JP2020083173A - 乗物用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】前側の乗物用シートにおける軽量化や小型化を実現することが可能な後側の乗物用シートを提供することを目的とする。【解決手段】後側の乗物用シート10が、シートクッション12と、シートバック13と、ヘッドレスト14と、を備えており、シートバック13は、シートクッション12上に折りたたまれた状態となるまで前方に向かって回転可能とされ、シートバック13の背面は、折りたたまれた状態において上方を向く荷物載置面13aとされており、荷物載置面13aに荷物N1,N2が載置され、前突時に、当該荷物N1,N2が前方へ移動した場合に発生する衝撃を吸収する衝撃吸収部15を更に備える。【選択図】図1

Description

本発明は、乗物用シートに関する。
従来、後部座席を構成する乗物用シートのシートバックを前方へと回転させて、シートクッションと重なるように折りたたみ、荷室を拡大させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、特許文献2には、シートバックの骨組みを構成するシートバックフレームのサイドフレームに閉断面構造を採用してシートバックフレームの剛性を向上させるとともに、シートバックフレームのサイドフレームとシートクッションフレームとの結合部に2つのリクライニング機構を設けて、これらサイドフレームとシートクッションフレームとの結合部の剛性を向上させることが開示されている。
特開2009−292195号公報 特開2017−94872号公報
ところで、後部座席を構成する乗物用シートのシートバックを折りたたみ、その上に重量のある荷物を載せた状態で前突事故が発生すると、その荷物が、後部座席の前方に設けられた乗物用シートに衝突してしまう。そのため、当該前側の乗物用シートは、特許文献2に記載のような技術を採用して剛性を向上させておく必要がある。
ところが、乗物用シートの剛性を向上させるためには、上記のように、シートバックフレームに閉断面構造を採用したり、2つのリクライニング機構を設けたりする必要があり、前側の乗物用シートにおける重量化や大型化が問題となる場合があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、前側の乗物用シートにおける軽量化や小型化を実現することが可能な後側の乗物用シートを提供することを目的とする。
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は乗物用シートであって、
人の大腿部及び臀部を支持するシートクッションと、
下端部が前記シートクッションに支持され、かつ背凭れとなるシートバックと、
前記シートバックの上部に設けられたヘッドレストと、を備えており、
前記シートバックは、前記シートクッション上に折りたたまれた状態となるまで前方に向かって回転可能とされ、前記シートバックの背面は、前記折りたたまれた状態において上方を向く荷物載置面とされており、
前記荷物載置面に荷物が載置され、前突時に、当該荷物が前方へ移動した場合に発生する衝撃を吸収する衝撃吸収部を更に備えることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の乗物用シートにおいて、前記衝撃吸収部は、前記ヘッドレストに設けられていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の乗物用シートにおいて、前記衝撃吸収部は、前記ヘッドレストにおけるピラーに一体的に設けられていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の乗物用シートにおいて、前記衝撃吸収部は、前記ピラーよりも変形しやすいことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の乗物用シートにおいて、前記衝撃吸収部は、前記ヘッドレストに対して移動可能に設けられていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の乗物用シートにおいて、前記衝撃吸収部は、前記シートバックに設けられていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の乗物用シートにおいて、前記衝撃吸収部は、前記荷物載置面よりも上方に位置することを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項5〜7のいずれか一項に記載の乗物用シートにおいて、前記衝撃吸収部は、前記シートバックが前方に向かって回転する動作に合わせて前記荷物載置面よりも上方に移動するように構成されていることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項5〜8のいずれか一項に記載の乗物用シートにおいて、前記衝撃吸収部は、前記荷物載置面に対して位置調整可能に構成されていることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載の乗物用シートにおいて、前記衝撃吸収部は、前記荷物が前方へ移動して当該衝撃吸収部に接触した際に、当該衝撃吸収部を変形させる起点となる脆弱部を有することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、乗物用シートが、前突時に、荷物載置面に載置された荷物が前方へ移動した場合に発生する衝撃を吸収する衝撃吸収部を備えるので、衝撃吸収部によって、前突時に前方へ移動する荷物による衝撃を吸収できる。そのため、荷物が、乗物用シートよりも前方に移動した場合に、当該乗物用シートよりも前方に配置された前側の乗物用シートに対して与える衝撃を抑えることができるので、前側の乗物用シートにおける軽量化や小型化の実現を図ることができる。
