JP2003007871A - 半導体装置、半導体装置の製造方法、融合タンパク質、融合タンパク質の製造方法、融合タンパク質分子およびdna - Google Patents

半導体装置、半導体装置の製造方法、融合タンパク質、融合タンパク質の製造方法、融合タンパク質分子およびdna

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JP2003007871A
JP2003007871A JP2001194336A JP2001194336A JP2003007871A JP 2003007871 A JP2003007871 A JP 2003007871A JP 2001194336 A JP2001194336 A JP 2001194336A JP 2001194336 A JP2001194336 A JP 2001194336A JP 2003007871 A JP2003007871 A JP 2003007871A
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Ichiro Yamashita
一郎 山下
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 信頼性の高い半導体装置およびその製造方法
を提供する。 【解決手段】 半導体装置100において、p型シリコ
ン基板111上には、微粒子分散領域112aおよび微
粒子分散領域112bからなる電荷保持領域112、絶
縁膜として機能するSiO2膜115、および上部電極
として機能するn型多結晶シリコン電極116が下から
順に設けられている。また、微粒子分散領域112aに
は無機微粒子113aが、微粒子分散領域112bに
は、無機微粒子113aよりも粒径の小さい無機微粒子
113bが、絶縁膜であるSiO2膜114中に分散さ
れている。各無機微粒子113aと、その直上にそれぞ
れ位置する各無機微粒子113bとの間隔は、ほぼ均一
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微粒子等に電荷を
保持させてメモリとして利用できるようにした半導体装
置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在のULSIは、多数のMOSトラン
ジスタからなる半導体装置を集積したメモリ部を有して
いる。近年、この半導体装置における動作の高速化、消
費電力の低減、長時間の記録保持の要請が高まってい
る。そこで、これらの要請を満たすようなMOSトラン
ジスタの開発が進められている。
【0003】これまでに提案され、既に試作された半導
体装置においては、メモリの書き込み、若しくは、消去
の際に、半導体等の微粒子中に、非常に少数の電荷を注
入し保持することが行われている。このような従来の技
術の一例として、S.Tiwariらによる複数のシリコンの微
粒子(ドット)を用いたメモリの研究を挙げることがで
きる(Appl.Phys.Lett.68(1996)1377)。
【0004】図16は、上記従来の複数のシリコンの微
粒子を用いたメモリとして機能する半導体装置を示す断
面図である。図16に示すように、半導体装置6000
においては、p型シリコン基板6201上にSiO2
からなるトンネル酸化膜6202、SiO2膜6204
が下から順に堆積されており、さらにその上にはn型多
結晶シリコン電極6205が設けられている。トンネル
酸化膜6202とSiO2膜6204との間には、シリ
コン微粒子6203が埋め込まれている。また、下地と
なるp型シリコン基板6201中のn型多結晶シリコン
電極6205の両側方に位置する領域には、ソース・ド
レイン領域6206が設けられている。
【0005】この半導体装置6000において、n型多
結晶シリコン電極6205に正の電圧を印加することに
より、トンネル酸化膜6202を経て、シリコン微粒子
6203に電子を注入することができる。また、n型多
結晶シリコン電極6205に負の電圧を印加することに
より、シリコン微粒子6203中の電子を引き抜くこと
ができる。シリコン微粒子6203におけるこの電子の
有無によって、メモリ素子のしきい値電圧を変化させる
ことができる。このしきい値電圧の高低を情報H(ハ
イ)と情報L(ロー)とに対応させることにより、情報
の書き込み・読み出しを行なう。
【0006】なお、トンネル酸化膜6202の厚さは極
めて薄い(1.5nm〜4nm程度)ため、この電子の
注入過程は、FNトンネルによるのではなく、直接トン
ネルによることになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、実際に実用的
な性能を有する半導体装置として、上記従来の半導体装
置6000を製造する場合、非常に高度で微細な製造技
術が必要である。
【0008】例えば、トンネル酸化膜6202の厚さが
厚すぎる場合には、トンネル過程による電荷注入が困難
となる。このため、低電圧の動作、および、高速な動作
が困難となる。一方、トンネル酸化膜6202の厚さが
薄すぎる場合には、電荷保持の際に電荷閉じ込めが不十
分となる。このため、長期間の電荷保持、つまり、長期
間の情報記憶が困難となる。
【0009】また、従来の半導体装置6000におい
て、実用的な特性を得るためには、シリコン微粒子62
03の粒径、およびその分散の程度をも高度に制御でき
る製造技術が必要である。つまり、シリコン微粒子62
03の粒径が大きくなりすぎると、シリコン微粒子62
03の面内密度が十分でないことがある。このような場
合には、電荷の保持期間が短すぎたり、保持できる電荷
量が少なすぎたりしてしまうので、半導体装置の信頼性
も低くなる。
【0010】さらに、温度上昇により熱エネルギーが増
加する等の場合には、シリコン微粒子6203からp型
シリコン基板6201へのトンネル過程により、シリコ
ン微粒子6203中に蓄積された電荷が自然放出されて
しまう。
【0011】つまり、従来の半導体装置6000におい
て、実用的な特性を得るためには、トンネル酸化膜62
02の膜質および厚さを、非常に高精度かつ均一に制御
する必要があり、さらに、シリコン微粒子6203の粒
径を一定に保ちつつ、高い面内密度で、しかも、均一な
分散状態でシリコン微粒子6203を作成しなければな
らない。しかし、p型シリコン基板6201上の全面に
おいて上述のような制御を行なうには非常に高度な製造
技術が要求される。よって、従来の半導体装置6000
を製造しても、その製造工程において、実用的な特性を
有する半導体装置が得られる可能性は低い。また、製造
された従来の半導体装置の信頼性は低いものとなる。つ
まり、従来の半導体装置において、高速の電荷注入・引
き抜きを行ない、しかも、長期間の電荷保持を行なうこ
とは困難である。
【0012】本発明は、信頼性の高い半導体装置および
その製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体装置は、
導体層を有する基板と、上記導体層の上に設けられ、電
荷の移動に対して障壁として機能する障壁層と、上記障
壁層内に分散して配置され、量子化可能な粒径を有する
第1粒子体と量子化可能な粒径を有する第2粒子体とか
らなる複数の粒子体対とを備え、上記複数の粒子体対に
おける上記第1粒子体と上記第2粒子体との間の距離は
ほぼ均一であり、上記各粒子体対は、電荷保持部として
機能する。
【0014】本発明の半導体装置では、複数の粒子体対
において、第1粒子体と第2粒子体との間隔はほぼ均一
であるので、電圧の印加による第1粒子体に対する第2
粒子体の各エネルギー準位の相対的なポテンシャルの変
化はほぼ一定となる。このため、ある電圧を印加するこ
とによって、トンネル過程による第1粒子体と第2粒子
体との間の電子移動を確実に実現できる。従って、粒子
体対の第1粒子体または第2粒子体のいずれかに電荷を
保持させ、あるいは電圧の印加によって電荷を放出させ
ることが容易になり、この電荷保持状態を情報として利
用することが可能となる。
【0015】上記第1粒子体の中心と上記第2粒子体の
