JP2003003395A - 湿潤紙力増強剤および抄紙工程における排水中の吸着性有機ハロゲン量の低減方法 - Google Patents

湿潤紙力増強剤および抄紙工程における排水中の吸着性有機ハロゲン量の低減方法

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JP2003003395A
JP2003003395A JP2001190897A JP2001190897A JP2003003395A JP 2003003395 A JP2003003395 A JP 2003003395A JP 2001190897 A JP2001190897 A JP 2001190897A JP 2001190897 A JP2001190897 A JP 2001190897A JP 2003003395 A JP2003003395 A JP 2003003395A
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敏 山本
Yoshifumi Yoshida
義史 吉田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリアミドポリアミン・エピクロ
ロヒドリン樹脂水溶液などの湿潤紙力増強剤を使用する
ような抄紙工程において排出される排水中の吸着性有機
ハロゲン量(AOX)を低減せしめ、しかも、得られる紙
の湿潤紙力が、従来の抄紙方法と同等程度の湿潤紙力を
与える湿潤紙力増強剤を提供する。 【解決手段】 湿潤紙力増強剤に含まれる全塩素
量(湿潤紙力増強剤の固形分を100%とし、該増強剤
に含まれる塩素イオン、有機塩素などのすべての塩素原
子が占める重量%)が、該増強剤の固形分に対して15
%以下であることを特徴とする湿潤紙力増強剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紙の抄紙工程にお
いて排出される排水中の吸着性有機ハロゲン量を低減せ
しめる湿潤紙力増強剤、および、該増強剤を用いること
を特徴とする、抄紙工程における排水中の吸着性有機ハ
ロゲン量の低減方法に関する。
【0002】
【従来の技術】紙を湿潤した際の紙力を向上せしめるた
めに、ポリアミドポリアミン・エピハロヒドリン樹脂等
を含有する湿潤紙力増強剤を抄紙工程に用いることが、
特開昭56-34729号公報、特開平8-231712号公報、特開平
9-278880号公報等に開示されている。一方、製紙工業に
おいては、排出される排水中の吸着性有機ハロゲン量
(以下、AOXという)を1.5 kg/t(パルプ固形分)程度、
すなわち、パルプ固形分1部に対して5300部の水を使用
した場合、排水1L中に AOX が 260 μg 程度まで低減
することが求められている。ここでAOXとは、試料を活
性炭で吸着させ、該活性炭を燃焼させて生じる塩素イオ
ンを電位差滴定法によって求める値である(AOXについ
ては、紙パルプ技術タイムス(3),p29-44(1991)に説明
されている)。そして、排水中のAOXを高める原因が、
パルプ漂白工程で生成する化合物や、抄紙工程で湿潤紙
力増強剤を使用するためであることも知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】最近、環境意識の高ま
りとともに、さらにAOXを低減することが求められてお
り、例えば、抄紙工程において、パルプ固形分1部に対
して湿潤紙力増強剤を0.01部および水を5300部使用する
抄紙工程において排出される排水中に、50μg/L(排
水)未満までAOXを低減する目標などが掲げられてい
る。しかしながら、湿潤紙力増強剤の使用量を低減して
抄紙すると、排水中のAOXは低減されるものの、得られ
る紙の湿潤紙力が低下してしまうという問題点があっ
た。本発明の目的は、抄紙工程において排出される排水
中のAOXを低減せしめ、しかも、得られる紙の湿潤紙力
が、従来の抄紙方法と同等程度の湿潤紙力を与える湿潤
紙力増強剤を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、かかる課題を解決し得る湿潤紙力増強剤を見
