JPH0731494A - 無細胞系におけるタンパク質の生産方法及び装置 - Google Patents

無細胞系におけるタンパク質の生産方法及び装置

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JPH0731494A
JPH0731494A JP17393493A JP17393493A JPH0731494A JP H0731494 A JPH0731494 A JP H0731494A JP 17393493 A JP17393493 A JP 17393493A JP 17393493 A JP17393493 A JP 17393493A JP H0731494 A JPH0731494 A JP H0731494A
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protein
triphosphate
reaction
substance
section
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JP17393493A
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Inventor
Tomoya Sakurai
智也 桜井
Kenji Yasuda
健二 保田
Yoshitada Takada
芳矩 高田
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 無細胞系での遺伝子の発現によるタンパク質
生産方法において、1種類以上のタンパク質の大量生産
が可能であり、必要な種類のタンパク質を分別して容易
に抽出可能なタンパク質生産方法を実現する。 【構成】 反応部内で目的のタンパク質が生成される
(ステップ100)。生成された目的のタンパク質は捕
捉部に移動され、このタンパク質と特異的な親和性を有
する充填剤により捕捉されるとともに、タンパク質の生
成に伴って生成される副生成物が除去される(ステップ
101)。次に、目的のタンパク質及び充填材以外の物
質が、反応部に移動され、タンパク質の生成により消費
される消費物質が反応部に供給される(ステップ10
2)。上記処理が繰り返し実行され、目的のタンパク質
が捕捉部に蓄積される。蓄積されたタンパク質は溶離液
により捕捉部外に抽出される(ステップ104)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、無細胞系におけるタン
パク質の生産方法及び生産装置に関する。
【0002】
【従来の技術】タンパク質(ペプチドを含む)を得るた
めの方法としては、植物や動物、微生物等から抽出する
方法が知られている。また、最近では、天然には微量に
しか存在しないタンパク質を、遺伝子工学的な手法を用
いて、微生物等に生産させることも可能となっている。
しかし、生物や細胞は、目的とするタンパク質以外にも
様々なタンパク質を生産するため、目的のタンパク質を
抽出するためには、生産されたタンパク質に対して困難
な精製作業を実行しなければならない。さらに、生物や
細胞は、自らにとって不都合な外来性のタンパク質を排
除してしまう傾向があり、そのような場合には、活性型
のタンパク質を得るのは困難である。
【0003】そこで、タンパク質の合成に必要な成分を
細胞外で構築し、細胞や生体を使用せずにDNAやmR
NAを鋳型として、無細胞系で遺伝子の発現によりタン
パク質を合成する試みがある。つまり、例えば、”タン
パク質の生合成・上(生化学実験講座7)”、日本生化
学会編、東京化学同人(1975)に記載されているよ
うに、大腸菌やウサギ網状赤血球等を利用した系が検討
されている。しかし、上記無細胞系でのタンパク質の合
成反応は、典型的に1時間以内で終了してしまい、タン
パク質の大量生産には適さないという問題があった。
【0004】この問題の一つの解決策として、パラノ
フ、ウラジミール イワノウィチらによる、「接合転写
/翻訳の無細胞系における遺伝子の予備発現法」(特表
平3−503479号公報)という技術がある。この公
報記載の発現法においては、遺伝子の発現によるタンパ
ク質の合成反応を延長させるため、反応に伴い消費され
る物質が系内に送り出される。そして、合成反応によっ
て生成された、副生成物と最終生産物とが系から取り出
される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
表平3−503479号公報記載の発現法では、プラス
ミドDNAを鋳型として無細胞系でタンパク質合成を行
った場合、目的以外のタンパク質も反応に伴い出現して
しまうことが知られている。そのため、上記公報記載の
発現法においては、目的以外のタンパク質も系から取り
出されてしまう。したがって、取り出されたタンパク質
に対して、濃縮と精製の工程が必要となる。また、2種
類以上の遺伝子を同一系内で発現させ、2種類以上のタ
ンパク質を得たい場合には、さらに分離の工程も必要と
なってしまう。
【0006】さらに、上記公報記載の発現法において、
副生成物と最終生産物の取り出しは、具体的には、限外
ろ過膜が使用され、ある分子量以下の物質を取り出すこ
とにより行なわれる。そのため、目的発現物質の分子量
が大きい場合、副生成物と最終生産物のみならず副生産
物をも取り出されてしまう可能性があり、分子量の大き
