JP2002524330A - 搭乗者の骨盤の減速度を制御する、アルミニウムのフォームからなる部分を含んでなる自動車用座席 - Google Patents

搭乗者の骨盤の減速度を制御する、アルミニウムのフォームからなる部分を含んでなる自動車用座席

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Abstract

(57)【要約】 本発明による自動車用座席（１）は、座席の着座部（３）内に、特に正面衝突時に、座席の上に着座する搭乗者の骨盤の減速度を制御する、アルミニウムのフォームからなる部材から構成された部分（６）が存在することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】 本発明は、自動車用座席の一般的な様式に関し、特にその着座部が、自動車の
衝突時、特に自動車の正面衝突時に、搭乗者の骨盤の減速度を制御する部分を含
んでなる、特に安全ベルトを装備した、自動車用座席に関する。
【０００２】 自動車の搭乗者の、特に衝突時における安全性の改良は、自動車製造者の不変
の強い関心となってきている。
【０００３】 かくして、安全ベルトの帯紐を装備した座席を使用することによって、衝突時
、特に正面衝突時における、搭乗者の前方への放出は回避されるようになった。
【０００４】 しかしながら、衝突時、特に正面衝突時には、安全ベルトの帯紐が存在するた
めに、車両の急激な減速度の結果として生じる、帯紐に作用する前方への引っ張
り応力は、搭乗者を座席に沿って前方へ滑らせる傾向のある応力に部分的に変換
される。
【０００５】 搭乗者の前方への移動（潜り込み）を妨げるために、座席の着座部の少し高く
なった前方の部分に、クッションを形成する材料の層で覆われた金属性の中空部
材を、横方向に設けることが提案されている。このような解決策は、刊行物GB-1
348 873に記載されている。しかしながら、このような解決策には、横方向に設
けられた金属性の部材が、衝突時に、永久変形して、搭乗者の骨盤に傷害をもた
らす大きな圧縮応力を作用させる可能性があるという問題がある。
【０００６】 刊行物US-A-4 623 192には、潜り込みを妨げるために、座席の着座部の前方部
分に、安全ベルトの帯紐の座席への固定点に結合された機構を介して衝突時に上
方に押し出され、搭乗者の骨盤の前方への移動を制限する部材を挿入することが
提案されている。この可動の部材は、圧縮に対して相対的に高められた抵抗を有
する材料からなる、座席のクッションに類似の材料で作られる。これは、複雑で
、座席に安全ベルトの帯紐を固定する必要があることの他に、この装置には、搭
乗者の骨盤に大きな圧縮応力を作用させるという、上記と同様の問題がある。
【０００７】 従って、搭乗者の座席に沿った前方への滑動（潜り込み）を完全に妨げつつ、
衝突時、特に正面衝突時に、搭乗者の骨盤の減速度の制御を可能にする、自動車
の座席を開発することが望ましいことは明らかである。
【０００８】 今や我々は、アルミニウムのフォームを使用して、座席に沿った前方への搭乗
者の滑動を制限すると同時に、衝突時、特に正面衝突時に、搭乗者の骨盤の減速
度を制御する部分を、自動車の座席の着座部に設けることが可能であることを発
見した。
【０００９】 本発明によれば、着座部と背もたれとからなる自動車用座席において、上記着
座部は、アルミニウムのフォームからなる部材から構成された、上記自動車用座
席の上に着座する搭乗者の骨盤の減速度を制御する、少なくとも１つの部分を含
んでなることを特徴とする、自動車用座席を実現することが可能となる。
【００１０】 上記減速度を制御する上記部分を構成するアルミニウムのフォームからなる上
