【発明の詳細な説明】
ヒト化抗CD11a抗体
発明の背景
発明の分野
本発明は、一般にヒト化抗CD11a抗体に関する。
関連技術の記載
リンパ球機能関連抗原1(LFA‐1;CD11a/CD18)は、免疫学的応
答及び炎症のために必須な細胞の相互作用の間に白血球粘着に含まれる(Larson
ら、Immunol.Rev.114:181-217(1990))。LFA‐1は、β2インテグリンファ
ミリーのメンバーであり且つユニークαサブユニット、CD11a及びβサブユ
ニット、CD18、共通の他のβ2インテグリンレセプターMac‐1およびp1
50,95からなる。LFA‐1のリガンドは、白血球、内皮及び皮膚の線維芽細胞
上で発現した、細胞間接着分子‐1、ICAM‐1(Dustinら、J.Immunol.137:
245-254(1986))、休眠内皮及びリンパ球上で発現したICAM‐2(de Fougerol
lesら、J.Exp.Med.174:253-267(1991))、及び単球と休眠リンパ球で発現した
ICAM‐3(de Fougerollesら、J.Exp.Med.179:619-629(1994))を含む。
LFA‐1とICAMsに対するモノクローナル抗体(MAbs)は、インビトロで
、T細胞活性化(Kuypersら、Res.Immunol.140:461(1989)))、T細胞依存B細
胞増殖(Fischerら、J.Immunol.136:3198-3203(1986))、標的細胞渙散(Krensky
ら、J.Immunol.131:611-616(1983))、及び脈管内皮へのT細胞の接着(Loら、J
.Immunol.143:3325-3329(1989))を含む幾つかのT細胞依存免疫機能を抑制す
ることが示されている。マウスにおいて、抗CD11a MAbsは、タンパク
質抗原に対する耐性(タナカら、Eur.J.Immunol.25:1555-1558(1995))、及び
心臓(Cavazzana-calvoら、Transplantation 59:1576-1582(1995);ナカクラら、T
ransplantation 55:1112-417(1993))、骨髄(Cavazzana-Calvoら、Transplantati
on 59:1576-1582(1995);van Dijkenら、Transplantation 49:882-886(1990))、
角膜(Heら、Invest.Opthamol.Vis.Sci.35:3218-3225(1994))、小島(ニシハ
ラら、Transp
lantation Proc.27:372(1995))及び甲状腺(Talentoら、Transplantation 55:41
8-422(1993))同種移植片の存続延長を誘導する。
ヒトにおいて、抗CD11a MAbsは、骨髄移植後の移植片不全を予防し
、(Fischerら、Blood 77:249-256(1991);Stoppaら、Transplant Intl.4:3-7(19
91))及びコルチコステロイド及びアザチオプリンに加えて、抗CD11a MA
bによって予防的に処理した腎臓同種移植片の予備の臨床的研究が有望視される
(Hourmantら、Transplantation 58:377-380(1994))。移植拒絶に対する現行の治
療は、OKT3、ネズミの抗‐ヒトCD3 MAb、及びシクロスポリンAの使
用を含む。OKT3治療は、有効であるがしかし、幾つかの望ましくない副作用
を有する;それの使用は、発熱、悪寒及び胃腸の苦痛の結果を生じる腫瘍壊死因
子‐α、インターフェロン‐γ、インターロイキン‐2、及びインターロイキン
‐6を含む多数のサイトカインの放出の結果を生じる(再考のため、Parlevliet
ら、Transplant Intl.5:234-246(1992);Dantalら、Curr.Opin.Immunol.3:74
0-747(1991)参照)。シクロスポリンAは有効であるが、しかしまた、深刻な副作
用をも有する(再考のため、Barry,Drugs,44:554-566(1992)参照)。
発明の要約
本発明は、ヒト化抗CD11a抗体を提供する。好ましい抗体は、ヒトCD1
1aのI‐ドメインに(例えば、ここで定義したような「エピトープMHM24
」に)結合し、及び/又は約1x10-8Mまたはより強い親和性(affinity)とと
もにCD11aと結合する。好ましい実施態様において、該抗体は、ICAM-
1を発現する通常のヒト表皮ケラチノサイトへのジャーカット細胞の接着を防ぐ
ために約1nMまでのIC50(nM)値を有する。好ましいヒト化抗体は、混合
リンパ球反応(MLR)アッセイにおいて約1nMまでのIC50(nM)の値を有
するそれらである。MLRアッセイにおけるヒト化抗体のこのIC50は、イン
ビボで予め試験されているネズミMAb25.3のそれよりも著しく良好である
(Fischerら、Blood 77:249-256(1991);Stoppaら、Transplant Intl.4:3‐7(1991
);Hourmantら、Transplantation 58:377‐380(1994))。
ヒト化抗CD11a抗体は、図1中のヒト化抗体MHM24F(ab)‐8の、C
D
R1(GYSFTGHWHN;配列番号:10)及び/又はCDR2(MIHPSDSETRYNQKFKD;配列
番号:11)及び/又はCDR3(GIYFYGTTYFDY;配列番号:12)のアミノ酸配列
を備える重鎖可変領域及び/又は図1中のヒト化抗体MHM24F(ab)‐8の、
CDR1(RASKTISKYLA;配列番号:13)及び/又はCDR2(SGSTLQS;配列番号
:14)及び/又はCDR3(QQHNEYPLT;配列番号:15)のアミノ酸配列を備え
る軽鎖可変領域を有し得る。他の実施態様において、該抗体は、ヒト化MHM2
4抗体F(ab)‐8のCDRsの1又はそれ以上のアミノ酸配列変異体を備え、該
変異体は、CDR残基内又は隣接した1又はそれ以上のアミノ酸挿入及び/又は
CDR残基内又は隣接した削除及び/又はCDR残基の置換(そのような変異体
を生成するための好適なタイプのアミノ酸代替とする置換と共に)を備える。そ
のような変異体は、約1x10-8MまでのヒトCD11aの結合親和力を通常は
有するであろう。
好適な実施態様において、該ヒト化抗体は、配列番号:2のアミノ酸配列を備
える軽鎖可変領域及び/又は図1中のヒト化抗体MHM24F(ab)‐8の配列番
号:5のアミノ酸配列を備える重鎖可変領域及び/又はそれのアミノ酸配列変異
体を包含する。
ここに記載した通り、アカゲザルCD11a(即ち、「アカゲザル化」抗体)に
結合するための能力を与えるために、ヒトCD11a抗原と結合するが、しかし
アカゲザルCD11a抗原と有意ではない、ヒト化抗体を後で工作することは可
能とされている。この実施態様において、アカゲザルCD11aと結合する抗体
は、例えば配列番号:23中のCDR2アミノ酸配列を備え得る。他のCDRs
は、ヒト化MHM24抗体F(ab)‐8のためのそれらと同じとされ得る。かくし
て、該抗体は、配列番号:2中のアミノ酸配列を備える軽鎖と任意に結合した、
配列番号:24中の「アカゲザル化」重鎖のアミノ酸配列を備え得る。該抗体の
各種の形が、ここに意図される。例えば、該抗CD11a抗体は、完全長抗体(
例えば、ヒト免疫グロブリン定常領域を有する)又は抗体フラグメント(例えば、
F(ab')2)とされ得る。さらに、該抗体は、検出可能な標識で標識化、固相上で
固定化及び/又は異質な化合物(細胞毒性剤のような)と接合され得る。
該抗体の診断的及び治療的な使用が意図される。一つの診断的な適用において
、
本発明は、抗CD11a抗体に、CD11aタンパク質の含有を疑われるサンプ
ルをさらすこと及びそのサンプルへの抗体の結合を測定することを備えるCD1
1aタンパク質の存在を測定するための方法を提供する。この使用のため、本発
明は、CD11aタンパク質を検出するための抗体を用いるための抗体を備える
キットと指示とを提供する。
本発明はさらに:該抗体をコード化する分離した核酸;その核酸を備えるベク
ター、該ベクターにより形質転換される宿主細胞によって認識した配列を制御す
るために任意に操作可能に結合した;そのベクターを備える宿主細胞;その核酸
が発現されるように宿主細胞を培養すること、及び、任意に、宿主細胞培養物か
ら(例えば宿主細胞培養培地から)抗体を回収することを備える該抗体の製造のた
めの方法を提供する。本発明はまた、ヒト化抗CD11a抗体と製薬的に許容さ
れるキャリア又は賦形剤とを備える組成物も提供する。治療的な使用のためのこ
の組成物は無菌であり且つ凍結乾燥され得る。本発明はさらに、哺乳動物にヒト
化CD11a抗体の製薬的有効量を投与することを備える、LFA‐1介在疾患
に罹った哺乳動物を処置するための方法を提供する。そのような治療的使用のた
め、他の免疫抑制剤又は接着分子アンタゴニスト(例えば、別のLFA‐1アン
タゴニスト又はVLA‐4アンタゴニスト)が、該ヒト化抗CD11a抗体の前
、後又は同時のいずれかで該哺乳動物に共投与され得る。
図面の簡単な説明
図1Aは、ネズミMHM24軽鎖(配列番号:1)、ヒト化MHM24 F(ab)
‐8軽鎖(配列番号:2)、サブグループ軽鎖κI(humκI)のヒトコンセンサス配
列(配列番号:3)のアミノ酸配列を示した。
図1Bは、ネズミMHM24重鎖(配列番号:4)、ヒト化MHM24 F(ab)
‐8重鎖(配列番号:5)、重鎖サブグループIII(humIII)のヒトコンセンサス配
列(配列番号:6)及び実施例の「アカグザル化」抗体変異体重鎖(配列番号:2
4)のアミノ酸配列を示した。
図1Aと1Bにおいて、配列超可変性に基づいた超可変性領域(Kabatら、Sequ
ences of Proteins of Immunological Interest.5th Ed.Public Health Servi
ce,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991))は、ブラケット内
に納められ、且つF(ab)‐抗原複合体の構造に基づく超可変ループ(Chothiaら、
Nature 342:8767(1989))は、イタリックとした。残基の番号付けは、a,b,及びc
で示した挿入物によって、Kabatらに従う。
図2は、ヒトCD11a I-ドメイン(配列番号:7)及びアカゲザルCD11
a I‐ドメイン(配列番号:8)の配列を示した。β鎖とαへリックスは、下線
を付し、且つQuら、Proc.Natl.Acad.Sci.92:10277-10281(1995)に従い標識
される。該アカゲザルI‐ドメイン配列(rhCD11a)は、ヒトI‐ドメイン
と4つの相違のみであることを示した。MHM24 MAb(配列番号:9)のた
めの結合エピトープは、肉太字で示した(Champeら、J.Biol.Chem.270:1388-1
394(1995))。
図3は、ネズミMHM24(詰まった円)、キメラMHM25(開放三角)、ヒト
化MHM24(HuIgG1)(詰まった四角)、およびヒトIgG1アイソタイプコント
ロール(+)による通常のヒト ケラチノサイトへのヒト ジャーカットT細胞の抑
制を表す。パーセント結合は、標識化ジャーカット細胞の蛍光により測定した。
図4A−4Cは、通常のヒト ケラチノサイトに対するアカゲザル リンパ球の
(図4A)、プレート上に被覆した組換えヒト ICAM‐1に対するアカゲザル
リンパ球の(図4B)、及び通常のヒト ケラチノサイトに対するアカゲザル/ヒ
トCD11aキメラー移入化293細胞(図4C)の結合の抑制を示した。アカゲ
ザル結合MHM24(RhIgG1)(詰まった四角)、抗CD18MHM23(詰まった
円)、ヒトIgG1アイソタイプコントロール(+)(図4Aと4C)、およびネズミ
IgG1アイソタイプコントロール(+)(図4B)による抑制。パーセント結合は
標識化リンパ球(図4AとB)又は標識化293細胞(図4C)の蛍光により測定
した。
図5は、ヒトリンパ球反応アッセイ(MLR)が、ネズミMHM24(詰まった
円)、ヒト化MHM24(HuIgG1)(詰まった四角)、及びヒト化アイソタイプIg
Gコントロール(詰まったダイアモンド)によってブロック化されることを示した
。パーセント刺激インデックス(%SI)は、MAb不在での最大応答に対し与え
られたMAb濃度での応答の比である。データは、少なくとも2つの異なる刺激
/応答対を用いる複数アッセイの実例である。
好適な実施態様の詳細な説明
I. 定義
他に指示されぬ限り、ここで用いた場合、用語「CD11a」は、いずれかの
哺乳動物からの、しかし好ましくはヒトからのLFA‐1のαサブユニットに関
する。該CD11aは、天然ソースの分子から分離され得るし、又は合成手段に
より生産され得る(例えば、組換えDNA技術を用い)。ヒトCD11aのための
アミノ酸配列ば、例えば、欧州特許第362 526B1中に記載される。
用語「I‐ドメイン」は、Champeら、J.Biol.Chem.270:1388-1394(1995)及
び/又はQuら、Proc.Natl.Acad.Sci.92:10277-10281(1995)中に記載したこの分
子のその領域に関する。ヒトCD11a I‐ドメイン(配列番号:7)とアカゲ
ザルCD11a I‐ドメイン(配列番号:8)のアミノ酸配列は、図2の図面中
に図示される。
ここで用いた場合、用語「エピトープMHM24」は、他に示さない限り、M
HM24抗体(後述を参照)に結合するヒトCD11aのI‐ドメイン中の領域に
関する。このエピトープは、配列番号:9のアミノ酸配列を、及び任意に、CD
11a及び/又はCD18の他のアミノ酸残基を含む。
用語「LFA‐1介在疾患」は、リンパ球上のLFA‐1レセプターを含んだ
細胞接着相互作用によって生起される病理学的な状態に関する。そのような疾患
の実例は、乾癬を含む炎症性皮膚疾患のようなT細胞炎症性の応答;炎症性の腸
疾患(クローン病及び潰瘍性大腸炎のような)と関連した応答;成人呼吸窮迫症候
群;皮膚炎;髄膜炎;脳炎;ブドウ膜炎;湿疹及び喘息のようなアレルギー状態
;T細胞及び慢性炎症性応答の浸潤を含む状態;皮膚知覚過敏反応(ウルシ皮膚
炎(poison ivyとpoison oak)を含む);アテローム硬化症;白血球接着不全;リ
ウマチ様動脈炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、糖尿病、多発性硬化症、レ
ナード症候群、自己免疫性甲状腺炎、実験的自己免疫性脳脊髄炎、シェーグレン
症候群、若年開始糖尿病、及びサイトカイン及び脈管中に典型的に見出されるT
リンパ球が介在した遅延形知覚過敏に関連した免疫応答、サルコイドージス、多
発性筋炎、肉芽腫症及び脈管炎のような自己免疫疾患;悪性貧血;慢性閉塞性肺
疾患(COPD);気管支炎;インスリン炎;鼻炎;蕁麻疹;糸球体腎炎;白血球
漏
出を含む疾患;CNS炎症性疾患;敗血症又は外傷に対する多器官二次的損傷症
候群;自己免疫性溶血性貧血;ミエセミアグラビス(myethemia gravis);抗原抗
体複合体介在性疾患;ネフローゼ症候群;悪性疾患(例えば、慢性リンパ球性白
血病又はヘアリーセル白血病のようなB細胞悪性疾患);移植片対宿主又は宿主
対移植片を含む全ての形の移植の疾患;HIVとライノウイルス属感染;肺の線
維症二次器官内への腫瘍細胞の転化などを含む。
付属する治療のためにここで用いるような、用語「免疫抑制剤」は、その移植
片が移植されている中での宿主の免疫系を抑制又はマスクするように作用する物
質に関する。これは、サイトカイン生産を抑制する、自動抗原発現をダウンレギ
ュレーションする又は抑制する、或いはMHC抗原をマスクする物質を含むであ
ろう。そのような剤の実例は、2-アミノ‐6-アリール‐5-置換化ピリミジン(米
国特許第4,665,077号参照)、アザチオプリン(又はシクロフォスファミド、もし
アザチオプリンに対する不利な反応があれば);ブロモクリプチン;グルタルア
ルデヒド(米国特許第4,120,649号中に記載した通り、MHC抗原をマスクする)
;MHC抗原及びMHCフラグメントのための抗イディオタイプ抗体;シクロス
ポリンA;グルココルチコイド、例えばプレドニゾン、メチルプレドニゾン、及
びデキサメタゾンのようなステロイド;抗‐インターフェロン‐γ、‐β、又は
‐α抗体を含むサイトカイン又はサイトカインレセプターアンタゴニスト;抗腫
瘍壊死因子α抗体;抗腫瘍壊死因子β抗体:抗インターロイキン‐2抗体及び抗
IL‐2レセプター抗体;抗L3T4抗体;異種抗リンパ球グロブリン;全T抗
体、好ましくは抗CD3又は抗CD4/CD4a抗体;LFA‐3結合領域を含
む可能性ペプチド(1990年7月26日公開のWO 90/08187);ストレプトキナーゼ;T
GF‐β;ストレプトドルナーゼ;宿主からのRNA又はDNA;FK506;
RS‐61443;デオキシスパガリン;ラパマイシン;T細胞レセプター(米
国特許第5,114,721号);T細胞レセプターフラグメント(Offnerら、Science 251
:430-432(1991);WO 90/11294;及びWO 91/01133);及びT10B9のようなT細
胞レセプター抗体(EP340,109)を含む。これらの剤は、CD11a抗体と同時に
又は隔たった時間で投与され、且つ当該技術において述べられたと同じ又はそれ
よりも劣った投薬量で用いられる。好ましい付属の免疫抑制剤は、患者の経歴と
同じく、実施されてい
る移植の形を含めた治療されている疾患の形を含む多くのファクターに基づくで
あろうが、しかし一般に全般に好ましくは、該剤は、シクロスポリンA、グルコ
コルチコイド(基も好ましくはプレドニゾン又はメチルプレドニゾン)、OKT‐
3モノクローナル抗体、アザチオプリン、ブロモクリプチン、異種抗リンパ球グ
ロブリン、又はそれらの混合物から選択される剤である。
「処置(treatment)」は、治療的な処置と予防的又は予防手段の両方に関する
。処置の必要におけるそれらは、疾患が予防されるべき者であるそれらと同じく
、疾患を既に持ったそれらを含む。
処置の目的のための「哺乳動物」は、ヒト、イヌ、ウマ、ネコ、ウシなどの飼
育又は家畜動物、および動物園、運動用、又は愛玩動物を含んだ哺乳動物として
分類されるいずれかの動物に関する。好ましくは、その動物はヒトである。
ここで用いたような用語「移植片」は、被術者内に移植するためのドナーから
得た生体材料に関する。移植片は、小島細胞及び神経誘導細胞(例えばシュワン
細胞)のような分離した細胞、新生児の羊膜、骨髄、造血前駆体細胞のような組
織、及び皮膚、心臓、肝臓、脾臓、膵臓、甲状腺葉、肺、腎臓、脈管器官(例え
ば、血管又は食道)等の器官のような多様な材料を含む。脈管器官は、食道、血
管、又は朋管の損傷部分に代えて用いることができる。皮膚移植片は、やけどの
みならず、損傷を受けた腸に、−或いは横隔膜ヘルニアの様な一定の欠陥を塞ぐ
ことに調製するために使用され得る。該移植片は、死体又は生存ドナーからのい
ずれかの、ヒトを含むいずれかの哺乳動物ソースから得られる。好ましくは、該
移植片は、骨髄又は心臓のような器官であり、且つ該移植片のドナー及び宿主は
、HLAクラスII抗原に適合される。
ここで用いた用語「ドナー」は、移植片が得られる、死亡した又は生きた哺乳
動物種に関する。好ましくは、該ドナーはヒトである。ヒトドナーは、主要血液
群の交差が同種移植の生存に不利益となる可能性の障壁であることから、生理学
的検査において性状で且つ同じ主要ABO血液群であるボランティアの血液関連
ドナーが好適である。しかしながらそれは、例えばA,B又はAB受容者内への
O型ドナーの腎臓の移植が可能となる。
用語「移植」及びそれのバリエーションは、その移植が同系の(ここでドナー
と
受容者は一般に同一である)、同種異系の(ここでドナーと受容者は遺伝的起源が
異なるが、同じ種である)、又は異種の(ここでドナーと受容者は異なる種からの
ものである)のいずれかの、宿主内への移植片の挿入に関する。かくして、典型
的なシナリオにおいて、宿主がヒトであり且つ移植片は、同じか異なる遺伝的起
源のヒトから得られた同系移植片である。別のシナリオにおいて、移植片は、ヒ
ト受容者宿主内に移植したヒヒの心臓のような、及び例えばブタの心臓弁、又は
ヒト宿主内に移植した動物ベータ小島細胞又は神経細胞のような系統発生的に広
く分離した種からの動物を含む、それが移植される者とは異なる種から得られる
。
宿主による「移植した移植片の抵抗増加」は、それか移植された宿主中の移植
片の生存を延長させること、即ち、それが他者からの移植を良好に許容するだろ
うように宿主免疫系を抑制することに関する。
「間欠性の」又は「周期性の」投与は、一定期間の時間、および一以上の数に
分離することか好適である規則的なインターバルで継続する投与である。
疾患の「選択された耐性」は、疾患の原因となる特異的な因子のための宿主の
免疫系によって許容されること、しかし第2の同種の又は異種の移植片を拒絶す
る宿主の能力を維持することに関する。好ましくは、その耐性は該免疫系が他方
を完全なままにしておくようなものである。
用語「LFA‐1アンタゴニスト」は、ICAM‐1とのLFA‐1の相互作
用の競合的インヒビターとして作用する分子に関する。そのような分子の実例は
、CD11a(例えば、ここに記載したヒト化抗CD11a)又はCD18又は両
方、ICAM‐1に対する抗体、及びペプチドのような他の分子(例えば擬ペプ
チドアンタゴニスト)のいずれかに対し向けられる抗体を含む。
用語「VLA−4」は、VCAMとのVLA‐4の相互作用の競合的インヒビ
ターとして作用する分子に関する。そのような分子の実例は、VLA‐4又はV
CAM及び他の分子(例えば擬ペプチドアンタゴニスト)のいずれかに対しで向け
られる抗体を含む。
用語「抗体」は、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポ
リクローナル抗体、多特異性抗体(例えば二特異性抗体)、及びそれらが望ましい
生物学的活性を示す限り、抗体フラグメントを最も広く理解し且つ特異的に包含
することにおいて用いられる。
