述べたと
おりである。
【0068】
【実施例】以下にこの発明を、実施例、比較例に基づい
て説明する。 実施例1−1〜1−6 図5(a)(b)に示すように、図1(a)(b)の結合構造を2つ
組み合わせた積層構造を有する多層回路基板を製造し
た。すなわちフッ素樹脂基板〔Rogers社製のDu
roid RT/5880、比誘電率ε1=2.2、誘
電正接tanδ=0.0009、厚みh1=0.127
mm〕を長さ102mm、幅30mmにカットした誘電
体層21の、図では上面側の両端2箇所に、それぞれ導
体線路11としての、長さL1=4mm、幅w1=1m
m、厚み18μmの銅薄膜を形成した。
【0069】また、上記フッ素樹脂基板の下面側には、
その両端が上記両導体線路11とそれぞれオーバーラッ
プ長d1=0.5mmずつでオーバーラップして電磁結
合するように、導体線路12としての、長さL2=95
mm、幅w2=1mm、厚み18μmの銅薄膜を形成し
た。さらに厚み1mmのアルミニウム板の片面に、PF
A系フッ素樹脂〔ダイキン工業(株)製の商品名ネオフロ
ン、比誘電率ε2=2.0、誘電正接tanδ=0.0
005〕を、表1に示す厚みh2で積層した積層体を作
製し、これを接地層3および誘電体層22として用い
た。
【0070】そして上記両積層体を、図5(a)(b)の積層
構造となるように積層し、圧着して、一方の導体線路1
1と接地層3とによって第1のマイクロストリップ線路
を構成し、導体線路12と接地層3とによって第2のマ
イクロストリップ線路を構成し、さらに他方の導体線路
11と接地層3とによって第3のマイクロストリップ線
路を構成した多層回路基板を得た。また、接地層3およ
び誘電体層22を積層しなかったものを比較例1の回路
基板とした。
【0071】上記各実施例、比較例の回路基板につい
て、下記の伝送特性試験Iを行って、その特性を評価し
た。 伝送特性試験I 実施例、比較例の回路基板の両端の第1および第3のマ
イクロストリップ線路を、テストフィクスチャー〔Wi
ltron社製の3680V〕を用いて固定して、回路
基板への給電部のロスをキャンセルすべく校正を行った
上、ネットワークアナライザ〔ヒューレットパッカード
社製のHP8510〕を用いて透過損失Da[dB]を測
定した。なお測定周波数fは40GHzとした。
【0072】また実施例、比較例と同じ材料を用いて、
図6(a)(b)に示す、第1および第3のマイクロストリッ
プ線路と同じ構造で、両線路を足したのと同じ長さL1
×2の回路基板、および図7(a)(b)に示す、第2のマイ
クロストリップ線路と同じ構造、同じ長さL2の回路基
板を作製して、上記と同様にして透過損失Db[dB]
〔図6(a)(b)〕および透過損失Dc[dB]〔図7(a)
(b)〕を測定した。そして式(12): D={Da−(Db+Dc)}/2 (12) により、実施例、比較例の回路基板中の、1つの結合構
造における透過損失D[dB]を求め、伝送特性を評価し
た。結果を表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】表より、誘電体層22を介して接地層3を
形成しなかった比較例1の回路基板は、透過損失Dが1
8dBと大きく、実用に適さないことが判った。これに
対し、誘電体層22を介して接地層3を形成した実施例
1−1〜1−6の回路基板は、いずれも比較例1に比べ
て透過損失Dを小さくできることが確認された。また比
較例1の回路基板は、表裏両面に導体線路11、12が
露出しているためメタル筐体に実装することができなか
ったが、実施例1−1〜1−6の回路基板は、接地層3
がメタル筐体に直接に接触するように実装しても、透過
損失Dは変化しないことが確認された。
【0075】また各実施例を比較すると、前記式(2)(3)
をともに満足している場合には、誘電体層22の厚みを
大きくして、式(1)の中辺で求められる数値を小さくす