中心とを結ぶ直線が、上記基板の表面に対してほぼ垂直
であることが好ましい。
【0016】このことによって、第1粒子体および第2
粒子体のいずれか一方は、もう一方の粒子体のほぼ直上
に位置する。このとき、1つの粒子体対の第1粒子体か
ら第2粒子体までの距離は、1つの粒子体対の第1粒子
体から別の第2粒子体までの距離よりも小さい。このた
め、1つの粒子体対において、第1粒子体と第2粒子体
との間の電子移動が生じ易く、1つの粒子体対と他の粒
子体対との間の電子移動は生じにくい。つまり、電子の
移動経路が単純化され、最も効率よく電子を粒子体対の
第1粒子体または第2粒子体のいずれかに蓄積すること
ができる(表現を改めました)。
【0017】上記第1粒子体は、上記第2粒子体のほぼ
直下に位置し、上記第1粒子体の粒径は、上記第2粒子
体の粒径よりも大きいことが好ましい。
【0018】第1粒子体に比べて粒径が小さい第2粒子
体内の各エネルギー準位間の間隔は、第1粒子体内の各
エネルギー準位間の間隔に比べて大きくなっている。こ
のため、第1粒子体−第2粒子体間では、電圧の印加さ
れていない状態では、障壁層の両側でいずれも量子化さ
れている第1粒子体のエネルギー準位の1つと第2粒子
体のエネルギー準位の1つとのポテンシャルが互いに一
致したときのみトンネリングが生じるので、トンネリン
グが生じる確率は非常に低い。従って、第1粒子体−第
2粒子体間では、両者の間で量子化されているエネルギ
ー準位同士のポテンシャルが等しくなるような電圧を加
えた場合のみ、トンネリングによって電子移動が効率よ
く行われる一方、それ以外の場合の電子移動は抑制され
る。つまり、第1粒子体−第2粒子体間の電子移動は外
部から加える電圧によって制御でき、且つ、第2粒子体
に一旦注入された電子は長期間保持される。
【0019】上記第1粒子体は、上記第2粒子体のほぼ
直下に位置し、上記第1粒子体と上記第2粒子体とは、
互いに異なる材料から形成されていてもよい。
【0020】上記障壁層の上に設けられた絶縁体層と、
上記絶縁体層の上に設けられたゲート電極と、上記基板
における上記ゲート電極の両側方に位置する領域に不純
物を導入して形成されたソース・ドレイン領域とをさら
に備えることによって、MIS型トランジスタとして機
能する半導体装置が得られる。
【0021】本発明の半導体装置の製造方法は、導体層
を有する基板を用意する工程(a)と、上記導体層上
に、第1粒子体および第2粒子体とからなる粒子体対を
保持する複数のタンパク質を配置する工程(b)と、基
板上に上記粒子体対が分散して配置された膜を形成する
工程(c)とを含む。
【0022】第1粒子体および第2粒子体とからなる粒
子体対を保持する複数のタンパク質を用いることによっ
て、複数の粒子体対における第1粒子体と第2粒子体と
の間の距離、ならびに第1粒子体および第2粒子体のそ
れぞれの粒径は、ほぼ均一に保たれる。従って、導体層
の上に設けられ、電荷の移動に対して障壁として機能す
る障壁層と、障壁層内に分散して配置された第1粒子体
と第2粒子体とからなる複数の粒子体対とを備え、複数
の粒子体対における第1粒子体と第2粒子体との間の距
離、ならびに第1粒子体および第2粒子体のそれぞれの
粒径が、ほぼ均一な半導体装置が得られる。
【0023】上記複数のタンパク質は、それぞれ第1粒
子体を保持し、少なくとも一部において極性を有する第
1保持部と、第2粒子体を保持する第2保持部とを有し
ており、上記工程(b)では、上記第1保持部と逆の極
性に帯電させた上記導体層上に上記複数のタンパク質を
配置することが好ましい。
【0024】このことによって、導体層上において、タ
ンパク質の第1保持部は、第2保持部よりも導体層側に
位置するように配置される。従って、障壁層内におい
て、第1粒子体が、第2粒子体よりも導体層側に位置す
るように配置された半導体装置が得られる。得られた半
導体装置では、第2粒子体と導体層との間の電子の移動
は、第1粒子体を介して行なわれ、電子は第2粒子体に
蓄積される。
【0025】上記第1粒子体の粒径は、上記第2粒子体
の粒径よりも大きいことが好ましい。
【0026】本発明の融合タンパク質は、第1粒子体を
保持可能な第1タンパク質粒子と、上記第1粒子体より
も粒径の小さい第2粒子体を保持可能な第2タンパク質
粒子とが互いに結合されているので、第1粒子体と第2
粒子体とを同時に保持することができる。
【0027】上記第1タンパク質粒子は、第1粒子体を
保持しており、上記第2タンパク質粒子は、上記第1粒
子体よりも粒径の小さい第2粒子体を保持していてもよ
い。
【0028】上記第1タンパク質粒子は、Dpsタンパ
ク質であり、上記第2タンパク質粒子は、アポフェリチ
ンであってもよい。
【0029】本発明の融合タンパク質の製造方法は、第
1タンパク質分子と、第2タンパク質分子と、上記第1
タンパク質分子と上記第2タンパク質分子とを互いに結
合するリンカーペプチドとからなる融合タンパク質分子
が懸濁された液体を作製する工程(a)と、上記液体
と、第1タンパク質分子および第2タンパク質分子が懸
濁された液体とを混合する工程(b)とを含む。
【0030】同じアミノ酸配列を有する複数のタンパク
質分子は、互いを認識し合って高次の構造を作ることが
できる自己集合能力を持っている。このため、融合タン
パク質分子が備える第1タンパク質分子の周りに、複数
の第1タンパク質分子が集合し、融合タンパク質分子が
備える第2タンパク質分子の周りに、複数の第2タンパ
ク質分子が集合する。
【0031】本発明の融合タンパク質分子は、アポフェ
リチン分子と、Dpsタンパク質分子と、上記アポフェ
リチン分子と上記Dpsタンパク質分子とを互いに結合
するリンカーペプチドとからなる。
【0032】本発明のDNAは、アポフェリチン分子の
アミノ酸配列をコードする遺伝子と、リンカーペプチド
のアミノ酸配列をコードする遺伝子と、Dpsタンパク
質分子のアミノ酸配列をコードする遺伝子とが連結され
ている。この本発明のDNAを、大腸菌などのプラスミ
ドに組み込むことによって、アポフェリチン分子と、D
psタンパク質分子と、アポフェリチン分子とDpsタ
ンパク質分子とを互いに結合するリンカーペプチドとか
らなる融合タンパク質分子を発現させることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施形態を説明する。
【0034】図1は、本実施形態の半導体装置100の
断面図である。なお、図16に示す従来の半導体装置6
000のp型シリコン基板6201と、p型シリコン基
板111とは同じ構造であり、ここでは簡単のため省略
している。
【0035】半導体装置100において、p型シリコン
基板111上には、微粒子分散領域112aおよび微粒
子分散領域112bからなる電荷保持領域112(厚さ
20nm程度)、絶縁膜として機能するSiO2膜11
5(厚さ20nm程度)、および上部電極として機能す
るn型多結晶シリコン電極116が下から順に設けられ
ている。また、微粒子分散領域112aには無機微粒子
113a(粒径6nm程度)が、微粒子分散領域112
bには、無機微粒子113aよりも粒径の小さい無機微
粒子113b(粒径4nm程度)が、絶縁膜であるSi
2膜114中に分散されている。各無機微粒子113
aと、その直上にそれぞれ位置する各無機微粒子113
bとの間隔は、ほぼ均一である。なお、微粒子分散領域
112aおよび微粒子分散領域112bの無機微粒子1
13aおよび113bを除いた部分(マトリクス)は、
無機微粒子113aおよび113bよりも大きなバンド
ギャップを有する半導体でもよい。また、SiO2膜1
15の厚さを5〜20nm程度とするのが好ましい。
【0036】一方、上述のように、従来の半導体装置6
000には、図16に示すように、p型シリコン基板6
201上にSiO2膜からなるトンネル酸化膜620
2、SiO2膜6204が下から順に堆積されており、
さらにその上にはn型多結晶シリコン電極6205が設
けられている。トンネル酸化膜6202とSiO2膜6
204との間には、シリコン微粒子6203が埋め込ま
れている。
【0037】図2は、図16に示す従来の半導体装置6