「抗体フラグメント」は、完全長抗体の部分、一般的に抗原の結合するまたは
それの可変領域を備える。抗体フラグメントの実例は、Fab、Fab'、F(a
b')2、及びFvフラグメント;二量体;線状抗体;単鎖抗体分子;及び抗体フ
ラグメントから形成した多特異性抗体を含む。
ここで使用したような用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均質な抗体の
集団から得られた抗体に関し、即ちその集団に含まれる個別の抗体は、微量にお
いて存在され得る自然発生的変異の可能性を除き同一とされる。モノクローナル
抗体は、単独抗原サイトに対して向けられている、高度に特異的なものである。
さらに、異なる決定要素(エピトープ)に対し向けられた異なる抗体を典型的に含
む通常の(ポリクローナル)抗体調製物に対して、それぞれのモノクローナル抗体
は、抗原上の単一の決定因子に対して向けられる。修飾語「モノクローナル」は
、抗体の実質的に均質な集団から得られているような抗体の特徴を示し、且つい
ずれかの特別な方法によって抗体の生産を要求することを構成するためのもので
ない。本発明に従い使用されるべきモノクローナル抗体は、Kohlerら、Nature 2
56:495(1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製され得る
し、又は組換えDNA法によって作製され得る(例えば米国特許第4,816,567号参
照)。該「モノクローナル抗体」はまた、例えば、Clacksonら、Nature 352:624-
628(1991)とMarksら、J.Hol.Biol.222:581-597(1991)中に記載した技法を用
い、ファージ抗体ライブラリーからも分離され得る。
ここでのモノクローナル抗体は、特有な種又は特有な抗体クラス又はサブクラ
スに属するものから得られた抗体における配列と同一であるか又は一致する相同
物である重及び/又は軽鎖の部分において「キメラの」抗体(免疫グロブリン)を
特異的に含む一方で、該鎖の残りは別な種の又は別な抗体クラス又はサブクラス
に属するものから得られた抗体における配列と同一であるか又は一致する相同物
、同様にそれが望まれる生物学的活性を示す限りは、そのような抗体のフラグメ
ントである(米国特許第4,816,567号;及びMorrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci
.USA 81:6851-6855(1984))。
ここで用いる場合、用語「超可変領域」は、抗原結合のために応答可能である
抗体のアミノ酸残基に関する。該超可変領域は、「相補的検出領域」又は「CD
R」からのアミノ酸残基(即ち、軽鎖可変ドメイン中の残基24-34(L1)、50-56(L2
)及び89-97(L3)及び重鎖可変領域中の31-35(H1)、50-65(H2)及び95-1021(H3);K
abatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public
Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991))及び
/又は「超可変ループ」(即ち、軽鎖可変ドメイン中の残基26-32(L1)、50-:52(L
2)及び91-96(L3)及び重鎖可変領域中の26-32(H1)、53-55(H2)及び96-101(H3);Ch
othiaとLesk J.Mol.Biol.196:901-917(1987))からのアミノ鎖残基を備える。
「フレームワーク」又は「FR」残基は、ここに記載したような超可変領域残基
以外のそれら可変領域残基である。
非ヒト化(例えばネズミ)抗体の「ヒト化」型は、非ヒト免疫グロブリンから得
た最小配列を含むキメラの抗体である。大部分のために、ヒト化抗体は、受容者
の超可変領域残基が、望ましい特異性、親和性、及び容量を有するマウス、ラッ
ト、ウサギ又は非ヒト霊長類のような非ヒト種からの超可変領域残基によって置
換された(ドナー抗体)ヒト免疫グロブリン(受容体抗体)とされる。幾つかの実例
において、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、一致
する非ヒト残基によって置き換えられる。さらに、ヒト化抗体は、受容者抗体に
おいて又はドナー抗体において見出されない残基を備える。これらの修正は、抗
体の効率をさらに洗練するために実行される。一般に、該ヒト化抗体は、非ヒト
免疫グロブリンのそれに一致する超可変ループの全て又は実質的に全でである、
及びFR領域の全てが又は実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のそれである
可変領域の、少なくとも1、及び典型的には2つの実質的に全てを備えるであろ
う。該ヒト化抗体は任意に、免疫グロブリン、典型的にはヒト免疫グロブリン定
常領域(Fc)の少なくとも一部も含むであろう。更なる詳細のために、Jonesら
、Nature 321:522-525(1986);Reichmannら、Nature 332:323-329(1988);及びPre
sta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593-596(1992)を参照。
「単鎖Fv」又は「sFv」抗体フラグメントは、抗体のVHとVLドメインと
を備え、これらのドメインは、単ポリペプチド鎖中に存在される。一般に、該F
vポリペプチドは、VHとVLドメイン間に、抗原結合化のための望ましい構造を
形成するためのsFvを与えるペプチドリンカーをさらに備える。sFvの再考
のため、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113、RosenburgとM
oore eds.Springer-Verlag,New York,pp.269-315(1994)中のPluckthunを参照
。
用語「ダイアボディ(diabodies)」は、2の抗原結合サイトを持つ小さい抗体
フラグメントに関し、フラグメントは同じポリペプチド鎖中に軽鎖可変領域(VL
)に接合した重鎖可変領域(VH)とを備える(VH-VL)。同じ鎖上の2つのドメイ
ン間を対にすることを許す非常に短いリンカーを用いることにより、その領域は
別の鎖の相補的ドメインと対をなすことを強いるとともに、2つの抗原結合サイ
トを創作する。ダイアボディは、例えば、EP 404,097;WO 93/11161;及びHolling
erら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448(1993)においてより完全に記
載される。
この出願を通して使用した場合、「線状抗体」の表現は、Zapataら、Protein
Eng.8(10):1057-1062(1995)中に記載される抗体に関する。簡略には、これらの
抗体は、抗原結合領域の対を形成するタンデムFdセグメントの対(VH‐CH1
‐VH‐CH1)を備える。線状抗体は、二特異的又は多特異的とされ得る。
「分離した抗体」は、それの自然な環境の成分から同定され且つ分離され及び
/又は回収されている一つである。その自然環境の汚染成分は、該抗体の診断的
又は治療的使用を妨げるであろう材料であり、酵素、ホルモン及び他の蛋白様の
又は非蛋白様の溶質を含み得る。好適な実施態様において、該抗体は、(1)ロー
リー法によって測定されるような抗体の95重量%より以上に、最も好ましくは
99重量%以上に、(2)スピニングカップシークエネーターの使用によってN-
末端又は中間のアミノ酸配列の少なくとも15残基を得るために十分な度合いに
、又は(3)クマシーブルー又は、適当には銀染色を用いて還元又は非還元条件下
でSDS‐PAGEによって均質化するために精製されるであろう。分離した抗
体は、抗体の自然環境の少なくとも1の構成要素が存在されないであろうことか
ら、組換え細胞内の本来の位置の抗体を含む。通常、しかしながら、分離した抗
体は、少なくとも1の精製化工程によって調製されるであろう。
ここで使用した場合、用語「エピトープタグ化」は、「エピトープタグ」に融
合した抗CD11a抗体に関する。エピトープタグポリペプチドは、それに対す
る抗体を作製することができ、それがCD11a抗体の活性を妨げないような十
分に短いものに対するエピトープを提供するために十分な残基を有する。該エピ
トープタグは好ましくは、それに対する抗体が他のエピトープと実質的に交差反
応しないために十分独自性である。好適なタグポリペプチドは、一般に、少なく
とも6のアミノ酸残基を、大抵は8−50アミノ酸残基(好ましくは9−30残
基)を有する。実例は、flu HAタグポリペプチド及びそれの抗体12CA5
(Hieldら、Mol.Cell.Biol.8:2159-2165(1988));c-mycタグ及びそれに対
する8F9,3C7,6E10,G4,B7及び9E10抗体(Evanら、Hol.Ce
ll.Biol.5(12):3610-3616(1985));及びヘルペス単純ウイルスグリコプロイテ
インD(gD)タグ及びそれの抗体(Paborskyら、Protein Engineering 3(6):547-
553(1990))を含む。ある実施態様において、そのエピトープタグは、「サルベー
ジレセプター結合エピトープ」である。
ここで用いたような、用語「サルベージレセプター結合エピトープ」は、Ig
G分子(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4)のFc領域のエピト
ープに関し、すなわち、IgG分子のインビボでの血漿半減期を増加させるため
に応答可能である。
ここで使用したような用語「細胞毒性剤」は、細胞の機能を抑制する又は妨げ
る及び/又は細胞の分解の原因となる物質に関する。その用語は、放射性アイソ
トープ(I131、I125、Y90及びRe186)、化学療法剤、及び細菌の、カビの、
植物又は動物の酵素学的活性毒のような毒物、又はそれのフラグメントを含むこ
とが意図される。
「化学療法剤」は、癌の治療において有用な化合物である。化学療法剤の実例
は、アドリアマイシン、ドキソルビシン、5‐フルオロウラシル、シトシンアラ
ビノシド(「Ara-C」)、シクロホスホアミド、チオテパ、タキソテール(docetaxe
l)、ブスルファン、サイトキシン、タキソール、メトトレキセート、シスプラチ
ン、メルファラン、ビンブラスチン、ブレオマイシン、エトポシド、イフォスフ
ァミド、マイトマイシンC、ミトザントロン、ビンクレイスチン、ビノールエル
ビン、カルボプラチン、テニポシド、ダウノマイシン、カーミノマイシン、アミ
ノプテリン、ダクチノマイシン、マイトマイシン、エスペラミシン(米国特許第4
,675,1
87号参照)、メルファランおよびナイトロジェンマスタードに関係したその他の
ものを含む。
本発明において用いたような、用語「プロドラッグ」は、製薬的活性物質の前
駆体又は誘導体形に関し、即ち、親薬剤に比べて腫瘍細胞への細胞毒性が劣るも
のであり、且つより活性な形に酵素的に活性化され又は転換され得るものである
。例えば、Wilman,”Prodrugs in Cancer Chemotherapy”Biochemical Society
Transactions,14,pp.375-382,615th Meeting Belfast(1986)及びStellaら、
”Prodrugs:A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery,”Directed Drug
Delivery,Borchardtら(ed.),pp.247-267,Humana Press(1985)を参照。本発明
のプロドラッグは、制限されるものではないが、ホスファート含有プロドラッグ
、チオホスファート含有プロドラッグ、サルファート含有プロドラッグ、ペプチ
ド含有プロドラッグ、D-アミノ酸変成プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ
、β‐ラクタム含有プロドラッグ、任意に置換したフェノキシアセトアミドプロ
ドラッグまたは任意に置換したフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、5-フ
ルオロシトシン及びより活性な細胞毒性フリードラッグに変換され得る他の5‐
フルオロウリジンプロドラッグを含む。本発明において使用するためのプロドラ
ッグ型に誘導化が可能な細胞毒性医薬の実例は、制限されることなしに、上記の
化学療法剤を含む。
ここで使用した場合、用語「標識」は、抗体に直接又は間接的に接合される検
出可能な化合物又は組成物に関する。該標識は、それ自身によって検出可能とさ
れ得るし(例えば放射性同位体標識又は蛍光標識)、又は酵素標識のケースにおい
て、検出可能な基質化合物又は組成物の触媒的化学交代し得る。
「固相」によって、本発明の交代が接着可能であるような非水性マトリックス
が意味される。ここに包含される固相の実例は、ガラス(例えば制御化多孔ガラ
ス)、ポリサッカリド(例えばアガロース)、ポリアクリルアミド、ポリスチレン
、ポリビニルアルコール及びシリコーンで部分的に又は完全に形成されたそれら
を含む。ある実施態様において、該背景に基づいて、該固相は、アッセイプレー
トのウェルを含むことができる;他においてそれは、精製カラムである(例えば
アフィニティークロマトグラフィーカラム)。この用語はまた、米国特許第4,27
5,149号中に
記載されるそれのような、分離し得る粒子の不連続な固相をも含む。
「リポソーム」は、哺乳動物への薬剤(ここに記載した抗CD11a及び、任
意の化学療法剤のような)のデリバリーのため有用とされる、各種のタイプの脂
質、リン脂質及び/又は界面活性剤から構成される小さなベシクルである。該リ
ポソームの成分は、生物膜の脂質配列に似た二層形態において通例は配置される
。
「分離した」核酸分子は、抗体核酸の天然ソースにおいてそれが通常に結合さ
れることによって少なくとも1の汚染核酸分子から同定され且つ分離される核酸
分子である。分離した核酸分子は、自然においてそれが見出されるものにおける
形又はセッティング以外のものである。分離した核酸分子は、それ故に、天然細
胞中に存在するそれのような核酸分子と区別される。しかしながら、分離した核
酸分子は、例えばその核酸分子が、染色体において天然細胞のそれと異なる配置
である場合には、該抗体が通常発現する細胞中に含んだ核酸分子を含む。
表現「コントロール配列」は、特有な宿主生物中の操作可能に結合したコード
化配列の発現のために必要なDNA配列に関する。原核生物のために好適とされ
るコントロール配列は、例えばプロモーター、任意のオペレーター配列、及びリ
ボソーム結合サイトを含む。真核生物は、プロモーター、ポリアデニル化シグナ
ル、及びエンハンサーを利用することが知られる。
核酸は、それが別の核酸配列との機能的な相関関係中に置かれた場合、「操作
可能に結合」される。例えば、プレ配列用DNA又は分泌のリーダーは、もしそ
れがポリペプチドの分泌において参加するプレタンパク質として発現される場合
、ポリペプチドのためのDNAに操作可能に結合され;プロモーターとエンハン
サーは、該配列の転写にそれが影響を与える場合、コード化配列に操作可能に結
合されるリボソーム結合サイトは、もしそれが翻訳を促進するために置かれた場
合、コード化配列に操作可能に結合される。一般に、「操作可能に」は、結合さ
れているDNA配列が隣接しており、且つ、分泌リーダーのケースにおいて、隣
接し且つリーディング相においてであることを意味する。しかしながら、エンハ
ンサーは、隣接されるように有してはいない。結合は、便利な制限サイトでの結
紮によって達成される。もしそのようなサイトが存在しないなら、該合成オリゴ
ヌクレオチドアダプター又はリンカーは、通常のプラクティスに従って使用され
る。
ここで用いたように、用語「細胞」、「細胞系」、及び「細胞培養」は、相互
に取り替え可能に用いられ、且つそのような定義の全ては、結果物を含む。かく
して、用語「形質転換」及び「形質転換した細胞」は、転移の数に関係なく最初
に受ける細胞とそれから得られた培養物を含む。それはまた、全ての結果物が、
意図的な又は偶然の突然変異のために、DNA内容物において完全な同一性とさ
れなくとも良いとも解される。独創的に形質転換した細胞においてスクリーンさ
れると同じ機能又は生物学的活性を有する変異結果物が含まれる。個別な定義が
意図される場合に、その内容から明らかとされるであろう。
II. 発明を実施するための形態
A. 抗体調製
非ヒトCD11a抗体をヒト化するための方法が以下の実施例中に記載される
。抗CD11a抗体をヒト化するために、非ヒト抗体出発材料が調製される。そ
のような抗体を精製するための典型的な方法が以下のセクション中に記載される
。
(i)抗原調製
抗体の調製用に使用されるべきCD11a抗原は、例えばCD11a又はCD
11aフラグメントの細胞外ドメインの可溶型(例えばCD11a Iドメインフ
ラグメントのような「MHM24エピトープ」を備えるCD11aフラグメント
)とされ得る。代替的に、それの細胞表面でCD11aを発現する細胞が、抗体
を生成するために使用され得る。そのような細胞は、CD11a且つ任意に、C
D18を発現するために形質転換でき、又は他の天然発生細胞(例えば、ヒトリ
ンパ芽球細胞、Hildrethら、Eur.J.Immunol.13:202-208(1983)参照)又はジャ
ーカット細胞(後述の実施例参照)とされ得る。抗体を生成するために有用なCD
11aの他の形態は、当業者にとって明らかであろう。
(ii)ポリクローナル抗体
ポリクローナル抗体は、関連抗原とアジュバントとの複数の皮下(sc)又は
腹腔内(ip)注射によって好ましくは生起される。例えば鍵穴リムペットヘモ
シアニン、血清アルブミン、ウシチログロブリン、又は二機能又は誘導化剤、例
えばマレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を経
て接合)、N‐ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基を経て)、グルタルアルデ
ヒド、無水コハク酸、SOCl2、又はR1N=C=NR、式中RとR1は異なる
アルキル基、を用いるダイズトリプシンインヒビターのような、免疫化されるべ
き種において免疫原性であるタンパク質に関連抗原を接合するのに有用とされ得
る。
動物は、例えばフロイント完全アジュバントの3容量と共に、該タンパク質又
は結合物の100μg又は5μg(それぞれウサギ又はマウスのための)を複数サ
イトで皮下的に溶液を注入することによって、抗原、免疫原性接合体、又は結合
化による誘導体に対して免疫化される。1ヶ月後、該動物は、複数サイトでの皮
下注射によってフロイント完全アジュバント中のオリジナルの量の1/5から1/10
のペプチド又は接合体によってブーストされる。7日から14日後、該動物は放
血され、かつその血清が抗体力価について分析される。動物は力価プラトーまで
ブーストした。好ましくは、該動物は同じ抗原の接合によってブーストされるが
、異なるタンパク質に及び/又は異なる架橋剤を通して接合される。接合体はま
た、タンパク質融合として組み換え細胞培養中に作製され得る。また、明礬のよ
うな凝集剤は、免疫応答を増大するために適当に用いられる。
(iii)モノクローナル抗体
モノクローナル抗体は、Kohlerら、Nature,256:495(1975)によって最初に記
載されたハイブリドーマ法を用いて作製でき、又は組換えDNA法(米国特許第4
,816,567号)によって作製され得る。
ハイブリドーマ法において、マウス、又はハムスター又はマカク属サル等の他
の適当な宿主動物は、免疫化のために使用したタンパク質の特異的に結合するで
あろう抗体を生産する又は生産する可能性のあるリンパ球を引き出すために上述
したように免疫化される。代替的に、リンパ球は、インビトロにおいて免疫化さ
れ得る。リンパ球は次いで、ハイブリドーマ細胞を形成するため、ポリエチレン
グリコールのような適当な融合剤を用い、骨髄腫細胞と融合させる(Goding,Mon
oclonal Antibodies:Principles and Practice,pp.59-103(Academic Press,19
86))。
かくて調製したハイブリドーマ細胞は、シード化され且つ、非融合、親の骨髄
腫細胞の成長又は生存を抑制する1又はそれ以上の物質を好ましくは含有する適
当な培地中で培養される。例えば、もしその親の骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチ
ングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠い
たならば、典型的なハイブリドーマのための培地は、HGPRT‐欠損細胞の成
長を防止する物質、ヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジンを含むであろ
う(HAT培地)。
好ましい骨髄腫細胞は、選択した抗体生産細胞を、効率的に融合し安定な高レ
ベル生産を支持する、及びHAT培地のような培地への感受性のあるそれらであ
る。これらの中で、好ましい骨髄腫細胞系は、Salk Institute Cell Distributi
on Center,サンディエゴ、カリフォルニア、米国から利用可能なMOP−21と
M.C.-11マウス腫瘍から得られるそれら、及びAmerican Type Culture Collect
ion,Rockville,メリーランド、米国から利用し得るSP‐2又はX63-Ag
8‐653細胞のようなネズミ骨髄腫系である。ヒト骨髄腫及びマウス‐ヒト異
種骨髄腫細胞系は、ヒトモノクローナル抗体の生産のためにも記載されている(K
ozbor,J.Immunol.,133:3001(1984);Brodeurら、Monoclonal Antibody Produc