るほど透過損失Dを小さくでき、特に数値を式(1)で規
定した0.5〜2の範囲内とすることで、透過損失Dを
著しく低減できることがわかった。また実施例1−5の
多層回路基板について、測定周波数を変化させながら、
前記と同様にして透過損失Dを求めた結果を図8に示
す。図より、実施例1−5の多層回路基板によれば、2
つの電磁結合の部分の働きにより、低周波の成分を選択
的に遮断できることが確認された。
【0076】実施例1−7 導体線路11、12の幅w1、w2をともに0.4mm
としたこと以外は実施例1−5と同様にして、図5(a)
(b)の積層構造を有する多層回路基板を製造した。 実施例1−8〜1−10 導体線路11、12のオーバーラップ長d1を表2に示
す値としたこと以外は実施例1−5と同様にして、図5
(a)(b)の積層構造を有する多層回路基板を製造した。
【0077】実施例1−11〜実施例1−13 導体線路11、12の幅w1、w2を、それぞれ表2に
示す値としたこと以外は実施例1−5と同様にして、図
5(a)(b)の積層構造を有する多層回路基板を製造した。 実施例1−14 誘電体層22として、PTFE系フッ素樹脂の多孔質体
〔住友電気工業(株)製の商品名ポアフロンWP、比誘電
率ε2=1.3、誘電正接tanδ<0.0002、厚
みh2=0.200mm〕を用いたこと以外は実施例1
−5と同様にして、図5(a)(b)の積層構造を有する多層
回路基板を製造した。
【0078】上記各実施例について、前記と同じ伝送特
性試験Iを行って、その特性を評価した。結果を表2に
示す。
【0079】
【表2】
【0080】表の実施例1−7の結果より、導体線路1
1、12の幅を小さくした場合でも、式(1)〜(3)を全て
満足していれば、透過損失Dを著しく低減できることが
判った。また実施例1−8〜1−10の結果を比較する
と、式(1)(3)をともに満足している場合には、オーバー
ラップ長d1を調整して、前記式(2)の中辺で求められ
る数値を、当該式(2)で規定した15〜150の範囲内
とすることで、透過損失Dを著しく低減できることがわ
かった。
【0081】また実施例1−11〜1−13の結果を比
較すると、式(1)(2)をともに満足している場合には、幅
w1、w2を調整して、前記式(3)の中辺で求められる
数値を、当該式(3)で規定した0.5〜2.0の範囲内
とすることで、透過損失Dを著しく低減できることがわ
かった。さらに実施例1−14の結果より、誘電体層2
2をtanδの小さい多孔質体で形成することにより、
透過損失Dを著しく低減できることがわかった。
【0082】実施例2 図2(a)(b)に示す積層構造を有する可変移相器を製造し
た。すなわちフッ素樹脂基板〔Rogers社製のDu
roid RT/5880、比誘電率ε1=2.2、誘
電正接tanδ=0.0009、厚みh1=0.127
mm〕を長さ102mm、幅30mmにカットした誘電
体層21の、図では上面側の両端2箇所に、それぞれ導
体線路11としての、長さL1=4mm、幅w1=1m
m、厚み18μmの銅薄膜を形成した。
【0083】一方、上記フッ素樹脂基板の下面側には、
その両端が上記両導体線路11とそれぞれオーバーラッ
プ長d1=0.5mmずつでオーバーラップして電磁結
合するように、導体線路12としての、長さL2=95
mm、幅w2=1mm、厚み18μmの銅薄膜を形成し
た。またフッ素樹脂基板の下面側には、導体線路12と
ともに、図に示した引き出し線路12aおよび遮断部1
2bを形成し、フッ素樹脂基板の側縁部にはスルーホー
ルを形成し、メタライズしてビア13を形成した。
【0084】次に、ネマチック液晶〔メルク社製のBL
−006〕10gと、ポリメチルメタクリレート〔和光
純薬(株)製〕10gとを、ジクロロエタン〔和光純薬
(株)製〕30gに室温にて溶解して無色透明の溶液を作
製した。次にこの溶液を、接地層3としての厚み1mm
のアルミニウム板の表面に、ドクターナイフを用いて塗
