[発明の要約]
本発明には、哺乳類における抗血小板自己抗体を同定する方法が包含される。該方法は、哺乳類から得られるBリンパ球より抗体ファージディスプレイライブラリーを作製すること、血小板成分と特異的に結合するファージを検出するために該ライブラリーをスクリーニングすることを含んでなり(ここで、該スクリーニングは、競合的細胞表面パニングを用いて無傷(intact)血小板上で該ファージをパニングすることを含んでなる)、それにより該哺乳類における抗血小板自己抗体を同定する。
一つの態様として、哺乳類はヒトである。
別の態様として、哺乳類は特発性血小板減少性紫斑病に苦しむ。
さらに別の態様として、血小板成分はGPIa/IIa、GPIIb/IIIaおよびGPIb/IXよりなる群から選択される。
本発明には、この方法により同定される自己抗体が包含される。
本発明にはまた、ヒトモノクローナル抗血小板自己抗体も包含される。
一つの態様として、自己抗体はIgG抗体である。
別の態様として、自己抗体はGPIIb/IIIaと特異的に結合する。
さらなる態様として、自己抗体はGPIIb/IIIaと特異的に結合するが、結合にαIIbのN末端部分を必要としない。
なおさらなる態様として、N末端部分はαIIb(GenBank受託番号P08514;配列番号:153)の約アミノ酸残基番号1〜約アミノ酸残基番号446を含んでなる。
別の態様として、自己抗体はαIIb(GenBank受託番号P08514;配列番号:153)の約アミノ酸残基番号447〜約アミノ酸残基番号1009を含んでなるGPIIb/IIIaの結合部分を必要とする。
本発明には、自己抗体がH44L4[配列番号:64(H44)および配列番号:70(L4)]、H46L16[配列番号:66(H46)および配列番号:71(L16)]、H48L24[配列番号:68(H48)および配列番号:72(L24)]、H36L35[配列番号:57(H36)および配列番号:74(L35)]、H40L36[配列番号:61(H40)および配列番号:75(L36)]、H83L34[配列番号:69(H83)および配列番号:73(L34)]、H39L37[配列番号:60(H39)および配列番号:76(L37)]、H42L38[配列番号:63(H42)および配列番号:77(L38)]、H38L39[配列番号:59(H38)および配列番号:78(L39)]、H37L40[配列番号:58(H37)および配列番号:79(L40)]、H37L41[配列番号:58(H37)および配列番号:80(L41)]、H40L42[配列番号:61(H40)および配列番号:81(L42)]、H39L43[配列番号:60(H39)および配列番号:82(L43)]、H37L44[配列番号:58(H37)および配列番号:83(L44)]、H39L44[配列番号:60(H39)および配列番号:83(L44)]、H37L45[配列番号:58(H37)および配列番号:84(L45)]、H39L46[配列番号:60(H39)および配列番号:85(L46)]、H37L47[配列番号:58(H37)および配列番号:86(L47)]、H37L48[配列番号:58(H37)および配列番号:87(L48)]、H38L49[配列番号:59(H38)および配列番号:88(L49)]、H37L50[配列番号:58(H37)および配列番号:89(L50)]、H41L51[配列番号:62(H41)および配列番号:90(L51)]、H40L52[配列番号:61(H40)および配列番号:91(L52)]、H40L53[配列番号:61(H40)および配列番号:92(L53)]、H38L54[配列番号:59(H38)および配列番号:93(L54)]、H38L55[配列番号:59(H38)および配列番号:94(L55)]、H45L61[配列番号:84(H45)および配列番号:95(L61)]、H47L63[配列番号:67(H47)および配列番号:96(L63)]、H47L64[配列番号:67(H47)および配列番号:97(L64)]、H38L72[配列番号:59(H38)および配列番号:98(L72)]、H38L74[配列番号:59(H38)および配列番号:99(L74)]、H38L75[配列番号:59(H38)および配列番号:100(L75)]、H38L76[配列番号:59(H38)および配列番号:101(L76)]、H36L76[配列番号:57(H36)および配列番号:101(L76)]、H37L92[配列番号:58(H37)および配列番号:103(L92)]、H29L104[配列番号:56(H29)および配列番号:104(L104)]、H4L106[配列番号:54(H4)および配列番号:105(L106)]ならびにH10L122[配列番号:55(H10)および配列番号:106(L122)]よりなる群から選択される抗血小板自己抗体が包含される。
本発明にはまた、自己抗体が配列番号:54(H4)、配列番号:55(H10)、配列番号:56(H29)、配列番号:57(H36)、配列番号:58(H37)、配列番号:59(H38)、配列番号:60(H39)、配列番号:61(H40)、配列番号:62(H41)、配列番号:63(H42)、配列番号:64(H44)、配列番号:65(H45)、配列番号:66(H46)、配列番号:67(H47)、配列番号:68(H48)および配列番号:69(H83)よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでなる重鎖を含んでなる抗血小板自己抗体も包含される。
一つの態様として、自己抗体は配列番号:70(L4)、配列番号:71(L16)、配列番号:72(L24)、配列番号:73(L34)、配列番号:74(L35)、配列番号:75(L36)、配列番号:76(L37)、配列番号:77(L38)、配列番号:78(L39)、配列番号:79(L40)、配列番号:80(L41)、配列番号:81(L42)、配列番号:82(L43)、配列番号:83(L44)、配列番号:84(L45)、配列番号:86(L47)、配列番号:87(L48)、配列番号:88(L49)、配列番号:89(L50)、配列番号:90(L51)、配列番号:91(L52)、配列番号:92(L53)、配列番号:93(L54)、配列番号:94(L55)、配列番号:95(L61)、配列番号:96(L63)、配列番号:97(L64)、配列番号:98(L72)、配列番号:99(L74)、配列番号:100(L75)、配列番号:101(L76)、配列番号:102(L125)、配列番号:103(L92)、配列番号:104(L104)、配列番号:105(L106)および配列番号:106(L122)よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでなる軽鎖をさらに含んでなる。
さらに別の態様として、重鎖はH38(配列番号:78)であり、そして軽鎖はL39(配列番号:78)、L54(配列番号:93)、L55(配列番号:94)、L72(配列番号:98)、L74(配列番号:99)、L75(配列番号:100)L76(配列番号:101)およびL92(配列番号:103)よりなる群から選択される。
なおさらなる態様として、重鎖はH37であり、そして軽鎖はL40、L41、L44、L45、L47、L48、L50、L93よりなる群から選択される。
本発明には、自己抗体が配列番号:70(L4)、配列番号:71(L16)、配列番号:72(L24)、配列番号:73(L34)、配列番号:74(L35)、配列番号:75(L36)、配列番号:76(L37)、配列番号:77(L38)、配列番号:78(L39)、配列番号:79(L40)、配列番号:80(L41)、配列番号:81(L42)、配列番号:82(L43)、配列番号:83(L44)、配列番号:84(L45)、配列番号:85(L46)、配列番号:86(L47)、配列番号:87(L48)、配列番号:88(L49)、配列番号:89(L50)、配列番号:90(L51)、配列番号:91(L52)、配列番号:92(L53)、配列番号:93(L54)、配列番号:94(L55)、配列番号:95(L61)、配列番号:96(L63)、配列番号:97(L64)、配列番号:98(L72)、配列番号:99(L74)、配列番号:100(L75)、配列番号:101(L76)、配列番号:102(L125)、配列番号:103(L92)、配列番号:104(L104)、配列番号:105(L106)および配列番号:106(L122)よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでなる軽鎖を含んでなる抗血小板自己抗体が包含される。
一つの態様として、自己抗体は配列番号:54(H4)、配列番号:55(H10)、配列番号:56(H29)、配列番号:57(H36)、配列番号:58(H37)、配列番号:59(H38)、配列番号:60(H39)、配列番号:61(H40)、配列番号:62(H41)、配列番号:63(H42)、配列番号:64(H44)、配列番号:65(H45)、配列番号:66(H46)、配列番号:67(H47)、配列番号:68(H48)および配列番号:69(H83)よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでなる重鎖をさらに含んでなる。
別の態様として、軽鎖はL76であり、そして重鎖はH36およびH38よりなる群から選択される。
本発明には、抗血小板自己抗体をコードする単離された核酸が包含される。
一つの態様として、単離された核酸は重鎖をコードし、そして配列番号:1(H4)、配列番号:2(H10)、配列番号:3(H29)、配列番号:4(H36)、配列番号:5(H37)、配列番号:6(H38)、配列番号:7(H39)、配列番号:8(H40)、配列番号:9(H41)、配列番号:10(H42)、配列番号:11(H44)、配列番号:12(H45)、配列番号:13(H46)、配列番号:14(H47)、配列番号:15(H48)、配列番号:16(H83)よりなる群から選択されるヌクレオチド配列を含んでなる。
別の態様として、核酸は軽鎖をコードし、そして配列番号:17(L4)、配列番号:18(L16)、配列番号:19(L24)、配列番号:20(L34)、配列番号:21(L35)、配列番号:22(L36)、配列番号:23(L37)、配列番号:24(L38)、配列番号:25(L39)、配列番号:26(L40)、配列番号:27(L41)、配列番号:28(L42)、配列番号:29(L43)、配列番号:30(L44)、配列番号:31(L45)、配列番号:32(L46)、配列番号:33(L47)、配列番号34(L48)、配列番号:35(L49)、配列番号:36(L50)、配列番号:37(L51)、配列番号:38(L52)、配列番号:39(L53)、配列番号:40(L54)、配列番号:41(L55)、配列番号:42(L61)、配列番号:43(L63)、配列番号:44(L64)、配列番号:45(L72)、配列番号:46(L74)、配列番号:47(L75)、配列番号:48(L76)、配列番号:49(L125)、配列番号:50(L92)、配列番号:51(L104)、配列番号:52(L106)および配列番号:53(L122)よりなる群から選択されるヌクレオチド配列を含んでなる。
さらに別の態様として、核酸は配列番号:54(H4)、配列番号:55(H10)、配列番号:56(H29)、配列番号:57(H36)、配列番号:58(H37)、配列番号:59(H38)、配列番号:60(H39)、配列番号:61(H40)、配列番号:62(H41)、配列番号:63(H42)、配列番号:64(H44)、配列番号:65(H45)、配列番号:66(H46)、配列番号:67(H47)、配列番号:68(H48)および配列番号:69(H83)よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでなる重鎖をコードする。
なおさらなる態様として、核酸は配列番号:70(L4)、配列番号:71(L16)、配列番号:72(L24)、配列番号:73(L34)、配列番号:74(L35)、配列番号:75(L36)、配列番号:76(L37)、配列番号:77(L38)、配列番号:78(L39)、配列番号:79(L40)、配列番号:80(L41)、配列番号:81(L42)、配列番号:82(L43)、配列番号:83(L44)、配列番号:84(L45)、配列番号:85(L46)、配列番号:86(L47)、配列番号:87(L48)、配列番号:88(L49)、配列番号:89(L50)、配列番号:90(L51)、配列番号:91(L52)、配列番号:92(L53)、配列番号:93(L54)、配列番号:94(L55)、配列番号:95(L61)、配列番号:96(L63)、配列番号:97(L64)、配列番号:98(L72)、配列番号:99(L74)、配列番号:100(L75)、配列番号:101(L76)、配列番号:102(L125)、配列番号:103(L92)、配列番号:104(L104)、配列番号:105(L106)および配列番号:106(L122)よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでなる軽鎖をコードする。
本発明には、血栓を有するかもしくは血栓形成の危険がある哺乳類における血液凝固を阻害する方法が包含される。該方法は、糖タンパク質IIb/IIIaと特異的に結合する抗体もしくはその生物学的活性フラグメントの有効量を哺乳類に投与することを含んでなり(ここで、該抗体もしくはそのフラグメントは、H44L4抗血小板自己抗体由来の抗原結合領域を含んでなる)、それにより該哺乳類における血液凝固を阻害する。
一つの態様として、該方法は血栓溶解剤を投与することをさらに含んでなる。
別の態様として、哺乳類はヒトである。
本発明には、血栓を有するかもしくは血栓形成の危険がある哺乳類における血液凝固を可逆的に阻害する方法が包含される。該方法は、糖タンパク質IIb/IIIaと特異的に結合する抗体もしくはその生物学的活性フラグメントの有効量を哺乳類に投与することを含んでなり(ここで、該抗体もしくはそのフラグメントは、H44L4抗血小板自己抗体由来の抗原結合領域を含んでなる)、それにより該哺乳類における血液凝固を阻害する。該方法はさらに、糖タンパク質IIb/IIIaとの結合のペプチドインヒビターの有効量を該哺乳類に投与することを含んでなり、それにより該哺乳類における血液凝固を可逆的に阻害する。
一つの態様として、哺乳類はヒトである。
別の態様として、ペプチドインヒビターはP4−12(配列番号:111)、P3−4(配列番号:112)、P4−7(配列番号:113)、P4−2a(配列番号:114)よりなる群から選択される。
本発明には、血小板成分と抗血小板自己抗体との結合を阻害する方法が包含される。該方法は、該自己抗体を該結合のペプチドインヒビターと接触させることを含んでなり、それにより該成分と該抗血小板自己抗体との結合を阻害する。
一つの態様として、該成分はGPIIb/IIIaであり、そしてさらに該自己抗体はH44L4であり、そしてここで、ペプチドインヒビターはP4−12(配列番号:111)、P3−4(配列番号:112)、P4−7(配列番号:113)、P4−2a(配列番号:114)、P73−11(配列番号:116)、P123−10(配列番号:118)、P74−4(配列番号:120)、P73−10(配列番号:122)、P74−3(配列番号:124)、P74−9(配列番号:126)、P74−5(配列番号:128)、P73−9(配列番号:130)、P124−8(配列番号:132)、P123−11(配列番号:134)、P124−1(配列番号:136)、P73−2(配列番号:138)、P73−6(配列番号:140)、P124−11(配列番号:142)、P124−2(配列番号:144)、P73−7(配列番号:146)、P74−1a(配列番号:148)、P123−8(配列番号:150)、P74−8(配列番号:152)よりなる群から選択される。
本発明にはまた、哺乳類における血小板粘着を阻害する方法も包含される。該方法は、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントの有効量を哺乳類に投与することを含んでなり(ここで、該自己抗体はGPIb/IXと特異的に結合し、それによりフォン・ビルブラントマルチマーとGPIb/IXとの相互作用を阻害し、そしてここで、該相互作用は血小板粘着に必要とされる)、それにより該哺乳類における血小板粘着を阻害する。
一つの態様として、哺乳類はヒトである。
本発明には、哺乳類における血栓性血小板減少性紫斑病を処置する方法が包含される。該方法は、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントの有効量を該動物に投与することを含んでなり(ここで、該自己抗体はGPIb/IXと特異的に結合し、それによりフォン・ビルブラントマルチマーとGPIb/IXとの相互作用を阻害し、そしてここで、該相互作用は血小板粘着に必要とされ、そしてさらにここで、該血小板粘着は該哺乳類における血栓性血小板減少性紫斑病を媒介する)、それにより該哺乳類における血栓性血小板減少性紫斑病を処置する。
一つの態様として、哺乳類はヒトである。
本発明には、血小板凝集を阻害する方法が包含される。該方法は、血小板を抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントの有効量と接触させることを含んでなる。
一つの態様として、自己抗体はGPIIb/IIIaと特異的に結合する。
別の態様として、自己抗体はH44L4[配列番号:64(H44)および配列番号:70(L4)]である。
本発明にはさらに、血小板活性化を阻害する方法が包含される。該方法は、血小板を抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントの有効量と接触させることを含んでなる。
本発明には、血小板機能を阻害する方法が包含される。該方法は、血小板を抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントの有効量と接触させることを含んでなる。
一つの態様として、自己抗体はGPIa/IIa、GPIIb/IIIaおよびGPIb/IXよりなる群から選択される血小板成分と特異的に結合する。
本発明には、血小板と抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントとの結合を阻害する方法が包含される。該方法は、該自己抗体をペプチドインヒビターの有効量と接触させることを含んでなり、それにより該血小板と該自己抗体との結合を阻害する。
一つの態様として、自己抗体はGPIa/IIa、GPIIb/IIIaおよびGPIb/IXよりなる群から選択される少なくとも一つの血小板成分と特異的に結合する。
別の態様として、ペプチドインヒビターはP4−12(配列番号:111)、P3−4(配列番号:112)、P4−7(配列番号:113)、P4−2a(配列番号:114)、P73−11(配列番号:116)、P123−10(配列番号:118)、P74−4(配列番号:120)、P73−10(配列番号:122)、P74−3(配列番号:124)、P74−9(配列番号:126)、P74−5(配列番号:128)、P73−9(配列番号:130)、P124−8(配列番号:132)、P123−11(配列番号:134)、P124−1(配列番号:136)、P73−2(配列番号:138)、P73−6(配列番号:140)、P124−11(配列番号:142)、P124−2(配列番号:144)、P73−7(配列番号:146)、P74−1a(配列番号:148)、P123−8(配列番号:150)、P74−8(配列番号:152)よりなる群から選択される。
本発明には、血小板と抗血小板自己抗体との結合を阻害するペプチドを同定する方法が包含される。該方法は、ペプチドディスプレイファージの有無で血小板と抗血小板自己抗体との結合を評価することを含んでなり(ここで、該ペプチドディスプレイファージのない場合の該血小板と該自己抗体との結合と比較して該ペプチドディスプレイファージの存在下での該血小板と該自己抗体との結合の低いレベルは、該ペプチドディスプレイファージにより提示されるペプチドが、該血小板と該自己抗体との結合を阻害する表示である)、それにより血小板と抗血小板自己抗体との結合を阻害するペプチドを同定する。
本発明には、この方法により同定されるペプチドが包含される。
本発明には、血小板成分と抗血小板自己抗体との結合を阻害するペプチドを同定する方法が包含される。該方法は、ペプチドディスプレイファージの有無で血小板成分と抗血小板自己抗体との結合を評価することを含んでなり(ここで、該ペプチドディスプレイファージのない場合の該血小板成分と該自己抗体との結合と比較して該ペプチドディスプレイファージの存在下での該血小板成分と該自己抗体との結合の低いレベルは、該ペプチドディスプレイファージにより提示されるペプチドが、該血小板成分と該自己抗体との結合を阻害する表示である)、それにより血小板成分と抗血小板自己抗体との結合を阻害するペプチドを同定する。本発明には、この方法により同定されるペプチドが包含される。
一つの態様として、血小板成分はGPIa/IIa、GPIIb/IIIaおよびGPIb/IXよりなる群から選択される
本発明には、抗血小板自己抗体と結合するペプチドを同定する方法が包含される。該方法は、ペプチドディスプレイファージを抗血小板自己抗体と接触させることおよび該ファージが該自己抗体と特異的に結合するかどうかを検出することを含んでなり、それにより抗血小板抗体と特異的に結合するペプチドを同定する。
本発明には、この方法により同定されるペプチドが包含される。
本発明には、抗血小板自己抗体と特異的に結合するペプチドが包含される。
本発明にはまた、哺乳類における特発性血小板減少性紫斑病(ITP)を処置する方法が包含される。該方法は、ITPに苦しむ動物にVH3−30を発現するBリンパ球を特異的に殺す化合物の有効量を投与することを含んでなり、それにより該哺乳類における該ITPを処置する。
一つの態様として、哺乳類はヒトである。
別の態様として、化合物はスタヒロコッカスプロテインA(SpA)およびVH3−30と特異的に結合する抗体部分を含んでなる免疫毒素から選択される。
本発明には、血液凝固を阻害するためのキットが包含される。該キットは、糖タンパク質IIb/IIIaと特異的に結合する抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントの有効量を含んでなり、ここで、該自己抗体もしくはそのフラグメントは、H44L4抗血小板自己抗体由来の抗原結合領域を含んでなる。該キットはさらに、アプリケーターおよびその使用のための説明用資料を含んでなる。
本発明には、血液凝固を可逆的に阻害するためのキットが包含される。該キットは、糖タンパク質IIb/IIIaと特異的に結合する抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントの有効量を含んでなり、ここで、該自己抗体もしくはそのフラグメントは、H44L4抗血小板自己抗体由来の抗原結合領域を含んでなる。該キットはさらに、糖タンパク質IIb/IIIaとの該結合のペプチドインヒビターを含んでなり、そして該キットはまたアプリケーターおよびその使用のための説明用資料も含んでなる。
本発明には、血小板凝集を阻害するためのキットが包含される。該キットは、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントの有効量を含んでなる。該キットはさらに、アプリケーターおよびその使用のための説明用資料を含んでなる。
本発明にはまた、血小板機能を阻害するためのキットも包含される。該キットは、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントの有効量を接触させることを含んでなる。該キットはさらに、アプリケーターおよびその使用のための説明用資料を含んでなる。
本発明には、血小板活性化を阻害するためのキットが包含される。該キットは、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントの有効量を接触させることを含んでなる。該キットはさらに、アプリケーターおよびその使用のための説明用資料を含んでなる。
[発明の詳細な記述]
定義
本明細書において用いる場合、以下の用語の各々は、本節におけるそれと関連する意味を有する。
冠詞「a」および「an」は、該冠詞の文法的対象の1つもしくは1つより多く(すなわち、少なくとも1つ)をさすために本明細書において用いる。1例として、「要素(an element)」は、1つの要素もしくは1つより多くの要素を意味する。
本明細書において用いる場合、アミノ酸は、下記の表に示すように、そのフルネームで、それに対応する3文字コードで、もしくはそれに対応する1文字コードで表す。
フルネーム 3文字コード 1文字コード
アスパラギン酸 Asp D
グルタミン酸 Glu E
リシン Lys K
アルギニン Arg R
ヒスチジン His H
チロシン Tyr Y
システイン Cys C
アスパラギン Asn N
グルタミン Gln Q
セリン Ser S
トレオニン Thr T