な発現物質への適用は困難であった。
【0007】本発明の目的は、無細胞系における遺伝子
の発現によるタンパク質の生産方法及び装置において、
1種類以上のタンパク質の大量生産が可能であるととも
に、必要な種類のタンパク質を、分別して容易に抽出可
能なタンパク質の生産方法及び装置を実現することであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、次のように構成される。無細胞系におけ
るタンパク質の生産方法において、目的のタンパク質を
反応部内で生成させるステップと、目的のタンパク質と
親和性を有する物質が収容された捕捉部に、反応部内の
物質を移動させ、目的のタンパク質を捕捉させるステッ
プと、反応部から捕捉部内に移動された物質のうち、目
的のタンパク質以外の物質を反応部内に移動させるとと
もに、タンパク質の生成に伴って消費された物質を反応
部内に移動させるステップと、目的のタンパク質を親和
性を有する物質から分離させる溶離液を、捕捉部内に供
給し、目的のタンパク質を抽出するステップと、を備え
る。
【0009】また、無細胞系におけるタンパク質の生産
装置において、目的のタンパク質が生成される反応部
と、目的のタンパク質と親和性を有する物質が収納され
る捕捉部と、反応部内におけるタンパク質の生成に伴っ
て消費される物質を含む緩衝液を収容する緩衝液収容部
と、緩衝液収容部に収容された緩衝液を反応部を介して
捕捉部へ供給するか、捕捉部を介して反応部へ供給する
かを選択的に実行する第1の送液部と、目的のタンパク
質を親和性を有する物質から分離させる溶離液を収容す
る溶離液収容部と、溶離液を、捕捉部を介して、この捕
捉部の外部に配置された収容槽に供給する第2の送液部
と、を備える。
【0010】好ましくは、上記タンパク質の生産装置に
おいて、反応部には、リボソーム、RNAポリメラー
ゼ、遺伝子の発現に関与する因子を含む細胞抽出物、転
移RNA、マグネシウム塩、アミノ酸、アデノシン−
5’−三リン酸、グアノシン−5’−三リン酸、シチジ
ン−5’−三リン酸、ウリジン−5’−三リン酸、が収
容され、捕捉部には、マルトース結合タンパク質と親和
性を有するアミロース樹脂が収容され、緩衝液収容部に
は、マグネシウム塩、アミノ酸、アデノシン−5’−三
リン酸、グアノシン−5’−三リン酸、シチジン−5’
−三リン酸、ウリジン−5’−三リン酸、が収容され、
溶離液収容部には、マルトース溶液が収容され、反応部
の収容物にマルトース結合タンパク質の遺伝子を含むプ
ラスミドDNAが添加され、マルトース結合タンパク質
を生産する。
【0011】また、好ましくは、上記タンパク質の生産
装置において、反応部には、リボソーム、遺伝子の発現
に関与する因子を含む細胞抽出物、転移RNA、マグネ
シウム塩、アミノ酸、アデノシン−5’−三リン酸、グ
アノシン−5’−三リン酸、が収容され、捕捉部には、
プロテインAと親和性を有する免疫グロブリンG−セフ
ァロースが収容され、緩衝液収容部には、マグネシウム
塩、アミノ酸、アデノシン−5’−三リン酸、グアノシ
ン−5’−三リン酸、が収容され、溶離液収容部には、
酢酸溶液が収容され、反応部の収容物にプロテインAの
メッセンジャーRNAが添加され、プロテインAを生産
する。
【0012】また、好ましくは、上記タンパク質の生産
装置において、反応部には、リボソーム、RNAポリメ
ラーゼ、遺伝子の発現に関与する因子を含む細胞抽出
物、転移RNA、マグネシウム塩、アミノ酸、アデノシ
ン−5’−三リン酸、グアノシン−5’−三リン酸、シ
チジン−5’−三リン酸、ウリジン−5’−三リン酸、
が収容され、捕捉部は、マルトース結合タンパク質と親
和性を有するアミロース樹脂が収容された第1の捕捉部
と、プロテインAと親和性を有する免疫グロブリンG−
セファロースが収容された第2の捕捉部と、を有し、緩
衝液収容部には、マグネシウム塩、アミノ酸、アデノシ
ン−5’−三リン酸、グアノシン−5’−三リン酸、シ
チジン−5’−三リン酸、ウリジン−5’−三リン酸、
が収容され、溶離液収容部は、マルトース溶液が収容さ
れた第1の溶離液収容部と、酢酸溶液が収容された第2
の溶離液収容部と、を有し、反応部の収容物にマルトー
ス結合タンパク質とプロテインAの遺伝子を含むプラス
ミドDNAが添加され、マルトース結合タンパク質及び
プロテインAを生産する。
【0013】
【作用】反応部内でタンパク質が生成されると、反応部
内の物質は捕捉部内に移動される。そして、この捕捉部
内において、目的のタンパク質が親和性を有する物質に
捕捉される。次に、反応部から捕捉部に移動された物質
のうち、目的のタンパク質以外の物質が捕捉部から反応
部に移動されるとともに、タンパク質の生成に伴って消
費された物質が反応部内に供給される。これにより、反
応部内において、タンパク質の生成が再開される。上記
処理が繰り返し実行され、捕捉部内に目的のタンパク質
が蓄積される。捕捉部内に所定量のタンパク質が蓄積さ
れると、親和性を有する物質から目的のタンパク質を分
離する溶離液が捕捉部に供給され、目的のタンパク質が
分離され、捕捉部外に抽出される。したがって、目的の
タンパク質が大量に生産されるとともに、この生産され
た目的のタンパク質を容易に外部に抽出することができ
る。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて
説明する。図1は、本発明における無細胞系のタンパク
