JP2002532079A - 補体活性化に関連するレクチン補体経路を調節するための方法および産物 - Google Patents

補体活性化に関連するレクチン補体経路を調節するための方法および産物

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、補体活性化に関連するレクチン補体経路を調節するための方法および産物に関する。この方法は、補体活性化に関連するレクチン補体経路を阻害するためのインビトロの方法およびインビボの方法の両方を含む。この方法は、補体活性化に関連するレクチン補体経路を阻害するために、MBLリガンドが露出した表面を有する哺乳動物細胞を、有効量のマンナン結合レクチンインヒビターに接触させることにより達成される。本発明の産物は、マンナン結合レクチンインヒビターの組成物を含む。マンナン結合レクチンインヒビターは、ヒトマンナン結合レクチンエピトープに選択的に結合する単離されたマンナン結合レクチン結合ペプチドであり、そして補体活性化に関連するレクチン補体経路を阻害する。この産物はまた、ハイブリドーマ細胞株および薬学的組成物を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (関連出願) 本願は、米国特許法第119条のもとで、米国仮特許出願番号60/112,
390(1998年12月15日出願。この全ての内容を本明細書で参考として
援用する)に対する優先権を主張する。
【0002】 (政府の援助) 本発明は、アメリカ国立衛生研究所からの助成金(HL56086、HL52
886、およびGM07592)により、一部援助された。アメリカ合衆国政府
は、本発明において一定の権利を保持し得る。
【0003】 (発明の分野) 本発明は、補体の活性化に関連するレクチン補体経路(LCP)を調節するた
めの方法および生成物に関連する。特に、本発明は、マンノース結合レクチン(
MBL)インヒビターを有するマンノース結合レクチン(MBL)リガンドを有
する哺乳動物細胞と接触させることにより、補体の活性化に関連するLCPを阻
害するための方法に関連する。本発明はまた、MBL結合ペプチドのようなMB
Lインヒビターである生成物に関連する。
【0004】 (発明の背景) 免疫系は、病原性の細菌、ウイルスおよび寄生生物に対して身体を防御するた
めに機能する。通常、外来の病原体に対する免疫は、補体系を含む。補体系は、
免疫系の他の細胞を補充および活性化し、標的細胞の細胞溶解をもたらし、そし
て外来の病原体のオプソニン化を誘導するように機能する18の連続的に活性化
される血清タンパク質のカスケードである。補体は、古典的な補体経路における
ような抗体/抗原複合体、または代替の補体経路におけるような微生物表面のい
ずれかの存在によって、活性化され得る。補体活性化はまた、レクチン補体経路
(LCP)を介して起こり得る。レクチンは、細胞表面に存在するオリゴ糖構造
、細胞外マトリックスおよび分泌糖タンパク質を認識する炭水化物結合タンパク
質である。図1に示すように、これらの異なる活性化経路は、血清タンパク質C
3のC3bおよびC3aへの切断の共通の酵素的な段階において、最終的に収束
する。次々に、これはC5のC5bおよびC5aへの切断、および続く標的細胞
膜上へのC5b〜C9の沈着を含む補体機能の最終段階を開始する。
【0005】 LCPは、マンナン(または、マンノース)結合レクチン(MBL)の細菌、
酵母、寄生性原生動物、およびウイルスの細胞表面炭水化物への結合により開始
する、抗体非依存性のカスケードである(Turner MW,「Mannos
e−binding lectin:The pluripotent mol
ecule of the innate immune system」,I
mmunol.Today,1996;17:532−540)。MBL(約6
00kDa)は、コレクチンタンパク質ファミリーのメンバーであり、そして古
典的な補体C1小成分であるC1qに構造的に関連する。MBLに会合するのは
、2つのセリンプロテアーゼである、MASP−1およびMASP−2(マンノ
ース結合レクチン会合セリンプロテアーゼ)であり、それらは古典的な補体経路
の二つのC1q会合セリンプロテアーゼである、C1rおよびC1sに対して著
しい相同性を示す(Thiel Sら、「A second serine p
rotease associated with mannan−bindi
ng lectin that activates complement」
,Nature 1997;386:506−510)。MBL糖結合の選択性
は、以下である:N−アセチル−D−グルコサミン(GluNAc)>マンノー
ス>N−アセチルマンノサミン、およびフコース>マルトース>グルコース>>
ガラクトース、およびN−アセチルガラクトサミン(Thiel Sら、「A
Second serine protease associated wi
th mannan−binding lectin that activa
tes complement」,Nature 1997;386:506−
510;Turner MW、「Mannose−binding lecti
n:The pluripotent molecule of the in
nate immune system」、Immunol.Today,19
96;17:532−540)。細胞表面炭水化物へのMBL/MASP複合体
の結合はLCPを活性化し、これは独立してC1q、C1r、C1sまたは抗体
(図1)の古典的な補体経路を次々に活性化する。全てでないとしても、MBL
が結合する炭水化物部分のほとんどは、通常、かき乱されない(unpertu
rbed)ヒト組織により発現されない。
【0006】 (発明の要旨) 本発明は、補体の活性化に関連するレクチン補体経路(LCP)を調節するた
めの方法および生成物に関連する。本発明に先立って、LCPに関連する補体の
活性化は、侵入する微生物を認識および破壊するために身体により使用される機
構であることは公知であった。通常、LCP活性化は、マンナン結合レクチン(
MBL)、ならびにその会合した2つのセリンプロテアーゼである、MASP−
1およびMASP−2の微生物の表面の炭水化物への結合を通じて起こる。一旦
、MBL、ならびにMASP−1およびMASP−2が微生物の表面に局在化す
ると、補体はアセンブルし始め、最終的には微生物を殺傷する。これらの先行技
術の教示は、感染性微生物の根絶の過程において、MBLが重要な細胞性成分で
あることを実証する。実際に、MBL欠損は、医学的障害を生じ得る。小児がM
BLを欠損するMBL欠損症として公知の疾患は、小児に感染性疾患の発症の傾
向を与える。
【0007】 本発明は、MBLが哺乳動物の内皮細胞表面上の特定の炭水化物またはペプチ
ドを認識し、LCPの活性化を通じて補体沈着を引き起こすという驚くべき発見
に基づく。Ecekowitzに発行された米国特許第5,270,199号に
よると、MBLは、ヒトおよび動物細胞の細胞壁を認識しない。これらの先行技
術の教示とは対照的に、本発明により、MBLは哺乳動物の細胞表面上の特定の
配列を認識することが発見された。哺乳動物の細胞表面上のMBL沈着は、LC
Pの活性化を生じて、疾患組織、または損傷組織の発生に寄与することもまた発
見された。
【0008】 一つの局面では、本発明はLCP関連補体活性化を阻害するための方法である
。この方法は、細胞性MBL沈着、およびLCP関連補体活性化を阻害するのに
有効な量のMBLインヒビターと、表面に露出されたMBLリガンドを有する哺
乳動物細胞とを接触させる工程を含む。一つの例証的な実施形態では、この方法
はインビトロスクリーニングアッセイである。
【0009】 別の局面では、本発明はLCP関連補体活性化により媒介される細胞損傷を阻
害するための方法である。この方法は、LCP関連補体活性化を阻害するのに有
効な量のMBLインヒビターを、それを必要とする被験体に投与する工程を含む
【0010】 本発明の方法の一つの実施形態では、MBLインヒビターは、単離されたMB
L結合ペプチドである。例証的な実施形態では、単離されたMBL結合ペプチド
は、MBL結合CDR3領域、またはその機能的改変体を有する。いくつかの実
施形態では、単離されたMBL結合ペプチドは、抗体フラグメントである。他の
実施形態では、単離されたMBL結合ペプチドは、抗体である。
【0011】 本発明の方法の別の実施形態によると、MBLインヒビターは単離されたMA
SP結合ペプチドである。単離されたMASP結合ペプチドは、MASP−1、
もしくはMASP−2、または両方のいずれかに結合し、MASPがLCPに関
与することを防ぎ得る。
【0012】 LCP関連補体活性化により媒介される細胞損傷は、種々の障害と関連する損
傷組織の発生に寄与し得る。一つの実施形態では、細胞損傷はアステローム性動
脈硬化症と関連する。別の実施形態では、細胞損傷は関節炎、心筋梗塞、虚血、
および再灌流、移植、CPB、発作、ARDS、SLE、狼瘡、または透析に関
連する。
【0013】 MBLインヒビターは、当該分野において公知である任意の経路により被験体
に投与され得る。細胞損傷が肺系に関連する場合、MBLインヒビターは、エア
ロゾルの送達経路によって被験体に投与され得る。
【0014】 本発明の別の局面に従って、MBLインヒビターが提供される。MBLインヒ
ビターは、選択的にヒトMBLエピトープに結合し、そしてLCP関連補体活性
化を阻害する単離されたペプチドである。
【0015】 別の局面においては、本発明はハイブリドーマ細胞株である。一つの例証的な
実施形態では、このハイブリドーマ細胞株は、ATCC受託番号HB−1262
1の下で寄託される細胞株である。別の実施形態では、このハイブリドーマ細胞
株は、ATCC受託番号HB−12620の下で寄託される細胞株である。別の
実施形態では、このハイブリドーマ細胞株は、ATCC受託番号−HB1261
9の下で寄託される細胞株である。
【0016】 なお別の局面に従って、本発明は、MBLインヒビターの組成物であり、ここ
でMBLインヒビターは、選択的にヒトMBLエピトープに結合し、そしてLC
P関連補体活性化を阻害する単離された結合ペプチドである。例証的な実施形態
では、この組成物は、MBL媒介性障害を処置するために有効な量の単離された
MBL結合ペプチド、および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物で
ある。一つの実施形態では、この組成物はまた、MBL媒介性障害の処置のため
の薬物を含む。
【0017】 一つの実施形態では、単離されたMBL結合ペプチドは、ATCC受託番号H
B−12621の下で寄託されるハイブリドーマ細胞株3F8により生成されるモ
ノクローナル抗体のMBL結合CDR31領域、またはその機能的改変体を有す
る。別の実施形態では、単離されたMBL結合ペプチドは、ATCC受託番号H
B−12620の下で寄託されるハイブリドーマ細胞株2A9により生成されるモ
ノクローナル抗体のMBL結合CDR32領域、またはその機能的改変体を有す
る。別の実施形態では、単離されたMBL結合ペプチドは、ATCC受託番号H
B−12619の下で寄託されるハイブリドーマ細胞株hMBL1.2により生成され
るモノクローナル抗体のMBL結合CDR32領域、またはその機能的改変体を
有する。
【0018】 単離されたペプチドは、インタクトな可溶性のモノクローナル抗体であり得る
。一つの実施形態では、単離されたペプチドは、ATCC受託番号HB−126
21の下で寄託されるハイブリドーマ細胞株により生成されるモノクローナル抗
(3F8)である。別の実施形態では、単離されたペプチドは、ATCC受託番号
HB−12620の下で寄託されるハイブリドーマ細胞株により生成されるモノ
クローナル抗体(2A9)である。別の実施形態では、単離されたペプチドは、AT
CC受託番号HB−12619の下で寄託されるハイブリドーマ細胞株により生
成されるモノクローナル抗体hMBL1.2である。例証的な実施形態においては、単
離されたペプチドは、ヒト化モノクローナル抗体である。
【0019】 いくつかの実施形態に従って、単離されたペプチドは、抗体フラグメントであ
る。例えば、単離されたペプチドは、F(ab’)2フラグメント、Fdフラグ
メント、およびFabフラグメントからなる群より選択されたモノクローナル抗
体フラグメントであり得る。単離されたペプチドはまた、モノクローナル抗体(
ATCC受託番号HB−12621の下で寄託されるハイブリドーマ(3F8)より
生成される)のCDR2(3F8)、モノクローナル抗体(ATCC受託番号HB−
12620の下で寄託されるハイブリドーマ2A9より生成される)のCDR2(2A 9) 、およびモノクローナル抗体(ATCC受託番号HB−12619の下で寄託
されるハイブリドーマ(hMBL1.2)より生成される)のCDR2(hMBL1.2)からなる
群より選択される軽鎖CDR2領域を有するペプチドであり得る。別の実施形態
では、単離されたペプチドは、モノクローナル抗体(ATCC受託番号HB−1
2621の下で寄託されるハイブリドーマ(3F8)より生成される)のCDR1(3F 8) 、モノクローナル抗体(ATCC受託番号HB−12620の下で寄託される
ハイブリドーマ(2A9)より生成される)のCDR1(2A9)、およびモノクローナル
抗体(ATCC受託番号HB−12619の下で寄託されるハイブリドーマ(hMB LA.2) より生成される)のCDR1(hMBL1.2)からなる群より選択される軽鎖CD
R1領域を有する。
【0020】 別の局面では、本発明は組成物である。ここでMBLインヒビターは、(i)
ヒトMBLエピトープに選択的に結合し、そして(ii)LCP活性化を妨げる
、抗MBL抗体である。
【0021】 なお別の局面では、本発明は、MBLインヒビターを用いた処置に対する感受
性について被験体をスクリーニングするための方法である。この方法は、被験体
から哺乳動物細胞を単離する工程、および哺乳動物細胞の表面上でMBLの存在
を検出する工程であって、ここでMBLの存在は、細胞がLCP関連補体活性化
に感受性であること、および被験体がMBLインヒビターを用いた処置に対して
感受性であることを示す、工程を包含する。一つの実施形態では、この方法は、
MBLの存在を検出するためにMBLに選択的に結合する検出試薬とMBLとを
接触させる工程を含む。一つの実施形態における検出試薬は、単離されたMBL
結合ペプチドである。
【0022】 MBLインヒビターを用いた処置に対する感受性について被験体をスクリーニ
ングするための方法は、本発明の別の局面において提供される。この方法は、被
験体由来の哺乳動物細胞を、標識した単離されたMBL結合ペプチドと接触させ
る工程、および哺乳動物細胞表面上におけるMBLの存在を検出する工程であっ
て、ここでMBLの存在は、この細胞が、LCP関連補体活性化に感受性である
こと、および被験体が、MBLインヒビターを用いた処置に対して感受性である
ことを示す、工程、を包含する。一つの実施形態では、哺乳動物細胞は、内皮細
胞である。
【0023】 本発明の制限の各々は、本発明の種々の実施形態を包含し得る。従って、任意
の一つの要素または要素の組み合わせを含む本発明の制限の各々が、本発明の各
局面に含まれ得ることが予期される。
【0024】 (発明の詳細な説明) 本発明は、レクチン補体経路(LCP)関連補体活性化を調節、および操作す
るための方法および産物に関する。上記で議論したように、本発明は、LCP関
連補体活性化が、哺乳動物細胞の細胞損傷を誘導した補体において役割を果たす
という知見を基づく。MBLが、インビトロおよびインビボで哺乳動物細胞の表
面上に、糖質またはペプチドと相互作用することが、本発明によって発見された
。MBLと会合した表面は、細胞の表面上に補体の蓄積を導き、最終的に、細胞
損傷または死を導く。先行の技術により、伝染性微生物と優先に結合された。こ
のことは、LCP関連相補活性化は、MBL蓄積が促進されて、伝染性微生物の
死滅を増加させることを示唆する。本発明に従って、哺乳動物において、LCP
関連補体活性化を促進するよりもむしろMBLの細胞の結合をブロックして防ぐ
ことが好ましいことを発見した。LCPは、成体哺乳動物において、伝染性微生
物の拒絶のために必要ではなく、そして実際に、それは、いくつかの型の障害(
例えば、アテローム性動脈硬化症、関節炎、心筋梗塞、虚血および再灌流、移植
、CPB、発作、ARDS、SLE、狼瘡、または透析)と関連する細胞損傷に
寄与する。
【0025】 1つの局面において、本発明は、LCP関連補体活性化を阻害するための方法
である。その方法は、LCP関連補体活性化を阻害するために有効な量のMBL
インヒビターとMBLリガンドを露出した表面を有する哺乳動物細胞とを接触す
る工程を含む。
【0026】 本発明の方法は、MBLによって認識されるMBLリガンド(糖質またはペプ
チド基)を露出した表面を有する哺乳動物細胞の表面上のLCP関連補体活性化
を阻害するのために有用である。哺乳動物細胞は、任意の細胞であり得、ここで
、その細胞表面の糖質またはペプチドは、MBLと相互作用する。1つの例示的
実施形態において、哺乳動物細胞は、MBLリガンドを露出した表面を有する内
皮細胞である。例えば、血管内皮細胞は、被験体において、MBLリガンドを発
現するために虚血/再灌流損傷を持続させることを示した。MBLリガンドを有
する哺乳動物細胞は、容易に同定され得る。例えば、MBL結合分析(例えば、
それらの以下に記載されるような)はMBLリガンドを同定するために使用され
得る。
【0027】 LCP関連補体活性化を阻害するための方法は、種々のインビトロおよびイン
ビボでの目的のために使用され得る。例えば、この方法は、インビトロスクリー
ニングアッセイとして使用され得る。インビトロスクリーニングアッセイを使用
して上記のアッセイのようにMBLインヒビターとして機能する化合物を同定し
得るか、MBLリガンドを露出した表面を有する哺乳動物細胞を同定し得るか、
またはMBLインヒビターでの処置に対する被験体の感受性を検出するために使
用し得た。MBLインヒビターでの処理に対する感受性について被験体をスクリ
ーニングするために、細胞は、被験体から単離され、そしてMBLの存在または
表面に結合するMBLの能力を検出した。MBLが細胞の表面に存在するか、ま
たは細胞の表面に結合する能力がある場合、細胞は、LCP関連補体活性化に感
受性である。この場合において、被験体は、MBLインヒビターでの処置に感受
性である。
【0028】 本発明の方法はまた、哺乳動物細胞表面上のMBL蓄積を阻害することが望ま
しい場合、インビボで有用である。例えば、本発明の方法は、MBL媒介障害を
処置するために有用である。MBLインヒビターは、主な治療として単独か、ま
たはアジュバントの治療として他の治療法と組み合わせて使用して、他の医療の
治療的恩恵を促進し得る。
【0029】 哺乳動物細胞は、MBLインヒビターと接触される。本明細中で使用される場
合、「接触」の工程とは、哺乳動物細胞を含む培地へのMBLインヒビターの添
加のことをいう。培地は、インビトロ組織培養もしくは生物学的試料、エキソビ
ボサンプルまたはインビボサンプルであり得る。接触の工程は、哺乳動物細胞と
関連するLCP関連補体活性化を防ぐこのような様式における、MBLインヒビ
ターの添加のことをいう。
【0030】 本明細中で使用される場合、「MBL媒介障害」は、LCP関連補体活性化に
より引き起こされる細胞損傷を含む障害である。MBL障害としては、例えば、
アテローム性動脈硬化症、関節炎、心筋梗塞、虚血および再灌流、移植、CPB
、発作、ARDS、SLE、狼瘡、または透析が挙げられる。これらの障害の各
々は、当該分野において周知であり、例えば、 Harrison’s Pri
nciples of Internal Medicine(McGraw
