JP2002539840A - 無細胞系におけるポリペプチドの合成方法 - Google Patents

無細胞系におけるポリペプチドの合成方法

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Abstract

(57)【要約】 原核および真核細胞の無細胞系におけるポリペプチドの合成方法であって、該方法は、該合成を維持する成分の反応混合物への投入および該合成を阻害する低分子量成分の反応混合物からの除去に加えて、該合成の生産性を決定するMg2+、K+、NTP、ポリアミン、またはそれらの組合せから選択される少なくとも1種の成分の濃度を所定の濃度範囲内で連続的に変化させると共に、他の成分の濃度を一定に保つことに基づくものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の分野 本発明は、分子生物学の分野の、特に原核細胞および真核細胞から調製された
無細胞系におけるタンパク質およびポリペプチドの合成に関する。
【0002】発明の背景 第1世代(US 特許 4668624, Roberts, 1979)の無細胞翻訳系におけるポリペプ
チドおよびタンパク質の合成は、反応混合物が一定濃度のMg2+、K+およびNTP、
一定のpHおよび温度の静的条件に存在する、静的(バッチ)方式において行った
。この目的のために、原核細胞(Zubay, 1973)と真核細胞(RobertsおよびPaterso
n, 1973; PelhamおよびJackson, 1976)の抽出物および溶解物を調製し、天然のm
RNAおよび合成mRNAを使用した(US 特許 4937190, Palmberg, 1990)。
【0003】 急速なバイオテクノロジーの発展は、合成タンパク質の収量を増加しうる別の
方法を必要とする。より生産的な翻訳系(ここでは基本成分の濃度は、合成中、
一定に維持される)の設計は、既存の方法の改良に向けられた尽力の一方向であ
る。第2世代の系(Spirinら, 1988)において、供給溶液(CFCF方式)中に含まれる
低分子量物質の反応ボリュームへの連続流れ、および無細胞系を阻害する標的ポ
リペプチドおよび低分子量産物の除去は、静的(バッチ)条件における古典的な
合成系と比較した場合、その稼働時間を増やし、所望するタンパク質の収量を引
き上げる。非常に多くの研究が、CFCFタンパク質合成の条件の最適化に焦点を当
てている(Baranov, 1989; Ryabovaら, 1989; Takanoriら, 1991; Spirin, 1992,
BaranovおよびSpirin, 1993; Volyanikら, 1993; Erdmanら, 1994; KimおよびC
hoi, 1996; Yamamoto, 1996; Ryabovaら, 1998, EP 特許 0312617; Alakhovら,
1993, EP 特許 0401369, Baranovら, 1995, US 特許 5434079; Mozayeni, 1995;
JP 特許 7075592, Shimizu, 1995; JP 特許 7031494, Sakurai, 1995; JP 特許
5076381, Sato, 1995; EP 特許 0593757, Baranovら, 1997; US 特許 5593856,
Choiら, 1997)。
【0004】 US 特許 5478730(Alakhovら, 1995)は、無細胞翻訳系における合成が拡散プロ
セスによる半透性バリアーを介しての、反応混合物の成分と供給溶液成分との連
続交換(CECF方式)に基づく方法を記載する。多くの著者によって得られた結果(D
avidら, 1996; KimおよびChoi, 1996; US 特許 5593856, Choi, 1997; JP 特許
10080295, Yamane, 1998)は、静的(バッチ)な稼働方式と比較して、連続交換に
おいて標的ポリペプチドの収量が有意に増加することを示すものである。
【0005】 翻訳系における成分の改良に加えて、RNAポリメラーゼおよびDNAを含めた転写
系におけるmRNAの調製方法を改良する努力が為された。これらの系において、mR
NAの調製は、RNAポリメラーゼおよびDNAの濃度、ならびにMg2+、K、およびNT
Pの濃度、および他のイオン条件に依存する(KernおよびDavis, 1997)。RNAポリ
メラーゼ、DNAおよびNTPを含めたin vitro転写の成分のコストは、非常に高い。
従って、転写条件を分析し、mRNA調製の工程を最適化することが必要である(Gur
evichら, 1991)。
【0006】 組合せ転写-翻訳の条件における原核細胞の無細胞系のCFCF方式におけるポリ
ペプチド合成の方法があり(Baranovら, 1989; EP 特許 0401369, Baranovら, 19
95; Ryabovaら, 1998)、該方法においては、転写および翻訳が、真核細胞の無細
胞系において同じ反応ボリューム内で起こる。該方法は、特許を受けた(Spirin
, 1992; BaranovおよびSpirin, 1993; EP 特許 0593757, Baranovら, 1997)。
【0007】 真核細胞の無細胞系における翻訳および転写条件はさまざまであり、主として
Mg2+およびKの濃度により決定されることが知られている(Craigら, 1993)。
従って、静的(バッチ)方式では、2段階合成(US 特許 5665563, Beckler, 1997
; Operating Guide, Single Tube ProteinTM, Novagen Inc., 1998)または3段階
合成(RobertsおよびPaterson, 1973)が広く使用される。最初の段階で、mRNA転
写のための最適条件を達成し、次いで該mRNAを精製するか、またはすぐに翻訳条
件で新しい反応混合物に添加する。転写-翻訳の真核細胞の無細胞系におけるポ
リペプチドの1段階合成は、公知である(US 特許 5324637, Thompsonら, 1994; O
peration Guide, Linked in vitro SP6/T7 Transcription/Translation Kit, Ro
che Diagnostics GmbH, 1998)。該特許(US 特許 5324637, Thompsonら, 1994)の
発明者らは、反応混合物におけるMg2+濃度を最適化する公知の原理を用いた。合
成前に反応混合物にMg2+を添加することによって、転写最適条件と翻訳最適条件
間の中間となるような反応系中のMg2+濃度を得た。さらなる研究は、かかる最適
化は2段階法または3段階法と比べて利点を有しないことを示した。Laiosらの研
究(1998)は、転写および翻訳の別々の段階での最適化は、組合せた方法のそれよ
り2〜6倍効率的であることを示した。一方、Mg2+濃度の選択の最適化は、1段階
法の原理の価値を減じる、溶解物中のまたは反応ボリューム中のマグネシウム濃
度の予備的測定に基づくものである。
【0008】 EP 特許 0593757(Baranovら, 1997)は、真核細胞の無細胞転写-翻訳系におい
て連続CFCFポリペプチド合成を20時間行うことの可能性を記載する。合成中、反
応混合物中のMg2+濃度は、供給溶液中の一定のMg2+濃度により必要レベルに維持
される。反応ボリューム中のリボヌクレアーゼ活性が低く、かつmRNA鋳型は長時
間にわたって活性を保持するので、反応系は、より初期のmRNA鋳型と新しく合成
されたmRNA鋳型の双方により機能し、一定のMg2+濃度により標的産物を合成する
。より生産的な合成のためには、転写系は、十分量のmRNAを合成すべきである。
従って、大量の高価なポリメラーゼSP6またはT7(30,000ユニット)を必要とする
。合成の最適条件は、それぞれ個々の場合で選択されるべきであることが上記特
