JP2002537403A - IgEのC−イプシロン−3またはC−イプシロン−4ドメイン由来のエピトープまたはミモトープ、その拮抗薬、及びそれらの治療的使用 - Google Patents

IgEのC−イプシロン−3またはC−イプシロン−4ドメイン由来のエピトープまたはミモトープ、その拮抗薬、及びそれらの治療的使用

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、アレルギー疾患の治療、予防又は軽減のための新規医薬の提供に関する。特に、本新規医薬は、IgEのCε3又はCε4ドメイン由来のエピトープ又はミモトープである。これらの新規領域は、受動及び能動免疫予防又は免疫治療のための標的でありえる。本発明は、さらに、上記医薬の製造方法、上記医薬を含む医薬組成物、並びに医薬におけるそれらの使用に関する。また、本発明のIgE領域に結合することができる、リガンド、特にモノクローナル抗体、並びに、受動免疫治療又は免疫予防としての医療におけるそれらの使用も本発明の1局面を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、アレルギー疾患の治療、予防または改善のための新規薬剤の規定に
関連するものである。特に、新規薬剤とはIgEのCε3 またはCε4ドメインに由来
するエピトープまたはミモトープのことである。これらの新規領域は、受動的及
び能動的な、免疫学的予防または免疫学的治療双方のための標的となりうる。本
発明はさらに医療において、本薬剤、本薬剤を含む医薬品組成物の産生並びにそ
れらの使用法に関するものである。また、本発明の一局面を形成するのはリガン
ドであり、特にモノクローナル抗体は、本発明のIgE領域を結合することが可能
であること、そして受動的な免疫学的治療または免疫学的予防としての医療にお
ける使用が可能である。
【0002】 アレルギー反応において、アレルギーに伴って共通に見られる症状は、周囲組
織及び血管構造内の免疫細胞に由来するヒスタミンなどのアレルギー性媒介物質
が放出されることによって引き起こされる。抗原特異的なIgEとの相互作用によ
って放出が誘発されるまで、ヒスタミンは一般的には肥満細胞及び好塩基球に貯
蔵されている。喘息、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、I型過敏症及びアレ
ルギー性鼻炎などアレルギー反応を媒介するIgEの役割はよく知られている。花
粉またはチリダニ抗原のような抗原に遭遇すると、B細胞は抗原特異的なIgEの産
生を開始する。抗原特異的なIgEはそれから、肥満細胞及び好塩基球上のFcεRI
受容体(高親和性IgE受容体)に結合する。続いて抗原と遭遇すると、付近のIgE/F
cεRI複合体の交差架橋(cross-linking)によって肥満細胞または好塩基球からの
ヒスタミン放出を惹起する結果となる(Sutton及びGould, Nature, 1993, 366:42
1-428; EP 0 477 231 B1)。
【0003】 すべての免疫グロブリンのように、IgEは2本の重鎖と2本の軽鎖から構成され
ている。εの重鎖は5個のドメインから構成されている:1つの可変領域(VH) と4
つの定常領域(Cε1から Cε4)である。IgEの分子量は約190,000 Daで重鎖の全長
はおよそ550個のアミノ酸からなる。IgEの構造はPadlan and Davis(Mol. Immun
ol., 23 1063-75, 1986) 及びHelmet al.、(PDBに1990年10月2日登録の2 IgE
モデル構造(Protein Data Bank, Reserch Collabarotory for Structual Bioin
formatics; http:/pdb-browsers.ebi.ac.uk))。IgEの各ドメインは平たいバレ
ルで、aからfまで名付けられた7本の伸長する(β-)ポリペプチド部からなるス
トランドが逆平行に並び、2つのβシートにグループ分けされる。4本のβスト
ランド(a、b、d及びe)が1つのシートを形成し、3本のストランド(c、f及び
g)からなる2つめのシートに積み重ねられている(図8参照)。各βシートの
形態は、各シート内で隣接する逆平行のストランドのアミノ酸残基の側鎖が横方
向に束ねられることで維持されている(そして、これらのストランドの間は主鎖
の水素結合によって、さらに安定化されている)。伸長していない(非β-)構
造を形成する残りのループは、逆平行のβストランドを1つのシート内で連結す
るか、または対置するシートとの間を連結する。aストランドからbストランドへ
の結合はA-Bループなどと名付けられる。A-B及びd-eループは位相幾何学的には
4本のストランドからなるシートに属し、ループf-gは3本のストランドからな
るシートに属する。1組の対置するシート間の境界面は、球形ドメイン内部の疎
水部を形成する。水の侵入が不可能な、この疎水性の中心部は、主に対置するβ
シートが相互に向き合い、残基側鎖が密接に束ねられた結果生ずる。
【0004】 過去に於いて、IgEを介したヒスタミンの放出機序を干渉するように計画され
た、数多くの受動的または能動的な免疫学的治療方法が研究されてきた。このよ
うな方法には、IgEまたは抗原/IgE複合体とFcεRIまたはFcεRII(低親和性IgE
受容体)受容体との結合の障害、受動的に投与された抗体、または受容体に競合
的に結合するIgE由来ペプチドの受動的な投与が含まれる。加えて、ヒスタミン
放出を刺激して免疫反応を抑制するための能動的な免疫化にIgE由来の特異的な
ペプチドを利用する研究者もいる。
【0005】 本分野の前記研究者らは、その研究過程で新たな抗アレルギー治療を計画する
際に、考慮しなければならない多くの条件と問題に遭遇してきた。最も重篤な問
題の一つは、ヒスタミン放出シグナルにおけるIgEの交差架橋(cross-linking)
に関することに集中している。能動的なワクチン接種によって生成された抗IgE
抗体は、抗原が存在しない場合、近くのIgE受容体複合体と交差架橋することで
ヒスタミン放出それ自体を誘発することは最もよく起こるケースである。この現
象はアナフィラキシー誘発性(anaphylactogenicity)と呼ぶ。実際、通常IgEの
検出キットに利用される市販の抗IgEモノクローナル抗体の多くは、アナフィラ
キシー誘発物質(anaphylactogen)であり、その結果、患者に投与されると無用
で潜在的な危険性を持つ。
【0006】 抗体がアナフィラキシー誘発物質であるかどうかは、IgE分子上の標的となる
エピトープの位置による。しかし、本分野での現在の知識に基づき、また多大な
科学的興味と努力にも関わらず、抗体またはエピトープがどのような特性を持つ
のか、また患者に対する臨床効果が有効あるいは無効なのかについての予見はほ
とんど、または全く得られていない。
【0007】 そのため、安全で効果的であるために、受動的に投与されるか、またはワクチ
ンによって誘導された抗体は、それ自体にアナフィラキシー作用を持たずにヒス
タミン誘発経路を障害することができるIgE領域に結合しなければならない。本
発明では、これらの目的を全て達成し、ヒスタミン放出を抑制するアナフィラキ
シー作用のない抗体を生成させることができる薬剤を提供する。これらの薬剤は
、能動的なワクチンを基礎として形成してもよく、また受動的な免疫療法によっ
て適当な抗体を生成させるために利用されるか、または治療的効果を得るために
それ自体を受動的に投与してもよい。
【0008】 IgEが媒介するアレルギー反応(WO90/15878、WO 89/04834、WO 93/05810)に
対し、何らかの有益な効果を持つ特異的な抗IgE抗体を同定するために、多くの
研究が当業者によって行われてきた。これらの有益な抗体によって認識されたエ
ピトープを同定し、このエピトープによるペプチドミモトープを作成し、抗IgE
抗体を産生するための免疫原としてそれらを使用するという試みもなされてきた
【0009】 WO 97/31948 には、このような研究の実施例が記載されており、さらに能動的
なワクチン接種を目的とする担体分子に結合されたCε3及びCε4ドメインのIgE
ペプチドが記載されている。これらの免疫原はワクチン接種の研究に利用しても
よく、生体内(in vivo)で次に起こるヒスタミン放出を抑制する抗体を生成す
ることが可能であると言われている。本研究で、モノクローナル抗体(BSW17)
はワクチン接種を目的とする場合、有効なCε3ドメインに含まれるIgEペプチド
への結合が可能であるとの言及が記載されている。
【0010】 EP 0 477 231 B1には、能動的ワクチン接種による免疫学的予防で使用される
キーホールリムペットヘモシアニン(KLH)に結合されたIgEのCε4ドメイン由来
の免疫原(497-506残基、Stanworthデカペプチドとしても知られている)。WO 9
6/14333はEP 0 477 231 B1に記載された研究の継続である。
【0011】 他の方法はCε3及びCε4由来のペプチドの同定に基づいたものであり、好塩基
球または肥満細胞上の高親和性または低親和性受容体への結合に対して、それ自
体が競合する(WO 93/04173、WO 98/24808、EP 0 303 625 B1、EP 0 341 290)
【0012】 本発明は受動的または能動的な免疫学的予防または治療に使用されるIgEの新
規配列を同定したものである。これらの配列は、これまで抗アレルギー治療と関
連性がなかった。本発明は、表面が露出されているものとして同定されてたIgE
の連続的な部分から特異的に分離されたエピトープを組み込んだペプチド、それ
自体を提供するものであり、これらの新たに同定されたエピトープのミモトープ
を提供するものである。このようなペプチドまたはミモトープはアレルギー治療
に単独で利用してもよく、またワクチン接種された患者において、アレルギー症
状の限定、減少または除去のための能動的なアレルギーの免疫学的予防あるいは
免疫治療による自己抗IgE抗体を誘導するために、ワクチンが使用されてもよい
