JP2003007309A - 電極材料、固体電解質型燃料電池及びガスセンサ - Google Patents

電極材料、固体電解質型燃料電池及びガスセンサ

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JP2003007309A
JP2003007309A JP2001193067A JP2001193067A JP2003007309A JP 2003007309 A JP2003007309 A JP 2003007309A JP 2001193067 A JP2001193067 A JP 2001193067A JP 2001193067 A JP2001193067 A JP 2001193067A JP 2003007309 A JP2003007309 A JP 2003007309A
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electrode
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perovskite
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Fumio Munakata
文男 宗像
Kenji Furuya
健司 古谷
Masaharu Hatano
正治 秦野
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 低温度域で高い酸素イオン伝導性と電子伝導
性を併せ持ち、耐熱性及び耐久性に優れたペロブスカイ
ト複合酸化物電極材料、およびこの電極材料を使用した
固体電解質型燃料電池及びガスセンサを提供することで
ある。 【解決手段】 一般式A1-αBO3−δで表されるAサ
イト欠損型のペロブスカイト複合酸化物であって、Aサ
イトが(A′1-x A″x1-α Bサイトが(B′
1-y B″y1-ββで表わされた、(A′1-x A″x
1-α(B′1-yB″y1-ββ3−δで示すペロ
ブスカイト複合酸化物を電極材料として使用する。ま
た、ここで、上記A′は、希土類元素から選ばれた少な
くとも1種の元素、上記A″は、Ba、Sr及びCaか
ら成る群から選ばれた少なくとも1種の元素、上記B′
は、Ga、上記B″及びCは、Mg、Co、Mn、Fe、
Ni、Cu及びAlから成る群から選ばれた少なくとも
1種の元素とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ペロブスカイト構
造の複合酸化物に関し、特に固体電解質型燃料電池或い
は固体電解質型ガスセンサの電極として使用可能な電極
材料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、固体電解質型ガスセンサや固体電
解質型燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cel
l)の固体電解質としては、YSZ(Yttria Stabilized
Zirconia)等が主に使用されており、その電極材料と
しては白金、ロジウム及びパラジウム等の貴金属が用い
られていた。
【0003】しかし、これらの貴金属電極材料はコスト
が高く、しかも使用環境によっては特性劣化が生じる虞
れがあった。特に、固体電解質型燃料電池は、YSZが
良好な酸素イオン伝導性を示す条件である1000℃以
上の高温で作動されるため、電極材料の耐熱性と耐久性
の改善が望まれていた。
【0004】そこで、固体電解質型燃料電池の電極材料
として、より高温耐熱性に優れ、電池の作動温度におい
て高い電気伝導性を示す一般式ABO3−δで表される
ペロブスカイト構造の複合酸化物(以下、「ペロブスカ
イト複合酸化物」と記す。)の使用が検討されている。
【0005】また、近年、固体電解質型ガスセンサ用電
極材料としても、ペロブスカイト複合酸化物の使用がセ
ンサの作動開始温度の低温化を可能とし、センサ特性を
改善できることが報告されている(Y.Takeda、R.Kanno
、M.Noda、Y.Tomida、and O.Yamamoto、J.Electroche
m.Soc.,134, 11, 2656, (1987)) 。
【0006】ガスセンサ用電極材料として白金などの金
属電極を用いた場合には、酸素イオンの固体電解質への
侵入は気相−電極−電解質の接する三相界面という限ら
れたところでのみ起きるが、ペロブスカイト複合酸化物
のように、電子−イオン混合導電性を示す材料を電極と
して使用する場合には、電極内を酸素イオンが移動でき
るため、電極と固体電解質とが接する二相界面でも酸素
イオンの侵入が可能となる。従って、ペロブスカイト複
合酸化物を電極材料として使用することにより、固体電
解質/電極界面の電極反応抵抗を減少させることがで
き、低温で作動可能な良好な電極の提供が可能となる
(H.Arai、K.Eguchi、and T.Inoue 、Proc.of the Symp
osiu on Chemical Sensors (Hawaii) 、87-9 (1987) 、
p.2247.)。よって、ペロブスカイト複合酸化物を電極