tion Techniques and Applications,pp.51-63(Harcel Dekker,Inc.,New York
,1987))。
ハイブリドーマ細胞が増殖している培地は、該抗原に対し向けられたモノクロ
ーナル抗体の生産のために分析される。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によっ
て生産されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降によって又はラジオ
イムノアッセイ(RIA)又は酵素免疫吸着アッセイ(ELISA)のようなインビ
トロでの結合アッセイによって測定される。
モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Hunsonら、Anal.Biocllem.,107
:220(1980)のスキャッチャード分析によって測定され得る。
ハイブリドーマ細胞が望ましい特異性、親和性、及び/又は活性の抗体を生産
することが同定された後、そのクローンは、制限した希釈法によりサブクローン
化されて良く且つ標準の方法により増殖される(Goding、Monoclonal Antibodies
:Principles and Practice,pp.59-103(Academic Press,1986))。この目的のた
めの適当な培地は、例えばD‐MEM又はRPMI‐1640培地を含む。加え
て、
ハイブリドーマ細胞は、動物中の腹水腫瘍としてインビボで増殖させ得る。
該サブクローンによって分泌したモノクローナル抗体は、例えばプロテインA
‐セファロース、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透
析、またはアフィニティークロマトグラフィーのような通常の免疫グロブリン精
製法によって、培地、腹水液、又は血清から適切に分離される。
DNAコード化モノクローナル抗体は、直ちに分離され、且つ通常の方法(例
えば、モノクローナル抗体の重及び軽鎖をコード化する遺伝子に特異的に結合す
ることができるオリゴヌクレオチドプローブを用いることによって)を用いて配
列決定される。該ハイブリドーマ細胞は、そのようなDNAの好適なソースとし
て奉仕する。一度の分離で、該DNAは、組換え宿主細胞におけるモノクローナ
ル抗体の合成を獲得するために、大腸菌、類人猿COS細胞、チャイニーズハム
スター卵(CHO)細胞、又は別のやり方で免疫グロブリンタンパク質を生産しな
い骨髄腫細胞のような宿主細胞内に移入される、発現ベクター内に配置され得る
。抗体の組換え体生産は、より詳細に後述されるであろう。
(iv)ヒト化及びアミノ酸配列変異体
下記の実施例は、抗CD11a抗体のヒト化のための手順を記載する。ある実
施態様において、ヒト化抗体のアミノ酸配列変異体を生産するため、特にこれら
がヒト化抗体の結合親和性又は他の生物学的特性を改善する場合に望ましいもの
とされ得る。
ヒト化抗CD11a抗体のアミノ酸配列変異体は、ヒト化抗CD11a抗体D
NAを変える適当なヌクレオチドを導入することによって、又はペプチド合成に
よって調製される。そのような変異体は、ヒト化抗CD11a F(ab)-8のため
に示したアミノ酸配列(例えば、配列番号2及び5のような)の中の残基の削除、
及び/又は挿入及び/又は置換を包含する。最終的な構造で生起するように作製
される削除、挿入、及び置換のいずれかの組合せは、最終の構造が望ましい特徴
を所有するように提供される。変更したアミノ酸はまた、グリコシル化サイトの
数又は位置を変更するような、ヒト化抗CD11a抗体の後翻訳プロセスをも変
え得る。変異誘発のための配置が好適とされたヒト化抗CD11a抗体ポリペプ
チドの一定の残基又は領域の同定のための有用な方法は、CunninghamとWells Sc
ience,244:1081-1085(1989)によって開示されたような「アラニン走査変異誘発
」と称される。ここで、残基又は標的残基の群が同定され(例えば、arg,asp,his
,lys,及びgluのような荷電した残基)、及びCD11a抗原によってアミノ酸の
相互作用に影響を及ぼすような中性又は陰性に電荷したアミノ酸(最も好ましく
はアラニン又はポリアラニン)によって置換される。その置換体に機能的な選択
性を示すそれらのアミノ酸配置は、更なる導入又は置換のサイトで、又はそのた
めの他の変異体によって精製される。かくして、アミノ酸配列変異体を導入する
ためのサイトが予め決定される一方、変異それ自身の本質は、予め決定される必
要はない。例えば、与えられたサイトでの変異の遂行を分析するために、ala走
査又はランダム変異誘発が標的コドン又は領域で導入され且つ発現したヒト化抗
CD11a抗体変異体は、望ましい活性のためにスクリーンされる。
アミノ酸配列挿入物は、単一又は多数のアミノ酸残基の配列間挿入体と同様に
、100又はそれ以上の残基を含む1残基からポリペプチドまでの長さを範囲内
とするアミノ‐及び/又はカルボキシ末端融合を含む。末端挿入体の実例は、N
-末端メチオニル残基を持ったヒト化抗CD11a抗体又はエピトープタグに融
合した該抗体を含む。ヒト化CD11a抗体分子の他の挿入の変異体は、抗体の
血清半減期を増加させる、酵素又はポリペプチドのヒト化抗CD11a抗体のN
-又はC-末端への融合物を含む(後述を参照)。
変異体の別の型は、アミノ酸置換変異体である。これらの変異体は、取り除い
たヒト化抗CD11a抗体分子中の少なくとも1のアミノ酸残基を有し且つ異な
る残基がその場所に挿入される。代りの変異誘発のため最も重要なサイトは、超
可変ループを含むが、しかしFR交代もまた意図される。後述の実施例中の表I
Vは、変更され得る超可変領域残基のためのガイダンスを提供する。抗原結合中
の含まれた超可変領域残基又はFR残基は、相対的に保存的な手法において一般
に置換される。そのような保存的置換は「好適な置換体」の頭書きの下に表I中
に示した。もしそのような置換が生物学的活性における変化を生じる結果となる
なら、表I中の「典型的な置換体」に示した又はアミノ酸クラスに関する更なる
後述のようなより本質的な変化が導入され且つその生産物がスクリーンされる。
表I 該抗体の生物学的特性における実質的な修正は、(a)例えばシート又はヘリ
カル組織のような、その置換のエリアにおけるポリペプチドバックボーンの構造
、(b)標的サイトでの分子の電荷又は疎水性、又は(c)側鎖のかさ、を維持
することについてのそれの効果において顕著に相違する置換体を選択することに
よって達成される。自然に生じる残基は、通例の側鎖特性の基づいた基の中に分
割される:
(1)疎水性:norleucine、met、ala、val、leu、ile;
(2)中性親水性:cys、ser、thr;
(3)酸性:asp、glu;
(4)塩基:asn、gln、his、lys、arg;
(5)鎖配向に影響する残基:gly、pro;及び
(6)芳香族;trp、tyr、phe。
非保存置換は、別のクラスのためにこれらクラスの一つのメンバーを交換する
ことを伴うであろう。ヒト化抗CD11a抗体の適切な構造を維持することにお
いて包含されないいずれかのシステイン残基はまた、分子の酸化安定性を改善す
るため及び異常な交差反応を防止するために、一般にセリンによって置換され得
る。逆に、システイン結合は、その安定性を改善するために抗体に付加され得る
(特に、抗体がFvフラグメントのような抗体フラグメントである場合)。
該抗体のアミノ酸変異体の別のタイプは、抗体の本来のグリコシル化パターン
を変更する。変更によって抗体中に見出される1又はそれ以上の炭水化物部分を
削除すること及び抗体中に存在しない1又はそれ以上のグリコシル化を加えるこ
とを意味する。
抗体のグリコシル化は、典型的にN-結合化又はO-結合化のいずれかである。
N-結合化は、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の接合に関する。トリ
ペプチド配列 アスパラギン-X-セリン及びアスパラギン‐X‐トレオニン(式
中Xはプロリン以外のいずれかのアミノ酸)は、アスパラギン側鎖への炭水化物
部分の酵素的接合のための認識配列とされる。かくして、ポリペプチド中のこれ
らトリペプチドのいずれかの存在は、潜在的なグリコシル化サイトを創製する。
O-結合化グリコシル化は、5‐ヒドロキシプロリン又は5‐ヒドロキシリシン
が使用され得るとしても、ヒドロキシアミノ酸、最も普通にはセリン又はトレオ
ニンへの糖N-ガラクトサミン、ガラクトース、又はキシロースの接合に関する
。
抗体へのグリコシル化サイトの付加は、それが1又はそれ以上の上述したトリ
ペプチド配列(N-結合化グリコシル化サイトのための)を含むようなアミノ酸配
列を変更することによって有利に達成される。その変更はまた、本来の抗体の配
列への1またはそれ以上の残基(O-結合化グリコシル化サイトのための)の付加
又はそれによる置換によってなされ得る。
ヒト化抗CD11a抗体のアミノ酸配列変異体をコード化する核酸分子は、当
該分野で周知の各種の方法によって調製される。これらの方法は、制限されるこ
となく、天然ソースからの分離(自然発生的アミノ酸配列変異体のケースにおい
て)又はオリゴヌクレオチド介在(又はサイト管理化)変異誘発、PCR変異誘発
、及びヒト化抗CD11a抗体の早期調製変異体又は非変異型のカセット変異誘
発による調製を含む。
通常、ヒト化抗CD11a抗体のアミノ酸配列変異体は、重鎖又は軽鎖のいず
れかの本来のヒト化抗体アミノ酸配列(例えば、配列番号:2又は5のような)と
の少なくとも75%の、好ましくは少なくとも80%の、より好ましく(は少な
くとも85%の、より好ましくは少なくとも90%の、最も好ましくは少なくと
も95%の、アミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有するであろう。この
配列に関する同一性と相同性は、もし必要なら、配列同一性最大パーセントを達
成するために、及び配列同一性の一部のようないずれかの保存置換(上記表I中
に定義した通りの)を考慮しないために、配列を揃え及ひギャップを導入した後
に、ヒト化抗CD11a残基と同一性のある配列候補中のアミノ酸残基のパーセ
ンテージとしてここに定義される。抗体配列内へのN末端、C末端、又は内部拡
大、削除又は、挿入のないものは、配列同一性又は相同性に影響を及ぼすように
構成されるべきである。
(v)生物学的特性のためのスクリーニング
ヒト化抗CD11a抗体中に望ましいとされるようにここに同定した特徴を有
する抗体がそのためにスクリーンされる。
興味のある抗体によって結合CD11a上のエピトープに結合する抗体のため
のスクリーニングのために(例えば、CD11aへのMHM24抗体の結合をブ
ロックするそれの)、Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor L
aboratory,Ed Harlow and David Lane(1988)中に記載されたそれのような、ル
ーチンの交差ブロック化アッセイが実行され得る。代替的に、例えば、Champeら
、J.Biol.Chem.270:1388-1394(1995)中に記載したような、エピトープマッピ
ングは、興味あるエピトープを結合する抗体かどうかを決定することができる。
抗体親和性(例えばヒトCD11aまたはアカゲザルCD11aのための)は、
後述の実施例中に記載した通り末梢血液単核細胞又はアカゲザル白血球のいずれ
かを用いて結合飽和によって決定され得る。抗体親和性を決定するためのこの方
法に従い、リンパ球又はアカゲザル白血球は、ウェル当たり170μlの容量で
プレートに加えられ、且つプレートは室温で2時間インキュベートされる。イン
キュベーションの後、細胞が収穫され、10回洗浄される。サンプルが次いで計
数される。飽和プロットのナノモルと4パラメーター曲線適合性に対する分当た
りのカウント(結合対トータル)の形を変えたデータは、Kd(app)値の決定が実行
される。好ましいヒト化抗体は約1x10-7までの;好ましくは約1x10-8ま
での、より好ましくは約1x10-9までの;最も好ましくは約2x10-10のK
d値を持ったヒトCD11aを結合するそれらである。
それはまた、「ケラチノサイト単層接着アッセイ」における有益な抗接着特性
を有するヒト化抗体を選択することも望まれる。好適な抗体は、約250nMま
での;好ましくは約100nMまでの;より好ましくは約1nMまでの及び通常
のヒト表皮ケラチノサイト発現ICAM‐1へのジャーカット細胞の接着を防止
するために最も好ましくは0.5nMまでのIC50(nM)値を有するそれらであ
る。このアッセイに従い、通常のヒト表皮ケラチノサイトは、培養フラスコから
取り除かれ、5x105生存細胞/mlの濃度でリンパ球アッセイ培地中に懸濁
される。0.1μl/ウェルのアリコートは、ついで平底96ウェルプレート中
で一晩培養され;適当なウェルは、100単位/ウェルでインターフェロン‐ガ
ンマの添加によって刺激される。ジャーカットクローンE6−1細胞は標識され
、洗浄され、1x106細胞/mlに再懸濁され、30分間、4℃で500ng
/mlで2倍連続希釈を開始することでインキュベートされる。ケラチノサイト
単層からの培地の除去の後、標識化細胞の0.1ml/ウェルが加えられ且つ1
時間、37℃でインキュベートされる。該ウェルは、未結合細胞を取り除くため
に洗浄され、かつ蛍光が測定される。
望ましいヒト化抗CD11a抗体は、ヒトリンパ球を用いる混合リンパ球応答
(MLR)アッセイにおいて、約100nMまでの;好ましくは約50nMまでの
;より好ましくは約5nMまでの、及び最も好ましくは約1nMまでのIC50
(nM)値を有するそれらである。ヒト及びアカゲザルの両方のMLRのために、
二つの無関係なドナーからの末梢血液が、ヘパリン化全血から分離され、後述の
実施例中に記載した通りの添加物によってRPMI 1640(GIBCO)中、
3x106細胞/mlの濃度に再懸濁される。該刺激細胞は、照射によって非応
答性が作られる。ウェル当たり1.5x105細胞の濃度でのレスポンダー細胞
は、96ウェル、平底プレート中の等しい数の刺激細胞とともに共培養される。
10nMの濃度で開始する2倍連続希釈物が、200μl/ウェルの全量を与え
るための培養物に加えられる。その培養物は、5日間、5%CO2中、37℃で
インキュベートされ、ついで16時間、[3H]チミジンの1μCi/ウェルによ
りパルスされ、且つ[3H]チミジン結合が測定される。
(vi)抗体フラグメント
ある実施態様において、ヒト化抗CD11a抗体は、抗体フラグメントである
。各種の技術が、抗体フラグメントの生産のために発展している。伝統的には、
これらのフラグメントは、完全な抗体の蛋白分解性消化を経て誘導される(例え
ば、Morimotoら、Jornal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107‐11
7(1992)及びBrennanら、Science 229:81(1985)参照)。しかしながら、これらの
フラグメントは、組換え宿主細胞によって現在は直接生産され得る。例えば、F
ab'‐SHフラグメントは、大腸菌から直接回収することができ、且つF(ab
')2フラグメントを形成するため化学的に対化される(Carterら、Bio/Technology
10:163-167(1992))。別なアプローチに従い、F(ab')2フラグメントは、組
換え宿主細胞培養から直接分離され得る。抗体フラグメントの生産のための他の
方法は、熟練した専門家に明らかとなるであろう。
(vii)多特異的抗体
いずれかの実施態様において、少なくとも2つの異なるエピトープのための結
合特異性を有する多特異性(例えば二特異性)ヒト化抗CD11a抗体を生成する
ことが望ましいものとされ得る。二特異性抗体の実例は、CD11aタンパク質
の2つの異なるエピトープに結合し得る。代替的に、抗CD11aアームは、T
細胞レセプター分子(例えばCD2又はCD3)、又はCD11a発現細胞に細胞
防御メカニズムを集中するためのFcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)
、及びFcγRIII(CD16)のようなIgG(FcγR)のためのFcレセプタ
ー、のような白血球上の誘発化分子に結合するアームを結合させ得る。二特異的
抗体は、CD11aを発現する細胞に対する細胞毒因子を局在化するためにも使
用され得る。これらの抗体は、CD11a結合アームと、細胞毒因子(例えば、
サポリン、抗インターフェロンα、ビンカアルカロイド、リチンA鎖、メトトレ
キサート又は放射性同位体ハプテン)を結合するアームとを所有する。二特異性
抗体は、完全長抗体又は抗体フラグメント(例えば、F(ab')2二特異性抗体)。
二特異性抗体を作製するための別なアプローチに従い、抗体分子の対の間の界
面は、組換え細胞培養から回収されるヘテロダイマーのパーセンテージを最小化
するために加工することができる。好ましい界面は、抗体定常ドメインのCH3
ドメインの少なくとも一部を含む。この方法において、第1の抗体分子の界面か
らの1又はそれ以上の小さいアミノ酸側鎖が、より大きい側鎖(例えば、チロシ
ン又はトリプトファン)によって置換される。大きい側鎖と同じかまたは似たサ
イズの埋め合わせとなる「キャビティ」は、より小さいもの(例えばアラニン又
はトレオニン)によって大きいアミノ酸側鎖を置換することによって第2の抗体
分子の界面上に創製される。これは、ホモダイマーのような他の望まれていない
終端生産物を越えるヘテロダイマーの収量を増加するためのメカニズムを提供す
る。1996年9月6日に公表のWO96/27011を参照。
二特異性抗体は、架槁化又は「異結合」抗体を含む。例えば、該異結合抗体中
の一つの抗体は、アビジン、その他にビオチンに結合し得る。異結合抗体は、い
ずれかの好適な架橋法を用いて作製され得る。適当な架橋剤は、当該分野で周知
であり、多数の架橋技法と一緒に、米国特許第4,676,980号中に開示される。
抗体フラグメントから二特異性抗体を生成するための方法は、文献中にも記載
されている。例えば、二特異性抗体は、化学結合を用い調製することができる。
Brennanら、Science 229:81(1985)は、その手順を記載し、そこでの完全な抗体
は、F(ab')2フラグメントを生成するため蛋白分解的に切断される。これらの
フラグメントは、近傍のジチオールを安定化するため及び分子間ジスルフィド形
成を
防止するためにジチオール錯化剤ヒ酸ナトリウムの存在中で還元される。該Fa
b'フラグメントは、チオニトロベンゾアート(TNB)誘導体に変換される。F
ab'‐TNB誘導体の一つは、メルカプトエチルアミンによる還元によりFa
b'‐チオールに再変換され、さらに二特異性抗体を形成するため他のFab'-
TNB誘導体の等モル量と混合される。生産した二特異性抗体は、酵素の選択的
な固定化のための剤として使用され得る。
最近の進歩は、二特異性抗体を形成するために化学的に対化され得る大腸菌か
らのFab'‐SHフラグメントの直接回収を容易にしている。Shalabyら、J.E
xp.Med.175:217-225(1992)は、完全なヒト化二特異性抗体F(ab')2分子の生
産を記載する。それぞれのFab'フラグメントは、大腸菌から独自に分泌され
且つ二特異的抗体を形成するためにインビトロにおいて指向した化学的対化にか
けられる。かくして形成した二特異性抗体は、ヒト胸部腫瘍標的に対するヒト細
胞毒性リンパ球の溶解活性を誘発すると同じく、HER2レセプター及び通常の
ヒトT細胞を過発現する細胞に結合され得る。
組換え細胞培養から直接に二特異性抗体フラグメントを作製及び分離するため
の各種の技法もまた、記載されている。例えば、二特異性抗体は、ロイシンジッ
パーを用いて作製されている。Kostelnyら、J.Immunol.148(5):1547-1553(199
2)。Fos及びJunタンパク質からのロイシンジッパーペプチドは、遺伝子融
合によって異なる抗体のFab'部分に結合した。該抗体ホモダイマーは、モノ
マーを形成するためにヒンジ領域で還元され、抗体ヘテロダイマーを形成するた
めに再酸化される。この方法は、抗体ホモダイマーの生産のためにも利用され得
る。Hollingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448(1993)によって記
載される「ディアボディー」技法は、二特異性抗体フラグメントを作製するため
の代替的なメカニズムを提供している。該フラグメントは、あまりに短いため同
じ鎖上の2つのドメイン間の対化を与えないリンカーによって軽鎖可変ドメイン
(VL)に結合した重鎖可変ドメイン(VH)を含む。従って、一つのフラグメントの
VHとVLドメインは、別のフラグメントの相補的なVHとVLドメインとともに対
を成すことを強制され、それによって2つの抗原結合サイトを形成する。単鎖F
v(sFv)ダイマーの使用によって二特異性抗体フラグメントを作製するための
別な戦略
もまた、報告されている。Gruberら、J.Immunol.152:5368(1994)参照。代替的
に、該二特異性抗体は、Zapataら、Protein Eng.8(10):1057-1062(1995)中に記
載した通り生産した「線状抗体」とされ得る。
二価以上を持つ抗体が意図される。例えば、三特異性抗体が調製される。Tutt
ら、J.Immunol.147:60(1991)。
(viii)他の変形
ヒト化抗CD11a抗体の他の変形が意図される。例えば、癌の治療における
ような抗体の有効性の増大のために、エフェクター機能に関して本発明の抗体を
修正することが希望され得る。例えばシステイン残基は、Fc領域中に導入され
て良く、それによってこの領域において鎖間のジスルフィド結合形成を与える。
かくして生成したホモダイマーの抗体は、内在化容量を改善して良く及び/又は
相補介在殺細胞化及び抗体依存細胞毒性(ADCC)を増加し得る。Caronら、J.