【0013】 驚くべきことに、本発明のペプチドによって誘導された抗IgE抗体はアナフィ
ラキシー誘発性を持たず、IgEで媒介される肥満細胞及び好塩基球からのヒスタ
ミン放出を抑制することが可能である。
【0014】 本発明のペプチドはヒトIgEの領域にあり、ペプチド改変のための基礎とする
のに役立つかもしれない:
【0015】
【表1】
【0016】 これらのエピトープを含むペプチドは、本発明の好ましい一局面を形成する。
これらのエピトープと同様の特性を持つミモトープ、及びIgE分子のコンテクス
ト(context)においてIgEエピトープと交差反応するような免疫反応を示すミモト
ープを含む免疫原もまた、本発明の一部を構成する。
【0017】 従って、本発明はこれらのIgEエピトープそのもの、及びこれらのミモトープ
を含む分離ペプチドを含む。ミモトープという意味は、天然のIgEに十分類似し
ているので、IgEエピトープを認識する抗体によって認識されることができる実
体として定義される;(Gheysen, H.M.ら, 1986, Synthetic peptides as antige
ns. Wiley, Chichester, Ciba foundation symposium 119, p130-149; Gheysen,
H.M., Molecular Immunology, 23, 7, 709-715);または、適当な担体と組み合
わせたとき、天然のIgEエピトープと交差反応する抗体を生成することができる
【0018】 本発明のミモトープは、ペプチド性または非ペプチド性でもよい。上記におい
て同定された、表面が露出したIgEエピトープのペプチドミモトープは天然のエ
ピトープと全く同じ配列でもよい。このような分子はエピトープのミモトープと
して記載される。これは、2つの分子は同一の配列を共有しているが、ミモトー
プはIgEドメイン構造全体のコンテクストに存在せず、このようなミモトープは
天然IgEエピトープと、わずかに異なるコンフォーメションをとることが可能だ
からである。上記において同定された直線状の配列(P1からP7)は、IgEが三次
構造を取ると、IgEの一次配列では遠位にあるかもしれないような他の領域付近
に位置することは、当業者にも明らかであろう。例えばP1のミモトープは、P1部
位及びこれら遠位アミノ酸残基で構成された部位を含むか、または模倣するとい
う点で、連続的または非連続的でもよい。
【0019】 本発明のミモトープは、表面が露出したIgE構造を模倣しているが、これらの
領域で際だった特徴は、ループ構造に関連して表面が露出した部位の中にあると
発明者は考えている。IgEドメインの構造は"Introduction to protein Structur
e"(page 304, 2ndEdition, Branden及びTooze, Garland Publishing、New York,
ISBN 0 8153 2305-0)に記載されており、2つの対置する逆平行βシートから構
成されるβバレルの形態を取る(図8参照)。従ってミモトープは、隣接するシ
ート内の天然のアミノ酸残基であるNまたはC末端の伸長部にループを含んでも
よい。この例として、P100はCε3のA-Bループを、P8はCε4のA-Bループを、P5は
Cε3のC- Dループ、P110はCε4のC- Dループを含む。従って、これらのループの
ミモトープは本発明の一局面を形成する。特に、好ましいループはCε3または C
ε4のC-Dループ、及びCε4のA-Bループである。
【0020】 上記で同定されたIgEエピトープのペプチドミモトープは、選択されたアミノ
酸の付加、欠失または置換のために計画された。このように、本発明のペプチド
は、タンパク質担体への結合を容易にする目的で改変されてもよい。例えば、い
くつかの化学的な結合方法として、IgEエピトープにシステイン基を伴うことが
望ましい。加えて、タンパク質担体へ結合されたペプチドは、結合されていない
自由末端が担体タンパク質の表面と共に存在し、結合末端の遠位に疎水性末端を
含むことが望ましい。これはペプチドの構造的な自由度を減少し、そしてこのよ
うにして、IgE分子全体のコンテクストに見いだされるようなIgEペプチドのコン
フォメーションに最も近いコンフォメーションをペプチドに表現させる確率を増
やす。例えば、ペプチドはN末端のシステイン及びC末端の疎水性のアミド化さ
れた尾部を持つように変更されてもよい。あるいは、例えばペプチドの安定性を
増加するような、有効な誘導体を作製するために、一つまたは複数のアミノ酸の
D-立体異性体に対する付加または置換が行われた。このように変更されたペプ
チドまたはミモトープは、完全なまたは部分的な非ペプチド性のミモトープでも
よく、その構成要素である残基が自然に存在する20個のアミノ酸に限定される必
要がないことを、当業者は理解しているものと考えられる。さらに、ペプチドの
構造を、ペプチド配列がIgE分子全体のコンテクストに存在する時の形態に強制
的に類似させるために、当分野では公知の技術を用いて環状化してもよい。ペプ
チドを環状化する好ましい方法は、ジスルフィド架橋を形成するために1組のシ
ステイン残基を付加するものである。
【0021】 さらに、本発明のミモトープまたは免疫原は上記に同定されたエピトープより
大きくてもよく、このように本文書で開示された配列を含んでもよいことを当業
者は理解しているものと考えられる。従って本発明のミモトープは、多数の他の
天然残基のN及び/またはC末端の伸長部の一端または両端に対する付加によっ
て構成されてもよい。ペプチドミモトープは、配列の方向が逆転しているという
点で、天然のIgE配列と逆の配列でもよい;あるいは、配列は、全体あるいは少
なくとも部分的にアミノ酸のD型-立体異性体(インバーソ配列)から構成され
てもよい。また、配列方向が逆転されて、並びにアミノ酸がD型-立体異性体で
あるという点で、ペプチド配列はレトロ-インバーソが適している。このような
レトロまたはレトロ-インバーソペプチドは非自己という利点を持ち、このよう
に免疫システムにおいて自己寛容という問題を克服できる(実施例P14c)。
【0022】 あるいは、ペプチドミモトープはファージディスプレイ法(EP 0 552 267 B1
)のような技術を用いて本発明のIgEエピトープに対し、それ自体が結合可能な
抗体を用いることで同定を行っていてもよい。この方法は天然ペプチドの構造を
模倣し、多数のペプチド配列を生成する。それゆえ、抗天然ペプチド抗体への結
合が可能となるが、それ自体が天然のIgEペプチドの重要な配列における相同性
を共有する必要はない。この方法は、(IgE受容体に対するより高い親和結合特
性または抗IgE抗体、あるいはより高い親和性でIgEに結合するポリクローナル免
疫反応を誘導することができる、というような)増強された免疫原的特性を持つ
ペプチドの同定が、可能であることを示す重要な利点を持ち、また天然ペプチド
配列を使用するために付随するかもしれない、潜在的な自己抗原寛容のいかなる
問題も克服する可能性がある。加えてこの方法では、認識されたミモトープ配列
間で共有される化学的特性に関し、各天然ペプチドの認識パターンの同定が可能
となる。
【0023】 このようなミモトープの例:
【0024】
【表2】
【0025】 あるいは、ペプチドミモトープは抗IgEペプチドポリクローナル抗体に対する
親和性を高めることで、ペプチドの免疫原性を増加させるという目的で生成され
てもよく、その効果は(Biocore experiments)のように当分野で公知の技術に
よって測定が可能である。これを達成するために、ペプチド配列は一般ルールに
従って選択的に変更してもよい。
【0026】 *構造的な制約を保つために、プロリン及びグリシンは置換してはならない。
【0027】 *他の位置は、同様な物理化学的特性を持つアミノ酸で置換してもよい。
【0028】 このように、各アミノ酸残基はそのアミノ酸に最も似ているアミノ酸で置換す
ることができる。例えば以下の表に記載されているように、AはV 、LまたはIに
よって置換してもよい。
【0029】
【表3】
【0030】 特に、好ましいIgEペプチドはP 8及びその変異体(例えばP14またはP14a)で
ある。これらのペプチドは担体に結合すると抗IgE免疫反応を誘導する効果があ
り、その反応はヒト好塩基球からのヒスタミン放出を抑制することができる。P8
の変異体、またはミモトープは主としてP8を認識できる免疫反応の誘導が可能な
免疫原に基づく、全てのペプチドとして記載されている。本発明の範囲に限定す
ることなく、P8のいくつかの変異体は、最も似ている物質によって置換されたい
くつかのアミノ酸の一般分子式で記載されてもよい。この方法を使い、P8ペプチ
ドミモトープは一般式で記載されてもよい。
【0031】 P, X1, X2, P, X3, X4, X5, X6, X5, X5 または P, X1, X2, P, G, X4, R, D, X5, X5 ここで;X1はE,D,NまたはQから選択されたアミノ酸;X2はW、Y、またはFから選
択されたアミノ酸;X3はGまたはAから選択されたアミノ酸、X4,はS、TまたはMか
ら選択されたアミノ酸;X5はRまたはKから選択されたアミノ酸;X6はDまたはE
から選択されたアミノ酸。
【0032】 P8ミモトープはまた、ファージディスプレイ法(EP 0 552 267 B1)のような
技術を利用し、それ自体がP8に結合することができる抗体を用いて同定されても
よい。P14/23、P14/31及びP14/33のようなモノクローナル抗体は特にこの点に関
して適切である。
【0033】 それゆえ、本発明は新規のエピトープ、及びそのミモトープを提供するもので
あり、アレルギーの免疫学的予防及び治療のための医薬品組成物の製造にこれを
利用するものである。本発明の、少なくとも1つのエピトープまたはミモトープ
、及び担体分子からなる免疫原もまた、アレルギーの免疫学的予防または治療の
ためのワクチンの使用法を提供する。従って、本発明のエピトープ、ミモトープ