グリシン Gly G
アラニン Ala A
バリン Val V
ロイシン Leu L
イソロイシン Ile I
メチオニン Met M
プロリン Pro P
フェニルアラニン Phe F
トリプトファン Trp W
「血小板活性化」は,該用語を本明細書において用いる場合、特に血栓形成における血小板機能と関連する生物学的特性を意味する。血小板活性化と関連する生物学的特性には、ある種の膜成分における他の物質(例えば、フィブリノーゲン、フォン・ビルブラント因子、コラーゲンなど)とそれらの相互作用をもたらす構造変化、貯蔵顆粒からの様々な細胞内物質の放出(例えば、とりわけ、セロトニン、フィブリノーゲン、ADP、様々な酵素)、血小板表面上の追加の受容体の発現(例えば、P−セレクチン、アネキシンなど)、ならびに一連の細胞内シグナル伝達経路における酵素および他の成分の開始が包含されるがこれらに限定されるものではない。
本明細書に用いる場合、疾患を「軽減する」ことは、該疾患の一つもしくはそれ以上の症状の重傷度を軽減することを意味する。
「アンチセンス」は、特に、タンパク質をコードする二本鎖DNA分子の非コーディング鎖の核酸配列、もしくは非コーディング鎖に実質的に相同である配列をさす。本明細書において定義する場合、アンチセンス配列は、タンパク質をコードする二本鎖DNA分子の配列に相補的である。アンチセンス配列は、DNA分子のコーディング鎖のコーディング部分にのみ相補的である必要はない。アンチセンス配列は、タンパク質をコードするDNA分子のコーディング鎖上に特定される調節配列に相補的であることができ、これらの調節配列は、コーディング配列の発現を制御する。
本明細書において「自己抗体」とも呼ばれる「抗血小板自己抗体」は、その同じ動物におけるかもしくは同じ種の動物における、血小板もしくはその成分と特異的に結合する動物における抗体をさす。
自己抗体を単離することができる自己免疫疾患およびそれらの関連抗原には、下記のもの:とりわけ、重症筋無力症(アセチルコリン受容体;ニューロン)、慢性炎症性脱髄性多発神経障害(ミエリン;ニューロン)、自己免疫性甲状腺疾患(甲状腺刺激ホルモン受容体;甲状腺細胞)、原発性胆汁性肝硬変(ミトコンドリア自己抗原;肝臓ミトコンドリア)、特発性血小板減少性紫斑病(本明細書の他の所に開示するような、血小板膜インテグリン;血小板)、尋常性天疱瘡(表皮抗原;表皮)およびグッドパスチャー症候群(基底膜抗原;腎臓もしくは肺細胞)が包含されるがこれらに限定されるものではない。
血小板「成分」には、本明細書において用いる場合、血小板中もしくは上に存在するか、またはそれと関連する任意の分子が包含される。より好ましくは、血小板成分は、別の成分、例えばフィブリノーゲン、抗血小板自己抗体などと特異的に結合しそして/もしくは相互作用することができる、血小板表面上に存在する糖タンパク質(例えば、とりわけ、GPIa/IIa、GPIIb/IIIa、GPIb/IX)を意味する。
「アプリケーター」という用語は、該用語を本明細書において用いる場合、細胞、組織もしくは動物(例えば、ヒトのような哺乳類)に本発明の自己抗体もしくはペプチドインヒビターを投与するための、皮下注射器、ピペットなどが包含されるがこれらに限定されるものではない、任意の装置を意味する。
血小板「凝集」の阻害には、該用語を本明細書において用いる場合、血小板を化合物と接触させた後の、そのように接触させていないそのほかの点では同一の血小板の凝集と比較して、血小板凝集(すなわち、ここで、少なくとも2つの血小板は相互に結合する)のレベルにおける検出可能な減少が包含される。血小板凝集は、別の成分(例えばフィブリノーゲン)と血小板成分(例えば血小板表面上の糖タンパク質)間の相互作用により媒介されることができる。これらの相互作用を妨げるかもしくは阻害する化合物は、血小板凝集を阻害する働きをすることができる。
「生物学的活性フラグメント」は、該用語を本明細書において用いる場合、該フラグメントが由来する抗血小板自己抗体の部分が、全長自己抗体が結合する抗原と特異的に結合できること、およびそのような結合が、抗原と全長自己抗体との結合と同一ではないにしても同様の効果をもたらすことを意味する。一つのそのようなフラグメントには、マクロファージおよびFc受容体を保有する他の細胞へのFc受容体結合をなくしそしてそれによりFc受容体結合のためにそうでなければ起こる血小板破壊を防ぎながらフラグメントの血小板結合を維持するように全長抗体のCH2およびCH3定常領域ドメイン(すなわち、Fc部分)を欠く全長抗体の部分が包含されるが、これに限定されるものではない。
抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントの「生物学的活性」には、血小板成分と特異的に結合する、血小板を活性化する、マクロファージによる血小板のクリアランスを促進する、血小板凝集を誘導するかもしくは阻害する、血小板セロトニン放出を誘導するかもしくは阻害する、フィブリノーゲンとの血小板結合を誘導するかもしくは阻害する、フォン・ビルブラント因子との血小板結合を阻害する、コラーゲンとの血小板結合を阻害するなどの自己抗体の能力が包含されると解釈されるべきであるが、これらに限定されるものではない。
本明細書において用いる場合、「フラグメント」という用語は、核酸に適用する場合、通常は少なくとも約20ヌクレオチドの長さ、好ましくは少なくとも約30ヌクレオチド、さらに典型的には約40〜約50ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約50〜約80ヌクレオチド、さらにより好ましくは少なくとも約80ヌクレオチド〜約90ヌクレオチド、なおさらにより好ましくは少なくとも約90〜約100、さらにより好ましくは少なくとも約100ヌクレオチド〜約150ヌクレオチド、なおさらにより好ましくは少なくとも約150〜約200、さらにより好ましくは少なくとも約200ヌクレオチド〜約250ヌクレオチド、なおさらにより好ましくは少なくとも約250〜約300、より好ましくは約300〜約350ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約350〜約360ヌクレオチドであることができ、そして最も好ましくは、核酸フラグメントは約365ヌクレオチドより大きい長さである。
本明細書において用いる場合、「フラグメント」という用語は、ポリペプチドに適用する場合、通常は少なくとも約20アミノ酸の長さ、好ましくは少なくとも約30アミノ酸、さらに典型的には約40〜約50アミノ酸、好ましくは少なくとも約50〜約80アミノ酸、さらにより好ましくは少なくとも約80アミノ酸〜約90アミノ酸、なおさらにより好ましくは少なくとも約90〜約100、さらにより好ましくは少なくとも約100アミノ酸〜約120アミノ酸であることができ、そして最も好ましくは、アミノ酸フラグメントは約123アミノ酸より大きい長さである。
「血液凝固の阻害」は、本明細書において用いる場合、任意の利用可能なアッセイにより検出されるような、血栓形成のレベルにおける任意の検出可能な減少を意味する。血液凝固のそのようなアッセイには、インビボで出血時間を測定することならびに例えば既知の血小板アゴニスト(例えば、ADP、エピネフリン、トロンビン、コラーゲン)に応答する、凝集する、粘着する、そして/もしくはその中に含まれる細胞内顆粒の中身を分泌する血小板の能力を評価することにより、エクスビボで血小板機能活性を評価することが包含されるが、これらに限定されるものではない。
「血小板機能を阻害すること」は、本明細書において用いる場合、接触させる前の血小板におけるもしくは化合物と接触させていないそのほかの点では同一の血小板における同じ血小板機能と比較した場合に、血小板を化合物と接触させた際の血小板機能のレベルにおける任意の検出可能な減少を意味する。
次に、血小板「機能」は、血小板と関連する任意の生物学的活性を意味する。そのような活性には、血小板凝集体の形成、フォン・ビルブラント因子、コラーゲンおよび他の物質への血小板結合、内皮細胞への血小板の粘着、ならびに細胞内貯蔵からの様々な物質の分泌(例えば、セロトニンなど)が包含されるが、これらに限定されるものではない。
「血小板活性化の阻害」という用語は、該用語を本明細書において用いる場合、血小板活性化のレベルにおける任意の検出可能な減少を意味する。
「疾患」は、動物がホメオスタシスを維持することができず、そして該疾患が改善されない場合に動物の健康が悪化し続ける動物の健康状態である。対照的に、動物における「障害」は、動物がホメオスタシスを維持することはできるが、動物の健康状態が該障害のない場合におけるよりも好ましくない健康状態である。未処置のままで、障害は動物の健康状態のさらなる低下を必ずしも引き起こさない。
抗血小板自己抗体の「有効量」という用語は、該用語を本明細書において用いる場合、血小板を該自己抗体と接触させた場合に、血小板機能および/もしくは生物学的活性もしくは特性への検出可能な効果をもたらす抗血小板自己抗体の量を意味する。そのような効果は、本明細書に開示するか、当該技術分野において既知であるか、もしくは開発される様々なアッセイを用いて評価することができる。評価される特性および/もしくは生物学的活性には、凝集する、セロトニンもしくは他の細胞内物質を分泌する、フィブリノーゲンに結合する、凝血塊を形成する、コラーゲンで覆われた表面に粘着するなどの血小板の能力が包含されるが、これらに限定されるものではない。
同様に、「有効量」という用語は、それがペプチドインヒビターに関する場合、抗血小板自己抗体と接触させた場合に、血小板もしくはその成分と自己抗体との結合を検出可能に阻害するペプチドインヒビターの量を意味する。自己抗体とペプチドとの結合のレベル、ならびにペプチドインヒビターの有無での血小板もしくはその成分と自己抗体との結合のレベルは、本明細書に開示する方法、当該技術分野において周知であるもの、もしくは将来に開発されるような方法を用いて容易に評価することができる。
当業者は、有効量が異なり、そして処置する疾患もしくは症状、処置する哺乳類の年齢ならびに健康および身体状態、疾患の重傷度、投与する特定の化合物などのような多数の因子に基づいて容易に決定できることを理解する。一般に、有効量は約0.1mg/kg〜約100mg/kgの間、より好ましくは約1mg/kg〜約25mg/kgに設定される。化合物(例えば、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメント、ペプチドインヒビターなど)は、とりわけ、ボーラス注射を包含する静脈内注射によって投与することができる。しかしながら、本発明はこの投与方法に限定されない。
「相同な」は、本明細書において用いる場合、2つのポリマー分子間、例えば2つの核酸分子、例えば2つのDNA分子もしくは2つのRNA分子間、または2つのポリペプチド分子間のサブユニット配列類似性をさす。2つの分子の両方におけるあるサブユニット位置が同じモノマーサブユニットで占められる場合、例えば、2つのDNA分子の各々におけるある位置がアデニンで占められる場合、それらはその位置で相同である。2つの配列間の相同性は、マッチするかもしくは相同な位置の数の直接関数であり、例えば、2つの化合物配列における半分の位置(例えば、10個のサブユニットの長さのポリマーにおける5個の位置)が相同である場合、それら2つの配列は50%相同であり、90%の位置(例えば10個のうち9個)がマッチするかもしくは相同である場合、それら2つの配列は90%の相同性を共有する。1例として、DNA配列5’ATTGCC3’と5’TATGGC3’は50%の相同性を共有する。
血小板もしくは血小板の成分(例えば、精製されたGPIa/IIa、GPIIb/IIIa、GPIb/IXなど)と抗血小板自己抗体との結合の「ペプチドインヒビター」という用語は、自己抗体および血小板の存在下で投与した場合に、血小板もしくはその成分との自己抗体結合のレベルを検出可能に減少する任意のペプチドを意味する。比較的小さいペプチド、例えば線状12merおよびC7C制約(constrained)9merが本明細書の他のところに例示されているが、本発明はこれらのもしくは任意の特定のペプチドに限定されない。その代わりに、ペプチドは約5〜約20アミノ酸残基の長さの間であることができる。
「説明用資料」には、該用語を本明細書において用いる場合、本明細書に列挙する様々な疾患もしくは障害を軽減することもしくは処置することをもたらすためのキットにおいて本発明の核酸、ペプチドおよび/もしくは化合物の有用性を伝えるために用いることができる出版物、記録、図もしくは任意の他の表現媒体が包含される。場合により、あるいはまた、説明用資料は、哺乳類の細胞もしくは組織における疾患もしくは障害を軽減する一つもしくはそれ以上の方法を記述することができる。キットの説明用資料は、例えば、本発明の核酸、ペプチドおよび/もしくは化合物を含有する容器に添付することができ、または核酸、ペプチドおよび/もしくは化合物を含有する容器と一緒に出荷することができる。あるいはまた、説明用資料は、受取人が説明用資料および化合物を協調的に使用することを意図して容器と別個に出荷することができる。
「単離された核酸」は、天然に存在する状態においてそれに隣接する配列から分離されている核酸セグメントもしくはフラグメント、例えば、該フラグメントに通常は隣接する配列(例えば、それが天然に存在するゲノムにおいて該フラグメントに隣接する配列)から取り除かれているDNAフラグメントをさす。該用語はまた、該核酸に生来付随する他の成分、例えば細胞においてそれに生来付随するRNAもしくはDNAもしくはタンパク質から実質的に精製されている核酸にも適用する。従って、該用語には、例えば、ベクターに、自己複製するプラスミドもしくはウイルスに、または原核生物もしくは真核生物のゲノムDNAに導入されるか、あるいは他の配列から独立して別個の分子として(例えば、cDNAまたはPCRもしくは制限酵素消化により製造されるゲノムもしくはcDNAフラグメントとして)存在する組み換えDNAが包含される。それにはまた、追加のポリペプチド配列をコードするハイブリッド遺伝子の一部である組み換えDNAも包含される。
「プライマー」は、指定されたポリヌクレオチド鋳型に特異的にハイブリダイズしそして相補的なポリヌクレオチドの合成の開始点を提供することができるポリヌクレオチドをさす。そのような合成は、合成が誘導される条件下に、すなわち、ヌクレオチド、相補的なポリヌクレオチド鋳型、およびDNAポリメラーゼのような重合のための作用因子の存在下にポリヌクレオチドプライマーが置かれる場合に起こる。プライマーは、典型的に一本鎖であるが、二本鎖であることもできる。プライマーは、典型的にデオキシリボ核酸であるが、多種多様な合成のおよび天然に存在するプライマーが多くの用途に有用である。プライマーは、ハイブリダイズして合成の開始部位として働くようにそれが設計される鋳型に相補的であるが、鋳型の正確な配列を反映する必要はない。そのような場合、鋳型へのプライマーの特異的ハイブリダイゼーションは、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーにより決まる。プライマーは、例えば、発色、放射性もしくは蛍光部分で標識し、そして検出可能な部分として用いることができる。
「組み換えポリヌクレオチド」は、生来一緒に連結されない配列を有するポリヌクレオチドをさす。増幅されたもしくは組み立てられた組み換えポリヌクレオチドを適当なベクターに含むことができ、そして適当な宿主細胞を形質転換するために該ベクターを用いることができる。
組み換えポリヌクレオチドはまた、非コーディング機能(例えば、プロモーター、複製起点、リボソーム結合部位など)を果たすこともできる。
組み換えポリヌクレオチドを含んでなる宿主細胞は、「組み換え宿主細胞」と呼ばれる。組み換え宿主細胞において発現される遺伝子(ここで、該遺伝子は組み換えポリヌクレオチドを含んでなる)は、「組み換えポリペプチド」を生産する。
「組み換えポリペプチド」は、組み換えポリヌクレオチドの発現の際に生産されるものである。
「ベクター」は、単離された核酸を含んでなりそして単離された核酸を細胞の内部に送達するために用いることができる物質の組成物である。線状ポリヌクレオチド、イオン化合物もしくは両親媒性化合物と関連するポリヌクレオチド、プラスミドおよびウイルスが包含されるが、これらに限定されるものではない多数のベクターが当該技術分野において既知である。従って、「ベクター」という用語には、自己複製するプラスミドもしくはウイルスが包含される。該用語にはまた、例えば、ポリリシン化合物、リポソームなどのような、細胞への核酸の導入を促進する非プラスミドおよび非ウイルス化合物も包含されると解釈されるべきである。ウイルスベクターの例には、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクターなどが包含されるが、これらに限定されるものではない。
「発現ベクター」は、発現されるヌクレオチド配列に操作可能に連結された発現制御配列を含んでなる組み換えポリヌクレオチドを含んでなるベクターをさす。発現ベクターは、発現のための十分なシス作用要素を含んでなり;発現のための他の要素は、宿主細胞によりもしくはインビトロ発現系において供給されることができる。発現ベクターには、組み換えポリヌクレオチドを組み込むコスミド、プラスミド(例えば、裸のもしくはリポソームに含有される)およびウイルスのような当該技術分野において既知である全てのものが包含される。
2つのポリヌクレオチドを「操作可能に連結された」と記述することは、2つのポリヌクレオチドの少なくとも一方が、もう一方に対してそれが特徴とする生理的効果を及ぼすことができるように核酸部分内で配置されている2つのポリヌクレオチドを一本鎖もしくは二本鎖核酸部分が含んでなることを意味する。1例として、遺伝子のコーディング領域に操作可能に連結されたプロモーターは、該コーディング領域の転写を促進することができる。
好ましくは、所望のタンパク質をコードする核酸がプロモーター/調節配列をさらに含んでなる場合、該プロモーター/調節配列は、それが細胞において所望のタンパク質の発現を導くように所望のタンパク質をコードする配列の5’末端に位置する。所望のタンパク質をコードする核酸およびそのプロモーター/調節配列は、一緒に、「導入遺伝子」を含んでなる。
本明細書において用いる場合、「プロモーター/調節配列」という用語は、該プロモーター/調節配列に操作可能に連結された遺伝子産物の発現に必要とされる核酸配列を意味する。ある場合には、この配列はコアプロモーター配列であることができ、そしてある場合には、この配列はまたエンハンサー配列および遺伝子産物の発現に必要とされる他の調節要素を含むこともできる。プロモーター/調節配列は、例えば、組織特異的に遺伝子産物を発現するものであることができる。
「構成的」プロモーターは、遺伝子産物をコードするかもしくは特定するポリヌクレオチドと操作可能に連結した場合に、細胞の大部分のもしくは全ての生理的条件下で生きているヒト細胞において遺伝子産物を生産させるヌクレオチド配列である。
「誘導性」プロモーターは、遺伝子産物をコードするかもしくは特定するポリヌクレオチドと操作可能に連結した場合に、該プロモーターに対応する誘導因子が細胞に存在する場合にのみ実質的に、生きているヒト細胞において遺伝子産物を生産させるヌクレオチド配列である。
「組織特異的」プロモーターは、遺伝子産物をコードするかもしくは特定するポリヌクレオチドと操作可能に連結した場合に、細胞が該プロモーターに対応する組織タイプの細胞である場合にのみ実質的に、生きているヒト細胞において遺伝子細胞を生産させるヌクレオチド配列である。
「ポリアデニル化配列」は、転写されたメッセンジャーRNA配列上へのポリA尾部の付加を導くポリヌクレオチド配列である。
「ポリヌクレオチド」は、核酸の一本鎖もしくは平行および逆平行鎖を意味する。従って、ポリヌクレオチドは一本鎖もしくは二本鎖核酸のいずれかであることができる。
「核酸」という用語は、典型的に、大きいポリヌクレオチドをさす。
「オリゴヌクレオチド」という用語は、典型的に、短いポリヌクレオチド(一般に、約50ヌクレオチドより大きくない)をさす。ヌクレオチド配列がDNA配列(すなわち、A、T、G、C)により表される場合、これには「U」が「T」に置き換わるRNA配列(すなわち、A、U、G、C)もまた包含されると理解される。
本発明の文脈では、一般に存在する核酸塩基の以下の略語を用いる。「A」はアデノシンをさし、「C」はシチジンをさし、「G」はグアノシンをさし、「T」はチミジンをさし、そして「U」はウリジンをさす。
ポリヌクレオチド配列を記述するために通常の表記法を本明細書において用いる:一本鎖ポリヌクレオチド配列の左端は5’末端であり;二本鎖ポリヌクレオチド配列の左方向は5’方向と呼ばれる。
新生RNA転写産物へのヌクレオチドの5’→3’付加の方向は、転写方向と呼ばれる。mRNAと同じ配列を有するDNA鎖は「コーディング鎖」と呼ばれ;DNA上の基準点に対して5’に位置するDNA鎖上の配列は「上流配列」と呼ばれ;DNA上の基準点に対して3’であるDNA鎖上の配列は「下流配列」と呼ばれる。
ポリヌクレオチドの「一部」は、ポリヌクレオチドの少なくとも約20個の連続するヌクレオチド残基を意味する。ポリヌクレオチドの一部は、ポリヌクレオチドのあらゆるヌクレオチド残基を包含することができると理解される。
「プライマー」は、指定されたポリヌクレオチド鋳型に特異的にハイブリダイズしそして相補的なポリヌクレオチドの合成の開始点を提供することができるポリヌクレオチドをさす。そのような合成は、合成が誘導される条件下に、すなわち、ヌクレオチド、相補的なポリヌクレオチド鋳型、およびDNAポリメラーゼのような重合のための作用因子の存在下にポリヌクレオチドプライマーが置かれる場合に起こる。プライマーは、典型的に一本鎖であるが、二本鎖であることもできる。プライマーは、典型的にデオキシリボ核酸であるが、多種多様な合成のおよび天然に存在するプライマーが多くの用途に有用である。プライマーは、ハイブリダイズして合成の開始部位として働くようにそれが設計される鋳型に相補的であるが、鋳型の正確な配列を反映する必要はない。そのような場合、鋳型へのプライマーの特異的ハイブリダイゼーションは、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーにより決まる。プライマーは、例えば、発色、放射性もしくは蛍光部分で標識し、そして検出可能な部分として用いることができる。
「プローブ」は、別のポリヌクレオチドの指定された配列に特異的にハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドをさす。プローブは標的相補的ポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするが、鋳型の正確な相補的配列を反映する必要はない。そのような場合、標的へのプローブの特異的ハイブリダイゼーションは、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーにより決まる。プローブは、例えば、発色、放射性もしくは蛍光部分で標識し、そして検出可能な部分として用いることができる。
「組み換えポリヌクレオチド」は、生来一緒に連結されない配列を有するポリヌクレオチドをさす。増幅されたもしくは組み立てられた組み換えポリヌクレオチドを適当なベクターに含むことができ、そして適当な宿主細胞を形質転換するために該ベクターを用いることができる。
組み換えポリヌクレオチドはまた、非コーディング機能(例えば、プロモーター、複製起点、リボソーム結合部位など)を果たすこともできる。
「組み換えポリペプチド」は、組み換えポリヌクレオチドの発現の際に生産されるものである。
「ポリペプチド」は、ペプチド結合、関連する天然に存在する構造バリアントおよびその合成の天然に存在しないアナログによって連結されるアミノ酸残基、関連する天然に存在する構造バリアントおよびその合成の天然に存在しないアナログからなるポリマーをさす。合成ポリペプチドは、例えば自動ポリペプチド合成機を用いて合成することができる。
「タンパク質」という用語は、典型的に、大きいポリペプチドをさす。
「ペプチド」という用語は、典型的に、短いポリペプチドをさす。
ポリペプチド配列を表すために通常の表記法を本明細書において用いる:ポリペプチド配列の左端はアミノ末端であり;ポリペプチド配列の右端はカルボキシル末端である。
本明細書において用いる場合、「レポーター遺伝子」という用語は、既知の方法を用いてその発現を検出することができる遺伝子を意味する。1例として、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)lacZ遺伝子の発現は、培地に発色基質o−ニトロフェニル−β−ガラクトシドを加えることにより既知の方法を用いて検出することができるのでlacZ遺伝子を培地におけるレポーター遺伝子として用いることができる(Gerhardt et al.,eds.,1994,Methods for General and Molecular Bacteriology,American Society for Microbiology,Washington,DC,p.574)。
「受容体」は、リガンドと特異的に結合する化合物である。