Exp Med.176:1191‐1195(1992)とShopes、B.J.Immunol.148:2918-2922(1992
)を参照。増大した抗腫瘍活性を持つホモダイマー抗体は、Wolffら、Callcer Re
search 53:2560-2565(1993)中に記載したようなヘテロ二機能性架橋剤を用いて
も調製され得る。代替的に、抗体は、二つのFc領域を有するように加工するこ
とができ且つそれによって増加した相補溶解性及びADCC能力を有し得る。St
evensonら、Anti-Cancer Drug Design 3:219-230(1989)を参照。
本発明はまた、化学療法剤、毒(例えば、細菌、カビ、植物又は動物由来の酵
素的活性毒、又はそれらのフラグメント)、又は放射性同位体(すなわち、放射性
接合体)のような細胞毒性剤に結合したここに記載した抗体を含む免疫接合体に
関連する。そのような免疫接合体の生成において利用される化学療法剤は、上述
されている。使用され得る酵素的活性毒及びそれのフラグメントは、ジフテリア
A鎖、ジフテリア毒素の非結合活性フラグメント、エキソトキシンA鎖(シュー
ドモナスアエルギノーサからの)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデクシンA鎖
、アルファサルシン、Aleurites fordiiタンパク質、ジアンチンタンパク質、Ph
ytolaca americanaタンパク質(PAPI,PAPII,及びPAP-S)、momordica charantia
インヒビター、クルシン、クロチン、サパオナリア オフィシナリスインヒビタ
ー、ゲロニン、
ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン及びトリコセセ
ンを含む。核種の放射性核種が、放射性接合化抗CD11a抗体の生産のために
利用可能である。実例は、212Bi、131I、131In、90Y及び186Reを含む。
抗体と細胞毒性剤の接合物は、N-スクシンイミジル‐3-(2‐ピリジルジチ
オール)プロピオナート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの
二機能性誘導体(ジメチルアジピミダート塩酸のような)、活性エステル(ジスク
シンイミジルスベラートのような)、アルデヒド(グルタルアルデヒドのような)
、ビスアゾ化合物(ビス‐(p‐アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビスジア
ゾニウム誘導体(ビス‐(p−ジアゾニウムベンゾイル)‐エチレンジアミンのよう
な)、ジイソシアナート(トリレン2,6-ジイソシアナートのような)、およびビス
‐活性フッ素化合物(1,5-ジフルオロ-2,4‐ジニトロベンゼンのような)のような
各種の二機能性タンパク質カップリング剤を用いて作製される。例えば、リチン
免疫毒は、vitettaら、Science 238:1098(1987)中に記載されたように調製され
得る。炭素-14-標識化1‐イソチオジアナトベンジル-3-メチルジエチレントリア
ミン五酢酸(MX‐DTPA)は、抗体への放射性ヌクレオチドの共役のための典
型的なキレート化剤である。WO 94/11026を参照。
別な実施態様において、該抗体は、腫瘍予備標的化において利用のための「レ
セプター」(ストレプトアビジンのような)に接合されて良く、ここで該抗体‐レ
セプター接合物は、清澄化剤を用いる循環からの非結合共役物の除去と細胞毒性
剤(例えば放射性核種)に共役される「リガンド」(例えばアビジン)の投与に続い
て患者に投与される。
ここに開示した抗CD11a抗体は、イムノリポソームとしても調製され得る
。抗体を含んだリポソームは、Epsteinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:368
8(1985);Hwangら、Proc.Natl Acad.Sci.USA 77:4030(1980);及び米国特許
第4,485,045号と4,544,545号中に記載されたような、当該分野で周知の方法によ
り調製される。増加した循環時間を持つリポソームは、米国特許第5,013,556号
中に開示される。
特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール及びPEG
‐誘導化ホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含んだ脂質組成物と
と
もに逆相エバポレーション法によって生成され得る。リポソームは、望ましい直
径を持ったリポソームを得るため定義されたポアサイズのフィルターを通して押
し出しされる。本発明の抗体のFab'フラグメントは、ジスルフィド交互反応
を経て、Martinら、J.Biol.Chem.257:286-288(1982)中に記載されたようなリ
ポソームに共役され得る。化学療法剤(ドキソルビシンのような)は、リポソーム
の内部に任意に含有せしめ得る。Gabizonら、J.National Cancer Inst.81(19):
1484(1989)を参照。
本発明の抗体は、活性抗癌薬にプロドラッグを変える(例えば、ペプチジル化
学療法剤、WO 81/01145を参照)プロドラッグ活性化酵素に抗体を接
合することによってADEPT中で使用され得る。例えば、WO 88/073
78及び米国特許第4,975,278号を参照。
ADEPTのために有用な免疫接合体の酵素成分は、それをより活性化する、
細胞毒性形態に変換するためのそのような手法においてプロドラッグに作用する
ことができるいずれかの酵素を含む。
本発明に方法において有用である酵素は、制限されることなしに、ホスファー
ト含有プロドラッグを遊離の薬に変換するために有用なアルカリホスファターゼ
;スルファート含有プロドラッグを遊離の薬に変換するのに有用なアリールスル
ファターゼ;非毒性5-フルオロシトシンを抗癌薬、5‐フルオロウラシルに変
換するのに有用なシトシンデアミナーゼ;ペプチド含有プロドラッグを遊離の薬
に変換するのに有用である、セラティアプロテアーゼ、セルモリシン、ズブチリ
シン、カルボキシペプチダーゼ及びカテプシン(カテプシンB及びLのような)の
ようなプロテアーゼ;D-アミノ酸置換体を含むプロドラッグを変換するのに有
用なD-アラニルカルボキシペプチダーゼ:グリコシル化プロドラッグを遊離の
薬に変換するのに有用なβ‐ガラクトシダーゼとノイラミニダーゼのような炭水
化物切断酵素;β‐ラクタム誘導体化薬を遊離の薬に変換するのに有用なβ‐ラ
クタマーゼ;及びそれぞれフェノキシアセチル又はフェニルアセチル基によって
それのアミン窒素において誘導体化した薬を遊離の薬に変換するのに有用な、ペ
ニシリンVアミダーゼ又はペニシリンGアミダーゼのようなペニシリンアミダー
ゼを含む。代替的に、「アブザイム」として当該分野において周知でもある、酵
素活性を持
った抗体は、本発明のプロドラッグを遊離の活性薬に変換するために使用され得
る(例えば、Massey、Nature 328:457-458(1987)を参照)。抗体‐アブザイム接合
体は、腫瘍細胞集団へのアブザイムのデリバリーのためにここに記載したように
調製され得る。
本発明の酵素は、上述したヘテロ二機能性架橋試薬の使用のような当該分野で
周知の方法によって抗CD11a抗体に共有的に結合され得る。代替的に、本発
明の酵素の少なくとも機能的活性部分に結合した本発明の抗体の少なくとも抗原
結合領域を備える融合タンパク質は、当該分野で周知の組換えDNA技術を用い
て構成され得る(Neubergerら、Nature 312:604-608(1984)を参照)。
本発明のある実施態様において、例えば腫瘍穿通を増加するために、完全な抗
体と言うよりはむしろ、抗体フラグメントを使用することが望ましいとされ得る
。このケースにおいて、それの血清半減期を増加するために抗体フラグメントを
変更することが望ましいとされ得る。これは、例えば、抗体フラグメント中への
サルベージレセプター結合エピトープの合併によって達成され得る(例えば、抗
体フラグメント中の適当な領域の変異によって、又はペプチドタグ内への該エピ
トープの合併によって、すなわち末端又は中位でのいずれか一方で抗体フラグメ
ントに融合される、例えばDNA又はペプチド合成によって)。1996年10月17日
公表のWO 96/32478を参照。
サルベージレセプター結合エピトープは、一般に領域を構成し、ここで、Fc
ドメインの一又はそれ以上のループからのいずれかーつ又はそれ以上のアミノ酸
残基は、抗体フラグメントの類似位置に転移される。より好ましくは、Fcドメ
インの1又は2つのループからの3又はそれ以上の残基は、転移される。さらに
より好ましくは、該エピトープは、Fc領域の(例えばIgGの)CH2ドメイ
ンから取り出され且つ該抗体のCH1,CH3、又はVH領域、或いは一以上の
そのような領域に転移される。代替的に、該エピトープは、Fc領域のCH2ド
メインから取り出され、該抗体フラグメントのCL領域又はVL領域、或いは両方
、に転移される。
最も好ましい実施態様において、該サルベージレセプター結合エピトープは、
該配列(5'から3'):PKNSSMISNTP(配列番号:16)を備え、且つ、HQSLGTQ(配列
番
号:17)、HQNLSDGK(配列番号:18)及びHQNISDGK(配列番号:19)、又は特
に該抗体フラグメントがFab又はF(ab')2である場合、VISSHLGQ(配列番号:
20)からなる群から選択される配列を任意にさらに備える。別の最も好ましい
実施態様において、該サルベージレセプター結合エピトープは、配列(5'から3')
:HQNLSDGK(配列番号:18)、HQNISDGK(配列番号:19)、又はVISSHLGQ(配列
番号:20)と配列:PKNSSMISNTP(配列番号:16)を含むポリペプチドである。
ヒト化CD11a抗体の共有結合修飾もまた、本発明の範囲内に含まれる。そ
れらは、化学合成によって又はもし適用可能であれば、該抗体の酵素的又は化学
的切断によって作製され得る。該抗体の共有結合修飾の他のタイプは、選択した
側鎖又はN-又はC-末端残基との反応が可能な有機誘導化剤によって抗体の標的
化アミノ酸残基の反応により分子内に導入される。
最も普通にはシステイニル残基が、カルボキシメチル又はカルボキシアミドメ
チル誘導体を与えるために、クロロ酢酸又はクロロアセトアミドのようなα‐ハ
ロアセタート(及び相対するアミン)と反応される。システイニル残基はまた、ブ
ロモトリフルオロアセトン、α‐ブロモ‐β-(5-イミドゾイル)プロピオン酸、
リン酸クロロアセチル、N-アルキルマレイミド、3-ニトロ‐2‐ピリジルジス
ルフィド、メチル2−ピリジルジスルフィド、p‐クロロ水銀ベンゾアート、2
-クロロ水銀‐4ニトロフェノール、又はクロロ‐7‐ニトロベンゾ‐2‐オキ
サ-1,3-ジアゾールとの反応によって誘導される。
ヒスチジル残基は、この剤がヒスチジル側鎖のための相対的に特異的であるた
め、pH5.5-7.0でジエチルピロカーボナートとの反応により誘導される。臭化パ
ラブロモフェナシルも有用である;その反応は、pH6.0で0.1Mカコジル
酸ナトリウム中で好ましくは実行される。
リシニル及びアミノ末端残基は、コハク酸又は他のカルボン酸無水物と反応さ
せる。これら剤による誘導体化は、リシニル残基の電荷を逆転する影響を有する
。α‐アミノ含有残基を誘導体化するための他の好適な試薬は、メチルピコリン
イミダート、リン酸ピリドキサル、ピリドキサル、塩化ホウ素水素化物トリニト
ロベンゼンスルホン酸、O-メチルイソウレア、2,4-ペンタンジオンのようなイ
ミドエステル、及びグリオキシラートとのトランスアミナーゼ触媒反応を含む。
アルギニル残基は、フェニルグリオキサル、2,3-ブタンジオン、1,2-シクロヘ
キサンジオン、及びニンヒドリンのそれらのうちの1又は幾つかの通常の試薬と
の反応によって修飾される。アルギニン残基の誘導体化は、グアニジン官能基の
高いpKaのためにその反応がアルカリ条件において実行されることを要求する
。さらに、これらの試薬は、アルギニンエプシロンアミノ基と同じくリシンの基
と反応し得る。
チロシル残基の特異的修飾は、芳香族ジアゾニウム化合物又はテトラニトロメ
タンとの反応によってチロシル残基内にスペクトルの標識を導入することへの特
別な関心により作製され得る。最も普通には、N-アセチルイミジゾールとテト
ラニトロメタンが、それぞれO-アセチルチロシル種及び3-ニトロ誘導体を形成
するために使用される。チロシル残基は、ラジオイムノアッセイにおける使用の
ために標識化タンパク質を調製するために、125I又は131Iを用いてヨウ素化さ
れる。
カルボキシル側鎖(アスパルチル又はグルタミル)は、1-シクロヘキシル‐3‐
(2-モルホリニル‐4-エチル)カルボジイミド又は1-エチル‐3-(4‐アゾニ
ア-4,4-ジメチルフェニル)カルボジイミドのようなカルボジイミド(R-N=C=N
‐R')(式中RとR'は異なるアルキル基である)との反応によって選択的に修飾
される。さらに、アスパルチルとグルタミル残基は、アンモニウムイオンとの反
応によってアスパラギニル及びグルタミニル残基に変換される。
グルタミニルとアスパラギニル残基は、それぞれの相当するグルタミルとアス
パルチル残基にしばしば脱アミド化される。これら残基は、中性又は塩基性条件
下で脱アミド化される。これら残基の脱アミド化形態は本発明の範囲内にある。
他の修飾は、プロリンとリシンの水酸化、セリル又はトレオニル残基の水酸基
のリン酸化、リシン、アルギニン及びヒスチジン側鎖のα‐アミノ基のメチル化
(T.E.Creighton,Proteins:Structure and Molecular Properties,W.H.Freema
n & Co.,San Francisco,pp.79-86(1983))、N-末端アミンのアセチル化、いずれ
かのC-末端カルボニル基のアミド化を含む。
別のタイプの共有結合修飾は、該抗体への化学的又は酵素的カップリンググリ
コシルを含む。これらの方法は、それらがN-又はO-結合グリコシル化のための
グリコシル化能力を有する宿主細胞中で該抗体の生産が要求されないことにおい
て有効である使用したカップリングモードに基づいて、その糖は、(a)アルギニ
ンとヒスチジン、(b)遊離カルボキシル基、(c)システインのそれのような遊離ス
ルフィドリル基、(d)セリン、トレオニン、又はヒドロキシプロリンのそれのよ
うな遊離水酸基、(e)フェニルアラニン、チロシン、又はトリプトファンのそれ
のような芳香族残基、又は(f)グルタミンのアミド基に付着させ得る。これらの
方法は、1987年9月11日公表のWO 87/05330中に、及びAplinとWristo
n,CRC Crit.Rev.Biochem.,pp.259-306(1981)中に記載される。
該抗体上に存在するいずれかの炭水化物部分の除去は、化学的又は酵素的に達
成され得る。化学的脱グリコシル化は、化合物トリフルオロメタンスルホン酸、
又は同等の化合物に該抗体をさらすことを要求する。この処理は、結合糖(N-ア
セチルグルコサミン又はN-アセチルガラクトサミン)を除く大部分の又は全ての
糖の切断の結果となり、一方抗体は完全に残される。化学的脱グリコシル化は、
Hakimuddinら、Arch.Biochem.Biophys.259:52(1987)により及びEdgeら、Anal
.Biochem.,118:131(1981)により記載される。該抗体上の炭水化物部分の酵素
的切断は、Thotakuraら、Meth.Enzymol.138:350(1987)により記載されるよう
な、各種のエンド‐及びエキソ‐グリコシダーゼの使用により達成され得る。
該抗体の共有結合修飾の別なタイプは、米国特許第4,640,835号;4,496,689号
;4,301,144号;4,670,417号;4,791,192号又は4,179,337号中に記載の手法にお
いて、各種の非タンパク質ポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポリプロ
ピレングリコール、又はポリオキシアルキレンの一つに該抗原を結合することを
備える。
B.ベクター、宿主細胞、及び組換え方法
本発明はまた、ヒト化抗CD11a抗体をコードする単離核酸、該核酸を具備
するベクター及び宿主細胞、並びに該抗体を産生するための組換え技術も提供す
る。
前記抗体の組換産生のため、それをコードする前記核酸が単離され、更なるク
ローニング(DNAの増幅)又は発現を行うために複製ベクターへ挿入される。
モノクローナル抗体をコードするDNAを直ぐに単離して通常の方法(例えば当
該抗体の重鎖及び軽鎖をコードしている遺伝子に特異的に結合可能なオリゴヌク
レオチドプローブにより)を使用して配列決定する。多くのベクターが入手可能
である。ベクターの構成には一般的に、以下のものの一またはそれ以上を含むが
これには限定されない:シグナル配列、複製起点、一又はそれ以上のマーカー遺
伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、及び転写終止配列。
(i)シグナル配列要素
本発明の抗CD11a抗体は、組換え的に直接に産生するのみならず、好まし
くはシグナル配列又は他のポリペプチドであって成熟した蛋白質又はポリペプチ
ドのN末端に特異的開裂部位を有する非相同性ポリペプチドとの融合ポリペプチ
ドとして産生してもよい。選択される非相同的シグナル配列は宿主細胞により認
識されて処理(即ち、シグナルペプチダーゼにより)されるものである。未変性
の抗CD11a抗体シグナル配列について認識も処理も行わない原核性の宿主細
胞の場合、このシグナル配列は例えば以下の群よりなる原核細胞のシグナル配列
から選択される:アルカリホスファターゼ、ぺニシリナーゼ、lpp、又は熱安
定性エンテロトキシンIIリーダー。酵母の分泌の場合、未変性のシグナル配列
は、例えば酵母インベルターゼリーダー、α因子リーダー(サッカロマイセス(
Saccharomyces)及びクルイベロマイセス(Kluyveromy
ces)のα因子リーダーを含む)、酸ホスファターゼリーダー、C.アルビカ
ンス(albicans)グルコアミラーゼリーダー、又はWO90/1364
6に記載のシグナルにより置換されていてもよい。哺乳動物細胞の発現において
は、哺乳類シグナル配列はウイルス性分泌リーダー、例えば単純ヘルペスのgD
シグナルと同様に入手可能である。
そのような前駆体領域は、抗CD11a抗体をコードするDNAにリーディン
グフレームにおいて連結される。
(ii)複製起点要素
発現用及びクローニング用ベクターのいずれも、一又はそれ以上の選択した宿
主内でベクターを複製させることを可能にする核酸配列を含んでいる。一般的に
、クローニンダベクターにおいては、この配列は宿主の染色体DNAとは独立に
複
製することを可能にするものであり、複製起点又は自律性複製配列を含んでいる
。このような配列は種々の細菌、酵母、及びウイルスに対して知られている。プ
ラスミドpBR322由来の複製起点は、ほとんどのグラム陰性細菌に適し、2
μプラスミド起点は酵母に適し、そして種々のウイルス起点(SV40、ポリオ
ーマ、アデノウイルス、VSV、またはBPV)は、哺乳動物細胞におけるクロ
ーニングベクターに有益である。一般的に、複製起点の構成要素は、哺乳類の発
現べクター(SV40の起点を典型的に使用しても良いが、これは初期プロモー
ターを含むという理由のみのためである)には必要ではない。
(III)選択遺伝子要素
発現及びクローニングベクタには、選択遺伝子、または選択可能マーカーとも
いう、を含むことができる。典型的な選択遺伝子は、(a)抗生物質やその他の
毒素、例えばアンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセート、又はテトラサイ
クリンに対して抵抗性を与え、(b)栄養要求性欠損を補完し、又は(c)例え
ば桿菌に対するD−アラニンラセマーゼをコードする遺伝子のように、複合培地
からは得られない重要な栄養素を供給する、蛋白質をコードする。
選択スキームの一つの例は、宿主細胞の成長を停止させる薬剤を使用する。非
相同性遺伝子でうまく形質転換された細胞は、薬剤抵抗を与える蛋白質を産生し
、よって選択プログラムで生存する。このような優性選択の例は、ネオマイシン
、マイコフェノール酸(Mycophenolic acid)、ハイグロマイシンの薬剤を使用
する。
哺乳動物細胞用の適切な選択マーカーの別の例は、DHFR、チミジンキナー
ゼ、メタロチオネイン−I、及び−II、好ましくは霊長類メタロチオネイン遺
伝子、アデノシンデアミナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼ等のように、抗
CD11a抗体核酸を取り上げるコンピテント細胞を同定することを可能にする
ものである。
例えば、DHFR選択性遺伝子で形質転換された細胞はまず、DHFRのアン
タゴニストであるメトトレキセート(Mtx)を含む培養液中の形質転換体の全
