JP2002524099A - 脈管形成の調節における内皮細胞表面受容体活性の調節 - Google Patents

脈管形成の調節における内皮細胞表面受容体活性の調節

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Abstract

(57)【要約】 脊椎動物被処置体における脈管形成を調節する方法。該方法は脊椎動物被処置体に、ECRTP/DEP−1受容体活性を調節する量の組成物を投与し、それにより脊椎動物被処置体内のECRTP/DEP−1受容体と組成物とを接触させ、さらにECRTP/DEP−1受容体と組成物との接触によって脈管形成を調節することを含んでなる。所望により、該組成物はECRTP/DEP−1受容体と選択的に結合するモノクローナル抗体を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 技術分野 本発明は概して内皮細胞の増殖および移動の調節、ならびに脈管形成の調節に
おける内皮細胞表面受容体の活性の調節に関する。さらに詳しくは本発明は、内
皮細胞の増殖および移動の調節、ならびに脈管形成の調節におけるECRTP/
DEP−1受容体活性の調節に関する。
【0002】 助成金に関する記載 本研究はNIH助成金DK38517およびCA68485による援助を受け
ている。本発明において米国政府は一定の権利を有する。
【0003】 発明の背景 本明細書において「脈管形成」とは、組織または器官における新たな血管の形
成を意味する。通常の生理学的条件の下ではヒトまたは動物は、極めて特異な限
定された状況下でのみ脈管形成を受ける。例えば、脈管形成は通常、創傷治癒、
胎児および胚発達、ならびにアラタ体、子宮内膜および胎盤の形成において見ら
れる。「内皮」とは漿液腔、リンパ管および血管に沿って並ぶ平坦な内皮細胞の
薄い層を意味する。「内皮調節活性」とは、一般に脈管形成を調節する、例えば
、培養内皮細胞の増殖を刺激または阻害する分子の能力を意味する。制御された
脈管形成も制御されない脈管形成もいずれも同様のプロセスを踏むと考えられて
いる。基底膜に囲まれた内皮細胞および周皮細胞は毛細血管を形成している。脈
管形成は内皮細胞および白血球によって放出された酵素による基底膜のびらんで
始まる。内皮細胞は血管内腔に沿って並び、そして基底膜に突き出ている。脈管
形成刺激剤は、内皮細胞をびらんした基底膜を通って移動させる。これらの移動
細胞は元の血管からの「芽」を形成し、ここで内皮細胞は有糸分裂を受けて増殖
する。このような内皮細胞の芽は互いに合流して毛細血管ループを形成して新た
な血管を作っていく。
【0004】 様々な病状および内皮細胞の異常な増殖では持続的で調節されない脈管形成が
起こり、これらの状況で見られる病理学的損傷を助長する。調節されない脈管形
成が存在する種々の病理学的病状は脈管形成依存性疾患または脈管形成関連疾患
としてともに分類されている。
【0005】 また、脈管形成は癌の転移において主要な役割を果たすことも分かっている。
この脈管形成活性が抑制またはなくなれば、腫瘍は存在していたとしても成長し
ないであろう。これら病状において脈管形成を妨げれば、新たな微小血管系の侵
入によって引き起こされる損傷は避けられる。脈管形成のプロセスの制御に向け
られる治療はこれらの疾病の排除または軽減をもたらすはずである。
【0006】 糸球体毛細血管の発達は解剖学的に分離され、時系列で多段階のプロセスに分
けられている。これらのプロセスには隣接する間充織からの上皮始原細胞の補充
、樹状分岐網の構築、および糸球体間質細胞および内臓内皮細胞に隣接する内皮
細胞の成熟および分化が含まれる。細胞外マトリックス成分の受容体、細胞表面
分子および増殖因子はこの構築プロセスのステップを媒介する役割を割り当てら
れている。例えば、Wallner et al., Microsc Res Tech 39:261-284 (1997); Ta
kahashi et al., Kidney Int 53:826-853 (1998)参照。
【0007】 血管内皮増殖因子(VEGF)はS期発達中の糸球体内皮細胞において誘導さ
れるので関与する重要なものであり、隣接する後腎間充織から糸球体毛細血管へ
補充される内皮始原細胞はVEGF受容体flk−1を発現する(Robert et al.
, Am J Physiol 271:F744-F753 (1996))。
【0008】 VEGF抗体を中和すると出生後のネズミ糸球体毛細血管の発達が中断される
(Kitamoto et al., J Clin Invest 99:2351-2357 (1997))。ネズミのPDGFβ
受容体またはPDGFβ遺伝子のいずれかの欠損は糸球体間質細胞前駆体の補充
の欠陥を引き起こし、糸球体発達不全となる(Soriano, P., Genes Dev 8:1888-1
896 (1994); Leveen et al., Genes Dev 8:1875-1887 (1994))。TGFβ1発現
およびII型TGFβ受容体は胚の卵黄嚢の脈管発達(腎臓発達に先立つ)に明ら
かに重要であり、II型受容体はin vitroにおいてウシ糸球体に由来する内皮細胞
の毛細血管の形態形成を媒介する(Choime et al., J Biol Chem 270:21144-2115
0 (1995))。
【0009】 初期の証拠はEphファミリーの受容体およびそれらのエフリンリガンドが糸
球体の脈管発達にあずかっていることを示唆している。EphB1受容体は単離
した間充識細胞において、flk−1と同様のパターンで発現し、発達中の糸球
体の脈管の裂け目ならびに成熟した糸球体の毛細血管内皮細胞で、エフリン−B
1の高レベルの発現が見られる(Daniel et al., Kidney Int 50:S-73-S-81 (199
6))。オリゴマー型のエフリン−B1はin vitroでヒト腎臓微小血管内皮細胞(
HRMEC)からの毛細血管様構造の構築を刺激する(Stein et al., Genes Dev
12:667-678 (1998))。
【0010】 DPTP10Dをはじめとする選択されたサブクラスの受容体チロシンホスフ
ァターゼは軸索の移動および神経ネットワークの構築の指示に重要な役割を果た
す(Desai et al., Cell 84:599-609 (1996))。最近のデータでは、哺乳類腎臓の
動脈部位で関連の受容体ホスファターゼECRTP/DEP−1のmRNA発現
が同定されている(Borges et al., Circulation Research 79:570-580 (1996))
。しかしながらこれまでには、微小血管または糸球体毛細血管の構築または成熟
において受容体チロシンホスファターゼが関与しているという証拠は得られてい
ない。
【0011】 血管内皮細胞は種々の範囲の血管床特異的特性を示すが(Gumkowski et al., B
lood Vessels 24:11-13 (1987))、血管空間に沿って並ぶ連続した抗血栓性の単
層を維持するための必要条件は、それらの増殖、移動および分化が内皮細胞間接
触によって調節される厳密な必要条件を課す。特異な細胞間接触により、相互作
用する内皮細胞間の連絡が可能となる(Lampugnani et al., J Cell Biol 129:20
3-217 (1995))が、内皮細胞間接触に応答した増殖および移動の停止を調節する
機構はなお解明されていない。内皮細胞間接触によって課せられた増殖の厳格な
調節制御は既存の血管の内皮細胞間の低い基礎有糸分裂指数で明らかである(Eng
erman et al., Laboratory Investigation 17:738-744 (1967))。増殖性の内皮
細胞応答とは対照的にこれは大きな血管の機械的破壊によって引き起こされるも
のである(More et al., J Patho 172:287-292 (1994))。「傷害」による密集内
皮単層の周辺部、または封入された単層から物理的に取り出した細胞でも同様の
増殖および移動応答が刺激される(Coomber, J Cell Biochem 52:289-296 (1993)
)。
【0012】 移動および増殖応答に関する内皮細胞間接触の作用に対する分子的基礎は明ら
かではないが、培養細胞の研究では、内皮細胞、繊維芽細胞および上皮細胞はあ
る推定密度で密集するまで増殖し、その後増殖を停止する(密度停止)ことが示
されている(Augenlicht and Baserga, Exp Cell Res 89:255-262 (1974); Beekh
uizen and van Furth, J Vascular Res 31:230-239 (1994); Rijksen et al., J
Cell Physiol 154:393-401 (1993))。この現象はin situにおける血管部位の内
皮細胞の挙動に極めて関連があると考えられる。実際、内皮細胞「傷害」のモデ
ル培養系により、与えられた「傷害」の周縁部で内皮細胞が急速にラメラを拡大
し、拡散し、移動し、また増殖して単層の機械的破壊によって作られた欠損にと
って代わることが示されている(Coomber, J Cell Biochem 52:289-296 (1993))
【0013】 Pallen and Tongは、培養スイス3T3細胞から回収された膜結合性のチロシ
ンホスファターゼ活性は、細胞が5×10/cmの密度に近づいた場合に8
倍(活性/タンパク質mgとして表示)高まっていたが、可溶画分のチロシンホ
スファターゼは細胞密度により影響を受けていなかったことを観察した(Pallen
and Tong, Proc Natl Acad Sci USA 88:6996-7000 (1991))。Ostman et al.はH
eLa細胞からクローン化したDEP−1と呼ばれる受容体チロシンホスファタ
ーゼの存在量は細胞が高密度に近づくにつれ増加すると結論付けている(Ostman
et al., Proc Natl Acad Sci USA 91:9680-9684 (1994))。しかしながら、増殖
の停止を引き起こす分子と受容体チロシンホスファターゼとの間に関連は見られ
なかった。
【0014】 これまでにどの種類の受容体−リガンド相互作用が、細胞表面で形成される、
密度停止または接触停止シグナルを媒介し得るのかを示す有用な情報は得られて
いない。従って、かかる受容体−リガンド相互作用の同定が、それが密度停止ま
たは接触停止が、あるいは密度停止または接触停止の排除が治療価値を持つ疾患
における介入の基礎として機能するという点で必要となる。かかる疾患としては
、腫瘍増殖に関する脈管形成のような望ましくない脈管形成を特徴とする疾患が
挙げられる。従ってまた、特に腫瘍における、血管の望ましくない増殖を阻害し
得る組成物および方法も必要とされる。該組成物および方法は腫瘍内の毛細血管
の形成を少なくし、それにより腫瘍の増殖を阻害すべきである。
【0015】 発明の要約 本発明によれば、脊椎動物被処置体において脈管形成を調節する方法が提供さ
れる。本方法はECRTP/DEP−1受容体活性を調節する量の組成物を脊椎
動物被処置体に投与し、それにより脊椎動物被処置体内のECRTP/DEP−
1受容体と組成物とを接触させ、さらにECRTP/DEP−1受容体と組成物
の接触により脈管形成を調節することを含む。
【0016】 本発明によれば、脊椎動物被処置体において内皮細胞の移動および増殖を調節
する方法もまた提供される。本方法はECRTP/DEP−1受容体活性を調節
する量の組成物を脊椎動物被処置体に投与し、それにより脊椎動物被処置体内の
ECRTP/DEP−1受容体と組成物とを接触させ、さらにECRTP/DE
P−1受容体と組成物の接触により内皮細胞の移動および増殖を調節することを
含む。
【0017】 本発明によれば、ECRTP/DEP−1受容体と選択的に結合する抗体もま
た提供される。所望により該抗体はECRTP/DEP−1受容体と選択的に結
合するモノクローナル抗体またはその断片もしくは誘導体を含む。
【0018】 本発明によれば、ECRTP/DEP−1受容体の内因性リガンドを単離する
方法もまた提供される。本方法はリガンドを含む細胞または細胞溶解物とECR
TP/DEP−1受容体とを接触させ;さらにECRTP/DEP−1受容体と
結合するリガンドを単離するステップを含む。
【0019】 本発明によれば、細胞に基づくアッセイおよび細胞を含まないアッセイの双方
においてECRTP/DEP−1受容体の活性を調節する化合物を同定するスク
リーニングアッセイを行う方法もまた提供される。細胞に基づくアッセイでは、
本方法は、ECRTP/DEP−1受容体を発現する細胞の試験培養物および対
照培養物の複製物を確立し;試験培養物の細胞には候補化合物を投与するが、対
照培養物には投与せず;試験培養物および対照培養物の細胞のECRTP/DE
P−1受容体活性を測定し;さらに試験培養物について測定されたECRTP/
DEP−1受容体活性が対照培養物について測定されたECRTP/DEP−1
受容体活性よりも高いまたは低い場合に、該候補化合物が細胞においてECRT
P/DEP−1受容体活性を調節するものと決定するステップを含む。
【0020】 細胞を含まない系では、本方法は、ECRTP/DEP−1受容体とリガンド
とを含む対照系を確立し(ここで、該ERTP/DEP−1受容体は該リガンド
と結合できる);ECRTP/DEP−1受容体、リガンドおよび候補化合物を
含む試験系を確立し;対照系および試験系においてECRTP/DEP−1受容
体とリガンドの結合親和性を測定し;さらに試験系について測定された結合親和
性が対照系について測定された結合親和性より低いまたは高い場合に、候補化合
物が細胞を含まない系においてECRTP/DEP−1受容体活性を調節するも
のと決定するステップを含む。
【0021】 本発明によれば、患者の組織、すなわち内皮細胞の望ましくない増殖を有する
組織に治療組成物を送達する方法もまた提供される。本方法は、選択された治療
薬に機能し得る形で連結された抗体の生物学的に有効な量を患者に導入し、該抗
体は内皮細胞の表面のECRTP/DEP−1受容体と選択的に結合し、それに
より脊椎動物被処置体内のECRTP/DEP−1受容体と抗体とが接触し;さ
らにECRTP/DEP−1受容体と組成物との接触によって組織に治療組成物
を送達するステップを含む。
【0022】 従って、本発明の1つの目的は、細胞表面で形成される密度停止または接触停
止シグナルを媒介する受容体−リガンド相互作用を限局化および同定することに
ある。
【0023】 本発明のもう1つの目的は、内皮細胞の細胞表面受容体の調節を提供し、細胞
表面で形成される密度停止または接触停止シグナルを媒介することにある。
【0024】 本発明のさらにもう1つの目的は、脈管形成の阻害または刺激に用いられる細
胞表面受容体活性の調節を提供することにある。
【0025】 本発明のなおさらにもう1つの目的は、細胞表面で形成される密度停止および
接触停止シグナルを媒介する受容体−リガンド相互作用を調節する化合物を同定
することにある。
【0026】 上記に挙げられている本発明のいくつかの態様および目的、その他の態様およ
び目的は、以下に最良のものとして記載される添付の図面を参照して、以下の記
載を読めば明らかになろう。
【0027】 図面の簡単な説明 図1は、組換えECRTP/DEP−1受容体および過剰発現したECRTP
/DEP−1受容体の、ECRTPAb−1およびECRTPAb−2抗体によ
る認識を示す。
【0028】 図1Aは、組換えタンパク質が提示するECRTP/DEP−1受容体の細胞
外(Ec)または細胞質(Cy)ドメインが細菌内で発現され精製されたことを
示すオートラジオグラフィーである。タンパク質(100ng)を15%SDS
−ポリアクリルアミドゲルで分離し、PVDF膜へ移し、示されたようにモノク
ローナル抗体ECRTPAb−1またはECRTPAb−2でプローブした。
【0029】 図1Bは、100mm皿で培養したMDCK細胞が、空のpSRaベクター(
SRa)またはpSRa−ECRTP/DEP−1/HA(SRa−ECRTP
/HA)14μgの発現構築物に感染し、感染して48時間後に回収したものを
示すオートラジオグラフィーである。膜受容体タンパク質はWGAレクチン結合
アガロースにより150μg溶解タンパク質から回収した。レクチンに吸着し溶
出したタンパク質を7%SDS−PAGEに付し、PVDF膜へ移動し、示され
たようにECRTPAb−1、ECRTPAb−2または抗HA(HAAb)モ
ノクローナル抗体でプローブした。
【0030】 図1Cは、pSRa−ECRTP/DEP−1/HAプラスミドに安定して感
染したMDCK細胞を冷たいメタノールで固定し、ECRTPAb−2(パネル
a、c、およびd)またはクラスの合った対照抗体(パネルb)で染色したMD
CK細胞を示す一連の写真である。接触した場合のECRTPAb−2で標識さ
れた細胞の横縞。ECRTPAb−2を50μg組換え免疫原(Ec)とともに
プレインキュベートするとこの染色が阻害され(パネルc)、無関係な組換えタ
ンパク質(Cy)は阻害されなかった(パネルd)。
【0031】 図2は、ヒト成人腎臓の内皮細胞中のECRTP/DEP−1受容体の存在量
を示す一連の写真である。アセトンで固定したヒト腎臓の凍結切片(5μm厚さ
)をECRTPAb−1(パネルA−D)またはクラス適合対照モノクローナル
抗体(パネルE)とともにインキュベートし、方法に記載したように、結合した
抗体をエピ蛍光顕微鏡で検出した。ECRTPAb−1は糸球体細胞、管周細胞
および動脈内皮細胞を顕著に標識した。倍率はA)100倍;B)600倍;C
)600倍;D)400倍;E)100倍。
【0032】 図3は、ヒト腎臓脈管構造におけるECRTP/DEP−1受容体およびVE
カドヘリンの共焦点局在性を示す。アセトンで固定した腎臓切片を、ECRTP
Ab−1およびVEカドヘリンに対するポリクローナルヤギ抗体で同時標識した
。結合した抗体を、フルオレセイン結合抗マウスIg抗体(パネルA、B、E、
F)、またはローダミン結合抗ヤギIg抗体(パネルC、D、E、F)で検出し
た。ECRTPAb−1(緑色)染色は大動脈および糸球体毛細血管の内皮膜全
体に分布し(A、B)、一方、VEカドヘリン標識(赤色)は内皮接合部に限定
されていた(C、D)。重複する共焦点画像が、内皮接合部の内側でECRTP
がVEカドヘリンと共存することが証明された(倍率600倍)。
【0033】 図4は、発達中のネズミ糸球体におけるECRTP/DEP−1受容体の発現
を示す一連の写真である。胎児期14日(A)、16日(B)、出生後6日(C
)、および成体マウス(D)のクリオスタット腎臓切片を、実施例1の方法に記
載したようにECRTPAb−1で免疫標識した。パネルAとBは、ECRTP
Ab−1が間充織領域で分散した細胞と結合し(矢印)、コンマ型の糸球体の血
管の裂け目ヘ移動する内皮前駆細胞(矢印)と結合し、さらに毛細血管段階の糸
球体内皮(G)と結合する。パネルCとDは、成熟した腎臓内でECRTPAb
−1が糸球体(G)、動脈(A)、および管周毛細血管(矢印)の内皮を選択的
に標識している。(元の倍率;A)400倍;B)200倍;C)200倍;お
よびD)350倍)。
【0034】 図5は、ヒト内皮培養細胞におけるECRTP/DEP−1受容体の内皮内部
の接触の分布を示すが、ECRTP/DEP−1受容体はVEカドヘリンと共に
接合部から分離しない。
【0035】 図5Aは、メタノールで固定したHRMEC細胞が実施例1の方法で記載した
ようにECRTPAb−2で標識されることを示す一連の写真である。ECRT
P/DEP−1受容体は内皮膜内部の接点と、連続する共焦点画像内の頂端膜の
小さな斑点のある領域との間に分布している。
【0036】 図5Bは、HMEC−1細胞が密集し、その後固定化する前に5mM EGT
Aを含有する中膜で0分間(パネルaおよびc)または20分間(パネルbおよ
びd)インキュベートしたものを示す一連の写真である。ECRTPAb−2お
よびVEカドヘリン標識の分布は時間ごとに実施例1の方法に記載されたように
して調べた。ECRTP/DEP−1受容体免疫活性の分布はCa2+の低い培
地内で変わらなかったが、接合部のVEカドヘリンの染色は散逸し、VEカドヘ
リン接合部の解離と細胞膜を横切る再分布が一致した。
【0037】 図6は、細胞内皮密度が増殖停止を強要し、レクチンの回復可能なチロシンホ
スファターゼ活性を増加させることを示す。
【0038】 図6Aは、同一数のヒト腎臓微小血管内皮細胞(HRMEC)を、直径100
mm(1倍)、60mm(2.9倍)または35mm(8.1倍)のプラスチッ
ク皿の増殖培地で培養し、培養時点の細胞密度に指示した襞の違いを与えたこと
を示す線グラフである。培地は矢印で示した時点で増殖培地と交換した。細胞は
Coulterカウンターで計数し、サンプルは4反復で示している。細胞の増殖は単
一細胞の倍加後8.1倍の密度、および培養細胞の約3回の倍加後2.9倍の密
度で停止した。
【0039】 図6Bは、指示した時間指示した密度で培養した細胞を溶解し、さらにECR
TP/DEP−1受容体に起因し得るものを含む受容体チロシンホスファターゼ
活性をレクチン親和性クロマトグラフィーにより回収し、実施例2の方法に記載
したようにチロシンホスファターゼ阻害剤のオルトバナジンナトリウム(VO 、100μM)が存在する場合と存在しない場合でアッセイしたことを示す棒グ
ラフである。
【0040】 図7は、増加した細胞密度が免疫沈降するECRTP/DEP−1受容体の活
性(量ではない)を増加させることを示す放射能写真および棒グラフである。同
一数のHRMECを図6のように示された細胞密度で培養した。実施例2の方法
に記載したように36時間培養した後、単一特異性アフィニティー精製ラビット
ポリクローナル抗体を用いて、1mMペルオキシバナジン(+VO)または溶
媒(−VO)で10分間処理した細胞から直ちにECRTP/DEP−1受容
体を免疫沈降させた。回収したECRTP/DEP−1受容体抗原を単一特異的
抗体を用いた免疫ブロットにより定量化し、その内因性ホスホチロシン含量を4
G10モノクローナル抗体を用いたホスホチロシン免疫ブロットにより評価した
。免疫沈降した試料中のホスファターゼ活性を、pNPPを基質として用いて記
載したようにオルトバナジンナトリウムが存在する場合(+VO)と存在しな
い場合(−VO)で評価した。データは生成物の光学濃度を3反復のサンプル
+/−標準誤差で示している。
【0041】 図8は、ECRTP/DEP−1受容体の過剰発現、またはECRTP/DE
P−1、ECRTPAb−1に対する二価の抗体がHRMECを増殖停止させる
ことを示す。
【0042】 図8Aは、ECRTP/DEP−1 cDNAを持つHMRECの一時的感染
が低い細胞密度で増殖を阻害させることを示すグラフである。示されたように1
.7μg pSRα(ベクター対照)またはHAエピトープタグをつけた(血球
凝集素)pSRα−ECRTP/DEP−1(pSRα−ECTRP)、および
、実施例2の方法に記載したように感染した細胞のBrdU標識を数えるために
、0.4μg pEGEFP(Clontech)でおよそ3X10のHRMECを同
時感染させた。24時間で感染した細胞は再び示された数でp35培養皿に戻さ
れた。36時間後、S期の細胞を実施例2の方法に記載したようにBrdUで3
0分間標識し、+GFP陽性細胞をBrdUの組み込みについて数えた。示しさ
れたデータは4反復の測定値についての平均値+/−標準誤差を表す。
【0043】 図8Bは、ECRTPAb−1が内皮の増殖および移動を阻害することを示す
線グラフである。HRMEC(3X104)を0時点としてp35培養皿に入れ
た。24時間で増殖培地を交換し、細胞を計数し、IgG対照物(10μg/m
l)かまたはECRTPAb1(10μg/ml)のいずれかの抗体を加えた。
細胞の複製試料(5)を4日目に計数し、平均値+/−標準誤差で表した。
【0044】 図8Cは、図8のように0時点で同数のHRMECを培養し、示された濃度で
抗体またはFab断片を加えた場合のデータポイントプロットである。反復プレ
ートを1日目に回収して各条件でプレーティング効率が一様かどうかを確認し、
6日目に細胞の増殖をそれぞれ評価した。データポイントはは5反復の平均値+
/−標準誤差値を表す。
【0045】 図9は、ECRTPAb−1による内皮移動の阻害を示す。
【0046】 図9Aは、HRMEC単層が一時的にプラスミドpSRαECRTP/DEP
−1/HA、または示されたようにpSRαEphB1/HAに感染したことを
示す一連の写真である。48時間後、密集単層に「創傷」を作り、確実である3
0時間かけて塞がらせた。その後単層をモノクローナル血球凝集素抗体12CA
5で染色し、高レベルのECRTP/DEP−1/HAまたはEphB1/HA
を一時的に発現する細胞の位置をそれぞれ検出した。唯一ECRTP/DEP−
1過剰発現細胞だけが稀に移動して「創傷」を塞いだ。
【0047】 図9Bは、クラス適合IgG対照(IgG、10μg/ml)、ECRTPA
b1(10μg/ml)、またはECRTPAb1(3μg/ml、モル濃度は
同じ)のFab断片が含む示された抗体または断片の存在下、無添加(NA)ま
たはホルボールミリステートアセテート(20ng/ml)を添加した血清フリ