許の本文で言及されている。適切な選択を行うためには、様々なMg2+濃度でバッ
チボリュームにおいて一連の合成を行い、所定のポリペプチドのためのその最適
値を決定する必要がある。該方法の最適化には、時間がかかり、どちらかといえ
ば高価である。
【0009】 連続交換方式(CECF)が拡散プロセスによって維持される装置は数多くある。該
装置(無細胞系におけるポリペプチド合成のための透析容器の形態である)は、
US 特許 5478730(Alakhovら, 1995)に初めて記載された。Promega Corp.(Davis
ら, 1996)は、大腸菌の原核細胞の無細胞系において、組合せ転写-翻訳における
合成(静的(バッチ)方式、および連続交換方式での合成)の比較分析を行った
。この目的のために、著者らは、Spectrum Medical Industr.により製造された
「DispoDialyser」機器(US 特許 5324428, Flaherty, 1994)およびPierce Chemi
cal Comp.によって製造された「Slidealyzer」透析装置(US 特許 5503741, Cla
rk, 1996)を用いた。
【0010】 予備的に濃縮した大腸菌の原核細胞の無細胞系における組合せ転写-翻訳によ
るポリペプチド合成のために、KimおよびChoi(1996)は、シリンダーの底に固定
した透析膜を用いた。
【0011】 Yamamoto(1996)は、膜が中空繊維で作成された透析装置を構築した。供給溶液
は、中空繊維を通過する。拡散によって、反応混合物の成分を、供給溶液の成分
と交換する。
【0012】 Yamaneにより設計された装置(JP 特許 100809295, Yamane, 1998)においては
、透析膜に沿って循環する供給溶液の低分子基質の拡散により一定の合成条件を
維持するために膜が使用される。
【0013】 US 特許 5478730(Alakhovら, 1995)は、連続交換方式で稼働する透析装置に最
も類似する。該特許の発明者らは、透析膜、平らな膜または中空繊維のいずれか
で作成される多孔性バリアー(多層構造で構成されてもよい)のための必要条件
を詳細に記載している。
【0014】 稼働が連続流れ(CFCF)方式に基づく多くの装置が開発された。それらは、供給
溶液流れの形成および該系の稼働を阻害する合成産物および代謝産物の除去の方
式によって互いに異なる。
【0015】 流れ型反応器における1つの限外濾過膜の使用は、多くの論文に記載されてい
る(Spirinら, 1988, 1992; Takanoriら, 1991; Spirin, 1992; Volyanikら, 199
3; KimおよびChoi, 1996; Ryabovaら, 1998)。この方法の不利な点は、流入する
供給溶液の流れが、流出する低分子成分および高分子成分の流れ量と等しく、そ
の結果、限外濾過膜の孔が早く詰まってしまうことである。
【0016】 1990年にFischerら(DE 特許 3914956)は、供給溶液の反応ボリュームへの多方
面のパルス供給を用いた方法を提案した。この目的のために、Nサイクルを形成
することで、反応ボリュームにおいて正圧および負圧を得る。正圧の形成後に、
阻害性産物が反応ボリュームから多孔性バリアーを経由して除去され、供給溶液
と混合される。負圧では、阻害性産物の一部が多孔性バリアーを経由して別の供
給溶液の一部とともに反応ボリュームに戻される。さらに、長期合成に必要とさ
れる無細胞系の高分子量成分は、反応ボリュームから激しく洗い流される。
【0017】 1995年にMozayeny(US 特許 5434079)は、限界濾過膜の面積の増加によって高
分子量産物の除去を向上させた装置を提案した。合成中、無細胞系の諸成分は、
70〜100kDの孔サイズを有する大きな面積の2つの平行膜を介して、標的産物と一
緒に除去される。この方法では合成時間が限られる。
【0018】 本明細書に提案される装置は、1つまたは2つの多孔性バリアーを用いたUS 特
許 5478730(Alakhovら, 1995)に記載の装置と最も類似する。該バリアーは、平
らな膜または中空繊維で作製できる。
【0019】 一般的に先行技術は、合成中、一定条件を維持するために開発された方法およ
び装置を記載する。一定条件は、無細胞系の稼働を阻害する低分子量産物の反応
ボリュームからの除去、および合成を維持する幾つかの成分の反応ボリュームへ
の供給の双方によって提供される。合成は、反応混合物および供給溶液の双方に
おけるMg2+、K+、NTPおよび他の成分の同一濃度によって維持される。先行技術
特許の発明者らは、公知の最適化原理を使用している。この方法の最適化は時間
がかかり、しかも高価である。
【0020】発明の概要 本発明の目的は、原核および真核細胞の無細胞系において目的ポリペプチドの
合成を可能にする方法を提供することである。本発明は、連続流れ(CFCF)方式ま
たは連続交換(CECF)方式での合成法の改変に基づくものである。これらの方式に
おいては、合成の間中、該合成を維持する成分の反応混合物への投入および該合
成を阻害する低分子量成分の反応混合物からの除去と平行して、該合成の生産性
を決定する少なくとも1種の所定の成分(Mg2+、K+、NTP、ポリアミン、または
それらの組合せ)の濃度を、予め決められた上限から下限までの範囲で連続的に
変化させることを特徴とする。
【0021】図中で用いた記号: F10、F11、F12は、供給溶液の流れである。 F20、F21、F22は、付加的混合物の流れである。 F30、F31、F32は、反応混合物の低分子量産物の流れである。 F40は、反応混合物の高分子量産物の流れである。 F50、F51、RF52は、合成を維持する高分子量成分の流れである。 位置1〜9は、反応器の入口および出口を表す。 位置10〜19は、反応器要素を表す。 本文中で用いた略号: Mg2+:マグネシウム塩として添加されたマグネシウムイオン; K+:カリウム塩として添加されたカリウムイオン。
【0022】特定の実施形態の説明 1.合成段階 合成は、以下の段階から成る。 1. 反応混合物を、細胞溶解物または細胞抽出物を用いて調製する。 2. 供給溶液および合成の生産性を決定する少なくとも1種の選択した成分を
含む付加的混合物を調製する。 3. 反応器稼働の方式を決定し、反応器モジュールの型を、多孔性バリアーの
所定の数およびタイプで選択する。反応混合物と供給溶液との容量比、または反
応ボリュームを経由した供給溶液の流れ速度を決定する。 4. 少なくとも1つの反応器モジュールを含んだ合成用装置を、組み立てる。 5. 反応混合物および供給溶液を、少なくとも1つの多孔性バリアーによって
分離された反応器モジュールの対応するゾーンに供給する。 6. 付加的混合物を、合成前もしくは合成中に反応混合物または供給溶液の一
部に供給する。 7. 合成の過程において付加的混合物を、稼働方式に応じて一度に、反復的に
、または連続的に導入する。 8. 調製的合成モードにおいて、必要とされる高分子量成分を、反応混合物に
一度に、反復的に、または連続的に供給する。 9. 合成産物を、合成終了時に、または合成中のいずれかに反応混合物から回
収する。 10. 産物を合成中に回収する場合、産物を分析し、系の生産性を決定する条
件を補正する。
【0023】2.反応混合物の調製 無細胞系は、細胞溶解物または細胞抽出物を用いて調製する。それらは、タン
パク質合成ならびに再生系に必要な成分のすべて、NTP、バッファーおよび塩類
、ならびにアミノ酸を含む。
【0024】 ポリペプチド合成用の無細胞系が多数知られている(US 特許 5807717, Joyce,
1998)。それらは、古細菌(ハロバクテリウム、サーモプロテウス(Thermoprot
eus)、メタノコッカス(Methanococcus)、スルホロブス(Sulfolobus)など)、真