請求項2に記載の発明によれば、衝撃吸収部は、ヘッドレストに設けられているので、乗物用シートに備わっている装置に対して衝撃吸収部が設けられることになる。そのため、部品点数の増加を抑制しつつ、前側の乗物用シートに対して与える衝撃を抑えることができる。
請求項3に記載の発明によれば、衝撃吸収部は、ヘッドレストにおけるピラーに一体的に設けられているので、例えば衝撃吸収部がピラーとは別体として設けられ、ピラーに対して高い連結強度で連結しなければならない場合に比して簡素な構造で、前側の乗物用シートに対して与える衝撃を抑えることができる。
請求項4に記載の発明によれば、衝撃吸収部は、ピラーよりも変形しやすいので、衝撃によってピラーが変形する前に、衝撃吸収部を変形させることができる。そのため、ピラーの変形を抑制しつつ、前側の乗物用シートに対して与える衝撃の抑制に寄与できる。
請求項5に記載の発明によれば、衝撃吸収部は、ヘッドレストに対して移動可能に設けられているので、例えば、衝撃吸収部を衝撃吸収しやすい方向に移動させたり、通常時には邪魔にならない場所に移動させたりでき、乗物用シートの小型化に寄与しつつ、前側の乗物用シートに対して与える衝撃を抑えることができる。
請求項6に記載の発明によれば、衝撃吸収部は、シートバックに設けられているので、荷物が前方へ移動する距離が短いうちに、衝撃吸収部によって衝撃吸収を行うことができる。そのため、前側の乗物用シートに対して与える衝撃をより一層抑えることができる。さらに、乗物用シートに備わっている装置に対して衝撃吸収部が設けられることになるため、部品点数の増加を抑制しつつ、前側の乗物用シートに対して与える衝撃を抑えることができる。
請求項7に記載の発明によれば、衝撃吸収部は、荷物載置面よりも上方に位置するので、前方へ移動する荷物が衝撃吸収部に接触しやすく、衝撃吸収部によって、前側の乗物用シートに対して与える衝撃の抑制により一層寄与できる。
請求項8に記載の発明によれば、衝撃吸収部は、シートバックが前方に向かって回転する動作に合わせて荷物載置面よりも上方に移動するように構成されているので、乗員によって衝撃吸収部を操作する手間を省きつつ、前側の乗物用シートに対して与える衝撃を抑えることができる。
請求項9に記載の発明によれば、衝撃吸収部は、荷物載置面に対して位置調整可能に構成されているので、荷物載置面に載置される荷物の大きさに応じて適切な位置で、衝撃吸収部による衝撃吸収が可能となる。
請求項10に記載の発明によれば、衝撃吸収部は、荷物が前方へ移動して当該衝撃吸収部に接触した際に、当該衝撃吸収部を変形させる起点となる脆弱部を有するので、荷物と接触した際の衝撃吸収部の変形動作を定常的なものとすることができ、前側の乗物用シートに対して与える衝撃の抑制に寄与できる。
前側乗物用シートと、シートバックが折りたたまれた状態の後側乗物用シートとの並んで設けられた状態を示す側面図である。 荷物が衝撃吸収部に接触した状態を示す斜視図である。 衝撃吸収部が脆弱部を有する場合の側面図である。 衝撃吸収部が設けられたヘッドレストの変形例を説明する断面図である。 図4におけるストッパー部材を示す正面図である。 衝撃吸収部の変形例を示す図である。 衝撃吸収部の変形例を示す図である。 衝撃吸収部の変形例を示す図である。 衝撃吸収部の変形例を示す図である。 衝撃吸収部の変形例を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態および図示例に限定するものではない。
図1において符号1は前側乗物用シートを示す。図1において符号10は後側乗物用シートを示す。
これら前側乗物用シート1及び後側乗物用シート10は、自動車(車両)の室内に設けられる乗物用シートであり、より詳細には、前方・中央・後方の3列シートにおける中央と後方の乗物用シートとされている。
なお、本実施形態においては、車両に、乗物用シート1,10が設けられた状態での方向に基づいて種々の説明を行っている。
前側乗物用シート1は、3人掛けの中央シートである。前側乗物用シート1は、左右幅の比率が異なるように分割されたものであり、車内右側に位置する2人掛けの右側シート1Aと、車内左側に位置する1人掛けの左側シート1Bと、から構成されている。
右側シート1Aは、2人が着座した場合に各乗員の大腿部及び臀部を支持する右側シートクッション2Aと、下端部が右側シートクッション2Aに支持され、右側シートクッション2Aの後端部において起立した状態に設けられて各乗員の背凭れとなる右側シートバック3Aと、を備える。
左側シート1Bは、1人の乗員の大腿部及び臀部を支持する左側シートクッション2Bと、下端部が左側シートクッション2Bに支持され、左側シートクッション2Bの後端部において起立した状態に設けられて1人の乗員の背凭れとなる左側シートバック3Bと、を備える。
右側シートバック3Aの上部には、各乗員の頭部を受けるヘッドレスト4a,4bが設けられており、左側シートバック3Bの上部には、乗員の頭部を受けるヘッドレスト4cが設けられている。
右側シートバック3A及び左側シートバック3Bは、リクライニング機構によって、右側シートクッション2A及び左側シートクッション2Bに対してそれぞれ角度調整可能に構成されている。右側シートバック3A及び左側シートバック3Bは、リクライニング機構によって後ろに倒れたり、前に立ち上がったり、ロック状態としてその角度を維持したりすることができる。
