JP2003001220A - 汚染物からの多塩素化芳香族化合物分離方法 - Google Patents

汚染物からの多塩素化芳香族化合物分離方法

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JP2003001220A
JP2003001220A JP2001191403A JP2001191403A JP2003001220A JP 2003001220 A JP2003001220 A JP 2003001220A JP 2001191403 A JP2001191403 A JP 2001191403A JP 2001191403 A JP2001191403 A JP 2001191403A JP 2003001220 A JP2003001220 A JP 2003001220A
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polychlorinated aromatic
organic
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Masayuki Ono
正之 大野
Yoshitaka Tamura
義隆 田村
Akihiro Honda
昭洋 本田
Albrecht Melber
メルバー アルブレヒト
Hiroyuki Obayashi
宏至 大林
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Kansai Electric Power Co Inc
Kansai Tech Corp
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ZERO JAPAN KK
Kansai Electric Power Co Inc
Kansai Tech Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 対象汚染物質から確実に多塩素化ビフ
ェニルを除去することができ、しかも回収された多塩素
化ビフェニルの脱塩素化処理を簡単に行うことができる
新しい汚染物からの多塩素化芳香族化合物分離方法を開
発することにある。 【解決手段】 減圧条件下で加熱することができる真
空加熱装置に多塩素化芳香族化合物に汚染された有機性
汚染物を入れ、前記有機性汚染物を炭化させない真空加
熱条件にて多塩素化芳香族化合物を流出或いは蒸発させ
て有機性低温処理物にすると共に前記真空加熱装置に付
属の冷却・回収装置にて、流出或いは蒸発した多塩素化
芳香族化合物を冷却回収し、続いて、有機性低温処理物
が炭化する真空加熱条件にて、有機性低温処理物の炭化
処理を行うと共に有機性低温処理物から発生する分解成
分或いは分解成分と共に多塩素化芳香族化合物を回収
し、炭化物中の多塩素化芳香族化合物を基準値以下にす
る事を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、環境汚染物質であ
る多塩素化芳香族化合物、例えば多塩素化ビフェニルに
汚染された有機性汚染物(例えば、紙や木屑)を含む多塩
素化芳香族汚染物からの同化合物の除去技術に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、環境汚染に対する危険性がつとに
叫ばれ、リサイクル法案などの導入が実施されつつあ
る。数ある環境汚染物質の中でも多塩素化ビフェニル等
の多塩素化芳香族化合物は人体に著しい悪影響を及ぼす
ものであり、例えば、多塩素化ビフェニルは変圧器やコ
ンデンサのような電気機器を始めとする工業製品の絶縁
性を必要とする部分に絶縁油としてそのままの形で使用
されている。これら多塩素化ビフェニルを絶縁油として
使用している変圧器やコンデンサのような電気機器、或
いは鉱物系電気絶縁油に何らかの理由により多塩素化ビ
フェニルが混入した電気機器をそのまま廃棄するとこれ
ら多塩素化芳香族化合物は絶縁油に含有された状態或い
は多塩素化芳香族化合物が未処理のまま自然界に排出さ
れ、自然界を汚染してしまうことになる。このような多
塩素化ビフェニル等の多塩素化芳香族化合物を処理する
上では、大きく分けて2つの処理技術の開発が必要であ
った。
【0003】その1つは、多塩素化芳香族化合物それ自
体を処理する分解技術であり、もう1つは、多塩素化芳
香族化合物を含んだ汚染物(=工業製品)から多塩素化芳
香族化合物を取り除く分離技術である。前者にあっては
例えば、多塩素化ビフェニルの場合、分解技術は化学的
な手法を用いた脱塩素化分解法や超臨界分解法等が開発
されている。一方、分離技術については、汚染された金
属やプラスチックの表面に付着した多塩素化ビフェニル
の除去方法としては、溶剤で洗い落とす溶剤洗浄法を用
いる事によって比較的容易に分離が可能であるが、例え
ば変圧器やトランスなど電気機器内に部品として組み込
まれ、前記多塩素化ビフェニル含有絶縁油や多塩素化ビ
フェニル等が含浸している紙、木屑或いは繊維などの有
機性汚染部材からの多塩素化ビフェニル等の除去は、そ
れらを細断した上で長時間洗浄する必要があり、この方
法は多塩素化芳香族化合物を多量に含んだ紙、木屑など
の有機性汚染部材からの脱多塩素化ビフェニル方法とし