000におけるSiO2膜6204、シリコン微粒子6
203、トンネル酸化膜6202及びp型シリコン基板
6201のエネルギーバンド構造を示すバンド図であ
る。シリコン微粒子6203内では、シリコン微粒子6
203の粒径が極めて小さいため、シリコン微粒子中の
電子がとりうるエネルギー状態(エネルギー準位)が量
子化されている。この従来の半導体装置6000におい
ては、シリコン微粒子6203への電子注入・電子引き
抜きは、p型シリコン基板6201−シリコン微粒子6
203間のトンネル過程によって起こる。
【0038】図3(a)、(b)は、従来の半導体装置
6000における電子注入・電子保持を行なう際のエネ
ルギーバンド状態をそれぞれ示す部分バンド図である。
なお、図3(a)、(b)においては、理解を容易にす
るため、価電子帯の図示が省略されている。
【0039】図3(a)に示すように、従来の半導体装
置6000では、一定値以上の正の電圧をn型多結晶シ
リコン電極6205に印加すると、外部電界が生じ、シ
リコン微粒子6203の電位は、p型シリコン基板62
01の電位に比べ、上昇することになる。このとき、電
子が、トンネル現象によって、p型シリコン基板620
1における伝導帯からトンネル酸化膜6202を経て、
シリコン微粒子6203へと注入される。
【0040】一方、図3(b)に示すように、n型多結
晶シリコン電極6205への正の電圧の印加を中止する
と、シリコン微粒子6203に蓄積された電子によっ
て、シリコン微粒子6203自身のポテンシャルが上昇
する。このため、電子注入時とは逆に、トンネル過程に
よって、電子をシリコン微粒子6203から、トンネル
酸化膜6202を経て、p型シリコン基板6201へと
自然放出しようとする力が生ずる。このポテンシャル上
昇が十分小さければ、電子はシリコン微粒子6203に
保持される。
【0041】負の電圧をn型多結晶シリコン電極620
5に印加すると、シリコン微粒子6203から、トンネ
ル酸化膜6202を経て、p型シリコン基板6201に
おける伝導帯へと引き抜かれる。
【0042】なお、半導体基板内のエネルギー準位─微
粒子のエネルギー準位間のトンネル過程の詳細なメカニ
ズムとその遷移確率とについては明らかにされていな
い。しかし、電圧を印加することによって微粒子内の電
子の注入が起こること、電圧の印加を中止したときにも
微粒子中に電子が保持されること、および、室温におい
て微粒子から電子が徐々に自然放出されることが観測さ
れているため、上述のようなトンネル過程の存在は明確
である。
【0043】次に、本実施形態の半導体装置100にお
ける電子注入・保持・引き抜きの機構について、図1を
参照しながら説明する。
【0044】ある一定の正の電圧をn型多結晶シリコン
電極116に印加すると、従来の半導体装置6000と
同様に、トンネル過程によってSiO2膜114を介し
てp型シリコン基板111から無機微粒子113aへと
電子が注入される。しかし、本実施形態の半導体装置1
00は、従来の半導体装置6000と異なり、無機微粒
子113bが分散された微粒子分散領域112bを有し
ている。無機微粒子113aと無機微粒子113bとの
間は、SiO2膜114によって隔てられている。この
SiO2膜114によって、無機微粒子113bには、
その直下に位置する無機微粒子113aから電子が注入
され易く、その直下に位置する無機微粒子113aの周
囲の無機微粒子113aから電子は注入されにくい。従
って、電子は無機微粒子113aから、その直上に位置
する無機微粒子113bに移動しようとする。
【0045】次に、バンド図によって、本実施形態の半
導体装置100における電子注入・保持・引き抜きの機
構について説明する。
【0046】図4は、本実施形態の半導体装置100に
おけるバンド図である。電荷保持領域112では、実際
には複数の無機微粒子113aおよび113bが存在す
るが、図4においては、無機微粒子113aの各エネル
ギー準位と、無機微粒子113bの各エネルギー準位と
の2つのみを、説明を簡単にするため示す。
【0047】なお、ここでは説明を簡単にするため、無
機微粒子113a−無機微粒子113b間のトンネル過
程を取り上げて説明するが、さらに多数の無機微粒子を
経る電荷移動でも同じ原理により電荷保持が行われる。
【0048】本実施形態では、無機微粒子113aおよ
び113bの粒径は極めて小さい。このため、無機微粒
子113aおよび113b内では、図4に示すように、
電子がとりうるエネルギー状態(エネルギー準位)が量
子化されている。
【0049】無機微粒子113aおよび113b内の各
エネルギー準位間の間隔(以下では、「離散エネルギー
幅」という。)は、エネルギー準位が低次になるほど大
きく、エネルギー準位が高次になるほど小さい。また、
無機微粒子113aに比べて粒径が小さい無機微粒子1
13b内の各エネルギー準位間の間隔は、無機微粒子1
13b内の各エネルギー準位間の間隔に比べて大きくな
っている。
【0050】通常のトンネル過程では、通過する障壁層
の両側のエネルギー準位のポテンシャルが同一である必
要がある。よって、無機微粒子113a−無機微粒子1
13b間では、電圧の印加されていない状態では、第2
のトンネル障壁膜114の両側でいずれも量子化されて
いる無機微粒子113bのエネルギー準位の1つと無機
微粒子113aのエネルギー準位の1つとのポテンシャ
ルが互いに一致したときのみトンネリングが生じるの
で、トンネリングが生じる確率は非常に低い。従って、
無機微粒子113a−無機微粒子113b間では、両者
の間で量子化されているエネルギー準位同士のポテンシ
ャルが等しくなるような電圧を加えた場合のみ、共鳴ト
ンネル過程によって電子移動が効率よく行われる一方、
それ以外の場合の電子移動は抑制される。つまり、無機
微粒子113a−無機微粒子113b間の電子移動は外
部から加える電圧によって制御でき、且つ、無機微粒子
113bに一旦注入された電子は長期間保持されること
になる。
【0051】一方、p型シリコン基板111の伝導帯で
は、電子がとり得るエネルギー準位は、ほぼ連続的に存
在しており、その状態密度は高い。よって、無機微粒子
113aの量子化されているエネルギー準位のいずれに
対しても、同じポテンシャルを有するエネルギー準位が
p型シリコン基板111に存在すると考えられる。従っ
て、無機微粒子113a―p型シリコン基板111間の
トンネル過程は、少なくともエネルギー的には禁止され
ることはない。また、無機微粒子113aの表面積は十
分大きいので、SiO2膜114を挟む無機微粒子11
3aとp型シリコン基板111とのエネルギー準位間で
は、状態関数の空間的重なりが大きい。このため、n型
多結晶シリコン電極116に印加する電圧をどのように
変化させても、無機微粒子113a―p型シリコン基板
111間では迅速なトンネル過程が生じるので、無機微
粒子113aはp型シリコン基板111と等電位とな
る。つまり、無機微粒子113a―p型シリコン基板1
11間の電子移動は容易である。
【0052】図5(a)、(b)、(c)は、本実施形
態の半導体装置100における電子注入・電子保持を行
なう際のエネルギーバンド状態をそれぞれ示す部分バン
ド図である。なお、図5(a)、(b)、(c)におい
て、理解を容易にするため、価電子帯のエネルギーバン
ド状態の図示は省略する。
【0053】図5(a)に示すように、n型多結晶シリ
コン電極116に電圧を印加する前には、p型シリコン
基板111と無機微粒子113aとの間、あるいは無機
微粒子113aと無機微粒子113bとの間での電子移
動は起こらない。
【0054】しかし、図5(b)に示すように、ある一
定の正の電圧をn型多結晶シリコン電極116に印加す
ると、上述のようにp型シリコン基板111から、無機
微粒子113aの電子に占有されていないエネルギー準
位への電子移動と、無機微粒子113aのエネルギー準
位から無機微粒子113bの電子に占有されていない空
のエネルギー準位への電子移動とが容易に起こる。ここ
で、無機微粒子113bの粒径は、無機微粒子113a
の粒径よりも小さいので、無機微粒子113b内の各エ