性細菌(プソイドノマス(Pseudonomas)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)な
ど)および真核細胞(ウサギの網状赤血球、コムギ胚芽、HeLa、マウスの肝臓な
ど)から調製する。本明細書に記載の条件は、原核細胞の大腸菌抽出物(Zubay,
1973)、真核細胞のコムギ胚芽抽出物(RobertsおよびPaterson, 1973)およびウ
サギの網状赤血球から調製した抽出物(PelhamおよびJackson, 1976)から調製し
た翻訳系および転写-翻訳系の条件に最も類似する。
【0025】 転写-翻訳無細胞系の成分の1種は、mRNAを合成するDNA依存的RNAポリメラーゼ
とすべきである。それは、大腸菌RNAポリメラーゼまたはバクテリオファージRNA
ポリメラーゼから選択する。本発明において、発明者らは、かかる系でのポリメ
ラーゼT1、T3、T5、T7、SP6、A16、PHL1、PHL11の使用を分析するが、これらに
限定されない。最も好ましいものは、ポリメラーゼT7およびSP6ポリメラーゼで
ある。
【0026】3.合成条件 原核および真核細胞の無細胞系において、合成条件が異なることは、公知であ
る。合成の生産性は、Mg2+、K+およびNTPのような無細胞系の成分の濃度が、最
適範囲内であるかどうか、また、それらが合成中にどのような数値に変化するの
かに依存する。合成が最適である濃度の範囲はむしろ狭い。合成中の温度、pH、
初期成分濃度における変化によって、無細胞系が最適の合成モードを脱すること
が強いられ、その結果、合成産物の収量が減少する。すべての無細胞系において
、最適化とは、NTP値が推測的に決定され、かつ合成が最も生産的であるような
範囲のMg2+およびK+濃度が選択されることを意味する。
【0027】 このことは、様々な特許において示された「最適な」マグネシウム濃度の大き
な分散へと至らせる。例えば、Promegaの特許(US 特許 5324637, Thompsonら, 1
994)で言及されるように、網状赤血球溶解物を用いた転写-翻訳系におけるポリ
ペプチド合成のためには、反応混合物中の最適なマグネシウム濃度は、2.5〜3.5
mMである。しかしながら、他の特許(US 特許 5807717, Joyce, 1998)で示される
ように、Promegaによって製造された網状赤血球溶解物を用いた同様の系におけ
るポリペプチド合成のためには、この範囲は、6.0〜10.0mMのMg2+である。
【0028】 Mg2+濃度が16〜36mMである場合は、SP6、T7およびT3ポリメラーゼを用いると
、最適な転写が起こることが公知である(Pokrovskaya, 1994)。NTP濃度は、転写
の開始を主として決定し(Guajardoら, 1998)、Mg2+濃度は、T7ポリメラーゼの
有効な作用のためにNTPの全濃度を上回るべきである(Gurevichら, 1991; Kernお
よびDavis, 1997)。同時に、標準的手法(PelhamおよびJackson, 1976; Suzuki,
1977; Merrick, 1983)によって調製した網状赤血球溶解物を用いた無細胞系にお
ける最適なmRNAの翻訳のためには、マグネシウム濃度は、反応混合物に添加され
るMg2+の1.0〜3.0mMの範囲で変化しうる。
【0029】 本発明においては、最適なMg2+およびK+濃度が中間実験の結果によって決定さ
れる場合、必要とされる転写および翻訳レベルを提供するMg2+およびK+濃度の決
定において発生する矛盾は、公知の方法と比較して違った方法で解決される。本
明細書では、このことを、以下の方法で行う。合成中、合成を維持する成分の反
応混合物への投入および合成を阻害する低分子量成分の反応混合物からの除去と
平行して、合成の生産性を決定する少なくとも1種の選択した成分(Mg2+、K+、NT
P、ポリアミンまたはそれらの組合せ)の濃度を、決定した範囲の上限から下限
まで連続的に変化させる。
【0030】 この範囲の上限および下限の選択は、合成モード、無細胞抽出物のパラメータ
ー、反応混合物および供給溶液の双方の条件に依存する。Mg2+を選択した成分の
1種として選ぶ場合、Mg2+濃度(転写、転写-翻訳、翻訳を含めた種々のモードの
ために)は、添加されるMg2+を0.25〜50mMの範囲とする。無細胞系の成分の1種
がDNA依存的RNAポリメラーゼである場合、RNA転写モードにおいて、Mg2+濃度の
変化の所定範囲の上限および下限は、添加されるMg2+を2〜50mMとすべきである
。タンパク質合成が転写-翻訳の条件で進行する場合、これらの範囲は添加され
るMg2+を2〜25mMとすべきである。タンパク質合成が翻訳の条件で進行する場合
、Mg2+濃度の変化の範囲の上限および下限は、対応して添加されるMg2+を0.25〜
25mMとすべきである。これらの範囲は、合成中、合成条件が合成モードと一緒に
変化する(すなわち優先的転写が転写-翻訳または優先的翻訳に切り替わる)よ
うに選択されうる。先の例では、合成に必要とされる選択した成分の1種だけ(M
g2+)の濃度範囲が関係している。選択範囲の幅およびそれらの上限および下限は
、原核および真核細胞の無細胞系における合成条件を考慮して決定される。
【0031】 本発明の他の目的は、真核細胞の無細胞系における、ある量のポリペプチド合
成のコストを削減することである。公知の方法では、NTPおよびアミノ酸のよう
な供給溶液の高価な成分の反応ボリュームを経由した連続流れにおいて、高濃度
の高価なT7ポリメラーゼにより合成を行う(欧州特許 0593757, Baranovら, 1997
)。本発明においては、合成開始時に反応混合物に導入される高濃度のMg2+およ
びNTPが未成熟mRNAの量を低減し、ひいては翻訳中のATP、GTPおよびアミノ酸の
消費を減少させるので、転写-翻訳系における合成の生産性が増加する。
【0032】 反応ボリュームを経由した供給溶液の連続流れ(CFCF)の原理に関係する本発明
に含まれる幾つかの実施例は、標的ポリペプチドの調製的合成のコストを削減す
ることを目指している。供給溶液の流れおよび選択した成分の濃度は、ポンプを
用いて流れの速度および方向を変化させることによって容易に制御できる。他の
実施例は、連続交換(CECF)の使用および選択した成分の少なくとも1種の濃度の
連続変化によって、合成の生産性を増加させる可能性を示す。知られているよう
に、透析膜を介した反応混合物および供給溶液に含まれる低分子量成分の交換速
度は、多くの条件(膜面積、孔サイズなど)に依存する。これは、合成モードの
選択および選択した成分の濃度を変化させる範囲の上限および下限の選択を制限
する。例えば、CECF方式においては、別々のモード(転写、翻訳、転写-翻訳)
、または2つのモードの組合せ(例えば、転写と転写-翻訳または転写-翻訳と翻
訳)、もしくは3つのモードの組合せ(例えば、転写、転写-翻訳および翻訳)で
合成を行うことがより好ましい。このことは、どちらかといえば低速度のため、
交換に多くの時間を要し、合成に必要である低分子量成分の投入および系の稼働
を阻害する低分子量産物の除去に必要な速度に対応することができないという事
実に起因する。
【0033】 図1は、異なる合成モードにおける反応混合物中のMg2+濃度の変化を示した2つ
の例を示す。一方の例は、大量のmRNAの合成を行う必要がある場合を示す。線図
(K)から分かるように、上位のレベル(A)からレベル(C)までの選択した成分の濃
度変化は、優先的転写およびmRNA合成の条件が高濃度のMg2+およびNTPのために
反応混合物中で形成される範囲内にある。ここで、Mg2+の初期濃度は、10mMより
多くNTPの濃度を越えるべきではない。Mg2+およびNTP濃度の続く減少は、系がMg2+ およびNTP濃度を転写-翻訳ゾーン(C〜Dゾーン)の上限の相当する値に調整す
るという事実に起因する。他方の例(線図L)は、Mg2+およびNTP濃度の上限が転