てを培養することによって同定される。野生型のDHFRを用いる場合の適切な
宿主細胞は、DHFR活性に欠失があるチャイニーズハムスター卵巣(CHO)
細胞株である。
或いは、宿主細胞(特には内在性のDHFRを含む野生型の宿主)を、抗CD
11a抗体、野生型DHFR蛋白質、及びアミノグリコシド3’−ホスホトラン
スフェラーゼ(APH)等の別の選択マーカーをコードするDNA配列で形質転
換又は同時形質転換したものは、アミノグリコシド系抗生物質、例えばカナマイ
シン、ネオマイシン若しくはG418の選択性マーカー用選択剤を含む培養液中
で細胞増殖させることにより選択することが可能である。米国特許番号4,96
5,199を参照。
酵母で使用する適切な選択遺伝子は、酵母プラスミドYRp7中に存在するt
rp1遺伝子である(Stinchcombら、Nature、282:39(
1979))。このtrp1遺伝子は、トリプトファン中で増殖する能力を欠く
、酵母の変異株、例えばATCC番号44076又はPEP4−1用の選択マー
カーを提供するものである(Jones、Genetics、85:12(19
77))。酵母細胞のゲノム中のtrp1障害の存在は、次に、トリプトファン
が欠如する中で増殖する形質転換体を検出するのに効果的な環境を提供する。同
様に、Leu2−欠失酵母株(ATCC20,622、又は38,626)は、
Leu2遺伝子を持つ既知のプラスミドで補完される。
更に、1.6μm環状プラスミドpKD1に由来するベクターは、クルイベロ
マイセス(Kluyveromyces)酵母の形質転換に用いることができる
。或いは、組換え子ウシキモシンの大量の生産用の発現システムがK.ラクチス
(lactis)に対して報告されている(Van der Berg、Bio
/Technology、8:135(1990))。クルイベマイセスの工業
用株による、成熟組換えヒト血清アルブミンの分泌用の、安定な多コピー発現ベ
クターもまた開示されている(Fleerら、Bio/Technology、
9:968−975(1991))。
(iv)プロモーター要素
発現用及びクローニング用ベクターは通常、宿主生物により認識され、抗CD
11a抗体核酸に機能的に連結されるプロモーターを含んでいる。原核性宿主で
使用するのに適するプロモーターには、phoAプロモーター、β−ラクタマー
ゼ及びラクトースプロモーター系、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(
trp)プロモーター系、及びtacプロモーター等のようなハイブリッドプロ
モーターが含まれる。しかしながら、他の既知の細菌性プロモーターも適してい
る。細菌系で使用されるプロモーターはまた、抗CD11a抗体をコードするD
NAに機能的に連結されたシャイン−ダルガーノ(S.D.)配列を含んでいる
。
真核細胞についてもプロモーターが知られている。実質的に全ての真核遺伝子
は、転写か開始される部位の上流、約25乃至30塩基に位置するAT−リッチ
な領域を有している。多くの遺伝子の転写開始点の上流70乃至80塩基に見ら
れる別の配列は、CNCAAT領域であり、ここでNはいかなるヌクレオチドを
も意味する。多くの真核遺伝子の3’末端には、ボリAテイルをコード配列の3
’末端に付加するシグナルとなりえるAATAAA配列がある。これらの配列の
全ては、真核発現ベクター中に適切に挿入されている。
酵母宿主で用いるのに適切な促進性配列の例には、3−ホスホグリセレートキ
ナーゼ、又はエノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナ
ーゼ、ヘキソキナーゼ、ビルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナー
ゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、3−ホスホグリセレートムターゼ、
ピルビン酸キナーゼ、トリオースホスフェートイソメラーゼ、ホスホグルコース
イソメラーゼ、及びグルコキナーゼ等の他の解糖系酵素用のプロモーターが含ま
れる。
他の酵母プロモーターで、増殖条件により転写が制御されるという付加的な利
点を有する誘導性プロモーターであるものは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、
イソチトクロームC、酸性ホスファターゼ、窒素代謝に関連する分解性酵素、メ
タロチオネイン、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、並
びにマルトース及びガラクトースの利用に関与する酵素用のプロモーター領域で
ある。酵母中での発現に使用する適切なベクター及びプロモーターは、更にはE
P73,657中に記載されている。酵母エンハンサーもまた、酵母プロモータ
ーと有利に使用される。
哺乳動物宿主細胞中におけるベクターからの抗CD11a抗体の転写は、例え
ばポリオーマウイルス、伝染性上皮腫ウイルス、アデノウイルス(例えばアデノ
ウイルス2型)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウ
イルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、そして最も好ましくはシミアンウ
イルス40(SV40)等のようなウイルスのゲノムから得たプロモーターや、
非相同性の哺乳動物性プロモーター、例えばアクチンプロモーター又は免疫グロ
ブリンプロモーター、更には熱ショックプロモーターから得られるプロモーター
により制御されているが、但しそのようなプロモーターは宿主細胞系と適合する
ものであるという条件がつく。
SV40ウイルスの初期及び後期プロモーターはSV40の複製起点をも含む
SV40制限断片として都合よく得られる。ヒトサイトメガロウイルスの極初期
プロモーターは、HindIII E制限断片として都合よく得られる。哺乳類
の宿主で、ウシパピローマウイルスをベクターとして利用した、DNAを発現さ
せる系が、米国特許番号4,419,446に開示されている。この系を改変し
たものが、米国特許番号4,601,978に記載されている。単純ヘルペスウ
イルス由来のチミジンキナーゼプロモーターの制御下にあるヒトβ−インターフ
ェロンcDNAをマウス細胞で発現させたReyesらの文献(Nature,
297:598−601(1982))を参照。或いは、ラウス肉腫ウイルスの
末端反復配列もプロモータとして使用することができる。
(v)エンハンサーエレメント要素
本発明の抗CD11a抗体をコードするDNAについての、高等真核生物によ
る転写はしばしば、ベクター中にエンハンサー配列を挿入することで増大する。
哺乳類の既知の遺伝子(グロビン、エラスターゼ、アルブミン。α−フェトプロ
テイン、及びインスリン)より、多くのエンハンサー配列が知られている。しか
しながら典型的には、真核細胞ウイルス由来のエンハンサーを使用する例として
は、複製起点の後ろ側(100−270bp)にあるSV40エンハンサー、サ
イトメガロウイルス初期プロモーターのエンハンサー、複製起点の後ろ側にある
ポリオーマエンハンサー、及びアデノウイルスエンハンサーが含まれる真核性プ
ロモーターを活性化する宜進生配列エレメントについての、Yanivの文献(
Nature,297:17−18(1982))も参照されたい。エンハ
ンサーは、ベクター中の抗CD11a抗体をコードする配列の5’又は3’側に
接合させても良いが、好ましくはプロモーターより5’側に位置させる。
(vi)転写終止要素
真核宿主細胞(酵母、菌類、昆虫、植物、動物、ヒト、又は他の多細胞性生物
由来の有核細胞)中で使用される発現ベクターにはまた、転写の終止及びmRN
Aの安定化に必要な配列が含まれるであろう。このような配列は通常は、真核性
若しくはウイルス性のDNA、又はcDNAの非翻訳領域の5’、ときには3’
より得ることができる。これらの領域には、抗CD11a抗体をコードするmR
NAの非翻訳領域におけるポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチド配
列が含まれる。有益な転写終止要素の一つは、ウシ成長ホルモンポリアデニレー
ション領域である。WO94/11026及びその中で開示されている発現ベク
ターを参照されたい。
(vii)宿主細胞の選択及び形質転換
本願においては、ベクター中のDNAを発現、又はクローニングするベクター
に適する宿主としては、上記したような、原核細胞、酵母、又は高等な真核細胞
がある。この目的に適した原核細胞には、グラム陰性又はグラム陽性の生物等の
ような真正細菌、例えばエシェリシア(Escherichia)(例:大腸菌(E.coli)
)、エンテロバクター(Enterobacter)、エルウィニア(Erwinia)、クレブシ
エラ(Klebsiella)、プロテウス(Proteus)、サルモネラ(Salmonella)(例
:サルモネラ.ティフィムリウム(Salmonella typhimurium))、セラチア(S
erratia)(例:セラチア マルセスカンス(Serratia marcescans))、及び
赤痢菌(Shigella)のようなエンテロバクテリア科と同様に、桿菌(Bacilli)
(例:B.サブチリス(subtilis)、B.リヒェニフォルミス(licheniformis
)(例:1989年4月12日発行のDD266,710に開示されているB.
リヒェニフォルミス(licheniformis)41P))、シュードモナス(Pseudomon
as)(例:P.アエルギノサ(aeruginosa))及びストレプトミセス(Streptom
yces)が含まれる。他の株、例えばE.coli B、E.coli X177
6(ATCC31,537)、及びE.coliW3110(ATCC27,3
25)も適しているが、大腸菌クローニング宿主のうちの好ましいものの一つは
、E.coli
294(ATCC31,446)である。これらは限定するものではなく、例示
するものである。
原核細胞に加えて、糸状真菌、または酵母のような真核性の微生物も、抗CD
11a抗体をコードするベクターのクローニング又は発現用の宿主として適する
。サッカロミセス セレビシエ(Saccharomyce cerevisiaes)、又はベーカー
ズ酵母として知られるものは、低級な真核性宿主微生物の中では最もよく使用さ
れる。しかしながら、数多くの他の属、種、及び株が入手可能でありまた本願で
も有益であり、例えばシゾサッカロミセス ポンベ(Schizosaccharomyces pom
be);クルイベロミセス(Kluyveromyces)宿主(例:K.ラクチス(lactis)
、K.フラギリス(fragilis)(ATCC12,424)、K.ブルガリクス(
bulgaricus)(ATCC16,045)、K.ウィカラミイ(wickeramii)(A
TCC24,178)、K.ワルチイ(waltii)(ATCC56,500)、K
.ドロソフィラルム(drosopilarum)(ATCC36,906)、K.サーモト
・レランス(thermotolerans)、及びK.マルキシアヌス(marxianus));ヤ
ロウィア(yarrowia)(EP402,226);ピチア パストリス(Pichia
pastoris)(EP183,070);カンジダ(Candida);トリコデルマ レ
エシア(Trichoderma reesia)(EP244,234);ニューロスポラ ク
ラッサ(Neurospora crassa);シュワンニオマイセス(Schwanniomyces)(例
:シュワンニオマイセス オクシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis)
);及び糸状菌類(例:ニューロスポラ(Neurospora)、ペニシリウム(Penici
llium)、トリポクラディウム(Trypocladium)、及びアスペルギルス(Aspergi
llus)宿主(例:A.ニズランス(nidulans)、及びA.ニガー(niger))が
ある。
グルコシル化した抗CD11a抗体を発現するための適切な宿主細胞は、多細
胞生物に由来する。無脊椎生物の細胞の例としては植物及び昆虫の細胞がある。
多数のバキュロウイルス株及び変異体、並びにスポドプテラ フルギペルダ(Spo
doptera frugiperda)(イモムシ)、アエデス アエギプチ(Aedes aegypti
)(カ)、アエデス アルボピクタス(Aedes albopictus)(カ)、ドロソフ
ィラ メラノガスタ(Drosophila melanogaster)(ショウジョウバエ)、及び
ボンビクス モリ(Bombyx mori)などの宿主由来の、対応する許容性昆虫宿主
細胞
が同定されている。数多くの形質移入用ウイルス株、例えばオートグラファ カ
リフォルニカ(Autographa californica)NPVのL−1変異体、及びボンビ
クス モリ(Bombyx mori)NPVのBm−5株が入手可能であり、このような
ウイルスは本発明によれば、本願のウイルスとして使用することが可能であり、
特にスポドプテラ フルギペドラ(Spodoptera frugiperda)細胞の形質移入用
に使用できる。
ワタ、トウモロコシ、ジャガイモ、ダイズ、ペチュニア、トマト、及びタバコ
の植物細胞培養を宿主として使用することが可能である。
しかしながら、脊髄生物の細胞が最も興味を持たれていて、脊髄生物の細胞の
培養(組織培養)による増殖は、日常的な方法になっている。有益な哺乳類宿主
細胞の例としては、SV40で形質転換したサルの腎臓CV−1株(COS−7
、ATCC CRL1651);ヒト胎児性腎臓株(293、又は懸濁培養中で
増殖させた293細胞のサブクローン、Grahamら、J.Gen.Viro
l.36:59(1977))ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC
CCL10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/−DHFR(CHO、Url
aubら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(
1980));マウスセルトリ細胞(TM4、Mather、Biol.Rep
rod.23:243−251(1980));サル腎臓細胞(CV1 ATC
CCCL70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO−76、ATCC C
RL−1587);ヒト頚部癌細胞(HELA、ATCC CCL2);イヌ腎
臓細胞(MDCK、ATCC CCL34);バッファロラット肝臓細胞(BR
L3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC C
CL75);ヒト肝臓細胞(HepG2、HB8065);マウス乳腺癌(MM
T060562、ATCC CCL51);TRI細胞(Matherら、An
nal.N.Y.Acad.Sci.383:44−68(1982));MR
C5細胞;FS4細胞;及びヒト肝細胞腫株(HepG2)である。
宿主細胞は、上記の抗CD11a抗体産生用の発現用又はクローニング用ベク
ターで形質転換されて、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、又は所望
の配列をコードする遺伝子を増幅させるために適切に改変した通常の栄養培地中
で培養される。
(viii)宿主細胞の培養
本発明の抗CD11a抗体を産生するのに使用した宿主細胞は、種々の培地中
で培養することができる。商業的に入手可能な培地、例えばハムF10(シグマ
)、最小必須培地(MEM)(シグマ)、RPMI−1640(シグマ)、及び
ダルベッコ改変イーグル培地((DMEM)、シグマ)等が当該宿主細胞を培養
するのに適している。更に、Hamら(Meth.Enz.58:44(197
9))、Barnesら(Anal.Biochem.102:255(198
0))、米国特許番号の4,767704;4,657,866;4,927,
762;4,560,655;若しくは5,122,469;WO90/03Z
130;WO87/00195;又は米国特許番号のRe 30,985に記載
される何れも、当該宿註細胞用の培地として使用することができる。これらの培
地の何れも必要であればホルモン、及び/又は他の成長因子(例えばインスリン
、トランスフェリン、又は土皮細胞成長因子)、塩(例えば塩化ナトリウム、カ
ルシウム、マグネシウム、及びリン酸塩)、緩衝液(例えばHEPES)、ヌク
レオチド(例えばアデノシン及びチミジン)、抗生物質(例えばゲンタマイシン
(商標)薬剤)、微量元素(マイクロモルの範囲の最終濃度で通常は存在する無
機化合物と定義される)、及びグルコース又は等価なエネルギー源で補充してい
てもよい。当業者に知られる他の必要な補充物のいかなるものも、適切な濃度で
含めることができる。温度、pH等の培養条件は、発現用に選択した宿主細胞で
以前に使用したものであり、当業者には明らかである。
(ix)抗CD11a抗体の精製
組換え技術を使用すると、当該抗体は細胞内で、周辺質の空間で、又は直接培
地中へ分泌されるようにして産生することが可能である。抗体を細胞内で産生す
るならば、第一段階として粒子状の細片、即ち宿主細胞又は溶解断片を、例えば
遠心又は超遠心により除去する。Carterらは、大腸菌の周辺質空間に分泌される
抗体の単離方法を記載している(Bio/Technology10:163−
167(1992))。簡単にいうと、細胞ペーストを酢酸ナトリウム(pH3
.5)、EDTA、及びフェニルメチルスホニルフルオリド(PMSF)存在下
で
約30分間解凍する。細胞細片は遠心で除去できる。抗体が培地中に分泌される
場合には、そのような発現系の上清は、一般的にはまず、商業的に入手可能な蛋
白質濃縮フィルター、例えばアミコン又はミリポアペリコン限外ろ過ユニットを
使用して濃縮する。PMSF等のプロテアーゼ阻害剤を、以後のいかなる工程に
含ませて蛋白分解を阻害することができ、また抗生物質を含めて外来性の汚染物
質の増殖を防止しても良い。
細胞より調製される抗体組成物は、例えばヒドロキシアパタイトクロマトグラ
フィー、ゲル電気泳動、透析、及びアフィニティークロマトグラフィーを利用し
て精製することができるが、中でもアフィニティークロマトグラフィーが好まし
い精製技術である。アフィニティーリガンドとしてのプロテインAの適合性は、
抗体中に存在するいずれかの免疫グロブリンのFc領域種及びアイソタイプに依
存する。プロテインAを利用して、ヒトのγ1、γ2、又はγ4重鎖に基礎を置
く抗体を精製することができる(Lindmarkら、J.Immunol.M
eth.62:1−13(1983))。全てのマウスアイソタイプ、及びヒト
のγ3に対しては、プロテインGが推奨される(Gussら、EMBO J.5
:15671575(1986))。アフィニティーリガンドを付けるマトリッ
クスは、多く:の場合、アガロースであるが、他のマトリックスでもよい。機械
的に安定なマトリックス、例えば制御されたポアグラス又はポリ(スチレンジビ
ニル)ベンゼンなどは、アガロースで行うものよりも、より大きい流速とより短
い処理時間を可能にする。抗体がCH3領域を具備する場合、Bakerbon
dABX(商標)レジン(J.T.Baker、Phillipsburg、N
J)が精製に有益である。蛋白精製用の他の技術、例えばイオン交換カラム、エ
タノール沈殿、逆相HPLC、シリカでのクロマトグラフィー、アニオン若しく
はカチオン交換レジン(例えばポリアスパラギン酸カラム)でのヘパリンSEP
HAROSE(商標)クロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS−
PAGE、及び硫安沈殿などによる分画も、回収する抗体によっては可能である
。
予備的精製工程に引き続いて、興味のある抗体及び汚染部質を具備する混合物
を、pHが2.5乃至4.5の間の溶出緩衝液を、好ましくは低塩濃度(例:約
0乃至0.25Mの塩)において使用する低pH疎水性相互作用クロマトグラフ
ィーにかける。
C. 製剤
所望の精製度の抗体と、適宜生理学的に許容されるキャリア、賦形剤、又は安
定化剤を混合することにより、凍結乾燥した製剤、又は水溶液の形態で、保存用
の治療用抗体製剤を調製する(Remington’s Pharmaceut
ical Sciences、16版、Osol,A.編集、(1980))。
許容可能なキャリア、賦形剤、又は安定化剤は使用する投薬量及び濃度において
摂取者に毒性がないものであり、またリン酸塩、クエン酸塩、若しくは他の有機
酸などの緩衝液;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;保存料(例
えばオクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;
塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル若しくはベン
ジルアルコール:メチル若しくはプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテ
コール;レゾルシノール(resorcinol);シクロヘキサノール;3−ペンタノー
ル;及びm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清
アルブミン、ゲラチン、又は免疫グロブリン等の蛋白質;ポリビニルピロリドン
等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アル
ギニン、リジン等のアミノ酸;モノサッカライド、ジサッカライド、並びにグル
コース、マンノース、又はデキストリンを含む他の炭水化物;EDTA等のキレ
ート剤;ショ糖、マンニトール、トレハロース又はソルビトール等の糖;ナトリ
ウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例:Zn−蛋白質錯体);及び/又はT
WEEN(商標)、PLURONICS(商標)、又はポリエチレングリコール
(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含む。
ここでの製剤はまた、治療する特定の適応症に必要な一よりも多い活性化合物
、好ましくはそれぞれが互いに有害とならない、相補的な活性を有するものを含
んでいても良い。例えば、免疫抑制剤をさらに提供することが望ましいかもしれ
ない。そのような分子は適切には、意図する目的に効果的である量において組合
せて存在する。
有効成分はまた、例えばコアセルベーション法や界面重合により調整されるミ
クロカプセル中に取り込ませてもよいが、この例としてはそれぞれコロイド性ド
ラッグデリバリーシステム中(例えばリポソーム、アルブミン微粒子、ミクロエ
マルジョン、ナノ−粒子、及びナノカプセル)、又はマクロエマルジョン中にお
けるヒドロキシメチルセルロース若しくはゲラチン−ミクロカプセル、及びポリ
−(メチルメタクリレート)マイクロカプセルがある。このような技術は、Re
mington’s Pharmaceutical Sciences、16
版、Osol,A.編集、(1980)に開示されている。
インビボ投与に使用する製剤は、無菌である必要がある。これは無菌のろ過膜
によるろ過で直ぐに達成される。
持続性放出の製剤を調製してもよい。持続性放出の適切な例には、固体の疎水
性ポリマーでできた、抗体を含む半透過性マトリックスが含まれるが、これは例
えばフィルムやミクロカプセルのように形作られた物品の形態をとる。持続性の
放出マトリックスの例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒド
ロキシエチル−メタクリレート)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリ乳酸
(米国特許番号3,773,919)、L−グルタミン酸とγエチル−L−グル
タミン酸の共重合体、非分解性エチレンビニルアセテート、分解性乳酸−グリコ
ール酸共重合体(例えばLupron Depot(商標)(乳酸−グリコール
酸共重合体と酢酸ロイプロリドを具備する注射用ミクロ粒子))、及びポリ−D
−(−)−3−ヒドロキシ酪酸が含まれる。エチレン−ビニルアセテート及び乳
酸−グリコール酸等のようなポリマーが100日以上の間分子の放出を可能にす
るのに対し、ある種のヒドロゲルは蛋白質をより短い期間しか放出しない。カプ
セル化した抗体が体内に長期間残る場合、37℃で水分に露出される結果として
それらは変性するか、又は凝集し、生物学的活性の喪失がおき、免疫原性の変化
が起る可能性がある。関与する機構に応じて安定化する合理的な戦略が発明され
うる。例えば、凝集機構がチオ−ジスルフィドの交換による分子間S−S結合の
形成であることか発見されれば、スルフィドリル残基を修飾したり、酸性溶液か
ら凍結乾燥したり、含有水分を調節したり、適切な添加剤を使用したり、特別な
ポリマーマトリックス組成物を開発したりして、安定化を達成することが可能で
ある。
D.抗体の非治療的使用
本発明の抗体は、アフィニティー精製媒介物として使用することができる。こ
の方法においては、セファデックスレジンやフィルター紙のような固相に当該抗
体を当該技術分野でよく知られた方法を使用して固定化する。固定化された抗体
をCD11a蛋白質(又はその断片)を含む、精製用試料と接触させ、その後に
支持体を、試料中のCD11a蛋白質以外の物質を実質的に全て除去する適切な
溶媒で洗浄するが、CD11aは固定化された抗体に結合している。最後に支持
体を、CD11aを抗体から放出させる他の適切な溶媒、例えばグリシン緩衝液
、pH5.0で洗浄する。
抗CD11a抗体はまた、CD11a蛋白質の診断用アッセイ、例えばその発
現を特別な細胞、組織、又は血清中で検出することにおいて有益である可能性が
ある。
診断的適用においては、当該抗体は検出可能な成分で標識されるであろう。以
下のカテゴリーに分類することが可能な、数多くの標識が入手可能である:
(a)35S、14C、125I、3H、及び131Iのような放射性同位体。例えば
Current Protocol in Immunology(第1巻、2
巻、Coligenら編集、Wiley−Interscience、New
York、New York、Pubs.(1991))に記載される技術を使
って、抗体を放射性同位体で標識することができ、また放射性はシンチレーショ
ンカウンターを使用して測定できる。
(b)希土類キレート(例えばユーロピウムキレート)のような蛍光標識又は
フルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、リサミ
ン、フィコエリトリン、及びテキサスレッドが入手可能である。蛍光性の標識は
、例えば上記のCurrent Protocol in Immuncolo
gyに開示されている技術を利用して抗体に共役させることができる。蛍光は蛍
光定量機を使用して定量することができる。
(c)種々の酵素−基質標識が入手可能であり、米国特許番号4,275,1
49は、これらのいくつかについてのレビューを提供している。この酵素は一般
に、種々の技術で測定することができる色素生産性基質の化学的変化を触媒する
。
例えば、この酵素は基質中の色の変化を触媒してもよいが、これは分光学的に測
定することが可能である。或いは、この酵素は基質の蛍光又は化学発光を変化さ
せてもよい。蛍光の変化を定量する技術は上記に記載してある。化学発光基質は
、化学反応により電気的に励起し、次いで(例えば化学発光定量機で)測定可能
な光を発するか、又は蛍光受容体へエネルギーを与える。酵素標識の例には、ル
シフェラーゼ(例えば、ホタルルシフェラーゼ、細菌性ルシフェラーゼ;米国特
許番号4,737,456)、ルシフェリン、2,3−ジヒドロフタラジンジオ
ン、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ、ホースラディッシュペルオキシダ
ーゼ(HRPO)のようなペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガ
ラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、サッカリドオキシダーゼ(例
えばグルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース−6
−リン酸デヒドロゲナーゼ)、ヘテロサイクリックオキシダーゼ(例えばウリカ
ーゼ及びキサンチンオキシダーゼ)、ラクトペルオキシダーゼ、ミクロペルオキ
シダーゼ等が含まれる。酵素を抗体に共役する技術は、O’Sullivanら
の酵素免疫アッセイで使用するための酵素−抗体共役物の調製方法に記載されて
いる(Methods in Enzym.編集J.Langone&H.Va
n Vunakis;Academic press、New York、 73
:147−1616(1981))。
酵素−基質の組合せの例は、例えば以下のものが含まれる:
(i)ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRPO)と基質としての過酸
化水素;ここで過酸化水素は、色素前駆体(例えばオルトフェニレンジアミン(
OPD)、又は3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンヒドロクロリド(
TMB))を酸化する;
(ii)アルカリホスファターゼ(AP)と色素産生性基質としてのパラーニ
トロフェニルホスフェート;及び
(iii):β−D−ガラクトシダーゼ(β−D−Gal)と色素生産性基質
(例えばp−ニトロフェニル−β−D−ガラクトシダーゼ)又は蛍光生産性基質
の4−メチルウンベルリフェリル−β−D−ガラクトシダーゼ(4-methylumbell
iferyl-β−D−galactosidase)。
他の数多くの酵素−基質の組合せも当業者にとって入手可能である。これらの
一般的レビューとしては、米国特許番号4,275,149及び4,318,9
80を参照されたい。
ときには標識は抗体に間接的に共役される。熟練者はこれを達成する種々の技
術を知っているであろう。例えば、抗体はビオチンや上記したラベルについての
3つの広いカテゴリーのいかなるものに対してもアビジンで共役させることがで
きるし、その逆も可能である。ビオチンは、選択的にアビジンに結合し、よって
この標識は抗体とこの間接的方法によって共役されることが可能である。或いは
、標識と抗体との間接的な共役を達成するため、当該抗体を小さいハプテン(例
えばジゴキシン)と共役して、上記した標識の異なるタイプのものの一つを抗−
ハプテン抗体(例えば抗−ジゴキシン抗体)と共役させる。故に、標識の抗体と
の間接的共役が達成される。
本発明の別の態様においては、抗CD11a抗体は標識される必要はなく、そ
の存在はCD11a抗体に結合する標識済抗体を使用して検出されることが可能
である。
本発明の抗体はいかなる既知のアッセイ方法、例えば競合的結合アッセイ、直
接及び間接サンドイッチアッセイ、及び免疫沈降アッセイにおいても用いること
ができる(Zola、Monoclonal Antibodies:A Ma
nual of Techniques、pp147−158(CRC Pre
ss、Inc. 1987))。
競合的結合アッセイは、限られた量の抗体との結合に対して、標識した標準物
質が試験試料分析物と競合する能力に依存している。試験試料中のCD11aの
量は、抗体に結合する標準物質の量と反比例する。結合する標準物質の量を決定
するのを促進するため、抗体は一般的には競合の前又は後で不溶化させて、抗体
に結合した標準物質及び分析物が、結合しないで残った標準物質及び分析物質と
便利に分離できるようにする。
サンドイッチアッセイは、二つの抗体を使用するが、それぞれは検出する蛋白
質の異なる免疫原性部分、又はエピトープに結台することができる。サンドイッ
チアッセイにおいては、試験試料分析物は、固相支持体に固定されている第一抗
体によって結合され、その後に第二抗体が分析物に結合し、よって不溶性の三部
複合体を形成する。例えば米国特許番号4,376,110を参照されたい。第
二抗体はそれ自体で検出可能部え標識されていても良く(直接的サンドイッチア
ッセイ)、又は検出可能部で標識された抗−免疫グロブリン抗体を使用して測定
することも可能である(間接的サンドイッチアッセイ)。例えば、サンドイッチ
アッセイの一つのタイプはELISAアッセイであり、この場合には検出可能な
部分は酵素である。免疫組織化学の場合、腫瘍試料は新鮮なものであっても又は
凍結されたものであっても、或いはパラフィン中に包埋され、例えばホルマリン
等の保存料により固定されていてもよい。
抗体は、インビボの診断アッセイにも使用することが可能である。一般的に、
抗体は放射性核種(例えば111In、99Tc、14C、131I、125I、3H、32P、
又は35S等)で標識されていて、免疫シンチオグラフィーを使用して腫瘍が位置
づけられるようになっている。
E.診断キット
便宜上の問題として、本発明の抗体はキット、即ち予め決められた量の試薬を
、診断アッセイの実施用の指示書とともに組み合わせてパッケージしたものとし
て提供することが可能である。抗体が酵素で標識されている場合には、キットに
は当該酵素により要求される基質及び補助因子が含まれるであろう(例えば検出
可能な発色団又は蛍光団を提供する基質前駆体)。更に、安定化剤や、緩衝液(
例:ブロック緩衝液又は溶解緩衝液)等の他の添加物を含めることが可能である
。種々の試薬の相対量を大きく変化させて、アッセイの感受性を実質的に最適化
する試薬についての溶液中の濃度を規定する。特に試薬は、溶解すると適切な濃
度の試薬溶液を提供する賦形剤を含み、通常は凍結乾燥された乾燥粉末とするこ
とかできる。
F.抗体についての治療的使用
本発明の抗CD11a抗体は、、本願に記載する種々のLFA−1媒介性疾患
を治療するのに使用することができるように考慮されている。
この抗CD11a抗体は、いかなる適切な手段によって投与することができ、
これには非経口的、皮下的、腹腔内、肺内、及び鼻孔内投与が含まれるが、部分
的な免疫抑制治療の場合には、必要とあらば病巣内投与(灌流適用、又はさもな
くば移植前に移植片を抗体に接触させることを含む)が含まれる。非経口的な注
入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下的投与が含まれる。更に、
抗CD11a抗体は適切にはパルス注入により投与され、特には抗体を減少させ
て行う。好ましくは、投薬は注射により行われ、最も好ましくは静脈内又は皮下
的注射により行われるが、これらは投薬か短期間であるか又は慢性的であるかに
より、一部依存する。
疾患の予防又は治療の場合、抗体の適切な投薬量は治療する疾患のタイプ、上
に定義したように疾患の重症度及び経緯、予防若しくは治療目的で投与するか否
か、以前の治療、患者の臨床的病歴、及び抗体に対する反応、並びに従事してい
る医者の慎重さによっても依存するであろう。抗体は適切には一回、又は一連の
治療に渡って患者に投与される。
疾患のタイプ及び重症度に依存するが、例えば一又はそれ以上の別々の投与に
よっても、又は連続的な注入によっても、約1μg/kg乃至15mg/kg(
例えば0.1乃至2.0mg/kg)の抗体が、患者に対する初期的な投薬量の
候補である。典型的な一日当たりの投与量は、約1μg/kg乃至100mg/
kgの範囲か、それより多いが、これは上記したような因子に依存する。数日間
またはそれよりも長い期間、繰り返して投与する場合には、疾患の症状が望まし
く抑制されるまで治療は持続される。しかしながら、他の投薬療法も有益である
かもしれない。治療の進行は通常の技術及びアッセイによって簡単にモニターさ
れる。規範的な投薬療法がWO94/04188に開示されている。
抗体組成物は、好ましい医学的習慣によって、製剤化、服用、及び投与される
。この点において考慮する要素には、治療する特定の疾患、治療する特定の哺乳
類、個々の患者の臨床的状態、疾患の原因、用剤のデリバリー部位、投与方法、
投与のスケジュール、及び医学従事者に知られる他の要素が含まれる。投与する
抗体の”治療的に有効な量”とは、上記のような考慮により決まるであろうし、
またこれはLFA−1媒介性の疾患を予防、回復、又は治療すること(リウマチ
性関
節炎の治療、炎症性反応の低減、免疫賦活薬の許容誘導、ホストによる移植片の
拒絶若しくはその逆が生じるかもしれない免疫反応の防止、又は移植片の生存の
引き延ばしが含まれる)に必要な最小の量のことである。このような量は好まし
くは、ホストにとって毒性のあるか、より顕著にホストを感染に感受性を与える
量よりも低い。
抗体は必ずしもそうである必要はないが、問題となっている疾患の予防若しく
は治療に現在使用されている一又はそれ以上の薬剤とともに適宜製剤化される。
例えば、リウマチ性関節炎においては、抗体はグルココルチコステロイドと組み
合わせて与えられる。更に、T細胞受容体ペプチドセラピーは、適切には自己免
疫性脳脊髄炎の臨床的サインを予防するための補助的セラピーである。移植片の
場合、抗体は上に定義したような、例えばシクロスポリンAなどの免疫抑制剤と
ともに、又はこれとは別にして投与されて、免疫抑制効果を調節する。或いは、
又は更に、VLA−4アンタゴニスト若しくはその他のLFA−1アンタゴニス
トをLFA−1媒介性疾患に苦しむ哺乳動物に投与してもよい。このような他の
薬剤の効果的な量は、製剤中に存在する抗CD11a抗体の量、治療する疾患又
は処置のタイプ、及び上記で考察した他の要素に依存する。これらは一般に同じ
投薬量で、また上記で用いたような投与経路で用いられるか、またはこれまで用
いた投薬量の約1乃至99%で用いられる。
G.製造物
本発明の別の態様においては、上記した疾患の治療に有益である物質を含んだ
製造物が提供される。この製造物は、容器及びラベルを具備している。適切な容
器には例えば、ビン、バイアル、シリンジ、及び試験管が含まれる。この容器は
、ガラスやプラスチックなどの種々の物質から形成されていてもよい。この容器
は、状態を処置するのに効果的な組成物を保持し、また無菌のアクセスポートを
有していても良い(例えば容器は、皮下組織注射用の針で突き刺すことが可能な
ストッパーを有する静脈用溶液バッグやバイアルであってもよい)。組成物中の
有効成分は、抗CD11a抗体である。容器の上、又はそれに取付たラベルは、
当該組成物が選択する状態の治療に用いられることを表示する。製造物は更に、
第二
の容器であって薬学的に許容される緩衝液、例えばリン酸塩緩衝生理食塩水、リ
ンゲル(Ringer’s)溶液、及びデキストロース溶液等を含んだものを具
備していても良い。更には、商業的若しくは使用者的観点から望ましい他の物質
を含んでいても良く、これには他の、緩衝液、希釈液、フィルター、針、シリン
ジ、及び使用にあたっての指示書を含んだパッケージ挿入物などが含まれる。
実施例
ヒト化抗CD11a抗体の産生
本実施例は、マウス抗ヒトCD11aモノクローナル抗体であるMHM24(
Hildrethら、Eur.J.Immunol.13:202−208(1
983))のヒト化、及びインビトロでの生物学的有効性を記載する。マウスの
MHM24についての以前の研究においては、他の抗CD11a抗体のように、
T細胞の機能を阻害することを示している(Hildrethら、J.Immu
nol.134:3272−3280(1985);Doughertyら、E
ur.J.Immunol.17:943−947(1987))。マウスの及
びヒト化したMAbsの両方は、ヒトT細胞がヒトケラチノサイトに接着するの
を効果的に防止し、またMHCクラスII抗原の応答性のモデルである、混合リ
ンパ球応答(MLR)における非自己性リンパ球へ応答したT細胞の増殖も防止
する(McCabeら、Cellular Immunol.150:364−
375(1993))。しかしながら、マウスの(Reimannら、cyto
metry、17:102−108(1994))、及びヒト化したMAbsは
ヒト以外の霊長類のCD11aとは、チンパンジーのCD11aを除いて交差反
応しなかった。アカゲザルにおける前臨床的研究に役立つヒト化MAbを得るた
め、可変重鎖領域における相補性決定領域の一つである、CDR−H2における
4つの残基を代えることによりアカゲザルのCD11aに結合するように、ヒト
化したMAbを再操作した。アカゲザルのCD11aI−領域のクローニング及
び分子モデリングは、ヒトCD11aI−領域中のリジン残基の、アカゲザルC
D11aI−領域中のグルタミン残基への変化が、マウスの及びヒト化したMA
bsがアカゲザルCD11aへ結合しない理由であることを示唆した。
材料及び方法
(a)ヒト化したF(ab’)sの構築
マウスの抗−ヒトCD11aMAb、MHM24(Hildrethら、Eu
r.J.Immunol.13:202−208(1983);Hildret
hら、J.Immunol.134:3272−3280(1985))をクロ
ーン化して配列決定した。突然変異誘発に有益であり、そして同様に大腸菌内で
F(ab)を発現させるためのプラスミドを得るためにファージミドpEMX1
を構築した。pB0475(Cunninghamら、Science 243
:1330−1336(1989))の誘導体であるファージミドpb−072
0に基づき、pEMX1は、ヒト化したκ−サブグループI軽鎖及びヒト化した
サブグループIII重鎖(VH−CH1)をコードするDNA断片と、アルカリ
ホスファターゼプロモーター及びシャイン−ダルガーノ配列を含んでいるが、こ
れら両者は以前に記載された別のpUC119に基づくプラスミドであるpAK