ては実用的な方法と言えなかった。
【0004】これに対して、減圧下で加熱し多塩素化ビ
フェニルを蒸気として分離する真空加熱分離法は有機性
汚染部材を細断する必要もなければ多塩素化ビフェニル
を含む電気機器を解体することなく、そのままの状態で
多塩素化芳香族化合物を電気機器から取り除くことがで
きる点に特徴があり、この方法の場合は実用的な脱多塩
素化ビフェニル方法として期待できる。このような真空
加熱分離法による従来の分離方法は大きく分けて2つあ
る。
【0005】その1つは、有機性汚染部材を炭化させな
いような低温真空加熱条件にて多塩素化ビフェニルを分
離・回収する方式(図2)と、他の1つは、有機性汚染部
材を完全に炭化させるような高温真空加熱条件で、多塩
素化ビフェニルを分離回収する方式(図3)である。
【0006】前者(図2)の方法を簡単に説明すると、対
象汚染部材(例えば、変圧器やコンデンサなど多塩素化
ビフェニルが使用されている電気機器)をそのまま或い
は小さく裁断して真空加熱炉に入れ、対象汚染部材中の
有機性汚染部材が炭化しない程度の低温(約230℃)で
真空加熱を行うと、対象汚染部材に含まれている多塩素
化ビフェニル、あるいは多塩素化ビフェニルを含んだ鉱
物系絶縁油は処理時間の経過に伴い、対象汚染部材から
蒸発により分離され、付属の回収・冷却装置にて冷却回
収される。回収された多塩素化ビフェニルは、たとえば
脱塩素化処理によって基準値以下まで処理されて無害化
されることになる。
【0007】しかしながら、この方式では、対象汚染部
材から確実に多塩素化ビフェニルを分離するために長時
間の真空加熱を要すること、或いは対象汚染部材の汚染
状況によっては多塩素化ビフェニルを分離し切れないと
いったこともあり、安定的且つ確実に多塩素化ビフェニ
ルを分離できる方法とは言い難い。
【0008】これに対して後者(図3)の高温真空加熱に
よって有機物を炭化させる処理方法の場合には、約600
℃の高温にて真空加熱を行うため多塩素化ビフェニルが
有機性汚染部材(=炭化物に変化)を含む対象汚染物質か
ら確実に分離されるが、有機性汚染部材の炭化に伴い、
水分や有機酸及びアルコール類等の木酢液と呼ばれる分
解生成物が有機性汚染部材から発生する。この木酢液は
多塩素化ビフェニル自体を例えばアルカリ薬剤を用いた
分解処理をする場合には、その分解処理工程を阻害す
る。即ち、アルカリ薬剤を用いた分解方法の場合は、木
酢液がアルカリ薬剤と反応し易いためアルカリの消費量
が増加することや、木酢液とアルカリ薬剤との反応によ
り発生する反応熱の制御が困難となるなどの問題が生じ
る。
【0009】しかも前記木酢液は、多塩素化ビフェニル
と共に回収されるため、多塩素化ビフェニルに多量の木
酢液が含まれた液層と、木酢液に多量の多塩素化ビフェ
ニルが含まれた液層の2層に分離した液として回収され
る。回収液の無害化処理を行う際、木酢液による反応阻
害を防ぐため、いずれの層についても抽出操作等による
多塩素化ビフェニルと木酢液との分離工程が必要であ
り、例えば、木酢液層中の多塩素化ビフェニルの濃度が
高い場合には、この抽出工程に多大のエネルギーが必要
となり、経済性が悪い。また、木酢液を多塩素化ビフェ
ニルと分離せず、脱塩素化反応により多塩素化ビフェニ
ルの無害化を行う場合は、前述のように脱塩素化に用い
るアルカリ薬剤が極めて多量に必要となるため更に経済
性は悪くなる。
【0010】これに対して前述の有機性汚染部材を炭化
させない低温真空加熱にて、多塩素化ビフェニルを分離
・回収する場合は、木酢液の混入を心配する必要はない
が、前述のように処理条件としては低い温度の処理のた
め、多塩素化ビフェニルの蒸発量が少なく処理時間が非
常に長くなる点、しかも場合によっては、有機性汚染部
材に多塩素化ビフェニルが0.01%程度も残存するこ
ともあり、再処理が必要となるという問題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、環境汚染物
質である多塩素化芳香族化合物、例えば、多塩素化ビフ
ェニルを含む対象汚染物質から確実に多塩素化ビフェニ
ル等を除去することができ、しかも回収された多塩素化
ビフェニル等には木酢液などの分解成分が混入せず、脱
塩素化処理を簡単に行うことができる汚染物からの新し
い多塩素化芳香族化合物分離方法を開発することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】「請求項1」は本発明の
汚染物からの多塩素化芳香族化合物分離方法に関し、
「減圧条件下で加熱することができる真空加熱装置に多
塩素化芳香族化合物に汚染された有機性汚染物を入れ、
前記有機性汚染物を炭化させない真空加熱条件にて多塩
素化芳香族化合物を流出或いは蒸発させて有機性低温処
理物にすると共に前記真空加熱装置に付属の冷却・回収
装置にて、流出或いは蒸発した多塩素化芳香族化合物を
冷却回収し、続いて、有機性低温処理物が炭化する真空
加熱条件にて、有機性低温処理物の炭化処理を行うと共
に有機性低温処理物から発生する分解成分或いは分解成
分と共に多塩素化芳香族化合物を回収し、炭化物中の多
塩素化芳香族化合物を基準値以下にする」事を特徴とす
る。
【0013】これによれば、第一段階で有機性汚染物が
炭化しない低温度で真空加熱を行うので、有機性汚染物