材料に用いたガスセンサを自動車のエンジン制御用とし
て用いると、エンジン始動時、特にコールドスタート時
からエンジン制御が可能となるため、排出ガスを低減す
ることができる。
【0007】本願発明者等も、このようなペロブスカイ
ト複合酸化物電極材料として、La−Co−O系ペロブ
スカイト複合酸化物の検討を行ってきた(特開平8−1
30018号公報)。
【0008】固体電解質型燃料電池の場合にも、自動車
の駆動源として用いたり、家庭用の電源として用いる場
合には、始動性の向上という意味から低温度領域から発
電可能な固体電解質型燃料電池が求められており、ペロ
ブスカイト複合酸化物を電極として使用する場合には、
上述するガスセンサの場合と同様に、固体電解質/電極
界面の電極反応抵抗の減少により、自動車や家庭用の固
体電解質型燃料電池の始動性を改善できる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ペロブ
スカイト複合酸化物を固体電解質型燃料電池の電極材料
として用いる場合には、高活性な材料(La−Co−O
系)ほど高温度領域や還元雰囲気下での長時間の使用に
より、ジルコニア系やセリア系固体電解質と電極材料と
が反応し、固体電解質/ペロブスカイト電極界面の固相
反応により電極反応抵抗が増加しやすい。この抵抗増加
は、燃料電池の発電効率を低下させ、低温での始動性を
悪化させる。
【0010】また、固体電解質型ガスセンサ用の電極材
料としてペロブスカイト複合酸化物を用いた場合にも、
高温領域での使用による応答速度の低下と異常出力の発
生が生じ、最悪の場合には、作動停止に至る場合があ
る。
【0011】このため、ペロブスカイト複合酸化物を電
極材料に用いる場合には、安定したガスセンサ或いは燃
料電池動作を確保するための耐久性と耐熱性の改善が望
まれている。特にガスセンサにおいては、エンジンのコ
ールドスタート時からのエンジン制御に使用するため、
安定した低温活性を有するガスセンサの開発が望まれて
いる。
【0012】一方、固体電解質型燃料電池においても、
YSZを電解質として用いた従来の定置型発電用燃料電
池では、作動温度は1000℃以上の高温で運転が行わ
れていたが、配管等の周辺部品の耐熱性も考慮し、自動
車用や家庭用の電源として用いるためにはステンレス材
等が使用できる約600〜700℃程度の低温領域で作
動できる固体電解質型燃料電池の開発が必要とされてい
る。
【0013】これらの低温作動の要求に対し、固体電解
質として、従来のYSZに代えて、新規なLa−Ga−
O系ペロブスカイト複合酸化物の使用が検討され始めて
いる(T.Ishihara,等;J.Am.Chem.Soc.,116,3801-3803
(1994))。この新規なガレート系ペロブスカイト複合酸
化物は、低い作動温度で高い酸素イオン伝導性を示す。
【0014】しかし、固体電解質とともに使用する電極
材料として、従来のLa−Co−O系ペロブスカイト複
合酸化物を使用したのでは、600℃以下の作動温度に
おいて、十分な酸素イオンの供給を行えない。即ち、固
体電解質の酸素イオン伝導性が高くても、これと組み合
わせる電極材料の酸素イオン伝導性が低くては、電極か
ら固体電解質への酸素イオンの供給量が律速されるた
め、高い酸素イオン伝導性の効果を生かすことはできな
い。従って、電極材料材も、電子(ホール)伝導性のみ
ならず高い酸素イオン伝導性を持つことが好ましい。
【0015】そこで、本発明の目的は、低温度域で高い
酸素イオン伝導性と電子(ホール)伝導性を併せ持ち、
しかも耐久性の高いペロブスカイト複合酸化物電極材料
を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に記載
の発明は、一般式A1-αBO3−δで表されるAサイト
欠損型のペロブスカイト複合酸化物であって、Aサイト
が(A′1-x A″x1-α Bサイトが(B′1-y
B″y1-ββで表わされた、(A′1-xA″x
1-α(B′1-y B″y1-ββ3−δで示すペロブ
スカイト複合酸化物を含有する電極材料である。また、
ここで、上記A′は、希土類元素から選ばれた少なくと
も1種の元素、上記A″は、Ba、Sr及びCaから成
る群から選ばれた少なくとも1種の元素、上記B′は、
Ga、上記B″及びCは、Mg、Co、Mn、Fe、N
i、Cu及びAlから成る群から選ばれた少なくとも1
種の元素である。
【0017】本発明の請求項2に記載の発明は、請求項
1に記載の(A′1-x A″x1- α(B′1-y B″
y1-ββ3-δで表わされるペロブスカイト複合酸
化物において、Aサイトの上記A′が、La,Pr及び
Ndからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素であ
り、Bサイトの上記B″が、Mg、上記Cが、Co、M
n、Fe、Ni、Cu及びAlから成る群から選ばれた
少なくとも1種の元素とするペロブスカイト複合酸化物
を含有する電極材料である。
【0018】本発明の請求項3に記載の発明は、さら
に、各x、y、α、β、δは、それぞれ以下の範囲を満
たす電極材料である。
【0019】0<x<0.25、 0<y<0.3、 0<α<0.15、 0<β<0.5、 0≦δ≦0.