質の生産方法の一実施例を示すフローチャートである。
図1のステップ100において、タンパク質を生成する
ための適切な反応部において、目的とするタンパク質が
合成される。この反応部内には、遺伝子の発現に必要な
物質と、遺伝子の発現に関与する諸因子を含む細胞抽出
物質と、tRNA(転移RNA)と、マグネシウム塩
と、遺伝子の発現に伴い消費される物質と、緩衝液と、
が収容される。そして、目的とするタンパク質の遺伝子
を含むプラスミドDNAが添加され、遺伝子の発現が生
じる。
【0015】ステップ100において、目的とするタン
パク質が生成されると、ステップ101に進み、上記反
応部内の物質を、捕捉部に移動させ、目的のタンパク質
を捕捉し、蓄積すると共に、副生成物を反応部及び捕捉
部内から除去する。つまり、上記捕捉部には、目的のタ
ンパク質と特異的な親和性を有する物質が充填されてお
り、この捕捉部の出口部分には、副生成物は通過可能で
あるが目的のタンパク質は通過できない半透膜が配置さ
れている。そして、適切な緩衝液が反応部内及び捕捉部
内を通過され、反応部内の物質が、捕捉部内に移動し、
目的のタンパク質が捕捉される。さらに、副生成物は半
透膜を通過して、捕捉部内から流出される。
【0016】次に、ステップ102において、捕捉部内
に捕捉されたタンパク質及び充填物質以外の物質を捕捉
部から反応部内に移動させるとともに、タンパク質の生
成により消費された物質も反応部内に供給される。この
場合、緩衝液と、消費された物質である、アミノ酸、A
TP(アデノシン−5’−三リン酸)、GTP(グアノ
シン−5’−三リン酸)、CTP(シチジン−5’−三
リン酸)、UTP(ウリジン−5’−三リン酸)等と、
が捕捉部内及び反応部内に供給される。そして、目的と
するタンパク質及び上記消費物質が反応部に供給され
る。
【0017】続いて、ステップ103において、目的と
するタンパク質を抽出するか否かを判定し、抽出しない
場合には、ステップ100に戻る。そして、上述したス
テップ100、101、102の処理を実行する。この
ステップ100、101、102の処理を繰り返し実行
することにより、捕捉部内に目的のタンパク質が、所望
量蓄積される。ステップ103において、目的とするタ
ンパク質を抽出する場合には、ステップ104に進む。
【0018】ステップ104において、捕捉部内に捕
捉、蓄積されたタンパク質を溶離液により抽出する。つ
まり、捕捉部内の充填物質とこの充填物質に捕捉された
タンパク質とを分離し得る溶離液を捕捉部内を通過させ
る。そして、捕捉部内を通過した溶離液を適切なタンパ
ク質収容槽に収容する。これにより、目的のタンパク質
が抽出される。次に、ステップ105に進み、目的のタ
ンパク質の生産を終了するか否かを判定する。生産を終
了しない場合には、ステップ100に戻り、上記ステッ
プ100〜104を実行する。
【0019】なお、目的のタンパク質が複数種類の場合
には、反応部にて、複数種類のタンパク質を生成し、こ
れら複数種類のタンパク質のそれぞれを別個に捕捉可能
な複数種類の充填物質を捕捉部内に収容する。そして、
複数種類のタンパク質に対する複数種類の溶離液をそれ
ぞれ別々に捕捉部に供給するように構成すれば、複数種
類のタンパク質を大量生産可能で、個々種類のタンパク
質を別個に抽出する事が可能となる。
【0020】以上のように、本発明のタンパク質の生産
方法の一実施例によれば、反応部内で生成された目的の
タンパク質が、捕捉部に移動され、捕捉されるととも
に、副生成物が除去される。次に、目的のタンパク質及
び充填物質以外の物質が、反応部に移動され、消費物質
が反応部に供給される。そして、上記処理が繰り返し実
行され、目的のタンパク質が捕捉部に蓄積され、蓄積さ
れたタンパク質が溶離液により捕捉部外に抽出される。
これにより、目的とするタンパク質の大量生産が可能で
あるとともに、この目的のタンパク質を容易に抽出可能
なタンパク質の生産方法を実現することができる。
【0021】図2は、本発明における無細胞系のタンパ
ク質生産装置の一実施例の概略構成図であり、マルトー
ス結合タンパク質を生産する装置の例である。図2にお
いて、17は、送液槽であり、この送液槽17には、ア
ミノ酸と、ATPと、GTPと、CTPと、UTPと、
マグネシウム塩を含む緩衝液と、が収容される。この送
液槽17は、恒温槽19内に収容されており、約4℃に
維持される。そして、送液槽17は、連結管P1、ポン
プ15、連結管P2を介して三方コック13に接続され
る。この三方コック13は、連結管P3、三方コック
5、連結管P4を介して反応部1の一方端に接続され
る。この反応部1の一方端には、半透膜2が配置されて
おり、連結管P4から供給される液体等は半透膜2を介
して反応部1の内部に供給される。この半透膜2は、低
分子は通過可能で、高分子は通過不可能な構造となって
いる。
【0022】反応部1は、内部に液体等を収容可能な構
造となっており、遺伝子の発現に必要なリボソーム、R
NAポリメラーゼ、遺伝子の発現に関与する諸因子を含
む細胞抽出物、tRNA、マグネシウム塩、アミノ酸、
ATP、GTP、CTP、UTP、緩衝液が収容され
る。そして、上記リボソーム等が収容された反応部1
に、マルトース結合タンパク質の遺伝子を含むプラスミ
ドDNAが添加されることにより、反応部1の内部で遺
伝子の発現が生じる。この反応部1は、恒温槽3に収容