出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、湿潤紙
力増強剤に含まれる全塩素量が、該増強剤の固形分に対
して15%以下である湿潤紙力増強剤を使用することを
特徴とする湿潤紙力増強剤である。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明は、湿潤紙力増強剤に含まれる全塩素量
が、該増強剤の固形分中15%以下であることを特徴と
する湿潤紙力増強剤である。また、全塩素量が、該増強
剤の固形分中12%以下であると、パルプ固形分1部に
対して水を5300部使用し、湿潤紙力増強剤を0.02部使用
しても、抄紙工程において、AOX が 50μg/L(排水)
未満しか生じないことから好ましい。ここで、全塩素量
とは、湿潤紙力増強剤の固形分を100%とし、該増強
剤に含まれる塩素イオン、有機塩素などのすべての塩素
原子が占める重量%であり、具体的には、湿潤紙力増強
剤を燃焼し、得られた燃焼ガスおよび残渣をすべて水に
溶解し、その水の塩素イオンを電位差滴定により定量す
ることで求めることができる。0
【0006】本発明の湿潤紙力増強剤は、通常、ポリア
ミドポリアミン・エピハロヒドリン樹脂等を含有する。
ポリアミドポリアミン・エピハロヒドリン樹脂として
は、例えば、ジカルボン酸類およびポリアルキレンポリ
アミンを含有するポリアミドにエピクロロヒドリンなど
のエピハロヒドリンを反応せしめたものなどが挙げられ
る。ポリアミドポリアミン・エピハロヒドリン樹脂の製
造方法としては、例えば、特開昭56-34729号公報、特開
平8-278880号公報、特開平9-278880号公報に記載の方法
などが挙げられる。また、得られたポリアミドポリアミ
ン・エピハロヒドリン樹脂を特表平11-504966号公報、
特願2000-272874号公報に記載された方法に準じて、硫
酸ジメチル、塩化メチル、臭化メチル、塩化エチル、プ
ロピレンオキサイドなどのアルキル化剤を反応せしめて
得られるポリアミドポリアミン・エピハロヒドリン樹脂
も、本発明の湿潤紙力増強剤である。
【0007】ポリアミドポリアミン・エピハロヒドリン
樹脂水溶液を有効成分とする湿潤紙力増強剤において、
該増強剤に含まれる全塩素量が、該増強剤の固形分中1
5%を超える場合には、例えば、イオン交換樹脂を用い
て、ポリアミドポリアミン・エピハロヒドリン樹脂の粗
水溶液に含まれる塩素含有成分を吸着したり、ポリアミ
ドポリアミン・エピハロヒドリン樹脂の粗水溶液を透析
および浸透現象を利用した半透膜を用いて塩素含有成分
を膜分離することにより、湿潤紙力増強剤に含まれる全
塩素量を15%以下に低減せしめることができる。中で
も膜分離する方法が全塩素量を容易に12%以下程度に
低減せしめることから好ましい。ここで、塩素含有成分
とは、前記の全塩素量として測定され得る化合物であ
り、具体的には、塩素イオン(Cl-)、エピクロロヒド
リン、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、ポリアミ
ドポリアミンとエピクロロヒドリンが反応して得られる
クロルヒドリン体(-CH(OH)-CH2Cl)等が挙げられる。
【0008】以下に膜分離する方法について詳細に説明
する。透析現象を利用した膜分離としては、例えば、半
透膜として透析膜を使用し、その膜の両側の濃度差を推
進力として塩素含有成分を分離する透析法や、半透膜と
してイオン交換膜を使用し、その膜の両側に電位差を印
加してイオン交換膜の両側の濃度差を生じせしめ、塩素
含有成分を分離する電気透析法などが挙げられる。透析
法としては、例えば、ポリアミドポリアミン・エピハロ
ヒドリン樹脂の粗水溶液の透析膜を介して反対側に水な
どを存在させて塩素含有成分を水側に透析せしめる方
法、ポリアミドポリアミン・エピハロヒドリン樹脂の粗
水溶液に水を加えて透析膜を経て塩素含有成分を排出せ
しめる方法などが挙げられる。
【0009】浸透現象を利用した膜分離としては、例え
ば、半透膜としてナノ濾過膜、逆浸透膜、限外濾過膜な
どを使用し、その膜の片側に加圧して塩素含有成分を分
離する逆浸透法や限外濾過法などが挙げられる。ここ
で、加える圧力としては、通常、約5MPa 以下程度であ
り、中でも0.1〜3MPa程度が好適である。この際、ポ