布して、室温でシクロロエタンを蒸発させて、誘電率可
変材料である高分子分散液晶の、厚み50μmの層を形
成して誘電体層22とした。
【0085】そして上記両積層体を、図2(a)(b)の積層
構造となるように積層し、圧着して、一方の導体線路1
1と接地層3とによって第1のマイクロストリップ線路
を構成し、導体線路12と接地層3とによって第2のマ
イクロストリップ線路を構成し、さらに他方の導体線路
11と接地層3とによって第3のマイクロストリップ線
路を構成した可変移相器を得た。上記可変移相器の、導
体線路12と接地層3との間に1kHzの低周波の制御
電圧を印加した際の、出力された高周波信号〔周波数3
8GHz〕の位相の変化量[°]と、制御電圧値[Vrm
s]との関係を測定した。結果を図9に示す。
【0086】図より、実施例2の可変移相器によれば、
導体線路12と接地層3との間に印加した低周波の電圧
値に応じて、高周波信号の位相を変化できることが確認
された。また上記可変移相器について、測定周波数を変
化させながら、前記と同様にして透過損失Dを求めた結
果を図10に示す。図より、実施例2の可変移相器によ
れば、2つの電磁結合の部分の働きにより、導体線路1
2と接地層3との間に印加する低周波の制御電圧を確実
に遮断できることが確認された。
【0087】実施例3−1〜3−5 図11(a)(b)に示すように、図3(a)(b)の結合構造を2
つ組み合わせた積層構造を有する多層回路基板を製造し
た。すなわちフッ素樹脂基板〔Rogers社製のDu
roid RT/5880、比誘電率ε11=2.2、
誘電正接tanδ=0.0009、厚みh11=0.2
54mm〕を長さ108mm、幅30mmにカットした
誘電体層21aの、図では上面側の両端2箇所に、それ
ぞれ導体線路11としての、長さL3+d11=9m
m、幅w1=0.8mm、厚み18μmの銅薄膜を形成
した。
【0088】また、上記フッ素樹脂基板の下面側には、
基板の両端からそれぞれ距離L3の2個所の位置に、幅
d3=0.4mm、幅W3=2mmのスロット孔41を
有する、接地層4としての厚み18μmの銅薄膜を形成
した。また上記と同じフッ素樹脂基板〔Rogers社
製のDuroid RT/5880、比誘電率ε12=
2.2、誘電正接tanδ=0.0009、厚みh12
=0.254mm〕を同寸法にカットした誘電体層21
bの、図では下面側には、その両端が上記両導体線路1
1とそれぞれオーバーラップ長d11×2=2.0mm
ずつでオーバーラップして電磁結合するように配置され
た、長さd11+d2=4.0mm、幅w22=0.9
mmの2つの幅広部12eと、両幅広部12e間を繋
ぐ、長さL5=86mm、幅w21=0.3mmの幅狭
部12dとを備えた導体線路12を、厚み18μmの銅
薄膜にて形成した。
【0089】さらに厚み1mmのアルミニウム板の片面
に、PFA系フッ素樹脂〔ダイキン工業(株)製の商品名
ネオフロン、比誘電率ε2=2.0、誘電正接tanδ
=0.0005〕を、表3に示す厚みh2で積層した長
さL5の積層体を作製し、これを接地層3および誘電体
層22として用いた。そして図11(a)(b)の積層構造と
なるように、まず先の2つの積層体を、接着フィルム
〔Arlon社製の6250〕を用いて積層し、さらに
3つ目の積層体を積層、圧着して、一方の導体線路11
と接地層4とによって第1のマイクロストリップ線路を
構成し、導体線路12と接地層3、4とによってストリ
ップ線路を構成するとともに、その両端で導体線路12
を露出させて第2および第4のマイクロストリップ線路
部を構成し、さらに他方の導体線路11と接地層4とに
よって第3のマイクロストリップ線路を構成した多層回
路基板を得た。
【0090】また、接地層3および誘電体層22を積層
しなかったものを比較例2の回路基板とした。 実施例3−6〜3−8 誘電体層22の厚みh2を0.025mmにするととも