そして、以上のように構成された前側乗物用シート1は、シートクッション2A,2Bの骨格を形成するシートクッションフレームと、シートバック3A,3Bの骨格を形成するシートバックフレームと、ヘッドレスト4a,4b,4cの骨格を形成するピラー(ヘッドレストフレーム)に対してクッションパッドが設けられ、表皮によって被覆されることで構成されている(図4参照。)。
なお、本実施形態においては、前側乗物用シート1は、左右の比率が異なるように分割されたものとしたが、これに限られるものではなく、左右の比率が等しくなるように分割されたものでもよい。
後側乗物用シート10は、2人掛けの後方シートである。後側乗物用シート10は、左右幅の比率が同等になるように分割されたものであり、車内右側に位置する1人掛けの右側シート(図示省略)と、車内左側に位置する1人掛けのシート、から構成されている。
後側乗物用シート10における右側シート及び左側シートのそれぞれは、乗員の大腿部及び臀部を支持するシートクッション12と、下端部がシートクッション12に支持され、シートクッション12の後端部において起立した状態に設けられて1人の乗員の背凭れとなるシートバック13と、を備える。また、シートバック13の上部には、乗員の頭部を受けるヘッドレスト14が設けられている。
シートバック13は、リクライニング機構によって、シートクッション12に対して角度調整可能に構成されている。すなわち、シートバック13は、リクライニング機構によって後ろに倒れたり、前に倒れたり、ロック状態としてその角度を維持したりすることができる。
さらに、本実施形態におけるシートバック13は、前方へ回転させ、シートクッション12上に、当該シートクッション12と重なるように折りたたむことができる。これにより、シートバック13の背面を上方に向けた状態にすることができ、シートバック13の背面を、荷物N1,N2が載置される荷物載置面13aとして使用することができるようになっている。
なお、後側乗物用シート10における荷物載置面13aに載置される荷物N1,N2は、本実施形態においてはテスト用ブロックとされている。テスト用ブロックは、300mm×300mm×300mmの大きさで、全ての端末及び角部が20mmの面取りが成され、かつ、重量が18kgに設定されている。
ただし、荷物載置面13aに載置される荷物N1,N2は、このようなテスト用ブロックに限られるものではなく、荷物載置面13aに載置可能な全ての物を荷物N1,N2とすることができる。
そして、以上のように構成された後側乗物用シート10は、シートクッション12の骨格を形成するシートクッションフレームと、シートバック13の骨格を形成するシートバックフレームと、ヘッドレスト14の骨格を形成するピラー140(ヘッドレストフレーム)に対してクッションパッドが設けられ、表皮によって被覆されることで構成されている(図4参照。)。
以上のように構成された後側乗物用シート10は、荷物載置面13aに載置された荷物N1,N2が、前突時に前方へ移動した場合に発生する衝撃を吸収する衝撃吸収部15を更に備えている。衝撃吸収部15とは、前方に向かって勢いよく移動する荷物N1,N2が真っ先に接触し、これにより、前方に移動する荷物N1,N2の勢いを抑え、荷物N1,N2が前側乗物用シート1に衝突した場合の衝撃を和らげることを目的としたものである。
本実施形態においては、このような衝撃吸収部15が、図1〜図3に示すように、後側乗物用シート10におけるヘッドレスト14に設けられている。
ここで、まずヘッドレスト14の構成について詳細に説明すると、ヘッドレスト14におけるピラー140は、下方に突出する一対の支柱141と、支柱141の上端部から斜め下方に折り返すように形成された一対の折り返し部142と、これら一対の折り返し部142の下端部同士を連結するU型の連結部143と、を有する。なお、一対の支柱141、一対の折り返し部142、連結部143は一体形成されている。
シートバック13には、シートバックフレームに固定されたガイド保持部145によって保持されるヘッドレストガイド144が設けられている。
ヘッドレストガイド144は、ヘッドレスト14におけるピラー140の一対の支柱141が差し込まれるものであり、一対の支柱141のうち少なくとも一方の支柱141の外周面に形成された複数の切欠部141aと係合するロック部144aを備える。これにより、ヘッドレスト14は、シートバック13に対して高さ方向の位置調整が可能となっている。
そして、本実施形態における衝撃吸収部15は、ピラー140のうち、一対の折り返し部142に対して一体的に設けられている。
衝撃吸収部15は、一対の折り返し部142に固定される一対の固定部15aと、一対の固定部15aの上端部同士を連結するとともに荷物載置面13aよりも上方に突出するU型の本体突出部15bと、を有する。
一対の固定部15aは、ピラー140における一対の折り返し部142と平行し、一対の折り返し部142に対して溶接等により接合固定されている。
本体突出部15bの突出方向は、ピラー140における一対の折り返し部142の、一対の支柱141に対する折り返し方向と対称的に設定されている。また、この本体突出部15bの突出方向先端は、シートバック13をシートクッション12上に折りたたんだ状態にした場合に、荷物載置面13aよりも上方に位置している。
ヘッドレスト14は、上記のように、シートバック13に対して高さ方向の位置調整が可能となっているため、ヘッドレスト14と一体的に設けられた衝撃吸収部15も、シートバック13に対して位置調整が可能となっている。すなわち、シートバック13をシートクッション12上に折りたたんだ状態において、ヘッドレスト14を、シートバック13に対して位置調整することで、衝撃吸収部15の位置を前後方向に調整することができるようになっている。