「特異的に結合する」という用語は、本明細書において用いる場合、特定の分子を認識しそして結合するが、サンプルにおける他の分子を実質的に認識しないかもしくは結合しない化合物、例えば、タンパク質、核酸、抗体などを意味する。例えば、サンプルにおけるコグネイトリガンドを認識しそして結合するが、サンプルにおける他の分子を実質的に認識しないかもしくは結合しない抗体もしくはペプチドインヒビター(すなわち、そのコグネイト血小板抗原と結合する抗血小板自己抗体、および自己抗体と特異的に結合しそれによりそのような結合を阻害するペプチドインヒビター)。
疾患を「処置する」ことは、該用語を本明細書において用いる場合、疾患もしくは障害の頻度を減らし、疾患もしくは障害の1つもしくはそれ以上の症状のうちある症状が動物によって経験される頻度を減らすことを意味する。
記述
本発明は、抗血小板抗体を同定する組成物および方法、ならびにそのような抗体のインヒビターを同定する組成物および方法に関する。さらに、本発明は、血液凝固および様々な血小板機能を阻害する組成物および方法に、そして様々な血小板に関連する自己免疫疾患を処置する方法に関する。
本発明までは、技術的障害により、ヒトモノクローナル抗血小板自己抗体の同定および単離は妨げられていた。本明細書に開示するデータは、本明細書に開示する多数の新規なヒト抗血小板自己抗体の成功した同定の新規なスクリーニング方法を示す。さらに、本発明は、そのような抗体の新規なインヒビターの同定に関する。さらに、本発明は、本発明の新規な抗血小板自己抗体を用いて、とりわけ、血小板凝集、活性化、セロトニン放出、フィブリノーゲン結合などの阻害を包含する、血小板機能を阻害する方法に関する。さらに、本発明は、本発明の新規なインヒビターを用いて阻害を取り消すことに関する。さらに、本発明は、血小板抗原との自己抗体結合によって媒介される疾患の診断およびの治療法の開発を包含する、新規な自己抗体の用途に関する。
I.単離された核酸
A.抗血小板自己抗体をコードする核酸
本発明には、核酸のヌクレオチド配列が配列番号:1(H4)、配列番号:2(H10)、配列番号:3(H29)、配列番号:4(H36)、配列番号:5(H37)、配列番号:6(H38)、配列番号:7(H39)、配列番号:8(H40)、配列番号:9(H41)、配列番号:10(H42)、配列番号:11(H44)、配列番号:12(H45)、配列番号:13(H46)、配列番号:14(H47)、配列番号:15(H48)および配列番号:16(H83)の少なくとも1つを含んでなる、哺乳類抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントをコードする単離された核酸が包含される。
別の態様として、該核酸は軽鎖をコードし、ここで、該軽鎖をコードする核酸のヌクレオチド配列は、配列番号:17(L4)、配列番号:18(L16)、配列番号:19(L24)、配列番号:20(L34)、配列番号:21(L35)、配列番号:22(L36)、配列番号:23(L37)、配列番号:24(L38)、配列番号:25(L39)、配列番号:26(L40)、配列番号:27(L41)、配列番号:28(L42)、配列番号:29(L43)、配列番号:30(L44)、配列番号:31(L45)、配列番号:32(L46)、配列番号:33(L47)、配列番号34(L48)、配列番号:35(L49)、配列番号:36(L50)、配列番号:37(L51)、配列番号:38(L52)、配列番号:39(L53)、配列番号:40(L54)、配列番号:41(L55)、配列番号:42(L61)、配列番号:43(L63)、配列番号:44(L64)、配列番号:45(L72)、配列番号:46(L74)、配列番号:47(L75)、配列番号:48(L76)、配列番号:49(L125)、配列番号:50(L92)、配列番号:51(L104)、配列番号:52(L106)および配列番号:53(L122)よりなる群から選択される少なくとも1つの配列を含んでなる。
別の態様として、本発明には、核酸によりコードされるタンパク質が重鎖であり、そして該重鎖のアミノ酸が配列番号:54(H4)、配列番号:55(H10)、配列番号:56(H29)、配列番号:57(H36)、配列番号:58(H37)、配列番号:59(H38)、配列番号:60(H39)、配列番号:61(H40)、配列番号:62(H41)、配列番号:63(H42)、配列番号:64(H44)、配列番号:65(H45)、配列番号:66(H46)、配列番号:67(H47)、配列番号:68(H48)および配列番号:69(H83)の少なくとも一つの配列である、哺乳類抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントをコードする単離された核酸が包含される。
同様に、本発明には、核酸が軽鎖をコードし、そして該軽鎖のアミノ酸が配列番号:70(L4)、配列番号:71(L16)、配列番号:72(L24)、配列番号:73(L34)、配列番号:74(L35)、配列番号:75(L36)、配列番号:76(L37)、配列番号:77(L38)、配列番号:78(L39)、配列番号:79(L40)、配列番号:80(L41)、配列番号:81(L42)、配列番号:82(L43)、配列番号:83(L44)、配列番号:84(L45)、配列番号:85(L46)、配列番号:86(L47)、配列番号:87(L48)、配列番号:88(L49)、配列番号:89(L50)、配列番号:90(L51)、配列番号:91(L52)、配列番号:92(L53)、配列番号:93(L54)、配列番号:94(L55)、配列番号:95(L61)、配列番号:96(L63)、配列番号:97(L64)、配列番号:98(L72)、配列番号:99(L74)、配列番号:100(L75)、配列番号:101(L76)、配列番号:102(L125)、配列番号:103(L92)、配列番号:104(L104)、配列番号:105(L106)および配列番号:106(L122)よりなる群から選択される配列を含んでなる、抗血小板自己抗体をコードする単離された核酸が包含される。
当業者は、本明細書に提供する教示を備えて、本明細書の他のところに開示するような抗血小板自己抗体に到達するために本発明の自己抗体の重鎖および軽鎖を任意の組み合わせで組み合わせることができることを理解する。すなわち、本明細書の他のところに開示するデータは、本明細書に開示するような抗血小板自己抗体を製造するために重鎖もしくは軽鎖をそれぞれ様々な他の軽鎖もしくは重鎖と組み合わせることができることを示す。例えば、図1に開示するデータは、重鎖、H38をいくつかの軽鎖、例えば、L39、L49、L54、L55、L72、L74、L75およびL76と組み合わせることができることを明らかに示す。同様に、該データは、軽鎖、例えばL44をいくつかの重鎖、例えば、H37およびH39と組み合わせることができることを示す。従って、該データは、組み合わせが本発明の自己抗体を生成するように、本明細書に開示する重鎖および軽鎖、ならびに本明細書に開示する方法を用いて同定されるものを組み合わせることができることを示す。様々な重鎖および軽鎖の組み合わせを包含する可能な自己抗体をスクリーニングする方法は、本明細書の他のところに記載する。従って、当業者は、当該技術分野において既知である教示および本明細書に提供する開示を備えて、抗血小板自己抗体(特にここで、そのような自己抗体の重鎖および軽鎖は以前に記述されている)を単離しそして同定することができる。
当業者は、本明細書に提供する開示に基づいて、本発明の核酸が、興味のある自己抗体の製造に有用であることを理解する。さらに、該核酸は、とりわけ、自己抗体の遺伝的原因、ならびに体細胞突然変異およびクローン関連性の程度(しかしこれらに限定されるものではない)を研究するために有用である。
当業者は、本明細書に提供する開示に基づいて、抗血小板自己抗体のホモログが存在すると思われ、そして本明細書に記述する新規なスクリーニング方法を用いてそして本明細書に開示する配列データを用いて容易に同定しそして単離できることを理解する。従って、本発明には、本明細書に提供する開示に基づいて容易に同定することができる追加の抗血小板自己抗体が包含される。
本発明の単離された核酸には、本発明の抗血小板自己抗体をコードするRNAもしくはDNA配列、およびヌクレオチド配列をそれが無細胞である場合もしくはそれが細胞と関連する場合にいっそう安定にするDNAもしくはRNAの化学修飾を包含する、その任意の修飾形態が包含されると解釈されるべきである。ヌクレオチドの化学修飾はまた、ヌクレオチド配列が細胞により取り込まれる効率もしくはそれが細胞において発現される効率を高めるために用いることもできる。ヌクレオチド配列の修飾のありとあらゆる組み合わせは、本発明において意図される。
本発明は、本明細書に開示する核酸およびアミノ酸配列にのみ限定されると解釈されるべきではない。いったん本発明を備えると、ヒト自己抗体をコードする他の核酸、ならびに哺乳類の他の種(例えば、類人猿、テナガザル、ウシ、ヒツジ、ウマ、ブタ、イヌ、ネコなど)に存在するもののようなしかしこれらに限定されるものではない、抗血小板自己抗体をコードする他の核酸を同定できることは当業者に容易に明らかである。これらの追加の配列は、本明細書に開示するような抗血小板自己抗体をコードするヒト核酸の単離のための実験の詳細の節において本明細書に記述する方法(例えば、ファージディスプレイライブラリーのスクリーニング、無傷血小板上でのパニングなど)、および当該技術分野において周知であるかもしくは開発される方法に従うことにより得ることができる。
さらに、例えば、Sambrook et al.(1989,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York)およびAusubel et al.(1997,Current Protocols in Molecular Biology,Green & Wiley,New York)に記述されているもののような当該技術分野において周知である組み換えDNA方法論を使用する抗血小板自己抗体の突然変異体、誘導体もしくはバリアント形態の作製にいくつもの方法を用いることができる。
ポリペプチドをコードするDNA配列を改変することによるタンパク質もしくはポリペプチドにおけるアミノ酸改変の導入の方法は、当該技術分野において周知であり、そしてまたSambrook et al.(1989,上記);Ausubel et al.(1997,上記)にも記述されている。
本発明には、タグポリペプチドをコードする核酸がそれに共有結合している哺乳類抗血小板自己抗体をコードする核酸が包含される。すなわち、本発明には、タグポリペプチドをコードする核酸配列が少なくとも一つの抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントをコードする核酸に共有結合しているキメラ核酸が包含される。そのようなタグポリペプチドは当該技術分野において周知であり、そして例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)、インフルエンザウイルス赤血球凝集素タグポリペプチド、myc、myc−ピルビン酸キナーゼ(myc−PK)、His6、マルトース結合タンパク質(MBP)、FLAGタグポリペプチドおよびグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)タグポリペプチドが包含される。しかしながら、本発明は、上記のタグポリペプチドをコードする核酸に限定されると決して解釈されるべきではない。むしろ、これらのタグポリペプチドと実質的に同様に機能することができるポリペプチドをコードする任意の核酸配列は、本発明に包含されると解釈されるべきである。
タグポリペプチドをコードする核酸を含んでなる核酸は、細胞、組織(例えば、血管、骨など)および/もしくは丸ごとの生物(例えば、ヒトなど)内の抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントの場所を突き止めるために、そして細胞における抗血小板自己抗体の役割(1つもしくは複数)を研究するために用いることができる。さらに、タグポリペプチドの付加は、本発明のタンパク質を製造しそして容易に精製することができるように「タグ付き」タンパク質の単離および精製を容易にする。
さらに、本発明の抗血小板自己抗体キメラ免疫グロブリンはまた、血栓画像化にも有用である。この目的には、抗体フラグメントが一般に好ましい。キメラ重鎖遺伝子は、免疫シンチグラフィー画像化用のキメラ免疫グロブリンフラグメント(例えば、Fab、Fab’もしくはF(ab’)2)を製造するためにトランケーション形態(truncated form)で設計することができる。これらの分子は、放射免疫シンチグラフィー剤を製造するために131ヨウ素、125ヨウ素、99mテクネチウムもしくは111インジウムのような放射性同位体で、直接もしくはDTPAのような連結したキレート剤を介して標識することができる。あるいはまた、標識化の部位を与えるために放射金属結合(キレート)ドメインをキメラ抗体部位中に設計することができる。従って、キメラ免疫グロブリンは、血小板特異的可変領域、定常領域(好ましくはトランケーションされた)、およびメタロチオネインのような金属結合タンパク質由来の金属結合ドメインを有するタンパク質として設計することができる。
血小板特異的キメラ免疫グロブリンは、血栓を有することが疑われる患者に投与される。標識した免疫グロブリンを血栓部位に局在させるために十分な時間の後に、標識により生成されるシグナルをガンマ線カメラのようなフォトスキャン装置により検出する。次に、検出されるシグナルを血栓の画像に転化する。該画像は、インビボで血栓を特定することおよび適切な治療戦略を考案することを可能にする。
本発明の抗血小板自己抗体が、活性化されるか、不活性化されるかもしくは両方である血小板と結合する場合、全ての血小板の標識化に起因するバックグラウンド「ノイズ」を超える検出可能なシグナルを生成する血小板の凝集のために血栓を視覚化することができると理解される。あるいはまた、本発明の抗血小板自己抗体が、活性化された血小板に特異的に結合するが不活性化された血小板にはそうしない場合、血栓は、活性化された血小板がそこに存在するので検出することができる。
B.ペプチドインヒビターをコードする核酸
本発明には、核酸がP4−12(配列番号:107);P3−4(配列番号:108);P4−7(配列番号:109);P4−2a(配列番号:110);P73−11(配列番号:115);P123−10(配列番号:117);P74−4(配列番号:119);P73−10(配列番号:121);P74−3(配列番号:123);P74−9(配列番号:125);P74−5(配列番号:127);P73−9(配列番号:129);P124−8(配列番号:131);P123−11(配列番号:133);P124−1(配列番号:135);P73−2(配列番号:137);P73−6(配列番号:139);P124−11(配列番号:141);P124−2(配列番号:143);P73−7(配列番号:145);P74−1a(配列番号:147);P123−8(配列番号:149);P74−8(配列番号:151)よりなる群から選択されるヌクレオチド配列を含んでなる、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントのペプチドインヒビターをコードする単離された核酸が包含される。
別の態様として、本発明には、コードされるタンパク質がP4−12(配列番号:111);P3−4(配列番号:112);P4−7(配列番号:113);P4−2a(配列番号:114);P73−11(配列番号:116);P123−10(配列番号:118);P74−4(配列番号:120);P73−10(配列番号:122);P74−3(配列番号:124);P74−9(配列番号:126);P74−5(配列番号:128);P73−9(配列番号:130);P124−8(配列番号:132);P123−11(配列番号:134);P124−1(配列番号:136);P73−2(配列番号:138);P73−6(配列番号:140);P124−11(配列番号:142);P124−2(配列番号:144);P73−7(配列番号:146);P74−1a(配列番号:148);P123−8(配列番号:150);P74−8(配列番号:152)よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでなる、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントのペプチドインヒビターをコードする単離された核酸が包含される。
当業者は、本明細書に提供する教示を備えて、抗血小板自己抗体の結合のそのようなペプチドインヒビターが、とりわけ、そのような結合を阻害し、それによりITP、輸血後紫斑病(PTP)などが包含されるがこれらに限定されるものではないそのような結合で媒介されるかもしくはそれと関連する任意の疾患を処置するかもしくは改善するために有用であることを理解する。これは、本明細書の他のところに示すように、ペプチドインヒビターが自己抗体と結合し、それにより抗体がそのコグネイト抗原、例えば、血小板表面上に存在する糖タンパク質のようなしかしこれに限定されるものではない血小板成分と結合するのを妨げるからである。従って、ペプチドインヒビターは該結合を阻害し(この結合は疾患を媒介する)、それにより血小板もしくは血小板の成分との自己抗体結合により媒介される疾患、障害もしくは症状を処置するかもしくは改善する。
II.単離されたポリペプチド
本発明にはまた、哺乳類抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントを含んでなる単離されたポリペプチドが包含される。好ましくは、単離されたポリペプチドは重鎖を含んでなり、ここで、該重鎖のアミノ酸は重鎖よりなる群から選択され、そしてここで、該重鎖のアミノ酸は配列番号:54(H4)、配列番号:55(H10)、配列番号:56(H29)、配列番号:57(H36)、配列番号:58(H37)、配列番号:59(H38)、配列番号:60(H39)、配列番号:61(H40)、配列番号:62(H41)、配列番号:63(H42)、配列番号:64(H44)、配列番号:65(H45)、配列番号:66(H46)、配列番号:67(H47)、配列番号:68(H48)および配列番号:69(H83)の少なくとも一つの配列である。
本発明にはまた、自己抗体が軽鎖を含んでなり、軽鎖のアミノ酸が配列番号:70(L4)、配列番号:71(L16)、配列番号:72(L24)、配列番号:73(L34)、配列番号:74(L35)、配列番号:75(L36)、配列番号:76(L37)、配列番号:77(L38)、配列番号:78(L39)、配列番号:79(L40)、配列番号:80(L41)、配列番号:81(L42)、配列番号:82(L43)、配列番号:83(L44)、配列番号:84(L45)、配列番号:85(L46)、配列番号:86(L47)、配列番号:87(L48)、配列番号:88(L49)、配列番号:89(L50)、配列番号:90(L51)、配列番号:91(L52)、配列番号:92(L53)、配列番号:93(L54)、配列番号:94(L55)、配列番号:95(L61)、配列番号:96(L63)、配列番号:97(L64)、配列番号:98(L72)、配列番号:99(L74)、配列番号:100(L75)、配列番号:101(L76)、配列番号:102(L125)、配列番号:103(L92)、配列番号:104(L104)、配列番号:105(L106)および配列番号:106(L122)よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでなる、哺乳類抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントを含んでなる単離されたポリペプチドも包含される。
当業者は、本明細書に提供する開示に基づいて、重鎖を幅広く多数の軽鎖と組み合わせることができると、そして逆に、重鎖および軽鎖の各々を本明細書に開示するそれぞれ軽鎖もしくは重鎖と組み合わせることができるように理解する。さらに、本明細書に開示する各重鎖および軽鎖は、開示されていないが当該技術分野において既知であるかもしくは将来に同定されるそれぞれ軽鎖もしくは重鎖と組み合わせることができる。これは、本明細書の他のところにさらに十分に記載するように(例えば、図1およびその説明を参照)、本発明の抗血小板自己抗体を製造するために単一の軽鎖を様々な重鎖と組み合わせることができるからである。同様に、本明細書の他のところに開示するデータは、本発明の抗血小板自己抗体を形成するために単一の重鎖を様々な軽鎖と組み合わせることができることを十分に示す。従って、当業者は、本明細書に提供する教示および当該技術分野において周知である方法を備えて、血小板成分と結合する追加のH+L鎖の組み合わせを容易に同定することができ、そしてそのような自己抗体は本明細書に包含される。
さらに、重鎖および軽鎖のある種の組み合わせが好ましく、そして次のとおりである:H44L4[配列番号:64(H44)および配列番号:70(L4)]、H46L16[配列番号:66(H46)および配列番号:71(L16)]、H48L24[配列番号:68(H48)および配列番号:72(L24)]、H36L35[配列番号:57(H36)および配列番号:74(L35)]、H40L36[配列番号:61(H40)および配列番号:75(L36)]、H83L34[配列番号:69(H83)および配列番号:73(L34)]、H39L37[配列番号:60(H39)および配列番号:76(L37)]、H42L38[配列番号:63(H42)および配列番号:77(L38)]、H38L39[配列番号:59(H38)および配列番号:78(L39)]、H37L40[配列番号:58(H37)および配列番号:79(L40)]、H37L41[配列番号:58(H37)および配列番号:80(L41)]、H40L42[配列番号:61(H40)および配列番号:81(L42)]、H39L43[配列番号:60(H39)および配列番号:82(L43)]、H37L44[配列番号:58(H37)および配列番号:83(L44)]、H39L44[配列番号:60(H39)および配列番号:83(L44)]、H37L45[配列番号:58(H37)および配列番号:84(L45)]、H39L46[配列番号:60(H39)および配列番号:85(L46)]、H37L47[配列番号:58(H37)および配列番号:86(L47)]、H37L48[配列番号:58(H37)および配列番号:87(L48)]、H38L49[配列番号:59(H38)および配列番号:88(L49)]、H37L50[配列番号:58(H37)および配列番号:89(L50)]、H41L51[配列番号:62(H41)および配列番号:90(L51)]、H40L52[配列番号:61(H40)および配列番号:91(L52)]、H40L53[配列番号:61(H40)および配列番号:92(L53)]、H38L54[配列番号:59(H38)および配列番号:93(L54)]、H38L55[配列番号:59(H38)および配列番号:94(L55)]、H45L61[配列番号:84(H45)および配列番号:95(L61)]、H47L63[配列番号:67(H47)および配列番号:96(L63)]、H47L64[配列番号:67(H47)および配列番号:97(L64)]、H38L72[配列番号:59(H38)および配列番号:98(L72)]、H38L74[配列番号:59(H38)および配列番号:99(L74)]、H38L75[配列番号:59(H38)および配列番号:100(L75)]、H38L76[配列番号:59(H38)および配列番号:101(L76)]、H36L76[配列番号:57(H36)および配列番号:101(L76)]、H37L92[配列番号:58(H37)および配列番号:103(L92)]、H29L104[配列番号:56(H29)および配列番号:104(L104)]、H4L106[配列番号:54(H4)および配列番号:105(L106)]ならびにH10L122[配列番号:55(H10)および配列番号:106(L122)]。しかしながら、本明細書の他のところですでに指摘するように、本発明の自己抗体は、重鎖および軽鎖のこれらのもしくは任意の他の組み合わせに決して限定されない。
本発明には、本発明の抗血小板自己抗体の生物学的活性フラグメントが包含される。すなわち、当業者は、本明細書に提供する開示に基づいて、本発明の自己抗体のフラグメントを本発明の方法に使用できることを理解する。抗体フラグメントの使用は当該技術分野において周知であり、そして使用する抗体分子の関連部分(1つもしくは複数)の同定は、当業者の認識範囲内である。従って、全長自己抗体分子と同一ではないにしても実質的に同様である生物学的活性を有する抗体フラグメントの同定および製造は、本発明に包含される。