5。
【0020】本発明の請求項4に記載の発明は、請求項
1〜請求項3に記載のいずれかのAサイト欠損型ペロブ
スカイト複合酸化物100重量部に対し、少なくとも一
部の組成が異なる別のぺロブスカイト複合酸化物を2〜
20重量部混合添加させたことを特徴とする電極材料で
ある。
【0021】本発明の請求項5に記載の発明は、請求項
1~請求項3に記載のいずれかの電極材料を使用した空
気極もしくは燃料極を有する固体電解質型燃料電池であ
る。
【0022】本発明の請求項6に記載の発明は、請求項
5に記載の固体電解質型燃料電池に、さらに一般式AB
3−δで表され、Bサイトに少なくともGaを含むガ
レート複合酸化物を用いた固体電解質を有する固体電解
質型燃料電池である。
【0023】本発明の請求項7に記載の発明は、請求項
5に記載の固体電解質型燃料電池にさらに、一般式A
1-αBO3−δで表され、Bサイトに少なくともGaを
含むAサイト欠損型ガレート複合酸化物を用いた固体電
解質を有する固体電解質型燃料電池である。
【0024】本発明の請求項8に記載の発明は、請求項
1〜請求項4に記載のいずれかの電極材料を使用した電
極を有するガスセンサである。
【0025】本発明の請求項9に記載の発明は、請求項
8に記載のガスセンサに、さらに、一般式ABO3−δ
で表され、Bサイトに少なくともGaを含むガレート複
合酸化物を用いた固体電解質を有する固体電解質型ガス
センサである。
【0026】本発明の請求項10に記載の発明は、請求
項8に記載のガスセンサに、さらに、一般式A1-αBO
3−δで表され、Bサイトに少なくともGaを含むAサ
イト欠損型ガレート複合酸化物を用いた固体電解質を有
する固体電解質型ガスセンサである。
【0027】
【発明の作用】本発明の請求項1に記載の電極材料は、
BサイトにGaを有するガレート系ペロブスカイト複合
酸化物を電極材料として使用しているので、低温で高い
酸素イオン伝導性を確保できる。
【0028】また、この電極材料は、AサイトがA1-α
で示されるAサイト欠損型構造であるので、酸素空孔が
効果的に導入され、電極の酸素イオン放出吸収能を向上
させ、Bサイト元素による触媒活性、即ち酸素を酸素イ
オンとして電極内に取り込む反応を促進する触媒機能を
より高めることができる。
【0029】また、Aサイトを一部欠損させることによ
り、結晶構造の歪を緩和し易い、より安定な構造を提供
できる。
【0030】さらに、Aサイトの一部を希土類元素より
低価数のBa、Sr及びCaで、またBサイトの一部を
電子(ホール)伝導性の付与に効果のあるMg、Co、
Mn、Fe、Ni、Cu及びAl等の元素で置換するこ
とによりキャリヤの発生を促し電気伝導性を改善でき
る。
【0031】従って、高い酸素イオン伝導性と高い電子
(ホール)伝導性を併せ持ち、しかも耐熱性と耐久性を
持つ安定な電極材料を提供する。
【0032】本発明の請求項2に記載の発明によれば、
上記請求項1の発明の作用に加えて、Aサイトの A′
を、La、Pr、Nd及びYから成る群から選ばれた少
なくとも1種の元素で置換し、BサイトのB″をMgで
置換しているので、ペロブスカイト電極材料に対しより
効果的に電子(ホール)伝導性の付与を行うことができ
る。
【0033】本発明の請求項3に記載の発明によれば、
Aサイト欠損量および各サイトの金属置換量を一定範囲
とすることにより、欠損による機能、および金属置換に
よる機能をより効果的に引き出すことができる。
【0034】本発明の請求項4に記載の発明によれば、
少なくとも一部の組成が異なる別のぺロブスカイト複合
酸化物を添加することにより、ペロブスカイト複合酸化
物のシンタンリング(焼結)を抑制できる。従って、電
極材料の耐熱性及び耐久性をさらに改善することができ
る。
【0035】本発明の請求項5に記載の発明によれば、
上述する請求項1~請求項4に記載のいずれかの電極材
料を固体電解質型燃料電池の空気極もしくは燃料極とし
て使用することにより、電子(ホール)伝導性および酸
素イオン伝導性を併せ持ち、しかも耐熱性と耐久性を併
せ持つ電極を使用することにより燃料電池の低温での発
電性能と耐久性を改善できる。
【0036】本発明の請求項6に記載の発明によれば、
低温で高い酸素イオン導電性を示すガレート複合酸化物
と、低温で高い酸素イオン導電性と電子(ホール)伝導
性を併せもつ電極とを組み合わせることにより、電極か
ら固体電解質に効率良く酸素イオンを供給できる。従っ
て、固体電解質の高い酸素イオン導電性をより効果的に
引き出し、より低温で高い発電効率を有する燃料電池を
提供できる。
【0037】本発明の請求項7に記載の発明によれば、
固体電解質をAサイト欠損型のガレート複合酸化物とす
ることにより、固体電解質にAサイト欠損に基づく効果
的なキャリヤ発生機能と結晶構造安定性が付与され、さ
らに低温で高い発電効率と耐久性、耐熱性に優れた燃料
電池を提供できる。
【0038】本発明の請求項8に記載の発明によれば、
上述する請求項1~請求項4に記載のいずれかの電極材
料をガスセンサの電極として使用することにより、電子
(ホール)伝導性および酸素イオン伝導性を併せ持ち、
しかも耐熱性と耐久性を併せ持つ電極を使用することに
より低温時での動作を確保するとともに、高温における
耐久性と耐熱性に優れたガスセンサを提供できる。
【0039】本発明の請求項9に記載の発明によれば、
低温で高い酸素イオン導電性を示すガレート複合酸化物
と、低温で高い酸素イオン導電性と電子(ホール)伝導
性を併せもつ電極とを組み合わせることにより、電極か