に、導体線路12のうち幅狭部12dの幅w21を表3
に示す値としたこと以外は実施例3−1と同様にして、
図11(a)(b)に示す積層構造を有する多層回路基板を製
造した。
【0091】実施例3−9 誘電体層22の厚みh2を0.050mmにするととも
に、導体線路12のうち幅広部12eの、スロット孔4
1までの露出長さd2を0mmとしたこと以外は実施例
3−1と同様にして、図11(a)(b)に示す積層構造を有
する多層回路基板を製造した。 実施例3−10 誘電体層22として、PTFE系フッ素樹脂の多孔質体
〔住友電気工業(株)製の商品名ポアフロンWP、比誘電
率ε2=1.3、誘電正接tanδ<0.0002、厚
みh2=0.200mm〕を用いたこと以外は実施例1
−5と同様にして、図11(a)(b)の積層構造を有する多
層回路基板を製造した。
【0092】上記各実施例、比較例の回路基板につい
て、下記の伝送特性試験IIを行って、その特性を評価し
た。 伝送特性試験II 実施例、比較例の回路基板の両端の第1および第3のマ
イクロストリップ線路を、テストフィクスチャー〔Wi
ltron社製の3680V〕を用いて固定して、回路
基板への給電部のロスをキャンセルすべく校正を行った
上、ネットワークアナライザ〔ヒューレットパッカード
社製のHP8510〕を用いて透過損失Dd[dB]を測
定した。なお測定周波数fは40GHzとした。
【0093】また実施例、比較例と同じ材料を用いて、
図12(a)(b)に示す、第1および第3のマイクロストリ
ップ線路と同じ構造で、両線路のうちスロット孔41の
中心位置よりそれぞれ外側の部分を足したのと同じ長さ
L3×2の回路基板、および図13(a)(b)に示す、スト
リップ線路の両端の第2および第4のマイクロストリッ
プ線路部と同じ構造で、両線路部のうちスロット孔41
の中心位置よりそれぞれ内側の部分を足したのと同じ長
さL4×2の回路基板を作製して、上記と同様にして透
過損失De[dB]〔図12(a)(b)〕および透過損失Df
[dB]〔図13(a)(b)〕を測定した。
【0094】さらに図14(a)(b)に示す、ストリップ線
路と同じ構造と同じ長さL5の回路基板を作製し、この
回路基板を、スライディングコンタクト〔Wiltro
n社製のK110−2〕を介して同軸コネクタに接続し
て、回路基板への給電部のロスをキャンセルすべく校正
を行った上、ネットワークアナライザ〔ヒューレットパ
ッカード社製のHP8510〕を用いて透過損失Dg
[dB]を測定した。測定周波数fは40GHzとした。
【0095】そして式(13): D={Dd−(De+Df+Dg)}/2 (13) により、実施例、比較例の回路基板中の、1つの結合構
造における透過損失D[dB]を求め、伝送特性を評価し
た。結果を表3に示す。
【0096】
【表3】
【0097】表より、誘電体層22を介して接地層3を
形成しなかった比較例2の回路基板は、透過損失Dにつ
いては実施例と変わらないことが判った。しかしこの比
較例2の回路基板は、表裏両面に導体線路11、12が
露出しているためメタル筐体に実装することができなか
った。これに対し、誘電体層22を介して接地層3を形
成した実施例3−1〜3−9の回路基板は、いずれも透
過損失Dが小さい上、その透過損失Dが、接地層3がメ
タル筐体に直接に接触するように実装しても変化しない
ことが確認された。
【0098】また各実施例を比較すると、前記式(4)の
条件を満足している〔表中式(4)の欄が○である〕実施
例3−1〜3−5、並びに実施例3−6〜3−8におい
ては、誘電体層22の厚みを調整するか、または導体線
路12のうち幅狭部12dの幅を調整して、式(5)の中
辺で求められる数値を、当該式(5)で規定した範囲内と
することで、透過損失Dを著しく低減できることがわか
った。また実施例3−3の多層回路基板について、測定
周波数を変化させながら、前記と同様にして透過損失D