または免疫原は、医薬への利用、及びアレルギー疾患の医学的治または免疫学的
予防への利用に提供される。本発明における好ましい免疫原またはワクチンは、
IgEエピトープP8、またはP14を含むそのミモトープからなる。
【0034】 エピトープまたはミモトープが表現される別な方法は、モノクローナル抗体へ
の結合及びワクチン接種後の免疫反応に対して顕著な効果があることを、本発明
者は示している。例えば環状ペプチドを用いると、ループの長さと相(phase) の
変化は、P14のモノクローナル抗体(P14/23、P14/31及びP14/33)の結合能力に顕
著な効果を示すことがある。このように本発明者は、環状化ペプチドが正しいル
ープ構造に保持され、正しいアミノ酸残基を含む確率を増やすことによって、環
状化する部位を選択する新規のシステムを開発してきた。このように、もしこの
ペプチドが、IgEドメイン全体のコンテクストに存在すれば、一般的には採用さ
れるであろうペプチドに最も類似したコンフォメーションを必然的に取ることが
適当である。従って、本発明に限定せずに、これらの新しい規則に従うミモトー
プは本発明の好ましい一面を形成する。以下の例は本発明のミモトープグループ
の一部であるが、これらの規則と一致しないと推定されるミモトープの配列でも
有用な抗血清(例えばP14及びP11)を生成することもある。
【0035】 このように、新たに定義された構造的な規則に従う好ましいペプチドの例を示
す。
【0036】
【表4】
【0037】 本発明のミモトープのサイズは小さいと考えられるので、天然のエピトープが
見いだされる全IgEドメインから選択された領域を模倣する。それゆえ、ペプチ
ド性のミモトープは全長で100アミノ酸以下とするべきであり、好ましくは75ア
ミノ酸より短く、より好ましくは50アミノ酸より短く、最も好ましいのは長さが
4から25アミノ酸の範囲である。好ましいペプチドミモトープの特別な例はP14及
びP11で、その長さは各々13個及び23個のアミノ酸からなる。非ペプチド性のミ
モトープは分子量の大きさから、対応するペプチド性ミモトープと類似の大きさ
になると予想される。
【0038】 本発明の範囲内のミモトープとしての特別な構築体(construct)の状態を確
認するために利用される技術は、当業者にとって明白であると考えられる。この
ような技術は以下のものを含むが、限定されるものではない。推定されるミモト
ープによって生成される、抗血清が天然のIgE分子と交差反応するという点で、
推定されるミモトープの構築体の免疫原性を確認するためにアッセイを行っても
よい。推定されるミモトープは、アレルギー性の効果細胞(ecffector cells)
から放出されるアレルギー性媒介物質を抑制する機能を持つ。このような反応の
特異性は、ミモトープそれ自体または天然のIgE、及び/またはIgE内のエピトー
プに結合することが知られている特異的なモノクローナル抗体を用い、抗血清活
性の抑制による競合実験によって確認が可能となる。競合実験で使用するための
、このようなモノクローナル抗体の特別な実施例には、P14/23、P14/31及びP14/
33が含まれ、これらはP8のミモトープとして推定されるミモトープの状態を確認
するものである。
【0039】 本発明の実施例では、少なくとも1つのIgEエピトープまたはミモトープはワ
クチン接種の計画のために免疫原を形成する担体分子に連結されるが、好ましく
は担体分子は天然IgE分子に関係しない。ミモトープは化学的共有結合か、また
は遺伝子工学的に作られた融合パートナー(fusion partner)の発現によって結合
してもよく、随意にリンカー配列を介してもよい。一つの実施態様として、本発
明のペプチドは、融合パートナーを付随する融合分子として発現され、融合パー
トナーの一次配列内にはそのペプチド配列が見られる。
【0040】 ペプチドと免疫原性担体の、従って共有結合化は、当技術分野で公知の方法に
よって実施することができる。例えば、直接的な共有結合のためには、一般に市
販されているCDAP及びSPDP(製造者指示)のようなヘテロバイファンクショナル
な架橋剤を使うことで、カルボジイミド、グルタルアルデヒドまたは(N-[γ-マ
レイミドブチリルオキシ] サクシンイミドエステルを利用することを可能とする
。共有結合反応の後、透析法、ゲル濾過法、分別法によって免疫原を簡便に分離
し、精製することができる。
【0041】 好ましい実施例において、本発明者は、特に環状化したペプチドはアシルヒド
ラジンペプチド誘導体を作製することで担体に結合してもよいことを見いだした
【0042】 ペプチド/タンパク質担体の構築体は以下のように産生することができる。ア
シルヒドラジンペプチド誘導体は以下の模式図1固相ペプチド合成に示されるよ
うに固相上で作製されることができる:
【0043】
【化1】
【0044】 これらのペプチド誘導体は、当技術分野で公知の技術[固相合成のための技術
及び方法は、IRL at Oxford University Press により出版されたE. Atherton
及びR.C. Sheppardによる、'Solid Phase Peptide Synthesis: A Practical App
roach' (1989)に記載されている]によって、完全自動化装置の助けでポリアミド
またはポリエチレングリコール-ポリスチレン(PEG-PS)のいずれかを用い、公
知の「Fmoc」法を使って容易に作成可能である。酸による開裂は、直線、脱保護
、改変ペプチドを供給する。これは、'Method In Molecular Biology, Vol.35:
Peptide Synthesis Protocols (ed. M.W. Pennington 及び B.M. Dunn) 第7章9
1-171ページにおいて、D. Andre らによって概説された方法論を使い、ジスルフ
ィド架橋で改変されたエピトープを産生するための酸化、精製を容易にしうる。
【0045】 このように合成されたペプチドは、それから以下の技術を使ってタンパク質担
体に結合することができる: アリールアルデヒド官能基の導入は模式図2(詳細はWO 98/17628を参照)に
示したように、作製されたサクシンイミドの活性エステルを使用した(BAL-OSu)
。BSA(ウシ血清アルブミン)のような担体のアミノ官能基を 〜50%まで置換す
ると、常に可溶性の改変ペプチドを得る。BSAをより多く置換すると、不溶性の
構築体になる。等モルのBSA 及びBAL-Osuは、DMSO/緩衝液(模式図参照)中で2
時間混合された。実験的に得られたこの方法は、以下の模式図2/3-改変担体の作
製における、自由アミノ基に対するフルオレスカミン試験によって判定されたよ
うにBSAの〜50%置換を得る。
【0046】
【化2】
【0047】 改変ペプチド及び誘導体化された担体の単純な組み合わせは、透析によって簡
単に分離されたペプチド担体構築体を提供する-模式図4-ペプチド/担体結合:
【0048】
【化3】
【0049】 本発明の免疫原で使用された担体のタイプは、当業者によって容易に理解され
るであろう。担体の機能はIgEペプチドに対する免疫反応の誘導を助けるために
、サイトカインヘルプ(cytokine help)を提供するものである。本発明に使用さ
れてもよい担体の非網羅的なリストに含まれるもの:キーホールリムペットヘモ
シアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)のような血清アルブミン、破傷風
またはジフテリアトキシン(TT及びDT)のような不活化されたバクテリアトキシ
ン、またはこれらの組み換えフラグメント(例えば、TTのフラグメントCのドメ
イン1、またはDTの転移ドメイン)、または精製されたツベルクリンのタンパク
質誘導体(PPD)。あるいは、ミモトープまたはエピトープは、T細胞ヘルプ(T-
cell help)を提供できる免疫原を付加的に含むリポゾーム担体に直接結合され
てもよい。好ましくは、ミモトープと担体の比は、1:1から20:1の範囲にあり
、好ましくは各担体は3〜15個のペプチドの間で保持するべきである。
【0050】 本発明の実施例において、好ましい担体はヘモフィリス属インフルエンザ菌(H
aemophilus influenzae)(EP 0 594 610 B1)のプロテインDである。プロテイン
Dはヘモフィリス属インフルエンザ菌のIgD結合タンパク質であり、Forsgren (WO
91/18926、EP 0 594 610 B1として登録)に特許が与えられている。ある状況に
おいて、例えば、組み換え免疫原発現システムでは、プロテインDの1/3(プロテ
インDのN末端の100-110個のアミノ酸を含む(GB 9717953.5))フラグメントを
使用することが望ましい。
【0051】 本発明のIgEペプチドを表現するのに好ましい別な方法は、組み換え融合分子
のコンテクスト内に存在する。例えば、EP 0 421 635 Bには、ウイルス様粒子に
存在する外因性ペプチド配列を表現するためにキメラヘパドナウイルスのコア抗
原粒子の使用が記載されている。このように、本発明の免疫原はB型肝炎のコア
抗原からなるキメラ粒子において表現されたIgEペプチドを含んでもよい。加え
て、組み換え融合タンパク質は本発明のミモトープ及びインフルエンザウイルス
のNS1のような担体タンパク質を含んでもよい。本発明の一部を構成する、組み
換えによって発現されたいかなるタンパク質に対しても、該免疫原をコードする
核酸は本発明の一局面となる。
【0052】 本発明に使用されたペプチドは、当技術分野において公知の固相法によって容
易に合成される。「T-boc」または「F-moc」法を使って、適切な合成を行っても
よい。環状ペプチドはよく知られた「F-moc」法及びポリアミンレジンと完全自
動化装置を使った固相法で合成してもよい。あるいは、当業者は手動でこの過程
を行うために必要な実験法を理解しているものと考えられる。固相法による合成
技術及び方法は、IRL at Oxford University Pressにより1989年に出版されたE.
