JP2003002797A - 半導体基板の製造方法及び装置 - Google Patents

半導体基板の製造方法及び装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 層間剥離時の割れを防ぐためには、1000
℃近くまで温度を上げないと基板の内部応力が緩和され
ず、非常に高温であるため、昇温および降温時に時間が
かかる。 【解決手段】 GaN層3と保持層2とで構成される基
板4を保持層2から加熱して基板4温度を上昇させ、保
持層2を透過し、GaN層3に吸収される波長のレーザ
光5をこの保持層2側から照射して二つの層を剥離させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体基板の製造
方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体の基板材料として使用されるもの
に、GaNというものがある。GaNの基板は、保持層
の上にGaN層を結晶成長させることによって作られて
いる。これまで、一般的には、GaN層と保持層とを分
離せずに使うことが多かったが、最終製品の半導体素子
の特性を良くする試みとして、GaN層と保持層とを分
離することが考えられている。この場合、保持層として
サファイアを用い、その層上に反応炉等によってGaN
層を育成した基板に、サファイア層側から紫外領域のレ
ーザ光を照射すると、界面のGaNが分解し、層間で剥
離が起こる。これを利用して、レーザ光を基板上の全面
に走査することにより、サファイア層とGaN層を剥離
することができる。GaN層育成の過程では、保持層は
1000℃付近の高温で反応が進めるため、室温におい
ては保持層とGaN層の間で、熱膨張率の違いから生じ
る非常に大きなストレスがあり、基板が反った状態とな
っている。室温のまま、レーザ照射すると剥離部と未剥
離部との境界に応力が集中し、基板の亀裂や割れが生じ
てしまう。
【0003】従来は、これを防止するため、図6に示す
ように、ヒータ1の上に保持層2とGaN層3からなる
基板4を載せて、1000℃近くまで加熱してレーザ光
5で照射を行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】まず第一の課題は、ヒ
ーターによって基板全体を加熱しているために、GaN
結晶育成時の1000℃近くまで温度を上げないと、基
板の内部応力が緩和されない。また、非常に高温である
ため、昇温および降温時に時間がかかる。
【0005】次に第二の課題は、ヒーター上に基板を載
せて加熱する際、レーザを照射する側が保持層側となる
ため、GaN層側がヒータ側となる。このとき、保持層
側の温度はGaN層側と比較すると低くなってしまう。
保持層としてサファイアを用いた場合には、サファイア
層の方がGaN層よりも熱膨張係数が大きく、室温での
収縮量が大きくなっており、サファイア層側の温度を高
くした方が、層間のストレスが緩和されるが、従来の方
法では、反対の温度分布となっている。また、従来の方
法では、層間が剥離するとヒータからの熱伝導が阻害さ
れるため、サファイア層側の温度が低くなるため、より
収縮が大きくなり、未剥離部との境界への応力集中が増
加する。
【0006】そして第三の課題は、従来のレーザ照射方
法では、図7に示すように、基板4上をレーザ光の軌跡
6が直線上に走査していったために、剥離領域と未剥離
領域の境界が直線上になり、その直線の端部においての
応力集中があり、亀裂や割れが生じやすくなっている。
【0007】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明は、保持層とGaN層で構成される基板を前記
保持層から加熱して前記基板温度を上昇させ、前記保持
層を透過し、前記GaN層に吸収される波長のレーザ光
をこの保持層側から照射して二つの層を剥離させるもの
である。
【0008】これにより、照射されたレーザ光は保持層
で吸収されて保持層の温度のみが上昇し、保持層とGa
N層の間では、温度勾配ができるために、GaN層育成
時の温度まで昇温しなくても、層間のストレスを解消す
ることが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】図1〜図5に本発明の実施の形態
を示す。
【0010】図1は、本発明の第1の実施の形態に係る
半導体基板材料の製造方法を示す図である。保持層2に
サファイア層を用い、この保持層2上にGaN層3を反
応炉によって育成した二層からなる基板4を用いる。基
板4は図示しない基板保持部によって保持されている。
二つの層間を剥離する際に、保持層2側から保持層3に
吸収されるCO2レーザ光7を基板4の全体に照射す
る。基板4が十分に昇温した後、CO2レーザ光7は照
射したまま、層間剥離用にYAGレーザの第三高調波の
レーザ光5を基板4に照射する。このレーザ光5によっ
て、界面に存在するGaNが分解され、層間が剥がれた
状態となる。このとき、保持層2側の温度はGaN層3
側と比較すると、高い温度であるため、保持層2側が膨
張し、GaN層3との間のストレスが緩和され、基板4
の亀裂や割れが発生しにくくなる。
【0011】図2は、本発明の第2の実施の形態に係る
半導体基板材料の製造方法を示す図である。保持層2に
サファイア層を用い、この保持層2上にGaN層3を反
応炉によって育成した二層からなる基板4を用いる。基
板4を加熱して、剥離加工時の層間ストレスを緩和する
際に、図示しないヒーターの熱を均質にするための基板
保持部である均質板8に、YAG第三高調波のレーザ光
5を透過する石英板を用いる。この均質板8に、従来と
は反対側の保持層2側を設置する。加熱前の保持層2側
とGaN層3側では、保持層2側での収縮が大きく、基
板4の層間では大きなストレスを生じているが、均質板
8に保持層2側を設置することによって、保持層2側の
温度が高くなる温度勾配が生じさせることができ、保持
層2側の収縮が緩和される。界面剥離用のレーザ光5
は、ミラー9を介して、均質板8を透過し、保持層2と
GaN層3の界面に照射される。剥離が起こった後は、
保持層2側からGaN層3側への熱の流れも少なくなる
ため、層間の温度差はより大きくなる。その結果、保持
層2側の収縮は減少することになり、より層間ストレス
が緩和される方向に働いている。
【0012】図3は、本発明の第3の実施の形態に係る
半導体基板材料の製造方法を示す図である。層間剥離加
工をするためのレーザ光を、基板4の外周部から螺旋状
に基板の中心に向けて、レーザ光の軌跡6のように順次
照射していく。このときの照射領域の重なりは、20%
〜80%となるようにレーザ光の照射を行っている。こ