を求めた結果を図15に示す。図より、実施例3−3の
多層回路基板によれば、2つの電磁結合の部分の働きに
より、低周波の成分を選択的に遮断できることが確認さ
れた。
【0099】また、式(5)の中辺で求められる数値が同
じで、式(4)の条件を満たしている実施例3−1と、満
たしていない実施例3−9とを比較すると、上記数値が
式(5)で規定した範囲内である場合には、式(4)の条件を
満たすことで、透過損失Dを著しく低減できることがわ
かった。さらに実施例3−10の結果より、誘電体層2
2をtanδの小さい多孔質体で形成することにより、
透過損失Dを著しく低減できることがわかった。
【0100】実施例4 図4(a)(b)に示す積層構造を有する可変移相器を製造し
た。すなわちフッ素樹脂基板〔Rogers社製のDu
roid RT/5880、比誘電率ε11=2.2、
誘電正接tanδ=0.0009、厚みh11=0.2
54mm〕を長さ108mm、幅30mmにカットした
誘電体層21aの、図では上面側の両端2箇所に、それ
ぞれ導体線路11としての、長さL3+d11=9m
m、幅w1=0.8mm、厚み18μmの銅薄膜を形成
した。
【0101】また、上記フッ素樹脂基板の下面側には、
基板の両端からそれぞれ距離L3の2個所の位置に、幅
d3=0.4mm、幅W3=2mmのスロット孔41を
有する、接地層4としての厚み18μmの銅薄膜を形成
した。また上記と同じフッ素樹脂基板〔Rogers社
製のDuroid RT/5880、比誘電率ε12=
2.2、誘電正接tanδ=0.0009、厚みh12
=0.254mm〕を同寸法にカットした誘電体層21
bの、図では下面側には、その両端が上記両導体線路1
1とそれぞれオーバーラップ長d11×2=2.0mm
ずつでオーバーラップして電磁結合するように配置され
た、長さd11+d2=4.0mm、幅w22=0.9
mmの2つの幅広部12eと、両幅広部12e間を繋
ぐ、長さL5=86mm、幅w21=0.3mmの幅狭
部12dとを備えた導体線路12を、厚み18μmの銅
薄膜にて形成した。
【0102】次に、ネマチック液晶〔メルク社製のBL
−006〕10gと、ポリメチルメタクリレート〔和光
純薬(株)製〕10gとを、ジクロロエタン〔和光純薬
(株)製〕30gに室温にて溶解して無色透明の溶液を作
製した。次にこの溶液を、接地層3としての厚み1mm
のアルミニウム板の表面に、ドクターナイフを用いて塗
布して、室温でシクロロエタンを蒸発させて、誘電率可
変材料である高分子分散液晶の、厚み50μmの層を形
成して誘電体層22とした。
【0103】そして図4(a)(b)の積層構造となるよう
に、まず先の2つの積層体を、接着フィルム〔Arlo
n社製の6250〕を用いて積層し、さらに3つ目の積
層体を積層、圧着して、一方の導体線路11と接地層4
とによって第1のマイクロストリップ線路を構成し、導
体線路12と接地層3、4とによってストリップ線路を
構成するとともに、その両端で導体線路12を露出させ
て第2および第4のマイクロストリップ線路部を構成
し、さらに他方の導体線路11と接地層4とによって第
3のマイクロストリップ線路を構成した可変移相器を得
た。
【0104】上記可変移相器の、導体線路12と接地層
3との間に1kHzの低周波の制御電圧を印加した際
の、出力された高周波信号〔周波数38GHz〕の位相
の変化量[°]と、制御電圧値[Vrms]との関係を測定
した。結果を図16に示す。図より、実施例4の可変移
相器によれば、導体線路12と接地層3との間に印加し
た低周波の電圧値に応じて、高周波信号の位相を変化で
きることが確認された。
【0105】また上記可変移相器について、測定周波数
を変化させながら、前記と同様にして透過損失Dを求め
た結果を図17に示す。図より、実施例4の可変移相器
によれば、2つの電磁結合の部分の働きにより、導体線
路12と接地層3との間に印加する低周波の制御電圧を