ネルギー準位間の間隔、つまりポテンシャルの間隔は、
無機微粒子113bに比べて大きくなっている。一定の
電圧を加えると、無機微粒子113aのエネルギー準位
のいずれかと、無機微粒子113bのエネルギー準位の
いずれかとが、同じポテンシャルとなる。よって、n型
多結晶シリコン電極116に正の電圧を加えると、p型
シリコン基板111から無機微粒子113aを経て無機
微粒子113bへの電子注入を行なうことができること
となる。
【0055】図5(c)に示すように、無機微粒子11
3bへの電子注入の後、n型多結晶シリコン電極116
への電圧の印加を中止すると、無機微粒子113bのポ
テンシャルは上昇し、p型シリコン基板111の伝導帯
のポテンシャルは低下する。つまり、電圧の印加を中止
することによって、無機微粒子113aの各エネルギー
準位、無機微粒子113bの各エネルギー準位、p型シ
リコン基板の伝導帯の相対的なポテンシャルの上下関係
が変化する。なお、無機微粒子113bへの電子注入の
後では、無機微粒子113bのポテンシャルが、電子注
入前(図5(a))と比べ、上昇している。
【0056】このとき、印加電圧が除かれた際の電位に
おいて、無機微粒子113bのエネルギー準位のポテン
シャルは、無機微粒子113aのエネルギー準位のポテ
ンシャルと、一致することはない。従って、無機微粒子
113bに注入された電子が失われることがない。
【0057】これは、本実施形態の半導体装置100に
おいては、従来の半導体装置6000と異なり、電子が
注入された無機微粒子113bのエネルギー準位のポテ
ンシャルは、無機微粒子113aのエネルギー準位のポ
テンシャルとは一致せず、無機微粒子113a―無機微
粒子113b間のトンネル過程による電子移動が禁止さ
れるからである。従って、無機微粒子113b中に電子
が安定に保持されるので、本実施形態の半導体装置10
0においては、長期の電子保持が可能となる。
【0058】上記とは逆に、負の電圧をn型多結晶シリ
コン電極116に印加することによって、電荷の消去を
行なうことができる。つまり、n型多結晶シリコン電極
116に十分大きい負の電圧を加えると、無機微粒子1
13bのエネルギー準位のポテンシャルと無機微粒子1
13aのエネルギー準位のポテンシャルとが一致したと
き、無機微粒子113bから無機微粒子113aへと電
子が引き抜かれる。
【0059】本実施形態の半導体装置100では、各無
機微粒子113aと、その直上にそれぞれ位置する各無
機微粒子113bとの間隔は、ほぼ均一であるので、電
圧の印加による各無機微粒子113aに対する各無機微
粒子113bの各エネルギー準位の相対的なポテンシャ
ルの変化はほぼ一定となる。すなわち、各無機微粒子1
13aと各無機微粒子113bとにおいて、量子化され
ているエネルギー準位同士のポテンシャルが等しくなる
ために必要な電圧は正確に決まる。この電圧を印加する
ことによって、トンネル過程による各無機微粒子113
aと各無機微粒子113bとの間の電子移動を確実に実
現できる。つまり、無機微粒子113bに電荷を保持さ
せ、あるいは電圧の印加によって電荷を放出させること
を容易に制御できる。
【0060】さらに、本実施形態の半導体装置100で
は、本実施形態の半導体装置100においては、従来の
半導体装置6000と異なり、電荷保持領域112中に
おいて離散エネルギー幅が大きい量子化された多くの無
機微粒子113bを設けることによって、蓄積された電
子の自然放出を効果的に抑制し、無機微粒子113b中
に、長期間、電子を保持することが可能となる。また、
無機微粒子113aおよび無機微粒子113bが量子化
されていることによって、電荷の注入・放出を、電圧に
よって制御することが容易になる。
【0061】したがって、本実施形態の半導体装置10
0は、蓄積された電荷の自然放出を効果的に抑制するこ
とによって、電荷保持領域112に電荷を長時間保持で
きるため、信頼性の高いものとなる。つまり、本実施形
態の半導体装置100は、従来の半導体装置6000に
比べ、長時間の記録保持の要請に応える信頼性の高いも
のであるといえる。
【0062】また、本実施形態の半導体装置100にお
いては、電荷保持領域112中の、無機微粒子113a
および無機微粒子113bのそれぞれの粒径はほぼ均一
であり、ほとんどばらついていない。このため、無機微
粒子113aおよび無機微粒子113bの各エネルギー
準位のポテンシャルもほとんどばらつかない。従って、
ある電子保持期間(記録時間)を実現するのに必要最小
限の電圧によって電子注入を行なうことも可能となる。
また、同じ大きさの必要最小限の電圧によって電荷消去
を行なうこともできる。つまり、従来よりも低電圧で動
作可能な半導体装置とすることができる。
【0063】次に、本実施形態の半導体装置100の製
造方法を図を参照しながら説明する。図6(a)、
(b)、(c)は、半導体装置100の製造工程を示す
断面図である。
【0064】まず、図6(a)に示す工程で、p型シリ
コン基板111を用意する。
【0065】次に、図6(b)に示す工程で、p型シリ
コン基板111上に、無機微粒子113aおよび無機微
粒子113bを配置し、さらにSiO2膜114を形成
する。このことによって、無機微粒子113aが分散さ
れた微粒子分散領域112aと、無機微粒子113aよ
りも粒径の小さい無機微粒子113bが分散された微粒
子分散領域112bとからなる電荷保持領域112を形
成する。
【0066】次に、図6(c)に示す工程で、SiO2
膜115を微粒子分散領域112a上に堆積した後、さ
らにn型多結晶シリコン電極116をSiO2 膜115
上に堆積する。
【0067】ここで、図6(b)に示す工程を、図を参
照しながらさらに説明する。図6(b)に示す工程は、
(1)粒径が互いに異なる2つの無機微粒子を保持する
ダルマ型タンパク質を用意する工程、(2)上記工程
(1)で用意したダルマ型タンパク質を基板上に配置す
る工程、(3)基板上に電荷保持領域112となる絶縁
膜を形成する工程、の3つの工程を含む。
【0068】まず、上記工程(1)について説明する。
【0069】上記工程(1)では、図7に示すように、
無機微粒子113bを内部に保持し、この周囲をタンパ
ク質分子704で囲む無機微粒子−タンパク質複合体7
05と、無機微粒子113aを内部に保持し、この周囲
をタンパク質分子804で囲む無機微粒子−タンパク質
複合体805とをリンカーペプチド701で結合したダ
ルマ型タンパク質700を用いる。
【0070】図7に示すダルマ型タンパク質700のタ
ンパク質分子704としては、本実施形態では、Dps
タンパク質分子を使用し、タンパク質分子804として
は、馬や牛等の動物の脾臓や肝臓等の臓器から抽出され
たフェリチンから得られるアポフェリチン分子を使用し
ている。しかし、これらに限定されず、MrgAタンパ
ク質(プロテイン・データ・バンク参照)などのよう
に、無機微粒子を保持することが可能なタンパク質の分
子であれば好適に使用することができる。
【0071】リンカーペプチド701は、5〜30残基
程度の任意のアミノ酸配列を有するペプチドである。
【0072】Dpsタンパク質は、分子量18K程度の
タンパク質分子704の12量体で、12量体全体の外
径が9nm程度、コア直径が4nm程度のタンパク質で
ある。また、アポフェリチンは、分子量2万程度のタン
パク質分子804の24量体で、24量体全体の外径が
12nm程度、コア直径が6nm程度のタンパク質であ
り、通常、生体内ではフェリチンとして存在する。フェ
リチンは、3000個程度の酸化鉄(Fe23)と、ア
ポフェリチンとの複合体である。
【0073】次に、ダルマ型タンパク質700の作製方
法を説明する。図8および図9は、ダルマ型タンパク質
700の作製方法を表す模式図である。
【0074】まず、図8(a)に示す工程で、アポフェ
リチン分子のアミノ酸配列をコードする遺伝子と、リン
カーペプチドのアミノ酸配列をコードする遺伝子と、D
psタンパク質分子のアミノ酸配列をコードする遺伝子
とを連結したDNAを組み込んだ大腸菌のプラスミド8
00を用意する。このとき、大腸菌のプラスミド800
への上記遺伝子を組み込みは、公知の方法によって行な