Atherton及びR. C. Sheppardによる'Solid Phase Peptide Synthesis:A Practi
cal Approach'に記載されている。あるいは、ペプチドは、細菌または哺乳類の
細胞株においてミモトープをコードする発現核酸分子を含む組み換え法によって
産生し、続いて発現されたミモトープを精製してもよい。ペプチド及びタンパク
質の組み換え発現の技術は、当技術分野において知られており、Maniatis, T.,
Fritsch, E.F. 及びSambrook ら、Molecular Cloning: a laboratory, 2nd ED.;
Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New Yrok (1989
)に記載されている。
【0053】 本発明の免疫原は前述のように、ミモトープ及びその類似体、またはこれらの
免疫学的に交差反応を示す誘導体あるいは、これらのフラグメントを含んでもよ
い。また本発明の免疫原またはそれらのエピトープ、ミモトープまたは誘導体を
コードする核酸の一部も本発明の一部を形成するものである。
【0054】 従って、本発明はアレルギーの免疫学的予防または治療のための医薬品組成物
の製造において、新規のエピトープまたは(上記に定義された)ミモトープの使
用法を提供するものである。本発明のミモトープまたはペプチドを含む免疫原、
及び担体分子はアレルギーの免疫学的予防または治療用ワクチンへの利用法とし
て提供されてもよい。従って、本発明のミモトープ、ペプチドまたは免疫原は、
医療及びアレルギー疾患の医学的治療または免疫学的予防に提供されてもよい。
【0055】 本発明のワクチンには、適当なアジュバントを含んでもよい。本発明のワクチ
ンに適当なアジュバントはIgEペプチドの免疫原に対する抗体濃度の増強が可能
なアジュバントを含む。アジュバントは当技術分野においてよく知られている(
Vaccine Design-The Subunit and adjuvant Approach, 1995, Pharmaceutical B
iotechnology, Volume 6, Eds. Powell, M.F., 及びNewman, M.J., Plenum Pres
s, New York and London, ISBN 0-306-44867-X)。本発明の免疫原に使用するの
に好ましいアジュバントはアルミニウムまたはカルシウムの塩(水酸化物または
リン酸化物)からなる。
【0056】 本発明のワクチンは、一般に初回抗原刺激及び追加免疫ための用量が与えられ
る。追加免疫ための用量は、適切な間隔をおくか、あるいは定められた年毎に、
または循環している抗体が適切なレベルを下回るような時期に与えられることが
期待される。追加免疫ための用量は本来の担体分子が存在しない場合、ペプチド
から構成されてもよい。このように追加免疫のための構築体は代替となる担体を
含むか、またはいかなる担体も含まなくてもよい。
【0057】 さらに、本発明の別な局面には、本文書に記載されているように、医療用とし
ての免疫原またはワクチンとして提供されている。
【0058】 本発明のワクチン製剤は、全身性あるいは粘膜を介して該ワクチンを投与する
ことにより、アレルギーに感受性を示すか、あるいはアレルギー疾患を持つ哺乳
動物の治療または防御のために使用されてもよい。これらの投与法として、筋肉
内、腹腔内、皮内または皮下への注射を含んでもよい;または口腔/食事性、呼
吸器、尿生殖器などの粘膜への投与を含んでもよい。好ましい投与経路は、皮内
を介したスキンパッチ(skin patchs)などである。従って、アレルギー疾患を持
つか、またはアレルギーに感受性を示す患者に、本発明のペプチド、免疫原また
はリガンドの投与から構成されるアレルギー治療法を提供するものである。
【0059】 各ワクチン用量におけるタンパク質量は、基準的なワクチン接種を受けた人が
重大で有害な副作用を示さない免疫防御反応を導く量として選択される。このよ
うな量は、特異的な免疫原が用いられ、どのように作用が現れるかによって変化
する。一般に、各用量は1〜1000μgのタンパク質量からなり、好ましくは1〜500
μg、さらに好ましくは1〜100μgで、このうち1〜50μgの範囲が最も好ましい。
問題となるワクチンの最適量は、対象患者の適当な免疫反応を観察する基準研究
(standard studies)よって確認することができる。最初のワクチン接種に続いて
、患者は適当な間隔をおいて1回または数回の追加免疫を受けてもよい。
【0060】 本発明に関連する局面において、リガンドは本発明のペプチドに結合すること
ができる。このようなリガンドの例は、抗体(またはFabフラグメント)である
。また、医療及びアレルギー治療の薬剤製造にリガンドを使用することが提供さ
れている。本文書における「抗体」という用語は、有用な抗原結合特異性を持つ
分子という意味で使われている。当業者は、この用語が抗体のフラグメントまた
は誘導体あり、さらに同一かまたは非常に近い機能を示すことができるポリペプ
チドを含んでもよいことを容易に理解するものと考えられる。このような抗体の
フラグメントまたは誘導体は、本文書で使用される抗体という用語に包括される
と考える。
【0061】 特に好ましいリガンドは、モノクローナル抗体である。例えば、P14/23、P14/
31またはP14/33は、P8を認識するモノクローナル抗体である(P14免疫原を用い
たワクチン接種で生成された)。これらの抗体のハイブリドーマは、ブタペスト
条約に基づく特許条約手続き上の寄託として2000年1月16日にECACC(European Co
llection of Cell Cultures, Vaccine Research and Production Laboratory, P
ublic Health Laboratory Service, Centre for Applied Microbiology Researc
h, Porton Down, Salisbury, Wiltshire, SP4 OJG, UK)に登録番号00012610、00
012611、00012612として委託されている。また、本発明の重要な局面は、アレル
ギー治療における次の利用法としてIgEの新規ミモトープの同定にこれらのモノ
クローナル抗体を利用する方法、及びアレルギーの治療または免疫学的予防法の
ための薬剤製造にこれらの抗体を利用する方法にある。全てのモノクローナル抗
体は、試験管内においてヒト好塩基球からのヒスタミン放出を抑制する機能があ
り、並びにP14/23及びP14/31は生体内における受動的な皮膚アナフィラキシーを
抑制することが示されてきた。
【0062】 従って、P14/23、P14/31またはP14/33に結合できるIgE のCε4及びこれらのミ
モトープを含む免疫原は本発明の重要な一局面となる。P14/23、P14/31またはP1
4/33に結合できるミモトープからなるワクチンは、アレルギー治療に有用である
【0063】 加えて、本発明のペプチドまたは免疫原をワクチン接種した動物で誘導された
抗体を精製し、アレルギーの免疫学的予防または治療のために別の動物に受動的
に投与してもよい。本発明のペプチドは、当技術分野で公知の技術によるモノク
ローナル抗体のハイブリドーマ(例えば、Koehler及びMilstein, Nature, 1975,
256, p495のように既知の技術を使用)、ヒトモノクローナル抗体またはグラフ
トされたCDRの作製のために使用されてもよい。これらの抗体は受動的な免疫的
予防または免疫治療、あるいはIgEペプチドミモトープの同定に用いてもよい
【0064】 本発明のリガンドは、アレルギーの免疫学的予防または治療に用いられてもよ
いので、本発明のリガンドを含む医薬品組成物を提供するものである。アレルギ
ーの治療または免疫学的予防に好ましい医薬品組成物は、モノクローナル抗体P1
4/23、P14/31またはP14/33からなる。
【0065】 本発明の特徴には、診断的アッセイ法としての使用が含まれる。例えば、本発
明による別のペプチドを認識する一群のリガンドは、患者から採取した血清に存
在する抗IgEの力価をアッセイするために使用してもよい。さらに、ペプチドそ
れ自体は、循環している抗IgEの型を決定するために使用されてもよい。アトピ
ー患者のように、ある条件下では循環抗IgEレベルをアッセイし、また本発明の
ペプチド及びポリ/モノクローナル抗体が、アトピーの診断に使用されることが
適切な場合もある。加えて、親和性を利用して循環しているIgEを患者の血中か
ら除去した後、患者に血液を再注入するためにペプチドを使用してもよい。
【0066】 IgEの構造のコンピュータモデルを使用することからなる、アレルギーの免疫
学的予防または治療のためのペプチド免疫原を同定する方法、及び表面が露出し
たこれらのIgEペプチドを同定する方法は、本発明の一部である。これらの領域
は、それから免疫原の中に表現され、医療に利用される。従って、アレルギーの
免疫学的予防または治療に使用するためのペプチド同定にP14/23、P14/31または
P14/33の使用は、本発明の一部を構成するものである。
【0067】 ワクチン製剤は一般に「ワクチンにおける新しい傾向と発展」に記載されてい
る。巨大分子に対するタンパク質の結合はLikhiteによる米国特許第4,372,945号
及びArmorらによる米国特許第4,474,757号において開示されている。
【0068】 本発明を以下の実施例を用いて説明するが、これに限定されるものではない。
【0069】 第一部:能動的なワクチン接種の研究 実施例 1.1 ペプチドの同定 以下の手法によりペプチドを同定した。
【0070】 ヒトIgEの構造模型が、PadlanとDavisによって述べられている(Mol. Immunol.