から木酢液やタールのような分解成分が発生せず、流出
或いは蒸発した多塩素化芳香族化合物に木酢液やタール
のような分解成分が混入せず、後の脱塩素化処理を簡単
に行うことができる。ここで、有機性汚染物の性状(含
有多塩素化芳香族化合物濃度が少ない場合や含有多塩素
化芳香族化合物が蒸発しやすいような場合)によって
は、第一段階の処理で有機性汚染物に含まれる多塩素化
芳香族化合物の殆どが除去されて有機性汚染物の一次処
理物の多塩素化芳香族化合物含有濃度が基準以下になる
場合もあるが、そのような場合も含めて次の高温真空加
熱を行い、完全な脱多塩素化芳香族化合物処理を行う。
第二段階では有機性低温処理物が炭化する高温度で真空
加熱を行うので、多塩素化芳香族化合物のほぼ全てが蒸
発・除去され、炭化物中に多塩素化芳香族化合物が殆ど
残留しない状態となる。従って、高温真空加熱された炭
化物はそのまま廃棄することができる。一方、高温真空
加熱によって発生した木酢液などの分解成分は、前述の
ように有機性汚染物の性状によっては多塩素化芳香族化
合物をほとんど含まないものもあるが、中には僅かな多
塩素化芳香族化合物を含むものもある。多塩素化芳香族
化合物を含まない分解成分はそのまま処理されるが、基
準値を超える多塩素化芳香族化合物を含む分解成分は、
抽出処理等により多塩素化芳香族化合物とこれを含まな
い分解成分とに分離され、分離された多塩素化芳香族化
合物は脱塩素化処理されることになる。
【0014】「請求項2」は汚染物からの多塩素化芳香
族化合物分離方法において、「請求項1で回収した多塩
素化芳香族化合物を脱塩素化処理にて無害化する」事を
特徴とするものであり、「請求項3〜6」はその具体的
方法を示したもので、分解無害化方法のそれぞれが「脱
塩素化触媒を用いた水素化脱塩素化反応」であり、「金
属ナトリウム等のアルカリ金属による脱塩素化反応」で
あり、「水酸化ナトリウム等の金属水酸化物による脱塩
素化反応」であり、「金属アルコラートによる脱塩素化
反応」であることを特徴とする。
【0015】これらの処理方法は「PCB処理技術ガイ
ドブック」(編集:財団法人産業廃棄物処理事業振興財
団、平成11年8月31日発行)に記載された脱塩素化
処理方法である。「脱塩素化触媒を用いた水素化脱塩素
反応」としては「パラジウム/カーボン触媒を用いた水
素化脱塩素化反応」や「ニッケル/アルミニウム合金触
媒を用いた脱塩素化反応」などがある。前者の「パラジ
ウム/カーボン触媒を用いた水素化脱塩素化反応」と
は、例えば、多塩素化ビフェニルをパラジウム/カーボ
ン触媒の存在下、水素ガスにより常圧下で加熱反応させ
ることにより、脱塩素化する反応である。反応生成物は
ビフェニルおよびビフェニルの水素化物であり、多塩素
化ビフェニルから除去された塩素は塩化水素となる。
「金属ナトリウム等のアルカリ金属による脱塩素化反
応」とは、例えば、金属ナトリウム分散体浴に多塩素化
ビフェニルと反応促進剤を加えて、窒素雰囲気下、温度
170〜190℃、常圧下で加熱反応させることによ
り、脱塩素化する反応である。反応生成物はビフェニル
類であり多塩素化芳香族化合物から除去された塩素は塩
化ナトリウムとなる。「水酸化ナトリウム等の金属水酸
化物による脱塩素化反応」とは、例えば、多塩素化ビフ
ェニルを水酸化ナトリウムと非プロトン性極性溶媒の存
在下で、常圧、加熱反応(200〜210℃)させること
により、脱塩素化する反応である。反応生成物はビフェ
ニルやヒドロキシビフェニル類であり、多塩素化ビフェ
ニルから除去された塩素は塩化ナトリウムとなる。「金
属アルコラートによる脱塩素化反応」とは、例えば、多
塩素化ビフェニルが混入している油の中にカリウム・タ
ーシャリ・ブトオキサイドを添加し、加熱反応させるこ
とにより脱塩素化する反応である。反応生成物はビフェ
ニルやヒドロキシビフェニル類であり、多塩素化ビフェ
ニルから除去された塩素は塩化カリウムとなる。
【0016】「請求項7」は汚染物からの多塩素化芳香
族化合物分離方法の対象物の具体例で「多塩素化芳香族
化合物を含んだ鉱物油系電気絶縁油が充填されていた変
圧器或いはその解体物、及び多塩素化芳香族化合物が充
填されたコンデンサ及び変圧器或いはこれらの解体物を
含浸性多塩素化芳香族汚染物とした」事を特徴とする。
【0017】
【発明の実施の態様】以下、本発明を実施例に従って詳
述する。本発明の処理の対象となる多塩素化芳香族化合
物とは、多塩素化ビフェニル(PCB)、多塩素化ダイオ
キシン(PCDD)、多塩素化ジベンゾフラン(PCDF)、多
塩素化ナフタレン(PCN)、ジクロロジフェニルトリク
ロロエタン(DDT)、多塩素化ターフェニル(PCT)等で
あり、これらに汚染された物も処理の対象となる。多塩
素化芳香族化合物は単独で本発明の対象となるほか、こ
れらを含む混合物、更には例えば鉱物系絶縁油中に含ま
れる微量の多塩素化ビフェニル及びその汚染された物に
も本発明の方法は好適に用いられる。
【0018】多塩素化芳香族化合物に汚染された多塩素
化芳香族汚染物としては、例えば、多塩素化ビフェニル
を含んだ鉱物油系絶縁油が充填された変圧器或いはその
解体物、多塩素化ビフェニルそのものが充填されたコン
デンサ、変圧器及び蛍光灯安定器或いはその解体物、多
塩素化ビフェニルを紙に含浸させた感圧紙或いはその解
体物や木屑、多塩素化芳香族化合物に汚染された汚染物