なお、衝撃吸収部15は、ピラー140よりも変形しやすくなっていることが望ましい。より詳細に説明すると、本実施形態における衝撃吸収部15は、金属製のパイプ材によって構成されている。一方、ピラー140も金属製のパイプ材によって構成されているが、より望ましい本実施形態においては、衝撃吸収部15よりもピラー140の方が、肉厚なパイプ材によって構成されている。そのため、衝撃吸収部15は、ピラー140よりも変形しやすくなっている。ただし、衝撃吸収部15とピラー140の肉厚が逆の場合や同じである場合も衝撃吸収部15による衝撃吸収は可能であるため、これらの形態を除外するものではない。
本実施形態においては、このようにパイプ材の構成を異なるものとすることによって衝撃吸収部15とピラー140の変形しやすさに違いを持たせるものとしたが、これに限られるものではなく、例えば衝撃吸収部15の材質そのものを、ピラー140に対して変形しやすいものに変更してもよい。
また、衝撃吸収部15は、荷物N1,N2が前方へ移動して当該衝撃吸収部15に接触した際に、当該衝撃吸収部15を変形させる起点となる脆弱部15cを有していてもよい。脆弱部15cは、衝撃吸収部15における本体突出部15bのいずれかの部位に設けられている。このような脆弱部15cを有することで、衝撃吸収部15の変形が定常的に脆弱部15cから起きることとなる。
このような脆弱部15cは、図3に示すように、例えば本体突出部15bに形成された切欠部によって構成されていてもよいし、本体突出部15bのうち脆弱部15cとしたい部位の直径を、他の部位の直径よりも短くして部分的に径を細くすることによって構成されてもよい。また、本体突出部15bのうち脆弱部15cとしたい部位の材質を、他の部位の材質と異なるものに変更することによって構成されてもよい。
本実施形態における脆弱部15cは、図3(a)に示すように、本体突出部15bにおける前席側とシートバック側のうち少なくとも一方に形成されているものとする。すなわち、脆弱部15cは、本体突出部15bにおける前席側のみに形成されるか、シートバック側のみに形成されるか、前席側とシートバック側の双方に形成される。
また、本体突出部15bに脆弱部15cを形成する場合、図3(b)に示すように、本体突出部15bを潰して形成してもよいし、図3(c)に示すように、本体突出部15bを切り欠いて形成してもよい。ただし、脆弱部15cがない場合でも衝撃吸収は可能であるため、脆弱部15cがない形態を除外するものではない。
続いて、図1及び図2を参照して、以上のように構成された後側乗物用シート10の作用について説明する。すなわち、例えば車両の前面衝突時等に、折りたたまれた状態の後側乗物用シート10における荷物載置面13aに載置された荷物N1,N2等が前方に移動して、前側乗物用シート1に衝突するまでの各部における動作や状態について説明する。
後側乗物用シート10は、図1に示すように、シートバック13がシートクッション12上に、重なるように折りたたまれており、シートバック13の背面が荷物載置面13aとなっている。荷物N1,N2は、このような荷物載置面13aに載置された状態となっている。
荷物N1,N2が前方へ移動する状況としては、車両を、時速50km程度で前方に走行させてから前方障害物に衝突させる状況が想定されている。
車両が前方障害物に衝突すると、荷物載置面13aに載置されていた荷物N1,N2は、図2に示すように、前方へと移動する。そして、荷物N1,N2は、荷物載置面13a上を移動し、前側乗物用シート1に衝突するよりも前に、荷物載置面13aよりも上方に突出した衝撃吸収部15に接触することになる。
衝撃吸収部15は、上記のようにピラー140よりも変形しやすくなっているため、荷物N1,N2が接触した際に変形が始まり、それと同時に、荷物N1,N2の移動速度を緩めるように作用する。なお、本体突出部15bに対して脆弱部15cを形成した場合は、当該脆弱部15cが変形の起点となる。
要するに、衝撃吸収部15は、荷物N1,N2の前方への移動速度を削いで受け流すように機能するものであり、移動速度が遅ければ荷物N1,N2の移動を完全に停止させてもよいが、移動速度が速い場合の荷物N1,N2の移動を完全に停止させることは必ずしも必要とされていない。
衝撃吸収部15の変形とともに荷物N1,N2の移動速度が抑えられ、移動速度が抑えられた荷物N1,N2は更に前方へと移動し、前側乗物用シート1におけるシートバック3A,3Bに衝突する。衝撃吸収部15によって荷物N1,N2の移動速度が十分に抑えられているため、当該シートバック3A,3Bは、僅かな変形に抑えられることとなる。これにより、シートバック3A,3Bが前方に倒れ込む角度を小さくすることができるので、前側乗物用シート1に着座する乗員の安全確保に貢献できる。
本実施の形態によれば、後側乗物用シート10が、前突時に、荷物載置面13aに載置された荷物N1,N2が前方へ移動した場合に発生する衝撃を吸収する衝撃吸収部15を備えるので、衝撃吸収部15によって、前突時に前方へ移動する荷物N1,N2による衝撃を吸収できる。そのため、荷物N1,N2が、後側乗物用シート10よりも前方に移動した場合に、当該後側乗物用シート10よりも前方に配置された前側乗物用シート1に対して与える衝撃を抑えることができるので、前側乗物用シート1における軽量化や小型化の実現を図ることができる。
