JP2002534387A - 神経損傷の処置に(2−イミダゾリン−2−イルアミノ)キノキサリンを使用する方法 - Google Patents

神経損傷の処置に(2−イミダゾリン−2−イルアミノ)キノキサリンを使用する方法

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エリザベス・ウォルデマシー
ロナルド・ケイ・レイ
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、哺乳動物の視神経細胞および網膜神経細胞を保護する方法であって、該神経細胞に対する有害作用を受けているかまたは受ける恐れのある哺乳動物に、神経細胞の損傷または死滅を抑制または防止するのに有効な量の式: 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、哺乳動物の神経細胞(網膜、視神経および脊髄を包含する)を、有
害な刺激から保護する方法に関する。有害刺激は、圧迫性もしくは機械的作用ま
たは外傷もしくはストレス因子を包含し、これは例えば神経への血流障害、並び
に網膜および視神経に関しては緑内障、網膜色素変性および加齢性黄斑変性を包
含するが、それらに限定されない。
【0002】 (背景技術と、発明が解決しようとする技術的課題) 緑内障は、少なくとも初めは眼圧の上昇により特徴付けられた眼疾患である。
緑内障は、その病因により、原発性または続発性として分類されている。原発性
緑内障は、成人において独立した症状であって、慢性の開放隅角緑内障、または
慢性の閉塞隅角緑内障であり得る。原発性開放隅角緑内障は最もよく起こる形態
の緑内障で、他に原因が見当たらない。閉塞隅角緑内障は通例、前房隅角の「浅
い」人が罹り、前房の側部(または隅角)が互いに近づいて小柱網からの房水流
出をブロックすることによって起こる。続発性緑内障は、その名が示すように、
ブドウ膜炎、眼内腫瘍または拡大した白内障のような既存の眼疾患から生じる。
【0003】 原発性緑内障の原因は、未だ充分解明されていない。その眼圧上昇は、房水流
出遮断の結果であり得る。慢性開放隅角緑内障においては、前房およびその解剖
学的構造は正常に見えるが、房水の排出は妨げられる。急性および慢性の閉塞隅
角緑内障においては、前房が浅く、透過角が狭く、虹彩がシュレンム管の入口の
小柱網を閉塞し得る。瞳孔の拡張により、虹彩根部が隅角に対して前方に押され
るか、または瞳孔ブロックを起こして、眼圧上昇を急進し得る。前房隅角の狭い
眼は、種々の重篤度の急性閉塞隅角緑内障に患る素因を有する。
【0004】 続発性緑内障は、後房から前房、次いでシュレンム管への房水の流れのいかな
る妨害によっても起こる。前房の炎症性疾患は、膨隆虹彩における完全な虹彩後
癒着を起こすことにより房水排出を妨げ得、排液路を滲出物で閉塞し得る。他の
通常の原因は、眼内腫瘍、拡大した白内障、網膜中心静脈閉塞、眼の外傷、手術
操作および眼内出血である。
【0005】 すべての種類を考慮すると、緑内障は、40歳を超えるすべての人の約2%に
起こり、視力が急速に損われるまで何年間も無症候性であり得る。緑内障性神経
損傷が一病理学的過程の最終結果であるのかどうか、また、最終的疾患の発現に
複数のメカニズムが関与するのかどうかは、明らかでない。
【0006】 緑内障過程早期には1種を越える病理メカニズムが関与し得るという証拠が増
しつつある。例えば、Ruben,S.T.、Hitchingsら、Eye8(5)、第516
〜20頁(1994)参照。そのような危険因子としては、高眼圧、緑内障の家
系、年齢、および眼の後房の内部構造における頂部の陥凹対乳頭比がある。一研
究によると、視野欠損のない高眼圧眼においては、緑内障誘発性欠損の発症予測
に最も重要な因子は陥凹対乳頭比と年齢である。Johnson,C.A.、Brandt,
J.D.ら、Arch.Ophthalmol.113(1)、第70〜76頁(1995)。
これらの研究が示唆するところによると、視神経円板または網膜に対する神経損
傷のない高眼圧患者が存在する。Pfeiffer N.、Bach M.、Ger.J.Ophth
almol.1(1)、第35〜40頁(1992)も参照されたい。緑内障性視野
欠損は正常眼圧眼にも起こることが知られている。一つの理論として、眼圧が統
計学的に正常であって視神経乳頭が緑内障性視野欠損を起こし易いかどうかは、
視神経円板の大きさに左右される。Burk,R.O.、Rohrschneider,K.、Noa
ck,H.ら、Graefes Arch. Clin. Exp. Ophthalmol. 230(6)、第5
52〜60頁(1992)。正常眼圧での視野欠損を別の(未確認の)病理メカ
ニズムで説明付ける理論もある。Trick,G.L.、Doc. Ophthalmol.85(2
)、第125〜33頁(1993)。理論はどうであれ、統計学的に正常な眼圧
での緑内障性視野欠損は、臨床的に認識されている症状である。
【0007】 高眼圧は、緑内障発症の危険因子として一般に知られているが、緑内障性視野
欠損に不可欠な症状ではない。神経細胞損傷は、高眼圧があってもなくても起こ
り得、また、高眼圧を経験した患者に必ずしも起こるものではない。脈絡膜潅流
(循環)の増加が高眼圧患者の緑内障性視神経損傷の防止に役立ち得ることが、
二つの研究により示唆されている。Schmidt,K.G.、von Ruckmann,A.ら
、Ophthalmologica、212(1)、第5〜10頁(1998)、およびKerr
J.、Nelson P、O'Brien C、Am J. Ophthalmol.、126(1)、
第42〜51頁(1998)。すなわち、緑内障は、高眼圧を伴うかまたは伴わ
ない視神経損傷として発現する複合症候群として特徴付けられることが、最近明
らかになっている。更に、それぞれの症状(高眼圧または緑内障性神経細胞損傷
)が相互に独立して起こり得るらしいとも考えられている。本発明は、眼圧の正
常レベル範囲内への治療的低下にもかかわらず損傷または損失する網膜神経節細
胞および視神経を保護し;いわゆる正常眼圧緑内障の場合に該細胞を損傷から保
護し;並びに眼圧低下を意図した処置法に十分応答しない緑内障眼において上記
細胞を保護する方法を提供する。
【0008】 手術が指示されない場合、局所用β−アドレナリン受容体拮抗薬が、従来、緑
内障処置薬物として選択されている。しかし、αアドレナリン作用薬が高眼内圧
の処置に使用するために最近承認されたので、これが緑内障処置剤の主流となる
であろう。この種の薬物としてはα作用薬活性を持つ種々のキノキサリン誘導
体があり、これらはDanielewiczらが米国特許第3,890,319号及び同4,029,792号
において治療剤として最初に提案した。これらの特許には、心血管系の調節剤と
して、次式で示される化合物が開示されている:
【0009】