(土壌、汚泥、炭化物、紙、木等の含浸性物質)等であ
る。
【0019】真空加熱装置としては、減圧条件下で加熱
できる真空炉と処理時に流出或いは蒸発した多塩素化芳
香族化合物及び含浸性部材が炭化したときに発生する木
酢液が回収できる冷却・回収装置があればよい。また、
有機性部材が炭化しない条件で木酢液を含まない多塩素
化芳香族化合物の冷却・回収と、含浸性部材が炭化する
条件にて木酢液にごく微量の多塩素化芳香族化合物を含
む回収液の冷却・回収は同一装置でもよいが、別々の装
置でかつ分岐等の簡単な操作で個々の装置に切り替えら
れる構成であれば、分離回収する時間や操作性が良くな
り、より好ましい。
【0020】真空加熱装置による真空加熱処理条件とし
ては、多塩素化芳香族汚染物から除去する多塩素化芳香
族化合物が蒸発できる加熱温度及び真空度が必要であ
る。まず、含浸性部材をできるだけ炭化させない低温真
空加熱条件で処理する場合は、加熱温度を150℃から
230℃付近とすることが好ましいが、有機性部材がで
きるだけ炭化しない温度であればよく、上記加熱温度範
囲は加熱温度を制限するものではない。また、真空度は
設定した加熱温度に対して多塩素化芳香族化合物が蒸発
できる真空度であればよく、真空により近い方が、処理
時間も短くなるためより好ましい。
【0021】次に含浸性部材をできるだけ炭化させる真
空加熱条件で処理する場合は、含浸性部材が炭化できる
加熱温度以上であればよく、高い温度になるほど処理時
間が短くなるが、加熱温度が高くなればなるほど真空処
理装置の耐熱性が求められるため処理における経済性が
悪くなる。このため、加熱温度としては汎用的な真空加
熱炉の性能である600℃程度が好ましいが、処理温度
を制限するものではない。また真空度は設定した加熱温
度に対して、多塩素化芳香族化合物が蒸発できる真空度
であればよく、出来るだけ高真空の方が処理時間が短く
なるためより好ましい。
【0022】真空加熱装置を用いて多塩素化芳香族汚染
物から除去した多塩素化芳香族化合物の脱塩素化処理方
法としては、パラジウム/カーボン触媒等の触媒を用い
た水素化脱塩素化反応、金属ナトリウム等のアルカリ金
属による脱塩素化反応、水酸化ナトリウム等の金属水酸
化物による脱塩素化反応及びカリウム・ターシャリ・ブ
トオキサイド等の金属アルコラートによる脱塩素化反応
があり、特にパラジウム/カーボン触媒等の触媒を用い
た水素化脱塩素化反応は木酢液の影響を殆ど受けること
がなく、多塩素化芳香族化合物の分解反応が平常通りに
進行する事から最も好ましい反応と言える。ただ後述す
る比較例1の項で示すように、反応中に木酢液成分が反
応器の各所に蓄積し、装置の汚染が見られ、大量処理の
際には、装置配管などの閉塞などが予想されることから
脱塩素化処理の前に木酢液の分離を行うことが望まし
い。
【0023】次に、多塩素化ビフェニルを多塩素化芳香
族化合物の代表例として本発明方法について説明する。
有機性汚染部材を含む被処理物質を真空加熱炉に入れ、
炉内を真空にした後、まず、有機性低温処理物が炭化し
ない温度条件(230℃程度)にて処理を行い、多塩素化
ビフェニルを木酢液やタールなどの分解成分を含まない
多塩素化ビフェニルとしてその大半を流出及び蒸発さ
せ、これを冷却・回収装置で回収した後、炉内温度を上
げ、有機性汚染部材が炭化する温度条件(600℃程度)
にて処理し、有機性低温処理物を熱分解させる。被処理
物質は前述したようにその性状によっては低温真空加熱
処理だけで殆どの多塩素化ビフェニルが除去され、低温
真空処理された有機性低温処理物内に基準値以下の多塩
素化ビフェニルしか存在しない場合があるが、この場合
も含めて前述の高温真空処理が施されることになる。そ
してこの高温真空加熱による熱分解の際に発生する木酢
液やタールなどの分解成分と共に極く僅か残留している
多塩素化ビフェニル(場合によっては前述のように有機
性低温処理物内に基準値以下の多塩素化ビフェニルしか
存在しない事があり、その場合には殆ど多塩素化ビフェ
ニルは蒸発せず、従って、分解成分にはほとんど多塩素
化ビフェニルは含まれないことになる。)を蒸発させる
ことにより、多塩素化ビフェニルを極く微量含む木酢液
を主成分である分解成分として回収する。これにより有
機性汚染部材を含む被処理汚染物質から多塩素化ビフェ
ニルを確実に分離・回収する。そしてこの分離・回収し
た分解成分から多塩素化ビフェニルを抽出等により分離
しこれを無害化する。
【0024】即ち、二次処理では有機性低温処理物が完
全に炭化するため多塩素化ビフェニルを確実に分離・回
収できること、又、木酢液を主成分とする分解成分を含
まない多塩素化ビフェニルは脱塩素化工程が容易である
こと、又、多塩素化ビフェニルを僅かに含む木酢液から
は極く微量の多塩素化ビフェニルを分離すれば良いた
め、その分離工程も通常の抽出操作等により容易に分離
できる。更には、前述のように有機性低温処理物の状態
或いは多塩素化ビフェニルの濃度によっては、二次処理
において木酢液を主成分とする分解成分に多塩素化ビフ
ェニルが含まれない状態で回収される場合もあり、この
場合には前記含有多塩素化ビフェニルの濃度を測定し、
該濃度が基準値以下であればそのまま処分されることに
なる。多塩素化ビフェニルが基準値以上であれば前述の
ように分解成分から多塩素化ビフェニルの分離が行わ