リアミドポリアミン・エピハロヒドリン樹脂の粗水溶液
の固形分濃度は、通常、1〜50%程度である。また、
低分子量成分とともに、半透膜から水を排出して水溶液
の固形分濃度を上昇せしめてもよい。
【0010】ポリアミドポリアミン・エピハロヒドリン
樹脂を膜分離する際に、水を添加しても良く、とりわ
け、水を連続的に添加して膜分離する方法が好適であ
る。ここで添加する水の量としては、通常、ポリアミド
ポリアミン・エピハロヒドリン樹脂水溶液の合計重量に
対して約10倍以下程度、好ましくは5倍以下程度であ
る。添加する水の量が10倍以下であると膜分離の所要
時間が短くなる傾向があり好ましい。また、水を連続的
に添加して膜分離する方法において、処理中のポリアミ
ドポリアミン・エピハロヒドリン樹脂水溶液の固形分濃
度を、通常、約5〜50重量%程度、中でも、約10〜
30重量%程度になるように水の添加速度を調整するこ
とが好ましい。該固形分濃度が50重量%を下回ると、
ポリアミドポリアミン・エピハロヒドリン樹脂水溶液の
粘度が低くなって塩素含有成分の低減速度が向上する傾
向があるので好ましい。また、該固形分濃度が5重量%
を上回っても、塩素含有成分の低減速度が向上する傾向
があるので好ましい。
【0011】膜分離に使用される半透膜は、通常、天
然、合成、半合成などの高分子材料等が使用され、具体
的には、セルロース、アセチル化セルロース、ポリプロ
ピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリフ
ッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアル
コール、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホ
ン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミドな
どが例示される。中でも、ポリアクリロニトリル、ポリ
フッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホ
ン、ポリアミド、ポリイミドなどが好ましい。半透膜の
構造としては、例えば、非対称形・多孔質相転換膜、非
対称相転換膜、複合膜、延伸膜などが挙げられる。
【0012】半透膜の分画分子量としては、通常、2,00
0〜100,000 程度であり、中でも3,000〜50,000 程度が
好ましく、とりわけ5,000〜20,000 程度が好適である。
半透膜の分画分子量が2,000以上の場合には、全塩素量
の低減速度が向上する傾向にあるので好ましく、半透膜
の分画分子量が100,000を下回る場合には、ポリアミド
ポリアミン・エピハロヒドリン樹脂の収率が向上する傾
向にあり好ましい。
【0013】膜分離は、通常、10〜70℃程度、好ま
しくは20〜60℃の温度で実施される。膜分離の温度
が10℃以上であると、塩素含有成分の低減速度が向上
する傾向があるので好ましく、温度が70℃を下回る
と、得られる湿潤紙力増強剤のゲル化が起こりにくく湿
潤紙力性能が向上する傾向があるので好ましい。膜分離
装置の形状は、特に制限されるものでなく、公知の各種
膜分離装置を使用することができる。
【0014】かくして得られたポリアミドポリアミン・
エピハロヒドリン樹脂の水溶液は、通常、5〜50重量
%程度の固形分濃度であり、必要に応じて、希釈、蒸発
濃縮又は膜分離による濃縮を実施して、通常、10〜4
0重量%程度に調製する。蒸発濃縮は、常圧下あるいは
減圧下でも行うことができるが、好ましくは、約1〜5
0kPa程度の減圧下、20〜70℃程度で実施する。膜
分離による濃縮方法としては、前記の膜分離の方法にお
いて、水を添加しない方法と同様に実施すれば良い。さ
らに、ポリアミドポリアミン・エピハロヒドリン樹脂の
水溶液に、必要により、酸、例えば塩酸、硫酸、リン
酸、蟻酸、酢酸などを加えてpH2〜5程度、好ましく
は、pH2.5〜4程度に調整する。
【0015】また、ポリアミドポリアミン・エピハロヒ
ドリン樹脂の粗水溶液を膜分離して得られた透過液に含
有される塩素含有成分が、ポリアミドポリアミン・エピ
ハロヒドリン樹脂の反応原料として使用することができ