されており、約37℃に維持される。
【0023】反応部1の他方端は、連結管P5を介して
三方コック4の第1入出口4-1に接続される。そして、
この三方コック4の第2入出口4-2は連結管P14を介
してタンパク質収容槽26に接続される。また、三方コ
ック4の第3入出口4-3は、連結管P6を介して、捕捉
部7の一方端に接続される。この捕捉部7の一方端に
は、フィルタ6が配置されており、連結管P6からの液
体等は、このフィルタ6を介して、捕捉部7内に供給さ
れる。この捕捉部7の内部は、液体等を収容可能な構造
となっており、粒状のアミロース樹脂からなる充填剤1
0が充填されている。この粒状のアミロース樹脂は、マ
ルトース結合タンパク質に対して特異的な親和性を有し
ている。また、フィルタ6は、充填剤10は通過不可能
で、タンパク質は通過可能であり、かつ、タンパク質を
吸着しない材質により形成されている。
【0024】捕捉部7の他方端には、半透膜8が配置さ
れている。この半透膜8は、半透膜2と同様に、低分子
は通過可能で、高分子は通過不可能な構造となってい
る。また、捕捉部7は、恒温槽9に収容され、約4℃に
維持される。捕捉部7の他方端は、連結管P7を介し
て、三方コック12の第1入出口12-1に接続される。
この三方コック12の第2入出口12-2は、連結管P8
を介して、廃液溜め容器11に接続される。また、この
廃液溜め容器11は、連結管P11を介して、三方コッ
ク5の第3入出口5-3に接続される。また、三方コック
12の第3入出口12-3は、連結管P10を介して、三
方コック14の第1入出口14-1に接続される。
【0025】三方コック14の第2入出口14-2は、連
結管P9を介して、三方コック13の第3入出口13-3
に接続される。また、三方コック14の第3入出口14
-3は、連結管P13、ポンプ16、連結管P12を介し
て溶離液槽18に接続される。この溶離液槽18には、
マルトース溶液が収容される。
【0026】次に、図2の例の動作について、説明す
る。図3は、図2の例の動作フローチャートである。図
3のステップ200において、反応部1にマルトース結
合タンパク質の遺伝子を含むプラスミドDNAが添加さ
れ、遺伝子の発現が生じ、マルトース結合タンパク質が
生成される。さらに、反応部1内では、アミノ酸、AT
P、GTP、CTP、UTP等が消費され、mRNA
(メッセンジャーRNA)が生成されるとともに、副産
物として低分子化合物が生成される。そして、ステップ
201にて、生成したタンパク質を捕捉部7に移動する
か否かを判断する。移動する場合には、ステップ202
に進む。
【0027】ステップ202において、三方コック1
3、5、4、12が操作される。つまり、三方コック1
3は、第1入出口13-1及び第2入出口13-2が開とさ
れ、第3入出口13-3が閉とされる。そして、三方コッ
ク5は、第1及び第2入出口5-1及び5-2が開、第3入
出口5-3が閉とされる。また、三方コック4は、入出口
4-1及び4-3は開、入出口4-2は閉とされ、三方コック
12は、入出口12-1及び12-2が開、入出口12-3が
閉とされる。
【0028】次に、ステップ203において、反応部1
内の物質が捕捉部7へ移動される。つまり、ポンプ15
により、送液槽17に収容された緩衝液が、矢印Aで示
すように、三方コック13、5、半透膜2を介して反応
部1に供給される。これにより、反応部1内の物質が、
三方コック4及びフィルタ6を介して、捕捉部7に供給
される。すると、ステップ204に示すように、反応部
1から流出したマルトース結合タンパク質が捕捉部7に
捕捉され、蓄積される。さらに、反応部1内で生成され
た副生成物である低分子化合物が半透膜8、三方コック
12を介して、廃液溜め容器11に供給され、収容され
る。続いて、ステップ205において、反応部1内の物
質の捕捉部7への移動操作が終了か否かが判断される。
操作終了でなければ、ステップ203に戻る。そして、
ステップ205において、捕捉部7への移動操作を終了
する場合には、ステップ206に進む。
【0029】そして、ステップ206において、三方コ
ック13の入出口13-2が閉、13-1及び13-3が開と
され、三方コック14の入出口14-1及び14-2が開、
14-3が閉とされる。また、三方コック12の入出口1
2-1及び12-3が開、12-2が閉とされ、三方コック4
の入出口4-1及び4-3が開、4-2が閉とされる。さら
に、三方コック5の入出口5-1が閉、5-2及び5-3が開
とされる。
【0030】次に、ステップ207において、捕捉部7
にあるタンパク質及び充填剤以外の物質を反応部1へ移
動させる。つまり、ポンプ15により、送液槽17に収
容された緩衝液、アミノ酸、ATP、GTP、CTP、
UTPが、矢印Bで示すように、三方コック13、1
4、12、半透膜8を介して捕捉部7に供給される。そ
して、捕捉部7内のタンパク質及び充填剤以外の物質
が、上記緩衝液等とともに三方コック4を介して、反応
部1に供給される。これにより、タンパク質の生成によ
り消費される物質である、アミノ酸、ATP、GTP、
CTP、UTPが、反応部1に供給される(ステップ2
08)。なお、アミロース樹脂及びこのアミロース樹脂
に吸着されたタンパク質は、フィルター6によって、捕
捉部7からの流出が阻止される。
【0031】捕捉部7内においても、タンパク質が生成
されるが、このタンパク質の生成に伴って、低分子化合