2(Carterら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:
4285(1992))に由来するものである。ユニークなSpel制限部位が
また、F(ab)の軽鎖及び重鎖をコードするDNAの間に挿入されている。
ヒト化したMHM24の最初のF(ab)変異体を構築するため、部位特異的
突然変異誘発(Kunkel、Proc.Natl.Acad.Sci.USA
82:488(1985))を、デオキシウリジンを含有する、pEMX1の
鋳型に対して行った;六つのCDRの全てをMHM24配列に変化させた。他の
F(ab)変異体の全ては、F(ab)−1の鋳型より構築した。二本鎖及び一
本鎖DNAを調製するため、プラスミドを、大腸菌株XL−1 Blue(St
ratagene、San Diego、CA)に形質転換した。それぞれの変
異体については、軽鎖及び重鎖の両方ともに、ジデオキシヌクレオチド法を使っ
て完全に配列決定した(シーケナーゼ、U.S.Biochemical Co
rp.)。プラスミドは、MM294の誘導体である大腸菌株16C9に形質転
換して、5μg/mlのカルベニシリンを含んだLBプレートにまいて、蛋白発
現用に単一コロニーを選択した。この単一コロニーを100μg/mlカルベニ
シリンを含む5mlのLB培地中で、37℃で5−8時間増殖させた。この5m
lの培養
物を500mlのAP5−100μg/mlカルベニシリンに加えて、4リット
ルのバッフル付震盪フラスコ中で37℃で16時間増殖させた。APS培地は、
1.5gのグルコース、11.0Hycase SF、0.6gの酵母抽出物(
保証済)、0.19gのMgSO4(無水物)、1.07gのNH4C1、3.7
3gのKCl、1.2gのNaCl120mlの1MトリエタノールアミンpH
7.4、を1Lの水へ加えたものからなり、0.1μmのSealkeenフィ
ルターを通して無菌化した。
細胞はILの遠心ボトル(Nalgene)中で3000×gで遠心して回収
し、上清を取り除いた。1時間の凍結後、ペレットを25mlの冷却した10m
M MES−10mM EDTA、pH5.0(緩衝液A)中に再懸濁した。2
50μlの0.1M PMSF(シグマ)を加えて蛋白分解を阻害し、10mg
/mlの雌鳥卵白のリゾチームのストックを3.5ml加えて、細菌の細胞壁の
溶解を援助した。氷上で1時間穏やかに震盪した後、試料を40,000×gで
15分間遠心した。緩衝液Aで上清を50mlにして、緩衝液Aで平衡化した2
mlDEAEカラムにかけた。フロースルーを、緩衝液Aで平衡化したプロテイ
ンG−セファロースCL−4B(ファルマシア)カラム(0.5mlのベッド容
量)にかけた。カラムを10mlの緩衝液Aで洗浄して、3mlの0.3Mグリ
シン、pH3.0で溶出して1,25mlの1Mトリス、pH8.0に入れた。
F(ab)を次いで、セントリコン−30(アミコン)を使用してPBSへ緩衝
液交換し、最終容量を0.5mlに濃縮した。全てのF(ab)についてSDS
−PAGEゲルを行って純度を確認し、またエレクトロスプレー質量分析により
それそれの変異体の分子量を確認した。
(b)キメラ及びヒト化したIgGの構築
キメラ(chIgG1)のヒトIgG1変異体、及びヒト化した(HuIgG
1)MHM24について、適切なマウス又はヒト化した可変軽鎖及び可変重鎖(
F(ab)−8、表II)領域をそれぞれ、pRKベクターとして以前記載され
ているもの(Gormanら、DNA Protein Eng.Tech.2
:3(1990))へ別々にサブクローン化した。HuIgG1軽鎖及び重鎖の
プラスミドについて部位特異的突然変異導入(Kunkel、Proc.Na
tl.Acad.Sci.USA 82:488(1985))を行って、アラ
ニン−スキャン変異体を構築した。それぞれの変異体のDNA配列はジデオキシ
ヌクレオチド配列決定法により確認した。
高効率法(Grahamら、J.Gen.Virol.36:59(1977
);Gormanら、Science,221:551(1983))を利用し
て、重鎖及び軽鎖のプラスミドを、アデノウイルスで形質転換したヒト胎児性腎
臓細胞株、293(Grahamら、J.Gen.Virol.36:59(1
977))に同時形質移入した。培地を無血清のものに交換して、5日間、毎日
回収した。プロテインA−セファロースCL−4B(ファルマシア)を使用して
、上清のプールから抗体を精製した。溶出した抗体を、セントリコン−30(ア
ミコン)を使用してPBSに緩衝液交換し、0.5mlに濃縮して、Mille
x−GV(ミリポア)でフィルターにかけて無菌化して、4℃で保存した。
抗体の濃度は、全Ig−結合性ELISAで決定した。参照用のヒト化抗−p
185HERIgG1(Carterら、Proc.Natl.Acad.Sci
.USA 89:4285(1992))の濃度はアミノ酸組成分析により決定
した。96穴プレートのそれぞれのウェルを1μg/mlのヤギ抗−ヒトIgG
F(ab’)2(Cappel Laboratories、Westches
ter,PA)で4℃で24時間コートした。精製した抗体を希釈し、二つ一組
にしてコート済プレートに加えた。1.5時間のインキュベーション後、プレー
トをPBS−0.02%Tween20で洗浄し、1:2000に希釈したホー
スラディッシュペルオキシダーゼ共役ヒツジ抗−ヒトIgGF(ab’)2を加
えた。1.5時間のインキュベーション後、プレートを洗浄して0.1mlの0
.2mg/mlのo−フェニレンジアミンジヒドロクロリド−0.01%過酸化
水素−PBSを加えた。10分後、2Mの硫酸で反応を停止させ、490nmの
0.D.を測定した。
(c)アカゲザルCD11aI−領域のクローニング
RT−PCR及びヒトCD11aDNA配列由来のプライマーを使用してアカ
ゲザルのI領域のDNA配列を得た。簡単にいうと、Fast Track m
RNA精製キット(Invtorgen)を使用して、mRNAを約107のア
カ
ゲザルリンパ球より単離した。MuLV逆転写酵素を利用して、10μgのmR
NAを逆転写した。次いで、第一鎖cDNAを以下のプライマーを使用して40
サイクルのPCRで増幅させた:
5’−CACTTTGGATACCGCGTCCTGCAGGT−3’(前向
き)(配列認識番号:21)、及び
5−CATCCTGCAGGTCTGCCTTCAGGTCA−3’(逆向き
)(配列認識番号:22)。
アガロース電気泳動により、予想したサイズの単一バンドをPCR反応物から
精製した。PCR産物を制限酵素Sse8387I(タカラ)で消化し、同じ制
限酵素で消化済のヒトCD11a含有プラスミドに連結した。ヒトCD11a配
列には二つのSse8387I部位があり、一つはI−領域の何れか側にある。
得られたプラスミドはアカゲザルI−領域でヒトI−領域を置換したヒトCD1
1aからなるキメラをコードしている。DNA配列分析により、ヒトどアカゲザ
ルとの間で5アミノ酸の違いがあることが判明した。一つはI−領域のN−末端
領域側にあり(Thr59Ser)、その他の4つはI−領域自身内にあった:
Va1133Ile、Arg189Gln、Lys197G1u、及びVa13
08A1a(図2)。
(d)F(ab)及びIgGのジャーカット細胞への結合のFACScan分
析
ヒト化した及び対照の抗体について、PBS−0.1%BSA−10m
Mアジ化ナトリウムで連続的に希釈したもので、106のジャーカツトT−細胞
の一定分量を、4℃で45分間インキュベーションした。細胞を洗浄し、次いで
フルオレセイン共役ヤギ抗−ヒトF(ab’)2(Organon Tekni
ka、Westchester、PA)中で、4℃で45分間インキュベーショ
ンした。細胞を洗浄してFACScan(Becton Dickinson、
Mountain View、CA)で分析した。8×103の細胞をリストモ
ードで得て、前光スキャッター 対 側光スキャッターでゲートして、これによ
って死滅細胞及び細片を除外した。
(e)見かけのKdsを決定するための飽和結合
Iodo−Gen(Pierce,Rockford、IL)を、製造者の指
示に従って使用して、放射性標識した抗体を調製した。50μgの抗体及び1m
Ciの125I(DuPont、Wilmington、DE)をそれぞれのチュ
ーブに加えて、25℃で15分間インキュベーションした。放射性標識した蛋白
質を、0.2%ゲラチン含有のハンクの均衡塩溶液(HBSS、Life Te
chnologies、Grand Island、NY)で平衡化したPD−
10カラム(ファルマシア、Uppsala、Sweden)を使用して、残り
のフリー遊離125Iから精製した。
リンパ球分離培地(LSM、Organon Teknika、Durham
、NC)を製造者の指示に従って使用して、単核細胞を、二人の提供者より得た
、ヘパリン処理済ヒト末梢血から精製した。血液は、400×gで40分間25
℃で、ブレーキなしで遠心した。LSMと血漿の界面の細胞を回収して、次いで
HBSS−0.2%ゲラチン中に再懸濁した。
デキストラン沈殿により二匹のアカゲザルの個体より回収した、ヘパリン処理
済末梢血より、リンパ球を精製した。血液は、等量のPBS中の3%デキストラ
ンT500(ファルマシア)で希釈して、25℃で30分間放置して沈殿させた
。沈殿後、上清中に残っている細胞を回収して、400×gで5分間遠心して沈
殿させた。残った赤血球は、蒸留水及び2×HBSSを使用した、2サイクルの
低浸透圧性溶解により除去した。赤血球の溶解後、細胞をPBSで洗浄して、次
いでHBSS−0.2%ゲラチン中に再懸濁した。
抗体の親和性は、末梢血単核細胞(マウスMHM24及びHuIgG1)、又
はアカゲザルリンパ球(MHM23、RhIgG1)の何れかを使用して、飽和
結合により決定した。それぞれのアッセイでは、放射性標識した抗体を、4つ一
組にしてHBSS−0.2%ゲラチンで連続的に希釈した。非特異的結合は、最
終濃度500nMの相同性非標識抗体を二つ一組にして連続的に希釈して加える
ことにより決定した。ヒトリンパ球又はアカゲザルリンパ球を、1ウェル当たり
170μlの容量でプレートに加えた。プレートを、軌道プレート震盪機上で2
時間、室温でインキュベーションした。インキュベーション後、SKATRON
(商標)細胞回収器(Lier、Norway)を使用して回収し、0.25%
ゲラチン及び0.1%アジ化ナトリウムを含有するPBSで10回洗浄した。次
いで試料は、LBK Wallac GammaMaster ガンマカウンタ
ー(Gaitherburg、MD)中で1分間カウントした。データは、毎分
のカウント数から、ナノモル濃度に変換し、次いで飽和プロットの4変数曲線最
適化(結合 対 全)を行ってKd(app)値を決定した。
(f)ケラチノサイト単層接着アッセイ
正常なヒト上皮ケラチノサイト(Clonetics、San Diego、
CA)を、トリプシン−EDTAで培養フラスコより除去し、遠心し、リンパ球
アッセイ培地(RPMI1640(GIBCO)−10%ウシ胎児血清−1%ペ
ニシリン/ストレプトマイシン)中に、5×105生細胞/mlの濃度で再懸濁
した。0.1ml/ウェルの一定分量を次いで、底が平面の96穴プレート中で
一晩培養した;インターフェロン−ガンマ(Genentech、South
San Francisco、CA)を100単位/ウェルで加えて、適当なウ
ェルを刺激した。
ジャーカット細胞クローンE6−1(ATCC、Rockville、MD)
又は精製済アカゲザルリンパ球(MLR法を参照されたい)を、20μg/ml
のCalcein AM(Molecular Probe、Eugene、O
R)で、37℃で45分間標識した。リンパ球アッセイ培地で3回洗浄した後、
ジャーカット又はアカゲザルリンパ球細胞を1×106細胞/mlに再懸濁し、
連続的に希釈した抗体とともに、4℃で30分間インキュベーションした。ケラ
チノサイトの単層より培地を除去した後、0.1ml/ウェルの標識済細胞を加
えて、37℃で1時間インキュベーションした。ウェルを0.2ml/ウェル/
回で、37℃のリンパ球培地で5回洗浄して、非接着細胞を除去した。Cyto
fluor2330(ミリポア、Bedford、MA)を使用して、蛍光を測
定した。
アカゲザルのI−領域を有するヒトCD11aを具備した、アカゲザル−ヒト
キメラCD11a(Rh/HuCD11a)を、部位特異的突然変異導入(Ku
nkel、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:488(1
985))により、ヒトCD11aをコードしたデオキシウリジン含有鋳型プラ
スミド上で構築した。4つの残基を変化させた:Va1133Ile、Arg1
89Gln、Lys197G1u、及びVa1308A1a(図2)。RH/H
uCD11bi及びヒトCD11aをコードするプラスミド(EP364,69
0)を、高効率法(Grahamら、J.Gen.Virol.36:59(1
977);Gormanら、Science,221:551(1983))を
利用して、アデノウイルスで形質転換したヒト胎児性腎臓細胞株、293(Gr
ahamら、J.Gen.Virol.36:59(1977))に同時形質移
入した。Rh/HuCD11aで形質移入した293細胞を、20μg/mlの
Calcein AMで、37℃で45分間標識した。リンパ球アッセイ培地で
3回洗浄した後、Rh/HuCD11aで形質移入した293細胞を、1×106
細胞/mlに再懸濁し、連続的に希釈した抗体とともに、4℃で30分間イン
キュベーションした。培地をケラチノサイト単層より除去した後、0.1ml/
ウェルの標識済293細胞を加えて、37℃で1時間インキュベーションした。
ウェルを、0.2ml/ウェル/回の、37℃のリンパ球培地で5回洗浄して、
非接着細胞を除去した。Cytof1uor2300を使用して蛍光を測定した
。
(g)ICAM接着アッセイ
Maxisorp(Nunc)96穴のプレートを0.1ml/ウェルの1μ
g/mlヤギ抗−ヒトIgGFc(Caltag)で、37℃で1時間コートし
た。プレートをPBSで3回洗浄した後、プレートを1%BSA−PBSで、2
5℃で1時間ブロックした。次いでプレートをPBSで3回洗浄し、0.1ml
/ウェルの50ng/ml組換えヒトICAM−IgGを加えて、一晩インキュ
ベーションした。
ICAM−IgGは、ヒトIgGFcに融合させたヒトICAMの5つの細胞
外領域からなる。ヒトICAM−1(Simmonsら、Cell、331:6
24−627(1988)、及びStautonら、Cell、52:925−
933(1988))イムノアドヘシンの発現用のプラスミドで、pRK.5d
ICAMGaIGと呼ばれるものを構築した。これは、ICAM−1のIg−様
領域を5つ、サブチリシンBPN’のH64A変異体であるGenenaseI
(Carterら、Proteins:Structure Function
、
and Genetics 6:240−248(1989))により認識され
る6アミノ酸の開裂部位、及ひヒトIgG1(Ellisonら、Nuclei
c Acids Research 10:4071−4079(1982))
のFc領域をpRK5ベクター(Eatonら、Biochemistry 2
5:8343−8347(1986))に含むものである。ヒト胎児性腎臓29
3細胞(Grahamら、J.Gen.Virol. 36:59(1977)
)をpRK.5dICAMGaIg、及びRSV−neoプラスミド(Gorm
anら、Science、221:551−553(1983))で安定に形質
転換して、ICAMIgの5つの領域(5dICAMIg)を発現する細胞株を
作り出した。ヒトIgGFcに対する抗体(Caltag、Burlingam
e、CA)及びICAM−1(BBIG−II;R&D System、Min
neapolis、MN)を使用した酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)に
より、分泌した5dICAMIgを20μg/ml発現するクローンを選択した
。0.01M Hepes緩衝液(pH7.0)、0.15M NaCl(HB
S)、で平衡化したProteinAカラム(ProsepA、Bioproc
essing、Ltd.、Durham、England)にこの細胞株の細胞
培養の上清をかけ、カラムをHBS、次いで0.01M Hepes緩衝液(p
H7.0)、0.5MNaCl、0.5M TMAC(テトラ−メチルアンモニ
ウムクロリド)で洗浄して、非特異的結合物質を除去した。HBSで、TMAC
緩衝液をカラムから完全に洗浄し、5dICAMIgを0,01M Hepes
(pH7.0)、3.5M MgCl2及び10%(w/v)グリセロールで溶
出した。ProteinAプールをHBSに対して徹底的に透析して濃縮した。
精製したアカゲザルのリンパ球(MLR法を参照されたい)を、20μg/m
lのCalceinAM(Molecular Probe、Eugene、O
R)で37℃で45分間標識した。リンパ球アッセイ培地で3回洗浄した後、ア
カゲザルリンパ球細胞を1×106細胞/mlに再懸濁し、連続的に希釈した抗
体とともに、4℃で30分間インキュベーションした。ICAM−IgGでコー
トしたプレートより培地を除去した後、0.1ml/ウェルの標識済細胞を加え
て、37℃で1時間インキュベーションした。ウェルを0.2ml/ウェル/回
で、
37℃のリンパ球培地で5回洗浄して、非接着細胞を除去した。Cytoflu
or2330(Millipore、Bedford、MA)を使用して、蛍光
を測定した。
(h)一方向混合リンパ球応答(MLR)
ヒト及びアカゲザルのMLRに対し、リンパ球分離培地(Organon T
eknika、Durham、NC)を使用して、二つの関連していない提供者
に由来する末梢血リンパ球を、ヘパリン処理した全血より単離した。リンパ球は
、RPMI1640(GIBCO)−10%ヒトAB血清−1%グルタミン−1
%ペニシリン/ストレプトマイシン−1%非必須アミノ酸−1%ピルビン酸塩−
5×10-5M 2−β−メルカプトエタノール−50μg/mlゲンタマイシン
−5μg/mlポリミキシンB中に3×106細胞/mlの濃度で再葱濁した。
セシウム照射装置中で3000ラッドの放射を行って、刺激細胞を非反応性にし
た。ウェル当たり1.5×105細胞の濃度の応答細胞を、等数の刺激細胞とと
もに、96ウェルの平底プレート中で一緒に培養した。2倍づつ連続して希釈し
たそれぞれの抗体を、培養物に加えて全量を200μl/ウェルにした。培養物
を、5%CO2中で37℃で5日間培養した後、1μCi/ウェルの[3H]チミ
ジンとともに16時間、パルスした。[3H]チミジンの取り込みを、Beckm
anシンチレーションカウンターで測定した。アッセイは3つ一組にして行った
。ヒト化抗−ヒトp185HERMAb(Carterら、Proc.Natl.
Acad.Sci.USA 89:4285(1992))を、HuIgG1及
びRhIgG1に対するアイソタイプ対照として使用した。マウス抗−ハムスタ
ーtPA MAb(Genentech)を、MHM23 MAbに対するアイ
ソタイプ対照(マウスIgG1)として使用した。MAb25.3は、Immu
notech社(Westbrook、ME)より購入した。
(i)マウス及びヒト化MHM24にコンピュータグラフィックスモデル
VL及び、VH領域の配列(図1A及びB)を使用して、マウスのMHM24
VL−VH領域のコンピュータグラフィックスモデルを構築した。このモデルを
使って、どのフレームワーク残基をヒト化抗体へ組み込むべきかを決定した。F
(ab)−8のモデルもまた構築して、マウスのフレームワーク残基の正しい選
択を確認した。モデルの構築は、以前記載されたようにして(Carterら、
Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:4285(1992);
Eigenbrotら、J.Mol.Biol.229:969(1993))
行った。
結果
(a)ヒト化
ヒト重鎖サブグループIII及び軽鎖サブグループκIのコンセンサス配列を
ヒト化のフレームワークとして使用した(Kabatら、Sequenceso
f Proteins of Immunological Interes.
5th Ed.Public Health Service、Nationa
l Institute of Health、Bethesda,MD.(1
991))(図1A及びB)。このフレームワークをうまく使用してマウスの他
の抗体のヒト化に成功した(Carterら、Proc.Natl.Acad.
Sci.USA 89:4285(1992);Pretaら、J.Immun
ol.151:2623−2632(1993);Eigenbrotら、Pr
oteins 18:49−62(1994))。ヒト化変異体の全てをまず作
製して大腸菌内で発現したF(ab)sについての結合性によりスクリーニング
した。典型的な収量としては、500mlの震盪フラスコ当たり、0.2−0.
