JP3703479B2 - ナノ粒子の製造方法及び該製造方法によって製造されたナノ粒子 - Google Patents

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質の空洞部を利用したナノ粒子の製造方法、該製造方法によって製造されたナノ粒子及び該製造方法の製造工程で生成されたナノ粒子−タンパク質複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでの機能材料開発の主流は、所望の機能を発現させる新規化合物の探索、合成によって行われている。しかしながら、近年は、物質をナノメートルサイズまでに微細化したナノ粒子を作製することで、バルク状態では得られない新機能を発現させることが望まれるようになっている。特に、近年注目されている量子効果デバイスを作製するために、半導体や金属化合物を中心とする無機材料のナノ粒子を作製することが強く望まれている。
【0003】
従来、ナノ粒子を作製する方法は、物理的粉砕法および化学的合成法などによって行われている。例えば、物理的粉砕法は、セラミックスを焼成する際の出発材料を得るために広く用いられている。また、化学的合成法としては、長鎖の有機化合物の間で、塩化金酸を還元することによって金のナノ粒子を作製する方法などがある。ここで、長鎖の有機化合物は、金粒子が成長して巨大化することを阻害している。
【0004】
また、有機化合物とナノ粒子との複合体を作り、化学反応させて均一な粒子を作る方法もある。この応用としては、自己組織化単分子膜(SAM膜)を形成するための材料に金原子を固定し、上記材料を金原子を中心にして集合させることによって、表面にSAM膜が形成された金のナノ粒子を得る方法もある。さらに、ナノ粒子を形成する材料を含むミセルをつくり、ミセル中での化学反応を用いてナノ粒子を作製することも行われている。
【0005】
量子効果デバイスを作製するためには、直径が同一のナノ粒子を得ることが不可欠である。ナノ粒子において電子がとり得るエネルギーレベルは、数ナノメートルのオーダーでは、直径に依存して大きく変化する。このため、量子効果を持つナノ粒子を電子回路に応用するためには、直径が一定であることが重要になる。
【0006】
しかし、上述の従来の方法では直径が均一なナノ粒子を得ることは難しい。例えば、物理的粉砕法では、そもそも直径をミクロンサイズよりも小さくすることが困難であり、ナノメートルオーダーに近づいたとしても直径を一定にするメカニズムがない。このため、得られるナノ粒子の直径には必然的に大きなバラツキが生じる。また、化学的合成法では、化学反応を利用しているため、これもまた得られるナノ粒子の直径には必然的に大きなバラツキが生じる。また、所要時間、コストの面でも非常に不利である。
【0007】
一方、バイオテクノロジーを他分野に応用する試みの1つとして、金属化合物を保持する機能を有するタンパク質であるアポフェリチンに金属または金属化合物を取り込ませ、ナノオーダーの均一なサイズのナノ粒子を作製しようという研究がある。ナノ粒子の用途に応じて種々の金属あるいは金属化合物等をアポフェリチンに導入すべく研究が進められている。
【0008】
ここで、アポフェリチンについて説明する。アポフェリチンは、生物界に広く存在するタンパク質であり、生体内では必須微量元素である鉄の量を調節する役割を担っている。鉄または鉄化合物とアポフェリチンとの複合体はフェリチンと呼ばれる。鉄は必要以上に体内に存在すると生体にとって有害であるため、余剰の鉄分はフェリチンの形で体内に貯蔵される。そして、フェリチンは必要に応じて鉄イオンを放出し、アポフェリチンに戻る。
【0009】
図1は、アポフェリチンの構造を示す模式図である。図1に示すように、アポフェリチン1は、1本のポリペプチド鎖から形成されるモノマーサブユニットが非共有結合により24個集合した分子量約46万の球状タンパク質であり、その直径は約12nmで、通常のタンパク質に比べ高い熱安定性と高いpH安定性を示す。アポフェリチン1の中心には直径約6nmの空洞状の保持部4があり,外部と保持部4とはチャネル3を介してつながっている。例えば、アポフェリチン1に2価の鉄イオンが取り込まれる際、鉄イオンはチャネル3から入り、一部のサブユニット内にあるferrooxidase center(鉄酸化活性中心)と呼ばれる場所で酸化された後、保持部4に到達し、保持部4の内表面の負電荷領域で濃縮される。そして、鉄原子は3000〜4000個集合し、フェリハイドライト(5Fe・9HO)結晶の形で保持部4に保持される。保持部4に保持された金属原子を含むナノ粒子の直径は、保持部4の直径とほぼ等しく、約6nmとなっている。
【0010】
このアポフェリチンを用いて、人工的に鉄以外の金属や金属化合物を担持させたナノ粒子−アポフェリチン複合体が作製されている。
【0011】
現在までに、マンガン(非特許文献1および非特許文献2を参照)、ウラン(非特許文献3を参照)、ベリリウム(非特許文献4を参照)、アルミニウム(非特許文献5を参照)、および亜鉛(非特許文献6を参照)といった金属あるいは金属化合物のアポフェリチンへの導入が報告されている。これらの金属あるいは金属化合物からなるナノ粒子の直径も、アポフェリチンの保持部4の直径とほぼ等しく、約6nmとなる。
【0012】
自然界において、鉄原子を含むナノ粒子がアポフェリチン内に形成される過程の概略は次の通りである。
【0013】
アポフェリチン1の外部と内部とを結ぶチャネル3(図1参照)の表面には、pH7〜8の条件下でマイナス電荷を持つアミノ酸が露出しており、プラス電荷を持っている鉄(II)イオンは静電相互作用によりチャネル3に取り込まれる。 アポフェリチン1の保持部4の内表面には、チャネル3の内表面と同じく,pH7〜8でマイナス電荷を持つアミノ酸残基であるグルタミン酸残基が多く露出しており、チャネル3から取り込まれた鉄(II)イオンはferroxidase centerで酸化され、内部の保持部4へと導かれる。そして、静電相互作用により鉄イオンは濃縮されて、フェリハイドライト(5Fe・9HO)結晶の核形成が起こる。
【0014】
その後、順次取り込まれる鉄イオンがこの結晶の核に付着して酸化鉄からなる核が成長し、直径6nmのナノ粒子が保持部4内に形成される。以上が、鉄イオンの取り込みと酸化鉄からなるナノ粒子形成の概略である。
【0015】
なお、ここまで鉄イオンのアポフェリチンへの取り込みメカニズムについて述べたが、これまでに導入が報告されている他の金属イオンについては、鉄イオンとほぼ同じメカニズムで進むと考えられる。しかしながら、上述の方法によって空洞部内に取り込むことができる金属イオンは特定のものに限定されていた。
【非特許文献1】
P.Mackle、1993年、J. Amer. Chem. Soc. 115、8471-8472ページ
【非特許文献2】
F.C.Meldrumら、1995年、J. Inorg. Biochem. 58、59-68ページ
【非特許文献3】
J.F.Hainfeld、1992年、Proc.Natl.Acad.Sci. USA 89、11064-11068ページ
【非特許文献4】