Hill,Inc.,New York)中に記載されている。
【0031】 アテローム性動脈硬化症および心筋梗塞は、虚血−再灌流(I/R)損傷を導
き得る。I/R−誘導損傷に関する、根本的な機構の1つは、患部組織において
作られた低酸素環境および再酸素負荷環境である。これらの実例において観察さ
れるように、酸素量の変動は、とりわけ、内皮細胞表面性質を調節すると報告さ
れている酸素フリーラジカルを形成し得る。
【0032】 本発明はまた、アテローム性動脈硬化症および/または心臓脈管再造形(ca
rdio−vascular remodeling)と関連する虚血/再灌流
から生じる細胞損傷を処置するために有用である。脈管系損傷は、例えば、所望
されない脈管平滑筋細胞増殖と関連があるアテローム性動脈硬化症および動脈硬
化の形成を含む多くの望ましくない健康状態を導き得る。脈管系の一般的な損傷
は、虚血性心臓疾患を処置するための医療の副作用として起こる。虚血とは、血
液の不適当な灌流に起因する酸素の欠乏のことをいう。虚血性心臓疾患は、心臓
への酸素の不適当な供給に起因する心機能における障害により特徴付けられる。
この疾患の最も一般的な形態は、冠状血液流を制限する冠状動脈の管腔の縮小を
含む。これらの条件下で、この細胞表面の糖質またはペプチド残基が曝されるか
、またはMBLリガンドが合成されて、MBLを細胞表面と会合させ、そしてL
CP関連補体活性化を開始する。
【0033】 虚血性心臓疾患が、非常に重篤になる場合、次いで、管理は、侵襲性でなけれ
ばならない。最近まで、虚血性心臓疾患は、冠状動脈のバイパス術により処置さ
れた。しかし現在は、より侵襲性の低い手順が開発された。これらの手順は、機
械的に破壊するため、レーザー切断するためまたは狭窄を拡張するための、血管
の狭い部分(「狭窄」)へ導入されるカテーテルの使用を含む。
【0034】 その組成物は、他の治療的処置との組み合わせにおいて投与され得る。冠状動
脈の血管再生を達成するために最も広範に使用される方法は、経皮的冠動脈形成
術である。可撓性のあるガイドワイヤを、冠状動脈内に進めさせ、そして狭窄の
向こう側に位置付ける。次いで、バルーンカテーテルを、バルーンが狭窄の向こ
う側に位置付けられるまで、ガイドワイヤを進める。次いで、バルーンは、狭窄
が実質的に取り除かれるまで、繰り返し膨張させる。この手順は、心臓の手術と
比較すると、比較的、非侵襲性であり、そして3日のみの入院となり得る。この
手順は、重篤な心臓状態の管理における重要なツールである。
【0035】 本明細中で使用される場合、「MBLインヒビター」とは、LCP関連補体活
性化を防ぐ化合物である。MBLインヒビターは、哺乳動物細胞の表面上のMB
L沈着をブロックすることにより、またはMASP−1もしくはMASP−2ま
たはMBL沈着と関連するC3bの会合を阻止することにより機能し得る。MB
L沈着をブロックするため、またはMASP−1もしくはMASP−2またはC
3bのMBLとの会合を防ぐためのMBLインヒビターの能力は、以下のアッセ
イのような(実施例にもまた記載される)慣用的なインビトロ結合アッセイを使
用して検出し得る。
【0036】 MBL沈着(またはMASP−1、MASP−2もしくはC3bとの会合)は
、酸素正常状態のHUVEC、および24時間の低酸素、次いで30%ヒト血清
(HS)あるいは3、30または300mmol/LのN−アセチルグルコサミ
ン(GluNAc)か、またはMBL沈着を競合的に阻害するための推定の結合
ペプチドを使用して、処理した30%HSの存在下で3時間再酸素負荷に供した
HUVECにおけるELISAにより測定され得る。
【0037】 C3およびMBL特異的細胞表面ELISAは、それぞれペルオキシダーゼ結
合体化ポリクロナールヤギ抗ヒトC3抗体(Cappel、West Ches
ter、PA)およびモノクロナール抗ヒトMBL抗体(Biodesign、
Kennebunk、ME、clone #131−1)を使用して実施され得
る。HUVECを、0.1%ゼラチン化96ウェルプラスチックプレート(Co
rning Costar Cambridge、MA)上でコンフルーエンス
まで増殖させる。次いで、プレートは、0(酸素正常状態)または24時間の低
酸素に供される。低酸素ストレスは、37℃で1%O2、5%CO2、安定したN 2 の気体を供給した加湿密封チャンバー(Coy Laboratory,Pr
oducts,Inc.,Grass Lake,MI)を使用して維持される
(Collard CDら、「Reoxygenation of hypox
ic human umbilical vein endothelial
cells activates the classical comple
ment pathway」,Circulation,1997;96:32
6−333)。酸素正常状態または低酸素の特定の期間の後、細胞培地を、吸引
し、そして100μlの以下の1つを各ウェルに添加した:1)30% HS、
2)Hank’s平衡塩類溶液、3)30% HS+3、30、または300m
mol/L GluNAc、4)30% HS+3、30、または300mmo
l/L D−マンノース、5)30% HS+3、30、または300mmol
/L L−マンノース、6)30% MBL枯渇HS、7)30% MBL枯渇
HS+0.6μg/ml MBLまたは8)30% HS+3、30、または3
00mmol/L推定MBL結合ペプチド。さらに、100μlの精製MBL(
3〜300ng/ml)を選択したウェルに添加し、MBL沈着の定量的な分析
のための標準曲線を作る。次いで、細胞を95%空気および5%CO2中で37
℃で3時間再酸素負荷する。その細胞を洗浄し、次いで1%パラホルムアルデヒ
ド(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)を使用
して30分間、固定する。次いで、その細胞を洗浄し、4℃で1.5時間、50
μlのペルオキシダーゼ結合体化ポリクロナールヤギ抗ヒトC3抗体(1:10
00希釈)、またはモノクロナール抗ヒトMBL抗体(1:1000希釈)と共
にインキュベートする。次いで、MBL ELISAプレートを洗浄し、4℃で
1時間、50μlのペルオキシダーゼ結合体化ポリクロナールヤギ抗マウスIg
G2次抗体(1:1000希釈)と共にインキュベートする。細胞を洗浄した後
、プレートを50μlのABTS(2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンズ
チアゾリン−6−スルホン酸))で現像し、そして405nmにて読み取った(
Molecular Devices, Sunnyvale,CA)。C3
ELISAのためのバックグラウンドコントロールは、抗ヒトC3抗体のみを添
加した細胞(すなわち、HSなし)、または30%熱失活HSと共にインキュベ
ートした細胞からなる。MBL ELISAのための背景コントロールは、2次
抗体のみ、およびブタC5aに対するイソ型コントロールモノクロナール抗体を
添加する細胞からなる。バックグラウンドの光学密度を全ての群から減算する。
ELISA試験は、一般に実験群当たり6ウェル使用して3回実施される。酸素
正常状態HUVEC 対 低酸素HUVECにおける内皮C3およびMBLの沈
着は、分散の2方向分析(ANOVA)により分析される。
【0038】 MBLインヒビターはLCP関連補体活性化を防ぐ。特定の化合物がLCP関
連補体活性化を阻害し得るか否かはまた、慣用的なインビトロスクリーニングア
ッセイを使用して評価し得る。例えば、以下の実施例に記載される補体溶血アッ
セイ(CH50)は、MBL枯渇がLCP結合補体活性化を阻害することを実証す
るために、MBL枯渇HSで実施され得る。しかし、HSを含むMBLを使用し
て、およびMBL結合ペプチドおよび/または制御ペプチドを添加して、このア
ッセイは実施され得る。
【0039】 1つの例示的な実施形態において、MBLインヒビターは、単離したMBL結
合ペプチドである。本明細書中で使用する場合「単離されたMBL結合ペプチド
」は、MBLに結合するペプチドおよびLCP関連補体活性化を阻害するペプチ
ドである。MBL結合ペプチドがLCP関連補体活性化を阻害する、1つの方法
は、MBLへの結合、およびMBLリガンドが曝露された表面とのMBLの会合
を阻害することによる。さらに、MBL結合ペプチドは、MBLに結合し得、M
BLとMASP−1またはMASP−2および/またはC3bとの間の会合を阻
害し得る。MBLまたはMASPへ結合する、いくつかのペプチドは、Lanz
rein,A.S.ら、「Mannan−binding lectin in
human serum,cerebrospinal fluid and
brain tissue and its role in Alzhei
mer’s disease」、Department of Pharmac
ology, University of Oxford,UK,1998年
5月11日,Neuroreport,9(7):1491〜5;Jack,D
.L.ら、「Activation of complement by mo
nnose−binding lectin on isogenic mut
ants of Neisseria meningitidis serog
roup B」,Immunobiology Unit,Institute
of Child Health,London,UK,J immunol
.1998年2月1日,160(3):1346〜53,Terai,Iら、「
Humnan serum mannose−binding lectin(
MBL)−associated serine protease−1(MA
SP−1):determination of levels in bod
y fluids and identification of two f
orms in serum」,Division of Clinical
Pathology,Hokkaido Institute of Publ
ic Health,Sapporo,Japan,Clin.Exp.Imm
unol.,1997年11月,110(2):317〜23;Endo,M.
ら、「Glomerular deposition of mannose−
binding lectin(MBL)indicates a novel
mechanism of complement activation
in IgA nephropathy[In Process Citati
on]」,Second Department of Internal M
edicine,Nihon University School of M
edicine,Tokyo,Japan,Nephrol Dial Tra
nsplant,1998年8月13日,(8):1984〜90;Valdi
marsson,H.ら、「Reconstitution of opson
izing activity by infusion of mannan
−binding lectin(MBL)to MBL−deficient
humans」,Department of Immunology,Un
iversity of Reykjavik,Iceland,Scand.
J.Immunol.,August 1998,48(2):116〜23;
Thiel,S.ら,「The concentration of the
C−type lectin,mannan−binding protein
,in human plasma increases during an
acute phase response」,Clin Exp.Immu
nol.,1992年10月,90(1):31〜5を含む当該分野において記
載されている。これらのペプチドは、MBLとMASP−1またはMASP−2
および/またはC3bとの間の会合を阻害するそれらの能力について試験され得
る。
【0040】 本発明の好ましい組成物は、MBLインヒビターを含み、そのMBLインヒビ
ターは、ヒトMBLエピトープに選択的に結合およびLCP関連補体活性化を阻
害する単離された結合ペプチドである。本明細書中で使用する場合、「ヒトMB
Lエピトープ」は、MBLの一部であり、MBL結合ペプチドと接触する場合、
MBLとMBLリガンドあるいはMASP−1またはMASP−2および/また
はC3bとの間の会合を防ぐことにより、LCP関連補体活性化を阻害する。好
ましくは、このMBLエピトープが、3つの寄託したモノクロナール抗体のいず
れかと相互作用するMBLの部分である。
【0041】 別の実施形態において、MBLインヒビターは、単離されたMASP結合ペプ
チドである。本明細書中で使用した場合、「単離されたMASP結合ペプチド」
とは、MASP−1またはMASP−2に結合するペプチドのことをいい、そし
て細胞の表面上でMBLとの複合体を形成することからMASP−1またはMA
SP−2を防ぐことによりLCP関連補体活性化を防ぎ、それによりMBL−M
ASP複合体と会合する、Cb3沈着を生じることを防ぐ。
【0042】 別の実施形態において、MBLインヒビターは、マンナン結合ペプチドである
。本明細書中で使用される場合、「マンナン結合ペプチド」は、哺乳動物細胞の
表面でMBLリガンドに結合するペプチドであり、これはMBL−MASP複合
体との相互作用を防ぐ。MBLインヒビターは、先行の技術において広範に特徴
付けおよび記載されている慣用的な実験を使用して当業者により容易に調製また
は同定され得る。なぜならば、MBL、MASP、マンナン、およびC3bは全
て、周知の化合物であるからである。
【0043】 本発明のMBL、MASP、およびマンナン結合ペプチドは慣用的なアッセイ
(例えば、上記および本特許出願中の他の箇所に記載される結合アッセイおよび
LCP補体活性化アッセイ)により同定され得る。
【0044】 本発明のペプチドは、単離されたペプチドである。ペプチドに関して、本明細
書中で使用される場合、用語「単離したペプチド」は、そのペプチドが実質的に
純粋であり、かつ、それらは、それらの用途に実際的かつ適する程度で、天然ま
たはインビボ系において見出され得る他の物質を実質的に含まない。特に、ペプ
チドは、例えば、医薬品を生産することか、または配列決定することに有用であ
るために、十分に純粋であり、かつそれらの宿主細胞の他の生物学的構成物質を
実質的に含まない。本発明の単離されたペプチドは、医薬品における、薬学的に
受容可能なキャリアと混合され得、そのペプチドは、調製品の低重量%のみ含み
得る。そのペプチドは、それが、生体系に関連し得る物質から実質的に分離され
ているという点で、それでもなお実質的に純粋である。
【0045】 MBL結合ペプチドはまた、当業者により組換え手段による容易に合成または
産生され得る。特定の標的に結合するペプチドを調製、または同定するための方
法は、当該分野において周知である。例えば、分子インプリンティングは、新規
の巨大分子構造(例えば、特定の分子に結合するペプチド)の構築のために使用
され得る。例えば、Kenneth J.Shea,Molecular Im
printing of Synthetic Network polyme
rs:The De Novo synthesis of Macromol
ecular Binding and Catalytic Sites,T
RIP 第2巻,第5号,1994年5月;Klaus Mosbach,Mo
lecular Imprinting, Trends in Bioche
m.Sci.,19(9)1994年1月;およびWulff,G.,in P
olymeric Reagents and Catalysts(Ford
,W.T.,編)ACS Symposium Series 第308号,1
86〜230頁,American Chemical Society(19
86)を参照のこと。MBL結合ペプチドの模倣物を調製するための1つの方法
は、(i)公知のMBL結合ペプチドまたは所望の活性を示す抗MBL抗体(例
えば、寄託した抗体)(鋳型)の結合部分周辺の機能的なモノマーのポリマー化
;(ii)鋳型分子の除去;そして、次いで(iii)鋳型のペプチド配列に類
似する1つ以上の所望のポリペプチドを示す新規の分子を提供するために、鋳型
をそのままにして真空中でモノマーの第2のクラスポリマー化の工程を含む。こ
の様式においてペプチドを調製することに加えて、MBLインヒビター(例えば
、多糖、ヌクレオシド、薬物、核タンパク質、リポタンパク質、糖質、糖タンパ
ク質、ステロイド、脂質、および他の生物学的活性物質)である他のMBL結合
分子もまた、調製され得る。この方法は、それらの天然の相対物よりも安定であ
る広範な種々の生物学的模倣物を設計するために有用である。なぜなら、それら
は代表的に、機能的なモノマーのフリーラジカルポリマー化により調製されて、
生物分解性でない骨格を有する化合物を生じる。このような分子を設計するため
の他の方法は、例えば、多くの化合物および分子モデリングの合成および評価を
必要とする構造活性相関に基づく薬物設計を含む。
【0046】 MBLに結合しているペプチドはまた、ファージディスプレイ手順(例えば、
Hartら、J.Biol.Chem.269:12468(1994)に記載
されている方法)のような慣用的なスクリーニング方法により同定され得る。H
artらは、哺乳動物細胞レセプターについて新規のペプチドリガンドを同定す
るための繊維状ファージディスプレイライブラリーを報告する。一般に、例えば
、M13またはfdファージを使用したファージディスプレイライブラリーは、
従来の手順(上記の参考文献中で述べられている手順)を使用して調製される。
このライブラリーディスプレイ挿入物は、4〜80アミノ酸残基を含む。この挿
入物は、必要に応じて、ペプチドの完全分解または片寄った配列(biased
array)を示す。MBLに選択的に結合するリガンドは、MBLに結合す
るリガンドをそれらの表面上に発現するファージを選択することにより得られる
。次いで、これらのファージは、最も有用な結合特性を有するペプチドリガンド
発現ファージを同定するためにいくつかの再選択サイクルに供される。代表的に
、最良の結合特性(例えば、最も高い親和性)を示すファージは、核酸分析によ
りさらに特徴づけられて、ファージ表面上に発現されるペプチドの特定のアミノ
酸配列、およびMBLへの最適な結合を達成するために発現されるペプチドの、
最適な長さを同定する。あるいは、このようなペプチドリガンドは、1つ以上の
アミノ酸を含むペプチドのコンビナトリアルライブラリーから選択され得る。さ
らに合成され得るこのようなライブラリーは、非ペプチド合成部分(それらの天
然に存在する対応物に比べて酵素分解を受けにくい)を含む。
【0047】 ペプチドがMBLに結合するか否かを決定するために、任意の公知の結合アッ
セイを使用し得る。例えば、このペプチドを表面に固定化し得、次いで、標識し
たMBLと接触させ得る。次いで、このペプチドと相互作用するMBLの量また
はこのペプチドに結合しないMBLの量を測定し、このペプチドがMBLに結合
するか否かを決定し得る。さらに、それに固定された寄託したモノクロナール抗
体を有する表面は、正のコントロールとして役立ち得る。
【0048】 本発明のペプチドのスクリーニングはまた、競合アッセイを利用することで実
施され得る。寄託されたモノクロナール抗体の結合の減少により示されたように
、試験されるペプチドが寄託されたモノクロナール抗体と競合する場合、このペ
プチドおよび寄託したモノクロナール抗体は同じエピトープ、または密接に関連
したエピトープに結合するようである。ペプチドが本発明の寄託したモノクロナ
ール抗体の特異性を有するか否かを決定するさらにまた別の方法は、それが通常
、反応するMBLと共に寄託されたモノクロナール抗体をプレインキュベートす
ることであり、次いで、試験されるペプチドを添加し、この試験されるペプチド