れ、無害化処理がなされる。多塩素化ビフェニルの分離
が行われた分解成分の該濃度は基準値以下となっている
のでそのまま処分されることになる。
【0025】多塩素化芳香族化合物の分解無害化方法で
ある脱塩素化分解反応としては、前述のパラジウム/カ
ーボン触媒等の触媒を用いた水素化脱塩素化反応、金属
ナトリウム等のアルカリ金属による脱塩素化反応、水酸
化ナトリウム等の金属水酸化物による脱塩素化反応及び
カリウム・ターシャリ・ブトオキサイド等の金属アルコ
ラートによる脱塩素化反応を用いた。
【0026】以下、本発明を実施例および比較例にて説
明するが、実施例は本発明の範囲を限定するものではな
い。 「実施例1」微量の多塩素化ビフェニルが混入している
鉱物油系電気絶縁油の入った10kVAの変圧器を用いて
図1の処理工程に従って処理を実施した。真空加熱炉に
変圧器をそのまま投入し、まず、処理温度230℃(真
空炉内温度)、到達真空度10Paで6時間保持した(低
温処理)。処理に伴い発生した蒸気成分を凝縮器で回収
しこれを分析した処、回収物は多塩素化ビフェニルを含
む鉱物油系電気絶縁油であった。鉱物油系電気絶縁油中
の多塩素化ビフェニル濃度は37mg/kgであった。次
に、処理温度600℃(真空炉内温度)、到達真空度1
0Paで3時間保持する高温処理を行った。処理に伴い発
生した蒸気成分を凝縮器で回収し、得られた成分を分析
した処、回収物は木酢液であった。木酢液中の多塩素化
ビフェニル濃度は0.21mg/kgであった。また、有機
性低温処理物は完全に炭化し、この炭化物中の多塩素化
ビフェニル濃度は0.051mg/kgであった。回収した
鉱物油系電気絶縁油には多塩素化ビフェニルが37mg/
kg含まれており、この脱塩素化処理を有機アルカリ金属
分解法を用いて行った。実験条件は有機アルカリ金属で
あるカリウム・ターシャリ・ブトオキサイドを試料重量
に対して0.5%加えて、反応温度250℃にて10分
間反応を行った。処理後の鉱物油系電気絶縁油中の多塩
素化ビフェニル濃度は0.21mg/kgであった。
【0027】「実施例2」多塩素化ビフェニルを含む2
3kVAのコンデンサを用いて、図1の処理工程に従って
処理を実施した。真空加熱炉に多塩素化ビフェニルを含
む該コンデンサをそのまま投入し、まず、処理温度23
0℃(真空炉内温度)、到達真空度10Paで10時間保
持した(低温処理)。処理に伴い発生した蒸気成分を凝縮
器で回収し、得られた成分を分析した処、回収物は多塩
素化ビフェニルであり、木酢液成分は確認されなかっ
た。次に、処理温度600℃(真空炉内温度)、到達真
空度10Paで3時間保持した(高温処理)。処理に伴い発
生した蒸気成分を凝縮器で回収し、得られた成分を分析
した処、回収物は僅かに多塩素化ビフェニルを含む木酢
液であった。木酢液中の多塩素化ビフェニル濃度は28
mg/kgであった。また、有機性低温処理物は高温真空処
理により完全に炭化し、この炭化物中の多塩素化ビフェ
ニル濃度は0.087mg/kgであった。次に、一次処理
である低温真空処理の際に回収した多塩素化ビフェニル
の脱塩素化処理を行った。脱塩素化処理方法は触媒水素
化脱塩素化法を用いた。実験条件は回収した多塩素化ビ
フェニルをパラフィン系溶剤で10%程度に希釈した反
応溶液に触媒として活性炭に担持されたパラジウム「Pd
(5%)/C」を反応溶液重量に対して0.5%添加し、水
素雰囲気下、反応温度250℃で240分間反応を行っ
た。処理後の反応溶液中の多塩素化ビフェニル濃度は
0.38mg/kgであった。
【0028】「比較例1」多塩素化ビフェニルを含む2
3kVAのコンデンサを用いて、図2の処理工程に従って
処理を実施した。真空加熱炉にコンデンサをそのまま投
入し、処理温度600℃(真空炉内温度)、到達真空度
10Paで10時間保持した。処理に伴い発生した蒸気成
分を凝縮器で回収した。回収物は2層に分離しており、
それぞれについての成分を分析した処、上層部は木酢液
が主成分であり、この木酢液中には多塩素化ビフェニル
が1,200mg/kgの高濃度で含まれていた。一方、下
層部は多塩素化ビフェニルが主成分であり、この多塩素
化ビフェニル中には多量の木酢液が含まれていた。ま
た、コンデンサ中の有機汚染部材は完全に炭化し、この
炭化物中の多塩素化ビフェニル濃度は0.023mg/kg
であった。これらの結果を実施例2と比較すると、処理
後の炭化物中の多塩素化ビフェニル濃度はほぼ同じ値を
示していることから、有機性汚染部材中からの多塩素化
ビフェニルの分離性能は同等であると言える。しかし、
木酢液中の多塩素化ビフェニル濃度(1,200mg/kg)
は、実施例2の木酢液(28mg/kg)と比較した場合、約
40倍程度高い値を示しており、木酢液から多塩素化ビ
フェニルを除去するための分離工程の負荷は著しく大き
い。また、回収した多塩素化ビフェニルを実施例2と同
様な脱塩素化処理である触媒水素化脱塩素化処理を行っ
た結果、処理後の反応溶液中の多塩素化ビフェニル濃度
は0.15mg/kgであり、木酢液はパラジウム/カーボ
ン触媒反応を阻害するものではない。しかしながら、実
施例2とは異なり、反応中に木酢液成分が反応器の各所
に蓄積し、装置の汚染が見られ、大量処理の際には、装
置配管などの閉塞などが予想されることから脱塩素化処
理の前に木酢液の分離を行うことが望ましい。