本発明にはまた、血小板抗原の特定の領域と特異的に結合する抗血小板抗体もしくはその生物学的活性フラグメントも包含される。そのような血小板抗原には、ある種のインテグリン、例えば、とりわけ、GPIa/IIa、GPIIb/IIIaおよびGPIb/IXが包含されるが、これらに限定されるものではない。しかしながら、本発明は、これらのもしくは任意の他の血小板成分に限定されない。すなわち、本明細書の他のところに開示する方法を用いて、そして本明細書の他のところに記載する教示に従って、当業者は、幅広く多数の血小板成分と特異的に結合する抗血小板自己抗体を容易に同定することができる。
さらに、本発明には、血小板成分のある部分に特異的に結合する抗血小板自己抗体が包含される。さらに特に、エピトープ発現および自己抗体による認識に必要とされる血小板成分の部分を同定することができ、そして全長血小板成分のある部分を必要とするが他の部分を必要としない自己抗体を同定することができる。そのような自己抗体には、血小板成分(GPIIb/IIIa)との結合に、αIIb(配列番号:153;GenBank受託番号P08514)の約アミノ酸残基番号447〜約アミノ酸残基番号1009のようなしかしこれに限定されるものではない、例えばGPIIb/IIIaのある部分を必要とする抗血小板自己抗体が包含されるが、これに限定されるものではない。従って、本発明には、インテグリンのαIIbタイプのN末端部分(例えば配列番号:153の配列に対して約アミノ酸残基番号1〜約アミノ酸残基番号446を含んでなる部分)を必要としない(すなわち、類似のビトロネクチン部分が十分である)抗血小板自己抗体が包含される。
本発明には、モノクローナル、合成抗体などが包含される。当業者は、本明細書に提供する開示に基づいて、本発明の自己抗体の重要な特徴は、自己抗体が血小板成分(例えば、GPIa/IIa、GPIIb/IIIa、GPIb/IXなど)と特異的に結合することであることを理解する。すなわち、本発明の自己抗体は、当該技術分野において周知である標準方法を用いて、本明細書の他のところに開示するデータにより示されるように、血小板もしくはその成分を認識し、そしてそのような結合はまた、当該技術分野において既知であるが本明細書に記述されていない方法ならびに将来に開発される方法を用いて評価することもできる。
本発明には、本明細書の他のところに開示するスクリーニング方法を用いて同定されるモノクローナル抗体が包含される。
ファージディスプレイライブラリーにより生産される本発明の自己抗体は、サブクローン化しそして大量のペプチドの生成に適当な細胞において適切なプロモーター配列から発現することができる。本発明のモノクローナル自己抗体はまた、当該技術分野において既知である標準方法を用いて化学合成により製造することもできる。
本明細書に記述する方法を用いて得られるモノクローナル自己抗体をコードする核酸は、当該技術分野において利用可能でありそして例えばWright et al.(1992,Critical Rev.Immunol.12:125−168)およびその中に引用される参考文献に記述されている技術を用いてクローン化しそしてシーケンスすることができる。
さらに、本発明の非ヒト哺乳類自己抗体は、例えば、Wright et al.(上記)およびその中に引用される参考文献に、そしてGu et al.(1997,Thrombosis and Hematocyst.77:755−759)に記述されている技術、ならびに当該技術分野において周知であるかもしくは開発される抗体をヒト化する他の方法を用いて「ヒト化」することができる。
本明細書の他のところにさらに十分に記載するように、ファージ抗体ライブラリーを作製するために、最初に、ファージ表面上に発現される所望のタンパク質(例えば所望の抗体)を発現する細胞(例えば正常動物もしくは動物からの脾臓細胞)から単離されるmRNAよりcDNAライブラリーを得る。mRNAのcDNAコピーは、逆転写酵素を用いて製造する。免疫グロブリンフラグメントを特定するcDNAは、PCRにより得られ、そして得られるDNAを適当なバクテリオファージベクターにクローン化して免疫グロブリン遺伝子を特定するDNAを含んでなるバクテリオファージDNAライブラリーを作製する。異種DNAを含んでなるバクテリオファージライブラリーを作製する方法は、当該技術分野において周知であり、そして本明細書ならびに例えばSambrook et al.、上記に記述されている。
所望の抗体をコードするバクテリオファージは、該タンパク質がその対応する結合タンパク質(例えば、抗体が向けられる抗原)に結合することに利用可能であるようにその表面上に提示されるように設計することができる。従って、特定の抗体を発現するバクテリオファージが、対応する抗原を発現する細胞の存在下でインキュベーションされる場合、該バクテリオファージは該細胞に結合する。抗体を発現しないバクテリオファージは、細胞に結合しない。そのようなパニング技術は当該技術分野において周知であり、そして例えばWright et al.(上記)に記述されている。
上記のもののような方法は、M13バクテリオファージディスプレイを用いてヒト抗体の製造のために開発されている(Burton et al.,1994,Adv.Immunol.57:191−280)。そのようなディスプレイライブラリーの製造およびそのスクリーニングに関する方法は、Siegelへの米国特許第6,255,455号に記載されており、それは本明細書にその全部が記載されるように引用することにより組み込まれる。本質的に、cDNAライブラリーは、抗体産生細胞の集団から得られるmRNAより作製される。該mRNAは、再編成した免疫グロブリン遺伝子をコードし、従って、該cDNAは同じものをコードする。増幅したcDNAをM13発現ベクター(もしくはM13パッケージングシグナルを有するファージミド)にクローン化し、それらの表面上にヒトFabフラグメントを発現するファージのライブラリーを作製する。興味のある抗体を提示するファージを抗原結合により選択し、そして細菌において増やして可溶性ヒトFab免疫グロブリンを製造する。従って、通常のモノクローナル抗体合成と異なり、この方法は、ヒト免疫グロブリンを発現する細胞よりむしろヒト免疫グロブリンをコードするDNAを不死化する。
この提示する方法は、抗体分子のFab部分をコードするファージの作製を記述する。しかしながら、本発明は、Fab抗体をコードするファージの作製にのみ限定されると解釈されるべきではない。むしろ、一本鎖抗体をコードするファージ(scFv/ファージ抗体ライブラリー)もまた、本発明に包含される。Fab分子は全Ig軽鎖を含んでなり、すなわち、それらは軽鎖の可変および定常領域の両方を含んでなるが、重鎖の可変領域および第一の定常領域ドメイン(CH1)のみを含む。一本鎖抗体分子は、Ig Fvフラグメントを含んでなるタンパク質の一本鎖を含んでなる。Ig Fvフラグメントは、抗体の重鎖および軽鎖の可変領域のみを含み、その中に定常領域を含まない。scFv DNAを含んでなるファージライブラリーは、Marks et al.(1991,J.Mol.Biol.222:581−597)に記述されている方法に従って作製することができる。所望の抗体の単離のためにそのように作製したファージのパニングは、Fab DNAを含んでなるファージライブラリーに記述するものと同様にして行う。
本発明の自己抗体は、1価、2価もしくは多価であることができる。1価の免疫グロブリンは、キメラ軽鎖とジスルフィド架橋を介して結合しているキメラ重鎖の形状を成すダイマー(HL)である。2価の免疫グロブリンは、少なくとも1つのジスルフィド架橋を介して結合している2つのダイマーの形状を成すテトラマー(H2L2)である。多価の免疫グロブリンもまた、例えば、凝集する重鎖定常領域(例えば、μ重鎖定常領域)を用いることにより製造することができる。Fab、Fab’もしくはF(ab’)2のようなキメラ免疫グロブリンフラグメントもまた、製造することができる。血小板機能に影響を与えるが、血小板破壊をもたらさないために本発明の自己抗体を用いる目的(抗体クローンが由来するITPにかかっている患者におけるような)には、抗原認識部分(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2もしくはFv)だけを保有しそしてFcドメインを欠いている免疫グロブリンフラグメントが望ましくあり得る。すなわち、当業者は、本明細書に提供する開示に基づいて、本発明には、血小板もしくは血小板の成分とフラグメントとの血小板結合を維持するがマクロファージ(およびFc受容体を保有する他の細胞)へのFc受容体結合および結果として起こる血小板破壊をなくすように全長形態のCH2およびCH3定常領域ドメイン(すなわち、Fc部分)を欠いた全長自己抗体のフラグメントを製造することおよび使用することが包含されることを理解する。
本発明にはまた、重鎖および軽鎖可変領域がほとんど全ての可能な特異性を含むようにそれらを合成することができる合成ファージディスプレイライブラリーも包含されると解釈されるべきである(Barbas,1995,Nature Medicine 1:837−839;de Kruif et al.1995,J.Mol.Biol.248:97−105)。
本発明はまた、本明細書に開示するような、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントを含んでなるタンパク質もしくはペプチドのアナログも提供する。本発明にはさらに、自己抗体結合のペプチドインヒビターのアナログが包含され、これらのインヒビターは本明細書に開示される。アナログは、保存的アミノ酸配列の違いによりもしくは配列に影響を与えない改変により、または両方により天然に存在するタンパク質もしくはペプチドと異なることができる。例えば、保存的アミノ酸改変を行うことができ、それらはタンパク質もしくはペプチドの一次配列を改変するが、その機能を通常は改変しない。保存的アミノ酸置換には、典型的に、以下のグループ内の置換が包含される:
グリシン、アラニン;
バリン、イソロイシン、ロイシン;
アスパラギン酸、グルタミン酸;
アスパラギン、グルタミン;
セリン、トレオニン;
リシン、アルギニン;
フェニルアラニン、チロシン。
改変(通常は一次配列を改変しない)には、インビボもしくはインビトロの、ポリペプチドの化学誘導体化、例えばアセチル化もしくはカルボキシル化が包含される。また包含されるのは、グリコシル化の改変、例えば、ポリペプチドのグリコシル化パターンをその合成およびプロセシング中にもしくはさらなるプロセシング段階において改変することにより;例えば、グリコシル化に影響を与える酵素、例えば哺乳類グリコシル化もしくは脱グリコシル化酵素にポリペプチドをさらすことによりなされるものである。また包含されるのは、リン酸化されたアミノ酸残基、例えば、ホスホチロシン、ホスホセリンもしくはホスホトレオニンを有する配列である。
また包含されるのは、タンパク質分解に対する抵抗性を高めるためにもしくは溶解特性を最適化するためにもしくは治療薬としてさらに適当にするために通常の分子生物学技術を用いて改変されているポリペプチドである。そのようなポリペプチドのアナログには、天然に存在するLアミノ酸以外の残基、例えばDアミノ酸もしくは天然に存在しない合成アミノ酸を含有するものが包含される。本発明のペプチドは、本明細書に記載する特定の典型的方法のいずれかの生成物に限定されない。
本発明にはまた、本発明のペプチドの(もしくはそれらをコードするDNAの)「突然変異体」、「誘導体」および「バリアント」も包含されると解釈されるべきであり、これらの突然変異体、誘導体およびバリアントは、該ペプチドが本発明の抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメント、またはそのペプチドインヒビターの生物学的/生化学的性質を有する点において、得られるペプチド(もしくはDNA)が本明細書に列挙する配列と同一ではないが本明細書に開示するペプチドと同じ生物学的性質を有するように1つもしくはそれ以上のアミノ酸において改変される(もしくは、それらをコードするヌクレオチド配列に関する場合、1つもしくはそれ以上の塩基対において改変される)抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメント、そのペプチドインヒビター、または両方である。
さらに、本発明には、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメント配列の天然に存在するバリアントもしくは組み換えで得られる突然変異体が包含されると解釈されるべきであり、これらのバリアントもしくは突然変異体は、それによりコードされるタンパク質を本発明の全長クローンより多く、少なく、もしくはちょうど同じ程度に生物学的に活性にする。
該核酸およびそれによりコードされるペプチドは、血小板の機能(1つもしくは複数)を解明しそしてそれに影響を与えるための有用な手段である。さらに、哺乳類抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントを含んでなる核酸およびアミノ酸は、例えば、とりわけ、血小板と抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントとの結合を阻害し、従って、とりわけ、血小板と抗血小板自己抗体との結合により媒介される疾患、障害もしくは症状(例えばITPなど)の潜在的治療薬候補である化合物を同定するために用いることができる有用な診断法である。
さらに、本発明の核酸およびアミノ酸は、とりわけ、自己抗体作用の研究、新規な診断法および処置の治療法の同定に、そして抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントの細胞役割(1つもしくは複数)を解明することに有用な手段である組み換え細胞およびトランスジェニック非ヒト哺乳類を製造するために用いることができる。例えば、トランスジェニック動物は、ITPのようなしかしこれに限定されるものではない、血小板と抗血小板自己抗体との結合により媒介される疾患、障害もしくは症状に用いることができる。
さらに、本発明の核酸およびアミノ酸は、血小板と抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントとの結合により媒介される疾患、障害もしくは症状(例えばITP)の重傷度および予後を評価するために、遺伝子発現もしくはタンパク質発現のレベルを評価することによるいずれかで、診断的に用いることができる。本発明の核酸およびタンパク質はまた、そのような疾患などを処置するか、改善するか、もしくは両方のための処置の効能を評価するアッセイの開発においても有用である。すなわち、本発明の核酸およびポリペプチドは、血小板と抗血小板自己抗体との結合により媒介される疾患、障害もしくは症状への様々な治療の効果を検出し、それによりITPなどの処置効能の評価のようなしかしこれに限定されるものではない治療の効果を確かめるために用いることができる。例えば、患者の抗血小板自己抗体の特定のクローンに特異的なペプチドは、様々な処置プロトコルの間に患者血清におけるそのような自己抗体のレベルを評価するために用いることができる。これは、血漿に存在する自己抗体のレベルが、疾患の重傷度、予後などと相関関係があり、そして自己抗体のレベルを評価することは、処置の効能を評価する方法として提供するからである。
III.ベクター
他の関連する態様として、本発明には、プロモーター/調節配列を含んでなる核酸に、該核酸が好ましくは核酸によりコードされるタンパク質の発現を導くことができるように操作可能に連結された、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントをコードする単離された核酸が包含される。従って、本発明には、例えば、Sambrook et al.(1989,上記)およびAusubel et al.(1997,上記)に記述されているもののような発現ベクターおよび細胞における外来DNAの同時発現を有する細胞への外来DNAの導入の方法が包含される。しかしながら、本発明には、pComb3Hファージミドベクターを含んでなるベクターは包含されない。
抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントを通常は発現しないか、またはタグポリペプチドと融合した抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントを発現しない細胞における、単独のもしくは検出可能なタグポリペプチドに融合した、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントの発現は、ベクターが導入される細胞において、タグを有するもしくは有さない、タンパク質の発現を導くように働くプロモーター/調節配列に操作可能に連結された所望の核酸を含んでなるプラスミド、ウイルスもしくは他のタイプのベクターを作製することにより成し遂げることができる。遺伝子の構成的発現を導くために有用な多数のプロモーター/調節配列は当該技術分野において利用可能であり、そして例えばサイトメガロウイルス前初期プロモーターエンハンサー配列、SV40初期プロモーター(これらは両方とも本明細書に開示する実験に使用した)ならびにラウス肉腫ウイルスプロモーターなどが包含されるが、これらに限定されるものではない。
さらに、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントをコードする核酸の誘導性および組織特異的発現は、誘導性もしくは組織特異的プロモーター/調節配列の制御下に、タグを有するもしくは有さない、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントをコードする核酸を置くことにより成し遂げることができる。この目的のために有用な組織特異的もしくは誘導性プロモーター/調節配列の例には、MMTV LTR誘導性プロモーターおよびSV40後期エンハンサー/プロモーターが包含されるが、これらに限定されるものではない。さらに、金属、グルココルチコイドなどのような誘導因子に応答して誘導される当該技術分野において周知であるプロモーターもまた、本発明において意図される。従って、本発明には、既知もしくは未知のいずれかであり、そしてそれに操作可能に連結された所望のタンパク質の発現を導くことができる任意のプロモーター/調節配列の使用が包含されると理解される。
同様に、本発明には、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントの結合のペプチドインヒビターをコードする単離された核酸が包含され、ここで、該インヒビターをコードする核酸は、プロモーター/調節配列を含んでなる核酸に、該核酸が好ましくは核酸によりコードされるペプチドインヒビターの発現を導くことができるように操作可能に連結される。
ベクターを用いる抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメント、またはそのような自己抗体のペプチドインヒビターの発現は、大量の組み換えで製造されるタンパク質の単離を可能にする。
任意の特定のプラスミドベクターもしくは他のDNAベクターの選択は、本発明における限定因子ではなく、そして幅広く多数のベクターが当該技術分野において周知である。さらに、特定のプロモーター/調節配列を選択し、そしてそれらのプロモーター/調節配列を所望のポリペプチドをコードするDNA配列に操作可能に連結することは当業者の技量の十分に範囲内である。そのような技術は当該技術分野において周知であり、そして例えばSambrook、上記およびAusubel、上記に記述されている。
従って、本発明には、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメント、またはそのような自己抗体のペプチドインヒビターをコードする単離された核酸を含んでなるベクターが包含される。ベクターへの所望の核酸の導入およびベクターの選択は、例えばSambrook、上記およびAusubel、上記に記述されているように当該技術分野において周知である。
本発明にはまた、そのようなベクターを含有する細胞、ウイルス、プロウイルスなども包含される。ベクターおよび/もしくは外来核酸を含んでなる細胞を製造する方法は、当該技術分野において周知である。例えば、Sambrook、上記およびAusubel、上記を参照。
抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメント、またはそのような抗血小板自己抗体のペプチドインヒビターをコードする核酸は、様々なプラスミドベクターにクローン化することができる。しかしながら、本発明は、プラスミドにもしくは任意の特定のベクターに限定されると解釈されるべきではない。その代わりに、本発明には、容易に利用可能でありそして/もしくは当該技術分野において周知である幅広く多数のベクターが包含されると解釈されるべきである。
IV.アンチセンス分子およびリボザイム
さらに、本発明には、アンチセンス核酸を含んでなる組み換え細胞が包含され、この細胞は、細胞プロセスにおける抗血小板自己抗体の役割(1つもしくは複数)を解明するための有用なモデルである。従って、抗血小板自己抗体をコードする核酸に相補的であるがアンチセンスの向きであるアンチセンス核酸を含んでなるトランスジェニック細胞は、自己抗体の作用機序(1つもしくは複数)および細胞におけるその役割(1つもしくは複数)の研究のそして血小板との自己抗体結合の影響(1つもしくは複数)を改善する治療法の同定の有用な手段である。
当業者は、細胞における抗血小板自己抗体mRNAおよび/もしくはタンパク質のレベルを減少する一つの方法は、該タンパク質をコードする核酸の発現を阻害することであることを理解する。抗血小板自己抗体の発現は、例えばアンチセンス分子を用いて、そしてまた例えばWianny and Kernicka−Goetz(2000,Nature Cell Biol.2:70−75)に記述されているようにリボザイムもしくは二本鎖RNAを用いることによっても阻害することができる。
アンチセンス分子および遺伝子発現を阻害するためのそれらの使用は、当該技術分野において周知である(例えば、Cohen,1989,Oligodeoxyribonucleotides,Antisense Inhibitions of Gene Expression,CRC Pressを参照)。アンチセンス核酸は、特定のmRNA分子の少なくとも一部に相補的な(該用語が本明細書の他のところに定義されるように)DNAもしくはRNA分子である(Weintraub,1990,Scientific American 262:40)。細胞において、アンチセンス核酸は対応するmRNAにハイブリダイズし、二本鎖分子を形成し、それにより遺伝子の翻訳を阻害する。
遺伝子の翻訳を阻害するためのアンチセンス法の使用は、当該技術分野において既知であり、そして例えばMarcus−Sakura(1988,Anal.Biochem.172:289)に記述されている。そのようなアンチセンス分子は、Inoue(1993,米国特許第5,190,931号)により教示されるようにアンチセンス分子をコードするDNAを用いて遺伝子発現によって細胞に与えることができる。
あるいはまた、本発明のアンチセンス分子は、合成的に製造し、そして次に細胞に与えることができる。約10〜約30個の間、そしてより好ましくは約15個のヌクレオチドのアンチセンスオリゴマーは、容易に合成されそして標的細胞に導入されるので好ましい。本発明により意図される合成アンチセンス分子には、改変されていないオリゴヌクレオチドと比較して改善された生物学的活性を有する当該技術分野において既知であるオリゴヌクレオチド誘導体が包含される(Cohen,上記;Tullis,1991,米国特許第5,023,243号を参照、その全部が本明細書に引用することにより組み込まれる)。
リボザイムおよび遺伝子発現を阻害するためのそれらの使用もまた、当該技術分野において周知である(例えば、Cech et al.,1992,J.Biol.Chem.267:17479−17482;Hampel et al.,1989,Biochemistry 28:4929−4933;Eckstein et al.,国際公開第WO92/07065号;Altman et al.,米国特許第5,168,053号を参照、その全部が本明細書に引用することにより組み込まれる)。リボザイムは、DNA制限エンドヌクレアーゼと同様にして他の一本鎖RNAを特異的に切断する能力を有するRNA分子である。これらのRNAをコードするヌクレオチド配列の改変によって、RNA分子における特定のヌクレオチド配列を認識しそしてそれを切断するように分子を設計することができる(Cech,1988,J.Amer.Med.Assn.260:3030)。この方法の主要な利点は、それらが配列特異的であるので、特定の配列を有するmRNAのみが不活性化されることである。
2つの基本タイプのリボザイム、すなわち、テトラヒメナ型(Hasselhoff,1988,Nature 334:585)およびハンマーヘッド型がある。テトラヒメナ型リボザイムは4塩基の長さである配列を認識し、一方、ハンマーヘッド型リボザイムは11〜18塩基の長さの塩基配列を認識する。配列が長くなるほど、配列が標的mRNA種にのみ存在する可能性は大きくなる。従って、ハンマーヘッド型リボザイムは、特定のmRNA種を不活性化するのにテトラヒメナ型リボザイムより好ましく、そして18塩基の認識配列は、様々な関係のないmRNA分子内でランダムに存在し得るより短い認識配列より好ましい。