物も生成される。この低分子化合物は、反応部1から半
透膜2及び三方コック5を通過して、廃液溜め容器11
に供給される。これによって、反応部1内から低分子化
合物が除去される(ステップ209)。そして、ステッ
プ210において、生成したタンパク質を抽出するか否
かを判定する。タンパク質を抽出しない場合、つまり、
タンパク質の生成動作の継続の場合には、ステップ20
0に戻り、以降、上記ステップ200〜209が実行さ
れる。このステップ200〜209が所定回数だけ繰り
返し実行されることにより、所望量のタンパク質が捕捉
部7内に蓄積される。
【0032】捕捉部7内に所望量のタンパク質が蓄積さ
れると、処理はステップ211に進む。そして、このス
テップ211において、三方コック14の入出口14-1
及び14-3が開、14-2が閉、三方コック12の入出口
12-1及び12-3が開、12-2が閉、三方コック4の入
出口4-1が閉、4-2及び4-3が開とされる。すると、ポ
ンプ16によって、溶離液槽18内のマルトース溶液
が、矢印Cで示すように、三方コック14及び12を介
して捕捉部7に供給される(ステップ212)。
【0033】マルトース溶液が捕捉部7に供給される
と、充填剤10に捕捉されたタンパク質は、充填剤10
から分離され、三方コック4を介して、外部に配置され
たタンパク質収容槽26に供給される。これにより、目
的のタンパク質が抽出される(ステップ213)。続い
て、ステップ214において、三方コック13、14、
12、4が操作される。つまり、三方コック13は、入
出口13-1及び13-3が開、13-2が閉、三方コック1
4は、入出口14-1及び14-2が開、14-3が閉とされ
る。また、三方コック12は、入出口12-1及び12-3
は開、12-2が閉、三方コック4の入出口4-1が閉、4
-2及び4-3が開とされる。そして、ポンプ15により、
送液槽17内の緩衝液が三方コック13、14、12、
捕捉部7、三方コック4、連結管P14を通過する。こ
れにより、捕捉部7等に残留するマルトース溶液の除去
が実行される(ステップ215)。
【0034】次に、ステップ216において、タンパク
質の生産を終了するか否かを判定する。タンパク質の生
産を終了しない場合には、ステップ200に戻り、上述
した処理が繰り返し実行される。なお、上記タンパク質
の生産装置により、抽出された物質は、SDS−ポリア
クリルアミドゲル電気泳動による分子量マーカーとの比
較と抗マルトース結合タンパク質抗体を使用したウエス
タンブロットにより、目的のタンパク質であることが実
験により、確認された。
【0035】以上のように、本発明のタンパク質生産装
置の一実施例によれば、反応部1内で生成されたマルト
ース結合タンパク質が、捕捉部7に移動され、アミロー
ス樹脂により、捕捉されるとともに、副生成物である低
分子化合物が除去される。次に、アミロース樹脂及びこ
のアミロース樹脂に捕捉されたタンパク質以外の物質
が、反応部1に移動されとともに、消費物質であるアミ
ノ酸、ATP、GTP、CTP、UTPが反応部1に供
給される。そして、上記処理が繰り返し実行され、マル
トース結合タンパク質が捕捉部7に蓄積され、蓄積され
たタンパク質がマルトース溶液により捕捉部7外に抽出
され、タンパク質収容槽26に収容される。これによ
り、マルトース結合タンパク質の大量生産が可能である
とともに、このマルトース結合タンパク質を容易に抽出
可能なタンパク質の生産装置を実現することができる。
【0036】なお、リボソーム、RNAポリメラーゼ、
遺伝子の発現に関与する諸因子を含む細胞抽出物は、公
知の方法により、調製することが可能である。つまり、
大腸菌を培養した後に、集菌し、ガラスビーズにより破
壊する。そして、これを緩衝液に懸濁したものを遠心分
離し、その上清を透析したものを使用することができ
る。また、tRNA、マグネシウム塩、アミノ酸、AT
P、GTP、CTP、UTPは、一般に市販されている
ものを使用することができる。また、上述した例におい
ては、充填材10として、粒状のアミロース樹脂を使用
したが、粒状のものに限らず、膜状、フィルター状又は
ゲル状であってもよい。
【0037】なお、図2に示した例においては、目的の
タンパク質をマルトース結合タンパク質としたが、他の
タンパク質を生産することも可能である。例えば、プロ
テインAを生産することも可能である。このプロテイン
Aを生産する場合には、反応部1は約30℃、捕捉部7
及び送液槽17は約4℃に維持される。そして、反応部
1には、遺伝子の発現に必要なリボソームと発現に関与
する諸因子、tRNAを含む細胞抽出物、マグネシウム
塩、アミノ酸、ATP、GTP、緩衝液が収容される。
ここで、リボソーム、遺伝子の発現に関与する諸因子、
tRNAを含む細胞抽出物は、公知の方法により調製さ
れる。つまり、小麦胚芽をガラスビーズにより破壊し、
これを緩衝液に懸濁したものを遠心分離し、その上清か
ら低分子化合物を除去して使用する。捕捉部7にはIg
G(免疫グロブリンG)−セファロースが収容され、送
液槽17にはアミノ酸、ATP、GTPとマグネシウム
塩を含む緩衝液が収容される。また、溶離液槽18に
は、酢酸溶液が収容される。そして、反応部1にプロテ
インAのmRNAを添加することにより、遺伝子の発現
が生じる。以降、上述したマルトース結合タンパク質の
生産と同様にして、プロテインAの生成、捕捉、蓄積が