がMBLを結合するその能力が阻害されるか否かを決定する。試験されるペプチ
ドが、その時、阻害される場合、おそらくそれは、寄託されたモノクロナール抗
体と、同じ、または機能的に等価であるエピトープおよび特異性を有する。
【0049】 当業者に公知の慣用的な手順を用いて、MBLに結合するペプチドは、MBL
がMBLリガンドに結合することをブロックするものであるか否かを決定するこ
とによって、MBLに結合するペプチドは、本発明によって有用であるか否かを
決定し得る。このようなアッセイは、上記および実施例の項に記載される。他の
アッセイは、本明細書を読めば当業者に明らかであり得、これは、MBLに結合
するペプチドもまたLCP関連補体活性化のインヒビターであるか否かを決定す
るのに有用である。
【0050】 本発明の寄託されたモノクローナル抗体を用いることによって、現在では、他
の抗体をスクリーニングするのに用い得る抗イディオタイプ抗体を産生して、こ
の抗体が本発明の寄託されたモノクローナル抗体と同じ結合特異性を有するか否
かを同定することができる。さらに、このような抗イディオタイプ抗体は、能動
免疫に用いられ得る(Herlynら、Science 232:100,19
96)。このような抗イディオタイプ抗体は、周知のハイブリドーマ技術を用い
て生成され得る(KohlerおよびMilstein、Nature、256
:495、1975)。抗イディオタイプ抗体は、寄託されたモノクローナル抗
体上に存在する特有の決定基を認識する抗体である。これらの決定基は、抗体の
超可変領域に位置付けられる。これは、所定のエピトープに結合するこの領域で
あり、従って、抗体の特異性の原因である。抗イディオタイプ抗体は、この寄託
されたモノクローナル抗体で動物を免疫することによって調製され得る。この免
疫された動物は、この免疫する寄託されたモノクローナル抗体のイディオタイプ
の決定基を認識しかつ応答し、そしてこれらのイディオタイプ決定基に対する抗
体を産生する。この免疫された動物の抗イディオタイプ抗体(これは本発明の寄
託されたモノクローナル抗体に特異的である)を用いることによって、免疫に用
いられた寄託されたモノクローナル抗体と同一のイディオタイプ抗体を用いて他
のクローンを同定し得る。2つの細胞株のモノクローナル抗体の間のイディオタ
イプの同一性は、この2つのモノクローナル抗体が同一のエピトープの決定基の
認識に関して同一であることを示す。従って、抗イディオタイプ抗体を用いるこ
とによって、同一のエピトープの特異性を有するモノクローナル抗体を発現する
他のハイブリドーマを同定し得る。
【0051】 エピトープを模倣するモノクローナル抗体を産生する抗イディオタイプ技術を
用いることもまた可能である。例えば、第一のモノクローナル抗体に対して作製
された抗イディオタイプのモノクローナル抗体は、この第一のモノクローナル抗
体によって結合されるエピトープのイメージである超可変領域中の結合ドメイン
を有する。従って、抗イディオタイプモノクローナル抗体結合ドメインが抗原と
して効果的に働くので、抗イディオタイプモノクローナル抗体は、免疫に用いら
れ得る。
【0052】 活性化アッセイはまた用いられ、活性化アッセイにおけるペプチドの相対的阻
害濃度を評価し得、そして少なくとも、例えば、75%まで活性化を阻害するこ
れらのペプチドを同定し得る。
【0053】 他のアッセイは、本明細書を読んだ当業者に明らかであり、これは、MBLに
結合するペプチドもまたMBL活性化を阻害するか否かを決定するのに有用であ
る。
【0054】 1つの実施形態において、MBLの活性化を阻害するペプチドは、抗体または
機能的に活性な抗体フラグメントである。抗体は、免疫学の科学における当業者
に周知である。本明細書中に用いられる場合、用語「抗体」は、インタクトな抗
体分子だけでなくMBL結合能を保持する抗体分子のフラグメントも意味する。
このようなフラグメントもまた、当該分野において周知であり、インビトロおよ
びインビボの両方で正規に利用される。特に、本明細書中で用いられる場合、用
語「抗体」は、インタクトな免疫グロブリン分子だけでなく周知の活性フラグメ
ントF(ab’)2およびFabも意味する。インタクトな抗体のFcフラグメ
ントを欠くF(ab’)2およびFabフラグメントは、循環からより迅速に一
掃され、そしてインタクトな抗体の非特異的な組織結合をほとんど有さない(W
ahlら、J.Nucl.Med.24:316−325(1983))。当該
分野において周知であるように、抗体の相補性決定領域(CDR)は、抗体特異
性の大きな原因である抗体の部分である。このCDRは、抗原のエピトープと直
接相互作用する(通常、Clark、1986;Roitt、1991を参照の
こと)。IgG免疫グロブリンの重鎖および軽鎖可変領域の両方において、3つ
の相補性決定領域(CR1〜CR3)によって個々に分離された4つの枠組み領
域(FR1〜FR4)が存在する。枠組み領域(FR)は、抗原との相互作用に
関する抗体の部分である、抗原結合部位の3次構造を維持する。このCDR,お
よび特にCDR3領域、ならびにより詳細には重鎖CDR3領域は、抗体の特異
性に寄与する。これらのCDR領域および詳細にはCDR3領域がこの抗体に抗
原特異性を付与するので、これらの領域は、その抗体またはペプチドに同一な抗
原特異性を付与するように、他の抗体またはペプチドに組み込まれ得る。
【0055】 上述のように、本発明のMBLインヒビターは、本発明のいくつかの実施形態
において、ヒトMBLに特異的に結合しかつ(例えば、MBLがMBLリガンド
と相互作用することを防ぐことによって)LCP関連補体活性化を阻害するMB
L結合領域を含む、MBL結合ペプチドを含む。本明細書中で用いられる場合、
「MBLリガンド」は、MBLが相互作用し得る糖質またはペプチドである。任
意には、MBL結合領域は、MBL結合CD3領域である。本明細書中で用いら
れる「MBL結合CDR3領域」は、ATCC受託番号(HB−12621)、
ATCC受託番号(HB−12620)、およびATCC受託番号(HB−12
619)としてATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生されたモノク
ローナル抗体由来のCDR3ペプチド配列である。
【0056】 3つの抗体産生ハイブリドーマ細胞株(3F8、2A9、hMBL1.2)は
、出願人によって1998年12月15日にATCCに寄託された。ハイブリド
ーマ3F8は、MBLに対する結合特異性を有するモノクローナル抗体(3F8)
産生する。モノクローナル抗体3F8は、その配列内にCDR3(3F8)領域を含む。
本明細書中で用いられる「CDR3(3F8)」は、モノクローナル抗体(3F8)のCD
R3領域を含む。ハイブリドーマ(2A9)は、MBLに対する結合特異性を有する
モノクローナル抗体(2A9)を産生する。モノクローナル抗体(2A9)は、その配列内
にCDR3(2A9)領域を含む。本明細書中で用いられる場合、「CDR3(2A9)
は、モノクローナル抗体2A9のCDR3領域を含む。ハイブリドーマ(hMBL1 .2 )は、MBLに対する結合特異性を有するモノクローナル抗体(hMBL1.2)を産
生する。モノクローナル抗体hMBL1.2は、その配列内にCDR3(hMBL1.2)領域を
含む。本明細書中で用いられる場合、「CDR3(hMBL1.2)」は、モノクローナ
ル抗体(hMBL1.2)のCDR3領域を含む。モノクローナル抗体3F8、モノクローナ
ル抗体2A9、およびモノクローナル抗体(hMBL1.2)の各々は、MBLに特異的に結
合しかつMBLがMBLリガンドと相互作用することを防ぐ。
【0057】 「MBL結合CDR3領域」は、CDR3(3F8)、CDR3(2A9)およびCDR
(hMBL1.2)ペプチド配列をいう。1つの実施形態において、本発明のペプチド
は、MBL結合CDR3領域の機能的な改変体を含む。本明細書中で用いられる
「機能的な改変体」は、そこでの保存的な置換を伴うCDR3(3F8)、CDR3( 2A9) またはCDR3(hMBL1.2)領域の配列を有するペプチドである。本明細書中
で用いられる場合、「保存的な置換」は、相対的な電荷を変えないかまたはアミ
ノ酸置換を作製されるペプチドのサイズ特性を変えないアミノ酸をいう。アミノ
酸の保存的な置換は、以下の群を伴うアミノ酸置換の間に作製される置換を含む
:(1)M,I,L,V;(2)F,Y,W;(3)K,R,H;(4)A,G
;(5)S,T;(6)Q,N;および(7)E,D。このような置換は、当業
者に公知の多様な方法によって作製され得る。例えば、アミノ酸置換は、Kun
kelの方法(Kunkel、Proc.Nat.Acd.Sci.U.S.A
.82:488−492、1985)によるか、またはCDR3領域をコードす
る遺伝子の化学合成によってPCR指向性変異、部位指向性変異誘発によって作
製され得る。CDR3領域ペプチドを変えるためのこれらおよび他の方法は、当
業者に公知であり、そしてこのような方法を編集する参考文献(例えば、Sam
brookら、Molecular Cloning:A Laborator
y Manual、第2版、Cold Spring Harbor Labo
ratory Press、1989)に見出され得る。MBL結合CDR3領
域の機能的に等価な改変体の活性は、上述の結合アッセイおよび活性アッセイに
よって試験され得る。
【0058】 簡潔さの目的のために、用語「ATCCに寄託されたハイブリドーマ」は、1
998年12月15日にATCCに寄託された3つのハイブリドーマを言及する
ために、本明細書を通じて用いられる。用語「寄託されたモノクローナル抗体」
は、モノクローナル抗体(ATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生さ
れたモノクローナル抗体(3F8)、モノクローナル抗体(2A9)、またはモノクローナ
ル抗体(hMBL1.2))のそれぞれをいうのに用いられる。添付の請求項における限
定性の目的のために、ハイブリドーマおよびモノクローナル抗体の各々が、特に
列挙される。
【0059】 1つの実施形態によって、本発明のペプチドは、単離された形態であるかまた
は薬学的な調製物中の、インタクトで可溶性の抗MBLモノクローナル抗体であ
る。インタクトで可溶性のモノクローナル抗体は、当該分野において周知の場合
、ジスフィルド結合によって架橋されるペプチド鎖のアセンブリである。軽鎖お
よび重鎖と呼ばれる2つの主要なペプチド鎖は、抗体の主要な構造的クラスの全
て(アイソタイプ)を作り上げる。重鎖および軽鎖の両方はさらに、可変領域お
よび定常領域と呼ばれる小領域に分けられる。本明細書中で用いられる場合、用
語「モノクローナル抗体」は、ヒトMBLのエピトープに特異的に結合する同種
の同じ構造の免疫グロブリンをいう。
【0060】 1つの実施形態において、本発明のペプチドは、例えば、寄託されたモノクロ
ーナル抗体である。寄託されたモノクローナル抗体の調製および使用は、添付の
実施例により十分に記載される。別の実施形態において、本発明のペプチドは、
この寄託されたモノクローナル抗体の結合特性を有するインタクトな抗体である
。この寄託されたモノクローナル抗体の結合特性を有する抗体は、MBLと結合
しかつMBLがMBLリガンドと相互作用することを阻害する抗体の1つである
。当業者は、以下に詳細に記載されるスクリーニングアッセイおよび結合アッセ
イを用いて、寄託されたモノクローナル抗体の結合特性を有する抗体を容易に同
定し得る。
【0061】 1つのセットの実施形態において、本発明の方法によって有用なペプチドは、
単離された形態におけるまたは薬学的な調製物中の、インタクトなヒト化抗MB
Lモノクローナル抗体である。MBLと相互作用しかつLCP関連補体活性化を
阻害する、ヒト化モノクローナル抗体を調製するための方法の以下の実施例は、
代表的であり、そして図解の目的にのみ提供される。
【0062】 本明細書中で用いられる場合、「ヒト化モノクローナル抗体」は、ヒトモノク
ローナル抗体、またはヒト定常領域およびヒト以外の動物種由来のMBL結合C
DR3領域を有する、その機能的に活性なフラグメントである。ヒト化モノクロ
ーナル抗体は、当該分野において公知の任意の方法によって作製され得る。ヒト
化モノクローナル抗体は、例えば、ヒト抗体の類似領域を伴う非ヒト化哺乳動物
の抗体の非CDR領域の置換によって構築され得るが、一方、本来の抗体のエピ
トープ特異性を保持している。例えば、非ヒトCDRおよび任意のいくつかの枠
組み領域は、ヒトFRおよび/またはFc/pFc’領域に共有結合性に連結し
て機能的な抗体を産生し得る。米国において、Protein Design
Labs(Mountain View California)のように、特
異的マウス抗体領域由来のヒト化抗体を商業的に合成する業者が、存在する。
【0063】 その全体が本明細書中に参考として援用される欧州特許出願0239400は
、マウス(または他の非ヒト動物)抗体の少なくともCDR部位がそのヒト化抗
体に含まれるヒト化モノクローナル抗体の産生および使用の代表的な教示である
。簡単には、以下の方法は、少なくともマウスCDRの部位を含むヒト化CDR
モノクローナル抗体を構築するのに有用である。Ig重鎖または軽鎖の少なくと
も可変ドメイン、およびヒト抗体由来の枠組み領域を含む可変ドメインならびに
マウス抗体のCDRの部位をコードするDNA配列に、作動可能に連結された適
切なプロモーターを含む、最初の複製可能な発現ベクターが、調製される。必要
に応じて、それぞれ相補的ヒトIg軽鎖または重鎖の少なくとも可変ドメインを
コードするDNA配列に、作動可能に連結された適切なプロモーターを含む、第
二の複製可能な発現ベクターが、調製される。次いで細胞株は、このベクターに
よって形質転換される。好ましくは、この細胞株は、ミエローマ細胞株、ハイブ
リドーマ細胞株、トリオーマ細胞株、またはクアドローマ細胞株のようなリンパ
系組織の不死化された哺乳動物細胞株、またはウイルスによる形質転換によって
不死化された正常なリンパ系細胞である。次いで、この形質転換された細胞株は
、当業者に公知の条件下でヒト化抗体を産生するために培養される。
【0064】 欧州特許出願0239400に記載のように、複製可能なベクターへ挿入され
る特定の抗体ドメインを作製するためのいくつかの技術は、当業者に周知である
。(好ましくは、ベクターおよび組換え技術は、以下にかなり詳細に議論される
)。例えば、このドメインをコードするDNA配列は、オリゴヌクレオチド合成
によって調製され得る。あるいは、4つの枠組み領域内のCDR領域を欠く合成
遺伝子は、接合部において適切な制限部位と共に融合され、従って、二本鎖合成
または突出末端を有する制限されたサブクローン化CDRカセットは、枠組み領
域の接合部で連結され得る。別の方法は、オリゴヌクレオチド部位指向性変異誘
発によって可変性CDR含有ドメインをコードするDNA配列の調製を含む。こ
れらの方法の各々は、当該分野において周知である。従って、当業者は、そのエ
ピトープに対する抗体の特異性を破壊することなくマウスCDR領域を含むヒト
化抗体を構築し得る。
【0065】 好ましい実施形態において、本発明のヒト化抗体は、寄託されたモノクローナ
ル抗体のMBL結合CDR3領域を少なくとも含むヒトモノクローナル抗体であ
る。上記で注意したように、このようなヒト化抗体は、寄託されたモノクローナ
ル抗体のFR領域のいくらかまたは全てが相同的なヒトFR領域によって置換さ
れて産生され得る。さらに、Fc部位は、寄託されたモノクローナル抗体のCD
Rのいくらかまたは全てを保有するIgAまたはIgMおよびヒトIgG抗体を
産生するように置換され得る。格別重要なのは、この寄託されたモノクローナル
抗体のMBL結合CDR3領域および、より少ない範囲では、この寄託されたモ
ノクローナル抗体の枠組み領域の他のCDRおよび部位を含むことである。この
ようなヒト化抗体は、これらがヒトMBLを特異的に認識するが、ヒトにおいて
抗体自身に対する免疫応答を惹起しないという点で、特定の臨床的有用性を有す
る。最も好ましい実施形態において、マウスCDRは、「ヒト化抗体」を調製す
るためにヒト抗体の枠組み領域に接がれる。例えば、Riechmannら、N
ature 332、323(1988);M.S.Neubergerら、N
ature 314、268(1985)および欧州特許出願0239400(
1987年9月30日出願)を参照のこと。
【0066】 寄託されたモノクローナル抗体に加えて、他の抗体(例えば、抗MBL抗体、
抗MASP抗体、抗マンナン様抗体)が、作製され得る。以下は、MBL(MA
SP−1もしくはMASP−2、またはマンナン)に特異的なモノクローナル抗
体を発達させるための方法の記述である。この記述は、代表的であり、そしてそ
して図解の目的にのみ提供される。
【0067】 マウスモノクローナル抗体は、MBLを免疫原として利用する当該分野におい
て公知の任意の方法によって作製され得る。本発明によって有用なマウスモノク
ローナル抗体を産生するための方法の例は、以下である:雌Balb/cマウス
は、以下の混合物の250μl:(250μlのPBSに100μgのヒトMB
Lを混合した)250μlのTitermaxを最初に接種された(腹腔内投与
)。以下の週および3連続週間にわたって、マウスに、250μl PBS中に
50μg hMBLを注射した。第4週目において、マウスに、250μl P
BS中に25μg hMBLを注射し、そしてこのマウスを、4日後に融合した
【0068】 融合手順は、Current Protocols in Immunolo
gyより適応される。脾細胞を、PEG 150を50%w/vで用いて、AT
CC由来のミエリノーマ融合パートナーP301と1:1に融合した。融合細胞
を、100μl/ウェルの96ウェルマイクロタータープレートに1.25×1
6/m.の細胞密度でプレートした。融合培地は、以下を含む:Defici
ent DME高グルコース、Pen/Strep(50,000U ペニシリ
ン、50,000μg ストレプトマイシン/リットル)、4mM L−グルタ
ミン、20% ウシ胎児血清、10% 甲状腺リッチな培地、1% OPI、1
% NEAA、1% HAT、および50μM 2−メルカプトエタノール。細
胞を、一日目に100μl/ウェルで給餌し、そして100/ウェル培地を、2
,3,4,7,9,11、および13日目に交換された。最初のスクリーニング
の前に変える最後の培地は、1%HTの代わりにHATを含む。全ての引き続く
給餌を、HTまたはHATのいずれかを除いた融合培地を用いて行った。プラス
チックELISAプレート(96穴プレート)にプレートしたヒトMBLを用い
てスクリーニングを、行った。生成されたhMBLを、2%炭酸ナトリウム緩衝
液に2μg/mlのMBLを含んだ50μl容量だけ各ウェルにプレートした。
次いで、プレートをPBS中の3%のBSAでブロックした。組織培養培地(5
0μl)をウェルに静置し、室温で1時間インキュベートした。プレートを洗浄
し、そしてHRP標識ヤギ抗マウスIgG二次抗体を検出に用いた。比色分析を
ABTSで行い、そしてa405nmで読み取った。陽性コントロールは、ヒト
MBLに対するポリクローナル抗体からなる。次いで、細胞を以下からなる培地
中で増殖する:DMEM高グルコース、no−I−glut、sod、ピルビン
酸 500ml(Irvine Scientific #9024)、熱非働
化Hyclone 10%、1%の非必須アミノ酸、4mM L−グルタミン、
100U/ml ペニシリンおよび100μg/ml ストレプトマイシン。次
いで、全ての陽性ウェルを二次スクリーニングにおける機能についてスクリーニ
ングした。
【0069】 ヒトモノクローナル抗体は、当該分野において任意の公知の方法(例えば、B
orrebaeckら、米国特許番号5,567,610号、Ostberg、