ーの培地に交換する0時にHRMEC密集単層に作られた直径300〜420μ
mの「創傷」の分析を示す線グラフである。3反復の創傷を用いて示された時間
に顕微鏡画像をなし、Bioquant画像解析ソフトを用いて自動的取り込み手順によ
り、残りの「創傷」部位を算定してはじめの創傷の分数として表している。各デ
ータポイントは3回の測定値の平均値+/−標準誤差を表す。
【0048】 図9Cは、図9Bと同様のアッセイ手順で得られたデータを解析した線グラフ
である。同じアッセイ手順を用いて、3の独立した時点でIgG対照、ECRT
PAb1、またはECRTPAb1/Fabに曝した細胞において測定した平均
値の直線回帰により移動率を計算した。r値はプロットした各データポイント
について0.90以上であった。白抜きの四角(□)は刺激を受けない細胞の閉
塞に対する移動率を示す。
【0049】 図10は、ECRTPAb1 Fab断片が内皮密度により媒介される増殖停
止を減衰することを示す線グラフである。示された数のHMEC−1細胞を、1
2ウェルディッシュ中のカバーガラス上の、無添加(NA)またはECRTPA
b1(67nM)添加増殖培地中に0時点としてプレーティングした。24時間
後、BrdU染色を実施例2の方法に記載したようにアッセイし、各条件につい
て5つの独立した視野を計数することでBrdU陽性細胞の割合%を得た(40
0細胞/ポイント以上)。データは平均値+/−標準誤差を表す。
【0050】 図11は、ECRTPAb1がbFGFに応答する角膜ポケット脈管形成を阻
害することを示す一連の写真である。ヒドロンペレットに、脈管形成刺激剤、塩
基性FGF(90ng)を単独で、またはクラスの適合する対照モノクローナル
抗体(IgG、200mg)あるいはECRTPAb1(200ng)を含浸さ
せ、麻酔をかけたマウスの角膜内皮に作ったポケットに置いた。注入から5日後
、脈管形成応答を評価し、撮影した。代表的な例はECRTPAb1の封入が埋
殖されたペレット周辺の増殖ゾーンを阻害することを示している。
【0051】 発明の詳細な説明 種やcDNA起源かにもよるが、DEP−1(密度増強ホスファターゼに関す
る)、ECRTP、HPTPη、CD148、BYPと呼ばれる哺乳類貫膜タン
パク質遺伝子産物は最初に繊維芽細胞からクローン化され、その後赤血球始原細
胞、巨核球および血小板、リンパ球、多形核白血球および血小板をはじめとする
あらゆる造血系統(de la Fuente-Garcia et al., Blood 91:2800-2809 (1998))
で、また極めて著しくは内皮細胞で発現されることが分かっている(以降本明細
書では、「ECRTP/DEP−1受容体」と呼ぶ)(Borges et al., Circulat
ion Research 79:570-580 (1996), Schoecklmann et al., J Am Soc Nephrol 5:
730 (1994)(abstract))。この遺伝子産物は赤血球始原細胞の分化を促進するこ
と(Kumet et al., J Biol Chem 271:30916-30921 (1996))、他のシグナル伝達タ
ンパク質と架橋された場合にリンパ球機能を調節すること(de la Fuente-Garcia
et al., Blood 91:2800-2809 (1998))、さらにタンパク質を過剰発現する乳癌
細胞系統のクローン発現を阻害すること(Keane et al., Cancer Research 56:42
36-4243 (1996))が分かっている。
【0052】 本発明によれば、ECRTP/DEP−1受容体のエクトドメインエピトープ
に特異的な抗体がミリスチル酸酢酸ホルボールおよびウシ胎児血清の各々に応答
して内皮細胞の移動および増殖を阻害することが証明された。内皮細胞の増殖お
よび移動を阻害する生物学的活性は脈管形成阻害活性の強力な指標となるとの認
識がなされている。従って、ECRTP/DEP−1受容体はまた、脈管形成を
阻害する阻害シグナルのメディエーターでもある。
【0053】 本発明によれば、本明細書に記載のモノクローナル抗体ECRTPAb−1を
はじめ、ECRTP/DEP−1受容体を統合する抗体は脈管形成を阻害する。
実際に、ECRTP/DEP−1受容体のエクトドメインに対するモノクローナ
ル抗体は内皮細胞の増殖(BrdU取り込み実験によって証明)および移動を阻
害する。同モノクローナルのFab断片はかかる活性を持たない。従って、本明
細書に記載のかかるモノクローナルECRTP/DEP−1受容体抗体およびそ
の誘導体は脈管形成阻害剤としての生物学的活性を有する。
【0054】 受容体エクトドメインの内因性リガンドは内皮増殖停止のシグナルを出す。従
って、本発明によれば、内因性リガンドをスクリーニングする方法が提供される
。例えば、内因性リガンドは、アフィニティー試薬としてECRTP/DEP−
1受容体エクトドメインの融合タンパク質を調製して同定し、それに関するアッ
セイ法を確立し、さらに内皮細胞で発現される推定される天然リガンドをクロー
ン化することによって単離される。このように、精製および単離された内因性リ
ガンドもまた、脈管形成阻害剤として治療用途を有する。
【0055】 本発明によれば、ECRTP/DEP−1受容体と接触させてECRTP/D
EP−1受容体活性を作動させるために合成ペプチドおよびペプチド模倣物を用
いてもよい。
【0056】 ECRTP/DEP−1受容体は、腎臓および限定されるものではないが心臓
、脾臓、筋肉および皮膚を含むその他の臓器の微小血管および大動脈血管の管腔
および内皮膜間で発現する。ECRTP/DEP−1受容体は培養内皮細胞の内
皮間接点、および重なり合う領域に局在するが、この局在はVEカドヘリンが豊
富な接合部複合体に限定されるものではない。ECRTP/DEP−1受容体活
性(チロシンホスファターゼ活性)は密度に媒介される増殖停止を待つ密集細胞
ではおよそ2倍に増加する。さらに、ECRTP/DEP−1受容体が過剰発現
すると密集前の内皮細胞でも増殖が停止する。このように本発明によれば、EC
RTP/DEP−1受容体とECRTP/DEP−1受容体調節組成物とを接触
させることによってECRTP/DEP−1受容体活性を調節する方法が考えら
れる。最後に、ECRTP/DEP−1受容体と選択的に結合し、かつ、治療組
成物と結合している抗体を調製することにより、治療組成物を内皮間接点へとタ
ーゲッティングする方法も、本発明の範囲内にあると考えられる。
【0057】 A.概観 本発明は概して、脈管形成がECRTP/DEP−1受容体により媒介される
こと、さらにはECRTP/DEP−1受容体機能の活性化が脈管形成を阻害す
るという発見に関する。この発見は種々の疾病プロセスに脈管形成が果たしてい
る役割という点で重要である。脈管形成を調節することにより、疾病への介入や
症状の軽減、およびある場合には疾病の治癒が可能となる。
【0058】 新しい血管の増殖が疾病に関与する病理学の原因、または一因となる場合、脈
管形成の阻害が疾病の有害な作用を軽減することになる。このような例としては
、慢性関節リウマチ、糖尿病性網膜症などが挙げられる。有害な組織の増殖を助
けるのに新しい血管の増殖が必要とされる場合、脈管形成の阻害はその組織への
血液供給を少なくし、それにより血液供給要求に基づく組織塊が小さくなる。こ
のような例としては腫瘍の増殖が挙げられ、腫瘍が数ミリの厚さを超えて増殖す
るため、また固形腫瘍の転移の確立のために新血管新生が継続的必要条件となる
【0059】 この治療法は他の生物学的プロセスではなく脈管形成に極めて選択的であるの
で、本発明の方法はある程度有効である。実施例に示されたように、ECRTP
/DEP−1受容体は内皮細胞に局在しているので、主として新しい血管増殖は
実質的にECRTP/DEP−1受容体を含み、従って、この治療法は成熟した
血管には悪影響を及ぼさない。さらに、ECRTP/DEP−1受容体は正常組
織に広く分布しているわけではなく、内皮細胞の表面に選択的に見られるので、
この治療法を選択的に標的化できることを確信させるものである。
【0060】 ECRTP/DEP−1受容体の結合が脈管形成を効果的に阻害するという発
見により潜在的に高い特異性を有し、従って、毒性も比較的低い治療組成物の開
発が見込める。このように本発明は抗ECRTP/DEP−1受容体モノクロー
ナル抗体の好ましい使用を開示するが、ECRTP/DEP−1受容体と選択的
に結合し、従って、ECRTP/DEP−1受容体によって媒介されるもの以外
の生物学的プロセスを調節してしまう副作用のない試薬をデザインすることがで
きる。
【0061】 本教示によって示されるように、ECRTP/DEP−1受容体との相互作用
に高い選択性を有し、ECRTP/DEP−1受容体機能の調節に同様の選択性
を有するモノクローナル抗体を製造することが可能である。さらに、本明細書で
さらに記載されるように、ECRTP/DEP−1受容体との結合に関して選択
的であるようなペプチドを設計することもできる。本発明の発見の前にはin viv
oにおいてECRTP/DEP−1受容体またはその他の受容体チロシンホスフ
ァターゼの生物学的機能を作動する試薬の使用によって脈管形成が阻害され得る
とは知られていなかった。
【0062】 他の関連の方法は米国特許第5,753,230号、同第5,733,876
号、同第5,762,918号、同第5,776,591号、および同第5,6
60,827号に記載されており、これら各々の内容は出典明示により本明細書
の一部とする。
【0063】 長期特許法条約に従い、特許請求の範囲を含む本願では"a" および"an"は"one
ore more"を意味するものとした。
【0064】 B.脈管形成の阻害法 本発明は組織の脈管形成を阻害し、それにより脈管形成に基づく組織における
事象を調節する方法を提供する。一般に本方法は、脈管形成を調節する量のEC
RTP/DEP−1受容体モジュレーターを含む組成物を組織に投与することを
含む。
【0065】 脈管形成とは「出芽」、脈管形成または血管拡大をはじめ新血管新生に関わる
種々のプロセスを含み、これらはすべての脈管形成プロセスはECRTP/DE
P−1受容体の発現により媒介され、ECRTP/DEP−1受容体の発現に基
づくものである。外傷治癒、黄体形成および胚形成を除いて、脈管形成プロセス
の大部分は疾病プロセスと関与していると考えられている。
【0066】 脈管形成が重要であると考えられている種々の疾病があり、限定されるもので
はないが免疫および非免疫性炎症、慢性関節リウマチ、および乾癬などの炎症性
疾患、糖尿病性網膜症、新血管新生緑内障、アテローム性動脈硬化症斑の毛細血
管増殖および骨粗鬆症などの血管の不適当または不都合な侵入に関する疾患、な
らびに固形腫瘍、固形腫瘍転移症、血管繊維芽腫、水晶体後繊維増殖症、血管腫
、カポジ肉腫、その他腫瘍の増殖を助けるのに新血管新生を必要とする癌などの
癌関連疾患をはじめとする脈管形成疾患が挙げられる。
【0067】 このように、罹患組織の脈管形成を阻害する方法は疾病の症状を緩和し、疾病
にもよるが、疾病の治癒の一助となり得る。1つの実施態様では、本発明は組織
における脈管形成それ自体の阻害を意図する。組織における脈管形成の程度、お
よびそれゆえ本方法によって達成される阻害の程度は、実施例に記載されている
ような免疫組織化学によってECRTP/DEP−1免疫陽性未熟および発達中
の血管構造を検出するための種々の方法によって評価できる。
【0068】 本明細書に記載されるように、皮膚、筋肉、消化管、結合組織、関節、骨、そ
の他脈管形成刺激時に血管が侵入する組織をはじめ、種々の組織または組織され
た組織からなる器官のいずれもが疾病状態において脈管形成を助長し得る。
【0069】 このように、1つの関連する実施形態では、治療される組織は炎症組織であり
、阻害される脈管形成は炎症組織の新血管新生が存在する炎症組織の脈管形成で
ある。このクラスにおいて、慢性関節リウマチ患者、免疫または非免疫性炎症組
織、乾癬組織などのような関節炎組織における脈管形成の阻害を意図する。
【0070】 本発明においてその多くの実施態様で治療される患者は望ましくはヒト患者で
あるが、本発明の原理は本発明が哺乳類をはじめとするすべての脊椎動物種に関
して有効であることを示していると理解され、これらも「患者」の中に含めるも
のとする。これに関して哺乳類とは、脈管形成が関与する疾病の治療が望ましい
哺乳類種のいずれも、特に農耕および飼育哺乳類種が含まれると理解される。
【0071】 もう1つの関連の実施態様では、治療される組織は糖尿病性網膜症患者、黄斑
変性患者、または新血管新生緑内障の網膜組織であり、阻害される脈管形成は網
膜組織の新血管新生が存在する網膜組織の脈管形成である。
【0072】 さらなる関連の実施態様では、治療される組織は固形腫瘍、転移症、皮膚癌血
管腫、または血管繊維腫その他の癌患者の腫瘍組織であり、阻害される脈管形成
は腫瘍組織の新血管新生が存在する腫瘍組織の脈管形成である。
【0073】 腫瘍組織の脈管形成の阻害は、腫瘍増殖に重要な役割の新血管新生を果たすの
で、特に好ましい実施態様である。腫瘍組織の新血管新生がなければ、腫瘍組織
は必要な栄養が得られず、増殖が遅くなり、さらなる増殖を止め、退縮し、最後
には壊死して腫瘍が死滅してしまう。あるいは、本発明は本方法に従い腫瘍の脈
管形成を調節することにより腫瘍の新血管新生を調節する方法を提供する。同様
に、本発明は脈管形成調節法を実施することにより腫瘍の増殖を調節する方法を
提供する。
【0074】 本方法はまた特に転移の形成に対して特に有効である。なぜならば(1)転移
性癌細胞が一次腫瘍を出ていくためには、転移の形成に一次腫瘍の脈管形成が必
要とされるからであり、また(2)二次的な部位におけるその確立には転移の増
殖を助長する新血管新生が必要であるからである。
【0075】 関連の実施態様では、本発明は転移の確立を制御するため、固形腫瘍に対して
向けられる通常の化学療法のようなその他の療法と組み合わせた本方法の実施を
意図する。脈管形成阻害剤の投与は典型的には化学療法中または化学療法後に行
われるが、化学療法計画後、腫瘍組織へ血液および栄養を供給して脈管形成を回
復させることによる有毒攻撃に応答する時点で脈管形成を阻害するのが好ましい
。さらに固形腫瘍を摘出する手術後の転移の予防として脈管形成阻害法を投じる
のが好ましい。
【0076】 組織において脈管形成を調節する本方法は、脈管形成が起こっている、または
起こる危険性がある組織と、ECRTP/DEP−1受容体と結合し得る、治療
上有効な量のECRTP/DEP−1受容体モジュレーターを含む組成物とを接
触させることを意図する。このように本方法は、本発明のECRTP/DEP−
1受容体モジュレーターを含有する生理学上許容される組成物の治療上有効な量
を患者に投与することを含む。
【0077】 ECRTP/DEP−1受容体モジュレーターの投与のための用量範囲はさら
に本明細書に記載されるようにモジュレーターの形態およびその効力に依存し、
これは脈管形成および脈管形成によって媒介される症状が緩和される望ましい作
用をもたらすに十分な量である。この用量は過粘稠度症候群、肺水腫、鬱血性心
不全などのような副作用を引き起こすほど多量であってはならない。一般に用量
は患者の年齢、状態、性別および疾病の程度によって異なり、当業者ならば決定
可能である。この用量はまた、いずれかの合併症があった場合には個々の医師に
よって調節可能である。
【0078】 治療上有効な量とは、治療される組織において脈管形成の測定可能な阻害をも
たらすに十分なECRTP/DEP−1受容体モジュレーターの量、すなわち脈
管形成を調節する量である。脈管形成の阻害はin situにおいて本明細書で記載
されるような免疫組織化学法により、または当業者に公知の他の方法により測定
できる。
【0079】 ECRTP/DEP−1受容体モジュレーターがECRTP/DEP−1受容
体リガンド模倣物、および抗ECRTP/DEP−1受容体モノクローナル抗体
またはその断片の形をとり得る限り、効力、従って、「治療上有効な」量の発現
は異なり得るものと考えられる。しかしながら本アッセイ法によって示されてい
るように、当業者ならば容易に本発明の候補ECRTP/DEP−1受容体モジ
ュレーターの効力を評価できる。
【0080】 ECRTP/DEP−1受容体モジュレーターは本明細書に記載の脈管形成の
ためのマウス角膜アッセイにおける脈管形成の阻害、本明細書に記載の天然のリ
ガンドまたはモノクローナル抗体とECRTP/DEP−1受容体との結合、そ
の他のアッセイを含む種々の手段によって測定できる。
【0081】 好ましいECRTP/DEP−1受容体モジュレーターは、1μM未満、好ま
しくは0.1μM未満、さらに好ましくは0.01μM未満のモジュレーター濃
度の溶液でECRTP/DEP−1受容体と実質的に結合する能力を有するもの
である。「実質的に」とは、ECRTP/DEP−1受容体モジュレーターの存
在下での調節により内皮細胞の増殖および移動に少なくとも50%の低下が見ら
れることを意味し、本明細書では50%の低下をIC50値で示す。
【0082】 モノクローナル抗体またはその断片の形の本発明のECRTP/DEP−1受
容体モジュレーターの治療上有効な量とは、典型的には、生理学上許容される組
成物として投与された場合に約0.01μg/mlないし約100μg/ml、
好ましくは約1μg/mlないし約5μg/ml、通常は約5μg/mlの血漿
濃度に達するに十分であるような量である。例えば、Mab ECRTP/DE
P−1(分子量=約150kDa)に関しては10μg/ml=67×10−9 Mである。あるいは、用量は1日1回以上の投与で1または数日間、約0.1m
g/kgないし約300mg/kg、好ましくは約0.2mg/kgないし約2
00mg/kg、最も好ましくは約0.5mg/kgないし約20mg/kgま
で様々であってよい。
【0083】 ポリペプチドの形の本発明のECRTP/DEP−1受容体モジュレーターの
治療上有効な量とは、典型的には、生理学上許容される組成物として投与された
場合に約0.001μg/mlないし約10μg/ml、好ましくは約0.05
μg/mlないし約1.0μg/mlの血漿濃度に達するに十分であるような量
である。約15,000g/モル(すなわち15,000Da)の質量を有する
ポリペプチドに基づけば、好ましい血漿モル濃度は約0.0001μMないし約
1mMである。あるいは、体重当たりの用量は1日1回以上の投与で1または数
日間、約0.01mg/kgないし約30mg/kg、好ましくは約0.05m
g/kgないし約20mg/kgまで様々であってよい。
【0084】 本発明のモノクローナル抗体またはポリペプチドは注射または一定時間にわた
る点滴により非経口投与できる。治療される組織は典型的には全身投与により体
内で接触され得るので、治療組成物の静脈投与によって治療されることが最も多
いが、ターゲッティングされる組織が標的分子を含んでいる場合にはその他の組
織および送達手段も意図される。このように、本発明のモノクローナル抗体また
はポリペプチドは静脈投与、腹膜内投与、筋肉内投与、皮下投与、腔内投与、経
皮投与が可能であり、またぜん動手段による送達も可能である。
【0085】 本発明のモノクローナル抗体またはポリペプチドを含有する治療組成物は、例
えば、単位用量の注射によるなど通常静脈投与される。「単位用量」とは本発明
の治療組成物についていう場合、被処置体に対する単位的用量として好適な物理
的に個別の単位をいい、各単位は必要とされる希釈剤、すなわち担体またはビヒ
クルと組み合わせて所望の治療作用をもたらすように計算された所定量の有効物
質を含有する。
【0086】 これらの組成物は投与剤形に適合した方法で、かつ、治療上有効な量で投与さ
れる。投与される量は治療される被処置体、その有効成分を利用する被処置体系
の能力、および所望の治療効果の程度に依存する。投与される必要のある有効成
分の厳密な量は医師の判断により、個々に独自のものである。しかしながら全身
適用についての好適な用量範囲は本明細書で開示され、これは投与経路により異
なる。好適な投与計画もまた様々であるが、典型的には最初の投与の後1時間以
上の間をあけて次の注射またはその他の投与法で反復投与する。あるいは、血中
濃度をin vivo療法について明示された範囲に維持するに十分な持続的静脈注入
が考えられる。
【0087】 C.治療組成物 本発明は本明細書に記載の治療方法を行うのに有用な治療組成物を意図する。
本発明の治療組成物は生理学上許容される担体と、そこに有効成分として溶解ま
たは分散した本明細書に記載のECRTP/DEP−1受容体モジュレーターと
を含む。好ましい実施態様では、この治療用ECRTP/DEP−1受容体モジ
ュレーター組成物は治療目的で哺乳類またはヒト患者に投与された場合に免疫原
性を持たない。
【0088】 本明細書において「医薬上許容される」、「生理学上許容される」およびその
文法上の派生語は、組成物、担体、希釈剤および試薬についていう場合、互換的
に用いられ、その物質が悪心、めまい、胃の不調などのような望ましくない生理
学的作用をもたらすことなく哺乳類に投与できることを表す。
【0089】 そこに溶解または分散した有効成分を含む薬理組成物の製造は当業者ならば十
分理解しており、処方を基に限定する必要はない。典型的にはかかる組成物は溶
液または懸濁液のいずれかとして注射可能なように調製されるが、使用前に液体
で溶液または懸濁液とするのに好適な固体状のものを調製することもできる。ま
たこの製剤は乳化させてもよい。
【0090】 この有効成分は、医薬上許容されるものであり、かつ有効成分と適合する賦形
剤と本明細書に記載の治療法で用いるのに好適な量で混合してもよい。好適な賦
形剤としては、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタ
ノールなど、およびそれらの混合物が挙げられる。さらに所望により、該組成物
は湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤など有効成分の有効性を高める補助物質を少
量含んでもよい。
【0091】 本発明の治療組成物はその中に該組成物の医薬上許容される塩を含んでもよい
。医薬上許容される塩としては、例えば、塩酸もしくはリン酸などの無機酸、ま
たは酢酸、酒石酸、マンデル酸などのような有機酸で形成された酸付加塩(ポリ
ペプチドの遊離のアミノ基によって形成)が挙げられる。また、遊離カルボキシ
ル基により形成された塩も、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カ
ルシウムまたは水酸化鉄(III)などの無機酸、およびイソプロピルアミン、ト
リメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどの
ような有機酸から誘導され得る。
【0092】 生理学上許容される担体は当技術分野で十分に公知である。液体担体の例とし
ては、有効物質と水の他には物質を含まない、または生理的pH値でリン酸ナト
リウムなどのバッファー、生理食塩水、またはリン酸緩衝生理食塩水などのその
双方を含む滅菌水溶液がある。またさらに、水性担体は1を超える緩衝塩、なら
びに塩化ナトリウムおよび塩化カリウムなどの塩、デキストロース、ポリエチレ
ングリコールその他の溶質を含んでもよい。
【0093】 液体組成物はまた、水に加えて、また水を除外して液相を含んでもよい。かか
る付加的な液相の例としてはグリセリン、綿実油などの植物油、および水−油エ
マルションが挙げられる。
【0094】 治療組成物は脈管形成を調節する量の本発明のECRTP/DEP−1受容体
モジュレーターを含み、典型的にはモジュレーターが治療組成物総重量の少なく
とも0.1重量%の量を含むように処方される。重量%とは組成物全体に対する
モジュレーターの重量比である。従って、例えば、0.1重量%は全組成物10
0gにつき阻害剤0.1gとなる。
【0095】 D.ECRTP/DEP−1受容体モジュレーター ECRTP/DEP−1受容体モジュレーターは、組織における脈管形成の調
節をはじめ、組織におけるECRTP/DEP−1受容体活性を調節するために
本方法で使用される。このように本明細書において「調節する」および「モジュ
レーター」は組織においてECRTP/DEP−1受容体活性を阻害する、処断
する、促進する、刺激する、作動させる、拮抗させる、またはそうでなければ影
響を及ぼすことを包含すると解釈することを意味する。
【0096】 かかるモジュレーターは、天然のECRTP/DEP−1リガンドとの機能的
相互作用を模倣、刺激および/または阻害するような様式でECRTP/DEP
−1受容体と相互作用する化合物を含む種々の形態をとり得る。モジュレーター
の例としては、ECRTP/DEP−1受容体のECRTP/DEP−1受容体
天然リガンド結合部位類似体、ECRTP/DEP−1−受容体リガンド結合相
互作用に関与する構造領域を模倣するECRTP/DEP−1受容体天然リガン
ド模倣物、ECRTP/DEP−1受容体天然リガンドドメインに相当する配列
を有するポリペプチド、およびECRTP/DEP−1受容体または天然リガン
ドのいずれかと免疫反応する抗体が挙げられ、これらはすべて本明細書で定義さ