【化2】 [式中、2-イミダゾリン-2-イルアミノ基はキノキサリン環骨格の5位、6位、7位
又は8位のいずれにあってもよい。また、x、y及びzは残りの5位、6位、7位又は8
位のいずれにあってもよく、水素、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、
又はトリフルオロメチルから選択することができる。Rはキノキサリン環骨格の2
位又は3位にあってもよい任意の置換基を表わし、水素、低級アルキル又は低級
アルコキシでありうる]。 この本発明に有用な化合物はDanielewiczらが概説した手法に従って製造するこ
とができる。米国特許第3,890,319号及び同4,029,792号の内容は共にそのまま参
考文献として本明細書の一部を構成する。
【0010】 「ネコ、ウサギ及びサルにおける比較的選択的なα作用薬(UK-14,304-18)
の眼効果(Ocular Effects of a Relatively Selective Alpha-2 Agonist(UK-1
4,304-18)in Cats, Rabbits and Monkeys)」[J.A. Burkeら, Current Eye Rs
rch., 5(9)665〜676頁(1986)]には、ウサギ、ネコ及びサルにおいて、下記
キノキサリン誘導体(一般名ブリモニジン(brimonidine))が眼圧を低下させ
る効力を持つことが示されている。この研究では、化合物が実験動物の角膜に局
所投与された。
【化3】
【0011】 緑内障の続発症の一つが視神経乳頭に対する損傷であることは古くから知られ
ている。視神経乳頭または視神経円板は、網膜血管系に沿って、網膜上層に沿っ
て分布する網膜神経節細胞(RGC)体の軸索が、外側膝状体へのシグナルを伝
達するために集合し束になるところにある(図6参照)。視神経乳頭損傷(臨床
的にカッピングと呼ばれる)は、視神経乳頭の神経繊維の陥凹部分として見られ
る。カッピングは、視神経繊維の死滅、および構造的支持を提供する細胞外マト
リックスである篩板の変化の結果である。周辺視力の損失がRGC死滅の結果で
あり、これは通例、網膜神経節細胞の50%もが損傷または損失され得るほど疾
患が進行するまで気付かれない。治療されず放置された緑内障は、視界のかすみ
または視力の鈍りを経て完全な失明に至るまで進行し得る。
【0012】 残念ながら、薬物の投与又は房水流出を促進するための手術による眼圧の統計
学的正常レベルへの長期低下にもかかわらず、緑内障状態における神経の損傷は
多くの患者に依然見られる。この見かけ上の矛盾は、Cioffi と Van Buskirk が
「前視神経の微小血管系(Microvasculature of Anterior Optic Nerve)」と題
する報文[Surv. of Opthalmol. 38, Suppl., S107-16頁, 考察S116-17頁, 1994
年5月]の中で取扱っている。その中では次のように述べられている: 「眼圧(IOP)が増大する疾患という緑内障の伝統的定義は、臨床状態を単純化
しすぎている。正常値よりも高いIOPを持たない緑内障患者もいるし、IOPの最大
限の低下にも関わらず視神経損傷が進行し続ける場合もある。」
【0013】 緑内障に伴う神経損傷が、眼圧の実質的低下後にも進行し得るという事実は、
眼圧非依存性の要因が多くの場合に原因となるということを強く示唆する。例え
ば下記文献を参照されたい:Schulzer M, er al., “Biostatistical evidence
for two distinct chronic open-angle glaucoma populations”Br. J. Ophthal
. 第74916-74200頁(1990); Lamping KA, et al., “Long-term evaluation of i
nitial filtration surgery”Ophthalmolgy 93(1) 第91-101頁(1986); Migdal,
1994; Spaeth GL “Proper outcome measurements regarding glaucoma: the in
adequacy of using intraocular pressure alone.”Eur. J. Ophthal. 6(2) 第1
01-105頁(1996)。
【0014】 このような原因は、次のものを包含すると提案されている:(1)網膜神経節
細胞のアポトーシス(プログラムされた細胞死)の誘導であり、これは遺伝学的
にコントロールされた過程で、これによって、不必要なまたは損傷された細胞が
炎症応答を引き起こすことなく死滅する[例えば、Quigley HAら、Invest.
Ophth. Vis. Sci,、36、第774〜786頁(1995)、“Retinal
Ganglion Cell Death in Experimental Glaucoma and after Axo
tomy Occurs by Apoptosis”]、および(2)初めに損傷を受けた神経細
胞の死滅または損傷の後、細胞(一次傷害によって損傷を受けなかった細胞)に
影響を及ぼす更なる神経変性。一次損傷に対する二次の神経細胞損傷は、周囲の
RGCの死および変性によって放出された興奮性神経伝達物質の過剰蓄積および
生じた他の有害環境条件の結果として起こる。緑内障性視神経障害のより軽い要
因または解明が進んでいない要素には、次のものがある:細胞外マトリックス代
謝異常およびそれ故RGCの損傷感受性を導く遺伝的決定子;高IOPとの関連
の有無にかかわらず虚血を促進する血管の欠陥;および代謝疾患。本発明のもう
一つの利点は、本発明化合物は一次的および二次的のいずれの原因による神経障
害箇所でも保護を提供するので、より直接的でより広いレベルの神経保護を提供
するということである。
【0015】 網膜色素変性は、網膜を冒す一群の遺伝性疾患の名称である。網膜は眼の後部
の内表面をなす光受容細胞を含む複数の細胞層から成る敏感な神経組織である。
そのような疾患は、光受容細胞(いわゆる杆体および錐体)が徐々に破壊され変
性することによって特徴付けられ、それによって徐々に視力が失われる。網膜色
素変性の患者は米国で10万人いると推定される。杆体は網膜中心部(黄斑とし
て知られる)の外側に集中しており、周辺視力および夜間視力に必要である。錐
体は黄斑内に集中しており、中央視力および色覚に必要である。杆体および錐体
の両方が、光を電気インパルスに変換するのに与る細胞であり、インパルスは情
報を網膜神経節細胞に伝達し、外側膝状体を経て、視覚を知覚する脳の部分に伝
達される。すなわち、網膜色素変性では、緑内障の場合とは異なる種類の網膜細
胞が冒される。あらゆる種類の網膜色素変性において非常に一般的なのは、杆体
および錐体の進行性の損傷および変性である。どの種類の細胞が主に冒されるか
によって、症状は異なり、症状は夜盲、周辺視野欠損(トンネルビジョンとも称