D.J.Price、1983年、J. Biol. Chem. 258、10873-10880ページ
【非特許文献5】
J.Fleming、1987年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、84、7866-7870ページ
【非特許文献6】
D.PriceおよびJ.G.Joshi、1982年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、79、3116-3119ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、タンパク質の空洞部を利用したナノ粒子の製造方法であって、これまでタンパク質の空洞部内でのナノ粒子の形成が報告されていなかったニッケルイオン(Ni2+)、クロムイオン(Cr2+)、銅イオン(Cu2+)等の金属イオンからなる粒子径が均一なナノ粒子をも得ることができる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、内部に空洞部を有するタンパク質、金属イオン、炭酸イオン及び/又は炭酸水素イオンを含む溶液中で、該タンパク質の空洞部内に該金属イオンの化合物からなるナノ粒子を形成させる工程を含む、ナノ粒子の製造方法である。
【0018】
前記化合物としては、例えば水酸化物が挙げられる。
【0019】
前記金属イオンは、好ましくはニッケルイオン(Ni2+)、クロムイオン(Cr2+)または銅イオン(Cu2+)のいずれかである。
【0020】
前記溶液のpHは、好ましくは前記金属イオンの水酸化物の沈殿点とほぼ同じである。
【0021】
前記金属イオンとして、ニッケルイオンを用いた場合、前記溶液のpHは、好ましくは8以上9以下である。
【0022】
また、前記金属イオンとして、ニッケルイオンを用いた場合、前記溶液は、好ましくは、さらにアンモニウムイオンを含むものとし、この場合、前記溶液のpHは、好ましくは8.3を越えて8.65以下とする。
【0023】
例えば、前記タンパク質は、アポフェリチン、Dpsタンパク質、CCMVタンパク質、TMVタンパク質またはヒートショックプロテインの少なくとも一つである。
【0024】
例えば、前記溶液は、それに二酸化炭素を通気することによって生成した炭酸イオン及び/又は炭酸水素イオンを含むものである。
【0025】
前記ナノ粒子を形成した後、タンパク質を熱処理によって除去する工程をさらに含むものであってもよい。
【0026】
また、本発明は、金属イオンの化合物からなるナノ粒子であって、内部に空洞部を有するタンパク質、該金属イオン、炭酸イオン及び/又は炭酸水素イオンを含む溶液中で、該タンパク質の空洞部内に形成されたナノ粒子である。
【0027】
また、本発明は、内部に空洞部を有するタンパク質と、該タンパク質の空洞部内に形成されたナノ粒子とからなる複合体であって、前記ナノ粒子は、金属イオンの化合物からなるナノ粒子であって、該タンパク質、該金属イオン、炭酸イオン及び/又は炭酸水素イオンを含む溶液中で、該タンパク質の空洞部内に形成されたナノ粒子である、複合体である。
【発明の効果】
【0028】
本発明によると、均一な粒子径を有するナノ粒子を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0030】
(実施形態1)
図1および図2を参照しながら本実施形態のナノ粒子の作製方法を説明する。
【0031】
図2は、本実施形態のニッケル化合物のナノ粒子を内包したタンパク質からなる複合体(以下、ニッケル化合物−アポフェリチン複合体ともいう)の作製方法を表すフローチャートである。
【0032】
まず、図2に示すように、ステップSt1では、HEPESとCAPSOとの混合溶液からなる緩衝液、アポフェリチン溶液、ニッケル塩溶液、ミリQ水、二酸化炭素を用意する。このとき、緩衝液、アポフェリチン溶液、ニッケル塩溶液およびミリQ水は、脱気したものを用意する。
【0033】
次に、ステップSt2では、脱気したミリQ水に二酸化炭素を通気(バブリング)することによって、二酸化炭素バブリング水を調製する。
【0034】
次に、ステップSt3では、上記ステップSt2で得られた二酸化炭素バブリング水に、緩衝液、アポフェリチン溶液およびニッケル塩溶液を添加し、反応溶液を調製する。この後、反応溶液を24時間放置する。
【0035】
なお、以上に説明したニッケル化合物−アポフェリチン複合体を作製するための操作は、すべて室温、もしくはアポフェリチンが変性しない温度範囲にて、スターラーで攪拌しながら行なう。
【0036】
上記の操作によって、アポフェリチン1の保持部4にニッケルイオン(Ni2+)の化合物が導入され、ニッケル化合物−アポフェリチン複合体が形成される。
【0037】
アポフェリチンを含めて、タンパク質はDNA情報から作製され、公知の方法で多数複製することは容易である。また、同じDNAから多数複製されたタンパク質が、オングストロームの精度で同じ構造であることは周知である。このため、本実施形態で用いるアポフェリチンが有する空洞状の保持部4は、全て同じ大きさと形状を有する。
【0038】
従って、本実施形態のように、タンパク質内にナノ粒子を作製すれば、ナノ粒子の直径がタンパク質により規定されるので、粒径が均一なナノ粒子が得られる。例えば、本実施形態では、ナノ粒子の直径は、アポフェリチンの保持部の直径とほぼ同じ6nmになる。
【0039】
本実施形態ではタンパク質としてアポフェリチンを用いたが、空洞部を有するタンパク質であれば、単一のサブユニットから構成されているタンパク質であっても、複数のサブユニットから構成されているタンパク質であってもアポフェリチンの代わりに用いることができる。また、タンパク質は、その空洞部の形状が球状のものに限定されることはなく、ロッド状、リング状等の空洞部を有するものであっても良い。例えば、Dpsタンパク質、ウイルスタンパク質、ヒートショックプロテインを用いることができる。Dpsタンパク質(直径9nmであり、内部に直径4nmの保持部を有する球殻状タンパク質)を用いれば、直径が4nmのナノ粒子を作製することができる。ウイルスタンパク質としては、例えば、CPMV、CCMV、HSV、Rotavirus、Reovirus、LA−1、Polyoma、CaMV、HPV、Ross River、SpV−4、φX174、FHV、HRV−14、Polio等のウイルスのタンパク質が挙げられる。好ましくは、CPMV、CCMVのウイルスタンパク質を用いることができる。本実施形態の方法によると、使用するタンパク質の空洞部の形状、大きさに応じたナノ粒子が形成されることになる。本明細書におけるナノ粒子とは、長径50nm以下であって、粒子として安定に存在する大きさ以上の粒子をいう。一例を挙げるのであれば、長径1nm以上50nm以下の粒子がナノ粒子に該当する。
【0040】
また、本実施形態では、ニッケル化合物からなるナノ粒子を作製する場合について説明したが、クロム、銅の金属原子を含む化合物からなるナノ粒子を作製する場合にも本実施形態の方法を適用することができる。尚、本実施形態の方法により形成されたナノ粒子を構成する金属化合物は、添加する金属イオン等によって異なるが、例えば、水酸化物及び/又は酸化物である。