米国特許第565,354号、Bakerら、米国特許第5,571,893号
、Kozber、J.Immunol.133:3001(1984)、Bro
deurら、Monoclonal Antibody Production
Techniques and Applications、51−63頁(
Marcel Dekker、Inc、new York、1987)、および
Boernerら、J.Immunol.147:86−95(1991)に開
示される方法)によって作製し得る。ヒトモノクローナル抗体を調製するための
慣用的な方法に加え、このような抗体もまた、ヒト抗体を産生し得るトランスジ
ェニック動物を免疫することによって調製され得る(例えば、Jakobovi
tsら、PNAS USA、90:2551(1993)、Jakobovit
sら、Nature、362:255−258(1993)、Bruggerm
annら、Year in Immuno.7:33(1993)およびLon
bergによる米国特許第5,569,825号)。
【0070】 本発明によって有用なヒトモノクローナル抗体を産生するための1つの方法の
例は、以下である:末梢血リンパ球(PBL)を、密度勾配遠心分離によって健
康なヒトドナーより単離し、さらにB細胞、T細胞およびアクセサリー(A)細
胞に分離される、(Danielsson,L.、Moller,S.A.およ
びBorrebaeck、C.A.K.Immunology 61、51−5
5(1987))に記載されたような方法。PBLを、2−アミノエチル(イソ
チオウロニウムブロマイド)−処理したヒツジ赤小体を用いたロゼッティングに
よってT細胞および非T細胞に分画し、そして後者の細胞集団をフィブロネクチ
ンまたは自己の血漿でコートしたペトリ皿上でインキュベートする。非接着性細
胞(B細胞)をデカントし、そして接着性細胞(アクセサリー細胞)を10mM
EDTAによって除いた。B細胞を50μg Staphylococcus
aureus Cowan I/mlで刺激し、そして照射した(2000R
)T細胞を10μg PWM/mlで一晩刺激する。アクセサリー細胞を5IU
γインターフェロン/mlおよび10μmインドメタシンで刺激する。細胞集
団を10% ヒトAB血清を含む添加されたRPMI1640中で、細胞比2:
1:0.4(Ti:B:A)で合計6日培養する。MBLの抗原性用量は1μg
/mlである。培養物に、(Danielsson,L.、Moller,S.
A.およびBorrebaeck C.A.K.Immunology 61、
51−55(1987))のような記載された方法によって産生された組換えI
L−2(5U/ml)およびsPWN−T(25容量%)を補充する。無血清R
PMI1640中に懸濁されたT細胞(10細胞/ml)を2.5mMの新鮮に
調製されたLeu−OMeで40分間室温でインキュベートする。次いで、細胞
を、2%ヒト抗体血清を含むRPMI1640中で3回洗浄する。
【0071】 本発明の1つの実施形態において、MBL結合領域を含むペプチドは、機能的
に活性な抗体フラグメントである。重要なことに、当該分野において周知なよう
に、抗体分子の小さな部位(パラトープ)のみが、抗体のそのエピトープとの結
合に関与する(一般には、Clark,W.R.(1986) The Exp
erimental Foundations of Modern Immu
nology Wiley&Sons、Inc.、New York;Roit
t,I.(1991) Essential Immunology、第7版、
Blackwell Scientific Publications、Ox
fordを参照のこと)。例えば、抗体のpFc’およびFc領域は補体カスケ
ードのエフェクターであるが、抗原結合には関与しない。pFc’領域が酵素的
に切断されている抗体、またはF(ab’)2フラグメントで示される、pFc
’領域なしに産生される抗体は、インタクトな抗体の抗原結合領域の両方を残す
。単離されたF(ab’)2フラグメントは、その2つの抗原結合部位のために
二価のモノクローナル抗体フラグメントと呼ばれる。同様に、Fc領域が酵素的
に切断されている抗体、またはFabフラグメントで示される、Fc領域なしに
産生される抗体は、インタクトな抗体分子の抗原結合部位の1つを残す。さらに
進んで、Fabフラグメントは、抗体軽鎖およびFd(重鎖可変領域)と記され
る抗体重鎖の部位との共有結合からなる。Fdフラグメントは、抗体の特異性の
主要な決定基である(単一のFdフラグメントは抗体の特異性を変えることなく
10以上の異なる軽鎖に関与し得る)、そしてFdフラグメントは、単離におけ
るエピトープ結合能を保持する。用語Fab、Fc、pFc’、F(ab)2
よびFvはこれらの標準的免疫学的意味に一致して用いられる[Klein、I
mmunology(John Wiley、New York、NY、198
2);Clark,W.R.(1986) The Experimental
Foundations of Modern Immunology(Wi
ley&Sons、Inc.、New York);Roitt,I.(199
1) Essential Immunology、第7版(Blackwel
l Scientific Publications、Oxford)]。
【0072】 本明細書中で用いられる用語「機能的に活性な抗体フラグメント」は、寄託さ
れたモノクローナル抗体のような同一の特異性を有するインタクトな抗体の、L
CP関連補体抑制活性を保持する本発明のMBL結合ペプチドを含む抗体分子の
フラグメントを意味する。このようなフラグメントもまた、当該分野において周
知であり、そしてインビトロおよびインビボの両方で正規に利用される。特に、
周知の機能的に活性な抗体フラグメントは、抗体のF(ab’)2、Fab、F
vおよびFdフラグメントを含むが、これらに限定されない。インタクトな抗体
のFcフラグメントを欠くこれらのフラグメントは、循環からより迅速に排泄さ
れ、そしてインタクトな抗体に比べて非特異的な組織結合をほとんど有し得ない
(Wahlら、J.Nucl.Med.24:316−325(1983))。
例えば、単鎖抗体はLadnerらの米国特許第4,946,778号に記載さ
れた方法に従って構築され得る。このような単鎖抗体は、可撓性リンカー部分に
よって結合された軽鎖および重鎖の可変領域を含む。単離された可変重鎖単一ド
メインを含む単一ドメイン抗体(「Fd」)を得るための方法もまた、報告され
た(例えば、単離された型でその標的エピトープと結合するために十分な親和性
を有する抗体重鎖可変領域(VH単一ドメイン抗体)を同定するためのスクリー
ニングの方法を開示する、Wardら、Nature 341:644−646
(1989)を参照のこと)。公知の抗体重鎖および軽鎖可変領域の配列に基づ
く組換えFvフラグメントを作製するための方法は、当該分野において公知であ
り、そして例えば、Mooreら、米国特許第4,462,334号に記載され
た。抗体フラグメントの使用および作製を記載する他の参考は、例えば、Fab
フラグメント(Tijssen、Practice and Theory o
f Enzyme Immunoassays(Elsevieer,Amst
erdam,1985))、Fvフラグメント(Hochmanら、Bioch
emistry 12:1130(1973);Sharonら、Bioche
mistry 15:1591(1976);Ehrilchら、米国特許第4
,355,023号)および抗体分子の一部(Audilore−Hargre
aves、米国特許第4,470,925号)を含む。当業者は、MBLエピト
ープに対する抗体特異性を破壊することなく、インタクトな抗体の種々の部位か
ら抗体フラグメントを構築し得る。
【0073】 機能的に活性な抗体フラグメントもまた、「ヒト化抗体フラグメント」を包含
する。当業者が認識するように、このようなフラグメントは、インタクトなヒト
化抗体の伝統的な酵素切断によって調製され得る。しかし、インタクトな抗体が
、含まれる構築物の特性のためにこのような切断に感受性でない場合、有名な構
築物は、開始材料として用いた免疫グロブリンで調製され得る;または組換え技
術が用いられた場合、DNA配列それ自身は、発現した場合に化学的または生物
学的な手法によってインビボまたはインビトロで結合し、最終の所望のインタク
トな免疫グロブリンフラグメントを調製し得る、所望の「フラグメント」をコー
ドするようにあつらえられ得る。
【0074】 ライブラリーなどからのペプチドの同定に加えて、MBL結合CDR3領域を
含むペプチドを含む本発明のペプチドは、組換え手法によって容易に合成される
かまたは産生され得る。このような方法は、当業者に周知である。ペプチドは、
例えば、市販の自動化ペプチド合成器を用いて合成され得る。ペプチドは、ペプ
チドを発現するDNAを発現ベクターに組込み、そしてペプチドを産生する発現
ベクターで細胞を形質転換することによる組換え技術を用いて産生され得る。
【0075】 CDR領域の配列は、例えば、本発明の合成されるペプチドの使用に関して、
当該分野において公知の方法によって決定され得る。重鎖可変領域は、一般に1
00から150アミノ酸の範囲の長さのペプチドである。軽鎖可変領域は、一般
に80から30アミノ酸の範囲の長さのペプチドである。約3〜25アミノ酸配
列のみを含む重鎖および軽鎖可変領域内のCDR配列は、当業者によって容易に
配列決定され得る。ペプチドは、Scripps Protein and N
ucleic Acids Core Sequencing Facilit
y(La Jolla California)のような商業用の供給源によっ
て合成さえされ得る。
【0076】 寄託されたモノクローナル抗体の特異性の原因である配列は、当業者によって
容易に決定され得る。したがって、本発明によるペプチドは、組換えDNA技術
を用いて調製され得る。この機能を商業的に実施する企業(例えば、Tomas
Jefferson UniversityおよびScripps Prot
ein and Nucleic Acids Core Sequencin
g Facility(La Jolla California))が米国に
存在する。例えば、可変領域cDNAは、ポリメラーゼ連鎖反応によって、寄託
されたハイブリドーマRNAから、変成されたかまたは変成されていないプライ
マー(アミノ酸配列由来の)を用いて調製され得る。cDNAはサブクローニン
グされ、慣用的な配列決定反応または装置によって配列決定するために十分な量
の二本鎖DNAを産生し得る。
【0077】 一旦、寄託されMBLモノクローナル抗体の重鎖Fdおよび軽鎖可変ドメイン
の核酸配列が決定されれば、当業者は、今や、この抗体をコードする核酸、また
は上記の種種の抗体フラグメント、ヒト化抗体もしくはペプチドをコードする核
酸を生成し得る。このような核酸は、本発明のペプチドのクローニングまたは発
現のための組換えベクターを形成する他の核酸に作動可能に連結することが考慮
される。本発明は、原核生物形質転換もしくは真核生物形質転換、トランスフェ
クションまたは遺伝子療法のいずれかのための、コード配列またはその部分を含
有する任意の組換えベクターを含む。このようなベクターは、当業者に公知の従
来の分子生物学的技術を用いて調製され得、そして抗体またはそれらの部分の特
異性に寄与するCDR3領域およびさらなる可変配列のDNAコード配列、なら
びに輸送または分泌のためのシグナル配列を伴う(Whittleら、Prot
ein Eng.1:499,1987およびBurtonら、Science
266:1024〜1027,1994)かまたは伴わない(Marasco
ら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)90:7889,19
93およびDuanら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)9
1:5075〜5079、1994)かのいずれかで、他の非特異的ペプチド配
列および適切なプロモーターを含む。このようなベクターは、原核生物細胞(H
useら、Science 246:1275,1989,Wardら、Nat
ure 341:644〜646、1989;MarksらJ.Mol.Bio
l.222:581、1991およびBarbasら、Proc.Natl.A
cad.Sci.(USA)88:7978,991)もしくは真核生物細胞(
Whittleら、1987およびBurtonら、1994)に形質転換もし
くはトランスフェクトされ得るか、または当業者に公知の従来技術により遺伝子
治療(Marascoら、1993およびDuanら、1994)に用いられ得
る。
【0078】 本明細書において用いる場合、「ベクター」は、異なる遺伝環境の間での輸送
のため、または宿主細胞における発現のため、制限消化および連結により所望の
配列が挿入され得る任意の多数の核酸であり得る。ベクターは代表的にDNAか
らなるがRNAベクターもまた利用可能である。ベクターとしてはプラスミドお
よびファージミドが挙げられるがこれらに限定されない。クローニングベクター
は、宿主細胞中で複製し得るベクターである。このベクターは、ベクターが検出
可能な様式で切断され得かつ所望のDNA配列が連結され得る1つ以上のエンド
ヌクレアーゼ制限部位によりさらに特徴付けられ、これにより新しい組換えベク
ターは、宿主細胞中で複製能力を保持する。プラスミドの場合、所望の配列の複
製は、プラスミドが宿主細菌内でコピー数を増加する分だけ、多数回生じ得るか
,または有糸分裂による宿主再生の前に、1宿主あたり1回だけ生じ得る。ファ
ージの場合、複製は、溶菌フェーズ期に能動的にまたは溶原性フェーズ期に受動
的に生じ得る。発現ベクターは、所望のDNA配列が、調節配列に作動可能に連
結されるように、制限消化および連結によって挿入され、そしてRNA転写物と
して発現され得るベクターである。ベクターは、このベクターを用いて形質転換
またはトランスフェクトされたかまたはされていない細胞の同定における使用の
ために適切な1つ以上のマーカー配列をさらに含み得る。マーカーとしては、例
えば、抗生物質または他の化合物に対する耐性もしくは感受性のいずれかを増加
するかもしくは減少するタンパク質をコードする遺伝子、活性が当該分野で公知
の標準的アッセイによって検出可能である酵素をコードする遺伝子(例えば、β
ガラクトシダーゼまたはアルカリホスファターゼ)、および形質転換またはトラ
ンスフェクトした細胞、宿主、コロニーまたはプラークの表現型に可視的に影響
する遺伝子が挙げられる。好ましいベクターは、構造遺伝子が作動可能に連結さ
れるDNAセグメントに存在する自律的に複製し得、そしてその構造遺伝子の産
物を発現し得るベクターである。本発明の発現ベクターは、本発明のペプチドの
1つをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した調節配列を含む。本明
細書において用いる場合、用語「調節配列」は、所望のペプチドをコードするヌ
クレオチド配列の転写に必須であるかもしくは転写を誘導するヌクレオチド配列
、および/または得られた転写物の所望のペプチドへの翻訳に必須であるかもし
くは翻訳を誘導するヌクレオチド配列を意味する。調節配列は、オペレーター、
プロモーターおよびリボソーム結合配列などの5’配列、ならびにポリアデニル
化シグナルなどの3’配列を含むが、これらに限定されない。本発明のベクター
は、必要に応じて、5’リーダー配列またはシグナル配列、タンパク質の精製を
補助する融合産物をコードする5’配列または3’配列、および形質転換体の同
定または選択を補助する種々のマーカーを含み得る。適切なベクターの選択およ
び設計は、当業者の能力および決定の範囲内である。その後のペプチドの精製は
、当該分野で公知の任意の種々の標準的手段により達成され得る。
【0079】 ペプチドをスクリーニングするために好ましいが、本発明のペプチドの大量生
成には必ずしも好ましくないベクターは、アミノ酸末端からカルボキシ末端方向
に、以下を含む融合ペプチドをコードし、そして発現し得るヌクレオチド配列を
含む組換えDNA分子である:(1)原核生物分泌シグナルドメイン、(2)本
発明のペプチド、および、必要に応じて(3)融合タンパク質ドメイン。このベ
クターは、融合ペプチド、好ましくは原核生物調節配列を発現するためのDNA
調節配列を含む。このようなベクターは、当業者により構築され得、そしてSm
ithら(Science 228:1315〜1317、1985)、Cla
cksonら(Nature 352:624〜628、1991);Kang
ら(「Methods:A Companion to Methods in
Enzymology:第2巻」、R.A.LernerおよびD.R.Bu
rton編、Academic Press,NY、111〜118頁、199
1);Barbasら(Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)8
8:7978〜7982、1991)、Robertsら(Proc.Natl
.Acad.Sci.(USA)89:2429〜2433、1992)により
記載されている。
【0080】 融合ペプチドは、本発明のペプチドの精製に有用であり得る。例えば、融合ド
メインは、市販のベクターpMAL(New England BioLabs
、Beverly,MA)のNi+カラムまたはマルトース結合タンパク質上で
精製を可能にするポリ−Hisテイルを含み得る。現在好ましくは(決して必須
というわけではないが)融合ドメインは、糸状のファージメンブレンアンカーで
ある。このドメインは、モノクローナル抗体のファージディスプレイライブラリ
ーをスクリーニングするために特に有用であるが、抗体の大量生成には有用性が
低いかもしれない。糸状ファージメンブレンアンカーは、好ましくは、糸状ファ
ージ粒子のマトリックスと会合し得るcpIII被膜タンパク質またはcpVI
II被膜タンパク質のドメインであり、これによりファージ表面に融合ペプチド
を組み込み、特定の抗原またはエピトープへの固相結合を可能にし、そしてこれ
によりファージミドベクターによりコードされる特異的抗体またはフラグメント
の富化および選択を可能にする。
【0081】 分泌シグナルは、宿主細胞のタンパク質膜(例えば、グラム陰性細菌の周辺質
の膜)を標的するタンパク質のリーダーペプチドドメインである。E.coli
について好ましい分泌シグナルは、pelB分泌シグナルである。Erwini
a carotovaから改変体を生成する2つのpelB遺伝子からの分泌シ
グナルドメインの予測されるアミノ酸残基配列は、Leiら(Nature 3
81:543〜546、1988)に記載されている。pelBタンパク質のリ
ーダー配列は、融合タンパク質の分泌シグナルとして以前に用いられている(B
etterら、Science 240:1041〜1043、1988;Sa
stryら、Proc.Natl.Acad.Sci(USA)86:5728
〜5732、1989;およびMullinaxら、Proc.Natl.Ac
ad.Sci.(USA)87:8095〜8099、1990)。本発明にお
いて有用なE.coli由来の他の分泌シグナルペプチドのアミノ酸残基配列は
、Oliver、Neidhard、F.C.(編)Escherichia
coli and Salmonella Typhimurium、Amer
ican Society for Microbiology、Washin
gton,D.C.,1:56〜69(1987)に見出され得る。
【0082】 E.coliにおける高レベルの遺伝子発現を獲得するためには、大量のmR
NAを生成するための強力なプロモーターのみならず、mRNAが効果的に翻訳
されることを確実にするリボソーム結合部位も使用することが必要である。E.