される)、および周辺視野が狭まるのに先立つ色識別能低下を包含する。
【0016】 網膜色素変性の症状は、思春期および若年成人に知覚されることが多く、通例
、生涯を通して進行する。進行速度および視力損失の程度は様々である。今のと
ころ網膜色素変性の治療方法は見出されていない。
【0017】 治癒されないにしろ、ある用量のビタミンAにより、一部の患者において網膜
色素変性の進行が少し遅延されることがわかっている。研究者は、網膜色素変性
を起こす遺伝子のいくつかを見出している。現在では、X染色体網膜色素変性ま
たは常染色体優性網膜色素変性のいくつかの家族において、血液および他の細胞
由来の遺伝学的材料を試験して罹患家族のメンバーが複数の網膜色素変性遺伝子
のうちの一つを有するかどうか調べることができ、従って、該疾病による傷害が
現れる前に治療を開始することが可能である。本発明の一課題は、神経保護化合
物によって光誘導傷害に対して光受容細胞を保護する研究に特に関連して、本発
明の化合物および方法によって光受容細胞(杆体および錐体)を保護することで
ある。
【0018】 加齢性黄斑変性(ARMD)は、黄斑および網膜中心が変性する疾患である。
これは西洋で50歳以上の人における視覚障害の主要な原因となっている。北欧
系に特に罹患率が高いが、アフリカ系アメリカ人およびスペイン系には稀である
。罹患率は加齢と共に高まり、55歳までの人口の15%、75歳までの人口の
30%以上が冒されている。黄斑変性によって中心視が損なわれて、読んだり、
運転したりすることが不可能になり得るが、緑内障の場合とは異なって、周辺視
は損なわれないので完全な盲目にはならない。黄斑変性は通例、眼科的検査によ
って明らかになる。
【0019】 黄斑変性は、ドライ(非新生血管)またはウェット(新生血管)に分類される
。滲出型または「ウェット」型の黄斑変性では、網膜の層が液で持ち上げられ、
網膜剥離および視覚の波状歪みが起こる。異常血管が網膜中または網膜下へも侵
入し得、滲出し得る新生血管膜が形成されて更に視力が損なわれる。進行した症
例では、瘢痕組織が形成され、不可逆的な暗点または盲点が生じる。ドライ黄斑
変性はより一般的であるが、通例、網膜の一層またはそれ以上が変性および萎縮
するに従って、より軽度でより進行の遅い視力障害をもたらす。黄色沈着物(「
ドルーゼン」と称される)または色素凝集魂が生じ得る。
【0020】 いずれの型でも、冒される網膜部分は、網膜の最も敏感な部分である黄斑であ
る(3)。それ故、黄斑変性患者は中心視が損なわれ、細かいものを見る力が低
下する。周辺視に変化は起こらない。
【0021】 加齢性黄斑変性の場合、処置方法の提案および研究がなされているが、臨床的
適用における有効性は低い。レーザー光凝固術が、滲出または出血血管を封止す
るのに有効である。しかしながら、それによって通例、低下した視力を回復する
ことはできず、更なる視力損失を遅延または防止できるに過ぎない。従来のレー
ザーによる滲出型黄斑変性処置は通例、限られた期間しか有効でない。なぜなら
異常血管が再び生じる傾向にあるからである。
【0022】 より新しい治験アプローチである光力学療法が、ウェット(新生血管)ARM
Dの処置にいくらかの有望な結果をもたらしている。光感受性色素を患者に全身
的に注射し、その色素はウェットARMDの異常組織(例えば異常血管)にのみ
取り込まれる。“低温”レーザーを眼に照射すると、異常血管の細胞壁に取り込
まれた色素が活性化されて酸化的化合物を形成し、これが新生血管組織中で凝血
を導く。このようにして液滲出が止められ、残留液が再吸収されて、視力が改善
される。しかし、4〜12週間で血塊が身体に吸収されてしまうので、この処置
を反復しなければならず、しかもレーザー処置は網膜に光損傷を与える恐れがあ
る。本発明のもう一つの態様は、このARMD療法の一部として用いられるレー
ザー光による損傷から網膜を保護するために、本発明化合物を投与し得るという
ことである。
【0023】 特殊な鉗子を眼に挿入し、新生血管膜を引き出すという侵入的な外科的方法も
開発されている。しかし、血管新生はしばしば再発する。
【0024】 網膜を養う細胞、網膜色素上皮細胞および光受容組織が、実験室内で増殖させ
たヒト胎児組織から採取され、移植されている。遺伝性網膜疾患を有するラット
を用いた研究では、ヒト胎児網膜色素上皮は眼に外科的導入されると正常に機能
し、視力を回復した。しかし、ヒトに移植する研究では、最初は効果があるもの
の、拒絶の故に3箇月以内に無効となっている。
【0025】 このように、神経細胞に対する1種またはそれ以上の有害作用による進行性損
傷を停止または遅延することのできる神経保護作用を有する薬剤の必要性が未だ
満足されていないことが明らかである。
【0026】 (発明の開示) 哺乳動物の眼および脊髄の神経細胞を有害作用から保護する新規方法を見出し
た。本発明の方法は、1種またはそれ以上のある種のアリール−イミノ−2−イ
ミダゾリン(本明細書中に記載)、その塩およびそれらの混合物の有効量を、全
身的、局所的、髄膜下、硬膜外に、または眼球内注射により哺乳動物に投与する
ことを含んで成る。
【0027】 前記症状のあるヒトの緑内障網膜を処置するために、本発明の活性化合物(ま
たはその混合物もしくは塩)を、本発明に従って、眼科学的に許容し得る担体と
混合して眼に投与する。適当な(例えば従来の)眼科学的に許容し得る担体のいず
れを使用してもよい。被投与眼に対して、長期的または永久的な悪影響を実質的
に及ぼさない担体は、眼科学的に許容し得る。眼科学的に許容し得る担体の例は
、水(蒸留水または脱イオン水)、塩水および他の水性媒体を包含する。本発明に
よると、活性化合物は好ましくは、溶液として眼に投与できるように、投与に用
いる担体に可溶である。しかし、活性化合物(またはその混合物もしくは塩)の、
適当な担体中の懸濁液を使用してもよい。
【0028】 本発明によると、活性化合物の有効量を眼にデリバーするように、眼科学的に
許容し得る担体中に充分な濃度で存在する活性化合物(またはその混合物もしく
は塩)を投与する。眼科用処置溶液は、1種またはそれ以上の活性化合物を、好
ましくは約0.0001〜10%(w/v)、より好ましくは約0.0005〜0.5
%(w/v)の濃度範囲で含有する。
【0029】 本発明に従って活性化合物を処置する眼に投与するために、哺乳動物の眼に直
接に薬物を投与するためのどのような方法を用いてもよい。「直接投与」とは、結
果として化合物が全身的に利用可能となる通常の全身的薬物投与方法(例えば患
者血管への直接注射、経口投与など)を除外することを意図する。活性化合物を
哺乳動物眼に直接投与することによる、哺乳動物に対する主な作用は、好ましく
は眼圧低下である。より好ましくは、有用な活性化合物を眼に局所適用するか、
または眼に直接注射する。化合物を眼科用溶液(点眼剤)として眼に局所適用し
た場合に、特に良好な結果が得られる。