実行され、蓄積されたプロテインAが酢酸溶液により、
外部に抽出される。このように、図2に示したタンパク
質の生産装置は、マルトース結合タンパク質だけではな
く、例えば、プロテインAの大量生産も可能であり、こ
のプロテインAを容易に抽出可能である。
【0038】図4は、本発明における無細胞系のタンパ
ク質生産装置の他の実施例の概略構成図であり、マルト
ース結合タンパク質及びプロテインAを生産する装置の
例である。この図4の例においては、図2の例との異な
り、充填剤27としてアミロース樹脂が収容されたマル
トース結合タンパク質の捕捉部20と、充填剤28とし
IgG−セファロースが収容されたプロテインAの捕捉
部23とを備えている。そして、捕捉部20は、フィル
タ6が配置されており、このフィルタ6は、連結管P6
を介して、三方コック4の入出口4-3に接続されてい
る。捕捉部20は、さらに、フィルタ21を備えてお
り、このフィルタ21は、連結管P15を介して、捕捉
部23に配置されたフィルタ22に接続される。また、
捕捉部23は、半透膜8を備えており、この半透膜8
は、連結管P7を介して三方コック12の入出口12-1
に接続される。
【0039】また、この図4の例においては、ポンプ1
6は連結管P12を介して三方コック24の第1の入出
口24-1に接続される。この三方コック24の第2の入
出口24-2は、連結管P17を介して溶離液槽25に接
続される。この溶離液槽25には、酢酸溶液が収容され
る。また、三方コック24の第3入出口24-3は連結管
P16を介して溶離液槽18に接続される。この溶離液
槽18には、マルトース溶液が収容される。他の構成
は、図2の例と同様となっている。
【0040】図5は、図4の例の動作フローチャートで
ある。図5のステップ200において、反応部1にて、
マルトース結合タンパク質及びプロテインAが生成され
る。これは、反応部1内にマルトース結合タンパク質と
プロテインAの遺伝子を含むプラスミドDNAが添加さ
れることにより、2種類の遺伝子が発現される。次に、
図3と同様のステップ201、202、203が実行さ
れ、反応部1内の物質が捕捉部20に移動される。
【0041】次に、ステップ204Aにおいて、捕捉部
20にて、マルトース結合タンパク質が捕捉され、ステ
ップ204Bにおいて、捕捉部23にて、プロテインA
が捕捉される。そして、ステップ204Cにおいて、低
分子化合物が廃液溜め容器11に収容される。続いて、
図3と同様なステップ205及び206が実行され、そ
の後、ステップ207Aに進む。
【0042】ステップ207Aにおいて、捕捉部20及
び23内にあるマルトース結合タンパク質、プロテイン
A、充填剤27、28以外の物質が反応部1に移動され
る。そして、ステップ208Aにおいて、アミノ酸、A
TP、GTP、CTP、UTP等の消費物質が、反応部
1に供給され、ステップ209おいて、低分子化合物が
反応部1から除去され、廃液溜め容器11に収容され
る。次に、ステップ210Aにおいて、マルトース結合
タンパク質及びプロテインAを抽出するか否かを判定
し、抽出しない場合には、ステップ200に戻る。ステ
ップ210Aにおいて、タンパク質を抽出する場合に
は、ステップ211Aに進む。
【0043】そして、ステップ211Aにおいて、三方
コック24は、入出口24-1及び24-3が開、24-2が
閉、三方コック14は、入出口14-1及び14-3が開、
14-2が閉、三方コック12は、入出口12-1及び12
-3が開、12-2が閉、三方コック4は、4-1が閉、4-2
及び4-3が開とされる。すると、ステップ212及び2
13において、マルトース溶液が捕捉部23を介して、
捕捉部20に供給され、マルトース結合タンパク質が三
方コック4を介して、タンパク質収容槽26に供給され
る。
【0044】次に、ステップ213Aにおいて、三方コ
ック24の入出口24-3が閉、24-1及び24-2が開と
される。そして、ステップ213Bにおいて、酢酸溶液
が捕捉部23に供給され、ステップ213Cに示すよう
に、捕捉部23に吸着されたプロテインAが抽出され、
捕捉部20、三方コック4を介して、タンパク質収容槽
26(マルトース結合タンパク質を収容した収容槽とは
異なる新たな収容槽)に供給される。
【0045】続いて、ステップ214において、三方コ
ック13の入出口13-1及び13-3は開、13-2は閉、
三方コック14の入出口14-1及び14-2は開、14-3
は閉、三方コック12及び4は、前回と同様な開閉状態
とされる。そして、ステップ215Aにおいて、緩衝液
により捕捉部20、23等に残留するマルトース溶液及
び酢酸溶液が、外部に除去される。次に、ステップ21
6において、タンパク質の生産を終了するか否かを判定
し、終了しない場合は、ステップ200に戻り、上述し
たステップが繰り返し実行される。なお、図2の例と同
様に、上記タンパク質の生産装置により、抽出された物
質は、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動による
分子量マーカーとの比較と抗マルトース結合タンパク質
抗体を使用したウエスタンブロットにより、目的のタン
パク質であることが実験により、確認された。
【0046】以上のように、図4に示したタンパク質生
産装置によれば、反応部1内で生成されたマルトース結
合タンパク質及びプロテインAが、それぞれ、捕捉部2
0及び237に移動され、アミロース樹脂及びIgG−