【0041】
クロム化合物からなるナノ粒子を作製する場合、本実施形態で用いたニッケル塩溶液の代わりに、クロム塩溶液を反応溶液中に混合する。他の条件は、本実施形態に述べた通りである。銅化合物からなるナノ粒子を作製する場合、本実施形態で用いたニッケル塩溶液の代わりに、銅塩溶液を反応溶液中に混合する。他の条件は、本実施形態に述べた通りである。
【0042】
本実施形態のナノ粒子の形成には、反応溶液中に炭素水素イオン(HCO3−)及び/又は炭酸イオン(CO 2−)が存在することが重要である。従って、本実施形態のステップSt2では、脱気したミリQ水に二酸化炭素を通気(バブリング)しているが、これに限られず、炭酸水素イオン(HCO3−)及び/又は炭酸イオン(CO 2−)が反応溶液中に添加される方法を用いればよい。例えば、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)等の炭酸塩を、ミリQ水に溶解して用いてもよい。
【0043】
本実施形態では、緩衝液としてHEPESとCAPSOとの混合溶液を用いている。しかし、これに限定されず、pHを調節するための手段は何であってもよい。例えば、1種類の緩衝剤を含む緩衝液を用いてもよく、複数種の緩衝剤の混合溶液を緩衝液として用いてもよい。特に、複数種の緩衝剤の混合溶液を緩衝液として用いる方が、1種類の緩衝剤を含む緩衝液を用いるよりも、反応溶液のpHの調節が容易になる。従って、複数の緩衝剤の混合溶液を緩衝液として用いることが好ましい。
【0044】
ニッケル塩溶液は、本実施形態では硫酸ニッケルアンモニウム(NiNH(SO))を用いている。しかし、これに限定されない。例えば、硫酸ニッケル(Ni(SO))、硝酸ニッケル(Ni(NO)、塩化ニッケル(NiCl)を用いてもよい。本実施形態では、反応溶液中にアンモニウムイオン(NH )が含まれている方が、反応収率の点からは望ましい。金属塩溶液として、金属塩アンモニウム溶液を用いた場合、他の成分を反応溶液に添加することなく、反応溶液はアンモニウムイオンを含有することになる。
【0045】
本実施形態では、反応溶液調製後の放置時間を24時間としたが、かかる時間に限定されず、各反応溶液の組成、pH等に応じた最適時間を選択することが望ましい。
【0046】
本実施形態に示したナノ粒子の製造方法について、より具体的な反応溶液の条件等は、実施例の欄で後述する。
【0047】
(実施形態2)
本実施形態では、上記実施形態1において作製されたニッケル化合物−アポフェリチン複合体を利用して作製されるナノ粒子からなるドット体をフローティングゲートとして含む不揮発性メモリセルについて説明する。
【0048】
図3(a)〜(d)は、本実施形態の不揮発性メモリセルの製造方法を示す工程断面図である。
【0049】
まず、図3(a)に示す工程で、p型Si基板101上に、LOCOS法により、活性領域を取り囲む素子分離酸化膜102を形成した後、基板上にトンネル絶縁膜として機能するゲート酸化膜103を熱酸化法によって形成する。その後、6nm程度の直径を有するニッケルのナノ粒子からなるドット体104を基板上に形成する。なお、ドット体104を基板上に形成する方法については、後述する。
【0050】
次に、図3(b)に示す工程で、基板上に、スパッタ法またはCVD法により、ドット体104を埋めるSiO膜を堆積する。
【0051】
次に、図3(c)に示す工程で、基板上にAl膜を堆積する。続いて、フォトレジストマスクPr1を用いて、SiO膜およびAl膜のパターニングを行なって電極間絶縁膜となるシリコン酸化膜105及び制御ゲート電極となるAl電極106を形成する。このとき、ゲート酸化膜103のうちフォトレジストマスクPr1で覆われていない部分は除去されるので、その上のドット体104も同時に除去される。その後、フォトレジストマスク及びAl電極106をマスクとして不純物イオンの注入を行なって、第1、第2n型拡散層107a、107bを形成する。
【0052】
その後、図3(d)に示す工程で、周知の方法により、層間絶縁膜108の形成と、層間絶縁膜108へのコンタクトホール109の開口と、コンタクトホール109内へのタングステンの埋め込みによるタングステンプラグ110の形成と、第1、第2アルミニウム配線111a、111bの形成とを行なう。
【0053】
本実施形態では、基板としてp型Si基板を用いたが、n型Si基板を用いてもよく、さらに、GaAsをはじめとする化合物半導体その他の半導体により構成される基板を用いてもよい。
【0054】
次に、図3(a)に示す工程において、ドット体104を基板上に形成する方法を、図4および図5を参照しながら以下に説明する。なお、本発明は、以下に説明する方法には限定されず、他の公知の方法を適用することも可能である。まず、図4(a)に示す工程で、上記実施形態1で得られたニッケル化合物−アポフェリチン複合体(以下、本実施形態では複合体と略す)150を用意し、この複合体150を基板130の表面上に配置する。このことによって、複合体150が基板130の表面上に高密度、且つ高精度で配置された複合体膜が形成される。なお、基板130とは、図3(a)に示す工程で、p型Si基板101上に、LOCOS法により、活性領域を取り囲む素子分離酸化膜102を形成した後、基板上にトンネル絶縁膜として機能するゲート酸化膜103が熱酸化法によって形成されたものを指す。以下の説明においても同様である。
【0055】
次に、図4(b)に示す工程で、複合体150のうちのタンパク質分子140を除去して、ニッケル化合物のナノ粒子104aのみを残存させ、還元することによって、基板130上にニッケルのドット体104を形成する。
【0056】
ここで、図4(a)に示す工程において、複合体150を基板130の表面上に高密度、且つ高精度で配置する、すなわち、基板130の表面上に2次元状に配列および固定する方法について説明する。本実施形態では、特開平11−45990号公報に記載の方法を採用する。以下、かかる方法を、図5を参照しながら説明する。
【0057】
まず、図5(a)に示す工程において、複合体150を分散した液体160(本実施形態では、濃度40mM、pH5.3のリン酸バッファ溶液と、濃度40mMの塩化ナトリウム水溶液との等量混合溶液にニッケル化合物−アポフェリチン複合体を分散したもの)を用意する。
【0058】
続いて、図5(b)に示す工程において、PBLH(Poly−1−Benzil−L−Histidine)を注射器などで静かに液体160の表面に展開する。このことによって、液体160の表面にPBLHからなるポリペプチド膜1700が形成される。この後、液体160のpHを調節しておく。
【0059】
次に、図5(c)に示す工程において、時間の経過に伴って複合体150がポリペプチド膜170に付着し、複合体150の2次元結晶ができる。これは、ポリペプチド膜170が正電荷を帯びているのに対し、複合体150は負電荷を帯びているからである。
【0060】
次に、図5(d)に示す工程において、ポリペプチド膜170上に基板130を載置して(浮かべて)、ポリペプチド膜170を基板130に付着させる。
【0061】