抗血小板自己抗体の発現を阻害するために有用なリボザイムは、抗血小板自己抗体のmRNA配列に相補的なもしくは配列番号:1(H4)、配列番号:2(H10)、配列番号:3(H29)、配列番号:4(H36)、配列番号:5(H37)、配列番号:6(H38)、配列番号:7(H39)、配列番号:8(H40)、配列番号:9(H41)、配列番号:10(H42)、配列番号:11(H44)、配列番号:12(H45)、配列番号:13(H46)、配列番号:14(H47)、配列番号:15(H48)、配列番号:16(H83)、配列番号:17(L4)、配列番号:18(L16)、配列番号:19(L24)、配列番号:20(L34)、配列番号:21(L35)、配列番号:22(L36)、配列番号:23(L37)、配列番号:24(L38)、配列番号:25(L39)、配列番号:26(L40)、配列番号:27(L41)、配列番号:28(L42)、配列番号:29(L43)、配列番号:30(L44)、配列番号:31(L45)、配列番号:32(L46)、配列番号:33(L47)、配列番号34(L48)、配列番号:35(L49)、配列番号:36(L50)、配列番号:37(L51)、配列番号:38(L52)、配列番号:39(L53)、配列番号:40(L54)、配列番号:41(L55)、配列番号:42(L61)、配列番号:43(L63)、配列番号:44(L64)、配列番号:45(L72)、配列番号:46(L74)、配列番号:47(L75)、配列番号:48(L76)、配列番号:49(L125)、配列番号:50(L92)、配列番号:51(L104)、配列番号:52(L106)および配列番号:53(L122)よりなる群から選択されるヌクレオチド配列を含んでなる核酸配列に相補的な標的配列を基本リボザイム構造に導入することにより設計することができる。さらに、本発明の方法を用いて同定される抗血小板自己抗体をコードする核酸配列のアンチセンスもまた、本発明により包含される。
抗血小板自己抗体を標的とするリボザイムは、市販されている試薬(Applied Biosystems,Inc.,Foster City,CA)を用いて合成することができ、もしくはそれらをコードするDNAからそれらを遺伝子的に発現することができる。
V.組み換え細胞およびトランスジェニック非ヒト哺乳類
本発明には、とりわけ、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントをコードする単離された核酸、それに相補的なアンチセンス核酸、抗血小板自己抗体のペプチドインヒビターをコードする核酸などを含んでなる組み換え細胞が包含される。一つの態様として、組み換え細胞は、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントをコードする核酸、それに相補的なアンチセンス核酸、抗血小板自己抗体のペプチドインヒビターをコードする核酸の一部をコードするベクター(例えば、プラスミドなど)で一過性トランスフェクションすることができる。核酸は細胞ゲノムに組み込まれる必要はなく、また細胞において発現される必要もない。さらに、細胞は原核もしくは真核細胞であることができ、そして本発明は任意の特定の細胞系もしくは細胞タイプに限定されると解釈されるべきではない。そのような細胞には、繊維芽細胞、マウス幹細胞、両生類卵母細胞、骨芽細胞、平滑筋細胞、内皮細胞などが包含されるが、これらに限定されるものではない。
一つの態様として、哺乳類抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントをコードする単離された核酸を含んでなる組み換え細胞は、トランスジェニック非ヒト哺乳類を作製するために用いられる。すなわち、本発明の外来核酸、つまり「導入遺伝子」(それが本明細書において同様に呼ばれるような)を細胞に導入し、そして次に該細胞を用いて非ヒトトランスジェニック哺乳類を作製する。導入遺伝子が導入される細胞は、好ましくは、胚性幹(ES)細胞である。しかしながら、本発明は、本発明の導入遺伝子を含んでなるES細胞にのみ、またトランスジェニック動物を作製するために用いられる細胞にも限定されると解釈されるべきではない。むしろ、本発明のトランスジェニック細胞には、導入遺伝子を含んでなるトランスジェニック動物に由来する任意の細胞、トランスジェニックES細胞に由来するキメラ動物から得られる導入遺伝子を含んでなる細胞、および非ヒトトランスジェニック哺乳類を作製するために用いることができるかもしくはできない導入遺伝子を含んでなる任意の他のものが包含されるが、これらに限定されるものではない。
さらに、導入遺伝子を含んでなる(すなわち、組み換えの)細胞の目的は、トランスジェニック哺乳類の作製に限定されると解釈されるべきではないことに留意することは重要である。むしろ、本発明には、哺乳類抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントをコードする単離された核酸を含んでなる原核細胞および真核細胞が包含されるがこれらに限定されるものではない、哺乳類抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントをコードする核酸が導入される任意の細胞タイプが包含されると解釈されるべきである。
細胞が真核細胞である場合、該細胞は、本発明の導入遺伝子がその中に導入され、そして所望の遺伝子によりコードされるタンパク質がそれからもはや発現されない場合に、利益が得られる任意の真核細胞であることができる。そのような利益には、所望の遺伝子の発現の欠如を研究室においてインビトロでもしくは該細胞が存在する哺乳類において研究することができる系、導入される遺伝子欠失を含んでなる細胞を研究、診断および治療手段として用いることができる系、ならびに例えば、血小板と抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントとの結合により媒介される疾患(例えばITP)を包含する哺乳類における選択される病状の新しい診断および治療手段の開発に有用な動物モデルが作製される系などが提供されていることを包含することができる。すなわち、当業者は、本明細書に提供する開示に基づいて、抗血小板抗体のそのリガンドとの結合が、とりわけ、血小板のクリアランス、減少した凝集、活性化などを包含する阻害された血小板機能を媒介するので、ITPおよび輸血後紫斑病(PTP)のようなしかしこれらに限定されるものではない、そのような阻害と関連する選択された病状もしくはプロセスを、抗血小板自己抗体の発現もしくは発現の欠如を評価することにより調べることができることを理解する。
あるいはまた、本発明には、本発明の導入遺伝子がその中に導入され、そして所望の遺伝子によりコードされるタンパク質がそれから発現される(ここで、それは該細胞において以前に存在しないかもしくは発現されず、またはここで、それは導入遺伝子が導入される前のものと異なるレベルでもしくは状況下で現在発現される)場合に、利益が得られる真核細胞が包含される。そのような利益には、所望の遺伝子の発現を研究室においてインビトロでもしくは該細胞が存在する哺乳類において研究することができる系、導入される遺伝子を含んでなる細胞を研究、診断および治療手段として用いることができる系、ならびに哺乳類における選択された病状の新しい診断および治療手段の開発に有用である動物モデルが作製される系が提供されていることを包含することができる。
抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントをコードする単離された核酸を発現するそのような細胞は、低レベルの抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントの発現および/もしくは活性と関連する疾患、障害もしくは症状を処置するかもしくは軽減するためにさらに高いレベルの抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントが有用であり得る細胞、組織もしくは丸ごとの動物に抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントを提供するために用いることができる。
当業者は、本明細書に提供する開示に基づいて、本発明の「ノックイン」もしくは「ノックアウト」ベクターが、それぞれ、置換されるかもしくは取り除かれる核酸の2つの部分に相同な少なくとも2つの配列を含んでなることを理解する。これら2つの配列は、該遺伝子に隣接する配列と相同であり;すなわち、一方の配列は、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントをコードする核酸のコーディング配列の5’部分のもしくはその近くの領域と相同であり、そしてもう一方の配列は、第一のものからさらに下流である。当業者は、本明細書に提供する開示に基づいて、本発明が任意の特定の隣接する核酸配列に限定されないことを理解する。その代わりに、ターゲッティングベクターは、それぞれ、哺乳類ゲノムからもしくはその中に、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントをコードする核酸をいくらかもしくは全て取り除くか(すなわち、「ノックアウト」ベクター)または挿入する(すなわち、「ノックイン」ベクター)2つの配列を含んでなることができる。ターゲッティングベクターの重要な特徴は、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントをコードする核酸の全部もしくは一部が哺乳類染色体上の位置から取り除かれるかもしくはそれに挿入されるように相同的組み換えによる欠失/挿入が起こることを可能にするために、「ノックアウト」ベクターの場合には抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントのオープンリーディングフレーム(ORF)の反対の(すなわち、5’および3’)末端に向かって位置する2つの配列の十分な部分をそれが含んでなることである。
導入遺伝子ならびにノックインおよびノックアウトターゲッティングベクターの設計は当該技術分野において周知であり、そしてSambrook et al.(1989,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York)およびAusubel et al.(1997,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York)などのような標準的な専門書に記述されている。ターゲッティングベクターに用いる抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントのコーディング領域に隣接するかもしくはその内部の上流および下流部分は、既知の方法に基づいてそして多数のヒト抗血小板自己抗体の核酸およびアミノ酸配列を包含する本明細書に提供する開示に基づいて本明細書に開示する教示に従って容易に選択することができる。これらの配列を備えて、当業者は、本発明の導入遺伝子およびノックアウトベクターを構築することができる。
本発明にはさらに、例えば、neoR遺伝子をコードする核酸のような選択可能なマーカーをコードする核酸を含んでなり、それによりG418の存在下で増殖する細胞の能力によって抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントをコードする核酸が取り除かれそしてネオマイシン耐性遺伝子で置換されているトランスジェニック細胞の選択を可能にするノックアウトターゲッティングベクターが包含される。しかしながら、本発明は、選択可能なマーカーとしてネオマイシン耐性に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメント遺伝子が取り除かれそして/もしくは不活性化されそして最適な選択可能なマーカーをコードする核酸により置換されている組み換え細胞の選択を可能にするために当該技術分野において周知である他の選択可能なマーカーをノックアウトターゲッティングベクターに用いることができる。選択可能なマーカーを選択しそしてベクターに導入する方法は当該技術分野において周知であり、そして例えばSambrook et al.(1989,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York)およびAusubel et al.(1997,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York)に記述されている。
本明細書に記載するように、本発明には、そのゲノムの所望の位置に挿入された外来核酸を含んでなりそれにより所望の内因性標的遺伝子のコーディング領域を取り除く非ヒトトランスジェニック哺乳類、すなわち、ノックアウトトランスジェニック哺乳類が包含される。さらに、本発明には、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントをコードする外来核酸がゲノムのある部位に挿入されるトランスジェニックヒト哺乳類、すなわち、「ノックイン」トランスジェニック哺乳類が包含される。挿入されるノックイン導入遺伝子は、細胞に通常は存在しないかまたは抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントに典型的には操作可能に連結されない、例えば、タグポリペプチド、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントをコードする核酸に操作可能に連結されたプロモーター/調節領域をコードする様々な核酸を含んでなることができる。
本発明の非ヒトトランスジェニック哺乳類の作製は、好ましくは、これから記述する方法を用いて成し遂げられる。しかしながら、本発明は、所望のノックアウト哺乳類を作製するために他の方法を用いることができる点において、この方法の使用にのみ限定されると決して解釈されるべきではない。
非ヒトトランスジェニック哺乳類を作製する好ましい方法として、本質的にNagy and Rossant(1993,Gene Targeting,A Practical Approach,pp.146−179,Joyner ed.,IRL Press)に記述されているように、本発明の導入遺伝子を含んでなるES細胞を作製し、そして次に該細胞を用いてノックアウト動物を作製する。ES細胞は、宿主胚盤胞への注入もしくは割球期胚との集合によりそれらを胚環境に戻す場合に通常の胚細胞として機能する。そのように戻した場合、該細胞は胚の全ての系統に沿って発生する全潜在能力を有する。従って、ES細胞を得て、その中に所望のDNAを導入し、そして次に該細胞を成熟哺乳類細胞への発生のために胚環境に戻すことが可能であり、ここで、所望のDNAを発現することができる。
トランスジェニックマウスの作製の正確なプロトコルは、Nagy and Rossant(1993,Gene Targeting,A Practical Approach,Joyner ed.IRL Press,pp.146−179)に開示されており、従って、本明細書において繰り返さない。ES細胞のその中に所望のDNAを導入するためのトランスフェクションもしくは導入は、例えば、Sambrook et al.(1989,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York)およびAusubel et al.(1997,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York)に記述されているもののような、標準的なプロトコルを用いて成し遂げられる。好ましくは、本発明の導入遺伝子内に含まれる所望のDNAは、Soriano et al.(1991,Cell 64:693−702)に記述されているように、ES細胞に電気穿孔しそして該細胞を増やす。
哺乳類の受精卵への単離された核酸の導入は、トランスジェニック技術におけるいくつもの標準技術により成し遂げられる(Hogan et al.,1986,Manipulating the Mouse Embryo:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,NY)。最も一般的には、核酸を微量注入の方法により胚に導入する。
いったん核酸が卵に導入されると、例えばHogan et al.(1986,Manipulating the Mouse Embryo:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,NY)に記述されているように、卵を短期間インキュベーションし、そして次に卵が得られた同じ種の偽妊娠哺乳類に導入する。典型的には、実験当たり多数の卵を注入し、そして約2/3の卵が該処置を生き残る。次に、約20個の生存可能な卵を偽妊娠動物に導入し、そして通常はそのように導入した生存可能な卵のうち4〜10個が生存する子になる。
哺乳類抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントをコードする核酸の全部もしくは一部の欠失を含んでなる導入遺伝子を保有するトランスジェニック哺乳類もしくはトランスジェニック細胞を作製するために本明細書に記述する方法において任意の哺乳類抗血小板自己抗体遺伝子もしくはそのフラグメントを用いることができる。好ましくは、例えば、配列番号:1(H4)、配列番号:2(H10)、配列番号:3(H29)、配列番号:4(H36)、配列番号:5(H37)、配列番号:6(H38)、配列番号:7(H39)、配列番号:8(H40)、配列番号:9(H41)、配列番号:10(H42)、配列番号:11(H44)、配列番号:12(H45)、配列番号:13(H46)、配列番号:14(H47)、配列番号:15(H48)、配列番号:16(H83)、配列番号:17(L4)、配列番号:18(L16)、配列番号:19(L24)、配列番号:20(L34)、配列番号:21(L35)、配列番号:22(L36)、配列番号:23(L37)、配列番号:24(L38)、配列番号:25(L39)、配列番号:26(L40)、配列番号:27(L41)、配列番号:28(L42)、配列番号:29(L43)、配列番号:30(L44)、配列番号:31(L45)、配列番号:32(L46)、配列番号:33(L47)、配列番号34(L48)、配列番号:35(L49)、配列番号:36(L50)、配列番号:37(L51)、配列番号:38(L52)、配列番号:39(L53)、配列番号:40(L54)、配列番号:41(L55)、配列番号:42(L61)、配列番号:43(L63)、配列番号:44(L64)、配列番号:45(L72)、配列番号:46(L74)、配列番号:47(L75)、配列番号:48(L76)、配列番号:49(L125)、配列番号:50(L92)、配列番号:51(L104)、配列番号:52(L106)および配列番号:53(L122)のような抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントをコードする核酸を用いる。
本発明のトランスジェニック哺乳類は、哺乳類の任意の種であることができる。従って、本発明には、キメラ核酸をコードするトランスジェニック哺乳類の作製が包含されると解釈されるべきであり、これらの哺乳類には、マウス、ハムスター、ラット、ウサギ、ブタ、ヒツジおよびウシが包含される。トランスジェニックマウスの作製のための本明細書に記述する方法は、任意の哺乳類種を用いて同様に適用することができる。好ましくは、本発明のトランスジェニック哺乳類はげっ歯類であり、そしてさらにより好ましくは、本発明のトランスジェニック哺乳類はマウスである。一例として、Lukkarinen et al.(1997,Stroke 28:639−645)は、トランスジェニックマウスの作製を可能にする遺伝子構築物が、ラットを包含する他のトランスジェニックげっ歯類の作製もまた可能にすることを教示する。同様に、ある種の動物の遺伝子座におけるヌル接合体(nullizygous)突然変異は、第一の種と非常に相同な遺伝子座を有する別の種の動物において複製することができる。
本発明のトランスジェニック哺乳類を同定するために、サザンブロットハイブリダイゼーション、PCRおよび/もしくはRT−PCRのような標準技術を用いて子を単離された核酸の存在に関して調べる。細胞におけるそして哺乳類の組織における核酸の発現もまた、本明細書に記述する通常の技術を用いて評価する。さらに、トランスジェニック動物の循環血液における抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントの有無は、該タンパク質が分泌される場合、例えばウェスタンブロット分析を用いることもしくは当該技術分野において周知であるタンパク質検出の標準方法を用いることにより決定することができる。
本発明のトランスジェニック哺乳類から得られる細胞(これらはまた、該用語を本明細書において用いる場合に「トランスジェニック細胞」とも見なされる)には、本明細書の他のところに記述する抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメント(+/−)および(−/−)トランスジェニック非ヒト哺乳類から得られるもののような細胞が包含され、血小板機能、クリアランス、凝集、活性化、血液凝固(これは、血液形成における増加もしくは減少を検出する幅広く多数のアッセイを用いて評価することができる)、および抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントの発現と関連する任意の他の疾患、障害もしくは症状(例えばITP)への効果のような抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントの発現の改変されたレベルと関連すると考えられている哺乳類の疾患および症状のモデルを作るための有用な系である。さらに、血小板機能のマーカーとして、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントの発現レベルはまた、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントと関連する様々な疾患、障害もしくは症状(例えば、ITPなど)の評価における有用な指標でもある。
特に適当であるのは、本明細書に記述する非ヒトノックアウトもしくはノックイントランスジェニック哺乳類の組織に由来する細胞であり、ここで、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメント遺伝子を含んでなる導入遺伝子は、様々な組織において発現されるかまたは抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントの発現を阻害する。一例として、そのような細胞が由来する細胞タイプには、(1)抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメント(+/+)、(+/−)および(−/−)非ヒトトランスジェニック生産哺乳類、(2)抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメント(+/+)、(−/−)もしくは(+/−)胎児動物の繊維芽細胞および同様の細胞、ならびに(3)抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメント(+/+)、(−/−)および(+/−)胎児および生産哺乳類から得られる胎盤細胞系が包含される。
当業者は、本開示に基づいて、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントの減少したレベル、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメント活性の減少したレベル、または両方を含んでなる細胞には、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメント発現のインヒビター(例えばアンチセンスもしくはリボザイム分子)を発現する細胞が包含されるがこれらに限定されるものではないことを理解する。
培養において哺乳類細胞を維持するために有用な方法および組成物は、当該技術分野において周知であり、ここで、本明細書に記述するトランスジェニックマウスのようなマウスから得られる細胞が包含されるがこれらに限定されるものではない哺乳類細胞は、哺乳類から得られる。
抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントを発現する組み換え細胞は、エクスビボおよびインビボ治療において投与することができ、ここで、組み換え細胞を投与することは、それにより該タンパク質を細胞、組織および/もしくは動物に投与する。さらに、組み換え細胞は、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメント、リガンドおよび抗血小板自己抗体が関連する細胞経路(1つもしくは複数)の発見に有用である。