coliにおいて、このリボソーム結合部位は、開始コドン(AUG)および開
始コドンの3〜11ヌクレオチド上流に位置する3〜9ヌクレオチド長の配列を
含む(Shineら、Nature 254:34、1975)。この配列AG
GAGGU(Shine−Dalgarno(SD)配列と呼ばれる)は、E.
coli 16S rRNAの3’末端に相補的である。mRNAおよびmRN
Aの3’末端の配列へのリボソームの結合は、以下のいくつかの因子により影響
され得る: (I)16S rRNAのSD配列と3’末端との間の相補性の程度。 (ii)SD配列とAUGとの間にある間隔(可能性としてDNA配列)(Ro
bertsら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)76:76
0、1979a:Robertsら、Proc.Natl.Acad.Sci.
(USA)76:5596、1979b;Guarenteら、Science
209:1428、1980;および Guarenteら、Cell 20
:543、1980)。最適化は、プラスミドにおける遺伝子の発現のレベルを
測定することにより達成される。ここでこの間隔は体系的に変化される。ことな
るmRNAの比較は、位置−20〜+13(ここでAUGのAが位置0)の統計
的に好ましい配列が存在することを示す(Goldら、Annu.Rev.Mi
crobiol.35:365,1981)。リーダー配列は、翻訳に劇的に影
響することが示されている(Robertsら、1979a、b前出)。 (iii)リボソーム結合に影響する、AUGの後のヌクレオチド配列(Tan
iguchiら、J.Mol.Biol.118:533,1978)。 3’調節配列は、異種融合ペプチドとインフレームで、そして異種融合ペプチド
と作動可能に連結されて、少なくとも1つの終止(ストップ)コドンを規定する
【0083】 原核生物発現宿主を用いる好ましい実施形態では、利用されるベクターは、原
核生物の複製起点またはレプリコン(すなわち、ベクターで形質転換された、原
核生物宿主細胞(例えば、細菌宿主細胞)中で染色体外で、組換えDNA分子の
自己複製および維持を指向する能力を有するDNA配列)を含む。このような複
製起点は、当該分野で周知である。好ましい複製起点は、宿主生物体において効
率的である複製起点である。好ましい宿主細胞は、E.coliである。E.c
oliにおけるベクターの使用については、好ましい複製起点は、pBR322
において見出されるColE1および種々の他の通常のプラスミドである。また
、pACYC上で見出されるp15A複製起点およびその誘導体も好ましい。C
olE1およびp15Aレプリコンは、分子生物学において広範に利用されてき
ており、種々のプラスミド上で利用可能であり、そしてSambrookら、M
olecular Cloning:A Laboratory Manual
、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory P
ress、1989に記載されている。
【0084】 さらに、原核生物レプリコンを含むこれらの実施形態はまた、好ましくは、発
現により、それらのレプリコンで形質転換した細菌宿主に対して選択的利点(例
えば薬物耐性)を付与する遺伝子を含む。代表的な細菌の薬物耐性遺伝子は、ア
ンピシリン、テトラサイクリン、ネオマイシン/カナマイシンまたはクロラムフ
ェニコールに対する耐性を付与する遺伝子である。ベクターはまた、代表的に、
翻訳可能DNA配列の挿入のための便利な制限部位を含む。代表的なベクターは
、プラスミドpUC18およびpUC19、ならびに誘導されたベクター(例え
ば、Invitrogen(San Diego,CA)から販売のpcDNA
II)である。
【0085】 本発明のペプチドが重鎖配列および軽鎖配列の両方を含む抗体である場合、こ
れらの配列は、別のベクター上でコードされてもよいし、またはより便利には、
単一のベクターにより発現されてもよい。この重鎖および軽鎖は、翻訳後または
分泌後、ヘテロダイマー構造の天然の抗体分子を形成し得る。このようなヘテロ
ダイマー抗体は、重鎖と軽鎖との間のジスルフィド結合により安定化されても、
また安定化されなくてもよい。
【0086】 ヘテロダイマー抗体(例えば、本発明のインタクトな抗体、または本発明のF
(ab’)2フラグメント抗体、Fabフラグメント抗体もしくはFvフラグメ
ント抗体)の発現のためのベクターは、翻訳可能な第1のDNA配列および第2
のDNA配列を受けとり、そして発現するために適合した組換えDNA分子であ
る。すなわち、ヘテロダイマー抗体を発現するためのDNA発現ベクターは、2
つの翻訳可能DNA配列を、ベクター中に存在する2つの別のカセット中に、独
立してクローニング(挿入)して、ヘテロダイマー抗体の第1のペプチドおよび
第2のペプチドを発現するための2つの別のシストロンを形成するためのシステ
ムを提供する。2つのシストロンを発現するためのDNA発現ベクターは、ジシ
ストロン性(dicistronic)発現ベクターと呼ばれる。
【0087】 好ましくは、このベクターは、インサートDNAへの方向性を有する連結につ
いて適合したヌクレオチドの配列を介して作動可能に連結した上流および下流の
DNA調節配列を含む第1のカセットを含む。上流の翻訳可能配列は好ましくは
、上記のように分泌シグナルをコードする。このカセットは、インサート翻訳可
能DNA配列(インサートDNA)が、方向性を有する連結に適合したヌクレオ
チドの配列を介してこのカセットに方向性を有して挿入される場合に生成される
第1の抗体ペプチドを発現するためのDNA調節配列を含む。
【0088】 ジシストロニック発現ベクターはまた、第2の抗体ペプチドを発現するための
第2のカセットを含む。この第2のカセットは、このカセットのリーディングフ
レーム中の少なくとも1つの終止コドンを代表的には規定するベクターの下流D
NA配列に対する方向性を有する連結に適合したヌクレオチドの配列を介して、
その3’末端で作動可能に連結した上記の分泌シグナルを、好ましくはコードす
る第2の翻訳可能DNA配列番号を含む。この第2の翻訳可能DNA配列は、5
’エレメントを形成するDNA調節配列に、その5’末端で作動可能に連結され
る。この第2のカセットは、翻訳可能DNA配列(インサートDNA)の挿入の
際に、このインサートDNAによりコードされるペプチドとともに分泌シグナル
を含む第2の融合ペプチドを発現し得る。
【0089】 本発明のペプチドはまた、当然ながら、CHO細胞、ヒトハイブリドーマ、不
死化Bリンパ芽球状細胞などのような真核生物細胞により生成され得る。この場
合、真核生物調節配列がこのペプチドをコードするヌクレオチド配列に作動可能
に連結しているベクターが構築される。適切な真核生物ベクターの設計および選
択は、当業者の能力および裁量の範囲内である。ペプチドのその後の精製は、当
該分野で公知の任意の種々の標準的手段により達成され得る。
【0090】 別の実施形態では、本発明は、本発明のベクターで形質転換されたかまたはト
ランスフェクトされて、本発明のベクターを含む、原核生物および真核生物の両
方の宿主細胞を提供する。
【0091】 本明細書において用いる場合、コード配列および調節配列は、それが調節配列
の影響または制御下でコード配列の発現または転写を行うような方法で共有結合
的に連結されている場合、「作動可能に連結される」といわれる。コード配列が
機能的ペプチドに翻訳されることが所望される場合、2つのDNA配列は、5’
調節配列中のプロモーターの誘導がコード配列の転写を生じる場合、および2つ
のDNA配列の間の連結の性質が以下:(1)フレーム−シフト変異の誘導を生
じない、(2)プロモーター領域がコード配列番号の転写を指向する能力を妨害
しない、または(3)タンパク質に翻訳されるべき対応するRNA転写物の能力
を妨げない、場合に、作動可能に連結されていると呼ばれる。従って、プロモー
ター領域は、プロモーター領域がそのDNA配列の転写を生じ得、それにより得
られた転写物が所望のポリペプチドに翻訳され得る場合、コード配列に作動可能
に連結されている。
【0092】 遺伝子発現に必要な調節配列の正確な性質は、種または細胞型の間で変化し得
るが、概して、必要な場合、それぞれ転写および翻訳の開始に関与する5’非転
写配列および5’非翻訳配列(例えば、TATAボックス、キャップ配列、CA
AT配列など)を含む。特に、このような5’非転写調節配列は、作動可能に連
結した遺伝子の転写制御のためのプロモーター配列を含むプロモーター領域を含
む。調節配列はまた、所望の場合、エンハンサー配列または上流アクチベーター
配列を含み得る。
【0093】 本発明の方法に従って、この組成物は、薬学的に受容可能な組成物中に投与さ
れ得る。概して、モノクローナル抗体、抗体フラグメントおよびペプチドのため
に薬学的に受容可能なキャリアは、当業者に周知である。本明細書において用い
る場合、薬学的に受容可能なキャリアとは、活性成分の生物学的活性の有効性(
すなわち、MBLインヒビターがLCP関連補体活性化を阻害する能力)を妨害
しない非毒性物質を意味する。薬学的に受容可能なキャリアとしては、希釈剤、
充填剤、塩、緩衝液、安定化剤、可溶化剤、および当該分野で周知の他の物質が
挙げられる。特にペプチドのための代表的な薬学的に受容可能なキャリアは、米
国特許第5,211,657号に記載される。本発明のペプチドは、固体、半固
体、液体またはガス状形態中の調製物(例えば、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、
軟膏、溶液、デポ剤、吸入剤(例えばエアロゾル)および注射液)、ならびに経
口投与、非経口投与または外科投与のための有用な手段に処方され得る。本発明
はまた、本発明の組成物の局所投与を包含し、これにはインプラントとしてを含
む。
【0094】 本発明の方法に従って、この組成物は、注射により、経時的な漸増注入により
、または任意の他の医学的に受容可能な様式で投与され得る。この投与は、例え
ば、静脈内、腹腔内、筋肉内、腔内、皮下または経皮投与であってもよい。非経
口投与のための調製物としては、滅菌の水溶液または非水性溶液、懸濁液および
エマルジョンが挙げられる。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエ
チレングリコール、植物油(例えば、オリーブ油)、注射用有機エステル(例え
ば、エチルオリエート(ethyloliate))である。水性キャリアとし
ては、水、アルコール/水溶液、エマルジョンまたは懸濁液(これには生理食塩
水および緩衝化媒体を含む)が挙げられる。非経口ビヒクル(溶媒)としては、
塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロースおよび塩化ナト
リウム、乳酸リンゲル、または不揮発性油が挙げられる。静脈内ビヒクルとして
は、輸液および栄養補充液、電解質補充液(例えば、リンゲルデキストロースに
基づく)などが挙げられる。保存剤および他の添加物はまた、例えば、抗菌薬、
抗酸化剤、キレート剤および不活性ガスなどが存在し得る。当業者は、過度な実
験を要することなくこれらの代替的薬学的組成物を調製するための種々のパラメ
ーターを容易に決定し得る。本発明の組成物が、肺の障害の処置のために投与さ
れる場合、この組成物は例えば、エアロゾルによって送達され得る。
【0095】 本発明の組成物は、治療上有効量で投与される。本明細書において用いる場合
、本発明のインヒビターの「有効量」は、所望されないLCP関連補体活性化の
量の増大、維持、または低下をさえ、阻害するのに十分な投薬量である。有効量
は、MBL媒介障害に関する症状が緩和または減弱されるまで、関連する細胞性
傷害を阻害する所望の効果を生じるのに十分である。好ましくは、ペプチドの有
効量は、細胞性傷害を防ぐための有効量である。一般に、治療上有効な量は、被
験体の年齢、状態および性別、ならびに被験体における疾患の程度によって変化
し得、そして当業者によって決定され得る。この投薬量は、任意の合併症の事例
において、個々の医師または獣医師により調整され得る。治療上有効な量は、1
または数日間、1日1回以上の用量投与で、代表的には約0.01mg/kg〜
約500mg/kgに変化し、代表的には、0.1mg/kg〜約200mg/
kg、そしてしばしば、約0.2mg/kg〜約20mg/kgである(当然な
がら、上記の投与の様式および因子に依存する)。このインヒビターの好ましい
濃度は、被験体の血漿中のMBLの濃度に等モルである濃度である。MBLの正
常な血漿濃度は、臨床的に評価され得る。MBLの正常な範囲は、1〜2μg/
mlのMBL/血漿である。
【0096】 当業者は、インヒビターがインビトロアッセイにおいてLCP関連補体活性化
を阻害する能力をスクリーニングすることにより、このインヒビターの有効量を
決定し得る。インヒビターの活性は、インヒビターがLCP関連補体活性化を阻
害する能力に関して規定され得る。本発明の推定インヒビターがLCP関連補体
活性化を阻害する能力を測定するための代表的アッセイは、本実施例において提
供され、そして上記で考察されている。代表的アッセイは、インヒビターがイン
ビボにおいてLCP関連補体活性化を阻害する能力の指標であり、これにより、
治療適用のためのインヒビターを選択するために用いられ得る。
【0097】 MBLインヒビターは、薬学的に受容可能なキャリア中で投与され得る。用語
「薬学的に受容可能」とは、組織または生物体のような生物学的システムと相性
が良い非毒性物質をいう。薬学的に受容可能なキャリアは、インビボ投与のため
には滅菌されなければならない。このキャリアの特徴は、投与の経路に依存する
。このキャリアの特徴は、投与の経路に依存する。
【0098】 本発明は、さらに、検出可能に標識した、固定されたおよび毒素結合体化形態
の、ペプチド、抗体およびそれらのフラグメントを提供する。抗体は、放射性標
識、蛍光標識、酵素標識、フリーラジカル標識、アビジン−ビオチン標識、また
はバクテリオファージ標識を用いて標識され得、これには当該分野で公知の技術
を用いる(Chard,Laboratory Techniques in
Biology、「An Introduction to Radioimm
unoassay and Related Techniques」Nort
h Holland Publishing Company(1978))。
【0099】 代表的蛍光標識としては、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、
フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニンおよびフルオレサミン
が挙げられる。
【0100】 代表的化学発光化合物としては、ルミノール、イソルミノール、芳香族アクリ
ジニウムエステル、イミダゾールおよびオキザラートエステルが挙げられる。
【0101】 代表的生物発光化合物としては、ルシフェリンおよびルシフェラーゼが挙げら
れる。代表的酵素としては、アルカリホスファターゼ、βガラクトシダーゼ、グ
ルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、マレイン酸デヒドロゲナーゼ、
グルコースオキシダーゼおよびペルオキシダーゼが挙げられる。
【0102】 本発明はまた、MBLインヒビターでの処置に対する感受性について被験体を
スクリーニングするための方法を含む。1つの局面において、この方法は、被験
体からの哺乳動物細胞の単離、および哺乳動物細胞の表面上のMBLまたはMB
Lリガンドの存在の検出により達成される。MBLの存在は、この細胞が、LC
P関連補体活性化に対して感受性であること、およびその被験体がMBLインヒ