写-翻訳ゾーン(C〜Dゾーン)の上限に相当し、下限が翻訳ゾーン(D〜Bゾーン)
の下限に一致する場合を示す。この場合には、反応混合物の条件は、合成中に優
先的転写条件から優先的翻訳条件に変化する。多孔性バリアーのパラメーター(
孔サイズ、膜面積、膜の種類)および多孔性バリアーの表面上の供給溶液の流れ
速度は、それらが合成中に必要な交換速度ならびにMg2+およびNTP濃度の変化を
提供するように、供給溶液および反応混合物の低分子量成分の拡散速度および交
換を考慮して選択すべきである。濃度の上限および下限の選択は、様々な方法で
調製できる無細胞抽出物の特性に左右される。反応混合物の特性は、混合物中に
含まれる抽出物および供給溶液のパーセンテージに依存する。上限および下限(
その範囲内で、選択した成分の濃度を合成中に変化させる)の決定により、様々
なモードにおける無細胞系の生産性を制御することが可能である。
【0034】 連続流れ方式(CFCF)は、反応混合物を経由した供給溶液流れの速度および方
向の迅速な変化を可能にする。これにより、合成の種々の段階での選択した成分
の濃度変化の速度を制御することができる。1回の実施において、反応混合物を
経由した供給溶液流れの様々な速度を選択することが可能である。従って、転写
-翻訳無細胞系におけるポリペプチドの合成中、個々の段階(該段階では、反応
混合物のパラメーターおよび選択した成分の濃度は、優先的転写、転写-翻訳ま
たは翻訳のものに対応する)の継続時間を調整することが可能となる。選択した
成分の濃度を変化させることができる範囲内の限定的なパラメーターの選択は、
合成の目的(mRNAの合成、または翻訳モードにおける標的ポリペプチドの合成、
もしくは転写-翻訳モードにおける標的ポリペプチドの合成)、選択した合成条
件、とりわけ、細胞抽出物の特性、多孔性バリアーのパラメーター(孔サイズ、
膜面積および膜の種類)、消費性の高分子量成分の添加可能性に依存する。Mg2+ 濃度の許容される範囲の上限(この上限から、作用範囲が決定される)は、DNA
依存的RNAポリメラーゼを含むCFCF転写-翻訳系において50mMを超えることはあり
得ない。Mg2+濃度の下限が0.25mMを下回ることはあり得ない。
【0035】 図2は、Mg2+濃度の変化の転写-翻訳合成の時間に対する依存性(M)を示す。合
成の第1段階(t1〜t2期間)での供給溶液流れの速度を調整することで、合成さ
れるmRNAの量を修正し、それらの過剰な生産を防ぐことが可能である。第1期間(
t1〜t2)の開始時での高濃度のMg2+およびNTPは、高価なRNAポリメラーゼの必要
量を低減させる。なぜならば、mRNA合成が未成熟mRNAのより低い収量で進行する
からである。Mg2+およびNTP濃度の比は、第1段階で、Mg2+濃度が5〜10mMだけNTP
濃度を越え、一方第3段階では、NTPを上回るMg2+のこの過剰量が0.5mMを下回ら
ないように選択する。
【0036】 CFCFモードでの長期合成においては、選択した成分の濃度を、上限から下限ま
での範囲で一回または反復的に変化させる。図3は、付加的混合物の反応混合物
への反復的パルス投入でのMg2+およびNTP濃度の変化を示した線図(N)である。合
成は、t4〜t6のステップ継続時間を有するN回のステップに分割される。付加的
混合物は、t4〜t5期間中に導入する。Mg2+およびNTP濃度は増加して、レベルCを
通過し、反応系における合成の条件は、mRNAの優先的転写が起こるゾーンA〜Cに
達する。Mg2+およびNTP濃度の減少は、合成の条件を転写-翻訳(ゾーンC〜D)か
ら優先的翻訳(ゾーンD〜B)に変化させる。
【0037】 標的タンパク質の調製的合成中、供給溶液の低分子量成分だけが、長期合成に
必要というわけではない。このモードでは、低分子量成分に加えて、高分子量成
分もまた反応混合物中に導入する。これらの成分は、(i)リボソーム画分、(ii)
無細胞抽出物(S30、S100およびそれらの修飾体)、(iii)ポリメラーゼ、(iv)プ
ラスミド、(v)tRNAである。合成の条件に関して、高分子量成分は、1回で、反復
的に、または連続的に導入する。ポリメラーゼおよびプラスミドのような成分は
、転写の段階で最大濃度のMg2+およびNTPの投入と一緒に反応混合物に導入する
ことが好ましい。リボソーム画分は、翻訳の際に投入することができる。
【0038】 図4は、これらの成分の線状勾配の形成の際のMg2+およびNTP濃度の変化の線図
(O)を示す。線状勾配の形成方法は、公知であり、例えば、液体クロマトグラフ
ィーにおいて広く使用されている。mRNA翻訳系での標的ポリペプチドの調製的合
成のためにこのモードを使用することは、得策である。このモードにおいて、変
化範囲(ゾーンE〜F)にあるMg2+およびNTP濃度は、Mg2+およびNTP濃度がmRNAの
最適な翻訳に最も近似している範囲に対応すべきである。許容できるMg2+および
NTP濃度の範囲は、文献に示された、または製造業者の技術的記載からの、既知
の抽出物の種類から決定するべきである。E〜Fの範囲の限界に近いゾーンにおけ
る翻訳効率の減少は、線状勾配の形状に比例したMg2+およびNTP濃度の反復的変
化を伴った、最適ゾーンを経由した合成条件の多数の反復によって補償される。
上記の場合には、全ての合成は、t7〜t9である各々のステップ継続時間を有する
N回のステップに分割される。第1のステップ、t7〜t8で、高濃度のMg2+およびNT
Pを含有する付加的混合物を供給溶液と混合し、その結果、混合物全体のMg2+
よびNTP濃度は増加する。該混合物全体を、反応混合物に導入し、合成の条件を
変化させる。その時、それは合成を維持し、合成を阻害する低分子量成分を反応
ボリュームから除去する。混合した容量の比率の変化、および供給溶液に対する
付加的混合物の投入量の減少により、混合物全体のMg2+およびNTP濃度は減少す
る。減少したMg2+およびNTP濃度は、合成が最大であるE〜Fゾーンの領域を通過
する。合成の条件に応じて、合成を維持する高分子量成分を過剰に、反応ボリュ
ームに連続的に、または反復的に添加する。
【0039】 また十分量のmRNAを得る目的で、同様の方式を、調製的転写を制御するために
用いることもできる。バッチ方式での公知のmRNAの合成方法および低分子産物を
除去せずに転写系の供給バッチを用いる方法(KernおよびDavis, 1997)の相違は
、下記の通りである。(a)mRNAの合成を阻害する低分子量成分の除去によって、
合成プロセスは長期化され、mRNAの収量は増加する。(b)Mg2+およびNTP濃度の範
囲の下限の選択によって、更なる精製なしに合成されたmRNAの翻訳である次の段
階を促進する条件において、mRNAを得ることが可能である。(c)高濃度のMg2+(5
0mMまで)の使用の結果として、未成熟または不完全なmRNA分子の収量が低減し
、高価なRNAポリメラーゼの消費を低下させる。
【0040】4.反応器モジュール 上記の稼働方式は、適当な反応モジュールの設計の選択によって実現すること
ができる。反応モジュール内に配置される多孔性バリアーを用いて、反応ボリュ
ームを形成し、同時に供給溶液および付加的混合物成分の双方の投入、合成を維
持する消費可能な高分子量成分の投入、および合成を阻害する低分子量成分の反
応モジュールからの除去、そして、幾つかのモードにおいては、標的ポリペプチ
ドを含む高分子量成分の流出のためのゾーンを形成する。
【0041】 最も単純な構築においては、反応ボリュームを、2つのゾーンに分割する:(a)
CECF方式では、該ボリュームを、多孔性バリアーによって反応混合物を有するゾ
ーンと供給溶液を有するゾーンとに分割する;(b)CFCF方式では、該ボリューム
を、多孔性バリアーによって、反応混合物を有し供給溶液が添加されるゾーンと
合成産物の除去ためのゾーンとに分割する(US 特許 5478730, Alakhovら, 1995)