【0030】 局所的な眼科用製剤、例えば点眼剤、ゲルまたはクリームの使用は、適用、お
よび用量デリバリーが容易で、全身的副作用(例えば、心臓血管血圧降下)が少な
い故に好ましい。眼科用局所製剤の例を表1に示す。略号q.s.は、所望の効果
または体積を達成するのに充分な量を意味する。
【表1】
【0031】 表1に記載の眼科用製剤中に、種々の保存剤を使用し得る。好ましい保存剤は
、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀
および硝酸フェニル水銀を包含するが、それらに限定されない。同様に、上記の
ような眼科用製剤中に、種々の好ましい賦形剤を使用し得る。そのような賦形剤
は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチル
セルロース、ポロキサマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセ
ルロース、および精製水を包含するが、それらに限定されない。
【0032】 浸透圧調節剤は、必要に応じて、または好都合に加え得る。浸透圧調節剤は、
塩(とりわけ、塩化ナトリウム、塩化カリウムなど)、マンニトールおよびグリセ
リン、または他の適当な眼科学的に許容し得る浸透圧調節剤を包含するが、それ
らに限定されない。
【0033】 眼科学的に許容し得る製剤が得られるのであれば、どのような緩衝剤およびp
H調節手段を用いてもよい。緩衝剤は、酢酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、リン酸緩
衝剤およびホウ酸緩衝剤を包含するが、それらに限定されない。製剤のpHを調
節するために、必要に応じて酸または塩基を使用し得る。
【0034】 同様に、眼科学的に許容し得る抗酸化剤は、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫
酸ナトリウム、アセチルシステイン、ブチル化ヒドロキシアニソールおよびブチ
ル化ヒドロキシトルエンを包含するが、それらに限定されない。
【0035】 眼科用溶液(点眼剤)は、硝子体内に神経保護をもたらす所望の濃度を得るの
に必要な頻度で哺乳動物眼に投与し得る。前記のようなARMDのレーザー処置
における光保護のような鋭敏な神経保護効果を達成するためには、処置に先立っ
て保護剤を投与してレーザー処置中に最適な保護を提供することが有利であり得
る。網膜神経節細胞を、例えば緑内障または「ウェット」ARMDの神経障害作
用による損傷から保護する場合のように長期的な処置を行うためには、所望の硝
子体内濃度または濃度範囲を常に維持するのに必要な頻度で薬物を投与し得る。
換言すれば、αアドレナリン作動剤を活性成分として含有する眼科用溶液(ま
たは他の製剤)を、眼において活性成分の有益な神経保護作用を維持するのに必
要な頻度で哺乳動物眼に投与する。当業者は理解するであろうが、投与頻度は活
性成分の性質および眼科用製剤中のその濃度によって変化する。このような記載
において、本発明の眼科用製剤を哺乳動物眼に、およそ1日1回または2回投与
し得ると考えられる。
【0036】 本発明の化合物を使用するARMD処置は、血管新生の処置を対象とする前記
処置法とは異なる処置アプローチを取る。α−アドレナリン作動剤による処置は
、変性過程の有害作用によって起こる損傷、または処置に使用するレーザー光に
よる損傷から、黄斑の網膜細胞を保護する。そのような有害作用は、光反応性色
素を使用するかまたは使用しないレーザー処置によるレーザー光損傷、およびド
ライ型ARMDに伴う萎縮を包含するが、それらに限定されない。すなわち、本
発明のα−アドレナリン作動剤は、単独で、または前記療法のいずれかと組み
合わせて投与し得る。
【0037】 本発明の新規方法は、予防的処置として、すなわち神経に損傷が起こる前に、
または病態(例えば緑内障、網膜色素変性またはARMD)の長期進行が起こる
前に投与を行う場合に、特に有効である。本発明化合物が神経保護において果た
す役割に関して特定の理論で制限することを意図するわけではないが、出願人は
、本発明の化合物および方法がα刺激によってbFGF(神経細胞生存因子)
発現の上方調節を起こし、この体内放出が、有害作用から細胞が受けるアポトー
シス(プログラムされた細胞死)シグナルにもかかわらず、細胞に生存するよう
シグナルを与えることによって神経保護を提供し得ると仮定する。α作動に応
答してbFGFの体内濃度が上昇すると、細胞生存と細胞死とのシグナルバラン
スが、細胞生存促進の方向にシフトし得る。更に、bcl−2ファミリーのある
種の因子も産生されることがわかった(これはその産生をコードするmRNAの
発現が向上することにより測定される)。そのような因子bcl−2およびbc
l−xもアポトーシスプログラムを抑制する。このような因子は、神経細胞に
対する有害作用の結果産生され得るbcl−2アポトーシス因子(例えばbad
およびbax)の存在または誘導を打ち消し得る。
【0038】 すなわち、細胞生存シグナルを神経に与える本発明化合物は、細胞死を抑制す
る化合物と組み合わせて有利に使用し得ると更に考えられる。そのような細胞死
抑制化合物は、NMDA拮抗剤、特にメマンチン(memantine)(過剰グルタメ
ートの興奮毒性作用をブロックする);一酸化窒素シンセターゼ阻害剤;フリー
ラジカルスカベンジャーおよびカルシウムチャンネルブロッカーを包含する。
【0039】 神経圧搾モデル、及び神経損傷と神経回復の評価におけるその有意性に関する
議論と参考書目については、「視神経損傷後の機能的回復と形態学的変化(Func
tional Recovery and Morphological Changes after Injury to the Optic Nerv
e)」[Sabel, B.A.及びAschoff, A., Neuropsychobiology, 28, 62〜65頁(199
3)]を参照のこと。
【0040】 哺乳動物の視神経の損傷は、哺乳動物の中枢神経系(CNS)の他の部分の場合
と同様に、軸索変性とそれに続く細胞体の喪失をもたらし、生き残ったニューロ
ンからの軸索再生の不全を伴う。損傷を受けた神経の変性は、最初は直接的なニ
ューロン損傷に帰することができるだろう。しかし、直接損傷を受けた軸索だけ
でなく一次的な損傷を免れた軸索でも起こるその後の進行性変性の原因は、損傷
直後の神経で起こる付随する生理学的生化学的事象にあり、それら二次的作用が
主として長期の機能的な結果を決定すると考えられる。
【0041】 損傷直後に誘発される応答は、その後の変性応答に強い影響を及ぼす。したが
って、この即時応答を減少又は緩和する処置は、二次的な変性過程を最適に防止
又は遅延させると考えられる。即時応答をモニターするには、非観血的な技術を
使用することが明らかに好ましい。ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NA