れたモジュレーター活性を示す。
【0097】 1.ポリペプチド 1つの実施態様では、本発明は、ポリペプチド形態のECRTP/DEP−1
受容体モジュレーターを意図する。ポリペプチド(ペプチド)ECRTP/DE
P−1受容体モジュレーターは、ECRTP/DEP−1受容体−リガンド相互
作用に関与する領域において、ECRTP/DEP−1受容体の天然リガンドま
たはECRTP/DEP−1受容体自体のいずれかに特徴的な配列を持ち得る。
好ましいECRTP/DEP−1受容体モジュレーターペプチドは配列において
天然リガンドに相当する。
【0098】 ECRTP/DEP−1受容体エクトドメインとの抗体相互作用は内皮増殖応
答を調節するので、本発明は単離および精製されたECRTP/DEP−1受容
体エクトドメインの使用を意図し、これは以下の実施例のECRTP/DEP−
1受容体活性のモジュレーターとして記載される方法に説明されている。以下の
実施例に考察されるが、かかる使用はECRTP/DEP−1受容体エクトドメ
インが同種または「自己」リガンドであるとの考え方を反映している。
【0099】 「ECRTP/DEP−1受容体エクトドメイン」とは、以下に記載されるよ
うにECRTP/DEP−1受容体エクトドメイン融合タンパク質およびポリペ
プチド、組換えECRTP/DEP−1受容体エクトドメインタンパク質および
ポリペプチド、ペプチド誘導体、アミド、タンパク質複合体、環化ペプチド、重
合ペプチド、類似体、断片、化学的に修飾されたペプチド、その他誘導体をさす
ものとする。
【0100】 1つの実施態様では、本発明のポリペプチドは約100個以下のアミノ酸残基
、好ましくは約60個以下の残基、さらに好ましくは約30個の残基を含む。ペ
プチドは直鎖であっても環状であってもよい。
【0101】 対象ポリペプチドは、必要とされる結合配列を含み、本明細書に記載されたよ
うなアッセイにおいてECRTP/DEP−1受容体モジュレーターとして機能
し得る限り、ECRTP/DEP−1受容体天然リガンドまたはECRTP/D
EP−1受容体エクトドメインのアミノ酸残基配列と同一である必要はないと理
解すべきである。
【0102】 対象ポリペプチドには、ECRTP/DEP−1受容体モジュレーターである
ポリペプチドの類似体、断片または化学誘導体のいずれもが含まれる。かかるポ
リペプチドは、使用においてその変化がある利点をもたらすような種々の変更、
置換、挿入および欠失を受け得る。これに関しては、本発明のECRTP/DE
P−1受容体モジュレーターポリペプチドは1以上の変化が起こる天然リガンド
配列と同一であるというよりはむしろそれに対応し、本明細書で定義されるよう
な1以上のアッセイにおいてECRTP/DEP−1受容体モジュレーターとし
て機能する能力を有する。従って、ポリペプチドは、アミド、タンパク質コンジ
ュゲート、環化ペプチド、重合ペプチド、類似体、断片、化学的に修飾されたペ
プチド、その他誘導体を含む種々の形態のペプチド誘導体のいずれれであっても
よい。
【0103】 「類似体」には、ECRTP/DEP−1受容体天然リガンドの配列と実質的
に同一のアミノ酸残基配列を有するポリペプチドのいずれもが含まれ、そこでは
1以上の残基が機能的に同等な残基で保存的に置換されており、本明細書に記載
のECRTP/DEP−1受容体モジュレーター活性を示す。保存的置換の例と
してはイソロイシン、バリン、ロイシンまたはメチオニンなどの非極性(疎水性
)残基あるものから別のものへの置換;アルギニンとイソロイシン間、グルタミ
ンとアスパラギン間、グリシンとセリン間などの極性(親水性)残基のあるもの
から別のものへの置換;リジン、アルギニンまたはヒスチジンなどの塩基性残基
のあるものから別のものへの置換;またはアスパラギン酸またはグルタミン酸な
どの酸性残基のあるものから別のものへの置換が挙げられる。
【0104】 「保存的置換」にはまた、かかるポリペプチドが必要な阻害活性を示す限り誘
導体化されていない残基の代わりに化学的に誘導体化された残基の使用が含まれ
る。
【0105】 「化学的誘導体」とは、官能側基の反応によって化学的に誘導体化された1以
上の残基を有する対象ポリペプチドをいう。かかる誘導体化分子としては例えば
、遊離アミノ基が誘導体化されて塩酸アミン、p−トルエンスルホニル基、カル
ボベンゾキシ基、t−ブチルオキシカルボニル基、クロロアセチル基またはホル
ミル基を形成するものが挙げられる。遊離カルボキシル基は誘導体化して塩、メ
チル、およびエチルエステルまたはその他の種のエステルもしくはヒドラジドを
形成させてもよい。遊離ヒドロキシル基は誘導体化してO−アシルまたはO−ア
ルキル誘導体を形成させてもよい。ヒスチジンのイミダゾール窒素は誘導体化し
てN−im−ベンジルヒスチジンを形成させてもよい。また化学誘導体としては
、20種の標準アミノ酸の天然に存在する1以上のアミノ酸誘導体を含むペプチ
ドが含まれる。例えば、プロリンは4−ヒドロキシプロリンで置換してもよく;
リジンは5−ヒドロキシリジンで置換してもよく;ヒスチジンは3−メチルヒス
チジンで置換してもよく;セリンはホモセリンで置換してもよく;また、リジン
はオルニチンで置換してもよい。本発明のポリペプチドはまた、必要な活性が維
持される限り、その配列が本明細書で示されるポリペプチドの配列に対して1以
上の残基の付加および/または欠失を有するポリペプチドのいずれもが含まれる
【0106】 「断片」とは、そのアミノ酸残基配列が本明細書で示されているポリペプチド
のものよりも短いアミノ酸残基配列を有する対象ポリペプチドをいう。
【0107】 本発明のポリペプチドがECRTP/DEP−1受容体天然リガンドの配列と
は同一ではない配列を有する場合、それは典型的には1以上の保存的または非保
存的置換がなされたことによるもであり、通常はアミノ酸残基数の約30%以下
、好ましくは10%以下が置換されている。「リンカー」を提供する目的ではポ
リペプチドのいずれかの末端にさらなる残基を付加してもよく、このリンカーに
より本発明のポリペプチドは標識または固相マトリックス、または担体に便宜に
固定することができる。本発明のポリペプチドを用いて使用できる標識、固相マ
トリックスおよび担体は以下に記載される。
【0108】 アミノ酸残基リンカーは通常は少なくとも1個の残基であるが、40残基以上
、しばしば1ないし10残基であり得、ECRTP/DEP−1受容体リガンド
エピトープを形成しないものである。架橋に用いられる典型的なアミノ酸残基は
チロシン、システイン、リジン、グルタミン酸およびアスパラギン酸などである
。さらに、対象ポリペプチドは特に断りのない限り、末端NH2のアシル化(例
えば、アセチル化またはチオグリコール酸のアミド化)、末端カルボキシルのア
ミド化(例えば、アンモニア、メチルアミンによる)、その他の末端修飾によっ
て修飾された配列により、ECRTP/DEP−1受容体リガンドの天然配列と
は異なっている。末端修飾は十分公知であるように、プロテイナーゼ消化による
感受性を小さくし、従って、溶液、特にプロテアーゼが存在し得る生物体液中で
ポリペプチドの半減期を延長する働きをさせるのに有用である。この点で、ポリ
ペプチドの環化もまた有用な末端修飾であり、環化によって形成される安定構造
のため、また本明細書で記載のような環状ペプチドに対して見られる生物学的に
有効な活性の観点から特に好ましい。
【0109】 本発明のペプチドはいずれも医薬上許容される塩の形態で使用してもよい。本
発明のペプチドとペプチドをなし得る好適な酸としては、トリフルオロ酢酸(T
FA)、塩酸(HCl)、臭化水素酸、過塩素酸、硝酸、チオシアン酸、硫酸、
リン酢酸酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロ
ン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、アントラニル酸、桂皮酸、ナフタレン
スルホン酸、スルファニル酸などの無機酸が挙げられる。HClおよびTFA塩
が特に好ましい。
【0110】 本発明のペプチドと塩を形成し得る好適な塩基としては、水酸化ナトリウム、
水酸化アンモニウム、水酸化カリウムなどの無機塩基、ならびにモノ、ジおよび
トリアルキルおよびアリールアミン(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピ
ルアミン、メチルアミン、ジメチルアミンなど)、および所望により置換されて
いてもよいエタノールアミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン
など)などの有機塩基が挙げられる。
【0111】 本発明のペプチドは本明細書では対象ポリペプチドとも呼ぶが、組換えDNA
技術をはじめとする、ポリペプチド分野の技術の熟練者に公知である技術のいず
れによって合成することもできる。純度、抗原特性、望ましくない副生成物を含
まないこと、生産の容易さなどの点から固相Merrifieldメリフィールド型の合成
のような合成科学技術は好ましい。利用可能な多くの技術の優れた概要は、固相
ペプチド合成法に関しては、Steward et al., "Solid Phase Peptide Synthesis
", W.H. Freeman Co., San Francisco, 1969; Bodanszky, et al., "Peptide Sy
nthesis", John Wiley & Sons, Second Edition, 1976; J. Meienhofer, "Hormo
nal Proteins and Peptides", Vol. 2, p. 46, Academic Press (New York), 19
83; Merrifield, Adv Enzymol, 32:221-96, 1969; Fields et al,, Int. J. Pep
tide Protein Res., 35:161-214, 1990;および米国特許第4,244,946号
、また従来の溶液合成法に関しては、Schroder et al., "The Peptides", Vol.
1, Academic Press (New York), 1965に見出すことができ、これらはそれぞれ出
典明示して本明細書の一部とされる。かかる合成で使用できる適当な保護基は上
記のテキストおよびJ.F.W. McOmie, "Protective Groups in Organic Chemistry
", Plenum Press, New York, 1973に記載されており、これは出典明示して本明
細書の一部とされる。
【0112】 一般に、意図される固相合成法は1以上のアミノ酸残基の一連の付加、または
アミノ酸残基を適宜保護してペプチド鎖を伸長させることを含む。通常、第1の
アミノ酸残基のアミノまたはカルボキシル基のいずれかを、選択的に除去できる
好適な保護基で保護する。リジンなど反応性側基を含むアミノ酸に対しては選択
的に除去できる異なる保護基を利用する。
【0113】 固相合成を例にとると、保護されたまたは誘導体化されたアミノ酸はその保護
されていないカルボキシル基またはアミノ基を介して不活性な固相支持体と結合
している。次いでこのアミノ基またはカルボキシル基の保護基を選択的に除去し
、適宜保護された相補基(アミノ基またはカルボキシル基)を有する配列におい
て、固相支持体にすでに結合されている残基とアミノ結合を形成するのに好適な
条件下で次のアミノ酸が混合され、反応する。次いでこの新たに付加されたアミ
ノ酸残基からアミノ基またはカルボキシル基の保護基を除去した後、次のアミノ
酸(適宜保護)を付加するというように繰り返す。所望のアミノ酸をすべて連結
して適切な配列とした後、残りの末端および側基保護基(ならびに固相)をいず
れも順次または同時に除去して最終的に直鎖ポリペプチドを得る。
【0114】 例えば、上記のようにして製造されて結果的に得られる直鎖ポリペプチドを搬
送させて対応する環状ペプチドを得てもよい。ペプチドを環化する方法例は、Zi
mmer et al., Peptides 1992, pp. 393-394, ESCOM Science publishers, B.V.,
1993に記載されている。典型的にはt−ブトキシカルボニルで保護したペプチ
ドエチルエステルをメタノールに溶解し、水酸化ナトリウム溶液を加え、その混
合物を20℃で反応させて加水分解的にメチルエステル保護基を除去する。溶媒
を蒸発させた後、t−ブトキシカルボニルで保護したペプチドを、酸性化した水
性溶媒から酢酸エチルで抽出する。次ぎにジオキソラン補助溶媒中の弱酸性条件
下でこのt−ブトキシカルボニル保護基を除去する。こうして得られた遊離のア
ミノ末端とカルボキシ末端を有する保護されていない直鎖ペプチドは、ジクロロ
メタンおよびジメチルホルムアミドの混合物中の直鎖ペプチドの希溶液を、1−
ヒドロキシベンゾトリアゾールおよびN−メチルモルホリンの存在下でジシクロ
ヘキシルカルボジイミドと反応させることにより、対応する環状ペプチドへと変
換する。
【0115】 2.モノクローナル抗体 本発明は、1つの実施態様において、ECRTP/DEP−1受容体と免疫反
応し、かつ、ECRTP/DEP−1受容体と結合して本明細書に記載の受容体
活性を調節する、モノクローナル抗体の形態のECRTP/DEP−1受容体モ
ジュレーターについて記載する。本発明はまた、抗体を生産する細胞系統、その
細胞系統を作出する方法、およびそのモノクローナル抗体を生産する方法につい
て記載する。
【0116】 本発明のモノクローナル抗体は、1)単離されたECRTP/DEP−1受容
体と免疫反応し、かつ2)ECRTP/DEP−1受容体と結合してその生物学
的機能を調節する抗体分子からなる。ECRTP/DEP−1受容体と選択的に
結合する好ましいモノクローナル抗体としては、本明細書で以下に記載されるよ
うに、Mab ECRTPAb−1の免疫反応特性を有し、分子量がそれぞれ約
150kDaで、かつ、ECRTP/DEP−1受容体のエクトドメインと結合
するモノクローナル抗体がある。Mab ECRTPAb−1はハイブリドーマ
細胞系統ATCC HB12570によって分泌されるものが好ましい。ハイブ
リドーマ細胞系統ATCC HB12570は、ブダペスト条約要件に従って、
American Type Culture Collection (ATCC), 10801 University Boulevard, Man
assas, Virginia, 20110-2209, U.S.A., 1998年、9月18日の下で寄託されたもの
である。
【0117】 「抗体または抗体分子」とは、本明細書では種々の文法形態で、免疫グロブリ
ン分子および/または免疫グロブリン分子の免疫学的に有効は部分、すなわち抗
体結合部位またはパラトープを含む分子の集団をさす集合名詞として用いられる
。「抗体結合部位」とは、抗原と特異的に結合する重鎖および軽鎖可変領域およ
び超可変領域からなる抗体分子の構造部分である。
【0118】 本発明において用いられる抗体例としては、完全な免疫グロブリン分子、実質
的に完全な免疫グロブリン分子、一本鎖免疫グロブリンまたは抗体、当技術分野
でFab、Fab’、F(ab’)2およびF(v)として知られ、また抗体断
片とも呼ばれる部分をはじめ、パラトープを含む免疫グロブリン分子の一部が挙
げられる。
【0119】 実際に、以下に示される実施例で記載されているように、Fab断片、すなわ
ちMab ECRTPAb−1の一価断片は密度停止を放出する。このように、
かかる一価モジュレーターを用いて脈管形成を促進する、または内皮細胞の移動
および増殖を促進する、または内皮細胞に阻害的影響を与えて他の脈管形成刺激
の補助として機能させることも本発明の範囲内であると考えられる。従って、「
調節する」および「モジュレーター」とは、かかる促進を包含するものと解釈さ
れる。
【0120】 「モノクローナル抗体」とはその種々の文法形態において、特定のエピトープ
と免疫反応し得る単一種の抗体結合部位を含む抗体分子の集団をさす。従って、
モノクローナル抗体は典型的にはそれが免疫反応するいずれのエピトープに対し
ても単一の結合親和性を示す。従って、モノクローナル抗体は、各々異なるエピ
トープに免疫特異性を示す複数の抗体結合部位を有する抗体分子、例えば、二重
特異性モノクローナル抗体を含み得る。
【0121】 モノクローナル抗体は典型的には単一種の抗体分子を分泌(産生)するハイブ
リドーマと呼ばれる単一細胞のクローンによって産生される抗体からなる。ハイ
ブリドーマ細胞は抗体産生細胞とミエローマまたはその他の自己永続細胞系統と
を融合させることにより形成される。かかる抗体の調製は最初にKohler and Mil
stein, Nature 256:495-497 (1975)によって記載されており、この記載は出典明
示により本明細書の一部とする。さらなる方法がZola, Monoclonal Antibodies:
a Manual of Techniques, CRC Press, Inc. (1987)により記載されている。そ
のようにして調製したハイブリドーマ上清は、ECRTP/DEP−1受容体と
免疫反応する抗体分子の存在に関して、またその生物学的機能を活性化するため
のECRTP/DEP−1受容体の阻害に関してスクリーニングすることができ
る。
【0122】 便宜には、モノクローナル抗体組成物を産生させるハイブリドーマを形成する
には、ミエローマまたはその他の自己永続細胞系統を、Cheresh et al., J. Bio
l Chem, 262:17703-17711 (1987)によって記載されているように、M21ヒトメ
ラノーマ細胞から単離したECRTP/DEP−1受容体など、ECRTP/D
EP−1受容体の供給源で過免疫した哺乳類の脾臓から得たリンパ球と融合させ
る。
【0123】 ハイブリドーマを調製するために使用されるミエローマ細胞系統はリンパ球と
同じ種に由来するものであることが好ましい。典型的には129GIX+系統の
マウスが好ましい哺乳類である。本発明はで用いられる好適なマウスミエローマ
としては、ATCC, Manassas, VirginiaからそれぞれCRL1580およびCRL
1581として入手できる、ヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジン感受性
(HAT)細胞系統P3X63−Ag8.653、およびSp2/0−Ag14
が挙げられる。
【0124】 典型的にはポリエチレングリコール(PEG1500)を用いて脾臓細胞をミ
エローマ細胞と融合させる。融合したハイブリッドは、HAT感受性によって選
択する。本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、実施例に記
載の酵素結合イムノソルベント検定法を用いて同定する。
【0125】 本発明のモノクローナル抗体はまた、適当な特異性を抗体分子を分泌するハイ
ブリドーマを含有する栄養培地からなるモノクローナルハイブリドーマ培養を開
始することで生産することもできる。該培養系は、ハイブリドーマにとって抗体
分子が培地中へ分泌するに十分な条件および期間で維持する。その後、抗体を含
有する培地を回収する。次ぎに抗体分子をさらに十分公知な方法で単離すること
ができる。これらの組成物の調製に有用な培地は当技術分野で十分公知であり、
商業的に入手可能でもあり、合成培地、同系マウスなどがある。合成培地の例と
しては、4.5g/lのグルコース、20mMのグルタミンおよび20%のウシ
胎児血清を添加したダルベッコの最小必須培地(DMEM, Dulbecco et al., V
irol 8:396 (1959))がある。同系マウス系統の例としてはBalb/Cがある
【0126】 モノクローナル抗体、ハイブリドーマ細胞、またはハイブリドーマ細胞培養系
を作出するその他の方法もまた十分公知である。例えば、Sastry et al., Proc
Natl Acad Sci USA 86:5728-5732 (1989);およびHuse et al., Science 246:127
5-1281 (1989)によって記載されているような免疫レパートリーからモノクロー
ナル抗体を単離する方法を参照。
【0127】 また、ハイブリドーマ細胞および本発明のモノクローナル抗体を産生するハイ
ブリドーマ細胞を含む培養系も本発明により意図される。以下に示される実施例
に記載され、ATCC HB12570とも呼ばれるモノクローナル抗体Mab
ECRTPAb−1を分泌するハイブリドーマ細胞系統が特に好ましい。Ma
b ECRTPAb−1は実施例に記載のようにして調製した。このように本発
明は1つの実施態様において、Mab ECRTPAb−1の免疫反応特性を有
するモノクローナル抗体を意図する。
【0128】 また、あるモノクローナル抗体が本発明のモノクローナル抗体と同一(すなわ
ち同等)の特異性(免疫反応特性)を有しているかどうかは、前者が後者を予め
選択した標的分子と結合させないようにするかどうかを確認することにより、過
度な実験を行うことなく決定することができる。固相中に存在する標的分子への
結合に関する標準的な競合アッセイにおいて、本発明のモノクローナル抗体によ
って結合の低下が示されるように、試験されるモノクローナル抗体が本発明のモ
ノクローナル抗体と競合するならば、この2つのモノクローナル抗体は同じエピ
トープ、または密接に関連するエピトープに結合すると考えられる。
【0129】 あるモノクローナル抗体が本発明のモノクローナル抗体の特異性を有するかど
うかを決定するさらにもう1つの方法として、本発明のモノクローナル抗体を通
常それが反応する標的分子とともにプレインキュベートし、その後、試験される
モノクローナル抗体を加えて、試験されるモノクローナル抗体が標的分子と結合
する能力において阻害されるかどうか決定するというものがある。試験されるモ
ノクローナル抗体が阻害されれば、おそらくそれは本発明のモノクローナル抗体
と同じ、または機能的に同等なエピトープ特異性を有している。
【0130】 あるモノクローナル抗体が本発明のモノクローナル抗体の特異性を有するかど
うかを決定するさらなる方法として、問題の抗体のCDR領域のアミノ酸残基配
列を決定するというものがある。CDR領域において同一または機能的に同等な
アミノ酸残基配列を有する抗体分子は同じ結合特異性を有する。ポリペプチドの
配列決定法は当技術分野で十分公知である。
【0131】 抗体の免疫特異性は、その標的分子結合力、および抗体がエピトープに対して
示す付随の親和性は、抗体がそれと免疫反応するエピトープによって規定される
。このエピトープ特異性は、少なくともある部分は抗体を含んでなる免疫グロブ
リンの重鎖の可変領域のアミノ酸残基配列によって、またある部分は軽鎖可変領
域アミノ酸残基配列によって規定される。「〜の結合特異性を有する」または「
〜の結合選択性を有する」を用いる場合、同等のモノクローナル抗体が同一また
は類似の免疫反応(結合)特性を示し、予め選択された標的分子との結合に関し
て競合することを示す。
【0132】 ヒト化されたモノクローナル抗体は、特に治療上ヒトに使用できる限りは、ネ
ズミモノクローナル抗体を超える特定の利点をもたらす。具体的には、ヒト抗体
は循環から「外来」抗原ほどすぐには除去されず、外来抗原および外来抗体と同
じ様式では免疫系を活性化しない。「ヒト」化抗体を調製する方法は一般に当技
術分野で公知であり、本発明の抗体に容易に適用できる。従って、本発明は1つ
の実施態様において、抗原と結合する抗体の能力を実質的に妨げることなくヒト
免疫系の成分導入するためにつぎ足すことによってヒト化される本発明のモノク
ローナル抗体を意図する。
【0133】 抗体、特にモノクローナル抗体、さらに特には一本鎖モノクローナル抗体を作
製するための分子クローニングアプローチの使用もまた意図される。一本鎖抗体
の製造は当技術分野で記載がある。例えば、米国特許第5,260,203号を
参照(この内容は出典明示により本明細書の一部とする)。これについては、免
疫化した動物の脾臓から単離したRNAから免疫グロブリンファージミドライブ
ラリーの組合せを作り、適当な抗体を発現するファージミドを内皮組織をパンニ
ングすることにより選択する。従来のハイブリドーマ技術に優るこのアプローチ
の利点は、1回で約10倍という多くの抗体が生産およびスクリーニングでき
ること、ならびに一本鎖におけるHおよびL鎖の組合せによって新たな特異性が
生じ、これにより適当な抗体を見つけ出せる機会がさらに増えるということであ
る。このように、本発明の抗体または本発明の抗体の「誘導体」は、結合特異性
および実質的に結合特異性と同様の親和性、およびECRTP/DEP−1など
の本明細書に記載の抗体の軽鎖および重鎖凝集可変領域を有する単一のポリペプ
チド鎖結合分子に適するものである。
【0134】 3.その他のモジュレーター これまでに記載されている脈管形成阻害化学化合物は組織におけるECRTP
/DEP−1受容体活性のモジュレーターであるとも考えられる。かかる化合物
の例としては、限定されるものではないが、アンギオスタチン、エンドスタチン
およびトロンボスポンジンが上げられる。従って、かかる化合物は、本発明の方
法に従い、組織におけるECRTP/DEP−1受容体活性の調節に使用しても
よい。