ら固体電解質に効率良く酸素イオンを供給できる。従っ
て、固体電解質の高い酸素イオン導電性をより効果的に
引き出し、作動開始温度が低いガスセンサを提供でき
る。
【0040】本発明の請求項10に記載の発明によれ
ば、固体電解質をAサイト欠損型のガレート複合酸化物
とすることにより、固体電解質にAサイト欠損に基づく
効果的なキャリヤ発生機能と結晶構造安定性が付与さ
れ、耐熱性、耐久性に優れしかも低温作動開始温度が低
いガスセンサを提供できる。
【0041】
【発明の効果】本発明の請求項1〜4に記載したAサイ
ト欠損型ペロブスカイト電極を含有する電極材料によれ
ば、高い酸素イオン伝導性、良好な電子(ホール)伝導
性、高い耐久性及び耐熱性を兼ね沿えた、固体電解質型
燃料電池或いはガスセンサの電極に適した電極材料を提
供できる。
【0042】本発明の請求項5〜7に記載した固体電解
質型燃料電池によれば、高い発電効率と耐熱性、耐久性
を持ち、さらに低温動作が可能な燃料電池を提供でき
る。
【0043】本発明の請求項8〜10に記載したガスセ
ンサによれば、低温域から高温域に至る動作を可能と
し、しかも耐熱性、耐久性が良好なガスセンサを提供で
きる。
【0044】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0045】図1は、 本実施の形態に係る固体電解質
型燃料電池の構造例を示す装置の部部的な斜視図であ
る。固体電解質型燃料電池の単セルは、空気極(カソー
ド)10A、燃料極(アノード)10B、およびこの二
つの電極の間に介在する固体電解質20で構成され、必
要によりセパレータ40を介して複数のセルを積層して
使用される。
【0046】燃料電池の作動に際しては、空気極に酸素
含有ガスが供給され、燃料極に水素もしくは炭化水素ガ
スを含有するガスが供給される。空気極に供給された酸
素は、酸素イオンとして電極に取り込まれ、固体電解質
中を移動して燃料極に達しここで水素と反応し水の生成
とともに電子を放出する。
【0047】本実施の形態のペロブスカイト複合酸化物
は、この固体電解質型燃料電池の電極として適した電極
(空気極10A、燃料極10B)材料を提供するもので
ある。以下、具体的にその特徴を説明する。
【0048】まず、本実施の形態に係るペロブスカイト
複合酸化物電極材料は、一般式A1- αBO3−δで表さ
れるAサイト欠損型のペロブスカイト複合酸化物であっ
て、BサイトにGaを有するガレート系複合酸化物であ
る。従って、比較的低温で高い酸素イオン伝導性を得る
ことができる。例えば、YSZ等のジルコニア系材料に
較べ、約1桁高い酸素イオン伝導を示す。
【0049】また、本実施の形態に係るペロブスカイト
複合酸化物電極材料は、Aサイト欠損型構造を有する。
Aサイトの欠損部には、酸素空孔が導入されやすいた
め、電極材料の酸素吸収放出能を向上させることができ
る。例えば空気極表面では、供給された酸素ガスを酸素
イオンの形で電極内に取り込む反応が、Bサイト元素の
触媒作用によって進行するが、Aサイトの欠損構造は、
この酸素イオンを電極内に取り込みやすくする。従っ
て、Bサイト元素の触媒活性をさらに高め、酸素イオン
導入を促進する効果がある。
【0050】また電極内に導入された酸素イオンは、B
サイトのGaに起因する高い酸素イオン伝導性により、
電極内を移動し、酸素空孔を介しながら隣接する固体電
解質に効率良く酸素イオンを供給し、固体電解質と電極
との界面での内部抵抗を減少できる。
【0051】従って、固体電解質として、高酸素イオン
伝導性を有するLa−Ga系ペロブスカイトを使用した
場合にも、電極からの酸素イオンの供給が固体電解質の
酸素イオン伝導を律速しない。また、より低温作動条件
においても、電極の高い酸素イオン導電性が維持できる
ので、La−Ga系ペロブスカイト固体電解質を用いた
低温作動が可能になる。
【0052】また、Aサイトを欠損型とすることは、単
に酸素イオン伝導に寄与するだけでなく、結晶構造の一
部を欠損させることで、結晶構造をより柔軟なものに
し、結晶の共有結合性を高め、より安定な結晶構造を維
持することが可能になる。従って、電極材料の耐久性、
耐熱性を改善できる。
【0053】なお、Aサイトには、希土類元素と置換元
素で構成する。即ち、Aサイトは、(A′1-x A″
x1-α、で示し、このうちA′を+3価の希土類元素
から選ばれた少なくとも1種の元素、より好ましくはL
a,Pr及びNdを用い、A″として、+2価のアルカ
リ土類金属元素であるBa、Sr及びCaから成る群か
ら選ばれた少なくとも1種の元素とする。このように価
数の小さい金属でAサイトの一部を置換することによ
り、酸素空孔による伝導ホールを導入し、ホール伝導性
を付与することができる。
【0054】本実施の形態の電極材料として、例えば、
La−Ga系ペロブスカイト複合酸化物であって、Aサ
イトのLaの一部をSrで置換した材料を例にとると、
雰囲気中の酸素濃度により可逆的に進行する次のような
化学反応式が考えられる。
【0055】La3+ 1-x Sr2+ x Ga3+ 1-x Ga4+ x
3 <====> La3+ 1-xSr2+ xGa3+ 1-x+2δGa4+ x-2δO3-δ
(1/2)δO2 即ち、Aサイトをしめる+3価のLaの一部を電荷の異
なる+2価のSrで置換することにより酸化活性が大き
く向上するが、これは雰囲気中の酸素濃度により可逆的
に進行する上記式の化学反応に従い酸素が可逆的に出入