, 23, 1063-75, 1986)。ペプチドは連続的で溶媒露出であると同定された。これ
は、分子シュミレーションソフトウェア(MSI)を用いて、各IgEアミノ酸の接触
性を算定することにより達成された。接触可能な表面は、5残基のスライディン
グウィンドウ(sliding window)の平均であり、IgEペプチドの部位において上
記5残基の平均が80Å2より大きいことを上記方法により同定した。
【0071】 実験の結果を図1に示す。
【0072】 結果 図1より、IgEに対する抗体を増加させるための免疫原として使える多くの天
然ペプチドがある。
【0073】
【表5】
【0074】 上記で同定されたこれらのペプチドに加えて、HelmらのIgEモデル(PDB (Prote
in Data Bank, Research Collabarotory for Structural Bioinformatics; http
: pdb-browsers.ebi.ac.uk)に1990年10月2日に寄託された2IgE構造模型)
と同じ選択基準を用いて以下のペプチドを同定した。
【0075】
【表6】
【0076】 これらのペプチドまたはそのミモトープを、免疫原性研究において用いるため
に合成し、担体タンパク質と結合させた。
【0077】 1.2 サクシンイミド-マレイミド交差架橋剤(クロスリンカー:cross-linker )を用いたIgEペプチド/プロテインD結合体の合成 本発明の抗原を作るために、プロテインDを、マレイミド-サクシンイミド交差
架橋剤を用いて、IgEペプチドと直接結合させてもよい。この化学作用の、サク
シンイミド基の固定により、担体残基の制御されたNH2活性が生じる。マレイミ
ド基は、システイン結合性部位である。従って、次に示す例の目的のためには、
結合されたIgEペプチドへのN末端システインの付加が必要である。
【0078】 カップリング試薬は、その化合物の一方の末端がサクシンイミジルエステルに
よってタンパク質担体のアミノ基を活性化し、他方の末端がマレイミド基によっ
てペプチドのスルヒドリル基にカップリングする選択的ヘテロバイファンクショ
ナル(heterobifunctional)交差架橋剤である。反応の概略を以下に示す。
【0079】 a. リジン及びサクシンイミジルエステルの間の反応によるタンパク質の活性
化:
【0080】
【化4】
【0081】 b. マレイミド基との反応による活性タンパク質及びペプチドシステインの間
のカップリング:
【0082】
【化5】
【0083】 1.3 IgEペプチド-プロテインD結合体の準備 プロテインDを、pH7.2、濃度2.5mg/mlの燐酸塩食塩緩衝液に溶解する。カップ
リング試薬(N-[γ-マレイミドブチリルオキシ]サクシンイミドエステル-GMBS)
を、DMSOに102.5mg/mlで溶解し、プロテイン溶液に加える。プロテインD1mgに対
して、GMBS1.025mgを使用する。反応溶液を1時間室温でインキュベーションす
る。副生成物を、セファクリル200HR浸透ゲル上での脱塩処理により除去する。
使用する溶離剤は、Tween80 0.1%を含むpH6.8の燐酸塩食塩緩衝液である。活性
プロテインを、収集、貯留する。ペプチド(表4または5に示されるもの、また
はその誘導体またはそのミモトープ)を、ジスルフィド結合構造にならぬよう、
0.1M酢酸に4mg/mlで溶解する。カップリングには、1活性プロテインDあたりの
モル比が2から20の間のペプチドを使用する。ペプチド溶液をゆっくりとプロ
テインに加え、その混合液を1時間25℃でインキュベーションする。カップリ
ングの間、pHは6.6の値に保つ。30分間、25℃、pH6.5において、システイン
(酢酸0.1Mに4mg/mlで溶解した活性PD(プロテインD)1mgにつき0.1mgのシステ
イン)を加えることにより急冷する。Tween 80 0.1%を含むNaCl 150mMで二回の
透析を行って、過剰なシステインあるいはペプチドを除去する。
【0084】 最終処理は、0.22μmの膜による無菌ろ過を行う。最終生成物である透明ろ過
液を4℃に保った。ペプチド/PDの最終比は、アミノ酸アッセイ法により決定し
てもよい。
【0085】 類似体では、本発明のペプチドを、BSAを含む他の担体と結合してもよい。活
性化前のBSAをPierce Inc.から購入してもよい。
【0086】 P8 (P14, 配列 ID NO. 20; CLEDGQVMDVDLL)及びP5 (P11, 配列 ID NO. 8; CRA
SGKPVNHSTRKEEKQRNGLL)のミモトープを合成し、それらは上に述べた手法を用い
て、プロテインDとBSAの両方に結合させた。
【0087】 1.4 ELISA法 抗ペプチドまたは抗ペプチド担体ELISA 抗ペプチド及び抗担体免疫応答を、以下に概説するELISA法を用いて調査した
。マイクロタイタープレート(Microtiterplate)(Nunc)をPBS中、特異抗原でコ
ートし、(4℃において一夜、)2μg/mlのストレプトアビジンを添加する(続
いて、ビオチン化したペプチド(1μM)とともに1時間37℃でインキュベー
ションする)か、または、PBS-Tween 20 0.1%で二回洗浄する。プレートを、PBS
-BSA 1%-Tween 20 0.1%(飽和緩衝液(Sat buffer))で、1時間37℃で飽和す
る。二段階希釈液中(飽和緩衝液(Sat buffer)中)の血清=1℃の抗原を加え
、1時間30分37℃でインキュベーションする。3回洗浄する。HRPに結合した2℃
の抗マウスIg(または抗マウスイソ型特異モノクローナル抗体)を加える。37
℃で1時間インキュベーションする。5回洗浄する。TMB(BioRad)とともに10分
間室温で暗所に置く。0.4N H2SO4で反応を阻害する。
【0088】 マウス血清中の抗ヒトIgE反応性の検出方法(IgEプレート結合ELISA) ELISAプレートを、pH9.6の炭酸塩/重炭酸塩コーティング緩衝液中で、37℃
で1時間、または4℃で一夜、1μg/mlのヒトキメラIgEでコーティングする。不
特定結合部位を、5% w/v マーベル乳粉(Marvel milk powder)を含むPBS/0.05%
Tween-20で、37℃で1時間遮断する。続いて、PBS/0.05%Tween-20/1% w/v BSA
/4% 新生子ウシ血清中で連続希釈したマウス血清を1時間、37℃で添加した。
ポリクローナル血清結合を、ヤギ抗マウスIgG-ビオチン(1/2000)に続いて、ス
トレプトアビジン-HRP(1/1000)で検出する。結合した抗体は、450nmの波長でT
MB基質で検出する。血清試料中での抗IgE反応性をμg/ml で算出するために、PT
mAb0011の標準曲線を各プレート上に設定する。
【0089】 ミモトープペプチド、溶解性IgEあるいはPTmAb0011とのIgE結合の競合 ポリクローナルマウス血清の単一希釈液を、阻害前のポリプロピレン96穴プレ
ート中で、単一濃度のミモトープペプチドあるいはヒトIgE液と混合する。混合
液を1時間、37℃でインキュベーションした後、IgEコーティングしたELISAプ
レートに添加し、1時間37℃に置く。ポリクローナル血清の結合は、ヤギ抗マ
ウスIgG-ビオチン(1/2000)に続いて、ストレプトアビジン-HRP(1/1000)で検
出する。結合した抗体は、450nmの波長でTMB基質で検出する。IgE結合に対する
血清とPTmAb0011との競合については、血清とPTmAb0011-ビオチンの混合物を、I
gEコーティングしたELISAプレートに加える。PTmAb0011結合は、ストレプトアビ
ジン-HRPで検出する。
【0090】 1.5 ヒト好塩基球アッセイ法 ヒト好塩基球(HBA)に関して、二種類のアッセイ法を行った。一つは、モノ
クローナル抗体のアナフィラキシー誘発性を決定するもので、抗原を単離PBMCに
加えることで構成される。二つめは、ヒスタミン放出を誘発するLol P I (強力
なアレルゲン)の抑制を測定するもので、モノクローナル抗体とのインキュベー
ション前のHBAである。
【0091】 静脈穿刺により、アレルギー患者から血液をヘパリンを含むチューブへ採取し
、赤血球を含まない細胞に精製する。細胞をHBH/HSA中で一回洗浄し、数を数え
、細胞密度2.0×106/mlのHBH/HSA中で再び懸濁する。100μlの細胞懸濁液を100
μlの希釈試料またはモノクローナル抗体を含むV底96穴プレートの穴に入れる。
各試料を6つの穴それぞれについてある希釈範囲でテストする。穴の内容物を、
プレート振とう器を用いて短時間混ぜ、37℃で30分インキュベーションする。
【0092】 各血清希釈液に関して、3つの穴は、10μlのLol p I抽出物(最終希釈1/10000
)の追加によって誘発され、3つの穴は、アナフィラキシー誘発性評価のために
加えられた、10μlのHBH/HSAを含む。穴の内容物を、37℃で30分以上インキュベ
ーションする前に、プレート振とう器を用いて再び短時間混ぜる。インキュベー
ションは、500gで5分間遠心分離して終了する。市販のヒスタミンEIA測定キット
(Immunotech)を用いたヒスタミン定量のために、上清を除去する。試料無しで
細胞を入れた対照の穴を、自発性及び誘発性の放出を検出するために、慣例通り
含める。細胞の試料を2回の凍結/溶解により分離し、細胞に含まれる全ヒスタミ
ンを定量する。
【0093】 結果を以下に説明する。