セファロースにより、捕捉されるとともに、副生成物で
ある低分子化合物が除去される。次に、捕捉されたマル
トース結合タンパク質及びプロテインA以外の物質が、
反応部1に移動されとともに、消費物質であるアミノ
酸、ATP、GTP、CTP、UTPが反応部1に供給
される。そして、上記処理が繰り返し実行され、マルト
ース結合タンパク質が捕捉部20に蓄積され、プロテイ
ンAが捕捉部23に蓄積される。次に、蓄積されたマル
トース結合タンパク質及びプロテインAがマルトース溶
液及び酢酸溶液により捕捉部20及び23外に抽出さ
れ、タンパク質収容槽26に収容される。これにより、
マルトース結合タンパク質及びプロテインAの2種類の
タンパク質の大量生産が可能であるとともに、これらマ
ルトース結合タンパク質及びプロテインAを容易に抽出
可能なタンパク質の生産装置を実現することができる。
【0047】なお、図4の例においては、捕捉部20と
23とが直列に配置される構成としたが、並列に配置す
る構成も考えられる。この場合、反応部1内で生成され
たタンパク質は、選択された、どちらか一方の捕捉部に
供給されるので、同時に2種類のタンパク質の生産はで
きない。
【0048】また、上述した例において、捕捉部に充填
される物質として、アミロース樹脂及びIgG−セファ
ロースを用いたが、これらの他に、例えば、セルロース
やAPTG(アミノ−フェニル−β−D−チオガラクト
シド)を使用することもできる。また、遺伝子の発現方
法としては、大腸菌を利用した方法(例えば、Zubay,
G.,Annu.Rev.Genet.,7,267(1973))、小麦胚芽を利用し
た方法(例えば、C.W.Anderson,J.W.Straus,B.S.Dudoc
k,"Methods in Enzymology",ed.by.R.Wu,et al.,101,63
5,Academic Press,New York(1983))等公知の方法を使
用することができる。
【0049】また、上述した例において、三方コック
4、5、12、13、14、24の開閉動作や、ポンプ
15及び16の動作を制御するコントローラを配置し、
自動的にタンパク質の生産を実行できるように、構成す
ることも可能である。
【0050】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているため、次のような効果がある。無細胞系における
タンパク質の生産方法において、目的のタンパク質を反
応部内で生成させるステップと、上記タンパク質と親和
性を有する物質が収容された捕捉部に、反応部内の物質
を移動させ、上記タンパク質を捕捉させるステップと、
反応部から捕捉部内に移動された物質のうち、目的のタ
ンパク質以外の物質を反応部内に移動させるとともに、
消費された物質を反応部内に移動させるステップと、目
的のタンパク質を親和性を有する物質から分離させる溶
離液を、捕捉部内に供給し、目的のタンパク質を抽出す
るステップと、を備える。したがって、目的とするタン
パク質の大量生産が可能であるとともに、この目的のタ
ンパク質を容易に抽出可能なタンパク質の生産方法を実
現することができる。
【0051】また、無細胞系におけるタンパク質の生産
装置において、目的のタンパク質が生成される反応部
と、上記タンパク質と親和性を有する物質が収納される
捕捉部と、タンパク質の生成に伴って消費される物質を
含む緩衝液を収容する緩衝液収容部と、緩衝液収容部に
収容された緩衝液を反応部を介して捕捉部へ供給する
か、捕捉部を介して反応部へ供給するかを選択的に実行
する第1の送液部と、目的のタンパク質を親和性を有す
る物質から分離させる溶離液を収容する溶離液収容部
と、溶離液を、捕捉部を介して、この捕捉部の外部に配
置された収容槽に供給する第2の送液部と、を備える。
したがって、目的とするタンパク質の大量生産が可能で
あるとともに、この目的のタンパク質を容易に抽出可能
なタンパク質の生産装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における無細胞系のタンパク質生産方法
の一実施例を示すフローチャートである。
【図2】本発明における無細胞系のタンパク質生産装置
の一実施例の概略構成図である。
【図3】図2に示したタンパク質生産装置の動作フロー
チャートである。
【図4】本発明における無細胞系のタンパク質生産装置
の他の実施例の概略構成図である。
【図5】図4に示したタンパク質生産装置の動作フロー
チャートである。
【符号の説明】
1 反応部 2、8 半透膜 3、9 恒温槽 4、5 三方コック 6 フィルタ 7 捕捉部 10 充填剤 11 廃液溜め容器 12、13、14 三方コック 15、16 ポンプ 17 送液槽 18 溶離液槽 19 恒温槽 20、23 捕捉部 21、22 フィルタ 24 三方コック 25 溶離液槽 26 タンパク質収容槽

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無細胞系におけるタンパク質の生産方法
    において、 少なくとも1種類の目的のタンパク質を反応部内で生成
    させるステップと、 上記目的のタンパク質と親和性を有する物質が収容され
    た捕捉部に、上記反応部内の物質を移動させ、上記目的
    のタンパク質を上記親和性を有する物質に捕捉させるス
    テップと、 上記反応部から捕捉部内に移動された物質のうち、上記