われる。
【0075】続いて、図8(b)に示す工程で、作製さ
れたプラスミド800を市販の大腸菌(E.coliの1種、
Nova Blue)に導入し、形質転換を行なう。
【0076】次に、この大腸菌を大量培養する。このと
き、大腸菌内ではプラスミドに組み込まれた遺伝子が発
現し、図9(a)に示す融合タンパク質分子900が大
量に生産される。この融合タンパク質分子900は、公
知の手順により大腸菌の菌体内から抽出・精製される。
【0077】図9(a)に示す融合タンパク質分子90
0は、1つのタンパク質分子(Dpsタンパク質分子)
704と、1つのタンパク質分子(アポフェリチン分
子)804とがリンカーペプチド701によって結合さ
れている。この融合タンパク質分子900が懸濁された
液体に、Dpsタンパク質分子704およびアポフェリ
チン分子804が懸濁された液体を加え、しばらく静置
することによって、融合タンパク質分子900が備える
Dpsタンパク質分子704の周りに、11個のDps
タンパク質分子704が集合し、融合タンパク質分子9
00が備えるアポフェリチン分子804の周りに、23
個のアポフェリチン分子804が集合する。つまり、図
9(b)に示すように、それぞれ無機微粒子を保持して
いない複合体(Dpsタンパク質)705と複合体(ア
ポフェリチン)805とが、リンカーペプチドで結合さ
れたダルマ型タンパク質700’が得られる。これは、
同じアミノ酸配列を有する複数のタンパク質分子が互い
を認識し合って、高次の構造を作ることができる自己集
合能力を持っているからである。
【0078】以上のようにして得られたダルマ型タンパ
ク質700のそれぞれ無機微粒子を保持していない複合
体(Dpsタンパク質)705と、複合体(アポフェリ
チン)805とに、それぞれ無機微粒子113bおよび
113aを導入する。
【0079】Dpsタンパク質およびアポフェリチンに
は、その内部に無機微粒子を保持する性質があり、Dp
sタンパク質およびアポフェリチンに、人工的に金属や
金属化合物を保持させることができる。現在までに、マ
ンガン(P.Mackle, 1993, J.Amer. Chem. Soc. 115, 847
1-8472; F.C.Meldrumら, 1995, J.Inorg.Biochem. 58,
59-68)、ウラン(J.F.Hainfeld, 1992, Proc.Natl.Acad.
Sci.USA 89, 11064-11068)、ベリリウム(D.J.Price, 19
83, J.Biol.Chem. 258, 10873-10880)、アルミニウム
(J.Fleming, 1987, Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 84, 7866
-7870)、亜鉛(D.Price and J.G.Joshi, Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA, 1982, 79, 3116-3119)等の金属あるいは金
属化合物のアポフェリチンへの導入が報告されている。
また、Fe 34等の半導体材料もアポフェリチンに導入
することができる。これらの金属あるいは金属化合物か
らなる無機微粒子の直径は、アポフェリチンの内部の直
径とほぼ等しく、約6nmとなる。また、金属あるいは
金属化合物のDpsタンパク質への導入も、アポフェリ
チンとほぼ同様に行なうことが可能であり、導入された
無機微粒子の直径は、Dpsタンパク質の内部の直径と
ほぼ等しく、約4nmとなる。
【0080】無機微粒子がDpsタンパク質またはアポ
フェリチンの内部に形成される過程の概略は次の通りで
ある。ここでは、アポフェリチンを例に説明する。
【0081】アポフェリチン粒子の外部と内部とを結ぶ
チャネル(不図示)の表面には、pH7〜8の条件で負
電荷を持つアミノ酸が露出しており、正電荷を持つFe
2+イオンは静電相互作用によりチャネルに取り込まれ
る。
【0082】アポフェリチンの内部の表面には、チャネ
ルの表面と同じく、pH7〜8で負電荷を持つアミノ酸
が露出しており、チャネルに取り込まれたFe2+イオン
は、さらに内部へと導かれる。そして、静電相互作用に
より鉄は濃縮されて、フェリハイドレート(5Fe23
・9H2O)結晶の核形成が起こる。
【0083】その後、順次取り込まれる鉄イオンがこの
結晶の核に付着して核が成長し、直径6nmの無機微粒
子がアポフェリチン内部に形成される。以上が、鉄イオ
ンの取り込みと酸化鉄からなる無機微粒子形成の概略で
ある。
【0084】なお、ここまで鉄イオンのアポフェリチン
への取り込みメカニズムについて述べたが、上述のよう
に導入が報告されている他の金属イオンは、いずれもプ
ラスイオンであることから、これらの金属イオンのアポ
フェリチンへの取り込みは、鉄イオンとほぼ同じメカニ
ズムで進むと考えられており、他の金属イオンも、基本
的に鉄イオンと同様の操作によりアポフェリチン内に導
入される。また、Dpsタンパク質への無機微粒子の導
入も上記のアポフェリチンと全く同様に行なうことがで
きる。
【0085】また、Dpsタンパク質およびアポフェリ
チンは、金または白金等の無機微粒子も内包することが
できる。金または白金等は水溶液中では単独でイオン化
させることができず、水溶液中では錯体イオンとしてし
か存在できないが、AuCl 4 -またはPtCl4 2-を利
用して、Dpsタンパク質およびアポフェリチンに金粒
子または白金粒子を保持させることができる。以下に、
アポフェリチンに金粒子を保持させる方法を説明する。
【0086】KAuCl4溶液およびHAuCl4溶液で
は、AuCl4 -が生じている。このAuCl4 -が還元さ
れると金粒子を形成する。この性質を利用して、一般に
還元性を有するタンパク質をKAuCl4溶液(または
HAuCl4溶液)に入れることによって、金粒子が形
成される。
【0087】しかし、タンパク質分子としてアポフェリ
チンを用いる場合、アポフェリチンの内部は負電荷に帯
電しているので、AuCl4 -がアポフェリチンの内部に
入ることができない。そこで、アポフェリチンの内部が
正電荷に帯電するように、遺伝子工学的に、アポフェリ
チンの内部に位置するアミノ酸残基を置換しておく。こ
のことによって、AuCl4 -は、アポフェリチンの内部
に入ることができ、ここで還元されて金粒子が形成され
る。なお、金粒子は、アポフェリチンの外部においても
形成されるが、外部に形成される金粒子は、遠心操作に
より分離することができる。なお、白金もほぼ同様の操
作によってアポフェリチンに保持させることができる。
また、Dpsタンパク質への金粒子および白金粒子の導
入も上記のアポフェリチンと全く同様に行なうことがで
きる。
【0088】以上の操作の結果、無機微粒子113bお
よび113aとして上記の様々な無機物を内包する複合
体705および805を備えるダルマ型タンパク質70
0を得ることができる。例えば、無機微粒子113bお
よび113aは、同じ無機物であってもよく、それぞれ
が互いに異なる無機物であってもよい。
【0089】次に、上記工程(2)について説明する。
【0090】工程(2)では、ダルマ型タンパク質70
0の電気化学的性質を利用する。このため、まず、ダル
マ型タンパク質700の電気化学的性質を説明する。
【0091】図10(a)は、ダルマ型タンパク質70
0の表面の帯電の様子を模式的に表す図であり、図10
(b)は、基板上に配置されたダルマ型タンパク質70
0を表す断面模式図である。
【0092】アポフェリチンは、pH5以上でマイナス
の電荷を有する性質がある。従って、図10(a)に示
すように、ダルマ型タンパク質700のうち、複合体8
05の表面は、pH5以上でマイナスに帯電する。一
方、複合体705(Dpsタンパク質)の表面は、pH
5以上では、マイナスに帯電しない。このため、ダルマ
型タンパク質700は、pH5以上では、マイナスに帯
電した部分(複合体805)と、それより比較的プラス
に帯電した部分(複合体705)とを備える、二極性の
粒子となる。
【0093】この性質を利用して、pH5以上となる条