る場合には、再び透過液を反応液に混合せしめることに
より、塩素含有成分をポリアミドポリアミン・エピハロ
ヒドリン樹脂の反応原料として再び使用することができ
る。具体的には、透過液をポリアミドポリアミンの溶
液、ポリアミドポリアミンとエピハロヒドリンとの反応
液、あるいはアルキル化剤との反応液に、該透過液を塩
基とともに添加することにより、pH7〜12程度、好
ましくはpH8〜11に調整しながら、反応温度20〜
100℃程度、好ましくは30〜80℃の条件下で約1
〜20時間程度攪拌することにより、塩素含有成分を反
応させることができる。pHを調整するため用いられる
塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物
や、炭酸塩、アンモニア等の無機塩基やメチルアミン、
ブチルアミン、ジメチルアミン、エチレンジアミン、ジ
エチレントリアミン、トリメチルアミン、トリエタノー
ルアミン、ピリジン等のアミン類を用いることができ
る。
【0016】本発明の湿潤紙力増強剤に含まれるAOXと
しては、該増強剤の固形分に対して、通常、6%以下程
度であり、好ましくは、4%以下である。また、該増強
剤に含まれる有機塩素量としては、該増強剤の固形分に
対して、通常、7.5%以下程度であり、好ましくは、
6%以下である。ここで、有機塩素量は、湿潤紙力増強
剤の固形分に対する全塩素量から塩素イオン量を差し引
いた値であり、湿潤紙力増強剤に含まれる塩素イオン量
は、湿潤紙力増強剤に含有する塩素イオン量をイオンク
ロマトで測定して求めた値である。
【0017】本発明の湿潤紙力増強剤を含有せしめるこ
とにより、湿潤紙力に著しく優れた紙を得ることができ
る。紙に湿潤紙力増強剤を含有せしめる方法としては、
例えば、該剤をパルプスラリーに添加する方法、抄紙さ
れた紙にサイズプレス、ゲートロールコーター等を用い
て該剤を含浸加工する方法などが挙げられ、中でも該剤
をパルプスラリーに添加する方法が好適である。湿潤紙
力増強剤の使用量としては、通常、パルプ固形分100
重量部に対して、湿潤紙力増強剤の固形分が0.1〜4
重量部程度であり、好ましくは0.2〜2重量部程度で
ある。
【0018】本発明の紙は、硫酸アルミニウムを用いる
酸性系、または、硫酸アルミニウムを用いない中性系の
いずれのパルプスラリーを用いても良い。また、パルプ
スラリーに対して、強化・非強化ロジン、アルキルケテ
ンダイマー、アルケニルもしくはアルキルコハク酸無水
物などのサイズ剤などを添加しても良い。サイズ剤の添
加方法としては、例えば、パルプスラリーにサイズ剤を
添加した後、湿潤紙力増強剤を添加する方法、湿潤紙力
増強剤を添加した後、サイズ剤を添加する方法、サイズ
剤に湿潤紙力増強剤を希釈して添加する方法などが挙げ
られる。さらに、パルプスラリーにクレー、タルク、炭
酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン等の充填剤;
サイズ定着剤;乾燥紙力増強剤;消泡剤;pH調整剤;
染料;蛍光増白剤等を適宜含有せしめてもよい。また、
製造される紙は、通常、坪量を10〜400g/m3
度である。
【0019】
【実施例】以下に実施例を示して本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらによって限定されるもので
はない。例中の部および%は、特に断らないかぎり重量
基準を意味する。また、粘度はブルックフィールド粘度
計を用いて25℃で測定した値であり、固形分とは、水
などの溶媒を除く成分の重量比率を表す。さらに、水1
000部が水1容量部である。
【0020】(ポリアミドポリアミン・エピクロロヒド
リン樹脂粗水溶液の製造例)温度計、リービッヒ冷却器
および攪拌棒を備えたフラスコに、ジエチレントリアミ
ン103部(2級アミノ基として3.33当量)、水1
0部、アジピン酸138.7部(3.17当量)および
98%硫酸2部を仕込み、水を留出させながら昇温し、
155〜160℃に保温しながら15時間攪拌した。次
に水210部を徐々に加えて、固形分濃度50%、粘度
710mPa・sのポリアミドポリアミンの水溶液を得た。
別のフラスコに、ポリアミドポリアミンの水溶液を12
9部(2級アミノ基として1.0当量)および水53.