次に、図5(e)に示す工程において、基板130を取り出せば、ポリペプチド膜170を介して、複合体150の2次元結晶が付着した基板130を得ることができる。
【0062】
次に、図4(b)に示す工程をさらに詳細に説明する。タンパク質分子は一般に熱に弱いため、複合体150のうちのタンパク質分子140の除去は、熱処理によって行なう。例えば、窒素等の不活性ガス中において、400〜500℃にて、約1時間静置すると、タンパク質分子140、およびポリペプチド膜170が焼失し、基板130上にはニッケルナノ粒子104aが2次元状に、高密度で、且つ高精度で規則正しく配列したドット体104として残存する。
【0063】
以上のようにして、図4(b)に示すように、複合体150に保持させたニッケルナノ粒子104aを、基板130上に2次元状に出現させ、高密度且つ高精度に配列したドット体104を形成することができる。尚、タンパク質分子140を除去する方法として、本実施形態においては熱処理を用いたが、かかる方法に限定されることはなく、例えばタンパク質分解酵素や化学物質等を用いてタンパク質を分解して消失させても良い。
【0064】
図3(d)に示すように、本実施形態のメモリセル100は、制御ゲートとして機能するAl電極106と、ソースまたはドレインとして機能する第1、第2n型拡散層107a、107bとからなるMOSトランジスタ(メモリセルトランジスタ)を備え、フローティングゲートとして機能するドット体104に蓄えられた電荷の量で上記メモリトランジスタの閾値電圧が変化することを利用した不揮発性メモリセルである。
【0065】
この不揮発性メモリセルは、二値を記憶するメモリとしての機能が得られる。また、ニッケル、クロム及び銅は、表1に示すように、仕事関数が鉄やマンガン、コバルトなどと異なる。表1の仕事関数は、H. B. Michaelson“Work Functions of the elements”Journal of Applied Physics, pp536-540, volume 21, 1950.から引用した。
表1
Figure 0003703479
このため、これらのナノ粒子を組み合わせて利用することによって、電子を蓄え易さの差を利用して電子の蓄積を制御することが可能となる。従って、量子効果デバイスの設計に融通性を持たせることができる。
【0066】
図6は、互いに仕事関数が異なる化合物から形成された複数種類のドット体104がフローティングゲートとして形成されている以外、上記不揮発性メモリセル100と全く同じ構成を有する不揮発性メモリセル100’の上面図である。
【0067】
図6に示すように、互いに仕事関数が異なる化合物から形成された複数種類のドット体104をフローティングゲートとして形成することによって、ドット体104に蓄えられる電荷の有無のみだけでなく電荷の蓄積量を制御することができる3値以上の多値メモリ(不揮発性メモリセル100’は4値メモリ)を実現することもできる。
【0068】
データの消去の際には、酸化膜を介したFN(Fowler−Nordheim)電流や直接トンネリング電流を利用する。
【0069】
また、データの書き込みの際には、酸化膜を介したFN電流や直接トンネリング電流あるいはチャネルホットエレクトロン(CHE)注入を用いる。
【0070】
本実施形態の不揮発性メモリセルでは、フローティングゲートが量子ドットとして機能できる程度に粒径の小さいニッケルナノ粒子により構成されているので、電荷の蓄積量がわずかである。したがって、書き込み、消去の際の電流量を小さくでき、低消費電力の不揮発性メモリセルを構成することができる。
【0071】
また、本実施形態の不揮発性メモリセルでは、フローティングゲートを構成するニッケルのドット体104のサイズが均一であるため、電荷の注入、引き抜きの際の特性が各ニッケルのドット体104間で揃っており、これらの操作において制御が容易に行なえる。
【0072】
実施例
(実施例1:ニッケル化合物−アポフェリチン複合体の作製)
本実施例では、まず、HEPES緩衝液、CAPSO緩衝液、市販のアポフェリチン(ウマ脾臓由来)を溶解したアポフェリチン溶液、および硫酸ニッケルアンモニウム溶液の各溶液を調製した。各溶液の濃度およびpHは、表2に示す通りである。各溶液を調製した後、直ちにHEPES緩衝液およびCAPSO緩衝液の脱気を行った。
表2
Figure 0003703479
次に、ミリQ水を用意し、ミリQ水中に二酸化炭素を30分間通気(バブリング)することによって、二酸化炭素バブリング水を調製した。その後すぐに、二酸化炭素バブリング水に表2の各溶液を混合して、表3に示す組成の反応溶液を調製した。なお、ここでは3通りのCAPSO濃度を有する反応溶液を調製した。このことによって、3種類のpHの反応溶液を調製した。
表3
Figure 0003703479
本実施例では、表3に示す組成の各反応溶液を、総体積3mlとなるように調製したので、二酸化炭素バブリング水と表2の各溶液との添加量は、表4に示す通りであった。
表4
Figure 0003703479
以上のようにして得られた3種類のpHの各反応溶液を、23℃で24時間放置した。その後、各反応溶液を8000Gで30分間遠心し、それぞれ上清を採取し、上清の状態を観察した。
【0073】
次に、得られた各上清を水で3倍に薄め、2%金グルコースでアポフェリチンを染色し、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて5万倍の倍率で観察した。なお、2%金グルコースで染色した場合、アポフェリチン内の保持部に侵入することがないので、保持部が空洞であるアポフェリチンと、ニッケル化合物−アポフェリチン複合体とを区別することができる。
【0074】
各上清を透過型電子顕微鏡で観察したところ、いずれもドーナツ状にタンパク質部分が白く、中心部が黒く見えるニッケル化合物のナノ粒子を内包したアポフェリチンが多数観察された。ニッケル化合物のナノ粒子は球状であり、その直径は6nm(標準偏差1nm)であった。すなわち、均一な粒径のナノ粒子が得られたといえる。
【0075】
以上の観察結果を、CAPSO緩衝液の濃度とナノ粒子形成収率(以下、YCFとも称す)との関係として表5に示す。尚、ナノ粒子形成収率(YCF)は、上清中のアポフェリチンのうち、ニッケル化合物のナノ粒子を内包したアポフェリチン(すなわち、ニッケル化合物−アポフェリチン複合体)の割合とする。
表5
Figure 0003703479
一方、上記二酸化炭素バブリング水の代わりに、窒素バブリング水および酸素バブリング水を用い、他の条件は全く同様にした場合の結果をそれぞれ表6および表7に示す。表6は、窒素バブリング水を用いた場合の結果、表7は酸素バブリング水を用いた結果を示す。
表6
Figure 0003703479
表7
Figure 0003703479