ビターでの処置に対して感受性であることを示す。哺乳動物細胞は、当該分野で
公知の任意の方法、例えば、生検により単離され得る。スクリーニングアッセイ
を達成するための別の方法は、被験体由来の哺乳動物細胞と標識した単離MBL
結合ペプチドを接触させる工程、および哺乳動物細胞の表面上のMBLの存在を
検出する工程を包含する。このアッセイは、インビトロ、エクスビボ、またはイ
ンビボで実行され得る。哺乳動物細胞と相互作用するMBL結合ペプチドを観察
するために用いられ得る多くの標識が、これらのそれぞれの条件下において当該
分野で公知である。例えば、放射活性化合物は、インビトロにおいて用いられ得
、そして他の生体適合性標識は、エクスビボまたはインビボにおいて用いられ得
る。一旦、MBLインヒビターでの処置に感受性である被験体が同定されれば、
次いで、この被験体は本発明の方法に従って処置され得る。
【0103】 以下の実施例は、本発明の実施の特定の例を示すために提供され、そして本発
明をこれらの実施例に制限するために構成されるものではない。当業者に明白な
ように、本発明は、種々の組成物および方法において適用を見出す。
【0104】 (実施例) (実施例1:ヒト冠状動脈におけるMBLおよび補体の沈着) MBLの単離および精製。MBLおよび付随するMASPを、ヒト血漿から精
製した。MBLをヒト血漿から、以前に記載されたように(Tan,Chung
ら、1996 Biochem.J.319、329〜332)単離した。手短
には、ヒト血漿を、7%のPEG3500(w:v)と混合した。ペレットを、
遠心分離によって収集し、そしてTBS−Ca2+[50mM Tris、150
mM NaCl、0.05% Tween 20および20mM CaCl2
pH7.8)]に再懸濁した。上清を、マンナン−Sepharoseカラム(
25ml、Sigma)にアプライした。カラムを109mM EDTAを有す
るTBS−Ca2+で洗浄した。タンパク質含有上清を、40mM カルシウムま
で、石灰化して、次に、マルトース−Sepharoseカラム(5ml)にア
プライした。カラムをTBS−Ca2+で洗浄して、次に、100mMのN−アセ
チルグルコサミンを含有するTBS−Ca2+で溶出した。ウェスタン分析および
SDS−PAGEで、MBLの純度、ならびにIgGおよびIgMの非存在を確
立した。精製されたMBLおよび付随するMASPをSDS/PAGEによって
分析した。IgGおよび/またはIgMの混入を妨げるためにウェスタンブロッ
トを行った。
【0105】 抗ヒトMBL抗体の産生。精製されたヒトMBLを使用して、ウサギを免疫し
て、ポリクローナル抗ヒトMBL抗体を生成した(Harlow Eら、Ant
ibodies:A Laboratory manual.Cold Spr
ing Harbor,NY,Cold Spring Harbor Lab
oratory,1988)。成体ウサギに、完全フロイントのアジュバント中
に乳濁した100μgのMBLを注入した。追加免疫(不完全フロイントのアジ
ュバント中の100μgのMBL)を、初回刺激免疫の4週間後に開始して、4
週間間隔で続けた。ポリクローナルIgG抗ヒトMBL抗体(R2.2)をプロ
テインGアフィニティークロマトグラフィーによって血清から精製した。
【0106】 ヒト冠状動脈免疫組織化学。MBL、C3d、IgG、IgM、トランスフェ
リン、およびハプトグロビン沈着の免疫組織化学分析を、急性心筋梗塞(MI)
から二次的に死亡した患者からの剖検(Department of Path
ology,University of Helsinki,Finland
)から得た正常ヒト心外膜冠状動脈(n=14)およびアテローム硬化型ヒト心
外膜冠状動脈(n=18)からの組織標本で行った。コントロール標本は、心血
管性の原因以外で死亡した患者から得られた組織学的に正常な冠状動脈であった
。平均(±SD)MIの年齢(臨床的発症の開始と死亡の間の時間差)は、5±
5日であった。急性MIに罹患する患者の平均(±SD)年齢は、コントロール
患者の66±24歳と比較すると、65±15歳であった。梗塞となった心筋を
、変色、蒼白、および充血によって、剖検において顕微鏡で同定した。顕微鏡診
断を改善するために、非固定化心筋のスライスを、損傷を受けた心筋を非染色の
ままにしておくニトロブルーテトラゾリウム溶液中でインキュベートした。梗塞
の組織病理学的な第1の徴候は、波形の心筋繊維および筋細胞溶解、その後の凝
固壊死の徴候であった(すなわち、浮腫、出血、好中球浸潤および核濃縮)。2
4時間以降の梗塞は、多量の間質の好中球浸潤とともに、核の損失および条線を
有する全体としての凝固壊死の徴候を示した。間接的免疫蛍光(IFL)顕微鏡
のための冠状血管サンプルを、液体窒素中で急激に凍結して、分析まで−80℃
で保存した。凍結した切片(4μm)を、風乾して、−20℃のアセトン中で1
0分間固定化した。次にその組織サンプルを、30分間22℃で、ポリクローナ
ルウサギ抗ヒトC3d抗体(Dakopatts、Glostrup、Denm
ark)、MBL(ポリクローナルR2.2)、IgG、IgM、トランスフェ
リン、またはハプトグロビン抗体(全てBehringwerke AG、Ge
rmanyに由来)のいずれかと共にインキュベートした。PBSでの洗浄後、
次に、標本を適切なフルオレセインイソチオシアネート(FITC)−結合体化
二次抗体で、染色した。コントロールは、非免疫血清または二次抗体のみととも
にインキュベートされた標本からなった。次に、スライドをMowiolにマウ
ントして、FITC蛍光に特異的なフィルターを備えたOlympusの標準的
な顕微鏡を用いて試験した。
【0107】 結果。急性MIに罹患する患者由来のアテローム硬化型冠状動脈は、内皮、内
膜、および中膜における特異的MBLおよびC3d沈着を実証した。ヒト冠状動
脈の免疫組織化学的分析、特にアテローム硬化型ヒト冠状動脈におけるMBLお
よびC3d沈着のIFL顕微鏡での実証を、行った。MBLおよびC3dが、ア
テローム硬化型病変内に同時局在することを観察した。正常の冠状動脈のMBL
染色もまた行った。ヒトトランスフェリン、ハプトグロビン、IgG、およびI
gMに対する抗血清は、正常のヒト冠状動脈もアテローム硬化型冠状動脈も染色
しなかった。
【0108】 さらに、MBLを、C3dと同時局在することを観察した。破裂したアテロー
ム硬化型プラークにおいて、染色強度が最大であった。特に、MBLおよびC3
d沈着は、アテローム硬化型病変中の脂質コアおよびそのコアの周辺の領域にお
いて最大のようであった。正常の冠状動脈においてMBL沈着は見られなかった
が、基底膜は、時としてMBLで軽度に染色されたようであった。さらに、ヒト
トランスフェリン、ハプトグロビン、IgGおよびIgMに対する抗血清は、正
常ヒト冠状動脈も、急性MI患者から得られた血管中のアテローム硬化型病変も
染色しなかった。同様に、ヒト冠血管が非免疫ウサギ血清または二次抗体のみで
染色したコントロール実験において、染色は観察されなかった。これらのデータ
は、MBLが急性MIで死亡した患者におけるヒト冠状アテローム硬化型病変に
おいて補体と同時局在することを実証した。
【0109】 (実施例2:内皮の低酸素/再酸素負荷がMBL沈着をもたらす) 細胞培養。ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)を0.1%コラゲナーゼ(Wo
rthington Biochemical Corp.,Freehold
,NJ)を用いて採取して、20%熱非働化子ウシ血清(Gibco Life
Technologies Inc.,Grand Island,NY)を
含有するMedia199に懸濁した。最初に細胞を75cm2フラスコまたは
100mmぺトリ皿(Corning Costar、Cambridge、M
A)のいずれか中に播種し、そして95%大気および5%CO2中で37℃でイ
ンキュベートした。コンフルエントの時点で、内皮細胞を、0.5%トリプシン
−EDTAを用いて継代した。内皮細胞の純度を、位相差顕微鏡(phase
microscopic)の「丸石(cobblestone)出現」、蛍光性
のアセチル化低密度リポタンパク質の取り込み、およびウィルブランド因子の存
在によって評価した。全ての実験を、継代1〜3の間のHUVECにおいて行っ
た。
【0110】 MBL−枯渇ヒト血清(HS)。HSを、4%ビーズアガロースと架橋したマ
ンナン(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)を
使用するアフィニティークロマトグラフィーによってMBLを枯渇した。全ての
操作を、4℃で行った。HSを、2mmol/Lのエチレンジアミン四酢酸(E
DTA)およびフェニルメタンスルホニルフルオライド(PMSF)で処理して
補体の活性化を阻害し、そしてローディング緩衝液(1.25mmol/L N
aCl、10mmol/L イミダゾール、20mmol/L CaCl2、p
H7.8)で平衡化したマンナンカラムにアプライした。生じる溶出液を、Mg 2+ およびCa2+を含有するハンクス緩衝化塩溶液中で一晩透析した。
【0111】 フローサイトメトリー。HUVECを、ゼラチンでコートした100mmぺト
リ皿中で、コンフルエンスまで増殖させた。MBL沈着を、フローサイトメトリ
ーによって、酸素正常状態の(normoxic)HUVEC、および30%H
Sの存在下で低酸素に24時間供して、その後再酸素負荷に3時間供したHUV
ECにおいて測定した。その細胞をCa2+を含まない緩衝液または十分な緩衝液
中で洗浄した後、その細胞を、固定化し、擦り取り、次に20μg/mlのモノ
クローナル抗ヒトMBL抗体(Biodesign、Kennebunk、ME
、クローン#131−1)またはブタC5aに対するイソタイプコントロールモ
ノクローナル抗体とともに1.5時間4℃でインキュベートした。次にこの細胞
を洗浄して、FITC結合体化ヤギ抗マウスIgG二次抗体とともに、1時間、
4℃でインキュベートした。HUVECに対するMBL沈着を、FACSort
フローサイトメーター(Becton Dickinson,San Jose
,CA)を使用する蛍光標示式細胞分取器(FACS)によって測定した。全て
のフローサイトメトリー実験を三連において行った。
【0112】 酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)実験。C3およびMBL特異的細胞表
面ELISAを、それぞれペルオキシダーゼ結合体化ポリクローナルヤギ抗ヒト
C3抗体(Cappel、West Chester、PA)およびモノクロー
ナル抗ヒトMBL抗体(Biodesign,Kennebunk,ME,クロ
ーン#131−1)を使用して発色させた。HUVECを0.1%ゼラチン化9
6ウェルプラスチックプレート(Corning Costar、Cambri
dge,MA)上でコンフルエンスまで増殖させた。次に、そのプレートを0(
酸素正常状態)時間または24時間の低酸素に供した。低酸素ストレスを、加湿
シール化チャンバー(Coy Laboratory Products,In
c.,Grass Lake,MI)を使用して、1% O2、5% CO2、バ
ランス N2(Collard CDら、「Reoxygenation of
hypoxic human umbilical vein endoth
elial cells activates the classical
complement pathway」、Circulation 1997
;96:326〜333)のガスを供給して37℃で維持した。特定の期間の酸
素正常状態または低酸素の後、細胞培地を吸引して、そして各ウェルに以下の1
つの100μlを添加した:1)30% HS、2)ハンクス平衡化塩溶液、3
)30% HS+3、30、または300mmol/LのGluNAc、4)3
0% HS+3、30、または300mmol/LのD−マンノース、5)30
% HS+3、30、300mmol/LのL−マンノース、6)30% MB
L枯渇HS+3F8(0、20、50μg/ml)、あるいは7)30% MB
L枯渇HS+0.6μg/ml MBL。さらに、100μlの精製MBL(3
〜300ng/ml)を添加してウェルを選択して、MBL沈着の定量的分析の
ための標準曲線を形成した。次に、この細胞を、3時間、37℃で、95%大気
および5%のCO2中で、再酸素負荷した。この細胞を洗浄し、そして1%パラ
ホルムアルデヒド(Sigma Chemical Co.,St.Louis
,MO)を用いて30分間固定化した。次にこの細胞を洗浄し、そして50μl
のペルオキシダーゼ結合体化ポリクローナルヤギ抗ヒトC3抗体(1:1000
希釈)またはモノクローナル抗ヒトMBL抗体(1:1000希釈)とともに、
4℃で1.5時間インキュベートした。次に、MBL ELISAプレートを洗
浄し、そして50μlのペルオキシダーゼ結合体化ポリクローナルヤギ抗マウス
IgG二次抗体(1:1000希釈)とともに、1時間4℃でインキュベートし
た。その細胞の洗浄後、そのプレートを50μlのABTS(2,2’−アジノ
−ビス(3−エチルベンズチアゾリン−6−スルホン酸))で発色し、そして4
05nmで読み取った(Molecular Devices、Sunnyva
le、CA)。C3 ELISAのバックグラウンドコントロールは、抗ヒトC
3抗体のみを添加した細胞(すなわち、HSなし)、または30%熱非働化HS
とインキュベートした細胞からなった。MBL ELISAのバックグラウンド
コントロールは、二次抗体およびブタC5に対するイソタイプコントロールモノ
クローナル抗体のみを添加した細胞からなった。バックグラウンド光学密度を、
全ての群から除算した。すべてのELISA実験を、実験群ごとに3回、6つの
ウェルを使用して行った。酸素正常状態HUVEC対低酸素HUVECにおける
内皮C3およびMBL沈着を、二方向分散分析(ANOVA)によって分析した
【0113】 結果。内皮MBL沈着のフローサイトメトリー分析(図2)は、30% HS
中で再酸素負荷(3時間)した低酸素HUVEC(24時間)の平均蛍光強度(
MFI)が、緩衝液単独中で再酸素負荷した酸素正常状態HUVECまたは低酸
素HUVECよりも有意に大きかった。さらに、細胞をCa2+を含まない緩衝液
中で洗浄した場合、低酸素/再酸素負荷後のMBL沈着は、観察されなかった。
従って、低酸素/再酸素負荷したHUVECにおけるMBL沈着は、Ca2+依存
性であった。
【0114】 これらの知見をさらに確認するために、MBL沈着を、酸素正常状態HUVE
CにおけるELISAによって、および30% HSの存在下またはMBL沈着
を競合的に阻害するために3、30、もしくは300mmol/LのN−アセチ
ル−D−グルコサミン(GluNAc)で処理した30% HSの存在下での2
4時間の低酸素とその後の3時間の再酸素負荷に供したHUVECにおけるEL
ISAによって測定した。30% HS中で再酸素負荷した低酸素HUVECに
おけるMBL沈着は、酸素正常状態HUVECまたはGluNAcで処理したH
S中で再酸素負荷したHUVEC(図3)におけるよりも、有意に大きかった(
約3倍増加;p<0.05)。HSへのGluNAcの添加は、用量依存様式に
おいて低酸素/再酸素負荷HUVECにおけるMBL沈着を有意に阻害し、それ
ぞれ3、30、および300mmol/LのGluNAcは、MBL沈着を40
±4%、71±5%および96±3%減少した。最後に、精製したヒトMBL(
3〜300ng/ml)の添加によって形成される標準曲線の定量的分析は、2
×105HUVEC/ウェルおよびMBLの分子量が600kDaであると仮定
すると、低酸素/再酸素負荷HUVECのウェルあたり約3ngすなわち、8.