【0029】「比較例2」多塩素化ビフェニルを含む2
3kVAのコンデンサを用いて、図3の処理工程に従って
処理を実施した。真空加熱炉にコンデンサをそのまま投
入し、処理温度230℃(真空炉内温度)、到達真空度
10Paで15時間保持した。処理に伴い発生した蒸気成
分を凝縮器で回収し、成分を分析した処、この回収物は
塩化ビニールであった。処理後の有機性部材中の他塩化
ビニール濃度は14mg/kgであった。実施例2に示した
処理後の炭化物中の多塩素化ビフェニル濃度(0.087
mg/kg)と比較してかなりの量の多塩素化ビフェニルが
有機性部材中に残存しており、低温で処理する場合に
は、処理時間を長時間としても多塩素化ビフェニルが十
分分離するとは言い難く、有機性汚染部材中から多塩素
化ビフェニルを確実に分離するためには処理温度600
℃程度の高い処理温度が必要であることがわかる。
【0030】「比較例3」微量の多塩素化ビフェニルが
混入した鉱物油系電気絶縁油が入った10kVAの変圧器
を用いて、図3の処理工程に従って処理を実施した。真
空加熱炉に変圧器をそのまま投入し、処理温度600℃
(真空炉内温度)、到達真空度10Paで6時間保持し
た。処理に伴い発生した蒸気成分を凝縮器で回収した
処、回収物は2層に分離しており、それぞれについて成
分を分析した結果、上層部の回収物は鉱物油系電気絶縁
油が主成分で、多塩素化ビフェニル濃度が46mg/kgの
濃度で含まれていた。一方、下層部は木酢液が主成分
で、多塩素化ビフェニル濃度が0.40mg/kgであっ
た。また、有機性汚染部材は完全に炭化し、この炭化物
中の多塩素化ビフェニル濃度は0.036mg/kgであっ
た。多塩素化ビフェニルを46mg/kgの濃度で含んでい
る鉱物油系電気絶縁油の脱塩素化処理を実施例1と同じ
処理方法および処理条件で行った。処理後の鉱物油系電
気絶縁油中の多塩素化ビフェニルの濃度は3.5mg/kg
であり、多塩素化ビフェニルの分解はあまり進行してい
なかった。分解をより進行させるためにはアルカリ薬剤
であるカリウムターシャリブトオキサイドが多量に必要
である。
【0031】
【発明の効果】以上、述べたとおり、本発明は環境汚染
物質である多塩素化芳香族化合物で汚染された汚染物か
らの同化合物の除去に有効であり、例えば多塩素化ビフ
ェニルに汚染された変圧器やコンデンサから確実に多塩
素化ビフェニルを取り除くことができる。また、第1段
階の低温真空処理で除去した多塩素化ビフェニルを脱塩
素化処理する際には、処理上新たなる負荷要因が殆ど発
生しないことから、従来の処理条件を変更することなく
処理することが可能である。更には低温真空処理の後の
第2段階での高温真空処理で汚染物の状況によっては、
例えば、多塩素化ビフェニル濃度が低い場合などでは、
回収した木酢液に多塩素化ビフェニルが含まれない場合
もあり、また、万一多塩素化ビフェニルが含まれていて
も極く僅かな量であることから、簡単な除去操作により
多塩素化ビフェニルを除去することができる。また、多
塩素化ビフェニルを除去した後の木酢液は、燃料として
別用途へ再利用することができるので、本発明方法は殆
ど廃棄物が発生しない処理システムであり、二次公害を
引き起こさない有用かつ実用性に優れた処理システムで
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフロー図
【図2】従来の真空高温加熱処理のフロー図
【図3】従来の真空低温加熱処理のフロー図
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成14年2月27日(2002.2.2
7)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】その1つは、有機性汚染部材を炭化させな
いような低温真空加熱条件にて多塩素化ビフェニルを分
離・回収する方式(図)と、他の1つは、有機性汚染部
材を完全に炭化させるような高温真空加熱条件で、多塩
素化ビフェニルを分離回収する方式(図)である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】前者(図)の方法を簡単に説明すると、対
象汚染部材(例えば、変圧器やコンデンサなど多塩素化
ビフェニルが使用されている電気機器)をそのまま或い
は小さく裁断して真空加熱炉に入れ、対象汚染部材中の
有機性汚染部材が炭化しない程度の低温(約230℃)で
真空加熱を行うと、対象汚染部材に含まれている多塩素
化ビフェニル、あるいは多塩素化ビフェニルを含んだ鉱
物系絶縁油は処理時間の経過に伴い、対象汚染部材から
蒸発により分離され、付属の回収・冷却装置にて冷却回
収される。回収された多塩素化ビフェニルは、たとえば
脱塩素化処理によって基準値以下まで処理されて無害化
されることになる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】これに対して後者(図)の高温真空加熱に
よって有機物を炭化させる処理方法の場合には、約600
℃の高温にて真空加熱を行うため多塩素化ビフェニルが
有機性汚染部材(=炭化物に変化)を含む対象汚染物質か
ら確実に分離されるが、有機性汚染部材の炭化に伴い、
水分や有機酸及びアルコール類等の木酢液と呼ばれる分