【0135】 本明細書で組織におけるECRTP/DEP−1受容体活性の開示が与えられ
れば、本発明の方法に従い、まだ明らかになっていない化学化合物を用いて組織
におけるECRTP/DEP−1受容体活性を調節し得るということも考えられ
る。かかる化合物の同定は以下に示される組織におけるECRTP/DEP−1
受容体活性に向けされたスクリーニングアッセイの記載により容易になる。
【0136】 D.スクリーニングアッセイ 当業者ならば、ECRTP/DEP−1受容体の限局化および機能についての
本明細書の開示、ならびにかかる限局化および機能に関するin vitroアッセイが
、部分的であれ完全であれ、ECRTP/DEP−1受容体の機能的活性を調節
する化合物に関するスクリーニングできる機会を与えることが理解できるであろ
う。これに関して、「調節する」とは、対象化合物がECRTP/DEP−1受
容体の1以上の機能的活性を増強または低下させることを意味するものとする。
【0137】 さらに、以下の実施例で例示されるスクリーニングアッセイには、生化学アッ
セイ(例えば、ECRTP/DEP−1受容体活性に対する抗ECRTP/DE
P−1受容体モノクローナル抗体の作用を測定する)、およびin vitro細胞アッ
セイ(例えば、内皮細胞の増殖および移動に対するECRTP/DEP−1受容
体過剰発現の作用を測定する)が含まれる。例示の生化学アッセイは、ECRT
P/DEP−1受容体活性を調節する化合物のスクリーニングに特に有用であり
、一方、細胞アッセイはECRTP/DEP−1受容体活性を完全に変更する化
合物のスクリーニングに特に有用である。このように、内皮細胞の増殖および移
動の調節、ならびに脈管形成の調節におけるECRTP/DEP−1受容体の役
割についての本明細書で開示されるまで、当技術分野でECRTP/DEP−1
受容体活性を調節する化合物のスクリーニングに対する動機付けは欠如していた
【0138】 当業者ならば、分子結合部位におけるリガンドの結合が直接的に(例えば、そ
の部位を遮断することによる)調節することもできるし、また間接的に(例えば
、離れた部位における第2の、すなわち異なるリガンドの結合の後に誘導される
コンホメーション変化による)調節することもできることが分かるであろう。こ
れに関しては、その内因性リガンドに対するECRTP/DEP−1受容体の結
合部位特異性は、ECRTP/DEP−1受容体の離れた部位で結合する薬剤に
よって完全に調節または変更できる(すなわち、異なるリガンドに結合する)と
考えられる。後者のいくつかのアッセイでスクリーングされ得る化合物の例とし
ては、少なくとも核酸(例えば、タンパク質と結合してそれらの機能を変更する
DNAオリゴヌクレオチドアプタマー)、タンパク質、炭水化物、レクチン、有
機化合物などが含まれる。かかるスクリーニングアッセイは動物およびヒトに有
用な薬剤となり得る候補治療薬を同定するのに有用であり得る。
【0139】 またさらに、内皮細胞の移動および増殖、密度がもたらす増殖停止、ならびに
脈管形成の調節におけるECRTP/DEP−1受容体の重要性により、ECR
TP/DEP−1受容体と、またはECRTP/DEP−1受容体を含む複合体
と結合することによってそれらの活性を調節するために細胞には内在する調節機
構が存在すると理解される。かかる調節因子には少なくとも、(a)複合体と結
合し、さらに複合体を脱安定化または安定化することによって調節作用を機能さ
せる補因子;(b)複合体に結合した場合にECRTP/DEP−1受容体にコ
ンホメーション変化を引き起こすことによって複合体の活性を調節または変更す
る作用因子;(c)複合体の一方または両方の構成要素を不活性化する酵素;お
よび(d)ECRTP/DEP−1受容体またはECRTP/DEP−1受容体
複合体と結合して機能的活性を調節または変更する細胞制御因子(例えば、シグ
ナル変換二次伝達物質、転写調節因子、DNA複製因子など)が含まれる。当業
者ならば、ECRTP/DEP−1受容体の機能的領域が、三次元分子モデリン
グや模倣化合物、例えば、ECRTP/DEP−1受容体とその内因性結合パー
トナーまたはその他の結合パートナー間の三次元相互作用を模倣するために構築
される有機化合物の構築のための特に魅力ある標的を示すと認識しているであろ
う。
【0140】 このように本発明は、内皮細胞の移動および増殖、密度により誘導される増殖
停止および/または脈管形成を調節または変更する能力に関して物質をスクリー
ニングする方法を意図し、該方法は機能的ECRTP/DEP−1受容体を含む
細胞を準備し、さらにその細胞の移動または増殖、その細胞の密度により誘導さ
れる増殖停止、またはその細胞における脈管形成の阻害を調節または変更する選
択された物質の能力を試験するステップを含む。
【0141】 本発明の方法および組成物を利用すれば、候補物質の試験のためのスクリーニ
ングアッセイが提供できる。候補物質とは、内皮細胞の移動および増殖、密度に
より誘導される増殖停止および/または脈管形成を調節するECRTP/DEP
−1受容体との結合またはその他の分子内相互作用によって内皮細胞の移動およ
び増殖、密度により誘導される増殖停止および/または脈管形成を調節できる可
能性のある物質である。
【0142】 本発明のスクリーニングアッセイは一般に、標的細胞における内皮細胞の移動
および増殖、密度により誘導される増殖停止および/または脈管形成に影響を与
える候補物質の能力を測定することを含み、例えば、内皮細胞の移動および増殖
、密度により誘導される増殖停止および/または脈管形成を調節または変更する
ものを同定するための候補物質のスクリーニングがある。標的細胞としては、E
CRTP/DEP−1受容体を含むことが分かっている天然に存在する細胞であ
っても、本明細書でも示され当技術分野で公知でもある形質転換法に従って作出
された形質転換細胞であってもよい。
【0143】 当技術分野で十分公知であるように、スクリーニングアッセイは、内皮細胞の
移動および増殖、密度により誘導される増殖停止および/または脈管形成の調節
または変更を試験するのに好適な条件下にある細胞を提供する。これらの条件と
しては、限定されるものではないが、pH、温度、張性、細胞周期に関与する適
切な因子(例えば、増殖因子)の存在、およびグリコシル化またはプレニル化と
いったポリペプチドの適切な修飾が含まれる。原核細胞または真核細胞ではEC
RTP/DEP−1受容体が発現され利用され得ると考えられる。また宿主細胞
は受容体が見られる細胞下画分に分画することもできる。例えば、ポリペプチド
を発現する細胞を核、小胞体、小胞、または細胞の膜表面へと分画できる。
【0144】 pHは好ましくは約6.0ないし約8.0、より好ましくは約6.8ないし約
7.8、最も好ましくは約7.4である。好ましい実施態様では、温度は約20
℃ないし約50℃、より好ましくは約30℃ないし約40℃、いっそう好ましく
は約37℃である。浸透圧は好ましくは約5mosm/Lないし約400mos
m/L、より好ましくは約200mosm/Lないし約400mosm/L、い
っそう好ましくは約290mosm/Lないし約310mosm/Lである。特
殊な細胞における内皮細胞の移動および増殖、密度により誘導される増殖停止お
よび/または脈管形成の適切な試験には因子の存在が必要とされる場合もあろう
。かかる因子としては、例えば、増殖因子、インターロイキンまたはコロニー刺
激因子の存在および不在(回収)がある。
【0145】 E.ECRTP/DEP−1受容体のモジュレーターの同定方法 このように本発明はまた、候補となるECRTP/DEP−1受容体モジュレ
ーターを同定するアッセイ法に適する。これらのアッセイ法では、候補分子を、
天然リガンドに結合するECRTP/DEP−1受容体を促進する能力に関して
評価し、さらに組織において脈管形成を調節する能力に関して評価する。
【0146】 例としてのアッセイは、ひな奬尿膜(CAM)における脈管形成を測定するも
のであり、CAMアッセイとも呼ばれている。CAMアッセイは他でも詳細に記
載されており、さらに腫瘍組織の脈管形成および新血管新生の双方を測定するの
にも用いられている。Ausprunk et al., Am J Pathol 79:597-618 (1975)および
Ossonski et al., Cancer Res 40:2300-2309 (1980)参照。
【0147】 CAMアッセイは、組織全体で新血管新生が起こっており、実際のひな胚の血
管がCAMへ、またはCAM上で形成される組織へと生育するので、in vivo脈
管形成のアッセイモデルとして十分に認識されている。CAMアッセイは新しい
血管の成長の量および程度の双方に基づく新血管新生の阻害を示す。さらに、腫
瘍組織など、CAM上に移植されたいずれの組織の成長も容易にモニターできる
。最後に、このアッセイは、アッセイ系に毒性に関する内部標準が存在するので
特に有用である。ひな胚は試験試薬に曝されるので、その胚の健康状態は毒性の
指標となる。
【0148】 F.イムノトキシンをはじめとするターゲッティング・エージェント/毒素化合
物の調製 本発明のターゲッティング・エージェント/毒素化合物の調製方法も本明細書
に記載される。本発明の抗体などのターゲッティング・エージェントは、架橋ま
たは組換えDNA技術のいずれかによって本発明の毒素と連結または機能し得る
形で結合させて、例えば、ターゲッテッド・イムノトキシンを作製すればよい。
【0149】 イムノトキシンの調製は一般に当技術分野で十分公知であるが(例えば、それ
ぞれ出典明示により本明細書の一部とされる米国特許第4,340,535号お
よび同第5,776,427号、ならびに欧州特許EP44167参照)、一定
の利点はイムノトキシンの調製およびその次の臨床投与のための精製の双方にお
いて一定の好ましい技術を適用することにより達成できる。例えば、毒素部分を
ターゲッテッド・エージェントと結合させるのに首尾よく使用できる多種のジス
ルフィド結合含有リンカーが知られているが、一般に薬理学的特性および能力の
違いに基づき、あるリンカーが他のリンカーよりも好ましい。例えば、in vivo
における安定性がより高いためにジスルフィド結合を含む、すなわち立体的に「
障害にある」リンカーが好ましく、このようにして作用部位における結合に先立
ち毒素部分の遊離が妨げられる。
【0150】 抗内皮細胞抗体と結合し得る広範な細胞傷害剤が知られている。例としては多
種の有用な植物、真菌由来の毒素または細菌由来の毒素でさえも含まれ、例示す
れば種々のA鎖毒素、特にリシンA鎖、サポリンまたはゲロニンなどのリボゾー
ム不活性化タンパク質、サルシン、アスペルギリン、レスオリクトシン、胎盤リ
ボヌクレアーゼなどのリボヌクレアーゼ、ジフテリア毒、および数種だけを命名
したシュードモナス外毒素が挙げられる。
【0151】 しかしながら、薬理学的見地からは適当な生物学的応答をもたらすできる限り
小さな分子を使用することが好ましい。従って、やはり適当な抗細胞応答をもた
らすと考えられるより短い鎖のペプチドを使用することが好ましい。
【0152】 あるいは、毒素部分に対する組換えDNA技術の適用は本発明によればさらに
重要な利点をもたらすことがわかる。例えば、生物学的に有効な毒素候補のクロ
ーニングおよび発現はこれまでに他の刊行物に記載されており(O'Hare et al.,
FEBS Lett 210:731 (1987); Lamb et al., Eur Jrnl Biochem 148:265-270 (198
5); Hailing et al., Nucl Acids Res 13:8019-8033 (1985))、今ややはり適当
な毒素活性を示すより短い、またはその他の点での変異ペプチドを同定および調
製することができる。さらに、クローン化した毒素候補の使用により位置指定突
然変異誘発の適用が可能となり、これにより変異型ペプチドの調節およびスクリ
ーニングが容易にできるようになり、さらに本発明に関する使用に有用な部分が
得られる。
【0153】 遊離可能な毒素が意図される場合には、意図される作用部位以外の身体の他所
で見られる条件下では完全な形のままである複合体を得ることが望ましく、その
部位ではコンジュゲートが良好な「遊離」特性を有することが望ましい。従って
、用いる特定の架橋試薬および架橋される構造をはじめ、特定の架橋スキームに
は重要な点がある。
【0154】 架橋試薬は2つの異なるタンパク質(例えば、毒素と結合剤)の官能基をとも
に結合する分子橋を形成するために用いられる。段階的方法で2つの異なるタン
パク質を結合させるには、望ましくないホモ重合体の形成を排除するヘテロ二官
能性架橋剤を使用することができる。ヘテロ二官能性架橋剤の例としては、2種
の反応性基、すなわち第一級アミン基(例えば、N−ヒドロキシスクシンイミド
)と反応するものと、チオール基(例えば、ピリジルジスルフィド、マレイミド
、ハロゲンなど)と反応する他のものが含まれる。第一級アミン反応性基により
、架橋剤は一方のタンパク質(例えば、選択された抗体または断片)のリジン残
基と反応し、チオール反応性基により、すでに第1のタンパク質と結合した架橋
剤はもう一方のタンパク質のシステイン残基(遊離スルフィドリル基)と反応し
得る。
【0155】 これらいずれかの架橋剤の2つの反応性基間のスペーサー・アームは様々な長
さと化学組成を有する。長いスペーサーは複合化合物をより柔軟にし、架橋にお
けるいくつかの特定の成分(例えば、ベンゼン基)は反応性基に外部安定性を与
えるか、または種々の状況の作用に対する化学結合の耐性を高める(例えば、還
元剤に対するジスルフィド結合の耐性)。
【0156】 架橋剤の例としてはSMPTがあり、これは隣接するベンゼン環とメチル基に
よる「立体障害」があるジスルフィド結合を含む二官能性架橋剤である。ジスル
フィド結合の立体障害は組織や血液に存在し得るグルタチオンなどのチオエート
陰イオンによる攻撃から結合を保護する機能を果たし、これにより結合剤により
作用部位に送達する前にコンジュゲートが解離するのを防ぐ助けをする。SMP
T架橋剤は、他の多くの公知の架橋剤ついては、システインまたは第一級アミン
のSHのような官能基(例えば、リジンのエプシロンアミノ基)を架橋する能力
を与える。もう1つの可能性ある種類の架橋剤としては、スルホスクシンイミジ
ル−2−(p−アジドサリチルアミド)エチル−1,3−ジチオプロピオネート
などの、切断可能なジスルフィド結合を含むヘテロ二環官能性光反応性フェニル
アジドが挙げられる。N−ヒドロキシ−スクシンイミジル基は第一級アミノ基お
よびフェニルアジド(光分解性に対して)はいずれのアミノ酸残基とも非選択的
に反応する。
【0157】 「障害のある」架橋剤は一般に本発明の実施に好ましいが、障害のないリンカ
ーも使用でき、これとともにやはり分かっている利点がある。保護されたジスル
フィドを含むまたは形成するとは考えられないが他の有用な架橋剤としては、S
ATA、SPDPおよび2−イミノチオランが挙げられる(Thorpe et al., Canc
er Res 47:5924-5931 (1987))。かかる架橋剤の使用は当技術分野で十分理解さ
れている。
【0158】 共役させたところで、共役していない毒素またはターゲッティング・エージェ
ントなどの混入を除去するためにこのコンジュゲートを精製することが重要であ
ろう。共役していないターゲッティング・エージェントを除去して望ましくない
毒性を軽減し、共役および非共役種間で抗原に対して競合する可能性を避けるこ
とが重要である。一般に、最も好ましい精製技術はゲル濾過またはゲル浸透工程
によるブルー・セファロースの使用が組み入れられる。ブルー・セファロースは
Cibacron Blue 3GAおよびアガロースからなるカラムマトリックスであり、免疫
コンジュゲートの精製に有用であることが分かっている(Knowles & Thorpe, Ana
l. Biochem 120:440-443 (1987))。ブルー・セファロースの使用は非共役毒素か
らの共役毒素の良好な分離が得られる毒素結合にイオン交換の特性を組み合わせ
たものである。ブルー・セファロースカラムにより共役製剤から遊離の(非共役
)ターゲッティング・エージェント(例えば、抗体または断片)の除去が可能と
なる。遊離の(非共役)毒素を除去するには、通常のゲル濾過法または高性能液
体クロマトグラフィーを用いる分子排除クロマトグラフィー工程が好ましい。
【0159】 当業者に十分公知の標準的な組換えDNA技術を用いて本発明のターゲッティ
ング・エージェント/毒素化合物をコードする核酸を発現させてもよい。これら
の方法としては、例えば、in vitro組換えDNA技術、合成技術、およびin viv
o組換え/遺伝子組換えがある。さらにDNAおよびRNA合成は自動シンセサ
イザーを用いて行ってもよい(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning,
A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, N.Y. (1989);およびAu
subel et al., Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing
Associates and Wiley Interscience, N.Y. (1989)に記載の技術を参照)。
【0160】 本明細書に記載のような組換えDNA技術によって作製した場合、本発明のタ
ーゲッティング・エージェント/毒素化合物は本明細書において「融合タンパク
質」と呼ばれる。かかる融合タンパク質は、その融合タンパク質が本発明の方法
に従って使用され得るように、機能し得る形で連結された少なくともターゲッテ
ィング・エージェントと毒素部分を含むと理解される。この融合タンパク質はま
た、その融合タンパク質のターゲッティングまたは毒素活性にあまり影響を及ぼ
さない限り、ターゲッティング・エージェントと毒素化合物に機能し得る形で連
結するペプチドスペーサーのようなさらなるペプチド配列を含んでもよい。
【0161】 融合タンパク質の一部として用いられる特異な毒素化合物にもよるが、ジスル
フィド結合したループ構造中に保持できる、ターゲッティング・エージェントと
毒素化合物に機能し得る形で連結するペプチドスペーサーとする必要があろう。
次ぎに、ループ内のタンパク質分解性切断によってヘテロ二量体のポリペプチド
が得られ、ここではターゲッティング・エージェントと毒素化合物はただ1つの
ジスルフィド結合により連結されている。例えば、Lord et al., In Geneticall
y Engineered Toxins (Ed. A. Frank, M. Dekker Publ., p. 183) (1992)参照。
かかる毒素の例としてはリシンA鎖毒素がある。
【0162】 その他のある毒素化合物を用いる場合には、融合タンパク質のターゲッティン
グ・エージェントと毒素化合物を機能し得る形で連結するには非切断性ペプチド
スペーサーを与えてもよい。非切断性ペプチドスペーサーとの結合に使用され得
る毒素としては、それ自体、タンパク質分解性切断によって細胞傷害性ジスルフ
ィド結合型へと変換され得るものがある(例えば、Ogata et al., J Biol Chem
256:20678-20685 (1990)参照)。かかる毒素化合物の例としてはシュードモナス
(Pseudomonas)外毒素化合物がある。
【0163】 本明細書で使用され得る核酸は、注目されるターゲッティング・エージェント
をコードする核酸配列と注目される毒素化合物をコードする核酸配列とを含む。
かかるターゲッティング・エージェントをコードする、また毒素エージェントを
コードする核酸配列は、核酸の翻訳が本発明のターゲッティング・エージェント
/毒素化合物をもたらすように連結されている。
【0164】 上記のものなど、標準的な技術を用いて、上記の核酸および適当な転写/翻訳
制御配列を含む発現ベクターを構築してもよい。種々の宿主−発現ベクター系が
使用できる。これらには、限定されるものではないが、ターゲッティング・エー
ジェント/毒素コード配列を含む組換えバクテリオファージDNA、プラスミド
DNAまたはコスミドDN発現ベクターで形質転換した細菌(例えば、大腸菌(E
. coli)、枯草菌(B. subtilis))などの微生物;ターゲッティング・エージェン
ト/毒素コード配列を含む組換え酵母発現ベクターで形質転換した酵母(例えば
、サッカロミセス(Saccharomyces)、ピチア(Pichia));ターゲッティング・エ
ージェント/毒素コード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキ
ュウロウイルス)を感染させた昆虫細胞系;ターゲッティング・エージェント/
毒素コード配列を含む、組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモ
ザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)を感染させた、
または組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換し
た植物細胞系;または哺乳類細胞ゲノムに由来するプロモーター(例えば、メタ
ロチオネインプロモーター)、もしくは哺乳類ウイルスに由来するプロモーター
(例えば、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロ
モーター、レンチウイルスベクター)を含む組換え発現構築体を有する哺乳類細
胞系(例えば、COS、CHO、BHK、293、3T3)が含まれる。
【0165】 細菌系では、発現されるターゲッティング・エージェント/毒素化合物のため
に意図される使用に応じていくつかの発現ベクターが有利に選択できる。例えば
、抗体の作製またはペプチドライブラリーのスクリーニングのために大量のター
ゲッティング・エージェント/毒素化合物を作製する場合には、容易に精製され
る高レベルの融合タンパク質産物の発現を指示するベクターが望ましいであろう
。かかるベクターとしては、限定されるものではないが、大腸菌発現ベクターp
UR278(ターゲッティング・エージェント/毒素コード配列が個々にlac
Zコード領域とともにベクターのフレーム内に連結されているので、さらにla
cZ産物部分を含む融合タンパク質が得られる)(Ruther et al., EMBO J 2:179
1 (1983));pINベクター(Inouye et al., Nucleic Acids Res 13:3101-3109
(1985)); Van Heeke et al., J Biol Chem 264:5503-5509 (1989)などが挙げら
れる。またpGEXベクターを用いてターゲッティング・エージェント/毒素化
合物などの外来ポリペプチドをさらにグルタチオンS−トランスフェラーゼ(G
ST)を含む融合タンパク質として発現させてもよい。一般に、かかる融合タン
パク質は可溶性であり、グルタチオン−アガロースビーズに吸着させた後、遊離
のグルタチオンの存在下で溶出させることによって細胞溶解物から容易に精製で
きる。pGEXベクターはトロンビンまたは因子Xaプロテアーゼ切断部位を含
むようにデザインして融合タンパク質のターゲッティング・エージェント/毒素
タンパク質をGST部分から遊離できるようにする。
【0166】 昆虫系では、オートグラフ・カリフォルニア核多汗症ウイルス(AcNPV)
をベクターとして用いてが外来遺伝子を発現させる。このウイルスはスポドプテ
ラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞で増殖する。ターゲッティング
・エージェント/毒素コード配列はこのウイルス非必須領域(例えば、ポリヘド
リン遺伝子)にクローン化し、AcNPVプロモーター(例えば、ポリヘドリン
プロモーター)の制御下に置く。ターゲッティング・エージェント/毒素コード
配列の挿入が上手くいけば、ポリヘドリン遺伝子が不活性化されて、非閉塞性組
換えウイルス(すなわち、ポリヘドリン遺伝子によりコードされているタンパク
質性の外被を欠いたウイルス)が生産される。次ぎにこれらの組換えウイルスを
用いてスポドプテラ・フルギペルダ細胞を感染させ、挿入した遺伝子を発現させ
る(例えば、Smith et al., J Virol 46:584 (1983);米国特許第4,215,0
51号参照)。
【0167】 哺乳類宿主細胞では、いくつかのウイルスに基づく発現系を使用できる。発現
ベクターとしてアデノウイルスを用いる場合には、ターゲッティング・エージェ
ント/毒素コード配列をアデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば、後期プ
ロモーターおよび3部リーダー配列に連結すればよい。次ぎにこのキメラ遺伝子
はin vitroまたはin vivo組換えによってアデノウイルスゲノム中に挿入すれば
よい。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域E1からE3)に挿入すると
、生存能力があり、かつ、感染した宿主内でターゲッティング・エージェント/
毒素タンパク質を発現できる組換えウイルスが得られる(例えば、Logan et al.