3×10-5fmolのMBLの最大沈着(例えば、48,200±1000分子
/細胞)を示した。従って、低酸素/再酸素負荷は、内皮MBL沈着を増加する
【0115】 (実施例3:MBLの競合的阻害後のiC3bの沈着) HUVEC細胞培養およびELISAによるiC3b沈着の定量を、実施例2
に概説するように実施した。
【0116】 結果。HUVECを、0または24時間の低酸素に供し、その後、30% H
Sの存在下、あるいはMBL沈着、LCP活性化およびiC3b沈着を阻害する
ための3、30、または300mmol/LのGluNAc、D−マンノースま
たはL−マンノースで処理した30% HS存在下での、3時間の再酸素負荷に
供した。30% HS中、またはL−マンノースで処理した30% HS中で再
酸素負荷した低酸素HUVECにおけるiC3bの沈着は、酸素正常状態HUV
EC(OD405=0.05±0.01)またはGluNAcもしくはD−マンノ
ースで処理したHS中で再酸素負荷した低酸素HUVECおけるよりも、有意に
大きかった(約3倍;OD405=0.14±0.01;p<0.05)(図4a
)。さらに、L−マンノースではなく、D−マンノースは、用量依存様式におい
て低酸素/再酸素負荷HUVECにおけるiC3b沈着を阻害し、それぞれ3、
30、および300mmol/LのD−マンノースが、19±2%、52±3%
、および96±2%、iC3b沈着を減少した。従って、これらのデータは、再
酸素負荷の間のGluNAcまたはD−マンノースを使用するMBL沈着の阻害
が、低酸素内皮細胞の再酸素負荷後の補体活性化およびiC3b沈着を有意に減
少することを実証した。さらに、300mmol/Lまでの濃度のL−マンノー
スがiC3b沈着を阻害しなかったので、マンノースを用いるiC3b沈着の阻
害は、立体特異的であった(図4a)。
【0117】 (実施例4:MBL枯渇および再構成後のiC3bの沈着) HUVEC細胞培養およびELISAによるiC3b沈着の定量を、実施例2
のように実行した。
【0118】 結果。HUVECを、0または24時間の低酸素に供し、その後、30% H
Sの存在下、30% MBL枯渇HSの存在下、またはMBLを添加して戻した
30% MBL枯渇HS存在下での、3時間の再酸素負荷に供した(図4b)。
HS中で再酸素負荷した低酸素HUVECにおけるiC3bの沈着は、酸素正常
状態HUVECよりも有意に大きかった(p<0.05)。しかし、MBL枯渇
HS中で再酸素負荷した低酸素HUVECにおけるiC3b沈着は、HS中で再
酸素負荷した低酸素HUVECよりも有意に少なかった(p<0.05)。MB
LをMBL枯渇HSに添加して戻した場合、24時間の低酸素および3時間の再
酸素負荷後のHUVECにおけるiC3b沈着が、回復した。これらのデータは
、低酸素ヒト内皮細胞の再酸素負荷が、LCPを活性化し、増加したiC3bの
沈着をもたらしたことを実証した。
【0119】 (実施例5:MBL枯渇HSの補体溶血アッセイ(CH50)) 方法。溶血アッセイを、本発明者らによって以前に記載されたように(Ame
sterdam,Stahl,ら、Limitation of reperf
usion injury by a monoclonal antibod
y to C5a during myocardial infarctio
n in pigs、Am.J.Physiol.Heart Circ.Ph
ysiol.、1995:268:H448〜H457)(Lennon,Co
llardら、Complement−induced endothelia
l dysfunctioin in rabbits: mechanism
s,recovery,and gender differences,Am
.J.Physiol.Heart Circ.Physiol.,1996;
270:H1924〜H1932)(Vakeva,Agahら、Myocar
dial infarction and apoptosis after
myocardial ischemia and reperfusion.
Role of the terminal complement comp
onents and inhibition by anti−C5 the
rapy.、Circulation 1998;97:2259〜2267)
完了した。手短には、ニワトリ赤血球を、ヒツジ抗ニワトリ抗体で感作した。次
に、血清の連続した希釈を、細胞を溶解するために使用した。溶血活性を、それ
ぞれ、0.1% Triton X100およびPBSを陽性コントロールおよ
び陰性コントロールとして使用することによって計算した。光学密度を、プレー
トリーダーでの550nmで読み取った。パーセント溶血活性を、以下のように
計算した: (サンプルOD−PBS)/(Triton OD−PBS)×100=%溶血
OD サンプルを三連で実施し、そして1群あたり3つの決定を行った。
【0120】 結果。MBL枯渇が、古典的な補体経路を変化しないことを実証するために、
補体溶血アッセイ(CH50)を、MBL枯渇HSにおいて行った。MBL枯渇H
SのCH50は、完全なHSのものと類似する古典的補体経路活性を示した(図5
)。類似の知見は、抗体3F8、および2A9を使用した場合に観察された。従
って、MBL枯渇血清における再酸素負荷された低酸素HUVECにおけるiC
3b沈着の減少は、変化した古典的経路の補体成分の結果(すなわち、C1q、
C1r、およびC1s)ではなかった。
【0121】 (実施例6:精製されたC2、C3、C4、およびMBLを使用する低酸素/
再酸素負荷後の、C3活性化のウェスタンブロット分析) ウェスタンブロット。HUVECを、96ウェルプレート中でコンフルエンス
まで増殖させ、次に、酸素正常状態または低酸素(24時間)に供した。次に、
細胞をGVB+で洗浄し、そして50μlの以下の補体カクテルの存在下で、3
時間再酸素負荷した:MBL(1.2μg/ml)、C2(8μg/ml)、C
3(400μg/ml)、およびC4(200μg/ml)(C2、C3、およ
びC4を、Advanced Research Technologies;
San Diego、CAから購入した)。これらの補体濃度は、30% HS
中に通常存在する濃度の代表であった。再酸素負荷の後、上清を収集し、そして
タンパク質濃度を決定した(BioRad、Hercules、CA)。次に総
タンパク質の5μgを、還元条件下で9% SDS−PAGEによって分離した
。次にゲルをニトロセルロースに移し、ブロックし、そしてウェスタンブロット
によってC3およびC3b α’−鎖について調査した(Collard CD
、「Reoxygenation of hypoxic human umb
ilical vein endothelial cells activa
tes the classical complement pathway
」、Circulation 1997;96:326〜333)。精製された
C3およびC3b(Advanced Research Technolog
ies;San Diego、CA)を、切断されたC3 α’−鎖の分子量比
較のための内部標準として使用した。この実験を、5回行った(n=5)。
【0122】 結果。C3およびC3b α’−鎖のウェスタンブロット分析を、精製された
C2、C3、C4、およびMBLの存在下で再酸素負荷(3時間)した、酸素正
常状態(12時間)HUVECおよび低酸素(12時間)HUVECの上清につ
いて、還元条件下で行った(図6)。C3b α’−鎖のバンド密度における有
意な増加が、酸素正常状態上清(レーン1および3)と比較した低酸素/再酸素
負荷上清(レーン2および4)において観察された。これらの結果は、天然の抗
体またはC1から独立した、内皮低酸素/再酸素負荷後のC3のLCP媒介性活
性化を実証した。従って、内皮低酸素/再酸素負荷後の補体活性化は、LCPに
よって媒介され、そして古典的補体経路によっては媒介されないようであった。
【0123】 (実施例7:HUVECレセプター−リガンド活性化の微小生理機能測定(M
icrophysiometer)評価) 微小生理機能測定。HUVEC細胞外酸性化比(EAR)における変化を、C
ytosensor(Molecular Device 、Sunnyval
e、CA)微小生理機能測定の使用により評価した。HUVECを、ゼラチン被
膜(1%)トランスウェルカプセル上で75%コンフルーエンスまで増殖させ、
そして低酸素(24時間)、次いで、再酸素負荷(3時間)に供した。1mmo
l/Lリン酸緩衝液(Molecular Devices、Sunnyval
e、CA)を含む改変されたRPM1において30分間の平衡化後、EARを決
定した(Gronert Kら、「Characterizaton of h
uman neutrophil and endothelial cell
ligand−operated extacellular acidif
ication rate by microphysiometry:Imp
act of reoxygenation」、J.Pharmacol.Ex
p.Ther.1998;285:252−261)。HUVECを、第1の比
率測定の前に、300〜1500ng/mlの精製されたMBL(改変されたR
PMI中にて透析された)を用いて30秒灌流し、そして灌流を40分間維持し
た。ポジティブコントロールとして、MBL曝露後、HUVECを15分間、培
地単独で灌流し、次いで細胞外酸性化を惹起するためにヒスタミン(1μmol
/L、15分間灌流)を用いて刺激した。各MBL濃度を、酸素正常状態(no
rmoxic)または低酸素/再酸素負荷されたHUVECを含む2つの独立し
たチャンバーにおいて分析した。各MBL濃度に対するHUVEC応答を3つの
別々の実験(n=3)において評価した。
【0124】 結果。微小生理機能測定を、MBLが内皮EARにおけるレセプター媒介性変
化を惹起したか否かを決定するために、酸素正常状態および低酸素/再酸素負荷
されたHUVECについて実施した。精製されたMBL(300〜1500ng
/ml)を用いる酸素正常状態または低酸素(12時間)/再酸素負荷(3時間
)されたHUVECの灌流(40分)のいずれにおいても、EARにおける変化
を惹起しなかったが、すべての細胞は、アゴニストヒスタミンに対する応答性を
維持した。従って、MBLは、酸素正常状態または低酸素/再酸素負荷されたH
UVECにおけるEARのレセプター媒介性変化を惹起しなかった。これらのデ
ータは、再酸素負荷されたHUVECに対するMBL結合は、古典的なレセプタ
ーではなく、MBLリガンドによって生じたことを示した。
【0125】 (実施例8:ヒトMBLに対するモノクローナル抗体の調製および特徴付け) 初めに、Balb/C雌マウスに、250μlの以下の混合物を接種した(i
.p.):PBS250μl中にヒトMBL100μgが混合された250μl
のTitermax。次の週および連続する3週間で、このマウスに、PBS2
50μl中のhMBL50μgを注射した。第4週目に、このマウスにPBS2
50μl中のMBL25μgを注射し、そして4日後、そのマウスを融合処理し
た。融合プロトコールをCurrent Protocol in Immun
ologyから適応した。脾細胞を、PEG150を50%w/vにて使用して
、ATCC由来のミエローマ(myelinoma)融合パートナーP301と
1:1で融合させた。この融合細胞を、100μl/ウェルの96ウェルマイク
ロタイタープレートを用いて、1.25×106/mの密度にてプレートした。
この融合培地は、DeficientDME高グルコース、Pen/Strep
(1リットル当り、50,000Upen、50,000μg strep)、
4mM L−グルタミン、20%ウシ胎児血清、10%甲状腺濃縮培地、1%O
PI、1%NEAA、1%HAT、および50μMメルカプトエタノールから構
成される。この細胞に1日に培地100μl/ウェルを与え、そして2、3、4
、7、9、11および13日目に100/ウェル培地を交換した。第1スクリー
ニング前に、最後の培地をHATの代わりに1%HTから構成される培地に交換
する。後のすべての供給を、HTまたはHATを差し引いた融合培地を用いて行
った。スクリーニングをヒトMBLをプレートしたプラスチックELISAプレ
ート(96ウェルプレート)を用いて行った。精製されたhMBLを、2%炭酸
ナトリウム緩衝液中の2μg/ml MBLを含む50μl容量を各ウェルにプ
レートした。次いで、このプレートをPBS中の3%BSAを用いてブロックし
た。組織培養培地(50μl)をウェル内に置き、そして室温にて1時間インキ
ュベートした。このプレートを洗浄し、そしてHRP標識ヤギ抗マウスIgG二
次抗体を検出のために使用した。比色分析をABTSを用いて行い、そしてa4
05nmにて読み取った。ポジティブコントロールは、ヒトMBLに対するポリ
クローナル抗体から構成された。次いで、細胞を以下からなる培地中で増殖させ
る:DEME高グルコース(no−I−glut)、ソッド(sod)、ピルビ
ン酸500ml(Irvine Scientific #9024)、熱非働
化Hyclone10%、1%非必須アミノ酸、4mM L−グルタミン、10
0U/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシン。次いで、す
べての陽性ウェルを二次スクリーニングにおいて、機能についてスクリーニング
した。
【0126】 (抗MBL抗体についての機能的スクリーニング) 方法。抗ヒトMBL抗体によるMBL機能の阻害についての機能的スクリーニ
ングを、文献[Super、Levinskyら、The level of
mannan−binding protein regulates the
binding of complement−derived opson
ins to mannanand zymosan at low seru
m consentrations、Clin.Exp.Immunol.19
90;79:144−150]から適応した。簡潔には、100μlのマンナン
(炭酸/炭酸水素ナトリウム緩衝液(pH9.6)中0.5mg/ml)を、R
IA/EIAプレートに4℃にて一晩添加した。次いで、このプレートをPBS
/0.5%Tween(pH7.3)中で3回洗浄し、一回PBS中で洗浄し、
そして最後にベロナール緩衝化生理食塩水中で洗浄した。ヒト血清を、5mM
Ca2+およびMg2+を含むVBS中で4%まで希釈する。次いで、2%ヒト血清
濃度にて最終容量または100μlを産出するために、希釈した血清および組織
培養上清または精製した抗体(種々の濃度)をマンナン被覆ウェルに1:1にす
る。次いで、このプレートを37℃で30分間インキュベートする。陽性コント
ロールは、100mM N−アセチルグルコサミン(GluNac)を含まない
ヒト血清からなり、そして陰性コントロールは、100mM N−アセチルグル
コサミン(GluNac)を含むヒト血清からなる。次いで、このプレートをP
BS/Tween中で4回洗浄する。次いで、このプレートをHRPと結合した
抗−ヒトC3ポリクローナル抗体とともにインキュベートし(室温にて、1時間
)、洗浄し、そしてABTSを用いて発色させ、405nmで読み取る。
【0127】 結果。抗体産生および特徴付け。固相抗体−捕獲ELISAを使用する1次ス
クリーニングの後、本発明者らは、ヒトMBLを認識した11クローンを同定し
た。希釈を限定し、そしてアイソタイプの分類(isotyping)の後、本
発明者らは、抗体−捕獲ELISAにおいてヒトMBLを認識した8つのmAb
sを同定した。クローン3F8、2A9およびhMBL1.2を、マウスIgG 1k としてアイソタイプ分類し、ここでクローン1C10は、マウスIgG2bであ
った。他のハイブリドーマはIgM抗体を産生し、そして本研究には含まれなか
った。
【0128】 ウエスタンブロット分析を使用して、mABがMBLを認識したことを決定し
た。図7において示されるように、抗体2A9(レーン1)、hMBL1.2(
レーン2)、1C10(レーン3)または3F8(レーン4)は、精製され、そ
して減少したヒトMBL[すなわち、分子量(MW)約32kD]を認識した。従
って、これらの抗体はヒトMBLに対して特異的である。クローンhMBL1.