例えば、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントのノックインマウスのような、ITPなどにかかりやすくした本発明のトランスジェニック哺乳類は、この疾患の病因およびそれにおける抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントの潜在的役割を研究するために用いることができる。そのようなモデル系は、スタヒロコッカスプロテインA(SpA)により誘導されるB細胞欠失の効能もしくは自己抗体ブロッキング試薬の使用のようなITPの新規のより特異的な治療を開発するために用いることができる。
VI.組成物
本発明には、哺乳類抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントをコードする単離された核酸を含んでなる組成物が包含される。好ましくは、該組成物は製薬学的に許容しうる担体を含んでなる。
本発明には、転写に関してアンチセンスの向きである、哺乳類抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントをコードする核酸もしくはその一部に相補的な単離された核酸を含んでなる組成物が包含される。好ましくは、該組成物は製薬学的に許容しうる担体を含んでなる。
本発明には、本明細書に記述するような単離された哺乳類抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントを含んでなる組成物が包含される。好ましくは、該組成物は製薬学的に許容しうる担体を含んでなる。一つの態様として、哺乳類はヒトである。別の態様として、自己抗体はH44L4である。
本発明にはさらに、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントのペプチドインヒビターをコードする単離された核酸を含んでなる組成物が包含される。好ましくは、該組成物は製薬学的に許容しうる担体を含んでなる。
該組成物は、細胞、組織もしくは動物に抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントのペプチドインヒビターを投与するためにまたは血小板と自己抗体との結合を阻害するために用いることができる。該組成物は、血小板と自己抗体との結合を減少することが哺乳類にとって有益であるように血小板と自己抗体との結合により媒介される疾患、障害もしくは症状を処置するために有用である。すなわち、動物における疾患、障害もしくは症状(例えば、とりわけ、ITP)が血小板と抗血小板自己抗体との結合により媒介されるかもしくはそれと関連する場合に、該組成物はそのような結合を調節するために用いることができる。
哺乳類への投与のために、ポリペプチドもしくはそれをコードする核酸、および/またはその全部もしくは一部に相補的なアンチセンス核酸を任意の製薬学的に許容しうる担体、例えば、約7.8のpHのHEPES緩衝食塩水に懸濁することができる。
有用である他の製薬学的に許容しうる担体には、グリセロール、水、食塩水、エタノールならびにリン酸塩および有機酸の塩のような他の製薬学的に許容しうる塩溶液が包含されるが、これらに限定されるものではない。これらのおよび他の製薬学的に許容しうる担体の例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(1991,Mack Publication Co.,New Jersey)に記述されている。
製薬学的組成物は、滅菌した注入可能な水性もしくは油性の懸濁液もしくは溶液の形態で製造し、包装し、もしくは販売することができる。この懸濁液もしくは溶液は、既知の技術に従って調合することができ、そして有効成分に加えて、本明細書に記述する分散剤、湿潤剤もしくは沈殿防止剤のような追加成分を含んでなることができる。そのような滅菌した注入可能な製剤は、例えば、水もしくは1,3−ブタンジオールのような無毒の非経口的に許容しうる希釈剤もしくは溶媒を用いて製造することができる。他の許容しうる希釈剤および溶媒には、リンガー溶液、等張塩化ナトリウム溶液、および合成のモノ−もしくはジ−グリセリドのような不揮発性油が包含されるが、これらに限定されるものではない。
本発明の方法において有用である製薬学的組成物は、経口、直腸、膣、非経口、局所、肺、鼻腔内、口腔、眼球もしくは別の投与経路に適当な製剤において投与し、製造し、包装し、そして/もしくは販売することができる。他の意図される製剤には、投射(projected)ナノ粒子、リポソーム製剤、有効成分を含有する再封入赤血球、および免疫学的に基づく製剤が包含される。
本発明の組成物は、経口、直腸、膣、非経口、局所、肺、鼻腔内、口腔もしくは眼球投与経路が包含されるがこれらに限定されるものではない多数の経路によって投与することができる。投与の経路(1つもしくは複数)は当業者に容易に明らかであり、そして処置する疾患のタイプおよび重傷度、処置する動物もしくはヒト患者のタイプおよび年齢などを包含するいくつもの因子により決まる。
本発明の方法において有用である製薬学的組成物は、経口用固形製剤、眼球用、座薬、エアゾール、局所用もしくは他の同様の製剤において全身的に投与することができる。ヘパラン硫酸もしくはその生物学的同等物のような化合物に加えて、そのような製薬学的組成物は、製薬学的に許容しうる担体および薬剤投与を高めそして促進することが既知である他の成分を含有することができる。ナノ粒子、リポソーム、再封入赤血球および免疫学的に基づく系のような他の可能な製剤もまた、本発明の方法に従って、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性部分、および/またはそれらをコードする核酸を投与するために用いることができる。
本明細書に記述する方法のいずれかを用いて同定される化合物を調合してITP、血栓症などの処置のために哺乳類に投与することができ、これから記述する。
本発明には、有効成分として動脈再狭窄、外膜線維症、ネガティブリモデリングなどの処置に有用な化合物を含んでなる製薬学的組成物の製造および使用が包含される。そのような製薬学的組成物は、被験体への投与に適当な形態で、有効成分のみからなることができ、あるいは製薬学的組成物は、有効成分および1つもしくはそれ以上の製薬学的に許容しうる担体、1つもしくはそれ以上の追加成分、またはこれらのいくつかの組み合わせを含んでなることができる。有効成分は、当該技術分野において周知であるように、生理学的に許容しうるカチオンもしくはアニオンとの組み合わせにおけるような、生理学的に許容しうるエステルもしくは塩の形態で製薬学的組成物に存在することができる。
本明細書において用いる場合、「製薬学的に許容しうる担体」という用語は、有効成分を組み合わせることができそして該組み合わせの後に被験体に有効成分を投与するために用いることができる化学組成物を意味する。
本明細書において用いる場合、「生理学的に許容しうる」エステルもしくは塩は、製薬学的組成物の任意の他の成分と適合し、組成物が投与される被験体に有害ではない有効成分のエステルもしくは塩形態を意味する。
本明細書に記述する製薬学的組成物の製剤は、薬理学の技術分野において既知であるかもしくは今後に開発される任意の方法により製造することができる。一般に、そのような製造方法は、有効成分を担体または1つもしくはそれ以上の他の副成分と会合させ、そして次に必要に応じてもしくは所望に応じて、生成物を所望の単回もしくは複数回投与単位に成形するかもしくは包装する段階を含む。
本明細書に提供する製薬学的組成物の記述は、主に、ヒトへの倫理的投与に適当な製薬学的組成物に関するが、そのような組成物は一般に全ての種類の動物への投与に適当であることが当業者により理解される。組成物を様々な動物への投与に適当にするためのヒトへの投与に適当な製薬学的組成物の改変は汎用的であり、そして通常の熟練した動物薬理学者は、たとえあるとしても単に通常の実験でそのような改変を設計しそして実施することができる。本発明の製薬学的組成物の投与が意図される被験体には、ヒトおよび他の霊長類、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコおよびイヌのような商業的に関連する哺乳類を含む哺乳類が包含されるが、これらに限定されるものではない。
本発明の方法において有用である製薬学的組成物は、経口、直腸、膣、非経口、局所、肺、鼻腔内、口腔、眼球、髄腔内もしくは別の投与経路に適当な製剤において製造し、包装し、もしくは販売することができる。他の意図される製剤には、投影ナノ粒子、リポソーム製剤、有効成分を含有する再封入赤血球、および免疫学的に基づく製剤が包含される。
本発明の製薬学的組成物は、バルクで、単一単位用量として、もしくは複数の単一単位用量として製造し、包装し、もしくは販売することができる。本明細書において用いる場合、「単位用量」は、有効成分の既定量を含んでなる製薬学的組成物の別個の量である。有効成分の量は、一般に、被験体に投与される有効成分の投与量またはそのような投与量の例えば1/2もしくは1/3のようなそのような投与量の都合のよい割合に等しい。
本発明の製薬学的組成物における有効成分、製薬学的に許容しうる担体および任意の追加成分の相対量は、処置する被験体の同一性、サイズおよび症状により、そしてさらに組成物が投与される経路により異なる。一例として、組成物は、0.1%〜100%(w/w)の間の有効成分を含んでなることができる。
有効成分に加えて、本発明の製薬学的組成物は、1つもしくはそれ以上の追加の製薬学的活性因子をさらに含んでなることができる。特に意図される追加因子には、制吐剤ならびにシアン化物およびシアン酸塩スカベンジャーのようなスカベンジャーが包含される。
本発明の製薬学的組成物の制御放出製剤もしくは徐放性製剤は、通常の技術を用いて製造することができる。
経口投与に適当な本発明の製薬学的組成物の製剤は、各々が有効成分の既定量を含有する、錠剤、硬もしくは軟カプセル剤、カシェ剤、トローチ剤もしくはロゼンジが包含されるがこれらに限定されるものではない別個の固形用量単位の形態で製造し、包装し、もしくは販売することができる。経口投与に適当な他の製剤には、粉末もしくは顆粒製剤、水性もしくは油性の懸濁液、水性もしくは油性の溶液、またはエマルジョンが包含されるが、これらに限定されるものではない。
本明細書において用いる場合、「油性の」液体は、炭素を含有する液体分子を含んでなりそして水より低い極性の性質を示すものである。
有効成分を含んでなる錠剤は、例えば、場合により1つもしくはそれ以上の追加成分と一緒に、有効成分を圧縮するかもしくは成形することにより製造することができる。圧縮錠剤は、場合により結合剤、潤滑剤、賦形剤、界面活性剤および分散剤の一つもしくはそれ以上と混合して、粉末もしくは顆粒製剤のようなフリー・フロー形態の有効成分を適当な装置において圧縮することにより製造することができる。成形錠剤は、有効成分、製薬学的に許容しうる担体の混合物、および該混合物を湿らすために少なくとも十分な液体を適当な装置において成形することにより製造することができる。錠剤の製造に用いる製薬学的に許容しうる賦形剤には、不活性希釈剤、造粒剤および崩壊剤、結合剤、ならびに潤滑剤が包含されるがこれらに限定されるものではない。既知の分散剤には、ジャガイモ澱粉およびグリコール酸ナトリウム澱粉が包含されるが、これらに限定されるものではない。既知の界面活性剤には、ラウリル硫酸ナトリウムが包含されるが、これに限定されるものではない。既知の希釈剤には、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、微晶質セルロース、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウムおよびリン酸ナトリウムが包含されるが、これらに限定されるものではない。既知の造粒剤および崩壊剤には、コーンスターチおよびアルギン酸が包含されるが、これらに限定されるものではない。既知の結合剤には、ゼラチン、アカシア、糊化済トウモロコシ澱粉、ポリビニルピロリドンおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースが包含されるが、これらに限定されるものではない。既知の潤滑剤には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、シリカおよびタルクが包含されるが、これらに限定されるものではない。
錠剤は非コーティングであることができ、もしくはそれらは被験体の胃腸管における遅延分解をもたらし、それにより有効成分の持続性放出および吸収を与えるために既知の方法を用いてコーティングすることができる。一例として、錠剤をコーティングするためにモノステアリン酸グリセリルもしくはジステアリン酸グリセリルのような物質を用いることができる。さらに、一例として、錠剤は、浸透圧制御放出錠剤を生成せしめるために米国特許第4,256,108号;第4,160,452号;および第4,265,874号に記述されている方法を用いてコーティングすることができる。錠剤はさらに、製薬学的に洗練されそして口当たりのよい製剤を提供するために甘味料、香料、着色剤、防腐剤、もしくはこれらのいくつかの組み合わせを含んでなることができる。
有効成分を含んでなる硬カプセル剤は、ゼラチンのような生理学的に分解可能な組成物を用いて製造することができる。そのような硬カプセル剤は有効成分を含んでなり、そしてさらに例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンのような不活性固形希釈剤を包含する追加成分を含んでなることができる。
有効成分を含んでなる軟ゼラチンカプセル剤は、ゼラチンのような生理学的に分解可能な組成物を用いて製造することができる。そのような軟カプセル剤は有効成分を含んでなり、それを水またはピーナッツ油、流動パラフィンもしくはオリーブ油のような油媒質と混合することができる。
経口投与に適当である本発明の製薬学的組成物の液状製剤は、液体形態でまたは使用の前に水もしくは別の適当な賦形剤での再構成が意図される乾燥製品の形態で製造し、包装し、そして販売することができる。
液状懸濁液は、水性もしくは油性の賦形剤における有効成分の懸濁を成し遂げるために常法を用いて製造することができる。水性賦形剤には、例えば、水および等張食塩水が包含される。油性賦形剤には、例えば、扁桃油、油状エステル、エチルアルコール、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油もしくはヤシ油のような植物油、分留植物油、および流動パラフィンのような鉱油が包含される。液状懸濁液はさらに、沈殿防止剤、分散剤もしくは湿潤剤、乳化剤、粘滑剤、防腐剤、バッファー、塩、香料、着色剤および甘味料が包含されるが、これらに限定されるものではない1つもしくはそれ以上の追加成分を含んでなることができる。油性懸濁液はさらに、増粘剤を含んでなることができる。既知の沈殿防止剤には、ソルビトールシロップ、水素化された食用脂、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、アカシアゴム、およびナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなセルロース誘導体が包含されるが、これらに限定されるものではない。既知の分散剤もしくは湿潤剤には、レシチンのような天然に存在するリン脂質、脂肪酸と、長鎖脂肪族アルコールと、脂肪酸およびヘキシトールから得られる部分エステルと、もしくは脂肪酸および無水ヘキシトールから得られる部分エステルとアルキレンオキシドとの縮合生成物(例えば、それぞれ、ポリオキシエチレンステアレート、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートおよびポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)が包含されるが、これらに限定されるものではない。既知の乳化剤には、レシチンおよびアカシアが包含されるが、これらに限定されるものではない。既知の防腐剤には、メチル、エチルもしくはn−プロピル−パラ−ヒドロキシベンゾエート、アスコルビン酸およびソルビン酸が包含されるが、これらに限定されるものではない。既知の甘味料には、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、ショ糖およびサッカリンが包含される。油性懸濁液の既知の増粘剤には、例えば、蜜蝋、固形パラフィンおよびセチルアルコールが包含される。
水性もしくは油性の溶媒における有効成分の液状溶液は、液状懸濁液と実質的に同様にして製造することができ、主要な違いは、有効成分を溶媒に懸濁するよりむしろ溶解することである。本発明の製薬学的組成物の液状溶液は、液状懸濁液に関して記述する成分の各々を含んでなることができ、沈殿防止剤は、溶媒における有効成分の溶解を必ずしも助けないことが理解される。水性溶媒には、例えば、水および等張食塩水が包含される。油性溶媒には、例えば、扁桃油、油状エステル、エチルアルコール、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油もしくはヤシ油のような植物油、分留植物油、および流動パラフィンのような鉱油が包含される。
本発明の製剤の粉末および顆粒製剤は、既知の方法を用いて製造することができる。そのような製剤は、被験体に直接投与するか、例えば錠剤を生成せしめるために、カプセル剤に詰めるために、またはそれに水性もしくは油性の賦形剤を加えることにより水性もしくは油性の懸濁液もしくは溶液を製造するために使用することができる。これらの製剤の各々はさらに、分散剤もしくは湿潤剤、沈殿防止剤および防腐剤の1つもしくはそれ以上を含んでなることができる。増量剤および甘味料、香料もしくは着色剤のような追加の賦形剤もまた、これらの製剤に含むことができる。
本発明の製薬学的組成物はまた、水中油滴型エマルジョンもしくは油中水滴型エマルジョンの形態で製造し、包装し、もしくは販売することもできる。油相は、オリーブ油もしくはラッカセイ油のような植物油、流動パラフィンのような鉱油、またはこれらの組み合わせであることができる。そのような組成物はさらに、アカシアゴムもしくはトラガカントゴムのような天然に存在するゴム、ダイズもしくはレシチンリン脂質のような天然に存在するリン脂質、ソルビタンモノオレエートのような脂肪酸と無水ヘキシトールとの組み合わせから得られるエステルもしくは部分エステル、ならびにポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートのようなエキレンオキシドとそのような部分エステルとの縮合生成物のような1つもしくはそれ以上の乳化剤を含んでなることができる。これらのエマルジョンはまた、例えば、甘味料もしくは香料を包含する追加成分を含有することもできる。
本発明の製薬学的組成物は、直腸投与に適当な製剤において製造し、包装し、もしくは販売することができる。そのような組成物は、例えば、座薬、停留浣腸製剤、および直腸もしくは結腸の洗浄用溶液の形態であることができる。
浣腸製剤は、通常の室温(すなわち、約20℃)で固体でありそして被験体の直腸温度(すなわち、健康なヒトでは約37℃)で液体である非刺激性の製薬学的に許容しうる賦形剤と有効成分を組み合わせることにより製造することができる。適当な製薬学的に許容しうる賦形剤には、ココアバター、ポリエチレングリコールおよび様々なグリセリドが包含されるが、これらに限定されるものではない。座薬製剤はさらに、酸化防止剤および防腐剤が包含されるがこれらに限定されるものではない様々な追加成分を含んでなることができる。
停留浣腸製剤または直腸もしくは結腸洗浄用溶液は、有効成分を製薬学的に許容しうる液状担体と組み合わせることにより製造することができる。当該技術分野において周知であるように、浣腸製剤は、被験体の直腸生体構造に適合する送達装置を用いて投与することができ、そしてその内部に詰めることができる。浣腸製剤はさらに、酸化防止剤および防腐剤が包含されるがこれらに限定されるものではない様々な追加成分を含んでなることができる。
本発明の製薬学的組成物は、膣投与に適当な製剤において製造し、包装し、もしくは販売することができる。そのような組成物は、例えば、座薬、タンポンのような含浸させるかもしくはコーティングした膣に挿入可能な物質、ビデ製剤、またはゲルもしくはクリームまたは膣洗浄用溶液の形態であることができる。
化学組成物を物質に含侵させるかもしくはコーティングする方法は当該技術分野において既知であり、そして表面上に化学組成物を置くかもしくは結合させる方法、物質の合成中に物質の構造に化学組成物を導入する方法(すなわち、生理的に分解可能な物質でのような)、および次に乾燥するもしくはしない、吸収材料に水性もしくは油性の溶液もしくは懸濁液を吸収させる方法が包含されるがこれらに限定されるものではない。
ビデ製剤もしくは膣洗浄用溶液は、有効成分を製薬学的に許容しうる液状担体と組み合わせることにより製造することができる。当該技術分野において周知であるように、ビデ製剤は、被験体の膣生体構造に適合する送達装置を用いて投与することができ、そしてその内部に詰めることができる。ビデ製剤はさらに、酸化防止剤、抗生物質、抗真菌剤および防腐剤が包含されるがこれらに限定されるものではない様々な追加成分を含んでなることができる。
本明細書において用いる場合、製薬学的組成物の「非経口投与」には、被験体の組織の物理的突破を特徴とする投与および組織における突破口を通した製薬学的組成物の投与の任意の経路が包含される。従って、非経口投与には、組成物の注射による、外科的切開による組成物の使用による、組織穿通性非外科的損傷による組成物の使用によるなどの製薬学的組成物の投与が包含されるがこれらに限定されるものではない。特に、非経口投与には、皮下、腹腔内、筋肉内、胸骨内注射、および腎臓透析注入技術が包含されるがこれらに限定されるものではないことが意図される。
非経口投与に適当な製薬学的組成物の製剤は、滅菌水もしくは滅菌等張食塩水のような製薬学的に許容しうる担体と組み合わせた有効成分を含んでなる。そのような製剤は、ボーラス投与にもしくは連続投与に適当な形態で製造し、包装し、もしくは販売することができる。注入可能な製剤は、アンプルにおけるかもしくは防腐剤を含有する複数回投与容器におけるような単位投与形態物において製造し、包装し、もしくは販売することができる。非経口投与のための製剤には、懸濁液、溶液、油性もしくは水性賦形剤におけるエマルジョン、泥膏および移植可能な持続性放出もしくは生体分解性製剤が包含されるが、これらに限定されるものではない。そのような製剤はさらに、沈殿防止剤、安定剤もしくは分散剤が包含されるがこれらに限定されるものではない1つもしくはそれ以上の追加成分を含んでなることができる。非経口投与のための製剤の一つの態様として、有効成分は、再構成した組成物の非経口投与の前の適当な賦形剤(例えば滅菌した発熱物質なしの水)での再構成のための乾燥(すなわち、粉末もしくは顆粒)形態で提供される。
製薬学的組成物は、滅菌した注入可能な水性もしくは油性の懸濁液もしくは溶液の形態で製造し、包装し、もしくは販売することができる。この懸濁液もしくは溶液は、既知の技術に従って調合することができ、そして有効成分に加えて、本明細書に記述する分散剤、湿潤剤もしくは沈殿防止剤のような追加成分を含んでなることができる。そのような滅菌した注入可能な製剤は、例えば、水もしくは1,3−ブタノールのような無毒の非経口的に許容しうる希釈剤もしくは溶媒を用いて製造することができる。他の許容しうる希釈剤および溶媒には、リンガー溶液、等張塩化ナトリウム溶液、および合成のモノ−もしくはジ−グリセリドのような不揮発性油が包含されるが、これらに限定されるものではない。有用である他の非経口的に投与可能な製剤には、微晶質形態で、リポソーム製剤において、もしくは生体分解性ポリマー系の成分として有効成分を含んでなるものが包含される。持続性放出もしくは移植のための組成物は、エマルジョン、イオン交換樹脂、やや溶けにくいポリマーもしくはやや溶けにくい塩のような製薬学的に許容しうる高分子材料もしくは疎水性物質を含んでなることができる。
局所投与に適当な製剤には、塗布剤、ローションのような液体もしくは半液体の製剤、クリーム、軟膏もしくは泥膏のような水中油滴型もしくは油中水滴型エマルジョン、および溶液もしくは懸濁液が包含されるが、これらに限定されるものではない。局所的に投与可能な製剤は、有効成分の濃度が、溶媒における有効成分の溶解限度と同程度に高いことができるが、例えば、約1%〜約10%(w/w)の有効成分を含んでなることができる。局所投与のための製剤はさらに、本明細書に記述する追加成分の1つもしくはそれ以上を含んでなることができる。