確実に遮断できることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の高周波伝送線路の結合構造の、実施
の形態の一例を示す図であって、同図(a)は断面図、同
図(b)は斜視図である。
【図2】図1(a)(b)の結合構造を組み込んだ可変移相器
の一例を示す図であって、同図(a)は断面図、同図(b)は
斜視図である。
【図3】この発明の高周波伝送線路の結合構造の、実施
の形態の他の例を示す図であって、同図(a)は断面図、
同図(b)は層ごとに分解した斜視図である。
【図4】図3(a)(b)の結合構造を利用した可変移相器の
一例を示す図であって、同図(a)は断面図、同図(b)は層
ごとに分解した斜視図である。
【図5】図1(a)(b)の結合構造を組み込んだ多層回路基
板の一例を示す図であって、同図(a)は断面図、同図(b)
は斜視図である。
【図6】図5(a)(b)の多層回路基板の透過損失Dを測定
するために用いる、回路基板の一部分を再現した回路基
板であって、同図(a)は断面図、同図(b)は斜視図であ
る。
【図7】図5(a)(b)の多層回路基板の透過損失Dを測定
するために用いる、回路基板の他の部分を再現した回路
基板であって、同図(a)は断面図、同図(b)は斜視図であ
る。
【図8】この発明の実施例1−5の多層回路基板におけ
る、周波数と透過損失Dとの関係を示すグラフである。
【図9】この発明の実施例2の可変移相器における、高
周波信号の位相の変化量と、制御電圧値との関係を示す
グラフである。
【図10】上記可変移相器における、周波数と透過損失
Dとの関係を示すグラフである。
【図11】図3(a)(b)の結合構造を組み込んだ多層回路
基板の一例を示す図であって、同図(a)は断面図、同図
(b)は層ごとに分解した斜視図である。
【図12】図11(a)(b)の多層回路基板の透過損失Dを
測定するために用いる、回路基板の一部分を再現した回
路基板であって、同図(a)は断面図、同図(b)は斜視図で
ある。
【図13】図11(a)(b)の多層回路基板の透過損失Dを
測定するために用いる、回路基板の他の部分を再現した
回路基板であって、同図(a)は断面図、同図(b)は斜視図
である。
【図14】図11(a)(b)の多層回路基板の透過損失Dを
測定するために用いる、回路基板のさらに他の部分を再
現した回路基板であって、同図(a)は断面図、同図(b)は
斜視図である。
【図15】この発明の実施例3−3の多層回路基板にお
ける、周波数と透過損失Dとの関係を示すグラフであ
る。
【図16】この発明の実施例4の可変移相器における、
高周波信号の位相の変化量と、制御電圧値との関係を示
すグラフである。
【図17】上記可変移相器における、周波数と透過損失
Dとの関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 年岡 英昭 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者 今井 克之 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内 Fターム(参考) 5J012 GA11 5J014 CA42

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】薄膜状の2層の導体線路を、結合用の誘電
    体層を介した少なくとも1つの電磁結合によって互いに
    結合してなる高周波伝送線路の結合構造であって、上記
    結合構造を構成する積層体に、接地用の誘電体層を介し
    て、平板状の接地層を積層したことを特徴とする高周波
    伝送線路の結合構造。
  2. 【請求項2】請求項1記載の高周波伝送線路の結合構造
    であって、2層の導体線路を、1層の結合用の誘電体層
    を挟んで、互いに伝送方向に沿ってオーバーラップさせ