りすることによると考えられる。即ち、雰囲気中の酸素
濃度が高くなれば上記式は左側に進行し、酸素濃度が低
くなれば、上記式は右側に進行する。
【0056】また、上記式に示すように、反応が右側に
進行した場合は、酸素空孔の導入と同時にGaの価数の
変化も想定することができる。もし、酸素空孔の発生が
抑制されるように原子価制御がなされれば、上式中の酸
素欠損量δの減少を伴い、同時にGaの価数の上昇が見
られる。このことは、結果的に電子(ホール)的伝導の
割合(キャリヤ濃度)を高めることを意味する。従っ
て、酸素の高イオン伝導性のみならず電子(ホール)伝
導性のより高いペロブスカイト複合酸化物を提供でき
る。
【0057】さらに、本実施の形態のペロブスカイト複
合酸化物は、Bサイトを(B′1-yB″y1-ββ
置き、B′をGaとし、B″及びCをMg、Co、M
n、Fe、Ni、Cu及びAlから成る群から選ばれた
少なくとも1種の元素とするものである。BサイトのG
aの一部を電子(ホール)伝導の導入が可能な元素によ
り置換することにより、さらに効果的に電子伝導性を上
げることができる。
【0058】なお、Aサイトの欠損量や各サイトの元素
置換量(x、y、α、β、δ)は、その原子価制御効果
をより有効に発揮させるため、一定の範囲に設定するこ
とがより好ましい。
【0059】例えば、Aサイト欠損量αは0より大きく
なくては欠損の効果を得ることができないが、0.25
を超えると結晶構造の歪が大きくなり、伝導に寄与する
有効な酸素空孔の量が少なくなる。従ってAサイト欠損
量αは以下の式を満たすことが好ましい。
【0060】0<α<0.15 また、酸素欠損量δは、δが0.5をを超えると、ペロ
ブスカイト構造が形成されないため、以下の式を満たす
のが好ましい。
【0061】0≦δ≦0.5 さらに、Aサイトの希土類元素の置換量x、Bサイトの
Gaの置換量y、βもまた、電子(ホール)伝導性を上
げるための原子価制御を有効に行うため、それぞれ次の
式を満たす範囲が好ましい。
【0062】0<x<0.25、 0<y<0.3、 0<β<0.5 こうして得られた本実施の形態のAサイト欠損型ペロブ
スカイト複合酸化物電極材料は、電気伝導性が高く、固
体電解質界面との接触抵抗を軽減でき、固体電解質型燃
料電池の電極材料として用いる場合には、作動温度の低
温化を可能にし、長時間の使用によっても安定した作動
特性を得ることができる。
【0063】なお、本実施の形態のAサイト欠損型ペロ
ブスカイト複合酸化物電極材料は、単組成で使用するこ
とも可能であるが、組成の異なる別のペロブスカイト複
合酸化物電極材料と混合して使用することもできる。例
えば前者を主材として100重量部とし、後者の少なく
とも一部の組成が異なる別のぺロブスカイト複合酸化物
を添加剤として2〜20重量部混合させた電極材料を用
いれば、シンタリングの進行を抑制できる。即ち、高温
で長時間使用した場合にも、電極材料自体のシンタリン
グ、および固体電解質との界面での固相反応による特性
劣化を抑制することができる。
【0064】なお、ここで使用する添加剤は、1種類に
限らず複数種類加えてもよい。例えば、主材として、上
述した酸素イオン導電性と電子導電性の高いAサイト欠
損型のペロブスカイト複合酸化物電極材料を用い、添加
剤として主に電子伝導性が高いペロブスカイト複合酸化
物、あるいは主に酸素イオン導電性の高いペロブスカイ
ト酸化物を使用することもできる。また、添加剤のみを
Aサイト欠損型でないペロブスカイト複合酸化物として
もよい。
【0065】以上に説明するように、本実施の形態に係
るAサイト欠損型ペロブスカイト複合酸化物は、高い酸
素イオン伝導度と高い電子伝導性をもち、結晶構造の安
定性を有するため、固体電解質型燃料電池の電極(空気
極及び燃料極)として使用することにより、高い発電効
率と耐久性を有する固体電解質型燃料電池を提供するこ
とができる。
【0066】以上に説明するように、本実施の形態に係
るAサイト欠損型ペロブスカイト複合酸化物電極材料
は、低温で良好な酸素イオン伝導性と電子伝導性を示す
ため、低温で高い酸素イオン伝導性を示すLa−Ga系
ペロブスカイト複合酸化物からなる固体電解質と組み合
わせることにより、500℃〜700℃以下の低温動作
が可能な固体電解質型燃料電池を提供することができ
る。また、本実施の形態に係る電極材料は、酸素イオン
伝導性が高く、酸素イオンの取り込み反応への触媒効果
が高いため、低温でも固体電解質に十分な酸素イオンを
受け渡すことができる。即ち、電極を介して固体電解質
への酸素イオン供給を円滑に運ぶことができる。また、
本実施の形態の電極材料は、酸素イオン伝導性と電子伝
導性が高いため、電極材料と固体電解質界面での内部抵
抗を減少させることができるため、発電効率を挙げるこ
とができる。
【0067】さらに、電極材料のみならず固体電解質と
しても、Aサイト欠損型のLa−Ga系ペロブスカイト
複合酸化物を用いれば、電極材料の場合と同様に酸素イ
オン伝導性をより改善し、しかも耐久性の高い構造を提
供できる。
【0068】上述するような固体電解質材料となるLa
−Ga系ペロブスカイト複合化合物としては、例えば一
般式ABO3−δで表されるペロブスカイト複合酸化物
であって、Aサイトに希土類元素、Yまたはアルカリ土
類金属元素、BサイトにGaを含み、BサイトにMgも
しくはZnまたは、Mg及びZnを含むものを挙げるこ
とができる。また、同様な組成で、A1−αBO3−δ
で表されるAサイト欠損型のペロブスカイト複合酸化物
であってもよい。