解生成物が有機性汚染部材から発生する。この木酢液は
多塩素化ビフェニル自体を例えばアルカリ薬剤を用いた
分解処理をする場合には、その分解処理工程を阻害す
る。即ち、アルカリ薬剤を用いた分解方法の場合は、木
酢液がアルカリ薬剤と反応し易いためアルカリの消費量
が増加することや、木酢液とアルカリ薬剤との反応によ
り発生する反応熱の制御が困難となるなどの問題が生じ
る。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】真空加熱装置としては、減圧条件下で加熱
できる真空炉と処理時に流出或いは蒸発した多塩素化芳
香族化合物及び含浸性部材が炭化したときに発生する木
酢液が回収できる冷却・回収装置があればよい。また、
有機性部材が炭化しない条件で木酢液を含まない多塩素
化芳香族化合物の冷却・回収と、有機性部材が炭化する
条件にて木酢液にごく微量の多塩素化芳香族化合物を含
む回収液の冷却・回収は同一装置でもよいが、別々の装
置でかつ分岐等の簡単な操作で個々の装置に切り替えら
れる構成であれば、分離回収する時間や操作性が良くな
り、より好ましい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】真空加熱装置による真空加熱処理条件とし
ては、多塩素化芳香族汚染物から除去する多塩素化芳香
族化合物が蒸発できる加熱温度及び真空度が必要であ
る。まず、有機部材をできるだけ炭化させない低温真空
加熱条件で処理する場合は、加熱温度を150℃から2
30℃付近とすることが好ましいが、有機性部材ができ
るだけ炭化しない温度であればよく、上記加熱温度範囲
は加熱温度を制限するものではない。また、真空度は設
定した加熱温度に対して多塩素化芳香族化合物が蒸発で
きる真空度であればよく、真空により近い方が、処理時
間も短くなるためより好ましい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】次に有機性部材をできるだけ炭化させる真
空加熱条件で処理する場合は、有機性部材が炭化できる
加熱温度以上であればよく、高い温度になるほど処理時
間が短くなるが、加熱温度が高くなればなるほど真空処
理装置の耐熱性が求められるため処理における経済性が
悪くなる。このため、加熱温度としては汎用的な真空加
熱炉の性能である600℃程度が好ましいが、処理温度
を制限するものではない。また真空度は設定した加熱温
度に対して、多塩素化芳香族化合物が蒸発できる真空度
であればよく、出来るだけ高真空の方が処理時間が短く
なるためより好ましい。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】次に、多塩素化ビフェニルを多塩素化芳香
族化合物の代表例として本発明方法について説明する。
有機性汚染部材を含む被処理物質を真空加熱炉に入れ、
炉内を真空にした後、まず、有機性汚染部材が炭化しな
い温度条件(230℃程度)にて処理を行い、多塩素化ビ
フェニルを木酢液やタールなどの分解成分を含まない多
塩素化ビフェニルとしてその大半を流出及び蒸発させ、
これを冷却・回収装置で回収した後、炉内温度を上げ、
有機性汚染部材が炭化する温度条件(600℃程度)にて
処理し、有機性低温処理物を熱分解させる。被処理物質
は前述したようにその性状によっては低温真空加熱処理
だけで殆どの多塩素化ビフェニルが除去され、低温真空
処理された有機性低温処理物内に基準値以下の多塩素化
ビフェニルしか存在しない場合があるが、この場合も含
めて前述の高温真空処理が施されることになる。そして
この高温真空加熱による熱分解の際に発生する木酢液や
タールなどの分解成分と共に極く僅か残留している多塩
素化ビフェニル(場合によっては前述のように有機性低
温処理物内に基準値以下の多塩素化ビフェニルしか存在
しない事があり、その場合には殆ど多塩素化ビフェニル
は蒸発せず、従って、分解成分にはほとんど多塩素化ビ
フェニルは含まれないことになる。)を蒸発させること
により、多塩素化ビフェニルを極く微量含む木酢液を主
成分とする分解成分として回収する。これにより有機性
汚染部材を含む被処理汚染物質から多塩素化ビフェニル
を確実に分離・回収する。そしてこの分離・回収した分
解成分から多塩素化ビフェニルを抽出等により分離しこ
れを無害化する。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正内容】
【0029】「比較例2」多塩素化ビフェニルを含む2
3kVAのコンデンサを用いて、図3の処理工程に従って
処理を実施した。真空加熱炉にコンデンサをそのまま投
入し、処理温度230℃(真空炉内温度)、到達真空度
10Paで15時間保持した。処理に伴い発生した蒸気成
分を凝縮器で回収し、成分を分析した処、この回収物は
多塩素化ビフェニルであった。処理後の有機性低温処理
物中多塩素化ビフェニル濃度は14mg/kgであった。
実施例2に示した処理後の炭化物中の多塩素化ビフェニ
ル濃度(0.087mg/kg)と比較してかなりの量の多塩
素化ビフェニルが有機性低温処理物中に残存しており、
低温で処理する場合には、処理時間を長時間としても多
塩素化ビフェニルが十分分離するとは言い難く、有機性
汚染部材中から多塩素化ビフェニルを確実に分離するた
めには処理温度600℃程度の高い処理温度が必要であ