また、衝撃吸収部15は、ヘッドレスト14に設けられているので、後側乗物用シート10に備わっている装置に対して衝撃吸収部15が設けられることになる。そのため、部品点数の増加を抑制しつつ、前側乗物用シート1に対して与える衝撃を抑えることができる。
また、衝撃吸収部15は、ヘッドレスト14におけるピラー140に一体的に設けられているので、例えば衝撃吸収部15がピラー140とは別体として設けられ、ピラー140に対して高い連結強度で連結しなければならない場合に比して簡素な構造で、前側乗物用シート1に対して与える衝撃を抑えることができる。
また、衝撃吸収部15は、ピラー140よりも変形しやすいので、衝撃によってピラー140が変形する前に、衝撃吸収部15を変形させることができる。そのため、ピラー140の変形を抑制しつつ、前側乗物用シート1に対して与える衝撃の抑制に寄与できる。
また、衝撃吸収部15は、荷物N1,N2が前方へ移動して当該衝撃吸収部15に接触した際に、当該衝撃吸収部15を変形させる起点となる脆弱部15cを有するので、荷物N1,N2と接触した際の衝撃吸収部15の変形動作を定常的なものとすることができ、前側乗物用シート1に対して与える衝撃の抑制に寄与できる。
〔変形例〕
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、変形例について説明する。以下に挙げる変形例は可能な限り組み合わせてもよい。
また、以下の各変形例において、上記の実施形態と共通する要素については、共通の符号を付し、説明を省略又は簡略する。
〔変形例1〕
本変形例においては、図4に示すように、シートバック13におけるシートバックフレームが、当該シートバックフレームの上端部において左右方向に延在するアッパーフレーム130と、このアッパーフレーム130及び図示しない他のフレーム(ロアフレーム、左右のサイドフレーム等)に対して接合されるパネル131と、を有している。
そして、アッパーフレーム130に対しては、ヘッドレスト14のピラー140における支柱141が差し込まれるヘッドレストガイド144を保持するガイド保持部145が溶接固定されている。
ヘッドレストガイド144は、ヘッドレスト14のピラー140における支柱141に形成された複数の切欠部141aに係合可能とされ、ヘッドレストガイド144に沿ったピラー140の移動をロック又はロック解除するロック部144aを有している。
さらに、ピラー140の支柱141における端部141c(シートバック13が起立状態である場合の下端部)には、傾斜面と、支柱141の軸方向に対して垂直な垂直面とからなる引掛部141bが形成されている。
また、パネル131のうち、ピラー140の支柱141における端部141cに対向する位置には、引掛部141bが引っ掛かるストッパー部材132が取り付けられている。
ストッパー部材132は、図5に示すように、いわゆるハット型に形成されたものであり、パネル131に固定される一対の固定部132aと、これら一対の固定部132aからピラー140側に突出するコ字型の本体部132bと、を備える。
本体部132bにおいて最もピラー140に近い部位が、ピラー140の支柱141に形成された引掛部141bが引っ掛かる部位となっている。
以上のようなシートバック13及びヘッドレスト14に係る構成によれば、衝撃吸収部15に対して荷物N1,N2が衝突し、ヘッドレスト14がヘッドレストガイド144に沿って移動した場合に、支柱141に形成された切欠部141aと、ヘッドレストガイド144のロック部144aとが強く接触することを抑えることができる。
より詳細に説明すると、衝撃吸収部15に荷物N1,N2が強く接触した場合に、ヘッドレスト14は、図4に示す矢印A1,A2のように、下方に回転しつつ前方に向かって移動する。
この時に、ピラー140の支柱141における端部141cは、図4に示す矢印A3,A4のように、ヘッドレストガイド144のロック部144aを支点にした上向きの回転動作を行いつつ、前方へと移動することになる。
すると、支柱141に形成された引掛部141bが、シートバック13のパネル131に取り付けられたストッパー部材132に引っ掛かり、ヘッドレスト14の前方への移動が停止されることになる。
その結果、切欠部141aと、ロック部144aとの強い接触を抑えることができるようになっている。
さらに、ヘッドレストガイド144は、ヘッドレスト14のピラー140における支柱141に形成された複数の切欠部141aに係合可能とされ、ヘッドレストガイド144に沿ったピラー140の移動をロック又はロック解除するロック部144aを有しているため、ヘッドレスト14は、シートバック13に対して位置調整可能となっている。これに伴って、衝撃吸収部15も、シートバック13における荷物載置面13aに対して位置調整可能な状態となっている。これにより、荷物載置面13aに載置される荷物N1,N2の大きさに応じて適切な位置で、衝撃吸収部15による衝撃吸収が可能となる。
〔変形例2〕
本変形例における衝撃吸収部25は、図6に示すように、ヘッドレスト14に対して移動可能に設けられている。
より詳細に説明すると、ヘッドレスト14における後端部に、衝撃吸収部25が、回転軸25aを介して設けられている。すなわち、本変形例における衝撃吸収部25は回転式とされている。
衝撃吸収部25は、ヘッドレスト14の後端部に設けられているが、クッションパッドや表皮を備えている必要はなく、鉄や鋼等の金属又は硬質の樹脂などによって構成されており、前方へ移動する荷物N1,N2が接触した際の衝撃を吸収するのに十分な剛性を有している。
衝撃吸収部25の幅寸法は、特に限定されるものではなく、ヘッドレスト14の後端部における幅寸法よりも短くてもよいし、長くてもよいし、同等の寸法であってもよい.