, Proc Natl Acad Sci USA 81:3655-3659 (1984)参照)。また、挿入したターゲ
ッティング・エージェント/毒素コード配列の有効な転写のためには特異的開始
シグナルも必要とされる。これらのシグナルとして、ATG開始コドンおよび隣
接配列がある。ATG開始コドンをはじめ外因性の翻訳制御シグナルをさらに提
供する必要がある。当業者ならばこれを容易に決定し、必要なシグナルを提供す
ることができる。さらに、全挿入配列が確実に翻訳されるには、この開始コドン
を所望のコード配列のリーディングフレームと同調させなければならない。これ
らの外因性の翻訳制御シグナルおよび開始コドンは多様な起源のものであってよ
く、天然のものでも合成のものであってもよい。発現効率は適当な転写エンハン
サーエレメント、転写ターミネーターなどの包含させることによって高められる
(例えば、Bittner et al., Methods in Enzymol 153:516-544 (1987)参照)。
【0168】 さらに、挿入配列の発現を調節する、または所望の特異的様式で遺伝子産物を
修飾およびプロセッシングする宿主細胞系統を選択すればよい。かかるタンパク
質産物の修飾(例えば、グリコシル化)およびプロセッシング(例えば、切断)
はタンパク質の機能にとって重要である。種々の宿主細胞がタンパク質の翻訳後
プロセッシングおよび修飾の特徴的かつ特異的なメカニズムを有する。発現した
外来タンパク質の正しい修飾およびプロセッシングを確実なものとするには、適
当な細胞系統または宿主系を選択すればよい。この目的のためには、適切な一次
転写物のプロセッシング、グリコシル化、および遺伝子酸物のリン酸化のための
細胞内機構を有する真核宿主細胞を使用すればよい。かかる哺乳類宿主細胞とし
ては、限定されるものではないが、CHO、VERO、BHK、HeLa、CO
S、MDCK、293、3T3、WI38などが挙げられる。長期間にわたって
高収量の組換えタンパク質を生産するには安定した発現が好ましい。例えば、タ
ーゲッティング・エージェント/毒素化合物をコードする構築物を安定して発現
する細胞系統が操作され得る。ウイルス複製起点を含む発現ベクターを用いるよ
りもむしろ、宿主細胞は適当な発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エ
ンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)によって制
御されるターゲッティング・エージェント/毒素DNAと選択マーカーで形質転
換することができる。外来DNAを導入した後、操作細胞を豊富培地で1または
2日間増殖させ、次いで選択培地に切り替える。組換えプラスミド内の選択マー
カーは選択に対する耐性を付与し、細胞はそれらの染色体にプラスミドを安定し
て組み込むことができ、増殖して細胞叢をなし、次ぎにこれをクローン化して細
胞系統へと拡大することができる。
【0169】 限定されるものではないが、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wigler
et al., Cell 11:223 (1977))、ヒポキサンチン−グアニンホスホリボキシルト
ランスフェラーゼ(Szybaska et al., Proc Natl Acad Sci USA 48:2026 (1962)
)、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(Lowy et al., Cel
l 22:817 (1980))をはじめいくつかの選択系が使用でき、それぞれtk−、hg
prt−またはaprt−細胞で用いることができる。また、メトトレキセート
耐性を付与するdhfr (Wigler et al., Proc Natl Acad Sci USA 77:3567 (1
980)); O'Hare et al., Proc Natl Acad Sci USA 78:1527 (1981)); ミコフェノール酸耐性を付与するgpt(Mulligan et al., Proc Natl Acad Sci
USA 78:2072 (1981));アミノグリコシドG−418耐性を付与するneoの選
択(Colberra-Garapin et al., J Mol Biol 150:1 (1981));およびハイグロマイ
シン耐性を付与するhygo(Santerre et al., Gene 30:147 (1984))の選択の
基礎として代謝拮抗物質を使用することもできる。
【0170】 十分に精製された化合物を調製した後、非経口投与し得る医薬組成物へと調製
するのが好ましい。これは最終精製工程に好適な医薬組成物を含む媒質を用いる
ことによってなされる。
【0171】 本発明の好適な医薬組成物は一般に所望のコンジュゲート約10ないし約10
0mgを、滅菌水溶液などの許容される医薬希釈剤または賦形剤と混合して、最
終濃度約0.25ないし約2.5mg/mlとしたものである。かかる製剤は典
型的にはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)などのバッファー、または医薬賦形剤
などの付加添加剤、BSAもしくはHSAなどの安定剤、または塩化ナトリウム
などの塩を含む。非経口投与のためには、一般にそれらの安定性、非免疫原性お
よび非発熱性を保証することによりさらに医薬上許容される組成物とするのが望
ましい。かかる技術は、出典明示により本明細書の一部とされるRemington's Ph
armaceutical Sciences, 16th Ed. Mack Publishing Company (1980)で例示され
るように、一般に当技術分野で十分公知である。外毒素の混入は最低限安全なレ
ベルに、例えば、0.5μg/タンパク質mgのレベルに維持されるべきである
と考えられる。さらにヒトへの投与のためには、製剤は無菌性、 発熱性、全般
的な安全性および生物学的基準のFDA局により要求される純度基準を満たさな
ければならない。
【0172】 本発明に従うターゲッティング・エージェント/毒素化合物(イムノトキシン
を含む)の好ましい非経口製剤は0.15M NaCl水溶液pH7.5ないし
9.0中、0.25ないし2.5mgコンジュゲート/mlである。この製剤は
−10℃ないし−70℃で少なくとも1年間冷凍保存できる。
【0173】 G.ターゲッティング・エージェントへのその他の薬剤の結合 本発明の大部分の治療適用は内皮、特に腫瘍内皮への毒素のターゲッティング
を含むものと考えられる。これは他の可能性のある薬剤に比べ細胞死滅作用を送
達するほとんどの毒素の能力がずっと高いことによるものである。しかしながら
、ターゲット・エージェントが、ターゲッティング・エージェント/イムノトキ
シンなどの毒素化合物による有効な中毒と一致する経路によっては取り込まれな
いが、抗腫瘍薬、その他のサイトカイン、代謝拮抗物質、アルキル化剤、ホルモ
ンなどのような化学療法薬をターゲッティングすることが望まれるといった状況
があり得る。これらの薬剤の、それらの非ターゲッティング・エージェント共役
対応物に優る利点は抗体などのターゲッティング・エージェントによって付加選
択的に与えられる。薬剤の例としては、限定されるものではないが、ステロイド
、シトシン、アラビノシド、メトトレキセート、アミノプテリン、アントラシク
リン、マイトマイシンC、ビンカアルカロイド、デメコルシン、エトポシド、ミ
トラマイシンなどが挙げられる。このリストはもちろん、単に、組織への特異的
送達のための抗体などのターゲッティング・エージェントに医薬剤を結合する技
術が十分に確立されているという例である。
【0174】 特定の利点は腫瘍の画像形成への本発明の適用によって達成され得ると考えら
れる。腫瘍脈管構造の画像形成は、現行の画像形成技術と比べた場合、細胞が容
易に利用できるという点で主な利点をもたらすと考えられる。さらに、抗体など
のターゲッティング・エージェントに常磁性で、放射性で、かつ蛍光性でさえあ
るイオンを結合させる技術は十分確立されている。これらの方法の多くは、例え
ば、抗体と結合したDTPAなどの有機キレート剤を用いる金属キレート錯体に
使用を含む。例えば、米国特許第4,472,509号参照。本発明に関して、
選択されたイオンはこのように、抗体などのターゲッティング・エージェントに
よる腫瘍内皮へターゲッティングされ、結合したイオンにより画像処理が可能と
なる。
【0175】 種々の化学療法薬およびその他の薬理剤はこれまでに首尾よく抗体と共役でき
ており、薬理学的機能することが示されている(例えば、Vaickus et al., Canc
er Invest 9:195-209 (1991)参照)。検討されている抗腫瘍薬の例としては、ド
キソルビシン、ダウノマイシン、メトトレキセート、ビンブラスチン、および例
えばの種々のものが挙げられる(Dillman et al., Antibody Immunocon Radiopha
rm 1:65-77 (1988); Pietersz et al., Antibody Immunoconj Radiopharm 1:79-
103 (1988))。さらに、ネオカルジノスタチン(Kimura et al., Immunogenetics
11:373-381 (1980))、マクロマイシン、トレニモン(Ghose et al., Meth. Enxym
onogy 93:280-333 (1983))およびα−アマニチンなどのその他の薬剤の結合も記
載されている。
【0176】 化学療法薬の他、本発明はその他の多様な薬剤の、腫瘍脈管構造への特異的送
達へ適用できると考えれる。例えば、ある状況下では、ラッセルクサリヘビ蛇毒
、活性型因子IX、活性型因子Xまたはトロンビンなどの凝血薬の送達が望まれ
るかも知れない。これにより腫瘍の血液供給が凝血する。また、ホスホリパーゼ
C(Flickinger & Trost, Eu. J. Cancer 12(2):159-60 (1976))またはコブラ蛇
毒因子(CVF)(Vogel & Muller-Eberhard, Anal. Biochem 118(2):262-268 (
1981))など、腫瘍内皮細胞を直接溶解するはずの細胞表面溶解剤をターゲッティ
ングすることも考えられる。かかる構造の、抗体などのターゲッティング・エー
ジェントへの機能的に作用する結合は、例えば、SMPTなどのタンパク質間結
合剤によって容易に達成され得る。さらに、例えば、サイトカイン放出の調節を
達成するためには、増殖因子、その他のサイトカイン、または細菌の外毒素もし
くは細菌外毒素の脂質A部分を選択された細胞種へターゲッティングするこのが
望まれるかも知れない。Ghose et al., CRC Critical Reviews in Therapeutic
Drug Carrier Systems 3:262-356 (1987)によって例示されるように、かかる物
質の結合も十分当技術分野の範囲内である。
【0177】 このように一般に、抗体のアミノ酸または炭水化物基への結合または架橋のた
めに利用できる第一級または第二級アミン基、ヒドラジンまたはヒドラジド基、
カルボキシルアルコール、リン酸基またはアルキル化基を有するいずれの薬理剤
も抗体と共役させることができると考えられる。タンパク質構造の場合、このこ
とは上記のような架橋剤により最も容易に達成される。ドキソルビシンおよびダ
ウノマイシンの場合、結合は薬剤と抗体間の酸に不安定なアシルヒドラゾンまた
はシスアコニチル結合により達成し得る。最後に、メトトレキセートまたはアミ
ノプテリンの場合、結合は薬剤のγ−カルボキシル基と抗体のアミノ酸間の、L
−Leu−L−Ala−L−Leu−L−Alaなどのペプチドスペーサーによ
り達成される。
【0178】 あるいは、核酸によってコードされる構造であるかかる構造は、例えば、上記
のものなど標準的な組換えDNA技術により本発明のターゲッティング・エージ
ェントと機能し得る形で結合させてもよい。
【0179】 以下の実施例は本発明の好ましい様式を例示するために含められるものである
。以下の実施例のある態様は、本発明者らによって本発明の実施に十分機能する
ことを発見または意図した技術および手法に関して記載するものである。これら
の実施例は発明者らの標準的な実験室実践の使用により例示される。本開示およ
び当技術分野の一般的なレベルに照らし、当業者には、以下の実施例は単に例次
を意図するものであり、本発明の精神および範囲から外れることなく多くの置換
、改良および変更が使用できることが明らかであろう。
【0180】 実施例1 発達中および成熟腎臓脈管構造における受容体チロシンホスファターゼ、ECR
TP/DEP−1の内皮局在性 腎臓微小血管系の発達構成は、隣接した上皮および糸球体間質細胞に関連した
内皮細胞の空間的かつ時間的に調整された移動、構成、分化および成熟を必要と
する規則的なプロセスである。構成の分子決定因子はたいてい確定されていない
が、それでも関連する適当な内皮応答を指示する細胞表面受容体の必要条件は予
想される。受容体チロシンホスファターゼ、ECRTP/DEP−1の内皮発現
および分布を腎臓微小血管系発達構成中に評価した。ECRTP/DEP−1エ
クトドメインエピトープに対して作製したモノクローナル抗体のその発現は、ヒ
トおよびネズミ成熟腎臓の糸球体、管周毛細血管および腎動脈循環系における内
皮細胞の膜表面に局在する。腎臓発達中、後腎間葉細胞の副次群においておよび
発達中の糸球体への補充時初期の糸球体毛細血管内皮細胞の推定前駆細胞におい
てECRTP/DEP−1受容体免疫染色が明瞭である。ECRTP/DEP−
1受容体は管腔膜表面に顕著に表れ、内皮間接触において斑点状に集積し、VE
カドヘリンとは部分的に重複するが同時には存在しない。in vitro研究ではEC
RTP/DEP−1受容体はその分布が部分的に重複するが、またVEカドヘリ
ンとは同時には存在しない密集培養ヒト腎臓および皮膚微小血管内皮細胞におけ
る内皮間接触の位置に補充されることが示されている。内皮接合部複合体からの
VEカドヘリンの試験的解離により内皮間接触からECRTP/DEP−1受容
体は再分配されない。これらの発見によりECRTP/DEP−1エクトドメイ
ンが内皮細胞の表面で発現されるタンパク質、および細胞間接触により誘導され
るタンパク質と相互に作用し合い、細胞認識、または移動もしくは増殖の停止に
関するシグナルを伝達することが示される。
【0181】 ヒト腎臓微小血管内皮細胞(HRMEC)において発現される受容体チロシン
ホスファターゼを同定するため、保存されたホスファターゼドメインから誘導さ
れた縮重オリゴヌクレオチドプライマーを用いてSchoecklmann et al., J Am So
c Nephrol 5: 730 (1994)(要約)に記載される方法に従い、発現メッセージを
提示するcDNAを増幅して、配列決定した。推定受容体のうち、同定されたc
DNAは発明者らがECRTP(内皮細胞受容体チロシンホスファターゼ)と称
したもの、すなわちOstman et al.がHeLa細胞からクローニングし、WI−
38細胞における細胞密度により存在量を調整したDEP−1(密度増強型ホス
ファターゼ)cDNAと実質的に同一の産物であった(Ostman et al., Proc Nat
l Acad Sci USA 91: 9680-9684 (1994))。ECRTP/DEP−1受容体(by
p−1、HPTPh、およびCD148とも呼ばれる)発現は新生児平滑筋細胞
、乳癌および甲状腺癌細胞系、ならびにすべての造血系統において同定されてい
る(Keane et al., Cancer Research 56: 4236-4243 (1996); de la Fuente-Garc
ia et al., Blood 91: 2800-2809 (1998))。 ECRTP/DEP−1発現は腎
臓の動脈内皮細胞において同定されたが、in situハイブリダイゼーション試験
ではECRTP/DEP−1 mRNAの糸球体毛細血管局在性の検出はできな
かった(Borges et al., Circulation Research 79: 570-580 (1996))。その発現
の発達タイミングおよび分布についてはまだ報告されていない。
【0182】 GLEPP−1、SAP−1、およびDPTP 10DをはじめとするIII種
受容体チロシンホスファターゼ系の他のメンバーと同様に、ECRTP/DEP
−1受容体は8種以上のフィブロネクチンIII型反復配列および単一の細胞質ド
メインホスファターゼ触媒ドメインを含む大きな細胞外ドメインを特徴とするI
型膜タンパク質である(Ostman et al., Proc Natl Acad Sci USA 91: 9680-9684
(1994))。GLEPP−1受容体チロシンホスファターゼは構造的にECRTP
/DEP−1と類似しているが、それでも腎臓発現が有足細胞の完全性に関わっ
ている糸球体内臓上皮細胞に限定されることがわかっている(Thomas et al., J
Biol Chem 264: 19953-19962 (1994))。受容体PTPmおよびkを含むMAMド
メインとは異なり、入手可能なデータは同種親和結合におけるIII種受容体の関
与を支持しておらず、リガンドがまだ同定されていない。
【0183】 モノクローナル抗体はECRTP/DEP−1受容体エクトドメインエピトー
プに対して作製され、成熟および発達中の腎臓の腎臓循環に分配されるという特
徴がある。ECRTP/DEP−1受容体は糸球体、管周および腎動脈内皮細胞
で高レベルで発現され、それが毛細血管構成および維持に必要とされる細胞間認
識の一助となることを示唆するin vivoおよびin vitroにおける分布パターンを
示す。
【0184】 方法 細胞系統および細胞培養物−ヒト一次腎臓微小血管内皮細胞(HRMEC)を
単離、培養し、記載のように解凍した後に三次および四次継代に使用した(Marti
n et al., In Vitro Cell Dev Biol 33: 261-269 (1997))。ヒト皮膚微小血管内
皮細胞(HMEC−1細胞、CDC)は、15%胎児ウシ血清(Hyclone Laborat
ories, Logan UT, USA)、10ng/ml上皮細胞増殖因子(Collaborative Biom
edical Products; Becton Dickinson, Bedford, MA)および1mg/mlヒドロ
コルチゾン(Sigma)を含有するMCDB131培地(Sigma)で増殖させた(Ades et
al., J Invest Dermatol. 99: 683-690 (1992))。Madin Darby C
anine Kidney(MDCK)細胞(L. Limbird, Vanderbilt Pharmac
ologyの厚意による提供)は、4%D−グルコースを含有し、10%胎児ウシ血
清を添加したダルベッコの最少必須培地(DMEM、GIBCO BRL)で増殖させた。
すべての増殖培地に1mM L−グルタミン(GIBCO BRL)、100単位/mlペ
ニシリンおよび100mg/ml ストレプトマイシン(GIBCO BRL)を添加した
【0185】 組換えECRTP/DEP−1タンパク質に対する抗体の作製−ヒトECRT
P/DEP−1受容体のエクトドメイン(アミノ酸175−536)および触媒
ドメイン(アミノ酸1048−1338)配列(Ostman et al., Proc Natl Acad
Sci USA 91: 9680-9684 (1994))をpRSETベクター(Invitrogen, Carlsland
, CA)にサブクローニングした。組換え融合タンパク質を細菌で発現させ、NI
−アガロースアフィニティー(Invitrogen)で精製し、さらにSDS−PAGEに
より40および36kDaそれぞれの95%を越える相同性をもったタンパク質
として特定した。マウスハイブリドーマ抗体(ECRTPAb−1、ECRTP
Ab−2)は、腹膜内で免疫化し、SP2−0細胞と融合させ、ELISAスク
リーニングにかけ、選択、伸長し、さらにPROTEIN A−AGAROSE
(Sigma)でのアフィニティークロマトグラフィーによって精製することによりE
CRTP/DEP−1受容体エクトドメイン(ECRTP/DEP−1ec)タ
ンパク質に対して作製される。
【0186】 外因性発現したECRTP/DEP−1受容体の免疫検出−100mmプラス
チック皿(Falcon)で増殖させたMDCK細胞を、製造業者のプロトコールに従い
、陽イオン脂質(LIPOFECTAMINE(商標)、GIBCO BRL)を用いて血
球凝集素ペプチド(HA)の3反復配列をカルボキシ末端に加えて改変したヒト
ECRTP/DEP−1受容体の高レベルの発現を行う発現プラスミドpSRa
DEP−1/3xHAでトランスフェクトした。トランスフェクション48時
間後、細胞を氷上に置き、氷冷PBS(−)で2回洗浄し、直ちに0.5ml溶
解バッファー(50mM HEPES pH7.5、50mM NaCl、5m
M EDTA、2μg/mlアプロチニン、1μg/mlロイペプチン、1mM
PMSF)で溶解した。溶解物を遠心分離により清澄化し、膜受容体を4℃で
4時間のWGA−アガロース(Sigma)へのバッチ吸着により回収した。得られた
沈降物を還元条件下で7%SDS−PAGEにより分解し、イモビロン−Pトラ
ンスファーメンブラン(Millipore)に移し、0.2%Tween20(TBST
)を含有するTris緩衝生理食塩水(50mM Tris HCl pH7.