3部を仕込み、反応液を25〜35℃に保温しながら、
エピクロロヒドリン33.3部(1.2当量)を4時間
かけて滴下し、さらに同温度を維持しながら4時間攪拌
した。次に、上記の反応液に水60.8部を添加して、
固形分35%に希釈したのち、40℃まで昇温させ、4
0〜60℃でさらに7時間反応させた。その後硫酸にて
pH3.4に調整し、さらに水を加えて固形分15%に
希釈したところ、粘度35mPa・sの粗水溶液が得られ
た。
【0021】(全塩素量の定量)日本薬局方の一般試験
法21.酸素フラスコ燃焼法に準じて行った。
【0022】(塩素イオン量の定量)JIS K010
2に準じて行った。
【0023】(吸着性有機ハロゲン(AOX)量の定量)
紙パルプ技術タイムス(3),p29-44(1991)の記載に準
じ、全有機ハロゲン分析装置TOX−10(三菱化学製)
を使用し、試料中の有機ハロゲンを活性炭に吸着した
後、ハロゲン化水素に変換し、電位差滴定により塩素変
換値で測定した。
【0024】(実施例1)(ポリアミドポリアミン・エ
ピクロロヒドリン樹脂粗水溶液の製造例)で得られた粗
水溶液をそのまま湿潤紙力増強剤として用いた。得られ
た湿潤紙力増強剤の全塩素量および塩化物イオン量は、
該増強剤の固形分に対して、それぞれ14.0%および
6.7%であり、有機塩素量は8.3%と計算された。
また、得られた湿潤紙力増強剤の吸着性有機ハロゲン
(AOX)量は、該増強剤の固形分に対して、4.9%で
あった。
【0025】(実施例2)(ポリアミドポリアミン・エ
ピクロロヒドリン樹脂粗水溶液の製造例)で得られた粗
水溶液2,000部を、ポリエーテルスルホン製、分画分子
量10,000の限外濾過膜を用いて、1MPaの加圧下、室
温にて透過液の排出速度と同じ速度で水を加えながら、
1200部の透過液が排出するように処理した後、上記
と同様の膜を用いて、1MPaの加圧下室温で、930部
の透過液を透過せしめた。その後、硫酸にてpH3.0
に調整し、さらに水を加えて濃度25%に調整したとこ
ろ、粘度105mPa・sの湿潤紙力増強剤が得られた。得
られた湿潤紙力増強剤を50℃で28日間保存しても、
ゲル化は認められなかった。得られた湿潤紙力増強剤の
全塩素量および塩化物イオン量は、該増強剤の固形分に
対して、それぞれ10.4%および5.2%であり、有
機塩素量は5.2%と計算された。また、得られた湿潤
紙力増強剤の吸着性有機ハロゲン(AOX)量は、該増強
剤の固形分に対して、3.1%であった。
【0026】(比較例1)(ポリアミドポリアミン・エ
ピクロロヒドリン樹脂粗水溶液の製造例)の項に記載の
方法と同様にして得られたポリアミドポリアミン129
部(2級アミノ基として1.0当量)および水135部
を混合し、さらにエピクロロヒドリン44.4部(1.