    て対峙させることで電磁結合するとともに、結合用の誘
    電体層の片面の、2層の導体線路をオーバーラップさせ
    た部分を含む領域に、接地用の誘電体層を介して接地層
    を積層したことを特徴とする。
  3. 【請求項3】請求項2記載の高周波伝送線路の結合構造
    であって、式(1): 【数1】 〔式中のh1は結合用の誘電体層の厚み[mm]、h2は
    接地用の誘電体層の厚み[mm]、ε1は結合用の誘電体
    層を形成する誘電体の比誘電率、ε2は接地用の誘電体
    層を形成する誘電体の比誘電率である。〕 式(2): 【数2】 〔式中のd1は、2層の導体線路の、伝送方向に沿うオ
    ーバーラップ長[mm]、λ1は、式(2-1): 【数3】 で求められる、2層の誘電体層を1つの積層複合誘電体
    と見たときの、当該積層複合誘電体中での高周波の実効
    波長[mm]であり、式(2-1)中のfは高周波の周波数[G
    Hz]、h1、h2、ε1およびε2は前記と同じであ
    る。〕および式(3): 【数4】 〔式中のw1、w2はそれぞれの導体線路の、伝送方向
    と直交する方向の幅である。〕を全て満足することを特
    徴とする。
  4. 【請求項4】請求項1記載の高周波伝送線路の結合構造
    であって、2層の導体線路を、2層の結合用の誘電体層
    と、その間に配置した、スロット孔を有する薄膜状の第
    2の接地層とを介して、当該第2の接地層の、スロット
    孔を形成した部分を含む領域で互いに伝送方向に沿って
    オーバーラップさせて、スロット孔を通して対峙させる
    ことで電磁結合するとともに、一方の結合用の誘電体層
    の外側面の、2層の導体線路をオーバーラップさせた部
    分外の領域に、接地用の誘電体層を介して接地層を積層
    したことを特徴とする。
  5. 【請求項5】請求項4記載の高周波伝送路の結合構造で
    あって、接地用の誘電体層と接地層とを積層した側の導
    体線路の、当該接地層を積層した領域での、伝送方向と
    直交する方向の幅を、上記導体線路の、接地層を積層し
    ていない領域での同方向の幅より小さくするとともに、 下記式(4):d11≦d2 (4) 〔式中のd11は、2層の導体線路の、伝送方向に沿う
    オーバーラップ長の1/2に相当する、それぞれの導体
    線路の端縁から、スロット孔の伝送方向の中心位置まで
    の、伝送方向に沿う長さ[mm]、d2は、接地層の端縁
    から、スロット孔の伝送方向の中心位置までの、接地層
    を積層していない領域の、伝送方向に沿う長さ[mm]で
    ある。〕および式(5): 【数5】 〔式中のw21は、接地用の誘電体層と接地層とを積層
    した側の導体線路の、当該接地層を積層した領域での、
    伝送方向と直交する方向の幅、w22は、上記導体線路
    の、接地層を積層していない領域での同方向の幅、kは
    式(5-1): 【数6】 で求められる値であり、式(5-1)中のh12は、2層の
    結合用の誘電体層のうち、接地層側の結合用の誘電体層
    の厚み[mm]、h2は接地用の誘電体層の厚み[mm]、
    ε12は、上記結合用の誘電体層を形成する誘電体の比
    誘電率、ε2は接地用の誘電体層を形成する誘電体の比
    誘電率である。〕を全て満足することを特徴とする。
  6. 【請求項6】請求項1記載の高周波伝送線路の結合構造
    のうち接地用の誘電体層を、当該誘電体層を挟む導体線
    路と接地層との間に直流ないし低周波の制御電圧を印加
    した際に、当該印加電圧値に応じて誘電率が変化する誘
    電率可変材料にて形成したことを特徴とする可変移相
    器。
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