また、衝撃吸収部25は、当該衝撃吸収部25を変形させる起点となる脆弱部を有していてもよい。
回転軸25aは、ヘッドレスト14の後端部における上端に設けられており、衝撃吸収部25は、シートバック13を前方に回転させて倒した状態において前方に向かって回転移動して立て起こされる。
衝撃吸収部25は、ヘッドレスト14の後端部に対して立て起こされた状態で、荷物載置面13aよりも上方に突出しており、前方へと移動する荷物N1,N2が接触しやすくなっている。
なお、衝撃吸収部25の回転は、垂直に立て起こされてもよいし、後方に傾斜した状態に立て起こされてもよい。すなわち、衝撃吸収部25は、荷物載置面13aに対して位置調整可能に構成されている。
また、垂直又は後方に傾斜した状態に立て起こされた衝撃吸収部25は、その状態を保持できるように構成されている。
なお、回転軸25aも、衝撃吸収部25と同様に、前方へ移動する荷物N1,N2が接触した際の衝撃を吸収するのに十分な剛性を有しているものとする。
さらに、ヘッドレスト14の後端部は、回転軸25aを保持する部位を有しており、当該部位は、荷物N1,N2が接触して衝撃を受けた回転軸25aを十分に保持し得る剛性を備えているものとする。
さらに、例えば回転軸25aに対して図示しない付勢部材(コイルばね)を設けるなどして、衝撃吸収部25の立て起こし動作を付勢部材による跳ね上げ式にしてもよい。この場合は、ヘッドレスト14は、衝撃吸収部25の跳ね上げ式の回転を規制するストッパーと、このストッパーを解除するボタンなどのストッパー解除手段と、を備えているものとする。
このような本変形例によれば、衝撃吸収部25に対し、前方に向かって勢いよく移動する荷物N1,N2が真っ先に接触し、これにより、前方に移動する荷物N1,N2の勢いを抑え、荷物N1,N2が前側乗物用シート1に衝突した場合の衝撃を和らげることができる。
また、衝撃吸収部25が、ヘッドレスト14に対して移動可能に設けられているので、例えば、衝撃吸収部25を衝撃吸収しやすい方向に移動させたり、通常時には邪魔にならない場所に移動させたりでき、乗物用シート10の小型化に寄与する。
さらに、ヘッドレスト14の後端部に露出して設けられているので、その分、メンテナンス作業や交換作業を行いやすい。
その上、衝撃吸収部25は、荷物載置面13aに対して位置調整可能に構成されているので、荷物載置面13aに載置される荷物N1,N2の大きさに応じて適切な位置で、衝撃吸収部25による衝撃吸収が可能となる。
〔変形例3〕
本変形例における衝撃吸収部35は、図7に示すように、ヘッドレスト14に対して移動可能に設けられている。
より詳細に説明すると、ヘッドレスト14における後端部に、衝撃吸収部25が、図示しない付勢部材によって飛び出し可能に設けられている。すなわち、本変形例における衝撃吸収部35は飛び出し式とされている。
衝撃吸収部35は、ヘッドレスト14の後端部に設けられているが、クッションパッドや表皮を備えている必要はなく、鉄や鋼等の金属又は硬質の樹脂などによって構成されており、前方へ移動する荷物N1,N2が接触した際の衝撃を吸収するのに十分な剛性を有している。
衝撃吸収部35の幅寸法は、特に限定されるものではなく、ヘッドレスト14の後端部における幅寸法よりも短くてもよいし、長くてもよいし、同等の寸法であってもよい。衝撃吸収部35の幅寸法がヘッドレスト14の後端部における幅寸法よりも短い場合、この衝撃吸収部35は、棒状(円柱状)に形成されてもよい。
また、衝撃吸収部35は、当該衝撃吸収部35を変形させる起点となる脆弱部を有していてもよい。
付勢部材は、ヘッドレスト14の内部に設けられており、衝撃吸収部35を、ヘッドレスト14の後端部から飛び出す方向に付勢している。より具体的には、シートバック13を前方に回転させて倒した状態において、衝撃吸収部35は、付勢部材による付勢力によって上方に向かって飛び出して突出する。
なお、ヘッドレスト14は、衝撃吸収部35を収容する収容部35aと、図示はしないが、衝撃吸収部35の飛び出しを規制するストッパーと、このストッパーを解除するボタンなどのストッパー解除手段と、を備えているものとする。
このような本変形例によれば、衝撃吸収部35に対し、前方に向かって勢いよく移動する荷物N1,N2が真っ先に接触し、これにより、前方に移動する荷物N1,N2の勢いを抑え、荷物N1,N2が前側乗物用シート1に衝突した場合の衝撃を和らげることができる。
また、衝撃吸収部35が、ヘッドレスト14に対して飛び出し可能に設けられているので、例えば、衝撃吸収部35を衝撃吸収しやすい方向に移動させたり、通常時には邪魔にならない場所に移動させたりでき、乗物用シート10の小型化に寄与する。
〔変形例4〕
本変形例における衝撃吸収部45は、図8に示すように、ヘッドレスト14の後端部における一部とされており、当該衝撃吸収部45は、ヘッドレスト14における本体部に対してスライド可能に構成されている。
図8は、シートバック13を前方に回転させた場合のヘッドレスト14を示しており、後端部の中央が衝撃吸収部45となっている。この衝撃吸収部45は、シートバック13を前方に回転させた状態において上下方向にスライドするように構成されている。