DH)モニタリング技術を最も初期の外傷後事象を測定できるように適合させるこ
とは、有効な非観血的方法であることがわかっている。この技術を使用すれば、
成体ラットの視神経にインビボで加えられる十分制御された圧搾損傷の前後に、
損傷の即時効果をリアルタイムかつオンラインで評価することができる。この実
験法では、損傷を受けた視神経の代謝活性の測定値が、損傷を受けた軸索とそれ
らに付随する非ニューロン細胞の活性を表わすので、これにより、有害なストレ
スに対処する潜在能力が評価される。またこのモデルは、そのようなストレスに
よる神経細胞の損傷又は死を克服又は緩和しうる種々の薬剤の活性をモニターす
る際にも有効である。
【0042】 虚血性事象を完全に除外できる条件下において、最初期の損傷誘発性応答は、
神経のエネルギー状態の減少である。エネルギー状態の減少は、1)遊離脂肪酸
レベルの損傷後上昇(これはミトコンドリアの機能を妨害し、電子輸送の脱共役
を誘発しうる)と、2)細胞内遊離Ca2+の著しい上昇に関係づけることができ
る。一般に軸索損傷後は、電位感受性チャネル(L、T又はN型)又はレセプター
作動性Ca2+チャネルによるCa2+の取り込みを刺激する細胞外カリウムイオン
の増大が起こることが知られている。細胞内遊離Ca2+の著しい上昇は、細胞の
生存に不利な過程(Ca2+依存性酵素(主としてリパーゼ、プロテアーゼ及びエ
ンドヌクレアーゼ)が関与する過程を含む)を加速し、それがミトコンドリアの
損傷を引き起こし、ついには細胞死をもたらす。これらの事象を克服するため、
細胞は、イオン恒常性を活発に修復するためにより多くのエネルギーを必要とす
る。損傷部位のエネルギー需要の増大とミトコンドリア機能不全がもたらすエネ
ルギー維持の減少との組み合わせが、損傷後に起こる不可逆的神経損傷と神経変
性の主な理由であろう。したがって、代謝活性の初期測定により、その軸索、そ
れに付随するグリア細胞及び非ニューロン細胞体の運命を示すことができるだろ
う。上述の議論からすると、損傷後の神経で起こる変性過程を防止するには、ミ
トコンドリア活性の復旧が極めて重要でありうるということになる。
【0043】 神経圧搾モデルの神経に加えられる損傷は十分に制御され較正された再現性の
ある損傷であるから、初期外傷後代謝欠損と、長期の形態学的生理学的効果を持
つ薬物その他の処置によって起こりうるそれらの軽減とを相関させることができ
る。
【0044】 添付の図と考察から、グルタメートが誘発する毒性と神経圧搾モデルにおける
物理的傷害の両方に対し、神経保護が神経細胞に付与されることは明らかである
【0045】 神経細胞に対する傷害の前又は後の期間(ただし細胞死の前)に、式Iの薬物
を哺乳動物の脊髄ニューロン又は網膜および視神経に投与することにより、眼の
神経細胞に対して神経保護が付与されることをここに発見した。
【化4】 [式中、2-イミダゾリン-2-イルアミノ基はキノキサリン環骨格の5位又は6位の
いずれにあってもよい。x、y及びzは残りの5位、6位、7位又は8位のいずれにあ
ってもよく、水素、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、又はトリフルオ
ロメチルから選択することができる。Rはキノキサリン環骨格の2位又は3位の任
意の置換基を表わし、水素、低級アルキル又は低級アルコキシでありうる。]
【0046】定義 AGN191103と呼ばれる化合物は次式の化学構造を持つ。これは6-メチル-(2-イ
ミダゾリン-2-イルアミノ)キノキサリンという化学名でも知られている。
【化5】
【0047】 MK-801と呼ばれる神経保護剤はジゾシルパイン(dizocilpine)という名前で
も知られており、次の化学構造を持つ。
【化6】 この物質はMerck Index(第11版)のモノグラフ番号3392にも記述されている。
【0048】 有害作用または有害刺激とは、神経細胞に有害または破壊的な事象であると定
義される。これは哺乳動物に対する外的な事象に限定されず、病態および生理学
的事象(例えば卒中または心臓発作)であって、一連の事象によって神経細胞に
有害または破壊的なものを包含する。有害作用の例は、圧迫性もしくは機械的作
用または外傷もしくはストレス因子を包含し、これは例えばグルタメート神経毒
性、神経への血流障害(虚血)、および網膜または視神経に関しては網膜色素変
性および加齢性黄斑変性および緑内障であるが、それらに限定されない。
【0049】ヒト用量と投与 本発明の方法は、ヒトを含む任意の哺乳動物の処置に有効である。 本発明では、視神経及び網膜に対する有害な刺激がその神経細胞を死滅させな
い又は永続的な損傷を加えない期間又は時点に、哺乳動物を医薬的に有効な量の
神経保護剤で処置する。保護剤は経口投与または眼に局所投与してもよいし、下
記の又は当技術分野で知られる他の任意の適当なデリバリー手段で投与してもよ
い。
【0050】 本発明によれば、神経損傷を処置するため又は神経細胞死を予防するために、
医薬有効量の保護剤を単独で投与することができる。別法として、保護剤を抗緑
内障剤(例えばβ遮断剤、α作用薬、ピロカルピンなどのムスカリン剤、炭酸
脱水酵素阻害剤(CAI)その他の正常な眼圧(IOP)の維持又は上昇したIOPの低
下に有効な薬物)と連続して、又は同時に投与してもよい。保護剤の最も有効な
投与法及び用量管理法は、処置しようとする疾患のタイプ、その疾患の重篤度と
経過、過去の治療、その患者の健康状態とその薬剤に対する反応、及び治療医の
判断に依存する。一般に、神経保護剤は、血清又は硝子体内濃度を0.01nM〜50nM
とする用量で投与すべきである。神経が損傷を受ける前に保護剤を投与すること
が好ましい。ただし、効果は減少するものの、損傷が起こってから投与すること
もできる。
【0051】 例えばMK-801などの保護剤の従来の投与法と標準的な用量管理法を使用するこ
とができる。IOP低下剤などの薬物と神経保護剤の併用に関する最適な用量は、
当技術分野で知られる方法を用いて決定することができる。神経保護剤の投与量
は、その保護剤と併用する薬物の用量及びその処置法に対するその患者の反応に
基づいて、個々の患者について調節することができる。保護剤は一度に患者に投
与してもよいし、一連の処置として患者に投与してもよい。
【0052】 薬剤は、局所的に(例えば眼神経保護のために眼球内注射によって硝子体内に
、又は脊髄保護のために髄膜内もしくは硬膜外に)投与することができる。本発
明の多くの薬剤は、全身的投与、例えば経口投与、もしくは静脈内投与、又は筋
肉内注射することができる。更に、網膜および視神経保護用の薬剤であって、角
膜を透過し得、充分な硝子体液内濃度を達成できるもの(例えばAGN1911
03およびブリモニジン)は、眼に局所投与することもできる。
【0053】 また、これらの治療で使用される組成物は種々の形態をとりうる。例えば固体