これらの上清の状態を観察したところ、CAPSOの濃度が250mMである反応溶液の上清は濁っており、CAPSOの濃度が265mMである反応溶液の上清ではNi(OH)の沈殿が多数見られた。従って、pH8.3付近(酸素バブリング水を用いた場合はpH8.2付近)が、本実施例の反応溶液の組成でのNi(OH)の沈殿点と考えられる。沈澱点より高いpHでは、ニッケルイオン(Ni2+)がNi(OH)として高速に沈澱するので、かかる沈澱に伴い、多くのアポフェリチンは凝集し沈澱してしまうと考えられる。一方、pHが低くなると、ナノ粒子を形成するために十分な水酸化物イオンが溶液中に存在しないことになるので、ナノ粒子が形成されにくくなると考えられる。したがって、沈澱点付近のpHもしくは沈澱点よりわずかに低いpHが効率良くナノ粒子を形成するための条件として好ましいといえる。
【0076】
表5〜7の結果から、アポフェリチンを含む溶液において、沈殿点付近のpHになるとニッケルイオンが化合物を形成する条件となるため、アポフェリチン内の保持部にナノ粒子が形成されると考えられる。しかし実際には、アポフェリチンの凝集沈澱を生じさせることなくナノ粒子を形成することは極めて困難である。
【0077】
本実施例では、二酸化炭素バブリング水、窒素バブリング水および酸素バブリング水のいずれを用いた場合においても、沈殿点より高いpHであるCAPSO濃度が265mMの反応溶液の上清では、アポフェリチンが凝集沈殿していた。このため、ニッケル化合物−アポフェリチン複合体を回収することが困難であり、工業的に利用するのは現実的ではないと考えられる。
【0078】
ただし、表5〜7に示すように、CAPSO濃度が265mMである反応溶液の上清では、二酸化炭素バブリング水を用いた場合のみ、ほぼ100%のアポフェリチンの保持部にナノ粒子が形成されていた。
【0079】
さらに、二酸化炭素バブリング水を用いた場合、沈殿点よりもわずかに低いpH(CAPSO濃度が235mM、および250mMである反応溶液の上清)でも、大半のアポフェリチンの保持部にニッケル化合物のナノ粒子が形成されており、アポフェリチンの凝集沈殿も抑制されていた。
【0080】
それに対して、窒素バブリング水および酸素バブリング水を用いた場合では、沈殿点付近若しくは沈澱点よりもわずかに低いpH(CAPSO濃度が235mM、および250mMである反応溶液の上清)で、大半のアポフェリチンの保持部にナノ粒子が形成されていなかった。
【0081】
つまり、アポフェリチンの凝集を抑えながら、アポフェリチンの保持部にナノ粒子を形成することができるのは二酸化炭素バブリング水を用いた場合のみであった。
【0082】
(実施例2:ニッケル化合物−アポフェリチン複合体の作製に際するニッケル塩の陰イオンの種類の影響を調べる試験)
本実施例では、まず、HEPES緩衝液、CAPSO緩衝液、市販のアポフェリチン(ウマ脾臓由来)を溶解したアポフェリチン溶液、およびニッケル塩溶液(硫酸ニッケル溶液、硝酸ニッケル溶液および塩化ニッケル溶液)の各溶液を調製した。各溶液の濃度およびpHは、表8に示す通りである。各溶液を調製した後、直ちにHEPES緩衝液およびCAPSO緩衝液の脱気を行った。
表8
Figure 0003703479
次に、ミリQ水を用意し、ミリQ水中に二酸化炭素を30分間通気(バブリング)することによって、二酸化炭素バブリング水を調製した。その後すぐに、二酸化炭素バブリング水に表8の各溶液を混合して、表9に示す組成の反応溶液を調製した。なお、ここでは3通りのCAPSO濃度を有する反応溶液を調製した。このことによって、3種類のpHの反応溶液を調製した。
表9
Figure 0003703479
本実施例では、表9に示す組成の各反応溶液を、総体積3mlとなるように調製したので、二酸化炭素バブリング水と表8の各溶液との添加量は、表10に示す通りであった。
表10
Figure 0003703479
以上のようにして得られた3種類のpHの各反応溶液を、23℃で24時間放置した。その後、各反応溶液を8000Gで30分間遠心し、それぞれ上清を採取し、上清の状態を観察した。CAPSO濃度が160mMである反応溶液の各上清(pH8.24)は、わずかに濁っており、pH8.2付近が本実施例の反応溶液の組成でのNi(OH)の沈殿点であると考えられた。
【0083】
次に、得られた各上清を水で3倍に薄め、2%金グルコースでアポフェリチンを染色し、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて5万倍の倍率で観察した。なお、2%金グルコースで染色した場合、アポフェリチン内の保持部に侵入することがないので、保持部が空洞であるアポフェリチンと、ニッケル化合物−アポフェリチン複合体とを区別することができる。
【0084】
各上清を透過型電子顕微鏡で観察した結果を図7(a)〜(c)に示す。図7(a)〜(c)に示すように、いずれもドーナツ状にタンパク質部分が白く、中心部が黒く見えるニッケル化合物のナノ粒子を内包したアポフェリチンが観察された。いずれの上清においても、ニッケル化合物のナノ粒子は球状であり、その直径は6nm(標準偏差1nm)であった。すなわち、均一な粒径のナノ粒子が得られたといえる。
【0085】
以上の観察結果を、CAPSO濃度と使用するニッケル塩毎のナノ粒子形成収率(YCF)との関係として表11に示す。
表11
Figure 0003703479
表11からわかるように、本実施例の反応溶液の組成でのNi(OH)の沈殿点であるpH8.2付近で、ほぼ100%のアポフェリチンの保持部にニッケル化合物のナノ粒子が形成された。また、CAPSO濃度が140mMである反応溶液の各上清(pH8.14)においても、ナノ粒子形成収率が低下しているものの、アポフェリチンの保持部にニッケル化合物のナノ粒子が形成されたことがわかる。
【0086】
本実施例の結果と、上記実施例1の結果とから、アポフェリチンの保持部にニッケル化合物のナノ粒子を効率良く形成させるためには、Ni(OH)の沈殿点付近若しくは沈澱点よりもわずかに低いpHが適していると考えられる。
【0087】
さらに、本実施例の結果から、ナノ粒子形成収率は、ニッケル塩の陰イオンの種類によらずほぼ同じであり、ナノ粒子形成にニッケル塩の陰イオンが影響しないことがわかる。
【0088】
(実施例3:ニッケル化合物−アポフェリチン複合体の作製に際するpH、硫酸ニッケルアンモニウム溶液濃度、放置時間の最適条件を検索する試験)
本実施例では、まず、HEPES緩衝液、CAPSO緩衝液、市販のアポフェリチン(ウマ脾臓由来)を溶解したアポフェリチン溶液、および硫酸ニッケルアンモニウム溶液の各溶液を調製した。各溶液の濃度及びpHは、表12に示す通りである。各溶液を調製した後、直ちにHEPES緩衝液およびCAPSO緩衝液の脱気を行った。
表12
Figure 0003703479
次に、ミリQ水を用意し、ミリQ水中に二酸化炭素を30分間通気(バブリング)することによって、二酸化炭素バブリング水を調製した。その後すぐに、二酸化炭素バブリング水に上記の各溶液を混合して、表13に示す組成1〜12の12種類の反応溶液を総体積が3mlとなるように調製した。
表13
Figure 0003703479
以上のようにして得られた12種類の組成の各反応溶液を、23℃で0,8,16,24,32,40,48時間放置した。各試料のpHは、表14に示す通りであり、これらのpHは48時間放置後にも変化なかった。
表14
Figure 0003703479
所定時間放置後、各反応溶液を8000Gで10分間遠心し、それぞれ上清を採取し、上清の状態を観察した。