5mgのF(ab)であった。マススペクトロスコピーによって、それぞれのF
(ab)の質量は5質量単位内にあることが確認された。
CDR−H1はH28−H35残基を含んでいたが、これにはKabatら(
Sequences of Proteins of Immunologic
al Interes.5th Ed.Public Health Serv
ice、National Institute of Health、Bet
hesda,MD.(1991))、及びChothiaら(Nature、3
42:877−883(1989))の露出残基の全てが含まれていた。他の超
可変ループは、Chothiaら(1989)に従って定義した。軽鎖の残基数
はLの接頭辞が付き、重鎖の残基数はHの接頭辞が付く。
表II
ヒト化MHM24変異体の、ジャーカット細胞上のヒトCD11aへの結合 a マウスの残基は太字;残基数はKabatら、Sequences
of Proteins of Immunological Intere
st.5th Ed.Public Health Service、Nati
onal Institute of Health、Bethesda,MD
.(1991)による。
b 平均及び標準偏差は独立したそれぞれのFACscan分析に対し
て計算した割合の平均である;F(ab)‐2のEC50は771±320ng
/
mlであった。
c HuIgG1は、ヒトの軽鎖及び重鎖の定常部に融合されたF(a
b)−8 VL及びVH領域である。
d chIgG1は、ヒトの軽鎖及び重鎖の定常部に融合したマウスの
VL及びVH領域を有するキメラIgGである。
最初の変異体であるF(ab)−1においては、CDR残基はマウスの抗体か
らヒトのフレームワークへと移行されている。更に、残基H71について、ヒト
のArgからマウスのValに変化させたが、それはこの残基かCDR−H1及
びCDR−H2のコンホメーションに影響することが以前に示されたからである
(Chothiaら、Nature、342:877−883(1989);T
ramontano J.Mol.Biol.215:175(1990))。
このF(ab)では検出可能な結合は見られなかった。F(ab)−2において
は、CDR−H2は、配列に基づく定義(即ち、残基H60−H65を含む)を
含むように伸長された。ヒトCD11aに対するF(ab)−2の結合のEC5
0は、771±320ng/mlであったが、これはキメラIgG1のEC50
(5.2±3.0ng/ml)よりも148倍弱いものである。
以前行ったヒト化においては、CDR−H1及びCDR−H2に隣接するフレ
ームワークループ(FR−3)中の残基が結合に影響することが発見されている
(Eigenbrotら、Proteins 18:49−62(1994)
)。F(ab)−5においては、このループ中の3つの残基が対応するマウスの
もの代えられていて、またこの変異体は結合において23倍の改善がみられた(
表II)。ヒトのL53及びL55の残基をマウスのものにすると(即ち、Se
rL53The、及びGluL55Gln)、更に4倍も結合が改善された(F
(ab)−6、表II);これはCDR−L2を、構造に基づく定義(残基L5
0−L52)から、配列に基づく定義(残基L50−L56)に効果的に変換し
た。CDR−H1において引き続いて行ったPheH27からマウスのTyrへ
の変換により、更に3倍の改善がなされた(F(ab)−7;表II)。最後に
、マウスの及びヒト化したMHM24のモデルに基づいて、FR−3における3
つの
マウス残基のうち2つ(H75及びH76)をヒトに戻し、この二つの残基は結
合にはなんら影響を与えないことがわかった(F(ab)−7及びF(ab)−
8を参照;表II)。F(ab)−8のEC50の平均はキメラIgGのものよ
りも若干良かった(表II)。必ずしもヒトからマウスへの変化の全てが結合を
改善したわけではない。PheH67をマウスのAlaに変化させたか、それは
この部位が結合に影響を与えることが以前にわかっていたが(Prestaら、
J.Immunol.151:2623−2632(1993))、効果が明ら
かではなかったためである(F(ab)−3、表II)。ValH71をヒトA
rgに戻すと、結合性が3倍減少したが(F(ab)−4、表II)、これはF
(ab)−1にVa1H71を取り込むことを支持する。
F(ab)−8由来のVL及びVH領域を、ヒトIgG1の定常領域に移行し
た。全長の無処置の抗体であるHuIgG1は、F(ab)−8と同等のEC5
0を示し、全長のキメラIgG1と比較したときには改善されていた(表II)
。アラニン−スキャン及びMLRアッセイ用の標準物質としての使用を含む(以
下参照)HuIgG1の全てのアッセイのデータを考慮すると、ヒトCD11a
に対するHuIgGのEC50は、0.042±0.072nM(N=15)で
あった。飽和結合アッセイも更に行って、見かけの解離定数Kd(app)を決
定した:マウスMHM24については0.15±0.02nM;HuIgG1に
ついては0.15±0.04nM(表III)。
表III
ヒトリンパ球及びアカゲザル白血球に対する飽和結合による見かけのKd a アカゲザルのドナー3についてのアッセイは、RhIgG1につい
ての二つのバッチを使用して行った;このアッセイは1mg/mlのヒトIgG
1の存在下で、Fc受容体相互作用をブロックして行った。
(b)CDR残基のアラニン−スキャン
どのCDR残基がヒトCD11aへの結合に関るのかを決めるため、H
uIgG1のCDR残基についてのアラニン−スキャン(Cunningham
ら、Science、244:1081(1989))を行った。それぞれの変
異体につい-て、ジャーカット細胞上のCD11aへの結合を試験した。軽鎖に
おいては、CDR−L3のみが結合に寄与した。HisL91は、大きな効果が
あったが(表IV)、この側鎖は一部が埋まっているはずであるから、おそらく
はコンホメーション的なものであろう。残基AsnL92及びTyrL94はよ
り適度の効果があり、それぞれ3倍及び12倍の減少があった。しかしながら、
これらの二つの残基を(GluL93A1aと同様に)アラニンに同時に変化さ
せ
ると、結合については付加的な影響を与えることがないことに注目されたい(変
異体L3、表IV)。
表IV
ヒト化したMHM24のCDR残基についてのアラニン−スキャン 表IV(続き) a CDRとFR−3は、Kabatら(1991、上記)に定義され
るものである。
b ヒトのCD11aに対するHuIgG1のEC50=0.042n
M(S.D.=0.072;N=15)。
c アカゲザルのCD11aに対するHuIgG1のEC50=45.
6nM(S.D.=40.4;N=16);アカゲザルノCD11aに対する全
ての値は、特に断らないかぎり単一の結合アッセイに対するものである;nbは
HuIgG1よりも10倍以上弱い、変異体の結合を意味する。
d 多重アラニン変異体:
H1,SerH28Ala/TheH30Ala/HisH32Ala;
H2,HisH52Ala/SerH53Ala/SerH55Ala;
H2B,AspH54Ala/GluH56Ala/ArgH58Ala;
H2A1,HisH52Ala/SerH53Ala;
H2A2,SerH53Ala/SerH55Ala;
H2A3,HisH52Ala/SerH55Ala;
H3,TryrH97Ala/TyrH99Ala;
H3B,ThrH100aAla/ThrH100bAla/TyrH100cAla;
L1,LysL27Ala/ThrL28Ala/SerL30Ala/LysL31Ala;
L2,SerL50Ala/SerL52Ala/ThrL53Ala;
L3,AsnL92Ala/GluL93Ala/TyrL94Ala。
e hu4D5はヒト化した抗−p185HER2抗体であり、huMHM
24抗体(Carterら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA8
9:4285(1992))と同じIgG1フレームワークを有するものである
。
重鎖においては、CDR−H2及びCDR−H3は結合に関しての顕著な貢献
をしている。CDR−H1のTrpH33Ala残基は大きな効果を有するが、
TrpH33が一部において埋まっているはずであるためコンホメーション変化
によるものであると思われる。結合について最も重要な単一残基は、CDR−H
2中のAsp-H54である;この残基をアラニンに代えると、結合について1
47倍の減少が起きる(表IV)。CDR−H2中の、結合に関る他の残基には
、GluH56、GlnH61、及びLysH64(表IV)が含まれる。CD
R−H3においては、TyrH97Alaにより、結合が11倍減少し、Tyr
H100cAlaにより結合が8倍減少した。CDR−L3のように、複数のC
DR−H3残基を同時にアラニンに変化させると、結合についての、非付加的な
大きな変化が起きた(変異体H3と、TyrH97Ala及びTyrH99Al
aとの対比を参照されたい;表IV)。更に、ヒト化したものに含まれるFR−
3のLysH73残基はまた、アラニン又はアルギニンへ変化したときには、結
合
について5倍の減少を示した(表IV)。
(c)アカゲザルCD11aへ結合させるためのHuIgG1の再改変
マウスMHM24及びHuIgG1は共に、アカゲザルCD11aへの結合に
ついて約1000倍の減少を示した:HuIgG1は、アカゲザルCD11aに
対して45.6±40.4nM(N=16)であるEC50を有し、これに対し
、ヒトCD11aに対してのEC50は0.042±0.072nMである。M
HM24の生物学、毒性及び有効性において、霊長類モデルは重要であるため、
HuIgG1のアカゲザルCD11aに対する結合を改善することは、有益であ
ると思われる。初期においては、アカゲザルにとっては重要であるがヒトとって
はそうではないものが変化されるようにして、MAbの超可変領域の残基でヒト
CD11a及びアカゲザルのCD11aへの結合に重要であるものが決定された
。従って、アラニン−スキャン変異体もまた、末梢血リンパ球上のアカゲザルの
CD11aに対してアッセイにかけられた。最も重要な発見は、多重アラニン−
変異体株の一つであるH2変異体が、HuIgG1よりも18倍よくアカゲザル
CD11aに結合したことである(表IV)。しかしながら、H2変異体に含ま
れる3つの残基における個々の変異は、結合について最小の改善しか示さなかっ
た:HisH52Ala、0.7倍改善、SerH53Ala、0.7倍改善、
及びSerH55Ala、 1.3倍悪化(表IV)。これら3つの残基におけ
る一連の二重変異は、HisH52Ala−SerH53A1aの組合せが最も
良いことを示したが、これによってHuIgG1に比較して77倍の改善が提供
される(変異体H2A1,H2A2,及びH2A3を参照、表IV)。更に、H
uIgG1におけるAspH54は、ヒトCD11aについて最も重要な結合性
残基であるが、AspH54Ala及びGluH56Ala変異体はまた、Hu
IgGよりも3倍の改善を示した(表IV)。
アカゲザルのCD11aへの結合を改善するがヒトCD11aへの結合は低減
しないと思われる、部位H54における単一の置換を発見するため、部位H54
を種々のアミノ酸で置換した。全ての置換において、1オーダー以上の大きさに
で結合性が低減されたが、一方、AspH54Asn置換によりアカゲザルの結
合が10倍改善された(表V)。
表V
AspH54におけるアミノ酸置換 a ヒトCD11aに対するHuIgG1のEC50=0.042nM
(S.D.=0.072;N=15);アカゲザルCD11aに対するHuIg
G1のEC50=45.6nM(S.D.=40.4;N=16)。
b 値は二つのアッセイの平均である。
c 値は単一のアッセイの平均である。
部位H52−H53での変異について、非付加的効果が見られたので、
これらを部位H54及びH56における種々の変化と組み合わせた(表VI)。
全ての変異体に対しては、H52及びH53はアラニンであった。一つのシリー
ズにおいては、部位H54はAsnであり、部位H56はGlu(オリジナル)
、
Ala、Asn、又はGlnであった。これらの変異体のいずれも、H2A1変
異体をうわまる、アカゲザルCD11aへの改善した結合を示さなかった(表V
I)。別のシリーズにおいては、部位H54はAlaであり、H56はGlu(
オリジナル)、Ala、Ser、又はAsnであり、再び、H2A1よりも悪か
った。第三のシリーズにおいては、部位54はSerであり、部位H56はGl
u(オリジナル)、Ala、Ser、又はAsnであった。これらの変異体の内
の二つは、H2A1変異体と比較して改善された、アカゲザルCD11aに対す
る結合を示した(H2C11及びH2C12、表VI)。これら二つの変異体に
ついてのアカゲザルCD11aのEC50は、H2C11については0.11±
0.11nM(N=9)であり、H2C12については0.19±0.08(N
=7)であった。これらの値は、ヒトCD11aに対するHuIgG1のEC5
0(0.042nM)よりも3倍から5倍弱いものであるが、アカゲザルCD1
1aに対するHuIgG1のEC50(45.6nM)よりも24.0倍から4
15倍も改善されている。H2C12は以後、RhIgG1と呼ぶ。飽和結合実
験由来の見かけのKd値は、マウスMHM23がアカゲザルCD18に結合した
のと同様に、RhIgG1がアカゲザルCD11aに対して結合することを示し
た(表III)。
表VI
ヒト及びアカゲザルのCD11aに対するCDR−H2の結合 a ヒトCD11aに対するHuIgG1のEC50=0.042nM
(S.D.=0.072、N=15);アカゲザルCD11aに対するHuIg
G1のEC51=45.6nM(S.D.=40.4;N=16);アカゲザル
CD11aについての全ての値は、注記した場合を除いて、二つの独立した結合
アッセイの平均値である。
HuIgG1−ヒトCD11aの相互作用については、AspH54が最も重
要な残基であった(表IV);この残基を他のアミノ酸に代えると、顕著に結合
性を低減したが、そのなかでは、Glu、Asn、及びGlnへ代えるものが最
も減少が低かった。しかしながら、HuIgG1−アカゲザルCD11aの相互
作用の場合には、AspH54は、この残基をAlaやAsnに代えると結合が
改善されるので有害であった(表V)。ヒト及びアカゲザルのCD11aの結合
の間の差異を理解するため、後者をアカゲザルPBLライブラリーよりクローン
化した。図2は、アカゲザルCD11aI−領域は、ヒトCD11aI−領域と
は、4つの部位:133、189、197、308のみにおいて異なっているこ
とを示している。以前、MHM24のヒトCD11aエピトープが、残基197
−203にマッピングされたが(Champeら、J.Biol.Chem.2
70:1388−1394(1995))、これにはアカゲザルにおける、ヒト
Lys197からアカゲザルGlu197への変化が含まれている。
(d)ケラチノサイト細胞付着アッセイ
マウスMHM24、キメラIgG1及びHuIgG1を、ジャーカット細胞(
LFA−1を発現するヒトT−細胞)の、ICAM−1を発現する正常なヒト上
皮ケラチノサイトへの付着を阻止する能力について比較した。3つの抗体全ては
、同様のIC50で同様に振る舞った(図3)(表VII)。
表VII
MHM24変異体による細胞付着の阻止
a HuK=正常なヒト上皮ケラチノサイト
b RhLy=アカゲザルリンパ球
c HuICAM=組換えのヒトICAM−1
d Rh/HuCD11a=アカゲザルI−領域を有するヒトCD11
aをヒト293細胞へ形質移入したもの
マウス及びヒト化したMHM24のいずれも、アカゲザルとカニクイザルのリ
ンパ球がヒトケラチノサイトに付着するのを阻止しなかった。ヒトケラチノサイ
トに対するアカゲザルリンパ球の付着を阻止することにおいて、RhIgG1を
マウスの抗−ヒトCD18抗体MHM23(Hildrethら、Eur.J.
Immunol.13:202−208(1983):Hildrethら、J
.Immunol.134:3272−3280(1985))と比較すると、
RhIgG1はMHM23よりも74倍、効果が低い(図4A、表VII)。し
かしながら、組換体のヒトICAM−1を(ヒトケラチノサイトの代りに)プレ
ートにコートすると、RhIgG1はMHM23よりも4倍効果が低いのみであ
った(図4B、表VII)。I−領域がアカゲザルに変異したヒトCD11a(
V
al133Ile、Arg189Gln、Lys197G1u、Val308A
la)を具備するキメラCD11aを、ヒト胎児性腎臓293細胞内へ形質移入
した。これらのRh/HuCD11a−293細胞についての、ヒトケラチノサ
イトへの付着を阻止することにおいて、RhIgG1は再び、MHM23よりも
4倍低かった(図4C、表VII)。
RhIgG1に対する、対照のアイソタイプ抗体(ヒト化抗−p185HER2抗
体;Carterら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:4
285(1992))、及びMHM23(マウスMAb354、マウスIgG1
抗−ハムスターtpA)は、ヒトケラチノサイトに対するアカゲザルリンパ球の
結合も、ヒトケラチノサイトに対する組換体ICAM−1(図4A、4B)、や
Rh/HuCD11a(図4C)の結合も阻止することはなかった。これは、ア
カゲザルリンパ球:ヒトケラチノサイトアッセイにおけるマウスMHM23と比
較した場合の、RIgG1の低減した成績は、(MHM23のマウスFcと比較
したときの)HuIgG1のヒトFcのアカゲザルリンパ球との予期せぬ相互作
用によるものではないことを示唆しているが、これはアカゲザルCD11aへの
結合が可能なRhIgG1の濃度を低減させるかもしれない。組換体のヒトIC
AM−1のデータは、RhIgG1はアカゲザルリンパ球に結合していて、マウ
スMHM23とほとんど同様に付着を阻止していることを示している(図4B、
表VII)。Rh/HuCD11a−293のデータ(図4C、表VII)は、
RhIgG1が、ヒトケラチノサイト上の標的には結合しておらず(HuIgG
1と比較した場合)、これはアカゲザルCD11aへ結合することが可能なRh
IgG1の濃度を低減させるかもしれない。更に、アカゲザルIgG1に対する
RhIgG1のKd(app)は、1mg/mlのヒトIgG1有(アカゲザル
ドナー3)の場合、無し(アカゲザルドナー1)の場合と同様であった(表II
I)。これは、RhIgG1の結合が、アカゲザルCD11aに特異的であるこ
とを示している。
(e)混合リンパ球応答アッセイ
MLRにおいては、HuIgG1はマウスMHM24よりも2倍弱いIC50
値を示した(表VIII、図5)。
表VIII
混合リンパ球応答アッセイの結果
a murMHM24、HuIgG1、及びmAb25.3はヒトML
Rで試験した:RhIgG1及びMHM23は、アカゲザルMLRで試験した。
マウスの及びヒト化したMAbsは、MAb25.3よりも10倍から20倍
、うまくいったが、MAb25.3は以前にin vivoで試験されている(
Fisherら、Blood77:249−256(1991);Stoppa
ら、Transplant Intl.4:3−7(1991);Hourma
ntら、Transplantation、58:377−380(1994)
)。アカゲザル−結合性変異体のRhIgG1は、マウスMHM23よりも若干
だけよいIC50を示した(表VIII)。異なる応答者:刺激者の血液提供者
を、独立したアッセイにおいて使用したが、結果は顕著には異ならなかった。ア
カゲザルCD11aに対するRhIgG1のKdは、ヒトCD11aに対するH
uIgG1のKdよりも26倍低く(表III)、これはMLRアッセイに由来
するIC50値に反映されている(表VIII)。
【手続補正書】
【提出日】平成11年5月28日(1999.5.28)
【補正内容】
請求の範囲
1. ヒトCD11aI‐ドメインに特異的に結合するヒト化抗CD11a抗体
。
2. CD11a上のエピトープMHM24に結合する請求項1記載のヒト化抗
CD11a抗体。
3. ヒト カッパIコンセンサス軽鎖フレームワーク残基66Lを有する、請
求項1又は2記載のヒト化抗CD11a抗体。
4. 全てのヒト カッパIコンセンサス軽鎖フレームワーク残基を有する、請
求項1から3のいずれか1項記載のヒト化抗CD11a抗体。
5. ヒトVHサブグループIIIコンセンサス重鎖フレームワーク残基93Hを有 する
請求項1から4のいずれか1項記載のヒト化抗CD11a抗体。
6. VHサブグループIIIコンセンサスヒト抗体可変ドメイン内に組み入れた非 ヒトCDRを有する可変ドメインを含有し、且つ27H、28H、30H、49 H、71H及び73Hからなる群から選択したサイトでアミノ酸置換をさらに備 える請求項1から5のいずれか1項記載のヒト化抗CD11a抗体。 7
. ヒト化抗体MHM24(F(ab)-8のCDR1(配列番号:10)、CDR2(
配列番号:11)及び/又はCDR3(配列番号:12)のアミノ酸配列を含んだ
重鎖可変領域を有する請求項1又は2記載のヒト化抗CD11a抗体。8
. 配列番号:5のアミノ酸配列を含む請求項1又は2記載のヒト化抗CD1
1a抗体。9
. ヒト化MHM24(F(ab)-8のCDR1(配列番号:13)、CDR2(配列
番号:14)及び/又はCDR3(配列番号:15)のアミノ酸配列を含んだ軽鎖
可変領域を有する請求項1又は2記載のヒト化抗CD11a抗体。10
. 配列番号:2のアミノ酸配列を含む請求項1又は2記載のヒト化抗CD
11a抗体。
11. 配列番号:5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号::2の
アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有する請求項1又は2記載のヒト化抗CD1
1a抗体。
12. 完全長抗体又は抗体フラグメントである請求項1から11のいずれか1 項
記載のヒト化抗CD11a抗体。13
. 以下の特性: (a)約1x10-8MまでのKd値でヒトCD11aに結合する、 (b)通常のヒト表皮ケラチノサイト発現ICAM‐1へのジャーカット細胞の 接着を防止するため約1nMまでのIC50(nM)値を有する、又は (c)混合リンパ球応答アッセイにおいて約1nMまでのIC50(nM)値を有 する、 の少なくとも1つを有する請求項1から12のいずれか1項記載のヒト化抗CD 11a抗体
。
14. 検出可能な標識に結合した請求項1から13のいずれか1項記載のヒト 化抗CD11a
抗体を備えた標識化抗体。
15. 固相上に固定化した請求項1から13のいずれか1項記載のヒト化抗C D11a
抗体を備えた固定化抗体。
16. 細胞毒性剤に結合した請求項1から13のいずれか1項記載のヒト化抗 CD11a
抗体を備えた接合体。
17. 請求項1から13のいずれか1項記載のヒト化抗CD11a抗体にCD
11aタンパク質の含有を予期したサンプルをさらすこと、及び該サンプルに対
する上記抗体の結合を測定することを備えるCD11aタンパク質の存在を測定
するための方法。
18. 請求項1から13のいずれか1項記載のヒト化項CD11a抗体と、C
D11aタンパク質を検出するための抗体を使用するめの指示を備えたキット。19
. 請求項1から13のいずれか1項記載のヒト化抗CD11a抗体をコー
ド化する分離核酸。
20. 請求項19記載の核酸を含むベクター。
21. 請求項20記載のベクターを含む宿主細胞。
22. 核酸が発現されるように請求項21記載の宿主細胞を培養すること;及
び該宿主細胞培養物からヒト化抗CD11a抗体を回収することを備えるヒト化
抗CD11a抗体の製造方法。
23. それの必要においてLFA介在疾患の患者の処置のための薬剤を調製す るための、請求頂1から13のいずれか1項記載のヒト化抗CD11a抗体の使 用
。
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(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
C12N 5/10 G01N 33/53 D
G01N 33/53 C12P 21/08
// C12P 21/08 C12N 5/00 A
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG
,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT
,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,
CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F
I,GB,GE,GH,HU,ID,IL,IS,JP
,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,
LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,M
W,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD
,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,
TT,UA,UG,UZ,VN,YU,ZW