衝撃吸収部45の後端部における左右の両脇は、衝撃吸収部45を挟み込むようにして保持する保持部146とされている。
衝撃吸収部45と左右の保持部146との間にはスライド機構が設けられている。このスライド機構は、スライドレール45aと、このスライドレール45aに差し込まれる凸部(図示省略)と、を有する。
スライドレール45aは、衝撃吸収部45の側面に設けられており、凸部は、保持部146の側面に設けられている。なお、凸部は、衝撃吸収部45が回転しないように、スライドレール45aの長さ方向に沿って長く形成されていることが好ましい。
衝撃吸収部45は、例えば硬質な樹脂又は鉄や鋼等の金属によって構成されており、保持部146のうち少なくとも衝撃吸収部45に向かい合う面を構成する部位も、衝撃吸収部45と同様の材料によって構成されている。
また、スライド機構は、例えば鉄や鋼等の金属によって構成されており、衝撃吸収部45が受けた衝撃に対する剛性を有している。
このような本変形例によれば、衝撃吸収部45に対し、前方に向かって勢いよく移動する荷物N1,N2が真っ先に接触し、これにより、前方に移動する荷物N1,N2の勢いを抑え、荷物N1,N2が前側乗物用シート1に衝突した場合の衝撃を和らげることができる。
また、衝撃吸収部45が、ヘッドレスト14に対してスライド可能に設けられているので、例えば、衝撃吸収部45を衝撃吸収しやすい方向に移動させたり、通常時には邪魔にならない場所に移動させたりでき、乗物用シート10の小型化に寄与する。
〔変形例5〕
本変形例においては、図9に示すように、シートバック13の荷物載置面13aに傾斜部13bが形成されている。シートバック13を前方に回転させた状態において、傾斜部13bは、荷物載置面13aの延長線よりも下方に傾斜するように形成されている。これに対し、ヘッドレスト14の後端部が、傾斜部13bよりも上方に突出した状態となっている。
すなわち、本変形例においては、シートバック13を前方に回転させた状態の時に、傾斜部13bが、荷物載置面13aよりも前方側においてヘッドレスト14に向かって下がり勾配を形成しているため、ヘッドレスト14の後端部が、衝撃吸収部として機能するように構成されている。
荷物載置面13aに載置された荷物N1,N2は、例えば車両の前突時に前方へと移動するが、荷物載置面13a上を摺動するようにして移動するため、荷物載置面13aよりも前方に傾斜部13bがあることで、荷物N1,N2も傾斜部13bの傾斜面に沿って前方に移動することになる。
そして、傾斜部13bにおける傾斜面を摺動して前方に移動した荷物N1,N2は、ヘッドレスト14の後端部に接触することになる。これにより、前方に移動する荷物N1,N2の勢いを抑え、荷物N1,N2が前側乗物用シート1に衝突した場合の衝撃を和らげることができるようになっている。
なお、本変形例においては、荷物載置面13aの前方に傾斜部13bが形成されるものとしたが、荷物載置面13a全体を、荷物N1,N2が載置できる程度の傾斜面として形成して、ヘッドレスト14の後端部を衝撃吸収部として機能させるようにしてもよい。
また、ヘッドレスト14の後端部には、当該後端部を保護する樹脂や金属等の保護部材を設けるようにしてもよい。
〔変形例6〕
本変形例における衝撃吸収部55は、図10に示すように、シートバック13に設けられている。また、衝撃吸収部55は、その作動時には、荷物載置面13aよりも上方に位置した状態となっている。
なお、衝撃吸収部55は、本変形例においては荷物載置面13aに現れるように設けられているが、シートバック13の上端部(シートバック13を起こした状態での上面部や肩部でもよい。)に設けられていればよいものとする。このように衝撃吸収部55がシートバック13の上端部に設けられる構成とすることで、荷物載置面13aに荷物を置くのに妨げとならない配置とすることができる。
さらに、衝撃吸収部55は、シートバック13が前方に向かって回転する動作に合わせて荷物載置面13aよりも上方に移動するように構成されている。
衝撃吸収部55は、鉄や鋼等の金属又は硬質の樹脂などによって構成されており、前方へ移動する荷物N1,N2が接触した際の衝撃を吸収するのに十分な剛性を有している。
衝撃吸収部55の幅寸法は、特に限定されるものではなく、シートバック13(荷物載置面13a)の幅寸法よりも短く設定されている。衝撃吸収部55は、棒状(円柱状)に形成されてもよい。
また、衝撃吸収部55は、当該衝撃吸収部55を変形させる起点となる脆弱部を有していてもよい。
また、シートバック13に対する衝撃吸収部55の移動形態は、上記した変形例2のような回転式でもよいし、変形例3のような飛び出し式でもよい(図10においては回転式と飛び出し式の双方が表されている。)。衝撃吸収部55が、いずれかの方式で移動する場合には、その方式の移動を実現できる上記のような構成(例えば、回転軸や付勢部材等)を適宜備えているものとする。
なお、衝撃吸収部55が、どちらの方式で移動する場合であっても、シートバック13は、衝撃吸収部55を収容する収容部55aを備えているものとする。