【0094】 アナフィラキシー誘発性アッセイ法 試料によるヒスタミン放出= 試料処理細胞からのヒスタミン放出率(%)―自発的ヒスタミン放出率(%) 阻害アッセイ法 ヒスタミン放出の抑制率は、次の式を用いて算出できる。 抑制率(%) =1−(試料処理細胞からのヒスタミン放出*)/(抗原刺激細胞からのヒスタ
ミン放出*)×100 *自発的放出に対する校正値 実施例2. P14結合体(P14-BSA, P14-BSA)でのマウス免疫化は、抗ヒトIgE抗
体の産生を誘発する。
【0095】 実施例1で述べたミモトープP14(25μgプロテイン/用量)結合体を、WO95/17
210記載のQS21及び3D-MPLを含む水中油滴型乳剤で補助して、10匹のBalb Cマウ
スのグループに投与した。14日、24日、72日目に追加免疫を行い、血清を
各免疫の14日後に採取した。
【0096】 免疫応答抗ペプチド及び抗プレート結合性IgEは、次いで実施例1に記載のELI
SA法で処理された。その後、抗血清をアナフィラキシー誘発性及びアレルギー性
ヒト好塩基球からのヒスタミン放出抑制における機能活性(実施例1に述べた方
法)についてテストした。
【0097】 免疫原性結果 両方の結合体、PD-P14及びBSA-P14は、抗P-14及び抗IgE免疫応答を誘発する能
力を持っていた。BSA-P14結合体により誘発される、抗ペプチド及び抗IgE応答の
結果を、三回目及び四回目のワクチン接種後の14日目に測定し、表6に示す。
PTmAb0011は、モノクローナル抗体で、IgEのCε2ドメインに結合することが知
られており、抗IgE応答をμg/mlで測定するのに用いられていた。
【0098】
【表7】
【0099】 対照標準としてBSAのみをワクチン接種したマウスは、いかなる検出可能な抗
ペプチドあるいは抗IgE応答も産生しなかった。
【0100】 機能活性の結果 アレルゲンとともに誘発した後の、アレルギー性ヒト好塩基球からのヒスタミ
ン放出抑制において有効であることから、P14ワクチン接種により生じた抗血清
が機能性を有していることが分かった。(図2、3及び4参照)。さらに、抗血
清はアナフィラキシー誘発性ではないことが分かった(図2、3及び4参照)。
【0101】 要約 P14(P8のミモトープ)は、マウスにおいて抗P14及び抗IgE抗体の高い力価を
生じる能力があることが分かった。これらの抗体は後に、アレルギー性ヒト好塩
基球からのヒスタミン放出を抑制することから、機能的であり、アナフィラキシ
ー誘発性ではないことが分かった。従って、P14及びP8はアレルギーの治療また
は免疫学的予防に用いてもよい。
【0102】 実施例3 マウスのP11結合体(P11-BSA, P-11-BSA)による免疫化は、抗ヒト
IgE抗体の産生を誘発する。
【0103】 ヒトIgEエピトープペプチドP11を、マレイミド活性BSA(Pierce)(BSA-CRASG
KPVNHSTRKEEKQRNGLL)と接合させた。SBAS2中で調整された25μgの結合体を0
日目、14日目、及び28日目の8匹の雌BALB/cマウスに筋肉内注射した。1
グループの対照マウスには、BSA/SBAS2を注射した。血液試料は、それぞれの注
射の14日後に採取した(四回目の採血は、血清の入手可能性を高めるため、三
回目の採血の後24日目に行った)。抗ペプチド及びワクチン接種によって生じ
た抗IgE抗体は、実施例1に記載のELISAにより測定された。
【0104】 結果 均一なIgE抗P-11応答は、一度の注射後にすでに検出され得たが、二回目と三
回目の注射後にさらに増加した(図5a及び5b参照)。三回目の注射の後には、全
てのマウスが抗IgE応答(mAb005と等価の28〜244μg/ml生じた)を示した(図6
参照)。
【0105】 第二部:エピトープ特異性モノクローナル抗体の機能活性 実施例4 P14に対して生じた、モノクローナル抗体の機能活性 特にP8とそのミモトープを認識するモノクローナル抗体を、公知の手法を用い
て生じさせた。簡単に述べると、この実施例の第一部で述べたP14-BSA結合体を
、Balb/Cマウスのグループに、QS21及び3D-MPLを含む水中油滴アジュバントとと
もに注射した。脾臓細胞を採取し、SP2/O B細胞腫瘍細胞株を用いて融合し、上
清の、P14ペプチド及びIgEの両方に対する反応性をスクリーニングした。ブダペ
スト条約による特許手続き上の寄託としてECACCに2000年1月26日に、受
け入れ番号00012610, 00012611, 00012612でそれぞれ寄託されている、P14/23,
P14/31及びP14/33の間に、いくつかの細胞列が発生した。三つのモノクローナル
抗体は、ELISA結合アッセイ法、及びIgEに結合したモノクローナル抗体に対する
P14競合アッセイ法によると、全てIgEに結合しており、特にP14に結合している
ことが確認した。
【0106】 これらモノクローナル抗体の機能活性は、実施例1に記載の、ヒト好塩基球か
らのヒスタミン放出抑制アッセイ法において試験した。
【0107】 結果 全てのP14モノクローナル抗体を、四人の異なるアレルギー患者(Aの患者はチ
リダニ抗原に対してアレルギーを持っており、Gの患者は草の花粉に対してアレ
ルギーを持っていた)から採取した好塩基球においてテストした。PT11(PTmAb00
11)は、試験管内(in vitro)でヒスタミン放出を抑制することで知られている
陽性対照抗体として含ませた。三つのP14モノクローナル抗体(23, 31及び33)
は全て、アレルギー性好塩基球からのヒスタミン放出抑制において有効であった
(図7参照)。
【0108】 実施例5 マウスにおける、結合体による免疫化後に誘発される抗IgEは、サ
ルの皮膚のアナフィラキシーモデルにおいて、局所アレルギー応答を阻害できる
【0109】 P14/23及びP14/31についてもまた、生体内活性のテストを行った。簡単に述べ
ると、アフリカミドリザルの一部の皮膚の肥満細胞を削ぎ、両腕への100ngの抗N
P IgE(Serotechより購入したヒトIgE抗ニトロフェニルアセチル(NP))の皮内
投与で、抗原に感作にした。24時間後、テストするべき一投与量のモノクロー
ナル抗体を、片方の腕にあるヒトIgEと同じ注入部位に注入した。同じ動物の反
対の腕にある対照部位に、燐酸塩食塩緩衝液(PBS)あるいは非特異性ヒトIgE(
ヒトサイトメガロウイルス(CMV)またはヒト免疫不全ウイルス(HIV)に対して
特異的)のいずれかを注入した。5時間後、10mgのBSA-NP結合体(Biosearch La
boratoriesより購入)を静脈注射により投与した。15〜30分後対照動物は、すぐ
に目につくほぼ円形のミリメートル単位で測定される浮腫を、アナフィラキシー
から発生させる。結果は、三匹のサルのグループの浮腫の平均直径またはPBS対
照と比較した抑制の割合として表す。モノクローナル抗体であるPTmAb0011を、
陽性対照として用いた。SBmAb0006を陰性対照として用いた。
【0110】
【表8】
【0111】
【表9】
【0112】 アナフィラキシーの完全抑制が、高投与量のモノクローナル抗体にて認められ
たので、生体内で投与した時、これらの抗体それ自体はアナフィラキシー誘発体
ではない。
【0113】 実施例6 IgEミモトープの構造的特徴 本発明者らは、本発明のエピトープまたはミモトープが抗ミモトープ抗体認識
及び強い抗IgE免疫応答を発生させるペプチドの能力の両方にとって重要である
コンフォメーションを示した。それによって本発明者らは、ペプチドの環状化に
最適の部位を予測する構造の規則を見出した。これらの環状化部位を用いるペプ
チドは、本発明の好ましい特徴を形成する。
【0114】 IgE Fcの全構造は決定されていないので、本発明者らは現在のところ入手可能
なモデル(Helmらの上述モデル、PadlanとDavisの上述モデル)を、IgG1のCγ2
及びCγ3の公知のモデル(Deisenhofer J., 1981. Biochemistry, 20, 2361-237
0)を用いてさらに精緻なものにした。加えてCε2ドメインのモデルを、公知の
Ig折りたたみ単位構造(folding-unit structures)との比較によって構築した
。本発明者らはIgE Fcのこれらの相同モデルを設計し、それによってシート内(
intra-sheet )(A-Bループ、図9A参照)及びIgE Fcドメインにおけるシート間
のループ(inter-sheet loops)(C-Dループ、図9B参照)の末端及び全体の構
造を予測した。予測したIgE Fc A-B及びC-Dループをそれらを支持するβストラ
ンドとともに特徴づける。そのループのミモトープは、βストランドに隣接して
並ぶ、選択される特異残基の間の共有環状化による各ループの野生型(WT)の一
次配列から誘導されると予測できる。環状化は、好ましくは、末端のシステイン
間でジスルフィド結合を形成し、その結果結合してシスチンとなることにより実
現する。
【0115】 我々の構造配列(図9A及び9B参照)に基づき、我々は、適合する担体分子へ
の結合後にミモトープによって採用されるコンフォメーションが、親エピトープ
のそれと類似している確立を高める、簡潔な予測的法則を導き出した。
【0116】 法則1 疎水性のシスチングループは、二枚のβシート間の境界面により形成されるIg
定常領域の疎水性の中心部に属するWTβストランド残基と置きかえられるはずで
ある。
【0117】 法則2i シート内ループ(例えばA-Bループ)に関して、シスチングループは逆平行β
ストランド(図8参照)アジュバント由来であって、シートの同じ部位で横方向