5、137mM NaCl)中の5%脱脂粉乳で4℃で一晩ブロッキングした。
ブロットをネズミモノクローナルECRTPAbs1または2(10μg/ml
)もしくは抗HA(2.5μg/ml)抗体とともにインキュベートし、次いで
セイヨウワサビペルオキシダーゼ結合ウサギ抗マウスIgG抗体(Boehringer Ma
nnheim)とインキュベートした。メンブランをTBSTで洗浄した後、製造業者
の指示に従い、化学ルミネセンス基質(ECL、Amersham Crop.)を用いて顕出さ
せた。
【0187】 安定的にトランスフェクトしたMDCK細胞の作出および細胞染色−MDCK
細胞を、製造業者のプロトコールに従い、陽イオン脂質(Lipofectam
ine(商標)、GIBCO BRL)を用いて発現プラスミドpCDNA3 DEP−1
/3xHA(Invitrogen)でトランスフェクトした。安定的にトランスフェクトし
た細胞を、G418(GIBCO BRL)を培地に最終濃度800μg/mlで加えて選
択し、制限希釈クローニングにより単一コロニーを得た。この細胞をカバーグラ
ス(Fisher)で増殖させ、100%メタノールにより−20℃で10分間固定した
。カバーグラスをリン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、5%ヤギ血清により室温で3
0分間ブロッキングし、ECRTPAb−2(10μg/ml)とともに60分
間インキュベートし、洗浄した後、FITC結合ヤギ抗マウスIgG(Jackson I
mmunoresearch Laboratory Inc.)とともに60分間インキュベートした。カバー
グラスを固定して共焦顕微鏡(Zeiss LSM410)により解析した。E
CRTP/DEP−1−Abの免疫反応性を予め吸着させるため、50μgのE
CRTP/DEP−1タンパク質(EcまたはCy)をECRTPAb−2とと
もに4℃で4時間予備インキュベートし、15,000rpmで20分間マイク
ロ遠心分離にかけ、得られた上清を用いて細胞を染色した。
【0188】 組織免疫局在性−ヒト腎臓組織をドライアイス−アセトン浴で急速凍結した。
クリオスタット切片(4mm)をアセトン中−20℃で10分間固定し、リン酸
緩衝生理食塩水で洗浄し、製造業者の指示に従い、アビジン−ビオチンブロッキ
ング試薬(Vector Laboratories)で予め吸着した。切片をリン酸緩衝生理食塩水
で洗浄し、5%ヤギ血清によりブロッキングし、モノクローナルECRTP/D
EP−1受容体抗体(ECRTP−Ab1、10μg/ml、10分)とともに
インキュベートし、洗浄し、ビオチン化ヤギ抗マウスIgG(Vector Laborator
ies、7.5μg/ml、60分)とともにインキュベートし、洗浄し、フルオ
レセインイソチオシアネート(FITC)結合ストレプトアビジン(Pierce、
4μg/ml、30分)とともにインキュベートし、最後にリン酸緩衝生理食塩
水で洗浄した。カバーグラス(Vectashield, Vector)を固定して共焦顕微鏡(Z
eiss LSM410)により解析した。同時位置決定試験(colocalization)
ではアセトンで固定した凍結切片を5%ロバ血清によりブロッキングし、ECR
TP/DEP−1受容体抗体(10μg/ml)およびヤギVEカドヘリン抗体
(5μg/ml、 Santa Cruz Biotechnology Inc.)の混合物とともに室温で6
0分間インキュベートした。特異的な抗体をFITC結合ロバ抗マウスおよびロ
ーダミン結合ロバ抗ヤギ抗体の混合物(Jackson Immunoresearch Laboratories)
を用いて室温で60分間検出した。同一切片についての波長488nmおよび5
68nmそれぞれにおけるZeiss LSM410共焦顕微鏡による解析で得
られた重複画像において各抗原の特異的免疫染色を同定した。
【0189】 免疫標識したネズミ腎臓切片は高いバックグラウンドを示し、別の手法を必要
とした。抗ECRTP/DEP−1受容体 mAb、ECRTP−Ab1とFI
TCとを直接結合した。便宜には、ECRTP−Ab1(0.1M 炭酸ナトリ
ウムバッファー、pH9.0中0.94mg IgG/ml、0.55ml)と
0.03mlFITC溶液(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO, DMSO中
1.0mg/ml)とを4℃で一晩結合した。塩化アンモニウムを最終濃度50
mMまで加えて反応を停止させた。4℃で2時間のインキュベーションの後、混
合物をリン酸緩衝生理食塩水で徹底的に透析し、結合していないFITCを除去
した。同じプロトコールを用いてFITCと結合したラット糸球体基底膜に対す
るマウスモノクローナルIgGを対照として用いた(Hyink et al., Am J Physio
l 270: F886-F899 (1996))。アセトンで固定した切片を0.5M塩化アンモニウ
ムによりブロッキングし、MoAb−FITCコンジュゲートとともに30分間
インキュベートし、洗浄し、エピ蛍光顕微鏡観察により調べた。さらなるいくつ
かの対照実験では切片とのインキュベーションの前に、抗DEP−FITCコン
ジュゲートと1モル過剰の免疫化ペプチドとを混合した。
【0190】 ヒト内皮細胞系統の免疫ブロットおよび免疫組織化学 60mm皿で増殖させたヒト内皮細胞を密集したとき、0.5ml溶解バッフ
ァー(20mM TrisCl pH7.5、50mM NaCl、1mM E
DTA、0.5% TritonX−100、0.5%SDS、0.5%デオキ
シコレート、2μg/mlアプロチニン、1μg/mlロイペプチン、1mM
フェニルメチルスルホニルフルオリド)で氷上で30分間溶解した。清澄化した
溶解タンパク質150μgをアフィニティー精製したウサギECRTP/DEP
−1受容体抗体またはウサギIgG(Sigma)10μg/mlとともに4℃で4時
間インキュベートし、免疫沈降物をタンパク質Aセファロース (Sigma)を用いて
回収した。SDS−PADEおよび免疫ブロット手順は前記のように行った。内
皮細胞をコーティングの施していないカバーグラス(Fisher)で増殖させた後、5
0%メタノールにより4℃で10分間固定した。カバーグラスをPBSで洗浄し
、5%ヤギ血清により室温で30分間ブロッキングし、ECRTPAb−2モノ
クローナル抗体(10μg/ml)またはVEカドヘリンモノクローナル抗体(
2μg/ml、Transduction Laboratory)とともに60分間インキュベートし
、洗浄した後、ビオチン化ヤギ抗マウスIgG(Vector)とともに60分間インキ
ュベートし、洗浄し、最後にフルオレセイン結合(FITC)ストレプトアビジ
ン(4μg/ml、Pierce)とともに30分間インキュベートした。カバーグラ
スを固定して共焦顕微鏡(Zeiss LSM410)により解析した。
【0191】 内皮カドヘリン複合体を解離させるカルシウムのキレート化−15%胎児ウシ
血清を添加したDMEM培地のカバーグラスで増殖させた密集HMEC−1細胞
をEGTA(エチレングリコール−ビス(b−アミノエチルエーテル)−N,N
,N’,N’−テトラ酢酸、Sigma)に、最終濃度5mMに達するまで加えて曝
した。細胞をさらに20分間インキュベートした後、50%メタノールにより4
℃で10分間固定し、リン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、前記のようにモノクロー
ナルECRTP/DEP−1受容体抗体(10μg/ml)またはVEカドヘリ
ンモノクローナル抗体(2μg/ml、Transduction Laboratory)で染色した
【0192】 結果−モノクローナル抗体は組換えおよび発現されたECRTP/DEP−1
受容体を認識する。エクトドメイン(Ec)または細胞質ドメイン(Cy)いず
れかのECRTP/DEP−1受容体配列を提示する組換え融合タンパク質を細
菌で発現させ、ウサギおよび/またはマウスの免疫化に使用した。図1Aに示さ
れるように、モノクローナル抗体、ECRTPAb−1およびECRTPAb−
2はエクトドメイン組換えタンパク質を特異的に同定するが、細胞質ドメインの
ものは同定しない。これらの抗体が哺乳類細胞で発現される全長タンパク質を認
識するかどうかを確かめるため、MDCK細胞をエンプティ発現プラスミド(S
Ra)またはカルボキシ末端に血球凝集素エピトープ(SRa DEP−1/H
A)タグを付けた全長ECRTP/DEP−1受容体の発現を駆動するもののい
ずれかで一時的にトランスフェクトした。トランスフェクト細胞の細胞溶解物を
エピトープ特異的モノクローナル抗HA抗体を用いて免疫沈降させた後、ECR
TPAb−1およびECRTPAb−2(図1B)をはじめとする示された抗体
でプロービングした。両者とも220kDa HAタグ付きECRTP/DEP
−1を認識した。
【0193】 最後に、モノクローナル抗体が無傷な細胞で発現されるECRTP/DEP−
1受容体を特異的に認識する能力を、ECRTP/DEP−1受容体で安定的に
トランスフェクトしたMDCK細胞を用いて調べた。ECRTPAb−2による
間接エピ蛍光染色でECRTP/DEP−1受容体を細胞膜外側(図1C、パネ
ルa)に限局化したが、この知見は透過膜支持体上で密集まで増殖させたMDC
K細胞の共焦Z面切片において確かめられた。免疫化ペプチド(Ec)との競合
により免疫染色はブロッキングされた(図1C、パネルc)が、関連のない細胞
質ドメイン融合タンパク質(Cy)はブロッキングされなかった(図1C、パネ
ルd)。
【0194】 ECRTP/DEP−1受容体免疫反応性は糸球体毛細血管、管周毛細血管お
よび腎動脈の内皮細胞に局在する。哺乳類成熟腎臓におけるECRTP/DEP
−1受容体の分布を決定するため、間接または直接免疫蛍光染色試験をヒトおよ
びマウス起源の凍結切片で行った。図2に示されるように、ECRTP−Ab2
ではECRTP/DEP−1受容体発現は動脈、糸球体および管周毛細血管に、
特にこれらの部位の内皮細胞に免疫限局化される。高倍率のフレームでは少なく
とも内皮膜の定義づけが最も確実な動脈部位の内皮細胞管腔膜に沿って標識する
優れたECRTP/DEP−1受容体が示される(図3)。
【0195】 糸球体微小循環系の斑点状染色特性によりECRTP/DEP−1受容体が内
皮接合部複合体に加わるかどうかの評価がなされた。ECRTP−Ab1および
VEカドヘリン抗体を用いる二重標識研究ではいくつかの重複がはっきりとわか
った(図3)。管腔内皮膜染色に加え、ECRTP/DEP−1の局所集積はV
Eカドヘリンを含む内皮接合部複合体に限定されるものではないが、内皮間接触
、重複の地点でも明らかであった(Lampugnani et al., J Cell Biol 129: 203-2
17 (1995)。このパターンは動脈および管周毛細血管の双方でもはっきりとわか
った。腎外部位では脳、肺、肝臓および脾臓の毛細血管および大脈管内皮細胞が
確認され、心臓内染色もはっきりとわかった。
【0196】 成熟腎臓の血管内皮における顕著なECRTP/DEP−1受容体発現に基づ
き、この受容体のマウス胎児の腎臓血管発達中の時間的かつ空間的発現を調べた
。図4に示されるように、ECRTP−Ab1は、その類似した染色パターンが
ネズミおよびヒト成熟腎臓であることから、さらにマウス組織の染色をブロッキ
ングする組換えヒト免疫原(Ec)の作用から抗原、そのネズミECRTP/D
EP−1受容体として結合する。E14、E16および生後6日における発達中
のマウス腎臓のECRTP−Ab1−FITCの結合体(図4A〜C)は、VE
GF受容体、flk−1およびEphB1/ephrin−B1受容体−リガン
ドに対する抗体を用いて前記で見られたパターンと極めて類似した免疫反応性パ
ターンを示した(Daniel et al,. Kidney Int 50: S-73-S-81 (1996))。特に、E
CRTP−Ab1−FITCは胎児腎臓皮質の発達中の糸球体および微細血管内
皮細胞と結合した。小さいが強い結合した抗体のフォーカスは血管芽細胞と考え
られる単離皮質間葉細胞で見られた(図4Aおよび4B)。発達中のコンマおよ
びS形糸球体の血管裂内で糸球体内皮前駆細胞と一致する細胞の副次群が標識さ
れた(図4Aおよび4B)。
【0197】 新生児腎臓切片におけるECRTP/DEP−1受容体の免疫標識では、はっ
きりと識別できる血管標識パターンが得られた(図4C)。細動脈、糸球体およ
び管周毛細血管内皮はすべて強く標識された(図3C)。成人マウス腎臓では、
ヒト腎臓切片と同様に糸球体内皮細胞もまた明らかに標識された。未発達および
成熟腎臓内の他の細胞はECRTP−Ab1−FITCと結合せず、切片を対照
モノクローナルIgG−FITC結合体、またはECRTP−Ab1−FITC
の混合物で標識したが、免疫化ペプチド(Ec)は染色されないことがわかった
【0198】 ECRTP−Ab1を用いる独立した免疫ブロットおよび免疫蛍光染色試験で
は、異なる血管部位の範囲から培養した、そのクローニング起源であるHRME
C、皮膚微小血管内皮細胞系統、HMEC−1(Ades et al., J Invest Dermato
l 99:683-690 (1992));ヒト臍帯静脈内皮細胞;およびHUVEC誘導細胞系統
、Eahy926(Bauer et al., J Cell Physiol 153: 437-449 (1992))を含む
内皮細胞において高レベルの発現が示された。この抗体により認識されたエピト
ープはHEK293細胞、糸球体糸球体間質細胞、血管平滑筋細胞、およびP1
9胚性癌腫細胞をはじめとする非内皮細胞系統では検出されなかった。
【0199】 図5ではヒト腎臓微小血管内皮細胞、HRMEC(パネルA)、およびヒト皮
膚微小血管内皮細胞、HMEC(パネルB)におけるECRTP/DEP−1局
在性パターンが示されている。HRMEC密集培養物では内皮間接触地点でEC
RTP−Ab2による顕著な染色が示された。さらに、基底膜表面ではなく、頂
部表面(パネルA)を捕らえる共焦面において頂部膜染色の斑点状の集積があっ
た。互いの接触を絶つのに十分な低い濃度で培養された内皮細胞は接触細胞に見
られる細胞境界の顕著な染色パターンを示さなかった。ECRTP−Ab1では
ECRTP−Ab2で見られる内皮間の局在性は示されなかったが、頂部表面に
おいて受容体の副次群だけがはっきりと染色されたことは注意すべきである。
【0200】 ECRTP/DEP−1受容体の内皮細胞間接触部位におけるこの明白な集積
は無傷な成熟脈管に見られる染色の斑点状集積と一致しており、受容体の副次群
が内皮間接触の地点に分布していることが示唆される。よって、ECRTP/D
EP−1受容体の分布をVEカドヘリンと比較した。HMEC密集培養物の二重
標識試験におけるECRTP/DEP−1受容体およびVEカドヘリン免疫反応
性の共焦位置決定ではまた、内皮間接合部に存するVEカドヘリンによるECR
TP/DEP−1受容体染色ではわずかな重複が示された。ヒト腎臓組織の二重
標識切片において同時限局化の類似パターンが見られた(図3)。最後に、EC
RTP/DEP−1受容体免疫反応性の細胞間集積にVEカドヘリン相互作用の
完全性が必要であるかを確かめるため、試験を行った。図5Bに示されるように
、HMEC−1細胞のEGTA処理により内皮間接合部複合体からVEカドヘリ
ンが解離するが、20〜30分間にわたる試験ではECRTP/DEP−1受容
体の局在性への明白な影響はない。この結果はECRTP/DEP−1受容体を
保有するいずれの内皮間接合部ではカドヘリンの完全性が必要でないことを示し
ている。さらに、これらのデータはECRTP/DEP−1受容体およびVEカ
ドヘリンは部分的に重複するが、正確には無傷な脈管内皮細胞において同時には
存在しないという観察に一致している(図3)。
【0201】 考察−本明細書に示されたいくつかの観察は、血管の発達および内皮細胞間相
互作用におけるECRTP/DEP−1受容体チロシンホスファターゼについて
の新たな見解を提供する。ECRTP/DEP−1受容体の、培養したヒト腎臓
微小血管内皮細胞で発現された転写物としての最初の同定の重要性はいくつかの
レベルで確認されてきた(Schoecklmann et al., J Am Soc Nephrol 5: 730 (199
4)(要約))。まさに糸球体および管周毛細血管が無傷な腎臓組織で行うように
培養したHRMECのものは細胞膜上でタンパク質を発現する。実際には、毛細
血管および動脈内皮はヒトおよびマウス成熟腎臓におけるECRTP/DEP−
1受容体発現の有力な細胞源と考えられる。Borges et al., Circulation Resea
rch 79: 570-580 (1996)に記載された前記のラット腎臓におけるin situ試験に
対し、高レベルの発現がマウスおよびヒト双方の糸球体において見られた。
【0202】 ECRTP/DEP−1受容体が分布する膜の部位についての慎重な評価では
、糸球体毛細血管におけるいく分かの粒状染色パターンの原因と思われる内皮間
膜染色に加え、動脈内皮における顕著な頂部膜染色を示した。人工MDCK上皮
細胞系および接触培養HRMECにおけるECRTP/DEP−1受容体の細胞
膜外側の分布(図5)により、VEカドヘリン複合体完全性とECRTP/DE
P−1膜外集積との関係の評価が外見的になされた。ECRTP/DEP−1受
容体およびVEカドヘリン免疫染色とのin situ重複はわずかであり(図3)、
すべてではないがいくつかの接合部複合体において内皮間接触の極めて焦点に近
い領域に限定される。カルシウムのキレート化によりVEカドヘリン複合体を解
離した培養内皮細胞ではECRTP/DEP−1受容体の膜外分布が維持される
ため、内皮間複合体を維持したECRTP/DEP−1受容体分布の解剖学的同
時位置決定も機能的相互関係もないことが推断される。しかしながら、これらの
発見ではECRTP/DEP−1膜外分布の作用によりVEカドヘリンを含む内
皮間複合体の構成を許容する条件が確立されるという可能性を排除できない。
【0203】 また膜外分布はECRTP/DEP−1受容体細胞外ドメインと、ジャクスタ
クリン結合により得られたリガンド−受容体複合体において受容体を再分布させ
、安定化させ得る膜との接触において発現した推定リガンドとの相互作用に反映
される。確かに、膜関連受容体チロシンホスファターゼ活性が内皮細胞を含む密
に接触した培養細胞で増大するという有効な証拠がある(Pallen and Tong, Proc
Natl Acad Sci USA 88: 6996-7000 (1991); Batt et al., J Biol Chem 273:
3408-3414 (1998))。本実施例に示した培養系では細胞密度および細胞密度媒介
の増殖停止と相関するECRTP/DEP−1活性の増大が証明された。
【0204】 動脈における、および明らかに毛細血管内皮におけるECRTP/DEP−1
受容体の頂部膜分布、特に血小板およびすべての造血系統がECRTP/DEP
−1受容体を発現することを示すデータについては興味がそそられる(Palou et
al., Immunol Lett 57: 101-103 (1997))。受容体と無傷の脈管の管腔膜におい
て出合う内皮細胞および循環細胞のECRTP/DEP−1受容体間の同種親和
性相互作用により、それぞれの連動している細胞の調節因子または補助受容体が
いずれの下流応答の調節にも重要でありそうなことが示唆されている。
【0205】 最後に、糸球体毛細血管網の構成の一助となる細胞におけるECRTP/DE
P−1受容体発現の発達パターンを評価するデータにより、この調整されたプロ
セスにおけるこの受容体の役割についての見解が与えられる。DPTP10Dを
はじめとするECRTP/DEP−1受容体サブクラスの受容体チロシンホスフ
ァターゼには発達中にニューロンを正確な目的へと導く重要な役割が与えられい
る(Desai et al., Cell 84: 599-609 (1996))。これまでの報告では赤血球、リ
ンパ球、および骨髄系統を含む造血源において発現が確認されている(Palou et
al., Immunol Lett 57: 101-103 (1997))。血管芽細胞が造血および血管内皮系
統両方の共通の前駆細胞であるという証拠の累積により、ECRTP/DEP−
1受容体発現がこれらの前駆細胞の個体発生初期に開始されることがわかる。さ
らに、ECRTP/DEP−1が作用してそれを発現する赤血球系統細胞の分化
を促進し得ることもわかる(Kumet et al., J Biol Chem. 271: 30916-30921 (19
96))。
【0206】 実施例2 ECRTP/DEP−1が内皮の増殖停止および移動阻害のシグナルを媒介する トロンボスポンジン、アンギオスタチンおよびエンドスタチンなどの脈管形成
の強力な内因性阻害剤は、in vitroにおける培養内皮細胞の増殖および移動を阻
害する。かかる脈管形成阻害調節は、内皮表面受容体を保証することによる内皮
の増殖および移動のシグナルによる停止であると考えられる。培養内皮細胞の最
も強力な増殖阻害シグナルの1つは細胞間接触により得られ、これは「密度媒介
性増殖停止」または「接触媒介性増殖停止」として当技術分野において記載され
ている。ヒト腎臓およびその他の器官の微小血管および大脈管内皮での内皮間接
触における受容体チロシンホスファターゼ、ECRTP/DEP−1の高レベル
の発現については実施例1に記載されている。
【0207】 本実施例ではECRTP/DEP−1受容体が内皮増殖および移動停止シグナ
ルを媒介することが確かめられた。ECRTP/DEP−1受容体は細胞間接触
に関与して触媒作用によって活性化される。全長ECRTP/DEP−1受容体
の一時的過剰発現によって内皮増殖および移動が停止する。ECRTP/DEP
−1受容体エクトドメインと結合する二価形態のモノクローナル抗体、ECRT
PAb−1は内皮増殖および移動を阻害するが、Fab断片は不活性である。こ
の抗体はマウス系の角膜脈管形成応答を阻害する。これらの発見は、ECRTP
/DEP−1受容体が、接触している内皮細胞の表面にあるそのリガンドとの結
合部分に内皮増殖および移動停止シグナルを送ること、さらに内皮増殖停止シグ
ナルの代用アクチベーター、またはモジュレーターが脈管形成阻害剤の実現性あ
る候補であることが示される。
【0208】 方法 細胞培養物−ヒト腎臓微小血管内皮一次細胞HRMECを、Martin et al., I
n Vitro Cell Dev Biol 33: 261-269 (1997)に記載されるように、単離し、培養
し、解凍した後に第3および第4継代に使用した。ヒト皮膚微小血管内皮細胞(
HMEC−1細胞、CDC)を15%胎児ウシ血清(Hyclone Laboratories, Log
an UT, USA)、10ng/ml上皮細胞増殖因子(Collaborative Biomedical Pro
ducts; Becton Dickinson, Bedford, MA)および1μg/mlヒドロコルチゾン(
Sigma)を含有するMCDB131培地(Sigma)で増殖させた(Ades et al., J Inv
est Dermatol. 99: 683-690 (1992))。すべての増殖培地に1mM L−グルタ
ミン(GIBCO BRL)、100単位/mlペニシリンおよび100μg/mlストレ
プトマイシン(GIBCO BRL)を添加した。
【0209】 抗体−ヒトECRTP/DEP−1のエクトドメイン(ECRTP/DEP−
ec、アミノ酸175−536)および触媒ドメイン(ECRTP/DEP−
cy、アミノ酸1048−1338)配列(Ostman et al., Proc Natl Acad S
ci USA 91: 9680-9684 (1994)をpRSETベクター(Invitrogen, Carlsland, C
A)にサブクローニングした。組換え融合タンパク質を細菌で発現させ、Ni−ア
ガロースアフィニティー(Invitrogen)で精製し、さらにSDS−PAGEにより
40および36kDaそれぞれの95%を越える相同性をもったタンパク質とし
て特定した。ECRTP/DEP−1cyタンパク質に対するウサギ抗血清は、
Koenig et al., J Clin Immunol 13: 204-211 (1993)に記載されるように、免疫
化を繰り返して産生し、アフィニティー精製した。マウスハイブリドーマ抗体E
CRTPAb−1は、腹膜内免疫化、SP2−0細胞との融合、ELISAスク
リーニング、選択、伸長、およびタンパク質A−アガロース(Sigma)でのアフィ
ニティークロマトグラフィー精製によるECRTP/DEP−1ecタンパク質
での免疫化の後に得られた。
【0210】 ECRTP/DEP−1受容体存在量およびチロシンホスファターゼ活性のア
ッセイ−高密度で培養し、図面の説明で示された時間に回収した細胞を氷冷リン
酸緩衝生理食塩水で反復洗浄した後、in situにおいて50mM Hepes(
pH7.5)、50mM NaCl、5mM EDTA、1mM PMSF、1
mM β−メルカプトエタノール、1%Triton X−100を含有するバ
ッファー2mlを加えた。洗浄剤で溶解した細胞を4℃で15分間インキュベー
トし、13,000×g、4℃で10分間のマイクロ遠心分離を繰り返して(2
回)不溶性物質を除去した。溶解画分のタンパク質を改良BCAアッセイ(Pierc
e)を用いて定量した。いくつかの試験では、アガロース(Sigma)に結合した小麦
胚(triticum vulgaris)レクチン(WGA)からのバッチ吸着および溶出につい
ては、Stein et al., J Biol Chem 271; 23588-23593 (1996)に記載されるよう
に行った。 ホスファターゼアッセイに付した画分の最終溶出物を25mMイミ
ダゾール(pH7.2)、0.1mg/mlウシアルブミン、10mMジチオト
レイトール(ホスファターゼアッセイバッファー)、および3mM N,N’,
N’’トリアセチルキトトリオース(Sigma)を含有するバッファー中に入れた。
【0211】 32P−標識したリン酸化基質(Raytide)は、記載される製造業者(Oncogene S
ciences)の推奨により調製し、(dpm/fmol)の比活性を達成した。レク
チン精製画分のホスファターゼ活性を、記載されるようにNaVOの存在ま
たは不在下において300ng/ml基質を用いて200μl容量のホスファタ
ーゼバッファー中、30℃で図面の説明で示された時間に3反復でアッセイした
。解離したホスファターゼをシンチレーション計数により定量し、データを平均
cpm+/−標準誤差として示した。アッセイは1〜10分間にわたり線形であ
った。
【0212】 ECRTP/DEP−1受容体活性および存在量(図8)を求めるため、HR
MEC細胞を図面の説明で示された細胞密度で培養した。培養36時間後、指示
されるように、細胞の部分集団を過バナジウム酸塩(1mM H−1mM
NaVO)で10分処理した後、50mM HEPES/pH7.5、1
50mM NaCl、5mM EDTA、1%Triton X−100、5μ
g/mlアプロチニン、1μg/mlロイペプチン、1mM PMSFを含有す
るバッファーに溶解し、遠心分離により清澄化し、同量の溶解タンパク質(15
0μg)を、アフィニティー精製した単一特異的ECRTP/DEP−1受容体
ウサギ抗体(12.5μg/ml)との4℃で一晩のインキュベーションにより
免疫沈降させ、タンパク質Aセファロース(Sigma)で回収した。
【0213】 洗浄した免疫複合体を、Wang. Y. and Pallen, C. J., J Biol Chem 267: 166
96-16702 (1992)にてこれまでに記載されているように、p−ニトロフェニルホ
スフェート、pNPP(Sigma)を用いてPTP活性についてアッセイした。便宜
には、免疫複合体を反応混合物(50mM 酢酸ナトリウム/pH5.5、0.