記部材は、嵌め込み部材にすることが可能であり、あるいは上記自動車用座席の
上記着座部の構造と一体にすることも可能である。特に、アルミニウムのフォー
ムからなる上記部材は、自動車用座席の上記着座部の適当な箇所へ埋め込む嵌め
込み部材にすることが可能であり、あるいは着座部の骨組みと一緒に成形された
単体の部品に形成することも可能である。
【００１１】 勿論、アルミニウムのフォームからなる上記部材は、自動車の衝突時に、骨盤
の減速度を制御する部分の役割を果たすのに必要な寸法と形状に形成される。こ
のため、アルミニウムのフォームからなる上記部材の厚さは、一般的に５０〜１
００ｍｍ、望ましくは８０〜１００ｍｍとなる。勿論、骨盤の減速度を制御する
部分を構成する、アルミニウムのフォームからなる上記部材は、衝突時に搭乗者
の骨盤から作用される荷重が、アルミニウムのフォームからなる上記部材に加え
られるように、自動車用座席の上記着座部の中に位置決めされなければならない
。
【００１２】 上記アルミニウムのフォームは、既知の製品であり、市販されている。
【００１３】 一般に、このアルミニウムのフォームは、ＡｌＳｉ９Ｃｕ３またはＡｌＳｉ１ ０ Ｍｇのようなアルミニウム合金と炭化珪素（ＳｉＣ）から構成され、０．１０
〜０．４０の比重（densite）を有する製品である。
【００１４】 本発明による望ましい上記アルミニウムのフォームは、０．１０〜０．３０、
より望ましくは０．１５〜０．０．２０の比重を有する。
【００１５】 本発明に適した上記アルミニウムのフォームは、５０〜９５％、望ましくは５
５〜９５％、より一般的には７０〜８５％の間に含まれる変形率について、１０
ｋＮ以下の安定した耐力（effort）を一般に呈する。
【００１６】 なお、上記アルミニウムのフォームは、軽い材料（約２５０ｇ／ｌ、比重によ
る）であり、等方性、すなわち、加えられる応力の方向に係わりなく、同一の挙
動を呈する。
【００１７】 骨盤の減速度を制御する部分を構成する、アルミニウムのフォームからなる上
記部材は、加えられる応力に垂直な面の表皮を形成することが可能であり、特に
比重が小さいアルミニウムのフォームからなる上記部材については、このことが
耐力のよりコンスタントな一定部分（プラトウplateau）を得ることを可能にす
る。
【００１８】 本発明に適した上記アルミニウムのフォームの例としては、ＡＬＣＡＮ社によ
って商品化されている、比重が０．１０〜０．３５に変化するフォーム（少量の
（nuance）ＡＡ ３５９＋ＳｉＣのフォーム）、ＨＹＤＲＯＡＬＭＩＮＩＵＭ社
によって商品化されている、比重が０．２０〜０．４０の少量のＡｌＳｉ９Ｃｕ ３ ＋ＳｉＣおよび比重が０．２０〜０．３０のＡｌＳｉ１０Ｍｇ＋ＳｉＣを挙げ
ることができる。
【００１９】 以下の記述は、それぞれ以下に示す添付図面を参照して行う。
【００２０】 図１は、着座部が、本発明によるアルミニウムのフォームからなる部材によっ
て構成された、搭乗者の骨盤の減速度を制御する部分を含んでなる自動車用座席
の概略図である。
【００２１】 図２は、本発明によるアルミニウムのフォームからなる、嵌め込み部材の形を
した部材の斜視図である。
【００２２】 図３は、厚さ９０〜１００ｍｍのアルミニウムのフォームのブロックの、耐力
／変形率のグラフである。
【００２３】 図４は、図３と同じアルミニウムのフォームのブロックの、吸収エネルギ／変
形率のグラフである。
【００２４】 図５は、厚さ５０ｍｍのアルミニウムのフォームのブロックの、耐力／変形率
のグラフである。
【００２５】 図６は、図５と同じアルミニウムのフォームのブロックの、吸収エネルギ／変
形率のグラフである。
【００２６】 図１に、従来技術におけるような、着座部３の上に連接された背もたれ２から