に一緒にまとめるWT残基と置きかえられるはずである。法則1によると、これは
シートのドメインの内側にあるだろう。A-Bループに関するこの法則の構造導出
は、図10A及び10Bで図解する。
【0118】 法則2ii シート間ループ(例えばC-Dループ)に関して、シスチングループは各シート
から1ストランドずつの逆平行βストランド上のWT残基と置きかえられる。法則
1によると、最適の組み合わせを形成する残基は向かい合うβシートの表面でま
とまっており、二つのシート間に境界面部を形成する。C-Dループに関するこの
法則の構造導出は、図11A及び11Bで図解する。次の推定されるミモトープの
配列の表では、最適となるよう予測される設計に下線を付した。各配列ブロック
の下の点線及び実線は図10B(A-Bループについて)及び図11B(C-Dループに
ついて)に示したものと同様に、最適な環状化のために選択された残基位置につ
ないだ。
【0119】 上記の法則と共に図9A及び9Bに示した配列を用いて、本発明者らは表9から
12に記載された以下のペプチドを設計した。下線(実線または点線)を付した
ペプチドは、上記法則に基づいた最適のペプチドであり、図10B及び図11Bに
示した線と同様である。下線のない配列はミモトープである。
【0120】
【表10】
【0121】
【表11】
【0122】
【表12】
【0123】
【表13】
【0124】
【表14】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1 Padlan及びDavisの1986年モデルにより計算されるヒトIgEのCε3及びC
ε4の表面の露出。
【図2】 図2 ヒスタミン放出抑制及びP14抗血清アナフィラキシー誘発性。陽性対照
のために用いられるモノクローナル抗体であるPTmAb0005及びPTmAb0011を100分
の1及び500分の1(最終値)に希釈した抗BSA血清に1μg/ml添加した。抗P14抗
血清は100分の1から最終的に500分の1の希釈率で添加した。細胞は、草花粉に
感受性のあるアレルギー患者から採取され、ヒスタミン放出は、この草花粉抗原
をインキュベーションして誘発した。
【図3】 図3 ヒスタミン放出抑制及び抗P14抗血清アナフィラキシー誘発性。異なる
マウスからのP14抗血清を異なる希釈率(80倍または40倍)で、IgE受容体結合EL
ISAで測定した値として抗IgE抗体約1μg/mlを含有するように添加した。3つの
陰性対照、すなわち抗BSA抗血清、非特異的IgG1と、抗BSA抗血清中で非特異的Ig
G1を希釈した混合物を用いた。mAb11はヒスタミン放出を抑制することで知られ
ているモノクローナル抗体であり、陽性対照として用いられていた(2μg/ml添
加)。
【図4】 図4 ヒスタミン放出抑制及び抗P14抗血清アナフィラキシー誘発性。別のマ
ウスからの抗P14抗血清を最終希釈率50倍で添加した。モノクローナル抗体はア
ッセイ用緩衝液または抗BSA 50倍希釈血清のいずれかに2μg/ml添加した。3つの
陰性対照、すなわち抗BSA抗血清、非特異的IgG1及び抗BSA抗血清中に非特異的Ig
G1を希釈した混合物をもちいた。mAb11はヒスタミン放出を抑制することが知ら
れているモノクローナル抗体であり、陽性対照として用いられていた(2μg/ml
添加)。
【図5】 図5 抗体反応抗P11。P11ペプチドは炭酸緩衝液中1μg/ml として+4℃で一
夜コーティングする。プレートを飽和した後、2倍の段階希釈血清を加え、37℃
で1時間インキュベーションする。結合IgGはビオチン化抗マウスAbで、続いてス
トレプトアビジン-POD及びTMB基質で検出する。測定時点はAにおいてワクチン接
種1の後14日及びワクチン接種2の後14日であり、Bにおいてはワクチン接種3
の後14日である。
【図6】 図6 抗P11 IgG抗ヒトIgE力価。ヒトIgEは1μg/mlにてコーティングした。2
倍の段階希釈をした血清(“BSAプール”は対照群のプールである)またはPTmAb
0005(陽性対照モノクローナル抗体)は37℃で1時間インキュベーションした。
結合IgGはビオチン化抗マウスAbで検出する。
【図7】 図7 チリダニアレルギー患者(A10及びA11)及び草花粉アレルギー患者(G8
及びG4)から採取したアレルギー性好塩基球に対するヒスタミン放出抑制及び抗
P14モノクローナル抗体の検討。PT11(PTmAb0011)を陽性対照として用い、非特
異性IgG2aをP14/23、P14/31及びP14/33に対するイソ型対照として用いた。
【図8】 図8 IgEドメイン構造。(A)各ドメインは二つの向かい合うβシートで構成
され、模式図に示すように、4つの逆平行βストランドのうちのひとつと(4と
認識する)他の3つの逆平行βストランドのうちのひとつ(3と認識する)であ
る。(B)7つのストランドを、図のように二つのシート間にわけ、aからfで認識
するブロック矢印で位相学的に示す。ストランドのループ結合性(loopconnecti
vity)を曲線矢印で位相学的に示した。実線矢印はシート内ループであり、破線
矢印はシート間ループである。IgE Fcについて予測されるように、IgG1 Fcドメ
インにおいて短いc’ストランドは、C-Dループの一部を形成する。(2μg/ml)
【図9】 図9 (A)結晶学的に決定されたヒトIgG1 Fc (Cγ2及びCγ3ドメイン)の
構造と同等な部位とヒトIgEドメインCε2,3及び4のA-Bループ配列の予測される
構造配列。IgG1構造中のβストランドに下線をしa及びbと認識し、各配列の配列
部位の末端のアミノ酸残基に番号を付した。配列のブロックの下の垂直矢印は予
測される環状化に最適な部位を指し、図10bに示すように破線または実線にて
認識し、結びつけた。(B)ヒトIgG1 Fc及びヒトIgEドメインCε2, 、3及び4のc
_dループの予測される構造配列。IgG1構造中のβストランドに下線をし、c、 c
’ 及びdと認識し、各配列部位の末端のアミノ酸残基に番号を付した。影付きボ
ックス体で強調した残基は(Cγ2及びCγ3)を形成する、あるいは(相同モデル
の改良及び実験によりCε2、相同モデリングによりCε3及びCε4)、ループ中の
保護中心部を形成すると予測される。単純な太線のボックス内の残基は受容体及
び/または抗体による認識に関連すると予測される。配列のブロックの下の垂直
矢印は予測される環状化に最適な部位を指し、図11bに示すように破線または
実線にて認識し、つないだ。
【図10】 図10 (A) Ig定常領域のシート-シート境界面におけるA-Bヘアピンの模式
図。近接逆平行βストランドは実線矢印で示し、a及びbと認識する。aのストラ
ンドに並ぶ残基はiと認識し、bに並ぶストランドはjと認識する。残基i+n 及
びj+m(nは奇数であるがmは偶数)はドメイン中のシート-シート境界面の一部を
形成する。残基i+n 及びj+m(nは0または偶数であるがmは奇数)はドメインの溶
媒露出表面の一部を形成する。該A-Bループは黒の矢印で示す。(B) 破線または
実線の両方向矢印(dumbbells)によりつながれた環状化に最適な残基の位置と、
図3-aに示されるA-Bヘアピンの模式図。
【図11】 図11 (A)Ig定常領域のシート-シート境界面の端部(edge)におけるC-D
ヘアピン(ループにくわえて支えているβストランド)の模式図。対立逆平行β
ストランドは実線矢印で示し、c及びdと認識する。cストランドに並ぶ残基は
iと認識され、dストランドに並ぶものはjと認識する。残基i+n 及びj+m(nは奇数
であるが、mは偶数)はドメイン中のシート-シート境界面の一部を形成する。残
基i+n 及びj+m(nは0または偶数であるが、mは奇数)はドメインの溶媒露出表面
の一部を形成する。短いc’ストランドを含むc_dループは黒い矢印で示す。(B)
破線または実線両方向矢印で結んだ、環状化に最適な残基位置とc_dヘアピンの
模式図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 39/395 A61P 37/08 A61P 37/08 C07K 14/02 C07K 14/02 16/42 16/42 19/00 19/00 A61K 37/02 (31)優先権主張番号 9918598.5 (32)優先日 平成11年8月7日(1999.8.7) (33)優先権主張国 イギリス(GB) (31)優先権主張番号 9918599.3 (32)優先日 平成11年8月7日(1999.8.7) (33)優先権主張国 イギリス(GB) (31)優先権主張番号 9918601.7 (32)優先日 平成11年8月7日(1999.8.7) (33)優先権主張国 イギリス(GB) (31)優先権主張番号 9918604.1 (32)優先日 平成11年8月7日(1999.8.7) (33)優先権主張国 イギリス(GB) (31)優先権主張番号 9918606.6 (32)優先日 平成11年8月7日(1999.8.7) (33)優先権主張国 イギリス(GB) (31)優先権主張番号 9925618.2 (32)優先日 平成11年10月29日(1999.10.29) (33)優先権主張国 イギリス(GB) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US ,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 フリード,マーティン イギリス国,ミドルセックス ティーダブ リュ8 