5mg/mlウシアルブミン、0.5mM DTT、5mM pNPP)ととも
に、1mM NaVOの不在または存在下において30℃で30分間インキ
ュベートした。2N NaOHを加えて反応を停止させ、410nmで吸光度を
測定した。
【0214】 ECRTP/DEP−1受容体存在量を定量化するため、免疫沈降画分を還元
条件下で7%SDS−PAGEにより分解し、PVDFメンブラン(イモビロン
−P、Millipore)に移し、0.2%Tween20(TBST)を含有するTr
is緩衝生理食塩水(50mM Tris/HCl pH7.5、137mM
NaCl)中の5%脱脂粉乳で4℃で一晩ブロッキングした。ブロットをECR
TPAb1(10μg/ml)またはホスホチロシンモノクローナル抗体、4G
10(1.0μg/ml、Upstate Biotechnology)とともにインキュベートし
、結合した抗体をセイヨウワサビペルオキシダーゼ結合ウサギ抗マウスIgG抗
体(Boehringer)および化学ルミネセンス試薬(ECL、Amersham Crop.)を用いて
検出した。
【0215】 増殖アッセイ−HRMEC増殖(図6)の開始アッセイでは、細胞を指示され
た密度で培養し、指示された時間に回収して、5反復で計数した。データは平均
+標準誤差で示している。他の試験(図8および9)では、HMEC−1細胞を
35mm径皿(Falcon)で増殖させ、ECRTP/DEP−1受容体発現プラスミ
ド(カルボキシ末端血球凝集素(HA)エピトープタグ付きヒトECRTP/D
EP−1の高レベルの発現を行う、親ベクターpSRαまたはpSRα−ECR
TP/DEP−1/3xHAのいずれか、1.8μg)および緑色蛍光タンパク
質発現プラスミド(pEGFP、Clontech、0.4μg)で同時トランスフェク
トした。これらの条件下でHMEC−1細胞の40〜50%をトランスフェクト
するアデノウイルスによるリポフェクタミン法を用い、これは実施例1にも記載
されている。トランスフェクション48時間後にトランスフェクト細胞を回収し
、12ウェルプレートの個々のウェルにおけるカバーグラスで、図面の説明で示
された密度(範囲2〜10×10)において再び培養し、付着した細胞は20
〜90+%密集に達した。トランスフェクション70時間後に10μM 5−ブ
ロモ−2’−デオキシ−ウリジン(BrdU)を培地に加え、増殖中の細胞を3
0分間標識した。BrdU取り込みを、製造業者(Boehringer Mannheim)のプロ
トコールに従い、モノクローナルBrdU抗体およびローダミン結合抗マウスI
gGを用いて免疫組織化学的に検出した。少なくとも5つの独立した場所の細胞
をエピ蛍光顕微鏡(Nikon ECLIPSE E600)下で観察し、GF
P陽性細胞におけるBrdU標識頻度を評価した。
【0216】 平面内皮移動アッセイ−平面内皮移動アッセイを開発し、300〜500μ径
の円形「傷」の内皮閉鎖速度を調べた。ドリルプレスに備わる回転シリコンビッ
トを用いてマルチウェルプレートの各ウェル内の密集内皮単層に3〜5の「傷」
を創った。「創傷」の際、各ウェルの培地に図面の説明で指示された濃度の薬剤
を添加した。指示された時間(4および8時間)に取り込んだ顕微鏡写真画像の
各傷の残存面積をNikon Diaphot顕微鏡に対応させたBioqua
nt(Nashville, TN)ソフトウェアパッケージを用いて定量した。この方法で表
すと、傷の閉鎖速度は著しく線形であり、直線線形回帰r値>0.985であ
る。本明細書に示された各データポイントは、同一ウェルの各3回以上の測定の
平均+標準誤差を表している。記載した各試験は3回以上の独立した観察による
典型的な研究結果である。
【0217】 移動についてのin situトランスフェクションアッセイ−6ウェル培養プレー
トで増殖させた密集HMEC−1細胞を2.2μgの発現プラスミド、pSRα
ECRTP/DEP−1/3xHAまたはpSRα−EphB1/3xHA(Ste
in et al., Genes Dev 12; 667-678 (1998))でトランスフェクトし、記載される
ようにトランスフェクション48時間後に円形の傷を創った。傷がほぼ閉鎖した
(創傷12時間後)ときに単層を2%パラホルムアルデヒドで20分間固定し、
リン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、0.02%サポニンで透過性を付与し、5%ヤ
ギ血清によりブロッキングし、5μg/mlのモノクローナルHA抗体、12C
A5(Babco)とともに60分間インキュベートした。次いでカバーグラスをリン
酸緩衝生理食塩水で洗浄し、ビオチン化ヤギ抗マウスIgG(Vector Laborator
ies、7.5μg/ml)とともに60分間インキュベートし、洗浄し、HRP
結合アビジン−ビオチン複合体(Vector Laboratories)とともに30分間イン
キュベートし、最後に6mg/mlの3,3’−ジアミノベンジジン(Sigma)を
用いて顕出させた。
【0218】 角膜ポケット脈管形成アッセイ−脈管形成または抗脈管形成活性を調べる薬剤
を、Kenyon, Voest, et al., (1996)に記載されるように約0.2μl容量の不
活性ヒドロン(hydron)ペレット内に入れて緩効性形態にした。ペレットを麻酔を
かけたC57BLマウスの顕微鏡解剖により作出したポケットの角膜上皮に埋植
する。5〜7日にわたり、脈管形成因子は脈管化した隣接角膜周辺の脈管の内増
殖を刺激する。細隙灯写真撮影により写真による記録を行う。これらの脈管の見
かけの密度および大きさを評価し、評点を付ける。いくつかのケースでは、犠牲
にする前の進行の時間経過は麻酔をかけた動物に合わせる。脈管を、長さ、密度
、およびそれらが発達する周辺のラジカル表面(時計の文字盤時間として表す)
について評価する。
【0219】 結果−ヒト腎臓微小血管内皮細胞(HRMEC)が血清添加増殖培地において
増殖停止を示す細胞密度(細胞数/表面積)を確認するため、開始試験を行った
。in situ試験ではヒト腎臓の糸球体および糸球体外微小血管内皮細胞、ならび
に動脈および広範なその他の組織においてECRTP/DEP−1受容体の高レ
ベルの発現が示されている。図6Aでは、同数のHRMECを、指示されるよう
に35mm径皿の1、2.9、または8.1倍の表面積の9.6、28.3、ま
たは78.5cmの細胞培養プレートで培養した。増殖培地は3日ごとに取り
替えた。継体数により、HRMECは約1.3〜6×10細胞/cmの密度
で増殖停止、最大増殖刺激に対する応答に取って代わる応答に達した。密度が制
限されない条件下での倍加時間は約44時間である。確認したヒト皮膚微小血管
内皮細胞系統、HMEC−1も同様に、密度媒介性増殖停止特性を示した。
【0220】 繊維芽細胞密度の増大と膜結合画分から回収されたチロシンホスファターゼ活
性の増大との関係は以前からあった。例えば、Pallen, C. J. and Tong, P. H.
Proc Natl Acad Sci USA 88: 6996-7000 (1991)参照。膜結合タンパク質のうち
、ECRTP/DEP−1を含む表面受容体をエクトドメインのN−結合グリコ
シル化によって改変し、レクチンアフィニティークロマトグラフィーを用いて回
収してもよい。Honda et al., Blood 84: 4186-4194 (1994). 図6Bに示される
ように、同数の培養HRMECから回収した小麦胚(小麦麦芽凝集素、WGA)
レクチン画分のチロシンホスファターゼ活性を、培養皿の表面積によって決定し
た密度で、所定の時間に解析した。培養後15時間で早くもバナジウム酸塩感受
性チロシンホスファターゼ活性の顕著な差が見られた。レクチンで回収した受容
体結合チロシンホスファターゼ活性は、増殖停止をさせるに十分な密度(8.1
×)で培養した細胞では低密度(1×)で培養したものに比べ、2倍高かった。
低密度(2.9および1×)で培養した細胞が増殖したため、活性の増強が見ら
れ、著しい差はなくなった。レクチン回収活性の増強は、増殖停止推定時間にお
いて明らかであり、特異的チロシンホスファターゼの有力性が増強されたか、先
在するホスファターゼの活性が増強されたか、またはチロシンホスファターゼが
補充され、レクチン回収タンパク質と結合したかのいずれかが考えられた。 細胞密度を増大させることにより、DEP−1受容体の有力性が増強されるとい
うこれまでの報告により、発明者らはDEP−1活性および分布の評価ができる
(Ostman et al., Proc Natl Acad Sci USA 91: 9680-9684 (1994))。
【0221】 図7に示されるように、異なる密度で33時間培養した細胞との比較では免疫
沈降したECRTP/DEP−1受容体抗原量の差は検出できなかった。さらな
る試験では、これらの密度におけるTriton X−100溶性対不溶性画分
の割合の変化を示すことができなかった(示さず)。しかしながら、最低(1×
)細胞密度に対し、最高(8.1×)細胞密度で培養した細胞の免疫沈降では、
バナジウム酸塩感受性ECRTP/DEP−1受容体結合チロシンホスファター
ゼ活性の1.8倍の増強が得られた。下のパネル免疫ブロットに示されるように
(図7)、免疫沈降したECRTP/DEP−1受容体はそれ自身がバナジウム
酸塩と予備処理した細胞のチロシンリンタンパク質である。さらに、高密度で培
養した細胞から回収した免疫沈降ECRTP/DEP−1受容体の内在ホスホチ
ロシンレベルは下がり、その画分のチロシンホスファターゼ活性の増強と相関し
ている。これらの知見により、高密度で培養した内皮細胞ではECRTP/DE
P−1受容体存在量の急激な変化はないが、ECRTP/DEP−1結合ホスフ
ァターゼ活性が増強することが示される。ゲルザイモグラフィーホスファターゼ
アッセイによる、増強した活性がECRTP/DEP−1受容体に内在すること
の証明上手くいかなかった。
【0222】 ECRTP/DEP−1受容体が内皮増殖および移動を停止させ得るシグナル
を媒介する可能性をさらに追求していくため、HMEC−1細胞を、エピトープ
タグ付きECRTP/DEP−1の高レベルの発現を推進する発現プラスミドお
よびトランスフェクト細胞を標識する緑色蛍光タンパク質の発現を駆動するプラ
スミドで同時トランスフェクトした。アデノウイルスによるトランスフェクショ
ン法を用い、非トランスフェクト細胞と同様の生存、移動および増殖特性を示す
HMEC−1細胞の40〜50%のトランスフェクションを常法どおり行った。
図8Aに示されるように、エンプティ発現ベクターに比べ、全長ECRTP/D
EP−1受容体の高レベルの発現により、トランスフェクト細胞の培養密度の範
囲にわたってBrdU取り込みの著しい抑制がなされる。
【0223】 ECRTP/DEP−1受容体過剰発現は、増殖に見られるもののように、内
皮移動に同様の影響を与えた。図9Aに示されるように、ECRTP/DEP−
1/HAまたは受容体チロシンキナーゼ、EphB1/HAのいずれかの血球凝
集素エピトープ(HA)タグ付き形の発現を推進するプラスミドでトランスフェ
クトしたHMEC−1細胞を、密集単層を迅速に得られる密度でプレーティング
した。約500μ径の円形「傷」を創り、33時間後に発現タンパク質HAエピ
トープの染色により「傷」を閉鎖するトランスフェクト細胞および非トランスフ
ェクト細胞の移動を調べた。EphB1/HA対照でトランスフェクトした細胞
とは異なり、ECRTP/DEP−1/HA発現細胞は移動せず、傷の閉鎖に携
わっていなかった。ECRTP/DEP−1受容体の強制過剰発現は増殖および
移動に作用するというこの受容体の潜在能力には有益であるが、このアプローチ
は内因性発現したECRTP/DEP−1受容体と相互作用する高親和性試薬の
使用とあまり差がない。このため、発明者らは発明者らがECRTP/DEP−
1受容体エクトドメイン配列に対して作製したモノクローナル抗体のパネルを活
性に関してスクリーニングした。
【0224】 図8Bに示されるように、二価形モノクローナルECRTPAb1は増殖培地
の反復交換にかかわらず、低密度で増殖させたHRMECの増殖に著しい増殖効
果を与えた。同濃度のクラス適合モノクローナル対照抗体は不活性であった。オ
リゴマー化は多数の受容体チロシンキナーゼおよびホスファターゼの活性化の重
大な決定因子である(Weiss, A. and Schlessinger, J., Cell 94: 277-280 (199
8))ため、ECRTPAb1 Fab断片を調製し、相互作用するモノクローナ
ルの二価性が活性に必要であるかどうかを調べた。また、図8Bおよび8Cに示
されるように、等モル濃度のECRTPAb1 Fab断片は、血清含有増殖培
地で密集に至らない密度で増殖させた内皮細胞の増殖阻害剤としては不活性であ
った。
【0225】 さらなる内皮「傷」閉鎖アッセイを行い、図9Aに示された目的と同じく、二
価および一価ECRTPAb1の内皮移動への影響を調べた。示された時間に残
っている最初の傷面積の残部分を図9Bに示す。ホルボールミリステートアセテ
ート(PMA)は血清フリー培地の非刺激細胞に比べ、移動および傷閉鎖速度を
著しく加速させた。二価ECRTPAb1は目立った活性を示し、PMA刺激移
動を阻害したが、等モル濃度の一価Fab断片および対照モノクローナルは不活
性であった。このアッセイにおける時間依存的「傷」閉鎖の線形性によって発明
者らは集団の相対移動速度を図9Cで示されたように分数閉鎖/時間で求めるこ
とができた。有効濃度の二価ECRTPAb1(67および200nM)は増殖
阻害剤として同等に有効であった(図8C)。
【0226】 全体として、これらの知見では、二価抗体による内因性ECRTP/DEP−
1受容体の結合が「代替リガンド」のように機能して、通常細胞間接触時に内因
性膜結合リガンドによって引き起こされる応答に匹敵する働きをすることが考え
られる。ECRTPAb1 Fab断片は密集に至らない細胞の移動および増殖
を阻害する「代替リガンド」としては不活性であったため、発明者らはそれらが
高密度で増殖させた細胞におけるECRTP/DEP−1受容体の内因性リガン
ド結合のアンタゴニストとしての活性を有するかどうかを求めた。発明者らはF
ab断片が高密度で増殖させた細胞における内因性リガンド−受容体結合および
後の増殖停止シグナルを阻害するのであろうと推論した。図10に示される、E
CRTPAb1 FabはS期に入ったことを示す密度によるBrdU取り込み
阻害から細胞を解放するという著しい効果があった。
【0227】 ECRTPAb1脈管形成性シグナルを誘導する働きをするかどうかを調べる
最終試験として、発明者らはマウス角膜ポケットアッセイにおいてこの抗体が基
底FGFに対する血管形成応答を改変するかどうかを試験した。図11に示され
る、脈管形成を阻害する埋殖緩効性ヒドロン(hydron)ペレットにECRTPAb
1を封入(対照IgGはしない)し、それらが脈管形成刺激源に接近するにつれ
ての毛細血管芽の長さの減少により評点を付けた。毛細血管の長さのこの減少に
より、新たな脈管の放射性分布に影響することなく、前駆脈管形成基底FGFが
ECRTPAb1よりも迅速に緩効性ペレットから拡散し、脈管形成の活発な開
始がなされ、やがて減衰がおこり得ることが示される。
【0228】 実施例3 ECRTP/DEP−1受容体の内因性リガンドのスクリーニング方法 標識したECRTP/DEP−1受容体を用い、スキャッチャード解析による
ECRTP/DEP−1受容体リガンドをもつ細胞を同定する結合研究を行い;
ポリアクリルアミドゲルでECRTP/DEP−1受容体リガンドを明らかにす
る架橋研究を行う。これらの最初の特性化方法を用いて、多数および少数のEC
RTP/DEP−1受容体リガンドをもつ細胞の精製および単離について確認す
る。一度高レベルのECRTP/DEP−1受容体リガンドをもつ細胞系統が同
定されれば、次のアプローチによりタンパク質を精製する。
【0229】 アプローチA:生化学的精製 高レベルのECRTP/DEP−1受容体リガンドを発現する細胞系統を溶解
し、溶解物および膜調製物のタンパク質をゲル濾過精製した後、セファロースな
どの固相に結合したECRTP/DEP−1受容体を含有するカラムを用いてリ
ガンドを精製する。次いで精製リガンドタンパク質を微量配列決定し、タンパク
質配列から誘導された縮重オリゴヌクレオチドを用いて遺伝子をクローニングす
ることができる。
【0230】 アプローチB:cDNAライブラリーの精製 ECRTP/DEP−1受容体を125Iにより放射性標識し、スクラッチャ
ード解析によりリガンドの特異的結合に関して細胞系統または組織をスクリーニ
ングする。かかるリガンド結合が確認されれば、cDNAライブラリーをその組
織または細胞系統から構築し、特異的結合を示さない細胞系統にトランスフェク
トする。次いでこれらのトランスフェクト細胞を、それらがECRTP/DEP
−1受容体リガンドの遺伝子を含有する構築物でトランスフェクトしたことが示
される新たに獲得した特異的結合に関してスクリーニングする。その後陽性クロ
ーンのプラスミドDNAを単離し、配列決定して同定する。さらに単一構築物を
ヌル細胞に再度トランスフェクトし、リガンドと受容体間の結合をトランスフェ
クト遺伝子が媒介することを確認する(Kluzen et al. Proc Natl Acad Sci USA
89: 4618-4622 (1992))。
【0231】 あるいは、キメラECRTP/DEP−1受容体および免疫グロブリンFc分
子を構築する(LaRochelle et al., J Cell Biol 129: 357-366 (1995))。次いで
キメラ分子を用い、フローサイトメトリーにより全細胞におけるECRTP/D
EP−1受容体のリガンドとの結合に関してスクリーニングできる。また分子に
免疫グロブリン成分が存在するため、代謝標識細胞の免疫ブロッティングまたは
免疫沈降法により細胞溶解物をスクリーニングする。この手法は種々の異なる方
法によってECRTP/DEP−1結合タンパク質が同定できる。さらにペプチ
ドを配列決定し、全分子が縮重オリゴヌクレオチドアプローチによりクローニン
グできるように、同定されたタンパク質のペプチド消化物を作出する。
【0232】 参照文献 以下に挙げた参照文献ならびに本明細書に記載のすべての参照文献は、とれら
が本明細書で用いられる方法論、技術および/または組成物に関する背景を補足
、説明、提示する、または教示する範囲で出典明示により本明細書の一部とされ
る。
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【0241】
【表1】
【0242】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、組換えECRTP/DEP−1受容体および過剰発現し
たECRTP/DEP−1受容体の、ECRTPAb−1およびECRTPAb
−2抗体による認識を示す。
【図1A】 図1Aは、組換えタンパク質が提示するECRTP/DEP−
1受容体の細胞外(Ec)または細胞質(Cy)ドメインが細菌内で発現され精
製されたことを示すオートラジオグラフィーである。タンパク質(100ng)
を15%SDS−ポリアクリルアミドゲルで分離し、PVDF膜へ移し、示され
たようにモノクローナル抗体ECRTPAb−1またはECRTPAb−2でプ
ローブした。
【図1B】 図1Bは、100mm皿で培養したMDCK細胞が、空のpS
Raベクター(SRa)またはpSRa−ECRTP/DEP−1/HA(SR
a−ECRTP/HA)14μgの発現構築物に感染し、感染して48時間後に
回収したものを示すオートラジオグラフィーである。膜受容体タンパク質はWG
Aレクチン結合アガロースにより150μg溶解タンパク質から回収した。レク
チンに吸着し溶出したタンパク質を7%SDS−PAGEに付し、PVDF膜へ
移動し、示されたようにECRTPAb−1、ECRTPAb−2または抗HA
(HAAb)モノクローナル抗体でプローブした。
【図1C】 図1Cは、pSRa−ECRTP/DEP−1/HAプラスミ
ドに安定して感染したMDCK細胞を冷たいメタノールで固定し、ECRTPA
b−2(パネルa、c、およびd)またはクラスの合った対照抗体(パネルb)
で染色したMDCK細胞を示す一連の写真である。接触した場合のECRTPA
b−2で標識された細胞の横縞。ECRTPAb−2を50μg組換え免疫原(
Ec)とともにプレインキュベートするとこの染色が阻害され(パネルc)、無
関係な組換えタンパク質(Cy)は阻害されなかった(パネルd)。
【図2】 図2は、ヒト成人腎臓の内皮細胞中のECRTP/DEP−1受
容体の存在量を示す一連の写真である。アセトンで固定したヒト腎臓の凍結切片
(5μm厚さ)をECRTPAb−1(パネルA−D)またはクラス適合対照モ
ノクローナル抗体(パネルE)とともにインキュベートし、方法に記載したよう
に、結合した抗体をエピ蛍光顕微鏡で検出した。ECRTPAb−1は糸球体細
胞、管周細胞および動脈内皮細胞を顕著に標識した。倍率はA)100倍;B)
600倍;C)600倍;D)400倍;E)100倍。
【図3】 図3は、ヒト腎臓脈管構造におけるECRTP/DEP−1受容
体およびVEカドヘリンの共焦点局在性を示す。アセトンで固定した腎臓切片を
、ECRTPAb−1およびVEカドヘリンに対するポリクローナルヤギ抗体で
同時標識した。結合した抗体を、フルオレセイン結合抗マウスIg抗体(パネル
A、B、E、F)、またはローダミン結合抗ヤギIg抗体(パネルC、D、E、
F)で検出した。ECRTPAb−1(緑色)染色は大動脈および糸球体毛細血
管の内皮膜全体に分布し(A、B)、一方、VEカドヘリン標識(赤色)は内皮
接合部に限定されていた(C、D)。重複する共焦点画像が、内皮接合部の内側
でECRTPがVEカドヘリンと共存することが証明された(倍率600倍)。
【図4】 図4は、発達中のネズミ糸球体におけるECRTP/DEP−1
受容体の発現を示す一連の写真である。胎児期14日(A)、16日(B)、出
生後6日(C)、および成体マウス(D)のクリオスタット腎臓切片を、実施例
1の方法に記載したようにECRTPAb−1で免疫標識した。パネルAとBは
、ECRTPAb−1が間充織領域で分散した細胞と結合し(矢印)、コンマ型
の糸球体の血管の裂け目ヘ移動する内皮前駆細胞(矢印)と結合し、さらに毛細
血管段階の糸球体内皮(G)と結合する。パネルCとDは、成熟した腎臓内でE
CRTPAb−1が糸球体(G)、動脈(A)、および管周毛細血管(矢印)の
内皮を選択的に標識している。(元の倍率;A)400倍;B)200倍;C)
200倍;およびD)350倍)。
【図5】 図5は、ヒト内皮培養細胞におけるECRTP/DEP−1受容
体の内皮内部の接触の分布を示すが、ECRTP/DEP−1受容体はVEカド
ヘリンと共に接合部から分離しない。
【図5A】 図5Aは、メタノールで固定したHRMEC細胞が実施例1の
方法で記載したようにECRTPAb−2で標識されることを示す一連の写真で
ある。ECRTP/DEP−1受容体は内皮膜内部の接点と、連続する共焦点画
像内の頂端膜の小さな斑点のある領域との間に分布している。
【図5B】 図5Bは、HMEC−1細胞が密集し、その後固定化する前に
5mM EGTAを含有する中膜で0分間(パネルaおよびc)または20分間
(パネルbおよびd)インキュベートしたものを示す一連の写真である。ECR
TPAb−2およびVEカドヘリン標識の分布は時間ごとに実施例1の方法に記
載されたようにして調べた。ECRTP/DEP−1受容体免疫活性の分布はC
2+の低い培地内で変わらなかったが、接合部のVEカドヘリンの染色は散逸
し、VEカドヘリン接合部の解離と細胞膜を横切る再分布が一致した。
【図6】 図6は、細胞内皮密度が増殖停止を強要し、レクチンの回復可能
なチロシンホスファターゼ活性を増加させることを示す。
【図6A】 図6Aは、同一数のヒト腎臓微小血管内皮細胞(HRMEC)
を、直径100mm(1倍)、60mm(2.9倍)または35mm(8.1倍
)のプラスチック皿の増殖培地で培養し、培養時点の細胞密度に指示した襞の違
いを与えたことを示す線グラフである。培地は矢印で示した時点で増殖培地と交
換した。細胞はCoulterカウンターで計数し、サンプルは4反復で示している。
細胞の増殖は単一細胞の倍加後8.1倍の密度、および培養細胞の約3回の倍加
後2.9倍の密度で停止した。
【図6B】 図6Bは、指示した時間指示した密度で培養した細胞を溶解し