【0042】 3つのゾーンが形成される反応器がある(US 特許 5135853, Dzewulskiら, 199
2; US 特許 5478730, Alakhovら, 1995; DE 特許 Appl. 19832160.0 A1, Bauer
ら, 1999)。3つのゾーンは、供給溶液投入のためのゾーン、反応混合物を有する
ゾーンおよび合成産物の流出のためのゾーンである。かかる分割は、一定の合成
条件を維持するために必要である。本発明において、合成の生産性は、一方では
反応混合物中のアミノ酸および他の成分の一定の組成によって、他方では選択し
た成分の濃度の能動調節(CFCF方式において)または受動調節(CECF方式におい
て)によって、維持されるべきである。これらの条件は、様々なモードでの稼動
のために設計される反応器の構築の選択を決定する。反応ボリューム内に3つの
ゾーンを形成する2つの多孔性バリアーを有した反応器の構築は、様々なモード
で、最も広く使用される。ゾーンの数は、反応器モジュールの特色によって必要
に応じ増やすことができる。
【0043】 反応混合物の容量は、合成の条件および目的によって決まる。既知のように(
US 特許 5324637, Thompsonら, 1994)、研究目的のためには、合成は微小容量で
行う。調製的スケールでの合成(EP 特許 0593757, Baranovら, 1997)は、容量
が500μl〜1.0mlである反応器中で行う。研究目的のためには、最小反応容量を5
0〜500μlにすべきである。調製的合成のためには、500μl〜10mlの容量の反応
モジュールを、1つまたは複数用いる。反応器内の反応ボリュームの数は、反応
器モジュールのタイプに応じて、1〜10個であってよい。
【0044】 3つのプロセスは、反応ボリュームの各々の場所で同時に進行すべきである:3
つのプロセスとは、(a)供給溶液の投入、(2)合成を阻害する低分子量産物の流出
、および(3)合成の生産性を決定する選択した成分の濃度の一時的変化である。
反応混合物の様々な形状の薄層が形成される反応器モジュールが、最も好ましい
。合成が許容できるレベル以下に下がらない期間にわたって、反応混合物および
供給溶液成分の連続交換、または反応混合物を経由した供給溶液の流れ、ならび
に合成を阻害する低分子量産物の除去が進行するように、層の厚さを選択する。
反応混合物は、多孔性バリアーの表面間に形成されるどのような形状のボリュー
ムにも配置することができる。中空繊維、平らな膜またはその組合せを使用する
ことで、反応ボリュームは、円柱状または厚さ0.1〜5.0mmの薄い平面状のシート
の形状をとることができる。反応系の内部容量と供給溶液の混合は、ポンプを用
いた反応混合物の閉ループ循環によって(US 特許 54343079, Mozayeni, 1995)
、反応器の揺動によって(US 特許 5593856, Choi, 1997)、または磁気スターラ
ーの使用によって(KimおよびChoi, 1996)行うことができる。反応ボリュームは
、前もって有機質もしくは無機質の様々なセパレーターまたはエキステンダーを
充填することができる。それらは、以下の材料から選択される多孔性、層状また
は毛管状の材料であり得る:(a)合成ポリマーまたは無機材料からのフィルター
、(b)多孔性金属またはそれらの組成物、(c)ゲル様構造物。反応混合物中に配置
される孔サイズ10μm〜0.1mmの多孔性材料は、分子が互いに衝突する面積を増加
し、従って合成反応の速度を増加させるのに役立つ(Albertsら, 1983)。ポリマ
ー、無機酸化物およびセオライト(US 特許 5593856, Choi, 1997)に加えて、こ
れらの材料には、反応系から標的ポリペプチドを単離するためのクロマトグラフ
ィーに使用される吸着剤(アフィニティー吸着剤(Maierら, 1998)を含む)が含
まれうる。この目的のための任意の多孔性材料の使用は、それらの化学的活性お
よび合成を阻害する可能性によってのみ制限を受ける。
【0045】 多孔性バリアー(例えば、膜、中空繊維および他の多孔性構造物)は、供給溶
液および反応混合物成分の連続交換を確実のものにし、反応ボリュームを経由し
た供給溶液流れの分配器の役割を果たす。様々なタイプ(膜、中空繊維)および
様々な材料(固体またはゲルと組み合わせた固体)の多孔性バリアーの反応器内
での使用に関して、制限は何もない。多孔性バリアーは、種々の材料から作製さ
れた多孔性バリアーを含めて、1層または多層構築物の双方として使用できる。
【0046】 本明細書中で提案される多孔性バリアーの相互的な位置の変形は、当技術分野
の既存の知識を用いて、改良することができる。
【0047】本発明の実施例 以下に、連続交換(CECF)または連続流れ(CFCF)方式での効率的な合成のための
反応器モジュールにおける流れ形成(供給溶液、付加的混合物またはそれらの組
合せ)の実施例(実施例1〜実施例5)、および連続交換方式でのクロラムフェニ
コールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)合成の実施例(実施例6)を示す。
【0048】実施例1 図5は、反応ボリュームを2つの区分に分ける多孔性バリアー11を有する反応器
10の概略図を示す。多孔性バリアー11の表面によって限定された一方の区分14の
中に、入口1から導入された反応混合物を配置する。もう一方の区分15の中に、
入口2から供給溶液を導入し、多孔性バリアー11の表面と接触させる。該多孔性
バリアーは、平面シート状または円柱状の形態でありうる。前者の場合には、円
盤状、正方形、もしくは長方形の透析膜または限外ろ過膜を使用し、後者の場合
には、中空繊維または透析容器を使用する。反応混合物を20℃〜40℃の範囲の温
度でインキュベートする。好適な温度の範囲は、コムギ胚芽抽出物の場合が20℃
〜26℃、網状赤血球溶解物の場合が24℃〜38℃、大腸菌抽出物の場合が20℃〜38
℃である。膜の内面および外面にそって移動する接線方向の流れが形成され、そ
の結果供給溶液と反応混合物との交換を増大させる。CECF方式の場合には、反応
ボリュームからの低分子量成分のみの除去(孔サイズが30kDを超えない場合)
または低分子量成分と高分子量成分の同時除去(孔サイズが30〜100kDの範囲で
ある場合)を可能とする、そのような多孔性バリアーを選択する。反応器モジュ
ールの入口1および入口2は、反応ボリュームの2つの区分を同圧力に維持しなが
ら合成を実施する間中、気密的に閉鎖しても、あるいは開放してもよい。これに
より、反応混合物または供給溶液への基質(合成を維持する)の添加が可能とな
り、また、拡散とは無関係に所定の成分の濃度を変更することが可能となる。合
成の前に、反応混合物と供給溶液の容量比を1/5〜1/100の範囲で選択し、反応モ
ジュールのタイプをこの容量比、透析膜の孔サイズおよび面積に対応するように
選択する。
【0049】 連続交換方式(CFCF)による合成の提案された方法の使用を下記に記載する。 分析目的のため、ポリペプチドの合成は、反応ボリュームの体積が50μl以上
のマイクロリアクターで実施する。調製量のポリペプチドの合成においては、合
成のモードおよび反応器の設計に対して特別な要求が課される。以下に、反応器
内部に分枝した流れを有する反応器を含めて、1チャンネルおよび多チャンネル
反応器を使って達成し得る変形を示す。多孔性バリアー、それらのパラメーター
および反応混合物層の厚さに関する変形は、ほとんどが上記したものに類似して
いる。流れ方式で用いる反応器は、(1)低分子量成分を含む供給溶液の反応ボ
リュームへの投入、および(2)高分子量成分の反応ボリュームへの直接的また
は多孔性バリアーを介しての投入を確保すべきである。該多孔性バリアーは、リ
ボソームとその周囲に形成される複合体を除き、S30抽出物のほとんどの成分が