本発明の製薬学的組成物は、口腔を介した肺投与に適当な製剤において製造し、包装し、もしくは販売することができる。そのような製剤は、有効成分を含んでなりそして約0.5〜約7ナノメートル、そして好ましくは約1〜約6ナノメートルの範囲の直径を有する乾燥粒子を含んでなることができる。そのような組成物は、都合よく、粉末を分散させるように推進剤の流れをそれに導くことができる乾燥粉末容器を含んでなる装置を用いるかまたは密封容器において低沸点の推進剤に溶解するかもしくは懸濁した有効成分を含んでなる装置のような自己推進溶媒/粉末調剤容器を用いる投与のための乾燥粉末の形態である。好ましくは、そのような粉末は、粒子の少なくとも98重量%が0.5ナノメートルより大きい直径を有しそして粒子の数で少なくとも95%が7ナノメートルより小さい直径を有する粒子を含んでなる。より好ましくは、粒子の少なくとも95重量%は1ナノメートルより大きい直径を有し、そして粒子の数で少なくとも90%は6ナノメートルより小さい直径を有する。乾燥粉末組成物は、好ましくは、糖のような固形微粉希釈剤を含み、そして単位用量形態で都合よく提供される。
低沸点推進剤には、一般に、大気圧で65°Fより低い沸点を有する液状推進剤が包含される。一般に、推進剤は組成物の50〜99.9%(w/w)を構成することができ、そして有効成分は組成物の0.1〜20%(w/w)を構成することができる。推進剤はさらに、液状の非イオン性もしくは固形の陰イオン性界面活性剤または固形の希釈剤(好ましくは、有効成分を含んでなる粒子と同じ次数の粒子サイズを有する)のような追加成分を含んでなることができる。
肺送達のために調合される本発明の製薬学的組成物はまた、溶液もしくは懸濁液の液滴の形態で有効成分を提供することもできる。そのような製剤は、有効成分を含んでなる、場合により滅菌した、水性もしくは希アルコール性の溶液もしくは懸濁液として製造し、包装し、もしくは販売することができ、そして任意の霧化もしくは噴霧化装置を用いて都合よく投与することができる。そのような製剤はさらに、サッカリンナトリウムのような香料、揮発性油、緩衝剤、界面活性剤、もしくはメチルヒドロキシベンゾエートのような防腐剤が包含されるがこれらに限定されるものではない1つもしくはそれ以上の追加成分を含んでなることができる。この投与経路により提供される液滴は、好ましくは、約0.1〜約200ナノメートルの範囲の平均直径を有する。
肺送達に有用であると本明細書に記述する製剤はまた、本発明の製薬学的組成物の鼻腔内送達にも有用である。
鼻腔内投与に適当な別の製剤は、有効成分を含んでなりそして約0.2〜500マイクロメートルの平均粒子を有する粗末である。そのような製剤は、吸うようにして、すなわち、鼻孔の近くで保持した粉末の容器から鼻腔を通した迅速な吸入により投与される。
鼻腔投与に適当な製剤は、例えば、約0.1%(w/w)のみ〜100%(w/w)もの有効成分を含んでなることができ、そして本明細書に記述する追加成分の1つもしくはそれ以上をさらに含んでなることができる。
本発明の製薬学的組成物は、口腔投与に適当な製剤において製造し、包装し、もしくは販売することができる。そのような製剤は、例えば、常法を用いて製造される錠剤もしくはロゼンジの形態であることができ、そして例えば0.1〜20%(w/w)の有効成分であることができ、残りは、経口で溶解可能なもしくは分解可能な組成物および場合により本明細書に記述する追加成分の1つもしくはそれ以上を含んでなる。あるいはまた、口腔投与に適当な製剤は、有効成分を含んでなる粉末またはエアゾール化もしくは噴霧化した溶液もしくは懸濁液を含んでなることができる。そのような、粉末化、エアゾール化もしくは噴霧化した製剤は、分散させた場合に、好ましくは約0.1〜約200ナノメートルの範囲の平均粒子もしくは液滴サイズを有し、そして本明細書に記述する追加成分の1つもしくはそれ以上をさらに含んでなることができる。
本発明の製薬学的組成物は、眼球投与に適当な製剤において製造し、包装し、もしくは販売することができる。例えば、そのような製剤は、例えば水性もしくは油性の液状担体における有効成分の0.1〜1.0%(w/w)溶液もしくは懸濁液を包含する点眼剤の形態であることができる。そのような点眼剤はさらに、緩衝剤、塩、または本明細書に記述する1つもしくはそれ以上の他の追加成分を含んでなることができる。有用である他の眼球に投与可能な製剤には、微晶質形態でもしくはリポソーム製剤において有効成分を含んでなるものが包含される。
本明細書において用いる場合、「追加成分」には、以下のもの:賦形剤;界面活性剤;分散剤;不活性希釈剤;造粒剤および崩壊剤;結合剤;潤滑剤;甘味料;香料;着色剤;防腐剤;ゼラチンのような生理的に分解可能な組成物;水性の賦形剤および溶媒;油性の賦形剤および溶媒;沈殿防止剤;分散剤もしくは湿潤剤;乳化剤、粘滑剤;バッファー;塩;増粘剤;増量剤;乳化剤;酸化防止剤;抗生物質;抗真菌剤;安定剤;ならびに製薬学的に許容しうる高分子材料もしくは疎水性物質の1つもしくはそれ以上が包含されるが、これらに限定されるものではない。本発明の製薬学的組成物に含むことができる他の「追加成分」は当該技術分野において既知であり、そして例えば引用することにより本明細書に組み込まれるGenaro,ed.(1985,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,PA)に記述されている。
典型的には、動物、好ましくはヒトに投与することができる本発明の化合物の投与量は、処置する動物のタイプおよび病状のタイプ、動物の年齢ならびに投与の経路が包含されるがこれらに限定されるものではないいくつもの因子により異なる。
化合物は、毎日数回程度の頻度で動物に投与することができ、もしくは1日に1回、1週に1回、2週ごとに1回、1ヶ月に1回のようなさらに低い頻度で、または数ヶ月ごとに1回もしくはさらに1年に1回もしくはさらに少ないようないっそう低い頻度で投与することができる。投与の頻度は当業者に容易に明らかであり、そして処置する疾患のタイプおよび重傷度、動物のタイプおよび年齢などのようないくつもの因子により決まる。
VII.方法
A.有用な化合物を同定する方法
本発明にはさらに、哺乳類において抗血小板自己抗体を同定する方法が包含され、ここで、該哺乳類はそのような自己抗体により媒介される疾患に苦しむ。該方法は、当該技術分野において周知である方法を用いて哺乳類の末梢血もしくは脾臓組織のサンプル内に含まれるB細胞からファージディスプレイライブラリーを作製することを含んでなる。すなわち、B細胞は抗原産生細胞であるので、そのような細胞から作られるファージディスプレイライブラリーは、多数の抗体を発現しそして提示するファージを含有することが当該技術分野において十分に理解されている(例えば、Chang et al.(1998,Blood 91:3066−3078;Roark et al.,2002,Blood 100:1388−1398を参照)。好ましくは、タンパク質を提示するファージは、本質的に以前に(Siegel et al.,1997,J.Immunol.Methods 206:73−85)および本明細書に引用することにより組み込まれる米国特許第6,255,455号に記述されているように競合的細胞表面パニングおよび磁気活性化細胞分類を用いて無傷血小板上でパニングすることができる。
次に、ファージを無傷血小板上に存在する表面タンパク質に結合するそれらの能力(1つもしくは複数)に関して選択する。好ましくは、該タンパク質は、とりわけ、GPIa/IIa、GPIIb/IIIaおよびGPIb/IXの群から選択されるインテグリン受容体である。さらにより好ましくは、血小板タンパク質はGPIIb/IIIaである。当業者は、本明細書に提供する開示に基づいて、無傷血小板上に存在する任意の成分に対して向けられる自己抗体を同定するために該方法を容易に使用できることを理解する。そのような血小板成分には、GPIa/IIa、GPIIb/IIIa、GPIb/IX、ならびに他の糖タンパク質、糖脂質、脂質もしくは任意の他の細胞表面部分が包含されるが、これらに限定されるものではない。
B細胞が得られる動物は、血小板との抗血小板自己抗体結合により媒介される疾患に苦しんでいることができる。そのようにして、疾患に関与する自己抗体を容易に同定することができる。好ましくは、動物は、血小板と特異的に結合する自己抗体を生産することが既知である。より好ましくは、自己抗体は、GPIa/IIa、GPIIb/IIIaおよびGPIb/IXと特異的に結合し、ここで、動物はこれらの分子の少なくとも1つに結合する自己抗体を有することができ、そして該分子の各々に結合する少なくとも1つの抗体ならびに血小板表面上の他の分子に結合する自己抗体を有することができる。
本発明は、ITPに苦しむ患者から得られるB細胞を用いて自己抗体を製造することを包含する。これは、血小板と自己抗体との結合により媒介されるこのもしくは任意の他の特定の疾患、障害もしくは症状に特異的な自己抗体に本発明を限定すると決して解釈されるべきではない。また、これは、Bリンパ球源として脾臓細胞のみを用いることに本発明を限定すると解釈されるべきでもなく、例えば、末梢血リンパ球(PBL)、脾臓細胞、もしくは両方を自己抗体ライブラリー構築の出発材料として用いることができる。従って、本発明には、本明細書に開示する方法を用いて得られる自己抗体が包含され、ここで、ファージディスプレイライブラリーは、ITPおよびPTPが包含されるがこれらに限定されるものではない、血小板との自己抗体結合により媒介される任意の疾患、障害もしくは症状に苦しむ広い種類の患者からのB細胞を用いて作製される。これは、本明細書に提供する開示に基づいて、当業者により理解されるように、本発明の方法が、血小板の表面成分(この成分は本明細書に例示されるが、GPIa/IIa、GPIIb/IIIaおよびGPIb/IXに限定されない)に特異的な自己抗体の迅速な同定および単離を初めて可能にするからである。
本発明には、血小板の成分の一部に特異的に結合する抗血小板自己抗体を同定することが包含される。すなわち、抗体−ファージディスプレイライブラリーをスクリーニングするために血小板抗原の一部を用いることにより、抗原の所望の部分と特異的に結合する抗体を選択することができる。これは、分子がαIIb(配列番号:153、GenBank受託番号P08514)の約アミノ酸残基番号447〜約アミノ酸残基番号1009を含んでなるGPIIb/IIIa分子と結合する抗血小板自己抗体(すなわち、H44L4)が製造されたが、該自己抗体は、分子がGPIIb/IIIaのN末端部分、例えば、αIIb(全長1009個のアミノ酸を記載する、配列番号:153のアミノ酸配列に基づく)の約アミノ酸残基番号1〜約アミノ酸残基番号446を含んでなるGPIIb/IIIaに結合しない点において本明細書の他のところに例示されている。従って、本発明は、モノクローナル抗体の優れた特異性を利用し、そして抗血小板自己抗体を製造する方法を提供し、この自己抗体は、最適な血小板抗原もしくはその正確な部分に対する所望の特異性を保有する。従って、本発明の方法は、血小板成分(すなわち、標的)が既知でありそして血小板機能もしくは疾患の病状に関与する成分の特定の部分が既知である多種多様な抗血小板自己抗体の同定および製造に容易に適用可能である。
この方法は、血小板と特異的に結合する(この結合は、哺乳類における疾患、障害もしくは症状を媒介することができる)抗血小板自己抗体を同定するための強力な手段を提供する。さらに、この方法により同定される自己抗体は、本明細書の他のところにさらに十分に開示されるように、血栓の画像化のための抗体の使用ならびに動物における血栓を処置するかもしくは防ぐための自己抗体の使用のような、とりわけ、血小板と自己抗体との結合を利用する方法を包含する幅広い数の用途を有する。そのような自己抗体はこれらのおよび他の用途に望ましいことは既知であったが、本発明の前にヒトモノクローナルIgG抗血小板自己抗体は同定されていなかった。当業者は、ヒトモノクローナルIgG抗血小板自己抗体が、ヒト由来のものではなくそしてヒトにおいて使用した場合にそのような種内自己抗体は免疫原性でありそしてこの免疫反応性のために望ましくない深刻な副作用をもたらした点において重大な欠点に苦しんだ先行技術の抗体の重要な改善を意味することを理解する。従って、本発明は、抗血小板自己抗体を製造する先行技術の方法の大きな改善を意味し、そしてITP患者の免疫レパートリーから血小板特異的ヒトIgG自己抗体を製造する最初の成功した方法である。
本発明にはまた、血小板と抗血小板自己抗体との結合を阻害するペプチドを同定する方法も包含される。該方法は、ペプチドディスプレイファージの有無で血小板と抗血小板自己抗体との結合を評価することを含んでなる。すなわち、抗血小板自己抗体のそのリガンドとの結合を、特定のペプチドを提示するファージの存在下、そのようなファージのない場合もしくは関係のないペプチドを提示するファージ(コントロールファージ)の存在下の両方で評価する。ファージのない場合もしくはコントロールファージでリガンドと結合する自己抗体のレベルと比較して、特定のファージの存在下で抗血小板自己抗体のそのリガンドとの結合の低いレベルが検出される場合、これは、該ファージにより提示されるペプチドが、リガンドと抗血小板自己抗体との結合を阻害することを示す。
当業者は、本明細書に提供する開示に基づいて、本発明には、多数のペプチドを提示する幅広く多数のファージを用いることが包含されることを理解する。すなわち、本発明は、血小板と抗血小板自己抗体との結合を検出可能に阻害するペプチド(すなわち、ペプチドインヒビター)を同定するために用いることができるペプチドディスプレイファージライブラリーによって決して限定されない。従って、本明細書に開示するデータは、ある種のペプチドを発現する市販されているファージディスプレイライブラリー(例えば、12mer線状ペプチドライブラリーおよび「cys−7mer−cys」制約ペプチドライブラリー)の使用を示すことにより本発明を例示するが、本発明は、これらのもしくは任意の他のペプチドファージディスプレイライブラリーもしくは提示される任意の特定のペプチドに決して限定されない。実際に、本発明には、当該技術分野において既知であるかもしくは開発されるような他のペプチドおよびペプチドディスプレイライブラリーを用いることが包含される。例えば、特定の血小板膜タンパク質の線状配列に基づく非ランダムペプチドライブラリーを当該技術分野において周知である技術を用いて構築することができる。
抗血小板自己抗体のそのリガンドとの結合を阻害する提示されるペプチドの能力は、本明細書に例示するものならびに当該技術分野において既知であるかもしくは将来に開発されるもののような幅広く多数の方法を用いて評価することができる。例えば、固形基質をリガンド(すなわち、「標的」とも呼ばれる)で被覆するELISAに基づくアッセイを用いることができ、ここで、該標的に特異的に結合するファージが選択される。次に、選択されるファージを、同じ標的に別に特異的に結合することが既知である抗血小板自己抗体(例えば、H44L4、H31L4など)の結合を阻害するそれらの能力に関してアッセイする。すなわち、抗血小板自己抗体を基質と結合することができ、そして自己抗体のその標的との結合(この標的は、多種多様な方法を用いて検出することができる)を標的の検出に基づく幅広く多数の方法を用いて評価することができる。標的と抗血小板自己抗体との結合は、興味のあるペプチドを提示するファージの有無で評価することができ、このファージにより提示されるペプチドは自己抗体と結合し、それにより自己抗体のそのコグネイト抗原との結合を妨げる。そのような方法は本明細書に例示されており、そして当該技術分野において周知である。
当業者は、本明細書に提供する開示に基づいて、本明細書に開示するファージにより提示されるペプチドは、該ペプチドのカルボキシル末端が「遊離」していないように作製されたことを理解する。すなわち、各ペプチドのカルボキシル末端は、該末端が負電荷を保有しないように(pIIIとのペプチド結合のために)、M13 pIIIコートタンパク質と融合させた。従って、遊離のペプチドは、pIIIコートタンパク質部分からいったん単離されると、ペプチドがコートタンパク質と結合していた時と異なる性質を有することができる。当業者は、ペプチドがファージコートタンパク質部分からいったん単離されるとその結合活性を実質的に回復させるために遊離のCOOH末端をそれと関連する任意の負電荷をなくすようにキャッピングする方法のようなしかしこれらに限定されるものではない当該技術分野において周知である方法を使用できることを理解する。さらに、無傷血小板と抗血小板自己抗体との結合に影響を与えるペプチドの能力もまた評価することができる。すなわち、蛍光活性化フローサイトメトリーと併せて標識した自己抗体を用いることが包含されるがこれに限定されるものではない、血小板と自己抗体との結合を評価するための、本明細書に例示するものおよび当該技術分野において既知であるもののようなしかしこれらに限定されるものではない多種多様な方法がある。これらのペプチドは、血小板と抗血小板自己抗体との結合により媒介される疾患、障害もしくは症状において使用する非常に有用な潜在的治療法である。これは、これらのペプチドが結合(この結合は、疾患プロセスに必要とされる)を阻害することができるからである。さらに、本明細書の他のところに開示するように、ペプチドインヒビターは、抗血小板自己抗体が、とりわけ、血小板機能に影響を与えるために患者に投与され、そして次にそのように投与された自己抗体の効果を取り消すことが望ましいかもしくは有益である組み合わせ治療において用いることができる。
本発明には、とりわけ、12mer線状ペプチドP4−12およびP4−7、ならびにC7C制約ペプチドP4−2aおよびP3−4により例示されるような、この方法により同定される任意のペプチドが包含される。当業者は、本明細書に提供する開示に基づいて、本発明がこれらのもしくは任意の他のペプチドインヒビターに決して限定されないことを認識する。血小板抗原、無傷血小板もしくは両方と抗血小板自己抗体との結合のそのようなペプチドインヒビターは、そのような結合が疾患(例えばITPなど)を媒介する場合のような、血小板と自己抗体との結合を阻害することが望ましい場合の用途が包含されるがそれらに限定されるものではない多種多様な用途を有する。あるいはまた、血小板自己抗体のそれらの血小板標的成分との結合を中和するペプチドは、天然のもしくは合成の血液型物質を抗赤血球抗体の特異性を同定するために用いることができる方法と同様の診断アッセイのために有用であることができる。
本明細書に開示するデータは、本発明のペプチドインヒビターが、精製されたGPIIb/IIIaとおよび/もしくは無傷血小板と抗血小板自己抗体(例えばH44L4)との結合を阻害できることを例示するが、本発明は任意の特定の抗血小板抗体もしくは血小板の任意の特定の標的成分に決して限定されない。
B.血小板成分との自己抗体結合に関連する方法
本発明には、血小板もしくはその成分と抗血小板自己抗体との結合に基づく多数の方法が包含される。これらの方法は、血小板と自己抗体との結合が、ITPおよびPTPが包含されるがこれらに限定されるものではない疾患、障害もしくは症状を媒介することを包含する、そのような血小板およびそれらの機能(1つもしくは複数)への多数の影響を媒介する点において重要である。処置する方法などは哺乳類に行うことができるが、本発明の方法は、好ましくはヒトに行われると理解されるべきである。
本発明には、血液凝固を阻害する方法が包含される。該方法は、血小板と特異的に結合する抗血小板自己抗体の有効量を患者に投与することを含んでなる。患者は、血栓形成もしくは再形成(再閉塞)が予防されなければならない様々な状況が包含されるがこれらに限定されるものではない、とりわけ、血栓もしくは血栓形成の危険を有するために、血液凝固を阻害する処置を必要とする。例えば、自己抗体は、肺塞栓症、一過性脳虚血発作(TIA)、深部静脈血栓症、冠状動脈バイパス手術、人工弁もしくは血管を挿入する手術(例えば、自己、非自己もしくは合成血管移植における)における血栓を防ぐために個体(例えば、ヒトのような哺乳類)に投与することができる。
本発明の自己抗体はまた、バルーンによって行われる血管形成術処置、冠状動脈内粥腫切除術、レーザー血管形成術もしくは他の適当な方法における血小板凝集および血栓を防ぐために個体に投与することもできる。自己抗体は、血管形成術処置の前に(前血管形成術)、血管形成術中、もしくは血管形成術後に投与することができる。そのような処置は血栓を防ぎ、それにより、死亡、心筋梗塞、または血管形成術(経皮経管冠状動脈形成術、PTCA)もしくは冠状動脈バイパス手術を必要とする再発虚血性事象のような血管形成後の血栓性合併症の割合を減らすことができる。
例えば、血管形成術の前の補助療法としての本発明の抗血小板自己抗体の投与は、出血時間を増やし、そして血小板凝集を減らすことができる。抗血小板自己抗体が、とりわけ、血小板凝集、活性化、機能、セロトニンの放出、フィブリノーゲンへの結合などを阻害したことを示す本明細書に開示するデータは、血小板GPIIb/IIIaと自己抗体との結合の阻害が、ヒトにおけるインビボ抗血栓効果を与えることができることを示す。
本発明の抗血小板自己抗体は、血栓溶解後に起こり得る再閉塞を防ぐかもしくは減らすためにそして凝血塊溶解を加速するために、単独であるいはプラスミノーゲンアクチベーター(例えば、組織プラスミノーゲンアクチベーター、ウロキナーゼもしくはステレプトキナーゼ、組み換え組織プラスミノーゲンアクチベーター)のような血栓溶解剤、またはアスピリン、ヘパリンもしくはクマリン抗凝血剤(例えばワーファリン)のような抗凝血剤もしくは抗血小板薬と併せて個体(例えばヒト)に投与することができる。自己抗体もしくは生物学的活性フラグメントは、再閉塞をもたらし得る血小板凝集を防ぐために十分な量で、血栓溶解剤もしくは抗凝血剤の投与の前に、それと一緒にもしくはその後に投与することができる。
抗体もしくは抗体フラグメントの有効量(例えば、とりわけ、血小板凝集、機能、活性化の阻害、そしてそれによる血栓形成の阻害に十分な量)は、滅菌食塩水のような製薬学的に許容しうる賦形剤において、非経口的に、好ましくは静脈内に与えることができる。緩衝媒質を含むことができる。抗体製剤は、安定剤(例えば、ポリソルベート80、USP/NF)のような追加の添加剤を含有することができる。抗体は、単回用量において、連続的に、もしくは複数回注入(例えば、ボーラス注入、続いて連続注入)において投与することができる。あるいはまた、抗体は、制御放出機序により(例えば、ポリマーもしくはパッチ送達系により)または別の適当な方法により投与することができる。投与する量は、臨床症状、個体の体重、他の薬剤(例えば血栓溶解剤)を投与するかどうかのような様々な因子により決まる。製剤、投与量および処置処方計画の決定は、当業者により日常的に行われ、そして本明細書の他のところにさらに十分に記載するように、とりわけ、当業者に利用可能な多数の専門書(例えば、Genaro,ed.,1985,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,PA)に説明されている。
本発明には、例えば、GPIIb/IIIaと特異的に結合する抗血小板自己抗体を用いて血小板凝集を阻害することが包含される。そのような自己抗体はH44L4により例示され、これは、GenBank受託番号P08514(インテグリンアルファ−IIb前駆体、血小板膜糖タンパク質IIb、GPalpha IIb、GPIIbおよびCD41抗原とも呼ばれる;配列番号:153)に提供されるアミノ酸配列に基づいて、約アミノ酸残基番号447〜約アミノ酸残基番号1009を含んでなるαIIbの部分の存在を必要とする。しかしながら、本発明は、この血小板タンパク質にも、またその任意の特定の部分にも限定されない。例えば、GPIb/IXに特異的な抗血小板自己抗体は、フォン・ビルブラント因子マルチマーと血小板との相互作用を阻止することに有効であり、そして疾患血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)と関連する血栓形成、罹患率および死亡率を防ぐことができる。さらに、血小板Fc受容体を包含する他の血小板膜成分に対する抗血小板自己抗体は、血小板への抗血小板因子4/ヘパリン複合体自己抗体の結合を妨げ、そして障害ヘパリン誘発性血小板減少症/血栓症(HIT/T)と関連する血小板減少症および血栓症を防ぐことができる。
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は、個体の血小板が凝集しそして不適切に粘着し、多数の臓器において起こりそしてそれらの機能(特に脳および腎臓)に影響を及ぼし得る小血管血栓(凝血塊)をもたらす疾患である。血漿交換および新鮮凍結血漿の補液からなる緊急処置なしで、死亡率は90%より大きい。
最近の研究は、この疾患の急性型の病態生理学の理解を著しく進めている(例えば、Tsai et al.,1998,NEJM 339:1585−1594)。すなわち、自己抗体が血流中に発生し、それは「フォン・ビルブラント因子切断プロテアーゼ」として知られている血清酵素の作用を阻害する。この酵素の機能は、正常な血小板機能に必要とされる血清タンパク質、vWF(フォン・ビルブラント因子)を小さい機能性単位に切断することである。この酵素の正常な活性がなければ、vWFは内皮細胞により生産されるような不適切に大きい形態(「非常に大きいマルチマー(unusually large multimer)」と呼ばれる)のままである。次に、これらの大きいマルチマーは、GPIb/IXと不適切に相互作用し、理由もなく個体の血小板を凝集させそして内皮表面に粘着させる。