【0089】
まず、得られた上清のアポフェリチン濃度をプロテインアッセーキット(バイオラド社製)を用いて定量した。
【0090】
次に、得られた各上清を水で3倍に薄め、2%金グルコースでアポフェリチンを染色し、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて5万倍の倍率で観察した。なお、2%金グルコースで染色した場合、アポフェリチン内の保持部に侵入することがないので、保持部が空洞であるアポフェリチンと、ニッケル化合物−アポフェリチン複合体とを区別することができる。ニッケル化合物−アポフェリチン複合体は、タンパク質部分がドーナツ状に白く、ニッケル化合物のナノ粒子を内包した中心部が黒く見えた。
【0091】
以上の観察結果を、放置時間とアポフェリチン濃度との関係(実線)及び放置時間とナノ粒子形成収率(YCF)との関係(点線)として図8(a)〜(d)に示す。なお、図8(a),(b),(c),(d)はそれぞれ、硫酸ニッケルアンモニウムの濃度が2,3,5,10mMの場合を示す。CAPSO濃度が260mMである溶液(組成物3,6,9,12)はいずれも8時間放置後にほとんど全てのアポフェリチンが沈澱し、上清中のアポフェリチン濃度はほぼ0となったので、図8中では、この溶液の結果を省略することとする。従って、図8(a)は試料1,2、(b)は試料4,5、(c)は試料7,8、(d)は試料10,11の結果を示す。
【0092】
上記結果からわかるように、硫酸ニッケルアンモニウム濃度が2,3,5,10mMである場合のそれぞれのNi(OH)2の沈澱点のpHは、8.82,8.58,8.42,8.15付近であった。
【0093】
次に、上記観察結果を、硫酸ニッケルアンモニウム濃度とナノ粒子形成効率(ECF)との関係(実線)及び硫酸ニッケルアンモニウム濃度と沈澱点のpHとの関係(点線)として図9に示す。ナノ粒子形成効率(ECF)は、最初(溶液調製時)に添加したアポフェリチンのうち、上清におけるナノ粒子を内包したアポフェリチン(ニッケル化合物−アポフェリチン複合体)の割合とする。
【0094】
図9に示す結果より、ナノ粒子形成効率(ECF)は、16時間以上放置した場合は、硫酸ニッケルアンモニウムの濃度が3mM付近で最大値を示す。16時間の放置が最も高いナノ粒子形成効率(ECF)を示すが、この条件でのナノ粒子形成収率(YCF)は、図8からわかるようにいずれの硫酸ニッケルアンモニウムの濃度においても100%ではない。ナノ粒子形成収率(YCF)が100%でない場合、上清中にナノ粒子を内包しているアポフェリチンと、ナノ粒子を内包していないアポフェリチンとが存在することになり、これらを分離するためのさらなる精製工程が必要となる。したがって、硫酸ニッケルアンモニウムの濃度が3mM、pHが8.58付近であって、溶液調製後の放置時間を24時間とした条件が、形成効率及び精製効率の観点からニッケル化合物−アポフェリチン複合体を製造するための最適条件であると考える。
【0095】
(実施例4:ニッケル化合物−アポフェリチン複合体の作製に際するアンモニウムイオンの影響を調べる試験)
本実施例では、まず、HEPES緩衝液、CAPSO緩衝液、市販のアポフェリチンを溶解したアポフェリチン溶液、アンモニア水、および硫酸ニッケルアンモニウム溶液の各溶液を調製した。各溶液の濃度およびpHは、表15に示す通りである。各溶液を調製した後、直ちにHEPES緩衝液およびCAPSO緩衝液の脱気を行った。
表15
Figure 0003703479
次に、ミリQ水を用意し、ミリQ水中に二酸化炭素を30分間通気(バブリング)することによって、二酸化炭素バブリング水を調製した。その後すぐに、二酸化炭素バブリング水に表15の各溶液を混合して、反応溶液を調製した。また、同時に二酸化炭素を通気せず、脱気しただけの水(脱気水)を、二酸化炭素バブリング水の代わりに加えた反応溶液も調製した。反応溶液の組成を表16に示す。
表16
Figure 0003703479
本実施例においては、表16に示す組成の反応溶液を、総体積3mlとなるように溶液を調製したので、表15の各溶液と二酸化炭素バブリング水または脱気水との添加量は、表17に示す通りである。
表17
Figure 0003703479
以上のようにして得られた各反応溶液を、23℃で24時間放置した。その後、各反応溶液を8000Gで30分間遠心し、それぞれ上清を採取し、上清の状態を観察した。
【0096】
次に、得られた各上清を水で3倍に薄め、2%金グルコースでアポフェリチンを染色し、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて5万倍の倍率で観察した。なお、2%金グルコースで染色した場合、アポフェリチン内の保持部に侵入することがないので、保持部が空洞であるアポフェリチンと、ニッケル化合物−アポフェリチン複合体とを区別することができる。
【0097】
二酸化炭素バブリング水を用いた反応溶液の上清を透過型電子顕微鏡で観察した結果を図10(a)に示す。図10(a)に示すように、ドーナツ状にタンパク質部分が白く、中心部が黒く見えるニッケル化合物のナノ粒子を内包したアポフェリチンが観察された。
【0098】
二酸化炭素バブリング水を用いた反応溶液の上清のpHをさらに調節し、沈殿点を探索した結果、Ni(OH)2の沈殿点はpH8.65であった。上記実施例1〜3に比べて沈殿点のpHが上昇した理由は、アンモニウムイオンがニッケルイオン(Ni2+)と錯体を形成し、ニッケルイオン(Ni2+)を保護するためだと考えられる。この沈殿点のpH8.65からやや低いpH範囲がニッケル化合物のナノ粒子を形成する最適なpH範囲である。二酸化炭素バブリング水を用いた反応溶液の上清が、上記最適なpH範囲にあるとき、アポフェリチンの凝集は抑えられており、アポフェリチンの保持部にニッケル化合物のナノ粒子が形成されていることを確認できた。
【0099】
二酸化炭素バブリング水を用いた反応溶液の上清のpHが沈殿点のpH8.65よりも上昇すると、アポフェリチンが凝集し、工業的に利用することが困難になる。また、二酸化炭素バブリング水を用いた反応溶液の上清のpHがナノ粒子を形成する最適なpH範囲よりも低くなるにつれて、ナノ粒子の形成は減少し、pH8.3ではナノ粒子の形成を確認できなかった。
【0100】
一方、脱気水を用いた反応溶液の上清を透過型電子顕微鏡で観察した結果を図10(b)に示す。図10(b)に示すように、ドーナツ状にタンパク質部分が白く、中心部が黒く見えるニッケル化合物のナノ粒子を内包したアポフェリチンが観察されなかった。また、脱気水を用いた反応溶液の上清のpHを様々に変化させても結果は同じであった。ナノ粒子が形成されない原因は、アンモニウムイオンの影響であると考えられるが、そのメカニズムは不明である。
【0101】
いずれにせよ、本実施例では、反応溶液中に存在するアンモニウムイオンがニッケルイオン(Ni2+)と錯体を形成することによって安定化するため、Ni(OH)2の沈殿点のpHが高くなっている。反応溶液中に炭酸イオン及び/又は炭酸水素イオンが存在することがナノ粒子の形成のために重要であることと、反応溶液のpHをNi(OH)2の沈殿点のpHよりもわずかに低いpHに保つことがナノ粒子の形成に適していることは、上記実施例1〜3と共通している。