自由に透過できる5000kDを超えない孔サイズを有する流れ分配器の役割を果た
す。既存の知識を使用して設計することができる反応器の可能な構築物の数はか
なり多く、先行技術は他の変形の範囲を制限するものではない。
【0050】実施例2 高分子量成分および低分子量成分からなる流出画分の分枝した流れとともに供
給溶液を連続投入する方式における合成(CFCF-BF)は、流出流れの独立した制御
により、反応混合物中の合成ポリペプチドを濃縮する可能性を提供する。図6は
、反応器の概略図ならびに高分子量画分F40および低分子量画分F30の分枝した流
出部において形成される流れの方向を示す。該反応器はハウジング10、多孔性バ
リアーの内面間に位置する反応ボリューム14を形成する2つの多孔性バリアー11
および12、ならびに多孔性バリアーの外面と接触する液体流路の投入/流出のた
めの2つのゾーン15およびゾーン16を有する。該反応混合物を入口1から反応混合
物に投入する。同入口には、(a)供給混合物F10、(b)付加的混合物F20、(c)高分
子量成分の画分F50を供給する。該供給混合物は入口1に連続的にまたは反復的に
供給する。合成条件に応じて、付加的混合物F20および高分子量成分の画分F50は
反応混合物へ一度に、反復的に、または連続的に供給する。高分子量成分の画分
F50は供給溶液F10とは別個に反応ボリュームへ投入するか、あるいは高分子量成
分を予備的に供給溶液と混合する。合成は画分F50の投入なしに実施してもよい
。合成の開始に先立って、反応混合物の画分に対する供給溶液、付加的混合物、
および高分子量画分の容量比、ならびに反応ボリュームを経由するこれらの画分
の流速を決定する。第1の多孔性バリアー11の孔サイズは、目的ポリペプチドの
分子量およびサイズを考慮して、30〜100kDの範囲で選択し、第2の多孔性バリ
アー12の孔サイズは30kDを超えないように選択する。選択した合成モードに応
じて、第1のバリアーおよび第2のバリアーを通過する容量比は、1/10〜1/100の
範囲となるようにする。
【0051】実施例3 図7は、第1のバリアーおよび第2のバリアーが30kDを超えない同一の孔サイズ
または異なる孔サイズを有する反応器の流れの概略図を示す。この場合、合成は
、合成(CFCF-RP)ゾーンから高分子量画分F40および目的産物を除去することな
く進行し、かつ流れF31およびF32は低分子量成分のみを含有する。この方式は、
合成した産物が80〜100kDを超える場合、または反応ボリューム内での合成ポリ
ペプチドの蓄積が合成を阻害しない場合に使用される。供給溶液、付加的混合物
、および高分子量成分の画分の投入方式は、CFCF-BF方式と同様である。
【0052】実施例4 多孔性バリアーは、反応混合物を導入するボリュームが多孔性材料で充填され
、反応ボリュームの混合に支障があるか不可能な場合に、供給溶液および付加的
混合物の流れの分配器として使用することができる。
【0053】 図8は、第1の多孔性バリアーが供給溶液F10および付加的混合物F20の流れの分
配器の役割を果たす場合のCFCF-RP方式における反応器モジュールおよび流れの
方向の概略図を示す。第1の多孔性バリアー11の孔サイズは、5000kDを超えるべ
きではない。これにより、高分子量画分F51に含まれる成分のサイズが第1のバリ
アーの孔サイズよりも小さい場合、第1のバリアーからの高分子量画分F51の一部
の投入が可能である。そのような成分とは、tRNA、酵素などである。必要な場合
には、リボソーム画分F52を反応ボリューム14に液体入口1から直接投入する。第
2の多孔性バリアーの孔サイズは、30kDを超えるべきではない。該システムの稼
動を阻害する、低分子量成分F30の流れは流出口5から除去される。
【0054】実施例5 図9は、第1および第2の多孔性バリアーからの供給溶液の供給の方向を反復的
に変更する場合のCFCF-RF方式における流れの概略図を示す。ポリペプチドの長
期合成用に設計されたこの方式においては、供給溶液の供給方向を変更すること
により、第1の多孔性バリアー11および第2の多孔性バリアー12の孔の洗浄がもた
らされる。合成は、反応器(第1のバリアーおよび第2のバリアーの孔サイズは同
一で、30kDを超えないものとする)から高分子量産物を除去することなく、あ
るいは反応ボリューム(第1の多孔性バリアーの孔サイズは100kDを超えるべき
ではなく、第2のバリアーの孔サイズは30kDを超えるべきではない)から合成産
物の一部を除去しながらの、いずれかによって実施される。高分子量成分F50の
流れは入口1から反応ボリュームに供給する。供給溶液および付加的混合物の投
入のN回のステップが、合成中に形成される。各ステップは2つの期間に分けられ
る。第1の期間においては、供給溶液および付加的混合物の入った容器を、液体
バルブを使って入口2に連結する。供給溶液の流れF11および付加的混合物の流れ
F21を、第1の多孔性バリアー11の表面によって形成されるゾーン16に投入する。
第1の多孔性バリアーの孔から、供給溶液および付加的混合物を反応器の合成ゾ
ーン14に供給する。第2の多孔性バリアー12の孔から、低分子量成分を合成ゾー
ンからゾーン15へ除去し、その後流出口5より反応器から除去される流れ32が形
成される。第1期間の終了後、バルブを切り替えて、供給溶液および付加的混合
物の入った容器を、第2の多孔性バリアー12によって形成されるゾーン15にリン
クされる入口3へと連結する。流れF12、F22は、第2の多孔性バリアーから反応混
合物へ侵入し、同時に合成の第1ステップの間にふさがれた第2のバリアーの孔を
洗浄する。低分子量成分は、第1の多孔性バリアーを介して反応ボリュームから
除去される。それらは、出口4を介して反応器から除去される流れF31を形成する
。第1および第2の多孔性バリアーから供給溶液および付加的混合物の流れを反応
ボリュームに投入するための第1期間および第2期間の長さを調節することによっ
て、流れF31およびF32の容量比を変化させる。
【0055】実施例6 翻訳系および組合せ転写-翻訳系の2つの変形における連続交換方式(CECF)に
よるクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)の合成。 ファージポリメラーゼによる環状形態のDNAおよび直鎖形態のDNAの転写は、異
なった条件、特に、異なったMg2+濃度で進行することが知られている。直線状DN
A鋳型は、制限酵素で直鎖状にしたプラスミドおよびPCR産物を含むことができる
。PCR産物の使用は、遺伝子構築物を調製するための生きた細胞の関与を除外す
る(例えば、不安定または安定な毒性産物をコードする遺伝子を発現させるとき
(Martemyanov et al.,1997))。さらに、鋳型を調製するのにPCRを使用すること
は、遺伝子レベルでのそれら構築物のより容易なかつより便利な修飾を提供する
。該修飾には、次のものを含む:(a)RNA構造を安定させる因子の導入(例えば、
高次構造領域、RNAのRQ因子、転写のターミネーターなど)、(b)遺伝子発現を高
める因子の導入(例えば、エンハンサー、非翻訳可能リーダーなど)、(c)マー
カーをコードしている配列の導入(例えば、エピトープ、アフィニティー分離の
ためのTAGなど)。
【0056】 該方法は、何らかの理由でスーパーコイル形態であり得る環状プラスミド、お
よび弛緩型環状形態を有するプラスミド双方からの転写強度の変更を提供する。
様々なポリメラーゼに関して、そのような形態は鋳型に固有のものであり、その
効率性はMg2+に依存する。
【0057】 以下に、環状プラスミドが転写-翻訳系におけるCAT合成の際に使用されるとき
の本方法の応用例を示す。
【0058】 様々なモードにおける合成の生産性を比較するために、いくつかの反応混合物
を使用した。第1の反応混合物は、翻訳混合物を調製するために使用され、初期