件下であり、且つ、基板11の表面がプラスチャージを
持つようにすることによって、基板11上において複合
体805の直上に複合体705が位置するようにダルマ
型タンパク質700を配置することができる。
【0094】以下に説明する方法1〜方法4は、いずれ
も上述のダルマ型タンパク質700の性質を利用して基
板上にダルマ型タンパク質700を配置するものであ
る。従って、工程(2)では、以下の方法1〜方法4の
いずれかを行なえばよい。
【0095】(方法1)以下、方法1を図11を参照し
ながら説明する。方法1は、特開平11−45990号
公報に記載の方法を、本実施形態のダルマ型タンパク質
700に適用したものである。
【0096】まず、図11(a)に示すように、ダルマ
型タンパク質700を分散した液体16(本実施形態で
は、濃度40mM、pH5.3のリン酸バッファ溶液
と、濃度40mMの塩化ナトリウム水溶液との等量混合
溶液にダルマ型タンパク質700を分散したもの)を用
意する。
【0097】続いて、図11(b)に示すように、PB
LH(Poly−1−Benzil−L−Histid
ine)を注射器などで静かに液体16の表面に展開す
る。このことによって、液体16の表面にPBLHから
なるポリペプチド膜17が形成される。この後、液体1
6のpHを調節しておく。
【0098】次に、図11(c)に示すように、時間の
経過に伴ってダルマ型タンパク質700のうちの複合体
805がポリペプチド膜17に付着し、ポリペプチド膜
17上において複合体805の上に複合体705が位置
するようにダルマ型タンパク質700が配置される。こ
れは、ポリペプチド膜17が正電荷を帯びているのに対
し、ダルマ型タンパク質700のうちの複合体805は
負電荷を帯びているからである。
【0099】次に、図11(d)に示すように、ポリペ
プチド膜17上に基板11を載置して(浮かべて)、ポ
リペプチド膜17を基板11に付着させる。
【0100】次に、図11(e)に示すように、基板1
1を取り出す。
【0101】以上のようにして、ポリペプチド膜17を
介して、複合体805の上に複合体705が位置するよ
うにダルマ型タンパク質700が配置された基板11を
得ることができる。
【0102】(方法2)以下、方法2を説明する。な
お、この方法は、永山らの”Formation of Holoferriti
n Hexagonal Arrays in Secondary Films Due To Alder
-Type Transition, Lanbgmuir 1996, vol.12, pp1836-1
839, Nagayama et al.”に開示されている方法を、本実
施形態のダルマ型タンパク質700に適用したものであ
る。
【0103】まず、溶液(純水、純水に塩化ナトリウム
等の電解質物質を加えたもの等)18中にダルマ型タン
パク質700を分散する。次に、図12に示すように、
基板11を溶液18中に入れ、基板11の表面を液面に
対して垂直に維持しながら、基板11を徐々に引き上げ
る。このことによって、基板11の両面に、ダルマ型タ
ンパク質700が2次元状に分散した濡れ膜19が生じ
る。濡れ膜19が乾燥することによって、複合体805
の上に複合体705が位置するようにダルマ型タンパク
質700が配置された基板11を得ることができる。
【0104】(方法3)以下、図13を参照しながら方
法3を説明する。
【0105】まず、図13(a)に示すように、基板1
1を用意し、その表面をアミノシランで処理する。この
ことによって、基板11の表面は親水性となり、pH1
1以下でプラスチャージを持つようになる。
【0106】次に、図13(b)に示すように、ダルマ
型タンパク質700を分散した液体16を用意し、基板
11を液体16中に浸漬する。このとき、液体16のp
Hを、液体中の基板11の表面の電荷と、ダルマ型タン
パク質700のうちの複合体805の表面の電荷が、ち
ょうど逆になる領域に調整する。本実施形態で複合体8
05を形成しているアポフェリチンは、pH5以上でマ
イナスの電荷を有する。このため、液体16のpHを5
〜11の範囲内で調整することによって、アミノシラン
で親水性処理された基板11の表面にダルマ型タンパク
質700のうちの複合体805を吸着させることができ
る。従って、図13(c)に示すように、複合体805
の上に複合体705が位置するようにダルマ型タンパク
質700が配置された基板11を得ることができる。
【0107】(方法4)以下、図14を参照しながら方
法4を説明する。
【0108】まず、図14に示すように、方法1と同じ
液体16を注入した容器29内に、基板11を、基板1
1の表面が液体16の液面に対してほぼ垂直になるよう
に入れる。次に、容器29から管30等を用いて、液体
16を一定速度で徐々に抜き出す。なお、後述のよう
に、容器29の下方に孔を空けておき、この孔から重力
を利用して液体16を、一定速度で徐々に抜き出しても
よい。
【0109】このことによって、基板11の両面に濡れ
膜が生じる。この濡れ膜には、ダルマ型タンパク質70
0が2次元状に分散しているので、濡れ膜が乾燥すれ
ば、複合体805の上に複合体705が位置するように
ダルマ型タンパク質700が配置された基板11を得る
ことができる。
【0110】以下、上記の方法4について、図14およ
び図15を参照しながらさらに詳細に説明する。図15
は、図14に示す円Cで囲んだ部分の拡大図である。
【0111】まず、液体16が入った容器29を用意す
る。液体16は、上記方法1に述べたように、濃度40
mM、pH5.3のリン酸バッファ溶液と、濃度40m
Mの塩化ナトリウム水溶液との等量混合溶液に、ダルマ
型タンパク質700を分散したものである。
【0112】次に、基板11を用意する。続いて、図1
4に示すように、液体16の液面と基板11の表面とが
交差するように、容器29内に基板11を挿入する。
【0113】次に、液体16の液面を下降させるか、ま
たは上昇させる。本実施形態では、液面を下降させる方
法を用いている。以下に、液体16の液面を下降させる
工程について詳しく説明する。
【0114】液体16の液面を徐々に下降させると、図
15に示すように、ダルマ型タンパク質700を含む液
体16と基板11との界面で、液面が基板11を伝わっ
て僅かに上昇し、メニスカスMが形成される。メニスカ
スMの部分は、表面積が大きいので、液体16のうちの
分散媒(本実施形態では水)が蒸発する。従って、メニ
スカスMの部分における分散媒の量が減少する。このた
め、メニスカスMの部分では、マイクロキャピラリー効
果と同様の効果が生じ、液体16がこの部分に向かって
流れ込む。このことによって、ダルマ型タンパク質70
0は、液体16のメニスカスMの部分で極めて高い濃度
となる。従って、ダルマ型タンパク質700は、基板1
1の表面上に、高い密度で高精度に配列される。つま
り、高密度且つ高精度に配列されたダルマ型タンパク質
700を含む濡れ膜35が、基板11の表面上に形成さ
れる。なお、液体16の液面を上昇させる場合も同様に
メニスカスMが形成され、高密度且つ高精度に配列され
たダルマ型タンパク質700を含む濡れ膜35が、基板
11の表面上に形成される。
【0115】このとき、ダルマ型タンパク質700を配
列させる時間が長い程、ダルマ型タンパク質700は、
高密度で高精度に配列される。従って、分散媒の蒸発速
度が遅くなるように、液面付近の湿度をコントロールす
ることが望ましい。例えば、本実施形態の方法を密閉系
内で実施し、分散媒の蒸発が徐々に行なわれるように、
密閉系内の湿度をコントロールする空調等の手段を施す
ことが望ましい。
【0116】また、液体16の液面を徐々に下降または
上昇させる際には、液面が振動の影響を受けるので、で
きるだけ振動を排除することが望ましい。例えば、本実
施形態の方法を除振台等の上で実施する等の振動対策が
挙げられる。
【0117】以上に述べた方法によって、基板11の両
面に濡れ膜35が生じる。濡れ膜35は、ダルマ型タン
パク質700が高密度で高精度に2次元状に配列されて
いるが、分散媒が完全に除かれていない。濡れ膜35を
完全に乾燥することによって、ダルマ型タンパク質70