さらに、シートクッション12とシートバック13との間には回転機構50が設けられている。換言すれば、シートバック13は、回転機構50を介してシートクッション12に対して回転可能に連結されている。そして、シートバック13を前方に向かって回転させることで、後側乗物用シート10を折りたたんだ状態にすることができる。
本変形例においては、回転機構50によるシートバック13の動作と、衝撃吸収部55の動作とが連動するように構成されている。
より詳細に説明すると、回転機構50と、衝撃吸収部55の動作を規制するストッパーを解除するストッパー解除手段とが、例えばケーブルなどによって接続され、回転機構50によるシートバック13の回転動作の開始に合わせて、ストッパー解除手段によるストッパーの解除動作が開始される構成となっている。
その他にも、回転機構50と衝撃吸収部55とがケーブルなどによって接続され、回転機構50によるシートバック13の回転動作に合わせて直接的に、衝撃吸収部55を動作させるようにしてもよい(要するに、回転機構50によるシートバック13の回転動作と、衝撃吸収部55の動作とが同期する形態を指す)。
本変形例によれば、衝撃吸収部55は、シートバック13に設けられているので、荷物N1,N2が前方へ移動する距離が短いうちに、衝撃吸収部55によって衝撃吸収を行うことができる。そのため、前側の乗物用シート1に対して与える衝撃をより一層抑えることができる。さらに、乗物用シート(後側乗物用シート10)に備わっている装置(シートバック13)に対して衝撃吸収部55が設けられることになるため、部品点数の増加を抑制しつつ、前側の乗物用シート1に対して与える衝撃を抑えることができる。
また、衝撃吸収部55は、荷物載置面13aよりも上方に位置するので、前方へ移動する荷物N1,N2が衝撃吸収部55に接触しやすく、衝撃吸収部55によって、前側の乗物用シート1に対して与える衝撃の抑制により一層寄与できる。
さらに、衝撃吸収部55は、シートバック13が前方に向かって回転する動作に合わせて荷物載置面13aよりも上方に移動するように構成されているので、乗員によって衝撃吸収部55を操作する手間を省きつつ、前側の乗物用シート1に対して与える衝撃を抑えることができる。
1 前側乗物用シート
1A 右側シート
1B 左側シート
2A 右側シートクッション
2B 左側シートクッション
3A 右側シートバック
3B 左側シートバック
4a ヘッドレスト
4b ヘッドレスト
4c ヘッドレスト
10 後側乗物用シート
12 シートクッション
13 シートバック
13a 荷物載置面
14 ヘッドレスト
140 ピラー
141 支柱
142 折り返し部
143 連結部
15 衝撃吸収部
15a 固定部
15b 本体突出部
15c 脆弱部
N1 荷物
N2 荷物

Claims (10)

  1. 乗員の大腿部及び臀部を支持するシートクッションと、
    下端部が前記シートクッションに支持され、かつ背凭れとなるシートバックと、
    前記シートバックの上部に設けられたヘッドレストと、を備えており、
    前記シートバックは、前記シートクッション上に折りたたまれた状態となるまで前方に向かって回転可能とされ、前記シートバックの背面は、前記折りたたまれた状態において上方を向く荷物載置面とされており、
    前記荷物載置面に荷物が載置され、前突時に、当該荷物が前方へ移動した場合に発生する衝撃を吸収する衝撃吸収部を更に備えることを特徴とする乗物用シート。
  2. 前記衝撃吸収部は、前記ヘッドレストに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
  3. 前記衝撃吸収部は、前記ヘッドレストにおけるピラーに一体的に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の乗物用シート。
  4. 前記衝撃吸収部は、前記ピラーよりも変形しやすいことを特徴とする請求項3に記載の乗物用シート。
  5. 前記衝撃吸収部は、前記ヘッドレストに対して移動可能に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の乗物用シート。
  6. 前記衝撃吸収部は、前記シートバックに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
  7. 前記衝撃吸収部は、前記荷物載置面よりも上方に位置することを特徴とする請求項6に記載の乗物用シート。
  8. 前記衝撃吸収部は、前記シートバックが前方に向かって回転する動作に合わせて前記荷物載置面よりも上方に移動するように構成されていることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の乗物用シート。
  9. 前記衝撃吸収部は、前記荷物載置面に対して位置調整可能に構成されていることを特徴とする請求項5〜8のいずれか一項に記載の乗物用シート。
  10. 前記衝撃吸収部は、前記荷物が前方へ移動して当該衝撃吸収部に接触した際に、当該衝撃吸収部を変形させる起点となる脆弱部を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の乗物用シート。
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