JP2003007105A - 防曇コート膜付き車両用レンズの製造方法 - Google Patents
防曇コート膜付き車両用レンズの製造方法Info
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Abstract
マスキング治具にも塗付され、その塗料が治具表面に垂
れても、レンズの防曇コート膜形成面に付着し悪影響を
与えない防曇コート膜付き車両用レンズの製造方法を提
供する。 【解決手段】 車両用レンズ18に防曇コート膜を形成
する場合レンズの膜形成面を下にして塗装用治具24に
セットして、塗料の吹き出し方向をレンズの下から上方
向にする。また、塗装用治具を上側に開口部を持つ箱体
とし、その開口部にレンズが覆われるようにセットし、
箱体の内部の小空間を低湿度に空調管理するようにす
る。また、塗装用治具をレンズを受ける機能と防曇コー
ト膜27をレンズの必要なエリアに形成するためのマス
キング機能を合わせ持つようにする。また、塗装用治具
にレンズがセットされた時にレンズの外側にハードコー
ト膜29を形成するための塗装を実施可能とする。
Description
方法に関し、詳しくは車両用レンズに被覆される防曇コ
ート膜の形成方法に関するものである。
には灯具が曇らないようにレンズの灯室側に防曇コート
膜が被覆されている。その膜の形成方法はレンズの灯室
側、即ちランプが配置される側に防曇コート膜塗料が塗
付され、乾燥されて防曇コート膜が形成される。
明するための斜視図で、10は塗装室(点線で囲まれて
いる室)、11は塗装用ロボット、12はそのロボット
の先端に設けられている塗装ガン、このガンから塗料が
霧状に吹き出す。13は搬送機構で、この搬送機構によ
り14で示すようにレンズが塗装治具にセットされて搬
送されてくる。
防曇コート膜塗料を吹き付ける。15は塗装で発生する
霧状の不要な塗料(ミストと呼ばれる)を集めるブース
である。そのため、ブースは塗装室の空気を常時吸引し
て塗装室内をクリーンに保っている。16は制御装置で
ロボットの制御及び塗装室の空調が管理される。尚、塗
装室の空間は通常14m3程度である。
けられる塗装工程を示し、レンズがレンズ受け治具にセ
ットされ、そのレンズにマスキング治具がセットされた
時の断面図を示している。17はレンズ受け治具でこの
治具に防曇コート膜が形成されるレンズがセットされ
る。18は前記レンズ、19はマスキング治具で、防曇
コート膜が形成されるエリアを限定するための治具であ
る。
ンズに塗付される際にマスキング治具にも塗付され、そ
の塗料が治具表面を垂れて、レンズの防曇コート膜形成
面に付着する。この塗料の垂れは塗料がマスキング治具
に何度も吹き付けられた場合に発生するもので、通常は
治具表面から塗料が垂れる前に治具を清掃するとか或い
は治具を交換するなどして対応している。このような対
応が行われない時に垂れが発生する。21は塗装ガン、
22は防曇コート膜塗料で霧状に吹き出される。そし
て、23は防曇コート膜が形成される面である。
れ乾燥されて完成するが、レンズに塗料が吹き付けられ
る際に低湿度の環境で吹き付けられる必要がある。この
点について説明する。
は必ず低湿度に管理されている。それは防曇コート膜塗
料でレンズを塗装した場合、塗料中の溶剤が蒸発し、そ
の時に発生する気化熱により熱が奪われ、塗装膜表面の
温度が低下する。この状態で塗装室内の湿度が所定値以
上になっていると、塗装膜中に空気中の水分が混入し、
溶解しているポリマーを凝集させ、そのポリマーの凝集
により塗装面の外観が白化状態となるからである。
の図で、横軸が温度。縦軸が相対湿度を示している。1
5〜35℃の範囲において、湿度は斜線で示した範囲に
管理されるのが望ましいとされる。尚、この斜線部で2
7〜35℃の範囲は曲線より下側になっている。この曲
線は絶対湿度で1m3あたり18gの水が含まれる曲線
である。
防曇コート膜が形成され、レンズの外側にはレンズ表面
に傷が付かないようにハードコート膜が形成される。こ
のハードコート膜が形成される製造工程は次のように行
われる。樹脂成形されたレンズにアニーリング工程でひ
ずみが除去され、洗浄工程で洗浄された後、レンズ表面
にハードコート膜を形成するためにレンズ受け治具にレ
ンズがセットされ、図2で示した塗装室に搬送され、そ
のレンズに対して塗装ガンにより、レンズ表面にハード
コート膜塗料が塗付され、予備乾燥で溶剤を蒸発させた
後、UV硬化処理が施されレンズ表面にハードコート膜