、半固体又は液体剤形(錠剤、丸剤、散剤、防腐または非防腐溶液剤又は懸濁剤
、リポソーム、坐剤、注射及び注入溶液など)が挙げられる。これらの組成物が
、当業者に知られる従来の医薬的に許容できる担体を含むことも好ましい。
【0054】 以下の非限定的実施例に、1)グルタメート誘発毒性からの神経細胞保護の評
価、及び2)物理的損傷の神経圧搾モデルにおいて神経保護剤によって付与され
る神経保護の評価方法、に使用されるアッセイと測定法について説明する。
【0055】実施例1 : 神経細胞に対してグルタメートが誘発する興奮毒性作用のモデルにおける神経保
護を評価するための実験手法 低密度ラット海馬ニューロン培養物をGoslin及びBankerの手法によって調製し
た。陶製ラック内でカバーグラスを互いに付き合わないように浄化および滅菌し
た(コーエンカバーグラス染色ラック;Thomas Scientific)。カバーグラス(1
3mm)を染色ラックに入れ、蒸留水ですすぐ(各1分間を4回)ことによってほこ
りを除去し、濃硝酸内に36時間入れた。カバーグラスを蒸留水(3時間にわたっ
て4回交換)ですすぎ、乾熱滅菌した(225℃で終夜)。そのカバーグラスを24ウ
ェル培養皿の各ウェルに一枚ずつ移した。同時培養中カバーグラスをグリア上に
支持するために、培養皿上にパラフィン滴を置き、カバーグラスを導入する前に
UV照射を行なった(30分間)。1mg/mLのポリ-L-リジン臭化水素酸塩(PLL)(Sigma
;分子量30,000〜70,000)をホウ酸緩衝液(0.1M、pH8.5)に溶解し、濾過し、
滅菌したものを用いて、各カバーグラスを終夜おおった。PLLを除去し、カバー
グラスを蒸留水ですすぎ(各2時間を2回)、培地[追加グルコース(600mg/L)
と10%ウマ血清を含有するイーグル塩入りイーグルMEM]を加え、その培養皿を培
養器中に保存した。
【0056】 Levinson及びMcCarthyが記述した方法と同様の方法(ただし、培養物が主とし
て1型大グリア細胞を含有するように低密度でプレーティング)で、新生児ラッ
トの脳から大グリア細胞培養物を調製した。各ウェルに10細胞を接種した。グ
リア培養物に培地を週に2回補給し、接種の約2週間後、コンフルエントになった
後に使用した。使用の前日に、培地を除去し、ニューロン維持培地(N2補足物を
含むMEM)を加え、培養を続けた。3×104個の生きたラット海馬神経(E18胚)を
、培地中に保ったPLL処理カバーグラスに接種した。3〜4時間後、ほとんどのニ
ューロンが付着した時、そのカバーグラスを維持培地中のグリア細胞を含む培養
皿に、そのニューロン側がニューロンの生存と発生を補助するグリア細胞と向き
合うように移した。グリア細胞増殖を減少させるため、接種の2日後に、シトシ
ンアラビノシド(1-b-D-アラビノフラノシルシトシン)(Calbiochem)(最終濃度
5×10M)を培養物に加えた。培養第6日に、細胞を1mMグルタメート、もしくはグ
ルタメートとAGN-191103 - 0.1nM(分子量=200)又はMK-801 - 10nMで処理した
(各処理につき2〜3枚のカバーグラスを使用した)。
【0057】 24時間培養した後、細胞をトリパンブルーで染色した。無作為に選択した培養
視野(各カバーグラスにつき5視野)から、生きているニューロンと死んだニュ
ーロンを数えた。死滅細胞の割合を計算した。
【0058】実施例2神経圧搾損傷法と損傷後の複合活動電位(CAP)の測定 パートA 代謝測定 動物の利用は、動物の研究利用に関するARVO決議(ARVO Resolution on the u
se of animals in research)に従った。体重300〜400gの雄スプレーグ・ドーリ
ー(SPD)ラットをペントバルビトンナトリウム(腹腔内投与、35mg/kg)で麻酔
した。必要時の人工換気のために気管にカニューレを挿入した。その動物の頭を
頭部固定具で適当に固定し、双眼手術顕微鏡下に外眼角切開を行ない、結膜を角
膜へ向かって外側に切開した。眼球後退筋を分離した後、視神経を同定し、鈍的
離断により眼球近くで3 0 3.5mmの長さを暴露した。硬膜を傷つけず、神経を損
傷しないように注意した。ライトガイドホルダー(下記参照)の第1部分を視神
経の下に挿入し、神経をライトガイド管内に緩やかに納めた。次に、ライトガイ
ドが視神経の表面上で損傷を加えようとする部位から1mmの位置にくるように、
第2部分を固定した。
【0059】 表面蛍光−反射率測定 ミトコンドリア内NADH酸化還元状態のモニターは、ピーク強度が450nmにある
青色光の放出をもたらす366nmにおけるNADHの蛍光(これに対しその酸化型NAD+
はこの蛍光を欠く)に基づいて行なった。366nm励起光の供給源は、強力な366nm
フィルター(Corning 5860(7-37)+9782(4-96))を装着した100W空冷水銀ラ
ンプである。可撓性Y字型光ファイバー束(ライトガイド)を用いて視神経との
光の送受信を行なうことにより、インビボ測定を技術的に可能にした。励起光は
励起ファイバー束を通して神経に転送される。神経から放出された光は、第2の
ファイバー束を通して転送された後、1チャネル直流蛍光−反射計に接続した2つ
の光電子増倍管によって450nmの蛍光光(90%)と366nmの反射光(10%)を測定す
るために、90:10の比率に分割される。動物間の変動を最小限に抑えるため、記
録の開始時に標準シグナル較正操作を行なった。実験中の蛍光及び反射シグナル
の変化を、較正したシグナルから計算する。このタイプの較正は、絶対的ではな
いものの、それでも種々の動物と異なる研究室間で信頼性と再現性のある結果を
与えることがわかっている。
【0060】 反射光の変化は、動脈血圧と神経容量の変化から派生する血流動態的効果と視
神経の動きがもたらす組識吸収の変化に相関した。蛍光測定値は、蛍光から反射
光(366nm)を差引いて(1:1比)補正された蛍光シグナルを得ることにより、NA
DH酸化還元状態評価用に充分補正されることがわかった。
【0061】代謝測定 まだ麻酔されている動物を上述の手術から30分間で回復させた後、無酸素状態
と酸素過剰状態にさらした。ラットに100%窒素を2分間呼吸させることによって
無酸素状態にした後、空気に戻した。動物が正常な呼吸を自発的に取り戻さない
場合は、気道に2回吹き込むことにより換気した。酸素過剰状態は、動物に100%
酸素を6〜10分間呼吸させることによって誘導した。視神経の代謝活性を評価す
るために、無酸素状態と酸素過剰状態に反応して起こる反射光強度と蛍光強度の
相対変化を、圧搾損傷の前後に測定した。
【0062】代謝測定の実験法 較正したクロスアクション(cross-action)鉗子を用いて、眼とライトガイド
ホルダーの間にある神経に、120gに相当する圧力で30秒間、十分に較正した適度
の圧搾損傷を加えた。