【0069】以上、主に固体電解質型燃料電池について
述べたが、本実施の形態に係る電極材料は、固体電解質
型ガスセンサの電極材料として使用することもできる。
【0070】この場合は、低温作動性が確保できるとと
もに、耐熱性、耐久性を向上させることができる。特
に、固体電解質型燃料電池の場合と同様に、固体電解質
材料としてLa−Ga系ペロブスカイト複合酸化物材料
を使用する場合は、作動温度を低温化できる。よって、
例えばエンジンのコールドスタート時からのエンジン制
御に使用できる車載用酸素センサを提供できる。また固
体電解質材料にもAサイト欠損型のLa−Ga系ペロブ
スカイト複合酸化物材料を使用すれば、センサーの耐熱
性、耐久性を確保できる。
【0071】なお、本実施の形態に係るAサイト欠損型
ペロブスカイト複合酸化物電極材料の製造方法は、各構
成元素の酸化物材料を混合し、合成(仮焼)、本焼工程
を経た後、粉砕して粉末化して得ることができる。例え
ばこの粉末をペースト化して固体電解質表面に塗布し、
焼付ければよい。具体的な温度等の条件は、以下に述べ
る実施例1の条件を用いることができる。
【0072】また、上述する固体電解質も、同様な条件
を用いて作製できるが、この場合は、例えば、各構成元
素の酸化物材料を混合し、1100℃〜1200℃で合
成(仮焼)した後、粉砕する。この後、金型を用いて所
定形状に圧紛成形し、さらに大気中で1300℃〜16
00℃で焼成する。なお、仮焼工程までを終えた電極材
料を固体成形後の固体電解質上に塗布し、電極材と固体
電解質の本焼工程を一緒に行っても良い。
【0073】
【実施例】以下、実施例について説明する。実施例で
は、特に本実施の形態の電極材料を使用した場合の固体
電解質型燃料電池およびガスセンサの作動温度の低温化
効果および耐久試験後の作動温度を評価し、その耐久性
を確認した。
【0074】(実施例1)(La0.81Sr0.09)(Ga
0.48Mg0.12Co0.4)O3-δで示されるペロブスカイ
ト粉末を、特開平2−74505号公報に記載された方
法と同様の以下の方法により作製した。即ち、平均粒径
約2〜3μmのランタン、ストロンチウム、ガリウム、
マグネシウム及びコバルトの炭酸塩粉末を出発原料とし
て、それぞれモル比でLa:Sr:Ga:Mg:Co=
81:9:48:12:40と成るように加え、ボール
ミルで粉砕混合した。粉砕後、混合粉の平均粒径約1μ
mとした。得られた混合物100重量部に対してクエン
酸約64重量部及び純水400重量部を加え、60±5
℃で反応させた。反応が終了した後、得られたスラリー
を120℃で脱水して複合クエン酸塩を得た。得られた
複合クエン酸塩を1000℃で10時間大気中仮焼した
後、1450℃で6時間本焼成を行い、La0.81Sr0.
09Ga0.48Mg0.12Co0.4O3-δ複合酸化物粉末を作
製した。
【0075】尚、以下の実施例及び比較例においても、
特に断らない限り、出発原料である炭酸塩の種類や混合
比を変更した他は、実施例1と全く同様な方法によりペ
ロブスカイト複合酸化物粉末を作製した。
【0076】(実施例2)(La0.81Sr0.09)(Ga
0.48Mg0.12Fe0.4)O3-δで示されるペロブスカイ
ト粉末を実施例1と同様の条件を用いて作製した。ただ
し、鉄の出発原料として水酸化物を用いた。
【0077】(実施例3)(La0.81Sr0.09)(Ga
0.54Mg0.06Ni0.4)O3-δで示されるペロブスカイ
ト粉末を実施例1と同様の条件を用いて作製した。
【0078】(実施例4)(La0.81Sr0.09)(Ga
0.54Mg0.06Cu0.4)O3-δで示されるペロブスカイ
ト粉末を実施例1と同様の条件を用いて作製した。
【0079】(実施例5)(La0.81Sr0.09)(Ga
0.48Al0.12Co0.4)O3-δで示されるペロブスカイ
ト粉末を実施例1と同様の条件を用いて作製した。ただ
し、アルミニウムの出発原料として水酸化物を用いた。
【0080】(実施例6)(La0.81Sr0.09)(Ga
0.48Mg0.12Mn0.4)O3-δで示されるペロブスカイ
ト粉末を実施例1と同様の条件を用いて作製した。
【0081】(実施例7)(Pr0.81Ca0.09)(Ga
0.48Mg0.12Co0.4)O3-δで示されるペロブスカイ
ト粉末を実施例1と同様の条件を用いて作製した。ただ
し、プラセオジウムの出発原料として水酸化物を用い
た。
【0082】(実施例8)(Nd0.81Ba0.09)(Ga
0.48Mg0.12Co0.4)O3-δで示されるペロブスカイ
ト粉末を実施例1と同様な条件で作製した。
【0083】(実施例9)(La0.81Sr0.09)(Ga
0.48Mg0.12Co0.4)O3-δで示されるペロブスカイ
ト粉末を実施例1と同様な条件で作製した。更に、この
粉末100重量部に対して実施例1と全く同様な条件で
作製した(La0.9Sr0.1)(Ga0.8Mg0. 2)O3-
δで示されるペロブスカイト粉末を5重量部を加え、混
合した。
【0084】(実施例10)(La0.81Sr0.09)(G
a0.48Mg0.12Mn0.4)O3-δで示されるでペロブス
カイト粉末を実施例1と同様の条件で作製した。更に、
この粉末100重量部に対して実施例1と全く同様の条
件で作製した(La0.9Sr0.1)(Ga0.8Mg0. 2)
O3-δで示されるペロブスカイト粉末を5重量部を加
え、混合した。
【0085】(比較例1)(La0.9Sr0.1)(Ga0.