ることがわかる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正内容】
【0030】「比較例3」微量の多塩素化ビフェニルが
混入した鉱物油系電気絶縁油が入った10kVAの変圧器
を用いて、図の処理工程に従って処理を実施した。真
空加熱炉に変圧器をそのまま投入し、処理温度600℃
(真空炉内温度)、到達真空度10Paで6時間保持し
た。処理に伴い発生した蒸気成分を凝縮器で回収した
処、回収物は2層に分離しており、それぞれについて成
分を分析した結果、上層部の回収物は鉱物油系電気絶縁
油が主成分で、多塩素化ビフェニル濃度が46mg/kgの
濃度で含まれていた。一方、下層部は木酢液が主成分
で、多塩素化ビフェニル濃度が0.40mg/kgであっ
た。また、有機性汚染部材は完全に炭化し、この炭化物
中の多塩素化ビフェニル濃度は0.036mg/kgであっ
た。多塩素化ビフェニルを46mg/kgの濃度で含んでい
る鉱物油系電気絶縁油の脱塩素化処理を実施例1と同じ
処理方法および処理条件で行った。処理後の鉱物油系電
気絶縁油中の多塩素化ビフェニルの濃度は3.5mg/kg
であり、多塩素化ビフェニルの分解はあまり進行してい
なかった。分解をより進行させるためにはアルカリ薬剤
であるカリウムターシャリブトオキサイドが多量に必要
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 25/18 B09B 3/00 304Z (72)発明者 大野 正之 大阪市港区福崎3丁目1番176号 株式会 社関西テック総合技術センター内 (72)発明者 田村 義隆 大阪市港区福崎3丁目1番176号 株式会 社関西テック総合技術センター内 (72)発明者 本田 昭洋 大阪市港区福崎3丁目1番176号 株式会 社関西テック総合技術センター内 (72)発明者 アルブレヒト メルバー ドイツ連邦共和国 ウイルヘルム ローン ストラッセ 35 63450 ハナウ エー エルデー・バキューム・テクノロジーズ・ アーゲー内 (72)発明者 大林 宏至 東京都新宿区西新宿1丁目26番2号 松田 産業株式会社内 Fターム(参考) 2E191 BA13 BB00 BC01 BC05 BD11 4D004 AA12 AA22 AB06 CA25 CA32 CA34 CA50 CB50 4H006 AA02 AA05 AC13 AC26 AD11 BA02 BA29 BA32 BC51 BC52 BD60 BD70 BD84 BE20 EA22

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a) 減圧条件下で加熱することができる
    真空加熱装置に多塩素化芳香族化合物に汚染された有機
    性汚染物を入れ、前記有機性汚染物を炭化させない真空
    加熱条件にて多塩素化芳香族化合物を流出或いは蒸発さ
    せて有機性低温処理物にすると共に前記真空加熱装置に
    付属の冷却・回収装置にて、流出或いは蒸発した多塩素
    化芳香族化合物を冷却回収し、(b) 続いて、有機性低
    温処理物が炭化する真空加熱条件にて、有機性低温処理
    物の炭化処理を行うと共に有機性低温処理物から発生す
    る分解成分或いは分解成分と共に多塩素化芳香族化合物
    を回収し、炭化物中の多塩素化芳香族化合物を基準値以
    下にする事を特徴とする汚染物からの多塩素化芳香族化
    合物分離方法。
  2. 【請求項2】 請求項1で回収した多塩素化芳香族化
    合物を脱塩素化処理にて無害化する事を特徴とする汚染
    物からの多塩素化芳香族化合物分離方法。
  3. 【請求項3】 請求項2の多塩素化芳香族化合物の分
    解無害化方法である脱塩素化分解反応が、脱塩素化触媒
    を用いた水素化脱塩素化反応であることを特徴とする汚
    染物からの多塩素化芳香族化合物分離方法。
  4. 【請求項4】 請求項2の多塩素化芳香族化合物の分
    解無害化方法である脱塩素化分解反応が、アルカリ金属
    による脱塩素化反応であることを特徴とする汚染物から
    の多塩素化芳香族化合物分離方法。
  5. 【請求項5】 請求項2の多塩素化芳香族化合物の分
    解無害化方法である脱塩素化分解反応が、金属水酸化物
    による脱塩素化反応であることを特徴とする汚染物から
    の多塩素化芳香族化合物分離方法。
  6. 【請求項6】 請求項2の多塩素化芳香族化合物の分
    解無害化方法である脱塩素化分解反応が、金属アルコラ
    ートによる脱塩素化反応であることを特徴とする汚染物
    からの多塩素化芳香族化合物分離方法。
  7. 【請求項7】 多塩素化芳香族化合物を含んだ鉱物油
    系電気絶縁油が充填されていた変圧器或いはその解体
    物、多塩素化芳香族化合物が充填されたコンデンサ及び
    変圧器或いはこれらの解体物を多塩素化芳香族汚染物と
    したことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の
    汚染物からの多塩素化芳香族化合物分離方法。
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