6当量)を25℃で20分かけて滴下した。次に、得ら
れた溶液を50℃に保温攪拌して粘度が400 mPa・sに
達した時に硫酸にてpH3.4に調製し、水を加えて固
形分25%に調整し、粘度141 mPa・sのポリアミドポ
リアミン・エピハロヒドリン樹脂水溶液(湿潤紙力増強
剤)を得た。得られた湿潤紙力増強剤の全塩素量および
塩化物イオン量は、該増強剤の固形分に対して、それぞ
れ19.2%および10.0%であり、有機塩素量は
9.2%と計算された。また、得られた湿潤紙力増強剤
の吸着性有機ハロゲン(AOX)量は、測定限界以上(該
増強剤の固形分に対して、7.2%)であった。
【0027】(比較例2および3)実施例2に記載の湿
潤紙力増強剤と、比較例1に記載の湿潤紙力増強剤とを
表1に記載の重量比で混合したものを湿潤紙力増強剤と
して使用した。全塩素量は結果を表1にまとめた。
【0028】(紙の製造例)実施例1、2、比較例1〜
3で得られた湿潤紙力増強剤を表1に記載の添加量用
い、TAPPI式標準抄紙法により、下記抄紙条件で抄
紙した。得られた紙の湿潤引張強さは、いずれもJIS
P 8135に準じて測定し、湿潤裂断長としてその
結果を表1に示した。
【0029】抄紙条件 使用パルプ : N-BKP/L-BKP=1/1 叩解度 : 420cc 乾燥条件 : 110℃、4分間 抄紙平均米坪量: 60g/m2
【0030】
【表1】 1)実施例2で得られた湿潤紙力増強剤を混合して湿潤
紙力剤とした。その混合比を重量比率で表した。 2)パルプ(固形分)100部に対する湿潤紙力増強剤
の添加量(部) 3)抄紙の際、排出される排水中の吸着性有機ハロゲン
量、但し、抄紙の際、水の使用量はパルプ固形分1部に
対して5300部であった。 4)湿潤紙力増強剤を用いることなく抄紙した。
【0031】
【発明の効果】本発明の湿潤紙力剤は、優れた湿潤紙力
増強効果を奏するとともに排水中に排出されるAOX量を
削減することができる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】湿潤紙力増強剤に含まれる全塩素量が、該
    増強剤の固形分に対して15%以下であることを特徴と
    する湿潤紙力増強剤。
  2. 【請求項2】湿潤紙力増強剤に含まれる吸着性有機ハロ
    ゲン量が、該増強剤の固形分に対して6%以下であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の湿潤紙力増強剤。
  3. 【請求項3】湿潤紙力増強剤に含まれる有機塩素量が、
    該増強剤の固形分に対して7.5%以下であることを特
    徴とする請求項1又は2に記載の湿潤紙力増強剤。
  4. 【請求項4】湿潤紙力増強剤が、ポリアミドポリアミン
    ・エピハロヒドリン樹脂を含有することを特徴とする請
    求項1〜3いずれかに記載の湿潤紙力増強剤。
  5. 【請求項5】ポリアミドポリアミン・エピハロヒドリン
    樹脂の粗水溶液を、該樹脂の重量平均分子量より小さい
    分画分子量を有する限外濾過膜、ナノ濾過膜および逆浸
    透膜から選ばれる少なくとも1種類の半透膜を用いて膜
    分離して得られるポリアミドポリアミン・エピハロヒド
    リン樹脂を有効成分とすることを特徴とする請求項1〜
    4いずれかに記載の湿潤紙力増強剤。
  6. 【請求項6】半透膜の分画分子量が2000〜100,000であ
    ることを特徴とする請求項5に記載の湿潤紙力増強剤。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれかに記載の湿潤紙力
    増強剤において、該増強剤の固形分濃度が10〜40重
    量%であることを特徴とする湿潤紙力増強剤。
  8. 【請求項8】請求項1〜7いずれかに記載の湿潤紙力増
    強剤を含有することを特徴とする紙。
  9. 【請求項9】請求項1〜7いずれかに記載の湿潤紙力増
    強剤を使用することを特徴とする抄紙の際に排出される
    排水中の吸着性ハロゲン量の低減方法。
  10. 【請求項10】請求項1〜7のいずれかに記載の湿潤紙
    力増強剤を使用することを特徴とする湿潤紙力を増強す
    る方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008545041A (ja) * 2005-06-30 2008-12-11 アクゾ ノーベル エヌ.ブイ. 化学方法
JP2009235608A (ja) * 2008-03-27 2009-10-15 Kohjin Co Ltd オーバーレイ原紙
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