48Mg0.12Co0.4)O3-δで示されるAサイトが欠損
していないペロブスカイト粉末を実施例1と同様の条件
で作製した。
【0086】(比較例2)(La0.81Sr0.09)(Ga
0.8Mg0.2)O3-δで示されるペロブスカイト粉末を実
施例1と同様の条件で作製した。
【0087】(比較例3)(La0.9Sr0.1)(Ga0.
4Mg0.1Co0.5)O3-δで示されるAサイトが欠損し
ていないペロブスカイト粉末を実施例1と同様の条件で
作製した。
【0088】(比較例4)(La0.8Sr0.2)(Ga0.4
8Mg0.12Mn0.4)O3-δで示されるAサイトが欠損し
ていないペロブスカイト粉末を実施例1と同様の条件で
作製した。
【0089】(比較例5)(La0.64Sr0.16)(Ga
0.48Mg0.12Mn0.4)O3-δで示されるペロブスカイ
ト粉末を実施例1と同様の条件で作製した。
【0090】(比較例6)(La0.9)(Ga0.48Mg0.
12Co0.4)O3-δで示されるペロブスカイト粉末を実
施例1と同様の条件で作製した。
【0091】(比較例7)(La0.675Sr0.225)(G
a0.48Mg0.12Co0.4)O3-δで示されるペロブスカ
イト粉末を実施例1と同様の条件で作製した。
【0092】(比較例8)(La0.81Sr0.09)(Ga
0.6Co0.4)O3-δで示されるペロブスカイト粉末を実
施例1と同様の条件で作製した。
【0093】(比較例9)(La0.81Sr0.09)(Ga
0.42Mg0.18Co0.4)O3-δで示されるペロブスカイ
ト粉末を実施例1と同様の条件でにして作製した。
【0094】(比較例10)(La0.9Sr0.1)(Ga0.
48Mg0.12Co0.4)O3-δで示されるAサイトが欠損
しないペロブスカイト粉末を実施例1と同様の条件で作
製した。更に、この粉末100重量部に対して実施例1
と全く同様にして製造したAサイトが欠損しない(La
0.9Sr0.1)(Ga0.8Mg0. 2)O3-δで示されるペ
ロブスカイト粉末を5重量部を加え、混合した。
【0095】[試験例]実施例1〜8及び比較例1〜9で
得られたペロブスカイト粉末の電極材料としての特性を
評価するための評価用セルを作製した。
【0096】図5に、使用した評価用セルの構造を示
す。同図に示すように、板状のLa−Ga−O系固体電
解質((La0.9Sr0.1)(Ga0.8Mg0. 2)O3-
δ)の両面に各実施例、比較例のペロブスカイト粉末を
焼き付けて評価用電気化学セルを作製し、起電力の測定
を行った。
【0097】実施例もしくは比較例の各ペロブスカイト
複合酸化物電極と上記固体電解質における起電力が、N
ernstの式による理論起電力に一致する温度を素子
の作動開始温度TNe(℃)とし、このTNe(℃)を用い
て、電極としてペロブスカイトの特性評価を行なった。
以下に、具体的な評価方法及び条件を示す。
【0098】[起電力測定評価方法] 1)評価試料の作製 図5に示した評価用電気化学セルは、次の方法で作製し
た。
【0099】(1)実施例、比較例の各ペロブスカイト
粉末とテレピン油を適度に混合しペーストを作製した。
【0100】(2)このペーストを固体電解質に塗布
し、乾燥した。
【0101】(3)電極を850℃1時間大気中で加熱
処理により焼き付けた。
【0102】2)特性評価条件 基準極に20%O2 −N2atmの酸素を流し、測定極側
に100N2 ガスを流した時の起電力を測定し、特性評
価を行なった。
【0103】3)測定セルの耐久試験は、大気中100
0℃又は1200℃、2時間アニールすることにより行
なった。
【0104】[結果] 1)実施例1〜8及び比較例1〜9 図2,図3の表に示すように、実施例1〜8に示すAサ
イト欠損型ペロブスカイト複合酸化物電極材料を使用し
た場合は、耐久試験後の作動開始温度がいずれも400
℃を下回っており、ガスセンサや固体電解質型燃料電池
として使用した場合に、高い耐久性を有し、作動温度の
低温化が可能であることを示唆している。
【0105】具体的には、例えば、実施例1(α=0.
1)と比較例1(α=0)或いは、実施例6(α=0.