【0102】
(実施例5:ニッケル化合物−アポフェリチン複合体の作製に際するアンモニウムイオンの最適濃度を検索する試験)
本実施例では、まず、HEPES緩衝液、CAPSO緩衝液、市販のアポフェリチン(ウマ脾臓由来)を溶解したアポフェリチン溶液、アンモニア水、および硫酸ニッケルアンモニウム溶液の各溶液を調製した。各溶液の濃度およびpHは、表18に示す通りである。各溶液を調製した後、直ちにHEPES緩衝液およびCAPSO緩衝液の脱気を行った。
表18
Figure 0003703479
次に、ミリQ水を用意し、ミリQ水中に二酸化炭素を30分間通気(バブリング)することによって、二酸化炭素バブリング水を調製した。その後すぐに、二酸化炭素バブリング水に表18の各溶液を、表19に示す組成の総体積3mlの反応溶液となるように混合した。
表19
Figure 0003703479
以上のようにして得られた各反応溶液を、23℃で48時間放置した。その後、各反応溶液を8000Gで30分間遠心し、それぞれ上清を採取し、上清の状態を観察した。
【0103】
次に、得られた各上清を水で3倍に薄め、2%金グルコースでアポフェリチンを染色し、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて5万倍の倍率で観察した。なお、2%金グルコースで染色した場合、アポフェリチン内の保持部に侵入することがないので、保持部が空洞であるアポフェリチンと、ニッケル化合物−アポフェリチン複合体とを区別することができる。
【0104】
以上の観察結果を、反応溶液の上清のpHに対するナノ粒子形成収率(YCF)を図11(a)に、ナノ粒子形成効率(ECF)を図11(b)に示す。それぞれの溶液の沈澱点はアンモニア水を添加していない溶液ではpH8.42、アンモニウムイオン(以下、本実施例におけるアンモニウムイオンとはアンモニア水により供給されたものをいう)10mMではpH8.58、アンモニウムイオン20mMではpH8.65、アンモニウムイオン30mMではpH8.92付近であった。
以上からわかるように、アンモニウムイオンの添加濃度に応じて沈澱点のpHは大きくなる。この理由は、実施例4でも解析したように、アンモニウムイオンがニッケルイオン(Ni2+)と錯体を形成し、ニッケルイオン(Ni2+)を保護するためだと考えられる。アンモニウムイオンの濃度の異なる各溶液においては、かかる沈殿点のpH付近もしくは沈澱点よりわずかに低いpHがナノ粒子を形成する最適なpH範囲である。二酸化炭素バブリング水を用いた反応溶液の上清が、上記最適なpH範囲にあるとき、アポフェリチンの凝集は抑えられており、またアポフェリチンの保持部にニッケル化合物のナノ粒子が形成されていることを確認できた。
【0105】
図11(b)からわかるように、ナノ粒子形成効率(ECF)は、アンモニア水の濃度が20mMの溶液において最も高く、沈澱点付近のpHでは100%であった。ナノ粒子形成効率(ECF)が100%ということは、溶液中に添加した全てのアポフェリチンがその保持部内にナノ粒子を形成しているということである。アンモニア水を添加していない実施例3ではナノ粒子形成効率(ECF)はいずれの条件においても100%に到達しなかったので(図9参照)、アンモニウムイオンの添加により、ナノ粒子をより収率良く形成することができるようになったことがわかる。特に、本実施例の組成においては、アンモニウムイオンが20mMとなるように添加された場合、ナノ粒子の収率が最も良い。尚、アンモニア水の添加にかかわらず、ナノ粒子形成収率(YCF)はそれぞれの沈澱点付近のpHで100%が得られた。
【0106】
本実施例では、適切な濃度のアンモニウムイオンの添加により、高い値のナノ粒子形成効率(ECF)が得られる。尚、反応溶液中に炭酸イオン及び/又は炭酸水素イオンが存在することがナノ粒子の形成のために重要であることと、反応溶液のpHをNi(OH)の沈殿点のpHもしくはこれよりもわずかに低いpHに保つことがナノ粒子の形成に適していることは、上記実施例1〜4と共通している。
【0107】
(実施例6:クロム化合物−アポフェリチン複合体の作製)
本実施例では、まず、HEPES緩衝液、MES緩衝液、遺伝子工学的に作製したL鎖のみのアポフェリチンを溶解したL鎖アポフェリチン溶液、および硫酸クロムアンモニウム溶液の各溶液を調製した。各溶液の濃度およびpHは、表20に示す通りである。なお、各溶液を調製した後、直ちにHEPES緩衝液およびMES緩衝液の脱気を行った。
表20
Figure 0003703479
次に、ミリQ水を用意し、ミリQ水中に二酸化炭素を30分間通気(バブリング)することによって、二酸化炭素バブリング水を調製した。その後すぐに、二酸化炭素バブリング水に表20の各溶液を混合して、表21に示す組成の反応溶液を調製した。
表21
Figure 0003703479
本実施例では表21に示す組成の各反応溶液を、総体積3mlとなるように調製したので、二酸化炭素バブリング水と表20の各溶液との添加量は、表22に示す通りである。
表22
Figure 0003703479
以上のようにして得られた反応溶液を、23℃で24時間放置した。その後、各反応溶液を8000Gで30分間遠心し、それぞれ上清を採取し、上清の状態を観察した。
【0108】
次に、得られた各上清を水で3倍に薄め、2%金グルコースでアポフェリチンを染色し、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて5万倍の倍率で観察した。なお、2%金グルコースで染色した場合、アポフェリチン内の保持部に侵入することがないので、保持部が空洞であるアポフェリチンと、クロム化合物のナノ粒子を内包したアポフェリチン(すなわち、クロム化合物−アポフェリチン複合体)とを区別することができる。
【0109】
各上清を透過型電子顕微鏡で観察したところ、いずれもドーナツ状にタンパク質部分が白く、中心部が黒く見えるクロム化合物のナノ粒子を内包したアポフェリチンが多数観察された。クロム化合物のナノ粒子は球状であり、その直径は6nm(標準偏差1nm)であった。すなわち、均一な粒径のナノ粒子が得られたといえる。
【0110】
反応溶液をCr(OH)の沈殿点付近のpHとしているため、反応溶液の上清はわずかに濁っていた。上清を透過型電子顕微鏡で観察したところ、ドーナツ状にタンパク質部分が白く、中心部が黒く見えるクロム化合物のナノ粒子を内包したアポフェリチンが観察された。
【0111】
本実施例の条件では、上清中約50%のアポフェリチン内にクロム化合物のナノ粒子を確認した。すなわち、ナノ粒子形成収率(YCF)が約50%であった。二酸化炭素バブリング水のかわりに、脱気水を用いたこと以外同じ条件の反応溶液でクロム化合物のナノ粒子の作製を試みたが、クロム化合物のナノ粒子の形成を確認することはできなかった。
【0112】
(実施例7:銅化合物−アポフェリチン複合体の作製)