【0063】パートB 生理学的測定 複合活動電位(CAP)を記録するための実験設定:電気生理学的測定のために
視神経を除去する前に、ラットを70mg/kgのペントバルビトンで深く麻酔した。
頭蓋から皮膚を除去し、視神経を眼球からはずした。ほぼ完全に断頭し、骨鉗子
で頭蓋骨を開いた。大脳を外側にずらし、視神経の頭蓋内部分を露出させた。視
交叉のレベルで切開することにより、神経の全長を摘出できるようにし、それを
、NaCl(125mM)、KCl(5mM)、KHPO(1.2mM)、NaHCO(26mM)、MgSO(0.6
mM)、CaCl(24mM)、D-グルコース(11mM)からなる新鮮な冷クレブズ溶液(95
%O及び5%COに曝気したもの)の入ったバイアルに移した。神経を維持したこ
の溶液内では、電気的活性が少なくとも3〜4時間は安定なままだった。回収の1
時間後に、神経を37℃のクレブズ溶液に浸した。圧搾の両側で測定するには神経
が小さ過ぎたので、電気生理学的記録は圧搾損傷に対して遠位の神経から得た。
次に、それらの神経端を、浸漬溶液に浸した2つの吸引(suction)Ag-AgCl電極
に接続した。近位端の電極を通して刺激パルスをかけ、活動電位を遠位電極によ
って記録した。Grass SD9刺激器(2V、50μs)を電気刺激に使用した。シグナル
をMedelec PA63前置増幅器に転送し、そこからMedelec MS7筋電計とAA7T増幅器
に転送した。溶液、刺激器及び増幅器は共通する接地を持った。8つの平均CAPの
最大振幅を記録し、ポラロイド(登録商標)カメラで写真撮影した。左神経(非 損傷)を用いて、正常な神経の対照値を測定し、圧搾鉗子を較正した。
【0064】視覚誘発電位(VEP)応答の記録 損傷を受けた薬物処置ラットを損傷後2週間調べることにより、それらの機能
の回復を評価した。この実験群では、光刺激に反応して起こる電場電位のパター
ンを一次視覚皮質から記録した。光によって誘発される電位は、網膜に端を発し
、生き残った軸索に沿って伝搬されて、その最終標的である視覚皮質に至る。一
次的変性過程と二次的変性過程を生き残った軸索のみが、活動電位を伝導するこ
とができる。処置動物及び非処置動物の電場電位のパターンを比較分析すること
により、軸索生存に対するその処置の効果が明らかになるだろう。
【0065】 麻酔したラット(Rumpon, Ketalar)を小動物定位装置に入れた。頭蓋骨を暴
露した後、皮質の損傷を最小限に抑えるため硬膜を傷つけずに、円筒状ドリルビ
ットで2つの穴を開けた。鼻骨の上に開けた1つの穴を対照点として使用した。第
2の穴はブレグマ#8mm、側部(lateral)#3mmの座標を持つOC1領域に開けた。
ネジに取り付けた金接触ピンを電極として使用し、それを穴の中にねじ込み、ア
クリル接着剤で頭蓋骨に接着した。毎分平均90スイープのストロボ刺激によって
電場電位を誘発した。そのフラッシュ誘発電位をLab Viewデータ捕捉処理システ
ムを用いて分析した。電場電位をデジタル化し、オフライン分析のために保存し
た。
【0066】パートC 神経保護特性に関する薬物試験の効果の測定 最初の実験群では代謝測定を行なった。各薬物を7種類の濃度で腹腔内注射し
た。各薬物を動物8匹の群と8匹の対照(緩衝液賦形剤で処理した損傷動物)で試
験した。いずれの場合も、損傷の前、損傷の0.5時間後、及びその後4〜6時間の
毎時間に、代謝測定値をオンラインで得た。得られたデータをANOVAで分析した
【0067】長期効果の測定、生理学的活性 CAP 損傷直後に、試験しようとする薬物を10匹の動物に注射し、10匹の対照動物に
賦形剤を注射した。2週間後、各神経のCAPを吸引電極を用いてインビトロで記録
した。反対側を内部対照として使用した。その結果は、試験した薬物が、生き残
った軸索の救出及び/又は変性の減速に対して何らかの潜在効果を持つかどうか
を示した。肯定的な結果を示した有望な薬物については、それぞれの至適用量を
決定した。
【0068】VEP応答 年齢と性別が合致した2つの群で、無処置のSPDラットの皮質に電極を埋め込ん
だ。移植の直後に左眼を覆っておいて、右眼に光をフラッシュしながら、左側か
らのVEP応答を記録した。次に、十分に制御された圧搾損傷を視神経に負わせ、
予め決定しておいた至適用量の薬物を直ちに投与した。対照動物は、薬物ではな
く賦形剤を投与する点以外は同様に扱った。手術の1日、1週間、2週間及び4週間
後に、各動物についてVEP応答を記録した。
【0069】 同様に、脊髄虚血モデルにおいて神経細胞損傷が起こることがわかり、誘導し
た脊髄低体温が神経保護作用を有することが示唆されている。Marsala,M.、
Gulik,J.、Ishikawa,T.およびYaksh,T.L.、Journal of Neurosci
ence Methods 74、第97〜106頁(1997)。虚血による神経細胞死
のメカニズムは、神経、例えば視神経および網膜において本発明化合物の投与に
より有効に処置されることのわかっている細胞死と同様のメカニズムによるもの
と考えられる。Marsala、Galikらの研究(前掲書)において、低酸素神経脱分
極およびグルタメート毒性が挙げられている。
【0070】 最近の研究により、アドレナリンα2A受容体が、ヒト脊髄に存在する主要な
αサブタイプであることがわかった。α2A作動剤が、脊髄のα2A受容体に
結合し、それを活性化することによって、痛覚脱失または鎮静に有用であり得る
ことが予め示唆されていた。例えばLawhead,R.G.、Blaxall,H.S.および
Bylund、D.B.、Anesthesiology、77(5)983−91(1992)を参
照されたい。そのような作動剤が、脊髄細胞に神経保護をもたらし得ることが新
たにわかった。本発明化合物の有効量を、脊髄神経保護のために、「用量と投与
」の項で述べたように、髄膜下、硬膜外または全身的(例えば経口または注射に
よる)に投与し得る。そのような脊髄への投与は、虚血および外傷のような有害
作用から脊髄神経細胞を保護し得る。
【0071】 脊髄虚血の動物モデル;そのような虚血の誘導方法、髄膜下透析を用いる虚血
時および虚血後に放出された体内化合物の量の測定方法、並びに虚血後の神経組
織および行動神経学的機能の組織学的研究が、下記論文に記載されている;Mar
sala,M.、Malmberg,A.B.、およびYaksh、T.L.、J.Neuroscience M
ethods、62、第43〜53頁(1995);Taira,Y.、Marsala,M.、S
troke、27(10)、第1850〜58頁(1996);Marsala、M.、Van
icky,I.、Yaksh、T.L.、Stroke、25(10)、第2038〜46頁(1
994)。
【0072】 そのような引用を組み合わせて、本発明化合物の有効性を試験する実験を行う
。化合物を試験動物(例えば、ラット)に投与し、その後、脊髄虚血、次いで再