9イーピー,ブレントフォード, ニュー ホライズンズ コート 2,スミ スクライン ビーチャム,コーポレイト インテレクテュアル プロパティ (72)発明者 メイソン,ショーン イギリス国,ケンブリッジ シービー1 9ピーティー,フルボーン ロード 100, ピーターハウス テクノロジー パーク, ペプチド セラピューティクス リミティ ド (72)発明者 ターネル,ウィリアム ゴードン イギリス国,ケンブリッジ シービー1 9ピーティー,フルボーン ロード 100, ピーターハウス テクノロジー パーク, ペプチド セラピューティクス リミティ ド (72)発明者 バン メシュラン,マルセル ポーレト ベルギー国,ベ−1330 リクサンサール, リュ ドゥ ランスティテュ 89,スミス クライン ビーチャム バイオロジカルズ ソシエテ アノニム (72)発明者 ビナル イグレック ドゥ バソール,カ ルロータ ベルギー国,ベ−1330 リクサンサール, リュ ドゥ ランスティテュ 89,スミス クライン ビーチャム バイオロジカルズ ソシエテ アノニム Fターム(参考) 4C084 AA02 AA07 AA14 BA01 BA08 BA23 BA24 BA41 BA44 CA53 CA56 CA59 DA39 MA02 NA05 NA14 ZB072 4C085 AA02 AA03 AA14 AA33 AA38 BA89 BB35 CC08 CC21 CC23 EE03 EE06 FF24 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA10 BA16 BA17 BA41 BA42 CA02 CA40 DA70 DA76 DA86 EA28 EA50 FA51 FA72 FA74

Claims (35)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペプチドがP5(配列ID No.1)である、IgEのCε3ドメイン
    から単離され表面が露出したエピトープからなるペプチドまたはそのミモトープ
  2. 【請求項2】 ペプチドがP6(配列ID No.2)である、IgEのCε3ドメイン
    から単離され表面が露出したエピトープからなるペプチドまたはそのミモトープ
  3. 【請求項3】 ペプチドがP7(配列ID No.3)である、IgEのCε3 及びCε
    4ドメインにおよぶ部位の、単離表面露出エピトープからなるペプチドまたはそ
    のミモトープ。
  4. 【請求項4】 ペプチドがP8(配列ID No.4)である、IgEのCε4ドメイン
    から単離され表面が露出したエピトープからなるペプチドまたはそのミモトープ
  5. 【請求項5】 ペプチドがP9(配列ID No.5)である、IgEのCε4ドメイン
    から単離され表面が露出したエピトープからなるペプチドまたはそのミモトープ
  6. 【請求項6】 ペプチドがP200(配列ID No.6)である、IgEのCε3ドメイ
    ンから単離され表面が露出したエピトープからなるペプチドまたはそのミモトー
    プ。
  7. 【請求項7】 ペプチドがP210(配列ID No.7)である、IgEのCε3ドメイ
    ンから単離され表面が露出したエピトープからなるペプチドまたはそのミモトー
    プ。
  8. 【請求項8】 ペプチドが2-90N(配列ID No.82)である、IgEのCε3ドメ
    インから単離され表面が露出したエピトープからなるペプチドまたはそのミモト
    ープ。
  9. 【請求項9】 ペプチドが3-90N(配列ID No.83)である、IgEのCε4ドメ
    インから単離され表面が露出したエピトープからなるペプチドまたはそのミモト
    ープ。
  10. 【請求項10】 ペプチドが4-90N(配列ID No.84)である、IgEのCε4ド
    メインから単離され表面が露出したエピトープからなるペプチドまたはそのミモ
    トープ。
  11. 【請求項11】 ミモトープがペプチドである、請求項1から10のうちの
    いずれかに記載のミモトープ。
  12. 【請求項12】 P8のミモトープが以下の一般式: P,X1,X2,P,X3,X4,X5,X6,X5,X5 (X1:E,D,NまたはQから選ばれるアミノ酸 ;X2:W,YまたはFから選ば
    れるアミノ酸 ;X3:GまたはAから選ばれるアミノ酸 ;X4:S,TまたはMから選ば
    れるアミノ酸 ;X5:RまたはKから選ばれるアミノ酸 ;X6:DまたはEから選ばれ
    るアミノ酸 ) で表されるペプチドである請求項4記載のペプチド。
  13. 【請求項13】 P8のミモトープが以下の一般式: P,X1,X2,P,G,X4,R,D,X5,X5 (X1:E,D,NまたはQから選ばれるアミノ酸 ;X2:W,YまたはFから選ば
    れるアミノ酸 ;X4:S,TまたはMから選ばれるアミノ酸 ;X5:RまたはKから選ば
    れるアミノ酸 ;X6:DまたはEから選ばれるアミノ酸 ) で表される請求項12に記載のペプチド。
  14. 【請求項14】 請求項1から13のいずれかひとつに記載のペプチドまた
    はミモトープからなり、さらに担体分子からなるアレルギーの治療のための免疫
    原。
  15. 【請求項15】 担体分子がプロテインDまたはB型肝炎のコア抗原から選択
    される請求項 14に記載の免疫原。
  16. 【請求項16】 免疫原がペプチドまたはミモトープの化学的結合であるか
    、または免疫原が融合タンパク質として発現される請求項14または15に記載
    の免疫原。
  17. 【請求項17】 ペプチドまたはペプチドミモトープが担体の一次配列の中
    に見出される請求項14から16のいずれかひとつに記載される免疫原。
  18. 【請求項18】 請求項14から17いずれかひとつに記載される免疫原か
    らなり、さらにアジュバントからなるアレルギー治療のためのワクチン。
  19. 【請求項19】 請求項1から13のいずれかひとつに記載されるペプチド
    を認識することができるリガンド。
  20. 【請求項20】 リガンドがP14/23、P14/31またはP14/33(ブタペスト条約
    に基づく特許手続き上の寄託により2000年1月26日に、受け入れ番号がそれぞれ0
    0012610、00012611,00012612としてECACCに寄託されている)から選択される請
    求項19に記載のリガンド。
  21. 【請求項21】 請求項19に記載のリガンドを含む医薬品組成物。
  22. 【請求項22】 請求項20に記載のリガンドを含む医薬品組成物。
  23. 【請求項23】 医療に用いる、請求項1から13のいずれかひとつに記載
    のペプチド。
  24. 【請求項24】 医療に用いる請求項18に記載のワクチン。
  25. 【請求項25】 医療に用いる請求項14から17のいずれかひとつに記載
    の免疫原。
  26. 【請求項26】 アレルギーの治療または予防のための医薬品製造における
    請求項1から13のいずれかひとつに記載のペプチドの使用。
  27. 【請求項27】 請求項1から13のいずれかひとつに記載のペプチドを認
    識することができる医薬用途のリガンド。
  28. 【請求項28】 アレルギーの治療または予防のための医薬品製造における
    請求項1から13のいずれかひとつに記載されるペプチドを認識することができ
    るリガンドの使用。
  29. 【請求項29】 P8のミモトープの認識におけるP14/23、P14/31またはP14/
    33(ブタペスト条約に基づく特許手続き上の寄託により2000年1月26日に受け入
    れ番号がそれぞれ00012610、00012611、00012612としてECACCに寄託されている
    )の使用。
  30. 【請求項30】 P14/23、P14/31またはP14/33(ブタペスト条約に基づく特
    許手続き上の寄託により2000年1月26日に受け入れ番号がそれぞれ00012610、000
    12611、00012612としてECACCに寄託されている)によって認識することができる
    ペプチド。
  31. 【請求項31】 請求項30に記載のペプチドからなるワクチン。
  32. 【請求項32】 請求項14から17のいずれかひとつに記載される免疫原
    の製造及びアジュバントを伴う免疫原の処方を含むワクチンの製造方法。
  33. 【請求項33】 患者に対し請求項1から13のいずれかに記載のペプチド
    を投与することを含む、アレルギー疾患あるいはアレルギー感受性患者の治療方
    法。
  34. 【請求項34】 患者に対し請求項24または31に記載のワクチンを投与
    することを含む、アレルギー疾患あるいはアレルギー感受性患者の治療方法。
  35. 【請求項35】 患者に対し請求項21または22のいずれかひとつに記載
    の医薬組成物を投与することを含む、アレルギー疾患あるいはアレルギー感受性
    患者の治療方法。
JP2000601039A 1999-02-25 2000-02-22 IgEのC−イプシロン−3またはC−イプシロン−4ドメイン由来のエピトープまたはミモトープ、その拮抗薬、及びそれらの治療的使用 Pending JP2002537403A (ja)

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