    目的のタンパク質以外の物質を反応部内に移動させると
    ともに、タンパク質の生成に伴って消費された物質を反
    応部内に移動させるステップと、 上記目的のタンパク質を上記親和性を有する物質から分
    離させる溶離液を、上記捕捉部内に供給し、目的のタン
    パク質を捕捉部内から抽出するステップと、 を備えることを特徴とする無細胞系におけるタンパク質
    の生産方法。
  2. 【請求項2】 無細胞系におけるタンパク質の生産装置
    において、 少なくとも1種類の目的のタンパク質が生成される反応
    部と、 上記目的のタンパク質と親和性を有する物質が収納され
    る捕捉部と、 上記反応部内におけるタンパク質の生成に伴って消費さ
    れる物質を含む緩衝液を収容する緩衝液収容部と、 上記緩衝液収容部に収容された緩衝液を上記反応部を介
    して捕捉部へ供給するか、捕捉部を介して反応部へ供給
    するかを選択的に実行する第1の送液部と、 上記親和性を有する物質に捕捉された目的のタンパク質
    を、上記親和性を有する物質から分離させる溶離液を収
    容する溶離液収容部と、 上記溶離液を、上記捕捉部を介して、この捕捉部の外部
    に配置された収容槽に供給する第2の送液部と、 を備えることを特徴とする無細胞系におけるタンパク質
    の生産装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のタンパク質の生産装置に
    おいて、 上記反応部には、リボソーム、RNAポリメラーゼ、遺
    伝子の発現に関与する因子を含む細胞抽出物、転移RN
    A、マグネシウム塩、アミノ酸、アデノシン−5’−三
    リン酸、グアノシン−5’−三リン酸、シチジン−5’
    −三リン酸、ウリジン−5’−三リン酸、が収容され、 上記捕捉部には、マルトース結合タンパク質と親和性を
    有するアミロース樹脂が収容され、 上記緩衝液収容部には、マグネシウム塩、アミノ酸、ア
    デノシン−5’−三リン酸、グアノシン−5’−三リン
    酸、シチジン−5’−三リン酸、ウリジン−5’−三リ
    ン酸、が収容され、 上記溶離液収容部には、マルトース溶液が収容され、 上記反応部の収容物にマルトース結合タンパク質の遺伝
    子を含むプラスミドDNAが添加され、マルトース結合
    タンパク質を生産することを特徴とする無細胞系におけ
    るタンパク質の生産装置。
  4. 【請求項4】 請求項2記載のタンパク質の生産装置に
    おいて、 上記反応部には、リボソーム、遺伝子の発現に関与する
    因子を含む細胞抽出物、転移RNA、マグネシウム塩、
    アミノ酸、アデノシン−5’−三リン酸、グアノシン−
    5’−三リン酸、が収容され、 上記捕捉部には、プロテインAと親和性を有する免疫グ
    ロブリンG−セファロースが収容され、 上記緩衝液収容部には、マグネシウム塩、アミノ酸、ア
    デノシン−5’−三リン酸、グアノシン−5’−三リン
    酸、が収容され、 上記溶離液収容部には、酢酸溶液が収容され、 上記反応部の収容物にプロテインAのメッセンジャーR
    NAが添加され、プロテインAを生産することを特徴と
    する無細胞系におけるタンパク質の生産装置。
  5. 【請求項5】 請求項2記載のタンパク質の生産装置に
    おいて、 上記反応部には、リボソーム、RNAポリメラーゼ、遺
    伝子の発現に関与する因子を含む細胞抽出物、転移RN
    A、マグネシウム塩、アミノ酸、アデノシン−5’−三
    リン酸、グアノシン−5’−三リン酸、シチジン−5’
    −三リン酸、ウリジン−5’−三リン酸、が収容され、 上記捕捉部は、マルトース結合タンパク質と親和性を有
    するアミロース樹脂が収容された第1の捕捉部と、プロ
    テインAと親和性を有する免疫グロブリンG−セファロ
    ースが収容された第2の捕捉部と、を有し、 上記緩衝液収容部には、マグネシウム塩、アミノ酸、ア
    デノシン−5’−三リン酸、グアノシン−5’−三リン
    酸、シチジン−5’−三リン酸、ウリジン−5’−三リ
    ン酸、が収容され、 上記溶離液収容部は、マルトース溶液が収容された第1
    の溶離液収容部と、酢酸溶液が収容された第2の溶離液
    収容部と、を有し、 上記反応部の収容物にマルトース結合タンパク質とプロ
    テインAの遺伝子を含むプラスミドDNAが添加され、
    マルトース結合タンパク質及びプロテインAを生産する
    ことを特徴とする無細胞系におけるタンパク質の生産装
    置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6783957B1 (en) 1999-03-25 2004-08-31 Roche Diagnostics Gmbh Method for synthesis of polypeptides in cell-free systems
WO2013032174A3 (ko) * 2011-08-26 2013-04-25 (주)바이오니아 단백질 합성 키트,자동추출장비를 이용한 단백질 발현 및 추출 방법

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