が完成する。
ことで膜が完成するタイプの他に、加熱することで膜が
完成するタイプがあり、この場合はUV処理の代わりに
加熱処理が行われる。
コート膜を形成する場合にどちらの工程を先にしても問
題ないが、一般にはハードコート膜が形成された後に防
曇コート膜が形成される。
来の膜形成方法では次のような課題が生じる。第一に防
曇コート膜塗料が塗装面に塗付される時にマスキング治
具にも塗付され、その塗料が治具表面に垂れて、レンズ
の防曇コート膜形成面に付着し悪影響を与える。
する必要があるため、塗装室内は空調設備、除湿装置な
どにより低湿度に管理される。そのため塗装室という大
空間を空調する設備が必要になり、設備費用が高価とな
る。
を形成する場合に各々の工程が必要であり、そのため専
用の塗装室、及び、治具、乾燥炉、空調設備、制御装置
等の関連した設備が必要になる。また、両工程にレンズ
を搬送するための搬送機構およびレンズの表面(外側)
にハードコート膜を形成し、裏面(内側)に防曇コート
膜を形成するためにレンズの表裏を反転させる設備も必
要である。
課題を解決するために次のように構成したものである。
する方法であって、前記レンズが前記膜形成面を下にし
て塗装用治具にセットされ、前記膜形成用塗料の吹き出
し方向を前記レンズの下から上方向にした。
ート膜を形成する方法において、塗装用治具は上側に開
口部を持つ箱体とし、その開口部に前記レンズが覆われ
るようにセットされ、前記箱体の内部を低湿度に空調管
理するようにした。
ンズの防曇コート膜の形成方法において、塗装用治具が
レンズを受ける機能と防曇コート膜をレンズの必要なエ
リアに形成するためのマスキング機能を合わせ持つよう
にした。
ンズの防曇コート膜の形成方法において、塗装用治具に
レンズがセットされ、そのレンズの外側にハードコート
膜を形成するための塗装を実施可能とした。
ンズの防曇コート膜の形成方法において、塗装用治具に
レンズがセットされ、そのレンズの内側に防曇コート膜
塗料が塗付され、外側にハードコート膜塗料が塗付され
た後、レンズが乾燥工程に搬送され、両方の膜が同時に
乾燥されるようにした。
覆する膜の形成方法を説明するための図で、レンズに防
曇コート膜塗料を塗付するためにレンズを塗装用治具に
セットした時の断面図である。
びマスキング治具を兼用した治具で箱型形状をしてい
る。この箱型形状治具は上部に開口部が設けられ、18
で示すレンズがこの開口部全面を覆うように配置されて
いる。そして、このレンズの上面がレンズの外側で、レ
ンズの下面がレンズの内側で、この内側に27で示す防
曇コート膜が形成される。
するために26で示す塗装機の塗装ガンが設けられ、レ
ンズの上側空間にはハードコート膜29を形成するため
のハードコート膜用塗装機の塗装ガン28が設けられて
いる。そして、箱型形状治具には25で示すマスキング
部が設けられていて、治具の側面には吸気口30及び排
気口31が設けられている。尚、空気中には糸屑などの
ゴミがあり、このゴミが治具内部に入らないように吸気
口、排気口にはフィルターが配置されている。
ついて順に説明する。最初にマスキング部の塗料の垂れ
について説明する。防曇コート膜を形成するための塗料
がレンズの内側に塗装ガンにより上方向に吹き付けられ
る。その際マスキング部にも塗料が吹き付けられ、塗料
の垂れが生じた場合でも、治具の表面を伝わって上から
下方向に垂れるので塗装面に付着することがないので、
従来のように悪影響を与えることがなく、安定した品質
を維持できることに加えて、治具洗浄の頻度を減らすこ
とが可能である。
塗料をレンズに吹き付ける時、前記したように、レンズ
周辺の湿度を低湿度にする必要があるため、本発明の方
法でも治具内部の湿度を低湿度に保つようにしている。
そのため低湿度の空気を吸気口30から治具内部に導
き、排気口31から排気している。このようにして箱型
形状治具の内部の湿度が低湿度に管理されている。
本発明の方法では箱型形状の治具内部を空調管理すれば
よいことになり、即ち、レンズの投影面積ほどの面積に
直動式塗装ガンが動作できる範囲の高さとする空間であ
ればよいことになる。そして、箱型形状の治具の上側、
即ち、開口部にレンズがセットされ、覆われるので治具
の内側空間がよりクローズした空間となる。
調すればよいので、空調設備が小型で充分であり設備が
安価となる。また、空調のランニング費用も大幅に削減
できる。前記小空間は0.1m3程度であり、空調の流
量としては従来は250m3/分であったが、本発明の