に調製したmRNAを使用してCATを合成した。第2のモードにおいては、mRNA転写の
ための成分を反応混合物に添加し、組合せ転写-翻訳のために条件を設定した。
第3の変形においては、Mg2+およびNTPのような選択した成分からなる付加的混合
物を、組合せ転写-翻訳系における合成のために調製された反応混合物に添加し
た。付加的成分は、合成の前に反応混合物へ導入した。
【0059】 a)無細胞翻訳系におけるCAT合成 mRNA翻訳のための反応混合物は、表1に示したデータを考慮に入れて調製した
。該混合物はコムギ胚芽抽出物を含む。 表1 .翻訳用反応混合物の組成 成分 反応混合物中の 最終濃度 コムギ胚芽抽出物 30% v/v CATエンハンサー mRNA 100μg/ml 酵母tRNA 0.005mg/ml RNAseインヒビター 133U/ml プロテアーゼインヒビターカクテル(1) 25倍希釈 1X 19アミノ酸(各) 0.1mM [14C]ロイシン、38mCi/mMol 0.1mM ATP 1mM GTP 0.8mM クレアチン-リン酸 10mM HEPES-KOH pH 8.0(2) 53mM KOAc(2) 100mM Mg(OAc)2 (2) 4.2mM DTT(2) 1.3mM スペルミジン 0.1mM β-メルカプトエタノール 2mM グリセロール 4% H2O 最終容量に合わせる (1)プロテアーゼインヒビターカクテル 「Complete」, Boehringer Mannheim Gm
bH. (2)最終濃度は、コムギ胚芽抽出物によって導入されるMg(OAc)2、KOAc、DTT、HE
PESの濃度の寄与を考慮に入れる(Boehringer Mannheim GmbH.)。
【0060】 供給溶液は、表2に示したデータに従って調製した。 表2 .翻訳用供給溶液の組成 成分 供給溶液中の 最終濃度 HEPES-KOH pH 8.0 53mM KOAc 100mM Mg(OAc)2 4.2mM DTT 1.3mM β-メルカプトエタノール 2.0mM スペルミジン 0.1mM ATP 1.0mM GTP 0.8mM クレアチン-リン酸 10mM グリセロール 4% [14C]ロイシン、38mCi/mMol 0.1mM 19アミノ酸(各) 0.1mM H2O 最終容量に合わせる
【0061】 本実施例中では直径8mMの透析容器から作製された透析装置(Union Carbide c
orp.)を、稼働容量100μlで使用した。供給溶液の容量は1mlであった。合成の
生産性を比較するために、総反応混合物を2つの容量に分けた。30μlの反応混合
物を微小遠心管に入れて、100μlの反応混合物を透析装置の中に入れた。透析装
置およびマイクロチューブは、温度を一定に保った(thermostated)ボリューム
内に配置し、合成を25℃で実施した。合成中、マイクロチューブおよび透析容器
から5μlの分割量を分取し、バッチ静的方式および連続交換方式(CECF)におけ
る合成の反応速度を調べた。合成されたポリペプチドの量は、合成ポリペプチド
をトリクロロ酢酸でガラス繊維フィルター上に沈殿させ、その後、液体シンチレ
ーションカウンターにより放射線測定することによって決定された。図10は、合
成の反応速度を示す。線図Pは、バッチ方式における合成を意味する。線図Rは、
CECF方式における翻訳時のCAT合成反応速度を示す。
【0062】 b)組合せ転写-翻訳系におけるCAT合成 反応混合物を表3に示したデータにしたがって調製した。組合せ転写-翻訳系は
、SP6ポリメラーゼプロモーター制御下、クロラムフェニコールアセチルトラン
スフェラーゼ(CAT)の遺伝子とともにpCATエンハンサーを含むプラスミドを含
有する。 表3 .組合せ転写-翻訳用反応混合物の組成 成分 反応混合物中の 最終濃度 コムギ胚芽抽出物 30% v/v pCAT-エンハンサープラスミド 50μg/ml SP6 RNA ポリメラーゼ 15000U/ml 酵母tRNA 0.005mg/ml RNAseインヒビター 133U/ml プロテアーゼインヒビターカクテル(1) 25倍希釈 1X 19アミノ酸(各) 0.1mM [14C]ロイシン、38mCi/mMol 0.1mM CTP 0.4mM UTP 0.4mM ATP 1mM GTP 0.8mM クレアチン-リン酸 10mM HEPES-KOH pH 8.0(2) 53mM KOAc(2) 100mM Mg(OAc)2 (2) 5.0mM DTT(2) 1.3mM スペルミジン 0.1mM β-メルカプトエタノール 2mM グリセロール 4% H2O 最終容量に合わせる (1)および(2)は、表1と同じである。
【0063】 供給溶液は、表4に示したデータを考慮して調製した。転写プロセスを維持す
るために、CTPおよびUTPを供給溶液に添加した。 表4 .転写-翻訳用供給溶液の組成 成分 供給溶液中の 最終濃度 HEPES-KOH pH 8.0 53mM KOAc 100mM Mg(OAc)2 5.0mM DTT 1.3mM β-メルカプトエタノール 2.0mM スペルミジン 0.1mM ATP 1.0mM GTP 0.8mM CTP 0.4mM UTP 0.4mM クレアチン-リン酸 10mM グリセロール 4% [14C]ロイシン、38mCi/mMol 0.1mM 19アミノ酸(各) 0.1mM H2O 最終容量に合わせる
【0064】 合成の条件(温度、反応混合物容量、供給溶液容量、透析装置の種類)は、実
施例6a(翻訳系におけるCAT合成)におけるものと同じであった。合成の結果を
実施例6aの場合と同様に分析した。 図11は、組合せ転写-翻訳系におけるCAT合成の反応速度を示す。線図Sは、バ
ッチ方式における合成を表す。線図Tは、CECF方式における転写-翻訳の際のCAT
合成の反応速度を表す。
【0065】 c)合成中に反応混合物のMg 2+ およびNTP濃度を連続的に変化させたときの組合せ
転写-翻訳系におけるCAT合成 反応混合物を、表5に示したデータを考慮に入れて調製した。 表5 .合成中にMg2+およびNTP濃度を連続的に変化させるときの組合せ転写-翻訳
用の反応混合物の組成 成分 反応混合物中の 最終濃度 コムギ胚芽抽出物 30% v/v pCAT-エンハンサープラスミド 50μg/ml SP6 RNA ポリメラーゼ 15000U/ml 酵母tRNA 0.005mg/ml RNAseインヒビター 133U/ml プロテアーゼインヒビターカクテル(1) 25倍希釈 1X 19アミノ酸(各) 0.1mM [14C]ロイシン、38mCi/mMol 0.1mM CTP 0.8mM UTP 0.8mM ATP 2.0mM GTP 1.6mM クレアチン-リン酸 10mM HEPES-KOH pH 8.0(2) 53mM KOAc(2) 100mM Mg(OAc)2 (2) 11.2mM DTT(2) 1.3mM スペルミジン 0.1mM β-メルカプトエタノール 2mM グリセロール 4% H2O 最終容量に合わせる (1)および(2)は、表1と同じである。
【0066】 供給溶液は、表6に示したデータを考慮して調製した。 表6 .合成中にMg2+およびNTP濃度を連続的に変化させるときの組合せ転写-翻訳
用の供給溶液の組成 成分 供給溶液中の 最終濃度 HEPES-KOH pH 8.0 53mM KOAc 100mM Mg(OAc)2 (1) 3.8mM DTT 1.3mM β-メルカプトエタノール 2.0mM スペルミジン 0.1mM ATP 1.0mM GTP 0.8mM CTP 0.4mM UTP 0.4mM クレアチン-リン酸 10mM グリセロール 4% [14C]ロイシン、38mCi/mMol 0.1mM 19アミノ酸(各) 0.1mM H2O 最終容量に合わせる
【0067】 供給溶液中のMg(OAc)2濃度は、合成中に反応混合物および供給溶液の濃度が同
じになる時、Mg(OAc)2濃度が転写-翻訳に適切な5.1mMに上昇することから、3.8m