なる、本発明による自動車の座席１を示す。着座部３は、一般に骨組み４とクッ
ション５とからなる。
【００２７】 本発明によれば、座席の着座部３の部分、一般的には前方の部分に、衝突時、
特に正面衝突時に、搭乗者の骨盤の減速度を制御する部分を構成するために、ア
ルミニウムのフォームからなる部材から構成された部分６が配置される。
【００２８】 先に示したように、このアルミニウムのフォームからなる部材は、座席の骨組
み４と一体に形成してもよいし、あるいは、座席のクッション５の中の所望の場
所に埋め込まれる嵌め込み部材であってもよい。
【００２９】 図２に示す、本発明によるアルミニウムのフォームからなる嵌め込み部材の形
の部材は、座席のクッションの中に埋め込まれるものである。
【００３０】 図２に示すように、この嵌め込み部材は、衝突時に搭乗者の骨盤の減速度を制
御するのに有効な効果を保証するように寸法が選ばれた、一般的な平行六面体の
形状を有する。特に、この部材は、この部材の上に載る搭乗者の骨盤の全体のた
めに充分な長さＬと最大幅ｌ２とを有する。かくして、この部材は、約４００ｍ
ｍまたはそれ以上の長さＬと、１８０〜３００ｍｍの下面の幅ｌ２と、１５０〜
２００ｍｍの上面の幅ｌ１とを有する。また、この部材の厚さｅは、衝突時に加
えられるエネルギを吸収するのに充分な厚さである必要があり、一般に５０〜１
００ｍｍ、望ましくは８０〜１００ｍｍの間に含まれる。
【００３１】 本発明によるアルミニウムのフォームからなる部材の効果を明らかにするため
に、比重が０．１０〜０．２８の間に含まれるアルミニウムのフォームからなる
異なったブロックについて、容量５０ｋＮで、インパクター（impacteur、圧縮
荷重を加えるための半球座）が直径１００ｍｍの半球からなる、ＲＯＥＬＬ及び
ＫＯＲＴＨＡＵＳ試験機を用いて、準静的圧縮試験を実施した。圧縮は、２０ｍ
ｍ／ｍｉｎの速度で実施された。
【００３２】 一方、次の評価基準を設定した。
【００３３】 耐力：１０ｋＮ、 背柱軸において６ｋＮ、 背柱の移動２０ｍｍにおいて４ｋＮ、 を超えない。
【００３４】 エネルギ：１８０〜２２０Ｊｏｕｌｅｓ。
【００３５】 試験されたアルミニウムのフォームからなる部材は、厚さ５０ｍｍと厚さ９０
〜１００ｍｍのブロックであった。
【００３６】 用いられたアルミニウムのフォームは、以下のとおりであった。
【００３７】 厚さ９０〜１００ｍｍのブロック： ＡＬＣＡＮ ０．１５：少量のＡＡ ３５９＋ＳｉＣ、比重０．１５、ＡＬＣＡ
Ｎ社製。
【００３８】 ＨＹＤＲＯ Ｃｕ ０．２０：少量のＡｌＳｉ９Ｃｕ３＋ＳｉＣ、比重０．２０
、ＨＹＤＲＯＡＬＭＩＮＩＵＭ社製。
【００３９】 ＨＹＤＲＯ Ｍｇ ０．２０：少量のＡｌＳｉ１０Ｍｇ＋ＳｉＣ、比重０．２０
、ＨＹＤＲＯＡＬＭＩＮＩＵＭ社製。
【００４０】 厚さ５０ｍｍのブロック： ＡＬＣＡＮ ０．１５：少量のＡＡ ３５９＋ＳｉＣ、比重０．１５、ＡＬＣＡ
Ｎ社製。
【００４１】 ＨＹＤＲＯ Ｃｕ ０．２０：少量のＡｌＳｉ９Ｃｕ３＋ＳｉＣ、比重０．２０
、ＨＹＤＲＯＡＬＭＩＮＩＵＭ社製。
【００４２】 ＨＹＤＲＯ Ｍｇ ０．２０：少量のＡｌＳｉ１０Ｍｇ＋ＳｉＣ、比重０．２０
、ＨＹＤＲＯＡＬＭＩＮＩＵＭ社製。
【００４３】 ＡＬＣＡＮ ０．２８：少量のＡＡ ３５９＋ＳｉＣ、比重０．２８、ＡＬＣＡ
Ｎ社製。
【００４４】 ＡＬＣＡＮ ０．１０：少量のＡＡ ３５９＋ＳｉＣ、比重０．１０、ＡＬＣＡ
Ｎ社製。
【００４５】 図３は、厚さ９０〜１００ｍｍのアルミニウムのフォームからなるブロックの
耐力と変形率との間の関係を示し、図４は、同じブロックについての変形率の関
数としての吸収エネルギのグラフである。これらの図は、試験された３材料につ
いて、圧縮率が９５〜５５％に変化するときに、吸収エネルギは２００〜３８０