125)と比較例4(α=0)を比較するとわかるよう
に、Aサイトを欠損させた実施例1および6の電極材料
を使用した場合は、Aサイトを欠損させない同組成の電
極材料を使用した場合に比較し、耐久試験後の作動温度
を明らかに低温で維持することができた。ただし、比較
例5(α=0.2)に示すように、欠損量αが0.2を
超えると耐久試験後の作動開始温度は400℃を超え
た。
【0106】また、実施例1と比較例6の比較で明らか
なように、AサイトのLaの一部をSrで置換すること
により、耐久試験後の作動温度は低下できた。
【0107】さらに、実施例1と比較例8の比較より明
らかなように、BサイトのGaの一部をMgで置換する
ことにより耐久試験後の作動温度は大幅に低下した。
【0108】なお、実施例7,8に示すように、Aサイ
トの主たる元素は、Laのみならず、PrあるいはNd
等の他の希土類元素を使用する場合にも、同様に低い作
動温度を確保できた。
【0109】2)実施例9,10及び比較例10図4の
表中の実施例9、10に示すように、実施例のAサイト
欠損型のペロブスカイト電極材料100重量部に対し、
高イオン伝導性を示すAサイト欠損型でないペロブスカ
イト複合酸化物La0.9Sr0.1Ga0.8Mg0. 2O3-δ
を5重量部添加した電極材料を用いた場合は、単独の電
極材料を使用した場合に比較し、耐久試験後の作動温度
をさらに低温化することができた。
【0110】なお、比較例10に示すように、Aサイト
欠損型でないペロブスカイト電極材料を主材として用
い、実施例9および実施例10と同種の添加材を加えた
場合は耐久試験後の作動温度の低温化効果は認められな
かった。
【0111】以上、本発明の内容について、実施の形態
および実施例に沿って説明したが、本発明は、これらの
説明に限定されるものではなく、種々の改良や置換が可
能であることは当業者には自明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】固体電解質型燃料電池の構成例を示す図であ
る。
【図2】実施例1〜8の電極材料の組成とこの電極材料
を使用した場合の評価用電気化学セルの耐久試験後の作
動温度を示す表である。
【図3】比較例1〜9の電極材料の組成とこの電極材料
を使用した場合の評価用電気化学セルの耐久試験後の作
動温度を示す表である。
【図4】実施例9,10および比較例10の電極材料の
組成とこの電極材料を使用した場合の評価用電気化学セ
ルの耐久試験後の作動温度を示す表である。
【図5】実施例および比較例の評価に使用した評価セル
の構成を示す図である。
【符号の説明】
10a: 空気極 20: 固体電解質 10b: 燃料極 30: セパレータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C01G 53/00 C01G 53/00 A H01B 1/08 H01B 1/08 H01M 8/12 H01M 8/12 (72)発明者 秦野 正治 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 Fターム(参考) 4G002 AA06 AA08 AA09 AB02 AE05 4G048 AA05 AB01 AB02 AB05 AC06 AC08 AD03 AE05 5G301 CA02 CD04 5H018 AA06 AS02 AS03 BB01 BB06 BB08 BB11 BB12 CC06 EE13 HH00 HH01 HH05 HH08 HH09 HH10 5H026 AA06 BB01 BB03 BB04 BB06 BB08 EE13 HH00 HH01 HH05 HH08 HH09 HH10

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式A1-αBO3−δで表されるAサ
    イト欠損型のペロブスカイト複合酸化物であって、 前記一般式が(A′1-x A″x1-α ((B′1-y
    B″y1-ββ)O3 で表わされ、 前記A′は、希土類元素から選ばれた少なくとも1種の
    元素、 前記A″は、Ba、Sr及びCaから成る群から選ばれ
    た少なくとも1種の元素、 前記B′は、Ga、 前記B″及びCは、Mg、Co、Mn、Fe、Ni、C
    u及びAlから成る群から選ばれた少なくとも1種の元
    素である、 Aサイト欠損型ペロブスカイト複合酸化物を含有する電
    極材料。
  2. 【請求項2】 前記A′は、La、Pr、Nd及びYか
    ら成る群から選ばれた少なくとも1種の元素、 前記B''は、Mg、 前記Cは、Co、Mn、Fe、Ni、Cu及びAlから
    成る群から選ばれた少なくとも1種の元素である、請求
    項1に記載のAサイト欠損型ペロブスカイト複合酸化物
    を含有する電極材料。
  3. 【請求項3】 前記各x、y、α、β、δは、それぞれ
    以下の範囲を満たす、 0<x<0.25、 0<y<0.3、 0<α<0.15、 0<β<0.5、 0≦δ≦0.
    5 請求項1または2に記載のAサイト欠損型ペロブスカイ
    ト複合酸化物を含有する電極材料。
  4. 【請求項4】 さらに、前記Aサイト欠損型ペロブスカ
    イト複合酸化物100重量部に対し、少なくとも一部の
    組成が異なる別のぺロブスカイト複合酸化物を2〜20
    重量部混合添加させたことを特徴とする請求項1から請
    求項3のいずれか一に記載の電極材料。
  5. 【請求項5】 請求項1〜請求項4に記載のいずれかの
    電極材料を使用した空気極もしくは燃料極を有する固体
    電解質型燃料電池。
  6. 【請求項6】 さらに、一般式ABO3−δで表され、
    Bサイトに少なくともGaを含むガレート複合酸化物を
    用いた固体電解質を有する請求項5に記載の固体電解質
    型燃料電池。
  7. 【請求項7】 さらに、一般式A1-αBO3−δで表さ
    れ、Bサイトに少なくともGaを含むAサイト欠損型ガ
    レート複合酸化物を用いた固体電解質を有する請求項5
    に記載の固体電解質型燃料電池。
  8. 【請求項8】 請求項1〜請求項4に記載のいずれかの
    電極材料を使用した電極を有する固体電解質型ガスセン
    サ。
  9. 【請求項9】 さらに、一般式ABO3−δで表され、
    Bサイトに少なくともGaを含むガレート複合酸化物を
    用いた固体電解質を有する請求項8に記載の固体電解質
    型ガスセンサ。
  10. 【請求項10】 さらに、一般式A1-αBO3−δで表
    され、Bサイトに少なくともGaを含むAサイト欠損型
    ガレート複合酸化物を用いた固体電解質を有する請求項
    8に記載の固体電解質型ガスセンサ。
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