Mに減じた。
【0068】 合成の条件(温度、反応混合物容量、供給溶液容量、透析装置の種類)は、実
施例6a(翻訳におけるCAT合成)に示したものと同じに選択した。合成の結果を
実施例6aに記載したように分析した。
【0069】 図12は、組合せ転写-翻訳系におけるCAT合成の反応速度を示す。線図Uは、バ
ッチ方式における合成を表す。線図Vは、合成中に反応混合物中のMg2+とNTPの濃
度を変化させるCECF方式における転写-翻訳時のCAT合成の反応速度を表す。
【0070】 図13は、標的CATポリペプチドの合成に関する実験の結果を比較する図表を示
す。該データは、実施例6a〜cから得られ、異なるモード:(a)組合せ転写-翻訳の
静的 (バッチ)モード(実施例6b、縦棒W);(b)翻訳 (実施例6a、縦棒X);(c)
組合せ転写-翻訳 (実施例6b、縦棒Y);(d)反応混合物中のMg2+とNTPの濃度を変
化させる組合せ転写-翻訳 (実施例6c、縦棒Z)におけるCATの収量(μg/ml)を表
示している。結果の比較により、CATポリペプチドの最大収量(32μg/ml)は、Mg2 + とNTPの濃度を最大から最小の値に変化させる場合の組合せ転写-翻訳モードに
おいて得られることが示される。
【0071】産業上の利用可能性 本発明は、真核細胞および原核細胞を用いた無細胞系においてポリペプチドを
合成するために使用することができる。本明細書中で記載される方法は、利用者
が、合成全体を最適化することを可能にし、転写、転写-翻訳、および翻訳の別
々のモードにおける合成への個々の成分の寄与を研究することを可能にする。
【0072】参考文献 Alakhov J. B. et al. 「無細胞翻訳系におけるポリペプチド調製方法」(Meth
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【図面の簡単な説明】
【図1】 連続交換方式(CECF)で稼働する無細胞系でのmRNA合成およびポリペプチド合成
におけるMg2+濃度の変化を示した図である。
【図2】 合成条件が、優先的転写条件から優先的翻訳条件に変化したときの、連続流れ
方式(CFCF)での合成におけるMg2+濃度の変化を示した図である。
【図3】 反応混合物に付加的混合物の反復的パルスを投入したときのMg2+濃度の変化を
示した図である。
【図4】 線状勾配の形状に従うMg2+濃度の反復的変化を示した図である。
【図5】 1つの多孔性バリアーを用いた反応器の構成図を示す。
【図6】 反応器モジュールの構成図、および高分子量画分と低分子量画分の分岐した流
出の方式(CFCF-BF)で形成される流れの方向を示す。
【図7】 標的産物を合成ゾーン(CFCF-RP)から除去する場合の分岐した流れを表す。
【図8】 反応器モジュールの構成図、および第1の多孔性バリアーが供給溶液および付
加的混合物の流れの分配器の役割を果たし、標的産物が合成ゾーン(CFCF-RP)に
残る場合の流れの分岐を示す。
【図9】 反応器モジュールの構成図、および供給溶液投入の方向を、第1の多孔性バリ
アーから第2の多孔性バリアーに反復的に切り換える場合(CFCF-RF)の流れの分岐
を表す。
【図10】 CAT合成の反応速度を示す。線図Pは、静的(バッチ)方式における合成を指す
。線図Rは、CECF方式の翻訳におけるCAT合成の反応速度を説明する。
【図11】 組み合わせた転写-翻訳系におけるCAT合成の反応速度を示す。線図Sは、静的
(バッチ)方式における合成を表す。線図Tは、CECF方式の転写-翻訳におけるCA
T合成の反応速度を表す。
【図12】 合成中に反応混合物のMg2+およびNTP濃度の変化を伴う組み合わせた転写-翻訳
系におけるCAT合成の反応速度を示す。線図Uは、(静的)バッチ方式における合成
を表す。線図Vは、CECF方式の転写-翻訳におけるCAT合成の反応速度を表す。
【図13】 標的CATポリペプチドの合成における4つの実験結果を比較した図表を示す。
【手続補正書】
【提出日】平成13年8月13日(2001.8.13)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ビリュコフ、セルゲイ、ウラジミロビッチ ロシア連邦 142290 モスクワ リージョ ン、プシュチノ、フラット 96、ハウス ナンバー 25、ミクロリージョン ジー (72)発明者 シモネンコ、ピーター、ニコラエビッチ ロシア連邦 142290 モスクワ リージョ ン、プシュチノ、フラット 93、ハウス ナンバー 22、ミクロリージョン エービ ー (72)発明者 シロコフ、ウラジミール、アナトリエビッ チ ロシア連邦 142290 モスクワ リージョ ン、プシュチノ、フラット 30、ハウス ナンバー 4、ミクロリージョン ディー (72)発明者 スピリン、アレクサンダー、セルゲイエビ ッチ ロシア連邦 142290 モスクワ リージョ ン、プシュチノ、フラット 44、ハウス ナンバー 27、ミクロリージョン ブイ Fターム(参考) 4B050 CC07 DD09 EE10 KK02 KK11 KK12 KK13

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無細胞系においてポリペプチドを取得する方法であって、細
    胞溶解物または細胞抽出物を用いて反応混合物を調製し、無細胞系のパラメータ
    ーおよび合成モードを選択し、少なくとも1つの多孔性バリアーのタイプおよび
    パラメーターを決定し、反応混合物および供給溶液を反応モジュールに入れて、
    合成を実施することからなり、上記プロセスのパラメーターを選択するにあたっ
    て、該合成の生産性を決定する成分の種類を選択し、選択した成分の濃度を合成
    中に変化させる範囲の上限と下限を規定し、選択した成分を含有する付加的混合
    物を形成し、付加的混合物を反応混合物または供給溶液に供給し、選択した成分
    の濃度を規定範囲内で変化させると共に、他の成分の濃度を一定に保ちながら、
    該合成を実施することを特徴とする、上記方法。
  2. 【請求項2】 選択した成分の少なくとも1種がMg2+、K+、NTP、ポリアミ
    ン、またはそれらの組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 選択した成分の1つの組合せがMg2+とNTPを含む、請求項2
    に記載の方法。
  4. 【請求項4】 合成モードが少なくとも翻訳、転写−翻訳、転写、またはこ
    れらのモードの組合せからなる群より選択される1つのモードから選ばれる、請
    求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 合成モードに応じて、付加的混合物に含まれるNTPが、ATPと
    GTPとUTPとCTPの1群またはATPとGTPの1群からなる、請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 付加的混合物を、合成前または合成中に反応混合物に供給す
    るか、合成前または合成中に供給溶液の一部に供給する、請求項1に記載の方法
  7. 【請求項7】 付加的混合物を、合成中に1回で、反復的に、または連続的
    に供給する、請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 供給溶液の低分子量成分の反応混合物への投入方式が連続交
    換方式の1群、連続流れ方式の1群、またはこれらの方式の組合せから選択され
    る、請求項1に記載の方法。
  9. 【請求項9】 原核または真核細胞から得られた細胞溶解物または細胞抽出
    物を用いて反応混合物を調製する、請求項1に記載の方法。
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