本実施例では、まず、MES緩衝液、市販のアポフェリチン(ウマ脾臓由来)を溶解したアポフェリチン溶液、および硫酸銅アンモニウム溶液の各溶液を調製した。各溶液の濃度およびpHは、表23に示す通りである。なお、各溶液を調製した後、直ちにMES緩衝液の脱気を行った。
表23
Figure 0003703479
次に、ミリQ水を用意し、ミリQ水中に二酸化炭素を30分間通気(バブリング)することによって、二酸化炭素バブリング水を調製した。その後すぐに、二酸化炭素バブリング水に表23の各溶液を混合して、表24に示す組成の反応溶液を調製した。
表24
Figure 0003703479
本実施例では、表23に示す組成の各反応溶液を、総体積3mlとなるように調製したので、二酸化炭素バブリング水と表23の各溶液との添加量は、表25に示す通りである。
表25
Figure 0003703479
以上のようにして得られた反応溶液を、23℃で24時間放置した。その後、各反応溶液を8000Gで30分間遠心し、それぞれ上清を採取し、上清の状態を観察した。
【0113】
次に、得られた各上清を水で3倍に薄め、2%金グルコースでアポフェリチンを染色し、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて5万倍の倍率で観察した。なお、2%金グルコースで染色した場合、アポフェリチン内の保持部に侵入することがないので、保持部が空洞であるアポフェリチンと、銅化合物のナノ粒子を内包したアポフェリチン(すなわち、銅化合物−アポフェリチン複合体)とを区別することができる。
【0114】
各上清を透過型電子顕微鏡で観察したところ、いずれもドーナツ状にタンパク質部分が白く、中心部が黒く見える銅化合物のナノ粒子を内包したアポフェリチンが多数観察された。銅化合物(Cu(OH))のナノ粒子は球状であり、その直径は6nm(標準偏差1nm)であった。すなわち、均一な粒径のナノ粒子が得られたといえる。
【0115】
反応溶液を銅化合物(Cu(OH))の沈殿点付近のpHとしているため、反応溶液の上清はわずかに濁っていた。上清を透過型電子顕微鏡で観察したところ、ドーナツ状にタンパク質部分が白く、中心部が黒く見える銅化合物のナノ粒子を内包したアポフェリチンが観察された。
【0116】
本実施例の条件では、上清中約30〜40%のアポフェリチン内に銅化合物のナノ粒子を確認した。すなわち、ナノ粒子形成収率(YCF)が約30〜40%であった。
【0117】
以上説明したように、本発明によると、均一な粒子径を有するナノ粒子を得ることができる。また、本発明によると、これまでタンパク質空洞部内での粒子形成が報告されていなかった金属イオンについても、タンパク質空洞部内でその化合物粒子を得ることができ、さらにそれらの金属イオンからなる均一な粒子径を有するナノ粒子を得ることができる。
【0118】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明によると、均一な粒子径を有するナノ粒子を提供することができる。本発明により提供されるナノ粒子は、これらの量子効果を利用して、半導体素子、単電子デバイス、量子ドット、発光素子等へ利用することができる。
【0120】
また、本発明により提供されるナノ粒子は、光機能コーティング材、電磁波遮蔽材料、二次電池用材料、蛍光材料、電子部品材料、磁気記録材料、研磨材料、化粧品材料等の高機能、高性能、高密度、高度精密化材料として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
図1は、アポフェリチンの構造を示す模式図である。
【0122】
図2は、実施形態1のニッケル化合物−アポフェリチン複合体の作製方法を表すフローチャートである。
【0123】
図3は、不揮発性メモリセルの製造方法を示す工程断面図である。
【0124】
図4は、ドット体を基板の表面上に2次元状に配列及び固定する方法を示す工程断面図である。
【0125】
図5は、複合体を基板の表面上に2次元状に配列及び固定する方法について説明する図である。
【0126】
図6は、不揮発性メモリセルの上面図である。
【0127】
図7は、実施例2におけるナノ粒子の形成状態を表す電子顕微鏡写真である。
【0128】
図8は、実施例3の各硫酸ニッケルアンモニウム濃度における時間と、アポフェリチン濃度及び形成収率との関係を示す図である。
【0129】
図9は、実施例3における硫酸ニッケルアンモニウム濃度と形成効率との関係を示す図である。
【0130】
図10は、実施例4におけるナノ粒子の形成状態を表す電子顕微鏡写真である。
【0131】
図11は、実施例5におけるpHと、形成収率(a)及び形成効率(b)との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0132】
1 アポフェリチン
2 チャンネル
4 保持部
100,100‘ メモリセル
101 p型Si基板
102 素子分離酸化膜
103 ゲート酸化膜
104 ドット体
104a ナノ粒子
105 シリコン酸化膜
106 Al電極
107a 第1n型拡散層
107b 第2n型拡散層
108 層間絶縁膜
109 コンタクトホール
110 タングステンプラグ
111a 第1アルミニウム配線
111b 第2アルミニウム配線
130 基板
140 タンパク質分子
150 ニッケル化合物−アポフェリチン複合体
160 液体
170 ポリペプチド膜

Claims (12)

  1. 炭酸イオン及び/又は炭酸水素イオンを含む溶液を用意する工程と、
    前記溶液に、内部に空洞部を有するタンパク質および金属イオンを添加し、該タンパク質の空洞部内に該金属イオンの化合物からなるナノ粒子を形成させる工程を有し、
    前記金属イオンが、ニッケルイオン(Ni2+)、クロムイオン(Cr2+)または銅イオン(Cu2+)のいずれかである、ナノ粒子の製造方法。
  2. 前記化合物が水酸化物である、請求項1に記載のナノ粒子の製造方法。
  3. 前記金属イオンがニッケルイオンである、請求項に記載のナノ粒子の製造方法。
  4. 前記金属イオンがクロムイオンである、請求項に記載のナノ粒子の製造方法。
  5. 前記金属イオンが銅イオンである、請求項に記載のナノ粒子の製造方法。
  6. 前記溶液のpHが前記金属イオンの水酸化物の沈殿点とほぼ同じである、請求項2に記載のナノ粒子の製造方法。
  7. 前記溶液のpHが8以上9以下である、請求項3に記載のナノ粒子の製造方法。
  8. 前記溶液が、さらにアンモニウムイオンを含む、請求項3に記載のナノ粒子の製造方法。
  9. 前記溶液のpHが8.3を越えて8.65以下である、請求項8に記載のナノ粒子の製造方法。
  10. 前記タンパク質が、アポフェリチン、Dpsタンパク質、CCMVタンパク質、TMVタンパク質またはヒートショックプロテインの少なくとも一つである、請求項1に記載のナノ粒子の製造方法。
  11. 前記溶液を用意する工程が、水に二酸化炭素を通気する工程である、請求項1に記載のナノ粒子の製造方法。
  12. 前記ナノ粒子を形成した後、タンパク質を熱処理によって除去する工程をさらに含む、請求項1に記載のナノ粒子の製造方法。
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