2、2A9および3F8を、それぞれ、HB−12619、HB−12620お
よびHB−12621のATCC指定とともに、International
Despository Authorityに寄託した。
【0129】 MBLの最も強力なインヒビターは、補体活性化を誘導し、N−アセチルグル
コサミン(GluNAc)は、およそ1nMのEC50での用量依存様式におけ
るマンナン被覆プレートのプラスチックに対するC3沈着を阻害した。同様に、
2A9およびhMBL1.2は、それぞれおよそ30および50nMのEC50
でC3沈着を阻害した。固相ELISAによりMBLを認識するアイソタイプコ
ントロール抗体は、MBL依存性C3沈着を阻害しなかった。従って、これらの
抗体は、GluNAcよりもおよそ105〜106倍強力である。このデータは、
1つの実験あたり少なくとも4つの知見を有する3つの別々の実験を示す。HU
BECは24時間低酸素であり、次いで、30%ヒト血清において再酸素負荷し
た。次いで、iC3b沈着を酸素正常状態細胞(normoxic cell)
に規格化した。再酸素負荷後、低酸素細胞に対するiC3b沈着のおよそ190
%の増加を観察した(図8)。3F8は、用量依存性様式における低酸素/再酸
素負荷HUVECに対するiC3b沈着を減弱した。これらのデータは、ヒト内
皮細胞の低酸素/再酸素負荷後、抗体を用いるMBLの特異的阻害が補体活性化
およびiC3b沈着を減弱することを実証する。すべての群と比較して*p<0
.05;n+2。
【0130】 (実施例9) HUVECの酸化的ストレス後の補体活性化および沈着。これらの新規なmA
bsのさらなる機能的特性を特徴付けるため、そしてヒト内皮細胞の酸化的スト
レス後の補体活性化におけるMBLの具体的な役割を実証するために、本発明者
らは、ヒト血清において、再酸素負荷後の低酸素ヒト内皮細胞に対するMBLお
よびC3沈着を評価した。
【0131】 ウエスタンブロット分析。これらの抗ヒトMBL mAbsの補体阻害作用を
実証するために、低酸素HUVECを、PBS(ビヒクル)、3F8、hMBL
1.2、2A9、または1C10(最終濃度50μg/ml)を用いて処理され
たヒト血清において再酸素負荷した。タンパク質と結合した細胞膜を、還元条件
下でSDS−PAGEにより分離し、膜に移し、そしてヒトC3dg(すなわち
、iC3bのα鎖の部分)について分析した。iC3bのα鎖およびβ鎖は、細
胞膜上に存在するC3の染色可能な唯一のバンドであった。ビヒクル処理した細
胞、3F8処理した細胞、hMBL1.2処理した細胞、2A9処理した細胞お
よび1C10処理した細胞についての代表的なC3dgバンドを観察した。本発
明者らは、3F8、2A9またはhMBL1.2のいずれかを用いて処理された
ヒト血清において再酸素負荷された細胞のC3dgバンド強度の有意な増加を観
察した。しかし、非機能性クローン(1C10)は、内皮細胞膜上のiC3b沈
着(すなわち、C3dgバンド強度)を減少させなかった。これらのデータは、
低酸素HUVECの再酸素負荷後のMBL依存性補体活性化の役割をさらに支持
する。さらに、これらのデータは、クローン1C10は、機能的にMBLを阻害
しないアイソタイプコントロールmAbであることを確認している。
【0132】 共焦点顕微鏡法。酸素正常状態HUVECおよび低酸素HUVEC上のMBL
およびC3沈着についての二重標識を実施して、これらの補体成分の同時局在化
およびMBL依存性補体経路活性化を実証した。酸素正常状態HUVECを、m
Ab3F8(5μg/ml)または1C10(50μg/ml)を用いて処理さ
れた30%HSにおいて再酸素負荷し、そして低酸素HUVECを、mAb3F
8(5μg/ml)または1C10(50μg/ml)を用いずに処理された3
0%HSにおいて再酸素負荷した。次いで、MBL(青)、C3(緑)および核
(赤)を同じスライド上で染色し、そして免疫蛍光共焦点顕微鏡法により分析し
た。少量のC3染色およびMBL染色を酸素正常条件下で観察し、酸素正常条件
下での低レベルのC3沈着という本発明者らの知見を確認し、酸素正常条件下で
の低レベルのC3沈着という本発明者らの知見を確認した。低酸素/再酸素負荷
HUVEC上のC3染色およびMBL染色は、酸素正常状態HUVECよりも有
意に多かった。クローン1C10は、酸化的ストレス後のC3またはMBL沈着
を阻害し損なった。C3染色およびMBL染色は、mAb 3F8(5μg/m
l)を用いて処理した低酸素/再酸素負荷HUVECに対して、酸素正常条件下
で観察されるC3染色およびMBL染色の下のレベルまで有意に減少した(類似
する結果をmAbs hMBL1.2または2A9で観察した)。MBLおよび
C3は、上記で概要を説明された条件下で、ヒト内皮細胞上に同時局在化するこ
とことが観察された。これらのデータは、mAbを用いるMBLの機能的阻害は
、ヒト内皮細胞の酸化的ストレス後のC3沈着を減弱することを実証する。
【0133】 (実施例10) 方法:VCAM−1ELISA。簡潔には、0.1%ゼラチン化96−ウェル
プラスチックプレート上でコンフルエンスまでHUVECを増殖させて、次いで
、0時間または12時間の低酸素に供した。次いで、この細胞培地を吸引して、
そしてHBSS、30%HS、または3F8(5μg/ml)を用いて処理され
た30%HS、を各ウェルに添加した。次いで、この細胞を、95%空気および
5%CO2中、37℃にて3時間、再酸素負荷した。この細胞を洗浄し、固定し
、再び洗浄し、そして抗ヒトVCAM−1 mAb(the Developm
ental Studies Hybridoma Bank、Univers
ity of Iowa、Iowa City、IAから得られた6G10クロ
ーン)とともに1.5時間、4℃にてインキュベートした。次いで、ペルオキシ
ダーゼ結合ヤギ抗−マウス二次抗体(Cappel、West Chester
、PA)を使用した。不適当なアイソタイプコントロール抗体(ブタC5aに対
するmAb GS1)を使用して、バックグランドの吸光度を評価し、そしてデ
ータから蛍光を減算した。これらの実験(1実験群当り6ウェル)を3回実施し
た(n=3)。
【0134】 結果:酸化的ストレス後のVCAM−1発現の阻害。本発明者らは、HUVE
Cの酸化的ストレスは補体を活性化し、そしてC5b−9依存性VCAM−1誘
導を生じることを実証した。従って、本発明者らは、MBL阻害のさらなる機能
的重要性を実証するために、ELISAによりVCAM−1発現を調査した。図
9において示されるように、そして本発明者ら自身の知見を確認すると、PBS
(ビヒクル)を用いて処理された30%HS中の低酸素HUVECの再酸素負荷
は、VCAM−1タンパク質発現における有意な増加を生じた。3F8(5μg
/ml)を有する30%HSの処置は、VCAM−1発現を有意に減弱させた。
このモデルにおけるVCAM−1発現は、C5b−9により媒介されるので、こ
れらのデータは、C5b−9形成はMBL沈着およびレクチン経路活性化に依存
することを実証した。
【0135】 先に書かれた明細書は、当業者が本発明を実施し得るのに十分であると考えら
れる。実施例は、本発明の1つの局面の1つの例証として意図され、そして他の
機能的に等価な実施形態が本発明の範囲内であるので、本発明は提供された実施
例による範囲に制限されない。本明細書に示され、かつ記載される種々の改変に
加えて、本発明の種々の改変は、前述の記載から当業者に対して明らかとなり、
そして添付された特許請求の範囲内にある。本発明の利点および目的は、本発明
の各実施形態によって必ずしも含まれない。
【0136】 本出願において引用される全ての参考文献、特許および特許公開は、その全体
において本明細書中に参考として援用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、抗原/抗体依存性の古典的な補体経路、および抗体非依存性の代替の
補体経路、およびレクチン補体経路を示す概略図である。3つの経路のすべては
、C3において合流し、そして最終の補体複合体(C5b−9)の形成へと導く
【図2】 図2は、HUVECにおけるMBL沈着を示すフローサイトメトリーのプリン
トアウトを示す。低酸素(0(酸素正常条件)または24時間)に共されたHU
VEC上のMBL沈着は、モノクローナル抗ヒトMBL抗体を用いるフローサイ
トメトリーによって研究された。MBL沈着(MFI=40±3)は、酸素正常
状態HUVEC(MFI=8±2)と比較すると、30%ヒト血清中で3時間、
再酸素負荷した低酸素HUVECにおいて有意に増加した。ここでMFI=平均
蛍光強度。
【図3】 図3は、HUVEC上のMBL沈着を示すグラフである(ELISA)。低酸
素(0(酸素正常条件)または24時間)、次いで、3時間の再酸素負荷に共さ
れたHUVEC上のMBL沈着は、モノクローナル抗ヒトMBL抗体を用いるE
LISAにより調べられた。30%ヒト血清(ビヒクル)の存在下で再酸素負荷
された低酸素HUVEC上のMBL沈着は、30mmol/L GluNacで
処理された30%ヒト血清中で再酸素負荷された酸素正常状態HUVECまたは
低酸素HUVECより、有意に高かった。
【図4】 図4aは、MBLの競合的阻害後のiC3b沈着を示すグラフである。iC3
b沈着は、30mmol/L GluNAc、D−マンノース、またはL−マン
ノースで処理された30%ヒト血清の存在下で再酸素負荷されたHUVECに対
するELISAにより研究された。30%ヒト血清(ビヒクル)または、L−マ
ンノースで処理された30%ヒト血清中で再酸素負荷された低酸素HUVEC上
へのiC3b沈着は、酸素正常状態HUVECより有意に高かった。しかし、G
luNAcまたはD−マンノースで処理された30%ヒト血清中で再酸素負荷さ
れたHUVEC上へのiC3b沈着は、酸素正常状態コントロールとは有意に異
ならなかった。 図4bは、ヒト血清由来のMBLの枯渇後のiC3b沈着を示すグラフである
。HUVECは、レクチン補体経路を阻害するために、MBL枯渇ヒト血清の存
在下で再酸素負荷された。30%ヒト血清中で再酸素負荷された低酸素HUVE
C上へのiC3b(ELISA)の沈着は、酸素正常状態HUVECより有意に
高かった(p<0.05)。しかし、30%MBL枯渇ヒト細胞において再酸素
負荷された低酸素HUVEC上へのiC3bの沈着は、30%ヒト血清中で再酸
素負荷された低酸素HUVECより、有意に低かった(p<0.05)。MBL
がMBL枯渇ヒト血清に添加され戻された場合、低酸素/再酸素負荷されたHU
VEC上へのiC3b沈着は、酸素正常状態HUVECよりも、有意に高かった
【図5】 図5は、古典的な補体経路活性の指標として溶血の百分率を示すグラフである
。ヒト血清とMBL枯渇ヒト血清との間での血清補体溶血アッセイ(CH50)に
おける有意差は観察されず、MBLの枯渇が古典的な補体経路活性を阻害または
枯渇しないこと示した。
【図6】 図6は、精製されたC2、C3、C4およびMBLを使用する低酸素/再酸素
負荷後のC3活性化のウェスタンブロット分析を示す。C3およびC3b α’
鎖のウェスタンブロット分析は、精製されたC2、C3、C4およびMBLの存
在下で3時間再酸素負荷された酸素正常状態HUVEC、および低酸素(12時
間)HUVEC上清においてポリクローナル抗ヒトC3抗体を使用して還元条件
下で行われた。レーン1および2は酸素正常状態HUVEC上清を、レーン3お
よび4は低酸素HUVEC上清、レーン5は精製されたC3標準、およびレーン
6は精製されたC3b標準を表す。結果は、酸素正常状態の上清と比較した、低
酸素/再酸素負荷された上清のC3bα’鎖のバンド密度の増加を示す。この図
は、5つの実験の代表である。
【図7】 図7は、ヒトMBLのウェスタンブロット分析のスキャンである。モノクロー
ナル抗体3F8、hMBL1.2、2A9または1C10は、還元MBLのウェ
スタンブロット分析に使用された。レーン1、2、3、および4は、mAb 2
A9、hMBL1.2、1C10、または3F8のそれぞれの10μg/mlを
用いた、還元ヒトMBLの染色を表す。約32kDaの分子量(MW)を有する
単一のバンド(すなわちMBLに一致する)は、各mAbで観察された。この図
は、3つの別の実験の代表である。
【図8】 図8は、インヒビターとのC3沈着を示すグラフである。
【図9】 図9は、VCAM−1発現の阻害を示すグラフである。PBS(ビヒクル)で
処理された30%HS中の低酸素HUVECの再酸素負荷は、30%HSで培養
された酸素正常状態の細胞と比較すると、VCAM−1発現の有意な増加を誘導
した。3F8(5μg/ml)を有する30%HSの処理は、有意にVCAM−
1発現を阻害した。バーは3回の個々の実験の平均を示す。ブラケットは、SE
Mを示す。*は、それぞれの酸素正常状態のコントロールと比較したp<0.0
5を示す。**は、低酸素群で処理されたビヒクルと比較したp<0.05を示す
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 7/08 A61P 11/00 4C085 9/10 19/02 4H045 11/00 43/00 105 19/02 C12Q 1/02 43/00 105 C07K 14/705 C12N 15/02 16/28 15/09 C12P 21/08 C12Q 1/02 (C12P 21/08 // C07K 14/705 C12R 1:91) 16/28 C12N 5/00 B C12P 21/08 A61K 37/02 (C12P 21/08 C12N 15/00 C C12R 1:91) A (72)発明者 コラード, チャールズ ディー. アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02481, ウェルスレー, オークリッジ ロード 52 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA47 DA02 GA03 HA01 4B063 QA01 QQ08 QR48 QR63 QR90 QS33 4B064 AG27 CA10 CA20 CC24 DA01 DA13 4B065 AA90X AB05 AC14 BA08 CA24 CA25 4C084 AA02 AA16 BA23 CA18 ZA36 ZA40 ZA45 ZA59 ZA96 4C085 AA13 AA14 CC02 CC03 4H045 AA30 BA41 CA40 DA50 DA76 DA80 EA22 EA28 FA74

Claims (41)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 補体活性化に関連するLCPを阻害するための方法であって
    、該方法は、LCP関連補体活性化を阻害するために、有効量のMBLインヒビ
    ターとMBLリガンドを露出した表面を有する哺乳動物細胞を接触させる工程を
    包含する、方法。
  2. 【請求項2】 前記MBLインヒビターが、単離されたMBL結合ペプチド
    である、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記単離されたMBL結合ペプチドが、MBL結合CDR3
    領域またはその機能的改変体を有する、請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記単離されたMBL結合ペプチドが、抗体フラグメントで
    ある、請求項2に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記単離されたMBL結合ペプチドが、抗体である、請求項
    2に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記MBLインヒビターが、単離されたMASP結合ペプチ
    ドである、請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記方法が、スクリーニングアッセイである、請求項2に記
    載の方法。
  8. 【請求項8】 MBLインヒビターが、LCP関連補体活性化を阻害するた
    めに、有効量において被験体に投与される、請求項1に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記MBLインヒビターが、単離されたMBL結合ペプチド
    である、請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記単離されたMBL結合ペプチドが、MBL結合CDR
    3領域またはその機能的改変体を有する、請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記単離されたMBL結合ペプチドが、抗体フラグメント
    である、請求項9に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記単離されたMBL結合ペプチドが、抗体である、請求
    項9に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記MBLインヒビターが、単離されたMASP結合ペプ
    チドである、請求項8に記載の方法。
  14. 【請求項14】 LCP関連補体活性化によって媒介される細胞傷害が、ア
    テローム性動脈硬化症に関連する組織傷害に寄与する、請求項8に記載の方法。
  15. 【請求項15】 LCP関連補体活性化によって媒介される細胞傷害が、肺
    系に関連する組織傷害に寄与する、請求項8に記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記MBLインヒビターが、エアロゾル経路の送達によっ
    て被験体に投与される、請求項15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 請求項8に記載の方法であって、ここでLCP関連補体活
    性化によって媒介される細胞傷害が、関節炎、心筋梗塞、虚血、再灌流、移植、
    CPB、発作、ARD、SLE、狼瘡および透析からなる群より選択される障害
    に関連する組織傷害に寄与する、方法。
  18. 【請求項18】 MBLインヒビターを含む組成物であって、ここで該MB
    Lインヒビターが、ヒトMBLエピトープに選択的に結合し、かつLCP関連補
    体活性化を阻害する単離された結合ペプチドである、組成物。
  19. 【請求項19】 請求項18に記載の組成物であって、ここで、前記単離さ
    れたMBL結合ペプチドが、ATCC登録番号HB−12621下に寄託される
    ハイブリドーマ細胞株(3F8)により産生されるモノクローナル抗体のMBL結合
    CDR31領域またはその機能的改変体を有する、組成物。
  20. 【請求項20】 請求項18に記載の組成物であって、ここで、前記単離さ
    れたMBL結合ペプチドが、ATCC登録番号HB−12620下に寄託される
    ハイブリドーマ細胞株(2A9)により産生されるモノクローナル抗体のMBL結合
    CDR32領域またはその機能的改変体を有する、組成物。
  21. 【請求項21】 請求項18に記載の組成物であって、ここで、前記単離さ
    れたMBL結合ペプチドが、ATCC登録番号HB−12619下に寄託される
    ハイブリドーマ細胞株(hMBL1.2)により産生されるモノクローナル抗体のMBL
    結合CDR31領域またはその機能的改変体を有する、組成物。
  22. 【請求項22】 前記単離されたペプチドが、インタクトな可溶性モノクロ
    ーナル抗体である、請求項18に記載の組成物。
  23. 【請求項23】 前記単離されたペプチドが、ATCC登録番号HB−12
    621下に寄託されるハイブリドーマ細胞株により産生されるモノクローナル抗
    (3F8)である、請求項18に記載の組成物。
  24. 【請求項24】 前記単離されたペプチドが、ATCC登録番号HB−12
    620下に寄託されるハイブリドーマ細胞株により産生されるモノクローナル抗
    (2A9)である、請求項18に記載の組成物。
  25. 【請求項25】 前記単離されたペプチドが、ATCC登録番号HB−12
    619下に寄託されるハイブリドーマ細胞株により産生されるモノクローナル抗
    (hMBL1.2)である、請求項18に記載の組成物。
  26. 【請求項26】 前記単離されたペプチドがヒト化モノクローナル抗体であ
    る、請求項18に記載の組成物。
  27. 【請求項27】 前記単離されたペプチドが、F(ab’)2フラグメント
    、FdフラグメントおよびFabフラグメントからなる群より選択されるモノク
    ローナル抗体フラグメントである、請求項18に記載の組成物。
  28. 【請求項28】 請求項18に記載の組成物であって、ここで、前記単離さ
    れたペプチドが、ATCC登録番号HB−12621下に寄託されるハイブリド
    ーマ(3F8)により産生されるモノクローナル抗体のCDR2(3F8)、ATCC登録
    番号HB−12620下に寄託されるハイブリドーマ(2A9)により産生されるモ
    ノクローナル抗体のCDR2(2A9)およびATCC登録番号HB−12619下
    に寄託されるハイブリドーマ(hMBL1.2)により産生されるモノクローナル抗体の
    CDR2(hMBL1.2)からなる群より選択される軽鎖CDR2領域を有する、組成
    物。
  29. 【請求項29】 請求項18に記載の組成物であって、ここで、前記単離さ
    れたペプチドが、ATCC登録番号HB−12621下に寄託されるハイブリド
    ーマ(3F8)により産生されるモノクローナル抗体のCDR1(3F8)、ATCC登録
    番号HB−12620下に寄託されるハイブリドーマ(2A9)により産生されるモ
    ノクローナル抗体のCDR1(2A9)およびATCC登録番号HB−12619下
    に寄託されるハイブリドーマhMBL1.2により産生されるモノクローナル抗
    (hMBL1.2)のCDR1(hMBL1.2)からなる群より選択される軽鎖CDR1領域を
    有する、組成物。
  30. 【請求項30】 ATCC登録番号HB−12621下に寄託されるハイブ
    リドーマ細胞株。
  31. 【請求項31】 ATCC登録番号HB−12620下に寄託されるハイブ
    リドーマ細胞株。
  32. 【請求項32】 ATCC登録番号HB−12619下に寄託されるハイブ
    リドーマ細胞株。
  33. 【請求項33】 前記組成物が、前記単離されたMBL結合ペプチドのMB
    L媒介性障害を処置するための有効量および薬学的に受容可能なキャリアを含む
    薬学的組成物である、請求項18に記載の組成物。
  34. 【請求項34】 MBL媒介性障害の処置のための薬物をさらに含む、請求
    項33に記載の組成物。
  35. 【請求項35】 MBLインヒビターを含む組成物であって、ここで該MB
    Lインヒビターが、(i)ヒトMBLエピトープに選択的に結合し、そして(i
    i)LCP活性化を予防する抗−MBL抗体である、組成物。
  36. 【請求項36】 MBLインヒビターを用いる処置に対する感受性について
    細胞をスクリーニングするための方法であって、該方法は、哺乳動物細胞の表面
    上のMBLの存在を検出する工程を包含し、ここで該MBLの存在が、該細胞が
    LCP関連補体活性化に対して感受性であり、かつ被験体がMBLインヒビター
    を用いる処置に対して感受性であることを示す、方法。
  37. 【請求項37】 前記哺乳動物細胞が、前記被験体から単離される、請求項
    36に記載の方法。
  38. 【請求項38】 前記哺乳動物細胞が、内皮細胞である、請求項36に記載
    の方法。
  39. 【請求項39】 前記方法が、前記MBLを該MBLと選択的に結合する検
    出試薬と接触させて、該MBLの存在を検出する工程を含む、請求項36に記載
    の方法。
  40. 【請求項40】 前記検出試薬が、単離されたMBL結合タンパク質である
    、請求項39に記載の方法。
  41. 【請求項41】 前記検出試薬が、標識された単離されたMBL結合ペプチ
    ドである、請求項39に記載の方法。
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