現在、FFP注入を有する血漿交換がTTPの有効な処置である理由は理解されている。さらに特に、該処置の間の患者血漿の除去は、望ましくないプロテアーゼインヒビターを除くために役立ち、そして新鮮正常血漿での患者血漿の同時置換は、活性プロテアーゼ酵素を患者に供給するために役立つ。毎日の血漿交換処置(通常は、追加の免疫抑制剤と一緒に)で、成功する場合、プロテアーゼインヒビターの患者の生産は止まり、そして疾患の処置および/もしくは軽減が成し遂げられる。
永久的な「治癒」が得られ、そして患者がおそらく1ヶ月もしくはそれ以上もの長い間毎日血漿交換処置を受けるまで、それらの血小板は不適切に凝集して粘着し続け、そしてそれらが最初に提示した症状、すなわち、血小板血栓からの閉塞した血流に起因する神経学的、腎臓および/もしくは他の臓器障害(vWFにより不適切に媒介される);血小板の消費のために結果として起こる血小板減少症、従って、患者を他の場所で出血の危険にさらすこと;およびおそらく微小血管系において血栓を無理に通過させられる場合の赤血球の断片化に起因する貧血をさらに悪化させ得る。ある患者では、血漿交換は十分に迅速に効果がなく、そしてvWFとそれらの血小板との間の不適切な相互作用を止める前に死亡する(通常は、脳もしくは心筋梗塞で)。血小板交換処置を行うことができる病院に迅速に到着することができないある患者では、処置を開始することができる前に死亡する。
不適切なvWFにより媒介される血小板凝集および粘着ならびにその後の臓器障害および疾患の他の病理学的特徴のサイクルを壊すために緊急にそして処置の間に患者に注入するためのvWFマルチマーのそれらの主要な血小板受容体、GPIb/IXとの相互作用を阻害することができる因子を有することが望ましい。本明細書に記述する方法を用いて開発されるGPIb/IXに対するヒト自己抗体は、本明細書の他のところに示すように、血小板GPIb/IXに結合し、それにより望ましくないvWF/血小板相互作用を妨げそして/もしくは阻害することにより強力な治療法として役立つことができる。
要約すると、本発明には、血液凝固を阻害するために抗血小板自己抗体を用いることが包含され、ここで、該自己抗体は、結合が血小板による凝血塊の形成を阻害するように血小板に結合する。
いかなる特定の理論によっても拘束されることを所望せずに、自己抗体による血小板機能の阻害は、血小板がリガンドと結合すること(この結合は次に血栓形成もしくは他の血小板機能に必要とされる様々な効果を媒介する)ができないという単に立体障害のためであることができる。あるいはまた、血小板と(すなわち、血小板成分と)自己抗体との結合は、血小板上の標的抗原の構造を改変するかもしくはそのような改変が自然に起こるのを防ぐことができる。そのような効果は、そうでなければ血小板機能に必要とされる標的タンパク質(血小板成分とも呼ばれる)における構造変化が標的と自己抗体との結合により阻害され得る点において、活性化する、凝集する、セロトニンを分泌するなどの血小板の能力に影響を与えることができる。例えば、インテグリン活性化の調節の機序に関する構造研究を含んでなる研究は、不活性状態において、αβヘテロダイマーの茎様鎖がそれらの細胞外の長さの中間で鋭く曲げられていることを示唆する(Takagi et al.,2002,Cell,110:599−611)。活性化の際に、該分子はより直立した向きに転化し、それらの球状頭部の近くのリガンド(フィブリノーゲン)結合ドメインを露出する。本発明に記述する血小板阻害自己抗体、H44L4の結合に必要とされるαIIbの領域は、屈曲の領域と一致する。H44L4はインテグリンに結合し、その不活性化状態を安定させ、そしてその活性化およびその後のそのリガンドとの結合に必要とされる構造変化を妨げると予測することは魅力的であり;しかしながら、本発明は、本発明の自己抗体が血小板機能などに影響を与えるこのもしくは任意の他の可能な機序に決して限定されない。
本発明には、血小板と患者に投与する自己抗体との結合が今度は阻害されるように、ペプチドインヒビターの有効量を患者に投与することが包含される。そのような阻害は、患者にとって、血液凝固がもはや所望されず、そして/もしくは治療利益を与えない場合に望ましい。これは、例えば心筋梗塞のために血液凝固の阻害を以前は必要とし、そして現在は減少した凝固が外科的処置に望ましくない危険性を与えるように外科的介入を必要とする患者に特に当てはまる。可逆的ではない、抗血小板キメラマウス−ヒト自己抗体(例えばReoProTM)の投与に関する先行技術の方法と異なり、本発明の方法は、GPIIb/IIIaと自己抗体との結合のペプチドインヒビターを投与し、それにより自己抗体の抗凝固効果を迅速に取り消すことができる、血液凝固を阻害する可逆的な方法を提供する。ReoProに対するペプチドインヒビターを開発することは、それらの構造がαIIbのフィブリノーゲン結合ドメインによく似ていると予想され、従って、遊離の血漿フィブリノーゲンの比較的莫大な量により迅速に結合されてReoProTMを中和するためには不十分な量を残すと予想されるので、問題があり得る。本発明はこれらの制約を回避し、そして哺乳類、さらに特にヒトに自己抗体を投与することの効果を取り消すことが所望される場合に本発明の自己抗体の効果を場合により取り消すことを可能にする。これは、ReoProTMの使用が包含されるがこれに限定されるものではない、血小板機能および活性に影響を及ぼす先行方法の実質的な改善である。
さらに、ReoProTMは、それが他の物質の中でもビトロネクチン受容体に結合することが既知であるようにGPIIb/IIIaに特異的ではない。ReoProTMと異なり、本明細書(例えば、図13)に開示するデータは、H44L4がビトロネクチン受容体に結合しないことを示す。従って、本発明の自己抗体は、ビトロネクチンと自己抗体との結合が所望されない場合に、ReoProTMのようなしかしこれに限定されるものではない非特異的な抗体の実質的な改善を与える。
本発明は血小板成分(例えばGPIIb/IIIa)と結合する抗血小板自己抗体(例えばH44L4)の結合を阻害する多数のペプチドインヒビター(例えば、P4−12、P4−7、P4−2aおよびP3−4)を提供するが、当業者は、本明細書に提供する教示に基づいて、本発明がこれらのもしくは任意の他の特定のペプチドインヒビター、自己抗体もしくは標的抗原に限定されないことを理解する。むしろ、本発明の教示を備えて、当業者は、本明細書に開示するように本発明の方法を実施するために、追加の標的、自己抗体およびペプチドインヒビターを容易に同定することができる。
本発明には、血小板凝集を阻害する方法が包含される。これは、本明細書の他のところに開示するデータにより示されるように、血小板と抗血小板自己抗体との結合(血小板上のタンパク質、例えば、GPIa/IIa、GPIIb/IIIaおよびGPIb/IXとの結合によるような、しかしこれらに限定されるものではない)は、とりわけ、血小板凝集を阻害することができるからである。従って、該方法は、血小板凝集が阻害されるように、血小板を抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントの有効量と接触させることを含んでなる。そのような方法は、血小板凝集により媒介される疾患、障害もしくは症状、例えば、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)およびヘパリン誘発性血小板減少症/血栓症(HIT/T)を処置するかもしくは軽減するために有用である。
同様に、本発明には、血小板活性化を阻害する方法が包含される。さらに特に、該方法は、血小板を抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントの有効量と接触させることを含んでなる。これは、本明細書の他のところに開示するデータにより示されるように、血小板と抗血小板自己抗体との結合は、セロトニン放出における阻害およびリガンド(フィブリノーゲン)結合の阻害により例示されるように、血小板活性化を阻害することができるからである。そのような方法は、血小板活性化を阻害することが、とりわけ、血小板凝集を阻害する場合のようなしかしこれに限定されるものではない、血小板活性化を阻害することが利益を与えることができる場合に有用であり、これらの利益は、本明細書においてすでに他のところに説明されている。
本発明にはまた、血小板機能を阻害する方法も包含され、ここで、そのような機能には、血小板と関連する任意の生物学的活性が包含されるが、これらに限定されるものではない。そのような活性には、血小板凝集体の形成、フォン・ビルブラント因子、コラーゲンおよび他の物質への血小板結合、内皮細胞への血小板の粘着、ならびに細胞内貯蔵からの様々な物質の分泌(例えば、セロトニンなど)などが包含されるが、これらに限定されるものではない。該方法は、血小板を抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントの有効量と接触させることを含んでなる。これは、そのような結合が血小板機能を阻害することが本明細書の他のところに示されているからである。さらに、本発明は、本明細書の他のところに例示される特定の抗体(H44L4)もしくは血小板標的(GPIIb/IIIa)に限定されない。代わりに、本発明には、本発明の方法に従って製造されるような自己抗体、ならびに本明細書に開示されるか、当該技術分野において既知であるかもしくは将来に同定される任意の血小板標的が包含される。
本発明には、血小板と抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントの結合を阻害する方法が包含される。該方法は、血小板を自己抗体のペプチドインヒビターの有効量と接触させることを含んでなる。これは、抗血小板自己抗体が血小板と結合する場合に、ペプチドインヒビターを用いてそのような結合を阻害できることを本明細書に開示するデータが示すからである。さらに、本発明は、本明細書の他のところに例示する特定の抗体(H44L4)、血小板標的(GPIIb/IIIa)もしくはペプチドインヒビター(12mer線状ペプチドおよびC7C制約ペプチド)に限定されない。代わりに、本発明には、本発明の方法に従って製造されるような自己抗体およびペプチドインヒビター、ならびに本明細書に開示されるか、当該技術分野において既知であるかもしくは将来に同定される任意の血小板標的が包含される。
本発明には、哺乳類(より好ましくはヒト)においてITPを処置する方法が包含される。該方法は、VH3−30を発現するBリンパ球を特異的に殺す化合物の有効量をITPに苦しむ動物に投与することを含んでなる。これは、本明細書の他のところに開示するデータにより示されるように、VH3−30を含んでなる抗血小板自己抗体が様々な疾患、障害もしくは症状を媒介することができる(ここで、抗血小板自己抗体は血小板もしくはその成分と特異的に結合し、それにより疾患、障害もしくは症状を媒介する)からである。一つのそのような疾患、障害もしくは症状はITPであり、そして本明細書に開示するデータは、該疾患を媒介する抗血小板自己抗体の相当数がVH3−30を含んでなることを初めて示す。従って、当業者は、本明細書に提供する開示に基づいて、そのような有害な抗血小板自己抗体を発現するBリンパ球の削除が、そのような自己抗体の生産により媒介される疾患、障害もしくは症状、例えばITPに苦しむ動物に治療利益を与えることを理解する。
すなわち、ITP患者から抗血小板自己抗体レパートリーをクローン化することにより、本明細書に開示するデータは、VH3−30免疫グロブリン遺伝子への自己抗体重鎖遺伝子使用における明白な拘束があるという新規な発見を示す。この拘束を利用することは、とりわけ、ITPにかかっている患者からの特定の自己抗体産生B細胞の削除を目標とするために用いることができる。
当業者は、本明細書に開示する教示を備えて、動物における興味のあるBリンパ球を特異的に削除する幅広く多数の方法があることを理解する。例えば、本明細書の他のところに説明するように、スタヒロコッカスプロテインAを用いるVH3−30を含んでなる抗体を発現するBリンパ球の特異的除去は、本発明の抗血小板自己抗体を発現するBリンパ球を選択的に標的としそして削除するために用いることができる。さらに、ヨード化を用いるSpAの修飾(「mod SpA」と称する)は、Fc結合活性を欠くが、Fabと、さらに特にVH3−30と相互作用する能力を保持するSpAを提供する。実際に、本明細書の他のところに開示するデータ(例えば図7)は、mod SpAがVH3−30を含んでなる本発明の抗血小板自己抗体に結合することを示す。これらのデータは、興味のある抗血小板自己抗体を発現するB細胞を選択的に削除し、それによりそのような自己抗体により媒介される疾患、障害もしくは症状(例えばITPなど)を処置するための修飾したもしくは修飾していないいずれかのSpAの使用を初めて示す。
当業者は、本明細書に提供する開示に基づいて、興味のあるB細胞をB細胞レパートリーから選択的に除去することができる多数の方法があることをさらに理解する。例えば、本明細書の他のところに示す抗血小板自己抗体のVH3−30拘束を利用する別の方法は、VH3−30の一般構造に特異的な(すなわち、抗体の実際の特異性とは独立にVH3−30抗体を他のものと区別する可変領域における共通のフレームワーク決定基に特異的な)因子(例えば抗体)を開発することである。そのような抗体試薬は、特定のヒト免疫グロブリン遺伝子産物に対するマウスモノクローナル抗体を作製するための当該技術分野において周知である方法を用いて得ることができる。VH3によりコードされる抗体に対するそのようなマウス抗体は、実際にすでに存在し、そしてVH3−30および相同な抗体に対するSpAと同様の結合プロファイルを示すものもある(例えば、Potter et al.,1998,Molec.Immunol.35:1179−1187)。治療用途には、そのような抗体は構造において「ヒト」であることが望ましい可能性があり、従って、Abgenix Corp.により製造されるXenomouseTMを用いることによるような、ヒト重鎖および軽鎖Ig遺伝子に関してトランスジェニックであるマウスにおいてそのようなハイブリドーマを製造することを行うことができる。さらに、本明細書の他のところにさらに十分に開示するように、興味のある任意の抗体は、当該技術分野において周知であるかもしくは将来に開発される方法を用いて「ヒト化」することができる(例えば、ヒト化マウスモノクローナル自己抗体の例としてReoProTMを参照)。
あるいはまた、インビトロで製造されるヒト様抗体配列を含んでなる合成抗体ファージディスプレイライブラリーを用いることができる(Siegel.2001,Trans.Med.Rev.15:35−52に概説される)。そのような抗体は、それらの由来にかかわらず、細胞表面免疫グロブリンへのそれらの結合に基づいてVH3−30を発現するB細胞を破壊する免疫毒素を含んでなるように有毒分子に連結することができる。
抗体結合ドメイン(すなわち、抗原と特異的に結合する免疫反応性ドメイン)および毒素ドメインを含んでなる典型的にはバイシストロン性分子である免疫毒素の製造は、当該技術分野において周知であり、そしてとりわけ、Dohlsten et al.(1994,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:8945−8949)およびRosenblum et al.(米国特許第5,624,827号)に記述されている。従って、当業者は、本明細書に提供する開示に基づいて、VH3−30ドメインを含んでなる抗体を発現するB細胞が包含されるがこれらに限定されるものではない、本発明の抗血小板自己抗体を発現するBリンパ球を選択的に削除するために免疫毒素を製造するためのこれらのおよび当該技術分野において周知である他の方法を使用できることを理解する。
VH30−30重鎖を使用する全てのB細胞を考え得る限り破壊することができる抗VH3−30免疫毒素の代わりに、ITPにさらに特異的な免疫療法は、既定患者により作られる抗血小板自己抗体の特定のイディオタイプもしくは複数のイディオタイプに特異的な因子を含んでなることができる。そのようなイディオタイプは、本明細書に記述するような患者の免疫レパートリーのクローニングから決定されるか、もしくは請求する特定の抗血小板自己抗体により発現される特定のイディオタイプを実際に使用することができる。それらの血小板自己抗体の可変領域に特異的な因子(それらがVH3−30によりコードされるかどうかにかかわらず)を設計することができる。そのような因子は、本明細書に記述する方法を用いるか、または上記のハイブリドーマもしくは合成ファージライブラリーを用いて血小板自己抗体に対する抗イディオタイプ抗体を作製することにより得られるものなどのような、特定のペプチドを含んでなることができる。すなわち、当業者は、本明細書に提供する開示に基づいて、抗血小板自己抗体と特異的に結合しそれにより血小板もしくはその成分と自己抗体との結合を阻害するペプチド(例えば、P4−12(配列番号:111);P3−4(配列番号:112);P4−7(配列番号:113);P4−2a(配列番号:114);P73−11(配列番号:116);P123−10(配列番号:118);P74−4(配列番号:120);P73−10(配列番号:122);P74−3(配列番号:124);P74−9(配列番号:126);P74−5(配列番号:128);P73−9(配列番号:130);P124−8(配列番号:132);P123−11(配列番号:134);P124−1(配列番号:136);P73−2(配列番号:138);P73−6(配列番号:140);P124−11(配列番号:142);P124−2(配列番号:144);P73−7(配列番号:146);P74−1a(配列番号:148);P123−8(配列番号:150);P74−8(配列番号:152))もまた、興味のある自己抗体を発現する特定のB細胞が抗体産生レパートリーから削除されるように免疫毒素を標的にするために使用できることを理解する。
C.診断の方法および治療の評価
本発明には、前述のようにペプチドインヒビターをそれらの特異性(1つもしくは複数)を特性化するのに役立つ中和アッセイにおいて用いることのようなしかしそれに限定されるものではないある種の疾患、障害もしくは症状を診断する方法が包含される。さらに、GPIIb/IIIa、GPIb/IXおよびGPIa/IIaのような血小板膜成分に対するヒト抗血小板自己抗体は、患者の血清もしくは血小板溶出液における血小板自己抗体を検出するための市販のELISAアッセイキットの陽性コントロールとして役立つことができる。現在、そのようなキットは、陽性コントロールとして使用する既知のITP患者から得られるヒト血清のバイアルを包装する。そのような物質は、供給が限られており、集めるのに費用がかかり、制御されていない組成のものであり、そして実験室研究者に感染症の危険となる。
VIII.キット
本発明には、抗血小板自己抗体をコードする核酸、抗血小板自己抗体、そのような結合のペプチドインヒビターもしくはペプチドインヒビターをコードする核酸のような化合物、および/または本発明の組成物、アプリケーター、ならびに本発明の方法を行うための化合物の使用を記述する説明用資料を含んでなる様々なキットが包含される。典型的なキットを以下に記述するが、他の有用なキットの内容は、本開示を考慮に入れると当業者に明らかである。これらのキットの各々は、本発明内に包含される。
一つの態様として、本発明には、血液凝固を阻害するためのキットが包含される。該キットは、本発明に開示する方法に従って使用する。簡潔に言えば、該キットは、血栓を有するかもしくは血栓形成の危険がある哺乳類(例えばヒト)に本発明の抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントを投与するために用いることができる。これは、本明細書の他のところにさらに十分に開示されるように、血小板と自己抗体との結合が減少した血液凝固を媒介し、ここで、減少した凝固は有益な効果を媒介することができるからである。
該キットはさらに、哺乳類に自己抗体を投与するために有用なアプリケーターを含んでなる。キットに含まれる特定のアプリケーターは、例えば、自己抗体を投与するために使用する方法、ならびに自己抗体を投与する哺乳類により決まり、そしてそのようなアプリケーターは当該技術分野において周知であり、そしてとりわけ、ピペット、注射器、点滴器などを包含することができる。さらに、該キットはキットを使用するための説明用資料を含んでなる。これらの説明書は、本明細書に提供する開示を単に具体化する。
キットは、製薬学的に許容しうる担体を含む。組成物は、本明細書の他のところに記載するような適切な量で提供される。さらに、投与の経路および投与の頻度は、本明細書の他のところにすでに記載するとおりである。
一つの態様として、キットはさらに血小板と抗血小板自己抗体との結合のペプチドインヒビターを含んでなる。そのようなペプチドインヒビターおよびそれらを製造する方法は、本明細書の他のところに開示されている。ペプチドインヒビターを投与することは、本明細書の他のところにさらに十分に説明するように、血小板と自己抗体との結合を阻害しそれにより自己抗体の抗凝固効果を阻害するので、このキットは、血液凝固を可逆的に阻害する方法を提供する。
本発明には、血小板凝集を阻害するためのキットが包含される。該キットは、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントの有効量を含んでなる。
該キットはさらに、自己抗体を投与するために有用なアプリケーターを含んでなる。キットに含まれる特定のアプリケーターは、例えば、自己抗体を投与するために使用する方法により決まり、そしてそのようなアプリケーターは当該技術分野において周知であり、そしてとりわけ、ピペット、注射器、点滴器などを包含することができる。さらに、該キットはキットを使用するための説明用資料を含んでなる。これらの説明書は、本明細書に提供する開示を単に具体化する。
本発明には、血小板機能を阻害するためのキットが包含される。該キットは、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントの有効量を含んでなる。
該キットはさらに、自己抗体を投与するために有用なアプリケーターを含んでなる。キットに含まれる特定のアプリケーターは、例えば、自己抗体を投与するために使用する方法により決まり、そしてそのようなアプリケーターは当該技術分野において周知であり、そしてとりわけ、ピペット、注射器、点滴器などを包含することができる。さらに、該キットはキットの使用のための説明用資料を含んでなる。これらの説明書は、本明細書に提供する開示を単に具体化する。
本発明には、血小板活性化を阻害するためのキットが包含される。該キットは、抗血小板自己抗体もしくはその生物学的活性フラグメントの有効量を含んでなる。
該キットはさらに、自己抗体を投与するために有用なアプリケーターを含んでなる。キットに含まれる特定のアプリケーターは、例えば、自己抗体を投与するために使用する方法により決まり、そしてそのようなアプリケーターは当該技術分野において周知であり、そしてとりわけ、ピペット、注射器、点滴器などを包含することができる。さらに、該キットはキットの使用のための説明用資料を含んでなる。これらの説明書は、本明細書に提供する開示を単に具体化する。
本発明には、血小板もしくは血小板成分と抗血小板抗体もしくはその生物学的活性フラグメントとの結合を阻害するためのキットが包含される。該キットは、ペプチドインヒビターの有効量を含んでなる。そのようなペプチドインヒビターには、P4−12(配列番号:111);P3−4(配列番号:112);P4−7(配列番号:113);P4−2a(配列番号:114);P73−11(配列番号:116);P123−10(配列番号:118);P74−4(配列番号:120);P73−10(配列番号:122);P74−3(配列番号:124);P74−9(配列番号:126);P74−5(配列番号:128);P73−9(配列番号:130);P124−8(配列番号:132);P123−11(配列番号:134);P124−1(配列番号:136);P73−2(配列番号:138);P73−6(配列番号:140);P124−11(配列番号:142);P124−2(配列番号:144);P73−7(配列番号:146);P74−1a(配列番号:148);P123−8(配列番号:150);P74−8(配列番号:152)が包含されるが、これらに限定されるものではない。
該キットはさらに、ペプチドインヒビターを投与するために有用なアプリケーターを含んでなる。キットに含まれる特定のアプリケーターは、例えば、インヒビターを投与するために使用する方法により決まり、そしてそのようなアプリケーターは当該技術分野において周知であり、そしてとりわけ、ピペット、注射器、点滴器などを包含することができる。さらに、該キットはキットの使用のための説明用資料を含んでなる。これらの説明書は、本明細書に提供する開示を単に具体化する。
本発明を以下の実施例に関してこれから記述する。これらの実施例は、説明の目的のみに提供され、そして本発明はこれらの実施例に限定されると決して解釈されるべきではなく、むしろ、本明細書に提供する教示の結果として明らかになるありとあらゆるバリエーションが包含されると解釈されるべきである。
[実施例]