0からなる2次元結晶膜が両面に形成された基板11が
得られる。本方法によれば、ダルマ型タンパク質700
が液面に平行に整列しながら結晶化する。このことによ
って得られた2次元結晶膜を、例えば稠密六方格子の(
0 0 0 1 )面とすると、2次元結晶膜の成長開始線に垂
直な方向、つまり成長方向が< 1-1 0 0 >方向となるよ
うな配列方位が得られる。このため、ダルマ型タンパク
質700は高密度且つ高精度に規則正しく配列される。
【0118】特に、本方法によって得られた2次元結晶
膜ではダルマ型タンパク質700の配列方位が揃ってい
るので、基板11の面積に対して、基板11の表面に配
置されるダルマ型タンパク質700の粒子数を容易に算
出できる。つまり、基板11の面積を変えることによっ
て、基板11の表面に配置されるダルマ型タンパク質7
00の粒子数を容易にコントロールできる。
【0119】液体16の液面を下降させる方法として
は、例えば、容器29の底面に穴を開け、この穴から液
体を徐々に滴下する方法などが挙げられる。液体16の
液面を上昇させる方法としては、例えば、サイフォンの
原理によって液体16を容器29内に徐々に加えるなど
の方法が挙げられる。いずれにせよ、液面の下降速度ま
たは上昇速度は、ほぼ一定に保つことが好ましい。ま
た、液面の下降速度または上昇速度は、基板11上に良
好な複合体膜を形成するためには、一般的に遅い方が好
ましい。特に、液体16の液面下降速度または液面上昇
速度は、10mm/分以下が好ましい。下限値は、特に
制限されないが、工業的に経済性よく実施する上では、
液体16の液面下降速度または液面上昇速度は、0.1
mm/分程度が適切である。好ましい液面下降速度また
は液面上昇速度は、0.1〜1mm/分程度であり、よ
り好ましくは0.12〜0.24mm/分程度である。
【0120】本方法で液面を下降させる場合には、液体
16の抜き出しを、一方の開口部を容器29内の底部近
傍に配置し、他方の開口部を容器29外の吸引手段に取
り付けた管によって、容器29の上部から吸引してもよ
いし、容器29の底部に穿設した孔から、重力の作用に
より流出させて行なってもよい。
【0121】液体16の抜き出しは、任意の方法で行な
えばよいが、例えば、図14に示すように管30を使用
し、管30の一方の開口部37を容器29内の底部近辺
に配置し、他方の開口部を容器29外の吸引手段(シリ
ンジ、アスピレ一夕ー、吸引ポンプ等)に取り付け、吸
引手段を作動させる方法で行なうことができる。吸引手
段を作動させると、容器29内の液体16は、容器29
の底部近辺に配置された管の開口部37から吸い上げら
れ、管内を容器29の上部へ送られて、容器29外へ抜
き出される。
【0122】上記の吸引による液体抜き出し法を用いる
場合、基板11付近の液体16の流れの乱れは、基板1
1の表面におけるダルマ型タンパク質700の膜の形成
(2次元結晶膜成長)に影響を及ぼすことがある。従っ
て、管の容器29の底部近辺に位置する開口部(管の先
端部に直方体や漏斗状体が取り付けられている場合に
は、これら直方体や漏斗状体の開口部)から十分に離れ
た位置、すなわち、液体16の吸引によって生じる液体
16の流れの乱れの影響が及ばない位置に基板11を設
置することが好ましい。
【0123】また、本方法において、液体16の抜き出
しを、容器29の底部に穿設した孔から、重力の作用に
より流出させて行なう場合、容器29の底部に、液体1
6が重力で流(滴)下でき、且つその流(滴)下速度が
上記の液面下降速度となるような大きさの孔を穿設し、
容器29の底部から液体16の抜き出しを行なえばよ
い。 上記の重力による液体抜き出し法を用いる場合で
あっても、基板11付近の液体16の流れの乱れは、基
板11の表面におけるダルマ型タンパク質700の膜の
形成(2次元結晶膜成長)に影響を及ぼすことがある。
従って、孔が穿設されている部分から十分離れた位置、
すなわち、溶液の吸引によって生じる液体16の流れの
乱れによる影響が及ばない位置に基板11を設置するこ
とが好ましい。
【0124】特に、方法4において、ダルマ型タンパク
質700の濃度が薄過ぎると、タンパク質分子の自己凝
集作用が不十分となり、良好な微粒子膜(2次元結晶
膜)を得ることができない。逆に、濃過ぎると、自己凝
集作用が飽和して不経済となるだけでなく、ダルマ型タ
ンパク質700が重なって配列され、部分的に3次元結
晶膜となる可能性があり、有効利用できる膜とならない
ことがある。従って、本方法において、ダルマ型タンパ
ク質700の濃度は10μg/ml〜500mg/ml
の範囲内であり、10μg/ml〜200mg/mlの
範囲内であることが好ましく、0.5mg/ml〜10
0mg/mlの範囲内であることがより好ましい。
【0125】また、ダルマ型タンパク質700からなる
微粒子膜の形成を加速するためには、ダルマ型タンパク
質700の懸濁液を加熱してもよい。但し、ダルマ型タ
ンパク質700の懸濁液を加熱する場合には、懸濁液の
対流が生じ、ダルマ型タンパク質700の配列に悪影響
を及ぼし、高密度、且つ高精度で、美麗に配列した微粒
子膜の形成が阻害されることがある。従って、懸濁液を
加熱することによって、微粒子膜形成を加速する場合
は、懸濁液や基板、その他の構成要素の全てを均一に加
熱し、懸濁液の対流が生じない平衡状態で微粒子膜の形
成を行なうようにすることが望ましい。
【0126】次に、工程(3)について説明する。工程
(3)では、CVD法またはスパッタリングなどによっ
て、p型シリコン基板111上において、SiO2膜1
14中で無機微粒子113aおよび113bが析出した
膜、つまり、微粒子分散領域112aおよび112bか
らなる電荷保持領域112を形成する。このとき、無機
微粒子113aおよび113bは、他の無機微粒子11
3aおよび113bと互いに接することなく、SiO2
膜114中に分散して配置されている。2つの無機微粒
子113aの中心間の距離は、複合体805の半径の和
(直径:約12nm)にほぼ等しく配置されている。ま
た、2つの無機微粒子113bの中心間の距離も、複合
体805の半径の和(直径:約12nm)にほぼ等しく
配列されている。なお、本実施形態では電荷保持領域1
12をSiO2膜から形成しているが、勿論、他の絶縁
膜を用いてもよい。
【0127】従来の半導体装置6000の製造では、電
子注入を容易に実現するためには、図16に示すシリコ
ン微粒子6203の粒径を微小とし、かつ、シリコン微
粒子6203の粒径を高精度に揃え、また、トンネル酸
化膜6202の厚さをも高精度で、かつ、均一に制御す
る必要があった。一方、本実施形態の半導体装置100
の製造では、それぞれほぼ均一な粒径を有する無機微粒
子113aおよび113bをSiO2膜114中に、高
密度で且つ高精度に規則正しく配置される。
【0128】上述のように、本実施形態の半導体装置1
00および半導体装置100の製造方法によって、従来
になく、無機微粒子への電荷注入・保持・消去の信頼性
の高い半導体装置が提供される。
【0129】なお、本実施形態の半導体装置100は、
微小な電荷の移動・蓄積を制御する種々の半導体装置に
応用できるものであることはいうまでもない。また、本
発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形が可
能である。
【0130】
【発明の効果】本発明によれば、信頼性の高い半導体装
置およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る半導体装置の
断面図である。
【図2】図2は、従来の半導体装置におけるSiO
2膜、シリコン微粒子、トンネル酸化膜およびp型シリ
コン基板のエネルギーバンド構造を示すバンド図であ
る。
【図3】図3(a)、(b)は、従来の半導体装置60
00における電子注入・電子保持を行なう際のエネルギ
ーバンド状態をそれぞれ示す部分バンド図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態に係る半導体装置に
おけるバンド図である。
【図5】図5(a)、(b)、(c)は、本発明の実施