方法では10m3/分と大幅に低減できる。
両方の膜を形成する場合について説明する。ハードコー
ト用塗装ガンと防曇コート用塗装ガンをレンズの両側
(内側および外側)に配置するようにしたので、両膜の
塗装を同時に行うことができる。また、両工程で使用す
る治具を一つにすることができるため、治具コストの削
減は勿論のこと、レンズの搬送および反転作業も不要と
なる。
あるが、この乾燥工程について説明する。ハードコート
膜は塗装された後、65〜80℃の温度で10分程度予
備乾燥され、UV硬化処理されて膜が完成する。防曇コ
ート膜は塗装された後、60℃で5分程度乾燥されて膜
が完成する。乾燥条件を比較すると防曇コート膜の乾燥
条件がハードコート膜の乾燥条件に含まれることになる
ため、ハードコート膜の乾燥条件でレンズを乾燥させれ
ば防曇コート膜の乾燥も同時に行えることになり、防曇
コート膜の乾燥工程が省略できる。
を加えることにより硬化する熱硬化型の他に紫外線を照
射することにより硬化するUV硬化型もある。この場合
の硬化条件は予備乾燥が60〜70℃で2〜5分、UV
照射量で1000〜1500mJ/cm2である。防曇
コート膜がUV硬化型であっても、ハードコート膜を形
成するための予備乾燥条件(60〜85℃で2〜10
分)およびUV硬化処理条件(UV照射量で1000〜
2000mJ/cm2)で充分硬化可能である。
ト膜および防曇コート膜を形成する場合に両膜を同時に
形成してもよく、先にハードコート膜を形成し、その後
で防曇コート膜を形成してもよい。或いはその逆でもよ
いことは言うまでもない。
れば防曇コート膜塗料を膜形成面に塗布する時にマスキ
ング部にも塗布されるが、塗装ガンの塗料吹き出し方法
を下から上方向にしているので、マスキング部に塗料の
垂れが生じても膜形成面には付着せず悪影響を与えるこ
とはない。
塗布する必要があるが、低湿度に保つ空間が従来は塗装
室のため大空間であり大設備を必要としたが、本発明の
方法では塗装用治具内部を低湿度に保てばよいので小設
備でよく安価である。また、ランニングコストも安価と
なる。
の外側にハードコート膜を形成するが、このような時従
来は防曇コート膜形成工程およびハードコート膜形成工
程が必要なため、それぞれに専用の塗装室、及び、治
具、乾燥炉、空調設備、制御装置等の関連した設備が必
要であったが、本発明の方法ではレンズを塗装用治具に
セットして、レンズの両側から膜を形成するための塗装
ができるので、塗装室をはじめ関連する設備を別々に設
ける必要がない。また、両工程にレンズを搬送するため
の搬送設備、および、レンズの表裏を反転させるための
設備も不要になる。
同時形成可能な箱型形状治具にレンズをセットした時の
断面図
装室の斜視図
塗装用治具にセットした時の断面図
の図
時に形成可能な箱型形状治具 25 マスキング部 26 防曇コート膜用塗装ガン 27 防曇コート膜 28 ハードコート膜用塗装ガン 29 ハードコート膜 30 吸入口 31 排気口
Claims (5)
- 【請求項1】 車両用レンズに防曇コート膜を形成する
方法であって、前記レンズが前記膜形成面を下にして塗
装用治具にセットされ、前記膜形成用塗料の吹き出し方
向を前記レンズの下から上方向にしたことを特徴とする
車両用レンズの防曇コート膜の形成方法。 - 【請求項2】 塗装用治具は上側に開口部を持つ箱体と
し、その開口部に前記レンズが覆われるようにセットさ
れ、前記箱体の内部を低湿度に空調管理するようにした
ことを特徴とする1項記載の車両用レンズの防曇コート
膜の形成方法。 - 【請求項3】 塗装用治具がレンズを受ける機能と防曇
コート膜をレンズの必要なエリアに形成するためのマス
キング機能を合わせ持つようにしたことを特徴とする1
ないし2項記載の車両用レンズの防曇コート膜の形成方
法。 - 【請求項4】 塗装用治具にレンズがセットされ、その
レンズの外側にハードコート膜を形成するための塗装を
実施可能としたことを特徴とする1ないし3項記載の車
両用レンズの防曇コート膜の形成方法。 - 【請求項5】 塗装用治具にレンズがセットされ、その
レンズの内側に防曇コート膜塗料が塗付され、外側にハ
ードコート膜塗料が塗付された後、レンズが乾燥工程に
搬送され、両方の膜が同時に乾燥されるようにしたこと
を特徴とする1ないし4項記載の車両用レンズの防曇コ
ート膜の形成方法。
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