Ｊｏｕｌｅｓに変化することを示している。
【００４６】 従って、最大耐力を１０ｋＮに固定すれば、これらのブロックは課された評価
基準に対応することが可能になる。
【００４７】 図５、６は、厚さ５０ｍｍのブロックについての、変形率の関数としての、耐
力と吸収エネルギのグラフである。
【００４８】 特に、厚さが小さいブロックの場合で、比重が０．２またはそれ以下の場合に
は、大きい変形率（７０〜８５％）で、耐力を１０ｋＮ以下に維持することが可
能であることが見られる。利用可能な押し潰される長さは、厚さが大のブロック
の場合に比して小さく、吸収エネルギも、厚さがより大のブロックについてのテ
ストに比して勿論減少する。
【００４９】 しかしながら、全ての場合において、圧縮中における圧壊耐力の安定性が認め
られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 レクロスニィエ ローラン フランス国 エフ−78289 ギヤンクール リュー ヘンリ ドュナン ６ Ｆターム(参考） 3B087 CD03

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 着座部（３）と背もたれ（２）とからなる自動車用座席において、上記着座部
    （３）は、上記自動車用座席の上に着座する搭乗者の骨盤の減速度を制御する、
    アルミニウムのフォームからなる部材から構成された部分（６）を含んでなるこ
    とを特徴とする、自動車用座席。
  2. 【請求項２】 上記減速度を制御する上記部分は、嵌め込み部材の形状をなすことを特徴とす
    る、請求項１に記載の自動車用座席。
  3. 【請求項３】 上記減速度を制御する上記部分は、上記自動車用座席の上記着座部と一体に形
    成されることを特徴とする、請求項１に記載の自動車用座席。
  4. 【請求項４】 上記アルミニウムのフォームは、０．１０〜０．４０、望ましくは０．１５〜
    ０．２０の比重を有することを特徴とする、請求項１〜３のいずれか１つに記載
    の自動車用座席。
  5. 【請求項５】 上記減速度を制御する上記部分は、５０〜９５％、望ましくは５５〜９５％の
    間に含まれる変形率において、１０ｋＮ以下の安定した耐力を呈することを特徴
    とする、請求項１〜４のいずれか１つに記載の自動車用座席。
  6. 【請求項６】 上記変形率は、７０〜８５％の間に含まれることを特徴とする、請求項５に記
    載の自動車用座席。
  7. 【請求項７】 上記自動車用座席は、安全ベルトを装備されていることを特徴とする、請求項
    １〜６のいずれか１つに記載の自動車用座席。
  8. 【請求項８】 アルミニウムのフォームからなる部材を使用した、自動車用座席の着座部にお
    ける、上記自動車用座席の上に着座する搭乗者の骨盤の減速度を制御する部分の
    製造方法。
  9. 【請求項９】 上記アルミニウムのフォームからなる上記部材は、０．１０〜０．４０、望ま
    しくは０．１５〜０．２０の間に含まれる比重を有することを特徴とする、請求
    項８に記載の搭乗者の骨盤の減速度を制御する部分の製造方法。
JP2000568710A 1998-09-04 1999-09-03 搭乗者の骨盤の減速度を制御する、アルミニウムのフォームからなる部分を含んでなる自動車用座席 Withdrawn JP2002524330A (ja)

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EP1109697A1 (fr) 2001-06-27
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