潅流を誘導するか、または較正した神経圧搾損傷を起こす。髄膜下透析によって
、グルタメートおよび他の体内化合物の放出を測定する。更に、異痛の誘導およ
び運動能力の低下のような神経学的行動変化を試験して、神経保護化合物で処置
していない対照動物群と比較して本発明化合物が脊髄神経保護に有用であること
を示す。 様々な具体例と態様に関して本発明を説明したが、本発明はこれらに限定され
るわけではなく、特許請求の範囲の解釈によってのみ解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、グルタメートによる処置で死滅した細胞の割合をグルタ
メート処置後の日数毎に表わした棒グラフである。そのような処置をしなくても
起こる細胞死を測定するために、グルタメートで処置しなかった対照も含めてあ
る。また、AGN191103とグルタメートの両方による処置後と、MK-801とグルタメ
ートによる処置後に測定した値も示す。MK-801はNMDA拮抗剤として作用する
、当技術分野でよく知られる神経保護剤である。NMDA受容体は神経伝達物質
のなかでグルタメートを結合する。グルタメート;AGN191103+グルタメート;
及びMK-801+グルタメートに関する棒の真下に示す数字は、各群に使用したグル
タメートと薬物の濃度である。第8日では、AGN191103とMK-801が、グルタメート
誘発性神経毒性からの細胞保護に関して同程度の効果を示す。この図のデータを
得る際に使用した実験法については実施例1で詳述する。
【図2】 図2は、視神経繊維に関して測定した複合活動電位(CAP)のグラ
フである。左側の枠内は、AGN191103で処置した視神経(上側の線)と、対照と
して使用した非処置神経(下側の線)に関して損傷(すなわち神経圧搾(nerve
crush))の2週間後に測定したもので、右側の枠内は非損傷視神経の対照CAPで
ある。このグラフの縮尺を各枠内に記載する。損傷後横座標の目盛りは、非損傷
グラフの目盛りの25倍である(単位:ミリボルトとミリ秒)。複合活動電位の値
は、各曲線下の面積の積分値として計算される。曲線の不規則性は複合応答の分
散の特徴である。ある神経細胞は他の神経細胞より伝導が速いので、測定される
電圧の振幅が時間とともに変化する。
【図3】 図3は、ラットの視神経圧搾によって損傷し、1)賦形剤のみ、2
)クロニジン、及び3)AGN191103で処置した細胞に関する最大CAP振幅を、マイ
クロボルト(μV)で示した棒グラフである。各薬剤を4種類の濃度(試験対象の
体重の倍数として投与)で試験した。それらをグラフ上の棒に表わす。その薬理
が極めて詳しくわかっている基準α作用薬化合物としてクロニジンを選択し、
それを被験化合物AGN191103と比較した。クロニジンは賦形剤のみの場合と比べ
ていくらか神経保護活性を示したが、それはAGN191013の最大CAP応答の約半分で
あった。
【図4】 図4は、視覚誘発電位応答のグラフであり、視覚(光)刺激の結
果として視覚皮質の表面に誘発される電位活性(脳波と同等)を示している。こ
の試験は生体ラットで行われ、網膜から視神経を通って外側膝状体核に入り、最
終的に脳の後ろ側にある視覚皮質に至る全視覚系の完全性を測定するものである
。左側の枠は神経圧搾損傷を伴わない場合の応答を示し、右側の枠は、神経圧搾
に先立ってAGN191103で処置したラット(上側;ポジティブと記したもの)と対
照ラット(下側;ネガティブと記したもの)に関して損傷の2週間後に測定した
応答を示す。両グラフの尺度をμV対ミリ秒の単位で縦軸の下に示す。
【図5】 図5は神経保護におけるブリモニジンの局所作用を測定した試験の
結果を示す棒グラフである。ラットの急性網膜虚血モデルを、有害作用の提供に
使用した。虚血傷害の1時間前にブリモニジンを局所的に適用した(一方の眼に
10μl、他方の眼には塩類液10μl)。傷害の1週間後にERG(網膜電位図
)を記録した。棒グラフには、ERGシグナルの回復率を用量に相関して示す。
この結果は、ブリモニジンが用量依存的に局所的神経保護を提供することを示し
ている。
【図6】 図6は、前房および後房を示す眼の外皮切断面図である。前房は房
水で満たされ、眼の水晶体周囲で後房と隔てられる。後房は、眼の形状を維持す
る粘性透明液体である硝子体液(6)で満たされている。眼の後方には、網膜(
4)、視神経乳頭(3)および視神経(5)がある。網膜の下には、網膜色素上
皮および脈絡膜(2)があり、これは網膜神経細胞の維持および支持に関与して
いる。更に、網膜の図には、網膜を構成する神経細胞と関連ヘルパー細胞の層を
示す。水晶体から入った光に接する第一の細胞層は網膜神経節細胞(7)で、脈
絡膜側の網膜基底部の光受容細胞(8)に至り、これは杆体(9)と錐体(10
)から成る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ロナルド・ケイ・レイ アメリカ合衆国92614カリフォルニア州ア ーヴィン、アルマドー70番 Fターム(参考) 4C086 AA01 AA02 BC52 GA07 MA01 MA04 NA14 ZA33

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 哺乳動物の視神経および網膜を保護する方法であって、該神
    経細胞に対する有害作用を受けているかまたは受ける恐れのある哺乳動物に、神
    経細胞の損傷または死滅を抑制または防止するのに有効な量の式: 【化1】 [式中、2-イミダゾリン-2-イルアミノ基はキノキサリン環骨格の5位又は6位の
    いずれにあってもよい。x、y及びzは残りの5位、6位、7位又は8位のいずれにあ
    ってもよく、水素、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、又はトリフルオ
    ロメチルから選択することができる。Rはキノキサリン環骨格の2位又は3位の任
    意の置換基を表わし、水素、低級アルキル又は低級アルコキシでありうる。] で示される化合物または薬学的に許容し得るその塩およびそれらの混合物を投与
    することを含んで成る方法。
  2. 【請求項2】 有害作用は緑内障性視神経障害である請求項1に記載の方法
  3. 【請求項3】 有害作用はドライARMDに関連する萎縮である請求項1に
    記載の方法。
  4. 【請求項4】 有害作用は、ウェットARMDの処置において眼に照射され
    るレーザー光である請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 有害作用は緑内障に続発する虚血である請求項1に記載の方
    法。
  6. 【請求項6】 有害作用は網膜色素変性に関連する光受容細胞損傷である請
    求項1に記載の方法。
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