のことにより、点対称で剥離部と未剥離部が存在するた
めに境界面が円周上になり、保持層とGaN層の間に発
生するストレスによる応力集中が分散されるため、亀裂
や割れの発生が少なくなっている。
【0013】このレーザ光を螺旋状に走査するための方
法としては、2軸のガルバノメータ(図示せず)によっ
て行う方法の他に、図4に示すように、基板4を台10
とモータ11からなる回転機構12の上に載せ、一軸の
ステージ13によって、基板4の周辺から回転中心に向
かって移動していき、レーザ光5を照射する方法があ
る。また、他の方法として、図5に示すように、台10
とモータ11からなる回転機構12の上に載せた基板4
に、一軸のガルバノメータ13を使用して、基板4の周
辺から回転中心に向かってレーザ光5を走査させる方法
もある。
【0014】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、照射され
たレーザ光は保持層で吸収されて保持層の温度のみが上
昇し、保持層とGaN層の間では、温度勾配ができるた
めに、GaN層育成時の温度まで昇温しなくても、層間
のストレスを解消することが可能となる。
【0015】また、温度が低いため、昇温・降温にかか
る時間も短くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る半導体基板材
料の製造方法を説明する図
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る半導体基板材
料の製造方法を説明する図
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る半導体基板材
料の製造方法を説明する図
【図4】本発明の実施の形態に係る半導体基板材料の製
造装置の概略図
【図5】本発明の実施の形態に係る半導体基板材料の製
造装置の概略図
【図6】従来の半導体基板材料の製造方法を説明する図
【図7】従来の半導体基板材料の製造方法のレーザ照射
方法を説明する図
【符号の説明】
2 保持層 3 GaN層 5 レーザ光 7 レーザ光 8 均熱板
フロントページの続き Fターム(参考) 4E068 CD05 CE04 DA09 4G077 AA03 BE15 DB01 ED06 FH08 FJ04 5F004 AA06 BA20 BB03 DB19 EA38 EB08

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 GaN層と保持層とで構成される基板を
    前記保持層から加熱して前記基板温度を上昇させる工程
    と、前記保持層を透過し、前記GaN層に吸収される波
    長のレーザ光をこの保持層側から照射して二つの層を剥
    離させる工程とを有したことを特徴とする半導体基板の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 基板温度を上昇させる方法は、保持層に
    吸収される波長を持つレーザ光をこの保持層側から照射
    して基板を加熱することを特徴とする請求項1に記載の
    半導体基板の製造方法。
  3. 【請求項3】 保持層としてサファイア基板を用いたこ
    とを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の半導体
    基板の製造方法。
  4. 【請求項4】 保持層に吸収されるレーザ光としてCO
    2レーザを用いたことを特徴とする請求項3に記載の半
    導体基板の製造方法。
  5. 【請求項5】 基板温度を上昇させる方法は、レーザ光
    が透過する材料で、ヒーターと前記基板間の温度分布を
    均一化させる均熱板を保持層側に接触させて基板を加熱
    することを特徴とする請求項1に記載の半導体基板の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 均熱板として石英ガラスを用いたことを
    特徴とする請求項5に記載の半導体基板の製造方法。
  7. 【請求項7】 GaN層に吸収される波長のレーザとし
    て、YAG、YLF、YVO4のいずれかのレーザ光の
    第3高調波または第4高調波を用いたことを特徴とする
    請求項2〜6のいずれかに記載の半導体基板の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 GaN層に吸収される波長のレーザの照
    射を基板の外周部から中心に向かって螺旋状に行うこと
    を特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の半導体基
    板の製造方法。
  9. 【請求項9】 螺旋状にレーザ光照射を行う方法とし
    て、レーザ光の位置を固定して、基板を回転させなが
    ら、前記レーザ光が基板の外周から回転中心に近づいて
    いく方向に基板を移動させていくことを特徴とする請求
    項8に記載の半導体基板の製造方法。
  10. 【請求項10】 螺旋状にレーザ光照射を行う方法とし
    て、ガルバノメータでレーザビームを螺旋状に走査する
    ことを特徴とする請求項8に記載の半導体基板の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 GaN層と保持層とで構成される基板
    から半導体基板を製造する装置であって、前記保持層を
    透過し、前記GaN層に吸収される波長のレーザ光を出
    射する第1の光源と、前記保持層に吸収される波長を持
    つレーザ光を出射する第2の光源と、前記基板を保持す
    る基板保持部とを有し、前記第1の光源とこの第2の光
    源とを前記基板保持部に対し、同じ側に配置したことを
    特徴とする半導体基板の製造装置。
  12. 【請求項12】 GaN層と保持層とで構成される基板
    から半導体基板を製造する装置であって、前記保持層を
    透過し、前記GaN層に吸収される波長のレーザ光を出
    射する第1の光源と、ヒーターと、前記レーザ光が透過
    する材料で、このヒーターの熱を前記基板に伝えて温度
    分布を均一化させる基板保持部とを有したことを特徴と
    する半導体基板の製造装置。
  13. 【請求項13】 第1の光源から出射したレーザ光を基
    板保持部に対し、螺旋状に走査させる相対走査手段を有
    したことを特徴とする請求項12、13のいずれかに記
    載の半導体基板の製造装置。
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