形態に係る半導体装置における電子注入・電子保持を行
なう際のエネルギーバンド状態をそれぞれ示す部分バン
ド図である。
【図6】図6(a)、(b)、(c)は、本発明の実施
形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態に係る半導体装置の
製造に用いるダルマ型タンパク質を示す模式図である。
【図8】図8は、ダルマ型タンパク質の作製方法を表す
模式図である。
【図9】図9は、ダルマ型タンパク質の作製方法を表す
模式図である。
【図10】図10(a)は、ダルマ型タンパク質の表面
の帯電の様子を模式的に表す図であり、図10(b)
は、基板上に配置されたダルマ型タンパク質を表す断面
模式図である。
【図11】図11は、ダルマ型タンパク質を基板の表面
上に2次元状に配列および固定する方法について説明す
る図である。
【図12】図12は、ダルマ型タンパク質を基板の表面
上に2次元状に配列および固定する方法について説明す
る図である。
【図13】図13は、ダルマ型タンパク質を基板の表面
上に2次元状に配列および固定する方法について説明す
る図である。
【図14】図14は、ダルマ型タンパク質を基板の表面
上に2次元状に配列および固定する方法について説明す
る図である。
【図15】図15は、図14に示す円Cによって囲まれ
た部分を拡大した図である。
【図16】図16は、従来の複数のシリコンの微粒子を
用いたメモリとして機能する半導体装置を示す断面図で
ある。
【符号の説明】
11 基板 16 液体 17 ポリペプチド膜 18 溶液 19 濡れ膜 29 容器 30 管 35 濡れ膜 37 開口部 100、6000 半導体装置 111 p型シリコン基板 112 電荷保持領域 112a、112b 微粒子分散領域 113a、113b 無機微粒子 114、115 SiO2膜 116 n型多結晶シリコン電極 700、700’ ダルマ型タンパク質 701 リンカーペプチド 704、804 タンパク質分子 705、805 無機微粒子−タンパク質複合体 800 プラスミド 900 融合タンパク質分子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 27/115 H01L 27/10 434 29/06 601 C12N 15/00 A 29/788 29/792 Fターム(参考) 4B024 AA19 BA80 CA02 4H045 AA10 AA20 AA30 BA41 EA45 FA74 5F083 EP17 EP22 ER03 ER09 ER14 ER19 ER30 GA27 GA30 JA03 JA32 PR00 5F101 BA54 BC01 BC11 BD02 BE03 BE07 BF02 BH30

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導体層を有する基板と、 上記導体層の上に設けられ、電荷の移動に対して障壁と
    して機能する障壁層と、 上記障壁層内に分散して配置され、量子化可能な粒径を
    有する第1粒子体と量子化可能な粒径を有する第2粒子
    体とからなる複数の粒子体対とを備え、 上記複数の粒子体対における上記第1粒子体と上記第2
    粒子体との間の距離はほぼ均一であり、 上記各粒子体対は、電荷保持部として機能することを特
    徴とする半導体装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の半導体装置において、 上記第1粒子体の中心と上記第2粒子体の中心とを結ぶ
    直線が、上記基板の表面に対してほぼ垂直であることを
    特徴とする半導体装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の半導体装置において、 上記第1粒子体は、上記第2粒子体のほぼ直下に位置
    し、 上記第1粒子体の粒径は、上記第2粒子体の粒径よりも
    大きいことを特徴とする半導体装置。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の半導体装置において、 上記第1粒子体は、上記第2粒子体のほぼ直下に位置
    し、 上記第1粒子体と上記第2粒子体とは、互いに異なる材
    料から形成されていることを特徴とする半導体装置。
  5. 【請求項5】 請求項1から4のうちのいずれか1つに
    記載の半導体装置において、 上記障壁層の上に設けられた絶縁体層と、 上記絶縁体層の上に設けられたゲート電極と、 上記基板における上記ゲート電極の両側方に位置する領
    域に不純物を導入して形成されたソース・ドレイン領域
    とをさらに備え、 MIS型トランジスタとして機能することを特徴とする
    半導体装置。
  6. 【請求項6】 導体層を有する基板を用意する工程
    (a)と、 上記導体層上に、第1粒子体および第2粒子体とからな
    る粒子体対を保持する複数のタンパク質を配置する工程
    (b)と、 基板上に上記粒子体対が分散して配置された膜を形成す
    る工程(c)と、 を含む半導体装置の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の半導体装置の製造方法
    において、 上記複数のタンパク質は、それぞれ第1粒子体を保持
    し、少なくとも一部において極性を有する第1保持部
    と、第2粒子体を保持する第2保持部とを有しており、 上記工程(b)では、上記第1保持部と逆の極性に帯電
    させた上記導体層上に上記複数のタンパク質を配置する
    ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項6または7に記載の半導体装置の
    製造方法において、 上記第1粒子体の粒径は、上記第2粒子体の粒径よりも
    大きいことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  9. 【請求項9】 第1粒子体を保持可能な第1タンパク質
    粒子と、上記第1粒子体よりも粒径の小さい第2粒子体
    を保持可能な第2タンパク質粒子とが互いに結合されて
    いる融合タンパク質。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の融合タンパク質にお
    いて、 上記第1タンパク質粒子は、第1粒子体を保持してお
    り、 上記第2タンパク質粒子は、上記第1粒子体よりも粒径
    の小さい第2粒子体を保持していることを特徴とする融
    合タンパク質。
  11. 【請求項11】 請求項9または10に記載の融合タン
    パク質において、 上記第1タンパク質粒子は、Dpsタンパク質であり、 上記第2タンパク質粒子は、アポフェリチンであること
    を特徴とする融合タンパク質。
  12. 【請求項12】 第1タンパク質分子と、第2タンパク
    質分子と、上記第1タンパク質分子と上記第2タンパク
    質分子とを互いに結合するリンカーペプチドとからなる
    融合タンパク質分子が懸濁された液体を作製する工程
    (a)と、 上記液体と、第1タンパク質分子および第2タンパク質
    分子が懸濁された液体とを混合する工程(b)と、 を含む融合タンパク質の製造方法。
  13. 【請求項13】 アポフェリチン分子と、Dpsタンパ
    ク質分子と、上記アポフェリチン分子と上記Dpsタン
    パク質分子とを互いに結合するリンカーペプチドとから
    なる融合タンパク質分子。
  14. 【請求項14】 アポフェリチン分子のアミノ酸配列を
    コードする遺伝子と、リンカーペプチドのアミノ酸配列
    をコードする遺伝子と、Dpsタンパク質分子のアミノ
    酸配列をコードする遺伝子とが連結されているDNA。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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