、さらにECRTP/DEP−1受容体に起因し得るものを含む受容体チロシン
ホスファターゼ活性をレクチン親和性クロマトグラフィーにより回収し、実施例
2の方法に記載したようにチロシンホスファターゼ阻害剤のオルトバナジンナト
リウム(VO、100μM)が存在する場合と存在しない場合でアッセイした
ことを示す棒グラフである。
【図7】 図7は、増加した細胞密度が免疫沈降するECRTP/DEP−
1受容体の活性(量ではない)を増加させることを示す放射能写真および棒グラ
フである。同一数のHRMECを図6のように示された細胞密度で培養した。実
施例2の方法に記載したように36時間培養した後、単一特異性アフィニティー
精製ラビットポリクローナル抗体を用いて、1mMペルオキシバナジン(+VO )または溶媒(−VO)で10分間処理した細胞から直ちにECRTP/D
EP−1受容体を免疫沈降させた。回収したECRTP/DEP−1受容体抗原
を単一特異的抗体を用いた免疫ブロットにより定量化し、その内因性ホスホチロ
シン含量を4G10モノクローナル抗体を用いたホスホチロシン免疫ブロットに
より評価した。免疫沈降した試料中のホスファターゼ活性を、pNPPを基質と
して用いて記載したようにオルトバナジンナトリウムが存在する場合(+VO )と存在しない場合(−VO)で評価した。データは生成物の光学濃度を3反
復のサンプル+/−標準誤差で示している。
【図8】 図8は、ECRTP/DEP−1受容体の過剰発現、またはEC
RTP/DEP−1、ECRTPAb−1に対する二価の抗体がHRMECを増
殖停止させることを示す。
【図8A】 図8Aは、ECRTP/DEP−1 cDNAを持つHMRE
Cの一時的感染が低い細胞密度で増殖を阻害させることを示すグラフである。示
されたように1.7μg pSRα(ベクター対照)またはHAエピトープタグ
をつけた(血球凝集素)pSRα−ECRTP/DEP−1(pSRα−ECT
RP)、および、実施例2の方法に記載したように感染した細胞のBrdU標識
を数えるために、0.4μg pEGEFP(Clontech)でおよそ3X10
HRMECを同時感染させた。24時間で感染した細胞は再び示された数でp3
5培養皿に戻された。36時間後、S期の細胞を実施例2の方法に記載したよう
にBrdUで30分間標識し、+GFP陽性細胞をBrdUの組み込みについて
数えた。示しされたデータは4反復の測定値についての平均値+/−標準誤差を
表す。
【図8B】 図8Bは、ECRTPAb−1が内皮の増殖および移動を阻害
することを示す線グラフである。HRMEC(3X104)を0時点としてp3
5培養皿に入れた。24時間で増殖培地を交換し、細胞を計数し、IgG対照物
(10μg/ml)かまたはECRTPAb1(10μg/ml)のいずれかの
抗体を加えた。細胞の複製試料(5)を4日目に計数し、平均値+/−標準誤差
で表した。
【図8C】 図8Cは、図8のように0時点で同数のHRMECを培養し、
示された濃度で抗体またはFab断片を加えた場合のデータポイントプロットで
ある。反復プレートを1日目に回収して各条件でプレーティング効率が一様かど
うかを確認し、6日目に細胞の増殖をそれぞれ評価した。データポイントはは5
反復の平均値+/−標準誤差値を表す。
【図9】 図9は、ECRTPAb−1による内皮移動の阻害を示す。
【図9A】 図9Aは、HRMEC単層が一時的にプラスミドpSRαEC
RTP/DEP−1/HA、または示されたようにpSRαEphB1/HAに
感染したことを示す一連の写真である。48時間後、密集単層に「創傷」を作り
、確実である30時間かけて塞がらせた。その後単層をモノクローナル血球凝集
素抗体12CA5で染色し、高レベルのECRTP/DEP−1/HAまたはE
phB1/HAを一時的に発現する細胞の位置をそれぞれ検出した。唯一ECR
TP/DEP−1過剰発現細胞だけが稀に移動して「創傷」を塞いだ。
【図9B】 図9Bは、クラス適合IgG対照(IgG、10μg/ml)
、ECRTPAb1(10μg/ml)、またはECRTPAb1(3μg/m
l、モル濃度は同じ)のFab断片が含む示された抗体または断片の存在下、無
添加(NA)またはホルボールミリステートアセテート(20ng/ml)を添
加した血清フリーの培地に交換する0時にHRMEC密集単層に作られた直径3
00〜420μmの「創傷」の分析を示す線グラフである。3反復の創傷を用い
て示された時間に顕微鏡画像をなし、Bioquant画像解析ソフトを用いて自動的取
り込み手順により、残りの「創傷」部位を算定してはじめの創傷の分数として表
している。各データポイントは3回の測定値の平均値+/−標準誤差を表す。
【図9C】 図9Cは、図9Bと同様のアッセイ手順で得られたデータを解
析した線グラフである。同じアッセイ手順を用いて、3の独立した時点でIgG
対照、ECRTPAb1、またはECRTPAb1/Fabに曝した細胞におい
て測定した平均値の直線回帰により移動率を計算した。r値はプロットした各
データポイントについて0.90以上であった。白抜きの四角(□)は刺激を受
けない細胞の閉塞に対する移動率を示す。
【図10】 図10は、ECRTPAb1 Fab断片が内皮密度により媒
介される増殖停止を減衰することを示す線グラフである。示された数のHMEC
−1細胞を、12ウェルディッシュ中のカバーガラス上の、無添加(NA)また
はECRTPAb1(67nM)添加増殖培地中に0時点としてプレーティング
した。24時間後、BrdU染色を実施例2の方法に記載したようにアッセイし
、各条件について5つの独立した視野を計数することでBrdU陽性細胞の割合
%を得た(400細胞/ポイント以上)。データは平均値+/−標準誤差を表す
【図11】 図11は、ECRTPAb1がbFGFに応答する角膜ポケッ
ト脈管形成を阻害することを示す一連の写真である。ヒドロンペレットに、脈管
形成刺激剤、塩基性FGF(90ng)を単独で、またはクラスの適合する対照
モノクローナル抗体(IgG、200mg)あるいはECRTPAb1(200
ng)を含浸させ、麻酔をかけたマウスの角膜内皮に作ったポケットに置いた。
注入から5日後、脈管形成応答を評価し、撮影した。代表的な例はECRTPA
b1の封入が埋殖されたペレット周辺の増殖ゾーンを阻害することを示している
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 35/00 A61P 35/04 4C085 35/04 C07K 16/28 4H045 C07K 16/28 C12P 21/08 C12N 5/10 G01N 33/577 B C12P 21/08 C12R 1:91) G01N 33/577 C12N 15/00 C //(C12N 5/10 5/00 B C12R 1:91) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CR, CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI,G B,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL ,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ, LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,M G,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT ,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL, TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ,VN,Y U,ZA,ZW (72)発明者 高橋 孝宗 アメリカ合衆国37215テネシー州ナッシュ ビル、ウッドモント・ブールバード2025 番、アパートメント335番 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA44 GA05 4B064 AG27 BA16 CA10 CA20 DA01 4B065 AA93X AA93Y AB01 AC20 BA02 CA46 4C076 CC26 CC41 EE59 4C084 AA17 AA20 NA14 ZB052 ZB261 ZC412 ZC752 4C085 AA14 BB01 CC02 CC03 DD61 EE03 4H045 AA11 AA30 BA10 BA41 CA40 DA76 EA23 FA72 FA74 HA07

Claims (65)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脊椎動物被処置体の脈管形成を調節する方法であって、EC
    RTP/DEP−1受容体活性を調節する量の組成物を脊椎動物被処置体に投与
    し、それにより脊椎動物被処置体内のECRTP/DEP−1受容体と組成物と
    を接触させ、ECRTP/DEP−1受容体と組成物との接触によって脈管形成
    を調節することを含む方法。
  2. 【請求項2】 組成物がECRTP/DEP−1受容体と選択的に結合する
    モノクローナル抗体を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 モノクローナル抗体が、ECRTP/DEP−1受容体のエ
    クトドメインと選択的に結合する、分子量約150kDaのモノクローナル抗体
    ECRTPAb−1を含む、請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 モノクローナル抗体のECRTP/DEP−1受容体活性調
    節量が脊椎動物被処置体の体重kg当たり約0.1から約300mgまでの範囲
    である、請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 モノクローナル抗体のECRTP/DEP−1受容体活性調
    節量が脊椎動物被処置体の体重kg当たり約0.2から約200mgまでの範囲
    である、請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 モノクローナル抗体のECRTP/DEP−1受容体活性調
    節量が脊椎動物被処置体の体重kg当たり約0.5から約20mgまでの範囲で
    ある、請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 モノクローナル抗体が、ATCC受託番号HB12570の
    ハイブリドーマ細胞系統によって産生されるモノクローナル抗体の免疫反応特性
    をさらに有する、請求項3に記載の方法。
  8. 【請求項8】 モノクローナル抗体が、ATCC受託番号HB12570の
    ハイブリドーマ細胞系統によって産生されるモノクローナル抗体である、請求項
    7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 抗体がヒト化されている、請求項2に記載の方法。
  10. 【請求項10】 ヒト化抗体が、ECRTP/DEP−1受容体のエクトド
    メインと選択的に結合する、分子量約150kDaのモノクローナル抗体ECR
    TPAb−1を含む、請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 ヒト化抗体が、ATCC受託番号HB12570のハイブ
    リドーマ細胞系統によって産生されるモノクローナル抗体の免疫反応特性をさら
    に有する、請求項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 モノクローナル抗体が、ATCC受託番号HB12570
    のハイブリドーマ細胞系統によって産生されるモノクローナル抗体である、請求
    項11に記載の方法。
  13. 【請求項13】 投与が静脈投与、滑膜投与、経皮投与、筋肉投与、皮下投
    与および経口投与からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  14. 【請求項14】 投与が化学療法と組み合わせて行われる、請求項1に記載
    の方法。
  15. 【請求項15】 脊椎動物被処置体が哺乳類である、請求項1に記載の方法
  16. 【請求項16】 哺乳類がヒトである、請求項15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 該脈管形成が患者の固形腫瘍における脈管形成を含み、そ
    こで脈管形成に関与する血管内皮細胞の表面で発現したECRTP/DEP−1
    受容体がモジュレーターと接触し、その結果、固形腫瘍組織への血液供給が阻害
    される、請求項1に記載の方法。
  18. 【請求項18】 投与が化学療法と組み合わせて行われる、請求項17に記
    載の方法。
  19. 【請求項19】 患者がヒトである、請求項17に記載の方法。
  20. 【請求項20】 脈管形成が患者の炎症を起こした脈管形成組織における脈
    管形成を含み、脈管形成組織において脈管形成に関与する血管内皮細胞の表面で
    発現したECRTP/DEP−1受容体がモジュレーターと接触し、その結果、
    脈管形成組織への血液供給が阻害される、請求項1に記載の方法。
  21. 【請求項21】 患者がヒトである、請求項20に記載の方法。
  22. 【請求項22】 脊椎動物被処置体において内皮細胞の移動および増殖を調
    節する方法であって、脊椎動物被処置体に、ECRTP/DEP−1受容体活性
    を調節する量の組成物を投与し、それにより脊椎動物被処置体内のECRTP/
    DEP−1受容体と組成物とを接触させ、ECRTP/DEP−1受容体と組成
    物との接触によって内皮細胞の移動および増殖を調節することを含む方法。
  23. 【請求項23】 組成物がECRTP/DEP−1受容体と選択的に結合す
    るモノクローナル抗体またはその断片を含む、請求項22に記載の方法。
  24. 【請求項24】 モノクローナル抗体が、ECRTP/DEP−1受容体の
    エクトドメインと選択的に結合する、分子量約150kDaのモノクローナル抗
    体ECRTPAb−1を含む、請求項23に記載の方法。
  25. 【請求項25】 モノクローナル抗体のECRTP/DEP−1受容体活性
    調節量が脊椎動物被処置体の体重kg当たり約0.1から約300mgまでの範
    囲である、請求項24に記載の方法。
  26. 【請求項26】 モノクローナル抗体のECRTP/DEP−1受容体活性
    調節量が脊椎動物被処置体の体重kg当たり約0.2から約200mgまでの範
    囲である、請求項25に記載の方法。
  27. 【請求項27】 モノクローナル抗体のECRTP/DEP−1受容体活性
    調節量が脊椎動物被処置体の体重kg当たり約0.5から約20mgまでの範囲
    である、請求項26に記載の方法。
  28. 【請求項28】 モノクローナル抗体が、ATCC受託番号HB12570
    のハイブリドーマ細胞系統によって産生されるモノクローナル抗体の免疫反応特
    性をさらに有する、請求項23に記載の方法。
  29. 【請求項29】 モノクローナル抗体が、ATCC受託番号HB12570
    のハイブリドーマ細胞系統によって産生されるモノクローナル抗体である、請求
    項28に記載の方法。
  30. 【請求項30】 抗体がヒト化されている、請求項23に記載の方法。
  31. 【請求項31】 ヒト化抗体が、ECRTP/DEP−1受容体のエクトド
    メインと選択的に結合する、分子量約150kDaのモノクローナル抗体ECR
    TPAb−1を含む、請求項30に記載の方法。
  32. 【請求項32】 ヒト化抗体が、ATCC受託番号HB12570のハイブ
    リドーマ細胞系統によって産生されるモノクローナル抗体の免疫反応特性をさら
    に有する、請求項31に記載の方法。
  33. 【請求項33】 モノクローナル抗体が、ATCC受託番号HB12570
    のハイブリドーマ細胞系統によって産生されるモノクローナル抗体である、請求
    項32に記載の方法。
  34. 【請求項34】 投与が静脈投与、滑膜投与、経皮投与、筋肉投与、皮下投
    与および経口投与からなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
  35. 【請求項35】 脊椎動物被処置体が哺乳類である、請求項22に記載の方
    法。
  36. 【請求項36】 哺乳類がヒトである、請求項35に記載の方法。
  37. 【請求項37】 ECRTP/DEP−1受容体と選択的に結合する精製抗
    体、またはその断片もしくは誘導体。
  38. 【請求項38】 ECRTP/DEP−1受容体のエクトドメインと選択的
    に結合する、請求項37に記載の精製抗体。
  39. 【請求項39】 モノクローナル抗体、またはその断片もしくは誘導体であ
    る、請求項38に記載の精製抗体。
  40. 【請求項40】 ECRTP/DEP−1受容体のエクトドメインと選択的
    に結合する、分子量約150kDaのモノクローナル抗体ECRTPAb−1で
    ある、請求項39に記載の精製抗体。
  41. 【請求項41】 ATCC受託番号HB12570のハイブリドーマ細胞系
    統によって産生されるモノクローナル抗体の免疫反応特性をさらに有する、請求
    項40に記載の抗体。
  42. 【請求項42】 モノクローナル抗体が、ATCC受託番号HB12570
    のハイブリドーマ細胞系統によって産生されるモノクローナル抗体である、請求
    項41に記載の抗体。
  43. 【請求項43】 抗体がヒト化されている、請求項37に記載の抗体。
  44. 【請求項44】 ヒト化抗体が、ECRTP/DEP−1受容体のエクトド
    メインと選択的に結合する、分子量約150kDaのモノクローナル抗体ECR
    TPAb−1を含む、請求項43に記載の抗体。
  45. 【請求項45】 ヒト化抗体が、ATCC受託番号HB12570のハイブ
    リドーマ細胞系統によって産生されるモノクローナル抗体の免疫反応特性をさら
    に有する、請求項44に記載の抗体。
  46. 【請求項46】 モノクローナル抗体が、ATCC受託番号HB12570
    のハイブリドーマ細胞系統によって産生されるモノクローナル抗体である、請求
    項45に記載の抗体。
  47. 【請求項47】 医薬上許容される希釈剤または賦形剤中の、請求項37に
    記載の抗体。
  48. 【請求項48】 ECRTP/DEP−1受容体のリガンドを単離する方法
    であって、 (a)リガンドを含む細胞または細胞溶解物をECRTP/DEP−1受容体
    と接触させ;さらに (b)ECRTP/DEP−1受容体と結合するリガンドを単離する; というステップを含む方法。
  49. 【請求項49】 リガンドを含む細胞が、 (a)ECRTP/DEP−1受容体を標識し; (b)標識されたECRTP/DEP−1受容体を用いて細胞培養物をスクリ
    ーニングし;さらに (c)多量の標識ECRTP/DEP−1受容体と結合する細胞を単離する; というステップによって同定される、請求項48に記載の方法。
  50. 【請求項50】 細胞を溶解して、細胞溶解物を、カラム内で固相マトリッ
    クスと結合したECRTP/DEP−1受容体を含むカラムに通すことによって
    リガンドが単離される、請求項48に記載の方法。
  51. 【請求項51】 リガンドと結合する細胞由来のcDNAライブラリーを構
    築し;リガンドの結合を示さない細胞系統にcDNAライブラリーをトランスフ
    ェクトし;新たに獲得した特異的結合に関して細胞系統をスクリーニングし;特
    異的結合を示す細胞からDNAを単離し;さらに、単離したDNAを配列決定し
    てリガンドのDNA配列を決定することによってリガンドが単離される、請求項
    48に記載の方法。
  52. 【請求項52】 ECRTP/DEP−1受容体がECRTP/DEP−1
    受容体と免疫グロブリンとを結合させることによって標識される、請求項48に
    記載の方法。
  53. 【請求項53】 ECRTP/DEP−1受容体−リガンド−免疫グロブリ
    ン複合体の免疫沈降によってリガンドが単離される、請求項52に記載の方法。
  54. 【請求項54】 ECRTP/DEP−1受容体のリガンドがフローサイト
    メトリーを用いて単離される、請求項53に記載の方法。
  55. 【請求項55】 精製および単離されたECRTP/DEP−1受容体リガ
    ンド。
  56. 【請求項56】 ECRTP/DEP−1受容体の活性を調節する化合物を
    同定するスクリーニングアッセイを行う方法であって、 (a)ECRTP/DEP−1受容体を発現する細胞の試験培養物および対照
    培養物の複製物を確立し; (b)試験培養物の細胞には候補化合物を投与するが、対照培養物には投与せ
    ず; (c)試験培養物および対照培養物の細胞のECRTP/DEP−1受容体活
    性を測定し;さらに (d)試験培養物について測定されたECRTP/DEP−1受容体活性が対
    照培養物について測定されたECRTP/DEP−1受容体活性よりも高いまた
    は低い場合に、該候補化合物が細胞においてECRTP/DEP−1受容体活性
    を調節するものと決定する; というステップを含む方法。
  57. 【請求項57】 ECRTP/DEP−1受容体活性が内皮細胞の移動およ
    び増殖の調節、密度により誘導される増殖停止の調節、脈管形成の調節、および
    それらの組合せからなる群から選択される、請求項56に記載の方法。
  58. 【請求項58】 請求項56に記載のアッセイで用いるのに好適な組換え細
    胞系統。
  59. 【請求項59】 細胞を含まない系においてECRTP/DEP−1受容体
    の活性を調節する化合物を同定するスクリーニングアッセイ法であって、 (a)ECRTP/DEP−1受容体とリガンドとを含む対照系を確立し(こ
    こで、該ERTP/DEP−1受容体は該リガンドと結合できる); (b)ECRTP/DEP−1受容体、リガンドおよび候補化合物を含む試験
    系を確立し; (c)対照系および試験系においてECRTP/DEP−1受容体とリガンド
    の結合親和性を測定し;さらに (d)試験系について測定された結合親和性が対照系について測定された結合
    親和性より低いまたは高い場合に、候補化合物が細胞を含まない系においてEC
    RTP/DEP−1受容体活性を調節するものと決定する; というステップを含む方法。
  60. 【請求項60】 ECRTP/DEP−1受容体活性が内皮細胞の移動およ
    び増殖の調節、密度により誘導される増殖停止の調節、脈管形成の調節、および
    それらの組合せからなる群から選択される、請求項59に記載の方法。
  61. 【請求項61】 リガンドがECRTP/DEP−1受容体と選択的に結合
    する抗体を含む、請求項60に記載の方法。
  62. 【請求項62】 リガンドがモノクローナル抗体である、請求項61に記載
    の方法。
  63. 【請求項63】 請求項59に記載のアッセイで用いるのに好適な組換え細
    胞系統。
  64. 【請求項64】 患者の組織、すなわち内皮細胞の望ましくない増殖を有す
    る組織に治療組成物を送達する方法であって、 (a)選択された治療薬に機能し得る形で連結された抗体の生物学的に有効な
    量を患者に導入し、該抗体は内皮細胞の表面のECRTP/DEP−1受容体と
    選択的に結合し、それにより脊椎動物被処置体内のECRTP/DEP−1受容
    体と抗体とが接触し;さらに (b)ECRTP/DEP−1受容体と組成物との接触によって組織に治療組
    成物を送達する; というステップを含む方法。
  65. 【請求項65】 組織が腫瘍組織を含み、治療薬が化学療法薬を含む、請求
    項64に記載の方法。
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